○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた地方労働委員会会長屋宜正一君は、所用のため本日、明日及び2月26日から3月2日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長名幸宏明君の出席を求めました。
また、人事委員会委員長新崎盛善君は、所用のため本日、明日及び2月26日から3月2日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として人事委員会事務局長新垣良光君の出席を求めました。
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○議長(伊良皆髙吉) この際、念のため申し上げます。
本日、明日及び2月26日から3月2日までの7日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
西銘恒三郎君。
〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎 私は、自由民主党県議団を代表しまして、さきに行われました稲嶺県知事の所信表明演説に対し質問をさせていただきたいと思います。
最初に、去る1月9日の少女わいせつ事件、1月15日及び20日の連続放火事件と21世紀冒頭より米軍人による不祥事で我が沖縄県議会の第1回臨時議会が開会されました。そして新年度予算を審議する極めて重要な第2回の2月定例県議会では、開会の初日に抗議決議が可決され、21世紀の扉を開く沖縄県議会がスタートしたことはまことに残念きわまりないことであります。被害に遭われた県民や関係者の方々に心よりお見舞いを申し上げると同時に、米軍関係各位にはたび重なる不祥事を二度と繰り返すことのないよう厳重に抗議し、猛省を促し、綱紀の粛正を強く求めるものであります。
このように抗議決議と再発防止を求めて我が沖縄県議会は、これまでに何度同じ趣旨の決議を繰り返してきたでありましょうか。
ちなみに、今回の決議が復帰後29年間で106回目の決議であります。終戦直後から今日に至るまで56年間に米軍人による事件・事故は、県民被害の精神的、肉体的な負の遺産として厳然と積み上げられてきているのであります。その意味では稲嶺県知事の発言された56年間の歴史とマグマの話、点と線の話は、まさに戦中戦後の沖縄県の歴史を鋭い切り口で表現する至言であります。
私は、政治にかかわる者として稲嶺県知事の歴史認識に敬服するものであります。
このような歴史認識のもと、我が自由民主党沖縄県連は、政治の原点をしっかりと踏まえ、県民の生命と生活を守るべく献身的に全力投球で県民のために頑張り、保守・中道の政治理念のもと、稲嶺県政・与党の役割を分担してまいります。
さて、いよいよ21世紀の新たな100年が始まりました。このときにあたり、我が琉球王国の歴史遺産群が世界遺産として登録されたことは、我が祖先の営みが中国大陸、東アジア地域から東南アジア、そして太平洋の島々に至る広範な地理的広がりの中で世界的な歴史として評価されたものであり、県民の誇りとして心から喜びを表明したいと思います。
私は、みずから生まれ育った地域の持つ歴史を大切にしながら、歴史に耐えてきた普遍的な価値判断基準、具体的には家族のきずな、親子のきずな、兄弟愛、そして友達を思う心、郷土を愛する心などを大切に守り次の世代へつないでいく、このことが人間の生きざまとして一番の自然体であると考えるのであります。そして地域のよき伝統を土台にして時代に見合う沖縄県の飛躍を求めていきたいと考えております。
そこでまず、21世紀の沖縄はどうあるべきなのか。知事就任以来、県民福祉の向上に誠心誠意取り組んでこられた稲嶺県知事の考えておられる21世紀の沖縄像をお聞かせください。またその実現に向けて政治はどうあるべきなのか、県知事の政治理念を含めて率直なお考えを聞かせてください。
次に、ことしの1月6日、21世紀の幕あけとともに、明治維新や戦後改革にも匹敵する第3の改革として中央省庁の再編が行われました。21世紀の沖縄像を描くとき、県政の組織を地方の独自性を維持しつつ中央省庁の再編に対応すべき点がないのか、機構改革について知事の所見を伺います。
次に、知事は、平成13年度を「基礎づくりの年」と考えておられますが、まさに県政の最重要課題は目前に迫った沖縄振興新法の制定と沖縄振興新計画の策定であります。この法律と計画こそが21世紀の沖縄の方向性を決めると言っても過言ではありません。これまでの取り組み状況と現時点での課題や問題点、さらに今後のスケジュールを県議会とのかかわりをも含めて御説明してください。
次に、21世紀は地球環境問題が大きなテーマの一つになりますが、島々から成り立ち、東西1000キロ、南北400キロの広大な県域を有する沖縄県としては率先垂範して地球環境問題に貢献していく県づくりを進めるべきだと考えます。環境問題と経済成長が両立するという認識のもとで、「新法」と「新計画」の中で地球環境問題を明確に取り込むべきだと考えますが、県知事の御所見を伺います。
泡盛製造業に見られるような家内工業的製造業のあり方は、大きな景気変動の影響を受けにくいのではないでしょうか。地道に人間の健康にいいものをつくる健康産業の育成についても何かを示唆していると考えます。「新法」と「新計画」の中でどう取り組みますか、沖縄型の製造業のあり方を知事はどう考えますか、所見を伺います。
ところで、今から100年前、20世紀初頭の沖縄は、琉球王国から沖縄県に変わって22年が経過した時期であります。1903年には税制の改革が行われ、年貢型の公租から租税に変わり、いわゆる土地整理が完了して農民が最終的に土地の所有権を確認することができ、納税の主体となっておりました。また悪名高い人頭税も1903年には廃止されております。1908年には民権運動家の謝花昇先生が参政権運動に身を投じ43歳で亡くなられております。沖縄が国政に参加できるようになるのが1912年であります。しかし宮古、八重山の人たちに参政権が認められるのは7年おくれて1919年のことです。県政が知事の権限が強い特別県政から全国の他府県並みの自治権を獲得するのは1920年であります。
経済的には、1914年に勃発した第1次世界大戦で沖縄は砂糖景気に沸きます。しかし戦争の終結で国際的な価格暴落が起こると県経済も大不況に陥ります。大正の末期から昭和初期──1920年代から30年ごろまで──の経済恐慌は、農民の生活状況を「ソテツ地獄」と表現し悲惨な生活状況を例えております。そのころ多くの県民が新天地を求めて海外への移民となり、他府県への出稼ぎも急増します。移民の人々は海外での厳しい生活の中から沖縄県に送金しますが、その金額は県の年間財政収入の40%から65%にも及び県民生活の大きな支えとなっておりました。
20世紀の100年を25年間のスパンで大ざっぱに4期に分けて概観すると、第1期の25年間は王朝時代の制度から全国他府県並みの制度へと社会変革の四半世紀であります。第2期の25年間は戦争の四半世紀です。第3期の25年間は米軍施政権下の四半世紀です。第4期の25年間は復帰後の四半世紀であります。
さて、過去100年間を概観してみましたが、世の中の変遷は想像を絶するものがあったかと考えます。それでも人間の営みは一日一日の積み上げで未来永劫に続いていきます。だからこそ政治にかかわる者としては、志をみずからの心に高くしっかりと掲げながら県民福祉の向上を目指して邁進しなければなりません。その実現のためには県の財政をしっかり確立しなければなりません。20世紀の一時期に大変厳しい状況の中で、海外の移住者からの送金が県財政収入の40%から65%にも及んだ事実を私は初めて知りました。
昨今の財政状況は大変厳しい状況が続いております。国も地方自治体も含めて平成13年度末には長期債務残高が666兆円にも達するという厳然たる事実の中で、地方交付税や国庫支出金に全体の約75%近くを依存している沖縄県の財政状況はどうなっているのでしょうか、現状と今後の見通しを説明してください。
次に、少し具体的になりますが、福建・沖縄友好会館については補助金の総額の推移等今後の見通しをどうするおつもりか、県の考え方をあわせて伺っておきます。
次に、大那覇国際空港の沖合展開についてお尋ねします。
ヤポネシア構想という文化論があります。作家の島尾敏雄氏によって提唱されております。北は北海道から南は沖縄県の与那国島までを太平洋の西北に浮かぶ細長い島々の連なりとして考え、南太平洋に広がる4つの島嶼群のインドネシア、メラネシア、ミクロネシア及びポリネシアと対置させた広い視野でとらえ直そうという構想であります。
法政大学の外間守善先生によりますと、宇宙開闢神話の一つで、東アジアや東南アジア、ポリネシアに広く分布している兄と妹、兄妹始祖型洪水神話については沖縄にも同型の神話が見られ、古宇利島、宮古島、石垣島その他に残っているそうであります。しかもそれは日本神話のいざなぎ、いざなみ神話とも通ずると言われております。
もう一つ、琉球音階がインドネシアのジャワ島やバリ島のガムランとの類似性が指摘され、さらに同様のものがインド、スリランカ、ビルマ、ネパール、ブータン、ミクロネシア、ポリネシアにまで奥地に孤立した形で広く分布しているという調査報告がなされているようであります。
このように、沖縄の持つ歴史性や地理的な位置からくる文化論、すなわち太平洋文化圏の中の沖縄を考えるとどうしても那覇空港の沖合展開は、アジア・太平洋地域における国際交流拠点として県政の自立経済発展の基礎として取り組んでいかなければなりません。現状からの発想にとらわれることなく、ダイナミックな発想で沖縄の将来像を語るべきと考えます。県知事の実現に向けた決意及び基本計画策定の時期、国土交通省や防衛庁との調整状況はどうなっているのか、お伺いします。
次に、観光・リゾート産業とバス会社の統合問題についてお尋ねします。
本県のリーディング産業である観光・リゾート産業について知事は将来の観光入域客をどの程度まで伸ばしていこうと考えておられますか。また、その受け入れ体制として特に重点的にどのような施策を展開するのか、お伺いします。
バス会社の統合問題については、古くから県政の課題でもありました。私企業と県民の足を確保するという公共性の問題や、現代では特に車社会の弊害として二酸化炭素排出から地球温暖化問題など公共の交通機関としては環境問題に貢献すべく考える視点が重要になっております。
そこで伺います。
バス会社統合問題について、現時点での最大の問題点は何ですか。今後どう展開していくのか、県の基本的考え方を説明してください。
次に、無認可保育園についてお尋ねをします。
沖縄県では公立と認可の保育園で2万2793人、無認可の保育園で2万3979人の子供を預かっております。現実に50%の子供が無認可保育園で保育されております。同じ沖縄県の子供でありながら行政の光は、具体的には税金の使われ方として相当大きな格差があると言われております。
ある無認可保育園の経営者が開発金融公庫に借入金の相談に行ったら、保育園だから対象にならないと言われ、県に行ったら認可保育園の基準に合致しないので児童福祉法の対象にならないと言われ、現実に子供たちを預かっているのに社会的に認知されていないと報告をしておりました。また、ある園長先生は、固定資産税を90万円、消費税を190万円払っている、この金額の分だけでも免除できたら保母さんの待遇改善ができるとの報告もありました。
私が一番胸を打たれたのは、子供のときには税金の光を当てられてない子供たちが、成長して大人になると、高齢者を支えていくときには同じように負担をしていかなければならないと訴えられたときであります。子供の側に立って子育て支援の条例を制定し、政治の光を当てるべきではないでしょうか。県知事の無認可保育園に対する見解をお伺いします。
次に、去年の11月に沖縄県少年育成ネットワークが設立されております。子供は国の宝であります。このネットワークの設立の経緯及び今後の活動をどう展開していくのか、説明してください。
次に、米軍基地問題について伺います。
21世紀初頭から米兵の不祥事が続き、ハワイでは大変な事件が起こりました。「水産高校の実習船」というニュースの第一報を聞いたとき、私は沖縄水産高校と勘違いをし、一瞬頭の中が真っ暗になってしまいました。事故に遭われた関係者の皆様には心よりお見舞いを申し上げます。
さて、稲嶺県政もいよいよ折り返し点を通過して第3コーナーに向かいました。私は、稲嶺県政誕生の大きな原因は、前の県政が米軍基地問題、特に普天間飛行場移設問題で全くのどん詰まり状況に陥り、県政全般が閉塞状況になり、社会全体が暗く沈んだ状態になっていたことにあると考えております。そこへ困難な問題を解決するためにさっそうと登場してきたのが稲嶺県知事であります。問題を解釈するのではなく解決するためにという知事の発言は、県民の心にしっかり受け入れられたのであります。早いものであれから2年が過ぎ、これまでの助走期間からいよいよ歴史の残した重い課題解決に敢然と力強く疾走していかなければなりません。
まず、普天間飛行場の移設についてお尋ねします。
これまでに代替施設協議会が5回開催されております。15年使用期限問題については、政府の閣議決定の文言以外に明確な考え方が示されておりません。15年問題に対する政府の明確な考え方はいつの時期にどのような形で示されるのでしょうか。知事の明確な御答弁を求めます。
また、着工までに15年問題が進展すると考える知事答弁の根拠は何でしょうか、説明してください。
次に、那覇軍港の移設について伺います。
那覇市の翁長市長に続いて浦添市の儀間市長が誕生しました。県知事と同じ政策の市長が誕生したことになります。このような政治状況下で那覇軍港の移設はどのように進展していきますか、知事の所見を伺います。
海兵隊の兵力削減についてお尋ねします。
アメリカの独立戦争が始まって間もなく、アメリカ海軍の中に、後に合衆国海兵隊と呼ばれる一つの組織が誕生しております。1775年11月10日、大陸会議は、大陸海兵隊と呼ばれる小さな軍事組織──2個大隊1400人程度かと思いますが──の創設を決議しております。
アメリカ海兵隊がつくられたのは特別の戦略的な配慮があってのことではありませんでした。イギリス本国でイギリス海兵隊(ロイヤルマリーンズ)という組織があったので、それをまねてアメリカ海兵隊が創設されただけのことだったようであります。しかし当時の将軍ジョージ・ワシントンは、みずから率いる陸軍から2個大隊1400名程度も引き抜かれるのは陸軍の力を弱めると考え、消極的でありました。そのため海兵2個大隊はすぐには実現されておりません。
海兵隊の最初のリクルート新兵募集は、タン・タバーンと呼ばれる居酒屋で、その所有者キャプテン・ロバート・ムランによって始められております。この居酒屋が海兵隊の生誕の地とされております。
一説によると、当時海兵隊といってもだれも知らないので、酒場で泥酔させて入隊のサインをさせ、引き立てていったそうであります。当初集まったのは10人の将校と約200人の兵にすぎませんでした。最初の海兵隊司令官はサミュエル・ニコラスという居酒屋経営者でありました。
このように見てくると、アメリカ海兵隊は生まれたときから問題含みだったのかもしれません。しかし創設以来、独立戦争を初めとして2度の世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争などにおいて重要な任務を遂行し、存在感を誇示しながら米国の軍事・外交に大きな役割を果たしてきております。
ミリタリーバランス94年版によりますと、アメリカ海兵隊は3個師団18万3000人、うち女性8100人の現役人員を有しております。陸軍58万6200人、海軍51万600人、空軍44万9900人の現役人員と比較すると相対的には規模の小さい軍事組織であります。
海兵隊は、創設以来その存在が絶えず疑問視されてきた組織であります。海兵隊は、その存在のために戦い続けてきたとさえ言われております。海兵隊の歴史を組織論的に考察すると、海軍所属のほとんど取るに足らない荒くれ者集団が今日のエリート集団へと自己革新をしてきた姿が浮かび上がります。海兵隊は、太平洋戦争で日本軍と戦うために水陸両用作戦という概念を創造し、一連の作戦を通じてそれを実行する組織的能力を構築していっております。それは、世界の戦史上最も画期的なイノベーション、革新の一つであったと言われているようです。
海兵隊と沖縄の関係は、1853年5月にペリー提督率いる東インド艦隊の海兵隊が沖縄の那覇に上陸しているのが最初であります。同年7月8日に浦賀に来航したときに、約200人の海兵隊がアメリカ側使者に随伴して上陸をしております。
長々と海兵隊について発言をしましたのは、相手を知る必要性からであります。軍人といえども人間であります。人間と人間の交渉が政治でもあります。
さて、沖縄県議会は1月19日に「海兵隊を含む兵力の削減」を抗議決議の中に盛り込みました。私は、軍事の専門家ではありません。しかし、県議会議員として政治的視点からの強力なアプローチとしてより具体的な提言として海兵隊の新人教育の6カ月プログラムを米国本国で実施すべきであり、在沖の海兵隊員は家族持ちの隊員を中心に派遣をすべきかと考えます。
基地の整理縮小という概念は当然の帰結として兵力の削減を含みます。県議会の決議は、県知事の政治姿勢に含まれる範疇にあると考えます。
そこで、海兵隊の兵力削減について知事の所見をお伺いいたします。
最後に、地位協定の見直しと知事訪米についてお尋ねをします。
国際政治を考えるとき、現実としてアメリカの政治動向を無視することはできません。むしろ注意深く見守りながら沖縄の県益、国益を考えなければなりません。これだけ米兵による事件・事故が繰り返されますと県政の最高責任者、県知事として心休まるひとときもなく、心労もストレスも大変な御苦労かと推察申し上げます。それでも県知事は、県民の声を政府や米国関係者に強力に伝えなければなりません。そろそろ県知事として関係省庁と連携を十分とりながら県民の声を米国政府に直接訴える時期到来かと考えます。
そこで伺います。
まず、地位協定の見直しについては日米両国政府に訴えるべきと考えます。河野外務大臣の対応が少し変わってきたかの印象を受けますが、どうでしょうか。米国関係者の対応はどうでしょうか、知事の所見をお聞かせください。
次に、ブッシュ政権発足後、県知事としてワシントンDCに乗り込み、県民の声を米国政府関係者に直接訴えるべきかと考えます。知事訪米の時期とそのときに要請する項目について知事の所見を伺います。
沖縄県の県知事職は、他府県の知事職と違って我が国の安全保障の75%を背負っていること、さらに沖縄の持つ歴史からくる不利益、具体的には長期間国政に代表を送ることができなかった事実などを考えると、県知事職は大変に重たく極めて重要な職責を負っているものであります。稲嶺県知事を筆頭に県執行部の皆さんにおかれては、どうか健康に十分留意され、思い切って県民の負託にこたえてください。
自由民主党県議団は、与党の一員としてしっかり県知事以下県執行部の皆さんを支えてまいります。そして県民に信頼される政治を目指して全力投球することをお約束申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
○知事(稲嶺惠一) それでは西銘恒三郎議員の御質問に順次お答えをしたいと思います。
最初に、21世紀の沖縄像についてでございます。
21世紀のあるべき沖縄像と実現に向けて政治はどうあるべきか、知事の政治理念を含めて考えを聞きたいとのお答えでございます。
21世紀の沖縄像は、活力みなぎる産業が展開する民間主導型の経済社会、アジア・太平洋地域と活発に交流する地域社会、安らぎと潤いのある環境と共生する社会、次代を担う多様な人材をはぐくむ社会、基地跡地が有効に活用された地域社会であるべきだと考えております。
困難な問題は山積しておりますが、このような21世紀のあるべき沖縄像の実現に向けて県民の自助努力はもとより多くの英知を結集し、また国や市町村との信頼関係を築き、相互に連携を深めながら政策を一つ一つ着実に実現させていきたいと考えております。そのために現在、沖縄振興新法と沖縄振興新計画に向けて県の基本的な考え方を取りまとめているところであります。
次に、同じく21世紀の沖縄像についてのうち、中央省庁の再編が行われたが、21世紀の沖縄像を描くとき、地方の独自性を維持しつつ中央に対応すべき点はないのか、機構改革についての所見を聞きたいとのお答えでございます。
今回の中央省庁の再編は、複雑な政策課題に的確に対応するとともに、縦割り行政の弊害の排除を目的に組織を大くくりする視点で再編されております。
本県においても、これまで福祉と保健・医療部門の再編を初め中二階の局体制を見直す等時代の要請に応じた組織の再編に取り組んでまいりました。今後とも地方分権の進展や県民サービスの向上の視点から、本県の独自性を維持しながら振興策や基地問題等県政の諸課題解決のために県組織の見直しを検討してまいります。
次に、振興新法と振興新計画についてのうち、地球環境問題を新法と新計画の中で取り込むべきと考えるがとの御質問に対してのお答えでございます。
今日の環境問題は、廃棄物の増大や生活排水による水質汚濁など生活に密着した問題から地球温暖化やオゾン層の破壊など地球規模での問題に広がり、将来の世代にも影響を及ぼすような時間的な広がりを見せております。
このような状況の中、県民が健康で文化的な生活を営むには本県の島嶼環境の特性に配慮し、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な循環型社会をつくり上げ、次の世代に継承していくことが必要であります。
21世紀において豊かな自然に恵まれた安らぎと潤いのある沖縄県を実現するには、地球環境問題を初めとする環境の保全及び創造に関する施策を総合的に進めることが重要であります。このため、沖縄振興新法及び沖縄振興新計画においては、「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想や、地球環境に係る行動計画としてのローカルアジェンダ21の趣旨を反映させたいと考えており、そのことを通して地球環境問題にも取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、同じく振興新法と新計画についてのうち、沖縄型製造業の振興について新法と新計画でどう取り組むかという御質問についてのお答えでございます。
活力ある地域産業の振興に当たっては、長い歴史の中ではぐくまれた伝統技術や地域資源を有効に活用し、県民に広く愛用されるのみならず県内外へのマーケットの拡大が期待できる産業を育成していく必要があると考えております。
泡盛や健康食品など地域資源や独自技術を活用した地域産業は、近年、県内のみならず県外への出荷が目立って伸びており、本県製造業の全体的な発展のためにはこれら競争優位性の期待できる産業を中心とした振興策が重要と考えております。
「沖縄振興新法」と「沖縄振興新計画」においては、特色ある地域産業の振興のために物づくり基盤の高度化事業による技術の向上や人材育成支援、県産品マーケティング支援事業による販路拡大支援など生産からマーケティングまで総合的に支援できる枠組みをさらに強化するように取り組んでいきたいと考えております。
次に、大那覇国際空港の沖合展開について実現に向けた知事の決意、基本計画策定の時期、国土交通省や防衛庁との調整の状況についての御質問についてのお答えでございます。
