○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた公安委員会委員長湖城英知君は、別用務のため本日及び12日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日の会議に公安委員会委員尚弘子君、12日の会議に同比嘉良雄君の出席を求めました。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案、甲第2号議案、乙第1号議案から乙第22号議案まで及び認定第1号から認定第20号までを議題とし、質疑に入ります。
質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
当山全弘君。
〔当山全弘君登壇〕
○当山 全弘 おはようございます。
2000年を振り返る意味において所感を述べながら一般質問を行います。
2000年の幕開けとともに2月4日にANKの民間航空機と米軍機のニアミス事件が発生しました。それもつかの間、嘉手納ラプコン故障により民間航空機の離着陸に多大な影響が出ました。また、給油を理由として県管理の石垣空港に米軍機が着陸しました。このようなガイドラインを先取りした米軍の行為は断じて容認できないものであります。
2月議会は、県議選を意識しての定例議会でありました。基地問題の質問では、SACOの実施を着実に実行することと終始答弁が続く、北部振興策と基地移設のリンクの兆しがあり、基地問題の解決がどうなるやら心配の念を抱いた。
沖縄戦の史実の改ざん問題が問われた新平和祈念資料館が解決すべき課題を抱えながらオープンしました。
小渕総理の病気辞任、後任に森氏就任、沖縄に対する認識不足の発言が相次ぎました。
沖縄サミットの開催、基地の重圧に苦しむ県民、人間の鎖で嘉手納基地を包囲する行動が実施されました。各国首脳の目にはどのように映ったのか、その行動が気になりました。
7月3日午前4時ごろ、沖縄市で米海兵隊員による住居侵入、少女に襲いかかるという強制わいせつ事件が発生、議会も全会一致で抗議決議を採択し、関係省庁へ抗議行動を展開しました。前後して米海兵隊員による少女わいせつ事件糾弾県民大会も開催されました。
クリントン大統領の平和の礎の前での演説、内容は事件・事故に一切触れず基地に対する謝罪もなく、聖地にふさわしい内容を期待しましたが、世界の安全のためには沖縄基地が重要であるという認識の上に立った内容でありました。普天間代替基地の15年使用期限についても一切触れることがなかった。日米首脳会談においても15年使用期限は進展なく、SACOの合意を着実な実施の中に日米政府間で協議していくという結論に達しました。基地問題の進展がないまま沖縄サミットは終わりました。
9月12日、13日、台風14号来襲、丸31時間に及び暴風域にありました。日ごろから災害対策の心構えが必要と思いました。
この1年普天間基地は動かず、基地の面積も減らないままアジア10万人体制もそのまま、日米地位協定も40年改定なしで20世紀が暮れようとしている。地位協定上の不平等さや朝鮮半島の緊張緩和へと傾いているが、米軍用地特措法も2度改定し、21世紀の沖縄の自立への道はほど遠いような気がいたします。
普天間移設選定から1年を迎えた稲嶺知事、ちょうど11月22日であります。名護市の受け入れ表明、国の閣議決定を経て移設に向けた3者の協議がスタートしました。だが、県や名護市が求めている基地の15年使用期限問題など解決に向けた道筋はまだ見えず、クリアすべき課題が山積し21世紀に持ち越されようとしております。
県、名護市の代替施設容認を受けて国は建設に伴う周辺環境への配慮、北部地域振興策、普天間の跡利用対策など閣議決定をした。代替施設の基本計画を策定する協議会など基地建設への条件を整える協議会も次々と発足させ会合を重ねております。
1つ、基地問題について質問をいたします。
(1)番、国際情勢の変化に対応し、在沖米軍の兵力構成等の軍事体制につき米国政府と協議するとした15年使用期限問題は、外交の場で沖縄側の意向が伝達されただけで進展はないが、知事の所見を伺いたい。
(2)番、米国大統領選挙が混迷する中、いずれの施政権下でも米国側が期限設定に応じる可能性は低いが、知事の所見を伺う。
(3)番、米国側は、基地の使用に期限をつけることは軍事的に無理と言って、日本政府に対し確約は極めて厳しいと判断されるが、知事の所見を伺います。
(4)番、知事は、戦後55年、日本が繁栄する中で沖縄が過重な負担を負ってきた事実を日本全体がとらえ、政府がしっかりとした認識を持つことが必要であると何度も何度も同じことを言っております。この1年、政府にしっかりとした認識がなく何ら具体的な動きが見られないが、知事の所見を伺います。
(5)番、政府は、使用期限を棚上げにしたままいかにして新しい基地をつくるかを模索しております。本陣と言える辺野古移設をとるために経済振興策を含めた外堀を埋めようとしております。最も大事なことは移設条件の15年使用期限問題と考えるが、知事の所見を伺います。
(6)番、基本計画の策定時期、工法、具体的な建設場所について知事の所見を伺います。
(7)番、期限設定に向けた協議が必要だが、着工時に未解決の場合、移設にどのように対応するか、知事の所見を伺います。
(8)番、米海兵隊の次期主力機となる最新鋭離着陸機MV22オスプレイの配備計画をめぐり、米本国の基地周辺住民から懸念の声が上がっているとマスコミは報じております。オスプレイの騒音、汚染、安全性に疑問が投じられております。米本国でも海兵隊は多くの住民の不安にこたえることができないようである。このように安全性に欠け、騒音、汚染をまき散らすオスプレイは2005年に沖縄への配備が予定されているようだが、県民の反発が予想されます。知事の所見を伺います。
2000年10月10日にヨルダンのアンマンで開かれた国際自然保護連合の総会で、野生生物の保護や自然環境の保全に地球規模で取り組む立場から、ジュゴンやヤンバルの森の調査保護を求める勧告案を採択し世界的にも注目されております。政府は本格的な環境アセスを徹底すべきである。本島東海岸沿岸域は海がきれい、生き物のえさが豊富である、安心して泳げるなどの好条件がそろっている場所でもある。環境事前調査影響評価、海岸の埋め立てや飛行場建設などが自然環境にどのような影響を与えるかを事前に調査公表する必要があります。
2点目の国際自然保護連合勧告の意義と影響について、次の質問をいたします。
(1)番、ジュゴンやヤンバルの野生生物の重要性と現状を確認し、生息地の保全と生息場所の環境アセスメントの早期実施を求めているが、知事の所見を伺います。
(2)番、非政府組織と政府が参加し、国際機関がヤンバルの海、山にすむ貴重な生物の現状と重要性を認識し、保全を訴えた意義は大きいと思うが、知事の所見を伺う。
(3)番、政府は保全勧告を重く受けとめなければならない。勧告は、日本政府に対して米国と協力しながら環境アセスを実施し保全対策を実現せよと言っているが、知事の所見を伺う。
(4)番、移設先周辺に生息する国の天然記念物ジュゴンの保護対策も含めて移設に向けた作業は難航が予想され、代替施設の予定地となっている辺野古沿岸域では国の天然記念物のジュゴンがたびたび確認されている。このことは、この沿岸は自分たちが生息しているよという暗示と警鐘を鳴らしているような気がしてなりませんが、知事の所見を伺います。
親が子供の体や心を傷つける児童虐待が深刻化している。その相談や指導で改めて悲惨な児童虐待の実態が浮き彫りになっています。最悪の事態である。都市化の急速な広がりによる核家族化が背景にあるようだ。核家族化は、家庭を社会から孤立させ子育ての知恵を奪ってしまった。育児の負担と責任は親に集中し、うまくいかない場合はいらいらし、あげくの果ては子供の虐待へと進んでいく。社会問題化する事態を受けて制定された児童虐待防止法が2000年11月20日に施行された。法の趣旨のもとに早急に対策の必要があります。
3番の児童福祉、児童虐待について質問をいたします。
(1)番、全国児童相談所が1999年度中の児童虐待に関する通報、相談は前年度と比べ1.7倍、1万1631件に上ったとマスコミは報じているが、その実態は何なのか、説明してください。
(2)番、県の1999年度の児童虐待に関する相談、通報も237件で前年度の1.9倍と過去最高になっていると報じられている。その実態を説明してください。
(3)番、児童虐待防止法の施行によって今までと比べ何が変わるのか、説明してください。
(4)番、実効力を担保するためにも、その中核となる児童相談所の専門職員の確保と整備を急ぐべきであるが、その実態はどうなっているか、説明をしてください。
(5)番、親と子供を離しただけでは問題は解決しません。再発防止には親の心のケア、治療システムや支援体制の整備が求められておりますが、所見を伺います。
両親の共稼ぎや家庭で子供の面倒を見ることができない場合、保育に欠ける児童を預かる児童福祉施設と認可外保育施設があります。県内で保育所が果たす役割は大きいものがあると思います。とりわけ公立・認可の保育所に入りたくても入れない子供、待機児童も多数おります。また県内でも保育所に通う子供の半数以上に当たる子供が無認可保育園に通っており、その保育の果たす役割は大きい。待機児童の数が県内ワースト1位の浦添市が待機児童の減少を目指し、児童福祉法の対象外である補助がなかった無認可保育園への補助を開始する。浦添市が投じた一石は他の市町村にも影響を与えそうで、関係者から大変喜ばれております。
4点目、児童福祉保育所の整備と待機児童及び認可外保育所について質問いたします。
(1)番、保育所の整備状況について伺います。
(2)番、保育所の入所児童、待機児童について伺います。
(3)番、認可外保育園の施設数、入所児童、待機児童について伺います。
(4)番、浦添市が実施しようとしている無認可保育所に対する補助について知事の所見を伺います。
(5)番、県内、県外の自治体での先行例はあるのか、説明してください。
(6)番、認可外保育の果たす役割は大きいが、認可園の整備によって無認可保育園の解消ができると思うが、県はどのように認識しているか、所見を伺います。
国民年金の受給開始は65歳が原則ですけれども、ただし少なくとも25年以上の保険料納付済み期間がないと、たとえ納付期間が何年あっても年金は全く受けられなくなってしまいます。毎年毎年無年金者がふえており、将来深刻な影響を与えかねない危機的な状況が続いている。無年金者の増加傾向は、県民所得の低さや高い失業率や生活保護世帯の多さなどが原因としております。救済策を早急に講ずる必要があります。
ふえ続ける無年金者対策について質問いたします。
60歳未満で、年齢か、既に25年の最低支払い期間が達成できない対象者を無年金者と称するが、その実態と対策について伺います。特に救済策はあるのか、具体的に例示してください。
20歳から35歳までに国民年金に加入せず免除申請もしていない対象者を予備軍と称しているが、その実態と対策について伺います。
納付(検認率)はどうなっているか。県民の所得の低さや高い失業率が影響していると思うが、知事の解決策を伺います。
基地内運送契約の他県企業の参入による琉球バスの大量解雇を初め、山形屋や東急ホテルなどの閉鎖による解雇など、雇用関係を取り巻く状況は全国一の失業率と並行して大変厳しい状況が続いております。都市モノレールなどの運行に伴い解雇された従業員の技術訓練などを実施し、再雇用の場を構築してほしい。
6点目の雇用問題について質問いたします。
(1)番、都市モノレールの開通は平成15年と聞いているが、運転士を初めとするバスなどの解雇された方々を優先採用する必要があると思うが、所見を伺います。
(2)番、県民に支持される企業の発展と育成のために助成等を含めて経営指導を強化してほしい。しにせの山形屋、東急ホテルが閉鎖したことは残念である。企業が倒産、閉鎖した場合、失業者の救済のために抜本的な解決策を講ずる必要があると思いますけれども、所見を伺います。
あとは答弁によって再質問をいたします。
よろしくお願いします。
○知事(稲嶺惠一) 当山全弘議員の御質問にお答えいたします。
最初は基地問題について、国際情勢の変化に対応して在沖米軍の兵力構成等について米国政府と協議するとした15年使用期限問題は外交の場で沖縄側の意向が伝達されただけで進展はないが、所見を伺いたいとのお答えでございます。
国は、昨年末の閣議決定に基づき日米防衛首脳会談、外相会談、九州・沖縄サミットでの日米首脳会談、日米安全保障協議委員会等において15年使用期限問題を取り上げております。
また、私も九州・沖縄サミットにおける米大統領の平和の礎訪問の際にクリントン大統領と直接お話しすることができました。
県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ明確な考え方を示すべきであると考えており、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えております。
次に、同じく基地問題について、米大統領選挙が混迷する中、いずれの施政権下でも米国側が期限設定に応ずる可能性は低いのではないかという御質問と、もう一つは、基地の使用に期限をつけることは軍事的に無理と言って、日本政府に対し確約は極めて厳しいと判断されるが、所見を伺うという2つの御質問に一括してお答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ明確な考え方を示すべきであると考えており、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えております。
次に、同じく基地問題について、知事は戦後55年、日本が繁栄する中で沖縄が過重な負担を負ってきた事実をしっかりと政府が認識を持つことが必要だと何度も言っているが、この1年、しっかりした認識がなく具体的な動きが見られないが、知事の所見を聞きたいとの御質問にお答えいたします。
15年の使用期限問題については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が55年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から使用期限を設け、国に強く求めているものです。
県としては、代替施設の15年使用期限についてこれまでもあらゆる機会に要請してきたところであります。最近でも全国知事会や代替施設協議会等で国に要望しており、政府内においてもより認識が深まってきているものと考えます。
次に、同じく基地問題について、使用期限を棚上げにしたままいかにして新しい基地をつくるかを模索していると、辺野古移設をとるために経済振興策を含めた外堀を埋めようとしている、移設条件の15年使用期限問題について、大事なことは15年問題と考えるが、所見を聞きたいということでございます。
繰り返しになりますが、県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ明確な考え方を示すべきであると考えており、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えております。
期限設定に向けた協議が必要だが、着工時に未解決の場合、移設にどのように対応するのか所見を聞きたいという御質問へのお答えでございます。
県としては、移設に当たって整備すべき条件として代替施設の15年使用期限を設けることを申し入れており、これまでその早期解決を求めてきたところであります。15年使用期限問題については、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えており、今後ともその解決を強く求めていきます。
次に、児童福祉保育所の整備と待機児童及び認可外保育所についてのうち、保育所の整備状況について、次の保育所の入所児童、待機児童についての2つの御質問に一括してお答えいたします。
平成12年4月1日現在、保育所数は323カ所、入所児童数は2万3482人で、これに対する入所待機児童数は1645人であり、待機率は7.0%となっております。県では、保育所入所待機児童の解消を図るため市町村と連携を図りながら保育所の創設や老朽保育所の改築の際の定員増、設備等に余裕のある保育所での定員の弾力化など積極的な受け入れを促進しているところであります。また地域の多様な保育ニーズに対応できる保育所の整備も推進しております。
県としましては、平成11年度に夜間保育所の創設1カ所、改築など15カ所整備し、また本年度も夜間保育所を含めた創設2カ所、改築など11カ所の整備を進めております。
そのほか、市町村では少子化対策臨時特例交付金での整備も進められており、待機児童の解消に取り組んでいるところです。今後とも、老朽保育所の改築を中心に待機児童の解消のための定員増や地域の多様化する保育ニーズに対応できる保育所の整備を行い、児童福祉の向上に努めてまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 当山全弘議員の基地問題についての御質問の中の、基本計画の策定時期、工法、具体的な建設場所について伺いたいという御質問にお答えいたします。
代替施設協議会は、8月の初会合からこれまでに4回開催されております。これまでの協議会においては、軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけ、辺野古沿岸域の地形・生物分布状況、航空機騒音を初めとする生活環境等についての協議がなされました。
次回の協議会は、想定される工法の概要について防衛庁から説明がされることになっており、一つ一つ課題が協議されていくものと考えております。
なお、具体的な建設場所、工法、規模等につきましては協議を重ねていく中で決まっていくものと考えております。
次に、オスプレイは2005年に沖縄へ配備が予定されているようだが、県民の反発が予想されるがどうかという御質問にお答えをいたします。
オスプレイの配備につきましては、昨年12月8日の参議院予算委員会で河野外務大臣は、米国政府から現時点において何ら具体的な配備予定はないとの回答を得ている旨答弁しております。
なお、県として現時点でのオスプレイの配備計画について国へ照会いたしましたところ、さきの国会答弁と同様な回答がありました。
次に、ジュゴンやヤンバルの野生生物の生息地の保全と生息場所の環境アセスメントの早期実施を求めているがどうか、(2)点目に、非政府組織(NGO)と政府が参加し、ヤンバルの海、山にすむ貴重な生物の保全を訴えた意義は大きいと思うがどうか、(3)点目に、勧告は日本政府に対して米国と協力しながら環境アセスを実施し保全対策を実現せよとしているがどうかという3点について一括してお答えをいたします。
去る10月11日、国際自然保護連合の世界自然保護会議においてジュゴン等の保護に関する決議が採択されました。
県は、普天間飛行場代替施設の移設候補地を選定した際、代替施設の建設については必要な調査を行い、地域住民の生活と自然環境への配慮を国に強く申し入れております。
これを受け、国においては昨年末の閣議決定において「地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う」との安全・環境対策の方針を示し、「環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。」としております。
県としては、代替施設の建設に当たってはこの方針に基づき政府において適切な措置がなされるものと考えていますが、引き続き自然環境への影響を極力少なくするよう要望していきたいと考えております。
また、北部訓練場の返還に伴うヘリパッドの移設については、防衛施設庁がヘリパッド移設予定地等の環境影響調査を実施し、現在調査結果の整理を行っている段階であります。国の調査結果が出た段階で関係する市町村の意向や自然保護団体等の意見も踏まえながら、自然環境に十分配慮した移設場所の選定が行われるよう適切に対応したいと考えております。
次に、国際自然保護連合勧告の意義と影響についての中の、代替施設の予定地となっている辺野古沿岸域ではジュゴンが確認されている、これは自分たちが生息しているよという暗示と警鐘を鳴らしているような気がするがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
県としては、普天間飛行場代替施設の移設候補地を選定した際、代替施設の建設については必要な調査を行い、地域住民の生活と自然環境への配慮を国に強く申し入れております。
国は、去る10月末からジュゴンの生息状況の予備的調査を実施し、さらにサンゴと藻場について補足調査を実施することとしております。県としては、引き続き自然環境への影響を少なくするよう国に対し要望していきたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 児童福祉、児童虐待について、全国の児童相談所が取り扱った児童虐待に関する相談件数及び実態についての御質問にお答えいたします。
全国の児童虐待の相談件数は、平成11年度は1万1631件で、平成10年度6932件の1.7倍となっております。
国によると、児童虐待絡みの事件・事故がふえ、虐待防止の広報・啓発の取り組みが広がり、社会の関心が高まっており、これまで埋もれていた事例が掘り起こされ、児童相談所での相談へとたどり着く件数がふえたと背景を分析しております。
虐待の内容は、身体的虐待が5973件で最も多く、全体の51.3%を占め、次いで保護の怠慢ないし拒否が3441件で29.6%、心理的虐待は1627件で14.0%、性的虐待は590件で5.1%となっております。
虐待したのは、実母が全体の58.0%で最も高く、次いで実父が25.0%となっております。
次に、本県の児童相談所が取り扱った児童虐待に関する相談件数及び実態についての御質問にお答えいたします。
本県の児童虐待の相談件数は、平成11年度は237件で、平成10年度124件の1.9倍となっております。
本県の場合も全国と同様、虐待の広報・啓発の取り組みが広がり、社会の関心が高まって、これまで埋もれていた事例が掘り起こされたものと考えております。
虐待の内容は、保護の怠慢ないし拒否が122件で最も多く、全体の51.5%、次いで身体的虐待が77件で32.5%、性的虐待は25件で10.5%、心理的虐待は13件で5.5%となっております。
虐待したのは、実母が53.2%と最も高く、次いで実父が32.1%となっております。
次に、児童虐待防止法の施行によって今までと比べ何が変わるのかとの御質問にお答えいたします。
児童虐待の対応については、従来より児童福祉法及びこれに基づく児童相談所運営指針、子供虐待対応の手引き等により児童虐待の早期発見、早期対応及び被虐待児童の保護が図られてきたところであります。
今回の児童虐待防止法の施行により早期発見や子供の保護を一段と強化するための強制措置等が可能となりました。
例えば、1つは、学校や児童福祉施設、その他児童の福祉に職務上関係のある者が児童虐待を発見しやすい立場にあることから、早期発見に努め児童相談所への通告を義務づけ、通告しても守秘義務違反を問われないこと、2つに、児童相談所の職員等は虐待のおそれがある場合、児童の自宅などを立入調査し必要に応じて警察官の援助を求められること、3つに、虐待を行った保護者について指導の措置がとられた場合は当該指導を受ける義務があること、4つに、児童相談所長または施設の長は面会や通信を制限できること、5つに、民法上の親権の一時停止に相当する行為ができること等が盛り込まれております。
次に、児童相談所の専門職員の確保と整備を急ぐべきであるが、その実態はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
児童相談所は、虐待を受けた子供の相談や保護に直接的にかかわる機関であり、専門的な知識を有する児童福祉司や心理判定員等が児童福祉法の規定により配置され、その業務に対応しております。
また、児童虐待の防止等に関する法律の施行により保護者へのケア等が義務づけられております。そのためにも児童相談所職員の専門性の確保や資質の向上が必要と考えられ、専門研修を充実させてまいります。
また、平成12年度より児童虐待の増加に対応するため児童福祉司の補助的役割を担う児童虐待対応協力員を各児童相談所に配置し機能強化を図っております。
次に、再発防止のための保護者へのケア、治療システム及び支援体制の整備についての御質問にお答えいたします。
児童虐待については、児童の健全な心身の発育・発達に重大な影響を与えることから、状況に応じて保護者から分離し一時保護を行い、必要に応じて児童福祉施設入所等の措置をとることになります。
しかし、保護者からの分離が目的ではなく、親子が再び健全な家庭生活を営むことのできるよう援助することが必要であります。そのためには心に傷を負った児童のケアはもちろんですが、保護者に対するケア等の援助が大切であります。
児童虐待の防止等に関する法律では、児童虐待を行った保護者に対して、児童福祉司等の指導を受ける義務が規定されたことから、保護者に対するカウンセリング等の援助について今後充実してまいります。
次に、認可外保育園の施設数、入所児童数、児童福祉保育所の整備と待機児童及び認可外保育所についての項目の中での質問にお答えいたします。
認可外保育施設は法的な基準によらず運営され、子供たちの処遇面等に困難な課題があります。平成12年4月1日現在、県内の認可外保育施設は496カ所、2万3999人の児童が利用しております。
次に、浦添市の無認可保育所に対する補助についての御質問にお答えいたします。
浦添市における平成12年4月1日現在の保育所数は17カ所、定員1380人で入所児童数は1560人となっております。
保育に欠ける児童として入所申し込みを受けたが、保育所に入れない児童は397人で、入所児童数に対する比率は25.4%と最も高い待機率を示しております。
一方、認可外保育施設数は49カ所、利用児童数は2264人となっております。
県では、待機率の高い市町村と連携を図りながら保育所の創設や老朽保育所改築の際の定員増、設備等に余裕のある保育所においては定員の弾力化及び少子化対策臨時特例交付金を活用して平成13年度までに待機児童解消に取り組むこととしております。
浦添市においても同様に待機児童の解消に努めてきたところでありますが、今回は、実施予定として無認可保育園を利用する児童に対する助成を講じたものとして評価していきたいと考えています。
次に、県内、県外における自治体での先行例はあるかとの御質問にお答えいたします。
浦添市では、待機児童の解消を目的に認可外保育施設の助成が予定されております。
全国においては、東京都ほか5県において同様な目的で実施されており、九州各県での実施例はありません。
なお、九州各県では本県を含めまして5県において健康診断料の補助が実施されております。
また、県内市町村においては健康診断料や損害保険料などを助成しており、平成12年6月の調査では浦添市と同様な助成の事例はありません。
次に、認可外保育施設の果たす役割についてどう認識しているかとの御質問にお答えいたします。
保育所は、保育に欠ける乳幼児を保育する児童福祉施設であり、国の定める児童福祉施設最低基準等を遵守して運営されております。
一方、認可外保育施設は法的な基準によらず運営され、子供たちの処遇面に困難な課題があります。認可外保育施設は保育時間、保育料、児童の送迎の利便性及び集団保育を目的として利用されている現状があります。
県におきましては、児童の安全・衛生面や保育の質を確保するという観点から、昭和58年に「無認可保育施設指導監督要綱」を定め、立入調査を実施しております。なお、平成8年度からは認可外保育施設専門指導員を嘱託員で配置しておりまして、その指導を強化しております。
さらに、施設を利用する児童の処遇改善につながる職員の資質の向上を図るため研修を実施しております。
また、市町村との連携のもと、利用児童の処遇改善のための健康診断料を助成しており、今後も同事業の充実を図ってまいります。
次に、ふえ続ける無年金者対策についての項目の中で3つの御質問がございます。1つは、無年金者の実態と対策及び救済策について、2つに、その予備軍の実態と対策について、3つ目に、納付(検認率)とその解決策についての御質問に一括してお答えいたします。
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律が平成12年4月に施行されたことに伴い、都道府県知事の機関委任事務でありました社会保険関係の事務についてはすべて国の直接執行事務となり、現在、社会保険庁の地方支分局である沖縄社会保険事務局が所管しております。
参考のため、御質問に関する同事務局の考え方を伺っておりますので御説明いたします。
平成10年度末の無年金者は6070名で、無年金者予備軍は5万4356名となっており、対象者には国民年金制度の内容を十分に理解させる必要があるため、長期未納者の戸別訪問や未納通知及び催告状の定期的発行を行うなど指導を強化しているところであります。
また、平成10年度の検認率は56.2%で全国に比べてまだ大きな格差がありますので、全国平均に近づけるよう収納特別対策事業を実施するなどして市町村を指導し収納の強化を図っているとのことです。
なお、御質問の趣旨につきましては貴重な御意見として承り、県としては同事務局と協力を図ってまいりたいと考えております。
○土木建築部長(銘苅清一) 雇用問題についてのうち、都市モノレールの開通に伴い、運転士を初めバスなどの解雇された方々の優先採用についての御質問にお答えいたします。
モノレールの導入により生じることが予想されるバス事業の余剰人員対策は、県としても重要な課題であると認識しております。
当該余剰人員対策としては、関係機関による検討機関を設置してモノレール株式会社を含めた企業等への雇用あっせんに努めるとともに、各種雇用支援制度の活用及び再就職に向けた職業訓練の実施等、県としてもバス事業の余剰人員対策に最善の努力を払っていく所存であります。
以上でございます。
○商工労働部長(當銘直通) 雇用問題についての、県民に支持される企業の発展と育成及び失業者の救済のために抜本的な解決策を講ずる必要があると思うがどうかについてお答えいたします。
企業の発展、育成のためには企業の体質強化を図ることが肝要であるとの観点から、県としてはこれまでも商工会等関係機関と連携し経営診断や財務、融資等の相談指導を実施してまいりました。
また、創業予定者や小規模企業者が経営上のさまざまな課題を気軽に相談できるよう平成11年度から県内3地域に地域中小企業支援センターを設置しております。
また、企業倒産等による離職者の就職については、公共職業安定所と連携し職業紹介、職業相談、求人開拓等を強化するとともに、緊急雇用創出特別奨励金等の雇用支援制度の活用促進に努めることとしております。
再就職に必要な職業能力の開発、向上を図るため県立職業能力開発校等において各種の職業訓練を実施しております。今後とも中小企業施策の充実と積極的な活用を進め、中小企業の経営改善に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
○当山 全弘 再質問をいたします。
15年使用問題ですけれども、これは今も期限設定に向けて協議会が方法とか策定時期、それから工法、具体的なことについても次回の協議会あたりからは出てくるというふうなことが今知事公室長の答弁の中からうかがえましたけれども、これは知事の今までの答弁によりますと、着工後の際、15年期限問題が棚上げされたまま着工はないということがたびたび繰り返して答弁されておりますけれども、今の知事公室長の発言とはちょっと矛盾しませんか。そこら辺をひとつ答弁願いたいと思います。
次に、国民年金についてはこれは機関委任事務だったけれども、今現在、法定受託事務に変わっているわけですよね。ですから平成14年から全部年金の徴収は国の直轄になるけれども、市町村の段階では裁定事務と免除事務というのが残るわけですよ。ですから、国民年金の対象者というのは御承知かと思いますけれども、国民健康保険の対象者イコール低所得者なんですよね。ですからこの方々の置かれている環境というのは失業あるいは仕事がない、そういった面であるわけですから、無年金者が出てくると県の経済面に与える影響なんかもこれは大きいわけですよ。ましてや県がもうこれは地方分権のあれによって国の直轄事務になったということについて逃げることなく、無年金者対策等については全県挙げて実態を把握していただいて、国の方に折衝するなりいろんなことを講じていただきたいなと思っております。
それから保育所の整備については、これは浦添市が待機児童を含めて全県一待機児童が多いわけですね。ゼロ歳児については44.7%という待機率があるわけですね。1歳児については51.0%、2歳児については33.0%、3歳児については21.0%、4歳以上については7.6%、全体で25.4%の待機率がございますので、ぜひこの問題等については真剣に御検討をいただきたいと思います。
○知事公室長(親川盛一) 当山議員の再質問にお答えをしておきたいと思いますが、先ほど知事は、15年問題については何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えていると答弁し、公室長は、工法等については次回協議会から話されるというのは矛盾しているんじゃないかと、こういう御質問だったかと、このように思っております。
この15年問題につきましては、代替施設協議会で話し合われるものではございません。別のところで協議されるものでありまして、私がお答えいたしましたのは、あくまで次回の協議会は、想定される工法の概要について防衛庁から説明されることになっていると、こういうことでございまして、別々の、あくまでこれは工法等については代替施設協議会で話し合われると。それで15年問題はそれとは別個の形でまた詰められていくと、こういうことで答弁したわけでございます。
○兼城 賢次 所感を述べながら質問をいたします。
アメリカ大統領選挙に世界が注目をしているものと思います。いろいろな意味でアメリカの姿をかいま見せたものと思っております。結果はともかく、行き着くところのプロセスを見たとき、アメリカの政治風土や世論のユニークさを見るのであります。
さて、森内閣でありますが、不信任案が否決され、第2次森内閣が組閣されました。世論調査は支持率18%、不支持75%というありさまであります。不支持率75%のもとでの組閣は連立政権のなせるものとはいえ、何とも寂しい内閣であります。
質問をいたします。
基地問題についてでございます。
普天間飛行場移設問題は、辺野古への移設を前提として進められておりますが、これまでもたびたび本議会においても場所選定については取り上げられてきました。そもそも場所選定からしても納得できるものではなかったのであります。
