平成21年(2009年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 6月30日
糸洲 朝則
 

 発言通告に基づきまして、一般質問をさせていただきます。
 1番、文化行政。
 「琉球国は南海の勝地にして 三韓の秀を鐘め、大明を以て輔車となし、日域を以て唇歯となし、此の二つの中間にありて湧出せる蓬莱島なり 舟揖を以て万国の津梁となし、異産至宝は十方刹に充満し、」、1458年、第1尚氏6代目尚泰久王があらわした「万国津梁の鐘銘」であります。まさしくけんらんたる琉球王朝文化をあらわした名文であり、我が琉球国は独自の文化をもって諸外国と交易し、文化力をもってさらに文化を高めてきました。琉球古典芸能を初めとする芸能文化は、他府県に比べて群を抜いており、観光立県とあわせて文化立県としての位置づけも重要かと考えます。首里城や国立組踊劇場はある意味で王朝文化の象徴であり、一方、庶民文化の拠点としての郷土劇場も必要と考えます。
 県民や観光客が気軽に、身近に沖縄の伝統芸能に触れ得る文化の拠点としての観点から、郷土劇場の設立を訴え、質問いたします。
 (1)、東町会館が閉鎖され、同時に県立郷土劇場も閉館となりました。
 ア、東町会館及び跡地の利活用について伺います。
 イ、芸能文化関係者の間から郷土劇場の建設を求める声が多くありますが、知事の所見を伺いたい。
 (2)、多良間島及び水納島の県立自然公園指定へ向けた取り組みと見通しについて伺います。
 2、低炭素社会構築への取り組み。
 新三種の神器と言われるエコカー、エコ家電、太陽光発電システムの導入は、沖縄の気候風土や車社会の観点からも積極的に取り組む価値の高い施策であると考え、以下の質問をいたします。
 (1)、太陽光発電システムの導入に対する補助制度で県は先着300件を対象としておりますが、県公衆衛生協会は2009年度1000件を目標としております。県も1000件まで引き上げられる目標を設定できないか伺います。
 (2)、公用車及び民間企業等の環境対応車への買いかえ促進について、県の方針、取り組み及び公用車の管理運用について、現状と将来展望について伺います。
 3、教育行政。
 (1)は取り下げます。
 (2)、沖縄空手古武道記録製作委員会が製作したDVD「空手とその起源」を見て思うに、沖縄が生んだ武術、文化としての誇りを感じました。この中で沖縄という極めて特殊な地理的・歴史的状況、いわゆる尚真王による刀狩り、薩摩藩による禁武政策という厳しい環境の中で、その武術と思想が伝承され、今や世界160カ国以上に普及し、その愛好家は5000万人以上と言われております。この世界のKARATE-MANたちも沖縄空手の真髄、武術と思想を会得したいと沖縄に思いをはせているのではないかと想像いたします。
 よって、空手発祥の地、沖縄を世界の空手のメッカとしての殿堂の建設は大変意義深いものがあるものと考えます。幸い今年8月14日から16日までの3日間、沖縄空手道振興会の設立を記念して、海外43カ国842名の選手及び関係者、県内外から5500名余の参加のもと、「2009沖縄伝統空手道世界大会」が開催されます。この機会に沖縄空手道・古武道を正しく継承・普及・発展させていくための拠点づくりの一環として、沖縄空手殿堂構想を提案し、知事の所見を求めます。
 (3)、奥武山にある県ボクシング会館のリフォーム及び設備の拡充について。
 かつて多くの名選手を生んだ県ボクシング会館の老朽化が著しいわけであります。建設に携わった関係者の熱意とボクシングにかける思いを考えるとき、再びこの施設から名選手を出したいという思いを感じます。したがって、その関係者の思いと再びボクシング王国構築のためにも、この施設のリフォーム及び設備の拡充が必要だと考えます。関係者と相談の上、何らかの措置ができないのか県の考えを伺います。
 (4)、文化庁は去る5月20日、国連科学教育機関いわゆるユネスコの「無形文化遺産」リストに県内の重要無形文化財「組踊」と重要無形民俗文化財「多良間の豊年祭(八月踊り)」の登録を提案すると発表され、多くの県民が喜びと誇りを持って見守っております。ぜひとも登録されることを願うものであります。知事、教育長の所感並びに今後の対応、取り組み等がありましたら伺います。
 (5)、「港川人骨化石」の「発見出土地」の国の文化財指定について。
