○議長(友寄信助) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた人事委員会委員長新崎盛善君は、所用のため本日、10月1日、4日及び5日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日、10月1日、4日及び5日の午後の会議に人事委員会事務局長安慶名一郎君、10月5日の午前の会議に人事委員会委員浦崎修子君の出席を求めました。
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○議長(友寄信助) この際、念のため申し上げます。
本日、10月1日、4日及び5日の4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(友寄信助) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
安里 進君。
〔安里 進君登壇〕
○安里 進 おはようございますというところを、こんにちはになってしまいました。これは私のせいじゃありませんので……。
政治の世界は一寸先はやみと言われております。私は意気込んできたつもりでありますが、午前中、きょう名護からも100名近くの傍聴人が来ております。議長のかわりに私からおわびいたします。
さて、自由民主党県議団を代表いたしまして質問をいたします。
その前に、台風18号により被害を受けた方々に心からお見舞いを申し上げます。
また、琉中親善議員連盟の一人として、マグニチュード7.6という大地震により亡くなられた台湾の方々とその遺族に対し哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。沖縄県も長年の友好国として台湾の支援に立ち上がろうではありませんか。
我が自由民主党は、自由主義、市場経済体制、議会制民主主義を基本に政策を展開し、驚異的な経済発展をなし遂げるとともに、貧富の格差の少ない公平にして豊かな社会を実現しました。
特に沖縄県において自由民主党が県政の中核を担っていくには、21世紀の沖縄のあるべき姿とその政策ビジョンを県民に対し具体的かつ明確に示す必要があります。
我が党県連は、悲願であった県政奪還を果たした今日、稲嶺県政に寄せる県民の熱い期待と大きな負託を十分認識しながら、稲嶺県政を支える与党第一党として本県の課題解決に向けて決意を新たにしているところであります。
我が党の推薦する稲嶺惠一知事は、昨年行われました県知事選挙に臨む政策の中で、「問題解決のできる実行型県政の実現」をスローガンに掲げ、緊急対策の中で、1番目に当面の景気対策、2番目に実現可能な21世紀プランの策定と沖縄経済新法の制定、3番目に基地問題、そして政策ビジョンを提示して選挙を戦ってまいりました。その結果、知事選挙史上最高となる37万4000票余の圧倒的な得票で当選したわけであります。
昨年12月に知事就任以来9カ月になった今、動かなかった基地問題の中で返還合意から20数年余を経た那覇軍港の移設問題、普天間飛行場の返還に伴う移設問題についても稲嶺知事のもとで進められており、県民も県内移設については大枠で理解を示し、現実的な対応を期待するようになったところであります。
また、知事就任間もなく公約どおり沖縄政策協議会の再開と始動の実現、沖縄経済振興のあり方について検討を深め、沖縄経済自立化に向けて重点施策の具体的体系化を図るものであるとされる沖縄経済振興21世紀プランのまとめも中間報告として提示されました。
また、これまで対立を続けてばかりおりました新石垣空港建設位置を1つに絞る新石垣空港建設位置選定委員会も発足を見ることができました。特に知事を先頭に県民ぐるみで誘致運動を展開してまいりましたサミットが評価され、小渕総理の英断により決定を見たことはまことに大ヒットであります。
このように知事就任9カ月にして多くの問題解決と稲嶺知事の公約が着実に実行されておりますことは、県民ひとしく高く評価するところであります。
しかしながら、いろいろな政策が動き出したとはいえ具体的にどう進められているか、これらの問題がどう解決を見、どの時期になされるのか、通告してありますように質問をいたしておりますので、知事並びに県の首脳におかれましては県民にわかりやすく誠意を持って明快に答弁してくださいますようお願いをいたしておきたいと思います。
1つ目に、基地問題についてでございます。
普天間基地の移設について。
ア、前県政が普天間ヘリポートの県内移設に反対して以来膠着状態が続いてまいりました。SACOで普天間飛行場の移設が決まってから3年が経過いたしました。稲嶺県政にかわってその移設問題も動き始めました。
宜野湾市議会が普天間基地の代替施設についてSACOの合意に基づく県内移設もやむなしとの趣旨の決議をし、また普天間基地返還跡地利用促進協議会も発足して目に見える動きが出てまいりました。
稲嶺知事は、一日も早く危険である普天間基地を移転させたいとたびたびおっしゃっておりますが、知事の所見とことしじゅうの移設先の決定をするのか、その時期についてお伺いいたします。
移設先については、知事は選挙に立候補した際、沖縄県知事選挙に臨む基本姿勢の中で「県民の財産となる“新空港”を陸上に建設させ、一定期間に限定して軍民共用とし、当該地域には臨空型の産業振興や特段の配慮をした振興開発をセットする。」という政策を選挙公約に掲げて戦ってまいりました。その結果、県民から多くの支持を受けて当選したことは周知の事実であります。
そこでお伺いします。
イ、知事は、「「海上ヘリ基地案」については責任をもって政府に見直しを求める。」とあるが、その真意を聞きたい。また、辺野古区の行政委員会ではヘリポートの危険性や騒音問題等で集落から3キロメートル以内の施設には反対をし、特にリーフ内の内海についてはまかりならぬと反対を表明しているが、県の考え方を聞きたい。
ウ、沖縄・未来をひらく県民の会の沖縄県知事選挙法定ビラ1号の中では、北部地域の開発と新空港、普天間基地の代替施設としての県民の財産となる新空港を建設しますとあるが、これはキャンプ・シュワブなのか、それともキャンプ・ハンセンなのか、それをお伺いいたしたいと思います。
エ、県は、米軍飛行場の移設先選定作業の中で数カ所の候補地を挙げ、また最近、宜野湾市議会の3名の議員から普天間海岸への誘致などが出て、それに対する反対運動が起こりあちこちで争いを生むことが目立つようになっている。県が早急に1カ所に決めて国に提示することが賢明と思うがどうか。
オ、北部以外の移転先について挙げることは、公約である北部地域への新空港を建設し振興開発をセットするということと矛盾しないか。
カ、名護市の岸本市長は、市議会の一般質問で県と国が原点に立ち返って話し合った上で名護市が候補地に指名されたら話は聞くと答弁しているが、知事は話し合う用意はあるのか。
(2)、9月18日のタイムスで、国立高専は「「普天間」移設と関連か」との記事が出ております。県は、名護市辺野古地区を適地として国に推薦する方針のようだが、国立高専は1997年8月、橋本龍太郎前総理が名護市の東海岸の振興策の一つとして建設意向を提示し、県との調整の結果、21世紀・沖縄のグランドデザインの実現に向けて平成9年5月に策定された沖縄県国際都市形成構想基本計画の中の北部圏拠点機能ネットワークイメージ図の中にちゃんと位置づけられております。
ちょうど1年前の9月定例会において私の一般質問で、県の国立高専の位置は国際都市形成構想の中に位置づけられている図のとおり変わりませんねという質問に対し、そのとおりと前副知事の宮平さんは答弁されました。しかし、今移設問題とのかかわりが強調されておりますが、現県政ではどう考えているか所見をお伺いしたいと思います。
2番目に、那覇港管理一部事務組合についてお伺いします。
県がことし6月末に県、那覇市、浦添市の3者で交わした覚書案に盛り込んだ那覇軍港の浦添移設を容認する条項が明らかになり、浦添市議会で問題になったと新聞は報じております。
県は、浦添市に示した案では県6割、那覇市3割、浦添市1割とすることとし、管理者は県知事とすると言われているがどうなっているか、進捗状況について御説明願いたいと思います。
3番目に、北部地域への新空港早期建設についてお伺いいたします。
稲嶺知事は、県知事選挙で北部に新空港建設を公約で掲げ3万7000余票の大差で当選いたしました。そして今まさに一つ一つが目に見えて動き出しました。
今、沖縄県は沖縄振興開発計画の中で第3次振計が実施されておりますが、しかしそれもあと2年でございます。また、沖縄経済振興21世紀プランも中間報告がなされました。その中にあって北部地域の振興は、中南部に比べ各面での格差は依然として解消されておりません。名護市を除く北部町村は過疎化の一途をたどっており、地域に見合う振興策や生活環境の整備、さらには各面で二極構造を形成し得る諸施策を展開することが求められております。そのためには、まず交通アクセスの整備が急務であります。来年開催されるサミットを機に沖縄は日本のアジアへの玄関口として大きく発展すると思います。また、去る27日の名護市議会で新空港早期建設の要請決議が否決されましたが、知事の所見を賜りたいと思います。
ある外国の有力会社の調査によると、沖縄の観光は飛躍的に発展を遂げ、今後10年間に観光客が70%も伸びると試算しておりまして、今の那覇国際空港だけでは受け入れるのは難しく、やはり北部に新空港を建設し、観光客は北部の空港で受け入れ、その他の旅客は那覇空港で受け入れることにより沖縄のバランスある経済振興が図られると見て大変な期待をしております。私もまさにそのとおりだと思っております。
知事の公約にある北部新空港建設に対する考えの中で、「臨空型の産業振興や特段の配慮をした振興開発をセットする」との考えについていま一度決意のほどをお伺いしたいと思います。
4番目に、軍用地返還・跡利用についてでございます。
今回、私たち県議会軍用地返還・跡利用対策特別委員会は、8月29日から9月6日(私たち自民党会派の3名は8日まで)までカリフォルニア州のプレシディオ陸軍基地跡地、アラメダ海軍基地跡地、トレジャー・アイランド海軍基地跡地、ノートン空軍基地跡、エル・トロ海兵隊飛行場、ロングビーチ海軍基地跡地、ハワイのハーバリスポイント基地跡地の7基地跡地と民間環境団体で基地環境浄化に具体的にかかわり政策提言を行っているARCエコロジー、世界的な企業であり研究からハイテク施設のオペレーションに至るまですべての範囲を含む技術サービスを供給しているベクテル社、また基地の閉鎖によって失業した者への新しい雇用に向けてどう取り組むか基本的な問題であるが、それをどう国家、州、地域で雇用創設に向けた場をつくるため、ワンステップシステムを導入したキャリア・トランジッションセンター、そしてマルチメディアの商品化、情報発信などマルチメディア技術の利用と応用、世界の中心を目指す都市構想のプラヤ・ビスタプロジェクト予定地の視察とその後の久保田博士とのレクチャーなど濃厚なスケジュールで研修をしてまいりました。
また、9月26日(日曜日)には来沖中の久保田博士とスターウオーズの監督のリチャード・エドランド氏とレクチャーを行いました。
今、沖縄で返還された米軍基地では恩納通信所、嘉手納弾薬庫の返還地でPCBや六価クロムなどの有害物質が検出され、嘉手納基地内で約30年前に投棄された変圧器油内のPCBが検出され、基地の環境浄化の問題点が浮かび上がっているが、米国内の基地では返還前から基地内の環境浄化の調査が行われている。その問題点の情報開示がなされているので、我が沖縄県の基地ではそれができないのか大変疑問を持ち、法体系の整備、制度や政策の確立、政府の財政支援、環境基準の明確化、調書に基づく情報開示等やはり政府や米軍に働きかけ、基地の返還後スムーズに沖縄県の自立化に向けての再開発が求められるよう我々視察団は、今回共通の認識に立ってこの問題に取り組んでいくということを誓い合ったものであります。とにかく見ると聞くとでは大違いであります。
米国では基地閉鎖・再編法に基づき1988年から1997年の10年間で97、これを閉鎖したと。だけれども、向こうへ行ってARCエコロジーのソール・ブルーム氏の調査では143が縮小再編されているということであります。その基地が閉鎖(縮小再編)が計画決定され、兵力構成で33%の減少、米国基地面積の21%が削減されていることになります。基地が閉鎖されるまでに6年の期限を設定し、跡地利用・再開発計画を同時多角的に企画、実施する。閉鎖が決定された基地の跡地利用・再開発計画を実施するため、連邦政府では大統領直属の大統領経済調整委員会(EAC)を設置しております。
委員会は、国防総省を中心に連邦政府の関係機関が関与(財政的にも)しており、国防総省経済調整局(OEA、DOD)が事務局を担当し、防衛経済調整プログラムの実施に当たっております。
同プログラムは、基地跡地利用・再開発を地域と一体となり実施するものである。具体的には州、郡、市等の地方政府と連携をとり、地域再開発公社(LRA)を設置、LRAなどは基地跡地の資産の再利用、職業適応訓練、解雇または人員整理対象従業員の職業訓練は在籍2年の期間できめ細かく実施されております。職業開拓のための新規事業の開発・誘致など地域住民の参加のもと跡地利用開発の全体計画を策定し、事業を包括的に推進いたしております。
LRAの事業は、基地の閉鎖・再編の議会承認後実施されるが、同時に資産譲渡のための環境審査が着手され、国家環境政策法などに基づく基地のクリーンアップが同時に並行的に実施されるようになっております。
基地の閉鎖・再編成に伴う地域社会に与える影響を緩和し、経済の活性化を図るためさまざまな法制度が整備され、連邦政府の責任と役割が明確になっております。
また、政府と地域(州、郡、市等)が連携し、住民が参加可能なシステムが組織され、跡地の再利用、再開発計画の策定、事業実施に向けた支援体制が確立されております。
基地閉鎖・再編成によって直接的に影響を受ける基地従業員については、職業訓練協力法(JTP法)により転職、再就職のための職業訓練、相談、指導、情報収集、提供、起業のための支援措置等多様なプログラムが準備されております。求職者や家族を含めた精神的なケア及び生活支援体制のための組織が確立されております。
また、連邦政府が雇用している基地内の民間従業員については、国防総省の転職支援プログラムに基づき他の基地、他の政府機関等への配置転換が行われ、連邦政府の責任で解決されております。
国家環境政策法(NEPA)、また包括的環境対策補償責任法(CERCLA)、資源保全再生法(RCRA)などに基づいて実施されている閉鎖予定地のクリーンアップの責任は連邦政府にあると規定され、環境影響評価書(EIS)に基づいて閉鎖前から事業を開始、閉鎖後も引き続き行われる。
また、すべての基地内の環境調査及び環境再生対策を基地回復プログラム(DDIRP)によって実施し、その内容、結果については国防総省環境対策作業委員会報告(DERTF・REPORT)として公表されております。
一方、これまでの沖縄における基地返還のあり方は、地域経済や雇用問題に対する影響については全く配慮することなく行われております。
また、基地運用への対応も事件・事故に対する立ち入りさえ制限し、基地内における環境問題に関する情報の公開は全くなく、将来の基地閉鎖、返還に向けた計画策定のための調査についても実現していない。米国内における法制度や政策の実現内容と県内基地への対応には大きな格差があります。
今回の調査では米国内の基地閉鎖について、その法体系や民意の求める制度・政策、そして基地関係情報の公開と共有など基地跡地の再開発をスムーズに行わしめている諸要因が明確になりました。基地の閉鎖が連邦政府の国防費削減による国家財政の立て直しの側面を持っているとしても、国防総省の基地関係情報開示は大切な要素であり、その効果は大きく地域にとっては重要であります。加えて、基地跡地が連邦政府所有であることも跡地再開発の大きなポイントと言えると思います。
そこで、次のことについて質問をいたします。
1つ、米国における法制度や連邦政府の政策実現内容に見られるように基地返還、整理縮小に伴う基地従業員の雇用問題、跡地利用・再開発、基地汚染・浄化対策は、いずれも軍事基地の存在という国策に起因する問題であり、政府の責任で解決されなければならないと思うがどうか。
2、基地従業員に対して現在の離職者対策として職業訓練制度を改め、転職のための雇用調整期間(米国では基地閉鎖の決定から解雇されるまで実に2年間転職等のための技能訓練などの調整期間がある)を設定し、雇用主である政府(防衛施設庁)の責任で在職中から転職を可能とするための必要な訓練の実施、就職あっせん等の制度の確立が求められると思うがどうか。
3つ目に、米国のワークフォース、キャリア・トランジッションセンターなどの機構を参考に、現在国、県、企業等がそれぞれに行っている求人、求職、職業訓練等のすべての情報をネットワーク化し、職業能力開発訓練、転職・再就職相談、起業等に関する情報提供、求職者及び家族に対する精神的ケアを含めた生活支援相談等が一貫して実施可能な組織の設立について検討していく必要があるがどうなのか。
4番、計画的な跡地利用・再開発の促進に向け基地内の建物、施設、インフラ等の活用の可否及び自然環境、文化財等の状況を把握するため調査を早急に実施する必要があり、調査実施のための財政支援等制度の拡充、実施条件の整備及び組織体制の確立が求められると思うがどうか。
5番目に、跡利用・再開発に向けて有効に活用できると判断される基地内の建物、施設、インフラ等については、地主や地域の意向を十分に尊重しながら無償譲渡などが可能となる制度を講じていくことは重要であります。
また、再開発に当たって公共事業、公的施設整備が必要な区域については、国は私有地の買い上げ等の財政措置を講ずるとともに、現在の国有地を含め市町村に対し無償または低廉な価格の譲渡により計画の進捗を早めるような対策についても考慮する必要があると思うがどうか。
6番目に、米国のそれぞれの地域に設立されている地域再開発公社を参考に、基地跡地利用・再開発事業が調査から計画策定、事業実施まで総合的かつ一貫して実施できる組織体制について検討していく必要があると思うがどうか。
7番目、基地汚染のクリーンアップ(環境浄化)については、日本政府の責任で返還前からクリーンアップを実施し、返還後においても必要があれば引き続き実施していくための法制定を含めた制度の確立が必要であると思うがどうか。
日米地位協定第4条は、返還に当たって施設及び区域をもとの状態に回復し、またはその回復のかわりに日本国に補償する義務を負わないと規定しております。その見直しを政府に求める必要があると思うがどうか。
8番目に、基地内においてはさまざまな化学物質が貯蔵、使用されている可能性があります。その実態については全く把握されてない状況にあります。基地内の調査を実施してそれを把握するとともに、日常的に監視できるシステムの構築は重要な課題であります。
また、有害化学物質などによる汚染に対する我が国の法体制、特に土壌汚染対策については十分な法規制が行われていない。したがって土壌環境浄化に関する国内法の整備を求めていく必要があると思うがどうか。
9番目、基地汚染の調査、監視及び浄化対策は極めて専門的知識及び技術を要することから、対応し得る人材の育成は急務な課題であります。
また、米国においては大きなビジネスチャンスとして注目されております。県内企業のビジネス化に向けた動向を含め資料、情報収集等を継続的に行い対応を検討していくことは最も重要なことだと思うがどうか。
10番目に、基地内の環境問題に関する状況調査、公表、浄化対策について、米国国内法の準用を含め基地使用に起因する諸問題の情報開示及び対策が米国内基地と同じレベルの対応が実現されるよう政府及び在沖米軍に対し強力に働きかけていく必要があると思うがどうか。
11番目、返還に伴う跡地利用・再開発事業は、国はもとより県、市町村、地主、基地従業員、企業、住民が一体となって取り組んでいかなければ実現できないことは明らかであります。それぞれの役割を明確にして対応可能な組織体制を整備し、制度の確立を図ることが重要な課題であると思うがどうか。
最後に、サミット首脳会議についてお伺いいたします。
沖縄県は、21世紀に向けて新たな沖縄づくりをアジア諸国を初めとする諸外国と平和、経済、芸術、学芸、文化等多角的な交流を通じて信頼関係を深め、国際的な観光・リゾート及び新たな産業の創出による雇用の拡大を図り国際都市沖縄の形成と本県の自立的経済発展を目指していることは言うまでもありません。
このような中で来年の主要国首脳会議(サミット)が沖縄県で開催されることはまことに時宜を得たものであり、国際都市形成に大きな弾みとなり本県の自立的発展と我が国の南の国際交流拠点としての整備を加速する大きな契機となります。我が自民党県連は、2000年主要国首脳会議(サミット)が21世紀へ向けた沖縄振興の起爆剤的役割を果たすものと確信するものであります。
そこで、知事にお伺いします。
1、クリントン大統領が、普天間問題が解決しない限り沖縄には行きたくないと言ってからサミット開催は普天間基地の県内移設とリンクするとの報道が先行しております。野中官房長官は、沖縄県民の長年の労苦を思い、それに報いるためにサミット会場は小渕総理が決断した旨の談話を発表いたしました。沖縄県も主会場の名護市も今、与野党問わずサミットの成功に向けいろいろな形で頑張っているわけであります。そこにきてリンク論だけが先行してサミット開催がぶち壊しになることになってはと大変気になるところであります。
私は、サミットと普天間移設とは別の次元で考えるべきであると思います。大田前知事も、サミットは名護市の部瀬名と決めて国際交流会館(万国津梁館)も最初から名護市のブセナリゾートに計画していたわけで、普天間基地の移設先の候補地に名護市のキャンプ・シュワブが挙げられたからといってリンクするという見方は甚だ迷惑な話であります。これは別の次元で考えるべきであります。
知事は、普天間基地移設の問題もサミット開催についても成功に向けて粛々と進めるべきと思うが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
2番目に、沖縄から平和の発信をしよう、沖縄のホスピタリティーを世界に知らしめようということはもちろんだが、世紀の沖縄サミット開催によってもたらされる沖縄県の経済効果を数字で示すとどれぐらいになるか。
3番目に、国際テロ、反米グループ、暴力集団、過激派グループの対策はどうなっているか。
4番目に、警備上の関係でどうしても交通規制や各種調査などで地域の理解を得なければならないと思うが、その対策はなされているのか。
5番目に、沖縄で大きな行事や国、県レベルの選挙等の前に必ずといっていいぐらい米軍による事件・事故が発生しているが、その対策はなされているのか。
6番、サミットは国家的な行事で当然国の予算で対応すべきと思うが、しかし地元市町村は必然的に応分の財政負担を強いられるが、国は地域市町村に対し当然考慮すべきと思うが、県は国に対し要求されているのか。
7番目に、名護市内に設置されるプレスセンターの一部が残されると聞くが、国、県、市のどちらが管理運営するのか、またその運営方法はどうなっているか。
8番目に、最後に、各市町村ではこのサミット開催を機にそれぞれ首脳や首脳夫人をお招きしていろいろなイベントを計画しているようだが、現時点でどこの市町村がどんな計画をしているのか、お伺いします。
以上、代表質問といたします。
よろしくお願いします。
○知事(稲嶺惠一) 安里進議員の御質問にお答えいたします。
最初は基地問題について、知事は、一日も早く危険である普天間基地を移転させたいとたびたび表明しているが、時期について聞きたいという御質問に対するお答えでございます。
普天間飛行場の移設については、現在国に提示するための絞り込み作業を進めており、最終的な段階ではありますが、移設後の跡地利用問題や移設先の振興策について特段の配慮がなされる必要があると考えております。
そうした中でできるだけ早く決定できるよう全力を挙げて取り組んでまいります。あわせて関係市町村の理解と協力が得られるよう十分に調整していきたいと考えています。
次に、知事は、海上ヘリ基地案について責任を持って政府に見直しを求めると公約しているが、その真意を聞きたいということと、辺野古地区の行政委員会での反対表明についての考えを聞きたいとの御質問のお答えでございます。
海上ヘリポート政府基本案については、同基地が米軍の専用飛行場として建設され、米軍が使用しなくなれば撤去されることになるため、地域の産業振興や振興開発につながらないことから同案については反対であることを機会あるごとに申し上げてきたところであります。
移設先につきましては、先ほど申し上げましたとおり移設後の跡地利用問題や移設先の振興策について特段の配慮がなされる必要があると考えておりますので、その中でできるだけ早く決定できるよう全力で取り組みたいと思っております。
次に、知事は北部地域の開発と新空港、普天間基地の代替施設として県民の財産となる新空港を建設するとあるが、それは場所はどこかという点と、北部以外の移設先について掲げることは、公約にある北部地域への新空港を建設し振興開発をセットするということと矛盾しないかという2点について一括してお答えをいたします。
移設先については、現在さまざまな観点から検討中であり、特定の場所の取り扱いについて申し上げることはできません。県民の利益を確保するため、県民の財産となる新空港を建設させ、一定期間に限定して軍民共用空港とし、当該地域に産業振興策とセットするという基本方針は現在も変わりありません。
次に同じく基地問題について、県は早急に1カ所に決めて国に提示することが賢明と思うがどうかということと、岸本名護市長が9月議会の一般質問で、国と県が原点に立ち返って話し合った上で名護市が候補地に指名されたら話は聞くと答弁しているが、その時点で知事は話し合う用意はあるかという点のお答えでございます。この2点も一括してお答え申し上げます。
移設先候補地については現在検討中であり、具体的な場所について申し上げる段階ではありませんので御理解をお願いいたします。移設先選定作業がまとまり次第、関係市町村と協議していきたいと考えております。
次に、国立高専は普天間基地移設と関連かと新聞は報じているが、知事はどう考えるかとの御質問のお答えでございます。
国立高等専門学校の設置につきましては、最終的には国が決定することになります。
建設候補地については、名護市から辺野古地区を選定するよう強い要請があり、また北部振興会や国立高等専門学校設置促進期成会等からも同様な要請がありました。県としましては、これらの要請を踏まえ名護市辺野古地区が適地であると判断し、今月27日国へ推薦したところであります。
名護市辺野古地区を選定した主な理由は、1、国立高等専門学校の名護市への設置は北部地域の振興につながり、このことが本県の均衡ある発展を図る上で望ましいこと、2、県内の大学など高等教育機関は本島中南部に多く設置され、北部地域には名桜大学1校のみであることから配慮が必要であること、3、同高専を名護市辺野古地区へ設置し、名護市東部地域の振興を図っていくことは、名護市及び北部市町村全体が要望していることから、北部地域の連携のもと北部圏域全体の発展につながるものと期待されることなどであり、本県の均衡ある発展や教育の振興を図る観点から判断したものであります。
次に、那覇港管理一部事務組合の進捗状況についてのお答えでございます。
那覇港管理の一部事務組合設立については、那覇市及び浦添市との合意形成に向け鋭意調整を行っているところであります。
しかしながら、那覇港の整備方針や那覇港湾施設の取り扱いについていまだ浦添市との合意に至っておりません。国との事前協議や規約案の議会提案など諸手続を考慮した場合、当初目標とした平成12年4月の設立は相当厳しい状況にあると考えております。
県としては、西海岸開発に大きな期待を持っている浦添市の意向も聞きながら早急に調整を進め、組合設立に努力したいと考えております。
次に、北部地域への新空港早期建設について、名護市議会では新空港早期建設の要請決議が否決されたが、知事の所見を聞きたいと、知事の公約にある北部新空港建設に対する考えの中でも臨空型の産業振興や特段の配慮をした振興をセットするとの考えについていま一度決意のほどを聞きたいとの御質問に対するお答えでございます。
移設先については現在検討中であり、具体的な場所については申し上げられませんが、当該地域には空港機能を活用した産業振興を促進するなど地域の振興計画を策定しその実現に全力を挙げて取り組んでまいる決意であります。
なお、名護市議会の議決については、移設先が特定されてない現段階では発言を差し控えたいと思います。
次に、軍用地返還・跡地利用について、基地返還に伴う基地従業員の雇用問題、跡地利用・再開発、基地汚染・浄化対策は政府の責任で解決されなければならないが、知事の考えを聞きたいとの御質問に対するお答えでございます。
駐留軍従業員の雇用問題については、駐留軍従業員の身分が国を雇用主とする労働者であることから一義的には国の責任において具体的対策を講ずるべきと考えております。県としても駐留軍従業員の雇用の安定は県政の重要な課題であると認識しており、国と連携を密にしながらあらゆる対策を講じていきたいと考えております。
跡地利用・再開発については、現行の軍転特措法では基地跡地利用の実効性を確保する措置が十分でなく、特に大規模な基地が返還された場合、軍用地主の負担や市町村の財政負担、実施体制などが課題となります。
このため、行財政上の措置や跡地利用推進体制の整備など円滑な跡地利用が実施できる新たな制度的枠組みが必要であり、国の責務としてその実現に向けて取り組んでいただけるよう去る8月に国へ要望したところであります。
基地の環境調査及び環境浄化対策等については、基地周辺住民の安全な生活環境の確保の観点及び基地の計画的かつ段階的な返還の促進と、その有効的な跡地利用の実現の観点から基地返還前に取り組む必要があると考えております。
米軍基地における環境問題は、日米両国の責任において取り組むべき課題であり、返還前の環境対策に加えて、返還の際に環境浄化処理の確認調査を実施するよう去る8月に国へ要望したところであります。
続きまして、軍用地返還・跡地利用について、基地内の建物等の活用の可否、自然環境、文化財等の調査を早急に実施するための財政支援等の諸制度の拡充、実施条件の整備、組織体制の確立について聞きたいとの御質問についてのお答えでございます。
返還される施設については、返還見通しが立った早い時点で調査測量が実施できるよう国に要望しているところであります。
また、今後SACO最終報告に示された施設の返還が進展する場合、大規模基地返還に伴い跡地利用のために短期かつ集中的に各種の公共事業等を実施しなければならない状況が発生します。
また、返還軍用地跡地利用のための埋蔵文化財調査等のためには多額の費用が必要であり、県及び県内市町村の脆弱な財政力では負担が極めて困難であります。そのため負担軽減措置など行財政上の措置を講ずるよう国に要望しているところであります。
次に、同じく軍用地返還・跡地利用についてのうち、基地汚染のクリーンアップについては法制定を含めた制度の確立が必要であるが、地位協定の見直しについてどう考えるかという御質問と、基地内の環境問題について米国内の基地と同じレベルの対応が実現されるように働きかけるべきと考えるがどうかという2点の御質問について一括してお答えいたします。
米軍基地から派生する環境問題については、日米安全保障条約及び日米地位協定の締結当事者である日米両国政府の責任において取り組むべき課題と考えておりますが、県においても基地周辺住民の安全な生活環境の確保の観点及び基地の計画的かつ段階的な返還の促進と基地跡地の有効利用の実現の観点から、米軍基地の環境問題について積極的に取り組んでいるところであります。
県では、去る8月に国に対し駐留軍用地の返還に際し環境浄化処理の確認調査など国の行うべき措置について明示するよう沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律(軍転特措法)の改正を要請したところであります。
また、来る11月には、いわゆるボン補足協定で駐留NATO軍に対して国内法を適用するなど制度が整備されているドイツを実地調査することにしており、その調査結果などを踏まえて日米地位協定の見直しを含め環境調査及び環境浄化に係る制度上及び財政上の措置を政府に求めていきたいと考えております。
次に同じく軍用地跡地利用についての御質問で、跡地利用のための国、県、市町村、地主、基地従業員、企業、住民が一体となって取り組む組織体制を整備し制度の確立を図るべきであると思うがどうかとの御質問についてのお答えでございます。
跡地利用を円滑に促進するには事前調査・測量、跡地利用計画策定はもとより、公共施設整備を含めた事業の実施、さらには民間投資の誘致等総合的に取り組む新たな実施体制が必要であると考えております。
そのため、本県の基地跡地整備事業の総合的な実施機関の設置及び行財政上の措置について国に要望しているところであります。
次に、サミットに関連して、サミット決定が普天間基地の県内移設とリンクするとの報道が先行しているが、どうかとの質問へのお答えでございます。
県としては、サミット開催と普天間飛行場の移設とはそれぞれ県政の最重要課題と認識しており、サミットの開催についてはその成功に向けて県民挙げて受け入れ体制を整えるとともに、県民の英知を集めて沖縄開催の意義を最大限に引き出していけるよう取り組んでいるところでございます。
普天間飛行場の移設については、就任後のこれまでの県議会でも申し上げておりますとおり、去る3月1日に設置した普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室において鋭意県内移設に向けて作業を進めているところでございます。
次に、サミットは国家的な行事であり、国は地元市町村の財政負担について当然考慮すべきと思うが、県は国に対して要求しているのかという点のお答えでございます。
サミット開催準備に係る市町村を含めた地元の財政負担については、国において特段の配慮がなされるよう去る8月10日と11日に野中官房長官を初め関係省庁の大臣等へ要請を行っているほか、来県された野田自治大臣や衆議院沖縄特別委員会等へも同様の趣旨の要望を行っております。
今後とも国と地元の役割分担を明確にしながら、地元負担については特別の財政支援がなされるよう要望したいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○商工労働部長(宮城春一) 安里進議員の軍用地返還・跡地利用についての御質問の中の基地従業員に対し現制度を改め、雇用主である政府の責任で在職中から転職を可能とするための必要な訓練の実施、就職あっせんなどの制度の確立が求められているがどうかという御質問にお答えいたします。
米軍の撤退や基地の返還に伴い駐留軍従業員が離職した場合、速やかに他の職業につくことができるよう駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき離職前職業訓練の実施や3年間の就職促進手当が支給されることになっております。
また、同法では公共職業安定所が再就職を促進するために必要な就職指導を行うことを定めております。
国は、沖縄の厳しい雇用情勢にかんがみ、沖縄経済振興21世紀プランの中間報告において、現在実施している離職前職業訓練に加え、従業員に対する職業訓練等の施策の充実に努めることになっています。
さらに、緊急雇用対策特別事業による在職者に対する職業訓練の実施を予定しており、また去る4月に開所した財団法人産業雇用安定センターにおいては、在職労働者を対象とした転職相談、職業紹介を実施しております。県としても基地の整理縮小の推移を見ながら国と連携を密にし雇用対策に万全を期していく所存であります。
同じく軍用地返還・跡地利用についての御質問の中の、現在、国、県、企業等が行っている求人、求職、職業訓練などすべての情報をネットワーク化し、あらゆる情報提供、求職者及び家族に対する精神的ケアを含めた生活支援相談等を一貫して実施可能な組織について伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
米国内の基地従業員に対しては、求人、求職のための情報をネットワーク化し、転職、再就職のための職業訓練、指導、情報提供、企業を起こすための支援措置、生活相談等が一貫して実施できる組織が確立されております。
県内の基地従業員が米軍の都合により離職を余儀なくされた場合、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき職業訓練、就職指導、自立自営のための融資のあっせん、その他援護業務など特別措置を行うこととなっております。
また、財団法人沖縄駐留軍離職者対策センターにおいては再就職の紹介、生活関係の相談業務などを行っております。
基地従業員等の雇用対策については、雇用主である国を初め関係機関・団体等と連携して実施しているところでありますが、米国における組織、制度等についても参考にしつつ基地従業員の雇用の安定を図るためなお一層努めてまいりたいと考えております。
○企画開発部長(宮城正治) 1点目でありますけれども、軍用地返還・跡地利用について、公的施設整備等が必要な区域について国が私有地の買い上げ等の財政措置を講ずること、及び市町村等に対して国有地を無償または低廉な価格で譲渡することにより計画の進捗を早めるような対策について聞きたいとの御質問にお答えいたします。
普天間飛行場など大規模基地の跡地利用につきましては、計画的な市街地の整備や国家的プロジェクトの導入、企業の立地等本県の自立的発展に寄与する計画的な開発が期待されております。そのため亜熱帯総合研究所などの中核的施設の導入が必要であると考えております。
これらの中核的施設の導入に当たっては、国家プロジェクトとして政策的に開発が進められるよう国に要望していきたいと考えております。
また、基地の返還に伴い跡地整備事業等に膨大な財政投資が必要となる市町村等の財政負担や軍用地主の負担が重いことを考慮し、跡地の公的事業には国有財産の無償譲与、無償貸与が必要であると考えており、国に要望しているところであります。
次に、同じく米国の地域再開発公社を参考に基地跡地利用・再開発事業を総合的に実施できる組織体制を検討する必要があるがどうかについてお答えいたします。
米国におきましては基地のほとんどが連邦政府用地であることや、行政、議会などの制度が異なること、米国の法律、特に環境に関する法律等我が国や本県の基地を取り巻く環境とは異なっております。
御指摘のように、米国における基地閉鎖につきましては、米軍基地閉鎖・再編法に基づいて国防総省が閉鎖から再利用による地域経済再開発まで責任を持って支援しております。
