平成15年(2003年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 12月 1日
翁長 政俊
 

 代表質問に入ります前に、イラク復興のために頑張っておられました外務省職員お二人がお亡くなりになりました。哀悼の意を表したいと存じます。
 それでは自由民主党を代表いたしまして代表質問を行います。
 知事の政治姿勢について。
 第43回衆議院議員選挙の結果について。
 第43回衆議院議員選挙が去る11月9日に全国一斉に投票が行われました。結果は、自民党が237議席と単独過半数に届かず、民主党が177議席と大きく議席を伸ばす一方、共産党や社民党は1けた台の議席と激減し敗北を期する選挙結果となりました。
 自民党は、自公保3党による絶対安定多数の275議席を確保し、選挙前の目標であった与党3党による過半数確保をなし遂げたことで、小泉政権が進める構造改革路線を国民が支持し信任を与えた結果となりました。野党第一党の民主党が選挙を前にして突然自由党を吸収する形で新たな民主党を立ち上げ、自民党に対抗する新体制を確立したことにより、二大政党制への受け皿ができ上がったものと国民が期待を寄せたことに尽きると思います。
 さらに、民主党はマスコミを通して大々的なキャンペーンを展開し、政権交代とマニフェストを選挙の争点に掲げ、自民党を選ぶか民主党をとるかの二者択一を国民に迫るという戦術をとることによって一部マスコミの過剰報道を誘い、あたかも政権交代が実現するかのような緊張感を生み出し、大きくクローズアップさせることにより改選前議席を40議席も伸ばし、比例代表選挙においては自民党をしのぎ第一党の座を確保することができたことを見ても、この選挙の躍進ぶりをうかがい知ることができるのであります。
 一方、自民党は選挙後、保守新党を吸収合併し、単独過半数を確保したことでより安定した盤石な政権をつくり出すことができました。したがって、今回の選挙結果から政局を占ってみますと、民主党が議席をふやしたことをもって我が国に本当の意味での二大政党制が根づくかは明確に断言することはできないのであります。流動化が確実に進む我が国の政治において来年の参議院選挙の結果が試金石となり、二大政党制の到来が決定づけられるものと考えております。
 もう一つ今選挙ではっきりしたことは、従前の護憲・平和、消費税反対だけでは国民はついてこないという事実であります。しっかりとした現実的な政策を提示し、この国の形、方向を明確なビジョンを持って示し得る政党でなければ国民の支持を得ることができなくなったことであります。この意味で既成の政策にとらわれた社民党と共産党は完全に蚊帳の外に置かれて歴史的、壊滅的な敗北を期することになったのであります。
 我が沖縄選挙区においても、自民党が3区の嘉数氏、4区の西銘氏を当選させ、1区においては自由民主党推薦で自公協力のもとで白保氏が当選を果たしたことは、今後の県内政局においてその意義は大きく、県政の安定を初めとして自公協力体制のさらなる発展につながっていくものと高く評価をいたしております。沖縄は、米軍基地、雇用、産業育成、医療・福祉等課題が山積みする中でこれらの沖縄問題の解決に向け県民は自公連立の稲嶺県政に信任を与えたとも言える選挙結果になったと考えております。
 以上、私の所見とあわせ、今回の衆議院選挙の結果についての評価と知事の所見を求めるものであります。
 (2)、普天間飛行場の移設問題について。
 普天間飛行場の代替施設の県内移設受け入れについては、県は整備すべき条件として4項目の条件を提案し、国もこの条件を受け入れ政府方針を閣議決定しております。しかしここに来て、移設のための整備4項目が揺らぎ、移設作業が暗礁に乗り上げた状態に至っている感があります。その原因は、代替施設の民間専用地区の事業主体をめぐる国と県との対立にあります。国は、一方的に事業主体になるのは法的に困難との見解を示し、知事は法を改正しても国が事業主体になるのは至極当然のこととして動じる様子もありません。これまでの経緯を検証してみますと、なぜこのような重要課題が代替施設建設協議会においてしっかりと審議がなされずに、突然、降ってわいたかのように問題化したのか不可解でなりません。その結果、平成14年7月に国において決定された基本計画に沿った代替施設建設の環境アセスメントの手続に着手することができず重大な支障が生じていることから、以下の質問をいたします。
 ①、代替施設に係る環境問題について。
 ア、環境アセスメントの事業主体は国が担うということで県との調整が済んだのですか。県のこの問題での方針とあわせて伺います。
 イ、近々、環境アセスメントの事業着手が行われると聞いておりますが、実施時期についてお伺いいたします。
