平成13年(2001年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 7号 3月 1日
 


○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた教育委員会委員長照屋義実君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として教育委員会委員徳山盛彦君の出席を求めました。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第35号議案まで及び乙第1号議案から乙第33号議案までを議題とし、質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 上原吉二君。
   〔上原吉二君登壇〕
○上原 吉二 一般質問を行います。
 基地問題について。
 これまで事件・事故のたびに意見書と抗議決議を採択し訴えてまいりましたが、綱紀粛正をするということで片づけられてまいりました。これまでは海兵隊の削減要求でしたが、撤退採決をした市町村も出てきております。日米地位協定の改定の時期だと思うが、県はこのような状況をどのように受けとめておりますか。
 今回、日米地位協定の見直しについてでありますが、政府と話し合いをしておられるようでございますが、基地被害は事件・事故に限らず米軍航空機から発生する騒音による精神的、身体的な過重負担もあるわけでございます。環境問題などについてもこの際、日本政府だけでなく機会あるごとに米国政府に対しても解決策を強く求めていってはどうでしょうか。
 次に、嘉手納、普天間飛行場周辺市町村において空調機器等の助成決議がなされた市町村はどこどこありますか。
 次に大きい2、世界遺産登録「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の普及・啓発等についてでございますが、琉球王国としての独自の歴史・文化を持つグスク及び関連遺産群が世界遺産に登録され高く評価されましたことを県民の誇りとするところであります。これを契機といたしまして行政、県民一体となり普及・啓発等について取り組んでいかなければならないと思っておりますが、周辺整備等を含めて計画はどうなっておりますか。
 次に、登録後、現地を訪れる観光客は着実にふえていることが観光バスや一般車両の数を見ても一目瞭然でありますが、登録前後ではどのような変化がありましたか。また観光入域客数はどうですか、お聞かせください。
 (3)番目、今日、「琉球正史」として引き継がれてきたのには主にどのようなものがありますか。
 次に、現在、教育委員会を中心に新沖縄県史基本計画を策定し編集も行われ頑張っていることに対し敬意を表します。沖縄の歴史にとってグスクの比重がいかに大きいかということであります。そのことからグスクに対する正しい理解があって初めて沖縄の歴史の実像に迫れるといえます。
 「琉球王国のグスク及び関連遺産群」世界遺産登録記念誌の中で、元奈良国立文化財研究所所長坪井清足氏は、今後の課題として首里城を除いて現在の各市町村任せの調査体制では百年河清を待つの観なきにしもあらずで、本土の太宰府、多賀城、一乗谷朝倉氏遺跡に倣って、また昨年12月のテレビ番組の対談で、知事もグスク研究所の必要性について話されておりますが、私もぜひ県の条例設置による考古、文献、建築、整備等の専門家を統合し十分な組織と予算を持つグスク研究所を設立すべきではないかと思っておりますが、所管の教育長の御所見を賜りたいと思います。
 北谷町の白比川改修事業についてでございますが、白比川は国道58号から下流については改修工事が完了しているものの、国道58号から上流部分については未改修であり、これまでも台風時や大雨、満潮時には幾度となくはんらんし、住宅の床下浸水などの被害が相次いでいるため地域住民は不安を感じております。
 なお、北谷町からも要請がなされたと思いますが、早急なる改修が望まれておりますが、改修事業計画はどうなっておりますか、お聞かせください。
 答弁を聞いて再質問を行います。
○知事(稲嶺惠一) 上原吉二議員の御質問にお答えいたします。
 基地問題についてでございまして、事件・事故のたびに抗議決議を採択し海兵隊の削減決議も行われている、日米地位協定を改定すべき時期であると思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
 県では、日米地位協定の見直しを求めることは県民の総意であると考え、このような県民の意向を体して昨年8月、日米両政府に対し日米地位協定の見直しに関する要請を行ったほか、これまであらゆる機会を通してその実現を求めてきました。
 また、私は去る2月14日、今回の放火事件に関連して被疑者の即時引き渡しと日米地位協定の見直しなどを関係大臣に要請しました。
 その際、河野外務大臣から、平成7年10月の日米合同委員会で合意された身柄引き渡しに係る「特定の場合」を例示してもうまくいかないときは日米地位協定の見直しも検討しなければならない旨の発言がありました。さらに、2月21日には福田官房長官が県議会の要請団に対し、日米地位協定の問題を含め沖縄の問題に前向きに取り組む考えを表明しております。また2月25日、河野外務大臣が来県され県庁で懇談した際にも大臣から、基地問題に絡んで県議会や市町村議会でさまざまな決議がなされたことは重要であり、日米地位協定について運用の改善で問題が改善されなければ地位協定の改定を視野に入れて米側と話をしなければならない旨の発言がありました。
 政府関係者のこれらの発言は、日米地位協定の見直しを求める県民の熱意が国の前向きな対応を促進しつつあるあかしであると考えており、県としては、今後とも日米地位協定の見直しを早急に協議するようあらゆる機会を通して日米両政府に対し強く求めていきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 上原吉二議員の基地問題についての2点の質問事項について順次お答えをいたします。
 まず、米軍機から発生する騒音被害についても地位協定の見直しの中で解決を求めるべきではないかという御質問にお答えをいたします。
 県は、米軍基地に起因するさまざまな環境問題に対処するため、昨年8月に行った日米地位協定の見直しに関する要請の中で新たに環境問題に関する条項を設け、米軍に対して環境保全に関する日本国内法を適用することや環境影響評価手続を実施することなどを求めました。
 また、米軍航空機騒音規制措置などの施設及び区域に関する協定の内容は、周辺住民の生活に多大な影響を及ぼすことから、その内容について関係地方公共団体から要請があった場合、その意向を尊重するよう日米地位協定第2条の見直しを求めました。
 さらに、日米地位協定の見直しに関する要請とは別に、毎年度行っている渉外知事会の要請では、防音工事対象施設及び区域の拡大、騒音環境基準の見直し、防音施設維持管理費の全額国庫負担などを求めており、県としては今後ともあらゆる機会を通して米軍航空機騒音被害の防止及び対策の強化を日米両政府に働きかけていきたいと考えております。
 次に、嘉手納、普天間飛行場周辺市町村において空調機器等の助成決議をした市町村は幾つあるかという御質問にお答えをいたします。
 住宅防音工事区域の拡大及び空調機器の維持管理費補助の拡大については、これまで沖縄市、宜野湾市、具志川市、嘉手納町、北谷町、読谷村、北中城村、中城村の各議会において意見書の決議がなされており、県は騒音対策の充実・強化を求める地域の声として重く受けとめております。
 また、米軍基地に起因する航空機騒音は周辺地域における住民生活に多大な影響を与えていることから、県としても騒音対策の充実・強化は重要な課題であるとの認識に立って昨年10月20日、那覇防衛施設局に対して空調機器の維持管理費の全額国庫負担を要請したところであります。
 さらに、去る2月5日に県と基地所在市町村で構成する沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)は、成田空港周辺における騒音対策等の実態を調査したところであり、騒音対策について連携して取り組んでいるところであります。県としては、今後とも住宅防音工事に伴い設置された空調機器の維持管理費を全額国庫負担とするよう、基地周辺市町村等と連携しながら渉外知事会や軍転協の要請等あらゆる機会を通して国に求めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 上原議員の御質問にお答えいたします。
 まず、世界遺産の普及・啓発及び周辺整備等を含めた今後の整備計画はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産に登録されたことは県民に大きな自信と誇りを与えるものであります。県教育委員会といたしましては、今後、児童生徒の郷土学習や「総合的な学習」、さらに生涯学習の面で積極的に活用し、その普及・啓発に努めてまいりたいと思います。
 世界遺産の整備につきましては、座喜味城跡、園比屋武御嶽石門、玉陵及び識名園は既に整備を完了し適切な維持管理が行われているところであります。また首里城跡、今帰仁城跡、勝連城跡、中城城跡及び斎場御嶽は、現在、継続して整備を実施しているところであります。
 なお、周辺整備につきましては中城城跡や識名園などは都市公園の指定を受け、その環境保全にも留意しながら公園事業により整備を進めています。その他の資産の整備につきましても、所在市町村を中心にして整備の検討を進めているところでありますが、県教育委員会といたしましても、周辺整備計画を推進するための調査費を平成13年度予算に計上しているところであります。
 次に、今日、「琉球正史」として受け継がれてきたものには主にどのようなものがあるかという御質問にお答えいたします。
 御案内のとおり、琉球王朝の正史として羽地朝秀が1650年に初めて編さんした「中山世鑑」があります。その他には蔡鐸が1697年から1701年にかけて編さんした「蔡鐸本 中山世譜」、蔡温が1724年から1725年にかけて編さんし、その後も書き継がれた「蔡温本 中山世譜」、尚敬王時代に編さんされた「球陽」などがあります。
 なお、「中山世鑑」を編集した羽地朝秀は、羽地間切の総地頭職についていました。その後、摂政になってからは法令集「羽地仕置」も編さんしております。特に「中山世鑑」については最初の正史であることから、その後の歴史書のもとになり、正史編さんに大きな影響を与えております。
 次に、世界遺産登録を契機にグスクなどの調査・研究を行うグスク研究所の設置が必要と思われる、所見を伺いたいという御質問にお答えいたします。
 私たちの先人は、琉球王国時代にあっては東アジアや東南アジア諸国と広く交易を行い、当時の先進諸国から新しい知識や技術を導入し独自の文化を築き上げてきました。
世界遺産に登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の各資産は、琉球の文化的・芸術的水準の高さを示すものであります。こうした普遍的顕著な価値を有する世界遺産を未来永劫に保存しその活用を図っていくためには、グスク等の資産群についての基礎的な調査・研究を推進する必要があります。そのためにも学際的研究を行う調査・研究機関は必要なものと考えますが、その設置につきましては今後論議を重ねてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 世界遺産に登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の普及・啓発等についての中の、登録後は脚光を浴び観光客もふえているようだが、登録前と後では観光客数の対比はどうなっているかとの御質問にお答えします。
 昨年12月に世界遺産として登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、広くマスコミ等で紹介されたこともあり、県内外からの関心も高く入場者数も増加傾向にあります。
 世界遺産登録前後の観光客を含めた入場者数について、ことしの1月と昨年の1月で比較しますと、「首里城公園」はことし1月の入場者数が20万310人で8.4%の増、「今帰仁城跡」が2万4684人で82.3%の増、「中城城跡」が7975人で75%の増、「識名園」が9183人で117.9%の増、「玉陵」が7517人で120%の増となっております。
 そのほか、入場者数の統計をとっていない他の遺産についても関係市町村に照会したところ、登録後大幅な増加を見せているとのことであります。
○土木建築部長(銘苅清一) 北谷町白比川改修事業について、白比川改修事業計画はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 白比川については、上流の北谷町字大村から下流の北谷町字北谷に至る延長約1.8キロメートルの県管理の2級河川であります。
 当該河川は、昭和48年度から河川改修事業に取り組み、昭和60年度までに国道58号から下流までの延長約250メートルについては整備を完了しております。国道58号から上流側については地権者等の協力が得られず、やむを得ず昭和61年度に事業中止となった経緯があります。しかしながら、白比橋から上流の未改修区間においては、議員御指摘のとおり台風等の豪雨によりたびたび浸水被害が発生しているため、地元北谷町から地権者の同意が得られたとして早期改修の要請を受けております。
 県としては、事業化への見通しが立ったことから、平成13年度国庫補助事業として新規採択し、国道58号白比橋上流の整備計画延長約1キロメートルについて改修事業に着手することとしております。
 なお、事業実施に当たっては、地元北谷町と連携を図りながら早期整備に取り組んでいきたいと考えております。
 以上でございます。
○上原 吉二 知事を初め親川知事公室長、糸数観光リゾート局長、銘苅土木建築部長におかれましては、誠意ある御答弁大変ありがとうございました。
 翁長教育長におかれましては、教えていただく立場からあと一、二点お聞かせをさせていただきたいと思います。
 ウチナーンチュは、古くからイチャリバチョーデー、ユイマールの心を伝統的にはぐくむ歴史を持つすばらしい県民だと自負いたしております。そうでしょう、知事。
 知事もうなずいております。
 時あたかも国際社会、世界の動きは民族、思想・信条を乗り越えて世界は一つ、まさにボーダーレスの時代を迎えております。昨年は、世界の先進国の首脳が一堂に集う沖縄サミットがここ沖縄の地で開催されました。そのことは県民に大きな夢と希望を与えた一大イベントであったと思います。
 また、沖縄の先人たちが築いた首里城、今帰仁城、勝連城、座喜味城、中城城等の名城と識名園、園比屋武御嶽石門、玉陵、斎場御嶽、合わせて9カ所が「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録され、人類共通の宝として世界的に認知されたことは、沖縄県民に大きな誇りと自信を持たせたものでありました。
 私は、今、静かに立ちどまって沖縄のいにしえに思いをいたし、先人たちの偉業に心からの敬意を表したいと思います。
 私たちウチナーンチュのたどってきた道は、独立国だった琉球王国時代のウチナー世から明治12年の琉球処分によって大和世となり、太平洋戦争となり戦世となり、戦後のアメリカ世となり、祖国復帰によって再び大和世となって今日に至っております。これはすべて県民自治の及ばない時代の流れの中で起きた歴史の事実であり、沖縄県がたどってきた歩みでもあります。今こそ沖縄の歴史を検証し、過去の沖縄の歴史の事実も知ることによって沖縄から日本、世界を見ることは極めて大切なことであると思います。そうでしょう、皆さん。
 そこで歴史的な史実、1187年に即位をした琉球国王舜天王は、源為朝と大里按司の妹の間に生まれた子であると羽地朝秀の書いた「中山世鑑」に引き継がれてきたのが史実とされております。
 沖縄本島には平家は上陸していないとも言われておりますが、しかし本島の各地に「平良」の名字や平家の武将であった「羽地」の名字、地名、河川名等、すなわちそういったところを取り上げてみますと、屋我地の「平良田」とか大宜味村の「平良川」、そして東村の「平良川」、「平良区」、具志川市の「平良川」、そして読谷山の「平良」、首里の「平良」、豊見城の「平良」、そして西原の「平良」、八重山、そして宮古の「平良」、含めてそういったところからいたしますと、私はあの700数十年前に「おもろさうし」にも大和、山城の軍勢が運天港に入ってきた事実は知られているわけでございまして、「おもろさうし」にも
   勢理客ののろの  あけしののろの
   雨くれ 降ろちへ  鎧 濡らちへ
   運天 着けて  小港 着けて
   嘉津宇嶽 下がる  雨くれ 降ろちへ
   鎧 濡らちへ  大和の軍 山城の軍
ということで歌って、羽地内海、つまり旧羽地村の平良村に城を築き上げまして、浦添、首里へ上がっていったというのがしるされているわけでございます。
 壇ノ浦の戦いで破れて二位尼に抱かれて入水をしたと言われておりますが、あの安徳天皇が果たして、幼くして1人を見殺しにされてそのまま平家の武将羽地が大勢の武将を引き連れて沖縄にやってくるのがあの当時の縦割り社会からすると、私は不可能に近かったということを思っているわけでございます。
 そうしますと、源為朝が伝説というふうになりますと、私はあの平家の武将の一大中心人物が安徳天皇であることが最も妥当性があるように思われるわけでありまして、そういったところを羽地朝秀たる賢明な侍がなぜこれを源為朝説を正史に取り上げたかということが一つの大きな問題であるわけでございます。
 これは、一つに言われるのは、島津藩ではその始祖忠久は源家を継いだ親戚筋であったということ、そして首里の貴族階級が平家の色に染まっていたことからもわかりますように、おのれを含めた琉球王族は南走平家であることを隠すためであっただろうということでございます。 
 そしてもう一つには、日支両属の間で生きていかねばならぬ苦しさということでありまして、安徳天皇が沖縄に来て舜天王にかわったという説が私は妥当じゃないかということを皆さんに訴えたいわけであります。
 そうしますと、この沖縄の琉球の歴史が日本の歴史まで変えるということになると大変な発見になるわけでございまして、今沖縄県の観光においても糸数観光リゾート局長も大変順調と言っておりましたけれども、青い海、青い空、白い砂浜ということについてはおのずと限界が出てくるわけでございますが、そういったような学問的な歴史・文化的なところから加味していきますと、両方合わせますとそれこそ700万あるいは1000万台の大台というのも夢じゃないんじゃないかということを私は皆さんに言いたいわけでございまして、そういった問題を唱えているわけでございます。
 そういったようなことを私は真境名安興さんあるいは奥里将建、そして元豊見城村議長であられた長嶺正徳さんの著書を参考にいたしまして、一部比嘉勝秀自由民主党副会長の協力を得まして総編さんをしてまいったわけでございます。
 そういったことからいたしまして、ぜひこんなすばらしいことであれば知事も先頭に立って県の条例制定を早目にしていただきたいということでございます。
 あわせまして、最後になりますけれども、翁長教育長にこの羽地朝秀の按司を務めたところはどこだったのか、そしてなし得た事業をちょっと詳しくお聞きをいたしまして私の一般質問を終わります。
○教育長(翁長良盛) 誠意を持ってお答え申し上げたいと思います。
 再質問で羽地朝秀の件が出ておりますけれども、大変難しい問題でございますが、私の知る限りの範囲内で誠意を持ってお答え申し上げたいと思います。
 御案内のとおり、羽地朝秀は沖縄の歴史を代表する人物の一人でございます。唐名を向象賢といい、尚真王の長男尚維衡の流れをくむ名家に生まれたと言われております。1652年には家督を継承して羽地間切の総地頭職となったと言われます。1666年11月、琉球王府の最高職である摂政に就任し、1673年に退位するまでの7年間にわたって国政に手腕を発揮したようでございます。
 羽地朝秀の大きな功績は、薩摩侵攻後の疲弊した王国を復興再建するために政治改革に取り組んだ人だと言われております。そのため贈答や進物の廃止、冠婚葬祭の簡素化などの倹約を推し進めまして風紀の粛正、王城内での女官衆の政治的影響力を排除するようにし、さらに農村支配の整備と農村の振興を図ったことなどとされております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前10時35分休憩
   午前10時36分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 安里 進君。
   〔安里 進君登壇〕
○安里  進 楽しい歴史の質疑の中で、私はちょっとかたくなるかと思いますが、基地問題からさせていただきたいと思います。
 最近、沖縄県内における米軍による事件・事故や四軍調整官によるメール事件等は私ども安保条約を容認する者としても許せるものではなく、怒りを覚え厳重に抗議するものであります。
 しかし、これも私は指導者の人の問題だと思っております。それというのも我が名護市にあるキャンプ・シュワブのカーニー司令官は、辺野古区の諸行事に奥さんと一緒に参加して区民とのコミュニケーションを重ね、私も公民館や区民運動会などで何回となく話し合っております。また、キャンプ・シュワブ海域は提供水域であるにもかかわらず、漁民からの申し入れ等も聞き入れる等よき隣人ぶりを発揮しているわけであります。しかし、アール・ヘイルストン四軍調整官のメールに至っては言語道断であります。
