平成11年(1999年) 第 7回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 12月10日
 


○議長(友寄信助) これより本日の会議を開きます。
 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第5号議案まで、乙第1号議案から乙第45号議案まで及び認定第1号から認定第20号までを議題とし、質疑に入ります。
 この際、申し上げます。
 昨日の会議は、都合により上原亀一郎君の一般質問に対する答弁の途中で延会いたしました。
 よって、本日の一般質問は、同君の質問に対する残りの答弁から行うことにいたします。
 答弁を願います。
 知事公室長。
   〔知事公室長 親川盛一君登壇〕
○知事公室長(親川盛一) 議員の皆さん、おはようございます。こんな早い時間から答弁に立つというのは初めてでございます。早速上原亀一郎議員の質問に対する答弁をさせていただきます。
 東村高江区のヘリパッド移設問題についての質問事項のうち、基地と経済振興、住民要求を絡ませるのは国・自治体行政を混乱させるものであるがどう考えるかという点と、水道布設や廃棄物処理は自治体の業務であり関係のない防衛庁が入ることは行政を混乱させるものである、県は東村の高江区の要求にどうこたえたかという御質問に一括してお答えいたします。
 東村が地元への水道管布設や廃棄物処分場等を条件にヘリパッド受け入れの意向を示したことについては、新聞報道等で承知しております。
 同問題について東村へ確認いたしましたところ、東村としても国との調整の中でさまざまな角度から検討しているとのことであり、村としては国の環境影響調査が出た段階で総合的に判断するとしております。
 県といたしましては、県全体の基地の整理縮小を進めながら新たな負担を背負う地域の振興に取り組むなど基地問題と経済振興策のバランスある解決を図っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 東村高江区のヘリパッド移設問題のうち、水道施設整備への対応についての御質問にお答えいたします。
 水道施設整備につきましては、各市町村は水道法に基づき事業認可の中で水道施設整備計画を策定し安全な水を安定的に供給する責務があり、国庫補助制度を活用し施設の整備を進めております。
 ちなみに、本県の水道普及率は平成10年度末現在99.9%で、全国平均と比較しましても高い普及率となっております。
 ところで、東村におきましては、東地区及び高江地区の2つの地区で簡易水道事業を実施しており、高江地区につきましては平成8年度に高度処理施設を導入し水質基準に適合した水を供給しております。
 県としましては、今後とも各市町村の意向を踏まえ積極的に国庫補助制度の活用も含めて水道施設整備について指導してまいります。
○文化環境部長(宮城光男) 東村における一般廃棄物最終処分場整備に関する御質問にお答えいたします。
 県では、不適正な処分場を有する市町村や処分場を整備してない市町村に対し国庫補助を活用して適正な処分場を整備するよう指導してきたところであります。
 東村については、平成13年度以降に最終処分場を整備する意向と伺っておりますので、国庫補助を活用して早急に整備が図られるよう今後とも支援していきたいと考えております。
○企画開発部長(宮城正治) 北部地区の振興は、沖縄振興開発特別措置法で国の責務として実施させるのが早道である、所見を伺いたいとの御質問であります。
 北部地域の振興については、第3次沖縄振興開発計画を初め北部地方拠点都市地域基本計画等に基づく各種施策の推進によりその振興を図ってきたところでありますが、地域の活性化や自立発展への展望を開くまでに至っていない状況にあると認識しております。
 北部地域は、豊かな自然に恵まれこれからの発展にポテンシャルの大きな地域であります。県全体の均衡ある発展を目指す上で、北部地域における定住条件を整備し活力ある地域として振興を図ることは、北部地域の発展のみならず、同時に過密が著しい中南部地域の居住環境の改善にもつながるものと考えております。
 県としては、こうした振興の実現に向けて新たな沖縄振興計画の策定に際し、21世紀の沖縄の持続的な発展を図る上で地域連携を軸とする県土構造の構築が不可欠であるとの認識のもと、圏域別の計画としてこれまで以上の北部振興についての積極的な位置づけが必要であると考えております。
○文化国際局長(金城勝子) 上原議員の平和祈念資料館についての御質問にお答えいたします。
 新平和祈念資料館は、博物館法の精神に基づいて責任ある監督のもとに運営すべきではないかという御質問でございます。お答えいたします。
 平和祈念資料館は、当初から知事部局において設置管理することとして整備を進めてきていることから、博物館法の適用は受けない、いわゆる博物館類似施設であると考えております。
 なお、新資料館の管理運営体制については、その機能が十分発揮されるよう努めてまいりたいと考えております。
 また、平和祈念資料館の移転改築基本計画を踏まえ、第三者機関として運営協議会(仮称)を設置する予定であります。
 以上でございます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 地方分権一括法に基づいて条例を提案しているが、どれだけ検討したかについてお答えいたします。
 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律、いわゆる地方分権一括法は、明治以来の我が国の中央集権型行政システムを変革し、国と地方公共団体の関係を従来の上下の関係から対等・協力の新しい関係に改めるとともに、地域の行政は地域の住民が自分たちで決定し、その責任も自分たちが負うという自己決定・自己責任の行政システムを構築し、新時代にふさわしい分権型社会を創造することを目的としております。
 同法は、国及び地方公共団体の分担すべき役割の明確化、従来の機関委任事務制度の廃止とそれに伴う事務区分の再構成、国または都道府県の関与等の縮減、廃止、権限委譲の推進、必置規制の緩和、廃止等が盛り込まれております。
 県は、地方分権一括法の制定を受けて各部に地方分権推進委員会等を設置し、関連する条例の制定、改正等について検討を行い、24件の条例案を今議会に提案したものでございます。
 以上でございます。
○上原亀一郎 知事、先ほどの企業局長の御答弁で、沖縄県の水道事業の資産がマンモスといっていいほどのいかに巨大な資産であるかがおわかりになったでしょう。
 すなわち資産合計では、用水供給事業を経営している23府県中5000億円を超える大阪府、埼玉県に次いで4080億円で全国第3位ですが、負債・借入資本金を除いた自己資本、純資産といっていいでしょう、大府県の愛知県、大阪府、埼玉県の2000億円余、兵庫県の1000億円余をしのいで沖縄は3375億円で断トツの全国第1位です。
 ですから、自己資本構成比率は沖縄県が82.7%に対し4大府県を初め全国平均は47.9%、沖縄県を除く22府県の水道事業資産の半分以上が借金でつくられ、そのため料金収入の60%以上が銀行に吸い取られています。もちろん借りた金は返さぬといけませんが、支払い利息が大変です。沖縄県は半分以下の28%です。
 沖縄県の全国トップを誇る水道事業の巨大資産の中身は何でしょう。復帰後毎年100億円以上の国庫補助金を得て造成された3237億円で、自己資本の96%を占めています。
 それでは、この全国断トツを誇る沖縄県水道事業の巨大資産が造成されるに至った淵源は何だったでしょう。
 1957年(昭和32年)、那覇市民を水攻めにした米軍水道公社に対し当時の瀬長市長は、米軍は沖縄の水資源を奪い取って県民から水代・金まで搾り取っている、水道公社、電力公社ともに県民のものは県民に返せと要求を突きつけ、これがたちまち全県民的要求となり、どぎもを抜かれた米軍は、それ以来復帰の時点まで15年間水道料金を1銭も上げることができなかっただけではなく、復帰に際し日本政府は両公社を買い取り、電力公社を沖縄振興開発特別措置法「第5章 電気事業振興のための特別措置」で、電気の安定的かつ適正な供給の確保のための助成がうたわれ、その第2節として沖縄電力株式会社が設立されたんです。
 適正な供給の意味についてはいずれ論ずることにしますが、水道公社は他の府県にはほとんどないといっていいような引き継ぎ資本金102億円とともに沖縄県に無償で譲渡され、今日の全国一の巨大資産を生み出したんです。まさに闘いは富を生み出しただけではなく、山も深くない、大きい川もない沖縄で、今日豊富なおいしい水をことほぐことができるのも県民みずからの闘いの果実にほかならないものであります。
 これにもまさり、沖縄県民は1952年(昭和27年)4月28日、自民党の先輩である吉田内閣がカイロ宣言、ポツダム宣言の領土不拡大の原則を踏みにじりアメリカに売り渡した領土主権、国民主権を取り戻し、日本の真の独立を前進させました。
 アメリカは、サンフランシスコ条約発効に間に合わせるごとく無期限占領支配の道具として琉球政府・立法院を布令で設立しました。しかし、この立法院で条約発効の翌々日4月30日に条約第3条撤廃による日本復帰決議の動議が提出され、米軍占領支配を震え上がらせ、それから半年もたたない10月30日、全会一致で採択されました。占領支配の道具を文字どおり県民の総意を結集する議会制民主主義の殿堂に変えたんです。これが米占領軍に対する決定的な第一弾となって20年にわたる県民の熾烈な大統一と団結の闘いが燎原の火のごとく燃え盛ったんです。
 私たち沖縄県民のアメリカによる占領支配を断ち切る闘いの勝利は、単にみずからの権利を回復したというにととまらず、覇権主義と専制主義が敗退し、民族自決権と人民主権が定着し、20世紀人類進歩の流れを前進させるという世界的な役割を果たした偉業をなし遂げたんです。沖縄県民は、先人の歴史的偉業を受け継いで主権の中身、実態である核も基地もない平和な沖縄を必ず実現していく、私は宣言いたします。
 ですから知事、他国に基地を張りめぐらし、他国民の権利を侵害する覇権主義はどんなに強そうに見えても、しょせん敗退、崩壊の運命を余儀なくされる張り子のトラにしかすぎません。再度普天間基地の無条件返還、海上基地受け入れの撤回を要求します。
 改めてお答えください。
 いわゆる経済新法は、今定例会で再度突然異変を重ね、沖縄振興法に変わりました。
 知事、ぐらぐら動揺を繰り返してはいけません。名称は沖振法に近づいてきました。略すれば同一になるかもしれません。恥じらうことなく、いじくり回さず沖縄振興開発特別措置法の延長継続、抜本的強化を堂々と胸を張って政府に要求してください。お答え願います。
 時間がありません。残念です。
○知事(稲嶺惠一) 上原亀一郎議員の御質問にお答えいたします。
 最初のお話は、普天間の移設を撤回しろということでございましたけれども、私は、先ほど申し上げましたようにまずSACOの合意を一歩一歩進めることが正しいと思っておりますので、撤回はできません。整理縮小に向かって頑張っております。
 それから次の質問で、経済新法、ごろごろ変わっているとおっしゃったんですけれども、経済新法を沖縄振興法と表現を変えたのは、これまで3次振計終了後の新たな沖縄振興計画の根拠法として沖縄経済新法という表現を用いてきました。しかしながら沖縄経済新法は、経済分野だけに限定しているという印象を与える面がありますので、今後新たな沖縄振興法という表現を用いたわけです。
 沖縄振興法は、先ほど上原議員が再三言っておられる沖縄振興開発特別措置法のよいところは全部引き継いで、さらに拡大発展していくためのものです。そのために今、沖縄振興法のあり方について現在作業中の沖縄振興開発の総点検結果を踏まえて関係機関と調整してまいりたいと考えております。
○上原亀一郎 議長、答弁になっていません。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午前0時32分休憩
   午前0時32分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 休憩いたします。
   午前0時33分休憩
   午前10時  再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 この際、報告いたします。
 人事委員会委員長新崎盛善君は、所用のため本日の午前の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として人事委員会事務局長安慶名一郎君の出席を求めました。
   ――――――――――――――
○議長(友寄信助) 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 安里 進君。
   〔安里 進君登壇〕
○安里  進 おはようございます。
 きょうは12月10日、稲嶺知事が就任した日で満1年が経過しました。まことにおめでとうございます。
 また、皇太子妃の雅子様の御懐妊のニュースも流れて大変おめでたい日であります。
 そこで、さわやかにいきましょう。
 きょうの新聞の「1年の歩み」を見ても、就任の翌日から閉塞状態になっていた沖縄政策協議会が開催され、まさにこの1年、動く稲嶺県政であったと思います。知事の御苦労をねぎらい、一層御奮闘をお願いし質問に入ります。
 北部振興についてであります。
 平良長政議員の大宜味村にはブナガヤがいるわけでありますが、我が名護市には2種類のキジムナーがいるわけであります。1つはアガリのキジムナーといいます。1つはイリのキジムナーといって東と西に分かれておりまして、アガリのキジムナーは普天間を大変心配をいたしております。危険度とか騒音、環境問題等をどうにかクリアしてもらえれば苦渋の選択として受け入れてもいいのではないかというキジムナーがおります。
 イリのキジムナーは、サミットが決まってその受け入れに奔走しているキジムナーがおるわけであります。その2つがいろいろ話し合った結果、やはり北部は振興策の促進をお願いした方がいいだろうという話が決まって、これから振興策について質問をいたすわけであります。
 私は、北部地域の振興について国と県が今やっと目を向けるようになって、遅きに失しているとはいえ大いに期待をしているところであります。
 我がヤンバルは、1945年2月、沖縄戦も末尾に差し迫って、各区民は政府筋の命令で深山に疎開小屋を設営する山方作業を請け負わされ、中南部から来る避難民にあてがうつもりの施設1棟6坪の山小屋、名護町だけでも365棟つくり、中頭、島尻同胞のために連日山入りして受け入れ態勢を整え、そして食料も供給してまいりました。
 戦後は、燃料としてのまきの供給、そして現在、中南部へ飲料水1日22万1000立方と工業用水6万8400立方を送水しております。ダムをつくるため自然の山林を壊しながらも国と県のダム9カ所、北部で現在建設中の羽地大川ダム、大保ダムを加えると11ダムが北部であります。
 企業局はまた北部の河川13カ所から取水し、中南部の水を賄っているわけであります。本当に断水しないと北部のありがたさがわかってもらえないのかと真剣にそう考えるときもあります。
 今回、基地問題が再燃して初めて北部の振興策が県と北部12市町村から国に要望されましたが、今こそ沖縄県の均衡ある発展のため稲嶺知事に頑張ってもらわなければなりません。
 私どもは岸本市長を支え、稲嶺知事の苦渋の選択に理解を示しながらも頑張っていきたいと思いますので、北部の振興に特段の御配慮を賜りますようお願いを申して質問をいたします。
 県の北部地域の振興についての基本理念と基本戦略についてお伺いします。
 2番目は、きのうもありましたが、当初計画では定住人口20万人を目標にしていたと思うが、翌日の15万人に修正減の報道がなされておりますが、それはどういう理由なのか、お伺いいたしたいと思います。
 次に、農業振興の中で総合農産加工場の設置についてでございます。
 小那覇農林水産部長は、10月に入って2回も北部の農林水産関係を視察いたしました。また、農林水産部の北部の出先の長とも意見を交わし、県が進める農林水産業のビジョンやアクションプログラムの着実な実施に取り組む姿勢に対して心から労をねぎらい感謝申し上げる次第であります。
 さて、私は平成10年の6月議会において質問した事項について改めて質問させていただきますが、今北部の主要野菜の生産状況を見てみますと65%は規格品として市場に出荷しておりますが、残りの35%は換金されていない規格外品となっております。農業所得になっておりません。この規格外品を加工することによって10億円の農業所得が生まれると言われます。
 そこで、私は北部地域に農業振興基金の創設と農業物流センターの設立を、あわせて総合農産物の加工場の設置について提言し、農業経営の助成と生産物の有効活用、価格対策を図り農家の生産意欲を鼓舞することができると、県の所見を伺ったわけであります。
 その当時の県の部長の答弁は、農産物を加工し付加価値を高め販売することは、農家の所得向上及び就業の場の確保等地域の活性化を図る上で重要であると考えております。現在、北部には加工施設はパイナップル、ゴーヤー、シークワーサー等の小規模の特産品加工場があります。これら加工場の運営については原料の確保、消費者ニーズ等需要の動向及び販路の確保、技術者の確保を一体となって取り組むことが重要で、総合農産物加工場の設置はこれらを踏まえて総合的に検討すると答弁しておりますが、1年を経過した今どう検討されたか、お伺いいたします。
 次に、名護市の辺野古地区を含めた旧久志村地域の振興策はどう考えているか。
 知事は、キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域を選定し、名護市の皆様には新たな負担をお願いすることになるかもしれないがと心を痛めていると。県民の願いである基地の整理縮小を図るため御理解を願いますと頭を下げました。私たちもまた苦渋の選択肢としてやむなしとして知事に理解を示しながらも、当該地域の苦悩は大変なものがあります。危険性の問題、環境の問題、騒音の問題等クリアしなければならない問題はたくさんあるものの、特に辺野古地域の振興策が見えませんが、県はどう考えているか、お伺いいたします。
 次に、名護市への工業用水の導入についてでございます。
 沖縄本島における水政策は、北部の河川で水源開発し中南部に送水する「北水南送」という開発供給システムが構造化しております。水源開発によりさまざまなデメリット、リスクを負う供給地である北部と、その恩恵を享受する最大消費地である中南部では水に対する認識の格差があり、その深刻な地域間の対立、確執の要因にもなりかねないと私は常々危惧しているものであります。
 県企業局は、沖縄本島北部の比較的水源に恵まれた国頭村、大宜味村、宜野座村を除く本島29市町村と伊江島に1日当たり42万1000立方の水を供給しているといいますし、また産業振興を図るため工業用水を久志浄水場で沈殿処理した後、中城湾港新港地区及び糸満市の工業団地にある62の工場に1日当たり約2万立方の工業用水を供給しております。
 ところで、名護市は平成2年から工業用水の適用を企業局に要請しているところであるが、いまだそれがなされておりません。名護市にはオリオンビールを初め工業用水を必要とする多くの工場が待ち望んでおります。北部は水を供給するだけなのか、それともいつの時期にそれがなされるのか、企業局長にお願いします。
 ちなみに、名護市は昨年3月31日、屋部地域に工場地域が適地指定されております。
 次に、名護市源河川河口の整備見直しとリュウキュウアユを蘇生させることについてお伺いします。
 環境問題が地球規模で論議される中、建設省は河川審議会管理部会河川環境小委員会を設置し、19名のさまざまな分野の学識経験者に今後の河川環境のあり方について審議させました。
 審議会は、審議結果を1995年3月に建設大臣に答申しました。この答申は前回1981年以来10数年も経過しているので、国民の河川に対するニーズの多様化にこたえるため次の新たな課題に積極的に取り組む必要が生じました。
 第1に、河川は国民にとって最も身近で日常的に接することですぐれた自然環境の一つであるので、河川の持つ自然的価値を尊重すべきである。
 第2に、よい河川環境を形成していくためには河川が地域に密着した共有財産であるので、地域住民を初めとした地方公共団体等との連帯協調を図るべきである。
 第3に、従来では見られなかった河川利用形態の出現、安全でおいしい水への期待や河川にかかわる地域固有の文化を大切にしようとする意識にこたえるものであります。
 審議会は、これらの課題に適切に対応していくために河川環境の保全と創造の基本方針と、そのために推進すべき施策について審議し答申いたしました。
 その基本方針は、1つ、生物の多様な生息、生育環境の確保、2、健全な水循環系の確保、3番目に、河川と地域の関係の再構築が挙げられております。
 重要な視点は、長期的動向を踏まえた取り組み、住民、地方公共団体、関連する他行政との緊密な連携、3つ、総合性の重視が挙げられております。
 以上の基本方針を踏まえて具体的な政策の推進について事細かく述べられております。この答申を実施すると河川生物との共生が可能になると思います。
 今後、県でも河川環境のあり方をさまざまな分野の意見を集約してビジョンづくりを始め、県民の英知を結集して生物との共生や親水性を重視した川づくりを推進していただきたいと思います。
 また、これまで海岸の浅い水域は学問的に注目されなかったが、1980年ごろ以降注目されるようになって、当水域が魚類の生活史の中で重要な役割を果たしていることが認められつつあります。1997年には、日本水産学会より砂浜海岸の仔稚魚に焦点を絞ったシンポジウムも開かれるに至っております。
 海外においては、出現する仔稚魚相に関する研究は古くから行われ、多様な魚種の生育場として重要な水域となっていることが指摘されております。
 この汀線域は、まずエアレーション効果があること、水温が温かいこと、えさとなるプランクトンが多いこと、大きな魚から守られる、仔稚魚が流されないことなどが砂浜の汀線域の特徴であります。
 そういうことでこの流域はリュウキュウアユの仔魚、稚魚にとってゆりかご的な場所であります。
 そこでお伺いします。
 河口流域はアユの仔稚魚の生育の場になっているが、河口両側はテトラポットが敷き詰められ波の当たりが激しく、仔魚が死ぬ可能性が高く大変厳しい環境にあるようだが、両側のテトラポットを除去し一定の幅を砂浜にするよう見直してはどうか。
 農林水産部ではリュウキュウアユの蘇生について計画はあるのか、これまであったと思うけれども、それを打ち切ったという話もありますが、その辺についての見解を伺いたい。
 また、これまでの取り組みの経過をお伺いします。
 以上でございます。よろしくお願いします。
○知事(稲嶺惠一) 安里進議員の県の北部地域の振興について基本理念と基本戦略についてとの御質問にお答えします。
北部地域については、人・物・情報などの多様な交流と豊かな自然等との共生を通じて発展する20万人広域圏を目指して自立型の経済社会を形成し、中南部地域と相互に連携し合う広域圏として発展する新生ヤンバルを創造していく必要があると考えております。
このため、当面15万人の圏域人口を目標とする北部地域の振興に向け観光・リゾート産業の新たな展開や情報通信産業の誘致など地域資源を活用した特色ある産業広域圏の創造や北部新空港の設置、情報通信、交通基盤の整備などによる多様な交流広域圏の創造、エコツーリズムの促進などによる環境広域圏の創造を戦略的に進めていきたいと考えております。
 次に、名護市の旧久志村地域の振興策はどう考えているかとの御質問へのお答えでございます。
 普天間飛行場の移設先につきましては、新たな負担を伴うことから地域の活性化及び発展につながる産業の振興、雇用の促進等の振興策を総合的な視点から取り組むことが不可欠であると認識し、政策協議会の場において国に要望したところであります。国においては、本県の要望に対し政府としてこれを重く受けとめ対処していく方針を明らかにしております。
 移設先及び周辺地域の振興については、雇用の場の確保や生活環境の向上等地元から具体的な要望を踏まえ振興策として取りまとめたいと考えております。その上で国に対しその実現方を強く求めてまいりたいと考えています。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(宮城正治) 北部地域の振興について、定住人口20万人を目標として報道されたが、15万人に修正減されたのはどういう理由かという御質問でありますが、お答えいたします。
定住人口20万人は、中南部地域の発展に比べ停滞している北部地域の振興を促進し、高次の都市機能を有する地域として成長発展していくことを期待して示した将来目標、長期的なビジョンであります。
 その達成に向けましては、北部地域の特性を生かした産業の振興、雇用の場の確保、生活環境の整備などによる定住条件の整備を進め、当面15万人の圏域人口を目指したいと考えております。
 以上です。
○農林水産部長(小那覇安優) 北部地域の振興について、農業振興の中で総合農産加工場の設置についての御質問にお答えします。
 農産物の加工は、農家所得の向上及び就業の場の確保等地域活性化を図る上で重要であると考えております。
 このため、北部地域においては経済連の農産加工場、水耕八重岳のゴ-ヤ-茶工場等のほか、平成11年度にはアロエベラ加工施設、ハ-ブ類及び大根の加工施設、月桃の加工施設の整備を進めているところであります。
 農産加工場の設置に当たっては、年間を通しての原料確保を初め需要の動向、販路及び技術者の確保等について、その地域の農業に携わる関係者が一体となって取り組むことが重要であります。
 御提言のありました総合農産加工場につきましては、現在稼働中の加工施設の有効活用を促進するとともに、新たな施設整備の可能性については引き続き検討していきたいと考えております。
 次に、名護市源河川河口の整備見直しとリュウキュウアユを蘇生させることについて、農林水産部はリュウキュウアユの蘇生について計画はあるか、またこれまでの経過についての御質問にお答えします。
 絶滅したリュウキュウアユを蘇生させるため、昭和61年、名護市源河区民を中心に「源河川にアユを呼び戻す会」が結成され、平成3年にはリュウキュウアユ種苗センターが設立されました。
 種苗センターでは、奄美大島産のリュウキュウアユを用いて種苗生産を開始し、平成4年以降は毎年アユの放流活動を継続しております。リュウキュウアユのふ化、放流が成功した背景には、県内外の研究者、名護市及び北部ダム管理事務所の多大な支援がありました。
