○議長(友寄信助) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた警察本部長西村泰彦君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として警察本部警務部長樹下尚君の出席を求めました。
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○議長(友寄信助) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
糸数慶子君。
〔糸数慶子君登壇〕
○糸数 慶子 おはようございます。
与党の皆さんから、トップバッターなのでさわやかにというエールを送られておりますが、さわやかに、したたかに質問をさせていただきます。
第6回沖縄県議会定例会に際し、沖縄社会大衆党を代表して質問を行います。
さて、昨年11月から12月にかけ県内マスコミは、稲嶺知事の当選、就任1周年に際し、「閉塞感は脱却できたか」、あるいは「道険しい“解決型政治”」などと題して稲嶺県政の1年を総括しています。
その論調は、大田県政をはるかに上回る閉塞感が今なお払拭されていない現実、多くの克服すべき課題を列挙し、稲嶺県政に厳しい論調を展開しています。その前後の世論調査もこの県政評価、認識とおおむね一致しています。
ところで、その後11月22日、稲嶺知事は多くの県民の期待を裏切って普天間飛行場の県内移設を容認し、名護市長にも県の判断を受け入れるよう要請されました。この日を期して県内では再びこの基地の県内移設問題で県民同士の対立が激化することになったのは御承知のとおりです。
私がここで指摘しておきたいことは、一連の基地問題進行のシナリオが政府主導で描かれており、稲嶺県政はそれを忠実に実行することに努め、そしてそのことが全く県民の目の届かないところで行われているという稲嶺県政の不透明な行政手法であります。
加えて、県民に対する虚言を繰り返した新平和祈念資料館問題では、平和を希求する県民の心を逆なでし、県民に大きな県政不信を植えつけました。県政最大の汚点と断ぜざるを得ません。
そこで以下の点につき質問いたします。
最初に、知事の政治姿勢について伺います。
公約とは、県民に対して政策などを約束することであります。政治家にとっては公約の実現に最大限の努力を尽くすことこそが使命であり、公約は政治家の命そのものであります。政治家としての知事は公約に背き、安易に公約を変更したりすることは絶対に許されません。
知事は選挙の際、米軍普天間飛行場の代替施設受け入れの条件に、1、海上ヘリ基地反対、2、北部地域への軍民共用空港、3、使用期限は15年とするとの公約を掲げ当選いたしました。
また、今回の施政方針において、知事は普天間飛行場の代替施設の使用は15年の期限を設けることを移設に当たって整備すべき条件として強く求めると主張しています。ところがコーエン米国防長官は、15年使用を拒否したと報道されています。
さらに、昨日の報道でもそれを裏づけるように米国防総省のベーコン報道官が、15年使用に対し否定的見解を述べています。使用期限という最も重要な条件がほごになった今、あたかもその条件が守られるような幻想を県民に与えた稲嶺知事と日本政府の責任は大きいのではないでしょうか。15年使用期限の公約はどうするのですか。実現可能と考えますか。もし不可能なら移設受け入れを見直す意思はあるのでしょうか。
岸本名護市長は昨年末、普天間飛行場の移設を認めた際、15年の使用期限を含む条件を打ち出し、条件が満たされなければ移設容認を撤回すると明言しました。名護市長の移設容認の環境整備は知事によってなされており、その責任は重いのではないでしょうか。名護市長の態度いかんによって知事の政治責任が再度問題となります。今後、この問題に対し知事はどう関与されますか。
続いて基地問題について、日米地位協定の見直しについて伺います。
嘉手納ラプコンの返還について。
昨年11月の事故に次いで去る2月13日、ラプコンがまたもや停止しました。1972年本土復帰の際に、日本政府がレーダー管制業務を提供できるまでの暫定期間という合意でその業務を担ってきましたが、27年間も重要な管制業務の引き継ぎを放置しているのは日米両政府の怠慢ではないでしょうか。日米地位協定の見直しをして嘉手納ラプコンの返還を求める考えはありませんか。
石垣空港への米軍機の着陸は、同空港が全国一過密な空港であることから県民生活や観光面にも多大な支障を来します。今回の米軍機の給油作業は、軍事最優先の軍隊の本質を見せつけ、新ガイドラインの先取りでもあります。この際、日米地位協定を見直して米軍による民間の空港の使用を禁止すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
1972年5月15日から1995年11月末の統計によると、米軍人等による殺人、強盗など凶悪犯の検挙件数は沖縄だけでも511件、そのうち婦女暴行は111件にも達します。凶悪犯、粗暴犯、窃盗犯、知能犯、風俗犯、そのほか合わせますとその検挙数は4782件にも及びます。交通事故を含むと年間約1000件の事件・事故が発生しており、そのうち約90%が交通事故ということです。
在日米軍がこれまで1952年から1995年末まで、日本で引き起こした事件・事故の総数は18万5604件にも及び、そのうち公務中が4万4514件、公務外が14万1090件となっています。公務中か公務外かにより区別処理され、公務外では補償に関して多くの問題点が指摘されています。
米軍人・軍属による事件被害者の会が損害賠償法の制定を求めていますが、県はどう考えますか。
また事件・事故に遭った場合、基地所在市町村において相談窓口を設置し、被害者をケアする担当部署を設置するよう指導すべきだと考えますが、いかがですか。
次に、基地から派生する環境問題について伺います。
普天間飛行場返還に関連し、跡地の環境影響評価を実施し浄化作業を行うべきであり、この際、日米地位協定を見直して環境保護に関する国内法を米軍に対しても適用すべきだと思いますが、県はどう考えますか。
次に、国の天然記念物「ジュゴン」について伺います。
普天間飛行場移設候補地の水域は、国の天然記念物「ジュゴン」の生息地であり、第一級の自然保護地域であります。そもそも県の厳正なる保護を図る区域、最高ランクに指定されている海域に基地を新設すること自体が無謀であります。県は世界の自然保護の趨勢や世論に抗し、どうやって条件をクリアして代替施設を建設しようとしているのですか。
国の天然記念物「ジュゴン」は絶滅のおそれがあるにもかかわらず、沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)に記載されていないばかりか、これまで一度も生態などの調査は行われておりません。早急な保護対策が必要であり、その一環として生息海域及びヤンバルの自然保護とあわせ、その海域と陸域を自然遺産として登録すべきではないでしょうか。
また、国や水産関係機関及び水産業者と協議の上、緊急な保護対策をとるおつもりはないでしょうか。
次に、雇用問題について伺います。
知事は、高失業率は「県政不況」によるものとして大田県政を批判し、「若者に仕事を」と訴え当選を果たされたと思いますが、就任後1年を経ても雇用環境は改善どころか逆に悪化しています。
1999年の県内の完全失業率は8.3%で、前年に比べ0.6ポイント上昇し復帰後最悪となっています。完全失業者は5万1000人で、前年と比べ4000人もふえています。また昨年12月末現在の就職内定率は高校生が37.2%、短大生が12.7%、大学生が28.1%、専修学校生が33.3%といずれも過去最低となっています。特に高卒予定者の就職内定率が著しく悪化しています。雇用環境の悪化は労働力人口の増加や県外求人の減少に起因している側面もありますが、これら外的要因を県政としてどう改善していくのかが行政手腕の見せどころだと考えます。
今、県民の中には県政がかわっても仕事がない、景気も変わらないという深刻な訴えがあります。このままでは稲嶺県政が幻想を与えたと思われても仕方がないのではないでしょうか。県政交代によって不況は脱したのですか、お伺いいたします。
就任1年余ではまだ成果が上がらないと理解しても、さらに悪化している現状をどう理解すればよいのでしょうか。全国の2倍の失業率の改善の当面の目標値があれば示していただきたい。
またそのためには何をなすべきか、雇用対策を具体的に示していただきたい。大田県政との取り組みの違いは何か、雇用問題における稲嶺県政の独自色とは何ですか、お尋ねいたします。
次に、経済振興について。
新たな沖縄振興計画において、産業振興による自立型経済の構築とは何でしょうか、具体的にお示しいただきたい。
自立経済とは何を目安にすればよいのでしょうか、県民にわかりやすいように具体的な指標を示していただきたい。
次に、離島振興について伺います。
市町村の合併推進要綱の策定について、県の基本姿勢と今後の展望についてお伺いいたします。
仲里村と具志川村の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
次に、公立久米島病院について、県の地域医療に対する所見をお伺いいたします。
仲里・具志川両村では、それこそ待ちに待った公立久米島病院が開院すると大変期待しておりますが、医療組合に係る職員計画についてお伺いいたします。
次に、医療福祉問題について、母子総合医療センターについてお伺いいたします。
こども病院は、子供たちのための総合病院で、病院に足を踏み入れた途端からすべてが子供たちのためにできている病院です。こども病院には内科、外科、循環器科、呼吸器科、麻酔科、脳神経外科、整形外科、リハビリテーション科等のおよそ14から15の各診療科があり、すべての診療科が子供専門であると専門家は定義しています。そこで働く医師、看護婦、検査技師、理学療法士等のスタッフは子供の医療に関するそれぞれの専門的訓練を受け、最新の設備と医療機器による高度な医療をそれぞれの専門的立場からのチーム医療によって行っています。また病院の環境も随所に子供への配慮がなされ、明るく家庭的な雰囲気で子供が安心して治療が受けられます。
こども病院は、一般の医療機関において対応が困難な小児急患や高度な専門医療を必要とする小児の病気を診断、治療、相談ができる病院のことです。沖縄県には小児科は多いのですが、子供専門のこども病院がありません。なぜ沖縄県にこども病院が必要か。
沖縄県は、子供の人口比が25%で全国1位という恵まれた状況にありますが、出生率は全国でも1位でありますが、乳児・新生児の死亡が全国第2位となっています。多くの離島を抱えた島嶼県で緊急を要する高度な手術や治療を県外の病院へ行かずに県内の病院でできるようにするために子供たちの幸せのためにこども病院がぜひ必要だと確信いたします。
重病の心臓病児、難病児や小児がんの子供たちは、小児科医の勧めで県外の子供専門病院で手術や治療を受けなければならない現状にあります。県外での治療には家族の経済的、精神的な負担ははかり知れません。重病や難病児の治療には各診療科の子供専門医だけではなく、検査、リハビリ、看護等を含めた専門家によるチーム医療が必要であります。
全国には25のこども病院があります。少子化の時代ではあっても高度医療を必要とする子供の数はますますふえていると言われ、島嶼県、離島県である沖縄にこそこども病院が必要だと考えます。
昨年、宮城県と愛知県ではこども病院の建設が決定されました。少子化の時代に21世紀の次の世代を担うのは子供たちであり、県民共通の子供は財産であり宝であります。子供を安心して産み育てるためのこども病院は、県民の将来への投資であります。
現在、総合病院の小児科は赤字部門で小児科医を目指す医学生が少なくなっているという状況ですが、小児医療に使命感を持った医師を育てるためには、沖縄の子供は沖縄で守ることのできる全国レベルのこども病院が必要だと考えます。
そこでお伺いいたします。
県は、中部病院に総合周産期母子医療センターの整備を進めていますが、県立那覇病院の改築にあわせて母子総合医療センターを併設する考えはありませんか、お伺いいたします。
次に、自然環境問題についてお伺いいたします。
一般廃棄物の処理問題について。
沖縄の将来を見据えると、離島県ゆえに徹底的な分別によるごみ減量化に取り組み、可能な限り資源循環型社会の構築に努力していくべきだと考えます。
そこで以下の質問をいたします。
家庭ごみなどの一般廃棄物の近年3年ほどの推移はどうなっていますでしょうか。
各市町村での処理状況はどうなっていますでしょうか。
1つ、場所の確保の課題等を含めてごみ等の最終処分はどうなっているのでしょうか。
ふん尿処理関係の状況はどうなっているのか、伺います。
ごみの減量化について、県や市町村は県民に対してどう指導しているのでしょうか。
リサイクル運動の拡大充実で資源ごみ等の再利用、あるいは県民の意識の高揚と徹底した発想の転換が求められていると考えますが、県の対策はどうなっているのでしょうか。
次に、産業廃棄物の処理問題について伺います。
産業廃棄物のここ3年の推移はどうなっているのでしょうか。
産業廃棄物の処理状況の現状について伺います。
業者への義務づけはどのように徹底されているのでしょうか。
不法投棄の実態と違反者に対する取り締まり、指導等はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
次に、泡瀬の干潟の生物について伺います。
沖縄最大級の渡り鳥の渡来地であった与根干潟が埋め立てで完全消滅した今、泡瀬干潟は沖縄に来る渡り鳥を支える最大の場所と言われています。またその沖にはおよそ112ヘクタールの海草藻場が広がり、アラスジケマンガイやリュウキュウサルボウやホソスジヒバリガイなど10種もの二枚貝類が食用として採取されています。国と県が事業主体となっている東部海浜開発計画は、環境影響評価準備書の縦覧も終了しこれからの着工が予定されています。
そこで、事業者として今回の評価書の環境調査結果についてどう評価しているのか、お伺いいたします。
ジュゴンの生息が確認されていますが、それについて調査する意思はおありでしょうか。
発見されましたクビレミドロの保護対策を具体的にどう展開していくおつもりですか、お伺いいたします。
次に、自然環境保全指針の意義目的を明確にしていただきたい。
次に、農林水産業の振興についてお伺いいたします。
海洋深層水開発研究所の農業、水産業、工業部門への利活用はどうなっているのか、また産業化への取り組みはどうなっているのか、具体的にお伺いいたします。
次に、安らぎと潤いのある生活、自然環境の整備を図るため沖縄県広域緑化計画が策定されるとありますが、その具体的な緑化計画についてお伺いいたします。
次に、赤土流出対策事業についてお伺いいたします。
本県にとって赤土防止対策は緊急を要する大きな課題として取り組まなければならない問題です。県のこれまでの対策についてその努力を高く評価いたしますが、現実は沖縄県における赤土の分布面積はおよそ55%にも達すると言われ、その対策については大変厳しい面があります。そう簡単に解決できるものではないと思いますが、赤土流出によって生じるさまざまな環境汚染は農地及び森林、野生生物、漁業、観光等に与える影響ははかり知れないものがあります。
そこで赤土流出対策事業について伺います。
赤土流出防止対策に1億4770万円の予算がついていますが、具体的な事業の内容と実証調査をすることによって県内の赤土防止にどう生かし、どれほどの効果を期待しているのか、伺います。
次に、都市モノレール事業関連について伺います。
安里交差点の改修に伴う地下道について。
1日約10万台の自動車が通行する安里交差点に県内初の横断地下道が設置されると言われています。交通渋滞解消に向けてモノレールが開業する2003年までに完成を目指していると言われていますが、安里交差点の改善に伴う地下道については、高齢者や障害者の意見を聞き、それを反映させるべきだと考えますが、いかがですか。
最近、本土では地下道での悲惨な事件・事故が発生していますが、防犯面の対策や案内板の設置はどうするのか、お伺いいたします。
次に、女性行政について。
社会のあらゆる場において男女が対等な立場で参画し、ともに責任を負う男女共同参画社会の実現を目指すためにはどのような施策を展開していくのか、お伺いいたします。
以上、質問を終わりますが、答弁によって再質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) 糸数慶子議員の御質問にお答えいたします。
最初は、知事の政治姿勢についてでございます。
1つは、コーエン国防長官は15年使用を拒否したと報道されていると、移設受け入れを見直す意思はあるのかどうかということと、岸本市長は15年の使用期限を含む条件を打ち出したと、名護市長の態度いかんによって知事の政治責任が再度問題になると、この問題についてどう関与していくのかという2つの御質問について一括してお答えをしたいと思っております。
御質問の報道については、瓦防衛庁長官は去る2月21日の衆議院予算委員会において、コーエン国防長官が使用期限の設定を拒否した事実はない旨表明しております。
15年の使用期限については、移設に当たって整備すべき条件として国に強く申し入れました。これを受けて国は、閣議決定において「沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。」方針を示しています。
その後、日米の防衛首脳会談や外相会談において取り上げられており、同問題が着実に前進していくものと思います。県としては、同問題が政府において引き続き検討され、県の要望に対してこたえられるよう強く求めていきます。
次に、日米地位協定を見直して嘉手納ラプコンの返還を求める考えはないかとの御質問にお答えします。
航空機は、多くの離島から成る本県にとって不可欠な移動手段であり、県民の日常生活はもとより観光立県を目指す本県の産業振興の上からも重要な輸送手段であるため、嘉手納飛行場進入管制レーダーの故障や停止は、県民及び観光客の足である航空機の離発着に大きな影響を与えるものであります。
県では、去る1月13日及び14日に沖縄の航空交通管制の日本側への移管について内閣総理大臣及び在日米軍司令官等関係機関に対し要請しました。
日米両政府は、昨年11月18日の日米合同委員会において本件について今後とも協議していくことを確認しているほか、去る2月20日の河野外務大臣とオルブライト国務長官との会談においても、今後日米間で協議していくことで一致しております。県としては、今後とも沖縄における航空交通管制を早急に日本側へ移管するよう日米両政府に対し働きかけていきたいと考えております。
次に、日米地位協定を見直して米軍による民間空港の使用を禁止すべきだと思うがどうかとの御質問にお答えします。
去る2月15日の石垣空港への米軍機の着陸については、県では、同空港が民間航空機の離発着及びエプロンの使用が過密な状況にあるなど県民生活や観光面に多大な支障を来すおそれがあることから、自粛するよう米軍に事前の申し入れを行いました。
航空機は多くの離島から成る本県にとって県民の日常生活はもとより、観光立県を目指す本県の産業振興の上からも重要な輸送手段であることから、これまでも米軍機の県管理空港の使用について関係機関に対し同様な要請を行ってきたところであります。県としては、今後とも緊急時以外の米軍機による民間空港の使用をしないよう日米両政府に対し働きかけていきたいと考えております。
次に、日米地位協定を見直して環境保護に関する国内法を米軍に対しても適用することについて県はどう考えるかとの御質問についてお答えをいたします。
米軍基地から派生する環境問題については、日米安全保障条約及び日米地位協定の締結当事者である日米両国政府の責任において取り組むべき課題と考えております。
県は昨年8月、国に対し駐留軍用地の返還に際し環境浄化処理の確認調査など国の行うべき措置について明示するよう、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律(軍転特措法)の改正を要請したところであります。
また本年度、「基地の環境調査及び環境浄化等に関する海外調査」事業を環境問題の専門コンサルタントに委託しており、委託先において昨年11月、いわゆるボン補足協定で駐留NATO軍に対して国内法を適用するなど制度が整備されているドイツを実地調査し、3月末をめどに同委託事業の報告の取りまとめを行っているところであります。今後、県としては当該委託事業の報告などを踏まえ、日米地位協定の改定または運用の見直しを早急に取りまとめ、日米両政府に対し働きかけていきたいと考えております。
次に、知事は高失業率は「県政不況」によるものと言っていたが、県政交代によって不況は脱したのかという御質問に対するお答えでございます。
私が「県政不況」としたのは、前県政において多くの沖縄振興策が停滞していたことや、県のそれまでの産業振興に対する取り組みが不十分であったことを指摘したものであります。
私は、就任以来一貫して県経済の振興や雇用の確保に向けて全力を傾けてまいりました。現在、沖縄経済振興21世紀プランなど多くの沖縄振興事業が動き出したことなどにより、県内企業の業況判断が改善するなど県内景気は改善の動きが広がりつつあります。
次に、過去最悪の新規高卒者の就職内定率、高い失業率と雇用情勢が悪化しているのはなぜか、その解決策について聞きたいとの御質問のお答えでございます。
今春卒業予定の新規高卒者の平成12年1月末現在の就職内定状況は43.0%と、前年同期に比べ10.6ポイントの低下となっております。これは、これまでの長引く景気の低迷の中、企業の採用抑制による求人の減少や即戦力志向を反映したものと考えております。特に本県では高卒者の就職の多くを県外に頼っているため、県外からの求人数が前年同期に比べマイナス63%と大幅な減少となっていることが大きく影響しております。
このような状況にかんがみ、急遽、高校生、大学生等を対象とする本年度第5回目の県内企業合同面接会を本日開催することとしております。
また、平成11年の完全失業率が8.3%と上昇したのは、就業者は4000人増加となっているものの、8000人の労働力人口の増加を吸収し切れていないことであります。特に、全国的な景気の低迷による県外就職者の減少が本県の雇用情勢に悪影響を与えております。
一方では、県内景気に改善の動きが広がりつつあることや各種施策の実施を反映して有効求人はサービス業を中心に12カ月連続で前年同月を上回っております。この結果、就職件数についても前年を上回り、特に県内就職件数は11年で見ると約1万2000件と昭和63年に次いで復帰後2番目の件数となっております。こうしたことから雇用をめぐる環境は着実に改善してきていると考えております。
特に、コールセンター等情報通信関連企業の誘致に努めた結果、これまで約1700人の雇用が創出されており、引き続き数社の立地が予定されています。
雇用開発推進機構では、人材育成支援事業等の実施により平成11年度は約1350人の雇用の創出を見込んでおり、12年度においても引き続き同事業を拡大実施し雇用の場の創出に取り組んでまいります。
今後とも、沖縄経済振興21世紀プランの中間報告に盛り込まれた沖縄特別自由貿易地域を活用した加工交易型産業や情報通信関連産業等の振興を図りつつ、1月25日に労働大臣から発表された沖縄総合雇用対策プランや人材育成等の施策を積極的に実施していくことにより、本県の雇用失業情勢の改善が図られるものと考えております。
次に、県の地域医療、特に離島医療に対する所見を伺いたいとの御質問にお答えをいたします。
本県の医療は、本土復帰後3次にわたる沖縄振興開発計画の推進や医療関係者の努力により大きく改善されてきておりますが、離島においては現在でも医師確保は容易でなく、また民間による医療施設の運営は厳しい状況にあることから、離島医療の充実確保は県政の重要課題と考えております。
現在、18の県立診療所を管理運営するとともに、無医地区等における巡回診療の実施等により地域医療の確保に努めているところです。
また、離島医療支援情報システムを整備し離島に勤務する医師の支援を行っております。
さらに、離島における医療の安定的確保策の一環として沖縄県離島医療組合のもとで40床の公立久米島病院を設置し、本年4月には内科、外科、小児科、産婦人科を常設科として運営開始することになっております。このことにより久米島地域の医療が大きく改善していくものと確信をしております。
次に、自然環境問題について、リサイクル運動の拡大充実で資源ごみ等の再利用等県民の意識の高揚と徹底した発想の転換が求められていると考えるが、県の対策はどうなっているかとの御質問にお答えをいたします。
県では、将来の循環型社会の構築を目指してごみの減量化・再生利用の方向性と施策を明らかにするため平成5年度に沖縄県廃棄物減量化・再生利用推進計画を策定して各種事業を推進しております。
各種キャンペ-ンやイベント等を通してごみ減量化・再生利用に関する啓発事業を実施しているほか、市町村に対してはごみ減量化の方策を盛り込んだ一般廃棄物処理計画の策定を初め、容器包装リサイクル法に基づくリサイクルシステムへの参加やごみ処理の広域化への対応を指導しております。
その結果、県内における資源化率は平成5年度の3.1%から平成9年度の5.7%へと着実に上昇しております。
また、平成9年度から開始した容器包装リサイクル法に基づく分別収集により、これまでに瓶、缶、PETボトル等2万3000トンが再商品化されております。今後ともこうした県民への啓発と市町村に対する指導を通じてごみ減量化、資源化を積極的に推進してまいりたいと考えております。
次に、農林水産業の振興について、海洋深層水の利活用について将来の産業促進にどう位置づけていくかとの御質問に対するお答えでございます。
海洋深層水を活用した産業振興につきましては、平成12年4月に設置する海洋深層水研究所を中心として既存研究機関と連携をとりながら水産分野、農業分野、健康食品分野、健康リゾート分野等への利活用を図り、新たな産業の創出と地域の活性化を促進してまいります。
当面、実用化に向けた取り組みとしては、農業分野では高温障害解消による野菜の周年栽培や開花時期調整による花卉、果樹の端境期出荷等の新たな冷温農業の確立を図ります。
水産分野では、ウイルスフリーのクルマエビ母エビの養成や海藻類、ウニの陸上型養殖により周年生産の技術の確立を図ります。
工業分野については、企業との連携により塩、健康飲料水、化粧品等の新商品、新技術の開発を促進してまいります。
また、より効果的に産業振興を図るため、新事業創出促進法に基づく新事業創出のための総合的支援体制(プラットフォーム)により、企業等の発展段階に応じた総合的な支援を行ってまいります。
次に、沖縄県広域緑地計画についての御質問に対するお答えでございます。
沖縄県広域緑地計画は、平成6年10月の建設省通達により県内の都市計画区域において市町村の区域を超えた広域的観点から県が策定する緑地の総合計画であります。
その内容としましては、近年における県民の余暇時間の拡大、健康志向に伴うレクリエーション需要への対応及び緑地の保全、緑化の推進を目的として広域緑地、公園の保全、緑化目標、配置方針及び緑化推進施策について定めるものであります。
一方、市町村においてはそれぞれの都市計画区域内における緑地、公園の保全目標、配置方針等を示した「緑の基本計画」を策定することになっております。今後は、県と市町村が連携を図りながら県土の緑地保全、緑化推進に努めてまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 糸数慶子議員の基地問題に関する質問事項のうち、米軍人・軍属による事件被害者の会が損害賠償法の制定を求めているが県はどう考えるか、また事件・事故に遭った場合、被害者をケアする担当部署を基地所在市町村に設置するよう指導してほしいがどうかという御質問にお答えをいたします。
県では平成7年11月、日米両政府に対し、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族により被害を受けた場合は、公務中か公務外かを問わず日本政府の責任で補償が受けられるよう日米地位協定の見直しを要請しました。
その結果、日米両政府は平成8年12月のSACO最終報告において、日米地位協定第18条第6項の請求に関する手続について、米国政府による支払いが裁判所の確定判決による額に満たない場合は、「日本政府は、必要に応じてその差額を埋めるため、請求者に対し支払いを行うよう努力する。」との日米地位協定の運用の見直しを行い、現実の運用においてもこのSACO最終報告に沿った形で日米両政府による慰謝料や見舞金が支払われております。
しかし、この運用の見直しが行われた後も公務外の合衆国軍隊の構成員等が与えた損害について、被害者の被害補償を受ける権利を明確に規定するため損害賠償に係る特別立法の制定を求める意見が被害者の会等から強く主張されております。
県としては、現行の日米地位協定は公務外の合衆国軍隊の構成員等が与えた損害について加害者による損害賠償を原則とした枠組みになっている以上、被害者の被害補償を受ける権利を明確にするためには損害賠償に係る特別立法を制定する以前に日米地位協定の見直しが必要であると考えており、今後とも渉外知事会や軍転協などを通して日米両政府に対し日米地位協定の見直しを働きかけていきたいと考えております。
また、事件・事故に伴う被害者をケアする担当部署を市町村に設置することについては、基地から派生する事件・事故に限らず広く犯罪一般の被害者に対する警察の相談窓口として女性被害者相談専用電話や少年相談専用電話などが設けられているほか、沖縄県立総合精神保健福祉センターや各地の保健所においてもカウンセリングを行っており、糸数議員の御提言についても今後検討していきたいと考えております。
次に、同じく基地問題に関する質問事項のうち、普天間飛行場移設候補地の水域は国の天然記念物「ジュゴン」の生息地であり第一級の自然保護地域である、県の厳正なる保護を図る区域最高ランクに指定されている海域をどのようにクリアして代替基地とするのかという御質問にお答えをいたします。
当該海域は、「自然環境の保全に関する指針」においてはランクⅠに区分されております。同指針は、本県における望ましい環境を実現するため県土の良好な自然環境の保護と節度ある利用について、事業を実施する際にはそれぞれの立場で配慮していく性格のものでございます。
国は、去る12月28日の閣議決定において、「地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う」との安全・環境対策の基本方針を示し、「環境影響調査を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。」こととしております。県としては、事業を実施する際には自然環境への影響を極力少なくするよう引き続き申し入れていきたいと考えております。
次に、女性行政についての御質問にお答えをいたします。
男女共同参画社会の実現を目指す施策の展開についてでございます。
家庭、地域、社会のあらゆる分野において男性と女性がみずからの能力を十分に発揮し、社会的責任を担い合う男女共同参画社会の実現を図るには、女性の政策・意思決定の場への参画促進や女性の地位向上、また男性の理解を深めることがより一層重要になってくるものと考えております。
このため、県ではこれまでの施策に加え、女性の社会参画を促進する環境整備や女性の自立に向けた施策を推進するなど男女共同参画社会づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
平成12年度には、国際女性相談事業の拡充強化を初め男女共同参画社会基本法の制定を受けて実施する男女共同参画計画策定に向けた女性の生活実態・意識調査事業や市町村、県民に対する広報啓発活動並びに女性問題に関する調査研究事業等を実施してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) 基地問題に関する御質問の中の、ジュゴンの早急な保護対策の一環としてその海域と陸域を自然遺産として登録すべきではないか、また国や水産関係機関及び水産業者との協議の上、緊急な保護対策をとるつもりはないかという御質問にお答えをいたします。
世界自然遺産とは、地球の地質学的進化、生物の進化、自然と人間の相互関係をあらわしている自然現象、自然風景地、貴重な動植物の傑出した事例と定義されております。またその登録については国内的に法的保護措置が必要であります。
移設候補地の生息海域や陸地につきましては、世界遺産選定基準を満たすための登録地域としての評価の課題があり、さらに法的保護措置がとられていないこと等から現在のところ世界遺産登録の要件を満たしておりません。
なお、ジュゴンの保護対策につきましては、漁業との関係が大きいことから今後水産関係機関等と調整していきたいと考えております。
次に、自然環境問題に関する御質問について、家庭ごみなどの一般廃棄物の近年の推移はどうなっているかという御質問に対するお答えでございます。
本県におけるごみの年間総排出量は、平成7年度が約49万2000トン、平成8年度が約49万8000トン、平成9年度が約50万1000トンとなっております。県民1人1日当たりにしますと平成7年度が1037グラム、平成8年度が1040グラム、平成9年度が1038グラムとなっており、横ばい状態で推移しております。
次に、各市町村の処理状況はどうなっているか、場所の確保の課題等を含めてごみ等の最終処分はどうなっているか、ふん尿処理関係の状況はどうかという御質問にお答えします。
現在、市町村または一部事務組合の一般廃棄物最終処分場は31施設あり、そのうち国庫補助整備事業による構造基準に適合した処分場が16市町村10施設、適合しない処分場が20市町村21施設あります。また、処分場を有していない南部地域15市町村については、民間廃棄物処理業者に処理を委託いたしております。
県は、適切な最終処分場を有していない市町村に対して、国庫補助を活用した最終処分場を早期に整備するよう指導しており、多良間村ほか3村が平成12年度から、糸満市ほか12市町村が平成14年度から、浦添市ほか3村が平成15年度から整備する計画となっております。
平成9年度に市町村で収集されたし尿及び浄化槽汚泥の量は361.1キロリットルとなっております。その処理については、し尿処理施設で263.3キロリットル、71%、海洋投入で60.3キロリットル、16%、農村還元で19.8キロリットル、5%、下水道投入で14.3キロリットル、4%などとなっております。
なお、海洋投入を行っている那覇市及び南風原町では、平成14年度末までに他の処理施設への委託処理により海洋投入を廃止する予定と聞いております。
次に、ごみの減量化について県や市町村は県民に対してどう指導しているのかという御質問にお答えいたします。
県では、ごみ減量・リサイクル推進週間、空きかん等散乱防止統一キャンペ-ン、マイバッグ・キャンペ-ン、環境衛生週間、リサイクル・夢市場等の広域的な啓発事業を実施してごみ減量化、再資源化の促進を図っております。
また、市町村におきましては一般廃棄物処理計画を策定し、ごみの減量化に関する方策を定め、ごみの排出抑制及び分別収集への協力を呼びかけるとともに、資源ごみの集団回収やフリ-マ-ケット等の住民活動の支援、家庭用生ごみ処理器への補助等を通してごみ減量化、資源化の促進を図っております。
次に、産業廃棄物の近年の推移はどうか、産業廃棄物の処理の現状はどうか、業者への義務づけはどのように徹底されているか、3つの質問に一括してお答えします。
産業廃棄物の実態調査は5年ごとに実施しており、最も新しい平成7年度の調査によりますと、本県の産業廃棄物の発生量は平成6年度には約432万トンと推計されております。種類別では家畜ふん尿165万トン、建設廃材93万トン、汚泥90万トン、動植物性残渣32万トン、鉱滓及びその他52万トンとなっております。
産業廃棄物の処理については、農業系廃棄物を除く229万トンのうち101万トンが排出事業者みずから処理し、128万トンが処理業者によって処理されております。
処理方法別では、再利用量が78万トン、減量化量が59万トン、最終処分量が92万トンとなっております。
なお、平成12年度には実態調査を実施することにしております。
産業廃棄物の取り扱いについては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により排出事業者及び処理業者それぞれに処理基準、委託基準、施設の維持管理基準などの遵守が義務づけられております。県としましては、業者に対し通知や説明会等により基準の周知、減量化などの啓発を図るとともに、保健所による監視パトロール及び指導などにより適正処理の促進を図っているところであります。
次に、不法投棄の実態と違反者に対する取り締まり、指導等はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
県が平成10年度に実施した産業廃棄物等不法投棄実態調査の結果では、不法投棄は139カ所となっており、年々増加する傾向にあります。
県は、不法投棄の未然防止対策として従来から保健所におけるパトロ-ルや警察との連携によるヘリコプタ-でのスカイパトロ-ル等を実施し、不法投棄の監視と早期発見に努めております。平成6年度には対策の強化を図るため警察本部、社団法人沖縄県産業廃棄物協会など関係機関で構成する「沖縄県産業廃棄物不法処理防止連絡協議会」を設置し、平成10年度からは同協議会を中心に年4回、県下一斉に合同パトロ-ルを実施いたしております。
また、警察においても近年不法投棄などの環境犯罪の取り締まりを強化しており、平成11年度には15件24人が環境事犯として検挙されております。
県としては、今後とも不法投棄防止の啓発、指導を進めるとともに、市町村、警察等の関係機関と連携し不法投棄の監視を強化するほか、悪質な不法投棄者に対しては告発も含め厳しく対処していきたいと考えております。
次に、自然環境保全指針の意義目的を明確にしてもらいたいという御質問にお答えします。
本県の自然環境を保全するための方策としては、これまで各種個別法で自然環境保全地域、自然公園等の地域指定を行い各種開発行為の規制を行ってきております。しかし県内のその他の地域にもすぐれた状態を維持した地域があり、開発事業などによる自然環境の改変が進むと生態系への影響や貴重な野生生物の減少が心配されます。
本来、貴重な自然は自然環境保全地域等に指定し法的に保護することが望ましいが、指定拡大に当たっては私権の制限を生じること等から理解と協力が得にくく、指定は困難な状況にあります。このような地域においても保全することが望ましい箇所については保全し、無秩序な開発を防止していく必要があると思います。
このようなことから、自然環境を保全していく上で事業計画の段階から自然環境の保全に配慮を求める必要があり、指針を策定したわけであります。
自然環境の保全に関する指針は、自然の特性及び現状を把握しこれを評価して保全すべき自然を明らかにするとともに、それらの保護と節度ある利用についての指標となるものであります。
次に、農林水産業の振興に関する御質問のうち、赤土等流出防止対策に1億1427万2000円の予算がついているが、具体的な事業の内容と実証調査をすることによって県内の赤土防止にどう生かし、どれほどの効果を期待しているかという御質問にお答えいたします。
平成12年度においては国からの委託を受けて新規事業2件、継続事業2件の赤土等流出防止対策に関する調査を実施する予定であります。
継続事業としましては、恩納村と石垣市のモデル圃場において、グリーンベルト等の対策の効果を作物の栽培期間を通して検証する事業と、人工衛星を用いた赤土等堆積状況モニタリングシステムの検証を行う事業であります。
新規事業としましては、東村にモデル流域を設定し各種の赤土流出防止対策を実施することにより具体的な効果を検証することにしています。
また、名護市及び恩納村をモデル地域として地域に分布するさまざまな裸地の実態に応じた裸地被覆工を施し、その効果等の実証調査を行うこととしております。これらの調査成果をもとに農家等に対する赤土等流出防止対策の指導及び普及啓発活動を具体的に進めるとともに、流域の特性に応じた対策を総合的に進めていきたいと考えております。
以上であります。
○企画開発部長(宮城正治) 経済振興の関連で、新たな沖縄振興計画において産業振興による自立型経済の構築とは何か、そして何を目安にすればよいのかという御質問に対して一括してお答えいたします。
自立型経済の構築とは、産業・経済を担う人材の育成・確保を図るとともに、研究開発の促進、新規事業の創出支援、企業誘致の推進、さらに産業活動を支えるインフラの整備等を推進することにより産業振興を図り、競争力、持続力のある民間主導型経済を構築することだと考えております。
民間主導型経済の構築を進めることによって、その結果として財政依存度、基地依存度の相対的な縮小を図ることが本県における自立型経済への方向性だと考えております。
その目安となるのは、県民所得に占める民間部門の割合の増加、公共部門の割合の低下を示す指標などが考えられます。
以上です。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 離島振興についての御質問で、市町村合併に向けての県の基本姿勢と今後の展望についての御質問にお答えをいたします。