 そこで私は、アール・ヘイルストン四軍調整官に沖縄の教訓歌である「デンサー節」の一節をメールしたいと思います。本当だったら三味線に乗せて議長にさせたいんですが、風邪ぎみでありますので、一節だけこの「デンサー節」の4番目にこういうのがあります。
 「物言ラバ慎ミヨ」、この歌であります。
   物言ラバ慎ミヨ 口ヌ端カラ出ジャスナヨ
   出ジャチ後カラヤ 呑ミヤナラヌ
 こういうことがあるわけであります。
   デンサー スウーリ デンサー
 さて、稲嶺県知事になって3年、SACO合意に基づく基地の整理縮小については前県政より着実に進んでいると私は思っております。しかし、メール事件でどこかの前知事が稲嶺県知事は二枚舌と言われているがどう思っているんですか。
 私は今回、政府にも米軍にも言うべきときは率直に物を言わなければならないと思っております。この際、基地の整理縮小はもちろん、地位協定の見直しも強力に進める必要があります。
 今名護市では政府に要請し、去る2月16日から22日までの日程で代替施設先の辺野古区と豊原区の行政委員一行16名が青森県の三沢空港を含め米軍岩国基地、長崎空港、海上自衛隊の大村飛行場を視察しております。移設問題について真剣に名護市は取り組んでおります。
 そこで県知事にお伺いします。
 (1)つ、普天間飛行場の代替施設として県が決定した辺野古のキャンプ・シュワブ沖に計画している稲嶺県知事が公約した軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけについてお伺いいたします。
 (2)つ、代替施設の民間機能における航空機利用の潜在的ポテンシャルはどうなっておりますか。
 (3)つ、代替施設の規模はどうなんですか。
 (4)つ、民間機能の運営主体はどこがどうするんですか。
 これが基地問題であります。
 次に、2番目に北部振興と産業創出についてお伺いします。
 (1)番目に、国立工業高等専門学校の創設についてであります。
 産業技術が日進月歩していく中、その技術に適切に対応できる人材育成、また、新たなる技術を研究開発し得る人材育成は地域の産業創出に重要な役割を果たします。
 沖縄県における経済及び産業は、これまでの振興開発の取り組みにもかかわらず依然として脆弱であり、現在、県経済が財政依存型から自立発展型へ転換することが県民の悲願となっております。この目標を達成するには、沖縄県の特質を活用あるいは克服した新たな産業の創出と振興が必要とされるが、とりわけ研究開発者と並んで実践力のある質の高い技術者を養成することが重要であります。また、中小零細企業が多い沖縄県の地域産業が技術の集積を図り、競争力を維持向上するには企業内教育だけでは不十分で、実践的教育を行う高等教育機関との連携が極めて重要であります。
 このように経済産業界のニーズに合った人材を育成し、経済産業ひいては社会全体の発展に寄与する高等専門学校の設置が強く求められてきました。そこで、名護市は平成9年から国立工業高等専門学校の誘致運動をしてきたところであります。この運動が功を奏し、また県知事の大いなる取り組みもあって名護市の辺野古に決定を見ることができ、心から感謝申し上げます。
 そこで質問をいたします。
 1、これまでの経過と概要を説明してください。
 2、名称、位置、学科及び入学定員についてはどうか。
 3、開校は何年になるか。
 (2)番目に、国際情報金融センターの創設についてであります。
 日本は今IT革命の時代に入り、知事の平成13年度の県政運営方針の中でもマルチメディア等の情報通信産業の振興を取り上げております。
 名護市では、北部振興の抜本的経済振興になるとして第一に国際情報金融センターの誘致運動を展開してきております。日本における最先端の国際金融活動のショーウインドーとして北部地域のみならず沖縄県全体、ひいては日本全体の金融機関の再生の足がかりとなり得るプロジェクトとして期待されております。平成12年度は国も県も名護市等3者が予算に計上し調査を進めていると思います。名護市は、先進地のアイルランドの視察や県内外でシンポジウムを開催し、特に去る2月6日の東京での経団連や政府関係機関等から400名余が参加して開催されましたパネル討論では、企業の国際競争力を高める金融センターの関心の高さがうかがわれたようであります。
 この国際情報金融センターについては、去年の9月県議会で我が党の渡久地健議員からも質問をしております。本県とダブリンとの立地条件等検討すべき課題が多々あるが、平成12年度に誘致可能性に関する調査を実施すると答弁がありました。
 そこで次の質問をいたします。
 1つ、県知事は、平成13年度の県政運営方針の中でマルチメディア等情報通信産業の振興をうたっているが、国際情報金融センターの創設について知事の所見を承りたいと思います。
 2つ、名護市は、県内外で国際情報金融センターについて先進国の視察やシンポジウム等を開催し積極的に取り組んでいるが、県はどのような取り組み方をしているか、お伺いいたします。
 次に、沖縄県北部総合運動公園についてお伺いいたします。
 沖縄県管理のスポーツ・レクリエーション施設のほとんどが中南部に集中し、北部圏には皆無であります。県民一人一人が生涯にわたってスポーツ・レクリエーションに親しみ、健康と体力の維持増進を図り、豊かに楽しく安心して暮らせる生活の土台づくりとして北部圏域にも総合運動公園が必要であります。
 北部圏域は、「自然交響都市圏の創造」を基本理念として沖縄本島における南北二極構造の実現を目指して地域振興を図っており、総合運動公園の整備は北部圏域が推進するスポーツ・レクリエーション公園等公共施設の高次な都市機能整備の基本理念に基づくものであります。
 そこで質問します。
 1つ、この件については平成10年6月議会でも私が質問いたしました。私の質問に対し県の土木建築部長は、今後策定する予定の広域緑地計画及び市町村で策定するみどりの基本計画の中で県と市町村が調整を図りながら検討すると答弁しているが、その計画と調整はできたのかどうか、お伺いします。
 2番目に、新たな県営総合運動公園の補助採択は困難であると答弁しているが、他の方法はないものかどうか。また北部振興策ではできるのかどうか、お伺いいたします。
 次に(4)番、水源基金について。
 沖縄県の水事情は羽地ダムが完成したとはいえ、今日でも極めて厳しい状況にあり、水資源の安定供給の確保が本県にとって緊急な課題であります。
 北部の市町村は、今後永続的に水を供給していく水源地域にとって現在の水源基金制度は地域振興を促進する上からも極めて不十分であります。ダム完成後の継続的助成措置が水源地域にとっては不可欠と考えております。
 北部地域の水源市町村から何回となく要請したところであるが、財団法人沖縄県水源基金より当該基金の趣旨及び水利権との兼ね合いからこれらの要請にこたえることは困難と回答しております。その後も県はその趣旨にこたえようとの努力は多とするところであるが、今後永続的に水を供給していく北部地域にとっては、ダム建設後も使途に制限を加えない特別財政支援ができる永続的な水源地域特別振興基金制度の要請を重ねてきているところであります。
 そこで次の質問をいたします。
 1つ、沖縄県が予定しているという財団法人沖縄県水源基金の強化策「沖縄県水資源基金拡充方針」はどういうものか、お伺いします。
 2番目については、又吉企業局長と屋嘉部地域・離島振興局長が一生懸命話し合って、13年度一生懸命努力するということでありますので、取り下げます。
 次に、我が党の代表質問との関連についてお伺いします。
 15年使用期限問題についてであります。
 我が党の西銘県議の代表質問で、普天間代替施設の15年使用期限が着工まで進展すると考える根拠はとの質問に知事は、基地の提供責任者は日本政府にあるため政府が責任を持って早期に解決すべきであると考える、15年使用期限は県が移設条件とし、名護市も受け入れ条件としていることから、着工までに何の進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと答弁を繰り返しております。
 平成11年12月の閣議決定は、北部地域の振興並びに周辺地域の振興策は普天間移設に伴うものであるというふうに政府方針は決定しているわけであります。その決着がなければ現在進んでいる振興策もしりすぼみになるのではないかと懸念をするところでありますが、知事の見解をお伺いいたします。
 2番目に、知事は15年問題で全く棚上げされたままで進むことはないと言い切って自信を持って答えているように聞こえるが、国から何らかの意思表示があってそう言い切っているのか。15年問題の解決時期はタイムリミットがあると思うが、その時期はことしの夏ごろか、それとも来年に持ち越すと思うのか、お伺いします。
 以上です。
○知事(稲嶺惠一) 安里進議員の御質問にお答えいたします。
 最初は基地問題で、普天間飛行場代替施設について、知事が公約した軍民共用飛行場の民間機能の位置づけはどうなっているかについてお答えをいたします。
 キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域に建設される代替施設は、普天間飛行場の代替施設として建設される飛行場であります。
 新たな基地負担を軽減するためにも、同施設は地元地域の発展にとって真に有意義なものとなるよう、民間の航空機が就航できるようにするとともに、空港関連産業の育成・誘致及び空港を活用した産業等のための条件の整備・検討を進め、具体的な事業展開が図られるようにする必要があると考えています。そのため、代替施設には民間機能としてのエプロン等の基本施設や旅客ターミナル等をあわせて設けることが必要であると考えています。県としては、同飛行場の民間機能を活用し雇用機会の確保や産業の振興を図り、地域経済発展の拠点を形成していく必要があると考えております。
 次に、北部振興と産業創出について、国際情報金融センターの創設についての所見と、次は、県はどのような取り組みをしているかと、この2点について一括してお答えいたします。
 私は、北部地域の振興を考えるとき、また県土の均衡ある発展を図る上からも産業基盤の整備を図り、雇用機会を創出することが重要な課題であると考えています。
 県においては、北部振興策に掲げられた「国際的金融情報拠点の形成」の円滑な推進を図るため、金融関連業務の誘致可能性調査を実施して誘致に当たっての課題の整理に努めているところであります。今後、同センターの形成に向けてこれらの調査結果や地元の要望などを踏まえ、適正に対処してまいりたいと考えております。
 次に、我が党の代表質問に関連してということで、知事は15年問題で棚上げされたままで進むことはあり得ないと言うが、国から何らかの意思表示があったのかということと、解決時期のタイムリミットをどう考えるかということにお答えをしたいと思います。一括してお答えを申し上げます。
 県は、15年使用期限については、基地の提供責任は日本政府にあることから、過重な基地負担を担ってきた県民の意向を踏まえ、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。
 政府は、これまで日米防衛首脳会談、外相会談、九州・沖縄サミットでの日米首脳会談、日米安全保障協議委員会等において取り上げてきており、さらにはブッシュ政権発足後の外相会談においても15年使用期限問題を取り上げております。代替施設の15年使用期限問題については県が移設に当たって整備すべき条件としており、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないものと考えております。県としては、同問題の一日も早い解決に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 安里進議員の基地問題についての質問について順次お答えをいたします。
 まず、代替施設の民間機能における航空機利用の潜在的ポテンシャルはどうなっているかという点と、代替施設の規模はどうかという2点について一括してお答えをいたします。
 代替施設の民間機能における航空機利用の潜在的ポテンシャルとして、県独自の推計では2010年度の民間機能における旅客利用者数を約20万人と見込んでおります。
 この場合、関東・関西・中部方面に1日当たり6便(3往復)の就航を見込んでおり、うち関東方面へは中型ジェット機の就航を見込んでおります。このことから、県としては代替施設の滑走路はコンテナ輸送が可能な中型ジェット機が就航できることを基本に検討する必要があると考えております。
 また民間機能のうち、旅客ターミナル等専ら民間が利用する地域は約20万人以上の人が利用できる規模とし、代替施設全体の規模としては、普天間飛行場の移設に伴う機能及び民間機能の双方の確保を図る中で運営上の安全性及び環境面で十分な規模とする必要があると考えております。
 次に、民間機能の運営主体についてお聞きしたいという御質問にお答えをいたします。
 旅客ターミナル等専ら民間機能に係る飛行場施設の管理運営のあり方については、県民にとって最も望ましいものになるよう検討を進めていきたいと、このように考えております。
 次に、我が党の代表質問との関連についての中の、平成11年の閣議決定では、北部地域並びに周辺地域の振興策は普天間移設に伴うものであり、普天間飛行場の移設の決着がなければ振興策もしりすぼみすることが懸念されるがどうかという御質問にお答えをいたします。
 北部地域の振興については、第3次沖縄振興開発計画等各種施策の推進によりその振興を図ってきたところでありますが、地域の活性化や自立的発展への展望を開くまでには至っていない状況にあることから、北部12市町村の要望を北部振興策として取りまとめ、その実現方を国に要望したものであります。
 国においては、第14回沖縄政策協議会において、新全国総合開発計画において示された、北部圏域は、「沖縄本島の一体的な発展を図る上でその果たす役割は大きく、地域特性を生かしつつ今後とも振興に向けての着実な取組を進める。」との基本認識を踏まえて、北部振興に関する基本方針を了承し閣議決定しております。
 北部振興に向けては、現在、北部振興協議会における振興事業の決定を踏まえ、その実施に向けた取り組みを着実に進めているところであります。県としては、北部振興事業の推進と普天間飛行場の移設は別問題であると考えております。
 以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 安里議員の御質問にお答えいたします。
 国立高等専門学校創設のこれまでの経過と概要について、それから名称、位置、学科及び入学定員について、それから開校年は何年かという御質問につきましては、一括して答弁を申し上げたいと思います。
 国立高等専門学校については、平成10年度及び平成11年度に文部科学省において創設のための準備調査が行われております。
 県においては平成11年9月、名護市長及び北部市町村会等からの要望を踏まえ、文部大臣、内閣官房長官等へ同高専の建設候補地を推薦いたしました。平成12年4月には琉球大学に国立高等専門学校(沖縄)創設準備委員会が置かれ、創設に関する具体的事項について検討が進められております。
 同委員会から平成12年8月に出された「国立高等専門学校(沖縄)の創設について(中間まとめ)」によると、学校の名称は「沖縄工業高等専門学校(仮称)」、建設位置は「名護市辺野古地区」、敷地面積は約15万平米となっております。また設置学科は、仮称でありますが、情報システム工学、メディア情報工学、機械システム工学、生物資源工学の4学科、生徒数は各学科40名の1学年160名となっております。
 今後、同委員会のもとに専門部会が設けられ、教育課程、入学者選抜方法、施設・設備等について具体的な検討を行うことになっておりますが、最終的な決定は文部科学省が行うことになっており、現在のところ開校までのスケジュールについては示されておりません。
 なお、次年度は文部科学省において引き続き創設準備が行われることになっており、基本設計費も予算内示がなされております。
 以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 北部振興と産業創出について、北部総合運動公園について県と市町村が調整を図り検討するとなっているが、その計画と調整はできたかとの御質問にお答えいたします。
 北部総合運動公園計画につきましては、現在、名護市が「名護市緑の基本計画」の策定に取り組んでおり、その内容としましては平成11年度に現況調査、平成12年度は緑化目標の設定や公園配置計画等を調査・検討しております。当該調査において、北部総合運動公園の施設規模や建設位置等について具体的に調査・検討している段階であると聞いております。
 また、県としましては平成12年9月に「沖縄県広域緑地計画調査」に着手し、現在、広域的な観点から現況調査をしているところであり、平成13年度に名護市を初めとした関係市町村の「緑の基本計画」と計画の整合を図り、根幹的な公園・緑地の配置計画等を定めることとしております。このため、名護市の検討の結果を踏まえて「沖縄県広域緑地計画」の中で諸課題等を整理し、北部総合運動公園の可能性について検討していきたいと考えております。
 同じく、新たな県営総合運動公園の補助採択は困難であると答えているが方法はないのか、また北部振興策ではどうかとの御質問にお答えいたします。
 現在、県営の運動公園は那覇市に沖縄県奥武山公園、沖縄市に沖縄県総合運動公園があり、広域的レクリエーション需要に対応するとともに、全県規模のスポーツ競技大会の開催に活用されているところであります。北部地域への新たな県営総合運動公園の整備につきましては、現在既に全県規模の県営総合運動公園が整備されており、全国的にも1県1カ所程度の補助事業採択となっている状況から厳しいものがあると考えております。
御質問の北部振興策として位置づけることにつきましては、当該公園の必要性や多大な財政負担などの整備課題があり、これらの課題解決が必要と考えております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 沖縄県水源基金拡充方針についての御質問にお答えをいたします。
 御案内のとおり、財団法人沖縄県水源基金が行う水源地域対策の趣旨は、水源地域対策特別措置法の精神に準じて、多目的ダム等の建設による水源地域の基礎条件の著しい変化への影響緩和策としてダム完成までの間に生活環境、産業基盤等の整備に対する助成を行うことにより水源地域の振興を図り、もってダム等の建設を促進し治水及び水資源の安定的確保に寄与することであります。これまで北部の水源地市町村からダム完成後も助成してほしいとの要望に対し、水源地域対策特別措置法にはない制度といたしまして平成2年度から「水源地域振興事業」を実施しております。これは、水源地市町村が恒久的に水源涵養及び生活環境整備を行うための基金を設立する際にその基金の造成に対して助成する事業であります。
 しかしながら、水源地市町村からはその後も永続的な助成策の強化についての要請があり、県としてはこの「水源地域振興事業」を強化する内容の水源基金拡充方針案を作成し、県企業局及び関係市町村と調整を進めてまいりましたが、平成12年度内での合意形成は厳しい状況になりました。そこで、平成13年度の早期に解決が図られるよう当初予算に必要な経費を計上するとともに、関係市町村との調整を進めてまいりたいと考えております。
○砂川 佳一 通告に従いまして質問させていただきます。
 テーマは、やはり例のごとく離島振興策でございます。「離島振興」、私はこれしかできないのじゃなく、これしかやらないのです。
 さて、沖縄振興開発特別措置法に基づく指定離島は55島で、そのうち八重山諸島12、宮古諸島8、大東諸島2、中南部圏域11、北部圏域6と合計39の島々に約12万8000人の人々が暮らしているのです。この指定離島の面積は県土全体の45%、約半分を占めているわけです。しかし人口推移を見ると、県全体の人口は増加しているにもかかわらず減少傾向にあります。しかも13の島々では、65歳以上の比率が約30%を超えるという超高齢化社会となっています。
 離島振興法によると、離島の要件として「本土より隔絶せる特殊事情よりくる後進性」を有するとあり、離島振興法の目的は「国土の保全、海洋資源の利用、自然環境の保全等に重要な役割を担つている」と位置づけられる。これらの離島は、離島ゆえの「特殊事情よりくる後進性を除去するための基礎条件の改善及び産業振興に関する対策を樹立し、これに基づく事業を迅速かつ強力に実施する等離島の振興のための特別の措置を講ずることによつて、その経済力の培養、島民の生活の安定及び福祉の向上を図り、あわせて国民経済の発展に寄与する」とあるのです。
 そのことを踏まえて、このたび新世紀に策定される沖縄振興計画及び沖縄振興新法策定は、稲嶺惠一知事が提唱されるまさに「基礎づくりの年」であり、21世紀を展望するにふさわしい沖縄の基本的な方向性を明示する歴史的な戦略でなければならないと考えます。
 そして沖縄県の振興開発は、県全体をグローバルにとらえ、長期的に多面的な振興策を練るのは当然ですが、その中でも特に、特に離島振興策は県政の重要課題であることを強調する者であります。それは県の人口分布形態の一つをとってみても明らかなように、沖縄県の人口の増加は中南部地域に限られ、離島を抱える北部地域や離島町村は停滞、減少しているのであります。
