平成16年(2004年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 9月28日
喜納 昌春
 

 皆さん、こんにちは。
 新しく社会大衆党委員長になりました喜納昌春と申します。よろしくお願いいたします。(拍手)
 平成16年第4回沖縄県議会定例会に際しまして、沖縄社会大衆党4名の県議団を代表いたしまして代表質問を行います。
 台風21号が久米島近海に停滞しておりまして、これまで沖縄本島での人身事故を含めまして農産物等への被害を受けました皆さんに心からお見舞い申し上げます。また、稲嶺知事には、9月21日から22日にかけまして平成17年産さとうきび価格要請でJAおきなわの皆さんや我々県議団、安里進団長を含めて政府に要請しました重要な任務の遂行、御苦労さまでした。
 それでは通告に従いまして代表質問を行います。
 最初に、知事の政治姿勢について。
 (1)、普天間基地返還とヘリ墜落事故に関して8点の質問を行います。
 ア、8月13日の沖縄国際大学構内への米軍ヘリ墜落事故を県はどうとらえていますか。
 イ、この事故は、たとえ県民に1人の犠牲者がなくても極めて重大な事故と我が党は考えますが、その認識が日本政府には全く欠如しています。日本政府は、これまでの知事答弁から聞いても、遺憾と言っただけで米軍に抗議した形跡は一切ないし、基地を提供している国の責任者の面々、いわゆる総理大臣や外務大臣、防衛施設庁長官が今日までいまだに一人として現場を見て、県民に謝罪なり釈明、米軍への抗議がないという事態を知事はどう考えていますか。
 ウ、この事故に対する米軍側の認識と反応はもっとひどいものと言わねばなりません。まず、トーマス・ワスコー在日米軍司令官の、3人の乗員が制御不能の状況下で被害を最小限度にしようと努力し、人々のいないところにヘリを持っていったというすばらしい功績があったと賞賛した発言。地元沖縄県警の調査や捜査などを拒否したことも、安全確保で現場封鎖したと米軍の準機関紙の「星条旗」で報じ、海兵隊の活動を賞賛。事故後一時停止していたCH-53D型ヘリの同型機の飛行再開への批判にも在沖米軍ロバート・ブラックマン四軍調整官は、飛行再開は何も軽率ではないと居直りをする始末であります。こうした米軍側の我々地元県民を愚弄し無視し続けている米軍の態度に対し、県はどう抗議し対応してきたのか。愚弄されっ放しではたまりません。明確な知事の答弁を求めます。
 エ、地元沖縄タイムス紙が朝日新聞社と合同で実施した46都道府県への緊急アンケートで県警との事故後の合同検証を拒否した米軍の対応について、31の回答中29都道府県知事が問題ありと回答を寄せられていることがわかっています。我が党は、検証の第一の権利は沖縄県警にあり、日米地位協定の関係で次のレベルとして日米合同検証であり、当然、当初から沖縄県警が調査にかかわるべきと考えます。しかし、日本における過去の事例にも反して最も肝心なときの県警の調査は拒否されました。まさに主権国家の否定が証明された屈辱と我が党は考えますが、このことに関して事故当日の沖縄県警の対応と米軍側への要請、その後の米軍側の調査拒否などにどう対応してきたのか、答弁を求めます。
 オ、事故当日の大混乱の中で必死に消火活動を専ら任されて行っていた宜野湾消防署の消防隊員の傍らで、黄色などの化学物質に対する防護服らしきものをつけた米軍関係者の姿を私も見ましたが、米軍側の我々には全く情報を流すことなく、自分たちは用意周到ないでたちでの現場の状況から、人体や環境に危険な物質が墜落ヘリに搭載された可能性があったと考えるのが当然であります。
 9月13日から開始された日米合同調査はそのことから始められたようだが、この1カ月おくれの調査といい、米軍側の我々県民を愚弄する態度、姿勢のひどさには言葉すらありません。まさに悔しかったらかかってこいのアメリカ流のけんかを売られたと言ったら言い過ぎでありましょうか。この環境汚染問題での調査はどうなっていますか。また、この調査が1カ月もおくれた合同調査となったことへの米軍への抗議は当然と考えますが、どうしてきましたか。