離島の市町村は全体的に規模が小さく、また財政基盤が脆弱であることから、地方分権の推進や少子・高齢化の進展、廃棄物処理問題などの新たな課題に対応しつつ行政サービスを向上させるためには、今後真摯に市町村合併に取り組むことが必要だと考えております。平成12年度には、各種の調査資料や市町村長の意見等を踏まえ今後の展望を検討し、具体的な合併のパターン、効果等を示した合併推進のための要綱を策定することとしており、これによって合併の機運が一層高まるものと思い、各市町村へ強く働きかけていきたいと考えております。
同じく市町村合併問題で、仲里村と具志川村の合併協議の進捗状況についての御質問にお答えをいたします。
仲里村、具志川村では、平成9年度に合併協議会を設置して合併の協議を行っております。平成11年度は新町建設計画の検討を行い、昨年11月から12月までの間、全住民を対象に住民説明会を開催し、両村の三役等から建設計画などについての説明が行われたところであります。
住民説明会での意見や要望を建設計画に反映させるためにはさらに協議が必要なことから、去る2月2日の合併協議会において、当初目標としていた平成12年4月1日の合併については延期することと話し合いが行われました。今後、両村住民の理解を得ながらさらに合併に向け協議が進められることとなっております。県としても、引き続き両村への支援を行ってまいりたいと考えております。
○福祉保健部長(平良健康) 離島振興について、沖縄県離島医療組合に係る職員計画についての御質問にお答えいたします。
沖縄県離島医療組合の職員については、県と関係村からの派遣により確保することとしており、病院開設に当たっては36名体制でスタートし、沖縄県からは30名を派遣することとしております。特に医師等医療要員については県からの派遣で対応することとしており、病院運営が円滑にできるよう医師、看護婦、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師等の派遣について準備を進めているところであります。
次に、医療福祉問題についての御質問の中で、県立那覇病院の改築にあわせて「母子総合医療センター」を併設する考えはないかとの御質問にお答えいたします。
本県においては、乳児死亡率や低体重児出生率等が全国平均よりかなり高いことからその改善を図りつつ、出生前からの保健指導の充実とあわせてリスクの高い母と子へ適切な医療が提供できる周産期医療体制の整備が求められております。
このため、周産期保健医療協議会からの提言等を踏まえて、改築中の中部病院に総合周産期母子医療センターが整備できるよう作業を進めているところであります。特に周産期医療は、一般医療に比べて母子ともに異常が生じやすく、突発的な事態への対応など人手や緊急性を要することから看護婦や医師の確保が課題となっております。
御質問の母子総合医療センターに関しては、周産期医療の整備を進めていく中で医療資源の効果的な連携を図りながら母子総合医療の充実強化に努めていく考えであります。
なお、那覇病院の改築については、施設の老朽化や経営の状況並びに各方面からの意見等を踏まえながら改築時期を含め総合的観点から今後検討していきたいと考えております。
○土木建築部長(銘苅清一) 自然環境問題について、事業者としての今回の評価書の環境調査結果についてどう評価するかとの御質問にお答えいたします。
泡瀬地区の環境影響評価準備書は、国の環境影響評価実施要綱及び沖縄県環境影響評価規程等に基づき、埋立事業の実施により影響を受けるおそれのある地域について現況を調査し、環境に及ぼす影響の予測評価並びに保全対策等をまとめたものであります。環境調査は、埋立地及びその周辺地域での底生生物等の調査を行っており、海草藻類については冬57種類、夏21種類で、また干潟動物である貝、カニ類については冬93種類、夏90種類が確認されております。
また、環境影響評価準備書については、住民説明会、公告・縦覧等を終えて県の環境部局から泡瀬海域にクビレミドロが生育しているとの意見があります。
このことから、現在、県の環境部局や海洋生物の専門家等の協力を得て補足調査を実施しているところであります。その調査結果や保全対策については環境影響評価書に取りまとめることから、環境調査は適切に進められているものと考えております。
ジュゴンの生息が確認されているが、調査をする意思があるかとの御質問にお答えいたします。
沖縄海域でのジュゴンについては、沖縄本島東沿岸域の金武湾以北の海域に生息が確認されたとの情報はありますが、泡瀬海域での目撃情報はありません。
また、泡瀬漁港沖合から中城村地先の沖合に至る海域について平成8年に県が海草藻類調査を行った結果、埋立計画地及びその周辺海域内にジュゴンの生息を示す海草藻類の「はみ跡」も確認されておりません。
なお、泡瀬海域でのジュゴンの生息の有無については、今後とも情報収集等に努めていきたいと考えております。
次に、クビレミドロの保全対策を具体的にどう展開していくつもりかとの御質問にお答えいたします。
泡瀬地区環境影響評価準備書については、平成11年10月に県の環境部局より泡瀬海域にはクビレミドロが生育しているとの意見が出されております。
そのため、海洋生物の専門家や県の環境部局の協力のもとに生育確認調査を行った結果、平成12年1月にその生育を確認しております。その後も引き続き専門家等の指導助言を得て調査を行っているところであります。この調査結果を踏まえて現在具体的な保全対策について検討しているところであり、その検討結果については環境影響評価書に盛り込んでいきたいと考えております。
次に、都市モノレール事業関連について、安里交差点の改修に伴う地下歩道について高齢者や障害者に対する配慮についての御質問にお答えいたします。
国道330号安里交差点改修事業につきましては、慢性的な交通渋滞を緩和するとともに、平成15年開業予定の沖縄都市モノレール事業と整合を図るため平成7年度より鋭意事業を推進しているところであります。
事業の概要といたしましては立体構造を予定しており、地下に横断歩道、地上部の平面に側道、中央部に4車線の高架道路橋、その上部にモノレール軌道が設置されることとなっております。
地下横断歩道の建設計画につきましては、交差点を横断する歩行者が多いことから自動車交通との分離による安全性や雨天時の利便性等の確保を図るため計画したものであります。また当横断歩道は距離が約30メートルあることから、安全で明るくゆとりのある歩行空間を確保するため歩道中央部には直径10メートルの広場を設け、利用者の利便性を図る計画としております。
なお、地下横断歩道の各出入り口にはエレベーターを設置するとともに、地下道入り口においては音声による誘導装置を設けるなど高齢者等の交通弱者に配慮した交通施設のバリアフリー化を図ることとしております。
同じく安里交差点の改修に伴う地下道について、防犯面の充実や案内板の設置についての御質問にお答えいたします。
防犯面における対策といたしましては、地下道内に照明設備を設置するとともに、防犯カメラ、防犯ベルを設置し、防犯パトロールによる監視体制の強化を図るなどの対策を講ずる予定としております。また今後の管理・監視体制を早期に確立すべく県警、那覇警察署等の関係機関と協議を進めていきたいと考えているところであります。
なお、案内標示板の設置につきましては、位置標識や方面表示板等の情報を提供し周辺案内により利用者へのサービスを図ることとしております。
以上でございます。
○糸数 慶子 再質問をいたします。
知事はきのうの答弁の中にも答えていらっしゃいますし、またきょうの私の代表質問の中にも答えていらっしゃいますが、この普天間の代替施設の使用期限、このことに対して知事の公約の中にはまず使用期限が15年ということをうたっています。
これは県民の基地の過重負担の解消のためには、受容の期限といいますか、県民の受忍の限度としては15年だということでその条件を出されたと思いますが、それが満たされない場合、知事は拒否するのかどうか、そのことについて再度お伺いいたします。
それから名護市長は、この件に関しましては15年が限度ということと、それから環境整備がなされない場合には移設容認を撤回するとおっしゃっていらっしゃいますが、知事は、名護市長がこの15年に関して拒否した場合は、名護市長を説得するつもりですか。それとも地元の意思を尊重するのですか、そのことについて再度お伺いいたします。
それから、嘉手納ラプコンに関しましては、国や米国政府に要請をするとおっしゃっていらっしゃいますが、それこそ県民の先頭に立って嘉手納ラプコンを返還させる意思はあるのかどうか、お伺いいたします。
さらに知事は雇用問題について、これまで大田県政に対しても、すべて大田前県政の手法というのは解釈であって、解決ではないということを標榜されましたけれども、今回のこの雇用問題に関しまして知事が就任されてそれこそ県民の大きな課題である雇用問題が解決されたとは考えられません。解釈なのか、解決なのか、再度お伺いしたいと思います。
そして、知事の任期の4年間、知事はこれまでずっと言い続けてきましたが、15年使用期限に関しては言い続けていくのか、それとも条件として担保をきちんと政府からとれるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) ただいま糸数議員の方から15年問題のオーケーが得られない場合にはどうするのかと、それから名護市長の受け入れ条件が変わった場合どうかということ、これは一括してお答えしたいと思います。
私が政府の方に提案をいたしまして、移設の条件として提案したときはこれは名護市長と全く一緒でございまして、今後とも名護市長と共同歩調をとるということを言っております。ということは、今後とも名護市長と一緒になりながらこの解決が図られるよう全力を尽くしたいと思っております。
次に、嘉手納ラプコンにつきましてもこれは大変に重要なポイントでございますので、これはぜひ解決するよう御指摘のございましたように先頭に立って頑張っていきたいと考えております。
○副知事(牧野浩隆) 4番目の再質問の中で雇用問題、あるいは不況の問題がありましたので、そのあたりに関連して進めさせていただきたいと思います。
確かに、今の沖縄の経済状況を見ますと不況は存在しております。ただし、県政不況は解消されましたと私どもは思っています。
と申しますのは、一番の問題は高失業社会、失業率が高くて不況問題をどうするかということが問題になっているときに、前県政の場合ですと基地問題を優先して、振興策は軽視してもいいという一つのものがあったと思います。もしそれが続いていた場合の現在の状況を考えた場合、そのころは閉塞感という状況が沖縄の社会を覆っておりました。もしそれが今まで続いておればどういう状況になったかということを考えますと、経済を担当します我々としましては、今よりまだ悪い失業社会になっていたんじゃないかというような気がします。
それを解決するために、基地と振興策のバランスという考えから我々はいろんなものを政策を展開してきたわけです。
県政不況の中身といいますのは、例えば21世紀プランが中断されていた。それから特別調整、いろんなものがありましたけれども、我々が県政になりましてやったことをちょっと御報告させていただきますと、沖縄経済振興21世紀プランをつくって、それを既に実行しております。あるいは沖縄特別調整費の関連事業で100億円の2度にわたってその事業もやっております。それから沖縄特別自由貿易地域につきましても、情報通信産業につきましても、観光・リゾートにつきましても大きな成果を上げていると私どもは思っております。
それから、ポスト3次振計の後もつくっていくというようなこと。あるいはそれを実行するために新たな沖縄振興策をつくっていくということ。
それから基地問題も、いわゆる整理縮小という概念に従って一歩踏み出しましたし、そのために北部振興、あるいは移設先周辺地域の振興、それから島田懇の関連事業の振興、あるいは県民待望の沖縄サミットの実現、あるいは那覇港のハブ港化、那覇空港の平行滑走路、あるいは国際情報特区の特例ということでびっくりするような形をしていまして、それに基づきまして企業誘致などをして情報通信関係産業の10数社、これによって1600名ぐらいの雇用を確保いたしまして、今動かしてきたものが、動かなかった状況がいわゆる県政不況と言われていたものだと私どもは思うわけです。
この数年間に企業誘致を実施してきましたけれども、特に情報通信関連産業の企業が進出しまして、それによって若年層を中心に千数百名の雇用の実績を上げてきました。これまでの実績というのがもしなかりせばということを考えた場合は、我々はぞっとするわけです。
これまでとってきたのは、沖縄経済がこれから21世紀に向かって新たに展開可能になっていく情報通信産業の大きな流れの中に県政のものを動かしたわけですから、そういった意味では大きな実績をやっているわけです。これがなかったらどうだったかということを考えますと、この1年の実績というのは沖縄経済が21世紀に向かって情報通信産業の社会に乗れたかどうかという大きな瀬戸際にあると思うわけです。
私どもは10数社の企業誘致、あるいは国際情報特区を持ってくるということは、沖縄経済が21世紀に向かって大きな流れの中に乗せてそれを推進しているということを御理解いただければ、もしそれがなかりせばということを考えればこれまでの状況がおわかりいただけるかと思います。
○糸数 慶子 知事の言う15年のその返還問題の担保とはどういうことか、具体的にお示しください。
知事に再度お尋ねいたします。
雇用問題について失業率が上がったのはどういう理由か、再度お答えをお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) まず、15年の問題をお答えいたします。
15年の使用期限については、移設に当たって整備すべき条件として国に強く申し入れました。これを受けて国は、閣議決定において「沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げていくとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。」という方針を示しております。県としては、同問題が政府において引き続き検討され、県の要望に対しこたえられるよう強く求めてまいります。
次に、先ほどの雇用の問題についてお答えをいたします。
先ほど牧野副知事からも状況が、情勢がございましたように大変厳しい状況ではありますが、いろいろな意味において着実に実施した成果があらわれております。例えば11年で見ますと約1万2000件、これは昭和63年のバブル期に次ぐ復帰後2番目に県内の就職件数がふえております。
それから、有効求人にいたしましてもこの12カ月連続をして前年同月を上回っております。しかもコールセンター等情報通信関連企業の誘致に努めた結果、それの関係で約1700人の雇用が創出されており、現在、そのほか数社、しかもそれが毎年人数をふやすという形で予定をされておりまして、雇用開発推進機構では人材育成支援事業等の実施により平成11年度は1350人の雇用の創出を見込んでおります。12年度においても引き続き同事業を拡大し雇用の場の創出に取り組んでまいります。
その意味で本県の雇用失業情勢の改善が図られるものと考えております。
○糸数 慶子 休憩してください。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午前11時26分休憩
午前11時27分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
糸数慶子君。
〔糸数慶子君登壇〕
○糸数 慶子 副知事にお尋ねいたします。
県政不況はよくなっていると言いますが、相変わらず失業率が解決されない理由は何か、再度お伺いいたします。
それに知事にお伺いいたしますけれども、ただいまの知事の答弁なんですが、条件が満たされないということは、つまりこの基地問題を拒否するということですね。
それを再度お答えいただきたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 15年の問題につきましては、現在継続中の問題でございますので、県としてはこの問題が前進するよう引き続き国として検討されるよう強く要望してまいります。
強く求めてまいります。
○副知事(牧野浩隆) 県内不況がなぜ解消しないのかと。
これは失業率にあらわれておりますけれども、1つは、全国的な不況の影響を受けて県外への就職が思わしくないということと、それからバブルの影響で県内の企業の採用状況が弱含みにあるということと、もう一つは、就職はふえているけれども、労働力人口がふえているというようなことがあるわけです。
これを解消するために、先ほど申しましたような一連の企業誘致を含めた多大なものをやったわけですけれども、あの多大なものをやった上でもこうですから、我々は県内の不況ということは回復基調にあるとはいえ、まだ今までやってきたことをさらに強力に進めていく必要があると私どもは思って、いろんな21世紀プランを初め情報特区、情報通信産業などの企業誘致を一生懸命進めていこうと思っているところでございます。
○糸数 慶子 知事に具体的なその担保の内容をお伺いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 15年の期限の問題につきましては、閣議でも決定をされ日米会談においてもお話がなされ目下継続中の問題でございますので、これに対して私どもは実現するよう強く求めてまいります。
○新垣 善春 少々風邪を引いておりますので、聞き苦しい点はお許し願いたいと思います。
社民党・護憲共同の県議団を代表いたしまして知事及び関係部長に質問申し上げます。
まず基地問題から、第1点、知事は昨年12月、普天間基地のキャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域への移設受け入れを表明しました。これを受けて政府は、今後10年間で総額1000億円の北部振興策を提示しました。まさに札束で横っ面を張っての基地の移設受け入れを迫ったのであります。
これに対し知事は、具体的な建設場所や工法も明らかにされないまま県民の財産になる軍民共用空港、15年の使用期限の条件つきで移設受け入れを表明しました。
当初予定していた海上ヘリポート案では、長さ1300メートル、幅600メートルの滑走路で6分の1に縮小されると宣伝されていましたが、軍民共用空港となれば滑走路も延びることになり、基地の拡大、機能の強化になると思いますが、知事の見解を求めます。
2番目、知事の普天間基地移設受け入れ表明によって平和に暮らしていた地域共同体に賛成派と反対派の対立を引き起こしているばかりか、地域の区長さんが自殺未遂までするという深刻な事態さえ惹起しました。知事の移設受け入れ表明さえなければ、住民同士が対立し、いがみ合うことも起こらなかったことでしょう。地域共同体を分裂させ対立を引き起こす要因となった知事の責任は決して軽いものではありません。あなたの良心に照らして、子々孫々に誇るべき移設受け入れの決定をしたと胸を張って主張できますか、率直にお答えください。
第3点、知事、あなたは97年9月3日付の米国防総省によるエグゼクティブレポート及び同月29日付の「海上基地施設の運用条件及び運用構想」について検討したことがありますか。検討されたのであればその内容についてあなた自身の見解を求めます。
第4点、普天間基地の代替施設についてSACO案は海上へリポート、国防総省案は海上基地施設と異なった表現となっています。日米両政府が発表した基本案は長さ1300メートル、幅600メートルの滑走路ということでしたが、国防総省の資料では長さ1500メートル、幅800メートルないし1000メートルとされています。またSACO案では海上基地に配備されるヘリコプターは約60機で、機種、機数は普天間の場合とほぼ同様としていますが、国防総省案では垂直離着陸MV22オスプレイを配備するとしています。
さらに、国防総省の資料では海上施設及びすべての関連構造物は40年の運用年数と200年の耐用年数を持つよう設計されると明記されています。
現在は2週間に1回洗浄しているヘリコプターを海上基地に移すと毎週1回洗浄することになり、約100万トンの真水が必要だとしています。県民の飲み水さえ不足がちの沖縄でどこから水を供給するのか考えたことがありますか、お伺いいたします。
5点目、米軍の資料によりますと、現在の普天間基地の年間維持費は約280万ドルとなっていますが、海上基地になると年間約2億ドルになると記録しています。しかもそれは普天間基地の代替施設をつくるというより、20%の軍事機能を強化した基地をつくるとしているんです。まさに基地の整理縮小とは逆の基地機能の強化であり、断じて容認できるものではありません。このことは既にマスコミで幾たびも報道されましたので、知事も十分御承知のことでしょう。
政府は昨年12月17日、基地移設受け入れの見返りとして10年間で1000億円の北部振興策を提示しました。北部の12市町村で1年間で100億円と言われます。
他方、思いやり予算は2000年度だけで2605億円が計上されており、単年度では北部振興費の26倍強です。また本州と四国を結ぶ瀬戸大橋は1兆1338億円の建設費を要しており、北部振興費10年分の11倍強ですが、基地の見返りどころか何の代償も求められなかったのであります。単年度では思いやり予算の26分の1、10年分でも瀬戸大橋建設の11分の1というわずかの金で沖縄の大安売りをしたとの声も聞かれます。知事はこの声をどのように受けとめますか、御所見を求めます。
第6点、第2次大戦の際には本土防衛の盾として沖縄を地上戦に巻き込んではかり知れない犠牲にし、敗戦後も日本の独立と引きかえに27年間も米軍の専制支配下に沖縄を売り渡した日本政府は、いまだに沖縄県民が納得できる償いさえ果たしていないのでありますから、何の見返りも求めないで沖縄の振興を進めることこそ政府のとるべき責任ではないでしょうか、知事の見解を求めます。
7番目、名護市の岸本市長は、代替施設の15年の限定使用、基地の使用協定の締結、日米地位協定の見直し等の条件が受け入れられない場合には受け入れの白紙撤回もあり得ると表明しましたが、知事は使用期限15年の条件が聞き入れられない場合にはどう対処されますか、答弁を求めます。
なお、これまでのように強く主張し続けるの繰り返しでは県民は納得できないことを申し添えておきます。
第8点、基地の汚染と跡利用についてお尋ねいたします。
沖縄の米軍基地は、朝鮮戦争やベトナム戦争、湾岸戦争の出撃拠点であったばかりか、弾薬や兵器を含む物資補給基地として大きな役割を果たしてまいりました。
ベトナム戦争の際には、枯れ葉作戦でダイオキシンで汚染された戦闘機や軍用車両が大量に運び込まれて盛んに洗浄作業が行われていたことは多くの県民が目撃したところです。周辺の土壌や地下水が有害物質で汚染されていると見なければなりません。実際に95年に返還された恩納通信所跡地では、那覇防衛施設局による検査で高濃度のPCBや有機水銀など11種類の有害物質が検出されたことは、知事も御承知のことと思います。しかも米軍は、日米地位協定第4条で返還される基地について原状回復や補償の義務を負わないと定めていることを盾にしてその処理を拒否したのであります。
沖縄県としては、汚染されたままこれから返還される基地の浄化と跡利用をどのように進めるのか、具体的に説明していただきたい。
9番目、大田前知事や県議会の訪米調査の報告等を通じて既に知事も御承知のことと思いますが、アメリカ本国では基地の閉鎖が相次いで大々的に行われてきました。
ロサンゼルス郊外に位置するノートン空軍基地も94年に閉鎖をされ、跡地を民間が利用できるよう地下水と土壌の浄化作業が行われており、浄化プラントが24時間稼働して1分間に約9000リットルの地下水をくみ上げ、トリクロロエチレンなどの汚染物質を基準値まで取り除く作業を行っており、基準値に到達するには15年の歳月が必要と言われています。
このように、アメリカ本国では莫大な費用をかけて基地の浄化作業に取り組んでいます。我が国よりも環境基準に厳しいアメリカでさえ基地の汚染は深刻な状況であり、何の規制もない沖縄の米軍基地はなお一層汚染されているものと見られます。したがって広大な基地を押しつけられている沖縄は、基地が返還されても汚染物質が跡利用に大きな支障となって立ちはだかることになりかねません。
県は、こうした事態にどのように対処なさいますか、県民の心配を取り除けるような納得できる説明を求めます。
知事が移設受け入れを認めた新しい基地の汚染防止や爆音被害等の防止を含む環境対策はどうなっているか、これに要する費用はどの程度を見積もっておられるか、教えていただきたい。
第10点、周辺事態法による後方支援にどう対処するか、知事の見解を伺いたいと思います。
憲法施行後に生まれた人が既に日本の人口の3分の2を占めています。世界に先駆けて戦争放棄した憲法を持ったおかげで、第2次世界大戦での敗戦から半世紀以上の歳月を経た今日まで地球上には戦火が絶えなかったにもかかわらず、実質的には軍隊と見られている日本の自衛隊は他国の兵士を1人たりとも殺すことはなかったし、また殺されることもありませんでした。
しかしながら、96年4月の日米共同宣言によって日米安保条約は国会の承認も求めることなく極東からアジア・太平洋へと拡大され、97年9月には日米両政府の間で新ガイドライン(日米防衛協力のための指針)がつくられました。この新ガイドラインが国と国との条約である以上、憲法第73条3号の規定の定めによって国会の承認を求めるべきでありましたが、政府・与党は国会の承認を拒否しました。そして国民的議論のないままついに99年5月、周辺事態法は強行制定されました。この法律の成立によって我が国は戦争のできる国へと第一歩を踏み出したのであります。まさに戦争の放棄を定めている憲法に違反する法律の制定であり、可及的速やかに廃止せねばなりません。
特に、有事に際して米軍に対する公共施設の提供、物品及び役務の提供、便宜供与等々の後方支援が地方公共団体に押しつけられることが心配でなりません。このことは在沖米海兵隊のヘリコプターと空中給油機など5機が去る15日午前、県の自粛要請を無視して石垣空港に着陸を強行したことでも単なる心配事では済まされないことを示しています。
周辺事態に際して自治体や民間の協力を定めたことで、米軍は県の意向を無視して民間空港を自由に使用する暴挙に出ていることは明らかであります。周辺事態が実際に発生した場合は、県当局はもとより住民の意思など完全に無視され、協力を強制されることになるのは火を見るよりも明らかです。その際、沖縄県はどのように対処しますか、明確な答弁を求めます。
11番、米軍演習による山火事についてお尋ねいたします。
キャンプ・ハンセン演習場で先月28日と今月2日に米軍演習による山火事が立て続けに発生しました。特に今月2日の山火事では35万平方メートルも焼失しました。しかも、米軍が消火活動を始めたのは出火から約1時間45分後だったということはあいた口がふさがりません。米軍演習で山を焼いて植樹をすることなど笑い話にもなりません。沖縄県として厳重に抗議し、再発を許さない対策を考えるべきではないでしょうか。
復帰後これまでに発生した米軍演習による火災の件数及び焼失面積を教えてもらいたい。また周辺住民の水源地の汚染、赤土流出による海の汚染等も心配されますが、県はどのように対処されますか、御説明を求めます。
次に、財政改革の取り組みについて、財政改革の取り組みも怠って後世に過重な負担を強いることになる政府のばらまき予算に対する知事の見解を求めたいと思います。
政府は、2000年度予算で新規発行債と借款を合わせて85兆8705億円、対前年度比20.7%増の国債を発行することになりました。この結果、2000年度末には国債発行残高は3644兆円に達すると見込まれています。また地方債発行残高も187兆円を見込まれており、国と地方を合わせた長期債務残高は645兆円となってGDP498兆9000億円を29.3%も上回ることになります。このように膨大な借金が次の世代に大きな負担を押しつけることになることを心配せざるを得ません。
小渕内閣は、財政改革を求める国民の声よりも当面する選挙を有利にするためのばらまき予算の成立を急いでいるとの批判も少なくありません。知事の見解を求めます。
大きな3番目、介護保険の4月実施について県及び市町村の準備状況について伺います。
昨年10月の自自公政権発足を前後して、介護保険は政局ゲームに翻弄されてきたと言っても言い過ぎにはならないと思います。
まず自由党は、全額税財源による制度見直しを主張し、公明党は在宅は保険、施設は税を主張して2000年4月実施が危ぶまれ、全国の地方自治体を心配させました。
高齢者1号保険者からの保険料徴収を、半年間凍結プラス1年半額徴収という決定も選挙を前にした人気取りのこそくな手法であることが多くの国民に看破されました。営利を追求する民間事業者に介護サービスの門戸を開いたことが吉と出るか、凶と出るか、見当もつかないと不安を訴える人々も少なくありません。4月実施について県の準備状況はどうなっているか、御説明を求めます。
4番、少子化対策は現金給付をふやすより認可保育園の待機児童の解消や仕事と家庭が両立できる公的支援を強化すべきと思いますが、県の考え方を伺います。
まず政治決着となった児童手当は、第一子月額5000円、第二子5000円、第三子1万円と所得制限はそのままで支給対象年齢を現行の3歳未満から義務教育就学前までに延長し、費用負担については企業負担も含めて現行どおりとし、3歳以上義務教育就学前については企業負担を求めないで公費負担にすることで国が3分の2、地方が3分の1を負担することになっています。したがって非課税世帯や低課税世帯の場合は恩恵を受けることになるものの、小学生以上16歳未満の子供のいる課税世帯や子供が小学校入学前でも児童手当も受けられない所得層の負担はふえることになります。
少子化対策としては、このような現金給付をふやすことよりもむしろ認可保育園への待機児童の解消や仕事と家庭との両立を支援するための公的支援こそ優先すべきと思いますが、県当局の考え方を伺います。
5番、政府が進めている医療、福祉、年金の後退について県の見解を求めます。
政府は、2000年度までに医療保険改革案をまとめると公約していました。しかしながら医師会などの圧力団体のむき出しのごね得を許し、あまつさえそれにかかるお金を高齢者に負担を強いる医療改悪を強行し、年金も引き下げられることが確実になっています。
このように医療、福祉、年金が後退する状況について県の御意見を伺います。
6、産業廃棄物の処理策について質問します。
せんだっての決算特別委員会でも指摘したところですが、産業廃棄物の不法投棄の実態は目に余る状況です。先日は、文化環境部長が宮城島での不法投棄されている現場を視察されている模様がテレビで放映されていましたが、県は違法投棄を監視するパトロールも行っているようですが、不法投棄はやみそうもありません。このことは廃棄物の処理場が足りていないことを示すものだと思います。
県は、産業廃棄物の最終処分場の整備を急ぐべきだと考えますが、担当部局の御見解を求めます。
7、教育改革について。
教育の地方分権を進めると言いますが、沖縄県の教育委員会はどのような改革案をお持ちでしょうか、御説明を求めます。
東京都の品川区では小学校の選択制を実施するようですが、この点について御意見があればお聞かせください。
8番、遺伝子資源としての原種の独占をねらう多国籍企業への沖縄県としての対策について説明を求めます。
これからの農業は、遺伝子組みかえの問題が決定的に重要になってまいります。WTOの交渉でも遺伝子組みかえ作物をめぐって3つの問題点が浮かび上がっています。
その第1は、遺伝子組みかえ体の知的所有権をめぐる問題です。
アメリカの巨大多国籍企業が支配しつつあるところですが、それらの遺伝子資源、つまり原種の大部分は途上国が原産です。先進国が途上国の原種を持ち出した上に、遺伝子組みかえ種子を独占して途上国に売りつけるやり方は二重の略奪、新植民地主義だとする途上国の非難の声が高まっているところです。
第2は、遺伝子組みかえ体の安全性、植物検疫制度の問題です。
例えば安全性が疑われているBtコーンは、日本もEUも輸入禁止にしていますが、WTOの協定でも各国が国民の健康を保全するために各国独自の検疫制度を認めています。しかし多国籍企業を抱えているアメリカは全部自由化しようと主張しています。
第3は、表示、規格をめぐる協定の問題です。
日本では、最終食品の中で遺伝子組みかえ作物を使用した場合表示することを義務づけています。しかし多国籍企業を抱えるアメリカは表示に反対しています。
以上、3つの問題を指摘した上でお尋ねしたいことは、遺伝子組みかえ体の知的所有権の問題にどう対処するか。遺伝子資源としての原種の独占をねらう多国籍企業から我々の身近にある原種を守り、種子戦争で生き残る方策をお持ちでしょうか。
琉球列島には2000種以上の原種があると言われていますが、県の取り組み状況について説明を求めます。
○議長(友寄信助) ただいまの新垣善春君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時59分休憩
午後1時21分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
午前の新垣善春君の質問に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 新垣善春議員の御質問にお答えいたします。
まず1は、基地問題についてでございまして、軍民共用空港は基地面積の拡大、機能強化になると思うが見解を聞きたいとの御質問に対するお答えでございます。
普天間飛行場の移設候補地についての県の考え方は、既存の米軍施設・区域内に移設するものであり、また施設の規模においても縮小されることから、沖縄の米軍施設・区域の面積を確実に縮小でき、基地の整理縮小を着実に進めることができるものと考えております。
なお、基地の機能強化については、地域住民の生活の安全や自然環境への影響、県土の有効利用、地域の均衡ある発展を妨げるおそれがないかなどを総合的に判断し、県民生活の安全確保及びさらなる基地の整理縮小を着実に図る観点から適切に対応したいと考えております。
次に、同じく基地問題について地域共同体を分裂、対立させ、移設受け入れは正しかったと主張できるかとの御質問に対するお答えでございます。
基地問題は大変困難な問題であり、県民の間に複雑な感情やさまざまな意見があることは承知しております。市街地の中心部にあり、市民生活に深刻な影響を与えている普天間飛行場を早期に返還する必要性や移設の問題について県民の間に幅広い理解と協力が得られるよう誠心誠意努力することが重要であると考えております。
昨年の12月27日に、名護市長が同飛行場代替施設に係る受け入れを表明され、12月28日には県と名護市の要望を踏まえた普天間飛行場の移設に係る政府方針が閣議決定されております。
県としては、市長が受け入れの条件とされた住民生活に著しい影響を及ぼさないこと、自然環境への影響をできるだけ小さくすること、移設にかかわる地元地域とその周辺地域及び北部地域の振興について政府と県が責任を持って支援していくことについては、国への対応を含めその実現に向けて全力を尽くす決意であります。
次に、普天間基地の移設受け入れは沖縄の大安売りだという声も聞かれるが、知事の見解を求めるという御質問に対するお答えでございます。
普天間飛行場の返還については、SACOの合意事案を着実に実施し、実現可能なものから一つ一つ解決していくことが基地の整理縮小を促進する現実的で実現可能な方法であり、県内移設により市街地の中心部にあって深刻な状況をもたらしている同飛行場の返還が早期に実現するものと考えています。
県内移設により移設先の地域に新たな負担が生じることになることから、その負担を軽減するほか、あらゆる観点からさまざまな配慮がなされなければならないと考えております。
国においては、県の移設候補地の選定や市の受け入れ表明を受け、昨年の12月28日、新たな法制度の整備を含め移設先及び周辺地域の振興発展、駐留軍跡地利用の促進等に向けて全力で取り組むことが閣議決定され、去る2月10日には北部振興協議会、移設先及び周辺地域振興協議会を設置し具体的な作業が開始されております。
次に、同じく基地問題についての御質問で、振興策と基地移設はリンクさせてはならないと、見返りを求めない沖縄振興を進める責任があると思うが、知事の見解を求めるという御質問のお答えでございます。
本県の振興開発は、これまで3次にわたる沖縄振興開発計画に基づく諸施策の推進により多くの成果を上げてきたところであります。
しかしながら、産業の立ちおくれや厳しい雇用情勢、財政依存度の高い経済構造、さらには広大な米軍施設・区域の存在等依然として解決すべき多くの課題を抱えております。
こうした課題を解決し、21世紀の早い時期に自立型経済を構築するとともに基地の整理縮小と跡地の円滑な利用を推進していくためには、国は沖縄振興開発特別措置法の立法趣旨を踏まえ、国の責務として沖縄振興策を講ずるべきであると認識しております。
次に、15年使用期限についてどう対処するかという御質問のお答えでございます。
15年の使用期限については、移設に当たって整備すべき条件として国に強く申し入れました。これを受けて国は、閣議決定において「沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。」方針を示しています。
その後、日米の防衛首脳会談や外相会談において取り上げられており、同問題が着実に前進していくものと思います。県としては、同問題が政府において引き続き検討され、県の要望に対してこたえられるよう強く求めていきます。
次に、同じく基地問題について移設先の基地の汚染防止、爆音被害の防止等環境対策に要する費用はどの程度見積もっているかとの御質問のお答えでございます。
国は、県の申し入れや名護市の受け入れ表明を踏まえ、去る12月28日の閣議決定において「地域の安全対策及び代替施設から発生する諸問題の対策等を講じるため、飛行ルート、飛行時間の設定、騒音対策、航空機の夜間飛行及び夜間飛行訓練、」、その他環境問題等について政府と名護市との間で協定を締結することとしています。
さらに、代替施設の建設及びその後の運用段階においても、適切な協議機関等を設置し、地域の住民生活に著しい影響を及ぼさないよう取り組むこととし、その中で代替施設の使用協定及び環境問題について定期的なフォローアップを行うなど実施体制の確立を図ることとしています。このことから、普天間飛行場の代替施設については国においても十分な安全及び環境対策がなされるものと考えております。
次に、基地問題について周辺事態法による後方支援にどう対処するかとの御質問に対するお答えでございます。
県としては、現在の国際連合下の安全保障体制及びアジア情勢などから見て、日米安全保障条約が我が国の平和と安全のため必要であるということは今日の国際政治の現実であると考えており、国会においてもこのような立場から、いわゆる周辺事態安全確保法等の必要性を考慮し同法等を可決したものと認識しております。
県としては、周辺事態が万が一にも発生しないことを願うものでありますが、仮に周辺事態になり国から協力を求められた場合、県民の生命財産及び本県の経済活動への影響等を総合的に勘案し、県民の生活と安全を確保する観点から適切に対応したいと考えております。
また、渉外知事会、軍転協、全国知事会議などを通して、周辺事態安全確保法等の運用に当たっては平素から協力要請に当たってのマニュアルを示すなど、地方公共団体への適時・的確な情報提供と地方公共団体の意向を尊重した法律の適切な運用を国に対し要請してきたところであり、今後とも情報の収集及び適切な対応に努めていきたいと考えております。
次に、過重な負担を強いる政府のばらまき予算について、政府予算に対する見解を聞きたいとのお尋ねでございます。
平成12年度の政府予算は、我が国経済が厳しい状況をなお脱していないものの緩やかな改善を続けていく中で、これを本格的な回復軌道につなげていくため経済運営に万全を期すとの観点に立って編成されたものであります。
また、極めて厳しい財政状況にかんがみ、財政構造改革の基本的考え方は維持し、限られた財源の中で経費の一層の合理化、効率化、重点化を図るものと承知しております。
次に、介護保険の準備状況について、4月実施に向けた県及び市町村の準備状況はどうかとの御質問のお答えでございます。
市町村においては、平成11年10月から要介護認定を開始しており、平成12年1月末現在、申請見込み数の70%に当たる1万9000人が申請受け付けされています。そのうち83%が認定調査を終え、1万400人(55%)に結果通知が行われています。
また、保険料の設定等に関する介護保険条例の制定や介護保険事業計画の策定等について現在最終的な準備段階に入っているところです。県においては、既に介護保険審査会条例を制定し今議会に財政安定化基金条例を提出しており、また居宅介護支援事業者や居宅介護サービス事業者等の指定を行っているところです。
沖縄県介護保険事業支援計画の策定については、有識者等で構成する計画策定委員会で審議を行い、年度内には策定されることとなっております。
次に、少子化対策についての県の考えを聞きたいとの御質問に対するお答えでございます。
少子化対策としては、児童手当給付制度のような経済的負担の軽減や子育てと仕事の両立支援及び子育てに関する相談などがあります。
子育て支援計画「おきなわ子どもプラン」では、子育てと仕事の両立を支援するためにゼロ歳児保育、延長保育、一時保育などの特別保育事業や放課後児童クラブの設置を促進する放課後児童健全育成事業などがあります。
