平成13年(2001年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 6月21日
 


○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 6月19日、池間淳君外12人から、議員提出議案第1号「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」の中に国等発注公共工事の県内建設業者及び同関連業者に対する優先的な受注機会の確保を求める決議の提出がありました。
 次に、説明員として出席を求めた地方労働委員会会長垣花豊順君は、所用のため本日、明日及び6月25日から27日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長名幸宏明君の出席を求めました。
 また、人事委員会委員長新崎盛善君は、所用のため本日、明日及び6月25日から27日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として人事委員会事務局長新垣良光君の出席を求めました。
 その他の諸報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
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   〔諸般の報告 巻末に掲載〕
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○議長(伊良皆髙吉) この際、念のため申し上げます。
 本日、明日及び6月25日から27日までの5日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 議員提出議案第1号 「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」の中に国等発注公共工事の県内建設業者及び同関連業者に対する優先的な受注機会の確保を求める決議を議題といたします。
 提出者から提案理由の説明を求めます。
 池間 淳君。
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   〔議員提出議案第1号 巻末に掲載〕
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   〔池間 淳君登壇〕
○池間  淳 おはようございます。
 ただいま議題となりました議員提出議案第1号について、提出者を代表して提案理由を御説明申し上げます。
 本県の経済は、観光産業収入、基地関係収入、公共事業収入の3本柱から成り立っております。観光産業収入が伸びているとはいえ、基地関係収入の比重が落ちた本県にとっては依然として公共事業収入の占める割合は大きなものがあり、県経済並びに雇用の安定に大きく貢献しております。今後も自立経済を目指す本県にとっては、当面、公共事業に頼らざるを得ない現実があります。
 しかしながら、近年、政府の財政再建政策で公共工事が抑制されたことや、さらに民間設備投資の伸び悩み等により県内の建設業界を取り巻く環境は厳しい状況にあります。
 本県における建設業は、昭和47年の登録者数2353件から平成12年に5640件と年々増加の一途をたどっていますが、元請完成工事高においては平成4年度の6766億7500万円から平成10年度には5132億3600万円まで減少してきております。中でも民間発注工事は、平成4年度で53.8%あったものが平成10年度は40.9%まで落ち込んでおります。民間発注工事が落ち込んだことから公共工事への依存度はますます大きくなっております。
 このような中で国等が発注する平成9年度から11年度までの県外業者の公共工事平均受注比率は45.5%と高く、県内業者を取り巻く環境はさらに厳しい状況に直面しております。
 よって、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」の中に国等発注公共工事の県内建設業者及び同関連業者に対する優先的な受注機会の確保を求めるため県知事に要請する必要があるとして各会派の賛同を得、本案を提出した次第であります。
 ここで決議文を朗読いたします。
   〔「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」の中に国等発注公共工事の県内建設業者及び同関連業者に対する優先的な受注機会の確保を求める決議朗読〕
 以上、決議文を朗読いたしましたが、慎重に御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げまして提案理由の説明を終わります。
 よろしくお願いします。
○議長(伊良皆髙吉) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
 質疑はありませんか。
   〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊良皆髙吉) 質疑なしと認めます。
 これをもって質疑を終結いたします。
 この際、お諮りいたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第1号については、会議規則第37条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊良皆髙吉) 御異議なしと認めます。
 よって、本案については委員会の付託を省略することに決定いたしました。
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○議長(伊良皆髙吉) これより議員提出議案第1号「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」の中に国等発注公共工事の県内建設業者及び同関連業者に対する優先的な受注機会の確保を求める決議を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊良皆髙吉) 御異議なしと認めます。
 よって、議員提出議案第1号は、原案のとおり可決されました。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第2 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 比嘉勝秀君。
   〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉 勝秀 おはようございます。
 私は、自由民主党を代表して稲嶺知事、関係部局長に質問をさせていただきます。
 ことしの11月、第3回目の世界のウチナーンチュ大会がございます。そのテーマは、「手を結び 新世紀を開く」、こういうテーマになっております。私どもは、21世紀の初頭に当たって沖縄県の未来像を確実なものにしていく、そういう任務を負わされております。第4回目の新しい振興計画を策定していかなければなりません。
 また、他の都道府県にはない沖縄の基地問題、56カ年間本当に苦しんでまいりました。この問題を解決するために一歩でもいい、二歩でもいい、日米で取り決めをされたSACOの合意事項を着実に進展をしていく、その中でも極めて危険な普天間空港を確実に動かしていく、こういう重要な課題を背負った稲嶺知事が、知事に当選後初めて三役の刷新がなされました。