 その中にあっても、北部地域は名護市を中心に北部地域振興策の議論が躍動しています。離島地域では一応そのことについてはうなずきはしていますが、満面の笑顔で拍手を送っているわけではございません。基地の存在する市町村と基地の存在しない市町村の間に振興策の不均衡があってはならないし、不協和音が生じてもならないと考えます。
 21世紀の沖縄振興は、海洋性亜熱帯気候の自然を豊かに残し、観光立県沖縄の担い手となり得る離島地域振興策こそ沖縄県の重要課題であると訴えるゆえんであります。離島が元気を出せば県全体が元気になるということであります。
 そこで、新しく策定される沖縄振興策の中に離島振興がどのように位置づけられているか、離島振興策の課題とは何か、その方向性、基本的な考え方をお聞かせください。
 そして離島住民の現場の声を、実情をこちらから出向いて生の声を聞き、今後の施策に生かすべきだと考えますが、いかがなものでしょうか、そのスケジュール等について知らせてください。
 ところで、我が党の仲里議員も代表質問で取り上げていました。旧国鉄の赤字債務をたばこ消費税で負担していて、県負担分が約23億円になると聞きます。沖縄県としては、国鉄の恩恵を受けていないにもかかわらず筋違いの負担であることに私も全く同感であります。
 そこで、例えばこのたばこ消費税県負担分を離島振興策として離島間の輸送コスト削減のため充当するとか、あるいは税制度の面からとらえて沖縄振興新法の枠組みの中に入れられないかどうか、お伺いいたします。
 続いて宮古病院の新築・移転についてでございます。
 最近、社会資本の進展に伴ってでしょうか、離島苦という言葉の響きが少し薄くなったような気がいたしますが、しかし医療格差においてはいまだに離島苦が歴然として続いております。
 例えば先月11日、県立宮古病院の要請で琉大医学部教授2人が1歳6カ月の男の子の上のあごの形成手術を行う旨の報道がありました。このような口腔外科の幼児患者は宮古だけでも年間80名から100名程度いるのですが、地元での医療体制が整わないため沖縄本島に5カ所あるいずれかの病院で入院治療をしているのです。親は、幼い子供を抱いて約20日間、両親のうちだれかが仕事を休み付き添いながら看病をしているのです。
 また、県立那覇病院や国立琉大医学部附属病院、それに浦添市、西原町などにある総合病院などに入院治療している患者の中には、数多くの離島住民が、本来地元で手術治療すべきところをいたし方なくわざわざ遠く島を離れて病と闘っているのです。その精神的、経済的負担ははかり知れないものであり、離島苦、医療格差の現実なのであります。
 最近、宮古病院から搬送されて浦添市の総合病院に緊急入院した友人の奥さんが涙ながらしみじみと話していました。主人の命と健康を守るためには仕事、家、財産すべて売り払って県立や国立病院、さらに総合病院まである沖縄本島に移り住みたいと真剣に相談されたことを私は忘れません。
 このような離島住民の不安、離島医療格差解消のために地域完結型医療を目指す県立宮古病院新築・移転の調査費が新年度予算に計上され、明るい話題になっていることを離島住民の一人として感謝と敬意を表しながら、そして早期実現を願望しつつお尋ねいたします。
 調査費の内容と新築・移転までの今後のスケジュールをお聞かせください。
 そして離島地域においての県立病院の果たすべき分担、役割、使命についてその基本理念を示していただきたいと思います。
 3、離島における環境問題について。
 近年、環境問題は世界共通の課題として取り組んでいかねばならない重要な問題であり、国においては循環型社会形成に向け関係法を成立させ、廃棄物の適正処理、リサイクル等で地球に優しい環境づくりを推進しており、県におかれましてもゼロエミッション構想の推進に向け環境施設の充実・強化に努力されていることに敬意を表するものであります。
 ところで、平成13年より施行されるいわゆる家電リサイクル法は、一般家庭や事業所から排出された特定の家電製品の有用な部分や材料をリサイクルして廃棄物の減量及び資源の有効利用を推進するものであり、消費者が収集・運搬料金、リサイクル化等料金の費用を負担するものでありますが、各メーカーの指定引き取り場所が沖縄本島にしかなく、離島地域では海上輸送等を含む運搬料金などが過重な負担になっているのです。その対応策について大変苦慮しているところであります。
 このことについて県はどのような対応、そして御指導をなさっているのか、お伺いいたします。
 また、離島における放置車両の処理対策と再発防止策の取り組みについて、その進捗状況をお伺いいたします。
 4、宮古地域ゼロエミッション社会の形成について。
 宮古圏域は、宮古地域ゼロエミッション社会形成に向け具体的に取り組み始めています。その中のハード事業の一つとして植林事業や御嶽・史跡等を保存し、史跡めぐり等の観光資源活用にも生かしたいとのことです。そのうちの一つに倭寇の史跡で有名な上比屋山遺跡周辺の環境整備があるが、まことに時宜を得たユニークな事業だと考えます。
 農村環境整備とともに史跡等を守り育てることは、ふるさとを愛する心をはぐくむ教育的見地からも、また八重山は八重山らしく、宮古は宮古らしい個性とこだわりを持った離島観光地づくりのためにもぜひ実現していただきたいと思います。
 そこで「ふるさと・水と土ふれあい事業」等の導入は考えられないか、同事業の概要と同事業での対応の可能性についてお伺いいたします。
 5、航空大学設置基本計画検討委員会についてでございます。
 先日、伊良部町において航空大学設置基本計画検討委員会が行われたようであるが、委員会設置の経過と趣旨、委員会の構成員、そして初会合ではどのような協議がなされたのか、さらに今後どのようなことをなさるのか、そのスケジュールを御説明ください。
 そして航空大学誘致を下地島パイロット訓練飛行場残地有効活用策として沖縄振興計画の中に組み入れてはどうかと、お伺いいたします。
 最後に、農村地域におけるマルチメディア等の情報通信整備についてでございます。
 平成13年1月にIT基本法が施行され、国は「IT革命」を国家戦略として取り組んでおります。
 一般大衆の間でもコンテンツ、OA化、ネットワーク化等の言葉が飛び交うようになり、昨今の産業及び生活環境は大きく変わりつつあり、日本全国が高度情報化社会の到来に大きな期待をかけているところであります。
 県においては、平成10年に「沖縄県マルチメディアアイランド構想」を策定し、コールセンター、マルチメディアセンターの整備等を初め各種施策の推進を図るなど積極的な取り組みを行っていることに高い評価と敬意を表します。
 高度情報化社会での21世紀の農村像を考えた場合、農村地域における生産者と消費者及び農村と都市の幅広い情報交流により産地直送などの多様な流通形態を確立し、営農技術の向上及び農業経営の拡大を図り、農村の活性化に努める必要があります。特に多くの離島を抱える本県の農業振興にあっては、流通コストの縮減、高度生産技術の普及、消費者への情報提供等が不可欠であり、そのためには情報通信基盤の整備が重要であると考えております。
 ついては、宮古圏域6市町村で実施されている「田園マルチメディアモデル整備事業」の整備概要と進捗状況についてお伺いいたします。
 以上、離島振興の課題を中心に所見を交えて質問をさせていただきました。
 知事を初め担当部局長にお願いと注文がございます。ぜひ答弁では大きな声で、歯切れよく、誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。それによって再質問をしましょうか。
○知事(稲嶺惠一) できるだけ元気よく御答弁を申し上げます。
 砂川佳一議員の御質問にお答えいたします。
 最初は沖縄振興新法(仮称)と離島振興策について、振興新法における離島振興策について基本的な考えをお聞かせくださいとの御質問にお答えいたします。
 本県の離島振興については、これまで3次にわたる沖縄振興開発計画及び沖縄県離島振興計画に基づき諸施策が講じられ、産業基盤、交通・通信体系、生活環境施設等社会資本の整備を中心に各面にわたり相当の成果を上げております。
しかしながら、大半の離島地域においては依然として過疎化、高齢化が進行し、地域活力の低下とともに地理的不利性により多くの課題を抱えております。島嶼県である本県にとって離島の振興は県政の重要課題と認識しております。現在、「新たな沖縄振興に向けた県の基本的な考え方」を取りまとめているところでありますが、離島振興策については、個性を発揮し離島地域が活性化する地域社会づくりを図るための諸課題について検討することにしております。
 続いて県立宮古病院の新築・移転について、離島地域における県立病院の役割と使命について、その理念を聞きたいとの御質問にお答えいたします。
 宮古・八重山地区における県立宮古病院及び八重山病院は、両地域における唯一の公的医療機関であり、一般医療を初め救急医療、離島・僻地医療などさまざまな医療ニーズにこたえながら地域中核病院として適切な医療を提供しております。今後とも両地域における医療を確保するため地域の医師会と連携を図りながら、離島における中核病院として施設・設備の整備や医療従事者の充実と確保に努め、地域住民の期待にこたえられるようにするとともに、患者の立場に立って医療の提供ができるよう心がけてまいりたいと考えております。
 次に、農村地域におけるマルチメディア等情報通信整備について、宮古圏域6市町村で実施されている田園地域マルチメディアモデル整備事業の整備概要と進捗状況についてのお答えでございます。
 田園地域マルチメディアモデル整備事業は、高度情報化による農業の振興、農村生活の改善、都市・農村交流の促進などを図ることを目的に全国で11地区をモデル地区として実施しております。本県においては、宮古圏域6市町村を対象に平成12年度から14年度の間に総事業費37億円で広域情報センターと光ファイバーによる伝送路を整備することにしております。これら情報基盤が整備されると農産物の市況、農業気象、栽培技術などの各種農業情報の提供、各行政機関との情報交流と地域防災対策などの情報通信が可能となります。
 事業の進捗状況は、平成12年度に広域情報センターの建設と光ファイバー網の整備を進めております。平成13年度以降は情報センターの送・受信設備、放送設備を整備し、端末機器を市町村役場、農業改良普及センター、農家に設置します。本事業の供用開始は平成15年4月を予定しております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 沖縄振興新法と離島振興策についての中で、離島住民の生の声を生かす方策とそのスケジュールについてお伺いしたいという御質問にお答えをいたします。
 現在、県では「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」について取りまとめているところでありますが、その取りまとめに当たっては離島を含む市町村や各種団体からの意見を聴取するとともに、広報誌やインターネット等により広く県民から意見を聴取し参考にしているところであります。さらに今後沖縄振興計画の策定に当たり、地域の声を幅広く聴取するため圏域別に県民フォーラム等を開催することとしております。
 なお、県民フォーラムの開催については4月中の開催を目途に各市町村、関係団体と調整を進めているところであります。
 次に、たばこ消費税県負担分を離島振興策として離島間の輸送コスト削減のため充当できるような検討ができないかという御質問にお答えをいたします。
 離島県である本県にとって、離島航路の安定確保は離島住民の生活の安定向上及び産業経済の振興を図る上から大変重要であると認識しております。
 離島航路につきましては、国とともに航路事業により生じた欠損額に対する補助制度を実施しているところであり、引き続き離島航路の維持・確保を図っていく考えであります。離島地域において流通コストの軽減は大きな課題と認識しており、流通の改善、流通コストの軽減策については今後とも国、県の関係部署、関係団体等とも連携しながら引き続き検討してまいりたいと思います。
 次に、航空大学の関係の御質問ですが、航空大学設置基本計画検討委員会についての御質問にお答えをします。委員会設置の趣旨と委員の構成メンバー、そして第1回委員会ではどのような討議がなされたのか、さらに今後はどのようなスケジュールで進めていくかというお答えです。
 伊良部町においては、平成13年2月13日に伊良部町が作成する航空大学設立基本計画を検討するための航空大学設立基本計画検討委員会を発足しております。委員構成メンバーは全体で14名であり、その内訳は国関係者2名、県関係者3名、宮古関係者2名、学識経験者7名で構成されています。
 委員会では、伊良部町が提出した航空大学準備状況の経緯と進捗状況、当該委員会の活動計画、航空大学設立基本計画策定検討フレーム(案)につきまして討議がなされております。第1回会合では、ほかの大学にない特色を打ち出すべき、設立理念を明確にすべきなどの意見が出されておりまして、次回以降で具体的に踏み込んだ意見交換にしていくことの確認がなされております。
 今後のスケジュールにつきましては、伊良部町では委員会開催を3回程度を考えており、平成13年7月中を目途に最終答申を受ける意向であると承っているところであります。
 次に、航空大学誘致を下地島パイロット訓練飛行場残地有効活用策として沖縄振興計画の中に組み入れてはどうかという御質問にお答えします。
 下地島空港及び周辺公有地の利活用につきましては、空港機能と空港周辺公有地を活用した振興開発に大きな期待を寄せ、これまで第2次及び第3次の沖縄振興開発計画に位置づけるとともに、平成10年3月には下地島土地利用基本計画の見直しを行い、伊良部町が実施しているコミュニテイーアイランド事業及び都市農村交流施設整備事業、パブリックゴルフ場整備事業等を支援しているところであります。
航空大学誘致を新たな沖縄振興開発計画の中に位置づけることについては、伊良部町において平成13年2月13日に発足した航空大学設立基本計画検討委員会での検討状況等を見守りながら今後対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○病院管理局長(新田宗一) 県立宮古病院の新築・移転についての御質問で、新年度予算案に計上された新築・移転の調査費について、その内容と今後のスケジュールについての御質問ですのでお答えいたします。
 県立宮古病院の改築整備に当たりましては、病院の機能、役割等を判断する基礎資料を作成するため、平成13年度において医療環境等の実態を把握する医療需要動向調査を予定しており、調査費を計上しているところであります。
 当該調査の主な内容といたしましては、宮古圏域における人口動態や住民の疾病構造の分析、2点目に、宮古圏域から圏域外へ流出する患者の状況、3点目に、宮古圏域における他の医療機関の状況などの調査を行うこととしており、同地域の医療の実態を把握したいと考えております。
 今後のスケジュールといたしましては、これから設置を予定しております宮古病院改築検討委員会──仮称ですが──において当該調査の結果を踏まえ、宮古病院の規模、機能及び役割等を検討するとともに、高度多機能病院の整備の進捗状況を勘案しながら着工時期等を定めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○文化環境部長(宮城光男) 家電リサイクル法施行に伴う離島の過重負担について、その対応策はどうなっているかという御質問にお答えします。
 家電リサイクル法では、家電4品目の収集・運搬及び再商品化に係る料金については排出者が負担することになっており、廃家電品の運搬先となる指定引き取り場所がない本県離島住民にとっては本島までの運搬費用が過重な負担となります。このため離島地域においては不法投棄が増加し、適正な引き渡しに支障を生じることが懸念されます。
 家電リサイクル法では、市町村長の申し出を受けて主務大臣が製造業者等に対し必要な指定引き取り場所の設置を勧告できるなどの措置が規定をされております。県としては離島市町村に対し、法施行後の状況を踏まえてこの主務大臣への申し出制度を活用するよう助言するとともに、引き続き離島地域の格差を是正する対応策について検討し、必要に応じて国等の関係機関に要望するなど適切に対処していきたいと考えております。
 次に、離島における廃車、放置車両の処理対策について、その進捗状況と今後の再発防止に向けての取り組みについてお答えいたします。
 県では、平成7年度から廃棄物資源化対策事業を実施し、廃自動車の処理を含め離島市町村の資源化対策を支援してきましたが、離島の放置自動車は増加傾向にあり深刻な状況にあります。このため、離島市町村における放置自動車の再発防止に向けた条例制定など抜本的対策を前提に、沖縄特別振興対策調整費を活用して平成13年度に離島の放置自動車を一斉に撤去処理することにしております。
 当該事業については、これまで沖縄県離島振興協議会総会等において市町村条例の制定や撤去の方法について説明し、意見交換を行っております。今後はこれら離島市町村に対する技術的支援を引き続き行うとともに、沖縄本島も含めた有効な廃車処理対策について検討するため、シンポジウムの開催や放置自動車防止に向けたキャンペーンを実施するなど、市町村や関係団体との連携を強化して事業の円滑な執行に努めていきたいと考えております。
 ちなみに撤去費所要総額は1億5875万円であり、約7500台を撤去することにいたしております。
○農林水産部長(小那覇安優) 宮古地域ゼロエミッション社会の形成についての上比屋山遺跡周辺の環境整備を「ふるさと・水と土ふれあい事業」で整備できないかとの御質問にお答えします。
 「ふるさと・水と土ふれあい事業」は、歴史的遺産として重要な農業用施設や農地の利活用を通して農村空間を整備し、農村と都市との交流により地域の活性化を図ることを目的としております。
 事業採択の要件としては、農業生産、農村生活環境の保全を図る上で必要な土地改良施設等を対象とし、当該市町村がふるさと活性化基金を造成していることなどであります。
 御質問の上比屋山遺跡の周辺環境整備については、今後現地調査、地元の意向等を踏まえ、関係機関と連携を図りながら検討していきたいと考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前11時43分休憩
   午後1時10分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 前島明男君。
   〔前島明男君登壇〕
○前島 明男 昼食後の一番眠たい時間帯でありますが、いましばらくの間、おつき合いをいただきたいと思います。
 通告に従い一般質問をいたしますが、一部さきに行われました議員の質問と重複する点があるかもしれませんが、再確認の意味で御答弁をお願いいたします。
 まず大きな1番、基地問題についてお伺いいたします。
 (1)、那覇港湾施設の移設について。
 私は、基地の問題につきましては、イデオロギーをもとにただ単に反基地を叫ぶのではなく、返還後の具体的な跡地利用計画を策定し、その上で米軍基地に依拠している市、県民の声も十分参酌する中で計画的な米軍基地の整理縮小に努める必要があると考えるものであります。
 那覇軍港は、1974年の日米安保協議会で移設条件つきで返還が合意されながら26年経過した今日でもそのままの状態が続いております。1996年5月には、日米合同委員会において浦添地先への移設が了承され具体的に動き出すかに思われましたが、当時は県及び那覇市、浦添市も革新市政であったために事がうまく運ばなかったようであります。
 私は、この問題に関しては当然のことながら県民生活の安寧を最優先して考えなければならないことは言うまでもありませんが、県の将来の経済的発展という角度からの検討も加え、総体的な判断をする必要があると考えます。
 以上、申し上げましたような観点から、那覇港湾施設の浦添地先への移設を推進するものであります。
 さて、去る2月11日の浦添市長選挙において稲嶺知事、翁長那覇市長と同じ政治姿勢を持つ儀間光男新市長が誕生したことによって、那覇港湾施設の移設問題と西海岸開発は大きく進展するものと多くの市民、県民が期待をしているところであります。早速、儀間新市長は行動を開始いたしました。この素早い行動力と決断力、そして政治手腕、力量こそ市民や県民が待望していたものだと確信するものであります。
 去る2月20日、稲嶺県知事、翁長那覇市長、儀間浦添市長の3者が会談をし、那覇軍港移設を前提とする那覇港管理一部事務組合設立に向けた推進協議会を設置することを確認しております。今後は県、那覇市、浦添市の実務者レベルで協議を進めていくものと思われますが、そこで次のことについてお伺いいたします。
 ア、一部事務組合はいつ立ち上げるのか、お伺いいたします。
 イ、今後のスケジュールはどうなっているか、お伺いいたします。
 ウ、立ち上げに障害となっているものは何か、その解決方法は検討されているか、お伺いいたします。
 エ、浦添市西海岸開発の展望についてお伺いいたします。
 大きな2番、北部振興についてお伺いいたします。
 (1)、北部12市町村が個々に補助事業を実施するのもよいのでありますが、それよりも北部全体としてまとまった目玉になるような事業が必要だと考えるがどうか、県としての案があれば御説明願いたい。
