○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた教育委員会委員長照屋義実君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として教育委員会委員宜保美惠子君の出席を求めました。
――――――――――――――
○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
糸洲朝則君。
〔糸洲朝則君登壇〕
○糸洲 朝則 おはようございます。
代表質問も最終日となりますと、これまでの質疑でかなり重複する部分が出ておりますが、その先を再質問したいわけでございますが、これはルール上、やはり通告どおりということのようでございますので、差し当たって質問をいたしまして、その後で再質問をさせていただくとこういうふうにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
今定例会は、新世紀、いや新しい千年紀を開く最初の議会であります。いろんな面で意義深いものがありますし、またそうした意義ある新たな展開を期待したいものでございます。
今年は、本県における米兵による不祥事の多発、四軍調整官の問題発言、ハワイ・オアフ島沖での米潜水艦と水産高校実習船との衝突事故等米軍にまつわる事件・事故が相次ぐ幕あけとなりました。これらのことに対し厳重に抗議をするとともに、被害者の皆さんに対しまして心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
米兵の事件・事故が起きるたびに抗議と謝罪を繰り返してきたわけでございますが、一向によくならない。一歩踏み込んだ対話による具体的な解決策は見出せないものかと思慮いたしております。
いわゆる米兵の教育のあり方についても県としても言うべきことはきちっと言うことが大事であると思います。県からの提案も必要ではないかとこういうふうに考えているとき、今回県、在沖米軍、国、基地関係市町村による協力ワーキングチームでの県側の提案として沖縄の歴史・文化を理解してもらうための地元講師の派遣や県警による日本の道路交通法規や風俗営業法等に関する講師の派遣の提案は的を射る提案であり、米軍側も兵士の教育プログラムの中に受け入れる意向を示しております。この教育プログラムの成果を期待するものであります。
もう一つは、米兵による地域ボランティア活動を通した地域文化の理解とよき隣人たらんとする努力を求めるものであります。その上で綱紀粛正の徹底を図るならばよい結果が出るのではないかと考えるが、いかがでしょうか。
さて、沖縄県を取り巻く政治状況は基地問題を初め多くの課題を抱えておりますが、これらの課題解決とあわせて沖縄の百年、否千年の大計を立てる重要な時期を迎えております。
こうした大事なときに那覇市、浦添市の市長選挙の結果は知事にとって政策実現への環境が整ってきたと思うが、どうだろうか。どうか3者で協議を重ね、連携を密にしてスピーディーに、そして何よりも県民への情報開示をもとに県民的議論を喚起して誤りのない政策実現、たゆみない改革へ向けた取り組みを期待し、知事の施政方針を中心とする県政に対し公明党・県民会議を代表して代表質問をいたします。
1番目に、平和・人権・国際交流についてでございます。
国連アジア本部の誘致についてでございますが、これまで我が党は沖縄を平和の発信地と位置づけ、アジアと共生し、人権・人道支援の拠点として国連機関の誘致を訴えてきました。県都那覇市、浦添市、沖縄市等で誘致の声が上がるなど誘致に向けた県民世論が高まる中、政府が新年度予算案で調査費を計上いたしました。こうした中で県の予算化は大変大きな追い風となり高く評価をするとともに、感謝を申し上げる次第でございます。
国連アジア本部誘致の最大の目的は、軍事的緊張及び政治的に不安定なアジア地域に国連機関を設置し、アジアの抱えるさまざまな課題を解決することによってこの地域の安定化を促し、国連財政の基盤強化を図ることにあります。誘致に向けては県民の世論を盛り上げることが大変重要であり、知事が先頭に立って世論を盛り上げる体制の確立を期待するものであります。
知事の御決意を聞かせていただきたいと思います。
幸いにも今議会において平良長政議員より超党派での誘致運動の提案もありました。議会と知事が相提携して県民世論を構築できる環境が整いつつあると考え、知事の御決意を伺うとともに、また予算計上されましたが、どのように活用されるか、御説明を願いたいと思います。
②、人間の安全保障について。
1987年にノーベル平和賞を受賞したコスタリカ元大統領のアリアスの言葉の中に、国家より人間の安全保障が大事であるとの注目すべき発言があります。
我が党は結党以来、「人間主義」を掲げ、人間一人一人の生命と生活を守ることを最優先とする社会の構築を目指してきました。21世紀の我が国が目指す国際貢献を考えるとき、環境や医療、技術、文化、教育など多彩な分野において日本人がこれから地球的規模の問題解決のために世界の至るところで誇りを持って働いていける、これこそが21世紀の世界の中の日本のあるべき姿であると確信をいたします。
2001年度の政府の「人間の安全保障」予算案は、そうした我が党の主張が反映されたものであり、昨年より3割増の670億円計上されておりますが、今後は技術支援を初めとする人的貢献を重視すべきであると考えております。
人間の安全保障に対する知事の所見を賜りたいと思います。
③、ポストサミットへの対応について伺います。
ポストサミットの取り組みとして政府、県ともに国際会議の集積化に力を入れております。世界的平和学者であるガルトゥング博士は、国内にジュネーブのような世界に通用する国際会議都市を持つことは、その国のバーゲニングパワー、いわゆる交渉能力を高めることにつながると強調しております。またその国の防衛力を高めることにもつながるとも言われております。冷戦後、頻発する民族紛争や地域紛争の解決に向けて沖縄が果たすべき役割もここにあるのではないかと考えます。紛争の当事者同士が集い、平和に向けての話し合いをするという場の力が沖縄にはあります。これは国内の他の地域では担えない役割であろうと考えます。世界に通用するコンベンションアイランドとして基盤整備と通訳、会議運営などの人材育成に向けての県の取り組みについて伺います。
2点目、基地問題について伺います。
①、普天間飛行場の移設についてでございますが、ア、代替施設の基本計画については、情報公開をして地元住民を初め県民を挙げての議論を深めるべきであるとこれまでも訴えてきましたし、またさらに訴えるものでございます。とりわけ重要なのは地元住民の合意であり、地元住民が判断のよりどころとし得る情報を提供することが大事であります。代替施設協議会での説明、協議及び今後の取り組み等について、また情報公開に対する考えも含めて御所見を賜ります。
イ、代替ヘリポートの建設に対し県民が抱いている最大の心情的ハードルは、みずからの意思で基地を建設するということを後世のウチナーンチュに申し開きができるのかという問題であります。その意味で基地の固定化を避けるための15年使用期限の設定は大変重要でございます。当然沖縄側から政府に対しては強い態度で臨むべきでありますが、知事は期限設定の決着をどの時点と考え、またどういう決意で臨まれるか、伺います。
ウ、今申し上げたイに基づいて代替施設が返還され県民の財産となったとき、これらの施設を活用した産業振興を初めとする地域活性化の構想などどのように描いておられるのか。また今後の北部振興策との関連についても御説明をいただきます。
②、浦添西海岸開発と那覇港湾施設の移設について伺います。
先ごろ行われた浦添市長選挙は、まさに那覇軍港の移設を最大の争点に争われた選挙でありました。その結果、西海岸開発と同軍港の受け入れを公約に掲げた儀間氏が当選し、ある意味で市民の意思が集約されたのではないかと考えます。これによって県知事、那覇市長、浦添市長とも同軍港の浦添移設を進める立場がそろったことになります。県の将来的発展を現実的に考えた場合、浦添西海岸の開発は重要課題でありますし、それに伴う那覇港湾施設の移設は県民に支持されるとの認識を持っております。
そこで伺いますが、ア、浦添市長選挙の結果を受けて今後どのように展開をされるのか、知事の御所見を賜ります。
イ、今後の作業日程について御説明を願いたい。現在の作業日程をスピードアップする考えはないか等についても伺います。
ウ、港湾整備の概要及び総事業費の試算等についても伺います。
エ、那覇港湾施設の移設時期については、跡地利用計画に大きな影響を与えるだけに跡地利用計画の策定及び西海岸開発との関連も含めて御答弁を賜ります。
オ、沖縄振興新法における新計画との関連については、新法及び新計画の中にどのように位置づけていくか重要なポイントであります。最重要項目として取り組んでいただきたい。県の取り組みについて伺います。
③、海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減について。
基地問題の重要課題は基地の整理縮小と地位協定の見直しであります。基地の整理縮小は施設の縮小のみならず、兵力の削減も含まれることは常々知事も言われており全く同感でございます。また相次ぐ米兵による不祥事は県民に不安と不快感を与えており、兵力の削減を求める声は県議会の決議を初め各議会でも決議をされているように県民世論の高まりも日ごとに大きくなっております。いわゆる歴史の流れであるとこのように認識をいたします。
最近のマスコミ報道によりますと、グアム等国外への海兵隊の訓練施設を移す動きもあり、兵力削減への環境はできつつあると考えます。したがって海兵隊の訓練施設をグアム等の海外へ移設することによって現在6カ月ローテーションで配置されている人員の削減が可能と考えるが、知事はどのように考えておられるか、所見を伺います。
④、日米地位協定の改正についてでございますが、これにつきましてはこれまで知事、議会ともに日米両政府に要請をしてきており、国民の当然過ぎるほど当たり前の主張であることは私が言うまでもありません。とりわけ本県における米軍基地の過重負担に加えて相次ぐ米兵による不祥事は県民感情を逆なでするものであり、早急な地位協定の見直しが求められます。したがって県が日米両政府に求めている見直し項目についてさらに強く要請されるよう訴え、知事の今後の取り組み及び御決意を伺いたいと思います。
3点目に、沖縄振興新法及び沖縄振興新計画について伺います。
復帰後30年、沖縄県は3次にわたる振興計画によって本土との格差是正が図られてきました。しかしながらいまだに解消されていない本土との格差をどう解消し、県経済の自立的発展を図るかが大きな課題であります。第3次振計が最終年度を迎えようとしている中、ポスト3次振計と位置づけられる沖縄振興新法と同計画の策定は知事の選挙公約でもあり、県民の緊急課題でもあります。
そこで知事の御所見を伺います。
①、策定スケジュール及び目玉となる事業や制度等について御説明いただきたい。
②、1998年4月の沖縄振興開発特別措置法一部改正による観光振興地域制度においていろいろなメリットがあるはずの制度が実際には使えない制度になっているとの指摘がありますがどうか、改善策はないのか、伺います。
③、観光客700万人実現に向けてのホテル等の施設整備について新法や新計画の中ではどのように位置づけ、どのように取り組んでいかれるのか。例えばホテル業界への新たな投資減税の創設や地方税の減免等はいかがなものであろうかと考えますが、いかがでしょうか、御答弁願います。
④、リゾートタウン整備計画についてマスコミ報道がありますし、県の事業計画にあるやに伺っておりますが、これについても御説明をいただきます。
4、米軍基地内道路の共用について。
1月の日米合同委員会によって緊急車両等の基地内通行が合意をされました。今後は現地レベルの実施協定の策定が待たれますが、実際に消防行政を預かる市町村等からはゲートでのチェック体制の簡素化などを求める声が上がっております。つまり、仮に基地内を通行できるようになってもゲートで足どめをされたのでは意味がないということでございます。ゲートでのチェック体制の簡素化について伺いたい。
また、中部市町村では慢性的な交通渋滞の緩和の一環として一般車両の基地内通行を求める声が根強いのであります。例えば嘉手納基地の第1ゲートから沖縄市の空港通りに抜ける第2ゲートまでの基地内道路を幹線道路として整備し、県民の一般車両も通行できるよう米軍施設の共同使用を求めるものでございます。このことはただ単に交通渋滞の緩和のみならず、地域産業の活性化に大きく寄与するものと考えます。米軍基地内道路の共同使用について知事の所見を賜ります。
5、地球環境問題への取り組みについて伺います。
今日、私たちを取り巻く環境は、都市化の進展や生活様式の変化等に伴う都市生活型公害の顕在化とともに、地球温暖化やオゾン層の破壊など地球規模での環境問題が深刻化しております。
我が党は21世紀を「環境の世紀」と位置づけ、これまで政府や県に対しさまざまな政策提言を行ってきました。これを受け、県も沖縄県環境基本条例を策定し、また環境を考える上で大事な視点、それは「シンクグローバリー アクトローカリー」という基本原理でございます。つまり地球規模で考え、地域や個人、自治体など身近な足もとから行動を起こすことが重要であります。とりわけ我が県は、多数の固有種や固有亜種を含む貴重な動植物が生息し、島々や地域の自然環境に応じた多様な自然に恵まれております。環境先進県としての独自の取り組みが必要であると考えます。
県が取り組んでおられる以下の点について御説明をいただきたい。
①、沖縄県環境保全率先実行計画の推進について、②、「ローカルアジェンダ21」の策定について、③、「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想の推進について、この点について御説明をいただきます。
6、循環型社会、いわゆるごみゼロ社会への取り組みについて伺います。
物の豊かさを追い求め続けた大量生産、大量消費、大量廃棄の浪費型社会は、深刻なごみ問題を初め今後私たちが生きていく上で黄信号や赤信号をともしております。将来にわたってかけがえのない地球環境を守るためには、この浪費型社会と決別しなければならないのは当然であります。今こそすべての仕組みを浪費型から循環型の社会に転換するため、国民レベルでの決意と実践が求められております。
政府は2000年を「循環型社会元年」と銘打ち、循環型社会形成推進基本法を制定したのを初めグリーン購入法や食品リサイクル法、建設リサイクル法が新たに設けられ、改正廃棄物処理法、資源有効利用促進法等も拡充されるなど循環型社会を構築するための法整備が大きく前進をいたしました。
こうした政府の取り組みは、我が党の強い要望を受けて行われたものであり、我が党は先ごろ「環境型社会推進会議」を設置し具体策の強化に乗り出したところであります。
①、県のアクションプランの策定について伺います。
政府も環境省の発足を契機に循環型社会形成基本計画の策定に着手いたしました。2003年10月を目途に国及び地方公共団体、事業者、国民が自主的かつ積極的に行動するためのアクションプラン、いわゆる行動計画の策定もその一つであります。こうした国の動きに対し県はどのように対応されるか、御説明を願います。
②、環境教育の充実について。
環境教育の観点で言えば、生産者と消費者及び事業所などそれぞれの立場での意識向上が不可欠であります。また学校現場における環境教育は将来を見据えた上で最も重要な取り組みと考えます。環境教育に対する県の取り組みについて生産者、消費者及び事業者等への行政の対応と学校現場での取り組みについて伺います。
③、ごみ処理広域化計画について伺います。
ごみ処理は、もはや一市町村任せでは解決は困難な時代を迎えております。広域によるごみ処理行政に対し県が積極的にリーダーシップを発揮すべきではないだろうか、具体的に御説明をいただきます。
④、放置自動車対策事業について。
放置自動車の問題は本県の重要課題であります。特に離島においては地元住民の生活を脅かしているばかりでなく、重要な産業の柱である観光のイメージを傷つけているのが現状であります。我々は独自調査を踏まえ放置自動車対策を提案してまいりました。県が新年度予算の中で放置自動車対策を強化する方針であることを高く評価するとともに、今後の取り組みについて聞かせていただきたいと思います。
⑤、静脈産業、いわゆる環境ビジネスの育成について。
経済企画庁(現内閣府)が昨年まとめた試算によりますと、リサイクルを現状程度にとどめ、これまでのような浪費型社会を続けた場合、2000年から2020年のGDP(国内総生産)成長率が年平均マイナス1.8%になるとされております。一方、リサイクルや廃棄物処理を可能な限り徹底して進め循環型社会に取り組む場合、年平均1.5%の成長になると報告されております。また2000年度版の環境白書では、循環型社会に転換すれば2010年時点で静脈産業、いわゆる環境ビジネスの市場は約39兆円に拡大し、これに関連して約86万人の雇用が見込まれると予想をしております。
このほか、従来の製造業で設計段階からの工夫ひとつでさまざまな可能性が広がる。例えば一大産業として発展してきたレンズつきのフィルムのインスタントカメラがよい例であります。撮影後にフィルム以外のレンズやストロボをカメラの本体から分解し、それぞれリユースやリサイクルに回して再び製品にする。これにより資源が大切に使われるだけでなく、私たち消費者にとっても安い価格で手軽に製品を購入できるわけでございます。このように環境問題は経済の側面からも重要なファクターとなっております。
そこで県として静脈産業の育成にどのように取り組まれるのか、考えを伺いたい。例えば静脈産業支援のための助成制度の創設などを考えてはどうか、御説明をいただきます。
7、福祉医療について。
①、児童手当の拡充についてでございます。
少子化対策は国の基本であります。公明党の粘り強い取り組みによって2001年6月から児童手当の所得制限が大幅に緩和されます。支給率が小学校入学前の児童の72.5%から85%へと引き上げられます。これによって支給児童数は現在の565万人から約660万人へと約100万人拡大される予定でございます。2001年度予算では、所得制限の緩和に必要な経費を含め児童手当制度に1898億円が計上されております。
そこで伺いますが、本県において所得制限の緩和によって新たに対象となった児童の数及び額について御説明いただきます。
②、児童虐待防止対策について。
新年度の政府予算案では、急増する児童虐待や凶悪少年事件に対応する専門的なノウハウを各地の児童相談所などに提供する拠点施設「虐待・思春期問題情報研修センター」(仮称)の設置費約10億円が盛り込まれております。本県における児童虐待、凶悪少年事件の現状と対策について伺います。また拠点施設設置の見通しについても伺います。
③、アレルギー疾患対策について。
政府のアレルギー対策は、新年度予算で大きく前進をいたします。4月には花粉症予防の薬剤開発とアトピー性皮膚炎の根本治療のための薬剤開発を目指す「免疫・アレルギー科学総合研究センター」が発足する運びとなっております。またアレルギー白書の作成や相談員の養成などを通した正しい知識の普及なども盛り込まれております。本県のアレルギー性疾患者数の推移及び今後の取り組みについて御説明をいただきます。
④、無認可保育園への支援対策について。
沖縄で無認可保育園に通う就学前児童の率は、全国の8%に対し沖縄におきましては約半数の50%以上に上ります。戦後27年に及ぶ米施政権下から本土復帰に伴う制度の移行に十分に対応できなかったこと等さまざまな要因があります。沖縄の置かれた特殊事情であるとはいえ、これは無認可保育園が沖縄の社会でいかに大きな役割を担っているかを物語る数字であります。新年度予算で県が我が党の強い申し入れを受け、1020万円の調査費を計上されましたが、調査方法及び国への要望等について御説明を願いたい。
ちなみに、去る2月18日に行われた「21世紀の保育を考えるシンポジウム」の中で、我が党の江田康幸衆議院議員と沢たまき参議院議員の両氏は、「「少子化対策は国の基本にかかわる問題」などと述べ、(1)規制緩和により認可保育園になりやすい環境を整える(2)沖縄県に限った特例交付金制度を創設する(3)沖縄振興策の一環として保育行政の格差解消に取り組む」などの具体案を提示しております。こういったこと等も踏まえ知事の所見を伺います。
8、教育について。
教育問題について質問する前に、新聞のコラムの記事を御紹介したいと思います。
子どもたちを慈しみ育てることが、どんなに素晴らしいことか。大分県の山村・前津江村に行くと考えさせられる。この村には学校崩壊はもとより、いじめや不登校もない。◆地元の子だけでない。11年前に始まった「山村留学」は好評で、都市の学校で不登校だった児童が、心を癒され元気に巣立っていったケースもある。里親の元で寝泊まりしながら学び、遊べ、月3万円の村の補助もある。◆学力低下の心配もない。外国人教師の英会話教室、習字教室、広島平和学習、スポーツ教室、屋久島の児童との交流を目的とした「少年の船」など、都会の子どもたちも羨む内容。豊かな自然の中で伸び伸びと生活でき、子どもたちの笑い声が絶えない。◆村人の目線は常に子どもたちにある。昨年10月に生まれた通称「子ほめ条例」は、そんな村にふさわしい。12月には、小学生9人と中学生17人を表彰。今月14日にも中学生22人が表彰を受けた。◆奉仕・健康・親切・体育・学芸・努力・創造・勤労・読書・友情・明朗の11賞。弟や妹の面倒見がよい子がいる、と新たに家族賞もできた。推薦は、主に区長や学校長。時には「挨拶をよくし、下級生の面倒も見ている」と、いつも登下校中の子を見守っていたお年寄りの報で受賞した子も◆村人はいつも温かい目で、 子どもたちのよさを見つけようと努力している。こんな大人たちに育まれれば、非行はないはずだ。教育の原点を見る思いがした。
さて、これを受けまして①、基地内大学の県内移転について伺います。
基地内大学は、外国人の学生も沖縄の学生もともに机を並べて学べる場所として民間レベルの国際交流、学術の相互向上に役立っております。ただし、定員や入学資格に厳しい制限があるのが現状であります。もしこの基地内大学を基地の外に移設し、さらに多くの県民、またアジア各国の学生を受け入れることができればどれほどすばらしいことか。基地内大学はアジアの学術交流の限りない可能性を秘めているのであります。