 大田県政から稲嶺県政にかわる過渡期、稲嶺知事のもとでしっかりと知事を支えていただきました石川秀雄副知事、立派な任務を務めていただきました。立派な副知事でした。私は、この御労苦に心から感謝と敬意を申し上げる次第でございます。
 また、今回新しく副知事になられた比嘉茂政副知事、そして外部から同僚の嘉数昇明県出納長が御就任されました。心からお祝いを申し上げます。そして引き続き沖縄県の経済の自立、その模索、まだ途中でございます。引き続き頑張っていただく牧野浩隆副知事、2名の副知事が稲嶺知事を支えて県政運営を図っていくこの抱負をお聞かせをさせていただきたい。
 また、知事も新たな気持ちで任期、精いっぱい頑張る新たな決意を県民にお示しを願いたいと思います。
 それから、政権政党自由民主党の総裁選挙がせんだって行われました。4人の候補者によって争われ小泉純一郎氏が圧倒的な支持を得て当選を果たされ、自由民主党の新総裁に就任なさいました。その結果、小泉内閣が発足をいたしておりますけれども、今回の総裁選挙を知事はどのように受けとめておられるのか、また評価をなされておられるのか、お聞きをしたいと思います。
 そしてまた、この選挙で沖縄側は、沖縄問題に熟知した橋本龍太郎氏を支持して沖縄県の持ち分3票を確保してやりました。この点に関しましても知事の御所見を賜りたいと思います。
 それから、「聖域なき構造改革を断行する内閣」としてスタートした小泉内閣は、国民から大きな信頼と期待がかかって内閣支持率もウナギ登りの勢いにあります。スタートと同時に「ハンセン病訴訟の控訴断念」という「人間としての人権回復」を図りたいとの総理の強い気持ちの中から総理としての決断となり、その快挙に大きな感動と心からの賛同を送りたいと思います。稲嶺知事の御所見と、また沖縄県内のハンセン病患者への今後をどう図っていくおつもりであるか、知事の決意のほどをお伺いをいたしたいと思います。
 それから、小泉総理は6月23日の「慰霊の日」に総理として初めて御来県なさいます。制約された忙しい日程を割いての今回の来県でございます。しかも6月30日、アメリカを訪問して初めての日米首脳会談に臨む極めて重要な時局を迎えての来県でございます。
 戦後56年間の苦難な歴史を経て、今なお基地と地域振興に苦悩する沖縄の現状をどのようにとらえておられるのか、その気持ちを聞く絶好の機会に沖縄県議会本会議場に御案内を申し上げ、知事も同席されて県民代表の48人の全議員の前で我が国日本の総理として沖縄に対する思いを直接県民に語っていただきたかったのでございます。これを提起した私ども自由民主党県連の手続の進め方、また理解を求める努力の足りなさも私どもは反省をいたしております。
 しかし、議論の府であるべき議会において、この議論の入り口に入れないままに一部野党の理解が得られなかったことに対しまして極めて遺憾であり残念なことでありました。知事はその動きをどう感じておられるのか、率直なお考えを賜りたいと思います。
 それから、稲嶺知事は5月13日から26日までの2週間、アメリカ合衆国を訪問なさいました。連邦政府、連邦議会関係者、そして多くの米国民にお会いをし、第2次世界大戦後56年の長きにわたって過重な基地負担に苦しんできた沖縄県民の気持ちを率直に直接訴えられました。
 会談では、決して満足すべき成果と回答は得られませんでしたけれども、知事当選後、日本政府並びに関係機関にあらゆる機会を通して精いっぱいの努力をなさいました。この基地問題解決に向けて取り組んだ諸課題について理解と協力を求めてもらいました。慌ただしい日程の中、誠心誠意米国政府に働きかけてこられた稲嶺知事の御労苦に心から感謝を申し上げたいと思います。
 私は、今回の稲嶺知事の訪米の段取りから一連の折衝の仕方を見て、実にまじめなお方だなと。なぜかというと、前大田知事のように派手さはない、しかし言うべきことはしっかり言っておられる。そしてその言い方は誠実味を持っておっしゃっておられる。そのことは極めて大切なことであります。今現在満足しないかもしらぬ。しかし、稲嶺知事のこの姿勢は必ず後になって効果が出るものだと期待をいたしております。
 まず、沖縄県の知事の立場を明確にしていることです。これは大田知事とはっきり違います。これは野党の諸君も代表質問を出しておりますけれども、例えば安保・基地を認めるのかどうか。いいですか、安保・自衛隊を容認した社会党の村山内閣のもとでの訪米でも大田知事は明確にしないで訪米をなさっております。入り口から違っております。ですから受ける相手からしますと、はっきり言って信頼関係がそこには保たれない、こういうやり方だと私は思っております。ですから予算をかけて何度訪米しても言いっ放しにしかなりません。したがいまして、稲嶺知事のように自分の立場を明確にして日米両政府に強く働きかける、この姿勢の中からしか沖縄問題解決の活路は見出せないからであります。
 稲嶺知事は、日米間の基軸の根幹をなす日米安保体制が我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与していることをしっかり認めております。
 2点目に、本県に所在する米軍基地の重要性についても認識をいたしております。
 3点目に、基地問題は国の外交・防衛にかかわる問題であり国の専権事項である、その解決に当たっては国家間で話し合いがなされて解決が図られるべきである、実に明確に言っておられます。その基本認識の上に立って、第2次世界大戦後56年の長きにわたって過重な基地負担をしてきた沖縄県民が基地問題の解決を強く求めている。沖縄県の知事として外交交渉権はないけれども、あえてこの県民の意向を直接米国政府に伝え、理解と協力を求めるために今回アメリカにやってまいりましたと、実に明快になっているわけでございます。
 そこで質問でございますけれども、第1点目、今回の訪米日程の中で当初予定になかったパウエル国務長官との面談がございました。具体的な要請事項につきましてはアーミテージ国務副長官との会談の中で取り上げたとのことでございますけれども、この状況をもっと具体的に県民に説明をしていただきたいと思います。
 質問2点目、アーミテージ国務副長官から、知事から示された要請事項はアメリカ政府として十分に検討する義務がある、それから2点目に沖縄県民の基地負担軽減を図ることの重要性は十分認識をしている、アメリカ政府としての基本認識が具体的に示されております。このことも極めて大切なことでありまして、今回の知事訪米の私は特筆すべきことだと思うのであります。
 稲嶺知事は、県民に公約した使用期限15年問題を就任と同時に日本政府を初めあらゆる機関を通しまして、これも道筋をしっかりと整理をして、しかも粘り強く訴えてまいりました。知事のひたむきなこの努力とまじめな対応が実って、平成11年12月28日の閣議でもって使用期限の問題を日米間で取り上げることを政府方針として閣議決定にこぎつけております。重い腰の日本政府をしてアメリカ政府に交渉させる糸口をつくったわけでございます。
 「閣議決定」とよく言葉では簡単に言いますけれども、これは日本政府の最終的な意思でございまして、極めて重い言葉だと私は認識をいたしております。この閣議決定がきっかけとなってアメリカ側が早速反応を示し動き出したことは皆さん御承知のとおりであります。
 例えば、キャンベル元国防副次官補が、小さなかごに多くの卵を産み過ぎたと沖縄の基地の実態を嘆いております。また、アーミテージ氏が在野にあった時代に、日米両政府の次官級による新たな戦略会議でこの15年期限問題を取り上げるべきである、そのために沖縄県をオブザーバーとして参加させるべきである、こう主張しております。また、ジョーンズ海兵隊総司令官の海兵隊の演習訓練のグアム移転の検討発言など、まさに知事の地道な行動が結果としてこの閣議決定に結んだおかげでアメリカ側の反応、行動となってきたことは御承知のとおりであります。