 これまでも何度か取り上げてきましたが、一向に国指定への取り組む意欲が感じられません。国指定への課題は多々あると思いますが、県と八重瀬町で連携した取り組みの中で課題解決の道は開けるものと考えます。周辺環境の変化も考えますと、早目に国指定への方針決定をした上で、プロジェクトチームを立ち上げ、調査費もつけて取り組めないでしょうか。知事、教育長の所見を伺います。
 4、福祉行政。
 (1)、社会福祉施設の耐震化、スプリンクラー整備施設に対する優遇融資拡充について。
 火災や地震発生時に自力で避難することが困難な方たちが入所される社会福祉施設等の耐震化、スプリンクラー整備事業の推進について、国・県の補助に加えて融資率及び貸付利率等の優遇措置が拡充されますが、これらの事業推進に当たっての取り組みについて伺います。
 (2)、緊急雇用創出事業(基金)の拡充いわゆる3000億円により、雇用創出効果30万人と厚労省は試算しているが、本県における効果はどれぐらいか。介護福祉を初め各分野にわたっての試算がありましたら、できるだけ具体的に御説明願います。
 (3)、介護職員処遇改善交付金(仮称)に対する対応及び効果について。
 事業規模4000億、職員1人当たり1万5000円程度の賃金引き上げに相当すると言われる介護職員の処遇改善交付金の活用による県内の事業者や職員の予測される数や効果等について伺います。
 (4)、介護拠点等いわゆる特養あるいは老健施設、グループホーム等の緊急整備事業による県内施設の整備について、県の取り組みと見通しについて。県内の施設は老朽化もあり、緊急整備事業を活用した施設の整備の現状や取り組みについて伺います。
 (5)、障害者自立支援対策臨時特例交付金が拡充され、福祉・介護人材の処遇改善、新体制移行促進について県の取り組みと期待される効果等について伺います。
 (6)は取り下げます。
 5、農林水産業。
 (1)、「うまんちゅ協働の花と緑の美しい島づくり事業」の一環として、本部町八重岳の桜並木の間植事業を実施できないか。または本部町とタイアップして別メニューでの桜並木の間植事業は考えられないか伺います。
 (2)、さとうきび経営安定対策制度の緩和見直しについて、国への働きかけを含めた取り組みの状況及び見通しについて伺います。
 (3)、平成21年度農林水産関係補正予算概要は、新規34件を含む75件が示されております。これらの事業について、県や市町村の取り組みについて概要の説明を求めます。
 (4)、(3)の中から以下の質問をいたします。
 ア、雇用拡大のためのスーパーL資金等の無利子化事業の利活用について。
 国は同事業の枠を800億円追加し、21年度は過去3年間で最大の約1700億円を確保できるとしております。この事業の利活用による雇用拡大及び経済波及効果等について伺います。
 イ、新規就農定着促進事業について。
 新規就農者の経営の早期安定により、将来の担い手を育成する事業であります。国は毎年1万2000人程度の新規就農者を目指すとしており、本県の取り組みについて伺います。
 ウ、優良繁殖雌牛更新促進事業について。
 畜産業振興に重要な施策であり、県の目標及び取り組み等について御説明ください。
 エ、地域資源利用型産業創出緊急対策事業(太陽光パネルの設置、農林バイオマス3号機などについて)。
 自然エネルギーやバイオマスを活用した省エネ、省コスト化と地球温暖化防止を推進する事業であり、沖縄にとって潜在力の高い事業と考え、県の取り組みについて伺います。
 オ、緑の雇用対策について。
 「森林の緊急雇用」、「トライアル雇用」による緑の雇用拡充について、事業内容及び雇用効果等について御説明ください。
 6、離島振興。
 (1)は取り下げます。
 (2)、離島医療費対策について。
 離島住民にとって医療問題は大変重要な課題であります。例えば妊産婦の健診、長期通院患者にとっては、医療費に加え交通費や宿泊費等、その他の費用負担もあり、本島との医療負担の格差はいかんともしがたいものがあります。知事がいつも言われるユニバーサルサービスの視点、安心・安全の確保の視点からも医療問題の解決に向けた取り組みは大変重要と考え、以下の質問をいたします。
 ア、離島医療費特別助成制度の創設について。
 イ、妊婦健診が14回無料となりますが、離島における妊婦健診に対する対応についてどのように実施されるか伺いたい。
