平成18年(2006年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 10月 3日
観光商工部長(宜名真盛男)
 

 それではまず沖縄県物産公社の過去10年間の総括及び設立趣旨と現状についての御質問に一括してお答えをいたします。
 本県経済が自立的発展を遂げるためには、県外市場への県産品の販路拡大を通じて地場産業の振興を図ることが重要であります。
 沖縄県物産公社は、このような認識のもと、県外市場における県産品の販路拡大を図るほか、県外市場の情報収集・分析・提供等の公益的機能もあわせ持つ総合産地問屋としての役割を担うことを目的に平成5年に設立され、本年で13年が経過しております。その間、県外市場への積極的な営業活動に取り組み、設立当初に約10億円であった総取扱高が平成17年度では約72億円となりました。
 県産品の市場におけるリサーチ機能と販売機能をあわせ持ったわしたショップも物産公社直営のわしたショップが2店舗から7店舗に、特約店わしたショップも15店舗が展開しております。
 また、近年ではインターネットを活用した通信販売など、新たな販売網の確立についても積極的に取り組んでおります。
 さらに、物産公社は県の産業施策との整合性を図りながら、公益的な立場から県内中小零細企業の商品も含めた物産展の開催や、県内企業の商品開発の支援を行ってまいりました。
 加えて、「わしたショップアンテナレポート」の配信等により、県外市場における県産品の動向を県内企業に提供し、市場進出に向けた支援を行ってきました。その結果、泡盛や健康食品など県外市場での県産品の認知度は飛躍的に高まり、県産品全体としては多種多様な商品が県外市場で定着しつつあり、地場産業の振興に大きく貢献してきたものと考えております。
 今後は経営の安定化を一層図りながら、最近の県産品を取り巻く市場環境や多様化する消費者ニーズに対応した経営戦略を立て、新たな商品開発や市場開拓を進めることが求められてきております。
 次に、物産公社の今後の展望、また公社の事業主体と責任について一括してお答えいたします。
 沖縄県物産公社の今後の展望については、より一層の業務の効率化と経費削減に取り組み、経営の安定化を図るとともに、品質の向上、適正表示、商品開発等の面で業界をリードしつつ、県産品の販路拡大を通じて本県の地場産業全体の振興に寄与していくことが期待されております。
 このため、今後3カ年の中期経営計画のもと、機能性などの科学的根拠に基づく健康食品や県産材料を主原料とする高付加価値商品の販売を後押しし、これを重点販売商品と位置づけて新たな市場開拓を行う等収益性の向上に努め、平成19年度で単年度黒字化、平成20年度で累積赤字の解消を図ることとしております。
 物産公社は、県や那覇市等の行政機関、主要民間企業や金融機関等の出資により設立された第三セクターであり、県は全体の24.7%の株式を保有しております。
 今回の赤字の原因は、県産品の販売を取り巻く環境に大きく変化が生じたことが主な要因でありますが、今後は物産公社の経営の安定確保と販路拡大を通じて地場産業の振興を図るという、物産公社の責任が果たせるよう県としても連携を強化してまいりたいと考えております。
 次に、国際交流における経済交流の目的についてであります。
 県は、本県の地理的特性や沖縄県民がこれまで培ってきた国際感覚・相互扶助の精神を生かし、アジア・太平洋地域の発展に寄与する地域の形成を図り、もって本県の自立型経済の構築を図るため、平和、経済、学術・文化等の多角的な国際交流を推進しております。
 経済交流については、国際観光誘客プロモーション活動を初め、県産品の海外への販路拡大、県内企業の海外進出支援、さらに技術研修員の派遣・受け入れ等の取り組みを展開しているところであります。
 次に、現在の経済交流の現状とその成果、上海以外の地域の状況、貿易による外貨獲得額について一括してお答えをいたします。
 国際的な経済交流について、県は現在、主として沖縄県産業振興公社の海外事務所や沖縄観光コンベンションビューローが設置した事務所等のある台湾、香港、福州、上海、韓国、米国を中心に、国際観光振興機構や日本貿易振興機構等とも連携して国際観光の振興及び県物産の販路拡大に取り組んでいるところであります。
 観光分野の状況としては、平成17年における外国からの入域客が台湾約6万8000人、米国約9000人、韓国約6000人、中国と香港で約2000人となっており、その他フィリピン、カナダ等を含め合計で13万6500人となっております。
 また、国内線経由で沖縄に入ってきた外国人観光客の総数は、アンケート調査から約5万人と推計しており、合わせておおむね19万人の外国人観光客が訪れていると見ています。
 沖縄に住所を有する者の海外への出域は、出入国管理統計年報によると、平成17年は年間約7万9000人となっております。
 貿易においては、平成17年の沖縄地区税関・管内貿易統計によれば、沖縄県からの輸出総額は約780億円となっており、相手国・地域の上位は、台湾、韓国、香港、シンガポール、グアムの順となっております。
 一方、輸入総額は約2100億円で、相手国・地域の上位は、オーストラリア、中国、台湾、ナイジェリア、米国の順となっております。
 次に、台湾との経済交流の現状についてであります。
 本県と台湾は地理的に近いことなどから、これまで人的交流のみならず、経済交流のつながりが強い地域であります。
 平成17年の貿易統計によれば、台湾への輸出は精密機械類や一般機械類を中心に約528億円、輸入は食料品や石油製品を中心に約182億円となっています。
 輸出品の多くは他県で生産されて本県から輸出通関されたものでありますが、輸送上あるいは商取引上の理由、通関事情などを反映し、本県が中継地として利用されております。
 県では、台北事務所を拠点として官民一体となって観光誘客キャンペーンを初め、見本市や物産展・商談会等への出展支援、マスコミ招聘や現地における沖縄のPR活動等の取り組みを展開しております。これらの取り組みにより、現地飲食店や大型小売店等において泡盛やビール、黒糖、海洋深層水、もろみ酢等の定番化が進んでおります。
 また、平成17年における入域観光客数は約6万8000人となっております。
 今後の経済交流の具体的な展望、経済交流と沖縄の自立型経済との関係について一括してお答えをいたします。
 県は、沖縄振興計画において、アジア・太平洋地域の発展に寄与する地域形成を目指し、平和、経済、学術・文化等における多角的な拠点整備に取り組んでいるところであります。
 本県が民間主導による自立型経済の構築を図る上においては、国内はもとより、本県の地域特性を生かした海外からの観光誘客や県産品の販路拡大等、海外との経済交流を拡大していくことは極めて重要であります。
 このことから、県は現在、台湾、中国、韓国等を中心に観光誘客プロモーションを展開し国際観光を振興するとともに、物産展・商談会の開催、県内企業と海外企業のビジネスマッチングなどの支援を通して県産品の海外への販路拡大に取り組んでいるところであります。
 また、香港においては、国の特別調整費を活用した県産品海外展開戦略構築事業を展開しており、これにより得られるマーケティングデータの収集・分析を通して県内企業の海外展開を促進していきたいと考えております。
 このような取り組みにより、今後もこれらの国・地域との観光、貿易などの経済交流がさらに進展し、あわせて文化交流、平和交流などを一体として推進することにより、自立経済の構築と国際社会における本県の地位の向上につながっていくものと考えております。
 次に、米国準州グアムとの経済交流の可能性についてであります。
 グアムと本県との貿易は、平成17年の輸出額で見ると約35億円で全体の4.5%を占めていますが、そのほとんどが本県漁船のマグロの水揚げによるものであり、それらは日本へ再輸出されております。
 グアムはマリアナ諸島に位置し、ビーチリゾートを中心とする観光・リゾート産業が主要産業であることから、本県と類似性が高く、観光分野においては競合関係にありますが、グアムとの経済交流の可能性については今後関心を持って情報収集に努めてまいりたいと思います。