 したがいまして、今回の知事訪米によってアメリカ側の基本認識が示されたおかげで、また知事も政府、議会筋、シンクタンク、多くの米国民に訴えたおかげで日本政府も素早く反応を示し動き出しております。
 せんだって、田中外務大臣とパウエル国務長官との会談で、在沖海兵隊の訓練移転についてグアム、サイパン、フィリピンを挙げて海外移転を正式に要請を行いました。パウエル国務長官の口からラムズフェルド国防長官にもそのことを伝えると、そう言ったことは、いよいよこの問題で日米間の実務レベルで協議が進展するとの認識を深く持ったものでございます。
 中谷防衛庁長官が本日21日にアメリカを訪問いたします。田中外務大臣の後を受けて早速在沖米海兵隊の訓練移転をラムズフェルド国防長官との会談でこれを取り上げることになっております。そしてまた小泉総理があさって「慰霊の日」に沖縄県にやってまいります。平和の礎にも足を運んで戦没者のみたまに黙祷をささげることになっております。そして6月30日の初の日米首脳会談に臨んでまいります。
 この日米首脳会談の事前調整で、本来であれば外務省幹部から大使館を通して行うべきところを、今回民間サイドから沖縄にも極めて深い縁のある沖縄問題に精通した慶応大学の島田晴雄教授が事前調整のためにきょう、あすにでもアメリカに派遣されることになっております。
 島田教授は、基地所在市町村の振興開発で座長をお務めになられ――島田懇談会、島懇事業でつとに有名な方でございます。稲嶺知事もこの事業のメンバーでございました。沖縄県側の座長を稲嶺知事が担当し、島田先生とはじっこんの間柄でございます。小泉総理が慶応大学、知事も慶応大学、島田晴雄先生も慶応大学教授、沖縄問題はまさにこの慶応大学のコンビでもってぜひとも解決の糸口をつくっていただきたい。この人脈は大切でございます。私は念ずるものでございます。
 また、7月3日から1週間、尾身沖縄担当大臣が追っかけ訪米なさいます。沖縄問題について会談をすることになっております。尾身大臣は、日米の外交・防衛問題を協議する日米安全保障協議委員会(2プラス2)、外務大臣、防衛庁長官に、日米安保は沖縄が担っている実情からこの協議会には当然沖縄問題を担当する大臣も加えてアメリカ側は2、日本側は3(2プラス3)の閣僚配置でやるべきとの持論をお持ちの方でございます。大変期待のかかる会談であります。
 また、今回の訪米で国連機関の沖縄誘致を知事も求めてまいりましたけれども、この機関設置によって環境や開発、人権、軍縮などの課題分野に取り組む方向性を示した「国連シティー」への発展が大きく期待されるものがきのうの参議院の委員会で出ております。まさにメジロ押しの状況がつくられつつありますことは、知事の時宜を得た訪米であったと高く私は評価をいたすものでございますけれども、知事の御所見を賜りたいと思います。
 3点目、焦点の普天間空港の移設に伴う軍民共用空港と使用期限を15年とする移設条件についてでございます。
 アーミテージ国務副長官との会談の中で具体的な議論には入れなかったと言われております。ところがナショナルプレスクラブでの公式記者会見では、アーミテージ国務副長官が期限設定に否定的な見解を示したとし、稲嶺知事も「「真意が分からない」と、困惑の表情を浮かべた。」と新聞は報道いたしております。実際はどういうやりとりがあったのか、県民にお示し願いたいと思います。
 また、稲嶺知事はアメリカ政府の対応に業を煮やした形で日本政府に対する不満をあらわにし、シンクタンクとの意見交換の場で日本政府は努力が足りないといら立ちともとれる強い口調で不満の意を示したとも伝えられております。そこのところを肝心なところでございますので、もう一度県民にしっかりと説明をいただきたいと思います。
 そこで、稲嶺知事に使用期限15年問題について再度お尋ねを申し上げたいと思います。
 県民は、この15年問題について一番関心を持っております。今回の訪米もこの問題が焦点であったと思っております。この問題について知事は、「ボールは日本政府に投げた。政府が県の意向に十分に配慮し、回答してしかるべきだ。早くしっかり回答を出してほしい」とも言われております。
 知事も認識しておられますとおり、外交・防衛に関しましては国の専権事項であり、基地の提供責任は日本政府にあることから、日本政府を飛び越して直接アメリカ政府に答えを求めることはできません。したがいまして、この15年問題は以前にも提起いたしましたとおり、日本政府がまず沖縄県に確約することが先決であると思います。
 幸い、平成11年12月28日の閣議決定をもって使用期限の問題は日米間で取り上げることになっております。ただ文案が抽象的な表現になっておりまして、この際、この抽象的な閣議決定を取っ払って、具体的に使用期限を15年とする形で日本政府と沖縄県が覚書を締結してまず日本政府の姿勢を明確にすることだと思いますけれども、知事の御所見を賜りたいと思います。
 第4点目、今回の訪米で一番の山場と言われたアーミテージ国務副長官は、1996年の少女暴行事件で、私たち県議団が訪米直訴した際にお会いをした方でございますけれども、沖縄問題に精通した方で、大変情熱的な方だとお見受けいたしました。彼が在野にあって沖縄問題を前向きにしかも積極的に取り組んでいる方だと思っておりましたけれども、やはり政権入りして後の現在の姿勢というのは非常に慎重な姿勢に変わってきていると。知事のコメントにもありましたとおり、在野にあるときと政府高官である今とでは微妙な差があると認めておりますけれども、知事のアーミテージ副長官に対する考え、感想を率直にお聞かせ願いたいと思います。
 質問5点目、その他の要請事項でSACO合意事案の着実な実施及びさらなる米軍基地の計画的、段階的な整理縮小、2、海兵隊の演習、訓練の移転及び海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減、3、日米地位協定の見直し、4、基地の運用に伴う事件・事故の未然防止と安全管理の徹底並びに隊員の教育と綱紀粛正の徹底について理解と協力を求めておりますけれども、アメリカ側の回答をお聞かせ願いたいと思います。
 質問6点目、沖縄の基地問題は日本全国民の問題だと知事は日ごろからおっしゃっております。私もそのように思います。この際、全国の75%が今なお沖縄に集中する現状を全国民に知らしめるために基地の総点検作業を国に求めてみてはどうか。その手続の中から国会論議がなされ、安保条約、地位協定の改定問題が国の根幹にかかわる問題であることを国民全体が認識する機会になると思いますし、小泉内閣であれば大きく期待してよいと思いますけれども、知事の御所見を賜りたいと思います。
 ちょっと休憩願います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前10時35分休憩
   午前10時35分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
○比嘉 勝秀 北部振興についてでございますけれども、1920年、沖縄の人口が57万人、その当時北部が12万人、それから80年たって沖縄県が131万人、依然として12万人、こういう実態を、またこの沖縄県の振興開発の進め方に大きな問題があるという観点から、今回国としても特別に北部振興策が立てられて議論が進んでおります。