私は、いまだになぜ辺野古なのか、選定過程に疑問であります。ともかく移設問題は政府の主導でどんどん進められております。先日も代替施設協議会が開かれております。ところが知事の代替施設受け入れ条件の一つである15年使用期限の文言が一つも見られません。見えてくるのは滑走路の位置であり、次の会合では代替基地の建設工法について話し合うということであり、代替基地の使用協定の協議も進められているようであります。
知事は、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情からして15年の期限を設けることが必要と考えており、移設に当たって整備すべき条件の一つとして国に強く申し入れると繰り返し答弁しております。
申し入れを受けた国は首相、外務大臣、防衛庁長官ら政府関係者は判で押したように、使用期限問題は国際情勢の変化に対応して在沖米軍の兵力構成などの軍事態勢について米政府と協議していきたいと繰り返し述べるだけであります。それ以外にありましたらお聞かせいただきたいと思います。
肝心のアメリカは、15年使用期限はその時々の安全保障上の必要性をもとに米軍の駐留、兵力構成を分析するというだけで、使用期限受け入れは困難と繰り返しています。
日本政府は閣議決定をいつも持ち出すが、知事の申し入れを日本政府はまともにアメリカと協議したとは思えません。受け入れの条件と言われる15年使用期限問題が何ら進まず膠着状態にありながら言葉だけが躍って北部振興策なるもので地域をがんじがらめにし、事態を袋小路に追い込んでいこうとのつもりだろうか。
那覇空港のハブ空港化を目指す中で軍民共用空港として2000メートル級の滑走路を想定しているとのことであるが、つくることと利用されることがいかなるものであるかは他府県にも例があるはずであります。20万人の圏域構想をいきなり15万人圏域構想にするような計画ではなく、もっときちっとしたものを考えてもらいたいと思います。
代替施設が論議されている最中、内外の情勢は大きく変化しつつあります。米軍基地はかつてはソ連の脅威であり、朝鮮半島有事に備えることでありました。しかしアメリカも今では中国を含めた多国間戦略が提案される時代です。かつてベトナム戦争で血みどろな戦いをしたアメリカの大統領がベトナムを訪問いたしました。アメリカは、アジアでの多国間戦略構想を持っています。ロシアも中国も変わりました。いつまでも沖縄の米軍基地に固執することはないことをアメリカの高官も述べております。
基地の整理縮小・撤退は決して困難視することもないのであります。状況は変化しており、沖縄でなければならない根拠も明確ではないじゃありませんか。
そこでお聞きいたします。
代替施設協議会での協議内容について。
(2)点目、国際自然保護連合のジュゴン・ヤンバルの希少動物保護勧告決議と移設との関連についてです。
(3)点目に、海兵隊の整理縮小と普天間代替施設の県外移設についての知事の所見を伺います。
次に、関連しますので、我が会派の代表質問との関連でお聞きいたします。
昨日、高嶺議員は、沖縄の基地及び訓練等を希望しているグアムと連携して日米両政府に対して要請してはどうかと質問いたしました。知事公室長は、国と国とのことであるのでコメントはできない旨の答弁でしたが、知事の発言と違いますので、知事の見解を確認したいと思います。
代表質問との関連で、平和行政についてであります。
使用期限解決のタイムリミットは着工前、完成前、完成後いずれの時期かとの質問に知事の答弁は、棚上げさせないとのことですが、棚上げさせないというのであれば15年使用期限は着工する前に政府から約束を取りつけるということでございますね。
次に、経済振興対策と失業問題についてであります。
知事の就任から2年目を迎えました。任期半ばになりますと選挙に公約されたものが一つ一つ検証される時期になります。県政不況を訴え、経済の稲嶺をアピールしました。今、沖縄経済が2年前と変わったとすれば何なのか。経済振興策や雇用対策はどうなっているのか。10月の失業率は8.8%で1年前と全く同じ状況です。県民は、県政不況が県政担当者にあるとすれば、知事がかわれば不況から脱出し、雇用も安定し景気もよくなるだろうと期待をいたしました。
閉塞感という言葉もちまたにありました。しかし県民の生活不安は一向に解消されておりません。むしろ長引く不況で先行き不安感が重くのしかかっているのであります。
11月の民間企業の資料によりますと、企業倒産、負債1000万円以上の件数を対前年同月で50%増、負債総額67%増、これから年末にかけて企業倒産は増加するだろうと見込まれております。
倒産企業と関連づけて言われることが男性の自殺率が全国2位だということであります。働き盛りの人たちが生きる希望を失って、死に急ぐことほど無念なことはありません。
雇用対策をどのように取り組まれているのでしょうか。
次に、21世紀の沖縄を方向づける大事な時期に差しかかってきました。ポスト3次振計もたびたび論議されました。いまだ具体的なものが見えません。復帰28年、公共投資も大きいものがありますが、このことが逆に沖縄の依存経済を深めたと言われます。
しかしこれからは、政府の財政も厳しくなってくることも明らかであり、これまでのあり方が問われることでもありますが、県民の関心事である経済の自立的方向づけもしなければなりません。沖縄振興開発審議会の専門委員会座長であります清成氏は、依存型経済が長年続き構造化すると人々の考えにも依存的体質が出てくると指摘をいたしております。心しなければならない大事なことではないかと考えます。
次に、3次振計もいよいよ1年を残すのみであります。情報通信産業、観光・リゾート産業などを振興策としております。マルチメディアアイランド構想は、前県政の1998年9月に構想が策定され、今日に至っております。県の優遇制度などコストが安いことなどで情報通信産業が比較的うまく進んでいるとのことであります。
一方ではミスマッチが言われております。人材がまだ育ってないということであります。実情はどうなっているのでありましょうか。
観光・リゾート産業も、質と量の論議が昨今言われております。沖縄観光は、青い海、青い空のイメージで、歌と踊りがその主力となって観光客の誘致になったものと思います。
先日、世界遺産に登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」も沖縄の歴史的・文化的遺産として県民の貴重な財産であります。ほかにも名勝として観光地として幾つかあります。今回の世界遺産登録が刺激となって観光産業の発展にも期待されるものであります。
そこでお聞きいたします。
(1)点目、高失業率が2年前と同じ状況です。この間の対策はどのようになされたのか。
(2)点目、依存経済から自立的経済にどのように取り組まれるのか。
(3)点目、情報産業、観光・リゾート産業の取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
次に、駐留軍従業員に関する労務管理の国移管問題についてでございます。
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律が成立し、これまでの機関委任事務が2002年までは法定受託事務として県がこれまでどおり事務・事業を進めております。
しかし法律は、2003年からは独立行政法人に事務・事業が引き継がれることになっております。現在、県の職員で対応している事務・事業が独立行政法人になった場合の職員の配置などの問題があります。時間的に余裕のある時期に沖縄の特別な事情も考慮しながら取り組むべきことと考えます。
そこでお聞きいたします。
独立行政法人をどのように考えておられるのか。
(2)点目、今後職員配置はどうなるのか。
次に、天願川の整備についてお聞きをいたします。
国道329号具志川市栄野比の上流から河口まででございます。
最近、周辺の造成等もありますが、それにしてもたびたびの河川のはんらんは床上、床下、農作物、養鶏の被害が大雨のたびに起こっております。住民にとって何ともやり切れない思いであります。早急な河川整備を要請しているところであり、ある被害者は県への補償要求までいたしております。
これまで、はんらんもなく過ごしたのが、大雨のたびに被害の繰り返しにうんざりですが、県の天願川整備計画についてお聞かせください。
次に、教育委員の任命についてお聞きいたします。
選考の基本的指針についてでございます。
学校現場は、いじめ、不登校、非行、学級崩壊など厳しい問題が起こっています。青少年の事件も深刻化し、教育現場だけではどうにも手がつけられない状態です。青少年の非行化が社会現象化さえしてきております。問題解決に教育関係者も取り組まれているわけでございますが、関係機関だけではなかなか厳しいものがあると思います。
さて、今回教育委員の提案がありますが、どのような配慮のもとで選考されたのか、お聞かせいただきたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 兼城賢次議員の御質問にお答えいたします。
最初は、海兵隊の整理縮小と普天間代替施設の県外移設についてのお答えでございます。
県としては、55年間にわたる過重な基地負担を軽減する観点から米軍基地の整理縮小を求めているところであります。
最近は、海兵隊の訓練の移転や兵力の削減について国防専門家の提言があり、県としても注目しているところであります。県としては、アメリカの新政権の中でこれらの提言がどのような形で反映されていくのか、今後の動向を注意深く見守りながら適切に対応していきたいと考えております。
現時点においては、日米両政府が県民の基地負担の軽減を図るために合意したSACOの事案を着実に実施し、段階的に基地の整理縮小を図ることがより現実的で実現可能な方法であると認識しております。
次に、我が会派の代表質問との関連についてのうち、沖縄の基地及び訓練等を希望しているグアムと連携して日米両政府に対し要請してはどうかと質問したが、再度知事の見解を求めるについてお答えいたします。
県は、外交・防衛に関する事項については、当事者である日米両国政府において取り組むべき問題であると認識しており、沖縄の基地及び訓練等のグアムへの移転についてもまず国家間で話し合いがなされるべきものだと考えております。県としては、グアムの考え方がアメリカの新政権の中でどのような形で政策に取り上げられていくのか、今後の動向を注意深く見守りながら県民の基地負担の軽減につながるよう適切に対応していきたいと考えております。
それと、次に代表質問との関連について、高嶺議員が質問した使用期限解決のタイムリミットは着工前、完成前、完成後、いずれの時期かについて再度確認したいということにお答えいたします。
県としては、移設に当たって整備すべき条件として代替施設の15年使用期限を設けることを申し入れており、これまでその早期解決を求めてきたところであります。15年使用期限問題については、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えており、今後ともその解決を強く求めていきたいと考えています。
なお、「何らの進展もなしに」ということは、着工までにという趣旨であります。
次に、経済振興対策と失業問題について、依存経済から自立的経済にどのように取り組まれるかとの御質問にお答えいたします。
本県経済は、財政依存や基地依存の高い脆弱な構造となっており、依然として厳しい状況にあります。本県が自立型経済の構築を図るためには産業活動を支える空港、港湾、情報通信インフラなどの基盤についてこれまで以上に目的志向型の戦略的、重点的な整備を進めてまいりたいと考えております。
また、産業の振興については、観光・リゾート産業等を重点に置く分野として戦略的に振興するとともに、産業活動を促進する新たな制度を創設するなど民間部門の創造的な活動が十分発揮できる環境整備を積極的、効果的に推進していきたいと考えております。
民間部門においては、このような産業活動を支援する各種施策を積極的に活用し、活力ある民間主導型経済の構築に向けた主体的な取り組みが一層促進されることを期待しております。
このようなことを踏まえ、今後の本県の振興については自助、自立の精神のもとに行政、県民が一体となり、本県の持続的な発展を目指していきたいと考えております。
次に、観光・リゾート産業の取り組みについての御質問にお答えいたします。
県では、観光・リゾート産業の振興を図り、県内経済を発展させていくため、今後とも多様な観光ニーズに対応した滞在型、通年型の国際的な観光・リゾート地の形成を図る必要があると考えております。そのために国際会議等のコンベンション誘致の推進、県外及び海外での誘客プロモーションの展開、各種イベントの実施等により国内外観光客の誘致を推進するとともに、多様な観光ニ-ズに対応するため独自の歴史・文化・芸能等の地域資源の積極的な活用や長寿・健康をテーマとした滞在型観光、エコツーリズム等の新たな観光資源の開発を図っているところであります。
県としては、今後とも観光産業の振興を図る中で関連産業との連携を拡充・強化し県内産業の振興を図っていきたいと考えております。
次に、教育委員の任命について、選考の基本的指針についてお答えいたします。
教育委員については、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条の規定により、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、知事が、議会の同意を得て、任命することとなっております。
今回の委員の選任に当たっては、最近の学校現場におけるいじめ、不登校、学級崩壊等の極めて厳しい状況及び学校評議員制度の導入等学校現場改革の方向性を踏まえて教育委員会に現場の声を反映させる必要があるとの認識から、「沖縄県教育委員会委員の推薦要綱」に基づき関係10団体の推薦を受けた者のうちから、直接教育現場で教鞭をとり、学校運営を経験し、さらに教育行政の経験をも有している者を選任することとし、提案しているところであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 兼城賢次議員の基地問題についての質問事項のうち、15年使用期限問題についての代替施設協議会での協議内容についての御質問にお答えをいたします。
代替施設協議会は、代替施設の工法や具体的な建設場所、その他基本計画策定に必要な事項が協議の対象となっているものであり、使用期限については協議の本来の協議事項には入らないものと考えております。
15年の使用期限問題については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が55年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から使用期限を設け、国に強く求めているものであります。
県としては、代替施設の15年使用期限についてこれまでもあらゆる機会に要請してきたところであります。最近では全国知事会や代替施設協議会等で国に要望をしており、政府内においてもより認識が深まってきているものと考えております。県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ明確な考え方を示すべきであると考えており、引き続きあらゆる機会に強く求めていく考えであります。
次に、国際自然保護連合のジュゴン・ヤンバルの希少動物保護勧告決議と移設の関連についての御質問にお答えをいたします。
去る10月11日、国際自然保護連合の世界自然保護会議においてジュゴン等の保護に関する決議が採択されました。
県は、普天間飛行場代替施設の移設候補地を選定した際、代替施設の建設については必要な調査を行い、地域住民の生活と自然環境への配慮を国に強く申し入れております。これを受け、国においては昨年末の閣議決定において、「地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う」との安全・環境対策の方針を示し、「環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。」としております。
第2回代替施設協議会において、環境影響評価とは別に、防衛庁が環境庁の技術的な助言を得てジュゴンの生息状況の予備的調査を実施することになり、去る10月末から調査が開始されております。
また、第3回代替施設協議会において県は、住民生活への配慮や自然環境への影響を検討する必要があることなどから、サンゴと藻場について補足調査を要望し、実施されることになりました。県としては、代替施設の建設に当たって、この方針に基づき政府において適切な措置がなされるものと考えておりますが、引き続き自然環境への影響を極力少なくするよう要望していきたいと考えております。
以上でございます。
○商工労働部長(當銘直通) 経済振興対策と失業問題について、高失業率が2年前と同じ状況であるが、この間の対策がどのようになされたかについてお答えいたします。
本県の完全失業率は、全国的に雇用状況が悪化した平成10年は7.7%、平成11年は8.3%となっております。平成12年の1月から10月までの10カ月間の平均は7.8%と依然として厳しい状況で推移しております。
しかし、就業者数は平成10年の56万1000人から平成12年の10カ月の平均で58万人と着実に増加しておりますが、これを上回る労働力人口の増加があり、これが完全失業率を押し上げる要因となっております。
また、有効求人倍率は、平成10年の0.19倍から今年の10カ月平均で0.28倍へと改善されつつあります。
県においては、雇用の改善を県政の最も重要な課題の一つと位置づけ、「沖縄経済振興21世紀プラン」に盛り込まれた各種の経済振興策等を推進するとともに、緊急雇用対策特別事業や「沖縄総合雇用対策プラン」に基づく対策等を積極的に推進してまいりました。特に新規学卒者を含む若年者の雇用対策については、「沖縄若年者雇用開発助成金」等の制度の活用促進を初め産業の高度化、情報化に対応した職業能力の開発、県内外企業の求人開拓や合同面接会の開催、職業意識の高揚を図るためのインターンシップ事業等きめ細かな対策を実施してきたところであります。
今後とも、沖縄労働局等関係機関との連携を密にし、本県の雇用失業情勢の改善に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、駐留軍従業員に関する労務管理の国移管問題についてのうち、独立行政法人をどのように考えているかについてお答えいたします。
独立行政法人につきましては、御承知のとおり、中央省庁等改革基本法に基づく中央省庁等の改編の一環として創設されるものであります。駐留軍従業員に関する労務管理事務につきましては、地方分権関連一括法に基づき平成12年4月から平成14年3月までの2年間は暫定的に法定受託事務として県が行っているところであり、平成14年4月からは独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構が行うこととなっております。
同機構の役職員の身分は国家公務員であり、また組織につきましては現行の労務管理体制を維持する方向で検討されており、独立行政法人移管後も駐留軍従業員の福利厚生、サービスの現状は維持されるものと考えています。
以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 経済振興対策と失業問題の中で、情報産業の取り組みについてお答えいたします。
県におきましては、沖縄県マルチメディアアイランド構想に基づき情報通信産業の振興に取り組んでおり、通信コストの低減化支援事業や若年者雇用開発助成金事業等の各種施策を積極的に展開しております。
また、コールセンター等の急激な進出による求職と求人のミスマッチを解消するため産業界とも連携してテレ・ビジネス産業等人材育成事業を実施しております。
さらに、情報通信産業の振興のためには今後多様な人材が必要とされることから、データベースサーバー技術者やインターネットを活用したIT技術者養成等の高度な人材育成事業にも力を入れているところであります。これらの施策の成果としてこれまでに情報通信関連企業33社が新たに立地し、2700人以上の雇用が発生しております。
○総務部長(與那嶺恒雄) 駐留軍従業員に関する労務管理の国移管問題について、県職員の配置についてお答えいたします。
県は、駐留軍従業員の雇用の安定等を図るため渉外労務課、那覇渉外労務管理事務所、コザ渉外労務管理事務所に128人の職員を配置して労務管理事務に取り組んでいるところでありますが、平成14年4月から当該事務が国の事務となり独立行政法人に移管されることになっております。県としましては、労務管理事務が独立行政法人に移管された後も駐留軍従業員の安定した労務管理を図るためには、これまで労務管理事務を担い業務に精通している県職員の果たす役割は大きなものがあることから、国に対して県職員の身分を独立行政法人へ引き継ぐよう要望するとともに、職員の意向予備調査を実施するなど検討を重ねているところでございます。
以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 天願川整備計画についての御質問にお答えいたします。
天願川は、金武湾の河口から上流の石川市山城地区までの延長11.9キロメートルの県が管理する2級河川であります。
同河川の整備計画につきましては、河口から上流の栄野比地区までの約6.5キロメートルの整備区間のうち、平成12年度までに赤田地橋までの約2.6キロメートルはおおむね整備を完了する予定であります。
さらに、上流の安慶名城址西側までの延長約800メートルの区間の用地取得を平成12年度中に行い、平成13年度には同区間を暫定掘削により川幅を広げるとともに、その上流延長約700メートル区間の川崎小学校付近までの用地取得を行う予定であります。
残り延長約2.4キロメートルの整備についても引き続き取り組む考えであります。
県としては、河川から周辺への浸水を防止するため今後とも地権者や地元の協力を得ながら用地取得を図り、早期整備に努める考えであります。
以上でございます。
○兼城 賢次 知事は、使用期限の解決のタイムリミットは着工前だということを明言されております。ぜひこのこともまた確認しながら質問をいたしますが、私どもが心配いたしますのは、これまで要請をしたけれども、日本政府は日本政府、アメリカ政府はアメリカ政府の言いっ放しであると。できない、拒否する、相談をするということでしかこれまでやってないもんですから。
では、知事が、こういう着工前に決意した15年使用期限が確約できないということになったときに、どのようなことをなさるのかということをやはりこれは県民は見ていると思います。と申しますのは、日本政府が最終的には決定すると。そのときに日本政府は了解したけれども、アメリカは了解しませんということになるとこれはまたおかしな話になるわけですから、そういう整合性も考えてぜひこれをやっていただきたいということもあるわけです。
と申しますのは、また日本政府がなし崩し的に強行していったときのことも心配しておりますので、そのときにどう対応されるのかということも考えておかなければいけないわけでございます。と申しますのは、とにかくこれまで条件を付したにもかかわらず日本政府は一顧だにしなかったと私は思っております。
少なくとも先ほど述べましたように、こういう条件をつけても閣議決定、閣議決定ということですべてこれまで来ているわけですから。物事には条件をつけられた場合に、その条件が了解されずに手をつけるということはまずあり得ないわけですよ。
これは定石ですよ。ところがこの定石さえ今お互い日本政府は我々に態度を示さなかったということがあるわけですから、1つ、このことを申し上げているわけです。
次に、なぜ知事と公室長の食い違いというか、発言が違うんじゃないかということを申し上げたかといいますというと、知事は先ほども答弁しておりますけれども、これは国と国との関係だから国任せだという形でおりますけれども、しかし国であろうが、アメリカであろうが、日本政府であろうが、この沖縄の問題にかかわる限り国と国との関係だということで手をこまねくわけにはいかないわけですよ。ですからそのことを言っているわけです。
というのは、当然日本政府であろうが、アメリカ政府であろうが、沖縄の立場でやはりこれは物を言わなければ、今のような日本政府やアメリカ政府の対応ではどうしようもないわけですよ。そういうことで言っているわけです。
そして前の発言は、なぜこの食い違いを言ったかというと、少なくとも3カ月前には、海兵隊のトップであるジョーンズ総司令官と知事との会談の際に知事はこう答弁しております。「沖縄の不公平な位置づけを考慮した負担の軽減については今後も継続的に努力を重ね、でき得る限り訓練を他のいろいろな場所で実施するよう努めたいと発言されておりますので、県としては今後県民の負担軽減を図る観点から、海兵隊の訓練の一部移転については実現に向けて日米両国政府に働きかけていきたいと考えております。」ということを言っておきながら、今回はこういう国と国との関係だというようなことを言っているものですから、どちらがどうなったのか、そういうことでいま一度確認をしたいわけでございます。
それから教育委員についてですが、確かに地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条でそういう規定があるかもしれませんが、私どもがお聞きしておりますのは、教育行政についてはこういう話がございます。
教育現場の問題もあるけれども、教育委員会に関しては教育に直接関係のない一般民間人を教育委員に任命するというそういう説明を受けたことがございます。それは教育関係者だけではなくして、教育に客観的に物が言えるようなそういう民間人の見識も必要だと、知識も必要だということでこういうことがあったということを聞いております。
また、実際に今、民間校長の導入さえもあるわけでございます。しかもまた実際に学校現場に外部の意見を参考に取り組んできた結果、手ごたえも感じているという教育関係者の発言もあるわけです。こういう不登校とか、中退問題、専門家など外部の意見を取り入れて体系的なものをつくりたいというようなことも言っているわけですから、先ほど説明しているようなこととはちょっと違うわけです。
そういうことでこの教育委員の任命についても、私は今任命されている方の人格とか識見等を問題にしておりません。そういうような教育委員会の任命のあり方について私は聞いているわけでございます。よろしくお願いします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時32分休憩
午前11時33分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 兼城賢次議員の再質問にお答えいたします。
最初の15年使用期限の問題につきましては、先ほども申し上げましたように代替施設の15年使用期限問題が着工までに何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えており、今後ともその解決を強く求めていきたいと考えております。
それと先ほど、公室長と私との食い違いがあるというお話でございましたけれども、先ほど私の兼城議員の御質問の中でも最後に、「県民の基地負担の軽減につながるよう適切に対応していきたいと考えております。」ということを言っております。
それは、先般クリントン大統領が平和の礎を訪問された際も、私は外交と防衛の問題はこれは国と国との問題であるという認識は持っておりますと。しかし私は、あえてこの過重な基地を抱える沖縄の知事として申し上げますということで基地問題を申し上げたわけです。したがいまして先ほどの海兵隊の司令官とのお話もそうでございますけれども、ありとあらゆる機会をとらえまして基地負担の軽減につながるよう今後とも適切に対処してまいりたいと思っております。
それと次に、教育委員の問題がございましたけれども、ただいま御指摘のような方は、実は教育委員というのは5名ございまして、その3名の中には御指摘のようなほかの角度からも十二分にいろいろ見識を持った方も含まれておられるわけでございまして、今回は現在の学校現場その他等の状況をかんがみて2名を推薦したわけでございます。
○兼城 賢次 休憩願います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時36分休憩
午前11時37分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 若干誤解があると思います。
1つは前段申し上げましたのは、私は国家間の問題と認識しておりますというのは、これはそういう事実を認識しているわけです、事実を認識したわけです。
しかし先ほど申しましたように、事実認識ではあるけれども、先ほどお答えしましたように県民の基地負担の軽減につながるよう適切に対応していきますというように、現実の問題としては事実認識とは別にできる範囲で全力を尽くしていくということでございます。
○小波津浩利 通告しました一般質問を行います。
1、普天間代替基地建設問題について。
その1、知事は、選挙公約である15年使用期限問題は日米両政府間で進展してきていると思いますか、依然として膠着状態にあると見ているのでしょうか。
(2)、知事に近い県選出国会議員らは、15年期限を条件とすべきでないなどと公約を否定する発言を相次いで行っておりますが、これらの発言をどう見ておりますか。知事の本音のアドバルーンではないでしょうか。
(3)、知事は、15年問題の解決時期を「着工前」と言明したと報道されておりますが、これは事実か。この場合でも15年問題は2年後の知事選までもあいまいに残すということか、あるいは決着できるということか、明確にお答え願いたいと思います。
(4)、15年使用期限を守らすことができなければ公約の破綻であり、建設の断念、撤回を表明しますか。
(5)、第4回代替施設協議会は、航空機騒音の限界位置として辺野古から最短1.1キロであることが示されました。これについて中央紙等は、場所は沖合と伝え、また県幹部もこれを否定せずと報道しておりますが、ほぼこの位置を建設予定として受けとめていいでしょうか。
(6)、沖合すなわち海上だとしますと、県みずから言明してきた海上案は市民投票で否定されたとする従来の見解と自己矛盾しませんか。
(7)、この位置はリーフの内側になるか、外側になりますか。いずれの場合でもジュゴンの海藻藻場に当たるのではありませんか。
(8)、防衛施設庁の調査では不十分であります。そこで、ア、米軍基地を直接提供する立場にある所管庁の調査では県民は納得しません。民間の専門機関、県、環境庁による調査を行うべきではありませんか。イ、従来の機種を想定したシミュレーションではなく、実際に航空機を飛ばしての実証測定、さらにオスプレイ機による騒音を勘案して判断されるべきではありませんか。ウ、飛行ルート、飛行時間も示されていません。それでは騒音値はもとより周辺地域への影響が欠落するのではありませんか。
(9)、想定される工法はポンツーン案──これはメガフロートと言っておりましたが──この海上浮体式、陸上案が除外され、埋立案に絞られてきていると見ていいでしょうか。
(10)、使用協定についての国、県、名護市の連絡会議がスタートしましたが、同協定に含める主な内容はどういう事項になりますか。飛行ルート、飛行時間、騒音規制値等は建設場所や規模等とも関連するものであり、したがって基本計画策定と使用協定の策定は同時でなければならないのではないでしょうか。
(11)、同協定作業に米軍が入っていないのでは実効性に乏しいと思います。米軍との協定方法をどうしますか。
(12)、県は自然環境保護を条件としているにもかかわらず、その調査は政府(防衛庁)任せになっております。国際自然保護連合総会決議に示されたジュゴン保護の実行など政府に対して具体的に求めるべきではないでしょうか。
(13)、代替基地建設において、県環境基本条例及び制定予定の県環境影響評価条例はどのように生かされますか、具体的な規制措置が適用できるか、明らかにしていただきたいと思います。
(14)、政府は来年夏までに建設場所、工法、規模等の基本計画を策定したいようでありますが、そのような段取りになっているんですか、これに対して県の段取りはどういうお考えでありますか。
(15)、代替施設協議会の上位機関である日米両担当者の普天間実施委員会での協議は米新政権との関連で進んでおりません。建設場所、工法、規模等の基本計画及び実施計画の最終決定は上位機関でありますこの日米普天間実施委員会になるのではないでしょうか。
次に、北部振興策についてであります。
(1)、国、県は再三北部振興と基地はリンクさせないと言明してきましたが、第2回北部振興協議会で決定された「北部振興並びに移設先及び周辺地域振興に関する基本方針」では、北部振興も移設先・周辺地域振興も普天間飛行場の移設に係る政府方針に基づきとして位置づけられております。さらに北部振興の項では、「軍民共用空港を念頭に北部地域における新空港の整備に向けて取り組む。」などと基地とリンクさせた記述が見られます。そこで、県はこの方針をどう認識しておりますか、基地とのリンク論に転換したと受け取ってよいですか。
(2)、北部振興は雇用確保を重点目標に掲げておりますが、今回の各事業実施によってそれぞれの事業でどれだけの新規雇用が行われますか。同時に北部人口15万人目標との関連も明らかにしていただきたいと思います。
(3)、本年度分採択の諸事業を見ますと、市町村単位の「狭域事業」になっていないでしょうか。北部全体の振興を考え、県は広域事業の推進を指導すべきではありませんか。
(4)、そのためにも北部振興基本方針にあります規格の高い幹線道路の建設を具体化させ、すなわち沖縄自動車道の本部半島及び国頭圏域への延伸に着手すべきではありませんか。
(5)、沖縄自動車道は料金軽減措置によって目に見えて利用者が増大しております。その利用状況の推移、また軽減措置を将来にわたって要求すべきではありませんか。
(6)、海洋深層水研究施設の適地として開発庁より国頭村が指定され、北部では誘致運動が盛り上がっております。県は、県土の均衡ある発展のためにも同地域を推薦すべきと思いますが、どうでしょうか。その決定までの事業スケジュールを含めてお答え願いたいと思います。
(7)、恩納側と金武・宜野座側の東西を結ぶ産業道路として3町村は県道104号線の改良整備を要望しておりますが、その計画はどうなっているのでしょうか。
大きい3のバス企業の統合問題についてであります。
バス統合に関する可能性調査室の報告書が提出され、行政側へ次の点が提起されております。積極的に対応するもの、今後検討するもの等県の態度を明らかにしていただきたいと思います。
(1)、債務解消、経営資金等として国、県、行政から170億円の公的資金の投入について。
(2)、赤字路線に対する助成制度適用期間の延長等助成制度の見直しについて。
(3)、バス、モノレールの一体化を含む総合交通体系の確立について。
