平成13年(2001年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 2月23日
 


○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた公安委員会委員長湖城英知君は、別用務のため本日、2月26日、27日、3月1日及び2日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日、3月1日及び2日の会議に公安委員会委員比嘉良雄君、2月26日及び27日の会議に同尚弘子君の出席を求めました。
   ――――――――――――――
○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 平良長政君。
   〔平良長政君登壇〕
○平良 長政 護憲ネットワークを代表して代表質問を行います。
 質問に入る前に、質問の取り下げを2ついたします。
 1つは、7、観光行政の(2)のウと11の土木行政の(1)については、時間の都合もあり次回以降に回したいと思います。
 それでは質問に入りますが、通告外ですが、報道にありました具志川市のキャンプ・コートニーでの実弾によるクレー射撃問題について質問させていただきたいと思います。
 (1)つは、その事実を県は掌握しているか。
 (2)つ目、事実であればどのように対処するか、御答弁願えれば幸いです。
 1、知事の政治姿勢について。
 (1)、知事は自民党の応援を受けて当選したが、自民党や政府のKSD事件や機密費横領事件等をどのように見ていますか、腹立たしいとは思いませんか。
 (2)、米海兵隊員による連続放火事件や女子高生への強制わいせつ事件をどのように見ていますか。
 (3)、在沖米軍トップのヘイルストン四軍調整官の「ばかな腰抜け」との電子メール発言についてどう思っていますか。知事も自分のことを「ばかで腰抜け」と思っているのか、聞きたい。公選知事をばか呼ばわりするのは知事だけではなく県民をも侮辱するものであり、「個人的には不快」で済むものではないし、謝罪で済むものでもありません。知事御自身と県民の名誉にかけて毅然として抗議と更迭を求めるべきだと思いますがどうでしょうか。またメールにある「先週」に何がありましたか。「二枚舌」(ダブルトーク)があったのですか。
 (4)、県議会の海兵隊削減要求決議をどう見ていますか。知事も「堪忍袋の緒が切れた」として、県議会や県民と一緒になって海兵隊削減を堂々と日米両政府に訴えるべきではありませんか。北谷町議会では「削減」ではなく「撤退」要求決議が全会一致で可決されました。千葉の県議会でも削減決議を支持する決議が全会一致で可決されたようであります。
 (5)、ハワイ沖での米原潜「グリーンビル」による宇和島水産高校実習船への衝突事件についてはどう考えていますか。沖縄水産高校の問題でもあり、ホワイト・ビーチの問題でもあり、「保守トライアングル」が進めようとしている浦添新軍港の問題でもあると思います。グリーンビルは1998年12月20日、ホワイト・ビーチにも寄港をしています。まさに他人事ではありません。
 (6)、朝鮮半島情勢をどう読んでいますか。そして沖縄基地への影響はどうですか。アーミテージ元国防次官補の「沖縄の米海兵隊は朝鮮半島情勢が変化すれば、少数の基幹要員を残して撤退すべき」(96年11月朝日新聞インタビュー)との発言をどう見ていますか。
 (7)、「沖縄平和賞」は、1999年の知事所信表明でアドバルーンを上げて2年間何の動きもないのはなぜでしょうか。その概要と今後のスケジュールを示してください。しかし正直なところ、基地容認の知事から平和賞を受賞する人がいるのでしょうか。
 (8)、2001年度知事所信表明から「知事訪米」の文言が消えているのはなぜですか。訪米しないのですか。行くとしたらいつですか。要請内容は何ですか。「地位協定見直し」と「海兵隊削減」の2つは要請すべきと思いますがどうですか。ブッシュ大統領は、ラムズフェルド国防長官に「米国の兵力構成の包括的な見直し」を指示しました。ことしはQDR(4年期防衛見直し)もあります。訪米はチャンスではありませんか。
 (9)、在沖米海兵隊の定員と実数は何人ですか。その差は何を示していますか。
 (10)、グアムのギテレス知事から在沖米海兵隊の兵員3000人を受け入れる用意があるとの意向が表明されました。稲嶺知事は、このグアム知事の提案をどう受けとめていますか。海兵隊の事件・事故が多発している今こそ県内移設でなくグアム等への海外移設を訴えるべきではないですか。
 (11)、アメリカが日本駐留を居心地よくしているのが「思いやり」予算と思いますが、知事の見解を賜りたいと思います。
 (12)、米海兵隊員による連続放火事件があり、米軍はまたしても起訴前の身柄引き渡しを拒否した。県民の怒りは頂点に達しています。今度こそ弱腰政府を突き上げて運用改善でなく日米地位協定見直しを実現させるべきだと思います。知事も同問題について所信表明で全力で取り組む決意が示されました。どのようにして取り組むかを示してほしいと思います。もし政府が動かなければ知事が先頭になって県民大会を開く用意はありませんか。
 (13)、県主催で2月12日に「基地と環境を考えるシンポジウム」が開かれ私も参加いたしました。知事もあいさつしておりましたが、そのシンポジウムの中で基調講演した小川和久氏は、普天間の「辺野古への移設は金にまみれており、疑獄事件に発展する」と警鐘を鳴らしていましたが、知事の見解をお伺いします。
 (14)、沖縄対外問題研究会代表の宮里政玄氏は、「市長選挙における与党の勝利は、必ずしも日米安保支持、米軍基地との共生などが支持を得たことを意味しないように思われる。」(琉球新報2月17日)と発言していますが、知事の見解をお伺いします。そして那覇軍港の浦添移設へのスケジュールについてもお聞きしたいと思います。
 (15)、知事の憲法観についてお伺いします。昨年、国会に憲法調査会が設置され論議が進展していますが、知事は憲法第9条を改正すべきと考えていますか。他条文についてはどうですか。また、創価学会の池田名誉会長が1月26日付の聖教新聞で憲法改正問題に関連し戦争放棄を規定した憲法第9条について「手をつけるべきではない」とする見解を明らかにいたしましたが、それに対する見解があればお聞きしたいと思います。
 (16)、2001年度予算での稲嶺知事カラーはどこに出ていますか。
 (17)、昨年11月の那覇市長選挙で、知事は市との連携を視野に翁長氏をバックアップしてきましたが、具体的にどのような事業で連携をしようとしていますか。計画中のものでもあれば示してほしいと思います。
 2、情報通信産業の育成について。
 (1)、マルチメディア大学の創設について。
 沖縄振興新法の制定及び新たな沖縄振興計画の策定に向けて県企画調整室によって県内各界各層との意見交換会が1月30日から31日に開かれました。心から敬意を表したいと思います。その中で商工会議所は「情報通信産業系大学」、経営協は「アジア・太平洋大学」、沖縄県情報産業協会はIT分野を中心とした「工科大学」の創設を要望しております。私は、97年2月定例会において世界的な「マルチメディア大学」の創設について提案をいたしましたが、知事の御見解をお伺いいたします。
 (2)、通信コスト低減化支援事業について2002年度以降の施策はどうなりましたか。
 3、尖閣諸島油田の日中共同開発について。
 私は、昨年9月定例会でも提案いたしましたが、油田が開発されれば何百億円もの県税が入ってまいります。まさに「金のなる木」であります。石垣市登野城地番である尖閣諸島問題は沖縄県知事が主導しなければ動きません。知事、橋本沖縄担当相や野中氏に持ちかけて動かす意思はありませんか。これは県経済自立への一番確実な道であります。
 4、国連アジア本部誘致について。
 国(外務省)と県が誘致可能性調査費を新年度予算に計上したことについて敬意を表します。調査を見ながらとなると思いますが、誘致期成会などを結成し知事が先頭になって超党派で推進してはどうでしょうか。また県庁内での受け皿の組織はどうなっていますか。
 5、PFI事業について。
 (1)、庁内検討委員会の設置等県の取り組み状況はどうですか。
 (2)、他県の状況は把握しておりますか。先進県(例えば神奈川県)に調査派遣をしてはどうでしょうか。
 (3)、PFI事業第1号として県立美術館及び博物館で検討を始めてはどうでしょうか。
 6、交通政策について。
 (1)、県総合交通体系調査の見直し作業はどうなっていますか。
 (2)、鉄軌道調査結果はどうなっていますか。新年度も経済効果等を継続して調査すべきではありませんか。
 (3)、モノレール延伸について。
 2月4日、都市モノレール延長石嶺町民総決起大会が翁長那覇市長や下地衆議院議員ら約700人が参加して開かれました。また県商工会議所も本島中部までのモノレールの延伸は必要かつ重要なことと県に提案しています。そこでモノレール開通前に延長を決定して事業推進すべきと思いますがどうですか。ちなみに沖縄のモノレールは現在13.1キロですが、大阪モノレールは32キロ、多摩モノレールは現在16キロですが、93キロまでの延長が計画されております。
 (4)、バス統合問題について。
 ア、需給調整撤廃の規制緩和を目前に控え、県民の足を守る県の立場からはバス4社統合問題の解決は最も重要な責務と考えます。県はバス4社の立ち上がりを見守るだけでなく、県が具体的なプランを持って指導、リードしながら早急に新会社設立の準備に着手し、あわせて必要な国の公的支援も県が強力に進めていくべきだと思いますが、県の前向きな見解を問います。
 イ、規制緩和(自由化)に備え、生活交通としての路線確保等について協議する「地域協議会」を県内5地域(北部・中部・南部・宮古・八重山)で早急に設置すべきと思いますがどうですか。
 7、観光行政について。
 (1)、ポスト沖縄サミットとしてどのような観光誘致策をお持ちですか。
 (2)、世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」について。
 ア、観光資源としてどのように保存・活用いたしますか。
 イ、プロの歴史ガイドを養成すべきと思いますがどうですか。
 (3)、観光資源としてカジノ誘致の動きがありますが、県としてはどのように考えておりますか。
 (4)、宜野湾マリーナ使用料値上げ問題について。
 ア、利用者に一度も意見を聞くことなく一方的に議会上程したことは暴挙であり、手続上大きな問題があり、仕切り直しをやる必要があると思いますがどうですか。
 イ、「リゾート沖縄マスタープラン」のメーンコアとして位置づけされている当マリーナです。県外、海外からの利用者は長期滞在型の典型であり、またリピーターでもあります。低料金でなければ利用者はふえません。観光立県を目指す県としての施策としてはまさにお粗末と言えると思います。観光振興の立場から見直すべきだと思いますがいかがですか。
 8、農業問題について。
 (1)、既存農地からの赤土流出対策はどうなっていますか。県はもっと金を注ぎ込んで積極的に対策をとるべきと思いますがどうですか。
 (2)、今帰仁村のキノコ生産出荷施設整備事業について。
 ア、すべて本土から移入していたエノキダケを県内で生産できることは、雇用の拡大にもなり大変喜んでおります。同事業の概要を説明していただきたい。
 イ、同商品の販売法人から量販店へ8割、農協と中央卸売市場へ2割と割り当て販売が計画されているようですが問題はありませんか。県が設立した卸売市場を通さない青果物流通が増加しますと市場機能が損なわれ、県民への青果物の安定供給ができなくなるおそれがあると思いますがどうですか。
 (3)、農産物の県外出荷をふやすには、何としても輸送コストを軽減しなければならない。県農協中央会も新法、新振計に新たな制度創設を強く望んでおります。同問題について県の考え方をお聞きしたいと思います。
 9、福祉・医療行政について。
 (1)、久米島病院に産婦人科医を早急に配置してもらいたいが、どうなっていますか。
 (2)、児童相談所の機能強化について。
 児童虐待防止法が昨年11月に施行されました。しかし児童虐待は増加の一途で、本県においても93年12件だったのが99年には237件と急増しています。虐待の早期発見、予防、適切な対処、フォローアップ体制など地域ぐるみのネットワークの整備が急がれますが、その中心的役割を担う児童相談所が十分に機能してないと指摘する声が多い。
 そこで質問いたします。
 ア、虐待に主に対応する職員数は中央、コザ両相談所でそれぞれ何人ですか。
 イ、新年度で何人が増員されますか。その要員で十分対応できますか。
 ウ、一時保護所への増員はありますか。
 エ、離島地域への巡回指導体制の強化はどうなっていますか。
 オ、昨年2月定例会で私が取り上げた「児童家庭支援センター設置」については、「必要な施設と考えており、今後検討する」との答弁でしたが、進捗状況はどうですか。
 (3)、障害児の適正就学について。
 昨年11月、文部省の研究会議は中学校への入学基準の緩和を打ち出しました。障害児と健常児が地域でともに学び育つ教育の拡大につながるものと歓迎をしていますが、以下質問いたします。
 ア、障害児教育の世界的なメーンストリームはインテグレーション(統合教育)、インクルージョン(包括教育)であります。本県でも全介助を要する重度障害児が普通学校(学級)で学んでおり今後もふえていくことが予想されますが、県教育委員会はどのように考えていますか、見解をお伺いしたいと思います。
 イ、本年度、県心身障害児適正就学指導委員会の判定と保護者の就学希望が異なったケースは何件ありましたか。決定した就学先はそれぞれどこですか。
 ウ、就学先の最終決定は、就学指導委員会の判定と子供、保護者の希望はどちらが優先されますか。
 エ、普通学校(学級)に障害児を受け入れるに当たっては施設整備や身体、学習、送迎、介助などの人員配置が求められると思いますがどうですか。
 (4)、いきいきふれあい財団が行っている「長寿大学校」(週1回の1年コース)は大変評判がよく競争率も高い。そこで北部、中部、宮古、八重山地区にも分校を設置すべきと思いますがどうでしょうか。
 10、ヘリパッド移設問題について。
 (1)、防衛施設庁は、今年1月30日に北部訓練場のヘリパッド移設候補地の調査(98年12月から2000年3月)結果の概要と今後の取り組みについて発表いたしました。7カ所のすべての調査区域で特記すべき種が多数確認され、調査区域への移設は事実上断念し、新たな区域に環境調査を継続し、その調査結果を見て対応するとのことであります。調査結果の対応は、環境に配慮した決断で評価したいと思います。しかし環境に配慮すれば当然新たな移転先は見つかるはずはないし、とりあえずは早急に過半の返還を国に求めるべきと考えますがどうでしょうか。
 11、土木行政について。
 (1)、公共工事の入札について。
 ア、県中小建設業協会(比嘉洋秀会長)から県議会への陳情の中にもありますが、1977年以来変更されてないランクごとの公共工事請負金額は見直すべきだと思いますがどうですか。例えば特Aランクは1億5000万円以上を2億円以上に、Aランクは5000万円以上1億5000万円未満を7000万円以上2億円未満にする等である。ちなみにこの陳情書は県内822社の賛同をもって提出されております。
 イ、大型工事を今まで以上に分離・分割発注してAランク以下の中小業者の指名参加機会を拡充してはどうでしょうか。例えば、県土木工事で1999年ではAランクは1社平均発注件数はわずかに0.66回であります。
 ウ、総合事務局や防衛施設局の発注も地元沖縄業者を優先するよう県は強く申し入れるべきと思いますがどうですか。基地は沖縄に押しつけて、仕事は他県へ持っていくのは許しがたいと思います。
 総合事務局と施設局の発注高に占める地元業者の割合はそれぞれ何%ですか。
○知事(稲嶺惠一) 平良長政議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、KSD事件や機密費横領事件等についての所感を伺いたいとのお答えをいたします。
 私は、3年前の知事選挙に当たり、保革の枠組みを超えて広く県民の立場に立って基地問題を初めとする沖縄の現実としっかり向かい合い、そこから一歩一歩確実に問題解決を図っていくべきだと訴え、多くの県民の支持を得て当選いたしました。そして夢と希望、信頼、思いやり、確実な実行力を政治に対する基本姿勢として県政運営に当たってまいりました。それだけにKSD事件における国会議員の受託収賄容疑での逮捕や外務省職員による多額の公金の業務上横領の嫌疑という一連の不祥事は、政治や行政に対する国民の信頼を著しく損ねるものであってまことに残念であり、あってはならないことだと思います。
 次に、政治姿勢についてのうち、米海兵隊員による連続放火事件や強制わいせつ事件をどのように見ているかについてお答えいたします。
 県は、これまで米軍人等による事件・事故が発生するたびに米軍を初め関係機関に対し隊員の綱紀粛正及び教育の徹底等を求めてきており、また三者協やワーキングチームにおいても米軍人等による事件・事故の再発防止に向けて取り組んでいるところであります。
 このような状況の中、金武町での強制わいせつ事件を初め米軍人等による事件が相次いで発生していることは極めて遺憾であり、また米軍の綱紀粛正策の実効性の確保や教育プログラムの中での人権教育の徹底が十分に図られていないのではないかと考えております。
 県は、これまで米軍に対し、教育プログラムの中に沖縄の戦後の歴史や県民の心を理解するための講座を設置し、地元の講師を招聘するよう提案しておりましたが、先日、米側からこれを受け入れる旨の表明がありました。県としては、今後とも三者協やワーキングチームにおいて協議・調整するなど米軍人等による事件・事故の再発防止に向け努力していきたいと考えております。
 次に、議員の御質問の中の四軍調整官のEメールの内容に関しどう思っているかという趣旨の一連の質問について一括してお答えいたします。
 今回のEメールは、ヘイルストン中将が配下の各部隊司令官に対し、事件・事故の再発防止に向けてさらなる綱紀粛正の強化を求めるために発せられた私的な内部文書であると理解しております。
 しかしながらその内容は、議会制民主主義における知事等の執行部と議会が独立して機能するという両者の関係について正しく理解しておらず、また米軍基地に関する沖縄の歴史的背景や県民の思いに対する配慮が欠けていると言わざるを得ない部分が含まれており、極めて遺憾であります。
 今回の件に係るマスコミ報道があった去る2月6日、私は本問題に関するコメントを発表し、ヘイルストン中将の認識不足を指摘し、不快である旨表明しました。また、去る2月8日にヘイルストン中将が直接県庁に来て、私や伊良皆県議会議長を含め関係者及び県民に対し謝罪した際にも強い遺憾の意を表明するとともに、在沖米軍の責任者としての発言には県民の心を理解し十分注意を払うよう重ねて強く申し入れたところであります。
 県としては、今後ともヘイルストン中将を初め米軍人等が沖縄の戦後の歴史的背景や県民の心をよく理解し、事件・事故の防止を初め県民の基地負担の軽減を図るため積極的に取り組むよう強く求めるとともに、三者協やワーキングチーム等の枠組みを通して関係者が相協力して基地問題の解決促進に努力したいと考えております。
 続いて、メールにある「先週」に何があったのかという御質問にお答えします。
 県としては、Eメールの文中にある「先週」とは具体的に何を指しての発言かは承知しておりませんが、米側がこれまでよき隣人関係の構築のため取り組んできたスペシャルオリンピックや英会話ボランティア、さらには去る1月に日米合同委員会で合意された緊急車両の基地内道路の通行などさまざまな活動についてはこれまでも評価してきたところであり、そのことについて言及したものと理解しております。
 他方、事件・事故は1件たりともあってはならず、県としてもこれまで米軍人等による事件・事故が発生するたびに米軍を初め関係機関に対し再発防止を強く求めてきており、また今後とも隊員の綱紀粛正及び教育の徹底等を強く求めていきたいと考えております。
 次に、知事の政治姿勢についてのうち、県議会の海兵隊削減要求をどう見ているかということと、県議会や県民と一緒になって海兵隊削減を堂々と日米両政府に訴えるべきではないかとの2つの御質問に一括してお答えをいたします。
 在沖海兵隊の削減については、昨年のジョーンズ米海兵隊総司令官の発言やアーミテージ氏らによる超党派の国防専門家グループのレポートで、沖縄県民の基地負担の軽減を図る立場から、海兵隊の訓練の移転や兵力の削減について提言が行われるなど米本国内にも新しい動きが出てきていることに県としても注目してきたところであります。また日本国内においては自民党の古賀幹事長が「沖縄駐留の米海兵隊削減問題について「三党の政策レベルで取り決めていく大きなテーマだ。三党として方向付けしたい」」旨発言しております。さらに県内においては県議会が強制わいせつ事件に関連して、「海兵隊を含む兵力の削減」等を求める意見書及び抗議決議を採択しており、多くの市町村議会でも同様な議決がなされております。
 このような状況から、県としては海兵隊をめぐる国内外の動向を見た場合、在沖米軍兵力の削減は一つの方向性を持った新しい流れになりつつあると認識しております。
 また、日米両政府間においても、さきのパウエル国務長官と河野外務大臣との初会談で在沖米軍基地問題が話し合われ、その席上、パウエル国務長官は、米軍が沖縄の人々にとって最小限の妨げとなり、日本政府にとっても最小限の政治問題となるようにしたい旨発言しております。県としては日米安保体制を容認する立場ではありますが、長い間にわたる県民の過重な基地負担の軽減を図る観点から基地の整理縮小を強く求めてきたところであります。
 県としては、在沖米軍を取り巻くこのような状況を踏まえ、海兵隊を含む米軍兵力の削減についても、県民の意向を明確にするため基地の提供責任者である日本政府において、日米両政府間の協議の中で取り上げるよう国に対し求めていきたいと考えております。
 次に、知事の政治姿勢についてのうち、朝鮮半島情勢をどう読んでいるか、次の沖縄の基地への影響はどうか、次にアーミテージ元国防次官補の朝鮮半島情勢が変化すれば沖縄の海兵隊も基幹要員を残して撤退すべきとの発言をどう見るかとの3つの発言に一括してお答えをいたします。
 アーミテージ元国防次官補の発言については承知しております。発言当時、アーミテージ氏は国防次官補の職を退いた立場でしたが、今回のブッシュ新政権では国務副長官への起用が有力視されておりますので、今後、同氏の発言がブッシュ新政権の中でどのような形で政策に反映されていくのか見守っていきたいと考えております。
 朝鮮半島情勢については、南北間の対話が一歩踏み出したばかりでありますので、県としては、これからの朝鮮半島情勢の推移を注意深く見守っていきたいと考えております。
 いずれにしましても、県としては、広くアジア・太平洋地域の不安定要因がなくなり、米軍基地の整理縮小や海兵隊を含む米軍兵力の削減につながるような状況になることを期待するものであります。
 次に、「沖縄平和賞」はその動きもないのはなぜかという御質問と、その概要と今後のスケジュールを示してほしいと、それから平和賞を受賞する人がいるかというこの3つの御質問に一括してお答えをいたします。