 県としては、地元の放流活動を支援しアユが定着できるように平成8年7月の沖縄県内水面漁場管理委員会指示で名護市以北の河川、北部3ダム等におけるリュウキュウアユの採捕を禁止しております。
 また、今後はアユを素材とした地域活性化を検討する必要があると考えております。
 以上でございます。
○企業局長(又吉辰雄) 安里議員の名護市への工業用水の導入についての御質問にお答えをいたします。
 名護西岸地区への工業用水の導入については、企業局の長年の懸案事項でありまして今までも導入について検討してまいりましたが、工業用水単独による事業化には膨大な資金を必要といたしまして公営企業として採算上極めて厳しいことが予測されたことから実現せず、現在に至っております。
 幸いにいたしまして、今般、水道用水供給事業が事業着手する名護市久志から許田、許田から幸地間までの導水トンネル工事に共同施工で工業用水道の事業を実施した場合、従来よりもかなり事業費を圧縮した形で事業化が図れることから、国庫補助を受けまして事業化が可能となったものでございます。
 本事業は、名護市久志から許田、幸地を経まして屋部地区工場適地に至るまでの約17.8キロメートルに工業用水道の専用配水管を布設するものでありまして、屋部地区工場適地及び配水管沿線の企業を給水対象に1日当たり4100立方メートルの需要を見込んでおります。現在のところ平成12年度より事業に着手をいたしまして、平成14年度より給水開始を予定しております。
 なお、本事業の予算につきましては沖縄開発庁、通産省の御理解と御支援を得まして平成12年度国庫補助事業といたしまして沖縄開発庁から予算要求されております。
 年末の国の予算内示に向けましては、今後とも強力に要請を行いまして、最後のチャンスと考えておりますので、ぜひとも実現をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 源河川河口部のテトラポットを除却し、一定の幅を砂浜にするよう見直してはどうかとの御質問にお答えいたします。
 源河川河口部の護岸及び消波ブロックは、国が管理する国道58号の道路施設の一部であるため、消波ブロックを除去し海岸を砂浜に改変することにつきましては背後地への影響、投入した砂の流出に対する技術的な検討課題等もありますので、その実態調査について今後道路管理者である国へ要望してまいりたいと。
 以上でございます。
○高江洲義政 おはようございます。
 結局は、満足ではないにしても野党の皆さんも一般質問ができたではないですか。大勢の職員に深夜まで待機していただき、その財政的浪費も大変なものがあると考えます。我々議会にある者として大いに反省すべき点もあるのではないか、このように考えるわけでございます。
 さて、けさの新聞1面トップで、嘉手納の軽飛行機の不時着事故が報道されております。並びに社会面では全日空機のエンジントラブル、知事は遺憾の意を嘉手納軽飛行機事故に対しましては表明しておりますが、緊急でありますので、少しだけ取り上げておきたいと思います。
 私は以前、数年前に大田県政時代に嘉手納で軽飛行機がよく飛んでいる、私も声をかけられた。遊覧飛行で四、五ドルで乗れるけれども、乗ってみないかと。指摘して、これは地位協定違反ではないかということで、その後遊覧飛行等が一時期とまっているかに見えました。
 最近嘉手納周辺を車で走っておりますと、やたらと軽飛行機が飛んでいる、前の状態に戻っているのではないかと心配をしていたやさきにこういう事故でございます。ぜひこの点については基地に対しても厳重に知事の方から抗議を申し入れるなりしていただきたい、そういう行動を起こしていただきたい。
 さらには、これは軽飛行機のトラブル以上の私は重大事故につながる民間飛行機、旅客機、航空会社に対して飛行機の整備等については厳重にやるということを注意を喚起する行動をすべきではないかと、こういうふうに考えておりますが、いかがでございますか。
 いよいよ介護保険が来年4月からスタートいたしますが、老人福祉においては他府県より福祉施設の整備が進んでいる沖縄県でございます。まだ十分な対応ができているとは思えませんが、その背景には我が国が高齢化社会から高齢社会への移行が他の先進諸国に類を見ないスピードで進行しているからであると思います。
 現在、65歳以上の方の人口に占める割合がおよそ5人に対して1人でありますが、10年もすると4人に対して1人の割合という状況にございます。これは1つには我が国の医療技術が世界でも最高レベルまで向上したおかげでありまして、医療が社会に貢献した結果であることは言うまでもございません。
 さて、老人福祉や障害者福祉を考えると多くの財源が必要になることは言うまでもございません。くしくも昨日は障害者の日でございました。
 今回の介護保険は、民間の活力を導入し老人福祉の質及び量を市場原理を用いてできる限り安いコストで継続的に子や孫に財政負担を強いることがないように考えられたものでございます。つまり、安心して住める社会づくりと核家族化した現代の問題に対して社会全体で介護を支え合うということにあります。そのキーポイントは、すなわち1番目、介護のサービスは受ける人が選ぶ、2番目は、サービスを受ける人も行う人も公平に行う、3番目、民間参入、4番目、市場原理を用いる、いわゆるコストを下げるということでございます。
 今までの老人福祉における問題点の1つに老人福祉施設、すなわち特別養護老人ホーム、老人保健施設に入居しているいわゆる介護保険で言う自立可能なお年寄りの問題があると思います。
 県内の老人人口は、昨年の10月発表で16万6652人と発表されております。うち、寝たきり老人が同年同月発表で1万496人であると言われております。
 2000年3月末までに特別養護老人ホームが54施設が整備されます。老人保健施設が41施設、在宅介護支援センターが51施設になります。
 本来であれば、かなりの部分が老人福祉施設でカバーできるはずのものが、実際は老人福祉施設におよそ半分近い50%に当たる方々が自立可能な老人が入居していると言われております。その結果、かなり多くの方々が施設介護の恩恵を受けられずにいると言われております。
 昨日、共産党の議員が老健施設をもっとふやせという質問もございましたが、これは部長の答弁でも、一応整理しないといかぬ。今申し上げましたようにおよそ半分の人が自立可能な方々であるとまで言われているわけですから、そういう状況であります。
 このことは、行政や福祉施設の方々が適切な福祉行政を行わなかった弊害と言えると思います。(発言する者あり) 今やじがありましたが、介護保険、いわゆる要介護から、1から5までこれを認定すると、このように言われているぐらいでございます。
 介護保険制度のスタートによって、現在、施設に入っている元気なお年寄りへの対応はどうなりますか、御質問をいたします。
 いろいろと介護保険制度の広報活動をやっていることはよく知っておりますが、つい最近、8月ごろでございます、介護保険のことで問い合わせをしたら、とんでもない間違った返事が返ってきたということが私の耳に入っております。
 内容は、50歳の人が特定疾病により家族が毎日介護をしているが、制度がスタートしたらサービスが受けられるかという問い合わせに対して、行政側の対応、返事が、介護保険は65歳以上の人がサービスの対象でありますと、こういうことのようでありました。
 特定疾病は、それ以下の方でも受けられるはずです。
 行政は、県民のサービス機関の1つであることは言うまでもございません。介護保険は県民と密着した重要なことであり、担当ではないから知りませんでは困るわけでございます。
 そこで質問いたします。
 県職員や市町村職員は、県民から介護保険についての質問を受けたとき重要な部分を説明し適切な助言ができるように周知徹底しているか、伺います。
 訪問介護や訪問入浴介護等介護サービス制必要量見込みで訪問介護は1万9917回、11年11月現在で県が出したシミュレーションによると7700回しかサービスができないという報道がございました。その点は解決できますか、お答えいただきたいと思います。
 また、ケアマネジャーは現時点で何名おりますか。
 そのケアマネジャーのほとんどが医師であり看護婦であると聞いております。どれぐらいの割合で医師や看護婦がおりますか。その方々は、ケアプランの作成にタッチできるかどうか心配でこの質問をするわけでございます。
 次に、県内各市町村の介護保険制度のスタートに際しての取り組み状況はどうなっていますか。
 県は、介護保険事業への民間業者参入見込みとして300の事業所を見込んでおりますが、介護支援事業者の申請状況はどうなっておりますか。
 介護は人手が多くかかりますが、民間参入が多くなれば当然に雇用、いわゆるホームヘルパーや看護婦等が拡大すると思うが、どういう対策を考えておりますか。
 報道によりますと、障害者の環境は極めて悪い状況にあります。平成10年度に障害者の法定雇用率を達成していない企業は、対象401社のうち、206社だという。平成11年もほぼ同じ状況であります。
 反面、従業員20人以下の零細企業の49%が障害者を雇用している状況でございます。
 以前、テレビの報道番組で知的障害者がヘルパーと一緒に介護の仕事をしているのを見ました。この件については、那覇市役所の島村さんという方が大変理解者で、一緒になって相談して進めているようでございますが、1番目に、介護保険制度のスタートによりホームヘルパーと知的障害者が一緒に介護の仕事ができると思うがどうですか。
 2番目、知的障害者の雇用の場の拡大の取り組みはどういう形で進めておりますか。
 3番目、障害者の職業自立支援のため、先般商工労働部にスタートした緊急雇用対策のための特別基金の活用を検討したことがありますか。
 次、県は心身障害児の職業自立の推進を図るため心身障害児職業自立推進実施要項を策定しております。その中身を説明してください。
 その職業自立推進連絡協議会、これはどういう形で障害児のための職業自立を支援しておりますか。
 さきにも申し上げましたように報道で障害者雇用の実態が浮き彫りにされましたが、県は今後どういうふうに取り組んでいきますか、お伺いいたします。
 私、観光問題を通告してございますが、実は11月から12月にかけて2日ほど県内のバスが入る観光地、施設を回ってみました。そして市場の中も回ってみました。
 通告して指摘をしてあるものの1つに、牧志の公設市場で生鮮食品、鮮魚3品以上を買い求めて、上で料理すると、3品以上は500円の調理代をいただきますと。しかし3品以内は500円、3品以上は追加料金だということで何がどうなのかわからなくて聞いたら、これは県が指導をして直したようであります。
 ただ、観光地において物価が余りにも差がある。ある泡盛の1斗がめ、市中で売られているのが4万円、43度の普通物。観光地に行って43度で7万円から8万円。同じ1斗がめ、同じメーカー。
 そしてネックレス、2万円の正札を見ました、観光バスが入る施設で。ある景勝地に行きましたら、お兄さん、1万円でいいよ、3500円のイヤリングもつけるよと。
 こうなると、全く沖縄観光は何かと。
 きのうも議場裏のロビーから表を眺めておりましたら、高校生が、修学旅行生がバスに乗り込んでおりましたが、この子たちがお父さんやお母さんにお土産を買っていった場合に、私は2万円だった、私は1万円だったと、こういう状態じゃ将来のサミット後の沖縄観光、どうなるか、心配であります。
 県は対応をどう考えているか、御答弁をお願いいたします。
 ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 高江洲義政議員の御質問にお答えします。
 米軍の遊覧飛行の事故の問題がございました。
 これにつきましては、まず当面、米軍に注意を促すとともに、次回の三者協に取り上げて厳重にこちらの方からチェックをしていきたいというふうに考えております。
 なお、民間につきましても注意を喚起していきたいと考えております。
 それでは御答弁に入りたいと思います。
 最初は介護保険について、ケアマネジャーの数は十分かということのお尋ねでございます。
 介護支援専門員については約600人程度が必要と見込んでおります。平成10年度及び11年度に実施した試験に1604人が合格しており、これらの合格者に実務研修を実施しておりますが、11月末現在で1078人が研修を修了しています。
 離島4村においては合格者がいない状況にあり、県としましては今後とも介護支援専門員の養成に努めていきたいと考えています。
 次に、居宅介護支援事業者の申請状況はどうなっているかとのお尋ねでございます。
 7月28日から居宅介護支援事業者の受け付けを開始していますが、11月15日現在で130事業者の申請を受け、119事業所の指定を行いました。今後とも引き続き申請を受け付けてまいります。
 次に、同じく介護保険で、人手が多くかかりますが、民間参入が多くなれば当然雇用が拡大すると思うが、これに対してどういう対策を考えているかという御質問にお答えをしたいと思います。
 介護保険制度では、訪問介護や訪問看護サービスなどに民間業者など多様な主体がサービスを提供できることになっており、雇用の拡大が見込まれています。これら業務にかかわる職員のうち看護婦については看護学校の増設により養成数は増加し、平成3年度に作成した需給見通しを達成する見込みです。
 また、ホームヘルパーについては、平成11年3月31日現在、1級課程169名、2級課程1565名、3級課程2580名の合計4314名の養成を行っております。
 なお、離島町村においては、現地に講師を派遣して講習を実施し、11月末現在、7町村で232名のホームヘルパーを養成しております。今後とも資格者の養成に努めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○福祉保健部長(平良健康) 介護保険についての御質問でございますが、まず介護保険制度によって現在施設に入所している元気な老人への対応はどうなるかとの御質問にお答えいたします。
 介護保険制度では、施設サービスを利用できるのは要介護1以上となります。現在、施設に入所・入院されている方が「自立」、「要支援」と判定された場合は施設を退所することになりますが、特別養護老人ホームについては本人が希望すれば5年間は継続して入所できるようになっています。
 これ以外の方々については、施設から円滑に退所できるよう退所後の受け皿となる住宅等を前もって整備し、在宅サービスを受けながら生活していける環境を整える必要があります。
 県としましては、ケアハウス、軽費老人ホーム等の整備促進を図るとともに、介護予防・生活支援事業等を活用し介護保険法の対象とならない元気な高齢者への保健福祉サービスの充実を図るよう市町村に対して指導を行っているところです。
 次に、県職員や市町村職員は、県民に対し適切な助言ができるよう周知徹底しているかとの御質問にお答えいたします。
 県においては、関係部局を含めた介護保険制度に関する連絡協議会を庁内に設置し、制度が円滑に実施できるよう支援体制をとっています。
 また、老人保健福祉圏域ごとに地域連絡協議会を設置し、保健所や福祉事務所、市町村間で情報を共有し、制度の周知や課題等の理解を深めているところです。
 市町村においても、関係部署を網羅した協議会等を設け全庁的な取り組みを行っているところであり、住民への適切な説明、助言ができるよう努めています。
 次に、制度のスタートに際しての市町村の取り組み状況はどうかとの御質問にお答えいたします。
 市町村においては、今年の10月から要介護認定を開始しており、10月末現在で5295件の申請受け付けを行い、3420件の認定調査を実施しています。平成12年度以降の介護基盤の整備に向け、現在、介護保険事業計画を策定中であり、あわせて老人保健福祉計画の見直しを行っているところです。
 また、介護サービスの提供に向け、事業者の把握や調整を行うとともに、事務処理を効率的に行うために電算開発の取り組みや住民への制度周知のための広報・啓発等を行っています。
 次に、障害者の雇用についての御質問がございますので、まず、介護保険制度のスタートによりホームヘルパーと知的障害者が一緒に介護の仕事ができると思うが、どうかとの御質問にお答えいたします。
 介護保険における訪問介護員は、介護福祉士またはホームヘルパーの3級から1級課程の資格を有する者が担当することとなっております。したがいまして、訪問介護員と知的障害者が一緒に介護の仕事に従事したとしても介護報酬の対象者はホームヘルパーのみとなります。
なお、現在、社会福祉施設においては、高齢者や障害者等が施設業務の中で給食の後片づけや清掃等比較的障害者等に適した業務について非常勤職員として雇用された場合に措置費に加算する制度がありますが、介護報酬についても同様な加算制度ができるよう国に要望していきたいと考えています。
 次に、障害者の雇用拡大について高等養護学校が県に対し要請を行っていると聞いているが、説明願いたいという趣旨の質問でございます。
 社会福祉施設において、障害者等ができるだけ働きやすい条件を整備するために、施設の業務の中で比較的障害者等に適した業務について非常勤職員として雇用した場合に措置費を加算する制度があります。平成10年度にこの制度の適用を受けて障害者を雇用した社会福祉施設は、9施設10人の実績となっております。
 高等養護学校等からこの制度の適用の継続についての要望がありますが、県におきましては今後とも当該制度の活用を図り障害者の職場の確保を図っていきたいと考えております。
○商工労働部長(宮城春一) 高江洲義政議員の障害者雇用についての質問の中で、障害者の職業自立支援のため緊急雇用対策特別事業基金を活用できないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県では、深刻な雇用情勢に対処するため国が緊急雇用対策として創設した緊急地域雇用特別交付金により基金を設置し、同基金を活用して県や市町村が緊急に対応すべき事業を実施することにより雇用・就業機会の創出を図っているところであります。
 基金事業の対象となる事業として、新規雇用が発生する等雇用効果が高いことや緊急性、新規性が認められる等の要件があり、原則として民間企業や団体等への委託で行うこととされています。
 障害者の雇用対策のために同基金を活用することは、制度の要件や基準等を満たせば可能であります。ちなみに、平成12年度事業として障害者を雇用して精神障害者の実態調査を計画している市町村があります。
 なお、この基金事業とは別に企業の協力を得て障害者の職場実習を行う障害者雇用安定プロジェクトの実施や、事業主の雇用意欲を喚起する特定求職者雇用開発助成金の助成率の引き上げなど、障害者のための雇用対策の充実強化を図っているところであります。
 次に、同じく障害者雇用についての中で、11月27日の報道で県内の障害者雇用の実態が浮き彫りにされたが、県は今後どう取り組むかという御質問にお答えいたします。
 障害者の雇用につきましては、「障害者の雇用の促進等に関する法律」において民間企業、国、地方公共団体は、障害者雇用に係る社会連帯の理念に基づき法定雇用率に相当する数以上の障害者の雇用を義務づけているところであります。
 本県の平成11年6月1日現在の民間企業における雇用状況を見ますと、雇用義務のある企業466社において1134人の障害者が雇用されており、常用労働者に占める障害者の割合である実雇用率は1.56%と改善傾向にあり、また全国平均の1.49%と比べても0.07ポイント上回っているところであります。
しかしながら、依然として法定雇用率の1.8%を下回っており、雇用率未達成企業も全体の58.6%を占めております。
このため、県といたしましては障害者の合同面接会の開催、職場適応訓練制度の活用などのこれまでの施策に加え、障害者の求人掘り起こしを行うための障害者求人開拓推進員の配置、事業主の雇用意欲を喚起するため特定求職者雇用開発助成金助成率の引き上げ、企業の協力を得て障害者の職場実習を行う障害者雇用安定プロジェクトの実施、知的障害者等の方が実際の職場環境の中で基本的な職業習慣等の習得を行う就業体験支援事業の実施など、障害者のための雇用対策の充実強化を図っているところであります。
 今後も引き続き、法定雇用率の達成指導を初め障害者の雇用対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○教育長(翁長良盛) 高江洲議員の障害者の雇用について、心身障害児職業自立推進実施要項の内容について伺いたいという御質問にお答えいたします。
 障害児の職業自立の推進を図るため、平成4年度に心身障害児職業自立推進実施要項を定めております。
 その主な内容は、職業教育、進路指導の充実及び地域の労働・福祉などの関係機関との連携を強化して職業自立に向けた体制づくりについて定めているところであります。
 その体制づくりといたしまして、特殊教育諸学校のうちから毎年重点校及び継続推進校を指定し、それぞれに心身障害児職業自立地域推進協議会を設置し職業自立に関する提言などを行うこととしております。
 次に、その職業自立推進連絡協議会は、どういう形で障害児のための職業自立の支援をしているかという問いにお答えしたいと思います。
 労働関係機関、雇用関係者、福祉関係機関等で組織された職業自立地域推進協議会は、職業自立の支援活動として次のような活動がございます。
 1つは、障害児教育の進路指導、職業自立について指導・助言・提言を行っております。
 2つには、職場開拓、業種の拡大、定着・追指導、現場実習等に関する情報の提供や交換を行ってネットワークづくりを強化して障害児の出口指導を支援しております。
 さらに、委員による講演会などを通して教職員、保護者の進路に関する意識の高揚・啓発にもつながる支援活動も行っております。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(大城栄禄) 観光産業と県内観光地の物価の比較について、観光地でのお土産品は通常価格よりも高いが、指導すべきではないかという御質問についてお答えいたします。
 御案内のとおり、観光地の魅力は、その地域のすぐれた自然景観や歴史、文化等に加え、特産品などお土産品も大きな魅力であります。
 このような観点から、県においては魅力ある質の高い、そして適正な価格のお土産品づくりに県民を挙げて観光振興を初め地場産業の発展に取り組んでいるところでございます。
 御指摘の件につきましては、沖縄観光のイメージダウンにつながるおそれがあることから、観光巡回指導、観光情報センター等の機能を十分に活用するとともに、関係機関及び団体と連携を図りながら指導等適切に対処してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○嘉数 昇明 おはようございます。
 稲嶺知事、知事御就任1周年、おめでとうございます。
 残りの3年の任期、課題は山積をしておりますけれども、健康に御留意をされて県勢発展、県民福祉のためにますます頑張っていただきたいと申し上げて、一般質問に入ります。
 なお、予定しておりました「嘉手納ラプコン」、「若年者雇用」については次回に回したいと思います。
 まず最初に、大那覇国際空港構想、那覇空港の沖合展開について、稲嶺知事の将来を展望した前向きな御所見をお伺いいたします。
 沖縄発展のかぎは、これからの大航空時代に適応した沖縄づくりを視野に据えた航空戦略を持っているかどうかの有無にかかっていると考えます。沖縄の表玄関であり、アジア・太平洋地域に向けた人の交流や物流を支える基盤インフラとしての那覇空港は、21世紀の本県の発展のかぎを握る空のゲートウエーであり、多年にわたり沖合展開を含めた国際ハブ空港化に向けた思い切った施設整備が求められてまいりました。
 県経済界がこれまで30年来の夢として描く大那覇国際空港構想は、多くのハードルを超えつつスローな歩みをしるしてまいりましたが、観光客1000万人時代に対応できる国内線新ターミナルビルをことし5月に完成させ、イメージを一新したところであります。
 しかし、国際線、貨物両ターミナルの拡充と滑走路の自衛隊との共用、すみ分けの課題が指摘されております。
 さて、ここにきて那覇空港の2005年限界論が急浮上しております。あと5年で滑走路一本の離着陸回数の限界となる13万回に達し今後の新路線の開設が困難になるほか、500万人に足りない現状でも既に到着、出発便のおくれが出るなど弊害が指摘されております。
 県は、これらの航空動向に対応するため那覇空港の将来整備のあり方について那覇空港将来構想基本調査を県単で実施し去る11月12日に発表しましたが、以下の重要ポイントについての御認識を示していただきたいと思います。
 1、那覇空港の施設整備の現状及び課題、2、その将来需要予測、3、年間離着陸回数の将来見通しと施設整備の必要性、方向性、そして4、施設整備の滑走路の施設配置に関する検討について明らかにしていただきたいと思います。
 次に、野中前官房長官の那覇空港平行滑走路増設に関する前向き発言に関連してお尋ねをいたしたいと思います。
 野中前官房長官が在任中、記者会見、国会答弁、そして自由民主党幹事長代理に就任後の知事とのテレビ対談におきましても、那覇空港の年間利用者は順調に伸びている、平行滑走路の増設など那覇空港全体の整備がこれから必要で十分検討する時期に来た、実現に向けて努力したいと述べられております。
 沖合展開をにらんだ議論の活発化に火をつけた感がございますし、大きな追い風と受けとめております。
 知事はこれをどう評価をし、その実現に向けて今後政府・与党・自民党サイドをどういうふうに動かしていかれるか、御所見を伺います。
 3、那覇空港の国際ハブ空港化を考えるに当たって、我が国の航空行政の方向、航空業界の動向、アジア・世界の航空動向を視野に入れて判断することが重要でありますが、県はどのように把握しておられるか、御説明を願いたいと思います。
 4、去る12月3日に那覇市内において「沖合展開を目指し~国際ハブ空港への展望」と題した那覇空港国際化シンポジウムが開催されました。そのシンポジウムには運輸省の航空当局を代表して航空局飛行場部長も記念講演をするなど非常にタイミング的にも中身の濃い議論が展開されたところであります。
 今後、21世紀に向けての沖縄の振興策の中でこの問題をどう位置づけていくか、沖縄経済振興21世紀プランの中でどう位置づけていくか、那覇空港のハブ化の可能性を多面的に探るチャンス到来と考えております。観光客誘致や国際路線網の拡大、臨空型産業の立地などハブ空港化や平行滑走路増設の必要性、緊急性をどう理論構築していくかが重要課題となってまいります。
