平成16年(2004年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 12月10日
警察本部長(三浦正充)
 

 初めに、飲酒運転の状況と取り組みについてお答えをいたします。
 まず、県内の交通事故の発生状況でありますが、本年12月8日現在、交通死亡事故は59件発生をし、前年同期と比べて15件の減少であります。ただし、交通人身事故全体で見ますと6089件でありまして、これは前年同期に比べますと316件の増加となっております。
 この中で飲酒絡みの事故は、死亡事故については20件でありまして全死亡事故の34%を占めておりまして、全国平均の3.2倍という憂慮すべき状況であります。また、全人身事故に占める飲酒絡み事故の割合は4.9%でありますが、これも全国平均の2.9倍で全国ワーストワンであります。
 次に、飲酒運転の取り締まり状況でございますが、本年12月8日現在8760件を検挙しておりますが、これは前年同期よりも1265件、17%増加をしております。これは全国的にも極めて高い水準でありまして、東京や大阪にほぼ匹敵する数であります。ですから、単位人口当たりで見れば沖縄は圧倒的に飲酒運転の検挙が多いということになります。平成14年6月に道交法が改正をされまして罰則が強化されたにもかかわらず、飲酒運転が減少しないという実態が続いております。そうしたことから、県警としましては、飲酒運転撲滅対策を活動重点に掲げ各種施策を推進しているところであります。
 その中で、飲酒運転で検挙された人に対する実態調査結果を行いましたが、それによりますと、年齢層は20代から30代の若者が約7割を占めておりまして、また約4割が居酒屋で飲んだと回答をしております。これが一番多い比率であります。
 したがいまして、その対策として、居酒屋連絡協議会の積極的開催等による居酒屋対策、飲酒運転撲滅市町村青年連絡協議会の結成による若者対策を新たに実施しているほか、飲酒運転疑似体験を通しての交通安全教室の開催――これは酒を飲んだときと同じ状態をつくってその怖さを知ってもらうというようなことでありますが――あるいは高校、大学、専門学校等に対する交通安全講話等の啓発活動を強力に推進しているところであります。
 また、飲酒の機会がふえる12月を飲酒運転取り締まり強化月間と指定しまして現在取り組みを強化しております。さらに、この12月21日から平成17年1月4日までの15日間実施をされます年末年始の交通安全県民運動では、関係機関・団体と連携を密にしまして、飲酒運転は犯罪であることを改めて広く県民に訴え、飲酒運転の撲滅のための各種施策を引き続き推進してまいりたいと考えております。
 次に、通学路の児童の安全確保の取り組みについてお答えをいたします。
 未成年者を被害者とする犯罪は全国的に増加傾向にあり、こうした中で先日、奈良県で小学校1年生の女児が下校中に誘拐・殺害されるという衝撃的な事件が発生をしたわけでありますが、沖縄県内でも昨年1年間で誘拐事件が17件、いわゆる声かけ事案が68件、強制わいせつ事件が73件発生しておりまして、いずれもその前の年と比べて急増をしております。ことしも10月末で誘拐事件が8件、声かけ事案が28件、強制わいせつ事件が41件発生しておりまして、子供をねらう犯罪や事案が依然として後を絶たない状況にあります。
 県警では、本年4月に施行された「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」第21条の「通学路等における児童等の安全確保」の規定に基づきまして行政、学校、保護者、地域との連携を強化してさまざまな対策を講じているところであります。特に、県警の取り組みとしましては、登下校時の通学路における警察官によるパトロールを強化するとともに、検挙活動を強化しております。
 ちなみに、本年10月末の未成年者を被害者とする事件の検挙状況は、誘拐事件の検挙件数は11件で、検挙率は138%であります。これは前年の未解決事件を検挙しておりますので、検挙率が100%を超えております。また、強制わいせつ事件の検挙件数は29件で、検挙率71%となっております。この種の犯罪には特に力を入れて検挙活動を行っております。
 他方、子供たちの安全を守るためには警察力だけではなく、関係者や地域と連携しての対策が不可欠であります。
 こうした観点からの取り組みとしては、1つには、学校周辺や通学路の危険箇所を点検するという地域安全マップの作成活動に取り組んでおりまして、この11月には緊急雇用創出事業として教員免許の保持者31名を採用しまして、各教育事務所や各小学校と連携をして来年2月までにはほぼ全小学校でこのマップの作成活動を実施することにしております。また、企業の協力を得て作成をしました防犯笛、これを新しい1年生等に配布をしたり、また緊急時に助けを求めることができる子ども110番、いわゆる太陽の家を現在では約3500カ所ほど委嘱をしておりまして、子供たちがみずから身を守る方法を指導しております。
 さらに、県警のホームページにおきまして、強制わいせつや声かけ事案等の発生箇所を表示した地図を掲載しておりまして、各市町村や自治会、地域住民等による子供の安全を守る活動の参考として情報提供などを行っております。また、地域の方々によるパトロールや登下校時の見守り活動の支援なども行っております。
 また、去る12月3日の「ちゅらさん運動の日」には、奈良県の事件の発生を受けまして、県庁内の県民ホールにおきまして県、教育庁、それから警察本部の合同による子供たちを守るための緊急アピールを実施しました。関係者多数の参加のもと、県民総ぐるみで子供たちの安全を守る取り組みを強化することを確認したところであります。
 県警では、今後とも関係者との連携を一層強化・推進をしまして、子供たちの安全を守る活動に力を入れてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

 
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