 沖縄平和賞(仮称)は、広く国内外から高く評価され、県民が誇りを持てるような財産として末永く継続していけるものでなければならないと考えており、中立性や公平性が確保されたものでなければなりません。
 このため、これまで国内外の顕彰制度や平和賞のあり方等について調査を進めてきたところであります。平成13年度は、検討委員会を設置して県民コンセンサスの醸成を図るなどして基本構想を策定し賞の創設に努めてまいります。平成14年度には第1回の顕彰が実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 世界の恒久平和を実現するためには、民族や宗教等の壁を乗り越えて相互理解をすることが最も大切であり、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って沖縄から平和の創造・発信に努めていくことが重要であります。また九州・沖縄サミットを通して発信した平和を希求する「沖縄の心」を引き続き世界に向けて発信するためにも、沖縄平和賞(仮称)を創設することは大変意義があると考えております。
 次に、所信表明で「知事訪米」の文言が消えているのはなぜか、それから訪米しないのか、行くとしたらいつか、要請内容は何か、それからブッシュ大統領の国防長官への指示やQDRの見直しの時期でもあり訪米のチャンスと考えるがどうか、この4つの御質問を一括してお答えしたいと思っております。
 訪米事業につきましては、平成12年度の実施が困難になった場合に備えて、平成13年度予算においても訪米事業に係る経費を計上したものであり、所信表明において特に言及はしておりませんが、訪米の趣旨については平成12年度の所信表明の中で申し上げたとおりであります。
 県としては、基地問題は国の外交・防衛にかかわる問題であると認識しており、その解決に向けてはまず国家間で話し合いがなされるべきであると考えておりますが、訪米の際には、海兵隊を含む米軍兵力の削減など基地の整理縮小や日米地位協定の見直し及び普天間飛行場の代替施設の15年使用期限の設定など、本県が抱えている基地問題の解決を日本政府に求めていることを米国政府や連邦議会等の関係機関に伝え、理解と協力を要請したいと考えております。
 また訪米に際しては、米国の代表的なシンクタンクの一つである外交問題評議会から依頼のある講演や企業誘致活動も行いたいと考えております。
 次に、知事の政治姿勢の中で、グアム知事の提案をどう受けとめるかと、グアム等への海外移設を訴えるべきではないかとの御質問にお答えいたします。
 沖縄の基地及び訓練等のグアムへの移転については、これまでも何度か報道されておりますが、県としては、今回のグアム州知事の考え方がブッシュ新政権の中でどのような形で政策に具体的に取り上げられていくのか、今後の動向を注意深く見守りながら県民の基地負担の軽減につながるよう適切に対応していきたいと考えております。県としては日米安保体制を容認する立場ではありますが、長い間にわたる県民の過重な基地負担の軽減を図る観点から基地の整理縮小を強く求めてきたところであります。
 県としては、在沖米軍を取り巻くこのような状況を踏まえ、海兵隊を含む米軍兵力の削減についても県民の意向を明確にするため、基地の提供責任者である日本政府において、日米両政府間の協議の中で取り上げるよう国に対し求めていきたいと考えております。
 次に、知事は地位協定の見直しに全力で取り組む決意を示したが、どのように取り組むかを示してほしいという御質問に対してお答えをしたいと思います。政府が動かなければ知事が先頭になって県民大会を開く用意はないかとの御質問にお答えします。
 県では、日米地位協定の見直しを求めることは県民の総意であると考え、このような県民の意向を体して昨年8月、日米両政府に対し日米地位協定の見直しに関する要請を行ったほか、これまであらゆる機会を通してその実現を求めてきました。
 また、私は去る2月14日、今回の放火事件に関連して被疑者の即時引き渡しと日米地位協定の見直しなどを関係大臣に要請しました。その際、河野外務大臣から、平成7年10月の日米合同委員会で合意された身柄引き渡しに係る「特定の場合」を例示してもうまくいかないときは日米地位協定の見直しも検討しなければならない旨の発言があり、また2月15日の衆議院予算委員会において、日米地位協定の見直しも視野に入れてよいと思っている旨の答弁がありました。さらに2月21日には福田官房長官が県議会の要請団に対し、日米地位協定の問題を含め沖縄の問題に前向きに取り組む考えを表明しております。
 政府関係者のこれらの発言は、日米地位協定の見直しを求める県民の熱意が国の前向きな対応を促進しつつあるあかしであると考えており、県としては、今後とも日米地位協定の見直しを早急に協議するようあらゆる機会を通して日米両政府に対し強く求めていく所存であります。
 次に、政治姿勢についてで、憲法第9条を改正すべきと考えているか、次の他の条文についてはどうかということと、創価学会の池田名誉会長の、第9条には手をつけるべきではないとの見解に対し意見があれば伺いたいとの御質問にお答えいたします。一括してお答えいたします。
 日本国憲法については、昨年1月に衆議院及び参議院において「憲法調査会」が設置され、調査・審議がなされていること、また国内において憲法改正についてさまざまな論議がなされていることから知事としてのコメントは差し控えたいと思います。日本国憲法については平和主義、国民主権及び基本的人権の尊重を基本原理としており、国民生活の向上と我が国の平和と安定に大きな役割を果たしてきていると認識しております。
 次に、2001年度予算での稲嶺知事カラーはどこに出ているかという点をお答えいたします。
 平成13年度予算の編成に当たっては、本県の財政が依然として厳しい状況にあることから、行政システム改革大綱に掲げられた改善項目を着実に実施するとともに、限られた財源の中で新たな政策課題や緊急かつ重要な施策に重点を置くことを基本に編成しました。
 具体的には、まず、沖縄振興新計画の策定に向けた調査を実施するとともに、ポストサミットへの対応として国際会議等各種コンベンションの誘致や県外拠点都市における物産観光キャンペーンを実施するほか、万国津梁館の会議棟の増設などを行うこととしております。
 IT関連施策としてコールセンターの立地を促進するための通信費低減補助金を拡充するほか、IT教育センターの整備や情報通信技術講習会を実施します。
 また、環境共生型地域の形成に向けた施策として、離島における放置自動車の撤去や廃家電等のシュレッダーダストのリサイクル利用に係る研究を新たに実施することとしております。
 産業の振興、雇用の拡大に向けた施策として地域新産業創出支援事業や企業誘致活動経費の拡充、ベンチャー企業投資事業の実施など自立型経済の構築に向けた取り組みを強化するとともに、高校未就職卒業者の早期雇用への支援を新たに実施することとしております。
 また、多様な人材の育成やクローン技術活用促進事業など各種研究機関の研究体制の充実・強化を図る施策にも配慮しました。
 医療や福祉の向上に向けて児童虐待防止対策の強化を図るとともに、老朽化の著しい中央児童相談所の建設に着手し、また総合福祉センターや中部保健所の整備、3歳未満児の医療費助成などを引き続き実施いたします。
 基地問題の解決促進や平和の創造・発信、男女共同参画社会の実現のための取り組みを強化するとともに、世界遺産に登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の普及・啓発を図ることとしております。
 さらに、市町村合併支援基金の設置及び市町村合併支援事業の拡充、与那国空港の滑走路延長、仲田港の港湾整備など地域・離島の振興の充実を図りました。
 平成13年度予算は、21世紀初頭において沖縄県が活力ある経済社会を形成し、住みよい沖縄の創造に向けた諸政策課題に的確に対応する予算が編成できたものと考えております。
 次に、那覇市とどのような事業で連携しようとしているのか、計画中のものでよいから示してほしいという御質問に対するお答えでございます。
 県の中枢的都市機能が集中している那覇市の発展を図ることは、県全体の振興を図る上でも重要な課題であります。このため都市モノレール事業の推進はもとより、その需要喚起策、駅周辺の再開発の促進、奥武山公園整備事業、真地久茂地線等の街路事業の推進、沖縄西海岸道路等の地域高規格道路の整備促進及び那覇港湾整備事業等を那覇市と連携しながら進めてまいりたいと考えております。
 特に那覇港湾については、一部事務組合の設立を含め那覇市及び浦添市と連携を強化し、ハブ機能を有する国際流通港湾としての整備を積極的に推進していきたいと考えております。
 次に、マルチメディア大学の創設についての見解を伺いたいのお答えでございます。
 県におきましては、情報通信産業を21世紀における本県の中核産業と位置づけ、平成10年度に策定した「沖縄県マルチメディアアイランド構想」に基づき各種施策を推進しております。その中でも人材育成については情報通信産業育成のための必須条件と位置づけているところであります。現在、国及び県で数多くの人材育成施策が実施または検討されておりますが、IT革命の進展やマルチメディアアイランド構想の進捗を踏まえ、これらを体系的に実施していくために情報通信分野の人材育成に関する基本方針を取りまとめているところです。
 マルチメデイア大学の創設については、そのあり方を含め、基本方針に基づき国や県内の関係機関と検討を進めていきたいと考えております。
 次に、尖閣諸島油田の開発についての御質問のお答えでございます。
県としては、尖閣諸島周辺海域の鉱物資源の重要性については十分認識しており、関係省庁等からの情報収集に努めているところであります。しかしながら現段階では日中両政府間で問題となっており、その推移を見守らなければならない状況にあるので、本件については慎重に対応する必要があると考えております。
 次に、福祉・医療行政について、「沖縄県いきいきふれあい財団」が行っている「長寿大学校」について、北部、中部、宮古、八重山地区にも分校を設置すべきと思うがどうかとの御質問にお答えします。
長寿大学校は平成3年から開設され、現在、那覇地域職業訓練センターの教室を借用して本校のみ開講していますが、高齢者の学習意欲と社会参加への意欲が高まり入学希望者は年々増加傾向にあります。
 県においては、これらのニーズにこたえるため平成14年に完成する県総合福祉センターに専用の教室を設け、現在の1クラスを2クラスにするなど本校の充実を図るとともに、平成14年度には中部校の開設に向けて検討しているところであります。北部、宮古、八重山地域については毎年8月に公開講座を開催しておりますが、分校の設置については今後検討したいと考えております。
 なお、長寿大学校の入学定員は88人、男女おのおの44人となっており、平成12年度までに826人、男399人、女427人が卒業しております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 平良長政議員の御質問にお答えをしたいと思います。
 まず、通告にはございませんけれども、要望も含めたということでの御質問がありましたのでお答えします。
 キャンプ・コートニーでのクレー射撃についてでございます。これについて事実関係を掌握しているか、それから今後の対策はどうかという趣旨の御質問でございます。お答えいたします。
 本件につきまして、海兵隊の外交政策部にその事実関係を確認いたしましたところ、30年前から同地域において射撃場として使用し、2年ほど前まで実施していたということでございます。これは射撃訓練ではなくレクリエーションとしてやっていたということでございます。
 なお、これにつきましては週末に行っていたということのようでございます。
 その地域は、まず陸域から50メートルぐらいの第1水域がございまして、ここはいわゆる実弾射撃が行われる地域でございます。
 第2水域につきましては、これは水陸両用訓練のため使用されるところでありまして、これは陸域から500メートルまでというようなことでございます。この第2地域においては実弾射撃は行わないというようなことでございます。
 現在、環境庁といわゆる水質調査などについてどうなっているのか、こういったのを今照会しているところでございますけれども、以前は施設局とも調整して実施していたようでございますけれども、もう少しそこら辺の事実関係を掌握の上、今後適切に対処していきたいとこのように考えております。
 次に、知事の政治姿勢についての質問事項のうち、ハワイ沖での米原潜「グリーンビル」による宇和島水産高校実習船への衝突事件については、ホワイト・ビーチの問題でもあると考えるがどうかという御質問にお答えをいたします。
 愛媛県宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が米海軍の原子力潜水艦と衝突、沈没した事故は大変悲惨であり、行方不明の9人の方々の安否を気づかっているところであります。
 県は、原子力潜水艦が寄港する際、事前に国からの通報に基づき直ちに勝連町、水産業中央会など関係者に対しその旨連絡を行い周知に努めているとともに、国と協力して寄港中の放射能調査を行っているところであります。
 次に、在沖米海兵隊の定員と実数は何人か、その差は何を示しているかという御質問にお答えをいたします。
 在沖米軍に問い合わせたところ、平成12年6月30日現在、在沖米海兵隊員の実数は1万5364人であるとの回答がありましたが、在日米海兵隊としての定員は定められておりますが、在沖米海兵隊としての定員については定めがない旨の回答を得ております。米軍によると、定員は基準となる兵員数を示すものではありますが、状況によって定員に満たない場合もあること、また在日米海兵隊を構成するローテーション部隊の配属状況から定員と実数の間に差が生ずる場合もあるとの説明を受けております。
 次に、アメリカの日本駐留を居心地よくしているのが「思いやり予算」と思うがどうかという御質問にお答えをいたします。
 いわゆる「思いやり予算」は、我が国の安全保障の一翼を担っている在日米軍の駐留を円滑かつ安定的に行うとの観点から、我が国の負担で行っているものと理解しております。
 それから次に、「基地と環境を考えるシンポジウム」での小川和久氏の発言についての見解を聞きたいという趣旨の御質問にお答えをいたします。
 御存じのとおり、本県には狭い県土に全国の米軍専用施設面積の約75%を占める米軍基地が存在し、そこから派生するさまざまな問題が県民生活に大きな影響を及ぼしております。
 そのことから、去る2月12日、本県の環境問題の重要な課題の一つである基地に起因する環境問題について基調講演や各パネリストの報告及びパネルディスカッション等を通して県民が基地をめぐる環境問題について理解を深め、今後の取り組みに資することを目的としてシンポジウムを開催いたしました。基調講演は、国際政治・軍事アナリストの小川和久氏にお願いし、「環境問題から人間の安全保障を考える」と題し講演をしていただきました。
 御質問にあります発言につきましては、シンポジウム第2部のフロアとの意見交換の際、フロアからの意見に対して個人的な見解として発言したものであると承知しております。
 普天間飛行場代替施設については、現在、代替施設協議会において工法及び具体的建設場所等基本計画策定に向けて協議が進められております。
 これまで、軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけ、建設地点の地形・生物分布等の状況、航空機騒音等生活環境への影響、代替施設の各工法の概要などについて協議されており、今後協議を重ねていく中で具体的建設場所、工法、規模等が決められるものと考えております。県としては、名護市等関係市町村と連携し取り組んでいきたいと考えております。
 次に、宮里政玄氏の発言に対する見解を伺いたい、また那覇軍港の浦添移設へのスケジュールについて伺いたいという御質問にお答えをいたします。
 県としては、那覇港の早期整備を図るとともに、那覇港湾施設の返還を促進するため現在の那覇港湾施設を浦添埠頭地区に移設する必要があると考えております。このため懸案となっている一部事務組合を早期に立ち上げるとともに、移設に向けた諸条件の整備について地元の意向も踏まえながら早急に国と協議・調整を図っていきたいと考えております。また、那覇港湾施設の移設先については、改訂される港湾計画に位置づけ整備を促進していきたいと考えております。
 なお、基地問題についてはさまざまな考えや発言があることは承知しておりますが、御指摘の宮里政玄氏の発言については個人の立場からのものでありコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、ヘリパッド移設問題について、環境に配慮すれば当然新たな移設先は見つかるはずがない、とりあえずは早急に過半の返還を国に求めるべきではないかという御質問にお答えをいたします。
 県は、これまで国に対し、北部訓練場の返還に伴うヘリパッドの移設場所の決定に際してはヤンバルの貴重な自然への配慮を求めるとともに、当該移設場所の自然環境への影響やその対策等について県及び関係市町村に十分に説明するよう申し入れてきたところであります。
 先般、平成10年12月から平成12年3月までの間、国が実施してきた「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設に係る環境調査」の結果が公表され、移設候補地一帯で多数の貴重な動植物が確認されております。国においては、自然環境に与える影響を最小限にとどめる観点から引き続き環境調査を実施するとのことであります。県としては、国による継続調査の結果や関係する市町村の意向及び自然保護団体等の意見も踏まえながら、当該地域の自然環境に十分配慮した移設場所の選定がなされるよう適切に対応したいと考えております。
 なお、本年度以降も国による継続調査が行われることから、実質的には平成14年度末の返還が困難となる可能性が高くなったものと思いますが、一日も早い返還とあわせて貴重な自然への配慮も優先されるべきものであると考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 情報通信産業の中で、通信コスト低減化支援事業について、2002年度以降の施策はどうなったかについてお答えいたします。
 通信コストの低減化支援は、企業進出のインセンティブとして大きな役割を果たしており、進出企業の期待感も大きいものがあります。今後も通信需要は拡大していくものと予測されますが、一方で通信料金は引き下げられていく傾向にあるほか、新しい技術により通信距離にかかわらず料金が一定の通信サービスの普及も予測されます。これらの状況を十分に勘案した上で、情報通信産業の集積に寄与し通信環境の変化に対応できる支援策について検討を進めているところであります。
 次に、国連アジア本部誘致について、誘致期成会などを結成し知事が先頭になって超党派で推進してはどうか、県庁内での受け皿の組織はどうなっているかについて一括してお答えいたします。
 本県に国連機関を誘致することの可能性を検討する一環として、平成13年度に国連機関が設置されている地域における設置の経緯、活動状況、組織運営方法等について調査することとしております。誘致期成会の結成や県の受け皿組織につきましては、当該調査や国の調査などを踏まえ今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、PFI事業に関して、庁内検討委員会の設置等県の取り組みはどうか、他県の状況は把握しているか、先進県に調査派遣してはどうか、県立美術館及び博物館で検討を始めてはどうかにつきまして一括してお答えいたします。
 県では、平成13年2月13日付で各部局総務課長等から成るPFI事業導入検討会議を設置し、事業導入に係る基本方針の策定に向けて他府県の事例も参考にしながら検討を進めているところであります。先進県の調査につきましては、今後の検討会議の状況を踏まえ適宜実施してまいりたいと考えております。
 また、御提言の美術館及び博物館については、基本方針を策定した後に先進事例等も参考に議論を深めてまいりたいと考えております。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 交通政策についての御質問にお答えをいたします。
 まず、県総合交通体系調査の見直しについてお答えをいたします。
 総合交通体系基本計画の見直しにつきましては、平成11年度の現況調査を踏まえ、平成12年度は広域交通及び圏域交通体系整備の「基本方針」、「基本計画」等について検討を進めているところであり、本年度末には総合交通体系基本計画(素案)を作成したいと考えております。
 なお、調査に当たりましては、学識経験者等で構成する「基礎調査委員会」における御議論、御指導を受けながら進めているところであり、これまで3回の委員会を開催し検討を進めてきたところであります。平成13年度は「総合交通体系基本計画策定委員会」を設置し、委員会での検討を踏まえ「基本計画」を策定してまいりたいと考えております。
 次に、鉄軌道調査の結果、そして13年度も継続して調査をすべきではないかという御質問にお答えをいたします。
 鉄軌道導入可能性基礎調査につきましては、交通渋滞が著しい中南部都市圏域及び北部圏域を総体的にとらえ、軌道系交通システムと基幹バスが複合したネットワークとしての概略路線、旅客需要、概算事業費、事業採算性、交通機能や都市政策的効果及び整備課題等を検討しているところであります。平成13年度は、鉄軌道導入可能性基礎調査の結果を踏まえ、事業主体等多角的な視点から広く検討していくことが重要であると認識しており、総合交通体系基本計画を策定する「基本計画策定委員会」の中で引き続き検討してまいりたいと考えております。
 次に、モノレール開通前の延長についての御質問にお答えをいたします。
 モノレールの延伸につきましては、石嶺町自治会を初め西原町、琉球大学、沖縄キリスト教短期大学から要請があります。
 計画の決定に向けては、道路管理者との協議、関連する地域の総意としての都市計画決定が必要であり、交通計画のみならず町づくりと一体となった検討が重要であります。また事業認可につきましては、需要予測等事業の採算性や効率的運営の検討が大きな要素となります。今般、鉄軌道導入を求める多様な要請もあり、モノレール開業後の需要動向や地域形成の方向など多角的な視点から検討していくべき課題であると考えております。
 次に、バス4社統合問題についてお答えをいたします。
 バス統合につきましては、現在、4社統合委員会において新会社の組織、資本、財務、事業等について弁護士や公認会計士等の助言を受けながら乗り合い部門の統合に向けて検討が進められております。今後、4社統合委員会で策定する「新会社設立案」につきまして、労使の代表者で構成されている労使協議委員会での協議を経て関係機関に示される予定であり、同時に新会社の設立準備委員会の設置に向けての検討も進められていると聞いております。
 バス統合につきましては、基本的には当事者が主体的に取り組むべき問題でありますけれども、バス事業の公共性や厳しい現状を踏まえ県といたしましてもバス4社の代表者と意見交換等を重ねてきたところであり、国とも密接な連携を図りながら統合が早期に実現するよう引き続き努力してまいりたいと考えております。
