平成19年(2007年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 2月26日
嘉陽 宗儀
 

 通告に基づき質問します。
 初めは、選挙公約の実行についてであります。
 本議会は知事が就任して初めての予算議会であり、それだけに多くの県民が注目をしています。ところが、所信表明や予算案の内容は総花的で格差社会が大きな政治問題になり、その解決策が求められている中で県民の苦しみを軽減するものにはなっていません。そこで改めて知事選挙で掲げた公約について、予算編成の中でどのように反映させる取り組みをされたのか、その内容を説明してください。
 2番目の質問は、米軍基地問題についてであります。
 最近の米軍基地をめぐる状況はまさに異常で、米軍の横暴ぶりは目に余るものがあります。これは自公政権が米軍再編の中で対米従属をますます深め、アメリカにまともに物が言えない結果ではないかと考えます。それだけに知事が県民の生命・安全を守る立場から日米両政府に筋を通し、沖縄の立場を主張していくことが重要になっています。
 そこで質問します。
 (1)、普天間基地の3年で閉鎖状態にするという公約実現のためにどのような県独自の取り組みをするのか、その実現のめどはあるのか明らかにしてください。
 (2)、宜野湾市の伊波市長は、「普天間飛行場の安全不適格宣言」を米国の安全基準に基づいて行っています。知事はそれをどう評価しますか。
 (3)、また、伊波市長は「普天間飛行場問題の解決促進について」という協力要請を県知事あてに昨年の12月に提出しています。それに対してどう対応していますか。
 (4)、知事は、V字型沿岸案に反対を表明していますが、日米両政府はそれを拒否しています。政府との一致点を模索するというその内容は何ですか。
 (5)、知事は、米軍再編が県民の目に見える形での負担の軽減につながると強調してきましたが、その根拠を示してください。基地機能の強化、演習の激化が県民生活を圧迫している状況が深刻になっている現在でも負担軽減と考えておられるのか説明を求めます。
 (6)、嘉手納基地以南の大規模な返還を強調されていますが、これらの計画もすべて基地機能の県内移設条件つきであり、県民負担の軽減になる保証はないと考えますが、県民負担の軽減になるというのであれば、具体的にその根拠を示してください。
 (7)、知事は、嘉手納基地が目に見える機能強化、住民負担の増加という事態になっていることをどう思いますか。
 (8)、最近の米軍演習の傍若無人ぶりは目に余るものがあります。これは基地容認の知事の政治姿勢の結果ではありませんか、所見を伺います。
 (9)、米空軍ステルス戦闘機F22ラプターは、その解説によると、ステルス性能、大推力エンジンの搭載による高機動性とスーパークルーズ(超音速巡航)能力を有し、単なる制空戦闘機としてだけではなく、彼我の空間全体の絶対的支配をもくろんだ航空支配戦闘機と呼称されているとあります。従来のF15戦闘機の5機分に相当する戦闘能力を有していると言われています。その米空軍F22ステルス戦闘機の配備は一時的な移駐ではなく、アメリカの世界戦略との関係で恒常的な配備の様相が強まってきました。知事の対応を伺います。
 (10)、米軍再編は、沖縄の米海兵隊のグアム移転を口実にグアムでの米軍基地建設に日本国民の税金を投入するというもので、県民の負担軽減が目的ではないことが明らかになりました。それについて知事の所見を伺います。
 (11)、キャンプ・シュワブの環境影響評価に対し、防衛省が県の同意のないままアセス方法書の送付をした場合、県は知事意見書の取りまとめに向けた審査を行わないと報じられていますが、それに対する県の対応を伺います。
 (12)、次は、北部訓練場のヘリパッド移設問題です。
 移設予定地は住宅地まで600メートルしか離れてなく、福地ダムなど県民の水がめがあり、また一帯は世界自然遺産の侯補地として貴重な自然豊かな地域であります。ヘリパッドの移設事業はこれを破壊し、地域住民の生活を恐怖に陥れることになります。ところが環境アセスではヘリポートはアセス条例の対象であるが、ヘリパッドの環境アセスを自主的なアセスにしています。全く道理が通りません。
 そこで質問します。
 北部訓練場ヘリパッドの移設事業は環境アセスの対象外という根拠は何か。環境アセスを実施しないで環境が守れるのですか。
 第3の質問は、泡瀬干潟問題についてであります。
 (1)、泡瀬干潟埋立事業は、現在、沖縄市の東部海浜開発局の業務の大半は執行停止され、埋立事業の可否を検討しています。ところが県はそれを無視して工事を強行しています。その結果、海草藻場がどんどん生き埋めにされています。これは海草藻場を守るという条件にも反するものです。県は事業を中断し、早急に工事の中止について検討すべきではありませんか。
 (2)、県の中城湾港土地造成事業は、土地の処分が進まず、財政的にも塩漬けと総務部長が説明するほど、むだな公共工事であることがいよいよ明確になってきました。それでも泡瀬干潟の埋立工事を推進するのですか。事業計画はどうなっているか。埋め立てた土地の処分のめどはありますか。
 第4の質問は、選挙関係についてであります。
 (1)、去る知事選挙は、目に余る企業ぐるみ、民主主義じゅうりんの事態がまかり通りました。決して許されるべきではありません。4月の参議院補欠選挙でも同様な違法選挙の危険性があります。公正公平な選挙を実施するための選管と警察の決意を伺います。
 (2)、知事選挙の違反について刑事告訴・告発の動きもあります。企業ぐるみ選挙などの違法な選挙運動の摘発は徹底して取り締まるべきです。現在どうなっていますか。
 第5の質問は、警察行政についてです。
 (1)、松山で発生したストーカー殺人事件について改めて質問します。
 警察は、被害者が殺されるという恐怖におびえて懸命に助けを求めたにもかかわらず、いつ殺すのかという日時がないからということで適切な対処を怠り、助けを求めた女性を殺させてしまいました。警察はストーカー殺人事件をなぜ防止できなかったのか。警察には本当に何の落ち度もなかったのか、明確にしてください。
 (2)、県公安委員会は、県警察を管理する権限を有しており、県警察から日々生起する事件・事故及び災害の発生状況とこれらに対する警察の取り組み等について所要の報告を徴するとともに、委員会としての意思を決定し、都道府県警の業務運営に反映させなければなりません。
 県公安委員会は、この事件に対してどのような対処をされたのか、具体的にその取り組みについて説明してください。県公安委員会の責任はありませんか。
 第6の質問は、教育問題についてです。
 文科省が4月24日に全国のすべての小学6年生、中学3年生を対象に実施しようとしている「全国学力・学習状況調査」は、一層子供たちを競争させ、子供と学校の序列化を進めるものとして多くの教育団体がその中止を求めています。
 ことし1月末に各教育委員会や学校に送付されている実施マニュアルから、実施には個人情報保護に照らして大問題があり、重大な人権侵害が危惧されるとの指摘が相次いでいます。そして文科省に対して、全国一斉学力テストを中止すること、文部科学省と特定の民間企業が子供の個人情報をすべて把握するという実施方法を抜本的に見直すことを求める要請も行われています。
 そこで質問します。
 (1)、全国一斉の学力テストについて、県教育委員会の対処を伺います。
 (2)、達成度テストを従来の実施学年が変わるのはどういう理由からですか。
 次は、学力向上推進運動についてです。
 私は、その運動に対して最初から議会内外で沖縄の教育を根本的にゆがめる結果を招くと批判をしてきました。それはかつて「学テ日本一」物語で香川県が1964年に、それまでひどかった学力テストを向上させるために学力向上推進運動に県を挙げて取り組んだ結果、3年連続で
学テ日本一になったが、一方で少年非行日本一になったという告発が行われました。
 学力テスト体制をつくり上げるために教職員組織の破壊が激しく行われ、教育現場が荒廃し、学校の教育現場も荒廃をしました。まさに沖縄も青少年非行が深刻になっている事態を見ると、香川と同じ道を進んでいると思います。