これらを含め緊急保育対策等5カ年事業として、平成13年度までの整備目標を設定し市町村と連携して事業を推進しております。県としては、今後とも老朽保育所の改築等の際に定員増を行い保育所入所待機児童の解消を図ってまいります。
また、共働き家庭の増加等に対する多様な保育サービスの充実など子育て支援に努めてまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 新垣善春議員の基地問題についての質問事項のうち、米国防総省のエグゼクティブレポート及び「海上基地施設の運用構想」について検討したか、検討したならその見解を聞きたいという趣旨の御質問にお答えをいたします。
御質問の文書につきましては承知しておりますが、正式に国から提供された文書ではございません。
当該文書は、SACOの最終報告で述べている撤去可能な海上ヘリポートに関するものであると理解しており、県としては海上ヘリポート案については県民の財産とならないことなどから、政府に対し見直しを求めたところであります。
次に、同じく基地問題に関する質問事項のうち、移設先の基地が必要とする約100万トンの真水の供給はどうするか考えたことがあるかという質問にお答えをいたします。
国は、昨年12月28日の閣議決定において、「建設地点を「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」とし、今後、代替施設の工法及び具体的建設場所の検討を含めて基本計画の策定を行う。基本計画の策定に当たっては、移設先及び周辺地域の住民生活に著しい影響を与えない施設計画となるよう取り組むものとする。」との方針を示しております。この方針に沿って、国において代替施設に係るさまざまな課題が検討されるものと理解しております。
次に、同じく基地問題に関する質問事項のうち、米軍演習による山火事についてどう対処するかという御質問にお答えをいたします。
米軍の実弾演習に起因する火災は昨年7件発生し、ことしに入ってからは議員御指摘のとおり去る1月28日及び2月2日にキャンプ・ハンセン演習場内で発生しております。このようなたび重なる火災の発生は、周辺地域住民を初め県民に大きな不安を与えるものであり極めて遺憾であります。
県では去る2月3日、在日米軍沖縄地域調整事務所、海兵隊外交政策部、那覇防衛施設局、外務省沖縄事務所に対して、キャンプ・ハンセン演習場における山林火災について遺憾の意を表明するとともに、火災の再発防止及び迅速な消火活動並びに消火体制の一層の強化を図るよう強く要請したところであります。
また、去る2月14日に開催されました第19回三者連絡協議会においても火災の再発防止及び赤土流出防止対策等を議題として取り上げたところであり、米側からは種子の吹きつけによる赤土流出防止対策など地域住民の生活への影響を防止、軽減するためのさまざまな対策を講じている旨の発言がありました。県としては県民の生命、生活及び財産を守る立場から、今後とも引き続き米軍を初めとする関係機関に対し、実弾演習に起因する火災の再発防止及び迅速な消火活動等の強化並びに赤土流出防止対策を強く求めていきたいと考えております。
以上でございます。
○企画開発部長(宮城正治) 基地問題に関連いたしまして、基地の汚染と跡地利用についての御質問にお答えいたします。
環境浄化対策につきましては、過去に恩納通信所跡地や嘉手納飛行場におけるPCBの問題など跡地利用の支障や県民生活に不安を生じさせたことから、環境浄化処理の確認調査など国の行う措置を軍転特措法の返還実施計画で明示するよう平成11年8月に国へ要望を行いました。
国は県の要望を受け、「駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等に関する方針」を昨年12月28日に閣議決定しております。
その方針の中で返還実施計画に定める事項の明示については、返還合意後速やかに策定する返還実施計画において国が行う汚染物質の調査及び除去、不発弾の調査及び除去並びに建物、その他の工作物の撤去を定めるべくあらかじめ政令上返還実施計画で定める事項として明示するとしております。
この措置が実現されることになりますと、跡地利用についても汚染物質等が所有者への引き渡し前に除去されることとなるため、基地の跡地利用がより円滑に実施できるものと考えております。
以上であります。
○福祉保健部長(平良健康) 医療、福祉、年金の後退についての御質問にお答えいたします。
急速な人口の高齢化や医療の高度化等により医療費が増加している一方で、経済基調の変化に伴い医療費の伸びと経済成長との間の不均衡が拡大し、国民の負担、特に若年世代の負担が高まっております。
21世紀の本格的な少子・高齢社会において、国民だれもが安心して良質な医療サービスを受けることができる医療保険制度の抜本改革が必要となっております。
制度の安定的運営を確保するため、老人一部負担の見直し及び高額療養費の見直し等の改正が予定されており、改正案が国会へ提出され審議しているところであります。
また、年金制度については厚生年金の給付水準の適正化、老齢厚生年金の支給開始年齢の65歳への引き上げ等の改正案が衆議院で可決され参議院で審議されているところであります。県としましては、医療保険制度及び年金制度の改正について国会での審議の動向を見守っていきたいと思います。
○文化環境部長(宮城光男) 県は、産業廃棄物の最終処分場の整備を急ぐべきではないかという御質問にお答えします。
県内には、処分業者の管理型産業廃棄物最終処分場が現在5施設あり、残余年数が3年程度と推定され厳しい状況にあります。そこで県では、処理業者に対し新たな処分場の確保を初め現在の処分場の延命化を図るため分別の徹底や焼却による減量化を指導しているところであります。
また、建設業界等の排出事業者に対しても、排出事業者責任による廃棄物の排出抑制及び再利用の指導を行っております。しかし処理業者による新たな処分場の確保は本県でも全国同様極めて困難な状況となっており、産業廃棄物の不法投棄も増加しております。
廃棄物対策公共関与事業については、本県でも平成6年度から各種調査を実施しその必要性は認められたものの、事業に多額の費用が必要なことや参加事業者等が少ないことなどにより事業開始に至っておりません。
当事業は、国が積極的に指導しているものの、施設整備に多額の費用を要することから全国でも3カ所しか稼働しておりません。このようなことから、国においては公共関与事業による廃棄物処理施設に対し補助制度の創設の方針を打ち出しております。
このような状況の変化を踏まえ、県では市町村や排出事業者等が参加した公共関与による事業実施の可能性について改めて検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○教育長(翁長良盛) 教育改革に関連いたしまして、教育改革、教育の地方分権を進めるとしているが、沖縄県教育委員会はどのような改革案を持っているかという新垣議員の御質問にお答えいたします。
教育改革を進めるに当たってまず大切なことは、中央教育審議会等の教育改革に関する答申を受け、ゆとりの中で「生きる力」を育成することを基本的なねらいとして改訂された新学習指導要領の趣旨が学校現場に定着し教育課程が完全に実施されることであり、そのことが教育改革につながるものと考えております。
その中でも、今回の改訂の目玉である「総合的な学習の時間」の趣旨を生かした教育を推進していくことが重要であると考えております。
本県教育委員会がこれまで進めてきた学力向上対策は、知・徳・体の調和のとれた児童生徒の育成を目指しており、そのことは教育改革の理念と軌を一にするもので、今後とも推進してまいりたいと考えております。
次に、国の定めた4つの柱から成る教育改革プログラムに沿って県教育委員会も教育改革に取り組んでいるところでありますが、その中にありまして各地域の実態等に即して推進することが大切であると考えています。
これからの社会においては、みずから学び、みずから考える力や心豊かでたくましさを身につけた子供を育成することが大切であり、特に本県にあっては学校、家庭、地域社会がともに子供を育てていく視点に立った開かれた学校づくりが求められていると考えております。そのために県教育委員会といたしましては、開かれた学校づくり調査検討委員会を設置し、地域に開かれた特色ある学校づくりを強く推進していきたいと考えています。
また、県教育委員会では、地方分権の推進を図る観点から県立の学校管理規則の改正等を行うとともに、学校の自主性、自律性の確立を図り学校裁量権の拡大、学校運営組織の見直し、地域住民の学校運営への参画などその改善を図っているところであります。
次に、現在、東京の品川区では小学校の学校選択制が取り入れられていると聞いているが、教育長の感想を聞かせてもらいたいという御質問にお答えいたします。
品川区の小学校の学校選択制につきましては、マスコミなどの報道で承知しておりますが、特色ある教育活動の展開と個性的な学校づくりができ、学校教育の活性化が図られるものと考えております。
反面、小学校段階から学校間の格差の広がりや序列化、特定校への入学者の集中等が懸念されるのではないかと考えられます。
品川区の進めております大幅な学校選択制については、学校教育上極めて重要なことでありますので、今後その動向を見守っていきたいと考えております。
○農林水産部長(小那覇安優) 遺伝子資源としての原種の独占をねらう巨大多国籍企業への県の対応策について、遺伝子組みかえ体の知的所有権及び原種の独占を多国籍企業から守り種子戦争で生き残る方策についての御質問にお答えします。
沖縄県には台風、干ばつ等の厳しい自然条件に耐えてきた貴重な遺伝資源植物が分布しており、遺伝資源植物の収集・保存を図っていく必要があります。
国内に存在する遺伝資源植物の収集・保存は、茨城県つくば市にあります農林水産省農業生物資源研究所が主体になって担っております。
沖縄県の在来種及び品種改良したさとうきび、パイナップル、野菜、花卉等の遺伝資源植物についても、種子で保存できる種類については農業生物資源研究所で保存・管理されております。栄養繁殖作物については、農林水産省種苗管理センター沖縄農場等で保存・利用されています。
また、沖縄県農業試験場においても、品種育成に利用する遺伝資源植物については国内及び外国からの優良遺伝資源植物の収集・保存、利活用を積極的に実施し、より利用価値の高い品種の育成を目指しております。現在、これらの遺伝資源植物の育種利用によってさとうきび7品種、パイナップル3品種、ニガウリ2品種、トウガン1品種、カンショ19品種が育成されております。
今後とも、本県の貴重な遺伝資源植物を用いた遺伝子組みかえ体の知的所有権が独占されないように国と連携して収集・保存を図っていく考えであります。
○新垣 善春 休憩。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後1時53分休憩
午後1時56分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) それではお答えいたします。
最初の御質問ですが、基地問題は大変困難な問題であり、県民の間に複雑な感情やさまざまな意見があることは承知しています。
市街地の中心部にあり、市民生活に深刻な影響を与えている普天間飛行場を早期に返還する必要性や、移設の問題が大変重要であるということで苦渋の選択をしたわけでございます。
県としては、今後とも名護市長が受け入れの条件とされた住民生活に著しい影響を及ぼさないこと、自然環境への影響をできるだけ小さくすること、移設にかかわる地元地域とその周辺地域及び北部地域の振興について政府と県が責任を持って支援していくことについて国への対応を含め、その実現に向けて全力を尽くす決意であります。
次に、政府との関連でございますが、国は沖縄振興開発特別措置法の立法措置を踏まえ、国の責務として沖縄振興策を講ずるべきであると認識しております。
○知事公室長(親川盛一) 復帰後の米軍演習による山火事の件数等の質問にお答えをいたします。
復帰後、これまで県によって確認された米軍の実弾演習に起因する火災の件数及び焼失面積についてはおおむね年平均6件の発生で、焼失面積は年平均62万6801平方メートルであると理解しております。
以上でございます。
○副知事(石川秀雄) ちょっと休憩願います。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後2時 休憩
午後2時1分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 行政の責任者としてはオール・オア・ナッシングでなく、ベストでなく、ベターな選択として正しい苦渋の選択をしたわけでございます。
○副知事(石川秀雄) 先ほど知事がお答えいたしましたが、再度そのことを補足して申し上げます。
先ほど申し上げましたように、普天間代替施設の問題については、その「建設及びその後の運用段階においても、適切な協議機関等を設置し、地域の住民生活に著しい影響を及ぼさないよう取り組むこととする。」とし、その中で「代替施設の使用に関する協定及び環境問題についての定期的なフォローアップを行う」など実施体制の確立を図ることとしております。
このことから、普天間飛行場の代替施設については国において十分な安全及び環境対策がなされると考えておりますので、これはどのぐらいの費用がかかるかは国がこれから措置していく問題でございますので、現時点では費用は幾らかかるということは申し上げられません。
以上です。
○平良 長政 引き続きまして代表質問を行います。
1、新平和祈念資料館について。
(1)、今議会で提案されている「沖縄県平和祈念資料館及び平和の礎の設置及び管理に関する条例」の第15条には「管理を財団法人沖縄県戦没者慰霊奉賛会に委託することができる。」とありますが、事業運営は県の直営で、委託するのは予算書にあるとおり施設設備の保守点検業務等であるのか。
(2)、資料館の行う事業を掲げた第3条の中で、第2号は「沖縄戦に関する調査及び研究に関すること。」となっているが、第1号と同じく「沖縄戦及び平和……」と広げるべきと思うがどうか。
2、沖縄サミットについて。
(1)、知事は、沖縄から世界に平和を発信すると言われているが、どのような内容をどのような形で発信するのか。
(2)、クリントン米大統領の沖縄問題が片づかないと行きたくないは、以後どうなったか。
(3)、各国首脳に平和の礎を見学させてはどうか。
先日、イギリス労働党の欧州議会の議員を案内したら大変感激をしていました。沖縄の平和の心を感じ取ってもらえると思います。
(4)、サミットへの中国のオブザーバー参加については、私が昨年6月定例会で初めて取り上げましたが、そのころは不可能との空気が強かった。しかしドイツのシュレーダー首相が中国招聘を提案して変化し出し、小渕首相もG8からG9への意欲を見せています。牧野副知事も2月12日の「サミットフォーラム」で、「サミットにはアジアの視点が大切。21世紀には大国となる中国をサミットに取り込み、仲間に入れることが安全保障の問題で重要。そうすれば沖縄の基地の存在意義も小さくなる。」と発言しました。この視点からも県は開催地としてもっと積極的に働きかけるべきと考えるが、どうですか。
(5)、サミット期間中の交通規制はどう考えていますか。住民への影響はどうか。県民生活の安全と利便性の低下はないか。平和発信の一方法として基地包囲の動きもあるが、交通規制との関係ではどうか。
3、沖縄経済の自立について。
(1)、雇用失業情勢について。
ア、知事は98年知事選挙において「県政不況」、「失業率9.2%」と宣伝し勝利したが、状況は一向によくなってない。年平均失業率では98年は7.7%だが、99年は8.3%と復帰後最高位を記録した。その原因は何か。展望はどうか。
(2)、新たな沖縄振興計画の策定と新たな沖縄振興法の制定に向けてのタイムスケジュールを示してください。
(3)、沖縄─本土間の高コスト輸送問題について。
ア、花卉、野菜の本土出荷も頭打ちになっています。沖縄発本土行きの県産品をふやすには輸送コスト問題をクリアしなければなりません。規制緩和等を含めて県はどのように考えておりますか。
(4)、コールセンターについて。
ア、本土企業の沖縄進出が展開されています。若年労働者の失業率が高く、賃金水準も低く、島国であるため人材流出が少ない等の地域特性や県の助成措置等の利点が挙げられると思います。現在、何社が進出し何人の雇用がありますか。今後の見通しはどうですか。
イ、人材が確保されなければ会社の撤退も懸念されます。企業ニーズによる人材供給は間に合うのか、その対策は万全か。
(5)、国際金融センターの誘致について。
ア、その概要と可能性について示してください。
(6)、国連機関の誘致について。
ア、国への働きかけはどうしましたか。
イ、調査費を計上し本格的に動き出すべきと思うがどうか。
(7)、那覇港の整備について。
ア、県は、ハブ機能を有する国際流通港湾化を目指すとの方針だが、その可能性調査はどうでしたか。FTZなど一国二制度の導入がなければハブ港湾は難しいのではないですか。
イ、浦添市の宮城市長は、那覇軍港を軍港として浦添市に移設することには明確に反対を表明し、民管理の民間港として建設させ、米軍には専用ではなく共同で使用させ物資の搬出入を認めると主張しております。県と浦添市が合意できていない点は何ですか、民港か共同使用か。
ウ、米軍は現在那覇軍港、ホワイトビーチ及び天願桟橋の3つの軍港を保持しています。狭い沖縄に遊休化した那覇軍港のかわりに軍港を浦添市につくり依然として3つの軍港を持つことが妥当と考えるのか。
現在、軍艦の寄港はホワイトビーチ、武器弾薬は天願桟橋で搬出入されております。那覇軍港は遊休化しており、一般物資の搬出入は新港埠頭でなされております。軍港は2つで十分であり、SACO合意による軍港要求に対しては毅然とした態度で拒否すべきではないでしょうか。
4、交通問題について。
(1)、昨年実施された観光バス部門の需給調整廃止の規制緩和──参入も撤退も自由──は、県内でどのような影響が出ておりますか。
(2)、来年実施される乗り合いバス部門の規制緩和の影響をどう見ていますか、その対策はどうですか。
(3)、バス4社統合の進捗状況はどうか。
知事は、昨年2月定例会で私も全力を尽くすと約束されましたが、この1年全力を尽くされましたか。今後どうしますか。
5、教育問題について。
御案内のように、今日の高度情報化と国際化の進展には極めて著しいものがあります。これからの企業や地方、あるいは一国の経済活動はインターネットや英語を介した情報の利活用やコミュニケーションを抜きにしては考え得ないところであります。シンガポールやインドの経済や情報産業が世界的に目覚ましい成功を遂げつつある事例にも明らかなように、これからは情報と英語を制する者が経済を制すると考えられるのでありましょう。
我が国においても、英語教育の抜本的な見直しがなされつつあることがマスコミなどで報道されているところであり、また情報教育についてもさらなる一層の推進策の必要が叫ばれているところであります。
このようなことから、我が県の21世紀を展望して自立経済の早期の実現に成功するためには、今後とも人づくりの百年の大計のビジョンに立ちつつもコンピューターと英語を自在に使える人材の育成が急務と考えられます。
また、コールセンター企業の県内進出が相次いでいるにもかかわらず、そのための人材の確保が追いつかない状況にあるところでもあります。
そこでお尋ねします。
(1)、これからの国際社会において英語のコミュニケーションが自在にできる人材が必要とされます。小学校からの英語教育を全国的に率先して行うべきとの考えがあるが、御所見を賜りたい。
(2)、児童生徒の情報教育の取り組みはどうなっていますか。市町村によってばらつきが激しいとも聞きますが、県は統一的かつ具体的方針や計画を策定すべきと思いますが、どうですか。
(3)、コールセンター技能については、その熟練度や専門性を初めとして多種多様にわたっていると聞いておりますが、その中には専門高等学校の卒業生でも在学中にそれなりのしっかりとした訓練を受けていれば十分対応できるものもあると聞いております。そのような情報を県は把握しておりますか。
(4)、もしそれが事実とすれば、産業教育の一環として専門高校にコールセンターのコースを設けて対応することが、中途退学率が全国的にも極めて高いと言われる現状にあって、生徒たちに夢を与える意味でもぜひ必要なことと考えますが、どうでしょうか。
6、福祉行政について。
(1)、子供の虐待防止について。
ア、離島圏において一時保護所に入所の必要な子供は家族や居住地から離れて那覇市にある中央児童相談所に行かなければならず、大変困っているようです。そこで宮古、八重山に中央児童相談所の出張所(一時保護所)を設立できないか、お伺いいたします。
イ、1998年に児童福祉法の改正で新設された児童家庭支援センターを県内にも設置すべきと思いますが、どうですか。
同センターは、地域住民が身近に利用でき、緊急時にも速やかに児童養護施設等附置施設の専門的な援助が受けられるところとして期待をされているところです。
ウ、子供の虐待防止プログラムを学校教育に導入してほしいと考えますが、どうですか。
1995年2月定例会でも、私は子供への虐待防止プログラム(CAP)の導入について提案をいたしました。
県内の児童虐待件数は、93年に12件だったのが、98年には124件と5年間で10倍にもふえています。児童虐待は看過できない問題です。子供自身が自己防衛し、被害を受けても身近な大人に迅速に援助を求める手だてを身につけることが大切だと思います。県内でもNPO団体が小中学校や公民館で実施し、プログラムを受けた子供が虐待から逃れたなどの効果を上げているようです。
(2)、障害児の就学指導について。
ア、障害児も可能な限り健常児と同じ教育の場でともに育ち学ぶことがノーマライゼーションの理念であります。今や世界的潮流ともなっている統合教育についての県の考えを聞きたいと思います。いじめ、体罰、不登校、学級崩壊等で示されている障害児を含まない普通校での教育のありようが今問われているのではないでしょうか。
イ、2000年度新入学の児童生徒について本人、保護者の希望と就学指導委員会の判定が異なった事例について把握していますか。
ウ、普通学校(学級)への就学を望む保護者に対し県の教育相談などで執拗な説得が行われているように聞いております。就学先については、本人と保護者の意向が第一に尊重されるべきであります。専門家による助言が強制、押しつけにならないよう関係機関に対して指導していただきたいと思いますが、どうですか。
(3)、県内及び市町村での知的障害者の雇用実態はどうなっていますか。県庁及び市町村役場は率先して障害者雇用を実践すべきと思いますが、どうですか。
7、環境行政について。
(1)、ヘリパッドの新規建設問題とヤンバルの国立公園化、世界遺産登録問題はどうなっていますか。ヘリパッドの新規建設を許して貴重な生態系を崩したら、国立公園化や世界遺産登録は吹っ飛んでしまうのではないでしょうか。
(2)、西表島大富西地区の農地整備は着手をとりあえず保留すべきであります。イリオモテヤマネコの生息地であり、20数種の貴重な動植物も確認されております。なお慎重に検討すべきと思いますが、どうですか。
ヤンバルといい、西表といい、「東洋のガラパゴス」を壊すのは歴史的犯罪であると申し上げたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 平良長政議員の御質問にお答えいたします。
最初に、沖縄サミットの問題で、知事は、沖縄から世界に平和を発信すると言うが、どのように発信するかという御質問と、各国の首脳に平和の礎を見学させてはどうかとの2つの御質問に一括してお答えいたしたいと思います。
沖縄は、かつて「万国津梁」の精神で日本、中国、韓国、東南アジア諸国との友好的な交易を通して栄えた琉球王国時代があり、平和を大切にする独特な文化をはぐくんできた歴史があります。また過酷な沖縄戦の体験、長年にわたる米国統治、そして今なお残る広大な米軍基地などから県民は平和への願いと人権の尊厳を肌身で感じております。
このような観点から、私としては、世界じゅうの目が沖縄へ集中するサミットの機会に沖縄の過去の歴史や独自の文化を知ってもらうとともに、平和を志向し、協調し支え合い、そして異質なものを溶け込ませてしまう寛容さを持った「沖縄の心」を広く世界にアピールしていきたいと思います。
平和の礎は、国籍を問わず軍人、民間人の別なく沖縄戦などで亡くなられたすべての人々の氏名を刻んだものであり、平和を志向する「沖縄の心」を象徴するものとして各国の首脳や夫人、政府関係者及び報道関係者に見ていただくことは大変有意義なことだと考えております。県としては、そのようなことが可能となるよう努力していきたいと考えています。
次に、クリントン大統領の沖縄問題が片づかないと行きたくないという発言以降、どうなっているかということでございます。
クリントン大統領の当時の発言は、沖縄の基地問題を解決したいという大統領の期待のあらわれであると理解しています。
一方、クリントン大統領自身のサミット参加については、先般訪米した河野外務大臣に対し、クリントン大統領みずから沖縄サミットと沖縄訪問を楽しみにしている旨発言されたと承知しております。
次に、サミットへの中国の参加について県はもっと積極的に働きかけるべきと思うがどうかという点でございます。
サミットは、国際政治や経済の運営に責任を有する8カ国の首脳レベルの会合であり、参加国の構成についてもこれらの国々の合意によって決まるものと承知していますが、中国が何らかの形でサミットにかかわりを持つことはアジア・太平洋地域の安定や発展に寄与するものであり、有意義なことであると考えています。こうした考え方については、私自身これまでもいろいろな場で述べてきたところであり、今後とも働きかけを続けていきたいと思います。
次は、沖縄経済の自立について、失業率の悪化の原因は何か、展望はどうかとの御質問のお答えでございます。
平成11年の完全失業率が8.3%と上昇したのは、就業者は4000人増加となっているものの、8000人の労働力人口の増加を吸収しきれていないためであります。特に全国的な景気の低迷による県外就職者の減少が本県の雇用情勢に悪影響を与えております。
一方で、県内景気に改善の動きが広がりつつあることや各種施策の実施を反映して有効求人はサービス業を中心に12カ月連続で前年同月を上回っております。この結果、就職件数についても前年を上回り、特に県内就職件数は11年で見ると約1万2000件と昭和63年に次いで復帰後2番目の件数となっております。こうしたことから雇用をめぐる環境は着実に改善してきていると考えております。
特に、コールセンター等情報通信関連企業の誘致に努めた結果、これまで約1700人の雇用が創出されており、引き続き数社の立地が予定されています。
雇用開発推進機構では、人材育成支援事業等の実施により平成11年度は約1350人の雇用の創出を見込んでおり、12年度においても引き続き同事業を拡大実施し雇用の場の創出に取り組んでまいります。
今後とも、沖縄経済振興21世紀プランの中間報告に盛り込まれた沖縄特別自由貿易地域を活用した加工交易型産業や情報通信関連産業等の振興を図りつつ、1月25日に労働大臣から発表された「沖縄総合雇用対策プラン」や人材育成等の施策を積極的に実施していくことによって本県の雇用失業情勢の改善が図られるものと考えております。
次に、国際金融センターの概要と誘致の可能性について。
国際金融センター構想は、自立型オキナワ経済振興研究会から昨年6月に提言されたものであります。
この金融センター構想は、法人税の軽減など税制上の優遇措置等を講じて金融関係企業を誘致し産業の振興と雇用の拡大を目指すものであります。県といたしましては国際金融センターのあり方、その是非及び誘致可能性について調査するため平成12年度当初予算に所要の額を計上しているところです。
なお、提言のあった国際金融センター構想の税制優遇措置は我が国租税制度の根幹にかかわるものであり、調査の実施に当たっては今後関係機関と十分調整を図りながら慎重に進めていきたいと考えております。
次に、国連機関の誘致について国への働きかけはどうしたかということと、調査費を計上し本格的に動き出すべきと思うがどうかとの2点の御質問でございます。一括してお答えします。
国連機関を誘致することは、我が国の南における交流拠点の形成、太平洋・平和の交流拠点(パシフィック・クロスロード)の形成を目指す本県にとって大きな意義を持つものと考えています。御提言の国連機関の誘致につきましては、国連機関や国、国連と密接な関係にあるNGO組織の動向、国連機関を有する他地域の支援状況などの調査を踏まえた上で今後検討してまいりたいと考えております。
次に、経済の自立についての御質問の中で、浦添市長は那覇軍港の浦添移設には反対を表明し、民間港として建設させ、米軍には共同使用を主張していると、県と浦添市が合意できていない点は何か、民港か共同使用かという御質問へのお答えでございます。
那覇港湾施設の移設問題に関しては、これまで国や関係自治体と調整を行ってきたところでありますが、那覇港の整備方針や那覇港湾施設の取り扱いについて浦添市との合意が整っておりません。浦添市は、一部事務組合設立に向けた合意の前提として軍港の移設先ではなく、物資の搬出入といった一部の機能の移設を認め多目的埠頭を日米共同使用する案を基本とするとの考えであります。
一方、県は、SACO合意に基づく那覇港湾施設の移設が必要であると考えております。
なお、使用形態については引き続き調整してまいりたいと考えております。
次は、同じく沖縄経済の自立についてで、米軍は狭い沖縄に3つの軍港を持つことが妥当性があると考えるのか、SACO合意による軍港要求に対しては拒否すべきではないかとの御質問に対するお答えでございます。
本県には、米軍が使用する港湾施設として天願桟橋、ホワイトビーチ地区、那覇港湾施設の3カ所があり、それぞれの機能を有しているものと考えております。
那覇港湾施設については、昭和49年に日米間で返還が合意されましたが、移設条件つきであったことなどからこれまで具体的な進展が見られませんでした。
このような中で、平成7年5月に日米合同委員会で「浦添埠頭地区内への移設を条件として施設の全部を返還する」との勧告が承認され、平成8年にはSACOで合意されたところであります。県としては、SACOの合意事案を着実に実施することが米軍基地の整理縮小を図るためより現実的で実現可能な方法であると認識しております。
次に、環境行政について、ヤンバルの国立公園化、世界遺産登録問題はどうなっているかとの御質問に対するお答えでございます。
環境庁では、北部訓練場返還後のヤンバル地域の保全活用構想の策定を進めており、平成8年度と平成9年度に自然環境及び地域資源についての調査を実施し、平成10年度から専門家、地元3村、関係機関及び団体で構成する「やんばる地域保全活用方策調査検討委員会」を設置しております。これまでに3回の検討委員会を開催し、現地調査、地元3村の既存整備計画や自然保護団体からの意見の聴取、ヤンバル地域の観光の現状と課題等について検討を行い、さらに次年度においても引き続き委員会を開催する予定であります。県としましても同委員会における論議を踏まえ、また地元3村や関係団体とも相談しながら、ヤンバル地域の国立公園化に向けて対応していきたいと考えております。
なお、世界自然遺産の登録については、その要件として国内的には法的に保護されていることが必要であることから、まずヤンバル地域の国立公園化を促進し、その後、世界自然遺産の登録について環境庁や地元及び関係機関と調整していきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化国際局長(金城勝子) 新平和祈念資料館のお尋ねについてお答えいたします。
まず、事業運営は県の直営で、委託するのは施設設備の保守点検業務等であるのかとのお尋ねでございます。
新平和祈念資料館は、県の直営で運営に当たります。
財団法人慰霊奉賛会には、平和の礎の維持管理のほか、新資料館の情報ライブラリー等の管理業務の一部を委託することといたしております。
なお、施設設備の保守点検業務はそれぞれ専門業者に委託することとしております。
それから2点目に、同じく新平和祈念資料館の行う事業を掲げた第3条の中で、第2号は「沖縄戦に関する調査及び研究に関すること。」となっているが、1号と同じく「沖縄戦及び平和……」と広げるべきと思うがどうかというお尋ねでございます。
条例案の第3条の規定は、新平和祈念資料館の施設・機能と関連して事業内容を明らかにしたものであります。
第1号の「沖縄戦及び平和に関する資料の収集、保管及び展示に関すること。」につきましては、沖縄戦の実相などを展示した常設展示室及び人権、貧困、地球環境など広い概念の平和を学ぶ場としての「子ども・プロセス展示室」にかかわるものであります。
第2号の「沖縄戦に関する調査及び研究に関すること。」は、本館の設立理念に基づきまして沖縄戦の歴史的教訓を正しく次代に伝えるための事業を規定したものでございます。
また、第3号の「沖縄戦における戦争体験の継承に関すること。」でございますが、各種記録の収集・保管及び証言ビデオや語り部等の活用で情報ライブラリーや多目的ホールなどの活用を考えております。
第4号は、「平和に関する講演会、学習会等の平和を考える場の提供に関すること。」でございますが、多目的ホール、会議室等を活用した平和学習のための事業の展開を規定したものでございます。
最後に第5号は、その他館の設置目的を達成するために必要な事業が幅広く行えるように規定してございます。
第3条の1から5までございますけれども、御理解を賜りたいと存じます。
以上でございます。
○警察本部警務部長(樹下 尚) サミット期間中の交通規制はどう考えているか、住民への影響はどうか、それから平和発信の一方法として基地包囲の動きもあるが、交通規制との関係ではどうかとの質問にお答えをいたします。
サミット及びその関連行事の円滑な進行を確保し、これを成功させるためには、各国の首脳等の円滑な移動を確保する必要があり、またその車列はノンストップで通行していただくのが外交儀礼、国際慣習であります。したがいまして各国の首脳等が本県に滞在される間は、空港、宿舎、主会場、プレスセンター、その他サミット関連行事が行われる場所等の周辺道路及びこれらを結ぶ道路等について相当範囲の交通規制が必要であると考えております。
警察といたしましては、交通規制による県民生活への影響を必要最小限度にとどめるよう首脳等の移動路線の集約化を図るなど、一般交通に配慮したきめ細かい交通規制計画を策定するとともに、サミット及びその関連行事の具体的な日程が固まった段階でこれを可能な限り早期に幅広く広報してまいりたいと考えております。
なお、基地周辺の道路における交通規制についてでありますが、サミット関連行事及び各国の首脳等の日程等が決まっていない現時点におきましては何とも申し上げられませんが、一般論として各国の首脳等が基地周辺の道路を通行することとなれば交通規制も実施することとなると考えております。
以上でございます。
○企画開発部長(宮城正治) 沖縄経済の自立に関連いたしまして、新たな沖縄振興計画の策定と新たな沖縄振興法の制定に向けてのタイムスケジュールはどうかという御質問にお答えいたします。
新たな沖縄振興計画の策定に向けては、これまでの3次にわたる沖縄振興開発計画の総点検を実施し、その結果を踏まえて新たな沖縄振興計画の内容や、同計画を実効あらしめるための新たな沖縄振興法の検討を行うこととしております。現在は振興開発計画の実績と課題についての総点検作業を行っておりまして、平成12年3月末までに総点検結果を取りまとめることとしております。
なお、新たな沖縄振興計画及び新たな沖縄振興法については、これらの作業の進捗状況を見ながら並行して県としての基本的な考え方を早急に取りまとめていきたいと考えております。
次に、コールセンター等情報関連産業は現在何社が進出し何人の雇用があるのか、今後の見通しはどうかという御質問にお答えいたします。
情報通信産業の振興は県政の重要な施策であります。「沖縄県マルチメディアアイランド構想」に基づき情報通信関連産業の立地及び誘致に積極的に取り組んでいるところであります。
これまでの企業誘致の成果といたしましては、本年2月までにコールセンター等情報通信関連企業20社が新規に立地しております。
その内訳でありますけれども、番号案内や技術サポートのコールセンター等情報サービス分野で13社、コンピューターグラフィック等によるアニメ制作を行うコンテンツ分野で1社、地理情報システム等のソフト開発を行うソフトウエア開発分野で5社、その他1社となっております。これらの企業における新規雇用の発生は約1700人であります。
今後の見通しにつきましては、既に進出表明を行った企業が4社あり、これを含めて平成12年度中に新たに9社が立地し、約2200人程度の雇用が発生するものとの見通しをしております。
次に、コールセンターについて企業ニーズによる人材供給は間に合うのか、その対策は万全かとの御質問にお答えいたします。
コールセンター関連の人材育成につきましては、現在、当面の取り組みとして県と財団法人雇用開発推進機構及びフロム沖縄推進機構が連携いたしまして、国の緊急雇用対策特別事業によるテレビジネス産業等人材育成事業を実施しているところであります。本事業では、求職者にコールセンター業務に必要な基本技能を習得していただくための講座を定期的に開催しております。これらの講座、セミナー等の受講者は今年3月までに1000人を超え、平成12年度においてはこれをさらに上回る規模での育成を計画いたしております。
さらに、これらの事業に加えて新規の緊急雇用対策特別事業の実施、市町村や学校への出張講座及び高度な専門技能習得のための講座開催等、より多くのメニューを用意し企業のニーズに対応した人材を育成していくこととしております。
また、今後の展望といたしましては、県立職業能力開発校においてコールセンターを含む情報産業の進展に対応した訓練科目の新設を計画しているほか、民間では複数の専修学校においてコールセンターカリキュラム導入の準備が進められております。
また、国におきましては「コールセンター人材育成推進懇話会」を発足させ、沖縄をモデルにしたコールセンター人材育成プログラムの構築を検討しております。これにより、将来的にはインターネットを使ったオンライン研修システム、求職と求人をマッチさせる人材登録データベース等を整備することとしており、県としても積極的に連携を図っているところであります。
次に、同じく那覇港のハブ機能を有する国際流通港湾化に向けた可能性調査はどうなのか、FTZなど一国二制度の導入がなければハブ港湾は難しいのではないかとの御質問にお答えいたします。
現在進めております那覇港国際流通港湾計画調査は、今後の東アジアの経済発展性や海運物流の動向等を踏まえ、国際競争力のある港湾サービスの提供や物流機能整備のあり方等をこの調査の中で、検討委員会で幅広く検討しているところであります。
これまでの調査では、現時点で3つほどの主な可能性が確認されております。すなわちその1つには、地理的優位性やFTZ等の沖縄独自制度の活用及び国際水準の港湾サービスを前提としてアジアと北米、アジアと日本などの国際航路を中心とした中継貨物を含め約50万から100万個の将来コンテナ貨物の潜在需要があることが確認されました。2つ目には、現行の特別自由貿易地域制度の導入を想定した企業進出アンケート調査では本土や東アジア貿易に向けて54社、約70ヘクタールのニーズがあることであります。そして3つ目には、このような企業進出ニーズから国際分業体制が進展している東アジアの市場メカニズムに対応し、資材・部品の調達から製品の販売までの一貫した物流システムを担う総合物流センター機能を戦略的に展開することが可能であるという3つのことが現時点で確認されております。
これは現在、中枢国際港湾として機能している北九州港並みの規模に匹敵しており、国際中継貿易港、いわゆるハブ機能を有する国際流通港湾としての可能性を立証しております。
なお、ハブ機能を有する国際流通港湾として成り立つためには、4つほどの条件があると思います。その1つは、貨物の増大、集積に迅速かつ効率的に対応できる大規模コンテナターミナルの整備であります。2つ目には、沖縄発着貨物の増大や産業集積を目指したFTZや総合物流センターの整備であります。3つ目には、国際航路ネットワークの構築に向けた港湾使用料や輸送コストの低減、24時間、そして365日稼働、さらには電子データによる港湾手続の一元化であります。4点目には、国際中継貿易の確立に向けた国際船舶登録制度の適用や内外兼用運航及び保税輸送に係る各種規制の緩和等がありまして、官民一体となったハード・ソフト施策の推進が必要であり、さらには国の制度的、財政的支援が不可欠であると考えます。
以上です。
○商工労働部長(宮城春一) 平良長政議員の沖縄経済の自立についての御質問の中で、沖縄発本土行きの県産品をふやすには輸送コスト問題をクリアしなければならない、規制緩和等も含めて県はどう考えているかという御質問にお答えいたします。
経済活動における輸送コストの問題は、本土から遠く離れた本県全体にとっても改善すべき重要な課題であると認識しております。そのため県としては、平成11年8月に衆議院運輸委員長あて、本土-沖縄間における船舶用燃料の関税及び石油税の軽減についての要望を行ったところであります。輸送コストの軽減は、本県の産業の振興や企業誘致等に不可欠な課題であると認識しており、今後ともその実現に向け要請をしていきたいと考えております。