 次に、生活交通としての路線確保等について協議する地域協議会を県内5地域で設置すべきだと思うがどうかという御質問にお答えをいたします。
 乗り合いバス事業の規制緩和につきましては、平成12年5月に「道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律」が成立し、平成13年度中に施行されることになっております。改正の主な内容は、事業参入について免許制から許可制に移行し、事業・路線の休止または廃止につきましては6カ月前の事前届け出制ということになっております。この規制緩和により生活交通路線の確保に大きな影響を与えることが懸念されることから、国会において地域の生活交通確保の具体的方策を協議する地域協議会を設置するよう附帯決議がなされ、国からも同様の考え方が示されております。
 県といたしましては、生活交通の路線確保等を話し合う場として市町村、県、国、バス事業者等で構成する「沖縄県生活交通確保協議会」を設立するとともに、地区ごとに「地区協議会」を設置することとしております。現在、市町村、事業者へ要綱案を提示し意見交換を行う等本年度末の設置に向けた作業を行っているところであります。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 観光行政についての中のポスト沖縄サミットとしてどのような観光誘致策を考えているのかについてお答えします。
 昨年は、九州・沖縄サミット首脳会合の成功のほか、8月には上海─那覇間の定期航空路線が開設され、12月には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産へ登録されました。また昨今の健康ブームにより長寿県である本県が注目され、ウェルネス・アイランドの形成に向けての取り組みがなされるなど本県観光を取り巻く環境は大きく変化いたしました。
このような状況を背景に、県といたしましては国際会議を初めとする各種コンベンションの沖縄開催を積極的に誘致するとともに、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の商品化とその売り込み、「沖縄ウェルネス計画」の推進、上海直行便を活用した中国への積極的な誘客活動の展開、エコツーリズムやブルーツーリズムなどの体験滞在型観光の推進、サミットを記念したイベントの開催など新たな誘客プロモーション活動を積極的に展開してまいりたいと考えております。
 続きまして世界遺産登録に関連いたしまして、観光資源としてどのように保存・活用するのかとの御質問にお答えします。
 「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、世界遺産登録により国内ばかりでなく国外からも注目されております。県といたしましては、これらの遺産群の保存について従前どおり国の補助事業で保存・修理及び維持管理を行うとともに、周辺を含む遺産群の長期的な保存・活用のあり方等について検討するために平成13年度に現況把握調査を実施することになっております。
なお、遺産群は、既に一般の観光ツアーや修学旅行のコースに組み込まれ観光資源として活用されておりますが、さらにその活用を促進するため観光案内標識の設置、観光印刷物やインターネット等により情報発信を行うとともに、国内外の旅行社及び航空会社による旅行商品造成を促進してまいりたいと考えております。
 続きまして同じく世界遺産登録に関連いたしまして、プロの歴史ガイドを養成すべきだと思うがどうかとの御質問にお答えします。
 観光ガイドの養成については、沖縄観光コンベンションビューローにおいて観光ボランティア友の会、善意通訳友の会、ガイドひまわりの会等に対して、遺産群の歴史等に関する講習会や現地視察研修会を実施して会員の資質向上に努めております。また遺産群所在市町村においては、県教育庁との連携のもと、観光ボランティアガイドに対して遺産群に関する講習会等を実施しております。今後は、これらの観光ガイドネットワークを効果的に活用できるシステムの整備に取り組んでまいります。
なお、御質問のプロの歴史ガイドについては、他府県における事例等を勘案しながら今後検討してまいりたいと考えております。
 最後でございますが、カジノ誘致の動きについてどのように考えているのかとの御質問にお答えします。
 カジノ誘致につきましては、経済界等を中心に論議があることは承知しております。観光資源としては誘客効果、観光財源の確保等がメリットとして挙げられており、反面、治安面、教育上の問題等への危惧も指摘のあるところであります。県としましてもカジノの誘致につきましては県内の幅広い論議が必要であると考えており、各界各層の御意見を賜りながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 観光行政についての中で、宜野湾港マリーナの使用料金値上げについては手続上問題があると思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
 宜野湾港マリーナは、公営企業として特別会計を設けて施設整備及び管理運営を行っており使用料等をもって必要経費に充てることになっておりますが、一般会計からの繰り入れを行っているのが実情であります。宜野湾港マリーナの使用料は、昭和62年の供用開始以来、消費税導入に伴う改定はあったものの約9年間実質的な改定もなく、類似の県外公共マリーナや県内民間マリーナに比べて使用料が低かったことから平成8年に改定を行っております。改定を行ったものの依然として格差があるまま5年間も推移してきております。
 今回の料金改定は、公営企業である宜野湾港マリーナの適切な維持管理と健全な経営を図る必要があることから行うものであり、海洋性レクリエーションやマリンレジャーの普及と県の観光政策の一翼を担うという公共性を重視しながら、経営の健全化についても考慮して可能な限り県内民間マリーナの経営に配慮する必要があると考えております。
 御指摘の今回の料金改定に際しての宜野湾港マリーナ利用者への説明につきましては、県外公共マリーナ実態調査や改定案策定等に時間を要したことから2月16日に実施せざるを得なかったところであります。2月16日の説明会においては改定の経緯、理由、必要性、基本的考え方等について説明を行っております。御理解をいただきたいと思います。
 同じくマリーナは低料金でなければ利用者はふえない、観光振興の立場から見直してはどうかとの御質問にお答えいたします。
 宜野湾港マリーナは、昭和62年の海邦国体のヨット競技会場として整備され、その後広く県民に利用され、平成2年度から第2期事業として拠点マリーナとしての機能強化・拡充を進めているところであります。
 現在、利用しているヨットなどの係留箇所等に係る整備事業費等についての1隻当たりの年間償還額は約48万2000円であります。しかしながらこの額に比べ、現行の1隻当たりの使用料は21万3000円で約44%とかなり安くなっております。その結果といたしまして平成12年度においては一般会計から約1億1000万円の繰り入れを余儀なくされており、13年度以降も一般会計から繰り入れせざるを得ない状況となっております。
 本マリーナは現在、陸上保管で226隻、海上係留で87隻の合計313隻の利用があり、その他に約200隻がマリーナの空きを待っている状況であります。今後、段階的に係留施設等を拡充し空き待ちの解消を行い利用者の増加を図るとともに、適正な維持管理を行うためにも使用料の改定が必要であります。
 このため、使用料の設定に当たっては、1点目に、県民所得を考慮して施設規模や料金体系の類似する県外公共マリーナの平均年間使用料の80%とすること、2点目に、可能な限り県内民間マリーナの経営に配慮し県内民間マリーナ料金の70%以上とすることを基本的な考え方としております。
 このように、宜野湾港マリーナは公営企業として独立採算制を基本とし、整備、管理に要する経費は使用料等で充てる必要があることから適正な維持管理、経営の健全化、利用者への配慮、観光振興、民間マリーナとの共存等を総合的に勘案して使用料の改定を行うものであります。
 次に、土木行政について、各ランクの公共工事請負金額を見直すべきと思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
 各等級別に定めている契約予定金額の基準、いわゆる発注標準は、良質な住宅、社会資本の整備に当たって適切な施工を確保するため発注件数や発注高が大きい土木、建築、電気、管、舗装の5業種について施工能力や経営力等に応じ等級ごとに定めている発注基準であります。この基準により工事規模、技術特性等に対応した建設業者を選定する基本的な基準となっていることから見直しについては考えておりません。
 県としては、個別の工事の発注に際して中小建設業者の技術力の向上や育成・強化を図ることも重要であることから、可能な工事については分離・分割を行い受注機会の確保を図っていく考えであります。
 同じく大型工事を分離・分割発注して、Aランク以下の中小業者の指名参加の機会を拡充してはどうかとの御質問にお答えいたします。
 公共工事の発注につきましては、県内経済の活性化及び県内企業育成を目的に昭和59年7月に県が策定した「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」に基づき地元企業への優先発注を行っているところであります。
 工事の分離・分割発注に当たっては、工事の内容や規模、技術的難易度、現場条件等を勘案して可能な限り分離・分割を行い中小企業への発注に配慮しているところであります。また近年は公共事業費が伸び悩む中で業者の数が増加する傾向にあり、特にAクラス以下の業者の増加が著しく厳しい受注環境の要因ともなっており、これらの中小零細企業の技術力の向上や経営の改善が求められているところであります。
 県としては、中小企業への指名参加の機会の拡充に配慮しながら、今後とも地元優先、分離・分割を行いバランスのとれた工事発注に努めていく考えであります。
 以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) 農業問題についてお答えします。
 まず初めに、既存農地からの赤土流出対策はどうなっているか、それから県はもっと積極的に対策をとるべきと思うがとの御質問は、関連しますので一括してお答えします。
 農地からの赤土等の流出防止対策については、ハード面とソフト面からの対策を実施しております。ハード面の対策としては水質保全対策事業による排水施設や沈砂池の整備、のり面保護や圃場勾配の修正等に取り組んでいます。ソフト面の対策としては緑肥栽培による裸地対策、敷草などの圃場管理を指導するとともに、農業者の理解と協力を得るための普及・啓発に努めております。
 今後は、グリーンベルトや土壌の透水性改善など自然のフィルター機能を生かした水質保全対策事業を積極的に導入し、より効果的な赤土等の流出防止対策を推進していく考えであります。
 次に、雇用拡大につながるエノキダケ生産・出荷施設整備事業の概要を説明していただきたいとの御質問にお答えします。
 エノキダケ生産・出荷施設整備事業は、今帰仁村が事業主体となって新鮮で良質なエノキダケの安定的供給と周年栽培による雇用の場の確保を図り、特用林産の振興を推進することを目的にしております。
 事業期間は平成12年度から13年度で、総事業費は約6億2000万円となっております。平成12年度は事業計画を策定し、平成13年度にキノコ生産に必要な一連の施設を整備することになっております。また年間の生産目標は約386トンとしております。
 次に、エノキダケについては販売法人から量販店、農協及び中央卸売市場への割り当て販売が計画されているようだが、問題はないかとの御質問にお答えします。
 エノキダケは、県内生産がなく本土からの移入に頼っているため売り手市場となり販売量及び単価がコントロ-ルされ、消費の拡大が阻害されていると事業計画の中で分析しております。このため、新たに県内で生産するエノキダケは市場流通が確立されていないとの理由から、まず販売法人を設立し市場出荷と契約販売を設定しております。市場出荷を設定しているのは鮮度・品質で差別化を図り、契約販売における有利な価格形成を意図しているものと理解しております。
 しかしながら、流通チャンネルが多様化した中においては需要と供給によって価格が決定されるものでありますので、県としては、エノキダケの消費者への安定的供給を図る観点から中央卸売市場の活用を指導していく考えであります。
 次に、新法、新振計で輸送コスト軽減の制度要求をしてはどうかとの御質問にお答えします。
 大消費地から遠隔地にある本県においては、県外市場の拡大を図る上で輸送コストを軽減することが大きな課題となっております。そのため、沖縄振興新法及び新計画に効率的な物流システムの構築と輸送コスト軽減の支援措置を盛り込むことについて関係部局間で検討しているところであります。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 福祉・医療行政について順次お答えいたします。
 まず、久米島病院に産婦人科医を早急に配置してもらいたいとの御質問にお答えいたします。
 産婦人科医については、県立病院内においても十分に確保ができないことから県立病院からの派遣は困難な状況にあります。このため離島医療組合において県内、県外の民間病院等から採用できるよう募集事務を進めているところですが、これまで適任者が見つからず採用には至っておりません。
 なお、現在は暫定措置として妊産婦の定期検診や婦人科検診等の外来診療ができるよう月2回県立病院からの医師派遣による診療体制をとっているところです。
 久米島病院が開設されたことにより当該地域の医療体制は大きな前進を見ているところですが、離島であることから医師確保に大きな課題が残されております。離島の医師確保については琉球大学との連携、自治医科大学への学生送り出し、卒後医学臨床研修事業の拡充等により安定的医師確保のシステムづくりに努めることとしており、久米島病院の産婦人科医についても引き続きその確保に向けて努力してまいります。
 次に、児童虐待に主に対応する職員は中央、コザ両相談所でそれぞれ何人かとの御質問にお答えいたします。
 児童相談所は、虐待を受けた子供の相談や保護に直接的にかかわる機関であり、専門的な知識を有する児童福祉司や心理判定員等が配置され、その業務に従事しております。現在、中央児童相談所に16人、コザ児童相談所には9人が配置されて児童虐待に対応する体制をとっております。
 なお、そのほかに児童虐待対応協力員が両児童相談所に配置されております。
 次に、新年度で何人が増員されるのか、その要員で十分対応できるかとの御質問にお答えいたします。
 近年、児童虐待は全国的にふえており、本県においても年々増加しております。児童虐待のケースについては関係機関や県民等から通告があった場合の緊急調査、児童の保護者の意に反しての強制保護、さらには保護者に対する継続しての指導・援助等その速やかな対応と適切な処遇が求められております。そのため平成13年度において児童福祉司が中央児童相談所で2人、コザ児童相談所で1人、計3人が増員される予定であります。増員により児童福祉司1人当たりの負担が軽減されることから、従来に比べ細やかな対応が可能になると考えます。
 次に、一時保護所への増員はあるかとの御質問にお答えいたします。
 近年の児童虐待の相談件数の増加に伴い一時保護児童が増加傾向にありますが、一時保護所の定員は20人となっており、それに対応するため児童福祉施設最低基準に基づき児童指導員9人が配置されております。
 なお、平成13年度の増員予定はありません。
 次に、離島地域への巡回指導体制の強化はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 離島地域の住民からの相談等については、宮古地区、八重山地区それぞれ年1回中央児童相談所の児童福祉司、心理判定員、嘱託医、言語治療指導員等による巡回相談を実施しております。
 なお、継続して指導を要するケースについては担当児童福祉司等による戸別訪問を行っております。また、その他の離島については児童福祉司等による戸別訪問で対応しております。今後とも児童福祉司等の戸別訪問を強化するなど、離島地域の相談・指導体制の強化に努めてまいります。
 次に、児童家庭支援センターの設置について進捗状況はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 児童家庭支援センターは、地域レベルでより身近に児童福祉に関する相談援助や指導助言及び児童相談所等との連携を行う施設として児童養護施設等に附置することとなっております。
 児童相談所は那覇市と沖縄市に設置されており、児童家庭支援センターについてはその他の北部地域や南部地域等への設置を考えております。現在、児童養護施設等と設置について調整しているところであり、引き続き検討してまいります。
○教育長(翁長良盛) 平良長政議員の御質問にお答えいたします。
 まず、全介助を要する重度障害児が普通学級で学んでおり今後もふえていくことが予想されるが、教育委員会はどのように考えているか、統合教育について伺いたいという御質問にお答えいたします。
 本県における特殊教育は、障害の程度と一人一人の実態に応じた特別な配慮のもとできめ細かな教育を行っているところであります。障害のある児童生徒が通常の学級で健常児とともに教育することについては、どの教育の形態が子供一人一人の能力を伸ばせるのか十分に検討する必要があると認識しております。
 我が国においていわゆる統合教育は、教育形態としてまだ確立されていないのが現状であります。したがいまして統合教育については、今後国の動向を踏まえつつ対処してまいりたいと考えております。
 次に、就学指導委員会の判定と保護者の就学希望が異なったケースは何件あったか、また決定した就学先はどこかという御質問にお答えいたします。
 障害のある児童生徒の就学に関する手続においては、学齢簿のある市町村教育委員会において最初の判定がなされます。そのうち特殊教育諸学校への就学が望ましいと判定された者については、沖縄県心身障害児適正就学指導委員会で審議し、障害の程度に応じた学校種いわゆる盲、聾、知的障害、肢体不自由、病弱を判定することになっております。
 平成13年度の就学児で沖縄県心身障害児適正就学指導委員会から答申された件数は132件でありました。そのうち保護者の意向に沿わない判定となった事例は4件であります。この4件につきましては保護者及び関係機関と調整をして適切に対応しているところであります。
 次に、就学先の最終決定は就学指導委員会の判定と子供、保護者の希望とどちらが優先されるのかという御質問にお答えいたします。
 各市町村教育委員会には、心身障害児適正就学指導委員会が設置されております。委員は医師、教育関係者、福祉行政関係者などで構成され、当該市町村における障害のある児童生徒の就学については専門医の診断書、心理検査資料、保護者の意見書等をもとに各委員の先生方がそれぞれ専門的な立場で審議を行っております。各市町村教育委員会においては、障害のある児童生徒の就学先及び教育措置の決定が保護者の意向と異なる場合は、当該児の身辺処理の状況、学校の受け入れ体制、保護者の支援等について話し合いを行い就学先を通知しております。
 次に、普通学級に障害児を受け入れるに当たっては施設整備や介助などのための人員配置が求められると思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
 県立高等学校の施設・設備に関しましては、体験入学等を通して施設の状況を確認してもらい、これまでもトイレ改修、スロープ設置、手すり設置などの対策を行っております。今後も障害者に優しい学校づくりとして施設の改修を進めていきたいと考えております。
 また、公立小中学校の施設・設備については市町村に対し施設の改修に積極的に取り組むように働きかけているところであります。
 公立小中学校における介助等の人員配置については、普通学級では肢体不自由児のために今帰仁村で非常勤1人配置されております。特殊学級については那覇市を初め6市町村で15人の配置が行われております。介助等のための人員配置については国庫の対象外でありますので、国の制度や県の財政状況から現時点で実施することは困難でありますが、今後国の動向を見守ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○商工労働部長(當銘直通) 土木行政のうち、総合事務局や防衛施設局の発注も地元沖縄の業者を優先するよう強く申し入れるべきだと思うがどうか、またそれぞれの発注高に占める地元業者の割合は何%かにお答えいたします。
 県は、「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」に基づき県の公共工事については分離・分割発注の工夫を行うことなどにより県内企業への優先発注を推進しております。またこれまで国や市町村などに対し、毎年県産品奨励月間の7月に本方針に準じた対応を要請してまいりました。さらに工業連合会を含む5団体も県産品奨励月間において国等に対する直接要請を行っております。県としましては、県内企業育成の観点から今後とも引き続き国等に対しその対応を強く要請していきたいと考えております。
 なお、平成11年度の国発注公共工事における県内企業への発注状況を見てみますと、総合事務局は件数で76.6%、金額で51.6%、防衛施設局は件数で85.3%、金額で62.6%となっております。
 以上でございます。
○平良 長政 再質問いたします。
 輸送コスト問題についてですが、これは農業だけではなくて全産業に及ぶもので、県経営協は、輸送コストの軽減は自立的発展に向けた基礎条件とも述べています。県工連、県漁協も振計に盛り込むべきだと要望していますので、強く私からも要望しておきたいと思います。
 あとバス問題ですが、私は毎議会バス問題を取り上げていますが、県の姿勢がとても弱い。これはバスの公共交通として果たしている役割を十分わかっていないのではないかというふうに思います。もし今度需給調整撤廃になれば、赤字路線は全部6カ月前に言えば撤収できるわけですから、それから慌ててももう遅いわけですね。例えばバスのストライキを考えてみたらわかるわけですが、通勤・通学、もう本当に経済が麻痺するぐらいそれだけバスの果たしている役割は大きいわけです。例えば今回労使協議会が開かれて首切りも200名余り出るということですが、その再雇用をどうするのかも含めてしっかりとしたやはり県の姿勢が大事だろうというふうに思います。
 先ほど局長はずっと話し合っていると言ったんですが、どういう話をしているのですか、どういう指導をしているのか、お聞きしたいというふうに思います。