99年9月14日、琉球フォーラムの講演で沖縄を訪れたフォーリー駐日米国大使は、メリーランド大学が基地内大学を沖縄の学生に開放していることに加え、同大学は「沖縄の地域社会にも新しい教育センターを設置することを真剣に検討している。」との話がありました。米国サイドでもそのような意欲は十分あると思います。
こうした状況を踏まえ、基地内大学の県内移転について御検討をお願いしたいし、できれば沖縄振興新法の中で大学設置基準の国内法適用ではなく、特例措置として規定してはどうか、知事の所見を賜ります。
パソコンと英会話は、21世紀を生きる現代人の必須アイテムと言っても過言じゃありません。低年齢時からの教育がその可能性を決定づけるという点でも共通しております。
以下の点について伺います。
早期英語教育の取り組みについて。
早期英語教育の取り組みについては去年の12月定例会でも取り上げましたが、英語教育先進県として位置づけて取り組んでいただきたい。また沖縄の置かれた環境を生かした米国軍人・軍属等の活用、児童生徒の相互交流等あらゆる手法を講じていただきたい。
また、日本政府に対しての英語教育先進県のモデル県としての位置づけ、沖縄振興新法や同計画に盛り込む等の施策が考えられますが、知事の所見を伺いたい。
③、児童生徒のIT教育については、児童教育の重要な課題であると考え、施設整備や指導者の養成等現状及び今後の取り組みについて伺います。
④、奨学金制度の充実について。
高校、大学等への進学費は離島を初め多くの親御さんたちが抱える大きな悩みであります。県にとっては人材育成という意味において本土他府県に対し大きなハンディを背負っていることになります。進学したくても家計の都合でそれが果たせない青少年が私たちの周りにいることは周知のとおりであります。
日本育英会の有利子奨学金制度「きぼう21プラン」は、公明党の粘り強い主張によってかなり大きく緩和をされております。したがってこの21世紀プランを初め奨学金制度について沖縄県においてどのように反映されているのか、御説明いただきたい。また沖縄県独自の制度についても御説明をいただきたいと思います。
⑤、スクールカウンセラーの充実について。
本来、教師が行うべきことをスクールカウンセラーが行っております。これについても今年度予算措置でかなり大幅な増が見込まれておりますが、本年度におけるこれらについてもぜひまた御説明をいただきたいと思います。
読書運動への支援についても御所見を賜ります。
離島振興についてでございますが、まず離島における水道施設の現状及び料金について御説明をいただきたい。
②、多良間村に八重山からの送水は可能かについて御説明をいただきます。
③、離島における下水道施設の現状と今後の取り組みについて御説明願いたい。
④、宮古におけるサメ対策についても御説明をいただきます。
以上で代表質問を終わります。
ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 糸洲朝則議員の御質問にお答えいたします。
最初は、平和・人権・国際交流についてでして、国連アジア本部誘致体制の確立に向けた決意と予算計上をどのように活用されるかについてお答えいたします。
国連機関を本県に誘致することは、我が国の南における交流拠点の形成を目指す本県にとって大きな意義を持つものであると認識しております。国連機関の誘致の可能性を検討する一環として、平成13年度に国連機関が設置されている地域における設置の経緯、活動状況、組織運営方法等について調査することとしております。誘致体制の確立につきましては、当該調査や国の調査などを踏まえ、今後検討してまいりたいと考えております。
次に、同じく平和・人権・国際交流について、人間の安全保障についての御質問にお答えします。
「人間の安全保障」については、1994年の国連開発計画が提起した「人間開発報告書」の中で、「経済の安全保障」、「食糧の安全保障」、「健康の安全保障」、「環境の安全保障」、「個人の安全保障」、「地域社会の安全保障」、「政治の安全保障」の7つに区分されていることを認識しております。
また、従来の国家安全保障の概念に対して人間レベルでの安全の達成を重視するという認識が高まり、「人間の安全保障」の概念が生まれてきたと理解しております。「人間の安全保障」は新しい概念ではありますが、「国家の安全保障」と同様に「人間の安全保障」も大事なものだと考えております。
次に、基地問題について、代替施設協議会での説明及び今後の取り組み、情報公開についての所見を伺いたいとの御答弁でございます。
普天間飛行場代替施設の基本計画の策定を協議する代替施設協議会はこれまで5回開催され、軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけ、建設地点の地形・生物分布等の状況、航空機騒音等生活環境への影響、代替施設の各工法の概要などについて協議されております。次回以降の協議会においては多角的、総合的な視点から検討を行うことになっており、次回の協議会では基本計画策定に必要な主要事項全般についての意見交換を行うことになっております。
県としては、第2回代替施設協議会において説明した軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけを踏まえ、滑走路については中型ジェット機が就航可能となるようにしたいと考えております。
また、移設先及び周辺地域の住民生活に著しい影響を与えない施設計画とし、住民生活への配慮や自然環境への影響を極力少なくすることや、代替施設の民間機能を地域産業の拡大や新たな産業の創出につなげ、地域経済発展の拠点を形成すること等について名護市及び東村、宜野座村と連携し取り組んでいきたいと考えております。
なお、これらの協議内容については、名護市から地元3区(名護市3区合同委員会行政連絡会議)に説明されているほか、国(首相官邸)のホームページでも公開されております。
基地問題についてのうち、基地の固定化を避ける意味で15年使用期限の設定は重要であると、決着をどの時点と考えているかという御質問にお答えします。
普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が56年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から使用期限を設け、国に強く求めているものであります。15年使用期限については政府において解決に向け努力されていることを承知しておりますが、県は、基地の提供責任は日本政府にあることから、過重な基地負担を担ってきた県民の意向を踏まえ、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。
なお、代替施設の15年使用期限問題については、県が移設に当たって整備すべき条件としており、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないものと考えております。
次に、代替施設が返還されたときの地域活性化構想をどのように描いているかとの御質問にお答えいたします。
普天間飛行場代替施設については、軍民共用空港を念頭にその整備に向けた取り組みが進められておりますが、同空港を民間空港として利用できるよう、空港ターミナル等空港利用施設の整備に向けた諸条件の整備を国に求めていきたいと考えております。
同空港を活用した振興策については、空港関連産業等の育成・誘致、観光・リゾート産業の推進、情報通信産業の集積、農林水産業等既存産業の新たな展開を図ることとしております。
なお、同空港の返還後については、民間空港としてより一層の利活用が図られるよう取り組んでいきたいと考えております。
次に、基地問題のうち、浦添市長選挙の結果を受けて今後どのように展開されるのかという御質問についてお答えいたします。
浦添埠頭地区を含む那覇港を「ハブ機能を有する国際流通港湾」として整備するためには、県、那覇市、浦添市3者による那覇港管理一部事務組合の設立が不可欠であります。このたび浦添市長に就任した儀間光男氏とは、那覇港の整備方針やSACO合意事案の推進に関して基本的に認識が一致していると考えております。今後は、3者で構成する「那覇港管理一部事務組合設立に関する推進協議会」を立ち上げ、3者覚書の締結、那覇港湾施設の移設の合意、一部事務組合の早期設立に向けて積極的に取り組んでいく考えであります。
次に、同じく基地問題で、海兵隊の訓練施設をグアム等の国外へ移設することによって、現在6カ月のローテーションで配置される人数が削減可能と考えられるがどうかという御質問にお答えします。
沖縄に配備される海兵隊の一部は、部隊配備計画(UDP)に基づき米本国、沖縄の基地及び洋上に展開している米艦隊に6カ月のローテーションで配備されていると聞いております。県としては、ジョーンズ米海兵隊総司令官が下地衆議院議員との会談で、訓練の一部を沖縄からグアムに移すよう検討を指示した旨発言しておりますので、沖縄県民の基地負担の軽減を図る観点から6カ月のローテーション訓練のグアムへの移転についてもその可能性があるかどうか、政府を通じて打診してみたいと考えております。
次に、基地問題について、地位協定の見直しについて河野外務大臣が前向きな発言をしているが、県としてはどう考えるか、今後の対応はどうなるのかについてお答えいたします。
私は、去る2月14日、今回の放火事件に関連して被疑者の即時引き渡しと日米地位協定の見直しなどを関係大臣に要請しました。
その際、河野外務大臣から、平成7年10月の日米合同委員会で合意された身柄引き渡しに係る「特定の場合」を例示してもうまくいかないときは日米地位協定の見直しも検討しなければならない旨の発言があり、また2月15日の衆議院予算委員会において、日米地位協定の見直しも視野に入れてよいと思っている旨の答弁がありました。さらに2月21日には福田官房長官が県議会の要請団に対し、日米地位協定の問題を含め沖縄の問題に前向きに取り組む考えを表明しております。また昨日、河野外務大臣が来県され県庁で懇談した際にも大臣から、基地問題に絡んで県議会や市町村議会でさまざまな決議がなされたことは重要であり、日米地位協定について運用の改善で問題が改善されなければ地位協定の改定を視野に入れて米側と話をしなければならない旨の発言がありました。
政府関係者のこれらの発言は、日米地位協定の見直しを求める県民の熱意が国の前向きな対応を促進しつつあるあかしであると考えており、県としては、今後とも日米地位協定の見直しを早急に協議するようあらゆる機会を通して日米両政府に対し強く求めていきたいと考えております。
次に、地球環境問題の取り組みについてでございます。
地球環境問題について、その1つの沖縄県環境保全率先実行計画の推進について、次の「ローカルアジェンダ21」の策定について、その次の「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想の推進について、3つの御質問に一括してお答えをいたしたいと思っております。
地球温暖化やオゾン層の破壊などの地球環境問題は、自然環境や人の健康、経済基盤などさまざまな分野にその影響が及ぶと予測され、私たち人類の生活と将来の人類の生存にかかわる深刻な問題となっており、県としても重要な課題として位置づけております。
このようなことから、県では平成11年5月に「沖縄県環境保全率先実行計画」を策定し、あらゆる事務・事業において環境に配慮した行動を全庁的に推進しているところであり、その結果、ごみ処理量が減少するなど成果があらわれてきているところであります。
また、21世紀の沖縄が環境の保全と産業振興のバランスの上に美しい自然と豊かな暮らしを両立させていくための第一歩となる「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想が平成12年3月に策定されたところであります。この構想は、沖縄の特性、優位性に着目して自然環境に配慮した県土の保全整備や自然エネルギーの導入の促進など環境と産業が両立する施策の基本方向を体系化し、具体的施策の展開により環境共生モデル地域の形成を目指すものであります。
さらに、地球環境を保全しつつ持続的発展が可能な社会を実現していくため県民、事業者、行政等がそれぞれの立場に応じてあらゆる活動を見直し、連携して取り組むための行動計画「ローカルアジェンダ21」を策定中であります。
地球環境問題といっても、その要因は大量生産、大量消費、大量廃棄に支えられた我々の日常の生活や経済活動に起因するものであります。このため解決策の多くが地域的な解決に根差すものであり、あらゆる主体が一体となって地域に根差した取り組みを進めていくことが大変重要であります。これらの計画や構想等をもとに、今後一層地球環境問題への取り組みを強化していきたいと考えております。
次に、福祉・医療についてでございまして、本県における児童虐待の現状と対策について、また拠点施設設置の見通しについて伺いたいとのお答えでございます。
児童に対する虐待は全国的にふえつつあり、本県においても同様で年々増加しております。
児童虐待の対応については、これまで虐待防止のための手引等を作成し、関係機関による地域ネットワーク連絡会を開催するなど早期発見、早期対応及び被虐待児童の保護を図ってきたところであります。また各児童相談所に児童虐待対応協力員を配置するとともに、児童養護施設においては心理療法担当職員を配置し、虐待を受けた児童に対する適切な処遇体制を確保するなど対応してきたところであります。
児童虐待の防止等に関する法律の施行に伴い、県においては児童相談所の児童福祉司を増員し職員の専門性を高めるための研修等を充実させます。また保護者へのカウンセリング等を行う精神科医を配置することとしております。
さらに、一時保護の児童に安心感、温かさを感じさせる雰囲気の施設とするため一時保護所を含む中央児童相談所を全面改築することとしております。
なお、国においては児童相談所等への情報提供や職員研修などの技術的支援を行う「虐待・思春期問題情報研修センター(仮称)」を設置することとしており、今後情報を収集してまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 基地問題についての中で、今後の作業日程について説明願いたいについてお答えいたします。
当面、那覇港管理の一部事務組合設立に向けて県、那覇市、浦添市3者で構成する「那覇港管理一部事務組合設立に関する推進協議会」を早期に立ち上げ、同協議会で組合規約案、港湾施設・財産の移管、債権債務の承継、経費の負担割合等諸課題について検討することとしております。3者の合意形成後、組合設立に関する覚書を締結し国との事前協議を行うことになります。その後、3者それぞれの議会への設立議案の提案、協議書の締結を経て国へ設立許可を申請し、許可を得て組合設立となります。
組合設立後は、平成15年度からスタートする第10次港湾整備計画に那覇港の整備が位置づけられるよう新たな港湾計画を策定することになります。
次に、同じく基地問題について、港湾整備の概要及び総事業費の試算についてお答えいたします。
平成11年度に実施した那覇港国際流通港湾計画(素案)における港湾整備の概要として、浦添埠頭地区においては大型コンテナ船に対応する大水深岸壁2バースや国際海上コンテナターミナル整備、自由貿易地域及びコースタルリゾートの整備が示されております。
また、新港埠頭地区においては、国際クルージングに対応した大型旅客船岸壁1バース及び背後の旅客ターミナル等の一体的整備が示されております。泊埠頭地区は、旅客を中心とした観光拠点とし、また那覇埠頭は定期フェリー及び貨客船を中心とした周辺離島の拠点としての整備が示されております。これらの施設整備や外郭施設及び多目的・内貿ターミナル等を含めた整備に係る全体の概算事業費は5500億円程度と試算されております。
次に、同じく基地問題につきまして、那覇港湾施設の移設時期及び跡地利用計画の策定についてお答えいたします。
那覇港湾施設の移設の時期につきましては、今後国や関係機関との調整を含め、新たな港湾計画に基づく整備が進められる中で総合的に判断されるものと考えております。
また、跡地利用につきましては、平成8年に那覇市と軍用地主会の統一利用案として「那覇軍港跡地利用計画(基本構想)」が策定されておりますが、県においても那覇港湾施設移設後の跡地利用計画につきましては、那覇市の構想や対応を見きわめながら前向きに取り組みを検討していきたいと考えております。
次に、同じく基地問題について、沖縄振興新法及び新計画との関連につきましてお答えします。
現在、沖縄振興新計画及び新法の策定に向けて「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」を取りまとめているところであります。この中で、活力みなぎる産業が展開する民間主導型の経済社会の構築、アジア・太平洋地域と活発に交流・協力する地域社会の形成、基地の整理縮小と基地跡地の有効利用等について議論しているところであります。
那覇港のハブ機能を有する国際流通港湾についても、こうした沖縄振興方策を構築していく中で、そのあり方や十分機能を確保するための支援措置について総合的に検討しているところであります。
次に、沖縄振興新法及び沖縄振興新計画について策定スケジュール及び目玉となる事業や制度等についてお答えいたします。
沖縄振興新計画の策定に向けては、第3次沖縄振興開発計画の総点検や市町村からの意見聴取、各種団体との意見交換会等を踏まえ、現在、「新たな沖縄振興に向けた県の基本的な考え方」を取りまとめているところであります。
今後のスケジュールについては、3月末までに「新たな沖縄振興に向けた県の基本的な考え方」を取りまとめ、沖縄県振興開発審議会に調査審議をお願いするとともに、県民や県議会等の意見を聴取し、6月には県の考え方を決定して国に提案してまいりたいと考えております。
「新たな沖縄振興に向けた県の基本的な考え方」を取りまとめる中で、活力みなぎる産業が展開する民間主導型の経済社会の構築、アジア・太平洋地域と活発に交流・協力する地域社会の形成、次代を担う多様な人材の育成、安らぎと潤いのある環境と共生した社会の形成、基地の整理縮小と基地跡地の有効活用などについて検討しているところであり、その中で具体的な事業や制度等について位置づけていく考えであります。
次に、教育施策につきまして、基地内大学の県内への移転についてお答えいたします。
在沖縄米軍施設・区域内大学、いわゆる基地内大学には多数の県内の学生が就学しており、これらの大学が施設・区域外へ移転することは県民の就学の機会が高まることになり、人材育成に大きく貢献するものと考えております。今後、基地内大学の県内移転については、同大学の意向等も確認しながらその可能性について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 平和・人権・国際交流についての中の、国際会議の誘致等ポストサミットへの対応について、インフラ整備等のハード及びソフト面での施策についてお答えいたします。
昨年7月の九州・沖縄サミット首脳会合が成功裏のうちに終了し、本県が国際コンベンション都市として広く世界に発信されました。県といたしましては、現在、サミット受け入れのノウハウを生かして国際会議等誘致プロジェクトチームを設置し、国際会議を初めとする各種会議の沖縄開催を積極的に誘致しているところであります。
また、平成13年度におきましては、万国津梁館の増設及び沖縄コンベンションセンターのバリアフリー化の推進など受け入れ体制の拡充・強化を図ってまいりたいと考えております。
コンベンション振興のための人材育成としましては、本県コンベンション振興の推進母体であります財団法人沖縄観光コンベンションビューローにコンベンション専門員の配置を検討しているところであり、さらに今後関連業界との連携のもとに民間の会議支援事業者等の育成に努めてまいりたいと考えております。
次に3、沖縄振興新法及び沖縄振興新計画についての中の、観光振興地域制度はいろいろなメリットがあるはずのものが実際には使えない制度になっているとの指摘があるがどうか、また改善策はないのか、それともう一つ、ホテル等の施設整備について新法や新計画の中ではどのように位置づけ取り組んでいるのかという2つの御質問に対しまして、関連がございますので一括して答弁させていただきます。
観光振興地域制度は、平成10年4月の沖縄振興開発特別措置法の改正により創設されたもので、指定を受けた地域内で観光関連施設を新増設する民間事業者に対して法人税の投資税額控除や不動産取得税の課税免除等の税制上の優遇措置を講じ、観光関連施設が集積する観光・リゾート拠点の整備を推進する制度であります。
そのうち、地方税の減免措置に関して施設の利用に対して対価を取る、すなわち料金を取る民間観光関連施設について税制上の優遇措置の対象施設から除外されるとの指摘がありますが、このことは地方税法及び自治省令における対象施設の除外規定を指していると思料されます。県といたしましては、面積要件や取得価格要件等を満たしていれば、対価を取る施設についても対象となるものと判断しております。
なお、本制度は税制上の対象施設から宿泊施設が除かれていることや指定の要件が厳しいことなどから、より効果の期待できるものとなるよう制度の改正要望について検討しているところであります。
次に、同じく沖縄振興新法及び沖縄振興新計画についての中の「リゾートタウン整備事業」についてお答えします。
本県は、美しい海などの自然環境や観光スポットは豊富に存在するものの、観光関連施設は全般的に孤立・点在化しており、本県の誇れる観光資源を十分に生かした面的な整備がなされているとは言えない状況にあります。
今後、観光・リゾート産業が国内外の他の観光・リゾート地との競争力を高め、県経済におけるリーディング産業としてさらに発展していくためには、観光関連施設を集積させること及び点在する拠点を有機的につなぐことにより、広がりと奥行きのある魅力ある観光・リゾート地域を形成する必要があります。そのため公共及び民間による各種観光関連事業が包括的、効率的に行える仕組み、いわゆる「リゾートタウン整備事業」について検討しているところでございます。
