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平成16年(2004年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 2月24日
高嶺 善伸
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おはようございます。
去る20日に衆議院議員山中貞則先生が御逝去なさいました。
先生は、名誉沖縄県民であると同時に、我が八重山の竹富町の名誉町民でもあります。毎年2月には静養のために石垣に1カ月ほど逗留いたしまして、離島の悩みや税制上、あるいは産業振興の諸課題など常に郡民と親しく話をし、いろいろと御支援をいただきました。先生の御功績を我々郡民は本当にたたえており残念でありますが、謹んで御冥福をお祈りしたいとこう思います。
それでは質問申し上げます。
まず、米軍基地対策についてでありますが、本土復帰の昭和47年から平成15年までの31年間で米軍基地関係の事件・事故に対する沖縄県議会の意見書、抗議決議は306回に上ります。県民が犠牲になるたびに県議会が全会一致で抗議し、再発防止を訴えても事件・事故は減りません。県民から、効果のない抗議をいつまで繰り返すのかと皮肉られたこともあり、無力感を禁じ得ません。米軍基地をなくさない限り戦後の本当の平穏は来ないのであります。
しかし今、在沖米軍基地の整理縮小の機会だと思います。米国政府は、米国軍隊の全世界的な軍事体制の見直しを行っているからであります。昨年来沖されたラムズフェルド米国防長官は、市街地の真ん中にある普天間基地の危険性に驚き、返還期限の7年が過ぎても見通しの立たない代替施設はもう死んでいると指摘し、SACOの見直しと早急な移転を指示したと報道されています。しかし日本政府は、そんなことは聞いておりませんとのコメントで、県民の基地負担を軽減することについて全く誠意が見られません。
私は、在沖米軍基地を韓国で考えてみたいと思い、去る1月28日から31日まで韓国の米軍基地を視察しました。北緯38度付近の停戦軍事境界線を挟んでJSAと言われる共同警備地帯で対峙する北朝鮮軍に対し、韓国側は国連軍の旗のもとで国連軍司令官は米軍司令官であり、米軍を補完する形で韓国軍がいるという体制でありました。1953年朝鮮戦争後、北朝鮮への抑止力と停戦監視という役割での国連軍としての米軍の存在があり、国民は民族統一を願っていました。
ところで、日本政府は1954年、朝鮮半島への国連軍の後方支援のため米軍を初め9カ国の多国籍軍と国連地位協定を締結しました。そして本土復帰とともに戦争状態でもない沖縄にも国連旗が掲げられており、国連軍が駐留する経緯が明らかでありません。国連軍地位協定により多国籍軍が米軍基地を排他的に使用できるようになっていることを考えると、在沖米軍基地の固定化や日米地位協定改正のかたくなな拒否にさまざまな影響を与えていると思わざるを得ません。合同委員会でどのような協議がなされているのか、日米地位協定は日米両国でどのように解釈され、どのように運用されているのか沖縄県民は知る権利があり、稲嶺知事は不退転の決意で説明を求めるべきであります。
そこでお聞きしたい。
(1)つ、在沖国連軍の駐留と地位協定についてでありますが、ア、国連軍の沖縄駐留の目的、規模はどうなっているか。政府と県の見解と対応はどうか。
イ、国連軍地位協定は朝鮮半島の有事を想定しており、戦時体制やそれに準ずる状態を想定した国連軍地位協定が日米地位協定に運用されているのではないか。また、平和憲法のもと、平時である日本国内での日米地位協定が想定している状況とは矛盾しているのではないか、見解をお聞かせください。
ウ、照屋寛徳衆議院議員の質問主意書の答弁で明らかになりましたように、「日米地位協定の考え方」及び増補版について日米地位協定の解釈運用を明確にするべきであり、内容の公開と説明を政府に求め、主権、人権、環境が守られるように改正すべきだと思うが、知事の対応をお聞きしたい。
(2)、在沖米軍基地再編についてであります。
ラムズフェルド米国防長官は、SACOの見直しも含めた在沖米軍兵力の再編を指示し日本政府に打診したと言われるが、日本政府は躍起になって否定しています。さらに、照屋寛徳衆議院議員の質問主意書で、稲嶺知事は合衆国軍事施設の構成見直しに関する検討委員会の公聴会出席をしたいという意向だが、政府としても公聴会に出席して在沖米軍基地の整理縮小を訴える働きかけをすべきではないかと質問したところ、何ら対応する考えはないと答弁しています。日本政府は在沖米軍の駐留を望み、沖縄に一方的に過重な負担を押しつけている言動だと思うが、知事の御見解をお聞かせください。