 次に、宜野湾マリーナですが、私は今どきの行政手法として利用者と一度も話をしないで議会に提案するというのは、もうあきれているというのか恥ずかしいだろうと思います。だから2月16日──提案した日ですが──利用者を集めて説明会をしたけれども、もう高圧的で何か問答無用の形でもう議会に任せているからそこでという話をしていたそうですが、そういう態度は許されないと思います。それで前回の値上げのときもそうでしたが、やはり取り下げて6月議会に再度提案をすると。一切値上げはまかりならぬということではありませんが、そういう行政手法としておかしいということです。
 あと公共工事の件ですが、声高に沖縄振興を言いながら、しかし仕事は大手ゼネコンに公募型でするというのはやはりいかがなものかというふうに思います。この比嘉会長は、沖縄建設新聞のインタビューでこう言っています。沖縄県の経済自立にとって中小業者の発展は必要不可欠なもので、中小業者に受注機会が拡大されれば倒産防止や失業対策など社会的に与える影響は大きいというふうにこう言っていますが、中小企業が今までのとおりいくと、ばたばた倒れて本当に倒産、失業がふえるということになりますので、やはり分離・分割発注してやるべきだというふうに考えていますが、再度その件について答弁をお願いしたいと思います。
 あと基地問題ですが、ばかな腰抜け発言ですが、ばかとか頭が悪いと言って2人更迭された人がいます。1人は宝珠山元防衛施設庁長官で基地との共存共栄を言って総スカンを食った人ですが、軍用地強制収用問題で村山総理に対して──当時の──頭が悪いと言って更迭されました。
 あとリチャード・マッキー米太平洋軍司令官、あの少女暴行事件で、レンタカーを借りる金があれば女が買えたのにと言って更迭をされましたが、私はこの2人のばか発言以上に今回のは重要だとこう思うわけです。
 仲村副大臣も更迭すべきだとこう言っていたようですが、知事、やはりこれはきちっと更迭を求めるべきではないでしょうか、再度答弁を求めます。
 あと地位協定ですが、宮平永治軍特委員長、21日に代表で行かれて、そのときは感触がいいということで、あるいは官房長官も内閣を挙げて取り組むとかなど言っていたわけですが、その日にいわゆる政府は、これは困難で、運用改善するという方針を決める。こんな人をばかにした、沖縄県民をばかにしたことはないというふうに思います。外務大臣の発言もありましたが、本当にそうであればやはり知事は県民大会を開いてでもきちっと沖縄県民の意思を政府にぶつけるべきだと思いますが、どうでしょうか。
 海兵隊削減についてですが、教育の徹底とか綱紀粛正ではもうどうしようもなくなって我々は削減の決議をいたしましたが、私は海兵隊の訓練の模様をテレビで見ましたが、そこでやはり「キル、キル」と言って、「殺せ、殺せ」と言って訓練をするわけです。だからそういう人間性を何というかなくする訓練をするわけですから、そういう訓練をされた兵隊が人間の尊厳とか女性の尊厳、優しさをできるわけではないわけだと思います。
 それで削減だと思いますが、仲村副大臣は1万5000の海兵隊を5000だけ沖縄に残して、あとは米国本土へと言っておりますが、それについてどう考えますか。
 あとこれはけさの新聞でしょうか、(資料を掲示) きのうの知事発言ですね、削減について内閣幹部は、アーミテージ氏などの提言もあるが、米政権がどのような方針で臨むか不明確とこう言っているわけですが、そうではなくていわゆる沖縄県の意思を伝えてアメリカを動かさないといけない。アメリカの顔色だけをうかがっている弱腰外交では本当にだめだと、これはやはり沖縄の差別だというふうに思うわけです。
 あと知事、例えば削減をきのう言って、きょうも言っていますが、あとはそれを削減してなくなればいいわけですが、それも必要だとしたらどうしても移転問題と結びつくわけで、大田県政時代にもグアム、ハワイ州知事が受け入れ表明をしましたが、その移転について再度お伺いしたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前11時54分休憩
   午前11時54分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 ただいまの平良長政君の再質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午前11時55分休憩
   午後1時21分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 午前の平良長政君の再質問に対する答弁を願います。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 平良長政議員の再質問にお答えいたします。
 知事の政治姿勢についてで、過去に問題発言をして更迭された人がいるが、今回もきちんと更迭を求めるべきではないかとの御質問にお答えします。
 先ほども申し上げましたとおり、去る2月8日、ヘイルストン中将が直接県庁に来て、私や伊良皆県議会議長を初め関係者及び県民に対し、本心でない不適切な言葉を使ったとして謝罪しております。県としては、今回の問題を契機にヘイルストン中将を初め米軍人等が在沖米軍基地に係る沖縄の歴史的背景や国民の心をよく理解し、事件・事故の防止を初め県民の基地負担の軽減を図るためなお一層努力されるものと考えております。
 なお、仲村副大臣の発言はヘイルストン中将の謝罪前の発言であり、その後それを言い直されているとお聞きしております。
 次に、知事の政治姿勢について、地位協定の見直しについて軍特委員長が要請したその日に、政府は運用改善を言っている、地位協定の見直しを突きつける必要があるのではないかとの再質問にお答えいたします。
 去る2月21日の地元紙によりますと、政府は現段階で地位協定の改定は困難との判断をしたと報道されましたが、その後2月22日、衛藤征士郎外務副大臣が「日米地位協定の改定が必要だ」と述べたほか、同日、外務省河合北米局参事官も、地位協定の改定には時間がかかるが、改定要求をしないわけではないと述べたとのことであります。県としては、日米地位協定の見直しを求めることは県民の総意であり、あらゆる機会を通してこのような県民の意向を訴え続けることが日米両政府の前向きな対応を促進するものと確信しており、今後とも日米地位協定の見直しを早急に協議するようあらゆる機会を通して日米両政府に対し強く求めていく所存であります。
 次に、海兵隊削減について、仲村副大臣の削減についての発言をどう思うかとの御質問にお答えします。
 仲村副大臣の発言については、沖縄選出の国会議員として感慨を述べられたものと思います。いずれにしましても県としては、長い間にわたる県民の過重な基地負担の軽減を図る観点から基地の整理縮小を強く求めてきたところであり、在沖米軍を取り巻く状況を踏まえ、海兵隊を含む米軍兵力の削減について基地の提供責任者である日本政府において、日米両政府間の協議の中で取り上げるよう国に対し求めていきたいと考えております。
 次に、同じく再質問のうち、普天間移設と海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減との関連についてどう考えるかとの御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場問題の原点は、市街地の中心部にあり市民生活に深刻な影響を与えている普天間飛行場を一日も早く返還させるということであり、そのための実現可能なベターな手法として県内への移設及び返還を内容とするSACOの合意に至ったものであります。このため、SACO合意事案を着実に実施していくことが普天間飛行場問題の一日も早い解決に向けての現実的な方法であると認識しております。
 一方、海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減は、沖縄県民が背負っている過重な基地負担の軽減を図るため在沖米軍兵力に占める存在が大きい海兵隊を中心とした兵力の削減を県民の基地負担の軽減というトータルな視点から求めるものであり、普天間飛行場の移設と矛盾するものではないと認識しております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) バス統合問題についての再質問にお答えをいたします。
 先ほど答弁いたしましたとおり、バス統合につきましては基本的には当事者が主体的に取り組むべき問題であると考えます。しかしながら県といたしましては、バスが公共大量輸送機関であり県民の通勤・通学、買い物等日常生活を支える県民の足として重要な役割を果たしていることから、バス企業の経営の安定化が必要だと考えております。そのためにバス事業者からその都度バス統合の進捗状況の確認、統合に向けての問題点等について話し合いをしてきたところであります。
 現在、労使の代表者で構成されている労使協議会での協議が進められておりまして、その協議を経て新会社設立案が関係機関に提示されることと思います。それを受けまして今後県といたしましては、どのような対応が可能か総合的な観点から検討してまいりたいと考えております。
○土木建築部長(銘苅清一) 再質問2つございまして、まず1点目の宜野湾マリーナの使用料値上げについて、今回のマリーナ使用料金改定案を取り下げ、6月議会に再提出する考えはないかとの再質問にお答えいたします。
 今回の料金改定に際しましては、県内外のマリーナ調査、改定案の策定等に時間を要しており、御指摘の説明会の時期につきましては急な説明となり利用者に大変御迷惑をおかけいたしましたが、公営企業としての運営、維持管理上どうしても今回改定を行う必要がありますので、御理解を賜りたいと思います。
 それからあと1点は、公共工事の発注について中小建設業者に対し分離・分割による受注機会の拡大を図ることについての再質問にお答えいたします。
 県においては、県内経済の活性化、中小企業の育成は大変重要だと考えております。工事の発注については、工事の内容や規模、技術的難易度、現場条件等を勘案し、例えば県営住宅工事あるいは道路工事、舗装工事、河川工事等については可能な限り分離・分割を行っております。今後とも、中小企業への受注機会の拡充に配慮しながらバランスのとれた工事発注に努めていく考えであります。
○知事(稲嶺惠一) 先ほど平良長政議員の再質問に私の間違いがございましたので、おわびして訂正申し上げます。
 先ほどの最初の更迭問題のお答えの中で、「沖縄の歴史的背景や県民の心をよく理解し……」と言うべきところを、「国民の心」と言い間違えましたので、おわびして訂正いたします。
○平良 長政 答弁漏れ。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後1時31分休憩
   午後1時32分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 再質問ではなく、先ほどの御質問の中に同様の趣旨があったのでお答えいたしましたので、再度お答えいたします。
 沖縄の基地及び訓練等のグアムへの移転についてはこれまでも何度か報道されておりますが、県としては今回のグアム州知事の考え方がブッシュ政権の中でどのような政策に具体的に取り上げられていくのか、今後の動向を注意深く見守りながら県民の基地負担の軽減につながるよう適切に対処していきたいと考えております。県としては日米安保体制を容認する立場ではありますが、長い間にわたる県民の過重な基地負担の軽減を図る観点から基地の整理縮小を強く求めてきたところであります。
 県としては、在沖米軍を取り巻くこのような状況を踏まえ、海兵隊を含む米軍兵力の削減についても県民の意向を明確にするため基地の提供責任者である日本政府において、日米両政府間の協議の中で取り上げるよう国に対し求めていきたいと考えております。
○新里 米吉 護憲ネットワークを代表して質問します。
 私は、平良長政議員と質問が重ならないように、1、経済問題を中心にした3次振計について、2、人材育成、3、教育問題、4、市町村合併について質問します。
 牧野浩隆著「再考 沖縄経済」の「戦後沖縄の経済政策」について私なりに要約しますと、「米国は東西冷戦の勃発を契機に、日本を自由主義陣営の一員として強化する方向へ占領政策を転換したが、その際最大の要件は早急に日本の“経済復興”をはかること」であり、「日本には再軍備させない」で沖縄を「米国統治下において米軍基地を建設し、」、「「米国の基地建設」と「沖縄経済の復興」を同時に進めることになる」。米国にとって「基地建設を可能にするよう経済的諸条件を整備することに重点がおかれ」、「基地建設のもたらす波及効果を最大限に活用することによって経済復興をはかるという施策が展開され」た。「労働者、建設業者、商業およびサービス業など諸々の生産要素を基地建設に動員してドル外貨を稼がせ、このドルで大量の物資を輸入し、もって経済復興の手段とする施策が推進され」、「“基地依存型輸入経済”という不可抗力の枠組みをはめられてスタートした」。「こうした枠組みがはめられた時、多数の労働者、建設業者、商業およびサービス業等が基地需要をねらって殺到し、大量のドル所得を獲得した。しかし一方の供給サイドは、“域内生産力”の創出をふり
向くことなく、“輸入販売業”へ資本を集中することに特化した。」。「沖縄経済の構造的脆弱性としてまっ先に指摘される点は、製造業の貧弱さとその裏返しである輸入販売を主にした第3次産業構成比の異常な高さであるが、この原型は前述の初期条件によって誘導された帰結であるといっても過言ではない」と述べられています。
 私も同感であります。
 このような経済の構造的脆弱性を持つ沖縄が1972年に経済大国として発展した日本へ復帰しました。当然のことながら多くの分野で本土との格差が存在し、沖縄振興開発計画の制定と3次にわたる振興開発計画で諸施策が推進されてきました。この間、6兆円を超える沖縄振興開発事業費が投入され、産業・社会基盤、生活環境施設、学校教育施設等は充実してきましたが、自立的経済発展が困難な状況であります。
 21世紀プランで紹介されたシミュレーション分析では、沖縄県経済の成長率は2020年には1.5%の水準まで低下、完全失業率は6%と高率のまま、財政依存度は35%と現状より悪化すると見込まれ大変厳しい分析になっています。
 しかし、21世紀プランの「戦略産業振興ケース」の分析結果では2020年の成長率2.2%、完全失業率は3%台、財政依存度は31%という分析結果になっており、私たち沖縄県の主体的努力とポスト3次振計の沖縄振興新計画及び沖縄振興新法に向けた取り組みが重要になっています。
 ところで、琉球新報社の130万人の設計図で、他県に比べ優位に立てるはずの支援制度や特別措置が企業立地や誘致につながらないのは、制度や政策が政府の手で骨抜きにされているからだとの嘆きが県庁内から聞こえると報道されているように、現行制度のままでは自立への展望は持てないと思います。また現行制度の魅力のなさは、かつて台湾の国民党が沖縄に関心を示しながら投資を見送ったことにもあらわれています。
 沖縄は、米国統治下で基地依存型輸入経済の枠組みをはめられ、本土と著しい格差を持ったまま日本の一県となりました。日本経済の枠組みの中で圧倒的に市場における競争力、体力不足の県内企業は、生き残ることさえ容易なことではなかったと思います。しかも復帰後も米軍基地の返還が進まず、在日米軍専用施設の75%が存在することになり、県経済の発展にとって阻害要因になっています。これまでの3次に及ぶ振興開発計画で道路、港湾等の基盤整備がなされてきましたが、ポスト3次振計の沖縄振興新法においては自立的経済発展に展望が持てるような一国二制度的な思い切った施策が必要であると思います。
 平成8年9月10日、閣議決定の内閣総理大臣談話では、「「21世紀・沖縄のグランドデザイン」は、沖縄県がその願いを込めた構想であると承知いたしております。」と述べています。また平成9年11月19日の衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会は、「沖縄問題の解決促進に関する件」を発表し、その中で「自由貿易地域の拡大及び必要な規制緩和等については、一国二制度的な大胆な改革を目指し、積極的に取り組むべきである。」と述べています。
 新聞報道によると、知事は最近、「魚より釣り具がほしい」といった言葉を口にされているとのことです。国際都市形成構想以来の沖縄県の国に対する要求を短い言葉に要約すると、「魚よりも釣り具がほしい」という言葉で表現できると思います。
 しかし現状は、投資税額控除がホテルに適用されていないことや、沖縄型特定免税店制度の問題、沖振法第15条に関する措置の省令による骨抜き問題、特別自由貿易地域や石油産業の問題、輸送費の軽減問題等に示されるように多くの課題があります。新しい制度の導入と現行法や省令等の改正で実効性のある制度を実現することが求められています。
 また、ポスト3次振計に向けては健康食品産業に代表される地域資源を生かした産業の育成やベンチャー企業の支援が自立的経済発展に向けて重要になると思います。
 そこで、経済問題を中心にしたポスト3次振計について質問します。
 (1)、「魚より釣り具がほしい」との言葉にあらわれる知事の決意と沖縄振興新計画の基本的考え方を伺いたい。
 (2)、県経済にとって輸送コストは大きな課題である。輸送コスト軽減について伺いたい。
 (3)、観光・リゾート産業振興の基本的考え方と制度について伺いたい。
 (4)、情報通信産業振興の基本的考え方と制度について伺いたい。
 (5)、地域資源を生かした「オキナワ型」産業と新規産業創出についての基本的考え方と制度について伺いたい。
 (6)、特別自由貿易地域が十分機能していない。その主な原因と改善策について伺いたい。
 次に、人材育成に移ります。
 古来より、国や地域の発展には人材育成が重要なことが唱えられ、人材育成に力を入れてきました。沖縄においてもかつて国費・自費制度や米国留学制度等で多くの人材が育てられ、戦後の沖縄復興のために各分野で貢献されました。
 財団法人沖縄県人材育成財団は、復帰前の特殊法人琉球育英会、日本復帰と同時に事務を開始した財団法人沖縄県育英会の業務を引き継ぎ、復帰10周年の1982年(昭和57年)5月に財団法人沖縄県人材育成財団に改称し、事業拡充を図りながら現在に至っております。現在、沖縄県人材育成財団では、沖縄県人材育成海外派遣事業として海外の大学院(修士または博士課程)に10名派遣される海外留学生派遣事業、英語、中国語、韓国語、タイ語、スペイン語、フランス語の同時通訳者養成事業、40名の高校生がアメリカに留学する沖縄県高校生派遣事業を国費の助成で実施しております。
 この事業は、5年をめどに事業が開始されたと聞いております。海外留学生派遣事業と同時通訳者養成事業は平成9年度から実施され、ことし平成13年度が5年目になります。また高校生派遣事業は平成10年度から実施され、ことし4年目になります。この事業は、沖縄の振興発展に大きく寄与すると期待されており、継続することが望まれます。とりわけ高校生の留学については県費による10名のヨーロッパ留学、国費による40名のアメリカ留学、私費や各種団体による留学等を加えると全国でもトップクラスと言われており、世界の多くの国に組織を持つYFU国際交流財団を通しての高校生留学者数は全国一とのことです。
 これからの沖縄県は、国際的視野を持つたくさんの若い人が県内の各分野で活躍することになり夢と希望が持てます。幸いにして沖縄経済振興21世紀プラン最終報告でも事業を引き続き推進することが明記されております。
 そこで質問します。
 (1)、国費による海外留学生派遣事業、同時通訳者養成事業、沖縄県高校生派遣事業をポスト3次振計の沖縄振興新計画に位置づける考えはないか。
 次に、教育問題に移ります。
 日本の詰め込み、暗記教育についてはこれまで多くの学者、評論家、教師や教育関係団体、マスコミ等から批判されてきました。しかし、入学試験の対策としてはこれが有効な勉強法だと考えられています。創造性や個性を育てる教育を実践したいと考えている教師も、そうしたことを実践しては受験学力に結びつかないことを認識しています。
 日本の教育を根本的に改めるには、学歴社会の是正と大学入試の改革が最も重要なことであると指摘され続けてきました。これからの社会は、創造性豊かで問題解決能力のある人間が求められており、単に知識が豊富なだけでは日本の未来が暗いことを経済界も認識するようになっています。
 私は最近、高校生をアメリカに留学させた母親と話をする機会がありました。アメリカの学校での宿題について留学した子供が生き生きと報告したとのことでした。
 数学を例にとると、ギリシャ時代から現在までの数学者を各人で調べて発表する。高校生たちは、割り当てられた学者についてインターネットや図書館等で調べる。留学した高校生は、その学者をインターネットで調べたら、ニューヨーク大学の教授であったのでEメールを通して直接本人から聞けたとのことでした。またアメリカ、ヨーロッパに留学した高校生によるとディベート式の授業も行われていると報告しています。まさに創造力、問題解決能力を育てる授業や宿題がなされていることがわかります。
 本来、生きる力や考える力をつける教育は、それぞれの教科の授業でも実践されなければならないと思いますが、受験競争が厳しく知識偏重から完全に抜けることができない日本の学校教育では困難な状況だと思います。このような中で、新しい学習指導要領で「総合的な学習の時間」が導入されることになりました。総合的な学習のねらいについては、「(1)、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。(2)、学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすること。」となっています。
 総合的な学習は、1970年代に日教組が提案した総合学習と一定程度共通する考え方やねらいを持っております。
 私は、総合的な学習については一定の評価をします。むしろ教科学習の中でも欧米のような実践ができる環境を早く実現したいものです。
 ところで「総合的な学習の時間」については、学習指導要領が施行される平成14年4月から小中学校が本格実施され、高等学校では平成15年4月から本格実施します。現在、移行措置で実施されているようですが、多くの課題もあると聞いています。特に中学校では本格実施になると授業時数が各学年とも70時間以上になることから不安の声も聞かれます。また予算措置についても心配する声があります。
 そこで質問します。
 (1)、「総合的な学習の時間」の現状と本格実施に向けての課題は何か。
 第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画が5年計画で平成13年度からスタートします。改善計画の中で基本3教科、小学校、国語、算数、理科。中学校、英語、数学、理科で20人程度の少人数による授業を行うことなどに対する支援が最も大きな特徴です。
 ところで、その実施については教室の確保が必要になってくると予想されますので、質問します。
 (2)、第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画の少人数授業を実施するに当たって、空き教室のない学校は校舎の増築が必要になる。その対策は考えているか。
 次に、市町村合併に移ります。
 地方分権の推進、少子・高齢化の進展、介護保険、廃棄物処理等市町村合併が避けて通れない課題であることはよく承知しております。しかし政府の進め方は強引過ぎる印象を持たざるを得ません。政府の強引さに全国町村長会も白けムードであったことが報道されていました。