○知事公室長(親川盛一) 糸洲朝則議員の米軍基地内道路の共用に関する質問の中での、米軍基地内道路の緊急車両の通行が可能になったが、将来一般車両も通行できないかという御質問にお答えをいたします。
御案内のとおり、去る1月11日、日米合同委員会において緊急時の消防車や救急車などの緊急車両の基地内道路の通行等について合意がなされました。県としては、今回の合意に至るまでの関係者の御努力に対し感謝申し上げたいと思います。
一般車両による基地内道路の通行につきましては、その実現のためには緊急車両の基地内道路の通行など、まずできるものから着実に前進させることが課題解決への近道だと考えております。
本事項につきましては、一般車両が基地内道路を通行するに際しての米軍施設・区域の管理・運用上の問題点や具体的な必要性など、緊急車両の基地内道路の通行問題以上にクリアすべき課題が多いと考えております。県としては、県民の通勤・通学等生活の利便性の向上や経済活動の円滑化を推進する観点等から、一つ一つの問題点について十分検討した上で日米両政府に対しその実現を働きかけていきたいと、このように考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) 循環型社会への取り組みに関する御質問にお答えします。
まず、国は循環型社会形成基本計画の策定に着手したが、自治体や国民各層のアクションプラン、いわゆる行動計画も必要ではないか、県はどう対応するのかという御質問にお答えします。
国は、循環型社会形成推進基本法に基づき、平成15年10月までに基本計画を決定して循環型社会の構築に向けた基本的な方針と国が講ずべき施策等を定めることにしており、地方公共団体は区域の自然的、社会的条件に応じた施策を総合的、計画的に実施することになっております。
一方、本県においては、環境保全と経済振興の両立を図る必要性から平成12年3月に「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想が策定され、基本法の精神を先取り、特化した形で本県の目指すべき資源循環型経済社会像が示されております。
県としては、今後、数値目標も含めた環境分野、観光・リゾート等のグランドデザインの策定やその推進スケジュールの設定、産・民・官・学の協力体制の確立等本県の循環型社会、すなわち「ゼロエミッション・アイランド沖縄」の実現に向けたアクションプランを策定して具体的に取り組んでいく必要があると考えております。
なお、平成15年までに示される国の循環型社会形成推進基本計画やその施策については、「ゼロエミッション・アイランド沖縄」アクションプランに反映させていきたいと考えております。
次に、環境教育に対する県の姿勢はどうかという質問にお答えいたします。
県では、一般廃棄物の排出抑制と再資源化・再生利用を推進するため平成5年度に「沖縄県廃棄物減量化・再生利用推進計画」を策定しております。
同計画に基づき、県では「ごみ減量化広域対策事業」を展開し、ごみ減量・リサイクル推進週間、環境衛生週間、マイ・バッグ・キャンペーン、リサイクル夢市場などのイベントの開催、インタ-ネットによる情報の提供、小学生等を対象としたリサイクル講座等の啓発活動を実施して事業者、県民に対してごみ減量化・再生利用の普及・啓発に努めております。
これら啓発活動とあわせて、市町村がリサイクル施設や分別収集体制の整備などに努めた結果、平成10年度においてはごみ排出量約51万トンのうち3万トンが資源化されております。
しかし、狭隘な島嶼県である本県はごみの排出抑制、リサイクルの必要性が高いにもかかわらずリサイクル率は5.8%と全国平均の11%と比較して低い状況にあります。そのため、今後とも関係機関と連携して循環型社会の構築に向けた環境教育を強化していく考えであります。
次に、ごみ処理の広域化について県が積極的にリーダーシップを発揮すべきではないかという御質問にお答えします。
県は、ごみ排出量の増大等に伴う最終処分場の確保難、リサイクルの必要性の高まり、ダイオキシン対策等の高度な環境保全対策の必要性等から平成11年3月に沖縄県ごみ処理広域化計画を策定し、平成20年度までに本島内17カ所の焼却施設を12カ所に集約し、ダイオキシン類の排出を平成10年度排出量から90%削減することを目標にしております。
これまでに県内5ブロックにおいて市町村ごみ処理広域化推進協議会の設立について指導してきたところであり、その結果、宮古ブロックで宮古本島ごみ処理施設広域化準備協議会が設置されております。また、個別事業として中部北環境施設組合によるごみ処理施設整備事業や南部地区最終処分場建設推進協議会による最終処分場整備事業等が推進されております。
今後とも、広域化推進協議会が設置されていないブロックに対して協議会の早期設置を指導していくとともに、国庫補助の活用による広域処理施設の整備を促進していく考えであります。
次に、放置自動車対策事業について今後の取り組みを聞かせてほしいという御質問にお答えします。
県では、平成7年度から廃棄物資源化対策事業を実施し、廃自動車の処理を含め離島市町村の資源化対策を支援してきましたが、離島の放置自動車は増加傾向にあり深刻な状況にあります。このため、離島市町村における放置自動車の再発防止に向けた条例制定など抜本的対策を前提に、沖縄特別振興対策調整費を活用して平成13年度に離島の放置自動車を一斉に撤去・処理することにしております。
当該事業については、これまで沖縄県離島振興協議会総会等において市町村条例の制定や撤去の方法について説明し意見交換を行っております。今後はこれら離島市町村に対する技術的支援を引き続き行うとともに、沖縄本島も含めた有効な廃車処理対策について検討するためシンポジウムの開催や放置自動車防止に向けたキャンペーンを実施するなど、市町村や関係団体との連携を強化して事業の円滑な執行に努めていきたいと考えております。
ちなみに、撤去費所要総額は1億5875万円であり、約7500台を撤去・処理することにしております。
次に、静脈産業の育成にどのように取り組むのか、例えば支援のための助成制度の創設を考えてはどうかという御質問にお答えします。
廃棄物リサイクル業などの静脈産業については、循環型社会形成に向けた各種リサイクル法の施行に伴い今後発展が期待されており、その健全な育成を図ることは環境保全及び産業振興の上から重要と考えております。そのため、県はこれまで静脈産業に対し技術開発に係る情報交換や共同研究、小規模企業者等設備導入資金等による融資、公共機関での製品調達の推進等販路の拡大などを行い育成を図ってまいりましたが、今後とも関係機関と連携をしてこれら支援策の一層の推進を図るとともに、人材や各種関連施設の集積化についても取り組んでいきたいと考えております。
また、御提案の助成制度の創設については、現行の小規模企業者等設備導入資金等の運用状況を勘案しながら必要に応じて検討していきたいと考えております。
○教育長(翁長良盛) 糸洲議員の御質問にお答えいたします。
まず、学校現場における環境教育はどうなっているかと、その御質問にお答えいたします。
本県の各学校における環境教育の指導に当たっては、身近な環境に目を向け、環境保全に積極的に参加する実践的な態度、能力を身につけさせることをねらいとして各教科、道徳、特別活動及び「総合的な学習の時間」等学校教育活動全体を通して取り組んでいるところでございます。
これらの学習活動を支援するため、県教育委員会といたしましては環境教育指導資料の作成、環境学習指導講座の実施、環境教育推進校・モデル校の指定等の諸事業を推進しております。
さらに次年度は、小中学校における「環境の日」の設定や高等学校における「高校生グリーンデー」の実施などの取り組みを行い、環境教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、早期英語教育の取り組みについてという御質問にお答えいたします。
本県が南の国際交流拠点としてのIT立県を目指すためには、国際社会に生きていくとともに情報活用能力を有する人材の育成に努める必要があり、英語教育の充実はその根幹をなすものであると考えております。
県教育委員会といたしましては、今後、小学校教員に対しての早期英語教育研修講座の実施、英語ボランティア活動実施校の拡充、非常勤職員としての県内在住のネイティブ・スピーカーの活用などの事業に取り組んでまいりたいと考えております。
さらに、本県の恵まれた英語環境や地理的条件を有効に生かし基地内学校等との交流を促進するとともに、ALTやネイティブ・アシスタント等の人材活用を図るなど英語教育を積極的に推進していきたいと考えております。
なお、早期英語教育を沖縄振興新法や新計画に位置づけることについてはどのような形が可能なのか、早期英語教育懇話会や関係機関等での論議を踏まえ検討してまいりたいと考えております。
次に、児童生徒のIT教育の推進についてという御質問にお答えいたします。
県教育委員会は、進展の著しい高度情報通信社会に対応するため、国際社会に生きる人材及び情報活用能力の育成を目指してインターネット等の教育情報ネットワークの環境整備を進め、学校教育の情報化を推進しているところでございます。
教育用コンピューターの整備状況、インターネットの接続率は全国平均を上回って整備されましたが、コンピューターを操作できる教員、コンピューターで指導できる教員の割合は全国の平均を若干下回っております。県教育委員会といたしましては、沖縄県情報教育推進計画に基づき平成13年度までに全教員がコンピューターを操作できる、全教員の5割以上がコンピューターで指導できるように目標を定めております。そのため県立教育センター、各学校の施設・設備を活用して教職員の情報通信教育の指導者の大量養成を行い、児童生徒の情報活用能力を育成し国際化、情報化に対応してまいりたいと考えております。
次に、奨学金制度の充実についてという御質問にお答えいたします。
日本育英会の予約奨学金制度は「サポーティング・ユー21予約」、これは無利子でございますが、「きぼう21予約」、これは有利子でございますが、この2つがございます。
この制度は大学、短期大学、専修学校専門課程に進学した場合に奨学金を希望する者にあらかじめ奨学金を予約するものであります。特に「きぼう21予約」は、平成12年度より実施された制度であり、学業成績や給与所得の基準が大幅に緩和され、貸与月額も3万円、5万円、8万円、10万円の中から選択が可能となるなど奨学金が一層利用しやすくなっております。
なお、平成12年度の本県の予約採用候補者の数は936人でありましたが、平成13年度は1188人となり前年度に比べ大幅にふえております。
また、県教育委員会が所管している沖縄県国際交流・人材育成財団で実施している奨学金制度には大学生、大学院生、国外留学生、在沖縄米軍施設・区域内大学就学者、海外移住者子弟に対する奨学金制度があります。平成12年度は、大学生259人を初め計289人を新規に採用いたしました。今後とも奨学金制度の充実については一層の努力を重ねてまいりたいと考えております。
次に、スクールカウンセラーの充実についてという御質問にお答えいたします。
本県におけるこれまでのスクールカウンセラーの配置状況は、平成7年度にスクールカウンセラー活用調査研究委託事業として中学校2校、高等学校1校の計3校からスタートし、各年度に配置拡充を図り平成12年度は小学校5校、中学校17校、高等学校11校の計33校に配置されております。平成12年度まではすべて国庫負担で配置してきたところでありますが、平成13年度からの配置については国、県がそれぞれ2分の1の負担で中学校に30校、県単独で高等学校に6校の計36校の予算計上をしているところでございます。
最後に、読書運動への支援に関する教育委員会の取り組みについてという御質問にお答えいたします。
学校における読書活動の推進については、主要施策に位置づけ各学校で積極的に取り組んでいるところであります。現在、小学校の1人平均貸出冊数は年間82.3冊、中学校が26.3冊となっており、これは全国的に見ても高い水準にあると考えております。このことは、すべての小学校及び中学校で実施されております朝の始業前などの全校一斉の読書活動や、読み聞かせなどの地域の方々のボランティア活動の成果だと考えております。
ボランティア活動への支援については、各教育事務所内の生涯学習ボランティアセンターにおいて学校とボランティアを結びつけ、着々とその成果を上げているところであります。
また、市町村教育委員会によってはボランティア活動にかかる交通費や保険加入への配慮などを講じておりますが、県教育委員会といたしましてもこうしたボランティアへの支援を促進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 福祉医療について3点の御質問に順次お答えいたします。
まず、児童手当の拡充についての御質問でございます。
児童手当は、義務教育就学前の児童を養育し所得が一定額未満である養育者に支給されております。国においては、支給対象児童を養育する親等の所得制限を大幅に緩和し、平成13年6月から児童手当の支給対象児童の拡充を図ることとしております。
本県における平成12年度の支給対象児童数は7万3000人で、所要額は7億8786万円、拡充に伴う平成13年の支給対象児童数は8万2000人で、所要額は8億8635万円と推計され、児童数は12.3%、所要額は12.5%の伸び率となっております。
次に、アレルギー対策についての御質問にお答えいたします。
近年、ライフスタイルが多様化する中で、食事内容や住環境の変化及びストレスなどによりアトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくなどアレルギー疾患に悩む患者は、厚生省研究報告によりますと小児で35%、成人で22%と高い率となっております。
このため、国においては平成4年度から研究班を設置し、アレルギー疾患の治療方法等の研究を行っており、適切な予防及び治療方法の普及・啓発に努めているところです。また平成12年度以降、アレルギー疾患の総合的な研究を推進するため国立病院等を含めた医療機関、研究機関等の連携体制を構築し、アトピー性皮膚炎等に対する対策の拡充を図ることとしており、厳しい財政状況の中、次年度の予算は16%の増になると見込まれています。
県内においては、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎のいずれかのアレルギー疾患に罹患している小学児童は23.8%となっています。県としましては、今後とも国の研究事業への協力や医療情報の集積に努めるとともに、保健医療機関等との連携を図りながら予防及び治療に関する普及・啓発に取り組んでいく考えであります。
次に、無認可保育園への支援対策についての御質問にお答えいたします。
子供と家庭を取り巻く環境は、急速な少子化や共働き家庭の一般化に伴い、子育て不安の増大や地域における子育て機能の低下など大きく変化しております。このような中で県内における就学前児童の保育環境の実態を的確に把握し、保育ニーズに即応した施策を推進していくために「就学前児童の保育等に関する実態調査」を平成13年度に実施することとしております。
なお、調査方法等については、より精度の高い結果が得られるよう検討委員会等を設置して検討してまいります。この調査の結果を踏まえて子育て支援についての検討をしていきたいと考えております。
次に、離島振興についての2つの御質問にお答えいたします。
まず、離島における水道施設及び料金等についての御質問でございます。
離島は、水源が乏しいため海水淡水化施設、海底送水管や膜処理施設等の整備により水道水の確保を図っております。
しかし、これら施設の建設や維持管理には多額の費用を要し、また給水人口が少なく事業効率もよくないことなどから水道料金は割高な状況にあります。ちなみに平成11年度の10立方メ-トル当たりの料金は本島平均が1476円、海水淡水化施設を有する離島町村の平均は2508円となっております。このため高料金対策として国は南・北大東村に対し特別交付税で措置しております。
県では、離島の水道水を確保するため施設整備に対して離島・過疎地域簡易水道振興事業により県費補助を行うなど離島振興に努めているところであります。
次に、多良間村に八重山からの送水は可能かとの御質問にお答えいたします。
多良間村に八重山から送水することに関して具体的に検討したことはありませんが、多良間島と石垣島間は最短距離で約35キロメートルあり、また水深も最も深いところで約500メートルと深く、海底送水管の布設が技術的に可能かどうか十分検討する必要があると思われます。
仮に海底送水管を布設する場合には莫大な費用を要するものと思われます。したがいまして多良間村に八重山から送水することについては技術的な面及び費用の面を考慮しますと、その実現にはさまざまな課題があると考えられております。
○警察本部長(太田裕之) 児童虐待及び凶悪少年事件の現状と対策についてお答えいたします。
児童虐待事案は、全国的に増加し深刻な社会問題となっているところであります。
県内においても、平成12年中に県警が児童相談所へ児童虐待事案として通告し被害児童を保護した件数は21件で、昨年に比較し10件も増加している状況であります。
県警では、児童虐待事案の未然防止と被害児童の保護対策を強化するため、平成10年8月に児童相談所や医師会など22機関・団体による少年被害者支援現場ネットワーク会議を構築し、相互の通報体制の強化を図り、被害児童の早期発見と保護に努めるとともに、児童虐待は犯罪であるという認識を広く県民に周知させるための広報・啓発活動を積極的に行っているところであります。
次に、県内の少年による凶悪犯罪の現状についてであります。
平成12年中に刑法犯で検挙された少年の総数は1093人で、前年比で169人減少をしております。しかしながら殺人、強盗などの凶悪犯罪で検挙された少年はその年々によりかなりの増減があるものの、昨年は29人で前年比で9人増加している状況であります。
県警といたしましては、こうした現状を踏まえ、家庭や学校などとの連携を強化し非行の前兆となる問題行動の早期把握に努め、少年による凶悪犯罪の未然防止を図っているところであります。
○土木建築部長(銘苅清一) 離島振興についてのうち、離島における下水道施設の現状と今後の取り組みについての御質問にお答えいたします。
県では、全市町村を対象とした下水道等各種処理施設の整備計画を「沖縄県下水道等整備構想」として策定し施設の整備を計画的に進めております。
離島における下水道事業のうち、平良市及び石垣市では都市計画区域内における汚水処理を公共下水道事業として実施しており、一部地域において供用を開始しております。また都市計画区域外においては観光地等の自然環境を守り、生活環境の改善を図る観点から特定環境保全公共下水道事業で整備を進めております。
石垣市川平地区、竹富町竹富地区、渡嘉敷村阿波連地区では、その整備を完了し供用を開始しております。
座間味村座間味・阿真地区、仲里村イーフ地区、具志川村仲泊地区においては、一部地域で供用を開始し引き続き幹線・管渠の整備を進めております。他の離島につきましても下水道のほか、農業・漁業集落排水事業や合併処理浄化槽事業等について関係市町村並びに関係部局と連携し、計画的、効率的な整備が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 宮古地域におけるサメ対策についての御質問にお答えをいたします。
宮古海域においては、平成8年、平成9年に漁業関係者が、平成12年9月には観光地である砂山ビーチ沖合においてサーフィンをしていた男性がサメに襲われて亡くなるなど痛ましい事故が発生しており、その対策が急務となっております。
また、サメ被害が多発することは、宮古地域の観光・リゾート産業の振興を図る上で大きなダメージになるものと憂慮しているところであります。そのため平成13年度において宮古地域サメ咬傷被害予防対策事業を実施することといたしております。その事業内容といたしましては、市町村が主要海浜にサメ防御ネットを設置する場合に補助金を交付することにしております。平良市の砂山ビーチ等3カ所を予定しております。
さらに、サメ咬傷予防対策に不可欠であるサメの生態やそれを取り巻く海域環境、国内外の対策事例等について調査を実施し、その調査結果をもとに咬傷予防対策の提言及び広報活動を実施することにより咬傷被害を未然に防いでいきたいと考えております。
○宮里 政秋 日本共産党県議団を代表して知事に質問をいたします。
相次ぐ米海兵隊員による事件が発生する中で、今度は連続放火事件が発生しました。米軍は、警察の被疑者の身柄引き渡し要求を拒否しました。
平成7年10月、「刑事裁判手続に関する日米合同委員会」で、凶悪犯罪の場合、合衆国は、被疑者の起訴前の身柄引き渡しがあった場合はいかなる要請に対しても好意的配慮を払うと改められました。ところが好意的配慮どころか、連続放火という凶悪犯罪にもかかわらず起訴前の犯人逮捕を米軍は拒否したのであります。「運用上の改善」では限界があることを今回の事件は示しています。
犯人の国籍のいかんを問わず、我が国で犯罪を犯せば日本の法律で裁かれるべきは当然であります。治外法権的な特権を保障している地位協定は、まさに主権の放棄につながるものと言わなければなりません。稲嶺知事が被疑者の引き渡しを要求し、地位協定の見直しを再度政府に求めたことは当然の措置であったと思います。
2月15日の衆議院外務委員会で、我が党の赤嶺衆議院議員が河野外務大臣に起訴前の身柄引き渡しを要求しました。これに対し河野外務大臣は、起訴となれば、その段階では当然身柄は引き渡されるということになるわけでございますが、できるだけ早い身柄の引き渡しを求めて努力中でございますと答弁されました。ところが起訴前の身柄引き渡しは実現できませんでした。アメリカにしっかり物が言えない対米追従の外交の結果ではありませんか。
連続放火という凶悪犯の被疑者を起訴前に逮捕できないという国の外交を知事はどう思うか、御見解をお聞かせください。