本県がアジア・太平洋地域における国際交流の拠点形成や観光を初めとする産業経済の持続的発展を図るためには、那覇空港の沖合展開による平行滑走路の新設が極めて重要であり、ぜひとも実現を図りたいと考えております。沖合展開による平行滑走路を新設するためには、平成15年度を初年度とする国の第8次空港整備五箇年計画に位置づけることが必要であり、そのため県は、平成14年度中に予定されている基本計画の策定に向け、現況調査や事業効果等諸調査の進め方について国土交通省などの関係機関と調整を図っているところであります。
次に、リゾート産業とバス統合についての御質問のうち、将来の観光入域客をどの程度まで伸ばし、その受け入れ体制として特に重点的にどのような施策を展開するのかという御質問のお答えでございます。
将来の入域観光客数の目標値の設定につきましては、現在、策定作業を進めている新たな沖縄県観光振興基本計画の中で検討してまいりたいと考えております。
当面は、これまで順調に推移してきた入域観光客数を引き続き堅調に増加させていくためポストサミットへの積極的な対応を図るとともに、多様な観光ニ-ズに的確に対応した観光施策を展開していく必要があると考えております。そのため、万国津梁館やコンベンションセンタ-の整備拡充等ハ-ド面の整備を進めるとともに担当部局の組織強化を図り、国際会議の誘致、受け入れ体制を充実・強化してまいります。
また、世界遺産等の歴史・文化遺産の積極的な活用や地域資源を活用したエコツーリズム、ウェルネス関連事業等を展開するとともに、これらを支える人材の育成等諸施策を推進してまいりたいと考えております。
次に、子供と青少年問題についてのうち、無認可保育園に対する見解についてのお答えでございます。
保育所は、子供たちに安全で適切な保育を行うため、児童福祉法及び児童福祉施設最低基準その他の法令を遵守することになっております。保育サービスは、安定的な運営、質の確保から認可保育所が基本となるものであります。
一方、平成12年4月1日現在、県内には496カ所の認可外保育施設があり、2万3999人の児童が利用しております。
認可外保育施設の児童についても、安全で適切な保育が提供される必要があると考えており、そのための施策を進めているところであります。具体的には、国の定めた要綱に基づき認可外保育施設に対する立入調査を行い、必要な是正改善を求めております。また利用児童の健康診断料の助成、施設長研修及び職員研修を実施しております。
県では、今後の保育施策や子育て支援のあり方を検討していくため、「就学前児童の保育等に関する実態調査」を平成13年度に実施することとしております。この調査の結果を踏まえて子育て支援についての検討をしていきたいと考えております。
次に、基地問題についての御質問で、15年問題に対する政府の明確な考え方は、いつの時期に、どのような形で示されるのか、着工までに15年問題が進展すると考える答弁の根拠は何かについてお答えをいたします。
普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が56年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から使用期限を設け国に強く求めているものであります。県は、15年使用期限については政府において解決に向け努力されていることを承知しておりますが、基地の提供責任は日本政府にあることから、過重な基地負担を担ってきた県民の意向を踏まえ、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。
なお、代替施設の15年使用期限問題については、県が移設に当たって整備すべき条件としており、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないものと考えております。
次に、同じく基地問題で、那覇市の翁長市長、浦添市の儀間市長と、知事と同じ政策の市長が誕生したが、那覇軍港の移設はどのように進展していくのかとの御質問にお答えをしたいと思います。
那覇港湾施設については、SACOで浦添埠頭地区への移設促進が合意されていますが、「那覇港の整備方針」や「那覇港湾施設の移設の取り扱い」について浦添市と合意に至りませんでした。浦添市及び那覇市の新市長の誕生により、返還合意以来27年間も実現しなかった那覇港湾施設の移設・返還が促進されるものと考えており、両市の協力を得ながら移設に向けた作業を進めていきたいと考えています。
県としては、本県の産業振興や経済の自立的発展を図るためには浦添市西海岸地区を含む那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備することが重要であると考えております。
浦添市西海岸地区の開発については、那覇港の機能の充実とあわせて中南部の高速交通ネットワークを形成する沖縄西海岸道路の整備等もあり、このことについては那覇市及び浦添市とも基本的な考え方が一致しているところであります。
去る2月20日には私と那覇市長、浦添市長の3者が会談し、港湾整備の主体となる那覇港管理一部事務組合を早期に立ち上げるための推進協議会の設置について合意したところであり、今後、那覇市及び浦添市と連携しながら諸問題の解決について国と協議・調整していきたいと考えております。
次に、米軍基地問題についてのうち、海兵隊の兵力削減について所見を聞きたいとのお答えでございます。
在沖海兵隊の削減については、昨年のジョーンズ米海兵隊総司令官の発言やアーミテージ氏らによる超党派の国防専門家グループのレポートで、沖縄県民の負担の軽減を図る立場から、海兵隊の訓練の移転や兵力の削減について提言が行われるなど米本国内にも新しい動きが出てきていることに県としても注目してきたところであります。また日本国内においては、自民党の古賀幹事長が「沖縄駐留の米海兵隊削減問題について「三党の政策レベルで取り決めていく大きなテーマだ。三党として方向付けしたい」」旨発言しております。さらに県内においては、県議会が女子高校生強制わいせつ事件に関連して、「海兵隊を含む兵力の削減」等を求める意見書及び抗議決議を採択しており、多くの市町村議会でも同様な議決がなされております。
このような状況から、県としては海兵隊をめぐる国内外の動向を見た場合、在沖米軍兵力の削減は一つの方向性を持った新しい流れになりつつあると認識しております。
また、日米両政府間においても、さきのパウエル国務長官と河野外務大臣との初会談で、在沖米軍基地問題が話し合われ、その席上、パウエル国務長官は、米軍が沖縄の人々にとって最小限の妨げとなり、日本政府にとっても最小限の政治問題となるようにしたい旨発言しております。
県としては、日米安保体制を容認する立場ではありますが、長い間にわたる県民の過重な基地負担の軽減を図る観点から基地の整理縮小を強く求めてきたところであります。しかしながら在沖米軍を取り巻くこのような状況を踏まえ、海兵隊を含む米軍兵力の削減についても県民の意向を明確にするため、基地の提供責任者である日本政府において日米両政府間の協議の中で取り上げるよう国に対し求めていきたいと考えております。
次に、地位協定の見直しについて河野外務大臣の対応が変わってきた印象を受けるがどうか、米国関係者の対応はどうかとの御質問にお答えしたいと思います。
私は去る2月14日、今回の放火事件に関連して被疑者の即時引き渡しと日米地位協定の見直しなどを関係大臣に要請しました。その際、河野外務大臣から、平成7年10月の日米合同委員会で合意された身柄引き渡しに係る「特定の場合」を例示してもうまくいかないときは日米地位協定の見直しも検討しなければならない旨の発言があり、また2月15日の衆議院予算委員会において、日米地位協定の見直しも視野に入れてよいと思っている旨の答弁がありました。さらに2月21日には福田官房長官が県議会の要請団に対し、日米地位協定の問題を含め沖縄の問題に前向きに取り組む考えを表明しております。
政府関係者のこれらの発言は、日米地位協定の見直しを求める県民の熱意が国の前向きな対応を促進しつつあるあかしであると考えており、県としては今後とも日米地位協定の見直しを早急に協議するようあらゆる機会を通して日米両政府に対し強く求めていく所存であります。
なお、県としては、米国政府においても日米地位協定の見直しが必要であるとの認識を持って前向きに対応していただきたいと考えております。
次に、米軍基地問題について、知事訪米の時期及び要請する事項について聞きたいとの御質問にお答えいたします。
知事訪米については、できる限り今年度内での実施を模索しておりますが、ブッシュ新政権のスタッフがまだ固まっておりませんので、そのあたりも見きわめつつ、県内外の情勢も踏まえて最も効果的な実施時期を判断する必要があると考えております。
県としては、基地問題は国の外交・防衛にかかわる問題であると認識しており、その解決に向けてはまず国家間で話し合いがなされるべきであると考えておりますが、訪米の際には海兵隊を含む米軍兵力の削減など基地の整理縮小や日米地位協定の見直し及び普天間飛行場の代替施設の15年使用期限の設定など、本県が抱えている基地問題の解決を日本政府に求めていることを米国政府や連邦議会等の関係機関に伝え、理解と協力を要請したいと考えております。
また、訪米に際しては米国の代表的なシンクタンクの一つである外交問題評議会から依頼のある講演や企業誘致活動も行いたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 沖縄振興新法と沖縄振興新計画について、これまでの取り組み状況と現時点での課題や問題点は何か、また今後のスケジュールを御説明願いたいについてお答えいたします。
沖縄振興新計画の策定に向けて、昨年6月に第3次沖縄振興開発計画の総点検作業を終了し、同年8月に国に対し新たな沖縄振興に関し要望したところであります。また市町村や広く県民からの意見を聴取するとともに、本年1月、各種団体との意見交換会を実施したところであります。
これらのことを踏まえ、現在、「新たな沖縄振興に向けた県の基本的な考え方」を取りまとめているところであり、その中では財政依存の高い脆弱な経済構造からの脱却と民間主導型経済の構築、厳しい雇用情勢の改善、基地の整理縮小と跡地利用、アジア・太平洋交流拠点の形成、多様な人材の育成などの課題について検討しているところであります。
今後のスケジュールについては、3月末までに「新たな沖縄振興に向けた県の基本的な考え方」を取りまとめ、沖縄県振興開発審議会に調査審議をお願いするとともに、県民や議会等の意見を聴取し、6月には県の考え方を決定して国に提案してまいりたいと考えています。
○総務部長(與那嶺恒雄) 県財政の現状と今後の見通しにつきましてお答えいたします。
本県の財政状況は、歳入面では自主財源の柱であります県税収入の歳入総額に占める割合が低い状況にあり、財源の大半を国庫支出金や地方交付税に大きく依存し、平成11年度普通会計決算における自主財源比率は本県が23%で、全国平均の40.6%と比べてもかなり低くなっております。
一方、歳出面では人件費の割合が他県に比べると高く財政の弾力性を示す経常収支比率も90%となっており、一般的に70%から80%が適正とされていることからも財政の硬直化が進んでいる状況にございます。
今後の見通しにつきましては、最近の数次にわたる経済対策等の財政需要の増加に伴って多額の県債が発行されたことによって県債の残高が平成11年度末で5955億円に達し、公債費比率も年々上昇する傾向にあります。また今後、復帰前後に多く採用された職員の退職が平成19年度に集中し、その退職金が多額に上ることが懸念される状況にあります。
こうしたことなどから、行政システム改革大綱に基づき毎年度の県債発行額を国の経済対策に基づくものなどの地方交付税措置のあるものを除き、おおむね250億円程度にとどめることとしており、また公債費の償還に備えるため減債基金の維持・確保に努めるとともに、将来の退職手当の支払いに備えて退職手当基金についても増額を図っていく必要があると考えております。
あわせて中長期的な本県経済の活性化に結びつく産業振興施策を推進して税源の涵養を図るとともに、徹底した歳出の見直しによる節減合理化など財政の健全化を図っていく必要があると考えております。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 西銘恒三郎議員の御質問にお答えする前に一言ごあいさつを申し上げます。
私、昨年の12月20日付で地域・離島振興局長の職務を拝命いたしておりまして、本会議で御答弁申し上げるのは今回初めての経験であります。今後、皆様の御指導、御鞭撻をいただきながら、与えていただいた職務に精励をしてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
それではお答えをいたします。
バス会社統合についての御質問でございますが、バス統合については現在、4社統合委員会において新会社の組織、資本、財務、事業等について弁護士や公認会計士等の助言を受けながら、乗り合い部門の統合に向けて検討が進められております。
バス統合の課題は、各社の債務の処理、統合に伴う余剰人員対策及び労使協調による問題解決等のほか、乗り合い部門を統合する新会社が健全経営できる事業計画の立案が課題であると考えております。今後、4社統合委員会で策定する新会社設立案について労使の代表者で構成されている労使協議委員会での協議を経て関係機関に示される予定であります。同時に、新会社の設立準備委員会の設置に向けての検討も進められていると聞いております。
バス統合については、基本的には当事者が主体的に取り組むべき問題でありますけれども、バス事業の公共性や厳しい現状を踏まえまして県といたしましてもバス4社の代表者と意見交換等を重ねてきたところであり、国とも密接な連携を図りながら統合が早期に実現するよう引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
○警察本部長(太田裕之) 答弁の前に一言ごあいさつをさせていただきます。
1月26日付で警察本部長に着任いたしました太田でございます。
県民の生命、身体、財産を守り、沖縄県の治安の万全を期すため県民の立場に立った警察行政の推進に全力を尽くしてまいる所存であります。よろしくお願い申し上げます。
それでは西銘議員の沖縄県少年育成ネットワークに関する質問にお答えをいたします。
少年の健全育成及び非行防止対策は、これまでにも全県民的な取り組みがなされてきたところであります。少年非行の温床である夜型社会はしかしながら依然として改善されず、少年を取り巻く環境というものはますます悪化している状況にあります。
少年の健全育成を図るためには、家庭、学校、そして地域等が一体となって各種改善策に積極的に取り組むことが必要であるというふうに考えております。そこで県民一人一人が21世紀を担う少年の健全育成及び非行防止に対する共通の認識と責任を持つとともに、少年を取り巻く環境の浄化と非行少年防止対策を強化するため、県民総ぐるみで総合的な活動を積極的に推進するということを目的といたしまして昨年11月、県警が呼びかけをいたしまして関係機関・団体などの御協力をいただき、沖縄県少年育成ネットワークというものが設立されたわけでございます。1月末現在、参画している組織は行政機関を初め関係機関・団体など79の組織に及んでおります。
本ネットワークの具体的活動状況は、昨年の12月第1回実務担当者会議を開催し、ネットワークの統一活動指針といたしまして、1つには家族団らんで親子のきずなを深める、1つ、シンデレラタイムを実践する、1つ、少年の健全な育成を阻害する環境を浄化する、1つ、ネットワークの拡大を図ることなどを決定しまして、関係機関・団体がこの統一活動指針に基づいたそれぞれの活動を推進することといたしました。またネットワークの参画機関・団体、業界等が具体的活動を推進する場といたしまして行政部会、家庭、学校、地域、スポーツ部会など6つの部会を設置し、または設置する予定でございます。
これまでの推進結果の主なものといたしましては、例えば沖縄総合事務局がたばこの無許可自動販売機を昨年中1200台余りを撤去したこと、また沖縄県深夜スーパー等防犯連絡協議会加盟のコンビニエンスストア等約400店舗では、未成年者は酒、たばこはだめというような趣旨のポスターやシール、ステッカー等を店頭に頒布したこと、また沖縄県遊技場協同組合の青年部は、少年に夢を持たせ健全育成を図るためキャンプ中のプロ野球選手との触れ合い野球教室を開催したこと、さらに沖縄県更正保護婦人会連盟も地区ごとのミニ集会を開催して子育て支援活動を実施したことなどが挙げられます。
このように各方面で全県的な活動が着々と展開されているところであり、今後とも本ネットワークの整備充実を図り、具体的かつ効果的な活動を推進していく方針であります。
各位の御理解と御支援、御協力をさらにお願い申し上げます。
○商工労働部長(當銘直通) 県財政の現状と今後の見通しの中で、福建・沖縄友好会館の運営管理に関する経費と今後の見通しについてお答えいたします。
福建・沖縄友好会館は、平成10年7月に本県と福建省との交流を推進するため平成6年7月に締結した福建・沖縄友好会館建設に関する協定書に基づいて福建省と共同で建設されました。建設にかかる経費は総額で5億5112万円で沖縄県側が2億8450万円、福建省側が2億6662万円の負担となっております。
福建友好会館の永久無償使用権に基づく沖縄県使用分の管理を沖縄県産業振興公社に委託しており、その委託料の年次別の内訳は平成10年度552万5000円、平成11年度524万8000円、平成12年度358万9000円となっております。
また、中国との文化・経済交流を目的に設置された沖縄県産業振興公社福州事務所が同会館内に入居しております。同事務所に財政支援として人件費と活動費を補助しておりますが、年次別の内訳は平成10年度4429万8000円、平成11年度3384万9000円、平成12年度2968万8000円となっております。
福建・沖縄友好会館の今後の活用については、引き続き沖縄県、福建省と文化的、経済的交流に貢献できるよう有効活用を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○仲里 利信 おはようございます。
自民党を代表いたしまして質問をいたします。時間は少々長くなりますけれども、どうぞ真剣に耳を傾けていただきますようにまずお願いをいたします。
それでは通告に従い質問いたします。
1点目、農業問題について。
第3次振興開発計画も余すところ1年となりました。農業粗生産額によると、第1次振計の昭和47年338億円から昭和56年1019億円と急激な伸びを示し、第2次振計では昭和60年度に1160億円をピークに平成3年度は1079億円となり、第3次振計後半の平成8年度は959億円と初めて1000億円を割りました。平成10年度も944億円となり、1000億円の回復はかなり厳しいことが予想されます。ちなみに第3次振計における農業粗生産額の目標値は2050億円と設定されており、達成率はおおむね50%と予想されます。
基幹作物であるさとうきび作につきましての課題は、生産者の高齢化や台風等による影響や機械化導入のおくれ等が挙げられているが、他方では耕作放棄など栽培面積の減少に歯どめがかからず生産量の減少を余儀なくされております。
また、本県が最も自信を持って品質改良に成功したニガウリも宮崎、鹿児島県産との競合でかなり厳しい状況が続いております。
厳しい状況の中で最近注目されておりますのがマンゴーであります。かなりの勢いで生産が拡大され、平成元年の211トンから平成11年には1450トンと大幅に増加をしております。
沖縄農業の特徴は、亜熱帯地域の温暖な気候条件を生かし、本土の端境期に野菜や花卉等を出荷することが大きな魅力であった。確かに復帰以来第2次振計まではすべてが順調に販路を拡大してきた。しかし隣県の鹿児島県や宮崎県も沖縄産品に着眼し、ニガウリやカボチャ等を生産拡大し、我が県の競争相手となるまでに生産が拡大されております。
品質の問題は別として気候条件から見ても本県の方がすべてに優位なことは明確であるが、唯一海を隔てた遠隔地であるために輸送コストが割高であることにあわせて安定した供給力の2点が解決できればかなりの割合の生産販売が可能になると思料いたします。
一方、農作物の輸入の自由化により最もその影響が懸念されました肉用牛については、関係者の努力によって全国的に有数の優良子牛産地としてその地位を確立するまでに至っております。
そこでポスト3次振計では品目別に農業粗生産額を幾らと設定するか、数値目標と根拠を示していただきたい。
次に、沖縄農業の総括的課題と解決策について伺います。
沖縄の農業は、最も重要な過渡期にあると考えております。農業粗生産額でも明らかなように復帰後の第1次振計では著しい伸びを示し、復帰当初の昭和47年と最終年度の昭和56年を比較すると実に2.5倍に増加をしております。しかし第2次振計から第3次振計の平成10年までの農業粗生産額の伸びは見られず、むしろ次第に減る傾向にあるのが懸念をされます。
平成5年には念願のウリミバエも根絶をされ、ニガウリ等を中心に生産額の大幅な増加が期待されたが、県外出荷等数値としてあらわれないのが大変残念であります。
農業粗生産額の伸び悩みの原因はいろいろ挙げられているけれども、台風や干ばつ等は大なり小なり毎年襲来するもので、それ以外の原因を見つけて対応しなければ何の改善や発展にもつながらないと思料いたします。
そこで台風の毎年の襲来に悩みながらもニュージーランド産や宮崎、鹿児島産カボチャと競合しながらその品質と価格に左右されずに安定的に生産を継続したことが東京市場で認められまして、他産地より20%も高値で取引されている南風原町のJA津嘉山を紹介いたします。
最近、JA津嘉山では、市場の信頼を契機としてカボチャの産地宣言を行っております。同JAでは、カボチャの出荷に際し、選果と検査は農協職員が責任を持って実施していることが特筆をされます。津嘉山カボチャは品質、生産性、収益性においても全国一の折り紙をつけられております。このことは徹底した品質管理に基づく商品検査とあわせて市場のニーズにこたえた安定的な供給体制の確立が主たる要因と考えます。
そこで沖縄農業の粗生産額を向上させるための提言をいたしますので、当局の対応を伺います。
(2)、生産品目ごとに徹底して産地化を進めるため次の諸点を実施すること。
ア、総括的な生産と販売管理はJA沖縄で担当する。イ、種苗等はサザンプラントで供給し、より広大な範囲の地域を指定する。ウ、指定された地域に対しては施設の建設、農業機械の購入に対する助成等を行い指定地域外と徹底した差別化を行うこと。エ、指定地域に対しては県及びJA沖縄から専門の技術者を常駐させる。
次に(3)点目、農産物に対する運賃助成制度の創設をすること。
ア、船舶輸送に関しては復帰前に実施をされておりました外航船扱いを再現する(一国二制度の適用)。イ、旧国鉄による28兆円にも上る債務の弁済に充てられている県負担のたばこ消費税は、国鉄の恩恵を受けていないところの我が県が負担するのは筋違いであると思います。したがって、たばこ消費税23億円を農産物や工業製品移出に対する助成に向けるよう政府に働きかけてほしい。ウ、もしイが困難な場合は県の一般財源より助成をし、農業及び産業の振興を図る。
(4)点目、品目別の生産状況と課題及び対策について。