 カ、9月12日、沖縄国際大学への米軍のヘリ墜落に抗議して普天間飛行場の早期返還を求める宜野湾市民大会には3万余の市民・県民が大結集されました。この集会の意義を知事はどう考え、どう生かしていかれますか。
 また、日米両政府に知事の怒りをわからすためには大会に稲嶺知事も参加すべきだったと我が党は考えますが、知事の所見を求めます。
 キ、普天間基地がある限り宜野湾市民を初め近隣市町村民の生活の場にヘリが墜落することは、これからもいつでも起きることは論をまちません。1996年12月に日米両政府で5年ないし7年のうちに普天間基地を返還するという公約は既に7年余となり、ほごにされた状況です。なぜほごにされたのか冷静に考えてみれば、岸本名護市長と稲嶺知事合作の辺野古移設という選択が何ら意味をなしていないということに気がつくべきであります。
 岸本市長の7つの条件、稲嶺知事の4つの条件がいかにばかにされ続けて7年以内の移設公約がほごにされたか、その責任の所在をあっさりと指し示し怒るべきときだが、このSACO最終報告で5年ないし7年で普天間基地を返還すると約束した日米両政府の公約違反の責任を知事はどう求めてきましたか。
 また、今回の重大事故を踏まえどう新たに公約実現を求めていく考えか、所見を求めます。
 ク、一日も早い普天間基地の返還問題は10年以上もかかると言われる辺野古沖での新基地建設ではなしに、米国など県外への移設こそより現実的な考え方と我が党は考えます。今こそ県民の圧倒的不支持と自民党内部からも異論続出の稲嶺知事のクリア不可能な15年使用問題を含む軍民共用空港、名護市辺野古沖移設の公約の変更が迫られていると考えますが、知事の所見を求めます。
 次に、名護市辺野古沖での国のヘリ基地建設に向けたボーリング調査の強行に関して4点にわたって質問いたします。
 ア、9月9日、那覇防衛施設局のボーリング調査は、ごまかしの住民説明会を盾にしての決してやらないと言った頭ごなしの強行であり許しがたいものであります。県への連絡なり説明はあったのですか。
 イ、県が国のボーリング調査に関して4月7日付で公共用財産使用協議で同意した際の5点にわたる留意事項と、別紙の「調査実施の際の環境配慮事項」について文書での国からの回答はあったのですか。
 ウ、国のボーリング調査の強行の背景には、最悪の普天間基地の一日も早い返還に向けた稲嶺知事の強い姿勢と国の焦りが見え見えの蛮行と我が党は厳しく糾弾するものです。ボーリング調査への同意の際には、あれほど強くジュゴンや環境に配慮するよう求め、条件をつけた稲嶺知事の立場、責任に反するものと言わねばなりません。ボーリング調査の強行の知事の責任は一層大きいと考えますが、所見を求めます。
 エ、名護市辺野古住民の漁港現地での座り込み闘争は、4月19日以来今日まで160日余も続き大変な苦しみを強いている現実があります。これに対する知事の思いと痛みがあれば伺います。
 一方、9月10日、山中昭栄防衛施設庁長官は、代替工事着工から完成まで9年半を予測し、短縮の努力はするものの大幅な工期短縮は困難ということが明らかとなっています。環境アセスに要する3年余を含めて、まさに13年以上かかることが政府の責任ある官僚が名前も明らかにして言明したことになります。稲嶺知事が受け入れ条件とした4つの課題でも15年使用問題は日米両政府から門前払いの閉塞状況を認めるべきだし、知事の苦渋の選択が知事をして一層みずからを苦渋の状況に陥れている現実を冷静に認識すべきであります。
 もとより知事が主張されますように、基地の提供責任者は日本政府にあります。ならば、苦渋の選択を迫られるのはまさに日本政府でなければなりません。知事は、さきの日米首脳会談後の小泉総理の発言で、沖縄の基地問題は日本全体の問題とやっと総理の口から出たことを前進と評価すると言いました。
 知事、これ以上沖縄県民のためにだまされてはなりません。この総理の言葉に責任と真実を求めるために今こそ苦渋の決断を小泉総理と沖縄以外のすべての国民に対して、そしてアメリカの国益のためにこそ駐留している米軍に求めるときであると我が党は考えます。これ以上名護市民を苦しめ、宜野湾市民を恐怖のどん底に放置し、稲嶺県政が不当に責任を負わされている異常さからの解放は辺野古移設反対の知事みずからの決断、政策変更しかないと考えます。知事の決意ある答弁を求めます。