次に、福祉行政についての御質問の中で、県内及び市町村での知的障害者の雇用実態はどうなっているか、県庁及び市町村役場で率先して障害者雇用を実践すべきと思うがどうかという御質問にお答えいたします。
知的障害者の平成11年12月末現在の就業状況は、対前年同期に比べ7.4%増の768人となっております。
知的障害者については、平成10年7月1日より障害者雇用率の算定基礎に加えられることとなり、職場適応訓練制度等既存の各種援護制度とあわせて雇用の促進が一層図られることとなりました。
地方公共団体における障害者の雇用については、御指摘のとおり率先して取り組む必要があることから、県としましても障害者について一般職員とは別枠の採用制度を導入しております。また、雇用率未達成市町村に対しては直接出向いて制度の趣旨を徹底するなど雇用率達成について強く指導を行っているところであります。
なお、平成11年6月1日現在の法定雇用率2.1%が適用される県、市町村等の機関における実雇用率は2.59%となっております。
以上でございます。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 交通問題についての御質問で、昨年実施された観光バス部門の規制緩和は県内でどのような影響が出ているかについての御質問にお答えをいたします。
観光バスなどの貸し切りバス事業は、平成12年2月1日から道路運送法の一部を改正する法律が施行され、事業参入については需給調整規制を前提とした免許制を廃止して許可制とし、また事業の休止または廃止については許可制から事後届け出制とする規制緩和が実施されたところであります。貸し切りバス事業の規制緩和は実施されたばかりであり、その影響については特にあらわれておりませんが、事業参入が容易になることから、公正かつ自由な競争を通じて業界の活性化、効率化が図られるとともに、利用者のニーズに的確に対応した運輸サービスが提供されるものと考えられます。
次に、同じく交通問題についての御質問で、来年実施される乗り合いバス部門の規制緩和の影響をどう見ているか、その対策はどうかについての御質問にお答えをいたします。
乗り合いバスの規制緩和につきましては、道路運送法の一部を改正する法律が今国会に提案され平成13年度に施行される予定でありますが、その内容は、需給調整規制を廃止し免許制から許可制に移行するとともに、6カ月前の事前届け出により事業・路線の休止または廃止ができることとなっております。この規制緩和が実施されますと不採算バス路線の廃止などが予想され、通勤、通学や高齢者等のいわゆる交通弱者への日常生活に大きな影響を与えることが懸念をされます。
運輸省は、このような地域住民の生活路線確保の方策を検討するための場として都道府県を主体とする地域協議会(仮称)の設置を指導しているところであります。県としましては、地域住民の足を確保するため市町村へのアンケート調査の実施のほか、関係市町村、沖縄県バス協会及び沖縄総合事務局と検討会を開催し、地域協議会(仮称)の設置に向けて調整を進めているところであります。
同じく交通問題についての3つ目の御質問で、バス4社統合の進捗状況についてとこの1年全力を尽くしたかについての御質問にお答えをいたします。
沖縄本島バス4社は、モータリゼーションの加速による業績悪化、乗り合いバス事業の規制緩和、都市モノレールの開業等バス企業を取り巻く環境の著しい変化に対応するとともに、公共交通の使命を認識し、経営の健全化を図るため統合することで平成9年6月23日に合意がなされております。
平成10年4月には、4社の代表者で構成する企業統合委員会が設立され、同年12月には沖縄総合事務局から乗り合い部門を新会社に統合するバス4社統合スキーム案が提示されております。
平成11年6月29日には、バス4社間において平成13年度の乗り合いバス事業の規制緩和の実施までに、4社の乗り合い部門を統合することを目途として平成11年内に結論を得ることとする合意がなされ、県としても沖縄総合事務局、バス4社の社長と数度にわたり新会社の組織、資本、財務、事業等について意見交換を重ねてきたところでありますが、結論は得られておりません。
バス企業の統合については、基本的には当事者が主体的に取り組むべき問題でありますが、バス企業の公共性や厳しい現状を踏まえ、県としては今後、4社統合委員会の中での具体的な協議状況を踏まえつつ、国と緊密な連携を図りながら、関係者による協議機関の設置等も含めて今後とも積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○教育長(翁長良盛) 教育問題についてに関連いたしまして、小学校からの英語教育を全国的に率先して行うべきとの考えがあるが、所見を伺いたいという平良議員の御質問にお答えいたします。
急速に進展していく国際社会において、英語が広くコミュニケーションの手段として使われている実態等を踏まえ、英語による実践的コミュニケーション能力の育成を図ることが重要であると考えています。
小学校における英語教育については、学習指導要領との関係から教科として位置づけることはできませんが、クラブ活動や平成12年度から実施される「総合的な学習の時間」で国際理解に関する学習の一環として英会話などの指導ができることとなっております。
平成11年7月の調査では、本県の123の小学校──これは全体の44%に相当しますけれども──そういう学校においてクラブ活動の時間にALTや地域の人材を活用し、ゲームや歌などを通して英語に触れ、なれ親しむ活動を行っております。
県教育委員会といたしましては、小学校段階から英会話などの体験的な学習が行われるようアメリカンスクールなどとの交流、ALTや本県の恵まれた環境を生かした地域の人材の活用等を積極的に推進するとともに、小学校教員の資質向上を図るための英語研修などの充実を図っていきたいと考えております。
次に、児童生徒の情報教育の取り組みはどうなっているか、市町村によってばらつきが激しいとも聞くが、県は統一的かつ具体的な方針や計画を策定すべきだと思うがどうかという御質問にお答えいたします。
情報化の進展に対応した教育を行うためには、学校におけるコンピューターなどのハード面の整備や教員の指導力向上を図る情報教育研修を一層充実する必要があります。
このため、県教育委員会といたしましては平成11年に情報教育推進計画を策定し、県関係機関及び市町村教育委員会などへ同計画の実施方について通知したところであります。この計画の中で、教育用コンピューターの整備については、すべての県立学校と公立小中学校が平成13年度までに国の整備基準──小学校は2人に1台、中・高等学校は1人に1台──を達成することを目標に取り組みを進めております。
また、教員の情報教育研修についても、平成13年度までに公立学校のすべての教員がコンピューターの活用能力を身につけることを目標に教員研修を進めております。今後、この計画を教育関係機関を中心とした推進体制のもとに強力に遂行し、民間団体等との連携、協力を図りながら高度情報通信社会の担い手となる児童生徒を育成してまいりたいと考えています。
コールセンターが必要とする技能については、専門高校の卒業生でも十分対応できるものもあると聞いているが、そのような情報を県は把握しているかという御質問にお答えいたします。
本県のマルチメディアアイランド構想に基づき、コールセンターなどの情報通信産業が沖縄に進出していることは、若年者の雇用の拡大につながるものと期待しているところであります。
コールセンターの仕事内容は、電話番号の案内、通信販売の受け付け、銀行の取引、コンピューター操作の質問に答えるなど多種多様であると伺っております。特に技能的な面では基本的な言葉の習得、ボイストレーニング、接客技術、情報活用能力等が求められており、専門高校の卒業生にも対応できる業務もあると理解しております。
次に、専門高校にコールセンターのコースを設けて対応することが必要なことと考えるが、その所見を伺いたいという御質問にお答えいたします。
コールセンター産業で必要とされる人材の要件には、言語教育、接客教育、コンピューター操作能力等が不可欠で、特にコミュニケーション能力の訓練が必要だと言われております。
すべての専門高校にコールセンターのコースを設けることについては、将来の雇用形態や生徒の意識の問題など進路指導上の課題があると考えます。
したがいまして、御提言のことにつきましては、当面、商業高校における科目「総合実践」、「課題研究」、「国際理解」などの中でコミュニケーション能力の養成や接遇教育、情報処理等を充実強化する中で対応していきたいと考えております。
次に、福祉行政について、子供の虐待防止プログラムを学校教育に導入してほしいという御質問にお答えいたします。
子供は、家庭において保護者や家族の深い愛情のもとで安心して生活するとともに、健やかに成長し豊かな自己実現を図っていくものと考えています。
現在、子供の虐待やそのことに係る事件の報道に深く心を痛めているところであります。
県教育委員会においては、人権の尊重などの指導の充実を図るため、「いじめ問題の根絶に向けて」、「児童の権利に関する条約」、「人権教育指導資料」などを作成しその活用を促進しているところであります。
学校においては、全教育活動を通じて正義感、倫理観、思いやりの心、生命の尊重などの豊かな人間性や社会性の育成に努めているところであります。
また、いじめや暴力行為などがあることから、子供一人一人の悩みを聞いたり、進路の相談等に応じるなど教育相談活動を計画的、組織的に行うとともに、問題行動の早期発見、未然防止に全教職員体制で取り組んでいるところであります。
御提言の子供の虐待防止プログラム(CAP)の学校教育への導入については、道徳の時間や学級活動、中学生フォーラム、道徳的実践子供フォーラムなどにおいてほぼ同じ趣旨、内容の活動が実践されていると考えております。
次に、統合教育についての県の考えを聞きたいという御質問にお答えいたします。
本県における特殊教育は、障害の程度と一人一人の実態に応じた特別の配慮のもとできめ細かな教育を行っているところであります。
障害のある子供を通常の学級へ学籍も移して普通児とともに教育することについては、どのような教育の形態が子供一人一人の能力を伸ばせるのか十分検討する必要があると認識しております。
我が国において、いわゆる統合教育は教育形態としてまだ確立されていないのが現状であると認識しております。したがいまして、いわゆる統合教育について今後国の動向を踏まえつつ対処してまいりたいと考えております。
次に、保護者の意向と判定が異なった事例について把握しているかという御質問にお答えいたします。
障害のある児童生徒の就学に関する手続については、学齢簿のある市町村教育委員会において最初の判定がなされます。
そのうち、特殊教育諸学校への就学が望ましいと判定された者については、沖縄県障害児適正就学指導委員会で審議し、障害の程度に応じた学校種を判定することになっております。
平成12年度の就学児で、沖縄県障害児適正就学指導委員会に諮問した件数は149件でありました。そのうち、保護者の意向に沿わない判定となった事例は2件でございます。この2件につきましては、保護者及び関係機関と調整をして適切に対応したところでございます。
就学先については、専門家による助言が強制、押しつけにならないよう関係機関に対して指導していただきたいという御質問にお答えいたします。
県教育委員会におきましては、障害のある幼児・児童生徒の保護者及び関係者に対して体験入学、学校訪問、教育相談、就学相談及び地方巡回就学相談などの諸事業を通して就学先決定に対するコミュニケーションの拡大を図っているところであります。
障害のある児童生徒の就学先については、原則的には沖縄県障害児適正就学指導委員会の答申を踏まえ、判定を行っているところであります。
しかしながら、判定が保護者の意向と異なった場合には、各市町村教育委員会及び関係機関などと連携をとり、保護者の意向も配慮しつつ対応しているところであります。今後とも保護者への対応につきましては強制、押しつけなどが生じないよう関係機関に指導してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 福祉行政について3つの御質問がございますので、順次お答え申し上げます。
まず宮古、八重山に中央児童相談所の出張所(一次保護所)を設置できないかとの御質問にお答えいたします。
中央児童相談所では、宮古、八重山地域の児童福祉に関する相談に対応するため児童福祉司、心理判定員、嘱託医師及び言語治療指導員等をスタッフとして巡回相談を実施しております。
同相談所の出張所を宮古、八重山に設置するには施設の整備や人員の確保等が必要でありますので、今後の課題として受けとめてまいります。県としては、今後とも要保護児童の早期処遇に努めてまいりたいと考えております。
次に、児童家庭支援センターを県内にも設置すべきと思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
児童家庭支援センターは、地域レベルでより身近に児童福祉に関する相談援助や指導助言及び児童相談所等との連携を行う施設として養護施設等に附置することとなっております。県としても地域における身近な相談機能として設置の必要な施設であると考えており、今後検討を図ってまいります。
次に、子供の虐待防止プログラムの学校教育導入についての御質問にお答えいたします。
児童虐待の未然防止、早期発見、早期対応のためには、学校現場を含めた関係機関との連携が重要であります。そのため、「虐待防止のための手引き」を作成しまして関係機関・団体に配布するとともに、これら関係者による虐待防止ネットワーク会議を開催しております。
特に、学校関係については、各地区校長会及び各地区養護教諭研修会等で児童虐待防止について説明するなど緊密な連携を図っております。
○知事公室長(親川盛一) 平良長政議員の環境行政についての質問事項のうち、ヘリパッドの移設問題はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
北部訓練場については、SACO最終報告においてヘリコプター着陸帯、いわゆるヘリパッドを返還される区域から同訓練場の残余の部分に移設することを条件に、平成14年度末を目途に同訓練場の過半約3987ヘクタールを返還するとされております。
ヘリパッドの移設場所等について防衛施設庁は、昨年12月まで約1年の期間を通して環境影響調査を実施しており、現在、調査結果の整理を行っていると聞いております。
県は、国によるヘリパッドの移設場所の決定に際しては、当該移設場所の自然環境への影響やその対策等について県及び関係市町村に十分に説明するよう国に申し入れたところであり、国の調査結果が出た段階では関係する市町村の意向も踏まえながら、当該地域の自然環境に十分配慮した移設場所の選定について適切に対応したいと考えております。
以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) 環境行政についての関連で、県営農地開発事業の大富地区西工区はイリオモテヤマネコ等の生息地であり、着手を保留し慎重に検討すべきではないかとの御質問にお答えします。
大富地区は、国有林野を活用して農地造成を行い、農業の生産性向上、農業生産の選択的拡大及び農業構造の改善に資することを目的で昭和62年に着工し、現在事業継続中であります。
当地区は、仲間崎、東、西の3工区から構成され、平成12年度までに仲間崎と東工区が完了する予定であります。
平成6年度に東工区の着工に当たって、造成地区内にコウモリの生息が確認され、その保護の観点からえさ場及び飛翔ル-ト等を除外しております。その際に自然保護団体である西表島自然史研究会、大富土地改良区、竹富町、県八重山支庁で構成する4者協議会で合意形成を得て着工しております。
西工区については、平成7年度と8年度に環境影響調査を行っています。調査の結果は現状のまま保存することが望ましいが、中止が不可能であれば規模縮小すべきであると提言しております。そのため県としては、規模の縮小及び周辺環境に配慮した工法変更等計画の見直しについて自然保護団体と調整を図っているところであります。
なお、西工区を着工するには、東工区と同様に4者協議会での合意形成を前提としていることから十分な協議調整を図り慎重に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○平良 長政 再質問を行います。
まず那覇港の整備についてですが、ことしの4月1日から一部事務組合が発足するということでありましたが、県と浦添市が合意が得られずに今宙に浮いたような形になっています。これはやはり1つは、国際ハブ港湾の展望が示されてない。先ほど宮城部長からは4つぐらいの課題もあったわけですが、かなり国の支援やあるいは法的な面からも難しさも言われておりました。
もう一つは、やはり県がSACO合意を進めると言って、それを着実に実施するのが現実的だと言っていますが、浦添市はやはり軍港移設ではなくて民間の港をつくるとこう言っているわけですが、SACO合意についてはやはり日米両政府の合意であって県民の意思は入ってないわけであります。
だから、県知事は、浦添市も反対している、そして商工会議所も軍港ではないとこう言っていて、そうであればこれはまさに現実的ではないわけで、そういうお互いに譲り合って、例えば民間港湾で浦添市の言っているとおりやるのがまさに現実的ではないか。国やあるいは米政府の言いなりになってもうSACO合意を進めるということはずっとそういう態度であれば県が、これは一向に一部事務組合もできない。その件について再度御答弁をお願いしたいと思います。
あとバスの統合問題ですが、局長はやはりいつも言っているのは、これは民間の会社だから当事者が主体的に取り組むべきだということもいつも言っている、その辺に問題があると思います。
これはやはり会社のことではなくて、やはり県は県民の足を守るという立場から本当に県の大きな事業として進まないと、モノレールも走りますが、やはり一番大事なのは来年撤退も自由というこの規制緩和が始まれば、ヤンバルや南部でももうからないところはみんなバスがストップをしてしまう。そうしたらどうなりますか、通勤、通学も困るでしょうし、県営バスをつくらないといけないかもしれない。
鉄道も昔、戦前はあったんです。戦争で壊されてしまって今はないわけで、そうなるとやはりバスの大事さというのは大変大事だと思いますので、いま一度そういう立場からきちっと県も取り組んで、昔西銘知事がやったような形で本当に県が全力を挙げるべきだと思いますが、どうでしょうか。
あとヘリパッドの件ですが、去年12月まで出すというのが出てないわけですが、伊藤正春という動物、生物学者がいわゆる西表、ヤンバルを「東洋のガラパゴス」と言ったわけです。ガラパゴスというのはダーウィンが行って発見をしたわけですが、もしダーウィンが沖縄に来ていたら、沖縄が一番ガラパゴス以上だと言われているわけですが、生物進化論上、学術的価値がガラパゴス以上にあるとこう言われているそういう沖縄に、ヤンバルにはヘリパッドをつくる、あるいは西表も農地をつくるという、そういうことはやはり絶対許してはならないというふうに思っております。
世界遺産保護条約というのは1972年にユネスコで採択されたわけですが、20年間日本はほったらかして、結局1992年に批准しますが、128番目に日本は批准するわけです。そのときにいわゆる一番に登録されるだろうといったのが沖縄と釧路の湿原ですが、それが外されたのはなぜかというとやはり米軍基地の存在であり、いわゆる日本のアメリカ政府への気兼ねだろうと思うんです。保護の裏づけがないというようなことでありますので、やはり私たちはそういう半分は返されるわけですから、もう半分も返してもらってきちっと国立公園化をさせ世界遺産登録をやっていく、これはだれでもわかることだろうと思います。
それから西表については、やはり貴重な動植物もあるということで新聞報道によりますと、農地建設課長は保護団体の了解が得られなければ着工できないということを言っておりますが、そういう理解でよろしいのか、お答え願いたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) ただいま平良議員の再質問の中で、那覇港湾の問題を解決するには現在の浦添側の意見の方がより現実的ではないかと、その辺の意見を聞きたいという再質問でございますが、県としては、SACOの合意事案を着実に実施することが米軍基地の整理縮小を図るためより現実的で実現可能な方法であると認識をしております。
○地域・離島振興局長(山川一郎) バス統合問題についての再質問にお答えをいたします。
バス統合については大変重要な問題だというふうに認識をしております。
また、県民の足を確保する立場から県としても積極的に対応したいと、そういうふうに思っております。
○農林水産部長(小那覇安優) 再質問にお答えします。
西工区については、規模縮小及び周辺環境に配慮した工法変更等計画の見直しについて自然保護団体と今調整しております。
当然、西工区を着工するにはこの4者協議会、これは西表島自然史研究会、大富土地改良区、竹富町、県八重山支庁の4者でございますけれども、その合意形成を前提としています。
そういうことですので、4者間の協議を調整を図りながら慎重に対応していきたいというふうに考えております。
○平良 長政 再度質問したいと思います。
浦添の問題ですが、知事はSACO合意に基づく移設を着実に実施することが現実的、実現可能だと言っているんですが、浦添市も反対しているのでむしろ実現が不可能ではないかということです。
○知事(稲嶺惠一) ただいまの平良議員の再々質問にお答えをいたします。
那覇軍港の浦添移転に関しましては、従来は25年間ずっと継続して、いたそうとして現実的にできなかったわけでございます。
そこで、SACOの合意事案を着実に実施することが米軍基地の整理縮小を図るためより現実的で実現可能な方法であると認識をしております。
○平良 長政 それが実現可能か。
○知事(稲嶺惠一) それは今後お互いに検討して協議をしてまいります。
○新垣 米子 日本共産党を代表して質問を行います。
まず、基地問題についてです。
稲嶺知事が昨年11月22日に普天間基地の移設先を米軍キャンプ・シュワブ周辺の辺野古地域に決定し、その決定を受けて昨年12月に名護市長が受け入れの表明をしました。民意にあえて背く判断をしたと名護市長の発言に示されるように、みずから民主主義を否定し21世紀まで基地との共存、苦悩を県民に強いる態度は、戦後沖縄の歴史に重大な汚点を残すものであり、決して許されるものではありません。日本共産党は、この新基地建設を許さない県民の闘いの先頭に立つことをまず最初に表明するものです。
辺野古周辺に建設しようとしている新たな基地は、普天間基地の単なるかわりの基地ではないことはアメリカの内部文書や高官等の発言でも明白です。市街地にあって老朽化した普天間基地ではやりたくてもできない陸・海・空の総合的な練度の高い訓練、配備したくてもできないMV22オスプレイの配備など最低でも40年運用、200年耐用のより強固な海兵隊の一大訓練拠点、出撃拠点、最新鋭の基地の建設がねらいであります。
米軍は、オスプレイを2007年にも普天間基地に配備を計画しているようですが、航続距離が従来型ヘリコプターの5倍から10倍というオスプレイが配備されれば台湾海峡も朝鮮半島も輸送艦なしの直接飛行で作戦範囲に入ることになります。アジアの国々に矛先を向けた新鋭基地をつくらすことは、基地のない沖縄を願う県民の心を逆なでするだけでなく、世界とアジアの軍縮と平和外交の流れにも逆行するものです。
2月8日、コーエン米国防長官が提出した2000年国防報告で、東アジア10万人体制を引き続き維持する、イラクや北朝鮮などの危険性、新たに国内紛争の危険性を挙げ、他国の国内紛争への軍事介入の必要性を強調し、同盟国への資金負担の共有と政治的正当性を強調しています。
この報告からも在日、とりわけ在沖米軍基地が日本や沖縄を守るための基地ではなく、米国の利益を守るための前方展開の基地であり、SACO合意の実行が沖縄における米軍の基地のより一層の機能強化が最大の目的です。基地の整理縮小ではないことはこのことからも明らかではありませんか。
(1)つ、沖縄サミットについて。
2月9日に衆院本会議で我が党の不破委員長が、日本における米軍基地体制の異常な実態を3つの角度から追及しました。
米海兵隊や空母機動部隊に基地を提供している国は日本以外にあるのか。その米軍基地を支えるため、条約上の義務のない思いやり予算を特別協定まで結んで支出している国は日本のほかにあるのか。さらに勝手気ままに基地を使わせ、米軍機による国内法も無視した低空飛行や夜間離発着などの訓練をする権利を米軍に認めている国は日本以外にあるのか、こういう問題です。
日本の主権や国民よりも日米安保体制と米軍を最優先する姿勢を少しも異常とは感じない日本政府に対して、7月の沖縄サミット参加国の目からも厳しい評価が下されるでしょう。
政府が開催地として沖縄を選んだということは、各国の首脳とともに世界のマスコミが沖縄に集中するということになり、いや応なしに沖縄の基地の実態を世界に見てもらう場になります。政府が沖縄に決定したねらいと思惑を超えた沖縄からの世界への告発の場となるでしょう。
イ、沖縄の米軍基地は成り立ちからして異常です。小渕首相は、アメリカの対外戦争のための海外遠征基地を提供するという独立国では到底考えられない対米従属ぶりを世界にさらしています。また、この事態を異常とは思わないとの発言までしています。基地の過重な負担を強いられている沖縄の知事として、この発言をどう思いますか。
ロ、2月18日、クリントン大統領は河野外相との会談で、「沖縄開催を「日米関係が戦略的見地から重要であることを示す良い機会だ」」とサミットを利用して米軍基地の重要性をアピールすると強調し、サミットまでに移設問題を片づけてほしいと圧力をかけているようにサミットを利用して米国の基地押しつけのねらいがはっきりしています。
しかし、県民はサミットを通して世界に訴えたいことは、意識調査でも明確ですが、米軍基地の問題、そして県民の平和を愛する心です。我が党は、16日に沖縄サミットに向けて世界に訴えるアピールを発表しました。知事も沖縄から平和を発信すると言ってきたが、過酷な基地の実態を訴えるべきではありませんか。その意思がおありですか。
(2)つ目に、普天間基地の移設問題と15年期限、使用協定問題についてです。
イ、米軍は、現在でも普天間基地と嘉手納基地について騒音防止協定を結んでいますが、守られていますか。嘉手納ラプコンにかかわる管制権が復帰27年の今日まで返還の約束が守られていません。米軍の特権を与えている地位協定のもとでの使用協定が何ら米軍を拘束するものにはならないのが実態ではありませんか。それでもまやかしの使用協定で県民だましをするのですか。
ロ、日本政府は、95年の少女の事件を契機に県民ぐるみの闘いで不平等な日米地位協定を見直せの要求に対してさえ米国に要求する考えはないと発言し、一体どこの国かと県民の怒りを買いましたが、政府はアメリカに対して日米地位協定の見直し、使用協定の締結を要求すると確約しているのですか。
ハ、知事は、15年を叫び続ける、使用協定を主張し続けさえすればよいと県民だましの態度に終始していますが、アメリカは1月の日米防衛首脳会談でコーエン米国防長官は、受け入れられない、拒否をすることを明確に言明しています。また政府自身も要求しないという立場を表明しています。県民への責任を果たす意思がおありなら、きっぱり基地受け入れ表明を撤回すべきです。
2月14日の衆院予算委員会での我が党の志位書記局長の質疑で、96年に海上施設に係る技術検討・評価報告書(案)で既に日米双方で新たな基地の運用を40年以上とすることを合意した文書の存在を政府は認めました。そのことは、政府と自民党は知事選挙前に40年を合意していることを県民に隠して、最初から守る意思のない15年問題を公約したわけです。これ以上の県民への背信行為はありません。このことがはっきりした以上、撤回することが県民に対する信頼回復の道であり、改めて基地受け入れ表明を撤回すべきではありませんか。
(3)つ目に、嘉手納ラプコン問題についてです。
イ、知事は、2月8日に発生したニアミスに対して米軍に抗議と原因の徹底究明と再発防止のためどのような具体的な要求をしましたか。また政府を動かす実効あらしめる行動、申し入れをやったのですか。
ロ、原因が究明されるまでの間、米軍の戦闘機の訓練中止を要求すべきではありませんか。
ハ、根本には日本の航空法の適用を受けない治外法権的な米軍優先を保障していることにあります。地位協定の見直しと管制権の返還を強く要求すべきではありませんか。
ニ、知事が北部に建設するとしている軍民共用空港について、管制業務に携わっている航空労働者は常識では考えられない計画だと指摘しています。現在、沖縄周辺の空は広大な常設訓練空域であるウォーニングエリアが20カ所もあり、特に北部は集中しています。その北部に新たに米軍基地を建設すること自体、今以上に危険になるのに軍民共用空港で一体民間機を飛ばせるのかと疑問を投げかけています。知事は、沖縄の空の実態をどこまで認識し検討して軍民共用空港の建設を提言しているのですか。
(4)つ目に、石垣空港への米軍戦闘機強行着陸についてです。
イ、県と防衛施設局に食い違いがあるが、県の態度はどうだったのですか。
ロ、県の許可に従って着陸したとの防衛施設局の発言に対して県は確認をし抗議をしたのですか。
ハ、基地受け入れの稲嶺県政のもとで米軍の県民無視の姿勢が露骨になったと言えます。米軍の3月2日の使用要求に対して断固拒否すべきです。それでも無視して強行するなら、基地受け入れ表明の撤回を含めて県民に納得のいく姿勢を示すべきではありませんか。
(5)つ目に、知事の訪米についてです。
イ、15年問題を決着つけてこれるのか。
ロ、15年問題をアメリカが拒否するのであれば、受け入れを撤回すると明確に態度表明をしてくるのか、お伺いします。
2番目に、沖縄の真の振興策のあり方について質問いたします。
政府は、基地受け入れを条件に北部地域の今後10年間で1000億円の振興予算を投ずることを閣議決定したが、これまで北部の振興がおくれていたことを最大の理由に挙げています。おくれていたのであれば、これまで沖縄振興開発特別措置法によって投じられた5兆円の予算が北部への均衡ある公平な振興が図られてこなかったことの国と県の責任が問われております。それこそ沖振法の精神で今後大いに努力すべきではありませんか。
基地と引きかえでないと振興が図られないとの政府の圧力は沖振法の精神を踏みにじる恥ずべき態度であり、国と県の行政責任を放棄するもので、憲法と地方自治法よりも米軍の利益を優先させるもので、その立場からも認めることはできません。
(1)つ、北部振興について。
イ、そもそも地域経済振興とは何ですか。
ロ、北部の世界に誇るべき自然を破壊し、上空から激しい爆音をまき散らし、米軍の事件・事故を多発するような地域にして一体どんな経済振興が図れるのですか。
ハ、基地建設は地域住民の命と暮らしの犠牲と引きかえに一部の土建業者が一時的に潤うだけで、しかも大型事業の利益は本土大手ゼネコンに持っていかれ、地元の中小業者に回らない。地域住民の生活の安定、向上につながらないと思うがどうですか。
ニ、知事は、北部に建設するとしている軍民共用空港で臨空型産業を興すとしていますが、関西国際空港を初め全国各地の空港建設、大型開発が採算の見通しのないまま地域経済の活性化の御旗で強行された結果、地域経済に役立つどころか住民に多大な負債を負わせ、住民の福利にしわ寄せが起こっているのが実態です。
国と地方自治体の財政破綻を引き起こしているむだな大型公共事業は見直せというのが国民と地域住民の大きな声となっていることを承知していますか。
軍民共用空港の建設は、県民、名護市民の将来に危険を背負わすだけでなく、負債を背負わすものになる。それでも提案するおつもりですか。
ホ、北部の産業の中心はさとうきび、花卉、養鶏など1次産業であり、農業、地場産業を育成強化することが重要です。北部振興策の中にどれだけ具体的な施策が盛り込まれていますか。
ヘ、知事の言う振興策は基地との取引ですか。そうでないというのならなぜ宮古、八重山、その他の離島、本島中南部の振興策がないのか、県民に説明をしてください。
(2)つ目に、沖縄振興開発特別措置法についてです。
沖振法は、悲惨な沖縄戦と米軍占領支配にさらされた沖縄県民に償いの心で沖縄振興を図ることを義務づけています。また政府自身、基地が沖縄の振興開発の最大の障害であることも認めてきました。政府と県は、原点に立って沖縄振興の責任を果たすべきです。
イ、知事は、沖振法にかわる新たな沖縄振興法の制定に努力すると12月定例議会で答弁しました。沖振法の抜本的拡充強化こそ必要であり、国の責任を明確にした沖振法と数々の特別措置を定めた制度をなぜ廃止するのかとの我が党の議員の質問に対して、高率補助などの必要な制度は継承すべきであると考えているとしていますが、沖振法のどの部分を継承するのか。償いの心で当たるとしている国の責任が果たして継承されるのか。
ロ、継承されるのであれば、現在の沖振法に必要な制度を盛り込み拡充強化の方向がよりスムーズです。あえて新たにつくりかえるねらいは国の沖縄に対する償いの心の精神を取り除くためではないのか、お答えください。
(3)点目に、深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題についてです。
沖縄の今年度平均失業率が8.3%、12月前年度比8.8%、相変わらず全国の約2倍で5万人を突破するという深刻な事態となっています。また雇用の問題も高校生の就職内定率が全国最低、大学生、短大、専修学校で戦後最悪の記録となっています。
県内の小売店舗が10年間で4000余の店舗が減少、地域の小売店舗の廃業と地域商店街の衰退の原因は、消費税の引き上げによる消費不況と規制緩和による大型店舗の野放しをした自民党政治が最大の原因です。
平成10年度沖縄のサラ金の調停が1万2000件、自己破産が1400件を突破、人口1万人当たりの貸金業者数は沖縄が8.04で2位の東京の5.38に比べても断トツです。銀行から低利の融資を受け深刻な不況に苦しむ県民をターゲットにして暴利をむさぼっている貸金業の実態、県民の被害の実態がいかに深刻であるか、この数字を見ただけでも明らかではありませんか。
県政のやるべきことは何か、県民の暮らしを第一に守り、県民の苦しみを取り除くことではありませんか。しかし稲嶺県政が2000年度県予算の重点として打ち出している行財政改革大綱は、逆に県民の福利の予算を削り、雇用対策を県政最重要課題としながら県庁職員を530人も削るという県民に痛みを押しつけるもので到底認められません。
深刻な不況から県民の暮らしと経済を守る立場から提言を含めて質問いたします。
イ、この10年間で小売業の廃業や農水業離れによる失業者数はどれだけですか。
ロ、知事は、雇用対策として企業誘致のために多額の県予算を投入していますが、企業誘致でどれだけの雇用拡大を見込んでいますか。その見込み以上に廃業や農業離れによる失業が大きいのではありませんか。企業誘致に努力することは当然大事ですが、現在県民が従事している農業、商業などの既存産業を守り発展させることが最大の失業、雇用対策ではありませんか。見解を伺います。
ハ、コールセンターの誘致での雇用の実態は3年から5年の短期間、低賃金の不安定雇用となっています。県の予算を投じての企業誘致であれば、県の主体性を主張し安定雇用を強く要求すべきではありませんか。
ニ、日本の労働者の働き過ぎ、サービス残業が問題になっています。我が党は、不況であれば国の施策として企業のリストラを規制し、時短で雇用拡大の努力をしているヨーロッパ諸国並みに努力をやるべきであると要求していますが、県内でもサービス残業をゼロにすれば4206人、残業をなくせば1万2422人、年休完全消化で8390人の雇用が拡大できる、このような試算が出ております。県庁を含めて県内企業のサービス残業、残業などの実態はどうなっていますか。企業の一方的な都合によるリストラ強行に対して県は行政指導を強化すべきと考えますが、どうですか。
ホ、農業、地場産業を危機に陥れている政府の自由化政策、規制緩和政策を無批判に受け入れる姿勢では沖縄の産業を守ることはできません。地域の既存商店街を守るためにも大型店舗の規制を県としてもやるべきではありませんか。
ヘ、また酒販、理・美容、タクシー、薬などの新たな規制緩和で関係業者は危機感を訴えています。県としても反対すべきではありませんか。
ト、サラ金被害のほとんどが生活苦、資金繰り苦であります。一時的、短期的な緊急駆け込み資金等の県の融資制度がどうしても必要と考えますが、いかがですか。
チ、銀行の貸し渋りから商工ローンやサラ金被害に遭う業者が急増しています。銀行への行政指導を強め貸し渋りをやめさせ、県保証協会の保証内容についても業者の実態に合わせて改善を要求すべきと考えます。いかがですか。
リ、最近、悪質なサラ金業者の取り立ての被害が相次いでいます。調停に出席しない、不当な保証人の要求など貸金業規制法に基づく指導を強化すべきと思います。いかがですか。
ヌ、知事は、人員の大幅削減の理由に類似県に比べて多いことを挙げていますが、本県は他府県が抱えていない基地問題や多くの離島を抱えており単純比較はできません。先に削減ありきは道理がありません。民間の雇用状況が厳しいときであればこそ1000人を超す教職員の臨時雇用を正式雇用に、30人学級を実現し、採用試験に合格しても採用されず待機している若者の雇用拡大に、法定人数に満たない消防職員を採用するなどでむしろ行政が積極的に公的責任を果たすべきだと思うがどうですか。
ル、その立場から県職員の削減の方針を撤回すべきではありませんか。
4点目に、介護保険制度についてお伺いします。
4月の実施までいよいよ1カ月余となった介護保険制度。政府は昨年、保険料徴収の凍結など介護保険見直しの特別対策を決定しました。政府の介護保険制度が打ち出されて以来、我が党は、現在無料でサービスを受けている非課税世帯の老人にとって高い保険料と使用料が過酷な負担となり、また必要な施設やヘルパーなどの基盤整備がなされていないことから保険あって介護なしの実態であることを指摘し、減免制度の確立など改善の必要性を訴えてまいりました。
介護地獄の苦しみを取り除くというそもそもの出発点とは裏腹に、政府は老人福祉に出していた国の財源を半分に減らし、老人と国民に負担をさせてこの介護保険をスタートさせようとしたところに大きな矛盾を引き起こし、凍結の今回の措置をとらざるを得なかった原因です。
6カ月、1年間の凍結をし先送りしただけでは問題の解決にはなりません。しかも見直しに必要な財源をすべて赤字国債で賄う計画であり、いずれその負担は国民にのしかかることは必至です。凍結の間に矛盾を解決するための最小限の課題、保険料、使用料の減免制度の確立、施設やヘルパーの養成等の基盤づくり、市町村が進める自立認定者の援助対策への支援などだれもが安心して利用できる制度にするため県独自の施策と努力が求められています。
その立場から質問します。
イ、政府は、介護保険事業計画をつくるに際し、要介護高齢者の介護保険施設入所者率を2004年までに全国平均の3.4%にするよう指示しています。県内の施設入所者は1万100人余で入所率は5.9%、これを全国平均に合わせると5000人余のお年寄りが施設を追い出されかねません。県はその対応をどうするおつもりですか。
ロ、県内には月額4万7000円の老齢基礎年金受給者が約14万7000人、無年金者が6000人、無年金者の予備軍と言われている人が5万4000人、現在在宅サービスを受けている人が約3000人で、その90%以上が市町村民税非課税世帯です。長寿日本一の沖縄の高齢者所得は全国最下位、しかし保険料は全国の約2倍の試算が出されています。このことは国に改善を求めると同時に、県として市町村とも協力して保険料、使用料の減免制度の創設がどうしても必要と考えますが、どうですか。
ハ、本県は、施設整備率は全国に比べて高いが、依然として入所待機者が多いのが現状です。引き続きの増設計画が必要ではありませんか。またヘルパーなど整備の見通しはどうなっていますか。
ニ、認定作業がおくれているとのことですが、各市町村の実態はどうですか。
ホ、現在、デイサービスを利用しているお年寄りの70%が自立認定者と言われ、4月から排除され、身近な多くのひとり暮らしのお年寄りが肩を落としています。各市町村が引き続き支援事業を継続できるように働きかけ、県としても援助すべきと考えますが、いかがですか。
5番目に、平和祈念資料館問題についてです。
沖縄県平和祈念資料館及び平和の礎の設置及び管理に関する条例が今議会に提案されていますが、現在の平和資料館の設置条例の不十分な点を改め、新平和祈念資料館は主体性が確保される独立した組織機構と運営母体を確立することが重要であることがこれまでの論議の教訓ではなかったでしょうか。しかし提案された条例は、県民を巻き込んだ論議の教訓が反映されているとは思えないあいまいなものと言わざるを得ません。
そこでお伺いします。
イ、現、新平和祈念資料館の設置理念に照らして、運営を戦没者慰霊奉賛会への委託はふさわしくないとの指摘がなされてきました。理念にふさわしく県立としての運営母体にすべきではありませんか。
ロ、運営協議会の設置が言われておりますが、何ら具体的に定めていないのはなぜですか。
ハ、学芸員の必要な人数の配置を確保する上でも博物館法の精神にのっとり、博物館に準じた施設と運営主体を明確にすべきではありませんか。
6点目に、就学援助制度の拡充についてです。