ア、さとうきびについて。
さとうきびの収穫面積の推移を見ると、復帰後農地の基盤整備が進み1973年の1万9800ヘクタールから1985年の2万3100ヘクタールと大幅に増加をし、収穫量も1989年には復帰後最高の178万トンを記録いたしました。しかし1990年産以降は収穫面積、収穫量とも減少し、1996年産は戦後最低となる76万トンまで落ち込んでおります。関係者の努力によって収穫面積1万3500ヘクタールと収穫量95万トンをこれまで維持してきたけれども、当面の目標とする100万トンを達成するためにはさらなる対策と努力が望まれます。
県は、生産量回復の決め手としてさとうきび生産法人の育成に力を入れ、1年余の間に16の生産法人を設立いたしました。生産法人ができた地域では遊休地、荒蕪地が解消され、収穫面積が増加したとの情報もあります。
一方、さとうきびの運搬に携わる南部のトラック運搬業者100人余りがきび生産の低迷に危機感を覚え、みずからさとうきびづくりをすることによって増産につなげようと、さとうきび増産総決起大会を開催し、組合員1人当たり300坪、そして10トン以上の増産をしようと決起を呼びかけた報道がありました。
このようにさとうきびの他の産業に及ぼす経済的波及効果は3.5倍とも言われ、本県農業の基幹作物と言われるゆえんであります。
そこで伺います。
(ア)、さとうきび生産法人の設立の条件はどうなっているか。
(イ)、設立された16のさとうきび生産法人に対する具体的な支援策はどうなっているか。また県は法人設立には積極的に関与するが、後の面倒は見ないとの苦言もあります。
(ウ)、機械銀行が所有するすべての機械を県の助成によって県の糖振協が一括買い上げをし、さとうきび生産法人に無償でこれを提供し、その上で一般の受・委託に関しては現在のハーベスターによる刈り取り料金1トン当たり6300円をおおむね3000円程度まで低減を図ればハーベスターの利用率も改善をされ、ひいてはさとうきび作の拡大につながると思うがどうか。
(エ)、さとうきび生産農家が優良品種として最も期待した県の普及品種である農林9号が昨年全県的に黒穂病の被害に遭った。その実態と対策はどうなっているか。農林9号の生産を中止すべきとの声もあるが、どうでしょう。
(オ)、さとうきびの品種選定について、県の奨励品種が多過ぎるため農家の皆さんは品種選定に苦慮いたしております。県の指導で地域に合った品種を奨励または指導すべきと考えるが、どうでしょう。
(カ)、本島内におけるハーベスター利用による収穫が伸び悩んでいるが、その原因は何か。その対策があれば示してほしい。
(キ)、昨年より翔南製糖に第三セクター方式によって会社を設立し、さとうきび無脱葉装置(集中脱葉装置)が導入された。いわゆる伊是名方式きび収穫であるが、利用状況が芳しくないとのことだが、実態はどうか。利用率を上げる方策はあるか、伺います。
イ、野菜と花卉について。
野菜については本県の温暖な気候条件を生かし、本土における冬春期の端境期に野菜と菊や洋ランは供給産地として定着しつつあるが、最近では総じて伸び悩みの状況にあります。原因はいろいろあると思うが、生産規模が極めて零細なため生産量の確保、品質の均一化、技術指導の困難性に加えて外的要因として長期にわたる景気低迷、外国産並びに他産地との競合、消費地より遠隔の地にあること等による運賃の高騰など多くの解決すべき課題を抱えております。
そこで伺います。
(ア)、JA津嘉山カボチャが東京市場で高い評価を得ている。品質の面、生産性、収益性の点で全国一と評価をされている。他産地の模範となると思うが、どのように認識をされるか。
(イ)、ニガウリ(ゴーヤー)について。
東京市場において本県産ニガウリはゴーヤーという愛称で親しまれ、復帰後急速に生産が拡大した。しかし隣県の鹿児島、宮崎県もニガウリ生産に力を入れ、最近ではかなりの量が市場に出回っているとのことだが、その実態と改善に向けた打開策はあるか。また本県産と比較して品質的にどうか。
(ウ)、菊や洋ランは復帰後かなりの勢いで生産が伸びてきたが、この10年間生産が伸び悩んでいる。原因は何か、また打開策を示してほしい。
次に、薬用作物について伺います。
本県の気候条件を十分に発揮できる作物として最も有望視されているのがウコンを中心とする薬用作物であります。県の産業まつりの出店も毎年のように品種、数量とも倍増し、高付加価値製品として大きな期待が寄せられております。
そこで県当局の対応を伺います。
(ア)、薬用作物も多岐にわたっているが、県の研究体制はどうなっているか。生産から販売に至る将来の展望を伺いたい。また重点品目を何点か示していただきたい。
エ、果樹・果実類について。
生食用としてのパイナップルは、品質も最近では改善をされ、生産も安定的に推移をしていると聞いている。また今後最も有望視されているのがマンゴーであります。単価も高く高付加価値製品であるだけに出荷に際しては厳しい検査を実施をし、ブランド化を進めなければなりません。
そこで、県産マンゴーの市場拡大と品質の向上を図るために一地域をマンゴーの指定産地を行い、県による各種の思い切った支援策を講じ域内外との差別化を図り、生産振興につなげるべきだと思うが、県の積極的な関与について施策をお尋ねいたします。
その他、パッションフルーツ、フルーツパパイヤ、ドラゴンフルーツ等は今後に期待される商品であるが、昨年12月10日、糖尿病がテーマのテレビ番組でシークヮーサー、いわゆるヒラミレモンに糖尿病や高血圧などの生活習慣病を予防する成分が含まれているとの紹介がありました。その翌日から、JAやんばるには本土から注文が殺到し品不足のため、果汁100%のジュースを勧めるなど対応に苦慮したと言っております。
そこで伺います。
今回のシークヮーサーを教訓にマスコミ等との連携のもと、我が県の世界一長寿県を支える食材を内外に報道し、そのよさを訴えれば新たな産業の創出にもつながることからぜひ実践していただきたいと思いますが、御所見を賜ります。
オ、畜産業振興について。
肉用牛については、農産物の輸入自由化により最も影響を受けるだろうとの予測を翻し、離島地域を中心に生産が拡大し、第3次振計の目標値である牛の生産8万頭飼育を達成し、また全国的にも有数の子牛の産地として評価をされてきております。このことは飼料並びに飼育技術の向上に加えて、優良種の導入、県による価格安定策等が相まって実現した結果だと思います。
そこで伺います。
(ア)、県として肉用牛のさらなる生産拡大を図るためにどのような支援が可能か、今後の飼育頭数目標を伺いたい。
(イ)、乳用牛については、県内市場を対象にしているために生産量の大幅な伸びは期待できないけれども、消費の拡大を図るため本員は学校給食への県産生乳の100%使用を訴えてきた。いよいよ最終年度平成13年度から生乳100%となるけれども、その実情をお聞かせ願いたい。
養豚については、悪臭等による環境問題が発生をし、新たに飼育することは大変困難な状態となっております。そのために生産量もわずかながら減少傾向にあります。養豚における悪臭を除去あるいは防止するため、おがくずの利用や有用微生物利用等いろいろな研究がなされてまいりました。
そこでお尋ねいたします。
(ウ)、おがくず利用による豚舎の悪臭防止と堆肥化については、数年前から県の助成によって畜産公社で実証試験が実施されてきたが、その後の経過と実績を伺いたい。
(エ)、有用微生物利用による悪臭の除去については、県内では具志川市が最も積極的に利用し、その効果を認めております。外国においても多くの国で評価されていると聞くが、発祥の地であります沖縄県はどのような評価をされているか、伺います。
カ、農業用水の確保について。
本島南部地域は農地の開発が進み、農業用ダムの建設が困難で、そのために河川水や貯水池、農村集落雑排水の処理水を利用してきた。したがって1カ月も干ばつが続けば水不足を来し、悪臭を放っている河川水を利用してまいりました。
本員は、平成6年に南部地域の農業用水を確保するためには1日10万トン以上の下水処理水を再処理の上に農業用水として利用する提案をし、県当局により平成7年度から今日まで綿密な調査と実証栽培による植物への影響調査等がなされてきたと聞いております。
そこで伺います。
下水処理水利用畑地かんがい計画に基づく平成10年度以降の進捗状況はどうなっているか、そして今後の事業計画を伺います。
キ、かんきつ類に猛威を振るっているカンキツグリーニング病の対策について伺います。
この病気は東南アジア地域、インドネシア、ジャワ、スマトラ、ベトナム、タイ、フィリピン等で1960年代より発生し、インドネシアでは300万本のかんきつ類が枯死し、ジャワ、スマトラでは栽培が放棄され、隣国の台湾では栽培地の約半分に病気が広がり、大きな打撃を受けていると聞いております。県内では温州ミカン、ポンカン、シークヮーサーが被害を受け、西表島や本島南部地域で被害が拡大しているとの情報もあります。
かんきつ類の生産については、本土の端境期に出荷できることから増産が期待されているし、また最近ではシークヮーサーが糖尿病の予防効果があるとのことで一躍注目を集めていた時期だけに防除対策が緊急な課題となっております。
そこで伺います。
(ア)、カンキツグリーニング病とはどういう病気か詳しく説明願いたい。
(イ)、県内における同病の分布状況はどうなっているか。
(ウ)、防除方法の確立はなされているか。
(エ)、これまでに実施された防除の実績と予算化はなされているか。
(オ)、カンキツグリーニング病に対する研究は台湾大学が進んでいるとの情報もあるが、共同研究等は考えられないか。
2番、沖縄県行政システム改革大綱の進捗状況について伺います。
県は、平成12年3月29日行政システム改革大綱を策定し、平成12年度から14年度までの3カ年間に実施する行政改革の具体的な取り組みが計画されております。大綱には、大綱本文のほかに事務・事業見直し一覧、廃止等補助金終期一覧から成っております。
沖縄県は、他府県と異なり基地問題を初め島嶼性、少子・高齢化の急速な進展、厳しい雇用情勢など固有の課題を抱えております。また県民の価値観、生活様式の多様化に加えて非常に厳しい財政状況からの克服が急務であります。今後の行政運営に当たっては、「県民起点の行政の推進」を理念に、1、「地方分権時代に適応した沖縄県ならではの行政運営」、2点目、「効果的かつ効率的な行政運営」、3点目、「適切なパートナーシップの構築」という3つの視点より構成されております。
事務・事業に関しては、総事業件数3709件に対し885件の事業見直しを実施し、そのうち廃止が286件、縮小・統合216件、その他383件となっております。
この行政システム改革大綱は、県民の視点から無理、むら、むだをなくし、より効率的な行政運営をなし、もって「県民へのサービス」を理念としており、多くの県民にぜひ御一読願いたいと思います。
次に、具体的な施策について触れてみたい。
(1)、「地方分権時代に適応した沖縄県ならではの行政運営」について、まず「県職員の人材育成・確保及び意識改革の推進」について。
従来の手段主義「国から言われたことをやる」とか、「自分の担当している仕事をこなすことが目的である」という意識から、成果主義「具体的な目標を持って主体的に行政運営を図る」への転換がうたわれております。
そこで伺います。
ア、県は平成12年度から「新行政推進研修」を行い職員の意識改革を行うとあるが、その具体的な内容と実施の状況を伺いたい。
イ、これまで行政サービスの点で県民より指摘を受けた「横柄で形式的」、「手続が煩雑」、「スピードが遅い」などいわゆる「お役所仕事」の解消を目指すとあるが、具体的にどう進めるか、伺います。
ウ、「青年重役会議」を設け、知事と「青年重役」が「沖縄県株式会社」のあり方を自由に論議することによって若手職員の意見やアイデアを引き出していくとありますが、その進状況はどうなっておりますか。
(2)、「効果的かつ効率的な行政運営」について。
事務・事業の集中的な見直しに当たっては、事務・事業全般にわたってゼロ・ベースの視点から点検評価を行い、行政サービスを簡素で効果的かつ効率的に実施するために各施策の目標と目的を明確にし、その達成度を毎年評価、検証する仕組みとして「県行政評価システム」の導入が採択されております。
そこで伺います。
ア、行政評価システムの一環として各課ごとに「施策評価表、中期戦略シート、事務・事業プロット図」を作成し、本年2月に各課長が1人ずつ知事・三役の前で施策に対する発表を行い、成果の全シートをホームページに載せ県民に公表することになっているが、その後の経緯について伺いたい。
イ、縦割り的な行政の組織・機構の弊害をなくし、施策の目的、内容に応じた「横割り」的な組織・機構への転換を図ることになっているが、具体的な事例を挙げて示してほしい。
ウ、「職員数の適正な管理」の部分で、職員数については「定員適正化計画」を策定し、平成12年度から向こう5カ年間に知事部局で530人、企業会計で55人、教育委員会で560人の削減計画があります。思い切った施策であり大いに歓迎をしたい。その実現に向けた具体的手段、手法について伺いたい。
エ、本県には、本来ならば国の業務にかかわる戦後処理に関する業務並びに基地問題等に対応する専任職員(159人)等に係る人件費等諸経費は、国の負担で実施すべきと思うがどうか。
(3)番目、財政健全化に向けた方策について。
県政の重要課題に的確に対応するためには、大幅な歳入の確保が必要であります。しかし昨今の厳しい財政状況では歳入の伸びは期待できず、過去の県債発行残高約5500億円に伴う公債費や人件費が毎年増大をし、また国の経済対策事業に伴う対応費として各種基金残高は平成4年度の577億円をピークに、平成11年度末には約205億円と激減をし、非常に厳しい財政状況となっております。
そこで伺います。
ア、県税収入の確保を図るため滞納整理月間を設定をし徴収率向上の対策を実施し、平成16年度までに徴収率を平成11年度の92.4%から96%台に引き上げることを目指すことになっているが、目標達成に至る年度別数値目標を挙げてほしい。
イ、県は去る2月16日、企業会計的な手法で資産状況をまとめたバランスシート(貸借対照表)を初めて作成をし県民に公表いたしました。作成までの経緯と内容に対するコメントを伺いたい。
さらに、3年から5年先を見通した中期的な視点での損益計算予想書の作成はどうなっているか、伺います。
次に、「TQM的手法を取り入れた行政評価システムの導入」について伺います。
TQM(Total Quality Management)総合的品質経営の前身は、戦前、アメリカにおいてデミング博士が開発した手法で、日本には昭和25年ごろ、QC(品質管理)サークル活動として自動車メーカー等製造業で採用され、後にTQC(総合的品質管理)として製造業以外の銀行やサービス業でも採用されるようになりました。
昭和40年代の我が国の高度経済成長を遂げた原因が、このTQCにあったことをヨーロッパもアメリカも知らなかった。
1975年の夏、ロンドンタイムス紙は次のように論評しております。イギリスの自動車業界は不況で車が売れないというが、日本の車がどんどん売れるので輸入制限の話をしている。何かその前にやるべきことを忘れているのではないか。イギリスの車が売れない理由は簡単である。売れない車をつくっているからだ。売れない車をつくっても売れるわけがない。売れる車をつくれば、どんどん売れることを日本の自動車メーカーが証明してみせた。だから輸入制限をする前に、どのような車をつくれば売れるのかを研究すべきであると結んでおります。
かくして1980年代に入ると、日本の自動車の販売台数はアメリカをしのいで名実ともに世界一の自動車生産国となりました。世界の自動車メーカーは、日本車の性能のよさを研究するために技術者を送り込んだり、日本との技術提携が盛んになりました。
日本経済が高度成長を遂げた大きな原因が、TQCの導入に起因することがわかったアメリカでは、1980年代からいち早くTQCの手法を取り入れ1990年代には合理化が進み、逆に日本車が苦境に立たされる結果となっております。
以上のことは、アメリカのデミング博士が開発したQCの手法をいち早く企業に取り入れ成功した日本の事例を簡単に紹介いたしました。
本県では、TQCの後にTQMと改め、その普及のため平成7年度より予算を計上し奨励してまいりました。その結果、県内でも1998年沖縄石油精製、昨年は金秀アルミ工業がTQMの実施により著しく業績を改善した結果が認められ、最高の栄誉でありますデミング賞に輝きました。
ウ、このことを踏まえて、県もみずから行政システム改革大綱の中でTQM的手法を導入することを決定したことは大変意義深いことであり、具体的に県立那覇病院等を対象にTQMを実施する考えはないか、伺います。
3番目に、米軍基地のない市町村に対する振興策について伺います。
県内における基地の所在分布を見ると、南部が自衛隊基地、中北部が米軍基地の使用となっております。本島内にあって自衛隊基地、米軍基地がないため基地関連の基地周辺整備資金の対象にならない町村が4カ町村あります。南風原町、大里村、与那原町、西原町の4カ町村です。この4カ町村でも基地のある市町村にすべて隣接をしており、日常的に自衛隊機や米軍機の低空飛行による爆音被害は日常茶飯事であります。基地所在市町村と同様、いつ事故が発生するかわからない現状にあります。
かかる状況にありながら、復帰以来28年余にわたり基地による恩恵の点で差別を強いられてまいりました。
また、あの1995年9月に発生した忌まわしい事件以来、米軍基地所在市町村に対する振興策事業(島田懇事業)や普天間移設に伴う北部振興策事業等北部圏域で多くの新規事業がメジロ押しであります。
以上のことから、米軍基地のない南部市町村で構成する南部振興会においては、前述の理由のとおり県土の均衡ある発展を期する意味からも米軍基地のない市町村に対する振興策を訴えてまいりました。国においては、その趣旨を御理解いただき、米軍基地のない市町村に対しても振興策を講ずる旨決定されたと伺っております。
そこで伺います。
(1)、南部圏域に米軍基地のない市町村に対する振興事業の一環として、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)並みの世界超一流の国立による理工科系大学を設置すること。
このことについては、細川総理大臣が来県された際にロワジールホテルにおける講演の中で、我が国が国際貢献できる最も重要なことは途上国に対する技術支援である。今、アジア・太平洋地域の発展途上国においては、先端技術を有する理工科系技術者が約30万人も不足している。その要求にこたえるためにも世界からノーベル賞学者や著名な学者を招聘し、世界一流の理工科系大学をつくることが我が国に課された責務であり、またアジア・太平洋地域が最も期待しているところである。その超一流大学を設置するにふさわしい地域がこの沖縄県であると、このように言われました。
設置に関する事業費は、年間1兆円に上るODA予算を利用して誘致をしていただきたい。
(2)点目、県立によるヘルシーリゾート構想の実現を図ること。
大里村・大城城址から玉城村親慶原、佐敷町と知念村にまたがる丘陵地域を長期滞在型保養施設や各種スポーツ施設を備え、さらに知念村知念の高台の地域を本県の長寿を支えてきた薬草の栽培から加工を行う一大薬草園をつくり、観光のメッカをつくろうという雄大な計画であります。
南部振興会においては、その事業の実現に向け作業を進めてきたが、総事業費が250億円という莫大な資金を要するために脆弱な町村では対応できず、財政的にもまた厳しい折、この際、米軍基地のない市町村に対する振興策の一環として県立によるヘルシーリゾート構想をぜひ実現していただきたいというのが切実な願いでございます。幸い、このヘルシーリゾート構想の策定作業の最高責任者が現在の稲嶺知事であったことを思うときに、何としても実現してほしいと南部島尻地域の皆さんは大きな期待を寄せております。
(3)点目に、ポスト3次振計では、現在の中南部圏を中部圏と南部圏に分離すること。
第1次振計と第2次振計では、中部・南部圏は独立した圏域として振興策が図られてまいりました。しかし3次振計から中部と南部が統合された圏域とされたために現在のような不合理な状況が惹起している。御承知のとおり南部圏は、米軍基地もなく農業が中心の地域であります。一方、中部圏は米軍基地が集中しているため商業を中心とする地域であると理解しております。県土の均衡ある発展を図るためには、異なる経済圏を同一に扱うことはさらなる不均衡をもたらすこととなるからであります。
4点目、国発注に係る公共工事の県内業者への優先発注について伺います。
沖縄の経済は3K産業、すなわち公共工事、基地、観光に支えられていると言っても過言ではございません。今回は3Kの中の公共工事について述べてみたい。
我が県における公共工事の受け皿となる建設関連企業の数は平成12年度で5540社と言われ、就業者数も平成11年度末で約7万7000人を数え全就業者数の13.6%を占め、全国平均の10.2%を大きく上回る重要な産業となっております。公共工事も国の厳しい財政事情の影響で伸び悩みの状況にある中、県発注の公共工事に関しては地元企業への発注が件数、金額とも約97%程度と高く、県当局の皆さんの配慮に敬意を表したいと思います。
一方、県内において国の機関が発注する建設工事に関しては基準が厳しく、全国の大臣許可業者数1万900社に対し、県はわずか8社にすぎません。なぜこのように大臣許可業者が少ないのか、検証する必要があると思います。
我が県が戦後27年間、米軍施政権下に置かれた沖縄の特殊性を考慮して制定されました沖振法に基づき公共事業などでの国の補助負担率が高く設定されているのが高率補助の制度であります。国の沖縄担当者いわく、沖縄はすぐ裏負担が大変だと高率補助を要求してくる。もっと自治省とかけ合い、交付税の算定を活用すれば事業規模もメニューも膨らむんだがと嘆いていたと聞いております。
例えば、200億円の事業で他府県の場合、補助率が50%といたしますと政府の拠出金が100億円、自治体は借金である地方債を起こすなどして裏負担を賄っております。
ところで、地方交付税制度で地元が負担する地方債の元利償還金の何割かは、翌年以降の措置も含めて国が面倒を見る仕組みとなっております。もし仮に交付税で地元負担分の7割が国から戻ってくる事業だと、地元は30億円の負担で200億円の使途制限のない事業ができることになります。この仕組みを利用すれば胸を張って県内に本社のある地元企業に100%発注できることとなり、県経済も潤うことになります。高率補助が適用されない他府県は、補助事業に限らず単独事業でも国からいかに交付税を引き出すか、県首脳を中心に知恵を絞り、財政規模の拡大に努めていると聞いております。
我が県の場合、高率補助による事業に頼り過ぎたために補助事業(ひもつき財源)に偏り過ぎ大型の事業に関しては地元建設業者への恩恵は少なかったと思っている。今後実施されるであろう大型工事の執行に際してはできるだけの施策を利用し、安易に高率補助に頼ることなく国による交付税制度と基地周辺整備資金等の有効利用による県単独事業を拡大し、地元企業の活性化につなげてほしいと思います。
また、我が県は全国で唯一の本土との陸上交通がない島嶼県のために他府県より受注することはできない。さらに国発注の工事の大部分が大臣許可業者となるため大型工事のほとんどが県外の大手ゼネコンが受注する結果となり、県内で大手建設業者が育たない原因となっていると思料いたします。