 そこで、陸上、海上、空の視点から鉄軌道の敷設、重要港湾の指定、軍民共用としてのこの3大ビッグプロジェクトを積極的に推進してみてはどうか、最後にこれを申し上げまして代表質問にかえます。
 ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
 比嘉勝秀議員の御質問にお答えします。
 県政運営について、最初は、三役の取り組む考えと今後の県政運営に取り組む新たな決意を聞きたいとの御質問にお答えします。
 このたび、議会の皆様の御同意を得まして副知事に比嘉茂政氏、出納長に嘉数昇明氏を選任しました。あわせて言わせていただければ、長らく副知事をして私の片腕以上の働きをしていただいた石川副知事には心から感謝をしております。比嘉氏につきましては、これまで出納長としてしっかりと県政を支え、その行政実績や手腕が高く評価されていることから副知事として適任であると判断し選任したものであります。また嘉数氏については、これまで長期にわたり県議会議員として県民福祉の向上を第一義に県民の意思を県政に反映させるべく尽力された実績や手腕は高く評価されているところであり、これまでの豊富な知識、経験から出納長として適任であると考え選任したものであります。
 本年度は、第3次沖縄振興開発計画の総仕上げを行うとともに、沖縄振興新計画の策定や沖縄振興新法の制定に向けた重要な時期であり、基地問題等の解決にも全力で取り組む必要があります。新三役体制のもと、県民が夢と希望を持ち、喜びを実感できる沖縄を築くため県民の視点に立ってしっかりと県政運営に当たってまいりたいと考えております。
○副知事(牧野浩隆) おはようございます。
 引き続き副知事として稲嶺知事の補佐役として頑張っていきたいと思います。皆様の御指導のほどをよろしくお願いいたします。
 沖縄には質・量、多面な大きな解決しなければならない課題がたくさんあります。これはとりもなおさず稲嶺県政の課題であります。私は、その解決のため補佐役として全力を尽くしていきたいと思いますので、皆様の御指導のほどをよろしくお願いいたします。
 具体的には、沖縄の場合、基地問題の解決と振興策の問題だと思います。基地問題の解決に当たりましては、安全保障政策として日米安保体制の重要性を認識しつつも、過重な基地負担を解決していくため差し当たってはSACOの合意に基づいて整理縮小に努めてまいりたいと思います。当面は普天間の移設の問題あるいは普天間の跡利用の問題など大きな課題があります。
 一方、振興策につきましては、今私どもの沖縄経済は来年度に終わろうとしています現在の3次振興計画の後を受けて、どのように沖縄をつくっていくための新たなもろもろの政策をつくっていくかという重要な時期を抱えております。
 具体的には、7つの課題を抱えて、これほどまでに沖縄が重要な時期に置かれたことはないと思います。
 第1には、3次振計の後にかわる沖縄振興新計画と、第2番目には、それを支える制度的な沖縄振興新法の策定であります。それにつきましては、去る3月に「基本的な考え方」のたたき台を御提示しまして、振興開発審議会の答申を昨日いただきまして、先週はまた皆様の全員協議会でもいろいろ御指導いただきました。
 第3番目は、沖縄経済振興21世紀プラン、これは既に昨年からスタートしておりますけれども、一段と進めていく必要があると思います。
 4番目には、沖縄の本土復帰に伴う特別措置に関する法律、これは本土の法制を沖縄にスムーズに適用していくための過渡的な措置でございますけれども、まだ重要なものが残っておりますので、それもスムーズな形で、どのような形で新たに引き継いでいくかが課題であります。
 次には北部振興策でございます。これは、中南部に比べましてこれまで30年間ややもしますと開発がおくれたということでございますので、閣議決定に基づきまして、皆さん御存じのとおり10年間で1000億を投じて北部地域の皆様に喜んでいただけるような振興開発計画をつくっていかなきゃならないと思います。
 その次には、いわゆる普天間飛行場の移設問題と比べまして移設先及び周辺地域の振興計画でございます。これも閣議決定を目いっぱい活用することによって周辺地域の皆様が御満足いただけるような振興計画をつくっていかなければならないと思います。
 それから、広大な普天間基地が返ってきます。480ヘクタールあります。普天間飛行場の跡地を利用することは、単なる普天間飛行場の問題だけではなくて中南部の都市構造、沖縄の交通の問題あるいは振興開発計画、実にびっくりするような大きな課題がありますので、これもうまくいくような形でやっていきたいと思っております。
 このように7つの件を短期間にやっていかなければならないというような状況にあります。極めてこれほど沖縄が重要な時期に置かれたことはないと思います。また、ある意味では大きな可能性を秘めております。これを実現していくために頑張りたいと思いますので、皆様の御指導のほどをどうぞよろしくお願いいたします。
○副知事(比嘉茂政) 去る19日に議会の御同意をいただいて副知事に就任しました比嘉茂政でございます。よろしくお願いいたします。
 また、2年半出納長として務めてまいりましたが、その間、皆さんの御指導と御協力をいただいて無事務めることができました。感謝を申し上げます。これまでは出納長として知事を補佐してまいりましたが、これからは副知事としてやるわけでありますけれども、私は、三役の一人として基本的には全く変わらないつもりであります。つまり、出しゃばらず、引っ込まず、知事をしっかり支えるのが私の役目だと思っております。
 今回は石川副知事の業務を引き継ぐことになりました。基地問題、財政あるいは土木行政、環境、文化、あるいはまた医療・福祉行政、市町村と、担当する分野は多岐にわたっております。それぞれの部長たちと十分連携していきたいと思っております。なかんずく、私の前々職からしますと市町村の現場にいたということもありまして、市町村との連携を十分にとっていく必要があるだろうと、このように思っております。すべての事業は市町村で具現化されるということで、その意味では県政も市町村と十分連携をとって仕事を遂行したいと思っております。
 どうぞ引き続き御指導と御協力をお願い申し上げたいと思います。
○出納長(嘉数昇明) おはようございます。
 このたび県出納長を拝命いたしました嘉数昇明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 去る19日の県議会におきまして、皆様の温かい御承認をいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。県議会の先生方におかれましては、県民福祉の向上、そして県勢発展のために日夜御苦労、御尽力をいただいておりますことを心から敬意を表したいと思います。私も、この大切な時期に県の三役の一人として21世紀の県づくりに参画できますことを身の引き締まる思いでおります。
 今後また知事を補佐する三役の一人として皆様の御助言をいただきながら、知事の掲げる公約の実現、沖縄県の発展のために微力ですが精いっぱい全力を尽くしたいと思っております。先生方と歩ませていただいた16年の県議会での思いをかみしめつつ、また県政の中で全力を尽くしていきたいと思っております。よろしくお願いいたしたいと思います。
 なお、出納長の職務につきましては、地方自治法170条にのっとりまして公平、適正な県政運営ができるようにまた責任を持って務めてまいりたいと思います。どうぞ今後とも先生方の御指導、御鞭撻をいただきますように心からお願いを申し上げる次第でございます。