 私見を申し上げますと、北部3村、いわゆる東村、大宜味村、国頭村の山河を活用して子供から大人まで楽しめるような日本一のエコ・サイクルロードをつくってはどうかと考えております。これは自然環境をできるだけ破壊しないような自転車専用道路をつくり、途中、川辺にはキャンプ場なども配置して自然を散策しながら二、三日かけて日ごろの運動不足とストレス解消のためにヤンバルのおいしい空気と水、そして森林浴を満喫してもらおうというものであります。
 また2つ目には、シルバータウン構想であります。
 これは年間を通して本土各地から定年になった方々を受け入れ、温暖な地で数カ月から1年間滞在してもらい、地方の方々と交流を深め沖縄の人々の心に触れ、また文化や芸能を楽しむことによって心身のリフレッシュを図ってもらおうというものであります。本部町や今帰仁村あたりに配置してはどうかと考えます。
 3つ目は、我が沖縄県は、昨年7月に開催された九州・沖縄サミットが大成功をおさめたおかげで人口130万人の小さな島が平和の発信地として世界じゅうの注目を浴びることになりました。大変喜ばしい限りであります。また、澄み切った青い空、青い海と白い砂浜を持つレジャー施設にも当然のこととして注目が集まり、高い評価を得ました。この際、積極的な誘客活動を広く世界へ向けて展開すると同時に、観光客を満足させるだけの施設を整備しなくてはなりません。
 そこで、地理的・自然的条件を生かして羽地内海に国際的なヨットハーバーをメーンにした総合マリンスポーツ施設を構築し、海洋レジャーの一大拠点にしてはどうかという考えであります。
 以上申し上げましたような振興策を実現するためには、何はさておいても普天間飛行場の代替施設としての軍民共用の空港建設が不可欠だと考えます。
 大きな3番、本県の行財政改革についてお伺いいたします。
 21世紀を迎えた今日、少子・高齢化、情報化、国際化の進展や産業構造の変化、いわゆる右肩上がりの経済成長の終えん、環境問題の重要性の高まりなど沖縄県政を取り巻く社会経済情勢は大きな変化を迎えております。
 こうした諸情勢の変化に的確に対応し、本県が抱える多くの課題を具体的に解決する実行型の県政、そして県民が夢と希望を持てるような沖縄を実現するためには県の行財政運営のあり方などを地方分権時代にふさわしい簡素で効率的なシステムに転換するとともに、県の果たすべき役割を見据えた上でより一層県民の視点に立った行政を実現するなど、県政全般にわたるシステムの改善が急務になっております。
 そこで次のことについてお伺いいたします。
 (1)、本県の財政状況をどう認識しているか、お伺いいたします。
 (2)、行政システム改革大綱に基づいて財政健全化に取り組んでいるが、財政状況は改善されているのか。また今後の財政状況の見通しはどうなっているのか、お伺いいたします。
 (3)、平成13年度予算における財政健全化の取り組み状況はどうか。
 (4)、今年度から行政評価システムを導入することとしているが、その概要、効果、今後のスケジュールについてお伺いいたします。
 (5)、外郭団体の整理統合(組織的、機能的)についてお伺いいたします。
 これまでかなり整理統合してきていると聞いておりますが、まだ幾らかは残っているように思います。現に、組織的には別でありながら機能的には同じような事業を行っているところがありますので、できるだけ速やかに統廃合すべきだと考えるがどうか、お伺いいたします。
 (6)、第三セクター方式について、今後の方針をお伺いいたします。
 大きな4番、教育についてお伺いいたします。
 文部科学省の諮問機関である「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」は、ことしの1月15日に今後の日本における特殊教育を進める指針として、「21世紀の特殊教育のあり方について~一人一人のニーズに応じた特別な支援の在り方について」という最終報告書を出しました。
 日本の障害児教育の大きな改革になる内容になっていますが、その中で障害児学校の寄宿舎については、「また、盲・聾・養護学校の寄宿舎は、入舎した障害のある児童生徒等が毎日の生活を営みながら、生活のリズムをつくるなど生活基盤を整え、自立し社会参加する力を培う重要な場であり、老朽化した施設・設備の改善を図るとともに、情報機器の整備等やバリアフリーの推進などを行い、居住環境の向上に十分配慮する必要がある。」と提言し、初めて寄宿舎の教育的役割の重要性を認め強調しています。これは、これまで文部科学省が言っていた寄宿舎の役割についての大きな変革であります。今後の沖縄の編成整備計画が国の方針に沿って策定されるよう望むものであります。
 そこで次のことについてお伺いいたします。
 (1)、宮古養護学校、大平養護学校の寄宿舎閉舎計画は、障害児の父母や子供たちを初め多くの県民の反対や県議会が全会一致で閉舎反対決議をしたことなどで凍結されているが、その後の経過をお伺いいたします。
 (2)、これらの寄宿舎の目的と使命を県はどう理解しているのか、お伺いいたします。
 (3)、これらの寄宿舎は、障害児にとってはなくてはならない施設だし、老朽化しているので早期に改築すべきだと考えるがどうか、お伺いいたします。
 大きな5番、人材育成についてお伺いいたします。
 人材育成、何と耳なれた、そして使い古された言葉でしょうか。私の知るところではその必要性が生じたのは、今をさかのぼること約600年前の14世紀後半に、当時の琉球国王察度王が官生──いわゆる留学生ですね──を国子監──これは大学です──へ派遣したことに端を発しているものと考えます。今さらながら先人たちの先見の明にただただ敬服するばかりであります。
 しかし現代においても、いまだに人材育成を叫び続けなければならない現状を見ました場合、どうしてという疑問を持たざるを得ません。第2次世界大戦後27年間という長きにわたって米国施政権下に置かれ、本土に比べ教育施設や港湾、道路などの基盤整備がおくれたために本土復帰後はハード面の整備に力を入れざるを得なかったのは理解できるが、余りにもソフト面がおろそかにされ過ぎた嫌いがあります。
 我が沖縄県が自立経済を確立し大きく発展していく条件は、国際的に通用する人材を多数育成することと、国際中継貿易を目指し、それを実行できるかどうかにかかっていると言っても過言ではないものと考えます。いずれにいたしましても、物をつくるのも人、機械を動かすのも人、人をつくるのも人であります。
 そこで次のことについてお伺いいたします。
 (1)、国際交流・人材育成財団の海外留学生は年間何人派遣しているか。またその費用は幾らか。
 (2)、過去10年間の推移はどうなっているか。
 (3)、今後の方針はどうか、お伺いいたします。
 大きな6番、雇用対策についてお伺いいたします。
 12月末現在の完全失業者は5万4000人で失業率が8.7%となっており、本土が4.8%ですから約2倍近い数値であります。1人でも多くの若者が就労できるような抜本的な対策が必要であります。
 そこで次のことについてお伺いいたします。
 (1)、どのような若年労働者の雇用対策を行っているか、事業名、その他を具体的に御説明ください。
 (2)、企業誘致のためにどのような事業を行っているか、また税制面の優遇措置はどうなっているか。
 (3)、本土復帰以来、積極的な企業誘致活動を展開しているが、一向に大きな成果が上がらない要因は何か。
 大きな7番、我が会派の代表質問に関連してお伺いいたします。
 (1)、国連アジア本部の誘致について。
 ア、政治的課題であり、知事が国連関係者及び国連に大きな影響力を持つ 米国やアジア諸国への働きかけができないか。
 イ、庁内に向けたプロジェクトチームをつくり、調査及び誘致計画につい ての取り組みが必要だと考えるがどうか。
 ウ、ジュネーブが多くの国連機関及び国際機関を誘致した経緯や波及効果などについて調査・研究することが誘致への大きな一歩となると思うがどうか
 (2)、基地問題について。
 基地の過重負担解消のために施設及び兵力の削減を求めている。このことは、世界情勢の変化とともに歴史の流れであると認識する。よって、施設及び兵力の削減を進める上で基地の再編統合という選択肢も考えられるが、そのことを日米両政府に働きかける考えはないか。
 (3)、沖縄振興新法及び新計画について。
 沖縄振興新法及び新計画が沖縄における国家百年の大計の集大成となるためには、経済活動面においては一国二制度的な大胆な発想での取り組みがあっていいと思う。また県民の主張と自主性を尊重し、県民各位の声を反映した新法、新計画にしていただきたいと思うがどうか。
 以上、大きな7項目について質問いたしましたが、答弁の内容によっては再質問をさせていただきます。
○知事(稲嶺惠一) 前島明男議員の御質問にお答えいたします。
 最初は本県の行財政改革について、本県の財政状況をどう認識しているかについてお答えをいたしたいと思います。
 本県の財政状況は、歳入面では自主財源の柱である県税収入の歳入総額に占める割合が低い状況にあり、財源の大半を国庫支出金と地方交付税に大きく依存している状況にあります。
 一方、歳出面では人件費の割合が他県に比べると高く、財政の弾力性を示す経常収支比率も平成11年度決算では90%となっており、一般的に70%から80%が適正とされていることからすると、依然として厳しい財政状況にあります。こうしたことから、行政システム改革大綱に盛り込まれた財政健全化策を着実に推進するとともに、中長期的には本県経済の活性化に結びつく産業振興施策を推進して税源の涵養を図っていきたいと考えております。
 次は雇用対策について、企業誘致のためにどのような事業を行っているか、また税制面の優遇措置はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 企業誘致活動の推進につきましては、マスコミを活用した広報活動を積極的に行ったほか、東京、大阪、台北市などで企業誘致説明会を開催してまいりました。説明会への出席企業は年々増加しており、沖縄への関心が高まっております。これらの説明会で新たに関心を示した企業に対しましては、東京・大阪事務所に配置した企業誘致対策監を中心に積極的に企業訪問を行うなど沖縄への進出を促しているところであります。
 また、企業誘致活動はトップセールスが重要でありますので、私みずから企業誘致説明会等において企業に対し本県への進出をお願いしております。
 優遇措置につきましては、特別自由貿易地域に適用される法人税の35%控除制度を初め幾つかの税制上の優遇措置が講じられております。県としましては、今後とも積極的に企業誘致活動を行い、企業の立地を促進し新たな雇用の機会を創出してまいります。
 次に、我が会派の代表質問に関連して、施設及び兵力の削減を進める上で基地の再編統合という選択肢も考えられないか、日米両政府に働きかける考えはないかとの御質問にお答えいたします。
 海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減は、沖縄県民が背負っている過重な基地負担の軽減を図るため、在沖米軍兵力に占める存在が大きい海兵隊を中心とした兵力の削減を県民の基地負担の軽減というトータルな視点から求めるものであり、SACOの実施は主に基地の面積の面から、海兵隊を含む米軍兵力の削減については主に兵員の数の面から県民の基地負担を軽減するものであります。
 議員御指摘の兵力の削減に伴う基地の再編統合については、外交・防衛の当事者である日米両政府間で兵力削減の具体的な方法や内容が協議される中で検討されるものと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 基地問題について、那覇港管理一部事務組合はいつ立ち上げるのか、また今後のスケジュールはどうなっているかについて一括してお答えいたします。
 組合設立については、まず県、那覇市、浦添市による「那覇港管理一部事務組合設立に関する推進協議会」を設置し、諸課題を総合的に検討・調整して3者覚書を締結します。
覚書締結後、国との事前協議、3者それぞれの議会へ組合設立議案の提案、協議書の締結を経て国へ設立許可申請し、許可を得て組合を設立することになります。その一連の調整、手続を進める中で設立時期を見きわめていきたいと考えております。
 次、同じく基地問題について、立ち上げに障害となっているものは何か、その解決方法は検討されているかについてお答えいたします。
 一部事務組合の設立に向けての課題としては、港湾施設・財産の移管、債権・債務の承継、組合経費の負担割合等が挙げられます。また、那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として開発整備するためには多大な事業費が必要となることから、その財源をいかに確保するかが課題になると考えております。
 これらの課題の解決策といたしましては、3者で構成する推進協議会を早急に立ち上げ、その中で総合的に検討・調整し財源措置等国の支援策について連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、同じく基地問題について、浦添市西海岸開発の展望について問うにお答えいたします。
 那覇港国際流通港湾計画(素案)の中で、浦添埠頭地区においては、大水深岸壁や国際海上コンテナターミナルの整備及び自由貿易地域の指定により国際物流産業や加工交易型産業を展開する計画であります。また、コースタルリゾートや国際クルージング基地を整備することにより、観光産業の活性化を図ることとしております。さらに国道58号の慢性的な交通渋滞を解消し、円滑な物流を担う西海岸道路を整備することとしております。
 これらの事業展開は、本県経済の自立化に大きく寄与するものであり、那覇港の開発整備に共通認識を持つ那覇市長、浦添市長の誕生によりその実現に向けた展望が開けるものと考えております。今後、両市と連携を図りその実現に向けて積極的に取り組んでいく考えであります。
 次に、北部振興策について、北部全体として目玉になるような事業が必要だと考えるがどうかについてお答えいたします。
 北部振興事業は、産業の振興、雇用の拡大、定住人口の増加につながる事業分野において広域的な事業効果が期待できる事業や、複数の事業の連携により相乗効果が期待できる事業などを中心に地元市町村が主体となって実施することを基本としております。
 また、複数市町村にまたがる事業については、広域市町村圏事務組合や県が事業主体となって取り組むこととしております。現在、地元市町村においては基本方針に基づき山との共生ゾーン、広域都市拠点ゾーンなど4つのゾーンの特性を踏まえ、それぞれのゾーンの地域資源を活用した振興事業のあり方について調査を行っております。県としましても、その結果を踏まえ、より効果的な広域事業が実施できるよう地元市町村と連携を図りながら取り組んでいきたいと考えております。
 次に、我が会派の代表質問に関連しまして、国連関係者等への働きかけができないか、プロジェクトチームをつくり取り組みをすることについて、ジュネーブが国連機関を誘致した経緯等について調査・研究してはどうかについて一括してお答えいたします。
 本県に国連機関を誘致することの可能性を検討する一環として、平成13年度に国連機関が設置されている地域を調査する予定であり、その中でジュネーブにおける国連機関及び国際機関を誘致した経緯や波及効果等についても調査することとしております。国連関係者等への働きかけやプロジェクトチームの設置につきましては、当該調査や国の調査などを踏まえ今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、同じく我が会派の代表質問に関連しまして、新法・新計画には一国二制度的な発想があっていいと思うが、県民各位の声を反映した新法・新計画にしてはどうかについてお答えいたします。
 沖縄振興新法及び沖縄振興新計画については、特別自由貿易地域制度や沖縄型特定免税店制度など沖縄振興開発特別措置法に盛り込まれている本県独自の施策・制度の拡充に加えて、本県の地域資源や特性を生かした活力ある民間主導の自立型経済の構築に向けた民間経済活動等の支援や基地跡地の有効利用の推進等の新たな施策や特別措置が盛り込まれるよう努めていきたいと考えております。
 県では、「新たな沖縄振興に向けた基本的考え方」の案を3月末までに取りまとめ沖縄県振興開発審議会に調査審議をお願いするとともに、県議会を初め関係団体、県民各層の御意見を広く聴取し6月には県の考え方を決定して国に提示していきたいと考えております。
○総務部長(與那嶺恒雄) 本県の行財政改革について財政状況は改善されているのか、今後の財政状況はと、平成13年度予算における財政健全化の取り組み状況についてお答えいたします。
 本県の財政状況は依然として厳しいことから、これまで事務・事業や補助金等の徹底した見直しを行うとともに、勧奨退職の積極的な実施や期末手当の削減等により歳出の縮減に努めてきたところでございます。この結果、本県の経常収支比率は平成10年度の93%に対して平成11年度は3ポイント改善され90%となっておりますが、依然として硬直化している財政状況にあります。
 今後の見通しについては、最近の数次にわたる経済対策等の財政需要の増加に伴って多額の県債が発行されたことによって県債の残高が平成11年度末で5955億円に達し、公債費比率も年々上昇する傾向にあります。また今後、復帰前後に多く採用された職員の退職が平成19年度に集中し、その退職金が多額に上ることが懸念される状況にあります。
 こうしたことなどから、平成13年度予算の編成に当たっては、「沖縄県行政システム改革大綱」に基づき県税や使用料及び手数料等の自主財源の確保に努めるとともに、事務・事業の見直しによる経常経費の節減や大型箱物施設整備の凍結等による県単独事業の抑制を図りました。
 また、国の経済対策関連などの地方交付税措置のあるものを除いた県債の発行を大綱で定めた250億円以下に抑えるとともに、収支不足に対応するための財政調整基金や減債基金等からの取り崩し額も前年度より縮減するなど、将来の財政運営に配慮しながら財政の健全化に努めました。
 次に、行政評価システムの概要、効果等についてお答えいたします。
 行政評価システムは、県の仕事の目的や成果を数値目標も含め県民にわかりやすく示すことにより開かれた県政の推進に資するとともに、予算や人員を「行政目的のための手段」として位置づけ、業務の成果を検証・評価し、その結果を反映した見直しを行うことにより職員の意識を「手段主義」から「成果主義」へと改革していこうというものでございます。
 現在、行政評価システムを導入した40課においては、県のホームページへの掲載や行政情報センタ-での閲覧による県民公表へ向け取り組んでいるところでございます。また、新年度においては本庁すべての課について同システムを導入するとともに、本年度導入した課については内容の一層の充実を図っていきたいと考えております。
 次に、外郭団体の整理統合についてお答えいたします。
 公社等外郭団体の整理統合については、平成8年度に沖縄コンベンションセンターなどの3団体を統合して「沖縄観光コンベンションビューロー」を、社会福祉振興基金と長寿社会振興財団を統合して「いきいきふれあい財団」を設立いたしました。
 また、平成9年度から平成12年度には沖縄県農林漁業技術開発協会を廃止したほか、国際交流財団と人材育成財団を統合して「国際交流・人材育成財団」を設立するなど12団体を対象に統廃合を実施したところでございます。今後とも行政システム改革大綱に基づきその社会的な役割や事業内容、事業効果等を勘案し再編統合を検討してまいりたいと考えております。
 次に、第三セクター方式について、今後の方針についてお答えいたします。
 第三セクターは、県が市町村や民間と共同で出資し、県民ニーズが多様化するのに伴い民間の効率的な経営手法を活用し、公益性の高い事業を柔軟かつ機動的に推進するために設立されたものでございます。しかしながら、設立された法人の一部にあっては厳しい経営状況にあることなどから、そのあり方について改めて見直しを行い経営改善や統廃合を進めることとしております。
 今後、県が新たに第三セクターを設立する場合においては、県の行政施策との関連や設立目的を明確にし採算性の確保、県の責任範囲、財政支援のあり方等についてあらかじめ関係者と十分な調整を行うなど総合的かつ慎重な検討が必要であると考えております。
 また、設立後においても事業及び運営が健全に営まれるよう指導監督を徹底するとともに、法人の経営状況及び県の財政支援などに関する県民の理解を深めるため、経営内容や県の財政支援に関する情報の積極的な開示を行う必要があると考えております。
○教育長(翁長良盛) 前島議員の御質問にお答えいたします。
 まず、宮古養護学校、大平養護学校の寄宿舎閉舎計画は、障害児の父母や子供たちを初め多くの県民の反対や県議会が全会一致で閉舎反対決議をしたことなどで凍結されているが、その後の経過をお伺いしたいという御質問にお答えいたします。
 宮古養護学校、大平養護学校の寄宿舎の閉舎計画の閉舎反対の陳情案件が平成9年6月議会において全会一致で採択されたことにつきましては重く受けとめております。
 県教育委員会におきましては、その間、沖縄盲学校高等部保健理療科の専攻科への移行、那覇養護学校の高等部の設置、桜野養護学校の本校化及び高等部の設置、美咲養護学校の幼稚部の設置、泡瀬養護学校の高等部の設置を行い、特殊教育の充実に努めてきたところであります。本県における県立特殊教育諸学校の寄宿舎については、児童生徒の通学困難を軽減するため今後とも整備を進めていきたいと考えております。
