平成12年(2000年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 7月 4日
糸洲 朝則
 

 第8回の県議選を終えての最初の議会でございます。激戦の選挙を勝ち抜いてこられた議員諸公の皆様に敬意を表します。
 また、県民の負託にこたえる責任を担うべく全力を挙げて一緒に取り組みたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 私ども公明党もこのたびの選挙で4議席を与えていただきました。選挙後に稲嶺知事との間に政策協定を結びまして県政与党としてスタートいたしました。基本的には県政を支えてまいりますが、健全与党として是は是、非は非として県民の側に立った議論を展開し、県民本位の政策の実現に取り組む所存でございます。
 それでは、通告に従いまして代表質問をいたします。
 まず第1点目に、国連アジア本部の誘致についてでございますが、国連アジア本部の沖縄への設置についてはこれまで本会議で四たび取り上げさせていただきました。また、県議選挙や衆議院議員総選挙におきましても最も多く県民に訴えさせていただき、多くの県民の賛同を得たものと思っております。
 21世紀を生命の世紀、人権の世紀へと構築していくことが戦争の世紀と言われた20世紀を生き抜いた民衆の英知であり願望であります。とりわけ世界で唯一の被爆国である我が国、国内で地上戦による多くの犠牲をこうむった我が県民にとって、ただ単に戦争がないというだけの平和にとどまらず、世界の民衆の人権が保障された平和で豊かな暮らしが保障されなければならないと考えます。その実現に向けては国連を中心にした取り組みが望まれ、国連システムを活用した人道支援及び人権保障の確立が必要であります。
 こうした視点に立って考えるとき、世界の人口の半数以上を有し発展途上国の多いアジアへの人道支援こそ新しい21世紀を開く最重要課題であると考えます。したがって、アジア・太平洋諸国及び地域を視野に入れた国連アジア本部を沖縄に誘致し、平和発信の拠点として位置づけるとともに、平和憲法を世界へ宣揚することが我が国、我が県の使命と役割であると考えます。
 幸いにも今月21日、22日、23日に行われます九州・沖縄サミットにおける中心議題も平和、安全、そして人間の安全保障であります。まさに沖縄サミットにふさわしい議題であり、時宜を得た議題であります。我が国は議長国としてサミットを運営する側にあることを考えますと、今回の九州・沖縄サミットを通した国連アジア本部の誘致は千載一遇のチャンスであると言っても過言ではありません。
 さて、政治は民衆の生活をよくする戦いであり、民衆の苦悩を救う戦いであります。また希望を現実に変えていく戦い、それが政治であろうと考えます。したがって、沖縄県民の平和を希求する心を世界へ発信し、アジア・太平洋地域の一員として、地球市民の一員として世界へ貢献していくシステムづくりの一環として国連アジア本部の誘致を強く訴え、知事に質問をいたします。
 (1)、国連中心の人道支援の拠点を沖縄に設置することが沖縄の平和発信地としての役割を果たすとともに、平和憲法の具体的な実践の一つであると考えるがどうか。
 (2)、今後、沖縄振興の方向性の一つとして人、物、情報、学術・文化、平和の交流・協力拠点を構築し、アジア・太平洋地域の発展に寄与する特色ある地域の形成を目指すことがうたわれておりますが、これらの中心軸に国連アジア本部を位置づける考えはないかどうか、伺います。
 (3)、国連アジア本部を中心にした国際機関の誘致による拠点づくり、いわゆる東洋のジュネーブを目指す考えはないか。また、今後の誘致計画及び構想立案にスイスのジュネーブを参考にする考えはないか。そのための視察計画を立てられないかどうか、伺います。
 (4)、九州・沖縄サミットに国連アジア本部の誘致を知事みずから、あるいは政府を通して働きかける考えはないかどうか、伺います。
 (5)、国連アジア本部の誘致効果について知事はどのように考えておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
 (6)、最後に、これまでの取り組みについてどのように取り組んでこられたか、御説明をいただきたいと思います。
 次に、九州・沖縄サミットについて。
 20世紀最後の年に開かれる沖縄サミットは、それだけでも大きなインパクトを持つものでありますが、沖縄が我が国における国際会議が開かれる地方都市として位置づけられ、サミット後の国際会議をいかに沖縄に誘致するか。また沖縄がサミットアイランドとして、コンベンションシティーとして世界に認知され定着していくかは、サミット後の取り組みにかかっていることは言うまでもありません。
