平成11年(1999年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 7月 2日
 


○議長(友寄信助) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた人事委員会委員長新崎盛善君は、所用のため本日及び7月5日から7日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として人事委員会事務局長安慶名一郎君の出席を求めました。
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○議長(友寄信助) この際、念のため申し上げます。
 本日及び7月5日から7日までの4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(友寄信助) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 高江洲義政君。
   〔高江洲義政君登壇〕
○高江洲義政 おはようございます。
 自由民主党県議団を代表して質問をさせていただきますが、その前に、何分にも久しぶりの議会に戻ってきての代表質問でございます。よろしくお願いいたします。
 さらに、日夜沖縄県勢発展のために一生懸命頑張っておられる稲嶺知事を初め県職員の皆様、大変御苦労さまであります。懇切丁寧な御答弁をよろしくお願いいたします。
 本日7月2日、時あたかもアメリカ独立記念日を明後日に控えて基地問題とサミットあるいは沖縄の振興策と重要な課題が山積する沖縄県にとりましてまさに正念場でございます。クリントン大統領に祝電を送ったらいかがでございましょうかね。
 昨年12月に稲嶺知事が誕生して6カ月余が過ぎました。その間知事は、2月の所信表明で県政運営に当たって6つの基本政策を掲げました。
 1つには経済振興策の強化でございます。2つ目は基地問題の解決促進、3つ目は政府との信頼関係の強化、4つ目に地域特性を活用した豊かな沖縄県の実現、5つ目に民主的かつ実行型県政の確立、6つ目に行財政改革の推進でございます。
 今、これらの政策が一歩一歩着実に進展してきていると思います。政府との信頼関係のもとで沖縄政策協議会が再開され、100億円の調整費としての振興策が走り出しましたし、基地問題についても普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室が設置され、着実な取り組みがなされてきております。
 また、これまで合意が得られなかった新石垣空港についても位置選定委員会が発足することになり、民主的な手法で位置選定がなされるような仕組みがつくられようとしております。
 知事がかわり、県政が変わると沖縄県全体の流れも変わっていくという出来事が3つもありました。
 御存じのように、興南高校のハンドボール部の全国制覇、そして沖縄尚学高校の甲子園優勝であります。県民に大きな誇りと自信を与えました。その熱気が冷めない間に2000年に我が国で開催されるサミットの首脳会議が沖縄で開催されることが決定されました。まさかと思っていたサミットの沖縄開催、しかも首脳会議が開催されることになったのも稲嶺知事と県民が心を一つにした誘致活動のおかげであります。
 サミットを契機に本県の自立的経済発展が着実に進展していくことを心から願ってやみません。
 また、去る29日の沖縄政策協議会において、基地問題の最大の懸案事項である普天間飛行場の移設を含むSACOの合意事項の早期実現に取り組むことを再確認したことは評価に値するし当然のことであると考えております。
 クリントン大統領やアメリカ政府の要人、さらに日本政府の一部の要人がサミットと基地問題を同位置に据えて発言しているのに対し、野中官房長官は大統領発言に理解を示しながらも、基地問題はサミットとは関係なく政府と県が相談して進めていくことであると稲嶺知事の手法に理解を示しております。
 逆に、政府内には米側からの早期決着を求める声に対して、4年も前からの懸案であり理解できる等の声もあるようでありますが、稲嶺知事の就任は6カ月前であります。行政は継続しているとはいえ、前知事と稲嶺知事は問題解決の基本的考えも違うし手法も違うことは当然でございます。関係者の発言を圧力と思わず、沖縄の歴史と現状をよく見据えて問題解決には粛々と当たられていただきたい。
 また、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室を設置して両問題に同時並行の形でその移設作業を進める稲嶺県政は評価できると思います。
 なぜなら、サミットと関連して普天間移設だけが大きく取り上げられる中、SACO合意に基づく基地問題の早期解決ということが大前提であるからであります。
 基地問題解決に向けて知事が取り組んでおられる姿勢は、知事自身は苦悩もあろうかと思いますが、評価できるものでございます。
 サミットと基地問題、とりわけ普天間飛行場移設に関しては別問題であるとはいえ、仮にサミット前に普天間移設に関して何らかの案が発表されればマスコミや世論は知事が外圧に屈したと騒ぐであろうし、またその案に関係する地域は賛成だの反対だのと大騒ぎするであろうし、サミットに悪影響を与えかねません。逆に、それまでに前進がなかったとしてもそれなりの苦しさを背負わなければなりません。そのためにも今知事が言われていること、すなわちサミットと基地問題は切り離して基地問題も一生懸命走っていることを内外に知らしめることは大事なことでございます。だからサミット前決着でもサミット後決着でもいいと考えております。
 前知事時代に、我が国に軍民共用空港は一つもありませんと答弁したこともあるほどであります。
 今、稲嶺知事は積極的に国内の軍民共用空港の視察もやられております。その調査結果を近々発表されることと思います。後ほど質問をいたしますが、普天間飛行場の軍民共用を含め嘉手納飛行場の軍民共用も将来視野に入れるべきだと思います。
 それでは通告に従い順次質問をいたします。
 経済界のトップリーダーから知事に就任して6カ月余が経過しましたが、その間の率直な御感想をお聞かせください。
 2番目に、サミットに関連してお伺いいたします。
 知事は6月18日から20日までの間、ドイツのケルンで開催されたサミットを御視察されましたが、その全般的な御感想をお聞かせください。
 また、本県で特に力を入れなければならないことはどんなことでありますか。
 (2)番目に、サミットでは各国首脳の専用機などの航空機が同時期に集中して飛来しますが、その際、嘉手納飛行場を世界の政治、経済、平和等を話し合うサミットのために利用してもらうことについての知事の考え方をお聞かせください。
 この件に関しましては嘉手納町長も政府に訴えております。
 (3)番目、期間中の駐機場も問題であります。那覇空港では10機程度しか駐機できないと聞いております。駐機スペースとしても嘉手納飛行場は最適と思いますが、知事はどうお考えでありますか。
 (4)番目に、将来、嘉手納飛行場を軍民共用の空港として活用すべきと思うが、サミットを契機として同飛行場を三沢基地のように軍民共用空港として使用することを政府に要望する意思はございませんか。
 (5)番目、クリントン大統領は、私が沖縄に行くまでにすべての懸案事項が解決していることを期待していると言われております。フォーリー駐日大使も、いつまでも先送りするのはよくないと発言し、斉藤駐米大使も、沖縄サミットまでに実質的進展を期待していると言われております。
 稲嶺知事も一生懸命走っているしサミットとのリンクは考えてないと常に言われております。最近の日米両政府の要人の発言を見ると、特に普天間移設問題に関しては早期対応を迫られている感じがいたします。早目に普天間移設に関して専門家チームを発足すべきと思うがどうお考えですか。
 (6)番目、普天間移設問題が進展しないと県が検討しているクリントン大統領と県民の対話集会とか、嘉手納町、金武町等が計画している諸行事等の実現ができなくなるおそれがありますが、どう思われますか。
 (7)番目、さきの臨時議会でサミット関連の地方負担分も財政措置がなされるよう政府に要望すると言っておられましたが、去る29日の政策協議会ではそういった要望もなされましたでしょうか。
 (8)番目、サミット道路協議会──これは総合事務局が中心としてでありますが──も発足して道路美化問題も話し合われることになっております。沖縄特別振興対策費の18億円余が活用されるということであります。
 また、政府においては特別に100億円を道路整備費として計上するということであります。花や樹木の植栽の前に、余りにも雑草の生い茂る国道や県道は見苦しい限りであります。早目に県下の道路清掃運動を展開してはどうか。これはサミットに対する県民が協力する体制の意識高揚にもなると思います。
 先日、宮崎を訪問いたしました。5月に2回ほど行きましたが、フラワーフェスタあるいはグリーンフェスタがあったにせよ、宮崎における県道、国道、市道、その整備状況は実にすばらしいものがございました。
 1年前である現在、すなわち今から各地域の道路清掃、国道とか県道、中央分離帯、側道は雑草だらけであります。恥ずかしい思いがします。恐らくサミット1年前で世界のマスコミは注目しております。これから取材に入ると思うんです。ですからああいう状態でこの沖縄でサミットかと言われるのが恥ずかしい思いがするわけです。ですから今申し上げたように県下の道路清掃運動を早目に展開するようにしてはどうかということであります。
 (9)番目に、他府県からの警備の応援体制とその規模についてお答えいただきたいと存じます。
 沖縄経済振興21世紀プランについてお伺いいたします。
 沖縄経済振興21世紀プランは、平成9年11月の沖縄復帰25周年記念式典で当時の橋本総理大臣が、沖縄経済の自立化に向けては、現行の3次振計のみでは不十分ということで、特に経済振興については別途に21世紀プランを国において策定するという発言があり、それから取り組みを始めることになっていましたが、前知事と政府との膠着状態が続き全く進展しなかったものであります。
 稲嶺知事の誕生により沖縄政策協議会が再開され、県の要望する形で21世紀プランの策定作業が進み、去る6月29日には中間報告も発表されました。県側としても、要望がほとんど盛り込まれ実現に向けた施策なども具体化され、県側の意向も十分反映された内容と評価をされております。
 97年の沖縄政策協議会以来いろいろ紆余曲折はありましたが、ようやく沖縄県の将来の自立的発展のための指針が示されたものと喜んでおります。
 新しく農林水産業が主な振興分野に挙げられたこともすばらしいことでございます。沖縄の農林水産物の市場は主に本土の市場でありますが、輸送費の問題を解決しない限り根本的な農林水産業の発展はないと思います。
 ちなみに本土─沖縄間の近海地域船と本土における沿海地域船運賃の自由化が必ず必要になってまいります。東南アジアから本土までの輸送費、あるいはニュージーランドから本土までの輸送費と沖縄─本土間の輸送費はほぼ同じということであります。東南アジア商品と県産品が本土市場で競争するにもこの輸送コストの問題を根底から研究すべきではないでしょうか。
 また、野菜類で南九州における輸送コストが出荷額の6%から7%であるのに対し、沖縄県の野菜類はそのコストが13%から14%であり、競争力が弱くなり市場維持が難しいと言われております。
 例えば、ニガウリを産地化して本土に販路を拡大する。ところがその後に宮崎産に市場を奪われ生産者が意欲をなくする、こういう現状もあるようであります。ちなみに宮崎ではニガウリのことを「つるレイシ」と呼んでおります。すばらしいネーミングではございませんか。
 また、先日視察に行きましたときも、ピーマン1本の木から650個の実がとれる。これほど農業政策は進んでいるのです。3月には既に宮崎産のマンゴーが市場に出ております。
 そういう意味からしても、今申し上げたいわゆる市場維持の観点からしても輸送コストの問題は重要なことではなかろうかと考えております。
 21世紀プランの全分野についての議論はここではしませんが、二、三点お伺いいたします。
 21世紀プランの概要について簡潔に御説明していただきたい。
 21世紀プランの財源措置はどうなりますか。
 新しく盛り込まれた農林水産業振興に欠かせない輸送問題についても検討がなされておりますか。
 緊急経済対策の100億円についてお伺いいたします。
 緊急経済対策は、短期的な即効性のある経済振興策として知事が沖縄政策協議会の場で要望して認められたものであると承知しております。その予算として100億円の特別振興対策費が計上されております。去る6月の臨時議会の補正予算では特別振興対策費は70億円でございました。残りはどうなっておりますか。
 また、どんな事業を行う予定ですか。それは県が行うのですか、それとも国が行うのですか。
 次に、振興策の中で特別自由貿易地域への賃貸型工場の整備がなされることになっておりますが、どのような規模の内容で何社が入居予定でありますか。
 産業振興・創業支援センターの設置場所はどこに予定されておりますか。
 また、どんな機能を持っていてどのような経済効果が期待できますか。
 次に、ポスト3次振計についてお伺いいたします。
 第3次沖縄振興開発計画は、最終年度の平成13年度まで残すところあと2年余になりました。第1次振計からこれまで6兆円近い振興開発予算が投じられ、社会資本の整備を中心に着実に成果を上げてきております。
 しかし、本県経済が自立的に発展していくためにはまだ十分とはいえず、今後ともなお一層の努力をしていかなければなりません。そのためには高率補助制度や産業を振興していくための諸制度などが必要であります。したがって、3次振計終了後もこれらを盛り込んだ総合的な振興開発計画が必要だと考えております。
 そこで、次のことについてお伺いいたします。
 2月定例県議会では、これまでの振興開発計画の総点検を行っているということでございました。その点検作業はどうなっておりますか。
 ポスト3次振計についてはどのように取り組んでおりますか。
 沖縄経済振興21世紀プランとポスト3次振計とはどのような関係になりますか。
 ポスト3次振計の根拠法をどのように考えておりますか。つまり沖縄振興開発特別措置法の延長として考えるのか、あるいは沖縄経済新法に移っていくのかということであります。
 特別自由貿易地域についてお伺いいたします。
 法人税の特別措置等が盛り込まれるなど沖縄振興開発特別措置法の一部改正がなされ、中城湾港に約100ヘクタールの特別自由貿易地域の用地が確保されることになりました。これによって本県の産業振興の中心的な役割を担うものと大きな期待をしております。
 そこで、次の点についてお伺いいたします。
 特別自貿地域の用地造成はいつまでに終了いたしますか。
 また、いつごろから企業立地ができますか。
 次に、現在何社が立地の意向を示しておりますか。
 同地域への企業誘致のため県はどのような取り組みをなされておりますか。
 次に、先般知事が台湾へ行かれたときは自貿地域への企業誘致も話題になりましたでしょうか。それがあったとしたら内容をお聞かせいただきたい。
 次に7番目でありますが、介護保険制度についてお伺いいたします。
 介護保険制度が平成12年4月から実施されることになりました。長寿県である本県においては特に県民の間で大きな関心が持たれております。しかしその割にはその仕組みがいま一つよくわかりません。
 そこで、次の点についてお伺いいたします。
 介護保険の財源についてお聞かせいただきたい。地方公共団体(市町村)と個人の負担はどうなりますか。
 2番目に、どのような人が対象になりますか。また、本県の対象者はどのぐらい見込んでおりますか。これは括弧でありますが、段階が6つあるようであります。要支援から要介護度1、2、3、4、5の6段階ありますが、多分来年からのスタートですからその調査はまだかと思いますが、もしおわかりでしたらこの介護度の段階ごとの数字もお示しいただけたらいいかと思います。
 3番目に、市町村によって受けるサービスの格差はありませんか。もし格差があるとすれば支援する方法を考えておりますか。
 介護サービスに当たる人材は足りておりますか。すなわち介護福祉士、身体介護ができる1級、2級ヘルパー、家事援助のみの3級ヘルパーについて各人数を示してください。
 5番目、実施に向けての準備状況はどうなっておりますか。各市町村の対応等であります。
 また、介護保険制度のスムーズな実施に向けても現状の在宅介護等についてもお聞きしておきたいことがありますので、次の点についてお聞きいたします。
 (1)番目、厚生省基準によりますと現在の制度は身体介護等についてはヘルパーの時給が3730円、これは1級、2級であります。3級ヘルパーによる家事援助は時給1480円であるとのことであります。沖縄県におけるこれらヘルパーには厚生省の基準どおりの時給が支払われておりますか。
 次に、県社会福祉協議会や市町村社会福祉協議会、または社会福祉法人への委託業務の全体について示してください。
 次に、社会福祉法人の業務についてであります。
 同法人が主催して施設に入所している方々のために──特に知恵おくれの子たちとか障害者の方々であります──ハワイとか県外とかに慰安旅行に行くことがございます。そのときは入所者もヘルパーも旅費は措置費で支給されておりますか。
 次に、県が在宅介護等を委託するときは委託の相手方は社会福祉協議会や社会福祉法人でなければなりませんか。
 次に、社会福祉協議会等が行うチャリティー等の収益金の流れはどのようになっておりますか、お示しいただきたいと存じます。
 以上で1回目終わります。
○知事(稲嶺惠一) 高江洲義政議員の御質問にお答えしたいと思います。
 最初は、知事就任から6カ月余が経過したが、その間の率直な感想をお聞きしたいということでございます。
 率直に言いますと、大変長くて短い期間のように感じます。
 沖縄の抱える課題というのは、それこそ過去場合によっては20年とか50年とかいろいろございます。多くの課題を抱えておりますので、その意味では取り組んできて本当に毎日が全力疾走のようでございまして、その意味では短く感じましたし、それに課題という問題では大変多くの課題ということで長く感じました。しかしその中でもお話ございましたような形で政策協議会の再開、あるいは21世紀プランの中間報告等具体的に一歩一歩進んでいけたのは大変うれしく思っております。
 中でも、既に高速道路あるいは航空運賃の問題等具体的な産業の展開に結びつく可能性のものが芽出しをいたしまして、特に私の場合は企業誘致について大変力を入れております。
 先ほど台湾のお話がございましたけれども、本土でもトップの方とお会いをいたしまして、その中から既に10数社進出を決定をしておりますし、恐らくここ何年かの間に数千人の雇用が確保されると期待をされているわけでございます。
 観光についても、東京、大阪にパーティーで参りましたときに、小渕総理あるいは野中官房長官がいらっしゃったせいもあるんですけれども、各航空会社あるいはエージェントの代表者の方が皆さんがお引き受けになった、それが具体的にやはりその企業自体が沖縄に対して大変力を入れております関係上、観光も順調に伸びているということが言えると思います。
 サミットという、これは小渕総理の英断で持ってまいりました。これは今回、私も後でお話しますけれども、ケルン市長に言われたのは、5000人の報道陣が来るということは大変な財産だよと。どう沖縄から発信できるかが問題だよという、逆にボールはこちらに投げかけられましたけれども、少なくともこれを生かすことによって経済効果にしては、ある今回立候補したところが出した数字によりましても700億を超すであろうと。これは短期的な話ではないです。むしろサミットというのは非常に長期に大きくつながるものがございます。その意味では着々とこれから具体的にいろいろな面で効果が出てまいるというふうに考えております。
 それともう一つ、大変ある意味では県民の誇りにもつながりますけれども、それと同時に私は、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界遺産への登録申請というのは大変大きな意義を持つと思います。これは過去の沖縄の誇りにもつながりますし、同時に、逆に王国時代のいろいろな文化あるいは物産品、この製品が大変すばらしいものであるということで将来の沖縄の産業にもこれは当然つながって、心の誇りだけではなくていろいろな意味で、しかも同時にこれは当時の琉球王国というのが平和の思想を持っているということで、いろいろな意味のつながりというのが私は出てくるというふうに大変うれしく思っております。
 さて、課題は、一番重要なのはこれは基地問題でございます。これは私としても最優先課題として取り組んでまいりました。3月には普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室を設置いたしまして、全力を尽くして今それぞれの分野で取り組んでいるところでございます。
 SACOの合意に従って一歩一歩、少しずついろんな形で動いてまいりました。ぜひこれを早く解決することによって具体的に県民の多くの皆様が求めておられる基地の整理縮小を目に見えるような形で一日も早く実現をしたいと。
 幸いにしまして、今まで直接の窓口がございませんでしたが、準備会が2月13日に行われまして、サミットの問題と私がケルンへ行ったということで6月に行われなくて申しわけなかったんですが、7月12日に三者連絡協議会というのが具体的にスタートする運びになりました。これからはスピーディーに物事が解決できるものというのが明確になるというのが一つと、それからもう一つは、三者協議会で取り上げられない問題については、これは別途の形で強く日米両政府に要望を出していきたいと、このような形で考えております。
 しかし、いずれにしても与えられた課題というのは山のようにまだまだございます。今後とも皆様の御意見を聞きながら、お力をかりながら一歩一歩前進していきたいと思っております。
 続きまして沖縄サミットの件についてでございます。
 ケルン・サミットを視察しての知事の全般的な感想を聞きたい、またサミットを開催するに当たり本県が特に力を入れなければならないことは何かという御質問にお答えします。
 ケルン・サミット視察で印象的だったこととしては、まずケルン市の長い歴史と高い文化レベルをさりげなくアピールしながら、国際見本市や各種国際会議等の豊富な開催経験を踏まえ、自然体で取り組んでいたことを挙げることができます。
 2つ目には、関係当局が「市民参加のサミット」というコンセプトのもと市民の理解と協力の呼びかけに努め、市民生活への影響に十分配慮しながら関連文化行事等を通してサミットをエンジョイするという運営がなされていたことであります。
 3つ目には、サミットを契機に地元情報を世界に発信しようとする意欲が旺盛で、その媒体であるマスコミの対策に十分な配慮がなされていたということであります。
 ヨーロッパの古都で国際経験豊かな大都市ケルンと日本の離島県である本県とを同列に論ずるわけにはいきませんが、沖縄としても県民会議を通してボランティアの活用やサミット関連事業への県民参加を推進することにより県民参加型のサミットを実現することが重要であると考えています。
 また、沖縄県民の平和を志向する心や美しい自然、歴史、文化だけでなく、すぐれた投資環境や観光・リゾート地、国際コンベンション都市としての優位性を世界に効果的に発信していく必要があると考えております。
 さらに、サミットを契機として情報通信などの分野を中心に基盤整備やソフトの充実を図り、一層の国際化や振興開発に弾みをつけていくことも重要であると考えております。
 次に、同じくサミットに関しまして嘉手納飛行場を利用することを嘉手納町長も政府に訴えているがどうか、駐機スペースの広さからも嘉手納が最適であると思うがどうかについてのお答えでございます。一括してお答えをいたします。
 九州・沖縄サミットの首脳会合開催に伴い飛来します関係国の首脳専用機につきましては、県としては既に政府に提出した開催計画試案において那覇空港の使用を前提にしているところであります。
 他方、使用空港の問題を含めサミットの運営については基本的に国において決定される問題であります。その際、御指摘のとおり那覇空港の駐機スペースの問題や、本土や各離島を結ぶ生活・産業路線としての役割を担っている空港の機能へ及ぼす影響などを含め総合的な見地から検討されるものと考えております。
 次に、サミットを契機に嘉手納飛行場を軍民共用空港として使用することを国に要望する考えはないかと。
 嘉手納飛行場の軍民共用につきましては、一つの御提案として承りたいと思っております。
 次、沖縄サミットについて、知事は早目に普天間移設に関して専門家チームを発足すべきだと思うがどうか、知事の意見を聞きたいという御質問へのお答えでございます。
 普天間飛行場の移設問題については、現在、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意検討を進めているところであります。
 同室では、5月に米軍、自衛隊及び民間が共同使用している三沢飛行場の実態について調査を行い、このような調査等を踏まえさまざまな観点から複数の案について検討を進めているところであります。
 なお、移設先の選定作業を進める中で専門家の意見を聞いていきたいと考えております。
 次に、沖縄サミット関連でございまして、普天間移設問題が進展しないと県が検討しているクリントン大統領との対話集会等ができなくなるおそれがあると思うがどうかについてのお答えでございます。
 県としては、サミット開催と普天間飛行場移設問題はそれぞれ県政の最重要課題と認識しており、普天間飛行場の県内移設については地域のコンセンサスや振興策などさまざまな課題がありますが、一日でも早く解決していくよう努力しているところであります。
 また、九州・沖縄サミットの開催については、その成功に向けて県民を挙げて受け入れ体制を整えるとともに、県民の英知を集めて沖縄開催の意義を最大限に引き出していけるよう取り組んでまいります。
 サミットは世界の目が沖縄に集中し、沖縄県民の平和を愛する心やホスピタリティーを世界の人々に発信する絶好の機会であります。このためクリントン大統領を初めとする各国首脳と県民との対話や触れ合いの機会を設けていただきたいと考えており、この旨関係者にも働きかけをしているところであります。
 次に、同じくサミットについて、さきの臨時議会においてサミット関連地方負担分も財政措置がなされるよう政府に要望すると言っていたが、去る6月29日の政策協議会において要望したかという点でございます。
 先日開催された沖縄政策協議会において、私は総理大臣を初め関係各大臣に対し九州・沖縄サミット開催決定についてのお礼を申し上げたほか、その成功に向けて県民を挙げて受け入れ体制を整え万全を期す旨申し上げ、国の御支援、御協力をお願い申し上げたところであります。今後、役割分担等が具体的に調整されていく中で、地元自治体の財政負担が明らかになり次第、具体的な要望を行ってまいりたいと考えております。
 次に、21世紀プランについてでございます。
 21世紀プランについては、去る6月29日の沖縄政策協議会でその中間報告がなされましたが、その概要について簡潔に説明願いたいというお尋ねでございます。
 沖縄経済振興21世紀プランは、本県経済の自立的発展に向けた政府の経済振興策のあり方を示すものであり、去る6月29日の沖縄政策協議会においてその中間報告が示されたところであります。
 中間報告においては、本県経済の現状と課題を踏まえ政策の理念や基本方向を明らかにし、沖縄振興策の具体化の方向が体系化されております。
 政策の具体化の方向については、主要分野である加工交易型産業、観光・リゾート産業、情報通信産業及び農林水産業の振興を図ることとしております。
 また、「産業振興のための横断的な取り組み」として「新規事業の創出支援体制の充実」、「研究開発と国際交流の促進」、「人材の育成と雇用の確保」、「環境共生型地域の形成」及び「産業活動を支えるインフラ等の整備」を推進するとしております。
 なお、今後の検討課題として、「沖縄国際情報特区」構想や「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想の具体化及び「新規事業創出支援体制の総合的検討」を進め最終報告としてまとめるほか、米軍施設・区域の返還に伴う跡利用などの対応についても今後の検討課題としております。
 県としましては、政府との連携、協力によりこれら施策の着実な実現が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、21世紀プランの財源措置はどうなりますかという点でございます。
 21世紀プランについては、今般中間報告がまとめられたばかりであり、財源措置の対応については今後検討されていくことになります。
 県としましては、中間報告で示された諸施策が逐次具体的に実現されるよう、予算面での特別な配慮方を先般の沖縄政策協議会の場で要望したところでございます。
 次に、21世紀プランについて、これまでの振興開発計画の総点検はどうなっているか、ポスト3次振計はどのように取り組んでいるかとの御質問について一括してお答えいたします。
 沖縄振興開発の総点検については、同計画に盛り込まれた施策・事業等の現状と課題の取りまとめを行っているところでありますが、現段階においては次のような課題があると考えています。
 まず第1に、戦略的な産業の創出・育成が必要であること、第2に、国際的な物流拠点の形成のための施設・制度の整備が必要であること、第3に、基地返還跡地の有効利用を促進する必要があること、第4に、観光・リゾート産業の新たな展開が必要であること、第5に、人材育成や国際ネットワークの確立が必要であることなどであります。
 このほかにも多くの課題がありますが、引き続き総点検の取りまとめ作業を行い、本年10月までには総点検報告書の原案を策定したいと考えております。
 総点検報告書をまとめるに当たっては、広く各界各層の意見を反映させるため沖縄県振興開発審議会に総点検に対する意見を求めることとしています。
 また、3次振計後の新たな沖縄振興計画の策定については、振興開発計画の総点検の結果を踏まえ、その内容を検討することとしておりますが、沖縄経済振興21世紀プランの施策を初め将来の自立的発展に結びつくような各種の施策が盛り込まれるよう関係機関との調整を行っていきたいと考えております。
 次に、21世紀プランについて、ポスト3次振計の根拠法をどのように考えているのか、沖縄振興開発特別措置法の延長なのか、あるいは沖縄経済新法に持っていくのかについてのお答えでございます。
 いわゆる沖縄経済新法は、沖縄振興開発の総点検を踏まえた施策や沖縄経済振興21世紀プランの施策等を盛り込んだ新たな沖縄振興計画を実効あらしめるものであると考えています。
 また、現行の沖縄振興開発特別措置法や復帰特別措置法等に基づく各種制度については、総合的に施策を展開していく観点から必要な制度は継承していきたいと考えています。
 しかしながら、沖縄振興開発特別措置法等とは別に新たな法律を制定することは法制実務上多くの課題を有することも認識しており、今年度じゅうには沖縄振興に関する法体系のあり方等について検討し、その後関係機関と調整していきたいと考えております。
 次に、特別自由貿易地域について、用地造成はいつまでに終了するか、いつごろから企業立地ができるのか、現在何社が立地の意向を示しているのかという3つの御質問に一括してお答えをいたします。
 特別自由貿易地域用地の埋め立てについては、昨年11月に竣功しております。現在、今年度計画している賃貸工場の建設予定地と公募・分譲を予定している地域等の合わせて約30ヘクタールについて、道路や公共下水道等のインフラ整備を行っているところであります。今後、年次的にインフラ整備を進めながら企業の誘致を進めてまいりますが、特別自由貿易地域全体の用地造成が完了するのは平成14年度を予定しております。
 企業の立地でありますが、今年度は立地促進のための受け皿施設として賃貸工場を整備するとともに、同地域の一部約20ヘクタールについて公募・分譲を予定していることから、諸手続も含めますと早い企業で平成12年7月ごろの立地になるものと考えております。
 次に、同地域への企業の立地意向でありますが、現在のところ11社が強い関心を示しておりますが、引き続き誘致活動に積極的に取り組んでまいります。
 次に、同じ特別自由貿易地域についての御質問の中から、同地域への企業誘致のため県はどのような取り組みをしているかについてのお答えでございます。
 まず、企業誘致の推進体制を整備するため、平成11年4月に企業立地推進課を新設して企業誘致の窓口を明確にしたほか、平成11年5月には計画的かつ効果的に企業誘致活動を展開するため企業誘致基本方針を新たに策定しました。
 この企業誘致方針を踏まえ、今年度は国内外での企業誘致説明会の開催、企業訪問、各種広報活動等を実施して同地域への企業誘致を強力に推進してまいります。
 具体的に申し上げますと、今月中旬には東京において日本貿易振興会との共催による在日外資系企業を対象とした説明会を開催いたします。また、国内企業や台湾企業を対象とした業種別・企業グループ別の説明会や米国における企業立地セミナーを開催します。
 県としては、これらの説明会で新たに関心を示した企業と、これまで関心を示している企業について重点的に訪問活動を展開していく考えであります。
 あわせて賃貸工場を整備するほか、本定例会に提案しております沖縄県工業等立地促進条例の一部改正を通して企業への助成措置の拡充を図り、企業立地をより具体的に推進していく所存であります。
 続きまして、同じく特別自由貿易地域について、先般の台湾訪問で自由貿易地域への企業誘致についてどのような話題があったのかということへのお答えでございます。
 私は、去る3月に台湾を訪問しましたが、その際、政財界の要人にお会いし沖縄への投資をお願いいたしました。
 台湾側からは、福華ホテルが那覇新都心へ進出する構想や、情報関連企業の進出を検討していることが伝えられました。その後、福華ホテルについては那覇で進出表明が行われるとともに、情報関連企業についても地元企業との合弁による株式会社ブリッジ・ツーが設立されております。
 さらに、本土企業との合弁による情報関連企業の那覇自由貿易地域への入居の準備が進められております。
 次に、介護保険制度について、介護保険の財源はどのようになるのか、また市町村負担及び個人負担はどうなるのかについてのお答えでございます。
 老後の最大の不安要因である介護問題を、国民の共同連帯の理念に基づき社会全体で支えるものとして介護保険制度が創設されました。
 介護保険の財源については、公費で50%、保険料50%で賄うこととなっております。
 市町村は、公費50%のうち12.5%を負担します。
 個人が負担する保険料のうち17%は65歳以上の第1号被保険者が、33%は40歳以上65歳未満の医療保険に加入している第2号被保険者が負担する仕組みになっております。
 次に、同じく介護保険制度について、どのような人が対象となるのか、また本県の対象者の見込みはどうかとの質問へのお答えでございます。
 65歳以上の方と40歳以上65歳未満までのうち、医療保険に加入している方が被保険者となります。これらの被保険者の方が入浴、排せつ、食事等の日常生活動作について介護を必要とする状態にある場合等に保険給付の対象となります。
 なお、40歳から65歳未満の方については脳卒中、初老期痴呆など老化に伴って生じた要介護状態等に対し保険給付を行います。本県では65歳以上人口の13.9%、約2万3000人の要援護老人がいると推計しています。
 次に、同じく介護保険制度について、市町村によりサービスの格差はないか、あるとすれば支援する方法を考えているかについてのお答えでございます。
 市町村において整備すべき介護サービスの種類と量は、それぞれの介護保険事業計画によって定めることになります。現在、市町村においては平成10年度に実施した高齢者実態調査をもとに平成12年度から16年度までの介護保険事業計画策定に取り組んでおります。
 サービスの提供につきましては、農協、生協等の非営利団体や民間事業者の参入が可能となりますので、こうした民間事業者や団体の参入促進を図ってまいります。
 また、ホームヘルパー等介護サービスの確保が著しく困難な離島過疎地域の場合は、県の指定基準を満たさない事業者であっても保険者である市町村の判断によりサービスを提供できることになっておりますので、離島等の実態を踏まえ具体的・個別的に検討を行い支援を行うことといたしております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○土木建築部長(銘苅清一) 沖縄サミットについてのうち、沖縄特別振興対策費による花や樹木の植栽を行う前に道路清掃運動を展開してはどうかとの趣旨の御質問にお答えいたします。
 2000年九州・沖縄サミットの開催及び準備期間における道路交通上の安全性、円滑性の確保、保安の維持に対応することは道路管理者として重要な責務と認識しております。そのため、道路交通の安全性、道路植栽の適正管理及び保安の維持に資することを方針として道路管理事業、案内標識設置事業、道路修景美化事業、ボランティア事業の4事業の推進を検討しているところです。
 この中で沖縄振興のための特別調整費による修景美化事業については、現在、学識経験者や専門家から成る検討委員会を設置し計画策定に取り組んでいるところであり、今月末までに事業計画を策定し、今年度内に事業を完了させる予定であります。
 また御指摘の道路清掃運動の展開につきましては、地域の道路美化に取り組むため平成6年度に組織されたボランティアの94団体から成る道路植栽管理会の代表者会議を去る6月11日に開催し、除草、清掃及び花木植栽等の今年度事業方針を決定したところであります。
 今後、サミット支援に向けて一層活動を推進する方向で取り組む考えであります。
○警察本部長(井上美昭) サミットに関連しまして、他府県からの警備の応援体制と規模はどうかとの問いにお答えをいたします。
 サミットは、多数の要人が1カ所に集中し、また警戒範囲が広範にわたるためその警備には大規模な体制が必要とされるところであります。
 過去の東京サミットや大阪APECの警備でも警視庁や大阪府警は、1万人規模の部隊の応援を得て警備に当たったと承知をしております。
 したがって、今回の沖縄サミットにおきましても他府県から相当数の応援が必要となりますが、その規模につきましては今後の国内外の情勢や各国要人の日程、関連行事及び宿舎等関連施設の状況を見きわめながら検討していくことになります。
 なお、サミット開催時における沖縄の暑さや地理等になれてもらうために他府県の警備部隊が現在順次来沖をし、県警と連携をとり合いながら訓練をしているところであります。
 いずれにせよ、県警では県民生活の安全と平穏の確保を図りつつ、サミット開催時における警備の万全が期せるよう組織を挙げて現在急ピッチで諸準備を進めているところであります。
 県警がその責務を十分に果たすためには、県民各層の理解と協力が必要不可欠でありまして、この場をかりまして皆様の御支援を切にお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) 21世紀プランに関する御質問で、21世紀プランでは農林水産業振興の裏づけとなる輸送コストについても検討されていますかについてお答えいたします。
 本県は、東京、大阪等市場から遠隔地にあることから農林水産物の価格に占める物流コストの割合が高く、県外出荷の大きな課題となっております。
このため県におきましては、平成11年2月に策定した農林水産業振興ビジョンアクションプログラムの中で流通体制の整備を図ることにしております。
 なお、沖縄経済振興21世紀プランの中間報告においても沖縄における農林水産業の新たな展開を支援するため地域の特性を生かした生産・流通体系の導入、流通施設の整備、情報ネットワークの構築等必要な条件整備を推進することになっております。
 御指摘の輸送経費につきましては、今後国との協議の中で検討していきたいと考えています。
 以上でございます。
○企画開発部長(宮城正治) 21世紀プランの関連で、特別振興対策費100億円の留保分はどのような事業を行う予定かとの御質問にお答えいたします。
 沖縄振興のための特別の調整費100億円の事業の実施方針は、県から要望いたしました6項目の非公共事業関係と観光を中心とする産業振興に役立つ公共事業関係に区分されております。
 まず、非公共事業関係の50億円につきましては46億4900万円が配分され、留保額は3億5100万円となっております。
 次に、公共事業関係の50億円につきましては49億300万円が配分され、留保額は9700万円となっております。その結果、合計95億5200万円が事業配分され、留保額は4億4800万円となっております。
 その使途につきましては、今後早い時期に効果的な事業が展開できるよう国と調整してまいりたいと考えております。
 以上です。
○福祉保健部長(平良健康) 介護保険制度について5つの御質問に順次お答えいたします。
 介護サービスに当たる人材は足りているかとの御質問にお答えいたします。
 在宅サービスの柱となるホームヘルパーの養成につきましては、平成11年3月末までに4314人が研修を終了しております。その内訳は、1級が169人、2級が1565人、3級が2580人となっています。
 介護福祉士の資格者は1838人となっています。
 しかし、離島町村におきましては人材の確保が困難なことから、県では平成11年度において講師を離島に派遣し研修を行ういわゆる出前方式による人材養成を行っております。
 次に、実施に向けての準備状況はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 介護保険制度の円滑な実施に向けて保険者である市町村や関係団体に対し、さまざまな機会を通して制度の内容、準備すべき事務等について周知を図ってまいりました。ことしの10月から要介護認定が開始されますが、これに向けての一連の事務を平成10年度は全市町村において試行的に実施したところです。
