平成20年(2008年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 7号 7月10日
糸洲 朝則
 

 皆さん、こんにちは。
 公明党・県民会議の糸洲朝則でございます。
 発言通告に基づきまして、一般質問をいたします。
 1点目に、建築行政について伺います。
 姉歯事件に端を発しました建築基準法、建築士法の改正は、60年ぶりの大幅法改正だと言われております。建築確認の厳格化で構造計算適合性判定、いわゆるピアチェックの導入などで建築確認業務が停滞し、業界のみならず沖縄県経済に大きな打撃を与えております。
 沖縄における住宅建築は、台風災害に強い建物にとの思いから、赤がわら屋根の木造建築から鉄筋コンクリート造へと変化をしてきました。いわゆる住まいの安全を求めてきたわけであります。したがって、今や沖縄の建築物の9割方、鉄筋コンクリート造であると言っても過言ではありません。
 このような他県にない建築事情が今回の法改正の被害をまともに受ける結果となったわけであります。いわゆる沖縄の住宅事情を考慮しなかったがゆえに、沖縄のみに大きな打撃を与える結果となっております。
 ちなみに、今回の法改正では200平米以下の木造建築は構造計算を要しないと、いわゆる除外対象と特例を設けてあります。また、その後の鋼構造建築についても業界の要請を受けて同様な緩和措置がとられております。しかしながら、構造計算が必要な鉄筋コンクリート造の多い沖縄県には何の配慮もなされていない。いわゆるこのことが多くの県民に不公平感とともに現実にそぐわない現場を無視した法改正であるとまで言われておるのが実情でございます。
 このようなことを踏まえまして、建築関係者からはこれまでの沖縄の経験と実績からして、200平米以下の戸建て住宅等については、構造計算適合性判定(ピアチェック)から除外する措置を国に強く要求してまいりました。
 ちなみに、住宅の8割ぐらいは200平米以下の戸建て住宅で占められていると言われております。この緩和措置によってかなりの確認業務が改善されるはずです。しかしながら、国は法律事項でありできないとのことから、図書省略認定制度の適用を示してまいりました。これについては一定の評価はするものでありますが、現時点においては残念ながら有効な手段とはなっていないのが実情であります。
 改正建築基準法施行以来1年余が経過いたしましたが、状況は一向に好転しておりません。これは現場認識の甘さ、あるいは中央から見た法改正であり、本来住民を守るための法改正が現実には沖縄県民に不利益を与え、県経済や雇用問題までも直撃している状況にあります。
 以上を申し上げまして以下の質問をいたします。
 (1)、改正建築基準法の施行から1年余が経過しましたが、この1年間を知事はどのように総括されるか、所見を伺います。
 (2)、沖縄県の建築物は、住宅から高層建築、特殊建造物に至るまでほとんどが鉄筋コンクリート造及び鉄筋・鉄骨コンクリート造となっております。これらの建造物に厳格な審査、とりわけ構造設計のピアチェックが課され、確認業務の滞る大きな要因となっております。戸建て住宅のたぐいまで同様な扱いを受けている。県外の住宅は木造及び鉄骨構造となっており、これらについては200平米以下は構造計算を要しない特例が設けられており、したがって何ら確認業務に影響を来していない。よって、200平米以下の鉄筋コンクリート造の戸建て住宅等のピアチェックを除外するよう法の見直し、あるいは沖縄に限定した見直しを国に強く要請すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 (3)、気候風土や生活様式、住文化の違う北海道から沖縄まで全国一律の制度や建築基準法のあり方に疑問を感じております。かつて私どもは琉球政府時代の経験等もあります。沖縄の地域特性と建築文化を生かしたいわゆる「ウチナービケーン」、沖縄発の建築基準法の制定に取り組んではどうか、知事の所見を伺います。
 (4)、建築確認業務の現状と今後の見通しについて。
 ア、ピアチェックの受理件数とチェック済みの件数について。
 イ、適合性判定員の体制、いわゆる常勤・非常勤等の数、あるいは現状及び今後の展望について伺います。
 ウ、図書省略認定制度を活用した物件の申請が何件出ているか、状況について御説明願います。
 エ、県外構造設計者の活用状況の現状と課題、また今後の対応等について伺います。
 オ、公共工事の中止命令、いわゆる19年度に契約をして、そして確認がおりてないがゆえに中止命令を出さなければならなかった物件がかなりの数あります。これを県及び市町村について数を示して説明をしてください。
 カ、事前審査制度を恒常化できないか。いわゆる事前審査制度によって延長してきましたものの、この制度をなくした場合における現場の混乱はもっともっと予想されます。したがって、今の状況ができますと単なる延長では済まされない。したがってこれを恒常化するような国、県の対応が求められると思いますがいかがでしょうか、御答弁を賜ります。