保護者の倒産、失業など経済的理由による中退や納入期日までに授業料を納め切れない生徒が急増している実態が県立高校でも顕著になっています。また小中学校でも給食費が出せない滞納している児童が増加しています。「義務教育は、これを無償とする。」との憲法の精神に照らしても、また経済的に困難な児童に対する教育費の助成(就学援助制度)の趣旨からしても、所得の全国最下位の沖縄でこそ生かされ拡充されなければならないと考えます。
おおよそ生活保護基準の1.2倍の所得家庭の児童を対象とするとあるが、本県は生活保護基準以下の所得家庭でも受けられていないのが実態です。
そこでお伺いします。
イ、各市町村からの予算要求はどうなっていますか。国の補助金交付はどうなっていますか。
ロ、必要な予算の確保を含めて拡充すべきと思いますが、県としての対応策はどうしますか、お伺いをしたいと思います。
質問を終わりますが、答弁によって再質問いたします。
○議長(友寄信助) ただいまの新垣米子君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので休憩後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後3時53分休憩
午後4時16分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
休憩前の新垣米子君の質問に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 新垣米子議員の御質問にお答えいたします。
最初は基地問題についての中で、小渕首相の対米従属について過重な基地を負担している沖縄の知事としてどう思うかとの御質問に対するお答えでございます。
本県に所在する米軍基地は、日米安保体制を維持する上で重要な役割を果たし、我が国の安全及び極東における平和と安全の維持に寄与しているものと理解しています。
しかしながら、本県には在日米軍専用施設面積の約75%に上る広大な米軍基地が存在し、県民生活や本県の振興開発にさまざまな影響を与えていることは厳然たる事実であり、県民は基地の整理縮小を強く望んでいます。県としては、沖縄県民の基地負担の軽減を図るため日米両国政府が真摯に協議を行い合意したSACOの事案を着実に実施することにより、基地の整理縮小を初めとする本県の基地問題の解決を一つ一つ着実に実施していきたいと考えております。
次に、同じく基地問題について、クリントン大統領はサミットを利用して米軍基地の重要性をアピールすると、知事は沖縄から平和を発信するとしているが、本県の基地の実態を訴えるべきではないかとの御質問に対するお答えでございます。
本年7月に開催されるサミットは、各国の首脳を初め政府関係者並びに世界各地から来県する多くの報道関係者が沖縄県民の長年にわたる過重な基地負担の現状や県民が基地の整理縮小を強く望んでいることを知っていただくよい機会であると考えています。
県としては、沖縄の基地の現状をありのままに見ていただくとともに、基地問題が日本全体の問題であるということを多くの国民が認識していただく機会になってほしいと考えています。過去に悲惨な戦争を体験し、それを乗り越えてきた沖縄で各国の首脳が世界の平和と安全について語ることは、今後、世界の平和維持に向けた取り組みを初め本県の基地問題の解決に向けて大きな意義をもたらすものと期待しております。
次に、政府は米国に対して日米地位協定の見直し、使用協定の締結を要求すると確約しているかという御質問に対するお答えでございます。
国は、昨年12月28日の閣議決定において「地位協定の運用改善について、誠意をもって取り組み、必要な改善に努める。」とし、使用協定の締結については、「誠意をもって米国政府と協議を行い、政府関係当局と名護市との間で協定を締結し、沖縄県が立ち会うものとする。」との方針を示しております。今後、この方針に沿って国の取り組みがなされるものと理解していますが、日米地位協定については、県が実施している「基地の環境調査及び環境浄化等に関する海外調査」委託事業の報告などを踏まえ、改めて県の要望が満たされていない事項について改定または運用の見直しを強く働きかけていきたいと考えております。
次に、知事選挙前に最初から守る意思のない15年問題を公約したと、これは背信行為であるということで基地受け入れ表明を撤回すべきではないかとの御質問に対するお答えでございます。
「海上施設に係る技術検討・評価報告書(案)」は、SACOの最終報告で述べている撤去可能な海上ヘリポートに関するものであると理解しています。県としては、海上ヘリポート案については県民の財産とならないことなどから政府に見直しを求めたところであります。
次に同じく基地問題で、嘉手納ラプコンについては治外法権的な米軍優先を保障していると、地位協定の見直しと管制権の返還を強く要求すべきではないかとの御質問に対するお答えでございます。
航空機は、多くの離島から成る本県にとって不可欠な移動手段であり、県民の日常生活はもとより観光立県を目指す本県の産業振興の上からも重要な輸送手段であるため、嘉手納飛行場進入管制レーダーの故障や停止は県民及び観光客の足である航空機の離発着に大きな影響を与えるものであります。
県では、去る1月13日及び14日に沖縄の航空交通管制の日本側への移管について内閣総理大臣及び在日米軍司令官等関係機関に対し要請しました。
日米両政府は、昨年11月18日の日米合同委員会において本件について今後とも協議していくことを確認しているほか、去る2月20日の河野外務大臣とオルブライト国務長官との会談においても今後日米間で協議していくことで一致しております。県としては、今後とも沖縄における航空交通管制を早急に日本側へ移管するよう日米両政府に対し働きかけていきたいと考えています。
次に同じく基地問題で、知事は沖縄の空の実態をどこまで認識して、検討して軍民共用空港の建設を提言しているのかとの御質問に対するお答えでございます。
軍民共用空港については、普天間飛行場も含め現在の沖縄における空の利用状況のもとに新たに建設されるのではなく、普天間飛行場の移設に係る代替施設として建設されるものであります。
普天間飛行場の移設先の選定に当たっては、米軍の訓練及び保安のための空域のほか、嘉手納飛行場の運航空域との影響についても検討を行いました。普天間飛行場の代替施設については、政府の閣議決定に基づき基本計画策定の中で具体的な建設場所が検討され、その時点で米軍訓練空域との関連についても細かい検討がなされるものと考えています。
次に、同じく基地問題につきまして訪米について、15年問題を決着をつけてこれるのかということと、15年問題を米国が拒否するのであれば受け入れを撤回すると明確に態度表明をしてくるのかという2つの御質問に一括してお答えいたします。
県は、基地問題は国の外交防衛にかかわる問題であると認識しており、その解決に向けてはまず国家間で話し合いがなされるべきであると考えています。
しかしながら、基地問題の解決は本県の重要な課題であり、日本政府の外交交渉を側面から支援する立場で必要に応じ地元の声を米国政府等に伝えることは必要であると考えます。訪米の時期、要請先及び要請内容については、国内外の情勢を見ながら関係機関とも調整の上、決定していきたいと考えています。
15年の使用期限については、移設に当たって整備すべき条件として国に強く申し入れました。これを受けて国は、閣議決定において「沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。」方針を示しています。
その後、日米の防衛首脳会談や外相会談において取り上げられており、同問題が着実に前進していくものと思います。県としては、同問題が政府において引き続き検討され、県の要望に対してこたえてもらうよう強く求めてまいります。
次に、沖縄の真の振興策のあり方について、そもそも地域経済振興とは何かとの御質問にお答えをしたい思います。
地域経済の振興とは、地域の創意工夫やポテンシャルを生かし、地域活性化や住民生活の向上を目指すことだと考えています。
北部地域の振興については、地域住民の主体的取り組みにより地域の資源、特性を生かした地域密着型の観光、農業、地場産業等の企業育成を図るとともに、国民の健康志向、高齢社会に対応した健康長寿産業等の創出などを通じて雇用・就業機会の確保による定住条件等の整備に努め、地域の活性化を図ることが重要であると考えております。
次に、真の振興策ということで、北部の自然を破壊し、爆音や米軍の事故が多発するような地域にしてどんな経済振興が図れるのかということへのお答えでございます。
北部地域は、豊かな自然に恵まれ発展可能性の高い地域であると認識しています。
このため、観光・リゾート産業や情報通信産業の新たな展開など地域資源を活用した特色ある産業広域圏の創造や交通・通信基盤の整備などによる多様な交流広域圏の創造、エコツーリズムの促進などによる環境広域圏の創造を戦略的に進めていくことが重要であると考えております。
なお、普天間飛行場代替施設の建設に当たっては、基地の被害が自然環境や生活環境へ影響を及ぼさないよう最大限の配慮を払う必要があると考えております。
同じく振興策についてで、基地建設は本土大手ゼネコンに持っていかれて地元の中小業者に回らないと、地域住民の生活の安定向上につながらないという御質問と、それからもう一つは、軍民共用空港の建設は県民、名護市民に危険を背負わせ負債を背負わすものになる、それでも提案するつもりかと、この2つの御質問に一括してお答えをいたします。
普天間飛行場の代替施設は国が建設するものであり、代替施設の工事については国が発注することになりますが、県としても地元業者への優先発注がなされるよう国に働きかけていきたいと考えております。
また、政府においては、去る12月の閣議決定において代替施設の受け入れに伴い新たな負担を担うこととなる地域の振興について今後策定される基本方針に沿って国、県及び地元地域自治体相互の連携と協力により振興事業の具体化に鋭意取り組むことが示されていることから、これらの施策が地域住民の生活の安定向上につながるものと期待をしております。
次に、同じく振興策について北部地域の農業、地場産業を育成強化することが重要であると、北部振興策にどれだけ具体的な施策が盛り込まれているかということに対するお答えでございます。
北部地域の振興を図るためには、これまで北部地域を支えてきた地場産業や農林水産業の新たな展開を図るとともに、観光・リゾート産業の一層の推進と情報通信関連産業等の導入を促進していくことが重要であります。
農林水産業については、リゾートホテル等の立地も視野に入れながら生産拠点の形成を目指し農林水産生産基盤の整備、試験研究機関の拡充強化等を推進して活力ある農林水産業の振興に努めていきたいと考えています。
国においても、早速2月20日に農林水産大臣や事務次官が来県し、国、県、市町村等関係機関の参加のもと、「明日を拓く北部の農林水産業を考える検討会」の第1回の会合を開催し北部振興に対する積極的な取り組みを始めております。
製造業等の地場産業の振興については、既存の産業振興制度の積極的な活用を図るとともに、戦略的な産業の集積、中心市街地の活性化策等を進めていきたいと考えています。
なお、具体的な施策の展開に当たっては、国、県、地元の3者で構成する三者協議会等の場において地元の意向を踏まえつつ地域の創意と工夫が反映されるような施策・事業の展開を図っていきたいと考えております。
次に、知事の言う振興策は基地との取引か、そうでなければなぜ宮古、八重山、その他の離島・過疎地域の振興策がないのかという御質問に対してのお答えでございます。
本県の振興開発については、3次にわたる沖縄振興開発計画や中部及び北部地方拠点都市地域基本計画等に基づく各種施策によりその振興を図ってきたところでありますが、産業の振興などによる自立的発展の基礎条件の整備が不十分であると言えます。
特に北部地域については、中南部地域の発展に比べその振興がおくれており、定住条件の整備や産業の振興などにより地域の活性化を図ることが県政の重要な課題であると受けとめ北部地域の振興について国に要望したところであります。
県全体の均衡ある発展を図るためには北部圏、中南部圏、宮古圏及び八重山圏の各圏域がそれぞれの特性を生かした役割、機能を発揮して相互に連携し合う自立ネットワーク型の県土構造を形成することが重要であると考えております。
こうした観点から、沖縄振興開発計画に基づく各圏域ごとの振興を図るとともに、沖縄県離島振興計画、沖縄県過疎地域活性化計画に基づき宮古、八重山圏域を含め離島・過疎地域の振興に取り組んでいるところであります。
続いてやはり振興策で、1つは沖振法のどの部分を継承するのか、償いの心で当たるとしている国の責任が果たして継承されるのか、続いての質問で新たにつくりかえるねらいは国の沖縄に対する償いの心の精神を取り除くためではないかと、この2つの御質問に一括してお答え申し上げます。
本県振興開発の根拠である沖縄振興開発特別措置法の立法趣旨には、県民への償いの心が込められています。本県の振興開発は、これまで3次にわたる沖縄振興開発計画により着実に発展してきたところであります。
しかしながら厳しい雇用情勢、財政依存度の高い経済構造、さらには広大な米軍施設・区域の存在等依然として解決すべき多くの課題を抱えています。
本県が財政依存の経済構造から脱却し21世紀の早い時期に自立型経済を構築するとともに、基地の整理縮小と跡地の円滑な利用を推進するためには現行の沖縄振興開発特別措置法の単純な延長では限界があり、これまでの振興開発のあり方について見直す必要があると考えております。
このことは、現行法をすべて否定するものではなく、高率補助制度や特別自由貿易地域制度等の税制上の優遇措置などは総合的に施策を展開していく観点から今後とも必要であると考えております。
大きく変化する現代社会に的確に対応し、本県の自立的発展と我が国、ひいてはアジア・太平洋地域の経済社会文化の発展に寄与する太平洋・平和の交流拠点として特色ある地域の形成を目指すため新たな理念、施策を取り入れた新たな沖縄振興計画とこれを担保する新たな沖縄振興法の制定が必要であると考えております。
それから次に、深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題についてという中で、企業誘致でどれだけの雇用拡大を見込んでいるか、農業、商業などの既存産業を守り発展させることが最大の失業、雇用対策ではないかとの御質問に対してのお答えでございます。
県は、特別自由貿易地域制度や情報通信産業振興地域制度等を活用して企業の立地を促進し、新規雇用の創出に努めているところであります。その成果として今年度は製造業で5社、情報通信関連産業で12社、合計17社が立地しており、平成10年度以前の立地企業を含めた新規雇用は平成12年2月現在で919人となっております。
また、平成12年度には情報通信関連で9社の立地が見込まれるほか、特別自由貿易地域に整備中の賃貸工場には3社の入居が内定しており、総計で約2400人の新規雇用が見込まれております。
県内の雇用状況を改善するには、御指摘のとおり企業誘致だけでなく地域経済の活性化や雇用の安定に寄与している既存産業の振興、新規企業の創設等あらゆる施策を推進することが重要であると考えています。
そのため、商工業振興の具体的事業として企業の立ち上げから成長までを一貫して支援する企業化支援事業の実施、グローバル産業人材育成事業やビジネスオンリーワン賞事業の実施、さらに産業振興・創業支援センター(仮称)の整備、県単融資資金の拡大や県産品の販路拡大等諸施策の推進に全力で取り組んでおります。
また、平成12年度には新たな施策として健康・長寿研究センターの拡充など研究体制の確立や製造業の拡大を図るための新製品研究開発の拡充、さらにベンチャーファンドの創設、中小企業の経営資源の確保を支援する沖縄県中小企業支援センターの設置等の事業を展開し一層の努力をしていく考えであります。
農業の振興による就業の場の確保については、農村部や離島において農業就業人口と関連産業就業者の構成割合が高いことから極めて重要であると考えております。このため、農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムに基づき労働集約的な園芸生産団地の育成や養殖漁業の振興、さらには農水産物加工施設の整備など就業の場の確保拡大につながる施策に取り組んでまいります。
次に、介護保険制度について、要介護認定の各市町村の実態についてでございます。
県では、約2万7000人が要介護認定を申請すると予想していますが、平成12年1月末現在で約70%に当たる1万9000人が申請を行っています。そのうち83%が認定調査を終え、1万400人、55%に結果通知が行われています。
各市町村においては、自治会単位で申請受け付けを行うなど工夫をした取り組みをしていますが、県としましては制度施行までにはすべての要介護者等に対して認定を行えるよう市町村を指導しているところです。
次に、平和祈念資料館の問題について、設置理念に照らして運営を戦没者慰霊奉賛会への委託はふさわしくないとの指摘がなされてきた、理念にふさわしく県立としての運営母体にすべきではないかとの御質問に対するお答えでございます。
新平和祈念資料館については県で直営することとしており、その機能が十分発揮されるよう16人の職員配置を考えており、人件費は別として、運営費として2億4000万円余の予算を計上したところであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 新垣米子議員の基地問題に関する質問事項のうち、米軍は普天間基地と嘉手納基地について騒音防止協定を結んでいるが守られているか、それから地位協定のもとでの使用協定が何ら米軍を拘束するものにはならないのが実態で、それでも使用協定で県民だましをするのかという御質問にお答えをいたします。
平成8年3月に日米合同委員会で合意された嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機騒音規制措置では、進入及び出発経路を含む飛行場の場周経路はできる限り学校、病院を含む人口稠密地域上空を避けるよう設定すること、午後10時から午前6時までの間の飛行及び地上での活動は米軍の運用上の必要と考えられるものに制限されること、日曜日の訓練飛行は任務の所要を満たすために必要と考えられるものに制限されることなどの措置がとられることになっております。
県としては、これまで渉外知事会及び軍転協を通して航空機騒音の軽減等を日米両政府に対し要請してきたところでありますが、飛行場周辺の一部地域ではうるささ指数の軽減が見られること、深夜から早朝にかけての航空機騒音の発生が平成7年度と比較して嘉手納飛行場周辺及び普天間飛行場周辺ともに、総じて減少傾向を示していることなどから米軍においても航空機騒音を軽減するよう努力しているものと考えております。
名護市長は、代替施設の受け入れ表明の際に、「基本的には、住民生活に著しい影響を及ぼさないことであり、それを保証するものとして日本政府と名護市が、基地の使用協定を締結すること」を求めております。
名護市の求めに応じ、国は昨年12月28日の閣議決定において「政府は誠意をもって米国政府と協議を行い、政府関係当局と名護市との間で協定を締結」するとの方針を定めておりますので、協定の締結により住民生活への影響に関して名護市の要望が満たされる道筋ができるものと考えております。 また、今回の使用協定は、これから建設される基地の使用に関して日米が協議を行うものでありますので、建設に至る過程において地元の意向が使用協定に反映されることが期待できることになります。
さらに、当該使用協定は「飛行ルート、飛行時間の設定、騒音対策、航空機の夜間飛行及び夜間飛行訓練、廃弾処理等、名護市における既存施設・区域の使用に関する対策、その他環境問題、代替施設内への地方公共団体の立入り」など広範にわたって地元自治体と取り決めを行うことになるほか、協議機関等において「定期的なフォローアップを行うこととする。」とされておりますので、協定の締結の実現は、本県の基地問題の解決促進に当たって従来とは異なった対策を可能にするものと考えております。
同じく基地問題に関する質問事項のうち、ニアミスに対して米軍に抗議と原因の徹底究明と再発防止のためどのような具体的な要求をしたのか、また政府を動かす実効あらしめる行動、申し入れを行ったのかという点と、原因が究明されるまでの間、米軍の戦闘機の訓練中止を要求すべきではないのかという2点につきまして一括してお答えをいたします。
去る2月4日に発生したエアーニッポン機と米軍のジェット戦闘機とが異常接近したとされる事態について、エアーニッポン機の機長から運輸省航空局への報告によりますと、最接近時の高度差はわずか約200フィート(約60メートル)で、同機の衝突防止装置が作動し回避行動をとったとのことであります。
一方、在日米海軍司令部は、FA18ホーネット機と日本の民間機との遭遇は認めているものの、いかなる時点においても民間機への危険性は存在しなかったとしております。事実関係は今後の正式な報告を待たなければなりませんが、今回このような事態が発生したことは極めて遺憾であります。
航空機は、多くの離島から成る本県にとって県民の日常生活はもとより、観光立県を目指す本県の産業振興の上からも重要な輸送手段であり、民間航空交通の安全確保は優先されるべきものであると考えます。
県では今回の事態を重く受けとめ、去る2月10日、在日米軍沖縄地域調整官、在沖米海軍艦隊活動司令官、在沖米国総領事、外務省沖縄事務所政府代表特命全権大使、那覇防衛施設局長に対し、事実関係の究明及び公表を求めるとともに、二度とこのようなことが起こらないよう再発防止に万全を期すよう強く要請してきたところであります。
またその際、民間航空交通の安全確保を図る観点から、米軍機の急接近により民間機の衝突防止装置が作動することのないよう民間機との間に十分な距離をとって訓練を行うようあわせて要請したところであります。県としては、今後とも引き続き県民の生命、生活及び財産を守る立場から、事故の再発防止と安全管理の徹底を日米両国政府に強く求めていきたいと考えております。
次に、同じく基地問題に関する質問事項のうち、県と防衛施設局に食い違いがあるが県の態度はどうだったのか、2点目に県の許可に従って着陸したとの防衛施設局の発言に対して抗議をしたのか、3点目に3月2日の使用を断固拒否すべきで、無視して強行するのであれば基地の受け入れ表明の撤回を含めて県民に納得のいく姿勢を示すべきではないかという点について一括してお答えをいたします。
那覇防衛施設局の県の許可に従って着陸したとの発言につきましては、所要の手続を踏まえて使用されたものと理解しているという趣旨の発言であると説明を受けております。
県は、米軍機の石垣空港の使用については去る2月14日、民間空港の離発着及びエプロンの使用が過密な状況にあるなど県民生活及び観光面に多大な支障を来すおそれがあることから、米軍に対し自粛するよう要請しました。
また、米軍機が石垣空港を使用した15日には、在沖米海兵隊基地司令部を初め関係機関に対し遺憾の意を表明するとともに、今後米軍機による県管理空港の使用を自粛するよう要請しております。
さらに去る2月22日にも、来る3月2日に予定されている石垣空港の使用を自粛するよう重ねて申し入れを行ったところであります。
県としては、今後とも引き続き県管理空港の設置目的及び安全性並びに定期運送の円滑な運航を確保する観点等から、緊急時以外の米軍機による県管理空港の使用をしないよう日米両政府に対し働きかけていきたいと考えております。
以上でございます。
○企画開発部長(宮城正治) 深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題についての関連で、この10年間で小売業の廃業や農水業離れによる失業者数はどれだけかとの御質問にお答えいたします。
商業統計調査では、全国の商店を業種別、規模別、地域別等に把握いたしまして商店の分布状況や販売活動など商業の実態を明らかにすることを目的として3年おきに実施されてきています。この調査では廃業した商店についての調査はありませんが、商店数の推移を見ると本県の商店数は昭和63年調査では2万1983店あったものが、平成9年調査では1万7904店へと4079店の減少となっております。これは18.6%の減であります。
しかしながら、従業者数につきましては昭和63年調査時では6万9161人でありましたが、平成9年調査では6万9959人と798人の増、1.2%の増加となっております。
また、労働力調査から農林水産業の就業者数を見ると、本県の場合平成2年が5万8000人、平成11年が4万人で31%の減、すなわち1万8000人の減少となっております。
なお、各業種からの失業者数につきましては、労働力調査特別調査では各県別の公表がなされていないため掌握いたしておりません。
以上です。
○商工労働部長(宮城春一) 新垣米子議員の深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題についての質問の中で、コールセンターの誘致での雇用の実態は低賃金の不安定雇用となっている、県の主体性を主張し安定雇用を強く要求すべきではないかとの御質問にお答えいたします。
本県に進出しているコールセンター等の情報通信関連企業の賃金水準や雇用形態については、業務の内容に応じて異なっており、より高度な技術を必要とする職種では相対的に賃金が高くなっている一方、パートタイマーや派遣労働者で対応している職種もあると聞いております。
なお、ハローワークでは誘致企業からの求人に対しても労働基準法等の労働関係法令に適合しているかどうか確認しており、引き続き優良求人の確保に努めてまいりたいと考えております。
同じく深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題について、県内企業のサービス残業などの実態はどうなっているか、企業の一方的な都合によるリストラ強行に対して県は行政指導を強化すべきと考えるがどうかという御質問にお答えいたします。
時間外労働など労働条件に関する企業等への指導監督は、一義的には国の機関である労働基準局で行っております。
御質問のサービス残業の実態については、現在のところ労働基準局においても把握していないと聞いております。県としましては、労働基準局とも連携を図りながら労働基準法が遵守されるようあらゆる機会をとらえ制度の周知啓発に努めているところであります。
なお、企業のリストラに伴う解雇等に対しては、県で設置している労働相談所における個別の労働相談を通して労使双方に指導助言をしており、今後とも適切に対応していきたいと考えております。
同じく深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題について、地域の既存商店街を守るためにも大型店舗の規制を県としてもやるべきではないかという御質問にお答えいたします。
中小商業者と大店との調整につきましては、これまで大店法に基づいて出店調整を行ってまいりました。平成12年6月からは大店法が廃止され、新たに大店立地法が施行されることになっておりますが、大店立地法においても主として周辺地域への生活環境上の影響を勘案しつつ出店調整が行われることになっております。
大型店舗に対する県等による独自規制につきましては、現行大店法第15条の5及び今後施行される大店立地法第13条において地方公共団体は法の趣旨を尊重することとされており、県による独自規制は困難と考えております。県としては、中心市街地活性化法に基づき市町村で策定が進められている中心市街地活性化計画による各種商業施策への支援を行い、商店街の活性化や競争力の強化を図るなど商店街の振興に努めてまいります。
同じく深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題について、その中での質問の酒販等新たな規制緩和で関係業者は危機感を訴えています、県として反対すべきではないかという御質問にお答えいたします。
所管である国税事務所によりますと、酒類小売業の免許制度は距離規制が平成12年9月1日に廃止されるとともに、各年度の免許枠が平成15年9月1日に廃止されるとのことであります。規制緩和は、経済構造改革の一環として国策により進められているところですが、その動向については県としても見守っていきたいと考えております。
同じく深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題について、資金繰り苦等に対する緊急駆け込み資金等の県の融資制度が必要と考えるがどうかという御質問にお答えいたします。
中小企業者の資金調達の円滑化を図ることを目的とし、11種類の県単制度資金を設けてあります。平成11年度は170億4500万円の融資枠を確保し、中小企業者の資金調達に大きく寄与しているものと認識しております。
緊急駆け込み資金につきましては、県の融資制度が金融機関との協調融資であることや信用保証協会の保証つきを原則としていることから基本的な審査のための期間は必要であると考えております。しかしながら急を要する資金につきましては、なお一層の迅速な審査が行われるよう関係機関へ要請を行ってまいりたいと考えております。
なお、平成12年度から、短期的な運転資金を必要としている中小企業者に対し、従来中元、年末の季節的な資金に限定していたものを通年を通して借り入れができるように見直しをし、金融機関等々関係団体との調整をしているところであります。
次に、同じく深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題について、銀行への行政指導を強め貸し渋りをやめさせ、県保証協会の保証内容についても改善を要求すべきと考えるがどうかという御質問にお答えいたします。
中小企業者への貸し渋りにつきましては、中小企業金融安定化特別保証制度の実施による効果等もあり、地域融資動向に関する情報交換会における商工会議所等の中小企業団体からの報告や、平成12年2月に実施いたしました中小企業者の資金調達状況に関するアンケート調査の結果からも緩和されているとの回答を得ております。県といたしましては引き続き特別保証制度の周知を図り、融資の円滑化について金融機関に対し要請を行うとともに、県単制度資金の融資枠の拡大、融資条件の緩和等を講じていく所存であります。
また、信用保証協会の保証実績は平成11年12月末現在、申込件数7202件に対し保証承諾件数は6568件で承諾率は91.2%となっており、中小企業者の資金調達に大きく貢献しているものと認識しております。
御承知のとおり、信用保証協会は、健全な経営に努力し企業の発展を図ろうとする中小企業者に対し、適切な信用を与えることにより金融機関からの資金調達の円滑化を図るという役割を担っております。県といたしましても、この機能が十分に発揮できるよう信用保証協会との連携を密にしながら、中小企業者の資金調達環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題について、県庁のサービス残業についてお答えいたします。
時間外勤務は、公務のため臨時に必要があるときに予算の状況も見ながら命ずるものでございます。
具体的には諸施策の推進、多様化する行政サービスや新たな行政需要に対応するため業務多忙時において必要最小限の時間外勤務を命じているものでございます。今後、職員の健康・福祉の向上を図る観点から、毎週月曜日及び水曜日のノー残業デーの徹底や週休日振りかえ制度の活用、不要不急な事務・事業の見直しを図ること等により時間外勤務の縮減に努めていきたいと考えております。
次に、県職員の削減の方針を撤回すべきではないかについてお答えいたします。
去年の11月26日に公表しました「沖縄県行政システム改革大綱」(案)に盛り込みました職員数削減目標は、一般行政職員を平成12年度から5年間で530人を削減することとしております。この目標数は、今後5年間における組織の簡素合理化や各種事業の進捗、地方分権一括法に基づく国への事務移管等の状況を踏まえたものでございます。
なお、ビルドについては、今後の行政需要を踏まえ別途検討する考えでございます。
以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題についての関連で、理容、美容、薬の新たな規制緩和で関係業者は危機感を訴えているが、県としても反対すべきではないかとの御質問にお答えいたします。
医薬品の販売規制緩和については、平成9年の閣議において、人体に対する作用が比較的緩和で販売業者による情報提供の努力義務を課すまでもない医薬品について一般小売店においても販売できるよう見直すことが決定されました。これを受けて、中央薬事審議会では平成10年にビタミン含有保健剤など15の製品群について医薬部外品の扱いに変更する報告書を取りまとめ、平成11年3月31日から実施されているところであります。
なお、同審議会においては解熱鎮痛薬等の副作用が強いものについては規制緩和は適当でないとの意見があります。
次に、公的資格制度の規制緩和につきましては、平成11年3月閣議決定の規制緩和推進3カ年計画で業務独占資格を中心に国民生活の利便性向上などの観点から制度のあり方を見直すこととしています。しかしながら行政改革推進本部規制改革委員会では、理・美容師の資格について具体的にまだ検討されてない状況にあります。厚生省は、改革案の提案を受けた後検討していくとの状況にありますので、県としては今後の動向を見守っていきたいと考えております。
次に、介護保険制度について4つの質問がございますので順次お答えいたします。
まず、介護保険施設入所者の中で5000人のお年寄りが施設を追い出されかねないが、県の対策はどうかとの御質問にお答えいたします。
平成12年度から16年度までの介護基盤の整備については、介護保険事業計画によって定めることになっていますが、国においては介護保険施設の整備率を3.4%としています。これは施設整備についての全国的な目標値であり、既に整備されている施設を縮小したり入所者の退所を促すというものではありません。
本県においては、特別養護老人ホームや老人保健施設の整備率が全国的にも高い水準にあることから、現状を受け入れる形で介護保険事業計画の策定をしているところであります。高齢者の方々が、住みなれた地域で必要なサービスが受けられるよう在宅サービスの拠点としての介護保険施設の充実に努めていきたいと考えております。
次に、保険料の減免制度の創設が必要と考えるがどうかとの御質問にお答えいたします。
高齢者の保険料については、所得に応じ5段階別にそれぞれの負担能力に応じて徴収することになっています。また災害や長期の入院、失業等により著しい収入の減少が生じた場合は、市町村は条例により減免することができることになっております。
なお、国の特別対策として高齢者保険料について平成12年4月から半年間は徴収を行わず、その後1年間は半額を徴収することになっています。また離島や人口規模の小さい町村については、平成14年度まで軽減策が実施されることになっています。県としましては、これらの結果を踏まえ、何らかの減免制度が必要かどうか市町村の意見等も踏まえて検討していきたいと考えております。
次に、施設の増設計画及びヘルパーなど整備の見通しについての御質問にお答えいたします。
介護保険施設については、平成11年度末までに特別養護老人ホームが4065人、老人保健施設が3732人分が整備される見込みとなっており、全国的にも高い水準で整備されています。平成12年度以降の施設整備については、市町村の実態を踏まえ沖縄県介護保険事業支援計画で整備目標を定めることになりますが、中間取りまとめの段階では増設等の新たな需要は出ていない状況です。
ホームヘルパーについては、平成11年3月末現在、4314人の養成を行っています。また離島町村においては現地に講師を派遣して講習を実施し、平成12年1月末現在393人のホームヘルパーを養成しています。県としましては、住みなれた地域で暮らし続けることができるよう痴呆性老人グループホームや軽費老人ホーム、在宅サービスの整備に努めるとともに、引き続きマンパワーの養成を図ってまいります。
次に、自立と認定されたデイサービス利用者に対する支援策の御質問にお答えいたします。
高齢者が寝たきりなどの要介護状態に陥らないよう状態がさらに悪化することを防ぎ、できる限り自立した生活を確保するために必要な支援を行うことが重要な課題となっています。そのため、介護予防・生活支援事業が平成12年度に創設されることになっています。この中で配食サービスや寝具乾燥サービス等の現行の事業に加え、新たに軽度生活援助事業や訪問理美容サービス事業、寝たきり予防事業など数多くのメニューが実施できることになっています。
なお、一定の条件を満たせば、介護保険法で指定するデイサービスセンターにおいて自立と認定された方でも「生きがい」型デイサービスを受けることができることになっています。県としましては、市町村に対しこれらの「介護予防・生活支援」事業を積極的に推進するよう指導しているところです。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 深刻な不況から県民の暮らしと産業を守る課題についての御質問で、タクシーなどの新たな規制緩和に県としても反対すべきじゃないかという御質問にお答えをいたします。
タクシーは、大量輸送機関としてのバスの補完的役割を果たすとともに、目的、必要に応じて気楽に利用できる身近な交通手段として県民生活に必要不可欠な生活交通として定着しております。
また、タクシーは本来、個々の利用者のニーズに対応したきめ細かい多様なサービスを提供することが可能であり、平成13年度からの規制緩和の実施は公正かつ自由な競争を促進することにより事業者の創意工夫を発揮させ、サービスの向上と事業の活性化を図ろうとするものであります。これにより利用者にとってよりよいサービスが提供され、タクシーの利用が促進されることが期待されているところであります。
○文化環境部長(宮城光男) 悪質なサラ金業者の取り立てについて、貸金業規制法等に基づく指導を強化すべきではないかという御質問にお答えします。
貸金業者の指導につきましては、これまでも立入検査及び法定研修会等あらゆる機会をとらえ法令を遵守するよう指導しているところであります。
御質問の貸金業者が調停に出席しないという件につきましては、民事調停法上の問題ではありますが、資金需要者等の保護を図る観点から県としましても調停への出席について協力依頼をしております。
また、不当な保証人の要求等の件につきましては、これまで立入検査等を実施し厳重注意を行ってきたところではありますが、是正されない貸金業者に対しては関係機関と連携を図りながら厳正に対処していきたいと考えております。
次に、法定人数に満たない消防職員を採用するなどで行政が積極的に公的責任を果たすべきだと思うがどうかという御質問にお答えします。
消防職員の定数については、消防庁が示す「消防力の基準」を参考にしてそれぞれの市町村の事情を加味し、市町村等が条例で定めることになっております。
この基準に基づき、平成8年4月1日現在で算定した県内の所要消防職員数は2080人となっておりますが、平成11年4月1日現在の条例定数は1396人、現員数は1379人となっております。したがって現員数は消防力の基準よりも701人、条例定数より17人それぞれ少ない人数になっております。
県といたしましては、消防力の充実強化を図るため基準を達成することは必要であり各市町村等に対し指導助言を行ってきたところでありますが、引き続きその確保に努めてまいりたいと思います。
以上であります。
○教育長(翁長良盛) 教職員の臨時任用を正式採用し30人学級を実現し、若者の雇用拡大に行政が積極的に公的責任を果たすべきだと思うがどうかという御質問にお答えいたします。
教職員の定数については、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」及び「公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準に関する法律」にのっとり、県の教職員定数を算定し、できる限り本務職員の配置ができるよう努めているところであります。
学校における定数内の欠員補充については、児童生徒数の増減に伴う教職員定数の変動や特色ある教育課程の実施への対応とともに、新規採用者の中長期的展望に立った採用計画などを図る上から一定の定数内の臨時的任用措置をやむを得ず行っているところであります。
また、30人学級の実現につきましては、現在国における第6次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画が平成12年度を期限として進行中であり、国の動向に沿って対応していきたいと考えています。
次に、就学援助制度の拡充についてに関連いたしまして、要保護及び準要保護児童生徒援助費の市町村からの要求はどうなっているか、それに対し国の補助金交付状況はどうなっているか、今後拡充すべきと思うが県の対応策を伺いたいという御質問にお答えいたします。
要保護及び準要保護児童生徒援助費補助金は、経済的理由によって就学困難と認められる児童及び生徒の保護者に対し、学用品費、医療費及び学校給食費等に必要な援助を与え、就学援助事業を行う市町村に国がその経費の一部を予算の範囲内において補助する制度であり、補助率は2分の1となっております。
平成10年度の実績は、市町村の国庫補助金要求額5億1111万円に対し、交付額は3億2914万円で64.4%となっており、市町村の対応費が大きい状況にあります。