 よく話が長いと言われておりますので、簡単ではございますが、これで就任のごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○知事(稲嶺惠一) それでは比嘉勝秀議員の小泉内閣についての御質問について答えさせていただきます。
 まず第1番に、総裁選挙をどのように受けとめ評価しているかという御質問と、沖縄問題に熟知した橋本龍太郎さんを支持して沖縄県連の持ち分を確保したが、この点に関しての所見はどうかという2つの御質問に一括してお答えいたします。
 今回の自由民主党の総裁選挙は、最有力の首相候補者を選択する大変重要な選挙だと注目しておりました。選挙の結果、小泉総裁が選出され、県内では橋本氏が支持を受けましたが、橋本氏への支持はこれまでの沖縄問題に対する取り組みへの評価だと考えております。
 小泉総理には、我が国経済の確実な回復を初め国内外の困難な諸課題の解決に向け強力なリーダーシップによって経済、財政、社会保障などの構造改革を推進し、21世紀の我が国の明るい展望が切り開かれるよう期待しております。
 また、沖縄の諸問題の解決に当たっては、国政の重要課題として全力を傾けていただくことを期待をしております。
 次に、同じく小泉内閣についての御質問のうち、ハンセン病訴訟の控訴断念に対する知事の所見と、県内元患者の今後の対策をどう図っていくかとの御質問にお答えします。
 かつて行われた国の隔離政策により多くの患者・元患者の人権が侵害され、また一般社会において極めて厳しい偏見や差別が存在してきた事実を深刻に受けとめ、政府は深く反省し、おわびを申し上げたものと認識しており、小泉総理大臣の英断を高く評価するものであります。今回の控訴断念により、御苦労されている県内の多くの患者・元患者の名誉回復に向けて大きな転換が図られたものと考えております。
 県としても、尾身沖縄及び北方対策担当大臣並びに坂口厚生労働大臣に対しまして、ハンセン病患者・元患者の本土復帰前の補償とあわせて、1960年以前に退所した患者・元患者の方々にも補償が受けられるよう要請し、実現が図られたところであります。県としては今後とも県民に対し、より一層ハンセン病に対する正しい知識の普及・啓発に努めるとともに、患者・元患者の意見を聞きながら国と協力して福祉等の向上に親身になって対応したいと考えております。
 次に、「慰霊の日」に来県される小泉総理の県議会本会議場での演説が実現しなかったことをどう思うかとの御質問にお答えします。
 今回の件につきましては、県議会の判断と受けとめております。
 次に、基地問題についての御質問のうち、パウエル国務長官、アーミテージ国務副長官との面談の内容はどのようなものか、次に米国政府の基本認識に対する知事の所見を聞きたい、次の普天間飛行場代替施設の15年の使用期限について米国側とどういうやりとりがあったか、次にアーミテージ国務副長官に対する感想について聞きたい、次のその他の要請事項に対する米国政府の回答について聞きたいという5つの御質問を一括してお答え申し上げたいと思います。
 第2次世界大戦後56年の長期にわたって過重な基地負担をしてきた県民は基地問題の解決を強く求めており、知事としてこのような県民の意向を米国政府等に伝え、理解と協力を求めることは大変重要であると考え、去る5月13日から26日までの2週間、アメリカ合衆国を訪問いたしました。
 訪米に際しての基本的な考え方は、沖縄の米軍基地をめぐる諸課題について県がこれまで日本政府に対し要請してきたことを米国連邦政府、連邦議会関係者、そして多くの米国民にお伝えし、理解と協力を求めるためでありました。
今回の訪米では、連邦政府関係者ではパウエル国務長官、アーミテージ国務副長官、ウルフォウィッツ国防副長官など、また連邦議会関係者ではダニエル・イノウエ上院議員、アバクロンビー下院議員など、軍関係者ではウイリアムズ海兵隊副司令官、ブレア太平洋軍総司令官などにお会いしました。
 パウエル国務長官との面談は当初予定されていませんでしたが、急遽、アーミテージ国務副長官との面談に先立ちお会いすることができました。このことは、長官御自身が沖縄の基地問題についての重要性の認識を示されたものと理解しております。長官からは、沖縄の貢献には感謝している、詳細についてはアーミテージ国務副長官と話してほしい旨の発言がありました。
 アーミテージ国務副長官からは、御指摘のような政府高官としての立場での米国政府の基本認識が示されましたが、沖縄の基地問題についてよく熟知しているという印象を受けました。
 また、外交問題評議会を初め新アメリカ財団、ケイトー研究所、ブルッキングス研究所等5つのシンクタンクにおいて講演や円卓会議などを行い、本県が抱える米軍基地問題について意見交換を行いました。
 その他、フォーリー前駐日大使やキャンベルCSIS(国際戦略研究所)副所長などに本県の基地問題について理解と協力を求めました。
 今回の訪米で県がこれまで日本政府に対し要請してきた事項について理解と協力を求めましたが、その内容は次の5点であります。
 1点目は、SACO合意事案の着実な実施及びさらなる米軍基地の計画的、段階的な整理縮小、2点目は、普天間飛行場の移設に当たっての条件整備、3点目は、海兵隊の演習、訓練の移転及び海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減、4点目は、日米地位協定の見直し、5点目は、基地の運用に伴う事件・事故の未然防止と安全管理の徹底並びに隊員の教育と綱紀粛正の徹底についてであります。
 これに対する米国政府の主な発言要旨は以下のとおりであります。
 1点目に、普天間飛行場の移設を含めSACO最終報告の速やかな実施のために日米両政府間で緊密に協議していくこと、2点目に、在沖米軍はこれまでも沖縄の外での訓練を実施しており、県民の基地負担の軽減を図る観点から今後とも努力していくこと、また在沖米軍の兵力の構成については国際情勢の変化等を勘案しながら日本政府と緊密に協議していくこと、3点目に、地位協定に関連する諸問題に対処するため合同委員会のもとで引き続き努力すること、4点目に、米軍は常によき隣人として地域社会に貢献したいと考えており、事件・事故の発生を防止するため隊員の教育をさらに工夫するなど綱紀粛正の徹底を図ることなどであります。
 なお、普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、沖縄の現状を説明するとともに、普天間飛行場の代替施設に15年の使用期限を設けることなどを移設に当たっての条件として日本政府へ強く要請していることを説明し、理解と協力を求めてきました。
 同行した岸本名護市長も、私の気持ちも知事と同じである、代替施設に15年の使用期限を設けるなど普天間飛行場の移設に伴う条件を日本政府に要請しているとの発言をしております。
 これらの説明により、地元の考え方が米国等に十分に伝わり理解されたものと考えております。
 また、日本政府の努力が足りないとの私の発言報道については、日米安保体制に基づく米軍基地負担は、日本国民がひとしく引き受けるべきものであり、長い間過重な基地負担を背負わされている沖縄の現状及びその課題解決については、日本政府並びに全国民がもっとその重要性を認識し積極的に対応していただきたいとのことを申し上げたものであります。
 今回の訪米は短期間の厳しい日程ではありましたが、多くの方々と面談し、本県の基地問題に関する理解と協力を求める機会を設けることができましたので、訪米は成功であったと考えております。