 介護認定審査会については、38市町村が5つの圏域において広域的に実施することにしております。
 また、市町村における介護保険事業計画の策定に向けて約9万3000人を対象に高齢者実態調査を実施し、これに基づき整備すべき目標について介護保険事業計画策定委員会において検討を行っているところです。
 さらに、事業所や施設の指定に向けてことしの5月には事業者説明会を行いましたが、7月中旬から申請受付を行い、8月には指定を開始してまいります。県におきましては5つの地域に連絡協議会を設置し、市町村支援の取り組みを行っているところですが、引き続き支援を強化してまいります。
 次に、現行の在宅介護の全体について伺いたいとの御質問でございますが、2点の質問から成っておりますので、まず第1点目、ホームヘルパーの時給についてでございます。
 厚生省が定める補助基準額は平成9年度までは人件費補助方式で行われていましたが、平成10年度から人件費を含めた事業費補助方式に移行しており、平成11年度における身体介護に係る事業単価は3730円、家事援助に係る事業単価は1480円となっております。
 ホームヘルパーの時給については、市町村から委託を受けた社会福祉協議会や事業所等により必ずしも同一額とはなっておりません。現在、県内のホームヘルパー時給は身体介護の場合1200円から1800円の間で支給がなされています。家事援助については、750円から1400円の間の支給がなされています。
 次に、県が委託する相手方は社会福祉協議会や社会福祉法人でなければならないかとの問いでございます。
 在宅福祉サービス事業については、社会福祉協議会や社会福祉法人以外の者でも国が示す設置基準を満たしておれば事業者となることができます。
 ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ等在宅福祉サービス事業は市町村が実施主体となっており、市町村においては現在のところ社会福祉協議会及び社会福祉法人に委託し事業を実施しているところです。
 県は、寝たきり老人介護者講習会、離島在宅老人巡回介護指導事業を特別養護老人ホームを設置している社会福祉法人に委託しています。
 次に、社会福祉協議会や社会福祉法人への委託業務全般について伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 市町村から社会福祉協議会へ業務委託しているものは、ホームヘルプサービス事業、デイサービスセンター運営事業、在宅介護支援センター運営事業、高齢者在宅支援事業があります。
 市町村から特別養護老人ホームを有する社会福祉法人へ業務委託しているものは、ホームヘルプサービス事業、老人短期入所運営事業、デイサービスセンター運営事業、痴呆対応型老人共同生活援助事業、在宅介護支援センター運営事業、高齢者在宅生活支援事業があり、県から委託している業務は痴呆性老人処遇技術研修事業、寝たきり老人介護者講習会事業、離島在宅老人巡回介護指導事業があります。
 なお、平成12年4月から予定している介護保険制度が実施されました場合は、ホームヘルプサービス事業、デイサービスセンター運営事業、老人短期入所運営事業及び痴呆対応型老人共同生活援助事業は社会福祉協議会等の独自事業となり、介護保険の対象となります。
 次に、社会福祉法人の業務について伺いたいと。質問が2点ございます。
 内容でございますが、まず1点目が施設入所者が県外旅行に行くとき、入所者やヘルパーの旅費は措置費で支給されているかとの問いでございます。
 障害者施設が施設の行事として行う研修等の旅行については、入所者や付き添いの職員の旅費は措置費から支出できるとされております。ただし国外旅行の場合は措置費から支出は認められておりません。
 次に、社会福祉協議会等が行うチャリティー等の収益金の流れについての問いでございます。
 社会福祉協議会は、地域に密着したより充実した福祉活動のため、法人の社会福祉活動資金づくりを目的としてボランティア等の協力による郷土芸能ショーやチャリティーゴルフ等の取り組みを行っております。
 その収入については、一般会計の事業収入や寄附金収入として受け入れ、法人の事業費や福祉基金造成に充てられております。
○商工労働部長(宮城春一) 21世紀プラン関連での質問の中で、振興策の中で特別自由貿易地域への賃貸工場の整備がなされることになっていますが、その規模と何社が入居できるかについての御質問についてお答えを申し上げます。
 賃貸工場の規模については、約3万平米の敷地の中に1000平米タイプ3棟、1500平米タイプ2棟、2000平米タイプ1棟の合わせて6棟を1敷地1工場の独立型工場として建設することにいたしております。したがいまして、入居予定企業数については6社を予定いたしております。
 同じく21世紀プラン関連で、産業振興・創業支援センターの設置場所、機能、経済効果について伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 沖縄産業振興・創業支援センター──仮称でございますが──につきましては、去る4月26日の沖縄政策協議会において緊急対策に係る知事要望6項目の一つであるソフトな機能を持つ産業振興のための拠点の整備として実施が決定されました。
 同センターの建設場所につきましては、現在自衛隊に提供している那覇市小禄の県有地を計画しており、外さくのフェンス等の移設完了後に返還されることとなっております。
 機能につきましては、既存企業の活性化、新事業の創出を総合的に支援するため新産業の立ち上がり支援、中核産業育成支援、人材育成、技術開発支援、技術人材情報提供、販路開拓、研究成果の情報収集、企業への技術移転、雇用対策、資金提供、経営指導等の機能を集積する計画となっております。
 また、経済効果につきましてはソフト及びハードの一体的な産業振興・創業支援体制を整備することにより、自由貿易、情報通信、観光産業等の戦略産業の振興、新事業の創出、既存企業の高度化等を促進し、県経済の自立的発展に資することができるものと考えております。
 さらに、沖縄産業振興・創業支援センター──仮称でございますが──の整備は緊急経済対策の一つであり、総額43億4000万円余の事業費を執行することによる県経済への直接的な効果が期待できます。
 以上でございます。
○高江洲義政 与党で大変申しわけないんですが、再質問をちょっとだけ、疑問がありますので……。
 知事がお答えになりました台湾へ行かれたときの先ほどの冒頭の御答弁で、10数社が進出を決定して5000から6000名の雇用効果があるだろうとこういうふうな答弁だったかと。でなかったら、訂正してください。
 後ろになりまして3番目の自貿地域へ何社が立地の意向を示していますかということに対しては、11社が関心を示していると。ちょっとわからない点ですので、再度お答えください。
 それから土建部長、もっと積極的にやれませんか、道路の清掃。
 毎日中部から通ってきて余りにも汚い中央分離帯、雑草だらけ。早目にこれは県の予算で国にもお願いして県道は整備していただきたい。
 それから介護保険に関連してでございますが、国内の場合は入所者もヘルパーも措置費からできるとされている、これの規程にありますね。
 ところが、国外の場合は措置費は出ないということでありますが、入所者もヘルパーも国外の場合は措置費から出ないということですか。
 それから人件費でございますが、厚生省基準の3730円、これは1級、2級ヘルパーの身体介護の場合であります。3級ヘルパーによる家事援助は時給1480円。
 社協により異なるだろうという今部長の答弁がありましたが、おおよそ1200円から1800円が身体介護、750円から1400円が家事援助であろうと言っておりますが、現実には常勤ヘルパーの時給は700円で、1級、2級ヘルパーが身体介護の場合1200円、家事援助の場合1000円ということは御承知しておりますか。
 それからケアマネジャーについては、先ほど聞きませんでしたが、たしか大慌てで450名の養成をしたということでありますが、これは事実ですか。
 以上です。
○知事(稲嶺惠一) 私の説明がちょっとはしょり過ぎた点もあったので、お答えをいたします。
 私が主として企業誘致関係で参りましたのは、実は情報関連産業でございます。
 具体的なことを言えばわかりやすい。例えばNECとかKDDとかこういう情報関連の、その関連の産業が今10数社、大体、もう既に入っているところも内定してございまして、各年次計画がございますけれども、少なくとも何千人か数千人の、これから何年後か、毎年毎年例えば500人とか何百人とかふえてまいりますから、トータルするとそういうことになるということを申し上げました。
 先ほどの11社というのは自由貿易地域のトータルの数字でございます。
 その辺、私が細かくきっちりしなかったので誤解を与えまして申しわけございません。
○土木建築部長(銘苅清一) 御指摘の道路植栽の管理につきましては、予算の都合もございまして十分に行われてないのが実情でございます。今後、道路植栽管理につきましてはサミットに向けて積極的に取り組みたいと考えております。
 以上でございます。
○高江洲義政 議長、休憩願います。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午前11時23分休憩
   午前11時23分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 土木建築部長。
   〔土木建築部長 銘苅清一君登壇〕
○土木建築部長(銘苅清一) 先ほど申し上げたのは、雑草を含めて植栽管理と申し上げたんですけれども、改めて御指摘がございますので雑草の除去につきましても積極的に取り組みたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 再質問にお答えいたします。
 国外旅行の件でございますけれども、現行のところ措置費からの支出は認められてないということでございます。
 2点目のヘルパーの時給に関するものでございますが、事業単価として示されているわけでございますが、委託の受託したところによってヘルパーの時給にはそれぞれ差があるということでございます。
 3つ目のケアマネジャーのことでございますが、去年の試験におきまして811人の受講試験を受ける合格者が出ておりますが、順次研修をしているところでございます。
 需要としましては600人程度と見ておりますけれども、ケアマネジャーがいない市町村があるということで今年度も引き続き試験を実施する予定としております。
 以上でございます。
○高江洲義政 議長、休憩願います。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午前11時25分休憩
   午前11時26分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 福祉保健部長。
   〔福祉保健部長 平良健康君登壇〕
○福祉保健部長(平良健康) 入所者につきましては、それぞれ障害年金を積み立てるとかそういうような形でやっていると聞いておりますけれども、現行の制度としては制度的にはないということでございます。
○高江洲義政 議長、休憩願います。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午前11時26分休憩
   午前11時27分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 翁長雄志君。
   〔翁長雄志君登壇〕
○翁長 雄志 自由民主党を代表して質問をいたします。
 稲嶺県政がスタートしてから早いもので8カ月になろうとしております。
 前県政も激動の歴史でありましたが、稲嶺県政も復帰後27年間あるいは戦後54年間の総決算のような歴史的宿命を担わざるを得ないこの8カ月であり、今後の県政もさらに重荷を背負っての運営にならざるを得ません。
 しかしそれ以上に稲嶺県政に求められるのは、21世紀の沖縄県や県民のあり方、行く末の礎を築き、その方向性をしっかり定めると同時に、アジアの中での日本の果たす役割のリーダー的存在として力強い創造力、決断力、実行力を駆使しての重要な節目での県政運営であります。
 例えて言えば、前県政は問題提起の県政でありました。怒りと抵抗、その中から問題点を鋭く絞り出し政府に突きつけ、戦後54年間の矛盾を改めてクローズアップさせると同時に、また沖縄県や県民の内なる矛盾をも表出させることになりました。
 しかしながら、余りの性急さと感情的でかたくなな姿勢は政府と沖縄との間に抜きがたい不信感を植えつけ、さらには県民の間にも深い溝と対立感情をつくり、行き場のない閉塞状況となったわけです。
 そこで誕生したのが稲嶺県政であります。沖縄問題の矛盾を前提にしながらも感情面に配慮しつつ、より高い理性を求め政府との信頼関係を築き県民の心を一つにして問題解決に当たり、21世紀の子や孫に沖縄という中に閉じこもるだけのものではなく、沖縄の歴史と文化、苦難を乗り越えてきた県民の英知に誇りと自信を持ってアジアや世界に羽ばたくたくましい前向きな心を伝えていくのが稲嶺県政に課された新しい挑戦だと思っております。
 この8カ月間、公平・公正、無私で真摯な姿勢の中、稲嶺知事が淡々と平常心を持って県政運営をやっていることに多くの県民が好感を持っていると思っております。
 さらに、問題解決に向けても深く期するものが感じられ、意を強くいたしております。
 ここでお聞きをいたすわけでありますけれども、一番最初は高江洲議員と重複するところもあるかもしれませんが、知事の「沖縄県知事選挙に臨む」という形での選挙公約に照らしながら、与党として県民の前に一つ一つ稲嶺県政がどのようにその問題に対処しているかということをお聞きをし、チェックをしていくわけでありますので、よろしくお願いをいたします。
 6月27日の新聞紙上で岡本行夫さんがこう書いております。「大田さんと比嘉さん。基地問題について一見正反対の考えをとっているかに見えたお二人だが、自分達が直接体験した戦争の惨状から子供達を少しでも遠ざけたいとの強い思いが共通していた。そのための道筋が異なっていただけである。」と述べております。まさしく思いは一つでありながらも、政治的に対立をしてきたわけであります。
 稲嶺県政は選挙公約の中で、保革の枠組みを超えて広く県民の立場に立って問題解決を図るとしておりますが、改めてそのお考えをお聞きしたいと思います。
 沖縄の基地問題は、一日一日政治的努力を必要としており、空白は許されません。
 一方、政府の沖縄振興策が不十分であれば沖縄差別だという人たちがいらっしゃいます。そしてサミット開催実現のようにすばらしい配慮を政府がすると、同じ人たちがあめとむち論を述べるという大変難しい状況であります。
 今回のクリントン発言に関しまして、稲嶺知事はサミットと基地問題は別々であり、関連させると複雑になる、明確に分けて粛々と作業を進めたいとしております。選挙公約でも、「普天間基地のその危険性にかんがみ早期の返還を実現」していくとしております。
 普天間の問題はいろいろ難しい問題がありますけれども、その危険性にかんがみ、まず普天間基地を整理するのが先だということが公約でなされております。ことし3月には普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室を設置し、力強く粛々と問題解決に向けて進展をしていると思っております。
 沖縄問題は同時並行で幾つもの課題が絡み合っており、意図とは別にリンク論が唱えられやすい状況でありますが、今回の知事の発言は大変明快でありまして、その考えを改めてお聞きをしたいと思っております。
 さらに稲嶺知事はもつれ合った糸をほぐし、閉塞状況から実行型県政をうたい、緊急対策として個別的公約も掲げております。昨日からは既に公約どおり沖縄自動車道高速道路の通行料金が3割から5割値下げされ、航空運賃も割り引きなされております。さらには3歳児未満医療無料化も今年度から予算措置されております。
 県民が目に見える形で公約が実現されていると私は思っております。
 サミット開催、21世紀プラン中間報告と稲嶺知事の県民との約束は一つ一つ着実に実行に移され、あるいは道筋が明らかになっているものと大変評価をしておりますが、次の公約の課題について、これは稲嶺知事の選挙公約の中でも大変重要な柱としてありましたので、知事はどのように自己評価をしているか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
 沖縄政策協議会の再開と始動について。
 特別自由貿易地域制度の早期着手について。
 島田懇談会事業の発展について。
 好調な観光の持続と波及効果の拡大について。これはサミット効果も踏まえてお話願えればありがたいと思います。
 沖縄経済振興21世紀プランの策定について。
 沖縄経済新法の制定についてであります。
 さらに公約の中には新石垣空港問題もございます。
 新石垣空港問題も前県政が残した重く厳しい課題であります。前県政が権力主義的手法で強引に位置変更をし失敗した経緯を踏まえると、公約された民主的手法を尊重して早期実現を図るとした姿勢が県民から、なかんずく八重山郡民からの熱い支持の結果として選挙戦の勝利もあったと思っております。
 昨日は大浜石垣市長ともども記者会見もし、建設位置選定委員会の内容も明確になってきたと思いますが、作業の状況、考え方を改めてお聞きをしたいと思います。
 さらに那覇軍港の移設の問題でありますけれども、最近、那覇軍港移設に絡めましてある政党が、沖縄県のハブ港湾化構想や浦添市の国の全面支援による西海岸整備に対して、こんな大きな港湾をつくっても、結果的には釣り堀にしかならないと決めつけております。
 前県政の与党のときには国際都市形成構想の中で異論を述べなかったにもかかわらず、このような発言が聞こえてくるのは実に残念であります。
 戦後旧1号線や国際通りがつくられるときに、こんな需要もない大きな道をつくるのは、いざという場合には滑走路になると言って反対したのと全く一緒であります。現在の交通渋滞を見るときに、もしも今より道が狭かったことを考えますと心が寒くなるような感じがいたします。
 沖縄県は海と空だけであります。陸上輸送はございません。21世紀の沖縄県の展望を語るときには100年単位で物事を発想しなければなりません。現在の子供たちや数十年後の子供たちが沖縄県のあらゆる可能性に挑戦するときに、君たちの力ではどうにも釣り堀になるだろうから、チャンスはあったけれども見送ったと果たして言えるでしょうか。
 なおかつ現時点におきましても、あらゆる制度導入を図って産業育成、自立を図るためには那覇港湾のハブ港湾化は必要不可欠であり、どうしてもやり遂げなければなりません。
 それを前提にしてお聞きするわけでありますけれども、那覇軍港の浦添地先への移転問題、昨年後半から那覇・浦添両商工会議所、両市議会、ことしに入ってからは親泊・宮城両市長の会談と動き出してまいりました。基本認識の最大公約数は整ってきたと思いますが、これまでの経緯と今後の見通しをお聞きしたいと思います。
 さらに、県のハブ化構想に向け県、那覇市、浦添市が進めている一部事務組合の設立作業が現港湾の整備や維持管理に要した198億円の債務負担をめぐって難航をしているやに聞いております。早期に3者間の調整をして国の理解と協力を求めるべきだと思いますが、どうでしょうか。
 来年4月の組合設立の見通しはどうでしょうか。
 軍転法の改正についてであります。これも公約の中にございますのでお聞きをいたします。
 沖縄県の基地の整理縮小は多くの県民の悲願であり、今後SACOの合意を着実に実行していく中で実のあるものにしなければなりません。大規模な基地返還が近い将来続くことを想定いたしますと、地主補償や跡地利用促進を図るという意味で軍転法の見直しは必要だと思っております。
 そこでお聞きをいたします。
 7月中にも予定されている稲嶺知事による正式要請の前段として、6月15日に牧野副知事が関係省庁や県出身国会議員に対し県の要望事項と基本的な考え方を説明をし理解を求めておりますが、その内容をお聞かせ願いたいと思います。
 折衝先の関係各位の感触はどうだったかもあわせてお聞きをいたします。
 嘉手納弾薬庫の返還地について地主や村当局から返還地全域の環境浄化を実施するまで受け取りを拒否する意向が示されておりますが、那覇防衛施設局は法的には軍転特措法で定める給付金支給期間に入るとの見解を示しております。県の見解はどうでしょうか。
 今回の軍転法改正の内容ではどうなるでしょうか、お聞きをいたします。
 次に、コンピューター2000年問題であります。
 これは2月の一般質問でもお聞きいたしましてその基本的な問題点、そういうようなものはあのときに話をしましたんで、この数日間で起きたことを踏まえてまた県の対応をお聞きしたいと思います。
 ケルンのサミット会議におきまして7つ、8つ合意事項がございます。G8の首脳がですね。
 その合意した中にコンピューター2000年問題が入ってまいりました。これは何かといいますと、「2000年問題への準備態勢を確保し、世界全体の潜在的脅威を最低限とする強力な計画を維持。今年後半に、非常時対応計画に関するG8の特別会議を開催。」するとしております。
 さらに、きのうの地元の新聞の中にも「「2000年問題」あと半年」ということで「対策遅れ トラブル必至」と。「損害賠償に戦々恐々」という形でやはり中小企業等対策にまだまだの状況がございます。
 さらには、「医療機器2000年問題」、「コンピューターの「2000年問題」で、新たに26社、計100機種の医療機器に誤作動の起きる恐れのあることが」わかったということでこれも新聞記事に載っております。
 県議会のコンピューター問題に対処する会では、三、四日前も沖縄電力さんや琉球銀行、沖縄銀行、海邦銀行、都市ガスさんをお呼びいたしまして勉強会をさせていただきました。県の方からも高度情報推進化本部の担当の皆さん方がお見えになって説明を聞いております。
 その中で一致して皆さん方が話をしているのは大丈夫だということなんです。私どもの調査はみんな済みました、大丈夫です、やっていけますという話でございます。
 しかしながら、今の事実としてはG8がこういう形でサミットの中で年末にもう1回この議論をしましょうなどというようなこと。それからまた米国が自国民に3日以上の食糧の備蓄を命ずるなど、何もなければそういうことが起きるはずもないことが今いろんな形で議論をされているわけでありますから、ぜひともこの問題は大丈夫だという発想ではなくて、1%の失敗でも大きな社会的混乱を引き起こすということで、ぜひとも一つ一つ私ども、世界的なものまで県が対応できるわけじゃないですので、県でできること、それから市民、県民、それから中小企業のコンピューターの誤作動が起きた場合も倒産の引き金にならざるを得ないような、そういうものも官邸で話し合われている経緯がございますから、ぜひしっかりとチェックをしていただきたいと思います。
 その意味でお聞きをいたします。
 稲嶺知事の基本的認識についてお伺いをいたします。
 それから、県のこれまでの対応についてお聞きをいたします。
 危機管理計画はどうなっているか。
 電力、都市ガスなど県内のエネルギー問題について。
 上水道、下水道のコンピューター管理について。
 これはまた、いざという場合には手動に変えられることができるかどうかもお聞きをしておきたいと思います。
 県立病院の医療機器のチェックと民間医療機関の対応状況について。
 金融機関の対策は万全か。
 民間中小企業への啓蒙活動と状況把握についてお聞きします。
 それから、危機管理に対する警察の対応についてお聞きをいたします。
 介護保険についても重複するかもしれませんが、項目としては違っておりますので質問をさせていただきます。
 高齢者の介護負担を各世代が連帯して担う来年4月の介護保険制度導入まで9カ月と迫っております。ところがこの段階になっても多くの国民が同制度の理念や構造を十分に理解せず、不安や懸念を抱いていることが日本世論調査会が実施した全国世論調査でもわかっております。
 多くの自治体は、膨大な事務の準備に追われて住民対策にまで手が回らないのが実情でございますが、だからといって住民の関心事項に丁寧にこたえるサービスを欠いてはならないと思います。
 そこでお聞きをいたしますが、県内53市町村に県が設置を求めていた介護保険事業計画策定委員会の設置状況はどうなっているか、お聞きをいたします。
 小規模離島への対策はどうなっているか。
 介護保険制度そのものが県民に十分に理解されているかどうかをお聞きいたします。
 最後になりますが、自民党県連は一日政調会を4月、5月とやってまいりました。北部、中部、那覇、南部、宮古、八重山と開催し、約40に及ぶ市町村、50に及ぶ各種団体から300項目にわたって要請をされておりまして、みずからその地域に出かけていきまして各代議士、あるいは各1区、2区、3区の役員等が勢ぞろいをしまして生の声を聞いたわけでございます。
 大変切実な問題がそれぞれの団体、市町村からありまして、沖縄県全体の凝縮されたそういった一つ一つのものを私ども県連は政調会を中心としてお聞きをし、その資料を、一日政調会で300項目ありましたけれども、今これを整理をしてこれから優先順位をつけまして対処していくことになるわけでありますが、党本部には私どもの沖縄県の振興策に関する特別調査会というのがございまして、これは最高顧問に山中貞則先生、それから森幹事長が会長となりまして橋本龍太郎前総理、梶山先生が顧問に入っていただきまして、今大体月1回か2カ月に1回程度いろいろ議論をしながら、稲嶺県政のバックアップもやっていこうということになっております。
 これは何も稲嶺県政に限ったわけではありませんで、前県政の大田県政の場合でも私たちは航空運賃の値下げとか、国立工業高等専門学校とか、いろんな形で提言をいたしましてサポートもしてきたわけでありますが、稲嶺知事も宮古、八重山の方に出向かれて生の声をたくさん聞いている新聞報道も私は知っておりますし、また私どもの党本部の特別調査会にも御出席をいただきまして県のお考え方を示し、そしてその中で与党としてのバックアップのお願いもされておりましたけれども、与党の自民党県連がこのような形でいろんな地域を回り生の声を聞き出して、なおかつ党本部の特別調査会等に上げながら今一つ一つ実現をする運動を展開しているわけでありますが、これについて知事の所感をいただきたいと思います。
 以上であります。
○議長(友寄信助) ただいまの翁長雄志君の代表質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午前11時46分休憩
   午後1時20分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 午前の翁長雄志君の質問に対する答弁を願います。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 翁長雄志議員の御質問にお答えします。
 最初は、知事の政治姿勢について、広く県民の立場に立って問題の解決を図るとしているが、改めて考えを伺いたいということへのお答えでございます。
 本県の社会経済情勢は、基地問題、長引く不況、失業問題など解決しなければならない多くの課題を抱えています。
 このような諸課題に適切に対処し、具体的な解決の道筋を立て確実に実行していくことが私に課せられた最大の責務であると認識しています。そのためには広く県民の立場に立って沖縄の現実としっかり向かい合い、それから一歩一歩確実に諸問題の解決を図っていかなければならないと考えています。今後とも県政運営に当たっては、広く県民の英知を結集し、県勢発展と県民の福祉の向上に全力を傾注してまいりたいと考えています。
 続きまして政治姿勢について、沖縄問題は同時並行で課題が絡み合っており、意図とは別に基地問題とのリンク論が唱えられやすいということで、この考え方を聞きたいという御質問に対してでございます。
 県は、市街地の中心に位置し非常に危険な状況にある普天間飛行場を一日でも早く移設することが重要であると認識しております。
 そのため、去る3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意県内移設に向けての作業を進めているところです。
 県としては、サミットの開催と普天間飛行場の移設はそれぞれ県政の最重要課題であると認識しております。普天間飛行場の県内移設については地域のコンセンサスや振興策などさまざまな課題がありますが、一日でも早く解決していくよう努力しているところであります。
 続きまして、政治姿勢の中の政策協議会の再開と始動についてのお答えでございます。
 昨年12月の知事就任早々に沖縄政策協議会が再開され、去る6月29日の政策協議会までに4回の政策協議会が開催されています。再開後初めての沖縄政策協議会において、小渕総理大臣から沖縄振興のための特別の調整費100億円の予算化が示されました。
 100億円の調整費の実施方針については、私から要望いたしました6項目の緊急なプロジェクトを含め観光を中心とする産業振興に役立つ公共事業等を実施することになっております。
 また、諸般の事情により中断しておりました沖縄経済振興21世紀プランについても、6月29日の政策協議会に中間報告がなされました。内容を見ますと、4月の政策協議会に本県から提出された同プランに対する基本的な考え方が反映されたものとなっており喜んでいるところであります。
 このように沖縄政策協議会の再開後は本県の意を酌んだ沖縄振興策が次々と推進されており、国の積極的な取り組みに感謝しているところであります。
 次に、同じく政治姿勢についての中で特別自由貿易地域制度の早期着手についての御質問についてのお答えでございます。
 特別自由貿易地域については、平成11年3月31日付で中城湾港新港地区の一部約122ヘクタールについて地域指定を受けたところであります。県としては、企業のニーズを踏まえ速やかに企業立地ができるよう努めているところであります。
 このため、今年度は立地促進のための受け皿施設の整備として沖縄特別振興対策調整費で措置された賃貸工場を整備するとともに、同地域の一部約20ヘクタールについて公募・分譲を行ってまいりたいと考えております。
 同じく政治姿勢についてのうち、好調な観光の持続と波及効果の拡大についてでございます。お答えいたします。
 御案内のとおり、観光入域者数は昨年に引き続きことしに入っても好調に推移しております。
 県としては、経済の自立と雇用の安定を図っていくことは県政の最重要課題であることから、緊急かつ効果的な施策として観光・リゾート産業の振興を図るべく強力に取り組んでまいりました。特に国の特段の御配慮により航空運賃の低減に係る追加措置、沖縄振興のための特別の調整費100億円のうち観光の支援を目的とする公共事業に重点を置いた緊急対策が実施されているところであります。
 また、県民の熱意と小渕総理大臣の御高配により2000年九州・沖縄サミットの首脳会合が本県で開催されることとなりました。サミットを契機に観光・リゾート産業のさらなる発展に弾みをつけ、県経済の活性化に向けての大きな起爆剤にしたいと考えております。
 県としては、観光・リゾート産業が本県の自立的発展を担うリーディング産業であり、またすそ野の広い総合産業であることから、その波及効果の一層の拡大を図り、県経済の自立化に向けて積極的に努力してまいります。
 同じく政治姿勢について沖縄経済振興21世紀プランの策定についてのお答えでございます。
 沖縄経済振興21世紀プランについては、平成9年11月の復帰25周年記念式典における総理式辞において、平成10年の春ごろをめどに策定するとされておりましたが、諸般の事情により中断しておりました。このため、県においては沖縄経済振興21世紀プランに対する基本的な考え方を本年4月の沖縄政策協議会において改めて提示し検討を要望したところであります。
 この間、本県の自立型経済の構築に向けた振興策について全省庁挙げての検討がなされ、去る6月29日の沖縄政策協議会においてその中間報告が示されたところであります。県としましては、政府との連携協力により最終報告に向けた取り組みを進めるとともに、中間報告に盛られた施策・事業の着実な実現が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 続いて政治姿勢の中で、沖縄経済新法の制定についての御質問へのお答えでございます。
 いわゆる沖縄経済新法は、沖縄振興開発の総点検を踏まえた施策や沖縄経済振興21世紀プランの施策等を盛り込んだ新たな沖縄振興計画を実効あらしめるものであると考えています。
 また、現行の沖縄振興開発特別措置法や復帰特別措置法等に基づく各種制度については、総合的に施策を展開していく観点から必要な制度は継承していきたいと考えています。
 しかしながら、沖縄振興開発特別措置法等とは別に新たな法律を制定することは法制実務上多くの課題を有することも認識しており、今年度中には沖縄振興に関する法体系のあり方等について検討し、その後に関係機関と調整していきたいと考えております。
 次に、同じく政治姿勢の中で、新石垣空港問題で建設位置選定委員会の作業状況を聞きたいとの御質問へのお答えでございます。
 建設位置選定委員会は、学識経験者8名と地元の代表者28名で構成し全体で36名になる予定です。
 現在、学識経験者を初めとして地元の行政機関の代表者や関係公民館の代表者の方々に建設位置選定委員会を設置して位置選定していただく趣旨等を説明し、委員会への参加をお願いしているところです。現在、学識経験者及び地元代表者の大部分の方々の了解をいただいております。
 今後、各委員候補者の方々全員の同意が得られ、構成メンバーが確定した上で7月下旬には第1回の委員会を開催する予定であります。建設位置選定委員会の中で委員の皆様が議論を尽くしていただき、できるだけ早期に位置を選定し提言していただきたいと考えております。
 次に、那覇軍港の移転問題について、これまでの経緯と今後の見通しを聞きたいということでございます。
 那覇港湾施設の返還問題については、那覇軍港の跡地利用と浦添市西海岸開発の促進を求める観点から、昨年10月に県議会、那覇市議会において決議がなされ、ことし3月には浦添市議会において浦添市西海岸開発促進を求める決議と意見書が採択されております。
 また、浦添市議会の3月定例会における施政方針の中で浦添市長が、地元商工会議所が提言した那覇軍港の機能の一部移設を認め、日米共同使用する案について具体的に検討することを述べられるとともに、3月中旬に浦添市長から施政方針について説明を受けたところであります。
 県としては、那覇港湾施設の返還問題について沖縄の産業振興、経済の自立化を促進する観点から、那覇港のハブ機能を有する国際流通港湾化に向けた計画の中で県議会や那覇市議会の決議、浦添市議会における決議や意見書採択等も踏まえて検討しているところであります。
 続いて那覇軍港の移転問題について、一部事務組合の設立作業の問題と早期に3者間を調整して国の理解を求めるべきだと思うと、さらに来年4月の組合設立の見通しはどうかとの御質問の要旨へのお答えでございます。
 那覇港管理の一部事務組合については、昭和63年の港湾計画改訂に伴う分離分割方式による管理の検討及び運輸省の一元管理方式の見解を経て那覇市及び浦添市による一部事務組合の設立が平成3年に合意されております。
 その後、港湾行政の広域的な展開を図るため県に対して組合への参加要請があり、3者による組合設立に向けた準備が進められてきたところであります。
 組合設立の課題となっております約198億円の債務については、防波堤、岸壁、荷役機械等のインフラ施設整備のために投資した起債の残高であります。
 これらの施設からは港湾使用料として収入を得ていることから、組合の設立に当たっては債権債務として承継する必要があると考えています。
 県としては、那覇港が県民生活や産業経済活動の物流拠点として重要な役割を担っていることから那覇港を一体的に管理し、その開発整備をするため3者による一部事務組合の設立が不可欠であると考えています。今後、8月中の3者の合意形成、9月からの自治省との事前協議、12月議会への規約案の提案などを経て平成12年4月1日の組合設立を目指したいと考えております。
 次に、コンピューター2000年問題について知事の基本的認識についての御質問へのお答えでございます。
 御承知のとおり、コンピューターは金融、エネルギー、情報通信、交通、医療など県民の生活全般に深く浸透していることから、2000年問題によって生じる影響を最小限に抑え、2000年への円滑な移行を図ることは重要な課題であると認識しております。県としましては、全庁的な対応体制を整備し、県民生活に支障が生じないよう全庁を挙げて取り組んでいるところであります。
 また、県下の市町村や関係機関等に対しても問題意識を広く喚起し、県に準じた対応方の周知徹底を図ることとしております。
 次に、介護保険の御質問で、介護保険制度そのものが県民に十分理解されているかという御質問へのお答えでございます。
 介護保険制度は、国民の共同連帯に基づいて老後の最大の不安にこたえるものであり、県民の理解を深めることが重要であります。 
 制度の周知につきましては、県は広報誌の活用やパンフレット14万部を市町村や関係団体を通じて配布したところであり、市町村においても広報誌等の活用や住民説明会を実施しています。
 しかし、地域によっては住民に十分理解されてないところも見受けられますので、平成11年9月から県と市町村が共同で費用を負担してテレビ、ラジオを通じて広く周知を図るなど、県民に対する理解をさらに深めてまいりたいと考えております。
 次に、自民党県連の活動に対する所感についてということで、一日政調会等の活動に対する所感を聞きたいということに対するお答えでございます。
 自民党県連におかれましては、県政にかかわる立場から県民を対象とした一日政調会を実施され、また党本部におかれましても沖縄県総合振興対策等特別調査会を再開するなど県勢発展のための諸活動を精力的に展開されておりますことは、県政を預かる者として心強く感じているところであります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○副知事(牧野浩隆) 翁長先生の軍転特措法の改正について、関係省庁や県選出の国会議員に対して県の要望事項を説明し理解を求めているが、その内容、感触はどうであったかという御質問にお答えいたします。
 去る6月15日に軍転特措法の改正要望の内容について、県選出の国会議員及び関係省庁の皆様に御説明を申し上げて御協力を求めてまいりました。
 まず、その内容なんですけれども、4つありまして、1点目は環境浄化確認調査、不発弾の撤去、建物撤去等特別管理期間内に国の行う措置を返還実施計画で明示してもらいたいということが1点目です。
それから2点目は、給付金の支給期間を現行3年ですけれども、これを7年に延長していただきたいということと、それから特別管理費控除を行わないこと、それから給付の限度額を設けないことということです。
それから3点目は、事業に係る調査及び測量など返還の見通しが立った早い時点で実施できる措置を講じてもらいたいということです。
それから4点目は、国有財産に関することですけれども、国有財産を跡地の公的事業に譲与あるいは無償貸し付けができるような措置を講じていただきたいという4つのことを御説明申し上げ、御協力を依頼してきました。
改正内容につきましては、県選出国会議員の方々には御理解いただけたものと思っております。
 しかしながら、関係省庁の方々には給付金の上限撤廃、それから現行法が議員立法でできていたということでそれを内閣提出の法案とすることなどについては厳しい意見がありました。
 いずれにしましても、県といたしましては駐留軍用地の返還に伴う諸課題を解決していくためには現行の法律を改正することが必要だと思っていますので、7月中には正式に要請したいと考えております。
○企画開発部長(宮城正治) 知事の政治姿勢との関連で、島田懇談会事業の発展についての御質問にお答えいたします。
 沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業、いわゆる島田懇談会事業につきましては、これまで14市町村において20の事業が採択されております。
 そのうち、金武町の街灯施設整備や名護市のマルチメディア館整備事業などは既に完成し供用開始されております。
 この事業が着実に実施されることにより、地域経済の活性化や今後の自立的発展への契機となるものと期待しております。県としましては、事業の円滑な実施を促進するため引き続き積極的に協力していきたいと考えております。
 次に、軍転法の改正の関連で、嘉手納弾薬庫地区の返還について給付金支給期間に関する県の考え方、あるいは軍転特措法改正の内容についてのお答えであります。
 現行の軍転特措法(第8条)では、アメリカ合衆国から国が駐留軍用地の返還を受けた日の翌日から3年を超えない期間内で、国は所有者等に対し給付金を支給するものとされております。
嘉手納弾薬庫地区の返還地につきましては、本年3月25日に国はアメリカ合衆国から返還を受けていますので、返還日の翌日からは給付金支給期間に入ることになっております。
なお、現行制度ではアメリカ合衆国からの土地等の返還に際し、国が国有財産の取り壊し工事、危険物等の調査、処理等の特別管理を実施する場合には所有者等に対して特別管理費の補償がありますが、その場合には給付金は特別管理費の金額を控除して支給されることになっております。
 今回の軍転特措法改正要請では、給付金の支給期間と特別管理費の補償期間が重ならないようにすることによって、特別管理費の補償があっても給付金の支給期間が短縮されない措置を講ずるよう要請することといたしました。
 次に、コンピューター2000年問題についての県のこれまでの対応についてのお答えであります。
 県のこれまでの対応につきましては、4月に沖縄県高度情報化推進本部において県の対応指針を策定いたしました。これに基づき各部局等における対策本部及びプロジェクトチームを発足させ、全庁的対応体制を整備したところであります。
 この全庁的対応体制のもと、システムのチェック、修正及び模擬テスト等の総点検を実施するとともに、重要業務の危機管理計画策定に取り組んでいるところであります。
