平成11年(1999年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 7月 5日
 


○議長(友寄信助) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた教育委員会委員長砂川朝信君は、別用務のため本日から7日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日の会議に教育委員会委員照屋義実君、明日の会議に同高江洲義英君、7日の会議に教育委員会委員長職務代理者國吉和子君の出席を求めました。
   ――――――――――――――
○議長(友寄信助) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、乙第1号議案から乙第7号議案までを議題とし、質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 上間 毅君。
   〔上間 毅君登壇〕
○上間  毅 全国の皆さん、おはようございます。
 質問に入ります前に稲嶺知事に感謝を申し上げたいと思います。
 去る6月24日、与那国町議会から与那国空港滑走路2000メートルの要請に対し、稲嶺知事は9月補正に計上し実現をしていくと明確な答弁をしていただいたということで地元選出の議員として伊良皆県議ともどもに厚く感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手)
 早速通告に従い質問をいたします。
 今回の私の質問は、大きく4本の柱で構成しております。
 まず第1は、知事の政治姿勢であります。ここでは沖縄サミット、新ガイドライン、沖縄平和賞などの問題をお尋ねいたします。
 第2には、基地問題で普天間飛行場や那覇軍港の移設問題を取り上げます。
 第3の柱は新石垣空港の問題で、当局が構想する位置選定委員会の機能や権限についてお尋ねし、最後は介護保険制度導入と環境問題について、先島、離島地域が抱える問題についてお尋ねいたします。
 こうした問題の多くは、去る2月議会で私が代表質問で取り上げた問題と重なります。そのときは稲嶺知事が就任後まだ3カ月ということで検討しますの答弁で終わっております。そこで今回は、どのように検討したかをお尋ねすることになりますので、具体的で建設的な御答弁をよろしくお願いいたします。
 では最初に大項目の1、知事の政治姿勢についてをお尋ねいたします。
 まず、沖縄サミットと県行政の問題から入りますが、知事は来年の沖縄サミットの開催に当たってありのままの沖縄を見てもらうという姿勢をよく強調されますが、稲嶺知事の考えているありのままの沖縄とは何かということが問題であります。
 沖縄に来県するG8首脳や代表団及び数千人とも言われる各国のジャーナリストたちに思い思い勝手に沖縄を見て帰ってくださいということなのか、沖縄の過酷な現実である過密な米軍基地の実態についてありのまま見てもらうということなのか、前者と後者とでは大きな違いであります。そして後者の場合は二、三日の滞在で基地の実態がわかるものでもありません。それだけにありのままを見てもらうには周到な準備が必要になります。
 また、軍事基地に対する相手の価値観によっては沖縄の過酷な現実がアジア・太平洋地域の平和と安定に対する重要な貢献としてG8首脳などから称賛されることにもなりかねません。
 そこのところを知事はどう考えておられるのか、お尋ねいたします。
 次に、先ごろ国会で成立しました新ガイドライン関連法について知事の御見解を賜ります。
 これは我が国の周辺で発生した有事の際に、米軍の戦闘行動に協力するための法整備ということですが、本県が在日米軍基地の75%を抱えなおかつ国境の島であること、さらに去る大戦では我が国で唯一地上戦を体験していることから多くの県民が米軍の戦争に巻き込まれる不安を感じております。
 稲嶺知事も引揚船が撃沈される戦争体験があるとかお伺いしております。しかし知事は、安保条約を積極的に評価する立場をとっており、周辺事態の際に協力を求められる自治体の長として関連法をどのように評価され、どう対応されますか。
 またこの法律の成立で国境地帯である先島地区の住民が周辺事態でどのような影響を受けると想定され、その対応策を考えておられますか、知事の御所見を賜りたいと思います。
 知事の政治姿勢の最後に、知事の提唱される沖縄平和賞についてお尋ねいたします。
 稲嶺知事も沖縄の心、平和の心ということをよく口にされます。
 一般に沖縄の心とは、戦争を否定し、平和を志向する反基地、非武装、非同盟の精神を指すと理解されますが、安保容認、基地容認の稲嶺知事の平和の心とはどういうものなのか、承りたいと思います。
 また、知事は沖縄平和賞を提唱されますが、その表彰基準を承りたいと思います。
 さらに平和の心で定評のあった大田前知事の平和行政をどのように評価されておられるのか、お伺いいたします。
 なお、以上の点を整理して質問事項としてまとめて通告してありますので、明確な御答弁を賜りたいと思います。
 2番目に、基地問題についてであります。
 第2項目の基地問題についてお尋ねいたしますが、ここでは普天間基地と那覇軍港の移設問題に絞ってお尋ねをいたします。
 普天間飛行場の移設問題については、去る2月議会での私の質問に対し知事は、「私は、普天間飛行場は市街地の中心にあって非常に危険であり、この危険な状況は一日も早く除去されなければならないと考えています。 このため県では、普天間飛行場の返還問題について横断的かつ機能的に対応する庁内の組織体制を整備することとし、来る3月1日に普天間飛行場及び那覇軍港の返還問題を担当する組織を知事公室に設置する予定です。 普天間飛行場の返還問題は、国や関係自治体等との調整が大きな比重を占めていることから、作業スケジュールについて同組織で十分に詰めていきたいと考えています。」、「普天間飛行場問題については、組織体制の整備を行った上で空港建設の可能性や地域の振興開発、産業振興策等についてトータルな視点で学識経験者等からも広く意見を聞きながら、複数の案を検討する等幅広く弾力的に対応してまいりたいと考えております。」との力強い御答弁をいただきました。
 対策室が設置されてから4カ月が経過した今日、国や関係自治体とどのような調整がなされたのか、学識経験者からはどのような意見が聴取されたのか、建設候補地としてどれぐらいの案が検討されているか、実行型県政を名乗る稲嶺県政の実行力を示していただきたいと思います。
 また、那覇軍港の移設問題では「沖縄の産業振興、経済の自立化を促進する観点から那覇港のハブ港湾化に向けた計画の中で、県議会や那覇市議会の決議、浦添市議会における地元商工会議所の陳情採択等も踏まえ前向きに検討していく」と答弁されております。
 これについても、その後の具体的な進捗状況をお尋ねいたします。
 特に、この基地移設の問題については、最近では来年の沖縄サミットに絡ませた議論も数多く見られます。しかし稲嶺知事は一貫してサミットと基地移設は別の問題と主張され、基地問題はSACO合意を着実に実施すると述べておられますが、実行力が公約の稲嶺県政で懸案の基地問題が現時点でどのように進展しているか、経過報告をお願いいたします。
 以上のことから、次の質問をいたします。
 1つ、普天間飛行場の問題について対策室での調査検討事項と今後の作業スケジュールについて承りたい。
 2、海上案の取り扱いと陸上案の対象地域等の具体的検討経過を承りたいと思います。
 2番目、那覇軍港の浦添移設問題について対策室での調査検討経過と今後の作業スケジュールについて承ります。
 ハブ港湾調査と軍港調査の調査主体と相互の関連性について承ります。
 以上で基地問題についての質問を終わりますが、答弁によっては再質問をすることを予告して次に移ります。
 新石垣空港問題についてお尋ねいたします。
 この問題では、去る7月1日に位置選定委員会の委員が大濱石垣市長も同席して稲嶺知事から発表され、膠着状態にある懸案事項がようやく動き出した感じがして八重山郡民の期待も大きなものがあります。
 ただこの位置選定委員会は、地元石垣市の各公民館代表や八重山の自治体関係者及び学識経験者で構成されることが明らかにされたものの、その他の権限やスケジュール等の運営方法は明らかでなく、早くもスムーズな運営が危惧されております。中でも地元委員に要請されている公民館代表の中には、就任要請に難色を示す者も出ております。
 また、意思決定の方法でも多数決か、全会一致かでは問題が生じます。
 さらに、検討対象も県当局が挙げた4案──カラ岳東、カラ岳陸上、宮良牧中、冨崎野だけでいいのか、それにタイムリミットはいつまでなのか等々の問題が山積しております。
 こうした難問続出は当初から予想されていたことで、そのために去る2月議会で私は知事に住民投票による意思決定まで提案いたしましたが、答弁は、位置選定委員会で十分議論がなされるものと期待するとか、関係者の大局的見地からの前向きな議論に期待、といった具体性に欠けた官僚的な答弁でありました。
 そうした経過なども踏まえ、以下の質問をいたします。
 1、位置選定委員会の問題についてでございますけれども、委員会の設立が予定よりおくれた理由と今後の作業スケジュールについて承ります。
 (2)、県当局が構想する位置選定委員会で候補地を1カ所に絞れるか、そして見通しと権限は。
 2、早期着工と民主的方法についてでございます。
 地元委員は、立場が固定化し対立の激化が懸念される中で早期着工の見通しと根拠は何なのか、お尋ねいたします。
 (2)番目に、委員会の意思決定は多数決か、全会一致か、そして委員の権限と責任範囲はどこまでですか、お尋ねをいたします。
 離島問題の施策についてお尋ねいたします。
 来年4月の制度導入を前に、介護保険制度についての漫然とした不安が地域社会に蔓延しております。制度導入の必要性については否定しないものの、介護者の認定作業やサービス給付の具体化、市町村での保険料の住民負担額の算定といった具体的な課題になると問題は山積しております。
 また、地域住民の立場からは新たな保険料負担の問題は当然のこととして、市町村間の保険料格差や介護サービス格差についての関心も高く被保険者には要介護認定への不安も高まっております。
 この制度の保険者は市町村ですが、国や都道府県等が共同で支える重層的な制度ということになっていて、市町村における保険財政の安定化と保険事務の円滑な実施を確保するため都道府県による財政安定化基金の設置、運営、市町村の求めに応じて行う保険財政の広域化の調整とこれに伴う保険料基準の提示など市町村に対する都道府県の各種支援策が準備されなければなりませんが、本県の場合とりわけ離島地域の市町村でこの制度導入を目前にしていかなる問題を抱えているのか、そして県ではどのような対応策を準備しているのか、お尋ねいたします。
 また、少子・高齢化と過疎化が進む離島市町村では介護医療と並んでごみ処理問題を含む環境問題は今後ますます深刻の度合いを増していくものと思われますが、ごみ処理対策の広域化計画なども関連して現在離島地域市町村の抱える環境問題についても引き続きお尋ねいたします。
 1、介護保険制度と離島市町村の問題については制度導入が高齢化の進む離島地域に与える影響をどのように把握しておられますか。
 2、制度の趣旨が実現できる準備は整っておりますか。そして予想される問題とその対策はどうなっておりますか。
 環境行政とごみ処理対策について。
 離島地域の環境保全対策と適正なごみ処理政策(広域化計画)の関係を説明してください。
 離島地域における沖縄県廃棄物減量化・再生利用推進計画の実施状況と問題はどういったものがあるか。
 次に、我が党の代表質問に関連して沖縄県心身障害者小規模作業所補助金カット問題についてお尋ねいたします。
 1、県内における小規模作業所の規模別比率はどうなっているか。
 2、補助方式を市町村経由の制度にする目的は何ですか。
 3、補助基準を設定し制度化する目的は何ですか。
 4番目、現在の補助額より減額になることはないですか。
 平和行政についてお尋ねいたします。
 1、平和の礎への追加刻銘費用が削除されたのはどういう理由からでしょうか。
 以上質問をいたします。
 答弁によりましてはまた再質問をさせていただきます。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
 それでは上間毅議員の御質問にお答えしたいと思います。
 最初は、政治姿勢についてでございまして、その1の米軍基地の過重負担を各国首脳や記者団にどうアピールするか、その具体策は何か聞きたいという質問に対するお答えでございます。 
 県は、本県に所在する米軍基地が我が国の平和と安全を守り、国際連合下の安全保障体制及び日米安保体制を維持する上で重要な役割を果たしていると認識しています。
 しかしながら、本県には過去の歴史的経緯から非常に多くの基地が存在し、県民生活にさまざまな影響を与えていることは厳然たる事実であります。県としては、沖縄が長年にわたり過重な基地を負担しているという現状をありのままに見ていただくとともに、県民が基地の整理縮小を強く望んでいることを訴えていきたいと思います。
 次に、政治姿勢についての中で、新ガイドライン関連法をどう評価し対応するかという点と、それから新ガイドライン関連法の先島の国境地帯に与える影響をどう考えるかという御質問に対して一括してお答えいたします。
 県としては、現在の国際連合下の安全保障体制及びアジア情勢などから見て、日米安全保障条約が我が国の平和と安全のため必要であるということは今日の国際政治の現実であると考えており、国会においてもこのような立場から周辺事態法等いわゆる新ガイドライン関連法の必要性を考慮し同法等を可決したものと認識しております。
 県としては、周辺事態が万が一にも発生しないことを願うものでありますが、仮に周辺事態になり国から協力を求められた場合、県民の生命、財産及び本県の経済活動への影響等を総合的に勘案し、本島、先島を問わず県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応したいと考えております。
 次に、同じく政治姿勢で、反安保、非武装、非同盟の平和の心についてどう考えるかというお尋ねでございます。
 私は、現在の国際連合のもとにおける安全保障体制及びアジア情勢などから見て、日米安全保障条約が我が国の平和と安全のため必要であるということは今日の国際政治の現実であると考えております。
 次に、同じく政治姿勢について、沖縄平和賞の表彰基準を問う、大田前知事の平和行政をどう評価するかというお尋ねでございます。
 私は、広く世界に目を向けた国際平和の創造と維持に最大の関心を払い、そのために貢献していきたいと考えています。このため、平和の創造に先導的な取り組みを行っている人を顕彰する沖縄平和賞を創設することにしております。今年度は検討委員会を設置して基本構想を策定し、これを受けて具体的な表彰基準等を検討してまいります。
 大田前知事の平和行政については、一定の評価をしております。
 次に、新石垣空港問題について、委員会の設立がおくれた理由と今後のタイムスケジュールについて聞きたいという御質問へのお答えでございます。
 新石垣空港建設位置選定委員会の設立がおくれた理由は、委員候補者の同意を得るのに時間を要したためであります。現在、学識経験者及び地元代表者の大部分の方々の了解をいただいております。今後、各委員候補者の方々全員の同意が得られ、構成メンバーが確定した上で、7月下旬には第1回の委員会を開催する予定であります。
 建設位置選定委員会の中では委員の皆様が議論を尽くしていただき、できるだけ早期に位置を選定し提言していただきたいと考えております。
 次に、同じく新石垣空港問題の中で、県が構想する位置選定委員会で候補地を1カ所に絞れるか、見通しと責任はという御質問へのお答えでございます。
 建設位置選定委員会は、学識経験者と地元代表者を網羅した地元中心の委員構成とし、地元の関係する方々が一堂に会して議論を尽くし合意形成を踏まえて1案を選定していただくこととしております。八重山郡民の長年の願いである新石垣空港の建設のため、委員の皆様が大局的見地から議論を尽くすことにより、合意形成を踏まえた位置選定ができるものと考えています。
 次に、同じく新石垣空港問題で、地元委員は立場が固定して対立の激化が懸念される、早期着工の見通しはという御質問に対するお答えでございます。
 地元代表の委員の皆様がそれぞれの立場から意見を述べるとともに、異なる意見にも耳を傾けて、新空港の実現のために広い視野で検討することが新石垣空港の早期建設につながるものと考えております。
 次に、新石垣空港問題について、委員会での合意形成は多数決か、全会一致か、委員会の権限と責任の範囲はという御質問へのお答えでございます。
 建設位置の選定に当たっては、地元の合意形成が最大の要件であります。したがって委員の皆様が大局的見地から前向きな議論を尽くし、委員全員の合意の上で建設位置を選定していただきたいと考えております。
 また、本委員会は望ましい建設候補地を1カ所選定し提言していただく機関として考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 上間毅議員の基地問題に関する質問事項のうち、普天間飛行場の移設に関して普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室での調査検討事項と今後の作業スケジュールについて聞きたいということと、海上案の取り扱いと陸上案の候補対象地域等の具体的検討経過を聞きたいということにつきまして一括してお答えをいたします。
 普天間飛行場の移設問題については、現在、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において空港建設の可能性や地域の振興開発、産業振興策等さまざまな観点から総合的に検討を行っております。
 同室では、去る5月に米軍、自衛隊及び民間が共同使用している三沢飛行場の調査を行い、このような調査等を踏まえさまざまな観点から複数の案についての検討を行っており、できるだけ早期に県の考え方をまとめていきたいと考えております。
 なお、海上ヘリポート政府基本案につきましては、県としては反対であります。
 次に、同じく基地問題についての質問事項の中の、那覇港湾施設の移設に関して返還問題対策室での調査検討経過と今後の作業スケジュールを承りたいということにつきましてお答えをいたします。
 那覇港湾施設の移設に関する諸問題については、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意検討を進めているところであります。
これまで現況を把握するため、那覇港湾内における港湾施設の視察を行うとともに、米軍、自衛隊及び民間が共同使用している長崎県佐世保港の調査を行ったところであります。これらの調査を参考に関係機関と調整し、移設に係る諸問題について総合的に検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(宮城正治) 基地問題に関連して、ハブ港湾調査と軍港調査主体と相互の関連性について伺いたいとの御質問に対してお答えいたします。
 那覇港の国際流通港湾計画調査は、沖縄県が国からの補助を受けて実施するものであります。本調査は、世界や日本の物流動向を踏まえ、ハブ機能のあり方などあらゆる可能性を検討し、目指すべき国際流通港湾像を具体的に明らかにするとともに、新たな港湾計画として位置づけることを目的とする調査であります。
 一方、防衛施設庁が本年度に予定しております調査は、民間と米軍の共同使用の実態等について基礎的な資料を収集するためのものであると聞いております。
 県としましては、那覇軍港の移設については国の当該調査も勘案しながら、浦添市を初めとする関係者の意向を踏まえて県としての考え方を取りまとめていきたいと考えております。
 以上です。
○福祉保健部長(平良健康) 離島問題の施策について、介護保険制度の導入が離島に及ぼす影響についてどのように把握しているかとの御質問にお答えいたします。
 本県の離島地域においては、過疎化の影響で高齢化率が高く、とりわけ75歳以上の後期高齢化率が高いことが特徴となっています。
 離島における要援護老人については、在宅サービスの供給体制がおくれているため本島にある施設に入院、入所している方が多く見受けられます。
 介護保険制度では、民間事業者の参入が困難とされる離島過疎地域においては、ボランティア団体や婦人会などでも「離島等相当サービス」として介護サービスを提供できることになっています。このことによって、介護を必要とする状態になっても住みなれた地域で暮らし続けられる条件が整えられることになり、また地域における雇用の拡大にもつながると考えています。
 次に、制度施行に向けた体制及び予想される問題点とその対策はどうかとの御質問にお答えいたします。
 ことしの10月から要介護認定が始まりますが、離島町村においては医療・保健・福祉の人材確保が困難なことから介護認定審査会の広域的設置の取り組みを行っており、現在、離島町村を含め38市町村が5つの一部事務組合において認定審査を行うことになっています。
 サービスの確保については、離島において民間事業者の参入が大きくは期待できないことから、「離島等相当サービス」の活用について離島地域の実態を踏まえ、個別・具体的に検討を行い支援をしてまいります。
 離島におけるマンパワーの確保については、県では、現在、離島に講師を派遣して研修を行ういわゆる出前方式によるホームヘルパーの養成を行っているところです。今後とも離島地域に対する支援を強化してまいりたいと考えています。
 次に、我が党の代表質問との関連について、小規模作業所の規模別比率はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 平成11年度に補助を予定しております35作業所の規模別内訳については、利用者数5人から9人の作業所が12カ所で全体の34%、次に10人から19人が14作業所で40%、20人以上は9作業所で26%となっております。
 次に、補助方式を市町村経由にする目的は何か、補助基準額を設定する目的は何か、それから改正により補助額が減額になることはないかとの3つの御質問につきましては、関連しますので一括してお答えいたします。
 心身障害者小規模作業所は、法的助成制度の対象とならない施設であるため、その運営基盤は極めて弱く不安定な状況にあります。
また、小規模作業所は地域で生まれ、地域の在宅障害者福祉の増進に大きな役割を果たしており市町村の支援が強く求められる施設でありますが、現状は市町村によって支援に格差があります。
このようなことから、今般、運営費助成について一定基準を設定し、市町村が少なくともその2分の1を負担する間接補助制度を創設して補助金の全体的底上げを行い、運営の安定化と基盤強化を図りたいと考えております。
市町村の事情により補助基準額を下回る助成が生じた場合、県補助金の減額にならないよう特例措置を講ずることとしております。
○文化環境部長(宮城光男) 離島問題の施策について、離島地域の環境保全対策と適正なごみ処理対策、いわゆる広域化計画との関係はどうなっているかという御質問にお答えします。
 県では、高度な環境保全対策の必要性等適正なごみ処理を推進するに当たっての課題に対応するため、去る3月に「沖縄県ごみ処理広域化計画」を策定したところであります。
 当該計画の期間は、平成11年度から平成20年度までの10年間であり、広域化の区割りとしては北部、中部、南部、宮古及び八重山の5つのブロックを設定しております。
 本島では、将来的にごみ焼却施設を5施設に集約することとしておりますが、離島については地理的及び財政的な制約により施設の集約化が厳しい状況にあります。
 このような状況の中で、竹富町については平成14年度からRDF化施設を西表島を初め5つの島に整備することとしており、そのRDFを石垣市の焼却施設で委託処理する計画となっております。今後は、各ブロックごとに「市町村ごみ処理広域化推進協議会」――仮称でございますが――を設置し、地域の特性及び実情を勘案した広域化を推進してまいりたいと考えております。
 次に、離島地域における沖縄県廃棄物減量化・再生利用推進計画の実施状況と問題は何かという御質問にお答えします。
 本県の将来の循環型社会に向けてごみの減量化・再生利用の方向性と施策を明らかにすることを目的とした「沖縄県廃棄物減量化・再生利用推進計画」を平成5年度に策定しており、再資源・再生利用システムを確立するため分別収集の徹底、輸送システムの確立及び資源化品目の拡大が重要な課題となっております。
 このような課題に対応するため離島市町村におきましては、現在、20市町村中17市町村がごみ減量化対策を含む「一般廃棄物処理計画」を策定しており、「容器包装リサイクル法」に基づく「市町村分別収集計画」については4市町村が策定しております。
 また、資源化廃棄物を本島に搬送する経費のうち、船舶にかかる経費の2分の1を県で助成する廃棄物資源化対策事業を平成7年度から実施しており、平成10年度までの4年間で延べ41離島市町村で実施し、離島のごみ減量化・再資源化に寄与しております。
 県としましては、今後とも離島市町村に対し一般廃棄物処理計画等も含め沖縄県廃棄物減量化・再生利用推進計画の実施を促進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○文化国際局長(金城勝子) 上間毅議員の代表質問との関連につきまして、平和の礎の追加刻銘費用が当初予算から計上されなかったのはなぜかというお尋ねでございます。お答えいたします。
お尋ねの平成11年度の当初予算につきましては、新たな刻銘予定者が前年の663人と比べまして平成10年10月の時点では約200人で3分の1以下となっていたこと、また県の厳しい財政状況等を勘案いたしまして予算要求を行っていなかったものでございます。
 以上でございます。
○上間  毅 再質問をさせていただきます。
 普天間基地移設の問題ですけれども、案が具体的になれば報告するということでございますけれども、現在は具体的な案はないということですか。それでは具体的になる時期はいつごろか、御説明ください。
 それから、県内移設のコンセンサスあるいは振興策等の課題があるということで普天間基地の危険性があると、だから早急に移転しなきゃならないというのが稲嶺知事の公約でございますけれども、移設先やコンセンサスのタイムリミットはいつごろになるのか、お答えください。
 それから、那覇軍港の件についてですけれども、今回の調査費は軍港の調査費は含まれていない、軍民共用を模索している立場からすれば軍港の調査費をつけないのは片手落ちではありませんか。軍港の調査はしないということなのか、お尋ねいたします。
 それから、新石垣空港についてですけれども、委員会のメンバー全員が確定したら開催するということでございますけれども、委員への就任拒否が出た場合、委員会は白紙に戻るのですか、お答えください。
 それぞれの立場から意見を述べていくとのことですが、団体代表委員は所属団体の意思をまとめて発言してもらうとの答弁もありましたけれども、個人的な発言と団体代表発言とは同格なのか。
 議員は個人か、支持者代表なのか。
 市長、町長、議長はどういう立場なのか。それで全会一致の合意形成は可能と思いますか、お尋ねいたします。
 平和の礎の追加刻銘の件でございますけれども、前県政の10月の時点で予算要求がなされてなかったとのことですが、それでは本年度の予算は前県政の要求どおりの予算と理解してよいのですか。もしそうでないとするならば、なぜ平和の礎の刻銘に限って前県政からの要求がなかったという説明になるのか、納得がいきませんので説明をお願いいたします。
 それから身障者の問題ですけれども、特例措置を講じるということですが、特例措置の内容はどういうものなのか、お尋ねいたします。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午前10時42分休憩
   午前10時44分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 上間毅議員の再質問にお答えいたします。
 普天間飛行場の移設問題についてということで2つ御質問がございまして、1つの問題については、案ができればということだけれども、これはどうするのかということ、もう一つは、じゃ、それでなければ時期はいつかという御質問でございますけれども、これは現在、先般もお答えいたしましたけれども、ただいま検討中でございますので、鋭意検討を進めてまいります。
 それから、時期に関しましては、これは当然早期にということで一日も早くということでございます。
 次に、新石垣空港建設問題について、地元の同意が得られない限り委員会は立ち上がらない考えかということでございますけれども、これについてはこう考えています。
 建設位置選定に当たっては、地元の合意形成が最大の要件であります。したがって県としては、委員の皆様の協力を得ながら委員候補者全員の同意が得られるよう、粘り強くお願いしていきたいと考えております。
○文化国際局長(金城勝子) 今年度の平和の礎の追加の費用につきましては、9月の補正に間に合うようにということで一応事務当局では準備中でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 小規模作業所の補助金につきまして、特例措置の内容はどのようなものかとの御質問にお答えいたします。再質問の内容でございます。
 補助金交付要綱というのを定めておりまして、この第4条の中で、この補助金の交付額は、補助基準額と市町村が補助した額とを比較していずれか少ない方の額に2分の1を乗じて得た額とすると。ただし、これによりがたい場合は、別途通知により補助金額を算定することができるものとするというふうになっておりまして、このただし書きの部分は特例措置ということになります。
 すなわち補助基準額というのが定められるわけでございますが、その2分の1を市町村が補助することになっておりますが、市町村側の事情においてこれが難しいというふうな場合には、それを下回る場合につきましては県の補助額については減額にならないようにすると、こういうことでございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 上間毅議員の再質問にお答えいたします。
 まず1点目に、委員は個人の発言かという趣旨の御質問にお答えします。
 新石垣空港の建設は、新石垣空港建設位置選定委員会において地元の合意形成を踏まえて選定するものです。したがいましてその委員となられる関係団体代表は、その所属する団体の意思をまとめて発言していただくという考えであります。
 それから、地元代表の役割はという御趣旨の質問にお答えいたします。
 まず、公民館代表につきましてはそれぞれの地域を代表してその地域の事情や利害を述べるとともに、異なる意見にも耳を傾けて新石垣空港の建設位置を広い視野で検討するものでございます。
 それから、行政機関の代表、議会代表につきましては、八重山の将来を見据えて大局的見地から意見を述べ、異なる意見の集約に努めるということでございます。
 それから、経済団体代表、農業団体代表、自然保護団体代表等につきましては、それぞれの立場から意見を述べるとともに位置選定のための合意形成に努めるということでございます。
 以上でございます。
○上間  毅 休憩お願いします。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午前10時50分休憩
   午前10時54分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) ただいま具体的なというお話がございましたけれども、ただいま複数の候補地を案を絞っているところでございます。検討しているところでございます。
 その意味で具体的ではありますけれども、まだ検討の段階でございますので、お話できる段階にはございません。
○知事公室長(親川盛一) 上間毅議員の再質問の中の軍港の調査はないのかということについてお答えをいたしたいと思います。
 那覇軍港につきましては、跡地調査につきましては、これは調査を一応考えておりますけれども、軍港については今のところ考えておりません。
 以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 議員の役割についてでございますけれども、議員につきましては個人ではなくて、住民代表として八重山の将来を見据えて大局的見地から意見を述べ、異なる意見の集約に努めるということでございます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 平和の礎の追加刻銘費用関係の予算についてお答えいたします。
 まず、平成11年度の予算につきましては、平成10年の11月に各部局から概算要求を提出させまして、それから調整を重ね、平成11年の1月26日に第1次内示をやっております。そのときに復活要求を提出してもらうわけでございますが、その復活要求の段階で稲嶺知事の公約、それから理念等を含んだ形で復活要求は提出をしてもらいまして、2月8日に最終内示をやって執行部案を決定したわけでございます。
 それとあと1点は、今回の平和の礎の追加刻銘の費用関連の経費が6月補正の予算の編成に計上されてないのはどういうことかということでございますが、6月の補正予算につきましては沖縄特別振興対策調整費関係、それとサミット関連という緊急に必要な経費を補正をやっております。その6月補正の編成に間に合わなかったということでございます。
○上間  毅 質問いたします。
 1点だけですけれども、複数案が上がっているということですので、複数案を上げて検討しているということです。
 この複数案というものは幾つなのか。2つ以上は複数案ですけれども、何件上がっているか、また時期を明確にしていただきたい。
 以上です。