大きい4、世界遺産の保全・環境整備についてであります。
その(1)、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産に登録されましたが、これを保存していくための保全・整備事業を進めるべきだと思いますが、その予算措置を含めた今後の保全・整備事業計画についてはどうなっておりますか。
(2)、観光振興との関連で、その計画がありましたらお伺いいたします。
(3)、学校教育等の中で改めて同遺産の価値等について教えるべきと思いますが、その計画はどうなっておりますか。
最後に、本部町における新たな採石場開発の動きについてであります。
「ふるさとは遠きにありて思うもの、ふるさとの山はありがたきかな」とは、余りにも有名な詩でありますが、さて知事は本部町の出身者として同町における山肌むき出しの採石開発のあり方をどう思いますか。自然と環境がよく調和されていると思いますか。
(2)、国内唯一の貴重な円錐カルスト地形として風光明媚な同町山里区で新たな採石場開発問題が持ち上がり住民の阻止運動が起こっておりますが、正式に開発断念となっていますか。今後、他社、他企業、他グループを含めて再燃の可能性はないでしょうか。
(3)、この問題でどのように対応してきましたでしょうか。
最後に(4)、これ以上の自然破壊を食いとめるためにも町と一体となって同地域を県立自然公園構想として進めたらどうでしょうか。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの小波津浩利君の質問及び質疑に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時50分休憩
午後1時22分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
午前の小波津浩利君の質問及び質疑に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 小波津浩利議員の御質問にお答えいたします。
まず、普天間代替基地建設問題について、選挙公約である15年使用期限問題について、日米両政府間で進展していると思うかどうかという御質問についてでございます。お答えいたします。
国は、昨年末の閣議決定に基づき日米防衛首脳会談、外相会談、九州・沖縄サミットでの日米首脳会談、日米安全保障協議委員会等において15年使用期限問題を取り上げられております。また、私も九州・沖縄サミットにおける米大統領の「平和の礎」訪問の際にクリントン大統領と直接お話しすることができました。
県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ明確な考え方を示すべきであると考えており、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えております。
次に、同じく普天間問題で、知事に近い県選出国会議員による15年使用期限否定発言についてどう見るのかという御質問についてのお答えでございます。
県選出国会議員の発言については、議員がどのような観点から発言されたのか承知しておりません。
県は、代替施設の15年の使用期限については、沖縄が55年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から、移設に当たって整備すべき条件として国に強く求めているものであります。
県としては、代替施設の15年使用期限についてこれまでもあらゆる機会に要請してきたところであります。最近でも全国知事会や代替施設協議会等で国に要望しており、政府内においてもより認識が深まってきているものと考えています。県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ明確な考え方を示すべきであると考えており、引き続きあらゆる機会に強く求めていく考えであります。
続きまして同じく普天間代替基地建設問題について、15年問題の解決時期を「着工前」と言明したと報道されているが事実か、この場合でも15年問題は2年後の知事選まであいまいに残すということかという御質問でございます。
県としては、移設に当たって整備すべき条件として代替施設の15年使用期限を設けることを申し入れており、これまでその早期解決を求めてきたところであります。15年使用期限問題については、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えており、今後ともその解決を強く求めていきたいと考えております。
同じく基地問題のうち、15年使用期限を守らすことができなければ公約の破綻であり、建設の断念、撤回を表明するかという御質問のお答えでございます。
15年使用期限問題については、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えております。県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ明確な考え方を示すべきであると考えており、引き続きあらゆる機会に強く求めていく考えであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 小波津浩利議員の普天間代替基地建設問題についての質問にお答えをしていきたいと思います。
まず、代替基地の建設場所について、辺野古から最短1.1キロの位置を建設予定と受けとめていいか、または陸寄りの案か、陸上案も残されているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
さきの第4回代替施設協議会において、代替施設の航空機騒音について海側に米軍機の飛行経路を設定した場合、環境庁が定める「航空機騒音に係る環境基準」である70W以上の騒音が民間地域の陸地側に及ばない限界距離は、滑走路の方位にもよるが、滑走路の中心から辺野古集落の中心まで最短で約1.1キロメートルであるとの報告がありました。
この航空機騒音の予測結果については、今後の基本計画策定の中で生かしていくことが了承されました。
代替施設の建設場所等については、今後代替施設協議会の中で協議されることとなります。
次に、沖合(海上)だとすると、県みずから言明してきた海上案は市民投票で否決されたとする従来の見解と自己矛盾しないかという御質問にお答えいたします。
政府の海上ヘリポート基本案については、同基地が米軍の専用飛行場として建設され、米軍が使用しなくなれば撤去されることとなるため、地域の産業振興や振興開発につながらないことから同案については反対であります。
県としては、新たな普天間飛行場の代替施設は民間航空機が就航できる軍民共用飛行場とし、将来にわたって地域及び県民の財産となり得るものでなければならないことを移設の条件として国に申し入れております。代替施設の具体的な建設場所等については、今後代替施設協議会において協議されることとなります。
なお、名護市民投票で否決された海上案は政府の海上ヘリポート基本案であると認識しております。
次に、この位置とリーフ位置との関係はどうなるか、リーフの内側か外側か、この付近はジュゴンの海藻藻場に当たるのではないかという趣旨の御質問にお答えをいたします。
第4回代替施設協議会で防衛庁が示した航空機騒音の限界線は、リーフ内に位置しているものと理解しております。
リーフ内の沿岸域側に藻場が分布していることは既に報告されておりますが、藻場やサンゴについて沿岸を中心とした周辺地域の状況を含め改めて補足調査が実施されることになっております。
また現在、名護市より要望のあったジュゴンの生息状況の予備的調査が実施されております。県としては、代替施設の建設に当たって引き続き自然環境への影響を極力少なくするよう要望していきたいと考えております。
次に、米軍基地を直接提供する所管庁の調査では県民は納得しない、民間の専門機関、県、環境庁による調査を行うべきではないかという御質問にお答えいたします。
国は、「普天間飛行場の移設に係る政府方針」において、普天間飛行場の代替施設については「自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う」こととしており、代替施設の建設に当たっては環境影響評価を実施することとしております。
県は、第3回代替施設協議会において住民生活への配慮や自然環境への影響を検討する必要があることなどから、サンゴと藻場について補足調査の実施を要望したところであります。これを受け、国においてサンゴと藻場については改めて調査を実施することになりました。
また、環境影響評価とは別に、防衛庁が環境庁の技術的な助言を得てジュゴンの生息状況の予備的調査を実施しておりますので、県独自の調査を行う予定はありません。
次に、従来の機種(CH53ヘリ等)を想定したシミュレーションではなく、実際に航空機を飛ばしての実証測定、MVオスプレイ機による騒音を勘案して判断されるべきではないかという点と、飛行ルート、飛行時間も示されていない、騒音値はもとより、周辺地域への影響が欠落するのではないかという2点について一括してお答えいたします。
代替施設の航空機騒音について、代替施設には普天間飛行場のヘリコプター機能が移設されることから、普天間飛行場におけるヘリコプターの運用形態や機種を前提とし、飛行回数は近年では最多の実績値を用いて騒音予測コンターは作成されております。
なお、名護市より航空機騒音を地域住民に実際に認識してもらうため、米軍ヘリコプターによる現地試験飛行を実施してもらいたいとの要望が出され、防衛庁が実施に向け調整することとなっております。
次に、想定される工法はポンツーン案、いわゆる海上浮体式案、陸上案が除外され、沖合でのQIP案または埋立案に絞られてきていると見ていいかという御質問にお答えいたします。
代替施設の規模、工法及び具体的建設場所等については、代替施設協議会において同施設の基本計画策定の中で協議されることとなります。
第4回の協議会では、今後協議される工法について総合的、具体的な検討に用いる資料を入手するため部外団体へ作業を依頼することが了承されました。
なお、第5回の協議会では、工法等の検討に先立ち、防衛庁から代替施設建設の各工法の概要について説明されることとなっております。
次に、使用協定についての連絡調整会議がスタートしたが、同協定に含める主な内容は何か、建設場所、規模等とも関連するもので、基本計画策定と同時でなければならないのではないかという御質問にお答えいたします。
去る11月21日に設置された「実務者連絡調整会議」は国、県及び名護市の実務者レベルで構成し、閣議決定に盛り込まれている代替施設の使用に関する協定及び名護市内の既存の米軍施設・区域に係る事項について協議することを目的としております。
代替施設の使用に関する協定については、名護市からの要望及び閣議決定された政府方針に基づき飛行ルート、飛行時間の設定、騒音対策、航空機の夜間飛行及び夜間飛行訓練、環境問題、代替施設内への立ち入り等を内容とするものと考えられます。
協定は、政府が名護市との間で締結するものでありますが、その時期等については今後同調整会議の中で協議されるものと考えております。
次に、使用協定についての作業に米軍が入っていないのでは実効性に乏しい、米軍との協定方法をどうするのかという御質問にお答えいたします。
昨年末の閣議決定において、代替施設の使用に関する協定については名護市の意向が反映されるよう政府は誠意を持って米国政府と協議を行うとされております。
また、代替施設の運用段階においても使用に関する協定についての定期的なフォローアップを行うとしており、実効性の確保が図られるものと考えております。県としては、名護市と連携して名護市の要望が実現されるよう取り組んでいきたいと考えております。
次に、県は自然環境保全を条件としているにもかかわらず、その調査は政府任せになっている、国際自然保護連合総会決議に示されたジュゴン保全策の実行など政府に対して具体的に求めるべきではないかという御質問にお答えいたします。
県は、普天間飛行場代替施設の移設候補地を選定した際、代替施設の建設については必要な調査を行い、地域住民の生活と自然環境への配慮を国に強く申し入れております。
これを受け国においては、昨年末の閣議決定において「地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う」との安全・環境対策の方針を示し、「環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。」としております。
第2回代替施設協議会において環境影響評価とは別に、防衛庁が環境庁の技術的な助言を得てジュゴンの生息状況の予備的調査を実施することになり、去る10月末から調査が開始されております。
また、第3回代替施設協議会において県は、住民生活への配慮や自然環境への影響を検討する必要があることなどから、サンゴと藻場について補足調査を要望し実施されることになりました。県としては、代替施設の建設に当たって、この方針に基づき政府において適切な措置がなされるものと考えていますが、引き続き自然環境への影響を極力少なくするよう要望していきたいと考えております。
次に、政府は来年夏までに建設場所、工法、規模等の基本計画を策定したいようだが、そのような段取りになっているのかという御質問にお答えいたします。
これまでの代替施設協議会においては、軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけ、辺野古沿岸域の地形・生物分布状況、航空機騒音を初めとする生活環境等についての協議がなされました。次回の協議会は、想定される工法の概要について防衛庁から説明がなされることになっております。
なお、具体的な建設場所、工法、規模等については協議を重ねていく中で決まっていくものと考えております。
次に、普天間実施委員会での協議は進んでいないが、代替施設の基本計画及び実施計画の最終決定は当委員会になるのではないかとの質問にお答えいたします。
普天間実施委員会は、代替施設の基本計画策定に必要な米軍の運用所要等について日米間で実務的な協議を行うものであります。
代替施設の規模等を内容とする基本計画については、日本政府が米国政府とも緊密に協議しながら、代替施設協議会での協議を踏まえて政府が策定するものであります。
以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) 代替基地建設において、県環境基本条例及び制定予定の県環境影響評価条例はどのように生かされるのか、具体的な規制措置が適用できるのか明らかにされたいという質問にお答えいたします。
本年4月に施行した沖縄県環境基本条例は、環境の保全及び創造に関する基本理念を定め、県、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、基本となる施策を位置づける環境行政の基本となる条例であります。
御指摘の代替施設の建設については、自然環境に与える影響を極力少なくするよう国に要請してきているところであり、環境基本条例の基本理念を生かした計画となるよう今後も国に求めていきたいと考えております。
また、代替施設の建設については国において環境影響評価を実施することになっておりますが、国の環境影響評価法、または今回提案している沖縄県環境影響評価条例のいずれに基づいて実施されるかは、その施設の具体的な規模、工法等により決定されるものであるため現時点では明確ではありません。
次に、本部町における新たな採石場開発の動きについてに関する質問の中で、町と一体となって県立自然公園構想を進めたらどうかという御質問にお答えします。
本部町の山里一帯には「本部富士」と呼ばれるカルストを初め、標高150メートルから200メートルの石灰岩地形の発達したカルスト地形が見られ、これらのカルストは亜熱帯特有の典型的な円錐形の形をしており、非常に貴重な地形となっております。
県におきましては、ことし6月5日の本部町との調整会議において、本部町山里カルストの保全策の方法の一つとして自然公園法、自然環境保全法等の活用の説明を行いました。
現在、本部町においては「本部町新総合計画」の中で山里カルスト地形の保護と利用について自然公園化も含めて検討を行っていると聞いております。県においても、山里のカルスト地形は今後とも保護を図るべき重要な自然環境と考えておりますが、自然公園化等については諸規制が伴うことから地元の協力を得て進めていく必要があり、本部町と十分調整を図り、その保全策を検討していきたいと考えております。
○企画開発部長(与儀朝栄) 北部振興策について、北部振興について基地とリンクさせた記述が見られるが、県はこの方針をどう認識しているか、基地とのリンク論に方向転換したと受け取ってよいかについてお答えいたします。
北部地域の振興については、第3次沖縄振興開発計画を初め北部地方拠点都市地域基本計画等に基づく各種施策の推進によりその振興を図ってきたところでありますが、地域の活性化や自立的発展への展望を開くまでには至っていない状況にあります。
こうしたことから、北部12市町村の要望を北部振興策として取りまとめ、県及び北部12市町村の連名でその実現方を国に要望したところ、第14回沖縄政策協議会において、地元の要望に沿った形で「沖縄県北部地域の振興に関する方針」が了解されました。その後、沖縄政策協議会の了解を踏まえ、閣議決定されております。
閣議決定では、新しい全国総合開発計画において示された「特に北部圏域については、沖縄本島の一体的な発展を図る上でその果たす役割は大きく、地域特性を生かしつつ今後とも振興に向けての着実な取組を進める。」との考え方を政府の基本認識として位置づけ、本県北部地域の振興に全力で取り組むこととしております。
「北部振興並びに移設先及び周辺地域振興に関する基本方針」は、閣議決定を踏まえ地元地域の基本的考え方を最大限に尊重し、北部地域の振興事業を推進するための指針として決定されたものであります。
次に、同じく北部振興策について、今回採択された各事業の実施によってそれぞれの事業でどれだけの新規雇用が行われるか、また北部人口15万人という目標との関連はどうかについてお答えいたします。
平成12年度に北部振興事業として採択された事業は、非公共事業13事業、公共事業11事業の合計24事業であります。
このうち、IT産業等集積基盤整備事業においては約100名の雇用効果が見込まれるほか、データ情報の他の産業への活用等による間接的な効果も期待されております。
また、サーバーファーム整備事業においては、コールセンター事業及びデータセンター事業の誘致により約600名の雇用が見込まれるほか、集積された高度なスキルを有する人材を活用した人材育成、IT関連の新産業の創出等の効果も期待されております。
さらに、名護市食肉処理施設整備事業においては約120名の雇用が見込まれているほか、畜産農家、流通業者等への幅広い事業波及効果が期待されております。
北部地域の定住人口については、今年度採択された事業を着実に実施するとともに、今後とも雇用機会の増大につながるような事業を積極的に推進することにより、圏域人口15万人という目標につながっていくものと期待しております。
次に、同じく北部振興策について、県は北部全体の振興等を考え、圏域別・広域事業の推進を指導すべきではないかについてお答えいたします。
今年度採択された事業においては、「北部地域リゾート・コンベンション形成推進調査事業」や「やんばる工芸の森・手づくり工房群調査事業」など、県や広域事務組合を実施主体とした広域事業展開が期待できる調査事業が含まれております。
また、「北部振興事業基本構想策定事業」では、北部広域を4つのゾーンに区分し、それぞれのゾーンごとに地域資源を活用した振興事業のあり方について広域的な視点から調査を行うこととしております。県としては、本調査の結果を踏まえ地元市町村と連携を図りながら、より効果的な広域事業の展開が図られるよう支援していきたいと考えております。
次、同じく北部振興策についての、沖縄開発庁に対し国頭村を海洋深層水研究施設の適地として推薦すべきと思うがどうか、またその決定までの事業スケジュールはどうなっているかにお答えいたします。
沖縄開発庁は、海洋深層水の利用可能性及び取水適地選定についての調査を実施しているところであり、取水適地調査については、辺戸岬北部地域と糸満市南部地域の2カ所について海底地質、水温・水質、陸域測量調査等を進めているところであります。
事業スケジュールについては、来年度も引き続き調査を行う予定であり、その調査の内容を踏まえ事業実施の可能性や適地が判断されるものと思います。県としては、当該調査に委員として参加しており、今後とも国と協力して検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○土木建築部長(銘苅清一) 北部振興策について、沖縄自動車道の本部半島及び国頭地域への延伸に着手すべきではないかとの御質問にお答えいたします。
名護市から大宜味・国頭方面、今帰仁・本部方面への北部振興道路は、平成5年度に策定した沖縄県広域道路整備基本計画において広域道路の検討区間として位置づけられております。
県といたしましても、北部地域の振興を図る観点から重要な路線と認識しており、当該路線の整備計画については、現在、国が整備促進している規格の高い幹線道路である名護東道路の進捗や地域の開発計画を勘案しながら国と協議し、高規格道路として新たな振興開発計画に位置づけられるように国へ要請していきたいと考えております。
同じく、北部3町村から要望のある県道104号線の改良整備について、その計画はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
県道104号線は、恩納村安富祖を起点として金武町金武を終点とする延長約8キロメートルの一般県道であります。同路線の整備については、国道58号の安富祖集落から喜瀬武原集落間の約4.2キロメートルを昭和51年度から昭和61年度までに完了させ、残りの喜瀬武原集落から国道329号金武集落間の約3.8キロメートルを平成元年から4年度で完了し供用を図っております。
しかしながら、同道路は恩納村と金武町・宜野座村とを結ぶ北部地域の重要な横断道路であることから、幅員の狭い区間や線形が厳しい箇所については改築整備が必要と考えております。このため今年度中に概略設計を行い、関係3町村とその整備区間やルートについて協議を進めていきたいと考えております。
以上でございます。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 北部振興策についての中で、沖縄自動車道は料金軽減措置によって利用者が増大しているが、利用状況の推移はどうなっているか、また軽減措置を将来にわたって要求すべきではないかという御質問にお答えをいたします。
沖縄自動車道の通行料金については、平成11年7月から3年間の時限措置として3割程度の割引が実施されております。
料金割引を実施した平成11年7月から平成12年6月までの1年間の利用台数を前年と比較しますと、台数にして488万台、率にして36.9%と大幅に増加しております。
利用台数の大幅な増加から判断しますと、稼働時間の短縮や輸送コストの低減により企業活動の効率化が図られること等観光産業を初め本県の経済振興に大きく貢献しているものと考えております。県としましては、国に対し引き続き通行料金の割引措置を要請してまいりたいと考えております。
次に、バス企業の統合問題で、バス統合に関する可能性調査報告書の中で、債務解消、経営資金等として国、県、行政からの170億円の公的資金の投入について提案されているが、県の態度を明らかにされたいという御質問にお答えをします。
平成12年8月に設立された「バス統合に関する可能性調査室」は、県内の金融機関からの出向者等で編成され、第三者的な立場から本島バス4社の乗り合い部門の統合の可能性について同年10月末に調査報告書をまとめ、関係者に内容を説明した後、解散しております。
一方、統合の当事者である4社統合委員会においては、乗り合い部門の統合に向けて検討を進めているところであり、今後、4社統合委員会の検討結果を受けて、今回の調査報告書の公的資金の投入等も含めて県としてどのような対応が可能か、総合的な観点から検討してまいりたいと考えております。
同じくバス統合問題で、バス統合に関する可能性調査報告書の中で、赤字路線に対する助成制度適用期間の延長等助成制度の見直しについて提案されているが、県の態度を明らかにされたいという御質問にお答えをいたします。
赤字路線に対する助成制度は、欠損額を生じている路線バスの運行などに対し補助を実施することによりバス事業者の自立を促し、地域住民の足を確保するものであります。
当該事業は、国庫補助制度である路線バス事業者に対する補助事業と県単独補助制度である廃止代替バス路線を運行する市町村に対する補助事業があります。国庫補助事業は昭和47年度から実施しておりますが、平成13年度に国庫補助制度の改正が検討されており、県としましては国庫補助制度の改正を踏まえ、バス路線補助制度を見直してまいりたいと考えております。
同じくバス企業の統合問題で、バス統合に関する可能性調査報告書の中で、バス、モノレールの一体化を含む総合交通体系の確立について提案されているが、県の態度を明らかにされたいという御質問にお答えをいたします。
現在改定中の総合交通体系基本計画においては、都市圏の主要道路の交通渋滞に対応するため地域高規格道路の整備、交差点の改良等を推進するとともに、モノレールやバス等の公共交通機関のあり方を検討しております。
検討内容としては、モノレールとバスの結節性の強化、公共交通機関としての利便性の向上、バス系統の再編等のため交通需要マネジメントやITS等のソフト施策と道路網等のハード施策をあわせて検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 世界遺産の保全・環境整備に関連いたしまして、世界遺産に登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」について国、県、関係市町村は一体となって保全・整備計画を進めるべきと思うが、予算措置を含めた今後の計画について伺いたいという御質問にお答えいたします。
世界遺産を初めとする文化財の保存・整備につきましては、国、県、市町村が一体となって推進しているところであります。
世界遺産の条件としては、素材、意匠、環境、技術の各視点からの真実性を維持することが必要となります。そのため、文化財の保存・整備に当たっては発掘調査等の成果や専門家による十分な検討と技術的確かさが求められますので、国の指導も受けながら長期的、計画的な取り組みが必要であります。
さらに、便益施設や標識等の保全・整備につきましては、国、県、市町村が連携し一層の充実を図っていきたいと考えております。
次に、学校教育及び社会教育の中で改めて同遺産の価値等について教えるべきだと思うが、その計画はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
世界遺産の価値等について広く一般に知らしめていくことは、郷土の歴史と文化に誇りを持ち、創造性、国際性に富む人材の育成や生涯学習の振興に大きな意義があると思われます。そのため小学生、中学生、高校生用の世界遺産に関する副読本を年次的に刊行し、児童生徒の「郷土学習」や「総合的な学習」を中心にして広く学校教育の中で利用していきたいと考えております。
また、生涯学習の面では、郷土史の学習や史跡めぐり等の多様な活用を支援し、文化財を生かした講演会やイベントの開催など教育的、文化的な活用を促進していきたいと思っております。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 世界遺産の保全・環境整備についての中の、歴史観光コースとして広く紹介されるべきと思うが、観光振興との関連でその計画はどうなっているかとの御質問にお答えします。
本県観光が奥行きの深い国際的な観光・リゾ-ト地として発展していくためには、本県の文化遺産、豊かな自然、地域伝統文化などを再評価し、新たな観光資源として展開していく必要があると考えております。
世界遺産群につきましては、沖縄経済振興21世紀プラン最終報告において「琉球歴史回廊」としての形成を図り、観光資源として活用することが示されております。
県では新たな沖縄振興計画の中で「琉球歴史回廊」の展開を検討しており、また新たに策定する「県観光振興基本計画」においても重要なテ-マに位置づけております。このため関係省庁と連携を図りながら施策の具体化を推進し、私たちの先人の残した世界に誇れるすぐれた文化遺産を本県観光振興のために活用していきたいと考えております。
○商工労働部長(當銘直通) 本部町における新たな採石場開発の動きについてのうち、本部町における採石開発のあり方について開発と自然環境が調和されていると思うかについてお答えいたします。
県内における石灰石の採掘は、公共事業等の増大に伴いその採掘規模も拡大しております。
採石を実施するに当たっては、採取計画を認可する沖縄総合事務局より採掘権者に対して採石跡地の段階的な緑化に関する指導がなされています。県におきましても、沖縄県景観形成条例に基づき、一定規模の採掘行為については大規模行為の届け出の提出を求め、その中で緑化等の指導を行うこととしており、今後とも環境と調和のとれた取り組みを推進してまいります。
次に、同じく新たな採石場開発の動きについての質問のうち、本部町山里区での採石場開発は正式に断念され再燃の可能性はないのか、3、県はこの問題にどう対応したのか、関連しますので一括してお答えいたします。
御案内のとおり、石灰石の採掘に当たっては鉱業権を取得する必要があり、その手続過程において鉱業法第24条に基づく公益に対する支障の有無について国から県知事に対して協議がなされます。
当該案件についても所定の手続がなされ、昭和58年1月31日付で採掘に当たっては地元のコンセンサスを得るようにとの回答をしております。その後、昭和62年に採掘権者が施業案の提出に当たって住民と話し合いましたが、合意が得られず事業着手に至っておりません。今回も改めて施業案の提出に当たって採掘権者と山里区民の話し合いが行われましたが、住民の強固な反対により採掘権者が開発を断念することになったと聞いており、県としましては今後の推移を注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○小波津浩利 議長、休憩。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後2時7分休憩
午後2時11分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
小波津浩利君。
〔小波津浩利君登壇〕
○小波津浩利 再質問を行います。
本部町における採石場の件については、知事に、知事の感じを御自分のふるさとを見ての採石場開発のあり方を聞いているわけですから、知事御自身の言葉でお答えをお願いしたいと思います。なお、答弁できなければできませんということでも結構だと思います。
それから今の北部振興についてですが、担当部長とは別の場所でも詰めているんですが、この通告文書で聞いていることについてお答えを願いたいと思います。つまり、基地とリンクさせないという従来の態度を私は理解しながらも、提出されている基本方針では、述べているように基地とのリンクがあるわけですから、したがって基地とのリンク論に方向転換したんですかと、そういうことで受け取っていいですかということでお聞きしているわけですから、それについてのお答えをお願いしたいと思います。
それから15年問題です。昨日来、知事は、着工まで何らの進展なしに全く棚上げされて進むことはあり得ないということを述べております。このことは着工までに15年問題を決着する、できるというふうに受け取っていいかどうかという点であります。あいまいな言い方じゃなくて、着工前までに15年問題は決着できるということなのかということでお答え願いたいと思います。
それから2点目に、15年問題でややもすると政府の責任でという答弁が出てきております。しかし知事は、基地問題については政府の責任ではありますが、代替施設をつくるという提起を行ったのは政府ですが、15年の使用期限を条件としたのは政府ではなくて知事自身なんです。それを守らせるのは知事の責任なんです。このことは取り違えないで、15年問題については知事の責任でありますから、知事の責任でこの公約は果たすと。それは着工前までに、そしてその上で私がさらに知事選との2年後ということでお聞きしているのは、着工前までというのはいつになるんだということになりますから、その時期は2年後に控える知事選前までに決着させることができるんですねということです。
それともその2年後の知事選前までも、なおあいまいな形で持ち越すことがあり得るのかどうかということを含めて御答弁をお願いしたい。これは知事選に再出馬するかどうかは別の問題です。
それから知事、知事公室長も言われているとおり、代替施設協議会で15年問題を切り出すということは言葉としてはわかるんですが、正式議題になり得ないわけですから、やはりこの問題だけに絞って政府と本格的に交渉しなければならないと思います。代替施設協議会の場所で便宜的にというのか、そこを利用して発言してもそれは正式な議題じゃないですから。したがってこの問題に絞って政府交渉する意思があるかどうかについてもお伺いいたします。
それから工法の問題ですね。工法には幾つかの案があるでしょう。しかし陸上案というのが騒音との関係で却下される。それから海上案というのが市民投票の関係で却下される。そうしますと残るのは埋立案にしかならないんじゃないかと。この埋立案の工法に絞られるというふうに見ていいですかという点の確認ですね。
それから建設場所も同様であります。建設場所についても最短1.1キロ、角度を変えて1.4キロというんですから、大体このあたりというふうに見ていいですかという点の確認であります。
以上、よろしくお願いいたします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後2時17分休憩
午後2時19分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 小波津議員の再質問にお答えいたします。
最初は、「ふるさとは遠きにありて思うもの、ふるさとの山はありがたきかな」とは余りにも有名な詩であるが、知事は本部町の出身者として同町における山肌むき出しの採石開発はどう思うか、開発と自然環境がよく調和されていると思うかという個人の考えを述べろというお考えについて述べたいと思っております。
これは、ふるさとがすばらしい環境で残るということはいつまでも、これはだれもが思う感情でございます。その意味でも私もふるさとは美しい環境で残ってほしいと思うもので、これは当然のことでございます。