 なお、大平養護学校と宮古養護学校の寄宿舎の存続の問題については、保護者を初め関係者との話し合いを重ねて次期編成整備計画に位置づけられるよう庁内で検討を進めているところであります。
 次に、これらの寄宿舎の目的と使命を県はどう理解しているのかという御質問にお答えいたします。
 寄宿舎の目的につきましては、児童生徒の通学等の困難を軽減するため設置され、入舎した児童生徒に食事指導、排せつ指導などの基本的生活習慣などの指導や遊びの指導などを行っております。その中でも児童生徒が寄宿舎の生活を通して基本的な生活習慣の形成、集団生活を通して社会性の形成や余暇利用など成果を上げております。
 次に、これらの寄宿舎は障害児にとってはなくてはならない施設だし、老朽化していくので早期に改築すべきだと考えるがどう考えるかという御質問にお答えいたします。
 本県特殊教育諸学校の老朽化した寄宿舎につきましては、その居住環境の整備、安全管理について万全な対応に努めているところであります。
 ちなみに県立大平養護学校寄宿舎では、平成11年度は2階トイレの防水工事、厨房屋上防水工事、アルミサッシ改修、平成12年度はトイレ修理、アルミサッシ窓枠の修理等を行っております。
 宮古養護学校寄宿舎では、平成11年度は寮母の執務室の拡張工事、平成12年度はプレイルームの床張りかえ工事及び照明設備の補修工事を行っております。
 次に、人材育成に関連いたしまして、国際交流・人材育成財団の海外留学生は年間何人派遣しているか、またその費用は幾らかという御質問にお答えいたします。
 沖縄県国際交流・人材育成財団が行っております平成12年度海外留学生派遣事業と派遣人員は、国外留学生派遣事業が24人、研究助成事業が10人、高校生の国外留学生派遣事業50人、沖縄県人材育成海外派遣事業が10人、沖縄県同時通訳者養成事業が21人の合計115人を派遣しております。その予算総額は4億1089万6000円であります。
 次に、過去10年間の推移はどうなっているか、また今後の方針はどうかという御質問は一括してお答えしたいと思います。
 沖縄県国際交流・人材育成財団が県費で実施してきた海外留学事業は、年度によって若干の変動はございますが、毎年国外留学生派遣事業30人、高校生の国外留学生派遣事業10人及び研究助成事業10人の合計50人程度を派遣しております。
 海外留学事業の過去10年間の予算は、平成3年度7346万9000円でありましたが、その後年々その拡充を図り、平成12年度においては1億6612万5000円となっております。今後とも海外留学生の派遣に係る事業につきましては、引き続きその充実を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○商工労働部長(當銘直通) 雇用対策についてのうち、若年者の雇用対策についてお答えいたします。
 15歳から29歳の若年者の平成12年平均の完全失業率は14.3%と前年に比べ1.1ポイント改善したものの、依然として厳しい状況が続いております。
 このため、県においては沖縄労働局等関係機関と連携し、新規学卒者を対象とした県内外企業の合同面接会の開催や県外企業における職場体験実習の実施等のほか、若年求職者を対象とした職業能力開発支援事業等を実施しております。特に今年度は、大学生等の県外企業へのインターンシップ事業の実施や県立高校24校に就職促進相談員を配置する等対策を強化しているところであります。
また、「沖縄若年者雇用開発助成金」等各種の雇用支援制度の説明会や相談会を開催し、制度の活用促進に努めております。今後とも沖縄労働局や関係機関との連携を密にし、若年者の雇用対策に取り組んでまいります。
 次に、雇用対策のうち、本土復帰以来積極的な企業誘致活動を展開しているが、一向に大きな成果が上がらない要因は何かについてお答えいたします。
 本県における企業の立地環境につきましては、市場が狭隘であることや本土からの遠隔性による割高な物流コストなどのほかに、関連産業の集積に乏しいなど幾つかの課題が挙げられております。
 これらの課題を踏まえ、平成10年3月に創設された特別自由貿易地域制度や情報通信産業振興地域制度、県単独の助成制度などの各種支援策を活用して積極的に企業誘致活動を展開しております。その結果、平成10年度以降製造業で10社、情報通信産業では26社が立地しており、約2000人の雇用を創出しております。
 しかしながら、本県に進出を検討している企業の中からは自由貿易地域制度の拡充・強化、物流コストや初期投資コストの軽減など、なお幾つかの課題が示されております。県としましては、今後ともこれらの諸課題の改善に取り組み、より積極的に国内外の企業の誘致に努めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○金城 昌勝 通告の順序に従いまして一般質問を行います。
 まず1番目に、市町村の合併についてであります。
 昨年12月に全国町村会は、市町村合併について合併を強制することのないよう要請し、強制を意図した地方交付税算定の見直しを行わないよう求める緊急決議などを採択いたしました。
 一方、国においてはことしの1月の総理の施政方針演説で、「地方分権の推進につきましては、今後とも、国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実確保や、国庫補助負担金の整理合理化等、さらなる推進に強い決意で取り組むとともに、市町村合併の推進など新たな役割を担うにふさわしい行政体制の在り方の問題についても真正面から取り組んでまいります。」と述べられております。
 また、県は、昨年12月に県市町村合併促進審議会に53市町村を12にするなど市町村合併の推進のための要綱案を諮問し、ことし1月には平成13年度市町村予算編成説明会で、市町村合併について、県の来年度予算で県市町村合併支援基金の創設や市町村合併促進審議会で要綱策定を行うなどを説明したとのことであります。この経過を評価すると、全国町村会の緊急決議に見られるように、国や県の考え方が必ずしも市町村の理解を得られてない、あるいは考えが浸透してないようで、合併促進が市町村にとっては押しつけであると感じられてもいたし方ないわけであります。
 ところで、市町村の成り立ちはそれぞれの長い歴史の中から生まれたものでありまして、住んでいる者の郷里に対する誇り、愛着に思いをいたさないような合併はどの都道府県においてもあり得ないわけであります。これは、国や県の市町村合併問題の対処の仕方が、この問題に力を入れているのに比較し、情報が行き渡っていないのも1つの原因であろうかと思います。
 全住民の行政をスムーズにかつ効率的に行うために、中学校で習う我が国が近代国家に生まれ変わる大きな変革期である明治維新のときに出された五箇条の御誓文の言葉をかりて申し上げれば、「万機公論に決すべし」との銘を思い出し、市町村や住民に十分な情報を最新のIT技術のインターネット等も駆使し提供してやっていただきたいと提言申し上げます。
 そこでお尋ねします。
 (1)、今の時期に県が市町村合併を推進するための要綱を策定するねらいは何ですか。
 (2)、平成17年までに合併する市町村が有利になるようになっていると伺いますが、その内容はどのようになっておりますか。
 (3)、住民が市町村合併によってもたらされるメリットは何ですか。
 (4)、市町村合併によってもたらされるメリット、デメリットを市町村、県、国のそれぞれのレベルで示してください。
 (5)、市町村の合併は、それぞれの市町村の歴史的な経緯、文化、風土や自然的・地理的条件等が異なる合併は地方自治の根幹にかかわり、将来にわたる地域のあり方や住民生活に大きな影響を与える最重要事項であります。自主的な判断を尊重することが何よりも重要だと私は考えますが、知事の御所見を賜ります。
 2番目に行政改革について。
 平成12年3月、「県民起点の行政」を基本理念に3年間で各種方策を展開するとのことで行政システム改革大綱を決定し、先日、知事の前で各課長がその成果を発表したようであります。行政改革についてはあえて苦言を呈さざるを得ないわけであります。
 県民の視点に立った行政改革をするすばらしい理念でありますが、効果的かつ効率的な行政運営、費用負担の公平化、職員のリストラ等県民の目に触れることは少ないが、大きな効果のある部分だと思われますが、行政改革は県民の目に見える身近なところも着実に行うべきものだと私は思います。いかに立派な計画を立てても県民の最終利益にならないものは何の意味もないことを自覚していただきたい。
 身近なところから例を1つ取り上げますと、県の駐車場は県民の視点に立っていないと言わざるを得ません。出入り口近くの利便性のよい駐車場所はすべて一般県民車両の駐車ができないことになっております。この感覚は全くおかしい。民間企業であれば、そのようなよい場所に客の車をとめさせないで自社車両の駐車場にするようなことはしないと思います。
 また、駐車スペースがあいている場所をわざわざロープを張って駐車できないようにしているところもありますし、「○○課専用」と張り紙をして、来庁した県民が車をとめられないようになっております。県民視点を公務員の視点で文字で書くだけでなく、本当に県民の視点で実践することを希望し、行政改革が本来の目的を達成できるよう希望するものであります。
 なお、行政改革は行政全般に多くの問題点がありますが、今回は次の6点について質問いたします。
 (1)、本県の第三セクターでの法人は幾つありますか。
 (2)、その出資額は幾らですか。また、その経営状況はどうなっておりますか。
 (3)、多くの法人が赤字経営との話もありますが、今後どのような改善策を講じていくか。例えば、マーリンを清算し債権放棄したように傷が浅いうちに対策をとるべきだと思いますが、どうですか。
 (4)、目的を達成した法人に対する出資金の引き上げや、事業目的が達成見込みのない法人については早急に清算手続をすべきと思いますが、どうでしょうか。
 (5)、宮崎県のシーガイアに代表されるように、全国の多くの第三セクター事業の経営が危機的状況にあるとマスコミが報じております。最近、東京都の石原知事が御提言なさっているように、民間資金やノウハウを活用した事業を行ういわゆるPFIを活用すべき時期にあると思いますが、知事の御所見を賜ります。
 (6)、県は昨年行政改革大綱を作成し、その遂行に鋭意努力するとありますが、1年経過した今日、その成果はどのようになっているか、伺います。
 3番目、基地のない市町村に対する行財政支援について伺います。
 昨年4月に開催された県と市町村の行政連絡会議において、町村会会長の宮城篤実嘉手納町長が市町村の共通事項として、「基地のない市町村でも陸、海、空と多かれ少なかれ基地被害がある。基地所在市町村との財政格差が生じ、住民福祉にも大きな支障がある」と、基地のない市町村へ財政措置をするよう強く要望いたしました。
 また、昨年8月に沖縄開発庁や内閣内政審議室の実務担当者らも出席し自民党沖縄振興委員会が開かれ、米軍基地がない14の市町村の首長が意見や要望を述べ、「普通交付税に占める県内の基地関連傾斜配分は約75億円に上るなど、基地の有無によって財政力に格段の違いがある」、「基地被害で実態はほとんど変わらないのに財政上の格差が大きすぎる」という異口同音の意見がありましたので、今回も再度質問いたします。
 (1)、私は、この件につきましては昨年9月の代表質問でお伺いし、知事は、新たな沖縄振興開発計画の中で解決を図るとの御答弁でしたが、それまで待てないのが基地のない市町村の財政状況であります。平成13年度予算においてはどのような措置をとられたか、伺います。
 (2)、基地所在市町村に対する財政措置は基地交付金、普通交付税での傾斜配分等があるようでありますが、平成12年度におけるそれらの項目とその実施主体──自治省、防衛庁、開発庁、沖縄県等であります──並びにその金額は幾らか。また、それらの総額は幾らか。住民1人当たりに換算するとどれだけになりますか、伺います。
 (3)、沖縄に住んでいる者は、上空を飛行する米軍機の騒音など米軍基地から派生するもろもろの被害をこうむっているが、基地のある市町村と基地のない市町村では事実として財政的な不公平が生じております。この狭い沖縄で県民全体にかかる米軍被害を基地ある市町村、ない市町村と峻別できるのか。やはりここは県民全体が不公平のないように考慮すべきであると私は思いますが、知事の政策的な考え方をお伺いします。
 4番目、沖縄の次代を担う人材の育成について質問いたします。
 復帰後30年を経ようとしている今日、道路、港湾、空港に始まり、農業基盤の整備も着々と進捗しており、未来型交通機関であるモノレールの開通も目前に迫り、本県の振興発展は目をみはるものがあります。これらは国の配慮により3次にわたる沖縄振興開発計画の着実な実施のたまものであると考えます。
 沖縄戦の惨禍により一木一草焦土と化し、荒廃した郷土を県民の汗と血のにじむような努力と全国民の力を集めた振興計画により、やや他県並みの産業基盤水準に持ってこられましたが、これからの沖縄を創造しようとするとき、沖縄に何が必要かと考えますと、間違いなく沖縄の次代を担う人材の育成が最も必要であるものと私は考えます。そしてその水準はまだまだ本土と肩を並べる状況にはないと思っております。
 沖縄の次代を担う人材の育成につきましては、多岐にわたる手段、具体的な施策がありそれぞれ強力に実施されておりますが、沖縄の長期戦略的な視野で考えてみた場合、次の2つはぜひ必要と考えます。
 (1)、理工系大学の設置について。
 理工系大学を設置することにより健康食品等本県の特色ある製造業や情報通信産業の振興に大きく寄与し、自立的発展をなすことができると考えております。特に南部地区は人口集積の割合からして大学機関の密度が薄く、そこに理工系大学の設置が必要だと私は考えております。
 知事、ポスト3次振計後の沖縄の経済を民間主導型を目標にされておりますが、それを支えるのは高度な技術であり、そしてこの技術は世界のトップレベルでなくてはならないと私は思うのであります。
 最近、「魚より釣り具がほしい」との名言があります。ことし5月中に策定される予定の21世紀の我が沖縄振興開発計画案のイの一番に人材育成のための理工系大学の新設をぜひ取り入れるべきだと私は思います。
 また、理工系、技術系等の大学設置につきましては、経済界や産業界からの要望もあり、本県の21世紀の戦略としてIT産業や海洋深層水の商品としての開発、健康食品等本県の特色ある製造業の振興に大きく寄与し、自立的発展に大きく寄与するものと確信します。知事もかつて経済界のリーダーのときに同様な意見を新聞で述べられております。
 百年の大計とも言われる人材育成をポスト3次振計の沖縄振興開発計画の中に今取り組まないと、将来に大きな禍根を残すことは明らかであります。このことを考えてみた場合、知事は早急に政策として取り組むべきだと思いますが、知事の決意を伺います。
 なお、大学の新設についてはかなり厳しい状況にありますが、幸い本県には県立大学があります。その中に理工系の学部の新設が可能だと考えますが、知事の御答弁をお願いいたします。
 2番目、法科大学院の設置についてであります。
 本県の法曹人口は、復帰特別措置により復帰時に弁護士資格を持つ人が特別試験で日本の資格を取得したため現在問題化しておりませんが、将来、司法過疎地に陥るおそれがあると言われております。
 県出身の子弟で司法試験に合格するのは過去5年間で何名いたのか。また単純に人口割りで全国対比した場合、何人合格すればその計算になるのか、お伺いいたします。
 平成12年9月に公表されました文部省の法科大学院(仮称)構想に関する検討のまとめによりますと、法科大学院の設置認可は、関係者の自発的創意を基本としつつ、法科大学院の設置に必要な一定の客観的基準(専門大学院の設置基準との関係を明確にする必要があると言われておりますが)を満たしたものを設置認可することとし、広く参入を認める仕組みとするとされております。
 今後、法科大学院を卒業した者でなければ法曹界に進めない状況になっていくものと思いますが、本県における法科大学院の設置に向けた準備あるいは進捗状況はどのようになっていますか、お伺いいたします。
 以上でありますけれども、御答弁の内容によっては再質問をいたします。
○知事(稲嶺惠一) 金城昌勝議員の御質問にお答えをいたします。
 市町村合併につきまして、今の時期に県が市町村合併を推進するための要綱を策定するねらいは何かについてお答えをいたします。
 最近の全国的な市町村合併の機運の高まりの背景には、地方分権の推進や少子・高齢化の進展、介護保険、廃棄物処理問題及び日常生活圏の拡大など市町村行政を取り巻く社会経済情勢の変化があります。これら広域化、多様化する行政需要に的確に対応しつつ行政サービスの水準を維持していくためには、市町村合併を通して行政区域を拡大し、基礎的自治体としての自立性と行財政基盤の充実・強化を図る必要があると考えています。
 そのため、県では市町村合併の議論に資するよう「市町村合併の推進のための要綱」の策定に取り組んでおり、策定後は広く県民に対する情報提供や地域別説明会等を開催するとともに、人的、財政的な支援を行うことによって市町村合併の促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、市町村合併について、市町村合併は自主的な判断を尊重することが何よりも重要だと考えるが、所見を伺いたいとの御質問に対してお答えします。
 市町村合併を進めるに当たっては、御指摘のとおり各市町村の歴史的、文化的な背景等に十分配慮するとともに、地域の将来について十分な議論を行い、地域住民の御理解、御協力を得ながら自主的、主体的に取り組む必要があると考えています。県としましては、このような市町村の取り組みに対し今後とも積極的な支援をしてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 市町村合併についての御質問で、平成17年度までに合併する市町村が有利になるというが、その内容はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
 国においては、平成11年7月に合併特例法の一部を改正し、合併特例債の創設や交付税の合併算定がえの期間延長及び議会議員の退職年金の特例措置などを講じております。さらに今年度は市町村合併推進補助金を創設し、平成17年3月31日までに合併を行う市町村に対する財政上、制度上の支援策を拡充しているところであります。
 また、県においても本県独自の支援策として新たに沖縄県市町村合併支援基金を設置し、同基金を活用した交付金制度により合併準備や合併後の町づくりを支援してまいりたいと考えております。
 次に、市町村合併によって住民にもたらされるメリット、それから市町村合併によってもたらされるメリット、デメリットを市町村、県、国のそれぞれのレベルで示してほしいという2つの御質問に一括してお答えをいたします。
 社会経済情勢の変化に伴い、広域化、多様化する行政需要に的確に対応するため、市町村合併を通して基礎的自治体としての自立性と行財政基盤の充実・強化が図られていくことは、国と地方の共通の目的である国民福祉の増進につながるものであると考えております。
 また、広域的な視点に立った土地利用などによる効果的な町づくりの展開や公共施設の効率的な配置による福祉・保健分野等の充実が図られ、住民が受ける行政サービスの拡充が考えられます。
 一方、合併に際して中心部だけがよくなり、周辺部が取り残されるのではないかなどの懸念される事項が幾つか挙げられますけれども、これらにつきましては合併に取り組む市町村が市町村建設計画の中でバランスある地域の発展を図ることや、合併特例法の一部改正で新たに定められた地域審議会を置くことにより地域住民の声を施策に反映させることで解消されるものと考えております。
 次に、基地のない市町村に対する行財政支援について、その中で基地のない市町村に対して平成13年度予算でどのような措置をとられたかという御質問にお答えします。
 市町村を含めた県土の均衡ある発展につきましては、基地が所在する、しないにかかわらず、それぞれの地域特性を生かした役割・機能を発揮して個性豊かな活力ある地域社会の形成と特色ある産業の振興が図られる必要があると考えております。
 いわゆる基地のない市町村に対する財政支援につきましては、これまで関係機関及び関係団体と協議を重ね検討してきたところであります。今後も引き続き検討してまいりたいと考えております。
 次に、基地所在市町村に対する平成12年度の財政措置でその項目と金額等は幾らかという御質問にお答えをいたします。
 米軍基地や自衛隊基地の所在する市町村に対する国の平成12年度予算措置については把握できておりませんので、平成11年度決算として市町村から報告された数値でお答えをいたします。
 防衛庁関連では、防衛施設周辺整備事業として100億4700万円、総務省関連では、基地に提供されている国有財産や米軍資産が所在する市町村に対し交付される基地交付金等が64億4000万円、基地内の市町村有地に係る貸付収入等が87億5700万円となっております。
 また、基地が所在することにより生じる渉外事務等の財政需要に対処するため普通交付税の基準財政需要額として53億3700万円が算定されております。これらの総額は305億8100万円で、基地所在市町村の住民1人当たりに換算しますと約2万8000円になります。
 これらのほかに「米軍基地所在市町村活性化特別事業」、いわゆる島懇事業が実施されております。