○知事(稲嶺惠一) 幾つかの候補地がございますけれども、それを複数に絞る案について内部的に検討している段階であります。まだ具体的に説明できる段階ではございませんので御理解ください。
 なお、できるだけ早く作業を進めるため鋭意努力をしているところであります。
○嘉陽 宗儀 通告に基づき質問します。
 質問に入る前に答弁の姿勢について要望しておきますけれども、これまでの知事、執行部の答弁を見ると、議員の質問に対して真摯に的確に答弁するという努力が欠けているように見受けられます。よって、正確に答弁するように要望してから質問に入ります。
 まず初めに、新ガイドライン関連法について質問します。
 自自公によって成立させられたガイドライン関連法案について、小沢一郎自由党党首は雑誌「正論」6月号で、「今度のガイドラインは、ごく大ざっぱにいうと、まさに戦争に参加する話なんです。」と強調しています。
 また、同誌で帝京大学の仕方俊之氏は、「防衛力を作るための努力はしたが、それを使うために必要な法律や体制を作る努力は先延ばしにしてきた。」、その理由は個人の自由や私権の制限、地方自治の制限、三権分立といった日本国憲法の根幹にかかわる部分に触れなければならなかったからと言っています。
 このようにガイドライン関連法の役割が明確に述べられています。
 この関連法は、とりわけクリントン政権が好戦的だということを考えたらその危険性はいよいよ明らかになります。
 クリントン政権は、ベトナム戦争以後の歴代政権の中で他国に戦争を仕掛ける、あるいは仕掛ける準備をしてきた度合いの多さは特異であります。例えばフォード政権が4回、カーター政権が1回、レーガン政権が14回、ブッシュ政権が7回、20年間で計26回もありました。ところが、クリントン政権は6年半で実に46回に上っています。まさにこれはアメリカの干渉戦略と世界戦略の横暴さを示すものであります。
 そこで質問します。
 (1)、この新ガイドライン関連法は戦争法と言われています。沖縄を戦場にするおそれも出てきました。知事としてどう受けとめていますか。
 (2)、自衛隊は大きな戦力を持ったが、戦争のできる法律の整備ができていないので今度は憲法を変えて有事法制が必要だという声も出されています。知事は、ガイドライン関連法は合憲だと思いますか、有事法制が必要だと考えますか。
 (3)、1994年の北朝鮮の核問題で危機対応計画案を日米で作成していたことが明らかになったが、これは新ガイドライン関連法のもとになったものです。その中で示されている沖縄の協力内容はどうなっていますか。
 (4)、これは新ガイドライン関連法でも同じような協力がさせられると思いますが、それに対して知事はどう対応しますか。
 (5)、自治体協力が強制されると思いますが、知事はその事態になったらどう対処しますか。
 (6)、人員や物資の輸送、病院への負傷兵の受け入れ、水の供給など協力をしたら文字どおり県民生活が大きく圧迫される事態になります。どう対応しますか。
 (7)、既に新ガイドライン関連法の民間協力が先取り的に実行されていますが、その実態はどうなっていますか。
 次の質問は、SACO合意についての取り組みについてであります。
 5月5日付の地元マスコミは、日米首脳会談でクリントン大統領は、稲嶺惠一知事の登場をわざわざ取り上げ、沖縄の在日米軍に関する日米特別行動委員会(SACO)最終報告を推進する環境が整ったと評価したと報じています。
 沖縄基地問題に対する米国政府の対応は、新ガイドライン関連法の可決を見てSACO合意の具体的前進に置き、ガイドラインの次は当然SACOと政府筋は言明しています。
 それを裏づけるように稲嶺知事が就任した昨年12月以来、米政府高官、米軍最高ポストの大物たちが相次いで県庁を訪れて知事と意見交換をしています。これはいかに米国政府が稲嶺知事に期待しているかを示すものであり、また知事にプレッシャーをかけるねらいがあることは見え見えであります。
 そこで質問します。
 (1)、SACO合意の完全実施を日米両政府が迫ってきていますが、知事はSACO合意は基地機能の強化になるのであれば反対しますか。
 (2)、クリントン大統領が25日の記者会見で、普天間飛行場移設など基地問題のサミットまでの解決を促しています。それを受けて沖縄政策協議会でも早期決着を求めてきています。知事としてどう対応しますか。
 (3)、サミットと基地問題は関係ないと知事は主張しています。サミットまでに普天間基地の移設問題を決着つけるようにということは、明確にサミットと基地問題がリンクしていると思いますが、それでも関係ないというのですか。
 (4)、知事は日米両政府の圧力に対してどう対応するおつもりですか。
 (5)、県の取り組みは具体的にどこまで進んでいますか。今でも北部に建設する方針ですか。
 (6)、SACO合意について米軍自体が踏みにじっている実態もあると思いますが、どうですか。
 (7)、21世紀まで県民が米軍基地の重圧で苦しめられるのを断ち切るために、この際米軍は米国に引き揚げよと勇気を出して態度表明したらどうですか。
 3つ目の質問は、サミットについてであります。
 昨日のタイムス紙に、水島朝穂早稲田大学教授は、「沖縄開催には、さまざまな政治的事情や思惑が絡んでいることは見落とせない。「サミット黒船」とばかり、東京政府が「基地のない沖縄」を求める県民世論に対して、基地受け入れを認めさせる究極の変化球と言える。那覇でなく、名護で開かれること自体、基地問題を意識したものだ。」と述べています。まさにサミットの沖縄開催の政治的意図を明確にしています。
 クリントン大統領が25日の記者会見で、普天間飛行場の移設問題など日米特別行動委員会(SACO)最終報告の早期解決をサミットまでの解決を迫ったことに対し、野中広務官房長官は26日、「「クリントン大統領の言うことも分かるし、約束だからわれわれは道筋をつける努力を当然していかなくてはいけない。」」と強調しました。
 基地問題をあぶり出すことになるようではサミット成功もおぼつかなくなるという声も出されています。
 そこで質問です。
 (1)、サミットの政治利用が目に余ってきました。知事は政治利用を拒否するということを明確にすべきだと思いますが、どうですか。
 (2)、県は、観光客の予約も自粛するように関係者に通知しているようですが、事実はどうですか。
 (3)、もしそうであれば、それによりこうむる経済的損失はどこが補償することになるのですか。
 (4)、ホテルの改造費などの負担はどこが持つことになりますか。
 (5)、宿舎の割り当てが決定されるのはいつか。必要な工事費の負担はどうなりますか。
 (6)、その他の経済的な損失も心配されますが、その掌握のためにどのような取り組みをしていますか。
 (7)、サミットによる経済的な負担を県民にさせないために特別に対策をとるべきだと思いますが、取り組みはどうなっていますか。それからサミットによる経済効果はどのようなものですか。
 (8)、過剰警備による県民への人権侵害等が心配されますが、警察はどう配慮しますか。
 第4の質問は、日の丸・君が代の法制化についてお聞きします。
 (1)、日の丸・君が代が軍国主義の時代に果たしてきた役割はどのようなものですか。
 (2)、戦前歌われた「君が代」の歌詞はどのような意味だと国民に説明されていましたか。
 (3)、その当時、国民主権、主権在民はどのように扱われていましたか。
 (4)、政府は、「君が代」は象徴天皇を指すと説明していますが、国歌が国民を主人公として扱うのではなく、天皇中心で制定されるというのは民主主義の立場からは矛盾すると思いますが、どうですか。
 (5)、特に、民主主義を教える教育現場では矛盾が出てくると思いますが、見解を伺います。
 (6)、我が党は、現在の憲法にふさわしい国民主権を明確にした国旗、国歌にすべきだと考えます。戦前の帝国憲法時代の「日の丸」・「君が代」ではなく、現在の日本にふさわしいものにすべきだと思いますが、見解を伺います。
 (7)、法的に制定されたからといって、思想信条の自由という立場からも強制すべきではないと思いますが、どうですか。
 5つ目の質問は、保育問題についてであります。
 (1)、自自公の3党合意による少子化対策の2000億円について、市町村少子化対策特例交付金事業を創設することになっていますが、その具体的な使途は明らかになっていますか。
 (2)、保育所と幼稚園の設置主体が相互乗り入れできるよう規制緩和を進めるという内容を説明してください。
 (3)、保育所について、原則社会福祉法人に限られていた設置主体を、待機児童を抱える地域では一定の条件のもとで民間非営利団体(NPO)や農協、株式会社などにも認める方針を打ち出しています。どういう内容ですか。
 (4)、すべての乳幼児が児童福祉法に基づき健全に育成されなければなりませんが、この規制緩和による株式会社に保育をゆだねると、保育ではなく飼育になりかねないと思いますが、どうですか。
 (5)、県内の保育所整備のおくれが指摘されていますが、実情はどうなっていますか。
 (6)、県内の無認可保育所の実数と、そこで保育されている乳幼児の数はどうなっていますか。
 (7)、その中で保育を必要としている児童の数は何名いますか。
 (8)、沖縄は全国一待機率が高いとされていますが、実態はどうなっていますか。
 (9)、その解決にどのように取り組みますか、方針があったら明らかにしてください。
 第6の問題は、県民生活の問題についてであります。
 (1)、失業率がますます深刻になっていますが、その原因は何ですか。
 (2)、最近大手の企業の倒産、閉店が続いていますが、その原因は何ですか。
 (3)、国民年金の納付率が下がり、無年金者がふえているようです。その実態と原因と対策についてお伺いします。
 (4)、21世紀プランは県経済を深刻にしている原因について明確な分析をしていません。原因を分析してこそ適切な対策と施策も実行できるものです。「県政不況・失業」を叫んだ知事として、今度はみずから知事になっての立場で深刻になっているこの問題について県民に明らかにすべきです。不況対策、失業対策の取り組みを説明してください。
 最後の質問は、知事の政治姿勢についてであります。
 知事のアドバイザリーグループについてお伺いします。
 最近の日米両政府の県民への基地押しつけの言動は目に余るものがあります。知事の態度も「慰霊の日」の平和宣言に見られるように基地をなくしていくという姿勢は見られません。このアドバイザリーグループの役割も日米の要請にこたえるための人選になっている感がします。
 その役割、人選の基準、予算について御説明を願います。
○知事(稲嶺惠一) 嘉陽宗儀議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、新ガイドライン関連法についてでございまして、新ガイドライン関連法は沖縄を戦場にするおそれがあると、知事としてはどう受けとめるかということです。
 県としては、現在の国際連合下の安全保障体制及びアジア情勢などから見て、日米安全保障条約が我が国の平和と安全のため必要であるということは、今日の国際政治の現実であると考えており、国会においても、このような立場から周辺事態法等いわゆる新ガイドライン関連法の必要性を考慮し、同法等を可決したものと認識しております。
 県としては、周辺事態が万が一にも発生しないことを願うものでありますが、仮に周辺事態になった場合、県民の生命、財産及び本県の経済活動への影響等を総合的に勘案し、県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応したいと考えております。
 次に、同じく新ガイドライン関連法について、知事は新ガイドライン関連法は合憲だと思うか、有事法制は必要だと考えるかというお尋ねでございます。
 周辺事態法等いわゆる新ガイドライン関連法については、去る5月24日に参議院において可決され成立いたしました。同法は、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である国会において審議、制定されたものであります。
 また、いわゆる有事法制については、具体的な内容が明らかにされていない現時点において知事としての所見を述べることは差し控えたいと考えております。
 次に、同じく新ガイドライン関連法について、まず最初に1994年の北朝鮮の核問題で危機対応計画案が作成されていたことが明らかになったが、その中で示されている沖縄の協力内容はどうなっているかという御質問と、新ガイドライン関連法でも同じような協力をさせられると思うが、それに対して知事はどう対応するか、次の自治体協力が強制されると思うが知事はその事態になったらどう対処するか、次の人員や物資の輸送、病院への負傷兵の受け入れ、水の補給など協力したら県民生活が圧迫されるが、知事はどう対応するかという御質問の4点につきまして一括してお答えいたします。 
 新聞等で報道されている朝鮮半島有事を想定した在日米軍の支援要求については、去る2月23日の参議院予算委員会において野呂田防衛庁長官が、「日米間の種々の意見交換や検討作業の中で、緊急事態に対しての米軍に対する我が国の支援についてもさまざまな形で議論されたことは事実でありますが、一部報道にあるように対日支援要求として固まったものを政府として受領したわけではありません。」と答弁しております。
 また、周辺事態法第9条第1項の規定の趣旨等については、内閣安全保障・危機管理室長、防衛庁防衛局長及び外務省北米局長の連名による文書によりますと、地方公共団体に対する一般的な協力義務を定めるもので、強制するということではなく、あくまで協力を求めるものであり、協力要請にこたえなかったことに対して制裁的な措置をとることはないとのことであります。
 さらに、同法第9条第2項については、何ら義務を課すものではなく、協力依頼にこたえなかったことに対して制裁的な措置をとることはないとしています。
 県としては、国から協力を求められた場合、本県の経済活動及び県民の生命、財産への影響等総合的に勘案し、県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応したいと考えています。
 次に、SACO合意の取り組みについての御質問でございます。
 SACO合意の完全実施を日米両政府が迫っているが、SACO合意が基地の機能強化になるとすれば知事は反対するかという点へのお答えでございます。
 SACOは、在沖米軍専用施設面積の約21%の土地の返還を初め、県道104号線越え実弾砲撃演習の廃止等、日米両国政府が沖縄県民の負担軽減を図るため精力的に協議を行い合意に達したものと理解しております。
 県は、基地の整理縮小を初めとする基地問題の解決に当たっては、SACOの合意事案を着実に実施することが重要であると考えており、引き続き国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえ、県民の理解と協力を得ながらその解決に向けて一つ一つ着実に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、同じくSACO合意の取り組みについての中で、クリントン大統領は基地問題のサミットまでの解決を促し、また沖縄政策協議会でも早期決着を求めてきている、知事としてどう対応するかという御質問と、サミットまでに普天間基地の移設問題に決着をつけるようにということは明確にサミットと基地問題がリンクしているが、それでも関係ないというのかということと、知事は日米両政府の圧力に対してどう対応するのかという3点の御質問に一括してお答えいたします。
 普天間飛行場は、市街地の中心に位置し非常に危険な状況にあることなどから早期の返還について県から強く要望し、日米両国政府は普天間飛行場を含むSACOの合意に達したものと理解しています。したがって、日米両国政府がSACOの合意事項の着実な実現を希望するのは、これまでの認識を表明したものであると考えています。
 県としては、サミットの開催と普天間飛行場の移設は、それぞれ県政の最重要課題であると認識しており、そのため去る3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意県内移設に向けての作業を進めているところです。
 普天間飛行場の県内移設については、地域のコンセンサスや振興策などさまざまな課題がありますが、一日でも早く解決していくよう努力しているところであります。
 次に、SACO合意についての取り組みについての中で、普天間飛行場問題に関して県の取り組みは具体的にどこまで進んでいるか、今でも北部に建設する方針か聞きたいということでございます。
 普天間飛行場の移設問題については、現在、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意検討を進めているところであります。
 同室では、去る5月に米軍、自衛隊及び民間が共同使用している三沢飛行場の実態について調査を行い、このような調査等を踏まえ、さまざまな観点から複数の案についての検討を進めているところであります。
 次に、同じくSACO合意について、県民に対する米軍基地の重圧をなくすために米軍は米国へ引き揚げるよう表明してはどうかとの御質問についてでございます。
 基地問題は、国際情勢や県土の有効利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、環境の保全、経済振興策等多くの問題が複雑に絡み合っていることから、県としては実現可能なものから着実に一つ一つ解決していく手法が本県の基地問題を解決する現実的な対応であると考えています。
 SACOは、日米両国政府が沖縄県民の基地負担の軽減を図るため精力的に協議を行い合意に達したものであります。したがいまして、米軍基地の整理縮小については、まず、SACOの合意事案を着実に実施することがより現実的で実現可能な方法であると認識しています。
 次は、サミットについて、知事はサミットの政治利用を拒否するということを明確にすべきだと思うがどうかということについての御質問へのお答えでございます。
県としては、サミット開催は県政の最重要課題と認識しており、その成功に向けて県民を挙げて受け入れ体制を整えるとともに、県民の英知を集めて沖縄開催の意義を最大限に引き出していけるよう取り組んでおり、御指摘のような政治利用云々ということはないものと認識しております。
 次に、日の丸・君が代の法制化について、日の丸・君が代が軍国主義の時代に果たしてきた役割はどのようなものか、次に戦前歌われた「君が代」 の歌詞はどのような意味だと説明されていたのか、その次のその当時、国民主権、主権在民はどのように扱われていたかという3つの御質問に対して一括してお答えします。
 戦前の我が国において、「日章旗」及び「君が代」が不幸な使われ方をしたことがあったことは否定できません。しかし戦後、天皇主権の明治憲法を廃止し、国民を主権者とする現憲法が制定されました。
 その後、我が国におきましては、「日章旗」及び「君が代」がそれぞれ国旗及び国歌として広く国民の間に定着しており、これに法的根拠を与えるものとして「国旗及び国歌に関する法律案」が提案され、目下国会で審議されているものと理解しております。
 次に、同じく日の丸・君が代の法制化について、政府は「君が代」は象徴天皇を指すと説明しているが、国歌が国民を主人公として扱うのではなく、天皇中心で制定されるというのは民主主義の立場から矛盾すると思うがどうかということと、次の現在の日本にふさわしいものにすべきと思うがどうかと、その次の法的に制定されたからといって思想信条の自由という立場から強制すべきではないと思うがどうかという3つの御質問に一括してお答えいたします。
 現在、日本国憲法に基づく象徴天皇は、多数の国民に理解されているものと認識しております。
 また、我が国におきましては、長年の慣行により日章旗及び君が代がそれぞれ国旗及び国歌として広く国民の間に定着しており、これに法的根拠を与えるものとして「国旗及び国歌に関する法律案」が提案され、目下国会で審議されているものと理解しております。
 しかしながら、この法案について県民の間にはいろいろな思いがあることを承知しております。このため、国会において十分に審議を尽くしていただきたいと考えております。
 次に、保育問題について、沖縄は全国一待機率が高いとされているが実態はどうかという御質問と、その解決にどのように取り組むか方針があれば明らかにされたいという2つの御質問に一括してお答えします。
 平成10年4月1日現在の保育所入所児童数は2万1726人で、これに対する入所待機児童数は2736人であり待機率は12.6%でありましたが、平成11年4月1日現在では待機児童数は2115人で、待機率は9.4%となっております。
 県としては、待機児童解消のため平成10年度は乳児保育室の設備整備を261カ所の保育所で実施し乳児の受け入れ促進を図ってまいりました。今後は、市町村と連携を図りながら保育所の創設、また老朽保育所改築の際の定員増及び定員の弾力化による受け入れ増などにより待機児童の解消に努めてまいります。
 次に、県民生活の問題について不況対策、失業対策の取り組みを説明されたいという質問へのお答えでございます。
 最近の県内景況は、雇用情勢については依然として厳しい状況が続いておりますが、経済対策による追加公共事業の効果や入域観光客数の増勢等に支えられて回復の兆しが見え始めており、このため景気対策としては公共事業の上半期執行目標率の82%設定による需要の喚起、観光イベントや誘客プロモーションなどの観光振興対策、県単融資資金による中小企業の資金調達の円滑化、地域総合整備資金貸付金による民間投資の誘発などの施策を強化しています。
 さらに、雇用情勢の改善を図るため地域雇用開発助成金及び沖縄若年者雇用開発助成金の活用等による雇用機会の創出、新規大学等卒業予定者支援事業等による若年者の就職促進対策、財団法人雇用開発推進機構による雇用開発などの対策を推進しております。
 また、県においては、情報産業の振興と雇用の創出を図るため通信料金の低減措置を実施し、コールセンターの集積を促進しております。現在、業務を開始している数社のコールセンターにより創出された雇用は900人程度となっており、今後も大きな雇用が期待されております。
 そのほか、県では組織的にも本年度から企業立地推進課を設置し積極的な企業誘致活動を展開しているところであります。
 さらに、沖縄振興のための特別調整費の関連事業の中では、那覇─本土間の航空運賃再引き下げ及び沖縄自動車道の通行料金割引の実施、(仮称)産業振興・創業支援センターの整備、特別自由貿易地域への立地促進のための受け皿施設の整備、観光・リゾート地にふさわしい景観の形成、環境の保全などについてもその促進を図っているところであります。
 また、サミット開催に向けて国、県、民間における施設設備等の整備が短期間で進められることとなっており、県内需要の拡大と雇用の増大が期待されます。   
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 嘉陽宗儀議員の新ガイドライン関連法についての質問事項のうち、既に新ガイドライン関連法の民間協力が先取りで実行されているが、その実態はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
 在沖米海兵隊の実弾砲撃演習の移転に伴う人員及び物資の輸送については、防衛施設庁が民間運送会社と業務契約を締結し当該契約に基づき民間航空機等を使用して行われたとのことであり、これは一般に行われている民事上の契約に基づく行為であると理解しております。
 次に、SACO合意については米軍自体が踏みにじっていると思うがどうかという御質問にお答えをいたします。
 SACOは、日米両国政府が沖縄県民の基地負担の軽減を図るため精力的に協議を行い合意に達したものであります。
 県としましては、引き続き県民の基地負担を軽減するというSACOの基本的な考え方に沿って基地問題の解決を図っていきたいとかように考えております。
 以上でございます。
○サミット推進事務局長(山田文比古) 嘉陽宗儀先生の幾つかの御質問にお答えを申し上げます。
 質問は幾つかございますが、まず、県は観光客の予約も自粛するように関係者に通知しているようだが事実はどうか、もしそうであれば、それによりこうむる経済的損失はどこが補償することになるのか、さらにホテルの改造費などの負担はどこが持つことになるのか、そして宿舎の割り当てが決定されるのはいつか、工事費の負担はどうなるのかと、以上の4つの質問に関しましては相互に関連いたしますので、一括してお答えを申し上げます。
 サミットの開催に伴いまして、各国代表団やプレスなど多数の関係者が来県されることが予想されております。
しかしながら、来県される関係者の正確な数や各国が宿泊を希望される宿舎が特定されていないため現時点においてきちんとした宿泊計画を作成し得ない状況にございます。したがいまして宿舎の確保に万全を期するという意味から、サミットに関係するしないにかかわらず現時点での宿泊の確約を慎重にしていただくことが適当であるという旨をサミット推進県民会議の宿泊部会を通じて御理解を求めているところでございます。
 御指摘のもろもろの問題につきましては、できる限りホテル業界や一般観光客に影響を及ぼさないようサミット県民会議の宿泊部会等を通じまして関係者の理解を求めつつ調整しながら、可及的速やかに適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
 続きまして、その他の経済的な損失も心配されるが、その掌握のためにどのような取り組みをしているのか、また県民へサミットによる経済的な負担をさせないために特別の対策をとるべきだと思うが取り組みはどうなっているかという御質問でございますが、これも一括してお答えをさせていただきます。
 サミットの開催は、本県のすぐれた投資環境や観光・リゾート地、国際コンベンション都市としての優位性等を世界にアピールする絶好の機会であるだけでなく、本県の一層の国際化や振興開発にも資するなど沖縄の将来にとって極めて大きな資産になるものであると認識しております。
 一方、サミットの開催につきましては、県民の御理解と協力のもと、可能な限り県民生活や経済活動に悪影響を及ぼさないよう配慮しながら、その準備に取り組んでまいることは当然のことであると考えております。
 まさに、御指摘のようなサミットに関する県民の声をサミット開催準備に生かすために県民会議を5月25日に結成をしたところであります。ぜひいろんな意味でサミットに関心を寄せておられるすべての皆様の御参加を改めて呼びかけたいと存じます。
 なお、我が国でのサミットの地方開催は初めてのことであり、今後国と地元の役割分担や財政負担について具体的に調整していくことになりますが、地元自治体の負担につきましては財政措置の配慮がなされるよう要望してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(宮城正治) サミットによる経済効果はどのようなものかという御質問にお答えいたします。
 サミット開催による経済効果としては、短期的な効果と中長期的な効果があると考えております。
まず、短期的な効果としましては、宿泊、飲食等の消費効果とプレスセンターや道路等の整備によって生じる投資効果が期待されます。
次に、中長期的な効果としましては、沖縄のすぐれた自然や歴史、文化等を世界に発信し本県の魅力を国内外に知っていただくことにより、観光客のさらなる増加と国際会議や国際イベントの誘致が期待できることであります。
 また、国際会議の開催ノウハウの蓄積や県民のホスピタリティーの向上など、国際化に対応できる人材の育成に寄与していくものと考えております。
 さらに、特別自由貿易地域制度の優遇税制や豊富な若い労働力等の投資環境を国内外に発信することにより本県への投資等を期待することができます。
 次に、知事の政治姿勢との関連でありますが、アドバイザリーグループの役割、人選の基準、予算等について説明していただきたいとの御質問にお答えいたします。
 沖縄県政策アドバイザリー会議は、本県の特色を生かした産業振興を初め、将来の自立的発展に結びつくような政策提言を知事に対してタイムリーに行うことを目的として設置したものであります。
 この会議では、3次振計後の新たな沖縄振興計画や同計画を支える制度の整備を視野に入れつつ、戦略的な産業の育成や観光振興の新たな展開、人材育成・国際的ネットワークの構築などを検討していただくこととしております。
 ちなみに、6月22日に行われた第1回会議では、サミット成功に向けていろいろ提言をいただきました。その1つはデジタル放送に対応できる最先端のプレスセンターの整備、2番目に演出体制の確立、3点目に県民意識の高揚、そして4点目でありますが、将来の産業振興への活用の4項目の貴重な提言をいただいております。
 委員につきましては、県内外から産業、経済や人材育成等の分野においてすぐれた識見を有する方々を10人選任しております。
 アドバイザリー会議の平成11年度予算は493万円で、その内訳は委員の旅費208万円、報償費141万円等となっております。
 会議は年3回程度を予定しております。
 以上であります。
○警察本部長(井上美昭) サミット警備に関する質問についてお答えをいたします。
 サミットは、今後の世界の指針を決める最もレベルの高い国際会議であり、参加者の身辺の安全と行事の円滑な進行を確保することは重要な課題であると考えております。
 県警では、このようなことを踏まえ、県民生活の安全と平穏を図りつつ、サミット警備の万全を期するため県民生活への影響に十分配慮しながら各種準備を進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○教育長(翁長良盛) 嘉陽議員の日の丸・君が代の法制化についてという御質問の関連でお答えいたします。
 まず、国歌が天皇中心で制定されるというのは、民主主義を教える教育現場では矛盾が出てくると思うがどうかということにお答えいたします。
 今国会に提案されております「国旗及び国歌に関する法律案」の「君が代」の歌詞全体の意味につきましては、日本国憲法のもとでは、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものであるとされており、このことは主権在民を定めた憲法の趣旨に沿うものであると理解しております。
 なお、平成元年の学習指導要領の改訂に際し、小学校指導書社会科編で、国歌君が代は、我が国が繁栄するようにとの願いを込めた歌であることを理解させるよう配慮する必要があるとされております。各学校におきましては、学習指導要領の趣旨に沿って国旗・国歌の指導をしていただきたいと考えております。
 次に、法的に制定されたからといって、思想信条の自由という立場から強制すべきではないと思うがどうかということにお答えいたします。
 我が国の教育は、日本国憲法、教育基本法の精神に基づき民主的で平和的な国家及び社会の形成者としての国民の育成を期して行われておりますことは御案内のとおりであります。
学校における国旗掲揚及び国歌斉唱の指導は、児童生徒が国旗及び国歌の意義を理解しそれを尊重する態度を育てるとともに、すべての国の国旗及び国歌に対して等しく敬意を表する態度を育てるために行うものであります。
このような指導は、児童生徒が将来広い視野に立って物事を考える上で極めて大切なことであり、今後とも学習指導要領の趣旨に沿って指導していきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 保育問題についての御質問のうち、自自公の3党合意による少子化対策のうち、市町村少子化対策特例交付金事業について、それから保育所の設置主体の規制緩和について、設置主体を民間団体等にも認めることについて、株式会社に保育をゆだねることについての4点の御質問は関連しますので、一括してお答えいたします。
 自自公の3党合意による少子化対策検討会については、マスコミ報道等により承知しておりますが、これまで国からの連絡、説明はありません。今後、国の動向を踏まえながら対応してまいります。
 次に、県内の保育所整備のおくれが指摘されているが、実情はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 本県の保育事業は、本土復帰後、沖縄振興開発計画の強力な推進により急速に整備されてきました。保育所数は、復帰時の94カ所からかなりのスピードで整備され、平成11年4月現在、322カ所となっています。
 市部やその周辺の新興住宅地域のある町村では、依然として保育需要がありますが、復帰から26年を経過した現在、既存の施設も老朽化しつつあります。
 その対応策として、保育所の創設や老朽化した施設の改築とあわせて定員増などを進めているところです。今後も、地域のニーズに対応できる保育所整備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、県内の無認可保育所の実数と、そこで保育されている乳幼児の数はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 市町村を通して無認可保育施設の実数を調査した結果、平成11年4月1日現在で437カ所の無認可保育施設があり、2万3349人の児童が入所しております。そのうち乳幼児は1万9770人となっております。
 次に、その中で保育を必要としている乳幼児の数は何名いるかとの御質問にお答えいたします。
 県では、市町村を通し、毎年「保育所入所待機児童数調べ」を実施しております。その結果、平成11年4月1日現在の待機児童数は2115人となっております。これは、保育に欠ける児童として市町村窓口へ入所申し込みを受けたが入所できなかった乳幼児の数であります。
 次に、県民生活の問題について、国民年金の納付率、無年金者、実態、原因、対策についての御質問にお答えいたします。
 平成10年度末の納付率は56.2%で、前年度より5.7ポイント減少しています。減少の要因は、経済状況の停滞によることと被保険者がふえたことによるものであります。
 平成11年度におきましては、収納特別対策事業を26市町村で実施し、収納の強化を図ることとしています。