 合併協議会設置については、関係市町村の議会及び住民の自主性を尊重し、国及び県は合併に当たっての支援や助言に徹することが大切であろうと考えます。
 さて、合併に際し、合併による住民のメリット、デメリットは何か。個別・具体的に提示することは合併協議会や首長、議会の任務だと思います。また市町村合併は、主権者たる住民の主権行使の範囲を改変する点で首長や議会のみで決定されるべきではありません。新しい自治体の設立は公的機関や公共施設へのアクセス、行政サービス、コミュニティーの問題、歴史・文化、伝統等住民にとって重大な問題です。政府は、合併に至る一つの手続にすぎない合併協議会の設置に住民投票を導入しようとしているようですが、むしろ最終意思決定手段としての住民投票こそ住民主権を保障することになると考えます。
 そこで質問します。
 (1)、合併協議会、首長、議会は地域住民に対して合併のメリット、デメリットを広報や説明会等で周知徹底する努力が必要になると思うが、県の見解を伺いたい。
 (2)、市町村合併の最終決定には市町村の住民投票を導入するのが望ましいと思うが、県の見解を伺いたい。
 答弁の後、再質問します。
○知事(稲嶺惠一) 新里米吉議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、経済問題を中心にしたポスト3次振計について、「魚より釣り具がほしい」との言葉にあらわれる知事の決意と沖縄振興新計画の基本的な考え方を伺いたいというお答えでございます。
 これまでの総合的な振興施策の推進等により、本県の産業・社会基盤や保健福祉、教育文化等は総体としては着実に進展しております。しかしながら議員御指摘のように産業振興のおくれ、財政依存度の高い脆弱な経済構造、厳しい雇用情勢、広大な米軍施設・区域の存在など今なお多くの課題を抱え、本県を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。
 このような現状を踏まえ、沖縄県が民間主導型の自立経済を確立するためには、産業活動を促進する新たな制度を創設する中で、民間部門の創造的な活動が十分に発揮できる環境整備が重要であるという趣旨で発言したものであります。現在、「新たな沖縄振興に向けての基本的な県の考え方」を取りまとめているところであり、その中では民間主導型経済の構築、アジア・太平洋交流拠点の形成、多様な人材の育成などの課題について検討しているところであります。
 なお、一言つけ加えますと、「魚より釣り具がほしい」というのは、これはハードよりかソフト、当然制度なんですが、これを言われたのは、そもそもこういう非常に適切な表現を言われたのは実はブセナリゾートの國場幸一郎さんでございまして、私はそれをおかりしておりますので、一言つけ加えさせていただきます。大変いいということです。
 次に、経済問題を中心にしたポスト3次振計について、県経済にとって輸送コストは大きな課題である、輸送コスト軽減について伺いたいとの御質問にお答えします。
 県内市場が狭隘でかつ離島県である本県において、産業の振興を図るためには市場競争力の強化と県外市場への拡大が必要であります。そのため生産力、経営力等経営基盤の強化を推進するとともに、県外市場への物流コストを低減することが重要な課題であると認識しております。
 物流コストの低減の検討に当たっては、物流コストに占める輸送コストの割合や輸送形態、事業効果等その把握に努めることが必要であり、現在、実態調査を進めているところであります。今後、これらの調査結果を踏まえ、国との連携を図りながら輸送コストの低減や効率的な流通システムの整備等沖縄振興新計画で位置づけするよう取り組んでいきたいと考えております。
 同じく経済問題を中心にした3次振計についての中で、観光・リゾート産業振興の基本的な考え方と制度について伺いたいとのお答えでございます。
観光・リゾート産業は、本県の基幹産業として、また経済の自立化に向けて県経済全体を牽引していく産業として持続的な発展が強く期待されております。
 今後、さらなる発展が求められている中で、国際的な観光・リゾート地として多様なニーズに対応した通年・滞在型リゾートの形成を図ってまいります。このため広がりと奥行きのあるリゾート空間の整備を推進するとともに、アクセスの改善、国際コンベンション都市機能の充実・強化、歴史・文化等の観光資源としての積極的な活用を進めてまいります。また地域観光資源の活用や長寿・健康をテーマとした滞在型・参加型観光を推進するとともに、受け入れ体制の整備等を図っていきます。県としては、観光・リゾート産業の振興を図る中で関連産業との連携を拡充・強化し県内産業の振興を図っていきたいと考えております。
 また、今後制定される沖縄振興新法や沖縄振興新計画でも県の観光・リゾート産業の振興が効果的に実現できるよう、観光振興地域制度や新たな免税店制度などについて国と連携しながら取り組んでまいります。
 続きまして、同じく経済問題を中心としたポスト3次振計についての中から、地域資源を生かした「オキナワ型」産業と新規産業創出についての基本的な考え方と制度について伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 本県が持続的に発展するためには、本県の地域資源や特性を生かし優位性が発揮できる産業分野について重点的、戦略的に振興策を展開する必要があると考えております。このため、新事業創出促進法に基づいて平成11年3月に策定した「沖縄県基本構想」においては、健康、バイオ、観光、情報等の10の産業分野をオキナワ型産業として選定し振興を図っていくこととしております。
 現在、沖縄振興新計画の基本的な考え方を取りまとめているところであり、その中でオキナワ型産業分野を戦略産業として位置づけていきたいと考えております。そのため、制度面については企業の新事業創出やベンチャー企業の立ち上げ等を支援する企業認定制度や資金面等新たな支援措置を検討しているところであります。
 続きまして市町村合併について、合併協議会、首長、議会は地域住民に対して合併のメリット、デメリットを広報や説明会等で周知徹底する努力が必要になると思うが、県の見解を伺うという点の御質問のお答えでございます。
 地方分権の推進や少子・高齢化の進展、介護保険、廃棄物処理問題及び日常生活圏の拡大など広域化、多様化する行政需要に的確に対応するためには市町村合併は大きな課題となっています。
 市町村合併は、地域の将来や住民生活に深くかかわる重要な事項であることから、市町村合併を進めるに当たっては、御指摘のとおり市町村長は地域住民に対する十分な説明、また議会においては住民の声を反映させるための議論、さらに合併協議会においては合併の効果や懸念される事項への対処等についての説明を行い、地域住民の御理解、御協力を得ながら主体的に取り組む必要があると考えています。県においては、このような市町村の自主的、主体的な取り組みに対し今後とも積極的に支援を行ってまいりたいと考えています。
 なお、県では現在、市町村合併の議論に資するよう「市町村合併の推進のための要綱」の策定に取り組んでおり、策定後は広く県民に対する情報提供や地域別説明会等を開催するとともに、人的、財政的な支援を行うことによって市町村合併の促進に努めてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 経済問題を中心にしたポスト3次振計についての中で、情報通信産業振興の基本的考え方と制度について伺いたいにお答えいたします。
 県におきましては、情報通信産業を21世紀における本県の中核的産業と位置づけ、平成10年度に策定した「沖縄県マルチメディアアイランド構想」に基づき各種施策を推進しているところであります。沖縄振興新計画においても基本的に同構想の考え方を継承していく方針であります。
 構想においては、情報通信産業の中でも情報サービス、コンテンツ制作及びソフトウエア開発を重点分野として人材育成、研究開発及び企業化を促進し各種の産業基盤の整備を図ることとしております。
 これらの施策を推進する上で必要な各種制度については、新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方の中で鋭意検討をしているところであります。
○商工労働部長(當銘直通) 経済問題を中心にしたポスト3次振計についてのうち、特別自由貿易地域が十分機能していない、その主な原因と改善策について伺いたいについてお答えいたします。
特別自由貿易地域は、沖縄振興開発特別措置法に規定する関税法上の保税地域制度や選択課税制度に加え、税制及び金融上の優遇措置が講じられた地域であり、国内においては沖縄県のみに設置された地域であります。
県では、これらの優遇措置を活用して積極的に企業誘致を行ってきましたが、企業からは特別自由貿易地域の立地環境についてさまざまな要望や意見等があります。中でも輸出入規制の緩和や選択課税の対象品目の拡大等の制度の拡充・強化、立地企業に対するワンストップサービスなどを行う管理運営法人の早期設置と土地の賃貸方式の導入などのほか、割高な物流コストや技術系人材の不足及び関連産業の未集積などが指摘されております。
このことを踏まえ、県としましては制度のさらなる拡充・強化や管理運営法人の早期設置に向けた国との協議を強力に進めるとともに、物流コストの軽減策や用地の賃貸方式の検討、技術系人材の育成・確保など今後とも本地域の立地環境を整備し、立地インセンティブを高めて企業誘致に努めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 新里議員の御質問にお答えいたします。
 まず、国費による海外留学生派遣事業などをポスト3次振計の沖縄振興新計画に位置づける考えはないかという御質問にお答えいたします。
 御質問の諸事業につきましては、国際的な知見と行動力を備えた人材の育成及び本県の振興開発を担う人材の育成を図ることを目的に実施している事業であります。これらの諸事業については沖縄経済振興21世紀プランの中に明確に位置づけられておりますが、さらに現在策定中の「新たな沖縄振興計画」への位置づけについて検討を重ねているところであります。
 次に、「総合的な学習の時間」の現状と本格実施に向けての課題は何かという御質問にお答えいたします。
 新しい学習指導要領の移行期間である平成12年度は小中学校、特殊教育諸学校で100%、県立高等学校では81%の学校で「総合的な学習の時間」を教育課程に位置づけて実施しております。具体的には国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的、総合的な課題、地域やふるさとについての学習などの学校や地域の特色に応じた課題などが取り組まれております。
 「総合的な学習の時間」の全面実施に向けての課題といたしましては、趣旨を踏まえた目標、内容、身につけさせたい力及び年間指導計画等を網羅した全体計画の作成、さらに地域の人材や施設、自然や文化財等の活用と他機関との連携等が挙げられます。
 県教育委員会といたしましては、全面実施に向けて円滑に推進できるよう「総合的な学習の時間実践資料集」を作成し、学校、関係機関に配布してその活用の促進に努めているところであります。今後は実践上の課題に対応した実践事例集の作成、県指定研究等の成果の紹介等を通して市町村教育委員会や学校の教育活動を支援していきたいと考えております。
 次に、少人数授業を実施するため空き教室のない学校は増築が必要になる、対策は考えているかという御質問にお答えいたします。
 今回、国から第7次公立義務教育諸学校定数改善計画で少人数授業を実施するための教員の加配措置が示されましたが、学校施設面においても、少人数授業のための学習スペースとして新世代型学習空間の整備に対し国庫補助の拡充が図られております。
 これにより、新増改築事業については多目的スペースに係る加算面積が引き上げられ、少人数指導のためのスペースが確保できることとなりました。県といたしましては、市町村の少人数授業実施に伴う施設整備について国と連携をとり対応してまいりたいと考えております。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 市町村合併の最終決定に住民投票を導入することについてという御質問にお答えをいたします。
 現在、国におきましては、合併協議会の設置についての住民投票制度の導入について市町村合併の特例に関する法律の一部改正が検討されているところであります。 
 ところで、我が国の地方自治制度は、住民の直接選挙を通じて選ばれた長や議会が中心的な役割を果たすことを前提としており、住民自治のさらなる充実や代表民主制を補完する意味で近年住民投票に関するさまざまな議論がなされているところであります。
 去る10月25日、内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査会において、住民投票の制度化に当たっては住民投票の対象とすべき事項、選挙で選ばれた長や議会の権限との関係、投票結果の拘束力のあり方などいろいろな検討課題があり、これらの論点について今後とも引き続き検討することが必要であるとされているところから、県といたしましても今後の議論の推移を見守っていきたいと考えております。
○新里 米吉 再質問をします。知事へ質問します。
 きのう仲里議員からも外航船扱いの質問がありました。
 農水産物あるいは工業製品を沖縄から主な市場である本土の方に運ぶときの輸送費の軽減の問題があるわけでして、これは実は石油産業の場合も非常に大きな問題になっているということは、知事も「りゅうせき」におられましたんで非常に私よりもむしろ詳しいかと思いますが、沖縄の石油産業は今厳しい状況にあります。3項目の要請があると思いますが、その中でも特にタンカーの外航船の投入ということがコスト削減の中でも非常に大きいパーセントを占めていまして、8億以上になるだろうという話です。余りにも立地条件が悪くて、石油の自由化の流れも含めて非常に大変な状況にあるようですが、もう沖縄から撤退するかどうかという話も出たりするぐらいで、そうなったらこれは非常に大きな産業で、それに関連する企業、事業もありまして非常に厳しいことになります。もう新聞等でおわかりのことだと思いますが、例えば与那城町あたりの状況も含めて非常に大変な状況でして、それで知事、お聞きしたいのは、先ほど本人の言葉じゃなくて國場幸一郎さんの言葉ということでしたが、非常にいい表現だなと思っているんですけれども、魚より釣り具という言葉の中には外航船を投入するということも含められているのかどうか、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 それからあと要望でありますが、地域・離島振興局長、住民投票についてはこれからも考えていきたいという、検討事項のような感じを受けましたが、やはり国が途中経過の合併協議会で住民投票をやるかどうかというような、これを検討している状況ですね。今まで政府は住民投票については否定的だったんですが、みずから途中経過でやろうとしているわけですよ。途中経過でやるぐらいだったら、むしろ最終決定の方がもっと住民にとっても重要ではないのかということを感じますので、ひとつそこら辺は前向きに検討していただきたいと思います。
 それからあと1点ですが、先ほど教育庁関係の少人数授業に伴う校舎増築の問題がありました。
 この問題は、実は他府県と沖縄を比べた場合に生徒数の減少、これはこの10年ぐらい他府県では激減という言葉を使っています。沖縄の場合はなだらかな減少なんです。そうしますと相対的に見ると空き教室は本土他府県は沖縄よりも多いと見ていいと思います。
 沖縄の方が減少が少ないもんですから、20人の少人数学級をやろうとしたときに沖縄の方が校舎施設なんかではほかの県よりも困ると思います。したがって実はこの要望は教育長というよりも、知事や副知事、企画開発部長を含めてお願いしたいんですが、そういう状況がありますので、校舎等の高率補助の継続優先事項として考えていただきたいということを要望して終わります。
○企画開発部長(与儀朝栄) 再質問にお答えいたします。
 現在、県におきましては、新たな沖縄振興に向けての基本的な考え方を取りまとめている段階でありまして、その中で物流システムの構築という全般的な立場からいろいろの検討を進めております。物流コストの低減化のために工業製品あるいは農産物等のまず集配一元化による合理化あるいは高度化、さらにマーケティング等に係る支援を一元的に支援するロジスティック支援体制、これは効率的な物流システム、こういったものを総合的に構築する必要があるということでこの辺の全体的な切り口の中で効率的な物流システムの支援策について検討しているところであります。
○当山 全弘 平成13年第2回沖縄県議会に際し、社大・結連合を代表して質問をいたします。
 2001年は、希望に満ちた事件・事故のない平和で豊かな沖縄にしたい気持ちで元旦を迎えました。しかしながら世紀が変わっても米兵による事件・事故は変わらなかった。むしろふえる傾向にある。年明け1月15日、北谷町で米海兵隊員による連続放火事件が発生し5店舗が全半焼した。放火という凶悪な犯罪であり許しがたい行為である。知事は、毅然とした態度で抗議すべきである。1月9日は金武町で米兵による女子高校生被害発生。さらに1月14日と2月17日には米兵による傷害、器物損壊事件が国頭村及び北谷町で発生。
 かけ声ばかりの綱紀粛正は許せません。これでもよき隣人ですか。米兵の起こす事件・事故は、地位協定の運用改善だけでは減らない。たび重なる米兵犯罪を厳しく糾弾しなければならない。
 さらに四軍調整官ヘイルストン中将は1月23日、厳しい綱紀粛正を促すためにと称する電子メールの中で知事、県議会議員を名指しで「ばかな腰抜けども」、「頭の悪い弱虫」と中傷していることに対しても厳重に抗議をし、以下通告に従って質問をいたします。
 1、基地問題について。
 (1)、那覇軍港移設問題について。
 那覇軍港の経緯については、1945年、米軍による軍事占領に伴い、しゅんせつ、岸壁その他の港湾改良工事が施行され、1972年5月15日、復帰に際し那覇港湾施設として提供施設となる。1974年1月30日第15回日米安保協議委員会で移設条件つき全部返還合意がなされた。以来、27年間にわたり受け入れ先がないまま現在に至っていたが、那覇軍港の移設容認を表明した儀間浦添市長の誕生により移設と西海岸開発がセットされ残念であり、危機感を持って対処しなければならない。
 確かに1996年12月、SACOの最終合意で浦添埠頭地区への軍港移設が合意されたが、それは全くの政治的、軍事的ごまかしの何物でもない。当初SACOは、過重な米軍基地負担の軽減目的に設置されたが、中身は米軍軍事利益に合致し、県民が求めている過重な基地負担の脱却とは遠くかけ離れております。
 次の質問をいたします。
 ア、1994年、96年にかけての米軍の那覇軍港浦添移設案を見るとそれは軍事機能の強化であり、海兵隊の出撃拠点化を図ったものであることが判明しているが、知事の所見を伺う。
 イ、この軍港の危険性はアジア諸国地域の平和に敵対し、地域住民の生命の存続を危うくさせる常軌を逸した軍港案であるが、知事の所見を伺う。
 ウ、那覇軍港の移設が過去四半世紀にわたり宙に浮いているかを考えるべきで、軍事施設は平和を求める県民に利益をもたらさず政争と紛争の火種になっているが、知事の所見を伺う。
 エ、那覇軍港の移設論議は、軍港地区の平和利用と沖縄一円の経済振興から開始されたものであったが、知事の所見を伺います。
 オ、それがいつしか県民論議が不在のまま日米両政府間の秘密交渉により浦添市在の米軍キャンプ・キンザー基地と軍港とを連動させるもくろみとして浮上し浦添市移設が決定された。知事の所見を伺う。
 カ、那覇軍港は、経済振興や港湾施設の迷惑施設となっている。その迷惑施設を浦添市に押しつけることは、那覇市の良好な将来発展のためには浦添市が犠牲になっても仕方がないということでしょうか。知事の所見を伺う。
 キ、浦添市の一等地を広大な米軍の牧港補給基地が占拠し、加えてその海岸に巨大軍港を建設してどうして浦添市が発展していくでしょうか。知事の所見を伺います。
 ク、補給、整備、医療などの面で海兵隊を支援する部隊がいるのが牧港補給基地です。那覇軍港は、補給基地まで約6キロ離れ、物資の移動に手間がかかりました。浦添に移転すれば新軍港と補給基地とを一体に使え機能が大幅にアップされるが、知事の所見を伺います。
 ケ、市の15%を占める牧港補給基地、それに直結する軍港が移転すれば、米軍はホワイト・ビーチに次いで浦添でも大型艦船が寄港できる新軍港を手に入れることができる。このことは沖縄基地全体が一層危険な役割を担わされ、浦添の将来に大きな悔いを残すが、知事の所見を伺います。
 コ、SACO合意は、半世紀に及ぶ冷戦構造時代の古い沖縄米軍基地を21世紀を見据えた新しい基地につくりかえることである。米国は安保条約を盾に沖縄基地のたらい回しを図り、次代の米軍基地の強化・拡充をねらっている。21世紀の平和が叫ばれている現在、沖縄米軍基地の強化は世界の平和潮流に逆らうものであるが、知事の所見を伺います。
 サ、軍港建設に要する経費は、思いやり予算か、国民の税金で安保条約に基づく施設を提供することになるのか、知事の所見を伺います。
 シ、強襲揚陸艦ベローウッド、原子力潜水艦、大型艦船が出入りするたびに海兵隊員が町をのさばり、市民生活に多大な影響を与えることが懸念され、沖縄近海の事故が多発することが心配される。知事の所見を伺います。
 ス、軍港移設の形態は軍民共用で、現行の那覇軍港並みの艦船の入港、物資の搬入は認めるという論調があたかも実現可能であるかのように浦添市長は言っている。日米両政府は専用軍港でなければならないと言っているが、知事の所見を伺う。
 セ、那覇港の将来像を調査・検討するため那覇港国際流通港湾計画調査がまとまったようですが、施設配置や新たな港湾計画の指針について知事の所見を伺います。
 ソ、一部事務組合設立は那覇軍港移設港湾計画整備手法に関連するのか、知事の所見を伺います。
 (2)番、日米地位協定について。
 地位協定17条5項(c)に規定された「合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行なうものとする。」という不平等な条文は、95年9月の少女暴行事件を契機に初めて戦後50年を経てもなお米国の従属国、占領国としての日本の姿を浮き彫りにしました。
 日本国憲法が沖縄県民を決して守らないという差別、不当性が明らかとなった事件で、党派を超えた8万5000人余の県民集会は、現実問題として沖縄県民の不安と怒りが交差し、「基地の整理縮小と地位協定の見直し」等を早急に日米両政府に求めた県民総意の訴えであります。
 17条5項(c)の規定によって犯罪米兵は、現行犯逮捕以外、起訴されるまで米軍基地にかくまわれる形になっており、かつてはこの特権を利用して容疑者を本国に転属させた例もありました。しかしこれまで地位協定の差別的な条文が改められたことは一度もありません。ドイツが93年までに改定交渉を経て国内法優位の原則を確立していったのと対照的であります。
 そこで知事に伺います。
