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平成12年(2000年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 12月12日
糸洲 朝則
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通告に基づきまして一般質問をさせていただきます。
まず、基地問題について伺います。
私は、去る7月29日から8月27日までの約4週間、米国務省のIVP(International Visitor Program)、いわゆる米国務省教育文化局による外国からの視察団のためのプログラムに小渡議員、そして安次富議員とともに参加をいたしました。その所感の一端を申し上げて提案をし、また御質問をいたしたいと思います。
米国においても軍縮の流れ、国防費の削減、軍事技術の進歩等によって基地の再編に伴う整理縮小、統合による基地閉鎖がこの10年間で80カ所余りに達しております。これらの閉鎖された基地跡地はさまざまな形で開発され、経済振興を初め多くの成果を上げております。
一方で、基地閉鎖に反対し基地を存続させた地域もあり、これらの地域は基地の存在が地域住民の生活や経済振興に大きな影響を与えていることもあって、基地と地域住民はお互いに理解し認め合う良好な関係にあります。
さて、沖縄県における基地問題は多くの課題を抱えておりますが、中でも基地の整理縮小、地位協定の見直し、この2つは当面の重要課題であるとこのように考えております。要は、課題解決に当たって中長期的展望を含めたスタンスとその手法が大事であろうかと思います。いわゆる世界情勢の変化、軍事技術の進歩等さまざまな要因で基地の変貌は大いにあり得ることであり、沖縄の基地も例外ではないと考えます。したがって課題解決へ向けた日米両政府の日常的に本音での対話による信頼関係を築くことが重要かと考えます。沖縄県においても外交・防衛問題だからといって国に任せるのではなく、日米両政府を初め両国の各界各層との対話による問題解決に取り組むことが望まれると思います。
また、地元における米国領事館や米軍関係者との日常的な対話による課題解決を精力的に進めることはできないだろうか。特に地位協定の見直しについてはお互いの理解と信頼関係を築くことができれば公平な協定へと改定できるのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
日米両国と沖縄県の各界リーダーが国を超え、立場を超えて対話をし、信頼関係を築くことが基地問題を初め山積する多くの課題解決の第一歩であるとの考えを述べまして、知事のこれまでの取り組みと成果について伺います。
次に、米軍基地の過重負担というマイナス要素を逆手にとりまして英語先進県、英語立県を目指してはどうかと思います。これからの時代は英語ができないというだけで相当なハンディになります。国際化、インターネットの普及等によって仕事や社会生活を送っていく上でますます必要になってきます。しかしながら日本人は英語が下手であると言われております。
例えば、ある調査によりますと日本人の英語の実力は世界160カ国中150番目、アジア26カ国中二十四、五番目だそうであります。こうした事態を改善するには英語を母国語とする先生による英語教育を小学校から取り入れる以外に方法はないと、こういう多くの指摘もされており、私もそのように感じております。
さて、そこで沖縄には米軍基地が存在するがゆえに英語を母国語とする人たちが数多くおります。こうした環境を生かした沖縄振興策の一環として、教育面での一国二制度的な英語教育による英語立県を目指してはどうかと御提案を申し上げ、知事の御所見をいただきたいと思います。
また、そのこととあわせて日米両政府に要請されてはどうかということについても知事に伺っておきます。
あわせて、先日マスコミで中頭教育事務所管内での在沖米軍関係者等による英語ボランティア拡充の記事が紹介されておりましたが、このような事業を今後さらに拡大していく考えはないかどうかについても伺っておきます。
2番目に、那覇港湾整備計画について伺います。
先日、県が進めてきました那覇港湾計画の調査がまとまったとの報道がありましたが、沖縄の将来像に大きな影響を与える重要なインフラ整備事業の一つであるだけに県民の期待も大きいものがあります。