また、平成10年度末の無年金者は6070人となっております。
 無年金者がふえている原因については、1つには未加入のままになっている場合と、2つ目は保険料の未納が続いた場合とがあります。
無年金者をふやさない対策としては、制度の内容について十分理解を深めていただく必要があります。そのため県としましては、市町村と連携し加入届け出の促進、長期未納者の解消を図り、保険料免除制度の周知、さらに60歳から70歳までの任意加入制度を活用するなど指導を強化することとしています。
このほか、広報活動の強化により総合的対策を講じ無年金者が出ないよう努力してまいります。
○商工労働部長(宮城春一) 県民生活の問題について、失業率がますます深刻になっているが、その原因は何かという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 沖縄県の雇用情勢は、平成11年5月の完全失業率が8.5%と全国平均を大幅に上回る水準で推移するなど厳しい状況が続いております。その根本的な原因は、産業振興のおくれによる県内の雇用機会の絶対的な不足にありますが、昨年以降の大幅な上昇は景気の低迷によるものであると認識しております。
 また、平成11年3月新規学卒者の就職決定率の低下による学卒未就職者の労働市場への参入、全国的な景気の低迷による県外就職者の減少等といった懸念材料もあり、今後も楽観できない状況が続くことが考えられます。 
 なお、最近においては、県内景気に改善の動きが見られることも反映して県内新規求人数が5月で卸・小売業、建設業を中心に前年同月と比較して42.9%増となるなど7カ月連続で前年同月を上回っており、こうした動きを失業者の再就職につなげ、雇用情勢の改善に結びつけていくことが重要であると考えております。
 このため、引き続き産業の振興による雇用の創出を図るとともに、国の緊急経済対策の一環の雇用対策である「雇用活性化総合プラン」の着実な実施、地域雇用開発助成金及び沖縄若年者雇用開発助成金の活用等により雇用の創出・拡大に努めてまいりたいと考えております。 
 同じく県民生活の問題について、最近大手の企業の倒産、閉店が続いているが、その原因は何かという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県内の企業を取り巻く経営環境は、長引く景気低迷の影響を受け依然として厳しい状況が続いております。このような中、最近の企業倒産傾向は発生件数は大幅に下回っているものの、負債総額では高い水準にあります。
 最近倒産しました大手の海運会社については、全国的な海運不況が続く中、設備投資に伴う借入金の金利負担過重や価格競争激化によるダンピング等が倒産の主な原因と言われています。
 また、大手百貨店については、長引く消費不況と小売業界の熾烈な競争が閉店に至った主な原因と考えられます。 
 以上でございます。
○嘉陽 宗儀 答弁がない。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午前11時54分休憩
   午後0時2分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 先ほどもお答えいたしましたとおり、県としてはサミットの開催と普天間飛行場の移設はそれぞれ県政の最重要課題であると認識しております。
 そのため、去る3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意県内移設に向けての作業を進めているところです。
○警察本部長(井上美昭) 大きな警備では県民の理解と協力を得ることは不可欠であります。
 県警では、このようなことを踏まえまして県民生活の安全と平穏を図りつつサミット警備の万全を期するため、例えば交通規制にありましては規制の内容を事前に県民の皆様に知らせるなどできるだけ県民生活への影響に配慮しながら各種準備を進めてまいりたいと、このように考えております。
 以上でございます。
○嘉陽 宗儀 再質問をします。
 まずサミットについてですけれども、アメリカ・クリントン、それから高官がどんどん来てSACOの合意の実施、これを求めてきていて、とりわけサミットまでに決着をつけるという要求をしているということは、明確にこれはサミットとSACO合意の実施、これはリンクしています。
 稲嶺知事が両方とも重要だと考えますと、それを私は聞いているんじゃない。改めて日米両政府の態度はリンクさせてきているけれども、それをそう思うか、思わぬか、まずそれを答えてください、一つ。
 それから経済不況の問題について聞きますけれども、去年の選挙で県政不況、それから革新県政の責任で失業が多かったと言っておりますけれども、その原因は全部景気低迷、長期消費不況ということを原因にしておりました。
 これについては結局そのことも今は県政が変わったら、消費不況の原因は消費税を上げた、これは政府自身も認めている事実ですから。そうすると選挙のときに革新県政を攻撃したことは事実じゃなかったということになりかねないんです。
 そういう意味で今の稲嶺県政と不況との関係、どういう関係になっているか、明確にしてください。
 それから教育長、日の丸・君が代の問題について、特に君が代の問題についてはあれは戦前の大日本帝国憲法では天皇を絶対化していた。それは廃止されたわけですから、現在では。現在の憲法のもとでは当然日の丸・君が代についても廃止されなければならぬけれども、それが生き残っている自身がおかしいですよ。それを平気で問題ありません、合憲ですと言うんですか。
 それは納得できない。もう一回その態度を明らかにしてください。
 それから知事にもう一つ、SACOの最終合意の問題で今複数の候補地を挙げていますということを説明しています。それを絞り込んでいくんでしょうけれども、その場合に私どもはこれは質問の中でも明らかにしていますけれども、この知事の態度は現実的で実現可能な方法だと言っていますけれども、2月議会でも私は質問しました。県民は戦後この方、米軍基地を許さないという闘いを全部発展させて復帰もかち取った。
 そういう県民の中でこのSACOの合意の実施、それから普天間基地の移設問題では新たな基地の建設につながると、それはどんなことがあっても認めないという動きがあるわけですね。そういう県民の闘いが今全部出ています。
 それについてそれを無視することが現実的対応なのか、実現可能な方法なのか、もう一度明確にしてください。
○知事(稲嶺惠一) 最初へのお答えをいたします。
 普天間飛行場移設問題は、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室を3月1日に設置して取り組んでおります。サミットは4月29日で決定して取り組んでおります。したがいましてどちらも県政の最重要課題として別々に取り組んでおります。
 それから経済の問題については、これは先ほど事細かに申し上げましたんでちょっとまた長くなるんですけれども、対策をしっかり、きっちりきっちりやっているということのお答えをいたしました。
 それから整理縮小の問題でございますけれども、これについては米軍基地の整理縮小については要するに現実的対応と申し上げましたのは、基地問題は、国際情勢や県土の有効利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、環境の保全、経済振興策等多くの問題が複雑に絡み合っていることから、県としては実現可能なものから着実に一つ一つ解決していく手法が本県の基地問題を解決する現実的な対応であると考えているわけです。
 日米両国政府は、沖縄県民の基地負担の軽減を図るため精力的に協議を行いSACOの合意に達しました。したがいまして米軍基地の整理縮小については、SACOの合意事案を着実に実施することがより現実的で実現可能な方法であると認識しております。
○教育長(翁長良盛) 先ほどの、国歌が天皇を中心で制定されるというのは民主主義を教える教育現場では矛盾が出てくると思うがどうかということに対しまして、私は主権在民を定める憲法の趣旨に沿うものであるとお答えしたわけでございますけれども、そのことについて問題があるという再質問でございますけれども、確かに国歌問題につきましてはいろんな過去の歴史があるわけでございます。また、日本の歴史の中で天皇制という一つの反省すべき歴史もあるわけでございますけれども、そういうことをしっかりと押さえる中で国歌の意義を指導していただきまして、その上に立ちましてこの問題については学習指導要領の趣旨に沿って指導していただきたいと、かように考えています。
 以上でございます。
○嘉陽 宗儀 県政不況を稲嶺県政との関係を聞いたんですけれども、それはありませんでしたので改めて明確にしてください。
 それから知事は米軍基地の整理縮小、これはアメリカは県民のために基地を整理縮小しようというものは全然ない。あくまで10万人体制をとって日本の防衛と関係ないよその地域で戦争する体制、これがガイドライン関連法ですよ。それを知事がまるでアメリカが沖縄県民のために整理縮小するかのように錯覚しておられる。
 問題は、その米軍の戦略がありますけれども、知事として沖縄県を代表してこういう米軍の世界戦略の中で少なくとも整理縮小させるためにどうするか、改めてこれは知事としての姿勢が問われていますから明らかにしてください。
○知事(稲嶺惠一) 1つは経済の問題ですけれども、御承知のように沖縄政策協議会あるいは21世紀のプラン、全部具体的に沖縄経済に影響するものがずっと中断していたことは皆様御承知のとおりでございます。
 それが再開されたことによって多くの施策が次々に今展開されておりますし、今後もいたします。これからがそういう意味で、着実に経済政策を進めております。
 それから次に、必ずしも日米両国が、例えば普天間飛行場の問題についてもしかりでございますが、先ほど私の答弁で申しましたように早期の返還について国、県から強く要望し、日米両国政府は普天間飛行場を含むSACOの合意に達したものでございます。
 その意味では、今後ともSACOの合意に向かって着実に進めていきたいと思っております。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後0時18分休憩
   午後1時31分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 外間久子君。
   〔外間久子君登壇〕
○外間 久子 通告に従いまして一般質問を行います。
 我が党は現在、県内各地で介護保険シンポジウムを初め講演会、懇談会を開いています。そこで出されたある息子さんの意見を御紹介します。
 88歳の父親が寝たきりで2年過ぎました。介護保険の自己負担を払えそうもないので、認定してもらうのをやめようかと思っていますと。もう自宅でだれにも頼まず、なるようにしかなりませんと。不況を口実に福祉のリストラをする国に対する怒りをぶつけることもなく、税金を払い続けた父親の人生は一体何だったのかと、このような怒りの声を寄せています。
 このような声や意見というのは、今全国の国民の間に広がり、こうした悲痛な叫びを前にして政府・与党は介護保険の実施をめぐり迷走を続けています。国民から保険料を徴収しながら、それにこたえるサービス提供の体制がとれないとしたら、これは保険として全く成り立たないわけであります。国として取り返しのつかない誤りを犯すことになります。
 保険料が高額になった大きな原因は、これまでの措置制度で介護サービスにかかる費用の2分の1を国が負担していたのを、介護保険では費用の2分の1を国民からの保険料で賄い国庫負担を4分の1に減らしたからであります。
 しかも、これを突破口にして社会福祉事業法の改革と医療保険の抜本改悪、国民すべてに保険料負担と窓口での定率負担を強いるという介護保険型のシステムを医療にも貫徹しようといういわゆる障害者や子供すべてから権利としての社会保障を根こそぎ奪ってしまうというねらいがあるだけに事は重大であります。
 まず、介護認定について質問をいたします。
 97年、98年の介護認定モデル事業の結果、現在、在宅やさらには施設サービスを受けている人たちの中から自立と判定された人たちはどれぐらいの割合に上っていますか。
 この制度が開始されて以後、認定を外されそうな人たちはどのぐらいの規模になりますか。
 このような問題が発生したときにどのような対策をとるおつもりですか、県の基本姿勢を伺いたい。
 また、介護が必要かどうかの認定を機械的なやり方ではなしに高齢者の生活実態を反映したものにすべきだと考えますが、市町村は介護認定の円滑な実施ができるようになっていますか。
 調査員の確保や調査方法はどのようになっていますか。
 認定の結果に対する不服申し立ては多発すると考えられますが、各市町村での苦情処理の窓口はどのようになっていますか、これらの課題に県はどのように対応なさいますか、お答えください。
 2番目の質問として、保険料や利用料徴収の問題についてお伺いします。
 県内で月額平均4万7000円の老齢基礎年金受給者が14万7000人余、無年金者が6000人、無年金者の予備軍と言われている人が5万4000名余になっています。在宅サービスを受けている人が2885人の91%は市町村民税非課税世帯であります。この介護保険制度導入により「低所得」に対しても負担を求めることになります。特に老人福祉施設の多い我が県では保険料が全国平均の2倍になることも考えられます。
 保険料はまだどこの市町村も公表していませんが、減免制度は不可欠であります。これは市町村だけでつくれる制度ではありません。県も応分の負担をして保険料の減免制度を市町村と協力をして創設すべきだと考えますが、検討されていますか。また、低所得者にとっては利用料の1割負担も大きくなります。
 現在、ホームヘルパーを利用しているほとんどの人々が無料であります。また特別養護老人ホームの利用料も多額になります。保険料を負担しても利用料が負担できない人は介護制度のサービスが受けられないことになります。サービスから排除される人が出ないようにするためには、保険料と利用料の減免制度の創設が急務であります。これは、市町村に対する県としてとるべき最大の支援策であります。どのようにお考えでしょうか、御見解を伺いたい。
 3つ目に、厚生省はこの介護保険制度は家族介護の負担を解消するための制度だと言いながら、第1号被保険者本人から保険料が徴収できない場合は家族の連帯責任を求めています。
 さらに、国民健康保険法を改悪して国保料の滞納者から国保手帳を取り上げることを義務づけました。滞納は国保と介護保険をセットで取り扱い、医療だけを分離できない仕組みにしています。これによって介護と医療保険両方から排除される住民が生まれることになります。
 特に国民健康保険証の交付については、ペナルティーを緩和し社会保障の観点から全員への交付を目指すべきだと思いますがいかがでしょう、お答えください。
 2つ目の大きな柱として、米軍基地と環境問題についてお伺いいたします。
 基地における環境汚染は基地内の問題としてとどまるものではなく、基地周辺の住民の暮らしに大きな影響を及ぼし生活環境の破壊及び人の命と健康被害をもたらし、住民生活に大きな不安をもたらします。またその浄化には長い時間と莫大な経費が必要とされることは、前知事を初め国際法律家協会訪米報告でも明らかになっています。
 米国においては基地の跡地の再利用、再開発の最大の課題は迅速な環境浄化であると位置づけ、法制度を整備し基地の管理者である国防総省の責任で調査及び環境浄化対策が進められています。
 そこで質問ですが、基地内の環境汚染に対する法的規制、環境汚染防止に関する国内法は米軍基地に適用されますか。
 2つ目に、米軍はアメリカの国内法に拘束されますか。
 3つ目に、次に米軍基地内における環境汚染防止システムはどうなっているかについてお伺いします。
 (1)つ、沖縄県は米軍の環境汚染防止体制がどうなっているか調査をしたことがありますか。あればその結果を説明してください。
 (2)つ目に、RCRA(資源回復保護法)では有害物質の保管、処分については記録されるようになっておりますが、沖縄県ではきちんと記録されていますか。
 (3)つ目に、RCRAでは有害物質の使用基準が設定されておりますが、それはどのように遵守されていますか。米軍の基準では今回の汚染問題となったカドミウム、六価クロムの基準値は幾らになりますか。
 次に、飛行機の燃料にはベンゼン、エチルベンゼン、トルエン等が、洗浄剤にはポリクロロエチレンの有害物質が含まれておりますが、飛行機で使用されたこれらの有害物質はそのまま垂れ流しの状態で使用されていませんか。側溝に流れ込んだ有害物質は一定の場所にまとめて保管し、無毒化処理をした上で廃棄するようにアメリカの法律では規制されておりますが、米軍基地ではどのように処理されておりますか。
 県は、なぜ基地内の環境汚染防止対策の状況を総合的に調査なさらないのですか。
 次に、定期的な基地内環境汚染調査の必要性が強く求められています。具体的な対応を求める立場から次の質問をいたします。
 危険、有害物質または危険施設、危険環境等のリストの作成を求めます。
 2つ目に、リスト事項の定期的な調査をすること。
 3つ目に、基地内の環境汚染調査のための法整備と体制の確立に向けて県の具体的な取り組みとして県でできるもの、国に要請するものに分けて急ぎ取り組んでもらいたい。そして基地対策課の拡充、充実強化を求めます。
 次に、汚染除去システムの整備、確立のためにもスーパーファンド法に基づくと基地内汚染の除去、環境破壊の回復については米軍に無過失責任が明確になっています。汚染除去システムの整備、確立のために次のことを要求します。
 1つ、米軍の責任を明確にするために県は米軍から確約を取りつける努力を行うべきです。
 2つ、基地内の汚染は基地返還の際に問題にするのではなく、日常的に問題として日常的に汚染除去の作業を行わせるべきです。知事の御決意と御所見を伺います。
 次に、日本政府は地主に対して賃貸借契約上または米軍収用特措法上、汚染物質を除去して返還する法的責任があることをお認めになるのであれば、県民の立場でこの基地環境問題を正面に据えて政府に要求する決意のほどをお伺いします。
 返還地が汚染されている場合は、防衛施設局はその情報を地主に公開すべきです。ところが現状は秘密主義になっています。改善を求めてください。知事の御答弁を求めるものであります。
 3つ目に、大きな柱としてダイオキシン、ごみ問題の解決について質問をいたします。
 我が党は、焼却炉優先を改め、資源循環型でごみ減量の徹底対策を求めるものであります。特にごみ問題を真に解決するためには自治体がどれだけ住民参加、住民の協力のもとにごみ行政を進めることができるかが大きな課題だと思います。すべての情報を公開し、町づくりの基本計画にごみの減量、リサイクル計画を位置づけ、住民参加で策定をし遂行することです。
 同時に、住民自身が自分の捨てたごみがどうなるかについて関心を持つことが大切です。これからは、消費者みずからが環境に優しい商品を選び、企業に対し地球環境への配慮を促すための啓蒙活動を初め小さいときからのごみ問題の教育を徹底し、意識改革に乗り出すことではないでしょうか。ごみになるものは買わない、リサイクル商品を選ぶ、分別マナーを守る、この取り組みは民主主義をつくる闘いでもあります。その立場を踏まえて質問をいたします。
 1つ、汚染データを国民の目から隠すということは汚染を野放しすることになり、消費者には選択のしようがないためにかえって風評被害を広げることになります。風評被害をなくし消費者に安全な食品を供給するためには、基準を明確にしてこれを超えるものは被害補償をして出荷させず、汚染除去対策を講ずるというはっきりした対策が不可欠ではないでしょうか、御見解を伺いたい。
 2つ目に、21世紀のダイオキシン対策の方針をお聞かせください。
 3つ目に、県内の22カ所の最終処分場は裸状態でごみが投棄されているようですが、環境汚染の調査は定期的に行われておりますか。
 結果はどのように公表し、安全対策はとられておりますか。
 答弁によって再質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) 外間久子議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、米軍基地と環境問題について、質問要旨としての、米軍の責任を明確化するため米軍からどのように確約をとるのか、次に基地内の汚染は基地返還の際に問題にするのではなく、日常的に汚染除去作業を行わせるべきだと考えるがどうか、次に日本政府が地主等に対して賃貸借契約上または駐留軍用地特措法上、汚染物質を除去し返還する責任があると認めるならば、県民の立場で政府に要求する決意を聞きたいという御質問に対して一括してお答えをいたします。
 基地の環境調査及び環境浄化等については、基地周辺住民の安全な生活環境の確保の観点及び基地の計画的かつ段階的な返還の促進とその有効的な跡地利用の実現の観点から、基地返還前に取り組む必要があると考えております。
 米軍基地における環境問題については、日米安全保障条約及び日米地位協定の締結当事者である日米両国政府の責任において取り組むべき課題と考えており、環境調査及び環境浄化等に係る制度上及び財政上の措置を日米両国政府に求めていきたいと考えております。
 次に、ダイオキシン、ごみ問題の解決について、21世紀のダイオキシン問題対策の方針を伺いたいとの御質問にお答えを申し上げます。
 我が国においては、ダイオキシン総排出量の約8ないし9割がごみ焼却施設から排出されていると言われており、ごみ焼却施設からのダイオキシン排出削減が最も緊要な課題であります。
 その効果的な対策であるごみ焼却施設の規模の拡大のためには、ごみ処理の広域化が必要であります。このため県では、ダイオキシン対策等の課題に対応するため、去る3月に「沖縄県ごみ処理広域化計画」を策定したところであります。
 当該計画の期間は、平成11年度から平成20年度までの10年間であり、広域化の区割りとしては北部、中部、南部、宮古及び八重山の5つのブロックを設定しております。
 本島では、当該計画期間内に現在の17施設を12施設に集約し、将来的には5施設に集約することにしております。
 その結果、ダイオキシン類は現在の年間排出量10.8グラムを期間内に約90%削減し、将来的には約96%削減する計画となっております。今後は、各ブロックごとに「市町村ごみ処理広域化推進協議会」(仮称)を設置し、地域の特性及び実情を勘案した広域化を推進し積極的にダイオキシン対策を図ってまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○福祉保健部長(平良健康) 介護保険制度に伴う問題点、改善に向けての御質問の中で、97年、98年の要介護認定モデル事業の結果、自立と判定された割合はどのぐらいか、また制度が開始されて以後の見込みと県の対策を伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 97年の要介護認定モデル事業は9市町村で500人を対象に実施しましたが、その中で自立と判定されたのは在宅12.6%、施設2.1%という結果でした。
 98年は全市町村で1400人を対象に実施したところ、自立と判定されたのは在宅6.8%、施設5.1%という結果でした。
 国では、98年の事業結果を踏まえて認定ソフトの改善を行い、また要介護基準についても見直しが行われています。ことしの10月から要介護認定作業が開始されますが、モデル事業に比較すると自立の割合が減ることが予想されています。
 なお、要介護認定の結果、自立等と判定され保険給付の対象にならない方については、平成11年度から国庫補助事業として実施される「在宅高齢者保健福祉推進支援事業」を活用し、配食サービスや健康づくり、ひとり暮らし老人の生活支援事業等を進める等の施策を展開していきたいと考えています。
 次に、市町村における介護認定実施の体制や不服申し立て等の窓口はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 要介護認定については、公平性・中立性が求められます。そのため、全国同じ基準でコンピューターによる1次判定を行います。さらに、認定調査員の特記事項と主治医の意見書という人間の目で見た具体的な資料を加味して最終的な判定を行います。
 現在、市町村においては認定審査会の設置や調査員の選定等の準備を進めています。調査員については市町村職員が行うほか、居宅介護支援事業者に委託できることになっています。
 県においては、調査員の資質向上を図るため、9月ごろに研修会を開催する予定です。
 認定結果に対する不服や苦情については、まずは身近な市町村に申し出ていただきますが、市町村の行った行政処分に不服がある場合には、県に設置される介護保険審査会に審査請求を行うことができる仕組みとなっています。
 次に、県と市町村が負担をし保険料の減免制度を創設すべきと考えるが検討しているかとの御質問にお答えいたします。
 保険料の算定については、それぞれの市町村における施設や在宅サービスの基盤整備の状況が反映されることから、市町村においては介護保険事業計画策定委員会を設置して、住民の意見等も十分踏まえて介護保険事業計画を策定し、介護サービスの整備目標を設定することになっています。
 現在、市町村においては介護保険事業計画の策定作業を進めており、7月中旬には大まかな保険料が算定できる見込みです。県としましては、これらの結果を見た上で国や他県の状況等を踏まえながら、何らかの対応が必要かどうかについて検討をしていきたいと考えています。
 次に、利用料の負担ができないためにサービスが受けられないことがないよう減免制度の創設が必要と思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
 1割の自己負担額が一定の限度額を超えた場合は、高額介護サービス費として超えた分が払い戻される仕組みとなっていますが、低所得者についてはさらに低い限度額が設定されることになっており、国の審議会において具体的な検討が行われています。
 また、災害や長期の入院等により負担が困難となる場合は減免ができるようになっています。
 なお、現在特別養護老人ホームに入所している方で12年4月以降も引き続き入所される方の自己負担額については、所得に応じ減免できることになっています。
 次に、国民健康保険証の交付について、社会保障の観点から全員への交付を目指すべきではないかとの御質問にお答えいたします。
 介護保険料は、国保の被保険者であれば国保の保険料に加算されて徴収することになるため、国保税の滞納増が懸念されております。そのため、滞納者対策の強化の一環として平成12年4月から、被保険者証の返還を求める「ことができる」従来の規定から、求める「ものとする」義務規定へと国保法の改正を行っております。
 国保制度は相互共済の社会保険で、病気やけが等をした場合に保険給付を受ける権利と保険料・保険税を納付する義務があります。
 また、被保険者の負担の公平化及び国保財政の安定化という面からしても、災害等特別な事情があると認められない滞納者に対し被保険者証を交付することは、法制度上無理があるものと思われます。
○知事公室長(親川盛一) 外間久子議員の米軍基地と環境問題についての幾つかの質問についてお答えをいたしたいと思います。
 まず、環境汚染に対する法的規制、環境汚染防止に関する国内法は米軍基地に適用されるかという御質問についてお答えいたします。
 日米地位協定は、第3条第3項において「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って」行うことを規定しているほか、第16条において日本国の法令尊重義務を規定しております。
 しかしながら、駐留軍に対する接受国の国内法令の適用について、昭和48年7月11日の衆議院内閣委員会において外務省の大河原アメリカ局長が、「一般国際法上は、外国の軍隊が駐留いたします場合に、地位協定あるいはそれに類する協定に明文の規定があります場合を除いては接受国の国内法令の適用はない」旨の答弁をされております。
 次に、米軍はアメリカの国内法に拘束されるかという御質問にお答えをいたします。
 アメリカ連邦最高裁判所は一般的な見解として、アメリカ国内法を国外で適用するためには、当該法律がその旨を明示している必要があるとの判断を示しております。
 また、1993年に日本の市民団体が厚木飛行場における米軍の夜間離着陸訓練について、アメリカ合衆国の国家環境政策法(NEPA)の適用を争ったアメリカ連邦地方裁判所の訴訟では、当該市民団体が敗訴しております。
 次に、県は米軍の環境汚染防止体制がどうなっているか調査したことがあるか、それからRCRAでは有害物質の保管、処分等について記録されることになっているが、沖縄県では記録されているか、それからRCRAでは有害物質の使用基準が設定されているが、それは遵守されているか、また米軍の基準ではカドミウム等の基準値はどうなっているか、それから飛行機の燃料及び洗浄剤の有害物質は垂れ流されていないか、また側溝に流れ込んだ有害物質はどのように処理されているか、それからもう1点、県はなぜ基地内の環境汚染防止対策の状況を総合的に調査しないのかという5つの御質問につきましては、関連いたしますので一括してお答えさせていただきます。
 在日米軍は、環境に関して日本の国内法令をも考慮した環境管理基準を作成し、これに基づいて環境管理行動をとっていると聞いております。
 しかしながら、米軍施設・区域への立ち入りについては、日米地位協定上の施設管理権の問題や駐留軍に対して接受国の国内法令が適用されないことなどから容易に許可されず、米軍の環境汚染防止体制や環境管理基準の遵守等について把握できない状況にあります。
 なお、在日米軍の環境管理基準での排水基準は、カドミウムは1リットル当たり0.1ミリグラム以下、六価クロムは1リットル当たり0.5ミリグラム以下となっておりますが、地下水及び土壌における基準は設定されておりません。
 次に、危険、有害物質または危険施設、危険環境等のリストの作成を求める点と、リスト事項の定期的な調査を求めるという御質問に一括してお答えをいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、米軍施設・区域への立ち入りについては、日米地位協定上の施設管理権の問題や駐留軍に対して接受国の国内法令が適用されないことなどから米軍施設・区域への立ち入りが容易に許可されず、リストの作成やリスト事項の定期的な調査はできない状況にあります。
 それから次に、基地内環境汚染調査のための法整備と体制の確立に向けて県ができるものと国に要請すべきものとに分けて取り組んでもらいたい旨の御質問に対してお答えいたします。
 県は、昨年6月に「米軍基地の環境調査及び環境浄化に関する庁内研究会」を発足させ、米軍基地の環境調査及び環境浄化に関する法制度、実施体制のあり方等について検討しているところであります。
 本年度は、さらにその取り組みを強化するため1993年に「ドイツ連邦共和国に駐留する外国軍隊に関して北大西洋条約当事国間の軍隊の地位に関する協定を補足する協定」いわゆる「ボン補足協定」を改正して、駐留NATO軍に対して国内法を適用し、また議定書で施設への事前立ち入りを合意するなど、制度が整備されているドイツを実地調査する予定であります。
 同調査では、主に制度面や技術面での比較検討を行い、日本の制度の問題点を明らかにすることにしております。県としては、その調査結果などを踏まえ、米軍基地の環境問題の解決に向けて制度の見直しを国に求めていきたいと考えております。
 次に、基地対策室の拡充、充実強化についての御質問にお答えをいたします。
 基地問題の解決促進に向けて各種行政施策を推進することは県政の最重要課題の一つであると考えております。県においては、基地対策室に10名の職員を配置し米軍基地の整理縮小や事件・事故の未然防止等、基地対策の総合的な企画や関係機関、市町村等との調整業務を推進しているところであります。
 また、平成11年3月には普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室を設置し、SACO合意事案のうち、普天間飛行場と那覇港湾施設の返還問題に係る施策を推進しております。
 一方、基地から派生する環境問題、女性問題、教育問題や基地返還後の跡利用問題等、個々具体的な事案につきましてはおのおのの所管部局において関係部局間の連携を図りながら取り組んでいるところであります。
 御質問の基地対策室の拡充、充実強化につきましては、業務内容も勘案しつつ県組織全体の中で検討してまいりたいと考えております。
 それから、返還地が汚染されている場合、防衛施設局はその情報を地主に開示すべきだが現状は秘密主義となっている、改善を求める考えはないかとの御質問にお答えをいたします。
 嘉手納弾薬庫の一部返還土地から六価クロム及び鉛が検出されたことにつきまして、県は去る6月24日に那覇防衛施設局から嘉手納弾薬庫地区の一部返還土地に係る土壌分析調査等について調査内容及び調査結果の説明を受けました。
 その中で、5月14日から6月23日にかけて土壌分析調査等を実施し、一部で六価クロム及び鉛が環境基準値以上の数値が出たが、周辺に広げた調査では検出されず汚染とは認識していない旨の説明がございました。
 また、那覇防衛施設局は、同じく6月24日に嘉手納弾薬庫地区の一部土地の引き渡し及び土地引き渡しに係る補償等の説明会において、地主にも同様な説明を行ったと聞いております。
 以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) ダイオキシン、ごみ問題の解決に関する御質問の中で、汚染データを隠すと消費者に安全な食品を供給することができない、基準を明確にして、これを超えるものは被害補償をして出荷せず汚染除去対策を講ずるという対策が不可欠ではないかという御質問にお答えします。
 ダイオキシン対策としましては、先ほど知事からも御説明申し上げましたように発生の八、九割を占めるごみ焼却施設からの排出を削減することが最も重要であります。