 ア、稲嶺県政の「地位協定の見直し要求」は、日本政府の外交の弱腰姿勢で実現可能と思うのか。
 イ、知事が要求している「地位協定の見直し要求」が日本政府に拒否されたら基地に対する知事の基本姿勢を改めるべきだと思うが、知事の決意を伺いたい。
 (3)、原潜事故に関連して。
 米ハワイ州オアフ島の南約18キロで2月9日午後1時45分ごろ、宇和島水産高校のマグロはえ縄実習船「えひめ丸」499トンと米原子力潜水艦「グリーンビル」6080トンが衝突し、実習船が間もなく沈没した。乗っていた35人のうち26人は米沿岸警備部隊に救助されたが、残る9人は行方不明となっております。
 米政府は、原潜側のミスによる事故と判断している。このグリーンビルは、1998年12月20日ホワイト・ビーチ沖合に入港、停泊した原潜である。ホワイト・ビーチへの原潜の入港は、復帰後これまで166回に及んでおります。沖縄県も対岸の火事として見過ごしてはならない。客として同乗していた民間人が事故当時潜水艦の操舵席の一つに座り、かじを握っていたことが13日わかった。民間人がかじを握っていた新事実の判明で米軍の安全管理に対する姿勢に批判が強まり、絶対に許せないと怒りで抗議をしたい。
 次の質問をします。
 ア、与那城町及び勝連町では、原潜の入港のたびに放射能漏れの被害防止、ウミンチュにとって魚が売れなくなるなどの経済的打撃も大きいと懸念される危機感があります。県の災害対策マニュアルの策定はどうなっているのか。またグリーンビルのホワイト・ビーチへの寄港中止を要求すべきと思うが、知事の所見を伺います。
 イ、森総理が事故の一報を受けてもゴルフ、不明者を犠牲者と言ったり、官邸の危機管理体制について批判を浴びているが、知事の所見を伺います。
 ウ、気候、治安がよく、出港が集中し実習32校がハワイ周辺だが、その実態はどうか。
 エ、沖縄水産高校の実習船「海邦丸」、「翔南丸」の実習先はどこか。ハワイも含むのか、今度の事故についてどう考えるか、また今後どう対応するか、漁船保険はどうなっているのか、知事の所見と教育長の所見を伺います。
 オ、衝突後海に投げ出された。救命いかだにしがみつき救助を待った。グリーンビルは方向転換してすぐそばまで来たものの、沿岸警備隊が到着するまでの約1時間、縄ばしごをおろしただけで積極的な救助活動をしなかったというが、知事の所見を伺います。
 カ、衝突事故当時、民間人が16人招待され、そのうち1人が潜水艦の操舵席の一つに座りかじを握っていたことが事実として判明し、米軍の安全管理に対する姿勢が厳しく批判されなければならないが、知事の所見を伺います。
 (4)、四軍調整官ヘイルストン中将の電子メールの問題について。
 四軍調整官は1月23日、厳しい綱紀粛正を促すため在沖海兵隊の上層部10数人にあてた電子メールの中で、知事、副知事、吉田金武町長及び県議会議員を挙げ、「扇動的でわれわれに損害を与える決議が通過するのを何もせずに見ていた」、「彼らは頭の悪い弱虫だ」、また「ばかな腰抜けども」と批判した。頭の悪い弱虫と中傷されていることについては、何度部下に強く指導しても事件や事故がおさまらないといういら立ちや半ば八つ当たりのような形でこのような表現が出たのであれば、沖縄の歴史的背景や県民の思いを理解をしていない。
 次の質問をいたします。
 ア、ヘイルストン中将は県議会決議を「扇動的」だと言い、県知事が決議を見過ごしにしたことに腹を立て、「ばかな腰抜けども」、「彼らは頭の悪い弱虫」だと切って捨てた。知事の所見を伺います。
 イ、相次ぐ不祥事と海兵隊削減の動きに対するいら立ちと、選挙によって選ばれた議員が全会一致で決議したことに関連して、県民にとって招かれざる客である米軍人が「腰抜けども」と批判するのは許される行為ではないと思うが、知事の所見を伺います。
 ウ、地域調整官という要職にある人の問題認識であり、済みませんでは済まされない問題だと思う。知事は毅然とした態度で抗議すべきと思うが、知事の所見を伺う。
 エ、基地被害は事件・事故だけではなく、都市開発の阻害要因になっている等市民生活への影響が大きい。このような現状に対する理解が地域調整官には求められるが、知事の所見を伺います。
 オ、ヘイルストン中将は調整官という役職にありながら、県議会の決議の意味を受けとめるのではなく、組織防衛の軍の論理を前面に出したと考えられ、問題認識のなさが感じられる。知事の所見を伺います。
 カ、クリントン大統領は平和の礎を訪ねた。大統領は、沖縄で大勢の海兵隊員を前にしてよき隣人たれと訓示をした。にもかかわらず事件・事故はその後も絶えることがない。日米安保が沖縄の過重負担の上に成り立っている現実は少しも変わっていない。知事の所見を伺います。
 キ、軍の論理と県民感情の溝には気づかない傲慢な駐留意識のあらわれ、民主主義の原則から外れた言葉を本音と断じた上で、最高責任者としての視点が欠けていると基地問題に詳しい識者は指摘しているが、知事の所見を伺います。
 (5)、普天間基地の県内移設問題について次の質問をいたします。
 ア、SACO合意では普天間飛行場は5年から7年で全面返還されることになっている。2001年から2003年ということになるわけだが、普天間飛行場の全面返還されるのはいつか。また移設の条件をどう解決していくのか、知事の所見を伺います。
 イ、稲嶺知事は一日も早く危険な普天間飛行場を返還させるために県内移設を行うとしているが、遅々として進んでいない。海兵隊を県外へ移設・撤去の方が近道ではないのか、見解を伺います。
 ウ、広大な普天間飛行場の跡地利用のためには特別立法を含めた財政支援措置や基地内の環境汚染調査、環境浄化対策などが必要だ。新たな沖縄振興策にどう組み入れていくのか、県の取り組みはどうなっているのか、見解を伺いたい。
 (6)、海兵隊削減問題について。
 たび重なる米軍兵士による沖縄県民、とりわけ女性に対する許しがたい破廉恥な事件・事故が続発、そのたびごとに綱紀の粛正とよき隣人になる努力を約束してきた米軍当局。しかしながらその効果もむなしく去る1月9日、在沖米海兵隊員による女子高校生への強制わいせつ事件が発生し、ついに私たち沖縄県議会は、1月19日の臨時議会において与野党全会一致で米海兵隊を含む兵力削減を求める意見書及び抗議決議を県政史上初めて可決した。米軍基地の整理縮小に向けての県民の願いに対し、主体的な意思表示を行ってきた。そのことが県内外はもとより、日米両政府に大きなインパクトを与え、沖縄の米軍基地問題の解決促進に大きな転機をもたらし、基地のない平和な沖縄を願う県民の負託に対応できたと我が社大・結連合は高く評価をしております。
 次の質問をいたします。
 ア、知事は、県議会における全会一致での海兵隊削減の意見書及び抗議決議の可決をどう評価し、それを今後の行政にどのように反映させていくつもりか、知事の所見を伺います。
 イ、2月16日の知事の所信表明には、米軍基地問題ではSACO合意を速やかに求めていくという従来の主張しか見当たらない。真に米軍基地の整理縮小を実現させるためには、海兵隊の削減をもっともっと積極的に求めていくべきだと考えるが、知事の所見を伺います。
 2、知事訪米について。
 稲嶺知事は、これまで米軍基地問題の解決に向けタイミングを見て訪米することを何度も表明していながら今まで実現していない。
 次の質問をいたします。
 (1)、知事は訪米をする考えがあるのか、またその時期はいつごろか。
 (2)、訪米の際は、当然米海兵隊の削減による米軍基地の整理縮小を求めていくべきだと考えるが、所見を伺います。
 3、アメリカ大統領ブッシュ政権の発足に関して。
 選挙結果が二転三転する混乱を経て1月20日にブッシュ氏が米大統領に正式に就任し政権がスタートした。超党派の専門家の間から、沖縄の基地負担を減らすために兵力をアジア各地に分散すべきとの提言も出るなど米国の安全保障政策に変化の兆しもあり、新政権に対し沖縄県民が何らかの新しい期待と知事に積極的な対応を求めるのは当然と考える。
 次の質問をいたします。
 (1)、アメリカのブッシュ政権の発足に際し、何らかの対応をしましたか。またどう評価し、何を期待しますか。
 (2)、沖縄の基地問題に関しては、訪米など何らかの積極的な対応をすべきと考えるがどうか。
 4、2001年度予算について。
 稲嶺知事が誕生して2年、任期前半に打ち出した施策をどのように実現していくか、知事の真価が問われております。復帰後の屋良、平良知事は戦後処理、復帰処理に全力を傾け沖縄振興の道筋をつけた。西銘知事は経済の活性化に努め、大田知事は女性登用、情報公開、平和行政など新しい風を行政に吹き込んだ。稲嶺知事の役割である県民福祉の予算案について編成作業の過程などを質問いたします。
 (1)、政策課題に重点配分して新世紀の沖縄像を示すその内容の予算を説明してください。
 (2)、2001年度は21世紀の初年度というだけでなく3次振計の最終年度である。ポスト3次振計へつなぐ予算となっているか、説明してください。
 (3)、県は、21世紀の早い時期に民間主導による自立経済社会の構築を目指すとした。新年度の予算の内容を説明してください。
 (4)、児童虐待防止策、高校未就職卒業者就職促進などいずれも課題となっている社会問題への対応が求められているが、予算の内容はどうなっているか、説明してください。
 (5)、経済の自立化、基地の整理縮小、沖縄の課題に取り組む予算の内容はどうなっているか、説明をしてください。
 (6)、少子・高齢化社会から生じる弱者対策の予算内容はどうなっているか、説明してください。
 (7)、訪米予算の内容を説明してください。
 5、教育問題について。
 (1)、教育基本法の改正に関して。
 2月1日に国の中央教育審議会が発足した。今回の中教審最大のテーマは教育基本法の改正にあると言われている。この問題に関しては、森首相は1月31日の施政方針演説で、中教審等で幅広く国民的議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得たいと期待を表明し、相変わらず執心であることがわかりました。
 教育基本法の改正については、森首相の私的諮問機関・教育改革国民会議でも国家、道徳を強調する首相と、それに批判的で国際化や科学技術、生涯学習などへの対応を重視する多くの委員とのせめぎ合いがあった。結局、最終報告では基本法改正の見直しを盛り込んだものの、「国家至上主義的考え方や全体主義的なものになってはならない」と歯どめをかけた経過があります。
 町村信孝文部科学大臣は中教審の発足した総会で、スピーディーに改革を進めたいと教育基本法の改正を含め早目の結論を得る意向を示している。学級崩壊や不登校問題、中途退学等々教育の問題、課題は山積、深刻化の一途だが、それが戦後民主主義教育を支えてきた教育基本法の改正で解決できるのか。基本法が何を実現して、何ができなかったのか、教育現場を含めて国民的な論議が必要であり、改正ありきは許されない。
 我が社大・結連合会派は、慎重な審議を求めていく視点から次の質問をいたします。
 ア、知事は、教育基本法の意義についてどう考えるか。
 イ、教育委員会は、戦後教育における教育基本法の果たした役割をどう評価しているか。
 ウ、知事及び教育委員会それぞれに教育基本法の改正問題に対する認識と見解を求めます。
 エ、森首相の私的諮問機関の教育改革国民会議の最終報告での基本法改正に関して、「国家至上主義的考え方や全体主義的なものになってはならない」と提案した意味を知事はどう考えるか。また教育委員会はどう考えているか。
 (2)、不登校問題について。
 知事は、平成13年度の主要施策の10「多様な人材の育成と文化・スポーツの振興」で、「家庭・地域社会と連携して不登校児童生徒や中途退学等の対策を強化してまいります。」と表明してきた。
 ところで、この問題について町村信孝文部科学相は2月2日のマスコミ報道陣との懇談で小中学校生の不登校について、戦後教育の欠陥だと思うがとした上で、「はき違えた個性の尊重、はき違えた自由が不登校生を生んでいる」と発言し、これまでの各都道府県で教育現場での不登校やいじめに対応するカウンセラーの配置やフリースクールへの出席を指導要領上の出席扱いと認めるなどこれまで積み上げてきた施策や努力を否定するもので、まさに文部科学相自身が問題の本質をはき違えた問題発言と言わなければならない。
 そこで以下の質問をいたします。
 ア、2月2日の町村文部科学相の発言を知事はどう認識されますか。また教育委員会としてはどう考えますか。
 イ、不登校問題に対するこれまでの文部省及び新しい文部科学省の考え方と指導及び県の対応はどうなっているか。
 ウ、本県の小中学校における不登校のここ3年間の推移と県の取り組みはどうなっているか。
 エ、不登校問題での市町村との連携はどうなっているか。
 オ、沖縄県教職員組合とも密接な連携・協議が必要と考えるが、どうなっているか。
 あとは答弁によりまして再質問をいたしたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 当山全弘議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は基地問題、那覇軍港の移設について、軍事施設は政争と紛争の火種になっているがどうかという御質問と、次の那覇軍港の移設論議は軍港地区の平和利用と沖縄一円の経済振興から開始されたものであったが、その所見を伺いたいという2つの御質問を一括してお答えをいたします。
 那覇港湾施設を含む那覇港は、那覇空港に近接し空港、港湾が一体となった物流拠点や観光拠点が形成される産業振興上の重要な地域であります。県としては、本県の産業振興や経済の自立的発展を図るためには浦添市西海岸地区を含む那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備するとともに、那覇港湾施設返還跡地の有効利用による新たな町づくりが重要であると考えております。那覇港湾施設の移設と浦添市西海岸地区の開発は密接に関連しているものであることから、既存港湾の再開発による機能の充実と新たな港湾機能の拡大を図るため那覇港湾施設を浦添埠頭地区に移設する必要があると考えております。
 なお、2月20日には私と那覇市長、浦添市長の3者が会談し、港湾整備の主体となる那覇港管理一部事務組合を早期に立ち上げるための推進協議会の設置について合意したところであります。
 同じく基地問題について、那覇市の発展のためには浦添市が犠牲になっても仕方がないということかという御質問と、浦添市の海岸に巨大軍港を建設してどうして浦添市が発展していくのかという2つの御質問を一括してお答えいたします。
 浦添市の活性化のためには、浦添市西海岸地区を含む那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備し、物流拠点を形成して企業立地の促進や雇用機会の拡大を図る必要があると考えております。このため、既存港湾の再開発による機能の充実と新たな港湾機能の拡大や中南部の高速交通ネットワークを形成する沖縄西海岸道路の整備等と一体となった西海岸地区の開発について浦添市と連携して進めていきたいと考えております。
しかしながら、国際流通港湾としての新たな開発整備については、多大な事業費を要することから国の制度的、財政的な支援が不可欠であり、県としては浦添市西海岸地区の開発と那覇港湾施設の移設はあわせて検討する必要があると考えております。
 同じく基地問題について、SACOは古い基地を新しい基地にかえることであり、基地の強化は世界の平和潮流に逆らうものであると考えるが所見を聞きたいとのお答えでございます。
 SACOは、米軍の運用面における県民の負担軽減のほか、普天間飛行場の全面返還を含む11施設、約5002ヘクタールの土地の返還を内容とするなど沖縄県民の基地負担の軽減を図るため日米両国政府が協議を行い合意に達したものと理解しております。SACO合意事案の返還がすべて実現すれば、1972年の日本復帰後これまでに返還された土地面積を上回る在沖米軍専用施設面積の約21%の土地が返還されることになります。
 SACOの実施は、本県の米軍施設・区域の面積を確実に縮小でき、県民の希望する基地の整理縮小につながるものと考えております。県としては、SACOの合意事案がすべて実施されたとしても本県には依然として在日米軍専用施設面積の約70%の米軍基地が存在することから、50年余も過重な基地を負担してきた県民の意向にこたえるためさらなる米軍基地の計画的、段階的な整理縮小に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、同じく基地問題で、地位協定で一番最初は、日本政府の外交の弱腰姿勢で実現可能と思うかということと、日本政府に拒否されたら基本姿勢を改めるべきだと思うがどうかという2つの御質問を一括してお答えいたします。
 私は去る2月14日、今回の放火事件に関連して被疑者の即時引き渡しと日米地位協定の見直しなどを関係大臣に要請しました。その際、河野外務大臣から、平成7年10月の日米合同委員会で合意された身柄引き渡しに係る「特定の場合」を例示してもうまくいかないときは日米地位協定の見直しも検討しなければならない旨の発言があり、また2月15日の衆議院予算委員会において、日米地位協定の見直しも視野に入れてよいと思っている旨の答弁がありました。さらに2月21日には福田官房長官が県議会の要請団に対し、日米地位協定の問題を含め沖縄の問題に前向きに取り組む考えを表明しております。
 政府関係者のこれらの発言は、日米地位協定の見直しを求める県民の熱意が国の前向きな対応を促進しつつあるあかしであると考えており、県としては、今後ともあらゆる機会を通して日米地位協定の見直しを粘り強く訴え続けることがその実現につながるものと確信しております。
 次に、同じく基地問題で、ハワイの例を挙げられまして官邸の危機管理体制について知事の所見を伺うとのお答えでございます。
 今回のハワイ・オアフ島沖で起こりました愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」と米原子力潜水艦の衝突事故により、現在もなお実習生、指導教官及び乗務員の9名が行方不明となっていることに対し、一刻も早く発見されることを祈る思いでございます。またこのような痛ましい事故が二度と起こらないよう、事故原因の徹底した究明がなされることを願うものであります。
 御質問の官邸の危機管理体制については、現在、国会において質疑がなされておりますが、これを機会に一層危機管理体制の強化が図られるものと思います。
 次に、同じく基地問題についてのうち、衝突後、グリーンビルは積極的な救助活動をしなかったことについての所見を伺うということのお答えでございます。
 実習船「えひめ丸」と米原子力潜水艦との衝突事故については、現在も事故調査が継続している状況であり、また正式な事故の調査結果が公表されておりませんので、事実関係が一日も早く明らかになり、二度とこのような事故が起こらないことを願うものであります。
 次に、四軍調整官ヘイルストン中将のEメールの内容に関し、どう思っているかという趣旨の一連の質問について一括してお答えを申し上げます。
 今回のEメールは、ヘイルストン中将が配下の各部隊司令官に対し、事件・事故の再発防止に向けてさらなる綱紀粛正の強化を求めるために発せられた私的な内部文書であると理解しております。
 しかしながら、その内容は議会制民主主義における知事等の執行部と議会が独立して機能するという両者の関係について正しく理解しておらず、また米軍基地に関する沖縄の歴史的背景や県民の思いに対する配慮が欠けていると言わざるを得ない部分が含まれており、極めて遺憾であります。
 今回の件に係るマスコミ報道があった去る2月6日、私は本問題に関するコメントを発表し、ヘイルストン中将の認識不足を指摘し、不快である旨表明しました。また去る2月8日にヘイルストン中将が県庁に来て、私や伊良皆県議会議長を含め関係者及び県民に対し謝罪した際にも強い遺憾の意を表明するとともに、在沖米軍の責任者としての発言には県民の心を理解し十分注意を払うよう重ねて強く申し入れたところであります。
 次に、基地の現状に対する理解が四軍調整官には求められているがどうかという御質問と、調整官は軍の論理を前面に出しており問題認識のなさが感じられるがという御質問と、日米安保が沖縄の過重負担の上に成り立っている現実は変わっていないがどうかという御質問、それに傲慢な駐留意識と民主主義の原則から外れた言葉で最高責任者としての視点が欠けていると識者は指摘しているがどうかというこの4つの御質問を一括してお答えを申し上げます。
 本県には、広大かつ過密な米軍基地が存在することにより都市形成及び交通体系の整備など振興開発を図る上で障害となっており、また航空機騒音や油流出事故などのほか、米軍人等による事件・事故等による県民生活及び環境への影響が問題となっていることは事実であります。
 このように沖縄県は、戦後56年間にわたって過重な米軍基地を負担してきたことから、県議会においては基地の整理縮小を強く望んでいる県民の意向を踏まえ、去る1月19日に海兵隊を含む兵力削減を全会一致で決議されたところであり、その決議については県としても重く受けとめております。県としては、今後ともヘイルストン中将を初め米軍人等が沖縄の戦後の歴史的背景や県民の心をよく理解し、事件・事故の防止を初め県民の基地負担の軽減を図るため積極的に取り組むよう強く求めるとともに、三者協議会やワーキングチーム等の枠組みを通して関係者が相協力して基地問題の解決促進に努力したいと考えております。
 次に、同じく基地問題のうち、普天間飛行場が全面返還されるのはいつか、移設の条件をどう解決していくのか所見を聞きたいとの御質問にお答えをいたします。
 普天間飛行場の移設については、現在、代替施設協議会において代替施設の規模、工法、具体的建設場所等基本計画策定に向けて協議が進められております。
 なお、県が国に申し入れた「移設にあたって整備すべき条件」については、閣議決定された「普天間飛行場の移設に係る政府方針」を受けて設置されたそれぞれの協議会において解決に向けての具体的な作業が進められております。
 また、15年使用期限については政府において解決に向け努力されていることを承知しておりますが、基地の提供責任は日本政府にあることから、過重な基地負担を担ってきた県民の意向を踏まえ政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。県としては、関係市町村と連携を図りながら普天間飛行場の早期移設・返還の実現に向けて取り組むとともに、返還跡地については都市基盤の整備など21世紀の振興の拠点となるよう努力していきたいと考えております。
 次に、基地問題について、海兵隊を県外へ移設・撤去した方が近道ではないのか見解を伺いたいとの御質問のお答えでございます。
 普天間飛行場については、市街地の中心部にあり市民生活に深刻な影響を与えていることから、その早期返還を県政の重要課題として取り組んできました。県としては、県、地元市町村の要請に基づき日米両国政府が精力的に協議を行い合意に達したSACOの合意事案を着実に実施し、実現可能なものから一つ一つ解決していくことが基地の整理縮小を促進する現実的で実現可能な方法であると認識しております。