 さらに、インターネットを通じ5月から県のホームページ上で2000年問題の関連情報を提供しているところであります。今後とも総点検の実施及び重要業務に係る危機管理計画をフォローアップしていくなど、全庁を挙げて取り組んでいくこととしております。
 さらに、同問題についての危機管理計画はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 コンピューターシステムを取り巻く今日の環境下においては、2000年問題の発生を完全に予測し、これを予防することは極めて困難であると言われております。不測の事態を想定した対策を講じていくことが重要となっております。
 そのため、県民の生命、財産、企業活動または公共の安全と秩序の維持にかかわる重要業務については、県民生活に支障のないよう全庁を挙げて危機管理計画の策定に取り組んでいるところであります。
 以上です。
○商工労働部長(宮城春一) コンピューター2000年問題についての御質問で電力、都市ガス等県内のエネルギー問題についてでございます。
 沖縄電力株式会社の対応状況についてでありますが、電力の供給をコントロールしているシステムには日付情報を使用していないため、2000年問題に起因する供給トラブルが生じる可能性はないことが確認されております。
 他方、運転監視等のシステムについては、ソフトウエアの改修作業もほぼ完了しております。残る一部については本年の10月までには改修作業を完了する予定であり、また事務処理系のシステムについては6月に対応を完了いたしております。
 さらに、危機管理計画を策定し本年の年末から来年の年初の時期において待機要員の大幅な増員を図るなど、不測の事態への対応に万全を期することとしております。
 次に、都市ガスなどガスの供給についてでありますが、沖縄ガス株式会社においては平成9年7月よりこの問題に取り組み、平成11年3月に事務処理系及び制御系システムの対応策についてすべての作業が完了いたしております。
 さらに、平成11年9月までに同社の「危機管理計画」が策定されるとのことであります。
 このように、本県の主要エネルギーに関する2000年問題対応は着実に進捗しており、エネルギーの安定確保については支障はないものと考えております。
 同じくコンピューター2000年問題についてでございますが、県内金融機関のコンピューター2000年問題の取り組み状況についてでございます。
 県内金融機関のコンピュータ-西暦2000年問題への取り組み状況につきましては、県内地銀3行に対し照会したところ、預金、融資等の管理を行う基幹システム及びその他のサブシステムについての対応をほぼ完了いたしております。全国ネット等への対外接続テストも積極的に行われるなど、各銀行における2000年問題への対応は経営の最重要課題として位置づけられ、万全な取り組みがなされている状況でございます。
 また、信用金庫等その他の金融機関においても、その対応は順調に進められております。
 同じく2000年問題でございますが、民間中小企業への啓蒙活動と状況把握についてでございます。
 コンピューター西暦2000年問題の民間企業への啓蒙につきましては、県、沖縄県産業振興公社及びその他の関係団体において講演会やセミナーの開催、ホームページの開設、機関誌による広報、パンフレットの配布、相談窓口の設置、フリーダイヤルによる相談体制の整備、システムエンジニア派遣等を実施いたしております。
 また、国においてはことし4月に作成された「コンピューター西暦2000年問題企業のための危機管理計画策定の手引き」に基づき、産業振興公社及び関係団体において企業に対しシステム停止、誤作動等不測の事態に備える危機管理計画の策定を指導いたしております。
 さらに、コンピューター西暦2000年問題に対応するため設備の更新を必要とする企業については、産業振興公社において設備貸与事業を拡充し機器類のリース、割賦販売により対応をいたしております。
 なお、本年6月、沖縄総合事務局の取りまとめた調査によりますと、県内において約3割の中小企業者が未対応、またはメーカー等へ確認中となっておりますので、引き続き指導を行い不測の事態が生じないよう万全の対応をしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○企業局長(又吉辰雄) 去る4月に企業局長を拝命いたしました又吉でございます。
 水道行政の発展のために誠心誠意頑張る決意でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、翁長議員の2000年問題のうち、県の上水道のコンピューター管理についての御質問にお答えをいたします。
 企業局におきましては、国及び県の指針に基づきましてメーカーとも連携をいたしまして、西暦2000年問題に対する全コンピューターの調査検討を行い、対応の必要なシステムにつきましてはプログラムの修正と模擬テストを実施し、正常に機能することを確認をしております。
 また、万が一コンピューターが正常に機能しない場合には、手動に切りかえて対応するシステムとなっております。
 市町村の水道事業体に対しましては、水道が県民生活の根幹にかかわるものであることから、地震、台風等の緊急時の体制と同様に企業局と十分な連携のもとで対処してもらうよう協力を依頼しているところでございます。
 しかし、先ほど翁長議員からも御指摘がございましたとおり絶対に失敗は許されませんので、企業局といたしましては、今後企業局で策定をいたしました西暦2000年問題危機管理計画に基づきまして実施訓練を行うとともに、ダムを管理する国、市町村及び電力会社等の関係機関と十分な連携を図りながら万全を期してまいりたいと考えております。
 以上です。
○福祉保健部長(平良健康) コンピューター2000年問題について、市町村の上水道のコンピューター管理について西暦2000年問題に関するお答えでございますが、西暦2000年問題に関する調査を実施しましたところ、平成11年6月1日現在、県内の82事業体のうち32事業体が西暦2000年問題を有しており、そのうち11事業体が修正等を完了し、残り21事業体においても作業を進めているところであります。
 なお、21事業体における主な修正は、水道料金システムの修正が19事業体、制御システムの修正が2事業体となっております。
 対応のおくれている事業体については、厚生省の通知に基づき徹底した対応を講じるよう指導しているところであります。
 次に、同問題について県立病院の医療機器のチェックと民間医療機関の対応状況についての御質問にお答えいたします。
 医療分野におけるコンピューター西暦2000年問題は、直接県民の生命、健康に影響や混乱を及ぼすおそれがあることから、各医療機関に対し自主的総点検を行うなど防止策の周知を図っているところです。
 厚生省は、自主的総点検表、医療用具製造業者等リスト及び2000年問題発生のおそれがある製品リストを全医療機関に示しており、県としても医療機関に対して適切な対応をとるよう指導したところであります。現在、自主的総点検の回答を求めており、その結果を踏まえて取り組みのおくれている病院等に対して対応の徹底を求めることとしております。
 なお、県立病院におきましては対策実施要領に基づき医療機器を初めシステム全般にわたって修正や模擬テスト等の点検作業を行っているところであります。また、システム等の不測の事態を想定した危機管理計画をまだ策定していない医療機関に対しては、早急に策定するよう指導してまいります。
 次に、介護保険について市町村の介護保険事業計画策定委員会の設置状況はどうかとの御質問にお答えいたします。
 平成12年度から16年度までの介護サービス量の見込み及びその確保を検討するために各市町村において介護保険事業計画を策定しますが、この内容については保険・医療・福祉関係者や被保険者の代表者等の参加による介護保険事業計画策定委員会で検討を行うことになっています。
 県の調査では、全市町村において介護保険事業計画策定委員会を6月じゅうには設置できる見込みとなっております。
 次に、介護保険について小規模離島への対策はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 離島におけるサービスの確保については、民間事業者の参入が困難と思われることから、一定の指定基準を満たさない事業者であっても、保険者である市町村が認めた場合は給付対象とするいわゆる「離島等相当サービス」が認められており、離島町村の実態を踏まえ個別・具体的に検討を行い支援を行います。
 マンパワーの確保については、離島に出向いてホームヘルパーを養成するいわゆる出前方式での取り組みを行うことにより、地域における人材の確保を図っているところです。
 また、離島における介護支援専門員を養成するために県職員を講師として派遣し、受験講座や研修会を開催しています。
 さらに、離島における住民説明会等にも担当職員を派遣するなどの支援を行っているところです。
○土木建築部長(銘苅清一) 下水道のコンピューター管理についての質問にお答えいたします。
 下水道施設の運転、制御は、水位計やタイマー等の機器で行っており、コンピューターは運転制御としてではなく、下水流入量、電力使用量、機器故障記録等のデータ処理に使用しております。したがってコンピューターの異常による下水道施設の機能停止は基本的にはないものと考えております。
 さらに、製造業者にコンピューター2000年問題について調査依頼したところ、本県の下水道施設に設置されているコンピューターについては、同問題による運用上の支障はないとの報告を受けております。
 一方、埋め込みチップの問題や電力、電話回線等外部からのリスクについても慎重を期すため引き続き実態把握に努めるとともに、危機管理計画を策定し万全を期する所存であります。
 なお、下水道施設の運転につきましては、通常は自動運転でありますが、緊急時や機器点検時には手動運転もできるようになっております。
 以上でございます。
○警察本部長(井上美昭) コンピューター2000年問題の危機管理に対する警察の対応についてお答えをいたします。
 県警においてコンピューターで運用している110番を受ける通信指令システム、運転免許関係業務など県民生活に密接する業務については対応済みであります。
 対策の完了していない業務は、信号機等を管理する交通管制システムのみであり、同システムについても平成11年7月中に代替機を設置し対策を完了する予定で鋭意取り組んでいるところであります。
 したがいまして、警察関係業務のコンピューター西暦2000年問題の対策につきましては本年7月までにすべて完了し、誤作動が生じないよう万全を期する所存であります。
 以上であります。
○幸喜  勝 県民の会を代表いたしまして質問を行います。
 その前に、稲嶺知事就任後わずか8カ月しかなりませんが、知事の精力的な活動展開によって次々と明るい展望が開かれていることに対して心から敬意を表します。
 では、代表質問に入ります。
 1、九州・沖縄サミットの準備体制について。
 1999年4月29日、2000年サミット首脳会議が沖縄県名護市に決定、瞬間、県民が喜びに沸いた。沖縄の歴史に強く刻まれる重大ニュースであるからであります。県民の最高責任者としての稲嶺知事も万感胸に迫るものがあったことと推察いたします。
 この主要国首脳会議という国際的大事業が我が国では初めて地方で開催ということもあって、その誘致合戦もG8首脳と同じく8道府県の激しい争いとなり全く予測のつかない中での決定であり、国民の注目の的となっていた。それだけに地方開催一番手としての重大な責任が伴うものであります。
 なお、このサミット会議が成功した暁には県民の自信と国民の信頼が得られ、21世紀に向け明るい展望が開けるものと確信をいたします。
 県では、その成功に向け早速サミット推進事務局が設置され、山田文比古事務局長以下14人が専従体制で万全を期すべく御苦労をされております。
 せんだってはドイツ・ケルンで開催されたサミットに視察団として参加しております。それらも含めてその内容等についてお尋ねいたします。
 県のサミット推進事務局の現状と今後の運営状況を御説明願いたい。
 ドイツ・ケルン・サミット視察団の成果や課題を具体的に説明してください。
 県民が参加する県民会議の体制、今後の事業内容、県の推進事務局との連携等について。
 シミュレーションに基づく開催日までのもろもろの運営計画の策定時期は具体的にはいつごろを想定しておりますか。
 これだけ多くの国々から世界のプレスを初めとする要人が地方に来るのは初めてであります。
 そこで、言語に対する通訳などのボランティアが心配されるのであります。通訳の数やボランティアの人数、その対応などについてお尋ねいたします。
 なお、沖縄の自然の海は世界にも誇れるものと言われております。海の美しさや独自の文化などその特性を世界に発信する千載一遇のチャンスです。そういう意味ではプレスへのサービスが最も大切であると思います。
 沖縄の特性を世界に発信できる好機です。プレスセンターとの連携、サービスはどのように考えておられますか。こうした行事や場所の選定、視察などプレスセンターとの連携はどう考えておられますか。
 次に、警備上の問題についてお伺いいたします。
 過去3回東京で開催された際に、過激派テロによるゲリラ事件があったと聞いております。政府が最も心配で不安な点であるかと思います。その概要についてお尋ねいたします。
 過激派に対する警備体制について、その陣容と宿泊施設の確保等々。
 なお、主要8カ国の首脳を初め要人となれば国際的テロ集団の動きも無視できません。我が国の警察ではほとんどその経験がないと思います。その警戒体制についてこの際、自衛隊との連携も視野に入れ警戒体制を強化しておくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 稲嶺知事に2つのことを提言いたします。
 せっかくの沖縄でのサミット開催、沖縄から世界に最も沖縄の特徴的なものを発信できる千載一遇のチャンスです。平和、海、自然、環境、これらのものをテーマにした沖縄らしさを提言し、サミット宣言として採択させてもらったらどうでしょうか。
 もう1点は、27年間異民族支配で統治されてきたこの沖縄を平和裏に日本復帰させたアメリカ合衆国のクリントン大統領に本県議会で基調講演をお願いし、議会の歴史の一ページに強く刻んでおいてはと願うのでありますが、その可能性と知事のお考えについて。
 世界が注目するサミットを成功させることにより沖縄県民の信頼性を高め、県の飛躍・発展につなげることです。県民一丸となって成功させることができますよう心から念願するものであります。そのためにも稲嶺知事を先頭に執行部の皆さんの御健闘を御期待いたします。
 2、沖縄経済振興21世紀プランについて。
 第3次振計も後期に入り、自立に向けた施策も思うように進展せず、県内では失業率の問題を初め依然情勢は混沌としております。最近のある大型企業の倒産、歴史的にも古く県民に親しまれてきた大型デパート山形屋の倒産、大型ホテルの売買など経済環境は極めて厳しい情勢にあります。そのことは、我が国の経済情勢がそのまま県内にも波及している状況です。
 このような時期に政府は沖縄の現状を憂い、沖縄の自立に向けた新たな沖縄振興開発21世紀プランを県の意見を踏まえ策定し、その中間報告を6月29日沖縄政策協議会でまとめられております。
 なお、それに先立ち98年12月11日に稲嶺知事が要望・提出した沖縄経済活性化のための緊急対策6項目は既に予算化され、実施の準備に入っていると思います。徐々にではありますが、経済状況も好転していくことと期待いたしております。
 ところで、内外の情勢からして全く予断は許されない。何といってもこれから国が責任を持って策定する21世紀プランに大きな期待を寄せざるを得ないのです。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 6月29日の沖縄政策協議会における沖縄経済振興21世紀プランの中間報告、取りまとめ状況を詳しく御説明を願いたいと思います。
 多くの施策は掲げても文言だけでは抽象的になりかねない。短期、中期、長期に計画を設定して、例えば長期でしたらよく今鉄軌道の話がありますが、100年間の施策でありますのでその辺も入れるかどうか、そういう計画を設定して具体的計画を提示させていただきたいと思うのでありますが、そのお考えはありませんか。
 沖縄の特性や地理的優位性を生かしてグローバルな視点で国が思い切って国家的施策・事業を展開しようとするこの意気込みは、国際競争社会における国際戦略構想としてもそれだけ価値あるものであり効果的であると思料いたします。ポスト第4全総における沖縄を南の国際交流拠点として位置づけ、国の指針はまさにそのことを証明している証拠と言えよう。
 次に、お尋ねいたします。
 国の行う残された第3次振計の後期計画、21世紀プラン、国際都市形成構想、沖縄政策協議会などそれぞれオーバーラップする面があると思います。総合的な調整と整合性を図る必要があると思いますが、どのようにお考えか、お尋ねいたします。
 この21世紀プランは、国のいよいよ最後の沖縄振興策の計画となりそうであります。よっぽど慎重に覚悟を決めて対処すべきと考えます。サミットの準備を初めもろもろの事業とのはざまで国との調整を図っていかなければなりませんが、沖縄の21世紀を築く最も大事なプランです。県民の英知を結集し実効性ある施策を国の責任のもとで早い機会に策定させていただきたい。
 お尋ねいたします。
 21世紀プランの最終策定時期と今後の対応策についてどうなっておりますでしょうか。
 沖縄開発庁は、1999年度予算案で沖縄振興開発総合調整費として2億円計上してあります。その内容は、沖縄振興開発のあり方の検討、これまでの諸施策・事業を総合的に調整するためとある。第1次、2次、3次の振計などの施策・事業、制度実施など3年間とあります。過去のあり方を総合的に検討し今後に反映されるものと考えられます。その反省や調査研究を踏まえ、21世紀プランは万全な体制で実行段階に踏み切ってもらいたいと強く願うものであります。
 ここでお尋ねいたします。
 策定後は21世紀プランの執行状況を国と県が相互協力して、その進行管理、達成度などチェックできる体制を確立してもらいたい。策定時期のタイミングを見計らってぜひ国へ働きかけをしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
 国の特段の理解と協力を得て、21世紀に向けた沖縄の展望が切り開かれますよう切に祈念をいたします。
 3、米軍基地問題について。
 沖縄にとって米軍基地問題は避けては通れない県政の最重要課題の一つであります。我が国にとっても日米安保条約という外交政策上国の重大政策の一つであり、国と県の共通課題であることは申し上げるまでもありません。
 ところで、こうした認識のもとでSACOの合意事項はこの課題解決のためになされたものであり、国や県はともに早期に最善の努力を傾注していかなければなりません。稲嶺県政はそのために普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室を発足させております。政府も県民もそれに大きな期待を寄せております。
 そのことについてお尋ねいたします。
 現状はどこまで、どういう計画をお持ちですか。また今後の計画やスケジュールについて具体的に御説明を願いたい。
 2000年サミットが沖縄に決定したことにより、その背景に対していろいろな憶測が流れております。現にアメリカのクリントン大統領や駐日米大使、その他の要人などから普天間飛行場移設のめどづけなどマスコミなどで報じられております。
 なお、知事に対して野党から盛んに聞かれていることは、選挙時の公約やそのときの発言についてであります。普天間飛行場の移設は北部限定なのか、軍民共用案なのか、海上は受け入れられない、陸上案がいい、移設後は15年間で返還してもらう等々であります。そのことは、今も変わりはありませんか。状況の変化などにより修正もあり得るのかどうか、お答えいただきたいと思います。
 こうした一連の状況を踏まえて稲嶺知事の率直なる御感想をお聞かせ願いたい。特に普天間飛行場移設に向けての積極的な取り組みなどについてであります。
 基地所在市町村以外への基地交付金等について。
 基地の所在する市町村には、基地交付金や基地周辺整備資金などが適用されその恩恵に浴しております。最近はまた、新たに島田懇談会などが脚光を浴びてきております。
 沖縄に限って考えると、基地のない市町村ではそのことは実に不可解であります。本土と違い沖縄は離島県の小さい島に広大な軍用地と海域、空域においてはその使用が制限され、騒音等においても基地のない地域もともに何らかの被害を受けております。事沖縄に関する限りにおいては基地交付金、迷惑料と言われる基地周辺整備資金を基地のない市町村にも適用されるよう求めるべきと思料するが、知事の御所見を賜りたい。
 次に、駐留軍従業員の雇用問題について。
 国や県の経済環境の悪化とともに、国や県も失業率の増大が著しく、雇用問題、失業対策は今、県にとっては緊急かつ重要課題であります。あらゆる可能性を模索し対策を講ずる必要がある。
 その中で、これまでも何度か各議員からも質問や問題提起となっているのは駐留軍従業員のことである。私もちょうど1年前にこの問題を一般質問で取り上げております。
 そのことは、沖縄は米軍基地の過重負担を強いられてさまざまな基地から派生する被害を受けてきた。そのたびごとに本県議会は米軍や政府に抗議決議をしその改善を求めてきたのであります。余り改善の効果があらわれていないのが現状であります。
 ところが、基地あるがゆえに有利な点といいますと駐留軍従業員の雇用の問題であります。
 ここで現在の雇用状況を見てみたいと思います。
 沖縄は、昭和47年に1万9980人の従業員がおりました。その後情勢の変化などがあって現在は8458人と当時の半分以下となっております。その後、日本政府は平成7年12月にアメリカ合衆国との間に地位協定24条において駐留軍従業員数2万3055人の上限を負担するとあります。沖縄の8458人はその地位協定に基づくものであります。ただし、定かではありませんが、それ以外に米軍が直接雇用する従業員が約2000人程度いると言われております。米軍人の数、面積、施設数等からしても納得できる数字ではありません。
 よって、その内容、今後の対応などについてお尋ねいたします。
 その前に、沖縄に比べて最も雇用の多い神奈川県と数字で比較いたしてみたいと思います。
 神奈川県は沖縄県に比較して696人も多い9154人です。土地面積、沖縄73.6%、神奈川6.6%、専用施設、沖縄41.4%、神奈川17.8%、演習場倉庫面積、沖縄92.1%、神奈川0.8%、港湾・工場・事務所面積、沖縄21.5%、神奈川71.9%。それからすると港湾・工場・事務所以外は圧倒的に沖縄が割合が高い。神奈川県が696人も沖縄県より多い理由は、労働集約型の港湾・工場・事務所が大きいというのが最大の理由であるようです。
 お尋ねいたします。
 従業員の契約内容を見るとMLC、MC、IHAの中で神奈川県と沖縄県の政府の間接雇用と米軍の直接雇用の数字をそれぞれ示していただき、その内容について改善を求める気はないか、お答えください。
 IHAはほぼ単純労働が多い。IHAの沖縄従業員2699人とあります。米軍が直接雇用する米軍人の家族は定かではありませんが、約2000人程度と聞いております。もし仮にそうであれば、半分の1000人程度は沖縄県民にかえられないか。あるいは今から採用する分については沖縄県民を優先的にできないか。その要求について。
 過去において米軍の経済状況が悪化し、国防予算が厳しいときに我が国は、思いやり予算などで基地内にアパートを建てるなどして軍人の家族を呼び寄せるなどして配慮したはずです。今、沖縄の失業率が高く最も厳しい時期です。緊急的に二、三年でもいいですから特段の御配慮をお願いすべき時期だと思いますが、いかがでしょうか。
 駐留軍従業員数など総合的な観点から検討して、雇用に対する何らかの対応策が高度な政治的折衝によって緊急に必要と思われるが、知事としての御所見を賜りたい。
 御参考までに平成10年度駐留軍従業員の実応募者数は1万1035人に対して採用者832人、採用率7.5%、倍率13.3%となっております。
 4、人材育成について。
 いつの時代においても人材育成は最も大切なことであります。環境は人をつくるとよく言われます。刺激は人を発奮させます。
 それから考えると、戦後27年間の異民族支配下にあった本県は、あのころ各県に大きなおくれをとっており、人材育成は本県にとって最大の課題でありました。環境や刺激、競争面においても離島県というハンディを背負っていたと思います。勉学、スポーツ、あらゆる面で格差があった事実は否めません。
 ところがある時期、具志堅用高という八重山出身の一青年がボクシングで世界チャンピオンとなり、次々と防衛記録を更新し世界的に有名なボクサーとして脚光を浴びた。日本人の誇れる選手があらわれてから沖縄の若者や青年たちが発奮し、沖縄県民でもやればできるという機運が俄然高まり、その刺激、影響も強かったと思います。徐々に勉学やスポーツなどにその効果があらわれました。
 今やスポーツに限らず、文化面でもあらゆる面の全国的大会での上位を占めるのが多くなってきております。指導的人材が全国的レベルに達したこともその証拠であります。
 その中でも特に記憶に新しいのは、春の選抜大会で優勝した沖縄尚学高校の野球、興南高校のハンドボールの快挙は、県民、若者に大変な希望と誇り、自信を与えてくれました。
 県民が沸きに沸いたその影響、ムードも幾分あったと思いますが、8道府県で激しく競った来年の2000年サミットの主会場もその後沖縄県に決定した。
 こうした結果や現状を見るときに、改めて人材育成のありがたさ、今後の重要性というのが身にしみて感じさせられるのであります。
 時間の関係ですぐ質問の方に入りたいと思います。
 こうした明るい話題や21世紀に向けての展望が開けようとするときに、最近マスコミで大きく取り上げられました県人材育成財団奨学金の返済滞納問題であります。
 お尋ねいたします。
 県人材育成財団の設立目的、事業内容について御説明を願いたい。
 過去5年間の奨学金貸与状況等の推移を応募者、採用人員、採用率の順で示してもらいたい。
 採用率100%近くに持っていくにはどれだけの基本財産と果実が必要となるか。
 平成10年度の実績は応募者415人、採用人員215人、採用率51.8%、約半分程度の需要しか満たしていません。人材育成という目的からして大変嘆かわしい限りであります。平成2年度あたりは同じ採用人員でありながら98%近くも採用をしております。いろいろな情勢の変化はあると思いますが、その原因の大きな理由は何なのか。
 去る6月1日の新聞報道によると、奨学金滞納者が737人、8800万円となっている。その内容は、医師、歯科医師、教員、公務員とあります。一般の人たちより給与条件がいいはずであります。公金を利用して大学、大学院まで出てこのような実態では、公徳心の欠如であり問題であります。
 その内容について知らせていただきたい。
 ここに至った経緯と737人、8800万円の実態を説明願いたい。
 また、返済に至る規定の内容も御説明をいただきたい。
 仮に、8800万すべてが返済してもらったら平成10年度にはどれだけの人が採用可能であったか、その達成率についてもお知らせください。
 その返済ができなかったために後輩の人たちが採用されなくて進学をあきらめたことを考えると、実に残念なことであります。
 これまでの基金造成状況は、個人、団体からの寄附金が全体の31.9%と最も多く、篤志家皆様方の協力なくしてはやっていけない状況であります。
 経済状況が厳しい中でさらに需要は増すばかりです。こうした方々の理解と協力を得て目的達成のためにさらに基金をふやしていかなければならない時期です。そのためにも滞納者に対する問題解決は、緊急課題として取り組むべきと思料いたします。
 ここでお尋ねいたします。
 今後、需要に対応するためにも基金造成を図らなければならないと思いますが、その必要性と計画、対応について。
 今後、法的措置を含め断固たる措置をとるべきと考えますが、その決意のほどをお聞かせください、その手法についても。
 それと財団の平成11年度の事業概要を御説明ください。
 最後になりましたが、こうした実態に陥る原因になったのも執行部の皆さんにも責任の一端はあろうかと存じます。その反省も踏まえ、今後のことも含めて率直なる御所見と決意のほどを賜りたいと存じます。
 以上、よろしく御答弁をお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 幸喜勝議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、サミットの件で各国の首脳と県民との対話は必要であるか、その計画を持っているか、アメリカのクリントン大統領に本県議会で講演させてはどうかとの質問、一括してお答えいたします。
 サミットは、世界の目が沖縄に集中し、沖縄県民の平和を愛する心やホスピタリティーを世界の人々に発信する絶好の機会であります。このためクリントン大統領を初めとする各国首脳と県民との対話や触れ合いの機会を設けていただきたいと考えており、この旨関係者にも働きかけをしているところであります。
 続いて同じくサミットの中で、沖縄の特徴的なテーマを提言してサミット宣言として採択させてはどうかとの御質問へのお答えでございます。
 県としては、我が国で最初の地方開催となる九州・沖縄サミットの首脳会合の開催地としてその成功に向けて全力を傾けると同時に、沖縄開催の意義を最大限に引き出し、沖縄の心を世界に発信していきたいと考えています。
 他方、サミットは国と国との外交の場であり、また討議内容やサミット宣言の中にある特定のテーマが取り上げられるかどうかについてもサミット参加国間で決められる問題であります。
 県としては、サミット全体の中で何らかの形で開催地の特徴が生かされるよう努力したいと考えており、御提案の件についてもそうした取り組みの中で検討させていただきたいと思います。
 続きまして、沖縄経済振興21世紀プランについてでございます。
 6月29日の政策協議会における中間報告の説明をしてほしいという質問へのお答えでございます。
 沖縄経済振興21世紀プランは、本県経済の自立的発展に向けた政府の経済振興策のあり方を示すものであり、去る6月29日の沖縄政策協議会においてその中間報告が示されたところであります。
 中間報告においては、本県経済の現状と課題を踏まえ政策の理念や基本方向を明らかにし、沖縄振興策の具体化の方向が体系化されております。
 政策の具体化の方向については、主要分野である加工交易型産業、観光・リゾート産業、情報通信産業及び農林水産業の振興を図ることとしております。
 また、産業振興のための横断的な取り組みとして新規事業の創出支援体制の充実、研究開発と国際交流の促進、人材の育成と雇用の確保、環境共生型地域の形成及び産業活動を支えるインフラ等の整備を推進するとしております。
 なお、今後の検討課題として「沖縄国際情報特区」構想や「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想の具体化及び「新規事業創出支援体制の総合的検討」を進め最終報告としてまとめるほか、米軍施設・区域の返還に伴う跡利用などの対応についても今後の検討課題としております。県としましては、政府との連携協力によりこれら施策の着実な実現が図られるよう努めてまいります。
 続いて、同じく21世紀プランについての施策ごとに短期、中期、長期と具体的計画をということへのお答えでございます。
 今回の沖縄政策協議会において中間報告が提示された沖縄経済振興21世紀プランは、沖縄経済振興のあり方について検討を深め沖縄経済自立化に向けて重点的施策の具体的体系化を図ったものであります。
 こうしたプランの性格から、それぞれの施策について具体的な計画期間等は設定されておりません。
 21世紀プランに盛り込まれた施策には、特別自由貿易地域への立地促進のための受け皿施設の整備、沖縄自動車道の通行料金の割引等が既に今年度予算に計上されております。
 また、沖縄国際情報特区構想等今後の検討課題とされている施策もあります。今後県としましては、21世紀プランで示された諸施策が逐次具体的に実現されていくよう国と連携協力を図っていきたいと考えております。
 続いて同じく21世紀プランについての策定時期の最終はいつごろかという今後の対応についてでございます。
 沖縄経済振興21世紀プラン中間報告では、引き続き検討を深めるべき諸点、例えば沖縄国際情報特区構想、ゼロエミッション・アイランド沖縄構想、新規事業創出支援体制の総合的検討等があるとして、さらに最終報告を取りまとめることとされております。県としましては、最終報告についてこれらの検討状況等も勘案しながら適当な時期を設定していただくよう要望していきたいと考えております。
 同じく21世紀プランについて、国と県が相互協力して進行管理、達成度がチェックできるようにすべきであるということの御質問へのお答えでございます。
 沖縄経済振興21世紀プランに盛り込まれた具体的施策としては、これまでの県及び各省庁からの提案をもとに実現可能性を踏まえて検討されてきた事業を中心に82項目が挙げられております。県としましては、これらの施策の着実な実施を図るとともに、政策手法を検討しつつ効果的に進められるよう国と連携協力を図っていきたいと考えております。
 次に、米軍基地問題についてプロジェクトチームの現状、今後の計画スケジュールについてという御質問へのお答えでございます。
 普天間飛行場及び那覇港湾施設の移設に関する諸問題については、3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意検討を進めているところであります。
 これまで米軍、自衛隊及び民間が共同使用している青森県三沢飛行場や長崎県佐世保港の調査を行ったところであります。これらの調査を参考に関係機関と調整し、移設に係る諸問題について総合的に検討してまいりたいと考えています。
 なお、市街地の中心に位置し非常に危険な状況にある普天間飛行場については一日も早く動かす必要があり、できるだけ早期に県としての考え方をまとめられるよう作業を進めているところであります。
 また、那覇港湾施設については早期に移設できるよう鋭意努力しているところであります。
 同じく基地問題で、サミット決定後普天間基地との関係で知事の率直な感想を聞きたいということへのお答えでございます。
 県は、市街地の中心に位置し非常に危険な状況にある普天間飛行場を一日でも早く移設することが重要なことであると認識しております。そのため去る3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意県内移設に向けての作業を進めているところです。
 県としては、サミットの開催と普天間飛行場の移設はそれぞれ県政の最重要課題であると認識しております。普天間飛行場の県内移設については、地域のコンセンサスや振興策などさまざまな課題がありますが、一日でも早く解決していくよう努力しているところであります。
 次に、同じく基地問題について、基地所在市町村以外への基地交付金と基地周辺整備資金について適用を求めるべきじゃないかとの御質問へのお答えでございます。
 基地交付金は、米軍や自衛隊の施設が所在することによって市町村の財政に著しい影響を及ぼしていることを考慮し、固定資産税の代替的性格を基本としながら、これらの施設が所在することによる財政需要に対処するために施設に提供されている国有財産が所在する市町村に対して交付されるものであり、また調整交付金として米軍資産を対象に所在市町村に対して交付されるものがあります。これらの交付金の性格等を考慮すると対象資産が所在する市町村以外への基地交付金等の適用は容易でないと考えます。
 一方、基地周辺整備事業については、自衛隊、米軍の行為または防衛施設の設置、運用により生ずる障害を防止、軽減等することをもって関係住民の生活安定と福祉の向上に寄与することを目的として、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づき住宅防音工事の助成、移転補償など各種障害に対する防止及び軽減措置がとられています。
 障害と施設及び区域との因果関係が認められれば周辺整備事業の適用が可能であると考えられ、県内においても水域などとの関係で基地のない市町村においても漁業用施設の補助などが実施されています。
 なお、県はこれまで渉外関係主要都道県知事連絡会(渉外知事会)などを通して、基地周辺整備事業に係る予算増額と対象施設の拡大を求めています。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○サミット推進事務局長(山田文比古) 去る6月9日のサミット推進事務局の設置に伴いまして、同事務局長を拝命いたしました山田文比古でございます。
 微力ではございますが、九州・沖縄サミットの成功に向けて誠心誠意頑張っていきたいと考えております。どうか議員先生の皆様の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。
 それでは幸喜先生の御質問にお答えいたします。
 御質問が具体的にということでございましたので少し長くなりますが、私よりお答えさせていただきます。
 御質問は、ドイツ・ケルン・サミット視察団の成果や課題について具体的にということでございます。
 先般実施いたしましたケルン・サミット視察調査団につきまして、まず成果と考えられる主な事項について申し上げます。
 第1に、地元自治体が──これはケルン市ということでございますが──連邦政府及び州政府と十分連携を図りながら、ホストシティーとしてサミットの成功に向けてその役割に応じて各種の事業を積極的に企画、実施しているという状況が把握できました。
 第2に、会議の主会場や昼食、夕食会場に歴史的な建造物を効果的に利用し、自然体でさりげなく町の誇りをアピールしているという状況が把握できました。
 第3に、プレスセンターは仮設物で対応しており、その内部に記者用のワーキングルーム、各国の記者会見場、インターネットカフェ、ケルン市のインフォメーションコーナー、さらには銀行や郵便局といったものが効果的に配置されておりまして、そのような意味で規模、内容、機能というものが十分把握できました。
 第4に、こうした報道関係者に対して十分な便宜供与がなされておりました。特に各種のサービスが無償で提供されるということがございまして、プレス対策が徹底しているということが確認できました。
 5番目に、宿泊につきましては各国代表団の宿舎に一般客も宿泊しておられ、警備の問題は当然別といたしまして、特に必要以上な扱いはしていないということが確認できました。
 6番目に、関係当局が「市民参加のサミット」ということをモットーにしまして、多くの関連文化行事をしかも長期にわたって計画的に実施しておられたということが把握できました。
 第7番目に、このような自然体でのサミットの開催が可能となったということは、ケルン市が国際見本市や各種の国際会議等の経験が豊富であるということや、もともとインフラ整備が充実しているということがございまして、ということはもとより早くから一般市民に対しましてケルン市の当局等の関係当局がきめ細かな広報活動を行い、それによって市民の理解と協力を得る努力を行ってきたということでございます。
 以上を踏まえ、次にこの調査を踏まえまして来年の沖縄でのサミット開催についての課題について申し上げます。
 まず第1点は、九州・沖縄サミットにおきまして国と県と市町村等の役割分担というものを踏まえ、県民参加方式のコンセプトをどう構築していくか、また県民との触れ合いの機会をどう具体化していくかということが重要であると考えております。
 第2に、主会場となる沖縄国際友好会館──これは仮称ですが──この会館については、サミット会場として沖縄の特色を十分演出できるような会場づくりをしていきたいと、そういうふうにしていくことが重要であると考えます。
 また、プレスセンターの施設や設備につきましてはサミット後もその機能の一部を残し、情報通信による地域振興の拠点の一つとして活用できればというふうに考えております。
 第3に、沖縄の場合サミット関係者にとって空港や宿泊施設や主会場、そしてプレスセンター、それぞれの間が離れております。したがってその間の連携が十分図れるような輸送対策を講ずる必要があるということを痛感いたしております。
 第4番目に、各国代表団を初めとするサミット関係者の宿泊につきましては、可能な限り沖縄の観光や県民生活に悪影響を及ぼさないように配慮しながら適切に対処していく必要があると考えております。
 第5に、各国プレスを通じ沖縄県民の平和を志向する心や美しい自然、歴史、文化だけでなく、すぐれた投資環境や観光・リゾート地、国際コンベンション都市としての優位性等を世界に効果的に発信していく必要があると思います。
 また、サミットを契機としまして情報通信などの分野を中心にして基盤整備やソフトの充実を図り、本県の一層の国際化や振興開発に弾みをつけていくことも重要であると考えています。
 沖縄のサミットを成功させる最大の課題は、いかに県民の皆様の理解と協力が得られるかということでありまして、既に設置してあります県民会議を通じて一人でも多くの県民の皆様が主体性を持って御参加いただけるようにしていくことが重要であると考えております。
 次に、県のサミット推進事務局の現状と今後の運営状況をという御質問でございます。
 県は、去る6月9日に従来のサミット推進室を格上げする形でサミット推進事務局を設置し、サミット推進活動への取り組みの強化を図っているところでございます。
 この事務局は、現在、総務企画班、事業広報班、基盤整備班及び接遇班の4つの班で構成されており、それぞれの所掌事務の観点からサミット開催に伴う種々の課題に日々取り組んでおります。今後は市町村や民間団体等からの職員も可能であれば受け入れながら、体制をさらに強化していきたいと考えております。
 次に、県民が参加する県民会議の体制、今後の事業内容、県の推進事務局との連携はどうかという御質問でございます。