 そのためにはごみ処理の広域化が必要であり、県では去る3月に「沖縄県ごみ処理広域化計画」を策定し、その推進を図っていくこととしております。これによってごみ焼却施設からのダイオキシンの排出を削減し、環境の保全や農作物への汚染防止を図るよう努めているところであります。
ダイオキシンに関する調査結果を公表することや安全な食品の供給は、県民の健康を守る上で大事なことであるというふうに考えています。今後、他県での事例について資料収集するとともに、国の動向を見守りつつ対応を検討してまいりたいと考えております。
 次に、県内の22カ所の最終処分場は裸の状態でごみが投棄されているが、環境汚染の調査は定期的に行われているか、結果はどのように公表し安全対策がとられているかという御質問にお答えします。
 厚生省が不適正な最終処分場として平成10年3月に公表した21市町村22の処分場周辺の水質検査については、平成11年6月末現在、20市町村20処分場から結果の提出があり、既に厚生省に報告したところであります。残りの2処分場についても7月末までに水質検査を実施することとなっております。
 なお、これらの調査結果については、厚生省が近日中に公表するというふうに聞いております。
 県は、昨年8月に市町村の助役会議を開催するなどして不適正な最終処分場については速やかに閉鎖し、国庫補助を活用した基準適合最終処分場を整備するよう強く指導しております。
 その結果、平成10年度には1市1施設、12年度には4村に4施設、13年度には5町村に4施設、14年度には4町村に3施設の合計12施設が整備される計画となっております。
 残りの市町村についても、早期に基準適合最終処分場を確保するよう引き続き指導していくことにしております。
 以上でございます。
○外間 久子 議長、休憩。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後2時9分休憩
   午後2時11分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 文化環境部長。
    〔文化環境部長 宮城光男君登壇〕
○文化環境部長(宮城光男) 価格補償の問題につきましては、現在のところまだ具体的な検討はしていない状況にございます。
○外間 久子 まず最初に福祉保健部長にお伺いしたいんですが、介護保険の問題ですが、在宅で自立と判定された人が12.6%いるということですが、この皆さん方に対する具体的な支援策はどうなさるのか、これについてお伺いします。
 あと1つ、施設を退所した人たちについては介護保険制度の高齢者保健福祉推進事業でやるということを答弁なさっていらっしゃるんですが、多分国の予算は100億円だと思うんですが、これについて沖縄県におりてくるお金は幾らなのか。この金額で実際支援ができる状態かどうか。
 あと1つ、施設に入っていらっしゃる皆さんの自立の場合には5年間の経過措置がとられているんですが、ところが在宅の場合はこの経過措置がないわけですね。ですから自立と判定されてサービスが打ち切られたときに実質的に困るのは在宅の皆さん方だと思うんですが、その皆さん方に対しては具体的にはどんな対応をなさるのか。
 それから保険料の問題についてですけれども、高額の介護保険サービス費があるから大丈夫だというんですが、この上限額というのは普通の一般のところで上限額に達するようなサービス料金ですか。上限額というのは幾らですか。
 私の調べた範囲では療養型の老健施設に入っていらっしゃる皆さん方は高額のサービス費が受けられるけれども、実際の在宅だとかあるいは普通の皆さん方は上限に達しないんじゃないかと思うんですが、上限というのは幾らなのか、教えてください。
 それから国保の問題ですけれども、今答弁があったとおり滞納率がふえてくるだろうと。ふえてきたらこの人たちは国保の手帳も取り上げられ、さらにはまた介護も受けられない、病院にも行けない、こういう人たちをほっておいていいものかどうか、こういう人たちの救済をどうするかということを示してください。
 あと1つは米軍基地の問題ですが、一応ドイツに行っていろいろ調べるということをおっしゃっているんですが、やはり私はアメリカの国内法をきちっとアメリカ軍は守る義務があると思うんですね。ですからそれについては本当に守らす方向での見直しを進めていくという決意のほどを伺いたいと思います。
 それからあと1つダイオキシンの問題ですが、きのう新たに何かPCN(ポリ塩化ナフタレン)という新しい、今まで人体に出てこなかったものが新たに出てきたということですが、緊急に沖縄でもこの面の調査をやっていただきたいということです。
 以上です。
○福祉保健部長(平良健康) 介護保険関係の再質問にお答えいたします。
 在宅のケースで自立12.6%ということについての支援策はどうかとのお尋ねでございますが、この部分が実際どれぐらいになるかということにつきましては、ただいまデータに基づいて検討しているところでございます。
 先ほど示しましたのはモデル事業におけるデータでございまして、これよりもっと小さくなるのではないかと思っております。
 それから2点目の、既に入所している方が介護保険の対象外となって退所する場合、この場合についての支援、先ほど申し上げました高齢者保健福祉推進支援事業、100億円規模の事業でございますが、このものによって退所と在宅に関しても支援が行われるということでございます。
 3点目の施設5年経過の経過措置のことでございますが、在宅におきましてはやはり在宅の支援事業、先ほど申し上げました保健福祉推進支援事業のメニューの中でいろいろなサービスメニューがございますので、それを活用して支援してまいりたいと思います。
 4点目の保険料でございますが、これも全体としてどれぐらいの保険料の負担になるか、ただいま市町村の実態調査に基づく額を割り出している途中でございますが、やはり保険料の部分とそれから給付を負担する部分ということがありまして、低所得者に対してこれをどのようにして考えていくかということについては、ただいま国の方でもいろいろ審議会等において議論をされている途中でございまして、いろいろな支援策が講じられるということが新聞紙上で伝わってきております。
 5番目の国保のことでございますけれども、このことにつきましては九州の所管部長会議等も通しまして、国に対してこのようなことが避けられるように御配慮をお願いするということを要望として出しているところでございます。
○文化環境部長(宮城光男) ポリ塩化ナフタレンの対策についての御質問がございましたので、お答えいたします。
 ポリ塩化ナフタレンとは英語でPCNと省略しておりまして、ポリクロロナフタレンとも言いまして塩素を含む有機化合物の一種であります。
 PCNは、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」第2条の規定により、生物の体内に蓄積されやすいもの、それから継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがあるものとして特定化学物質の一つに定められ、製造、輸入についての許可、使用についての制限等の規制がかけられております。
 昨日初めて新聞で報道されたわけでございますが、その報道によりますと人体汚染が確認されたのは初めてということもございまして、県としてもほとんどその関係の資料を持ってないというのが現状でございます。
 今後、PCNの生産量や使用形態及び発生過程や環境庁における人体への影響について情報収集するとともに、国の動向を踏まえながら今後適切に対処を考えてまいりたいというふうに思います。
○知事公室長(親川盛一) 外間議員の再質問の中で、米軍基地に国内法を守らせるようにすべきではないかという御質問にお答えをさせていただきます。
 先ほどもお答えいたしましたとおり、日米地位協定の中で規定されているものの中に当然日本国の尊重義務というのがございますけれども、外務省の見解といたしまして、先ほどお答えいたしましたとおり一般国際法上は、外国の軍隊が駐留する場合に地位協定あるいはそれに類する協定に明文の規定がある場合を除いては国内法令の適用はないと、こういう見解も出しております。
 ただしかし、県といたしましては、先ほどもお答えしましたとおり環境問題についてドイツの方との運用の違いがあるのかないのか、こういったのも含めて調査をした上で、そこら辺を見きわめながら対応していきたいと、このように考えております。
○外間 久子 議長、休憩。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後2時22分休憩
   午後2時23分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 福祉保健部長。
   〔福祉保健部長 平良健康君登壇〕
○福祉保健部長(平良健康) 再質問の利用料の上限についての御質問にお答えいたします。
 一般の方の場合はこの上限が自己負担の部分、一般の被保険者で3万7200円となっております。そして市町村民税の非課税世帯でこの上限額が2万4600円というふうな設定がされております。
 また、低所得者に対しましては1万5000円という上限が現在検討されているということでございます。
 それから、先ほど回答の中で100億円の保健福祉推進支援事業の県の部分でございますが、この部分につきましては厚生省の要綱で現在まだ明確にされてないところでございます。
○外間 久子 部長、今の上限が3万5000円と2万4000円だとすると、実際、一般の人たちはこのサービスは使えないんじゃないですか。活用できないじゃないですか。
○福祉保健部長(平良健康) 再質問にお答えいたします。
 保険料に加えまして利用料を負担しなければならないということがあるわけでございますが、この利用料の負担につきましては先ほど申し上げましたような一応の基準が示されておりますけれども、やはり負担が大きいのではないかという議論もありまして、このことについてはただいま議論がされている最中であると、このように認識しております。見守りたいと思います。
○外間 久子 ちょっと休憩。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後2時26分休憩
   午後2時27分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 兼城賢次君。
   〔兼城賢次君登壇〕
○兼城 賢次 通告に従い質問をいたします。
 通告の順序を2番目を先にいたしますので、よろしくお願いいたします。
 戦争協力法案と言われるガイドライン関連法案の成立と沖縄の現状についてでございます。
 周辺事態法は、多くの疑問とあいまいさを持ちながら成立をいたしました。戦争体制に自治体や民間にまで協力要請、依頼がなされ、民間に対する協力や要請については罰則規定の有無にかかわらず事実上も法律的にも義務の遵守が強制される問題が生じると言われております。自治体施設に対して協力義務が課されたことは地方自治の侵害だという指摘があります。
 非常時であり、戦争に地方自治への侵害もあったものかと開き直るとすれば、これは何をか言わんやであります。
 さきに指摘しましたように、民間と地方自治体をがんじがらめの状態にした協力体制の行き着くところは、かつての戦時下での国家総動員法であります。
 1938年に成立し、国民を戦争に駆り立てた国家総動員法も一気にでき上がったものではなく、中国やアジアへの戦争も決して法律を無視して行ったものでもなかったのであります。一つ一つ法律をつくり、これぐらいはよかろう、次の法律ができるとまたこれぐらいよかろうと積み重ねたあげくが国家総動員法であり大政翼賛会であったのではありませんか。
 現代戦においては後方地域と戦闘地域の区別は不可能だとなれば、沖縄のように極東最大の米軍基地が存在し、自治体や民間協力などが伴うとなれば危険にさらされることは明らかであります。そのことを言えばオオカミ少年の伝でやゆする向きもありますが、やはり最後は羊たちは食われてしまったのであります。
 国連さえ形骸化させ、多国籍軍などという代物で世界の警察たらんとする米国の思惑は決して日本の安全と平和に貢献するものではありますまい。
 国会においても、戦争状態になれば沖縄が真っ先に巻き込まれる可能性が一番高いのではないかとただしたのに対し、防衛庁長官も、地理的状況、米軍基地が多く存在することからいってもその可能性を認めております。後日、長官は反響の大きさにおわびと訂正をいたしておりますが、それが本音であることは否定しがたいのであります。
 参議院参考人質疑や法案に賛成する人たちも、米軍駐留度が高いことからすれば沖縄がより危険であることはだれでもわかることだと述べております。一般的な認識ではないかと考えますが、知事の所見を賜りたいと思います。
 沖縄の戦争体験は、沖縄戦の悲惨さ、地獄を見たと言われる戦場体験とアメリカ軍の厳しい占領支配下を生きた知識人であり、ジャーナリストとして活躍をいたしました豊平良顕氏は、厳しい米ソ冷戦の国際情勢下と米軍支配下にあった時期に日米安保、自衛隊、米軍基地と論議される中で豊平氏は、仮に今ソビエトが大挙上陸してきたらどうするか、私なら全く無抵抗、すぐ手を挙げてアッチャメーグヮーを踊って歓迎すると言い放ったといいます。
 九死に一生を得た戦時体験と米軍占領支配のもとであえて発言したことに驚きと戦争のむごさと悲惨さに思いをいたすのであります。
 軍事力によらない平和、対話による平和こそ真の平和への道であることを確信するものでありますが、戦争のおろかさを体験を通して発したこのジャーナリストの思いこそ、日本国民、県民が学ぶべきことがあると思いますが、知事の所見を賜りたいと思います。
 次に、放置廃自動車の対処についてお伺いをいたします。
 さきの予算特別委員会で質疑をいたしましたところ、放置車については廃棄物の処理及び清掃に関する法律、県道などの路上放置車は道路法で対処するとの答弁で、再度確認をいたしましても、なおこの2法で対応できるとのことでありました。 
 ことしの県・市町村行政連絡会議でも、市町村の共通の要望事項として放置廃車処置が取り上げられております。
 路上放棄車処理協会の支援で対応するのも、ふえ続ける現状には限界があろうと思います。また、みずから処理費を支払う住民にとっては不公平感を与えることも理解をしていただきたいと思います。
 特に問題とするのは、ナンバープレートや車体番号、エンジン番号などを削り取って明らかに放置し、市町村も所有者を特定しがたい車両についてであります。
  もう1点は、有償で解体業者に持ち込まれているが、法的根拠もなく無造作に持ち込まれているが、市町村関係者が心配しているのは、この解体業者が廃業した後のことについてであります。
  それは、かつて県内で問題になった廃タイヤの二の舞になってはならないからで、今目に見えてふえている放置車両を、県はさきに挙げた2法で今後も十分対応し得るものと考えておられるのか、御見解を賜りたいと思います。
  次に、我が会派の代表質問との関連についてお聞きをいたします。
  まず、テポドン発射をきっかけに導入が進められているという情報収集衛星の基地が沖縄に設置されるとのことであります。衛星の目的は、軍事面の情報収集や災害監視、密入国や不審船に備える沿岸警戒にあるという。北朝鮮の弾道ミサイル・テポドンへの対抗手段として導入が進められていると言われるように目的は軍事施設としての側面が大きい。
  基地の整理縮小に反し、基地強化になる収集衛星の基地建設には反対すべきと考えるが、知事の所見と、その動機とされる発射されたテポドンは果たしてミサイルだったのか、それとも人工衛星だったのかを教えていただきたい。 
  次に、普天間飛行場の移設についてでございます。
  クリントン大統領は沖縄サミットに関し、基地問題が未解決な状態では沖縄には行きたくないと述べ、沖縄サミットまでにアメリカが受け入れ可能な移転案を作成するよう促し、サミットを基地問題解決の一つの期限とする意向を示したと報道されております。
  この発言を受けて日本政府も、移設の具体的進展が見えないいら立ちなどからサミット前の迅速対応を求める声が上がっていると言われております。政府は、長い歴史の痛みと県民の熱い期待にこたえての沖縄開催であると言っておりますが、これがおためごかしにならぬように期待するものであります。
  まさかと言われる沖縄サミットは、日本政府のこれまでの沖縄に対する姿勢を見てきた者として素直になりにくい点もあります。大統領の発言や政府内の声というものが普天間飛行場移設とのリンクがあからさまになれば、沖縄サミットは日米の思惑で県民不在の普天間サミットになります。そうあってはいけないと思いますが、知事の所見を賜りたいと思います。 
  次に、那覇軍港移設問題についてお伺いをいたします。
  浦添市は、軍民共用を条件に那覇軍港の浦添移設を検討しているが、政府は衆議院外務委員会で軍民共用は米軍専用でなければ難しいと軍民共用案を否定しています。県の対応をお聞かせいただきたいと思います。
  先日、土木委員会で神戸港、大阪港を視察する機会がありました。
  神戸港や大阪港の貨物量は6割程度でしかなく、運営上も厳しいとのことでありました。貨物減少は阪神大震災の影響もあるが、それ以上に中国やアジアの港湾機能の整備が進み、神戸港を初め日本のかつての役割が中国やアジア、台湾などの港湾で可能になったことが大きな要因との説明でありました。
  国内の港湾整備については、どこの自治体も貨物量需要や産業の動向など市場調査の上で計画されたものであります。しかしそれがうまく機能していない状況です。
  那覇港の調査は、ハブ港化への整備も構想しながら調査、計画されるようだが、調査依頼の仕方もありますが、県の意向はどのように反映されるのか、お伺いをいたします。
  次に、返還跡地で有害物質が出た場合の対応についてお聞きをいたします。
  嘉手納弾薬庫の返還地が有害物に汚染されたことであります。今後も返還跡地の土壌汚染が予測されます。
  知事は、米軍基地の環境問題は国の責任でやるべきで、環境調査、環境浄化については、必要とする新たな法的及び財政的な措置を国に求めていくとのことでありました。恩納村や嘉手納基地のPCBの例もあり早急に対応すべきであるが、どのように取り組まれてきたのか、お聞かせいただきたい。 次に、不発弾の処理についてでございます。
  県道104号線を封鎖し実弾演習をした恩納岳にかなりの不発弾が見込まれますが、現状はどうなっているのか。
  赤土対策とかで着弾地に樹木を植えたとのことでありますが、不発弾をそのままにして植樹するのは大きな事故につながることが懸念されます。不発弾処理が優先されるべきと考えますが、植樹が先になされた理由はどういうことなのか、お伺いをいたします。 
  次に、21世紀プランについてお聞きをいたします。
  21世紀プランは、自立型経済の構築を目標に産業振興がうたわれております。県経済の自立化に向けた政策の方向を示すものと期待もされていますが、これまでの3次にわたる振計の目標が自立化であったにもかかわらず
 財政依存度が高い構造のままであります。
  ちなみに、財政依存度が復帰時には約39%、平成8年度で約38%と示されております。今のままでは財政依存度は高まる一方と懸念されています。
  県経済は県政の大きな課題であるが、なぜ県経済は自立できなかったのか、どう総括するのか。
  21世紀プランの中間報告は総花的な印象がありますが、どのように具体的な取り組みがなされるのか。
  次期振計を見込んで進められていると考えるが、どのように反映できると考えておられますか、お聞かせを願いたいと思います。
  次に、沖縄こどもの国についてでございます。
  沖縄唯一の動物園たる沖縄こどもの国が運営困難な状況とのことであります。
  町の中心に位置する動物園としては飼育動物も全国的にも多い方で、動物の種類も多いといいます。現在の運営は財団法人というものの、主体は沖縄市であります。県も補助金で支援をしているけれども、沖縄市と比べて大変少ないのであります。
  沖縄における本格的な唯一の動物園で利用者80%が沖縄市以外からの入園者で全県的な施設であります。運営資金の不足で施設も老朽化しているが、補修もままならず野犬による動物の被害もあります。全県的動物園の役割を果たしている施設が沖縄市だけに負担させるのは厳しいことだと思います。
  県も動物園という特別な施設に対して特段の配慮をする時期と考えますが、所見を賜りたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 兼城賢次議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、ガイドライン関連法案の成立と沖縄の現状について知事の所見を聞きたいとのお尋ねでございます。
 県としては、現在の国際連合下の安全保障体制及びアジア情勢などから見て、日米安全保障条約が我が国の平和と安全のため必要であるということは今日の国際政治の現実であると考えており、国会においてもこのような立場から周辺事態法等いわゆる新ガイドライン関連法の必要性を考慮し、同法等を可決したものと認識しております。
 県としては、周辺事態が万が一にも発生しないことを願うものでありますが、仮に周辺事態になり国から協力を求められた場合、県民の生命、財産及び本県の経済活動への影響等を総合的に勘案し、県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応したいと考えております。
 次に、我が会派の代表質問との関連についてということで、クリントン大統領の発言や政府内の声というものが普天間飛行場移設とのリンク論であからさまになれば沖縄サミットは普天間サミットと呼ばれかねない、知事の所見を聞きたいとの要旨の御質問へのお答えでございます。
 普天間飛行場は、市街地の中心に位置し非常に危険な状況にあることなどから早期の返還について県から強く要望し、日米両国政府は普天間飛行場の返還を含むSACOの合意に達したものと理解しています。したがって日米両国政府がSACOの合意事項の着実な実現を希望するのは、これまでの認識を表明したものであると考えています。
 県としては、サミットの開催と普天間飛行場の移設はそれぞれ県政の最重要課題であると認識しており、そのため去る3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意県内移設に向けての作業を進めているところです。
 普天間飛行場の県内移設については、地域のコンセンサスや振興策などさまざまな課題がありますが、一日でも早く解決していくよう努力しているところであります。
 次に、我が会派の代表質問との関連についてということで、県経済は県政の大きな課題であるが、なぜ県経済は自立できなかったのか、どう総括するのか伺いたいとの御質問へのお答えでございます。
 復帰後3次にわたる振興開発計画により、社会資本の整備については着実に進められてきました。
しかしながら、本県経済は、財政依存度が高いことや製造業を中心とする産業の振興の立ちおくれなどがあり、自立型の経済社会の形成が不十分であると認識しております。
 その主な要因としては、本土市場からの遠隔性や離島県であることにより物流コストがかさむことに加えて、国内外の経済社会の基調変化から期待された企業の立地が予期したように進展せず、物的生産部門が十分育たなかったことなどが挙げられます。
 また、民間資本や技術・人材等の蓄積不足のため産業の高度化や技術革新等の変化への対応が十分できず、依然として企業の経営基盤が脆弱であることなども挙げられるかと考えております。
 私は、このような本県経済を自立的に発展させていくため、観光・リゾート産業の新たな展開や情報通信産業の集積などを促進するとともに、沖縄経済振興21世紀プランの施策の着実な実現が図られるよう努めたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化環境部長(宮城光男) 放置車両が増加しているが、廃棄物処理法と道路法で今後も十分対応し得ると考えているのかという御質問にお答えします。
 放置自動車については、従来の道路法による路上放置者への指導や車両撤去に加えて逆有償化の定着後は廃棄物に該当することから、廃棄物処理法による指導、撤去、摘発が可能となっております。
 これらの法律に基づき、市町村、各警察署などが撤去または摘発に取り組んでおりますが、放置者の特定が困難であり撤去実績はなかなか上がらないというのが実情でございます。
 県としましては、放置自動車対策として監視パトロール、関係者意見交換会及び市町村担当者への説明などを行ってまいりましたが、放置を十分に防止するには至っておりません。放置自動車については全国的な問題でもあり、今後国に放置防止のための有効な制度の創設などを要望していくとともに、県や市町村での実効的な対策について関係者と協議し、検討していきたいと考えております。
 次に、赤土対策としての着弾地緑化に関して不発弾処理が優先されるべきと考えるが、植樹が先になされた理由はどういうことかという御質問にお答えします。 
 米海兵隊は、キャンプ・ハンセンの着弾地周辺における赤土等流出防止対策として平成10年10月、航空機を用いた播種緑化の試験施工を実施しております。この試験は、ジャフム岳の東側に約2000平方メートルの試験区を設定して行われ、現在その生育状況の調査が行われているところであります。
緑化は、むき出しの山地等を保護し安定化させることから、赤土等の発生源対策としては有効な手法であります。
 一方、着弾地周辺では多くの不発弾の存在が予想されており、緑化による樹木の繁茂が不発弾の処理に障害となるおそれがあります。このため、今回の試験においても高木となる樹木を除くよう申し入れております。
 今後、この試験結果を踏まえて本格的に事業実施される場合においても不発弾の処理という課題があり、慎重に検討していく必要があると考えております。
 以上でございます。
○知事公室長(親川盛一) 兼城賢次議員の我が会派の代表質問との関連についての中の、情報収集衛星の根拠とされるテポドンは人工衛星かそれともミサイルなのか聞きたいという御質問にお答えをいたしたいと思います。
 テポドンが人工衛星かミサイルかにつきましては、防衛庁によれば人工衛星の可能性を完全に排除することはできないものの、ミサイルの長距離射程化を目的とした弾道ミサイルの可能性も高いとし、人工衛星かミサイルかということについての確定的な判断は示しておりません。
 それから次に、那覇軍港の移設について浦添市は軍民共用を条件に検討しているが、政府は米軍専用でなければ難しいとしている、県の対応を聞きたいという御質問にお答えをいたします。
 那覇港湾施設の返還問題については、沖縄の産業振興、経済の自立化を促進する観点から、那覇港のハブ機能を有する国際流通港湾化に向けた計画の中で県議会や那覇市議会の決議、浦添市議会における決議及び意見書採択等も踏まえ検討しているところであります。
 那覇港湾施設の移設については、使用形態を含め、地元の意向等も踏まえながら県の考え方を取りまとめ、国と協議、調整していくこととしております。
 次に、嘉手納弾薬庫地区の一部返還土地から六価クロム等が検出されたことについての御質問にお答えをいたします。
  嘉手納弾薬庫地区の一部返還土地に係る土壌分析調査等の調査内容及び調査結果について那覇防衛施設局は、去る6月24日に嘉手納弾薬庫地区の一部土地の引き渡し及び土地引き渡しに係る補償等の説明会において地主に説明を行ったと聞いております。県としては、国が今後とも地主及び関係市町村等の不安を払拭するため引き続き努力されるよう働きかけていきたいと考えております。
 次に、今後の基地返還で予想される有害物に対する具体的な対策が必要と考えるが、どのように取り組んでいるのかという御質問にお答えをいたします。
 県は、昨年6月に「米軍基地の環境調査及び環境浄化に関する庁内研究会」を発足させ、米軍基地の環境調査及び環境浄化に関する法制度、実施体制のあり方等について検討しているところであります。
 本年度は、さらにその取り組みを強化するため、1993年に「ドイツ連邦共和国に駐留する外国軍隊に関して北大西洋条約当事国間の軍隊の地位に関する協定を補足する協定」(いわゆる「ボン補足協定」)を改正して駐留NATO軍に対して国内法を適用し、また議定書で施設への事前立ち入りを合意するなど、制度が整備されているドイツを実地調査する予定であります。
 同調査では、主に制度面や技術面での比較検討を行い、日本の制度の問題点を明らかにすることにしております。県としては、その調査結果などを踏まえ、米軍基地の環境問題の解決に向けて制度の見直しを国に求めていきたいと考えております。
 次に、県道104号線越え実弾砲撃演習の不発弾の現状はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
 県道104号線越え実弾砲撃演習については、地元金武町等の資料によりますと、一部不明の年もありますが、昭和47年の復帰時から平成9年までの累計で実施回数が180回、発射弾数は約4万3900発であります。
 不発弾の数については公表されておらず、そのことに関して平成10年4月の参議院予算委員会において当時の久間防衛庁長官が、「不発弾の数については米軍の運用に関する問題で公表されない」旨の答弁をされております。したがいまして、県は県道104号線越え実弾砲撃演習に伴う不発弾の現状について把握できない状況にあります。
 以上でございます。
○企画開発部長(宮城正治) 代表質問との関連で、那覇港の調査はハブ港湾化の整備も構想しながら調査、計画されるようだが、県の意向はどのように反映されるのか伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 県としましては、21世紀の大交流時代・大競争時代の到来を迎え、本県経済の自立的発展を図るためには十分な国際競争力を持った産業育成が必要であると考えています。そのため、その基幹インフラとして那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備することが県政の重要課題であると認識いたしております。
 一方、国においても新全国総合開発計画において沖縄を「太平洋・平和の交流拠点」として位置づけ、そのゲートウエー機能の強化として那覇港などの交流基盤の整備を図ることとしております。
 また、沖縄経済振興21世紀プランの中間報告においても、産業全体の活性化につながる人・物の輸送の効率化の観点から、那覇港において国際海上コンテナターミナルの整備を推進することとしております。
 那覇港の那覇埠頭地区や泊埠頭地区の現状は、荷役ヤードが狭隘で旅客や貨物の流動がふくそうし港内の安全確保も含めて厳しい港湾運営を強いられている状況にあります。特に新港埠頭地区では、増大する貨物需要に対し土地利用の制約から、必要な便益施設の整備や機能的な流通が確保できない状況にあります。
 さらには、大交流時代の到来と相まってスタークルーズ社などの大型客船の寄港の要請に対応できない状況であります。
 以上の観点から、県としましては世界や日本の物流動向を踏まえ、国際競争力のある港湾サービスの提供や物流機能整備のあり方などあらゆる可能性を検討し、目指すべき国際流通港湾像を具体的に明らかにし、新たな港湾計画として位置づけるため調査を実施するものであります。
 次に、21世紀プランの中間報告は総花的な印象があるが、どのように具体的な取り組みがなされるのか、また21世紀プランは次期振計を見込んで進められていると考えるが、どのように反映できるかという御質問ですが、一括してお答えいたします。
 沖縄経済振興21世紀プラン中間報告は、本県経済の自立的発展に向けた政府の経済振興策を体系的に取りまとめたものであります。
 中間報告においては、政策の具体化の方向として加工交易型産業、観光・リゾート産業、情報通信産業及び農林水産業の4つの主要分野を設定し、その振興を図るため実現可能性を踏まえて検討された82の具体的な施策を推進することとしております。県としましては、これらの施策が着実に実施されるよう予算面での特段の配慮方を先般の沖縄政策協議会で要望したところであります。
 また、21世紀プランは、沖縄経済の自立化に向けた経済振興を図る観点から、振興開発計画に新たな視点等を加えていくという性格を備えた実践的戦略プランであります。
 このことから、本プランに盛り込まれた各種施策については、3次振計後の新たな沖縄振興計画の検討の場において経済分野に関して十分生かされていくものと考えております。
 以上であります。
○福祉保健部長(平良健康) 我が会派の代表質問との関連について、沖縄こどもの国に特段の配慮をする時期だと考えるが、所見を賜りたいとの御質問にお答えいたします。
 沖縄こどもの国については、県内唯一の大型動物等を飼育、観覧できる施設で、子供たちの夢をはぐくみ、教育の一助となると考えます。
 県としては、同法人の自己財源だけでは健全な運営が確保できないことから補助を行ってきたところでありますが、今後同法人の自助努力はもとより、沖縄市等と調整を図りながら引き続き支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。
○兼城 賢次 まず、21世紀プランについて質疑をいたします。
 今、知事は沖縄の自立経済が厳しかったのは本土からの遠隔地にあるとか、あるいは離島県であるとか、製造業の力不足であったとかということでありますけれども、この点は恐らくこれからも条件としては変わらないことであります。
 そういう条件のもとでこれはできたことでありまして、これをじゃどうするかということが21世紀プランの計画ではないかと思います。