今後、市町村の要求額に見合う補助金を交付するよう関係省庁に要望し、就学援助事業の円滑な実施に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○文化国際局長(金城勝子) 新平和祈念資料館について、条例案でもって運営協議会の設置があるが、具体的に何ら定めていないのはなぜかという御質問でございます。
条例案の第14条は──運営協議会関連ですけれども──その第1項でもって「重要事項について協議するため、沖縄県平和祈念資料館運営協議会を置く。」というふうに規定してございまして、次の第2項で条例施行で必要な事項を定めることにいたしております。具体的に細かい協議会の運営等につきまして規則で定めることにしているわけでございます。
それから同じく平和祈念資料館についてでございますが、学芸員の必要な人員を配置する上でも博物館法の精神にのっとり、博物館に準じた施設と運営主体を明確にすべきではないかというお尋ねでございます。
新平和祈念資料館は県で直営することとしており、その機能が十分発揮されますように学芸担当職員8名を含め16人の職員配置を予定しております。
以上でございます。
○新垣 米子 答弁漏れです。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後5時21分休憩
午後5時27分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
新垣米子君。
〔新垣米子君登壇〕
○新垣 米子 まず使用協定の問題で、締結できるということで期待できるということで答弁されました。
私はとんでもないと思うんですね。地位協定の見直しを言いましたけれども、知事は運用の見直しを政府はやるというふうなことを言いました。
運用の見直しでは根本的な解決にならないということが、あの女子高校生のひき逃げ死亡事件でも明らかになりました。国内法まで無視して特権を与えているこの地位協定そのものを見直さない限り、どんな使用協定を結んでも実効性がないということが明らかなんです。
だから改めて知事は、その地位協定そのものの見直しを要求しないのかどうなのか、ちょっとお答えください。
嘉手納ラプコンそのものも返還しないと言っている中で、どういう使用協定を締結しようとしているのですか。そのこともお答えください。
2番目に15年の問題です。
閣議決定をしたと、そして米国に伝えると、これも政府の姿勢を評価しているというふうな知事の答弁でした。
これも本当にまやかしだと思うんですよ。日本政府は県民の意向を伝えるだけと、正式な日米の協議の外交ルートに会議にのせるということを一言も言っていないですね。そのことをまず知事に確認をしたいと思います。認めますか、確認したいと思います。
知事も主張し続けるからこれでいいんだと、政府も県民の意思を伝えるだけだと、これでいいんだということがこれほど県民をばかにした話はないと思うんですよ。
そういう意味では、本当に日米両方の外交の問題だということでげたを預けていますけれども、文字どおり外交ルートに正式な議題としてのっからなかったら何一つこの15年の保証がないということは明らかじゃないですか。子供でもわかることですよ。改めて受け入れないということであれば拒否すべきだということを再度要求いたします。
そしてもう一つ、知事は国際情勢の変化に対応してということも言いました、15年の問題で。SACOの合意がより県民の願いにこたえる基地の整理縮小だから進めていくんだということに固執しています。
しかしSACOそのものが国際情勢を理由にして15年の問題、日米会談の議題にのっけてないんです。これはあくまでも沖縄のこのSACOの合意の実行がアメリカの要求にこたえた基地の強化だということがそこにうたわれているから最初から15年は門前払いなんですよ。日米両方そこに15年問題を協議する意思がないんですよ。それを知事は国際情勢の変化によって15年の問題を叫び続けるということは、知事自身が日米両方の本当に代弁者といいますか、県民だましの手先だということを言わざるを得ません。
そういう意味では、国際情勢との関連での15年の問題というのは知事はどうお考えなのか、改めてお伺いします。
そして最後に、今海上基地の問題だからこの40年以上の文書の問題について答弁を回避しましたが、海上基地であっても陸上の基地であってもアメリカは40年以上ということを、この問題は40年を要求しているわけですよ。この工法云々の問題じゃないんです、どこにつくるかどうかの問題じゃなくて、機能が、そして運用が40年以上なきゃならないということを突きつけているわけですよね。この内部文書の問題は政府も存在することを認めていますから、知事も改めていわばこれは県民の将来にかかわる重要な問題ですよ。21世紀のこの沖縄がさらに基地でこのことで苦しめられるかどうかという問題は歴史的な問題です。禍根を残す問題です。
ですからこの文書も改めて政府に対して要求する考えはありませんか、答えてください。
○知事(稲嶺惠一) まず地位協定の問題ですが、これは先ほども申し上げましたけれども、最後の文をもう一遍読んでみます。
この方針に沿って国の取り組みがなされるものと理解しておりますが、日米地位協定については、県が実施している「基地の環境調査及び環境浄化等に関する海外調査」委託事業の報告などを踏まえ、改めて県の要望が満たされていない事項について改定または運用の見直しを強く働きかけていきますということで改定を強く求めていきます。
次は、15年の使用期限についてでございますけれども、15年の使用期限については国に対して強く申し入れており、昨年12月28日の閣議決定を経て現在国において取り組んでいただいているところです。日米防衛首脳会談の結果については国から説明があり、コーエン国防長官からは日米安保共同宣言を念頭に置きつつ、日米両政府は国際安全保障環境の変化に対応して両国政府の必要性を最も満たすような防衛政策並びに日本における米軍の兵力構成を含む軍事態勢について緊密に協議を続けるべき旨の発言があったとのことであります。
さらに、拒否発言の報道に関しては国に確認したところ、コーエン国防長官が使用期限の設定を拒否したという事実はない旨回答を得ております。しかしいずれにしろ沖縄県としましては、これは県の立場で今後とも15年の使用期限問題は強く求めていきます。
それから先ほどの40年の問題ですが、40年はこれは先ほど、「海上施設に係る技術検討・評価報告書」は、SACOの最終報告で述べている撤去可能な海上へリポートに関するものであると理解しております。県としては、海上へリポート案については、県民の財産とならないことなどから政府に見直しを求めております。
新しい基地に関しましては、これは先般発表されましたように国、県、地元自治体等で場所、工法等の協議をすることになっております。
○新垣 米子 答弁漏れ。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後5時36分休憩
午後5時37分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) こういうことを言っています。
使用期限問題については、政府はこう決めております。「政府としては、代替施設の使用期限については、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しているが、沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。」と。だから取り上げるとともにですから、今後は具体的にどんどん取り上げられていくものと思います。
○新垣 米子 ちょっと待ってください。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後5時39分休憩
午後5時40分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
新垣米子君。
〔新垣米子君登壇〕
○新垣 米子 私は、やはり今度のこの質疑で知事の本当に反県民的な犯罪的なこの姿勢が明らかになったと思うんですよ。正式な外交ルートにのっけない……(発言する者多し)
○議長(友寄信助) 静粛に願います。
○新垣 米子 その返事ももらえない。しかも先ほどのコーエン国防長官が15年の問題は拒否するということを言っていないと。国会の中でもマスコミは連日このことを報道していることまで否定して、あくまでもアメリカの立場を擁護するというのはもってのほかですよ。そのことをうのみにして稲嶺知事が21世紀まで本当に県民を苦しめる基地をつくるということだったら、断固県民の、何を言っていると、私は糾弾をし絶対許さないという闘いをさらに先頭になって頑張っていく決意を述べて終わります。
○外間 盛善 通告に従い新進沖縄を代表して質問を行います。
簡単、明瞭に粛々といたします。そして簡潔にまた御答弁をお願いいたしたいと思います。
今定例議会冒頭における稲嶺知事の所信表明は、政治姿勢が非常に鮮明で現実を踏まえた実行可能な施政方針を展開されており、高く評価するものであります。
中でも基地問題解決の具体的施策、経済振興への強い決意は、私ども新進沖縄に限らず自民党の翁長幹事長、県民の会の金城会長、公明党の高良県民運動本部長も異口同音に絶賛しているところであります。ということは、すなわち圧倒的多数の県民の支持を得ているということであります。
知事におかれましては、自信を持って諸施策を展開し、県民の福祉の向上と県勢発展のために一層御奮闘されますことを期待申し上げます。
そこで質問いたします。
まず初めに、九州・沖縄サミットについてであります。
サミットについては、沖縄の観光という観点からも非常に重要であるという認識のもと、これを一過性のものにすることのないよう官民手を携えて万全の体制で臨んでおられますことを高く評価するところでありますが、中間報告の形で準備の進捗状況を伺っておきたいと思います。
次に、開館が間近い新平和祈念資料館の展示内容の問題であります。
本員は、昨年12月の定例会でこの問題を取り上げ、わずか0.5%の敗残兵の残虐行為を強調するのではなく、県民も含めた全体的な史実の公平、公正な展示内容を期すよう要望いたしましたが、その展示内容はどうなっておりますか、御説明をいただきたいと思います。
次に、話は50年前にさかのぼりますが、米国政府による国民指導員研修制度で1950年から20年間に沖縄各界のリーダー延べ300人がアメリカへ渡りました。また毎年50人から100人の米国留学生を送り出しておりました。これら国民指導員や米留帰りの方々が沖縄の発展に尽くした功績に異論を差し挟む者はありません。
私が今なぜこんなことを持ち出したかといいますと、復帰前のアメリカ民政府時代に劣らずあらゆる面の国際化に対応できる人材の育成が今急務だからでございます。
そこでお伺いいたします。
年間100億円、向こう10年間で1000億円という北部振興予算の一部を基金にすれば、国内外で国際化の時代に対応できる多くの人材が育成されると思われるがどうか。物をつくるより大事な人材育成にこの予算を生かす道はないものか、知事の御所見を賜っておきたいと思います。
ところで、これらのもろもろの問題を含めて知事御自身は平成10年11月に就任されて以来今日までの足跡を振り返りどのような感想をお持ちか、また何点ぐらいの自己採点をしておられるか、参考までにお聞かせいただきたいと思います。
次に、米軍基地のない南部や離島市町村の振興策についてお伺いいたします。
大田県政時代に普天間基地の県内移設に反対を唱えたことから、政府中央との関係がこじれたままとなっていました。これが稲嶺知事の誕生に伴い閣僚と県知事で構成する沖縄政策協議会が再開され政府との関係修復が行われ、沖縄振興策についてのさまざまな施策が矢継ぎ早に打ち出されていることはまことに御同慶にたえないところであります。
さらに昨年6月、沖縄経済振興21世紀プランの中間報告がまとめられ、本県経済の自立化に向けた政策が盛り込まれております。
また沖縄県米軍基地所在市町村特別事業、いわゆる島田懇談会事業として例えば嘉手納町における約250億円の再開発事業、北谷町での生涯学習支援センター、沖縄市のこども未来館、中の町再開発事業など総額1000億円という実質的には100%全額補助による事業が中北部を中心とする25市町村で38プロジェクトが推進されているところであります。
さらに、北部地域の振興開発を図るため政府、県及び北部12市町村で構成する北部振興のための協議機関が設置され、平成12年度においてそのための事業費が100億円も計上され、加えて向こう10年間に1000億円の事業が計画されるなど国、県の振興施策の目は北部に一極集中している感じがあります。
それに比べ、南部地域や離島地域では具体的な大型プロジェクトがありません。本県の均衡ある発展を図る上からもこれら地域の発展に結びつくような事業の展開が求められているところではないでしょうか。
沖振法は、地域バランスのとれた振興を目指しているところであり、その整合性を図るという観点から知事の御所見を賜りたいと思います。
次に、米軍基地のない南部地域及び離島、先島の振興策についても国の何らかの振興策を講ずる必要があると思っておりますが、知事はどのようなお考えをお持ちですか。
ところで、野中自民党幹事長代理は先般県内での発言で、基地所在市町村以外の市町村でも経済振興策を打ち出す必要があると強調されました。これは官房長官時代から言及されているところであり、県としても米軍基地所在市町村以外の地域においても具体的な振興策を政府に要請すべきであるという認識を持っておりますが、知事はそのことについて政府に要請するお考えがあられるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
さて、全国的にもバブル経済崩壊以降、経済の長期低迷により国家財政を含め地方自治体の財政は逼迫しております。特に南部地域においては財政難から庁舎建設のための基金を取り崩して一般財源に充てるなど、かつてない厳しい状況が続いております。
ところで、国土面積の0.6%でしかない本県に全国の米軍専用施設面積の約75%が集中し、全県で11%、沖縄本島だけを見ると全体の20%が米軍基地であります。自衛隊基地等も合わせると県民は皆ひとしく基地の谷間で生活していると言っても過言ではありません。
このことからすると、基地の被害は全県民がひとしくこうむっているのであり、基地所在市町村だけに防衛関連予算や政府の思いやり予算が偏って交付されることは、基地のない市町村から見るとどうも合点がいかないと思われるがどうか。
また、本県の振興開発計画では地域バランスのとれた振興を目指しているが、このこととの整合性はどうなっているか、御説明を賜りたいと思います。
南部や先島には、地域振興につながる大型プロジェクトは余り聞いたことがありません。こうした中で事業の目ぼしいものを若干拾ってみますと、今、西原、与那原、佐敷方面においてMTP、いわゆるマリン・タウン事業が推進されておりますが、これは立派な事業であると認めております。しかし埋めればよいというものではなく、その跡利用策が具体的に実現できる内容になっているかどうか、その構想と見通しについても説明をお願いしたいと思います。
次に、南部の西海岸地区を見ると豊見城村の与根・翁長地先埋立事業が現在進行中でありますが、そのことについても土地の跡利用計画、とりわけ大事な企業立地の問題が大変厳しい経済環境のもとで憂慮されます。そういった企業立地に向けた具体策、つまり跡利用についての方向と見通しについて承っておきたいと思います。
また那覇空港は、観光客の増加とともに手狭になりつつあります。ことしのサミットを機会に本県の風土、歴史、文化、人情あふれる豊かな県民性、亜熱帯性の温暖な気候、すばらしい景観等を大いに世界じゅうの人に知らしめることによって、サミット後は国内外からこれまで以上の多くの観光客が訪れることが予想されます。専門家によると、この10年以内に現在の年間456万人から700万人への増加が想定されているところであります。
10年以内に年間700万人の観光客が訪れるとなると、場当たり的、泥縄式の対応策ではなく、今からきちっとした確固たる整備を体系的に進め、いつでもそれに対応できるような体制を整える必要があります。その意味でも那覇空港のハブ機能を有する沖合展開構想による滑走路の増設は、我が県政にとって急務な大きな課題でございます。
今年度予算で2000万円という基礎調査的な予算が計上されておりますが、今後とも継続的に予算的な裏づけを行い、那覇空港の沖合展開構想の実現に向けて積極的に取り組むべきだと思いますがどうなっているか、知事の御所見を賜りたいと思います。
さらに現在、久米島での海洋深層水の取水事業、これも立派に進めているところでございますが、その進捗状況はどうなっているか。
また、深層水を利活用する具体的な事業はいかなるものがあり、実施(いわゆる供用開始の時期)はいつごろか、あわせて御説明を賜りたいと思います。
また、糸満市における農業試験場の移設問題は、打ち出されて既に大分時間がたっておりますが、用地買収問題で壁にぶつかったりしていると伺っております。これが隘路となって事業に大きなおくれが出ていると聞いておりますが、現在の状況と今後の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
次に、豊見城村では県道11号線と県道68号線、これは豊見城村の主要基幹道路として20年来の懸案事項でありますが、足踏み状態で道路の改良事業が進んでおりません。これについて県はどのような認識に立っておられるのか、改良事業の具体的な事業の計画と進捗状況をあわせて御説明いただきたいと思います。
次に、国道331号も糸満市を初め南部の県議団や各市町村長から繰り返し県に要望が出されておりますが、その進捗状況は全く芳しくありません。このことについても南部20万県民の納得がいくような計画の方向性と進捗状況について県の考え方を明らかにしていただきたいと思います。
ほかには南部では目ぼしい振興策が見えておりません。これまで口を酸っぱくして申し上げたとおり、南部には大型プロジェクトが少ない。そういう立場から基地のある中北部地域との間に余りにも事業の格差があり、そして偏りがあり過ぎるのではないかということを考慮しながら、南部の振興策も県民の目に見える形で具体的にお示しいただきたいと思います。
大きい3番目、次に畜産振興と環境問題並びに有機質肥料の造成についてであります。
この問題については12月定例議会でも質問いたしましたが、極めて重要な事項でありますのでいま一度取り上げて質問をいたします。
畜産農家にとりましては、現在、一戸一戸に対する機械のレンタルの仕組みがあり、また融資の制度もありますが、これでは旧態依然の域を脱することができず、全県的な目的を果たせておりません。
この課題を解決するためには、国庫補助事業の導入を検討すべきであると考えております。それに向けて組合をつくれば搬入方式によるふん尿処理施設並びに厩堆肥の造成工場まで補助事業の取りつけが可能であります。
これはわかりやすく言えば、人間のし尿処理施設と同じであります。本土では組合方式をとって既に事業化されたところもあると伺っております。国庫補助率88%の事業でありますから、そのまま放置しておくことは大変残念なことにつながります。畜産と関係の深い各市町村並びに関係農協、そして受益者に対する県の適正な指導と積極的な取り組みがあれば組合方式による団体の処理施設が十分可能であります。せっかく国の補助制度があるにもかかわらず、手をこまねいてこれを活用しないのでは余りにも無策過ぎます。
今、沖縄の農業で1000億円足らずの第1次産業の所得、粗収入の状況を見た場合、どこでどう頑張っているかわからない程度の畜産業が農業粗生産額の38%も占めております。これはまさにさとうきび代の2倍強に相当するものでございます。
しかしながら、最近は畜産が及ぼす環境問題について風当たりが強くなっております。現状のまま放置すれば、ややもすれば畜産農家は肩身の狭い思いで事業を続けるか、やめるかしかないと思われます。これまでは悪臭防止法とか県の悪臭防止条例があっても罰則はありませんでしたが、近々罰則規定もできるとの報道もございました。こうなると結局、これに十分対応できる施設をつくらない限り畜産農家はやっていけないという時代が間もなく訪れます。
これほどの有望産業をいかに大事にし、さらに大きくしていくかが今後の沖縄農業のかぎを握ることになると確信しております。有機質肥料ができたらこれを農地に還元することによって他の農産物の振興へもつなげ、農家経済を潤すだけでなく県経済にも大きくかかわるまさに重要な課題でございます。
そこでお伺いいたします。
畜舎ふん尿の処理状況と現状について御説明いただきたいと思います。
さらに、環境対策と畜舎ふん尿処理に係る国庫補助事業の導入についての御所見を賜りたいと思います。
以上で質問を終わります。よろしくお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 外間盛善議員の質問にお答えいたします。
最初は、サミットの開催に向けての作業の進捗状況はどうかという御質問でございます。お答えをいたします。
サミットそのものは国が行う国際会議ですので、各国代表団の接遇や会議の運営、プレスへの対応など基本的な業務は専ら国が担当することになります。
このため、国においては小渕総理を先頭に、九州・沖縄サミットの成功に向けて関係省庁を網羅した九州・沖縄サミット開催準備本部を設置するとともに、国の予算措置として総額815億円にも及ぶ必要経費を計上するなど万全の体制で臨んでおります。
一方、県はサミット開催地として国が行う開催運営に対する協力支援を行うとともに、サミットを契機に沖縄の国際化や振興発展につながる取り組みを展開しているところです。具体的には万国津梁館の建設などの基盤整備を初め宿泊・輸送対策や警備、消防・救急体制などの面で支援業務を着々と進めています。
また、クリーンアップ事業や関連イベント等を通して開催機運を盛り上げ、県民一体となった受け入れ体制の確立を図っているところであります。
さらに、インターネットホームページの充実など沖縄を世界へ強くアピールしていくためのさまざまな情報発信事業にも積極的に取り組んでいるところです。県としては、今後とも関係機関と連携を密にしながら県民参加型のサミットの実現を目指して諸準備に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
次に、所信表明の中で、知事は就任以来今日までの足跡を振り返りどのような感想をお持ちか、また何点ぐらいの自己採点をしているか参考までに聞かせてほしいということでございます。
はっきり言いますと、どのぐらい私は具体的にいろいろなものに取り組んだのかということで、昨日事務局の方から出したのは実は4ページにわたっております。恐らく公約の80%から90%については具体的に取り組んで何らかの結果が出たか、あるいは具体的にやはりステップ、第一歩を踏んだかということで、本当にほとんど休む日もなしに毎日よく頑張ったなということを私は印象に持っております。
これは、ともかくこの4ページに及ぶというのは、本当にこれだけの公約を1年ちょっとの間に首を突っ込んだということは、我ながら自己採点をすると大変高い評価だと思っております。しかし評価はこれは皆さんがやるものでございますので、これはお任せをしたいというふうに思っております。ただ、私の能力からすれば大変に自己の能力をはるかに超える頑張りをしたなということを感じております。
続きまして、新平和祈念資料館のその後の経過について説明願いたいということでございますが、新平和祈念資料館につきましては現在監修委員の監修のもとで展示作業が進められており、4月1日には開館する予定であり、県民の期待にこたえる立派な資料館になるものと考えております。
次に、1000億円の北部振興予算を基金にして国際化時代に対応できる人材の育成にこの予算を生かす道はないかという御質問に対するお答えでございます。
北部地域の振興に当たっては、雇用の創出を図るとともに定住条件の整備を進めることが重要であります。そのためには産業を支える高度・専門的な人材の育成・確保が必要であると考えています。
北部地域における人材の育成については、これまで名桜大学を中心に人材の育成に努めておりますが、引き続き高等教育機関の充実を図るとともに、起業化の環境整備としての人材育成支援、情報通信分野における人材の育成などに取り組んでいきたいと考えています。
これらのプロジェクト等の具体化については、地元の意向を尊重しつつ国、県及び市町村で構成する北部振興協議会等の場において今後検討されることとなります。
次に、那覇空港の沖合展開構想の実現に向けた取り組みについての御質問についてのお答えでございます。
本県の自立型経済を実現するためには、那覇空港の国際航空ネットワークを拡大しパシフィック・クロスロードにふさわしいハブ空港化が必要であります。そのため、那覇空港の24時間運用を実現し、新たな国際路線の誘致やフェデックス社などの国際航空貨物中継拠点の形成を図っていきたいと考えております。
ハブ空港化を実現するためには、沖合展開による平行滑走路の建設が必要であり、これは将来の沖縄の振興を図る上で極めて重要な意義を持つものと考えております。
また、那覇空港は滑走路の処理能力が限界に近づきつつあり、観光客の増大へ的確に対応し本県観光の持続的発展を図るためにも平行滑走路の建設を急ぐ必要があります。
このため、県としましては平行滑走路の建設について官民一体となった機運の醸成を図りながら早期の事業着手を国に働きかけていきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(宮城正治) 米軍基地のない南部や離島の振興策の関連で、北部に集中している振興策と沖振法の地域バランスのとれた振興の整合性、南部や離島、先島の振興策、自衛隊基地の所在市町村に対する振興策、この3点の御質問に一括してお答えいたします。
振興開発計画では、県全域を中南部、北部、宮古、八重山の4つの圏域に区分し、県土の均衡ある発展を図る観点からそれぞれの特性に応じた振興策を推進しているところであります。こうした観点から、自衛隊基地の所在する南部地域については、地域バランスなども十分踏まえ各種振興策を推進してきたところであります。
南部地域については、現在、交通アクセスの改善を図るため地域高規格道路として沖縄西海岸道路、南部東道路の整備を進めているところであり、また産業振興、地域の町づくりに資するため豊見城地先開発、中城湾港マリン・タウン・プロジェクト、沖縄本島南部地下ダム建設等南部地域の振興に資する各種の施策を推進しているところであります。
また、離島、先島地域については離島架橋、道路、空港、港湾の整備を初め上下水道施設の整備、保健医療、教育施設の整備を推進するとともに、地場産業の振興に資する離島フェアや観光・レクリエーション、他地域との交流促進に資するコミュニティーアイランド事業などを推進しているところであります。
次に、同じく基地所在市町村へ予算が偏っているのではないか、振興開発計画の地域バランスの整合性はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
米軍基地所在市町村においては、沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業、いわゆる島田懇談会事業が基地所在による閉塞感を緩和するため実施期間を区切るなど特別な措置により実施されております。
また、基地周辺整備事業についても国の事業として基地の設置・運用により生ずる障害の防止または軽減を図り、関係住民の生活安定と福祉の向上を図ることを目的としており、これらの事業はいずれも特定の目的で限定的に措置されていることを御理解いただきたいと思います。
次に、久米島での海洋深層水の取水事業の進捗状況はどうなっているか、また深層水を利活用する具体的な事業はいかなるものがあり、供用開始の時期はいつごろになるかとの御質問であります。
海洋深層水研究所の建設事業は、平成9年度から科学技術庁所管の国庫補助事業を導入して整備を進めているところであり、平成12年3月末に完成させ、4月から施設全体の試運転を経た後、6月から本格的に供用開始をしたいと考えております。
本研究所では、深層水の特性である低水温性、富栄養性、清浄性を活用して農業分野、水産分野、工業分野等の実用化に向けた技術開発を図ってまいります。
農業分野では、高温障害解消による野菜の周年栽培や開花時期調整による花卉、果樹の端境期出荷など冷温農業の確立を図ってまいります。
水産分野では、ウイルスフリーのクルマエビ母エビの養成や海藻類、ウニ等の陸上型養殖による周年生産技術の確立を図ります。
工業分野については、企業との連携により製塩、健康飲料水、化粧品、その他の新商品の開発を進め地場産業の振興を図っていきたいと考えております。
以上であります。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 米軍基地のない南部や離島の振興策についての御質問で、米軍基地所在市町村以外の地域においても具体的な振興策を政府に要請すべきであると思うがどうかとの御質問にお答えをいたします。
御承知のように、基地所在市町村においては基地交付金等の基地関連収入があり、また米軍基地所在市町村活性化特別事業、いわゆる島懇事業などにより地域の振興策が実施されております。
このような中で、基地のない市町村から地域振興を図るための財政支援についての要望が出されているところであります。県土の均衡ある発展を図る観点から、基地のない市町村についても財政支援を含めた地域活性化策を検討する必要があると考えており、関係機関とも調整してまいりたいと思います。
○土木建築部長(銘苅清一) マリン・タウン事業の土地利用の構想と見通しについての御質問にお答えいたします。
中城湾港マリン・タウン・プロジェクト事業は、西原・与那原地区、佐敷東地区、知念地区の3地区を一体とした計画で、アメニティー豊かな海辺の町づくりをテーマに事業を推進しているところであります。
同事業は、平成2年に中城湾港港湾計画に位置づけられ、そのうち西原・与那原地区については平成8年度に埋立造成工事に着工し、平成15年度に埋め立てを竣功する予定であります。
当該地区は、既成市街地の過密解消への対応や西原町、与那原町の土地利用との整合性を図るため住宅、学校、官公庁等の用地を造成する計画となっております。
同地区の第1区域については平成11年5月に埋立竣功したことから、土地利用計画に沿って県の西原浄化センター用地や与那原町の住宅用地等に土地処分がなされ基盤整備が行われております。残りの用地についても鋭意整備を促進する考えであります。
また、佐敷東地区については、その後の社会経済状況の変化への対応やトカゲハゼの生息地の保全を図る観点から平成10年3月に計画を見直したところであり、知念地区とともに今後とも社会経済情勢等を的確に把握しながら事業化に努めてまいります。
次に、県道11号線と県道68号線の改良事業の具体的な作業計画と進捗状況についての御質問にお答えいたします。
県道11号線の整備については、総延長約2710メートルのうち約1190メートルを街路事業で、残り1520メートルを土地区画整理事業で整備を進めることにしております。
街路事業で整備を予定している区間のうち、国道329号から真玉橋を含む約820メートルについては現在事業実施中であり、残りの区間についても引き続き整備を進めてまいりたいと考えております。
また、土地区画整理事業の整備区間のうち、高安橋前後の約590メートルは平成15年度完成の予定であります。残りの930メートルについては、高安地区土地区画整理事業で整備する方向で現在地元と調整しているところであります。
県道68号線の整備については、総延長約1700メートルのうち上田交差点から国道331号向け約800メートルの区間については豊見城村が土地区画整理事業で整備を進めており、残りの約900メートルについてはその整備手法について今後検討してまいりたいと考えております。
県道11号線及び68号線については、真玉橋における遺構発掘や豊見城村の土地区画整理事業の地元調整及び膨大な財源確保、用地取得の難航等に日数を要したこともあり事業の進捗がおくれている状況にありますが、今後とも豊見城村と十分連携を図りながら早期整備に努めてまいりたいと考えております。
次に、国道331号の改良事業の計画の方向性と進捗状況についての御質問にお答えいたします。
一般国道331号は、国において整備する直轄国道であります。
国におきましては、当該道路についてバイパス事業を推進していることから、現国道の全線にわたる拡幅整備をバイパス事業と同時に行うことは制度上困難であるとのことであります。
しかしながら、県としましては当該道路が交通渋滞の著しい幹線道路と認識しており、その早期整備について国に要請し協議してきたところであります。その結果、国におきましては交差点改良事業、交通安全整備事業、沿道環境改善事業として、また県においても県道との取りつけ部分において交差点改良事業としてそれぞれ整備を進めているところであります。
進捗状況としましては、全体延長約4.5キロメ-トルのうち70%の約3キロメ-トルが整備区間に取り組まれることになり、そのうち全体延長の約18%の800メ-トルが整備済みであります。
県といたしましては、残る区間につきましても引き続き早期整備が図られるよう国に強く要請してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○商工労働部長(宮城春一) 外間盛善議員の米軍基地のない南部や離島の振興策についての質問の中で、豊見城村地先開発事業の企業立地に向けた具体策、つまり土地利用についての方向と見通しについて聞きたいという御質問にお答えいたします。
豊見城村地先開発事業の事業所用地約60ヘクタールへの企業誘致については、県、豊見城村及び事業主体である沖縄県土地開発公社が連携して取り組んでいくこととしております。
当該事業所用地の展開については、平成9年11月に策定した国際都市形成に向けた新たな産業振興策において特別自由貿易地域としての展開について触れられておりますが、この特別自由貿易地域は、当該地域への立地業種が原則として貿易またはこれに関連する業種に限られていることから、当該地域への企業の立地促進を図る上で特別自由貿易地域としての展開がよいのか、それとも一般工業団地としての展開がよいのか、それぞれに適用される優遇措置や特別自由貿易地域中城湾港新港地区への企業の進出動向等を見ながら慎重に検討を行う必要があると考えております。
したがいまして、県としては当面、企業の立地促進に向け誘致インセンティブを高める観点から、税制上の優遇措置が適用される工業等開発地区としての指定を今年度中に沖縄開発庁長官あてに申請することとしております。
なお、当該地域への企業誘致については国内外で実施される企業誘致説明会、企業訪問等、県の企業誘致活動の中において新しい投資先として積極的に紹介し企業の立地を促進していきたいと考えております。
○農林水産部長(小那覇安優) 米軍基地のない南部や離島の振興策についての関連で、農業研究センター移転整備事業の現状と今後の見通しはどうなっているかとの御質問にお答えします。
農業研究センターの移転整備については、平成7年度から用地取得を開始し、平成13年度に移転する計画でありましたが、用地取得が難航したため移転計画は大幅におくれている状況にあります。
平成12年1月末現在における用地取得状況は、地権者で82%、面積で71%となっております。
用地取得がおくれている主な理由といたしましては、農業の継続を希望し農地を手放したくない専業農家との交渉に時間を要していること、隣接地域に同一条件の代替地を要求している専業農家との交渉に時間を要していることなどであります。
今後の対応策については、専業農家が今後も農業を継続できるよう農家の意向を十分把握するとともに、代替地対策を強化していく考えであります。
また、農業研究センター整備事業の今後のスケジュールについては用地の早期取得に努め、平成13年度に基本計画を作成し、平成14年度には敷地圃場の造成工事に着手する予定であります。
なお、移転完了は平成17年度を目途としております。
次に、畜産振興と環境問題に関連した有機質肥料の農地還元、家畜ふん尿処理の現状と対策、家畜ふん尿処理システムの補助事業導入については関連しますので一括してお答えします。
本県の畜産は県民の旺盛な畜産物の需要に支えられ、順調に発展し農業粗生産額の約40%を占めるなど農業の基幹的部門に成長しております。
しかしながら近年、混住化の進行や畜産の規模拡大の進展等から自己経営内及び地域内における家畜ふん尿の循環利用が困難になり、悪臭発生や河川の水質汚濁等の畜産環境問題が発生しております。県としては、畜産試験場が開発した低コスト活性汚泥法による浄化処理やオガコ式豚舎へ改善するなど補助事業の活用による環境対策に努めていく考えであります。
また、家畜ふん尿の農地還元は重要な課題であることから、その有効利用を図るために林業サイドからのオガコの安定供給の方策と耕種部門における堆肥化・施肥技術について総合的に検討し、資源循環型農業を確立していく考えであります。
以上でございます。
○議長(友寄信助) 休憩いたします。
午後6時26分休憩
午後6時28分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
農林水産部長。
〔農林水産部長 小那覇安優君登壇〕
○農林水産部長(小那覇安優) お答えします。
御指摘の総合的な畜産環境問題というのは、今ハード事業として畜産経営環境整備事業というのがございます。これは石川市で平成12年度から導入する予定にしております。
その種の事業が地域から要望があれば事業としてつくれます。
今、南部地域では国庫補助の畜産経営環境整備事業について、調査事業が平成12年度から入ります、雄樋川流域においてですね。この事業の調査結果に基づいて雄樋川流域全圏域の畜産環境対策についてどういう事業を仕組むかということがより具体化してきます。
以上でございます。
○伊波 洋一 結の会を代表して代表質問を行います。
次年度の県政諸施策については委員会で取り上げ、本日は基地問題を中心に取り上げたいと思います。
基地アクションプログラムを提案して日米両政府に沖縄の米軍基地の整理縮小と海兵隊の削減、撤退を求め、米軍のアジア10万人駐留体制による沖縄基地の固定化、機能強化を阻止しようとした大田県政から稲嶺県政にかわって1年、在沖米軍基地をめぐる状況は180度も変わろうとしております。
稲嶺県政は、政府の振興策と引きかえに新たな基地建設を容認し、いやむしろ積極的に推進しているように思えます。振興策つきの撤去可能な海上ヘリ基地というSACO最終合意は、基地の県内移設、固定化に反対する沖縄県民に対する日米両政府の提案でしたが、名護市民投票で名護市民はノーと言ったのです。しかし稲嶺県政は、撤去されては県民の財産にならないと言い、ジェット旅客機も就航できる巨大な新たな基地づくりを逆に提案し実行しております。
米軍基地を経済の視点でしか見ることができないのは稲嶺県政の不幸であり、沖縄の将来にとって大きな不幸でしかないと思うものであります。
米軍基地あるがゆえに爆音被害も演習被害も航空機事故も米軍人による凶悪犯罪も事件・事故も起きているという現実を直視しなければなりません。
沖縄県民は、多くの県民が米軍によって殺され、戦争に負けて捕虜になり、土地を取られ巨大な基地を建設されて27年間の不当な統治をされました。日本復帰後も今日に至るまで憲法より米軍が最優先されているのが沖縄なのであります。
私たちが日米両政府の言うがままに米軍の駐留を認める限り、沖縄の不幸は続くでありましょう。
昨年を振り返ると、稲嶺知事が公約をなし崩しにして名護市民投票が否定した日本政府と米軍の合意した海上ヘリ基地を建設することを認める1年だったと言えると思います。
稲嶺県政が政府シナリオどおりに進めた辺野古沿岸域へのさらに大きな海上米軍基地の建設受け入れは、県内マスコミ紙上でも何名もの学者、研究者が論評を寄せ、読者投書欄には毎日のように意見が載っています。そのほとんどは県内移設に反対していることは、県民の声が県内移設に反対だということであります。
特に米国の沖縄統治の研究者であり、日米関係の研究者でもある国際政治学者の宮里政玄元琉球大学教授と我部政明琉大教授がたびたび論評を寄せて、稲嶺県政の県内移設容認の決定に強い危機感を訴えていることは重要であります。
昨年12月、岸本名護市長が辺野古沿岸域への受け入れ表明を行ったとき、宮里政玄元琉球大学教授は、「歴史から学ぶべき本当の「現実」に即し議論を」と題して地元紙に論評を寄せ、1956年に沖縄の4原則軍用地闘争が崩壊していった最大の原因が、今回舞台になっている辺野古地域で同様に経済開発を理由に地料の一括払いで受け入れようとしたことだったと指摘し、過ちを繰り返すなと警鐘を鳴らしています。
辺野古は、ベトナム戦争で一時的には栄えたかもしれませんが、今日の状況を見ると経済開発が失敗だったことは明らかであります。
宮里政玄元琉球大学教授の言う歴史から学ぶべき本当の現実とは何でしょうか。沖縄返還前の米軍統治の27年間と日本復帰後の日米安保下の同じく27年間の2つに分けて考えることができます。
米軍統治下の沖縄は、沖縄戦の最中から環太平洋の主要基地として核兵器や生物・化学兵器なども貯蔵でき、そして出撃も自由にできるような基地を沖縄に建設するプランが進められ、現在の基地が当時の計画によって建設されているわけであります。