これまで政府は、運用上の改善に努力するとしてまいりました。地位協定の見直しをかたくなに拒否してきました。地位協定の抜本的見直しがなければ県民は絶対に納得しません。この際、地位協定の見直しについて強力な折衝が必要と思います。どのような対策をとられるのか、知事の御決意を伺いたい。
次に、警察本部長に伺います。
「殺人・婦女暴行」以外は、起訴前の身柄引き渡しもできないでは公正な捜査は期待できません。平成10年の「刑事裁判手続に関する日米合同委員会」での「運用改善」の中で「殺人又は強姦」と書かれているのは明示的表現ではなく、例示的表現と解釈するのが相当であります。その意味で警察が起訴前に犯人の身柄引き渡しを求めたのは当然の措置であったと思います。
放火事件は、社会的法益を侵害する重大な犯罪であります。延焼したら個人の生命財産に対する危険はもとより、社会の平穏と安全を侵害する極めて危険な犯罪であります。連続放火犯人の逮捕を米軍が拒否したことは断じて許せるものではありません。
そこで質問の第1点目、捜査は任意捜査が原則です。ところが米兵犯人は、過去にも国外に逃亡した例があります。今回も身柄を拘束して取り調べることができませんでした。捜査上、どのような支障があるのか。
2点目、今回の連続放火被疑者を起訴前に身柄引き渡しを要求したのはなぜか。その根拠。
第3点目に、警察の起訴前の逮捕要求を米軍が拒否した理由は何か、明らかにしていただきたい。
次に、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
海兵隊員による女子高校生への強制わいせつ事件で1月19日の臨時議会で、在沖米海兵隊の削減を求める意見書と抗議決議を全会一致で可決いたしました。県議会の決議を受けて各市町村議会でも海兵隊の削減を求める決議が相次ぎ、北谷町と石川市議会では海兵隊の撤退決議を採択しました。県内各界の代表らも一様に県議会の決議を評価しました。地元紙も社説で「海兵隊の削減要求は当然」と報道しました。
海兵隊削減の声は、県民の総意として日増しに高まりつつあります。県議会が海兵隊の削減要求を全会一致で打ち出した背景には、米兵による犯罪が発生するたびに日米両政府は綱紀粛正、再発防止を約束してきたが守られたためしがないこと、県民の感情を逆なでする米軍や有効な外交交渉を講じ得ない政府に対して、与党、野党が立場の違いを超えて海兵隊の削減抜きに事件・事故を防止できない、海兵隊削減の姿勢を示さない限り同じ決議の繰り返しでは県民は納得しないとの認識の一致によるものでありました。
ところで、稲嶺知事はこれまで海兵隊の削減要求を表明してきませんでした。地元紙は、稲嶺知事の政治姿勢を次のように取り上げました。県当局も県議会とともに両政府に海兵隊の削減を正面から強く主張すべきだ、稲嶺知事みずからリーダーシップを発揮しなくては基地問題の前進は期待できないと批判しています。
米軍に反対している政治家が事件を宣伝しているという元司令官の発言が報道されました。県民の怒りを逆なでするこの暴言は絶対に許せません。
しかしこの発言を裏返せば、事件を政治的に利用しているのは米軍に反対している一部の政治家であって、稲嶺知事は海兵隊削減を要求していないではないかとも受け取れます。政治的ないろいろな思惑もあってあれこれと取り繕おうとするから、少女の人権が侵害されても怒りが伝わらない。
1995年の県民大会で大田知事は、一人の少女の人権を守り得なかったことを知事として県民に深くおわびしたいと訴えました。人間の尊厳が侵されたことに対する知事の怒りは、県民に大きな励ましと感動を与えました。知事の発言はそれほど重いものです。人権侵害に対しては、稲嶺知事は毅然たる態度をとるべきではありませんか。
次に、ヘイルストン発言について。
在沖米軍調整官は、海兵隊の削減を求める全会一致の県議会決議を「米軍に損害を与える決議」と攻撃した上で、決議の通過を見過ごした知事を「ばかな腰抜け」とののしりました。この発言は県民の怒りを呼び、四軍調整官の辞任要求へと発展しました。県民の代表である知事を「ばかな腰抜け」とはまさに県民を侮辱する暴言であり、県民への挑戦であります。与野党を問わず言語道断と一斉に反発したのは当然であります。
ところが稲嶺知事は、個人的なメールでコメントは難しい問題であると前置きして、個人的には不快であると語っておられます。司令官が部下あてに出した指示、命令の文書は私信ではありません。私信とは、プライバシーに関する通信を言うのではありませんか。この四軍調整官の発言を私信と受けとめ、抗議もしないでは腰抜けと批判されかねません。
この暴言の背景には、海兵隊の新基地建設を容認し最もアメリカに協力的な稲嶺知事が、なぜ米軍に損害を与える決議の通過を見過ごしたのかというアメリカ側のいら立ち、不信のあらわれとも受け取れます。すなわち海兵隊司令官が稲嶺知事をどう見ているかをよくあらわしているとも言えます。
海兵隊削減の全会一致の決議に対しても、知事はこれまで明確な態度を表明していません。四軍調整官の発言についても抗議の姿勢を示していません。この2つの問題に対する稲嶺知事の政治姿勢に県民は納得していないのです。
そこで知事に伺いたい。
海兵隊削減はまさに県民世論となりつつあります。執行部と議会は、それこそ両輪となって体を張って海兵隊削減を日米両政府に要求する気概が今こそ問われているのではありませんか。知事の御決意を伺いたい。
四軍調整官に対しても厳重に抗議する姿勢を示すことが県民感情に沿う対応と思うがどうか、お答えいただきたい。
次に、ヘリパッド候補地の見直しについて伺います。
米軍基地関係特別委員会は、1月30日に北部のゲリラ訓練場を調査いたしました。司令官の説明と案内で訓練施設を視察いたしました。司令官の説明によると、同訓練施設はアメリカ国防総省唯一のジャングル訓練施設で、地形が変化に富み訓練に最適だとの説明を受けました。
ところが防衛施設庁の調査によると、1849種の動植物が確認されています。しかもそのうち145種は特別天然記念物のノグチゲラ、国指定天然記念物のヤンバルテナガコガネなど絶滅のおそれのある希少動植物が確認されています。建設予定地は、世界の環境団体も日米両政府に保護を求めていた地域であり、今回の調査結果はこうした指摘を裏づけるものであります。
北部訓練場にはヘリパッドが22カ所あり、7カ所のヘリパッドを新たにヤンバルの森に移設すれば、世界的にも保護への機運が高まっているヤンバルの希少動植物は絶滅するおそれがあります。
昨年秋の総会で国際自然保護連合は、ヤンバルに生息する希少種の保護を求める勧告決議を行っています。したがってSACO合意に基づく早期返還と新たなヘリパッド建設の中止を国に強く要求すべきであります。知事の御答弁を求めます。
次に、15年使用期限問題について伺います。
米軍基地関係特別委員会は、1月31日に北部訓練場の視察に続きキャンプ・シュワブの調査も行いました。隊員の案内で基地内を視察しました。海兵隊の宿舎、病院、売店、食堂、教会、海水浴場、運動場があり、一つの町を構成しているような印象を受けました。
海に面した小高い場所で司令官は、海兵隊の施設としてはとてもすばらしい施設と説明していました。普天間基地の移設先はどこかとの質問に、このことは日米両政府が決めることだと断った上で、国際保護動物のジュゴンが生息する海を指さして説明していました。建設が予定されている新基地はほとんどが海上基地で、一部陸上につなぐ工法になるのではないかとの印象を受けました。
名護市民は、住民投票で海上基地を明確に拒否しました。投票で表明された市民の意思を権力で押しつぶして新しい基地を押しつけることは、民主主義の原理に照らしても到底容認できるものではありません。
さて、15年使用期限という知事の公約は既に破綻していると言わざるを得ません。なぜなら15年の使用期限問題が棚上げされたまま既に具体的な工法だけが先行しているからであります。これまでに代替施設協議会は5回開かれています。防衛施設庁では、既に代替施設の建設工事を部外団体に依頼しています。具体的な工法はくい式桟橋、ポンツーン、埋め立ての3つを想定しています。3つの工法の仮設条件は、滑走路の長さはオーバーランを含めて2400メートルを提示しています。同資料をたたき台とする協議は第6回以降と言われています。
政府は、こうした既成事実をつくり上げる一方で、15年期限を実現するための対米交渉を一度も行っておりません。
知事は、15年使用期限問題について、今後とも協議会の場においても要望のほか、あらゆる機会に政府の責任において早急に解決策が示されるよう引き続き強く求めていく考えでありますと答弁をされてきました。知事の任期も2年が過ぎました。公約を政府に守らせるタイムリミットはいつか、明確にすべきではありませんか。
そこで質問いたします。
第1に、代替施設協議会は5回開かれています。ところが15年使用期限と基地の使用協定については、代替施設協議会では全く取り上げられていません。知事の公約である15年問題はアメリカの同意が必要です。日米両政府の合意が得られるまで主張し続けるでは県民は納得しません。次回の協議会では15年問題を取り上げるべきだと思うがどうか、知事の御答弁をいただきたい。
2番目に、岸本名護市長は、使用期限や基地使用協定などを論議するため新たな協議機関の設置を提案しています。知事はどう対応されますか。
第3に、15年問題が棚上げされたまま代替施設の建設がスタートすることもあり得るのか。
次に、介護保険問題について。
昨年10月から、半額とはいえ1万5000円以上の年金からの天引き徴収が始まりました。本県は平均所得は全国の半分しかないのに、逆に保険料は全国の3割高です。本県は高齢者の84%が住民税非課税です。保険料の滞納は全国的にも深刻です。政令都市9市全体で7万5000人が保険料を滞納していることが明らかになっています。本県の実態をお聞かせいただきたい。
保険料、利用料の負担の軽減について。
高い保険料、利用料の軽減を求める声は全国に広がっています。既に200の自治体で保険料の軽減措置がとられており、利用料では838自治体で軽減措置がとられています。しかし本県は残念ながら軽減措置がとられておりません。市町村任せにせずに、県としての財政支援が求められております。国に対する要請とあわせて改めて県の知事の決意を伺いたい。
ポスト3次振計での提言について。
昨年の完全失業率は、復帰後最悪と言われた一昨年の8.3%から7.9%に持ち直したとはいえ、依然全国の2倍の5万人、負債額1000万円以上の企業倒産は一昨年の1.4倍にもふえています。
第1に、沖縄の中小企業や農水産業を危機に陥れるような産業経済政策をやめさせ、農漁業、観光、地場産業の経営を強化し雇用を拡大することではないでしょうか。
2、新基地と引きかえにした国の財政支援ではなく、本当の意味での沖縄の経済発展と県民生活向上に役立ち、沖縄県民が自分の計画に基づいて使える財政支援を国に強く要求すべきではないのか。
3つ目は、基地のない沖縄を展望した県土づくり、この計画を進めることです。
その立場から次の質問を行います。
1、国の責任による第3次沖縄振興開発計画が2001年度で終了しますが、1次、2次、3次の到達点を県民の立場から見きわめて、それをさらに発展・充実させた振興策を国に要求していただきたい。
2、昨年6月から大型店の出店は、都市計画法や大型店立地法によることになっています。生活環境を保持するために必要な施策を講じるという条項を活用して店舗面積に上限を設け、出店に歯どめをかける要綱を制定するなど県独自の中小業者や商店街を守る施策を具体化していただきたい。
3、さとうきび農業は生産費を償えない価格を強いられ、農家は経営の維持が困難になっています。さとうきび生産価格に見合う価格補償、国産糖の入札制度の廃止を国に強く求め、沖縄の地形、規模に合った収穫機・ハーベスターの開発を急ぐこと。イモゾウムシ、ハモグリバエの根絶など病害虫の研究に力を入れること。わしたショップの機能を強化し県産品の販路拡大に一層力を入れること。学校給食やホテル・旅館での積極的な活用など県内産品の県内での新たな市場開拓に本腰を入れること。
4、沖振法に基づく県の公共工事は地元優先、分離・分割発注を徹底すること。特に県の公共工事が極端に特Aに偏り、A以下の企業には仕事がほとんど回ってこない。この事態は深刻であり直ちに改善すること。
5、行政が「IT革命」を真剣に考え、起業と雇用の創出を直ちに着手すること。
6、離島県沖縄の産業経済発展のかなめは、本島と各離島、本土と沖縄を結ぶ海と空の交通路の確保と低廉化、航空運賃の引き下げ、高速冷凍・冷蔵船の就航を県と政府が一緒に早急に進めること。
以上の各項目ごとに御答弁をいただきたい。
最後に、教育問題について質問いたします。
我が党は、子供と教育の問題を21世紀の社会の存続にかかわる問題として重視し3つの分野での教育改革を提言し、国民的な取り組みを呼びかけています。
その第1は、学校教育の抜本改革、2番目に社会での道義の確立、3番目に性や暴力の映像などから子供を守る、この3点であります。特に第1点目の学校教育の抜本改革の具体化として学力の危機ともいうべき事態は、子供の成長と発達にとって放置できない深刻な問題としてその打開のための提起を行ったものであります。
学力の危機とは、単純な学力低下というものではありません。今学校現場では子供たちの勉強意欲の減退、学力格差の広がりなどさまざまな側面から子供たちの学習に異変が起こっていることが問題になっています。
学力の危機の2つの特徴を文部省の調査で見ると、学校の授業が「よくわかる」と答えた子供たちの割合は小学校全体で19.9%、中学校2年生で4.7%、高校2年生で3.5%です。まさに学力の危機が進行していることを文部省の調査は示しています。
学校生活の大半が授業です。その授業が「わからない」、「つまらない」というのでは子供にとって本当につらいことです。学ぶことは人間にとって成長であり、「わかる」ことは子供にとって喜びであります。「わからない」、「つまらない」という状態で放置されることは人間としての誇り、尊厳を傷つけることにほかなりません。この学力の危機ともいうべき事態が子供に苦しみを押しつけ、さまざまな発達のゆがみや社会的な逸脱をもたらす一つの根源になっているのではないでしょうか。
このような学力の危機の原因は何か。それは長年にわたって学校教育に押しつけてきた競争主義、管理主義の押しつけがその根源にあることを指摘しなければなりません。
学力の危機の打開策として、学習の中の基礎・基本的な事項は時間をとってわかるまで教えるようにすること。各教科には、これだけはという基礎的な事項があります。それを深くきちんと理解することは、勉強のつまずきをなくする上で極めて大切なことです。少人数学級の実現や教員定数をふやす措置は、今各地で広がっています。
そこで教育長に伺います。
学力の危機という事態を打開するためどのような対策をとられるのか、お伺いします。
1点目に、我が党は、その打開策として1つ、きめ細かく教えられるような30人学級の実現に向けて努力すること。
2点目は、教員の増員と学校の民主的運営の実現に努めること。
3点目に、受験中心の競争教育を改め、学習の中の基礎・基本的事項を時間をとって教えること。
以上3点について提起いたします。それぞれについて教育長の御答弁を求めます。
以上で代表質問を終わり、知事の答弁によって再質問を行わさせていただきます。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの宮里政秋君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時57分休憩
午後1時20分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
午前の宮里政秋君の質問に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 宮里政秋議員の御質問にお答えいたします。
最初は地位協定の見直しについて、被疑者を起訴前に逮捕できないという国の外交をどう思うかというのと、地位協定の見直しについて強力な折衝が必要だと思うがどのような対策をとるのかというこの2点の御質問を一括してお答えいたします。
私は、去る2月14日、今回の放火事件に関連して被疑者の即時引き渡しと日米地位協定の見直しなどを関係大臣に要請しました。
その際、河野外務大臣から、平成7年10月の日米合同委員会で合意された身柄引き渡しに係る「特定の場合」を例示してもうまくいかないときは日米地位協定の見直しも検討しなければならない旨の発言があり、また2月15日の衆議院予算委員会において、日米地位協定の見直しも視野に入れてよいと思っている旨の答弁がありました。さらに2月21日には福田官房長官が県議会の要請団に対し、日米地位協定の問題を含め沖縄の問題に前向きに取り組む考えを表明しております。また昨日、河野外務大臣が来県され県庁で懇談した際にも大臣から、基地問題に絡んで県議会や市町村議会でさまざまな決議がなされたことは重要であり、日米地位協定について運用の改善で問題が改善されなければ地位協定の改定を視野に入れて米側と話をしなければならない旨の発言がありました。
政府関係者のこれらの発言は、国においても日米地位協定の見直しに前向きに取り組みつつあるあかしであると認識しております。
県としては、日米地位協定の見直しを求めることは県民の総意であり、あらゆる機会を通してこのような県民の意向を訴え続けることが日米両政府の前向きな対応を促進するものと確信しており、今後とも日米地位協定の見直しを早急に協議するようあらゆる機会を通して日米両政府に対し強く求めていきたいと考えております。
続きまして海兵隊削減にかかわる政治姿勢について、執行部と議会は両輪となり、海兵隊削減を日米両政府に要求する気概こそ今求められているのではないかとの御質問に対してのお答えでございます。
在沖海兵隊の削減については、昨年のジョーンズ米海兵隊総司令官の発言やアーミテージ氏らによる超党派の国防専門家グループのレポートで、沖縄県民の基地負担の軽減を図る立場から、海兵隊の訓練の移転や兵力の削減について提言が行われるなど米本国内にも新しい動きが出てきていることに県としても注目してきたところであります。また日本国内においては自民党の古賀幹事長が「沖縄駐留の米海兵隊削減問題について「三党の政策レベルで取り決めていく大きなテーマだ。三党として方向付けしたい」」旨発言しております。さらに県内においては県議会が強制わいせつ事件に関連して「海兵隊を含む兵力の削減」等を求める意見書及び抗議決議を採択しており、多くの市町村議会でも同様な議決がなされております。
このような状況から、県としては海兵隊をめぐる国内外の動向を見た場合、在沖米軍兵力の削減は一つの方向性を持った新しい流れになりつつあると認識しております。
また、日米両政府間においても、さきのパウエル国務長官と河野外務大臣との初会談で在沖米軍基地問題が話し合われ、その席上パウエル国務長官は、米軍が沖縄の人々にとって最小限の妨げとなり、日本政府にとっても最小限の政治問題となるようにしたい旨発言しております。県としては日米安保体制を容認する立場ではありますが、長い間にわたる県民の過重な基地負担の軽減を図る観点から基地の整理縮小を強く求めてきたところであります。
県としては、在沖米軍を取り巻くこのような状況を踏まえ、海兵隊を含む米軍兵力の削減についても、県民の意向を明確にするため基地の提供責任者である日本政府において、日米両政府間の協議の中で取り上げるよう国に対し求めていきたいと考えております。
次に、同じく政治姿勢についての中で、四軍調整官に対しても厳重に抗議する姿勢を示すことが県民感情に沿う対応と思うがどうかということのお答えでございます。
今回のEメールは、ヘイルストン中将が配下の各部隊司令官に対し、事件・事故の再発防止に向けてさらなる綱紀粛正の強化を求めるために発せられた私的な内部文書であると理解しております。
しかしながら、その内容は議会制民主主義における知事等の執行部と議会が独立して機能するという両者の関係について正しく理解しておらず、また米軍基地に関する沖縄の歴史的背景や県民の思いに対する配慮が欠けていると言わざるを得ない部分が含まれており、極めて遺憾であります。
今回の件に係るマスコミ報道があった去る2月6日、私は本問題に関するコメントを発表し、ヘイルストン中将の認識不足を指摘し不快である旨表明しました。また、去る2月8日にヘイルストン中将が直接県庁に来て、私や伊良皆県議会議長を含め関係者及び県民に対し謝罪した際にも強い遺憾の意を表明するとともに、在沖米軍の責任者としての発言には県民の心を理解し十分注意を払うよう重ねて強く申し入れたところであります。
県としては、今後ともヘイルストン中将を初め米軍人等が沖縄の戦後の歴史的背景や県民の心をよく理解し、事件・事故の防止を初め県民の基地負担の軽減を図るため積極的に取り組むよう強く求めるとともに、三者協やワーキングチーム等の枠組みを通して関係者が相協力して基地問題の解決促進に努力したいと考えております。
続きまして15年使用期限問題について、日米両政府の合意が得られるまで主張し続けるでは納得しないと、次回の協議会では15年問題を取り上げるのかとの御質問にお答えします。
日米安保条約に基づき基地の提供責任は日本政府にあることから、県は代替施設の15年使用期限については政府が責任を持って早急に解決するよう強く求めているものであります。
使用期限については、代替施設協議会本来の協議事項である基本計画の策定という事項には入りませんが、協議会の場において、政府においては県民の強い要望を理解し、代替施設の使用期限問題の一日も早い解決に向け、積極的に取り組んでいただくようこれまで4回にわたり要望したところであります。今後とも協議会の場において要望するほか、あらゆる機会に強く求めていく考えであります。
次に、同じく15年使用期限問題について、15年問題が棚上げされたまま代替施設の建設がスタートすることもあり得るのかとの御質問につきましてお答えいたします。
普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が56年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から使用期限を設け、国に強く求めているものであります。15年使用期限については政府において解決に向け努力されていることを承知しておりますが、県は、基地の提供責任は日本政府にあることから、過重な基地負担を担ってきた県民の意向を踏まえ、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。