 そこでお尋ねいたします。
 那覇空港の国際ハブ空港の可能性と未来像についてハード、ソフト両面の留意点を踏まえて御所見を伺います。
 5、今後の県の国際ハブ空港化、平行滑走路増設に向けての基本的考え方、推進体制と作業スケジュール、そして県民的な機運を今後どう醸成していくかについてお尋ねをしたいと思います。
 次に、西暦2000年沖縄サミットの中国オブザーバー参加についてお尋ねをしたいと思います。
 いよいよ来年7月、世界8カ国とEUの代表が本県に勢ぞろいをして主要国首脳会議(サミット)が開催されます。今日と21世紀の世界を視野に据えた重要テーマを論議する歴史的な舞台が沖縄から発信されることになるわけであります。
 一昨年のアメリカ・デンバー・サミットでロシアが正式メンバーとして加盟をいたしました。その後、次は中国だという声が上がってまいりました。そしてまた中国は市場経済を推進する中、このたびWTO(世界貿易機関)加盟のめどがついたことで中国のオブザーバー参加が一つのステップとして話題に上ってきているのであります。
 さて、日米安保条約に基づき全国の75%の米軍専用基地のある沖縄に中国の首脳が一歩足をしるすことは、日中間、米中間の安全保障観を変換させる要素をはらんでおります。それはお互いの疑心暗鬼を和らげ、信頼関係を醸成する装置となり得るものであります。アジアから唯一の参加国で日本がアジアの非参加国の声を積極的に吸い上げ、反映してほしいとの声もあります。
 来年1月1日よりサミット議長国になる日本が議長の年に、しかもアジアと中国に一番近い沖縄での開催の年に日本外交がリーダーシップをとって中国のオブザーバー参加への道を開くことは、今後の極東アジアの安全保障環境を改善し、ひいては沖縄の米軍基地の整理縮小に連動していくものと思料いたします。
 そこで知事は、11月23日県立武道館で開催された「沖縄・21世紀への挑戦」と題するフォーラムにおいて沖縄サミットへの中国オブザーバー参加が話題になったときに賛意を示し、その旨の努力をしたいと発言されました。
 そこで稲嶺知事は、沖縄サミットへの中国の関心の度合いをどう見ておられるか、また中国のオブザーバー参加についてどういう姿勢で臨まれるか、御所見を伺いたいと思います。
 次に、琉球バスの基地内スクールバス業務契約と雇用確保についてお尋ねします。
 県内バス企業である琉球バスは、米軍の沖縄地区スクールバス業務を復帰4年後の1976年から今日まで23年間円滑に車両と業務を提供して運用してきた実績を有しておりますが、アメリカ政府は契約期間中に契約システムを変更いたしまして車両と人員に分離をいたしまして、そして車両につきましては本土大手自動車メーカーが落札をしております。次は人員についての入札が年末に予定されているそうでありますが、そこに本土企業あるいは米国企業の動きがあるように仄聞をしております。
 そういう面で琉球バスは現在会社再建の途上にあるわけでありますが、この結果によって会社の再建にも大きな影響がありますし、そしてまた800余名の従業員の雇用にも甚大な影響を及ぼすところであります。
 そういう面で本土企業や米国系企業の参入に歯どめをかけていく日米政府の認識のあり方もかかわってくるわけであります。県内企業優先が貫かれるよう日米両政府の協議のテーブルに上げて前進が図られるよう尽力すべきと考えますが、どう対処されるか、お伺いいたします。
 さらに、次の点についてもお答えください。
 琉球バス業務契約の現状をどう把握し、今日までどのような対応をされたか。
 次に、業務契約のあり方、運用の次第によっては県内企業の参入機会や雇用確保の幅が狭められていくことを危惧いたしております。清掃業など他の分野への波及が懸念されているわけであります。
 この際、基地内契約業者と雇用状況を総点検してみるべきと考えますが、いかがでありましょうか。
 以上申し上げて一般質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) 嘉数昇明議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は、大那覇国際空港構想、那覇空港の沖合展開で、平行滑走路の建設に対する野中前長官の発言をどう評価して、どのように今後行動するかという御質問のお答えでございます。
 野中前沖縄開発庁長官より、沖縄の発展のためには那覇空港に平行滑走路が必要との御発言を幾度となくいただいたことは、21世紀に向けた自立経済社会の実現に取り組んでいる本県にとってまさに時宜を得たものであり、感謝しております。
 野中前長官の御発言を受け、平成11年度の沖縄振興特別調整費に那覇空港長期展望調査費が計上され、沖縄総合事務局において調査が実施されているところであり、平行滑走路の増設に向け大きく前進するものと期待しております。
 また、仲村正治先生が衆議院運輸委員長に就任されましたことも非常に心強く感じております。
 今後、県といたしましては、先生方の御尽力を励みとし、広く県民の平行滑走路の増設実現に向けた機運の醸成を図りつつ、国に対しまして早期の事業着手を働きかけていきたいと考えております。
 次に、西暦2000年の沖縄サミットの中国オブザーバー参加についての御意見でございます。
 お答えいたします。
 サミットは、国際政治や経済の運営に責任を有する8カ国の首脳レベルの外交であり、参加国の構成についてもこれらの国々の合意によって決まるものと承知しておりますが、中国が何らかの形でサミットにかかわりを持つことはアジア・太平洋地域の安定発展に寄与するものであり、有意義なことであると考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(宮城正治) 大那覇国際空港構想、那覇空港の沖合展開に関連いたしまして、那覇空港将来整備構想基本調査において那覇空港の現状と課題をどのように把握したかという御質問にお答えいたします。
 県では、那覇空港の将来整備のあり方について検討するため、平成10年度に那覇空港将来整備構想基本調査を実施しました。調査の結果、那覇空港における施設整備の現状及び課題といたしましては、1つにはエプロンスポットの不足、事故対策や維持補修のための予備滑走路の必要性、国際線ターミナル及び貨物ターミナルの狭隘化などの課題が指摘されております。
 那覇空港の将来需要予測でありますが、昨年の1998年の旅客数1042万人から、2010年には約40%増の1420万人に増加すると予測しています。それに伴い、年間離着陸回数も1998年実績の約10万8000回から、2010年には14万1000回に増加するものと予測しております。
 一般的な滑走路一本の処理能力が13万回と言われていることから、2010年までには処理能力の限界を迎えると想定され新たな滑走路の増設が必要になると考えられます。
 また、駐機エプロンの拡張や国際線ターミナル及び貨物ターミナルにつきましては、現在の2倍ないし2.5倍の規模のターミナルビルが必要と見込まれます。
 これらの見通しから、今後の那覇空港の施設整備の方向性は、緊急に整備を要するものとしてエプロンの拡大、国際線ターミナル、貨物ターミナルの整備、中期的には平行滑走路の整備、そして長期的には沖合展開によるターミナル地区の整備が想定されます。
 次に、我が国の航空政策、航空業界の動向、アジア・世界の特徴的な航空動向を把握しているかとの御質問でありますが、国際航空運送協会によりますと、アジア・太平洋地域の航空旅客は、2010年には全世界の航空旅客輸送量の50%を占めると予測されております。
 このような情勢の中で、本県を取り巻くアジア各国で大規模空港の整備が進められており、昨年は香港、マレーシアの新空港が開港したほか、韓国、上海、タイにおいても新空港の建設が進められております。
 我が国においては成田空港の拡張整備がおくれておりますが、関西空港の拡張、中部新空港の建設が進められようとしております。しかし近隣諸国に比べ空港使用料が高いことから、アジアにおけるハブとしての地位が低下しているとの専門家の指摘もあります。
 県としましては、今後ともこれら国内外における航空動向に注視しつつ、那覇空港の国際ハブ空港化に向け積極的な施策を展開していく必要があると考えております。
 次に、那覇空港の国際ハブ空港化の可能性と将来像、そして国際ハブ空港化、平行滑走路増設に向けての基本的な考え方、推進体制と作業スケジュールについての御質問に一括して答弁いたしたいと思います。
 アジア・太平洋地域の航空需要の増大が見込まれる中で、那覇空港は東アジアの中心に位置し、中国の今後の経済発展を視野に入れると国際ハブ空港の立地に恵まれた条件にあります。
 また、那覇空港は三方が浅い海に面し、国内の他の空港に比べ拡張整備が容易であり、また騒音対策もとりやすいことから24時間運用が必要な国際ハブ空港化に有利な条件にあります。
 県としましては、この有利な条件を生かして那覇空港を起点とする国際航空路線網の拡充や航空物流拠点の形成を図ることにより、那覇空港の国際ハブ空港としての地位を確立していきたいと考えております。
 そのためには、国際路線誘致に向けた優遇措置の確立や積極的なエアポートセールスの展開などソフト面の施策を急ぎ拡充するとともに、グローバル産業の誘致や国際的な観光・リゾート地の形成に向けた施策もあわせて展開していく必要があると考えております。
 また、国際ハブ空港に欠かせない24時間運用を実現するため沖合への平行滑走路の増設を促進するほか、国際線ターミナル、貨物ターミナル地区の整備についても長期的なビジョンのもとに促進していきたいと考えております。
 さらに、これらのハード、ソフト両面にわたる施策展開と関係機関等との調整機能の拡充を図るため庁内組織の強化も図るほか、那覇空港整備促進協議会の組織機能の強化により広く県民の那覇空港整備実現に向けた機運の醸成を図り、行政と民間が一体となった促進活動を展開していきます。
 今後は、那覇空港整備計画の県案をまとめ国に対して早期の事業着手を働きかけていきたいと考えております。
 以上です。
○商工労働部長(宮城春一) 嘉数昇明議員の御質問で、琉球バスの基地内スクールバス業務契約と雇用確保についての御質問にお答えいたします。
 米国政府沖縄地区米軍スクールバス業務については、琉球バスと米軍との間で車両リース・メンテナンス、運転部門が一括契約により運行されているところであります。
 しかしながら、現契約が平成12年7月末で満了することから、米軍では従来の一括入札を車両リース・メンテナンス部門と運転部門に分けた入札方式に変更し、車両リース、メンテナンス部門はことし8月に本土業者が落札したと聞いております。また、運転部門の入札は今月末から来年1月にかけて公募により行われる予定であると聞いております。
 このため県としましては、県内の厳しい雇用情勢、県内企業の育成等の観点から、入札に当たっては県内企業に優先発注するよう配慮してほしいということで国防総省教育局太平洋地区サービスセンター調達事務所契約部長に直接面会し要請したところであります。今後とも情勢を踏まえ適切に対応していきたいと考えております。
 なお、先生御指摘の米軍関係の契約業務についての雇用条件等の総点検をしてはどうかという御指摘につきましては、先生おっしゃるとおりで私どもとしても十分な実態把握をしておりませんので、その把握の方法等について今後検討し実態掌握に努めてまいりたいと考えております。
○上原 政英 稲嶺県知事には、御就任1年間、大変御苦労さんでございました。これからいよいよ政治家として大成するための試練が待ち構えているかもしれません。私は、沖縄の将来の繁栄のために6者協の一員として稲嶺惠一を擁立し、そして県民の会の副会長としてあるいは稲嶺選対副本部長の一人として当選にこぎつけました。
 そのときに申し上げたことは、稲嶺県政を当選させたのは日本政府の言いなりになるためではなくて、本当に沖縄県の繁栄のために沖縄県民のために県益を守るために頑張っていただきたいということを申し上げました。超党派で頑張っていくときに多くの我々同志政治家の応援もあることを期待しております。
 さて皆さん、そういうふうな稲嶺県知事を支えている執行部の皆さん、ぜひ健康第一に頑張っていただきたい、一番重要なときであります。
 一般質問を行います。
 皆さん、もうお気づきかもしれません。「布ヤ緯上ガイ 夫ヤ妻上ガイ」という琉歌の教訓歌がございます。「布ヤ緯上ガイ」、布は縦糸と横糸が相なしてでき上がっていくのであります。
 皆さんの前には、のぼり型になっている宮古上布、八重山上布がございます。その下には八重山ミンサーが張られております。議長の後ろには首里花織、そしてこの演壇と前の方には同じく首里花織があります。皆さん方がいつも答弁をしながらごらんになっているあの椅子の後ろには読谷山花織が全部張り込まれている。
 ごらんになってみてください。皆さん方の真後ろにすばらしい織物が全部張りつけられているんです。この議場の中にこういうふうな伝統文化をもって議場をつくったというのは大変私は誇りに思うのであります。
 縦糸はすべての根幹をなすものである、与野党で言えば与党である。「布ヤ緯上ガイ」というのは、その横糸が入って初めて織物ができ上がっていくということで与野党のバランスがすべてすばらしい伝統文化をつくり上げるということであります。
 今回の議会運営についてはいろんなことがございましたが、我々はこのとうとい教えをぜひ真に受けて沖縄県民が沖縄県民の誇りを持って物事に当たることができなければならない。こういうふうな伝統文化400年、500年の琉球王朝の中に教えがたくさんございます。果たして我々はそれを日常生活の中に受け入れているだろうか。これを思ったとき、私は今琉球歴史・民俗資料館の建設が一番必要だと。
 これを感じたのは、我々琉球王統を侵攻いたしました島津藩に行くたびごとに腹から燃え上がるような怒りを感じておりました。しかし黎明館、集成館に入るたびごとにこのようなすばらしい鹿児島県の教えを幼いときからあの県民がみんな勉強しているということを考えたときに、私たち沖縄県には県立博物館がございます。しかしこれはあくまでも物を展示しているようなことで敷居が高くて多くの人は入っていないんじゃないか。多くの県民が日常茶飯事、小学校から中学校、高校まで社会科の時間に勉強のできる琉球歴史・民俗資料館をぜひこの際つくっていただきたい。
 集成館は、島津斉彬候が琉球を侵攻したとき、東南アジアの貿易をうまいぐあいに利用いたしまして、徳川幕府の目を盗みながら蓄財をしたものでいわゆる殖産興業、富国強兵を打ち上げて今日の日本の殖産興業を打ち立てたということを考えるとき、その学びの原点は琉球王府にあったということも、これがいわゆる資料館でなければどうするか。
 県知事、明治100年を記念いたしまして鹿児島県では黎明館ができたという。私はこの際、サミットを記念いたしまして多くの県民が学べる琉球歴史・民俗資料館をつくってはどうかということであります。ぜひ実行に移していただきたい。
 さて次は、私が常日ごろ申し上げておりますように沖縄の交通渋滞を解消し定時・定速運行の確保をしなければならないということであります。
 これは沖縄振興開発計画がどのようになされようとも、渋滞がある限り沖縄の経済的発展あるいは自立的発展はなし得ないんじゃないかということで私は交通問題をあえてここに強く取り上げております。
 その渋滞の第一原因は、やはり国鉄がなかったおかげで我々の県民は全部車社会の中に織り込まれた。昭和47年復帰のときに18万2000台しかなかった車が平成元年には58万5000台、そして平成10年には91万4000台というふうに膨大に膨れ上がっています。
 道をつくってもどんどんどんどん後ろから車が渋滞する、どうするか。これこそ今、沖縄県の県知事が考えなければいけない重要なことだと私は思うのであります。
 そこでどれから先にやらなきゃいかぬか。バスが今沖縄県の公共交通機関でございます。このバス4社が統合をされない限りお互いの足を引っ張り合いしながら路線バスでさえももう運行が不可能になりつつあると。
 そこで、バス4社の統合問題について平成9年6月26日、そして平成11年6月29日に統合合意書ができ上がっておりまして、この問題が今総合事務局を通して県の担当部に上がっていると思います。どこまで、どういうふうな形で統合問題が進んでいるのか。これは私は稲嶺県知事の大きな政治課題の一つとして取り組んでいただきたいと思いますが、その点についてはどういうふうになっておりますか。
 またバスレーンは、沖縄の交通の渋滞を緩和するためにつくられました。確かにそういうふうな効果も出ておりますが、私は去る基地返還・跡地利用の問題でロサンゼルスに行ったときに、3回目行くんですけれども、今度はカープールシステムが全部取り入れられてすいすいと流れておる。沖縄のバスレーンにカープールシステムを取り入れて3名以上乗った車は走れますよと。そのときにもう既に2台の車が減っていくと。絶えず3名以上の車が走ればマイナス2台の自家用車が減っているんだということになりますと、渋滞が緩和されてくる。渋滞が緩和されるとバスが定時・定速運行が守られる。定時・定速運行が守られると沖縄県民からバスの信頼性を回復する。回復すればいよいよ自家用車が減っていく。
 家族3名の中に今まで1台あった車が、もう今は4台あるそうです。この県民が受けている大きな負担はどうするのか。
 みんな小さな金額で買える、30万、50万で買えるから大きな金にはなっておりませんが、県民一人一人が負う金額は大きなものであります。ですから、そこに私はパーク・アンド・ライドシステムも取り入れて、この際、この乗り入れ口に大きな駐車場をつくって交通の緩和対策に取り組んでいただきたい。
 これは全部基地の周辺ですから、基地の一部をすれば1000台ぐらいのとめられる駐車場はつくれる。そこに取り組んでいただきたいが、どのようにして今警本は交通渋滞緩和について取り組んでおられるのか。そしてパーク・アンド・ライドシステムについての導入計画はどうなっているのか、お聞かせ願いたい。
 さて、いよいよ本島縦貫鉄道の必要性についてであります。
 昭和52年、53年、平良幸市県知事、そして西銘県知事の時代にこれは全部つくり上げられております。生産性まで全部いっておる。
 なぜこれが今までできないか。ことしの沖縄経済振興21世紀プランに関する基本的な考え方の中に明確にうたい上げられております。
 産業活動を支えるインフラ等の整備について、産業振興を図る上で関連インフラの整備は不可欠であり、国内外との多面的なネットワーク形成のため空港、港湾の整備やアクセス道路及び情報通信インフラの整備等を推進するとともに、定時・定速交通の確保について検討していく必要があると。定時・定速運行の確保ということはどういうことなのか、恐らく鉄道だと思います。
 県知事、ここら辺を明確にお答えをお願いいたしましてぜひ定時・定速運行のできる鉄軌道の導入と同時にバス路線の赤字解消を図り、バス4社が一日も早く統合することによって沖縄県民の足を確保し、これから発展していこうとしているフリー・トレード・ゾーンの問題を含めても人が動く、物が動く、金が動く、これが経済のシステムだと教わってまいりました。どうぞ明確な御答弁をお願いいたします。
 ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 上原政英議員の御質問にお答えいたします。
 交通問題について、本島縦貫鉄道の必要性についてのお答えでございます。
 本県の長期的な総合交通体系整備の基本指針である沖縄県総合交通体系基本計画については、県を取り巻く社会経済情勢が大きく変化しており、今年度から平成13年度にかけて見直し作業を進めることとしております。
 見直しに当たっては、現在建設が進められております沖縄都市モノレールの整備状況を初め交通需要の動向、各地域の開発計画、返還予定米軍施設用地の跡地利用の将来展望等を踏まえて進めていきたいと考えております。
 御提言の本島縦貫鉄道等の軌道交通システムの必要性につきましても、今年度から作業中の総合交通体系調査の中で前向きに取り組んでいきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○教育長(翁長良盛) 上原議員の沖縄の歴史をテーマにした専門資料館が必要ではないかという御質問にお答えいたします。
 本県は、琉球王国の歴史的背景を持ち、日本史とは異なる独自の歴史を有しております。また、民俗的な面についても多様な系譜を持ち独特な伝統文化をはぐくんでおります。
 沖縄の歴史や民俗に関するテーマ的な資料館は、沖縄県民の歴史認識を深めアイデンティティーを確認するとともに、青少年に大きな自信を与える役割を果たすものと理解しております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(山川一郎) バス4社の統合問題についての御質問についてお答えいたします。
  バスは、本県における唯一の公共大量輸送機関であり、県としては県民の足を安全、確実に確保するためには、バス企業の経営の健全化はもとよりバス路線の再編など事業の集約化や統合を図ることも重要な課題であると認識をしております。
現在、バス4社による統合委員会のもとで統合に向けた具体的な作業を行っているところであり、県としては国と緊密な連携を図りながら総合的な観点から対応を検討していきたいと考えております。
○警察本部長(西村泰彦) 交通問題についての御質問のうち、県警が実施している交通渋滞緩和施策とカープールシステム、パーク・アンド・ライドシステムの導入につきましてお答え申し上げます。
 御質問の第1点目の、県警が実施している交通渋滞緩和施策についてでありますが、交通渋滞の緩和は都市交通機能確保の観点から県警にとりまして交通事故防止と並んで極めて重要な課題であります。
 そのため、県警では交通管制センターの機能を駆使し、交通信号機によって整然とした交通の流れを確保し、また適時、適切な交通情報を提供することによってドライバーの皆さんに渋滞の少ない道路を選択していただくなどのほか、駐車禁止規制や大量公共輸送機関を優先し、交通総量を抑制するためのバスレーン規制などの施策を推進して交通渋滞の緩和に努めているところであります。
 また、違法駐車車両によって恒常的に交通流が阻害されている交差点については、違法駐車抑止システムを整備するなどの措置を講じております。
 その他、道路管理者と連携して交差点の隅切りや右折帯の設置等を行い円滑な交通流の確保を図っているところであります。
 今後は、これまでの施策を一層強力に推進するとともに、来年3月の運用開始を目途に新交通管理システムのサブシステムの一つである道路交通情報通信システムの整備を推進していく予定であります。
 このシステムが整備されますと、個々の車両の運転者が交通の渋滞状況や交通規制状況などの情報を車載機や路側に設置した交通情報板などによりリアルタイムに入手することが可能となりますので、交通渋滞の緩和にかなりの効果があるものと考えております。
 第2点目の、カープールシステムやパーク・アンド・ライドシステムの導入についてでありますが、県内における交通渋滞は年々深刻化しており、バスレーン規制の実施時間帯におけるバスレーンの交通状況を見ますと場所によっては交通渋滞が発生している状況にあります。したがいまして、バスレーンに一定数以上の方が乗車している自家用車の乗り入れを認めるカープールシステムの導入は困難であると考えております。
 他方、パーク・アンド・ライドシステムにつきましては、マイカー用の大規模駐車場の確保が必要であるなど実現に向けて困難な点もございますが、鉄軌道のない沖縄県におきましてはパーク・アンド・ライドシステムは、上原議員御指摘のとおり唯一の大量公共輸送機関であるバスの利便性を向上させ、交通渋滞緩和対策として相当な効果があると考えております。
 したがいまして県警といたしましては、このような施策が実現の運びとなれば所要のバスレーン規制を実施するなど最大限協力してまいりたいと考えております。
○宮城 國男 通告により一般質問を行います。
 まず1番目の普天間基地の移設についてでありますけれども、このたび稲嶺知事が普天間飛行場の移設についてキャンプ・シュワブ水域内の辺野古沿岸域を決定したことはまことにもって勇断であり高く評価するものであります。
 御承知のとおり、県内には我が国の専用施設の約75%が集中し県民に過重な負担を強いていることから、前県政が精力的に日米両政府に要請したこともあって1996年SACO最終報告で11施設5002ヘクタールの返還が合意されたと理解しております。
 しかし、前県政のもとでは普天間飛行場の海上基地への移設を拒否したことで他の施設も遅々として返還に至らなかった状況でありました。
 ちょうど1年前に稲嶺県政が誕生しましてから基地の県内移設への動きが胎動してきております。ことし4月の象のオリの金武町への移設であり、キャンプ桑江とキャンプ瑞慶覧の住宅統合移設先として中城村及び北谷町が受け入れを表明したことであります。3町村の首長さんは、どちらかといえばこれまで基地問題については厳しい対応をしてこられたいわゆる革新サイドの方々であります。
 また、基地の県内移設についてのいわゆる県民のアンケート調査が県知事選挙の前と最近2回あったわけでありますけれども、県知事選挙の前のアンケート調査では県外移設が多数を占めておりましたけれども、最近の世論調査の結果は賛成の比率が県外や海外移設を押さえているような結果が出ております。県内世論も大きく変わりつつあります。
 議会サイドにおいても、本議会の9月定例会で県内移設の決議をしたのは周知のとおりであります。地元や県内世論、議会サイド、どれをとってみても基地の県内移設は大きな潮流になっていると思います。
 現在、県民の最大の関心事の一つは、申すまでもなく名護市議会、名護市長がどのように判断を下すかであります。冷静にしっかり見守ってまいりたいと思っております。
 ところで、今回の普天間飛行場の移設先は辺野古域で提供施設内となっております。普天間飛行場の規模、面積はSACO合意面積の9%、全基地面積の1%でありますが、それに見合う基地規模の飛行場が移設先の陸上に建設されるというのであれば、そのままその規模、県内の基地が縮小されると思いますが、移設場所によっては必ずしもそうならない場合もあるかと思います。
 そこで伺いますが、場所、工法とも関連すると思いますが、今回の辺野古沿岸域への移設で規模、機能面等でどの程度の基地の縮小になりますか、伺います。