 ですから、今取り上げた件については当然の前提でなければいけないわけですからあえて申し上げますが、こういう4つの先ほどの産業の振興、観光・リゾートあるいは加工型の産業あるいは情報特区というようなことで挙げておりますけれども、特にこちらで申し上げたいのは沖縄が強調している製造業、その製造業の中でも特別自由貿易地域での製造業を非常に重点としているわけですけれども、この21世紀プランによりますというと、一番肝心な大田前県政から強く要求されていたところの特別自由貿易地域の管理運営主体、これが非常に大事なことだと思いますけれども、このプランでは県と検討していきたいというだけで済まされておりますけれども、一番肝心なことでこれがなければ恐らく特別自由貿易地域はかつての那覇の貿易地域と全く同じような状況になるだろうと推測されます。
 それについてなぜ、県の方はどういう形でこれを要求したのか、そしてこれができなかったのかということもぜひお知らせいただきたいと思います。
 自由貿易地域の件でもう一つだけ申し上げますけれども、例えば今後の展開する場合、この自由貿易地域が機能していくかどうかの一つの問題点は恐らく保税地域をどうするかということが大きな問題だと思います。
 これがあるかないかによって法人税の35%といっても総体的なものですから、いずれは沖縄県以外も何らかの形で法人税というのはかなり減少していく可能性がありますけれども、今ここでこの21世紀プランを成功させていくための一つの大きな視点は保税地域をどうするかということが大変大事なものだと思いますので、その件について21世紀プランでどのような形で取り組まれていくのか、ひとつお知らせいただきたいと思います。
 もう一つ、今不発弾の件で答弁がありましたけれども、アメリカの運用なんで沖縄県は手出しができないというような感じですけれども、しかしこの不発弾は今の状態で処理するというと必ず大きな事故につながる。それを今の運用の云々でこれをそのままにしておきますというと当然木というのはふえていきますからね。むしろそれが赤土の問題よりも大きな問題になるわけですから、これをどうするかということを、今の説明では我々県民の方としてはこれは納得しがたい。何としてもこれは対処すべきだということを一つ申し上げておきたいと思います。
 ひとつよろしくお願いします。
○副知事(牧野浩隆) 今の先生の御質問にお答えいたします。
 確かに特別自由貿易地域という制度は、これから沖縄の経済を振興していく場合に企業誘致をする場として法人税の大幅な減免、もろもろの優遇措置がありますので、そこを成功させることが極めて重要になってきます。
 その中で先生の御指摘のありましたようなその特別自由貿易地域の管理運営をどうするかということが大きな柱になっていますけれども、今我々もそれを鋭意政府と交渉しているところでございますけれども、当初は極めて重要な問題でしたので沖縄振興開発特別措置法にありますいわゆる特別法人をつくるというような状況で我々もお願いしていますけれども、一方、政府の方としましてはこういった行革の中でいきなり特別法人ということも問題がありますので、引き続き検討していっていわゆる特別自由貿易地域が生かされていくような管理運営の仕方を鋭意両方で検討していることでございますので、さらに県の要望も強く訴えまして交渉を進めていってうまく運営するような管理主体をつくっていきたいと思っております。
 それともう一つ保税地域、関税の問題ですけれども、今特別自由貿易地域は法人税の大幅な減税によるメリットに含めまして、それから関税の選択制度というのがありますけれども、しかしながらいわゆる保税制度と言われております貿易に関します貿易輸入品目の割り当てだとか、関税の減免だとかそういったことにつきましては今は残されていますのは、いわゆる国策としての一番重要なポイントまでありますので、そのあたりも含めまして、管理運営主体等も含めましてこの特別自由貿易地域がより一体的に運営できるような形で総合的に国とまたこれから協議していこうということで検討課題として鋭意そのあたりは詰めていきたいと思っていますので、皆さんの御協力をよろしくお願いいたします。
○知事公室長(親川盛一) 兼城賢次議員の再質問の中で、不発弾の処理を今のままにしておくといけないということでどう思うか、その旨御質問がありましたのでお答えをいたします。
 不発弾対策につきましては、県は基地の計画的かつ段階的な返還の促進と跡地の有効利用の観点から基地返還前に取り組む必要があると考えており、制度上及び財政上の措置を日米両国政府に求めていきたいと考えております。
 なお、ただいまのこの処理のあり方等につきましては防衛施設局とも話し合ってみたいと、このように思っております。
○下地  学 通告に準じて質問をいたします。
 1、知事の政治姿勢について。
 (1)、基地問題と新ガイドライン関連法について。
 2000年サミットの九州・沖縄開催の決定、沖縄経済振興21世紀プランの中間報告、緊急対策実施方針の決定等県民の期待は大きなものがあります。反面、県政の最重要課題である基地問題と失業問題は県民に大きな不安を与えています。
 とりわけ基地問題は、新ガイドライン関連法の成立、米軍用地特措法の再改正、日の丸・君が代の国旗・国歌の法制化等をめぐり極めて深刻化しています。
 基地の早期返還を実現するための積極的な施策の展開と知事の自主主体的な決断を期待し、質問をいたします。
 ア、周辺事態が生じた場合、米軍専用施設の75%が集中する沖縄は、米軍の出撃基地または自衛隊や政府の支援を受け強大な前線補給基地になり戦争に巻き込まれる危険性があるが、周辺事態についての知事の御見解を伺います。
 イ、沖縄の米軍基地は朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争など戦略基地として世界各地の戦争に結びついてきた。新ガイドライン関連法の成立によってその機能は強化され、固定化されることは明白である。知事の御見解を伺います。
 ウ、参議院特別委員会で野呂田防衛庁長官が周辺事態が発生した場合、沖縄は最も大きな影響を受けるとの発言は政府の真意であると解するが、知事の見解をお伺いします。
 エ、新ガイドライン関連法では自治体や民間の後方地域支援という定義で協力が盛り込まれている。周辺事態が発生し政府や米軍からの協力要請があった場合、知事の対応についてお伺いいたします。
 オ、NIRAが普天間飛行場など在沖海兵隊基地の大半を北海道の苫小牧東部開発地域に移転することを提案した報告について、知事の御見解を伺います。
 カ、普天間飛行場、那覇港湾施設の移設について設置された返還問題対策室の役割についてお伺いします。
 キ、普天間飛行場の移設先の候補地は全県を対象にしているとのことですが、移設候補地の選定作業の進捗状況についてお伺いします。
 ク、基地を整理縮小し県民の負担を少しでも軽くしようというのであれば、県外あるいは国外に移設した方が県民を危険から守り負担を軽くすることになるが、知事は基地を県外に移設される考えはあるのか、ないのか、明快な御答弁をお願いします。
 ケ、米軍用地特措法の再改正についてこれまでの知事、市町村長の機関委任事務が国の直接執行事務となり、地方の異議申し立ては事実上奪われ国の権限が一段と強くなり、県収用委員会の存在や権限が形骸化され、政府の恣意的判断で軍用地の接収がなされるおそれがあるが、知事の御見解を伺います。
 2、教育問題について。
 (1)、日の丸・君が代の国旗・国歌の法制化について。
 国旗・国歌は国家を表象するシンボルであり、統合的な機能を持ち、一国家の統治作用に深くかかわるものとして実質的には憲法に準ずるべき性質を持っている。本来ならこれについては憲法自身が定めを置くか、あるいはその委任を受けた特別な法律の制定によって確定することが求められている。
 質問ア、政府は国会会期を大幅に延長し今次国会で日の丸・君が代を国旗・国歌とする法案の可決成立を強引に進めようとしています。今なぜ殊さらに急ぐ必要があるのか、教育長の御見解を求めます。
 イ、国民的な討議と合意を得る手続を踏んで国旗・国歌については憲法で規定するか、これに関する特別法を設定すべきである。教育長の見解を求めます。
 ウ、国民一人一人の思想信条の自由と密接不可分のものであり、踏み絵的行為を徹底させようという発想で法制化を急ぐことは言語道断である。教育長の見解を伺います。
 新学習指導要領「第4章 特別活動」、「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」、「3 入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」。従来の望ましいという柔軟な期待表現から、指導するものとするというような教師の生徒に対する指導を作為義務として負わせる表現に変えたのは、日の丸掲揚、君が代の斉唱を事実上義務づけるものである。教育長の見解を伺います。
 3月5日付の新聞報道では、一つの新法を設け国旗と国歌の規定を盛り込む、また教育現場での日の丸掲揚、君が代斉唱を義務づける規定は盛り込まないこととしたと政府の方針が表明されていますが、現段階でも政府の方針に変わりはないか、お伺いします。
 カ、日の丸掲揚、君が代斉唱の強制は子供、親、教員の思想、良心、信仰の自由や親の教育の自由、さらには子供の人格権に直接かかわるものであり、日本国憲法や教育基本法に抵触するものであり、教育現場への押しつけは断じて避けなければならない。教育長の見解を伺います。
 キ、本県におけるこれまでの対応と指導のあり方及び教育現場の実態について校種別にお伺いします。
 (2)、管理職候補者選考試験について。
 ア、実施要項の見直しについて。
 中教審「今後の地方教育行政の在り方について」の答申の中で、「校長・教頭の適材の確保と教職員の資質向上」を図るための具体的な改善策として、「校長・教頭の任用資格の見直し」について答申していますが、(ア)、学校教育法施行規則第8条に定める校長の資格については同条の規定を改めることと答申していますが、教育長の見解を伺います。
 (イ)、学校教育法施行規則第10条に定める教頭の資格については、学校教育法第28条第4項に規定されることを踏まえ「教諭の免許状の所有要件の取扱いについて検討すること。」と答申していますが、教育長の見解を伺います。
 (ウ)、学校教育法施行規則第8条に定める教職員の範囲を拡大することとの答申について教育長の見解を伺います。
 イ、「校長・教頭の選考と人事の在り方等の見直し」について、「校長の選考に当たっては、教育や法令に関する知識等に偏った筆記試験を行わない方向で見直すとともに、教頭の選考についても、そのような筆記試験の比重を縮減するなど、より人物・識見を重視する観点から改善を図ること。」、この答申について教育長の見解を伺います。
 ウ、合格者の登載順位や任用の基準についてお伺いします。
 エ、登載されても年度内に任用されない場合は2次試験を受けていますが、そのねらいは何か、また登載期間の見直しの必要はないか、お伺いします。
 (3)、生徒指導上の諸問題について。
 スクーリング・サポート・プログラムについて。
 文部省によると、平成9年度の不登校児童生徒数は10万5000人で過去最高となっている。このため平成11年度の予算で新規に計上されたのが不登校児童生徒の適応指導総合調査研究委託(スクーリング・サポート・プログラム)で7億2900万円の予算が計上されています。
 (ア)、本県における適応指導教室や民間施設の実施状況について伺います。
 (イ)、適応指導教室や民間施設の現在の活用状況と児童生徒の数についてお伺いします。
 (ウ)、今後の指導対策について伺います。
 イ、学級崩壊の実態について。
 「学級崩壊」と言われる実態を把握し、その対応策を探るため文部省は外部に研究会を設置し、調査や研究を委託したと発表しています。
 学級崩壊と呼ばれる現象は、一般に子供たちが教師の指導に従わず授業が成立しない状況を指すとされていますが、明確な定義がないまま用語がひとり歩きしている。
 本県における実態の把握と対応策についてお伺いします。
 暴力問題について。
 警察庁が3月9日までにまとめた調査によると、昨年1年間に警察が取り扱った中高生による校内暴力事件のうち、教師に対する暴力は前年度より21.2%ふえて446件となり、補導、逮捕された生徒数も7.6%ふえて569人に達したことがわかった。過去5年間では最悪で生徒への暴力を含む校内暴力全体では661件となり、前年度より15%以上ふえ事態は深刻である。
 本県における中高生の暴力事件の実態と対応策について伺います。
 エ、県教委と性教育研究会がまとめた沖縄県小・中・高・特殊教育諸学校における性に関する調査から、多くの中高生が性についての正しい知識や認識が不足し4割以上の子供たちが性被害に遭っていることがわかった。問題は深刻であり、性教育と被害防止に全県民的な取り組みをする必要がある。この実態と今後の対応策についてお伺いします。
 オ、児童生徒の覚せい剤等の薬物乱用について。
 薬物乱用は、今日の重要な健康問題や社会問題となっている。近年、児童生徒の薬物乱用の実態は極めて憂慮すべき状況にある。平成9年に覚せい剤事犯で検挙された少年は中学生43人、高校生219人となっている。中学生の覚せい剤事犯検挙者数は対前年比で倍増するなど薬物乱用の低年齢化が進行している。本県の実態と対応策についてお伺いします。
 (4)、養護教諭の複数配置もしくは補充要員の配置について。
 養護教諭は、学校教育法第28条7項で「児童の養護をつかさどる。」ことを職務としているが、児童生徒の身体的不調の背景に目を向けることを通じて、児童生徒の発するさまざまなサインに気づくことができる立場にある。薬物乱用、性の逸脱行為、いじめ、不登校などの健康に関する現代的課題の深刻化を考えると、養護教諭の健康相談活動いわゆるヘルスカウンセリングはますます重要になってきている。養護教諭が出張、研修、年休等で学校現場を離れるときでも児童生徒の健康相談や活動ができ、安心して職務や研修に専念できるような条件を整備する必要がある。そのためには養護教諭の複数配置もしくは補充要員を配置する必要がある。
 教育長の御見解を伺います。
 伊良部架橋の早期建設について。
 まず、平成11年度には基礎調査の総括等も含めて国庫事業で5100万円、県単事業で道路橋梁整備費としてプールで計上してあるとのことですが、伊良部架橋の調査費についてお伺いします。
 (2)、平成11年度に実施する調査の内容についてお伺いします。
 (3)、伊良部架橋早期実現対策室(仮称)の設置についてお伺いします。これは予算特別委員会でも質問しましたけれども、その後検討なさったかどうか。
 (4)、基礎調査の終了と結果の分析、評価のまとめの時期について伺います。
 (5)、事業採択に向けてクリアしなければならない課題や取り組み状況と年次計画についてお伺いします。
 下地島空港の有効活用について。
 (1)、会計検査院の指摘に対する県の下地島空港の有効活用に関する対策についてお伺いします。
 (2)、下地島空港で乗員訓練を実施している航空会社の利活用状況と今後の見通しについてお伺いします。
 (3)はこれは取り下げします。
 (4)、自治労県本部の下地島空港の有効活用及び活性化に関する提言と要請についてお伺いします。
 ア、現空港の利用を国内航空会社だけの訓練にとどめずアジア各国の航空会社にも訓練が可能となるような必要な体制と環境整備を図る。
 イ、空港に隣接してシミュレーション施設を設置し実機訓練とシミュレーション訓練が同時に行える空港としての機能の強化を図る。
 ウ、国際的な航空貨物中継空港として位置づけその可能性の調査研究を行うこと、国際都市形成構想の具体的な戦略としてこの計画を組み入れ、自由貿易地域としての指定を目指すこと。
 エ、空港が国策として建設された経緯を踏まえ政府に対して支援、協力を求める。
 この提言と要請についての県の対応と取り組みについてお伺いします。
 5、平成6年から運休されている下地島─那覇路線の運航再開についてお伺いします。
 あと、答弁を聞いてから再質問をいたします。
○知事(稲嶺惠一) 下地学議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、知事の政治姿勢についてということで、1、周辺事態には米軍専用施設の75%が集中する沖縄は戦争に巻き込まれる危険性がある、周辺事態について知事の見解を聞きたいという点と、次の新ガイドライン関連法の成立によって沖縄の米軍基地は機能が強化、固定化されることは明白である、知事の見解を聞きたい、次のガイドライン関連法には自治体や民間の協力が盛り込まれている、周辺事態が発生し協力要請があった場合の知事の対応について聞きたいと、この3点の御質問について一括してお答えを申し上げます。
 県としては、現在の国際連合下の安全保障体制及びアジア情勢などから見て、日米安全保障条約が我が国の平和と安全のため必要であるということは今日の国際政治の現実であると考えており、国会においてもそのような立場から周辺事態法等いわゆる新ガイドライン関連法の必要性を考慮し、同法等を可決したものと認識しております。県としては、周辺事態が万が一にも発生しないことを願うものでありますが、仮に周辺事態になり国から協力を求められた場合、県民の生命、財産及び本県の経済活動への影響等を総合的に勘案し、県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応したいと考えております。
 なお、沖縄県民の基地負担の軽減を図るため日米両国政府が精力的に協議を行った結果、SACO最終報告が合意されており、SACO合意事案の着実な実施等を通じて米軍基地の整理縮小が図られつつあると認識しております。
 次に、基地を整理縮小し県民の負担を軽減するために県外に移設する考えはないか聞きたいという点へのお答えでございます。
 基地問題は、国際情勢や県土の有効利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、環境の保全、経済振興策等多くの問題が複雑に絡み合っていることから、県としては実現可能なものから着実に一つ一つ解決していく手法が本県の基地問題を解決する現実的な対応であると考えています。
 SACOは、日米両国政府が沖縄県民の基地負担の軽減を図るため精力的に協議を行い合意に達したものであります。したがいまして米軍基地の整理縮小については、まずSACOの合意事案を着実に実施することがより現実的で実現可能な方法であると認識しています。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 下地学議員の質問事項のうち、知事の政治姿勢についての中の基地問題と新ガイドライン関連法についての中で、参議院特別委員会での野呂田防衛庁長官の周辺事態が発生した場合、沖縄は最も影響を受けるとの発言は政府の真意であると解するが、知事の見解を聞きたいという御質問にお答えをいたします。
 御指摘の野呂田防衛庁長官の発言については承知しておりますが、その後去る5月12日の参議院日米防衛協力指針特別委員会において防衛庁長官は、周辺事態に際して沖縄県民など特定の地方公共団体に特に過重な負担を強いるようなものではないと訂正しております。
 県としては、周辺事態に際して本県が過重な負担にならないように県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応していきたいと考えております。
 次に、普天間飛行場など在沖海兵隊基地の大半を北海道へ移転することを提案したNIRAの報告について知事の見解を聞きたいという御質問にお答えをいたします。
 NIRAの報告については承知しております。
 しかしながら、その内容について野中官房長官は、NIRAが独自にまとめたもので、政府、道庁とも一切関与していないと述べ、さらに防衛庁の江間事務次官も、政府として海兵隊を北海道に移駐するという構想は持っていないと述べております。
 県は、米軍基地の整理縮小については、まずSACOの合意事案を着実に実施することがより現実的で実現可能な方法であると認識しております。
 次に、普天間飛行場、那覇港湾施設の移設に関して設置された返還対策室の役割について伺いたいとの御質問にお答えをいたします。
  普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室は、普天間飛行場及び那覇港湾施設の移設に関する諸問題の調整に関する業務を行っております。これまで県外における軍民共用の空港や港湾の調査を行ったところであり、これらの調査等も参考に関係機関等と調整し、移設に関する諸問題について総合的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、普天間飛行場の移設先の候補地は全県を対象にしているとのことだが、移設候補地の選定作業の進捗状況について聞きたいという御質問にお答えをいたします。
 普天間飛行場の移設問題については、現在、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意検討を進めているところであります。
 同室では、去る5月に米軍、自衛隊及び民間が共同使用している三沢飛行場の実態について調査を行い、このような調査等を踏まえさまざまな観点から複数の案についての検討を進めているところであります。
 次に、米軍用地特措法の再改正によって政府の恣意的判断で軍用地の接収が行われるおそれがある、知事の見解を聞きたいという御質問にお答えをいたします。
 本県には、全国の米軍専用施設面積の約75%が集中し、しかもその多くは民有地となっているため、駐留軍用地特別措置法の改正に伴う土地の使用・収用に関する事務の変更は県民の財産や生活に影響を与えるものと認識しております。
 県においては、駐留軍用地特別措置法に基づく土地の使用・収用に関する事務について、地方分権推進委員会におけるヒアリングなどを通して市町村や県が関与できる仕組みを残すべきであるとの要望をしてまいりました。県としては、今回の地方分権推進計画に基づく駐留軍用地特別措置法の改正については、参議院における審議を注意深く見守っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 下地議員の教育問題についてという御質問にお答えいたします。
 国旗・国歌の法制化を今なぜ殊さらに急ぐ必要があるのかという御質問でございますけれども、国旗及び国歌に関する法律案が本国会に提案され審議されているところでございます。
 このことは、日章旗及び君が代が国旗及び国歌として広く国民の間に定着していることを踏まえ、成文法にその根拠を明確に規定することが必要であるとの認識のもとに法制化を行うものであると理解しております。
 国旗・国歌については、憲法で規定するか、これに関する特別法を制定すべきであるという御質問にお答えいたします。
 諸外国の国旗や国歌の制定の形式につきましては憲法、法律、慣行等でなされていることは承知しているところでありますが、今国会に提案されております「国旗及び国歌に関する法律案」については、見解を述べることは差し控えたいと思います。
 国民一人一人の思想信条の自由と密接不可分のものであり、踏み絵的行為を徹底させるという思想で法制化を急ぐことについてという御質問にお答えいたします。
 今回の法制化につきましては、国旗掲揚及び国歌斉唱に関し義務づけを行わず、現行の運用に変更が生じることはないとの政府の答弁がなされております。したがいまして、法制化がなされましても現行の運用に変更はないものと理解しております。
 学習指導要領の改訂において従来の「望ましい」から「指導するものとする。」という表現に変えたのは、日の丸掲揚・君が代斉唱を事実上義務づけるものであるという御質問にお答えいたします。
 国際化が進む中で次代に生きる日本人を育成するには、学校教育において諸外国の人々の生活や文化を理解し尊重することと、我が国の文化や伝統を大切にする態度を育成することを重視する必要があると考えております。
 このような視点から、平成元年の学習指導要領の改訂で「望ましい」から「指導するものとする。」と改められたものと理解しております。今後とも学習指導要領の趣旨に沿って国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導してまいりたいと考えております。
 3月5日付の新聞報道では、一つの新法を設け国旗と国歌の規定を盛り込む、また教育現場での日の丸掲揚や国歌斉唱を義務づける規定は盛り込まないこととしたと政府の方針が表明されています、現段階でも政府の方針に変わりはないかという御質問でございます。
 去る6月11日の文部大臣の記者会見で、「教育現場での卒業式、入学式での日の丸掲揚、君が代斉唱の指導」は、「いままで通りで、法制化によって変えることはない。指導の根拠はよりはっきりするが、指導の程度はいままでと同じ」であると述べており、その方針に変わりはないものと理解しております。
 日の丸掲揚・国歌斉唱の強制は、日本国憲法や教育基本法に抵触するものであり、教育現場への押しつけは断じて避けなくてはならないという御質問にお答えいたします。
 学校現場における国旗・国歌の指導は、児童生徒が将来広い視野に立って物事を考えられるようにとの観点から、国民として必要な基礎的・基本的な内容を身につけることを目的として行われているものであります。したがいまして、児童生徒の思想・良心を制約しようとするものではないと理解しております。
 本県におけるこれまでの対応と指導のあり方及び教育現場の実態について校種別に聞きたいという御質問にお答えいたします。
 文部省は昭和60年9月、「公立小・中・高等学校における特別活動の実施状況に関する調査」を行いました。その調査結果によりますと、本県は国旗掲揚率・国歌斉唱率が小・中・高等学校とも全国で最下位でありました。
 その背景には、本県が今次大戦において国内で唯一の地上戦を体験し、さらに戦後は27年の長きにわたり米国の施政権下に置かれたことなどの歴史的経緯があり、一部に国旗・国歌に対して特別な感情があることによるものであると考えております。
 しかしながら、国際化が進む中で次代に生きる日本人を育成することは極めて重要であることから、県教育庁といたしましては昭和60年から「国旗掲揚・国歌斉唱」に関する通知等を出し、学習指導要領の趣旨を徹底するよう指導してまいりました。その結果、本県では平成2年度の卒業式以降、国旗掲揚・国歌斉唱ともすべての学校で実施されてきております。
 中教審答申「今後の地方教育行政の在り方について」の中の学校長の資格について規定を改めること、それから教頭の資格について検討すること、教育職の範囲を拡大することについて聞きたいということにお答えいたします。このことにつきましては一括してお答えいたしたいと思います。
 平成10年9月の中央教育審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」において、校長・教頭の任用資格を含めた選考・任用のあり方について提言がなされております。現在、文部省では各都道府県教育委員会や関係団体等から意見聴取を行っているところであり、本県も国の動向等を見ながら対応していきたいと考えております。
 校長・教頭の選考のあり方などの見直しについての中教審答申について見解を聞きたいということにお答えいたします。
 中央教育審議会は、「今後の地方教育行政の在り方について」の答申の中で、「校長・教頭の選考と人事の在り方等の見直し」を提言しております。
社会の変化や時代の要請に対応した管理職選考試験のあり方を検討することは極めて重要なことであり、県教育委員会は毎年必要に応じて改正を行ってきたところであります。今後とも答申の趣旨を尊重し、管理職選考試験の改善を図ってまいりたいと考えております。
 登載されても年度内に任用されない場合は2次試験(面接)を受けていますが、そのねらいは何か、また登載期間の見直しの必要はないかということにお答えいたします。
 管理職の任用は、管理職候補者選考試験に合格し、その年の管理職候補者名簿に登載された者の中から行っております。名簿への登載は1年間となっております。
 任用されなかった者に対しては次年度登載のために、本人の健康状態、管理職としての任用可能状況、管理職としての意欲などを確認するために面接のみの2次試験を行っているところであります。このことは毎年行う必要があると考えております。
 本県における適応指導教室や民間施設の設置状況について伺いたいということにお答えいたします。
 適応指導教室は、学校以外の場所に不登校児童生徒を集め、学校生活への復帰及び自立を支援するために平成2年度から設置され、平成11年6月現在10教室が開設されております。 
 また、不登校児童生徒のための民間施設は、現在県内に2カ所あるとの報告を受けております。
 適応指導教室や民間施設の現在の活用状況と児童生徒数について伺いたいということにお答えいたします。
 適応指導教室におきましては、教科指導や個別カウンセリング、集団活動などを通して児童生徒の学校復帰のための相談・指導を行っているところであります。
 平成10年度は115名の入所児童生徒のうち47名が学校へ復帰し、42名がよい兆しがあるとの報告を受けております。本年度は5月現在で小学生8名、中学生53名、計61名の児童生徒が適応指導教室に入所しております。
 民間施設におきましては、児童生徒の心身の状況及び発達段階に応じた相談・指導が行われ、小学生2名、中学生1名が学校復帰を目指して通所していると伺っております。
 今後の指導対策について伺いたいということにお答えいたします。
 不登校は、どの児童生徒にも起こり得る問題であり、本県の緊要な課題であると認識しております。
 学校においては、望ましい学習習慣の定着や学級・学年経営の充実を図り、児童生徒と教師、児童生徒相互の好ましい人間関係を築くなど充実した学校生活が送れるようにすることが大切であると考えております。
 県教育委員会としましては、適応指導教室における相談・指導の充実を初め学校におけるスクールカウンセラー及び「心の教室相談員」の効果的な活用などを通して不登校児童生徒への対応を推進しているところであります。今後とも生徒指導体制・教育相談体制の充実・強化、家庭・地域・関係機関との相互連携を図り、児童生徒一人一人が自己実現できるようその支援に努めていきたいと考えております。
 学級崩壊と呼ばれる現象について、本県の実態の把握と対応策について伺いたいということにお答えいたします。
 本県におきましては、平成11年3月に公立全小中学校を対象に学習指導方法などの状況調査を実施した結果、授業時間になっても着席しない、席を離れて出歩く、おしゃべりや授業に関係のない行為、教師の指示が通らない状態など通常の授業の成立に支障があるとする学級が小中学校とも1校ありました。
その後、2校とも校長を初めとする学校・学年の指導体制の強化と当該教育委員会との連携などにより改善されたとの報告を受けております。
学校においては、開かれた学校・学級づくりを推進し、教師と保護者の信頼関係を築き日常的な連携に努める必要があります。
 家庭、地域社会においては、基本的な倫理観や規範意識を責任を持って身につけさせ、他人に迷惑をかけることは許されないことであることを教えていくことが大切であると考えております。
県教育委員会といたしましては、児童生徒が進んで学習に参加する授業やわかる授業など授業改善を促進するとともに、教職員の資質向上や実践的な指導力を培うための教職員研修などの一層の充実を図っていきたいと考えております。
 本県における中高校生の暴力事件の実態と対応策についてということにお答えいたします。
 県教育庁の調査では、中高校生の過去5年間における暴力行為の発生状況は、平成5年度に中学生が256件、高校生が14件であり、その後増加傾向にあります。平成9年度には中学生が347件、高校生が44件となっていて大幅に増加しており、県教育委員会といたしましても大変憂慮しているところでございます。
その対応策といたしましては、教育活動全体を通して人権教育の徹底、人間のあり方・生き方に関する教育の充実、暴力行為に対する毅然とした対応、教育相談体制の充実等を図ってまいります。
 また、事件・事故が深夜や地域で多発傾向にあること、加害者、被害者が地域の先輩・後輩の関係にあることも多いことから、地域の学校間、家庭や地域社会、警察など関係機関・団体との連携を一層強化し、事件・事故防止に努めてまいりたいと考えております。
 児童生徒の性被害の実態と今後の被害防止対策についてということにお答えいたします。
 児童生徒の体格が向上するとともに性的な成熟が早まっている一方、性に関する情報や産業がはんらんするなど児童生徒を取り巻く社会環境は大きく変化しており、その影響が懸念されています。
 平成10年度に実施いたしました調査では、児童生徒が少なからず性被害を受けていることが明らかになりました。特に女子中学生の38.7%、女子高校生の46.2%が何らかの性被害を受けている状況がございます。     
 県教育委員会といたしましては、性教育に関する研究校を指定しその成果の普及を図るとともに、「性教育指導の手引き」や「学校における性教育の考え方、進め方」などを配布し指導の徹底を図っております。
 また、高校生につきましては、性に関する正しい理解を深めるため「エイズを考える高校生フォーラム」を毎年開催しているところであります。
 しかしながら、学校における性教育だけでは対応の困難な状況が生じており、今後一層地域社会、家庭及び関係機関と密接な連携を図りながら児童生徒の性被害の防止に努めてまいりたいと考えております。
 養護教諭の複数配置もしくは補充要員の配置についてということにお答えいたします。
 養護教諭の各学校への配置は、標準法にのっとり行っているところであります。
 複数配置につきましては、30学級以上の学校が対象となっており、現在、小学校3校、中学校1校、高等学校11校、特殊教育諸学校4校の計19校に配置しております。
 また、補充任用につきましては30日以上の病休、研修等に対して配置しているところでありますが、30日未満の短期間の病休等に対して配置することは、現在の財政状況等から厳しいものがございます。
 以上でございます。
○警察本部長(井上美昭) 児童生徒の覚せい剤等の薬物乱用の本年の実態と対応について伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 最近、全国的に覚せい剤乱用で補導される中高校生が多く大きな社会問題となっておりますが、本県においては平成7年から9年にかけて中高校生を覚せい剤乱用で3名補導しております。しかし、それ以降は覚せい剤等で補導した中高校生等の少年は1人もおりません。