 ②番、代替施設に係る軍民共用飛行場について。
 ア、民間専用地区の埋立整備の事業主体について国の提案にどう対応するのですか。
 イ、民間専用空港ターミナルの事業主体について国との協議の内容と進展について伺います。
 ウ、民間空港の管理運営について県が事業主体となってもよいとする考えで国と協議をしていると聞いておりますが、そのとおりなのか再確認をいたします。
 ③番、代替施設の使用協定について。
 ア、使用協定合意の基本前提としてSACOの最終報告の内容を超えないものとする前提があるが、その内容を具体的に示してください。
 イ、使用協定問題で名護市と県の考えにいまだにそごがあるものと考えておりますが、名護市との認識は一致されておりますか伺います。
 ウ、米軍の機能拡大、強化にどう歯どめをかけるのか名護市が懸念するところでありますが、県の責任においてどう担保することができるのか伺います。
 ④番、15年使用期限について。
 使用期限問題は着工までに解決すればよいとする考え方が同問題の解決をおくらせているものと憂慮をいたしております。県の取り組みについて伺います。
 次、代替施設に係るボーリング調査のための財産使用協議について。
 ア、ボーリング調査のための潜水調査の結果について。
 イ、前例に倣って同意するのか県の方針を伺います。
 ウ、作業計画に同意した海洋学者5名の氏名公表を求める声に県はどうこたえるのか。
 エ、63カ所のボーリング調査による海底掘削自体、自然破壊であり、環境アセスメントの対象であるとする考えに対し県の見解を求めます。
 オ、事前に地元関係者への十分な説明と理解を得る必要性を名護市が求めていることについてどうこたえますか、お答えください。
 ⑥、ラムズフェルド国防長官との会談について。
 ラムズフェルド米国防長官が13年ぶりに来県されました。来県の目的は、国防総省が進めている在日米軍の編成を抜本的に見直すことについて本格的に協議を進め、みずからの目で沖縄の米軍基地の実態を確かめることにあると言われておりました。稲嶺知事もこの会談で率直に沖縄の実情を訴え、一刻も早い基地問題の解決を強引に迫ったことで県民の共感を呼ぶことになりましたが、質問をいたします。
 ア、要請項目を7項目に絞った理由をお聞かせください。
 イ、国防長官との会談前とその後の在沖米軍基地の再編見通し等についてどのような感触を持たれたのか伺います。
 2番、基地行政。
 (1)、対潜水艦探知用新型低周波ソナー問題について。
 海洋哺乳類に悪影響を及ぼすおそれがあるとして指摘されている米海軍の対潜水艦用の新周波ソナーが世界の海域の中で日本だけに限って使用されるとの報道がなされております。
 そこで伺います。
 ア、ラムズフェルド米国防長官が知事との会談で、海洋生物への影響がなく、使用方針に変更がないと発言されておりますが、その見解について知事の見解を伺います。
 イ、沖縄近海を回遊するザトウクジラは本県の観光資源であり、悪影響が懸念されるが、県の認識と対処策を伺います。
 (2)、米海兵隊による都市型訓練施設建設について。
 金武町の米海兵隊キャンプ・ハンセン内のレンジ4に陸軍特殊部隊(グリーンベレー)が使う都市型戦闘訓練施設をつくる計画で安全性、基地負担増の2点に問題がないか検証が求められております。

 よって以下の質問をいたします。
 ア、今回建設される陸軍複合射撃練習場の具体的な場所、建設時期、建設内容などを明らかにしていただきたい。
 イ、建設計画されている施設での訓練の内容について。
 ウ、同施設の建設で地元住民は基地負担の増大にならないか不安を感じておりますが、負担増にならないか、お答えください。
 エ、都市型訓練施設の建設計画で県はこれまでどのような対応をしてきたのか、お伺いいたします。
 オ、この施設では実弾が使用されると聞くが、地域住民の安全が脅かされないか、伺います。
 カ、同施設建設計画に対する知事のスタンスは同意か反対か伺います。
 (3)、返還米軍跡地などで見つかった有害物質のPCBを含む汚泥を処理する施設の県内建設計画についてであります。
 ア、PCB廃棄物の保管状況はどうなっておりますか。
 イ、発見されたPCB等含有汚泥についてなぜ米軍が処分しないのか。また、今後の処分計画はどうなっているのか伺います。
 3番、那覇港の港湾計画の改訂について。
 (1)、国際コンテナターミナル地区の運営参加を広く国際公募し、トランシップ貨物の集積を図り、国際海上コンテナ輸送の中継地点を目標にしておりますが、海外からの公募状況と今後の手続について伺います。
 (2)、那覇市の廃棄物最終処分場を新港埠頭に建設すべく計画を行っておりますが、以下質問いたします。
 ア、管理組合が事業主体となって進めている同計画の進捗状況について。