 この県民会議は、九州・沖縄サミット首脳会合の成功を期するために全県一体となった協力、支援及び受け入れ体制を確立するとともに、今後の本県の国際化及び振興開発に貢献する事業を展開することを目的として去る5月25日に設立されました。
 この県民会議は、サミット開催に関心を有し会議への参加を希望するすべての団体及び個人をもって構成されております。会長は沖縄県知事、副会長には県議会議長、沖縄県市長会会長及び沖縄県商工会議所連合会会長に御就任いただいておりまして、また県選出の国会議員を顧問とし、また県知事を議長とする役員会あるいは会場整備部会などの部会を4つ設置しております。
 今後は、この県民会議設立の目的を達成するためサミット開催のための諸条件の整備、関連事業の企画及び実施、広報事業等を展開していきたいと考えております。
 この県民会議の事務局は、県のサミット推進事務局内に置かれておりまして、この推進事務局が県民会議と県との事務局としていわゆる車の両輪として互いに密接に連携をとりながらサミットの推進活動に取り組んでおります。
 県としては、この県民会議を中心にしましてサミットに関するあらゆる問題について県民の声を生かす形で協力、支援体制が得られるよう努めたいと考えております。
 次に、シミュレーションに基づく開催日までのもろもろの運営計画はいつごろまでにでき上がるかという御質問でございます。
 今回のサミットは日本では初めての地方開催でございまして、国と地元との役割分担等については今後具体的に調整されていくと。もう既にある程度の調整は始まっておりますが、まだ調整中というところでございます。
 このため県としましては、ケルン・サミット調査団の調査結果も踏まえた上で国との調整を急ぎ、早急に今後の運営計画を立てていきたいと考えております。
 それから、通訳を初めとする多くのボランティアが必要と思うが、その内容と対応などの準備体制、数の御質問もございました。
 ボランティアにつきましては、例えばプレスに対するガイド通訳や町の美化清掃などといった面で御活躍いただくことが考えられますが、具体的な対応につきましては先ほど来御紹介しております県民会議を通じまして関係者の皆様の御意見をいただき、また御協力を賜りながら進めていきたいと考えております。
 数といたしましては、目安としてはリヨンのサミットの際には500名ほど動員されたと伺っております。
 また、先日調査してまいりましたケルンでは150名のボランティアの方が携わられたと聞いておりますが、できればリヨンの500名よりさらに上回るようなボランティアの方々が御活躍をしていただければというふうには考えております。
 それから、沖縄の特性を世界に発信できる好機だが、プレスセンターとの連携サービスはどうかという御質問でございますが、サミットの開催によって世界じゅうから数千人と言われる報道関係者が沖縄にやってまいります。県としては、これら報道関係者に沖縄県民の平和を志向する心や美しい自然、歴史、文化だけでなく、すぐれた投資環境や観光・リゾート地、国際コンベンション都市としての優位性などを発信したいと考えています。
 これら報道関係者のためプレスセンターが国によって設置されますが、県としてはプレスセンター内に県のインフォメーションコーナーを設けたり、あるいは各種の媒体を利用して情報発信をするとともに、県産品の提供といったことも行いまして、そうしたもろもろのことを通じて沖縄を積極的に紹介していきたいと考えております。
 以上でございます。
○警察本部長(井上美昭) サミット決定に伴う準備体制について一括してお答え申し上げます。
 警備体制については、御指摘の国際テロやサミット粉砕を標榜する極左暴力集団の動向など今後の国内外の情勢を視野に入れ、各国要人の日程、関連行事及び宿舎等関連施設の状況を見きわめながら検討していくことになります。
 なお、過去の東京サミットや大阪APECの警備でも警視庁や大阪府警で1万人規模の部隊の応援を得て警備に当たっていると承知しております。
 今回の沖縄サミット警備につきましても、全国警察の応援が必要であると考えており、このため部隊宿舎について現在ホテル等の宿泊施設のほか、公共施設の利用、仮設(プレハブ)等での対応を検討しております。
 県警では、県民生活の安全と平穏の確保を図りつつ、サミット開催時における警備の万全が期せるよう御指摘の自衛隊を含め関係機関との連携を密にして種々諸準備を進めております。
 以上でございます。
○企画開発部長(宮城正治) 沖縄経済振興21世紀プランとの関連で、3次振計の後期計画、国際都市構想、沖縄政策協議会21世紀プラン、すべてとオーバーラップすると思うが、その整合性についてということに対するお答えであります。
 県が平成8年9月に策定いたしました「沖縄振興開発の課題と展望」では、自立発展への基本方向として国際都市沖縄の実現を初め農林水産業、貿易並びに観光・リゾート産業等の特色ある産業の振興と基盤の整備を示しております。
 さらに、県は平成9年11月に国際都市形成構想の実現に向け自由貿易地域の新たな展開、情報通信関連産業の集積促進、国際観光保養基地の形成の3つを柱とした新たな産業振興策を策定いたしました。
 これを受け、今回中間報告で示された沖縄経済振興21世紀プランでは加工交易型産業の振興、観光・リゾート産業の新たな展開、国際的なネットワーク化を目指した情報通信産業の育成、農林水産業の新たな展開の4つの主要分野等についての具体的施策が示されております。この中には沖縄政策協議会において検討、実施されてきた各種施策も反映されております。
 したがいまして、これまで県及び国が検討、実施してきた沖縄経済振興策の具体的体系化が図られたものが21世紀プランであります。
 以上です。
○商工労働部長(宮城春一) 米軍基地問題について駐留軍従業員の雇用について拡大を図るべきと思うが、その実態と対応策はどうかという御質問にお答えいたします。
 基地従業員の配置は、日本各地における米軍施設の用途によって大きく左右されております。特にMLC従業員は施設の用途により決定され、演習場や倉庫施設等のほとんど従業員を要しないものから、港湾施設や事務所等の多数の従業員を要するものまで幅広くあります。本県の場合、演習場が全施設面積の68.7%を、倉庫施設が14.0%を占めている関係上、MLC従業員は施設面積に比べ少ない数となっております。
 MLC従業員は、平成11年5月末現在で本県が5753人、全国の場合がMLCの比率でいきますと30.7%でございます。神奈川県が7857人で同41.9%となっています。
 一方、ファーストフードや小売店等は軍人・軍属及びその家族へのサービスを目的に設置されていることから、そこに従事するIHA従業員は軍人等の数に左右されており、本県が2699人、全国でいきますと46.8%、神奈川県が1297人、同22.5%となっています。
 そのほかにMC従業員、いわゆる船員契約従業員は沖縄県が6人、神奈川県は1人もおりません。全国では12人おります。
 基地で働く従業員は、これらの間接雇用従業員のほかに米国の歳出外資金で運営する店舗等に直接雇用されている従業員がおります。これらの従業員については日本政府が雇用主となっていないことから正確な数は把握できない状況にありますが、本県の場合は約2000名いると思われ、主に軍人・軍属の家族が雇用されております。神奈川県では直接雇用従業員を把握していないとのことでございます。
 本県の失業率は高く、とりわけ若年層の失業率が高いことから、約2000名の直接雇用米人従業員を日本人従業員に切りかえ、雇用拡大に努めることは大変重要なことだと考えております。
 しかしながら、これら従業員の給与は米国の歳出外資金で支払われており、また本県には退役軍人や軍人・軍属の家族等が約2万2000人ほどいると言われており、軍人・軍属の生活を考えると切りかえは極めて難しいものではないかと思われます。しかしながら引き続き機会をとらえ、米軍関係機関へ日本人従業員の雇用について強く要請をしてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 4月に教育長を拝命いたしました翁長でございます。
 大変微力ではございますが、本県教育の充実発展に全力を傾注してまいりたいと考えておりますので、先生方の御指導を賜りたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 それでは幸喜議員の御質問にお答えしたいと思います。
 人材育成に関連いたしまして、県人材育成財団の設立目的、事業内容等についてということでございますが、お答えいたします。
 財団法人沖縄県人材育成財団の設立目的は、「沖縄県内に住所を有する者の子弟のうち、優秀な学徒で経済的理由によって修学困難な者に対し、学資を貸与又は給与し、併せて留学助成、研究助成、その他必要な事業を行って、本県の教育、文化及び産業の発展に資するための有為な人材を育成すること。」となっております。
 次に、事業の内容につきましては、1つ目に学資の貸与及び給与、2つ目に修学上必要な施設の設置及び運営、3つ目に国内留学及び国外留学の助成、4つ目に沖縄県の学術、文化及び産業に関する研究の助成、5つ目に在沖米軍施設・区域内大学就学者の推薦、6つ目に語学教育機能の推進等となっております。
 また、人材育成財団の基金の造成は、平成11年3月31日現在で29億4413万3000円であります。
 この基本財産の運用果実は、平成10年度実績で6267万2000円となっております。 
 同じく人材育成についてとの関連で、過去5年間の奨学金貸与状況について応募者、採用人員、採用率の順で示してもらいたいという御質問にお答えいたします。
 平成6年度は、応募者が261人に対し採用人員が173人で、採用率は66.3%となっております。
 平成7年度は、応募者322人に対し採用人員が201人で、採用率は62.4%となっております。
 平成8年度は、応募者386人に対し採用人員が180人で、採用率は46.6%となっております。
 平成9年度は、応募者464人に対し採用人員が214人で、採用率は46.1%となっております。
 平成10年度は、応募者415人に対し採用人員が215人で、採用率は51.8%となっております。 
 同じく人材育成に関連いたしまして3番目の御質問でございますが、採用率100%近くに持っていくにはどれだけの基本財産と果実が必要となるか、金額を示してもらいたいという御質問にお答えいたします。
 平成10年度の奨学金申込者の状況は、応募者が415名に対し採用者が215名となっております。
 採用できなかった200名を採用したとした場合の所要額は、総額で約1億800万円が見込まれます。この額の果実を生むためには、約51億4300万円の資金の確保が必要になります。
 同じく人材育成に関連いたしまして、滞納の現在の実態を詳しく知らせてもらいたい、それから滞納額が返還された場合の貸与できる人員は何名ふえるかという御質問にお答えいたします。
 平成10年度末の滞納額は8812万9000円、滞納者は737人であります。
 種別ごとの内訳で見ますと、国内の高校貸与奨学生の滞納額は2514万1000円で、滞納者は391人となっております。
 大学貸与奨学生の滞納額は5591万円で、滞納者は301人となっております。
 大学院貸与奨学生の滞納額は137万2000円で、滞納者は12人となっております。
 その他、国外の留学貸与奨学生の滞納額は570万4000円で、滞納者は33人となっております。
 滞納額8812万1000円が返還された場合、1人当たり年間約54万円の所要額になりますので、貸与は163人ほどが増になるのではないかと考えております。
 同じく人材育成についてという質問に関連して、滞納者に対する今後の対応は法的措置も含め厳しく対処すべきだと思うがという御質問にお答えいたします。
 平成9年度及び平成10年度は、4年以上の滞納者で電話督促、督促状の送付、訪問督促など再度の督促や催告にも応じない者で返還能力があると認められる者に対し、支払命令予告等の法的措置を行ってまいりました。
 平成11年度においても、支払命令予告にもかかわらず返還のない者については今後とも厳しい法的措置をとることにしております。
 なお、このことにつきましては、県教育委員会といたしましてもこの状況を真摯に受けとめ、財団とともにその対応策を考えてまいりたいと思っております。
 最後の御質問でございますが、財団の平成11年度の事業概要を説明願いたいという御質問にお答えいたします。
 平成11年度の沖縄県人材育成財団の主な事業といたしまして、第1点目に奨学金貸与事業として奨学金貸与予定者を580人、第2点目に国外留学生派遣事業として英語圏、アジア圏、ヨーロッパ諸国への留学生派遣予定者を43人、第3点目に在沖米軍施設・区域内大学就学者推薦事業として推薦予定者を70人、第4点目に研究助成事業として国内・国外の大学や研究機関等への派遣予定者を10人、第5点目に高校生の国外留学としてヨーロッパ諸国とアメリカへの派遣予定者を50人とする計画をしているところでございます。
 なお、語学センターの事業といたしまして、国費による沖縄県同時通訳者養成事業、同時通訳基礎講座、翻訳者養成事業等を計画しております。
 以上が沖縄県人材育成財団の平成11年度の主な事業概要となっております。
 以上でございます。
○伊波 栄徳 社会民主党・護憲共同県議団を代表いたしまして質問をいたします。
 さて、稲嶺県政が発足してはや半年が過ぎてまいりました。
 2月定例議会におきまして我が会派の平良長政議員も懸念しておりましたところの経済振興については政府を動かし大変期待できると思いますが、基地問題では反対に政府の言いなりになってしまうのではないかと危惧しておりますことを指摘してまいりましたが、光が強くなれば影が濃くなる例えのように基地問題に陰りが濃くなりつつあります。
 公約である「県民党」的立場を全うし、基地問題の解決に全力で取り組んでくださいますようお願いをいたします。基地被害のない平和な沖縄をつくるためにともに頑張る決意もいたしているわけでございます。
 ことしは、本土復帰してから27年になります。戦後の米軍統治時代と同じ年月になりました。27年の歳月は四半世紀を超える長さでありましたが、ようやく日本国民としての権利が回復し平和憲法が適用されました。
 我が県の戦後の半世紀は、沖縄差別史観への挑戦だったような気がするし、米軍支配への抵抗、琉球文化の復興、芥川賞作家や世界チャンピオンの輩出など一歩一歩自信を高めてまいりました。そしてことしは甲子園で流れた「キロロ」の歌声や優勝旗を手にした沖尚球児たちの笑顔には130万県民が勇気づけられました。まことにありがとうございました。
 さて、質問でありますけれども、復帰27年になりましたが、何が変わり、何が変わってないのか、知事の所見をお伺いいたします。
 小渕内閣は、次々に重要法案を国会の十分な審議や国民の理解を得ることなく成立させております。5月24日の新ガイドライン関連法案に続き、6月は通信傍受法案を柱とする組織犯罪対策法、地方分権整備法(米軍用地特別措置法案を含む)、住民基本台帳法案が衆議院を通過している。
 一時は見送りかと思っておりましたけれども、国旗・国歌法案は今国会に成立する見通しとなっております。
 米軍用地特別措置法改正などを盛り込んだ地方分権整備法について社民党が賛成したことはまことに残念であり、遺憾の意を表します。
 喜屋武真栄先生が常に沖縄の現実を全国民に訴えるとき、小指の痛みは全身の痛さと訴えてまいりましたが、そのことを理解することなく賛成したことについて強く抗議もし、私たち県本として遺憾の意を表している次第であります。
 戦争体制法の成立で今憲法が危機にさらされようとしております。何といっても日本国憲法のよさは第9条であり、以外にも第11条以下の基本的人権がありますが、これらの条文にはほとんどの国民が異議はなく、憲法全文103条の中で最大の争点となっている条文は9条であろうと思います。
 9条ほど賛否両論、左右真っ二つに分かれておりますが、私は第9条は日本国憲法の基本的理念として戦後50年にわたり日本の進むべき方向、方位の指針となっただけでなく、全人類の理念とされてきました。
 9条は、日中戦争及び太平洋戦争にわたる15年戦争の戦火と犠牲との反省の上に立って制定されました。戦力の保持を禁止し、戦争を放棄した9条は全世界で画期的なものでありますが、9条も歴代内閣によって解釈改憲を重ね、空洞化されつつあります。まことに残念でなりません。
 例えば吉田第1次内閣では、一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争もまた交戦権も放棄したものであるとしながら、同じく吉田第3次内閣になると、いやしくも国が独立を回復する以上は、自衛権の存在することは明らかと変化し、鳩山第1次内閣となると、憲法は自衛権を否定していない、自衛のための抗争も放棄していないという解釈を打ち出し、岸第1次内閣は、自衛権の内容を裏づける最小限度の戦力としていわゆる核兵器がすべて憲法違反とは言えないと飛躍し、田中第1次内閣では、自衛のため必要最小限度の戦力を備えることは許されるものと解されるとなり、福田内閣は、F15、P3Cを保有しても憲法の禁じている戦力に当たらないとなり、ついに中曽根総理の「浮沈空母」発言も飛び出したのであります。
 憲法議論は、護憲も改憲もつまるところ憲法が好きか嫌いかに尽きるようであります。
 撃ちてしやまん、欲しがりません勝つまではの、戦争にいいかげんうんざりした後、戦争を放棄し戦力不保持を宣言した憲法を大事にしなければなりませんが、国民の関心が経済問題に集中している間に日本の進路を変える重大な国策が決定された。特にガイドライン関連法によって自衛隊の役割が一段と強化されようとしている。
 このような状況の変化は、憲法の平和主義を脅かすばかりではなく、アジアの人々が日本人に対する警戒感を増幅させるだけである。今こそ憲法の理念である平和主義の原点に返るべきでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、去る12日の参議院日米防衛協力指針特別委員会で野呂田防衛庁長官は、周辺事態が発生した場合に沖縄が最も影響を受ける可能性があると発言し、その後、舌足らずの面があり、県民、国民の皆様に不安を与え、審議に混乱を与えたことをおわびしたいと釈明して発言を撤回したが、沖縄の基地の現実からすると野呂田長官の発言が事実であり、政府の本音と理解するのでありますけれども、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、返還跡地の有害物質の検出についてであります。
 那覇防衛施設局は、嘉手納弾薬庫地区の一部の原状回復作業の土壌調査結果を発表し、地主への引き渡しのための説明会が6月24日に行われました。土壌調査がその日にしか行われず地主に不安を与えております。
 北原局長は、調査に万全を期した、結果が出て県と読谷村に連絡しようとしたが、「慰霊の日」で連絡がつかなかった、事実を隠そうとした意図はないと話しておりますが、土壌分析調査結果報告によると、5月25日と6月1日に採取をし、6月17日に分析結果が出ているのであります。その前に報告ができたはずであります。
 また、ボーリング調査の六価クロム、鉛の分析は、バルブボックスナンバー1は採取日が6月20日、分析は6月21日、バルブボックスナンバー2におきましては採取日は6月21日、そして6月22日に分析をしております。
 また、残土調査におきましては6月22日に採取をして、6月23日に分析をしているわけでございます。
 調査に万全を期したと発表しておりますけれども、単なるアリバイづくりのための調査ではなかったかと大変不安であります。
 よって、次のことについてお尋ねをいたします。
 1、嘉手納弾薬庫の返還地について環境汚染の立場から地主は不安で受け取りを拒否しておりますが、県はどのような報告を受けておりますか。
 2、県独自で汚染土壌の調査を行う必要があると思いますが、対応する考えがありますか。
 次に、新学習指導要領に対する県の取り組みについてであります。
 沖縄戦が終わったとき生き残った人々の心の痛みをいやし、廃墟の中から人々を立ち上がらせ心の支えとなったのも民族伝統の歌三線でありました。
 方言で歌われる音楽が方言を解せなくなった若い世代にまで歌い継がれ、愛好されるのは沖縄県民共有の情感が流れているからではないでしょうか。
 沖縄の人々は、歌・三線を喜びのときに歌い、悲しみの日に歌い、酒を酌み交わし喜びをともにし合い、祝福のときに歌い、悲しみを分かち合い、みずからを慰めるときに歌い、人を恋するときに歌い、旅立つ人の無事を祈って歌い、再会の喜びを歌う、歌・三線なしに沖縄の人々の時は始まらないし終わりもしない、歌・三線は沖縄の人々の生活そのものであり命であります。それによって子供たちはウチナーンチュとしての人間形成がなされていきます。
 幸いにいたしまして、上原直彦さんや関係者の方々の力により3月4日の「サンシンの日」は県民的な行事となっております。
   歌トゥ三線ヌ  昔始マリヤ
   犬子音アガリヌ  神ヌ御作 
 三線が今重宝がられておりますけれども、このほど告示された「新学習指導要領」では、いわゆる和楽器の演奏が2002年度から中学校の音楽授業で必修となり、2003年からは高等学校の授業でも取り入れられることになっているという。それに対する県の取り組みはどのように進んでいるのか、お尋ねをいたします。
 1番目に、指導者の育成についてであります。
 これまでのように音楽教諭が授業を担当するのか。となりますと西洋音楽中心に研究してこられた担当者はいわゆる歌・三線、和楽器の演奏をこれから学ばなければなりません。またこれから音楽教師を目指すとき、日本伝統の音楽と西洋音楽とどちらも学ばなければならないのか。そしてその教育はどこで行うのか。琉球大学であるのか県立芸大であるのか。
 2番目に、教科書の研究は進んでいるのかどうか。
 3番目に、教員免許の特例または見直しも考えられるのか。
 4番目に、指導者の確保はどのようになっておりますか。
 次に、沖縄経済振興21世紀プランについてであります。
 具体的構想と沖振法の関係についてであります。
 21世紀に向けた経済の自立化は実現できると確信をいたしますか。
 その中に沖縄のサトウキビの振興はどのような位置づけをなされているのか。
 次に、基地問題について。
 日米特別行動委員会の合意事案について。
 1、基地面積の20%に当たる11施設の返還が合意され、いずれも県内移設での整理縮小であると受けとめます。
 昨年末の安波訓練場の返還、楚辺通信所、読谷補助飛行場のパラシュート降下訓練の移設が合意しておりますが、時期、条件等どのようになっておりますか。また施設設備が強化されることはないのかどうか、お尋ねをいたします。
 2番目に、朝鮮民主主義人民共和国のテポドン発射をきっかけに導入が決まった情報収集衛星(偵察衛星)システムで政府が衛星から画像を受ける受信局を沖縄県に設置する方針であるが、SACOの合意施設内に設置されることはないのか。またこのことは基地の新たな機能強化になると思いますが、反対すべきでありますけれども、見解をお尋ねいたします。
 普天間飛行場の移設について。
 知事の基本的姿勢について日米両政府は理解を示しているのかどうか。
 移設に関し県側の作業はどの程度進んでおりますか。
 琉球新報社の県内53市町村長を対象としたアンケート調査の結果、「県外に移設すべき」37.7%、「無条件返還を求めるべきだ」11.3%、県内移設に反対する意見が5割を占めております。自治体の長の意思として重く受けとめるべきと思うが、知事の見解を求めます。
 稲嶺知事は、普天間飛行場の移設先として軍民共用で15年の暫定使用の飛行場を陸上の探したい旨発言している。しかし、海上案が出される前に陸上の移転先もシミュレーションもされたが、なかなか困難なので海上ヘリポート案になったということもあり、沖縄県内移設を前提とした場合には普天間飛行場の早期の返還はなかなか困難になると思われる。そこで原則的には日本に米軍海兵隊が存在する必要がなくなり、米本国に移転することが望ましいが、現時点でそれが望めないなら次善の策として当時の橋本首相の談話、つまり広く国民全体で負担する精神から県外移設も検討すべきであろうと政府系のシンクタンク(総合研究所)は中間報告を発表しており、この際県民の総意をまとめ県外移設を実現させるべきと思うが、知事の見解を求めます。
 那覇軍港移設問題について。
 那覇軍港の移設は浦添移設あるのみか、他の場所も調査をしておりますか、お尋ねをいたします。
 普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室の役割についてお尋ねをいたします。どのような機能でどのような仕事をしているか、お尋ねをいたします。
 次に、第26回主要国首脳会議についてであります。
 誘致活動から決定まで短い日数でありましたが、稲嶺知事を先頭に525団体から成りますサミット誘致県民会議の方々が心を一つにした運動の成果であり、その努力に対し感謝を申し上げる次第であります。
 何はさておきましても、知事が先頭になった力こそ大きな原動力になったと思うのでありますけれども、稲嶺知事は昨年の知事選挙も短期決戦で見事に勝利をしております。今回の誘致合戦も短期決戦でありましたが成功をいたしております。特別な秘訣があるのでありましょうか。来年も私は選挙でありますけれども、その秘訣を教えてもらえればというふうに思うわけでございます。
 なお、抽象的な議論から具体的な議論へと変わってまいりました。沖縄での開催は、沖縄の国際化に大きなインパクトを与えることになります。特に外国の首脳や代表国の人々、何千人にも及ぶマスコミ関係者など沖縄の文化や自然、風土に触れながらグローバルな問題について論議したり、各国に向けて情報を発信したりすれば沖縄という名がまさに世界を駆けめぐることになります。
 もちろん沖縄が国際的なリゾートコンベンション都市として広く世界に紹介されることにもなり、沖縄の新たな観光産業を柱として大きな発展をしさまざまな経済効果が期待されると言われておりますが、具体的な説明をお願いいたします。
 また、開催後の経済効果についてどのように推計しているか、お尋ねいたします。
 我が国でのサミット開催は79年、86年、93年と7年置きに東京で開催されましたが、3回すべて東京であります。その主な理由は警備上の視点でありますけれども、沖縄におけるところの警備体制はどのようになりますか。
 要人の警備について、交通問題について、住民生活への影響はどうなるのか。
 それから3番目に、ケルン・サミットから何を学び、九州・沖縄サミットに生かそうとしておられるのか、お尋ねをいたします。
 4番目に、独自性を強調し、平和、基地、文化、リゾートを訴えたいとのことでありますけれども、特に平和、基地についてどのような視点から訴えますか。
 サミット開催は、基地問題とはどのような関係にありますか。
 稲嶺県政の最大の課題は景気回復、失業者の解消、しかも普通の手段ではどうにもならなくなった物事を回復させる非常手段、いわゆるカンフル剤で回復解消するとの公約でありましたが、大正時代創業のしにせ沖縄山形屋が経営不振から8月いっぱいで閉店。県内海運業大手の有村産業の事実上倒産した従業員600人は雇用不安、生活不安が広がってまいりました。流通面を中心に県民生活への影響が懸念されていると報じられているが、知事の所見をお伺いいたします。
 また、支援策はなかったかどうか、お尋ねをいたします。
 県内の雇用情勢も厳しく、4月の完全失業率は8.4%となり、前月比0.5ポイント、前年同月比0.6ポイントそれぞれ上昇した。
 県では、沖縄若年者開発助成金制度など失業率が高い若年者を中心にした雇用対策が必要である。これまで繰り返してきたような対策ではなく、中長期的な雇用対策が必要であるが、どのような対策があるか、お尋ねをいたします。
 次に、新石垣空港建設問題について。
 位置選定委員会の構成について、構成員が団体代表の場合は団体の意見となるのか、着工までのタイムスケジュールはどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
 次に、海洋性健康増進施設の事業の推進状況はどのようになっているか、お尋ねをいたします。
 次に、青少年非行についてお伺いをいたします。
 県環境部の「青少年の意識実態調査」によりますと、「自分の将来に希望を持っていますか」の問いに3割強が「いいえ」と答えております。大きな夢を持つべき子供たちが将来に希望がないというのは健全な社会とは言えません。この調査結果を重く受けとめなければなりませんけれども、県警としてこの少年非行問題についてどのような機構で、またどのような形で取り組んでおられるのか。
 例えば最近では宮古署の日高署長さんが、少年非行の大きな要因は深夜徘回であるとして「すこやかてぃだの子サポート作戦」や嘉手納署におけるところのシンデレラタイム運動等でいわゆる夜型社会を是正するために頑張っております。特別な対策がありましたらよろしくお願いをいたします。
 次に、伝統工芸の発展、継承に力を入れている沖縄県にとって大きな財産がまた一つふえました。琉球陶器の金城次郎さん、紅型の玉那覇有公さん、首里織物の宮平初子さんに次ぐ人間国宝となる読谷山花織が重要無形文化財として指定され、その保持者として与那嶺貞さんが認定されました。このことによって名実ともに読谷山花織が大きく羽ばたき、他の織物産地へ大きく影響するものと思うが、今後の沖縄織物振興の施策についてお伺いをいたします。
 次に、国道58号の北谷町砂辺から嘉手納マリーナまでの2キロの間は、大雨のたびに飛行場からの雨水によってフェンスが破壊され、道は交通どめになるわけでございますけれども、それは軍によって調査をし改善をすべきでありますけれども、そのようなことがなされたかどうか、お尋ねをいたします。
 心身障害者小規模作業所への補助金交付要綱改正について減額への不安を訴えているが、その事実はどうなっておりますか。
 介護保険法に対する市町村の取り組みについてお願いをいたします。
 沖縄こどもの国について。
 沖縄こどもの国は72年に開園しておりますけれども、今大変運営難になっております。ぜひとも県や国の力が必要であると訴えております。
 特に今年度におきましては、副知事等の力によりまして前年並みの補助金が交付されてきたのでありますけれども、ぜひともみんなの力で沖縄こどもの国の健全運営をさせていかなければならないというふうに思いますけれども、御所見をお伺いいたします。
 以上で終わります。
○議長(友寄信助) ただいまの伊波栄徳君の代表質問に対する答弁は、時間の都合もありますので休憩後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午後3時24分休憩
   午後4時  再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 休憩前の伊波栄徳君の質問に対する答弁を願います。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 伊波栄徳議員の御質問にお答えいたします。
 若干順番が変更になることをお許し願いたいと思います。
 知事の政治姿勢について、復帰後27年経過したけれども、変わった点、変わらない点ということでございます。
 昭和47年の沖縄の復帰に際し、各分野における本土との格差を是正し、自立的発展の基礎条件を整備するため沖縄振興開発特別措置法等に基づく振興開発が総合的に推進されることになったわけでありますが、各種指標から見た変わった点、変わらなかった点についてお答えしたいと思います。
 復帰後これまで国の積極的な支援と県民挙げての努力によって今日では道路、空港、港湾などの社会資本、農林水産業の生産基盤、上下水道、公園等の生活環境施設、教育関連施設及び福祉・医療施設等の整備については着実な成果を上げております。
 また、教育水準の向上、国際交流の進展、文化・スポーツ面における青少年の活躍など、県民生活も全般において目覚ましい発展を遂げたものと思います。
さらに、自由貿易地域等の設置、観光・リゾート産業の進展や情報通信関連企業の相次ぐ立地、また基地経済依存度の低下等、これらの点が大きく変わった点だと認識しております。
 しかしながら、一方において県民所得は伸びてはいるものの、本土との格差は依然として存在し、経済の自立につながる産業振興の立ちおくれ、全国平均の約2倍に達する高い失業率や財政依存の構造、広大な米軍施設・区域の存在等、これらの点が変わっていないところと認識しており、解決すべき重要な課題であると考えております。
 次に、同じく政治姿勢について、いわゆるガイドライン関連法により憲法の平和主義が脅かされていると、知事の所見を聞きたいということへのお答えでございます。
 県としては、現在の国際連合下の安全保障体制及びアジア情勢などから見て、日米安全保障条約が我が国の平和と安全のため必要であるということは今日の国際政治の現実であると考えております。
 国会においても、憲法の平和主義の原則を踏まえつつ、周辺事態法等いわゆる新ガイドライン関連法の必要性を考慮し、同法等を可決したものと認識しております。
 次に、参議院特別委員会における野呂田防衛庁長官発言についての知事の所見を聞きたいということへのお答えでございます。
 御指摘の野呂田防衛庁長官の発言については承知しておりますが、その後、去る5月12日の参議院日米防衛協力のための指針に関する特別委員会において防衛庁長官は、周辺事態に際して沖縄県など特定の地方公共団体に特に過重な負担を強いるようなものではないと訂正しております。県としては、周辺事態に際して本県が過重な負担にならないように県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応していきたいと考えております。
 次に、基地問題について、SACOの合意事案については安波訓練場の返還、楚辺通信所、読谷補助飛行場のパラシュート降下訓練の移設が合意しているが、時期、条件等どのようになっているか、また施設設備が強化されることもあるかということへのお答えでございます。
 SACOの合意事案のうち、安波訓練場については昨年12月に返還が実現しております。
 楚辺通信所及びパラシュート降下訓練の移設等については、移設先である金武町及び伊江村が正式に受け入れを表明しております。
 なお、楚辺通信所にあったアンテナ通信施設及び関連支援施設についてはキャンプ・ハンセンに移設され、施設面積は53ヘクタールから3.7ヘクタールへ、通信施設の高さは37メートルから12メートルの施設に代替するとされています。
 また、パラシュート降下訓練については、現在、国において伊江島補助飛行場での訓練の環境整備について調整が行われているところであります。
 県は、基地の整理縮小を初めとする基地問題の解決に当たっては国との連携を密にし、地元市町村の意向や県民の理解と協力を得ながらSACOの合意事案を着実に実施することが重要であると考えており、今回の受け入れ表明は、金武町や伊江村がSACOの趣旨について御理解を示され、苦渋の選択を行ったものだと重く受けとめております。県としては、今後地元市町村と連携を図りながら基地の運用や訓練における安全の確保、さらに地元から出ているさまざまな要望について国に対し積極的に働きかけていきたいと考えております。
 次に、基地問題の中で情報収集衛星システムの沖縄配置についての御質問へのお答えでございます。
 国が進めている情報収集衛星に関し、本県がその受信局の建設候補地に挙がっていることについてはマスコミ報道により承知しています。
 しかしながら、この件についてはこれまでのところ国から何らの打診もなく、その具体的な内容についても知らされておりません。県としては、今後同計画について情報収集に努め、適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、基地問題について、普天間飛行場に対する知事の基本的姿勢について日米両政府は理解を示しているかという御質問でございます。
 普天間飛行場は、市街地の中心に位置し非常に危険な状況にあることなどから、一日でも早く返還を実現させる必要があります。普天間飛行場の返還問題に関して、国は、県の考え方を十分聞き、理解と協力を得ながら真摯に取り組むとしております。
 また、米国政府の高官からは、普天間飛行場の移設に関して新たな提案があれば歓迎するとの発言もありますので、日米両国政府の御理解をいただけるものと認識しております。
 次に、基地問題について、普天間飛行場の移設に関し県側の作業はどの程度進んでいるか聞きたいとの御質問へのお答えでございます。
 普天間飛行場の移設問題については、現在、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意検討を進めており、同室では5月に米軍、自衛隊及び民間が共同使用している三沢飛行場の実態について調査を行ったところであります。
 このような調査等を踏まえ、さまざまな観点から複数の案についての検討を進めているところであり、できるだけ早期に県の考え方をまとめたいと思っております。
 次に、基地問題について、普天間飛行場の移設について琉球新報社のアンケート調査によると県内移設に反対する意見が5割を占めていると、この点について見解を聞きたいという御質問と、それから県民の総意をまとめるべく普天間飛行場の県外移設を実現させるべきと思うが知事の見解を聞きたいには一括してお答えいたします。
 普天間飛行場の移設問題に関して、各自治体にさまざまな御意見があることは承知しております。
 普天間飛行場については、同飛行場が市街地の中心に位置し非常に危険な状況にあることなどから早期返還の実現を図る必要があります。県は、危険な普天間飛行場を一日でも早く動かすためには、現実的で実現可能な方法を選択することが重要であり、SACOで合意された事案を着実に実現することが県民の願いである基地の整理縮小につながるものと考えています。現在、県内移設に向けて空港建設の可能性などさまざまな課題を鋭意検討しているところであり、県としては地元の意向を尊重し、幅広く県民の理解と協力を得ながら作業を進めていきたいと思います。
 次に、那覇軍港の移設は浦添移設あるのみかという御質問へのお答えでございます。
SACOで合意された那覇港湾施設の移設については、沖縄の産業振興、経済の自立化を促進する観点から、那覇港のハブ機能を有する国際流通港湾化に向けた計画の中で検討してまいりたいと考えております。県としては、那覇港国際流通港湾計画調査の作業状況も見ながら総合的に検討しているところでございます。
 次に、沖縄経済振興21世紀プランについて、具体的構想と沖振法との関係についてという御質問へのお答えでございます。
 沖振法は、沖縄の総合的な振興開発を目的として制定されたものであり、それに基づいて沖縄振興開発計画が策定されております。
 一方、21世紀プランは、沖縄経済の自立化に向けた経済振興を図る観点から振興開発計画に新たな視点等を加えていくという性格を備えた実践的戦略プランであります。
なお、本プランに盛り込まれた各種施策については、3次振計後の新たな沖縄振興計画の検討の場において経済分野に関して十分生かされていくものと考えております。
 同じく21世紀プランで、沖縄の経済自立化の実現に確信があるかという点の御質問へのお答えでございます。
 沖縄経済振興21世紀プラン中間報告は、沖縄経済の現状と課題を分析した上で自立型経済に向けての政策の基本的考え方及び政策の具体化の方向を示し、その実現のための施策を展開する体系的な経済振興策としてまとめられております。
 言うまでもなく経済の活性化、自立化は民間主導で行われるべきものでありますが、本県経済は企業の経営危機が相次いで表面化するなど一段と厳しさを増している状況にあります。21世紀プランは、このような現状を打破し本県経済の新たな展望を示すものと期待されております。
 しかしながら、自立を促進するための施策効果は県や市町村及び民間の各主体がそれぞれの役割をどう認識し、どう取り組んでいくかにかかっております。このため県民一体となった推進体制を構築し、同プランに盛り込まれた各種施策を着実に実施することにより経済の自立化が図られるよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、同じく21世紀プランについて、沖縄のサトウキビ作の振興はどのように位置づけられるかという御質問へのお答えでございます。
 農林水産業については、産業振興の一つとして農林水産業の新たな展開が位置づけられております。その中で基幹作物であるサトウキビ作については、担い手を核とした効率的な生産組織の育成、農地の流動化や農作業受委託の推進等を通じて生産性の向上を図ることとしております。
 また、サトウキビの高付加価値化を促進するため、これまで利用されていなかった有用物質の分離・利用を可能とするケーンセパレーションシステムの導入によりサトウキビの総合利用を推進することとしております。
 次に、第26回主要国首脳会議について経済効果をどのように推計しているかという御質問へのお答えでございます。
 サミット開催による経済効果としては、短期的な効果と中長期的な効果があると考えております。
 まず、短期的な効果としては宿泊、飲食等の消費効果とプレスセンター、道路等の整備によって生ずる投資効果が期待できます。
 次に、中長期的な効果としては、沖縄のすぐれた自然や歴史、文化を世界に発信し、本県の魅力を国内外に知っていただくことにより、観光客のさらなる増加と国際会議や国際イベントの誘致が期待できることであります。
 また、国際会議の開催ノウハウの蓄積や県民のホスピタリティーの向上など、国際化に対応できる人材の育成に寄与していくものと考えています。
 さらに、特別自由貿易地域制度の優遇税制や豊富な若い労働力等の投資環境を国内外に発信することにより、本県への投資等を期待することができます。
なお、サミット開催後の経済効果を数量的に推計することについては、国、県、民間等の関連投資や事業規模等が未確定なことなどから今後の動向を見きわめながら検討していきたいと考えております。
 次に、同じく主要国首脳会議のケルン・サミットから何を学び、沖縄サミットに生かそうと思うかということへのお答えでございます。