 次に、ただいまの3首長さんもしかり、また別の団体や住民にしてもしかりだと思いますが、基地の移設についてはよほど安全保障観なり自己責任感が強くなければ積極的に受け入れる人は多くはないでありましょう。多少なりこうむることが予想される騒音、事故等の不利益の未然の万全の防止策を前提に地域の振興、跡利用に対する国の支援等を比較考量の上、ベターな選択としてやむなく容認するというのが率直なところであろうかと思います。県も、このような住民意識への最大限の配慮や市町村振興の課題や施策を踏まえ、国に要望すべきは要望しているかと思います。
 そこで伺いますが、県は北部地域の振興についての要望書を提出しています。移設と北部地域の具体的関連性についてお聞かせください。
 次に、移設後の跡利用についてであります。
 従前の返還軍用地の跡利用では、現行法が適用され財源措置や事業採択の基準等にも特別の制度がない上、行政側からの施策のおくれや地主合意形成の困難性、返還地のあり方等種々の要因で長期間を要しております。普天間基地の跡利用についても、その整備資金は数千億とも言われております。たとえ高率補助があったにしても、その対応費はとても市や地主で負担できるようなものではありません。
 返還地の跡利用については、これまでの轍を踏まないためにも制度や実施体制は万全を期さなければならないと思いますが、その対応策はどうなっているか、伺います。
 次に、那覇港湾管理者問題について伺います。
 沖縄県と那覇及び浦添市の3者は、那覇港管理のため一部事務組合を早期に設立させ、その執行体制を図り国際都市基本計画に対応した国際流通港湾の整備という共通認識のもとに協議を重ねております。
 その那覇港の整備については、6月29日第12回政策協議会で了承された沖縄経済振興21世紀プランの中間報告では、那覇港の整備及び那覇港国際流通港湾計画調査に対する支援として、那覇港において国際海上コンテナターミナルの整備を推進する。また那覇港国際流通港湾計画調査に対して国から補助を行うとともに、政府検討支援グループが専門的知見に基づき助言を行うなどの支援を行うとされ、その内容から中枢港湾への格上げではなく、これまで同様中核国際港湾として位置づけられています。
 県として、現在進めている調査を踏まえ、国の制度的、財政的支援を得てハブ機能を有する国際流通港として整備する。港湾については、SACO合意に基づき浦添埠頭に移設できるよう努力していくことになろうかと思います。
 一部事務組合の設立については、県と那覇市間でおおむね合意を得られているようですが、浦添市とは港湾整備のあり方や港湾施設の使用形態で差異があると言われる。具体的にどのような点に差異があり、また合意の見通しはどうですか、お聞かせください。
 一部事務組合の立ち上げは、当初のスケジュールでは来年の4月になっていますが、大幅におくれる見通しだと言われています。第9次の港湾整備七箇年計画が平成14年に終了することから、港湾計画の改訂作業に入る前に一部事務組合を設立しなければならないかと思います。第10次港湾整備計画に盛り込むためのスケジュール及びそのタイムリミットについて伺います。
 次に、道路・交通行政について西海岸の進捗状況と整備促進について伺います。
 本県では、特に交通手段が自動車のみに依存しているだけに、道路機能がそれに追いつけず不十分なまま経過しております。国道、県道、市道とを問わず主要な幹線道路の交通渋滞は日常茶飯事になっています。国サイドにおいては、本島中部の読谷村より南部の糸満を結ぶ全長45キロメートルの地域高規格道路の沖縄西海岸道路の建設中であります。
 西海岸道路の整備は主要幹線道路の交通渋滞の緩和ばかりでなく、本県の産業振興と均衡ある県土の発展を図る上でも不可欠であります。西海岸道路の進捗状況と整備促進はどうなっていますか、伺います。
 国道58号沿い牧港補給施設3ヘクタールがその拡幅のためにSACO合意で返還されることになっていますが、その跡地の事業計画が明確になっていません。
 この一帯は、現在国道58号の中でも最も交通渋滞の箇所であり、その解消のために施設が返還され道路の拡幅が計画されているはずであります。交通需要に合った交通施設整備が重要な課題であるかと思いますが、その拡幅作業及びそれに接続する浦添バイパス計画はどうなっていますか、伺います。
 3番目の件については、同じ会派の上原議員から質疑がありましたので省略いたします。
 次に4番目、市町村の合併問題について伺います。
 全国では近年、市町村合併に関する論議が高まってきています。戦後50年余が経過した我が国では、地域社会を初め社会全体の効率的な構造改革が必要になってきています。地方分権推進委員会の勧告や市町村合併特例法の改正に伴って全国の市町村では合併推進の機運が盛り上がり、財政や行政サービスの面などからも広域的な対応が真剣に模索される時代になっています。
 交通・情報手段の発達は、経済活動や行政サービスの広域化を必然なものとし、住民の生活圏にもおのずと広がりが生じているのが現状です。国会で論議されている介護保険制度の施行やごみ処理の広域化、さらには市町村財政の逼迫化等広域行政への適切な対応は、まさに今日的課題として切実なものがあります。
 県内では一部市町村合併の話が出たり消えたりしていますが、県においては市町村合併をどのように考え、市町村合併の実情をどのように把握していますか、見解を賜りたいと思います。
 市町村合併はもとより当該市町村が取り組むべき課題でありますが、県としても積極的にかかわりを持ち合併を促進していく必要があると考えます。
 そこで、県としては市町村が合併を検討するための参考や目安になるものとして、合併のパターンとか合併のための要綱を作成して具体的に取り組む必要があると考えますがいかがでしょうか、県の取り組みについてお伺いをいたします。
○知事(稲嶺惠一) 宮城國男議員の御質問にお答えいたします。
 県は、北部地域の振興についての要望書を国へ提出していますが、それは移設への環境整備の一環と言われる、北部地域の振興との具体的関連性についてとの御質問にお答えします。
 北部地域の振興については、第3次沖縄振興開発計画を初め北部地方拠点都市地域基本計画等に基づく各種施策の推進によりその振興を図ってきたところでありますが、地域の活性化や自立的発展への展望を開くまでに至っていない状況にあると認識しております。
 本県の振興を考えるに当たっては、大いなる発展の潜在的可能性を有する北部地域の振興が北部地域のみならず中南部地域の居住環境の改善にもつながり、県土の均衡ある発展を図る上からも重要であると考えております。
こうした観点から、県や北部12市町村の要望を北部振興策として取りまとめ、その実現方を政府に要望したところであります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 宮城國男議員の普天間基地の移設についての質問事項のうち、名護市辺野古沿岸域内への移設で県内の米軍施設はその規模、機能面等どの程度の基地の縮小になるかという御質問にお答えをいたします。
 普天間飛行場の移設は、既存の米軍施設・区域内に移設するものであり、施設の規模においても縮小されることから米軍施設・区域の面積を確実に縮小できるものと考えております。
 具体的な建設場所や工法等については、地元の意向を最大限に反映させ国が最終的に決定すべきものであることから、現時点では具体的に数字を示すことはできませんので御理解願いたいと思います。
○企画開発部長(宮城正治) 普天間基地の移設に関連して、移設後の普天間飛行場の跡地利用計画についての御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場など大規模な基地が返還された場合、現行の軍転特措法では跡地利用の実効性を確保する措置が十分ではなく、軍用地主の負担や県、市町村の財政負担、実施体制などが課題となります。
また、沖振法等の通常の予算ベースで実施されますと県、市町村の事業負担が大きくなります。
 このため、国の責務として跡地の有効利用促進のための事業に対する行財政上の特別な措置を講ずること、跡地の整備が迅速に行われるような総合的な実施機関を新たに設置するよう国に要望したところであります。
 国は、沖縄政策協議会において円滑な推進のための法制の整備、実施体制のあり方等についての要望をあわせ踏まえた上で、有効かつ的確な方策の具体化に向けて取り組むという方針を示しており、今後具体的な方策について国と協議していきたいと考えております。
 次に、那覇港管理者問題の関連でありますが、一部事務組合の設立についての相違点と合意の見通しについてとの御質問であります。
 那覇港管理の一部事務組合設立については、那覇市及び浦添市との合意形成に向けて調整を行っているところであります。しかしながら、那覇港の整備方針や那覇港湾施設の取り扱いについてまだ浦添市との合意に至っておりません。
 県としましては、浦添市の参加に向けて引き続き条件整備に努力していきたいと考えております。
 次に、一部事務組合の設立と第10次港湾整備計画のタイムスケジュールとリミットはどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 那覇港につきましては、昭和63年に平成12年を目標に港湾計画を策定し鋭意整備を推進してまいりました。しかしながら国際経済のグローバル化や船舶の大型化など那覇港を取り巻く社会環境が変化したため時代変化に的確に対応した新たな港湾計画が求められているところであり、本県の自立的経済発展を図るためには新たな計画に基づく早期整備が重要であると考えております。
 そのため、今年度から次年度にかけて国際流通港湾計画調査を実施し、平成12年度末を目標に新たな港湾計画を策定する考えであります。
 その後、環境影響評価や埋立申請などを経て平成15年度から始まる第10次港湾整備五箇年計画で早期に工事着手ができるよう取り組む予定であります。
 県の目指すハブ機能を有する国際流通港湾計画は、浦添市西海岸を国際物流を戦略的に展開する地区として位置づける考えであることから、那覇市、浦添市、県の3者による一部事務組合の早期設立が求められているところであります。
 なお、次期港湾整備計画に盛り込むためには平成14年度内の港湾計画の改訂が不可欠であることから、それまでには一部事務組合を設立する必要があると考えております。
 以上です。
○土木建築部長(銘苅清一) 道路・交通行政について、西海岸道路の進捗状況と整備促進についての御質問にお答えいたします。
 沖縄西海岸道路は、読谷村から糸満市に至る延長約50キロメ-トルを国の直轄事業として整備促進している地域高規格道路であり、振興開発と地域の発展を図る上で極めて重要な路線であります。
 当該道路の進捗状況につきましては、嘉手納バイパスについては用地買収、宜野湾バイパスについては平成12年度の全線完成、那覇地区については那覇港臨港道路空港線の一環として沈埋トンネル等の着手、国道331号豊見城道路、糸満道路については調査設計及び用地買収などの整備促進を図っているとのことであります。
 沖縄西海岸道路は、国道58号の交通渋滞の解消を図るとともに産業振興を支える道路として重要であることから、県としましても早期整備が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 それから、同じく国道58号の拡幅及び浦添バイパスの計画はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 浦添市内の国道58号の渋滞緩和については、国において国道58号のバイパスとして沖縄西海岸道路の浦添道路を計画し、現在、調査検討をしており、国道58号の拡幅については沖縄西海岸道路の推移を見ながら検討していくと聞いております。
 次に、浦添バイパスは、国道58号の城間地区と沖縄西海岸道路を結ぶ道路であり、当該地域の渋滞緩和を図るため国、県及び浦添市と整備手法等について協議を進めているところであります。
 県といたしましては、国道58号の渋滞緩和を図る観点から周辺道路を含めた幹線道路の整備とともに、沖縄西海岸道路の早期整備が促進されるよう努めてまいりたいと考えております。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 市町村合併についての御質問で、1つ目に、県は市町村合併をどのように考え、その実情をどのように把握しているか、2つ目に、市町村合併推進のために要綱や合併パターンの策定などにどのように取り組んでいるかについての御質問に一括してお答えをいたします。
 御承知のように、去る7月8日にいわゆる地方分権一括法が成立し、その中で自主的な市町村合併を推進するという地方分権推進委員会の勧告を受けて市町村合併特例法が改正され、制度面、財政面での合併支援策が拡充されたところであります。
 県内においては、具志川村、仲里村において合併協議会が設置され合併に向けて作業が進められているほか、具志川市、与那城、勝連の地域でもシンポジウムが開催されるなど合併への機運が見られます。
 県といたしましては、地方分権が実施の段階を迎える中、本県の市町村においても行財政基盤の一層の強化や広域的対応の必要性が高まっていることから、市町村合併は大変重要な課題だと考えております。
 合併推進の要綱につきましては、平成12年中に策定する予定であり、その作業に当たっては、1つ目に、市町村の地域の現況と今後の展望、2つ目に、市町村の行財政の現状と今後の見通し、3つ目に、行政サービスの充実や地域における施策の一体的な展開などさまざまな角度から検討を行い、具体的な合併パターンも含めた要綱を策定し公表したいと考えております。
 県といたしましては、自主的な合併の機運の醸成を図るとともに、引き続き市町村合併の促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後0時6分休憩
   午後1時31分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 次の質問及び質疑に入ります前に報告いたします。
 本日質問予定の西銘恒三郎君から発言通告の撤回がありました。
   ――――――――――――――
○議長(友寄信助) 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 仲里利信君。
   〔仲里利信君登壇〕
○仲里 利信 皆さん、こんにちは。元気を出して頑張りましょう。
 質問の前に、通告してありました「下水処理水の農業用水としての再生利用について」は都合により質問を取り下げます。
 さてそれでは、私は、サトウキビ作を拡大し、少なくとも年間150万トン生産を実現するために伊是名方式キビ収穫を翔南製糖に導入することによって省力化を図り、年寄りでもキビ作ができるようになり、さらには多収穫品種の北中1号を全県下に普及をすれば現在の耕地面積でも150万トンの収穫が可能になると私は思っております。県が本気になって取り組めばキビ作の将来に明るい展望が開かれると思います。そのことを申し上げまして質問に入ります。
 サトウキビ生産の勧めについて。
 去る2月定例会で提示いたしました仮称北中1号につきましては、関係者の御協力のおかげで去る4月29日東風平町小城の1200坪の土地に同品種を植えつけし、順調に生育をいたしております。
 去る9月22日の台風18号の被害が心配されましたけれども、県の従来の奨励品種と同程度の軽微な被害であったことを御報告いたします。その後順調に生育をいたしておりまして、関係者各位の見学も後を絶ちません。
 作付に至る一連の作業の中で最も困難を来しましたことは、ある程度まとまった農地を借りることでありました。町村の農業委員会を通じて借地をお願いをしても用地の確保が大変難しかったことは今後の大きな課題と言えると思っております。
 今回の一連のキビ作で機械化可能な面積が確保できれば、サラリーマンでも3000坪程度は十分作付できると確信をいたしました。今回の作付を機に作業時間や機械のリース代金、農薬、肥料の代金等を含めた原価計算をやってみました。北中1号の場合300坪当たりで売上高20万4000円、総費用が21万9850円で初年度は1万5850円の赤字となります。
 ただし、今回の苗は名護市天仁屋を2往復し採苗したために人件費が20時間以上要したこと、また種苗代金300坪当たり1万5000円、ハーベスターの料金が6000円を要したことが赤字の大きな要因であります。
 ちなみに、来期の株出しの損益を試算いたしましたところ、総売上高300坪当たり24万4800円、総支出10万8000円で差し引き13万6800円の利益が出ます。これは、300坪当たり生産高は初年度、春植えで10トン、株出しで12トンで試算しております。
 そこで、次の点について伺います。
 1点目、県はサトウキビ生産に関する損益計算をなされていると思うが、詳しく御説明を願いたい。
 2点目、機械化を導入する場合にハーベスターによる収穫となるけれども、本島中南部地域における料金が1トン当たり6000円とかなり割高であります。3000円程度まで引き下げをすればハーベスターの稼働率も上がり、ひいてはキビ作が振興することにつながると思うがどうか。
 次に、南大東村におけるO農家の事例を紹介いたします。
 夫婦だけで3万6000坪の農地のほか新たに1万8000坪の農地を公費でもって整備中であります。
 平成10年度の生産は約800トンで、経費を差し引いた収益は約900万円でキビ作だけでサラリーマン以上の収益を得ております。
 さらにOさんは、北中1号に対応できる大型ハーベスター約4500万円相当を個人でオーストラリアより購入しております。現在、ハーベスターによる収穫料金は農協がトン当たり3000円、Oさんは2500円であります。
 Oさんは、大型ハーベスター購入に際し、事前にキビ作農家に呼びかけ、数名の方から賛同を得て組合方式で運営しております。ちなみに、平成10年産はOさんのハーベスターによる収穫高は約8300トンで、総収益2000万円を得ております。
 Oさんは、将来すべて北中1号に切りかえるとのことで本年度は春植えを1万2000坪栽培しております。将来5万4000坪のすべての農地に北中1号を栽培し年間収穫高2000トン、売上高にして4000万円を目指しております。
 すべて機械化されました南大東村においては、営農者みずから畑仕事をすることはないのでサラリーマンをしながらでも3万坪以上耕作している事例もございます。
 以上、南大東村におけるサトウキビ栽培の概要を紹介いたしましたけれども、キビ作がもうかる農業であることを御理解いただいたと思っております。
 そこで、サトウキビの収穫を機械化し生産の拡大を図るためには次の2点に集約されると思っております。
 A、ハーベスターが導入できる面積を確保すること、そのために行政としてなすべきことは何か、そして実現可能な施策を伺いたい。
 B、ハーベスターを意欲ある若い営農者に無償で貸し出しすれば1トン当たり2000円程度で収穫ができると思いますけれども、どうだろうか。
 4点目に、サトウキビ生産の原価構成上最も重要な要素は単位収量を上げることに尽きます。そのためには肥培管理の徹底に加えまして高糖多収品種を導入することに尽きます。それをすべて備えているのが私の推薦いたします北中1号であります。その普及のため県も積極的に推進してほしいと思うがどうか。
 5点目、規模拡大のできない小規模面積の荒蕪地を解消するためには、各市町村で実施されている利用権設定の下限面積の見直しを賃貸借と売買契約の2つに分けてやる必要があると思います。
 売買に関しては従来どおりで結構、農地としての賃貸借面積は思い切って下限を300坪程度とすれば荒蕪地は解消されると思うがどうか。
 6点目に、意欲ある若い営農者に対して県が中心となって3万坪程度の農地を確保し、それを貸与してキビ作を実践すれば必ずやキビ作に対する一般の方々の理解も高まると思う。農地の確保については県が意欲を持って実践し手本を示すべき時期に来ていると思います。決意のほどを伺いたい。
 7点目、本年9月、中城村において農業生産法人有限会社「結農産」が設立をされました。比嘉社長を中心に若手お2人を含めた計3人でサトウキビを大規模に栽培し機械化農業を目指しております。
 この種の法人化は、県内では初めての事例ということで現在県内や離島から来訪者が後を絶たないとのことです。衰退するサトウキビ作を復活させるのに大きなインパクトがあると思っております。
 そこで、有限会社結農産に対する県の支援策について伺いたい。
 A、農地の流動化と集団化に苦慮しているけれども、支援策はないか。
 B、キビ植えつけの初年度は収入がなく生活が厳しいと思われるが、支援策はないか。
 C、ハーベスターを初め設備機具等に多額の資金を要するが、その支援策はないか。
 D、さとうきび作ルネッサンス事業で支援策は考えられないか。
 次に、台風18号による災害の実態と課題の解決策について。
 台風18号は近年にない大型で、その上1日477ミリという大雨をもたらし県内各地で大きな被害が発生した。特に大雨による被害は住宅の床上浸水、車両の冠水、工場や倉庫の浸水、交通網の遮断、農作物の冠水による被害に加え各地で地すべりが発生した。人身事故が起きなかったのは不幸中の幸いであった。
 特に本員の出身地である南風原町は、字兼城と津嘉山地域を中心に低地帯のほとんどが浸水し大きな被害が発生しました。
 ちなみに、住宅の床上浸水は全県の約10%に当たる68世帯が南風原町で発生しております。また床下浸水の具体的な数字は把握していないが、数百世帯に上ると思われます。
 さらに、工場や倉庫の商品、事務用機器等の商工被害は報告されただけで約2億円となっております。また、個人用車両の冠水による損害は莫大な金額が見込まれております。
 南風原町は国場川の上流域にあり、兼城、宮平地域を流れる国場川流域と、その南側に位置する宮平川と津嘉山、山川地域を流れる長堂川水系の3つの河川が合流して漫湖に入ります。
 同地域は、人口急増地域で主要幹線道路の建設も急ピッチで進み、あわせて個人用住宅の建設も急速に進んでおります。そのため、従来の畑地や原野が宅地化されコンクリート張りとなったために雨水はそのまま河川へと流出し、一気に河川の水位は上がり、河川をはんらんした水は民間地域の低地帯へと流れ、浸水をもたらす結果となっております。
 新たに住宅を建設する場合、過去において最も水位の高かった位置をもとにそれから50センチ以上土面を高くして建築をするが、数年後には浸水するという実情であります。
 そこで、国場川上流の3河川の水系の概要を説明します。
 まず、長堂川水系は下流より拡張整備が進んでおり、現在着工中の山川橋の整備が完了すれば浸水被害は緩和されると思われます。
 次に、国場川水系は東は運玉森から北は那覇市清掃工場までの広い流域で宅地化が急速に進んでおります。この水系の石原橋上流一帯が大雨のたびに浸水する地域で、築後約30年の建物がほとんどであります。大雨のたびに石原橋が堤防となって、はんらんした水が低地帯の民家に流れ込み、ひいては国道329号の南風原十字路まで冠水しこれまで幾度となく交通不能な状態になりました。
 次に、宮平川水系は大里村北部から南風原町与那覇地域までの水系であるが、ここも国場川同様宅地化の進んでいる地域であります。
 この地域では河川沿いに住宅を建設する場合、河川の堤防からさらに1.5メートル壁を高くし独自で浸水防止策を行っている。したがって下流の河川が満水となると上流部の低地帯、いわゆる道路や畑地から道路を伝って下流の民間地域へと流入し低い地盤の住宅が浸水する結果となっている。
 去る台風18号が発生した9月22日午後9時30分ごろ、宮平地域の路上から母親と幼児2人が乗った小型乗用車が路上を流され、下流約500メートルまで流され、兼城51番地の屋敷囲いのブロック壁の上に車の後方のバンパーがかかり、水が引いた後もエンジン部分を下方向にぶら下がる状況になっておりました。
 以上のことを踏まえ、質問いたします。
 1、国場川上流に位置する石原橋の上流の床上浸水対策については、南風原町議会においても再三にわたり意見書を採択し県当局へ要請しているが、災害復旧関連工事のみ実施され、県は河川工事は下流から行わなければならないとの答弁に終始している。現に浸水の被害に遭っているのは上流の方であり、人命にかかわることゆえ早急に対策が必要と思うがどうか。
 2、南風原町兼城地内の国場川系石原橋と宮平川系新興橋上流の浸水の原因は、川幅が狭いのに比べて上流の流量が大幅に上回った結果、両橋が堤防の役目を果たし、上流の浸水につながっていると思料いたします。
 よって、両水系の降雨量は両河川の容量をはるかにオーバーしていると思われるので、実態を調査の上、幅員の拡幅を含めた対処策を講ずるべきと思うがどうか。
 以上、終わります。
○知事(稲嶺惠一) 仲里利信議員の御質問にお答えします。
 サトウキビ生産の勧めのうち、農業生産法人に対する農地の流動化の支援、初年度の収入の支援、ハーベスター等の資金支援、サトウキビ作ルネッサンス事業の支援について、一括してお答えいたします。
 農地の流動化については、地権者の資産保有意識が強く担い手への利用集積が進展しない状況にありました。
 このような中、去る9月に設立した農業生産法人「結農産」は、法人化による社会的信用力が向上し加速的な農地の集積が進んでいます。
 これまで11戸の農家からの賃貸申し入れがあり、設立時の17ヘクタールから21ヘクタールに経営規模が拡大しております。
 農業生産法人結農産は、初年度の運営費として低利のスーパーL資金を活用しています。
 また、ハーベスター等農業機械の導入については、サトウキビ生産総合対策事業により8割の高率補助を受けています。
 平成11年産サトウキビ価格決定に当たっては、関係者が一丸となって要請した結果、新たにさとうきび受委託組織支援緊急対策事業が仕組まれ、生産法人に対し小型農業機械、事務機器などが支援できるようになっております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○農林水産部長(小那覇安優) サトウキビ生産の勧めに関連する御質問にお答えします。
 まず初めに、サトウキビ生産に関する損益計算について。
 サトウキビの収益性は、平成10年産生産費調査によりますと10アール当たり粗収益15万5907円、経営費6万7824円、所得8万8083円、1日当たり農家労働報酬は4825円となり、現在の小規模経営による農家所得は極めて低い状況にあります。
 このため、県としては今後のサトウキビ作担い手のモデルとなるパイロットファームを設置し、借地型大規模経営体の育成を強力に推進しております。