 シンナー乱用については、これまで中学生を中心に増加傾向にあり、平成11年5月末現在、中学生2名を含む4名を補導しております。
 次に、薬物乱用防止対策について申し上げます。
 覚せい剤等の薬物乱用は模倣性、波及性が強いことから、一たん蔓延化すると歯どめがきかず極めて害悪の高い犯罪であるため、対策として1つは、警察職員による薬物乱用防止教室を開催して県下の小中高校生を対象に薬物の危険性、有害性、立ち直りの困難性等について指導させております。
 2つは、広報強化月間等を実施して覚せい剤、シンナー等薬物の害悪性を広く県民に周知し、薬物乱用防止のための広報啓発活動を推進しております。
 3つは、各地域単位で実施している各種防犯懇談会などにおいて少年の薬物乱用の実態や薬物の害悪性等を訴え、薬物乱用防止を図っているところであります。
 以上であります。
○土木建築部長(銘苅清一) 伊良部架橋の早期建設について、伊良部架橋の平成11年度の調査費について、平成11年度に実施する調査の内容について、基礎調査の終了と結果の分析評価のまとめの時期についての御質問に一括してお答えいたします。
 平成11年度の伊良部架橋に関する調査費につきましては、6100万円を計上しております。
 その内訳といたしましては、国庫補助調査費で5100万円、県単独調査費で1000万円であります。
 今年度の調査内容といたしましては、架橋のルート及び構造を提案するための概略設計、ボーリング等の地質調査、事業効果判断の指標となる費用対効果分析等を予定しております。平成4年度から実施してきた基礎調査につきましては、平成11年度でほぼ完了する予定であります。
 なお、平成12年度は本架橋の事業化に向けてこれまでの調査結果を踏まえ、さらに潮流シミュレーション等の環境影響調査を実施し架橋のルート及び構造を選定するとともに、漁業関係者、渡船関係者、自然保護関係者等との調整を行い、これまでの調査結果の総合評価及び取りまとめを予定しております。
 伊良部架橋早期実現対策室(仮称)の設置についてお答えいたします。
 伊良部架橋早期実現対策室――仮称でございますけれども――の設置につきましては、事業化の熟度及び事業実施の見通し等を踏まえて今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、同じく伊良部架橋で、事業採択に向けてクリアしなければならない課題や取り組み状況と年次計画についての御質問にお答えいたします。
 本架橋の事業化に向けては、地元における漁業権者や渡船業者等との合意形成、地域開発との整合性、膨大な建設費の確保、事業手法の検討、建設技術や環境上の問題の詳細検討等多くの課題がございます。
 これらの課題を解決するためには、県と地元の伊良部町、平良市、宮古広域圏事務組合が相互に密接に連携する必要があり、現在それぞれがクリアすべき課題について取り組んでいるところであります。
 年次計画につきましては、公共投資財源が制約される中で膨大な建設費の確保を図る観点から、現在事業中の沖縄都市モノレール、古宇利大橋等やその他の大規模プロジェクト等の進捗状況を勘案しながら検討していきたいと考えております。
 次に、下地島空港の有効利用についてのうち、下地島空港の有効活用についての対策についての御質問にお答えいたします。
 下地島空港につきましては、パイロット訓練回数が減少傾向にあること、那覇―下地便が平成6年以降休止になっていることなどから同空港の活性化対策が重要な課題となっております。
 運輸省は、下地島空港を維持存続する意向であり、訓練回数の増加につきましては平成9年10月及び昨年11月におきまして民間航空会社4社に訓練の増加を要請した結果、航空会社としては今後も引き続き下地島での訓練を継続していくとのことであります。
 また地域活性化対策としては、平成10年3月末に「下地島土地利用基本計画」が策定され、空港周辺地域の利用促進を図っているところであります。
 さらに、懸案であった空港残地の県有地と町有地の交換も平成11年5月に完了し、コミュニティーアイランド事業の導入もしており、下地島空港の活性化にも大いに寄与すると考えております。
 今後の活性化につきましては、現在行われている訓練回数の増加に努力するとともに、国際都市形成基本計画やさまざまな御提案等も含め幅広い視野に立って利用者の増加等活性化の具体策の実現を図ってまいりたいと考えております。
 同じく下地島空港の有効利用についてのうち、現在同空港で乗員訓練を実施している航空会社、利用状況と今後の見通しについての御質問にお答えいたします。
 同空港で乗員訓練を実施している航空会社は日本航空、全日空、日本エアシステム、日本トランスオーシャン、琉球エアーコミューターの5社となっております。
 昭和55年以降就航していた那覇―下地島便が乗客の減少から平成6年に休止となったことから、現在は民間航空機のパイロット訓練のみが実施されております。県の要請に対し航空会社は、今後も引き続き訓練を継続するとのことでございます。
 同じく下地島空港についてのうち、アジア各国の航空会社も訓練が可能となるよう必要な体制と環境の整備を図ることの御質問にお答えいたします。
 自治労沖縄県本部から提言をいただいた下地島空港でのアジア各国の航空会社のパイロット訓練の導入につきましては、貴重な提言として受けとめております。
 国際訓練の導入の可能性につきましては、外国航空会社の現在の訓練の実態調査、訓練使用料単価の設定、パイロットのビザ省略など諸問題がありますので、これらの問題について今後検討してまいりたいと考えております。
 それから、同じく下地島空港の有効利用についてのうち、実機訓練とシミュレーター訓練が同時に行える空港としての機能の強化を図ることについての御質問にお答えいたします。
 下地島空港に近接してシミュレーターを設置することにつきましては、現在の国内のシミュレーターの設置状況、航空会社等の意向等も踏まえ今後の検討課題といたします。
 同じく下地島空港の有効利用についてのうち、空港が国策として建設された経緯を踏まえ、政府に対して支援、協力を求める提言と要請についての県の対応と取り組みについての御質問にお答えいたします。
 下地島空港は、御指摘のとおりシミュレーション訓練への移行等により訓練回数が減少傾向にあります。
 県といたしましては、国策として下地島空港が建設された背景を踏まえ訓練の増加、機能拡充等について国、航空会社に支援、協力をお願いしたいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(宮城正治) 下地島空港の有効利用に関連いたしまして、国際的な航空貨物中継空港として位置づけ、自由貿易地域としての指定を目指すとする趣旨の提言についてお答えいたします。
 国際都市形成基本計画において、宮古圏は、その地域特性や既存集積機能等を生かした島嶼型開発技術交流拠点及びリゾート拠点として位置づけております。
 その中で、下地島空港は3000メートル級滑走路を有する空港であることから、長期的には周辺残地を活用して物流機能、情報通信機能、国際コンベンション・リゾート機能等の集積を図ることとしています。
 また、自由貿易地域につきましては、当面、中城湾港新港地区への拡大展開を図ることとしており、下地島空港及び周辺部につきましては通関手続等ソフト面の施策や水、電気等産業インフラの整備及び交易型企業や観光関連産業の立地の可能性等を勘案しながら今後検討していきたいと考えています。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 那覇─下地島路線の再開についての御質問にお答えをいたします。
 那覇─下地島路線については、昭和55年11月から約14年間運航してまいりましたが、平成5年11月に航空会社の経営悪化と当該路線の利用率の低迷など採算上の問題が相まって運航休止の方針が示されました。
 その際、県としては航空会社に対し運航継続を要望するとともに、県職員へ当該路線の利用を呼びかけ、また伊良部町も利用住民への運賃助成を実施し利用促進を図ったところであるが、那覇─宮古路線との競合や運航時間の設定、1日1便という便数などからくる利便性の問題等があり、航空需要の確保ができず平成6年7月に運航休止に至っております。
 同路線の休止に至った状況は、現在においても変わっておらず、また路線への参入、撤退が可能となる規制緩和の促進も相まって、航空業界は競争環境が激化する中、運航を再開するには厳しい状況にあると聞いております。
 以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 下地先生の御質問に答弁漏れがございましたので、おわび申し上げて回答させていただきたいと思っております。
 合格者の登載順位や任用の基準について聞きたいということにお答えいたします。
 公立学校の管理職の任用は、教育公務員特例法で「選考によるものとする」となっております。
 管理職の任用に当たっては、それぞれの学校課題を解決し特色ある学校づくりを推進する観点から、登載年度、年齢、地域、本人の実績、経験や歴任校、教科等を総合的に勘案して適材適所で行っているところでございます。したがいまして、管理職の合格者名簿の登載につきましては、順位を付さずに行っているところでございます。
 以上でございます。
○下地  学 休憩願います。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後4時6分休憩
   午後4時7分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 教育長。
   〔教育長 翁長良盛君登壇〕
○教育長(翁長良盛) 学級崩壊と呼ばれる現象につきまして、その実態ということについて釈明させていただきたいと思います。
 その実態につきまして、私は先ほどの答弁の中で、平成11年3月に調査したところでは小学校、中学校とも1校ございますと、計2校ございますと、そういうことを申し上げて答弁したつもりでございます。
 よろしゅうございますか。
○下地  学 再質問をいたします。
 普天間飛行場の移設先の候補地は全県を対象としているということですが、その移設候補の選定作業の進捗状況ということなんですが、代表質問についてもそうですが、きょうのこれまでの質問に対しても具体的にこういう作業をしているというのが見えてこないんですよね。大変抽象的な表現で、どういう仕事をしているのか中が見えない。
 それでこの作業は、こういう作業について検討している、現在、こういう段階だということを具体的に説明してもらいたいと思います。
 あと1点は、伊良部架橋の建設について、知事は先島視察の際、全力で頑張ると表明したので、知事の決意をお願いします。
 以上。
○知事(稲嶺惠一) ただいま御質問の伊良部架橋の件ですけれども、先ほどもお話いたしましたように着々と進めております。全力を尽くしています。
○知事公室長(親川盛一) 下地学議員から普天間飛行場の移設作業の進捗状況を具体的にという御質問にお答えをいたします。
 先ほどもお答えをいたしましたけれども、まず、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において去る5月に三沢飛行場の実態調査を行ったわけでございます。その調査等を今整理しながら、そしてその他必要な部分について調査をしながら今現在鋭意検討しているという状況でございます。
 以上でございます。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後4時11分休憩
   午後4時36分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 糸洲朝則君。
   〔糸洲朝則君登壇〕
○糸洲 朝則 それではこれから一般質問をいたします。
 今世紀最終年となります来年は、2000年サミットの沖縄開催が決定をしております。沖縄の自然環境を初め基地問題等沖縄の実情、そして平和を希求する県民の心を世界にアピールする、こういう絶好な機会であると県民総力を挙げて取り組みをしていきたいと思います。
 先進主要国の首脳が沖縄に集いまして、世界的、人類的課題について語り合うということは、21世紀の人類の方向性を示すことはもとより、沖縄にとっても大きな転換期になるものと期待をいたします。
 マスコミ報道によりますと、小渕総理はさきのケルン・サミットにおきまして、21世紀に向けた課題として、人間の安全保障と教育問題を精力的に取り上げ、来年の沖縄サミットをにらんで主要課題と位置づけたい、このように言っております。
 我が党は、これまで将来の安全保障のあり方として軍事や経済を中心とした安全保障ではなく、人権や人道の保障を中心としたヒューマンセキュリティー、いわゆる人間の安全保障が求められていると、このように主張してまいりました。アジア諸国を初め貧困、飢餓、環境破壊、人口問題等、これらの問題解決なくして人類の未来はないからであります。
 こうした人類の課題解決にとって必要なのは軍事や富、権力といったハードパワーではなく、知識や情報、イデオロギー、文化、システム等のソフトパワーであります。こうした人類の課題解決にソフトパワーの活用が望まれる今日、我が国はあらゆる分野における知識や技術、情報等をもって世界に貢献していくことを望むものであります。
 また、これらの課題解決には国連というシステムの活用であります。具体的には、国連を中心とした人間の安全保障の構築であります。
 この人間の安全保障の考え方は、日本国で唯一地上戦による多くの犠牲を強いられた沖縄の歴史、また戦後から今日まで基地の過重負担を強いられつつも平和を希求する沖縄県民のヌチドゥ宝の平和思想と一致します。また、我が国の平和憲法の精神とも合致するものと私は考えます。
 したがって、(仮称)国連アジア本部を沖縄に誘致して軍事による平和構築ではなく、人権、人道による恒久平和の構築を目指すことが平和の発信地としての使命と責任を果たすことになると考えます。このことによって我が国は世界から平和国家、人権・人道大国として認められ大きな信頼を得るものと確信いたします。
 来年の沖縄サミットは、人間の安全保障、教育問題を主要課題と位置づけており、まさしく時代の転換期を実感するものであります。
 さて、こういう時宜を得たときに、知事、来年の沖縄サミットに向けて日米両国首脳を初め各国の首脳に平和発信の具体的な施策として国連アジア本部の誘致を提案してはいかがでしょうか、知事の御所見を賜ります。
 次に、21世紀プランの中間報告についてでございますが、21世紀プランの中間報告を一読して思うことは、前県政の国際都市形成に向けた新たな産業振興策に加えて、稲嶺県政の新産業の創出、人材の育成の確保、インフラの整備等これまでの沖縄県の要望はほぼ網羅されており、中間報告としては一定の評価をするものであります。
 しかしながら、多くの人が指摘をしておりますように米軍基地返還跡地利用整備の推進や那覇空港の平行滑走路の増設、鉄軌道の導入等の施策が漏れたことは残念であり、また今後の課題として取り組まなければならないことであろうと考えます。
 また、県民の自立に向けた意識の構築、予算の確保、執行体制の確立、民間主導、民間活力の活用、根拠法の問題等課題もたくさんありますが、今後こういったことについて国、県の取り組みを期待をし、そして中間報告に対して県がどのように受けとめ、どのように考えているか、また今後どのような展望になるのか、これについて御説明をいただきます。
 次に、アクアポリスの再開発について伺います。
 「海──その望ましい未来」、こういうテーマで1975年に開催されました沖縄国際海洋博覧会のシンボルとして未来の海上都市として県民や観光客に親しまれてきましたアクアポリスが存亡の危機にあるとの報道に、県民の間から来年の沖縄サミットと関連した活用はできないのかとか、海洋資源の研究施設としての活用はできないか等の意見がありますが、アクアポリスは本来、未来の海上都市をテーマにつくられたことを考えれば、海上都市の可能性も含めて研究資料としても活用できるのではないかと、こういうふうに考えます。例えば、来年の沖縄サミットとの関連で宿泊施設あるいはイベント施設等、未来の海上都市を想定した研究を兼ねた再開発を検討してみてはいかがでしょうか。
 県のお考えを伺いたいと思います。
 次に、福建・沖縄友好会館の利用状況について御質問をいたしますが、福建・沖縄友好会館の利用状況について当初の計画どおりいかない状況が報道されておりますが、私は建設費の追加予算の審議の際に、友好会館としての名前のとおり福建・沖縄の友好の場として活用できるよう計画の見直しも含めて提言をいたしました。
 例えば留学生の宿泊施設や受入窓口の設置、あるいはマスコミの拠点等、こういったものをこの友好会館に設置できないかとかの提言もしております。いわゆる沖縄県の拠点施設としての活用であり、また友好会館としての役割を十分果たしているのか、あるいは報道のように県内企業の駐在事務所としての入居がわずか1社であるというのはなぜなのか、福建省側は有効に活用しているのか等々多くの疑問を抱いておりますが、福建・沖縄友好会館の利用状況について福建省、沖縄県それぞれについて御説明をいただきたいと思います。
 そして、今後どのように有効利用について考えておられるかについても御説明をいただきたいと思います。
 次に、経済振興について伺います。
 景気浮揚策の一環として実施されました地域振興券の支給から約3カ月が経過いたしました。我が家は2万円もらった、我が家は4万円、いや6万円と支給を受けた家庭は早速子供の学用品の購入に使ったり、生活費の足しにしたとかそれぞれ有効に使われております。
 一方、支給を受けなかった方たちからは、なぜもらえないんだとの不満の声もありました。
 いずれにしましても、消費活動の活性化、購買力向上の呼び水的役割をねらった地域振興券支給は一定の成果を上げていると私は認識しております。
 そこで伺いますが、1点目に、地域振興券の実施状況について県内での状況を御説明をしていただきたいと思います。
 2点目に、地域振興券の実施による経済波及効果についてもどのように効果があらわれているか、あるいはどのように県は分析されておられるか、御説明をいただきたいと思います。
 次に、福祉行政について伺います。
 政治や行政の目的が県民の生活及び福祉の向上にあることは言うまでもありません。したがって福祉行政の後退があってはならないし、むしろ常に向上に向けて努力することが政治や行政に求められていると考えます。
 最近のマスコミ報道や関係者の陳情によりますと、心身障害者小規模作業所補助金交付要綱の見直しによる補助金の減額が心配されておりますが、福祉の向上を推進する上からも次のことをお聞きしておきたいと思います。
 1点目に、心身障害者小規模作業所補助金交付要綱を改正する意図、目的は何なのか、御丁寧に御説明を求めるものであります。そしてどこをどのように改正されるのかについても御説明をお願いいたします。
 2点目に、現在の補助額について他県と比較しながら、また作業所の経営の困難なこと等もあって補助金の増額要求が出されておりますが、その要求にぜひこたえていただきたいとの思いを込めて前向きな御答弁を求めるものであります。
 3点目には、かつて障害者への年末一時金が支給をされておりました。しかし県は平成8年、身体障害者の社会活動推進事業として任意団体への補助に使うという名目でカットされております。団体補助と年末一時金とはそれぞれ趣旨が異なり、団体補助を名目に年末一時金のカットは当事者にとっては納得がいきません。現に那覇市は継続しており、県においてもこの年末一時金の復活を求めるものでございますが、県のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 次に、教育行政について伺いたいと思います。
 まず、小中学校における水泳の授業はどのように実施されているのか伺います。とりわけ離島僻地においては水泳プールの施設が十分でないためどのような授業を行っているのか、御説明をいただきたいと思います。
 せんだって、我が母校の多良間小学校へ行きました。そしてそこで校長先生と懇談する機会がありました。もちろん多良間小中学校にはプールはないわけでございまして、水泳の話になりまして、実は県議、せんだって北谷町のある学校に、校長先生がちょうど私の知っている人ですから、多良間小学校の修学旅行で来た19名の子供たちに1時間ぐらいプールを貸してくれないかと。しかしこの子供たちはプールもありませんから当然水着も水泳パンツもありませんと。ふだんは海でパンツをつけて、あるいはズボンのまま泳いでいる野生児そのものですと。そのままの形でプールで泳がせてもらえませんかということで1時間ほど快くお貸しいただいたと。そこで泳いだ子供たちのあの歓喜の姿を見たとき、プールが欲しいと。プールでもってしっかりした水泳指導をやる、これもまた学校教育のあり方なんだということを切々と訴えておられました。
 私は、自分の小さいころとダブりながら、あの子供たちにプールを何とかつくってあげられないものかといろいろ教育委員会等も訪ねますと、水の問題とかいろいろ言われておりますが、南大東には海水を利用したプール等も設置をされております。
 こういう観点からするならば、当然ここのプールの建設というのは必要であろうという観点からの質問でございますから、そこを酌んでいただいて教育長の前向きな御答弁をお願いしたいと思います。
 同じく離島僻地の小中学校におけるプールの設置状況、まずこれを説明していただいて、そしてさらに今後この建設計画についてもどのように持っておられるか、教えていただきたいと思います。
 次に、離島医療について伺います。
 離島における医療問題は人の生命にかかわる問題だけに離島苦解消対策の中でも最重要課題であると考えます。
 例えば、離島に住んでいる方が人工透析治療を受けなければならない病状になったときに、島の診療所では治療体制がないため島を離れて治療を受けなければなりません。家族を離れてアパートを借りて治療を受けるため生活費の負担、病気に対する不安、島に残された家族への心配等々本人のみならず家族の精神的負担、経済的負担は大変なものがあります。
 中でも生計を支える働き手がこのような状態になりますと家庭崩壊にもなりかねないのであります。こういった状況を見るにつけ何らかの対策が求められますが、次の質問をいたします。
 離島の人工透析患者について県は把握しておられますか。例えば人数だとか、治療形態だとか、費用負担とか、こういったもの等について御説明をいただきたいと思います。
 2点目に、離島での治療体制の確立は可能であると言われております。私もそのように考えておりますが、いかがでしょうか、県の考え方を伺っておきたいと思います。
 次は、離島振興についてでございます。
 離島振興策の一環として、現在閉館となっておりますゆうな荘を離島センターとして活用することを提案をし、県の意見を賜りたいと思います。
 この施設は、会議室、ホールを初め宿泊施設、テナントスペース等を有しており、おおむね現状のまま利用できる状況にあります。
 活用方法としては、各島々の情報交換や離島サミット会議の日常化、年一度行われている離島フェアでの島々の特産物の展示販売を日常的に実施できる。そして出張時の宿泊、離島出身者いわゆる郷友会との交流等。そして離島情報、あるいは資料の入手、また離島出身の学生たちの相談窓口等と、各島々の情報発信地としての活用と離島センターとしての役割は十分達成できるものと考え、県の英断を要望し見解を求めるものであります。
 最後に、交通行政についてでございますが、道路規制標識の適正な設置について伺います。
 他府県ではよく見かけるが、本県には全く見られないという標識が「二輪の自動車以外の自動車の通行どめ」の標識であります。
 都市地区においては、この標識の必要な場所がかなりあると私は思います。また沖縄の車社会の中でミニバイクを初めとする二輪車は、駐車面積をとらない上に機動性、利便性からいって欠かせない庶民の足であります。効率よく活用するためにも適正な道路標識の設置が必要だと考えられますが、調査を実施し取り組む考えはないかどうか、御見解を賜りたいと思います。
 あとは答弁をいただきまして再質問をいたします。
○知事(稲嶺惠一) 糸洲朝則議員の御質問にお答えいたします。
 まず、国連アジア本部の誘致についてでございます。
 お答えは、国連などの国際機関を誘致することは、我が国の南における交流拠点の形成、太平洋・平和の交流拠点(パシフィック・クロスロード)の形成を目指す本県にとって大きな意義を持つものと考えています。
 御提言の国連機関の誘致につきましては、今後、国連機関や国の動向、国連と密接な関係にあるNGO組織の活動などに注視するとともに、本県に誘致する効果等を総合的に勘案していきたいと考えております。
 次に、21世紀プラン中間報告に対する考え方、今後の展望についてのお答えでございます。
 沖縄経済振興21世紀プラン中間報告は、沖縄経済の現状と課題を分析した上で、自立型経済に向けての政策の基本的考え方及び政策の具体化の方向を示し、その実現のための施策を展開する体系的な経済振興策としてまとめられており、高く評価するものであります。これらの施策の実現が、沖縄の産業振興と経済の自立化に向け大きな役割を果たすものと期待しております。
今後は、この中間報告で示された諸施策が逐次、具体的に実現されますよう国との連携協力を図りながら進めてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○観光リゾート局長(大城栄禄) アクアポリスをサミット関連で再開発を検討してはどうかという御質問にお答えいたします。 
  アクアポリスにつきましては、株式会社アクアパークにおいて、その再活性化を図るため台湾投資グループと鋭意賃貸借交渉を重ねてまいりましたが、双方の条件がかみ合わず、残念ながら十分な成果が得られず去る6月に交渉は不成立に終わりました。その結果を踏まえて、同社においては新たな利活用の可能性について現在県内の経済団体等から意見を聴取しているところであります。
 本件につきましては、貴重な御提言として承りたいと思います。
 以上であります。
○商工労働部長(宮城春一) 福建・沖縄友好会館の利用状況と今後の展望について説明してくれという趣旨の御質問にお答えいたします。 
 平成10年7月に完成した福建・沖縄友好会館については、沖縄県側は1階の一部及び4階から7階の3573平方メートルの「永久使用権」を取得しております。
 福建省側は、8階から12階までを福建省外事弁公室の執務室や大会議室として利用しているほか、1階及び2階をテナントとして貸し出しています。
 沖縄県側は、1階部分を物産観光展示コーナー、4階から7階を物産展示室、産業振興公社福州事務所、福建沖縄友好歴史展覧館及び事務所スペースとしております。
 事務所スペース21区画の入居企業は現在1社1区画だけですが、6月現在の動向としては新規申し込み2社、これまで入居に関心を示していた13社、新規に相談のあった6社となっております。これらの企業に対して引き続き入居条件や現地状況などを説明するなど、入居の促進に努めているところでございます。
 一方、アジアの通貨危機以後、アジア・中国地域の経済動向の先行きが見えにくい中で福建省地域は経済の成長率が低下しているものの、なお高い成長率を維持しており、県内企業のビジネスチャンスはあるものと考えております。
 県としましては、今後とも中国国内における本県企業のビジネス拡大を支援するため、周知を集め福建・沖縄友好会館の有効利用に努めていく考えであります。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 地域振興券の実施状況と経済波及効果についての御質問にお答えいたします。
 地域振興券交付事業は、地域振興券の発行を契機として地域における個人消費を短期間に喚起し地域経済の活性化を図ることにより、地域の振興に資することを目的として実施されているところであります。
 本事業は市町村が事業主体でありますが、去る3月29日までにすべての市町村で交付事務が開始され、事業が実施されております。
 沖縄県内における交付予定者数は44万6100人で、金額にして89億2200万円となっており、平成11年5月末現在の実施状況では交付人数43万7800人、交付金額87億5600万円で、交付率は98.1%であります。
 また、交付額のうち金融機関で換金された額は65億3400万円で、換金率は74.6%となっております。
 本事業は、子供を持つ若い親や老齢福祉年金等の受給者など比較的可処分所得の少ない層の購買力を増加させるものであり、短期間に対象者のほとんどが交付を受け換金率も高いことから、消費マインドが喚起され地域の消費拡大につながるものと考えております。
 次に、離島振興の観点から「ゆうな荘」を離島センターとして活用することについての御質問にお答えいたします。
  現在、県としては、離島の産業振興や活性化、人材育成等を図る目的で離島フェアの開催、離島・過疎地域振興特別事業、コミュニティー・アイランド推進事業等を実施しているところであります。
 ゆうな荘の跡利用として離島センターを設置する御提案につきましては、その施設の必要性、採算性、実施主体等について関係機関とも詳細な調整を図る必要があります。
 なお、関係団体等からの離島センター設置の要望については、現在ございません。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 福祉行政について、小規模作業所補助金交付要綱の見直しの目的は何かとの御質問にお答えいたします。
 心身障害者小規模作業所は、法的助成制度の対象とならない施設でありますが、在宅の心身障害者の自立と社会参加に効果的な施設であることから県単独助成を行っております。
また、小規模作業所は、地域で生まれ、地域の在宅障害者福祉の増進に大きな役割を果たしており、市町村の支援が強く求められる施設でありますが、現状は市町村によってかなりの支援の格差があります。
このようなことから、今般運営費助成について一定基準を設定し、市町村が少なくともその2分の1を負担する間接補助制度を創設して補助金の全体的底上げを行い、運営の安定化と基盤強化を図りたいと考えております。このことについては、市町村及び障害者団体へ趣旨説明を行い合意を得ております。
 次に、補助金増額の要望書についての御質問にお答えいたします。
 県は、補助金交付要綱改正案の中で作業所の利用人員別に補助基準額を設定しております。基準額は、九州各県との比較において高い水準に位置しており、増額については今後市町村の意向及び九州各県の状況等を参考にして検討いたします。
 次に、障害者への年末一時金の支給を復活させることについての御質問にお答えいたします。
 障害者への年末一時金支給については、重度身体障害者激励金支給事業において社会復帰への努力を続けていることに対し、激励金を1人当たり年額3000円を支給することにより、その福祉の向上を図ることを目的として昭和47年度から平成7年度まで実施してきました。しかしながら、制度発足当初に比べ障害基礎年金や特別障害者手当等の所得保障等制度が充実してきたことなどから当事業を廃止したところです。
県としては、平成8年度からこれにかわるものとして障害者の社会参加と自立を促進することを目的とした身体障害者等社会活動推進事業を実施しているところであり、今後とも引き続き推進していきたいと考えております。
 次に、医療行政について、離島の人工透析患者の実態について人数、治療形態、費用等についての御質問にお答えいたします。
 平成9年度に実施した「沖縄県における慢性腎不全患者の実態調査」によれば、平成10年1月末における県全体の透析患者は2250名となっており、そのうち透析装置が整備されてない離島町村で患者がいる町村は2町3村、患者数は16名となっております。
 患者は、一日に4時間、週2回から3回の治療を受けることから、通院可能な医療施設の近くに居住地を移したり、子供の世話になることが多く精神的、経済的に大きな負担となっております。
 なお、費用負担につきましては、一人の患者が1年間に要する総医療費はおよそ600万円となっておりますが、更生医療、育成医療等の制度の利用により1カ月の自己負担額はゼロから1万円となっております。
 同じく人工透析患者のいる離島への対応について、特に離島診療所への透析装置の整備、職員の配置等についての御質問にお答えいたします。
 石垣島、宮古島以外の離島に設置されている診療所には人工透析装置は整備されておらず、透析治療はできない状況にあります。
県としましては、人工透析を必要とする患者の多い離島については、医師・看護婦の研修の問題や離島医師の人事ローテーションの問題など解決しなければならない課題も多いことから、今後検討してまいりたいと考えております。
○教育長(翁長良盛) 糸洲議員の教育行政についてという御質問にお答えいたします。
 まず、離島僻地の小中学校における水泳の授業についてどのように実施されているかという御質問にお答えいたします。
 水泳は、生涯を通して親しむことができるスポーツであります。
 また、体力向上を図るのに適したスポーツであり、本県児童生徒の体力の課題である全身持久力や筋力、心肺機能を高める上で適切なスポーツであります。このため、県教育委員会では本県児童生徒の泳力の向上に力を入れて取り組んでいるところであります。
 本県の離島僻地におけるプールが設置されてない学校の水泳指導については、近隣の学校や公営プール等を使用して実施しています。
 また、近隣にプールのない学校にありましては、安全に留意して海で水泳指導を行っております。
 なお、適切な水泳場の確保が困難な学校にありましても、事故防止等の観点から水泳の心得については必ず取り上げて指導しております。
 離島僻地の小中学校のプールの設置状況について説明してもらいたいということにお答えします。