さらに連邦政府は、基地の閉鎖に関しましては5つの支援プロジェクト、すなわち基地関連雇用対策、中小企業対策、環境回復、地域の再開発、国有財産の処分権を持っております。
その中でも地域の再開発につきましては、地域再開発公社の作成した計画に基づき国防総省の財政支援のもとに実施されております。特に民間の経済開発につきましては、地域の経済開発の目的で連邦財産が処分されるなど、今後我が県の基地跡地整備事業の実施機関を検討していく上で参考になると考えております。
次に、サミット関連であります。沖縄サミット開催の経済効果を数字で示すとどのぐらいかということについてお答えいたします。
サミットの経済効果につきましては、7月に沖縄県対米請求権事業協会が125億円、8月には沖縄銀行が110億円の試算額を公表しております。
なお、これらの経済効果の試算に含まれていないサミット関連追加事業として沖縄開発庁に約88億円が配分される予定であります。また、県でも7億円のサミット推進経費を今議会に提案しております。
さらに、各省庁が概算要求している次年度における九州・沖縄サミット関連予算は約704億円となっており、そのうち沖縄開発庁の道路管理費等の約3億円や外務省のプレスセンター関連経費等の約200億円のうち、その相当額が本県において執行されるものと見込まれます。
県としましては、サミット経済効果分析は行っておりませんが、このように国及び県によるサミット関連の追加予算措置が講じられることから、沖縄サミットの経済効果は両機関が試算した額よりも大きなものになると期待しております。
以上であります。
○文化環境部長(宮城光男) 軍用地返還・跡地利用にかかわる御質問のうち、有害化学物質等による汚染に対する我が国の法体制、特に土壌汚染対策については十分な法規制が行われていない、したがって土壌汚染浄化に関する国内法の整備を求めていくべきだがどうかという御質問にお答えします。
我が国の土壌汚染対策に関する法律として「農用地の土壌汚染防止等に関する法律」があり、特定有害物質としてカドミウム、銅、砒素の3物質が指定されております。
同法では、農用地において特定有害物質として指定されているカドミウム等の汚染が判明した場合、汚染土壌の除去等の対策がとられることになっております。
また、環境基本法に基づき重金属等25物質について、土壌の汚染に係る環境基準が設定され、平成3年度に告示されております。
さらに、これらの有害物質による土壌汚染対策として平成6年環境庁は、水質保全局長通知によって「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針」を示し、土壌の浄化及び封じ込め等の対策を講じることになっております。
しかしながら、基地内については当該国内法令等の規定が適用されないのが実情であり、返還跡地の環境浄化対策についても原状回復に対する措置が明確に定められておりません。
このようなことから、県としては平成11年8月に沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の返還実施計画に定める事項に環境浄化処理の確認調査の実施を追加するよう国に要請しているところであります。
次に、基地汚染の調査、監視及び浄化対策は極めて専門的知識及び技術を要することから人材育成は緊急な課題である、またビジネスチャンスとしても注目されており、県内企業のビジネス化に向けた動向を含め検討する必要があると思うがどうかという御質問にお答えします。
本県には、環境保全関連の企業として大気、水質等の調査、分析を行い環境アセスメントを実施する企業、ごみ焼却場や下水処理場の運転管理を行い、ばい煙、汚水処理の技術を蓄積した企業、赤土等土砂流出防止のための資材、薬剤を開発し施工する企業等が多くあります。
これら企業の中には、米軍から委託を受け廃棄物処理を行っている企業、基地内の環境調査を実施している企業等実績を有しているところもあります。
一方、環境浄化対策の面では実績や経験が乏しく、作業技術者の育成や浄化体制の整備が十分とはいえない状況にあります。県としては、これらの企業が健全な発展を続けられるよう情報提供等の支援をしていきたいと考えております。
以上であります。
○警察本部長(西村泰彦) このたび沖縄県警察本部長を命ぜられました西村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それではサミットに関連いたしまして、国際テロ、反米グループ、暴力集団、過激派グループの対策はどうなっているかという御質問に対してお答え申し上げます。
今回の沖縄サミットに対しましては、極左暴力集団は既に機関誌等でサミット粉砕を主張しております。過去の東京サミットにおきましても数多くのゲリラ活動を敢行していることから、今回の沖縄サミットでも同様のゲリラ行動や妨害行為が十分に予想されるところでありますし、また国際テロにつきましても懸念されるところであります。
したがいまして、各国首脳等出席者の身辺の絶対安全とサミット行事の円滑な進行の確保という基本方針のもと、極左暴力集団や国際テロ組織などによるテロ、ゲリラを防止するため今後さまざまな角度から検討を行い、各種の対策を進めていくこととしております。
続きまして、警備上の関係で交通規制や各種調査等で地域の理解を得なければならないと思うが、その対策はどうなっているのかとの御質問に対してお答え申し上げます。
警備に当たりましては、御指摘のとおり何よりも県民の皆様の御理解と御協力を得ることが必要不可欠であると考えております。そのため、各種の機会を通じまして県民の皆様の御理解と御協力が得られるよう努めてまいる所存であります。
例えば、交通規制にありましては、規制の内容を事前に県民の皆様にお知らせするなど県民生活に十分配慮した情報提供が行えるよう、今後各種の準備を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○知事公室長(親川盛一) 安里進議員のサミット関連についての質問のうち、沖縄で大きな行事などの前に米軍による事件・事故が発生しているが、その対策はなされているのかという御質問にお答えをいたします。
県では基地問題の解決、とりわけ基地の整理縮小と基地被害の未然防止を県政の重要課題として位置づけ、これまで米軍基地の存在によって派生する事件・事故が発生するたびにその再発防止や安全管理の徹底を日米両国の関係機関に申し入れてきたところであります。
また、去る7月12日に開催された第17回三者連絡協議会においては、事件・事故通報体制の地元レベルでの運用の改善並びに事故の再発防止及び安全管理の徹底について申し入れを行い、その結果、日米合同委員会合意の通報手続の対象となる事件・事故について速やかな通報を行うことを確認するとともに、その他の事件・事故についても既存の通報体制に基づき速やかな情報提供を行うことで一致しております。
さらに、沖縄県と基地の所在する市町村等で構成する沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会、いわゆる軍転協においても事件・事故の未然防止と安全管理の徹底、隊員の教育及び綱紀粛正の徹底を求めてきたところであります。
県としましては、来年7月には九州・沖縄サミットも控えており、今後とも引き続き事件・事故の未然防止について日米両国の関係機関に強く働きかけていきたいと考えております。
○サミット推進事務局長(山田文比古) サミット関連につきまして、名護市内に設置されるプレスセンターの一部が残されると聞くが、その管理運営についてどうかという趣旨の御質問にお答えを申し上げます。
報道関係者の取材活動の拠点となるプレスセンターの設置につきましては、外務省が主体的に進めているところであります。
その整備につきましては、名護市21世紀の森公園にある体育館、屋内運動場、名護市民会館等が利用される予定であり、さらに仮設の建築物を設置する計画となっております。
現在、国において施設をどのように設営するのか具体的な検討が行われておりますが、県としてはプレスセンターとして設置された施設や設備の機能の一部を残し、情報通信による地域振興の拠点の1つとして活用することを検討しております。
続きまして、各市町村でサミットの開催を機会にいろいろなイベントを計画しているようだが、現時点ではどのような計画があるのかという御質問でございます。
サミット開催を機会に、各市町村におきましてはそれぞれの首脳や夫人をお招きして、子供を初めとする市町村住民との交流事業や講演会の開催を計画しておられます。
また、記念行事として各国首脳の手形やサインを残してもらうという提案や平和祈念公園を参拝しての記念植樹、平和祈念碑の建立及び除幕式、さらには伝統芸能による歓迎行事など数多くの提案や計画が寄せられています。
ちなみに、交流事業もしくは講演会を計画しておられる市町村は、名護市、具志川市、沖縄市、宜野湾市、石垣市、平良市、その他11町村でございます。
また、手形、サインなどを残してもらうよう提案しているのは、名護市、北谷町、嘉手納町、宜野座村、恩納村、北中城村などでございます。
さらに、平和祈念公園を参拝しての記念植樹と平和祈念碑の除幕式を計画しておられるのが糸満市及び玉城村となっております。
なお、地元の名護市や恩納村では、その他の歓迎行事も計画しておられると承知しております。
以上でございます。
○伊良皆高吉 質問をいたします前に、去る台風18号により被害を受けられた方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
また、9月21日の台湾大地震により亡くなられた方々とその遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被災者に対し心からお見舞いを申し上げます。
さて、平和資料館に関する執行部の見え消しの全面公開という誠意を逆手に取って、本日の議会が野党によって空転に至ったことはまことに遺憾であります。
事実関係をしっかり掌握した上での真相究明という意味では、昨日先送りされていた監修委員会の議事録の公開を求めることも野党の責務ではなかったかと思うのであります。
代表質問をいたします。
私の体験からいたしまして、死線を体験した者は、自分自身が無事で生きてきた喜びは喜びとして、一方ではそれ以上に行動、運命をともにしてきて死んでいってしまった者に対する心情は長く長く心に残るものであります。何とか助ける道はなかったか、ああすればよかったのではなかったか、こうすればよかったのではないかといつまでも心に残るものであります。
ましてや、去る大戦で唯一の地上戦場となった沖縄戦において家族や多くの肉親を失うという苦難と悲しみを体験した沖縄県民にとっては、犠牲となられた肉親に対する思いは、生涯忘れることのできない重苦しい出来事であります。
今日の沖縄や、いや日本の繁栄と平和が去る大戦の多くの犠牲の上に築かれたものであると信ずるとき、我々沖縄県民は、戦争の恐ろしさと平和のとうとさを長く後世に伝えることが戦争犠牲者のみたまにささげる唯一の供養であり、大きな責務であると思うのであります。そのためには、戦争の実相を正しく伝えることが最も大切であります。
ところで、昨今問題となっております八重山マラリア平和祈念館や新平和祈念資料館の問題は、まさしく実相を正しく伝えなければならない重要なことであります。新聞で見る限り監修委員会側、県側と食い違いがあるようですが、本問題を解決するためにはプロセスの面で真実は何か、また展示内容において戦争の実相はどれが真実かを明確にすることだと思います。
したがって私は、資料、記録、あるいは証言を求めることのできるいわゆる裏づけ可能な範囲で質問をいたします。
まず、八重山戦争マラリア及び平和祈念館について、県民に理解をしていただくために昭和20年当時のことを、幾つかの資料及び関係者の証言から紹介いたしたいと思います。
最初に、マラリアは八重山地域の風土病として昔から島じゅうにありました。八重山の歴史を見ると桴海部落、野底部落、元名蔵部落、鹿野川部落、崎山部落、高那部落等々実に多くの部落がマラリアのために全滅し廃村となって繰り返してきたという歴史がございます。
戦時中、敵の空襲や艦砲射撃、または上陸の非常事態から住民を守るため安全地帯に移動せしめた避難地域もマラリア有病地帯であることは免れませんでした。
次に、戦争当時の日本軍の資料、いわゆる「縣民指導措置八重山群細部計画」によりますと、軍は、敵の反復空襲や艦砲射撃上陸など非常事態発生に備えて住民を保護し、被害を最小限度にとどめるために疎開及び避難退去の計画をし実施していることがわかります。
それによりますと、避難退去とは、事態に応じ危険地域の住民を安全地域に移動し、防空防衛活動の妨害を防ぎ、かつ人命損傷を防止せんとするものにして云々となっております。
また、避難すべき者は、原則として(イ)、60歳以上15歳未満の者にして防衛活動に適さざる者、(ロ)、妊産婦、病弱者、(ハ)、前記に掲げた60歳以上のお年寄りや妊産婦や病弱者を保護するために必要な者を避難させると、こういうふうなことを義務づけております。
また、退去とは、事態に応じ軍の命により危険地域の部落住民を最も安全地域に移動せしむることを言うとなっております。
ちなみに、石垣島における退去先と避難先は、石垣町字新川、字石垣はバンナ岳の西北部、字登野城、字大川、字川平は於茂登山の西南部、大浜村全部落は於茂登山東南部とす。また離島においては、各離島出先警察官は現地軍の指示を受けて退去先を選定しておくものとす云々となっております。
県民の中には、なぜ日本軍はマラリア有病地帯に避難させたのか、マラリアのないところに避難させなかったのはなぜかとの疑問などを持つ方もおられるようですが、そのことにつきましてはさきにも述べましたように当時の八重山はどこに行っても残念ながらマラリアの有病地帯であったのであります。しかし定められた避難先は水の確保が容易であり、万一の場合に山の中に逃げて、あるいは野山の食べ物を拾い集めながら生き長らえることができると、こういうふうな判断から決められたものであります。
したがって、八重山地域における戦争の実相の一つとして、日本軍は住民の安全を守るために戦った事実があることも認めなければなりません。
次に、避難が強制的であったと発言する者もおりますが、台湾に疎開することも、また個人の畑小屋に避難することも、墓の中への避難も許されていたことも事実であります。
次に、住民虐殺や集団自決の話等も新聞で見ることがありますが、幸いなことに八重山地域では住民虐殺や集団自決はなかったとの証言を得ました。
ちなみにこの証言は、昭和20年当時、疎開係として石垣町役場に在職中の石垣喜興氏や多くの鉄血勤王隊の方々でございます。
次に、陸軍歩兵として沖縄戦を戦った駒木根康氏の書でありますが、「証言 沖縄戦秘録」の一節を紹介いたします。
ああ 島人たちよ許してくれ、戦火の中に巻き込まれ、財産と家を焼かれ、希望を奪われ、懐かしの故郷を後に砲煙弾雨の中をさまよい、(中略いたします) 死にゆく姿を目の当たりに見て手当て一つしてやれない日本軍の悲しさを……云々とつながっています。
この書で見る限り、沖縄戦の実相をまた1つ知ることができるかと思います。
なお、そのことについての証言は、浦添市在住の宮城豊氏からも得ることができました。
また、沖縄戦における最高司令官である牛島満中将ほか多くの日本軍将校は、沖縄県民の戦闘協力に感謝するとともに、沖縄の行く末をよろしく頼むと辞世を残して自害して果てました。
その精神は今も脈々と受け継がれており、衆議院議員山中貞則先生の沖縄に寄せる思いの大きな柱の1つとなっておりますことは、代表的な事実であります。
また、沖縄を救えとの命を受け、戦艦大和が沖縄に向かったが、徳之島沖で撃沈されたことも事実であります。
いわゆる沖縄戦には、その場所、その時期、その時間、人々によって多くの事実があったことが理解できます。したがって事実に基づく資料の展示については、1つのことにこだわらず、もっと柔軟な取り扱いが求められるところであります。
ちなみに、一般的に言いますと平和は博愛心をベースとしてはぐくまれるものであります。恨み、憎しみ、怨念は、戦争につながるものであることを忘れてはなりません。
なお、八重山平和祈念館に関して、平成11年5月31日県紙の夕刊に平和祈念資料館の専門委員会委員長であります保坂広志琉大教授は次のように語っておられます。「削られたところはあるが、構想は変わっていない」、「「全国で最も新しい戦争資料館であり、マラリアと平和を結び付けたものは世界に例がないと思う。その価値を地元の人々が見い出し、地域で育ててほしい」と、これからに期待を込めた。」となっております。
このように高く評価されているものが、なぜ今問題となったか、その理由は何か、理解に苦しむものであります。
そこで質問をいたします。
1、知事の平和行政に関する基本的な考え方について伺いたい。
2つ、平和行政に関する前県政と稲嶺県政の違いは何か。
次に、八重山平和祈念館の設置及び管理運営に関する県の基本的な考え方をお聞かせください。
次に、展示内容を決定するまでの県、監修委員会、委託業者の役割はそれぞれどのようなものであったか。
次に、新聞報道によりますと監修委員会を無視して展示内容を変更したと報じられているが、開館に至るまでの県の手続について説明を願いたい。
次、新聞報道によりますと地元の八重山戦争マラリア遺族会や元監修委員から県に対して八重山平和祈念館に関する要請があったということでありますが、その内容を御説明願いたい。
また、このことに対して今後どのような対策を講じていかれるのか、お聞きをいたします。
次に、「軍命による強制退去」ということが戦争マラリア慰藉事業の基本であると遺族会等が主張しているが、県はこれを監修委員会に諮らずに「避難状況」に変更しているということが報道されているが、これについても説明を願いたい。
次に、県が八重山地域の監修委員に説明した際に、委員から展示内容に関する意見があったと聞いているが、その内容を説明していただきたい。
また県は、どのように対処されたのか、お伺いします。
次に、新平和祈念資料館の整備についてでありますが、新平和祈念資料館の理念やコンセプトの変更があるのか、県の基本的な姿勢を伺いたい。
次に、新聞報道によりますと県は監修委員の承諾を得ずに展示内容を変更したとなっているが、このことについて説明願いたい。
次に、県が乃村工藝社に展示内容の変更の指示をしたとされている見え消しの資料について説明を願いたい。
次に、本日新聞報道によりますと平和祈念資料館の展示内容等の変更について知事が関与しているとの報道がなされているが、その状況について説明を願いたいと思います。
また、問題を解決するためには県民に正しく伝えることが最も重要と考えますので、監修委員会の議事録等を広く県民に公開していただきたいとお願いするものであります。
次に、新石垣空港についてお伺いいたします。
稲嶺知事におかれては、新空港の早期建設を実現するためには地元の合意形成が最大の要件であるとして学識経験者と地元代表を中心とする建設位置選定委員会を設置され、去る8月29日には石垣市において第1回の建設位置選定委員会が開催されました。
さまざまな意見を有する団体の代表が一つのテーブルに着いて新石垣空港早期建設のため、八重山の将来を見据えた議論を尽くす場ができたことは画期的なことであり、知事の御努力を高く評価するものであります。
そこで質問をいたしますが、委員会の今後のスケジュールはどうなっているのか。
2つ目に、位置選定のめどをいつごろとお考えですか。
次に、新空港建設のプログラム(見通し)についてお伺いをいたします。
次に、介護保険について質問をいたします。
沖縄県は、ことしも長寿日本一の栄誉に輝きました。日本が世界一の長寿国であることを考えれば、沖縄は長寿世界一の地球上で最もすばらしい地域と言えましょう。
しかも本県の高齢者は、去る沖縄戦の苦難の中から今日を築かれた御苦労を思えば、我々県民は高齢者に対し感謝の気持ちを忘れてはなりません。
さて、我が国は高齢化社会が進行し、高齢者が安心して長生きして生きがいを感じながら生活できるような老人福祉確立のために介護保険制度がいよいよ実施されることになりました。
そこで質問をいたします。
介護認定審査会の設置状況はどうなっておりますか。
審査委員会には保健、医療、福祉の専門家が必要と思いますが、人材の確保はできているかどうか。
次に、公平公正な認定のためには、認定調査員や審査委員会委員の資質の向上を図ることが必要と思いますが、どのような取り組みをしておられるか、お伺いいたします。
次に、各市町村で介護保険事業計画を策定することになっておりますが、進捗状況について、委員会の開催状況はどうなっているのか。
次に、事業計画に住民の意見はどのように反映されるのか。
また、制度の内容等について住民への説明はどのようになされているのか、お伺いいたします。
あわせて、7月に公表されました本県の平均保険料は全国平均よりも高くなっておりますが、その要因は何か。
また、最高保険料と最低保険料の格差が大きいのはなぜか、その是正策はあるのか、お伺いいたします。
次に、本県の農林水産業の振興策についてであります。
本県の農林水産業は、台風、干ばつ等厳しい自然条件、離島性、市場遠隔性等の制約のもとで各種施策の積極的な推進により亜熱帯・海洋性の温暖な地域特性を生かした生産活動が展開され、一定の成果をおさめてきました。
しかしながら、農山漁村における生産者の高齢化やサトウキビなど農林水産物価格の低迷、さらには国際的にも世界貿易機関(WTO)における貿易自由化拡大再協議の動きなど農林水産業を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
その中にあって、本年7月成立した「新農業基本法」を受けて、今後本県においても農業の持つ多面的機能を視野に入れた各種生産基盤・施設の整備を進めるとともに、重点的に振興を図るべき品目を中心に市場競争力の強化等を推進し、地域の諸条件を踏まえた拠点産地の形成が重要となってきていると考えられます。
そこで、沖縄の地域特性を生かした以下の品目の生産振興施策等についてお伺いいたします。
まず、サトウキビについてでありますが、サトウキビは離島を多く抱えるいわゆる条件不利地域の本県農業の基幹作物として農家経営のみならず、地域経済を支え、さらには県土・環境保全を図るなど多面的な機能を有する重要な作物となっております。
新農業基本法でも、農業の持つ多面的機能を重要視しているが、沖縄農業・農村の持つ多面的機能評価をどう考えているのか。
仮想市場評価法により評価すると幾らになるのか、お聞きいたします。
次に、サトウキビは、本県の基幹作物として県全域で栽培され、粗生産額は185億7500万円で、農業粗生産額の約19%を占めております。サトウキビの生産額が変わることによって県内各産業分野への影響額はどのようになるのか、お伺いいたします。
本県の製糖工場については、含蜜糖工場7工場が7離島に立地し、雇用機会の極めて少ない離島において雇用創出など地域経済を支えている重要な役割を担っております。
また、分蜜糖工場11工場のうち、本島2工場以外は南・北大東や宮古、石垣などにおいて産業基盤が脆弱で雇用機会の少ない離島の地域経済を支えております。
このような事実から、地域経済に果たす甘蔗糖企業の役割をどのように考えておられるのか。
新たなサトウキビ生産振興策についてお伺いいたします。
今後サトウキビの生産振興を図るためには、農地の利用集積による規模拡大、機械化の推進による低コストを図り、他産業並みの農家所得を確保する必要があると思われます。
このため、今後のサトウキビ作担い手のモデルとなる借地型大規模経営のパイロットファームを育成する等新たなサトウキビ生産振興方策が必要と考えられますが、パイロットファームの育成計画はあるのか。
次に、製糖工場の操業率はどうなっているのか、あるいは操業率を向上させるためにはどのような手法があるのか、お伺いいたします。
それからサトウキビ同様に基幹作物であります野菜、花卉、熱帯果樹、畜産の生産振興について伺います。
近年、本県においては冬春期の温暖な気候を生かした野菜、花卉、熱帯果樹等の園芸作物及び肉用牛の産地形成が図られ、作目は多様化しつつありますが、その生産振興方策はどうなっておりますか。
また、今後の本県農業の後継者育成についてお伺いいたします。
今後の農業生産を担う中核的な経営農家の確保のためには、農業後継者の育成強化は重要でありますが、本県における後継者育成対策をお伺いいたします。
次に、本県の漁業の生産振興についてでありますが、養殖魚介類の種苗供給体制の強化を図るとともに、養殖場の整備等によりつくり育てる漁業を推進する必要があると思いますが、本県漁業の生産振興策はどうなっているのか、お伺いいたします。
次に、雇用失業問題について伺います。
バブル崩壊後低迷する我が国経済もやっと持ち直りつつあるというものの、平成11年7月現在、失業率は全国平均4.7%に対し本県8.7%となっております。
また失業者の内訳も新卒者を初め若年層の就業の場がなく、雇用失業の問題は本県における政治の重要課題であると認識しております。
そのような状況のもと、今議会において沖縄県緊急雇用対策特別事業基金として19億円の予算措置を提案しておられることは時宜を得たものであり、高く評価するものであります。
そこで質問いたします。
緊急雇用対策特別事業の目的とその内容、あわせて県はどのような事業を実施されるのか伺います。
また、事業の実施によりどのような効果を期待しておられるか、あわせて今後の雇用対策の基本的な考え方についてもお伺いいたします。
次に、沖縄経済振興21世紀プランとポスト3次振計についてお伺いいたします。
去る6月の沖縄政策協議会において県政の課題の一つであった沖縄経済振興21世紀プランの中間報告が国により提示、了承されました。この21世紀プランは、本県の地域特性や優位性に着目し、本県経済の自立的発展に向けた政策の具体化の方向性を示したものであり、ポスト3次振計への第一歩として意義深いものと高く評価するものであります。
この21世紀プラン中間報告においては、加工交易型産業、観光・リゾート産業、情報通信産業及び農林水産業を本県産業の主要分野と位置づけ、その振興を図るとともに、新規事業の創出支援体制の充実、研究開発と国際交流の促進、人材の育成と雇用の確保等を産業振興を支える横断的な取り組みとして掲げ、合計で82の具体的な事業を盛り込んでおります。
県内経済の厳しい状況を打ち破り、自立的経済発展を目指すためには21世紀プランの策定を絶好のチャンスととらえ、プランに盛り込まれた諸事業を官民一体となって着実に推進していくことが今まさに求められているところであります。
また、21世紀プランの中間報告には、国の新たな提案として沖縄国際情報特区構想の具体化、ゼロエミッション・アイランド沖縄構想の具体化、新規事業創出支援体制の総合的検討などを今後の検討課題として挙げておりますが、これらは本県の地域特性を最大限に活用する取り組みとして非常に重要な意義を持つ事業であります。
その具体化について早急に検討を開始し21世紀プランの一層の充実を図っていく必要があると考えます。
そこでお伺いいたします。
21世紀プランは6月の中間報告策定後、どのように展開しているのか。また、次年度以降プランの具体化に向けてどのような展開が図られるのか。
さらに、21世紀プランの最終報告に向け今後の検討課題とされた諸事業の意義をどのように位置づけ、実施に取り組んでいかれるのか、知事の御所見を賜りたいと思います。
ところで、本県においては復帰後3次にわたる開発振興計画の実施によりハード面の整備においては一応の成果を上げておりますが、一方において自立的経済発展の基礎条件の整備は不十分であり、産業の振興は大きく立ちおくれ全国平均の2倍に達する高い失業率、財政依存の脆弱な経済構造、健全な都市形成や産業振興の妨げとなる広大な米軍基地の存在など依然として多くの課題を抱えております。
このため、3次振計後の新たな振興計画や沖縄振興法に向けては高率補助をベースとするこれまでの沖縄振興開発について経済、教育、福祉等幅広い分野におけるこれまでの事業実績、到達点などを多角的な観点から分析、評価を行い、評価すべき点、反省すべき点等を明らかにする必要があり、現在県において実施している沖縄振興開発の総点検に注目しているところであります。
そこでポスト3次振計に向けた取り組みについてお伺いいたします。
まず、現時点において明らかになった沖縄振興開発の重要な課題としてどのようなものがあるか、沖縄経済振興21世紀プランをポスト3次振計にどのように位置づけるのか、またポスト3次振計等に向けた今後の作業スケジュールはどうなっているのか、御所見をお伺いいたしまして質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) 伊良皆高吉議員の御質問にお答えいたします。
最初は、平和祈念資料館に関連して、知事の平和行政に関する基本的な考え方、次に平和行政に対する前県政と稲嶺県政の違いを伺いたいということでございます。一括してお答えします
過酷な沖縄戦を体験し長年にわたる米国統治を経験した沖縄は、平和への願いと人権の尊厳を肌身で感じております。これは人類普遍の思想であると思います。
私は、これまで青年海外協力隊の支援活動などを通じていろいろな国々を見てまいりましたが、世界においては今なお地域紛争が繰り返し起きており、傷ついた人々やその後遺症に苦しむ人々が数多くいることに衝撃を受け、平和がいかに大切であるか身を持って感じております。
その解決のためには民族や宗教、思想等の壁を乗り越え、すべての人々が平和の心を持つことが大切であると思います。
このようなことから戦争の悲惨さ、平和のとうとさを後世に伝えるとともに、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って平和の発信、創造に努めてまいります。
なお、前県政の平和行政については一定の評価をしております。
特に、平和の礎につきましては沖縄住民、日本軍、米国兵、その他海外の皆様方の氏名の刻銘を全く同列に扱い、戦争の悲惨さあるいは人命のとうとさを訴えております。私は、この精神は大事にしたいと思っております。
次に、八重山の平和祈念館の設置及び管理運営に関する県の基本的な考えを聞きたいと。
八重山平和祈念館は、戦争マラリアの実相を後世に正しく伝えるとともに、八重山地域から世界に向けて人権の尊重と恒久平和の実現を訴える平和の発信拠点として建設されたものであります。その機能については、平和の発信拠点としての機能が十分に発揮できるよう今後とも努めてまいります。
次に、新平和祈念資料館の整備について、理念やコンセプトに変更があるか、県の基本姿勢を聞きたいというお尋ねでございます。
現平和祈念資料館は、県民の個々の戦争体験を結集し、戦没者の追悼と沖縄戦の教訓を正しく次の世代に伝え、世界の恒久平和に寄与することを基本理念に昭和50年に建設されております。
新資料館は、この基本理念を継承し、平和の礎と一体となって沖縄の視座から世界の恒久平和を希求するために移転改築するものであり、理念、コンセプトに変更はありません。
次に、新聞報道によると監修委員の承諾を得ずに展示内容を変更したとなっているが、このことについて説明願いたいということでございます。
展示内容については、県と展示業者の間で検討を積み重ね、その結果を展示案として監修委員会にお諮りいたします。
このような作業を繰り返しながら展示内容を決めていくことになります。したがって監修委員の承諾を得ずに展示内容を変更することはありません。
次に、きょうの新聞についての御質問についてでございます。
7月31日は、その時点における監修委員会に向けての事務方の作業の中間報告を受けました。内容としては、資料館の展示作業の進捗状況や監修委員会に向けての検討状況でありました。そのとき私から、世界の平和に貢献できる資料館となるようにしてほしいと伝えました。
次に、新石垣空港について、まず、建設位置選定委員会の今後のスケジュールと位置選定のめどについての御質問でございます。
新石垣空港建設位置選定委員会は、去る8月29日に石垣市で第1回の委員会を開催いたしました。
第1回の委員会では、今後の委員会の運営方法及び部会の設置等について審議されました。その審議結果を受けて9月27日には第1回の学識部会を開催し、カラ岳東側案とカラ岳陸上案についてこれまで蓄積されたデータに基づいて審議されたところであります。
学識部会で審議していただいた結果をもとに、10月中旬に地元部会を開催して両案のデータ等を説明し審議していただく予定であります。
宮良案と冨崎野案についても順次学識部会、地元部会においてデータの説明、審議を行った後、11月下旬に全体会議を開催して4候補地についての比較検討をしていただく予定です。その後何度かの全体会議を開催し、必要に応じて各部会も開催しながら審議を尽くしていただき、できれば今年度中にも合意形成を踏まえた位置選定をし提言していただければと考えております。
次に、新石垣空港建設の見通しについてでございます。お答えをいたします。
新石垣空港の建設位置につきましては、新石垣空港建設位置選定委員会において委員の合意のもとに1案を選定し提言していただく予定であります。
同案について県は、新石垣空港建設対策協議会や庁議、三役会議を経て空港建設位置を決定いたします。その後、飛行場設置許可申請に必要な諸調査を実施し、関係地権者、関係団体の同意を取りつけ、市議会、県議会の議決を得て運輸省に対し飛行場設置許可申請を行い、許可を受け事業着手となりますが、その間おおむね3年を要する見込みであります。
なお、事業着手から完了までにおおむね6年から7年を見込んでおります。
次に、介護保険についてでございます。介護認定審査会の設置状況及び人材確保はできているかと。
平成11年10月から要介護認定の申請受け付けが始まりますが、本県では38市町村が5つの地域で一部事務組合を活用し、広域的に認定審査会を設置しています。また、15市町村では単独で審査会を設置しています。
それぞれの審査会において保健、医療、福祉分野の学識経験者等を委員として選定し委嘱を終えています。
次に、介護保険について、介護保険事業計画へ住民の意見がどのように反映されるのか、住民に対する制度説明はされているのかへのお答えでございます。
介護保険事業計画の策定に当たっては、各市町村とも策定委員会に被保険者や住民代表が委員として参加しており、住民の意見が反映できるようにしています。
また、多くの市町村において自治会ごとの住民説明会の開催や広報誌等による制度の説明を行っています。市町村においては、要介護認定の受け付けや介護サービスの内容等について今後とも広報活動を展開していく予定です。
なお、9月から県と市町村が共同で費用を負担しテレビ、ラジオを通じた広報を行っているところです。
次に、農林・水産業振興施策について、沖縄農業・農村の持つ多面的機能評価についてどのように考えているかとの御質問へのお答えでございます。
沖縄の農業・農村が持つ多面的機能評価については、環境財に対する県民合意の評価額を示す仮想市場評価法により実施いたしました。その結果、総額で年間244億円との結果が得られております。
その内訳は、生態系保存や大気の浄化機能が最も高く評価され、金額で111億円となっております。
次に、伝統文化の保全機能が53億円、景観・保健休養等のアメニティー機能が44億円、国境の島々の定住を通じて国境・領土を守る機能が36億円となっております。
このように沖縄の農業・農村は、食糧生産の場であると同時に、自然や景観、伝統文化の保全を通じて都市住民の生活にも深くかかわっております。
さらに本県離島の農業・農村は、国境・領土を守る機能を有しており、今後とも農業・農村の振興を通じて多面的機能が維持保全されるよう努める必要があると考えております。
次に、野菜、花卉、熱帯果樹等の園芸作物及び肉用牛の生産振興策についての御質問へのお答えでございます。
野菜、花卉、熱帯果樹など園芸品目の野菜振興策につきましては、農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムに基づきサヤインゲン、菊、マンゴーなど23品目を戦略品目として位置づけ、積極的な生産拡大を進めていく考えであります。
具体的には、これら戦略品目を対象に重点的な技術開発を進めるとともに、定時・定量・定品質の出荷が可能で消費者や市場から信頼されるような拠点産地の形成を図ってまいります。
また、販売面においても流通コストの低減へ向けた取り組みを強化し、沖縄ブランドの確立に努めていく考えであります。
肉用牛については、温暖な気候を生かした牧草の高位生産が可能なことから生産拡大が進んでおり、国内における肉用牛供給基地の形成を目指して積極的に生産体制の整備強化に取り組んでいるところであります。
次に、同じく農林水産業でつくり育てる漁業をより推進する必要があると、その御質問に対してのお答えでございます。
本県におけるつくり育てる漁業は、モズク、クルマエビ及び魚類を対象とした海面養殖業を中心に進展しております。
つくり育てる漁業を推進するためには、増養殖技術の開発、種苗量産体制の確立並びに養殖場の整備が必要であります。このため水産試験場八重山支場においては増養殖技術の研究開発に必要な施設の整備を図っております。
また、栽培漁業センターにおいては種苗量産施設と先端技術システムの導入を図るとともに、生産体制を整備し、平成13年度からは現在の約3倍の910万尾の種苗生産を予定しております。
養殖場の整備については、クルマエビ養殖場など9カ所を整備しております。
さらに現在、伊江村の魚類養殖場の整備と伊平屋村における計画を進めているところであります。
県としては、農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムに基づいて養殖魚介類の生産の増大及び資源管理型漁業の推進による近海魚介類の生産の安定化を図っていく考えであります。
次に、雇用失業問題について、今後の雇用対策の具体的な考え方についての御質問へのお答えでございます。
本県の雇用情勢の改善を図るため地域雇用開発助成金、沖縄若年者雇用開発助成金の活用や新規大学等卒業予定者就職支援事業等の雇用対策を実施するとともに、財団法人雇用開発推進機構が実施する各種の事業に対して支援を行っているところであります。
また、新たな国の施策である緊急地域雇用特別交付金事業により19億5900万円の基金を設置し、教育、文化、情報関連、福祉、環境等緊急性の高い事業を実施することとしています。
雇用問題の抜本的な改善を図るには、本県の特性を生かした産業の振興を図り、雇用の場を創出することが重要であります。このため沖縄県産業創造アクションプログラムを推進し、戦略産業や既存企業の育成等を図るとともに、マルチメディアアイランド構想に基づきコールセンターなど情報通信関連企業の立地を促進しています。