一方、開発というのも、これはその地域のやはり住民の、地域の発展にとって欠かせないものでございます。その意味で自然と地域の開発、この開発をどのように両立させるかということは、本部町の将来の発展にとっても大変重要でございます。その辺は、多くの地域の住民の皆様の最もよいと思われるべき方向に進むのが私は最もベターであるというふうに考えておるわけでございます。
そして先ほど県の考え方を申し上げましたように、県の考え方としても今回の景観形成条例に基づきまして緑化等の指導を行うことにより、今後とも環境と調和のとれた取り組みを推進してまいりたいというふうに思います。
次に基地問題でございまして、15年問題は着工までに決着と受け取っていいかということでございます。
これにつきましては、代替施設の使用期限問題が着工までに何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えておりまして、今後ともその解決を強く求めていきたいと思っております。
それから政府の責任、責任と言っているがということでございますが、これは知事の方で言い出したのではないかということでございます。
これは私の方から提示した問題でございます。したがいまして普天間の移設のときに条件として強く提示したものでございます。この姿勢は今後とも変わりません。
ただ、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ、明確な考え方を示すべきであると考えておりますので、引き続きあらゆる機会に強く求めていきたいと思います。
したがって15年問題に絞って政府との交渉の意思はあるかと。従来とも、何も代替施設協議会だけではございません。私は、15年問題につきましては、ありとあらゆる機会をとらえて申し上げるということを言っておりまして、その一つとして代替施設協議会でも申し上げたわけでございます。
○知事公室長(親川盛一) 小波津議員の再質問にお答えいたします。
代替施設の工法の問題であるが、これはポンツーン案とか陸上案が除外された場合に、埋立案しか残らないんだが確認したいということと、建設場所についても1.1キロで建設するのか確認したいと、こういうことでございます。お答えいたします。
この代替施設の工法や具体的な建設場所については、先ほどもお答えいたしましたとおりこれからの代替施設協議会において検討されていくわけでございます。先ほど辺野古集落の中心から最短で約1.1キロと申し上げましたのは、環境庁が定める航空機騒音に係る環境基準、これの70W以上の騒音が出るところはどこかということで、そこは1.1キロの地域ですよということでございまして、建設場所、それから工法はこれから具体的に協議されていくと、こういうことでございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 再質問にお答えいたします。
平成12年8月24日の北部振興並びに移設先及び周辺地域振興に関する基本方針は、平成11年12月28日の普天間飛行場の移設に係る政府方針・閣議決定における沖縄県北部地域の振興に関する方針及び普天間飛行場移設先及び周辺地域の振興に関する方針を踏まえつつ取りまとめたものであります。
また、平成11年12月28日の閣議決定は、平成11年12月17日の第14回沖縄政策協議会での了解を踏まえつつ、決定されたものであります。
北部振興に関する基本方針における北部地域振興に当たっての基本認識は、北部地域は産業基盤、生活環境の整備水準が低く、また所得水準も低い状況にあり、人口増加が停滞している状況にある。北部地域の振興を図るとき、定住人口の増加が基礎的な課題であり、このため雇用機会の創出に向けた産業の振興と魅力ある生活環境の整備を図ることが必要であるとなっており、県土の均衡ある発展を図ることが基本的認識となっております。
また、政策協議会における沖縄北部地域の振興に関する方針の中での基本認識は、閣議決定における認識と一緒で、先ほど申し上げましたとおり新しい全国総合開発で示された取り組みが基本となっております。
このようなことから、北部振興に関する基本方針は国、県、地元市町村が一体となって県土の均衡ある発展を図ることが基本であると認識しております。
○玉城 義和 一般質問を行います。
1、基地問題について。
代替施設協について。
ア、4回にわたる代替施設協で合意されたものは何か。
イ、第2回協議会において2010年には関東、関西、中部方面に1日当たり6便を「軍民共用空港の民間機能から就航させる」と知事は発言されているが、その根拠を示されたし。
ウ、ここで言う民間機能とは具体的にどのようなものか、滑走路等を含めて説明されたし。
エ、第2回協議会において知事は「代替施設は、コンテナ輸送が可能なジェット機が就航できることが必要」と述べておられるが、それはどれくらいの規模の滑走路が必要か。
オ、第2回協議会で防衛庁より提案された代替施設の使用協定及びその協議について、協定の効力、協議のあり方に対する県の所見はどうか。
カ、第4回協議会において騒音を及ぼさない滑走路の中心が辺野古地区の中心部から最短1.1キロメートルとの報告がされたが、このことの協議会の中での取り扱いはどのようになるのか。
(2)番、15年使用期限問題について。
ア、知事は15年問題につき「私どもが条件として出しているものが全く棚上げされる状況で建設がスタートすることはあり得ない」(11月20日)。同様な発言がその後もなされている。これは15年問題に期限を切ったと受けとめられているが、それでよいか。期限ですね。
イ、15年期限問題の決着は、基本計画ができると言われる来年の夏までと思われるがどうか。
ウ、代替施設協で知事は繰り返し「代替施設の15年使用期限問題の一日も早い解決に向け、積極的に取り組んでいただきますよう」云々と述べておられる。知事の言う15年問題の解決というのは何がだれによってどのように取り決められることを想定されているのか。また、日本政府に対してはどのような取り組みを期待しているのか。
エ、知事のそのような要請に対して関係閣僚の応答はどうか。また、知事はそれに対してどのように考えているか。
2、北部振興策についてでございます。
(1)番、北部振興事業の12年度分、公共11、非公共13の中身はそれぞれの地域で当然やらなくてはならない事業であるか、あるいは国や県がやるべきものの前倒しが多い。また、市町村の分捕り合戦の感も否めない。このようなことの積み重ねで「基本方針」の言う産業振興、雇用の拡大、定住人口の増大など真の北部振興につながると思うか。「基本方針」そのものが総花的で金太郎あめ的で、創造的北部圏域づくりのイメージがわかない。県の北部振興への基本的見解を伺います。
(2)番、「基本方針」は当面の課題(10年めど)と県は言っておりますが、「15万人の圏域人口」を目指すとしております。そのためには10年間で2万5000人の増、年間にして2500人の人口増加が必要であります。その具体的なプロセスをお示しください。
(3)番、産業振興に向けた主要施策のうち総合的な交通基盤整備で言う道路、空港、港湾について具体的にどのような展開を考えているか。
(4)番、本部町山里一帯を中心とする円錐カルストを生かした「自然公園」構想について。
本部町は平成12年3月に山里円錐カルスト公園構想を策定し、対象地域600ヘクタールに及ぶユニークな「自然公園」づくりを目指しております。同地域は日本でも唯一と言われる円錐カルスト地域で前方に本部港、伊江島を望み、後方に今帰仁城址を控える名勝の地であります。このような自然を保護し、また一方で活用することにより本部町はもとより、グリーンツーリズムなどを通じて北部振興に結びつけたいというのが町民や周辺住民の願いであります。県営やあるいは県立公園の場合、どのような形のものが可能であるか、具体的に例示をしていただきたいと思います。
鉄軌道の導入問題についてでございます。
「鉄軌道導入可能性調査」について。
ア、同調査の目的について明らかにされたし。また、県は鉄軌道導入の必要性についていかなる認識をお持ちか。
イ、調査の内容とその進捗状況につき詳しく報告されたし。
ウ、昭和50年から51年にかけて県が行った詳細にしてかつ膨大な「国鉄による大量輸送機関の導入に関する調査報告書」は今回の調査にどのように関連し、また生かされるか。
4、糖業振興についてでございます。
さとうきび生産量が100万トンを割り込んでいる厳しい中で、生産の振興を図り生産量を上げるためには規模の拡大、機械化の推進等によりコストの低下を図り農家所得を上げていく必要があります。そのためには農地の利用集積による生産法人の立ち上げによってきび作農家のモデルをつくり、それを核にして生産の拡大を図ることが最も重要だと考えます。
以下、質問をいたします。
(1)番、さとうきび生産法人の現状はどうか。
(2)、成功する生産法人のモデルを挙げて具体的に説明されたし。
(3)番、課題は何か。また、これからの生産法人の育成計画はどうなっているか。地域はどこか、年次ごとに挙げてください。
的確な御答弁をお願い申し上げます。
○知事(稲嶺惠一) 玉城義和議員の御質問にお答えいたします。
最初は基地問題について、条件として出しているものが棚上げされる状況で建設がスタートすることはあり得ないとの発言は、15年問題に期限を切ったと受けとめられているが、それでいいかという御質問のお答えでございます。
県としては、移設に当たって整備すべき条件として代替施設の15年使用期限を設けることを申し入れており、これまでその早期解決を求めてきたところであります。15年使用期限問題については、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えており、今後ともその解決を強く求めていきたいということであります。
次に、15年期限問題の決着は、基本計画ができると言われる来夏までと思われるがどうかということでございます。
15年使用期限問題については、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えており、今後ともその解決を強く求めていきたいと考えております。
また、基本計画の策定の時期については、現在協議会において逐次協議が進められており、その協議の中で定まってくるものと考えております。
次に、知事の言う15年問題の解決というのは何がだれによってどのように取り決められることを想定しているのかと、政府に対してはどのような取り組みを期待しているのかということへのお答えでございます。
県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ、明確な考え方を示すべきであると考えております。
同じく基地問題について、そのような知事の要望に対して関係閣僚の応答はどうか、それに対してどのように考えているかとのお尋ねでございます。
県としては、代替施設の15年使用期限についてこれまでもあらゆる機会に要請してきたところであります。最近でも全国知事会や代替施設協議会等で国に要望してきたところであり、それに対し、政府からは要請を重く受けとめ、昨年末の閣議決定に従い適切に対処してまいる所存であるとの回答が示されております。県としては、これまでの要望により政府内においても認識が深まってきているものと考えており、引き続きあらゆる機会に強く求めていく考えであります。
次に、北部振興策について、県の北部振興事業推進に当たっての基本的考え方についてお答えいたします。
北部地域の振興については、定住人口の増加が北部地域の活性化、ひいては県土の均衡ある発展を図る上で重要であると考えております。このため、産業の振興による雇用機会の創出や魅力ある生活環境の整備による定住の促進を図り、地域の持続的な発展を目指すこととしております。
こうした観点から、事業の採択に当たっては、相当程度の雇用創出効果を持つ事業、地域の特性や資源を活用する事業、広域的な事業効果が期待できる事業、公共、非公共等の複数の事業の連携による相乗効果が期待できる事業を優先することとしております。県としましても、こうした振興事業の採択基準に沿って広域的観点から事業の展開が促進されるよう支援していきたいと考えております。
次に、糖業振興について、さとうきび生産法人の現状はどうか、生産法人のモデルの具体的内容について、法人育成の課題と地域別育成計画はどうなっているかとの3つの御質問を一括してお答え申し上げます。
さとうきびの生産振興を図るためには、農地の利用集積による生産法人の育成が必要であります。県としては、生産法人のモデルとなるパイロットファームを設置し、現在、14の法人を立ち上げております。パイロットファームは、約17ヘクタールの経営面積を2戸の農家で経営し、小型ハーベスター汎用管理機等の機械化体系を導入する経営モデルであります。
収益性の試算結果は、1農家当たり粗収益約1000万円、経営費385万円、所得614万円となります。
法人育成については、平成12年度16法人、15年度までに46法人を計画しています。
また、地域別では北部10、中部10、南部17、宮古5、八重山4法人の育成を計画しています。
法人育成の課題は、営農用機械の導入に要する初期投資や運営資金の確保とオペレーターの養成であります。このため、生産法人に対しては補助事業による機械の導入、制度資金の活用、農業機械研修など各種支援・指導を積極的に推進していく考えであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 玉城義和議員の基地問題についての御質問に順次お答えしたいと思います。
まず、4回にわたる代替施設協議会で合意されたものは何かという御質問にお答えをいたします。
代替施設の基本計画の策定を協議する代替施設協議会は、去る8月25日の初会合からこれまで4回開催されております。
第1回協議会におきましては、協議会の設置や今後の取り組みについて話し合われ、普天間飛行場代替施設の規模、工法、具体的建設場所、その他代替施設の基本計画の策定に必要な事項について協議すること、また協議に当たっては安全・環境面に十分留意することなどが了承されました。
第2回協議会におきましては、県の方から軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけについて説明し、同位置づけについては、今後の協議に生かしていくため運輸省の知見もいただきながら引き続き関係機関で検討を深めていくことが確認されました。また、ジュゴンの生息状況の予備的調査について防衛庁が環境庁からの技術的な助言を得て実施することが了承されました。
第3回協議会におきましては、「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」の地形・生物分布等の状況として藻場やサンゴ等の分布状況について防衛庁から説明があり、経年変化が予想されるサンゴと藻場について沿岸を中心とした周辺地域の状況を含め、補足調査を実施することが了承されました。
また、先日開催されました第4回協議会では、航空機騒音を初めとする生活環境等について防衛庁から説明があり、代替施設の具体的建設場所等の検討に当たっては、自然環境や生活環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うとの基本方針に基づき検討を行うことが確認され、これに関連して米軍ヘリコプターによる現地試験飛行を実施することが了承されました。
さらに、今後、協議される工法について総合的、具体的な検討に用いる資料を入手するため部外団体へ作業依頼することが了承されました。
次に、2010年には関東、関西、中部方面に1日当たり6便を「軍民共用空港の民間機能から就航させる」と発言しているが、その根拠を示されたいという御質問にお答えをいたします。
民間機能における航空機の需要については、那覇空港における既存の調査結果や北部地域における航空貨物の実績並びに今後展開される多くの振興策等を勘案しながら、民間機能における潜在的ポテンシャルを求めました。
需要の推計は、運輸省航空局が行った那覇空港における旅客動態調査結果と県企画開発部が調査した那覇空港における将来航空需要予測結果をもとに行っております。
民間機能の背後圏は、那覇空港が沖縄本島南部の那覇市に位置していること、那覇空港から中部圏域への交通ネットワークが充実していること、那覇空港と民間機能との航空サービス頻度の格差が大きいと想定されることから北部地域に限定をいたしました。その結果、北部地域から民間機能を利用すると思われる旅客数のうち、就航見込みのある路線に対する旅客数は約10万人から約20万人が見込まれております。
1日の就航便数は、旅客数が約10万人の場合は関東方面へ2便(1往復)、旅客数が約20万人の場合は関東、中部、関西方面へ6便(3往復)を見込んでおります。
また、北部地域にある主要ホテルの利用者は年間延べ約260万人の観光客に利用されていることなどから、北部地域の航空旅客は現状でも一定の利用可能性があると考えております。
次に、民間機能とは具体的にどのようなものか、滑走路等を含めて説明されたいという御質問にお答えいたします。
代替施設は、普天間飛行場の代替施設として建設される飛行場であります。新たな基地負担を軽減するためにも、同施設は地元地域の発展にとって真に有意義なものとなるよう民間の航空機が就航できるようにするとともに、空港関連産業の育成・誘致及び空港を活用した産業等のための条件の整備検討を進め、具体的な事業展開が図られるようにする必要があると考えております。そのため、代替施設には民間機能としてのエプロン等の基本施設や旅客ターミナル等をあわせて設けることが必要であると考えております。
県としては、同飛行場の民間機能を活用し雇用機会の確保や産業の振興を図り、地域経済発展の拠点を形成していく必要があると考えております。
次に、コンテナ輸送が可能なジェット機の就航のためには、どれくらいの規模の滑走路が必要かという御質問にお答えいたします。
民間機能における航空機の需要について、沖縄県独自の推計では、2010年度には1日当たり関東方面に2便(1往復)、ないしは1日当たり関東、関西、中部方面に6便(3往復)となり、関東方面には中型ジェット機を、関西、中部方面には小型ジェット機の就航を見込んでおります。
また、沖縄県における園芸作物や航空郵便などの航空貨物は、把握できるもので平成10年で約6万6000トンであり、そのうち北部地域は全体の約25%、約1万6000トンを占めております。このことから、県としては、代替施設はコンテナ輸送が可能なジェット機が就航できる規模が必要であると考えております。滑走路の規模等については、今後、代替施設協議会で協議されることになっております。
次に、協議会において騒音を及ぼさない滑走路の中心は、辺野古地区の中心部から最短1.1キロメートルとの報告がされたが、このことの協議会の中での取り扱いはどのようになるのかという御質問にお答えいたします。
航空機騒音については、海側に米軍機の飛行経路を設定した場合、環境庁が定める「航空機騒音に係る環境基準」である70W以上の騒音が民間地域の陸地側に及ばない限界距離は、滑走路の方位にもよるが、滑走路の中心から辺野古集落の中心まで最短で約1.1キロメートルであるとの報告がありました。
今後の代替施設の具体的建設場所等の検討に当たっては、生活環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うとの基本方針に基づき、航空機騒音を環境基準の範囲内とする等の視点を踏まえて検討を行うこととしております。県としては、普天間飛行場代替施設の建設については、地域住民の生活に十分配慮し航空機の騒音等の影響を極力少なくすることが重要であると考えており、防衛庁による航空機騒音の予測結果は今後の基本計画策定の中で生かされるものと考えております。
次に、代替施設協議会で提案された使用協定に関する協議について、協定の効力や協議のあり方に対する考え方について聞きたいという趣旨の御質問にお答えをいたします。
去る11月21日に設置された実務者連絡調整会議は、代替施設協議会における名護市長の要望を踏まえて、国、県及び名護市の実務者レベルで構成し、閣議決定に盛り込まれている代替施設の使用に関する協定及び名護市内の既存の米軍施設・区域に係る事項について協議することを目的としております。
昨年末の閣議決定において、代替施設の使用に関する協定については、名護市の意向が反映されるよう政府は誠意を持って米国政府と協議を行うとされております。
また、代替施設の運用段階においても使用に関する協定についての定期的なフォローアップを行うとしており、実効性の確保が図られるものと考えております。県としては、名護市と連携して名護市の要望が実現されるよう取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 北部振興策について、基本方針において、当面の課題として「15万人の圏域人口」を目指すとしているが、その具体的なプロセスを示されたいについてお答えいたします。
今年度採択されたIT産業等集積基盤整備事業、サーバーファーム整備事業、名護市食肉処理施設整備事業等においては相当程度の雇用が見込まれており、幅広い事業波及効果が期待されております。
また、特産品加工施設整備計画策定調査事業や北部地域リゾートコンベンション形成推進調査事業等の調査事業も採択されており、農林水産業や観光・リゾート産業等の新たな展開が期待されております。
平成13年度以降の北部振興事業の推進については、本年度実施する北部振興事業基本構想策定事業などの結果を踏まえ、産業の振興による雇用の創出や定住人口の増加につながる事業を積極的に展開することにより、圏域人口15万人という目標につながっていくものと期待しております。
次に、北部振興策についての、産業振興に向けた交通基盤整備について具体的にはどのような展開を考えているかにお答えします。
産業を支える基幹インフラとしての道路、空港、港湾等の交通基盤の整備に当たっては、効果的かつ広範な経済波及効果をもたらすようこれまでの社会基盤の整備状況や今後の振興事業の展開等を勘案しつつ、総合的な取り組みが重要であると考えております。事業の具体化に向けては、地元市町村と連携を図りつつ今後検討を進めたいと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) 本部町山里地区の円錐カルストを生かして県立公園とする場合、どのような形のものが可能かという御質問にお答えします。
自然公園法で規定する県立自然公園は、県の自然を代表する「すぐれた自然の風景地」で、県の自然公園条例に基づき自然環境保全審議会の意見を聞き知事が指定をいたします。
県におきましては、ことし6月5日の本部町との調整会議において、本部町山里カルストの保全策の方法の一つとして自然公園法、自然環境保全法等の活用の説明を行いました。
現在、本部町においては、本部町新総合計画の中で山里カルスト地形の保護と利用について自然公園化も含めて検討を行っていると聞いております。
県においても、山里のカルスト地形は今後とも保護を図るべき重要な自然環境と考えておりますが、自然公園化等については諸規制が伴うことから地元の協力を得て進めていく必要があり、本部町と十分調整を図り、その保全策を検討していきたいと考えております。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 鉄軌道の導入問題について、調査の目的について明らかにされたし、また、県は鉄軌道の導入の必要性についていかなる認識を持っているかについての御質問にお答えをいたします。
陸上交通を自動車交通のみに依存してきた本県では、復帰後の急速なモータリゼーションの進展、都市のスプロール化など主要な道路において交通渋滞が恒常化している現状にあります。
一方、来る21世紀は、高齢化社会や地球環境問題などに対処できる新しい交通システムの構築に大きな期待が寄せられているところであります。
このようなことから、今回の総合交通体系基本計画の見直しでは、都市モノレールを初めとする軌道系交通システムや道路網の整備等のハード施策と交通需要のマネジメントやITSの推進などソフト施策もあわせた新たな交通システムとして総合的に検討していきたいと考えております。
その中で、特に鉄道など軌道系交通は、一般的に広域的な地域連携の向上、大量輸送による輸送コストの低減や道路交通機能の向上など多面にわたる効果が期待されるものであります。
一方、交通需要や採算性など検討すべき課題も多岐にわたることから、県民の皆様や各界の意見を賜りながら多角的な視点から総合的に検討すべき課題であると考えており、そのため今般の総合交通体系基本計画の見直しに当たっての基礎的な資料を得ることを目的として調査を行うものであります。
同じく鉄軌道で、調査の内容と進捗状況について詳しく報告されたしという御質問にお答えをいたします。
鉄軌道導入可能性基礎調査の主な内容でありますが、8つの項目について御説明いたします。
1つ目に、対象区間と概略ルートを検討します。内容としては、鉄軌道を導入した場合によるアクセスの利便性が向上する地域、そうでない地域が想定されることから主要都市間の交通流動を検証し、交通の利便性ができるだけ確保される地域及び概略的な位置を検討しようとするものであります。
2つ目に、地域間の概略の起点・終点交通量を検討します。
3つ目に、公共交通網図を作成します。内容としては、需要予測の結果を現状の地域間交通流動と比較検討するため、鉄軌道の概略ルートとバス網をセットにした公共交通網図を作成するものであります。
4つ目に、概算事業費を検討します。鉄軌道の建設、運営、関連道路や市街地及び上・下水道などの再整備等に係る概算事業費を検討するものであります。
5つ目に、鉄軌道需要を予測します。内容としては、各軌道系交通システムの走行速度、運転間隔、料金等条件を検討の上、需要予測を行うものであります。なお、予測値は鉄軌道の利用効果を検討していくための基礎的資料となるものであります。
6つ目に、鉄軌道事業の採算性を検討します。内容としては、概略の建設費と需要予測に基づく運賃収入により事業の採算性を検討するものであります。なお、採算性の検討は鉄軌道事業に対する補助や助成措置のあり方、鉄軌道経営のあり方、地域負担のあり方を検討するための基礎資料となります。
7つ目に、先進地における事例から計画決定の過程や課題整理等について検討します。
8つ目に、鉄軌道導入による整備課題及び効果について検討します。具体的には、関連事業を含めた整備に伴う負担、経営主体のあり方、導入による時間短縮と経済効果、以上の項目について調査・検討を進めてまいりたいと考えております。
調査の進捗につきましては、現在、道路交通センサスデータ等により交通の地域間流動など検討を始めたところであり、今後それらの地域間における概略的需要や概算事業費の算出を初め、採算性、地域に与える影響、整備課題、効果等を検討してまいりたいと考えております。
同じく鉄軌道の導入問題で、昭和50年から51年にかけて県が行った詳細にしてかつ膨大な「国鉄による大量輸送機関の導入に関する調査報告書」は今回の調査にどのように関連し、また生かされるかについての御質問にお答えいたします。
「国鉄による大量輸送機関の導入に関する調査」は、昭和49年、50年にわたり地域のアンケート調査を初め、現状分析、人口、産業の再配置の誘導、将来旅客、貨物の予測、費用便益の算出について学識経験者により高度な視点から調査・研究されております。
調査の結果としましては、「沖縄県鉄道導入の合理性」、「地域開発の可能性の増大」、「人口の分散」、道路機能の向上、生活環境の改善など諸効果や鉄道事業の採算性、「経営主体のあり方」等についても報告されており、当時の本県の社会経済情勢下における開発整備の方向性に対する貴重な提言であると考えております。
調査・検討の条件としましては、将来需要予測条件として昭和60年沖縄本島人口を約97万人として推計しており、収支予測では経済成長率を3.5%、北部圏では5.0%と仮定し、さらにその他条件を加味しながら予測しております。
また、ルート選定基準として導入による本島地域の適正な人口分散を図ることを視点として検討しております。
さらに、鉄道旅客輸送量の伸びについては、昭和49年度に供用開始されるものと仮定し、昭和60年までの交通需要の平均伸び率が供用開始後20年続くものとして推計されております。
これら基礎条件において予測を上回る人口の伸び、市街地拡散に伴う開発面積の減少、経済成長率の低迷、交通ニーズの多様化など大きく変化してきている状況にあることや各地域の開発計画との整合を図ることの重要性から、今回の鉄軌道導入可能性基礎調査を行うものであります。
以上でございます。
○玉城 義和 議長、休憩願います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時6分休憩
午後3時11分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 再度お答えいたします。
15年使用期限問題については、着工までに何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えており、今後ともその解決を強く求めていきたいと考えております。
○知事公室長(親川盛一) 玉城義和議員の答弁漏れということでしたが、一応答弁はしたつもりでありますけれども、お答えをしたいと思います。
いわゆる中型ジェット機の就航可能な空港というのはどれぐらいかというような、それと機種ということでございますけれども、一般論としては中型ジェット機となりますとボーイング767ということで、この滑走路の距離は2000メートルとこう言われております。
○玉城 義和 時間がございませんので、ほかの課題にちょっと言及できませんが、基地問題で再質問を申し上げます。
まず、知事が協議会で1日当たり6便、中部方面、関西、それから羽田に飛ばすということの根拠でございますが、非常に御苦労されて軍民と言ったものですから、何とかして飛行機の1機も飛ばさないと持たないものですから非常に御苦労の跡がうかがえるわけですが、しかしこれを見ますと2010年でその空港を利用する人口が1360万人と360万人もふえているわけですね。これはもう本当にマキシマムだろうと思うんです。
それで、これの北部地域の利用者が約12.3%と想定をして、人口が15万人になるということを想定、考慮をしてパーセント上げて12.7に持ってきているわけですね。それを掛けていって地元と観光客の使う割合を精査して22.3%という一番ミニマムの場合は34万人と、28%の場合は44万人とこういうことですね。それを地域に分けていって10万人以上ならないと飛行機飛ばないものですから、計算していると。それでマキシマムを使って、28%という44万人のマキシマムを使ってやっても羽田が12万人にしかならぬわけですね。あとは5万とか、6万しかならないわけですね。だから、この一番最大のマキシマムを全部使っていって最大の数値を使っても、この統計で言えることでもやはり1便ですよ、これは1便。羽田1便やっとぎりぎりですよ、320人乗りのボーイングでですね。
これを例えばこの協議会の中で6便と言い切る、3往復と言い切るところに私は非常に無理があると思うんですね、これが1つです。これをどう思うかです。
もう一つは、私はこの点について各航空会社を回って実際に担当者に聞いてみたんです。そうするとこれは非常にみんな否定的な答えが返ってまいりまして、これは政治の話ですからねとこういう突き放した言い方なんですね。
こういうことを言っていますよ。今は、どの会社も大変厳しいと。こういう環境の中で合理化があるんだと。したがって航空会社は分散ではなくて集中を今やっているんだと、こういうことですね。
それから、羽田空港の枠が実際あくのかどうかということですね。それから1便しかないことによって乗り継ぎあるいは観光スケジュールが非常に組みにくくなると。
それからもう一つは、各社のカウンターをつくらなければならないわけですね、新しく空港にですね。事務所を設置しなければならぬ。フロアなどの借り上げをしなきゃならぬわけですね。それからボーディングブリッジという飛行機に乗るブリッジがありますね、あれをつくらにゃいかぬ。そういう投資に膨大な金がかかるというわけですね。そういうことを想定していくと、1機を飛ばしてもこの費用は全部同じだということですよ。
こういう状況を見ると、現場の飛行機会社のプロは、とてもじゃないがこれは営業として現実問題になり得ないというのが一貫した大体彼らの感想なんですね。
そういう意味で、こういう人たちの意見を聞いたのか、そういうことも含めて本当に現実に飛ばせると思っているのかどうかということをもう一度お聞かせを願いたいと思っております。
また現在、自治体が管理している空港は21ありますが、離島を除いて19が赤字ですね。各県、各航空会社、自治体は大変なんで全部で40億も赤字を抱えている。1県当たり2億円の赤字を持っているわけで、こういうことをそういう無理をしてまでも軍民と言わざるを得ないというところに私は非常に政策の無理があると思うんですね。その辺をもう一度明らかにしていただきたいというふうに思っております。
それから今、公室長、距離をおっしゃっていただきましたが、2000メートルがぎりぎりだと思います。これはもう常識で、天候等々によってはやはり2500とかということが想定されるというのが中型ジェット機の滑走路の長さでありまして、そうしますとこのSACOの最終報告で出たその案ですね。あれは1500メートルに対して1300メートルなんですね、滑走路は、海上基地は。それに比べますと700メートルもこれは長い滑走路になるわけですね。特にきのう防衛庁が出した資料をとるための仮定の投げかけは何と2600ですよ。この2000を受けて2600に延ばして投げているわけですね。
そうすると、海上基地の何と2倍の滑走路になるわけです。こういうものを一方で想定をしていて、いいですよ、そうして想定しておいて、じゃ15年問題はどうかというと、これはわかりませんとこう来ているわけですよ。そうしますと、実質的に15年問題の決着がつかない一方でこういうことだけを先行させていくと、実際には軍事空港として2600メートルの何と海上案の2倍の飛行場ができてくるという現実になるわけですね。こういうことをどういうふうにお考えか、もう一度ひとつそこを踏まえて出していただきたいとこういうふうに思います。
それからその基地の使用協定ですね、これはもう何回も私申し上げていますが、この基地の使用協定というのはこれはすべて地位協定上の日米合同委員会でやるものですね。これは2条の1項でそう書いてありますし、合同委員会主義ですね。25条の1項では、この両方の日米にかかわるすべての事項は合同委員会じゃなきゃならぬと書いてあるわけですよ。なぜそれをあえて那覇防衛施設局長と名護の市長が結ぶんですかと、これを聞いているんですよ。いやそれは事前の作業なんだと。それを受けて日本政府とアメリカとやるんだというならいいですよ。ところが名護市と防衛施設局がやるのが最終目標であるならば、これは何の法的根拠もないじゃないかということですよ。
