平成13年(2001年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 7号 6月27日
糸洲 朝則
 

 一般質問をさせていただきますが、その前に、この議会でもたくさんの議員が取り上げていただきましたハンセン病訴訟問題についての所見を申し上げまして、知事の御所見が賜れれば幸いに存じます。
 ハンセン病訴訟における国の控訴断念は、あの原告団の方々の、これでようやく人間になれる、人間に戻れるといった内容の言葉に象徴されるように、これまでの差別や偏見が言語に絶するものであったということを改めて認識をいたしました。また、新世紀の初頭の国会でこのような英断が下されたことは21世紀が生命の世紀への幕あけであり、我が国が人権・人道国家への一歩を踏み出したこととして評価をし、今後はハンセン病患者・元患者の皆さんの人権の回復及び補償をしっかりやっていくことが国や国民に課せられた償いであり、また大きな仕事であろうかと思います。
 稲嶺知事におかれましても、今議会で愛楽園や南静園を早く訪問し激励したい旨の発言がありました。さぞかし園の皆さんも知事の来園を待っているものと推察いたします。一日も早い訪問をお願いいたします。
 私も去る6月9日に我が党の白保台一衆議院議員、遠山清彦党国際局次長らとともに国立ハンセン病療養所宮古南静園を訪れ、入所者の労をねぎらうとともに、ハンセン病問題の最終解決へ向けた要望を伺ってまいりました。同園には現在176人が入所し、平均年齢は72歳で、多くの方は同園をついの住みかと決めておられるようであります。秋山自治会長は、最後の一人になるまで安心して暮らせるようにしてほしい、こう訴えておられました。
 懇談の中でさまざまな要望や御意見を承ったわけでありますが、同園からの要望は要約しますと次の2点になります。1つ、医師、スタッフの不足、特に不自由者センター(64床)では現在夜間の看護要員は男性1人という状況で、例えば女性の患者は排せつの介添え等をお願いしたくても言い出せないといった問題等を抱えておるようでございます。また医師の数──現在6人──についても県の医療福祉要綱の基準に照らしてもあと6人足りないと宮古保健所からも勧告が出ているとのことでございます。
 2点目に、入所者は高齢化に伴い療養所が統廃合されるのではないかと、こういう不安を抱えておられます。高齢、社会的偏見により社会復帰が難しい入所者らは、多くの方が死ぬまでこの園でとこのように望んでおられるようでございます。公共の財産を活用するという観点からも地域に開かれた高齢者医療センターとして活用してほしいとの要望でございます。これはハンセン病に対する社会の誤解や偏見を取り除くという面からも重要な施策ではないでしょうか。
 以上、この場をおかりして知事に強く要請いたします。
 御答弁がいただければ園の皆さんも大変喜ばれるものと思います。
 それでは通告に従い質問をいたします。
 1点目に、現在進めておられます新たな沖縄振興に向けた新法及び新計画(案)の中に沖縄型特定免税制度の空港外への展開がうたわれておりますが、私は、ショッピングツアーによる新たな観光客の誘致という点では理解はするものの、この制度の拡大によって従来型の観光客までショッピングツアーになりかねない。いわゆる沖縄観光がショッピング主体の観光にさま変わりしないかという不安を感じます。そうなりますと、既存の商店街や沖縄特産品店等への影響が大きく懸念されます。また、サンフランシスコに本社を置くDFSグループ・リミテッド社と契約するという前提があるとのマスコミ報道等は地元企業育成に逆行するものであり、沖縄県経済の自立を目指す新法、新計画の精神にも反するのではないでしょうか。
 特定免税店の空港外への展開にはさまざまな懸念要素があります。リーディング産業として観光産業が既存の商店街や地元企業の育成や発展を阻むものであってはならないとの観点から質問をいたします。
 (1)、沖縄型特定免税制度の空港外への展開によって既存商店街へ与える影響をどのように考えておられるか、具体的数字をもって示してもらいたい。また、沖縄観光の中でどのように位置づけていかれるのか、将来展望も含めて御説明を願います。
 (2)、もし空港外への展開を実施するのであれば既存商店街への対策をどのように考えているのか、御説明願います。
 2点目に、スポーツ振興について伺います。
 沖縄からJリーグをということはかねてから我が党が取り組んできた政策の一つでありますが、今回民間を中心にした沖縄にJリーグをとの計画が進められております。
 せんだって、かつてのJリーガー・ラモス瑠偉氏の話を伺う機会がありました。瑠偉氏が言うには、沖縄の子供たちは先天的にスポーツに適したリズム感を持っているとのことであります。いわゆるスポーツ選手として大成する潜在的な能力を持ち合わせている、こういう話をしておりました。
 沖縄にJリーグのチームができればこの子供たちの夢が実現し、さらに多くの子供たちに大きな夢を抱かせていくことになり、青少年の健全育成に大きな成果を上げることは間違いないものと思われます。また、Jリーグのゲームを沖縄で行うことによってテレビ、新聞での報道、対戦選手やサポーター等の来県による経済的波及効果ははかり知れないものがあると思われます。また、Jリーグ参加によりスポーツに関する環境が大幅に改善され、スタジアムの建設や練習場の建設、それに伴うサッカーを初めとする各種スポーツのキャンプの誘致等々、こういったものにも弾みがつくものと思います。
 こういう波及効果が期待される中でJリーグをとの今の動きについて質問をいたします。
 (1)、沖縄からJリーグをとの取り組みが動き始めましたが、こうした民間や地域の動きに対応して県民のチームとしてぜひとも運動を盛り上げていきたいという観点から、そのためには公式競技場を初め練習場の建設等さまざまな課題があると思いますが、県を初め各自治体の協力は欠かすことのできない重要課題であります。したがって、Jリーグへの参加について県の考え及び今後の対応について伺います。
 (2)、奥武山運動公園における野球場や陸上競技場等もろもろの施設が老朽化しております。スポーツ振興を促進する意味でもこれらの施設の整備は多くの県民が待ち望んでいるところであります。よって伺いますが、奥武山運動公園の整備構想についてどのようにお考えであるか、示していただきたいと思います。
 3点目に、離島医療の慢性的な医師不足対策について伺います。
 私たちは、離島医療の慢性的な医師不足解消に向けて八重山地域において署名運動を展開いたしました。そうしたところ、短期間に2万635人という多くの八重山郡民の賛同の署名をいただきました。私たちはその署名を携えて去る5月24日に稲嶺知事及び片山虎之助総務相に陳情要請を行いました。このたびの陳情活動を通して、石垣市を初めとする離島における医師不足が深刻な問題であるということを実感をいたしました。
 ちなみに八重山病院においては、脳神経外科で昨年6月から9月までの3カ月間医師が不在となり医療が中断をいたしました。さらに、今年4月からは耳鼻咽喉科の医師の欠員が発生したために、これらの病気を治療するために沖縄本島の病院へ行かざるを得ない問題が発生しております。
 このような状況を踏まえ、八重山地域を初め各離島の住民の生命を守るためにも医師の安定・確保を図ってほしいと強く求めるものであります。中でも脳神経外科や産婦人科、小児科、耳鼻科などの各専門医師が不足しており、そのしわ寄せは離島地域に来ていると言わざるを得ない状況にあります。また、高度医療機器の配備についても離島地域がおくれていることは御承知のとおりであります。
 これらのことを踏まえ質問をいたします。
 (1)、離島医療の現状について御説明をいただきます。
 (2)、離島における慢性的な医師不足解消のための定数条例の見直し、または離島の医療現場に配慮した医師の配置はできないのか、伺います。
 (3)、先日、我が党が八重山病院の医師不足解消と施設の充実・強化を求める要請を知事にいたしましたが、その後どのように対応されましたか。また、今後の取り組みについて伺います。