また、加工交易型産業の振興を図るため特別自由貿易地域制度を活用し企業誘致活動を積極的に展開するとともに、新事業創出促進法に基づき新事業の創出、企業化の支援等を行っていきます。
これらの施策を着実に推進することにより新たな産業の創出や事業の拡大が促進され、雇用の場が創出されるものと考えております。
次に、21世紀プランは6月の中間報告策定後どのように展開しているかとの御質問へのお答えでございます。
沖縄経済振興21世紀プラン中間報告には、本県の自立的な経済発展に向けた合計82の具体的な施策項目が盛り込まれておりますが、このうち多くの項目について既に予算措置や制度の創設等が講じられております。
平成11年度に実施される主な事業としては、特別自由貿易地域における賃貸工場の整備、航空運賃引き下げの追加措置、沖縄自動車道の通行料金の割引、査証制度等の緩和措置、通信コストの低減化、産業振興創造支援センター(仮称)の整備、国連大学グローバルセミナーの開催、国際医療協力の推進等があります。
また、観光地のアメニティーを高めるための公共インフラ整備として道路の緑化、海岸の整備、離島港湾における旅客施設の整備等を推進しているところであります。
また、中間報告において今後の検討課題とされた沖縄国際情報特区構想とゼロエミッション・アイランド沖縄構想の具体化及び新規事業創出支援体制の総合的検討については、平成12年度以降の事業化に向け調査を実施することになっています。
続きまして、21世紀プランの次年度以降どのような展開が図られるかとの御質問についてのお答えでございます。
平成12年度予算における各省庁の概算要求を見ますと、21世紀プランの関連事業として国立組踊劇場(仮称)の整備や沖縄マルチメディアセンターの整備など主要な継続事業に加え、地域の観光資源を活用した滞在型・参加型観光の促進、沖縄マルチメディアコンテンツ流通ネットワークの整備、亜熱帯特性研究の推進などの新規事業が要求されております。
また、沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業費が引き続き要求されるとともに、沖縄自動車道利用促進事業など緊急対策の継続事業経費、21世紀プランに盛り込まれた諸事業の機動的な実施を図るための特定の振興開発事業推進経費など沖縄振興のための特別調整費等として合計100億円が要求されております。
県としては、平成12年度以降の21世紀プランの展開について国と調整しながら実施段階に入っている事業を積極的に推進するとともに、新たな施策の具体化を図っていきたいと考えております。
次に、21世紀プランの最終報告に向け今後の検討課題とされた諸事業の意義をどのように位置づけているかというお尋ねでございます。
沖縄経済振興21世紀プラン中間報告において、今後の検討課題とされた3事業は、本県経済の自立的発展に向け観光・リゾート産業、情報通信産業の振興や新たな事業分野の創出、21世紀を担う起業家の育成等に寄与する重要な事業であると考えています。
このうち、沖縄国際情報特区構想については国が直接実施する事業であり、去る9月21日に調査研究会を発足させ、本県の情報通信ハブ(中継拠点)化の実現、外資系情報通信関連企業の誘致促進方策等について検討を行うことになっています。
ゼロエミッション・アイランド沖縄構想については、県の受託事業として観光・リゾート振興のための良好な環境の保全・創造、環境関連ビジネスの企業化促進等について調査検討を行い、次年度以降に事業の具体化を図ることとしております。
また、新規事業創出支援体制の総合的検討についても、県の受託事業として本県における新規事業の創出に効果的な支援策や支援体制のあり方について検討を行い、事業化を図ることとしております。
同じく、その中で21世紀プランと3次振計について、現時点において振興開発の重要な課題はどのようなものがあるか、あるいは21世紀プランをポスト3次振計にどのように位置づけるか、次の3次振計に向けて今後のスケジュールはどうなっているか、この3点をまとめてお答えをいたします。
現在、沖縄振興開発の実績について総点検作業を行っているところでありますが、現段階において次のような課題があるものと考えております。
第1に、戦略的な産業の創出・育成が求められていること、第2に、国際的な物流拠点の形成のための施設・制度の整備が必要であること、第3に、基地返還跡地の有効利用の促進、そのための新たな制度等が必要であること、第4に、観光・リゾート産業の新たな展開が必要であること、第5に、人材育成や国際ネットワークの確立が必要であることなどであります。
沖縄経済振興21世紀プランに盛り込まれた施策については、今後策定する予定の新たな沖縄振興計画の中に位置づけられるよう関係機関との調整を行っていきたいと考えております。
ポスト3次振計等に向けた今後のスケジュールについては、本年11月を目途に沖縄県振興開発審議会を発足させ、広く各界各層の意見を求めつつ、年度内には振興開発計画の総点検の結果の取りまとめを行う予定であります。
平成12年度以降には新たな沖縄振興計画県案の作成に向けて取り組むとともに、国に対する要請活動等を行いたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化国際局長(金城勝子) 平和祈念資料館に関連してお答えをいたします。
まず、展示内容を決定するまでの県、監修委員会、委託業者の役割はそれぞれどのようなものであったか、それから新聞報道等によると監修委員会を無視して展示内容を変更したと報じられているが、開館に至るまでの県の手続について説明願いたいというお尋ねでございます。この2つを一括してお答えいたします。
県は、八重山平和祈念館基本計画を策定し開館業務を進めてきました。展示内容の作成に当たりましては、県内のコンサルタント業者に展示制作業務を委託し、同時に専門家による監修委員会を設置して監修をお願いしてまいりました。
監修委員会は、平成10年11月から平成11年2月にかけて3回開催されましたが、2月の会議をもって終了しております。
しかしながら、県としては委託業者から提出された展示内容案を検討しその最終案を監修委員の意見を尊重する立場から、5月10日に本島在住の2名の委員に、また5月13日に八重山在住の5名の委員にそれぞれ報告をいたしました。
その結果、3点について意見があり、これを再度お諮りするため6月11日に八重山在住の監修委員に御検討いただき、その結果3点の要望事項について同意が得られたと理解いたしまして展示業務を完了したものでございます。
次に、八重山マラリア遺族会や元監修委員から県に対して要請があったということだが、その内容は何か、またこのことに対する今後の対処策について伺いたいというお尋ねでございます。
八重山戦争マラリア遺族会及び元監修委員からの御要請は、1、展示内容について監修委員等の意見を尊重すること、2、地元関係者による八重山平和祈念館運営協議会(仮称)を設置すること、3、館長や学芸員等を常置し内部充実を図ることなどでございます。
県といたしましては、本祈念館が八重山の戦争マラリア犠牲者援護会の粘り強い運動の成果であり、今後御遺族や地域の皆様の意向が反映されるよう協議の場を設けるなど適切に対応してまいりたいと考えております。
同じく平和祈念資料館に関連してでございますけれども、「軍命による強制退去」ということが戦争マラリア慰藉事業の基本であると遺族会等が主張しているが、県はこれを監修委員会に諮らずに「避難状況」に変更したと報道されていることについて説明願いたいということでございます。
「軍命による強制退去」を「避難状況」としたことについては、展示内容が避難場所を示す色分けした地図であることからそのように表示したものでございます。
なお、印刷物として同祈念館に備え置くことにいたしましたマラリア関係略年表には「軍命による強制避難はじまる」と記述されています。
次に、県が八重山地域の監修委員に説明した際に委員から展示内容に関する意見があったと聞いているが、その内容を説明願いたい、またどのような対処をされたのか伺いたいというお尋ねでございます。お答えいたします。
県においては、監修委員会の決定事項に基づき展示内容の具現化と根拠資料の明確化を図り展示内容の充実に努めてまいりました。
これらの作業を経てまとめた展示案を去る5月10日に本島在住の委員に、また5月13日に八重山在住の委員に説明いたしました。
その結果、次の3点の要望事項が出されております。
1つ目は、沖縄戦における住民の集団死の写真を展示することであります。
この写真の説明については文献等によりまして説明が異なり、集団死や集団自決としての活用が困難であることから、「沖縄戦で犠牲になった人々」として同写真を展示することになりました。
2つ目は、波照間児童慰霊祭のパネル写真を玄関口の正面の壁に展示することについてでございます。
展示物につきましては、展示室内に展示することが基本であると考え室内展示を提案いたしましたが、了解が得られませんでしたので6月11日に再度お諮りをしてございます。
その結果、戦争マラリア犠牲者の祈念施設等についてはほとんどが石垣市内にあり、竹富町ではないことから、せめてこの写真パネルを展示してもらいたいという地元からの強い御要望もありまして御希望の場所に展示することになりました。
3つ目に、戦争マラリア関係略年表を廊下に展示することについてでございます。
このことにつきましては、通路としての廊下の安全性と利便性に支障を来すことから、小冊子にして来館者に配布することを提案いたしました。
このことを監修委員会で協議していただいたところ、印刷物なら手軽な資料として活用もできるし、だれでも利用できるということで賛成をしていただきました。
以上3つの要望事項を含め、展示内容案全体にわたって同意が得られたものと理解いたしまして展示を完了したものでございます。
最後に、県が乃村工藝社に展示内容の変更を指示したとされている見え消しの資料について御説明願いたいということでございます。
展示内容を円滑に推進するため、展示業者に対しては業務委託契約を締結した当初から県における勉強会等の内容を適宜提示しておりますが、これをもって展示工事を実行することではなくして、参考案として情報提供をいたしております。
また、その後事務局案を作成した際には監修委員会にお諮りし、その結果を展示業者に提示して、これに基づいて展示工事が始まることになっております。
以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 介護保険についての御質問でございます。認定調査員や審査会委員の資質向上を図るためにどのような取り組みをしているかとの御質問にお答えいたします。
公平公正な要介護認定を行うためには、全国一律の基準に従った認定調査の実施及び認定審査を行う必要があります。そのため、県においては認定調査員の研修を保健所を中心に実施しています。
また、介護認定審査会委員については模擬審査会や事例をもとにした演習等を含めた研修会を実施しています。今後とも必要に応じ資質向上を図るための取り組みを行う予定であります。
次に、介護保険事業計画策定委員会の開催状況はどうかとの御質問にお答えいたします。
市町村においては、介護保険事業計画策定委員会を平成11年6月までに設置し、これまで5ないし6回の審議を行っています。
県においては、平成10年9月に介護保険事業支援計画等策定委員会を設置し、これまでに4回開催し、高齢者実態調査の取りまとめや保険料の中間報告等について審議を行っており、来年2月ごろまでには県の計画を策定する予定であります。
次に、本県の平均保険料が全国平均より高くなっている要因は何かとの御質問にお答えいたします。
去る7月に各市町村から中間報告を求めたところ、県平均で3677円となり、全国の平均額2885円に比べ約800円ほど高くなっています。
その要因としては、本県は小規模離島町村が多いことから在宅サービス面での人材確保が困難であり、施設利用を中心にサービス提供が進められてきた経緯があります。保険料は、市町村における施設や在宅サービスの基盤整備の状況が反映されます。本県の場合、介護報酬の高い施設サービスを利用している高齢者が全国平均より多いために保険料が高くなっているものと認識しています。
次に、最高保険料と最低保険料の格差が大きいのはなぜかとの御質問にお答えいたします。
本県の最高保険料は6112円、最低保険料は2104円であり、格差は約2.9倍となっています。
市町村の状況を見ると、介護保険施設を利用している高齢者の比率に応じて保険料が高くなっているという結果が出ています。
また、離島においては小規模特別養護老人ホームを設置している町村で高齢者の入所率が高くなっているため保険料が高くなる傾向があります。
一方、在宅サービスを含め介護基盤の整備がおくれている町村においては保険料が低くなっています。
次に、市町村間の保険料格差をどのように認識し、是正策はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
保険料は、市町村における施設や在宅サービスの基盤整備の状況によって決まる仕組みとなっています。市町村においては、介護保険事業計画で平成16年度までの整備目標を設定することとしています。
具体的には、このサービスの見込み量に介護報酬を掛けることで保険料は算定されます。しかし市町村間で格差が大きくなり過ぎると不公平感が生じることもあり、県としましては老人保健福祉圏域等一定地域内において保険料を平準化する等市町村相互財政安定化事業の実施について検討を促すとともに、保険者の広域化についても検討を進めるよう指導、助言を行っているところであります。
なお、保険料が高額になっている市町村に対して何らかの財政的支援ができるかどうかについて他県や国の状況等も踏まえながら検討していきたいと考えています。
○農林水産部長(小那覇安優) 本県の農林水産業振興策についての御質問にお答えします。
まず、サトウキビ生産の経済波及効果について、それから地域経済に果たす甘蔗糖企業の役割について、次にサトウキビの地域農業に占める割合については、関連しますので一括してお答えします。
サトウキビの地域農業に占める割合については、総農家数の約7割、全耕地面積の約5割、農業粗生産額の約2割を占めております。
特に離島地域においては農家数の約8割、耕地面積の約6割、農業粗生産額の約4割を占めるなどサトウキビへの依存度が極めて高い状況にあります。
また、サトウキビの生産は関連産業部門への波及効果が大きく生産額ベースの誘発係数が3.21倍で、県内産業263部門の中で1位となっております。
甘蔗糖企業の役割については、産業基盤が脆弱で雇用機会が少ない地域において、サトウキビ原料の加工を通して地域経済の維持発展に大きく貢献しております。
県としては、今後ともサトウキビ・糖業の振興を図るため生産対策を強化するとともに、甘蔗糖企業の経営安定対策に努めてまいります。
次に、新たなサトウキビ生産振興策についてと製糖工場の操業率と操業の向上及びパイロットファームの育成計画については、関連しますので一括してお答えします。
本県における製糖工場の平均操業率は、近年50%前後の低い水準で推移し経営環境が厳しい状況にあります。
製糖工場の操業率向上については、工場能力に見合うサトウキビ原料の安定生産対策が重要であります。
県としては、新たな生産対策として農地の利用集積による規模拡大、革新的新技術、機械化一貫作業体系により借地型経営体を育成することが緊急な課題と考えております。
このため、今後のサトウキビ作の中核的担い手のモデルとなるパイロットファームを設置し借地型大規模経営体等の農業生産法人の育成を進めております。現在、関係者が一体となって法人化の育成に取り組み、去る9月21日に農業生産法人「結農産」を設立したところでございます。
次に、農業後継者の育成強化が重要であるが、本県における後継者育成対策についての御質問にお答えします。
農業従事者の高齢化が進行し、農業経営を取り巻く環境が変化する中で、農業後継者の育成確保は重要な課題であります。
県としては、担い手の確保を図るため、1つ目に、農業大学校における実践的な研修教育の充実、2点目に、農業改良普及センターにおける青年農業者等に対する農業経営指導、3点目に、農林高校等との連携による農業教育の充実強化、4点目に、高齢者就農助成に対する就農支援、5点目に、農業後継者育成基金事業による新規就農者の確保等を推進しているところでございます。
また、平成10年度から取り組んでいる他産業経験者等に対する就農システムづくりや研修受け入れ体制等に取り組んでおります。今後とも新規就農者や中途参入者の掘り起こし活動の強化を初め金融制度を活用した経営安定化のための支援等を図るとともに、関係機関・団体等と連携しながら農業後継者の育成確保に努めてまいります。
以上でございます。
○商工労働部長(宮城春一) 雇用失業問題についての御質問、緊急雇用対策特別事業の目的とその内容について、それから県はどのような事業を実施するのかという御質問、2つについて一括して御答弁申し上げます。
国において緊急雇用対策として緊急地域雇用特別交付金が創設され、県においてもこの県内の深刻な雇用情勢に対処するためこの交付金を受け入れるための基金を設置し、同基金を活用して県や市町村が雇用就業機会を拡大する事業を実施することといたしております。
本事業は、県や市町村が各地域の実情に応じてそれぞれの創意工夫に基づき教育・文化、福祉、環境・リサイクルなど緊急に実施する必要性が高い事業を民間企業やNPO等に委託して実施することとしております。
なお、同事業の実施のための基金は19億5900万円で、平成11年度から13年度までの間に取り崩して執行することとしており、平成11年度事業分として3億3000万円の事業費を補正予算に計上いたしております。
平成11年度における緊急雇用対策特別事業といたしましては、県が実施する事業は17事業で、事業費総額は約2億3000万円となっております。
当該事業は、教育・文化、情報関連、産業振興・人材育成、福祉・環境の各分野にわたるものであり、具体的な事業としては教育用コンピューター活用支援事業、テレ・ビジネス産業等人材育成事業、製造業振興普及対策事業、離島における訪問介護員(ホームヘルパー)の養成研修事業等であります。
なお、市町村事業としては、環境美化、福祉・介護、行政情報のデジタル化等を中心とした事業を予定いたしております。
次に、同じく雇用失業問題について、緊急雇用対策特別事業の実施によりどのような効果を期待しているのかという御質問にお答えいたします。
本事業の実施による直接的な効果として、平成11年度から13年度の間に約2300人の雇用創出が見込まれております。
また、県で実施する事業の選定に当たっては、将来の産業振興につながるなど今後の発展性が大きいものであることなどを基準としているため、雇用情勢の改善に効果があるものと考えております。
以上でございます。
○浦崎 唯昭 県民の会を代表いたしまして質問を行います。
その前に、死傷者1万人を超す台湾大地震の被災者の皆様方を初め台湾の人々に心からお見舞いを申し上げます。一日も早く再起をしていただき、あの台湾特有の明るさを取り戻していただきますよう願っております。
また、台風18号により被災に遭われた県民の皆様にも心からお見舞いを申し上げます。県も被災状況調査に万全を期されて県民の納得のいく対処をしていただきますようにお願いをいたします。
それでは質問に入ります。
早いもので昨年、経営者協会のトップリーダーから県知事選挙に出馬を決意をされましたあのころ、今私どもはかりゆしウエアをつけておりますけれども、知事はあのバサーをつけまして飛び回っておられましてからはや1年が経過をしております。まことに感無量なものがございます。
そして、定例会も今定例会で4回目の定例会となっております。定例会は1年に4回ございますので、一巡目の定例議会の4回目を迎えたということになろうかと思います。議会にもなれてこられましたし、これから本領発揮といくかと思いますけれども、知事にとりましてはまさに激動の連続の1年であったと思います。その1年を振り返っていただき、県政のリーダーとしての、あるいは県の経営理念と申しますか、御感想をお聞かせいただければありがたいと思います。
そういうことで私は今般の代表質問は、その1年前につくりました1998年9月21日「チャンスを活かそう!」ということで「問題解決のできる実行型県政の実現」ということで「沖縄・未来をひらく県民の会」ともども政策を発表したわけでございます。その検証をしながら今般問題になっておりますこと等につきまして、公約等に映していきながら知事に以下の質問をしてまいりたいと思います。
まず、知事の平和行政についてでございますけれども、知事は基本姿勢の中で平和について述べておられます。「過酷な沖縄戦を体験し、長年にわたる米軍支配を経験した沖縄は、平和への願いと人権の尊厳を肌身で感じている。これは人類普遍の思想である。この沖縄の思いを県行政の基本にすえ、県民の夢や願いが響きあい、よろこびが実感できる沖縄を築いて行きたい。」と平和に対する基本姿勢を述べられました。
実際に行政を担当されまして知事の平和行政はこれが根幹にあると思いますけれども、お伺いをいたしたいと思います。
次に、新平和祈念資料館についてでございますけれども、これは先ほどの自民党さんの質問とも、時節柄、また問題の特殊性からダブってまいりますけれども、会派の違う代表質問でございますので、重複になりますけれども、御答弁を賜りたいと思います。
新平和祈念資料館は、8月11日、「「ガマでの惨劇」の模型 日本兵消える 自決強要の兵士住民に向いた銃 一部内容を無断変更」という記事から端を発しまして、私のある資料によりますと新聞記事になりましたのが250回以上、ラジオ、テレビにおきましては沖縄県に一大事が起きたようなそういう放送がされております。
このことにつきましては、やはり当初の施設を整備されましたときからの検証をしていかなければならないのではないかと、このように思う次第でございます。
昭和50年6月11日に現在のある資料館は完成をされ、県民の、我が国の、あるいは世界の平和学習の場としてこの資料館が果たしてきた役割は大なるものがあるだろうと、私はこのように評価をいたしております。
この現資料館を平成4年、移転改築すべき議論が県の企画開発部で行われたそうでございます。以来、平成6年1月31日、第1回平和祈念資料館移転改築事業推進委員会でのいろんな議論を踏まえまして今日までさまざまな議論がなされてきたようでございます。
私どもは、これから議事録も公表していただいてこれを見させていただき、この検討がどのように行われたかを知りたいし、県民の前に明らかにする私たちの責務があるだろうと、このように思うわけでございます。
そういう中で、この施設設備の検討がどのように行われたのか。平成4年に検討が開始されたようでございますけれども、そのときの優先事項の中でいろんな県民のためにつくらなければならない図書館等いろいろあったと思いますけれども、この施設設備の検討がどのように行われたのか、この辺を聞きたいと思うわけでございます。
そして2番目になりますけれども、この基本的事項に最初の平成4年の検討以来、変更があるのかどうか、この辺をお聞きしたいわけでございます。
次に、マスコミ報道で言われております見え消しの資料についてでございます。
これにつきましても先ほども御答弁いただいておりますけれども、恐らく同じ答弁になろうかと思いますけれども、この見え消しがいろいろと問題を醸しておるわけでございます。基地の重圧と住民を、基地と住民に変えた、ガマでの惨劇を、沖縄戦とガマに変えた、太平洋戦争の概況と米軍の反撃を、太平洋戦争の概況に変えたとか、いろいろ言われておりますけれども、この見え消しの資料について先ほど局長から御答弁もありましたけれども、いま一度具体的に知らせていただきたい。この見え消しの資料が県民の中でも不信感を抱き大きな問題点となっているからでございます。
次に、県は監修委員の承諾を得ずに展示内容を変更したと報じられております。知事も御答弁の中で最終的にこの展示について決定するのは監修委員であると。この監修委員の承諾なくしてそういうことはあり得ないということでございますけれども、しかしマスコミの報じるところによりますと、またその監修委員であられた方々のお話を聞きますと承諾は得てないということでございます。
なぜそういう相反した意見が出るのでしょうか。やはりそこには私どもも何らかの問題があるのかどうか、その辺を含めましてお聞かせをいただきたいと思うのでございます。
続きまして、琉大教授の高良倉吉さんはマスコミでお話をされております。この論議につきましては、展示を支える歴史認識や表現方法については開館後にでもいろんな議論ができるのではないのか。今決めたことが不磨の大典のごとく、もう動かすことはできないのだというような錯覚をされておられるかと思いますけれども、私は、どこの平和祈念資料館におきましてもいろんな意見の中から新しい展示のあり方を開館後にも検討したということを聞いております。
そういう意味で私は、開館後にも大いに見学者や世界の平和学習者の皆様方の御意見を拝聴しながらどしどし取り入れていくべきだと思いますけれども、そのことにつきまして御意見をお伺いいたします。
次に、開館後の管理運営についてでございます。
前県政は、この管理運営を国際平和研究所を設立いたしまして管理運営をするやに聞いておりました。このことが現県政と大きな違いになってきたのかなと思っております。現県政は、そういうことでの管理運営はしないんだと見送られております。
床面積で10倍、展示面積で5倍、この管理運営は開館を前にいたしました今日、みんなで真剣に議論をしておかなければならないと思いますけれども、この開館後の管理運営につきましてどうされるのか。
マスコミ報道によりますれば、進まぬ運営体制だとお話がございますけれども、そのことにつきましてもお聞かせを願いたいと思います。
八重山平和祈念館についてになりますけれども、これも伊良皆高吉議員がすべて質問をされたようでございます。
私は、基本的にいずれの資料館でも一緒でございますけれども、県がこの実相をゆがめる方向にあったのか。知事も会見で述べておりますけれども、こういうことが国策の意向を反映したものなのかどうか、そして監修委員会の存在を無視したのかどうか、そのために監修委員会の開催を少なくしたとか言われておりますけれども、私はそれにきれいに答えていくのがこの平和祈念資料館問題のポイントになるだろうと思っております。
そういう中で、知事もそのような批判や懸念は必ずしも事実を反映したものではないとの結論に達したとマスコミの記者会見で申し上げましたけれども、しかし上記のような批判や懸念は起こるべくして起きたこともあわせてしるしておきますと書いてあります。なぜそういう起こるべくして起こったのかが疑問点が沸くわけでございますけれども、そういうことにつきましても、これは私は通告はしてありませんけれども、もし聞かせていただけるのであればお願いをしたいと思います。
次に、経済新法についてでございます。
知事は、先ほどの「チャンスを活かそう! 問題解決のできる実行型県政の実現」の中で、沖縄経済新法の制定を高らかにうたいました。「「沖縄経済振興21世紀プラン」や「沖縄政策協議会調査検討プロジェクト」などの振興策をより実効あらしめるためには、新たな理念、政策、施策を取り入れた沖縄経済新法の制定が不可欠である。 復帰特別措置法および沖振法の必要なものはしっかりと継承すると共に新たな付加価値をそなえた沖縄経済の自立化、失業率、雇用問題の克服を可能とする新法の制定をはかる。」となっているわけでございます。
私どももまさに同感でございます。その根幹をなすのがやはり私は、ポスト3次振計としてこれから県も国も真剣に議論が始まると思いますけれども、中間報告をされております21世紀プランの完成、そういうことを受けましての経済新法の制定になろうかと思います。その中間報告がいつ結びの報告となりましてそして沖縄経済新法へとつながっていくか、すなわちポスト3次振計へつながっていくということになろうかと思いますけれども、ポスト3次振計への動きも準備をされ、21世紀プランも実現したものもたくさんあるようでございますけれども、県民はポスト3次振計がどうなるかも非常に気にしているようでございますので、これは国が決めることとはいえ、県がこれについて経済新法とあわせてどうなるのかが気にしているところでございますので、知事の御答弁をいただきたいと思います。
次に、基地問題についてでございます。
基地問題につきましては、知事を中心といたしまして普天間基地の早期返還を訴えております。特に3番目におきまして、「「海上ヘリ基地案」については責任をもって政府に見直しを求める。そのかわり県民の財産となる“新空港”を陸上に建設させ、一定期間に限定して軍民共用とし、当該地域には臨空型の産業振興や特段の配慮をした振興開発をセットする。」となっております。県民はそれを支持いたしました。
今、県内移設反対県民会議と称してアピールを発表されております。しかしながら県内移設につきましてはさきの選挙で私は決着済みだと思っております。37万余の方々が知事に県内移設で現実的対応をし沖縄の振興を図ってくださいというのが、前県政に対する不満が爆発をしこの移設問題が認可をされたものだと思っております。そういう意味で知事、自信を持ってこの普天間飛行場の移設を公約どおり県民のために一日も早くこれを進めていただきたいと思うわけでございます。
そこでお伺いをいたしますけれども、一日も早く案を取りまとめ、私は1カ所に限って国へ提出する必要があると思ってはおりますけれども、知事の中におきましてもいろいろな御議論があるようでございます。
さて、一日も早く案を取りまとめるということで、きょうの安里進さんの質問の中で新しいお言葉が出ました。すなわち普天間の返還は最終の段階に入ったということでございます。飛行機で言いますと無事離陸をいたしまして、稲嶺県政、普天間飛行場移設に向けまして順調に飛行をしているようでございます。いよいよ着陸の最終段階に入ってきたのかなと私はこのように感じているわけでございます。
しかしながら最終の着陸もいろんなことがありますけれども、無事着陸するための一日も早くの最終段階というのを私が感じるに年内は間違いないと、このように思いますけれども、知事、もしそのことについて確認ができれば大変ありがたいと思います。
次に、県は北部の振興策につきまして、北部の市町村会と協議組織を設置するとマスコミは報じております。私も時宜にかなった協議機関の設置だと思いますけれども、この協議機関はマスコミからしか報道されておりません。しかしながら北部の首長さんから私は聞いたこともございますけれども、どうぞその事実と同時に目的を教えていただきたいと思います。
次に、知事は地域の振興策及び返還跡地利用のための法的措置を示さなければ移設先提案はしないと発言をされております。大変評価をする方もおられます。しかしながらまた高いハードルを抱え過ぎますと、この返還についてもいろいろとおくれるのではないのかと心配される方々もいらっしゃいます。
そういう意味で、知事が御提案をされたことにつきまして関係者の反応、政府の反応についてお聞かせを願いたいと思います。
それから、先ほど知事の公約でも述べましたけれども、県民の財産となる新空港を陸上に建設させ、一定期間に限定して軍民共用とする公約を掲げております。
この公約は知事、いまだに変わりませんか。
と同時に、変わらないのであればこのことを私は一日も早く政府に申し上げ、そういう方向に沿った普天間の代替移設の実現につなげていくのが得策ではなかろうかと思いますけれども、お伺いをいたします。
次に、報道によりますれば、県内候補地は12カ所に絞り込まれてきたと報じられております。私が先ほど申し上げました一日も早くの案の中で1カ所に絞り込まれているのがこの12カ所にあるのかどうか、そのとおりなのかどうか、お聞かせを願いたいと思うのでございます。
次に、日米地位協定の見直しについてでございます。
このことにつきましても知事は政策で、「米軍基地と同居している県民のくらしと人権を守る観点から日米地位協定について総点検し、改定ないし改善の必要なものについては、日米両政府に対して強く要請する。」となっております。
前県政は、平成7年11月4日に日米地位協定の見直しに関する要請を日本政府に行っております。第2条から第25条までありましたけれども、実現されているのもありますけれども、いまだ日の目を見ない地位協定の改正があります。
そういう中におきまして、第3条関係における環境問題、これは急を要する日米地位協定の改正を急がなければならないのではなかろうかと思います。
その中で、県議会の米国視察報告でも我が会派の幸喜勝議員が「沖縄の基地の実態は米国とは違い、日米地位協定により、国内法が適用されず、返還後もさまざまな問題が惹起されてきた。」と報告をされております。その第3条の環境問題、これを一日も早く解決していく。先ほど知事も御答弁されたようにNATO軍地位協定及びボン補足協定の中でも国内法を適用するとあります。一日も早くそういうことで国内法の適用ができるような日米地位協定の見直しを私はすべきだと思いますけれども、そのことにつきましてお伺いをいたします。
海外事務所の展開について。
海外事務所については、第4次全国総合開発計画の沖縄地方整備の方向における東南アジアを初めとした諸外国との交流拠点の形成や、第3次振興開発計画における我が国の南の交流拠点の形成という意味で海外事務所が展開をされております。
この展開をされました台湾を初めとする海外事務所の開設後の実績とこれからの展望はどうなるのか、そしてその費用は幾らかかっているのかもわかれば教えていただきたいと思います。
そして、このことが沖縄の産業の育成にどう貢献し、またお互いの国同士、地域同士が双方のメリットのある産業育成につながってくるのかどうか、この辺が非常に双方とも気になるところでございますけれども、教えていただきたいと思うのでございます。
次に、東南アジアの事務所の開設と同時に私はアメリカにも事務所の開設が急がれるのではないのかと、このように思います。今や私ども沖縄は、復帰前は米国と深いつながりの中で御商売をさせていただきました。それがなくなりまして、今あらゆる面で私はこの財産を失ったものだと思っております。そういう意味でアメリカとの連携を密にするためにもアメリカに沖縄の事務所を設置する、その中で環境問題、経済問題、教育問題の発信地を、また情報をいち早く取っていただく、そういうことで一日も早くアメリカに沖縄の事務所の設置が必要だろうと思っております。
最後に、第三セクターについてでございます。
第三セクターにつきましては、御承知のように私ども沖縄県も大変な状況でございますけれども、全国の中でも第三セクターにつきましてはいろんな問題が発生をしております。
せんだって資料もいただきましたけれども、沖縄の第三セクターも41カ所のうち21カ所の赤字、それから県が関与する第三セクターの9カ所のうちモノレール、アクアパークを除いて7カ所も赤字、そういう中でこれからの第三セクターのあり方も自治省が県にも要請しておりますように、しっかりと地方自治体の監視をし第三セクターのあり方を議論すべきだということでございますけれども、このことについて御見解を承ります。
ありがとうございました。
○議長(友寄信助) ただいまの浦崎唯昭君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので休憩後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後4時55分休憩
午後5時20分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
休憩前の浦崎唯昭君の質問に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 浦崎唯昭議員の御質問にお答えいたします。
最初は、この1年を振り返って、県政のトップリーダーとしての感想を聞きたいとの御質問にお答えをしたいと思います。
約9カ月でございますが、その間、本当に全力を尽くして突っ走ってきたような気がします。
ほとんどの公約については、何らかの足がかりはできたなと思っております。
考えてみましても、政策協議会の再開、21世紀プランの中間報告、あるいは自動車道料金の引き下げ、航空運賃の引き下げ、特別自由貿易地域の設置、三者連絡協議会の再開、あるいはサミット。それに琉球王国の遺産群の世界遺産への登録と。
そのほか、具体的にトップセールスとして飛び回ってまいりましたけれども、台湾に行っても百数十人の方にお会いしましたけれども、企業進出も既に4つ決まっております。まだまだ続くと思っております。
観光関係でも200人を超える方々にお会いをいたしましたけれども、順調に伸びておりますし、しかもここのところ月に二、三社の企業誘致というのが決まっております。
その意味では、多くの支えていただいた皆様のお力によりまして一歩一歩前進しているということを感じております。
しかし、まだまだ数多くの課題を抱えております。特に基地の整理縮小というのは大変重要な課題でございます。確かに足がかりはできましたけれども、これからがいよいよ本番であるというふうに考えております。その意味で多くの皆様方のお力を得ながら、次の世代の若い人たちに夢と希望を持てるような沖縄に一日でも早くするために全力を尽くして努力をしたいと考えております。
それでは次に、御質問に対するお答えに入りたいと思います。
まず、平和行政についての見解ということでございます。
私の平和行政に関する基本的な考えを申し上げます。
過酷な沖縄戦を体験し、長年にわたる米国統治を経験した沖縄は、平和への願いと人権の尊厳を肌身で感じております。これは、人類普遍の思想であると思います。
私は、これまで青年海外協力隊の支援活動などを通じていろいろな国々を見てまいりましたが、世界においては今なお地域紛争が繰り返し起きており、傷ついた人々やその後遺症に苦しむ人々が数多くいることに衝撃を受け、平和がいかに大切であるか身を持って感じております。
この経験により、悲惨な戦争をなくし世界の恒久平和を実現するためには、国境を越えて多くの人々がともに平和について取り組むことが大切であると考えております。
このため、戦争の悲惨さ、平和のとうとさを後世に伝えるとともに、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って平和の発信・創造に努めてまいります。
次に、平和祈念資料館について基本的事項に変更があるのかと。