 普天間飛行場の移設については、現在、代替施設協議会において代替施設の規模、工法、具体的建設場所等基本計画策定に向けて協議が進められているところであります。県としては、関係市町村と連携を図りながら普天間飛行場の早期移設・返還の実現に取り組むとともに、返還跡地については都市基盤の整備など21世紀の振興の拠点となるよう努力していきたいと考えております。
 次に、基地問題について、1つ、県議会における海兵隊削減の意見書及び抗議決議の可決をどう評価し、どのように反映させていくか所見を聞きたいという御質問と、所信表明には基地問題について従来の主張しか見当たらないと、基地の整理縮小を実現させるためには海兵隊の削減を求めていくべきと考えるが所見を聞きたいとの2つの御質問を一括してお答えいたします。
 在沖海兵隊の削減については、昨年のジョーンズ米海兵隊総司令官の発言やアーミテージ氏らによる超党派の国防専門家グループのレポートで、沖縄県民の基地負担の軽減を図る立場から、海兵隊の訓練の移転や兵力の削減について提言が行われるなど米本国内にも新しい動きが出てきていることに県としても注目してきたところであります。また日本国内においては自民党の古賀幹事長が「沖縄駐留の米海兵隊削減問題について「三党の政策レベルで取り決めていく大きなテーマだ。三党として方向付けしたい」」旨発言しております。さらに県内においては県議会が強制わいせつ事件に関連して「海兵隊を含む兵力の削減」等を求める意見書及び抗議決議を採択しており、多くの市町村議会でも同様な議決がなされております。
 このような状況から、県としては海兵隊をめぐる国内外の動向を見た場合、在沖米軍兵力の削減は一つの方向性を持った新しい流れになりつつあると認識しております。
 また、日米両政府間においても、さきのパウエル国務長官と河野外務大臣との初会談で在沖米軍基地問題が話し合われ、その席上、パウエル国務長官は、米軍が沖縄の人々にとって最小限の妨げとなり、日本政府にとっても最小限の政治問題となるようにしたい旨発言しております。県としては日米安保体制を容認する立場ではありますが、長い間にわたる県民の過重な基地負担の軽減を図る観点から基地の整理縮小を強く求めてきたところであります。
 県としては、在沖米軍を取り巻くこのような状況を踏まえ、海兵隊を含む米軍兵力の削減についても、県民の意向を明確にするため基地の提供責任者である日本政府において、日米両政府間の協議の中で取り上げるよう国に対し求めていきたいと考えております。
 次に、知事訪米の問題で、1つの御質問は訪米する考えはあるのか、その時期はいつごろなのか、次に訪米の際に海兵隊の削減による米軍基地の整理縮小を求めるのかとの2つの御質問を一括してお答えします。
 知事訪米についてはできる限り今年度内の実施を模索しておりますが、ブッシュ新政権のスタッフがまだ固まっておりませんので、そのあたりも見きわめつつ県内外の情勢も踏まえて最も効果的な実施時期を判断する必要があると考えております。
 県としては、基地問題は国の外交・防衛にかかわる問題であると認識しており、その解決に向けてはまず国家間で話し合いがなされるべきであると考えておりますが、訪米の際には、海兵隊を含む米軍兵力の削減など基地の整理縮小や日米地位協定の見直し及び普天間飛行場の代替施設の15年使用期限の設定など、本県が抱えている基地問題の解決を日本政府に求めていることを米国政府や連邦議会等の関係機関に伝え、理解と協力を要請したいと考えております。
 また、訪米に際しては、米国の代表的なシンクタンクの一つである外交問題評議会から依頼のある講演や企業誘致活動も行いたいと考えております。
 次に、ブッシュ政権の発足に際し何らかの対応をしたか、どう評価し何を期待するかということと、沖縄の基地問題に関しては訪米など何らかの積極的な対応をすべきと考えるがどうかについてお答えいたします。一括してお答えいたします。
 ブッシュ新大統領は去る1月20日に就任し、現在、新政権の体制を整えている段階だと理解しております。県としては、先ほども申し上げましたとおりブッシュ新政権の体制が整った段階で訪米して、本県が抱えている基地問題の解決を米国政府等に求めていきたいと考えております。
 なお、ブッシュ新政権の国防長官に任命されたラムズフェルド新国防長官は、「就任後初の記者会見で、ブッシュ大統領から「米軍の兵力構成の包括的な見直し」をするよう指示を受けたこと」を明らかにしておりますので、県としては、ブッシュ新政権において沖縄県民の長い間にわたる過重な基地負担の軽減を図る観点から、基地の整理縮小を初めとする沖縄の基地問題の解決に取り組むことを期待しております。
 次に、2001年度予算について、政策課題に重点配分して新世紀の沖縄像を示す内容の予算を説明してほしいと、次にポスト3次振計へつなぐ予算となっているか説明されたいと、次の民間主導による自立経済社会の構築を目指すとした新年度予算の内容を説明されたい、この3つの質問を一括してお答えをいたします。
 平成13年度予算の編成に当たっては、本県の財政が依然として厳しい状況にあることから行政システム改革大綱に掲げた改善項目を着実に実施するとともに、限られた財源の中で新たな政策課題や緊急かつ重要な施策に重点を置くことを基本に編成しました。
 具体的には、まず沖縄振興新計画の策定に向けた調査を実施するとともに、ポストサミットへの対応として国際会議等各種コンベンションの誘致や県外拠点都市における物産観光キャンペーンを実施するほか、万国津梁館の会議棟の増設などを行うこととしております。
 IT関連施策として、コールセンターの立地を促進するための通信費低減補助金を拡充するほか、IT教育センターの整備や情報通信技術講習会を実施します。
 また、環境共生型地域の形成に向けた施策として、離島における放置自動車の撤去や廃家電等のシュレッダーダストのリサイクル利用に係る研究を新たに実施することとしております。
 産業の振興、雇用の拡大に向けた施策として、地域新産業創出支援事業や企業誘致活動経費の拡充、ベンチャー企業投資事業の実施など自立型経済の構築に向けた取り組みを強化するとともに、高校未就職卒業者の早期雇用への支援を新たに実施することとしております。
 また、多様な人材の育成、クローン技術活用促進事業など各種研究機関の研究体制の充実・強化を図るとともに、民間の製品開発力の向上を図る研究開発コーディネート事業の実施など、ポスト3次振計及び自立型経済社会の構築に向けた諸事業に重点配分を行いました。
 次は、教育問題について、教育基本法の意義についてどう考えるかとの御質問のお答えでございます。
 教育基本法は、日本国憲法のもとに「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。」とし、昭和22年3月、日本の教育の基本指針として制定された法律であります。同法は、教育の目的と基本原則等を掲げ教育の方向性を定めるとともに、戦後日本の民主国家再建への教育理念を示し、我が国の教育のあり方に大きな役割を果たしてきたものと考えます。
 同じく教育問題について、教育改革国民会議の最終報告での教育基本法改正に関して、「国家至上主義的考え方や全体主義的なものになってはならない」と提案した意味をどう考えるかという御質問にお答えをしたいと思います。
 教育基本法については、その制定時と社会状況は大きく変化し、現在、教育基本法についていろいろな意見があることも事実であります。新しい時代にふさわしい教育基本法については、教育改革国民会議の最終報告でも述べておりますように、その制定の背景等を踏まえ、広範な国民的論議と合意形成が必要であると考えます。今後ともその推移を見守っていきたいと思います。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 当山全弘議員の基地問題について逐次お答えしていきたいと思います。
 まず1994年、96年の米軍の那覇軍港浦添移設案を見ると、海兵隊の出撃拠点化を図ったものであることが判明しているがどうかという点と、この軍港案は地域住民の生命の存続を危うくさせるものであると思うがどうかという2点について一括してお答えをいたします。
 県としては、那覇港湾施設の移設については、今後、地元の意向等も踏まえながら地域住民の生活の安全に配慮して国と協議・調整していきたいと考えております。
 なお、御指摘の米軍提案の軍港移設構想については承知しておりません。
 それから次に、県民論議が不在のまま日米間の秘密交渉により米軍キャンプ・キンザー基地とを連動させる浦添移設が決定された、所見を伺うという御質問にお答えいたします。
 那覇港湾施設の移設については、昭和49年に日米合同委員会で全面返還が合意され、平成7年には浦添埠頭地区内への移設を条件として施設の全部を返還するという那覇港湾施設特別作業班の勧告が日米合同委員会で承認されております。
 また、SACOの最終合意において浦添埠頭地区への移設と関連して那覇港湾施設の返還を加速化するため最大限の努力を共同で継続することが確認されております。SACOの合意事案は県、地元市町村の要請に基づき日米両政府が真摯に協議を行って合意したものと理解しており、SACO合意を実施することが那覇港湾施設の早期返還を実現する現実的な方法であると認識しております。
 次に、那覇軍港は牧港補給基地まで約6キロ離れており、移設すれば機能が大幅にアップされるがどうかという点と、移設後、米軍は大型艦船が寄港できる新軍港を手に入れ、浦添の将来に悔いを残すがどうかという2点について一括してお答えをいたします。
 県としては、那覇港の早期整備を図るとともに、那覇港湾施設の返還を促進するため現在の那覇港湾施設を浦添埠頭地区に移設する必要があると考えております。
 また、浦添市の西海岸地区を含む那覇港湾施設をハブ機能を有する国際流通港湾として整備していくことにより、浦添市や那覇市だけでなく本県の産業振興や経済の自立的発展にもつながるものと考えております。
 次に、軍港建設に要する経費は思いやり予算か、国民の税金で安保条約に基づく施設を提供するのか聞きたいという御質問にお答えいたします。
 SACO合意事案の一つである那覇港湾施設の移設は、政府においてSACO関係の経費で実施されるものと考えております。
 次に、原子力潜水艦や大型艦船が出入りし市民生活に多大な影響を与えることが懸念され、事故の多発が心配されるがどうかという御質問にお答えいたします。
 県としては、那覇港湾施設の使用形態等を含む移設問題については、今後、地元の意向等も踏まえながら地域住民の生活の安全に配慮して国と協議・調整していきたいと考えております。
 次に、浦添市長は軍民共用で現行の那覇軍港並みの艦船の入港、物資の搬入は認めると言っている、日米両政府は専用軍港でなければならないとしているがどうかという御質問にお答えいたします。
 先ほども申し上げたところでありますが、県としては那覇港の早期整備を図るとともに、那覇港湾施設の返還を促進するため現在の那覇港湾施設を浦添埠頭地区に移設する必要があると考えております。
 那覇港湾施設の移設先の使用形態については、浦添市の意向を踏まえながら国と協議・調整していきたいと考えております。
 それから次に、ホワイト・ビーチへの原潜の寄港中止を要求すべきと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 我が国への原子力潜水鑑の寄港については、昭和39年8月28日、政府が米国の通常の原子力潜水艦が我が国に寄港することについて寄港に同意することを決定し、この旨を米国政府に通報したと発表しております。県としては、日米安全保障体制を認める立場から原子力潜水艦の寄港については政府の方針に基づき寄港を容認するものではありますが、日米両政府においては原子力潜水艦の安全性の確保に万全を期していただきたいと考えております。
 なお、国及び県においては、原子力潜水艦の寄港時に放射能調査を行い安全性の確認に努力しているところであります。
 次に、衝突事故当時、民間人が潜水艦のかじを握っていたことが判明した、米軍の安全管理に対する姿勢が厳しく批判されなければならないがどう思うかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 愛媛県宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が米海軍の原子力潜水艦と衝突、沈没した事故は大変悲惨であり、行方不明の9人の方々の安否を気遣っているところであります。
 県は、原子力潜水艦が寄港する際、事前に国からの通報に基づき直ちに勝連町、水産業中央会など関係者に対しその旨連絡を行い周知に努めているとともに、国と協力して寄港中の放射能調査を行っているところであります。
 次に、2001年度予算についての中の、基地の整理縮小に取り組む予算の内容はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 平成13年度の基地関係業務に係る予算は、総額で5817万4000円となっております。
 その主な内容は、米軍基地の整理縮小及び基地に起因する事件・事故等への対応に関する業務、基地関係情報収集の委託業務、三者連絡協議会、軍転協及び渉外知事会に関する業務等となっており、それに要する経費として3813万2000円を計上しております。また普天間飛行場及び那覇港湾施設返還対策事業に要する経費として2004万2000円を計上しております。
 次に、同じく2001年度予算に関する質問の中の、訪米予算の内容を説明願いたいという御質問にお答えいたします。
 基地関係予算の中で訪米事業に係る予算として総額1129万円を計上しております。その内訳は、知事等8人分の旅費として814万円、要請書の作成等の需用費として105万円、車両や事務機の借り上げ等現地調達を要する委託料として200万円、その他通信費等の役務費として10万円となっております。
 以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 基地問題についての中で、那覇港の国際流通港湾計画調査における施設配置や新たな港湾計画の指針について問うにお答えいたします。
 那覇港国際流通港湾計画調査(素案)においては、東アジア地域のコンテナ貨物量、航路ネットワーク等を踏まえて推計したトランシップ貨物として20フィートコンテナ換算で84万個、経済フレーム等により推計した現状趨勢分及び新たに設置が予定される自由貿易地域から発生するコンテナ貨物として35万個、その他ばら貨物等として770万トンの取扱量が推計されております。
 こうしたことを踏まえ、浦添埠頭地区においては大型コンテナ船に対応する大水深岸壁2バースや国際海上コンテナターミナル整備、自由貿易地域及びコースタルリゾートが示されております。
また、新港埠頭地区においては、国際クルージングに対応した大型旅客船岸壁1バース及び背後の旅客ターミナル等の一体的整備が示されております。
泊埠頭地区は、旅客を中心とした観光拠点とし、那覇埠頭は定期フェリー及び貨客船を中心とした周辺離島を拠点としての整備が示されております。
新たな港湾計画の整備方針については、当該調査(素案)をベースに西海岸道路、コースタルリゾート、自由貿易地域及び那覇港湾施設の取り扱いなどについて総合的に検討し、平成14年度を目途に策定される改訂計画原案の中で示されることとなります。
 次に、同じく基地問題について、一部事務組合設立は那覇軍港移設港湾計画整備手法に関連するのかについてお答えいたします。
 那覇港管理一部事務組合は、港湾計画を策定するとともに開発整備や管理運営等の役割を担うことになります。
 SACO合意に基づく那覇港湾施設の移設受け入れが県、那覇市及び浦添市によって合意された場合、一部事務組合は港湾機能や土地利用計画等との整合を図り総合的に検討の上、同施設を新たな港湾計画に位置づけることになります。
 次に、同じく基地問題について、普天間飛行場の跡地利用のためには財政支援措置や環境汚染調査、環境浄化対策などが必要だが、新たな沖縄振興策にどう組み入れていくのか、県の取り組みはどうなっているかについてお答えいたします。
 平成11年12月に閣議決定された「駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等に関する方針」の中で、行財政上の措置については新たな法制の整備により対応することとしております。県は現在、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」の中で行財政上の具体的な措置について検討を進めているところであります。
 また、汚染物質及び不発弾などの調査及び除去については、軍転特措法の施行令で「返還実施計画で定める事項」として明示することとしております。現在、「跡地対策準備協議会」において汚染物質の調査及び除去等に関する事項や不発弾の調査及び除去等に関する事項などの課題について検討し、制度の確立に向け取り組んでいるところであります。
 次に、2001年度予算について、経済の自立化の予算の内容はどうなっているかにお答えいたします。
 本県が自立型経済の構築を図るためには、産業活動を支える空港、港湾、情報通信インフラなどの基盤についてこれまで以上に目的志向型の戦略的、重点的な整備を進める必要があると考えております。
 また、産業の振興については、観光・リゾート産業や情報通信産業等を重点的分野として戦略的に振興するとともに、産業活動を促進する新たな制度を創設するなど民間部門の創造的な活動が十分発揮できる環境整備を積極的、効果的に推進していきたいと考えております。
 このため、平成13年度は経済の自立化に向けて沖縄振興新法の制定や沖縄振興新計画の策定に向けた取り組みに3900万円、ポストサミットへの積極的な対応や観光・リゾート産業の新たな展開に9億1171万円、マルチメディア等情報通信産業の振興に33億4571万円の重点的な予算編成がなされております。
○文化環境部長(宮城光男) 原潜の入港による放射能漏れに対する県の災害対策マニュアルの策定はどうなっているかという御質問にお答えします。
 我が国に寄港する原子力軍艦から放射能放出事故が発生した場合の緊急連絡は、在日米国大使館から外務省へ通報され、さらに外務省から関係地方公共団体等へ連絡するとともに、国の防災基本計画の原子力災害対策及び原子力災害対策特別措置法に準じて所要の対策をとることになっております。
また、原子力軍艦が寄港する際には、国が定めた「原子力軍艦放射能調査指針大綱」に基づき文部科学省から委託を受け本県も調査班に加わって放射能調査を実施しており、異常があった場合は速やかに県へ通報されることになっております。
 本県においては、このような緊急時の通報があった場合に備え、地域住民の安全確保を図る観点から、本年1月に県地域防災計画を他県に先駆けて修正し、国、県、市町村を含めた関係機関の役割を定めるとともに、住民に対する情報が適宜・適切に行えるよう通報体制を定めたところであります。
 今後は、地域住民の避難のあり方等より具体的な対応を規定するなど内容の充実を図っていきたいと考えております。
○教育長(翁長良盛) 当山議員の御質問にお答えいたします。
 まず、基地問題についてという御質問に関連いたしまして、ハワイは気候、治安がよく、ハワイ周辺で水産高校の実習船が多いと報道されているが、そのとおりかという御質問にお答えいたします。
 平成11年度全国水産高校実習船運営協会の資料によりますと、全国の水産高校の大型実習船は33隻あります。そのうち32隻が好漁場であることなどからハワイ周辺水域で乗船実習をしており、そのほとんどがホノルルに寄港しております。また平成11年度の全国の水産高校のマグロ漁業実習は66航海行われておりますが、そのうち63航海がハワイ周辺海域で実施されております。
 次に、沖縄県の実習船の実習先はどこか、ハワイも含むのか、今度の事故についてどう考えるか、また今後どう対応するか、漁船保険はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 今回の宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が米国海軍原子力潜水艦「グリーンビル」に衝突され沈没した大惨事については、被害者とその家族はもとより全国の水産・海洋系高等学校の生徒及び関係者に与えた衝撃ははかり知れないものがあります。一日も早い原因の究明と高校生を含む9人の行方不明者の発見を願うものであります。
 ところで、本県の実習船は海邦丸が主として東シナ海で、翔南丸三世がインド洋で乗船実習を実施しております。最近では翔南丸三世が昨年と一昨年それぞれ1回ハワイ周辺海域で実習を行いました。
 このような乗船実習に際しては、乗船実習の事前指導や船内における防火・防水操練や救命艇操練等の安全指導を最優先に行ってきましたが、今回の事故にかんがみさらに安全指導を徹底するとともに、緊急時における対応等について再点検を進めていきたいと考えております。
 次に保険についてでありますが、本県の場合は実習船は船主責任保険に加入しています。これは船体損傷のみに関する保険で、乗組員には地方公務員災害補償制度が適用されます。また実習生は日本体育・学校健康センターの災害共済給付金のほか、実習生を対象とした団体傷害保険に加入しております。
 戦後教育における教育基本法の果たした役割をどう評価するかという御質問にお答えいたします。
 教育基本法は、我が国の教育全体を通じる基本理念と方向性を明示するなど教育の基本指針としての役割を果たしてきたものと理解しております。戦後の日本の教育は、教育基本法をもとに教育制度の整備がなされ教育は著しく普及し、国民の教育水準を高めるなど教育の振興が図られてきたものと考えております。
 次に、教育基本法の改正問題に対する認識と見解についてという御質問にお答えいたします。
 教育基本法は、日本国憲法に基づいて民主国家再建への意欲を示し、我が国の教育のあり方の基本を定めたものとして尊重されなければならないと認識しております。新しい時代にふさわしい教育基本法の見直しが論議されておりますが、その見直しに当たっては、時代の進展に対応した教育のあり方を慎重に検討し国民的論議を重ねて進めていくことが大切であると考えております。
 次に、2月2日の町村文部科学相の発言内容をどう考えるかという御質問にお答えいたします。
 去る2月2日の町村文部科学大臣と記者団の懇談会における不登校問題に関して、「はき違えた個性の尊重、はき違えた自由が不登校を生んでいる」との報道があったことは承知しております。
 今回の報道について、2月5日に文部科学大臣がコメントした「不登校に関する私の考え方」によりますと、「不登校児童生徒の中には、家庭や学校の教育の中で、自己統制力を児童生徒に身につけさせることが不十分であったことが原因となっている場合もあるのではないか。」とする内容もありましたが、不登校の原因は、いじめ、対人関係、学業の不振などの要素が絡まっており、その対策としては、スクールカウンセラーの充実や学習面における少人数指導の導入など原因に対応した方策が必要であるとも述べております。
 このことから、文部科学省の不登校に対する考え方や施策の展開は従来のとおりと受けとめております。
 次に、不登校問題に対するこれまでの文部省及び新しい文部科学省の考え方と指導及び県の対応について伺いたいという御質問にお答えいたします。