 4点目に、学校及び保育所等の安全管理について伺います。
 去る6月8日に大阪府池田市での小学校内で発生した児童殺傷事件は、全国の児童生徒を初め社会に不安を与えるとともに、学校や保育所などにおける安全管理体制のあり方に大きな課題を投げております。
 こうしたことを受けて県教育庁では、関係者が一堂に会して対策会議を持たれたことに対して敬意を表します。
 私は、去る2月定例会の予算特別委員会におきまして、交番所や駐在所の活用や警察官と地域住民の信頼関係を築く上で、スプリングフィールド市警で行われております警察官のカラー写真入り名刺の活用等を提案いたしました。学校や保育所等の安全管理の面でも交番所やあるいは警察官OBの方々の活用等は大変有効であると考えます。また、警察官が地域住民や児童生徒に顔を覚えてもらって日常的に接触しておれば、事件・事故を未然に防ぐ地域ぐるみの安全管理体制ができるものと思います。
 そこで伺いますが、(1)、学校の安全管理体制の総点検について、①、去る6月18日の県教育庁における緊急対策会議においてどのようなことが議論され、また今後どのような対策が講じられるようになったか、御説明をいただきます。
 ②、この際、これらの学校及び保育所等の安全管理体制の総点検を実施し、そしてそれに対応する考えはないかどうか、お伺いいたします。
 (2)、「スクールポリス」制度の導入を御提案を申し上げます。
 米国では民間警備会社のガードマンを配置するスクールポリスというシステムが普及しておりますが、この際、我が県においても民間警備会社や退職警察官の活用なども含めた警備体制の強化を検討する考えはないかどうか、お伺いいたします。
 (3)、地域に「学校等安全対策協議会」の設置について。
 児童生徒の保護者、自治会などの地域住民、各市町村、児童相談所、警察など地域の諸機関が学校、幼稚園、保育所等と協力し、児童生徒・幼児の安全を図るために学校等安全対策協議会を設置し、日常的に地域ぐるみで学校や保育所の安全性を確保する体制づくりを提案を申し上げ、知事、教育長、警察本部長の所見をお伺いいたします。
 以上、一般質問をいたします。よろしくお願いいたします。

 
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