新平和祈念資料館の展示については、平和祈念資料館移転改築基本計画に基づいて展示設計がなされ、それを踏まえ現在、監修委員会において具体的な展示内容の監修が進められているところであります。県としては、監修委員会の検討結果を尊重して展示してまいります。
なお、マスコミで報道されているような、県が監修委員会の了解を得ることなく勝手にその内容等を変更するということはございません。
次に、同じく新平和祈念資料館について、琉大教授の高良倉吉氏は、展示を支える歴史認識や表現方法については開館後にじっくり行えばよいということをどう思うかと。
開館後は多くの方々が資料館を見学し、それぞれの立場や視点から展示内容についての意見が出されるものと思います。資料館の内容を充実させるためにも建設的な論議が行われることは必要なことであると考えます。
次に、開館後の管理運営について詳しく教えていただきたいという御質問にお答えします。
新平和祈念資料館は、現平和祈念資料館に比べ延べ床面積で約10倍、展示面積で約5倍となっており、多目的ホールや企画展示室が設置されるなど格段に規模や機能が拡充されており、氷蓄熱による空調設備や再生水利用等の省エネ・省資源対応設備を備えているものの、人件費を含めた年間のランニングコストは約3億円を要することが予想されます。
また、管理運営形態については県の直営と法人への委託の形態が考えられますが、新平和祈念資料館の機能が十分発揮されることを念頭に現在検討しているところでございます。
次に、同じく新平和祈念資料館関連で、上記のような批判は起こるべくして起きたことというのはどうかということでございますが、この資料館や祈念館は、構想から完成までに巨額な費用と数年間を要する一大プロジェクトであるにもかかわらず、事業計画の内容、その作業工程が関係者を含めて県民の多くにほとんど理解されておらず、それが批判等の一因になっております。
このような批判や懸念を払拭するためには、基本構想から実施に至る事業計画、とりわけ実施設計に基づく作業工程の過程を広く県民に理解してもらうことが当然必要であります。その意味で基本計画と実施計画はもとより、作業工程表や進捗状況、さらに監修委員会の権限と責任を規定した設置要綱、会議録、この資料館や祈念館にかかわる情報の公開が不可欠であると考えておりまして、現在、私の方からは先般の記者会見においてすべての報告を公表することを発表してございます。
ただ、監修委員会の会議録の公表に関しては、監修委員会等関係者の事前の了承を得るということを配慮しております。
次に、沖縄経済新法の制定についてでございます。ポスト3次振計として沖縄経済新法の制定に向けて真剣に議論する時期に来ているが、どう思うかという御質問に対してでございます。
いわゆる沖縄経済新法は、沖縄振興開発の総点検を踏まえた施策や沖縄経済振興21世紀プランの施策等を盛り込んだ3次振計後の新たな沖縄振興計画を実効あらしめるものであると考えております。
沖縄経済新法の制定については、現在、県内部で沖縄振興開発特別措置法や復帰特別措置法の総点検作業及び基地の跡地利用制度など新たな施策の検討を行っているところであります。今後は、来る11月に立ち上げる予定の沖縄県振興開発審議会などを通じて広く各界各層との議論を深めながら進めていきたいと思っております。
次に、知事は、第3次振計終了後に向けた新たな振興計画を策定するのかどうかという点でございます。
現在、第3次沖縄振興開発計画の実績等について総点検作業を行っているところであり、その結果を踏まえた上で新たな沖縄振興計画の必要性を明らかにしたいと考えています。
新たな沖縄振興計画の策定に向けては、平成12年度以降に取り組むとともに、国への要請活動等を行っていきたいと考えております。
基地問題については、一日も早く取りまとめ国へ提出する必要があると思う、県内の候補地は12カ所に絞り込まれているが、そうなのかということで一括してお答えをいたします。
普天間飛行場の移設については、現在、国に提示するための絞り込み作業を進めており最終的な段階でありますが、移設後の跡地利用問題や移設先の振興策について特段の配慮がなされる必要があると考えております。
そうした中で、できるだけ早く決定できるよう全力を挙げて取り組んでまいります。
あわせて、関係市町村の理解と協力が得られるよう十分に調整していきたいと考えています。
移設先候補地については現在検討中であり、具体的な場所について申し上げられる段階ではありませんので御理解を願います。
次に、基地問題について、知事は地域の振興策及び返還跡地利用のための法的措置を示さなければ移設先の提案をしないと発言されたが、政府の反応はどうかということでございます。
去る8月19日に、駐留軍用地跡地利用促進のための新たな制度の確立等について国に要請したところであります。
また、地域振興策の必要性についても申し上げているところであり、国もその重要性を認識していると理解しております。
次に、県民の財産となる新空港を陸上に建設させ、一定期間に限定して軍民共用する公約は今でも変わらないか、またそのことを政府に申し入れたことがあるかということでございます。
県民の利益を確保するため県民の財産となる新空港を建設させ、一定期間に限定して軍民共用空港とし、当該地域に産業振興策をセットにするという基本方針は現在も変わりありません。
次に、米軍施設環境汚染対策を進める上で日米地位協定を改正すべきだと考えるが、どうかとの御質問でございます。
米軍基地から派生する環境問題については、日米安全保障条約及び日米地位協定の締結当事者である日米両国政府の責任において取り組むべき課題と考えておりますが、県においても、基地周辺住民の安全な生活環境の確保の観点及び基地の計画的かつ段階的な返還の促進と返還跡地の有効利用の実現の観点から、米軍基地の環境問題について積極的に取り組んでいるところであります。
県では去る8月、国に対し、駐留軍用地の返還に際し環境浄化処理の確認調査など国の行うべき措置について明示するよう沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律(軍転特措法)の改正を要請してきたところであります。
また来る11月には、いわゆるボン補足協定で駐留NATO軍に対して国内法を適用するなど制度が整備されているドイツを実地調査することにしており、その調査結果などを踏まえて日米地位協定の見直しを含め環境調査及び環境浄化に係る制度上及び財政上の措置を政府に求めていきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○高江洲義政 議長、ちょっと休憩してください。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後5時36分休憩
午後5時37分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
文化国際局長。
〔文化国際局長 金城勝子君登壇〕
○文化国際局長(金城勝子) 浦崎唯昭議員の御質問にお答えいたします。
まず、新平和祈念資料館について施設設備の検討はどのように行われたかという御質問でございます。お答えいたします。
平和祈念資料館移転・改築事業は、平成3年5月1日に県立平和祈念資料館改築・沖縄戦犠牲者「平和の壁」建設等基本構想検討懇話会設置によって検討がスタートしております。
その後、沖縄戦犠牲者「平和の壁」は「平和の礎」となり、平成6年6月に完成いたしました。
新資料館は、平和の礎と一体となって整備すべく平成7年度には基本構想、平成8年度には基本計画が策定され、平成9年度には建築及び展示制作の契約を行って建物は完成いたしまして、平成11年7月16日に引き渡しを受けたところでございます。今後、引き続き展示工事を進めるとともに、周辺環境整備工事を行い平成12年3月末の開館の予定となっています。
次に、マスコミの報道で言われている見え消しの資料について御説明願いたい、また県は監修委員の承諾を得ずに展示内容を変更したと報じられているが、これは事実かというお尋ねでございます。2点を一括してお答えいたします。
展示内容を円滑に推進するため、展示業者に対しては業務委託契約を締結した当初から県における勉強会の内容等を適宜提示しております。これをもって展示工事を実行することではなく、参考案として情報提供しているものでございます。
また、その後事務局案を作成した際には監修委員会にお諮りし、その結果を展示業者に提示し、これに基づきまして展示工事を進めることになっております。
以上でございます。
○企画開発部長(宮城正治) 基地問題につきまして、北部振興策について、北部市町村会と協議組織を設置することとしているが事実か、事実であればその目的を教えていただきたいとの御質問にお答えいたします。
北部地域には、魅力ある就業の機会や教育の場の不足、都市機能の集積や居住環境の整備の立ちおくれなどの問題があるものと認識しておりまして、県土の均衡ある発展を図る上から引き続き北部振興策を積極的に推進していく必要があると考えております。現時点で北部振興策について協議するための組織は設置されておりませんが、今後、北部市町村会の要望等を勘案しながら前向きに検討していきたいと考えております。
以上です。
○商工労働部長(宮城春一) 浦崎唯昭議員の海外事務所の展開についての御質問にお答えをいたします。
1つは、海外事務所開設後の実績とこれからの展望について伺いたいという御質問でございます。
海外事務所の業務は、県産品の販路拡大や観光客の誘客、企業の誘致、県内企業等への情報提供や便宜供与を行うほか、現地政府機関や県人会に対する県の窓口としての役割を担っております。
主な実績等を申し上げますと、平成2年に設置された台北事務所は、わしたショップを通じた県産品の販路拡大、台湾観光客の誘客、自由貿易地域への情報関連産業の立地促進のほか、新たな企業誘致に向けたネットワークの形成を行ってきました。
香港事務所は、物産展等の意欲的な開催を通じてモズク等県産品のPRや販路拡大、商品の定番化、卸取引の成立のほか、観光客の誘客に取り組んできました。
シンガポ-ル事務所は、沖縄との航空路線開設に向け去る6月に現地発のチャーター便を実現させたほか、伝統工芸品の展示、紹介、県産品の取引支援等を行ってまいりました。
福州事務所は、福建・沖縄友好会館の整備を契機として事務所施設への入居促進や県内企業への情報提供、相談等の業務を行っております。
また、海外事務所を効果的に活用するために平成11年4月に産業振興公社に国際室を設置し、海外情報のネットワーク化に努めております。今後とも、海外事務所の活用を通じて本県の産業振興に向けて経済交流ネットワークの拡充を図っていく所存であります。
2点目の、海外事務所は沖縄の産業育成にどう貢献し、双方にメリットのある産業は育つのかという御質問にお答えいたします。
海外事務所は、国際見本市や物産展への参加や現地の経済情報の提供、県内への企業誘致支援、各種団体等の現地研修や視察への便宜供与を行うなど地場産業の振興及び企業誘致、観光振興等本県産業の育成と振興に貢献いたしております。
一方、こうした各種の経済交流の推進は、相手国にとりましても企業進出、観光客の入域等相乗効果が実現されるものであり、両国にとって新たな産業振興の展開に結びつくものと考えております。
御質問の中で、海外事務所の経費についてもお尋ねがございましたけれども、台湾、香港、シンガポール、大韓民国、それから中国に計5カ所の事務所を置いてございまして、それからフィリピン、ベトナム、タイ、インドネシア、ここに委託駐在員を置いてございます。
その年間の総合計の予算額は、1億8858万9000円でございます。
それからもう1点は、今後の21世紀を展望した場合に米国への海外事務所の開設は必要ではないかとの御質問がございましたけれども、現在、本県においてはコールセンター等情報関連企業の集積が進みつつあるとともに、米国を中心とした海外ウチナーンチュによる国際的ビジネスの構築の動きも見られるなど北米地域との経済交流が進展しつつあります。
こうした中で、情報産業の先進国である米国において情報産業とネットワークを形成することや関連企業の誘致を行うこと、沖縄県人とビジネスのネットワーク化を形成することは、本県産業の振興にとっても大変重要な課題だと考えております。
こうした観点から、米国における海外事務所の設置については、関係団体等の意見も聞きながら、県においてその必要性があるかないかも含めまして今後慎重に検討を進めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 第三セクターについて、県出資の第三セクターの現状についてと、それから自治省の第三セクターに関する指針と県の役割についてお答えいたします。
本県において県が出資している株式会社で、設立に当たって県が主導的役割を果たし、設立後も役員を派遣するなど県と密接な関係を持っている第三セクター9社のうち、平成10年度末で7社が累積欠損金を抱えております。
累積欠損金を抱えている第三セクターのうちでも、単年度では利益を計上しているもの、それから開業間もないためすぐには利益を計上できないものなど各社により経営状況は異なっております。
また、平成11年5月に自治省から「第三セクターに関する指針」が示されております。県では同指針を踏まえ、1点目に県が人的派遣を行っている法人、2点目に県が財政的援助を行っている法人、3点目に県の出資比率が25%以上の法人のいずれかに該当する第三セクターの経営状況等の調査を行っているところでございます。
今後、同調査の結果と新たな行政改革大綱策定のための事務・事業の総点検作業等を踏まえ、改めて第三セクターの業務内容、役職員数等を見直す等経営改善努力を促すとともに、事業計画及び決算内容のチェック体制を強化してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 第三セクターについての市町村関連について、市町村出資の第三セクターの現状について、それから自治省の第三セクターに関する指針と市町村の役割についての御質問に一括してお答えをいたします。
平成11年1月に実施しました市町村が出資する商法法人に関する調査によりますと、いわゆる第三セクターへ出資している市町村は20市町村で、その内訳は7市5町8村となっております。
第三セクターの数は37社で、半数の18社が赤字経営となっております。
先般、自治省から示された第三セクターに関する指針においては、運営の指導監督等の留意事項として、1点目に経営の定期的な点検評価の実施、2点目に経営の予備的診断の実施、3点目に議会や住民への情報開示などが挙げられており、これらを通じて経営悪化の原因を検証し抜本的な経営の改善策等を検討する必要があると考えております。
県としましては、第三セクターの経営状況が市町村財政に大きな影響を及ぼすこともあることから、同指針の趣旨を踏まえ適切に対応するよう引き続き指導してまいりたいと思います。
○当山 全弘 去る21日発生しました台湾大地震において多大な被害が出ました。被災者の皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。
それでは第6回沖縄県議会(定例会)に際し、沖縄社会大衆党を代表して質問を行います。
稲嶺県政は、今度の新平和祈念資料館や八重山平和祈念館の展示内容変更問題が発生し大きな社会問題になっております。
この一連の動きを考えるとき、県内の動きは国の動きと軌を一にしていると指摘せざるを得ません。
1、知事の政治姿勢について伺います。
まず、平和祈念資料館問題について伺います。
今般の旧日本軍の県民に対する残虐行為を歪曲し、我が県民同胞の手で歴史的事実をねじ曲げようとしたやり方は、怒りを通り越し情けない、恥ずかしいというのが率直な県民の気持ちだと思います。
我が党は、このようなひきょうなやり方に対しすべての県民、戦没者遺族にかわって厳重に抗議をするものです。
この事件発生以降、県の態度は常識を逸脱しています。
改ざん行為が暴露されるや、勉強中とか他意はないとかの弁解に終始していますが、本日の新聞報道によれば既に7月段階で知事が直接関与していたことが明確になり、これは単なる現場職員の事務上のミスでは済まされなくなりました。
その上、知事の特命による政策参与の調査結果の公表は多くの点で県民や監修委員の不満を増大させ、県政チェックをすべきマスコミへの挑戦とも受け取られるものでした。
もとより調査そのものは全く一方的で、不十分なものでしたが、その調査の結果すら公表を限定したり、第一級の証拠資料である見え消しなどは当初意図的に枝葉の問題として外してきました。
さらに、まさに県当局は県民に対し、知的緊張感を持ってかつ誠実に事に当たるべきです。
また、県議会代表質問通告締め切り間際まで調査結果が明らかにされず、この問題を代表質問で取り上げる機会を奪い、意図的に操作をした節があります。
議会での集中砲撃を避けるためとしか思えない調査結果を小出しにするやり方は、極めてこそくであり、議会質問事項の通告制度を悪用するやり方は明らかに信義規則にもとります。
したがって、我が党はこの代表質問の冒頭で代表質問締め切り以降の一連の不手際及び知事自身のかかわりを否定する虚偽に対し、稲嶺知事の謝罪を要求いたします。
なお、我が党は本議会でこの問題の事実関係が明らかにならない場合は、地方自治法第100条に基づく百条委員会の設置によって事実解明を行うべきであるということを申し上げておきたいと思います。
以上のことを念頭に置きつつ、以下の点について質問をいたします。
これまでに監修委員会で了解されていた展示内容を来年3月の開館に間に合うよう早急に実施に移すべきだと考えるが、その点は確認できるか。
監修委員の任期を開館まで延長することが報道されているが、確認してよいか。また、勉強中とされていた県案は撤回されたものとして確認してよいか。
3番、勉強中の提案が撤回されたなら、その撤回によって県は金額にしてどの程度の余計な出費をしたことになるのか。
4、平和行政は知事の交代で変わることがあってはならない。この際、今後の経営主体を明確にすべきだと考えるが、今後の管理運営をどのようにするつもりか。それはどのような基本理念に基づいてなされるか。
5、国際連合の活動などを新設展示するスペースがあるなら、むしろ沖縄戦の状況を全体的に把握し、沖縄、日本、世界の平和を考えるという観点から、八重山における戦争マラリアの被害実態は本館においても展示すべきだと考えるがどうか。
6番、稲嶺知事は何のために、どういう理由で見直しをされたのか。すべての責任は知事にある。稲嶺知事は昨年の選挙期間中、常に泥をかぶる、責任ある県政を訴えていたはずではないですか。県三役や政策参与が現場へ責任転嫁することは許されない。知事は今後御自分の責任をどう考えますか。
7番、この問題を口実にして開館をおくらせてはならない。開館はサミットに間に合うのか。このままでは沖縄の平和創造の努力は果たして世界に発信できるんですか。
8番、今回の県の展示内容変更事件は、1982年9月の臨時県議会において全会一致で採択された「教科書検定に関する意見書」の精神を踏みにじるものである。議会の意思に反することを知っていたのか。知っていたならあえて実行したのはなぜでしょうか。
次に、9月29日の記者会見から県は、委員会が3月にございました展示内容の原案に独自に修正や削除など変更を記述した見え消しと呼ばれる文書を公表した。金城局長は、この文書は7月31日に三役調整で知事に報告された。そのとき、既に知事からは日本軍の残虐行為を薄めるような展示内容に異論はなかったとなっておりますけれども、それは事実なのか。
次に、9月2日の記者会見で石川副知事と金城勝子文化国際局長は、見直し案は事務方の内部議論の過程の一つで県の成案ではない。三役に見直し案の詳しい報告はなかったし、細かい指示は一切ないと。副知事や局長から展示内容の見直しに至った意図など核心部分には記憶にないとかわし、県見直し案への三役関与を否定してきた経過があるが、けさのタイムスの報道によると明らかに知事が見直し案に関与したとなっている。こうした事実があれば、監修委員や専門委員を初め県民に対しうそを言ったことになるが、知事はどう思うか。
また、知事は見直し案が事実であれば重大な責任を負うことになる。知事は速やかに県民に対し謝罪すべきと考えるが、どうでしょうか。
今回の事件で県の平和行政は、県民の不信感を買う結果となった。現在の資料館で展示されている個人資料の引き揚げなどが報道されているが、今後信頼を回復するために何をすべきだと考えますか。
(2)番、八重山平和祈念館について。
まず、八重山平和祈念館は、糸満の平和祈念資料館とはその建設の趣旨や経緯において異なる点があることを確認せねばなりません。
この館建設には、ひとえに戦争マラリアで家族を失った八重山戦争マラリア援護会の手弁当による活動と8年間の政府への直接要請行動があったことを見逃してはなりません。慰藉事業ということで決着し、国家の賠償責任を明確な形で認めさせることはできませんでしたが、譲りに譲ってぎりぎりの選択によって祈念館は建設されたのです。沖縄県が予算を獲得して建設にこぎつけたわけではございません。
いま一つ、八重山平和祈念館には特別の事情があります。それは形を変えた旧日本軍によるもう一つの住民虐殺があったという事実によります。
私たちは、3600人余の県民が旧日本軍の発したマラリア有病地への強制退去命令によって無念の病死に追い込まれたという沖縄戦の一断面を正確に語り伝える義務があります。
そしてこのような建設までの経過を知れば、慰藉事業を担当する県当局は遺族の切ない願い誠意を持ってかつ正確に祈念館の中で実現していく義務があるということです。
これらのことを踏まえ以下の点にお答えいただきたいと思います。
1つ、強制退去という軍命のあったことが決め手となり慰藉事業を沖縄県が行うことになったが、その基本理念を実現するためにはもっとマラリア遺族や地元の考えが尊重されるべきではないでしょうか。例えば館の名称に戦争マラリアという文言を冠するべきであるという要求や人員配置問題など、知事は新たな地元の要求を八重山郡民や遺族とともに政府にぶつけるべきだと考えますが、いかがでしょう。
2番、展示内容の変更はどういう手続で、どこで決定されたのか、監修委員、専門委員には了解が得られたのか。
3、当初監修委員会で決定された内容の展示を実施するため、新たに前委員を監修委員に再任命して対処すべきではなかったか。
4番、八重山平和祈念館における監修委員と専門委員の関係は整理されておりません。専門委員は監修委員会の場で選任され、専門的な見地から実際に展示業者に指示し、展示の現場にかかわってきた。県当局は業者が組織した専門委員会という認識があるようだが、その根拠は何でしょうか。
5番、八重山平和祈念館ではほとんどの資料が住民遺族から寄せられたものであり、今後も展示資料の収集は続けられるべきであると考える。失われた信頼を回復するためには今何をすべきだと考えますか。
6、政策参与の調査を通して監修委員会、専門委員、展示業者、県の事務方など県当局には安易にその責任を分散し、痛み分けでこの場を切り抜けようとする態度がうかがえる。しかし今県当局に求められているのは、そのような責任転嫁、責任分散より、率直な謝罪ではないでしょうか。
(3)番、牧野副知事の著書について。
牧野副知事ほか2名の共編著書「沖縄の自己検証」という本が昨年2月に出版されていますが、この著書は今回の事件や知事の政治運営にも影響を与えるものと思われます。
たとえこの発言が副知事就任前のものであっても、ひとたび言論界にみずからの意見を発すれば、その発言に対する責任は現時点においても当然負わねばなりません。
したがって、以下の点で知事の所見を求めます。
1番、「沖縄戦体験を深化させるための視点」という項の以下の発言について。
「第2次大戦の被害というのは軍国主義時代の軍備による被害です。今後、安全保障を考えていく場合の軍備とはそのようなものではなくて一種の保険としてのリスク管理としての軍備です。同じ軍備ではあるけど、軍国主義時代の軍隊の機能とこれからの軍備の機能は違います。」、「安全保障としての軍備は完全に否定はできない。 要するに軍備は悪ではあるが完全には否定しえない面があるわけです。」、「それなりの国際紛争・衝突は否定できない。また起さないために軍備を背景にして話し合いで解決しようという面も出てきます。 軍備、安全保障を見る場合に、軍国主義時代の被害を絶対化していくと、これからの時代のリスク管理としての安全保障を考えることができなくなってしまう。」。
この発言は、軍備の違いや本質を論証しないまま、いわば現代軍備を是認するものである。これは一切の軍備や交戦権を否認した憲法第9条永久平和性を否定し、軍備によらない平和外交の努力を放てきする見解である。保革を問わず県政の根幹に平和行政を据え、積極的にこの我が国の平和運動を牽引してきた我が沖縄県の副知事という要職にある方の発言としては著しく不穏当ではないでしょうか。
この発言に対し、知事はどのような見解を持っておられるのか。
2、基地問題・基地の県内移設問題について。
(1)、普天間飛行場返還問題について伺います。
1995年米兵による暴行事件が発生し、これに抗議する8万5000人の県民が結集した県民大会や県民投票などを実施しましたが、基地あるがゆえ被害は後を絶ちません。
96年12月のSACO最終報告は、県民の意思が反映されない基地の強化拡大を目的とした移設条件つき返還という内容でした。
普天間飛行場の返還問題に関し以下の点を伺います。
1、普天間飛行場の移設先は正当に考えて米国内であると考える。それが県民にとっては最良である。知事は県内移設を公約しておられるが、なぜ当初から県外移設を論外として排してきたのか。県外移設を実際に政府に働きかけたことはあるのか、ないのか。
2番、移設とは必然的に基地の新設を意味する。それは莫大な税金を投入するものであり、耐用年数などを考慮しても基地の固定化につながることは必至である。果たして県民の合意が得られるか。むしろ県内移設こそが非現実的ではないでしょうか。
3、知事の基地政策はSACO合意を無批判に受け入れて当然のものとしている。しかし県民投票や名護市民投票などの結果を見ても県民の声がSACOに反映されているとは考えられません。沖縄県政にとってSACOとは何でしょうか。SACOにいま一度焦点を合わせて現実的な評価をし直すべきではないでしょうか。
4、知事は8月18日突然に軍転法の改正や跡地利用への支援などを掲げ移設候補地を提示するための条件闘争を開始されたと見られている。政府との間で何か取引があったのか。この条件を政府が丸のみすることも考えられる。知事の御所見を伺います。
(2)番、次に那覇軍港返還問題について伺います。
稲嶺県政は、ことし2月10日に普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室を設置し、那覇軍港の移設を進めています。しかし30年前の機密文書からもわかるように米軍は基地の整理縮小の観点からではなく、あくまでも米軍戦略上基地機能の強化の視点に立って軍港返還問題を検討しております。那覇軍港の移設は、米軍の新アジア戦略構想に基づく在沖米軍の最前線基地として位置づけられ機能強化をねらったものです。
以下の点について質問いたします。
1、浦添に移設される予定の軍港は、兵たん基地と一体となって米軍の西太平洋における重要な役割を果たすことになる。総合的に見て浦添への軍港移設は基地効率を高め、米国の沖縄における長期使用を可能ならしめるものである。SACO合意事項はこれらのことを追認したものと思うが、知事の見解を伺います。
2番、那覇軍港が浦添に移転されキャンプ・キンザーに直結されるとキンザー基地の固定化は必至である。したがってキャンプ・キンザーの跡利用計画を含む浦添市の将来計画に大きなダメージを受け、大幅な書きかえが必要となります。そのことをどう考えますか。
3番、平成12年目標の港湾計画の改訂作業において軍港の位置づけはどうなっているのか。
4番、本年6月の定例議会で「那覇港管理の一部事務組合の早期設立に向けての促進決議」案が提案されましたが、それが那覇軍港の移設に連動する動きが懸念される。この動きの中で明らかになった沖縄県、那覇市、浦添市3者間の覚書第8条には、軍港の移設についてはSACOの合意事項を進めつつ、その方法については3者で協議すると表現されている。その経緯を明らかにしていただき、知事の所見を求めます。
次に、最近大きな問題となっている基地内の環境浄化問題について質問いたします。
現在、沖縄の基地内には環境汚染調査のために行政やNGOなどの立ち入りが認められておらず、汚染状況は米国同様の基地などから推測することや基地周辺の被害状況を通して知る方法しかありません。
基地が多数の有害物質の保管場所になっているにもかかわらず、基地閉鎖後の情報などは明らかにされず、汚染浄化対策の責任主体すら明確でないのが現実です。早急に抜本的、総合的な対策が求められています。
以下の点で質問いたします。
1、米軍基地の環境問題がアメリカと日本で調査、回復、補償、責任等どのような問題があるのか。制度か、運用か、責任主体の問題か。県はどのように考えるか。
2番、日米両政府間で基地内の環境問題についていかなる交渉が行われているか。
3、県当局が現在最も危惧する基地内を発生源とする環境汚染の実態と解決策は何か。
4、基地内の廃棄物処理の実態は把握されているか。民間地域との比較で問題はないか。
基地周辺地域での基地内の環境監視・調査活動にいかなる具体策を講じてきたか。水質、土壌、空気の実態はある程度周辺の定点観測でも把握可能と思われるが、どうでしょうか。
福祉行政については割愛いたします。
(2)番、県内の雇用状況と障害者雇用について。
ことし7月の県内失業率は8.7%と前年比で0.2ポイント上昇し、昨年9月以来の高水準となっております。企業の倒産やリストラで退職した失業者は昨年の同月比で2000人増加し、1万人を記録しております。もちろん全国一です。昨年は沖縄の歴史的な失業率をうまく利用して県政不況と責め立て県政を奪還されましたが、沖縄の失業率が県政の責任であるとすれば、この現状を知事はどのように説明されるのでしょうか。責任は重大となるはずです。
そこで以下の点について伺います。
1、具体的に県内の雇用状況の概況を御報告願いたい。
2番、新規学卒者の就職状況は54.9%、全国92.0と低く事態は深刻だが、その打開策はあるのか。また、知事がかわってもやはり県政不況は続いているものと認識してよいか。
3、障害者の各事業所での法定雇用率は達成されているか。
4番、身体障害者授産施設は雇用が困難な者や生活困窮者を入所させて必要な職業訓練を行い、自活を助ける施設であるが、県内の状況はどうなっているか。障害者の育成策を伺いたい。
4、台風18号の被害について、最後に先日の台風18号について以下の質問をいたします。
1番、この台風による農作物や道路決壊の状況を報告していただきたい。
2番、知的障害施設沖縄中央育成園で土砂崩れが発生し大量の土砂が園内に流れ込んでいる。2次災害防止のため早急な対策が必要だが、どのような対策を考えているのか。
3番、急傾斜地崩壊による災害防止に関する法律の適用はあるのか否か。適用がないとすればどのような方法で対処するのか。
最後になりましたけれども、ここに元琉球政府の社会局長でありましたところの山川泰邦さん、知事と一緒の同郷の出身の方が「沖縄戦史」というのを発行されております、昔のものですけれども。(資料を掲示)
この中にはやはりスパイ容疑とか、そういう惨殺の問題とか全部の記録が載っております。そしてその事実を覆い隠さないように記録を鮮明に残して、後世のために伝えていくというのがこの山川泰邦さんが書いた「秘録 沖縄戦史」に載っているんですよ。
知事は、同郷の人としてそういったふうな沖縄戦の事実を改ざんしようとしたりなんかするとこれは罰が当たりますよね。このことについてどう思うか、後で説明してください。
答弁によって再質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) 当山全弘議員の御質問にお答えします。
最初は、知事の政治姿勢について、監修委員の任期を開館までとすることが報道されているが、このことは確認してよいかと。お答えいたします。
現在の監修委員の任期はことしの11月9日までとなっていますが、任期中内に監修を完了しない場合には開館まで引き続き現体制で監修に務めていただきたいと考えております。
次に、平和行政は知事の交代で変わることがあってはならない、この際今後の運営主体を明確にすべきだと考えるが、今後の管理運営はどのようにするつもりか、どのような基本理念に基づいてなされるべきかについてお答えします。
新平和祈念資料館は、現平和祈念資料館に比べ延べ床面積で約10倍、展示の面積で約5倍となっており、多目的ホールや企画展示室が設置されるなど格段に規模や機能が拡充されております。
その管理運営については、県の直営と法人への委託の形態が考えられますが、いずれにしましてもその機能が十分に発揮されることを念頭に現在検討されているところであります。
政治姿勢で、今回の一連の混乱の震源地の問題で、すべて責任は知事にあると考えるが、知事は自身の責任をどう考えるかということでお答えでございます。
私は、沖縄戦の実相をきちんと伝え、世界平和に結びつくようなすばらしい資料館を完成することが務めであると考えております。
次に、この問題を口実にして開館をおくらせてはならない、開館はサミットに間に合うか、このままでは沖縄の平和創造の努力が果たして世界に発信できるかとの御質問のお答えでございます。
新平和祈念資料館は、来年3月末の開館を目途に作業を進めており、予定どおり開館できるものと考えております。県としては、サミット開催により世界の関心が沖縄に集まる機会を利用し、平和を志向し、協調し、支え合い、そして異質なものを溶け込ませてしまう寛容性を持った沖縄の心を世界に発信したいと考えております。
次に、昭和57年9月の臨時議会において全会一致で採決されました「教科書検定に関する意見書」の精神を踏みにじるものであるということのお答えでございます。
教科書検定に関する意見書は、沖縄戦の体験を正しく伝え、悲惨な戦争を再び起こさないようにするために県議会において全会一致で決議されたものと承知しております。
平和祈念資料館の展示に当たっては、沖縄戦の実相をきちんと伝え、広く世界の平和に結びつくようなものにしていきたいと考えております。
次に、今回の事件で県の平和行政は県民との間で不信感を買う結果となった、現在の資料館で展示されている個人資料の引き揚げなどが報道されているが、今後信頼を回復するために何をすべきかと考えるかということでございます。お答えでございます。
新聞報道のとおり、寄託者のお1人から資料の返還が求められているのは事実であります。しかしながら、また県内外からたくさんの貴重な資料の提供も受けており、多くの方々の資料館に寄せる期待は大きなものがあると感じております。今後とも、県民の皆様の御協力を得てすばらしい資料館づくりに努めてまいりたいと考えております。
次に、八重山平和祈念館はほとんど資料が住民、遺族から取り寄せられたものであり、今後も展示資料の収集は続けられるべきと考えると、その失われた信頼を回復するためには今何をなすべきかと考えるかという御質問に対してのお答えでございます。
八重山平和祈念館は、戦争マラリアの実相を後世に正しく伝えるとともに、八重山地域から世界に向けて人権の尊重と恒久平和の実現を訴える平和の発信拠点として建設されたものであります。
祈念館に展示されている資料や収蔵されている資料の多くは、御遺族、地域住民の皆様から寄せられたものであり、今後とも本祈念館の基本理念を生かすため引き続き資料の収集を進めるなど内容の充実に努めていく考えであります。
次に、県当局は政策参与の調査を通して安易にその責任を分散して痛み分けにしていると、このような結果、分散の姿勢をとれば火に油を注ぐ結果になるのではないかと、見解を伺いたいという御質問のお答えでございます。
政策参与の調査は、八重山祈念館の展示についての事実関係を整理し県民の前に明らかにすることでありました。調査の結果、報道されている批判や懸念は必ずしも事実を反映したものでないこと、そしてこれらの批判や懸念を払拭するためには広く情報の公開が不可欠であると報告されています。
私としては、事実関係が明らかになったので、今後は御遺族を初め地域の皆様の意向が反映されるよう協議の場を設けるなど適切に処理をしていきたいと考えております。
次に、同じく政治姿勢についての中で、1つは、牧野副知事の著書「沖縄の自己検証」での記述に関連しての知事の見解、また著書内の「昨今の沖縄の状況を憂う」について、3の「沖縄戦体験を深化させるための視点」についての知事の見解を伺いたいというのを一括してお答えします。
安全保障及び在沖米軍基地に対する認識については、日米安全保障条約が、国際連合下の安全保障体制及びアジア情勢などから見て、我が国の平和と安全のため必要であるということは今日の国際政治の現実であり、本県に所在する米軍基地が日米安保体制を維持する上で重要な役割を果たしていると認識しています。
しかしながら、本県には、在日米軍専用施設面積の約75%の広大な米軍基地が存在しています。本県が負担している過重な米軍基地は、県民生活や本県の振興開発にさまざまな影響を与えていることは厳然たる事実であり、多くの県民が基地の整理縮小を強く望んでいることについても十分に認識しております。
本県の米軍基地は、過去の歴史的背景からさまざまな問題が複雑に絡み合っています。そのような意味で、本県の基地問題の解決に向けては国際情勢や県土の有効利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、環境の保全、経済振興策等さまざまな問題についてトータルな視点から一つ一つその解決への道筋をつけながら対応することが基地の整理縮小を実現する現実的な対応であると考えています。
以上が私の基地問題に関する基本的な考え方であり、牧野副知事においても私と同様な認識に立っているものと理解しています。
次に、普天間飛行場の返還問題について、普天間飛行場の移設選定作業の進捗状況、日米政府から期限は設定されているか聞きたいとの御質問のお答えでございます。
普天間飛行場の移設については、現在国に提示するための絞り込み作業を進めており最終的な段階でありますが、移設後の跡地利用問題や移設先の振興策について特段の配慮がなされる必要があると考えております。そうした中でできるだけ早く決定できるよう全力を挙げて取り組んでまいります。あわせて、関係市町村の理解と協力が得られるよう十分に調整していきたいと考えています。
なお、作業の期限については設定されておりません。
次に、普天間飛行場返還問題について、普天間飛行場の北部移転とサミットの開催地問題は明確にリンクしていると考えるが、日米双方の政府でも説明や認識に違いがあると、県当局の認識はどうか聞きたいと、してないと考えるならば根拠を示してほしいという御質問のお答えでございます。