この日米合同委員会で結んだこの協定さえも全部抜け穴だらけですよ、これは。今度皆さんが出した騒音の測定値見てもわかるとおりです。平成8年に結んだ嘉手納にしても普天間にしてもどんどんみんなかえってふえていっているんですよね、減っていっていない。合同委員会で結んでもかくのごとしなんだ。だからこれを国内で「日日」で結んでどういう効果があるか。これは先ほど小波津議員からもありましたように、そこをもう一回明確にお答えをいただきたいというふうに思っております。
当事者の入ってない協定はほとんど意味がないんだと、こういうことです。
それで15年使用協定ですが、知事、私は先ほどから時間がありませんので結論をちょっとお聞きしますが、知事の言い方は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持って沖縄の動向も踏まえて明確な考え方を示すべきであるとこういうことを言っている。これを素直に読めばこういうふうに読めるんですよ。つまりこの問題は対米交渉の問題ではもはやないと。つまり政府の責任で基地を提供するんだと。したがって、日本政府は沖縄の動向を踏まえて明確な考え方を示せばいいと。つまり自己完結型のところに陥っていると思うんですね。
そういう意味で言えば、知事が言ったその期限らしきもの、その着工手前までに何らかの動きがあるだろうという考え方と結びつけると、どうもこれは日本政府が私の責任で15年問題を解決しますと、アメリカは関係ありませんというところに投げ込む一つの私は方策ではないかとこういうふうに読むんですね。これは間違っていますか。
それとも対米折衝に持ち込まなければだめだとお考えか、その辺をひとつもう一回お聞かせを願いたいと思っております。
それから北部の人口の15万人というのは、今12万5000人ですから2万5000人ふやさなければいかぬと、年々2500人ふやさなければいかぬですね。そうすると少なくとも1000から1500の雇用口はつくらにゃいかぬわけです、雇用機会をつくらにゃいかぬ。それは大丈夫かと。もうことし初年度は終わっているわけですね。大丈夫かということを聞いているんです、もうちょっと詳しく言ってください。
この15万というのは、先ほどの飛行機を飛ばす基本的な数字になっているわけですね。それは、している沖縄がこのプロセスがはっきりしないんでは全部崩れるわけですよ、これは仮定がね。そこをもう一回やっていただきたいと思います。
それから、本部の山里のカルストの件については、ぜひとも自然公園を目がけてやっていただきたいと思うのと同時に、農林水産部長にはぜひ今度の生産法人の立ち上げは、成否は私は糖業の大きな一つこれからの振興にかかわると思います。そういう意味では部長を先頭に──きょうは知事に答えていただきましたが──どうぞひとつ糖業の振興のために全力を挙げてこの法人の成功のために私は頑張っていただきたいと思います。
再答弁をお願い申し上げます。
○副知事(石川秀雄) ちょっと休憩。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時21分休憩
午後3時30分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 玉城義和議員の再質問にお答えいたします。
安保条約下における基地の提供責任はあくまでも日本政府にございますので、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ、明確な考え方を示すべきであると考えております。当然、日米間の問題はその間において協議されるものと思います。
失礼いたしました。最初に「県は、」を入れます。基地の提供責任は安保条約によって明確に日本政府にあるということになっておりますのでということで「県は、」を加えさせていただきます。
○知事公室長(親川盛一) 玉城義和議員の再質問にお答えいたします。
まず1点目は、1日当たり6便の根拠ということで、これは無理ではないかと、東京1便がやっとではないかと、現実に飛ばせるのか、航空会社等から聞いたかとこういう御質問でございますけれども、先ほどもお答えいたしましたとおり、現在でも北部地域における主要ホテルの利用者は年間延べ260万人の観光客が利用されているということと、それから1日の旅客便数は約10万人の場合は関東方面へ2便と、それから20万人の場合は関東、中部、関西方面へ6便(3往復)とこういうぐあいに見込んでいるということでございまして、我々としては現段階でも1便は十分飛ばせるというような形でございます。それが2010年を基本においてやりますというと、先ほどお答えいたしましたとおり6便、いわゆる東京1往復、それから中部、関西方面を含めまして6便と、こういうことで十分大丈夫だろうとこう思っております。
それから、先ほどSACOの関係で1500メートルだが、海上では1300メートル、これは議員のおっしゃるのは2600メートルということで2倍になるんじゃないかとこういうことでございますけれども、いわゆる新聞報道には滑走路延長2400メートルとこういう形で掲載されておりますけれども、国は部外団体への作業依頼における共通の仮設条件として、滑走路の長さについては第2回協議会において県が説明した中型ジェット機、先ほど申し上げました中型ジェット機の離着陸可能な長さである2000メートルを想定し、飛行場の長さはこれにオーバーランやあるいはフェンスなどの安全対策に必要な距離を加え2400メートルとされたと、このように聞いております。
それから基地の使用協定でございますけれども、これにつきましては、この使用協定は国と名護市が協定を結ぶわけでございまして、国はこの協定を結ぶに当たりましては米側と十分協議をしてやっていくと、こういう閣議決定をしているわけでございまして、県がそれに立ち会い、また県は名護市と連携をしながら名護市の要望が実現されるよう取り組んでいくということでございます。
したがいまして、この北部の軍民共用空港の建設に当たりましては、北部地域の振興開発を図っていかなきゃならぬとこういうことがございまして、そういうことも踏まえて検討してこの便数等も資料等に基づいてはじき出した結果でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時36分休憩
午後3時36分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
企画開発部長。
〔企画開発部長 与儀朝栄君登壇〕
○企画開発部長(与儀朝栄) 15万人計画の具体的なプロセスについての再質問にお答えいたします。
北部地域の振興に関する計画の中で15万人の圏域人口というのは一つの目標でありまして、単年度単年度で10年間で約2万5000人ふえるわけですから、単年度で2500人の具体的な計画というのは当面持っておりません。
なお、平成12年度の北部振興策として採択された事業につきましては、IT産業等集積基盤整備事業において約100名、それからサーバーファーム整備事業においてコールセンター事業及びデータセンター事業の誘致により約600名、それから名護市食肉処理施設整備事業において約120名の雇用効果が見込まれているほか、それに関連する波及効果でいろんな雇用効果が見込めるというのがあります。
それと、基本方針の中におきましても「産業振興に向けた主要施策」としまして活力ある地域経済を目指す産業の振興として「「観光・リゾート産業」、「商工業」、「農林水産業」、今後発展が期待される「情報通信関連産業」、「健康・長寿関連産業」、「環境関連産業」等を重点として、戦略的に振興を図る。」と。
また、横断的な取り組みとして人材育成、研究開発、交通基盤等の整備を図っていくということと、もう一つの北部振興策における基本的な目標であります「定住条件の整備に向けた主要施策」におきましても、「活力に満ち快適な生活環境の形成に向けて、福祉の充実を図るための環境整備や「職」と併せた「住」・「遊」・「学」を備える環境整備を進める。」と。
これらのものにつきましては、北部振興事業として特別調整費の公共事業10年間で約500億円、非公共事業約500億円の約1000億円でこういった事業を推進することによって人口が目標値に達していくということで期待しております。
以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) さとうきびの法人化について農林水産部長としての決意の一端を申し上げたいと思います。
今回の法人化の動きというのは、これまでさとうきびの生産が減少している中でずっとその法人化は言われてきたんですけれども、なかなか進まない中で今回14の法人ができたということはやはり大きな山が動いたような実感を持っています。
このことに対して、今回の価格要請においても国から評価されまして、ルネッサンス事業において従来80円であったのが100円に上げられています。それと同時にこの新ルネッサンス事業、これは12年までの予定でしたけれども、新たに延長するということで新たな事業としてさとうきびの収穫面積の維持拡大対策、それから単収品質向上対策、それから生産法人の育成などの支援ができる新たなメニューができております。
それからもう一つは、従来の砂糖安定基金を活用して新たに創設された砂糖生産振興事業というのができております。これでは性フェロモンによるハリガネムシの防除、これは今想定しておりますのは、南大東村で全島一円に性フェロモンによる交信攪乱で全島根絶の実験事業を今想定しております。それから歩どまり、工場施設等の整備もできるようになっております。
こういうことで各種事業を総合的に活用し、農家が意欲を持って生産に取り組めるよう農業所得の確保と製糖企業の経営安定のために努めていきたいというふうに思います。
以上でございます。
○玉城 義和 農林水産部長にはぜひ農林水産部一体となって頑張っていただきたいと思っております。
基地問題は率直に申し上げて、先ほど答弁らしきものがございましたが、なかなか私は理解できません。おっしゃっていることがよくのみ込めないわけでありまして、この民間、軍民の象徴として立てている1便の根拠について、この最大限をとっても中部方面は流動的だと、これは県の資料でもそう指摘されているわけですね。そういう不確定要素があるのに、それを代替協の場で知事の方から6便(3往復)ということを言い切ってしまうところに私は大変誤解も生むし問題があるのではないかと。
15万人についても今のように明確ではないわけですね。
1360万人というのも、これも経済状況の変動だとかいろんなことによって変わってくる。観光客は今約500万として900万近くにならなきゃならぬですね。そういう状況が本当にこういうことを言うのに、そういう資料を使っていくことが適切かどうかと私は非常に疑問を持っていますし、先ほど言ったような現場からの航空のプロの人たちからの考え方もあるということを申し上げているので、もう一回本当に飛ばせるのかどうかということを言っているわけで、お願い申し上げたい、答弁してください。
それから知事がおっしゃったことで、この15年問題は日本政府だけの決意表明ではなくして日米の協議があるということをちょっと聞いたような感じがしますので、日米間にかかわる問題だという御認識であるということを再確認をさせていただきたいと思っております。
それから、基地の使用協定は何で日本政府が米国とやって、それをまた名護に戻すということをやるのかということですね。予備交渉として名護市と日本政府がやって詰めて、それを日本政府が引き取ってアメリカとやるのが外交の道筋じゃないですかと、これが地位協定上のやり方じゃないですか。
何でそれをアメリカを切って「日日」だけでやるのかということを聞いているので、それに対して県は異論はないんですかと、これでいいと思っていますかと、効果があると思いますかと、法的な裏づけがないじゃないですか、これではですね。何をもって法的な裏づけにするんですか、米国に物を言うんですか。これがないと言っているんですよ。だからそれをもう一回ぜひお願いをしたいと思っております。
的確に御答弁ください。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時45分休憩
午後3時47分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 玉城義和議員の再々質問にお答えをいたします。
安保条約に関連する問題は、これは当然日米間の問題でございます。しかし基地の最終提供責任は日本政府にあるわけで、県としては政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ明確な考え方を示すべきものであると考えております。
○知事公室長(親川盛一) 玉城義和議員の再々質問にお答えをいたしたいと思います。
まず1つは、軍民共用空港で果たして1日6便本当に飛ばせるかとこういうことでございますけれども、県としては、新たな基地負担を軽減するためにも同施設は地元地域の発展にとって真に有意義なものとなるよう民間の航空機が就航できるようにするとともに、空港関連産業の育成・誘致及び空港を活用した産業等のための条件の整備検討を進め、具体的な事業展開が図られるようにする必要があると考えており、県としては、同飛行場の民間機能を活用し雇用機会の確保や産業の振興を図り、地域経済発展の拠点を形成していく必要があるとこのように考えております。そのためにも先ほどお答えいたしました、この貨物につきましても平成10年度で約6万6000トンである、そのうち北部が25%もある、それから旅客数が260万人が利用されていることなどから、北部地域の航空旅客は現状でも一定の利用可能性があると、こういうことで十分飛ばせるとこのように理解しております。
それから、使用協定につきましては先ほどもお答えいたしましたとおり、これは日本政府は、基地の提供義務者である政府と名護市が協定を結んでいくと。その場合、政府は当然に米側との協議をしながら、そしてこれを名護市と、名護市の要望に沿ってこれを結んでいくと。それを県は一緒になって名護市の要望に沿う形で連携を図りながら取り組んでいくとこういうことでございまして、これは米国と協定せずに「日日」でやるのかと。これは、日本政府と名護市ということで日日と言ってちょっとなんですが、そういうことで使用協定を結んでいく。これは新しい代替施設とともに既存の施設についても使用協定を結んでいく、こういうことでございますので大変有意義なものだと、このように考えております。
○玉城 義和 議長。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時52分休憩
午後3時54分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
玉城義和君。
〔玉城義和君登壇〕
○玉城 義和 県議会の権能が問われている事態だと思うんですね。何一つ県議会で明らかにされないで代替協などで事実だけを積み重ねていくやり方は非常に困りますよ。これは与野党じゃないんでね、議会の権能が問われているんで、何一つはっきりしてないでしょう、この1年間。もうちょっと知事は、政治家として信念をこの場で披露して県民に信を問うべきだと思うんですね。そういう意味では極めて不満足な答弁でありましたが、時間ですからこれで終わります。
ありがとうございました。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時55分休憩
午後4時20分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
新里米吉君。
〔新里米吉君登壇〕
○新里 米吉 護憲ネットワークの新里米吉です。一般質問を行います。
全国高等学校総合体育大会2010年開催誘致について、昨日の渡久地議員の代表質問に対し、知事が答弁で全国高校総体の開催意義を述べられ、関係団体や関係機関の協力を得て諸準備を進めていきたいと積極的な姿勢を示されたことを評価するものです。
全国高校総体は、県高体連を初め関係団体の悲願であり、子供たちの夢と希望であります。海邦国体が沖縄県のスポーツの普及と振興に寄与したように、全国高校総体が沖縄県スポーツ界の発展に大きく貢献することは明白であります。
また、大会を通して全国の高校生が交流し、選手以外の県内高校生も放送や補助役員等で大会に参加する等教育的意義も大きい大会であります。県民挙げての取り組みでぜひ成功させたいと思います。
それでは開催誘致と関連して質問します。
1、全国高等学校総合体育大会について。
(1)、全国高等学校総合体育大会の2010年開催を目指して準備を進めると思うが、正式決定はいつか。
(2)、開催に向けての計画、準備等はどのように進めようとしているか。
(3)、課題は何か。
次に、平成13年度予算にかかわる質問に移ります。
私は、沖縄県バレーボール協会の強化委員長として九州地区国体へ昨年、ことしと視察、応援に行きました。競技会場には九州各県の役員の皆さんがおられて、その中に私の友人、知人がおりますので情報交換をしますが、沖縄県の競技力向上対策費が九州各県に比べて少ないように感じております。
また、第2回世界のウチナーンチュ大会には実行委員会副会長としてかかわりました。外国へ移住された一世の皆さんが国際通りのパレードで涙を流して感激されておられた姿を見ましたとき、そして戦前及び戦後の復興に外国へ移住された方々から送られた物資やお金が大きな支えであったことを考えたとき、世界のウチナーンチュ大会を継続しなければならないと思いました。
そこで質問します。
2、平成13年度予算に向けて。
(1)、平成12年度の沖縄県を含む九州各県の競技力向上対策費は幾らか。沖縄以外はA、Bで答えてください。
(2)、沖縄県の競技力向上対策費は、数年来の行財政改革で毎年減らされているが、九州各県の状況はどうか。平成11年と平成12年の比較で答えてください。
(3)、第3回世界のウチナーンチュ大会については、去る9月定例会で、規模については前回を上回る大会の成功に向けて努力する旨の答弁がありました。予算も規模に応じた措置が必要になると思うがどうか。
次に、教育問題について質問します。
11月7日の県内2つの新聞によると、心身に障害を持つ子供に対する教育のあり方を検討していた文部省の研究会議は、11月6日、障害児がどの学校で学ぶかを決定する基準を緩和し、盲、聾、養護学校に進まずに地域の小中学校の普通学級に通学する道を広げるよう求める報告書をまとめたことを大きく報道しています。
中間報告は、1994年6月、スペインのサラマンカにおける世界会議で採択されたサラマンカ宣言で、インクルーシブ(包括的)な方向性を持つ学校こそが差別的な態度と闘い、喜んで受け入れられる地域をつくる効果的な手段であると述べ、すべての政府に対し、やむにやまれぬ理由がない限り普通学校にすべての子供を在籍させるインクルーシブ教育の原則を採用することを訴え、実施を迫るものであるとした世界の流れに沿った対応であると思われます。
関係者は、障害を持つ子も持たない子も子供同士の関係の中で社会性を身につけていく。これからは高齢化社会が進むわけで、早い段階でハンディを持った人に触れることによって得る経験は大切だ、障害児にとっても同世代に囲まれて育つことでカリキュラム上の知識より重要な生き方を学ぶ機会になると評価しています。2002年度からの実施を目指すことになっておりますので、教員の増員や介助職員の配置、学校の施設・設備の対応等条件整備が必要になると思います。
PCB入り蛍光灯については、相次ぐ事故で政府はPCBを絶縁油として含んだ安定器を使う蛍光灯と水銀灯を来年度中にすべての公共施設から撤去する方針を決めたと報道されています。
そこで質問します。
(1)、文部省の調査研究会議は、障害児がどの学校で学ぶかを決定する基準を緩和するよう中間報告をまとめた。中間報告についての所見を伺いたい。
(2)、県立高等学校編成整備の基本方向が発表された。編成整備の進め方と以下のことについての基本的考え方をお聞きしたい。
ア、学校の統廃合、イ、総合実業高等学校(仮称)、総合工芸高等学校(仮称)の設置、ウ、中高一貫教育について。
(3)、PCB入り蛍光灯が問題になっている。県内の学校におけるPCB入り蛍光灯の状況はどうなっているか。撤去の計画はあるか。
次に、観光振興について質問します。
観光・リゾート産業は、復帰後入域観光客が大幅に増加し、基幹産業としての地位を確立すると同時に県経済全体を牽引することが求められています。
沖縄経済振興21世紀プランには、「2000年サミットの沖縄開催を大きな契機として活かすことにより、アジア・太平洋地域における有数のコンベンション都市として沖縄が成長していくことが期待される。」と述べています。
サミット後、観光リゾート局には国際会議等誘致プロジェクトチームが設置されていますが、チームは現在、兼務体制で事業を進めており、リーディング産業の部局体制として疑問を持たざるを得ません。
また、那覇空港国内線ターミナルの沖縄型特定免税店について昨年12月8日の新聞は、前日の特定免税店オープニングと、免税店の年間売り上げの3%が公的機関を通じて県の観光振興に充てられる予定と報道し、大きな期待のもとにスタートしました。しかし売り上げが低迷し、沖縄観光の魅力創出に効果を上げていないと言われています。
このような中で、来年の通常国会での沖振法再改正を目指す動きが報道されています。私も沖振法再改正による売り上げ改善に期待しております。
そこで質問します。
(1)、観光リゾート局の体制を強化する考えはないか。
(2)、サミット後のコンベンション誘致はどうなっているか。
(3)、那覇空港国内線ターミナルの沖縄型特定免税店について。
ア、昨年12月のオープンからことし8月までの売上高は目標の約18%と低迷している。その主な原因は何か。
イ、沖振法再改正に期待しているが、観光戻し税品8品目の販売による既存業者との競合はないか。その調整は可能か。
以上、答弁を聞いた上で再質問します。
○知事(稲嶺惠一) 新里米吉議員の質問にお答えいたします。
観光振興について、観光リゾート局の体制を強化する考えはないかについてお答えしたいと思います。
県では、21世紀における自立的発展を目指し、新たな時代の要請や県民の多様なニ-ズに的確にこたえるとともに、諸施策を着実に推進していくための行政組織の効果的かつ効率的な運用、構築に努めているところであります。
観光・リゾ-ト産業は、自立化に向けた県の戦略的基幹産業であり、そのためコンベンション振興策を含め関連施策を推進する観光リゾ-ト局の役割は重要であると考えております。このため観光リゾ-ト局の組織体制については、沖縄観光の持続的発展を目指した戦略性、機動性を有した組織づくりの観点から前向きに検討していきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○教育長(翁長良盛) 新里議員の御質問にお答えいたします。
まず、全国高等学校総合体育大会に関連して、全国高等学校総合体育大会の2010年開催を目指して準備を進めると思うが、正式決定はいつかという御質問にお答えいたします。
全国高等学校総合体育大会は、全国高等学校総合体育大会開催基準要項に基づいて開催されます。同要項によりますと、開催4年前に県高等学校体育連盟と県教育委員会の連名で全国高等学校体育連盟あて開催申請書を提出し、内定を得て、開催3年前の6月30日までには正式決定を得ることになります。
次に、開催に向けての計画、準備等はどのように進めようとしているかという御質問にお答えいたします。
昨日の本会議において、開催準備を進めていきたいとの知事の発言がありましたので、おおむね次の手順で準備を進めてまいりたいと考えております。
平成13年度は、先催県等の調査を進めるとともに開催基本方針等を作成したいと思います。
平成14年度は、九州高等学校体育連盟の承認を得たいと思います。
平成17年度は、全国高等学校体育連盟あて誘致申請書を提出することになります。
平成18年度は、全国高校総体推進室(仮称)を設置し、全国高等学校体育連盟あて開催申請書を提出することになります。
平成19年度は、県実行委員会を設立し、平成20年度には市町村実行委員会を設置していただきたいと思います。
平成21年度は、リハーサル大会等を開催し、平成22年度開催に備えていきたいと考えております。
なお、関係部局、市町村等関係団体及び関係機関と調整を図るとともに、県民の協力を得て開催準備を進めていきたいと思います。
次に、開催についての課題は何かという御質問にお答えいたします。
本年度の岐阜大会では28の競技が開催されました。そのことから、開催に当たっては競技施設の整備が必要であると考えます。また学校体育団体や県体育協会等関係団体が連携し、小学生、中学生、高校生の一貫した選手強化を図るとともに、大会を円滑に運営するため競技役員の養成・確保などが課題であると考えます。
次に、平成12年度の沖縄県を含む九州各県の競技力向上対策費は幾らか、また沖縄県の競技力向上対策費は数年来の行財政改革で毎年減らされているが、九州各県の状況はどうかという御質問は一括してお答え申し上げたいと思います。
国民体育大会を初めとする全国大会や国際大会等における本県選手の活躍は、県民の活力を高揚させるとともに、スポーツの普及・振興に大きく寄与するものであります。したがいまして競技力の向上を図るため県内強化合宿や県外交流試合への派遣、コーチ招聘事業等の諸事業を実施する必要があります。
九州主管課長会議等の照合事項によりますと、平成12年度の九州各県の競技力向上対策事業費は最も多い県で3億4000万円、最も少ない県で1億1230万円となっており、本県は7060万円であります。
また、競技力向上対策事業費について九州各県の平成11年度と平成12年度の比較を見ますと、増額の大きい県で2億4000万円、小さい県で250万円であり、九州7県はすべて増額となっています。
県教育委員会といたしましては、長期的な選手強化対策が必要であり、全国高等学校総合体育大会の本県開催も視野に入れ、競技力向上対策事業費の増額に努めてまいりたいと思っております。
次に、文部省の調査研究会議は、障害児が学ぶ学校の決定基準を緩和するよう中間報告をまとめたが、これについての所見を聞きたいという御質問にお答えいたします。
障害のある児童生徒の特殊教育諸学校への就学基準は、昭和37年5月に制定された学校教育法施行令第22条の3に定められており、それに沿って現在、就学指導を進めているところであります。「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」は、11月6日に「21世紀の特殊教育の在り方について」の中間報告を公表しております。
それによりますと、近年、視覚補助具、補聴器、義手、義足などの補装具等の性能の向上により、基準上は特殊教育諸学校に就学すべき児童生徒であっても通常の学校で教育を受けている児童生徒がふえており、実態と合致しない面が生じていると述べております。
県教育委員会といたしましては、同中間報告にありますように医学、科学技術の進歩等を踏まえ、実態に合致するよう医学的、心理学的、教育的な観点から就学基準を見直す必要があると考えており、今後、最終答申や国の動向を踏まえて障害のある児童生徒の就学指導のあり方について検討していきたいと考えております。
次に、県立高等学校編成整備の基本方向が発表された、学校の統廃合、総合実業高等学校(仮称)、総合工芸高等学校(仮称)の設置、中高一貫教育についての基本的な考え方と編成整備の進め方を聞きたいという御質問にお答えいたします。
県教育委員会においては、平成14年度を初年度とする新たな「県立高等学校編成整備計画」の策定に先立ち、今年9月に「県立高等学校編成整備の基本方向」を定めたところであります。御質問の学校の統廃合に関しましては、今後の少子化傾向に伴い、とりわけ離島・僻地における学校の小規模化の進行という課題への対応が迫られております。このため学校間の統廃合も視野に入れた再編を進めていくこととしております。
次に、新しいタイプの学校の設置に関しましては、地域の実態に即して農業、工業、商業、水産など幅広い専門分野を科学技術の視点から総合的に学ぶことのできる総合実業高等学校(仮称)や本県独自の伝統工芸等を保存・継承し発展させるための総合工芸高等学校(仮称)の設置を既存の学校の再編統合とあわせて検討することとしております。
また、生徒の個性に合ったゆとりのある教育の実施、生徒や保護者の選択の幅を広げる観点から各地域の特性に合った中高一貫教育を推進していくこととしております。今後、引き続き関係団体等との調整を図りながら、具体的な編成整備の実施計画を平成13年度中を目途に策定していきたいと考えております。
次に、PCB入り蛍光灯が問題になっている、県内の学校の状況はどうなっているか、撤去の計画はあるかという御質問にお答えいたします。
PCBは、特に電気的特性がすぐれていることから照明器具等に多く使われてまいりました。その後、PCBによる環境汚染が大きな社会問題となり、昭和47年に製造が中止されております。
去る10月4日、東京八王子市におけるPCB使用の照明器具破裂事故がマスコミ等によって報道され、その後も二、三の県で事故が発生しており、県教育委員会といたしましてもPCB使用照明器具の実態調査に取り組んでいるところであります。
現在、県内において事故は発生しておりませんが、県立学校では調査の結果、2校でPCB入りと思われる照明器具が73台ありましたが、これらは平成12年11月までにすべて撤去取りかえを完了しております。また市町村立学校につきましては、6市町村13校で514台の照明器具使用が確認されております。現在、早急に撤去、保管等の対応をとるよう指導しているところであり、今年度中に撤去取りかえ等の対策を行うこととしております。
以上でございます。
○文化国際局長(金城勝子) 平成13年度予算に向けての部分で、第3回世界のウチナーンチュ大会についてのお尋ねでございます。去る9月定例会で「規模については、前回を上回る大会の成功に向けて努力する」旨の答弁があったが、予算も規模に応じた措置が必要になると思うがどうかという御質問でございます。
第3回世界のウチナーンチュ大会の開催に向けては、県民を挙げて取り組むため去る8月1日に県内各界代表で構成する大会実行委員会が発足し、同日付で事務局を設置して諸準備業務を進めているところであります。
今大会は、4つの基本方針を掲げております。まず第1に、海外との持続的交流及び相互の発展に資する、2番目にウチナーンチュのアイデンティティーの確実な継承、3番目に海外参加者と県民及び参加者相互の交流の促進、4番目に九州・沖縄サミットで世界から注目された沖縄を世界に一層アピールする機会とするであります。それを踏まえまして内外の県系人と県民が幅広く交流できる多彩なイベントの実施を検討しております。
今大会は、九州・沖縄サミット開催の効果もあり、先般実施したアンケート調査の結果を見ましても内外の県系人の関心も非常に高く、前回を上回る規模の参加者が予想されています。大会の成功を期するために必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 観光振興についての中の、サミット後のコンベンション誘致はどうなっているかについてお答えします。
本県においては、九州・沖縄サミット首脳会合の開催を契機として国際会議等誘致プロジェクトチームを設置し、国際会議等を初めとする各種会議の誘致に努めているところであります。サミット後における万国津梁館での国際会議等の実施及び予約状況は、平成12年12月11日現在で国際会議21件、国内会議73件の合計94件となっております。
なお、沖縄コンベンションセンターにおけるサミット後のコンベンション開催の状況について見ますと、平成12年8月から11月までのコンベンション開催件数は169件で、これは前年における同期間のコンベンション開催件数113件に対し、56件、約50%の増加となっております。
続きまして同じく観光振興についての中で、今年8月までの沖縄型特定免税店の売上高は目標の約18%と低迷しているが、その主な原因は何かについてお答えいたします。
沖縄型特定免税店の経営状況が厳しいことにつきましては、1点目に、本制度が戻し税方式のため商慣習上の問題で海外メーカーから直接仕入れが難しく仕入れコストが高くなってしまうこと、2点目に、観光戻し税制度の取扱品目が対象から除外され輸入品全般が取り扱えないため商品の品ぞろえが不十分となっていること、3点目に、営業開始からまだ1年とたたず商品の仕入れ等営業のノウハウが十分蓄積されていないこと等が主な原因と考えております。
同じく観光振興についての中の、沖振法再改正に期待しているが、観光戻し税品8品目の販売による既存業者との競合はないか、その調整は可能かという御質問にお答えします。
平成11年の観光戻し税販売額は3億5171万円、戻し税額は3666万円となっております。これは販売額のピーク期94億9479万円の3.7%、戻し税額のピーク期24億6062万円の1.1%となっており、制度の利用は年々低下しております。観光戻し税承認店についてもピーク期の488店から現在68店に減少し、そのうち制度を活用している店舗は約10店程度であり、経営の中心を戻し税制度を積極的に活用した形態から土産品店等へと移行しているものと考えられます。
また、沖縄型特定免税店では、輸入品の品ぞろえによる輸入ブランド品を中心とした客層を主なターゲットにした新たな消費拡大を考えております。
このようなことから、制度改正による既存の観光戻し税承認店への影響は少ないものと考えておりますが、引き続き関係者や関係団体等と意見調整を図り御理解を得ていきたいと考えております。
以上でございます。
○新里 米吉 先ほどの答弁で競技力向上対策費、沖縄が九州各県で最も低いということが明らかになっております。これは私も九州各県の皆さんと話をする中からそれを感じておりましたんで、やはりそのとおりであろうと思っております。
それと同時に、この間、財政の厳しい中で補助金ということで一律カットされてきたと思います。毎年毎年沖縄の競技力向上対策費が減ってきて、各競技団体の皆さんと九州地区国体などで行って話をすると、もうこれ以上どんどん減らされたら困るなという話が出ているぐらいでありまして、九州各県を調べてみると一番少ないところでも250万ふえていると。いわゆる沖縄以外はみんなふえて、沖縄だけが一番少ないのに減っているというのが実態かと思います。
もう、そろそろ補助金もこれまで大体、これまでの行政改革の中で一律カットの方向で来たと思いますが、やはり見直すべきときだろうというふうに感じているわけです。
県の平成12年3月の沖縄県行政システム改革大綱を読んでみましたら、事務・事業、補助金等については整理・合理化を進めるとともに、必要性、緊急性、優先順位等を明確にするということになっておりますので、必ずしももう一律カットということじゃなくて、状況を判断してやれるんではないかというふうに感じております。
