平成17年(2005年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 9月29日
瑞慶覧 朝義
 

 ただいまから一般質問を行います。
 まず、米軍基地問題について9項目の質問をいたします。
 (1)、嘉手納基地使用協定についての質問であります。
 ①、相次ぐ爆音被害に耐えかねて、とうとう嘉手納町長は12月議会までに町民の意思を反映する形で基地使用協定の要求項目の内容をつくり上げて、担当部署だけでなく職労や議会、婦人会などの代表でワーキンググループ形式で議論をして作業を進めると言われております。
 宮城町長は、外来機の恒常的な飛来や騒音防止協定が形骸化している運用実態を指摘し、地位協定の全面改定まではとても待てないとして爆音被害の実態を具体的な数値で示し、年明けにも政府に対して基地使用協定の締結をするよう要請すると言われております。それに対して県としても積極的にかかわって、嘉手納基地の使用協定締結に向けて取り組むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、知事の御見解を伺います。
 ②、ドイツやイタリアの米軍基地で実施されている基地使用協定はどのようになっているか伺いたい。
 (2)、普天間飛行場の移設問題についての質問であります。
 ①、連日の新聞報道によりますと、政府筋の発表として米軍再編中間報告の中に辺野古沖への移設見直しを明記するとされておりますが、海上基地建設は事実上白紙撤回と見てよいのかどうか、県はこの情報にどのような理解を示しておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
 ②、普天間飛行場の新たな移設先としてキャンプ・シュワブ陸上案が浮上し、嘉手納基地への統合案も含めて検討しているとされておりますが、県に対して政府から何らかの打診があったのかどうか伺いたいと思います。
 ③、名護市の岸本市長は、稲嶺知事が基地受け入れの条件として選挙公約で打ち出した軍民共用空港、15年使用期限を受けて、本人も去る2002年の選挙において、軍民共用空港の民間部分での地域活性化を選挙公約として知事と文字どおり二人三脚で選挙戦に臨んできた経緯がありますが、昨今の報道によりますと、選挙民との公約をいとも簡単に覆し、稲嶺知事の政策をも否定する辺野古海上リーフ内縮小案を軍専用空港として逆提案するようなやり方に対して、知事としてはどのような御見解か御答弁を求めます。
 ④、キャンプ・シュワブ陸上案にしろ、海上縮小案にしろ、嘉手納基地統合案にしろ県内移設であり、到底許せるものではありません。県内移設では小泉総理の言う沖縄の基地負担の軽減にはならない。普天間飛行場を含めた海兵隊の県外移転を主張してきた稲嶺県政としては、今の情勢は逆行することになるが、政府に対して今後どう対応していかれるか、また新たな県内移設を容認する考えがあるのかどうかについて御答弁を求めます。
 ⑤、知事は、去る6月定例会において、普天間飛行場の嘉手納統合には明確に反対を表明されましたが、9月16日の新聞報道によりますと、嘉手納飛行場への暫定移駐を嘉手納町長に対して打診したとされておりますが、知事は政府からそのような要請を受けて嘉手納町長との会談を行ったのかどうかについてお伺いいたします。
 ⑥、普天間飛行場の移設先について、日々変化する情勢に対して県としてはどのように認識しておられるか、また日米両政府があくまでも県内移設に固執していることに対して、沖縄県の知事として断固反対を表明すべきであると考えますがどうか、御見解を伺いたい。
 (3)、嘉手納基地の外来機による合同演習に抗議し、即時中止を求めることについての質問であります。
 ①、住民無視の未明の離陸訓練が去る9月3日に強行されましたが、特に8月から9月にかけての爆音被害については既に受忍限度は超えている。この期間の爆音被害の実態を数字でもって示していただきたい。また、基地集辺住民の健康被害の実態は把握しておられるかについても御答弁を求めます。
 ②、稲嶺知事は、今日まで嘉手納基地の運用改善を訴え続けてきましたが、日米両政府は全く聞く耳を持たない、むしろ運用の改悪を着実に実行しているとしか言いようがない。激化する一途の嘉手納基地の爆音被害に対してこれまで同様の要請ではどうしようもないということがはっきりしておりますが、そのことを踏まえて県は今後どう対処していかれるかお答えいただきたい。
 (4)、騒音防止協定の「ただし書き」の削除を求めることについての質問であります。
 ①、騒音防止協定は、1996年に日米で合意された「午後10時から午前6時までの飛行を原則禁止し、運用上、必要なものに制限する」とされておりますが、米軍は、運用上の「ただし書き」を乱用して「原則禁止」を無視し続けている。これでは騒音防止協定そのもののなし崩しであり何の意味もなさない。県としては、運用改善を求める立場から早急に「ただし書き」の削除を求めるべきであると考えますがどうか、御見解を伺いたい。
 (5)、嘉手納基地でのGBS即応訓練についての質問であります。
 ①、去る8月24日に実施された嘉手納基地でのGBS即応訓練で、第18航空団任務支援群司令官のマックス・カシュッバム大佐は、「本来GBSをフェンス側に設置することを禁じている、末端の兵員まで、危険性や訓練の詳しい手順が行き届いていなかった」と謝罪しましたが、軍隊という典型的な縦社会の中で、占領意識丸出しの緊張感のなさが露呈したものと言える。このような状態では基地から派生するさまざまな事件・事故のたびに県民がその都度綱紀粛正や再発防止を幾ら求めても一向に改善されないのは当然のことである。一体、いつになったらこの種の犯罪がなくなるのか。今のままでは米軍基地がある限りなくすことはできない。これでは基地の全面撤去を求めるしかない。
 県としては、今後どのようにして実効性ある運用改善を日米両政府に対して求めていかれるのか、具体的に説明をしていただきたい。
 (6)、都市型戦闘訓練施設レンジ4での実弾演習についての質問であります。
 ①、去る7月19日に知事が先頭に立って行われましたレンジ4での実弾演習に抗議する超党派の県民集会の決議文を携えて、金武町長を初め伊芸区長や県議会代表団による政府に対する直接要請に、残念ながら我が国の政府は米軍の意向を最重視し、県民の生命の安全性の確保すべきを完全に否定した言動は到底許しがたい。
 去る9月12日から連日6日間実弾演習が行われ、前例のない異常事態が続いている。この状態を県はどのように認識され、今後どう対処していかれるか、御答弁を求めます。
 (7)、辺野古海上における単管足場の再設置に反対すべきと考えるがどうか。
 ①、去る9月2日那覇防衛施設局は、台風対策を理由に辺野古海上に設置してあった単管足場のすべてを撤去したとの報道がなされました。そのことは、500日以上に及ぶ座り込みや海上における熾烈な反対闘争の成果だとうかがえますが、県としてはどのように認識しておられるか。また、これまでの反対闘争の経過から考えて絶対に再設置は認められない。
 県もこの際、ボーリング調査のための単管足場の再設置に反対を表明すべきではないかと考えますがどうか、御見解を伺いたい。
 (8)、沖縄自動車道での米軍車両のUターンに起因する民間車両との事故についての質問であります。
 ①、米軍は、同訓練を安全のためと主張して、政府も容認姿勢を崩さない。一体いつになったら県民の怒りが日米両政府に届くのか。政府がこのような訓練を容認するなら、首都高速道路でこのような訓練をしたらどうかと言いたい。
 去る9月6日の米軍基地関係特別委員会から既に1カ月近くにもなりますが、この事故に対してその後の捜査の進捗状況を伺いたい。
 ②、今回事故を起こした米兵らは走行距離を重ね、安全に大型車両をUターンさせることを重点に置いた訓練の実施中であったとされております。訓練中の運転手は、日本流にいえば仮免許の状態であったと言わざるを得ません。県警の判断はどうか。仮免許状態であのような危険な訓練を公道で行ってよいかどうかについても見解を伺いたいと思います。
 (9)、航空自衛隊の嘉手納基地への一時移駐問題についての質問であります。
 去る9月20日に航空自衛隊那覇基地所属のF4戦闘機が嘉手納基地へ一時移駐のために飛来してきました。この日飛来してきた1機が油圧系統に異常を来し、嘉手納基地に緊急着陸する騒ぎがありました。