米軍の情報公開によって一昨年から沖縄のことがいろいろと明らかになりつつあります。沖縄にあった毒ガスが最強の神経ガス「サリン」だったことも米国防総省が認めました。復帰直後まで沖縄に約1200発の核弾頭が貯蔵されていたことも明らかになりました。
ことし1月から青森県の東奥日報が三沢基地も核兵器発信基地だったことについての特集を連載をしておりますが、その中で沖縄からC130輸送機が嘉手納や普天間から三沢に核弾頭を運んでいた、このことが明らかになっております。
さらに、日本復帰の際に有事の核弾頭の持ち込みを認める秘密協定、さらに米軍による沖縄基地の自由使用の秘密協定、この2つが締結された可能性が高いことが明らかになっています。
占領によって不当に沖縄住民の土地を接収して建設された米軍基地は、それ自体が国際法に照らしても違法なのであります。日本復帰後は日本国憲法のもとに入りながら、米軍基地だけは憲法より優先するというのが沖縄であります。
しかし今日、沖縄県民がノーと言えばプエルトリコのビエケス島と同じく私たちは米軍基地を出すことができるわけであります。私たちは、米軍基地をなくす勇気を持とうではありませんか。
質問に入ります。
(1)、クリントン米大統領が沖縄は戦略的に重要と2月18日に河野外相に発言したと報じられています。明らかに米軍基地の固定化と強化をねらった発言であり、県民が求める基地の整理縮小とは反する発言であります。
21世紀中も固定化を図ろうとする今回のクリントン発言に知事として抗議をするべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
(2)、プエルトリコのビエケス島では基地閉鎖問題が住民投票で問われることになりました。知事の見解を求めます。
(3)、サミットでの歓迎を在沖米軍基地の容認と米国民に受け取られないために基地問題でどのような取り組みを考えていますか。
次に、沖縄県のホームページ、知事の平和発信について伺います。
(1)、今月、沖縄県のホームページが全面的に変更されました。変更された沖縄県ホームページでは、これまで一番最初にあった米軍基地問題がなくなり、一番最後18番目の項目として「基地・平和・国際交流」というタイトルになりました。稲嶺県政の米軍基地問題への姿勢を如実にあらわしております。
その中で米軍基地について載せているのは39の米軍施設の航空写真と年間地料や地主数、基地従業員数、基地の紹介だけであります。英語のページも同様です。県政の重要課題である沖縄の基地問題は一体どこに行ったのですか。
(2)、青森、神奈川、東京などのホームページを見ればその地域における米軍基地の問題がわかります。しかしなぜ稲嶺県政は、ホームページから沖縄の基地問題や95年10月21日の県民大会に基づいて11月4日に政府に地位協定の変更見直しを求めた要請内容など、基地問題に係る蓄積データをすべてを削除したのでしょうか、お答え願いたいと思います。
(3)、特に前県政が積み重ねてきた基地問題の取り組みの多くは県民大会や県民投票に基づいた県民の総意としての取り組みだったと考えますが、稲嶺県政にとっては米軍基地問題はないのでしょうか。変更された沖縄県ホームページからわかる沖縄の基地問題の項目を挙げてもらいたいと思います。
(4)、知事はサミットを平和発信の機会とよく発言していますが、知事の言う平和発信とはどういうことですか。県のホームページから米軍基地問題を削除する、このような中でぜひ明らかにしていただきたいと思います。
(5)、知事は、地位協定をどのように見直させようとしているのですか、具体的に答えてください。
海上ヘリ基地と知事の公約について伺います。
知事は、今定例会の所信表明の冒頭で公約の実現に向けて取り組んできたと述べています。知事の公約の一つは、1997年12月21日の名護市民投票で名護市民が拒否した海上ヘリ基地の建設ではなく、普天間基地の代替施設として陸上部への軍民共用空港の建設を行うことだったと理解していますが、間違いでしょうか。
知事が1月22日にキャンプ・シュワブ水域内辺野古沿岸域に軍民共用空港の建設候補地とすることを発表したことは、名護市民投票の否定ではないかとの私の前の12月定例会質問に対して、「県としては、政府の海上ヘリポート基本案の見直しを求め、普天間飛行場の代替施設は、民間航空機が就航できる軍民共用空港とし、将来にわたって地域及び県民の財産となり得るものでなければならないことを国に申し入れております。」と知事は答弁しましたが、海上ヘリ基地でも規模を拡大して軍民共用空港にすれば受け入れるということなのですか。
海上ヘリポート基本案の見直しを求めて新たな海上基地を建設させることは名護市民投票の否定であり、知事公約に反しているのではないですか、明確な答弁を求めます。
知事の軍民共用空港建設案は極めて危険な提案です。民間空港としてどのように運営するかのプランもなく、民間航空機が就航して採算が合うのかも調査せずに軍民共用空港の建設を進めているのではありませんか。軍民共用空港の運営ができるのか、可能性調査はしたのか、明確に答弁を願いたいと思います。
知事の提案は、新たな海上基地の機能強化につながる提案ではありませんか。もし辺野古沖へ航空機就航可能な海上基地を建設すれば確実に現在厚木や横田、岩国で行っている空母艦載機による夜間を含む着艦訓練が行われることになるのは目に見えております。
米軍は、問題になっている艦載機の着艦訓練のすべてを辺野古沖の海上基地で行うことも考えられるのです。知事はそのようなことを懸念しないのですか。
昨年12月16、17日に名護市で実施された沖縄タイムス、朝日新聞による世論調査では56%が北部に空港は必要ないと回答し、軍民共用空港には59%が反対をしております。新聞紙上でも有識者は多くの懸念を表明しています。名護市民の意思を示している同世論調査についての見解と海上基地の強化につながる軍民共用空港の建設を撤回する考えはないか、伺います。
15年の使用期限をどう約束させるつもりですか。
稲嶺県政の基地容認の姿勢は、米国や日本政府に間違ったメッセージを送って沖縄基地の固定化を招き、基地問題の解決を決定的におくらせるのではないか、知事の見解を伺いたいと思います。
基地使用協定について伺います。
名護市長は、住民生活に著しい影響を及ぼさないために基地使用協定を国と名護市が締結することを求めていますが、協定の締結で住民生活に著しい影響を及ぼさないことはできると知事は考えるのですか。基地使用協定で生活環境を守れるとする根拠を示してもらいたいと思います。
1996年3月28日の日米合同委員会で、「嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機騒音規制措置」が合意されました。合意の内容を明らかにしてもらいたいと思います。これらの規制措置は守られていますか、県の見解を伺います。
規制措置の「l 普天間基地に配属される、あるいは同飛行場を一時的に使用するすべての航空関係従事者は、周辺地域社会に与える航空機騒音の影響を減少させるために本措置に述べられている必要事項について十分な教育を受け、これを遵守する。」とあるが、そのとおり行われていますか。
規制措置の「a 進入及び出発経路を含む飛行場の場周経路は、できる限り学校、病院を含む人口稠密地域上空を避けるよう設定する。」とあるが、そのとおり設定され守られていますか。
規制措置のgでは、22時から午前6時の間の飛行及び地上での活動は制限され、夜間訓練飛行は最小限に制限されるとされていますが、守られていますか。
嘉手納基地では5000人規模の爆音訴訟が新たに提起され、普天間飛行場周辺では稲嶺県政になって以来、爆音と米軍ヘリの民間住宅地上空の飛行が著しく増加しています。大田県政のときは米軍ヘリは市面積の4分の1を占める普天間飛行場内を主として周回していましたが、現在は学校や病院、住宅地を構わずに飛び回っています。
規制措置には、航空機の周回経路は「できる限り学校、病院を含む人口稠密地域上空を避けるよう設定する。」とあり、米軍ヘリの飛行経路を含めて規制措置を守らせるべきだと考えますが、知事には米軍に規制措置を守らせる手段はありますか、見解を伺います。
日米合同委員会の合意である規制措置と知事の言う県と国の基地使用協定は、どちらが米軍にとって拘束力があると考えますか。
嘉手納基地と普天間基地の日米合意の規制措置を実施させることができないのに、辺野古では基地使用協定で米軍の活動を制約するというのは無責任ではないですか。
米軍人及び軍属の凶悪犯罪について伺います。
牧野副知事は、著書「沖縄の自己検証」の中で、「沖縄県警の凶悪犯の統計を見ますと、人口比率で言うと米軍人によっておこされた凶悪犯と県民がおこした凶悪犯の比率は県民の方が高い。だけどそのことに対する反省あるいは糾弾、あるいは治安を守るための運動とか住民総決起大会を開いて、県内の倫理や躾けに関する運動をおこすということは全くない。このことは正常ではないと思います。」と述べています。
このような誤った認識で県政を運営してもらっては困るので、県知事と県警本部長に質問します。
県警の統計では、凶悪犯は殺人、強盗、放火、強姦の4つを指しています。
1995年9月27日の米軍の星条旗新聞は、1989年から94年の6年間の米軍の凶悪犯罪について県内で495人が凶悪犯罪で逮捕され、うち米軍関係者が57人、11.5%だったと報じ、人口比で4.2%にすぎない米軍関係者の凶悪犯罪は3倍多いことを明らかにしました。特に強盗は21.9%で5倍、強姦は15.2%で4倍多いと報じたのです。
これは沖縄県警の犯罪統計の平成元年から平成6年の統計数値とほぼ一致し、星条旗新聞の報道は沖縄県警の統計資料に基づくもので、基地内での犯罪数はカウントされていないようです。
県警統計によると、復帰の昭和47年から平成10年に凶悪犯罪で米軍関係者の検挙件数はおよそ520件で、検挙者数662人に及びます。ほぼ同数の県民が犠牲あるいは被害を受けたことになります。
そこで県警本部長に質問しますが、1995年9月27日の星条旗新聞の報道は県警の統計数値とほぼ一致しますか。平成元年から平成6年までの県内の凶悪犯罪の件数、それぞれの犯罪ごとの米軍関係者の人数と占める比率は何%ですか。
昭和47年から平成10年までの米軍人の凶悪犯罪の犯罪種類ごとの総数、検挙者数及び県民の被害人数を明らかにしてもらいたい。
また、昭和47年から平成10年までの全国の米軍の凶悪犯罪件数及び沖縄県内件数に占める比率は幾らですか。
米軍人は公務従事者であるが、昭和47年から平成10年までに県内で公務員及び自衛隊員が起こした凶悪犯罪件数は何件ですか。
復帰後も米軍基地あるがゆえの被害を県民は受け続けています。昭和47年から平成10年までに米軍関係者による交通事故は何件起き、何名が死傷しましたか。
知事に質問します。
県内の事件・事故に関して県民の方が反省すべきだと考えていますか。それとも牧野副知事とは違う認識を持っていますか。米軍人及び関係者の凶悪犯罪についての見解を伺います。
オフリミッツ解除後に沖縄市のディスコで起こった米兵による暴行未遂事件に対する県の対応は、電話による申し入れでした。極めて弱腰であり、米兵の綱紀粛正を求める立場で県が取り組んでいるのか疑わしい。米兵による事件について電話で抗議したディスコ事件以前で一番近い事例はいつですか。
基地の環境浄化対策について。
米軍基地の環境汚染は不法行為であり、当然汚染した米軍に第一の責任がある。地位協定に言う原状回復義務の免除は、建物や構築物などの撤去義務及び土地の形状の変更の回復などの義務免除の範囲に限るべきであり、環境汚染のような不法行為を二国間の協定で定めることはできないはずです。地位協定を理由とした基地内環境汚染の放置を許してはならないと考えますが、知事の見解を伺います。
嘉手納基地内での露天掘りPCB入り廃オイル池の政府による調査では、水溶性のPCB不検出ということですが、米軍調査によると土壌が高濃度のPCBを含むことは明らかであり、恩納通信所の例のように高濃度の汚染に対する対策をする必要があります。
新聞報道によれば、水に溶けないダイオキシンが土壌粒のまま食物連鎖に取り込まれ、魚類に数万倍も蓄積されることが愛媛大農学部の調査で明らかになりました。嘉手納基地も同様な危険があると考えますが、県は政府の調査結果を安全宣言と受けとめるのですか。
普天間基地周辺への対策について伺います。
普天間飛行場周辺の防音対策は、防衛施設周辺の生活環境整備等に関する法律の第一種地域として昭和56年7月18日に80WECPNL地域、及び昭和58年9月10日に75WECPNL地域が指定されて現在に至っているが、宜野湾市の一部地域が指定されているにすぎません。
今日の飛行実態は、20年前の飛行実態に比べて市全域に爆音被害が拡大しており、見過ごすことはできません。知事の進めている県内移設でも8年はかかるとされており、現状を放置されてはなりません。爆音被害の実態を国とともに調査し、防音地域指定を見直すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
普天間基地の周辺では、米軍機の飛行のたびにテレビの画像は乱れ、爆音で音声が聞き取れないなどの障害が毎日幾度となく起こっています。嘉手納基地及び本土の米軍飛行場の周辺では、このような障害を理由にNHK受信料が無料もしくは半額の減額などの措置がなされていますが、なぜ普天間飛行場周辺では障害があるにもかかわらず免除及び軽減措置がなされていないのですか。障害の実態に即して県として政府に他米軍飛行場と同様な措置を講じさせる考えはありませんか。
教育委員長に伺います。
今日の学校教育の現状について、2年前の2月定例会でも砂川教育委員長の見解をいただきました。子供の現状について砂川教育委員長は多くの事例を挙げて、子供は未来であり希望であると答弁し、教育の現状を打開する必要性を強調しました。
しかし、その後の我が国の教育現場は学級崩壊や不登校児童10万人突破などの報道のとおり厳しいものがあります。
再度砂川教育委員長に伺います。現状を乗り越えるために、県教育委員会はどのような方向性を教育庁に対して指示する考えですか。
次に、管理職登用のあり方について伺います。
県教育庁も人物評価に重きを置く管理職登用制度を再検討したらどうでしょうか、教育長の見解を求めます。
私は、管理職登用試験について実施後は公開すべきだと提案してきましたが、公開されていません。どのような理由で公開できないのでしょうか。
不登校児対策について伺います。
不登校児がどんどんふえております。特に心因性の不登校児の増加には専門的な対応が必要です。学校に行きたくても行けない子供たちのために各市教委等で設置している県内の適応指導教室の強化拡充が必要だと思いますが、実態に即して対応していく考えがありますか。
また、カウンセリングを専門的に担当する臨床心理士を適応指導教室に配置すべきだと思いますが、見解を求めます。
答弁によって再質問いたします。
○議長(友寄信助) ただいまの伊波洋一君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので休憩後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後6時51分休憩
午後7時51分再開
○議長(友寄信助) 再開いたします。
休憩前の伊波洋一君の質問に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 伊波洋一議員の御質問にお答えいたします。
最初は、クリントン大統領は、沖縄は戦略的に重要として米軍基地の固定化を図る発言をしているが、知事として抗議すべきじゃないかとの御質問のお答えでございます。
クリントン大統領の発言は、日米間の戦略的関係は北東アジアの安定に重要な役割を果たしているとの認識を示したものだと思います。
私は、本県に所在する米軍基地が日米安保体制を維持する上で重要な役割を果たし、我が国の安全及び極東における平和と安全の維持に寄与しているものと理解しております。
しかしながら、本県には在日米軍専用施設面積の約75%に上る広大な米軍基地が存在し、県民生活や本県の振興開発にさまざまな影響を与えていることは厳然たる事実であり、県民は基地の整理縮小を強く望んでいます。県としては、沖縄県民の基地負担の軽減を図るため、日米両国政府が真摯に協議を行い合意したSACOの事案を着実に実施することにより基地の整理縮小を初めとする本県の基地問題の解決を一つ一つ着実に実施していきたいと考えております。
続いてプエルトリコのビエケス島では、基地閉鎖問題が住民投票で問われることになったが、知事の見解を聞きたいということでございます。
プエルトリコのビエケス島における基地閉鎖問題が住民投票で問われることの件については承知をしております。今後の基地の取り組みに当たっては、幅広く県民の理解と協力を求めていきたいと考えております。
次に、サミットで米国民に対し在沖米軍の容認と受け取られないようどう取り組んでいくのかを聞きたいという御質問に対してお答えいたします。
本年7月に開催されるサミットは、各国の首脳を初め政府関係者並びに世界各地から来県する多くの報道関係者が、沖縄県民の長年にわたる過重な基地負担の現状や県民が基地の整理縮小を強く望んでいることを知っていただくよい機会であると考えています。県としては、沖縄の基地の現状をありのままに見ていただくことが沖縄の基地問題の解決を促進する大きな力になると考えております。
続いてホームページ、平和の発信についてで、サミットを平和発信の機会とよく発言しているが、具体的に何をどのように発信しようとしているのか明らかにしてほしいというお尋ねでございます。
沖縄は、かつて「万国津梁」の精神で日本、中国、韓国、東南アジア諸国との友好的な交易を通して栄えた琉球王国時代があり、平和を大切にする独特な文化をはぐくんできた歴史があります。また過酷な沖縄戦の体験、長年にわたる米国統治、そして今なお残る広大な米軍基地などから県民は平和への願いと人権の尊厳を肌身で感じております。
このような観点から、私としては世界じゅうの目が沖縄へ集中するサミットの機会に沖縄の過去の歴史や独自の文化を知ってもらうとともに、平和を志向し、協調し支え合い、そして異質なものを溶け込ませてしまう寛容さを持った「沖縄の心」を広く世界にアピールしていきたいと思います。
続いて、知事は地位協定をどのように見直させようとしているのか、具体的に答えてもらいたいということのお答えでございます。
本県には、在日米軍専用施設面積の約75%に上る米軍基地が存在し、航空機騒音を初めとする環境問題や米軍人等による犯罪などによって県民生活は大きな影響を受けております。県としては、米軍基地から派生するさまざまな事件・事故等による県民の不安を解消し基地問題の解決を促進するためには、合衆国軍隊の施設及び区域の使用並びに地位に関する法的根拠である現行の日米地位協定を見直していただく必要があると考えています。
特に、航空機騒音の規制、環境浄化の実施など環境保護に関する国内法の適用、日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員または軍属たる被疑者の起訴前の拘禁、公務外の米軍人等が起こした事件・事故の被害者に対する補償を日米両政府の責任で行うことなどの諸課題の解決を図るためには、県民の生活と人権を守る観点から日米地位協定を見直す必要があると考えます。
県では、これまで機会あるごとに日米地位協定の改定または運用の見直しを政府に対して強く働きかけてきました。
また、普天間飛行場の移設候補地の選定を国に提示するに際しても日米地位協定の見直しを要請しましたが、国においては昨年12月28日の閣議決定において「地位協定の運用改善について、誠意をもって取り組み、必要な改善に努める。」との方針を示しております。
県としては、3月末に提出される「基地の環境調査及び環境浄化等に関する海外調査」委託事業の報告などを踏まえ、今後改めて県の要望が満たされていない事項に係る日米地位協定の改定または運用の見直しを早急に取りまとめ、日米両政府に対し働きかけていきたいと考えております。
次に、海上ヘリ基地と公約についてでございます。公約の1つは、名護市民投票で拒否した海上ヘリ基地の建設ではなく、陸上部への軍民共用空港の建設を行うことだったと理解しているがどうかという御質問と、それからもう一つの海上ヘリ基地でも規模を拡大して軍民共用空港にすれば受け入れるということなのか、海上ヘリポート基本案の見直しを求めて新たな海上基地を建設させることは市民投票の否定ではないかというこの2つの御質問について一括してお答えしたいと思います。
海上ヘリポート政府基本案については、同基地が米軍の専用飛行場として建設され、米軍が使用しなくなれば撤去されることになるため地域の産業振興や振興開発につながらないことから、同案については反対であることを機会あるごとに申し上げてきたところであります。
代替施設については、撤去可能な海上案ではなく、県民の財産になる施設を提示したものであります。県としては、普天間飛行場の代替施設は民間航空機が就航できる軍民共用空港とし、将来にわたって地域及び県民の財産となり得るものであることを移設に当たって整備すべき条件の一つとして国に申し入れております。
なお、名護市民投票で対象となった米軍の代替ヘリポートとは、SACOの最終報告にある海上ヘリポート政府基本案と認識しております。
次に、民間空港としてどのように運営するのかプランもなく、民間航空機が就航して採算が合うのかも調査せずに進めるのではないかと、運営はできるのか、可能性調査はしたのかという御質問についてお答えいたします。
普天間飛行場の移設に伴い県内に建設される飛行場は、普天間飛行場の代替施設として建設されるものであります。しかし県としてはそれを米軍専用の空港としてだけでなく、同施設の建設に当たっては民間航空機が就航できる軍民共用空港とし、将来にわたって地域及び県民の財産になるものでなければならないと考えています。
このような観点から、軍民共用空港について民間部門の活用方法を含め同空港を地域振興開発につなげ、地域産業の拡大や新たな産業を創出していくための先行投資と考えております。農産物、花卉園芸作物の空輸、航空機整備工場、観光のチャーター便など地元の意向を踏まえ検討、推進してまいります。
次に、もし辺野古沖へ航空機就航可能な海上基地を建設させれば、辺野古沖の海上基地で着艦訓練をすべて行うことになると考えられるが、そのような懸念をしないのかということのお答えでございます。
普天間飛行場の代替施設について、県は移設に当たって整備すべき条件として住民生活及び自然環境への特別の配慮を国へ申し入れており、名護市長の受け入れ表明においてもその前提条件として「住民生活に著しい影響を及ぼさないことであり、それを保証するものとして日本政府と名護市が、基地の使用協定を締結すること」を掲げています。
政府においては、地域の安全対策及び代替施設から発生する諸問題の対策を講じるため「飛行ルート、飛行時間の設定、騒音対策、航空機の夜間飛行及び夜間飛行訓練」等について政府と名護市との間で協定を締結することを閣議決定しています。このことから、代替施設の運用等については地元の意見が十分反映されていくものと考えております。
次に、同じく海上ヘリ基地と公約で、名護市で実施された世論調査でも56%が必要はないと回答しており、軍民共用空港は59%が反対していると、海上基地の強化につながる軍民共用空港の建設を撤回する考えはないかという御質問のお答えでございます。
普天間飛行場の県内移設については、さまざまな意見があることは承知しております。普天間飛行場は、市街地の中心部にあって深刻な状況にあり、また飛行場及びその周辺部が重要な開発拠点となっていることから一日でも早く動かす必要があります。
県としては、SACOの合意事案を着実に実施し、実現可能なものから一つ一つ解決していくことが基地の整理縮小を促進する現実的で実現可能な方法であるとの認識の上に立ち、また将来にわたって地域及び県民の財産となり得るという観点から、普天間飛行場の代替施設として軍民共用空港をキャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域に建設させることが普天間飛行場の早期返還を実現する道であると考えています。
次に、海上ヘリ基地、同じく公約の問題で、15年の使用期限をどう約束させるつもりかということのお答えでございます。
15年の使用期限については、移設に当たって整備すべき条件として国に強く申し入れました。これを受けて国は、閣議決定において「沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。」方針を示しています。
その後、日米の防衛首脳会談や外相会談においても取り上げられており、同問題が着実に前進していくものと思います。県としては、同問題が政府において引き続き検討され、県の要望に対してこたえられるよう強く求めていきます。
次に、県政の基地容認の姿勢は、米国や日本政府に間違ったメッセージを送って、基地問題の解決をおくらせるのではないかとの御質問についてでございます。
県は、本県に所在する米軍基地が日米安保体制を維持する上で重要な役割を果たし、我が国の安全及び極東における国際の平和と安定の維持に寄与しているものと理解しています。
しかしながら、本県には広大な米軍基地が存在し、県民生活や本県の振興開発にさまざまな影響を与えていることから、着実な基地の整理縮小の推進が必要であります。本県が負担している過重な米軍基地の整理縮小については、まずSACOの合意事案を着実に実現させ、段階的に基地の整理縮小を図ることがより現実的で実現可能な方法であると認識しており、現在その実現に向けて全力を挙げて取り組んでいるところであります。
次に、知事は協定の締結で住民生活に著しい影響を及ぼさないことはできると考えるのか、基地使用協定で生活環境を守れるとする根拠を示してもらいたいという御質問のお答えでございます。
名護市長は、代替施設の受け入れ表明の際に、「基本的には、住民生活に著しい影響を及ぼさないことであり、それを保証するものとして日本政府と名護市が、基地の使用協定を締結すること」を求めております。
名護市の求めに応じて、国は昨年12月28日の閣議決定において、「政府は誠意をもって米国政府と協議を行い、政府関係当局と名護市との間で協定を締結」するとの方針を定めておりますので、協定の締結により住民生活への影響に関して名護市の要望が満たされる道筋ができるものと考えております。
また、今回の使用協定は、これから建設される基地の使用に関して日米が協議を行うものでありますので、建設に至る過程において地元の意向が使用協定に反映されることが期待できることになります。
さらに、当該使用協定は、「飛行ルート、飛行時間の設定、騒音対策、航空機の夜間飛行及び夜間飛行訓練、廃弾処理等、名護市における既存施設・区域の使用に関する対策、その他環境問題、代替施設内への地方公共団体の立入り」など広範にわたって地元自治体と取り決めを行うことになるほか、協議機関等において「定期的なフォローアップを行うこととする。」とされておりますので、協定の締結の実現は、本県の基地問題の解決促進に当たって従来とは異なった対策を可能にするものと考えています。
次に、日米合同委員会の合意である規制措置と知事の言う県と国の基地使用協定は、どちらが米軍にとって拘束力があると考えるか、あるいは嘉手納基地と普天間基地の日米合意の規制措置を実施させることができないのに、辺野古では基地使用協定で米軍の活動を制約するというのは無責任ではないかという2つの御質問に一括してお答えします。
使用協定に関しては、今後国、県、名護市との話し合いが行われる中で具体的なものが定まっていきますので、現段階では航空機騒音規制措置との比較について申し上げることはできません。使用協定の締結については沖縄県が立ち会うことになりますので、今後同施設の使用協定に関して国、県、名護市との話し合いが行われる中で名護市の要望が実現されるよう努力してまいります。
次に、県内の事件・事故に関して県民の方が反省するべきだと考えているのか、それとも牧野副知事とは違う認識を持っているのか、知事の見解を聞きたいとの御質問に対してのお答えでございます。
事件・事故については、米軍関係者及び県民どちらもそれを引き起こしてはならないものと考えております。牧野副知事の発言は、米軍関係者と県民とどちらの方が犯罪発生率が高いかということを論じているのではなく、県民みずからも事件・事故をなくすよう努力をするべきであるという考え方を述べたものであると理解をしております。
次に、環境浄化対策についてで、環境汚染は不法行為であり汚染した米軍に第一の責任がある、地位協定を理由とした基地内環境汚染の放置を許してはならないと考えるが、見解を聞きたいという点でございます。お答えでございます。
平成10年9月24日の国土・環境委員会において当時の防衛施設庁施設部長が、恩納通信所跡地において汚水処理槽内の汚泥からPCB等が検出された件に関し、当該汚泥の処理については、返還された施設であるので地位協定第4条に基づいて日本側において処理する責任がある旨の答弁を行い、返還する際の原状回復義務の免除には環境浄化を含むとの見解を示しております。
県は、本年度「基地の環境調査及び環境浄化等に関する海外調査」事業を環境問題の専門コンサルタントに委託しており、委託先において昨年11月、いわゆるボン補足協定で駐留NATO軍に対して国内法を適用するなど制度が整備されているドイツを実地調査し、3月末をめどに同委託事業の報告の取りまとめを行っているところであります。今後、県としては、当該委託事業の報告などを踏まえ地位協定における原状回復の問題についても検討したいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 伊波洋一議員の沖縄県のホームページ、知事の平和発信についての質問事項のうち、1つ目には、県ホームページにおいて基地関係の項目が最後になり県政の基地問題に対する姿勢があらわれる中で、県政の重要課題である基地問題はどこに行ったのか、それから2つ目に、なぜ地位協定の要請内容など基地問題に係るデータを削除したのか、3つ目に、変更されたホームページからわかる沖縄の基地問題を項目として挙げてもらいたいとの3つの質問事項について関連しますので、一括してお答えをいたします。
沖縄県ホームページは、各課から直接情報を発信できるよう新しいシステムを取り入れ、今月1日に更新したところであります。そのため全体的にまだ充実していない状況にあります。御指摘の項目の順序につきましても最終的なものではなく、整理をし改善を検討しているところであります。
更新されたホームページにおいては、現在施設別状況が登載されておりますが、これは、県政交代に伴いまずは沖縄県の米軍基地に係る統計資料等を発信することとしたものであります。今後、稲嶺県政における基地政策に係る情報は、順次県のホームページへ追加登載していきたいと考えております。
次に、基地使用協定についての質問事項のうち、1つ目に、騒音規制措置の内容を明らかにしてもらいたい、規制措置は守られているかという点と、2点目に、規制措置では普天間飛行場に配属される航空従事者に本規制措置の必要事項について教育し遵守するとされているが、守られているか、3点目に、飛行場の場周経路はできる限り学校等を避けるよう設定するとされているが守られているか、4点目に、午後10時から午前6時までは夜間飛行訓練等は必要最小限に制限されるとあるが守られているか、5点目に、知事は規制措置を守らせる手段はあるかという御質問は、関連いたしますので一括してお答えをいたします。
嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺の航空機騒音の軽減を図り、航空機騒音による地域住民への影響を最小限にすることを目的に平成8年3月28日、「嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機騒音規制措置」が日米合同委員会において合意されております。
同規制措置では、「進入及び出発経路を含む飛行場の場周経路は、できる限り学校、病院を含む人口稠密地域上空を避けるよう設定する。」こと、「午後10時から午前6時の間の飛行及び地上での活動は、米国の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限される。」こと、「日曜日の訓練飛行は差控え、任務の所要を満たすために必要と考えられるものに制限される。」ことなどの措置がとられることになっております。
米軍基地の航空機騒音の状況について、県と関係市町村で実施した平成10年度測定結果によりますと、規制措置が合意される以前の平成7年度と比較して嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺の一部地域ではうるささ指数の軽減が見られます。
また、深夜から早朝にかけての航空機騒音の発生につきましては、平成7年度と比較して嘉手納飛行場周辺及び普天間飛行場周辺ともに総じて減少傾向を示しております。このようなことから、米軍においても航空機騒音を軽減するよう努力しているものと考えております。
しかしながら、平成10年度測定結果では、嘉手納飛行場周辺で13測定地点中10地点、普天間飛行場周辺で9測定地点中6地点で依然としてうるささ指数が環境基準値を超えている状況にあります。
県としては、これまで渉外知事会及び軍転協を通して航空機騒音の軽減等を日米両政府に対し要請してきたところであり、今後とも引き続き関係市町村と連携を図りながら三者協の議題として積極的に取り上げるなど、嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺における航空機騒音の軽減及び騒音対策の強化を日米両政府に対し強く働きかけていきたいと考えております。
それから次に、米軍人及び軍属の凶悪犯罪についての質問事項のうち、沖縄市の暴行未遂事件に対する県の対応は電話による申し入れだった、極めて弱腰であり、米兵の綱紀粛正を求める立場で県が取り組んでいるのか疑わしい、電話で抗議したディスコ事件以前で一番近い事例はいつかという御質問にお答えをいたします。
県では、米軍人による事件・事故が発生するたびにその再発防止及び綱紀粛正についてこれまでも強く申し入れてきましたが、それにもかかわらず今回の事件が発生したことは極めて遺憾であります。
この種の犯罪につきましては、警察の捜査を待って事件の内容が明らかになった時点で要請を行うという考え方もありますが、県では事態の緊急性にかんがみ去る1月18日、在日米軍沖縄調整事務所、米海兵隊外交政策部に対して口頭で遺憾の意を表明するとともに、二度とこのような事件が起こらないよう隊員に対する教育の徹底と再発防止に万全を期すよう強く要請したところであります。
なお、県が電話で要請した最近の事例といたしましては、昨年の8月に沖縄市で発生した米兵による車両窃盗及び当て逃げ事件がございます。
次に、普天間基地周辺への対策についての質問事項のうち、騒音被害の実態を国とともに調査し防音地域指定を見直すべきと考えるが見解を聞きたいという御質問にお答えをいたします。
県は昨年8月、軍転協において普天間飛行場周辺における騒音対策の強化のため騒音被害の実態、住宅の分布状況、地形等を考慮した住宅防音工事区域の拡大を図るよう国に対し要請を行っております。
また昨年7月、渉外知事会においても同様な趣旨の要請を行っております。県としては、今後とも普天間飛行場周辺の航空機騒音の軽減及び騒音対策の強化を日米両国政府に対し要請していきたいと考えております。
次に、同じく普天間基地周辺の対策についての質問事項のうち、普天間基地周辺の電波障害に係るNHK受信料の免除あるいは減額措置ができないか、また県として政府に減額措置を求める考えはないかという御質問にお答えをいたします。
NHKが基地周辺地域の住民に対し受信料の減額措置をした場合に、防衛施設庁は放送受信障害対策補助金交付要綱に基づきNHKに対して減額分の補助金を交付することができることになっております。県内におきましては、嘉手納飛行場及び伊江島補助飛行場の周辺地域が当該要綱の適用対象となっております。
当該交付要綱は、米軍の使用する飛行場または射爆撃場でターボジェット発動機を有する航空機が頻繁に離着陸等を行う施設の周辺地域を適用対象としていることから、主にヘリコプター基地として使用されている普天間飛行場周辺地域については当該要綱の適用対象外となっている状況であります。
県は、これまで渉外知事会を通してNHK受信料の助成対象区域を拡大するよう政府に対し要請をしております。今後とも、県としては基地周辺地域住民の意向が十分反映されるよう引き続き国に求めていきたいと考えております。
以上でございます。
○警察本部警務部長(樹下 尚) 米軍関係者の凶悪犯罪についての御質問についてお答えをいたします。
まず、1995年の9月27日の星条旗新聞の報道は、県警の統計数値とほぼ一致するかとの御質問でございます。
報道のうち凶悪犯の全人員については県警の統計と一致いたしますが、米軍構成員等の数に若干違う部分があります。違う点は、米軍構成員等の検挙人員総数が報道では57人ですが、県警の統計では55人であります。強盗について報道では37人ですが、県警の統計では36人であります。強姦について報道では17人ですが、県警の統計では16人であります。
次に、平成元年から平成6年までの県内の凶悪犯罪の件数、それぞれの犯罪ごとの米軍関係者の人数と占める比率は何%かとの御質問にお答えをいたします。
平成元年から平成6年までの凶悪犯の検挙総数は453件495人であり、米軍構成員等の検挙人員の比率は総数で495人中55人で11.1%、罪種別では殺人が140人中3人で2.1%、強盗が169人中36人で21.3%、強姦が112人中16人で14.3%、放火が74人中ゼロ人となっております。
次に、昭和47年から平成10年までの米軍人の凶悪犯罪の犯罪種別ごとの総数、検挙者数及び県民の被害人員を明らかにしてもらいたいとの御質問についてお答えをいたします。
昭和47年以降平成10年までの27年間の米軍構成員等による凶悪犯の検挙状況は、総数で520件662人であり、これらの事件で県民が被害者となった総数は302人であります。なお、被害者数につきましては手集計の数字であります。
罪種別では殺人は23件30人、県民の被害者数は12人、強盗は362件493人、県民の被害者数は176人、強姦は112件128人で、県民の被害者数は98人、放火は23件11人で、県民の被害者数は16人となっております。
次に、昭和47年から平成10年までの全国の米軍の凶悪犯罪件数及び沖縄県内件数の占める比率は幾らかとの御質問でありますが、全国の米軍構成員等の凶悪犯の罪種別統計は昭和61年から計上されておりますため、昭和61年から平成10年までの13年間における全国の米軍構成員等の凶悪犯罪件数及び沖縄県内件数の占める割合についてお答えをいたします。
総数で全国129件のうち沖縄県は67件で、当県の占める割合は51.9%であります。罪種別では殺人が全国11件、沖縄県4件の36.4%、強盗が全国77件、沖縄県39件の50.6%、強姦が全国39件、沖縄県12件の59.0%、放火が全国2件、沖縄県1件の50.0%となっております。
次に、昭和47年から平成10年までの県内の公務員及び自衛隊員による凶悪犯罪件数は何件かとの御質問についてでありますが、職業別の統計は平成8年から計上しておりますので、平成8年から平成10年までの3年間で申しますと自衛隊員を含め公務員による凶悪犯の検挙はありません。
次に、昭和47年から平成10年までに米軍関係者による交通事故は何件起き、何名が死傷したかとの御質問についてお答えをいたします。
昭和47年から平成10年までの27年間の米軍構成員等を第一当事者とする交通事故は2008件発生し、死者は149人、負傷者は2207人であります。
以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) 基地の環境浄化対策に関する御質問のうち、嘉手納基地内におけるPCBの調査について県は政府の調査結果を安全宣言と受けとめるのかという御質問にお答えいたします。
今回の調査は、日米双方がそれぞれの手法に基づき調査分析を行っているため異なった調査結果が出ております。
米側の分析方法は、土壌サンプルからPCBを溶出するために有機溶剤を使用するため、水を使用する日本の分析方法よりも感度が高いというふうに言われております。その結果、米側の調査では微量のPCBが検出されておりますが、これを米環境保護庁の基準に基づいて極めて厳しい健康リスク評価を行った結果、人間への健康上の危険とはならないとしてさらなる調査は必要ないというふうに結論をしております。
また、日本政府としては周辺住民の不安の解消にこたえるとの観点から補完的調査を実施し、PCBが投棄されたとされるため池の中心及び近傍の5地点で20メートルボーリングを行い、所定の深さの土壌及び地下水とため池付近の国道上の1地点でボーリングを行い地下水をそれぞれ日本の方法で分析しております。その分析結果については、すべての検体からPCBは検出されなかったというふうにしております。
日本政府は、みずから行った補完的調査においてPCBが検出されなかったこと並びに米側の環境調査の結果、人間の健康上の危険とはならないとの結論が得られたことから、人の健康に影響を及ぼすものではないと結論づけております。県としては政府のこの結論を尊重したいと考えております。
以上であります。
○教育委員会委員長(砂川朝信) 伊波洋一先生からの教育問題についての御質問がありました。