 また、この時期に訪米を行ったことは、去る18日に開かれた日米外相会談に沖縄の基地問題が重要な議題として取り上げられるなど、日米両政府首脳にその重要性を認識していただく契機になったと自負しており、今後の問題解決に当たって大きな力になると思っております。
 次に、基地問題について、日本政府の姿勢を明確にするために使用期限を15年とする形で日本政府と沖縄県が覚書を締結することについて所見を聞きたいとの御返事でございます。
 普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。同問題の解決については、御指摘のことを含めそれぞれの立場でさまざまな考えがあると思いますが、県としては移設に当たって整備すべき条件の一つとして政府に求めているところであり、今後とも政府に対し一日も早い解決を強く求めていきたいと考えております。
 次に、同じく基地問題について、基地の総点検を国に求めてはどうかという御質問でございます。
 日米安保体制に基づく米軍基地負担は、日本国民がひとしく引き受けるべきものであり、長い間過重な基地負担を背負わされている沖縄の現状及びその課題解決については、日本政府並びに全国民がもっとその重大性を認識し積極的に対応していただく必要があると考えております。このようなことから、帰国後の関係大臣への訪米報告に際しては、あわせてこのことを強く申し上げたところであります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 北部振興策に関して、鉄軌道の敷設について、重要港湾の指定について、軍民共用空港の民間活用について一括してお答えいたします。
 陸上、海上及び空路等による交通ネットワークの構築については、「北部振興並びに移設先及び周辺地域振興に関する基本方針」の中で、「地域住民の生活の利便性の向上」、「物流の効率化や観光客の利便性の向上」、産業振興の観点を踏まえた総合的な視点から整備を図ることが位置づけられております。
 軌道系交通システムの導入については、軌道系交通システムの技術の動向、地域特性や需要特性に応じた柔軟なシステム運用など、多様な視点から「新たな振興開発計画」の中で引き続き調査・検討を進めることが重要であると考えております。
 また、北部地域に新たな重要港湾を設定することについては、港湾法の規定を踏まえ重要港湾としての地理的条件、港湾の必要性、熟度、近隣港湾との機能分担、関係機関との調整等総合的な観点から検討する必要があると考えております。
 さらに、軍民共用空港については、地元地域の発展にとって真に有意義なものとなるよう民間の航空機が就航できるようにするとともに、空港関連産業の誘致及び空港を活用した産業等のための条件の整備・検討を進め、具体的な事業展開が図られるようにする必要があると考えております。
○翁長 政俊 自由民主党を代表いたしまして所見を交えながら質問を行います。知事以下答弁者の誠意ある御答弁をよろしくお願いをいたします。
 1番目、小泉新総理が掲げる構造改革と地方財政について。
 我が自由民主党の第20代目の総裁に小泉純一郎氏が就任し、第87代56人目の内閣総理大臣に首班指名され、自民、公明、保守の3党連立による小泉内閣が2001年4月27日に発足をいたしました。
 小泉内閣の政治キーワードは、「恐れず、ひるまず、とらわれず」、「聖域なき構造改革に取り組み、新世紀維新を断行する姿勢を貫く」と強調し、日本再生への不退転の決意を示されました。本格的に始動し始めた小泉政権は、国会の論戦の中でも十分に存在感をアピールし、党首討論においては、テレビ視聴した国民のほとんどが小泉総理の完勝と思わせるほどの熱弁でありました。昨日の党首討論もまさにそのとおりでありました。
 経済を立て直し、自信と誇りに満ちた日本社会を築くことを目的とし、構造改革なくして日本の再生と景気回復はないという信念のもとで経済、財政、行政、社会、政治の各分野の構造改革を進め、痛みを恐れず、既得権益を打破していく強い決意を表明いたしました。
 一方、小泉内閣に対する各世論調査のどの結果を見ても国民から高い支持を受け92%の歴代内閣最高の支持率であり、不支持率は5%であります。改革を掲げた政治路線への期待感などが支持の主な理由であるが、人気先行型とする見方とあわせて新鮮、積極的、やってくれそうなど小泉総理個人の人気も高いと思われます。
 そこで(1)番目、国民から驚異的な高支持率を集める小泉内閣に対する稲嶺知事の評価と沖縄問題への期待度について所見を賜りたいと存じます。
 (2)番目、小泉総理は「聖域なき構造改革」への協力を求め、道路特定財源や地方交付税の見直し問題であらゆる分野で見直しが必要と、聖域は設けないと理解を求めております。地方の行財政の実態を踏まえていない短絡的な議論と和歌山、鳥取両県の知事が厳しく批判をしておりますが、稲嶺知事の考えはどうですか。
 また、国の補助金や地方交付税に頼るだけではなく、地方もみずから財源確保を探ったり、つくったりする必要もあるとした上で、政府としても地方へ権限移譲を進めていく考えを示しておりますが、稲嶺知事の新たな財源確保の対応を伺います。
 (3)番目、行政すべてのあり方をゼロから見直し改革を断行していく必要があり、国の事業についても合理性、必要性を徹底的に検証し、民間にできることは民間にゆだね、地方にできることは地方にゆだねるとする原則に基づき特殊法人等をゼロベースから見直し、国からの財政支出の大胆な削減を目指す公益法人の抜本的改革など検討を進めるとしているが、沖縄振興開発はこれまで聖域扱いであったと思うが、小泉改革路線の及ぼす影響をどう判断しておられますか、御見解を賜ります。
 2番目、新たな沖縄振興の基本的な考え方について。
 (1)、復帰29年目を振り返り、3次にわたる沖縄振興開発計画の検証と反省の上に立って21世紀における沖縄振興のあり方を大胆に発想し、今後の進むべき道をみずからの選択と責任のもとで時代を先取りした施策を実行していくことが問われております。新たな沖縄振興として実効性を制度面から支える沖縄振興新法の制定が必要となるが、3次の沖縄振興開発特別措置法との比較における特徴を伺います。
 (2)番目、振興新法に基づく教育、福祉、医療、産業振興、交通拠点等の形成という本県の振興方向の中で社会資本についても戦略的な整備が求められております。そのため、これらの社会資本についてこれまで以上に目的を明確にした重点整備を図るとともに、環境との調和、バリアフリーの推進、情報化社会への対応など社会資本ストックに努め、10年後、社会経済構造の形成が数値目標として示され、それに向かって努力を行う個別計画については達成度に合わせて新たな計画を策定するものと考えています。1次から3次における沖縄振興開発計画においても数値目標を持って取り組まれてきましたが、新法ではどうなっていますか、お示しください。
 (3)番目、3次にわたる格差の是正は、政府の責任によって格差を埋める目的でありました。国は、沖縄県自身が依存体質からの脱却に目覚める意識として「格差是正」をおろしたことに評価を与えております。私は、沖縄振興開発の根拠となった特殊事情まで国がなし崩しにする糸口につながっていかないかと懸念を持っております。県は、全国との格差や地域間格差が広がっていることを認識しつつ、「沖縄の特性の発揮と不利性の克服」というコンセプトで格差をとらえ目標から外しました。
 しかし、このような考え方は格差をこれまでと全く異なった価値観でとらえることになります。要するに余りにもかけ離れた格差があるとすれば、それは埋められない。むしろ特性として伸ばすべきものであるとする理論であります。つまり格差を逆活用する視点でとらえ、振興開発を推進する考え方です。私は、沖縄の振興開発や自立経済がこのような視点で本当に確立されるのか、疑問に思っております。県の見解を求めます。