例えば、これから浦添市に建設が決まった国立組踊劇場の場合、県民挙げて国に働きかけ、やっと建設のめどがつきました。しかし発注されたのは本土ゼネコン1社JV率80%、県内業者1社JV率20%と聞いております。この程度の工事であれば、現在の県内の技術水準で十分対応できると関係者は断言いたしております。
ちなみに、宮古の地下ダム工事に係る導水管工事で3000万円の小さな工事を本土大手ゼネコンが受注した事例もあると聞いております。さらに県立那覇病院の建設計画を察知したゼネコンが既に受注合戦をやっているとの情報もあります。
最近では受注したゼネコンが本土からみずからの下請業者を連れてくるケースもあると言っております。厳しい雇用情勢の中、憂慮すべき事態であります。県が事業を計画し国から予算も取りつけて、仕事は本土大手業者に持っていかれたら県内業者が育たないのは火を見るよりも明らかでございます。
このようなことから、平成11年12月定例県議会に対し、沖縄県建設業協会から「国等が発注する建設工事への県内建設業者の受注機会拡大に関する陳情」がなされ、全会一致をもって採択されました。その内容は、(1)、県建設業協会から国関係発注機関に対し、1、沖縄に限定した発注標準の設定、2、入札に参加する資格要件の緩和、3、県内業者が参加できるよう分離・分割発注、以上の3点を要請されているが、その後の対応について伺いたい。
(2)点目、国の補助事業で県内で施工される大型工事のほとんどが国サイドでゼネコンの指名業者が決定されていると聞いております。県内業者の技術水準も向上しているし、特殊な技術を要する工事を除けばほとんど県内業者で十分対応可能とのことであります。沖縄の地理的ハンディを考慮していただく意味からもこの際県選出国会議員に協力をお願いし、国政の場から県内企業への優先発注を訴えてもらうよう働きかけること。
(3)点目、県建設業協会から要請のあった沖縄に限定した発注標準の中に「沖縄県内に本社のある企業」をぜひ入札参加業者とする旨の特約条項をつけること。
(4)点目、国発注に係る建設工事で共同企業体(JV)の場合の構成比率を県と同様に50対50とすること。
(5)点目、この問題の重要性にかんがみ国に対する要請は知事みずからぜひ行っていただきたいと思います。
5番目に、2002年度実施の金融自由化に伴う対処策についてお尋ねをいたします。
いよいよ平成14年4月1日から資本の自由化、為替の自由化に次いで金融の自由化が実施されることとなりました。このことは、過去56年間政府が銀行等の金融機関を保護し、金融機関に万一の事態が発生した場合は、国が金融機関にかわって預金者を全面的に保障する仕組みでありました。
しかし、金融の自由化に伴いペイオフ(預金者保護)の制度がなくなり、あわせて諸規則も撤廃をされ自由競争の時代を迎えることとなった。ペイオフ解禁後は、銀行等に不測の事態が発生しても政府は一切面倒を見ない。ただし1000万円以下の預金の面倒は見るが、それ以上はできないという制度であります。そのことを懸念した農協中央会は28JAから5JAに統合する計画が進められたが、ペイオフ解禁による預金者の信頼を得る目的で昨年末、経済連、信連、28JAが一体となって全県1JAとするべく作業が進んでおります。
ところで、我が県の銀行はどうでしょうか。
戦後27年間米軍の統治下にあって、国の保護もないまま県内資本で経営基盤を築いてまいりました。復帰と同時に国内法が適用され本土の大手銀行が参入、地元銀行は窮地に追い込まれるとの心配をされました。しかし政府が地元銀行を救う目的で本土の金融業界に強力な行政指導を行った結果、現在まで本土の銀行は1行も進出しておりません。ペイオフ解禁は、県内金融業界にとって大きな試練を迎えていると思っております。
昨年暮れの報道によると、九州に地盤を置く第2地方銀行の福岡シティ銀行と九州銀行、長崎銀行の3行が2002年4月1日をめどに持ち株会社を設立をし、経営の全面統合に向けて作業を進めている旨の記事がありました。ちなみに3行合併による預金残高は3兆8500億円となり、地銀でも上位銀行となるとのことであります。
このように、本土の地銀も生き残りをかけて再編・統合・合併の作業が進む中にあって本県の銀行は現状のままでよいのか、疑問であります。
そこでお尋ねをいたします。
(1)、沖縄県内における3銀行と2信金を合わせた総資金量は約3兆円と極めて脆弱であります。ペイオフ解禁による混乱を防止するために我が県が米軍支配下に置かれた27年間をペイオフ解禁の実施を延期させるよう国に働きかけていただきたい。このため新たに制定される新法の中に位置づけさせていただきたいと思います。
(2)点目、昨年末、県議会において県漁連からペイオフ解禁を前提に4漁協の信用部門を県漁信連への統合・合併のための借入保証を採択いたしました。その他の漁協の信用事業は、従来どおりでペイオフ解禁後に対処できるか、見通しを示していただきたい。
次に、沖縄経済振興21世紀プランについてお尋ねをいたします。
第3次振計も余すところ約1年となりました。ポスト3次振計の策定に向けた新法の制定、とりわけ経済振興の柱となる沖縄経済振興21世紀プランが策定をされました。国が策定した第1次から第3次振計に至る28年間に我が県に対する国による投資が6兆4000億円という莫大な予算が投入され、道路、港湾、その他のインフラが急速に整備されました。その間の産業構造は、第1次産業は全国並みであるのに対し、第2次産業の比率は小さく第3次産業の比率が相当高い比率になっております。
本県産業の根幹をなすべき第2次産業が当初の計画のとおり発展せず、特に製造業は昭和47年の復帰以来目ぼしい企業の立地もなく、平成9年度における製造業の比率は沖縄県の5.5%に対し全国平均は24.4%と製造業が育っていないことがわかります。
したがって、ポスト3次振計の21世紀プランにおいては、1次振計から3次振計に至る間に6兆4000億円に上る国による財政支援をしても経済自立につながる産業構造にならなかったことに対する反省を込めて21世紀プランの主眼を財政依存型経済から、県民みずから自助努力をして活力ある民間主導型の経済を構築しなさいと言われております。今後の沖縄経済にとってこの自立化をいかに図るかが大きな課題となっております。
我が県の経済が財政依存的な構造になった背景には、1、「離島県であるため、財政支出を相対的に多く必要としていること」、2点目、「歴史的経緯等から生じた本土との格差の是正の必要性」を挙げております。「今後の沖縄の発展を考えるとき、財政依存の方向のみに展望を求めることができない」と述べております。
また、沖縄経済の自立化に向けての展望と課題の中で、本県の高失業率、依存型経済からの改善に向けた変化について産業連関表を使ったシミュレーション分析がなされております。
第1点は、これまでのトレンドで沖縄経済が推移する場合の見通しは「現状推移ケース」として取りまとめられ、その見通しによれば沖縄県経済の成長率は向こう20年、いわゆる西暦2020年には1.5%の水準まで低下をし、その際の完全失業率は6%と高どまりの状況となり、財政依存度は自立化への期待に反して35%とむしろ悪化すると見込まれております。このシミュレーションの分析結果でもわかるように、本県経済が現状で推移する場合相当の努力が求められることを示唆していると思います。
第2点目に、「戦略産業振興ケース」による分析結果を見ると、関係者が自立化に向けた相当の努力があれば経済成長率の上乗せは可能とし、2020年の成長率は2.2%、完全失業率は3%台に改善をされ、財政依存度は若干ではあるが31%に低下するとの分析結果となっております。
そこでお伺いをいたします。
(1)、「戦略産業振興ケース」の分析結果を見ると、関係者の自立化に向けた相当の努力の積み重ねによって2020年には若干ではあるが失業率、成長率、財政依存度は改善するとあるけれども、戦略産業振興の内容と関係者の自立化に向けた努力とは何を意味するか、お尋ねをいたします。
(2)点目、21世紀プランの重要な柱は、財政依存型経済を脱却し自立化に向けて民間主導型経済を構築するとあります。シミュレーション分析でもわかるように戦略産業振興を図っても2020年に若干の改善しか見られない。このように長期的展望で県民が相当頑張っても自立化に向けて民間主導型経済の構築で本当に将来展望が開かれるか、疑問であります。
(3)点目、「沖縄経済振興21世紀プランに関する基本的な考え方」の中で、産業経済活動は民間主導で展開されるものであり、政府の施策も民間活力を引き出すための条件整備に重点を置くとあるが、これまでのように国の発注する大型工事はほとんど本土の大手ゼネコンで実施し、その資金は県内には残らずすべて本土に持っていかれている現状をどのように認識をされるか、お尋ねをいたします。
(4)点目に、沖縄県民が置かれている「特殊事情」に対し、国による特別措置が求められる理由についてお尋ねをいたします。
21世紀プランの中に「我が国経済社会に貢献する地域としての沖縄」の項目の中で、NIRA研究会最終報告の中で、沖縄県の「これまでの歴史的経緯や地理的不利性といった沖縄の「特殊事情」への的確な認識とともに、今後の沖縄振興策の推進に当たって併せて求められる政策理念」であると結んでおります。
21世紀プランにおける経済政策は、沖縄県民みずから自立の気概を持ち、民間主導の自立型経済を構築しなさい、そしてその主人公は県内産業界や県民であり、その自主性を尊重されるべきと述べております。
このことを言いかえれば、国はこれまで3次にわたって6兆円もの莫大な資金を沖縄に投じてきた。しかし県民の自助努力が足りなかったために経済振興もまた失業率の改善にもつながっていない。したがって、これからは産業界や県民が一体となって県民主導による自立型経済を構築しなさい、国は民間活力を引き出すための条件整備をやりましょうという、県民にとって厳しい条項が盛り込まれております。
「沖縄の「特殊事情」」とは、「これまでの歴史的経緯や地理的不利性」を挙げているが、私なりに所見を述べてみたい。
1つ、さきの大戦で国内で唯一地上戦があり、多くの県民が犠牲となり、今なお戦後処理問題を抱えていること。県民のほとんどが家族を失い、家屋や家財道具もすべて焼失し、さらには学校や道路、港湾、文化財等もすべて失ったこと。
2点目、我が県は大戦後、我が国の自主独立のため日米安保条約を締結し、安保の担保として27年間異民族の支配下に置かれ、米軍によって強制的に土地は収用され、在日米軍施設・区域の75%が今なお狭隘なこの土地に基地として使用され、産業振興の上で大きな阻害要因となっております。さらに基地あるがゆえの事件・事故も多発し、県民は基地被害に今でも苦しんでいること。
3点目に、我が国唯一の島嶼県のため多くの有人離島を抱え、行政執行上も多くのハンディを背負っているため財政的にも厳しいものがある。今後とも国による行財政上の支援が不可欠である。またそれらの離島は、住民が居住することによって不法入域者の防止など国土防衛に大きな貢献をしていることを忘れてはならない。
あの尖閣諸島は、終戦後も県民が居住し紛れもなく沖縄の区域であるが、石油資源を目当てに中国や台湾が領土権を主張している事実からも明らかであります。
以上のことが沖縄の置かれている「特殊事情」の概要であると思うが、その結果として日米安保条約が締結をされ、日本国民は米軍の核と軍備に守られて平和で豊かな生活を享受しております。
今日、世界第2位の経済大国になったことはまさに日米安保条約のおかげであると言っても過言ではありません。なお、日米安保があることは米軍の基地被害に苦しんでいる沖縄県民の犠牲の上にあることを国民に十分知らしめる必要があります。
2月17日の新聞の米ニューヨーク・タイムズ紙は、えひめ丸の事故により、沖縄以外の場所では、北朝鮮や中国への重要な抑止力としての在日米軍の駐留に異議を唱える当局者はいない。中傷メールなどにより特に沖縄の不満は高まっている。原潜の事故がいかに悲劇的なものであったとしても根本的には米軍の撤収はない、このように断定をいたしております。
このことは、日本政府は北朝鮮や中国が脅威であるために太平洋地域で米軍の駐留を必要としているので米軍の撤収はあり得ないと米国政府は理解した証拠であると考えております。
これまで米国政府に対し基地の整理縮小や地位協定の見直し等を知事を先頭に要請してきたが、米国政府は、日米安保は日本政府の要請によるものであり、したがって基地問題は日本国内の問題であると言われた。日本政府にとって日米安全保障条約に基づく国土防衛がいかに安上がりでかつ安全であるかを十分承知しているために米国の機嫌を損ねないように気を配っているため、今我が県で最も重大な政治課題となっている15年問題や地位協定の見直し等についても米国に物を言う勇気がない。そのため米国との交渉ごとは進展しないという構図になっていると私は理解しております。
そこで、次の諸点について伺います。
ア、我が国の防衛に関連する諸国、台湾、中国、韓国、ロシア、米国における国内総生産(GDP)に占める国防費の割合は幾らか、お尋ねいたします。
イ、我が国の国防費は現在GDPの何%に当たるか。
ウ、沖縄が他府県に比べ「特殊事情」が存在する間は我が国の国防費の安上がり分の相当額を沖縄振興策費として要求すべきであると思うが、所見を賜りたい。
次に、雇用・失業問題について伺います。
沖縄県における就業者数は復帰後着実に増加をいたしております。ちなみに昭和47年度から平成11年度までの就業者の増加率は沖縄県が55%に対し全国平均は25%にすぎません。また労働力人口を見ると、沖縄県が64%増加したのに対し全国は29%しか増加しておらず、結果として本県は就業機会は拡大はしたけれども、労働力人口の伸びに対応できないために現在のような高失業率となっていると理解をしております。
平成12年度の新規学卒者の就職状況を見ると、本県の場合、高校56.6%、短大60%、大学48.1%に対し、全国は高校が92.1%、短大が84%、大学が91.1%と大差があり、このことが若年層の失業率を増加させている要因であると思っております。
また、せっかく本土へ就職をしても50%の人がUターンを希望するなど厳しい雇用状況となっております。
このような状況にあっても、専門的技術者及び技術的職業に従事する労働者が不足しているという需給のミスマッチが生じていると言われております。
そこでお尋ねをいたします。
ア、沖縄若年者雇用開発助成金制度の活用実績はどうなっているか。また、助成期間等についてはどうなっているか、お尋ねをいたします。
イ、情報通信技術や高度で専門的な技術を有する人材の育成が緊急の課題であるが、対応を伺いたい。
ウ、沖縄県特別自由貿易地域に企業誘致のための各種優遇策が制度化されたが、企業立地の現状と今後の展望、それによる推定就労者数は幾らか。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。当局におかれましては、よろしく御答弁お願いいたします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後0時9分休憩
午後0時9分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
ただいまの仲里利信君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後0時10分休憩
午後1時31分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
午前の仲里利信君の質問に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 仲里利信議員の御質問にお答えいたします。
最初は、農業問題について、ポスト3次振計では品目別に農業粗生産額を幾らと設定するのか、その数値目標と根拠を示してほしいという御質問のお答えでございます。
3次振計における農業粗生産額は、計画時点に野菜、花卉等の県外出荷が順調に伸びていたことから、大きく発展が期待されるものとして目標値が設定されております。しかしながら肉用牛、葉たばこ等は順調に推移したものの、農産物の輸入増加や国内における産地間競争の激化、担い手の減少と高齢化などにより野菜、花卉、さとうきび等が低迷しています。
そのため、新たな沖縄振興計画においては、重点的に振興を図るべき品目として戦略品目と安定品目を位置づけ、地域特性を生かした活力ある農業の形成を目指す必要があると考えております。このことを踏まえ、ポスト3次振計における農業粗生産額の数値目標は、新たな技術革新を加味した地域別、品目別の生産計画や農家数、農用地面積等を総合的に勘案して検討していく考えであります。
次に、農業問題についての御質問の中で、拠点産地には施設の建設などの助成を行い徹底して差別化してはどうかということと、次の御質問の指定地域に対しては県及びJA沖縄から専門の技術者を常駐させることにしたらどうかとの御質問に対してお答えいたします。関連しますので一括してお答えいたします。
野菜、花卉、果樹の拠点産地形成に向けては、「農林水産業振興ビジョン・アクションプログラム」に基づき52の産地協議会が設立されております。産地協議会では、産地育成に当たっての技術問題、機械・施設整備及び集荷・販売上の課題を明確化することとしております。県においては、このような地域における主体的な取り組みを踏まえ、施設整備等に対する支援を優先的に実施しております。
さらに、農業試験場における革新的技術開発、農業改良普及センターにおける現場即応型技術の実証とあわせて専門技術員、普及員、JA指導員等関係者が連携した現地検討会を通したきめ細かな指導を実施しております。
同じく農業問題について、菊や洋ランがこの10年間生産が伸び悩んでいる理由と打開策を示してほしいというお答えでございます。
本県の花卉生産は、復帰後、冬春期の温暖な気象条件を生かし、菊等の県外出荷を主体に平成6年ごろまでは年々大幅に伸びてきました。しかしながらここ数年は国内外の産地間競争の激化や不況の影響による価格低迷、気象災害等により伸び悩みの状況にあります。
県においては、花卉の生産振興を図るため菊や洋ランを戦略品目と位置づけ、拠点産地の形成に取り組んでいるところであります。
具体的対策としては、1、気象条件に左右されない低コスト災害防止施設等の整備、2、革新的技術の開発・普及や優良種苗の安定供給による品質向上、3、冷蔵コンテナ導入による船舶輸送やJRコンテナを活用した新たな輸送ルート開拓などの輸送コスト低減対策を実施しているところであります。今後とも生産対策、技術開発及び流通対策などを積極的に推進していく考えであります。
次に、同じく農業問題のうち、薬用作物の研究体制と将来の展望、また重点品目を何点か示してほしいとの御質問のお答えでございます。
薬用作物については、近年、国民の健康意識の高まりから沖縄ブランドの商品化が期待される重要な作物と考えております。
県としては、薬用作物の生産振興を図るため、「農林水産業振興ビジョン・アクションプログラム」に基づきウコンを戦略品目として位置づけ、展示圃の設置を初め加工処理施設の整備など生産・流通・加工対策等を積極的に推進しております。
薬用作物の試験研究については、農業試験場の根茎作物研究室において平成8年度から実施し、ウコンの高品質・多収技術や台風対策などの成果が得られております。さらに13年度からはクミスクチンとハマボウフウについての試験を開始する予定であります。
また、新たな有望品目としてはアロエベラ、ボタンボウフウ、クミスクチン、ハマボウフウなどがあり、市場競争力等の条件が整い次第、戦略品目として位置づけていく考えであります。
次に、同じく農業問題のうち、県産マンゴーの品質向上を図るため産地指定を行い、各種の支援策を講じて生産振興につなげるべきと思うけれどもどうかという御質問に対するお答えであります。
沖縄県産マンゴ-は、外国産と比べて鮮度、品質ともにすぐれており高級贈答品として高く評価されています。
マンゴ-の粗生産額は、平成5年の6億9000万円から平成11年には14億6000万円と著しい伸びを示し、本県果樹農業を代表する品目の一つとなっております。マンゴ-については戦略品目として位置づけ、関係機関で構成する産地協議会の設置や農業近代化施設の整備等の関連施策を集中的に実施しているところであります。現在、マンゴ-の拠点産地としては豊見城村を認定しております。平成13年度には新たな地区を認定し、さらなる生産拡大につなげていきたいと考えております。
次に、同じく農業問題で、長寿世界一を支える食材としてシークワーサーなど本県特産果実を内外に宣伝してはどうかとの御質問にお答えします。
本県におけるシークワーサーの生産量は、平成9年には1300トン、10年に420トン、11年に1420トンと隔年ごとに増減を繰り返す不安定な状況となっております。このため、沖縄県果樹農業振興計画においては栽培管理技術の改善により安定生産を図ることとしております。
シークワーサーについては、昨年12月に生活習慣病を予防する成分が含まれているとのテレビ報道がなされ、全国的にも脚光を浴びております。県としては、ホ-ムペ-ジでもシークワーサーについて紹介しているところでありますが、パパイヤなどの特産果実についても栄養成分や機能性成分を重視した販売キャンペ-ンによる消費拡大を図る考えであります。
同じく農業問題について、肉用牛のさらなる生産拡大を図るためどのような支援が可能か、今後の飼育頭数目標を伺いたいとの御質問のお答えでございます。
肉用牛の飼養頭数は、平成11年12月末で第3次沖縄振興開発計画の目標頭数である8万頭を突破し8万897頭となっております。今後の飼養頭数目標としては、「沖縄県酪農・肉用牛近代化計画」に基づき平成17年度には10万4000頭を見込んでおります。
県としては、肉用牛の振興を図るため草地造成等の生産基盤整備を初め子牛価格対策、流通対策等を実施しているところであります。平成13年度からは、新たにスーパー種雄牛の導入など優良種畜の確保を積極的に推進していく考えであります。
次に、行政システム改革大綱の進捗状況についての御質問のうち、12年度から「新行政推進研修」を行って意識改革をするとあるが、その具体的な内容と実施の状況を伺いたいとの御質問のお答えでございます。
「新行政推進研修」は、行政評価システムの円滑な導入と着実な定着を図るための研修であり、本年度導入する40課を対象に昨年の8月から実践的かつきめ細かな研修を実施し、去る2月7日にはその研修成果の発表会を開催したところであります。
行政評価システムは、県の仕事の目的や成果を数値目標も含め県民にわかりやすく示すとともに、予算や人員を行政目的達成のための手段として位置づけ、業務の成果を検証・評価し、その結果を反映した見直しを行っていこうというものであります。今後、地方分権が進展し、地域の実情に応じた主体的な行政運営が求められており、同システムの導入により職員の意識が「手段主義」から「成果主義」に変わっていくものと期待しております。
同じく行政システム改革大綱の御質問のうち、「青年重役会議」を設けて知事と「青年重役」が「沖縄県株式会社」のあり方を自由に論議することにより、若手職員の意見やアイデアを引き出すとあるが、進捗状況はどうなっているかとの御質問にお答えします。
県は、平成12年3月に策定した「沖縄県行政システム改革大綱」において掲げている青年重役会議を沖縄次世代委員会という名称で平成12年12月に設置しました。