 (5)、改正建築士法施行への対応と取り組みについて具体的に説明ください。
 ア、定期講習会の実施。
 イ、構造設計一級建築士、設備設計一級建築士の登録数の予測、または今後の対応等について伺います。
 2点目に、港川人骨出土地の文化財指定について伺います。
 八重瀬町港川で1970年前後に発見された港川人骨は、約1万8000年前の旧石器時代のものであると言われております。同人骨化石は東京大学が保管・研究しておりましたが、昨年11月の県立博物館新館のオープンに合わせて4体のうち2体が里帰りし、現在博物館で保管・管理されております。
 そして、昨年11月に開催された博物館開館記念展示会では、県内で発掘され現在は県外で保管されている化石人骨とともに4体の港川人骨が展示され多くの県民に感動を与えました。県議会やさまざまな機会に港川人骨の沖縄への返還について訴えてきた者として、その実現は児童生徒を初め県民に夢を与えるものであり感慨深いものがあります。
 さて、港川フィッシャー遺跡1カ所から数体の人骨化石が出土したことは、骨そのものの比較研究や他地域の人骨化石との比較研究ができます。また、日本人のルーツはもとより、アフリカを出発した「ヒト」の東アジアヘの渡来を明らかにする上からも極めて重要であります。世界的にも価値の高い人骨化石でありますし、また、本県は化石人骨保存の地質条件に恵まれており、港川の人骨化石以外に那覇市の山下町洞人、久米島の下地原洞人、それに宮古島のピンザアブ洞人など、県内9カ所から旧石器時代の人骨化石が発見されております。
 ちなみに、本県以外の我が国で発見された1万年以上前の化石人骨は、静岡県の浜北人しかありません。
 このように多くの化石人骨が発見されている本県は、国内外の多くの研究者から注目され、将来人類学研究の拠点になり得る大きな期待があります。
 さて、質問でございますが、(1)、港川人骨の発見から40年余が経過しているにもかかわらず、発見地が文化財として国の指定を受けないまま放置されていることに心が痛みます。このことについてどのように考えているか、知事に伺います。
 (2)、港川フィッシャー遺跡が国指定史跡として指定を受けて進入路など環境整備をすれば、地域文化振興、児童生徒の科学心の涵養、観光資源としての波及効果は大きいものがあると思うが、知事はどのように考えているか伺います。
 (3)、2月議会で質問いたしましたが、その後の史跡指定に向けた調整はどのような状況か。強力な取り組みなしには今後も調整中がずっと続くことになるがいかに。
 (4)、3月以降、地元や関係機関とどのような調整を行ってきたか、経過等について具体的に説明していただきたい。
 (5)、地元における調整に時間を要しているようであるが、その原因はどこにあるのか。
 (6)、原因があるとすれば、今後どのようなアクションを行えばよいのか。国指定の文化財にするための取り組みに向けた考えや計画を具体的に示してください。
 (7)、文化財指定に当たって用地買収及び進入道路など、周辺施設整備に関して国の補助はどうなるのか。高率補助期間中に実現すべきではないか。
 (8)、教育長が現場を確認し、八重瀬町長とお会いして史跡指定に向けて強力に取り組むことが大切であると考えますがいかがですか。
 私は、港川フィッシャー遺跡を国指定の史跡として整備することにより、世界遺産登録への期待と価値があるものと考えますが、知事、教育長の答弁をお願いします。
 3点目に、地域の課題について伺います。
 石嶺地域にコミュニティーバスを走らせる計画を策定中でございますが、その際にクリアしなければならない条件に信号機の設置、あるいはUターン場所やバス停の確保等が挙げられております。
 よって、次の質問をいたします。
 (1)、石嶺町4丁目365番地(福祉センター近く)付近の信号機の設置についてどのように取り組まれておられるか伺います。
 (2)、沖縄県身体障害者更生相談所、同じく更生指導所跡地を回転広場及びバス停として提供できないものかと、こういう地域の素朴な声が上がっていますが、これについて御答弁を賜りたいと思います。
 (3)、県立北嶺学園内を回転広場として提供できないか。これも現場を見てきましたが、これは現場との調整がかなり必要かと思いますが、これについても当局の考え方を伺いたいと思います。
 (4)、県立石嶺児童園集団指導棟前をバス停として提供できないか。こういう具体的にコミュニティーバスを走らせる計画の中で浮かび上がってきた課題が地域から上がっておりますが、それについて御答弁を賜りたいと思います。
 以上、質問を終わりますが、あとは再質問をさせていただきます。

 
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