 (3)点目の質問は、金武町における米陸軍都市型訓練施設建設の問題に関して5点の質問をいたします。
 ア、5月にこの問題が惹起されて以来、県はこの問題をどうとらえ、どう日米両政府に対応してきましたか。
 イ、同問題に対する金武町当局、町議会、伊芸区民の皆さんの取り組み、闘いをどう評価しておりますか。
 ウ、同問題での金武町当局等地元からの県への要請にどう対応してきましたか。
 エ、地元金武町や県の建設反対の声を無視して、国は基地管理権を理由に米軍に何も物を言わない態度で県民要求が無視され建設が強行されている実態がありますが、この許しがたい日本政府、米軍の横暴に対し県は今後どう対処していく決意ですか。
 オ、今後、同問題で建設中止を求める県民ぐるみでの大会とか現地での阻止闘争が提起されたら、知事は積極的に参加すべきと考えますが、その決意のほどを伺います。
 また、比嘉副知事には恩納村でのかつての同種の問題での闘いの勝利の教訓は生かされると考えるのですか、またどう生かすべきと考えますか、御所見を賜ります。
 (4)番目に、地位協定の見直しに関して3点の質問をいたします。
 ア、普天間基地のヘリ墜落事故での米軍の反県民的対応や金武町での都市型訓練施設の建設強行はもはや日米地位協定の抜本改正しかないと我が党は考えますが、知事の認識と所見を求めます。
 イ、地元琉球新報社がJCJ大賞に輝いた「日米地位協定の考え方」は、日米地位協定の不平等性、反憲法性が一層浮き彫りにされたものと我が党も高く評価しています。地位協定の抜本的な改正を厳しく求めていくために日本政府が渋々認めたこの重大な文書の開示を一日も早く求めるべきと考えますが、知事の所見を求めます。
 ウ、普天間基地での重大な事故後も川口外務大臣など政府の閣僚は、日米地位協定は抜本的改正の必要はなく、相変わらず運用改善で十分との立場を主張し続けています。この県や県民を愚弄する日本政府の対米追従の弱腰を知事は今後どう打開していく決意か、所見を求めます。
 2番目の大きな質問は、県財政の確立と国の三位一体改革について5点の質問をいたします。
 (1)、県の平成17年度国庫支出金要請の特徴は何ですか。
 (2)、要請の背景に、これまで過重な米軍基地の負担の現実を国に迫る表現が盛り込まれていたものが、どうしてことしは欠落したのか。基地の問題は重要ではないという誤ったシグナルを国に送る形にならないか我が党は懸念しています。真意と県の所見を求めます。
 (3)、全国知事会が2009年度までに総額9兆円の国庫補助負担金の削減をする改革案をまとめましたが、その中身と経過と沖縄振興計画を抱える本県などの課題を県としてどうクリアさせる考えか、所見を求めます。
 (4)、義務教育費国庫負担金の削減については、我が党は反対であります。全国知事会では賛否が分かれたとのことでありますが、知事はどう判断されましたか。
 (5)、教育費の国庫負担金の削減は、離島県、多島県の本県では、他県以上に義務教育の維持に不安を抱える自治体が多いことは当然であります。財源の維持と県独自の教育への取り組みは急務と考えますが、これに対する県の所見を求めます。
 最後に、西原町内で発生した環境汚染問題に関しまして5点の質問をいたします。
 (1)、富士テックは、問題の建物を当初無許可で建築したと言われますが、その経過とその後の県の指導対応は適切だったかどうか問います。
 (2)、この会社は、農地以外の使用は認められていない農用地域に特別管理型産業廃棄物処分業の焼却炉の設置許可を得ていますが、どういうことなのか。
 (3)、この会社は、廃プラスチックなど違法な焼却を3年余にわたって行い、西原町の徳佐田、棚原、森川地域の皆さんに頭痛や鼻水などの被害をもたらしております。この調査はどうなっていますか。
 環境調査を含めて住民の側の健康調査について県も積極的に責任を持って対応するように強く求めます。その対応策を答弁として求めます。
 答弁をよろしくお願いします。

 
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