そこで伺いますが、(1)つ、那覇港国際流通港湾計画調査報告書の概要について御説明をいただきたいと思います。
(2)つ目に、整備計画決定に至るまでの今後の作業計画及び見通しについて伺います。
(3)点目に、那覇軍港の移設を視野に入れた整備計画なのか、もし那覇軍港を移設するとすれば今後どのような手順で進められるか、御説明をいただきたいと思います。
(4)点目に、県、那覇市、浦添市による一部事務組合の設立がおくれているが、その理由及び今後の見通しについて、また整備計画との整合性について伺います。
3番、文化振興についてお尋ねをいたします。
かつて庶民の娯楽として親しまれてきた沖縄芝居が低迷をしております。時代の変化の中でさまざまな要因があってのことだろうが、いま一度沖縄芝居を復興させることも沖縄の文化振興の一つであるとの思いから質問をいたします。
まず(1)つ目に、現状を認識する意味から沖縄芝居の現状を御説明いただいた上で、さらに今後の展望について伺っておきます。
(2)点目に、沖縄芝居について県はどのように認識をされ、またどのような対応をなされているか、御説明をいただきます。
(3)点目に、沖縄芝居の復興を推進する観点から、現在行われております県民劇場開催数をもっとふやせないものか。また移動県民劇場についても開催地と提携してもっともっと多くの地域で開催できないか、県の取り組みについてお伺いをいたします。
(4)点目に、沖縄芝居振興基金(仮称)を創設し、沖縄芝居の復興を促進してはいかがなものかと思います。この点についても御所見を賜りたいと思います。
4番、教育行政について伺います。
沖縄のことわざを解説した本の一部を引用させていただきますが、沖縄のことわざに「生まり島ぬ言葉忘ねー、国ん忘ゆん」ということわざがあります。これは、
「生まれジマの言葉(を)忘れたら、国(を)忘れる。アキサミヨー、シタイヒャー。驚いたとき、うれしいとき、思わず飛び出す言葉がある。それはたいてい生まりジマの言葉であり、自分を育んできたふるさとの表現である。人は親の言葉を通して様々なことを学び、自然や社会を理解していく。親の言葉はシマ(村落)の言葉であり、そこにはその地で暮らしてきた祖先の心が息づいている。だからシマの言葉を忘れると言うことはふるさとを忘れることであり、自分の祖先や親兄弟を捨てたと同然であると言う。幼いころから慣れ親しんできた言葉。それを記憶から消し去ることは普通ありえないもの。この黄金言葉(くがにくとば)の伝承は、そのような事態が生じたことを示している。琉球方言には、方言札などによってその使用を禁止された歴史がある。廃藩置県後、皇民化教育や同化政策、標準語励行運動が激しく展開され、その結果、方言蔑視や郷土否定の風潮を生んだ。「うちなーむのーむる捨てぃれー」。そんな時代がかつてあった。シマの言葉は自分と親兄弟、祖先をむすぶ大切なもの。それを忘れてしまったら、そこにはもう人間性がない。ウチナーンチュの心を捨てたと同じである。だから生まりジマの言葉を忘れてはならない、自分を捨ててはいけないよということ。言葉に対する先人の思いが伺える黄金言葉。ウチナーンチュなのにシマの言葉をばかにして、嫌がって話さないものを批判する場合などに用いられる。」
こういう解説があります。
このように島言葉、方言の喪失を戒めておりますが、我々の日常生活の中では余り使われなくなった方言をこのままでよいだろうかと疑問を持つのは私一人ではないと思います。多くの県民が方言のなくなることを心配されているとの思いから質問をいたします。
(1)つ、沖縄各地の方言について、教育行政の立場からどのように認識されておられるか。また将来、方言はどうあるべきか、またどのようになるのか、お考えを伺いたいと思います。
(2)点目に、沖縄芝居と方言との関係をどのように考えておられるかについても伺っておきます。
次に(3)点目には、港川原人遺骨の沖縄への返還についてでございますが、これまで何度か取り上げてきております。したがってこの港川原人遺骨の沖縄返還を含めた保存・研究体制について御説明をいただきます。
あわせて発掘作業についても御説明をいただきたいと思います。
5番目に、雇用問題について伺います。