 ケルン・サミット視察で印象的だったこととしては、まず、ケルン市の長い歴史と高い文化レベルをさりげなくアピールしながら、国際見本市や各種国際会議等の豊富な開催経験を踏まえ自然体で取り組んでいたことを挙げることができます。
 2つ目に、関係当局が「市民参加のサミット」というコンセプトのもと、市民の理解と協力の呼びかけに努め、市民生活への影響に十分配慮しながら、関連文化行事等を通してサミットをエンジョイするという運営がなされていたことであります。
 3つ目に、サミットを契機に地元情報を世界に発信しようとする意欲が旺盛で、その媒体であるマスコミの対策に十分な配慮がなされていたことであります。 
 ヨーロッパの古都で、国際経験豊かな大都市ケルンと日本の離島県である本県とを同列に論ずるわけにはいきませんが、沖縄としても県民会議を通してボランティアの活用やサミット関連事業への県民参加を推進することや、県民参加型のサミットを実現することが重要であると考えています。
 また、沖縄県民の平和を志向する心や美しい自然、歴史、文化だけでなく、すぐれた投資環境や観光・リゾート地、国際コンベンション都市としての優位性等を世界に効果的に発信していく必要があると考えています。
 さらに、サミットを契機として情報通信などの分野を中心に基盤整備やソフトの充実を図り、一層の国際化や振興開発に弾みをつけていくことも重要であります。
 次に、同じく首脳会議について、独自性を強調する中で平和、基地についてどのような視点に訴えるかという御質問へのお答えでございます。
 サミットの開催により世界じゅうの目が沖縄へ集中します。私としては、その機会に平和を志向し、協調し、支え合い、そして異質なものを溶け込ませてしまう寛容さを持った沖縄県民の心を世界に発信したいと考えています。
 平和については、こうした沖縄県民の歴史を前向きにとらえつつ未来を創造していくとの姿勢を強調しながら、国際連合を中心に世界の人々が連帯して平和活動に取り組む必要があることを訴えていきたいと考えています。
 また、基地問題については、沖縄の米軍基地がアジアの平和を守るための日米安全保障条約を維持していく上で重要な役割を果たしていると認識しています。しかしながら、本県には全国の米軍専用施設面積の約75%が集中しており県民生活にさまざまな形で影響を与えていること、そのため県民が基地の計画的、段階的な整理縮小を求めていることを訴えていきたいと思います。
 次に、首脳会議について、サミット開催と基地問題はどのような関係にあるかと。
 県としては、サミット開催と基地問題とはそれぞれ県政の最重要課題と認識しており、サミットの開催についてはその成功に向けて県民挙げて受け入れ体制を整えるとともに、県民の英知を集めて沖縄開催の意義を最大限に引き出していけるよう取り組んでまいります。
 基地問題については、国との連携を密にし地元市町村の意向を踏まえ、県民の理解と協力を得ながらSACOの合意事案の着実な実施に向けて前向きに取り組んでまいります。
 次は、景気回復、失業者の解消についてということで、大正時代創業のしにせ沖縄山形屋の経営不振で閉店することについての所見を伺いたいという御質問についてのお答えでございます。
 沖縄山形屋の閉鎖問題について、県としてはこれから沖縄の経済振興策が本格的に展開されようとしているやさきのことであり、また同店が沖縄の小売商業界の発展に大きく貢献してこられただけに大変残念であり、事態を深刻に受けとめております。
同店の閉鎖は、長引く消費不況と小売業界の熾烈な競争が主な要因と考えますが、地域経済や周辺商店街にどのような影響を与えるのか、懸念しております。
 沖縄山形屋は自主的閉店であり、事前に支援要請や相談はありませんでした。 現在、従業員の処遇については関連会社へ引き継ぐ方向で会社・労働組合及び個々の従業員との間で話し合いが行われており、県としてはその動向を見守りながら雇用失業対策等に適切に対応していきたいと考えております。
 次に、同じく景気回復、失業者の解消についてで、県内大手の有村産業の事実上の倒産は非常に大きな影響が懸念されると、これについての所見を伺いたいとのお尋ねでございます。
 去る6月23日に大手海運会社の有村産業株式会社が、那覇地方裁判所に会社更生法適用の申請を行ったことはまことに残念であります。
 御承知のように、島嶼県である本県は県民の日常生活や経済活動に必要な物資のほとんどを海上輸送に依存しております。県民生活の安定と県経済の振興発展に大きな役割を果たしてきた同社がこのような事態となり、県民生活の安定はもとより県経済や関連企業、その従業員の雇用への影響を心配しているところであります。
同社は、再建に強い意欲を持って取り組んでいるところであり、今後、那覇地方裁判所の判断を待つことになりますが、県としましては裁判所の会社更生の手続に注目しているところであります。関係者の皆さんには本県における海運事業の重要性を認識され、一致協力して一日も早く再建が図られるよう期待するものであります。
 次に、雇用対策について、中長期的な雇用対策が必要であるがどのような対策があるのかとのお尋ねでございます。
 経済の自立と雇用の安定を図ることは県政の最重要かつ緊急の課題であり、その解決に向けて全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 緊急的な雇用対策としては、地域雇用開発助成金、沖縄若年者雇用開発助成金の活用による雇用機会の創出や、新たに新規大学等卒業予定者就職支援事業を実施する等若年者を中心とした雇用対策を積極的に進めるとともに、財団法人雇用開発推進機構が実施する人材育成事業や雇用開発事業に対して支援を行い、雇用情勢の改善を図っているところであります。
 中長期的な雇用対策としては、本県の特性を生かした産業の振興による雇用の場の創出が重要となっています。そのため本県経済の自立的発展を目指す沖縄経済振興21世紀プランに盛り込まれた加工交易型産業の振興、観光・リゾート産業の新たな展開、情報通信産業の育成等諸施策の着実な実現を図ります。
 また、沖縄県産業創造アクションプログラムの推進により戦略産業や地元企業の育成を図るとともに、沖縄産業振興・創業支援センター(仮称)の整備等により支援体制を強化します。 
 さらに、経済社会の変化に対応できる高度で専門的な人材の育成に努めるとともに、意欲ある若者を国内外の企業等に派遣し、創業・起業を担う人材を育成するグローバル産業人材育成事業を実施します。
 これらの施策を着実に実行することにより、新たな産業の創出や事業の拡大が促進され雇用機会の増大が図られるものと考えます。
 次に、伝統工芸の発展継承について読谷山花織の与那嶺貞さんが人間国宝に認定されたこと及び今後の織物振興の施策についてでございます。
 国指定重要無形文化財「読谷山花織」の保持者として与那嶺貞さんが人間国宝に認定されました。その偉業に敬意を表するとともに、心からお祝いを申し上げます。
 これは本県の伝統工芸の豊かさ、質の高さが全国的に高い水準にあると認められたものであります。各産地においては自信と励みとなり、県民に大きな喜びと誇りを与えるものであります。
 県としては、世界に誇れる貴重な沖縄の伝統工芸品の継承発展を図るため、平成9年度に策定した第4次沖縄県伝統工芸産業振興計画に基づき後継者の育成、原材料の確保、需要の開拓等の施策を推進するとともに、人間国宝を本県の貴重な財産として技術・技法を継承し伝統織物を初め工芸産業の振興に努めてまいります。
 次に、新石垣空港建設問題について位置選定委員会の構成についてへのお答えでございます。
 新石垣空港建設位置選定委員会の委員としては、学識経験者を初め地元選出県議会議員、地元の行政機関代表、関係公民館代表、農業関係団体代表、自然保護団体代表、経済団体等の代表を考えており、全体で36人の構成となる予定です。
 次に、同じく新石垣空港問題で構成員が団体代表の場合は団体の意見となるのかとのお尋ねでございます。
 新空港の建設位置は、新石垣空港建設位置選定委員会において地元の合意形成を踏まえて選定されるものです。したがってその委員となられる関係団体代表は、その所属する団体の意思をまとめて発言していただくという考えであります。
 続いて、新石垣空港の着工までのタイムスケジュールについての御質問に対してお答えいたします。
 現在、学識経験者を初めとして地元の行政機関の代表者や関係公民館の代表者の方々に建設位置選定委員会を設置して位置選定をしていただく趣旨等を説明し、委員会への参加をお願いしているところです。現在、学識経験者及び地元代表者の大部分の方々の了解をいただいております。今後、各委員候補者の方々全員の同意が得られ構成メンバーが確定した上で、7月下旬には第1回の委員会を開催する予定であります。
 建設位置選定委員会の中で委員の皆様が議論を尽くしていただき、できるだけ早期に位置を選定し提言していただきたいと考えております。
 位置決定後、飛行場設置許可申請に必要な諸調査を実施し、関係地権者、関係機関の同意を取りつけ、市議会、県議会の議決を得て運輸省に対し飛行場設置許可申請を行います。その後、許可を受け事業着手となります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 伊波栄徳議員の質問事項のうち、那覇軍港移設問題についての中で普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室の役割についての御質問にお答えをいたします。
 普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室は、普天間飛行場及び那覇港湾施設の移設に関する諸問題の調整に関する業務を行っております。これまで県外における軍民共用の空港や港湾の調査を行ったところでありますが、今後、その他の類似施設の調査を行い、これらの調査等も参考に国や関係市町村等と調整しながら、移設に関する諸問題について総合的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、返還跡地で有害物質が発見された場合の対応についての中で、嘉手納弾薬庫の返還地について環境汚染の立場から地主は不安で受け取りを拒否しているが、施設局から報告を受けているかとの御質問にお答えいたします。
 県は、去る6月24日に那覇防衛施設局から嘉手納弾薬庫地区の一部返還土地に係る土壌分析調査等について調査内容及び調査結果の説明を受けました。
 その中で、一部で六価クロム及び鉛が環境基準値以上の数値が出たが、周辺に広げた調査では検出されず汚染とは認識していない旨の説明がございました。
 また、那覇防衛施設局は嘉手納弾薬庫地区の一部土地の引き渡し及び土地引き渡しに係る補償等の説明会において地主にも同様な説明を行ったと聞いております。
 県といたしましては、国が今後とも地主及び関係市町村等の不安を払拭するため引き続き努力されるよう働きかけていきたいと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) 返還跡地で有害物質が発見された場合の対応について、県単独で汚染土壌の調査を行う必要があると思うがどのように対処するかという御質問にお答えします。
 那覇防衛施設局が実施した調査は、環境庁が示した「重金属等に係る土壌汚染調査・対策指針」に基づいて県内の民間環境調査会社に委託して行われており、適正に調査されたものと認識しております。
 当該汚染は、バルブボックス内において使用されていた塗料に六価クロム等が含まれていて、塗料を塗りかえるときに剥離した古い塗料がバルブボックス内の浅い土壌に残留していたことによると推定されております。
 そのため、検出された六価クロム等はバルブボックス内の底部の深さ15センチの土壌部分のみから検出され、50センチ、1メートル、1メートル50センチ等の深さの土壌やバルブボックス外の周辺土壌からは検出されていないことから、その他の地域への広がりはないものと思われます。
 以上のように、当該地域の汚染の状況につきましては明らかになっていると解されますので、県独自の調査を実施する必要性は低いものと考えております。
 以上です。
○警察本部長(井上美昭) 第26回主要国首脳会議についての要人の警護について、交通問題について、県民生活への影響はあるかとの問いについて一括してお答え申し上げます。
 要人警備を含め警備体制については、過去の東京サミットでの警備体制等を参考にしながら、沖縄県警が中核となって警察庁や全国警察の協力・応援を得て行うことになりますが、具体的には今後の国内外の情勢や各国要人の日程、関連行事及び宿舎等関連施設の状況を見きわめながら検討していくことになります。
 県警では、県民生活の安全と平穏の確保とサミット警備の万全を期すため、警備や交通体制について十分な検討をしながら各種準備を進めているところであります。
 なお、交通規制に当たっては県当局と連携しながら事前広報を徹底するなど県民生活に十分に配意し、県民の理解と協力を得てまいりたいと考えております。
 次に、少年非行の概況と特徴的傾向及びその対策についてとの問いにお答え申し上げます。
 初めに、県下の少年非行の概況について申し上げます。
 平成11年5月末現在、警察が刑法犯で検挙補導した人員は795名でありますが、そのうち少年は428名で53.8%を占めております。
 それを罪種別で見ますと窃盗犯が最も多く、次いで粗暴犯、凶悪犯の順となっております。
 学職別は中学生が全体の約52%を占め、以下高校生、無職少年、有職少年の順となっております。
 次に、少年犯罪の最近の特徴的傾向について申し上げます。
 第1は、昨年は中高校生による集団暴行事件が22件発生しましたが、ことしも既にきょう現在14件発生し、集団暴行事件が増加傾向を示しております。
 第2に、本年は小中高校生による窃盗事件が増加し少年犯罪の低年齢化が一層深刻化しております。
 第3は、昨年多発した凶悪犯罪は昨年と比較して横ばいの状態でありますが、他の同規模県と比較すると増加傾向にあり懸念されるところであります。
 第4は、非行少年には至らないが深夜徘回等の問題行動のある不良行為少年として補導した少年が他府県に比較して極めて高い割合を占めているということであります。
 このような状況を踏まえ、以下対策について申し上げます。
 本県における少年による強盗、強姦等の凶悪事件や重大な交通事故等は深夜に多発しており、少年の深夜徘回と因果関係があるものと認められます。
 そこで、少年の深夜徘回を防止することが必要であり、ことしの4月、警察本部に少年の深夜徘回防止総合対策推進本部を設置し、各警察署においてもそれぞれ推進本部を設置して県警の総力を挙げて取り組んでいるところであります。
 その体制づくりとして、浦添、宜野湾両警察署に少年課を新設したほか、少年サポートセンターに少年補導職員等を増強配置するなど少年警察の体制強化を図ったところであります。
 また、具体的な施策としては県を初め各市町村、学校、各自治会及び地域の各種ボランティア等の関係機関・団体とも連携を強化して少年の深夜徘回をしない、させないための機運を醸成するためこれまで住民大会、各種推進協議会、関係機関・団体との合同街頭活動及び少年のたまり場対策等の活動を強力に推進しているところであります。
 なお、各市町村議会においては、那覇市議会を初めとする35市町村議会において少年の深夜徘回防止に関する決議を既に採択していると聞いております。
 そのほか関係機関・団体と連携いたしまして青少年の深夜徘回防止県民一斉行動、青少年の深夜徘回防止県民大会等を実施して県民総ぐるみによる少年の深夜徘回防止運動を盛り上げていく予定であります。
 以上であります。
○土木建築部長(銘苅清一) 国道58号の冠水問題についての御質問にお答えいたします。
 御指摘の件について国道58号の管理者である沖縄総合事務局南部国道事務所に問い合わせたところ、平成10年10月26日と平成11年4月22日に集中豪雨による冠水があり、その原因について調査した結果、嘉手納基地からの雨水を処理する横断ボックス2基の侵入防止さくに枯れ草等が詰まったことによるものと聞いております。
 そのため南部国道事務所においては、平成10年11月9日に那覇防衛施設局に対し施設の管理を適正に行うよう申し入れております。
 その後、南部国道事務所、那覇防衛施設局及び米軍の3者間で横断ボックスのパトロール、侵入防止さくの改善を行うとともに、排水能力の検討を実施することを合意し、現在那覇防衛施設局において排水施設の検討を行っていると聞いております。
 県といたしましては、3者の取り組みの動向を見守りつつ、県民の生命、財産を守る立場から適宜国に対し改善策について申し入れるなど適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 新学習指導要領に関しまして伊波栄徳議員の御質問にお答えいたします。
 和楽器の演奏の取り組みについてということでございます。
 中学校の新学習指導要領の音楽では、「また、和楽器については、3学年間を通じて1種類以上の楽器を用いること。」と示されております。また、高等学校においてはいろいろな楽器の体験と奏法の工夫をするよう和楽器を含めて扱うこととなっております。
 本県においては、多くの学校で学校行事や授業などを通して三線、太鼓など郷土の楽器になれ親しませるようにしているところであります。今後、新学習指導要領の実施に向けて郷土の楽器が体験できるように年間指導計画の中に位置づけ、指導を図ってまいりたいと考えております。
 次に、和楽器の指導者の育成についてということにお答えいたします。  本県で和楽器を活用した郷土の伝統音楽の学習といたしましては、三線が中心になると考えられます。当面、現職の教諭を対象に教育センターなどにおいて郷土の楽器の基礎講座を開設し、基礎的、基本的なことが指導できるようにしていきたいと考えております。
 また、教員養成課程を設置している県内の大学に対しましては、新学習指導要領に沿った指導をお願いしていきたいと考えております。
 なお、琉球大学教育学部音楽教育専修コースでは、カリキュラムの中で三線や琴の授業が選択できるようになっております。
 また、県立芸術大学の邦楽コースでは専門的に郷土の楽器が学べるようになっております。 
 教科書の研究についてという御質問にお答えいたします。
 郷土の音楽教材につきましては、小中学校においては沖縄県教育音楽研究会編の「おきなわふるさとの歌」を、また高等学校においては沖縄県教育委員会編の「郷土の音楽」を活用しております。今後は、新学習指導要領に沿って和楽器の指導ができるよう副読本の作成に努めてまいりたいと考えております。 
 教員免許の特例または見直しも考えられるかという御質問にお答えいたします。
 教育職員免許法に定める音楽の免許状取得につきましては、教科に関する専門科目及び教職に関する専門科目の単位履修をもって免許状の授与条件としており、新学習指導要領の実施に伴う教育職員免許法の改正はないものと理解しております。
 指導者の確保についてという御質問にお答えいたします。
 当面、教育センターなどにおいて郷土の楽器の基礎講座を開設し現職教諭の技能向上を図るとともに、教職員の中で琉球古典音楽を指導できる方を講師として活用し、さらに特別非常勤講師制度により民間人の任用も考えていきたいと思っております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 心身障害者小規模作業所への補助金交付要綱改正について減額への不安を訴えているが、どうなっているかとの御質問にお答えいたします。 
 心身障害者小規模作業所は、法的助成制度の対象とならない施設でありますが、在宅の心身障害者の自立と社会参加に効果的な施設であることから県単独助成を行っております。
 また、小規模作業所は地域で生まれ、地域の在宅障害者福祉の増進に大きな役割を果たしており、市町村の支援が強く求められる施設でありますが、現状は市町村によって支援に格差があります。
 このようなことから、今般運営費助成について一定基準を設定し、市町村が少なくともその2分の1を負担する間接補助制度を創設して補助金の全体的底上げを行い、運営の安定化と基盤強化を図りたいと考えております。
 市町村の事情により、補助基準額を下回る助成が生じた場合、県は小規模作業所の苦しい運営実態に配慮し補助金の減額にならないよう特例措置を講ずることとしております。このことについて市町村及び障害者団体へ趣旨説明を行い合意を得ております。 
 次に、介護保険法に対する市町村の取り組み状況と県の課題についての御質問にお答えいたします。
 市町村においては、介護保険担当課や係の設置及び専任職員を配置し制度施行に向けた準備を進めております。また介護保険を総括する三役を中心にプロジェクトを組み、全庁的に取り組む市町村がふえてきております。
 介護保険事業計画の策定や10月から開始される要介護認定の準備、事務処理システムの構築や条例の制定、介護サービス提供者の状況把握等多岐にわたる事務を進めているところです。
 本県の課題としては、離島や小規模町村が多いことからマンパワーや社会的資源の確保、施設サービスに比べておくれがちな在宅サービスの基盤整備等が挙げられます。
 次に、海洋性健康増進施設の事業の進捗状況はどのようになっているかとの御質問にお答えいたします。
 本県の持つ温暖な気候風土と世界でも有数の美しさを誇る海等の海洋環境を活用し、県民の健康づくりを基本に据えてリゾート及び地域振興にもつながる海洋性健康増進施設の整備の検討を進めてまいりました。
 これまで平成8年度に整備基本計画、平成10年度は実施計画を策定し、その中で人材育成、研究機能を備え健康増進ネットワークの中核となるメーン施設とリゾート型施設の2つのタイプについて読谷海岸地区、部瀬名海岸地区の特性に応じて検討いたしました。今後は、県の財政状況が厳しい中で本事業は多額の建設費や運営費が見込まれるため、国の支援策の動向も踏まえつつ、投資のあり方や事業、運営主体等の検討を十分に行い施設整備に向けて努力してまいります。
 次に、沖縄こどもの国について運営に関し今後の県の対応について伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 財団法人沖縄こどもの国への補助については、平成11年度は人件費、動物飼料費、光熱水費の一部等運営費補助として2220万円を補助することにしております。
 沖縄こどもの国については、県内唯一の大型動物等を飼育、観覧できる施設で子供たちの夢をはぐくみ、教育の一助となると考えます。
 県としては、同法人の自己財源だけでは健全な運営が確保できないことから補助を行ってきたところであり、今後、同法人の自助努力はもとより、沖縄市等と調整を図りながら引き続き支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後4時58分休憩
   午後4時59分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 糸数慶子君。
   〔糸数慶子君登壇〕
○糸数 慶子 私は、沖縄社会大衆党を代表いたしまして通告に基づき質問いたします。       
 まず、基地問題について。
 約半年間を経過した稲嶺県政がどのように公約を実現してこられたかという点及び知事の所信表明に対する不明な点などにつき再度知事の見解をお伺いいたします。
 まず基地問題、その中の普天間飛行場返還問題について伺います。
 知事の公約には、日米安保条約の容認を前提として普天間基地の返還は「早期の返還を実現する。」と明記し、その代替基地とされる「「海上ヘリ基地案」については責任をもって政府に見直しを求める。そのかわり県民の財産となる“新空港”を陸上に建設させ、一定期間に限定して軍民共用とし、当該地域には臨空型の産業振興や特段の配慮をした振興開発をセットする。」と明確に示しておられます。
 御承知のとおり、大田前知事はSACO合意には沖縄県民の考えが反映されていないと批判されましたが、稲嶺知事はSACO合意を評価し着実な実施を表明しています。
 また第2回定例会における我が党の代表質問に答えて、「SACOの合意事項を着実に進めることが基地の整理縮小を推進する現実的手法である」と答弁しておられます。
 SACO合意の着実な実施は、合意から2年半を経過した現時点においてさえ見通しが立たず、たとえ完全実施されたとしても我が国の約70%の米軍基地は依然として沖縄に残ります。
 また、いわゆるSACO2などの可能性は、我が党委員長島袋参議院議員の委員会における質疑の中で外務大臣や官房長官によって明確に否定されています。
 稲嶺県政が沖縄政策協議会の再開やその他の関係修復を進めている現状は決して悪いことではありません。しかし問題は、このような状況だけが進行しますと稲嶺県政は政府の要求を拒否することはできないのではないかと危惧されます。
 普天間飛行場返還問題の解決はSACO合意の中で最も難問です。第2回定例会において我が党は今後のタイムスケジュールをただしましたが、知事は返還問題を担当する組織で十分に詰めていきたいと答弁しているだけです。
 ところで、先ごろ政府は2000年の主要国首脳会議(サミット)を我が沖縄で開催することを決定いたしましたが、このことが普天間飛行場返還問題とどのようにリンクするのか憶測を呼んでいます。
 6月25日アメリカのクリントン大統領は記者会見で、基地問題が未解決な状態で沖縄に行きたくないと述べ、サミットまでに沖縄米軍基地問題をすべて解決するよう迫りました。
 そこで、以下の点につきお尋ねいたします。
 普天間基地代替いわゆる陸上案、期限つき軍民共用空港、臨空型産業振興の3点セットについては2月定例会でも問題になりましたが、知事の選挙公約で表明した普天間飛行場の問題はその後どうなったのか、対政府交渉はどのようにしてきたのか、伺います。
 野中官房長官は、サミットと基地問題をリンクしては考えないと記者会見で発言しました。クリントン大統領は沖縄サミットは基地移転を含む軍事面の合意を解決、履行する機会と述べ、SACO合意案を実現させたいとの発言をしましたが、知事の御見解を伺います。
 サミットと基地のリンク論に対して知事はどのように対応するのですか、お伺いいたします。
 次に、那覇軍港の返還問題についてお尋ねいたします。
 那覇軍港の返還については、地元浦添商工会議所等から提案のある浦添地先への移設を検討するとしておられます。
 さきに取り上げた普天間飛行場返還問題は、返還発表からおよそ3年がたっても一向にその展望が見えてきませんが、この那覇軍港返還問題については浦添商工会議所提案の西海岸開発促進陳情を浦添市議会が採択したことに続き、那覇市議会が那覇軍港の移設促進の決議を行っています。
 一方、国は99年度予算で調査費を計上し、県もそれらの動きに呼応して組織体制を編成しています。ところが、地元では那覇軍港の浦添移設に反対する市民の会が昨年末に旗揚げをし強力な反対運動を展開しています。
 社大党も党内で検討し調査活動を行った結果、当該港湾のハブ港湾化そのものが採算性から見ても実現不可能であること、軍港の移転がキャンプ・キンザーとの一体化及び固定化をもくろむ基地の再編強化策でしかないことなどの理由から明確に那覇軍港の浦添への移転に反対しております。
 これらの状況を勘案して、知事に以下の点につきお伺いいたします。
 1点目、県は那覇、浦添両市とはその後どのような話し合いをなされたのか、今後県はどう対応していくのか。
 浦添西海岸のハブ港湾化調査費としておよそ2億円の調査費が6月補正されましたが、あくまでもハブ港湾化の調査費であり、軍港移設としての調査費ではないとの県当局の見解について再度知事の御見解をお伺いします。
 調査結果が出てハブ港湾化が困難な場合は軍港の移設問題も断念するのか。
 また佐世保の視察に行ったのは目的は何なのか、お伺いいたします。
 次に、海兵隊の県外移設についてお尋ねいたします。
 普天間飛行場の返還問題につき従来稲嶺知事は、ハワイあるいはグアムへの国外移転はもちろん県外移設にしても非現実的として排しております。しかし我が党は基地の県内移設には絶対反対の立場を明らかにしており、逆に県内移設が実現不可能であるとの認識を持っています。
 なぜ県外、国外への移転が非現実的なのか。何ゆえに県内移設が可能とされるのか。
 名護の市民投票やその他の調査から見ても県内移設ができる状況にないことを無視しているとしか思えません。
 ところで去る6月17日の報道によれば、政府系シンクタンク総合研究開発機構(NIRA)が最近普天間飛行場を含む在沖海兵隊基地の大半を北海道の苫小牧東部地域開発地区へ移転可能という考え方を中間報告とした報道がなされています。
 我が党は、この新しい提案は検討に値するもので今後の動向に注目していきたいと考えています。
 ところがこの提案については、なぜか政府の側が過敏に反応し、あり得ないこととして打ち消しに躍起です。ただこの政府の対応そのものが基地を沖縄に固定化しておきたいとする思惑の反映であり、それだけ際立っているとの分析ができます。
 その点も踏まえ、次の点につき知事の御見解を伺います。
 県外移設を非現実的とされる理由及び県内移設にこだわる理由は何か。
 NIRAの調査報告について知事の御見解を伺いたい。
 海兵隊の県外移設について国内で誘致運動があると聞いておりますが、そのことについて知事の考え方を伺います。
 次に、平和行政について伺います。
 大田前知事の「沖縄の心」と稲嶺知事の「沖縄の心」とは同じなのか、違うのですか、違うのでしたら何がどう違うのか、お伺いいたします。
 6月23日の全沖縄戦没者追悼式で知事は、「この機会に平和を求める沖縄の心を世界に発信する。」と宣言されましたが、具体的には何をどう発信されるのか、お伺いします。
 次に、知事は平和の礎をどう評価いたしますか、伺います。
 平和の礎への追加刻銘予算が削除され、平和運動団体や学者から要請されて初めて追加刻銘をすると発表いたしました。にもかかわらず補正されてないのはなぜですか。今後の刻銘事業の補正予算、刻銘の時期等具体的に示していただきたい。
 また、来年度以降はどうなさるのか、当初予算に入れるべきだと思いますが、お伺いいたします。
 次に、雇用失業問題について。
 知事の選挙公約に挙げられた雇用の拡大について、具体的にどれだけの雇用対策をされ、どれほど効果があったのか、お伺いいたします。
 観光が好調であるという評価があるのとは裏腹に、現在県内においてパレスオンザヒルホテル、ハーバービューホテルなどのホテルの経営者がかわったり、あるいは既存企業の有村産業や山形屋が倒産するなど現在雇用不安を醸し出す厳しい結果が出ております。
 県は、21世紀プランあるいは経済振興策を華々しく打ち上げていますが、地場産業が窮地に落ち込んでいるその状況を見て、このような雇用対策に対して県はどう対応されるのか、あるいは再建についての支援策はどうされるのか、お伺いいたします。
 次に、ガイドラインについてお伺いいたします。
 ガイドライン関連法の成立をめぐる諸問題について。
 この法律は、そもそも我が国の憲法の平和原理からして、米国との戦争協力が可能かという問題及び国民主権の観点から国会によるチェックが機能するかという基本的な問題に始まり、周辺事態や後方支援という不明確な概念や専守防衛に徹すべき自衛隊の海外派遣など疑問だらけの法律でした。
 しかし法律が成立した現在、今後の焦点は政府がこの法律をどのように運用していくかという点です。
 具体的には周辺事態法第9条1項に言う必要な協力に地方自治体がどのように対応するのかという点が重要です。その点で全国米軍専用基地の75%が集中する我が沖縄の対応が注目されております。
 この点につきましては、5月25日の沖縄タイムス朝刊で県内主要自治体9市長の見解が伝えられていますが、7つの市が反発と懸念を表明し、2つの市が法の成立に理解を示した旨報道されています。
 我が党は、この法案の成立が沖縄県にとってゆゆしき事態を招きかねないものだという認識を持っています。
 我が国唯一の住民を巻き込んだ地上戦が展開され、異民族支配の辛酸を味わい、その後も基地重圧に苦しみ今なお米軍専用基地が異常集中する沖縄からすれば当然の認識だと考えます。
 野呂田防衛庁長官が島袋宗康参議院議員の質問に答えて、周辺事態に巻き込まれる可能性は沖縄が一番高いと認めたようにガイドラインの影響が本県に集中するのは目に見えています。
 しかし、県内の自治体の長や県民の厳しい認識と違い、稲嶺知事のこの法案成立直後のコメントは極めて危機感の薄い印象を受けました。新聞のコメントでも知事は国から提示されている具体的な協力支援の中身を見きわめながら判断していく考えを表明して、危機意識を持つ県民世論とは対照的でありました。
 また、さきの定例会で我が党の質問に対して周辺事態法に対する認識を知事に尋ねたことに対して、「県としては、国から協力を求められた場合、本県の経済活動及び県民の生命、財産への影響等総合的に勘案し適切に対応したい」としておられます。
 言うまでもなくこの法案の危険性は、過去の米軍統治下の体験や米軍基地の重圧から最も県民が敏感に察知しているものであり、県内世論、危機意識は本土とは明確に違っています。
 この法律に沖縄県知事として明確に反対を表明すべきではないでしょうか。この際、稲嶺知事のこの法案に対する御見解、すなわち今後政府から沖縄県にされるであろう協力要請に対してどのような基本姿勢で臨まれるのでしょうか。
 ガイドラインに知事は賛成なのか、反対なのか、お伺いいたします。
 また、沖縄県を含む県内の各自治体は協力すべきなのかどうか、お尋ねいたします。
 次に、米軍用地特措法再改正問題について伺います。
 我が党は、広大な米軍基地提供を強要され有効な県土利用や計画を戦後50年余も妨げられた本県にとって、地主や県、市町村の意思とは関係なしにますます基地提供の差別が強制される最悪の法再改正として怒りとともにその問題点を指摘し、反対の立場から次の質問をいたします。
 軍用地主にとっては憲法第29条で認められた財産権の制限、剥奪につながると考えられますが、知事の見解を伺います。
 同法案の再改正は、憲法で保障された地方自治の尊重の立場からは重大な問題と考えますが、知事の御見解を伺います。
 今回の法改正では、県収用委員会の存在や審議も形骸化されるので県民の立場からも県としては反対すべきと考えますが、知事の御見解を伺います。
 野呂田防衛庁長官は、衆議院行政改革特別委員会で再改正案について、新規収用も想定したものとの見解を示していますが、普天間飛行場や那覇軍港等の返還と関連して本県での県内移設条件とも絡み本県でも新たな米軍用地接収が十分に予想されますが、この件に関しての知事の御見解を伺います。
 次に、福祉行政について伺います。
 県の補助金カット問題について。
 沖縄県内では成人期障害者の働く場所としておよそ40カ所の作業所が運営されており、500人近くのハンディキャップを持った方々が利用されています。作業所に県からは市町村とは別に補助金が交付されていますが、現実としては多くの作業所が財政難に苦しみ、職員への給与もままならない厳しい運営を強いられています。
 県は現在、作業所への補助金を定める沖縄県心身障害者小規模作業所補助金交付要綱の改正作業を進めておられますが、減額への不安を訴えている関係者に対してどう対応されたのでしょうか。
 補助対象である当事者の全作業所に対して、説明会は全作業所を一堂に集めて理解を求めるべきではないか。
 今年度の救済を含め予算確保されていますが、申請が新規を含む35の作業所を超えた場合、2分の1の補償ができるのかどうか。
 来年度以降の別途補助算定はどのようになされるのか、伺います。
 次に、介護保険について伺います。
 これまでほかの議員も質問してまいりましたので、直接問題点をお伺いしたいと思います。
 介護保険料の設定は、40歳以上の人々にとっては重大な関心事で、市町村にとっても財政負担との関係で市町村間の格差の問題も含めて極めて重要な課題と言えます。
 我が党は、県民の負担過重を避ける視点とすべての県民の理解に基づく制度運営の立場から検討されるべきだと考えますが、どのように指導していかれるのか、伺います。
 低所得者については、自己負担がふえたのにサービスが減ったというケースが出ないようにすべきだと思いますが、いかがですか。
 新たに保険料を払うにかかわらず今利用している介護サービスが受けられなくなるケースが出てきますが、そうならないため経過措置や保険の枠外の公費で今までと同様のサービスを利用できるようにすべきだと思いますが、いかがですか。
 保険あって介護なしにならないようにするために痴呆性高齢者向けのグループホームが必要になりますが、介護保険のメニューに入っているのに全国でも100カ所しかない。大半が希望しても利用できない状況を変えるには1万カ所の整備が必要であると言われておりますが、本県の場合はいかがでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、環境問題について。
 米軍基地から派生する環境汚染については先ほども質疑がございましたが、嘉手納基地のうちの3月に返還された77ヘクタールの読谷村の土地から環境基準の約12倍の鉛と1.5倍の六価クロムが検出され、地主を不安に陥れています。
 そこで県は、米軍用地返還跡地から出た六価クロム等が検出され地主を不安に陥れていますが、その地主の不安にどう対応していくのか、お伺いいたします。       
 米軍用地の立入調査は、返還直前ではなく、返還決定前にできるようにしてほしいと国に申し入れてきましたが、返還決定前の立入調査の実現の手だてをどう考えているのか、お伺いいたします。
 次に、海岸整備事業についてこれまでもたびたび伺ってまいりましたが、私は、国の政策として3年ほど前から実施されておりますエココースト事業について、ぜひ生態系の保全を核とした県内の海岸保全について県がこれからどう取り組んでいくのかについてお伺いいたします。
 次に、ゼロエミッション・アイランド沖縄について伺います。
 98年度末沖縄県策定のごみ処理広域化計画では、2009年度に28カ所焼却施設が存続する内容となっています。沖縄の将来を見据えると、離島県ゆえに徹底的な分別によるごみの減量化に取り組むべきだと思いますが、そこで経済効果を十分に生かす完全な焼却場を本島に1カ所設置するのが理想的だと考えますが、このごみ処理施設の新たな計画について地域住民に徹底的な情報公開を行っていただきたいのですが、いかがですか。
 また、資源を有効利用する観点からも可燃性廃棄物による発電事業、いわゆるRDF発電事業の今後の可能性調査を他府県での実用効果等ごみの資源化について検討を図っていくと2月定例会で答弁をされていますが、その進捗状況についてお伺いいたします。
 次に、赤土問題について伺います。
 赤土流出防止対策について県は平成7年10月15日、赤土等流出防止条例を策定いたしましたが、その効果は十分とは言えません。
 赤土流出にはいろいろな要因がありますが、赤土の流出を抜本的に解決するにはその要因を把握しいかに対策を講ずるかが大きな課題です。
 そこで、赤土等流出防止条例による効果がどうなっているのか、お伺いいたします。
 条例制定以前の既存の農地に対する対策はどうなっているのか。
 赤土汚染の監視体制はどうなっているのか。
 赤土汚染の実態調査はどうなっているか、お伺いいたします。
 また、条例違反による検挙件数が何件あるのか、伺います。
 現行条例の見直しをするとすれば、どういう点が対象になるのか。
 赤土防止対策に対する今後の県の取り組みについて伺います。
 以上質問をいたしましたが、答弁によって再質問をいたします。
○知事(稲嶺惠一) 糸数慶子議員の御質問にお答えいたします。
 最初は知事の政治姿勢についてでございまして、普天間飛行場の問題はその後どうなったのか、対政府交渉はどのようにしてきたのかということへのお答えでございます。
 普天間飛行場の移設問題については、現在、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意検討を進めているところであります。
 同室では、5月に米軍と民間が共同使用している三沢飛行場の実態について調査を行い、このような調査等を踏まえさまざまな観点から複数の案についての検討を進めているところであります。県の案がまとまった段階で政府と協議していきたいと考えています。
 次に、同じく知事の政治姿勢について、クリントン大統領は、サミットは基地移転を含む軍事面の合意を解決、履行する機会と述べている、それに対する見解ということと、サミットと基地とのリンク論に対してどのように対応するのかとのお尋ねでございます。一括してお答えいたします。
 クリントン大統領の発言については、沖縄の基地問題を解決したいという大統領の期待のあらわれであると理解しております。
 県は、市街地の中心に位置し非常に危険な状況にある普天間飛行場を一日でも早く移設することが重要なことであると認識しております。そのため、去る3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意県内移設に向けての作業を進めているところです。県としては、サミットの開催と普天間飛行場の移設は、それぞれ県政の最重要課題であると認識しております。
 普天間飛行場の県内移設については、地域のコンセンサスや振興策などさまざまな問題がありますが、一日でも早く解決していくよう努力しているところであります。
 次に、同じく知事の政治姿勢について、那覇市と浦添市とはその後どのような話し合いがなされたか、今後の対応についてのお尋ねでございます。
 去る3月17日に浦添市長と直接面談する機会があり、浦添市議会における施政方針について説明を受けました。
 浦添市としては、軍港の移設先ではなく、物資の搬出入といった那覇軍港の一部機能の移設を認め、多目的埠頭を日米共同使用する案については具体的に検討するとの意見表明がありました。
 また、那覇市長とは、これまでのところ那覇港湾施設の返還問題に関して直接話し合ったことはありません。
 今後、「那覇港国際流通港湾計画調査」等の進捗状況も見ながら、必要に応じて浦添市長や那覇市長及び関係団体の方々とお会いし、那覇港湾施設の返還問題について理解と協力が得られるよう努力したいと考えております。
 続いて政治姿勢についてで、2億円の補正予算は軍港移設としての調査費ではないとの見解についてということで再度知事の考えを伺いたいということでございます。