 不登校問題に関するこれまでの文部省の考え方と指導は、平成9年、「登校拒否問題への取組について」に示されているところでありますが、それによりますと、まず不登校はどの児童生徒にも起こり得るものであるという視点に立つこと、次にいじめ、学業の不振、教師に対する不信感などが起因して不登校になってしまう場合がしばしば見られること、また学校生活への適応を図るために多様な方法を検討する必要があることなどとなっており、このことは2月5日の文部科学大臣のコメントと同様の考え方であると理解しております。
 県教育委員会といたしましては、これまで推進してまいりました諸施策をもとに不登校問題についての指導の充実・強化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、本県における小中学校における不登校の3年間の推移と県の取り組みはどうなっているか、市町村教育委員会との連携はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 本県の不登校児童生徒数は、小学校では平成9年度207名、平成10年度405名、平成11年度458名。中学校では平成9年度1121名、平成10年度1535名、平成11年度1758名となっております。特に本県の中学校における遊び・非行による不登校の占める割合は平成11年度で38.7%となっており、全国の13.7%に比べてかなり高く、不登校問題における重点課題と考えております。
 県教育委員会におきましては、学校における月1回の「所在確認強化週間」の設定や家庭教育支援会議設置の促進、スクールカウンセラー巡回教育相談員の配置拡充を図るなど、児童生徒一人一人に応じたきめ細かな個別指導ができるよう学校や市町村教育委員会への指導に努めているところでございます。
 さらに、市町村教育委員会との連携については、都市地域における不登校児童生徒が多いことから、10市を対象とした「不登校問題対策10市連絡協議会」、市町村教育委員会指導主事連絡会等を開催し、事例研究を通して不登校への効果的な対策に努めているところであります。
 最後に、教職員組合とも緊密な連携・協議が必要と考えるがどうかということにお答えいたします。
 不登校は、学業の不振や友人関係をめぐる問題、親子関係をめぐる問題、本人にかかわる問題など家庭、地域社会、学校のそれぞれの要因が複雑に絡み合っているものと考えられます。
 また、不登校の原因が教師との関係をめぐる問題がある反面、教師による家庭訪問や学業、生活面での指導・援助で改善することがあるなど、不登校問題の対応については児童生徒の理解など教職員一人一人の果たす役割が極めて重要であります。
 このことから、学校においては不登校問題について教職員一人一人が意識を高め、指導力の向上が図られるよう事例研究会等の開催、校内研修の充実・強化について市町村教育委員会を通じて指導をお願いしているところであります。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 2001年度予算について、児童虐待防止策の予算内容についての御質問、それから少子・高齢化社会から生じる弱者対策の予算内容についての御質問に一括してお答えいたします。
 児童虐待防止法の成立により通告事例もふえると思われるため、同対策の予算を大幅に増額し1642万1000円を計上しています。
 その主な新規事業として、保護者へのカウンセリングや児童福祉司等への助言を行う精神科医の配置に係る経費、市町村単位の児童虐待ネットワークを促進するための補助及び地域の連絡網を密にするための関係者専門研修会に係る経費があります。継続事業として児童虐待対応協力員の報酬、虐待防止のための関係機関ネットワーク連絡会経費、一般県民向け広報・啓発のための講演会等経費及び児童福祉司等の資質向上のための県外研修経費等を計上しております。
 次に、高齢者の要援護対策でございますが、介護保険制度の導入に伴う利用者負担の激変緩和の観点から、利用者負担の軽減措置を講じる低所得者対策関連の新規事業として1億5000万円を計上しています。
 また、継続事業として援護を必要とするひとり暮らしの高齢者等への配食サービスや外出支援サービス等を提供する介護予防・生活支援事業として7億円、さらに在宅の寝たきり老人及び痴呆性老人に対し保険外負担となっているおむつ代の助成を行う老人福祉医療助成金2億2000万円等を計上しております。
○商工労働部長(當銘直通) 2001年度予算についてのうち、高校未就職卒業者就職促進事業の予算の内容はどうなっているかについてお答えいたします。
 今春卒業予定の高校生の就職内定状況は、平成12年12月現在で38.1%と前年同月に比べ0.9ポイント改善されているものの、依然として厳しい状況が続いております。
 県においては、これまでも県外企業職場体験実習や県内外企業の合同面接会の開催等を実施してきたところでありますが、今後はこれまでの対策に加えて卒業から就職への円滑な移行を促進する観点から、未就職卒業者の早期就職促進対策を強化していく必要があると考えております。このため、平成13年度は新たに高校未就職卒業者就職促進事業を実施するため2289万3000円を計上しております。
 この事業は、未就職卒業者と県内中小企業の事業主との間に試行的に雇用するいわゆるトライアル雇用として3カ月間の期間を設け、その後引き続き常用雇用した事業主に対してトライアル雇用の期間中に支払った賃金の一部を助成するものであります。この事業を通して技術・技能のミスマッチの軽減や職場への適応を促すとともに、働くことの意義等を再認識すること等により早期の就職を促進してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○当山 全弘 再質問いたします。
 まず、基地問題の日米地位協定の改定についてでございますけれども、これは運用改善ができないのであれば改定ということで一歩踏み込んだことでお互い期待しましたけれども、お互いが要請に行ったときも嘉数代議士やあるいはまた外務省あたりもそういう見解だったんですけれども、きのうの朝刊を見てみると、これは全く改定に踏み込まない方針といったことで答弁が出ているわけですね。日米地位協定の改定については、実施細則を見直して一層の運用改善を図るということで外務大臣はおっしゃっておりますけれども、このことへの知事の見解と外務省の真意については確認したかどうか、まずこれについて答弁願いたいと思います。
 次に、海兵隊削減要求ということで、たび重なる事件・事故等について知事は県議会の決議等を重く見て、この海兵隊の削減要求を知事の訪米あたりで強力にやっていくというふうなことをおっしゃっておりますけれども、今、米軍基地の県内移設の動きが普天間飛行場を初めとする那覇軍港の移設等がありますけれども、これの動きと、県内移設の動きと知事の削減要求とは矛盾するわけですね。そういったところをひとつ答弁願いたいと思います。
 それから那覇軍港の予算について、これはSACOの関係予算ということでありますけれども、はっきりとしたことを言ってくださいよ。
 それと港湾法との関連、いいですか、メモしてくださいよ。港湾法との関連を言ってください。
 そして、浦添に軍港が来ると危険で、繁栄とかそういうことを私が言ったら、地域住民の生活の安定を図るということはあるけれども、地域住民の生活の安定を図るということはどういった内容のたぐいのものであるのか、もう少し説明をしてくださいね。
 それから、港湾管理者の一部事務組合の問題についてちょっと質問いたします。
 一部事務組合の意味するものは何なのか。これは最終的には管理者を知事にして、その権限の行使をみずから軍港問題等についてはやってしまうのか、どういった部類のものであるのか、意味するものは何なのか、説明してください。
 それから、沖縄総合事務局の沖縄における国際流通港湾可能性調査によると、世界一流の港湾にすれば物流は23万TEUということがこれは前に試算されているわけですが、これは私が調べた結果によりますと、安謝新港において既に30万TEUを超えるバースをつくっていると。これには浦添に港をつくっても船は来ないと国は言っているわけですよね。浦添に港は要らないということを言っていることから考えますと、これは明らかに軍港の移設ありきじゃないかなということであるけれども、その辺をもうちょっと整理して答弁を願いたいと思っております。
 それと、物流の拠点として国際ハブ港湾を整備するんであれば、物資の需給見通しを含めた那覇港の整備計画がどうなっているか、これをお互いに示していただかない限りちょっと私は納得できないですけれども、そこら辺をちゃんと……。
 これは那覇軍港移設ありき、この那覇軍港というのはどこの予算かということ、SACOの予算ということを言っているけれども、SACOの予算はどこなのか、防衛庁なのか港湾局なのか、そこら辺はひとつ説明してください。
 答弁によってまた再質問をいたしたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後3時59分休憩
   午後3時59分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 ただいまの当山全弘君の再質問に対する答弁は、時間の都合もありますので休憩後に回したいと思います。
休憩いたします。
   午後4時  休憩
   午後4時27分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 休憩前の当山全弘君の再質問に対する答弁を願います。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 当山議員の再質問のうち、1つは、地位協定の見直しについて外務省が別の表現を言っていると、外務省へ確認をしたのかということです。
 日米地位協定の見直しについて、実施細則を見直して一層の運用改善を図るとしているが、これについての見解と外務省に確認をしたかとの御質問にお答えいたします。
 去る2月21日の地元紙によりますと、政府は、現段階で地位協定の改定は困難との判断をしたと報道されましたが、その後2月22日、衛藤征士郎外務副大臣が日米地位協定の改定が必要だと述べたほか、同日、外務省河合北米局参事官も地位協定の改定には時間がかかるが、改定要求をしないわけではないと述べたとのことであります。
 県としては、日米地位協定の見直しを求めることは県民の総意であり、あらゆる機会を通してこのような県民の意向を訴え続けることが日米両政府の前向きな対応を促進するものと確信しており、今後とも日米地位協定の見直しを早急に協議するようあらゆる機会を通して日米両政府に対し強く求めていく所存であります。
 なお、日米地位協定の運用改善についてはマスコミ報道の段階でありますので、今の段階では外務省に確認をしておりません。
 続きまして、海兵隊削減問題と普天間移設あるいは那覇港湾移設との関連についての御質問でございます。
 普天間飛行場問題の原点は、市街地の中心部にあり、市民生活に深刻な影響を与えている普天間飛行場を一日も早く返還させるということであり、そのための実現可能なベターな手法として県内への移設及び返還を内容とするSACO合意に至ったものであります。このため、SACO合意事案を着実に実施していくことが普天間飛行場問題の一日も早い解決に向けての現実的な方法であると認識しております。
 一方、海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減は、沖縄県民が背負っている過重な基地負担の軽減を図るため、在沖米軍兵力に占める存在が大きい海兵隊を中心とした兵力の削減を県民の基地負担の軽減というトータルな視点から求めるものであり、普天間飛行場の移設と矛盾するものではないと認識しております。
 なお、那覇港湾の移設につきましては、本県の産業振興や経済の自立的発展を図るためには浦添市西海岸地区を含む那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備するとともに、那覇港湾施設返還跡地の有効利用による新たな町づくりが重要であると考えております。海兵隊の削減との関係は矛盾するものではないと認識しております。
○知事公室長(親川盛一) 当山全弘議員の再質問にお答えをいたします。
 まず、SACO関連予算はどういうものか明らかにしてほしい、防衛庁なのか、どこなのかという御質問にお答えをいたします。
 SACO関連予算は防衛庁で所管しているものでありますが、今後国と協議する中から具体的な予算項目は示されるものと考えております。
 次に、地域住民の生活の安全とはどういう内容かという御質問にお答えをいたします。
 具体的なことにつきましては使用形態等が国から示される中で明らかになると思料されますが、どのようなものが考えられるかは今のところ明らかではございません。いずれにしましても浦添市の意向等も踏まえながら地域住民の安全確保について取り組んでいきたいと、このように考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 再質問にお答えいたします。
 まず最初の港湾法との関係はどうなのかということについてお答えいたします。
 那覇港湾施設は、米軍専用施設として位置づけられるため使用や管理等については港湾法の適用は受けません。ただし、港湾計画の中に位置づけるときには港湾法第3条の港湾計画の策定に係る規定を受けることになります。
 それから2点目の組合設立の目的につきましては3点ほどありまして、1点目にはハブ機能を有する国際流通港湾としての整備、2点目に経済産業の自立化を目指した国際物流と加工交易型産業の展開、3点目に西海岸の開発整備、こういったことを目的に一部事務組合をつくることになっております。
 それから3点目に、総合事務局の実施しました調査からすると物資の需要は約23万トンで、現在、30万TEUの施設をつくっているんで十分ではないかということについてお答えします。
 この30万TEUにつきましては、現在、県の方の現状の那覇港における物資の取り扱いの伸び率に加えまして、今後設置が予想されます自由貿易地域等から創出される貨物が県としては約35万という形でやっておりますので、今準備されております30万トンはその数字になります。これに加えまして新たにトランシップ貨物として84万トンのトランシップ貨物を予想しております。
 それから4番目に、トランシップ貨物等の需要の見通しはあるかということについてお答えいたします。
 今回、平成11年度に調査しました那覇国際流通港湾計画の調査の中で東アジアの海運物流の方向性が述べられています。ちょっとそれを説明いたします。
 まず、世界的な貿易投資における自由化の中で、アジア関連の貿易、アジア域内貿易の輸出が急速に高まっていると。過去7年間に7割もアジア関連が増加しておりまして、世界全体の6割を占めるまでに成長しております。
 それからコンテナ化、高度情報化、国際分業化の急速な進展や東アジアの目覚ましい経済発展性から市場メカニズムに対応し、資材、部品の調達から製品の販売まで一貫した物流システムを担うロジスティックセンターが重要視されております。特に巨大市場を有する中国の市場開放政策やWTOへの加盟の動きから、東アジアにおいて従来のトランシップ機能に加え、新たにロジスティック機能を持つ中継貿易港の必要性が高まっております。その地理的優位性から那覇港のポテンシャルが注目されていると。その他もろもろの観点から84万TEUの数字が出されております。
 以上でございます。
○当山 全弘 再々質問をいたします。
 日米地位協定の改定については、知事、今のところマスコミ報道であるので外務省に真意を確認してないということでありますけれども、マスコミ報道を否定するわけですか。そこを調べて、後でもよろしいですから、ひとつお知らせください。
 海兵隊の削減要求と基地の県内移設については矛盾しないということであるけれども、一方では基地の削減要求をしておきながら、機能強化した基地をつくっていくことについては矛盾するんじゃないですか。答弁してください。
 それから、那覇港湾施設の問題については、私は軍港については全額防衛予算で建設できる、これは米軍提供施設になるわけですから、これは全部国の方で、建設のため国の予算でできるけれども、港湾法に言うところの西海岸の埋め立てとか、そういったことについてはこれは補助率があるわけですよね、補助率が。全額国庫でできるという法律はないわけですね。これは国の方は港湾を管理する直接の管理能力がないわけですよ。管理できないわけですね、港湾法で国は。
 ですから、このねらいというのはやはり一部事務組合を走らせて、知事が管理者になって軍港関係の移設をすべての港湾整備に早めてこれを実施するというふうに考えられるわけですけれども、これはもっともっと県民とか市民にわかりやすくするためには需給見通しを含めた那覇港整備計画について物資があるかどうか確認しないと、これは県民を納得させることはできないと思うんですよ。那覇港は今でもハブ港機能を有しているわけでしょう。北米航路があるし、アモイ航路もあるわけでしょう。台湾航路もある。本土航路もあるんじゃないですか。台湾発の貨物を那覇で積みかえして北米に持っていくと、これがハブ機能なんでしょう。今でもこういったことはあるのに、軍港移設ありきで向こうに莫大な金額を入れて港湾整備を図るということは、これは将来の県民負担等を考えない証拠じゃないかなと思っているわけですよ。
 だから今那覇の商工会議所、浦添商工会議所が提案した那覇港の全体像を見てみると、1兆4000億円、いいですか、これは1兆4000億円になりまして、これを例えば県や那覇市、浦添市の3者で管理する予定ということになって負担割合等を出してみないとわかりませんけれども、どれぐらいの金額が入るかということはこれは火を見るよりも明らかじゃないですか。市民が1人当たりどれぐらい負担していくのか、そこら辺を考えてやらないと、こういった軍港移設ありきということでは絶対できないわけですよね。ですから今のところこの一部事務組合を走らせて需給見通しの立たない那覇港湾整備計画について、荷物は来ないと言っているわけですから、荷物はないわけでしょう。どうして持ってきますか。空コンテナ、20フィートの、1フィートのコンテナをこれを片肺飛行しますとコスト高になるわけでしょう。そこら辺を考えていただかないと、これは沖縄経済建設の発展のためにはならないというふうに考えますけれども、国策に協力するかわりに金を引き出してやろうということについては、国の方はハブ港湾は浦添では成り立たないと言っているわけですから、それは自信ありますか。そこら辺を考えてもらわないといかないと思うんですね。
 そしてもう一つは、沖縄は地理的な優位性というのが言われておるけれども、これは確かに安易な考え方じゃないですか、皆さん。先ほどから言っているように、船は荷物がないと来ないですよね。もう沖縄には荷物がないわけですよ。何のためにこの港湾をつくって莫大な金額をかけてハブポートの根拠になるかどうか、これはきちっと示していただかないとこれは大変なことになるんじゃないですか。
 そこら辺をひとつ答弁をいただいて終わりますけれども、本当に自立経済の拠点になる那覇港湾の整備計画についてはもっともっとまとめていただいて、住民、県民に納得できるような方法で整備していただかないと、軍港移設ありきで終わってしまう可能性があるわけですよ。そこら辺をきちっとありませんということでじゃ言ってください。軍港移設ありきではありませんということを言っていかないと、この港湾背後地の問題とかインフラの整備等については防衛庁の予算でやるかもしれませんけれども、あと残された緑地とかそういったことについてはこれは全部一部事務組合負担でしょう。そして那覇市の負債額200億円についても、これは何割になるかわからぬけれども、負担割合等についてもしっかりとやってもらわぬといけないし、また安謝新港の分については那覇市と県の方でやるとか、あるいは浦添埠頭分については県と浦添市でやるのか、そこら辺の負担割合区分等についてもこれはきちっと示してもらわないといかないと思うんですがね。
 以上で終わりたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後4時44分休憩
   午後4時45分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 当山全弘議員の、海兵隊削減とは機能強化した基地をつくるのは矛盾するのではないかというお話で、浦添についてのお話、お答えをしたいと思います。
 那覇港湾施設を含む那覇港は那覇空港に近接し、空港、港湾が一体となった物流拠点や観光拠点が形成される産業振興上の重要な地域であります。本県の産業振興や経済の自立的発展を図るためには、浦添市西海岸地区を含む那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備するとともに、那覇港湾施設返還跡地の有効利用による新たな町づくりが重要であると考えております。海兵隊削減と矛盾するものではありません。
○企画開発部長(与儀朝栄) 再々質問にお答えいたします。
 那覇港は、現状でもハブ港湾としての機能があるのでそれ以上のものは要らないという質問にお答えいたします。
 現在、先ほどお話がありましたように那覇港の貨物につきましては、現状趨勢分及び新たに設置が予定される自由貿易地域から発生するコンテナ貨物としては35万トンが予想されます。これにつきましては先ほどの数字と一緒になりますけれども、それと別に先ほど申し上げましたトランシップ貨物といいますのは現状とかなり違ってきておりまして、これも先ほどの調査の結果に先ほど紹介したとおりなんですけれども、特にアジア地域における、域内における貨物量の取り扱いが飛躍的に高まっております。
 しかし、こういったものを総合的に先ほど言った資材、部品の調達から製品の販売まで一貫した物流システムを担うロジスティックセンターが極めて重要視されておりまして、こういったセンター的なものがまだアジア地域には必ずしも十分整備されてないと。こういったものを沖縄で整備することによってトランシップとして沖縄を中心にアジア地域から国内、北米、さらに北米地域あるいは国内から沖縄を経由しまして東南アジア地域に出すと。そういった形で84万トンの新たなトランシップ貨物というのが十分見込まれるという数字に基づいてこの計画はなされております。
 それから、一部事務組合の中で具体的にその負担の割合とかあるいは経費の負担とかどうするかというお話がありましたけれども、これにつきましては一応来月にも設立を予定しております那覇港管理のための一部事務組合設立に向けましての推進協議会を設置しまして、その中で港湾施設財産の移管の問題、あるいは債権債務の承継の問題、経費の負担割合の問題等については詰めた上で3者覚書を交わし、那覇港一部事務組合を設立していくということになりますので、その一連の中でそういったものについては十分検討されることになります。
 以上であります。
○議長(伊良皆髙吉) 以上で本日の代表質問は終わりました。
 本日の日程はこれで終了いたしました。
 次会は、2月26日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後4時50分散会

 
20010203000000