 (4)番目、「これが実現すれば民間主導自立型経済への道筋がつく」と評価する要望案は、各省庁にすれば現行制度を超えた一国二制度と映り、事務レベルで安易に受け入れられない側面が強いと思われます。当初は、県は跡地利用の実施主体や自由貿易地域の管理運営主体を国の28条法人で求めましたが、新たな法人設置は困難であるとして要望からおろしました。
 また、同地域における外航船導入やサブゾーンの設置や企業支援のための基金制度など各省庁の対応が極めて厳しいとの認識から県庁内調整で取り下げたと聞き及びますが、これらの一連の対応が県の限界でありますか。
 また、いずれの制度も法的裏づけが必要で、実効性を持つかは政府の胸三寸と言われ、制度は認められたが、政令、規則、通達の規制に縛られて実際には実効性のない制度もあり、他県に比べ優位に立てるはずの支援制度や特別措置が企業立地や誘致につながらなかったのは、制度や政令が政府の手によって骨抜きにされているとする県民の懸念を県はどう受けとめておりますか。「骨抜き論」に対してどう対処されるおつもりなのか、伺います。
 (5)番目、新たな沖縄振興の考え方は、経済振興に偏重しているとする指摘が多く再検討が求められております。国民の健康に対する関心は増大をいたしております。日常生活の基盤となるのは心身ともに健康であり、県民が求めているものは物質的なものよりも精神面の安らぎであり、健康であります。県内の医療基盤及び設備の整備は進み、保健衛生が向上し、平成7年には沖縄長寿の検証と世界長寿地域宣言を行うまでに至りました。今こそ沖縄県は「健康福祉立県」を目指して健康にかかわる諸施策を個別計画として策定し、新法の中に取り組むべきと私は考えておりますが、いかがでしょうか。
 (6)番目、これまで3次にわたる振興開発の中で6兆円にも及ぶ資金が投入されましたが、県外流出等も含めこれまでの経緯がどのような実態であったのか検証がなされてなく一つの盲点になっていると私は思います。振興新法、新計画を策定する上で県内企業で消化できる方策を講じるための検証と対策が必要であります。同時に、3次における財政投資の歩どまりを検証する上での数値があれば示してください。
 3番目、具体的施策と制度について伺います。
 (1)、沖縄振興のための新たな計画の策定に基づき、これまで振興開発計画になかった産業振興プランとして産業振興計画が新たに策定されることになりました。特に自立経済発展に向けた産業振興で21世紀プランの反映、沖縄の独自色のある産業の振興や新事業創出支援策等の産業振興のための横断的な計画となっているが、その位置づけが明確ではありません。さらに下位計画とされる観光、情報、農林、雇用、文化の個別計画は、実行プランとして具体的な達成数値目標が必要と私は考えています。県の考えを示してください。
 (2)、製造業など既存の産業と並んで今後沖縄の産業を牽引していく新規事業やベンチャー企業の創出について振興を図っていく必要があります。県の「考え方(案)」の制度・施策ではベンチャーファンドの創設などが記述されておりますが、これに対する支援策について伺います。
 (3)、これまで3次にわたる産業支援で観光・リゾート産業が県の基幹産業に成長するまでになりました。しかし、製造業では健康食品部門で発展の兆しが見られるものの、総じて立ちおくれております。特に製造業は産業関連効果が大きく、雇用など波及する分野が広いので既存の地域産業の衰退があってはなりません。これまでの産業支援の総括の上に立って、何が十分で何が足りなかったのか、どうすれば地場産業の育成につながっていくのか、その対応策についてお伺いをいたします。
 (4)、新たな産業を育成・創出する上で技術の研究開発や蓄積が最も重要であり、産業振興の基礎部分を形成するものです。しかし、本県においてこの部門の欠如が常に指摘をされてきましたが、今なお蓄積がおくれております。振興策について伺います。
 (5)、人材育成については、大学などの高等教育を初めIT人材の育成、職業能力の開発など提案がありますが、特に国立の工科大学を初めとする理工系の人材育成は急務であります。沖縄の産業を振興する上で極めて重要な部門であります。人材育成について県の方針を示してください。
 (6)、新規産業創出のための500億円の基金をつくり、高度な経営技術に対応できる産業人材の育成と新規事業の創出や中小企業の活性化を図る支援金として考えられていたと思いますが、なぜ見送ることになったのか、その理由を伺います。
 (7)、エコツーリズムに対する課題は数多くあると思います。エコツーリズムの健全な発展は、今後の沖縄観光の大きな目玉になる要素を秘めていると考えます。「基本的な考え方(案)」の中に具体策が見えませんが、実施計画を示してください。
 (8)、国の施策の中でアジアのクロスロードとしての交流拠点として那覇港湾整備は進められ、地方港湾から中核国際港湾に格上げされていますが、国際的レベルで見ると全く未整備と言えます。「貿易立県」を志向し、国際貿易都市を建設するにはアジアのハブ港を目指した戦略が必要であります。国家戦略としての貿易、海運施策が必要と考えます。新法での制度化を国に求め、ハブ機能を有する国際流通港湾として整備することが重要と考えますが、いかが考えておられるのか、示してください。
 (9)、本島南部に陸揚げされる国際光ケーブル回線を有効活用することによって情報通信産業の集積を促進し、マルチメディアアイランド構想を具現化していくことが重要となります。将来のグローバルIX、地域IXの推進をどのように行っていくか、計画をお聞かせください。 
 (10)、金武湾地域は、中城湾新港地区や北部圏域と連帯し、健康・長寿をテーマとした研究拠点として人材育成、長期滞在型保養施設、体験交流施設等新たな振興策を図ると同時に、ゼロエミッション・アイランドとリンクした新たなエネルギーによるまちづくりを推進し、環金武湾としてのコンセプトで整備を図る位置づけで新法の計画の中に取り込めないか、お伺いをいたします。
 先ほど全会一致で決議をされましたものと同じ質問になりますけれども、(11)番、県内建設業界は社会基盤整備の担い手として本県経済において重要な役割を果たしていることから、国から発注される公共工事の受注機会を積極的に拡大する必要があると考えます。これまで幾度となく県、議会、業界団体が要請を行っても全く成果が上がっておりません。この際、新法設置に当たり、地元優先発注と県産品優先使用を沖縄特例として──ここが一番大事です──新法の中に制度化が要望できないか、お伺いをいたします。
 4番目、基地問題。
 国が示した普天間飛行場の代替施設の建設に関する3工法8案に対し、名護の岸本市長は、基地使用協定や北部振興に先行して工法決定の問題だけ先に結論を出すつもりはないと述べております。政府は、7月か8月にもある次回の普天間飛行場代替施設協議会で県や市の受け入れ可能な工法を聞き基本計画を策定したい考えだが、県や市が求める代替施設の使用協定や15年使用期限は解決のめどがまだ立っておりません。
 そこで質問をいたします。工法と意見集約について。
 県は、国が提案した工法を絞り込むのに住民合意と意見集約をどのような手続で進めていかれるのか。次回代替施設協議会に間に合わすのかどうなのか、その期間もあわせて示してください。
 次に、次回代替施設協議会に臨むに当たって、名護市と県がばらばらの意見を述べるのではなくて、名護市と沖縄県が意見集約を図って示すことが望ましいと考えます。その際、県案は複数案ではなく、1工法1案に絞り込むことが県の意思を明確に国に示すことができると私は考えます。見解を求めます。