 ウ、ITを使った遠隔医療体制の現状と将来展望について伺います。
 (3)、与那国においては、祖納港を重要な拠点港として整備してきましたが、北風になると湾内に大きな長周期のうねりが入ってきて、港湾内の静穏度が確保できない状況にあります。将来、国際交流拠点港として期待される同港の改善は、島民にとって急を要するものと考え、祖納港湾内の静穏度改善に向けた沖合防波堤整備事業の取り組みについて伺います。
 (4)、田原川の二級河川への格付及び河川整備について。
 去年の大雨における河口付近の浸水被害は、地域住民にとって多大な損害と将来への不安を残しました。しかしながら、町の財政での整備は厳しい状況にあり、田原川の二級河川への格付によって県による整備をお願いするものでありますが、県の見解を伺います。
 (5)、久米島町への光ファイバー敷設事業について。
 現在の通信施設の容量での情報格差は否めません。例えば観光資源の超目玉であります東北楽天イーグルスの春季キャンプは、久米島を全国に売り出す絶好の機会でありますが、現在の施設では動画による配信ができず、せっかくの資源が十分に活用されていません。その他にも島民生活を豊かにする通信網の整備は必要不可欠なものと考え、県の取り組みについて伺います。
 (6)、各島々の特徴を生かした畜産振興について。
 各離島における主な産業は、農業、漁業、そして観光産業であります。とりわけ農業においてはほとんどの島がさとうきびと畜産という構図であります。1年じゅう通して緑の牧草が収穫できるのに加え、島独特の植物が繁茂しており、これらの資源を活用しない手はありません。したがって、各島々の特徴を生かした飼料センター、例えば濃厚飼料と各島々の粗飼料を配合したTMRセンターの設置が必要かと考えます。もう一つは、競り施設のない島においては、施設がないがための負担と不利益が畜産業の振興を妨げている要因の一つであると考えますが、県の対応について伺います。
 (7)、さとうきびの島である南北大東島における畜産業の振興は、必要不可欠の産業であると考えます。さとうきびの梢頭部やバガスの利活用は畜産業に反映され、家畜から排せつされるふん尿は堆肥の原料としてさとうきび畑に還元され、畜産業とさとうきびは不可分の産業と考えます。したがって、南北大東両村の畜産振興について両村当局と連携した取り組みはできないものか、県の考えを伺います。
 (8)、島の診療所で対応できない重病人や患者の搬送は、生命の維持にかかわる重要な問題であります。中でも、夜間の急患搬送は危険を伴い、安全性を高める必要性から、南北大東両空港における滑走路灯及び滑走路中心線灯の整備は早急に行う必要があり、県の対応について伺います。
 (9)、北大東港江崎地区の岸壁整備について。
 入港船舶の安全の確保、効率的な荷役作業を行うためには、岸壁の嵩上げと延長を行う必要があり、その整備について県の対応を伺います。
 (10)、我が党は、離島航路は生活航路であり産業振興にとっても重要であるとの観点から、離島住民6763名の署名を添えて、前参議院議員遠山清彦氏と一緒に国土交通大臣及び沖縄担当大臣に離島航路料金の引き下げ等の要請をしました。離島航路は道交法上にも海の道路としての位置づけから、道路特定財源の運用が可能だと考えます。
 ちなみに、「長崎県は、道路特定財源の一般財源化に伴い本年度創設された「地域活力基盤創造交付金」を活用し今秋、離島航路運賃を引き下げる社会実験に乗り出す。基幹航路を2割程度値下げし、交流人口の増加や経営への影響などを検証する。全国初の取り組みで、九州運輸局は「離島の構造的な課題の解消に向けた画期的なアイデア」と評価。九州は離島を抱えた地域が多く、注目されそうだ。」。さらに長崎県は近く、「必要な交付金の額を詰めた上で、その獲得を目指して計画を国土交通省に申請する。国交省は前向きに対応する見通し。」であるとこのように西日本新聞に報道されております。
 この実例が示しますように、離島航路の料金引き下げは可能だと考えます。離島住民の生活支援策及び離島振興の観点から、県を挙げて取り組む課題であるとの考えを申し上げ、知事の所見を伺います。
 以上、一般質問といたします。よろしくお願いします。

 
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