 (3)、学力向上推進運動が少年非行増大の最大の原因になっていると考えますが、どうですか。
 7、知事の政治姿勢について聞きます。
 カジノの導入について。
 (1)、カジノの導入に知事は前向きのようですが、その理由を伺いたい。
 (2)、カジノはギャンブル施設であります。ギャンブルは賭博で法律でも禁止されています。そのギャンブル施設を知事はすばらしい産業と考えておられるのか。
 (3)、我が国でこれまで公営ギャンブルで破滅した人の実態を掌握していますか。沖縄ではパチンコ・スロットで自己破産者がふえ、身を破滅させた人が多数いますが、それでもカジノを導入すべきだと考えますか。
 (4)、カジノが観光目当てであれば、沖縄のよさを前面にした観光政策の取り組みこそ大事ではありませんか。
 次は、憲法問題について質問します。
 最後に、憲法改正と日米安保条約の問題について質問します。
 昨年12月、海外派兵を自衛隊の本来任務に格上げする自衛隊法改正案が、防衛庁を「省」に昇格させる防衛庁設置法改正案とセットで採決されました。これはアメリカの先制攻撃戦争への協力・加担を本格化させ、海外で戦争をする国づくりを加速させる極めて重大な制度大改悪です。それは日米安保条約の実質的な大改悪であり、文字どおり日米軍事同盟がアジアのみならず、世界的な脅威の震源になることは明らかであります。
 知事が日米安保条約を沖縄と日本の安全のために重要と繰り返し発言しているのは、現在進行しているこのような危険な事態を後押しするものでしかありません。
 フィリピンでは、かつて米軍の西太平洋における前方展開戦略の重要な基地がありましたが、15年前に撤去させました。米軍が撤退すると他国から侵略されるという宣伝が大々的に行われていましたが、現在では米軍基地跡地が生産と生活の場に大きく生まれ変わり、経済発展の原動力になっています。それを教訓にしていく必要があると思います。
 そこで質問します。
 米軍再編による日米安保条約の危険性は極めて危険な段階に来ています。そして米軍との共同での戦争遂行が可能となる方向での憲法9条の改悪が進められています。フィリピンは米軍が撤退しても国は守られています。この際、知事が軍事同盟は必要ないという立場で日米政府に働きかけていくべきだと考えますが、所見を伺います。

 
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