(3)つ目に、東南アジア友好協力条約についてであります。
ア、日本政府がこれまで批准を見送ってきた経緯をどのように考えているのか。
イ、小泉総理は、昨年12月批准すると表明したが、今後、平和外交と在日米軍基地にどのような影響が考えられるか。知事は今こそ積極的な平和外交発信をすべきではないかと、知事の対応をお聞きしたいと思います。
次に、行財政問題について。
小泉内閣が進める「聖域なき構造改革」の一環として三位一体の行財政改革は、政府のこれまでの行財政運営のツケを一方的に地方に押しつけるものであり、その弊害が平成16年度の予算編成ではっきりとあらわれております。三位ばらばらの財政計画のために県内市町村は実質180億円の歳入削減になっており、市町村では財源不足が生じ予算が組めない自治体も続出し、沖縄タイムスのアンケート調査によると96%の市町村が財政難で厳しいと回答し、85%が三位一体改革は評価できないと批判しております。
県も同様に243億円余の削減となっており、大幅な基金繰り入れで賄っております。今や国債・地方債合わせて700兆円とGDPの約140%という世界一の借金大国になったことは政府の重大責任であります。それを一方的に国民に押しつけることは納得できません。特に、財政難克服策の苦渋の選択として市町村合併を計画している自治体に説明責任が果たせるでしょうか。
以下、お伺いします。
(1)、地方財政と三位一体改革の影響について。
ア、三位一体改革と平成16年度の地方財政計画に対応した県予算編成の課題はどうなっているか。国に対してどのような要請、協議を行っているかお聞かせください。
イ、沖縄振興計画の推進に必要な国の支援は、三位一体改革の影響下でどのようになるのか、見通しと反応をお聞かせください。
ウ、市町村の予算編成と三位一体改革の影響はどうなっているか、今後の見通しはどうか、お聞かせください。
エ、合併市町村の合併特例債や合併後の財政運営についての今後の影響はどうか、お聞かせください。
3、産業振興について。
観光・リゾート産業は、リーディング産業として本県産業振興に貢献していますが、沖縄総合事務局の最近の調査結果を見ると、飲食・お土産品購入に観光客がもたらす経済的な生産波及効果はわずか8%で、全国の21%と比較しても大きく下回っており、観光と農林水産業の連携がとれていないことが明らかになりました。観光客等がお土産を購入したり飲食物を消費するとき、地元自給率がどれぐらいかによって経済波及効果等が変わるからであります。これからは単に入域客数だけで一喜一憂するのではなく、実質的な貢献度を評価しなければなりません。
そこでお伺いいたします。
(1)、観光産業の経済波及効果はどのようになっているか。課題は何か。今後の対応策についてお聞かせください。
(2)、地産地消、それ以上に自給率向上についてどのように計画し対応していくか、お聞かせください。
(3)、総合産業としての観光産業振興についてどのような施策を計画しているのかお伺いいたします。
4、離島振興について。
総務企画委員会の八重山圏域行政視察で国立天文台VERAを訪問しました。電波望遠鏡で銀河系の地図を作成しており、天体観測能力は月の表面での1円玉も識別できる高性能を有しており、宇宙の不思議を解明するスタッフが石垣島で活躍していることを頼もしく思いました。しかし、現在は膨大な観測データをビデオに録画して飛行機で東京に運び解析しており、高速・大容量の光ファイバーが敷設されると観測データが瞬時に解析できるということでありました。ぜひそのような面でも16年度の光ファイバー敷設実現をお願いしたいと思っております。
また、地元石垣市やNPO八重山星の会では、日本で観察できる88の星座のうち84を観察できる石垣島で天体望遠鏡を設置し、南十字星が見られるロマンを島おこしに役立てるという計画を持っております。
話によりますと、国立天文台も大変好意的で地元石垣市や八重山星の会では平成16年度にも建設したいという意向のようでありますが、夢と希望の持てる離島振興の一環として実現に向けて県の御支援をお願いしたいと思います。
離島振興には各島々の特性を生かし、海を隔てるという不利性を克服することが重要であります。インターネット等で公共や民間のサービスが受けられるような整備がなされれば、島嶼県沖縄だからこそ実現できるモデル的なIT社会構築が可能だと思います。ぜひ世界最先端を目指す日本の政策を先取りした取り組みをお願いしたい。