同委員会は、県政が抱える幾つかの課題について私が若手の職員や民間の方と意見交換を行うことにより今後の施策展開のヒントを得るとともに、職場の活性化や開かれた県政の推進に資することを目的としております。第1回目の委員会は去る2月13日に開催し、「自立経済実現のための人材育成のあり方」というテーマについて6名の委員が発表し、忌憚のない御意見をお聞かせいただき、自由濶達な意見交換を行いました。特に本県経済振興のためには21世紀の沖縄を担う人材の育成が急務であると考えており、この委員会において若い皆さんから積極的、建設的な意見が出てくることを期待しております。
次に、国発注の公共事業について、県内業者への優先発注を知事みずから国に対して行うことが望ましいと考えるがどうかという御質問にお答えします。
県は、雇用の促進、産業の振興と経済の活性化を図るため「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」を策定し、これを推進しているところであります。これまでも毎年知事名で沖縄総合事務局、那覇防衛施設局等国の関係機関に対して、県内企業の育成強化の立場から公共工事等の執行に際して格段の配慮方を要請しているところでありますが、今後とも機会あるごとに要請していきたいと考えております。
次に、沖縄経済振興21世紀プランについての御質問のうち、台湾、中国、韓国、ロシア、米国における国内総生産に占める国防費の割合は幾らかという御質問と、我が国の国防費は現在GDPの何%に当たるのかとの御質問と、我が国の国防費の安上がり分の相当額を沖縄振興策費として要求すべきであると思うがどうかというこの3つの御質問を一括してお答えしたいと思います。
英国国際戦略研究所の資料によると、国内総生産に占める国防費の割合は1998年において台湾2.6%、中国1.5%、韓国、ロシア及び米国はともに3.1%となっています。また我が国の国防費の割合は0.9%となっています。
3次振計後の新たな沖縄振興については、本県の地域資源や特性を生かし活力ある民間主導の自立型経済の構築、アジア・太平洋地域における交流拠点の形成、安らぎと潤いのある生活空間の創造及び基地の整理縮小と跡地の有効利用を図るため、より充実した新たな制度が盛り込まれるよう努めていきたいと考えています。
本県が抱える基地問題については、米軍基地は国の安全保障にかかわるものであり、その負担については日本国民が等しく引き受けるべきものであることから国民的課題として取り組まれる必要があるものと考えております。
次に、同じく21世紀プランのうち、若年者雇用開発助成金制度の活用実績、また助成期間についての御質問に対するお答えでございます。
「沖縄若年者雇用開発助成金」は、事業所の設置・整備に300万円以上の経費を要し、かつ新たに3人以上労働者を雇い入れた事業所に対し、30歳未満の若年者に支払った賃金の3分の1を3年間助成すること等を内容として本県のみを対象に平成9年度に創設された国の助成制度であります。これまでに72事業所が助成金の対象として認定され、若年者の雇用実績は1179人となっております。
現在、国においては雇用保険財政の悪化等を背景に全体的な助成金の見直しを行うとの方針が示され、この一環として沖縄若年者雇用開発助成金についても現行3年の助成期間の短縮等の見直しが行われる予定であると聞いております。
しかしながら、沖縄若年者雇用開発助成金は県内企業の事業拡大はもとより、新たに立地する多くの企業に活用され産業振興を通した若年者の雇用創出に大きく寄与しており、引き続きその活用を図っていく必要があると考えております。このため去る2月14日には厚生労働省等に対し現行の助成期間の維持等について要請したところであり、今後ともその積極的な活用が図られるよう努めてまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○農林水産部長(小那覇安優) 農業問題についてお答えします。
まず初めに、総括的な生産と販売管理はJA沖縄で担当してはどうかとの御質問にお答えします。
産地形成に当たっては、定時・定量・定品質の出荷が確保でき、市場や消費者から信頼される産地となることが重要であります。県では、定時・定量・定品質の出荷体制が確立できる産地として平成12年6月に「津嘉山のカボチャ」を含め7カ所の拠点産地を認定したところであります。
拠点産地の形成に当たっては、関係者で組織する産地協議会を設置し、それぞれの役割分担を明確にした指導体制を確立することにしております。
また、地域農業に対するJAの役割については、農家組合員に対する営農指導や生産資材の供給、組織力を生かした販売力の強化等を行うよう指導していきます。
次に、種苗等はサザンプラントで供給し、より広大な範囲を地域指定してはどうかとの御質問にお答えします。
株式会社サザンプラントは、野菜、花卉の種苗の開発、生産及び仕入れ・販売などを目的に平成4年に南部市町村、農協の出資により設立されております。
生産している種苗は、レタスを初めチンゲンサイ、ネギ、ゴーヤー、キュウリ等の野菜類、小菊、大菊等の花卉類となっております。
種苗供給については、沖縄本島内はもとより宮古、八重山地域も含めた全県域を対象に行っております。
また、「農林水産業振興ビジョン・アクションプログラム」に基づく拠点産地については市町村単位を原則としておりますが、品目によっては広域産地や集落レベルも認定していく考えであります。
次に、船舶に関しては復帰前に実施された外航船扱いを再現してはどうか、それから県負担のたばこ消費税を農産物や工業製品移出に助成してはどうか、それからたばこ消費税による助成措置が困難な場合は県の一般財源から助成してはどうかとの御質問は、関連しますので一括してお答えします。
大消費地から遠隔地にある本県において、輸送費用を軽減することは県外市場の拡大を図る上で大きな課題となっております。
そのため、農業団体では平成12年4月に国及び県に対して、また平成13年2月に国に対して輸送費用の軽減について要請を行っております。県では、農業団体の要請を受け、輸送費用の軽減策について御提案の件も含めて検討を進めているところであります。
輸送費軽減対策につきましては、今後とも国、県の関係部署、関係団体等とも連携しながら検討を重ねていきたいと考えております。
次に、法人設立の条件はどうなっているか、設立された法人に対する具体的な支援はどうか、また法人設立には積極的に関与するが後の面倒は見ないとの苦言もあるがとの御質問にお答えします。
さとうきび生産法人には農事組合法人、有限会社等があります。
設立条件は、農事組合法人の場合、構成員3人以上の農家で、出資金を必要とするが、制限・規制はありません。
有限会社の場合は構成員1人以上、出資金300万円以上で農業に従事していることが条件になっています。
設立された法人に対する支援としては、ハーベスター、トラクター、パワーショベル等の機械導入、農業基盤強化資金等の制度資金の融資を行っております。
また、法人等を対象に経営管理能力の資質向上を図るため機械研修、パソコン研修、労災保険研修などを実施しております。
次に、機械銀行の機械を県の助成によって買い上げ、生産法人に無償貸与し、利用料金の低減を図れば利用率も改善され、さとうきび作の拡大になると思うがどうかとの御質問にお答えします。
補助事業で導入した機械を県の助成で買い上げ、生産法人などに無償貸与することについては補助事業の運用上難しいものと考えております。
しかしながら、御指摘のとおりハーベスターの利用料金を引き下げ稼働率を向上させることは、機械化の推進上重要な課題であると考えております。このため県としては農地の利用集積による規模拡大、小規模圃場に対応した小型ハーベスターの導入を促進し利用料金の低減化に努めていく考えであります。
次に、農林9号が昨年全県的に黒穂病の被害に遭ったが、その実態と対策はどうなっているか、また農林9号の生産を中止すべしとの声もあるがどうかとの御質問にお答えします。
昨年、黒穂病が発生した圃場は、多くが長期間の株出し圃場でありました。
中部管内での発生状況は、発生圃場比率で33.3%(発生株率0.4%)、南部管内では発生圃場比率47.4%(発生株率6.5%)でありました。県としては、さとうきび生産対策振興協議会や農家と協力して被害株の抜き取り焼却を実施するとともに、種苗の消毒、多発生圃場では新植更新を実施するように指導を強化してきました。
農林9号は、県の奨励品種の中で黒穂病に弱い傾向にありますが、最も株出し栽培に適した高糖多収品種であります。当面は被害株の抜き取り焼却の徹底などを継続的に指導していきます。抵抗性品種の育成については、今後とも強力に取り組んでいく考えであります。
次に、県の奨励品種が多いため農家は品種選定に苦慮しており、地域に合った品種を奨励すべきとの考えもあるがどうかとの御質問にお答えします。
本県のさとうきびは、農林8号を初め13品種が奨励されております。
奨励品種の普及・指導に当たっては、株出し性、機械化適応性等の栽培特性を考慮しながら、各地域に適応した品種を選定し普及に努めております。県としては、今後とも各地域に展示圃場を設置し、市町村や製糖会社など関係機関との連携を図りながら農家のニーズにこたえるための品種選定・普及に努めてまいります。
次に、本島内におけるハーベスター利用による収穫が伸び悩んでいるが、その原因と対策はどうなっているかとの御質問にお答えします。
沖縄本島におけるハーベスターの収穫率が低いのは、圃場整備等のおくれ、小規模経営などに原因しているものと考えております。このため県としては生産基盤の整備、農地の利用集積による規模拡大、小型ハーベスターの導入等により機械化の推進に努めてまいります。
次に、翔南製糖管内に導入された集中脱葉装置は利用状況が低いが実態はどうか、また利用率を上げる方策はあるかとの御質問にお答えします。
翔南製糖管内に導入した集中脱葉施設の利用計画は、全搬入量の約60%を処理することになっております。平成11年度の利用率については、処理計画の約44%となっております。このため沖縄さとうきび振興組合が中心となってJA、地区原料員、農家に対して説明会の開催や施設ガイドブックの配布等関係者への普及・啓発に努めております。
次に、津嘉山カボチャは他産地の模範となると思うがどうかとの御質問にお答えします。
津嘉山のカボチャは、市場競争力の指標となる定時・定量・定品質を確保できる優良産地であることから、平成12年6月28日に県の拠点産地として認定したところであります。
東京都中央卸売市場における過去5年間のカボチャの平均単価は、キログラム当たり160円でありますが、津嘉山カボチャは350円と高値で取引されております。特に津嘉山地域においては栽培管理、病害虫防除、選果・選別の徹底など関係機関と生産者が一体となって20年以上にわたり一貫した生産活動を展開しております。
津嘉山地域における産地育成の取り組みは、他産地の模範となることから、その手法の普及を図り沖縄ブランドの確立に向けた産地形成に努めていく考えであります。
次に、他県産ニガウリの県外市場の流通実態と品質及び改善に向けた打開策はあるかとの御質問にお答えします。
ゴーヤーは、「長寿県沖縄」のイメージが定着するとともに、消費拡大キャンペーンが功を奏し年々需要が増加しております。それに伴い九州各県ともゴーヤーの生産に力を入れ始め、東京、大阪市場などへ出荷しております。
東京都中央卸売市場における平成11年度のゴーヤー入荷量は1210トンで、そのうち県産ゴーヤーは817トンで68%を占めております。
入荷時期については、本県産は5月から6月に集中し、九州各県は夏場が中心となっております。
本県産のゴーヤーは、消費者の強い嗜好性により価格的には高く評価されブランド化が図られております。県としては、ゴーヤーを戦略品目として位置づけるとともに、糸満市ほか4カ所で産地協議会を立ち上げ、拠点産地の形成に努めているところであります。
具体的な施策としては、共同栽培施設、低コスト災害防止施設、栽培技術の改善による増収及びJRコンテナを活用した輸送コスト低減対策等の実施を通じ、安定的で高品質なゴーヤーの生産出荷を促進しております。今後とも生産対策、技術開発、流通対策などを積極的に推進し生産拡大を図っていく考えであります。
次に、乳用牛については学校給食への県産生乳の100%使用を訴えてきたが、その実態をお聞かせくださいとの御質問にお答えします。
県内における学校給食用牛乳は、平成元年度までは輸入脱脂粉乳とバターによる加工乳が供給されてきました。平成2年度からは、児童生徒の体位向上と酪農振興を図るため加工乳に県産生乳を混合した供給を開始しております。平成5年度には15%、9年度には60%、11年度から12年度までは80%へと県産生乳の混合率を引き上げてきました。13年度においては、県酪農農業協同組合や学校給食会等関係者間で100%生乳で供給する合意が得られております。
次に、おがくず利用による豚舎の悪臭防止と堆肥化については数年前から実証試験が実施されてきたが、その後の経過と実績を伺いたいとの御質問にお答えします。
沖縄県畜産振興基金公社は、畜産環境対策の一環として平成5年度から7年度までの3年間にわたり2養豚場で「オガコ利用実験事業」を実施しております。
その結果、オガコ利用は悪臭の低減効果が高く豚舎からの尿汚水の排出もなく、環境対策としてすぐれた飼養方式であることが実証されております。また県畜産試験場においてはオガコを利用した悪臭発生防止効果を検証し、「セルフクリーニング式オガコ養豚技術」を確立しております。既に大里村や金武町内の養豚農家で当該技術が活用され、環境対策に効果を上げております。県としては、林業分野におけるオガコの安定供給体制と耕種分野における堆肥化技術を確立し、地域や農家の実情に合わせてオガコ式養豚技術の普及を図っていく考えであります。
次に、有用微生物利用による悪臭除去については多くの国で評価されていると聞くが、発祥の地である県はどのような評価をしているかとの御質問にお答えします。
近年、農村地域における都市化の進展により、悪臭問題を中心とした畜産環境問題が発生し、畜産農家ではその対策の一つとして有用微生物を活用している事例が見られます。特に養豚経営に起因する悪臭対策として有用微生物が利用されております。現在、各種の微生物資材が市販されておりますが、その効果については評価が分かれているのが現状であります。
また、県畜産試験場においては平成7年から9年に有用微生物による豚舎の悪臭低減効果試験を実施しておりますが、持続的な効果は確認できなかったとの報告があります。県としては、今後とも有用微生物資材の評価については検討する必要があると考えております。
次に、下水処理水利用畑地かんがい計画に基づく平成10年度以降の進捗状況はどうなっているか、今後の事業計画について伺いたいとの御質問にお答えします。
島尻地域の再生処理水利活用については、県単独予算による水質調査や生産者、消費者の意向調査等を平成7年度から平成9年度に実施してきました。平成10年度からは沖縄総合事務局が国営事業を前提として作物の実証栽培、土壌等の基本調査を行うとともに、有識者による技術検討委員会を設置し、事業化の可能性を検討しております。
事業化に向けての課題としては、作物や土壌への影響、農家や消費者のイメージ、経済的な施設計画、維持管理体制の整備、関係機関との調整、予算の確保などがあります。今後、これらの課題の解決に向けて国などの関係機関と連携を図りながら事業構想を検討していく考えであります。
次に、カンキツグリーニング病とはどういう病気かとの御質問にお答えします。
カンキツグリーニング病は、人工培養が難しい細菌病の一種で、蔓延するとかんきつ類に大きな被害を与えます。本病に感染すると果実は着色不良となり、樹勢が衰え枯死に至ります。この病気は、ミカンキジラミという昆虫の媒介と接ぎ木により伝染します。このため苗木等については植物防疫法により県外への移動が規制されております。
次に、県におけるカンキツグリーニング病の分布状況はどうなっているかとの御質問にお答えします。
カンキツグリーニング病は、昭和63年に西表島において2本のシークヮーサーで発生が初めて確認されています。その後の全県的な調査の結果、平成9年までに県内の広い地域で潜在的に発生していることがわかりました。現在、地域別の発生調査を継続的に実施していますが、新たな発見が続いております。
次に、カンキツグリーニング病の防除方法の確立はなされているかとの御質問にお答えします。
カンキツグリーニング病の防除対策は、樹木の伐採処分と媒介虫であるミカンキジラミの防除が最も有効な方法であります。県では、農薬によるミカンキジラミの適正防除を指導しているところであります。樹木の伐採については、所有者の同意を要するため啓発活動等地域別の広報活動を推進しております。
次に、カンキツグリーニング病防除の実績と予算化はなされているかとの御質問にお答えします。
カンキツグリーニング病対策については、平成9年度から国庫補助事業が予算措置されております。
発生状況調査と防除については、「特定重要病害虫特別防除対策事業」により地区別の取り組みを強化しております。また「総合的病害虫管理推進事業」により効率的な防除法、検定法の技術開発を強力に進めております。
防除実績といたしましては、平成9年度から11年度までの間に県内43市町村において調査を実施し、257本の樹木を伐採処分しております。今後とも引き続き取り組みを強化していく考えであります。
次に、カンキツグリーニング病に対する研究は台湾大学が進んでいるとの情報もあるが、共同研究等は考えられないかとの御質問にお答えします。
県では、毎年職員を台湾に派遣し、専門家との研究交流を推進する等緊密な連携をとりつつ防除技術の習得に努めております。
また、平成12年11月に開催された第7回中琉農林水産業交流会議において研修の受け入れ及び先進技術の提供について台湾側より了解を得ております。平成13年2月には、迅速な検定法などの技術習得のため農業試験場の研究員を台湾大学に派遣することとしております。
次に、2002年度実施の金融自由化に伴う対処策についての御質問で、現在、信用事業を実施している漁協はペイオフ解禁後も対処できるか、見通しを示してほしいとの御質問にお答えします。
本県の水産業協同組合は、沿海地区漁協が35組合、業種別組合が2組合、水産加工組合が1組合の計38の組合があり、そのうち12の漁業協同組合が信用事業を実施しております。
今回損失補償をする4漁協は、早期是正対策として平成12年度中に沖縄県信用漁業協同組合へ事業譲渡することになっております。また漁協の信用事業については資金規模の零細性、金融機能の未整備、組織体制の脆弱性等から多くの課題を抱えており、ぺイオフ解禁を控え経営基盤強化や経営の効率化を図る必要があります。
このことから、平成14年度までには「1県1信用統合体」にする計画であります。年次別には平成13年度に6漁協、平成14年度に2漁協を沖縄県信用漁業協同組合に事業譲渡する計画であります。
以上でございます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 沖縄県行政システム改革大綱の進捗状況の「お役所仕事」の解消についてお答えいたします。
「沖縄県行政システム改革大綱」において掲げてありますように、当該大綱実施期間中に「やさしさと暖かみのある行政サービスの提供」を行う「かりゆし行政サービス運動」に重点的に取り組むことにより、いわゆる「お役所仕事」を解消するとともに県の行政サービスの一層の向上を図っていきたいと考えております。
当該運動を推進するため、各部局の総務課長等で構成する推進会議を設置し、さらにかりゆし行政サービス運動のアクションプログラム(案)を策定するため、当該推進会議のもとに平成12年10月に県庁内のおおむね40歳以下の若手職員16人で構成する「かりゆしサークル」を結成いたしました。現在、「やさしさと暖かみのある県民応対」と「業務をもっと効率化しよう」の2つのテーマについて同サークルで検討を行っているところであり、今年度中にはアクションプログラムを策定する予定でございます。次年度以降は、そのアクションプログラムを実践することにより行政サービスの向上を図っていきたいと考えております。
次に、行政評価システムについてお答えいたします。
「新行政推進研修」は、行政評価システムの円滑な導入と着実な定着を図るための研修で、本年度導入する40課を対象に昨年の8月から実践的かつきめ細かな研修を実施し、去る2月7日にその研修成果の発表会を開催したところであります。現在、同システムを導入した40課においては、県のホームページへの掲載や行政情報センタ-での閲覧による県民公表へ向け取り組んでいるところでございます。
なお、新年度においては本庁すべての課について同システムを導入するとともに、本年度導入した課については内容の一層の充実を図るためフォローアップ研修を実施していきたいと考えております。
次に、縦割り的な行政の組織・機構の弊害をなくすことについてお答えいたします。
行政組織は、それぞれ所管する権限や事務が法令により決められていることから、他部局との連絡調整を十分行わないまま事業を遂行する場合があります。
県では、このような縦割り的な行政の弊害をなくすために施策の目的・内容に応じて事務・事業を大くくりし、一元化を図ることにより簡素でかつ効率的な組織の構築に努めているところでございます。例えば、平成13年度から福祉保健部が所管していた児童福祉部門と文化環境部が所管していた青少年健全育成部門とを福祉保健部に統合することによって、青少年の健全育成と児童家庭に関する総合的な施策の一元化を図ることとしております。
また、総合的な緑化行政を進めるため、農林水産部など関係部局職員で構成する横断的な組織を編成し対応しているところでございます。
次に、職員数について知事部局530人、企業局55人、教育委員会560人の職員数の削減計画についてお答えいたします。
「沖縄県行政システム改革大綱」に盛り込みました職員数の削減計画は、公社等への出向職員も含めた縮減を基本に平成12年度から向こう5年間の削減の数値目標を設定したものであります。具体的には地方分権による業務の国等への移管、児童生徒数の減少に伴う教職員定数の減が見込まれるもののほか、組織・機構の簡素合理化、職制のスリム化、業務の民間委託を推進することにより削減を図る予定でございます。
なお、教職員定数の削減については、同大綱策定後の状況の変化によりその見直しを検討する必要があると考えております。
次に、戦後処理に関する業務並びに基地問題等に対応する人件費等諸経費は国の負担で実施すべきではないかについてお答えいたします。
本県の基地問題等に対応する基地対策室、渉外労務管理事務所等の業務については、法定受託事務である渉外労務管理業務と県独自の基地対策関連業務とに区分されます。平成11年4月現在で渉外労務管理業務で130名、基地対策関連業務で29名、合計159名の職員が当該業務に従事し、人件費も含めた事業費は平成11年度決算で約18億6000万円となっております。
渉外労務管理業務につきましては、法定受託事務であることからその経費は基本的に国の負担となっており、基地対策関連経費につきましては地方交付税等で措置されております。
さらに、未買収道路用地取得など戦後処理関連経費につきましても国庫支出金や地方交付税で措置されているところであります。
なお、渉外労務管理業務につきましては、平成14年度から国の直接執行事務へ移管することとなります。
次に、県税の徴収率の向上についてお答えいたします。