ひとつ、ここら辺を考えていただいて、2010年には全国高校総体を沖縄で開催するわけですから、それに向けての問題もありますし、また九州各県でもたしか3県ほど全国高校総体とか国体とかを控えていて競技力向上対策費を徐々に上積みをしているということもありますので、2010年を飛び越える高校総体の開催というのはこれはもうあり得ないと思います。2010年が1巡目の最後であるわけですから、それを飛び越えるとほかの県の2巡目よりもおくれてしまうと。これは県民の誇りとしてもスポーツ界の皆さんも恐らく納得しないわけで、2010年には開催ということになれば、やはりそれに合わせての競技力向上対策費もそろそろ減ってきたものを底打ちをさせて、今後は考えていくということが大事ではないかと思っております。
ひとつ財政当局、総務部長、よろしくお願いします。
○伊波 洋一 20世紀最後の県議会になりました。20世紀は、沖縄にとって戦争と軍事基地の世紀でした。20万人余のとうとい人命が失われた沖縄戦があり、戦後から今日まで広大な米軍基地に土地を奪われて、基地あるがゆえの被害を県民は受け続けております。
今こそ私たち沖縄県民は、戦争と軍事基地の20世紀にさようならを宣言して米軍基地を撤去させて、平和と共生の21世紀を迎えましょう。
通告に従って質問をいたします。
知事の政治姿勢について。
朝鮮半島の緊張緩和と沖縄の米軍基地について伺います。
今年6月の電撃的な南北朝鮮首脳会談によって朝鮮半島における緊張緩和の流れは急速に進展しています。
これまでは、沖縄への第3海兵師団の駐留や嘉手納基地のF15戦闘機の配備の理由としては第1に朝鮮半島での一触即発の臨戦状態が理由とされていたのでありまして、また普天間基地の代替施設確保の理由も、米軍が同時に世界の2カ所で戦争を遂行し、どちらも勝利するという2正面戦略のために、その1つである朝鮮半島の戦争のために米本土から300機ものヘリを駐留させるために必要だと、このように4年前は説明していたのであります。
朝鮮半島の劇的な緊張緩和の進展を理由として、これまで過重な負担を背負わされてきた沖縄の米軍基地の縮小と米軍部隊の削減がなされるべきであると考えますが、知事の明確な見解を伺いたいと思います。
相次いでいる前・元米国防総省高官の提言について伺います。
米国防総省関係者から、沖縄の米軍基地を他の地域に分散すべきだとの提言が相次いでいます。10月11日にはナイ前国防次官補、アーミテージ元国防次官補、キャンベル前米国防副次官補、ウルフォウィッツ元国防次官らによって、過去に対日安保政策を担当した超党派の米有力者グループは、日米安保について米海兵隊の沖縄からの分散を含めた提言を行いました。提言は、10万人規模のアジア・太平洋地域の米軍駐留体制も見直すように米政府に求めているわけであります。
在沖海兵隊について、「沖縄への米軍の過度の集中で、海兵隊も訓練で制約を受けている」、「海兵隊の展開、訓練をもっと地域に拡散すべきだ」とこのようにしているわけであります。
全体的に共和党色が強いと見られ、「ブッシュ政権が誕生した場合の対日安保政策の青写真になる可能性もある。」と言われております。
さらに、提言が沖縄の負担軽減に言及しているのは、朝鮮半島情勢の緊張緩和を受けたものではなくて、沖縄の不満を和らげることが日米安保の強化につながるとのねらいがあります。
沖縄の米軍基地を他の地域に分散して沖縄県民の過重な負担を軽減しようという米国防総省前高官らの提案を知事はどのように評価しておりますか、知事の見解を伺います。
米大統領選挙後の沖縄基地について伺います。
米国では、政権の交代によって大胆な政策転換がなされることが慣例になっております。今回の大統領選挙でも、ゴア候補の世界の警察官として米軍の海外駐留を継続するという方針に対して、ほぼ大統領になることが確実なブッシュ候補は海外米軍の縮小を主張しております。既にブッシュ候補は、次期政権に向けて閣僚の人選に着手しており、ブッシュ政権で副大統領になるチェイニー氏は、国内基地の閉鎖計画や89年に東アジアの米軍削減計画をつくった国防長官であり、アーミテージ元国防次官補やウルフォウィッツ元国防次官は部下として具体的計画の責任者だったのであります。10月の提案がブッシュ次期政権の政策になる可能性が極めて強いわけであります。
すなわち、沖縄県民の反対によってクリントン政権によるSACO合意が4年も立ち往生していることで、米新政権においては大胆な政策転換が国防総省内部からも求められてくる、このようなことがあるわけであります。
知事は、このような米国側の情勢変化に柔軟に対応し、沖縄県民の過重な負担の軽減のために米国の新政権に対して他地域への分散を求める考えはありませんか。
2030年までの基地の固定について伺います。
11月7日の衆議院安保委員会で自民党比例区選出の下地幹郎衆議院議員が、「日米で2030年までの使用期限を設定しなければこの15年問題は決着しない」と提示したのに対して、「河野洋平外相は「2030年という年限を入れることにはいろんな問題がある」」と否定的な見解を示しました。
稲嶺知事が主張している15年使用期限が、5年の調査と10年の工事期間を合わせれば2030年までの基地の現状固定化を意味することを明らかにしたもので、下地衆議院議員は既に今年4月18日の衆議院安全保障委員会で、「この15年問題というのは30年問題なんですよ。」、「沖縄側が申し上げたいのは、30年後には基地をなくしますよという断定をしなくても結構です」、「30年という時間は長い時間でありながら、しかしゆっくりと基地問題を解決できる、利益になる考え方だと私は思っていますから、」と述べているわけであります。
辺野古海上への代替施設建設が、このような長期に及ぶ米軍基地の固定化をイメージしている沖縄県民は少ないだろうと思います。だからこそ政府は2030年という年限を明確にすることに否定的な見解を示したのであります。
稲嶺知事は、衆議院安全保障委員会で15年問題は30年問題であるという議論がなされていることを御存じですか。「沖縄側が申し上げたいのは、30年後には基地をなくしますよという断定をしなくても結構です」という下地議員の考えと稲嶺知事の考えに違いがあるのですか、ないのですか。
知事自身は、15年問題を30年問題と考えているのですか、あるいはまた30年でなければ何年なのですか、明確に答弁をいただきたいと思います。
稲嶺県政が進める15年期限は、現状の30年固定であることが明らかになりつつあるわけで、劇的に軍事的緊張が緩和しつつある東アジア情勢を無視して稲嶺県政や日本政府は、沖縄の米軍基地を無期限に現状固定しようとしていると言っても過言ではありません。
30年には、4年任期の米大統領が7回もかわるわけであります。気の遠くなるような期間にもかかわらず、沖縄側から2030年まで基地をどうぞお使いくださいという主張がなされているわけであります。
米国では、米軍基地は4年ごとにQDRという大統領がかわるたびに兵力削減の見直しが行われますし、それから基地の閉鎖は4年から6年で閉鎖がなされます。これを私たちは今日基地の返還を求めれば、5年から6年で普天間基地も返還されるわけであります。
第三セクターの問題について伺います。
今議会には、第三セクターである沖縄マリンジェット観光の債権放棄議案と株式会社アクアパーク出向役員の連帯保証債務の負担金の予算案が提案されています。両議案とも県出向役員に係る連帯保証債務が問題になっています。
民間の会社経営においては、代表権者あるいは取締役は、金融機関等の借り入れに対して個人保証をするということが慣行になっております。県からの出向役員も個人保証をしている。このような場合には、県が出向役員の連帯債務を肩がわりすることになるのでしょうか。
企業人ではない県の出向役員が経営者として出向しているとは考えにくいわけでありますけれども、現在、県職員を代表権を付与して出向させている第三セクターはどこどこでしょうか。
また、役員等として出向している県職員で出向先で個人保証の連帯保証をしているケースはほかにありませんか。
今後、事業活動が主の第三セクターへの県からの役員派遣、特に代表権を付与しての派遣を見直すべきだと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
全国的にも、地方自治体や国が民間企業とともに出資した第三セクターの破綻が相次いでおり、先月の東京商工リサーチの調べによると、ことし9月までに昨年の破綻企業数27社を上回る30社が破綻しているということであります。
なぜ、第三セクターの破綻が相次いでいるのか。民活法やリゾート法による安易な地域開発や地域おこしブームの時代に地方自治体などが、甘い採算見通しのまま議会や自治体住民に説明して出資したことも一つの原因であります。
市町村有地の安価な提供や職員出向の形での補助金の支出など、優遇策にもかかわらず経営が成り立たず赤字をふやすのはなぜなのでしょうか。「官の非効率と民の無責任の同居」と12月1日付の日本経済新聞でも指摘されておりますけれども、知事の見解をお伺いいたします。
自治体が出資をする第三セクターには「公共性」がなければならないはずであり、今回の事態を踏まえ、県としては第三セクターについての指針を明確にするべきであると思いますが、知事の見解をお伺いいたします。
アクアポリスの処分と渡海橋の撤去は一体的に行うべきだと考えますが、どうしてアクアポリスをわずか1400万円で米国企業に払い下げ、2億円近い渡海橋の撤去費用を県が持たなければならないのでしょうか。
マリンジェット観光の破綻の第一の原因は、搭乗利用率が目標の50%に対して20%にも満たなかったことで観光客が乗らなかったことが原因であります。
私は、今でもマーリンを沖縄の観光インフラとしては重要だったと考えております。私は、全座席の半数を団体ツアー向けに半額の割引で観光業者に提供したらどうかと2年前に提案をいたしました。マーリンを観光商品として利用してもらうために特別な割引率などどのように取り組んできたのでしょうか。
また、観光商品としてどの程度の搭乗率だったのでしょうか、明らかにしていただきたいと思います。
沖縄経済振興策について。
沖縄経済振興策と称して地域開発や箱物が次々につくられております。政府の各省庁の推進する事業が沖縄振興という形で県内各地で進んでおりますけれども、島田懇談会事業を含めて次々と打ち出されている開発構想や箱物建設は、近い将来に第三セクターのような問題になる可能性はありませんか。県としてどのようにチェックしているのでしょうか。
県の取り組みとして特別自由貿易地域があります。これまで4社が進出を表明しましたが、実際はレンタル工場に2社、埋立地に1社しかありません。知事は、企業立地推進課を新設し企業誘致係と自由貿易地域整備係を置いて特別自由貿易地域への企業誘致に取り組んでおります。これまで東京や大阪、台湾や米国などでも企業誘致説明会を開催しておりますけれども、当初想定した進出企業数は何社で、新たに何社の進出が確定したのでしょうか。
このような状況が続くと、特別自由貿易地域に係る県の負担は莫大なものになるのではありませんか。今後、5年の収支はどうなりますか。
ベトナムへの琉球ガラス工場の進出や中国でのアガリクス製造、竹炭製造、タイでのフローリング材製造、台湾への進出など県内からベンチャー企業がアジア各地に進出して、製造した製品を沖縄から全国に販売するルートができつつあります。沖縄へ来る本土の観光客を相手にインドネシアやインドで製品化させて販売するルートもできております。
沖縄のベンチャー企業がアジア各地に進出していく中、制度を整備しても沖縄で自由貿易地域を運営するのは無理なのではありませんか。自由貿易地域のためにつぎ込んでいる人材や予算を別の方向に投入すべきではありませんか、知事の見解を伺いたいと思います。
宜野湾市の西海岸開発の仮設港の活用について。
宜野湾市の西海岸地域は、沖縄県観光振興基本計画のメーンコアであり、観光振興地域として指定されております。県は、この地域で宜野湾マリーナと都市地区漁港を建設中で、完成すればトロピカルビーチやコンベンションセンター、多目的海浜公園とともに西海岸は豊かな表情を持つリゾートエリアになります。隣接してショッピングセンターも立地予定でございます。
その一角に埋め立てのために造成された仮設港があり、免許なしに埋め立てられた広大な土地を含めて現在は県が管理をしております。仮設港は、水深が深いところで10メートルもあり、かなり大きな船でも停泊でき、水深3メートルの宜野湾マリーナには入港できない外洋ヨットや大型クルーザーも接岸できます。このエリアは、隣接する漁港も活用できる仮設港を生かして開発してサンフランシスコのシーメンズワーフのように魚料理などの店舗が港や桟橋を囲み、西海岸のクルージング拠点にできれば沖縄観光の大きな財産になるものと確信をしております。
県として、宜野湾西海岸地域に大きな可能性を開く仮設港地域の有効な活用プランを沖縄観光産業の振興のために取り組む考えはありませんか。
一方、国は返還予定地の泡瀬ゴルフ場の代替ゴルフ場を嘉手納基地内で建設のために出てくる土の処分地として、同仮設港の埋め立てを宜野湾市に働きかけております。外資による特定免税売店を含む大型ショッピングセンターの誘致とセットされていると言われておりますが、基地内の開発といえども埋め立てによる土地処分を前提にしたゴルフ場建設は認めてはならないはずであります。造成地内で土は処理すべきであります。
県環境条例及び県の開発基準などに即して対応するべきと思いますが、泡瀬ゴルフ場の移転計画はどうなっておりますか。
また、海への土砂処分を前提とした開発は許されるのでしょうか。
特定免税売店の市中への展開は、来年の沖振法の改正では見送られました。外資の特定免税売店の市中展開の可能性はあるのですか。問題になっている特定免税売店の不振の状況の理由は何ですか。今回の制度拡充で挽回できるのですか。
この大型ショッピングセンターは21世紀プランの国際ショッピングモールなのでしょうか。また採算性はあるのでしょうか。
県は、外資の大型ショッピングセンターの沖縄進出について仮設港の埋め立て以外の選択肢を指導すべきではありませんか。
学校教育について伺います。
学校での体罰問題について伺います。
竹富町の大原中学校で校長先生が先月末に亡くなられました。心から御冥福をお祈りするものであります。生徒の非行と生徒指導のあつれきの中で亡くなられた校長先生の思いを強く受けとめていくことが沖縄県の教育界に強く求められていると思います。
ことしは、沖縄県の教育現場で体罰の問題が繰り返し繰り返し起こり続けました。今後もしばらくは起こり続けるだろうと思っております。
なぜかというと、沖縄県の教育現場では教師による体罰が肯定され続けてきたからであります。学校現場にいる教師に聞いてみればわかります。教師は体罰が禁止されていることは知っています。しかし子供たちを正すためには、時には体罰をすることがこれまで経験的に教育的だとされてきたわけであります。
県教育庁は、教育現場の体罰問題を教師の処分基準という教師への極めて重い体罰で解決しようとしていますが、私は間違っていると思います。体罰問題は県教育庁を含めて沖縄県教育全体で解決すべきであって、現場教師を処分するだけでは解決はできないわけであります。現在、学校現場では、体罰を用いてきた教師だけでなく、体罰によらず生徒指導をしてきた教師まで無力感に打ちひしがれていると言われております。もちろん私は、体罰を禁ずるべきだと考えております。
12月5日の新聞のカウンセリング欄の専門の琉大の新里教授が、県教育委員会の「人権ハンドブック」にも具体的な方法は書いてないと指摘し、もっと具体的な体罰にかわる指導法を説明しております。
教育庁は、教育現場に対してこれまでも行われてきた体罰による生徒指導のかわりの生徒指導法をカウンセリング専門家の助言も受けて教師と一緒になって考え、確立すべきではありませんか。
また、教師の指導方法の確立とは別に、生徒の暴力も教師の暴力も認めない人権教育を小学校からしっかりやっていく必要があると考えますが、教育長の考えを伺いたいと思います。
教育学者の砂川朝信教育委員長、医師の高江洲義英委員長代理が今月で任期を終わり、新たに教育庁OBのお二人が新委員として提案されております。学校評議員制度の導入など県教育界の外から新風を吹き込もうとするときに、教育委員の選任で教育庁外の二人の委員のかわりに二人とも教育庁OBを提案するというのは偏っていると思いますけれども、教育庁外からの選任は考えなかったのでしょうか、選任の理由を伺いたいと思います。
次に、砂川朝信教育委員長に伺いたいと思います。
県議会の前になると何らかの事件が起こるのは社会の問題でもあるわけでありますけれども、教育現場だけに責任が負わされる。沖縄県教育の進むべき方向について、現場で悩んでいる教師に対して所見を示していただきたいと思います。
代表質問に関連して質問をいたします。
ジュゴンが我が国の文化財保護法で、保存に影響を及ぼす行為が禁止されている天然記念物であることが明確になりました。ジュゴンの天然記念物の指定は、一つ一つのジュゴンの保存を求めることであるわけであります。調査によって辺野古海域の藻場がジュゴンの生息に必要なことが明らかになり、辺野古周辺海域にジュゴンが生息することが確認されれば、ジュゴンは沖縄にとっても大切な財産でありますから、知事も辺野古海域への軍民共用空港の建設を断念する決意はあるでしょうか、明確にお答えください。
○知事(稲嶺惠一) 伊波洋一議員の御質問にお答えをいたします。
最初は、知事の政治姿勢についてのうち、朝鮮半島の緊張緩和の進展を理由として、これまで過重な負担を背負わされてきた沖縄の米軍基地の縮小と米軍部隊の削減がなされるべきだと考えるが、知事の見解を聞きたいとの御質問にお答えいたします。
朝鮮半島情勢については、南北間の対話が一歩踏み出したばかりでありますので、県としてはこれからの朝鮮半島情勢の推移を注意深く見守っていきたいと考えており、広くアジア・太平洋地域の不安定要因がなくなり、米軍基地の整理縮小につながるような状況になることを期待するものであります。
次に、政治姿勢の中のうち、沖縄の米軍基地を他の地域に分散して県民の過重な負担を軽減しようとする米国防総省前高官らの提案をどう評価しているかという御質問と、アメリカの大統領選挙後の米国側の情勢変化に柔軟に対応して、沖縄県民の過重な負担の軽減のために新政権に対して他地域への分散を求める考えはないかという2つの御質問に一括してお答えをいたします。
最近のジョーンズ米海兵隊総司令官の発言や超党派の国防専門家グループのレポートで、沖縄県民の負担の軽減を図る立場から海兵隊の訓練の移転や兵力の削減について提言が行われるなど、在沖米軍基地について米本国内にも新しい動きが出ていることに県は注目しているところであります。
これらの提言は、国防専門家としての立場から行われたものでありますので、県としてはアメリカの新政権の中でこれらの提言がどのような形で政策に反映されていくのか、今後の動向を注意深く見守りながら、県民の基地負担の軽減を図る観点から適切に対応していきたいと考えております。いずれにしましても、県としては県民の願いである基地の整理縮小が一歩一歩着実に推進できるよう取り組んでいきたいと考えております。
次に、政治姿勢の中から、衆議院の安全保障委員会で下地議員が15年問題は30年問題であるという議論がなされたと、この問題についてどのように考えているかという御質問にお答えしたいと思います。
衆議院安全保障委員会において下地衆議院議員がどのような観点から発言されたのか、詳しくは承知しておりません。
県は、代替施設の15年の使用期限については、沖縄が55年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から、移設に当たって整備すべき条件として国に強く求めているものであります。代替施設の15年の使用期限については、これまであらゆる機会に要請してきたところであり、この問題が何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えております。
次に、第三セクターの問題についてのうち、今後事業活動が主の第三セクターへの県からの役員派遣、特に代表権を付与しての派遣を見直すべきだと考えるが、その見解を聞きたいという御質問のお答えでございます。
県から第三セクターへの職員の派遣については、現在、分限による休職・出向によって行っておりますが、公益法人等への職員派遣の適正化、派遣職員の身分取り扱いの明確化等を目的とした公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律が平成14年4月1日から施行されることになっております。
同派遣法においては、第三セクターへ職員を派遣する場合は、一たん県を退職した上で第三セクターの業務に従事し、当該業務従事期間が終了した後に再び県職員として採用する退職派遣の形態をとることとなっております。同派遣法の施行に向け、今後の第三セクターへの職員派遣については、代表権の付与も含めて当該団体の公益性、派遣目的、事業内容、派遣職員の職務内容等派遣のあり方について総合的に検討していきたいと考えております。
同じく第三セクターの問題について、今回の事態を踏まえ県としては第三セクターについての指針を明確にすべきだと考えるが、その見解を聞きたいとの御質問に対してのお答えでございます。
第三セクターは、県や市町村と民間企業が共同で出資し収益事業と公益事業を行うことを目的に設立されたものであります。その運営に当たっては、1、市町村や民間事業者との役割分担、2、適正な事業計画と採算性の確保、3、独立した事業主体としての自己決定・自己責任の徹底などの観点から十分な検討を行い対応することが重要であると考えております。現在、沖縄県行政システム改革大綱に基づき公社等外郭団体に対する財政支援や人的支援のあり方、情報開示の促進について検討を進めております。
次に、経済振興について、ベンチャー企業がアジア各地に進出していく中で、制度を整備しても沖縄で自由貿易地域を運営するのは無理ではないか、そのために注ぎ込んでいる人材や予算を別に投入すべきではないかとの御質問にお答えをいたします。
特別自由貿易地域は、本県における貿易の振興と企業の立地促進を目的に設置されたもので、同地域に立地した企業に対して法人税に係る35%の所得控除などが我が国で最も手厚い税制等の優遇措置が講じられております。県では、これらの優遇措置を活用した計画的かつ効果的な企業誘致活動を行うため、企業誘致基本方針等に基づき企業誘致説明会や企業訪問等に取り組んでおります。その結果、同地域には医療機器用半導体基板製造の先端技術型企業が1社立地したほか、賃貸工場に2社が入居し既に操業を開始しております。
県としましては、特別自由貿易地域は沖縄における企業立地の促進と新たな雇用の創出に有効な制度であると認識しており、今後とも制度のさらなる拡充・強化に取り組み、より充実した投資環境を整備して国内外からの企業立地の促進に努めてまいります。
次に、学校教育について、学校評議員制度の導入など県教育界の外から新風を吹き込もうとするときに、教育委員の選任で教育庁OBを提案しているが、教育庁外からの選任は考えなかったのか、選任の理由を聞きたいとの御質問にお答えをいたします。
教育委員については、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第4条の規定により、「当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。」こととなっております。
今回の委員の選任に当たっては、最近の学校現場におけるいじめ、不登校、学級崩壊等の極めて厳しい状況及び学校評議員制度の導入等学校現場改革の方向性を踏まえて教育委員会に現場の声を反映させる必要があるとの認識から、「沖縄県教育委員会委員の推薦要綱」に基づき関係10団体の推薦を受けた者のうちから、直接教育現場で教鞭をとり、学校運営を経験し、さらに教育行政の経験をも有している者を選任することとし、提案しているところであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 第三セクターの問題について、県から出向役員の連帯債務を県が肩がわりすることについてお答えいたします。
株式会社アクアパークにおいては、旧アクアポリス株式会社を吸収合併し、その負債を引き継いだ厳しいスタートとなり、その負債の中の金融機関からの借入金について県出向の役員が連帯保証を行い、役員の交代の都度引き継いできたものであります。
県では、新たな観光拠点づくりという県の施策の実現のため代表取締役に県職員を出向させ同社の経営に主体的に関与してきたところであり、県職員の債務保証はアクアポリス再生事業の遂行に伴うものであり、これを県が負担することはやむを得ないものと考えております。
また、沖縄マリンジェット観光株式会社に関する債権放棄については、同社が船舶マーリンを購入する際の県からの地域総合整備資金の借り入れに対する銀行の債務保証に係る連帯保証債務でございます。
県といたしましては、沖縄マリンジェット観光株式会社の設立から運営にわたり深く関与したことから、一般債権者への弁済原資をできるだけ確保し特別清算事務を円滑に進める必要があり、また当該前代表取締役社長が県の行政目的を果たすために就任したことから、地域総合整備資金貸付金の保証銀行に対する保証債権を放棄するものでございます。
両株式会社については、その設立において県が主導的にかかわり、またその経営においても財政的、人的支援を行うなど深くかかわってきたことなどを勘案し、両社の清算に当たって債務の負担及び債権の放棄を行うものでございます。
次に、同じく第三セクターの問題についての、県職員を代表権を付与して出向させている第三セクターはどこか、さらに県職員で出向先で個人保証の連帯保証をしているケースについてお答えいたします。
職員を公社等の外郭団体及び第三セクターへ派遣する場合は、「沖縄県職員の分限に関する条例」に基づき県を休職させ、団体の業務に従事することを命ずる休職処分により出向させているところでございます。現在、県が設立に深く関与した株式会社9社のうち、職員が休職・出向し代表権を有する役員として就任している団体は、株式会社沖縄県物産公社、株式会社沖縄産業振興センター、沖縄都市モノレール株式会社の3社となっております。その3社については県職員が連帯保証をしております。
それから次に、同じく第三セクターの破綻についてお答えいたします。
第三セクターの破綻や経営悪化の原因としては、1点目に、バブル経済の崩壊による経営不振、2点目に、設立時の事業計画と経営収支に乖離が生じていること、3点目に、経営悪化に機敏に対応した対策がとられてないこと、4点目に、経営状況に関する情報の開示が十分でないことなどがあると考えております。
今回、沖縄マリンジェット観光株式会社が清算に至った理由は、当初の需要予測に甘さがあったことによるもので、事業をこれ以上継続すると累積欠損額がふえる一方であり、債権者や県民の損失を最小限に食いとめるため早期の事業撤退を決定したところであります。
また、株式会社アクアパークにつきましては、投資額の膨大さと事業計画の甘さなどを理由に金融機関からの資金確保ができず、また台湾投資グループとの投資交渉も成立せず事業の断念に至ったものでございます。
今後の第三セクターの設立に当たっては、行政施策との関連の明確化、市町村や民間事業との役割分担、採算性の確保、県の財政支援のあり方、県の責任の範囲等について事前に十分な検討を行う必要があると考えております。
また、第三セクターの運営については、事業及び経営の点検、評価を行うなど健全な事業運営に努め、経営悪化時においては、経営改善計画の策定により抜本的な経営の改善に取り組むなど速やかに対応する必要があると考えております。
以上でございます。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 第三セクターの問題についての中の、アクアポリスの処分と渡海橋の撤去は一体的に行うべきだが、どうしてアクアポリスをわずか1400万円で米国企業に払い下げ、2億円近い渡海橋の撤去費用を県が行わなければならないのかという趣旨の御質問にお答えします。
昨年12月に破産した株式会社アクアパークの破産管財人から、アクアポリス及び渡海橋の無償譲渡を受けていただきたい旨の上申書を受け、県は庁内関係部局で慎重に検討した結果、海洋博終了以来県がアクアポリスに深く関与してきた経緯から、アクアポリス及び渡海橋を引き受けざるを得ないとの結論に達し、アクアポリス及び渡海橋を引き取りました。
アクアポリス本体につきましては、国内外から有償、無償での譲り受けの申し入れが11件ありましたので、この中から確実性や安全性、迅速性等を考慮して米国企業に1400万円で売却いたしました。
渡海橋については、アクアポリス曳航後は連絡橋としての役割を失い、しかも耐用年数20年で設計されているにもかかわらず既に25年が過ぎ、極めて危険な状態にあります。したがいまして渡海橋を所有している県としましては、その管理責任がありますことから早急に撤去する必要があると考えております。
次に、宜野湾市の西海岸開発の仮設港の活用についての中の、県として観光産業の振興のために取り組む考えはないかという趣旨の御質問にお答えします。
宜野湾西海岸地域は、県が策定した観光振興基本計画においてメーンコアとして位置づけられるとともに、ことし8月には沖縄振興開発特別措置法に基づき観光振興地域として指定を受けた場所であります。地域内には既に沖縄コンベンションセンターを初めマリーナ、人工ビーチなどが立地し今後も商業施設等が計画されるなど多種多様な施設の集積が見込まれており、本県を代表する観光・リゾート拠点としての発展が期待されております。
御指摘の仮設港地域の利活用につきましては、現在、宜野湾市の方で国際ショッピングモールの誘致が検討されていると承知しております。
仮設港地域の観光振興につきましては、観光振興地域指定に基づく連絡協議会の早期設立を図り、地元の意向を踏まえ関係機関に働きかけてまいりたいと考えております。
同じく宜野湾市の西海岸開発の仮設港の活用についての中の、特定免税売店の市中への展開は来年の沖振法の改正では見送られたが、外資の特定免税売店の市中展開の可能性があるのかとの趣旨の御質問にお答えします。
沖縄特定免税店におきましては、昨年の営業開始以来厳しい経営状況となっており、その原因として幾つかの制度上の問題点や営業上のノウハウの不足があると考えております。県では、同問題の解決について関係省庁と制度改正に向けた調整協議を行っているところであります。
県としましては、観光振興に寄与するという本制度の趣旨を最大限に生かすため、現在検討作業が進められている免税方式への変更や対象品目の追加以外の空港外への展開といったその他の問題点についても見直しを進め国へ要望していく考えであります。
同じく宜野湾市の西海岸開発の仮設港の活用についての中の、問題になっている特定免税売店の不振の状況と理由は何か、今回の制度拡充で挽回できるのかとの趣旨の御質問にお答えします。
沖縄特定免税店の経営の厳しさの原因については、1点目に、本制度が戻し税方式のため商慣習の問題で海外メーカーから直接仕入れが難しく仕入れコストが高くなってしまうこと、2点目に、観光戻し税制度の取扱品目が対象から除外され輸入品全般が取り扱えないため商品の品ぞろえが不十分となっていること、3点目に、営業開始からまだ1年とたたず商品の仕入れ等営業のノウハウが十分蓄積されてないこと等が主なものだと考えております。
したがいまして、今回、自由民主党税制調査会において検討作業が進められております免税方式への変更や取扱品目の追加については、沖縄特定免税店の不振の改善につながるものと考えております。県としましては、観光振興に寄与するという本制度の趣旨から、これら以外の問題点についても見直しを進め国へ要望していく考えであります。
以上でございます。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 第三セクターの問題について、マーリンを観光商品として利用してもらうために特別な割引率などどのように取り組んできたのか、また観光商品としてどの程度の搭乗率だったのかについての御質問にお答えをいたします。
沖縄マリンジェット観光においては、観光客の増加を図るため全国的な広報活動を展開し、観光キャラバン隊に参加しての営業活動や旅行エージェントとの連携を積極的に行うとともに、航空機内でのコマーシャルビデオの放映や観光情報誌等への広告のほか、観光客向けの割引として各種イベント割引や特典割引クーポンの発行を行うなど利用促進を図っておりました。
また、県内観光客を対象にゴルフツアーや「伊江島やんばるプラン」等自社旅行商品を販売するなど魅力ある観光商品づくりに積極的に取り組むとともに、身体障害者割引、学生割引などを行い利用者の増加に努めておりました。
このような経営努力にもかかわらず、観光客の利用者数は当初計画した全利用者の約60%に及ばない約20%の実績となっており、計画と大きな開きがありました。結果として清算という事態になったわけでございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 沖縄経済振興策について、開発構想や箱物建設は第三セクター問題のようになる可能性はないか、県としてはどのようにチェックしているかについてお答えいたします。
沖縄経済振興21世紀プランの具体的な展開については、これまで航空運賃や沖縄自動車道の料金の値下げ、人材の育成、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界遺産への登録等ソフト面の施策を中心に進めているところであります。
また、離島港湾における旅客施設や産業振興・創業支援センターなどの施設整備に当たっても、事業の緊急性やその効果はもとより、特に建設後の維持管理費等を十分検討した上で進めているところであります。
いわゆる島田懇談会事業については、それぞれの市町村が地域の事情や特性を考慮し主体的に決定し実施するものでありますが、事業の決定に当たっては事業効果や維持管理費等についても十分検討がなされているものと認識しております。
○商工労働部長(當銘直通) 沖縄経済振興策についてのうち、特別自貿地域について当初想定した進出企業数は何社で、新たに進出が確定した企業数は何社か、このような状況が続くと特別自貿地域に係る県の負担は莫大なものになるのではないか、今後5年の収支はどうなるかについてお答えいたします。
特別自由貿易地域への進出企業数につきましては、平成11年3月に策定した「特別自由貿易地域中城湾港新港地区基本計画」において、全国的な統計指標の一定条件を前提に食料品、衣服・その他繊維、電気機械器具、一般機械器具、精密機械器具等の製造業がそれぞれ相当数立地したものと想定して事業所数91社と推計しています。
