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平成20年(2008年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 8号 10月10日
渡久地 修
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私は、日本共産党県議団を代表して、ただいま議題となっています陳情第92号「後期高齢者医療制度の廃止を求める陳情」について、賛成の立場から討論を行います。
今回のこの陳情は、後期高齢者医療制度の問題点として4点挙げています。
1つ、今まで入っていた国保や健保から追い出され、扶養家族となっていて保険料を負担していない人も含め、75歳以上のすべての高齢者から保険料を取る。2つ、年金から保険料を天引きされ、払えない高齢者からは保険証を取り上げ、医療を受けられなくする。3つ、65歳以上の障害者も後期高齢者医療制度に事実上強制的に加入させられる人が多く、負担増や差別医療が押しつけられる。4つ、受けられる医療を制限し差別する別建て診療報酬を設けるなどとしています。
この後期高齢者医療制度は、お年寄りは早く死ねということなのか、現代版うば捨て山との批判が国民・県民の間で沸騰し、廃止を求める世論が圧倒的です。我が県議会もことし7月18日に「後期高齢者医療制度の廃止等に関する意見書」を可決しました。
この怒りは、おさまるどころかどんどん広がるばかりです。この国民の怒りの前に、舛添厚生労働大臣はテレビ番組の中で、後期高齢者医療制度の抜本的な見直しの考えを表明し、見直しに当たっては、1つ、75歳以上という年齢で分けない、2つ目、保険料の天引きを強制しない、3つ目、負担について世代間の反目を助長する仕組みにしないとの原則を掲げたと報道されました。
そして同大臣は、75歳以上の方の怨嗟の的、年齢で切ったというのが一番大きかった。そういうことをひしひしと感じたと記者会見で述べました。
後期高齢者医療制度を4月から強行する先頭に立ってきた厚生労働大臣の責任は重大であり、真剣な反省が求められます。
このように、この制度の責任者である厚生労働大臣がこのような発言をしなければならないほど根本的な欠陥を持った制度であること、そしてこの制度がもはや存続不能に陥っていることをみずから認めたものであることをはっきり示しています。しかし、政府・与党はあくまでもこの制度にしがみつこうとしています。麻生内閣発足に当たっての自民党と公明党が発表した連立政権合意では、よりよい制度に改善すると、あくまで現行制度を続けることを前提とした方針を掲げています。
9月29日の首相の所信表明演説では、高齢者に納得していただけるよう見直すと表明しました。
今、国民やお年寄りは75歳になった途端に、長年にわたって納めてきた国保や健保から無理やり脱退させられ、扶養家族からも切り離され、差別医療を行うというこの制度の根本に怒っているのです。高齢者に納得していただけるように見直すというのなら、小手先の見直しではなく、後期高齢者医療制度そのものをきっぱり撤廃すべきであります。国民・県民はこれを願っています。
政府の後期高齢者医療制度に見られる医療切り捨て、社会保障切り捨ての大もとになっているのが、毎年毎年の2200億円の社会保障費の削減です。
その一方、この県議会でも明らかになりましたが、安保条約上何の日本には支払う義務もないのに、米軍にはこの間5兆円という思いやり予算を国民の税金からつぎ込んできました。ことしも2500億円をつぎ込みます。嘉手納基地内の中学校建設に40億円もつぎ込むなど至れり尽くせりです。
このように、米軍は思いやるが国民・県民には苦しみを押しつけるという逆立ちした税金の使い方を改めれば、お年寄りなどの社会保障費の財源を確保することができます。
皆さん、きょうは10月10日です。今から64年前、アメリカの機動部隊による大空襲、いわゆる10・10空襲の日に当たります。
那覇市の歩みの中では、早朝から5波に及ぶ空襲で、300年にわたり築かれた商都・那覇の町は一瞬にして炎で包まれた。市民にとって、不意の空襲に打つ手はなく、飛び交う焼夷弾、銃弾の雨を避け、黒煙と火の海の中を命からがら逃げ延びるのがやっとであったと書いています。延べ攻撃機1396機、652発のロケット弾、21本の魚雷、541トンのナパーム弾を含む爆弾が投下され、死者260名、旧那覇市街の90%が焼失したと記録されています。
沖縄のお年寄りの皆さんは、あの戦争で筆舌に尽くしがたい地獄のような体験をし、多くの肉親を失いました。戦後はその悲しみを背負いながら戦後復興に取り組み、今日の沖縄を築いてきた県民の宝ともいうべき方々です。このようなお年寄りの皆さんをいたわりこそすれ、悲しませるようなことがあってはならないと思います。長い間、御苦労さまでした。これからは安心して老後をお過ごしくださいという、お年寄りの皆さんが安心して暮らせる社会、制度を築くことが政治の大きな役割ではないでしょうか。
日本共産党は、県民と団結し後期高齢者医療制度を廃止させ、高齢者や子供たち、国民の暮らしを守るために全力で頑張ることを表明して、陳情第92号「後期高齢者医療制度の廃止を求める陳情」について賛成するものです。
議員各位の御賛同をよろしくお願いします。
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