県税の徴収率は、九州各県及び全国と比較して低いことから年次的に徴収率の引き上げを行い、平成16年度までに全国平均の96%台にすることを沖縄県行政システム改革大綱に盛り込んだものでございます。
徴収率の年次別数値目標については、軽油引取税の高額特殊滞納事案を除く通常分について年平均0.3%引き上げ、平成16年度までの5年間で全国並みの96%台に引き上げる予定でございます。
次に、バランスシートと損益計算予想書につきましてお答えいたします。
県はこれまでも予算、決算などの財政状況について公表してまいりました。しかしながらこれらの情報は現金収支の情報が中心となっており、これまでに形成されてきた資産やその調達財源である負債等のストック情報が不十分であったため、県民が県の財政状況を的確に把握することに必ずしも満足できるものではありませんでした。
このようなことから、県では行政活動を県民にわかりやすく説明するとともに、財政状況を的確に把握し、より明確なコスト意識のもとで行政運営を行っていく観点から、これまでの公会計による財政分析に加え、企業会計の考えを取り入れることについて検討を重ねてまいりました。今回公表したバランスシートは、自治省が平成12年3月に示した作成方法を参考に作成したものでございます。
本県のバランスシートの特徴として、1つは本土復帰後に整備された資産の多くが土木、農林水産、教育施設で全体の90%以上を占めていること、2つ目にこれらの資産の整備に係る財源の多くが国庫支出金で賄われていることであります。これは本土復帰後、空港、港湾などの社会資本が沖縄振興開発特別措置法の高率補助に基づき重点的に整備されてきたことによるものであります。
また、中期的な視点での損益計算予想書につきましては、県税や地方交付税などの歳入の動向を予測することが難しい面はありますが、現在、平成13年度当初予算案を基準として平成17年度までの向こう5カ年の県財政の中期見通しの作成に取り組んでいるところであり、早い時期に公表してまいりたいと考えております。
○病院管理局長(新田宗一) 行政システム改革大綱に関する御質問の中で、県立那覇病院を対象にTQMを実施する考えはないかとの御質問にお答えいたします。
県立病院事業は、現在、第3次沖縄県病院事業経営健全化計画に基づき経営健全化に向けて積極的に取り組んでいるところであり、各病院においては職員の意識改革と業務改善等を図るためQCサークル活動についても活発に行っているところであります。また県立那覇病院においては医療の質の向上を図るため、平成11年度に第三者審査機関である財団法人日本医療機能評価機構による病院機能評価を受審し、その認定を受けたところであります。
このことを踏まえ、今後同病院において患者ニーズに的確にこたえながら医療サービスの質の向上を図り、地域住民が安心して暮らしていける医療を提供するためTQMの導入に向けて検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 米軍基地のない市町村に対する振興策についてのうち、南部圏域に世界一流の国立理工科系大学を設置することについてお答えいたします。
本県の産業の振興を図るためには、理工科系の人材の育成が重要な課題であると考えております。
大学の設置につきましては、文部科学省の「大学設置に関する審査の取扱方針」で抑制的に対応することとなっていること及び国立大学の独立行政法人化の問題など新たな国立大学の設置については厳しいものがあります。
しかしながら、第3次沖縄振興開発計画総点検報告書においても理工科系学部の拡充の促進や時代のニーズに対応した特色ある学部学科の新設等が課題となっており、今後、沖縄振興新計画策定の取り組みの中で高等教育機関の充実について検討してまいりたいと考えております。
次に、米軍基地のない市町村に対する振興策について、県立によるヘルシーリゾート構想の実現を図ることについてお答えいたします。
健康・保養をテーマとする保養地としての整備を図ることは、本県の観光が目指す方向の一つであり、ヘルシーリゾート計画はこの方向に沿った地域計画であると認識しております。
当該構想については、その具体化に向けてヘルシーリゾート計画事業化方策調査委員会において検討が行われており、県としては本県の観光振興及び南部地域の活性化を図る観点から、どのような支援が可能か引き続き関係町村とも話し合いながら検討してまいりたいと考えております。
次に、同じく米軍基地のない市町村に対する振興策について、ポスト3次振計では現在の中南部圏域を中部圏と南部圏に分離することについてお答えいたします。
沖縄振興新計画における圏域については、地域の特性や各市町村相互の機能分担、連携の必要性、交通基盤の整備状況等を考慮しながら、地域振興が効果的かつ効率的に展開できるよう設定したいと考えております。中南部圏域については、県人口の82%の集中や圏域を形成する地域間の経済的なつながり、地域連携のあり方など勘案しつつ、中部圏域と南部圏域との分離も含めて圏域設定の検討をしていきたいと考えております。
次に、沖縄経済振興21世紀プランについて、戦略産業振興の内容と関係者の自立化に向けた努力とは何を意味するかについてお答えいたします。
沖縄経済振興21世紀プランで示されたシミュレーション分析における戦略産業振興の内容は、観光・リゾート産業及び情報通信産業の振興、自由貿易地域制度の拡充、高度な人材育成及び研究機関の設立等となっており、空港等の基盤施設の整備とあわせて国内外企業の県内への投資が増大することを想定しております。
また、関係者の自立化に向けた努力とは、行政部門においては民間ではなし得ない道路、空港、港湾等の産業インフラの整備や創業の支援等民間活力を引き出すための環境整備であり、民間部門においてはこのような環境を活用して自立型経済への取り組みの主役としての積極的な産業経済活動の展開であると位置づけられております。
次に、同じく沖縄経済振興21世紀プランについて、民間主導型経済の構築で将来展望が開かれるのか疑問であるについてお答えいたします。
本県の経済構造は、産業振興が立ちおくれたため財政依存度が高く、民間部門のウエートが低い脆弱なものとなっております。
21世紀プランで示された分析においては、戦略産業の振興を図ることにより成長率が上乗せされ、完全失業率及び財政依存度ともに低下するとの見通しを示しております。このため本県の自立的経済発展に向けては、観光・リゾート産業、情報通信産業及び加工交易型産業等の戦略的分野における民間企業の市場競争力の強化を図るとともに、中小企業の振興や新規事業の創出支援等を推進し、民間部門の拡大を図って安定した経済構造をつくることが重要であると考えております。
○土木建築部長(銘苅清一) 4番目の国発注に係る公共工事の県内企業への優先発注についてのうち、県建設業協会から国関係発注機関に対し要請するよう依頼があったが、その後の対応について伺いたいとの御質問にお答えいたします。
平成11年11月の沖縄県建設業協会長からの要請の内容は、1点目には、国の関係機関で設定されている発注標準を沖縄に限定した発注標準として新たに設定すること、2点目に、入札参加の資格要件の緩和をすること、3点目に、分離・分割発注をすること、以上の3点について県から国に要請していただきたいということであります。
沖縄県建設業協会長の要請に対して、平成12年2月に沖縄総合事務局、那覇防衛施設局、地域振興整備公団那覇都市開発事務所及び日本道路公団沖縄管理事務所へ県内企業者の受注機会の拡大について知事名で要請を行っております。
次に、県選出国会議員に国政の場から県内企業への優先発注を働きかけることについてどう考えるかの御質問にお答えいたします。
本県は、本土との格差是正のため3次にわたる沖縄振興開発計画に基づいてこれまで良質な住宅、社会資本整備を鋭意推進してきたところであります。
本県の自立経済及び産業振興を図るため、公共工事の実施に当たっては、地元建設業者の技術力の向上や育成・強化を図ることも重要であります。県は、県内企業の施工可能な工事については基本的には県内企業に優先的に発注し、また高度の施工管理を必要とする技術的難易度の高い工事や一定規模以上の大規模工事等については、県外企業と県内企業の共同企業体に発注する等県内企業優先発注に努めてきたところであります。
御提案の県内企業優先発注をさらに強化することについて国政の場で議論することは意義があるものと考えております。
同じく3番の沖縄に限定した発注標準の中に「沖縄県内に本社のある企業」を入札参加業者とする旨特約をつけることについてどう考えるかの御質問にお答えいたします。
発注標準は、良質な住宅、社会資本を整備するに当たって適切な施工を確保するため施工能力等に応じランクごとに定めている基準であります。
御指摘の沖縄に限定した発注標準の中に「沖縄県内に本社のある企業」を入札参加業者とする旨の特約をつけることについては、発注標準の趣旨にそぐわないものと考えております。
次に、国発注に係る建設工事で共同企業体いわゆるJVの場合の構成比率を50対50とすることについての御質問にお答えいたします。
国及び全国の都道府県では、中央建設業審議会の建議を受け、共同企業体の結成方法については自主結成と定められており、また出資比率については最小の出資比率を2社の場合30%、3社の場合20%とすることとしております。
御質問の出資比率を50対50とすることについては、共同企業体を結成するときに構成員が自主的に定めることになっております。
以上でございます。
○商工労働部長(當銘直通) 2002年度実施の金融自由化に伴う対処策についてのペイオフ解禁の実施を延期させるよう国に働きかけること、また新法の中での位置づけが必要になると思うがどうかにお答えいたします。
御承知のとおり、2001年4月に予定されていたペイオフの解禁は、預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について検討する中で、預金者の混乱を避けるためペイオフの解禁を1年間延長し2002年4月から実施されることになっております。
このペイオフの解禁は段階的に実施され、まず2002年4月に定期預金、積立預金等の定期性預金が解禁され、それからさらに1年後の2003年4月から当座預金、普通預金等の決済性預金も解禁され、ペイオフが全面的に解禁されることになっております。
国におきましては、金融機関の国際競争力の強化や国際的な信用という観点からも、2003年4月以降はペイオフ制度の原則に戻り、同制度への理解を求めていくこととしており、国への再延長の働きかけは困難であるものと考えております。
なお、既に県内の金融機関におきましてはペイオフ解禁を控え、経営基盤の拡充・強化や経営の効率化を図るよう努めているところであると聞いております。
次に、沖縄経済振興21世紀プランについてのうち、国の発注する大型工事はほとんど本土の大手ゼネコンで実施している現状をどのように認識されるかについてお答えいたします。
県は、県内需要の創出による経済の活性化を促進するため公共工事の円滑な執行を図るとともに、厳しい経営環境にある県内企業の育成・強化を図ることを目的に「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」を策定し、その推進に努めているところであります。本方針に基づき県が発注する公共工事については、分離・分割発注を行うことなどにより県内企業への優先発注や資材等についての県産品優先使用を推進しているところであります。
また、国等に対してはこれまで県内企業への優先発注を要請したところでありますが、本方針のさらなる実効を期するためには国等がその趣旨を十分理解し、県内企業への優先発注を積極的に推進することが肝要であると考えております。このような観点から県としましては国等に対し、本方針に準じた対策を引き続き要請していきたいと考えております。
次に、同じく経済振興21世紀プランについての情報通信技術や高度で専門的な技術を有する人材の育成が緊急の課題であるが、対応を伺いたいについてお答えいたします。
本県の雇用情勢の改善を図るためには、産業を振興し、雇用の創出を図ることとあわせて企業のニーズに的確に対応した人材の育成が急務であり、とりわけ情報関連産業の立地が相次ぐ中、情報関連技術者の育成が求められています。このため県におきましては財団法人雇用開発推進機構等との連携を図りつつ、情報産業人材育成支援事業、若年者職業能力開発支援事業、テレビジネス産業等人材育成事業及びコールセンター産業等就職促進事業等を実施し、情報産業に必要な人材の育成を図っているところであります。
一方、県立の職業能力開発校においては時代のニーズに対応した訓練科目の見直しやインターネットの導入等訓練内容の充実を図るとともに、平成13年度には情報システム科を新たに設置する等情報化に対応した職業能力の開発に努めてまいります。
また、雇用・能力開発機構立の沖縄職業能力開発大学校においては、より高度な専門的技術者の育成を図るための生産情報システム技術科の設置が計画されております。今後とも本県経済の自立的発展を担う人材の育成に積極的に取り組んでまいります。
次に、同じく経済振興21世紀プランのうち、特別自由貿易地域に企業誘致のための各種優遇策が制度化されたが、企業立地の現状と今後の展望、それによる推定就労者数はどうかについてお答えします。
特別自由貿易地域は、本県の貿易の振興及び企業立地の促進を目的に設置されたもので、県では同地域に適用される優遇措置を活用して積極的に企業誘致を行ってまいりました。その結果、3社が立地し既に操業を開始しており、去る12月には賃貸工場に1社の入居が内定し現在操業に向けた取り組みが進められております。
同地域に進出した3社の雇用者数は、平成13年1月末現在で30名となっており、操業3年目となる平成14年度には70名程度に増加するものと見込まれております。現在、企業誘致説明会や企業訪問等により特別自由貿易地域への進出に関心を示している10数社の企業に対し事業計画等の調整を行っているところであり、これらの企業の早期立地を促進するとともに、今後とも積極的に企業誘致活動を行い企業の立地と新たな雇用の場の創出に努めてまいります。
なお、同地域への企業の立地とそれによる推定雇用者数につきましては、平成11年3月に策定した「特別自由貿易地域中城湾港新港地区基本計画」の中で、本地域全体に企業が立地し、かつ生産活動が軌道に乗ると想定する平成20年に事業所91社が立地し、それによる雇用者数は約6000人と推計しております。
以上でございます。
○嘉陽 宗吉 自民党を代表して私見を述べながら代表質問をいたしたいと存じます。
初めに、稲嶺知事が就任いたしましてはや2年余がたちましたが、知事就任以前までは県と国との信頼関係に大きな溝ができ、遅々として進まなかった沖縄政策協議会が再スタートしたこと、SACOの合意による基地問題の促進、経済振興や雇用の創出等のさまざまな施策を展開し、特に20世紀を締めくくる節目の年に昨年は九州・沖縄サミット首脳会合の開催、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界遺産登録、上海直行便の開設、石垣空港の位置の決定等々大きな事業が遂行されました。
このことは私たち県民にとって大きな誇りであり、21世紀に向かって沖縄発展の礎をしっかり据えていただいた実績は県民ひとしく高く評価するものであります。
21世紀の初頭、まさに沖縄が我が国の南の玄関として自立経済の振興発展やアジア・太平洋地域、そして世界に向かって大きく飛躍発展する諸課題が山積をいたしております。
かかる時期に稲嶺知事におかれましては、沖縄丸のかじ取りとして今後一層の御奮闘と御活躍を祈念申し上げる次第でございます。
それでは通告に従い、順を追って質問を行います。
1番目に基地問題についてでございますが、(1)、アール・ヘイルストン四軍調整官の電子メールによる中傷問題については、去る1月9日に発生した在沖米軍兵士による女子高校生への強制わいせつ事件に関する1月19日の県議会の抗議決議に対し、在沖米軍の最高責任者であるアール・ヘイルストン四軍調整官が稲嶺知事や金武町長、県議会に対し、部下に送った電子メールの中で、名指しで「頭の悪い弱虫」という全く130万県民を侮辱した電子メールによる中傷問題、そして三権分立のルールをわきまえない占領意識丸出しのこの姿勢は、まさしく県民感情を逆なでする何物でもありません。県民の一人として言葉は適切ではないかもしれませんが、腹を切れと言いたくなるような思いであります。
しかしながら「災い転じて福となす」という言葉がございます。これを契機に視点を変えて基地問題にかかわる諸問題、課題の早期解決を日米両政府に真剣に訴える機会にしていただきたいとこういうふうに考えます。今回の事態について知事の思いをお聞かせいただきたいと思います。
(2)、普天間基地の跡利用基本計画策定の促進についてでございます。
普天間基地の移設時期については未定でありますが、移設先の問題を目下関係機関で精力的に進めております。やがてその方向性が見えてくる感じがいたしております。膨大な基地が動くことによってその跡利用計画をどう進めていくのか、今後の最重要課題でございます。
宜野湾市を初め地主や関係団体の声を十分に反映しつつ、活性化の軸足をしっかり見据えながら、同時に国の支援体制を確立した上で跡利用基本計画策定を早急に促進する必要があると考えます。
そこで次の点についてお伺いをいたします。
1点目に、普天間基地の跡利用基本計画の青写真は今どういうふうになっておりますでしょうか。
2点目に、跡利用基本計画の策定に当たっては市を初め地主や関係者との合意形成が重要でありますが、現在の進捗状況はどのようになっておりますでしょうか。
3点目に、基地返還の時期と跡利用計画策定の目標年次の設定はどの時点を想定しているのか。
(3)、普天間基地移設先の場所選定、規模や工法の基本的な方向性についてでございます。
移設先の諸問題の決定については代替施設協議会の中で行われるものと思いますが、同協議会に臨む基本的な方針については県、名護市、地元3者が常に協議を重ね、しっかりした方向性を持って沖縄の考え方を前面に打ち出していく姿勢が大事なことと考えます。
そこで次の点についてお伺いをいたします。
1つ、代替協におけるこれまでの状況について御説明をいただきたい。
2点目に、県、名護市、地元との具体的な調整はどのように進んでいるのか。
3点目に、移設先の場所選定、規模、工法等については県が主体性を持って取り組んでいただきたいと思うが、いかがなものでしょうか。
次に、爆音被害公平補償の問題についてでございます。
嘉手納基地爆音訴訟判決にかかわる公平な被害補償問題については、平成10年5月22日に基地周辺6市町村住民906名が米軍機の飛行差しとめと爆音被害による過去、将来の損害賠償等を求めたもので、原告団参加者のうち、うるささ指数75デシベル以上の地域に居住する方々への過去分損害賠償が確定され、既に補償がなされております。
しかしながら、同一条件にありながら原告団に参加していない方々への補償がなされず、関係者が立ち上がって公平補償を求める会が平成12年11月に結成され、目下その活動が展開されていることは御案内のとおりでございます。
このことは、当然に国の立場として公平公正な補償をする義務と責任があり、決して片手落ちの行政であってはならない極めて重要な問題であり、関係者の常識的な権利の主張であると考えます。したがって県といたしましてもこの問題を積極的に国に対し要請すべきものと思います。
そこでお尋ねをいたします。
(1)つ、公平補償問題について知事の御所見を承っておきたいと思います。
(2)、県はこれまで国に対しどう対処してきたのか、お伺いをいたします。
(3)、対処した経緯があればその状況を御説明いただきたい。
(4)、実現の見通しについて承りたい。
3番目に、医療行政についてでございます。
(1)、基幹病院構想と高度多機能病院構想についてでございます。
第3次振計の中で位置づけされた基幹病院構想については、三、四年前に場所選定問題で大きく揺れ動いた経緯があり、最終的には財政的な理由で位置づけが難しく棚上げとなりました。現在、県立那覇病院の老朽化に伴う改築と併置する形で高度多機能病院構想が新たに進められておりますが、基幹病院との整合性について経過を踏まえて具体的に御説明をいただきたいと思います。
また、高度多機能病院の今後の事業計画と進捗状況についてもお伺いをいたします。
(2)、中部病院の改築に伴う今後のスケジュールについてでございます。
中部病院の改築工事も順調に進捗しておりまして、地域の大きな期待を担って新たな医療施設としていよいよ来る6月に完成予定となっております。オープンに向けまして350床の入院患者や医療機器の移動には細心の注意を払って完璧な手順で実施をされなければなりませんが、今後の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
(1)つ、オープンに向けての具体的なスケジュールについて御説明をいただきたい。
(2)、新病棟への医療機器更新の規模について御説明をいただきたい。
(3)点目に、旧病棟の解体作業の時期はいつごろを予定しておりますでしょうか。
(4)、県道75号線沿い病院前バス停付近の公衆トイレの設置についてでございますが、バス停で待機する方々はほとんどが中部病院関係者が多く、これまでは院内のトイレを使用していたのですが、病棟解体後は大変不便を来すことになります。したがってバス停近くに公衆トイレの設置が必要と思いますが、いかがでしょうか。またその計画の有無についてもお伺いをいたします。
中部病院における嘱託医の過労死についてでございます。
この問題については、先月の1月24日、琉球新報朝刊に「嘱託医が過労死か」のトップの見出しで、また沖縄タイムス夕刊では「医師が心筋症で急死」と中部病院の耳鼻咽喉科の嘱託医師の急死が報道されたのはいまだに脳裏に鮮明に残っております。
なぜ若い医師が急死をされたのか原因については詳細なことはわかりませんが、少なくとも過重労働による急死ではないかと指摘されております。同科は、2人体制で救急患者発生時には24時間の勤務体制、また同医師は年末年始も勤務を続け、死亡する前日まで実に16日間も連続勤務されていたようでございます。
いずれにしても、近年医療現場におけるさまざまな問題が惹起をしており、県民が安心して十分な医療サービスが受けられるような医療体制の確立が急を要する今日的課題であると考えます。
そこで次の点についてお尋ねをいたします。
(1)、県は速やかに医師の勤務状況を調査し、その実態を明らかにしていただきたい。
(2)、病院全体の医師の適正配置の基準はどのようになっているのか、またバランスを欠いていないか、現状について御説明をいただきたい。
(3)点目に、過重労働を改善するための医師の定数増についてどのように考えているか。
(4)点目に、県当局と県立各病院との連絡調整のための定期的な会合は持たれているのでしょうか。
4番目に、福祉行政とボランティア活動の推進についてでございます。
政治、経済、教育、文化の社会構造が時代の進歩とともに変わっていく中でそれに即応するために人間の物の見方や考え方、あるいは社会的価値観が大きく変化していくのは理の当然であり、そのため行政の対応と果たす役割は大変重要になってまいります。
今日のように、急速な少子・高齢化社会の進展に伴って社会のニーズはますます多様化、細分化していく中で真に心の通い合う人間性豊かな福祉社会、明るく住みよい地域社会を構築するためには、社会福祉施策と相まって県民の一人一人が福祉の担い手としての自覚のもとにボランティア活動に積極的に参加することが大切だと思料いたします。
