平成15年(2003年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 7月 2日
平良 長政
 

 一般質問を行います。
 まず、我が会派の代表質問との関連で、イラク復興支援特措法についてお伺いいたします。
 まだ戦闘が続いている地域への自衛隊派兵問題も当然ありますが、それ以前の問題としてイラク戦争とは一体何だったのかをまず問わなければなりません。
 アメリカは、大量破壊兵器の脅威をあおって開戦に持ち込みましたが、いまだに大量破壊兵器は見つかっておりません。イラクは本当に大量破壊兵器を保有していたのか、情報操作をして戦争に突入したとしてブッシュとブレアは批判の矢面に立っております。
 そもそもイラク復興支援とは何でしょうか。戦争で破壊して復興させる。爆弾で橋を壊して、また橋を建てかえる。たたいて破壊すればするほど復興には金がかかり、もうかる。その復興資金に群がるのがアメリカの企業であります。ブッシュ政権はことし初め、共和党やブッシュ大統領に巨額な献金をしているベクトル社を初めとするアメリカ大手6社と復興工事契約を締結していたことが明るみに出ました。戦争前に契約を交わしていたのです。
 政府と癒着した死の商人が戦争を推進し、巨額の利益を得るブッシュの戦争の本質が見えます。戦後復興についても、血を流したのはおれたちだから、利権にあずかるのもおれたちだと言ってはばからないアメリカ、イギリスであります。
 そして、ブッシュを後押ししているのがネオコン(新保守主義)です。世界制覇を夢見る勢力の台頭です。核を持っていてもイスラエルやパキスタンのように親米政権であれば保護し、イラクやイランや北朝鮮のようにアメリカの言いなりにならなければ悪の枢軸国としてたたきつぶす。シリア、リビア、イエメンなどのアメリカの言うごろつき国家もねらわれています。
 フセイン政権は、独裁政権で確かに悪いかもしれません。しかし、悪いからといって民主化を旗印に先制攻撃を仕掛ける権利や、他国に攻め入って政権交代をさせる権利はアメリカにはないはずです。フセイン打倒や民主化はイラク国民に任せるべきで、主権国家への内政干渉は国際法上も許されるものではありません。
 中東きっての親米家ムバラク・エジプト大統領さえも、この戦争は100人ものビン・ラディンを生んでいると述べています。国際ルールを守らない、これがイラク戦争であります。
 さて、稲嶺知事、イラク支援法について我が会派の伊波栄徳議員への答弁では、さまざまな意見があり慎重かつ十分な議論が必要だというものでありましたが、さまざまな意見があることは承知しておりますが、米軍基地の集中する沖縄の県知事としての考え、所見をお伺いしたいと思います。しっかりと反対を表明すべきであると思いますが、どうでしょうか。
 あとは順次通告に従い質問いたします。
 1、知事の政治姿勢について。
 (1)、日米地位協定改定について。
 ア、知事の米軍基地のある都道府県への要請を評価するものでありますが、反応はどうですか。
 イ、JCや自治労の全国的運動展開についてどう評価していますか。
 ウ、日米両政府を動かすには県内世論形成が大事であります。知事の主導で県民大会を開催すべきと考えていますがどうですか。県民大会には韓国の代表もお呼びしたらどうでしょうか。
 実はきょう、琉球新報の夕刊に出る予定になっているそうでありますが、それによりますと稲嶺知事は連合沖縄の狩俣会長と10月5日県民大会開催時期の調整をしているという報道がなされるようですが、それについてはどうでしょうか。
 (2)、海兵隊削減について。
 ア、在沖米海兵隊削減計画という米紙報道がありましたが、削減の展望はどうですか。
 イ、米紙報道をめぐる県対応への福田官房長官の「不快感」発言について知事の感想を求めます。
 (3)、宜野湾市長選について。
 ア、5年内返還、国外移設を主張した伊波洋一氏当選をどう見ていますか。
 イ、知事は、普天間基地の県内移設反対、5年内返還を主張する新市長とどのように対応されますか。
 ウ、5月23日の日米首脳会談で一致したと言われる沖縄の負担軽減の中身は何ですか。伊波市長の主張する普天間の県外移設が一番の沖縄の負担軽減となるのではありませんか。
 (4)、有事法案の成立について。
 国民的議論も不十分のまま、国会審議でなく与党と民主党の密室協議で法案ができ上がり、有事三法が6月6日成立をいたしました。
 復帰31周年の記念すべき5月15日に衆院で採決されたとき、反対討論に立った我が党の今川正美衆議院議員に対し自民党席から、非国民、売国奴と罵声を浴びせられたと言われております。戦争前夜の様相を見せております。アジアに対する侵略戦争の反省に立って戦争放棄を誓ったはずの日本が、この法案成立によって再び戦争をする国へと転換してしまったのであります。