 パイロットファームは、経営規模17ヘクタールを2戸の農家で経営し、小型ハーベスター、汎用管理機による機械化一貫作業体系と施肥の合理化等新技術の導入によって大幅な省力化、低コスト化が可能となります。その収益性を試算すると1農家当たり粗収益約1000万円、経営費385万円、所得614万円、1日当たり家族労働報酬は約2万9000円となります。このパイロットファームを経営モデルとして地域ごとに設置し、農地の利用集積による規模拡大を誘導していく考えであります。
 次に、本島中南部地域におけるハーベスターの料金を3000円程度まで引き下げれば稼働率も上がると思うがどうかとの御質問にお答えします。
 本島中南部地域は基盤整備がおくれ、経営規模が小さいためハーベスターの稼働率が低い状況にあります。
 利用料金は、稼働率と直接連動するため他地域に比べて利用料金が割高になっております。
 県としては、稼働率向上による料金を引き下げるため農地の利用集積による規模拡大を推進しハーベスターの稼働率を上げるとともに、小規模圃場や降雨時においても稼働が可能な小型ハーベスターの導入を推進しております。
 次に、ハーベスターが導入できる面積の確保について行政としてなすべきことは何かとの御質問にお答えします。
 ハーベスターの効率的な利用を図るためには、農地の流動化による規模拡大が課題となっています。
 県としては、市町村、農業委員会など関係機関と連携して農地保有合理化事業などによる農地の利用集積に努め規模拡大を図ってまいります。
 次に、ハーベスターを意欲ある若い営農者に無償で貸与して低料金で収穫することについてお答えします。
 ハーベスターを農業者などに無償で貸与することについては、補助事業の運用上、難しいものと考えております。
 御指摘の低料金化については、農地の利用集積によるハーベスターの効率利用と集中脱葉施設の整備を推進し収穫作業料金の低減を図っていく考えであります。
 次に、県も積極的に北中1号を普及すべきと思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
 北中1号は、茎が太く伸長性にすぐれていますが、台風に極めて弱く、茎に空洞が発生するなど品質低下につながる欠点があります。
 しかしながら、多収性であることから農業試験場の本場及び各支場において奨励品種決定試験に組み入れ、耐病性、品質特性等についての調査研究を実施しております。今後、各地域での調査結果を踏まえて普及性を検討していきたいと考えております。
 次に、小規模面積の荒蕪地解消のため農地法の下限面積を貸借と売買で区分し、貸借での下限面積を1000平米としてはどうかとの御質問にお答えします。
 農地を売買または貸借する場合は、農地法による許可が必要であります。
 その許可に当たっての要件の一つとして、経営農地の下限面積が定められております。下限面積が定められている理由としては、下限面積に満たないような零細経営では多くの場合、農業での自立が困難で農業生産性が低く、農地の効率的な利用が図られにくいということが挙げられます。
 県としては、地域の農業経営の実態に即した適正な下限面積の設定を行い、農地の効率的な利用が図られるよう検討しているところであります。
 御提案の貸借と売買を区分しての取り扱いについては、農地の権利移動を定めている農地法第3条の規定により制度的に難しいものと考えております。しかしながら、農地を保有する農家は1000平米の貸与が可能です。
 例えば、南風原町においては下限面積が4000平米に設定されておりますが、現在3000平米の経営農地を有する者は残り1000平米の農地を新たに貸借することが可能であります。
 次に、若い営農者の農地確保を県が実践し手本を示すべき時期にあると思うが、決意のほどを聞きたいとの御質問にお答えします。
 サトウキビの生産振興を図るためには、農地の利用集積による大規模経営、新技術の導入、小型ハーベスター、汎用管理機による低コスト化を図り、他産業並みの農家所得を確保する必要があります。
 このため、県としては拠点地域に農業生産法人のモデルとなるパイロットファームを設置しサトウキビ作の法人化への誘導を図っております。
 また、農林水産部内に「さとうきび・糖業政策ワーキングチーム」を設置し、市町村、JA、製糖工場など関係者と連携して農業生産法人の育成に取り組んでおります。
 以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 台風18号による災害の実態と課題の解決策についてのうち、国場川上流の浸水対策についての御質問にお答えいたします。
 台風18号は、24時間最大雨量477ミリという復帰後最大の豪雨をもたらし、国場川流域では上流の南風原町兼城地区、下流の那覇市国場地区、仲井真地区、識名地区等において浸水被害が発生しております。
 国場川につきましては、那覇市の明治橋から南風原町の宮城橋まで延長約8.2キロメートルについて改修計画を策定し、整備方針としては上下流の円滑な通水を図ることや下流側においても浸水被害が多発していることから、原則として下流から順次整備を進めることにしております。
 平成11年度までに下流側から一日橋までの間約5キロメートルの整備を完了し、また平成15年度までには下茂橋まで整備を完了する予定であり、引き続き上流の南風原町側についても整備を推進することにしております。
 特に通水の障害となっている石原橋については、関係機関と調整を図りながら早期改築に取り組みたいと考えております。
 なお、南風原町議会から要請のある泊下橋の改築については、その整備に向けて関係機関と調整を進めているところであります。
 次に、南風原町兼城地区の浸水被害の原因と対処策についての御質問にお答えいたします。
 南風原町兼城地内の浸水被害については、台風18号による477ミリという記録的な豪雨があったことと、同地内の国場川が未整備のため川幅が狭く通水能力が確保されてないことや石原橋の通水断面が小さいため発生したと考えております。
 河川管理者としては、今後実態等を詳細に調査の上、早期改修に向け所要の予算確保等に努めるとともに、石原橋については道路管理者等の関係機関と調整を図り改築に取り組む考えであります。
 なお、南風原町管理の宮平川と新興橋については、町において河川改修計画に基づき整備を完了しております。
 以上でございます。
○平敷 昌一 私は、第三セクターの問題一本に絞って持論を述べ、提言をしながら質問をしたいと思います。
 第三セクターについて、私はかねがね問題意識を持っております。
 と申しますのも、かつて私が執行部におりますときに海外漁業株式会社という第三セクターがありました。設立の当初は大変好調に推移したものの、円高、魚価の低迷等の外的な要因によって経営が悪化し、ついに休眠状態に陥ったわけです。
 そのことについて県議会では、行政責任、政治責任を追及する論議で紛糾し、私の脳死発言がもとで深夜まで空転をするという苦い経験がございます。結局は破産処理になってしまいました。今から考えますと、傷口が浅いうちでよかったとこう思っております。
 しかし、県はこれまで第三セクターの経営に関し随分と高い授業料を払ってきたと思います。にもかかわらずその後も全く反省がなく、次々と第三セクターに関与をしてきております。そのことに対し警鐘を鳴らすつもりでこの問題を取り上げてみました。
 本論に入ります。
 昨今、全国の自治体では民活法やリゾート法にのって急増した開発型、リゾート型の第三セクターの多くが破綻しつつあり大きな問題となっております。そこに共通しているのは、自治体の信用をバックにして少ない資本でありながら多額の借金で大きな事業を行ってきたという構図であります。
 さらにまた、自治体は出資のほか融資、補助金の支出、職員の派遣などさまざまな支援を講じてきたわけですが、この間のツケが重くのしかかり多くの第三セクターが破綻状態に陥っていると言われております。
 そうした破綻状態の第三セクターに対し、自治体はさらなる融資、補助金の支出をし、つまり税金の投入によって後始末をしようとしているわけですが、経営責任もあいまいなままに税金による処理策が進行しつつあるというわけでございます。
 このような状態の第三セクターに対し、今、全国各地でその公共性や公金の支出の公共性を問う住民訴訟や運動が起こっております。
 そこで、まず問わなければならないことは、第三セクター事業は自治体が果たして手を出す意味があったのか、すなわち事業に公共性、公益性があったのかという点だと思います。
 地方自治体の出資行為は地方自治法によって認められておりますが、公共団体としての出資はあくまで何らかの行政目的の実現を図ろうとするものであり、したがってそこには明確な公共性と公益性が存在しなければならないのは当然であります。
 公共性とは、自治体の出資行為が内容的にも手続的にも違法性がないばかりか、議会や住民に十分な公共性の説明がなされ合意のあることが必要であります。
 また公益とは、地域社会あるいは地域住民全体の利益という意味でありますが、果たして第三セクター事業が住民全体の利益に関係し、かつ住民の日常生活に不可欠と言えるかどうかであります。
 そこで、第三セクターの法的地位について考えてみます。
 株式会社形態の第三セクターは、商法に定める通常の手続によって自治体と民間が共同出資をして設立される営利法人であります。自治体とは異なる法人格を持つ団体であります。地方自治法第2条によりますれば、自治体がみずから企業を経営したり収益事業を行うことはできるわけですが、そのような自治体みずからの経済活動は公共事業として行われるものであり、地方自治法や地方公営企業法による法的制約のもとに行われます。
 それに対して、第三セクターの事業は法的には自治体の事務・事業としてではなく、営利法人の事業として行われますので、公共事業の場合に適用される地方自治法や地方公営企業法による法的コントロールの及ばないことはもちろんであります。
 このように第三セクターの組織及び事業について地方自治法上の規律はなく、法形式上一般の株式会社と同じ地位にあります。しかし、実体的には単なる株式会社とは著しく異なる特色を持っております。それは第三セクターの設立、運営に自治体が密接にかかわっているということであります。すなわち自治体が相当の出資をするなど主導権を持って設立し、さらに財政的支援や人的支援を与えつつ、その経営に深く関与していくということにあります。
 そのように考えてきますと、自治体には第三セクター事業の行政目的実現性、言いかえるとその事業目的や事業内容の公共性を確保する行政責任が当然にあることになります。
 以上、第三セクターの現状及び法的地位について述べてみましたが、次に第三セクターへの財政支援について論及してみたいと思います。
 設立の際の出資は株式の取得行為という意味を持ち、取得をした株、出資による権利は自治体の公有財産となります。地方自治法第237条は、条例または議会の議決による場合でなければ出資してはならないことを定め、その趣旨は、自治体の財産の適正かつ効率的な管理運用を図ることにより、結果として住民の負担が増大することを事前に防止しようとするところにあると考えます。
 また、地方財政法第8条は、「地方公共団体の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない。」としております。
 さらに、地方財政法第4条第1項は、「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」としております。
 そこで、経営破綻をした第三セクターの債務処理について自治体が公費支出をする場合の問題はどうかということでありますが、これについては注目すべき判例が出ております。
 この判例によりますと、「補助金の財源は、当該地方公共団体の住民が納付した税金である上、本来、第三セクターとはいえ、民間企業がこれに参加する場合は、その自己判断と責任の下に、危険を負担することも当然あり得ることを前提にして、営利の追求をなさんとしていることは、経済法則に照らし自明の理とみられることをも考慮すると、かかる補助金の交付すべてに公益性があるとは到底解し難い」としまして、また補助金が投入された時点では、そのことによって第三セクターが立ち直り再建される見込みがない状態に陥っていたことなどから見れば、補助金の交付は公益性の要件を満たしておらず違法であるとしております。
 この判決における法解釈の特徴は、第1に、補助金の交付が公益性を有するためには、主観的な側面のみならず、客観的な面においても肯定されなければならないと解したことであります。
 第2に、補助金の交付とそれによる地方公共団体の住民の利益との間における因果関係の有無を客観的な側面から個別具体的に判断したことであります。
 以上、第三セクターについてその現状、法的地位、財政支援等について考察し所見を述べてみました。
 さて、それでは本県における第三セクターの現状はどうなっているかということについて検証してみたいと思います。
 県の関与している第三セクターは、現在9社あります。そのほとんどが平成8年前後に設立をされております。先ほど申し上げましたように高い授業料を払ってなお反省もなく設立されているわけです。
 県は、その9社に対しおよそ24億円を出資しているほか、平成10年度で補助金、貸付金等で約56億円、平成11年度で同じく30億9000万円というとてつもない膨大な財政支援を行っております。しかもその9社のうち1社以外は赤字会社という実態であります。
 そこで、ことしの5月、自治省通達が出ました。「第三セクターに関する指針」、それとの関連で以下質問をいたします。
 まず1点目、事業の存続が困難と思われるものについて統廃合を積極的に進めるべきとしております。それについて県は検討をしましたか、その結果はどうですか。
 2点目、公的支援のあり方について、県と第三セクターとの間において公営企業繰出基準を参考にしてあらかじめ取り決めるべきとしております。そのことについての検討結果はどうか。
 3点目、経営の定期的な点検評価を行う横断的組織の設置が必要とされるとしておりますが、そのことについて県はどう対応しようとしているか。
 4点目、県職員が第三セクターの経営者として参画をする場合、経営責任を追及されるので認識しておくべきとしておりますが、これに対する県の認識と対応策はどうか。
 次に、個別具体的な課題として2月定例議会においても問題となりました沖縄マリンジェット観光株式会社及びアクアパーク株式会社について見解を求めたいと思います。
 まず1点目、議会の附帯決議を受けて経営診断を行いその報告が出されておりますが、報告の結論として収益構造の抜本的改革は見込みがなく、累積赤字がふえることは明らかである。また深刻な経営難にあり再建は難しい。よって損害が小さい時点で撤退をすべきであるとしております。それについての県の対応策を明らかにしてください。
 2点目、最近、北部離島振興策の一環として存続の議論があると聞いておりますが――これはマーリンの話です――離島振興、地域振興策は重要であります。行政施策として当然に推進すべきであります。しかしそれは行政事務として行政の責任においてなされるべき事項であり、営利企業である株式会社に肩がわりさせるべきではないと思いますがどうですか。
 3点目、累積債務の解消のため今後とも公的資金の投入を考えておられるか。もしそのような場合、下関市の日韓高速株式会社の判例にもありますように違法となり、訴訟に耐えられないと思いますがどうですか。
 以上、英断を持って一日でも早い処理策が示されることを要望して質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) 平敷昌一議員の御質問にお答えいたします。
 第三セクターの問題についてでございまして、1の事業の存続が困難と思われるものについて統廃合を積極的に進めるべきとしているが、県は検討したか、その結果はどうかということと、次の公的支援のあり方について県と第三セクターとの間において公営企業繰出基準を参考にしてあらかじめ取り決めるべきとしているがどうかと、そのことは検討はどうかという2点の御質問に一括してお答えいたします。
 県は現在、県が関係する第三セクターの経営状況等について調査を行っているところであります。
 現時点で調査はまだ終了していませんので、今後調査の結果等を踏まえつつ、事業の存続が容易でないと考えられる第三セクターに対して統廃合を含めどのように対応していくか検討していく考えであります。
 また、県の支援のあり方等につきましては、これまでも個々の第三セクターの事業内容や経営状況に応じてどう支援すべきかなどについて考え方を整理しながら支援を行ってきたところでありますが、平成12年度から平成14年度を行政改革実施期間とし、その中で各第三セクターへの支援のあり方について改めて検討をするとともに、必要な取り組みを行っていく考えであります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 第三セクターの経営評価を行う横断的組織の設置についてお答えいたします。
 県としては、平成12年度から始まる行政改革期間中に改めて各第三セクターのあり方等について検討していく考えでありまして、当面は総務部を中心に各部局と連携を図りながら必要な取り組みを行っていく考えでございます。
 次に、県職員が第三セクターの経営者として参画する場合、その経営責任についてお答えいたします。
 県職員が第三セクターの役員として経営に参画する場合の責任については、例えば商法においては取締役の善管注意義務や忠実義務などがあり、そのような義務に反して会社に損害を与えた場合や、法令、定款に違反した行為を行ったことにより会社に損害を与えたときは、その損害を賠償しなければなりません。
 県といたしましては、職員が第三セクターの役員に就任する場合にはこのような責任があることを十分認識して就任するよう関係職員を指導してまいりたいと考えております。
 また、第三セクターは本来自立的経営が行われることが望ましいことから、県からの出向のあり方についても今後検討してまいりたいと考えております。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 第三セクターの問題について、経営診断の報告を受けてどのような方法で県の対処策を出すつもりか明らかにしてくださいという御質問にお答えいたします。
 沖縄マリンジェット観光株式会社は、県議会の附帯決議の趣旨に沿って去る6月に社団法人中小企業診断協会沖縄県支部に経営診断を委託し、9月にその報告を受けたところであります。
 報告によりますと、第1に、県の財政的支援が受けられない場合は事業撤退すること、第2に、県の公的支援を受けるにしても再建には抜本的改革が必要であること、以上の提案がなされております。
 10月27日、経営診断の報告を受け同社の取締役会が開催され、当該事業の存続について経営的な観点からは非常に厳しいという評価で大方の取締役の認識が一致しましたが、その一方、一部の取締役から県にこれ以上の財政負担を求めるのは大変厳しいという理解を示しつつも、北部振興策の観点から国に助成をお願いすることはできないかという提案や、県の方でも北部振興策の観点を踏まえた公的な立場から判断してほしい旨の意見がありました。
 また、去る11月8日に伊江村、本部町、北部振興会、北部市町村会より北部振興策の一環としてのマーリンの存続についての要請を受けております。
 以上の経緯や情勢の変化を踏まえ検討した結果、県としては、国に対し北部振興策の一環として「マーリンの運航存続に係る支援策」を要望し、その取り扱いが決定するまでを目途として支援を続ける必要があると考えております。
 同じく第三セクターの問題で、離島振興、地域振興策は重要であるが、それは行政事務として行政の責任においてなされるべき事項であり、営利企業である株式会社に肩がわりさせるべきではないと思うがどうかについての御質問でございます。
 沖縄マリンジェット観光株式会社は、北部や離島地域の活性化と観光・リゾートの振興を図ることを目的に第三セクター方式で設立したものであります。
 当該事業は、地域の住民の足の確保、観光振興に資するという点で公共的な役割を担っておりますが、海上運送事業の経験を持つ民間企業のノウハウを必要とするところから運営主体を第三セクター方式でスタートしたものであります。
 同社の経営は当初の事業計画どおりに展開できず、将来の見通しも厳しいところから事業の存廃について判断せざるを得ない段階に至りましたが、県としては、先ほど申し述べました経緯によりマーリンの存続について国に対し北部振興策の一環として要望していくこととしております。
 同じく第三セクターの問題について、累積債務の解消のため今後も公的資金の投入を考えているのか、もしそのような場合、下関市の日韓高速株式会社の判例にもあるように違法となり訴訟に耐えられないと思うがどうかについての御質問でございます。
 本県の沖縄マリンジェット観光株式会社に対するこれまでの財政支援は、航路の安定的な維持を目的としたものであります。航路が存続する限りにおいては北部地域の活性化、住民の福祉に貢献し公益性を有するものと考えております。しかしながら県の財政負担には限界があり、今後の公的資金の投入については国の北部振興策の動向を見守りつつ適切に対処していきたいと考えております。
 以上でございます。
○伊良皆高吉 一般質問をいたします。
 稲嶺知事が誕生してから1年を迎えました。早速普天間飛行場の移設など解釈するためでなく解決するためと、公約実現のために日夜真摯な取り組みをしておられる稲嶺知事に対し、多くの県民が期待と激励の拍手を送っていることは御高承のとおりであります。
 さて、SACOについては大田前知事は国際都市形成構想の推進を図るために第一歩として一定の評価をしていると答弁しております。そのことについて稲嶺知事はどのように思っておられますか、お伺いいたします。
 ちなみに、普天間飛行場の移設は滑走路つきヘリポートを「沖縄本島の東海岸沖に建設するものとし、」と明記されております。政治的な駆け引きよりも豊かな沖縄県づくりを優先しておられる稲嶺知事に対し、県職員もやりがいがある、働きがいがあると明るくなっております。また、そのことは国内外からも高く評価されているところであります。
 質問でありますが、基地の移設について反対派の人々とも知事みずからが当事者としての自覚の上で直接対話を続けられますか、その決意のほどをお伺いいたします。
 次に、県庁が明るくなったと実感しておられますか。また、県職員をどのように評価しておられますか。
 次に、新行政改革大綱を策定して行政改革に織り込むようですが、それらによる効果はどれほど期待されますか。
 次に、知事就任以来各大臣の本県訪問がふえておりますが、県政運営に対してどのような利点がありますか。
 次に、沖縄政策協議会は稲嶺知事就任を機に再開されましたが、どのような政策が提案され実施されましたか、実績と効果についてもお伺いをいたします。
 次に、普天間飛行場を北部に移設し建設することに伴い北部振興が図られることは当然ですが、沖縄新法の中でどのように位置づけられているか、取り組みと進捗状況並びに展望についてもお伺いをいたします。
 次に、サミット開催決定に対する小渕総理の英断とそれに対する稲嶺知事の心境とサミット開催の効果についてお伺いをいたします。
 次に、本県の失業対策についてお伺いいたします。
 平成10年8月、失業率が9.2%をピークに雇用情勢は求人数も就業者数も有効求人数も増加し好転してきています。ところが本年10月は、県外での雇用情勢の悪化により県内の失業率が8.8%となっております。
 その対策と今後の見通しについてお伺いをいたします。
 次に、不景気といっても日本国民の個人金融資産残高は、1994年約1130兆円、95年が1181兆円、96年1277兆円、97年1303兆円と確実に毎年6000億ずつふえております。
 また、国民生活のレベルも各家庭には複数台のテレビがある、あるいは自家用車も1台以上ある、あるいはまた食べ物や電化製品あるいは家具などはまだまだ使える物が粗大ごみとして公害を生むまでになっている。また、飲み水までもミネラルウォーターを買って飲むなどぜいたくであることはもう論をまちません。
 また、政府においても外国に対する円借款、ODAなど不景気ということが信じられません。
 今の日本では、金はあるところには山ほどあるがないところには本当にないと、すなわち貧富の差が大きくなっているものと思料いたします。
 政府においては、公共工事の前倒しや地域振興券など景気浮揚策を講じておりますが、今のところ効果があらわれてきておりません。ちなみに地域振興券の予算額は全国で6200億円、本県では88億円でございます。
 平成7年の県食糧費予算を参考にしますと7億6000万円で、振興券は12倍強であります。ところがそれに見合う景気浮揚の効果が見られないのは、生活の末端あるいは経済活動の末端に届いていないからだとの指摘もあります。
 そこで質問いたしますが、昨今の公共工事は公募型がふえて特定関連企業に偏り地域不況の原因の一つになっているという声もございます。地域企業優先、公平な指名発注に関して知事の御所見を賜りたいと思います。
 次に、経済活動の最前線あるいは末端で働く生活者に直接手の届く財政支援の方法はないか、またこの効果について知事の所見を賜りたいと思います。
 そのことについては牧野副知事にも御所見を賜りたいと思います。
 次に、離島は市場から遠く、それから流通コストの過重など多くの不利性を抱えております。したがって離島の産業振興については、政治の手厚い支援が必要だと思います。観光・リゾートや農林水産業の振興が重要であることは申すまでもありませんが、あわせて台湾あるいは中国に最も近いという八重山や宮古など地理的条件を活用して交易型産業の振興はできないものかと考えている次第です。
 そこで質問でありますが、八重山に特別自由貿易地域を指定することはできないか。
 2つ目、それができなかった場合、当面サブゾーン、いわゆる輸入加工を行う特定の工場について特別自由貿易地域と同様な優遇措置を導入することはできないか。
 次に、産業振興を図る上で石垣港をどのように位置づけて整備していかれるか、お伺いします。
 次に、物流コストの軽減は本県の産業振興の上で大きな課題であります。沖縄経済振興21世紀プランの中で国の責任において明確に位置づけるべきと考えますが、知事の御所見を賜ります。
 そのことにつきましても牧野副知事の御答弁を願いたいと思います。