 本県の産業振興や経済の自立的発展を図るためには、那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備することが重要であります。この調査では、波浪や地質などの自然条件調査、将来貨物需要予測や港湾関連産業導入などの経済調査、那覇港湾施設いわゆる那覇軍港の跡地利用計画調査、環境現況調査を実施するものであります。
 今回の調査には、那覇軍港の移設についての調査は含まれておりません。
 次に、同じく政治姿勢について、県外移設を非現実的とされる理由は何かということでございます。それへのお答えでございます。
 基地問題は、国際情勢や県土の有効利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、環境の保全、経済振興策等多くの問題が複雑に絡み合っていることから、県としては実現可能なものから着実に一つ一つ解決していく手法が本県の基地問題を解決する現実的な対応であると考えています。
 日米両国政府は、沖縄県民の基地負担の軽減を図るため精力的に協議を行いSACOの合意に達しました。したがいまして、米軍基地の整理縮小については、まず、SACOの合意事案を着実に実施することがより現実的で実現可能な方法であると認識しています。
 続きまして同じく政治姿勢について、NIRAの調査報告について知事の意見を聞きたいということと、海兵隊の県外移設について国内で誘致運動があるけれども、そのことについて考え方を聞きたいという2点のお尋ねでございます。一括してお答えいたします。
 NIRAの報告については承知しています。
 しかしながら、その内容について野中官房長官は、NIRAが独自にまとめたもので、政府、道庁とも一切関与していないと述べ、さらに防衛庁の江間事務次官も、政府として海兵隊を北海道に移駐するという構想は持っていないと述べております。
 県は、米軍基地の整理縮小については、まず、SACOの合意事案を着実に実施することがより現実的で実現可能な方法であると認識しています。
 なお、国内の海兵隊基地の誘致運動については、県は、県外の自治体や地域住民が誘致運動を展開しているという話は正式には聞いておりません。
 次に、同じく政治姿勢について、大田前県政の「沖縄の心」と稲嶺知事の「沖縄の心」はどうなのかということでございます。それについてのお答えです。
 私は、私たちの先人から受け継いできた「沖縄の心」とは、平和を志向する心、協調し、支え合う心、そして異質なものに対する寛容な心であり、歴史を前向きにとらえ、未来を創造するたくましい心であると考えています。
 世界平和を達成するためには、国際連合を中心に世界の人々が連帯して平和活動に取り組む必要があります。
 国連憲章の中で、世界平和のためには「寛容を実行し、かつ善良な隣人として互いに平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するために皆の力を合わせること」が重要であるとうたわれております。このことは、「沖縄の心」に相通じるものがあると考えており、私は、このような「沖縄の心」を大切にして平和行政に取り組んでまいりたいと考えています。
 次に、同じく政治姿勢について、6月23日の全戦没者追悼式で、平和を求める沖縄の心を世界に発信するというのは具体的に何を発信するかという御質問へのお答えでございます。
 過酷な沖縄戦を体験し、長年にわたる米軍支配を経験した県民は、平和への願いと人権の尊重を肌身で感じております。
 このような観点から、戦争の悲惨さ、平和のとうとさを後世に伝えるとともに、広く世界に目を向けた平和の発信に努めてまいります。
 具体的には、平和の創造に先導的な取り組みを行っている人を顕彰する「沖縄平和賞」を創設し、世界の恒久平和に寄与していきたいと考えています。
 また、新しい平和祈念資料館を開設し沖縄戦の実相を正しく伝えていくとともに、世界にも目を向けた平和学習と平和交流拠点としての活用を図るなど平和のメッセージを世界に発信してまいりたいと考えております。
 次に、同じく政治姿勢で、平和の礎への追加刻銘費用が削除され、要請があって追加刻銘をすると発表したのはなぜか、予算額、今後の刻銘の時期などを示してほしいということです。
 平成11年度の平和の礎の追加刻銘予算については、私の就任以前の平成10年10月段階で前県政において予算要求を行っていなかったものであります。
 私としては、追加刻銘を行うことが平和の礎の理念とも合致するものであるとの判断から、可能な限り毎年追加刻銘を実施していくよう担当部局に指示したところであります。
 なお、本年度については9月補正予算で措置し、できる限り早い時期に刻銘してまいりたいと考えております。
 次に、政治姿勢について、雇用の拡大について具体的にどれだけの雇用対策を行い効果があったのかとの御質問でございます。
 経済の自立と雇用の安定を図ることは、県政の最重要かつ緊急の課題であり、県では雇用情勢の改善に向けて全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 緊急かつ効果的な施策として、即効性のある公共事業を拡充するとともに、平成11年度上半期は施行目標率を82%に設定し、事業を円滑に推進することにより県経済の活性化を図ります。
 また、沖縄特別振興対策調整費の活用による通信コストの低減化に資する研究開発、賃貸工場の整備、沖縄産業振興・創業支援センター(仮称)の整備など6項目の振興策の推進により雇用機会の拡大を図ることとしています。
 さらに、地域雇用開発助成金、沖縄若年者雇用開発助成金の活用や新たに新規大学等卒業予定者就職支援事業を実施するなど若年者を中心とした雇用対策を積極的に進めるとともに、財団法人雇用開発推進機構が実施する各種雇用開発事業に対して支援を行っています。
 これらの施策を着実に実施することにより、県経済を回復の軌道に戻すとともに、雇用機会の拡大が促進され、雇用情勢の改善が図られるものと考えます。
 ちなみに、県は、各種施策の展開により情報通信産業等の積極的な誘致に努めてきており、平成9年度以降県内に立地したコールセンター等の情報通信関連企業は11社で、およそ900名が雇用されており、また今年末までに6社の進出、およそ700名の新規雇用が予定されているほか、今後県内への立地を検討している企業や増員を計画している企業もあります。
 同じく政治姿勢についてのうち、県内の経済状況は有村産業や山形屋の倒産など雇用不安を醸し出していると、どう対応されるのかとのお尋ねでございます。
 このたびの有村産業株式会社の会社更生法適用申請や沖縄山形屋の閉鎖問題については、県経済への影響はもとより、関連会社を含めた従業員の雇用確保の問題が心配されます。
 有村産業株式会社は、再建に強い意欲を持って取り組んでいるところであり、今後、那覇地方裁判所の判断を待つことになりますが、県としましては裁判所の会社更生の手続に注目しているところであります。関係者の皆さんには、本県における海運業の重要性を認識されるとともに、関連企業を含めた従業員の雇用が確保されるように一致協力して一日も早い再建を期待するものであります。
 また、沖縄山形屋については、会社及び労働組合と個々の従業員との間で処遇問題について精力的に話し合いが行われているとお聞きしており、当面その動向を注視したいと考えております。
 続きまして新ガイドライン関連法の成立をめぐる諸問題についての中で、ガイドラインに賛成なのか反対なのかという御質問にお答えします。
 県としては、現在の国際連合下の安全保障体制及びアジア情勢などから見て、日米安全保障条約が我が国の平和と安全のため必要であるということは今日の国際政治の現実であると考えており、国会においてもこのような立場から、周辺事態法等いわゆる新ガイドライン関連法の必要性を考慮し同法等を可決したものと認識しております。県としては、「周辺事態」が万が一にも発生しないことを願うものでありますが、仮に周辺事態になり国から協力を求められた場合、県民の生命、財産及び本県の経済活動への影響等を総合的に勘案し、県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応したいと考えております。
 続いて同じくガイドラインの件で、自治体は協力すべきなのかどうかというお尋ねでございます。
 内閣安全保障・危機管理室長、防衛庁防衛局長及び外務省北米局長の連名による文書によりますと、周辺事態法第9条第1項の規定の趣旨については、「地方公共団体に対する一般的な協力義務を定めるもの」で、「強制するということではなく、あくまで協力を求めるものであり、協力要請に応えなかったことに対して制裁的な措置をとることはない」とのことであります。
 また、同法第9条第2項については、「何ら義務を課すものではなく、協力依頼に応えなかったことに対して制裁的な措置をとることはない」としています。
 県としては、国から協力を求められた場合、本県の経済活動及び県民の生命、財産への影響等総合的に勘案し、県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応したいと考えております。
 次に、同じく新ガイドライン関連法問題でございます。
 1つは、駐留軍用地特措法の再改正は憲法29条で認められた財産権の制限、剥奪につながらないかどうか、その次の同法の再改正は、従来県が行っていた機関委任事務が国の直轄事務となり地方自治の尊重の立場から重大な問題と考える、知事の見解を聞きたいということに一括してお答えをいたします。
 本県には、全国の米軍専用施設面積の約75%が集中し、しかもその多くは民有地となっているため、駐留軍用地特別措置法の改正に伴う土地の使用・収用に関する事務の変更は、県民の財産や生活に影響を与えるものと認識しております。
 県においては、駐留軍用地特別措置法に基づく土地の使用・収用に関する事務について、地方分権推進委員会におけるヒアリングなどを通して市町村や県が関与できる仕組みを残すべきであるとの要望をしてまいりました。県としては、今回の地方分権推進計画に基づく駐留軍用地特別措置法の改正については、参議院における審議を注意深く見守っていきたいと考えております。
 同じく新ガイドライン関連法について、1つは収用委員会の存在や審議が形骸化されるということで知事の見解を聞きたいということと、野呂田防衛庁長官は新規収用も想定したものとの見解を示しているが、知事の見解を聞きたいという2点のお尋ねでございます。一括してお答えをいたします。
 駐留軍用地特別措置法の改正を含むいわゆる「地方分権整備法案」には、国及び地方公共団体の役割の明確化、機関委任事務制度の廃止とそれに伴う事務区分の再構成、国または都道府県の関与等の縮減・廃止、権限委譲の推進、必置規制の緩和・廃止等が盛り込まれています。
 同法案に含まれている駐留軍用地特別措置法の改正については、従来、機関委任事務として市町村長や県知事が行っていた土地の使用・収用に関する事務が国の直接執行事務に変更されるほか、新たに収用委員会による緊急裁決制度及び内閣総理大臣による代行裁決制度が設けられることになっています。
 県としては、駐留軍用地特別措置法に基づく土地の使用・収用に関する事務について市町村や県が関与できる仕組みを残すよう要望してきたところであります。 
 なお、本県には、今なお全国の米軍専用施設面積の約75%が集中している現状から県としては米軍基地の整理縮小を求めてきたところであり、今後とも地元の意向を踏まえながら、SACO合意事案の着実な実施等を通してトータルな視点から米軍基地の整理縮小に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、福祉問題についてでございます。保険料の設定に当たっては、県民の過重負担を避ける意味と、県民の理解に基づく制度運営の立場から検討されるべきである、市町村をどのように指導していくかという御質問へのお答えでございます。
 市町村は、平成12年度から16年度までの介護基盤の整備目標を介護保険事業計画によって定めることとなっており、おのおのの市町村における施設や在宅サービスの基盤整備の状況によって介護保険に要する費用が決まります。
 保険料は、これを65歳以上の高齢者の数で割ることによって算定される仕組みとなっています。
 介護サービスの基盤整備の目標は、住民の意見等も十分踏まえて設定することになっており、現在、市町村の介護保険事業計画策定委員会において検討が進められているところであります。県としましては、給付と負担のバランスを考慮して、県民の負担が過重にならないよう広域的な取り組み等、市町村を指導していきたいと考えております。
 次は、環境問題について、エココースト事業に関連する県内の海岸保全策の取り組みについてのお尋ねでございます。
 沖縄県の海岸事業は、国の第6次海岸事業七カ年計画の実施目標に掲げております、国民の生命、財産を守り、国土の保全に資する質の高い安全な海岸の創造、2、自然との共生を図り豊かで潤いのある海岸の創造、3、利用しやすくて親しみの持てる美しく快適な海岸の創造を達成するために高潮対策事業、浸食対策事業、海岸環境整備事業等を実施しております。
 特に、生態系や自然景観に配慮する必要性の高い地域においては砂浜、緑地帯の復元・創出や天然海岸に近い景観の維持・回復を図るなどのエココ-スト事業を実施しております。今後とも良好な自然環境は積極的に保全し、失われた環境の回復を図ることによって「自然と共生できる海岸」すなわちエココ-ストを形成していきたいと考えております。
 同じく環境問題について、ごみ処理施設の新たな計画については地域住民に徹底的な情報公開を行ってほしいという御質問へのお答えでございます。
 ごみ処理施設については、近年、ダイオキシン等に対する不安感や処理業者に対する地域住民の不信感の高まりなどから、施設建設に当たっては地域住民の理解を得るための情報公開を行うことは必要不可欠となっております。 
 このようなことから、平成9年6月の廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正により、施設の設置届け出及び許可申請に当たっては、施設の設置に係る生活環境影響調査書等の告示・縦覧を行い、地域住民からの意見聴取を行うこととされたところであり、地域住民に対する情報公開の制度が整備されております。
 県においては、地域住民の理解を得るために計画段階から情報公開を行うことは重要であると認識しており、説明会の徹底や説明書の配布等により十分な情報公開を図るよう、施設の設置者に対し今後とも引き続き指導していきたいと考えております。
 次に、同じく環境問題で赤土防止対策に対する取り組みについてという御質問へのお答えでございます。
 本県の美しい海を保全し水産業及び観光産業等の振興を図っていく上で、赤土等の流出防止は重要な課題であると考えております。
 県では、平成7年10月から沖縄県赤土等流出防止条例を施行しておりますが、施行後、開発事業からの流出量が約20%まで減少した結果、赤土等の年間流出量は施行前の約45%まで減少するなど一定の成果を得てきたところです。県としましては、現在、流出量の大半を占めるようになった既存農地対策として水質保全対策事業等を推進しているところでありますが、さらに流出防止対策技術の確立と普及を図るなど多様な施策を講じてまいりたいと考えております。
 公共工事等の開発事業につきましても、監視活動の強化や対策技術の向上を進め、より一層の流出量の低減を図っていきたいと考えております。
 また、赤土問題は流域ごとの複合的な流出源とさまざまな影響要因から成っているため一様な取り組みだけでは十分な効果を得ることは困難であります。今後は流域ごとに流域協議会を設置し、それぞれの河川、海域の特性に応じた対策を総合的に進めていくこととしています。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(宮城正治) 知事の政治姿勢に関連いたしまして、調査の結果が出てハブ港湾化が困難な場合は断念するのかという御質問にお答えいたします。
 本県の産業振興や経済の自立的発展を図るためには、那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備することが重要であります。
 そのため、今回の調査で世界や日本の物流動向を踏まえ、ハブ機能として国際航路ネットワーク構築のあり方、国際競争力のある港湾サービスの提供、さらには貨物の増大を目指した物流機能整備のあり方などあらゆる可能性を検討し、目指すべき国際流通港湾像を具体的に明らかにするとともに、新たな港湾計画として位置づけるための調査を実施するものであります。
 次に、環境問題でありますけれども、県内におけるRDF発電事業について進捗状況を伺いたいとのことでありますが、お答えいたします。
中部地域から排出される廃棄物を燃料とした発電事業計画を進めている企業から県に対し、事業化及び資本参加等の提案があります。これまで関係部局におきまして事業化の実現可能性等の検討を進めてきたところであります。
その結果、RDF発電事業についてはごみの燃料化、発電の際の燃焼効率、システム全体としての経済効率の確保、そして市町村が新システムへ移行する際のリスク回避策などそれぞれの段階で検討すべき課題があります。したがいまして、引き続き課題解決に向け鋭意取り組んでいるところであります。
 以上です。
○知事公室長(親川盛一) 糸数慶子議員の質問事項のうち、知事の政治姿勢についての中の、佐世保の視察に行った目的は何かという御質問にお答えをいたします。
去る6月2日から3日にかけて長崎県佐世保海軍施設に担当職員を派遣し調査をさせたところであります。
調査の目的は、米軍と民間企業が港湾施設の一部を共同使用している状況などについて調査し、今後の業務の参考にするためであります。
 次に、環境問題についての中の、嘉手納弾薬庫地区の一部返還地から六価クロム等が検出されたことによる地主の不安に県はどう対応するのかという御質問にお答えをいたします。
 県は、去る6月24日に那覇防衛施設局から、嘉手納弾薬庫地区の一部返還土地に係る土壌分析調査等について調査内容及び調査結果の説明を受けました。
 その中で、一部で六価クロム及び鉛が環境基準値以上の数値が出たが、周辺に広げた調査では検出されず、汚染とは認識されていない旨の説明がございました。
 また、那覇防衛施設局は、嘉手納弾薬庫地区の一部土地の引き渡し及び土地引き渡しに係る補償等の説明会において地主にも同様な説明を行ったと聞いております。
 県といたしましては、国が今後とも地主及び関係市町村等の不安を払拭するため引き続き努力されるよう働きかけていきたいと考えております。
 次に、同じく環境問題についての中の、米軍用地の返還前の立入調査の実現のため県は国に対しどのような手だてを行うのかという御質問にお答えをいたします。
 県は、昨年6月に「米軍基地の環境調査及び環境浄化に関する庁内研究会」を発足させ、米軍基地の環境調査及び環境浄化に関する法制度、実施体制のあり方等について検討しているところであります。
 本年度は、さらにその取り組みを強化するため、1993年に「ドイツ連邦共和国に駐留する外国軍隊に関して北大西洋条約当事国間の軍隊の地位に関する協定を補足する協定」、いわゆる「ボン補足協定」を改正して駐留NATO軍に対して国内法を適用し、また議定書で施設への事前立ち入りを合意するなど制度が整備されているドイツを実地調査する予定であります。同調査では主に制度面や技術面での比較検討を行い、日本の制度の問題点を明らかにすることにしております。
 県といたしましては、その調査結果などを踏まえ、米軍基地の環境問題の解決に向けて制度の見直しを国に求めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 福祉問題について、心身障害者小規模作業所補助金カット問題について、作業所に対して説明会をせず案を決定するのかとの御質問にお答えをいたします。
 小規模作業所は地域で生まれ、地域の在宅障害者福祉の増進に大きな役割を果たしており、市町村の支援が強く求められる施設でありますが、現状は市町村によって支援に格差があります。
 補助金交付要綱の改正は、これまで県が団体を通して小規模作業所に直接補助していたものを、市町村が実施主体となる間接補助金制度にするものであります。
 改正に当たっては、まず、市町村への説明会を行い、その意見を集約し、その後に各障害者団体に説明を行うことにしました。市町村への説明は5地区に分けて行い、その後に当事者である手をつなぐ育成会、身体障害者福祉協会、小規模作業所連絡協議会及び共同作業所連絡会に要綱改正の趣旨説明を行い合意を得ております。
 次に、申請が新規を含め35作業所を超えた場合、2分の1補助を保障できるかとの御質問にお答えいたします。
県は、平成11年度予算において必要額を確保しておりますが、新規の補助対象作業所の申請については配慮して検討いたします。
 次に、来年度以降の別途補助算定はどのようにやるのかとの御質問にお答えいたします。
 県は、市町村に対し補助基準額以上の助成を行うように助言を行い、市町村においても補助金額の増額について努力することを確認しております。それでもなお市町村の事情により補助基準額を下回る助成が生じた場合、県は作業所の苦しい運営実態に配慮し補助金の減額にならないよう特例措置を講ずることとしております。
 次に、福祉問題について、介護保険制度について低所得者では自己負担がふえたのにサービスが減ったというケースが出ないようにすべきだがどうかとの御質問にお答えいたします。
 介護保険制度では1割の利用料と施設入所の場合は食事の標準負担があります。
 これらの自己負担が一定の限度額を超えた場合は、高額介護サービス費として超えた分が払い戻される仕組みとなっています。低所得者につきましてはさらに低い限度額が設定されることになっており、現在、国の審議会において具体的な検討が行われています。 
 また、災害や長期間の入院等の特別な理由がある場合は自己負担を軽減することができることとなっています。
 次に、症状が軽いため今利用している介護サービスが受けられなくなるケースについての御質問にお答えいたします。
 特別養護老人ホームに入所している方については、要介護認定の結果、対象にならない場合でも5年間については本人の希望により入所ができる経過措置が設けられています。
 在宅サービスを受けている方で対象にならない場合には、平成11年度から「在宅高齢者保健福祉推進支援事業」が国庫補助事業として実施され、配食や移送サービス、高齢者共同生活支援事業、ひとり暮らし老人の生活支援事業等が広く展開されることになっており、これの活用を進めてまいります。
 また、平成11年度中に見直される老人保健福祉計画において健康づくりや機能訓練、寝たきり防止事業などを充実強化するよう市町村を指導しているところです。
 次に、本県における痴呆性高齢者向けのグループホームの整備についての御質問にお答えいたします。
 痴呆性老人グループホームは、痴呆性老人に対し家庭的な環境の中で精神的に安定して健康で明るい生活が送れるよう指導、援助を行う場です。 
 本県における痴呆性老人のグループホームの整備状況ですが、平成10年度までに2カ所が設置されており、11年度にはさらに2カ所を整備する予定です。12年度以降につきましては、11年3月の調査では新たに35カ所が参入を予定しており、合わせて39カ所となる予定です。
 痴呆性老人の福祉の向上を図るため、今後ともその整備を促進してまいりたいと考えています。
○文化環境部長(宮城光男) 環境問題に関する御質問のうち、赤土等流出防止条例による効果はどうなっているかという御質問にお答えします。
 沖縄県赤土等流出防止条例施行後、開発事業での流出量が約20%まで減少した結果、赤土等の年間流出量は条例施行前の約45%まで減少していると推算されております。このようなことから、条例の施行により一定の効果が上がっているものと考えております。
 それから、条例制定以前の既存の農地に対する対策はどうなっているかという御質問にお答えします。
 既存農地等への対策としましては、水質保全対策事業──耕土流出防止型でございますが──による圃場勾配の修正、排水施設や沈砂池の整備等の対策を進めるとともに、マルチング等営農時対策の農家への普及啓発、農地等からの流出状況の監視に努めているところであります。今後とも、農林水産部や市町村等関係機関と十分に連携をとりながら既存農地対策を進めていきたいと考えております。
 それから、赤土汚染の監視体制はどうなっているか、赤土汚染の実態調査はどうなっているかという御質問に対して一括してお答えします。
 赤土汚染の監視体制としましては、文化環境部環境保全室、各保健所、衛生環境研究所及び市町村がそれぞれ流出源や河川・海域の監視パトロールを行っております。
 さらに、赤土監視員を委嘱して監視活動の強化を図っております。
 また、赤土汚染の実態調査としましては、平成7年度からモニタリング海域として10海域に定点を設定し赤土等の堆積状況、サンゴの生育状況等を継続的に監視調査しており、本年度からはさらに2海域を追加いたしております。
 それから、条例違反による件数は何件あるのかという御質問にお答えします。
 条例違反により文書で命令、指導等を行った件数は、平成11年3月末現在、指導6件、協議19件、命令2件、要請1件の計28件となっております。
 なお、このほかに文書による指導等を行うまでもない軽微な違反事例がパトロール等により確認された場合は、現場等において事業者及び施工者に対し厳重に注意するとともに、速やかに適切な措置を講ずるよう指導もしてきております。
 それから、現行条例の見直しをするとすればどういう点が対象になるのかという御質問にお答えします。
 条例の見直しにつきましては、まだ条例施行後3年を経過したところであり、現行条例を十分に普及定着させていくことが重要であると考えております。
 以上でございます。
○糸数 慶子 再質問をいたします。
 知事は、先ほど普天間基地返還に対しては、現在対策室で複数の案を調査しているとおっしゃいましたが、それはどことどこを対象としているのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
 それから、NIRAの調査報告について、その中に基地の整理縮小の方針ならば同案を検討するに値するとおっしゃいましたけれども、再度お伺いしたいと思います。
 それから、那覇軍港の移設に関しましては、先ほど那覇市長及び浦添市長と知事の3者による話し合いをなさるとおっしゃっていましたが、いつごろをめどに話し合いをなされるおつもりか、その意思はおありですか、再度お尋ねしたいと思います。
 それから環境問題についてですが、米軍基地から派生する環境汚染問題について、基地をつくるときには強制的に取り上げて、返す場合になると後は野となれ山となれと。
 実は、これは3年前にSACOの合意が出ましたときに、普天間飛行場の返還が合意されましたときに宜野湾市の軍用土地等の地主会の花城会長がコメントした言葉になっているわけですが、先ほど質疑をいたしました、現在の六価クロムを発生させているという返還跡地のことなんですが、この現場は実は比謝川の支流である長田川の流域であり中南部の水がめになっているところです。
 先ほどの答弁の中では、特にこれといった影響はないと、人体に影響はないと答えていらっしゃいましたが、これは地元だけの問題ではなく、水の問題も含めて六価クロムというのはぜんそくや肺がんなどの中毒を発生させるという恐ろしい物質になっておりますけれども、県は国に対して再調査を求め、その結果を公表させるべきだと思いますけれども、再度お尋ねいたします。
 それから赤土等流出防止条例に関してなんですが、施行されて3年目、そして20%減少、45%赤土が減少したということなんですが、実態としてはまだ沖縄の青い海を汚染しているその状況。海に潜ったダイバーたちの調査報告によりますと、本当に沖縄の海は10年前に比べると惨たんたる状況だと言われています。
 県は今、愛知県の矢作川方式にならってその作業を進めていると言われておりますが、具体的に沖縄県で赤土を予防するための対策、その手だてをぜひ愛知県の矢作川方式にならってやっていただきたいと思います。
 以上再質問いたします。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後6時3分休憩
   午後6時4分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 糸数慶子君。
   〔糸数慶子君登壇〕 
○糸数 慶子 先ほどNIRAの報告について、基地の整理縮小の方針ならば同案を検討するに値すると思いますが、再度知事の御見解を伺います。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後6時4分休憩
   午後6時5分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) ただいまの再質問にお答えをいたします。
 普天間基地について、複数に絞るという話だけれども具体的にどこかということでございますが、今実は検討中のところでございます。具体的になった段階でこれは御報告したいと思っております。
 続いてNIRAについての見解でございますが、私が再度先ほど申しましたように、県は米軍基地の整理縮小については、まずSACOの合意事案を着実に実施することがより現実的な可能な方法であると認識をしております。
 それから那覇港の問題について親泊市長とはいつ会うのかということでございますけれども、これも今検討中でございまして、必要に応じてできるだけ早くお会いしたいと思っております。
○文化環境部長(宮城光男) 六価クロムの関係で国に対して再調査を求めるべきではないかという御質問に対してお答えいたします。
 先ほど伊波議員の御質問に対しましてお答えしたんですが、バルブボックスの非常に限られた範囲で一部でしか六価クロムは発見されてないと。周囲16カ所の調査もしておりますけれども、そこでは全く発見されてないということがございまして、その他の地域への広がりはないというふうに考えておりますので、今現在国に対して再調査を求めていこうという考えは持っておりません。
 それから、赤土問題で矢作川方式を採用してはどうかというお話がございました。
 先ほど知事から答弁いたしましたように、いわゆる各流域ごとに流域協議会をつくりましてその対策に当たるという回答を申し上げましたけれども、この流域協議会をつくってする対策がまさに矢作川方式の一つでございまして、その辺を参考にしながら、御提案のとおり矢作川方式を参考にしながらこの赤土問題を進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○糸数 慶子 知事は先ほど、今は普天間飛行場の件に関しては複数の案を調査しているがどこどことは言えないとおっしゃいましたが、今が一番重要な時期だと思いますが、再度お伺いしたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) ただいままだ検討の段階でございますので、この段階で出すということはできませんので、その後に御報告いたします。
○上原亀一郎 日本共産党県議団を代表し知事並びに関係部長に質問いたします。
 1、初めは、サミット関連についてであります。
 我が党は、これまでサミットが歴史的に多くの問題を残してきたことや、特に沖縄開催のねらいが米軍基地のたらい回しによる県民への押しつけと機能強化にあることを指摘して反対の態度を表明してきました。
 今後、サミットの沖縄開催が決定された以上は、そのたくらみを許さず県民生活への負担や人権侵害などの被害を出さないために、県民とともに奮闘していく決意であります。
 そこで質問に入ります。
 (1)、サミットの政治的ねらいがSACO合意の実施にあることがいよいよ明確になりました。政府も沖縄県内の意思統一で県が具体的に提案するのを待つという態度です。知事は、普天間移設の具体案づくりを迫ってくる日米両政府に対してどう対処なさいますか。
 (2)、去る6月25日のクリントン米大統領発言に対し新聞論調は、「大統領、なぜそんな発言を」、「問題を難しくするだけ 米の姿勢は県民の反発を招く」と非難ごうごうです。主権国家の沖縄県民の尊厳を著しく汚すものです。
 知事、この際、普天間基地は即時無条件全面返還以外にないことを堂々と胸を張って表明なさったらいかがですか、お答えください。
 (3)、サミットによる県民の経済損失、財政負担は一切政府の責任で処理すべきです。知事の政府に迫る決意を県民に示してください。
 (4)、過剰警備による県民生活への圧迫やさまざまな権利侵害が予想されることについてどう対処なさいますか、お答えください。
 2、次は戦争法(ガイドライン関連法)について質問いたします。
 国民の反対を押し切って成立させられたガイドライン関連法はまさに憲法の平和原則を踏みにじり、我が国を戦争しない国から戦争をする国に政治の方向を逆流させるもので、自自公の政治の責任は極めて重大であります。
 ガイドライン法は、米軍の世界戦略で沖縄基地の果たすべき決定的な役割が明確にされてきています。それだけにあの大戦で唯一住民を巻き込んでの地上戦で多くの県民が殺された教訓からも、再び沖縄を戦場にしないための闘いが一層重要になってきています。
 そこで知事にお伺いしますが、(1)、北朝鮮で有事を想定した作戦で沖縄の協力を具体化したことは2月定例会で再度にわたり指摘しましたが、改めて知事の方から県民に明らかにしてください。
 (2)、自治体協力について拒否したら違法となるという見解を提示しています。知事はこの自治体協力についてどのような態度をとられますか。拒否なさいますか、それとも協力するのですか、明確な御答弁を求めます。
 (3)、憲法を守る立場から、また二度と再び我が麗しい山河を戦場のいけにえにする非道を許さない沖縄県民の崇高な悲願と恒久平和への断固たる決意にこたえて、ガイドライン関連法、世にも恐ろしい戦争法の廃止を内外に表明すべきです。知事の率直な御答弁を求めます。
 (4)、偵察衛星受信局の建設計画問題が明らかになっていますが、基地の機能強化につながるこの建設計画に反対すべきですが、いかがですか。
 ワシントンの米海兵隊司令官は6月17日、F402RR408Aエンジンを搭載した海兵隊AV8Bハリアー機の飛行をすべて一時停止するよう命じたが、たった10日間を置いたのみで嘉手納基地を離陸させています。県民を欺く米軍の非道を許してはなりません。県民の意思決定機関である県議会が抗議決議をしたばかりの県民総意に基づき訓練の即時中止と同部隊の撤退を求めなければなりませんが、知事の所信を県民に明らかにしてください。
 3、地方分権一括法案について。
 (1)、政府が早期成立をねらう地方分権一括法案は、分権とは名ばかりで新たな地方統制法ともいうべきものであることがこれまでの衆参両院審議を通じていよいよ明らかになっています。したがって国の関与、統制強化をやめ、自治体の自主性を最大限に尊重するよう求めることについては知事も異存はないと思いますが、どのように国に迫っていかれますか、お答えください。
 (2)、地方への財源移譲を促進することについても同様に異存はないと思いますがいかがですか、御答弁を願います。
 (3)、米軍用地特措法の改悪はガイドライン(戦争法)の成立に合わせてアメリカの戦争に自治体と住民を動員する仕組みをつくるための改悪でありやめるべきです。全国の米軍基地――専用施設ですが――の75%の米軍基地を押しつけられている沖縄県民にとってこれ以上の土地取り上げを許さない立場に立って、いかように県民要求を貫いていかれますか、お答えください。
 4、実施を10カ月後に控えた介護保険問題について。
 (1)、公的負担の問題について。
 我が党は、介護保険導入に当たって福祉と保険の結合という方針を提起しました。政府がそれを退けて保険一本にした上、財政負担を強行したところに今の重大な事態が生まれる根源があります。
 ア、来年、介護保険が導入されますと国と地方の公的負担はこれまでと比べて4500億円も減らされることになります。2000年度の予想ですが、国が3700億円負担が減り、地方の負担が800億円減るとされています。知事はそのことを承知しておられますか。
 イ、我が県の負担は幾らの減になりますか。
 以上の2点についてお答えください。
 (2)、実態調査について。
 ア、政府が介護と保険の準備状況の問題について直ちに調査を行い、国民に責任ある説明を行うこと。少なくとも今のやり方を強行したら認定外しになる人がどれだけ生まれるか、またどれぐらいの介護体制がとれるか、そういうことを市町村ごとにとらえた全国調査が緊急に必要です。これまた知事も異存はないと思います。どのように国に要求なさいますか。
 イ、同時に、政府待ちにならず県も自主的に実態を調査しなければなりません。知事の所見をお聞かせください。
 (3)、実施について県民は大きな不安を抱いています。特に認定については特養ホーム入所者はどうなりますか。ヘルパーや待機老人についてはどうか。保険料、利用料はどうなりますか、お答えください。
 5、第4次沖縄振興開発計画とその根拠法沖縄振興開発特別措置法についてです。
 (1)、3次振計総点検の作業プロセスとその進捗状況について県民に明らかにしてください。
 (2)、全戦没者追悼式での内閣総理大臣あいさつ、「引き続き現行の沖縄振興開発計画を着実に推進し、」ということは、第4次沖縄振興開発計画を策定して推進するということにほかなりません。もし別物だというのであれば130万県民を欺くものです。知事は、これまで4次振計について明言を避けてこられたが、この際、胸を張って政府に要求するとお答えください。
 次に、その根拠法である沖縄振興開発特別措置法は10年間の時限立法であることから、3年後に期限切れになろうとしています。法治国家においては法律に基づかない計画は絵にかいたもちにならざるを得ません。幾ら総理大臣が言おうとも法令で決まらなければ絵にかいたもちです。沖縄を甘やかすななどという奇妙きてれつな珍論、暴論におどかされてはなりません。お答えください。
 (3)、慰霊の日の内閣総理大臣あいさつは、「沖縄の方々を深い悲しみに突き落としたあの戦争の悲惨さ」を言わざるを得なかったではないですか。
 沖振法の立法の趣旨については、2月定例会での私の質問に知事はお答えになりました。10数万のとうとい犠牲者を出したばかりか、戦後26年余の長期にわたり我が国の施政権の外に置かれた沖縄県民への償いの心を持って当たるべきとして沖振法は制定されました。復帰して27年、全国の米軍基地専用施設の75%が沖縄県に集中しているということは、いまだに施政権の外に置かれているも同然です。主権の実態はすっからかんです。である以上、これまでに数倍する償いの心を持って沖縄県民に当たらなければならないものです。
 このように沖振法の立法の趣旨が達成されていない以上、沖振法は三たび延長存続は言うに及ばず、抜本的に拡充強化しなければなりません。遅疑逡巡なさってはいけませんよ、知事。いつ要求なさいますか、お答えください。
 6、沖縄本島縦貫あるいは一周鉄道の建設について。
 私は、一昨年2月定例会予算特別委員会で、沖縄全島を鉄道で取り巻くところまでいかぬと沖縄の経済発展はあり得ない、なぜなら今日のスピードを競う時代において慢性的な交通渋滞を強いられているからです、県民所得最下位の大きな要因の一つもここにあるといっても差し支えないでしょうと指摘したところ、新聞は沖縄一周の鉄道をと報道しました。
 ことしになって沖縄県市議会議長会、続いて6月21日には九州市議会議長会は、沖縄本島一周鉄道の早期建設を可決しました。県政上の問題を知事は拱手傍観してはいけません。
 沖縄における日本共産党の前身である沖縄人民党は、復帰前の国政参加選挙で糸満―名護間の沖縄本島縦貫鉄道建設を政策に掲げ県民世論に訴えました。
 これを受けて県議会は昭和49年3月29日、「沖縄本島を縦断する国有鉄道を敷設すること。」とする国鉄の導入に関する意見書を全会一致で採択して、文字どおり県民の総意としました。
 ところが、西銘県政のもとで超長期的展望に追いやられて眠らされた形になっていますが、県議会は撤回決議はやっていませんので県民の総意は厳然と生きているわけです。ですからこれを放置するということは議会制民主主義をじゅうりんすることにもなります。
 それでは、どのように具体化していくか。
 (1)、沖縄振興開発特別措置法の抜本的拡充強化の中で、特別措置の大きな柱としてその筆頭に沖縄本島縦貫鉄道、あるいはさらにそれを発展させて沖縄本島一周国有鉄道の建設を据えて政府の財政負担で建設させることです。これまた遅疑逡巡は許されないものです。知事のきっぱりとした御答弁を求めます。
 (2)、深刻な交通渋滞によって県民がこうむっている経済損失について知事は県民に明らかにしなければなりませんが、あわせてお答えいただきたい。
○議長(友寄信助) ただいまの上原亀一郎君の代表質問に対する答弁は、時間の都合もありますので休憩後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午後6時30分休憩
   午後6時57分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 休憩前の上原亀一郎君の質問に対する答弁を願います。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 上原亀一郎議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、サミット関連についてでございます。
 サミットの政治的ねらいがいよいよ明確になってきたと、知事は普天間移設に対して日米両政府に対してどう対処するか聞きたいという最初の御質問へのお答えでございます。
 県としては、サミットの開催と普天間飛行場の移設は、それぞれ県政の最重要課題であると認識しております。
 普天間飛行場は、市街地の中心に位置し非常に危険な状況にあることなどから、早期の返還について県から強く要望し、日米両国政府は普天間飛行場の返還を含むSACOの合意に達したものと理解しています。したがって、日米両国政府がSACOの合意事項の着実な実現を希望するのはこれまでの認識を表明したものであると考えています。