サミットの開催と普天間飛行場の移設はそれぞれ県政の最重要課題であると認識しています。
普天間飛行場の移設問題は、前県政時代に返還が合意されて以来取り組まれているものです。
私も公約に掲げ、知事に就任以来、県議会において普天間飛行場問題は県政の最重要課題であり、全力を挙げて取り組んでいく旨表明してきており、ことし3月1日に普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室を設置し県内移設に向けての作業を開始しました。その後、4月29日にサミット開催が決定されておりますので普天間飛行場問題とサミット開催は別問題であります。
次に、知事はなぜ当初から県外移設を論外として排されてきたのかという問題と、それから果たして県民の合意が得られるのか、むしろ県内移設こそが非現実的ではないか所感を聞きたいという御質問のお答えでございます。この2つの問題を一括してお答えしたいと思います。
普天間飛行場の返還は、地元宜野湾市を初め沖縄県から強く要請を行い、日米両国政府が精力的に協議を行ってSACOの合意に至ったものです。
前県政においても、平成8年4月12日に普天間飛行場の返還合意が発表された際の記者会見において、普天間基地の解決を図るためには一番望ましいのは無条件に返していただくことだが、今の厳しい状況の中でそれを望んだ場合には実現しないという面が出てくる、より危険度の少ないという関係でこれを第一歩にして次々と解決を図っていくしか我々には道はないという考えを示しております。
県としては、普天間飛行場を含め本県が過重に負担している米軍基地については、まずSACOの合意事案を着実に実施し段階的に整理縮小を図ることがより現実的で実現可能な方法であると認識しています。
このような観点に立って、県内移設に向けてさまざまな観点から政府へ提示する案についての検討を進めているところであり、県民の理解と協力を求めていきたいと考えております。
次に、県民の声が反映されていないSACOの合意を県政はどう考えているか、SACOの評価を再度見直すべきでないか、SACOによって本当に基地の整理縮小は実現できるのかという御質問と、SACOによる県内移設では県民投票や名護市民投票のように県民同士の対立が起きる可能性が高いがどう思うかということのお答えでございます。一括してお答えします。
SACOは、在沖米軍専用施設面積の約21%の土地の返還を初め、県道104号線越え実弾砲撃演習の廃止等沖縄県民の負担軽減を図るため日米両国政府が真摯に協議を行い合意に達したものと理解しております。
基地問題は、国際情勢や県土の有効利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、環境の保全、経済振興策等多くの問題が複雑に絡み合っていることから、県としてはSACOの合意事案を着実に実施し、実現可能なものから一つ一つ解決していくことが基地の整理縮小を促進する現実的で実現可能な方法であると認識しております。
県としては、地元市町村の意向を踏まえ幅広く県民の理解と協力を得ながら、SACOの合意内容の着実な実施に向けて前向きに取り組んでいきたいと考えております。
次に、普天間飛行場返還問題について、知事は軍転法の改正などで政府との間で何か取引があったのか、沖縄の米軍基地の固定化につながる重大な事態を政府の力に屈する形で認めるべきでないと、県民投票の結果は無視できない、知事の所見を聞きたいとのお答えでございます。
駐留軍用地跡地利用促進のための新たな制度の確立等に関する国への要望は、駐留軍用地の返還に当たって所有者へ不安を抱かせないよう、また計画的な跡地利用を図るという観点から給付金の支給期間の延長や跡地利用の実施主体について国に求めたものです。
悲惨な沖縄戦を経験し長年にわたる米国による統治を経た後、今なお全国の米軍専用施設面積の約75%が存在していることから県民は米軍基地の整理縮小を求めております。このような県民の基地負担を軽減するためSACOが設置され、普天間飛行場を含む11施設の返還が合意されました。
このような経緯から、普天間飛行場の返還についてはSACOの合意に沿った県内移設を行うことが現実的で実現可能な方法で基地の整理縮小につながるものと考えております。
次は、浦添への軍港移設は基地効率を高め米国の長期使用を可能ならしめるものと考える、SACOの合意事項はこのことを追認したものと思うが見解を伺いたいということでございます。
SACOの合意事項は、県、地元市町村の要請や県民の基地の整理縮小を求める要求にこたえ、日米両国政府が精力的に協議を行い、普天間飛行場の全面返還を初めとする米軍基地の整理縮小などについて合意に達し県民の基地負担の軽減を図ることとしたものであります。したがって、まずSACOの合意事項を着実に実施することが米軍基地の整理縮小を図るためより現実的で実現可能な方法であると認識しております。
次に、那覇軍港が浦添に移転されキャンプ・キンザーに直結されるとキンザー基地の固定化は必至である、そうなれば浦添市の将来計画が大きなダメージを受け大幅な変更が必要になるが、このことについてどう考えるかのお答えでございます。
本県の産業振興や経済の自立的発展を図るためには、浦添埠頭地区を含む那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備することが重要であると考えております。
那覇港湾施設の移設については、本県の経済振興を促進する観点及び将来の港湾計画との整合性等から、浦添市を初めとする関係機関の意向等を踏まえて総合的に検討しているところであります。県としては、この計画の中で浦添市の西海岸開発計画も促進されるものと考えております。
那覇港湾施設の移設先については、港湾の管理運営や一般市民の生活に支障がないよう関係機関と十分調整してまいりたいと考えております。
次に、県、那覇市、浦添市3者間の覚書に、軍港の移設についてはSACOの合意事項を進めつつ、方法については3者で協議すると表現した経緯について知事の所見を求めたいということです。
那覇港管理の一部事務組合設立については、平成3年の那覇市及び浦添市による組合設立の合意を経て、両市から県へ組合参加の要請が行われております。
県としては、那覇港を西海岸ベースポート地区の一環として国際拠点港湾として早期整備を進めたいとの考えに基づき、平成9年一部事務組合への参加を決定し、組合設立に向けた諸準備を進めてきたところであります。
こうした中で本年7月15日、県議会において組合の早期設立に向けての促進決議が提案され可決されておりますことは、組合設立に対する期待をあらわしたものと理解しております。
組合設立に向けた調整に際し、那覇港湾施設の移設に関する事項を含めたのは、那覇港の管理組合の構成団体となる3者が事前に共通の認識を持つ必要があると考えたからであります。
また、福祉行政についての御質問の中で、新規卒業者の就職状況は54.9%と低く事態は深刻だと、その打開策はあるのかと、そして知事がかわっても県政不況は続いていると認識してよいのかと。
御指摘のとおり、本県における新規学卒者の就職決定率は低い水準となっており厳しい状況にあります。
そのため、新規学卒者の雇用対策を県政の最重要課題の一つとして位置づけ、1、県内・県外企業を対象とする求人説明会の開催、2、合同面接会の開催、3、県外企業職場体験実習、4、県外企業職場見学会、5、大学生等就職準備セミナー等の事業を展開しているところであります。
また、雇用情勢の抜本的な改善を図るためには産業の振興による雇用機会の拡大が重要であり、引き続き既存企業の育成や新規企業の誘致等の諸施策を推進しているところであります。
その結果、平成11年8月現在で19社のコールセンター等情報通信関連企業が県内に進出し、既に1400名もの人が雇用されており、今後もIBM沖縄サポートセンター(仮称)やオリックスカスタマーセンター(仮称)等の進出が予定されております。
なお、県政不況についてでございますが、知事選の際、私が県政不況と申しましたのは、沖縄の不況は全国的な不況に加え県政に起因した不況であり、政府との信頼関係が損なわれたために諸般の沖縄振興策が中断された結果、閉塞感が蔓延したことを指したものであります。
就任後、私は政府との信頼関係のもとに沖縄政策協議会を再開・始動し、沖縄経済振興21世紀プランの策定及び沖縄政策協議会調査検討プロジェクトの早期具体化を図るなど振興策を積極的に推進していることは御案内のとおりでございます。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化国際局長(金城勝子) 当山全弘議員の御質問にお答えいたします。
知事の政治姿勢からでございますけれども、現時点までに監修委員会で了解されていた展示内容を来年3月の開館に間に合うよう早急に実施すべきだと考えるが、その点の確認をしたいというお尋ねでございます。お答えいたします。
新平和祈念資料館の展示につきましては、現在でも構築物を中心に作業が進められており、今後は県、監修委員会、展示請負業者の3者が連携を密にして調整を進め、来年3月末の開館には十分間に合わせていけるものと考えております。
それから、勉強中とされていた県案は撤回されたものとして確認してよいか、勉強会の段階で展示業者に実物を制作させることは常識的にはあり得ない、県側は明確に監修委員抜きで展示内容、説明文の変更を進めていたことを認めるべきであると考えるがどうかというお尋ねでございます。一括してお答えいたします。
勉強会というのは、展示業者と話し合う前に内部で、局内で行う検討会のことでございます。勉強会の検討結果を展示業者との話し合いの場に提案することになります。そこで話し合いを積み重ねまして一つの結論に達しますと監修委員会へお諮りいたします。展示内容についての最終決定は監修委員が行うという手順でございます。
したがいまして、御指摘のような勉強会の県案を撤回することや勉強会の段階で展示業者に実物を制作させること、それから監修委員抜きで展示内容、説明文の変更を進めていたということはございません。
それから、慰藉事業の経緯と基本理念を実現するためにはマラリア遺族や地元の考え方が尊重されるべきである、今後新たな地元の要求を八重山郡民や遺族とともに国にぶつけるべきだと考えるがどう考えるかというお尋ねでございます。
マラリア慰藉事業は、戦争マラリア犠牲者援護会の皆様の粘り強い行動の努力の成果でございます。今後、御遺族や地域の皆様の意向が十分に反映されますように協議の場を設けるなど適切に対応してまいりたいと考えております。
それから、展示内容の変更はどういう手続で、どこで決定されたか、監修委員、専門委員には了解が得られていたか、当初監修委員で決定されていた内容の展示を実施するため新たに前委員を監修委員に再任命して対処すべきではないかというお尋ねでございます。一括してお答えいたします。
八重山平和祈念館の展示内容については、平成11年2月の最終の監修委員会の検討結果を受け事務局案を作成し、5月10日に本島在住の2委員、5月13日に八重山在住の5委員に報告をいたしました。
その中で、集団自決の写真パネル、それから波照間小学校児童慰霊祭の大パネル、戦争マラリア略年表のパネルに対していろいろ御意見がございましたので、事務局として6月11日に八重山在住の元監修委員に再度その処理方策を提案し検討していただきました。
その結果、3点の要望事項につきまして同意が得られたものと理解いたしまして展示業務を完了したものでございます。
しかしながら、展示の経過に関し修正方法やその経過について十分でなかったという御指摘もあることから、今後地元の意向が十分生かされるように協議の場を設け祈念館の充実を図ってまいりたいと考えております。
それから、八重山平和祈念館における監修委員と専門委員の関係が整理されていない、専門委員について県当局では業者が組織した専門委員会という認識があるようだが、その根拠は何かというお尋ねでございます。
監修委員会は、八重山平和祈念館監修委員会設置要綱に基づき祈念館の展示の実施設計及び制作について監修することを主な任務として設置されております。知事が依頼をしております。
また、専門委員会は展示を実務的に行う作業部会として展示業者の中に組織されたものでございます。
以上でございます。
○企画開発部長(宮城正治) 基地問題・基地の県内移設問題に関連いたしまして、平成12年目標の港湾計画の改訂作業において軍港の位置づけはどうなっているかについての御質問にお答えいたします。
現在、那覇港の平成12年度末港湾計画改訂に向けた調査といたしまして国際流通港湾計画調査を実施いたしております。世界の物流動向等を踏まえ、国際的な物流の拠点となり得る港湾施設や物流機能の整備のあり方などを具体的に検討しているところであります。
御質問の那覇港湾施設の移設につきましては、防衛施設庁が民間と米軍の共同使用の実態等について基礎的な資料を収集し検討しているものと聞いております。最終的には国から具体的な移設案が示されるものと考えております。
県としましては、具体案が示された場合、本県経済振興を促進する観点及び将来の港湾計画との整合性等から、浦添市を初めとする関係機関の意向等を踏まえて総合的に検討していく考えであります。
以上です。
○知事公室長(親川盛一) 当山全弘議員の基地問題・基地の県内移設問題についての質問事項のうち、米軍基地の環境問題はアメリカと日本で調査、回復、補償、責任等どのような問題があるかという御質問にお答えをいたします。
日米地位協定第3条第3項は、合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行うことを規定し、また同協定第16条では日本国の法令尊重義務を規定しております。
しかしながら、政府は、一般国際法上、外国の軍隊が駐留する場合に、地位協定あるいはそれに類する協定に明文の規定がある場合を除いては接受国の国内法令の適用はないとの見解を示しており、我が国の環境法の適用はないとされております。このようなことから基地内への立入調査が容易に認められず、県は基地の環境汚染の実態を把握することができない状況にあります。
また、日米地位協定第4条第1項で、米国は、施設・区域を返還する際の原状回復義務を免除されていることなどが問題点として考えられます。
県は、来る11月にいわゆるボン補足協定で駐留NATO軍に対して国内法を適用するなど制度が整備されているドイツを実地調査することにしており、その調査結果などを踏まえて日米地位協定の見直しを含め環境調査及び環境浄化に係る制度上及び財政上の措置を政府に求めていきたいと考えております。
次に、同じく基地問題・基地の県内移設問題についての質問事項のうち、日米両政府間で基地内の環境問題についていかなる交渉が行われているかという御質問にお答えいたします。
基地内の環境問題については、日米両国政府間で話し合う場として日米合同委員会のもとに環境分科委員会が設置されており、当該委員会で本県の米軍基地内の環境問題に係る個々の案件について米国側と話し合いが行われているものと承知しております。
日米合同委員会の合意事項は、SACO最終報告によりこれまで以上に公表することに努めることが合意されておりますので、県としても環境分科委員会の協議内容等について適宜公表を求めてまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) 基地問題・基地の県内移設問題に関する御質問のうち、県当局が現在最も危惧する基地内を発生源とする環境汚染の実態と解決策は何かという御質問にお答えします。
基地内を発生源とする環境汚染は、PCB等の有害物質による土壌や地下水の汚染及び油流出事故による公共用水域の汚染等多岐にわたっております。
特に、有害物質による土壌及び地下水の汚染については浄化対策に長い時間と膨大な経費を要することから最も重要な課題と考えております。
基地内の環境汚染の解決には、基地内に立ち入り、有害物質等の使用実態や施設等の維持管理状況を把握するとともに、情報公開や事故発生時の迅速な通報体制を確立することなどの制度面の整備が必要であると考えます。
したがって、県としては日米地位協定を含む関係法令の整備が急務と考え、外国の例を参考にしながら制度面や技術面での比較検討を行い、米軍基地の環境問題の解決に向けて具体的な制度の見直しを国に求めていきたいと考えております。
同じく基地問題・基地の県内移設問題に関する御質問のうち、基地内の廃棄物処理の実態を把握しているか、民間地域との比較で問題があるかという御質問にお答えします。
米軍基地から発生する廃棄物のうち、基地内の家庭等から排出される廃棄物については県内の廃棄物処理業者に委託処理されており、平成9年10月から平成10年9月までの1年間に約3万7000トンが処理されていることを把握いたしております。
しかし、その他の廃棄物については米軍基地に国内法が適用されないことから立入調査や情報の入手ができず、種類ごとの発生量及び処理、保管等、実態の把握が困難な状況にあります。
民間地域においては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき廃棄物の適正処理が行われているところでありますが、基地内においてはその実態がよく把握できないことから適正な処理等が行われているか懸念されるところであります。
県としましては、環境を保全する観点から今後とも基地内の廃棄物の実態把握に努めるとともに、基地内立入調査の許可、廃棄物に関する情報公開を米軍に申し入れていきたいと考えております。
次に、同じく基地問題・基地の県内移設問題に関する御質問のうち、基地周辺地域での基地内の環境監視、調査活動にいかなる対策を講じてきたか、水質、土壌、空気の実態はある程度周辺の定点観測でも把握可能と思われるがどうかという御質問にお答えします。
県では、昭和51年度から基地内の汚水処理施設からの排出水を監視する基地排水監視調査を10施設11地点、また基地周辺の河川や海域などの水質、底質、魚類の調査分析を行う基地周辺公共用水域監視調査を6施設13地点で実施しており、可能な限り実態把握に努めているところであります。
しかしながら、基地内の環境汚染の実態については明らかにされていないことから、これまでの基地周辺の環境調査だけでは基地内の環境汚染実態を把握することは困難であります。
このようなことから、基地内の重金属や有害物質等による土壌汚染や地下水汚染の実態を把握するためには、基地内への立入調査等の実現が必要であると考えております。
以上であります。
○福祉保健部長(平良健康) 福祉行政についての御質問のうち、県内の身体障害者授産施設の現状と育成策について伺いたいとの御質問にお答えいたします。
県内の身体障害者を対象とした授産施設は、入所授産施設3カ所、通所授産施設1カ所、福祉工場1カ所と重度の入所授産施設3カ所の計8カ所が設置されておりまして、定員412人で、406人が利用しております。これらの方々に職業を与えるとともに自活に必要な訓練を行っております。
県としましては、今後とも地域のニーズの動向を踏まえ計画的に整備を進め身体障害者の自立と社会参加の促進に努めてまいります。
○商工労働部長(宮城春一) 当山議員の福祉行政の中の雇用状況と障害者雇用についての質問の中で、具体的に県内の雇用状況の概況を報告願いたいという御質問にお答えいたします。
本県の雇用状況を見ると、7月の完全失業率が8.7%と全国を大幅に上回る水準で推移するなど厳しい状況が続いております。特に29歳以下の若年者が15.2%となっており相対的に厳しい状況に置かれていますが、最近では30歳以上層の失業者が増加するなど中高年層の厳しさも増しております。
その一方で、県内有効求人数が卸・小売業やサービス業を中心に7カ月連続して前年同月を上回るという動きもあり、こうした動きを失業者の再就職につなげ、雇用情勢の改善に結びつけていくことが重要であると考えております。
次に、同じく福祉行政の中の障害者の各事業所での法定雇用率は達成されているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
平成10年6月1日現在の本県民間企業401社における雇用障害者数は1051人で、実雇用率は1.55%と前年より0.02ポイント上昇し3年連続して全国平均を上回りました。しかしながら依然として法定雇用率1.6%を下回っており、雇用率未達成企業も全体の51.4%を占めている状況にあります。
平成10年7月1日からは知的障害者を含む新たな民間企業の法定雇用率が1.6%から1.8%となったこともあり、障害者の雇用の促進にはこれまで以上に努力していく必要があると考えております。
このため、県としましては障害者の合同面接相談会、職場適応指導、事業主に対する啓発活動などのこれまでの施策に加え、11年度においては障害者の求人掘り起こしを行うための障害者求人開拓推進員の配置及び事業主の雇用意欲を喚起するため特定求職者雇用開発助成金の助成率の引き上げ、知的障害者等の方が実際の職場環境の中で基本的な職業習慣の習得を行う就業体験支援事業の実施等、障害者のための雇用対策の充実強化を図りながら引き続き法定雇用率の達成指導に努めているところであります。
以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) 台風18号の被害について、農作物の被害状況についてお答えします。
サトウキビについては、倒伏や折損等により7億5400万円の被害を受けており、今後塩害による品質低下が危惧される状況にあります。
園芸作物については、年末出荷用の菊や葉野菜、バナナやパパイヤを中心に被害を受けており、被害額は8億5000万円となっております。
その他作物や施設関係の被害を加えた被害総額は16億7400万円となっております。
今後の対策につきましては、被害拡大を防ぐための営農指導を強化するとともに、各種農業共済制度の適用や制度資金の活用等を検討していく考えであります。
○土木建築部長(銘苅清一) 台風18号の被害についてのうち、台風による道路決壊の状況についての御質問にお答えいたします。
沖縄本島に9月22日最接近した台風18号は、那覇市で最大瞬間風速58.9メートル、24時間最大雨量477ミリメートルと復帰後の最大雨量が観測されております。
同台風による路肩決壊、のり面崩壊等の道路災害の状況につきましては県管理国道及び県道で17件、被害額約3億7000万円となっております。
地域別では、北部地域で県管理国道1件、県道18号線ほか4件、中部地域で県道38号線ほか3件、南部地域で那覇糸満線ほか5件、八重山では石垣浅田線1件となっております。
また、街路樹等は約55路線で約1300本の倒木被害があります。
県としては、緊急を要する箇所につきましては応急的な措置を講ずるとともに、引き続き本格的な復旧に努めてまいりたいと考えております。
なお、市町村道の道路災害につきましては22件、被害額約2億7600万円の報告を受けております。
次に、沖縄中央育成園で土砂崩れが発生しているが、どのような対策を考えているかとの御質問にお答えいたします。
南風原町新川地内の土砂災害は、台風18号による豪雨により長さ約60メートル、幅約60メートルの範囲で地すべりが発生し、崩落した土砂量は約1万立方メートルと推定しております。
災害発生後、直ちに県と南風原町は連携をとり災害対策本部を設置し現地調査を行い現状把握をするとともに、現場への立入禁止、周辺住民への避難の勧告、シート布設による雨水浸透防止、地すべりを感知する自動警報機を3カ所に設置する等の緊急措置を講じてきております。
今後、南風原町と連携を密にし現場監視を続け、早急に施設内の土砂除去を行うとともに、落石や崩土の危険防止のため鋼ぐいや土のう等による対策を講じ2次災害の防止に努めていきたいと考えております。
同じく、急傾斜地崩壊による災害防止に関する法律の適用はあるかとの御質問にお答えいたします。
当該地域の地すべり災害は、地すべり等防止法で規定する土地の一部が地下水等に起因してすべる現象の被害に該当すると思われますので、同法の適用を考えております。
同法に基づいて事業を進めるためには、地すべり防止区域の指定をする必要があり、合わせて14名の地権者の同意が必要となります。
指定に当たりましては、過去に一部の地権者の同意が得られず区域指定ができなかった背景があったことから、今後、地元南風原町の積極的な協力のもとに関係地権者の同意を得ていきたいと考えております。
なお、本格的な対策工事は、地権者の同意が得られ次第国と調整を図り、災害関連緊急地すべり対策事業が採択され、早急に工事着工ができるよう取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○知事(稲嶺惠一) 答弁漏れがございましたのでおわびいたします。
先ほど最後に私の郷土の先輩である山川泰邦先生の著書を示されまして、当山先生の方から、先人の記録を残して実相というものを残すということは大変重要であるということで、おまえの考えはどうかということでございますけれども、全く同感でございます。
○文化国際局長(金城勝子) 2点ほど答弁漏れがございました。
まず、勉強中の県案が撤回されたならば、その撤回によって県は金額にしてどの程度の余計な出捐をしたことになるのかという御質問でございますけれども、これに対しましては余計な出捐があったとは理解はいたしておりません。
それから、国際連合の活動展示スペースを新設する案と、それから沖縄戦の状況をトータルに把握し、沖縄、日本、世界の平和を考えるという観点から八重山における戦争マラリアの被害実態は本館においても展示すべきだと考えるがどうかというお尋ねでございます。
八重山における戦争マラリアの被害実態につきましては、新資料館の常設展示第2展示室で「沖縄戦と住民」の中の「先島の状況」で八重山群島におけるマラリア被害者として取り扱う予定でございます。
なお、国際連合についての展示をするかどうかにつきましては監修委員会で検討していただきたいと考えております。
以上でございます。
○当山 全弘 議長、休憩願います。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後7時9分休憩
午後7時11分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) けさの新聞の件でございますが、7月31日は、その時点における監修委員会に向けての事務方の作業の中間報告を受けました。
内容としては、資料館の展示作業の進捗状況や監修委員会に向けての検討状況でありました。そのとき私から、世界の平和に貢献する資料館となるようにしてほしいと伝えました。
それから先ほど、知事は自分の責任をどう考えるかということでお答えをいたしましたが、再度お答えします。
私は、沖縄戦の実相をきちんと伝え、世界平和に結びつくようなすばらしい資料館を完成することが務めであると考えております。
○当山 全弘 再質問をいたします。
資料館問題については、大変重大な問題だというふうに我々は認識をいたしております。
沖縄戦の実相をねじ曲げるようなことを3月23日の時点で知事の方が行ったわけですね。そしていろいろなことについて事務方がやるわけはないと思うんですよ。知事の方が関与しているものだからやったんであって、こういうことを覆い隠そうとする自体私はおかしいと思うんですけれども、報道されているような事実はないとするならば、その報道については間違っているということについて考えられますけれども、知事のこの新聞報道等について事実関係はないということがはっきり言えますか。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後7時14分休憩
午後7時14分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
当山全弘君。
〔当山全弘君登壇〕
○当山 全弘 今の問題について、私はこれは重大な事実関係と相違するという立場から、知事はこの重大な責任について速やかに県民に対しあるいはまた監修委員会、あるいは専門委員会の方々に謝罪をすべきだと考えます。
以上、よろしくお願いします。
○知事(稲嶺惠一) 実は、国策にという表現が出ておりました。私も記者会見でそれは明確に否定をいたしました。こういう発言を全くしておりません。どこから出たのか逆に知りたいわけです。それは関係者にも私もそれは全部聞きました。3月23日は私の部屋ではございません。実は3月23日にこんなものだという模型の話をこれは私だけじゃなくみんなで、全員が見まして、こういうものでやるということで、そこでいろいろ述べましたけれども、そこで決定をしたり何をしたと、何を言ったということは一切ございません。
以上、御報告します。
○当山 全弘 議長、休憩願います。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後7時17分休憩
午後7時18分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
石川副知事。
〔副知事 石川秀雄君登壇〕
○副知事(石川秀雄) ただいまの御質問の趣旨はちょっとよく理解できないんですが、新聞でいろいろ書かれていることについてどれを指して言っているのかがよくわかりません。
ただ、一連の過程において担当局長、私もそういうことを受けております。しかしこれが必ずしも……(発言する者あり)
どれでございますか。いつのものでございますか。(「きのうのもの」と呼ぶ者あり)
ですからそのことについては、先ほど知事がお答えしましたように中間の報告の段階であります。
そこでぜひ御理解いただきたいのは、今回の平和資料館の作業というものがどういうものかということを先ほど知事も繰り返し言いましたが、事務局と監修委員の先生方あるいは委託を受けた業者の方たちと繰り返し繰り返し作業をしながら詰めていくわけであります。そして基本的には最終的には監修委員の先生方の監修を経て最終のものになるわけであります。
ですから、作業の過程の中においてはいろんな過程の発注者からワーキンググループがあり、そして委員会があり、例えば用語委員会がある。最終的には全体を監修委員会へかけていくと、その過程の問題であるわけです。ですから先日も部会が開かれましたし、また20日には全体委員会も開かれております。
任期は11月9日でございますが、それに向けての作業をしていくわけであります。そういう過程の中でのワーキンググループ、事務局の過程でございます。それをもって県が指示した具体的なあれということはございません、三役の。事務局の作業の過程ということで御理解いただきたいと思います。そして最終的には監修委員の先生方がこの監修をするということで御理解いただきたいと思います。その過程であるということが大事でございます。
以上です。
○兼城 賢次 社民党・護憲共同の代表質問をいたします。
新平和祈念資料館と5月に開館された八重山平和祈念館の展示についてであります。
けさの沖縄タイムス、琉球新報は、担当部局は知事に展示の変更内容を7月に報告をしていたことを明らかにいたしております。これまで、こういうことは知らぬ存ぜぬとしらを切っていたことを思うと、その政治、行政的姿勢は許されるものではありません。
報告を受け承知しながら、県民に事実を明らかにせず、ほおかむりを続けてきたことは、県政不信の最たるものであります。政策参与のもっともらしい調査報告も何ともむなしく見えるものでありますが、コメントはしておきたいと思います。
資料館展示問題について県の調査結果でありますが、不信感やこじれた問題を整理、解決するには、担当者が双方の言い分を聞き公平に対応することが求められます。
しかしこの調査は、肝心な監修委員からの聞き取りはなく、県のいわば身内の言い分だけを聞くにとどまらず、都合の悪いことにはほおかむりをし、制作にかかわった業者からの指摘も無視しているとのことであります。
また、監修委員会の議事録を委員会の了解のもとに公開し、公開性をアピールしたいようでありますが、事は監修委員会の決定された後に改ざんが行われたのであり、もっともらしい議事録公開も問題解決にはならないのであります。問題解決のはずの調査さえも、県民には一層の不信感を与えたものでしかありません。
そもそも平和祈念館は、今次大戦の悲惨な思いは二度とあってはならないという県民の思いが込められたものであります。今、県政の根幹にかかわる平和祈念資料館の展示問題は、県当局が勉強会などをして監修委員の決定後に展示内容を変更していることについて地元2紙には県民から連日投稿があります。
多くは戦争の実相を風化させてはならない、戦争は二度とあってはならないという強い思いがあります。戦争体験の年配に限らず、10代から80代と多くの人たちの思いが書かれております。
87歳の仲本さんは、去る大戦でひどい目に遭った我が沖縄だから、二度とこんな目に遭わないよう恒久平和を願って後世の人々に伝えるためつくられる資料館だと思う。それには戦争当時の真実の姿を伝えるのがよいのではないか。県政が変われば平和祈念資料館の展示内容も変わってよいのではないかという意見もあるようだが、とんでもないことである。平和祈念資料館は、世界人類の平和を願ってつくられると思うので、戦争当時の実相を後世の人々に知ってもらうような展示内容にすべきではないかと訴えておられます。
19歳の金城さんは、愚かな行為、同じ間違いを起こしてはならないと建てられたのが平和祈念資料館である。その展示内容を変更するのは、同時に事実をゆがめることになる。半世紀という歳月は、戦争を風化させるには十分だというのか。そのようなことがあってはならぬと述べております。県民の大方の思いだろうと思います。
政治的イデオロギーはともかく、今次大戦を風化させてはならないという一点は、多くの県民に共通の認識として共有し得るものではないでしょうか。6月23日の慰霊の日の設定もこの共有の思いがあったからこそ、県民各層の声となって実現されたのではなかったか。
さて、そのことを前提としてでありますが、問題となっている展示内容についてであります。
私どもは、マスコミ報道を通して知り得たことがほとんどでありますが、社民党県連は、八重山平和祈念館展示問題調査団を照屋寛徳参議院議員、島田力県議らを石垣に派遣いたしております。
関係者の方々と意見交換や調査をした結果、県や地元支庁へ申し入れや要請なども行っております。
八重山平和祈念館問題の経過、推移を見ると新平和祈念資料館問題の成り行きともかなり似たようなものが見えます。たまたま新平和祈念資料館は、監修委員らが制作中の模型を見て展示物の変更に気づき、加えてマスコミが展示内容の変更を取り上げ報道されたことに端を発して県民の声や監修委員や関係者の異議申し立ての前に勉強会の成果の実現を見ずに挫折したと、そう見えるのであります。
ちまたでは、これまで事務方の勉強会がいかにも脱線ぎみにひとり歩きしたかのごとく受け取られることがなきにしもあらずであります。ある意味で、県政の根幹にかかわる問題を事務方が勝手に見直し作業を進めることは考えにくいわけで、けさの報道でなるほどというわけであります。
しかし、知事はこれまでみずから指示していないとコメントしてきました。報告を受けて承知はしていたが、指示はしなかった、事務方がいろいろ勝手にやったということでありますか。
知事の言動にも釈然としないところがあります。言ったのか、言わなかったのか、暗示的とはいえ指示したのかしなかったのか、すっきりしないことが続きましたが、マスコミが随分いいかげんな報道をしているかと思われかねない。
事務説明の中で、国策に反する展示内容はいかがなものかとの発言が取りざたされました。そのことに知事は、記憶にないとのことでしばらく後にわざわざ国策という発言をしたかについて同席した者に確認したところ、だれも言ったと言っていなかったと。どうしてそういう表現になったのか、誤解を招く表現があったのかと思うとのコメントがありました。
発言があったのかなかったのかも大事でありますが、ただ、その発言があったのかなかったのかが、県民がどう受けとめているか、ご存じでしょうか。
9月20日の沖縄タイムスの「時事漫評」に「調査するなら、その眼鏡はやめて!」、タイトルで「国策」の眼鏡をかけた人物が「沖縄戦の実相」と書かれた文字を拡大鏡で見ている漫画であります。
もう1つは、9月5日の琉球新報の「うそっぱち」に「資料館の展示変更」とかけて、「教科書検定委員に抜擢したい-文部省 稲嶺知事殿」とブラックユーモアがあります。
これを見たとき、寂しい思いをいたしました。残念な思いでもあります。教科書検定委員に抜てきしたいなどとうそっぱちに採用されるには、その前提があるからでありませんか。
それは、本県議会1982年9月に教科書検定に関する意見書が決議されているのであります。
意見書には、沖縄戦での日本軍による「筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県民にとって、歴史的事実である県民殺害の記述が削除されることはとうてい容認しがたいことである。 よって本県議会は、沖縄戦の体験を正しく伝え、悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにも、同記述の回復が速やかに行われるよう強く要請する。」とうたっております。
このブラックユーモアが採用され、受け入れられることの意味は大きいのであります。マスコミに報道された資料館展示変更に知事としての明確な対処がなされなかったからではありませんか。今、そのことが問われているのであります。
そこで質問をいたしますが、最初にけさの報道との関係で文化国際局長にお聞きをいたします。
知事に7月31日にどのような報告をしたのか、詳しくお聞かせいただきたいと思います。
次に、現平和祈念資料館の設立理念について所感を賜りたい。あわせて沖縄戦についての所感もお聞かせください。
平和祈念資料館での監修委員、八重山平和祈念館の専門委員の役割、位置づけがどのようなものか、わかりにくいものがありますので御説明願いたいと思います。
八重山平和祈念館の展示内容について監修委員の了承も得ず展示内容の変更があったとされるが、どうなのか。
八重山平和祈念館で5月31日に県職員が元監修委員に対し、展示内容を現場で説明する旨を伝え待機させながらすっぽかしたのはなぜか。
八重山平和祈念館と新平和祈念資料館は、展示内容のあり方にも整合性を持たせるのかどうか、お聞きします。
新資料館の監修委員の了承を得ずに展示業者に制作の変更を指示したのはいつなのか、その日時を明確に願いたいと思います。
監修委員の任期は11月までですが、開館までの期間はどうするのか。
次に、この問題について県民の不信感は深いものがあります。新平和祈念資料館の見え消しと言われるものも含めて展示内容を公開し、あわせて開館後の運営のあり方についても御説明を願いたいと思います。