 次に、資料に基づいて八重山平和祈念館及び平和資料館問題について伺います。
 まず、八重山平和祈念館展示内容説明資料によりますと、事実の裏づけが明確でない点、あるいは説明に主観的な想像や憶測などが強いもの、あるいは誤解を招くおそれのある説明など検討の必要性は当然と思われるものが明確であります。
 これは文厚の先生方にはこの資料はいっているようでありますが、(資料を掲示) それを見ますと明確であります。特にマラリア犠牲者援護会あるいは遺族会から県の方に対して検討依頼のある「レクイエム「星になった子どもたち」」のパネル展示、あるいは展示の場所については今元気で生存している子供たちの写真でありますし、マラリアとの関係のないことから当然検討されるべきだという声が強いのであります。
 また、沖縄県民移動細部計画書──これは戦時中に軍の方で出された計画書でありますが──それから八重山地域における最高司令官宮崎武之氏に関する新聞記事がございますが──これはタイムス、新報、平成2年10月29日でございます──これなどを見ますと日本軍が住民の安全を確保するためにいかに努力していたのかということがよくわかります。
 またその後、財団法人沖縄県遺族連合会やマラリア犠牲者援護会から県に対し、展示のあり方について意見書並びに検討依頼があったことは新聞等でも報道されているところでありますが、いずれも監修に対して偏った考えによる展示は改めてほしいという要請と理解できるものであります。
 ここに、これは粟国出身の仲里さんという方の話でございますが、本土紙に載っております。(資料を掲示) 中略しますけれども、「家族8人でガマに避難した。1歳に満たない弟が泣き出し、同じガマにいた住民が「泣かせるな」と母親を非難した。いたたまれなくなった母親は日が暮れるころ、別のガマに移るため、子どもたちを連れて外に出た。間もなく、上陸してきた米兵に見つかり、保護されたという。」、こういうふうなことなんです。
 必ずしも兵隊だけがガマの中でどうのこうのじゃなくて、住民同士が自分の命を守るためにいろんなことがあったと。そのことを最後に、「極限状態の中では、兵隊だけでなく、避難住民も自分たちが助かりたい一心で、赤ちゃんの泣き声をとがめた。それを今の平和な時代の私たちがどうして非難できるのか」、これは私は人間の普通のあり方だと思うんです。
 今はそういうことで町などに、いかにも県が改ざんをしてうそをついているというふうな言い方で平和資料館の件をあっちこっち立ててありますが、実は住民から言わせますとあるいはまたいろんな資料をもとにして見ますとむしろ監修委員の方々にももっともっと反省をしてほしいなと、これを改めることが今のこの遺族たちからの県に対する要請書であると、このように思っております。
 ちなみにマラリアは、八重山地方の風土病として八重山の長い歴史の中で多くの悲劇を残しております。私もこのマラリアにかかって2年間も苦しみ、正常な発育を阻まれた者の一人であります。しかし、先達の命がけの努力によりまして1965年根絶することができました。八重山ではマラリア根絶のために貢献された先達を顕彰すべきだという声もございます。
 そこで質問をいたします。
 遺族会からの要請を受けてどのように対応されますか。
 次に、八重山平和祈念館展示説明資料を──この資料ですね(資料を掲示)──広く県民にも公表する考えはないか。
 3つ目に、八重山マラリア撲滅のために貢献された方々の銅像の建立や写真展示などあるいは氏名の紹介等により顕彰する考えはないか、伺います。
 それから沖縄県民移動細部計画書を展示される考えはないか、伺います。
 そういうことが表に出されますと、何が正しくて何が正しくないのか、あるいはどうした方がいいのかということを県民全体でこれを考えることができると思います。
 質問を終わります。
 ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 伊良皆高吉議員の御質問にお答えいたします。
 最初に、県議会で大田知事はSACOを評価すると答弁しているが、知事はどう思うかという御質問のお答えでございます。
 SACOは、日米両国政府が沖縄県民の基地負担の軽減を図るため真摯に協議を行い、復帰後これまでに返還された土地面積を上回る約5002ヘクタールの土地の返還が合意されています。大田知事の答弁は、日米両国政府がSACOにおいて、沖縄の基地問題の解決に向けてこれまでにない取り組みを行ったことに対し一定の評価を述べたものだと理解しています。
 次に、普天間飛行場及び那覇軍港の移設について、地元市町村長との対話は必要であるけれども、反対派の人々とも当事者としての自覚の上で直接対話を続けるか、決意を聞きたいというお尋ねでございます。
 普天間飛行場及び那覇港湾施設の移設については県政の最重要課題であり、その解決のために誠心誠意取り組んでいるところであります。基地問題は大変困難な問題であり、県民の間に複雑な感情やさまざまな意見があることは承知しております。そのため県民の御理解と御協力を得る必要があると考えており、今後その努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、県庁が明るくなったと実感しているが、県職員に対してどのような評価をしているかという、お答えでございます。
私は、夢と希望、信頼、思いやり、確実な実行力を基本姿勢として県民の気持ちを酌み、県民の期待をしっかり受けとめることのできる県政を確立するため誠意を尽くし全力で取り組んでまいりました。これまで県民の皆様を初め国、県議会、県内外の各界各層の方々の多大な御支援、御協力を賜り、おかげさまで多くの公約を実現または着手することができました。
そして、具体的に沖縄政策協議会の再開、沖縄経済振興21世紀プラン中間報告、企業誘致の促進、基地問題の解決促進、サミットの誘致等短期間の間に一歩一歩確実に進んでいけたのも、職員の皆さんが私の期待にこたえてくれたからであると考えております。今後とも、職員の皆さんと信頼のきずなをしっかり結び、県勢発展のために全力を傾注する考えであります。
 次に、行政システム改革大綱に基づく行政改革によりどれぐらいの効果を期待できるか、また決意はどうかという点のお答えでございます。
 県は、21世紀の自立した沖縄県を目指して県民起点の行政の推進という理念のもとに、地方分権時代に対応した沖縄県ならではの行政運営、効果的かつ効率的な行政運営及び適切なパートナーシップの構築の3点を軸とする新たな行政システム改革大綱を策定し行財政改革に取り組む予定であります。
 そのため、これまで事務・事業等を総点検し見直すとともに、去る11月26日には沖縄県行政システム改革大綱案を県民に公表し、県民の意見を聞いた上で、来年3月末までに平成12年度から3年間を実施期間とする新たな大綱を策定する予定であります。
 この大綱案では、職員の削減数、事務・事業の見直し件数、県債の発行限度額や減債基金の確保等について具体的な数値目標を設定しており、これらの見直し等により見込まれる改善額等についてはこれからの予算編成等を経て3月までに明らかにしていきたいと考えております。
 次に、各大臣の本県訪問がふえているが、県政運営に対してどのような利点があるかとのお尋ねでございます。
 私は、知事就任以来、沖縄の諸問題の解決に当たっては政府との信頼関係が大切と考え、信頼関係の構築に努めてまいりました。
 政府におきましても、沖縄問題の解決を国政の重要課題として取り組んでおり、これまでことし4月の野中広務前沖縄開発庁長官を初め多くの大臣に御来県いただきました。その機会に県内の実情を視察していただくとともに、県が抱える諸課題について要望を行い、これに対する御理解と御支援を賜っているところであります。
 その結果、九州・沖縄サミット首脳会合の沖縄開催の決定や情報通信産業振興地域及び観光振興地域の早期指定、国立組踊劇場(仮称)の早期設立、琉球王国時代の文化遺産の世界遺産への登録の促進など着実に要望が実現されております。
 次に、沖縄政策協議会は知事就任を機に再開されたが、どのような政策が提案されて実施されたか、実績と効果についてというお尋ねでございます。
 沖縄政策協議会は、知事就任後早々に再開されこれまでに5回開催されております。
 この間、県の要望を国が真摯に受けとめ、施策の具体化が図られてきており、国との信頼関係が築かれたことにより振興策が着実に推進されております。
具体的には、沖縄振興のための100億円の特別調整費の措置、沖縄経済振興21世紀プランの中間報告及び具体的な施策を推進するための予算の確保、那覇港国際流通港湾計画調査について予算の対応を含めた支援のための必要な体制が協議、了承され、具体的な施策展開が図られているところであります。
また、さきの11月19日に開催された第13回政策協議会で北部地域の振興策のための特別の支援、普天間飛行場の跡地利用促進のための新たな制度や移設先の振興及び駐留軍従業員の継続雇用についての配慮を要望し、国から基本的な取り組み方針が示されたところであります。
今後とも、沖縄政策協議会を通して国との連携を図りつつ、沖縄の振興策が図られるよう努めてまいりたいと思います。
 次に、サミット決定に関する総理の英断とそれに対する心境、経済効果、知名度アップなどサミット開催の効果はどうかということのお答えでございます。
 サミット首脳会合の沖縄開催は、小渕総理大臣の決断により実現したものであり、大変感謝申し上げている次第です。県としても今後とも小渕総理を初め関係者の皆様の御指導をいただきながら、来年のサミットを成功裏に開催できるよう努めてまいりたいと考えております。
サミットの開催は、本県の美しい自然環境、独特の文化や歴史を世界にアピールするだけではなく、観光・リゾート地、国際コンベンション都市としての優位性やすぐれた投資環境等を紹介する絶好の機会でもあります。
また、本県の一層の国際化や情報通信など関連インフラの整備も促進され、沖縄の将来にとって極めて大きな資産となるものと認識しております。
関係者や県民の皆様に主体的にかかわっていただきサミットを成功に導くことができれば、そのことが沖縄に対する評価を高めることになるだけでなく県民にとっても大きな自信につながるものと確信しています。
また、21世紀を担う子供たちにとっても生きた国際理解教育の教材になると考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○副知事(牧野浩隆) お答えいたします。
 伊良皆先生の先ほどの問題提起をメモしながら聞いていましたら、大臣の来県、サミット、基地問題、失業問題、景気対策、石垣港、自由貿易地域、反対派との会見、流通コスト、港湾インフラ、職員の心得、経済新法、金融問題、北部振興、自治体の財政、ODA、公共工事、環境問題、明るさなど大変な問題がありまして、沖縄が抱えている問題を全部挙げていただいたというようなことで、まずは先生の深い問題意識とそういうものに対して敬意を表したいと思います。
 それに対して所見を述べろということですから、これは質問の事前通告制にちょっとルール違反じゃないかと思ったんですけれども、せっかくですのでこれだけの問題提起をさせていただきましたので、その所感というよりは、こういった問題をどう打開していこうかという問題意識を簡単に紹介させていただきたいと思います。
 先生の挙げました問題意識を要約しますと、沖縄経済の自立をどうしていくのかという問題と、基地問題の解決をどのように図っていくかというその2つに大きく要約されるかと思いました。
 もちろんそういう問題を踏まえまして、県政の指導理念としましては振興策と基地問題の解決をどのようにバランスあるような形で解決していくかということだろうと思いました。(「答弁か」と呼ぶ者あり) 所感ということでしたので……。
 そういうことでしたので、そういう問題を踏まえまして我々問題解決していく取り組みの場合は個々の課題をばらばらに扱うんではなくて、相互の問題はそれぞれ関連しておりますので、トータルの中でそうなるような形でやっていく必要があるかと思います。
 そういった面では、例えば経済問題ですと沖縄にとっては雇用の場を確保していくということは一番大きな問題ですし、そのためには雇用の場をつくっていくための産業振興だということになるかと思います。
 そういった意味では産業振興につきましては、差し当たっては沖縄経済振興21世紀プランの中、それをつくるときに問題提起させていただきました沖縄の振興開発を図る場合の大きな視点として沖縄の経済を日本経済の中でどのように位置づけて相互依存関係をつくっていくかという問題と、新しい産業、現在は産業構造が大いに転換していますので、そういった中で新しい産業に沖縄をどう対応させていくかという問題、あるいは科学技術立国・立県としての沖縄の位置づけ、あるいは農業だとか観光産業などの既存産業をどう新たに展開していくかということと、それともう一つは離島の不利性をどうやっていくかということ、そのあたりの視点からやはり我々は対応していかなきゃならないということを感じました。
 それからもう一つはやはり基地問題ですけれども、これも整理縮小ということは県民の願いだと思いますし、そういった意味では整理縮小ということはゼロではないということになりますので、そういった意味ではゼロではないということになりますと、幾らかのものはやはり県民としても受け入れなきゃならないでしょうから、安全保障だとか沖縄基地に対する認識と需要をどう持っていくかということは問われているかと思いました。
 そういった意味では、それを背景にしまして経済振興を図っていくわけですけれども、差し当たってはそのようなものを含みながら自立の諸条件をつくっていくし、それがひいては自立化に結びついていくと思いました。
 あともう一つは、跡利用の問題ですね。これも単独ではできませんので、どうしても国のバックアップを得ながらあるいは我々の構想力も示しながら、跡利用を21世紀の基礎にしてやっていくだろうというのはそういうことだと思いました。
 そういった面から見ますと、今先生の問題提起していただいたのは大変な問題ですけれども、基地問題と振興策をバランスあるような形で沖縄の知恵をどう対応していくかということが多くの問題を提起させていただきましたけれども、そういうような問題意識で個々の問題をばらばらに扱うんではなくて、沖縄の持っている力と力の限界を認識しながら対応していきたいと思いますので、どうぞ御所存のほどをよろしくお願いいたします。
○企画開発部長(宮城正治) 稲嶺県政の実績と展望に関連して、北部振興策及び沖縄新法への取り組みについて、その進捗状況と展望について伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 北部地域の振興策につきましては、北部市町村会から要望のあった北部地域の振興発展に関する支援の考え方を踏まえ、北部地域の共通課題や施策、北部12市町村の固有の課題や施策等について各市町村長や議会議長、企画担当部課長等との意見の交換を行い、北部振興についての考え方を取りまとめております。
 こうした考え方をもとに、知事と北部市町村長連名で要望書を策定し、12月2日に青木官房長官に対し北部の振興についての要請を行ったところ、政府としても全力を挙げて取り組むとの強い姿勢が示されております。
 北部地域の振興を図るためには、当面の具体的な施策・事業の早期の実現とともに中長期的な視点に立った政策的支援が不可欠であります。
こうした観点から、県としましては3次振計終了後の新たな沖縄振興計画の策定や、これを支える新たな沖縄振興法の制定等に向けた取り組みの中で、圏域別の計画としてこれまで以上の北部振興についての位置づけが必要であると考えております。
 なお、新たな沖縄振興法のあり方につきましては、現在作業中の沖縄振興開発の総点検結果を踏まえるとともに、沖縄県振興開発審議会における論議等を通じ関係機関と調整しながら検討を進めていきたいと考えております。
 以上です。
○商工労働部長(宮城春一) 伊良皆高吉議員の失業対策についての質問の中で、稲嶺知事誕生以来、本県経済にも展望が見えてきた、昨年と比べて失業率も減ってきているが、平成11年10月に関しては8.8%とまた上昇している、その原因と今後の対策について伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 本県における雇用環境については、県内景気に改善の動きが広がりつつあることも反映して有効求人数は10カ月連続で前年同月を上回り、県内就職者も13カ月連続で増加しており、着実に改善していると考えております。
 こうした中で、完全失業率はこのところ8月、9月と2カ月連続して低下し望ましい傾向にありましたが、10月については残念ながら8.8%まで上昇しております。これは、就業者は増加しているにもかかわらず労働力人口の増加を吸収できないために上昇したものであります。
 また、完全失業者を求職理由別に見ますと、非自発的離職者は減少したものの、自発的な離職者等が増加しております。これは、景気回復の初期に見られるよりよい職場を求める転職希望者等の増加によるものと考えておりますが、単月の動きだけでは判断できないため今後の雇用指標を注視してまいりたいと思います。
 県では、雇用問題を県政の最重要課題の一つとして位置づけ、経済振興と雇用対策を積極的に推進してまいりました。今後におきましても、引き続き沖縄経済振興21世紀プランに盛り込まれた沖縄特別自由貿易地域を活用した加工交易型産業や情報通信関連産業等の振興を図りつつ、約20億円の基金を活用した緊急雇用対策特別事業の実施を初め国の雇用活性化総合プラン、緊急雇用対策及び新たに策定された経済新生対策に基づく雇用対策を強力に推進してまいります。
 また、新規学卒者対策として就職面接会等を実施するとともに、引き続き県内外企業に対する積極的な求人開拓を行い、新規学卒者の就職促進に努めてまいりたいと考えております。
 完全失業率については、景気の動向などにおくれて改善する傾向があることもあり引き続き高い水準にはありますが、現在の取り組みが今後の雇用情勢の改善につながっていくものと考えております。
 次に、離島地域における経済振興について、八重山地域の場合、中国、台湾に近いという立地条件を生かした特別自由貿易地域を指定する考えはないか、また単独の地域指定が困難な場合、当面輸入加工を行う特定の工場についてサブゾーンの指定ができないか伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 特別自由貿易地域は、企業の立地が進んでいない地域で面積がおおむね30ヘクタール以上あり、相当量の貨物を取り扱う開港または税関空港に隣接または近接し、土地の確保が容易な地域であることが法律で定められております。
 そのほかに水、電力等の産業インフラ、豊富な労働力の確保が必要であると考えております。
 県では、これらの諸条件を満たしている地域である中城湾港新港地区の一部を特別自由貿易地域とするよう国に申請し、去る3月末に指定していただいたところです。
 八重山地域への特別自由貿易地域の展開については、これらの産業インフラ等の諸条件や石垣港地区への交易型企業の立地可能性、さらに現在、石垣港新港地区において進められているコースタルリゾート開発計画における土地利用計画との整合性等種々の条件整備が必要と考えております。
 なお、サブゾーンにつきましては保税機能を活用する企業で自由貿易地域への立地または移転が困難な企業についても自由貿易地域制度と同様なメリットが受けられるよう、国に対し要請しているところであります。
 同じく離島地域における経済振興について、物流コストの軽減策は本県産業振興上大きな課題であるので、沖縄経済振興21世紀プランの中で国の責任において明確に位置づけるべきであると考えるがどうかという御質問にお答えいたします。
 輸送コストの軽減については、離島地域のみならず本土から遠く離れた本県全体の産業振興にとっても改善すべき重要な課題であると認識しております。
 そのため県としては、平成11年8月に衆議院運輸委員長あて、本土-沖縄間の海上輸送コストの軽減措置についての要望を行ったところであります。輸送コストの軽減は、離島を含めた本県の産業振興や企業誘致等に不可欠であると認識しており、今後ともその実現に向け対応していく必要があると考えております。
○土木建築部長(銘苅清一) 景気対策についてのうち、公共工事の地元企業優先指名と公平な指名発注についての御質問にお答えいたします。
 県が発注する公共工事につきましては、中小零細業者の受注機会の確保を図るためできるだけ分離・分割発注に努めております。
 工事ごとの業者選定に当たっては、選定基準に基づき経営及び信用の状況、技術的な適正、地理的な条件、手持ち工事の状況等を留意して行っております。また地元中小建設業者の活用に配慮するとともに、特定の業者に指名・受注が偏らないよう留意しているところであります。今後とも分離・分割に努めるとともに、公平な指名・発注を期してまいります。
 それから、石垣港の整備計画についての御質問にお答えいたします。
 石垣港は、我が国の最南端の石垣市が管理する重要港湾であり、八重山圏域の物流拠点として産業振興に重要な役割を果たしています。
 本港は、港湾計画において船舶の大型化及び物流需要の変化に対応するため外内貿物流機能の強化を図ること、国際的な観光・リゾート拠点の形成を図ること等を基本方針として位置づけております。
具体的な施設整備計画としましては、新港地区において1万トン級の貨物船に対応したマイナス10メートルの岸壁を含め3バース、また浜崎町地区においては1万5000トン級の幹線定期フェリーの大型化に対応したマイナス9メートル岸壁を新たに計画しております。現在、浜崎町地区のマイナス9メートル岸壁を国の事業として実施中であります。
また、新港地区において大規模な人工海浜や緑地、交流施設や宿泊施設等を展開するコースタルリゾートが計画され、現在国において用地造成を進めているところであります。
○文化国際局長(金城勝子) 伊良皆高吉議員の八重山平和祈念館及び平和祈念資料館問題についてのお尋ねにお答えいたします。
 八重山平和祈念館及び平和祈念資料館問題について、その後どう対処したのかというお尋ねでございます。
 八重山平和祈念館については、現在、元監修委員等と県との間で協議が進められております。
 県としては、同祈念館が戦争マラリア慰藉事業の一つであり、関係者の皆様の長年にわたる要請活動の成果であることから、今後とも御遺族や地域の皆様の意向が反映されるよう適切に対応してまいりたいと考えております。
 八重山平和祈念館の展示内容については、その経過内容及び説明文に関する資料を元監修委員や報道関係者、そして石垣市で11月21日に開催いたしました検討会議を傍聴に来られた市民の皆様にも提供いたしております。今後とも広く情報公開に努めてまいります。
 それから、御提案のマラリア撲滅のために貢献された方々の紹介等についてでございますが、県といたしましては同祈念館の展示内容の充実をさらに図りたいと考えておりますので、その中で検討してまいりたいと思います。
○外間 盛善 一般質問を行います。
 畜産と環境問題、もう一つは代表質問との関連についても通告をしてございましたが、これは時間の都合上取り下げたいと思います。畜産振興と環境問題についてだけに絞ってやりますが、執行部の皆さん並びに議員の皆さん方には夕べまで2日間にわたる深夜審議、本当に御苦労さんでございました。
 以上の点にかんがみまして、私はできるだけ時間を短縮していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 まず、畜産振興と環境問題について。
 本県の畜産は、本土から遠隔地にあるため流通経費がかさむなど不利な条件にありながら、亜熱帯の温暖な気候条件を生かし順調な発展を遂げ、本県農業の基幹的役割を担ってきております。
 平成10年における農業粗生産額を見ると、944億円のうち畜産は358億円と実に全体の38%を占めております。
 県の資料によると、家畜の飼養頭数は着実に伸びており、特に肉用牛は平成元年度の4万頭から平成10年度では8万頭と倍増しております。
 また、1戸当たりの飼養頭数も、豚が平成元年の273頭から平成10年度では541頭にふえ、肉用牛が10頭から22頭、乳用牛が46頭から55頭とそれぞれ着実に規模が拡大されております。
 このように本県の畜産が着実に伸びてきたのは、草地基盤の整備や価格安定対策、優良種畜の導入等県の各種施策が順調に進められたことと、畜産農家の方々の御努力のたまものであると認識しております。
 しかしながら、近年の畜産をめぐる諸情勢は貿易の自由化による国際化の進展や産地間競争の激化、高齢化に伴う後継者不足など内外ともに大変厳しい状況にございます。
 その中で特に畜産の環境問題は、飼養頭数の規模拡大に加えて周辺地域の都市化の進展に伴って悪臭や水質汚濁等住民からの苦情も絶えなく深刻な問題となっております。今後の畜産業の振興発展は、畜産環境問題をどのように解決していくかが重要なかぎを握っているものと推察されます。
 ところで、一昔前と今では農業形態が完全に変わっております。有畜農業が奨励されたころの農家は、畜産というよりも家畜を何頭か飼えば有機質肥料が取れ、これを農地に還元すれば一石二鳥となり高収益を上げることにつながったが、今日の畜産は家畜というより企業化が進む一方、そのふん尿処理施設の整備が伴わず農地還元もままならない状態にあり、大きな社会問題になりつつございます。
 そこで質問をいたしますが、1番目、畜産振興とこれに起因する環境問題の現状と対策はどうなっているのか、御説明を賜りたいと思います。
 2番目、畜舎ふん尿は現在どのように処理されているか。また環境問題が厳しく言われている今日、諸法令や環境基準に照らした場合はどうか、その現状と対策について御説明を賜りたいと思います。
 3番目、平成11年5月に具志頭村議会から知事並びに議会に要請があった雄樋川流域の畜産環境対策の要望書その(1)の畜産環境保全対策事業に係る所要額を確保し、モデル的な処理施設建設を推進すること、その(2)、安価で低コストの家畜ふん尿処理システムを早急に確立し畜産農家への普及促進を図ること、以上の2点に対して県はどのような御所見をお持ちか、また具体的に取り組んでおられるのであれば、あわせて御説明をいただきたいと思います。
 4番目、雄樋川は大里村の大城ダムを源流として具志頭村の港川漁港に注ぐ2級河川であるが、その流域に所在する畜舎が大里村で11戸、玉城村で29戸、具志頭村で28戸、合計68戸の畜舎が散在し、これは3村の畜舎総数179戸の約33%に当たります。