 普天間飛行場の移設問題については、去る3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意検討を進めているところであり、今後国と連携しながら返還の実現に向けて全力を尽くしたいと思います。
 次に、サミット関連についてクリントンの発言について言及され、普天間基地は即時無条件全面返還以外ないことを堂々と表明したらどうか意見を聞きたいというお尋ねでございます。
 県は、市街地の中心に位置し非常に危険な普天間飛行場を一日でも早く移設することが重要であると認識しており、県内移設に向けて移設に係る諸課題をさまざまな観点から鋭意検討しているところです。
 なお、クリントン大統領の発言については、沖縄の基地問題を解決したいという大統領の期待のあらわれであると理解しています。
 次に、サミット関連について、サミットによる県民の経済損失、財政負担は政府の責任で処理すべきであると、それの知事の決意を示せという御質問に対するお答えでございます。
 サミットの開催は、本県のすぐれた投資環境や観光・リゾート地、国際コンベンション都市としての優位性等を世界にアピールする絶好の機会であるだけでなく、本県の一層の国際化や振興開発にも資するなど沖縄の将来にとって極めて大きな資産となるものと認識しています。
 一方、我が国でのサミットの地方開催は初めてのことであり、国と地元の役割分担や財政負担については今後具体的に調整していくことになりますが、地元自治体の負担については財政措置の配慮がなされるよう要望してまいりたいと考えております。
 同じくサミット関連で、過剰警備による県民生活への圧迫等に対してどう対処するかとのお尋ねでございます。
 サミット開催に伴う警備の必要性については、県民の格別の御理解と御協力を得ることが極めて重要であると考えます。
 一方、それが県民生活への圧迫とならないよう、例えば交通規制の時間を適宜お知らせするなどして県民生活の安全と平穏が確保できるよう警備当局と連携を密にしながら適切に対処していきたいと考えております。
 次は、ガイドライン関連法についてでございます。
 北朝鮮での有事を想定した作戦で沖縄における協力が期待されたが、知事の考えを聞きたいという御質問に対してのお答えでございます。
 新聞等で報道されている朝鮮半島有事を想定した在日米軍の支援要求については、去る2月23日の参議院予算委員会において野呂田防衛庁長官が、「日米間の種々の意見交換や検討作業の中で、緊急事態に対しての米軍に対する我が国の支援についてもさまざまな形で議論をされたことは事実でありますが、一部報道にあるように対日支援要求として固まったものを政府として受領したわけではありません。」と答弁しております。
 また、国においては周辺事態法第9条について、協力の内容については事態ごとに異なるものであり、あらかじめ具体的に確定される性格のものではないとしております。県としては、周辺事態に際して本県が過重な負担にならないように県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応していきたいと考えております。
 続いてガイドライン関連法につきまして、自治体協力について拒否したら違法となる見解を提示しているが知事は拒否するのか、協力するのかと、憲法を守る立場からガイドライン関連法の廃止を内外に表明すべきかどうかという御質問へのお答えでございます。一括してお答えします。
 県としては、現在の国際連合下の安全保障体制及びアジア情勢などから見て、日米安全保障条約が我が国の平和と安全のため必要であるということは今日の国際政治の現実であると考えており、国会においてもこのような立場から周辺事態法等いわゆる新ガイドライン関連法の必要性を考慮し、同法等を可決したものと認識しております。
 県としては、周辺事態が万が一にも発生しないことを願うものでありますが、仮に周辺事態になり国から協力を求められた場合、県民の生命、財産及び本県の経済活動への影響等を総合的に勘案し、県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応したいと考えております。
 次に、同じくガイドライン関連法の関係の御質問の中から偵察衛星受信局の建設計画についての御質問についてのお答えでございます。
 国が進めている情報収集衛星に関し、本県がその受信局の建設候補地に挙がっていることについてはマスコミ報道により承知しています。
 しかしながら、この件についてはこれまでのところ国から何らの打診もなく、その具体的な内容についても知らされておりません。県としては、今後同計画について情報収集に努め適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、地方分権一括法案についてでございます。
 これは新たな地方統制法であるので国の関与、統制強化をやめて自治体の自主性を尊重するよう求めるべきではないかということと、地方への財源移譲を促進することについても求めたらどうかという2つについて一括してお答えいたします。
 国は、地方分権推進委員会の勧告を受けて昨年5月に閣議決定された「地方分権推進計画」を法制化するため、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案」を去る3月29日に国会に提出し、現在国会において審議が行われているところであります。
 同法案には、国及び地方公共団体の分担すべき役割の明確化、従来の機関委任事務制度の廃止とそれに伴う事務区分の再構成、国または都道府県の関与等の縮減・廃止、権限移譲の推進、必置規制の緩和・廃止等が盛り込まれています。
 同法案が成立し施行されますと、国及び地方公共団体の関係が従来の上下の関係から対等・協力の関係へと移行する契機となり、県行政の充実強化につながるものと期待しております。
 また、国から地方への財源の移譲については、国と地方公共団体の役割に応じた財源の充実確保が実現できるよう他県と連携しながら取り組んでまいります。
 次に、地方分権一括法案について米軍用地特措法の改悪はやめるべきだと、どのような形で県民要求を貫いていくか聞きたいという御質問へのお答えでございます。
 本県には、全国の米軍専用施設面積の約75%が集中し、しかもその多くは民有地となっているため、駐留軍用地特別措置法の改正に伴う土地の使用・収用に関する事務の変更は、県民の財産や生活に影響を与えるものと認識しております。
 県においては、駐留軍用地特別措置法に基づく土地の使用・収用に関する事務について、地方分権推進委員会におけるヒアリングなどを通して市町村や県が関与できる仕組みを残すべきであるとの要望をしてまいりました。県としては、今回の地方分権推進計画に基づく駐留軍用地特別措置法の改正については、参議院における審議を注意深く見守っていきたいと考えております。
 次に、第4次沖縄振興開発計画、沖振法について、1つは3次振計の総点検の作業プロセスと進捗状況、それからこれまで知事は4次振計に対して明言を避けてきたが、この際政府に要求する考えはないかという2点について一括してお答えします。
 沖縄振興開発計画の総点検につきましては、現在、振興計画に盛り込まれた施策・事業等の現状と課題の取りまとめを行っているところであり、本年10月までには総点検報告書の原案を取りまとめることにしております。
 総点検報告書をまとめるに当たっては、広く各界各層の意見を反映させるため沖縄県振興開発審議会に総点検に対する意見を求めることにしています。
 また、第3次沖縄振興開発計画の終了後においても、本県の自立的発展を図るためには引き続き国の支援による総合的な施策展開の必要があると考えており、今後、振興開発計画の総点検結果を十分に検討し、新たな沖縄振興計画策定に向けて関係機関と調整していきたいと考えております。
 続きまして、沖縄振興開発特別措置法は抜本的に拡充強化する必要があると、延長存続をいつ要求するかという御質問に対してでございます。
 いわゆる沖縄経済新法は、沖縄振興開発の総点検を踏まえた施策や沖縄経済振興21世紀プランの施策等を盛り込んだ新たな沖縄振興計画を実効あらしめるものであり、現行の沖縄振興特別措置法等の趣旨も十分に生かせるものと考えております。
 沖縄振興開発特別措置法や復帰特別措置法等に基づく各種制度については、総合的に施策を展開していく観点から必要な制度は継承していきたいと考えています。
 しかしながら、沖縄振興開発特別措置法等とは別に新たな法律を制定することは法制実務上多くの課題を有することも認識しており、今年度中には沖縄振興に関する法体系のあり方等について検討し、その後関係機関と調整していきたいと考えております。
 次に、沖縄本島一周国有鉄道の建設について、その沖縄本島一周国有鉄道の建設を政府の財政負担で建設させることという御要望についての御質問へのお答えでございます。
 本県の長期的な総合交通体系整備の基本方針である「沖縄県総合交通体系基本計画」においては、「定時性・定速性のある大量輸送交通機関として本島を南北に縦貫する軌道交通システムの導入を検討する。」としています。
 現行の計画は平成4年3月に策定しておりますが、その後県を取り巻く経済社会情勢は大きく変化しており、見直すこととしております。
 見直しに当たっては、現在進められております沖縄都市モノレールの整備状況を初め交通需要の動向、沿線地域の開発計画、返還予定米軍施設用地の跡地利用の将来展望等を踏まえ進めていきたいと考えております。
 御提言の鉄軌道等の軌道交通システムについては、今年度から実施予定の総合交通体系調査の中で検討したいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 上原亀一郎議員の質問事項のうち、ガイドライン関連法に関連して、ワシントンの米海兵隊司令部はハリアーの飛行作戦の一時中止を発表したが、沖縄についてはどうなっているか、訓練の即時中止と同部隊の撤退を求めるべきだがどうかという御質問にお答えいたします。
 米海兵隊は、408Aエンジンを搭載したハリアー機が短期間のうちに2件の事故を起こしたことから、同型のエンジンを搭載したハリアー機の飛行をすべて一時停止するよう命じ、嘉手納飛行場に飛来しているハリアー機についても6月11日から飛行が一時停止されておりました。しかし、米海兵隊の技術調査チームが2つの事故には共通の要因がないことを結論づけ、6月28日には飛行が再開されております。
 県では、嘉手納飛行場でのハリアー機事故について、事故原因の徹底究明と公表、同機種の安全点検及び安全管理の徹底が図られるまでの間の飛行停止を求めるとともに、事故の再発防止に一層努めるよう米軍及び日米両国政府に強く申し入れたところであります。
 県では、飛行再開に当たっての安全点検及び安全管理の実施について米軍に照会したところ、嘉手納に飛来しているハリアー機の各エンジンは点検され、異常はなかったため現場に戻された、エンジンはその後10時間ごとに点検することになっているとの回答がありました。
 県としては、今後とも引き続き県民の生命、生活及び財産を守る立場から、このような事故が二度と起こらないよう強く求めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 実施を10カ月後に控えた介護保険問題について5つの御質問がございます。
 まず、介護保険の導入により国と地方の公的負担は減ることになるがどうかという御質問にお答えいたします。 
 介護保険制度下での給付費見込みは、介護報酬の額や各市町村において策定作業を行っている介護保険事業計画の集計結果等を踏まえて精査する必要があるため、現時点において介護保険導入後の財政影響を正確に見込むのは困難と思います。
 なお、平成8年度の時点におきまして、平成7年度の診療報酬や措置費の単価を用いて一定の前提のもとに介護保険導入後と現行制度のままと仮定した場合とを比較いたしますと国庫負担は差し引き3700億円、地方負担は800億円の減少となることが推計されるとのことであります。
 次に、県の負担は幾らの減になるのかとの御質問にお答えいたします。
 先ほどの推計によりますと、県の負担は逆にふえることが予想されています。
 次に、介護保険の準備状況について全国調査が必要と思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
 準備状況等の調査につきましては、平成10年度に全国の市町村において要介護認定モデル事業を実施するほか、高齢者実態調査を行い高齢者の状況を把握しております。
 要介護認定につきましては、モデル事業の中で幾つかの問題点が出され、これに基づき認定システムが改善されています。
 平成12年4月の施行まで残された期間は限られていますが、要介護者やその家族を含め国民の多くが制度の導入に期待しており、県としましても制度施行に向けて着実に進めてまいりたいと考えております。
 次に、県も自主的に実態を調査しなければならないのではないかとの御質問にお答えいたします。
 本県におきましても、要介護認定モデル事業及び高齢者実態調査を全市町村で実施しました。また、介護サービスの参入予定について事業者調査を行っております。県としましては、制度の円滑な施行に向けて今後とも必要に応じ調査を実施したいと考えております。
 次に、特別養護老人ホーム入所者の認定や保険料等について県民に不安があるが、どうなのかとの御質問にお答えいたします。
 現在、特別養護老人ホームに入所している方で、10月から実施される要介護認定において施設入所の対象外になった場合でも5年間については本人の希望により入所をすることができるようになっています。
 また、ホームヘルプサービス等の在宅サービスを利用されている方については、平成11年度から高齢者保健福祉推進支援事業が国庫補助事業として実施され、ひとり暮らし老人支援事業や健康づくりなどの事業が展開されることになっており、これの活用を進めてまいります。
 低所得者の保険料につきましては、5段階の所得段階別のうち最も低い段階を適用することとしております。
 また、利用料につきましては1割負担が一定の限度額を超えた場合は、高額介護サービス費として超えた分が払い戻される仕組みとなっていますが、低所得者についてはさらに低い限度額が設定されることになっております。
○土木建築部長(銘苅清一) 交通渋滞による経済的損失についての御質問にお答えいたします。 
 交通渋滞対策につきましては、昭和63年以来、沖縄総合事務局、沖縄県、日本道路公団、沖縄県警察本部及び那覇市で構成する沖縄地方渋滞対策推進協議会において交通容量の拡大、ボトルネックの解消、公共交通機関の利便性の向上、既存道路の有効利用、交通需要マネジメントの促進を目標とした沖縄県渋滞対策プログラムを策定し、集中的に推進してきたところであります。
 これまでに国道58号安謝立体、国道329号那覇東バイパス及び県道11号線バイパス等の開通により交通渋滞が大幅に緩和されたところであります。
 現在、高規格幹線道路の那覇空港自動車道、地域高規格道路の国道331号豊見城・糸満道路等の整備による交通容量の拡大、国道330号安里交差点、真玉橋交差点等のボトルネックの解消及び沖縄都市モノレールの整備等を推進しているところであります。
 今後とも引き続き、体系的な道路ネットワークの整備とともに交通需要マネジメント及び既存道路の有効利用等の総合的な交通渋滞対策を積極的に進め、渋滞による経済的損失の解消に努めていく所存であります。
 以上でございます。
○上原亀一郎 議長、休憩。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後7時23分休憩
   午後7時24分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 土木建築部長。
   〔土木建築部長 銘苅清一君登壇〕
○土木建築部長(銘苅清一) 現在県では、経済的な損失についての数値化の試算はされておりません。
 以上でございます。
○上原亀一郎 知事、普天間基地の返還なんですが、SACO合意だけにとらわれちゃいけませんよ。県民要求が一番大事なんですよ。そこをもっと明確に答えてください。
 それから沖縄振興、4次振計はやるのか、やらぬのか。(「やるさ、やる」と呼ぶ者あり) 4次振計だよ。4次振計という言葉は使ってないんだよ。
 それから沖縄振興開発特別措置法の延長を要求しますか、これははっきり答えてください。ごまかしちゃだめですよ。
○知事(稲嶺惠一) まず最初の御質問でございますが、私どもはまずSACOの合意を着実に実施することが大変重要だと考えております。
 それから次の件の第4次振計でございますが、先ほどの御質問の中でお答えしましたように私どもは新たなる沖縄振興開発計画と言っております。これは当然、今点検中、総点検の作業をしております。それを踏まえましてさらにもっと一歩踏み込んだものを要求するつもりでございます。
 先ほど申し上げましたようにただいま総点検作業をしております。それの点検の結果を踏まえて新たな沖縄振興計画策定に向けて関係機関と調整していきたいと思います。
○上原亀一郎 法律の延長を要求するかということなんですよ。
○知事(稲嶺惠一) もちろんそうです。もちろん法律を要求いたします。もちろんです、それは。
○上原亀一郎 沖縄振興開発計画の延長を要求しますか。
○知事(稲嶺惠一) 総点検の上で新たなる沖縄振興計画です。
○上原亀一郎 計画じゃないんですよ。
○知事(稲嶺惠一) 当然それに法律は含みます。
○伊波 洋一 結の会を代表して質問を行います。
 サミットについて歓迎することだけに関心が集中しておりますが、日米両政府に対して県民挙げて戦後54年続く沖縄基地問題の解決を迫ることも重要であります。知事にも求められているのであります。
 質問に入ります。
 基地問題について。
 フォーリー米駐日大使が知事に基地移設の早期解決を要望したことは本末転倒ではありませんか。基地問題解決の責任は国にあるのではないか、知事の見解を伺います。
 稲嶺県政のスタート以来、普天間基地周辺では米軍ヘリが所構わず低空飛行の旋回訓練を繰り返し、宜野湾市民に甚大な被害を与えています。
 このような事態は稲嶺知事の政治姿勢と合致するのか、それとも反しているのか、県として飛行実態の調査を行い住宅地上空での旋回飛行訓練を中止するよう申し入れるべきではありませんか。県としてどのように対処するのか、伺います。
 クリントン米大統領が普天間問題の解決がなければ沖縄に行きたくないと発言するなど、サミットと沖縄基地問題を結びつける動きがありますが、日米両政府はSACOで合意した県内移設では沖縄の基地問題は解決しない。
名護市の住民投票結果に示されているように、沖縄県民だけに日米安保の重圧を押しつける県内移設のSACO合意では、県民の合意形成はできないということを知事は日米両政府にはっきり言うべきではありませんか。
 サミットを基地の県内移設と結びつければ県内に混乱をもたらします。知事の見解を伺います。
 嘉手納弾薬庫の返還軍用地の環境汚染が恩納通信所に次いで明らかになりました。地主が土地受け取りを拒否しています。那覇防衛施設局は問題なしとしておりますが、国は原状回復義務があり、返還軍用地が環境汚染されてないことを証明するべきです。県としても返還軍用地の環境汚染実態調査を国や米軍に求めるべきだと思いますが、知事の見解を伺います。
 県庁人事のあり方について伺います。
 稲嶺知事は、県庁を支える多くの優秀な人材を外郭等に出すなど性急な人事をしております。むだをなくして効率のよい県政であるべきでありますが、県の人事は逆行しているように思います。
 稲嶺県政になって約半年の異動で参事クラス以上で外郭団体に休職出向させた人数と出向させた参事クラス以上の1人当たりの人件費の平均額を伺います。
 県外郭への出向は、知事部局の平成10年と11年の比較で31名減となっていますが、新たなポストをつくって送り出すなどして参事クラス以上は新たに約30人が出向しています。部局長8名、次長クラス10名、計18名も含まれております。
 建設技術センターへは欠員になっていた常務理事を新たに配置し、参事以上4名を出向、亜熱帯総合研究所では専務理事を副理事長に格上げして参事監を専務理事に出向。県社協プロパー常務理事を任期途中で退任させていきいきふれあい財団から横滑りさせ、いきいきふれあい財団の空いたポストに参事クラスを出向。物産公社では新たに常務を新設して出向させております。
 出向以外でもコンベンションビューローの常務理事を新設して任期のある専務を降格、新たな専務理事を選任をいたしました。
 欠員になったポストに充当したり、新たなポストに出向させた参事クラス以上は何名になっていますか。
 わしたショップなどを運営している物産公社へ新たに常務を出向させたわけですが、公社から派遣要請があったのですか。どういう理由で出向させたのですか。
 準民間会社として運営されている物産公社に行政マンを送っても足手まといになるだけではありませんか。参事クラスの人材をもっと大事に活用すべきだと思いますが、県知事の見解を伺います。
 知事部局以外にも教育庁、企業局からの出向もございます。参事クラス以上のポスト新設や欠員ポストに10名配置すれば、年1億円以上のむだな人件費が費やされるわけであります。単純計算で4年で4億。県財政が厳しく行政改革、補助金削減が行われる中でこのようなむだな人事を行うことは県政への県民の信頼を著しく損なうものではありませんか、県知事の見解を伺います。
 稲嶺県政の人事異動は、各部局の参事以上と主要課においてこれまでの担当者が大幅に入れかえられ、県政の継続性が著しく損なわれるおそれがあります。
 沖縄県の自立経済を目指すためにこの数年間県庁内部で主体的に積み上げたものを台なしにし、国や既存の産業界の都合に合わせる県政になってしまうのではありませんか、知事の見解を伺います。
 公共工事の県内優先について。
 7月は県産品奨励月間だが、6月末に着工した沖縄コンベンションセンター会議棟増築工事で本土ゼネコンが入札に参加し受注したのはどうしてでしょうか。契約方法、入札参加資格、入札参加業者、落札価格などを明らかにしていただきたいと思います。
 同ゼネコンは、平成10年のコンベンションセンター修繕工事一式も随意契約で受注をしております。2000万円の工事と思いますが、財務規則に反する契約ではありませんか。契約方法、契約日時、応札業者、契約額等を明らかにしていただきたいと思います。
 国際友好会館建設工事では分割発注は行われなかったと理解しておりますが、県は公共工事の県内優先発注と中小業者の参加機会を確保するために分離・分割発注の原則を放棄するのですか。
 特別自由貿易地域における賃貸工場の建設など今後の工事でゼネコンを参加させずに分離・分割発注をするべきだと思いますが、県知事の見解を伺います。
 宜野湾市の西海岸仮設港について伺います。
 同仮設港周辺は、国際ショッピングモールや宜野湾市の「島田懇事業」の候補地にもなっておりますが、同仮設港の公有水面の一部を国場組が埋め立て、原状回復が行われないため仮設港周辺の開発に支障を来しております。
 県は、埋め立てられた公有水面の原状回復命令を既に国場組にも出しているにもかかわらず、最近になって県河川課が国場組の言い分を持ち出して宜野湾市が国場組と調整をして問題を解決するよう言い出しております。
 これまで再三宜野湾市では、過去3代の宜野湾市長名で仮設港に関して国場組との間には問題がないと文書で国場組にも県にも回答してきました。
 しかしながら、国場組は一方的に既得権を有していると主張し、内容証明郵便で仮設避難港の再開発は宜野湾市、国場組双方で行い、宜野湾市の資産とする。2、再開発についての工事の施行は優先的に国場組にしてもらう。3、仮設避難港の廃止に伴う物件補償として残存価格と工事費を国場組に対して支払い精算してもらうということを要請してきておりますが、宜野湾市は関知しないとしております。
 しかし、県政が変わったこともあり、国場組は同内容証明文書の回答がない限り、前進はないと言い出しております。
 これら3点の要求は、公有水面への一企業の違法な介入であるだけでなく公共工事への違法な介入ではありませんか。県の見解を求めます。
 なぜ河川課がこのような国場組の違法な要求を認めて宜野湾市に国場組との調整を求めているのか、明確にしていただきたい。
 県は、一日も早く原状回復するよう実現を努力すべきではありませんか。
 国場組が構築物や土砂が価値があるというのならば、国場組自身によって早急に撤去させるべきであります。それが無理なら早目に原状回復義務免除申請を国場組から出させて同仮設港を県が管理すべきだと思いますが、県の対策を伺いたいと思います。
 同仮設港に対して国場組が主張する既得権があると県は考えておりますか、明確にしていただきたいと思います。
 関連して現在進行中の県が進めている宇地泊地先埋め立てで国場組から何らかの既得権の主張があったかどうか、伺いたいと思います。
 国際ショッピングモールについて伺います。
 宜野湾市西海岸地区の候補地の一つにもなっている国際ショッピングモール建設に向けた県と国の調査の現状を伺いたいと思います。
 国際ショッピングモールは単なるショッピングセンターにすることなく、これからの沖縄観光インフラとして位置づけるべきであります。そのためには沖縄県観光振興計画でリゾートコアと位置づけられているコンベンションセンターエリア、宜野湾市西海岸地域が一番ふさわしい、このように思います。
 同地区をリゾートコアとして再編していくために県としてもポスト・ブセナとして積極的にかかわっていくべきだと考えますが、県の見解を伺います。
 この国際ショッピングモールについて、これは県が国に要請をしたものであります。県が市町村と相談をして構想をつくるべきだと思いますが、県の見解を伺いたいと思います。
 6番目に、世界のウチナーンチュ大会の延期について伺います。
 サミットの沖縄開催の決定で来年予定していました世界のウチナーンチュ大会が延期されることになると言われておりますが、来年開催は延期されるのですか。
 世界各地で来年に向けて準備している世界のウチナーンチュにどのように伝えておりますか。
 来年の世界のウチナーンチュ大会に合わせて米国内の沖縄系ユースを中心にユース会議を準備していた若者たちは、あきらめきれずにサミットの前にも沖縄でユース会議を開催しようとしております。若者たちの要請があれば県としても何らかのサポートをすべきではないでしょうか。
 答弁によって再質問を行います。
○知事(稲嶺惠一) 伊波洋一議員の御質問にお答えします。
 最初に、基地問題について、フォーリー大使が早期解決を要望したのは、沖縄県への要望は本末転倒ではないか、これは国ではないかということ、知事の見解を聞きたいということでございます。
 県は、市街地の中心に位置し非常に危険な普天間飛行場を一日でも早く移設することが重要であると認識しています。現在、県の考え方をまとめるため普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意移設に関する諸課題の検討作業を進めているところであります。
 移設先の特定は国とも連携を図りながら進めますが、最終的には国が行うべきものと考えています。
 次に、基地問題について、県政スタート以来低空飛行訓練が繰り返されていると。甚大な生活被害をこうむっているけれども、県としては実態調査を行い訓練を中止するよう申し入れるべきではないかとの御質問に対してのお答えでございます。
 県は、これまで関係市町村との連携のもと、騒音調査を実施するとともに、普天間飛行場周辺における航空機騒音の軽減及び騒音対策の強化を日米両国政府に対して要請したところであります。
 しかしながら、平成8年3月の日米合同委員会における航空機騒音規制措置の合意後も依然としてかなりの騒音が発生している状況にあります。県としては今後も引き続き関係市町村と連携を図りながら、普天間基地周辺における航空機騒音の軽減について日米両国政府に粘り強く働きかけていきたいと考えております。
 次に、基地問題について、サミットを基地の県内移設に結びつければ混乱をもたらすと、見解を聞きたいとの御質問に対してでございます。
 県としては、本県が過重に負担している米軍基地の整理縮小については、SACOの合意事案を着実に実現させ、段階的に基地の整理縮小を図ることがより現実的で実現可能な選択であると認識しています。
 また、サミットの開催と普天間飛行場の移設はそれぞれ県政の最重要課題であると認識しております。そのため、去る3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意県内移設に向けての作業を進めているところです。
 普天間飛行場の県内移設については、地域のコンセンサスや振興策などさまざまな課題がありますが、一日でも早く解決していくよう努力しているところであります。
 次に、同じく基地問題で、返還軍用地が環境汚染されていないことを証明するため環境汚染実態調査を国や米軍に求めるべきではないかという御質問に対してです。
 基地の環境調査及び環境浄化等については、基地周辺住民の安全な生活環境の確保の観点及び基地の計画的かつ段階的な返還の促進とその有効的な跡地利用の実現の観点から、基地返還以前の課題として取り組んでいく必要があるものと考えております。
 米軍基地における環境問題については、日米安全保障条約及び日米地位協定の締結当事者である日米両国政府の責任において取り組むべき課題と考えており、環境調査及び環境浄化等に係る制度上及び財政上の措置を日米両国政府に求めていきたいと考えております。
 次に、県庁の人事のあり方についての御質問についてでございます。
 物産公社への出向についてどういう理由で出向させるのかと、行政マンを送っても足手まといで、もっと大事に活用すべきではないかというような御質問に対してです。
 県の外郭団体は、県の事務または事業と密接な関連を有し、県の施策を補完する重要な機能を有しております。
 このようなことから、県は、外郭団体に対して出資し補助金等の財政援助を行うとともに、外郭団体の事業計画、組織定数についても調整を行っております。
 物産公社は、株式会社として運営されているものの、県産品の販路を拡大し県内の地場産業の振興を図るという公益性をあわせ持っております。今後さらに卸取引の拡充、経済関係団体との連携強化等総合的な物流対策の推進が求められている中、広く公益性を確保・促進する必要があることから、物産公社における取締役会の決議を踏まえて職員を常勤取締役として派遣したところであります。
外郭団体への職員の派遣は、行政との連携、運営の活性化等のために行うものであります。県としては厳しい財政状況の中ではありますが、今後とも行財政改革を進め、限られた定数の中で職員の重点的かつ適材適所の配置を行ってまいりたいと考えております。
 同じく県庁人事のあり方について、稲嶺県政の人事異動は担当者が大幅に入れかえられ、県政の継続性を損なうおそれがあるのではないかとの御質問に対してでございます。
 人事に当たっては、公正・公平を基本に人材の積極的な登用と有効な活用を通して職員の士気の高揚と組織の活性化及び公務能率の向上を図ることにより、多様化・高度化する行政需要に的確に対応し県民の福祉の増進に寄与することを基本としております。今回の人事異動においても、この考え方に基づき有用な人材の積極的登用と職員の適材適所の配置を行ったところであり、異動者数も例年並みであります。
 次に、公共工事の県内優先についての御質問でございます。
 特別自由貿易地域における賃貸工場の建設など今後の工事ではゼネコンを参加させず、分離・分割発注すべきだと思うがという御質問に対してのお答えでございます。
 特別自由貿易地域に設置する賃貸工場は、6月末に基本計画を策定したところであり、今後実施設計を経て工事の発注を行う予定であります。工事の発注に当たっては、「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」を踏まえ適切に対処していきたいと思います。
 次に、国際ショッピングモールについて、宜野湾市西海岸地区も候補地になっているモール建設に向けた県と国の調査の現状を聞きたいということ、県としても積極的にかかわり宜野湾市とともにモール構想をつくり上げてもらいたいという御質問についてでございます。
  国では、平成9年度に宜野湾市の国際ショッピングモールについて近郊型ショッピングモールとしてのコンセプトや施設概要を調査し、さらに平成10年度には事業の成立可能性を調査しております。
宜野湾市の国際ショッピングモールについては、平成10年度の報告書でコンベンションリゾートシティーの中核施設としての位置づけがなされております。その実現に向けては地元が具体的な計画を策定するとともに、モールとしての魅力づくり、用地の確保及び事業主体の誘致等について主体的に取り組むことが前提となります。
また、国際ショッピングモールに係る事業手法としては、商業集積法の適用や制度資金の活用等が想定されます。県としては、今後国とも連携を図りながら、地元の意向を尊重しつつ対応していきたいと考えております。
 次に、世界のウチナーンチュ大会の延期についてでございます。
 来年開催は延期されるのかという御質問へのお答えでございます。
  世界のウチナーンチュ大会は、第1回大会が1990年、第2回大会が1995年に開催されました。第3回大会の開催時期については、これまでの開催経緯からして5年ごとの開催、すなわち2000年開催が海外県系人等において待望されておりました。
 しかし、2000年には主要国首脳会議(サミット)の開催が本県に決定し、サミットの成功に向けて県民が一致団結して取り組まねばならないこと等から、第3回大会は2001年に開催することにいたしました。
 続いてその延期について、世界各地で来年に向けて準備している世界のウチナーンチュにどのように伝えるのかとの御質問へのお答えでございます。
 第3回世界のウチナーンチュ大会を2001年に開催することについては、各種広報媒体を通して海外県人会及びウチナー民間大使等に対して周知を図ってまいります。
 なお、先月、ペルー・ボリビア日本人移住100周年記念式典等への出席のため両国を訪問した際には、県人会等に対し第3回大会を2001年に開催することを報告し、御理解と御協力をお願いしてまいりました。 
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 県庁人事のあり方について次長級以上で外郭団体に出向させた人数は何名か、その1人当たり人件費の平均額は幾らかについてお答えいたします。
 平成10年12月10日から平成11年6月末までの間の知事部局における外郭団体への次長級以上の出向者数は31人で、その1人当たり人件費の平均年額は1145万4000円でございます。
 同じく欠員になっていたポストに充当したり、新たなポストに出向させた参事級以上は何名かとの御質問にお答えいたします。
 知事部局における外郭団体への次長級以上の出向の状況については、平成11年4月1日時点が48人、平成10年4月1日時点が49人で、平成11年は前年に比較しますと1人の減となり、その内訳は新たなポスト等への出向が6人、出向減になっているのが7人となっております。
 以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 公共工事の県内優先についてのうち、沖縄コンベンションセンター増築工事で本土ゼネコンが入札に参加し受注したのはどうしてかとの御質問にお答えいたします。
 沖縄コンベンションセンターは、特殊な機能及び施工難度の高い形態を持つ施設であり、「公共建築百選」、「建築業協会賞」及び「公共建築賞優秀賞」を受賞する等建築文化的にすぐれた建築であります。
 このような建築の増築であることから、既存施設の施工内容の熟知や整合性の確保の観点を考慮し、新築時における施工行実績を持つ者、また県内業者にあっては、当該施設の新築時に比べ施工及び技術力が大幅に向上していることから県内特Aクラスの者を応募条件としました。
 契約方法といたしましては、公募型指名競争入札、参加業者は24JV、48社でございます。
 それから、落札業者は株式会社竹中工務店、株式会社国場組の特定建設共同企業体でございます。
 落札額は4億9350万円でございます。
 同じく平成10年度の沖縄コンベンションセンター修繕工事の随意契約は、財務規則に反する契約ではないかについてお答えいたします。
 沖縄コンベンションセンター修繕工事は、「APECエネルギー大臣会合」の開催が決定されたこと、また展示棟の年間の使用計画があることから工事期間を短く設定せざるを得ず、工事の迅速な対応が必要とされる状況にありました。また当該施設は展示棟、劇場棟及び会議棟の複合機能を持ち、また施工難度の高い形態を持つ建物であります。
 これらのことから、その施工内容及び使用材料等を熟知していることが必要であり、当該施設に施工実績を持つ者を契約の相手方といたしました。
 沖縄コンベンションセンターの修繕工事の契約については、地方自治法施行令第167条の2第1項第4号の規定に基づき随意契約を行っております。
 契約月日は平成10年8月21日、契約業者は株式会社竹中工務店九州支店、契約額は2037万9450円でございます。
 それから、同じく国際友好会館建設工事では分割発注は行われなかったが、分離・分割発注の原則を放棄するのかとの御質問にお答えいたします。
 沖縄国際友好会館については、会議棟、ラウンジ棟及びレセプション棟と建物が分かれて配置されていることや、当該敷地へのアクセスや位置、地形及び環境等の厳しい条件、またブセナリゾートホテルの営業に配慮しながら年度内に完成しなければならない制約がございます。
 これらの条件及び会議棟の規模から、建築工事の会議棟分につきましては分割はしませんでしたが、敷地整備工事、電気設備工事及び機械設備工事については工種別分離発注を行っております。
 なお、残るラウンジ棟等につきましては別途に発注する予定でございます。今後とも、県内企業優先発注及び中小企業の参加機会の確保を図ってまいります。
 それから、宜野湾市西海岸の仮設港についてのうち、3点の要求は1企業の公共工事への違法な介入なのではないかとの趣旨の御質問にお答えいたします。
  仮設港につきましては、宜野湾市大山地先の埋立工事の際、しゅんせつ船の避難港及びコンクリート資材の陸揚げ場として昭和48年に民間企業に公有水面使用許可を与えたものであります。
その後、平成7年度まで期間更新してきましたが、宜野湾市から西海岸開発に支障があるとの要請等により平成8年度以降は許可を与えず、同企業に原状回復義務免除の申請をし仮設港を国に帰属させるよう指導してまいりました。同企業は県に対し、現在宜野湾市と調整中であるため同申請を保留したい旨回答しております。
 一方、宜野湾市においては、仮設港を含む地域で島田懇談会事業によるマーラン船復元活用事業等の計画があると聞いております。
 仮設港にかかわる問題等につきましては、同企業と宜野湾市との間に認識の相違があることは承知しておりますが、基本的には当事者双方の問題であると考えております。県といたしましては、今後実態把握に努め、国有財産管理者の立場から検討していきたいと考えております。
 同じく、なぜ県は宜野湾市に当該企業との調整を求めているのかとの御質問にお答えいたします。
 県といたしましては、宜野湾市が計画している島田懇談会の事業計画の区域内に仮設港及び同企業の所有地が含まれることから、同事業を進展させるためには県、市及び同企業との間で話し合いが必要であるとの趣旨で同市に説明したものであります。
 なお、今後は同市の利用計画が具体化していく中で双方と話し合いを持ち、解決に向けて努力していきたいと考えております。
 同じく、企業に原状回復義務免除申請を出させて県が管理すべきだと思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
 公有水面の使用期間が満了したときは、原状回復後返還させるのが原則であります。
 同仮設港につきましては、原状回復工事の土砂等による海洋汚染や背後地の浸食等が予想されるなど、総合的に判断して当該企業に原状回復義務免除申請をするよう通知したものであります。今後とも引き続き指導していく考えでございます。
 同じく、当該企業に既得権があると考えているのかとの御質問にお答えします。
 同企業の宜野湾市に対する主張につきましては、背景、根拠、内容等十分に把握しておりません。今後は、両者から話を聞くなど情報収集に努めてまいりたいと考えております。
 同じく、宇地泊地先埋め立てで既得権の主張があったかどうか伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 宜野湾港整備事業については、昭和59年8月の第1期事業及び平成7年3月の第2期事業に伴う埋立免許時までの告示縦覧期間中に利害関係者からの意見を求めておりますが、意見の申し出はありませんでした。
 以上でございます。
○文化国際局長(金城勝子) 世界のウチナーンチュ大会の延期に関連いたしまして、米国内の沖縄系ユースが待ち切れずにサミット前に沖縄でユース会議を開催しようとしているということで県は何らかのサポートをすべきではないかという御質問でございますけれども、御質問のユース会議につきましてはこれまでのところ団体、個人からも要請等はございません。県といたしましては、今後要請等がありましたならば検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後8時3分休憩
   午後8時4分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 伊波洋一君。
   〔伊波洋一君登壇〕
○伊波 洋一 人事について再質問いたします。
 新たなポストに6名、私はこれは要らない人事ではなかったかと、このように思うわけであります。
 この人事について給与はだれが払うんでしょうか。県が補助するのですか、明確にしてください。物産公社の常務も含めてお願いします。
 それからことしの3月、このような第三セクター、あるいはそういう民間事業に対する給与の支払いは違法だという高裁判決が出ております。代表権も今回物産公社の場合持っているわけでありますが、このことについて自治法上あるいは地公法上問題はないかどうか、御説明してください。