 幸いにも政府は、去る6月20日の閣議での了解を受けて、29日に総理府において各省庁間の連絡会議が行われており、来年1月以降5年程度の開催計画の策定や沖縄開催に係る政府の支援策などを今後協議検討していくとのことであります。
 こうした政府の支援策とタイアップして取り組むと同時に、県として各国各地域への働きかけと同時に、民間団体や各企業等への国際会議の誘致運動は今後重要な課題であると考え、サミット後の国際会議等の誘致計画や取り組みについて、将来展望等について知事の御所見を伺います。
 次に、サミットで各国の首脳を初め多くの関係者が来県し県民との交流も盛んに行われます。また世界へ沖縄のことが発信されます。私たち県民は、沖縄サミットを県民共有の財産として大事にし、あらゆる面で世界との交流発展につなげていくことが重要であります。地方自治体レベルの交流を初め民間交流、学術・文化、教育等幅広く展開できることを期待いたします。
 しかしながら、国と国との関係がある以上、国や県において一定の方向性を示していただかなければせっかくの機運も空回りしかねない面も考えられます。したがって県は、サミット後の国際交流が大きく展開されるよう国との連携を密にしながら進めていただきたいのであります。中でも未来を託す青少年の育成に当たっては、サミットを機会に大きく世界に視野を広げていくことができたと言われるような施策を示していただきたいのであります。
 こうしたことを踏まえ、サミット後の各国の地方自治体における姉妹交流や文化・学術、教育交流等の考えや計画について伺います。
 3番目に、普天間飛行場の移設について伺います。
 普天間飛行場の移設については、まず市街地の真ん中にある危険な飛行場は早目に移設することが望ましいことは県民だれしもが認めるところであります。要は移設先をどこにするか、跡地利用はどうなるのか、移設するまでのプロセスはどう考えているか等々多くの課題があることはこれまで指摘してきたとおりであります。
 とりわけ移設先については県外、国外も含めて検討すべきであると我が党は主張してきましたが、稲嶺知事は県内移設を示されました。そうであるならば、私どもがこれまで主張してきましたように県民合意形成の作業に最大限の努力をなさるべきであると考えます。中でも移設先の地域住民との対話は重要であり、対話による合意形成が大事であると考えます。この普天間飛行場の移設問題については、余りにも多くの課題があるだけに県民や地域住民への説明は幾らやってもやり足りないぐらいの姿勢で取り組んでいただきたいと考えます。
 これまでも申し上げてきましたように、移設作業のプロセス、工法、環境問題、地域対策、地域住民の生活及び安全の確保、跡地利用計画、これらが保障される法的整備等々すべての情報公開を県民に示した上で、県民に説明をして県民的議論を喚起し、県民合意の方向性を見出すことを努力すべきであると考えます。知事の所見を伺います。
 (1)、まず、情報公開についてどのように考えておられるか。
 (2)点目に、情報公開をした上で一定期間県民的議論を喚起し、県民が冷静な判断ができるよう県民に考える時間を与えてはどうか。
 (3)点目に、県民や地域住民との合意形成に向けた知事の今後の取り組みについて伺います。
 大きい4番、那覇港の整備とそれに伴う那覇軍港の移設について伺います。
 このことについてもこれまで何度も取り上げ多くの議論がなされてきました。那覇軍港の返還については、移設条件つきとはいえ返還合意から29年が経過しておりますが、いまだ実現しておりません。これまで多くの時間を保革の対立の中で県内移設賛成、反対で議論をしてきた。しかしながらその間に冷戦の崩壊、経済のグローバル化等情勢の変化に地元浦添市商工会議所を初め多くの提案がなされてきました。いわゆる那覇港浦添西海岸の開発であり、それに伴う軍港の移設であります。

 このことは、時代の変化により県民意識はかなり変化しているものと考えます。いわゆる沖縄の自立経済確立のため数々の施策を実現していく上でハブ機能を持つ空港、港湾の建設が必要要件であるということ、これらのプロジェクトはグローバルな視点に立った国の重要課題の一つであり、国の制度及び財源支援が必要と考えられます。したがって、現在の那覇港管理を那覇市だけに任すのではなく、国、県、那覇市、浦添市が一体となって開発していくとの方向性で取り組んできたわけであります。
 こうしたことを踏まえ、知事は普天間飛行場問題と同様に、否それ以上に今、力を入れて取り組む必要性を訴え、次のことを質問いたします。