 本県の離島僻地の小中学校は29市町村、179校でございますが、そのうち平成11年5月1日現在、プールの設置されている学校は50校で27.9%の設置率となっています。県全体の設置率58.9%に比べ低い状況となっています。
 その理由といたしまして、離島の8村でプールが未設置となっていること、離島僻地では小中併置校が多く、併置校ではプール1基が整備され、小中校で併用されていること、離島僻地の市町村では財政力が弱く、また小規模校が多いことなどからプール建設の優先度が低い状況にあることなどによるものと考えられます。
 今後の建設計画等について説明していただきたいという御質問にお答えいたします。
 今後のプールの建設計画につきましては、プールの整備がおくれていることを踏まえ、小中学校プールの設置者である市町村と調整を図りながら未設置市町村を解消するなど年次的、計画的に整備を促進していく考えであります。
 以上であります。
○警察本部長(井上美昭) 二輪の自動車以外の自動車の通行どめについて、道路の調査及び道路規制標識の適正な設置について伺いたい旨の御質問にお答えいたします。
 二輪の自動車以外の自動車通行どめ規制については、現時点では当県においてはそのような規制は行っていないところでありますが、道路状況や周辺交通の状況、地域住民の要望等を総合的に勘案し、真にそのような規制が必要かつ効果的である場合にはその実施を検討するなど、引き続き適切な交通規制の実施に努めてまいる所存であります。
 また、他府県では一方通行規制の道路において二輪車、原付等の通行を認めている府県もあると聞いておりますが、このような規制を行った場合には交通の危険を生ずるおそれも大きく、全国的にもこのような規制は廃止する方向で検討されていると承知しております。
 当県におきましても、このような全国的状況を踏まえ、一方通行規制の問題については慎重に対応してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○糸洲 朝則 再質問をいたします。
 国連アジア本部の誘致についてでございますが、知事、これは知事が日ごろから言われております沖縄からの平和のメッセージを発信する、そのような具体的な施策の一環として鋭意取り組んでいただけると。
 また、申し上げましたように来年のサミットに人間の安全保障というテーマと合致するだけに、この機会に日米両政府を初め各国首脳に訴えていく。そして軍事じゃなくて、あくまでも人権あるいは人道というこういう今アジアが抱えている多くの課題に果敢に取り組んでいく、これを日本が支援していくということであれば平和国家日本としての存在が世界に大きく輝いてくるし、またそれができるのが沖縄県であるというふうな私は意義づけを持っておりますので、そこら辺についてもう一度知事のしっかりした具体的な取り組みとあわせて御決意も含めて伺いたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 先ほどもお答えしたとおりでございますが、国連のアジア本部の誘致というのは、これは大変貴重な御提言であると認識をしております。
 その意味で、本県に誘致する効果等を総合的に勘案していきたいということで、これは多方面から検討いたしまして前向きに取り上げていきたいと思っております。
○新垣 米子 通告に従って質問をしたいと思います。
 とりわけ私は、沖縄農業発展のかなめともなるミバエ類の再侵入防除対策とイリムサー防除対策について集中的に質疑をしていきたいと思います。
 共産党県議団は、これまでミバエ類などの害虫防除対策の重要性について何度か質問もし調査も続けてきました。
 昨年10月に、ミカンコミバエ10年ぶりに確認と新聞で大きく報道されたように、県農林水産部は昨年9月に発見確認された久米島仲里村からのミカン類、バンジロー、パパイヤなどの寄生果実の島外持ち出し自粛協力を県民に求めました。
 今回のこのミカンコミバエの寄生果の確認は、いつでも、どこでも再発生する危険性があることと、ミバエ類の根絶によって飛躍的に発展した沖縄農業の成果を一瞬にして後退させる危険性があることを改めて思い知らされました。
 農家の営業を守る立場から、また沖縄農業の発展を目指す立場から、ミバエ類の再侵入対策の強化とイリムサーの根絶事業の成功のために県の取り組み、考え方をお伺いしたいと思います。
 まず最初に、今回の久米島を初めとするミカンコミバエ寄生果の確認地域において緊急に応急的な防除対策がとられたと思いますが、どのような防除対策を行いましたか。
 次に、発生はおさまったのですか。
 次に、応急的な防除の予算はどうなっているのか。
 農作物出荷への影響の実態はどうですか。
 島外持ち出し規制の法的根拠は何ですか。
 生産農家への救済措置はどのようにとられましたか。
 マンゴー出荷時期の沖縄本島やタンカン出荷時期の北部で発生が確認された場合、本土出荷規制になった場合の損害の予想について伺います。
 御承知のように、ミバエ類の根絶によってゴーヤーやマンゴーなど沖縄を代表する農作物の生産と島外出荷が大幅に拡大されてきました。
 しかし沖縄県は、ミバエ類の発生している東南アジア諸国と地理的に隣接しているだけでなく、人的、物的交流が盛んであるため再侵入、再発生の確率が高い。ミカンコミバエが根絶したのは86年の2月ですが、9月に既に西表で発見、翌年にも八重山の6カ所で発見、とりわけ昨年は12カ所で発見されております。毎年のように警戒用トラップで発見されています。
 県営農推進課の資料によりますと、86年以降、離島を中心に本島南部も合わせて発見が52カ所に上っています。
 また、那覇植物防疫事務所の資料によると、海外からの入域者取り締まりで輸入禁止物が毎年2000件以上摘発されており、そのほとんどがミカンコミバエ種群の寄生植物であること、そして禁止寄生果の飼育調査の結果、高い比率で多数のミカンコミバエが発見されています。
 このような毎年のミカンコミバエの発見、海外からの持ち込みの実態は、改めて防除対策の強化が求められていることを強調したいと思います。
 次に、ミバエ類が根絶達成した翌年の94年にミバエ類の再侵入防止事業と同時にイモゾウムシ等の根絶防除事業がスタートしていますが、そこでお伺いしますが、なぜイモゾウムシ等の根絶防除事業、すなわちイリムサー対策が他の害虫防除を差しおいて優先的にスタートしたのですか。
沖縄から本土にサツマイモを持ち出しするのが規制されているのはなぜか。その法的根拠は……。
逆に本土から沖縄には松くい虫等多数の害虫が侵入しているが、法的規制はないと聞いています。どのような害虫が侵入しているのかその現状と、なぜ規制できないのか、お伺いします。
次に、イモゾウムシ等根絶防除事業の概要について、事業年度、対象地域、規模、予算について。
ミバエ類防除と同様な方法で根絶を目指すと聞くが、その方法は何ですか。
ミバエ類の根絶の成果は外国での研究の積み重ねがあったと言われているが、イモゾウムシ等の根絶防除は国外でも行われているのですか。
防除事業の進捗状況についてお伺いします。
ところで、サツマイモは近年、健康食品としてだけでなく、生産性や利用性の高さなどから有望視されています。イリムサーが根絶されるとサツマイモは沖縄において20数億円市場とも言われており大きく発展する可能性を秘めており、一日も早い根絶が待たれています。
党県議団は、沖縄の産業経済の振興のかなめは、沖縄の亜熱帯の気候と地域特性を生かした農水業、地場産業の育成、内発型地域振興の方向こそ重要であり展望が開かれること、そのための教育研究機関の抜本的な強化の必要性を強調してまいりました。
 地域経済の発展の方向として読谷村が紅芋を村おこしの産業として押し上げた実績は教訓的です。紅芋を地場産業に発展させるという方針で文字どおり行政を初め関係団体、そして生産者である農家の一致団結した取り組みの成果と言えます。
 県農業試験場の平成6年から8年度事業として読谷村と提携して総合防除技術確立推進事業が取り組まれておりますが、その結果、成果が報告されております。
 その内容は、ゾウムシなどの発生源となっている被害芋を放置せず適正に処理することで発生源を抑えることができる、イリムサーの防除方法として茎にいる虫を殺せば芋への被害を食いとめることができる、茎で虫が増殖して後1カ月後に地下に潜り芋に産卵するという習性を突きとめ、芋の根元に農薬をまき、さらに1カ月後に再び散布することでむやみな大量の農薬の使用を抑えて効率的にゾウムシを退治することができるというものです。
 この低農薬散布によるイリムサーの防除法を開発した功績で県農業試験場病虫部害虫研究室室長の安田慶次さんが科学技術庁長官表彰を受けられたことは、イリムサー根絶の事業を大きく後押しする成果であり、関係者の御努力に敬意を表したいと思います。
 そこで安田氏が、この成果は読谷村や農家の支援と協力があったからと述べておられるように、この一大事業であるイリムサー退治は研究者や事業所だけでなく、行政と関係団体、とりわけ農家の理解と協力があればもっと前進する、そのことをこの取り組みは示しています。
 94年度からスタートしているイリムサー根絶防除事業が久米島で実施されていますが、私たちは久米島の両村と農協との懇談、また農家の皆さんとの懇談の中でイリムサー芋を放置しないようにとの協力の呼びかけも行ってまいりました。
 世界初のイリムサー根絶事業の成功の意義と事業に対する地元と農家への理解を訴え、具体的な協力を求めることが必要と考えます。近い将来根絶の方法が確立されると確信していますが、全県で根絶達成宣言までにまだそれなりの期間がかかると推測されます。
 全県に先駆けてイリムサー駆除に村を挙げて頑張っている読谷村の紅芋が、観光の土産品として蒸熱処理で県外出荷ができる体制を県として支援することもイリムサー根絶の展望を開く具体的な施策ではないでしょうか。イリムサー対策の県としての具体的な施策が農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムに盛り込めるように今後の引き続きの課題としたいと思いますが、最後の質問をいたします。
 2年前に沖縄を引き揚げられたそうですが、かつて農業試験場のミバエ研究室の主任研究員であった守屋成一氏は、「イリムサー根絶防除計画の現状と展望について」の氏の95年の論文の中で、ミバエ類の根絶成功の理由について根絶の成否を決定する条件と要因が幸いにも沖縄には備わっていたことを挙げているが、最後に行政当局が直接かかわってきた研究者の意見を重視し緊密な関係を維持しサポートしてきたことを明記しています。
 すなわち国の予算措置を含めた支援と県としても専任で集中体制の研究スタッフを強化したからこそ、国際的にも意義あるミバエ類の根絶達成の成果を生み出したと言えます。
 防除の柱になる研究体制についてお伺いします。
 防除研究はどこが担っているのですか。
 ミバエ根絶直前からことしまでのスタッフの変化、増減についてどうなっていますか。
 沖縄・ハワイ会合等への派遣要請、またミバエ類の根絶の成果を学ぼうと多くの外国人が研修、視察に来られているようだが、受け入れの実績はどうですか。
 イモゾウムシ等の根絶が達成されるとミバエ類の根絶によって飛躍的に発展した沖縄の農業をさらに前進させるものとなることは言うまでもありません。ミバエ対策事業所が気の抜けないミバエ類の再侵入対策と同時に、世界でどこも達成したことのないイリムサーの根絶の研究、そして国際協力・貢献の要望にこたえて頑張っていると思いますが、ミバエの根絶事業以上に体制の強化がなければ達成されないのではないでしょうか。ミバエ対策事業所の果たしている役割と意義、県と国内外の事業所に対する要請と期待に照らして体制が強化されてしかるべきであると考えますが、実態は逆になっていることに驚いています。
 ミバエ対策とイリムサー対策に対する県当局の認識と姿勢が問われていると思います。県民の期待にこたえ事業の成功のために頑張れる条件整備、すなわちせめて研究スタッフをもとの体制に戻すことがどうしても必要だと考えますが、努力されるおつもりはないか、決意をお伺いしたいと思います。
 次に、久米島のフェリー問題についてです。
 この問題は、ミバエの調査の中で農協と農家の皆さんの懇談の中で出された要望です。
 多くの離島を抱える本県にとって県民生活の確保と農作物の輸送に不可欠な離島航路のスムーズな運航は重要です。2隻体制の久米島フェリーが年1回のドック入りのため5月と9月の年2カ月間は1隻体制になっており、支障を来しております。
 離島航路の運航の確保に県としても補助をしている立場から、指導援助ができないか、お伺いします。
 1つはドック入りの期間の代替船の保障をしてほしいという問題、2つ目に代替船の保障が困難なら5月は農作物の出荷のピークと重なり農家に負担がかかっています。代替船の保障が困難ならせめてドック入りの時期を5月でなく、農閑期の10月ごろに変更ができないか。このことについての県の検討といいますか、見解をお聞かせ願いたいと思います。
 再質問は答弁によっていたしたいと思います。
 以上です。
○知事(稲嶺惠一) 新垣米子議員の御質問にお答えします。
 ミバエ類の再侵入防除対策とイリムサー防除対策についてのうち、久米島を初めとするミカンコミバエ再侵入防除対策をどのように行ったか、次のミカンコミバエの発生はおさまったかの2点に一括してお答えを申し上げたいと思います。
 昨年のミカンコミバエ再侵入状況につきましては、久米島、慶良間諸島を初め12地域でトラップでの誘殺がありました。また、県内では10年ぶりに仲里村と座間味村で寄生果が確認されております。
 このため、誘殺及び寄生果が発見された地域においては、重点的に誘殺板による地上防除を実施するとともに、久米島及び慶良間諸島を対象に航空防除も実施しております。
 このような地上防除と航空防除による応急対策を実施した結果、すべての地域で発生はおさまっております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○農林水産部長(小那覇安優) ミバエ類の再侵入防除対策とイリムサー防除対策についてお答えします。
 久米島などへのミカンコミバエ再侵入時の応急防除の予算はどうなっているか、農作物出荷への影響の実態について、島外持ち出し規制の法的根拠について、生産農家への救済措置はどうとられたかについては一括してお答えします。
 久米島などへのミカンコミバエ再侵入に伴う応急防除の予算については、特殊病害虫特別防除事業の予算で対応してまいりました。
 ミカンコミバエ発生時に出荷への影響が懸念された農作物は、久米島でのピーマンとタンカンがありました。ピーマンについては、農協が防虫設備を設置し植物防疫員の確認を受けて出荷を実施しました。また、タンカンは学校給食での利用を含め、島内出荷で対応したため生産農家への大きな影響はありませんでした。
 なお、島外への移動規制については植物防疫法により規定されておりますが、発生が初期段階であったため自主規制にとどめ、植物防疫法による移動規制は適用されておりません。
 次に、マンゴーやタンカンの出荷時期に発生が確認され本土出荷が移動規制になった場合の損害の予想についてお答えします。
 植物防疫法の移動規制が本県へ適用された場合、平成9年度の県外出荷実績から損害額を推計いたしますとマンゴーは約5億500万円、タンカンは約7000万円、温州ミカンは約3億7500万円と試算されます。
 次に、なぜイモゾウムシ等の根絶防除事業が他の害虫防除を差しおいて優先的にスタートしたのか、本土にサツマイモを持ち出すのが規制されている法的根拠は何かについても関連しますので一括してお答えします。
 イモゾウムシ等は、植物防疫法上の特殊有害動物に指定されているためカンショの本土への持ち出しが規制され生産振興の大きな阻害要因になっております。
 一般の病害虫については、被害軽減防除を行うことで自由な県外出荷が可能でありますが、イモゾウムシ等の場合は、本害虫を根絶しなければ県外への自由出荷ができない状況にあります。
 本県では、これまで特殊有害動物であるウリミバエとミカンコミバエの根絶を達成し、果菜類や熱帯果樹類などの生産振興を図ってきたところであります。ミバエ類の根絶後は、カンショの生産を振興するため、特殊有害動物であるイモゾウムシ等を対象に根絶防除事業を実施しているところであります。
 次の御質問で、本土から侵入している害虫の現状となぜ規制できないかについてお答えします。
 県外から過去10年間に侵入した農作物の害虫は、ハナアザミウマ、マメハモグリバエなど16種が確認されていますが、これらの害虫は植物防疫法上の移動規制対象外となっております。このため県としては、病害虫の発生予察調査により早期発見と早期防除に努めているところでございます。
 次に、イモゾウムシ等根絶防除事業の事業年度、対象地域、規模、予算等について、その防除方法についてイモゾウムシ等の根絶防除は国外でも行われているのかとの御質問にお答えします。
 イモゾウムシ等根絶防除事業は、久米島全域を対象に平成2年度から5年度までは総事業費6800万円で根絶技術確立事業を行い、その成果を踏まえ平成6年から12年までの計画で、総事業費7億8500万円をかけ根絶実証事業を実施しているところでございます。
 根絶防除の方法は、ウリミバエと同じ不妊虫放飼法を主体に実施しております。
 不妊虫放飼法は、放射線で不妊化した害虫を大量に放飼して、野生虫同士の交尾頻度を低下させることにより次世代の子孫を減少させ、これを継続することで絶滅に至らすという害虫防除法でございます。
 アリモドキゾウムシについては、不妊虫放飼前に性フェロモン剤と殺虫剤を用いて密度抑圧防除を行うことにより防除効果の向上を図っております。
 イモゾウムシについては、密度抑圧防除に活用するため接触フェロモンを研究開発しているところでございます。
 また、イモゾウムシ等の根絶防除は外国での事例がなく、不妊虫放飼法の適用に必要なすべての課題解決に取り組んでおります。
 次に、イモゾウムシ等根絶防除事業の進捗状況についてお答えします。
イモゾウムシ等根絶防除事業は、イモゾウムシとアリモドキゾウムシを対象に実施しております。 
アリモドキゾウムシについては、誘殺剤による密度抑圧防除により、野生虫の密度を10分の1以下に抑圧した後引き続き不妊虫の放飼を開始しており、平成12年度中の根絶をめどに努力しているところであります。
 また、イモゾウムシについては、具志川村の一部地域に毎週60万頭の不妊虫を放飼し好成績をおさめつつあります。
 なお、規模拡大に対応するための大量増殖、不妊虫放飼、効果判定などは技術、コスト両面とも開発途上にあり、その解決に向けて鋭意努力しているところであります。
 次に、イモゾウムシ等根絶防除研究の所管部署について、スタッフの増減について、外国人研修、視察の受け入れ実績について、研究スタッフの体制については関連しますので一括してお答えします。
イモゾウムシ等根絶防除の研究は、ミバエ対策事業所と農業試験場が実施しております。
 ミバエ対策事業所の職員数は、ウリミバエを根絶した平成5年度が18名、ことしが13名で5名の減となっております。減員の内訳は、管理部門が4名、研究部門が1名であります。
 平成2年度から10年度までの外国人研修、視察の受入数は466名となっております。
 カンショの害虫であるイモゾウムシ等の根絶防除は、世界的にも初めての事業であることから、まだ多くの解決すべき課題が残されています。このため、国内外の大学や研究機関等とも連携を密にしながら、防除技術の確立と実証に取り組んでいるところでございます。
 また、イモゾウムシ等の根絶に向けては、久米島で実施している実証事業の成果を踏まえて本格的な根絶防除を実施することにしております。したがいまして、ミバエ対策事業所の職員配置についても事業の進捗状況を考慮しながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 久米島フェリー問題についてのドック入り期間の代替船の保障をしてほしいという御質問に対してお答えをいたします。
 県におきましては、離島航路の維持、改善を図り、離島地域の振興及び離島住民の民生の安定と向上に資するため、離島航路事業者の自主努力を促しながら、国とともに航路事業により生じた欠損額に対する補助制度を実施しております。
 久米島航路につきましては、フェリー2隻と高速船1隻が運航しているところでありますが、同航路においてフェリーがドック入りしその期間中に代替船を運航した場合、その用船料も含め航路損益に欠損が生じたときは、現在行われている離島航路補助制度により補助することができることになっております。
 次に、同じく久米島のフェリー問題についてドック入りが農作物の出荷のピークと重なるため変更指導できないかという御質問にお答えをいたします。
 船舶安全法の規定によりますと、旅客船の船舶検査は5年に1回の定期検査と1年に1回の中間検査が義務づけられております。
 久米島フェリー株式会社によりますと、検査期間中に貨物等の需要があるときは、残る1隻のフェリーの運航回数をふやして対応し積み残しはないと聞いておりますが、現在のドック入りの時期が農作物の出荷に影響があるのであれば、影響の少ない時期への変更について関係機関等と調整を図りたいと考えております。
 以上でございます。
○新垣 米子 小那覇部長の答弁で、私は長々理論展開といいますか、こういうことをやってきた最後の回答をしてほしかったことは、このイリムサー対策、ミバエ対策で人員を強化していくと、この決意をやはり聞きたかったんですね。進捗状況を見て検討するというふうなことでのお答えでしたが、これは2年前に外間久子議員が取り上げた答弁と何ら変わってない。
 改めて再質問いたします。
 私は、農水省派遣の守屋さん、そして伊藤さん、この方々はミバエ根絶に沖縄での大きな役割を果たしてこられた研究者です。
 この方がさきにも述べましたが、研究を成功させるために本当に大きな後押しがあったのは十分な研究スタッフの保障だったと。今回ミバエが退治された後の体制で削減をされていくことに対して、研究者の立場からすごく憂慮していることまで明記しているんです。
 やはり研究、この事業を成功させることができるかどうかのかなめとしてもちろん資金の問題あるいは時間の保障の問題もありますが、何よりもこの人的保障が不可欠だと。だからこそ研究者の立場からこのミバエ対策の事業所や農業試験場の研究スタッフが削減されることに対してすごく、本当にイリムサーの対策を国としてもこれだけ予算も出してやっているこの事業が、県としての受けとめがやはりどうなのかと。その構えと認識と姿勢が問われているというふうに私は指摘をされていると思うんです。
 だから少ない体制でこのイリムサー対策が根絶できるというふうな認識なのかどうか、そしてその現場から実際に人員の増員についての要求が出されていないのかどうか、このことについて改めて質問し、小那覇部長はこの3月までは現場の農業試験場の責任者としてもこのことを一番御存じだと思いますので、改めて知事のこの問題、沖縄の農業振興のための姿勢といいますか、その決意を改めて体制強化して期待を今込められているこのイリムサー対策を、根絶するために決意をするということで再度知事の答弁をお願いします。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後5時44分休憩
   午後5時45分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 新垣米子君。
   〔新垣米子君登壇〕
○新垣 米子 もう一つは、フェリーのドック入りのものなんですね。
 これはさっき答弁がありましたように、貨物が多ければ2回ピストン運航といいますか、1日に2回運航するという形でやっていると。
 ところがこれは船会社の都合であって、実際にこのことによって農家の出荷のことが1回でこれまでやっていたのが、この時間に合わせて出荷せぬといかぬということでかなり無理な出荷に対応させられているという状況があるわけなんです。
 ですから基本的にやはり生活の確保の問題、そして出荷のあれをきちっと万全を期するという面ではこれまでの2隻のものをきちっと保障するということが基本だと思います。
 さっき言ったように、もしそのことによって欠損なり、であればちゃんと県として補償するということを会社にもきちっと明確にしてその代替船の保障をしていただきたいというふうに思います。
 以上です。
○知事(稲嶺惠一) 御指摘のように研究機関、それから農業の研究機関についての御指摘の点は、大変これは重要な点でございます。その辺は十二分に認識をしております。
 私の今後の21世紀プランの中にお願いしましたのも、農業というのは将来新しい付加価値を持った農業を展開するというのが私の夢でございます。その意味で今回ただいま御指摘の点をちょっと中身を調べますと、主任研究員は平成5年度まで1名であったのが現在は4名おります。そして問題はいわゆる技師というのは、これは電気技師等いろいろな関係、営繕の方がピーク時で平成8年8名いたのが、今はゼロになっているのはトータル的な問題になっていると思います。
 その意味で具体的なやはりどのような形が適当であるか、今後ミバエ対策事業所の職員配置について、事業の進捗状況を見ながら検討していますし、それらの状況にあわせて今言った御意見の御趣旨も踏まえながら検討させていただきたいと思っています。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 先ほど申し上げました代替船の問題でございますけれども、代替船のみの補助というのはございませんで、用船を含めてこの株式会社そのものに航路の損益があった場合に、欠損が生じた場合には離島航路の補助の制度があるということでございます。
 御指摘のありましたように出荷時期に影響があるということでございますので、関係機関と調整をしてこの出荷の時期について変更手続ができるかどうか調整したいと思っています。
 ただ農作物につきましては、3月の出荷時期とか6月とかそれぞれ農作物によっても違うようでございますし、その辺はまた農協さんとも調整しながら変更ができないかどうか、今後精力的に調整をしたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○新垣 米子 答弁漏れ。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後5時49分休憩
   午後5時49分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 農林水産部長。
   〔農林水産部長 小那覇安優君登壇〕
○農林水産部長(小那覇安優) 再質問についてお答えします。
 ミバエ事業所が再侵入防除とそしてイモゾウムシ、アリモドキゾウムシの根絶防除を併置してやっているということで、現場ではやはり増員要求というのは毎年出てはいます。ただ研究体制そのものは先ほど知事から答えていただきましたけれども、研究体制はかつて実質的に1の減になっています。ただ、試験場では3名の研究員をずっと維持しております。
 それと同時に研究体制というのは、実質的には数じゃなくて質の問題が問われます。ということは、かつてのミバエの時期は我々はやはり病害虫に関する研究等も本土から来た指定主任、国から派遣された指定主任のお力でかなり技術を進化させましたけれども、ミバエの研究を通して県内に優秀な人材がかなり育っています。
 先ほどお褒めの言葉をいただきましたけれども、かなり人材がそろっておりますので、そういう人材をフルに活用させながら、同時に新たな技術需要、また新たな行政需要が出た時点では現場とも相談しながら体制の再編等を含めて検討したいというふうに思っております。
 以上でございます。
○新垣 米子 今おっしゃったように、研究の体制は確かに1人減だというふうな言い方をしていましたが、でも事業所全体としての仕事は必ずしも研究だけではないですよね。
 さっき言ったようにミバエのときだったらミバエの根絶のために国の派遣主任、研究員も含めて集中してやってきた。
 ところが、その達成した後の事業というのは再侵入の防除事業と、そして沖縄で初めてのイリムサーの問題、そして新たに外国からの研修の受け入れのものがふえているわけなんです。ですからそういう人数が減った中で新たな事業がふえているということに対してきちっと認識されているのかどうかということです。
 改めて決意をお願いします。
○農林水産部長(小那覇安優) 再質問にお答えします。
 やはり研究体制というのは一朝一夕にできませんので、研究それ自体は、やはり一定の人材とその期間が必要になってきます。そういう意味では研究戦力のダウンというのはやはり非常に意識しております。
 ですからミバエ事業所、それから試験場のミバエ試験の職員配置を含めて人材、数も含めてかなり意識してやっております。ですから根絶事業そのものについてはかなり進捗しておりますので期待しておりますけれども、ミバエの再侵入防除に対する体制等は研究の領域じゃなくて行政的な領域でございますので、その辺は普及所とかまたは市町村、農協とかそういうところの体制の支援を得て実際上再侵入に対するトラップ調査等、それから緊急防除等対応しておりますので、現時点では順調に事業の推進は図られているというふうに理解しております。
 以上でございます。
○玉城 義和 御苦労さまです。
 なるべく早く終わるように執行部の明快な答弁を期待を申し上げます。
 まず、知事の基本的な考えをお聞きをいたします。
 我が琉球・沖縄の近世・現代は、17世紀初頭の薩摩の侵略に始まり明治の琉球処分、そして第2次大戦の戦場化、戦後の施政権の分離と米軍統治、そして今日の米軍基地の差別的過重負担と常に日本国家の政治的思惑によって翻弄され続けてまいりました。
 かつて大田知事は、「沖縄の心」とは「平和を求める心、共生の心」であると言い、西銘知事は「日本人になろうとしてなり切れない心」と述べておられました。両者ともこの400年以上の対日関係が生み出した「沖縄の心」であります。
 知事は、これら今日までの歴史を踏まえて日本という国家は我々沖縄にとって今日どのような存在であるとお考えか、基本的な哲学をお示しください。また、稲嶺知事が考える「沖縄の心」とは一体いかなる情念であるか。
 2番、知事の選挙公約の最大のポイントである「県民党」について、一般的には県民党と称するは県益を第一義的に考え、それを最優先するということで、ややもすれば政党党派の利害が政治、行政の中に入り込んでくることに対する対立概念として存在していると思います。知事の言う県民党とはどのような思想を持ち、そして政治的立場に立っているか、お示しください。
 普天間基地移設についてであります。
 キャンベル米国務次官補代理(5月4日)、トーマス・フォーリー駐日大使(6月9日)、斉藤邦彦駐米大使(6月22日)、クリントン米大統領(6月25日)等々サミット決定後の発言はそれ以前の発言とは異なり、サミット開催までという言い方でそれを移設の期限としております。
 我部琉大教授の言をかりれば、「米国は、サミットを基地問題の「解決」のシンボルとしようとしている。クリントン大統領以下、米政府高官の発言は、サミット開催地の政治的利用を狙っている。」というふうに述べておられます。
 私は、この間の動きは明確な基地問題とのリンク論ではないかと、こういうふうに考えます。また、駐米大使発言や政策協議会の場での政府首脳の発言等により、これらのことが日米両政府の共通認識になっていることも極めて重要であります。
 知事は、これらの事態をどのように御認識なされるか、明確にお示しください。
 巷間、1、年内での複数の候補地の選定、2、来年度での調査費の計上、3、サミット終了後の調査実施と言われております。県はこのシナリオで国との協議に入っているのか。また、対策室の現在までの取り組みとこれからの作業スケジュールについて明らかにされたい。
 普天間代替について。
 知事の公約、いわゆる稲嶺3原則、1、場所については北部地域、2、基地のあり方としては軍民共用、3、期限は15年というのは現在も不変か。
 3番、サミット開催について。
 1、サミットの実態を知らないことによる不安あるいは過剰期待は解消すべしと思います。県の調査団の結果をも踏まえサミットの実際について県民に周知させ、共通認識を持った上で取り組む必要があると思いますがどうでしょうか。
 2番、サミット開催県として中心となる考え方、コンセプトはいかなるものか、お示しください。
 3番、各国からの多くの報道関係者の来県はとりわけ重視すべきことであります。限られた期間内にどう沖縄をアピールするか。県民的にはここに最大の力を傾注すべきだと思いますが、何をどう、いかにアピールするか。
 4番、鉄軌道の導入と交通問題についてであります。
 先ほど知事にお渡しをいたしました報告書は、かつて1978年に当時、私が所属をしていました労働組合のナショナルセンター「総評」の沖縄対策委員会で当時の国鉄の調査部や外部の専門家の協力を得ながら約1年間かけてまとめ、当時の平良知事に提案しました沖縄への国鉄導入計画概要であります。具体的に線路の幅や駅の数、全路線の長さ、建設工期、収入あるいは経済効果、雇用効果まではじき出したものは恐らく初めてではないかと思っているわけでございますが、どうぞ目を通していただきたいと存じます。
 私は、この間、折に触れてこの問題の重要性を訴えてまいりました。20世紀を締め新たに迎える21世紀を目前にして、知事にはぜひともこの沖縄の百年の大計とも言える鉄軌道問題について一大政治決断をしていただきたいと思うのであります。今や本州と四国に橋がかかる時代であります。
 せんだって私ども土木委員会で本四架橋を視察をいたしましたが、その折に案内のガイド嬢が、この事業は100年前からの懸案だったんです、この間、戦争があったりして今日やっと実現したんですと説明しておりました。まさにそのとおりでありまして、四国側にとってはまさに百年の大計であったわけでございます。
 私どもといたしましては、まずは行動を起こすことが大切であるとの観点から、鉄道の導入等交通問題を考える有志会みたいなものをつくりまして運動を開始いたしております。多くの共感を呼んでおりまして、本部町議会、金武町議会、大宜味村議会などが全会一致でこれら鉄軌道の導入について決議、意見書を採択いたしたと聞き及んでおりますし、今開会中の名護市議会でも可決の運びだと聞き及んでおります。7月中旬の講演会やシンポジウム等を通しながら超党派、住民ぐるみの運動を目指しているわけでございます。