 それからコンベンションセンターの契約ですが、このコンベンションセンターの契約についてはすべて随契なんですね。この3年間、設計や監理を含めて全部随契であります。どうしてコンベンションセンターは、このような随契ばかりを行うのか。何千万、何億というお金ですが、こういうことは私は改めるべきだと思いますけれども、土木建築部としてはどのように考えますか。
○土木建築部長(銘苅清一) 再質問にお答えいたします。
 一般的に随契というのは好ましくないわけでございますけれども、先ほども御答弁申し上げたとおり技術的にあるいは前年度で施工した建物の設計とかいろんな内容を熟知しているということで今回随契があったわけでございますけれども、一般的には随契というのは好ましくないと思っております。
 以上でございます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 新たなポストに6名の次長クラス以上が出向しているわけでございますが、これを具体的に申し上げますとまず人材育成財団、財団法人亜熱帯総合研究所、それと国際交流財団、それから中小企業団体中央会、沖縄県建設技術センター、海洋博覧会記念公園管理財団というふうになっておりますが、今、中小企業団体中央会と海洋博覧会記念公園管理財団、それ以外のところは人件費の補助をやっております。
 それから、物産公社の今回の常務の取締役を派遣したわけでございますが、これも今後補正等で予算措置について検討をする必要があるというふうに思っております。
○伊波 洋一 答弁漏れ。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後8時8分休憩
   午後8時12分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 商工労働部長。
   〔商工労働部長 宮城春一君登壇〕
○商工労働部長(宮城春一) 再質問にお答えいたします。
 物産公社の所管は商工労働部でございますので、今回の物産公社の常務の出向につきましては県から出しておりますが、辞令でも明確に打ってありますようにいかなる給与も支給しないということで休職出向でございます。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後8時13分休憩
   午後8時14分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 総務部長。
   〔総務部長 與那嶺恒雄君登壇〕
○総務部長(與那嶺恒雄) 先ほど私は、常務理事につきまして補助金等の予算措置について検討するというふうに申し上げましたが、今回の知事からの辞令の中で、県から休職出向で行くことになるわけですが、その期間中はいかなる給与も支給しないというふうになっております。
 訂正させていただきます。
○伊波 洋一 議長。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後8時15分休憩
   午後8時16分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 商工労働部長。
   〔商工労働部長 宮城春一君登壇〕
○商工労働部長(宮城春一) お答えいたします。
 何らの給与も支給しないというのと、補助金を交付するというのとは全く別個の問題でございます。県は補助金を交付する場合には、それなりのその団体についての助成の必要性があるときに交付しております。
○上原 吉二 元気よくいきましょうね。
 新進沖縄を代表して質問を行います。貴重な11分に理解を賜りたいと思います。
 初めに、羽地問題について、去る2月定例会ではあらゆる角度から質問いたしましたが、関係各位の御協力により円満に解決合意を見ました。この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げます。今後とも合意事項を尊重していただくことをあらかじめ要望し、質問に入ります。
 2000年7月、主要国首脳会議が九州・沖縄サミット、特に首脳会議は沖縄で開催されることが4月29日に政府から発表された。
 このニュースは全国の新聞各紙、テレビ局、あらゆるマスコミが一斉にトップ扱いで報じ全国的に大きな反響を呼んだし、全県民が感激したことは言うまでもありません。
 沖縄県を初め8つの自治体が激しい誘致合戦を繰り広げてきましたが、ややもすると出おくれた感のする本県の誘致運動からいたしまして、願わくはせめて閣僚会議でも沖縄県でと県民の大半は思っていたところ、まさかの首脳会議が沖縄県に決定したことは、野中官房長官は、沖縄には長い歴史の痛みがある、短期間に20万人を超える誘致の署名が集まったのも県民の熱い期待を証明している、知事初め県民各位の期待に首相がこたえたと理由を説明した。もちろん政府の特段の御配慮はもとより、知事の誘致への熱意が伝わったものと私どもは理解しております。知事の御努力に対し敬意を表します。
 1番目に、九州・沖縄サミット開催について。
 警備体制について県警本部長にお聞きをいたします。
 警備問題は、サミットの成功のかぎを握るとも言われている一番重要な問題であります。主要8カ国の首脳の警護体制は万全過ぎるということはありません。このことからいたしまして思い切った警備を実施してもらいたい。万が一の事態でも発生すれば当然のことながら沖縄県のみならず国の浮沈にもかかわる重大かつ国際問題にまで発展しかねません。
 これまでの経過からすると、過激集団がビジネスマンや労働者に紛れて潜伏しサミット妨害をすることが予想されますが、どう考えておりますか。
 それと、体制づくりは既に始まっていると思いますが、期間中の要員はどの程度予定しておりますか。
 また、ちょうど沖縄は真夏という直射日光も強く、体力的にも警備要員の気候への対応、食事、健康問題、宿泊施設等の対応も心配されると思われますがどうですか。
 次に、廃車問題については6月2日、関係機関・団体、各市町村等網羅され、放置自動車防止対策連絡協議会(仮称)の設置に対する協議会を持たれたようでございますが、特にサミットに向けては放置車両はゲリラの絶好の隠れ場所であり、時限爆弾や迫撃砲の具に利用されるおそれがあり、具体的な対策が急がれると思いますが、そのことについてもあわせて県警本部長に御答弁を願います。
 次に、知事にもお聞きいたしますが、この廃車処理については平成8年4月1日から従来シュレーダーダストは安定型最終処分場に埋め立てられてきたが、管理型最終処分場での処分が義務づけされたため逆有償になってしまい全国的に問題化しております。
 車を廃車するときは、陸運事務所へナンバープレートと車検証を返納すれば済むわけでございますが、その後の現物はとなりますと粗大ごみなのか産業廃棄物なのかはっきりしないし、処分場との関係も出てきてますます複雑になっているのが実情です。
 よって、今回のサミットや環境浄化の面からもこれを機会に我が県が率先して車購入時から廃車に至るまでの義務づけが法制化されるよう国に要請してみてはどうでしょうか。
 この問題については多岐にわたりますので、今後の定例会で取り上げさせていただきます。
 次に、ホスピタリティーについてでございます。
 サミット関連で派生する車両検問や交通規制、ボディーチェック、周辺地域の検索等も予測されることから、事前に県民や観光客の皆さんにも十分なる理解を得るべく徹底した広報活動をすべきだと思いますが、どうでございますか。
 また、サミット開催時の観光客を締め出すような情報もありますが、そうなりますと、せっかくサミットを機に沖縄の観光立県としてより充実していく計画に陰りやリアクションが懸念されます。サミット関係の宿泊の確保とあわせてホテル業界や一般観光客に支障を来さないように両立できる最大限の努力が必要になると思いますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
 次に、プレスセンターの跡利用について。
 プレスセンターは、ケルン・サミットでも見られるようにテント式仮設が有望視されていますが、仮設といえども極めて耐久性の高い施設と評価されております。したがって、跡利用の有効活用をする上においても継続使用を考えるべきではないでしょうか。
 それとあわせて現時点での面積、規模、内容、場所等も知っている範囲内でお答えを願います。
 ドイツ・ケルン・サミットの感想については十分理解を得られましたので、割愛をさせていただきます。
 2番目に、新たな振興開発計画の策定について。
 第3次沖縄振興開発計画の期限が2年後に迫り、その後に続くいわゆるポスト3次振計の策定に向けて本格的な作業に着手しなければなりません。
 県においても企画開発部を中心に検討が始められていると思いますが、大田県政時代から国際都市形成構想やフリーゾーン構想、さらには21世紀プランなど提案が出され、一体どういう状況になって今後どう展開していくのかよく見えないというのが県民の共通した意見ではないでしょうか。
 この際、県政の柱である振興開発計画のあり方を徹底的に議論し、21世紀にふさわしい新たな振興開発計画の策定を図らないととの認識に立ちまして本土との格差の是正、自立的発展の基礎条件の整備というのが共通の目標であり、第3次振興開発計画にはこの2つに加えて我が国経済社会及び文化の発展に寄与する特色ある地域として整備するという目標が掲げられました。
 特別自由貿易地域や情報振興、観光振興地域制度の創設、航空運賃や高速料金、通信コストの低減等、そしてサミットの開催、たくさんの沖縄振興策が実現をしました。
 さらにこのたび沖縄経済の自立的発展を図る沖縄経済振興21世紀プランの中間報告案が了承されました。これからもなお一層の御尽力をお願いいたしたいと思います。
 次のことについてお聞きいたします。
 ポスト3次振計は、産業・経済分野や基地問題を中心にこれまでと内容が大きく違うものとなると思いますが、どうですか。
 次に、そのためには早目に検討作業に着手しなければならないが、実行作業スケジュールはこれまでと比べてどうなりますか。
 次に、根拠法令となる沖縄振興開発特別措置法も改正されることになりますが、知事の選挙公約にある沖縄経済新法がこれにかわるものとなるのですか。
 次に、ポスト3次振計と21世紀プランの関係はどうなっていますか。もし関係するのであれば、21世紀プランの最終報告はいつまでに取りまとめられますか。その実施はいつからですか。
 次に、津堅架橋建設について。
 津堅島においては、ヘリポート問題が浮上してから住民の方々は苦悩の毎日でございました。これも津堅架橋の建設に対する住民の熱い思いがあってのことだと思います。
 なお、平成9年9月30日には津堅島架橋建設調査委員会が勝連町議会内に設置され、町民一体となって実現に向けて取り組んでおります。池間架橋、来間、瀬底、浜比嘉、現在では古宇利架橋も着工の運びとなり、伊良部架橋は調査費が計上されております。
 そのことからいたしましても、極めてニーズの高い津堅架橋はぜひ21世紀プランの最終報告に組み入れるべきではないでしょうか。
 もし、21世紀プランになじまなければ新たな振興策に組み入れるべきではないでしょうか、お答えください。
 3番目に、基地問題について。
 SACOの合意に基づく普天間基地、那覇軍港移設問題については相当の期間が経過しており、クリントン大統領の発言にも見られるように日米両政府の年内とかサミット前とか期限つき様相を呈していることからしても、県も移設場所の選定に緊急に取り組むべき重要な時期を迎えていると思います。抜本的解決をするためには行政内部だけで処理するには問題が余りにも大き過ぎる。そこで各政党、各会派、各種団体等を含めた新たな協議機関の設置が急がれると思います。
 知事の御所見を賜りたい。
 なお、今後のスケジュールについてもあわせてお聞かせ願いたい。
 4番目に、君が代・日の丸の法制化について今国会に提出されましたが、これについて知事の御所見を賜りたい。
 次に、教育長にお尋ねいたしますが、法案が成立した場合、学校現場での各種行事等における国旗掲揚及び国歌斉唱についてどのような指導を徹底いたしますか、お伺いをいたします。
 以上です。
 与党でございますので、今回は再質問はやりません。
○知事(稲嶺惠一) 上原吉二議員の御質問にお答えいたします。
 まず、九州・沖縄サミットの開催について、サミットの交通規制など十分に理解を得る広報活動が必要ではないかとの御質問に対してです。
 サミット開催に伴う警備の必要性については、県民の格別の御理解と御協力を得ることが極めて重要であると考えます。
 一方、それが県民生活への圧迫とならないよう、例えば交通規制の時間を適宜お知らせするなどして県民生活の安全と平穏が確保できるよう警備当局と連携を密にしながら、きめ細かく適切な広報活動を展開していきたいと考えております。
次に、宿泊についてホテル業界、一般観光客に支障を来さない最大限の努力が必要ではないかとの御質問についてでございます。
サミット関係者の宿泊について、御指摘のとおりできる限りホテル業界、観光客に影響を及ぼさないようサミット県民会議宿泊部会等を通じ調整しながら適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
 次に、プレスセンターの跡利用についての見解、あわせて現時点での面積、規模、内容等知っている範囲で答えてほしいという御要望でございます。
プレスセンターについては、1万2000平方メートル前後の施設が必要とされており、県が国に提出した開催計画試案では名護市21世紀の森の体育館や屋内運動場、市民会館などを充てることにしております。
現在、この開催計画試案をもとに国において施設をどのように設営するか具体的な検討が行われておりますが、県としてはプレスセンターとして設置された施設や設備の機能の一部を残し情報通信による地域振興の拠点の一つとして活用することを検討しています。
 次に、新たな振興開発計画の策定についてのうち、ポスト3次振計は産業・経済分野や基地を中心にこれまでと内容が大きく違うものになると思うがどうかということと、そのためには早目に検討作業に着手して、作業スケジュールはどうなっているかとの御質問に一括してお答えいたします。
 3次振計後の新たな沖縄振興計画の策定に向けては、戦略的な産業の育成、国際的なハブ機能を有する空港、港湾の整備、基地跡地利用の促進などの施策や沖縄経済振興21世紀プランの施策等が盛り込まれるよう努めていきたいと考えています。
また、作業スケジュールについては、現在、これまでの沖縄振興開発計画の総点検作業を行っているところであり、ことし10月を目途に総点検報告書の原案をまとめる予定であります。
 これを前回の作業スケジュールと比べてみますと約半年程度先行することになりますが、新たな沖縄振興計画の策定に向けては総点検の結果を踏まえ、関係機関と所要の調整を行いつつ作業に着手することになります。
 次に、新たな振興開発計画の策定について、根拠法令となる沖縄振興開発特別措置法も改正されることになるのか、あるいは沖縄経済新法がこれにかわるのかという御質問についてでございます。
 いわゆる沖縄経済新法は、本県の自立に向けた施策等を盛り込んだ3次振計後の新たな沖縄振興計画を実効あらしめるものであると考えています。
 また、沖縄振興開発特別措置法や復帰特別措置法等に基づく各種制度については、総合的に施策を展開していく観点から必要な制度は継承していきたいと考えております。
 しかしながら、現行の沖縄振興開発特別措置法等とは別に新たな法律を制定することは、法制実務上多くの課題を有することも認識しており、今年度中に沖縄振興に関する法体系のあり方等について検討し、その後関係機関と調整していきたいと考えております。
 次に、新たな振興開発計画の策定で、ポスト3次振計と21世紀プランとの関係、あるいは21世紀プランの最終報告はいつまでに取りまとめられるかとの御質問に対するお答えでございます。
 沖縄振興開発計画は、沖縄の総合的な振興開発を目的として策定されたものであります。
 一方、21世紀プランは、沖縄経済の自立化に向けた経済振興を図る観点から振興開発計画に新たな視点等を加えていくという性格を備えた実践的戦略プランであります。
21世紀プランに盛り込まれた各種施策については、3次振計後の新たな振興計画の検討の場において経済分野に関して十分に生かされていくものと期待しており、最終報告についてはこうした状況も勘案しながら、適当な時期を設定して取りまとめていただくよう要望していきたいと考えております。
 次に、基地問題について普天間飛行場、那覇港湾施設の返還問題を処理するために新たな組織の設置について検討する考えはないか、あわせて返還問題対策室の今後のスケジュールについてもお聞きしたいということへのお答えでございます。
 普天間飛行場及び那覇港湾施設の移設に関する諸問題については、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意検討を進めているところであります。
 市街地の中心に位置し非常に危険な状況にある普天間飛行場については、一日も早く動かす必要があり、できるだけ早期に県としての考え方がまとめられるよう作業を進めているところであります。
 また、那覇港湾施設については早期に移設できるよう鋭意努力しているところであります。
 新たな組織の設置については、貴重な御提言として承っておきます。
 次に、君が代・日の丸の法制化について、国会に提案されている国旗・国歌法案に対する知事の所見を伺いたいということでございます。
 我が国におきましては、長年の慣行により「日章旗」及び「君が代」がそれぞれ国旗及び国歌として広く国民の間に定着しており、これに法的根拠を与えるものとして「国旗及び国歌に関する法律案」が提案され、目下国会で審議されているものと理解しております。
 しかしながら、この法案について県民の間にはいろいろな思いがあることを承知しております。このため、国会において十分に審議を尽くしていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○警察本部長(井上美昭) サミット警備関連の質問に一括してお答えいたします。
 今回の沖縄サミットに対して、極左暴力集団は既に機関誌等でサミット粉砕を主張しております。
 過去の東京サミットにおきましても、数多くのゲリラ活動を敢行していることから、沖縄サミットでも同様のゲリラ行動や妨害行為が十分に予想されるところであります。したがいまして、県警においてはこれら極左暴力集団によるゲリラ活動や妨害行為を防止するため必要な対策を講じ、警備の万全を期していきたいと考えております。
 次に、警備体制と宿泊施設等についてでありますが、過去の東京サミットや大阪APECの警備でも警察官定数の多い警視庁や大阪府警でも1万人規模の部隊の応援を得て警備に当たっていると承知しております。
 したがって、今回の沖縄サミットにおきましても他府県警察から相当数の応援を得ることを念頭に今後の国内外の情勢や外国要人の日程、関連行事及び宿舎等関連施設の状況を見きわめながら検討していくことになります。
 なお、部隊宿舎については、ホテル等の宿泊施設のほか公共施設の利用、仮設プレハブ等での対応を検討いたしております。
 さらに、サミット開催時における沖縄の気候になれてもらうため他府県の警備部隊が現在順次来沖し訓練をしておりますが、暑さ対策についても今後所要の措置を講じていく所存であります。
 次に、放置された廃車がゲリラ活動に利用されるおそれがあり、対策が必要ではないかということについてでありますが、御指摘のとおりのことが懸念されるところであり、今後関係機関に所要の対策をお願いしてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○文化環境部長(宮城光男) 九州・沖縄サミット開催について、廃車処理についてサミットや環境浄化の面から国に法制化を要請してはどうかという御質問にお答えいたします。
 県におきましては、放置自動車対策として監視パトロールや放置防止の啓発、また国、県、市町村、自動車販売協会等の関係機関による意見交換会を行ったところであり、今後は関係者による協議会を設置し対処することにしております。
 廃車の処理は所有者の責任において行うことが原則であり、放置車に対しては市町村等が指導して撤去させておりますが、悪質な放置事犯は県警が検挙しているところであります。
 放置自動車は、生活環境や景観の悪化、交通の妨害の要因であり、さらにサミット警備の支障にもなることから、サミット開催に向けて市町村、関係団体との連携により十分な対策を講じてまいりたいと考えております。
 また、放置自動車の問題は全国的な問題でもあることから法制化の必要があると思われますので、市町村、関係機関とも調整しながら国に働きかけをしていきたいと思います。
 以上です。
○企画開発部長(宮城正治) 新たな振興開発計画の策定に関連いたしまして、過疎対策として極めてニーズの高い津堅架橋も21世紀プランに組み入れるべきではないかとの御質問にお答えいたします。
 沖縄経済振興21世紀プランは、本県経済の自立的成長をいかに図るかという視点を中心に加工交易型産業の振興、観光・リゾート産業の新たな展開、それから情報通信産業の育成、農林水産業の振興等、その環境整備に向けての経済振興策のあり方を示すものであります。
 したがいまして地域開発的なインフラ整備につきましては別の施策領域であり、今後各地域のニーズについては前向きに検討していきたいと考えております。
 以上です。
○教育長(翁長良盛) 君が代・日の丸の法制化に関連いたしまして、学校現場での各種行事における国旗掲揚及び国歌斉唱についてどのように指導し徹底していかれるかという御質問にお答えいたします。
 学校現場での学校行事における国旗の掲揚及び国歌の斉唱につきましては、これまで学習指導要領の趣旨に沿って行われてきたところでございます。今後とも、学習指導要領の趣旨に沿って国旗及び国歌の意義を理解させるとともに、国旗を掲揚し国歌を斉唱するよう指導していきたいと考えております。
 以上でございます。
○高良 政彦 それでは最後になりましたけれども、公明党沖縄県議団を代表して質問を行いたいと思います。
 最初に、ハブ港湾建設と那覇軍港の移設問題について質問をいたしたいと思います。
 朝の質問でも翁長雄志議員からあったんですけれども、重複しますけれども、私ども公明党沖縄もこのハブ港湾については熱心に取り組んできたいきさつもありますので、再度確認の意味で質問をいたしたいと思います。
 最初に、ハブ港湾をつくることは無用の長物でありむだであるというようないわゆるハブ港湾不要論が一部の人たちから指摘をされておりますが、21世紀の我が沖縄県にとって米軍基地なき後の県経済自立化にとっては必要不可欠なプロジェクトと考えますが、改めてその必要性について御説明をお願いいたします。
 沖縄は、過去数百年にわたって交易立県として生きてきております。島嶼性のため沖縄へのアクセスは空と海しかないわけであります。したがいまして空といえば空港、海といえば港の整備はまさに沖縄の経済を根本的に支えるものであり、21世紀の周辺諸国との地域経済を考えますと24時間使用に耐え得るような大規模なものが必要であります。
 過去の経緯からしましても大き過ぎて困るということはまずあり得ない。地政学的に考えましても、空港と港の整備は21世紀の県経済の自立にとってはまさに重要な根本問題と考えます。まさに大は小を兼ねるで大き過ぎることはまずない、思い切ったものをつくるべきであると我々公明党は一貫して主張してまいりました。
 このことについて御答弁をお願いいたします。
 次に、那覇軍港から浦添地先への一大ハブ港湾構想は、那覇軍港の浦添地先への移設の目安がつかないと具体的に着手はできません。しかし予算折衝、概算要求のタイムリミットも迫っており、県は特に浦添市との移設問題については調整は済んでいるのかどうか、御答弁をお願いいたします。
 港湾管理の一部事務組合設立の立ち上げが那覇市と浦添市との調整がつかない。いわゆる債務問題、198億円等の問題も絡んでなかなか前へ進まない状態にありますが、県経済の自立化という大きな経済活性化の戦略の中で県全体にかかわる問題だけに、県は大局観に立って政治的な指導力を発揮すべきではないでしょうか。物事には時期、タイミングというものがあります。時期を失してしまうと何にもなりません。そういうことでありますので、この件についてどう対応しているのか、御答弁をお願いいたします。
 那覇軍港移設も含めた今後のハブ港湾構想実現のための具体的なスケジュール、段階的なスケジュールはどうなっているのか、御説明をお願いいたします。
 次に、普天間基地の移設問題について質問をいたします。
 普天間基地の移設問題は、前大田県政以来稲嶺県政になっても依然として全く進展がなく膠着状態が続いていると以前本員はそういう指摘をしましたが、3日ほど前の新聞でも同様の報道がありました。
 この状況は、橋本前総理とクリントン米大統領が普天間基地の返還を発表して以来3年近くが経過しようとしております。状況は全く変わっておりません。
 知事はどのような御認識をお持ちになっているのか、御答弁をお願いいたします。
 サミットの沖縄誘致は、普天間基地の県内移設が前提条件と考えることが極めて常識的な見方と考えますが、この点ではどうか。
 であるならば、クリントン米大統領がサミット前に普天間基地の移設をはっきりさせよと要求をしてくるのもまた当然の成り行きではないかと、このように考えるものであります。予想されたことであると考えるべきではないか、この点についての御答弁をお願いいたします。
 米国頼みの日本の外交の特質からして、普天間基地問題も米大統領からサミット前解決を強く要望されますと政府はノーとは言えない。普天間基地問題のサミット前解決発言はクリントン米大統領自身の言葉なのか、あるいは微妙な問題だけに外圧の力を頼んで解決を進めようとする日米共同作戦なのか定かではありませんが、いずれにしろ沖縄県に早期解決の圧力がかかってくるのは当然であります。
 普天間基地の返還発表以来、水面下で幾つかの場所について県内移設が取りざたされておりますが、もはや住民レベルでの水面下での話ではおさまりはつかないと思います。そういう意味でのこの6月議会はまさにタイムリミットに来たと考えます。
 県内ということが前提となっておりますが、県内なら具体的にどこで、どういう手法で移すのか、県民の前にやはり明らかにして議論をする、俎上にのせてそういう議論をする時期に来ていると考えますが、この点についてはどうか。
 クリントン米国大統領はあと2年で任期満了となり、次期大統領選はありません。したがって沖縄の基地問題、特に大きな課題となっております那覇軍港と普天間基地の移設問題は自分の任期中に解決をしたという前提で沖縄サミットに参加し、実績として平和の大統領を内外にアピールするつもりで演説を考えております。
 ところが、浦添の市長は那覇軍港移設にも反対を唱えており、クリントン大統領に沖縄の基地の実態をありのまま見てもらい、それから基地問題解決に取り組んでほしいという趣旨の発言をしておられます。そこには相当の認識のずれがあり、この認識のずれは近々大きな政治問題として表面化するものと思われます。
 那覇市、宜野湾市、浦添市の各市長の態度いかんによっては稲嶺知事は窮地に追い込まれるおそれがあり、また稲嶺知事御自身がそのような認識しか持っていないとするならば、沖縄よまたかという前県政の二の舞になりかねない。稲嶺知事の御認識と、県はサミット前解決という問題にどう取り組むのか、御答弁をお願いいたします。
 次に、沖縄サミットにはゲストとして中国、インドの2カ国を招いたらどうかと提唱します。
 サミット参加国は、そのほとんどがアングロ・サクソン系を中心とする欧米に限られております。アジアからは日本だけであります。アジア諸国の中でも中国とインドは古代文明発祥の伝統と地球人口の4分の1を占めるという多民族国家であります。サミットにおけるヨーロッパとアジアのバランスを考えるならば、この2カ国の参加によって地球規模が抱える地域紛争、国際テロ、難民、環境破壊、金融・経済問題等、そういう解決にいい結果をもたらすと考えます。
 次に、ダイオキシンでありますけれども、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で規定されている廃棄物処理場、その他の施設の焼却炉で市町村が指定する焼却炉から発生するダイオキシンの実態はどうか。
 次に、ダイオキシンが出ないような焼却炉の改善はどうなっているのか。
 それから離島、例えば伊江島ではわき水の近くで野焼きの状態ですけれども、離島におけるダイオキシンの実態調査はどうなっているのか。また焼却炉の改善は進んでいるのか。
 それから、農業用の塩ビの廃棄処理の実態は極めて不明な部分が多い。ダイオキシンの有力な発生源の一つであります。厳重な処理が望まれます。この点についてはどうか。
 また、平成10年度で公明党ダイオキシン対策本部は、環境ホルモン対策費として1150億円を補正予算で組むことができたが、この予算は沖縄ではどのように使われたのか、その辺を説明お願いいたします。
 以上でございます。
 よろしくお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 高良政彦議員の御質問にお答えいたします。
 最初に、ハブ港湾の不要論があるけれども、21世紀の沖縄県にとって米軍基地なき後、県経済の自立化にとって非常に重要と考えるがという御質問についてのお答えでございます。
 県としては、21世紀の大交流時代・大競争時代の到来を迎え、本県経済の自立的発展を図るためには十分な国際競争力を持った産業育成が必要であると考えています。そのため、その基幹インフラとして那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備することが県政の重要課題であると認識しております。
 一方、国においても新全国総合開発計画において沖縄を「太平洋・平和の交流拠点」として位置づけ、そのゲートウエー機能の強化として那覇港などの交流基盤の整備を図ることとしております。
 また、沖縄経済振興21世紀プランの中間報告においても、産業全体の活性化につながる人・物の輸送の効率化の観点から、那覇港において国際海上コンテナターミナルの整備を推進することとしております。
 那覇港の那覇埠頭地区や泊埠頭地区の現状は、荷役ヤードが狭隘で旅客や貨物の流動がふくそうし、港内の安全確保も含めて厳しい港湾運営を強いられている状況にあります。
 特に、新港埠頭地区では増大する貨物需要に対し土地利用の制約から、必要な便益施設の整備や機能的な流通が確保できない状況にあります。
 さらには、大交流時代の到来と相まって、スタークルーズ社などの大型客船の寄港の要請に対応できない状況であります。
 このようなことから県民生活の安定と向上を図り、本県、さらには我が国の経済社会の発展に寄与する南の交流拠点施設として那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備を図ることが重要であると考えております。
 次に、那覇軍港を浦添地先へ移設しないと一大ハブ港湾構想の着手はできないと、その調整はどうなっているかという御質問に対してのお答えでございます。
 先ほども申し上げましたように、本県の産業振興、経済の自立的発展を図るため、那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備することが県政の重要課題であると認識しております。
 那覇港湾施設の移設については浦添市、那覇市の意向等も踏まえながら県の考え方を取りまとめ、国と協議、調整することとしております。
 次の御質問で、同じくハブ港湾施設と那覇軍港移設問題で、一部事務組合設立の立ち上げがもたついているけれども、もっと指導力を発揮すべきではないかということの御質問に対するお答えでございます。
 那覇港管理の一部事務組合については、昭和63年の港湾計画改訂に伴う分離・分割方式による管理の検討及び運輸省の一元管理方式の見解を経て、那覇市及び浦添市による一部事務組合の設立が平成3年に合意されております。
 その後、港湾行政の広域的な展開を図るため県に対して組合への参加要請があり、3者による組合設立に向けた準備が進められてきたところであります。
 県としては、那覇港が県民生活や産業・経済活動の物流拠点として重要な役割を担っていることから、那覇港を一体的に管理しその開発整備を推進するため3者による一部事務組合の設立が不可欠であると考えています。今後、8月中の3者の合意形成、9月からの自治省との事前協議、12月議会への規約案の提案などを経て平成12年4月1日の組合設立を目指したいと考えています。
 次に、普天間基地問題について現在膠着状態に陥っていると思われるが意見を聞きたいとのお尋ねでございます。
 普天間飛行場の移設問題に関しては、現在普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室で県内移設に向けて鋭意作業を進めているところであります。
 普天間飛行場の県内移設については、地域のコンセンサスや振興策などさまざまな課題を抱えておりますが、一日でも早く解決していくよう努力していきたいと考えております。県としては、今後国と連携しながら返還の実現に向けて全力を尽くしたいと思います。
 次は、サミットの沖縄誘致は普天間の県内移設が前提条件となっているのではないかという御質問へのお答えでございます。
 県は、市街地の中心に位置し非常に危険な状況にある普天間飛行場を一日でも早く移設することが重要なことであると認識しております。そのため、去る3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意県内移設に向けての作業を進めているところです。
 県としては、サミットの開催と普天間飛行場の移設はそれぞれ県政の最重要課題であると認識しております。普天間飛行場の県内移設については、地域のコンセンサスや振興策などさまざまな課題がありますが、一日でも早く解決していくよう努力しているところであります。
 次に、クリントンの発言は沖縄側との認識のずれがある、県はどのように対処しようとしているのか聞きたいとの御質問でございます。
 普天間飛行場は、市街地の中心にあって非常に危険な状況にあることなどから、早期の返還について県から強く要望し、日米両国政府は普天間飛行場の返還を含むSACOの合意に達したものと理解しています。
 クリントン大統領の沖縄の米軍基地問題に関する発言については、沖縄の基地問題を解決したいという大統領の期待のあらわれであると理解しております。
 県としては、普天間飛行場及び那覇港湾施設の返還問題については、現在、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室で鋭意その作業を進めているところであります。今後、関係市町村の理解と協力が得られるよう十分に調整を行うとともに、国と連携しながら両施設の返還の実現に向けて全力を尽くしたいと思います。
 次に、県民の前に知事の考えを明らかにして議論を喚起するときが来たと考えるが、知事の考えを聞きたいということへのお答えでございます。
 普天間飛行場の移設問題については、5月に米軍、自衛隊及び民間が共同使用している三沢飛行場の調査を行うなど、鋭意県内移設に向けて諸課題を検討しております。県としては、移設先の関係市町村等と協議を行い、幅広く県民の理解と協力を得ながら県の案をまとめていきたいと考えております。
 次に、サミットについて、沖縄サミットにゲスト国として中国とインドを招待することを政府に働きかけるつもりはないかということでございます。
 サミットは、国際政治や経済の運営に主要な責任を有する8カ国の首脳レベルの会合であり、参加国の構成もこれらの国々の合意によって決まるものと承知しております。
 御質問の件につきましては、貴重な御提案として受けとめさせていただきたいと思います。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(宮城正治) ハブ港湾施設と那覇軍港移設問題についての関連で、今後のハブ港湾構想実現のための段階的な計画、スケジュールはどうなっているかについてお答えいたします。
 今後の国際流通港湾整備のスケジュールといたしましては、今年度から次年度にかけて国際流通港湾計画調査を行い、平成12年度末を目標に新たな港湾計画を策定し、環境影響評価や埋立申請などを経て、平成15年度から始まる第10次港湾整備5カ年計画で早期の工事着手ができるよう取り組む考えであります。
 以上です。
○文化環境部長(宮城光男) ダイオキシン対策関係についてお答えいたします。
 焼却炉から発生するダイオキシンの実態調査はなされているか、またその実態はどうかという御質問にお答えします。
 1日当たり1.6トン以上処理できるごみ焼却施設においては、廃棄物処理法に基づき年1回以上の測定と記録が義務づけられており、これによりダイオキシン類排出の実態を把握しております。
 本県における市町村のごみ焼却施設は、平成11年5月末現在で31施設中29施設が稼働しており、いずれの施設でも排ガス中のダイオキシン類の濃度が測定されております。その結果は0.0014から68ナノグラムの範囲となっており、ダイオキシン類排出濃度の緊急対策の判断基準である80ナノグラムをクリアしております。
 なお、本島周辺の離島に小型焼却炉が1基ありますが、この施設については1日当たりの処理量が1トンであり、測定の義務がないため現在調査はされておりません。
 県では、この施設を廃止し本島内の焼却施設で処理するように指導してきたところであり、カーフェリーが就航した際には廃止されることになっていると聞いております。
 また、産業廃棄物焼却施設については、16施設中12施設が測定を実施しすべて基準をクリアしております。
 残りの4施設については、現在測定中であります。
 次に、ダイオキシンが出ないような焼却炉、すなわち焼却炉の改善はどの程度進んでいるかという御質問にお答えいたします。
 稼働している市町村の29施設は、いずれも暫定基準である80ナノグラムをクリアいたしております。
 しかし、平成14年12月から適用される新基準をクリアできないおそれのある施設が8施設あり、県は市町村に対し基幹改良及び建てかえを行いダイオキシン対策を図るよう指導してきたところであります。
 その結果、平成12年度までに1施設は建てかえ、5施設は基幹改良でそれぞれ整備し、残る2施設は平成14年度までに廃止して他の焼却炉で処理することになっております。
 今後は、本年3月に策定した「沖縄県ごみ処理広域化計画」に基づき5つのブロックごとに「市町村ごみ処理広域化推進協議会」――これは仮称でございますが――を設置し、地域の特性及び実情を勘案したごみの広域処理を推進することとしております。
 次に、離島の廃棄物の焼却の実態を把握しているのか、ダイオキシン発生の実態調査と対策はとられているか、また焼却炉の改善は進んでいるかという御質問にお答えします。
 平成11年5月末現在、離島地域24市町村中20市町村で17のごみ焼却施設が整備されており、4町村で未整備となっております。
 これらの焼却施設は、暫定基準である80ナノグラムをクリアしておりますが、平成14年12月の新基準をクリアできないおそれのある施設が2施設あることから、国庫補助を活用した施設の建てかえ等で対応することとしております。
 なお、未整備の4町村については、多良間村が平成11年度に、伊江村及び北大東村が平成13年度にごみ焼却施設を整備し、竹富町が平成14年度から広域化の中でRDF化施設を導入して石垣市のごみ焼却施設で処理することを計画しております。
 県としては、離島地域の全市町村にごみ処理施設を整備するため、これらの整備計画を促進してまいりたいと思います。
 次に、ダイオキシンの有力な発生源の一つである農業用等の塩化ビニールの廃棄処理については厳重な処理対策がとられるべきと考えるが、その対策は進んでいるかという御質問にお答えします。
 塩ビ工業・環境協会によりますと、平成9年度における塩化ビニールの国内向け生産量は約200万トンに上り、そのうち80.5%が土木・建築等産業用で使用され、19.5%が容器・包装等日常的な分野で使用されております。
 平成9年度における県内の農業用廃プラスチック排出量は約1863トンで、そのうち塩化ビニールは349トンで約18.7%となっており、全体の約51%が埋め立て、約28%が焼却で処分されております。
 現在、県においては農業用廃プラスチックの適正処理を推進するため「沖縄県農業用プラスチック処理基本方針」を定め、地区及び市町村段階に処理対策協議会を設置し、農家に対しては適正な保温資材を選定することや焼却をやめるなど適正な処理を行うよう指導しているところであります。
 また、一般家庭から排出される塩化ビニールについては、その他のプラスチックとの識別が困難なため可燃物または不燃物として排出され、焼却または埋立処分されているのが現状であります。
 ダイオキシンの対策としては、ごみの減量化と可燃ごみからの塩化ビニール等の排除が有効であると言われております。県としては、今後は「沖縄県ごみ処理広域化計画」に基づき関係市町村と十分な調整を図りながら、ごみの減量化を初め分別収集や廃棄物処理施設の整備等適正なごみ処理を推進してまいりたいと考えております。
 次に、環境ホルモン対策費として国は平成10年度に1150億円補正したが、沖縄県ではダイオキシン対策費あるいは焼却炉等の改善にどのように使われたかという御質問にお答えします。
 本県では、市町村の一般廃棄物焼却施設の燃焼設備や排ガス処理設備等の改善に約14億5000万円、それから最終処分場周辺の地下水調査等の費用に約2900万円、環境ホルモン分析のための検体採取費用として約100万円、合計約14億8000万円が使われております。
 以上でございます。
○議長(友寄信助) 以上をもって代表質問は終わりました。
 本日の日程はこれで終了いたしました。
 次会は、7月5日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後9時13分散会

 
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