同地域につきましては、平成11年3月に地域指定を受け、同年から企業誘致活動を展開したところ、現在、医療用半導体の製造企業が1社進出したほか、同地域内に整備した賃貸工場にも2社が入居し既に操業しております。またその後も本地域への企業誘致活動を積極的に推進してきたところ、立地に関心を示している企業が数社あり、事業計画等について調整を進めているところです。
中城湾港(新港地区)臨海部土地造成事業については、特別自由貿易地域も含む特別会計予算で管理しており、一般工業用地につきましては79社に分譲済みで、分譲率は約86%となっておりおおむね順調に進んでおります。
なお、当該事業の会計終了目安は平成21年度を目途としており、今後関係機関との連携を図りながら国内外の企業に対する積極的な企業誘致活動を展開していきたいと考えております。
次に、宜野湾市の西海岸開発の仮設港の活用についての質問のうち、この大型ショッピングセンターは21世紀プランの国際ショッピングモールなのか、また採算性はあるのか、県は、外資の大型ショッピングセンターの沖縄進出について仮設港の埋め立て以外の選択肢を指導するべきではないか、関連しますので一括してお答えいたします。
国際ショッピングモール構想は、沖縄経済振興21世紀プランの中で、観光・リゾート地としての沖縄の新しい魅力を創出するため同構想の推進を図ることが位置づけられております。
国においては、国内外からの観光客の増加と県産業の振興に寄与することを目的として、平成9年度から11年度にかけて魅力ある国際ショッピングモール構想の実現に向けた調査を実施してきたところであります。県としましても、産業振興の立場から新たな免税店を核とした国際ショッピングモール構想の推進について国等の関係機関と連携を図りながら、その実現に向けての具体的な対応策について検討しているところであります。
議員御指摘の大型ショッピングセンターにつきましては、宜野湾市長から県に対し、宜野湾市の西海岸地区への国際ショッピングモールの立地促進及び同モールへの新たな免税店制度の適用の要請があり、同様の意見書が宜野湾市議会から国及び県に対し提出されております。
なお、国際ショッピングモール構想は、基本的には民間活力の導入による事業展開を考えており、採算性の問題につきましては事業に参入する企業が策定する具体的な事業計画の中で検討されていくものと理解しております。
また、立地場所につきましては観光振興に資する地域、市町村の意向等を総合的に勘案しながら適地を検討していきたいと考えております。
以上でございます。
○知事公室長(親川盛一) 伊波洋一議員の泡瀬ゴルフ場移転計画の進捗状況についての御質問にお答えをいたします。
泡瀬ゴルフ場の移設は、いわゆる23事案の一つで、北中城村のキャンプ瑞慶覧内にある施設を嘉手納弾薬庫地区内へ移設することを条件に返還が合意された事案であります。
泡瀬ゴルフ場の移設について、国は現在、嘉手納弾薬庫地区内に新たにつくられるゴルフ場のレイアウトについて米側と調整を行っているところであり、調整がつき次第、基本設計及び実施設計が行われる予定であると承知しております。
次に、我が会派の代表質問との関連についての中の、普天間基地移設予定地がジュゴンの重要な生息地として確認された場合、移設計画を断念する考えはあるかとの趣旨の御質問にお答えをいたします。
県は、普天間飛行場代替施設の移設候補地を選定した際、代替施設の建設については必要な調査を行い、地域住民の生活と自然環境への配慮を国に強く申し入れております。これを受け、国においては昨年末の閣議決定において「地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う」との安全・環境対策の方針を示し、「環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。」としております。
第2回代替施設協議会において、環境影響評価とは別に、防衛庁が環境庁の技術的な助言を得てジュゴンの生息状況の予備的調査を実施することになり、去る10月末から調査が開始されております。
また、第3回代替施設協議会において県は、住民生活への配慮や自然環境への影響を検討する必要があることなどから、サンゴと藻場について補足調査を要望し実施されることになりました。
県としては、代替施設の建設に当たって、この方針に基づき政府において適切な措置がなされるものと考えておりますが、引き続き自然環境への影響を極力少なくするよう要望していきたいと考えております。
以上でございます。
○教育委員会委員長(砂川朝信) 伊波洋一議員から砂川委員長に伺いたいというものがありまして、県議会の前になると何らかの事件が起こるのは社会の問題でもあるが、教育現場にだけ責任が負わされる、沖縄県教育の進むべき方向について、現場教師に対して所見を示してもらいたいということの質問がございました。お答えいたしたいと思います。
今日、子供たちを取り巻く状況は著しく変容しております。学校現場においては、その指導に当たっている教職員の苦労は並大抵のものではないと認識しております。
多くの子供たちの中には教師や保護者、地域の協力により学習活動を初め文化活動、スポーツ活動など目覚ましい成果を上げているものであります。これもまた事実であります。
学校は人間陶冶の場であり、教師の高い識見と使命感が重要であることは申すまでもありません。
教育は、ひとり学校だけでは十分に遂行できません。教育をよくするためには家庭、学校、地域が手を携えてそれぞれの分野で役割を果たしていくことが重要であります。そのため開かれた学校づくりや家庭教育支援会議の設置など積極的に推進し、地域ぐるみで学校づくりに努めていきたいと考えております。特に学校現場にだけその責任を負わすのでなく、行政、関係機関で働く者すべてが連帯したいと思っております。
21世紀を目前に控えた今日、本県におきましては新しい時代に向けた教育の創造と人材育成を図るため、「21世紀を展望した沖縄県教育長期計画」及び「県立学校編成整備計画」の取り組みを始めているところであります。このことは学校、家庭、地域社会、関係機関等の協力のもとで成就するものであると考えております。今後とも21世紀へ向けた子供たちの夢と希望をかなえるため、学校を初め県民の一層の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。
最後になりますが、私は平成9年1月から今日まで4年間、教育委員として務めさせていただきました。そしてその中でも委員長という重責を与えていただきました。このことに対して心から感謝を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
○教育長(翁長良盛) 伊波議員の御質問にお答えいたします。
体罰防止のため、カウンセリングの専門家と教師が一体となった生徒指導法の確立をすべきではないか、また暴力を認めない人権教育を小学校から行う必要がないかという御質問にお答えいたします。
県教育委員会は、現在、カウンセリングの専門家やPTA代表者等で構成している「生徒指導の指針改訂検討委員会」において児童生徒の人権の尊重、体罰によらない生徒指導のあり方等について指針の作成をしているところであります。また学校現場の教諭で組織する生徒指導研究会と連携し、現場の実践的な取り組みを生かした体罰によらない生徒指導に関するリーフレットの作成を行っているところであります。
次に、学校教育における人権教育は、小学校から児童生徒の発達段階を踏まえ、学校の教育活動全体を通じて豊かな人間性を育成することが肝要であり、そのためボランティア活動、高齢者や障害者等との交流など多様な体験活動を推進しているところであります。
特に県教育委員会としましては、「児童の権利条約」の学習用パンフレットの活用を図るとともに、学校における月1回の「人権を考える日」を設定するなど人権意識の高揚及びその啓発に努めているところでございます。
○伊波 洋一 答弁漏れがあります。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後5時57分休憩
午後5時58分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 伊波洋一議員の御質問にお答えいたします。
1つは、下地議員がこういう議論をなされたということは承知しております。
それからもう一つの、次に30年問題は15年問題だと考えているのかということでございますが、先ほど御答弁で申し上げましたとおり、私は従来と同じ15年問題として考えております。
○伊波 洋一 下地議員は、11月7日の安全保障委員会でも同じく質問しております。それに対して大森敬治防衛施設庁長官も、私どももそのように考えていると言っています。国もそう言っています。
知事は、このことを大変重要に考えていかなきゃいけないと思うんですね。ですから、これは引き続きますけれども、この30年問題だという認識を国会で議論されているということの重要性を理解をしていただきたいと思います。
○宮里 政秋 質問に入る前に稲嶺知事に要望しておきたいと思います。
昨日、前島議員が留学内定取り消しの問題を取り上げました。私も全く同感であります。
不登校を克服して学業に専念し上位の成績をおさめ、英語検定準2級の資格を取得した女子生徒であります。過去の不登校を理由に合格内定を取り消すことは、全く教育的配慮に欠けるものと言わなければなりません。
「女生徒の母親は「内定通知を受けた時、娘はこれまで育ててきた中で一番の喜びの表情をしていた。一方的な内定取り消しの通知を見て、私も夫も娘と一緒に泣いた。今すぐに内定取り消しを撤回してほしい」と涙ながらに訴えていた。」、このように報道されています。この女子生徒の希望がかなえられるよう、稲嶺知事の教育的配慮を強く求めるものであります。
通告に基づいて質問をいたします。
まず最初に、花卉栽培農家支援についてであります。
我が党県議団は、北部のラン栽培の生産農家の皆さんと懇談し現地調査を行いました。
そこで、次のような訴えがありました。
ランの年間の生産量は沖縄が145万4000本に対し、タイは1527万7000本、沖縄のランの単価が125円に対し、タイの単価は48円で安く、とても太刀打ちできません。借金は平均して5000万円で、中には1億円の借金でついに自殺者も出ました。農協の取り立てに追われ仕事が手につかない。農協は延滞利息と遅延損害金を元本に充当するため、借金は雪だるま式にふえていきます。経営の見通しが立つまで農協の債務取り立ては猶予してほしい。その間は延滞利息と遅延損害金を元本に充当することは中止してもらいたい。私たちのこの苦境を市や県は知ってほしい。北部振興策で園芸農家を救ってほしいと深刻な訴えがなされました。
沖縄の花卉産業は、本土市場においても高く評価され、1998年度は160億円の売り上げとなり、さとうきびに次ぐ農作物として将来が期待されていたのであります。ところがタイから安い切り花が大量に輸入されるため、沖縄の生産農家は苦境に立たされています。
専門家は、ランについても競争相手は東南アジアで、労務費の安い東南アジアや中国で技術革新が進めば、今後より一層輸入作物が押し寄せてくることが予想され、したがって沖縄農業は視野を広げてアジアや世界に向けた販売システムを構築しながら、その上で技術革新を図り品質と価格の面で勝ち抜ける体質をつくる必要があると指摘しています。
そこで質問いたします。
1点目、野菜は価格安定対策がとられています。ラン栽培の農家にも価格安定対策がとられるべきだと思うがどうか。
2点目に、営農資金の活用で生産農家の保護を図ってもらいたい。
3点目に、農業経営が軌道に乗るまで農協の債権取り立ての中止と延滞利息及び遅延損害金の元本への充当を中止できないか、農協に対する県の指導を求めるものであります。
亜熱帯総合研究所の大城喜信氏は、昨今の沖縄農業は高齢化や後継者不足、さとうきびの収穫放棄等の内的問題のほか、国内における産地間競争や海外からの安い農産物輸入攻撃などの外的問題を抱え生産は低迷し、前途に明るい展望が見えなくなっていると指摘しています。
生産コストが安い海外からの輸入の急増は、国内農産物の価格の暴落の大きな原因の一つとなっています。自由化は県内産の価格暴落を招き、産地においては産地廃業を余儀なくされています。このまま輸入農産物の増加が続けば国内・県内農業は衰退どころか壊滅せざるを得ない危機的な状況に瀕しています。
そこで4点目に質問いたします。農産物の輸入制限を政府に求めるべきだと思うがどうか。
知事にも御質問いたします。
花卉栽培農家との懇談で、北部振興策で園芸農家を救ってほしいと切実な訴えがなされました。沖縄振興策と基地をリンクさせ、県外からの企業誘致を主張されておりますが、地元の産業経済への支援こそ最善の振興策だと考えますが、知事、いかがでしょう。
次に、赤土防止対策について伺います。
近年、諸開発に伴う赤土等の流出はサンゴ礁の美しい海や河川を汚染し、そこに生息する生き物たちの営みに深刻な影響を与え、また自然と私たちとのかけがえのない交流の場を損ないつつあります。
世界遺産委員会は30日、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産に登録されました。東アジアや東南アジアと交易し独自の文化を築いた先人たちの足跡が世界共通の後世に残すべき宝として認められたことは、沖縄の宝が世界の宝として認められたことであり喜びにたえません。先人たちが残した遺業に学んで、我が県の恵まれた美しいサンゴの海も人類共通の遺産として子孫に引き継がなければなりません。
11月15日の地元新聞は、「赤土汚染 石垣全域に広がる」と深刻な事態を報道しました。石垣島の周りはどこも赤土だらけ、これは石垣市の市民グループが9月下旬から10月末までに実施した赤土汚染調査で、石垣全域の沿岸部に赤土が堆積している実態が判明したものであります。民間によるこのような大規模な調査は初めてと言われています。
汚染の状況は、県衛生環境研究所がこれまで調査した結果と一致したと報じられています。比較的きれいなところでもかきまぜると汚れがわかるランク3で、河口域を中心に一見して汚れがわかるランク6、さらにひどいランク7が広がっている。牧場しかない北部の平久保半島東海岸や観光名所として有名な川平湾内もランク5で、観光にも影響を与えかねないと警告を発しています。
農地約2000平方メートルの工事中に136ミリの大雨が降り、大量の赤土が川平湾に流れ出したものでした。工事に伴って沢が一部せきとめられたような状態になったところに大雨が降り、あふれた水が畑や道路の土を押し流したと言われています。
我が党は、赤土防止対策の実態調査のため北部の名護市の農地改良地を組合長の案内で調査いたしました。砂防ダムや沈砂池などがつくられ、赤土流出防止に役立っているとの説明を受けました。組合長の説明では、土地改良事業として実施しているところは県の指導のもとに砂防ダムや沈砂池等が敷設されて赤土流出を防止することができている。ところが、平成5年以前に実施された農地改良は勾配が高く沈砂池もつくられているが、赤土流出防止対策としては十分な効果を上げていないとのことでした。
赤土流出防止で一番問題なのは、農地改良のされていない一般の農耕地からの赤土流出が問題だという指摘を受けました。県の調査でも同様なことが指摘されています。
これによると、農地からの赤土流出量の割合は66.4%と最も高くなっています。これは収穫時に農耕地は裸地状態となり、そこに大雨が降ると赤土が流出してしまうということでした。
そこで質問いたします。
第1点目は、全国一律の流出抑制対策では効果が十分でないことが明らかとなっています。よって、平成5年以前に実施した農地改良は勾配や沈砂池の改善が必要であります。どのように対処されるのか。
2点目に、一般の農耕地からの赤土流出を防止するために沈砂池や砂防ダムを設置すべきだと思うがどうか。その際、用地取得は県が買収すべきだと思うがどうでしょうか。
第3点目に、赤土流出の人為的要因として農地、開発事業、米軍基地、これからの流出量が圧倒的に多く、俗に「三大流出源」と呼ばれています。県が出した赤土等年間流出量によると、開発事業による赤土流出量は19.8%、農地は66.4%、米軍基地は11%となっています。特に米軍基地からの赤土流出は、実弾演習が廃止されたとしても演習によってはげ山にされ赤土がむき出しの状態で放置されています。
防衛施設局に対してどのような対策をとらせているのか、お伺いいたします。
次に、電波障害について。
小禄の具志に設置されている運輸省の監視レーダーから怪音が発信され、付近住民の安眠を妨害しており、怪音の即時中止をしてほしいとの要望が出されました。実態調査して緊急にしかるべき措置をとるよう要請しておきましたが、どのように対処されましたか、お伺いいたします。
松くい虫の被害をどう防ぐかについて質問いたします。
松は、林業的に重要であるばかりでなく、農地や住宅を台風や潮害から保護し、盆栽として古来より日本国民に最も親しまれてきた樹木であります。名勝地の松などは何とか保存して子孫に伝えたい、みんなの願いではないでしょうか。
ヤンバルに調査に行く途中、松くい虫で枯れた松が至るところで見られ、その被害状況はまさに蔓延の状況で心が痛む思いでした。県は毎年防除対策として予算化して取り組んでおられますが、効果が余り見られません。
そこで、次のことについて伺います。
防除区域を設定しているのか、予防対策はどうか、駆除対策はどうか。
特に銘木と言われる久米島の五枝の松、伊平屋の念頭平松、今帰仁の琉球松の並木道等は特別の防除対策がとられているようだが、対策は万全か。松くい虫の生態系に合った抜本的な対策はあるのか、伺いたい。
最後に、我が党の代表質問に関連してお伺いいたします。
我が党の新垣米子議員の代表質問で基地問題を取り上げました。私は関連して15年問題と地位協定の見直しについて伺います。
まず、地位協定の見直しですが、さきに稲嶺知事が先頭になって政府各省庁に地位協定の見直しを要請されました。知事の御努力を評価したいと思います。
ところで、県内53市町村議会で地位協定の見直しに関する意見書の採択をしたのは那覇市、石川市、具志川市、宜野湾市、平良市、浦添市、名護市、糸満市、沖縄市、北中城村、嘉手納町、北谷町、読谷村の13市町村にとどまっています。すべての市町村で見直しの決議をして全国の市町村及び都道府県で決議させ、世論を喚起する必要があります。
知事も御存じのように、地位協定の本質を端的に言えば我が国の主権を侵害し、国民の基本的人権の制限の上に成り立っているもので、米軍人・軍属に治外法権的特権を保障したまさに屈辱的な不平等条約であります。12月議会で全県で決議されるよう知事の特段の努力を求めるものであります。知事の御所見を伺います。
次に、15年問題について伺います。
ことし10月に発表されたアメリカ国防大学国家戦略研究所の特別報告で、民主、共和両党の外交・軍事の中枢的専門家が共同して日本に集団的自衛権を公然と採用することを要求しています。これは日本が戦争法を発動して米軍の軍事行動に参戦する場合に、日米軍事同盟を前線での戦闘行動にまで共同で行うというものであります。これは、国際紛争を解決する手段としての武力の行使は、これを永久に放棄するとうたった我が日本国憲法の精神を真っ向から踏みにじるものであります。
名護の新基地建設は、まさにガイドラインの先取りであり、前線での戦闘行動に県民を巻き込むもので事態は重大と言わなければなりません。名護への新基地建設がいかに危険なものであるかはこの報告が教えています。きっぱりと新基地建設を拒否すべきと思いますが、知事の御見解を承りたい。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの宮里政秋君の質問及び質疑に対する答弁は、時間の都合上、休憩後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後6時15分休憩
午後6時40分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
休憩前の宮里政秋君の質問及び質疑に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 宮里政秋議員の御質問にお答えいたします。
最初は、花卉栽培農家の支援について、北部振興策で園芸農家を救ってほしいと切実な訴えがなされている、地元の産業経済への支援こそ最善の振興策だと考えるがどうかとの御質問にお答えします。
北部地域の農林水産業は、地域特性を生かして多様な作目が生産され、地域経済の中で重要な役割を担っております。
北部市町村会は、北部の農林水産業を振興するため地元の農林漁業者、団体、市町村、国、県の関係者で構成する「明日を拓く北部の農林水産業を考える検討会」を平成12年2月に設置し、10月に「明日を拓く北部の農林水産業振興ビジョン」を取りまとめたところであります。県としては、同ビジョンに基づき北部の農林水産業振興に対する支援を積極的に推進していく考えであります。
次に、我が党の代表質問との関連について、地位協定の見直しについて、県内外の市町村や全国の都道府県議会で決議されるよう努力すべきであると思うがどうかという御質問のお答えでございます。
県内13市町村において、日米地位協定の見直しに関する意見書が採択されたことについては県としても歓迎すべきことであると考えております。
県としては、日米地位協定の見直しを実現するためには、今後、他の市町村や都道府県においても同様の意見書が議決され、要請活動が行われるなど日米地位協定の見直しを求める動きが全県的、全国的に広がることが大事であると考えており、今後とも広く各界各層の理解と協力を得るため全国知事会、渉外知事会、軍転協などのあらゆる機会を通して日米地位協定の見直しを実現するための県としての努力を継続して行いたいと考えております。
次に、我が党の代表質問との関連について、新基地建設はきっぱりと拒否すべきと考えるが、所見を伺いたいという御質問についてのお答えでございます。
普天間飛行場返還問題の原点は、市街地の中心部に位置し、市民生活に深刻な影響を与えている普天間飛行場を一日も早く返還させることであると認識しています。そのため県は、普天間飛行場の早期移設・返還を県政の重要課題として取り組んでまいりました。
県の移設候補地選定や名護市の受け入れ表明を受け、昨年末「普天間飛行場の移設に係る政府方針」が閣議決定されました。それを受けて代替施設協議会が設置され、基本計画策定に向けた具体的な作業が進められております。県としては、普天間飛行場の一日も早い返還に向け積極的に取り組んでいるところであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○農林水産部長(小那覇安優) 花卉栽培農家の支援についての御質問で、野菜は価格安定対策がとられているが、ラン栽培の農家にも価格安定対策がとられるべきと思うがどうかとの御質問にお答えします。
価格安定制度は、農家の再生産の確保と経営の安定を図る目的で食生活と密接に結びついている野菜の主要品目について実施しています。
洋ラン等花卉類は、消費者の嗜好性が強く、用途も多岐にわたることから、そのニーズに即した多様な種類を供給することが基本となっております。このため、国においても花卉の特定品目を対象とした価格安定対策については制度化されていない状況にあります。このようなことから、県としては他府県での取り組み状況も踏まえ、今後検討していく考えであります。
次に、営農資金の活用で生産農家の保護を図ってもらいたいとの御質問にお答えします。
農業経営を支援するための営農資金には、県が貸し付ける無利子の農業改良資金、長期低利の公庫資金、農協が貸し付ける農業近代化資金があります。
農家が新たな経営改善計画に基づき営農資金の負債整理を行う場合は、県が利子補給するなどの助成措置を行っております。県としては、農業改良普及センター等を通して農家の営農技術の指導と制度資金の有効活用による農家経営の改善に努めているところであります。
次に、農業経営が軌道に乗るまで農協の債権取り立ての中止と延滞利息及び遅延損害金の元本への充当を中止できないか、農協に対する県の指導を求めるがどうかとの御質問にお答えします。
昨今の農協経営を取り巻く環境は、農業生産の伸び悩みによる経済事業の不振や信用事業の収益性悪化に加えて、固定化債権の増加により当期損失を計上するなど極めて厳しい経営を余儀なくされております。そのため、農協においては固定化債権を回収し財務の健全化に努めているところであります。
その中で延滞利息と遅延損害金の取り扱いですが、利子の発生しない延滞利息と遅延損害金を凍結し、利子が発生する元本を優先して減らす措置をとっています。このことは、元本に係る利子の後年度負担を軽減することになり、農家の債務償還を容易にするためにとられている措置と理解しております。
今、農協は、農家組合員の信頼を確保し、安心して農家の資産運用ができるよう経営基盤の強化はもとより、思い切った経営合理化が求められています。県としても農協が農家から親しまれ、強い信頼関係のもとに地域農業振興の核としてその役割を十分発揮できるよう指導していく考えであります。
次に、農産物の輸入制限を政府に求めるべきだと思うがどうかとの御質問にお答えします。
輸入農産物の急激な増加による価格の低迷は、農家経営に大きな影響を与えることから全国的な課題となっております。
このため、県は九州地方知事会を通し輸入調整措置を講じるよう国に要請しているところであります。県としては、今後とも生産者が安心して農業生産に取り組むことができるよう適切な措置を国に求めていく考えであります。
次に、赤土防止対策についての御質問で、平成5年以前に実施した農地改良は勾配や沈砂池の改良、改善が必要であると考えるが、どのように対処するかとの御質問にお答えします。
土地改良事業の実施に伴う赤土等流出防止対策に当たっては、赤土等流出防止対策設計指針に基づき実施しているところであります。既に整備した農地で圃場勾配が大きく、沈砂池のない地区については水質保全対策事業により圃場勾配修正や沈砂池等を整備することができます。市町村等から要望があれば対処していきたいと考えております。
次に、一般の農耕地からの赤土流出を防止するために沈砂池や砂防ダムを設置すべきだと思うがどうか、その際、用地取得は県が買収すべきだと思うがどうかとの御質問にお答えします。
県においては、農地からの赤土等の流出を防止するため圃場勾配の修正、沈砂池、グリーンベルト等の施設を水質保全対策事業で整備しております。沈砂池や砂防ダム等の施設用地については、水質保全対策事業費の中で買収することができます。
次に、松くい虫の被害をどう防ぐかについての御質問で、防除区域を設定しているか、予防対策はどうか、駆除対策はどうか、特に銘木対策は万全かとの御質問は、関連しますので一括してお答えします。
松くい虫被害対策については、森林病害虫等防除法に基づいて保安林などの公益的機能の高い松林を「高度公益機能森林」、地域の重要な松林を「地区保全森林」と指定し、それ以外を「その他松林」として区域設定しています。
指定松林は、県、市町村が事業主体になって国庫補助事業により防除を実施しております。
指定松林以外の「その他松林」の対策は、地主等の自主防除が基本でありますが、平成11年度から緊急雇用対策基金を活用し防除の支援を行っているところであります。
予防措置としては、松を枯らすマツノザイセンチュウを伝播するマツノマダラカミキリが羽化し始める4月から5月にかけて薬剤の地上散布による被害防止を図っております。駆除対策としては、10月から3月にかけてカミキリの幼虫が侵入している被害木の伐倒焼却を実施しております。
また、国頭村、今帰仁村の蔡温松、久米島の五枝の松、伊平屋の念頭平松等については薬剤の樹幹注入や害虫駆除が実施され、良好な保全が図られております。
なお、今年度は特に被害が拡大していることから、防除費を12月補正に提案し万全の措置を講じていく考えであります。
次に、松くい虫の生態系に合った抜本的対策はあるかとの御質問にお答えします。
松くい虫の防除対策については、現在のところ薬剤の地上散布、樹幹注入、被害木の伐倒焼却が最も効果的な方法として実用化しています。
また、長期的な対策としては、去る11月に農業試験場と林業試験場の研究者から成る松くい虫防除ワーキングチームを設置し、松くい虫の生理・生態に関する研究、天敵微生物や誘因物質による防除技術、抵抗性松の育成など新技術開発についての検討を進めているところでございます。
以上でございます。
○知事公室長(親川盛一) 宮里政秋議員の赤土防止対策について、防衛施設局に対しどのような対策をとらせているかという御質問にお答えをいたします。
米軍基地から派生する赤土問題については、沖縄県赤土等流出防止条例の制定に伴い、平成9年3月に条例の遵守を国(那覇防衛施設局長)に要請したほか、これまで三者連絡協議会や米軍との在沖米軍基地環境保全担当者連絡会議においてその防止対策等について協議してまいりました。
国及び米軍においては赤土流出防止対策の重要性を認識し、現在、那覇防衛施設局及び米軍においてそれぞれの立場で赤土流出防止対策を実施しているところであります。
那覇防衛施設局は、防止対策として赤土流出防止のための砂防ダムを建設しており、平成11年度までに建設された砂防ダムはキャンプ・ハンセンにおいて貯留型砂防ダム11基、砂防ダム13基、キャンプ・シュワブにおいて砂防ダム9基の計33基となっております。
一方、米軍は、赤土流出防止対策として航空緑化を実施しております。これは、実弾演習の着弾地にヘリコプターで種子を散布するものであり、昨年10月からこれまでにキャンプ・ハンセン及びキャンプ・シュワブで実施された延べ面積は約5ヘクタールとなっております。
県としては、沖縄特有の自然環境と生活環境の保全に努め、県民の健康で文化的な生活を確保する観点から、今後とも引き続き日米両政府に対し赤土流出防止対策の充実・強化を求めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 電波障害について、小禄具志に設置されている運輸省の監視レーダーからの怪音について実態を調査して緊急にしかるべき措置をとるよう要請しておきましたが、どう対処されたかについての御質問にお答えをいたします。
一昨日に宮里議員からの情報提供を受けて直ちに現地に赴き、運輸省大阪航空局那覇空港事務所の職員の立ち会いのもと現状確認を行ったところであります。
当該監視レーダーは、昭和50年6月から現在地において運用を開始しており、那覇空港の航空機を安全に運航させるための航空管制上極めて重要な施設であります。
監視レーダーは、地上高23.6メートルで最上部に回転アンテナが設置されており、今回御指摘の異音については正常運用の中で発生する通常音であり、特に異常は認められていないとのことであります。私も現地に行き確認をいたしましたが、監視レーダーから最も隣接する住宅までの地上距離は約50メートルで、音量については通常の会話の妨げにならない状況でした。しかし県としては、当該監視レーダーの管理者である運輸省那覇空港事務所に対して苦情があった旨を伝えるとともに、保守管理に万全を期するよう要請したところであります。
以上でございます。
○宮里 政秋 ただいま知事から非常に前向きな答弁をいただきました。北部農林水産振興で積極的に取り上げられるということでした。
実はこの園芸農家は名護の屋部なんです。知事、本部に行かれる途中ぜひ立ち寄って激励していただきたいと思うんです。非常に深刻なんですね。自殺者の出た話もしましたけれども、いわゆる北部振興の園芸農家に対する支援については政策的な面が非常に大きいと思いますから、振興策と結びつけて知事の政治的な配慮が非常に求められるところですから、そういうことで措置していただきたいと思います。
それから価格安定について、農林水産部長から、野菜は食料品として安定対策がとられている、ところがランはそれがないということを答弁され、本土における状況を見ながら対策をとっていきたいということですから、この答弁を私は非常に重く受けとめて、積極的に対応していただきたいというふうに思います。
それで基地問題で、もう私は再質問はいたしませんが、議長、ちょっと休憩してください。(資料を提示)
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後7時休憩
午後7時再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
○宮里 政秋 今、知事と伊良皆議長に上げたのは、沖縄社会大衆党の元委員長で、元県議会議員の瑞慶覧長方さん、琉歌の専門の方で私はこの歌をいただきました。非常にすばらしい歌です。今、知事にも上げましたが、
楽ユタルガキティ 物欲サユスルナ
朝夕ウミハマティ 世果報待タナ
銭金ニ迷ティ 基地ユ認ミリバ
子孫世ニナリバ 悔ディ泣チュサ
なかなかいい歌ですね。
私は、沖縄の、琉球のこの歌というのが人にさっと説明なく訴える。今の基地問題というのは、まさに我が祖先のつくった琉歌が適切に我々に問題提起していると思います。
よろしく、ひとつそういう立場で、親ヌユシグトゥヤ肝ニ染ミリという言葉もありますから。
終わります。
○喜納 昌春 皆さん、こんばんは。
きょうのラストバッターをさわやかに終わらせます。
平成12年度の第4回沖縄県議会定例会に際しまして所見を交えながら一般質問を行います。
あと23日しますと2001年を迎え、20世紀から21世紀への新しい歴史へと入っていきます。その意義をそれぞれの任務、立場からかみしめながら、平和で希望に満ちた新世紀であれと祈らざるを得ません。
さて、きょう12月8日は、59年前の1941年に日本軍がハワイ・真珠湾の米軍基地を奇襲攻撃した日であります。
ところで、20世紀を華々しく飾るはずであったアメリカの大統領選挙は、所定の投票、開票での大統領が決まらずに共和党のブッシュ候補、民主党のゴア候補が告訴合戦に陥り、アメリカの選挙制度、民主主義の程度の意外な欠陥を露呈し、今日に至っています。
それでも、どうやら大勢は共和党のブッシュ候補が父親に次いで親子2代での大統領に就任することになりそうであります。
その父親のブッシュ大統領は、真珠湾奇襲50周年に当たる1991年の12月7日、時差の関係で7日です。その日を「アメリカ国民の真珠湾慰霊の日」と決め、パールハーバー基地の記念式典に臨んだと言われます。
そのときブッシュ大統領は、国の内外に向かって「奇襲に備えよ」と記念講演をして注目を浴びております。どうして日本は、ハワイの真珠湾を攻撃したのか、アメリカの「慰霊の日」の位置づけとは全く違った意味での教訓のために日本の私たちも改めてこの日に自問自答をすべき日ではないでしょうか。
真珠湾攻撃は「宣戦布告前の攻撃」と言われ、アメリカ国民から、だまし討ちで日本は汚いと非難され続け今日に至り、さきの「奇襲に備えよ」とさまざまな形でアメリカ国民の対日感情を形づくってきていると思われます。
山本五十六海軍長官は、アメリカへの宣戦布告は攻撃前に確実に届いているだろうなと念を押したと言われます。しかしながらその懸念は、不幸にも的中したわけです。
奇襲攻撃の30分前に手渡せた最後通牒、通告文が在ワシントン日本大使館員の怠慢によって奇襲の1時間後に手渡されたからであります。この日本側の失態をルーズベルト大統領はフルに採用したと言われます。