沖縄の若年層の失業率が高い要因に新規卒業者を採用したときの教育費の問題や、せっかく一人前にしたのに別の会社に引き抜かれるなど定着率の低さも指摘をされております。これらの課題をクリアしてなおかつ若年層の採用を促進するために、沖縄独自の「新規学卒採用企業への助成」制度の創設をしてはどうかと提案をしますが、県の考えを伺います。
(2)点目に、現在の若年者雇用開発助成制度がありますが、地元企業には活用しにくいという声があります。したがってこのことを改善される県の考えはないのかどうかについても伺っておきます。
6番目に、離島振興について伺います。
離島振興及び活性化の要因に若者の定住が挙げられます。そのためには生活の糧となる仕事であり、住宅、娯楽等いろいろございますが、中でも住宅の確保は大変困難であります。仕事もあり、島に戻りたいが住居がない。離島には都市地区のようなアパートもないのが現状であります。
こうした状況を踏まえ、多良間村では村営住宅を毎年4戸ずつ建設しておりますが、需要に追いつかず現在でも十五、六世帯の待機組がいるとのことであります。離島振興の観点からも、若者を定住させ島を活性化させるためにも住宅の提供は最重要課題であります。
したがって、村営住宅に加えて県営住宅の建設が要請されておりますが、県は住宅マスタープランの中で既存の県営住宅の建てかえを重点にしているとの理由で離島への新規住宅の建設を拒んできております。いわゆる新たに土地を購入して建設するには財源確保が困難であるとのことですが、離島には空き屋敷も多く、土地代とて都市地区に比べればただ同然の安さであります。
ちなみに、新多良間空港の用地33万5665.81平方メートルで2億9684万2544円、何と坪単価1万円にも足りない安さであります。したがって土地代云々は理由になりません。
また、既存の県営住宅のない離島において建てかえ事業が該当せず、この理屈でいきますと県営住宅建設は不可能だとこうなるわけでございます。しかしながら離島振興を促進するためにも住宅の提供、いわゆる県営住宅の建設は当然推進されなければならないと考えますが、いかがでしょうか、地域・離島振興局長の見解を伺います。
また土木建築部長には、こうした状況を踏まえマスタープランの見直し、あるいは特例措置をもって対応できないか。中でも多良間村における村営住宅4戸に加えて県営住宅6戸程度の建設を次年度から予算化されますよう、村民にかわって強く訴えるものであります。前向きの御答弁をお願いいたします。
また、離島における県営住宅の現状についてもどうか、御説明をしていただきたいと思います。
次に、離島における水泳プールの建設についても以前取り上げましたが、教育環境の格差をどう考えられますか。
また、プールのない離島での水泳指導はどのように実施されておりますか、御説明をいただきたい。
私は以前、一般質問で取り上げたときも申し上げましたが、多良間小学校の子供たちが修学旅行の折、北谷町の小学校で洋服を着たままプールではしゃいだ話が忘れられません。何とかこの格差を是正し、少しでも平等な教育環境を整えてあげたいと思うのは当然過ぎるほど当然だと思いますが、いかがでしょうか、教育長の御答弁を求めます。
また、離島振興の立場から、島民の健康管理の観点からプールは必要であります。いわゆる村民みんなで利用できるプールを建設することも一案だと考えますが、いかがでしょうか、地域・離島振興局長の御所見を伺います。
最後に7番、災害対策について伺いますが、大雨のたびに起きる災害の対策について、県が管理する2級河川のはんらん等による災害対策について伺います。
(1)つ、これまでの県管理河川の大雨による被害実態及び復旧作業の進捗状況について御説明願います。
(2)点目に、国場川のはんらんによる仲井真の平和苑の浸水対策について、現在進めている河川の蛇行改修工事が完了すれば解決するのか、それとも別に原因があるのか、具体的にこの解決策について御説明を願います。
(3)点目に、慢性的となっている漫湖の両側、いわゆる古波蔵及び鏡原一帯の浸水対策として抜本的な取り組みをする必要があると考えますが、どのような対策を考えておられるか、御説明をしていただきたいと思います。
以上、質問を終わりますが、御答弁によりましては再質問をいたしますので、よろしくお願いします。
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