さらに、離島が有する広大で可能性を秘めた排他的経済水域の海洋資源を活用し経済的な自立を図ることも必要であり、政府が急務としている大陸棚調査と連動し共同での調査を提言したいと思います。
また、離島は観光・リゾート面でも魅力を持っており、国内観光客に限らず国際交流を促進するためにも現行制度の枠組みを超えてビジット・ジャパンのモデルとして取り組んでいただきたい。
それでは以下お聞きします。
(1)、石垣島への国立天体望遠鏡建設計画について県の対応をお聞かせください。
(2)、石垣・宮古への光ファイバー敷設の見通しと与那国への敷設延長計画の取り組みについてお聞かせください。
(3)、IT支援事業の導入により、離島の住民が各離島にいながらにしてサービスが受けられるサイバーアイランドの構築に取り組むことについてお聞かせください。
(4)、離島振興策として、国土の連続性から不利な島嶼群を離島特区として海底資源開発や税制等産業支援ができるように国に働きかけていただきたいが、県の対応をお聞きしたい。
(5)、離島における観光・リゾート産業振興のための県の施策をお聞かせください。
(6)、ことし4月から台湾―石垣間で高速艇が就航する予定と聞いていますが、ノービザ等の県の支援についてお聞きしたい。
5、教育行政について。
去る1月13日、文教厚生委員会の八重山管内の教育・福祉行政視察に同行させていただきました。折からの強風の中、荒波を乗り切って西表島に渡り、陸の孤島となっている船浮村の竹富町立船浮小中学校を視察しました。併置校で小学生2名、中学生2名の全校4名の超ミニ校であります。隣接していた網取村が網取小中学校の廃校で廃村になった歴史を持つだけに、学校存続問題は集落の存続問題として地域ぐるみの学校支援の取り組みが大変印象的でありました。特に、学校の取り組みの一つとして、いわゆる不登校で悩んでいた子が船浮校に転校してきて、伸び伸びと明るく地域に溶け込んで学んでいるというお話をお聞きして、まさに教育の原点を見た思いであります。
私は、昨年9月の代表質問でも離島や過小規模校の活用について取り上げました。教育長は、地域の特性を生かして教育活動を推進したいという答弁でした。児童生徒がいなくなれば廃校になるわけであり、教育行政だけでなく雇用や住宅など生活や受け入れ体制の問題等と不離一体であります。したがって、縦割りではなく生涯教育と地域活性化という観点から横断的な取り組みが必要であります。
そこでお聞きします。
(1)、廃校の危機にある僻地・過小規模校の今後の取り扱いについて、存続・活用すべき学校は「教育再生指定校」とし、教育の充実を図ると同時に、児童生徒の確保のための支援事業、地域活性化事業等に取り組むべきだと思いますが、教育長及び地域・離島振興局長にお伺いします。
次に、時代の変遷とともに大人も子供も生活や社会の変化に一種のねじれ現象があり、子供の健やかな成長をはぐくむためになお一層の家庭、学校、地域社会の連携が求められております。特に、子供たちに生きる喜びを感じさせ、目標に向かって努力する動機づけをどのように取り組むかが大事であります。
そこでお聞きしますが、いじめ、不登校、校内暴力、無気力な児童生徒の教育問題は、学校のみならず地域、家庭の教育力が問われ社会的な問題となっております。そこで、児童生徒のやる気を起こす支援事業についてお聞きしたいと思います。
6、新石垣空港建設問題についてであります。
稲嶺県政において、県政の最重要課題として取り組み、建設場所の位置決定、基本計画の策定、環境アセス手続等精力的に取り組んでいることに対して感謝申し上げます。八重山圏域は新石垣空港建設こそ八重山郡民が21世紀に夢と希望を展望する最重要な課題であり、今議会初日、稲嶺知事の所信表明で平成16年度における施策として「持続的発展を支える基盤づくり」として「新石垣空港の事業採択に向けて取り組みます。」という施策が示されました。八重山郡民は、悲願成就の記念すべき年度になると確信し感謝しているところであります。
そこで、これからの取り組みについてお伺いします。
(1)、平成16年度の予算措置の概要と今後のスケジュールをお聞かせください。
(2)、これまで平成15年度、16年度、17年度と国庫事業採択年度目標がずれ込んできましたが、17年度国庫新規事業採択に向けての稲嶺知事の決意をお聞かせください。
答弁により再質問を行います。
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