 以上でございます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 行政改革についての、本県の第三セクターである法人数とその出資額及び経営状況について一括してお答えいたします。
 本県が出資している団体は106団体で、平成12年4月現在、沖縄県保健医療福祉事業団へ88億8500万円、沖縄県信用保証協会へ51億9200万円、沖縄都市モノレール株式会社へ18億8400万円など合計310億円余を出資しております。
 全国規模の団体や金融機関等を除き、県が出資比率の25%を超えて出資しているか、または職員を派遣している60団体の経営状況は、平成11年度の決算で申し上げますと、23団体が赤字決算または正味財産が減少しており、その赤字等の合計額は6億1400万円余となっております。
 次に、赤字経営の法人について今後どのような改善策を講じていくかと、目的を達成した法人や事業目的が達成見込みのない法人は早急に清算手続をすべきではないかについて一括してお答えいたします。
 経営が悪化している公社等外郭団体につきましては、公社等外郭団体みずから経営状況の点検評価を行い経営悪化の原因を明確にし、経営の改善に取り組むことが重要でございます。
 経営の点検評価に当たっては、1点目に、設立目的に沿った事業展開がなされているか、2点目に、経営環境の変化に対応した事業内容の見直しがなされているか、3点目に、中長期的な事業計画が策定されているか、4点目に、効率的な事業運営がなされているかなど多様な観点から点検するよう指導を強化してまいりたいと考えております。
 県としましては、行政システム改革大綱に基づき公社等外郭団体のあり方について改めて見直しを行い、役職員数の見直しや事業の合理化、効率化等経営の改善を促進するとともに、目的を達成した法人または達成する見込みのない法人と判断した場合は、組織の統廃合等適切な方法で対処する必要があると考えております。
 次に、行政改革大綱の成果についてお答えいたします。
 県は、昨年3月に沖縄県行政システム改革大綱を定め、平成12年度から全庁挙げて行財政の諸改革に取り組んでいるところでございます。
 例を申し上げますと、1点目に、県の施策及び事務・事業の評価・検証と職員の意識改革のための「行政評価システム」導入に向けた「新行政推進研修」の実施、2点目に、公社等外郭団体の情報開示に向けた研究、3点目に、「沖縄らしい、やさしさと暖かみのある行政サービスの提供」を図るための「かりゆし行政サービス運動」の推進、4点目に、バランスシートの作成や公社等外郭団体に対する財政支援のあり方の検討など財政健全化のための方策、5点目に、「沖縄次世代委員会」の開催、6点目に、885件の事務・事業の見直し等でございます。
 なお、今年度の具体的な成果については、これから取りまとめていきたいと考えております。
 次に、沖縄の次代を担う人材の育成について、県出身子弟の司法試験合格者と本県における法科大学院の設置に向けた準備状況についてお答えいたします。
 過去5年間における司法試験合格者のうち、県出身子弟は毎年2人ないし3人程度の合格者がいるものと思われます。平成12年度司法試験合格者数994人を単純に人口割で計算しますと、10人程度が合格する計算になります。
 本県における法科大学院の設置に向けた準備状況につきましては、琉球大学において積極的な取り組みがなされ、昨年7月には「沖縄における法曹養成と法科大学院」をテーマとしたシンポジウムが開催され、琉球大学法科大学院構想が発表されております。その後、琉球大学においては沖縄弁護士会との定期的な勉強会を持つなどさらに検討を加え、現在は最終的な設置要件等がどうなるかを見守りながら、地方に開かれた法科大学院の具体的な設置に向けて取り組みを続けているところでございます。
 法科大学院構想の基本的考え方については、昨年11月に出された司法制度改革審議会の中間報告の中で示されており、その中で特に地域を考慮した全国的な適正配置に配慮するとされていることから、県としても地域配置等について関心を持っているところであり、今後の司法制度改革審議会や国の動向を見守り、琉球大学等関係機関や民間団体との連携を図りながら琉球大学法科大学院の設置を支援していきたいと考えております。
○企画開発部長(与儀朝栄) 行政改革について、全国の第三セクター事業が危機的経営状況にある中、PFIを活用すべき時期にあると思うがどうかについてお答えいたします。
 県においては、平成13年2月13日にPFI事業導入検討会議を設置し、PFI事業導入に係る基本方針の策定に向けて検討を進めているところであります。今後、基本方針策定の後、他府県における先行事例を参考にしながらPFI事業導入についての議論を深めてまいりたいと考えております。
 次に、基地のない市町村に対する行財政支援について、基地のある市町村と基地のない市町村との財政面での不公平を政策的にどう考えるかについてお答えいたします。
 市町村を含めた県土の均衡ある発展につきましては、基地が所在する、しないにかかわらず、それぞれの地域特性を生かした役割、機能を発揮して個性豊かな活力ある地域社会の形成と特色ある産業の振興が図られる必要があると考えております。新たな沖縄振興計画においては、これまで以上に圏域別振興策が展開できるよう検討してまいりたいと考えております。
 次に、沖縄の次代を担う人材育成について、理工系、技術系の大学の設置について政策的に取り組むべきだと考えるが、知事の所見を伺いたい、また、県立大学2校の中に理工系学部を新設することについて一括してお答えいたします。
 本県の産業の振興を図るためには、理工科系の人材の育成が重要な課題であると考えております。高等教育においては、本県産業の振興を担う多様かつ高度な技術、知識を有する人材の育成を図るため国立高等専門学校の創設が予定されておりますが、第3次沖縄振興開発計画総点検報告書においても、理工系大学の拡充の促進や時代のニーズに対応した特色ある学部・学科の新設等が課題となっております。高等教育機関の充実については、沖縄振興新計画策定の取り組みの中で総合的に検討してまいりたいと考えております。
○金城 昌勝 再質問をいたします。
 本県は、県土が全国の0.6%、人口1%、そして県民所得が復帰30年経ても全国平均の70%と言われております。したがいまして、今後の沖縄振興開発計画の中では民間主導型でやっていくという知事のお考えですけれども、そこでやはり高度な技術を持った人たちがいなくちゃいけないというふうに思います。
 いわゆる国際化時代であります。ハブ空港、ハブ機能を持った港ができますと物の交流、人の交流ができます。そうしますとやはり人材育成が一番大事だというふうに思いますし、将来、沖縄は栄えたけれども、ウチナーンチュはだめだなと言われたら非常に困るというふうに思っております。
 そして知事にじきじきに御答弁願いたいんですけれども、現実の問題は大切にして結構でありますけれども、お互い県民から選ばれた者として中長期的な視野に立っての物の考え方も必要かと思います。そういった意味におきまして人材育成のためにこれから一生懸命計画を立てて、どういう目標を持っていくんだということが私どもに与えられた使命の一つだというふうに思っております。
 かつて私は、西銘知事さんからこういうことを教わりました。一年の計を立てるならば草花を植えなさいと、十年の計を立てるならば木を植えなさい、百年の大計を立てるならば人をつくりなさいというふうに教わりました。
 その百年の大計の人材育成について知事の御所見を賜りたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) それでは、人材育成の個別な話じゃなくて総論で言えとおっしゃいましたので、総論でお話をしたいと思います。
 議員御指摘のように、人材の育成というのはこれから大変重要な要素でございます。これは世界の各国を見ましても人材の育成なくしてはその国の発展はあり得ないわけです。特にこの人材の育成というのは、世界の潮流というのは、流れるのは大変速いもんですから、その時代、時代に応じて的確にどう対応するかということが言えると思います。特に最近は、御指摘のように今理工系のお話がございましたように、ITというのが非常に進んでまいりますと、これは理工系のレベルというのは上げなければならないと。それに同時に伴って行われるIT化によって逆にある種の意味の国際化というのが非常に浸透しておりますので、その辺が大変重要でございます。
 先ほどの御質問の中にも海外の派遣留学生のお話がございましたけれども、従来と違いまして、従来はある意味の比較的学問的レベルの高い方の人材育成というのは優先しておりましたけれども、今後はむしろ自立的経済ということも考えた場合には、ある意味では産業に将来プラスになると、ベンチャーに積極的に取り組んでもらうような私ども人材育成の事業の中で、今回も世界的に有名な研究所にある人を派遣したわけですけれども、今後はその辺も頭に入れながら進んでいきたいと思っております。
 いずれにしましても、その中でやはり県の中でできるだけそういうような根拠を持つことは大変重要でございますので、御指摘のように私どもとしては将来の計画の中でできるだけ県内でも十分に育成できるような体制を整え、しかも将来それが日本だけでなく世界に大きく結びつくような発展をしたいと、このように考えております。
○翁長 政俊 それでは所見を交えながら一般質問を行います。
 私は、平成13年度は沖縄県にとって近年にない重要な年と考えます。復帰後3次28年にわたって実施された沖縄振興開発計画とともに、沖縄3法に基づく各般にわたる本土との格差是正、自立的発展のための基礎条件整備に努めてまいりました。その結果、絶対的に不足していた社会資本の整備はおおむね全国並みの水準に達している反面、最大の課題である産業の振興については計画で期待したほどには進展せず、物的生産部門を中心に計画目標を大幅に下回っております。民間資本のストックも依然として浅く、競争力も低位にあります。
 このような状況のもとで県経済は3K経済と言われ、観光を除く基地、公共事業とも沖縄の経済構造の依存体質を特徴的によくあらわしていて経済の構造改善が強く求められております。
 このような観点から、3次にわたる沖縄振興開発計画の反省と総点検の上に立って21世紀の沖縄像を展望すると、かつて「太平洋のかなめ石」と呼ばれた極東最大の米軍基地が建設された沖縄の軍事的拠点としての役割が強調されてきましたが、冷戦構造が瓦解した今日、在日米軍の75%を沖縄が占めていることに対する沖縄県民の感情は決して穏やかなものではないのであります。米軍基地の整理・縮小・統合は避けることのできない重要政治課題であります。
 一方、「21世紀の国土のグランドデザイン」が示すように、アジアのパシフィック・クロスロードとして「人、物、情報の結節点」として21世紀の沖縄が構築されるべきであります。
 すなわち、国においても沖縄の価値と評価が軍事的役割から経済的、文化的役割へと変化していくことが期待されている今日、沖縄にとって重要なのは沖縄振興新法と同新計画の中にアジア・太平洋の十字路としての沖縄の価値と座標軸をしっかりと定めることが沖縄の21世紀を開くものと確信をいたしております。
 以下、質問を行います。
 沖縄振興新法と沖縄振興新計画についてであります。
 (1)、沖縄県は、第3次沖縄振興開発計画の終了を目前にして残された目標の課題の解決に全力で取り組んでおられます一方で、国に対して新たな沖縄振興のための新法の制定と同新計画の策定を要請しておりますが、沖縄県の21世紀初頭の10年の振興開発を決定する重要なマスタープランであると同時に、3次にわたる沖縄振興開発計画を実施した結果、その総点検の上に立って新法の県案策定が行われるものと思います。基本理念を伺います。
 (2)、高率補助制度の継続について。
 沖縄振興開発特別措置法の最も特徴的な制度が高率補助制度であります。その重要性は、言うまでもなく自主財源に乏しい沖縄県と県内自治体にとっては公共事業の財政負担を軽減してくれるなくてはならない命網であります。また、立ちおくれていた本県の社会資本の整備促進にとっては大きな効果を発揮し、沖縄における振興開発計画の基礎を支える重要な補助制度であります。沖縄振興新法の制定においては高率補助制度の継続が最も必要と考えますが、知事の御所見を賜ります。
 (3)、沖縄振興新法と沖振法のあり方について。
 沖縄振興新法の策定に当たって、沖縄振興開発特別措置法第3章に定める、産業振興のための税制上の特別措置条項に既に制度の疲労を来して活用するのにぐあいの悪いものがあったり、制度はあるものの政令や規則、通達等の規制で縛り、実際には運用できない制度があります。例えば第21条の「指定業種に属する中小企業等の課税の特例」がそれに当たり、見直し削除を行ってもよいものと私は考えております。
 一方、沖縄県の新たな振興策は「選択」と「集中」をキーワードにして地域資源や特性を生かした優位性が発揮できる産業分野を重点的、戦略的な振興策を展開し、民間活力を十分に引き出すことが可能な振興新ビジョンを支援する県素案作成になるものと期待をいたしております。
 沖縄振興開発特別措置法における税制上の特別措置の中で見直しが求められるものと、新法に新たに追加するものがあると考えますので、県の考えをお聞かせください。
 (4)、自由貿易地域と特別自由貿易地域について。
 沖縄が目指す自立経済の確立のためには、物的生産部門の強化策を重点に加工交易型産業の振興と国際物流拠点の建設を図ることが極めて得策であります。そのためにも自由貿易地域、特別自由貿易地域制度の拡充・強化は不可欠と考えます。
 次の措置を国に対し新法に設置させる強い知事の決意を伺います。
 1つ、輸入貿易管理令の適用除外(輸入の自由化)、2、関税法及び消費税法の一部適用除外、3、税制優遇措置を特別自貿で拡充する、4、サブゾーン制度の創設。
 次に、特別自由貿易地域の土地の収得、造成や施設・設備、その管理運営を行う特別法人の創設が必要である機能とし、一元的、効率的な事業を行うとともに、資金調達力のある法人が求められております。しかし、国は28条法人に難色を示していると聞き及んでおります。県はどのように対処されるのか、お聞かせください。
 (5)番目に、沖縄経済振興21世紀プランと新計画について。
 沖縄経済振興21世紀プランは、沖縄経済自立化に向けての重点的、具体的な97の事業であります。また、沖縄経済が自立的発展に向けて努力を行っていることを国が支援する目的で策定された事業であります。いずれも沖縄県にとって極めて重要なプロジェクトでありますので、その進捗状況を伺います。
 次に、沖縄経済振興21世紀プランが沖縄振興新計画の中にどのような形で取り込まれて生かされていくのかを伺います。
 次に、基地問題について。
 15年使用期限問題は、国内問題として解決すべきと思います。
 15年使用期限問題を議論する上で前提となるのが、日米安全保障条約を機軸とする日米同盟に伴う米軍基地の提供義務は日本政府がその責任を負うことを確認した上で論議に入らないと本質を見失ってしまいます。沖縄県が求めている使用期限15年問題は、日本政府が責任を持って15年で返還する約束をすることが唯一の解決策であります。
 米国政府の同意については、日本政府が担保すればよいものと私は考えます。日本政府が15年の間に米国政府の同意を責任を持って取りつけることであります。
 また、代替基地問題は、建設期間と使用期限を合わせて25年から30年使用することになります。よって、15年問題は日本政府が政治決断を行い、基地提供の責任を明確にすることで国内問題として政治決着をさせることが重要と考えます。米政府の同意がなければ実効性が失われる云々というのは二次的な問題であって、日本政府と沖縄県がお互いに信頼を明確にし合えるかが最も重要な解決の基盤になるものと私は思います。また代替基地は、建設と返還まで25年から30年を要すると考えられていますので、極東アジアの軍事バランスの変動を初め沖縄県の経済社会環境も視野に入れて、返還時で県民意思が再度反映できるような選択肢も含めてもよいものではないかと私は考えておりますので、知事の見解を賜ります。
 15年使用期限と知事公約について。
 知事は平成11年11月、普天間飛行場の移設受け入れ先に関し、移設候補地をキャンプ・シュワブ制限水域内の名護市辺野古沿岸域にすることを発表、後日の小渕首相との会談で代替基地の軍民共用、米軍の使用期限を15年とすることを要請いたしました。
 それを受けて、岸本市長が普天間代替基地の受け入れを表明、特に15年使用期限問題に対して政府や沖縄県の具体的な取り組みを条件としました。知事はその後、あらゆる機会をとらえて軍民共用と15年問題を政府に強く訴えている旨の発言をされております。しかし政府筋からのコメントは常に慎重で、平成11年12月に閣議決定された移設対策以外新たな提案が示されないまま今日に至っております。
 そこで知事に伺います。
 ボールは日本政府に投げてあるとするのではなくて、知事自身がボールを持っている気概で政治交渉や、知事が持っている豊富な人脈を活用して積極的に行動をなされて問題解決に当たってはいかがかと思います。知事の所見を伺います。
 稲嶺知事の訪米要請について。
 知事訪米に関して最も効果的な時期はどのようなタイミングを判断されているのか。県予算に計上されている以上、その実施時期については明確にすべきものと考えます。また、訪米に際しては意義と目的を明確にすることが必要であります。
 次に、大田前知事は、在職2期8年の間に7回の訪米行動を行い、基地問題の解決、基地返還アクションプログラムに基づく基地返還等を米国政府、連邦議会、軍関係者、民間シンクタンクなどに精力的に行動をされました。
 その一方で、大田前知事の訪米のあり方が日本政府の外交ルートを無視したり、頭越しであったり、ロビイストを使っての直訴型であったり、訪米行動の偽りの報告等が県議会で取り上げられ、訪米要請のあり方とその効果についての苦言が呈されました。
 そこで、稲嶺知事訪米に際して大田前知事との要請方法の違いについて伺います。
 次の(4)番については、多くの議員への答弁でなされておりますので取り下げます。
 次に、(5)番目、沖縄駐留海兵隊のグアム移転について。
 ブッシュ大統領がアジア・太平洋における米軍の兵力構成の包括的見直しを指示したことや、ジョーンズ海兵隊総司令官のグアム訓練移転発言、グアム知事の在沖海兵隊3000人受け入れ意向表明など沖縄にとって歓迎すべき変化であります。
 また、在沖海兵隊の現実は、沖縄で引き起こされる米軍の事件・事故件数の大多数が海兵隊員によるものであります。その中でも新兵に集中しております。海兵隊の新兵の軍事訓練は入隊後6カ月サイクルでシフトされ、沖縄に配属訓練されます。
 また、県民とのトラブルをなくすための教育プログラムも同時に実施されているとのことでありますが、事件・事故は一向に減少しておりません。現実的かつ効果的に事件・事故を削減する手段として手始めに沖縄における新兵の軍事訓練をなくすことであります。幸いにグアムでの軍事訓練の移転の検討もなされていますので、現実性があるものと考えます。
 知事は、国に対し海兵隊の新兵訓練をグアムに移転させる要望を行う考えがありますか、伺います。
 次に、海兵隊のグアムへの兵力移設と軍事訓練移転にかかわり注目を集めておりますけれども、一連の報道以外に実際のところ県ではどこまで事実関係を把握しておられるのか。また、この問題でどのような取り組みをされておりますか、伺います。
 次に、農林水産行政について。
 (1)、農業試験場における研究開発事業で、その技術を民間に移転し企業化が期待されている天敵産業の取り組みについて伺います。
 次に、商工労働行政について。
 (1)、工業技術センターは、県内企業に研究、技術移転等の支援事業を行い地場産業を支えているが、今後の研究及び技術支援の展望を示してください。
 5番、観光行政について。
 (1)、ポスト沖縄サミット事業として県はコンベンションアイランド構想を推進し、国際会議等の受け入れに積極的に取り組んでおられるが、現状はどうか。平成13年度事業計画はどうなっているのかを伺います。
 答弁によって再質問をいたします。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの翁長政俊君の質問及び質疑に対する答弁は、時間の都合上休憩後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午後2時55分休憩
   午後3時20分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 休憩前の翁長政俊君の質問及び質疑に対する答弁を願います。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 翁長政俊議員の質問にお答えいたします。
 最初は、沖縄振興新法と沖縄振興新計画についてでございます。
 沖縄振興新法の県案策定における基本理念と考え方について聞きたいという御質問と、新法策定においては高率補助制度の継続が重要と考えるが、その所見を伺いたいというこの2つの御質問を一括してお答えしたいと思っております。
 県では現在、「新たな沖縄振興に向けた県の基本的な考え方」の取りまとめを進めているところであり、沖縄振興新法の基本理念についてもその中で検討しているところです。