 畜舎施設が河川流域に集中した背景には、河川水の利用と排水施設が取りつけやすい等の理由があったと思われるが、今ではこれが雄樋川の大きな汚染原因となっております。
 河口の港川地区では、地域の伝統行事であるハーリー競争の場所移転を余儀なくされるなど、また周辺では漁業や観光まで大きな影響を受け地元住民から早急な改善が望まれているところでございます。
 そこでお伺いいたします。
 1番目、雄樋川流域における畜産環境汚染の状況はどうなっているか。
 2番目、これまで雄樋川流域の環境対策は実施されてきたのかどうか。
 3番目、雄樋川流域の環境対策について今後どう取り組んでいかれるか、御説明を賜りたいと思います。
 以上で質問は終わりますが、最後に一言申し上げておきたいと思います。
 本県の畜産は、環境問題さえクリアすればもっともっと有望産業として大きな伸びが期待できます。
 資料によりましたら、例えばサトウキビと比較いたしますと、サトウキビ農家戸数は本県で2万1414戸、畜産農家戸数が5012戸、4倍以上に当たります。
 しかしながら平成9年度のこれは資料でございますが、農業粗生産額が984億円のうちサトウキビの生産額は185億円、畜産の粗生産額は367億円、パーセンテージにして実に4倍以上の農家が、しかも沖縄県全農家の60%以上の農家がサトウキビの生産とかかわっておりまして、また耕作面積も63%前後ではなかったかと記憶しております。
 そのようなことからいたしましても、わずか4分の1前後の規模でサトウキビの2倍の粗生産額を上げているということは畜産が順調に伸びてきたあらわれでありますし、例えば施設整備、ふん尿処理施設の整備を図っていく上において国の制度資金はいろいろと用意されております。リースとかあるいは融資とか補助金制度、こういったものをふんだんに国から県が一生懸命取り組めば、農家と連携して、あるいは関係市町村、農協と連携して国に上げれば、国の予算は幾らでもこの種の予算は準備があると。しかしながら取り組みが今弱い部分が大変残念な気がいたしますので、ぜひ今後このふん尿処理施設の整備を図って環境問題をしっかりと整えながら畜産振興に頑張れば、これは大変な産業がまた大きく飛躍すると、こういうふうな期待がありますので、大いに頑張っていただきたいと思います。
 以上で終わります。
○知事(稲嶺惠一) 外間盛善議員の御質問にお答えします。
 畜産振興と環境問題について、畜産振興とこれに起因する環境問題の現状と対策はどうなっているのかについてお答えしたいと思います。
 本県の畜産は、県民の旺盛な畜産物の需要に支えられ順調に発展し農業の基幹的部門に成長しております。
 しかしながら、一部の畜産農家では畜産経営に起因する悪臭や河川の水質汚濁などの環境汚染が発生しております。
 平成10年度の実態調査によると、調査農家1980戸のうち197戸の農家で環境汚染が発生しております。
 環境汚染が顕在化している農家の58%は養豚農家であります。
 また、環境汚染の種類別では悪臭が30%で最も多く、次いで水質汚濁26%の順となっております。
 県としては、畜産経営による環境汚染を防止するため、環境保全型畜産確立指導協議会を設置し、家畜ふん尿の適切な処理及び有効利用の啓発指導を行っているところであります。今後とも補助事業、リース事業及び制度資金の活用により地域や農家の実情に合わせてオガコ式豚舎や浄化処理施設の整備、適地移転などの畜産環境対策を積極的に推進していく考えであります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○農林水産部長(小那覇安優) 畜産振興と環境問題について、家畜ふん尿は現在どのように処理されているか、また環境問題が厳しく言われている今日、諸法令等に照らした場合問題はないかとの御質問にお答えします。
 家畜ふん尿は、オガコ等の敷料を活用した堆肥化、貯留槽で発酵させる液肥化及び活性汚泥法による浄化放流などの処理が行われていますが、一部ふん尿の野積み、素掘り貯留などが見受けられます。ふん尿の野積み、素掘り貯留などは環境保全に関する諸法令で規制されております。
 また、新たに制定された家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律でも家畜ふん尿を適正に管理することが義務づけられております。県としては、関係農家に対し法令の遵守を指導しているところであります。
 また、家畜ふん尿の適正管理に基づく農地還元を督励するとともに、補助事業、リース事業及び制度資金の活用による家畜ふん尿処理施設の整備を通して畜産環境対策を強力に推進していく考えであります。
 次に、雄樋川流域における畜産環境汚染の現状、これまで実施してきた環境対策、今後どう取り組んでいくかについては関連しますので一括してお答えします。
 雄樋川流域には養豚農家29戸、酪農家29戸、肉用牛農家9戸及び養鶏農家1戸、計68戸の畜産農家が営農しております。
 そのうち、一部農家においては家畜ふん尿の野積みや貯留槽の不適切な管理があり水質汚濁の一因になっております。
 雄樋川流域においては、家畜ふん尿処理施設や機械及びウインドレス鶏舎の整備など重点的に畜産環境対策を講じてまいりました。
 また、具志頭村においては畜産農家と耕種農家が連携したモデル的共同家畜ふん尿処理施設の早期建設に向け、村、農協、農家等関係者と一体となって取り組んでいるところであります。
 さらに、効率的・低コスト家畜ふん尿処理については、畜産試験場で実施しているオガコ式養豚や活性汚泥法などの環境対策の研究成果を踏まえ、畜種別・地域別環境汚染防止対策指針を策定して普及していく考えであります。
 以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) 雄樋川の水質汚染の現状と対策について御説明いたします。
 平成6年度に行った雄樋川の汚濁負荷量調査結果によりますと、畜舎排水が80%、生活排水が19%、その他が1%で、畜舎排水に起因する汚濁負荷の割合が大きく、雄樋川流域においては畜舎排水対策が重要な課題となっております。
 そのようなことから、県では平成9年2月に雄樋川を環境基準D類型に指定をいたしました。平成10年度の水質測定結果においては前川で10ミリグラムパーリットル、石川橋12ミリグラムパーリットルで環境基準を達成しておりません。
 雄樋川の浄化対策については、県庁内の6部18課で構成する沖縄県河川浄化対策連絡協議会において協議しております。協議の結果を踏まえ、これまで関係機関や市町村の協力を得て合同監視パトロールや水質の常時監視を行い、不適切な畜舎に関しては適宜立入検査を行い、家畜ふん尿等の適切な処理を行うよう指導等を行ってきております。
 今後とも関係機関と連絡を密にし、雄樋川の環境汚染防止のため畜舎排水対策を進めてまいりたいと考えております。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
   午後3時20分休憩
   午後3時45分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 新垣哲司君。
   〔新垣哲司君登壇〕
○新垣 哲司 皆さん、こんにちは。
 質問は短く、内容を100点取るのが一番いいというふうに言われていますので、そういうことで「知事の政治姿勢」とそれから「我が党の代表質問」を取り下げたいというふうに思っております。
 1点目の平和の道並びにリゾートパーク事業の早期実現についてお尋ねをいたします。
 沖縄戦終えんの地である糸満市は、全国唯一の戦跡国定公園を有し、当地域には平和の礎を初め国立墓苑、平和祈念堂、平和祈念資料館、各県の慰霊の塔などが立地し、今まで県内外から数多くの慰霊団や児童生徒が訪れ、沖縄県の平和発信地としての役割を担っております。
 また、当地域は、平和学習の場としての機能を果たしているばかりでなく、すばらしい海岸線と海浜植生、国指定文化財などを有しており、自然景観や文化的価値についても多くの住民の関心が集まっているところであります。
 しかしながら、交通アクセスが悪く利用に不便な状況で、慰霊団や行楽客並びに地域住民から海岸線を一周する道路の整備が強く要請されております。
 また、南浜埋立地から摩文仁までの間を平和の道と位置づけ、自動車や自転車道、遊歩道を併設して整備することについてお尋ねをしたいと思います。
 2点目に、県においては平成3年度に策定した沖縄県リゾートパーク基本計画報告書の中で、本市の名城海岸から喜屋武一帯を対象にしたリゾートパーク基本計画実現に向けて調査検討されていますが、その後はどうなっておりますか、お聞きいたします。
 3点目に、本市を初め本島南部地域の自然環境の保全と育成、地域産業の振興と活性化が行政に課された大きな責務であると認識し、本市においてもその実現に向けて取り組んでいるところでありますが、県においても早急に都市公園としての計画決定が必要と思いますが、その状況についてお尋ねをいたします。
○知事(稲嶺惠一) 新垣哲司議員の御質問にお答えします。
 最初の平和の道並びにリゾートパーク事業の早期実現についての平和の道についてお答えします。
 糸満市から県に要請のある平和の道構想は、糸満市の南浜埋立地付近から名城ビ-チ、具志川城跡、平和の塔、魂魄の塔などがある海岸線を経由し摩文仁に至るまでの道路であります。
 本構想は、南部の地域開発を支援する重要な道路であると認識しております。
 糸満市から要請のある県道に認定し整備することについては、糸満市内の道路であることから同路線のみの県道認定は認定基準から厳しい状況にありますが、しかしながら県としては周辺既存道路網との整合、地域開発の動向等を勘案しながら糸満市とも協議し、今後検討していきたいと考えております。
○土木建築部長(銘苅清一) リゾートパーク基本計画報告書についてと、都市公園計画決定についての御質問に一括してお答えいたします。
 本県においては、昭和63年度から平成元年度にかけて県内全域におけるリゾート地域の現況調査及び土地利用状況調査等を行い、立地条件等を検討し、南部海岸地域を含む4地域をリゾートパークの適地として選定しております。
 それを受けて、リゾートパークのケーススタディとして糸満市名城地域について平成2年度と平成3年度にその規模、範囲及び施設計画等の基本構想、基本計画の策定のための調査を行っております。
 また、その整備手法としては都市公園の整備及びこれと一体となった民間活力の導入によるリゾート施設の整備を行うリゾートパーク整備事業を計画しておりました。
 しかし、その後のバブル経済の崩壊等で民間活力の導入が極めて困難な状況になったことから実現に至っておりません。
 当該リゾートパークを実現するためには民間活力の導入が最も大きな課題であり、その整備手法、都市計画決定等については今後の動向を見きわめながら対応していく考えであります。
 以上でございます。
○新垣 哲司 今の御答弁によりますと、糸満市の状況を加味して検討していくということでございます。
 おっしゃるとおり、つなぎがないので県道にはできないと思いますので、答弁にあるように糸満市とも十分話し合っていただきたいということと、糸満市は国定公園の網をかぶされまして各都道府県の墓苑、墓地、碑が祭られているんですよね。これは40年前にできたことでございまして、今であれば基地問題に匹敵するぐらいどの市町村でもはいという、すぐ受け入れるという状況にはないんですよ。しかしいち早くこういうみたまを、碑をつくると。糸満市は40年前からやっているわけでございまして、そういう意味から、また本土から観光に見えた方はほとんど糸満市を訪れるわけでございます。そして糸満市に見えて、残ったのは飲み物の缶とちりを落としていくんですね。この一帯は日が当たってない、道路も整備されてない。私が知事の立場であれば、こういうことを考えた場合にはやってあげたいなと、私ならそういう気持ちになるんですがね。
 知事、ぜひ再度これは必要でございますので、6月23日の慰霊の日も御案内のとおり糸満小学校から歩いて交通は混雑するし、間に合わない方もいらっしゃるわけですよ。この交通アクセスができた場合にはこの南部一帯に大きな還元になるわけでございますので、知事、思いやりの答弁をひとつお願いいたしまして終わります。
○知事(稲嶺惠一) ただいまの御質問についてお答えします。
 ただいまのお話については、前向きに検討させていただきます。
○翁長 雄志 通告に従い一般質問を行います。
 コンピューター2000年問題でございますけれども、7項目ありますが、1点、知事の基本の姿勢だけお聞きをしたいと思います。
 1年来この問題が大変重要だということで今日まで議論も重ねてまいりましたし、ことしの2月の定例会では有志による約38名ぐらいでございましたけれども、県議会のメンバーで対処する会もつくりまして3回ほど勉強会もいたしまして、県内の状況等も把握をしてまいりました。
 一番最近では、四、五日前に対処する会で70名ほど集めまして、県の一番中枢にあります情報システム課あるいは消防防災課、企業局、病院管理局等行政側から約20名、それから民間の方から金融関係、エネルギー関係、情報通信、交通、医療、食糧とか、そして県議会議員も17名参加をして沖縄県のすべての来年のコンピューター2000年問題に対する検討会をさせていただきました。
 そこで、おおむね大きな電力を初め了解だと、大丈夫ですというようなことではございましたけれども、やはりこれは何が起きるかわからぬというようなことでございますので、ここでやはり知事の姿勢もお聞きしておきたいと思っております。
 私は、よくこのコンピューター問題は台風に例えているんですが、15メートルの圏域には間違いなく入ると。しかし15メートルの中で25メートルになるのか50メートルになるのかがわからない大変不透明なコンピューターの2000年問題でございます。
 ただ言えることは、各国、各団体の対応等を見ますと、アメリカなどは各国にいる大使館員を全部年末年始は自分の国に召還命令を出しておりますし、また自国民にも1週間程度の食料、水の備蓄を命じていると。それからお金も600億ドル増刷をしている。日本においても大体40兆円日銀が増刷をし、そしてこの前開かれましたケルン・サミットでは、ことしの末にもう一度G8が集まってこの問題を話し合おうというような議論も出ております。
 そういうこと等からしますと相当大きな問題になるなと思っております。そして最近のマスコミ報道でもいろいろ出てまいりました。特に世界情勢の話をしてもここではどうにもなりませんので、私はやはり食料、水の備蓄、これについて県民にしっかりと呼びかけていかなきゃならないなと思っておりますけれども、稲嶺知事におかれましてこの件につきましての県民に今訴えるもの、それから県がどのようにこの問題に対処してきたかということを改めて御認識と決意をお聞きしたいと思っております。
 それから、我が党の代表質問との関連でありますけれども、知事がキャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域に場所を候補地として選定いたしまして、昨年の知事の公約を実行型県政としてしっかりと踏まえて一つ一つ前に進んでいることを高く評価をするものであります。
 今日まで、野党の皆さんとのいろいろな議論を聞いていますと、相当意見の行き違いがあるなということで私なりに整理をさせていただきたいと思っておりますが、例えば平和祈念資料館でありますけれども、行政側の不手際だということで大分長い間新聞でも大騒ぎをいたしましたが、私から見るとまたもう一面見ることがあるだろうと思っております。
 なぜかといいますと、平和祈念資料館というのは沖縄戦の実相というものと、二度と戦争はしない、これが基本的に込められている願いであります。ですからこれは県民の平和に対する素朴な願いというものをいかに表現できるかというところにあろうかと思うわけで、そこにイデオロギーとかそういうものが入り込んでまいりますと私は沖縄県民の全員の平和への願いというものを踏みつぶしてしまうだろうと、こう思っているわけであります。
 そうしますと、この平和の礎というものは74億円というお金をかけて、毎年3億円の維持費がかかっていくわけですが、その一番の最高責任者というのも当然選挙で選ばれてまいります知事であると思われますし、委嘱をされた専門員にすべてそれをゆだねたんではこれはこの問題の解決にはならない。
 そしてまた、基本的にこの基本計画をやってきた方々がどういう方かということも検証する必要があるんじゃないか。
 これは、最初そういった推進委員会がつくられまして、その座長にいたのが私は若干問題だと思うんですけれども、北朝鮮のチュチェ思想の日本普及協議会の会長をされていた方が、北朝鮮の考え方を日本に広めようという考え方をしている日本全体の会長がこの基本計画の座長を務めながら進めてきたわけです。そしてその土俵をつくり上げて、そこで監修委員が選定をされて、監修委員がいろいろやっているわけですけれども、御承知のとおりこの監修委員のお1人は自分たちの秘密保持の資料を9月定例会の前に野党にだけ流して、これで稲嶺さんを追及しなさいというようなファクスまで出していたわけでございます。
 そうしますと監修委員会の中立性、沖縄県民の広範囲における最大多数の、最大公約の平和に対する思いというものがこれではちょっとあらわしきれないんじゃないか。
 二度と戦争はしないという考え方は、私どもは日米安保条約によって、そしてあの悲惨な戦争体験というものを二度と沖縄県民に味わわせたくない、それが戦後54年間の日本の国是でもありますし、そういう中で平和も守られてきたと思っているわけです。
 しかし、今のやり方からしますと、日本軍、あるいはまたそういう日本軍の醜さによりまして、醜い日本人を演出して日本国はだめだと、日本はだめなんだと。そういう中から物事を発想して、ある意味で他国の方はすばらしいけれども、日本は何て醜い国なんでしょうと。そういうようなものを込めてつくるようでは、非武装中立論という形で私どもが考えているような沖縄県民の平和というものができないと。
 こういうことから踏まえますと、やはり今の監修委員のあり方というものはおかしいと思いますし、この野党の議論の中で監修委員会に任せなさいというようなことはやはり74億円というお金を使ってできたものでありますから、知事がしっかりとこれを管理して県民に責任ある形で提示していくということが大切であろうと思っております。
 それから、県政不況ということでありますけれども、これも最近も8.8%だから何も変わらぬじゃないかと、あんた方も県政不況じゃないかというような話もありましたけれども、大田さんがああいうふうに2月6日に180度転換をいたしまして政策協議会が開かれず、そしてまた庁議などで基地問題を解決するためには振興策に多少影響があってもいいというような発言がされたり、そういう形でやりますとやはり沖縄県民の素朴にもう少し経済状態をよくしたいというようなそういう気持ちを踏みにじった。10数回も橋本さんと対談をしておいて、黙ってうなずいておいて、そして最後に180度転換をしたということが閉塞状況をもたらしたわけです。
 そしてその中で私どもは平和と豊かさが両立する中に平和が出てくる。世界じゅうを見ましても貧しさがあるところに戦争が起きているわけで、そういう意味からしますとこの件も違うなという感じをいたしております。
 それから、SACOの着実な実施ということで普天間の移設がありますけれども、これは大田知事もより危険度の少ないところということで考えておりましたが、県全体から物事を見るということが大切だろうと思っております。
 そうしますと、今普天間が市街地にある。確かに名護には大変御迷惑をかけるということは今までのことでよくわかっておりますが、沖縄県全体から見ますと一つ一つ着実な整理縮小に向かう上に県全体からすると危険度は少なくなると、この発想でやらなければ今野党の皆さん方が言うように、(「質問しなさい」と呼ぶ者あり) 最後に質問は出ます。野党が言うように何か今の基地を反対すれば普天間も皆なくなってしまうようなそういう錯覚でやられたんでは、責任あるそういう基地の整理縮小はできないんじゃないか。
 理念だけ述べればできるというんであれば屋良県政、平良県政、大田県政幾らでもチャンスがあったにもかかわらず何事も進んでない。言えばいいという問題でないということが過去に実験をされているわけですから、その意味からしますと皆さん方のそういった理念に基づくものではできないという意味で稲嶺知事がこの件をしっかり打ち出したということは私ども県民からすると新たな期待が沸いてくるわけでございます。(発言する者あり)
○議長(友寄信助) 静粛に願います。
○翁長 雄志 それから15年の期限でありますけれども、野党の皆さんはアメリカが反対するからできないと言っているんですが、しかし基地返還アクションプログラムはできるという形でやってきた人たちが、私どもが着実な実行、普天間に限っての15年の返還というものはこれはよりよい現実的でできる話でありまして、まして土俵は一緒であります。日米安保を認めるという中からアメリカと交渉し日本政府と交渉するわけですから、私は基地返還アクションプログラムのような真っ向から、土俵の外から物を言うようなものでは解決しなかったものが今回できると、そして基地の整理縮小の担保がとれると思っております。
 それからもう一つ、日本政府に対しては20年間ぐらい沖縄が普天間の機能を預かるわけですから、国際情勢で難しいなどと言わず20年間でアジアの信頼を回復して、そして日本の国の成り立ちまでこれを機会に考える。沖縄から提起した15年の期限の中で日本の政治というものをもう一度考えていただくというものを沖縄から鋭い形で出して、私たちは日本のあり方まで含めてこの普天間の15年の期限というものに対して気持ちを込めて強く訴えていきたいと思っているわけであります。(発言する者あり)
○議長(友寄信助) 質問に入ってください。
○翁長 雄志 ですからそこでお聞きいたしますが、稲嶺知事のこの普天間の返還の移設候補地を決めました。そして選挙民に昨年公約をいたしました。これから一歩一歩力強くやっていかなきゃならない、自信を持ってやっていかなきゃならぬわけですけれども、15年の期限につきましても自民党県連は全面的にバックアップをする中で、日本政府とこの際日本のあり方も含めて議論をしながら稲嶺県政のそういった公約というものをしっかり実現できるようにともにやっていきたいと思っております。
 この件について知事の決断をお聞きしたいと思います。
 以上です。
○知事(稲嶺惠一) 翁長雄志議員の御質問にお答えをいたします。
 コンピューター2000年問題につきまして、基本的なお話だけお答えしたいと思います。1つは基本認識について、それから危機管理計画はどうなっているかと、この基本的な問題にのみお答えしたいと思います。
 御承知のとおり、コンピューターは金融、エネルギー、情報通信、交通、医療など県民の生活全般に深く浸透していることから、2000年問題によって生じる影響を最小限に抑え、2000年への円滑な移行を図ることは重要な課題であると認識しております。
 コンピューター西暦2000年問題への対応につきましては、沖縄県高度情報化推進本部のもと、各部局等対策本部においてコンピューターシステムのプログラム修正等の未然防止対策を講ずるとともに、重要業務等の不測の事態等に備える危機管理対策を進めてきたところであります。
 同問題は、2000年1月1日に集中して発生すると予想されていることから、政府においては年末年始にかけて小渕首相が陣頭指揮をとり、中央省庁では延べ9000人規模の体制をとることとしております。
 県においても、年末年始の期間については1400名規模の全庁的待機体制で臨む所存であります。
 次に、危機管理計画について、コンピューター西暦2000年問題への対応につきましては、沖縄県高度情報化推進本部のもと、各部局等対策本部においてコンピューターシステムのプログラム修正等の未然防止対策を講ずるとともに、重要業務等の不測の事態等に備える危機管理対策を進めてきたところであります。 
 同問題は、2000年1月1日に集中して発生すると予想されていることから、年末年始の警戒体制及び情報連絡体制の整備を中心とする県全体の危機管理計画を策定したところであります。
 県としましては、当計画で12月31日から1月4日までを要警戒期間と位置づけ、県内の市町村及び電力、ガス等民間重要分野等との連携を密にしながら、延べ1400名規模の全庁的待機体制で臨む所存であります。
 特に、12月31日から1月1日にかけて文化環境部長を本部長とする沖縄県災害警戒本部を併置し、1000名規模の重点的待機体制をとり、万が一災害が発生した場合には知事を本部長とする沖縄県災害対策本部へ移行するなど万全を期していく所存であります。
 次に、最後に15年使用の期限の取り組みについて決意を伺いたいというお話がございました。
 これにつきましては、再三申し上げましたように基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情からして15年の期限を設ける必要があると考えており、今後とも強く主張していきたいと考えております。
○渡久地 健 1999年の12月定例会最後の一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず、12月10日、稲嶺知事が就任してからちょうど1年になります。全国一忙しい知事、そしてまた全国一いろんな課題の山積を抱えている知事として本当に時間的にも精神的にも大変だったと思いますし、その知事に対して御苦労さんと申し上げたいと思います。
 そこで、稲嶺知事にお聞きしたいと思うんですけれども、これまで経済界のトップリーダーからそして県政のトップリーダーとして1年間経過いたしましたけれども、この1年間の知事としての感想と、そしてきょうから2年目に入りますけれども、知事の2年目に入ります今後の県政運営についての決意をお伺いしたいと思います。
 次に、北部振興策についてお伺いいたします。
 まず第1でございますけれども、知事が今議会から明言しております新たな沖縄振興法は、第3次にわたる沖振法の総見直しと、そして先ほどから説明しておりますように高率補助等の継続をしながらそういうものは継続し、観光産業やあるいは情報産業等の新たな産業の補助、支援制度の確立を図るなど沖縄が自立する方向で策定することが肝要だろうと思います。
 そのためにも北部振興策というのはその先導的な役割を果たすんじゃないかと、制度の優遇的な取り扱い、あるいは法的な見直しは今後新たな沖縄振興法に反映させることが望まれることと思います。