なお、代替施設の15年使用期限問題については、県が移設に当たって整備すべき条件としており、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないものと考えております。
ポスト3次振計について、沖縄振興開発計画の1次、2次、3次の到達点を県民の立場から見きわめて、それをさらに発展、充実させた振興策を国に要求すべきであるとのお答えでございます。
本県の振興開発については、3次にわたる沖縄振興開発計画に基づいた各種施策・事業が総合的に実施された結果、社会資本の整備を中心に本土との諸格差も次第に縮小されるなど着実な成果を上げております。しかしながら厳しい雇用情勢、財政依存度の高い経済構造、広大な米軍施設・区域の存在など今なお多くの課題を抱え、本県を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。
そのため、ポスト3次振計においては、活力みなぎる産業が展開する民間主導型の経済社会の構築、アジア・太平洋地域と活発に交流・協力する地域社会の形成、次代を担う多様な人材の育成、安らぎと潤いのある環境と共生した社会の形成、基地の整理縮小と基地跡地の有効活用などを進めるため新たな時代に対応した新たな理念、施策を盛り込んだ新たな沖縄振興に向けた県の基本的な考え方を取りまとめ、6月には国に提案してまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○警察本部長(太田裕之) まず、被疑者の身柄を拘束して取り調べることができなかったのでどのような支障があるのかという質問についてお答えいたします。
今回の事件につきましては、初動捜査段階から米軍側の全面的な協力が得られ、休日を含め必要な日時に警察における取り調べを行うことができるなど徹底した捜査を行うことができたと認識しております。したがいまして特段の支障はなかったものと考えております。
次に、起訴の前に引き渡しを要求したのはなぜか、またその根拠はについてお答えいたします。
県警では、今回の非現住建造物等放火という犯罪につきまして、事件の態様また社会的反響、捜査上の必要性等を総合的に判断し、法律の定める手続に従い逮捕令状の発付を得まして逮捕同意請求をしたところであります。その根拠につきましては、いわゆる刑事特別法第10条第1項「合衆国軍隊がその権限に基いて警備している合衆国軍隊の使用する施設又は区域内における逮捕、勾引状又は勾留状の執行その他人身を拘束する処分は、合衆国軍隊の権限ある者の同意を得て行い、又はその合衆国軍隊の権限ある者に嘱託して行うものとする。」という規定に基づいております。
次に、逮捕要求を米軍が拒否した理由についてというお尋ねであります。
逮捕令状の発付を得まして、在沖米海兵隊基地司令官に対しまして逮捕同意請求を行いましたところ、同司令官から、被疑者は米軍手中にあるため起訴までは米軍側が身柄を拘束することになっているという理由で拒否したと承知しております。
○知事公室長(親川盛一) 宮里政秋議員のヘリパッド候補地の見直しに関連して、ヘリパッドをヤンバルの森に移設すれば希少動植物は絶滅するおそれがあり、SACOに基づく早期返還と新たなヘリパッドの建設の中止を国に要求すべきであるがどうかという御質問にお答えをいたします。
県は、これまで国に対し、北部訓練場の返還に伴うヘリパッドの移設場所の決定に際してはヤンバルの貴重な自然への配慮を求めるとともに、当該移設場所の自然環境への影響やその対策等について県及び関係市町村に十分に説明するよう申し入れてきたところであります。
先般、平成10年12月から平成12年3月までの間、国が実施してきた北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設に係る環境調査の結果が公表され、移設候補地一帯で多数の貴重な動植物が確認されております。国においては、自然環境に与える影響を最小限にとどめる観点から引き続き環境調査を実施するとのことであります。
県としては、国による継続調査の結果や関係する市町村の意向及び自然保護団体等の意見も踏まえながら、当該地域の自然環境に十分配慮した移設場所の選定がなされるよう適切に対応したいと考えております。
なお、来年度以降も国による継続調査が行われることから、実質的には平成14年度末の返還が困難となる可能性が高くなったものと思いますが、一日も早い返還とあわせて貴重な自然への配慮も優先されるべきものであると考えております。
次に、15年使用期限問題についての中の、岸本名護市長は、使用期限や基地使用協定などを論議する新たな協議機関の設置を提案しているが、どう対応するかという御質問にお答えをいたします。
15年使用期限問題については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が56年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の整理縮小を求める県民感情から15年の期限を設けたものであり、その解決を国に強く求めているものであります。県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。
また、閣議決定に盛り込まれている代替施設の使用に関する協定及び名護市内の既存の米軍施設・区域に係る事項については、名護市長の要望を踏まえて国により実務者連絡調整会議が設置され、実務者レベル間で話し合いが進められているところであります。県としては、名護市が求めている使用協定等について市と連携して名護市の要望が実現されるよう取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 介護保険問題について、月額1万5000円未満の年金受給者における普通徴収保険料の滞納者の数はどれだけかとの御質問にお答えいたします。
平成12年10月分の第1号被保険者について、全国で112市町村の定点調査を実施したところ、普通徴収の収納率は91%となっています。本県では10市の調査によると70%となっています。したがって、御質問の普通徴収の滞納者数については正確には把握されていませんが、10市の調査の収納率から推計しますと、滞納者は1万413人で全体の30%になります。
なお、年金からの特別徴収を含めた収納率の合計は94%となっています。
次に、同じく介護保険問題について2つの御質問でございますが、市町村が地方自治法の責務が果たせるよう県としての財政支援と指導責任を果たすこと、それからもう一つは国に対する要請についての2つの御質問、関連しますので一括してお答えします。
介護保険制度は、介護を国民全体で支え合おうとするものであり、保険料を支払った者に対して必要な給付を行うものであります。第1号被保険者の保険料を単独で減免することは制度の趣旨から適当でないということが国から示されており、単独減免を行った市町村については財政安定化基金の交付の対象とならないことになっています。
県としては、本県は離島県であることから、サービス提供に関する環境整備について、特に小規模離島町村に対する助成等について厚生労働省へ要望しているところであります。また、九州ブロック部局長会議においても「介護保険制度の実施に伴う長期安定的制度の確立と財源の確保について」国への要望が提出されています。
なお、市町村に対する県の助成措置については今後国の動向を見ながら検討してまいります。
○商工労働部長(當銘直通) ポスト3次振計についてのうち、大型店の出店に歯どめをかける県独自の要綱の制定についての御質問にお答えいたします。
平成12年6月に施行された大規模小売店舗立地法は、大規模小売店舗を設置する者に対し、その周辺の地域の生活環境を保持するため施設の配置や運営方法について適切な配慮を求めることを目的としております。
同法第13条は、既存中小小売業者への商業上の影響を理由に大型店の出店を調整するなど、同法の趣旨に反した規制を行うことができないことを明確に定めたものであり、県による独自規制は困難であります。
県においては、商店街の振興を図るため商店街の組織化の促進、商業基盤等施設整備事業、空き店舗対策事業等に対し積極的に助成を行い、商店街の活性化に取り組んできたところであります。
また、中心市街地活性化法に基づき市町村で策定が進められている中心市街地活性化基本計画による各種商業施策への支援を行うなど、今後とも商店街の活性化や競争力の強化に努めてまいります。
次に、同じくポスト3次振計のうち、「わしたショップ」の機能を強化し県産品の販路拡大に力を入れることについてお答えいたします。
株式会社沖縄県物産公社のわしたショップは、県産品の宣伝紹介、販売等を行うことにより県産品の販路拡大を図ることを目的に設置されています。現在、本土で6店舗、県内で3店舗、海外で1店舗が営業しています。
わしたショップの設立によって、小売機能にとどまらず店舗を拠点にした卸取引の拡大及び各種マスコミ報道による県産品のPRにも多大な効果を上げています。今後ともわしたショップの機能を活用しつつ、卸売機能等の強化を行い、さらなる県産品の販路拡大を図っていく考えであります。
次に、同じくポスト3次振計のうち、県産品の学校給食やホテルでの積極的な活用についてにお答えいたします。
県は、県内需要の創出による経済の活性化を促進するため、昭和59年7月に「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」を策定し、以来県産品の優先使用を推進しております。県は、県内のホテル業界に対しても同様の要請をするとともに、県産食材を活用した沖縄料理フェアを開催し、県産品の消費拡大に取り組んでいるところであります。
また、日ごろの学校給食においては県産食材が数多く活用されておりますが、県産品の日である7月1日には、特に小中学校の児童生徒が県産品の優秀性と地場産業振興の必要性について理解が深められるよう、県産食材を活用した料理メニューを学校給食の中に取り入れているところであります。県産品の優先使用については引き続き推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) ポスト3次振計についての御質問の中の、さとうきび生産価格に見合う価格補償、国産糖の入札制度の廃止を国に求めてはどうか、また沖縄の地形、規模に合った収穫機・ハーベスターの開発はどうなっているかとの御質問にお答えします。
さとうきび最低生産者価格制度及び輸入糖と国内産糖の価格調整を行う仕組みは、砂糖の価格調整に関する法律に基づき従来どおり維持されております。しかしながら、国内産糖企業への助成方式は農畜産業振興事業団による売買方式から国内産糖交付金に改められております。
交付金単価の算定要因である国内産糖価格については、入札制度が導入されております。この入札制度は、法律として制定されていることから廃止は難しいものと考えております。
県としては、さとうきび最低生産者価格と国内産糖交付金単価の決定に当たっては、適正な農業所得の確保や甘しゃ糖企業の経営安定が図られるよう引き続き国に要請していく考えであります。
また、ハーベスターの開発については、国内外のメーカーによって小規模圃場に適した軽量で高性能な機種の開発・改良が進められております。今後とも地域の実情に即した収穫機械の導入を図り、機械化の推進に努めていく考えであります。
次に、イモゾウムシ、ハモグリバエの根絶など病害虫の研究強化はどうなっているかとの御質問にお答えします。
イモゾウムシ等の根絶防除については、平成13年度から久米島において本格的な根絶事業を実施することにしております。平成13年度予算は、前年度に比較して約2億円増の3億2000万円を計上しております。
研究体制としては、平成13年度でミバエ対策事業所に研究員を増員する予定であります。
また、マメハモグリバエについては、平成12年度に約5500万円の県単予算を措置し、民間企業へ技術移転するための研修施設の整備を進めてきております。県としては、今後とも環境負荷の少ない病害虫防除技術の研究開発に向けて強力に取り組んでいく考えであります。
以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) ポスト3次振計についてのうち、県の公共工事が特Aに偏り、A以下の企業には仕事が回ってこないとの御質問にお答えいたします。
公共工事の発注につきましては、県内経済の活性化及び県内企業育成を目的に昭和59年7月に県が策定した「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」に基づき地元企業への優先発注を行っているところであります。
工事の執行に当たっては、年度当初にランク別、地域別にバランスのとれた発注となるよう会社の規模や技術者、従業員の数、工事受注実績等を勘案して発注計画を策定し、その目標をもとに執行に取り組んでいるところであります。平成11年度の実績としては道路、河川、港湾等の一般土木での契約件数は特Aクラスが175件(16.3%)、その他Aクラス以下では899件(83.7%)となっております。
また、近年は公共事業費が伸び悩む中で業者の数が増加する傾向にあり、特にAクラス以下の業者の増加が著しく厳しい受注環境の要因ともなっており、これら中小零細企業の技術力の向上や経営の改善が求められているところであります。
県としましては、工事の内容や規模、技術的難易度、現場条件等を勘案して可能な限り分離・分割を行い、今後とも地元優先に配慮しながらバランスのとれた工事発注に努めていく考えであります。
以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) ポスト3次振計について、IT革命を真剣に考え、起業と雇用の創出を本気で考えるのであれば直ちに着手すべきであるがどうかについてお答えいたします。
県におきましては、情報通信産業を21世紀の本県の中核産業と位置づけ、平成10年度に策定した「沖縄県マルチメディアアイランド構想」を基本として情報通信産業の振興を図っております。構想に基づき、これまでにデジタルメディアセンター等の企業化支援施設の整備、通信コスト低減化支援事業の実施及び沖縄若年者雇用開発助成金制度の活用により情報通信関連企業の誘致、活性化を図った結果、平成13年1月末現在、33社が新たに立地し約2700人の雇用が発生しております。また、情報通信関連の人材育成としては、テレビジネス産業等人材育成事業の実施や沖縄県マルチメディアセンターの整備等を実施しているところであります。
次に、同じくポスト3次振計について、高速冷凍・冷蔵船の就航を県と政府が一緒に早急に進めることについてお答えいたします。
次世代の海上物流を担う超高速貨物船、いわゆるテクノスーパーライナーの研究開発については、旧運輸省、現在の国土交通省の指導のもとに平成元年度から進められ、平成7年度までに実海域模型船2隻を建造し、実証試験も終了して建造及び運航技術は確立されております。
しかしながら、建造費が高額であること、また低コストで信頼性の高い保守管理システムや合理的な検査システムが確立されていないなどの理由から、実用船としては1隻も建造されていないのが実情であります。このため、国においてはテクノスーパーライナーの保有管理会社を設立してリース方式とするなどの運航事業者が導入しやすい環境整備を図ることとしております。
県としましては、これらの状況を関心を持って見守りつつ適正に対応していきたいと考えております。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) ポスト3次振計についての御質問の中で、本島と各離島、本土―沖縄を結ぶ海と空の交通路の確保と低廉化についての御質問にお答えをいたします。
離島県である本県にとって、県内外との航路網及び航空路線網の拡充並びに運賃の低減化は、県民生活の安定向上及び産業経済の振興を図る上から極めて重要であります。
海上航路網については、現在、本土航路4航路、本島―離島間及び県内離島間23航路の合計27航路となっております。
離島航路については、国とともに航路事業により生じた欠損額に対する補助制度を実施し、離島航路の維持・確保を図っているところであります。また、海上貨物運賃につきましては規制緩和等により低減が図られているものと考えております。
次に、国内航空路線網については、現在、那覇空港等を拠点として本土34路線、県内14路線の合計48路線となっております。全国の第2種空港の中でも福岡、名古屋と並び充実した展開となっており、利用者の利便性向上に大きく貢献しております。
また、航空運賃の低減については、現在、那覇空港を発着する本土路線については特別措置が講じられており、離島路線についても離島住民に対する特別割引等により運賃の低減を図っております。今後とも、関係機関への要請等を初め航路網及び航空路網の確保と運賃低減に努めてまいりたいと考えております。
次に、航空運賃の引き下げについてお答えいたします。
離島県である本県にとって航空運賃の低減を図ることは、県民生活の安定向上及び産業経済の振興を図る上で極めて重要な課題であると考えております。
国は、沖縄振興を推進するため那覇―本土路線における空港使用料及び航空機燃料税等の公租公課を軽減することにより、平成9年7月に航空運賃引き下げが実現いたしました。さらに、平成11年7月に当該路線の航空機燃料税を軽減し航空運賃の再引き下げが実施され、沖縄関係路線の維持・拡充及び利用者の増加に大きく貢献しております。
また、県としましては県管理空港の空港使用料の軽減措置を行い、これにより航空会社は平成9年10月から離島住民を対象とした割引運賃を創設、実施しております。
なお、国による航空運賃引き下げ措置は平成13年度末までの時限措置となっており、県民生活の安定向上及び産業経済の振興を図るためには今後とも継続することが重要なことから、当該措置の継続・拡充を国へ要請してまいりたいと考えております。
以上です。
○教育長(翁長良盛) 宮里議員の御質問にお答えいたします。
まず、「学力の危機」という事態を打開するためどのような対策をとるかという御質問にお答えいたします。
これからの学校教育においては、児童生徒一人一人が存在感や有用感を持ち、意欲的に活動できる心の居場所となる学校にすることが大切であると考えております。特に、学校生活のほとんどが授業であることを踏まえ、「読み・書き・計算」などの基礎学力を子供一人一人に身につけさせることを基盤として「わかる授業」、「参加する授業」が各学校で展開されるよう学力向上対策を推進しているところであります。
次に、30人学級の実現に向けて努力することの対策についてという御質問にお答えいたします。
御案内のとおり、「第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」が平成12年9月に国から示されたところであります。
教職員定数の改善については、学級編制の標準は40人を維持しつつ基礎学力の向上を図り、きめ細かな学習指導を実現するため教員1人当たり児童生徒数を欧米並みの水準とすることとしております。また、小中学校とも20人程度を目安にした少人数授業が可能となるよう、学校の具体的な取り組みに対する支援を行うこととしております。
県教育委員会としましては、第7次配置改善計画の趣旨を踏まえて小学校の低学年では国語、算数、中・高学年では国語、算数、理科、中学校では数学、英語、理科の教科において20人程度の少人数授業の拡充に努めてまいりたいと考えております。
次に、教員の増員と学校の民主的運営の実現に努めることという御質問にお答えいたします。
児童生徒の基礎・基本の確実な定着と学力の向上を目指して少人数授業、習熟度別授業等の個に応じたきめ細かな指導を積極的に推進するため教職員の増員を図ってきたところであります。平成13年度につきましては、新たに実施される国の教職員定数改善計画により約70人程度の増になる予定であります。
また、学校運営につきましては全国的に教育の地方分権化が進む中、学校の自主性・自律性の確立とともに開かれた学校づくり、特色ある学校づくりの推進が求められております。そのため、学校運営に当たっては学校裁量権限の拡大に伴い校長の強いリーダーシップのもと、校長を中心として全教職員がその職務と職責を十分に自覚し、一致協力して児童生徒を主人公にした学校運営を行うとともに、保護者、地域社会と緊密に連携した学校づくりを推進することが重要であると考えております。
最後に、受験中心の競争教育を改め、学習の中の基礎・基本的事項を時間をとって教えることについてという御質問にお答えいたします。
平成10年12月に改訂された新しい学習指導要領は、完全学校週5日制のもと、ゆとりの中で子供たち一人一人に「生きる力」を育成することを基本的なねらいとしております。
今回の改訂では、授業時数を縮減する以上に各教科の教育内容が厳選され、そこから生じるゆとりの中で子供たちがじっくり学習し、基礎・基本を確実に身につけることができるようになっております。具体的には、理解や習熟の程度に応じた個別指導や繰り返し指導など子供たちに十分時間を与えて学習できるようにするものであります。
県教育委員会といたしましては、基礎的・基本的事項の定着のため平成13年度に「基礎的・基本的事項事例集」の改訂版を作成し、子供一人一人にその定着を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○宮里 政秋 再質問いたします。
最初に、警察本部長に伺います。
復帰後、県警が起訴前に身柄引き渡しを要求したことに対して、米軍がその身柄引き渡しを拒否した件数は何件ですか、同意した件数は何件か、それぞれ明らかにしていただきたい。
それでは稲嶺知事に再質問いたします。