ポスト3次振計においては、活力みなぎる産業が展開する民間主導型の経済社会の構築、アジア・太平洋地域と活発に交流・協力する地域社会の形成、次代を担う多様な人材の育成、安らぎと潤いのある環境と共生した社会の形成、基地の整理縮小と基地跡地の有効活用などを進めるため新たな時代に対応した新たな理念、施策を盛り込んだ振興策が必要であると考えております。このような新たな沖縄振興に向けたハード・ソフト両面にわたる施策を積極的に推進するため、新法においても財政上の特別措置として高率補助制度を講ずる必要があると考えています。
 次に、15年使用期限問題は国内問題として解決すべきで、米国の同意は日本政府が担保すればよいと考えるがどうかについてお答えします。 
 県は、15年使用期限については政府において解決に向け努力されていることは承知しておりますが、基地の提供責任は日本政府にあることから、過重な基地負担を担ってきた県民の意向を踏まえ、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。代替施設の15年使用期限問題については県が移設に当たって整備すべき条件としており、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えております。
 続いて同じく基地問題について、15年使用期限問題でボールは日本政府に投げてあるとのスタンスであるが、公約実現のために積極的に方向を示してはどうかという御質問についてお答えします。
 先ほども述べましたように、15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。15年使用期限問題について、私はあらゆる機会に強く求めていく考えであります。
 次に、訪米の時期や目的、あわせて前県政との違いは何かについて聞きたいということのお答えでございます。
 知事訪米については、できる限り早目の実施を模索しておりますが、ブッシュ新政権のスタッフがまだ固まっておりませんので、そのあたりも見きわめつつ県内外の情勢も踏まえて最も効果的な実施時期を判断する必要があると考えております。
 県としては、基地問題は国の外交・防衛にかかわる問題であると認識しており、その解決に向けてはまず国家間で話し合いがなされるべきであると考えておりますが、基地問題の解決は本県の重要な課題であり、地元の声を米国政府や連邦議会等の関係機関に伝え、理解と協力を要請することは必要であると考えております。
 訪米の際には、海兵隊を含む米軍兵力の削減など基地の整理縮小や日米地位協定の見直し及び普天間飛行場の代替施設の15年使用期限の設定など、本県が抱えている基地問題の解決を日本政府に求めていることを米国政府や連邦議会等の関係機関に伝え理解と協力を要請するほか、米国の代表的なシンクタンクの一つである外交問題評議会から依頼のある講演や企業誘致活動も行いたいと考えております。
 次に、農林水産行政について、天敵産業育成のための研究開発の取り組み状況はどうなっているかについてお答えいたします。
 近年、農業生産現場においては農薬の使用を減らし、環境負荷の少ない天敵などを活用した病害虫防除法への移行が世界的な趨勢となっております。
農業試験場においても、土着の有効な天敵を探索し、効率的な大量増殖法や効果的な利用方法についての研究を進めております。現在、菊、キュウリ、ナスなどの害虫であるミナミキイロアザミウマの天敵アリガタシマアザミウマを天敵農薬として特許申請し、民間企業による農薬登録手続を進めております。また、菊や果菜類の害虫であるマメハモグリバエの有力な天敵としてハモグリミドリヒメコバチの利用が既に実用化し、現場への技術移転段階に入っております。
 3月6日には、民間企業への技術移転の拠点となる環境保全型天敵増殖共同実験棟を農業試験場内に開所する運びとなっております。
我が国で害虫防除に利用されている天敵類は、ほとんどがオランダなどからの輸入種であります。その中にあって本県における天敵産業の育成は、沖縄発の国産技術として産業振興に大きく貢献するものと期待しております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 沖縄振興新法と沖縄振興新計画について、沖縄振興開発特別措置法における税制上の特別措置の中で見直しが求められるものと、新法に新たに追加するものがあると考えるが、県の考え方を伺いたいにお答えいたします。
 沖縄振興開発特別措置法における税制上の特別措置については、特別自由貿易地域制度、情報通信産業振興地域制度、観光振興地域制度、沖縄型特定免税店制度など新たな沖縄振興に必要な項目を沖縄振興新法に継承・拡充していきたいと考えています。
 また、これに加えて民間主導型の自立型経済の構築や基地跡地の有効利用などに寄与する新たな支援措置等が盛り込まれるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、同じく沖縄振興新法と沖縄振興新計画について、沖縄経済振興21世紀プランの97事業の進捗状況と21世紀プランが次期沖縄振興新計画へどのように生かされていくのかについてお答えいたします。
 沖縄経済振興21世紀プランに盛り込まれた97事業については、航空運賃の引き下げ、国際会議の誘致、情報通信産業育成のための施設整備、琉球王国遺産群の世界遺産への登録及び国際化等に対応した人材育成など88項目の事業が着実に実施され大きな成果を上げつつあります。
 本県経済の自立的発展に向けては、21世紀プランの施策を今後とも着実に推進する必要があることから、沖縄振興新計画の産業振興部門に21世紀プランを反映させるとともに、新たな施策についても総合的な観点から検討し新計画に盛り込んでいきたいと考えています。
○知事公室長(親川盛一) 基地問題についての質問事項のうち、沖縄駐留海兵隊の新兵訓練プログラムをグアムに移転要請する考えはないか、また、一連の報道にある軍事訓練のグアム移転問題をどのように掌握しているかという御質問にお答えをいたします。
 沖縄に配備される海兵隊の一部は、部隊配備計画(UDP)に基づき米本国、沖縄の基地及び洋上に展開している米艦隊に6カ月のローテーションで配備されていると聞いております。県としては、ジョーンズ米海兵隊総司令官が下地衆議院議員との会談で、訓練の一部を沖縄からグアムに移すよう検討を指示した旨発言しておりますので、沖縄県民の基地負担の軽減を図る観点から6カ月のローテーション訓練のグアムへの移転についてもその可能性があるかどうか政府を通じて打診しているところであります。
 以上でございます。
○商工労働部長(當銘直通) 沖縄振興新法と沖縄振興新計画についての項目のうち、特別自由貿易地域制度等の拡充・強化策及び管理運営主体の早期設立についてお答えいたします。
 特別自由貿易地域制度について企業等からは、輸入割当制度など各種輸入規制が多いこと、管理運営主体が未設置なこと、物流コストが割高であることなどが指摘されております。このため制度の拡充・強化につきましては、輸入貿易管理令等の適用除外による輸出入規制の緩和や所得控除期間の延長や関税の課税の選択制に係る対象品目の拡大等さらなる制度の拡充・強化が必要であると考えており、沖縄振興新法での措置について国に強く要望していきたいと思います。
 また、管理運営主体については保税貨物の管理や立地企業の操業支援などいわゆるワンストップサービス機能を有し、企業ニーズに柔軟に対応できる強力な権限、財政基盤を持った法人の早期設置が不可欠であると考えております。同法人は、国からの財政支援と税制支援が担保される指定法人とする必要がありますので、その早期設置に向け国との協議を強力に進めていきたいと考えております。
 次に、商工労働行政についてのうち、工業技術センターの今後の研究の展望についてお答えいたします。
 工業技術センターの研究開発等については、健康、バイオ、環境などの関連産業技術の支援に向けた県内の薬草等の生物資源の高付加価値化、産業廃棄物の高度利用、海洋深層水の特性解明等の研究開発とともに、県内企業のリーディングカンパニーを育成するために高付加価値の新製品開発を支援することが重要と考えております。
具体的には、血圧上昇抑制作用を有する米飲料、グヮバやニガウリを有効活用した血糖値改善機能を有する高付加価値製品などの共同開発を積極的に推進しております。
 また、リサイクル産業技術の蓄積を図るプロジェクトの推進については、廃自動車等のシュレッダーダストから電炉助燃剤をつくるリサイクル技術の開発などに取り組むこととしております。今後とも、産学官共同研究事業の推進により県内企業の産業技術力の強化に向けた支援を推進してまいります。
 以上です。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 観光行政について、国際会議等受け入れの現状と平成13年度の事業計画についてお答えします。
 昨年7月の九州・沖縄サミット首脳会合が成功のうちに終了し、本県が国際コンベンション都市として広く世界に発信されました。県といたしましては、現在、サミット受け入れのノウハウを生かして昨年8月に観光リゾート局内に発足させました国際会議等誘致プロジェクトチームを中心に国や関係機関との連携のもと、国際会議を初めとする各種会議の沖縄開催を積極的に誘致しているところであります。
 国際会議を初めとする各種会議の誘致に当たっては、開催事務局への積極的な誘致活動と会議主催者への支援等受け入れ体制の整備が重要なことから、平成13年度においては現行の国際会議等誘致プロジェクトチームを専任体制に移行するとともに、万国津梁館の増設及び沖縄コンベンションセンターのバリアフリー化の推進など受け入れ体制の拡充・強化を図ってまいりたいと考えております。
なお、予約状況といたしましては、平成13年2月16日現在で万国津梁館が国際会議27件、国内会議92件の計119件、コンベンションセンターが国際会議21件、国内会議465件の計486件となっています。
○翁長 政俊 再質問をいたします。
 もうこの時期に来ると、ほとんど基地問題出尽くしておりまして、ちょっと変化球でも投げないといい答弁が返ってこないんじゃないかなと思って変化球を投げさせていただきます。
 知事公約から2年半、受け入れ表明から1年半が過ぎました。私は、もうそろそろ目鼻がある形での解決方法を模索しないといかぬなと正直なところ考えております。
 代替施設協の結論が出るのが、先ほども安里議員からありましたけれども、ことしの夏あたりにはその結論が出てきて位置、工法等の問題も決着がつくものと私は今考えております。
 そういう中で、名護市長が受け入れ条件としたいわゆる国と県とが具体的にこの15年問題、使用協定、さらには軍民共用、こういった問題については具体的に取り組みを名護市は要請しているわけですよ。このことについて知事が、私は先ほども質疑をいたしましたが、積極的に取り上げて頑張っていただきたい。
 そして15年問題を決着するには、いわゆる国が米国政府の同意を取りつけなくても日本国が受け入れを決定すれば15年問題は私はこれは決着するものと思っているんです。ですから議会の中でも再三質疑があったりして、アメリカの同意がなければこれは解決にはならないということには私は当たらないだろうと。
 また、きのう、おとといの質問でしたか、知事のいわゆる記者会見の中で、15年問題の受け入れについてはアメリカ政府の同意があればよいというような発言があったと言われておりますけれども、私はこのことについても、いわゆる知事が希望としてアメリカ政府の同意があればよいというふうに私自身は理解をいたしております。
 そういう観点から、知事が15年問題の不退転の決意を私は再三新たに示すことでこの問題が間違いなく動いていくとこのように思っております。ですから、よって15年問題に関しては日米の同時決着ではなくて、国内問題として日本政府が責任を持って15年問題を受けとめて頑張るという、この部分が日本政府から出てきたときが私はこの問題の決着の時期だと思っておりますので、改めて知事にこの問題は国内問題として処理すべきかどうなのか、知事のお考えがあればお聞かせください。
 そして25年、30年使用の問題ですけれども、これも供用開始から15年というふうに認識しているのかどうなのか、これも明確に答えてください。私は、建設期間を除いて供用開始15年が知事が言う15年問題だと思っておりますので、ひとつよろしくお願いをいたします。
 もう1点、河野発言問題、これは海兵隊の削減問題についてでございますけれども、この河野外務大臣が知事と25日に会談をいたしました。27日の外務委員会で、いわゆる沖縄の基地問題について感情でこういった問題を言われちゃ困るというような発言があったようであります。
 私もこれは新聞報道で見ました。私は沖縄問題というのはこれは何も感情問題じゃないわけですよ。現実に50年のいわゆる基地の過重負担、日本の国にある75%の基地を抱えてあえいでいる沖縄県民の私は実情を外務大臣が当然きちっと認識すべきだと思っています。
 ですから、この認識に立てば私は、県知事は外務大臣のこの発言に対して遺憾の意を表明してもおかしくないと思っています。県民の代表としてこういう気持ちがあるかもお聞かせをいただきたい。
 以上であります。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後3時43分休憩
   午後3時43分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 3点あったと思います。
 1つは、共用かどうかと。
 これはこの席でも今回の議会でも明確に私は発言していますが、15年というのは供用開始後15年です、これはもう……。
 それからもう一つは15年問題についての再度の御質問でございますが、日本政府にあるという。
 先ほども述べましたように、15年使用期限問題については基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。15年使用期限問題について私はあらゆる機会に強く求めていく考えでございます。
 なお、河野外務大臣の発言につきましては、次にお会いするわけですから、そのときに強く私の方からぴしっと申し上げたいと思います。
○伊波 常洋 こんにちは。
 本日のしんがりを務めます。
 質問に入る前に、PRをお願いされましたのでしばらく時間をください。
 なぜかしら私が質問に立つとわかると、銀行の方から2000円札のPRをお願いされるんですけれども、今回もお願いされましたのでちょっとだけ……。
 今こちらに「ニッキン」という新聞があります。(資料を掲示)
 聞きますと、日本の金融関係業者の業界新聞らしくて、「ニッキン」平成13年度2月23日号、つい最近の発刊のやつですけれども、その中に沖縄県内で守礼門の印刷された2000円札がどう流通しているか、どのように流通運動がされているかという記事がありまして、その中に沖縄県議会では2000円札をもっと使おうという提案があったとか、──それは昨年私がやったやつだと思います──それから地元の銀行の行員は給与の一部を2000円札で支給されているとか、あるいは地元の3銀行ともATMで2000円札に対応できるようになっているとかいろいろあります。
 私たち沖縄県民として123運動、県民1人、2000円札、3枚ずつ使ってこの123運動を広げましょう。よろしくお願いします。
 それでは質問に入ります。
 まず初めに、平成13年度の主要施策の中から4点ほど質問をいたしますが、通告してありましたけれども、1点目の沖縄振興新法については今議会で多くの議員の皆様が取り上げましたので、私の質問は取り下げます。しかし要望を1つだけお願いいたします。
 ここにいらっしゃる議員の皆様には、私のような新人を除けばこれまでの3次振計、2次振計にかかわってきた議員の方がたくさんいらっしゃいます。中には、キャリアからして1次振計にもかかわってきた私の後ろの伊良皆議長とか県議会の生き字引外間盛善先生とかは1次振計の方にも携わってきたと思います。ですからこのような諸先輩方議員の皆様のこれまでの経験、見識をぜひ今回の新法の素案あるいは県案策定の段階でこれらの諸先輩の方々の知識、見識をぜひ生かしてほしいことを要望いたします。
 2点目に、観光・リゾート産業振興についてお伺いいたします。
 近年、全国各地においてふるさと体験や自然体験などの体験や交流をキーワードとしたプログラムにより交流人口の増加や地域の活性化を図る滞在型・参加型観光が注目されております。
 実は、私の石川市の嘉手苅という地域にヌチシヌジガマというのがあります。名前のとおり、あの沖縄の戦争中に命をしのいだガマということでヌチシヌジガマと呼ばれているんですけれども、このガマは結構長くて鍾乳洞もきれいです。そのガマ周辺の地権者が今ボランティアで子供たちに沖縄の戦争はこういうものであったと、このようにして私たちはここで命を守ったというようなことで、平和体験学習ということで地権者の方が今ボランティアで子供たちにここを案内しています。
 この洞穴に案内いたしまして、急にろうそくの火を消したり、あるいは懐中電灯の灯を消して30分間、アメリカ軍が来るから静かにしなさい、暗くしなさいということで子供たちに真っ暗やみの中で30分間全く黙らせる体験もさせたりして、子供たちが私たちのお父さんやお母さんはそういうこともしたんだねということで大変貴重な体験をしています。
 そしてこのことが口コミで、あるいは県内にも知れ渡りまして、今では県外から高校生、中学生あたりが修学旅行の一環としてもこのガマをよく訪れたりしています。ただ残念かな、今は地権者の皆様がボランティアでやっているものですから、受け入れ体制は何もできていません。トイレもないし、水道もないし、観光バスが寄せる駐車場もありません。そこら一帯は嘉手苅というんですけれども、そこら一帯にはヤチムンの里もあります。それから原生のヘゴ林もあります。そして沖縄八景の一つであります石川高原という大変景観のすばらしい高台もあります。
 ですから、私が県議になりましてからその辺の関係の皆様から、どうにかここを地元の観光資源として生かせないものかといろいろ私も一緒になって模索していたところなんですけれども、幸い、ことしの主要施策の知事の発表の中で平成13年度より県でもこのような新しい観光形態に対する地域の取り組みを支援するため体験・滞在・交流促進事業をスタートさせますとありまして、大変心強く思っています。
 そこでこの事業の概要をお聞かせください。
 1、補助できるソフト事業、ハード事業にはどのようなものがありますか。
 2、その補助期間、補助額、補助率。
 3、事業主体、事業運営、自治体なんですか、民間なんですか、三セクか、あるいはいずれでも構わないのか、お答えをお願いします。
 次に、観光産業振興としてウェルネス関連施策とあります。
 言葉からして健康あるいは保養をテーマとした観光とあるんですけれども、この健康・保養を観光にどう生かせるのか、具体的にどのように展開していくのか、お聞かせください。
 沖縄の産業は、やはり何といってもこれからも観光が柱になるべきだと私は思っています。県の言う観光客倍増、将来的には1000万人と目標を大きく掲げておりまして大変いいことです。その目標の可能性と実現に向けてのビジョンをお聞かせください。
 観光を定着させ、ふやすためには何といってもリピーターを増加させることが一番です。そのために免税、減税、カジノ等の一国二制度の導入の考えはないかどうか、お伺いをいたします。
 次に、マルチメディア・情報通信産業の振興についてお伺いいたします。
 将来の沖縄は、基地依存、財政依存から脱却するためにはやはり観光産業、そしてこの情報通信産業が2つの柱となって自立できる島ができると私は思っております。
 那覇空港のハブ化、那覇港湾のハブ化、そしてこの情報通信産業のハブと、それこそこれらのハブ構想が実現できればまさしく沖縄はそれこそ「ハブの島」になります。爬虫類のハブは余り歓迎できませんけれども、産業としてのハブはぜひ県としても一生懸命取り組んでいただきまして、自立できる沖縄をつくっていただきたいと思います。その中心、情報産業の柱となるべき沖縄国際情報特区構想についてお聞かせください。
 1、その内容と推進体制。そして今、私たち沖縄はこれまでは離島のハンディということでよく物流コストとか航空運賃の問題とか毎議会のたびに出てきますが、しかしこの情報通信産業に限っては物流ではありませんので、離島というハンディは全くないです。逆に、離島あるがゆえに沖縄の優位性があるとも言われております。情報通信産業において沖縄が持っていると言われております優位性、いろいろあろうかと思いますけれども、教えてください。地理的に、あるいはインフラ等の面で沖縄が他県に比べて情報産業においては優位性があるというところを伺います。
 そしてそのいろんな諸制度、優位性によって大分沖縄にもコールセンターを初め結構情報通信産業が根づいたような気がいたします。今日までの分野別の企業集積状況をお聞かせください。企業数、あるいはそれに携わる就業者数等をお伺いいたします。
 さらには、沖縄が通信情報産業のハブを目指して今後とも企業が進出しやすい条件整備は今後どのように考えておられるのか、あるいは新しい助成制度を考えておられるのかどうか、お伺いいたします。
 そして、先ほども稲嶺知事がおっしゃっていましたけれども、これからは人材育成が一番大事な課題だとおっしゃられていました。情報通信産業においても特に技術を要する産業ですから、この情報産業分野においての特に技術を持つ、スキルを持つ人材育成を今後どうするのか、お答えお願いします。
 そして次にIT講習会、これもことしの重要施策の中にありましたけれども、その受講対象者はどういう方なのか、年齢とかあるいは職層とかもあるのか、そしてどこでどのようにしてやるのか、予算はどうなっているのか等をお聞きいたします。