人間、この世に生を受けた者は、何人であれ法のもとで平等であり幸せをひとしく享受する権利を有するものですが、世の中には思うに任せない社会的弱者がおられます。このように恵まれない人たちが少しでも私たち健常者と同等の社会生活が送れるような福祉社会の実現とボランティアの育成が重要であり、特に本県は長寿県であるところから行政の今後の大きな政策課題であると認識をいたしております。
そこで次の諸点についてお尋ねをいたします。
(1)、ボランティア活動は欧米では当たり前のように国民がみずから進んで行われているとよく言われておりますが、沖縄の現状はどのようになっているのでしょうか、具体的に御説明をいただきたい。
(2)番目に、組織、活動内容、そして他府県と比較して沖縄の実態はどのようになっているのでしょうか。
(3)点目、小・中・高校生のボランティア活動の実態についても御説明いただきたい。
(4)点目に、児童生徒に対するボランティア活動のカリキュラム化についてでございます。
沖縄県は世界一長寿県と言わせていただきますが、昔から沖縄の風土として「ユイマール精神」と言われてきたすばらしい伝統があるわけで、これは一朝一夕にしてできたものではないと思います。家庭環境や社会風土の中で幼少のころから自然的に身についたものだと思います。このユイマール精神を継承していく観点から、沖縄の特色ある教育の一環としてボランティア活動をカリキュラム化して推進していくことによって子供たちの責任と自覚をはぐくむことでいじめや不登校、学級崩壊等を未然に防止することにつながっていくものと考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。
(5)点目に、今後の福祉行政とボランティア活動の推進並びに支援体制の確立について御所見を賜りたいと思います。
(6)点目に、本県のNPOの現状と活動内容について御教示をいただきたいと思います。
5番目に農業問題でございます。
(1)点目に糖業振興についてでございます。
さとうきび生産は、戦前戦後を通して沖縄の基幹産業としての地位を保持し、沖縄経済を支えてきた貢献度は自他ともに認めるところでありますが、近年野菜、花卉への作目転換や農業従事者の高齢化により減少傾向で推移をし、生産高は平成元年度の約178万トンから、平成11年度は約96万トンと激減の傾向を示しております。
その原因は種々の要素が考えられるわけでございますが、1点目に生産者の高齢化が進んでいること、2点目に若い後継者が少ないこと、3点目に農業所得がサラリーマンと比較して低いこと、4点目に収入が不安定であること、5点目に零細規模であること、6点目に機械化がおくれていること、そして7点目に台風や干ばつによる被害の問題あるいはかんがい排水施設や土地基盤整備の促進、そしてさらには支援体制の確立等々が列挙されます。
以上の諸課題を踏まえて、今後の生産振興策を推進していくことが重要であると思料いたします。
そこで次の点についてお尋ねをいたします。
(1)、さとうきびの生産振興を図るためには、農家が意欲を持って生産に取り組める振興策の展開が必要と考えますが、その取り組みについてはどのようになっているでしょうか。
(2)、本県のさとうきび栽培農家の1戸当たりの面積は1ヘクタール未満が約8割を占め極めて零細となっております。このため農地の利用集積による規模拡大が必要と考えますが、その取り組みについてどのようになっているでしょうか。
(3)、県は、さとうきび作の振興を図るため平成10年度からさとうきび・糖業再活性化事業を実施しているが、その成果と今後の取り組みについてどのようになっているのか、お伺いいたします。
(4)、沖縄のさとうきび生産の現状からして、今後の生産性向上を目指すには行政の抜本的な施策の展開と生産農家に対する支援体制の確立が不可欠であると考えますが、御所見を承りたいと思います。
さらにお尋ねいたしますけれども、本島の製糖工場は翔南と球陽の2社がございます。将来展望としてさとうきび生産・糖業の安定と健全な経営基盤を確立する観点から、本島1工場の計画はあるのかどうか。
また、球陽製糖は来期から具志川の経済連製糖工場で操業するようでありますが、その状況把握について御説明をいただきたいと思います。
次に、県単一JA構想についてでございます。
本県JAグループの組織、事業改革21世紀ビジョンとして信連、経済連、全JAの統合による本県単一JA構想が打ち出されております。
このことは、急激な経済情勢の変化の中で的確に対応し得る本県JAグループの組織、事業経営のあり方については、我が国唯一の亜熱帯の地域特性の発揮、離島県としての農業生産条件の不利性やJA経営基盤の脆弱性の克服、本土復帰以降のJA組織、事業面での本県独自の歴史と経緯等の観点から本県単一JAとする組織改革の必要性が提起をされております。
そこで次の点についてお尋ねをいたします。
(1)、同構想に対する信連、経済連、JAの合意形成はどのようになっておりますでしょうか。
(2)点目に、合併が予定されている信連、経済連及び各JAの過去3年間の経営状況についての御説明をいただきたい。
(3)点目に、県単一JA構想について県は今後どのような指導助言をしていくのか、基本方針について御説明をいただきたい。
(4)、公的資金の導入の有無についてお伺いをいたします。
6番目に、教育行政についてお尋ねをいたします。
(1)点目に、IT革命と人材育成についてでございます。
21世紀のリーディング産業の一つとしてIT革命の急速な進展により社会のあらゆる分野でのIT活用が時代のニーズとしてその対応が求められております。国の支援によって「沖縄国際情報特区構想」が立ち上げられ、コールセンターを中心に情報通信産業等の企業39社が立地をすることになりまして、その結果として2600人余の雇用が新たに創出をされてきました。
しかしながら、その求人の際にせっかくの雇用機会がありながらIT技能を有する人材が不足している状況にあったわけでございますが、このことは今日でもIT関連企業の求人ニーズはあるが、それに見合う技能者が少ないと言われております。このような現状にかんがみ、IT革命に対応できる人材の育成が急務であると考えます。
そこで次の諸点についてお尋ねをいたします。
(1)番目に、小・中・高校におけるコンピューターの設置の状況及び授業の持ち方と指導方法についてでございます。
(2)点目に、子供たちの授業に対する関心度と習熟度について御説明をいただきたい。
(3)点目に、設置されているコンピューターの活用状況について御説明をいただきたい。これは特にコンピューターを設置をしたけれども、その中で遊休化しているものがないかどうかということでございます。
(4)点目に、新年度予算にIT教育センター、これは仮称でございますが、建設費として約10億円計上されているが、まことに時宜を得た施策の展開であり敬意を表するものでございます。この施設の役割と運用について伺っておきたいと思います。
次に、生徒指導指針の改訂についてでございます。
このたび教育庁の「生徒指導の指針」が改訂されましたが、この中で児童生徒の人権や個性を尊重した生徒指導、また新たに「体罰によらない生徒指導」の推進が打ち出されております。
今、学校現場はいじめや不登校、校内暴力、学級崩壊、体罰等々さまざまな問題を抱え、次代を背負って立つ子供たちの将来が心配される世相であります。特に体罰の問題については、指導する立場にある教師の児童生徒に対して人権や個性を尊重する中で常日ごろの学校生活を通して真剣に心を通わす姿勢が大事でございます。信頼関係を構築する環境づくりと指導する教師の自覚を促すとともに、同指針の実効性に期待するものでございます。
今回の改訂について教育長の御所見を賜りたいと思います。
さらに、中高一貫教育の推進についてその成果と今後の取り組みについてもお尋ねをいたします。
7番目に、国道329号沖縄バイパスの早期整備についてでございます。
当該道路については、中部地域と北部、南部地域を連結する重要な骨格路線として位置づけられ、近年交通量の増加に伴い国道329号は慢性的な交通渋滞を余儀なくされているのが現状でございます。具志川市や沖縄市の市域内の道路網が整備をされていく中で、今後特に中城湾港(新港地区)の完成に伴い広域的な経済活動、交流を支援する視点からアクセス道路の整備が急務であります。当該道路の整備促進につきましては具志川市や沖縄市からも既に陳情要請がなされていると思いますが、地域の緊急性を御賢察賜り、早期整備の実現方について特段の御尽力をお願い申し上げる次第でございます。
そこでお尋ねをいたします。
(1)番目に、当該事業を進めていく上で現在一番の問題点は何でしょうか。
(2)点目に、当該事業計画の最初の段階でこの工事がスムーズに遂行できるような全線の諸手続はとれなかったものか、お伺いをいたします。
(3)点目に、国はいつでも予算措置は可能とのことでございますが、今後県の対応が求められておりますが、早期着工の方策はないものか、今後の見通しとあわせてお伺いをいたします。
以上でございますが、御答弁をいただいた後に必要があればまた再質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの嘉陽宗吉君の質問及び質疑に対する答弁は、時間の都合もありますので休憩後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後3時12分休憩
午後3時35分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
休憩前の嘉陽宗吉君の質問に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 嘉陽宗吉議員の御質問にお答えいたします。
最初に基地問題について、四軍調整官の問題発言についての知事の胸中を聞きたいとのお答えでございます。
今回のEメールは、ヘイルストン中将が配下の各部隊司令官に対し、事件・事故の再発防止に向けてさらなる綱紀粛正の強化を求めるために発せられた私的な内部文書であると理解しております。
しかしながら、その内容は議会制民主主義における知事等の執行部と議会が独立して機能するという両者の関係について正しく理解しておらず、また米軍基地に関する沖縄の歴史的背景や県民の思いに対する配慮が欠けていると言わざるを得ない部分が含まれており、極めて遺憾であります。
今回の件に係るマスコミ報道があった去る2月6日、私は本問題に関するコメントを発表し、ヘイルストン中将の認識不足を指摘し不快である旨表明しました。
また、去る2月8日にヘイルストン中将が直接県庁に来て、私や伊良皆県議会議長を含め関係者及び県民に対し謝罪した際にも強い遺憾の意を表明するとともに、在沖米軍の責任者としての発言には、県民の心を理解し十分注意を払うよう重ねて強く申し入れたところであります。
県としては、今後ともヘイルストン中将を初め米軍人等が沖縄の戦後の歴史的背景や県民の心をよく理解し、事件・事故の防止を初め県民の基地負担の軽減を図るため積極的に取り組むよう強く求めるとともに、あわせて三者協やワーキングチーム等の枠組みを通して関係者が相協力して基地問題の解決促進に努力したいと考えております。
次に、基地問題について、県、名護市、地元との具体的な調整はどう進んでいるのかという御質問と、移設先の場所の選定、規模、工法等について県が主体性を持って取り組んでほしいと思うがどうかと、2つの御質問に一括してお答えします。
代替施設協議会は、これまで5回開催されたところであり、協議内容については名護市から地元3区(名護市3区合同委員会行政連絡会議)に説明されております。
次回以降の協議会においては、多角的、総合的な視点から検討を行うことになっており、次回の協議会では基本計画策定に必要な主要事項全般についての意見交換を行うことになっております。県としては、第2回代替施設協議会において説明した軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけを踏まえ、滑走路については中型ジェット機が就航可能となるようにしたいと考えております。
また、移設先及び周辺地域の住民生活に著しい影響を与えない施設計画とし、住民生活への配慮や自然環境への影響を極力少なくすることや、代替施設の民間機能を地域産業の拡大や新たな産業の創出につなげ、地域経済発展の拠点を形成すること等について名護市及び東村、宜野座村と連携し取り組んでいきたいと考えております。
次に、爆音被害公平補償問題についてであります。
公平補償問題について知事の所見を聞きたいという御質問と、県はこれまで国に対しどう対処してきたのか、3番目に、対処した経緯があればその状況を説明してほしいと、4、実現の見通しはどうかと、この4つの御質問につきまして一括してお答えいたします。
県は、嘉手納基地周辺地域に居住し、嘉手納基地爆音訴訟に加わらなかった住民も訴訟参加者と同様に受忍限度を超える騒音被害をこうむっていると認識しており、昨年10月20日、那覇防衛施設局に対し、嘉手納基地爆音訴訟に加わらなかった住民の受忍限度を超える過去の騒音被害に対し適切な措置を講じるよう文書で要請したところであります。要請に対し那覇防衛施設局は、この件について重要な問題との認識を持っており、要請については本庁にも十分説明したい旨の発言がありました。
また、12月25日に来県した橋本沖縄開発庁長官(当時)及び12月27日に来県した斉藤防衛庁長官に対しても同様な要請を行ったところであります。
また、去る2月6日、県と基地が所在する31市町村で構成する沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会が横浜防衛施設局を訪ね、新たな航空機騒音対策への取り組みについて調査したところ、住宅防音工事では解決できない精神的な被害対策の施策を模索するため、現在、厚木基地周辺の関係6市に対しアンケート調査を依頼しているとのことでした。
2月20日の衆議院予算委員会において斉藤防衛庁長官は、爆音被害公平補償問題に関し、精神的被害への補償は、客観的な評価判断基準の確立が困難で検討すべき多くの問題があるとの見方を示したとのことですが、県としては引き続き国に対しその実現方を働きかけていきたいと考えております。
次に、医療行政について、中部病院の改築に伴うオープンの時期と今後の具体的なスケジュールについてお答えいたします。
県立中部病院は、一般診療を初め重篤患者の集中治療等の高度・特殊診療を行うとともに、救命救急医療の機能を有する中部地域の中核病院であります。
同病院の改築整備に当たっては、現在の機能と550床の病床規模を維持することとしております。具体的には新館の病棟で350床を整備し、残る200床を既存の新南病棟を改修して整備する計画であります。
新館につきましては、平成13年6月末の完成を目指して現在順調に工事を進めており、そのオープン時期については医療機器の設置や調整等諸準備を経て10月の初旬を予定しております。
また、新館オープン後、早期に新南病棟の改修に着手して平成13年度内に全550床の整備を完了する予定であります。その後、平成14年度に外来駐車場の整備を行い中部病院改築の全体計画を完了する予定であります。
次に、同じく医療行政についてのうち、病院全体の医師の配置基準と現状についてという御質問と、医師の定数増についてどのように考えているかとの2つの御質問を一括してお答えいたします。
病院における医師の配置については、医療法施行規則第19条の配置基準をもとに標準医師数を算出し、さらに本県においては医師1人当たりの入院・外来の取扱患者数、医業収益、当直回数及び超過勤務時間数等を考慮して医師を配置しております。
中部病院は、三次医療を担うほか、救命救急医療、離島支援、臨床研修指定病院など県立病院における中心的役割を果たしていることなどから、医療法施行規則で算出した標準医師数58人に対し定数69人、嘱託7人、計76人の医師を配置しているところであります。
なお、平成13年度は、新病院の開院に伴う新たな医療ニーズに対応するため10人の医師の増員を図っていきたいと考えております。
また今後、中部地域における医療の安定確保を図るため民間病院と県立病院の役割分担等について医師会等関係機関と協議するとともに、相互に連携を図りつつ、さらに地域住民の理解と協力を得ながら県立病院のあり方について検討していきたいと考えております。
次に、福祉行政とボランティア活動の推進についてでございます。
まず、ボランティア活動の本県の現状について、次の組織、活動内容、そして他府県と比較しての本県の実態、それに今後の福祉行政とボランティア活動の推進並びに支援体制の確立と、3つの御質問につきましては関連しますので一括してお答えいたします。
今後の福祉行政においては、少子・高齢化がますます進行する中、ともに支え助け合う福祉社会の構築が重要な課題だと認識しており、その担い手となるボランティア活動団体等の支援策については積極的に取り組んでいきたいと思います。
平成11年4月1日現在把握しているボランティア数は、団体で1166団体5万7483人、個人1967人の計5万9450人となっており、社会福祉施設への奉仕活動や在宅高齢者への友愛訪問等幅広い活動を展開しております。
ボランティア活動への支援策としては、沖縄県社会福祉協議会に設置する県ボランティアセンター活動事業及び市町村社会福祉協議会に設置する市町村ボランティアセンター活動事業に助成し、その活動の充実・強化を図っております。
県ボランティアセンターでは、福祉活動協力校の指定やボランティア活動リーダー養成・研修、広報・啓発活動等を、また市町村ボランティアセンターではボランティア相談、登録・あっせんやボランティア情報誌の発行、ボランティア入門講座の開催等を行っております。
なお、ボランティアセンター活動事業については、全国的にもほぼ同様な内容の事業が行われています。県におきましては、引き続き福祉分野におけるボランティア活動の支援策を積極的に推進していきたいと思います。
次に、同じく福祉行政とボランティア活動について、本県のNPOの現状と活動内容についての御質問に対するお答えでございます。
平成10年の特定非営利活動促進法の施行に伴い、県においては庁内にNPO法縦覧・閲覧室を設け、同法に関する相談及びNPO法人の設立認証の事務を行っており、現在までに23団体の法人設立を認証しております。
また、県が平成11年度に実施した調査によると任意団体を含めて約370団体が活動をしております。
NPOの活動内容としては、障害者の自立支援や手話通訳などの福祉活動、水辺環境の保全やリサイクルの推進等の活動のほか、町づくりの推進、社会教育、人権擁護・平和の推進、男女共同参画社会の形成等さまざまな活動が行われております。
また、モンゴルのマンホールチルドレンの保護や学校建設事業、カンボジアでの医療活動など国際協力の分野でも活発な活動が展開されております。
県としては、このようなNPO活動を初めとする社会参加活動を促進するための基本方針を策定し、活動を行う団体に対するさまざまな支援を行っていくとともに、平成13年度にはボランティア国際年記念事業を実施するなど県民の理解と関心を高めていきたいと考えております。
次に、農業振興につきましての御質問についてお答えいたします。
さとうきびの生産振興を図るためには、農家が意欲を持ち振興策の展開が必要であると、取り組みはどうなっているかとの御質問でございます。
本県のさとうきびは、生産農家の高齢化や他作物への転換等により生産量が減少し製糖工場の操業度が低下するなど厳しい状況にあります。
県としては、さとうきびの生産振興を図るため、かんがい施設等の生産基盤の整備を初め機械化の促進、優良種苗の増殖・普及等諸施策を推進しているところであります。また平成13年度からは新ルネッサンス事業を導入し遊休農地の解消による面積拡大、緑肥栽培による生産性向上、生産法人のネットワーク化による支援などを強化してまいります。
さらに、新たに創設された砂糖生産振興事業を活用し、性フェロモンによるハリガネムシ防除、脱葉施設の整備などを図っていく考えであります。今後とも各種事業を総合的に推進し、農家が意欲を持って生産に取り組めるよう努めていく考えであります。
次に、農業振興についてのうち、県単一JA構想に対する信連、経済連、JAの合意形成はどうなっているのかとの御質問にお答えいたします。
県単一JA構想については、平成12年11月15日の全体組合長会議で基本的な同意が得られております。平成13年1月25日の全体組合長会議では「県単一JA合併基本構想」が了承されております。
また、合併構想を着実に推進するため去る2月1日に各連合会、JAで構成する合併推進本部が設置されております。今後、推進本部においては各JAの財務の調査と確認、合併経営計画の策定など県単一JA実現に向けた詳細な検討が行われることとなっております。
合併の合意形成については、来る3月に予定されているJA沖縄大会、6月の各連合会及び各JAの総会で決議されるものと考えております。
同じく農業振興について、県単一JA構想について県は今後どのような指導助言をしていくのか、基本方針について伺いたいとの御質問にお答えいたします。
県単一JA構想が打ち出されたことは、昨今の社会経済情勢の変化に迅速に対応し、農家組合員や地域社会のニーズに適切にこたえるための措置であると考えております。
全県を単一JAとして組織再編することは、経営基盤が強化され、信用力の向上や農家組合員へのサービスの増進などが期待されます。このことは農家所得の向上や農業の振興に大いに貢献するものと考えております。県としては、地域農業の発展と農家経営の安定向上を図る観点からJAの組織再編に関して積極的な協力を行う考えであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 基地問題について、普天間基地の跡利用基本計画の青写真はどうなっているのか、関係者との合意形成の進捗状況はどうなっているのか、基地返還の時期と跡利用計画策定の目標年次はどの時点を想定しているかについて一括してお答えいたします。
普天間飛行場跡地利用計画の策定に向けては、跡地対策準備協議会において計画策定の進め方や制度的対応等国、県、宜野湾市で連携して取り組んでいるところであります。
その中で、地主や関係者との合意形成については市が中心となって地権者の意向を的確に把握するための調査を実施することや、跡地利用に関しての必要な情報を適切に提供できるよう取り組むこととしております。
普天間飛行場の移設については、現在、代替施設協議会において協議が進められている段階であり返還の時期は明確ではありませんが、跡地利用計画策定については平成12年度中に県及び市の跡地利用計画策定に向けた取り組み方針について整理いたします。
また、平成13年度から県においては広域的な観点からの調査、市においては市の都市計画に関する調査に着手する方向で検討を進め、返還前までには地権者の合意形成を踏まえた跡地利用計画を策定していきたいと考えております。
○知事公室長(親川盛一) 嘉陽宗吉議員の基地問題についての質問事項のうち、代替施設協議会におけるこれまでの進捗状況についての質問にお答えをいたします。
普天間飛行場代替施設の基本計画の策定を協議する代替施設協議会は、昨年8月25日の初会合からこれまで5回開催されております。