地位協定の改定の問題、これは稲嶺知事も我々県議会も双方全会一致をもって昨年の8月の末、相次いで政府に要請しました。この地位協定の改定については、執行部と我々議会とも完全に足並みがそろった。これまで我々の要求に対して政府はかたくなに地位協定の改定を拒否してまいりました。しかし、今回の事件を踏まえて河野外務大臣は国会答弁で、地位協定の改定について米側と高いレベルで話し合う。これは我が党の赤嶺衆議院議員への答弁であります。その前日、河野外務大臣は、稲嶺知事にも「地位協定の改定も視野に検討する」、このように新聞報道されています。
さらに森首相も、「今のままでは県民の理解を得るのは難しいだろう。今後、それなりの対応をしなくてはならない」、このように「前向きに取り組む姿勢を示した。」と、このように報道されています。いわゆる政府はもう後戻りはできない。韓国やドイツでは地位協定の改定にアメリカは応じている。日本政府が要求すれば拒否できない、これが今の情勢だと私は思う。まさに今がチャンス。
ところが、先ほど稲嶺知事の答弁を聞いていますと、河野外務大臣、昨日の日曜日に来県されて稲嶺知事、伊良皆議長ともお会いされたと。ところが、沖縄の場合は現地新聞は休刊ですが、これは全部本土の中央紙です。私、取り寄せました。知事の河野外務大臣との会見の中では、地位協定の改定も視野に入れて取り組むというように河野大臣が知事に表明されたということですが、新聞報道はそうじゃないんですね。「当面は運用改善で対処 外相、改定踏み込まず」。
さらに「対米、結局「及び腰」 地元との隔たり大きく」。中身は、「続発する米兵の不祥事件で沖縄県民の対米感情が急速に悪化している事態を懸念して」来県したと。そして「わずか10日ほど前に日米地位協定の「改定」に踏み込んだ外相が沖縄で語ったのは、協定の改定ではなく、起訴前の身柄引き渡しに関する「運用改善。」」、県民とは大きな隔たりがある。
これが本土新聞なんですよ。だからちょっと知事の答弁、直接お会いされているので、これは新聞報道なんですがもう一度、国会開会中で日曜日というこういう忙しい時期に河野外務大臣がなぜ沖縄に来たのか。私は、海兵隊の削減を求める全会一致の決議が市町村ごとに行われて、地位協定の見直しがやられる、そういう県民の世論を抑えるために来たのではないか、こういう感じがします。もう一度御答弁いただきたい。
それから15年問題、この核心はですね知事、15年問題の核心は何か。それは知事選挙における稲嶺知事の公約だということ、ここに問題がある。知事は、公約をどのように理解しておられるのか。
公約とは、政権に着いたときに実行する県民との約束を公約というのではありませんか。もう知事は2年、Uターンしていますよ。いつまでも15年を主張し続けるじゃ、これは県民は納得しません。特に知事は、政府にその責任があると。おっしゃるとおり、安保条約の締結権は都道府県知事にはないんですから、これは国なんです。国が安保条約で基地を提供している。その提供の中身は、10条では、安保条約を10年後に廃棄する場合に、一方の当事国が廃棄通告したときには1年以内に安保条約はなくなる。米軍全部撤退と、これしか書いてない。安保条約の中身に使用期限の想定はないんですよ。ところが、あなたがこれは公約した。そこに重大な問題がある。受忍の限度だと。これが具体的な工法がその中でも棚上げされている。
例えば、建物所有を目的とする賃貸借契約で、使用期限も決めないまま建物の設計も施工業者も決まってしまったらどうなりますか。一般社会では通用しないでしょう。そういうことを今あなたはやっているんですよ。だから国に責任転嫁するんじゃなくて、私は15年だという公約をしたと。しかもあなたの知事選挙のときには、あなたの15年が受忍限度というこの公約を了解の上、自民党が、政権政党である自民党が県民に支持を呼びかけた。まさにあんたの公約であり、政権政党である自民党の公約でしょう。そうであれば、この15年問題について岸本市長や稲嶺知事が言っていますよとお伝えするだけではだめ。政府の責任において15年問題を外交交渉のテーブルにのせるべきでしょう。それをやっていないんだ。そこに問題がある。それをもっとあんた主体的にやらないと、公約上の責任は回避できませんよ。私はここを言いたい。
それからヘイルストンの発言問題、この根本は何かというと、これは我々沖縄県民に対する県民のプライドを傷つける、ここにあるんですよ。稲嶺知事個人に攻撃が入ったんじゃない、我々県議会議員に攻撃が入ったんじゃない、選ばれた稲嶺知事、公選で選ばれた知事をばか呼ばわりする、議員をばか呼ばわりする、裏返せば、これは選んだ県民を侮辱しているんじゃありませんか。そこが問題なんですよ。これが私信だといって、これに対して抗議しないのはおかしいんです。こういうプライドを傷つけられているのはあなたでもありますが、裏は沖縄県民なんだ。県民のプライドを傷つけられて黙っている人がありますか。
ヤマトで、本土の都道府県知事に向かって「ばか、腰抜け」と言ったら国民は猛反発するんじゃありませんか。沖縄だったらこれが許されるんですか。沖縄はアメリカの植民地ですか。とんでもありませんよ。あの復帰前に専制支配者として君臨した高等弁務官、全く同じじゃありませんか。もっと知事は県民感情に沿った対応をしてほしい。この問題については石川副知事、それから牧野副知事にも抗議が向けられていますから、お二人の答弁もあわせて求めたい。
それから海兵隊の削減ですね、これは県議会全会一致でやりました。ところが稲嶺知事、なかなかこれを表明しなかった。今度初めて海兵隊の削減を打ち出しました。私は、県議会の決議でもあれだけ全県の市町村に波及して大きな影響を与えた。稲嶺知事がこの海兵隊削減を求めたことは非常に意義が大きい。私は高く評価したいと思う。知事、立派ですよ。
県議会と執行部の足並みがそろった。車の両輪がそろった。問題は、これをどう実行するか、実施に移すかです。
そこで10・21の県民大会を思い出してほしい。議長が実行委員長になってあの大会を開いた。伊良皆議長と知事が一緒になって訪米活動をやる、県民大会を開く、ぜひそういうことをやってほしい。御決意を伺いたい。
以上。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後2時15分休憩
午後2時16分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 宮里政秋議員の再質問にお答えいたします。
今、昨日の河野大臣の発言についてございましたので、その一番最後の部分だけを申し上げたいと思います。長いものですから……。
こういうことを言っておられます。そういうことで努力はしておりますが、努力がなかなか進まない。さらには運用の改善によって問題がまさに改善されないということであれば、私としても地位協定の改定を視野に入れて米側と話をしないといけないと思っております。相手のあることではありますが、我々の気持ちとしてそういうことがあることを知事にお話しておきたいと思いますと、このように河野大臣はお話をされておりました。
それから次に、15年の使用期限問題については、県は、基地の提供責任は日本政府にあることから、過重な基地負担を担ってきた県民の意向を踏まえ、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。
なお、代替施設の15年使用期限問題については、県が移設に当たって整備すべき条件としており、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないものと考えております。
次に、去る2月8日にヘイルストン中将が直接県庁に来て、私や伊良皆県議会議長を含め関係者及び県民に対し謝罪した際にも強い遺憾の意を表明するとともに、在沖米軍の責任者としての発言には県民の心を理解し十分注意を払うよう重ねて強く申し入れたところであります。
次に、海兵隊削減の問題につきまして、県としては在沖米軍を取り巻くこのような状況を踏まえ、海兵隊を含む米軍兵力の削減についても県民の意向を明確にするため、基地の提供責任者である日本政府において、日米両政府間の協議の中で取り上げるよう国に対し求めていきたいと考えております。
昨日の河野外務大臣との会談におきましても、この辺は強く求めてまいりました。
○副知事(石川秀雄) ヘイルストン中将の発言についての副知事の考えはどうかということにつきましては、ただいま知事が述べられたとおりでありまして、その日は私も同席しておりましたので、知事がお答えしたとおりでございます。
○副知事(牧野浩隆) お答えいたします。
ああいった不用意な発言に対する怒りだとかというようなものは、先生たちとみんな同じでございます。それに対する対応といたしましては、既に先生たちの御質問の中で知事が代表して答えておりますように、あの答えは私ども三役の中で話し合って代表的な回答をさせていただきました。そういうことでございます。
○警察本部長(太田裕之) 復帰後、県警が逮捕同意請求をした件数は何件か、そのうち何件同意し、また拒否されたのかということでありますけれども、復帰後、殺人罪、強盗罪、強姦罪、また放火罪等について逮捕同意請求を行ったのは先般の放火事件を含めまして19件であります。そのうち同意したものが昭和57年に発生しました金武町内における殺人事件に関するもの1件でありまして、残りの18件は拒否されております。
○浦崎 唯昭 県民の会を代表いたしまして質問を申し上げます。
まず、知事に政治姿勢についてお伺いいたします。
稲嶺知事誕生を機に県内の政治状況は県民の意識の変化も相まって様相が一変してまいりました。さきの那覇・浦添両市長選がそのことを何よりも物語っていることは、知事を初め県民の皆様が十分御承知のことだと思っております。このことはまた県民党を標榜する稲嶺知事に対する信頼が揺るぎないものであることを如実に示しているのであります。まずは御同慶の至りであります。
しかしながら知事御就任以来、今日まで県民党としてその立場を維持し続けることの困難さを身をもって感じておられるのは、ほかならぬ知事自身ではなかろうかと与党議員の一人として察するものであります。
折しもこの時期、米海兵隊員による相次ぐ事件・事故に加えて、四軍調整官のEメール問題等に対する難局打開に向けた知事の処し方は従来にも増して重要であると考えるものであります。日米相互の心の通い合わない旧態依然とした行動パターンから脱するチャンスととらえ、これまで以上に長期的視点と総合的な見地で知事として毅然とした冷静な対応が強く求められていると思います。
理想と現実の乖離を沈着冷静な行動で見きわめ、その中から反省行動を促し、円熟した日米関係の先駆けとなることが真の善隣友好をかち取る最善の近道であると確信するものでございます。
2000年3月、那覇市で開かれた「アジア太平洋アジェンダ会議沖縄フォーラム」で、琉球大学の高良倉吉、大城常夫、真栄城守定の3教授が沖縄イニシアチブ論を発表して話題となりました。それによりますと、アメリカ軍基地の問題は、それが存在することの是非を問う問題としてあるのではなく、その効果的な運用と住民生活の安定をいかに矛盾なく調整できるかという課題としてあることになる。つまり、我々は基地の告発者なのではなく、安全保障に大きく貢献する地域として、その基地の運用のあり方を生活者の目線で厳しく点検する一方の当事者の役割を果たさなければならないということであります。私は、この沖縄イニシアチブ論が現在の県民の総意に近いのではなかろうかと思います。
知事、県民党の稲嶺知事の正念場でございます。歯を食いしばって今後の激動する展開の中で頑張っていただきたいと思います。
一方、今回の四軍調整官との件で知事の毅然とした態度と比較をいたしまして、政府との折衝の中で最近、知事の顔が見えないとの声をよく耳にします。私自身大変気になっているところであります。県民党として党派を超えて無党派を巻き込んでの幅広い期待を担っているのが知事の原点であるはずです。県民注視の15年問題を中心に党利党略、政府中央の論理の中に埋没してしまっている感を払拭できないとの声が知事の支持者の中に厳然として存在することにぜひ思いをいたしてほしいと思います。
私は、現実を直視しつつ課題を一つ一つ解決しながら確実に県政の前進を期すという知事の政治スタンスに心から賛同し、これまでの2年間の実績に対して大いに評価するものでありますが、保守化の潮流と順風であればこそ決して卑屈になることなく、稲嶺知事主導の断固とした決断で自信と誇りを持って堂々と政府と渡り合う場面を随所に発揮するとともに、この難局を前にウチナーンチュとしてのプライドと確固たる気概で現実的に諸課題に対処して圧倒的な期待にこたえるべき大事なときであります。
昨年秋に実施されました組織対無党派の対決となった長野、栃木の知事選は、無党派を中心とした県民党候補が勝利をいたしております。まさに知事選にかえがたい新潮流の出現であります。キーワードは県民党でございます。この県民党の先駆けとなったのが2年前の劇的な勝利をおさめた稲嶺知事誕生の沖縄県知事選だったと私は確信をいたしております。今後ともこの原点を心に、一党一派に偏することなく県勢発展のために頑張っていただきたいと思います。
そこでお伺いをいたします。
就任後3度目の予算編成を済ませ、いよいよ稲嶺カラーを強くにじませていく後半の県政運営となりますが、その抱負と決意をお聞かせください。
2番目に、産業の担い手となる人材育成についてであります。
新しい産業や企業を興し、雇用の場を確保するということは県政の重要な政策であり、知事も提案説明要旨で強くそのことに言及されております。この新しい産業や企業を興すためになくてはならないのが人材であります。人材の活躍なくして21世紀の自立する沖縄県づくりはあり得ません。
そこで次の点についてお伺いをいたします。
一流のビジネスに学び産業の振興に資する目的で設立をされましたグローバル人材育成事業とビジネスオンリーワン賞の検証とさらなる発展についてであります。
2番目に、人材育成事業政策を推進する中で国立高等専門学校の果たす役割は大なるものがあると思いますが、その設立に向けての課題と展望をお示しください。
3番目に、技能労働者の充実と確保は産業社会においては不可欠であります。この人材を職人とも呼びます。この職人の豊富な知識を評価し処遇の面でも十分に反映させることが強く求められていると思います。1万名余に上る技能士を指揮する職業能力開発行政のさらなる推進のために御努力をお願いしたいのでありますが、いかがですか。
4番目に、行政は最大のサービス産業だと言われています。特に新世紀は行政を経営する、地域を経営するという職員の意識改革が強く求められています。そしてその意識改革が産業の担い手である創造的な人材育成につながることだと思います。職員の意識改革なくして社会に貢献する産業も企業も育たないと思いますが、いかがでございますか。
5番目に、人づくりに投資を惜しんではならないと思います。10年、20年先の長期の視点に立った人材育成策をお伺いいたします。お示しください。
次に、保健医療の確保についてであります。
第3次沖縄振興開発計画総点検報告書によりますと、「近年の急速な少子・高齢化の進展や疾病構造の変化等に加え、生活水準の向上や県民の健康に対する意識の高まりなどによって保健医療に対するニーズは増大かつ多様化し、より質の高い保健医療サービスの提供が求められている。」と総括をされております。県医師会もそれを踏まえまして新たな沖縄振興法の中に政策として盛り込むよう意見書が提出されております。つまり、新しい時代の保健医療は、民間医療機関と公的医療機関の両者が相提携し、機能と役割分担を実施し、医療を自己完結型ではなく地域完結型にしていくことが肝要であり、そのためにと各論的に6つの事柄を主体に医療の整備を求め、健康福祉立県を目指すべきだと提言をいたしております。
この6つの提言とは、1、県立病院等の整備についてであります。
この要旨は、イ、北部病院については放射線の診断と治療の充実についてであります。ロ、中部地域につきましては看護学校の設置の要求と中部病院の中核病院として救命救急医療のさらなる推進であります。ハ、南部医療圏では高度で多機能な病院の建設を進めること。ニ、宮古、八重山の病院は地域の中核病院としてのさらなる充実と老朽化した病院の建て直しであります。ホ、医師の過重労働に対する定員法の弾力的な運用または改正についての5項目であります。
2、医師の研修システムの構築は琉大、県立病院、民間病院の連携が大事だと言われておりますが、医師の研修システムについてお伺いいたします。
3、離島医療支援についての離島医療協議会の設置を急ぐべきだということでございますけれども、お伺いいたします。
4番目、予防医学の推進については、歩け歩け運動の推進事業の普及と事業の県医師会への委託、そして小児生活習慣病検診事業の実施と事業の医師会への委託でございます。
5番目、IT化の推進で医療情報ネットワーク化の推進についてであります。
6番目、各種医療団体との連携する拠点となる、仮称でありますが、沖縄県医療保健連合会館の建設であります。
以上の提言に対しましてどう対処されますか、お伺いいたします。
次に、基地問題についてであります。
今やすべての行動が注目される石原慎太郎東京都知事が昨年11月15日に来県され、県庁で知事と懇談し基地で連携を強めていこうと話し合いが持たれたようであります。
石原都知事は記者団とのやりとりで、戦後50年も外国の基地が首都にある、恥ずかしいとコメントをされております。この発言は、日米安保条約を中心とする我が国の防衛のあり方、さらには憲法問題にまで踏み込む痛烈な政府の外交政策に対する批判であると思います。その安保のかなめである沖縄県の基地問題の核心部分をついた重要な問題提起でもあると思いますが、その石原知事と連携を強めていくとのことで大変心強く思うと同時に、大変気にもなりますが、御感想をお聞かせください。
那覇軍港は、普天間基地に比べ面積の上でも機能の面でも異なった性格を有してはおりますが、日米安全保障条約に基づく基地であることに変わりはなく、返還後の跡利用の困難さにおきましても同質の問題を抱えております。
今月20日、知事、那覇・浦添両市長との3者会談で那覇港管理一部事務組合設立に向けた推進協議会を設立することになりました。いよいよ那覇軍港移設への始動であります。那覇市と地主会は、その返還に備えて平成7年度に那覇軍港跡利用計画の青写真を描いておりますが、実効性を担保するような調査が行われたわけではありません。今後、内外の社会経済情勢や沖縄振興の方向性を踏まえたきめ細かい調査や実施計画が必要となってくることは言うに及びません。しかしながら、このような調査や実施計画には多額の資金や高度の政治的、経済的政策判断が必要であります。
よって、政府は新年度予算に普天間飛行場等大規模駐留軍用地跡地利用推進費として2億円計上し調査等を行う予定でありますが、那覇軍港跡利用計画につきましても同推進費の中で対応し、さらには跡利用についても国の全面的な財政支援をお願いすべきだと思いますが、いかがですか。
次に5番目に、県都那覇との連携についてであります。
県土の中枢機能が集積し県都である那覇市の発展を図ることは、県全体の振興を図る上でも重要な課題であると知事は就任2周年記念の日に新聞紙上で述べられております。全く同感であります。翁長市長も知事との連携を深めながら、県都の諸課題解決に向けて全力投球の毎日であります。
そこで次のことをお伺いいたします。
那覇市は、新年度にごみゼロ社会を目指したゼロエミッション構想を構築をしてまいります。経済活動の視点で見ると、ごみの発生、移動、処理という流れは一つの行政区域を超えて行われる機会が多い上、堆肥化など産業と結びつける場合でも広域または全県的な受け皿づくりが不可欠となります。また、県にとりましても沖縄特有の自然資源や景観を保持するためにごみ問題への対応が強く求められております。
このようなことから、那覇市のゼロエミッション構想を県の先駆的なモデル構想と位置づけ、その実現のために支援をしていただきたいと思います。特に、ゼロエミッション社会はごみがごみとして処理されるのではなく、資源として循環するという産業システムが前提となりますので、全県規模の市場を形成する必要があります。そのためにも県のリーダーシップが今強く求められていると思います。
(2)番目に、市街地再開発問題についてであります。
市街地開発は、那覇市の都市空間を形成する上で欠かせない重要な施策であります。このうち農連市場再開発事業につきましては、都市型集合住宅を中心とした施設整備の実現性が高いとされ、県及び県住宅公社、そして那覇市との連携を強め事業化の促進を図っていただきたいと思いますが、いかがですか。
また、牧志・安里地区再開発事業につきましては国から見直し事業とされておりますが、沖縄都市モノレールの駅周辺開発としてのその重要性はいささかも失われておりません。県は、事業化に向けて強力に支援すべきだと思いますが、いかがですか。
以上、県民の会の前半の代表質問を結びます。御答弁よろしくお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 浦崎唯昭議員の御質問にお答えする前に、私の政治姿勢の一端をいろいろ御指摘いただきましたので、述べさせていただきたいと思っております。
私は、県政運営に当たっては広く県民の立場に立って県民多数の意向が反映できるように努めてまいりました。今後ともこの立場に変わりはなく、県民各位との対話を図りながら広く県民の英知と決断を結集し、県勢発展と県民福祉の向上に全力を傾注してまいりたいと考えております。
それでは御質問にお答えしたいと思います。
最初は、知事の政治姿勢についてで、折り返し点を過ぎ、いよいよ後半の県政運営へとなるが、抱負と決意を聞きたいとのお答えでございます。
私は、知事就任以来、問題解決のできる実行型県政の実現を目指して本県振興のための諸施策の推進に取り組んでまいりました。この2年間に沖縄政策協議会の再開、3歳未満児医療費の無料化、21世紀プランの策定及び九州・沖縄サミット首脳会合の誘致など、私なりに多くの成果を上げ得たものと考えております。
しかしながら、本県には自立型経済の実現や米軍基地の整理縮小など解決すべき課題が山積しております。
私は、21世紀を担う子供たちを初め、すべての県民が夢と希望を持ち、自信と誇りを持って豊かな県土づくりに参加できるような環境をつくることが、私に課された役割だと考えております。このため、21世紀のあるべき沖縄像の形成を目指す沖縄振興新法や新計画への取り組みを初め、経済振興や基地問題など残された諸課題の解決に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
