平成15年(2003年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 10月 3日
知事公室長(新垣良光)
 

 自衛隊のミサイル発射試験について一括してお答えいたします。
 久米島町では、過去に鳥島射爆撃場における劣化ウラン弾誤使用問題や漁業操業妨害問題が起こっており、仮に予定どおり発射試験が実施されると地元住民に大きな不安を与えるのではないかと懸念しております。国としては、地元の同意を得た上で発射試験を実施したいとの意向でありますが、県としては、ミサイル発射試験が地域住民の基地負担の増大につながってはならないと考えており、県民の生命財産を守る観点から今後とも正確な情報の収集に努めるとともに、地元久米島町の意向等も踏まえつつ適切に対応していきたいと考えております。
 劣化ウラン弾の回収及び国による環境調査や住民の健康診断の実施について一括してお答えいたします。
 鳥島射爆撃場で誤使用された1520発の劣化ウラン弾の回収状況につきましては、平成9年233個、平成10年12個、平成11年2個の合計247個が回収されたとの報告を受けております。
 同問題に関する国の環境調査については、去る5月27日に久米島町において国の主催により町長、議員、各界の代表者や一般町民が参加した住民説明会が開催されました。
 当該説明会において国は、これまでの環境調査及び環境影響評価を踏まえ、住民検診の必要性はないとの考えを示していますが、久米島町は実施を希望しており、県としても国において健康調査を実施すべきものと考えております。今後とも、久米島町と連携しながら適切に対応していきたいと考えております。
 なお、沖縄県と基地の所在する31市町村で構成する軍転協において、先月上旬、在日米軍沖縄地域調整官を初め県内外の関係機関に対し劣化ウラン弾の回収、従前どおりの環境調査の継続、環境調査結果の久米島住民への説明及び久米島住民に対する健康診断の実施を要請したところであります。
 航空機燃料流出問題についてにお答えいたします。
 去る9月24日の午後3時ごろ、金武湾タンクファームから基地外の排水路に油が流出するという航空機燃料の油漏れ事故が発生しております。那覇防衛施設局からの連絡によりますと、今回の事故は周辺地域及び天願川への影響はなかったとのことでありますが、付近住民は農業排水路に油が流出したことによる環境悪化を強く懸念しており遺憾であります。
 県は、翌日、現地に職員を派遣し現地調査を行うとともに、米軍に対し周辺に影響を及ぼさないよう流出した油の回収と今回の事故原因の究明と公表及び一層の安全管理の徹底を含む再発防止対策並びに基地内の類似施設の点検と対策を講じるよう要請しております。県としては、今回の燃料漏出事故について、今後、地元具志川市と連携を密にしながら適切に対応していきたいと考えております。
 代替施設基本計画の進捗状況についてにお答えいたします。
 普天間飛行場の移設については、前県政が最終段階において県内移設を拒否したため全くめどのつかない状況になりましたが、軍民共用空港等の公約を掲げて当選した稲嶺知事の就任後、平成11年12月には県の移設候補地選定結果や名護市の受け入れ表明を受け、「普天間飛行場の移設に係る政府方針」が閣議決定されました。平成12年8月には同方針に基づき代替施設協議会が設置され、9回にわたる協議を経て昨年7月、基本計画が決定されるなど一歩一歩進められてきたところであります。本年1月には新たに代替施設建設協議会が設置されたところであり、普天間飛行場代替施設について環境影響評価、設計、施工等代替施設の建設に係る事業及び「代替施設の使用協定に係る基本合意書」に基づく取り組みの進捗状況について報告を受けるとともに、これに関して所要の協議を行うこととしております。今後、国において代替施設の基本計画に基づき環境影響評価が実施されるものと考えております。
 民間機能の需要予測と運営についてにお答えいたします。
 代替施設の民間機能の需要見込みについては、第2回代替施設協議会で県から説明しました。
 その内容は、那覇空港における既存の調査結果や北部地域における航空貨物の実績並びに今後展開される多くの振興策等を勘案しながら、民間機能における潜在的ポテンシャルを求めたものであります。また、北部地域にある主要ホテルの利用者は、年間延べ約260万人の観光客に利用されていることなどから、北部地域の航空旅客は現状でも一定の利用可能性があると考えています。これらを踏まえ、県の独自の推計では関東、関西、中部方面に1日6便程度の就航を見込んでおります。民間機能の運営について、県は代替施設協議会において「民間機能に係る飛行場施設の管理運営の在り方については、県民にとって最も望ましいものになるよう、県が主体となって取り組んでまいります。」と述べており、今後国とも協議しながら検討していきたいと考えております。
 自衛官爆死事件についてにお答えいたします。
 去る8月31日に発生した自衛隊員の爆死事件については、県は、去る9月12日に自衛隊に対し、今回の事件に係る爆発物の流出経路など事実関係を把握するとともに、隊員の綱紀粛正や隊員教育を徹底するなど事件の再発防止に万全を期すよう強く要請しております。
 また、同日、米軍に対し、同事件に関し県警や自衛隊とも連携し、流出経路を徹底的に調査し隊員の綱紀粛正の徹底を図るとともに、廃弾の適正処理を含め、武器・弾薬等の管理体制に万全を期すよう強く要請しております。県としては、今回の事件について県警の捜査の状況を見ながら適切に対応していきたいと考えております。
 以上でございます。

 
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