第1回協議会においては、協議会の設置や今後の取り組みについて話し合われ、普天間飛行場代替施設の規模、工法、具体的建設場所、その他代替施設の基本計画の策定に必要な事項について協議すること、また協議に当たっては安全・環境面に十分留意することなどが了承されました。
第2回協議会においては、県の方から軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけについて説明し、同位置づけについては今後の協議に生かしていくため、運輸省の知見も得ながら引き続き関係機関で検討を深めていくことが確認されました。またジュゴンの生息状況の予備的調査について、防衛庁が環境庁から技術的な助言を得て実施することが了承されました。
第3回協議会においては、キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域の地形・生物分布等の状況として藻場やサンゴ等の分布状況について防衛庁から説明があり、経年変化が予想されるサンゴと藻場について沿岸を中心とした周辺地域の状況を含め補足調査を実施することが了承されました。
第4回協議会では、航空機騒音を初めとする生活環境等について防衛庁から説明があり、代替施設の具体的建設場所等の検討に当たっては、自然環境や生活環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限努力を行うとの基本方針に基づき検討を行うことが確認され、これに関連して米軍ヘリコプターによる現地試験飛行を実施することが了承されました。さらに今後協議される工法について総合的、具体的な検討に用いる資料を入手するため部外団体へ作業依頼することが了承されました。
第5回協議会では、代替施設の各工法の概要について防衛庁より説明がありました。工法の詳細については現在防衛施設庁が部外団体へ委託しており、その結果を踏まえて今後本協議会で議論されることになっております。
以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 医療行政について、基幹病院構想と高度多機能病院との整合性についての御質問にお答えいたします。
基幹病院構想は、前提として県立病院の再編統合があり、その結果として本県の中核的な病院を建設するという一極集中的なものでありまして、当時、沖縄県保健医療計画上の配慮が十分なされない状態でできた構想でございました。しかし現在は、新しい保健医療計画のもとで県立中部病院を中部保健医療圏における基幹的病院として改築整備しているところでございます。
しかしながら、基幹病院構想における県民への医療提供の向上を目標とした政策的医療分野の実施につきましては、南部保健医療圏においてなお未解決の状態であります。
同圏域における高度多機能病院の構想におきましては、これらの医療課題に対応した基幹的な新病院を整備することとしており、県立中部病院とともに二極連携型の高次医療提供体制とし、宮古及び八重山圏域に対しては県立中部病院と新病院で共同支援の形で体制を整えたいと考えているところでございます。
次に、高度多機能病院構想の事業計画と進捗状況についての御質問にお答えいたします。
高度多機能病院の構想については、現在、県民各界の代表者で構成される検討委員会において、マスコミ等を通じた県民への情報公開のもとにこれまで幹事会を8回、検討委員会を2回開催するなど時間的にも毎回密度の濃い検討会を行っております。
なお、同病院の医療機能等の基本的な方針については、このような集中的な検討のもとに今年度じゅうにまとめることとしております。その後の施設建設については県立那覇病院の老朽化が著しいことから、13年度以降において早急な対応を図る方向で必要な事項について調整を行っております。
○病院管理局長(新田宗一) 医療行政についての御質問が何点かありますのでお答えしたいと思います。
まず、中部病院改築に伴う新病棟への医療機器更新の規模について、次に旧病棟の解体作業の時期について、次に県道75号線沿いの病院前バス停付近に公衆トイレを設置することについて、以上3点の御質問に順次お答えいたします。
まず1点目の中部病院への医療機器の整備ですが、中部病院の整備費は通常は2億円程度でありますが、今回の改築に伴う新病棟への医療機器の整備につきましては、平成12年度から13年度にかけて29億6500万円の整備費を計上しオーダリングシステム、CT装置、その他医療機器を整備し改築を機により一層の充実・強化を図っていく予定であります。
旧病棟の解体撤去の時期につきましては、平成14年の6月から9月ごろにかけて行う予定であります。
また、県道75号線沿いの病院前バス停付近への公衆トイレの設置につきましては、地元具志川市とも調整して検討してまいりたいと考えております。
次に、同じく医療行政についての御質問で、医師の勤務状況を調査し、その実態を明らかにしていただきたいという御質問にお答えいたします。
中部病院の医師の通常の勤務状況は、午前7時半ごろに出勤いたしましてカンファレンス――これは医療に関する研究会ですが――に参加した後、病棟回診、外来診療等を行っております。
また、医師1人1日当たりの入院・外来患者数は、平成11年度実績で約20人となっております。
超過勤務の状況は各診療科によってばらつきはありますが、平成11年度の年間1人当たりの平均時間数で約624時間となっております。
特定の診療科、例えば産婦人科、小児科及び麻酔科等につきましては約1000時間となっております。
なお、これらの時間数には診療科によって違いはありますが、一月に3回から7回の割り当てのあります土曜日、日曜日及び祝日における日直勤務並びに夜間における宿直勤務に係る超過勤務時間数も含まれております。県といたしましては、これらの業務改善のため医師の増員のほかに今後は民間病院と県立病院の役割分担等についても検討していきたいと考えております。
次に、同じく医療行政についての御質問で、県当局と県立各病院との連絡調整のための定期的な会議は持たれているのかという御質問にお答えいたします。
病院事業が抱える諸課題の解決を図り、県民に適切な医療を提供するため、病院管理局では「会議設置要綱」を定めておりまして、各県立病院と定期的に会議を開催いたしております。
主な会議としましては、病院管理局と各県立病院の病院長、事務部長及び看護部長で構成します病院経営等について総合的に議論する「県立病院運営協議会」を設置しておりまして、本年度は2回開催しております。また個別の課題等を議論する「県立病院院長会議」、「事務部長会議」、「看護部長会議」及び「県立病院附属診療所医師会議」等につきましては年2回から3回程度開催し、各県立病院と意思疎通を図っているところであります。
今後も病院現場と連携を密にし、円滑な病院事業の運営に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 嘉陽議員の福祉行政とボランティア活動の推進についてという御質問にお答えいたします。
まず、小・中・高校生のボランティア活動の実態についてということでお答え申し上げます。
他人を思いやる心、互いを認め合い、ともに生きていく態度などをはぐくむためのボランティア活動の教育的意義は極めて大きいと考えております。
本県におきましては、小学校で79%、中学校で75%の学校でボランティア活動を教育課程に位置づけ、高等学校においては87%の学校でボランティア部などが設置され、老人ホーム等の訪問、学校内外における各種募金活動などの福祉にかかわる活動を行っております。また地域周辺や海浜の清掃活動、地域行事への協力等のボランティア活動が積極的に取り組まれております。
さらに、県指定研究協力校の研究課題や「総合的な学習の時間」の活動に「福祉・健康」が取り上げられ、ボランティア活動の取り組みが展開されております。
県教育委員会といたしましては、「教育主要施策」や「学校教育における指導の努力点」で「特別活動の充実」や「道徳教育の充実」にボランティア活動を位置づけており、今後とも地域社会との連携を図りボランティア活動を一層促進してまいりたいと考えております。
次に、児童生徒に対するボランティア活動のカリキュラム化についてという御質問にお答えいたします。
本県の特色である長寿県やユイマールの精神などを生かしたボランティア活動を充実させることは、人間らしく心豊かに生きようとする子供の感性や道徳性を育てることになり、青少年の健全育成に大きく寄与するものと考えております。
新しい学習指導要領では、「総合的な学習の時間」や道徳、特別活動などの中でボランティア活動などの体験活動を行うことを明示しており、学校教育におけるボランティア活動をより一層充実させる内容になっております。また高等学校においては、ボランティア活動などを含む学校外での多様な活動を校長の判断により単位として認定することができるようになっております。
次に、IT革命と人材育成についてという御質問に関連いたしまして、小・中・高校におけるコンピューターの設置状況及び授業の持ち方と指導方法についてという御質問にお答えいたします。
本県の学校におけるコンピューターの平均設置台数は、平成12年3月31日現在で全体で30.6台、全国が28.4台となっており、前年度より4.5ポイント増加しております。
授業の持ち方と指導方法につきましては、小学校においてはテレビ会議を活用し北海道の児童ときょうの天気情報を交換し合うなど、なれ、触れ、親しませることを基本としながらコンピューターを活用しております。
中学校では、技術・家庭科の「情報基礎」でコンピューターの仕組みや基礎的な操作技能等を学ぶとともに、各教科で生徒の興味・関心に基づく学習課題の追求に活用されております。
高等学校では、数学や情報処理関連の教科等においてコンピューターや情報通信ネットワーク等情報手段の適切な活用がなされております。
次に、子供たちの授業に対する関心度と習熟度についてという御質問にお答えいたします。
平成13年2月に小学校69校の3年生から6年生の児童を対象に行ったアンケート調査によりますと、コンピューターを活用した授業が「好き」と答えた児童が93%、「嫌い」と答えた児童が7%であります。
また、小学校学習指導要領ではコンピューターになれ親しみ適切に活用する学習指導の充実が示されております。文字入力を通して習熟度を見たところ、コンピューターで文字が打てる児童が81%、打てない児童が19%であります。
この調査に限って見ますと、9割以上の児童がコンピューターに対して関心があることがうかがえます。今後とも小・中・高等学校の児童生徒の実態を調査し、情報教育の推進に努めてまいりたいと思います。
次に、設置されたコンピューターの活用状況について、遊休化していないかという御質問にお答えいたします。
本県におけるコンピューターの活用状況は、小学校では各教科や「総合的な学習の時間」において活用され、中学校では技術・家庭の「情報基礎」をすべての生徒が履修しており、生徒の興味・関心に応じて選択教科でも学習を行っております。
高等学校では、情報処理に関連した教科を初めとして各教科や実験・実習などにおいてインターネットとコンピューターが活用されております。
さらに、コンピューター教室がインターネットに接続されたことにより各教科の授業においてもコンピューターが活用されるなど利用度が高まっております。
県教育委員会といたしましては、県内すべての学校をインターネットに接続するなどの方針で整備を進めコンピューターの利活用を図ってまいりたいと考えております。
次に、IT教育センター(仮称)の役割と運用についてという御質問にお答えいたします。
IT教育センター(仮称)は、沖縄県総合教育情報ネットワークの拠点として位置づける考えであります。
IT教育センター(仮称)の事業としましては、教職員のIT教育の指導者の大量養成、国際化に対応したコミュニケーション研修、教育用コンテンツ制作、教材作成等の研修を行うこととしております。また各県立学校の校内LANをIT教育センターから集中管理し、セキュリティー対策、有害情報対策、児童生徒、教職員へのメールアドレスの付与等の運用支援を行い、学校の先生方や児童生徒が安心してコンピューターやインターネットを活用できる環境整備を行う予定であります。
なお、IT教育センター(仮称)は、生涯学習の一環として近隣の児童生徒、地域の人々にも開かれた研修施設として運用する予定であります。
次に、今回の改訂の実効性を高めるための気持ちをお聞かせくださいという御質問にお答えいたします。
今回の「生徒指導の指針」の改訂は、児童生徒の人権や個性を尊重する生徒指導の推進を図るとともに、体罰によらない生徒指導を大きな課題として進めてまいりました。
生徒指導の原点は、教師の児童生徒理解に基づき、かけがえのない一人の人間として尊重されることにあると考えております。そのためには教師の指導のあり方、教師と児童生徒の信頼関係がかぎとなり、とりわけ人権を侵害し人間としての尊厳や自尊心を傷つける体罰は、児童生徒のみならず地域や保護者の学校や教師に対する信頼を失わせるものであると考えております。
県教育委員会としましては、早急に「生徒指導の指針(改訂)」を発行し、校長・教頭研修会等各種研修会を通して改訂のねらいについて周知徹底し人権意識の高揚を図っていきたいと考えております。
また、学校においては校内研修等で「生徒指導の指針(改訂)」の研修を深め、開発的カウンセリング等の技法を積極的に活用し、体罰によらない児童生徒の人権や個性を尊重した生徒指導が行われるよう一層指導・援助してまいりたいと考えております。
最後に、中高一貫教育の成果と今後の取り組みについてという御質問にお答えいたします。
本県の中高一貫教育の取り組みについては、平成10、11年度に嘉手納地域で研究推進校を指定し、中高一貫教育のあり方について研究してまいりました。平成12、13年度は伊良部地域を指定し実践研究を進めており、平成13、14年度は本部地域を指定する予定であります。
また、平成13年2月16日に中高一貫教育研究会議から「沖縄県の中高一貫教育の在り方について」報告を受けたところであります。県教育委員会といたしましては、これらのことを踏まえ実践研究を進めていく中で地域の方々や父母の理解を深め、本県の実態にマッチした中高一貫教育を目指したいと考えております。
なお、今後の中高一貫教育の取り組みについては、現在進めております「県立高等学校編成整備実施計画」の中で中高一貫教育校の設置について努力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) 農業振興についてお答えします。
まず初めに、さとうきび栽培農家は1ヘクタール未満が8割を占め規模拡大が必要と考えるが、その取り組みはどうかとの御質問にお答えします。
さとうきびの生産性向上を図るためには、農地の利用集積による規模拡大が重要であります。
このため、県としては市町村、農協、製糖工場等の関係者が一体となって、将来のさとうきび作担い手となる借地型大規模経営体の育成に取り組んでいるところであります。現在、17のさとうきび生産法人が設立されており、各地域で農地の利用集積が進められております。その結果、設立時の239ヘクタールから新たに51ヘクタールの農地の利用集積がなされております。今後とも生産法人の育成等を通じてさとうきび作の規模拡大を強力に推進していく考えであります。
次に、平成10年度からさとうきび・糖業再活性化事業を実施しているが、その成果と今後の取り組みはどうかとの御質問にお答えします。
さとうきび・糖業再活性化事業は、さとうきびの安定生産と製糖企業の経営安定を図るため平成10年度から平成12年度までの3カ年計画として実施しております。これまでの成果としては遊休農地の解消対策211ヘクタール、株出し面積の拡大対策792ヘクタール、採苗圃設置60ヘクタール、病害虫防除対策2786ヘクタール、かんがい対策341ヘクタールの実績を上げております。
県としては、今後とも本県のさとうきび・糖業の振興を図るため重要な事業であるとの観点から、県議会を初めJA、製糖企業等関係者が一体となって継続要請を行ってきました。その結果、平成13年度から新ルネッサンス事業として継続・拡充されることになっております。新ルネッサンス事業は、さとうきび生産の維持・拡大、生産コストの低減、製糖工場の集荷と製造コストの低減を支援することとなっております。
次に、さとうきびの生産性向上を目指す施策の展開と生産農家に対する支援体制はどうなっているかとの御質問にお答えします。
国においては、「新たな砂糖・甘味資源作物政策大綱」を策定し、砂糖・甘味資源作物に係る施策を実施しております。
新しい制度のもとでは、さとうきびの生産性の向上、製糖企業の集荷製造経費の縮減が求められております。このため、県としては「さとうきび生産振興計画」及び「農林水産業振興ビジョン・アクションプログラム」に基づきかんがい施設等生産基盤の整備を初め機械化の促進、農地の利用集積による規模拡大、生産法人の育成、優良種苗の増殖・普及、病害虫防除等の諸施策を推進しています。
事業の推進に当たっては、県、糖業振興協会、地区振興会等関係者が一体となった体制を構築しております。
次に、製糖企業の健全な経営基盤を確立する視点から本島1工場の計画はあるかとの御質問にお答えします。
現在、沖縄本島の製糖工場は、球陽製糖株式会社と翔南製糖株式会社の2社2工場で操業しております。2工場の原料処理能力に見合う適正な原料処理量は約25万トンであります。当面は、現状のさとうきび生産量が維持されることを前提として2工場での操業が可能だと考えております。
沖縄本島1工場体制については、今後のさとうきび生産の動向を踏まえて総合的な検討が必要であると考えております。
次に、球陽製糖は来期から具志川の経済連製糖工場で操業するようであるが、その状況把握について伺いたいとの御質問にお答えします。
球陽製糖株式会社は、平成10年7月に北部製糖株式会社と経済連の分みつ糖部門を統合し発足しております。新会社の稼働工場は、羽地工場として10年度から今年までの3期操業しております。
羽地工場は、施設が屋外に設置されているため著しく老朽化し、平成12年12月の同社取締役会において2工場の収益性及び施設の維持管理経費等を比較検討しております。その結果、具志川工場が工場能力及び収益性等にすぐれており、来期から稼働工場を変更することが決定されたと聞いております。現在、球陽製糖は、本島北部地域の市町村及び農業団体等関係機関に対し稼働工場の変更についての説明会を開催しているところであります。
次に、合併予定されている信連、経済連及び各JAの過去3年間の経営状況について伺いたいとの御質問にお答えします。
平成9年度以降3年間の経営状況を経常利益で見てみますと、信連は3年連続の黒字決算となっております。一方、経済連は平成10年度を除く2年間は赤字決算となっております。また28JAの合計で見ますと事業利益では黒字となっておりますが、経常利益についてはここ数年、過去の不良債権等の引き当て処理を積極的に進めてきたことから3年連続で赤字を計上しております。
次に、公的資金投入の有無についてはどうかとの御質問にお答えします。
県単一JA構想の実現に際しては、不良債権等のすべてを自己処理できないJAが生じるものと想定されることから、県としても公的支援が必要と考えております。公的支援に際しては、まず対象JAみずからが最大限の自助努力を行うことが前提となります。
また、合併に向けた財務確認等については、平成12年度決算をベースに確定されるものと考えております。
県としては、JAの自助努力及び財務状況等を総合的に勘案して支援額や支援時期を検討していく考えであります。
以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 国道329号沖縄バイパスの早期整備について、(1)点目には、当該事業を進めていく上で現在の問題点は何か、(2)点目に、当該事業計画の最初の段階で全線の諸手続はとれなかったのか、(3)点目に、今後県の対応が求められているが、早期着工の方策と今後の見通しを伺いたいとの3つの御質問は、関連しますので一括してお答えいたします。
国道329号沖縄バイパスは、沖縄市内が日常的な交通渋滞により住民生活や経済活動に支障が生じていることから、その緩和を図ることを目的として沖縄市池原から北中城村渡口までの延長約10.5キロメートルを国直轄事業として整備するものであります。
同バイパスの事業化に当たっては、環境影響評価及び都市計画決定の手続が必要であり、現在、住民や自治体等の意見を踏まえて環境影響評価の方法書、準備書の手続を実施しているところであります。
当該事業を進めていく上で具体的な路線計画について、住民との合意形成を図ることが当面の重要な課題と考えております。
次に、国道329号の石川バイパスと沖縄バイパスを同時に手続を進めた場合は、石川市、具志川市、沖縄市の3市にまたがるため利害関係等の調整、沿線の開発計画との整合性、関係地権者との合意形成及び膨大な事業費の確保等の多くの課題があることから、早期整備が可能な区間として石川バイパスを重点的に整備し平成10年に2車線を暫定的に供用開始したものと聞いております。
また、石川バイパスと連続する沖縄バイパス整備の今後の見通しについては、事業主体である沖縄総合事務局と連携を図りながら平成14年度をめどにこれらの諸手続の完了を図り、早期に事業化が図られるよう国に要請してまいります。
以上でございます。
○嘉陽 宗吉 いろいろと御答弁をいただきまして大変ありがとうございました。
1点だけ確認をしておきたいと思いますけれども、この基幹病院構想と高度多機能病院の整合性についてでございますけれども、県内の医療圏をまず二極体制でもっていくということは、それは中部病院を中心にしての中北部の医療圏、そして多機能病院構想を中心とする南部医療圏というふうになるわけでございますけれども、そうしますと将来的にこの基幹病院構想というものはいわゆるなくなってしまって、この二極体制でいくんだというふうな沖縄の将来の医療圏の方向性というものは、こういう形で進んでいくというふうに理解してよろしいでしょうか。
御答弁をお願いします。
○福祉保健部長(平良健康) 再質問にお答えいたします。
基幹病院構想のことでございますが、この構想は沖縄県保健医療計画がまだできていないときに構想されたものでございます。当時は全県一区の医療圏でありまして、病院の統廃合が可能な状態でございました。しかしながら、そういう状況の中での一極集中的なものということでございます。
しかし現在は、新しくこの保健医療計画がもう3次にわたって改定されておりますけれども、この中で中部保健医療圏におきましては県立中部病院が中核的な病院として位置づけられておりますし、また南部保健医療圏におきましては独立した保健医療圏として現在2つの那覇病院と南部病院の整備が、あるいは精和病院等の整備がございますけれども、基幹病院構想におきまして県が政策的に担うべき医療とされた分についてはまだ未解決なものがございますので、この部分を新しい高度多機能病院の中で実現をしていくとこういうふうなことで、今後中部病院とこの新しい病院とが二極連携型で県の大きな政策的な課題にこたえていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
○議長(伊良皆髙吉) 以上で本日の代表質問は終わりました。
本日の日程はこれで終了いたしました。
次会は、明23日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後4時37分散会