 今さら私から鉄軌道導入の意義について申し上げるまでもございませんが、幾つか挙げますれば、第1に沖縄県県土のバランスのある振興発展への貢献であります。
 ちなみに、名護市を含む北部12市町村の人口動態は、1920年に11万8128人が、1995年――これは75年後でありますが――の国勢調査では12万1281人、75年間でわずか1.02倍、ほとんど横ばいでありまして、3100人ぐらいしかふえてないのであります。
 このように極端な人口のアンバランスは都市機能の配置や、あるいは社会・経済的な政策がとられず自然の流れに任せたことによるものだと考えます。これを是正し通勤圏を拡大することにより過疎、過密を解消し、県土を有効利用し、もって第3次振計に言う名護を中核とする北部圏と那覇市を中心とする中南部圏の二眼レフ的県土づくりを行うべきであります。
 また、交通問題は深刻であり、慢性的な交通渋滞を解消する必要もございます。増加する交通事故、各地に高く積み上げられている廃車の山はまさに重大な社会問題になっているわけであります。また、日常的に排出されるCO2の問題もございます。
 私は、沖縄のように1家に二、三台も自家用車があるということは、豊かさの象徴ではなくて社会基盤の弱さからくるむしろ貧しさのあらわれではないかというふうに感じているわけでございます。
 もちろん鉄軌道導入、その建設による経済効果もしくは雇用効果は莫大なものがあると予想されますし、その鉄道の運営についても、例えば最も成績のいいJR東日本などに相談するか、そういうことも大いに研究をしてみる必要があるのではないか。当初から採算性を言えば何事も前に進まない。むしろ私どもが百年の大計ということで県民世論を盛り上げて大きく県民全体でこの問題を21世紀の早い時期につくってみせると、こういうことが重要ではないかと思っているわけでございます。
 以下、質問いたしますが、復帰後これまでの間に国鉄導入等県が取り組んできた経過はいかがなものか。
 また、総合交通体系の中に鉄軌道を位置づけ、ポスト3次振計の主要な政策の柱に据えるべきだと思うが、知事の決意を明らかにしていただきたいと思います。
 高速艇「マーリン」の運航継続と寄港地の拡充についてでございますが、6月27日に那覇市内で北部市町村会や本部町、伊江村などの主催による「マーリン」運航継続を求める大会が盛大に行われました。伊江村や本部町の観光振興に多大なる貢献をしているということも確認をされたわけでございます。
 以下、質問いたしますが、観光客を主対象としつつも離島県民の足としての性格を付与し、料金などの改正を図ることはできないか。
 2番、寄港地の拡充により乗客の増加を図るべきと思うがどうか。
 3番、乗客の増加のためにどのような努力がなされてきているのか、また今後の計画はどうか。
 経営診断の結果、どのような条件であれば存続か、またそれはいつごろの判断になるかということでございます。
 5番目、沖縄戦の実態調査についてでございます。
 5月20日に開催された参議院日米防衛協力のための指針に関する特別委員会において、本県選出の照屋氏の政府として沖縄戦における総合的な被災の実態調査をやるべきだと思うがどうかとの質問に対して野中官房長官は、「沖縄戦のすべての実態について明確に政府がいたしたものは残念ながらないわけでございまして、厚生省等が保有をいたしております資料あるいは沖縄県の資料等それぞれあるわけでございますけれども、私どもとして、戦後27年米軍施政下に置かれ、かつ復帰後27年を経た今日の節目に委員が御指摘のような問題等について整備する必要を痛感いたしております。」と述べて、初めて政府として沖縄戦の実相について調査をする必要性を表明いたしました。
 これに対して知事も、遅きに失したとはいえ必要なことだというふうに述べておられます。
 本来でありますれば、戦後間もなく沖縄戦の性格また戦死者の実態、被害状況の調査が政府の責任において行われるべきであったでありましょうが、しかしそれがなされてこなかった。それゆえ実際は戦争体験者や研究者らの有志によって字史誌や市町村史誌の編さん作業あるいは平和の礎などを通して気の遠くなるような仕事として行われてきたわけです。
 これまでも研究者としてこれらの調査に尽力してこられた石原昌家沖国大教授は、みずからの調査経験から壕の中で産まれた子供が名前もつけられずに亡くなったことや、あるいは戦没者を戸籍簿に載せなかったことにより存在自体が消えてしまった例などを挙げ実態調査の困難さを語っておりますし、また官房長官がわざわざ指摘しておられる厚生省資料と言われるものに大いなる懸念もまた示されているわけでございます。
 私は、政府がこれらの調査を実施するとすれば真実、事実をありのままに明らかにすることだと存じますし、いささかでも政治的判断が加わってはいけないということであります。
 そこで、今回の調査はどのような目的を持ったものであると考えられるか。実態の正確な把握のために県はどのような役割を担うかということでございます。
 墓地行政でございます。
 厚生省生活衛生局がまとめたこれからの墓地等のあり方を考える懇談会報告書は、墓地はすぐれて人々の生活の営み、すなわち文化を反映するものであり、墓地行政は土地の習俗や人々の宗教的感情を尊重しつつ、社会情勢に即して展開されなければならないとしています。
 沖縄の亀甲墓を初めとする墓や墓地も沖縄の文化、歴史と密接に関連いたしておりますし、それらに最大の注意を払いながらも今日のように個人墓地が主である本県のように小規模墓地が各地に多数散在する現状や、またそれがほとんど都市計画や町のあり方などとの整合性を失したままでの建立は今日大きな課題を抱えることになっておりますし、現在の墓地建立の主体は地方自治体、宗教法人、公益法人、個人墓地等でありますが、私は懇談会報告書が指摘するとおり、墓地の公益性にかんがみて地方自治体が基礎的な住民サービスとして積極的に提供を図ることが望ましいと考えております。
 以下、質問いたします。
 現在、県内にある墓地基数とその占める面積はどれほどか。
 2、年間新たに建設されている墓地は何基か、また不法、無許可は幾つあるか。
 個人墓地と公益の比はどうか。
 個人墓地に対する規制をどうするか。
 墓地建設が市町村行政と関連が深いことから許可業務を当該市町村に移譲すべきではないか。
 6番、市町村などの公益墓地整備を進めるため県としてはどのような施策を展開するか。
 最後に、沖縄経済振興21世紀プランは、ポスト3次振計との関係ではどのような位置づけになるか。
 以上でございます。
 答弁によって再質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) 玉城義和議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、政治哲学について、沖縄の近世・現代の歴史を踏まえ、日本という国家は我が沖縄にとって今日どのような存在であるか伺いたいということでございます。
 沖縄は、我が国の中において独特な歴史を歩んできたのは事実であります。
 これは、私が、今回サミットが沖縄に来たことの意義ということでよく申しているのはこういうことを言っているんです。
 沖縄は、ある意味では過去の歴史の過程、あるいは地理的条件からして異質性のところがありますと。日本というのは多分にいろいろな意味で民族、風習あるいは習慣、その他常識についても同質性なところがありますと。沖縄というのは日本全体の幅を大きく広げる点にプラスがありますということを言っております。そこで、いつも46プラス1の47都道府県ということを言っているわけです。
 しかし47都道府県、これはやはり日本の一県でございます。その意味で私は、沖縄としてはこのいろいろな過去の特性を生かしつつ、しかも地域特性、その他の歴史等を生かしつつ経済的な自立を目指すとともに、我が国の発展に寄与できるよう全力を尽くしていきたいというふうに思っております。
 国においてもこのような視点から、これまで各種の沖縄振興策を講じてきたものと考えております。
 次に、「沖縄の心」とはいかようなものかということです。
 私は、沖縄の心とは平和を志向する心、協調し支え合う心、そして異質なものに対する寛容な心であり、歴史を前向きにとらえ、未来を創造するたくましい心であると考えております。
 次に、知事の言う「県民党」はどのような思想及び政治的立場を持つかということへのお答えでございます。
 私は、県民が将来に夢を持ち自信を持って将来設計が描けるような沖縄を創造するために、県民多数の経済及び福祉の向上に貢献できる県政を目指し、広く県民の立場に立っていわゆる県民党を標榜してまいりました。今後とも県民各位との対話を図りながら、幅広く県民の英知と決断を結集し県勢発展に全力を傾注してまいりたいと考えております。
 次に、普天間基地移設について米国や日本政府がサミットとリンクさせてきたということに対し知事はどのように認識するか、またこれら一連の外交・政治攻勢にどのように対処するかということについてのお答えでございます。
 普天間飛行場は、市街地の中心に位置し非常に危険な状況にあることなどから早期の返還について県から強く要望し、日米両国政府は普天間飛行場の返還を含むSACOの合意に達したものと理解しています。したがって、日米両国政府がSACOの合意事項の着実な実現を希望するのは、これまでの認識を表明したものであると考えています。
 県としては、サミットの開催と普天間飛行場の移設はそれぞれ県政の最重要課題であると認識しており、そのため去る3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意県内移設に向けての作業を進めているところです。
 普天間飛行場の県内移設については、地域のコンセンサスや振興策などさまざまな課題がありますが、一日でも早く解決していくよう努力しているところです。
 次に、巷間言われているシナリオでは県は国と協議に入っているのか、また対策室の現在までの取り組みとこれからの作業スケジュールについて聞きたいということについてお答えいたします。
 普天間飛行場代替施設について、知事公約の場所については北部地域、基地のあり方については軍民共用、期限15年というのは現在も不変かどうか聞きたいという御質問に一括してお答えいたします。
 普天間飛行場の移設問題については、現在、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において県内移設に向けて鋭意検討を進めているところであります。
 同室では去る5月に米軍、自衛隊及び民間が共同使用している三沢飛行場の調査を行い、このような調査等を踏まえ、また御質問の点を含めさまざまな観点から複数の案について検討を進めております。できるだけ早期に県の考え方をまとめ、県の案がまとまった段階で政府と協議していきたいと考えております。
 次に、墓地行政についてでございます。
 個人墓地に対する規制についてということと、公営墓地整備を進めるための県の施策についての2件を一括してお答えします。
 墓地埋葬法では、墓地の経営は永続的な管理、非営利性の確保を図る必要があることから、原則として市町村が経営主体となって整備すべきものとなっております。
 しかしながら、本県では古くから個人で墓地を求める習慣があることや、公営墓地整備のおくれもあってこれまで個人墓地を許可してきている状況にあり、結果として墓地の散在による景観上の問題や都市計画整備の妨げ等行政的に対応すべき課題が生じてきております。
このような墓地問題を改善するために、県としましては墓地実態調査及びアンケート調査を踏まえた本県における望ましい墓地等のあり方や公営墓地整備の基本的な方向性を示す「沖縄県墓地公園整備基本指針」を本年度中に策定する予定であります。これにより市町村における公営墓地の整備を推進していくとともに、個人墓地を規制して本県の墓地問題の抜本的改善を図りたいと考えております。
 次に、沖縄経済振興21世紀プランは、ポスト3次振計との関係ではどのような位置づけになるかという御質問についてのお答えでございます。
 沖縄振興開発計画は、沖縄の総合的な振興開発を目的として策定されたものであります。
 一方、21世紀プランは沖縄経済の自立化に向けた経済振興を図る観点から、振興開発計画に新たな視点等を加えていく性格を備えた実践的戦略プランであります。
21世紀プランに盛り込まれた各種施策については、3次振計後の新たな沖縄振興計画の検討の場において経済分野に関して十分に生かされていくものと期待しております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後6時16分休憩
   午後6時17分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 サミット推進事務局長。
   〔サミット推進事務局長 山田文比古君登壇〕
○サミット推進事務局長(山田文比古) 玉城先生のサミット関連の御質問3問ございますが、お答えさせていただきます。
 まず、サミットの実態を知らないことによる不安あるいは過剰期待は解消すべしと思うが、県の調査団の結果をも踏まえサミットの実際について県民に周知させ共通認識を持った上で取り組む必要があると思うがどうかという御質問でございますが、まさに御指摘のとおりサミットの実態を御存じないことによる不安がある一方で、過剰な期待というものも多々見られるところでございます。
 こうした不安や過剰な期待というものは、サミットがどのようなものであるのかということを正しく理解していただく過程である程度解消していくものと考えております。その意味で今回のケルン・サミットについて行いました県とそれから県民会議の調査の結果は、できるだけ詳しくかつ正確な報告書としてまとめ県議会を初め県民の皆様に公表するほか、県民会議の各種の部会などで報告会を行うということなどを通じまして、関係者はもとより幅広く県民の皆様への周知を図りたいと考えております。
 そうしたことを通じ、多くの県民の皆様に共通認識を持っていただいた上で、この県議会で述べておりますようないろいろな課題に積極的に取り組みまして沖縄開催の意義を最大限に引き出して沖縄の心を世界に発信していきたいというふうに考えております。
 次に、サミット開催県として中心となる考え方、コンセプトはいかなるものかという御質問でございます。
  県がサミットにかかわるに当たりましてコンセプトとして考えているのは、大まかに言って4つほどございます。
 第1は、サミットの開催により世界じゅうの目が沖縄に集中するわけですから、この機会を活用していかに沖縄というものをアピールしていくかということであります。沖縄の心を世界に発信するというだけではなく、沖縄の財産である美しい自然や歴史、文化、すぐれた投資環境や観光・リゾート地、国際コンベンション都市としての優位性といったものも世界に発信していきたいと考えております。
 第2に、ケルン・サミットの例も参考にしながら、いかにして県民参加型のサミットを実現していくかということであります。県民ボランティアの活用や県民を主体としたサミット関連事業の企画や実施といったことが具体例として考えられます。
 第3番目は、自然体で臨むサミットということではないかと考えております。言いかえれば、おおらかに臨むサミットということかもしれません。特に肩ひじを張らず無理に背伸びもせず、できることとできないことをはっきりさせて、できることはしっかりとやるというような対応が沖縄らしいおおらかさと言えるのではないでしょうか。できないことまで無理をしてあえてすることは適当ではないと考えます。
 サミットは、極論すれば単なる国際会議にすぎないのでありまして、これをお祭りやイベントと考えて過度に期待することは禁物であると考えます。
 他方、同時にある程度のしたたかさというものもあってよいのではないかと考えております。
 特に、サミットを契機としまして情報通信などの分野を中心にしまして基盤整備やソフトの充実を図り、一層の国際化や振興開発に弾みをつけていくということも重要であると考えます。
 以上、沖縄を世界に発信するということ、県民参加、自然体、またはおおらかさ、そしてしたたかさという幾つかのキーワードを申し上げましたけれども、いずれも県民の皆様の御理解と御協力なしに進めることはできません。既に設置しました県民会議などを通じまして、県民の皆様がそれぞれの立場で主体的に取り組んでいくことを改めてお願い申し上げます。
 3番目に、各国からの多くの報道関係者に何をどう沖縄をアピールするかという質問でございますが、今申し上げましたような考え方のもとで沖縄からのメッセージを効果的に発信し、またありのままの沖縄の姿を見ていただくということが重要であると考えます。
 そのため県としては、プレスセンターを活用して情報発信を積極的に行っていきたいと考えております。
 具体的には、例えばインフォメーションコーナーを設置したり、あるいは当然インターネット等を初めとしまして各種媒体を利用して情報発信をする、あるいは県産品の提供といったようないろいろな工夫をして沖縄からの情報発信を積極的に行っていきたいと考えておりますが、それだけではなく、数千名と言われる報道関係者が直接接することになると思われる県民の皆様お1人お1人が沖縄をどう印象づけられるかということも重要なポイントであると考えております。
 こうした点について今後、県民会議の広報部会などを通じまして、県民の皆様の御意見も十分聞きながら積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 鉄軌道の導入と交通問題について、国鉄導入など県が取り組んできた経過についての御質問についてお答えをいたします。
 国鉄導入については、昭和50年度に国鉄による大量輸送機関の導入に関する調査及び国鉄による大量輸送機関の導入に関するアンケート調査を行っております。
 また、昭和51年に6人の学識経験者の委員から成る沖縄鉄道導入研究会を設置し、昭和52年度及び53年度に「沖縄鉄道導入研究報告書」が提出されております。
 これまでの調査結果等を踏まえ、昭和53年7月に本県の総合交通体系のあり方として主要都市間交通、また那覇圏地域内の集中的な交通需要に対処するため新しい交通機関として軌道交通システムの導入を促進する必要があるとしております。
 昭和56年9月策定の総合交通体系基本計画では、既に計画が進行している那覇モノレールについては、その実現に向けて早期の事業着手が必要であるとし、「鉄道導入については、超長期的展望において北部圏の成長と都市機能の成熟が広域的展開を必要とする段階で検討する」としており、モノレールと鉄道の方向性が示されております。
 そして、平成4年3月策定の総合交通体系基本計画では、モノレールの中部地域への延伸を検討するとともに、本島北部における拠点都市名護市を初めとした北部地域の振興を図る観点から、定時性、定速性のある大量輸送交通機関として本島を南北に縦貫する軌道交通システムの導入を検討することとしており、以上がこれまで県が取り組んできた経緯でございます。
 次に、総合交通体系の中に鉄軌道を位置づけ、ポスト3次振計の主要な政策の柱に据えるべきと思うがどうかとの御質問についてお答えをいたします。
 現行の総合交通体系基本計画は、平成4年3月に策定しておりますが、その後、県を取り巻く経済社会情勢は大きく変化しており見直すこととしております。
 見直しに当たっては、現在進められております沖縄都市モノレールの整備状況を初め交通需要の動向、沿線地域の開発計画、返還予定米軍施設用地の跡地利用の将来展望等を踏まえて進めていきたいと考えております。
 御提言の鉄軌道等の軌道システムについては、今年度から実施予定の総合交通体系調査の中で検討したいと考えております。
 次に、高速艇「マーリン」について、料金などの改正が図れないか、2つ目に寄港地の拡充について、3つ目に乗客増加のための今後の計画について、4つ目に経営診断の結果による存続、また判断時期についての御質問に一括してお答えをいたします。
 沖縄マリンジェット観光株式会社の経営の現状を見ますと、平成9年度、10年度とも大幅な赤字となり会社の経営は厳しいものがあります。
 同社も地元住民の利便性を考慮した遠隔地学生割引制度、遠隔地通院割引制度、シルバー割引制度等、各種割引料金を設定するとともに、修学旅行の誘致や旅行社との提携商品の拡大による観光客の増加に努めた結果、前年に比べ若干の利用率の改善が見られますが、依然として当初の事業計画との乖離が大きい状況にあります。
 同社の経営状況と今後の見通しについては、民間のコンサルタントに経営診断を委託しており、その結果が8月中には報告される予定になっております。また、寄港地の拡充による経営改善の可能性についてもその中で検討の対象になっております。その診断結果を踏まえて、経営改善の可能性及び事業の存廃等について検討し、他の株主とも協議しつつ適切に対応していきたいと考えております。
 以上でございます。
○文化国際局長(金城勝子) 沖縄戦の実態調査について、どのような目的で、県はどのような役割を担うかという御質問でございます。一括してお答えいたします。
 野中官房長官が6月23日の記者会見で、沖縄戦の実態について一般の理解に資することを目的として、沖縄戦関係資料を収集、整理する方針を示されたことにつきましては新聞報道等を通しまして承知をいたしております。
 その内容等についてはまだ国から連絡、説明等はございませんので、県の役割についてお答えすることは今できない状況でございます。
 県といたしましては可能な限り協力していきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 墓地行政について4つの御質問がございます。
 まず、県内にある墓地数とその面積はどれほどか、次に年間の新規墓地数は何基か、また無許可の墓はどれぐらいと予想されるか、次に個人墓地と公営の比はどうか、次に許可業務を市町村に権限移譲すべきではないかとの質問には一括してお答えいたします。
 平成8年度から平成10年度にかけて県が実施した県内30市町村における墓地実態調査によりますと、お墓が7万5495基、墓地面積が約294万7500平米であります。
 県内では、平成10年に新たに1002基の墓が許可され、その内訳は個人墓地は378基、公営は624基で、その比は2対3となっております。
 また、墓地需要につきましては、死亡者数から必要墓地数を予測する方式によりますと、年間約1600基の墓が必要と見られており、約600基ほど無許可の墓がつくられているものと思われます。
一方、墓地の経営許可業務につきましても、市町村の墓地計画や土地利用計画と密接なかかわりがあることから、平成13年度を目標に経営許可の権限を現在の知事から市町村長へ移譲する計画も考えております。
○玉城 義和 ちょっと休憩してください。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後6時32分休憩
   午後6時36分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) たしか3点だと思います。1つはリンク論、1つは公約との関係、1つは政府とどうなっているかということです。
 リンク論につきましては、普天間飛行場移設問題は、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室を3月1日に設置して取り組んでいるし、サミットは4月29日に決定され、その成功に向けて取り組んでいます。両者はリンクするということではなく、どちらも県政の最重要課題として別々に取り組んでいますということでございます。
 それから次の、公約との先ほどの私のお答えの中にあるんですが、また御質問の点を含めさまざまな観点から複数の案について検討を進めておりますということでございます。
 政府との具体的なお話がどうなっているかというんですが、これも答弁いたしましたようにできるだけ早期に県の考え方をまとめ、県の案がまとまった段階で政府と協議していきたいと考えております。
○玉城 義和 再質問いたします。
 私は知事、知事の最も美徳の一つは非常にフランクに物を語れること、率直に語れることが知事の一番美徳の一つじゃないかとかねがね思っていたわけです。ところが非常に残念ながら、知事になられて非常にそれが失われてきたというのが日々私の実感でありまして、本当の意味でのいい指導者というのはやはり余りわきを固めないで率直に国民や県民に語ることこそがリーダーの要件なんですね。
 そういう意味では、お役所には悪いんですが、もっとやはり率直に語ることが今日のような日米両政府を相手にする立場からすれば結局はその方がいいということです。県民に情報を出さないということは、一番これはよくないことでありまして、そこはぜひ率直に出していただきたいと思っております。
 リンク論というのは、これはリンクしているかしてないかというよりも、期限を切るということに意味があるわけですね、政治的には。期限を切られたということに意味があるんで、それをどういうふうにお感じになっているかと私は聞いているわけですね。これが1つ、もう一回お答えください。
 それから、先ほどから出ております複数の案を午前中と午後とではちょっと答弁が違うんですが、複数に絞り込みを図っていると。これは2つなのか4つなのかわからないですね。5つに絞り込みを図っているのか、今の状況はどうなのか、幾つ挙げてそれをいつまでにどうしようとしているのか、その道筋だけでも示すべきではないかと、こういうふうに思うんですね。
 そうでないと、地域もわからない、どういう作業をしているかもわからない、いつまでやるかもわからない、これでは県民は全くつんぼ桟敷で見せられないわけでありまして、非常にここは問題があると思います。
 これは我々も各選挙区から出てきて、そういうことも県議会で明らかにできないということになれば、これはそれこそ我々議員の責任問題になるんで、これは与野党の関係じゃないですよ。我々議員としてのまさに責任の問題ですね、県民に対する。これにかかっていますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから、牧野さんの「沖縄の自己検証」という本を読んでおりましたら、ちょっとそのまま読み飛ばせないようなものが一つありまして、先ほどの沖縄戦とのかかわりでこういうふうに61ページで言っているんですね。「沖縄戦の戦争体験・被害というのは軍国主義時代の体験です。」と述べた後、軍国主義時代の軍隊と今日の軍隊は違うということですね。したがって、軍国主義時代の被害を絶対化していくことは、これからの安全保障を考える上ではできなくなる、やっちゃいけないと書いてあるんですね。すなわち軍国主義の戦争というのは沖縄戦のことですが、沖縄戦の被害の結果、それを絶対化しちゃいかぬと書いてあるわけですね。
 となると、例えばひめゆりの部隊だとか平和の礎だとか、これまで我々が語り継いできた沖縄戦の被害の状況だとかあり方だとかというものがこれでは総体化されて特殊化されてしまうわけですね、絶対化しちゃいかぬというわけだから。これについて私は非常に重要な問題を含んでいると思うんですね。
 だから、今ちょうど政府が沖縄戦の被害調査をもう一度やろうというわけです。政府でもそう言っているわけですね。50何年たって遅きに失したけれども言っている。それに対して稲嶺県政の重要な政策ブレーンの一人である副知事がそういうことを今もって考えておられるということは、私は大変これはこれからの平和行政に大きな問題があるんじゃないかと思うんです。
 その辺を明確に答えていただきたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 複数の案の検討を進めているところだと。これを幾つかの案を、複数の案を出すために検討中でございますけれども、現在のところは検討の段階でございますので、場所、その他については発表することはできません。ただ、一日も早く発表できるようにしたいと考えております。
○副知事(牧野浩隆) 玉城先生の御質問にお答えいたします。
 まず初めに、我々が心血を注いで作成した本を読んでいただいたことに対して心からお礼を申し上げます。
 我々もこれからの沖縄の21世紀をどうつくっていくかということで真剣勝負でやはりやったものですので、我々がこれから沖縄をどうリードしていくかという、沖縄の県政をリードしていくための一つの指導理念の一端を提示できたんじゃないかと思っております。そういう意味では先生も御理解いただきまして、御協力いただければこんなうれしいことはないと思います。書いたものに対する我々の主張と先生の御理解に若干そごがあるかと思いますので、そのあたりを明確にさせていただきたいと思います。
 我々が主張していますのは、一種の沖縄戦の体験ということは、戦争中に被害を受けたことはあちこちにたくさんあるわけです。沖縄もありますしヨーロッパもありますし、広島、長崎といろいろあるわけですけれども、そういった被害の厳しさ、現実を認識することは、これはもう人類共通の認識としなきゃならないと思います。そこは何ら違いはないと思います。
 問題は、第1次大戦、第2次大戦、そういう戦争があったことを受けて、もう二度とそういう戦争は起こしてはいけないということがそもそもの出発になっていると思います。
 同じ戦争被害を受けながら、これからの国際平和をつくって維持し、国際平和が侵されたときにどのように回復していくかということをめぐっては、今国際政治学会の中でも国連の中においても御存じのとおり2つの考え方があるかと思います。
 1つは、いわゆるリベラリズムと言われていますように、理想主義と言われていますように一切の軍備をなくしていって話し合いでやっていこうという一種の非武装中立的な発想が1つあるかと思います。
 それと同時にもう一つは、国際政治学会の極めて緊張に満ちた学会の先端の課題でありますけれども、そうではなくて、その成果が今国連の安全保障理事会の中の柱になっていますものにあるかと思います。
 国連憲章を見ますと、こういう書き出しから始まっています。我々人類は、20世紀に第1次、第2次大戦、2度の戦争まで起こした。こういったのはなぜ起こしたのかという極めて深い反省に基づきまして、こういうことを我々は決して起こしちゃいけないということででき上がったのが今国連憲章の中の78条というような形になっています。
 あの構想を見ますと、1次大戦、2次大戦の反省を踏まえた上でまずは国連の安全保障理事会のやり方が3段階になっています。
 1つは、まず我々は話し合いでやっていくんだということは当然のことです。ですから外交交渉を含めたり、いろんな意味での教育をしたり、民主主義を進めたりすることによって話を進めていくと。それでもきかないようなちょっとした紛争が起こりますとまず話し合いで進めますけれども、それでも解決つかないような場合には一応経済封鎖でやってそれで聞かせていこうというやり方があります。それでもやらない場合はいわゆる国連の安全保障理事会の議決に基づきまして最後のよりどころとして軍事力をもって排除していくというようなそういう3段階になっていることは事実かと思います。
 そういった意味で、我々は今の国際の状況の中では国連の安全保障理事会に基づいてやっていくというのが国際学会の通説であると同時に、国連のそういうあり方だと思いますので、我々も沖縄のそういう極めて過酷であった戦争を踏まえた上でどういう安全保障政策をとるかはリベラリズムなのか、今の国連の安全保障理事会を中心に持っていくのかということで、我々は後者の主張をとるべきだということを主張したのがその本の趣旨ですので、御理解いただければありがたいと思います。
○玉城 義和 議長、休憩。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後6時46分休憩
   午後6時51分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 先ほどお答えした点と全く同じでございますが、御質問の点を含めというのは、さまざまな観点から複数の案について検討を進めておりますというこの御質問の点は、先ほど玉城議員が御指摘になりましたその3点でございます。
○玉城 義和 副知事のお話は、そのことが沖縄戦を絶対化する必要はないということにはつながらないと私は思いますね。それはまた9月議会あたりで本格的に副知事の御所見を承りたいと思っております。
 知事、先ほど私が言っているのは、1つは、こういうシナリオがあるんだけれどもそれはどうかと言っているわけですね。それも含めてとおっしゃるんであれば、そういうのはあるというふうに解釈していいのか、お聞きします。
 もう一つ最後に、これはぜひ教えていただきたいんですが、稲嶺3点セットと言っている北部地域というのと軍民共用というのと15年というのは、今はどうですかと。変わりありませんかと。このところぐらいはぜひ答えてください。
○知事(稲嶺惠一) 2点ございました。
 1つは、シナリオということでございますけれども、これは今後国と検討する段階でございますから、全くシナリオは今ございません。
 それから次に、変わっているのかどうか聞きたいということでございますけれども、これは私どもはさまざまな観点から複数の案を検討を進めている段階でございますから、検討の段階で変わるとか変わらないとかは言えません。
○玉城 義和 1つだけ注文しておきます。
 もっと真摯な議論ができるようにひとつお互いに努力したいということを知事に申し上げておきます。
 終わります。
○議長(友寄信助) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程はこれで全部終了いたしました。
 次会は、明6日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後6時56分散会

 
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