次に、普天間飛行場移設についてでございます。
政府の陽動作戦かとも思える動きが活発であります。名護市の市民投票での物量作戦のあり方、前面での旗振りに懲りてのことだという。基地を押しつけるための新たな物量作戦が振興対策の名目でなされている。これは、かつての高等弁務官資金のようなもので、基地との共存のための対策であるが、それを繰り返しても自立経済にはならず、むしろ妨げとなり、基地を固定化する悪循環につながっているという指摘があります。
普天間基地の県内移設が整理縮小どころか、危険の移設でしかないとの認識のもとに移設先がうわさされる地域では反対運動が起こっています。
今、普天間飛行場移設問題が動き始めたとのごとく聞こえますが、県はどのように認識されておられるか、お聞かせください。
次に、米軍基地の環境問題についてお伺いをいたします。
返還された恩納通信基地跡地や嘉手納基地内のPCB汚染、キャンプ瑞慶覧内の土壌汚染があります。
ところが、米軍は基地内の県による調査要求を拒否し続けております。その根拠は日米地位協定だといいます。移設がこれから具体化していく普天間基地は間違いなく汚染されており、土壌と地下水の汚染除去には15年間かかるだろうとカリフォルニア州マーチ空軍基地の環境専門家は推定いたしております。時間だけではなく、莫大な費用がかかることであります。
米国の基地跡地を視察した大田前知事は、3選立候補を決意するに環境汚染問題に取り組むことを挙げておりました。一部からは普天間問題のすりかえだとのブーイングもありました。私どもは、基地の汚染問題は県政の最大課題として位置づけるべきだと考えております。
軍用地返還・跡利用対策特別委員会は、米国の基地を視察いたしております。同行した我が会派の平良長政議員からも報告を受けました。法的、財政的裏づけのもとに進められているようでありますが、我が沖縄は基地内の汚染問題はいまだに植民地的な取り扱いではありませんか。
基地内の汚染問題に重くのしかかっている日米地位協定について、知事は積極的に取り組むべきと考えますが、所見をお聞かせください。
○知事(稲嶺惠一) 兼城賢次議員の御質問にお答えいたします。
まず平和行政について、平和祈念資料館の設立理念について所感を賜りたいと、あわせて沖縄戦について所感をお聞かせ願いたいという点でございます。
平和祈念資料館の設立理念は、県民個々の戦争体験を結集し、戦没者の追悼と沖縄戦の教訓を正しく次の世代に伝え世界の恒久平和に寄与することであり、このことは県民の「平和を希求する心」をあらわしたものであると理解しております。
また、沖縄戦の特徴は、我が国で唯一一般住民を巻き込んだ地上戦が展開されて20万余のとうとい人命が失われたことと、軍人よりも一般住民の戦死者が多かったことだと理解しております。
このようなことは二度と起こってはならないものでありますが、世界においては今なお地域紛争が各地で発生しております。
私としては、このような観点から沖縄戦の実相を風化させることなく正しく後世に伝えていくとともに、広く世界に目を向けた幅広い視点に立った平和の発信が重要であると考えております。
次に、監修委員の任期が11月までだが、開館までの期間はどうするのかという御質問でございます。
現在の監修委員の任期は、ことしの11月9日までとなっておりますが、任期内に監修を完了しない場合は開館までは引き続き現体制で監修に務めていただきたいと考えております。
次に、平和行政について、この問題についても県民の不信感は深いものがある、新平和祈念資料館の見え消しと言われるものを含めて展示内容を公開し、あわせて開館後の運営のあり方についても説明願いたいということへのお答えでございます。
平和祈念資料館は、事業費約74億円、年間ランニングコスト約3億円を要する一大プロジェクトであるにもかかわらず、事業計画の内容、その作業工程が県民の多くにほとんど理解されておらず、県民の理解を得るために広く情報の公開に努めてまいりたいと思います。
なお、その管理運営については県の直営と法人への委託の形態が考えられますが、いずれにしましてもその機能が十分発揮されることを念頭に現在検討しているところでございます。
次に、普天間飛行場の移設問題について、普天間飛行場移設問題が動き始めた、前進したかのごとく聞こえるが、県はどのように認識しているか聞きたいという点へのお答えでございます。
普天間飛行場は、市街地の中心部にあることや飛行場及びその周辺部が重要な開発拠点となっていることから、一日でも早く動かす必要があります。このため県は現在、普天間飛行場の県内移設に係る作業を鋭意行っており、普天間飛行場問題の解決促進が図れるよう全力を挙げて取り組んでいるところであります。
次に、環境問題についてで、米軍基地内の環境汚染を解決するため日米地位協定を見直すべきだがどうかという点へのお答えでございます。
米軍基地から派生する環境問題については、日米安全保障条約及び日米地位協定の締結当事者である日米両国政府の責任において取り組むべき課題と考えておりますが、県においても基地周辺住民の安全な生活環境の確保の観点及び基地の計画的かつ段階的な返還の促進と返還跡地の有効利用の実現の観点から、米軍基地の環境問題について積極的に取り組んでいるところであります。
県では去る8月、国に対し、駐留軍用地の返還に際し環境浄化処理の確認調査など国の行うべき措置について明示するよう沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律(軍転特措法)の改正を要請してきたところであります。
また来る11月には、いわゆるボン補足協定で駐留NATO軍に対して国内法を適用するなど制度が整備されているドイツを実地調査することにしており、その調査結果などを踏まえて日米地位協定の見直しを含め環境調査及び環境浄化に係る制度上及び財政上の措置を政府に求めていきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化国際局長(金城勝子) 兼城賢次議員の御質問にお答えいたします。
まず、新資料館での監修委員、専門委員の役割、位置づけがどのようなものか、わかりにくいものがあるので説明願いたいというお尋ねでございます。
新平和祈念資料館の監修委員は、沖縄県平和祈念資料館(仮称)監修委員会設置要綱に基づき、新平和祈念資料館の展示及び事業活動等の監修をしていただくため沖縄戦の研究者等の専門家に知事が依頼しているものでございます。
なお、専門委員につきましては同要綱に規定はなく設置はいたしておりません。
次に、八重山平和祈念館の展示内容について、監修委員の了承も得ず展示内容の変更があったとされるがどうかというお尋ねでございます。
展示内容に関しては、八重山平和祈念館の監修委員会は平成11年2月に終了いたしておりますが、県としては監修委員会の意見を尊重する立場から展示内容の最終案を5月10日に本島在住の2名の委員に、また5月13日に八重山在住の5名の委員にそれぞれ御報告申し上げました。
その結果、集団自決の写真パネル、波照間小学校児童慰霊祭の大パネル、戦争マラリア略年表に関しての意見が出されました。
このことについて、再度監修委員にお諮りするために6月11日に八重山地域の元監修委員に御検討をいただきました。
その結果、3点の要望事項を初め、展示内容全体にわたって同意が得られたものと理解いたしまして展示業務を完了したものでございます。
それから、八重山平和祈念館で5月13日に県職員が元監修委員に対し、展示内容を現場で説明する旨を伝え待機させながら、すっぽかしたのはなぜかというお尋ねでございます。
県職員が去る5月13日に八重山の監修委員の先生方へ報告したことについて説明いたします。
当日は、担当職員が展示物に関する写真等のコピーにより、これは八重山支庁の会議室で説明を行ったものであります。
なお、報告の場において担当職員から、八重山平和祈念館において現在展示作業を進めているところでありますので、先生方も現地で実際にごらんになっていただきたいと思います。なお、私はきょう那覇に戻りますが、飛行機の時間まで間があれば現地で一緒に展示作業について確認したいと思いますと発言し、そのことが監修委員の先生方を八重山平和祈念館で待たせることになったとの報告を受けております。
本人からは、このことが先生方に誤解を与え、失礼なことをしたと心から反省をいたしており、今後かかる行為は絶対に改めるという報告を受けております。
次に、八重山平和祈念館と新平和祈念資料館は、展示内容のあり方にも整合性を持たせるのかというお尋ねでございます。
八重山平和祈念館は、「沖縄県平和祈念資料館及び平和の礎の設置及び管理に関する条例」において平和祈念資料館の分館に位置づけられております。
平和祈念資料館が、沖縄戦を中心に展示しているのに対して、八重山平和祈念館は戦争マラリア関係を中心としておりますが、沖縄戦及び戦争マラリアの実相を正しく伝えることに関しては整合性を図っていく必要があると考えております。
それから、新資料館の監修委員の了解を得ずに展示業者に制作の変更を指示したのはいつか明確に願います、またいつ取り消したのかというお尋ねでございます。
展示内容については、県と展示業者の間で検討を積み重ね、その結果を展示案として監修委員にお諮りいたします。
このような作業を繰り返しながら展示内容を決めていくことになります。したがいまして監修委員の承諾を得ずに展示内容を変更するということはございません。
それからあと1つ、7月31日にどういう報告をしたかというお尋ねがございましたけれども、当日、資料館の監修委員会に向けての業務の進捗状況について知事の方に報告を申し上げようということでございましたけれども、私は当日、摩文仁の方に別用務で行きましたので、うちの次長と所管課長、その他職員の方が知事の方には御説明を申し上げたということで、帰ってまいりましてから、戻りましてから進捗状況の業務報告は行いましたという報告は受けてございます。
以上でございます。
○兼城 賢次 7月31日の報告については、なぜこのように大きく取り上げられたかということを理解していらっしゃるかどうかですが、なぜ皆さん方は今の時点で記者会見をして発表したか、これもひとつお知らせいただきたいと思います。
進捗状況というものだけれども、どういうような経過のことなのか、あるいは内容のことなのか、具体的に教えてください。
そして、特に八重山平和祈念館の展示内容の監修委員のことでは了解をとったということでありますけれども、これは間違いございませんね。
このことの確認はなぜ必要かというと、9月20日に知事は改めて記者会見をいたしております。そのときにこの八重山平和祈念館の設立説明についての監修委員の承諾を得たとするこれまでの見解を撤回し、展示内容の見直しの方針を明らかにしたという報道がありますが、これは間違いなのか。
間違いであれば、明確にこれを間違いだというぐあいに指摘をしてもらいたいし、もし今了解したということの、局長のことを了解したということがあれば、なぜこの20日にこのような記者会見をしたのか、説明してください。
それから、「戦時中の八重山地域におけるマラリア犠牲の実態」という報告書がありますが、この報告書をどのように皆さん方は、知事は位置づけて、どう理解しているのか、御説明を願いたいと思います。
それから、八重山平和祈念館はもう開館をいたしました。なぜ平和祈念資料館の監修委員の任期のことをお聞きしたかと言いますというと、いまだに八重山の関係者は納得をしてないわけであります。そのことを承知なのか。
なぜそういう抗議、あるいは関係者からのこの趣旨についての皆さん方に訂正申し入れがあるのか。了解したというならばそのこともひとつ含めて教えてください。
そして監修委員がどういう仕事をするかということで確認しておりますけれども、作業の過程において勉強会をしながら皆さん方は業者に指示をしているというけれども、本来これは違うんじゃありませんか。監修委員が決定したものを業者に指示していくのが当然であって、皆様方がチェックするのは当然ですよ。少なくとも監修委員の業務というのはそういうことは定めているわけです。
皆様方の役割は、少なくとも庶務を取り扱う者として当然規約の中では要綱で決められているわけですから、なぜ皆さん方がそういうことまでやらなきゃいけないのか、そこもひとつ教えていただきたい。
それから3月のある時期に皆様方は県外調査をいたしております。それはいつだったのか、教えていただきたいと思います。
それから米軍基地についてでありますが、普天間の問題がいかにも今現在解決の方向にあるかのごとくですけれども、今県内で先ほど指摘しましたようにそのうわさされる地域で住民が反対行動を起こしておりますが、住民合意が前提だと言うならば、このことについてもどういうぐあいに認識しておられるか、教えていただきたいと思います。
それから基地の環境浄化でありますけれども、このことにつきましては先ほど申し上げましたようにアメリカに跡地利用特別委の方々が視察で行っております。共通の認識を持ってのものだろうと思いますが、たとえ普天間基地が今直ちに返還されても専門家から指摘すれば15年間かかるというようなこういう状態を今の日米地位協定などではとても間に合わない、返還されるということが前提で我々は今整理縮小を求めているわけですけれども、このことについても日米地位協定にかかわらず本当に取り組まなきゃいかぬという事態ですけれども、皆様方が今整理縮小だけにとどまらず、このことについてどういうぐあいに本当に真剣に取り組むかということもひとつお聞かせいただきたい。
○知事(稲嶺惠一) 普天間の問題につきまして、基地移設につきまして住民の反対運動があると、合意が必要であればこれについてどう思うかということでございますが、先ほど申し上げましたように選定中でございますので、現在は特定の場所についてお答えすることはできません。
○知事公室長(親川盛一) 兼城議員の米軍基地の環境問題についてお答えをしたいと思います。
地位協定とのかかわりもあって鋭意その見直しについても関係機関に要請しているところでありますけれども、米軍基地を円滑に今後返還していくためには、その返還前にそういう環境調査及び浄化対策等についてこれが図れるよう今後とも要請していきたいとこのように考えております。
○副知事(石川秀雄) 八重山平和祈念館の質問のうちの一つについて私の方でお答えさせていただきます。
先ほど監修委員の皆さんの理解が得られたのかという御質問でございますが、局長としては担当者を派遣し、本島、そして八重山地区の委員の皆さんに理解を得られたものと理解してその後の作業をしたわけでございます。
ただその後、9月17日に関係者がお見えになりまして私どもは理解をしていないと、了解していないという御説明がございました。
しかし、そうであるならば、これについては私どもは理解を得られたと見てオープンしましたし、また先生方は理解をしていないとこういうことでございますので、そのことについては今後協議の場を設けて資料館を立派にしていきたいとこういうことでございます。
局長としては、理解が得られたものとしてその後の作業をしたと。しかし先生方は理解してないとこういうことでございますので、協議の場を設けて立派な資料館にしていきたいとこういうふうに思っていると。
したがって、知事のその後の記者会見もそういう前提での御発言と御理解いただきたいと思います。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後8時5分休憩
午後8時51分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
休憩前の兼城賢次君の質問に対する答弁を願います。
文化国際局長。
〔文化国際局長 金城勝子君登壇〕
○文化国際局長(金城勝子) まず7月31日の中間報告の内容でございますけれども、展示業務の検討状況とか、それから直接建物はできておりませんが、早く現場を見てほしいとか、そういった中間報告を申し上げたということでございます。
それから県外出張の件でございますけれども、県外の同じくそういった資料館の県外出張ということでございましたので、私は3月の25日から26日に──実質26日でございますね──大阪にあります資料館、ピースおおさかでありますけれども、あちらの方に参りまして展示状況、それから事務局長さんにお会いして財政的な面でございますね。それからボランティアの運営の方法とか、皆さん、どういうふうな形で日常の活動をなさっているのだとか、そういったお話を伺ってまいりました。
それから昨日記者会見をやったわけですけれども、そのことについてもお尋ねでございました。
これはこれまで約26か27団体の御要請を私ども受けているんでございますけれども、ほとんどの団体の方も早くそういった資料等も公開を求められておりましたし、それからマスコミからも正式にございました。それから監修委員の皆様の方からも資料の提供の要求がございました。
そういった意味できのう記者会見をマスコミにそれは差し上げるためにやったわけでございます。
それから、戦時中の八重山地域におけるマラリア犠牲の実態の位置づけということでお尋ねでございましたけれども、戦争マラリアとは、去る太平洋戦争末期の1945年に八重山地域において軍命により一般住民がマラリア有病地帯へと強制的に避難あるいは退去させられて多くの住民がマラリアに罹患し、命を落とした痛ましい出来事であると認識をしていたしております。
「戦時中の八重山地域におけるマラリア犠牲の実態」、これは八重山地域マラリア犠牲者部会報告で平成4年の2月に発行されておりまして戦争マラリアの被害の実態について述べてございます。罹患率が当時の八重山地域の全人口の54%、全人口3万1671名とこれにあるんですけれども、そのうちの54%がマラリアに罹患したということで亡くなられた方は全人口の1割にも上るものであったと聞いております。これは黄色い冊子なんですけれども、私どもマラリア関係の八重山平和祈念館の業務をやっていく者にとりましては大変大事なものであると思っております。
○兼城 賢次 先ほども質問いたしましたが、特に八重山平和祈念館のことにつきましては、先ほどは石川副知事の答弁がありました。
私がお聞きしておりますのは、局長は了解したと認識をしているけれども、肝心な副知事はこの監修委員の抗議があって、これから協議をしなければいかぬというように答弁しているわけです。局長が了解したと言うんであれば、これはまだ監修委員会の了解は得られてないというぐあいになるわけですが、局長の答弁と石川副知事の答弁には食い違いがありますので、どちらかにひとつ統一した返事を答弁をしていただきたい。
それと業者と、先ほど事務方との勉強会を強調しておりましたけれども、実際にはこの勉強会の中身が具体的に業者に指示をされて、それが7月15日の時点ででき上がったものを監修委員会が見て、これは違うんじゃないかということで問題が発端だというぐあいに指摘しました。
勉強会というのは事務方のこれは仕事かもしらぬけれども、業者に具体的に指示をして物をつくっていくと、模型をつくっていくということはこれは皆さん方はちょっと監修委員会への越権行為じゃないですか。それをひとつ説明をしていただきたい。
監修委員会の先ほど責任について聞きましたのは、最終的にはあくまでも監修委員のこれは指示に従うと言いながら、勉強会という形でこういう指摘をして、結果として八重山平和祈念館、これは勉強会の結果ですよ。そういう結果があるものだから、同じような形で平和祈念資料館も進めてきたというような不信感があるから、このことを聞いておりますので、答えてください。
○副知事(石川秀雄) 先ほどもお答え申し上げましたが、局長としては八重山に行かれたり、また那覇在住の監修委員の先生方に御説明して理解が得られたものと思い、そしてその後の作業を進めたということでございます。しかしながら、現実に9月17日に関係者がお見えになりまして私といろいろお話をしました。その中で了解はしていないということでございました。
したがって、この問題が今こうしてありますので今後監修委員の先生方の任期は切れておりますが、八重山資料館は現に存在しておりますので協議の場を設けて検討させていただきたいということで御理解いただきたいと思います。
○文化国際局長(金城勝子) 勉強会の結果について、監修委員会を経ないで業者に指示したのはいかがかという御質問だと思うんでございますけれども、県は発注者といたしまして業者とは絶えず連絡をいろいろしながら、基本計画に沿った計画プランを出しまして、これを監修委員の先生方に監修をしていただくわけです。(「その監修委員のどこから了解をとってやったんですかと言っているんですよ」と呼ぶ者あり) いや、私どもは事務方としてのこの作業をやりましてこれをやって、また持ち帰りまして、何度も……(「それを指摘しているんですよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○議長(友寄信助) 御静粛に願います。
○文化国際局長(金城勝子) この作業を繰り返しながらだんだん形になって最終的な監修をまた監修委員会の先生方がなさってこれは決まるわけでございます。(「八重山もそうだな」と呼ぶ者あり) はい、そういうことでございます。
以上でございます。
○兼城 賢次 局長は了解したというけれども、どういう説明をして了解をしたのか。了解をしていないからこそ八重山の監修委員会は抗議してきたわけで、それを了解した了解したというような一方的に言ったら、それじゃ監修委員の役目はないじゃないですか。
皆さん方は一方的に了解とったんだと、局長はそう言っている。しかし、副知事はそうじゃないからこれから協議すると言っている。どこかでこれは食い違っているわけだからちゃんとしなさいと言っているわけですよ。そのことをひとつ答えてください。
○副知事(石川秀雄) 先生の今の再質問について2つの面があると思います。
1つは、八重山資料館について理解を得られたものと局長は理解した。私は、そのことについて今後理解が得られてないと先生方がおっしゃっているので、協議の場を設けましょうとこういうことでございまして、答弁が食い違っているんじゃなくて、私が言ったことで統一していただきたいと思います。
それからもう一つの、監修委員の了解を得ないで業者に提示したんじゃないかという問題はこれは別の問題でありまして、作業の過程においては局長が説明したようにいろんな過程の場で委託業者との話し合いをしたりしていく、あるいはその間においてまた監修委員会があればかけていく、こういう作業の過程を申し上げたわけでありまして、質問が2つあると思いますので、最初の質問については私が申し上げたことでございますので、答弁の食い違いはないと思います。
○上原亀一郎 知事、傍聴席をごらんください。
平和資料館の監修委員の皆さんや関係する皆さんが大勢傍聴しておられます。
知事、県民の疑問に一切口をつぐみ、うそとごまかしでその場逃れの答弁を繰り返す皆さんの態度は、議会制民主主義と主権者県民への冒涜であり、断じて許せるものではありません。このことに厳重に抗議するとともに、事実を事実として答弁されるよう要求し質問に入ります。
日本共産党県議団を代表し知事に質問いたします。
最初に、県立平和資料館や八重山平和祈念館の展示がえ問題についてです。
来年4月オープン予定で準備が進められている県立平和資料館、既にオープンした八重山祈念館の展示内容が監修委員や県民が知らない間に県当局によってゆがめられ、沖縄戦の実相を覆い隠す形で進められていたことに多くの県民が怒りの声を上げています。
知事、沖縄県議会は1982年9月、沖縄戦の記述をめぐる国の教科書検定に対し、日本軍による「県民殺害は否定することのできない厳然たる事実」、「筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県民にとって、歴史的事実である県民殺害の記述が削除されることはとうてい容認しがたい」として与野党全会一致で意見書を採択し政府に要請団を派遣しました。これこそ県民の意思であり、いかなる政治的思惑をもってしても曲げることのできない歴史の真実なんです。
この沖縄戦の実相を伝える内容が、報道によれば県立平和祈念資料館で20カ所、八重山平和祈念館で12カ所にわたって変更が加えられています。
例えば、ガマの中での日本兵の残虐性が強調されないように配慮するとか、「虐殺」は「犠牲」と用語を変更するとして、住民に向けられた日本兵の銃を取り除く、ミルクに青酸カリを入れて服毒自殺を強要する衛生兵を取り除く、八重山平和祈念館では、作戦の邪魔になるとして日本軍の命令によるマラリア罹災地域への住民の「強制退去」を「避難」と書きかえる。
また、新設の戦後コーナーでは県民の人権と民主主義を踏みにじってきた米軍を、担当部局がアメリカはよいこともやってきたとの認識のもとに作業を進めていたことが監修委員によって明らかにされております。
マスコミは、知事を初め県三役がこれに深く関与したと報じておりますが、知事三役はこれを否定し、変更はあくまで事務方内部の議論の過程の一つとしています。今もそう言わんばかりです。
しかし知事、変更内容を見ればそれが明確な意思のもとに行われていたことは明らかではありませんか。仮に知事の政策を左右する問題を一部局、一職員が勝手に進めていたということになれば、これ自体重大な問題ではありませんか。
知事、あなたは82年6月の県議会決議をどう認識しておられるか、御答弁ください。
ところで知事、あなたは27日の記者懇談会で、県民が一番知りたいこと、平和祈念資料館の展示内容を県が変更するに至ったいきさつには一切触れず、一方的に監修委員に責任をなすりつけ攻撃する談話を発表しました。知事談話に関係者や県民、マスコミが一斉に反発したのは当然です。この県民の厳しい批判、激しい怒りに対しどのように責任をとられますか、あわせてお答えください。
我が党は、今回の問題で県がどのような根拠に基づいて変更を行おうとしているのか、その審議の過程と一切の資料を公表するよう要求します。
以上、お答えください。
2つ目は、基地の県内たらい回しについてです。
知事は、来年度の重点施策の基本方向でSACO合意の着実な実現を前面に打ち出し、米軍基地の県内たらい回し、新たな基地建設を容認する姿勢をこれまで以上に鮮明にしています。
政府は、これまで基地の移設は地元の頭越しにはやらないと繰り返し言明してきました。ところがクリントン米大統領がサミットに関連して、基地問題が未解決な状態では沖縄には行きたくないと発言するや否や、東京の官邸で関係自治体の議員に、那覇軍港を丸ごと浦添に移設し、名護市の東海岸に再びヘリ基地を押しつけようと圧力をかけました。
知事、これは地方自治への重大な挑戦であります。地元住民の意思を権力で抑えつけるものではありませんか。知事の答弁を求めます。
名護市の住民代表らが新たなヘリ基地建設の動きに対し県に抗議した際、応対した県の幹部が、名護市民投票は海上ヘリ基地案の是非を問うたもので、陸上案への是非ではないと発言しました。
知事、名護の市民投票用紙には名護市に対する米軍のヘリポート基地建設の是非を問う市民投票と明記されています。これでもあなた方は新たな基地建設への審判ではなかったと言うのですか。
また、政府は陸上案は無理と判断し海上案を提案したのではありませんか。お答えください。
3つ目は、不況打開、雇用拡大、沖縄の基幹作物サトウキビの価格引き上げの問題です。
昨年の県内企業の倒産は150件、負債総額は381億円に上ります。商店の倒産・閉店は3年間で2190店舗、その最大の原因が政府の消費税増税による売り上げの大幅減、規制緩和による中小企業分野への大手企業の無秩序な進出です。
県内の失業率は全国の2倍に上り、一家を支える40代から60代の失業者がふえており、失業、雇用問題の解決は急務中の急務です。我が党は、緊急要求として次の実現を求めます。
1、今、学校現場からは教職員定数法に基づく教職員の定数確保を求める声が上がっています。定数を遵守すれば小中高校で何人の教職員が必要か、また消防署員の定数確保では県、市町村合わせて何人必要か、県の今後の方向についても明らかにしてください。
2、さらに深刻な不況から中小業者を守るために中小企業金融安定化特別保証制度の継続と支払い期限の延期、特定不況地域制度の積極的活用など国の現行制度の活用を徹底し、制度の延長など実態に即した改善を国に求めることが必要です。お答えください。
3、銀行の貸し渋りや企業の一方的なリストラを放置せず、行政指導の強化が求められています。特に琉銀が公的資金の受け入れと引きかえに200人余の首切りを強行しようとしていることは重大です。県の雇用政策にも反するこのリストラを直ちに中止させるべきではありませんか。御答弁を求めます。
4、県庁のある部局では異常なサービス残業が続き、県庁全体で臨時職員依存が常態化しています。県は、国が年間総労働時間1800時間を公約していることを受けて時間短縮を独自の取り組みとして重視し、若者の雇用機会拡大の先頭に立つことが重要です。知事の御答弁を求めます。
5、政府は今、新農業基本法に沿って砂糖甘味資源政策の抜本的改悪を始めていますが、これは国産糖の販売価格を一気に引き下げることを最大の眼目に来年度から国産糖の価格決定に入札を導入し、キビ生産者、製糖工場などに一層のコスト削減、再編合理化を求めるものです。
政府のこうした方向は、長年にわたって低価格を押しつけられ、条件不利地域で厳しい経営を続けてきたサトウキビ生産者の生産意欲を一層奪い、製糖工場などの経営を危機に追い込むもので認めるわけにはいかないではありませんか。我が党は、知事が国産糖への入札制度の導入など市場原理の導入に反対するよう求めます。お答えください。
また、キビ価格の決定に当たっては、農家に再生産可能な所得を保証することを政府に強く要求するよう求めます。あわせてお答えください。
4つ目は、来年4月から実施される介護保険制度についてです。
県の調べでは、県民の介護保険料は全国より800円も高いものとなっています。
知事、県民所得が全国平均の7割台しかなく、しかも長引く不況下で国保税さえ払えない県民が急増しているもとで、介護保険料が深刻な社会問題となることは十分予測できることです。
例えば、保険料、利用料が高くて払えない低所得者や高齢者への減免制度の確立に向けた県の財政措置、市町村への指導の強化や在宅介護へのホームヘルパーの派遣など従来のサービス提供が後退しないよう万全を期すこと、特別養護老人ホームの増設など国と県、市町村が一体となって介護基盤の整備を急ぐなどは長寿県沖縄にふさわしく、県独自の施策の展開が特別に求められております。御答弁ください。
5つ目は、沖縄の経済振興について政府の責任を明確にする問題です。
沖縄県民が復帰に託した願いは、核も基地もない平和で豊かな沖縄の実現でした。米軍占領支配と県民との熾烈な闘いは、復帰に際し政府は、沖縄県民に償いの心を持って当たるべきとする国の責任を明確にした沖振法を制定させました。
しかし、広大な米軍基地の存在が沖縄の産業・経済の発展を極度に妨げてきました。
知事、沖縄経済の発展を真剣に考えるのであれば、この沖縄振興開発特別措置法の立法の趣旨に照らして同法の継続と抜本的な拡充強化、同法に基づく4次振計の推進こそ政府に迫るべきです。お答えください。ごまかしてはいけませんよ。
6つ目は、サミットの問題です。
来年のサミットで沖縄から何を発信するか非常に大事な問題です。沖縄から発信するテーマには2つあると思います。
1つは、戦後54年間に及ぶ基地被害や人権侵害、民主主義じゅうりんの実態を世界に発信し、世界の平和と民主主義の前進に貢献すること、アメリカの占領支配は絶対に許さないと。
2つ目は、沖縄戦の実相を広く世界に知らせ、二度とかかる戦争を繰り返さないよう沖縄の心を世界に発信することではないでしょうか。知事の御見解をお伺いします。
最後に、ガイドライン関連法、戦争法についてです。
自民・自由・公明の強行で成立した法律は、日本が侵略を受けなくてもアメリカの引き起こす戦争に自動的に協力、加担させられ、しかも先制攻撃をよしとする法律です。
知事、これは国連憲章に反し国際社会のルールを踏みにじるものですが、御見解を願います。
知事、今県政に求められていることは、憲法と地方自治の立場にしっかりと立ち返り、安保優先の自民党政治におもねり従うのではなく、県民の暮らしと平和と安全を何よりも優先させ、県民が主人公の県政運営に全力を尽くすことではありませんか。
最後に、このことを訴えて、以上質問を終わり、あとは再質問に譲ります。
○知事(稲嶺惠一) 上原亀一郎議員の御質問にお答えいたします。
最初は、平和祈念資料館問題について、教科書検定に対する1982年9月の県議会決議をどのように認識しているかとの御質問へのお答えでございます。
「教科書検定に関する意見書」は、教科書の中の沖縄戦の記述に関して沖縄戦の体験を正しく伝え、悲惨な戦争を再び起こさないようにするために県議会において全会一致で決議されたものと承知しております。
次に、同じく平和祈念資料館問題について、県民の批判に対してどのような責任をとるのかという質問のお答えでございます。
新平和祈念資料館の展示については、沖縄戦の実相を正しく伝えること、監修委員会の監修結果を尊重すること、さらに世界の平和に結びつくような資料館にしたいというのが私の基本姿勢であります。
今回の一連の批判は、この計画が構想から完成まで事業費約74億円、年間ランニングコスト約3億円を要する一大プロジェクトであるにもかかわらず、事業計画の内容、その作業工程が県民の多くに理解されないままに進められ、情報公開が不十分であったことに原因があると考えております。このため、今後は可能な限り情報を公開して県民の理解が得られるよう努めてまいります。
次に、基地の県内たらい回しについてでございます。
政府は、地方議員を官邸に呼び出し基地の県内移設を押しつけようとしている、これは地方自治への挑戦であり住民の意思を権力で押しつけるものではないか、所見を聞きたいとの御質問のお答えでございます。
地方議員が、それぞれの自治体の課題解決についてそれぞれの立場で行動されておられるものと理解しております。
次に、同じく基地の問題で、県は名護市民投票の結果について、海上基地建設案を問うたもので陸上案を問うたものではないとしているが、そのとおりか所見を聞きたいとの御質問のお答えでございます。
名護市民投票は、名護市が投票条例を制定し実施したものです。したがって名護市民投票の解釈については、地元名護市長が市議会において答弁した内容に沿って理解しております。
次に、サトウキビの価格問題についてでございます。
サトウキビ価格の決定に当たっては、農家に再生産可能な所得を保証するよう政府に求めることについてのお答えでございます。
サトウキビは、本県の基幹作物として重要な位置を占めております。またサトウキビ生産による関連産業部門への経済波及効果は3.21倍と極めて高く、農家経済はもとより地域経済の維持・発展に大きな役割を果たしております。
このため、サトウキビ生産者価格については、適正な農業所得を確保し再生産が可能な価格水準に設定されるよう国に対し関係機関と連携して強く要請しているところであります。
次に、経済振興問題についてで、見通しの立たない沖縄経済新法ではなく、沖振法の継続と抜本的拡充強化を直ちに国に要求すべきであるという御質問に対するお答えでございます。
現在、国が制定を目指しているいわゆる沖縄経済新法は、沖縄振興開発の総点検を踏まえた施策や沖縄経済振興21世紀プランの施策等を盛り込んだ3次振計後の新たな沖縄振興計画を実効あらしめるものと考えています。
沖縄振興開発特別措置法や復帰特別措置法等に基づく各種制度については、総合的に施策を展開していく観点から必要な制度は継承していくこととしておりますので、これらの法の趣旨も十分に生かせるものと考えております。
次に、サミットの政治利用についての御質問の中で、基地被害の実態などを世界に発信するとともに、沖縄戦の実相を広く世界に知らせ二度とかかる戦争を繰り返さないよう、沖縄の心を世界に発信することが重要と考えるがどうかということへのお答えでございます。
サミットの開催により、世界じゅうの目が沖縄へ集中します。私としては、この機会に平和を志向し、協調し、支え合い、そして異質なものを溶け込ませてしまう寛容さを持った沖縄の心を世界に発信したいと考えております。
過酷な沖縄戦を体験し、長年にわたる米国統治を経験した沖縄は、平和への願いと人権の尊厳を肌身で感じております。
このような観点から戦争の悲惨さ、平和のとうとさを後世に伝えるとともに、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って平和の発信に努めてまいります。
基地問題については、沖縄が長年にわたり過重な基地を負担しているという現状をありのままに見ていただくとともに、県民が基地の整理縮小を強く望んでいることを知っていただく必要があると考えております。
次に、ガイドライン法についてでございます。
新ガイドライン法は、アメリカの戦争に協力、加担し国際社会のルールを踏みにじるものであると思うがどうかという御質問のお答えでございます。
国は、周辺事態法に基づく対米協力は、我が国の平和と安全の確保に資するものであり、我が国の安全並びに極東の平和及び安全の維持という日米安全保障条約の目的の枠内で行われるものであると説明しております。
県としては、現在の国際連合下の安全保障体制及びアジア情勢などから見て、日米安全保障条約が我が国の平和と安全のため必要であるということは今日の国際政治の現実であると考えており、国会においてもこのような立場から周辺事態法等いわゆる新ガイドライン関連法の必要性を考慮し同法等を可決したものと認識しております。
また、私は去る9月7日に開催された政府主催の全国知事会議において、周辺事態安全確保法等の運用に当たっては、地方公共団体の懸念の解消を図るためにも地方公共団体への適時・的確な情報提供と地方公共団体の意向を尊重した法律の適切な運用を行うよう要請したところであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化国際局長(金城勝子) 上原議員の御質問にお答えいたします。
展示変更をどのような根拠に基づいて行ったのか、審議の過程と一切の公表を求めるというお尋ねでございますけれども、展示内容の決定についての最終的な判断については監修委員会において行われるものであり、変更がある場合においても監修委員会での検討を必要とすることになります。
審議の過程と一切の資料の公表につきましても、同様に監修委員会の判断が必要となります。
以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 学校現場は臨時職員がふえている、定数を遵守し正規の職員を確保すべきじゃないかという御質問にお答えいたします。