 したがいまして、北部振興策は北部地域に限らず広く今後沖縄全体に影響を受けると思うんですけれども、質問にあります沖縄経済振興21世紀プランやポスト3次振計とのその関連について、北部振興策をどのように位置づけるかについてお伺いしたいと思います。
 2番目に、北部関係の県の組織の再編についてでございます。
 県の出先機関である八重山支庁、宮古支庁は、支庁長を中心に縦割り行政の弊害をできるだけ少なくして、それぞれの地域事情に応じて市町村との協力体制や各組織の連携を行い、横断的な行政事務を進めている。
 今回、北部振興策が打ち上げられました。北部振興策を本当に積極的に展開するためには「北部支庁」という形で再編成し、支庁長に必要な権限を委譲して行政事務の効率化と地域、市町村との連携を強くしていくことがその振興策の推進において重要なことだと思います。
 同時に現在、北部、中部、南部に土木事務所が設置されておりますけれども、中部、南部の土木事務所の所長が次長クラスであるのに対し、北部のみが課長クラスということで北部振興策を進める上で大きな問題ということで北部市町村会からも強い要望が出されております。
 そういう形で北部振興策を進めるにおいて県の組織についても十分考えていただきたいと、そういうふうに思いますけれども、それについての当局の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、交流と共生を通じて発展する20万人広域圏を目指してという目標数値を設定しておりますけれども、当初の20万人から15万人に修正しております。
 その理由があいまいではありますけれども、同時にこの15万人の人口達成というのがいつごろの達成の年次なのか、そして短期的あるいは中長期的な設定というのはどのように考えているのか。
 2つ目に、人口増を行うためにはその背景となる就業人口、産業構造のあり方、企業の創業及び企業誘致等のそれぞれの基盤となる目標があると思います。その辺についてどう考えているのか、お聞きしたいと思います。
 3番目に、来年度の事業、つまり平成12年度の事業は具体的にどういうものがスタートするのか、そしてまたこのスタートする事業に対して国の支援策、国の予算がどのように反映されるのか、お聞きしたいと思います。
 次に(4)でございます。
 振興策の策定に当たって各事業の必要性、推進方法等が示されておりますけれども、正直言いまして従来の振興策と同じパターンで展開されております。
 本施策の基本方向として北部の地域資源、特性を積極的に生かした特色ある産業の振興は、他圏域との差別化と機能連携を図りつつ進めていくことが重要であると位置づけておりますけれども、やはり北部振興策、これからの振興策においては大胆な発想と転換が必要じゃないかと、行政の総合的な取り組みが必要じゃないかと思います。
 その中で3点ほど提示しながらお聞きしたいと思います。
 まず、赤土の総合対策でございます。
 北部振興策の推進上、大きな課題が赤土問題であり、本県では赤土防止条例を設定しているにもかかわらず大雨のときには赤土の流出を防ぐことができず、水産業を初め基幹産業であります観光産業が大きな影響を受けていることは皆さん御承知のとおりであります。
 平成9年度の特別調整費により環境庁を初め4省庁が実施した赤土調査事業の成果でも発生源対策、流出経路(河川)における対策等を総合的に進める必要があるとされております。
 特に問題は農地における対策であると思います。農家に対して赤土の防止対策を義務づけて、あるいは責任を問うことは、今やはり北部を初め農家の零細な企業においては、零細農家においては難しいと思うんです。しかし例えば北陸地域での段々畑とか、あるいは段々の水田においては治水能力を有しているということで、ダムの役割を果たしているということからあぜ道の部分とかについては生産補償を行っており、そういうような実態もございます。
 それと同様に、畑の周辺においてグリーンベルトや木を植えることについてやはり生産補償を行っていく、そういう制度的なものを北部振興策の中で国の施策として講ずれば農家も積極的に農地に対する赤土防止対策を講ずるものだと期待しております。
 また、河川においては遊水機能を増大させるような河川整備や沈砂池造成の事業が進められるべきだと思いますけれども、このような形で総合的に発生源あるいは河川から海に行く途中の対策を総合的に打つことが大事だと思うんですけれども、それに対する県の御見解を賜りたいと思います。
 2番目のヘルシーアイランド構想でございますけれども、これについては北部の恵まれた自然を生かして県内外の多くの高齢者が長期的に滞在し、健康保養と観光振興の面から、また医療の充実と福祉関係に従事する者や健康料理に携わる者の雇用創出の面からも期待される事業だと思いますけれども、これについて総合的にどう展開していくのか。
 また、観光・リゾート地域形成と農水産業の振興についてでございます。
 観光旅行で期待するものは、ホテル(宿舎)と料理であります。それぞれの地域の独特なる料理を味わいたいという希望があり、その材料を現地沖縄で調達することが観光・リゾート地域形成で不可欠の条件だと思います。
 そのため、リゾートホテルの需要に応じて野菜や亜熱帯果樹等が安定供給できるハウス団地の形成、また栽培漁業の振興により水産物の提供が可能であり、観光と農林水産業の連携を図る方法が必要だと思いますけれども、それについての御見解を賜りたい。
 5番目に、交通・情報通信体系の整備でございます。
 まず、地域高規格道路の整備はどの地域について想定しているのか。
 2番目に、本島―離島間の海上交通の拡充を挙げておりますけれども、それにはマーリン(ジェットフォイル)の存続も含まれているのか。また既存の交通機関以外のものを想定されているのか、お聞きしたいと思います。
 次に、観光・リゾート産業の振興でございます。
 海洋博記念公園の魅力アップなど北部観光の独自性の創造と観光資源の整理をうたっておりますけれども、記念公園の新水族館の建設は国によって現在進行中でございますけれども、アクアポリス、沖縄館の閉鎖、取り壊しに加えて来年3月にはエキスポランドが閉鎖することになっております。
 県は、記念公園のあり方をどのように考えていて、記念公園に対してどのように関与していくのか。また、記念公園を北部観光についてどのような位置づけをしているのか、お聞きしたい。
 そしてエキスポランド跡の利用の方法についてどのような構想を持っているのか、お聞きいたしたいと思います。
 最後に、国際交流事業についてでございます。
 沖縄県国際交流財団と人材育成財団の統合についての経緯と今後の見通しについてお聞きしたいと思います。聞くところによると来年の4月1日から統合すると言っております。
 2番目に、来年の2000年サミットを目前にして国際交流事業の意義づけと役割がますます重要となってくると思います。2001年にはウチナーンチュ大会が開催され、民間の国際交流団体の活動が現在物すごく活発に動いております。しかしながら40から50あるそれぞれの民間の団体が事務所もありません。情報交換をやる場所もない。当然集まる場所もないというような状況でございます。
 そこでお聞きいたしたいと思いますけれども、県内の外国人との交流、情報交換の場として、これは内なる国際交流という形ですけれども、その辺の確保についてどのように考えているのか。
 2つ目に、県内の各種国際交流団体の連絡体制等の必要性から、当面、旧ゆうな荘の有効活用を行うことが場所的にも有利だと思いますけれども、その辺についての御見解を賜りたいと思います。
 国際交流のセンターについては、国際情報センターというのが県の方でつくろうということで現在、浦添の国際センターの隣の空き地につくる計画がありまして、それが基本構想がコンペまで終わっております。しかしながら財政上の事情でとんざしておりますし、また国際都市形成構想の中で南北センターという構想もございました。しかしこれも今中断している状況の中でございます。
 しかしながら、来年はサミットがありますし、ウチナーンチュ大会がある。そして国際交流の事業が今ますます民間を中心として活発化している状況の中で、ぜひともそういう場所の提供あるいは国際交流に対する協力と支援をお願いいたしまして一般質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) 渡久地健議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、1周年の感想ということで、これは先ほど私の方でマスコミの皆さんにも申し上げたんですが、一言で集約すれば感謝の気持ちでいっぱいであるということでございます。
 この1年間、1日も休まず、1日も寝込んだことも風邪を引いたこともありません。ともかく全力を尽くして突っ走ってきたと思っております。恐らく公約も8割方は何らかの形で手がけられて、現実その中で芽を見たのは3歳未満児の医療費の無料化を初めとしてサミットの誘致、高速道路等あるいは数多くの企業の誘致とか、これははっきり言うと枚挙にいとまがございません。
 しかし、そこまで頑張れましたのも、1つは健康、それから県の職員のバックアップ、県議会の皆様を初め多くの県民の皆様に支えられたことだと心から感謝を申し上げております。
 しかし、先ほど渡久地議員から御指摘がございましたようにまだまだ沖縄は過去の50数年の大変な重みを背負っております。これをやはり全力を尽くして引き続ききょうからまた新たな気持ちで頑張りたいと思っております。
 続きまして、北部振興策についてお答えしたいと思います。
 沖縄経済振興21世紀プランやポスト3次振計等の新たな沖縄振興計画の中で北部振興策はどのように位置づけるのかと。
 北部地域の振興は、地域資源を活用した特色ある産業広域圏の創造、多様な交流と情報発信を促進する交流広域圏の創造、人と自然が共生する環境広域圏の創造を基本戦略とするものであります。
 一方、沖縄経済振興21世紀プランには、全県的な視点に立ち依存型経済から自立型経済への移行を目指した振興策を初め、産業振興に不可欠な空港、港湾等の基幹インフラの整備、人材の育成等の施策が盛り込まれており、北部地域の振興に関連するプロジェクト等も含まれております。
 北部地域の振興を図るためには、中長期的な視点に立った政策的支援が不可欠であることから、3次振計終了後の新たな沖縄振興計画の中においても圏域別の計画としてこれまで以上の北部振興についての位置づけが必要であると考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 北部振興策を積極的に展開するために宮古、八重山支庁と同等以上の組織の再編が必要と思うがどうかについてお答えいたします。
 現在、北部地域に所在する県の出先機関は北部福祉事務所、北部農業改良普及センター、北部土木事務所等16の機関で約470人の職員が市町村と連携いたしまして北部地域の産業振興等住民福祉の向上に努めております。
 北部振興策は、産業振興を初め多種にわたる施策の展開が必要となることから、その組織体制については北部地域の具体的な振興策及び事業主体等を考慮しながら、北部地域に所在する16の再編統合も含め今後検討してまいりたいと考えております。
○企画開発部長(宮城正治) 当面15万人と修正目標があるが、いつまでの目標なのか、短期・長期の設定はどうなるのか、第2点目の御質問なんですが、就業人口、産業構造、企業の創業及び誘致等の目標をどのように考えているかとの御質問に一括してお答えいたします。
 定住人口20万人は、停滞している北部地域の振興を切り開き高次の都市機能を有する地域として成長発展していくことを期待し、長期の将来の目標として示したものであります。
 その達成に当たっては、観光・リゾート産業の新たな展開や情報通信産業の誘致など地域資源を活用した特色ある産業の集積等による雇用の場の確保や、利便性の高いアクセス機能の充実などによる多様な交流の促進、生活環境基盤の整備等による定住条件の向上などを図り、当面15万人の圏域人口を目指すとしたものであります。
 次に、来年度の事業は具体的に何を展開し、国の予算にどう反映させるのかという御質問であります。
 北部地域の振興については、施策・事業の実施に向け速やかな取り組みが必要であると考えております。
 このため、平成12年度の事業に向けては、農林水産業や観光・リゾート産業等の振興施策を円滑に実施するための「北部振興基金」の創設を要望したところであります。その実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
○農林水産部長(小那覇安優) 北部振興策についての御質問で、赤土発生源と言われている農地からの赤土を防ぐ対策についてお答えします。
 農地からの赤土流出に関連して御提言のありましたグリーンベルトは、自然のフィルター機能を備え発生源対策として有効であります。しかしながらその設置を農業者に義務づけることは困難であり、公的支援が必要と考えております。
 このため、県としては水質保全対策事業により農業者の負担を極力抑えながら圃場勾配の修正等を実施してまいりましたが、今年度からはグリーンベルトの設置も組み入れ、発生源対策の柱の一つとして位置づけたいと考えております。
 また、平成12年度から創設される中山間地域等直接支払い事業の中で、グリーンベルトを設置した農業者に対し直接支払いが行えるよう市町村や国とも協議しながら準備を進めております。
 次に、リゾート需要に対応した野菜、果実、魚介類等の産地形成と観光と農林水産業との連携方法をどう考えるかとの御質問にお答えします。
 農水産物をリゾートホテル等へ供給する際には、定時・定量・定品質の出荷が求められるため、それに対応できるような拠点産地の整備が必要であります。
 北部地域においては、地域特性を生かしてマンゴー、ゴーヤー、モズク、養殖魚介類等の産地形成を進める考えであります。
 観光と農水産業との連携については、県産農産物を利用した料理コンテストの実施やリゾートホテルでのマンゴー、モズク等県産品の利用・販売を促進しております。
 また、このような食材等の安定供給のみならず、農水産物や加工品の直売施設等の整備についても積極的に取り組んでいく考えであります。
 以上です。
○土木建築部長(銘苅清一) 河川での赤土対策についての御質問にお答えいたします。
 河川域に流入した赤土等は、除去することが難しいことから発生源対策が重要であると考えております。
 河川域での対策は、赤土等が流出している渓流に設置されている砂防ダムにおいて実施しております。
 その対策工法は、布団かご等のフィルター材を使用したろ過工法、赤土濁水をためて上澄み水を流出させる貯留工法及び砂防ダム前面下流側に沈砂池を設け沈降を促進させる工法等を組み合わせて実施しているところであります。今後とも実施可能な他の砂防ダムにおいても取り組んでいく考えであります。
 次に、地域高規格道路の整備はどの地域を想定しているのかについての御質問にお答えいたします。
 北部地域における広域幹線道路としては、中南部圏と名護市間を結ぶ高規格道路の沖縄自動車道があり、現在国において同道路と連結する地域高規格道路の名護東道路を整備促進しております。
 御質問の北部振興策における地域高規格道路については、平成5年度に策定した沖縄県広域道路整備基本計画において北部振興開発道路の検討区間に位置づけられている名護東道路を起点に国頭及び本部方面へ延伸する広域幹線道路として検討していきたいと考えております。
 さらに、沖縄自動車道の宜野座村から本島北部地域への地域高規格道路の延伸計画についても、名護市及び中南部地域への時間短縮及びアクセス性の向上を図る観点から広域幹線道路網の一環として今後検討していきたいと考えております。
 以上です。
○福祉保健部長(平良健康) ヘルシーアイランド構想をどう展開していくかとの御質問にお答えいたします。
 本県は、観光・保養活動が盛んな地域であるとともに、健康の維持増進に適した資源が豊富な地域として近年評価を高めております。
 そのため、亜熱帯海洋性気候の自然条件や独特な歴史・文化などを健康保養資源として生かし県全域を滞在型健康保養地として形成することが期待されております。健康保養地は、科学的、医学的な根拠に基づいた安全かつ効果的な健康づくりができる場であり、利用後の日常の生活習慣の改善に結びつくことにより一人一人の健康の保持増進を図ろうとするものです。
 健康保養地形成事業の推進に当たっては、地域ごとの豊かな自然環境資源や低廉な宿泊施設、医療施設及び地域交流施設などが整っていることに加え、健康保養プログラムの開発・提供など各種のソフト面の整備も大切な要件となります。
 今後は、県内の健康保養地の連携を図り、種々の健康保養資源のネットワークを構築するなど健康保養に適した地域として人々に利便性を提供できるような施策を推進していくこととしております。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 北部振興策についての御質問で、本島―離島間の海上交通の拡充とはマーリンの存続も含まれているのかについての御質問でございます。
 県としましては、去る11月8日に伊江村、本部町、北部振興会、北部市町村会より北部振興策の一環としてのマーリンの存続について要請を受けております。
 国に対しては、北部振興策の一環として本島―離島間の海上交通の拡充の中で位置づけられるよう要望していきたいと考えているところであります。
○観光リゾート局長(大城栄禄) 北部振興策について、記念公園のあり方と北部観光についてどう位置づけているか、エキスポランドの跡地についてはどのような構想を持っているかについての御質問にお答えいたします。
 国営沖縄記念公園海洋博覧会地区は、沖縄振興開発計画において北部の国際的規模の観光・リゾート地の中核施設として位置づけられ、県民を初め国内外の観光客を魅了し、北部はもとより沖縄観光の一大拠点として本県の観光振興に多大な貢献を果たしております。
 御質問のエキスポランド跡地については、国において新たな観光形態の創出と海洋レクリエーションの展開を図る目的で公園拡張計画に含め、宿泊施設等の整備について調査検討を進めていると聞いております。
 一方、地元本部町においては滞在・交流化の促進を図る観点から、同跡地を中心に宿泊施設を含めたテーマパーク建設の動きがあることも承知しております。
 県といたしましては、当該地区を核にした一帯を沖縄トロピカルリゾート構想の重点整備地区として位置づけております。またこのたび、観光振興地域としても位置づけるべく国に指定申請を行ったところでございます。
 現在、当該地域のリゾート整備を円滑に促進するため国、県、地元町村等の関係行政機関や観光関係団体等で構成する連絡協議会の設立に向け準備を進めているところでございます。
 以上であります。
○文化国際局長(金城勝子) 渡久地健議員の国際交流事業についての御質問にお答えいたします。
 まず、沖縄県国際交流財団と沖縄県人材育成財団との統合の経過と今後の見通しについてでございます。
 両財団の統合につきましては、平成8年3月に策定されました沖縄県行政改革大綱及び同実施計画におきまして運営の合理化、効率化等の観点から平成11年度中に両財団の統合を図ることになっております。現在、平成12年4月の統合を目途に諸準備が進められております。
 それから、来年のサミットを目前にして国際交流の意義づけと役割がますます重要となっており、国際交流の場の確保、それから連絡体制を整備する観点から旧ゆうな荘の有効活用を図ってはどうかという御質問でございます。
 本県では、我が国の南における国際交流の拠点の場を目指し、教育、文化、学術、経済等の分野で県民各層の参加のもとに国際交流・協力事業を展開しているところでございます。
 また、来年本県で開催される九州・沖縄サミット首脳会合を契機として国際交流事業の果たす役割はますます重要なものとなっていくと考えております。
 今後、国際交流・協力事業の拡充のためには人的交流、情報ネットワーク及び人材育成のための拠点の形成とともに、情報ネットワーク機能、研修機能、交流支援機能等の充実が不可欠であると考えております。
 御提言のありました旧ゆうな荘の有効活用につきましては、国際交流・協力事業の拠点形成と機能充実を図る観点や当該施設の改修費用、維持費、利便性等を勘案し関係部局と調整しながら調査検討しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(友寄信助) 以上をもって通告による一般質問及び議案に対する質疑は終わりました。
 これをもって質疑を終結いたします。
 この際、お諮りいたします。
 決算については、11月24日の議会運営委員会において20人から成る決算特別委員会を設置して審議することに意見の一致を見ております。
 よって、ただいまの議題のうち、認定第1号から認定第20号までについては、20人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(友寄信助) 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
   ――――――――――――――
○議長(友寄信助) 次に、お諮りいたします。
 ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定によりお手元に配付の名簿のとおり指名いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(友寄信助) 御異議なしと認めます。
 よって、決算特別委員会の委員は、お手元に配付の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
   ――――――――――――――
   〔決算特別委員名簿 巻末に掲載〕
   ──────────────
○議長(友寄信助) ただいま決算特別委員会に付託されました決算を除く甲第1号議案から甲第5号議案まで及び乙第1号議案から乙第45号議案までについては、お手元に配付してあります議案付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   ――――――――――――――
   〔議案付託表 巻末に掲載〕
   ―――――◆・・◆―――――
○議長(友寄信助) 日程第3 乙第46号議案及び乙第47号議案を議題といたします。
 知事から提案理由の説明を求めます。
 稲嶺知事。
   ――――――――――――――
   〔知事追加提出議案 巻末に掲載〕
   ――――――――――――――
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 平成11年第7回沖縄県議会(定例会)に追加提出しました議案について、その概要及び提案の理由を御説明申し上げます。
 追加提出しました乙第46号議案沖縄県職員の育児休業等に関する条例及び現業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例及び乙第47号議案沖縄県企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例は、地方公務員の育児休業等に関する法律の改正等に伴い期末手当または勤勉手当の基準日に育児休業をしている職員に対して、勤務実績に応じて期末手当または勤勉手当を支給できるよう条例を改正するものであります。
 以上、追加提出しました議案について、その概要及び提案の理由を御説明申し上げました。
 慎重なる御審議の上、議決を賜りますようお願い申し上げます。
○議長(友寄信助) 知事の提案理由の説明は終わりました。
 ただいま議題となっております議案中、職員に適用される基準の実施、その他職員に関する事項について必要な規定を定める条例については、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を聞く必要がありますので、ただいまから人事委員会委員長の意見を求めます。
 人事委員会委員長。
   〔人事委員会委員長 新崎盛善君登壇〕
○人事委員会委員長(新崎盛善) ただいま知事から追加提案されました乙第46号議案沖縄県職員の育児休業等に関する条例及び現業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例のうち、人事委員会の所管にかかわる部分について意見を申し上げます。
 本議案中、沖縄県職員の育児休業等に関する条例にかかわる部分につきましては、地方公務員法の育児休業等に関する法律の改正に伴い、期末手当または勤勉手当の基準日に育児休業をしている職員のうち、算定期間内に勤務実績がある職員に対し在職期間等に応じて期末・勤勉手当を支給するため所要の改正を行うもので適当と考えます。
 以上でございます。
○議長(友寄信助) 人事委員会委員長の意見の開陳は終わりました。
 これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
 質疑はありませんか。
   〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(友寄信助) 質疑なしと認めます。
 これをもって質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております乙第46号議案は総務企画委員会に、乙第47号議案は土木委員会にそれぞれ付託いたします。
 休憩いたします。
   午後4時50分休憩
   午後4時52分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
 この際、お諮りいたします。
 委員会審査及び議案整理のため、明12月11日から20日までの10日間休会といたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(友寄信助) 御異議なしと認めます。
 よって、明12月11日から20日までの10日間休会とすることに決定いたしました。
   ――――――――――――――
○議長(友寄信助) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 次会は、12月21日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後4時53分散会

 
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