平成15年(2003年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 12月 1日
教育長(山内 彰)
 

 内規見直しに対する所見についてお答えいたします。
 平成8年の中央教育審議会第1次答申を初め数次にわたる答申を踏まえた高等学校の新学習指導要領では、生徒の個に応じた指導の充実、高等学校教育の多様化、柔軟化を図る必要から進級規定の弾力化が求められております。そのためには従来の内規、いわゆる校内規程を見直し、新しい時代の新しい教育に対応した学校運営を図る必要があります。したがいまして、学校では職員の合意形成を図るとともに、地域の父母への理解を促す必要があると説いたわけであります。学校においては校内規程の見直し、検討が行われ、現在、全日制課程62校中48校、全定時制高校9校において見直しがなされております。 
 このように学習指導要領に基づいて進級規定の弾力化を図るということは、生徒の学習環境を十分に保障し、価値観の形成、多様な生徒の個性の伸長、選択能力の形成、学ぶ意欲の向上を育成するという教育的な意義があると考えております。
 次に、投稿した教諭に対する調査についてお答えいたします。
 県教育委員会では、学校訪問の際は学校の経営方針、校内規定、学習計画及び生徒指導や進路指導の記録、日常の教育活動状況、服務管理状況等について把握し理解するように努めているところであります。今回の学校訪問は、校内規程の見直しの趣旨や状況把握等について相互理解を図るために校長の意見を聞いたものであります。その際、学校の管理状況として校長に説明を求め、参考までに出勤簿や年間学習指導計画書等の情報を求めたものでございます。
 アンケートについてお答えいたします。
 生徒へのアンケートについては、校長と当該教諭がみずからの教育活動のよりよい評価のあかしを得るために実施されたものであったとの学校長の報告を受けております。したがって、その実施については、当該教諭への相談と了解及び立ち会いのもと生徒への趣旨説明を経て実施されております。また、このようなことで生徒と教諭の相互信頼関係を損なうようなことがあってはならないと考えております。
 民主的な教育行政についてお答えいたします。
 御提言のとおり、学校運営は学校教育目標の具現化に向けて全教職員が一体となって学校づくりに努めることが大切であると認識しております。教育委員会と教育行政の最先端にある校長は、相互の連携を密にして教職員への説明責任を十分に持ち、よりよい学校運営ができるようにすることが大切であると理解しております。
 常々教育は理解と対話であると思っていますが、今回のことにつきましては行政と校長との意思疎通や行政の対応に不十分な点があり、そのことが誤解を生み学校現場に信頼関係を損ねるような状況を生じさせたと考えており、その解消に努めたいと思っております。今後は、学校及び教職員との相互理解を図り、父母や地域社会、関係団体等との連携を一層深め信頼関係の構築に努めていきたいと考えております。
 琉大祭での小・中・高校生の飲酒問題についてお答えいたします。
 琉大祭で未成年者に無理に酒を勧めるという事件が起きたことに大きな衝撃を受けています。  県教育委員会としましては、この問題について近隣市町村教育委員会及び県立学校と連携を図り実態把握に努めてまいりました。その結果、861名の中学生が琉大祭に参加し、そのうち167名が飲酒、高校生は1497名が参加し、うち178名が飲酒したとのことです。このことを踏まえ、県教育委員会では、琉球大学に赴き再発防止について申し入れを行ったところであります。なお、指導のあり方等について今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、沖縄県地域教育力・体験活動推進協議会の目的と協議の方向性についてお答えいたします。
 沖縄県地域教育力・体験活動推進協議会は、青少年の体験活動をよりよく推進するための協議を行い、市町村へ助言することで地域の教育力を高め、心豊かでたくましい青少年をはぐくむことを目的としております。本県では、文部科学省事業を活用した青少年の体験活動推進事業を25市町村と3団体に委託し、市町村における推進体制整備のために、市町村地域教育力・体験活動推進協議会と市町村体験活動ボランティア活動支援センターを設置しております。また、体験活動モデル事業として、糸満市の「ウィークエンドくらぶ」や読谷村の少年たちによる「タグラグビースクール」など地域の特色を生かした自然体験・社会体験・スポーツ体験等が展開されております。
 第1回目の沖縄県地域教育力・体験活動推進協議会では、奉仕活動・体験活動プログラムの工夫改善、育成者相互の連携等が協議され、また遊び型不登校の児童生徒の支援については、地域における支援体制の整備、社会教育団体との連携等について話し合いがなされております。今後も本事業をより多くの市町村に拡大し、地域社会における居場所づくりを進め、青少年の一人一人が心豊かにはぐくまれるよう方向づけをしていきたいと考えております。
 以上でございます。

 
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