その中で、我が国の教育現場に学級崩壊とかあるいは不登校児童が10万人を突破しているというふうなことで非常に厳しいものがあるんだけれども、本県はどのような方向性を持って教育庁に指示しているかとそういうことを問われております。
これに対して教育委員会といたしましては、学校におきまして児童生徒と教師の信頼関係はもとより、児童生徒相互間に好ましい人間関係を育てることを基本に教育活動が展開されることは大変重要であります。
御指摘のいわゆる学級崩壊の問題とかあるいは不登校問題については、深刻にこれを危機的に受けとめているところでございます。
不登校問題について、教育主要施策を通して巡回教育相談員、スクールカウンセラー、心の教室相談員の配置及び適応指導教室の機能充実を位置づけるなど具体的な施策が展開できるよう指示しているところでございます。
また、いわゆる学級崩壊の問題や不登校の問題に対する対応に当たっては、子供たちの「生きる力」をはぐくみ、健やかな成長を促すための地域と一体となった特色ある教育活動や子供たち一人一人の個性に応じたきめ細かな指導が極めて重要であると考えております。
そのために保護者による日常的授業参観や地域人材の活用を図るとともに、保護者や地域の人々の意見を幅広く校長が聞くための仕組みである学校評議員──これは新しい制度ですけれども──を導入するなど地域や社会に開かれた学校づくりを推進することが重要であると考えております。
以上です。
○教育長(翁長良盛) 伊波議員の教育問題についてという関連質問で、人物評価に重きを置く管理職登用制度を検討してはどうか、また試験問題が公開されない理由は何かという御質問にお答えいたします。
管理職の任用については、公正、公平を期し優秀な人材を確保するため管理職候補者選考試験を実施しているところであります。
管理職の選考に当たっては、筆記試験や面接試験の結果とともに、教職歴、主任歴、研修歴、研究の実績、日ごろの教育実践、本人の抱負や所属長等の推薦など人物、識見をも重視し総合的に勘案し実施しているところであります。
次に、試験問題の公開についての御質問にお答えいたします。
管理職を選考する資料の一部である筆記試験問題だけを公開しますと、選考のあり方に誤解を生むおそれがあること、受験する先生方がいわゆる受験勉強に走り、日ごろの教育活動をおろそかにするおそれがあることなど好ましくない状況を生ずることが懸念されます。
今後、選考試験問題の公開については、教育現場への影響や各県の動向をも見きわめつつ慎重に検討していきたいと考えております。
次に、不登校児童生徒が増加している実態と原因及び対策を伺いたい、特に心因性の不登校児童生徒の対応について、適応指導教室の充実強化及び適応指導教室への臨床心理士の配置について見解を伺いたいという御質問にお答えいたします。
公立学校の不登校児童生徒の数は、小学校では平成9年度207人、平成10年度404人、中学校では平成9年度1121人、平成10年度1531人となっております。このことは全国と同様増加傾向にあります。
その原因としては、学校、家庭、地域社会のそれぞれの要因が複雑に絡み合っていると考えております。
また、平成11年度の学校基本調査の理由別長期欠席者数等に関する調査項目が、「学校嫌い」から「不登校」に変更されたことにより、従前の「その他」の一部が「不登校」にカウントされたことも一因であると考えておりますが、年々増加傾向にあり危機意識を持って対応する必要があると考えております。
県教育委員会においては、スクールカウンセラーや心の教室相談員を配置するとともに、巡回教育相談事業及び適応指導教室の充実強化を図るなど不登校問題に対応しているところであります。
適応指導教室の強化拡充については、平成11年10月に新たに平良市のマティダ教室が設置され、現在11教室が開設されております。
また、適応指導教室には常時勤務する臨床心理士は配置されておりませんが、市町村が負担する臨床心理士が運営委員やスーパーバイザーとして委嘱され、不登校問題に積極的な支援を行っているところであります。
以上であります。
○伊波 洋一 県警の報告によって復帰後27年で米軍構成員が第一当事者──加害者であるわけでありますが──その交通事故で149人が死亡し、米軍構成員による凶悪犯罪で12人が殺されたと、161名亡くなっているわけであります。98名の女性が強姦され、176名が強盗に遭ったとこのように言っているわけでありますけれども、こういう被害は全国の50%が沖縄で起こっている。
知事は基地を財産と見ているようだけれども、次の27年間で同じようなことが起こるわけであります。それでも知事は基地を財産と考え、海兵隊の撤退、いわゆる兵力削減を求めず振興策と引きかえに新たな基地づくりを推進をしていく考えですか。基地を財産と考えるのと県民の被害とどちらが重いと考えますか、御答弁を願いたいと思います。
それから公室長は、普天間飛行場あるいは嘉手納の基地規制策について、両方の司令官あるいはその基地担当者と話し合ったことがありますか、お答えください。
それから汚染の問題でありますけれども、恩納村の汚染はまさに嘉手納の汚染よりは軽い汚染ではありませんか。要するに、先ほどそういう試験の仕方が違うと言うけれども、実際はPCBはかなり大量に入っている。そのことを見逃してそのまま認めるというのは県民の健康を守る立場、あるいは環境を守る立場としては、県の役割を放棄しているのではありませんか。
以上、答弁を聞いて再質問したいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 今の伊波議員の御質問にお答えいたします。
私は、再三ここでも述べていますように平和で基地のない豊かな島というのは理想としては、全員、県民全体の願いでございます。
私は、基地というのは、基地を財産であると言ったことは一遍もありません。基地はあくまでも県民の多くの願いどおり、整理縮小に向かうべきだと思っております。今回の問題についても、トータル的に段階的に基地の整理縮小に向かう決意は変わりません。
したがいましてこの基地から派生する事件・事故につきましても、これは絶滅に向かうよう今後とも厳重に抗議をしてかつ努力をしていきたいと考えております。
○知事公室長(親川盛一) 伊波洋一議員の騒音規制に関して嘉手納基地司令官あるいは普天間基地司令官について、話し合ったことがあるかという御質問にお答えをいたします。
私は、いろんな事件・事故がある際、関係機関に対して要請に参ります。その機会を利用して今御指摘の件につきましても、教育の問題とかあるいは綱紀の粛正だとかこういったことをつとにこの要請、抗議などもしております。ただし、普天間司令官につきましては、海兵隊の外交政策部を通してやっておりまして、直接普天間基地司令官にはお会いしたことはございません。
以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) 嘉手納基地のPCBの汚染の問題につきましては、先ほど申し上げましたように米側がまず調査をいたしまして微量ながら検出されたと。しかしそれでも住民が不安だと、納得できないということがございましたので、政府によって補完的に調査をしたわけでございます。その結果、日本側の調査方法では全く検出されなかったということでございまして、日本政府はこの米側の調査結果、そしてみずから実施した補完的な調査、その2つの調査を総合的に判断して人間の健康上の危険とはならないという結論を出したわけでございますので、県としてもその国の結論を尊重したいというふうに考えております。
以上でございます。
○伊波 洋一 なぜ兵力削減を求めるか。兵隊の数が減れば犯罪が減るからなんですよ。交通事故も減ります。そのまま求めないということはまた161名繰り返すということなんです、27年間。知事が言っているのは、できることをやらずして、できないことを追求しているわけです。知事が言っているのは、基地は財産だということなんですよ。そのことをしっかり再認識していただきたい。
それから環境の問題ですけれども、恩納村のものも水でやったら出なかった。でも土壌だから別の方法でやったら出ている。それは同じなんです、あれも全く同じ。恩納村よりはるかに高いPCBが中に書かれている。そのことを県の担当者はしっかり見てほしい。国が言うから安全だと、このような判断では県民の健康や環境は守れませんよ。
○糸洲 朝則 本定例会の代表質問のしんがりを務めさせていただきます。公明党を代表して代表質問をいたします。
まず平和行政についてでございますが、戦争と暴力の世紀と言われた20世紀に別れを告げ、新しい世紀を平和の世紀へと転換していく重要な節目に当たり、世界主要国首脳が沖縄に集い、2000年沖縄サミットが迎えられることはまことに意義深いものと感じます。
さきの大戦において初めて原爆が投下された我が国日本、そして住民を巻き込んだ悲惨な地上戦を体験した沖縄、また戦後も東西冷戦構造の中にしっかりと組み込まれた沖縄、まさに米軍の東アジア戦略のかなめ石として位置づけられ、戦争の世紀を象徴するような島沖縄において行われる2000年サミットは、20世紀を総括し新しい世紀を平和の世紀へ転換していく語らいができることを願うものであります。
くしくも去る2月11、12、13日の3日間にわたって戸田記念国際平和研究所の沖縄国際会議が開催されました。
マスコミ報道によりますと、ノーベル平和賞受賞者のジョセフ・ロートブラット博士を初め、世界10カ国の一流の識者が参加し、文明をさまざまな角度からとらえつつ科学や宗教の役割を多角的に論じられ、15項目に及ぶ沖縄宣言を採択しております。
その中には国連の「文明の対話年」を支援し、異なる宗教的、世俗的伝統に基づく人間の行動規範の間に相互の尊敬と理解を促進する、多様性の中の統一を尊重する、人間主義的地球文明の創造の発展に寄与する、グローバルガバナンス、いわゆる地球社会の運営の民主化を促進する等々の主張が盛り込まれております。まさに地球市民の視点から平和の文化構築のためあらゆる角度から、冷静かつ真剣な議論がなされたとこのように伺っています。
このように沖縄から世界へ向けた大きな平和の発信がなされた意義は極めて大きく、沖縄が世界平和の発信地としての使命と責任を担っていると考えます。
サミット前にこうした国際会議が開かれたことは、沖縄が新しい世紀に向かって平和戦略の主張の島へと転換する絶好の機会であると思います。
ロートブラット博士も言われておりますように、世界で唯一戦争を放棄している平和憲法をサミットで発信することが沖縄の心を世界へ宣揚することになるのではないかとこういう考えから、以下のことを知事に質問いたします。
(1)点目は、知事は2000年沖縄サミットを通じ平和の発信地沖縄をどのように宣揚されるか、御所見を伺います。
(2)点目に、国連アジア本部の誘致はこれまでも訴えてきましたが、さらにこのサミットを通じ各国首脳への要請をされるとともに、先進地スイスのジュネーブに学ぶことは多々あると思います。したがって、その視点からの調査研究を進めてはどうでしょうか。
(3)点目に、沖縄サミットへの中国の参加についてはこれまで何度か取り上げてきておりますし、今定例会でも多くの議員が訴えております。このことを踏まえさらにその要請を促すものでございますが、いかがでしょうか、知事の御答弁をお願いします。
(4)点目に、沖縄をアジア・太平洋地域の交流拠点として位置づけ、アジア・太平洋地域の政治、経済を初め文化、教育、福祉等、こういったサミット誘致を提案してはいかがでしょうか、知事の御所見を賜りたいと思います。
2点目に、基地問題について伺います。
日米地位協定の改定や運用改善は、一日も早い改定、改善が望まれます。知事は日米両政府に対しどのような改定、改善を要請されるのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
次に、嘉手納、普天間等爆音被害に対する補償制度の創設について伺いますが、昨年の通常国会において公明党・改革クラブの冨沢議員が、爆音訴訟の問題に物言わぬ住民の救済を行うべきだと訴えて制度の実現を迫ったことに対し野呂田防衛庁長官は、訴訟に勝った者だけが補償されるという繰り返しでは困る、何らかの救済措置を検討したいと踏み込んだ答弁をしております。
これを受けて国は、騒音被害防止などのための調査研究事業の名目で新年度予算に計上していると聞いております。したがって沖縄の嘉手納基地や普天間飛行場などにおける爆音被害に対する補償を訴訟に加わる、加わらないにかかわらず平等に補償する新たな救済金制度を創設するよう国に強く要請することを求め、知事の御所見を賜ります。
3番目、与那国島海底遺跡の調査研究について伺います。
この件につきましては、これまでも何度か取り上げてまいりましたが、観光資源開発の名目で調査費が計上されており、いよいよ古代ロマンの解明へ向けた第一歩がしるされるものと思います。
与那国の海底遺跡の調査については、琉球大学の海底調査団が国内外の地質学、考古学、歴史学の専門家の協力等を得てこれまで7度にわたって行われておりますが、県がいよいよ調査に乗り出すことによって本格的な調査を期待するものであります。
既に国際的な注目を集めているだけに、調査研究が継続され大きな成果が得られることを願い、調査に当たって以下のことを提案し知事の御所見を賜ります。
(1)点目に、現状調査、いわゆる海底測量やステレオ写真等に基づく図面や模型等の作成をやったらいかがでしょうか。それはこの海底遺跡のみならず周辺海域や陸地まで含めて連動した調査にしたらどうかと考えます。
(2)点目に、琉球大学海底調査団のこれまでの調査研究を尊重してはどうか。
(3)点目に、サミットを通し世界へ情報発信することを試みてはどうか。
(4)点目に、調査研究に必要な保護体制の枠組みを早速つくられたらどうか。
(5)点目に、ユネスコの世界遺産登録を視野に入れた取り組みをしてはどうか。
(6)点目に、シンポジウムの開催等、こういったことをなさってはいかがかということを提案し知事の見解を賜りたいと思います。
4点目に、防災対策について伺います。
県民の生命と財産を守る防災対策の重要性についても、これまで何度か取り上げてまいりました。とりわけ地震対策については県民の意識も低く、阪神・淡路大地震やトルコ、台湾等での地震災害の甚大さを見るにつけ、防災対策の強化は急がなければならないと考えます。
また、台風や大雨等による自然災害を初め事故や事件に対する対応も防災の一環であります。多くの離島を抱える本県においては、これらの災害に対し防災行政無線の役割は大変大きなものがあります。したがって新年度の新規事業の中に総合行政情報通信網整備事業費が計上されておりますが、この事業の具体的な御説明と、そして防災計画とのかかわり等について御説明をいただきたいと思います。
津波シェルターについてもこれまで取り上げてきておりますように、1771年の明和の津波による壊滅的な被害を受けた先島住民のことを思うにつけ、備えあれば憂いなしの言葉どおり対策を立てるべきであります。中でも明和の津波で島全体が被害を受けた多良間島や黒島の離島を初め低地帯の対策を急ぐ必要があります。
したがって、消防防災課が音頭を取っていただいて、土木建築部や教育庁あたりと協議をして公共建築物への設置、民間建築物への設置を研究してはどうでしょうか。できれば新年度において技術的な研究と公共施設、民間施設にそれぞれモデル的な津波シェルターの設置を提案をし御見解を賜ります。
5点目、離島振興について伺います。
まず、航空大学の誘致についてでございますが、これについても以前、宮古地区に航空大学の誘致を提案いたしました。宮古地区には3000メートル滑走路を持つ下地島空港を初め宮古空港、多良間空港とそれぞれ大型機から小型機まで訓練飛行が可能な環境が整っており、立地条件はそろっていると思います。
加えて、地元からの要望も上がっており、下地島をメーンにした宮古地区への航空大学の誘致設置について県のお考えを賜りたいと思います。
次に、田園地域マルチメディア整備事業について伺います。
高度情報化社会に対応した地域づくりの一環として宮古広域圏が事業主体として取り組む本事業は、都市部との情報格差の是正を初め産業の活性化、防災システム、健康、福祉、医療、教育等さまざまな分野にわたる多くの貢献を期待されております。
ひいては過疎化を食いとめ宮古圏域の活性化につながる事業であると伺っております。したがってその事業の内容の御説明と、中でもこのシステムを使いこなしていける人材の育成及び確保、そしてシステムの面からのソフト面からの対応等についても御説明いただきたいと思います。
(3)点目に、新多良間空港建設についてでございますが、既に実施設計に着手し、いよいよ新年度は着工の運びと聞いております。
そこで伺いますが、事業の規模や工期、あるいは課題等について御説明を願います。とりわけ工期については、今就航しております機材の耐用年数や今後の機材の切りかえ時期等との兼ね合いもあって工期の短縮は可能なのかどうか、この件について伺っておきます。
また、ターミナル建設についても並行して進めるものと思いますが、今後どのような手順でどのように計画しておられるか、伺います。
(4)点目に、多良間村への県営住宅の建設についてでありますが、離島における若者の定着を促進する施策の一つに住居の問題があることは御承知のとおりであります。村においても毎年のように村営住宅を建設して対応しておりますが、それでも現在なお二十五、六世帯の人たちが待機している状況にあると伺っております。したがって県営住宅の建設を要請しておりますが、県の新規住宅は困難とのことでなかなか実現しないようでありますが、しかしながら過疎化を食いとめ若者を定住させることが離島振興及び活性化につながるものと考えます。
よって、こうした視点から多良間島への県営住宅の建設を強く訴え、県の考えをお聞かせ願いたいと思います。
6点目に、福祉行政について伺います。
私ども公明党は、これまで少子化対策を推進する観点から児童手当の支給額及び支給対象の枠の拡大を訴えてきました。その結果、支給対象が3歳未満から小学校に上がる就学前までに拡大されました。児童手当の拡充への取り組みがいよいよスタートを切ったという感じがするわけでございます。
そこで伺いますが、児童手当の支給対象の拡大による本県における人数及び予算額について御説明いただきます。
(2)点目、アレルギー性疾患対策についてでございます。
我が党は、アレルギー対策については国は総力を挙げて取り組むべきだと考えております。小児ぜんそく、成人ぜんそく、アトピー性皮膚炎、杉花粉症等患者は人口の1割を超え、まさに国民病であるとまで言われております。
そこで伺いますが、県におけるこれらの患者の実態は把握しておられますか、県としての対策はどのように考えておられますか等アレルギー性疾患対策についての県のお考えを伺います。
(3)点目、保育行政について伺います。
我が県における保育所の特徴は、何と言っても認可外保育園の多さにあります。したがって、これらの認可外保育園に対する認識及び対策は子育て支援の観点からも重要であります。ある面で沖縄の保育はこれら認可外保育施設によって大半を支えられており、この対策なくして保育行政の役割は果たせないものと考え質問をいたします。
①、認可外保育園の多い要因及び背景について。
②、認可外保育園に対する県の考え方について。
③、認可外保育園への立入調査結果によりますと災害対応34%、給食45%と低い数値を示しておりますが、これらの原因、要因及び対策についてどう考えていますか。
④、国は、無認可保育施設を制度的に認めないという趣旨からすると認可保育施設に移行していくことが必要となりますが、実態は困難な状況にあると思います。どのように今後対応されるか、伺います。
⑤点目、段階的に移行するとしても、条件を緩和して認可するとか準認可保育所等の措置は考えられないものかどうか、伺います。
⑥点目に、437カ所もあるこれらの認可外保育施設の抜本的対策を国とタイアップして講じられないものかどうか等について伺っておきます。
最後、県民の生命、生活の安全確保について伺います。
国会でも問題になっておりました日栄の借金取り立てが注目されておりますが、同様なことが沖縄でも起きております。
例えば、集団による脅迫、保険をかけろ、墓はつくったか等犯罪行為同様な取り立てが行われておりますが、県はこうした実態を把握しておられますか。また対策はどのように講じておられますか、伺います。
また報道によりますと、日栄の社員が保険をかけろ、臓器を売れ等の発言が脅迫と認められ逮捕されております。この例からすると、さっき申し上げた行為は脅迫であり事件として取り扱われるべきだと考えますが、県警の考え及びこの種の問題に対する対応について伺います。
以上、質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) 糸洲朝則議員の御質問にお答えします。
最初は平和行政について、2000年サミットを通じ平和の発信地沖縄をどのように宣揚するか、所見を伺いたいとのお尋ねでございます。
沖縄は、かつて万国津梁の精神で日本、中国、韓国、東南アジア諸国との友好的な交易を通して栄えた琉球王国時代があり、平和を大切にする独特な文化をはぐくんできた歴史があります。また過酷な沖縄戦の体験、長年にわたる米国統治、そして今なお残る広大な米軍基地などから、県民は平和への願いと人権の尊厳を肌身で感じております。
このような観点から、私としては世界じゅうの目が沖縄へ集中するサミットの機会に、沖縄の過去の歴史や独自の文化を知ってもらうとともに、平和を志向し、協調し支え合い、そして異質なものを溶け込ませてしまう寛容さを持った沖縄の心を広く世界にアピールしていきたいと思います。
次に、国連アジア本部の誘致について、先進地の調査研究を進めてはどうかとの御質問のお答えでございます。
国連機関を誘致することは、我が国の南における交流拠点の形成、太平洋・平和の交流拠点(パシフィック・クロスロード)の形成を目指す本県にとって大きな意義を持つものと考えています。
御提言の国連機関の誘致につきましては、国連機関や国、国連と密接な関係にあるNGO組織の動向、国連機関を有する他地域の支援状況などの調査を踏まえた上で今後検討してまいりたいと考えております。
次に、沖縄サミットへの中国のオブザーバー参加について現状と見通しはどうかとの御質問のお答えでございます。
サミットは、国際政治や経済の運営に責任を有する8カ国の首脳レベルの会合であり、参加国の構成についてもこれらの国々の合意によって決まるものと承知していますが、中国が何らかの形でサミットにかかわりを持つことは、アジア・太平洋地域の安定や発展に寄与するものであり有意義なことであると考えています。こうした考え方については、私自身これまでもいろいろな場で述べてきたところであります。
なお、見通しについては中国自身が慎重であるとも伝えられており何とも言えませんが、いずれにせよ今後とも働きかけを続けていきたいと思います。
次に、沖縄をアジア・太平洋の交流拠点として位置づけ、アジア・太平洋地域の政治、経済を初め文化、教育、福祉等のサミット誘致を提案してはどうかとの御質問に対するお答えでございます。
本県は、国の新全国総合開発計画において太平洋・平和の交流拠点(パシフィック・クロスロード)として位置づけられております。県としても、国際会議や学術会議などの各種コンベンションの誘致や海外からの留学生や研修員の受け入れなどの国際交流・協力を進め、学術・平和・国際交流拠点の形成に向けて取り組んでいるところであります。
御提言の政治、経済、文化等の国際コンベンションの誘致につきましては、国や関係する機関等からの情報収集に努めるとともに、誘致の可能性や効果等についても総合的に検討し、その結果を踏まえた調査や要請活動を行う等前向きに取り組んでいきたいと考えております。
次に、基地問題について、日米地位協定の改定及び運用改善を日米両政府に要請するとのことだが、どのような改定、改善を要請するのか、具体的に説明してほしいとの御質問のお答えでございます。
本県には、在日米軍専用施設面積の約75%に上る米軍基地が存在し、航空機騒音を初めとする環境問題や米軍人等による犯罪などによって県民生活は大きな影響を受けております。
県としては、米軍基地から派生するさまざまな事件・事故等による県民の不安を解消し、基地問題の解決を促進するためには、合衆国軍隊の施設及び区域の使用並びに地位に関する法的根拠である現行の日米地位協定を見直していただく必要があると考えています。
特に航空機騒音の規制、環境浄化の実施など環境保護に関する国内法の適用、日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員または軍属たる被疑者の起訴前の拘禁、公務外の米軍人等が起こした事件・事故の被害者に対する補償を日米両政府の責任で行うことなどの諸課題の解決を図るためには、県民の生活と人権を守る観点から日米地位協定を見直す必要があると考えます。
県では、これまで機会あるごとに日米地位協定の改定または運用の見直しを政府に対し強く働きかけてきました。
また、普天間飛行場の移設候補地の選定を国に提示するに際しても日米地位協定の見直しを要請いたしましたが、国においては昨年12月28日の閣議決定において「地位協定の運用改善について、誠意をもって取り組み、必要な改善に努める。」との方針を示しております。
県としては、3月末に提出される「基地の環境調査及び環境浄化等に関する海外調査」委託事業の報告などを踏まえ、今後改めて県の要望が満たされていない事項に係る日米地位協定の改定または運用の見直しを早急に取りまとめ、日米両政府に対し働きかけていきたいと考えております。
次は、同じく基地問題で、航空機騒音について国は新たな救済金制度を創設する方向であり、県として嘉手納、普天間の爆音被害に対する補償制度創設を国に求めることについての所見を聞きたいとのお尋ねでございます。
国は、市街化が進行している飛行場周辺の騒音区域において、住民の精神的被害等の緩和に資する効果的な施策を検討するため、厚木飛行場周辺地域において住民の意識調査を実施する経費を平成12年度予算に計上していると聞いております。
県は、これまで関係市町村と連携のもと騒音測定を実施するとともに、嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺における航空機騒音の軽減及び騒音対策を日米両国政府に対し要請してきたところであります。県としては、引き続き嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺における航空機騒音の軽減及び騒音対策の強化を図る観点から、補償制度については国が実施する住民意識調査の結果やその後の施策展開を注意深く見守りながら適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、与那国島の海底遺跡の調査研究について幾つかございまして、最初は現状調査に基づく図面や模型の作製について、次に琉球大学海底調査団のこれまでの調査研究を尊重してはどうか、3番目のサミットを通じて世界へ情報を発信することについて、4番目の調査研究に必要な保護体制をつくることについて、5のユネスコの世界遺産登録を視野に入れた取り組みについて、6のシンポジウムの開催についてと、この6つの御質問に一括してお答えします。
与那国沖の当該海底地形につきましては、琉球大学海底調査団の報告等により世界最古の巨石文明の可能性があるということで、マスコミを初め国際的な注目を浴びているところであります。またダイビングスポットとしても親しまれており、今後観光資源としての活用が大いに期待されているところであります。
県としましては、この海底地形の保護と観光資源としての活用との調和を図る必要があることから、平成12年度において当該海底地形の観光資源可能性調査を実施することとしております。特にことしは本県でサミットの首脳会議が開催され、本県のあらゆる情報が世界に発信される絶好の機会であることから、本県のすぐれた観光資源として当該海底地形についても積極的にPRしていきたいと考えております。
その他の御提案につきましては、調査結果等を踏まえ、今後前向きに検討していきたいと考えております。
次に、離島振興について、田園地域マルチメディア整備事業についての御質問に対するお答えでございます。
田園地域マルチメディアモデル整備事業は、高度情報化による農業の振興、農村生活の改善、都市・農村交流の促進等を図ることを目的に実施しております。
本県においては、新規事業として宮古圏域を対象に平成12年度から平成15年度を実施期間とし、総事業費37億円を投じて光ファイバーによる伝送路と広域情報センターを整備することとしております。
これら情報基盤の整備とあわせて市況、栽培技術等の各種農業情報の提供、離島や遠隔地と各行政機関との情報交流を行う島嶼農業情報ネットワーク、地域防災等の情報通信網の整備を行います。この田園地域マルチメディアモデル整備事業の実施により宮古圏域の情報格差が是正されるとともに、営農技術の向上、インターネットを利用した農産物流通、都市・農村交流等を通して地域農業の振興発展及び地域活性化が期待されます。
また、情報通信施設の有効利用を図るためには、情報の収集分析及びその利活用について指導を行う人材の育成が重要であります。このため、平成12年度に宮古地域に設置予定のマルチメディアセンターと連携しながら各種研修会、講習会を通して人材の育成を図っていく考えであります。
次に、同じく離島振興で、新多良間空港整備の現状と今後の取り組みについてのお答えでございます。
新多良間空港の整備につきましては、航空需要の増大及び就航機材の大型化に対応するため39名乗りの機材が就航可能な滑走路延長1500メートルの新空港を建設するものであります。
同事業は、平成8年度を初年度とする国の第7次空港整備七箇年計画へ組み入れ、今年度から総事業費約45億円で滑走路、エプロン2バース、駐車場及び照明施設などを整備するものであり、平成11年度は実施設計及び用地取得を進めているところであります。
また、今後の取り組みとしましては、平成12年度から14年度にかけて用地造成、滑走路、ターミナルビル等の整備を行い、平成15年10月に供用開始する予定であります。県としましては、一日も早く供用ができますよう鋭意取り組んでいく考えであります。
次に、新多良間空港のターミナルビルの建設についてのお答えでございます。
ターミナルビルの建設については、平成12年度に基本計画、平成13年度に実施設計を行い、平成14年度に工事を予定しております。ターミナルビルの建設に当たっては利用客の利便性、快適性を考慮するとともに、空の玄関にふさわしい地域性に配慮することに努めていきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(宮城正治) 防災対策の関連で、総合行政情報通信網整備事業についての御質問にお答えいたします。
本事業は、県行政の情報化を推進する情報通信基盤として総合的な行政情報通信ネットワークを整備するものであります。
整備に当たりましては、現行の防災行政無線設備の再整備に合わせて衛星通信システムの導入等も含めた高速大容量の情報通信網を構築いたしまして、県、市町村等を結ぶ情報通信ネットワーク及びマルチメディア・アイランド構想を実現するための公共的インフラとして活用を図ることといたしております。
本ネットワークでは、地上系無線通信回線、衛星通信回線及び電気通信事業者の有線回線等を有機的に接続いたしまして複数の通信手段による安定した通信を確保いたします。さらに、画像伝送等のマルチメディア通信を可能にする高速大容量化とデジタル化を図ってまいります。
このような通信機能の高度化により、県と県内外の防災関係機関との間において災害情報の収集・伝達を一層迅速かつ的確に行うことが可能となります。したがいまして、県民の生命及び財産を災害から保護することに大きく寄与いたします。
本事業は、平成9年度に策定いたしました整備基本計画を踏まえ、平成10年度から14年度までの5カ年計画で整備を行うことといたしております。
以上です。
○文化環境部長(宮城光男) 防災対策に関する御質問の中で、津波避難シェルターに関する御質問にお答えいたします。
津波対策につきましては、糸洲議員の津波シェルターに関する御提言以降、これまで津波被災地や県内低地帯離島の調査を行う一方、県及び市町村職員を初め県内の防災関係機関の職員に対し各種講演会、講習会を通じその推進を図ってきたところであります。
津波による被害防止対策としては、公民館や学校等の公共施設に有効な避難機能を付加することが重要であります。県といたしましては、県地域防災計画を修正しその推進に努めるとともに、市町村地域防災計画の対応についても指導していきたいと考えております。
また、個別住宅へのシェルター機能付加についても専門家の意見を聞きながら対応していきたいと考えております。
次に、過激な借金取り立ての実態の把握及びその対策はどうなっているかという御質問にお答えします。
貸金業者の取り立て行為に関する苦情相談件数は、平成10年度は171件、平成11年度は12月末現在で149件となっております。
苦情相談の内容は、深夜における取り立て、暴言による取り立て、債務者等が経営している店舗の客の面前での取り立て、民事調停申し立てや破産申し立て後の取り立て行為等であります。
取り立て行為等に関する苦情相談に対しては、一両日のうちに立入検査を実施し行き過ぎた取り立て行為等に対しては厳重注意をするとともに、業務改善の文書勧告を行っております。
業務改善が是正されない悪質な業者に対しては、警察等関係機関との連携を図りながら厳正に対処していきたいと考えております。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 離島振興についてのうち、航空大学の誘致について県の考え方を賜りたいについての御質問にお答えをいたします。
航空大学の誘致については、伊良部町において平成11年10月21日日本航空学園に対し要請を行うとともに、平成11年11月11日日本航空大学設立準備委員会を設置し、誘致に向けた調査研究を行っているところであります。
また、平成11年12月17日には伊良部町議会において航空大学に関する誘致決議が行われ、平成12年1月17日には宮古市町村会議長会においても誘致決議が行われております。
一方、日本航空学園においても、伊良部町下地島を再三視察するとともに、大学の設立に向けて学園職員を伊良部町に常駐させる等、現在、日本航空学園と伊良部町が連携を図りながら航空大学の基本計画及び大学設立に当たっての諸課題の整理等、諸準備作業を進めているところであります。
県としては、大学の立地によって伊良部町及び宮古地域における教育・文化の向上、雇用機会の創出、地域人口の増加、情報産業等の研究機関の導入等地域振興に多大な効果が期待されることから、伊良部町の取り組み状況並びに地域の動向等を踏まえつつ前向きに対応したいと考えております。
○土木建築部長(銘苅清一) 多良間村への県営住宅の建設について県はどのように考えているかとの御質問にお答えいたします。
本県の公営住宅の建設については、平成8年度を初年度とする沖縄県第七期住宅建設五箇年計画に基づいて実施しているところであります。
本来、公営住宅の建設に当たっては、地方定住及び地域活性化を図る上でそれぞれの地域における住宅事情と地域特性等をきめ細かく把握している各市町村が建設することを原則としております。したがって、県営住宅の建設は広域行政の見地からその補完的役割を担うこととしております。
また、これまで建設した県営住宅の中には老朽化のため建てかえを必要とする団地が数多くあり、現在県ではこれらの団地の建てかえ事業に取り組んでいるところであります。そのため当面、新たな県営住宅の建設計画は厳しい状況にあります。
御質問の多良間村における県営住宅建設については、離島振興及び過疎化対策の観点から今後多良間村の住宅需要動向を踏まえ、村営住宅の建設を含めて総合的に勘案して検討したいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 福祉行政について、児童手当の支給対象の拡大による人数及び予算額についての御質問にお答えいたします。
児童手当法が改正されますと、支給対象児童が現行の3歳未満から義務教育就学前までに拡大されます。
本県において、児童手当を受給している3歳未満の児童は約4万1000人、法改正案に伴い新たに受給対象となる児童は約5万人となり、合計約9万1000人が児童手当の受給対象となります。
また、改正案に伴う増額分は4億2021万4000円で、所要額は6億9134万7000円となります。
次に、福祉行政についての中で、アレルギー性疾患の現状と対策についての御質問にお答えいたします。
近年、ライフスタイルが多様化する中で、食事内容や住環境の変化及びストレスなどによりアトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくなどアレルギー疾患に悩む患者は小児を中心に増加している状況にあります。
厚生省研究報告によりますと、その有症率は乳児で29%、小児で36%、成人で21%と高い率となっております。
このため、国においては平成4年度から研究班を設置し、アレルギー疾患の病因や治療方法等の研究を通じて予防管理や治療に関するガイドラインを作成するなど予防及び治療方法の普及啓発に努めているところであります。
また、平成12年度以降、アレルギー疾患の総合的な研究を推進するため国立病院等を含めた医療機関、研究機関の連携体制を構築しアトピー性皮膚炎等に対する対策の拡充を図ることとしております。
県としましても、国の研究事業への協力や医療情報の集積に努めるとともに、保健医療機関等との連携を図りながら予防及び治療に関する普及啓発に取り組んでいく考えであります。
次に、福祉行政についての中で、認可外保育施設の多い要因及び背景、認可外保育施設に対する県の考え、また認可保育所への移行についての3つの御質問につきましては一括してお答えいたします。
保育所は、保育に欠ける乳幼児の保育を実施し、入所している子供たちが明るく衛生的な環境において心身ともに健やかに育成されることを保障する児童福祉施設であります。そのため認可に当たっては、施設の面積や職員数等について児童福祉施設最低基準などを遵守して運営することになっております。
認可外保育施設は、認可を受けないで保育所に類似する業務を行う個人等の施設を言います。同施設は、都市地域における保護者の利便的な保育ニーズを背景にそれにこたえる形で発生したと考えられます。県では、児童福祉の観点から認可外保育施設に対しては認可を受けて保育所を運営するよう指導してきました。その結果、これまでに82カ所が法人化によって認可保育所となっています。
また、認可外保育施設の職員の資質の向上を図る目的で職員研修を実施するとともに、認可外保育施設に入所している児童の処遇改善のため健康診断料を平成9年度から市町村を通して補助しております。県としましては、今後とも地域のニーズを踏まえながら保育所整備を図り児童福祉の向上に努めてまいります。
次に、同じく認可外保育施設の立入調査の結果を踏まえた対策等についての御質問にお答えいたします。
市町村からの報告によりますと、平成11年4月1日現在、認可外保育施設は437カ所、入所している乳幼児数は1万9770人となっております。
国においては、児童の安全確保等の観点から必要最小限の基準として認可外保育施設に対する当面の指導基準を定めており、県でも同基準に基づき専門の指導員──嘱託でございますが──を配置しまして認可外保育施設に対する立入調査、指導等を実施しております。
また、その結果を踏まえて改善を指導するとともに、認可外保育施設の長や職員を対象に研修を実施し安全保育や衛生管理等に関する意識の高揚を図ることに努めております。
次に、同じく認可外保育施設について段階的移行や準認可等についての御質問、また認可外保育施設対策の国とのタイアップについての御質問に一括してお答えいたします。
保育所は、保育に欠ける乳幼児の保育を実施する児童福祉施設であり、国が定める児童福祉施設最低基準や関係通知に定める基準を遵守することになっております。保育所の認可については、これらを踏まえ児童福祉法や社会福祉事業法等国から示された基準により認可しております。
また現在、国においては保育所を運営する設置主体の規制緩和等について見直しを進めているところです。県としましては、今後とも児童福祉法に基づく保育制度の充実に努め児童福祉の向上を図ってまいります。
○警察本部警務部長(樹下 尚) 過激な借金取り立てに対する県警の対応はどうかとの御質問にお答えをいたします。
警察本部生活保安課に設置しております悪質商法110番等には、悪質な取り立て事案についての相談が寄せられております。
警察では、出資法や貸金業規制法違反あるいは暴行傷害、脅迫等刑罰法令に触れる行為がある場合には所要の捜査を推進し事件化を図っているところであります。また、違法性がない場合においても関係機関の照会等を行っております。
さらに、こうした悪質な取り立て事案については、県主管課や県民生活センター等他の相談機関とも連携を密にして悪質業者の把握に努めているところであります。
なお、昨年は無登録事犯2件3名、高金利事犯4件9名の合計6件12名を検挙しております。
以上でございます。
○議長(友寄信助) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程はこれで終了いたしました。
次会は、2月28日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後9時34分散会