 4点目に、交通体系の整備についてお伺いいたします。
 まず、都市モノレールについて。沖縄都市モノレールは、平成15年度の開業をめどに工事は順調に進んでいるが、開業後の経営安定を図るためには利用客の安定的な確保が不可欠であります。
 そこで次の点についてお聞きします。
 1、開業後の利用客数と経営見通し。予想でいいです。
 2、その利用客を拡大促進するためにどのような取り組みをなされるのか、お伺いいたします。
 鉄道導入については、もうこれもこれまで多くの議員の皆様が取り上げましたので私は質問はいたしませんが、これも要望としてやはり今この狭い島国で自動車交通だけに頼る、そこから派生してくる慢性的な交通渋滞、それから排気ガス汚染、そういうことを解決するためにも鉄道の利点であります定時・定速・大量輸送。特に私は、もしも沖縄に鉄道が導入できれば間接的に沖縄の夜型社会が大分是正されるんではないかという考えを持っております。
 本土あたりで鉄道あるいは電車を中心とした都道府県は、この電車やあるいは汽車の時間に合わせての生活パターンが定着しています。終電が何時だから、もうここで引き揚げて帰ろうとかいう形で。沖縄も仮に鉄道が導入されれば、ひょっとしてこの鉄道の時間に生活のパターンを合わせた、つまり夜型社会が幾らか是正されるのではないかという私は間接的な期待も抱いております。
 それから、雇用効果にしても、仮に名護―那覇間を中心にして七十四、五キロの延長距離であれば2700人の雇用が見込まれております。これは現在の県内バス4社の従業員数とほぼ同じです。そういう面からしてぜひ沖縄県へも鉄道導入の気持ちを、知事を初め県の方に強く持っていただきますよう要望いたします。
 次に、教育についてお伺いします。
 1点目に、公立小中学校における主要教科での20人授業についてお伺いいたします。
 文部科学省によりますと、進む少子化のため現在のままの少子化傾向が続けば来年度から向こう5年間で職員定数は全国で約2万7000人削減しなければならないと言われております。そのうち本県の削減予測は何名なのか、お伺いします。
 そして、2001年度からこの削減分を主要教科での20人授業によってカバーすると文部科学省は打ち出しています。
 文部科学省によると、すべての授業を学級単位で受けることを原則としている現行の教育方法を見直し、教科によっては少人数のグループ指導も可能にする。その上で少人数授業をする学校への増員を進め、都道府県の運用次第では主要3教科で20人授業が可能になるという。そのためには常勤の教員を非常勤に置きかえたり、教員の持ち授業時間数を平均化するなどの工夫も必要になるという。本県の取り組みはどうなっていますか、お伺いします。
 それから、学校施設の特に県立高校のバリアフリー化についてお伺いします。
 沖縄県福祉のまちづくり条例が制定されておりますけれども、その後の県立高校の新築、改築の施設に関してはバリアフリー化はどの程度進んでおりますか。
 それから、既存の高校でほとんどバリアフリー対応がされてないと思うんですけれども、ことしもそうなんですが、ある工業高校に車いすの生徒が入学します。そのバリアフリー化されてないそういう高校へはどのような対応をするのか、お伺いいたします。
 3点目に、医療・福祉についてお伺いします。
 1点目に、もうこれも嘉陽議員を初め何名かから質問が出ましたけれども、中部病院の勤務体制についてです。
 中部病院は一次・二次・三次医療、24時間救急病院。インターン研修の受け入れ病院と県医療の中心的な役割を果たしています。しかし、その過重な責任ゆえ中部病院医師の勤務体制は16日間連続勤務であるとか、年間当直100回を超えたとか、年間超勤が1000時間を超えたというような過酷をきわめている状態です。これまで改善要求に対して県はどうこたえてきたか、お伺いいたします。
 それから、我が党の嘉陽議員の代表質問の中で、中部病院の医師の数を10人増にするという答弁がありました。大変いいことです。この中部病院の10人の増は、今後の中部病院の多機能病院に対応するためのものか、それとも今回のような悲しい死亡事件もありました、過密状態を改善するための対応なのかのお答えをお願いします。そして今後の改善策もあればお願いいたします。
 次に、中部地区に看護学校の再設立をと中部地区医師会より要望があります。運営はすべて中部地区医師会がやります。用地のめどもついていますが、県の対応は看護職員の需給のバランスがとれているということで設立には否定的であります。
 そこでお聞きします。
 1、向こう5年間の看護職需要数1万5056人とはじき出されておりますけれども、その数字の根拠をお願いします。
 そして2点目に、第4次医療法の改正により、入院患者4人に1人の看護婦または准看配置が、入院患者3人に1人の配置となっております。これだけでも相当の看護婦需要増が予測されるんですが、今回の需要見込み根拠に入っていますか。
 最後に、中部合同庁舎にコザ・石川両保健所が移った後の跡利用計画をお願いいたします。沖縄市あるいは石川市よりどのような使用要望が出されていますか、県の回答をお願いします。
○知事(稲嶺惠一) 伊波議員の御質問にお答えいたします。
 平成13年度の主要施策についてのうち、国際情報特区構想の内容と推進体制についてにお答えいたします。
 沖縄国際情報特区構想は、沖縄の国際情報通信ハブ化を実現し、国内外の情報通信関連企業の誘致促進により沖縄経済を活性化し、雇用を拡大するため国としての具体的な施策を示したものであります。構想では、沖縄経済の活性化のための環境づくりをねらいとして、「アジア・太平洋地域の情報通信拠点形成に向けたグローバルなインターネットエクスチェンジの形成」等5つの方策が示されております。国においては、総務省情報通信政策局内に沖縄国際情報特区推進室が設置されており、国と県が連携し各種施策の具体的な実現を図っているところであります。
 続きまして、同じく主要施策の御質問のうち、沖縄の優位性について(地理的、インフラ等)の御質問にお答えいたします。
 平成12年4月に沖縄政策協議会に提出された「沖縄国際情報特区構想の推進方策等に関する調査研究報告書」等によれば、「沖縄の潜在的優位性」として、1、アジア・太平洋地域におけるポジショニング、2、日本の国際海底光ケーブルの陸揚げは容量比で約4割が沖縄県に集中しているなど、アジア諸国地域との情報通信ネットワークの物理的接続拠点であること、3、豊富な若年労働力、4、豊かな自然環境や亜熱帯海洋リゾートの存在等が挙げられております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 体験滞在交流促進事業の概要について答弁をいたします。
 体験滞在交流促進事業は、市町村が事業主体となり沖縄の特性を生かした滞在型・参加型観光を促進し、地域の活性化を図ることを目的に実施する事業に対して支援するものであります。
 ソフト事業としては、体験滞在プログラムの作成、インストラクターの確保・研修、プログラムの実施準備及びPRのためのイベントの開催等があります。
 ハード事業としては、体験提供施設や宿泊施設の整備があります。ただし、ソフト・ハード一体型かソフト単独の事業を補助対象にしております。
 事業期間は2カ年間でありますが、必要により3年目にイベントの開催が可能であります。
 補助対象事業費は、単年度でソフト事業が上限3000万円、ハード事業が上限2億円となっております。
 補助率については、離島・過疎市町村については国3分の2、県3分の0.6、市町村3分の0.4、それ以外の市町村につきましては国3分の2、県3分の0.5、市町村3分の0.5となっております。
 事業主体及び事業運営は市町村となっております。
 なお、平成13年度当初予算で総額3億6114万3000円を計上しているところであります。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 平成13年度の主要施策についての中の、ウェルネス関連施策とはの御質問にお答えします。
 少子・高齢化社会を迎えた今日、国民の健康に対する意識も変化しつつあります。ストレス社会からの解放を求め、日常生活を離れて自然や人と触れ合うことで心身をいやす健康を意識した観光形態が増加しております。
このような社会的背景を踏まえ、県は沖縄ウェルネスツアー開発事業に着手いたしました。これまで3カ年行動計画の策定、受け入れ総合窓口の設置、モデル事業の実施と評価及び人材育成システムの構築等を実施してまいりました。平成13年度においては、同開発事業をさらに推進するためNPO支援やウェルネスリーダー、プロフェッサーの育成、沖縄ウェルネスツアーに関する情報発信、医学的なモデル事業の実施と評価などを実施し、多種多様な健康ニーズにこたえられる環境づくりを図ってまいります。
 続きまして、同じく平成13年度の主要施策についての中の、将来的に観光客1000万人の可能性と実現に向けてのビジョンについてとの御質問にお答えします。
 将来の入域観光客数の目標やビジョン等については、現在、平成14年度からスタートする次期観光振興基本計画の策定に向けた作業を進めているところであります。当該作業の結果等を踏まえ、平成13年度において策定する新たな観光振興基本計画の中で計画の基本方向や目標フレーム、基本施策の具体的な展開方策等を明らかにしたいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 平成13年度の主要施策について、分野別の企業集積状況、企業数、就業者数、それから企業が進出しやすい条件整備はどうなっているか、さらに今後はどういう助成措置を考えているかについて一括してお答えいたします。
 県におきましては、これまで沖縄県マルチメディアアイランド構想に基づき企業に対する助成として、本土―沖縄間の通信コストを軽減するための通信コスト低減化支援事業や若年者雇用開発助成事業の活用等を行ってまいりました。
 施設面では、デジタルメディアセンターの設置や沖縄市テレワークセンター整備補助事業を実施いたしました。また、人材の面ではコールセンターに働く要員を養成するテレビジネス人材育成事業の実施やネットワーク技術者等の養成に対する支援を行っております。さらに、東京等において企業誘致・プロモーション事業を実施しております。
 このような積極的な企業誘致支援策の結果、平成13年1月末現在、33社が新規に立地し約2800人の雇用が発生しております。
 なお、その分野別の内訳を申し上げますと、情報サービス業で企業数22社、雇用者数2479名、コンテンツ制作業で企業数3社、雇用者数46名、ソフトウエア開発業で企業数7社、雇用者数235名、その他運営管理で企業数1社、雇用者数5名となっております。
 なお、今後の情報通信産業立地を促進する制度については、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」の中で鋭意検討をしているところであります。
 次に、同じく平成13年度の主要施策について、人材育成はどうするかについてお答えいたします。
 情報通信産業の振興を図る上で人材の育成は大きな課題であると認識しております。県では、これまでテレビジネス人材育成事業の実施、IT産業高度人材育成プログラム及び親子ネット事業への支援を行ってまいりました。また、人材育成の拠点として那覇市、石垣市、平良市の3カ所に各種の最先端の情報機器を備えたマルチメディアセンターを整備しております。
 県におきましては、IT革命の進展やマルチメディアアイランド構想の進捗を踏まえ、今後さらなる情報通信産業の振興を図るために情報通信分野の人材育成に関する基本方針を取りまとめているところです。この基本方針に基づき国や県内の関係機関と検討を進めていきたいと考えております。
 それから、同じく平成13年度の主要施策について、IT講習会の受講対象者は、またその手段等はどうなっているかについてお答えいたします。
 IT講習事業の受講対象者は、県内在住の20歳以上の成人を対象に約5万人の受講者を想定しております。講習は1講座20人程度で、受講時間は12時間を目安としており、受講場所は小・中・高等学校や公民館及び民間施設等であります。事業実施主体は県及び市町村で、講習費用は全額国からの交付金で充てられるものであります。また、本県の予算額は6億5800万円となっております。
 以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 平成13年度の主要施策についてのうち、モノレール開業後の利用客数等経営見通しをどのように考えているかとの御質問にお答えいたします。
 平成15年度のモノレール開業時の利用客数は、1日当たり約3万5000人と予測しております。これは、パーソントリップ調査やバス利用実態調査及び先進都市輸送実績等を踏まえて検討した需要推計結果となっております。これに基づく収支計画については、損益ベースでは単年度で開業後10年目、累積では開業後25年目に好転するものと見込んでおります。
 同じくモノレールの利用促進を図るためにはどのような取り組みをしていくのかとの御質問にお答えいたします。
 開業後の健全経営を図るためには、県民・市民に親しまれ、広く利用されることが必要であります。
 モノレールの利用促進を図るため、空港や病院等との連絡デッキや壺川駅と奥武山公園を結ぶ歩行者専用橋等の駅周辺施設の整備について計画しております。各駅においては、利用客の利便性を図るためエレベーターやエスカレーター等の施設整備に取り組んでいるところであります。また、バスやタクシー等との乗り継ぎを円滑に行うため、おもろまち駅や赤嶺駅、小禄駅等の主要駅において交通広場の設置を計画しております。
 ハード面の施策のほかにソフト面の施策につきましても、駅周辺における利用客の案内誘導のためのサイン標識の設置及びバスとの共通乗車券や誘客を目的とした各種イベントの開催等について検討を進めております。
 以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 伊波議員の御質問にお答えいたします。
 まず、少子化のため教職員定数が来年度からの5年間で全国で約2万7000人の削減になるが、そのうち本県の削減予測はどのくらいかという御質問にお答えいたします。
 平成13年度から平成17年度までの5年間で、小学校児童およそ2700人の減、中学校生徒5400人程度の減、合計8100人程度の児童生徒の減少を見込んでおります。それに伴う教職員定数の自然減として小学校教職員160人程度の減、中学校教職員310人程度の減で合計470人程度の減を予測しております。
 次に、2001年度からこの削減分を主要教科での20人授業によってカバーすると文部科学省は打ち出している、本県の取り組みはどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 県教育委員会といたしましては、基礎学力の向上を図り、きめ細かな学習指導を実現するため第7次配置改善計画の趣旨を踏まえて小学校低学年で国語、算数、中・高学年で国語、算数、理科、また中学校で数学、英語、理科の教科においてグループ学習、習熟度に応じた学習等20人程度の少人数授業が年次的に実施できるよう関係部局と調整をしながら教職員配置改善計画を進めてまいりたいと考えております。
 なお、平成13年度においては小学校では45人程度、中学校では30人程度、合計75人程度の教員を配置し、少人数授業が実施できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県立学校の新築、改築の際に施設の整備やバリアフリーとしているかという御質問にお答えいたします。
 県立学校の新築事業などに際しましては、平成10年4月から施行された沖縄県福祉のまちづくり条例などの規定に沿い、高齢者や身障者も円滑に利用できるよう身障者トイレやスロープ、手すりを設置するなどの整備を行っております。今後も学校施設の整備に当たっては、開かれた学校づくりの一環としてバリアフリー対策に取り組んでいきたいと考えております。
 最後に、障害のある生徒が既設の県立高等学校に入学する際の施設の応急的な対応についてという御質問にお答えいたします。
 既設の県立高等学校に障害のある生徒が入学する際におきましては、本人の体験入学等を通して施設の状況を確認してもらい、学校生活への負担の軽減を図るためこれまでも身障者用トイレへの改修、スロープ設置、手すり設置等の対策を行っております。
 なお、平成9年度から平成12年度にかけて11校において施設の改修を実施し、平成13年度の入学生対策として2校の整備を予定しております。
 以上でございます。
○病院管理局長(新田宗一) 医療・福祉についての御質問で、中部病院の医師の勤務体制は過酷をきわめている、改善要求に対して県はどうこたえてきたかとの御質問にお答えいたします。
 県立中部病院の医師の勤務状況は、特に産婦人科、小児科及び麻酔科等の特定の診療科において超過勤務時間数が多いなど厳しい状況となっております。これは中部病院が24時間体制で三次医療対応の救命救急医療を担っていることや、ICU、NICUなど重篤患者が多く入院している状況から、常時多くの医師が救命救急センターや病棟で診療日以外においても宿日直に当たっているという中部病院の特殊性があることも御理解いただきたいと思います。
 県におきましては、これらの状況の改善に向け平成13年度に10人の医師の増員を図っていきたいと考えております。この10人のうち5人は小児科、産婦人科で、これは周産期センターへの対応と業務改善を含めたものでございます。ほかは整形外科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、麻酔科等で業務改善への対応でございます。
 なお、今後は中部病院の業務状況を改善するとともに、中部地域における医療の安定確保を図るため民間病院と県立病院の役割分担等について医師会等関係機関と協議し、相互の連携を図りつつ地域住民の理解と協力を得て県立病院のあり方について検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 医療・福祉について、中部地区に看護学校の再設立をとの中部地区医師会よりの要望があるが、県の見解はどうかとの御質問にお答えいたします。
 医師会等の各関係団体で構成する看護職員需給検討会議におきまして、県が実施しました実態調査の結果等を踏まえまして検討し、平成12年度に沖縄県看護職員需給見通しを策定しております。これによりますと、向こう5年間の見通しでございますが、平成17年度におきましておおむね需給のバランスがとれるというふうに予測しております。
 少し内訳を申し上げますと、平成17年度における需要が1万5056人に対しまして、供給が1万5012人で44人の不足と。これは平成13年度の1万3601人の需要に比べまして1455人の増加を見込んでいる数字でございます。
 この需要数を見込むに当たりましては、複数夜勤体制の実施や、医療法改正に伴い入院患者が4人に対し看護職員1名の配置から、入院患者3人に対し看護職員1名を配置するなどの点を考慮に入れております。
 さらに、手厚い看護体制を実現できるというふうな職員数を見込んでいるわけでございますが、勤務条件の改善におきましても週40時間の労働制、産前産後休業及び育児休業の全員取得、年次有給休暇や介護休暇等を容易に取得できる職員数というものも見込んでおります。
 さらに、介護保険制度の実施に伴います需要、それから本県の離島医療の充実に伴う需要、医療事故防止の推進に伴うリスクマネジャーの配置、企業等の職員の健康管理を行う産業看護婦の配置等についても見込んだ数字でございます。
今後の需給の見通しにつきましては、看護学校の卒業生の就業状況とか、県外からの流入数の点検を行うとともに、地域及び医療機関の間における看護職員の偏在等につきまして、医師会等の各関係団体と意見交換しながら需給検討会議で検討していくこととしております。
そのような中で、看護婦等の養成につきましては学科や学生定員の見直し等を含め、中部地区への看護学校の設置につきましても引き続き検討していきたいと考えております。
 次に、中部合同庁舎にコザ・石川両保健所が移った後の跡利用についての御質問にお答えいたします。
 コザ保健所と石川保健所につきましては、中部合同庁舎福祉・保健所棟への移転を平成13年度後半に予定しております。
 その後の跡利用につきましては、コザ保健所は借地であることや建物の老朽化が著しく、跡利用が困難であるため建物を取り壊すとともに、土地を地主へ返還したいと考えております。
 また、石川保健所は県有地であることや建物の状態が築20年で有効利用が可能と考えております。石川保健所の跡利用計画につきましては、部内に跡利用計画検討会を設置し、地元市町村など幅広い意見を聞きながら計画を進めたいと考えております。
 なお、有効利用の検討に当たりましては、中部地区の保健・福祉関係の向上が図られるように保健衛生関係施設や福祉関係施設を中心に検討していきたいと考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで全部終了いたしました。
 次会は、明2日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後4時31分散会

 
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