 イ、浦添市は、一義的にはごみを出す側が整備すべきと疑問を呈していると聞いておりますが、3母体の調整はなされておりますか。
 4番、那覇空港の沖合展開について。
 (1)、那覇空港の需要増加に伴う機能拡充などの課題や対応等を調査するため、国と県は「那覇空港調査連絡調整会議」を立ち上げたが、この会議の目的、国と県との役割分担、特に県は滑走路増設事業にどうかかわっていくのか伺います。
 (2)、滑走路の増設は海域の一部を埋め立てることになりますが、自然環境への影響、沖合展開による航空機の増加に伴う騒音などの環境アセスメントの実施方法と地域住民の合意形成を図るための意向調査の進め方について伺います。
 5番、市町村合併について。
 (1)、2005年3月に期限が来る市町村合併特例法に基づく合併作業は任意協議会から法定協議会へ円滑に移行することが望ましいが、当初県が想定したとおりに進んでいるか伺います。また、合併重点支援地域の現状と追加指定についてもお伺いをいたします。
 (2)、政府の地方制度調査会は最終答申を小泉総理に提出いたしました。これによると、基礎的自治体の人口の目安を1万人とすることを明記。しかし、同答申は裏を返せば合併しない小規模の町村に対する圧力ともなり、また合併をしない市町村に対する財政措置についても触れてなく、合併を見合わせた市町村には不安が残ることになります。よって、県内自治体への影響と県の答申に対する考え方を伺います。
 6、離島・過疎地域の振興について。
 新沖縄県離島振興計画をもとに、交通基盤や情報通信基盤の整備、保健・医療の確保、福祉の向上、教育、文化の振興を図り、自然環境を生かした豊かな生活空間を創造することで地域格差の是正や若者の定住促進及び交流人口の増加を図り、きめ細かな施策の実施が求められております。しかしながら、依然として格差が残っております。何よりも離島・過疎地域の悩みは慢性的な若者の流出であり、これに伴う高齢化の進行など課題は深刻であります。よって、県単独事業を初め国庫補助事業等の各種支援事業が必要であり、その現状と後年度計画されている主要事業の実施計画についてもお伺いをいたします。
 7番目、民間活力による地域振興について。
 沖縄の経済、観光等は那覇を起点に流動していることから、どうしても国際通りの再生、活性化が必要不可欠であると考えます。幸い、国際通りの商店街等の関係者がその活性化のために活動を展開しており、その動きをより活発化させるためにも行政からの支援が必要と考えます。県がどのような支援策を講じていかれる考えがあるか伺います。
 (2)、那覇新都心に進出する米DFSグループの空港外大型免税店は、本県観光振興の観点からその実現が大いに期待されているところであります。
 そこで伺います。
 空港外大型免税店の開業予定日、店の規模、業務の内容、形態等の概要についてお聞かせください。
 (3)、旭橋駅周辺地域開発事業について。
 再開発会社が進めている執行体制の整備、資金調達のめどづけ、保留床処分先の確保等事業推進に多くの課題を抱えておりますが、今後の事業計画の進め方と県のかかわり方について伺います。
 8番、那覇市沿岸漁業組合の組合員資格審査問題について。
 那覇市沿岸漁業協同組合の正組合員120名中、60名が資格に疑問があると県が指摘をしております。漁業実績のない組合員に対して国や県が支払った漁業補償金の一部を過剰に受給していた疑いがあることが判明をしているところであります。県当局は再三にわたって指導してきたとのことでありますが、一向に改善されておりません。厳格な審査体制が必要と考えます。また、この問題は全県的な調査が必要と思慮しますので、県の対応を伺います。
 (2)、過剰に支払われた補償金はどのように処理されておりますか。
 次に、中小企業対策について。
 本県においては、企業のほとんどが中小零細企業であることから、金融機関の体力や経営方針によって企業経営に大きな影響があり、深刻な状況にあります。
 そこで、県が行っている県内中小企業に対する支援策と金融機関に対する貸し渋り、貸しはがし等の指導が的確に行われているか伺います。
 (2)、県信用保証協会による県内中小企業に対する保証業務の現状についてお伺いいたします。
 (3)、保証協会の経営改善計画で地域連絡所の閉鎖が検討されておりましたが、連絡所が引き続き運営されると聞き喜んでおります。しかし、所員が金融業務の専門家ではなく素人の嘱託員を配置していると聞いておりますが、これでは継続の意味もなさず、かえって中小企業支援行政の後退と考えますが、県の指導がどうなっているのかお伺いをいたします。
 答弁によって再質問をいたします。

 
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