残された任期について、県民の御支援をいただくとともに、県議会の皆様の御指導、御協力を得ながら誠心誠意県政を運営してまいりたいと考えております。
次に、産業の担い手となる人材育成について、グローバル産業人材育成事業とビジネスオンリーワン賞の検証とさらなる発展についての御質問に対してのお答えでございます。
本県産業の活性化を図るためには、経営基盤の強化はもとより経営力の向上が重要な課題であり、グローバル産業人材育成事業やビジネスオンリーワン賞事業はこうした考え方に立って実施しております。
グローバル産業人材育成事業については、グローバル水準の企業への実務研修等の派遣を通じて起業化マインドの高揚を図り、事業の拡大や新たな事業の創出を目的として平成11年度より実施しております。平成12年度は、特に独自の技術力や特色あるマーケティング力を有する国内のグローバル水準の企業8社のほか海外の研修施設にも研修生を派遣しており、企業化に向けた研修成果が得られるものと期待しております。今後は、研修後のフォローアップ事業としてグローバル企業の経営者による県内セミナーの開催や、現在行っている各種企業化支援施策との連携を図りながら起業家の育成を支援していきたいと思います。
次に、ビジネスオンリーワン賞事業は、独創的な企業経営等により本県の産業振興に貢献している企業を表彰することでビジネスマインドを高め、本県産業の振興に役立てることを目的としております。今後は、表彰企業による経営改善セミナーの開催及び表彰企業間の交流事業等を実施して、ビジネスオンリーワン賞事業が本県企業全体の経営力向上につながるよう取り組んでいきたいと考えております。
同じく産業の担い手となる人材育成についてのうち、行政を経営するという職員の意識改革と創造的な人材を育成するということは不離一体でなければならないと思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
県においては、平成12年3月、「県民起点の行政」という基本理念のもとに「沖縄県行政システム改革大綱」を策定し、その推進に努めているところであります。
地方分権が実行の段階に入り、行政運営に自己責任・自己決定が求められている中、行政の効率化を図りながら本県独自の施策を主体的に企画・立案し、かつ実行していくためには、その担い手である職員が政策形成能力を向上させるとともに、経営感覚を身につけることにより意識の改革を図っていくことが極めて重要であると考えております。そのため、同システム改革大綱に基づき新行政推進研修等を実施し職員の意識改革を図るとともに、「沖縄県職員人材育成基本方針」を策定し、21世紀の県政を担う人材の育成を図ることとしております。
次に、保健医療の確保についての離島医療支援についてお答えいたします。
本県は39の有人離島を抱えており、その離島地域に住む人々の医療を確保することは県及び市町村を含めた行政の課題であります。そのため、本県ではこれまで離島において県立及び公立の病院や診療所等を設置するとともに、自治医科大学卒業生やプライマリーケア医等の離島勤務医師の養成を図ってきました。
また、インターネットやイントラネット等を活用した「離島・へき地遠隔医療支援情報システム」を運用し、離島勤務医師に対して最新の医療情報を提供するなど保健医療の格差是正に努めてきたところであります。しかしながら離島診療所においては、離島の孤立性から診療機能の限界や昼夜を置かない勤務環境等があり、医師確保について厳しい課題があります。
このことから、今後、琉球大学や医師会等関係機関との密接な連携のもとに離島・へき地医療支援機構の創設を図る等新たな医師確保システムの確立に努めていきたいと考えております。
次に、基地問題について、石原都知事と連携を強めていくとのことで心強いと同時に気にもなるが、所見を聞きたいとのお答えでございます。
昨年の11月、来県中の石原慎太郎東京都知事とお会いした際、私は、昨年7月の沖縄サミットでの消防や警備面の協力に対するお礼を申し上げるとともに、本県が抱えている基地問題についてお話をいたしました。さらに、県が取り組んでいる日米地位協定の見直し要請についてもその内容をお話しいたしました。
石原知事のそのときの御指摘の発言は、在日米軍基地のあり方に対する考え方を述べられたものと理解しております。いずれにしても、県としては日米安保体制に基づく米軍基地の存在を容認しつつも、長い間にわたる県民の基地負担の軽減を図るため基地の整理縮小を一歩一歩着実に進めていきたいと考えております。
なお、県としては、日米地位協定の見直しなど個別の問題についてお互いに協力できるものについては関係する都道府県とも連携を図りながら対応していきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○教育長(翁長良盛) 浦崎議員の国立高等専門学校の課題と展望についてという御質問にお答えいたします。
本県に設置が予定されております国立高等専門学校につきましては、平成12年4月に琉球大学に国立高等専門学校(沖縄)創設準備委員会が置かれ、創設に関する具体的事項について検討が進められております。
同委員会から平成12年8月に出された「国立高等専門学校(沖縄)の創設について」の中間まとめによりますと、学校の建設場所は名護市辺野古地区で、敷地面積は約15万平米であります。また、設置学科は、仮称でありますが、情報システム工学、メディア情報工学、機械システム工学、生物資源工学の4学科、生徒数は各学科40名で、1学年160名となっております。今後、同委員会のもとに専門部会が設けられ、教育課程、入学者選抜方法、施設・設備等について具体的な検討を行うことになっております。
なお、国立高等専門学校は高度な専門性や技術の向上を図るための高等教育機関であることから、同高専の設置は本県産業の振興に寄与する多様かつ高度な技能・知識を有する人材の育成につながり、本県の自立的発展を図る上で大きな効果が期待されると考えております。
○商工労働部長(當銘直通) 産業の担い手となる人材育成についてのうち、職業能力開発行政の充実はどうなっているかについてお答えいたします。
本県の産業振興を図る上で職業能力開発行政の果たす役割は極めて重要であり、職業能力開発校等において新規学卒者、離転職者等を対象とした普通職業訓練から、情報通信技術等高度な人材を養成する高度職業訓練まで実施しております。県としては現在、「第7次沖縄県職業能力開発計画」を策定中であり、その中で職業能力開発の基本的方向を示し、産業構造の変化や労働者の自発的な能力開発にも的確に対応できるよう職業能力開発行政の充実に努めてまいります。
一方、職業能力評価制度の一環である技能士は、本県産業の発展や技能振興に大きく貢献しております。県では技能士のさらなる活用を図るため、本年度で最新の技能士情報を関係機関に提供できるシステムを構築する「技能士活用推進事業」を実施しているところであり、引き続き沖縄県技能士会連合会等関係団体と連携を図りながらその活用を促進してまいります。
以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 産業の担い手となる人材育成について、人づくりに投資を惜しまず長期の視点に立った人材育成の施策についてお答えいたします。
本県が持続的に発展するためには、産業経済、福祉・医療、学術・文化等の各分野を支える創造性に富み国際性豊かな人材の育成が必要であると考えております。現在、平成5年に策定した「沖縄県人材育成基本計画」において人づくりの指針を示しておりますが、新たな時代の変化に対応し、その見直しを図る必要があると考えております。このため、平成13年度から沖縄県の人づくり計画(仮称)の策定に向けた調査を行うこととしております。その調査を踏まえて長期的視点に立った人材育成策について検討してまいりたいと考えております。
次に、基地問題について、那覇軍港跡地利用計画への支援について、普天間飛行場等大規模駐留軍用地跡地利用推進費が利用できないかについてお答えいたします。
那覇軍港跡地利用計画につきましては、平成8年に那覇市と軍用地主会の統一案として「那覇軍港跡地利用計画(基本構想)」が策定されておりますが、移設後の跡地利用につきましては、県においても那覇市の構想や対応等を見きわめながら国の支援のあり方を含め前向きに検討してまいりたいと考えております。
また、国の普天間飛行場等大規模駐留軍用地跡地利用推進費については、普天間飛行場跡地利用計画の策定に向け国、県、宜野湾市で連携して取り組むために予算措置されたものであり、那覇軍港跡地利用計画に使用することは予算の執行上無理があります。
○病院管理局長(新田宗一) 保健医療の確保について何点か御質問がございますので、順を追ってお答えいたしたいと思います。
まず1点目に、北部病院の放射線診断及び治療の充実についてお答えいたします。
放射線診断及び治療などに使用する特殊高額医療機器につきましては、「病院事業経営健全化計画」におきまして経費及び人的資源の効率化の観点から各県立病院間で共同利用を推進することといたしております。
現在の悪性新生物──これはがんですが──の診断及び治療に用いる特殊医療機器の整備状況でありますが、放射線診断装置──ガンマーカメラと称しておりますが──につきましては中部病院と那覇病院に設置しております。また放射線治療装置──リニアックと言っておりますが──につきましては中部病院に整備しております。各県立病院間で共同利用がなされております。
北部病院におけるこれらの医療機器を必要とする対象患者の状況からして、悪性新生物の診断及び治療は中部病院と連携することにより対処してまいりたいと考えております。
次に、中部病院の中核病院として救命救急医療のさらなる推進についての御質問にお答えいたします。
中部病院は、24時間体制の救命救急センターとして第三次救急医療を担い、脳卒中、心筋梗塞、頭部外傷等の重篤な救急患者を受け入れ、高度の救命救急医療を実施しているところであります。本年10月にオープンを予定しております新館の救命救急センターにつきましては、これまで以上に施設、医療機器等を充実していくこととしており、今後とも引き続き救命救急の医療体制及び診療機能の維持に努めていきたいと考えております。
次に、宮古、八重山病院の地域の中核病院としての充実と老朽化した病院の建て直しについての御質問にお答えいたします。
宮古病院は、今後の改築整備に向けて病院機能や役割等を判断する基礎資料を得るため平成13年度予算で「医療環境等の実態を把握する医療需要動向調査」を実施することとしております。
また、八重山病院につきましては、昭和55年に本館及び精神病棟を現在地に新築し、さらに昭和59年に新館を増築し現在に至っております。施設の経年状況を見ますと、本館や精神病棟で築後20年、新館が16年であり、まだ十分対応できる状況にあるものと考えております。
今後とも宮古及び八重山病院につきましては、施設・設備の改良補修や医療機器の整備などを行い、地域の中核病院として病院機能の維持向上に努めていきたいと考えております。
次に、医師の過重労働に対し県はどう対処するかとの御質問にお答えいたします。
県立病院における医師の配置につきましては、医療法施行規則第19条の配置基準をもとに標準医師数を算出し、さらに医師1人当たりの入院・外来の取扱患者数、疾病の状況、当直回数及び超過勤務時間等を考慮して医師を配置しているところであります。
各病院における平成11年度の実績を調査しましたところ、特定の診療科において厳しい勤務状況にあることが認められました。このことから平成13年度は中部病院を中心に5県立病院において小児科、産婦人科、脳神経外科、麻酔科等の各診療科の勤務状況を緩和するため、医師の定数を臨任医師及び嘱託医師を含め18人程度増員する予定であります。
なお、今後は、医療需要等を踏まえながら各地域の医療の安定確保のため民間病院と県立病院の役割分担等について医師会や関係機関等と協議し、また県民の理解と協力を得て県立病院のあり方について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 保健医療の確保について7点の御質問に順次お答えいたします。
まず、中部地区への看護学校の設置が求められていることについての御質問にお答えいたします。
平成12年度に策定した沖縄県看護職員需給見通しにおきましては、平成17年度でおおむね需給のバランスがとれると予測しております。しかし、御指摘の看護婦養成数の減少、県外からの流入数が不確定であること、地域及び医療機関の間における看護職員の偏在につきましては、今後とも看護学校等の卒業生の就業状況、県外からの流入数の点検を行うとともに偏在の是正に努めてまいります。
なお、今後の需給の見通しについては、医師会等の各関係団体と意見交換しながら需給検討会議で検討していくことにしております。その中で看護婦等の養成については、学科や学生定員の見直し等も含め中部地区への看護学校の設置についても引き続き検討していきたいと考えております。
次に、高度多機能病院は、高度医療など二次、三次を中心に地域医療支援病院を担うこと、また、県立南部病院は救急医療等を維持しながら運用の効率化を図ることについての御質問にお答えいたします。
本県は、全国的に健康・長寿県として認知されてきたところでありますが、生活水準の向上や県民の健康に対する意識の高まりなどによって保健・医療に対するニーズが増大かつ多様化し、より質の高い保健・医療サービスの提供が求められております。特に人口の集中する南部保健医療圏においては、高度医療や救命救急医療、母子総合医療等に対応する高度で多機能な病院の整備が必要とされております。
高度で多機能な病院の整備においては、民間医療機関との連携を重視した地域医療支援病院を志向し、医療ニーズの高い急性期疾患に対応する救命救急医療や周産期から小児に至る母子総合医療等を行うとともに、二次、三次等高次の医療に十分対応する方向で検討しております。
また、県立南部病院については、これまで果たしてきた役割を踏まえ、医療ニーズの高い診療部門や救急医療等を引き続き実施するなど運用の効率化を図っていきたいと考えております。
次に、医師研修を琉大、県立病院、民間病院が連携して行うシステムを構築してもらいたいとの御質問にお答えいたします。
本県における医師研修システムにつきましては、昭和42年以来、県立中部病院において卒後臨床研修事業を実施しており、医師の確保・定着、医療水準の維持向上に大きな役割を担っているところです。また、昨年3月には2つの民間病院が公立病院や民間病院と連携し、臨床研修病院として国の指定を受け研修医の受け入れを行っております。
医師の卒後臨床研修につきましては、医師法が改正され、平成16年度から必修化されることになっており、研修病院のさらなる拡充が求められていることから、今後とも琉球大学医学部附属病院、民間病院の協力を得ながら臨床研修病院の整備充実に努めることとしております。
次に、歩け歩け運動推進事業として地域医師会に委託してもらいたいとの御質問にお答えいたします。
県においては、県民が健康で生き生きとした満足のいく生活が送れるよう「健康沖縄21計画」(仮称)を平成12年度に策定し、県民の健康づくりを総合的に推進する予定であります。この計画では、生活習慣病に係る1次予防の重視と健康づくりを支援するための環境整備等を目標値として設定し、県、市町村を初め多様な健康関連グル-プが連携して推進することとしています。
歩け歩け運動については、身体活動・運動の領域で1日に歩く歩数の増加や運動習慣者の増加等を達成するための手段として有効であると考えています。その実践計画については、住民に最も密着した市町村が主体となって住民参加のもと地域の実情に応じた健康づくり計画を策定し、これを実践することとなっております。
なお、県としては、「健康沖縄21計画」(仮称)を普及・啓発するとともに、市町村の計画づくりを支援していきます。
また、健康に関する関係機関・団体等を網羅した「健康沖縄21計画推進県民会議」(仮称)を開催し、効果的な健康づくりの実践活動等について広く意見を求めていきたいと考えています。
次に、小児生活習慣病検診事業の実施を地域医師会に委託してもらいたいとの御質問にお答えいたします。
近年、人口の高齢化やライフスタイル等の変化により生活習慣病の増加が重要な健康課題となっておりますが、子供たちを取り巻く環境も飽食時代における過食・偏食、車社会における運動不足、受験戦争等による精神的ストレスの増加等により小児生活習慣病が増加していると言われています。本県における学童期の健康診断は、市町村教育委員会が学校医、地区医師会等の協力を得て実施しておりますが、小児生活習慣病検診については実施されていない状況にあります。
食生活、運動習慣等を原因とする生活習慣病は、小児期からの予防が重要と言われており、小児生活習慣病検診についての重要性は認識しています。しかしながら、その実施については保護者や学校保健関係者との調整、子供からの採血等いろいろな課題があることから、今後専門家の意見や他県の動向等も見ながら検討していきたいと考えています。
なお、小児生活習慣病の予防については健康教育等が最も重要であり、学校保健、市町村との連携を図りながら進めていきたいと考えています。
次に、IT化の推進についての御質問にお答えいたします。
本県においては、島嶼県として離島の孤立性、離島診療所の機能限界、各種医療情報の不足等を補うため、インターネットや画像伝送等を中心とした「離島・へき地遠隔医療支援情報システム」を平成12年度から運用しております。
当システムは、離島における医療要員の確保・定着を図るとともに、保健医療の格差是正、医療の質の向上を図るなど先進的IT化の推進として先駆的役割を目指してきたところであります。今後、このシステムを活用しながら総合行政情報システムやインターネット等を使い、公的医療機関のみならず保健所、福祉事務所、琉大医学部及び医師会・民間医療機関等との連携を図るなど、よりよい医療サービス提供の構築に向けた総合的なネットワーク化の検討を行っていきたいと考えております。
次に、沖縄県医療保健連合会館(仮称)の建設についての御質問にお答えいたします。
少子・高齢化の進展等により、保健医療を取り巻く環境は大きく変化しているところであり、今後ますます医療関係機関や各団体相互の連携が求められていくものと考えております。このようなことから関係団体等の地域保健医療活動の拠点となる施設の整備は重要と考えており、沖縄県医療保健連合会館(仮称)の整備につきましては、他県の整備状況等も参考にしながら今後の検討課題としていきたいと考えております。
○文化環境部長(宮城光男) 那覇市のゼロエミッション構想について県は支援する考えはないかという御質問にお答えします。
那覇市は、来る4月からゼロエミッション推進室を新設してゼロエミッション構想や事業計画等の検討を行うというふうに伺っております。
県としては、平成12年3月に策定された「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想に基づき「自然環境に配慮した県土の保全・整備」、「自然環境を活かした観光産業の高度な展開」、「自然エネルギー等の導入の促進」、「環境関連ビジネスの企業化の促進と資源の地域内循環の推進」、「社会システムの整備と環境保全技術の開発・活用」を推進することにしております。那覇市のゼロエミッション構想策定に当たりましては、今後那覇市から相談があると思いますので、その際「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想を参考に協力・支援していきたいというふうに考えております。
○土木建築部長(銘苅清一) 県都那覇との連携についてのうち、農連市場再開発事業の促進についての御質問にお答えいたします。
那覇市は、市の総合計画に基づき市街地再開発マスタープランを平成5年度に策定し、農連市場周辺、牧志公設市場周辺及び牧志・安里地区周辺など都市基盤が未整備のまま形成された市街地について、商業機能の活性化や住環境の改善などのため市街地再開発事業を導入することを位置づけております。
しかし、市街地再開発事業については、事業主体の決定、地権者の合意形成及び資金計画の作成などの課題があって、いずれの地区も事業化には至っておりません。このため市は、平成9年度及び平成10年度に国庫補助事業によりガーブ川周辺の約33.9ヘクタールについて市街地整備調査を実施し、そのうち農連市場周辺再開発の事業化に向けた具体的な計画を策定しております。
当該事業の実現のためには、健全な資金計画を立てるための保留床処分の見通しなど長年懸案となっている課題について那覇市が主体となって解決に向けて取り組むことが必要であると考えております。県としては、県都那覇市の発展を図ることは重要であると認識しており、那覇市の取り組み状況を見守りつつ事業実現に向けて協力してまいりたいと考えております。
同じく県都那覇との連携についてのうち、牧志・安里地区再開発事業の促進についての御質問にお答えいたします。
牧志・安里地区再開発事業は、沖縄都市モノレール牧志駅周辺を再開発し、国際通りの活性化に寄与することを目的に平成3年度に那覇市施行の国庫補助事業として採択されています。
しかし、再開発事業成立のための基本的要件である保留床の処分のめどが立たないなどのためにいまだに事業に着手できないことから、全国的な公共事業の見直しに伴い平成12年11月建設省より国庫補助中止の決定が通知されております。那覇市は、中心市街地の活性化を図る観点から、本事業は重要かつ必要であるとして今後とも保留床の処分等について積極的に取り組んでいく方針であります。県としては、那覇市の取り組み状況も踏まえ補助採択に向けて連携を深めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○平敷 昌一 代表質問のしんがりでございます。有終の美を飾ってさわやかに、簡潔にまいります。
私は、行革の問題に絞って質問をいたします。
1番目に、出資法人(公社、事業団等)の問題であります。
この20年余りの間に「行革」の落とし子として地方自治体の下請や代行型のいわゆる公社、事業団、協会等の名称を持つ出資法人が急増したと言われております。