 そこで質問ですが、ア、この法案成立についての知事の所見をお伺いしたい。
 イ、沖縄への影響についてはどうですか。
 (5)、イラク戦争で使用された「第二の対人地雷」と言われるクラスター爆弾の自衛隊那覇基地配備について。
 ア、航空自衛隊はクラスター爆弾をいつからどれだけ購入していますか。那覇基地にはいつからどれだけ配備されていますか。
 イ、96年に国連人権委員会でその製造・使用を禁止する決議も採択されています。専守防衛であるはずの自衛隊がこの残虐な兵器を何のためにどういう場面で使うのか。その目的が納得できるものでなければ知事は撤収を強く申し入れるべきと思いますが、どうですか。
 2、教育行政について。
   ああ、弟よ、君を泣く、 君死にたまふことなかれ。
   末に生れし君なれば   親のなさけは勝りしも、
   親は刃をにぎらせて   人を殺せと教へしや、
   人を殺して死ねよとて  廿四までを育てしや。
 これは御存じの与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」の一節であります。
 このような肉親を案ずる気持ちまでが非国民と弾劾されました。教師は愛国心を鼓舞し、生きて帰ってくるなとたくさんの教え子を戦場に送り出しました。
 このようなさきの大戦の反省の上に立って新憲法のもと、教育の力で平和と民主主義を培う決意を示したのが教育基本法であったと思います。
 イラク攻撃が強行された3月20日に教育基本法の骨抜きを図る中教審答申が出されました。学力優先の受験競争に疲れ切った子供たちの声が聞こえなかったのでしょうか。いじめで非業の死を選んだ子供たちの痛ましい声は届かなかったのでしょうか。さきの大戦であたら若い命を奪われた若者の声をしっかり受けとめる人はいなかったのでしょうか。
 この答申は、今問題となっているいじめや不登校の子供たちをいやし、個性を大事にした豊かな教育を目指すものではありません。憲法改悪をするための準備として国家に対する忠誠を、そして愛国心、すなわち国民が国家のためにすべてをささげる精神を誓わせ、戦争に反対しない人づくりのためのものではありませんか。今必要なものは、教育基本法の改正ではなく同法の確固たる実践、すなわち30人以下学級や統合教育や「子どもの権利条約」などの速やかな達成や履行ではないかと思います。
 有事法制を急ぎ、教育基本法の改正を急ぐ理由は一体何でしょうか。同答申に対する知事及び教育長の見解を求めます。
 3、障害者支援費制度について。
 (1)、ことし4月から導入された同制度で何が変わったのか。
 (2)、サービスを選べるだけのサービス基盤、供給体制は十分か。
 (3)、ホームヘルプの上限問題もありましたが、実施主体となる市町村にニーズに応じた支給ができる財源が保障されるか。市町村の持ち出し分はないか。
 4、商工行政について。
 (1)、新型肺炎(SARS)による観光業界の落ち込みの影響とその救済策はどうなっているか。
 (2)、沖縄デジタルアーカイブ事業の内容とその事業での県内コンテンツ産業の育成はどうなっているか。運営方法等を理由に3企業体参加辞退等の新聞報道もありましたが、どうなっていますか。
 (3)、政府の「構造改革特区第3次募集」に再提案される名護市のキャプティブ保険などに対し、県は実現に向け名護市任せでなく県全体のものとして支援すべきではありませんか。そのため、政策協議会に持ち込んででも解決する姿勢を示すべきではありませんか。

 5、バス問題について。
 (1)、バス4社統合は現在とんざした状況にありますが、県の統合への消極姿勢にこそその原因があるのではありませんか。
 (2)、これまでの統合案に難色があれば、県民の足を守る立場から実現可能な県案を出すべきではありませんか。
 (3)、那覇交通株式会社はついに6月20日、民事再生の手続を開始いたしました。県は、このことをどうとらえていますか。責任を感じていますか。
 (4)、今後のバス4社統合の可能性はどうですか。沖縄バスを除いた3社統合の可能性はどうですか。
 (5)、4社統合が不発に終わりましたが、モノレールとバス結節はどの会社と接触を持っていますか。
 (6)、モノレール導入に伴うバス労働者の余剰人員対策は万全ですか。
 (7)、バス車内広告会社のモノレール導入による損失補償についてはどう考えていますか。
 6、美ら島環境クリーン作戦について。
 (1)、県警は、去る5月から県当局とタイアップして「美ら島環境クリーン作戦対策本部」を設置して、不法投棄等環境犯罪対策を強力に推進しているとの報道がありましたが、その作戦の目的、内容、具体的な取り組み方法等についてお伺いをいたします。
 質問は以上ですが、答弁によって再質問いたします。

 
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