当時、アメリカ国内ではヨーロッパを席巻しているヒトラーのドイツと唯一戦をし苦戦をしているイギリスのチャーチル首相の、ヒトラーを倒すにはアメリカの参戦が絶対必要だとの強い要請に対しても、世論も議会も参戦反対が根強かったと言われます。
そんな状況下での日本の真珠湾への奇襲攻撃に関してルーズベルト大統領は、真珠湾はインファミーであると、いわゆるひきょうでだまし討ちであると強調し演説をしたわけです。その結果、日本との戦争と同時にドイツとの戦争突入にも国民の支持を取りつけたと言われます。チャーチルはアメリカ参戦の知らせを聞き、安堵して就寝したと言われます。
しかも日本の外務省の外交上の失敗は、その後もっと恐ろしいアメリカ国民の感情につながっていったと国際政治ジャーナリストの菊池育三氏は、ある月刊紙で書いています。氏によれば、スニーキング・アタック、いわゆる真珠湾奇襲の責任は大きい。このため4年後の原爆投下が当然の帰結と大方のアメリカ人が考えるようになったのだからと米「ニューズウィーク」誌のパウエル記者がさきのブッシュ大統領の「アメリカ国民の真珠湾慰霊の日」の演説をする年の1991年7月4日に書いたと言われます。
しかもこの大方の考えは、アメリカ国民に広く使われている辞典のアメリカーナ・ブリタニカにも記載されているというのですから、アメリカ国民の感情に大きな影響をもたらしていることは十分に想像つきます。
1941年12月8日の真珠湾攻撃によるアメリカとの戦争を考えるとき、どうして、なぜという以前に1937年7月7日、北京郊外の盧溝橋に鳴り響いた一発の銃声、いわゆる盧溝橋事件以来8年余に及ぶ日中戦争、侵略戦争の忌まわしい事実への反省と総括を国内外からずっと問い続けられて今日のアジア、東南アジアでの位相、アメリカとの従属関係、ODAや国連運営で幾ら大金を出して国際的に貢献をしてもアメリカの後塵を浴びながら、アメリカ以上には信頼されない国際外交上座り心地の悪い状況に甘んじざるを得ない現実に、あのきょうの日の日本の真珠湾攻撃を評して、日本は戦術的に成功したが、政治外交的には大失敗をしたという大方の学者の批判が当を得ており、今日もなお日本に期待されている外国からのさまざまな課題に対し縦横無尽に対応できずに、アジア外交やアメリカ外交で主体性欠如の二流さを自己暴露し続けている日本の姿を見るようで残念でなりません。
歴史を冷静に検証し、反省すべきは率直に反省し、謝罪すべきはしっかりとこうべを垂れる潔さが求められており、そこからアジアや世界から信頼される真の主権国家が確立されると、私はなぜかきょうの日に考えます。
アメリカとの関係を考えるとき、いまだ主権国家たり得ていないという外交力の非力さ、脆弱さを厳しく反省し、きょうの日にむしろアメリカに謝罪をして対等な外交関係をしっかりと求めていく強さが日本にあってよいと私は考えています。
またこの際、アメリカ国民の歴史と文化、国民性を知る努力も何を今さらと言うのではなく大切と私は考えます。
アメリカは第1次、第2次世界大戦、ベトナム戦争を引き合いに出すまでもなく、アメリカ発見に端を発しての先住民族のインディアンを駆逐する仁義なき戦い、同胞のイギリスとの独立戦争、奴隷解放をめぐっての同国民同士の殺りくとなった南北戦争と、戦争は憎むべき卑劣な政治交渉、外交手段というべきでありますが、常にそれを駆使してきたアメリカという新興の強大国の生きざまと外交のしたたかさに、常に外交の二流国と言われ続けてきた日本は学ぶべきことは山ほどもあると私は考えます。
そんな私見を述べて、日米両政府を相手に極めて高度な外交力としたたかさを発揮しないと、戦後55年たっても広大な米軍基地を沖縄県民が甘んじなければならない現実を打開することはできない。私たち沖縄県民、稲嶺知事の立場に思いをはせながら、昨日の我が社大・結連合会派の大城一馬議員の代表質問に関連いたしまして知事の答弁を受けて、以下の質問をいたします。
15年使用期限問題についてであります。
第1点目に、代替施設協議会での場所や工法などのいつになるかわからぬが決定の際は、15年問題に関して知事は条件として何度もあらゆるときにこの問題を言ってきたのだから、これに全く触れずに場所、工法の決定はあり得ないと何度も答弁をしてきました。ということは、必ず何らかの政府の考え方が当然出されると知事は認識されているわけですか。そういうことですねということです、1点目は。
第2点目には、12月5日の第2次森内閣で沖縄担当の行政改革、沖縄・北方対策大臣に橋本元総理大臣が就任したことは、15年問題に関して好条件、プラスになると考えておられますか。
第3点目に、橋本大臣に既に知事は会われたようですが、15年問題に関しても話し合い、知事の考え方を伝えたのですか、御答弁を願います。
次に、海兵隊削減・撤退に関して。
新しいアメリカの動きに対して知事も注目していることはわかりました。知事は、アメリカの新政権の具体的な対応を見守りたいと言われておりますが、もっと積極的にアメリカ国内の関係者や国内の米国関係者から情報の収集をして、米軍演習などの機能や兵力の削減を積極的に要求していくべきではないのかと考えますが、見解を賜りたい。
次に、SACO合意について。
SACOの取り組みは、地元の理解を得ることが前提で着実に進展していると認識しているとの知事の答弁でありますが、1点目には、少なくとも知事はSACOの最終報告の中で、大きなウエートを占めている土地返還の筆頭に置かれている普天間飛行場の返還に関する部分については、その執行の停止なり、海上基地そのものですから停止なり見直しを正式に文書なりで求めるべきと考えますが、御見解を求めます。
第2点目に、「地位協定の運用改善」も最後の項に入っております。地位協定の見直しを精力的にまとめ上げて正式に文書で国に求めた稲嶺県政としては、この部分に関してもSACO最終報告合意の見直し作業を求めていく必要があると考えますが、知事の御所見を賜りたい。
以下、通告に従って質問をいたします。
雇用失業問題についてであります。
今から約2年前に大田不況を誇大に宣伝し、県民の支持を得て華々しく登場した経済の稲嶺県政であります。党派を超えてすべての県民が経済振興や失業の解消、雇用の拡大を期待するのは当たり前であります。
その雇用失業問題、県政運営2年目を終え、やがて任期を半分折り返す稲嶺県政も笛吹けど踊らず、踊らし切れずの観は否めず経済の稲嶺の看板も色あせつつあるように思います。
10月期の8.8%、5万6000人余の失業者の実態を見て、県は失業問題は長期的視点で解決を図りたい趣旨の発言をされていますが、厳しい壁を前にしての弱気かとの思いさえします。
県民のためには頑張ってもらわねば困るという視点から、以下の質問をいたします。
第1点目に、本県のことし1月からの失業者の推移はどうなっていますか。
第2点目に、10月の失業率が8.8%と悪化した原因は何ですか。
第3点目に、県内の新規求人は15カ月、県外も11カ月連続で対前年比を上回っていると言われ、有効求人倍率も改善されたというのにどうして就職、雇用の好転につながらないのか、その原因は何ですか。
第4点目に、知事は12月4日の定例記者懇談会の中で、失業問題の改善策として情報関連産業でのミスマッチを解消するため若年者雇用開発助成など職業能力開発に力を入れる考えを強調したと言われますが、何がミスマッチだと言うのですか、具体的な例示と抜本的な対応策について伺います。
第5点目に、IT産業への構造移行、変化が言われる中、若年労働者など県民ニーズにこたえるためにも職業訓練学校の対応、指導者の育成・確保等も急務だと考えますが、県はどう考えておりますか。
第6点目に、小中学校の時代から労働に対する社会的意義と価値について根本から学習を高める必要があると考えますが、県はどう考えておりますか、御見解を賜りたい。
第7点目に、新規高校卒及び大学卒などの就職に関して、ア、ことしの内定状況はどうなっていますか。
イ、ここ二、三年の内定状況の推移はどうなっていますか。
ウ、悪化の原因は何ですか。
エ、就職向上のためにどう対応してきたのか。またことしの対応はどうなっていますか。
次に、国民年金事業について。
ことしの4月から国民年金事業は県から国に移管されたということで、私の通告したとおりのやりとりは、今後直接的には成立しないことになったことに驚きを禁じ得ません。国民年金事業は、決して身分移管闘争の範疇にとどまるものではなかったと今さらながらみずからの認識の甘さを厳しく反省しています。
今年4月からスタートした介護保険制度を支える一方で、事業として国民年金事業は少子・高齢化社会の危機の中で事業そのものも常に危機にさらされ、とりわけ本土からおくれること9年の国民年金事業を運営してきた本県市町村にとっては苦労も月並みのものではなかったと言えましょう。
直接的な県の事業ではなくなっても、県を飛び越えて各社会保険事務所を通して市町村には保険料の徴収や加入やさまざまな申請の業務は残っているわけで、納付や無年金者やその予備軍、未加入者対策などの任務や事業は市町村民、県民であるだけにますます重要になっていくと私は考えています。
市町村では、ほぼ従来どおりなのに、県では当面の任務、責任はないという国民年金事業のあり方になぜか私は不自然さと不安を禁じ得ません。
無年金者や予備軍が他府県よりも異常に多い本県の実態が、ただでさえ厳しいスタートを切った介護保険制度の中で多くの無年金者を派生させていくことが今から予想される本県の県民の苦悩、市町村の財政負担の厳しさを今から憂える者であります。
加入の促進と納付の充実と無年金者を出さない行政努力は、県もひとしく県民のためにも常日ごろから市町村と一体となって今後とも努力されるべきと言えます。
介護保険制度との関連では、第1号被保険者はほとんど特別徴収の形で老齢退職年金から天引きをされることになるわけですが、無年金者はその際大きな社会問題になってくることは必定であります。
無年金者の対策については、我が会派の当山議員の質問に対して、けさほど平良福祉保健部長から無年金者が6070人、予備軍が5万4356人もいるということが明らかにされておりますので、ぜひ稲嶺県政を含めての市町村とのタイアップでのこの国民年金事業の充実・強化に向けての御努力をお願いしたいと思っております。
次に、11月28日に衆議院本会議で与党3党と民主、自由両党の賛成多数で可決、成立した「改正少年法」について質問をいたします。
第1点目に、知事部局、警察、教育委員会の関係者は、少年法改正の背景と「改正少年法」の可決、成立をどう考えていますか。
第2点目に、「改正少年法」の真のねらいはどこにあるか。また、その改正はそのねらいに適切にこたえ得るものと考えていますか。
第3点目に、青少年の荒廃を生み出しているのは今の大人社会、地域、家庭を含め社会や学校教育の現状にも根深い原因があると考えますが、それらの問題にもメスを入れ対応すべきと考えますが、こうした視点に対する認識と対応策は考えていますか。
第4点目に、「改正少年法」の成立を受けて本県における知事部局、警察及び教育委員会の組織など対応の変化や強化策などはあるのですか、御所見を賜りたい。
最後に、県内JAの一本化の問題についてであります。
第1点目に、この問題が出てきた背景は何ですか。
第2点目に、県内JAを5農協にしていく上での論議や教訓はどう生かされましたか。
第3点目に、JAの主人公はあくまで農協の組合員、その皆さんの意見や特色ある地域に根差して生々発展してきた各JAの意見や立場は、どう反映されていくのですか。
第4点目に、急激なJAの一本化の動きや背景には政治的な圧力や要求もあるのではないかと考えますが、どうか。
また、昨今の県内JAグループの一党一派に偏する形での政治的支援などの動きは、JAの社会的性格からすればその準公共性に反すると考えますが、県はどう把握し、どう対処していくつもりですか、御所見を賜ります。
以上、よろしく御答弁をお願い申し上げます。
○知事(稲嶺惠一) 喜納昌春議員の最初は、我が会派の代表質問に関連しての御質問にお答えいたします。
代替施設協議会での場所や工法などの決定の際は、15年問題に関して何らかの政府の考え方が当然出されるという知事の認識なのかという御質問にお答えをいたします。
代替施設協議会は、代替施設の工法や具体的な建設場所その他基本計画策定に必要な事項が協議の対象となるものであり、使用期限については協議会の本来の協議事項には入らないものと考えております。
15年の使用期限問題については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が55年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から使用期限を設け、国に強く求めているものです。
県としては、代替施設の15年使用期限についてこれまでもあらゆる機会に要請してきたところであります。最近でも全国知事会や代替施設協議会等で国に要望しており、政府内においてもより認識が深まってきているものと考えています。県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ明確な考え方を示すべきであると考えており、着工までに何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えております。
次に、沖縄担当大臣に橋本元総理が就任したことは、15年問題に関してプラスになるかどうかという御質問に対しましてお答えします。
橋本長官は、普天間飛行場の返還を含むSACO合意を取りまとめるとともに、沖縄問題に精通し、その解決に並々ならぬ情熱と御尽力を賜ってきた方だけに最高の人材だとまことに心強く思っております。15年使用期限問題も含め、普天間飛行場の早期返還の実現に向けこれまで以上に強力なリーダーシップを発揮していただけるものと期待をしております。
次に、代表質問との関連で、橋本大臣に既に会われたようだが、15年問題に関しても話し合い、知事の考え方を伝えたのかということのお尋ねでございます。
一昨日、橋本長官の就任あいさつに上京した際にお会いできまして基地問題等についてもお話する機会がありました。
実は、食事を挟んで約1時間近くお話をいたしましたので、沖縄のありとあらゆる問題について全部お話をいたしました。特に橋本長官の方からは具体的に御質問がいろいろございましたので、それについても私の方で明確にお話をしております。
ただ、今回はごあいさつのことでございますので、私の方から具体的ないろいろなお話をしたということでございます。経済問題を含めてありとあらゆるお話をしたつもりでございます。その中には当然基地問題として15年使用期限問題についてもお話をしてございます。
次に、我が会派の代表質問との関連について、知事は米国内の関係者などから情報を収集して兵力削減等を積極的に要求していくべきではないかとの御質問にお答えします。
県としては、県民の願いである基地の整理縮小を着実に推進するためには、日米両国政府が沖縄県民の過重な基地負担を軽減するため協議を重ね合意したSACOの返還合意事案を着実に実施することがより現実的で実現可能な方法であると認識しており、現在、その実現に向けて努力しているところであります。
しかし最近、沖縄県民の基地負担の軽減を図る観点から、海兵隊の訓練の移転や兵力の削減について超党派の国防専門家グループによる提言が行われるなど、在沖米軍基地について米本国内にも新しい動きが見られますので、県としてはこれらの提言に関し在米連絡調整員等を活用して積極的に情報収集に努めているところであります。今後、これらの提言がアメリカの新政権の中でどのように取り組まれるのか、その動向を見きわめ適切に対応していきたいと考えております。
次に、同じく我が会派の代表質問との関連について、SACO合意の地位協定の運用の改善について見直しを求める必要があると考えるがどうか、民主的な外交ルートの手順を踏まえるということは重要だと考えるがどうかという点についてお答えをしたいと思います。
SACO最終報告における地位協定の運用の改善については、既にすべての事項が日米間で合意・実施されております。
しかし、SACO最終報告によって地位協定の運用の改善が行われた後も米軍基地に起因する事件・事故や環境問題などの諸課題が山積していることから、県としては、SACO最終報告で示されたような運用の改善だけでは不十分であり、日米地位協定の抜本的な見直しが必要であると考え、去る8月、県は改めて日米地位協定の抜本的な見直しを日米両政府に要請したものであります。
続きまして雇用失業問題について、雇用のミスマッチの具体的な例示と抜本的な対策について聞きたいとの御質問にお答えいたします。
本県の厳しい雇用失業情勢の要因の一つに、新たな産業構造の動きの中で労働力需給におけるいわゆる「ミスマッチ」が生じてきていると考えております。例えば情報通信産業分野においては、企業が求める人材について技術・技能上のミスマッチが指摘されております。また、強い県内志向や非常に高い公務員志向等求人側と求職者との地域及び職種のミスマッチ等もあると考えております。
これらを改善していくため、職業能力開発校等の公共職業能力開発施設におけるカリキュラムの充実や、雇用開発推進機構で実施されている若年失業者を対象とした各種の能力開発支援事業等産業の高度化や情報化に対応した人材育成、職業能力の開発を強化しております。
また、高校、大学の在学中において実際の県外企業の現場を体験するインターンシップ事業等の実施を通して職業意識の高揚を図っていくことも重要であり、今後とも関係機関と連携しミスマッチの解消に取り組んでまいります。
次に、同じく雇用失業問題について、IT産業への構造移行、変化が言われる中、若年労働力など県民ニーズにこたえるためにも職業訓練学校の対応、指導者の育成・確保等も急務だと考えるがどうかとの御質問にお答えいたします。
急速な情報通信技術の進展に伴い産業構造が大きく転換する中、経済社会のニーズに対応した職業訓練が重要となっています。そのため、県立の職業能力開発校においてはOA事務科の設置やインターネットの導入等訓練科目の充実を図るとともに、平成13年度には「情報システム科」を新たに設置するなど高度情報化に対応した職業能力の開発に努めてまいります。
職業能力開発校の指導員養成については、職員を職業能力開発総合大学校へ派遣しレベルアップを図っております。あわせて、近年進出の著しいコールセンター等の情報関連産業が必要とする人材を育成するため若年者を対象とした就職促進緊急対策事業等を積極的に実施しているところです。
また、雇用・能力開発機構の職業訓練施設においては「OAビジネス科」、「情報ビジネス科」、「情報技術科」、「電子技術科」等で専門技術者の養成を行っております。今後とも、本県経済の自立的発展を担う人材の育成に積極的に取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○商工労働部長(當銘直通) 雇用失業問題についてのうち、本県のことし1月からの失業率の推移はどうなっているか、それから10月の失業率が8.8%と悪化した原因は何かの2点について一括してお答えいたします。
本県の完全失業率は、ことしの1月に7.3%、2月は6.1%と一時改善されましたが、その後7%から8%の間を推移し、10月には8.8%と高い水準になっております。
10月の完全失業率が高い数値となった要因は、就業者数は前年同月に比べ8000人ふえたものの、労働力人口が9000人ふえ、就業者数の増を上回ったため完全失業率が高い数値となったものであります。これは、リストラなどによる非自発的離職者や自発的離職者は減少したものの、比較的好調な求人状況等を反映して新たに労働市場に参入してくる求職者が増加したことによるものと考えております。
次に、同じく雇用失業問題についての、新規求人数や有効求人倍率の改善が雇用につながらない原因は何かについてお答えします。
比較的好調な新規求人数や有効求人倍率にもかかわらず、完全失業率が依然として8%台と厳しい状況にある要因としては、1つには、新規求人数の増加等を背景に新たに労働市場に参入する求職者の増などがあり、これが労働力人口の増加につながっていることであります。
また、企業が求める人材と求職者の技術、技能のミスマッチや新規学卒者を中心に県内志向が強く、県外からの求人を十分生かし切れてないことなどがその要因と考えております。
県としては、沖縄経済振興21世紀プランに盛り込まれた各種の経済振興策等を推進するとともに、沖縄若年者雇用開発助成金、中小企業雇用創出人材確保助成金等の雇用支援制度の積極的な活用促進を図ることによって雇用機会の確保を図っていきたいと考えております。
また、特に若年者を対象とした職業能力の開発や高校生、大学生等のインターンシップの実施等により本県の雇用失業情勢の改善に取り組んでまいりたいと考えております。
同じく雇用失業問題についての、新規高校卒及び大卒などの就職に関して、ことしの内定状況(率)はどうなっているか、ここ二、三年の内定状況の推移はどうなっているか、悪化の原因は何か、就職向上のためにどう対応してきたのか、またことしの対応はどうなっているのか、関連しますので一括してお答えいたします。
来年3月に卒業予定の新規学卒者の10月現在の内定状況は大学については現在調査中でありますが、高校については20.9%で前年の同時期に比べて0.3ポイント低くなっております。また内定状況は、平成11年3月卒の高校が67.2%、大学が54.9%、平成12年3月卒の高校が56.6%、大学が48.1%となっております。
内定率の低下の要因としては、県内外の求人状況が依然として厳しいことや県内就職の志向が強いことに加え、企業の求人ニーズが即戦力を求める傾向にあることなどが大きな要因と考えております。
このため、県におきましては県内・県外企業合同求人説明会や面接会の実施を初め、県外企業における職場体験実習や見学会の実施、学卒就職情報システムを活用した就職情報の提供、大学生等を対象とした就職フォーラムの開催などの対策を講じてきたところであります。
今年度は、これまでの対策に加えて新たに大学生等の県外企業へのインターンシップ事業を実施するとともに、県立高校24校に就職促進相談員を配置するなどの新規学卒者の就職促進対策を強化したところであります。今後とも関係機関との連携を密にし、新規学卒者の就職促進に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 喜納議員の御質問にお答えいたします。
まず、雇用失業問題に関連いたしまして、学校教育で小中学校の時代から労働に対する社会的意義と価値について根本から学習し高める必要があると考えるがどうかという御質問にお答えいたします。
学校教育においては、児童生徒がさまざまな職業及び職業生活について理解するとともに、人は何のために働くのか、なぜ働かなければならないのかを考えていくことは極めて重要なことであると考えております。そのため小中学校では職場訪問、職場見学の実施、さらに今年度から中学校において推進している職場体験学習等を通して仕事の楽しさ、厳しさを味わうとともに、働くことの大切さ、生きることの喜びを学ぶなど児童生徒の職業観・勤労観の育成に努めております。
県教育委員会といたしましては、今年度作成しました「進路指導の基本方針と具体的取組」をもとに各地区進路指導講座等の開催やハローワーク、関係機関等との連携を通して職業や勤労等に関する指導の充実を図っているところであります。
次に、「改正少年法」に関連いたしまして、教育委員会は少年法の改正の背景と「改正少年法」の可決、成立をどう考えているかという御質問にお答えいたします。
少年法の一部改正は、全国的に発生している少年犯罪の状況、少年審判の仕組みなどさまざまな観点から検討されたものと理解しております。
県教育委員会としましては、少年法の一部改正の趣旨等の周知徹底を図るとともに、学校、家庭、地域、関係機関・団体等が連携・協力し、青少年健全育成の諸施策の展開に一層努めていきたいと考えております。
同じく少年法改正に関連いたしまして、青少年の荒廃を生み出しているのは学校教育の現状にも根深い原因が考えられるが、それらの問題にもメスを入れ対応すべきと考えるが、こうした視点に対する認識と対応策は考えているのかという御質問にお答えいたします。
最近、青少年による事件の凶悪化、低年齢化が深刻な社会問題となっております。その背景には少子化や核家族化、都市化の進展に伴い、規範意識や共同の精神をはぐくむ役割を担ってきた家庭、地域の教育力の低下、多様化した児童生徒への対応が不十分な学校教育等が考えられます。
県教育委員会といたしましては、学校が子供たちにとって楽しく生き生きと学べる場、また自己の存在感を確かめることのできる場になるよう努めており、その中で他への思いやりや自他の生命を大切にする心豊かな人間性をはぐくむ教育を推進しております。
なお、青少年の健全育成を推し進めるため家庭、学校、地域社会がそれぞれの役割を果たすとともに、地域が子供たち一人一人を支えていく教育の風土づくりに全力を尽くして取り組んでまいりたいと考えております。
同じく「改正少年法」に関連いたしまして、「改正少年法」の成立を受けて本県における教育委員会の組織など対応の変化や強化策などはあるのかという御質問にお答えいたします。
青少年問題の対応につきましては、学校、家庭、地域、関係機関・団体が一体となった取り組みの強化が必要であると考えております。そのため、家庭教育に悩む保護者に対して積極的な支援を行う家庭教育支援会議の設置の促進、青少年の健全育成と非行防止活動を推進する沖縄県少年育成ネットワークなど関係機関・団体との連携をさらに図っていきたいと考えております。
また、県教育庁、校長会、PTA連合会、市町村教育長協会から成る人権意識の高揚を図る四者連絡協議会や県教育庁・県警察本部連絡協議会などの充実・強化を図ることとしております。
さらに、生徒指導の指針改訂検討委員会で新たな課題に対応する生徒指導のあり方を考えるなど、青少年問題に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○文化環境部長(宮城光男) 「改正少年法」に関する御質問にお答えいたします。知事部局の関係者は、少年法改正の背景と「改正少年法」の可決、成立をどう考えているかという御質問にお答えします。
厳罰化を柱とする少年法の改正案が11月28日の衆院本会議で可決、成立しておりますが、改正案については、全国的に多発している少年事件が凶悪、粗暴、低年齢化している問題、被害者対策の問題等が提起され、その問題解決のために対応しているものと思います。
県としましては、青少年の健全育成に携わる機関として、次代を担う青少年の健全育成を図るため今後とも関係機関・団体との連携を強化し、各種施策を講じつつ「改正少年法」の犯罪抑止の実効を期待したいと考えております。
次に、「改正少年法」の真のねらいはどこにあるか、またその改正はそのねらいに適切に対応し得るものと考えているのかという御質問にお答えいたします。
少年法は、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年及び少年の福祉を害する成人の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」としております。
「改正少年法」は、少年犯罪の凶悪、粗暴、低年齢化の問題、被害者対策の問題等が提起され、その問題解決のために対応しているものと理解しています。
なお、凶悪化、低年齢化する少年非行の背景には、青少年に対する家庭や地域の指導力の低下、青少年を取り巻く社会環境の悪化等さまざまな要因が絡み合っていると考えております。したがいまして少年の非行問題につきましては、家庭、学校、地域、関係機関・団体等が協力し社会が一丸となって取り組んでいるところでありますが、さらに「改正少年法」によって少年の犯罪抑止の実効を期待したいと思います。
それから、青少年の荒廃を生み出しているのは今の大人社会、地域、家庭を含め社会に根深い原因があると考えるが、こうした視点に対する認識と対応策は考えているのか、「改正少年法」の成立を受けて知事部局の対応の変化や強化策はあるのかという御質問に一括してお答えします。
凶悪化、低年齢化する少年非行の背景には、青少年に対する家庭や地域の指導力の低下、青少年を取り巻く社会環境の悪化等さまざまな要因が絡み合っていると考えております。
県としましては、青少年の健全育成を推進する立場から、1、優良図書・優良興行等の推奨及び有害な図書・興行等の指定、2、立入調査員による対象施設等への立入指導及び社会環境実態調査、3、青少年育成県民運動──これは春、夏、年末、年始──を実施しております。それから4番目、青少年保護育成巡回活動の実施、5番目、青少年育成大会、6番目、関係業界、業者への条例説明会、意見交換会や協力要請、7番目、青少年の深夜はいかい防止県民一斉運動等の諸活動を推進するほか、沖縄県青少年健全育成基本計画を策定し、人生をたくましく生きる青少年の育成を図るため中長期的展望に立って市町村、関係行政機関、育成関係団体との連携を密にし、創意工夫を図りながら積極的かつ効果的に青少年育成の諸施策を推進しているところであります。
また、関係機関・団体、カラオケ業界、コンビニ業界、酒・たばこ販売業等との連携を強化し、青少年の健全育成及び非行防止を図るため、平成12年6月7日に「青少年と社会環境に関する意見交換会」を開催するなどの各種施策を推進しております。
今後とも、「改正少年法」の成立にかかわらず少年犯罪の状況に応じて対応していきたいと考えております。
○警察本部長(西村泰彦) 少年法改正の背景と「改正少年法」の可決、成立を警察はどう考えているかとの御質問にお答えします。
今回の少年法改正の背景につきましては、かねてから少年犯罪の凶悪化、粗暴化、低年齢化などの状況とそれに対する刑事処分の問題、少年審判の仕組み、被害者保護などの問題が提起されており、それらの問題に対応したものだと考えております。
「改正少年法」につきましては、少年事件捜査に携わる県警といたしましては、その改正の趣旨を踏まえ的確に対応していかなければならないと考えております。
次に、「改正少年法」の成立を受けて、本県における警察の組織など対応の変化や強化策などはあるのかという御質問にお答えいたします。
「改正少年法」の成立を受け、県警としてはその改正の趣旨を踏まえ今後とも一層基本捜査を徹底し、広範な証拠の収集に努めるなど緻密かつ適正な捜査の推進に努めてまいります。
また、県内の少年の凶悪犯罪や集団暴行事件などの増加に対しての対策の一つとして、少年事件捜査員10名で組織した少年事件特捜班を本年11月1日付で警察本部少年課に設置しておりますが、今回の少年法改正により刑事処分が14歳、15歳の少年にも及ぶことがあることから、少年事件を処理する捜査員の増員が必要であると考えておりまして、現在、少年事件指定捜査員制度の導入を検討しております。
この制度は、県警の各所属職員の中から少年事件捜査の経験のある者を少年事件指定捜査員にあらかじめ指定し、少年事件発生の際に集中的、効果的に運用するものであります。
○農林水産部長(小那覇安優) 県内JAの一本化の問題についての御質問で、1JA構想の背景は何か、5JA構想の論議や教訓は生かされているか、各JAの意見は反映されているのかという御質問は関連しますので、一括してお答えします。
JA系統組織においては、平成10年2月の第15回JA沖縄大会で、現在の28JAを郡単位の5JAに統合する合併構想を決議し、その実現に向けて取り組んできたところであります。
しかしながら、昨今の急速な社会経済情勢の変化に伴い、これまでの5JA構想では、依然としてJA間の財務格差が解消しないことや合併後の経営健全性の確保に課題が残ることが明らかになっています。このことから、5JA構想を推進していく中で、JA組織内部の検討結果として全県を単一JAに統合する抜本的な合理化方針が提起されているものであります。
次に、1JA構想の背景に政治的な圧力や要求はないか、また県内JAグループの動きは公益性に反すると考えるが、県はどう把握し、どう対処していくかとの御質問にお答えいたします。
1JA構想が打ち出された背景には、農業・農村を取り巻く情勢の変化や金融システムの大改革など、経済社会情勢の急激な変化に対応するため強固な財政基盤を確立するためのものであり、政治的な要素によるものではないものと理解しております。
今回のJAの動きは、県内の多くのJAで経済事業の不振等から当期損失を計上し一部のJAで経営破綻のおそれが生じたため、農家組合員の利益を擁護するための緊急対策として対応しているものであります。
県としては、地域農業の発展と農家経営の安定向上を図る観点からJAの経営基盤の健全化に向けた指導を強化していく考えであります。
以上でございます。
○知事公室長(親川盛一) 喜納昌春議員の我が会派の代表質問との関連についての中の、SACOの中で大きなウエートを占める普天間飛行場の返還については、その執行の停止なり見直しを正式に文書等で求めるべきだと考えるがどうかという御質問にお答えをいたします。
普天間飛行場につきましては、宜野湾市の市街地の中心部にあり市民生活に深刻な影響を与えていることから、その早期返還を県政の重要課題として取り組んできました。県としては、県、地元市町村の要請に基づき、日米両国政府が精力的に協議を行って合意に達したSACOの合意事案を着実に実施し、実現可能なものから一つ一つ解決していくことが基地の整理縮小を促進する現実的で実現可能な方法であると認識しております。
普天間飛行場の県内移設は、一日でも早い解決を図るための選択であり、現在、移設に向けて協議会が設置されるなど具体的な取り組みが進められているところであります。
県は、普天間飛行場の早期返還に向けて今後とも全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後7時55分休憩
午後7時56分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
この際、発言の訂正について知事から申し出がありますので、発言を許します。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) ちょっと前になっておるんですが、玉城義和議員に私の間違いがありましたので、答弁の中で。
というのは、「政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ、明確な考え方を示すべきであると考えております」というところを、「政府が」と申すべきなのを「県が」と答弁しておりますので、御訂正願い、謹んでおわび申し上げまして訂正を申し上げます。
○議長(伊良皆髙吉) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
本日の日程はこれで全部終了いたしました。
次会は、12月11日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後7時58分散会