 同型機は、今月16日には那覇空港で車輪のパンクにより滑走路を封鎖し、民間機に多大な影響を与えるトラブルを起こしたばかりである。今回の緊急着陸で嘉手納基地周辺住民に対して新たな不安と恐怖を与えた。たとえ一時移駐であっても、その間の機能強化につながることは到底許せるものではありません。県としては、この問題をどのように考え今後どう対処していかれるかお答えをいただきたい。
 2点目に、環境問題についての質問であります。
 県内における公共施設での石綿(アスべスト)の使用状況とこれからの対策、中皮腫の発生状況について伺います。
 ①、アスベスト問題に関して、1989年に我が党の喜納昌春県議から詳しく質問された経緯があります。そのことを踏まえて質問をいたします。
 喜納県議の質問の中で、アスベスト問題に関する総合的な対策委員会の設置を訴えたことに対して、当時の環境保健部長は、学識経験者を含めた県内の委員会の設置について検討したいと答弁されておりますが、対策委員会は設置されたのかどうか、またこれまで同対策委員会がどのような機能を持ち、アスベスト問題にどう対処してこられたか伺いたい。
 ②、我が国において、拡大するアスベスト被害の裏にアスベストの全面禁止が世界的潮流の中、我が国は2008年に全面禁止に踏み切る予定とされておりますが、何と今から13年前の1992年に当時の社会党が議員立法で「アスベスト規制法案」を国会に提出されましたが、しかしその提出前に業界団体の日本石綿協会が、健康被害は起こり得ないと確信できるなどとした見解を文書で政府と省庁に配布し、自民党などの反対で一度も審議されないまま廃案になったと報じられております。
 我が国でアスベストが原則禁止になったのは昨年ですから、せめて13年前に同法案が成立しておれば将来被害が拡大することを防ぐことができたと言えます。このような政府の人命軽視の対策に対して、我が沖縄県においては決して同様な対策のおくれを講じてはならないと考えますが、沖縄県のアスベスト対策は十分であるかどうか伺いたいと思います。
 ③、公共施設におけるアスベストの使用状況と今後の対策、中皮腫の発生状況についてお答えいただきたい。
 ④、米軍基地従業員に対する実態調査をどのように考えているか伺いたい。
 ⑤、1995年から2003年までに県内で中皮腫による死亡が52人いたことが全国労働安全衛生センター連絡会議の調査で明らかになりました。死亡者が52人も確認されている中で労災認定が一人もいないということが疑問視されている。そのことは行政相談窓口の認識不足などもアスベスト労災認定のおくれの要因にもなっているとの指摘もありますが、県としては今後労災認定の問題についてどのように取り組んでいかれるか、お答えをいただきたいと思います。 
 よろしくお願いします。

 
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