教職員の定数につきましては、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」及び「公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」にのっとり県の基準を定めて、できる限り本務教職員の配置ができるよう努めているところであります。
しかしながら、学校における教職員の臨時的任用職員については、児童生徒数の増減に伴う教職員定数の変動や特色ある教育課程の実施への対応とともに、新規採用者の中長期的な展望に立った採用計画及び教職員の年齢構成の適正化などを図る上から、一定の定数内の臨時的任用措置をやむを得ず行っているところでございます。
なお、平成11年度の状況につきましては標準法に定める定数は1万4575名でございますが、そのうち今申し上げました事情によります欠員補充が小・中・高・特のすべての学校を合わせまして1059人となっているところでございます。
今後とも、教職員の配置基準に基づいた職員の適正配置を図り、本務職員の確保に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) 消防署職員の定数確保に関する御質問にお答えします。
消防職員の定数については、消防庁が示す「消防力の基準」を参考にしてそれぞれの市町村の事情を加味し、市町村が条例で定めることになっております。
この基準に基づき、平成8年4月1日現在で算定した県内の所要消防職員数は2080人となっておりますが、平成11年4月1日現在の現員数は1379人で、充足率は約66.3%となっております。これは全国平均にも達しない低い率となっております。
また、条例定数は平成11年4月1日現在1396人で、現員数の条例定数に対する充足率は約98.8%となっております。
県といたしましては、消防力の充実強化を図るため、消防職員数についても基準を達成するよう各市町村等に対し指導助言を行っているところであります。
○商工労働部長(宮城春一) 上原亀一郎議員の不況打開、雇用拡大、キビ価格問題の中の中小企業金融安定化保証制度の継続と支払い期限の延期など制度改善を国に求めるべきだと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
中小企業金融安定化特別保証制度の県内における実施状況は、8月末現在6089件、1201億6900万円と県内中小企業の資金調達環境の改善に大きく寄与しています。実施期間は平成12年3月末までとなっていますが、その継続については現在国において検討中とのことでありますので、その動向等を見守りながら対応してまいります。
また、同制度を利用した中小企業者の皆さんが返済に困難を来した場合は、支払い期限の延期など返済条件の緩和が可能となっていますので、保証協会に対しては柔軟に対応するよう指導を行ってまいります。
今後とも、同制度について県の広報媒体の活用、商工会議所等関係機関と連携をとりながら説明会の開催等いろいろな機会をとらえて周知を図ってまいります。
次に同じく不況打開、雇用拡大、キビ価格問題の御質問で、特定不況地域制度の積極的活用など国の現行制度の活用の徹底を図るべきだと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
本県は、地域雇用開発等促進法(昭和62年3月31日法律第23号)によりまして求職者が多数居住し、かつ求職者の総数に比し相当程度に雇用機会が不足しており、その状態が相当期間にわたり継続することが見込まれる地域として県全域が雇用機会増大促進地域として指定されております。
これにより、国は本県内で事業所を設置しまたは整備して地域の求職者を雇い入れる事業主に対して地域雇用開発助成金を支給するなどの援助を行っているほか、職業訓練の実施に係る特別措置や広域職業紹介対象者として認定された者に対する県外企業への面接旅費及び移転料の支給などの援助を行っております。
また、本県独自の制度である沖縄若年者雇用開発助成金制度もあり、こうした制度を積極的に活用することにより雇用の創出、拡大に努めてまいりたいと考えております。
なお、「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」が昭和62年4月1日に改正となり、それ以前の特定不況地域に係る部分が地域雇用開発等促進法の雇用機会増大促進地域等として引き継がれているところであります。
今後とも、こうした制度を積極的に周知・活用することにより失業者の就職の促進に努めてまいります。
同じく不況打開、雇用拡大、キビ価格問題の質問の中の銀行の貸し渋りを直ちにやめさせること、琉銀の200人余のリストラは県の雇用政策にも反する問題、これをやめさせるべきではないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
民間金融機関の貸し渋りにつきましては、中小企業金融安定化特別保証制度の実施によりかなり改善されているものと思われます。しかしながら、金融機関の貸し出しは中小企業者の資金ニーズに必ずしも十分にこたえたものとはなっていないのが現状でございます。
金融機関に対しては、中小企業育成の立場から融資の円滑化について引き続き要請を行ってまいります。
また、琉球銀行の200人余のリストラについては、公的資金の導入に伴う経営の健全化のための計画に基づくものであります。
これは、2001年4月のペイオフ解禁などの金融機関を取り巻く厳しい経営環境の到来に向け経営体質強化と競争力の向上を目指したものであると理解しております。
なお、人員削減計画の実施に当たりましては、1、希望退職者を募る、2、定年退職者の補充を控える、3、出向や配置転換を進めるなどの方法により行い、退職者の再就職のあっせんについても誠意を持って取り組むと伺っております。
県といたしましては、人材移動特別助成金や緊急中高年再就職促進訓練事業等の活用を促進するとともに、雇用促進事業団沖縄雇用促進センター等との連携のもとに雇用対策を推進してまいります。
以上でございます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 県は時間短縮を独自の取り組みとして重視し、若者の雇用機会拡大の先頭に立つべきだと考えるがどうかという質問にお答えします。
県の時間外勤務は、公務のため臨時の必要があるときに予算の状況も見ながら命ずるものであり、諸施策の推進、多様化する行政サービスや新たな行政需要への対応を図る必要があることから、業務多忙時において必要最小限の時間外勤務を命じているものでございます。
今後、職員の健康・福祉の向上を図る観点から、毎週月曜日及び水曜日のノー残業デーの徹底や週休日振りかえ制度の活用、不要不急な事務・事業の見直しを図ること等により時間外勤務の縮減に努めていきたいと考えております。
また、雇用失業問題の解決は県政の重要な課題であり、県としては勧奨退職を積極的に実施することによって若者の雇用の場を確保したいと考えております。
以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) 政府の国産糖への入札制度など市場原理の導入に反対することについての御質問にお答えします。
現在、国から国産糖の入札制度の導入を含む新たな「砂糖・甘味資源作物政策大綱」が提示されております。
具体的な入札制度の仕組みや実施時期等については、12月までに生産者、国産糖企業、精製糖企業、行政等の関係者で検討することになっております。
県としては、製糖工場の経営に十分配慮した入札制度の仕組みや実施時期になるよう要請をする考えであります。
また、生産者価格についても国産糖価格の変動に影響されない仕組みにするよう関係機関と連携しながら強く要請し、生産者が安心して生産拡大に取り組めるようにしたいと考えております。
○福祉保健部長(平良健康) 介護保険について、介護保険の実施に当たって長寿県にふさわしい独自の施策が求められているがどうかとの趣旨の御質問にお答えいたします。
介護基盤の整備については、特別養護老人ホームを初めとした施設整備は全国的にも高い水準で進んでいますが、在宅サービス面についてはおくれている部分があります。
このため、老人保健福祉計画の目標値を達成するよう市町村を指導するとともに、民間事業者の積極的な参入を促進するため、現在、県において調査を実施しているところです。
しかし、離島地域においては民間事業者の参入が期待できないことから、「離島等相当サービス」の活用について指導をしているところです。
また、介護予防、生活支援の施策として介護保険以外の在宅福祉サービスや老人保健事業の充実を図るよう指導助言を行っています。
離島におけるマンパワーの確保について、県では現在、離島に講師を派遣して研修を行ういわゆる出前方式によるホームヘルパーの養成を行っているところです。
低所得者に対する何らかの減免制度が必要かどうかについては、市町村の意見、他県や国の状況等も踏まえながら検討をしていきたいと考えております。
○上原亀一郎 知事、監修委員会の意見を尊重すると答弁なさいましたが、監修委員会の展示内容を改ざんし県民の大きな怒りがあるわけですよ。尊重するかどうかということは、この県民の怒りを踏みにじるものであります。そんな答弁がありますか。
そもそも監修という言葉の意味は何ですか。責任を持って監督するということですよ。展示及び事業活動等実施設計及び制作について監修委員会は責任を持って監督する任務を設置要綱で付与されているではありませんか。つまり監修委員は監督権者なんですよ。皆さん方がこの監督権限を侵したからこういう問題が起きてきているんです。さっきの副知事の答弁も全くなっていませんよ。こんなことでは納得できませんよ。本当に監修委員の監督権者の権限をあなた方が守っておったら、こんな事態は起こらないんですよ。
知事、率直に県民に謝罪しなさい。そうじゃないと県民は納得しませんよ。
○知事(稲嶺惠一) 私は、沖縄戦の実相をきちんと伝え、世界平和に結びつくようなすばらしい資料館を完成させることが私に課せられた責任であると考えています。監修委の検討結果を尊重していきます。
そのような意味を込めて一連の御質問にお答えしてきたつもりであります。
○上原亀一郎 ちょっと休憩してください。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後9時52分休憩
午後9時53分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
新垣哲司君。
〔新垣哲司君登壇〕
○新垣 哲司 新進沖縄を代表いたしまして代表質問をいたします。
台風18号で多くの被害を出しました。お見舞いを申し上げたいと思います。
それと、台湾大地震に際しまして多くの方々が犠牲になりました。哀悼の意を表したいと思います。
知事の平和行政に関しまして伺いたいと思います。
これは、「護郷隊」ということで、当時新聞記者であった上地一史さんがその実態を本にして当時の戦争の模様を書いてあるものでございます。発行は1965年でございますが、立派な本でございますので、一部御紹介をしたいと思います。(資料を掲示)
太平洋戦争で、日本にとって、もっとも悲惨な戦いは沖縄戦であったと思う。「国土に敵を迎えての大戦争」。日本歴史にはないことだった。そして、少年護郷隊は、この国土戦、すなわち老幼男女すべてを戦士とする悲情な戦争の一つの象徴であった。顔にニキビもまだふき出ない少年達、食糧もなく、鉄砲もない兵隊。その少年護郷隊の、またの名を「ハブ部隊」と称した。沖縄の山野に生息する毒ハブ。北部タニュー岳に陣する少年たち。毒ハブを焼いて食う、ということより、住んでいる場所、その潜行性(夜行性)、身に危険を感ずると飛びかかる、そういった共通なものを思わせた別名である。私がこの少年護郷隊と行動を共にしたのは、いよいよ米軍が、沖縄に上陸作戦をかけるという切迫した情勢になって、軍部から新聞社を二分し、一つを首里の本拠において前線向け新聞を、一つは 住民が疎開している北部で住民向け新聞を発行するようにとの命令が下り、私がその北部班のキャップとなっていたからである。米軍は伊江島を制し、本部半島に上陸。設営完了したばかりの山中の印刷所も戦車砲に吹き飛ばされてしまった。一瞬にして「万事休す」である。そこで私は連絡員の案内で少年護郷隊の村上隊長に会い、列外ながら生死を共にする許しを得たのである。 負傷を癒していた剣隊の北隊長と共に、待避1分差で直撃弾を免れたり、あるいは米兵の軽機掃射をまともに食いながら山腹の死角をぬって命拾いしたり、移動中、数歩の間隔で歩いていた連絡員が迫撃砲弾の破片で脳天をそがれるといった危険な状況で、私は少年兵たちの活躍をみつめていた。 もともと米軍上陸せば、その戦力を、ゲリラ戦法をもって滅殺するのが、この護郷隊の使命だったが、北部地区の本職の兵隊は敗走を余儀なくされて、決定的な不安と食糧欠乏で動揺する一般避難住民となんらかわらず、しかも全島の戦況われに利あらず一路潰滅へと陥ちていった。こうした情勢下で幼い少年たちの立場は、追いつめられてノビたハブのようなものでしかなかった。 しかし、それでもなお、彼らは隊を崩さず、天皇の「終戦宣言」まで、その使命に生き抜いた。彼らにとっての救い、それは実の兄貴みたいに、頼りきれる村上隊長、その豊かな人間性に結びついた少年たちの純情、それが支えであったと思う。
というふうに上地一史先生は言われているわけであります。
そこで質問をいたすわけでございますが、新平和祈念資料館について伺います。
ア、新平和祈念資料館の基本理念を変更したのか伺いたい。
イ、監修委員の承諾を得ずに展示内容を変更した報道がなされているが、監修委員の意見を尊重するという県の方針から、こういうことはあり得ないと思うがどうか。
ウ、新聞報道によると県は乃村工藝社に展示変更の指示をしたということがあるが、このようなことがあるのか。
(2)、八重山平和祈念館について知事の見解を伺いたい。
ア、展示内容の決定に関して、県と監修委員会及び委託業者の関係はどうなっているのか。
イ、新聞報道によると監修委員会の承諾を得ずに展示内容を変更したと報じられているが、開館までの県の手続及び今後どのように対応していくのか伺いたい。
ウ、八重山住民の戦争からの避難に関する説明で、軍命による強制退去であった説明が避難状況に変更されたとなっているが、なぜこのようなことになったのか伺いたい。
エ、県が展示内容案を八重山地域の監修委員に説明した際に意見が出されたと聞いていますが、これを説明願いたい。この意見に対してどのように対処してきたのか伺いたい。
次、農業試験場についてお尋ねをいたします。
(1)、基本構想は平成5年に策定され、基本計画の策定、用地購入、基本整備設計計画、施工、移転完了についてどのようになっていますか。
(2)、農業を続ける農家に対してどのような話し合いをしてきたのか。
(3)、代替地の確保はどのようになっていますか。
(4)、おくれている理由は何ですか。
(5)については次回に回したいと思います。場合によっては委員会でやるかもしれません。
3、普天間基地について伺います。
9月20日の地元紙新報、タイムス夕刊の記者懇記事における知事のコメントは、稲嶺知事が同飛行場移設問題で具体的に言及し、名護市東部のキャンプ・シュワブ移設を軸に検討しており、知事は公約に沿った移設案を検討していることを強く示唆したとのことでありますが、知事は選挙のときに、私は解釈するのではなく、解決する知事になるとのキャッチフレーズを掲げていたとおり、危険な状態の普天間基地を一日も早く移設をしなければならないとの使命を着実に実行する意欲のあらわれであり、高く評価をするものであります。
そこで伺います。
(1)、知事がキャンプ・シュワブにこだわるのはむべなるものと理解をしますが、工法とかは別にして、キャンプ・シュワブに絞って普天間ヘリポート移設作業を進めるのが問題解決が早くなると思いますが、知事の御所見を伺いたい。
(2)、反対派の動きも活発になり不気味な雰囲気になりつつありますが、反対運動はどのように展開されると思いますか。どのように対応しますか。事によっては機動隊導入などの強い姿勢で解決する意思を持っておられますか、お尋ねします。
(3)、激しい反対運動に加えて、いずれの市町村長も拒否をしている。現実に変化がなければ地元の頭越しにはやらないという政府の姿勢などから、県が泥をかぶり強権力を発動することもあり得るか。普天間ヘリポートの県内移設に取り組まなければ普天間ヘリポートは凍結されることになるのですが、知事はどう思いますか。
(4)、普天間ヘリポート移設が凍結されると21世紀の自立を目指す本県の経済振興事業に大きなダメージになり、4次振計事業とか知事の目玉政策である経済新法などすべておかしくなる。すなわち本県の経済振興の夢が消え、米軍基地の整理縮小もストップする最悪の事態を迎えることになり憂慮すべき問題であります。
時間でございますので、終わります。
○知事(稲嶺惠一) 新垣哲司議員の御質問にお答えいたします。
最初は、平和行政に関して、新平和祈念資料館の基本理念を変更したのか伺いたいということについて。
現平和祈念資料館は、県民の個々の戦争体験を結集し、戦没者の追悼と沖縄戦の教訓を正しく次の世代に伝え、世界の恒久平和に寄与することを基本理念に昭和50年に建設されております。
新資料館はこの基本理念を継承し、平和の礎と一体となって沖縄の視座から世界の恒久平和を希求するために移転改築するものであり、理念、コンセプトに変更はありません。
続いて、県は監修委員の承諾を得ずに展示内容を変更したと報道されているが、監修委員の意見を尊重するという県の方針からこういったことはあり得ないと思うがどうかとの御質問へのお答えでございます。
展示内容については、県と展示業者の間で検討を積み重ね、その結果を展示案として監修委員会にお諮りします。このような作業を繰り返しながら展示内容を決めていくことになります。したがって監修委員の承諾を得ずに展示内容を変更するということはありません。
次に、農業試験場について基本計画の策定、用地購入、基本整備設計計画、施工、移転完了についてでございます。
沖縄県農業研究センターは、21世紀を展望した特色ある亜熱帯農業の技術開発及び農業技術を通した国際交流の拠点とすることを目的に現在の農業試験場を組織再編し、糸満市真壁地内に移転するものであります。
農業研究センターの整備につきましては、平成6年度に基本構想及び基本計画を策定し用地取得を進めてきました。今後の計画といたしましては、用地の早期取得に努め、平成14年度を目途に工事に着手できるよう取り組んでいく所存であります。
次は普天間基地について、キャンプ・シュワブに絞った移設作業を進めるのは問題解決が早くなると思うが、知事の所見を聞きたいとのお尋ねでございます。
普天間飛行場の移設については、現在、国に提示するための絞り込み作業を進めており最終的な段階でありますが、移設後の跡地利用問題や移設先の振興策について特段の配慮がなされる必要があると考えております。
そうした中で、できるだけ早く決定できるよう全力を挙げて取り組んでまいります。あわせて、関係市町村の理解と協力が得られるよう十分に調整していきたいと考えています。
次に、普天間飛行場移設に反対する動きが活発化なりつつあるが、運動は今後どのように展開されるか、どのように対応されるか、考えを聞きたいという御質問へのお答えでございます。
普天間飛行場の移設問題については、これまで県に対する要請等を通じて県民の意見や意向を幅広く聞いてきており、今後とも関係市町村を初め県民の理解と協力が得られるよう努力していきたいと考えております。
次に、同じく普天間基地の質問3番でございます。2つございます。1つは、政府は地元の頭越しにはやらないとしていることから普天間飛行場の移設問題は県だけで進めることもあり得るのか、また県内移設に取り組まなければ返還は凍結されることになるのかその所見を聞きたいという点と、普天間飛行場の移設が凍結されるという最悪の結果を余儀なくされた場合について所見を聞きたいとの2点を一括してお答えします。
県としては、国と協力して普天間飛行場の移設問題について地元の合意や県民の理解と協力が得られるよう努力していきたいと考えております。
普天間飛行場の返還は県政の重要課題であり、県民の大きな願いであると認識しております。県は現在、普天間飛行場の県内移設に係る作業を鋭意行っており、普天間飛行場問題の解決促進が図れるよう全力を挙げて取り組んでいるところであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化国際局長(金城勝子) 新垣議員の御質問にお答えいたします。
まず、新聞報道によると県は乃村工藝社に展示変更の指示をしたとされているが、このようなことはあるのかというお尋ねでございます。
県と業者は、展示内容についての検討に際してそれぞれの立場から意見を出し合い、一つの案をつくり出してまいります。その案を監修委員会に諮り、それを繰り返して最終的な決定としていくシステムをとっております。そうでございますので、監修委員会を無視して直接県が乃村工藝社に指示をしたということは、それはありません。
2番目でございますけれども、展示内容の決定に際して県と監修委員及び委託業者の関係はどうなっていたのかという御質問でございます。
県は、八重山平和祈念館基本計画を策定し、開館業務を進めてまいりました。
展示内容の作成に当たっては、県内のコンサルタント業者に展示制作業務を委託し、同時に専門家による監修委員会を設置して監修をお願いしてまいりました。 監修委員会は、平成10年11月から平成11年2月にかけて3回開催されましたが、2月の会議をもって終了いたしております。
しかしながら、県といたしましては、委託業者から提出された展示内容案を検討し、その最終案を監修委員の意見を尊重する立場から5月10日に本島在住の2人の委員に、そして5月13日には八重山在住の5名の委員にそれぞれ報告をいたしました。
その結果、3点について御意見があり、これを再度お諮りするために6月11日に八重山在住の監修委員に御検討いただき、その結果、3点の要望事項につきましても同意が得られたものと理解いたしまして展示業務を完了したものでございます。
3番目に、新聞報道等によると監修委員会の承諾を得ずに展示内容を変更したと報じられているが、開館までの県の手続及び今後どのように対応していくのかを伺いたいというお尋ねでございます。
展示内容に関しましては、八重山平和祈念館の監修委員会は平成11年2月に終了しておりますが、県として監修委員会の意見を尊重する立場から、展示内容の最終案を5月10日に本島在住のお2人の委員に、また5月13日に八重山在住の5名の委員にそれぞれ報告をいたしました。
その結果、集団自決の写真パネル、波照間小学校児童慰霊祭の大パネル、戦争マラリア略年表のパネルに関しての御意見が出されました。
このことについて再度監修委員にお諮りするために、6月11日に八重山地域の元監修委員に御検討をいただきました。その結果、3点の要望事項について同意が得られたものと理解いたしまして同展示作業を完了したものでございます。
今後、御遺族や地域の皆様の意向が反映されるよう協議の場を設けるなどをして適切に対応してまいりたいと思います。
4番目に、八重山住民の戦争からの避難に関する説明で、軍命による強制退去であった説明が避難状況に変更されたとなっているが、なぜこのようなことになったのかというお尋ねでございます。
「軍命による強制退去」を「避難状況」としたことについては、展示内容が避難場所を示す地図であることからそのように表示したものでございます。
なお、印刷物として同祈念館に備え置くことといたしましたマラリア関係略年表では「軍命による強制避難始まる」と記述されております。
最後に5番目でございますが、県が展示内容を八重山地域の監修委員に説明し、その際に意見が出されたと聞いているが、これを説明願いたい、またこの意見に対してどのように対処してきたのか伺いたいということでございます。
県においては、監修委員会の決定事項に基づき展示内容の具現化と根拠資料の明確化を図り、展示内容の充実に努めてまいりました。
これらの作業を経てまとめた展示案を去る5月10日に本島在住のお2人の委員に、また5月13日に八重山在住の委員に御説明し、その結果、3つの要望事項が出されました。
1つ目は、沖縄戦における集団死の写真を展示することであります。
この写真パネルについては文献等によって説明が異なり、集団死や集団自決としての活用が困難であることから、「沖縄戦で犠牲になった人々」として同写真を展示することになりました。
2つ目は、波照間小学校児童慰霊祭の大パネル写真を玄関口の正面の壁に展示することでございます。
この写真パネルについては、展示室内の他の写真と比べると数倍の大きさであり、全体の展示物との調整の関係で展示することが難しいので一回り小さなパネル写真で作成展示することを提案いたしましたけれども、了解が得られませんでしたので6月11日に再度お諮りをしてございます。
その結果、戦争マラリア犠牲者の祈念施設等についてはほとんどが石垣市にあり竹富町ではないことから、せめてこの写真パネルを展示してもらいたいという地元からの強い御要望もあり、御希望の場所に展示することになりました。
3つ目は、戦争マラリア関係略年表を廊下に展示することでございます。
この年表については展示室内に掲示すべきであり、廊下に掲示することになりますと通路としての安全性と利便性に支障を来すことから、印刷物にして来館者に配布することを御提案申し上げました。
このことを監修委員で協議していただいたところ、印刷物なら手軽な資料として活用できるし、だれでも利用できるということで賛成をしていただきました。
以上3点の要望事項を含め、展示内容案全体にわたって同意が得られたものと理解いたしまして展示を完了したものでございます。
以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) 農業試験場について、農業を続ける農家に対してどのような話し合いをされているかとの御質問にお答えします。
農業研究センターの予定地内には、農業を継続したいと希望する農家が13名おり、面積にして13.6ヘクタールであります。
このため、農業を継続希望する農家に対しては話し合いを持ち、農家の意向を聞いております。今後とも積極的に代替地のあっせん等を行い、引き続き農業が継続できるよう取り組んでまいります。
次に、代替地の確保はどのようになっているかとの御質問にお答えします。
代替地につきましては、これまでに7名の農家に約2.5ヘクタールの農地をあっせんし売買契約を締結いたしました。
現在、約11ヘクタールの代替用地を農家に照会し、場所、価格、土地条件等の合意形成に向けて話し合いを進めております。今後とも農家の意向を把握しながら代替地対策を強化してまいります。
次に、整備がおくれている理由は何かとの御質問にお答えします。
農業研究センターの整備がおくれているのは、用地取得が難航しているためでございます。
用地取得が難航している理由といたしましては、1つには、農業研究センター予定地内に農業継続のため農地を手放したくないという専業農家がおり代替地の対策に時間を要していること、2点目に、代替地要求についても隣接地域に同一条件の土地を求めているためにその調整に時間を要していること、3つ目に、相続問題、価格及び物件補償不満等の調整に時間を要していることなどでございます。
以上でございます。
○下地 学 結の会を代表して質問をいたします。
質問する前に、台湾大地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表します。
質問に入ります。
1、平和行政について。
(1)、新平和祈念資料館に関する問題について。
県は、勉強会と称して監修委員を無視し、独断で展示内容の変更作業を行い展示工事業者に変更指示をしていたことが新聞報道で判明し、県政への怒り、批判、抗議として大きな波紋を広げている。
展示内容の変更は、旧日本軍の住民への加害行為、残虐性を意図的に薄め政府に対峙しないような方向でなされており、これは明らかに沖縄戦の実相の改ざんであり、県三役の関与は明白である。
関与を否定している知事の対応は、県民を愚弄するものであり、稲嶺県政の平和行政が問われる。
事態の解明は、直接関与した当事者の責任でなされるべきであり、政策参与に特命事項として調査させることは混迷する内部事情、当事者能力の欠如を露呈するものであり、稲嶺知事のリーダーシップが問われる。
比嘉政策参与は昨日の記者会見で、県、監修委員会ともにそれぞれの役割を十分に把握していなかった、その点知的緊張感が足りなかった、さらに監修委員会が数カ月にわたって開かれなかったことは会長代理に責任がある、また県、監修委員会ともに役割や作業工程について認識不足していると。
この一連の発言は、意図的に責任を転嫁しようとするものであり、監修委員を侮辱するものであり県民の理解は得られないものである。
比嘉政策参与の調査報告は、調査に公正さを欠き、恣意的な判断で信憑性がなく、むしろ県民の疑念と不信感を増幅させるものであることを指摘し、反省と県民への謝罪を強く求めるものである。
質問に入ります。
ア、前県政の平和行政についての総括と稲嶺県政の平和行政の基本理念についてお伺いします。
イ、沖縄県民の沖縄戦という特殊な歴史的体験を平和行政にどのように反映させ継承していくか、伺います。
ウ、沖縄戦で日本軍の住民虐殺やスパイ容疑、食料強奪、自殺強要等の残虐行為はれっきとした事実であり、断じて容認できない。知事の沖縄戦に関しての基本的認識についてお伺いします。
エ、国のやったことや国策を批判するようなことはいかがなものか、行政としてのフォローをしなければいけない、行政としてのフォローとはどういうようなことか、伺います。
オ、日本軍の残虐性を強調し過ぎないよう配慮するということで、用語の変更や日本兵の銃を外すなど具体的な変更は国策を批判しないようにとの知事の意向と解するが、知事の見解をお伺いします。
カ、国際連合など国際機関の役割の紹介と米軍統治下で実施された諸施策を説明する追加展示案は知事の意向によるものか、お伺いします。
キ、国際平和維持を目的とした武力行使(国連軍)の権限を持つ国連の安全保障理事会の役割を紹介することは、不戦と平和創造の決意をアピールしていくという新平和祈念資料館の目的や方向性にもとるものである。知事の見解をお伺いします。
ク、平和の維持や回復には非武装中立的な発想ではなく、軍事力を行使する国連の安全保障理事会に基づくべきと主張する稲嶺県政の平和についてのポリシーはどうなっているか、県民に明確にしてもらいたい。
ケ、県は、監修委員会の存在を軽視し、県の独断専行で事を進めようとしていたことは否めない事実であり極めて遺憾に思う。県三役、担当部局の反省を強く求めるものである。監修委員会及び委員の役割と権限についてお伺いします。
コ、監修委員会は、3月中旬に開かれて以降5カ月間も開催されずに、その間勉強会といって展示内容の変更作業が進められていた。展示内容の変更については監修委員会に知らされず、展示工事業者に伝えられていた。これは極めて意図的である。展示内容や用語の変更理由、監修委員会が5カ月間も開かれなかった理由を明らかにしてもらいたい。
サ、新平和祈念資料館の独立性を確保するための設立主体や運営主体はどうなっているか、お伺いします。
シ、県の独断専行による展示内容の変更や用語の変更は、沖縄戦の実相を改ざんするものであり、新平和祈念資料館の設立理念にもとるものである。問題のすべてを撤回し事実経過を公表する必要がある。知事の見解をお伺いします。
ス、時の県政の思惑に左右されない独立性と館活動の自由を保障する体制の確立は重要な課題である。条例の制定、財源の確保、専門委員の配置等、知事の見解をお伺いします。
セ、県は、監修委員会からの内容変更文書の提出、展示内容の変更に至った経緯について求められ、真摯に対応しなかったのはなぜか、県民の不信感を増幅させるものである。知事の見解をお伺いします。
ソ、監修委員会の公開・実施について知事の見解を伺います。
(2)、八重山平和祈念館に関する問題について。
ア、知事は、八重山平和祈念館の説明文の変更について、正確さ、出所を明らかにする、推量は避ける、簡素な表記を基準に行ったもので他意はないと強調されていますが、同祈念館の写真の具体的な選定、写真や図画の説明文の作成は専門委員が行い、監修委員会の方針に沿って監修委員の意見、基本計画、現地調査、歴史的な事実等を踏まえて作成したものであり、専門委員の了解なしに県が独断で変更したことは沖縄戦の実相を改ざんするものであり、県には正義はないと専門委員は県の対応を厳しく批判している。
知事の見解を伺います。
イ、変更作業について文化国際局平和推進課は、局長から職員まで全体で作業した、事実関係の違いで変更したものである。具体的な個々の変更理由については、記録がないのでわからないと説明している。これは、監修委員会や専門委員のエキスパートとしての権威、自尊心を傷つけるものであり極めて無責任な対応であり、県首脳の指導力が問われる。
知事の見解をお伺いします。
ウ、知事は、八重山平和祈念館の展示写真や図画説明文を文化国際局が大幅に変更した問題について政策参与に特命事項として調査を指示していますが、当事者である文化国際局に事実関係の整理を任されないのはなぜか、知事の見解をお伺いします。
エ、元監修委員、民主団体、政党等の要請についての知事の決意をお伺いします。
要請事項。
①、戦争マラリア、沖縄戦の実相を正しく伝える展示方法に戻すこと。②、監修委員、専門委員、遺族会等の意見を尊重すること。③、歴史年表を展示すること。④、知事は、変更の事実関係を県民に説明し、誤りについて謝罪すること。⑤、地元関係者による公平な運営機関を設置し、専任職員を配置すること。⑥、新平和祈念資料館の展示内容について県民に情報公開すること。
2、福祉、保健医療について。
ア、県立病院の経営健全化と中長期的な整備計画について。
イ、宮古圏域における重症心身障害児(者)の短期入所事業実施施設がないため保護者や家族が疾病やその他の理由で家庭で介護が困難になったとき適切な処遇が受けられず、保護者の精神的、経済的負担を強いられています。実施主体である県は、早急に宮古圏域内に短期入所事業が実施される体制を確立してもらいたい。
ウ、県立宮古病院の移転新築検討委員会の設置について。
県立宮古病院は、地域医療において中核的役割を果たし、地域の中核病院として多様化するニーズにこたえるべく努力をしています。
しかし近年、施設の老朽化が進んでおり、また医療需要の変化に伴い医療設備や体制等の強化拡充が求められる中、敷地は狭隘で利便性が悪く病院の立地条件は劣悪な状況にあり、そのため地域住民への十分な医療サービスを提供することができず、圏域各方面からの強い改善要望がある。
このような状況を踏まえ、宮古圏域における中核病院の将来構想を協議するための宮古病院将来構想検討委員会が宮古支庁長の私的諮問機関として6月に発足し、宮古病院の役割、診療機能、適正規模、適地条件等を検討課題として鋭意取り組み、9月16日に中間答申をまとめ下地支庁長に答申しています。
離島振興、地域医療の充実強化を図る上から公的な検討委員会の設置を強く求める。
エ、県内における小規模作業所の実態(無認可施設・法人施設)と支援体制及び今後の対応策についてお伺いします。
後で答弁を受けてから再質問をいたします。
○知事(稲嶺惠一) 下地議員の御質問にお答えいたします。
最初は平和行政について、前県政の平和行政についての総括と稲嶺県政の平和行政の基本理念について伺いたいということでございます。
私の平和行政に関する基本的な考えを申し上げます。
過酷な沖縄戦を体験し、長年にわたる米国統治を経験した沖縄は、平和への願いと人権の尊厳を肌身で感じております。これは人類普遍の思想であると思っています。
私は、これまで青年海外協力隊の支援活動などを通していろいろな国々を見てまいりましたが、世界においては今なお地域紛争が繰り返し起きており、傷ついた人々やその後遺症に苦しむ人々が数多くいることに衝撃を受け、平和がいかに大切であるか身を持って感じております。その解決のためには民族や宗教等の壁を乗り越え、すべての人々が平和の心を持つことが大切であると思います。
そのようなことから、戦争の悲惨さ、平和のとうとさを後世に伝えるとともに、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って平和の発信・創造に努めてまいります。
なお、前県政の平和行政については一定の評価をしております。
特に、平和の礎についてでございます。
平和の礎については、沖縄県民、日本軍、米軍、そして韓国を初めとした諸外国の方々を全く平等に、しかもその命のとうとさをあらわしております。これこそ私は本当の人類の普遍の精神であると思っております。
次に、平和行政について、沖縄県民の沖縄戦という特殊な歴史的体験を平和行政にどのように反映させ、継承していくか、知事の見解を伺いたいと。
沖縄戦の特徴は、我が国で唯一一般住民を巻き込んだ地上戦が展開され、20万人余のとうとい人命が失われたことと、軍人よりも一般住民の戦死者が多かったことであると理解しております。このようなことは二度と起こってはならないものでありますが、世界においては今なお地域紛争が各地で発生しております。
私としては、このような観点から沖縄戦の実相を風化させることなく正しく後世に伝えていくとともに、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って平和の発信をしていく必要があると考えております。
次に、沖縄戦で日本軍の県民虐殺やスパイ容疑、食料強奪、自殺強要等の残虐行為はれっきとした事実であり、知事の基本的認識について伺いたいというお尋ねでございます。
沖縄戦の実相については、さまざまな状況があったということは承知しております。
平和祈念資料館においては、このような沖縄戦の実相を正しく伝えていくために監修委員会の先生方に十分検討していただきたいと思います。
次は、平和行政で同じく、国のやったことや国策を批判するようなことはいかがなものか、行政としてのフォローをしないといけない、行政のフォローとはどのようなことかという御質問と、日本軍の残虐性を強調し過ぎないように配慮する用語の変更や日本兵の銃を外すなど国策を批判しないようにとの知事の意向と解するが、所見を伺いたいということでございますが、一括して答えます。
私は、国策を批判するというようなそのような発言をしたことはございません。
平和祈念資料館の展示については、世界の平和につながるような展示を検討してもらいたいと伝えております。
次に、平和行政について、国際連合など国際機関の役割の紹介と米軍統治下で実施された諸施策を説明する追加展示案は知事の意向によるものか伺いたいということでございます。
私は具体的な指示は一切しておりません。しかし、総論的には私が再三ここでお話しているように世界の平和に結びつくような展示をできればしてほしいということをお願いしてございます。