また、民間資本を導入して地域開発や観光開発を推進するために「民活」政策のもとで第三セクターと呼ばれる株式会社形態の「官民共同出資法人」の設立がブームになりました。昨年度の自治省調べによりますと、全国の自治体で約9400の法人、出資金の総額はおよそ3兆8000億円、職員の数は21万人にも達していると言われております。
その結果、バブル経済に便乗しようとした「官民共同出資型」第三セクターは、今や累積赤字や借入金、活用されない施設などの不良資産を抱え、経営破綻に直面している法人の抜本措置が求められております。1200億円の赤字を出しました宮崎県のシーガイアの破綻が大変問題になっておりますけれども、御案内のとおりであります。
今、こうした地方自治体の出資法人に問われている課題としては、私は、第1点目に、経営破綻に直面している第三セクターについてその原因、責任を明らかにし処理の正常な方法を探ること、第2点目に、自治体の行政とは何か、住民の税金はいかに使われるべきか、公務員の本来の職務はどうあるべきかを問い直すこと、3点目に、出資法人に対する具体的なコントロールをいかに確立するかの3点に集約されていると考えます。
そのことについては、本県においても昨年アクアパーク株式会社とマリンジェット観光株式会社の2社が破産処理されましたが、これらはいずれも導入時点から問題指摘をされながら政策判断を誤った典型的な例であります。結局はその原因、責任を明らかにしないまま住民の税金を投入して処理されました。この2社以外にも県が出資をし、深くかかわっている第三セクターの中に公共性や公益性の基準に照らして問題と思われるものがあります。この第三セクターのあり方について抜本的に見直しを急ぐべきだと思います。
さて、今回は第三セクターの問題はさておきまして、県行政の下請、代行機関とも言える「地方公社」または「外郭団体」とも呼ばれている県の出資法人について取り上げてみたいと思います。
県が出資または人的支援をして設立されている団体は、法人の形態は民法に基づく財団であったり、社団であったり、あるいは商法に基づく株式会社であったりさまざまでありますが、現在、本県には120の法人が設立されており、これらの法人に対して県は総額260億円余の出資をしております。
さらに県は、これらの法人に対して補助金または委託費の名目で単年度、これは平成12年度ですけれども、実に300億円余を支出し、また300人余の人的支援を行っております。要するに県は、金、人、物を県とは独立した法人組織に提供しているわけであります。したがって、これらは隠れたもう一つの県庁であるわけです。
県がこうした行為をなすには、当然に根拠を持たなければなりません。法制上は出資法人を設立することは可能でありますが、現行法は一定の出資比率を上回るものについての議会への報告義務や法人に対する統制根拠を定めているにすぎません。出資に関する一般的な規定や、出資して設立される法人がいかなる目的、事業内容で、共同出資の場合、相手はいかなる資格要件を持つか、また経営責任はだれが負うのか、さらに改廃手続はどうするのかといった規定は全く欠落をしているのであります。
さて、そこで指摘をしておきたいことは、これらの法人はいずれも県が事務・事業の直営をやめて外部に委託する目的で設けられた受け皿組織以外の何物でもないということであります。すなわち県行政の下請ないしは代行をさせるための受け皿組織であり、県の組織の一部をなすものであります。しかしその実態は議会や住民から隠されており、コントロールできないようになっているのであります。逆にコントロールが及ばないところにこれら法人のよさがあるとも言われているのであります。
そこで以下質問をいたします。
(1)点目、県から独立した法人として120もの組織があり、単年度で300億円余の財政支援をし、300人余の人的支援をしているこの実態についての認識をまずお聞かせください。
(2)点目、今、国、地方を問わず行革が大きな課題でありますが、これら法人の見直しをする考えがあるか、県の「行政システム改革大綱」において見直しを掲げてあることは知っておりますが、その具体的方策について御説明をお願いします。
(3)点目、県が金、人、物のいずれかを支援している法人について事業の成果を点検、評価し、公表するシステムを導入する必要がありますが、県が検討している開示制度の内容を説明してください。
(4)点目、県職員の定数については条例でその上限が定められておりますが、これらの法人に出向している職員は定数外扱いということになっております。したがって、実際には県職員の身分を有する職員は条例定数を300人以上上回っているということになります。出向職員の上限を定めるなど何らかの歯どめを講ずる考えはないか。
2点目に、県有財産の塩漬けの問題であります。
県有財産は、県民の信託を受けた貴重な財産であり、常に良好に管理され効率的に運用されることが求められております。特に財政事情の逼迫した昨今、県有財産が長期間にわたって未利用のまま塩漬け状態で放置されることは厳しく反省をしなければなりません。遊休化している財産の売り払いや利用促進を徹底し、県有財産が県民福祉の増進のために利活用されるよう早急に対処する必要があると思います。
せんだって公表された監査委員の「平成12年度行政監査の結果」の公表は、時宜を得たものと評価をいたしております。
それによりますと、土地で約580万平米、建物でおよそ3万4000平米が未利用となっております。しかも20年以上の長期間にわたって塩漬け状態のままになっているのが未利用土地の76%にも当たる440万平米もあります。民間ではとても考えられないことであります。
そこで以下質問をいたします。
(1)点目、なぜそういうようになっているのか、組織に問題があるのか、職員の意識に問題があるのか、あるいは別に理由があってのことか。
(2)点目、未利用のまま塩漬けされている土地、建物を金額に換算すると幾らになりますか。
(3)点目、この塩漬け財産を解消するための具体策を県民に明らかにする必要があります。御説明をお願いいたします。
3点目に、行政組織の問題点であります。
国は、行革の一環として「小さな政府」を目指し、中央省庁改革基本法を平成10年に制定、それに基づき従来の1府22省庁から1府12省庁に縮小再編をし、先月6日に新しい組織体制がスタートをいたしております。
ところで、中央省庁改革基本法が制定された同じ時期に本県においても組織の改編を行ったのであります。平成10年4月、そのときの知事所信表明では「行革元年」とするとうたわれております。しかし、改編された組織は国の縮小方向とは逆に細分化、肥大化をした組織改正となってしまったのであります。それが現行組織であります。部の数は8部で変わりませんが、部に相当する中二階の局をふやし、課の数もふえ、職制をやたらにふやした肥大組織に改悪をしてしまったのであります。
したがって類似県に比べかなり肥大化し、行革方針に逆行したものとなり、しかも組織原理を無視した組織名の部ができたり、防災機能が全く異質の文化行政と一緒になったりの組織改正が行われたのが現行組織であります。組織は機能であります。簡素で効率的で県民にわかりやすい組織に改組する必要があると思います。
そこで以下質問です。
(1)、県民視点の行政の原点に立ち返り、簡素でかつ機動的行政運営のためにも真に簡素で合理的でオーソドックスな組織再編を行うつもりはないか。
(2)点目、行政システム改革大綱において事務・事業の見直しについては実施年度を決め、数値目標を示すなど取り組むようになっておりますが、本庁部局等の見直し再編については何ら触れていないように思いますが、どのような方針でいつまでに改編をするつもりか、御説明をお願いいたします。
(3)点目、行政システム改革大綱は平成12年から3カ年計画ですが、実施1カ年の実績を示してください。
4点目、民間活力と競合する事務・事業の問題であります。
事務・事業の中で民間の技術力や資金力を活用することによって効率的に公共サービスを提供するようにということで、「民間資金等の活用による公共施設等の整備促進に関する法律」、いわゆる「PFI法」が制定をされましたが、県の事務・事業の中には従来の慣例や惰性のみで行っている事務・事業が依然として継続されております。
行政サービスは、行政と民間が一緒に協力し合ってやる時代から、民間ができることは民間に任せる、行政は民間の支援に回る時代に変わってきたと思います。中でも、①、福祉施設の管理運営、②、住宅の提供、③、医療サービスの3部門については、今や行政と民間が競合し、民間の足を引っ張っているのが現状ではないかと思います。
福祉施設については、民間の方が行政よりもノウハウがあり、サービスの質がよい、やる気もある。県は現在16の福祉施設を設置しておりますが、これらの施設に対し県は今後とも金、人、物を丸抱えしていく必然性はないと考えます。
また、住宅の提供についても県営住宅を建設し住宅供給公社が宅地建物を供給する時代ではないと考えます。むしろ民間と競争しているのが実態ではないかと思います。
次に、医療サービスの分野でも民間医療機関は過当競争の時代なんです。マイクロバスを使って患者集めをしているのが実情です。民間では対応し得ない特殊・高度の分野を県は分担し、競合する一般医療部門から県は手を引き、民間にゆだねるべきと思います。
そこで以下質問です。
(1)、県立公営の福祉施設は他県に比べて多過ぎると思いますが、将来とも現行のままでよいとお考えか、それとも民間にゆだねるなど見直しをする考えがありますか。
(2)点目、公営住宅はこれまで市町村が対応しなかった分まで県が肩がわりをしたために大変な財政負担となっております。さらに、住宅供給公社の分譲住宅についても既に全国的にその需要が減少し、供給事業をやめた県もあります。本県においても、せっかく建設したのに売れない在庫戸数が毎年100戸を超えて全体の6割が売れ残っている現状であります。そこで、新規の県営住宅の建設と分譲住宅から県は手を引く考えはないか。
(3)番目、県立病院は病床数2664床で毎年20億前後の赤字を出しております。近年は、県立病院以外の法人立病院や民間病院も医療技術水準や設備水準も向上し、総じて救急医療体制や地域医療の確保に十分に対応できる状況にあると言われております。特に南部保健医療圏においては病床数が過剰になっております。
そこで、那覇病院の全面改築に当たっては、南部病院との統合もあわせて検討すべきと思いますが、御説明をよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 平敷昌一議員の御質問にお答えします。
最初は、出資法人(公社、事業団等)の現状と問題点、県出資法人の現状に対する認識についてお答えいたします。
県が市町村や民間団体等と共同出資で設立した法人は、県民ニーズが多様化、高度化するのに伴い民間の効率的な経営手法を活用し、公益性の高い事業を柔軟かつ機動的に推進することによって県行政の円滑な運営に大きな役割を果たしております。そのため県では年300億円の財政支援と300人の人的支援を行っています。
年300億円の財政支援の大半は、土地開発公社の公共用地の先行取得業務費99億円、社会福祉事業団の福祉施設の管理運営業務費46億円などの委託料であり、県出資法人への財政支援の7割近くを占めております。これらの団体の一部にあっては、近年の経営環境の変化等により業績の不振等経営が悪化し事業遂行に支障を来している団体があり、経営の健全化に積極的に取り組む必要があると考えております。
次に、同じく出資法人の問題について、出資法人の情報開示制度の内容についてのお答えでございます。
近年、県が出資等を行っている公社等外郭団体の一部については、経営悪化や経営破綻等の問題が生じており、公社等外郭団体の経営の健全化や経営責任の明確化等のための取り組みと県民へのさらなる情報提供が求められております。
このようなことから、県は平成12年5月に有識者で構成する「公社等外郭団体の情報開示のあり方に関する研究会」を設置し、新たな情報開示制度について検討してまいりました。その結果、県が20%以上の出資または常勤の役員を派遣している団体を対象として経営の健全性、経営上の課題や問題点、経営改善の取り組み状況等について、県民に対し開示する仕組みを設ける必要があるという基本的方向が示されております。今後、この基本的方向を踏まえ、公社等外郭団体の情報開示制度について条例化等に向けて検討してまいりたいと考えております。
次は、現行行政組織の問題点、肥大化した現行組織を質素で合理的でかつ機動的な組織に改編する考えはないかについてお答えいたします。
本県を取り巻く行財政環境は、少子・高齢化、地方分権社会の到来等社会経済情勢が大きく変化する中、人件費を初めとする義務的経費等が増加する等厳しい状況にあります。
そのため、県は「沖縄県行政システム改革大綱」を策定し、県民起点の基本理念のもとに、地方分権時代に対応し効果的かつ効率的な行政運営を図ることを目的に組織や事務・事業を県民の視点から見直し、簡素かつ機動的な行政システムを構築する必要があると考えております。
このようなことから、平成13年度は文化国際局の廃止、総務課制の見直し等を行う予定であります。今後は中二階的な組織である局を見直すとともに、小規模課の統廃合、グループ制の導入による組織のフラット化等を検討してまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 県出資法人の見直しについてお答えいたします。
県出資法人については、行政システム改革大綱に基づき法人との適切なパートナーシップの構築を図るため法人のあり方について改めて見直しを行い、役職員数の見直しや事業の合理化、経営の改善等に努める考えでございます。
また、県財政の健全化を図る観点からも、法人等の事務・事業についてその必要性、効果等に関し総点検を行っております。
今後、総点検の結果を踏まえ、財政支援等のあり方に関する指針を策定するとともに、新たに平成13年度の財政支援の状況を公表することとしております。また法人等の統合については、平成9年度から平成12年度までに沖縄国際交流財団を初め11団体を5団体に統合いたしました。今後とも法人等の経営の効率化、活性化を図る観点から統廃合を検討してまいります。
次に、法人に出向している県職員の定数に歯どめをかけることについてお答えいたします。
公社等外郭団体は、県行政を補完するものとして県の事務・事業と密接に関連した公益性の高い事業を実施していることから、県は主管部局と団体との密接な連携を図るため県職員を団体へ出向させ、団体の業務を担っております。
県は、これまでも団体の事務・事業の見直しを行うとともに、出向職員数については平成9年度の366人から平成12年度には295人で71人削減いたしました。今後とも団体の自立化を促すとともに、団体業務の民間への移管等も検討しながら県出向職員の削減に努めてまいりたいと考えております。
次に、県有財産の問題につきまして、県有財産が長期間未利用となっている原因、それから20年以上未利用となっている財産の価格、それと今後の解消策について一括してお答えいたします。
平成12年度の行政監査において未利用として指摘された県有財産は、土地585万5607平方メートル、建物3万4277平方メートルとなっており、そのうち20年以上未利用の土地が445万8576平方メートル、建物が707平方メートルとなっております。
今回の行政監査では、県が直接利用せず、貸し付けまたは使用許可している財産も未利用財産としてとらえているため、かなりの土地や建物が未利用として計上されております。
20年以上未利用と指摘された土地445万8576平方メートルから、貸し付けまたは使用許可しているもの107万7082平方メートルを除くと338万1494平方メートルで、その財産価格は36億1233万円となります。そのうち下地島空港残地が328万8651平方メートルで97.3%を占めております。
下地島空港残地については、平成元年7月に下地島土地利用基本計画を策定しましたが、その後の社会経済情勢の変動や伊良部町における新たな土地利用計画の必要性等から平成10年3月に計画の見直しを行ったところでございます。今後、地元伊良部町や関係機関と連携しながら民間活力による事業導入を促進していきたいと考えております。
また、その他の未利用地についても県有地有効利用基本計画に基づき部局への所管がえ、市町村との交換等を進め、県として利用予定のないものについては積極的に売り払いを行っていきたいと考えております。
なお、建物について20年以上未利用とされた707平方メートルはすべて外郭団体等へ使用許可し利用しております。
今後とも、県有財産については常に良好な状態において管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に運用していきたいと考えております。
それから現行行政組織の問題点につきまして、本庁部局の改編についてお答えいたします。
行政組織については、社会経済情勢を踏まえ、時代の要請や県民の行政ニーズにこたえるとともに、簡素かつ機動的な組織とする必要がございます。
これまでスクラップ・アンド・ビルドを基本に国際都市形成推進室の廃止、課の統廃合、次長など中間管理職の削減など組織、職制のスリム化に取り組んでまいりました。平成13年度は文化国際局を廃止する予定でございます。今後は10人以下の小規模課の統廃合、職制のスリム化に努めるとともに、中二階的な組織である局体制の廃止を年次的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、行政システム改革大綱の実施1年の実績についてお答えいたします。
県は、昨年3月に「沖縄県行政システム改革大綱」を定め、平成12年度から全庁挙げて行財政の諸改革に取り組んでいるところでございます。
その内容は、1点目に、県の施策及び事務・事業の評価、検証と職員の意識改革のための行政評価システムの導入に向けた「新行政推進研修」の実施、2点目に、公社等外郭団体の情報開示に向けた研究、3点目に、「沖縄らしい、やさしさと暖かみのある」行政サービスの提供を図るための「かりゆし行政サービス運動」の推進、4点目に、バランスシートの作成や公社等外郭団体に対する財政支援のあり方の検討など財政健全化のための方策、5点目に、沖縄次世代委員会の開催、6点目に、885件の事務・事業の見直し等を実施しております。
なお、今年度の具体的な成果についてはこれから取りまとめていきたいと考えております。
○福祉保健部長(平良健康) 民間活力と競合する事務・事業の問題、2つの御質問に順次お答えいたします。
まず、県立の福祉施設は将来とも現状を維持するのか、民間活力にゆだねる考えはないかとの御質問にお答えいたします。
沖縄県行政システム改革大綱においては、民間の専門性と効率性を積極的に導入していくことが必要とうたっており、公・民の役割分担を踏まえた民間活力の活用は必要だと考えております。
現在、県立の社会福祉施設は16施設あり、うち老人福祉施設など12施設については社会福祉法人沖縄県社会福祉事業団に管理運営を委託しております。
県直営の施設のうち、その性格上、民間での運営にはなじまない児童自立支援施設については引き続き県が直営する必要があると考えています。しかし、その他の県直営の施設や社会福祉事業団委託施設については、福祉サービスの向上と行政運営の効率化を図る上からその役割や機能を十分勘案するとともに、関係団体等とも調整を行い民間活力の導入について検討していきたいと考えております。
次に、県立病院の統廃合についての御質問にお答えいたします。
本県の医療提供体制は、民間医療機関を含めて医療施設数が全国並みに整備されてきておりますが、県立病院数の割合は全国に比して多く、市町村立病院が少ないことが本県の特徴であります。
今日、民間医療機関の整備が進んできておりますが、県立病院においては、県民の医療ニーズの高い高度医療や小児に対する総合的な医療等民間では実施困難な高次・特殊医療等を提供し、県民の求める高水準の医療を提供する責務があります。特に人口の集中する南部保健医療圏においては、救命救急医療や母子総合医療等の新たな時代の政策的医療を行うことが求められております。
これら新たな高度医療機能の展開を図るためには、民間も含めた各医療機関におけるこれまで以上の機能連携の推進が必要であります。このことから、高度多機能病院検討委員会においては県立病院と民間病院との役割分担を検討するとともに、県立病院が果たすべき政策的医療の推進を図るため、同一医療圏にある県立病院間の機能再編も視野に入れた連携のあり方について検討しているところであります。
○土木建築部長(銘苅清一) 民間活力と競合する事務・事業の問題で、県営住宅及び分譲住宅は民間と競合しているが、新規の住宅建設から手を引く考えはないかの御質問にお答えいたします。
県営住宅は、公営住宅法に基づき比較的所得の低い県民を対象に良質な住宅を民間より安い家賃で供給することを目的としており、また分譲住宅は地方住宅供給公社法に基づき住宅を必要とする勤労者に対し良好な住宅宅地を供給することを目的としております。県営住宅についてはこれまで130団地、1万7154戸を建設し、本県の住宅事情の改善により県民生活の安定と福祉の向上に貢献してきたところであります。
県営住宅の今後の整備方針としては、老朽化した団地の建てかえが緊急な課題となっていることから、原則として新規団地建設の抑制に努め、建てかえ事業を中心に高齢社会に対応したバリアフリー住宅、世帯増に伴う住宅等の整備を推進していく考えであります。
また、住宅供給公社が建設した分譲住宅は、これまで5814戸を供給し本県の厳しい住宅事情の改善に大きく寄与してきたところであります。
しかしながら、民間の分譲住宅の供給が着実に増加し当面の住宅需要への対応がおおむね可能となったことから、今後は民間事業者との競合を避けるため新たな用地取得による分譲住宅団地の開発は控え、既存団地の建てかえ事業、市街地の再開発事業等の市町村の町づくり施策と一体となった事業を重点的に展開していくこととしております。
以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明27日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後3時49分散会