 (1)、那覇港管理一部事務組合設立に向けた県の取り組みについて、現状説明と今後の展望について伺います。あわせて浦添市との合意形成を困難にしている要因はどういうことか等についてもお聞かせいただければ幸いでございます。
 (2)、那覇港港湾計画の見直し時期は2000年となっていると思うが、ハブ港湾構想と計画見直しについてどのように考え、どのように取り組んでおられるか、伺います。
 (3)、港湾整備に伴う軍港の移設計画についての考えについても伺っておきます。
 (4)、軍港跡地利用の計画についての取り組みについても御説明を賜りたいと思います。
 次に、経済振興について伺います。
 経済振興について質問いたしますが、これまでの私の質問とのかかわり、また各党代表の質問とも重複いたしますが、要は、沖縄が今後自立していくための経済政策を確立することが求められております。
 我が党は、これまで一国二制度的な思い切った制度の導入による自立経済の確立を主張してきました。国や県におかれましても、21世紀プランの策定や沖縄振興新法の策定など取り組んでおられます。沖縄が新しい世紀を迎えるに当たって経済振興策も新しい展開を求められておりますが、それに対する県民の不安があることも現実であります。したがって、県民に安心していただくためにも今後の経済振興策について知事の所見を伺います。
 (1)、3次振計の総括と評価。ポスト3次振計の構想について。
 (2)、自立経済確立へ向けたシステムづくり。例えば経済特区構想、マルチメディアアイランド構想、入域観光客1000万人構想等について伺います。
 (3)、これらの施策実現へ向けてのインフラ整備構想についてもお聞かせ願います。
 (4)、新たな制度及び法的根拠の策定についても伺っておきます。
 6番目に、環境行政についてでございますが、政府は今年度を「循環型社会」元年と位置づけ、循環型社会形成推進基本法の制定を初め関連法を成立させました。文明の急速な発展は、人類に便利な生活を提供しましたが、大量生産、大量消費、大量廃棄型の使い捨て社会を生み出し、大自然の生態系にまで悪影響を及ぼすようになりました。
 こうした現状に歯どめをかけ、生産から廃棄への一方通行型の社会ではなく「ごみ・ゼロ」を目指し、資源を有効に再利用しながら持続的発展を可能にする循環型社会への仕組みづくりがスタートしたわけであります。
 環境問題というとグローバル・アンド・ローカリーの言葉が示すとおり地球規模で考え、我が地域から取り組むことが大事であります。したがって、県におかれましてもこのことを踏まえ具体的な取り組みが求められます。まして既にごみリサイクル関連法等も成立しており、次年度完全施行の予定であります。県の取り組みについて伺います。
 7点目、福祉行政についてでございますが、介護保険制度がスタートしましたが、制度導入に至るまで十分時間がなかったこと等もありまして、今後実施していく中でよりよい制度へ改善していく必要があると考えます。したがって、制度導入による現状と今後の課題等について御説明をいただきたいと思います。
 最後8番目に、離島振興について伺います。
 多くの離島を抱える本県における離島振興対策は大変重要な課題であることは言うまでもありません。多くの離島であるがゆえのハンディの克服と、島の特性を生かした施策の実施が求められます。ハンディ克服の代表的なものとして交通・通信、医療福祉、教育等ハード、ソフト両面にわたる課題が多々ありますが、その中から次のことについて質問をいたします。
 離島医療の深刻な現状については、先ほど坂井議員が述べていたとおりであります。中でも宮古病院の新築移転計画については、これまでも本議会で何度となく取り上げられております。また、地元における宮古病院将来構想検討委員会でも新築移転の必要性を決定して県に要請しております。したがってこの本議会においても何度でも訴え要請をいたしますが、せめて検討委員会を設置して取り組まれますよう一歩踏み込んだ答弁を期待し、答弁を求めるものでございます。
 新石垣空港の建設については、議会ごとに取り上げられておりますが、本議会においても質問されておりますように、そしてまた知事の答弁をおおむね了といたしますが、あえて伺いますが、加えて建設場所及び先ほど知事が答弁された今後の計画変更はないものと認識してよいものかどうかについても伺っておきます。
 あと、新多良間空港、そして離島センターについては通告されておりますが、また後ほど次の機会に聞かせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

 
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