それは先ほど冒頭申しましたように、今の世界の状況というのは常に紛争が絶えない状況でございます。どこを回っていても紛争がある。中には人種、民族の問題あるいは宗教の問題あるいは思想の違い、そのほか多くの貧困の問題とか環境問題とか人口問題とか数多くの問題がかかわっております。
特に私は、昨年はカンボジアを訪問いたしまして大変ショックを受けました。特に今あそこでなおかつ600万から1000万個という地雷が埋まっておりまして、多くの弱者がその被害を受けております。ですから私はトータル的に世界の平和につながるものの何らかの形で展示は要望してございます。
このような観点から、世界の平和に結びつくような展示についての検討を監修委員会にお願いしているところでございます。
次に、平和行政についてでございます。
国際平和維持を目的とした武力行使(国連軍)の権限を持つ国連の安全保障理事会の役割を紹介することは、不戦と平和創造の決意をアピールしていくものという新平和祈念資料館の目的や方向性にもとるものである、知事の見解を伺いたいということと、次の平和の維持や回復には非武装中立的な発想ではなく、軍事力を行使する国連の安全保障理事会に基づくべきと主張する稲嶺県政の平和についてのポリシーはどうなっているか、県民に明確に示せということについてお答えいたします。
一括してお答えします。
私は、現在の国際連合のもとにおける安全保障体制が世界の平和と安全のために必要であるということは今日の国際政治の現実であると考えております。
国連憲章の中で、世界平和のためには「寛容を実行し、且つ善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせること」が重要であるとうたわれておりますが、私は沖縄だけにとどまらず、広く世界に目を向けた平和行政の推進に努めていく必要があると考えております。
なお、国際連合についての展示をするかどうかについては監修委員会で検討していただきたいと考えております。
次に、県は監修委員会の存在を軽視し県の独断専行で事を進めようとしたことは否めない事実であり極めて遺憾に思う、県三役、担当部局の反省を強く求めるものである、監修委員会及び委員の役割と権限について伺いたいということへのお答えでございます。
監修委員会は、沖縄県平和祈念資料館(仮称)監修委員会設置要綱に基づき、専門的な立場から新平和祈念資料館の展示及び事業活動等の監修を行っており、県はその検討結果を尊重してまいりたいと考えております。
平和祈念資料館の展示に当たっては、当然沖縄戦の実相をきちんと伝えていくことがその基本であり、あわせて世界平和に結びつくような資料館をつくっていくことが大切であると考えております。
次に、平和行政について、新平和祈念資料館の独立性を確保するための設立主体や運営主体はどうなっているのかということと、時の県政の思惑に左右されない独立性と館活動の自由を保障する体制の確立は重要な課題である、条例の制定、財源の確保、専門委員の配置等知事の見解を伺いたいということに一括して2点お答えします。
新平和祈念資料館は、現平和祈念資料館に比べ延べ床面積で約10倍、展示面積で約5倍となっており、多目的ホールや企画展示室が設置されるなど格段に規模や機能が拡充されております。
また、その運営形態については県の直営と法人への委託の形態が考えられますが、いずれにしましてもその機能が十分発揮されることを念頭に現在検討しているところであります。
次に、平和行政について、知事は八重山平和祈念館の展示写真説明文等を文化国際局が大幅に変更していた問題について政策参与に特命事項として調査指示しているが、当事者の文化国際局に事実関係の整理を任せないのはなぜか、知事の見解を伺いたいとのお尋ねでございます。
文化国際局は、本件については一方の当事者であり、多くの関係者から事実関係を事情聴取する必要があったことから、特命事項を担当する政策参与に指示して調査させたものであります。
政策参与の調査の結果、報道されている批判や懸念は必ずしも事実を反映したものではないこと、またこのような批判や懸念は起こるべくして起きたこと、そしてこれらの批判や懸念を払拭するためには広く情報公開が不可欠であると報告されています。
私としては、事実関係が明らかになったので、今後は遺族会を初め地域の関係者の意向が十分反映されるよう協議の場を設ける等適切に処理していきたいと考えています。
次に、元監修委員、民主団体、政党等の要請について知事の決意を伺いたいということへのお答えでございます。
貴重な御意見であると受けとめております。
次に、福祉、保健医療について、小規模作業所の実態と支援体制及び今後の対応策について。
心身障害者小規模作業所は、地域で働く場や活動の場の確保が困難な在宅の心身障害者の自立と社会参加を促進するため親等が中心となって設置している施設であります。
県内には現在40作業所があり、569人が利用しております。その活動内容は多種多様で、木工、手芸、花卉園芸、食品の製造、民間企業の下請、公園清掃、リサイクル作業等を行っておりますが、運営費の捻出については自助努力に負うところが大きくボランティア等で運営されている状況にあります。
これらの作業所は地域で生まれ、地域の在宅障害者福祉の増進に大きな役割を果たしておりますが、現在、法的助成の対象とならないことから、県としましては市町村が支援する施設について助成する県単独の制度を設けており、平成11年度は38作業所に対し7800万円を助成する予定であります。
小規模作業所は、在宅障害者の自立と社会参加に効果的な施設であり、今後とも運営の安定化と基盤強化を図るため市町村と連携し運営費助成を行ってまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化国際局長(金城勝子) 下地議員の御質問にお答えいたします。
監修委員会は、3月中旬に開かれて以降5カ月間も開催されずにその間勉強会といって展示内容の変更作業が進められていた、展示内容の変更については監修委員会に知らされず展示工事業者に伝えられていた、これは極めて意図的である、展示内容や用語の変更理由、監修委員会が5カ月も開かれなかった理由を明らかにせよとのお尋ねでございます。
展示内容の変更と言われている件につきましては、県と業者の間の検討段階における県側からの一つの考え方を示したものであり、最終的なものではございません。
最終的には監修委員会に諮り決定されることになります。
用語等につきましても用語検討委員会が設置されることになっております。
また、監修委員会が開かれなかった理由につきましては、大幅な人事異動や規模の大きくなった資料館の内容を理解するため時間を要したことなど内部事情によるものでございます。
2番目に、県の独断専行による展示内容の変更や用語の変更は沖縄戦の実相を改ざんするものであり新平和祈念資料館の設立理念にもとるものである、改ざんの問題のすべてを撤回し事実経過を公表する必要があるというお尋ねでございます。
展示内容については、県と展示業者の間で検討を積み重ね、その結果を展示案として監修委員にお諮りします。このような作業を繰り返しながら展示内容を決めていくことになります。したがいまして、監修委員の承諾を得ずに展示内容を変更するということはございません。
3番目に、県は監修委員会からの内部変更文書(見え消し)の提出、それから展示内容の変更に至った経緯について真摯に対応しなかったのはなぜか、県民の不信感を増幅させるものであるというお尋ねですけれども、この件につきましてはこれまでお答えしてきたとおり県と展示業者の間で行われる検討段階の中で県側から示された一つの考え方でありまして、最終的な決定ではございません。
なお、この資料につきましては、昨日まず監修委員の先生方及びマスコミの皆様に公表したところでございます。
それから4番目に、監修委員会の公開・実施についてのお尋ねでございます。
この件につきましては9月20日の監修委員会においてお諮りいたしましたところ、監修委員会は公開とせず、監修委員会終了後に代表者が記者会見を行い委員会で話し合ったことを発表するということになっております。
最後に5番目に、知事は八重山平和祈念館の説明文の変更について正確さ、出所を明らかにする等と強調しているが、専門委員会の了解なしに県が独断で変更したことは県の対応を厳しく批判しているということのお尋ねで、あと1つ変更作業について県文化国際局の説明は監修委員等のエキスパートとしての権威、自尊心を傷つけるものであるということでございます。
一括してお答えをいたします。
展示内容につきましては、八重山平和祈念館の監修委員会は平成11年2月に終了いたしております。県として監修委員会の意見を尊重する立場から、展示内容の最終案を5月10日に本島在住の2名の委員に、また5月13日に八重山在住の5名の委員にそれぞれ報告いたしました。その結果、集団自決の写真パネル、波照間小学校児童慰霊祭の大パネル、戦争マラリア略年表のパネルに関して意見が出されました。
このことについて再度監修委員会にお諮りするため、6月11日に八重山地域の元監修委員に御検討をいただきました。
その結果、3点の御要望について同意が得られたものと理解いたしまして展示業務を完了したものでございますけれども、監修委員の方からその手続等について御指摘があり、今後御遺族や地域の皆様の意向が反映されるような協議の場を設けるなど、適切に対応してまいりたいと思います。
以上でございます。
○病院管理局長(古謝昇) 下地先生の福祉、保健医療について、県立病院の経営健全化と中長期的な整備計画についてお答えします。
県立病院は、地域の中核病院として一般診療はもとより民間医療機関では行うことが困難な救命救急や高度・特殊医療、離島僻地医療、医療従事者の養成などを担い、地域住民の医療確保と医療水準の向上に努めてまいりました。
しかしながらこのような中、病院事業は多額の累積欠損金を抱えるなど厳しい経営状況にあります。このため、単年度赤字解消を目標としまして策定しました沖縄県病院事業経営健全化計画に基づき、より高い効率性と簡素合理化を推進するなど経営健全化に積極的に取り組んでいるところでございます。
今後とも、健全経営や医療サービスの向上を目指して職員の企業意識の高揚を図りつつ、全職員が一体となって病院運営に取り組み、県民から一層信頼される病院づくりを進めていきたいと考えております。
ところで、経営健全化の目標達成のためには、計画に盛られた具体策を着実に実行するとともに、収支バランスに配慮した計画的な経営が求められるところであります。とりわけ施設整備については、短期間に多額の資金を必要とすること及び建設後の費用の増加が予測され、病院経営に大きな影響を与えることになります。
このことから、県立病院の整備に当たっては、施設の老朽化の度合いや利便性等について将来の病院経営に与える影響や多様化する医療ニーズを勘案しながら検討していかなければならないと考えております。
したがいまして、このようなことを念頭に置きつつ県立病院の中長期的な整備計画につきましては、1つ目に、経営健全化計画の進捗状況、2つ目に、建設資金の確保とその償還の見通し、3点目に、県立病院のあり方、機能についての各方面からの意向等を踏まえながら検討していきたいと考えております。
次に、同じく福祉、保健医療について、県立宮古病院の移転新築検討委員会の設置についてお答えします。
県立宮古病院は、宮古圏域の中核病院として一般医療を初め救急医療、離島僻地医療等を担い圏域住民の医療の確保と医療水準の向上に努めているところであります。
県立病院の整備に当たっては、各圏域における県立病院の機能、役割等の将来像を踏まえつつ、1つ目に、施設の老朽化や狭隘化の状況、2つ目に、経営健全化計画の進捗状況、3点目に、建設資金の確保と償還の見通しなど総合的な観点から検討しなければならないと考えております。
このようなことから、県立宮古病院の移転新築に関しましては、宮古圏域の医療ニーズや地元の関係団体の意向等も考慮しつつ、御提言があったことも踏まえまして今後検討していきたいと考えております。
以上です。
○福祉保健部長(平良健康) 福祉、保健医療について、宮古圏域における重症心身障害児(者)の短期入所事業の体制整備についての御質問にお答えいたします。
障害児(者)の短期入所事業は、障害児(者)の保護者が疾病等により障害児(者)の家庭介護が困難になった場合に、障害児(者)の保護のため施設等に一時的に入所させる制度であります。
重症心身障害児(者)の短期入所は、障害の特性から医学的管理体制のある重症心身障害児(者)施設において実施されております。
宮古地区においては、知的障害児施設「漲水学園」、知的障害者施設「あけぼの学園」が知的障害児(者)の短期入所施設として登録されておりますが、重症心身障害児(者)の短期入所事業については利用できる施設がないことから実施されておりません。
しかしながら、平成9年度の医療法の一部改正によりまして病院においても短期入所事業が実施できるようになりましたので、宮古病院におきましてもこの実施について検討しているところであります。
○下地 学 20秒しかないので取り急いでやります。
昨日の記者会見で金城局長は、7月の下旬に三役調整で見直し、いわゆる「見え消し」文書の報告をした、6月下旬に展示工事業者に文書を渡されているんです。7月15日には監修委員会は模型が変更されていることを指摘しております。
この時間的なずれ、この辺をもっと具体的に説明してもらいたいと思います。
○文化国際局長(金城勝子) お答えをいたします。
きのう記者会見で申し上げましたのは、大体この資料ができたのはいつごろだというふうなお尋ねがございまして、日付もございませんで、私ども業務の日程から見まして多分6月から7月にかけてでしょうという私はお返事をいたしました。
お尋ねの7月15日というのは、恐らくガマの中間検査で委員の方が糸満市の西崎の方に行かれた日でございますね。
あの模型というのは摩文仁の方に骨格はつくってございますけれども、中身のガマでございますね、この部分は西崎の工場でつくっておりまして、あちらにそのガマの中身を持っていく前に先生方に見ていただこうということで持っていったものでございまして、人の形の人形とあれは模型ではございませんで紙型でございます。そしてそのときにいわゆる人形の監修というあれでは私どもございませんで、ガマの途中のものを見ていただくということで先生方に行っていただいたということでございます。
それから、7月の31日はこれは私は別用務で摩文仁におりましたから、次長、それから所管課長が上の方に監修委員会に向けての私どもの業務の中間報告をいたしてございます。これも検討状況だとか、今どのぐらいの全体的に進捗状況はどうなっているのだとか、そういったものでございます。
○下地 学 議長、休憩。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後11時5分休憩
午後11時7分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
文化国際局長。
〔文化国際局長 金城勝子君登壇〕
○文化国際局長(金城勝子) お答えいたします。
県は発注者でございますけれども、受注者の業者といろいろ調整とかやる場合にはいろんないわゆる手段といいますか、アイデアを出したりとかお互いに情報交換、これをいたします。資料の交換とかですね。
それに基づきまして業者の側としては、より具現化するためにいろんな方法を使ってまた私どもに示して、じゃ、こういう形でしようかということをいろんな相談をいたします。それは一つの過程でございまして、その紙型とじもそれの一つでございます。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後11時8分休憩
午後11時10分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
文化国際局長。
〔文化国際局長 金城勝子君登壇〕
○文化国際局長(金城勝子) お答えいたします。
まず、直接に業者とコンタクトをとるのは私どもの学芸員でございます。その学芸員と業者といろいろと情報交換をしていろいろと案をつくったりとかいたします。この紙型というのも一つの案でございまして、それを監修委員の方にお見せするわけでございます。
当日は、まずガマの中間の視察ということでおいでいただいて、その紙型はその対象でなかったんですけれども、いわばそれは結果的に監修の、これも監修の一つの形でございます。現場で、ガマの制作場で見ていただいたということでございました。(発言する者多し)
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後11時11分休憩
午後11時12分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
糸洲朝則君。
〔糸洲朝則君登壇〕
○糸洲 朝則 公明党県議団を代表いたしまして、9月定例会代表質問のしんがりを務めさせていただきます。
まず、基地問題解決について。
国連機関の沖縄への誘致による基地問題解決について、せんだっての定例会に続きまして再度提案をいたします。
平和の維持・構築への現実的対応として抑止と対話のバランスの観点から基地問題解決への糸口が見出せないものかと考えます。
日米安保条約に基づく在沖米軍基地は抑止の役割を果たしており、一方、対話・平和外交の役割は日本国憲法、いわゆる世界に冠たる平和憲法によるところが大きいことは言うまでもありません。軍事によらない安全保障を前文に刻んでいる平和憲法の理念に基づいたスタンスを日米関係、あるいはアジア・太平洋地域における安全保障に反映させていくことがこれらの国々及び地域から信頼され世界恒久平和構築への先駆けになると、こう信じております。
平和憲法の理念に基づく安全保障とは、軍事中心の安全保障ではなく環境問題、貧困、難民、人種差別問題等、人権・人道的視点に基づく人間の安全保障の構築であります。その具体的施策として沖縄への国連機関の誘致であります。国連機関の沖縄誘致について、県内の国連研究会を初め国内外の多くの有識者も提案をしておられます。
例えば、インドのジャワハルラル・ネール大学のアスウィニ・レイ教授は、「日本は米軍に土地を提供する代りに、国連本部を沖縄に移すことを提案し得る。国連本部を日本に置くことは日本の安全に対するどのような外からの脅威に対しても最も効果的な抑止措置となりうる。」と国連本部の沖縄への移設を提案をしております。
冒頭に申し上げました抑止と対話のバランスの上からも、対話による平和の措置として国連機関の誘致を再度提案し、知事の御所見を賜ります。
2点目に、政府は去る8月26日に来年の主要国首脳会議、いわゆる沖縄サミットの中心議題を平和・安全、人間の安全保障の2本柱とすることを決定いたしました。沖縄サミットにふさわしい議題であります。
これらの議題に加えて在沖米軍基地の整理縮小を含めた研究機関を設置し、沖縄県民の意見を集約して沖縄からのメッセージとして主要国首脳に要請してはどうか、知事の御所見を賜ります。
3点目に、在沖米軍基地の沖縄県民への過重負担は一日も早く解消されなければなりません。基地が存在するがゆえに発生する事件・事故のたびに県民から不平不満の声が上がるのは、日米地位協定の不公平さにあります。日米地位協定の見直しは県民の総意として知事は日米両政府に常に訴え、一日も早い改善に取り組まなければならないと考えますが、知事の御所見を賜ります。
4点目に、基地の過重負担による自立経済の確立、経済振興のおくれは明白であります。基地が存在する以上、これとバランスある経済振興策を実施することは当然であり、沖縄経済振興21世紀プランも含めた経済振興策を県民に提示するとともに、日米両政府に要請すべきであると考えますが、知事の考え及び県の取り組みについて御説明をいただきたいと思います。
5点目に、基地の整理縮小に伴う跡地利用及び開発等について、明確に示すことが県民の不安や不満の解決に、あるいは解消につながるものと考え、知事の御所見を賜ります。
①点目に、返還跡地利用整備に関する法的措置について、②点目に、財源の裏づけについて、③点目に、地主等の補償について、④点目に、環境浄化対策について、その他県の取り組みについて御説明願います。
6点目に、知事は基地の整理縮小についてSACO合意の実施を挙げておられますが、そのためには多くの県民の合意形成は不可欠であります。また、前提条件であると考えます。よって、知事の合意形成への考えについて、そしてまた取り組みについて伺います。
7点目に、普天間飛行場・那覇港湾施設返還問題対策室のこれまでの作業を県民に説明するとともに、広く県民的な議論を喚起し、結論は県民の選択にゆだねるべきであると考えるがどうか、知事の御所見を賜ります。
次に、平和祈念資料館問題について伺います。
平和資料館建設構想の原点は、沖縄の心を世界に発信し人類の恒久平和に寄与する拠点的な施設として平和の発信地沖縄のシンボルとなり、平和行政を推進するための重要な施設としております。
この事業は、御承知のように平成4年度に国際平和創造の杜構想の一環としてスタートして以来、今日まで約7年に及ぶ大型プロジェクトであります。したがって、多くの関係者が長年にわたって携わってまいりました。中でも監修委員会は平成8年9月26日の第1回開催を皮切りに海外、県外視察調査を初め各部会、全体会議等精力的に取り組んでおられます。
本来、県の事務方、監修委員会、受託業者がそれぞれの役割分担の作業のもとに、お互いにチェック機能と連携を密にした節度ある協調性が求められる仕事であると思います。
しかしながら、今回の事件は県政の交代、人事異動等による業務引き継ぎの不備はなかったか、県と監修委員会の意思の疎通に問題はなかったか等々の多くの疑問が残ります。したがってこの際、関係者の情報公開及び所管委員会あたりで関係者の出席を求めて事実関係を明らかにした上で、平和祈念資料館の所期の目的達成に向けて取り組まなければならないと考えます。
細かい議論は委員会で行うとして、差し当たって事の事実関係、監修委員会の位置づけ、県民への情報公開、また知事の平和行政に対する考え方等について伺っておきます。
次に、防災対策について伺います。
まず、防災対策については、さきに台湾の大地震やトルコ大地震がありましたが、これらの地震を受けまして沖縄気象台や琉球大学の木村教授は、かなり前から指摘しておりますように沖縄付近でも同様な大型地震が起こる可能性が大きいと言われておりますが、残念ながら沖縄における地震災害対策は無防備に近い状態であると言っても過言ではないと思います。したがってまず県の地震対策に対するお考え、取り組みについて御説明願いたいと思います。
今回の一連の大地震から学ぶ教訓の一つに、老朽化した建造物、耐震基準の低い建築物対策が重要かと考えます。特に都市部における対策は2次災害を最小限に食いとめるためにも大変重要な課題であります。したがって、これらの建造物対策や実態調査等県の取り組みについて伺います。
また、離島や避難場所のない低地帯への津波シェルターの建設や海岸沿いの建築物の構造に対する考え等についてもお聞かせ願いたいと思います。
次に、教育行政について伺います。
豊見城村我那覇後原の児童生徒の越境通学の件についてですが、この問題は両市村の那覇市への編入問題とも絡んで長年の懸案であることは御承知のとおりであります。
先日、父兄や子供たちの意見を聞く機会がございました。将来を担う大事な子供たちを大人の都合、行政の都合で踏みにじってはならないということを実感いたしました。したがって、教育長は両市村の間に立って調整役をお願いしたいのでありますが、いかがでしょうか、教育長の御所見を賜ります。
残りについては、時間の都合で次に回させていただきます。
どうもありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 糸洲朝則議員の御質問にお答えします。
最初は、沖縄への国連機関の誘致について知事の所見を再度賜りたいということでございます。
国連などの国際機関を誘致することは、我が国の南における交流拠点の形成、太平洋・平和の交流拠点(パシフィック・クロスロード)の形成を目指す本県にとって大きな意義を持つものと考えています。
先般、先生からの御質問もございましたので、国連機関が設置されている東京都、福岡県などの自治体の状況を調べましたところ、その維持運営に関し相当な財政的負担を行っているとお聞きしております。
それで、御提言の国連機関の誘致につきましては、今後国連機関や国の動向、国連と密接な関係にあるNGO組織の活動などに注視するとともに、本県に誘致する効果等を総合的に勘案し引き続き検討していきたいと考えております。
次に、基地問題解決について、サミット開催を契機に在沖米軍基地の整理縮小を含めた研究機関を設置し、沖縄県民の意見を集約して「沖縄からのメッセージ」として主要国首脳に要請してはどうか聞きたいとの御質問に対するお答えでございます。
県としては、沖縄が長年にわたり過重な基地を負担しているという現状をありのままに見ていただくとともに、県民が基地の整理縮小を強く望んでいることを知っていただく必要があると考えています。
沖縄からのメッセージについては、サミットに際して地元が主催するさまざまなイベント等を通して発信していきたいと考えております。
次に、基地問題解決について、沖縄経済振興21世紀プランも含めた経済振興策を県民に提示するとともに、日米両政府へ要請すべきであると考え、知事の取り組みについて聞きたいという、お答えでございます。
基地と経済振興のバランスある解決を図っていくためには、基地経済にかわる新たな産業を創出・展開していくことが重要であります。そのため、今後新たな沖縄振興計画の策定に向けて取り組む考えであります。
計画の中身については、広く県民の意見を求めるとともに、沖縄経済振興21世紀プランで示された施策や本県の自立的発展に結びつくような各種施策を盛り込んでいきたいと考えております。
経済振興策等の実現に向けて国に要請するとともに、本県への米国企業の誘致等については、企業誘致説明会の開催や企業紹介などについて積極的に米国政府の支援を求めていきたいと考えております。
次に、基地問題解決について、基地の整理縮小・返還に伴う跡地利用及び開発等について明確に示すことが県民の不安や不満の解決につながると考えているが、所見を聞きたいということで、1は、返還跡地利用整備に関する法的措置について、次に財源の裏づけについて、次に地主等の補償について、次に環境浄化対策について、この4つを一括してお答えいたします。
返還跡地利用整備に関する法的措置については、軍転特措法では基地跡地利用の実効性を確保する措置が十分ではなく、行財政上の措置や跡地利用推進体制の整備など円滑な跡地利用が実施できる新たな立法を含めた制度的枠組みの確立が必要であると考えております。
次に、財源の裏づけについては、軍転特措法では跡地整備事業を実施するための国の行財政的な特別措置がなく、沖振法等の通常の予算ベースで実施されると県、市町村の事業費負担が大きくなることから、事業予算枠の確保、補助対象事業の拡大、事業採択要件の緩和、補助率の引き上げ等が必要であると考えております。
次に、地主等の補償については、過去の返還跡地における土地区画整理事業の事例では返還から事業完了まで長期間を要しており、給付金の支給期間を7年に延長すること、特別管理費控除を行わないこと、限度額を設けないことが必要であると考えております。
次に、環境浄化対策については、恩納通信所跡地や嘉手納飛行場におけるPCBの問題など跡地利用の支障や県民生活に不安を生じさせたことから環境浄化処理の確認調査、不発弾撤去、建物撤去等特別管理期間内に国の行う措置を軍転特措法の返還実施計画で明示することが必要であると考えております。
以上のことについては、国に対し要望しているところでございます。
次に、SACOの合意に向けては多くの県民の合意形成が前提であると考えるが、知事の合意形成への考え方と取り組みについて聞きたいとの御質問へのお答えでございます。
SACOの実施に当たっては、県としては地元市町村の意向を踏まえ幅広く県民の理解と協力を得ながら対応していく方針であります。
そのためには軍用地主や駐留軍従業員の生活、環境の保全、返還跡地の有効利用及び移設先の地域振興等さまざまな問題について一つ一つその解決への道筋をつけながら基地の整理縮小を着実に実施していきたいと考えています。
次に、基地問題解決について、返還問題対策室のこれまでの作業を県民に説明するとともに、広く県民的な議論を喚起し結論を県民の選択にゆだねるべきだと思うがどうかとの御質問のお答えでございます。
普天間飛行場及び那覇港湾施設の移設については、返還問題対策室において鋭意作業を進めてきたところであります。
普天間飛行場の移設選定作業については、現在国に提示するための絞り込み作業を進めており最終的な段階でありますが、移設後の跡地利用問題や移設先の振興策について特段の配慮がなされる必要があると考えております。
そうした中で、できるだけ早く決定できるよう全力を挙げて取り組んでまいります。あわせて、関係市町村の理解と協力が得られるよう十分に調整を行いたいと考えております。
一方、那覇港湾施設の移設については、本県の経済振興を促進する観点及び将来の港湾計画との整合性等から、浦添市を初めとする関係機関の意向等を踏まえて総合的に検討しているところであります。
なお、返還問題対策室の作業の進捗状況を見ながらできるだけ情報を提供し、県民の理解と協力が得られるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、平和祈念資料館問題について、平和行政に対する知事の考え方についてでございます。お答えいたします。
過酷な沖縄戦を体験し、長年にわたる米国統治を経験した沖縄は、平和への願いと人権の尊厳を肌身で感じております。これは人類普遍の思想であると思います。
私は、これまで青年海外協力隊の支援活動などを通していろいろな国々を見てまいりましたが、世界においては今なお地域紛争が繰り返し起きており、傷ついた人々やその後遺症に苦しむ人々が数多くいることに衝撃を受け、平和がいかに大切であるか身をもって感じております。
その解決のためには、民族や宗教等の壁を乗り越えすべての人々が平和の心を持つことが大切であると思います。そのようなことから戦争の悲惨さ、平和のとうとさを後世に伝えるとともに、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って平和の発信・創造に努めてまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 糸洲朝則議員の基地問題解決についての御質問のうち、日米地位協定の見直しを日米両政府に訴え改善に取り組むべきと思うが所見を聞きたいということについてお答えいたします。
県では、平成7年11月、日米両国政府に対し10項目の日米地位協定の見直しを要請いたしました。
その結果、日米両国政府は平成8年12月のSACOの最終報告及び日米合同委員会合意によって日米地位協定の運用の見直しを行っております。
この運用の見直しによって航空機事故調査報告書の公表、米軍公用車への番号標識の取りつけ、米軍の行軍の禁止等については県の要望に沿った解決が図られたものと認識しております。
しかし、日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員または軍属たる被疑者の起訴前の拘禁、公務外の米軍人等が起こした事件・事故による補償問題並びに航空機騒音及び環境保護に関する国内法の適用については、県の要望は十分満たされておりません。
県としては、県民の生活と人権を守る観点から今後とも日米地位協定の改定または運用の見直しを政府に対し強く働きかけていきたいと、このように考えております。
以上でございます。
○文化国際局長(金城勝子) 糸洲議員の御質問にお答えをいたします。
まず、平和祈念資料館問題について、事実関係についてでございます。
展示内容については、県と展示業者の間で検討を積み重ね、その結果を展示案として監修委員会にお諮りいたします。
このような作業を繰り返しながら展示内容を決めていくことになります。したがいまして、監修委員の承諾を得ずに展示内容を変更するということはございません。
次に、監修委員会の位置づけでございます。
新平和祈念資料館の監修委員は、沖縄県平和祈念資料館(仮称)監修委員会設置要綱に基づき新平和祈念資料館の展示及び事業活動等の監修をしていただくため、沖縄戦の研究者等の専門家に知事が依頼しているものでございます。
○文化環境部長(宮城光男) 本県の地震対策に対する考え方と取り組みについての御質問にお答えいたします。
沖縄本島南西沖の琉球海溝付近は、フィリピン海プレートの沈み込みによる地震発生場所となっていることから、本県は地震、津波等の発生確率が高い地域となっております。
現に、昨年の5月4日に発生した石垣島南方沖地震は、幸いにも被害はなかったものの沖縄県全域に津波警報が発令され、緊張が走ったことは記憶に新しいところであります。
発生予知が難しい地震対策については、防災上の最重要課題と考えており、阪神・淡路大震災を教訓にして平成8年度に地域防災計画の見直しを行い、「沖縄県地域防災計画地震編」を作成したところであります。
また、去る9月1日には、北部12市町村との共催で大規模地震の発生を想定した実戦的な総合防災訓練を実施し、関係機関の連携強化、防災意識の高揚等を図ってまいりました。
さらに、同9月1日から気象台とオンラインによる緊急防災情報システムを稼働させ、より迅速、的確かつ多様な気象情報の収集に努めております。
そのほか、国、県、市町村を結ぶ震度情報ネットワークの整備、24時間体制による災害情報の収集伝達体制の確立、緊急消防援助隊の編成、「九州・山口相互応援協定」の締結、災害対策用食糧の備蓄、防災資機材の整備等防災体制の確立に努めてきました。
今後とも、沖縄県総合行政情報ネットワークの整備にあわせて、防災情報システムの整備に努めるなど防災体制の一層の強化に努めてまいります。
次に、離島や避難場所のない低地帯への津波シェルターの設置について御説明いたします。
昨年の6月定例会において、糸洲議員から御提言のありました津波シェルターに関しましては、その後、緊急避難塔を設置している三重県紀勢町に職員を派遣し調査させたところであります。
緊急避難塔は、高台への避難が困難な住宅地の中心地に設置され、通常は地域住民の集会や防災活動の拠点として使用されております。
建物の概要は、鉄筋コンクリートづくりの5階建てで、外階段が設置されており、また波や流出物などによる被害を受けにくくするため円筒らせん形になっております。
この調査結果と現在進めております県内有人離島の概況調査結果を踏まえ、今後それぞれの離島の特色を生かしつつ、実情に合った津波対策を関係機関と連携して検討してまいりたいと思います。
以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 防災対策についてのうち、耐震基準の低い建造物や老朽化建造物への対策及びこれらの建造物の実態についての御質問にお答えいたします。
建築物の現行の耐震基準については、昭和56年に改正施行されております。
平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災における建築物の被害は、現行の耐震基準を満たさない昭和55年以前に建築された建築物に著しいものがありました。このため、県としましてはことし3月にこれらの建築物の耐震改修が促進されるよう沖縄県既存建築物耐震改修促進計画を策定し、建築物の所有者に対して指導、助言を行っているところであります。
また、耐震改修等を担う建築技術者のための講習会や建築物の所有者のための耐震改修相談会を開催し、その普及啓発に努めているところであります。
これらの建築物の実態については、県営住宅、県立学校等の県有建築物が平成10年10月現在887棟、市町村有建築物がおおむね2000棟となっております。
このうち、耐震診断を必要とする県営住宅は4団地4棟ありますが、そのうち県営古波蔵第二市街地住宅については平成7年度に耐震診断を行いその安全性について確認されております。
残りの3団地についても平成11年度以降引き続き耐震診断を行い、その結果を踏まえ速やかに耐震対策を講じてまいりたいと考えております。
また、民間建築物については、建築基準法第12条第1項に基づく定期報告制度を活用して公共性の高い建築物を中心にその実態の把握に努めたいと考えております。
また、老朽化しているとみなされる公営住宅は県営5団地、市町村営34団地の合計39団地ありますが、これらの公営住宅については「沖縄県公共賃貸住宅建替促進計画」を策定し建てかえ事業を推進しているところであります。
その結果、平成10年度末までに市町村営住宅の5団地で建てかえを完了し、平成11年度は10団地において建てかえ事業を実施しております。
県営住宅につきましては、平成12年度から県営平良団地において事業に着手する予定であります。
それから、橋梁等の耐震対策につきましては、平成3年の定期点検及び阪神・淡路大震災を契機とした特別点検結果をもとに橋長15メートル以上の県管理道路橋189橋のうち、対策が必要とされた39橋について計画的に対策を実施しております。
そのうち、伊計大橋等24橋については、平成10年度までに耐震対策のための補強工事を完了しており、残る15橋についても年次計画に沿って整備を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 豊見城村我那覇の児童生徒の越境通学問題について児童生徒の立場から判断し、県が調整作業をしてほしいと思うがという御質問にお答えいたします。
豊見城村我那覇後原地域の区域外就学問題につきましては、現在、豊見城村教育委員会と那覇市教育委員会が関係法令に基づき教育的見地に立って慎重に協議がなされていると伺っております。
県教育委員会といたしましては、この問題について教育事務所を通して情報収集に努めるとともに、平成9年1月27日付文部省通知「通学区域の弾力的運用について」に基づき、通学区域制度の弾力的運用に努めるよう各市町村教育委員会を指導してきたところでございます。
現在、68名の幼児・児童生徒が後原地区から那覇市内の学校に通学しておりますが、当該幼児・児童生徒が安心して学校生活等が送れるよう両教育委員会と今後話し合ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程はこれで終了いたしました。
次会は、明10月1日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後11時45分散会