 次に、国際的海洋性リゾート地の具体的な計画と展望についてであります。
 国際的な海洋性リゾート地の形成を図るため、観光振興計画においては海外における誘客宣伝の強化、外国人向け旅行商品の開発の促進及び受け入れ体制の整備に向け諸施策を展開していくこととしております。
 具体的には、台北や香港等国際航空路線網の拡充、大型旅客船バース等の整備促進、公共交通機関等における外国語表記の充実、多言語での沖縄観光情報の発信など、受け入れ体制の強化に努めております。
 また、国の「ビジット・ジャパン・キャンペーン」とも連携し、本県の海外における知名度を高めるため海外メディアへの広告掲載、マスコミ招聘事業等を実施しているところであります。
 さらに、それぞれの国・地域の実情に合わせた戦略的な誘客活動を展開するとともに、魅力ある旅行商品づくりを進めております。
 今後とも、名実ともに国際的な海洋性リゾート地となるよう官民が一体となり、戦略的・重点的な施策を展開してまいりたいと考えております。
 次に、那覇空港の国際観光客の中継基地化についてであります。
 現在、県では、外国人観光客の拡大に向け、本県との直行便を有する台湾、韓国、中国等を重点地域とした誘客活動を展開しております。
 外国人観光客の拡大のためには、まず本県のリゾート地としての知名度を高めることが重要であると考えており、本年度において中国観光客誘致重点地域開拓事業を実施し、中国市場に向けて積極的に沖縄の魅力を発信しております。
 また、台湾、韓国につきましては、それぞれの実情に応じ、戦略的な誘客活動を展開していく考えであります。
 なお、誘客可能性の高い香港につきましても、観光需要の喚起を図りつつ定期路線の再開を促してまいります。
 御提言の国際観光客の中継基地化につきましては、これらの誘客活動を行うことにより既存路線の需要を高め、香港、台湾などの運休路線の再開につなげるなど、国際航空路線網の拡充を図ることが将来的にはアジアにおける観光の拠点としての中継基地につながるものと考えております。
 次に、琉球がわらのその後の現状についてであります。
 技能評価制度については、国の技能士検定制度がございますが、その設定職種は全国共通の技能に限られております。
 琉球がわらについては、本県独自の技能であるため技能検定の職種に設定されておりませんので、長野県や愛知県で行われている「技能評価認定制度」を参考に、琉球がわらのような県独自の技能を評価できる制度を創設すべく検討中であります。
 以上でございます。

 
20060406050070