 環境アセスメントについて、工法決定後に実施する考えを県は示しておりますが、国は複数案においても環境アセスメントの実施を行えるものと示唆をいたしております。県はどの考え方が県益に沿うものと考えておりますか、県の考えをお聞かせください。
 15年問題について。
 国から代替施設の工法案が示されておりますが、県は名護市同様、15年問題、基地使用協定の解決を見ない間は工法の決定は行えないものと考えておられますか、示してください。
 (2)番目、国内問題として先ほども比嘉勝秀さんが取り上げましたけれども、15年使用期限問題を解決する考え方を知事はどのように理解をしておりますか、所見を伺います。
 日米地位協定の見直しについて。
 日米外相会談における田中外相の沖縄問題の取り上げ方は、これまでの外相と異なりストレートに問題を提起しておられました。地位協定の見直しや海兵隊兵力削減等解決への期待感を私は持てるものと期待をいたしております。知事の見解を求めます。
 次に5番目、知事訪米における企業誘致活動の成果と感触について。
 今回の知事訪米における企業訪問については、沖縄に立地している企業、関係している企業及び沖縄に関心を持っている企業の中で最先端を行くIT及び金融関係企業を訪問し、立地企業のさらなる発展と新たな沖縄の経済発展につながる企業誘致を呼びかけることを目的としたと聞いておりますが、その成果と感触について伺います。
 第6番目、平和行政について。
 知事は、世界の恒久平和を実現するためには民族や宗教等の壁を乗り越えて相互に理解をすることが大切であり、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って沖縄から平和の創造・発信に努めていくと同時に、広く世界に向けた国際平和の創造に貢献するものとして沖縄平和賞を創設すると伺っております。
 そこで、沖縄平和賞の理念についてお聞かせください。
 次に、基地を容認する県政が沖縄平和賞を創設し、世界の恒久平和に寄与していくとしていることが矛盾しているという指摘がありますが、この点についても御見解を示してください。
 (3)番目、沖縄平和賞は、県民が誇りを持てるような財産として末永く継続していけるものでなければならないと言われておりますが、それはどういうことですか、お聞かせください。
 (4)番目、沖縄平和賞について県民コンセンサスの醸成を図るためどのようなことを考えておりますか。また今後のスケジュールについてお聞かせください。
 7番目、農林水産行政についてお伺いをいたします。
 農業協同組合の合併に伴う県の財政支援のあり方についてでありますが、農協団体は去る6月8日の新聞報道によりますと、今期は合併に向けた厳しい査定基準で決算をした結果、県内28JAのうち9JAが債務超過に陥っていることが明らかになっております。合併に際しては、これらの債務超過分を完全に処理した上で合併する必要があります。県からの財政支援に関しては県民の理解を得る必要があります。債務超過に至った原因の究明はもちろんのこと、経営責任や出資者の負担など最大限の自助努力が必要であると考えます。
 県として、財政支援に当たっての基本的な考え方があればお聞かせください。
 (2)番目、本県の養豚経営を安定させ、消費者においしく良質な豚肉を供給するためには、品種の改良を積極的に推進しなければならないと考えております。このような課題に対応するために、県は、畜産改良の中枢機関である中部飼育センターを移転、拡充・整備した原種豚場を設置する計画を進めていると聞いております。
 そこで、原種豚場整備の進捗状況についてお聞かせください。
 (1)、原種豚場の役割について。
 (2)番目、種豚の改良を推進することにより豚肉のブランド化を早急に確立し、養豚の振興を図るためにも原種豚場の建設場所を早期に決定する必要があると考えます。その場所と時期についてお聞かせください。
 指定種豚場の7割が中部に集中しております。国頭村に移転するという計画もありますが、きょうの新聞でもう既に国頭村に移転をするという方針が出されているようであります。種豚及び精液の供給には支障はないか、お伺いをいたします。
 8番目、新石垣空港建設について。
 去る5月の31日に地元調整会議で空港ターミナルの位置が東側で合意され、新石垣空港の建設に関する地元の合意はすべて得られたものと考えています。八重山郡民は、一致して空港建設の早期実現を熱望しております。これからは早期の事業着手に向けて県の精力的な取り組みが求められます。
 そこでお尋ねをいたします。
 新空港の事業着手までに今後どのような手続が必要ですか、そのスケジュールを教えてください。
 また、事業着手までに解決すべき大きな課題としては何がありますか、お伺いをいたします。
 9番目、離島における放置自動車対策事業と不法投棄の取り締まり強化のための警察官の配置について。
 昨今の廃自動車処理のいわゆる逆有償化以降、道路や観光地に放置される自動車が増加しております。離島においては島内に処理業者がいないことから、本島まで船舶輸送に費用がかさむことになり特に問題となっております。これらの放置車両は、オイル・バッテリー液等の漏出等環境へ悪影響を及ぼすほか、本県の重要な観光資源の一つである豊かな自然環境や景観が損なわれるなど地域振興の妨げになっております。
 県においては、平成13年度に離島の放置車両を一斉に撤去するとのことでありますが、その事業の概要及び前提となる市町村の条例の制定状況についてお伺いをいたします。
 最後に、平成13年2月定例会における私の質問で、頻発する不法投棄の取り締まりの強化を図る目的で捜査権を持った警察官の配置を新年度予算で予算措置を行い、環境保全の確保に努めたいとする答弁でございましたが、聞きますといまだにその配置がなされてないと聞きますが、事実でしょうか。事実であれば、その理由も含めてお聞かせをお願いいたします。
 答弁によって再質問をいたします。
○知事(稲嶺惠一) 翁長政俊議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は、小泉新総理が掲げる構造改革と地方財政についてのうち、小泉内閣に対する知事の評価と沖縄問題への期待度について聞きたいとのお答えでございます。
 小泉内閣には、我が国経済の確実な回復を初め国内外の困難な諸課題の解決に向け、小泉総理の強力なリーダーシップによって経済、財政、社会保障などの構造改革を推進し、21世紀の我が国の明るい展望が切り開かれるよう期待しています。本県は、広大な米軍施設・区域の存在など長い歴史の中で積み重なった多くの課題を抱えております。小泉内閣におかれては、沖縄の諸問題の解決に当たっては、国政の重要課題として全力を傾けていただくことを期待しております。
 次に、小泉新総理が掲げる構造改革と地方財政についての御質問のうち、「聖域なき構造改革」を掲げ地方財政に切り込む姿勢の小泉総理に地方首長からの反対もあるが、知事のスタンスは、またそれに新たな財源の確保に迫られると考える、対応はという御質問についてお答えいたします。
 現在、国において財政構造改革の論議として、地方税財源や地方交付税等のあり方について検討されているところであり、各地方公共団体においては多大な関心を持ってその推移を見守っているところであります。
 地方財政制度については、分権型社会を支えることができる地方税財源の充実・強化等のあり方について十分議論する必要があり、重要な課題であると認識しております。しかしながら、本県及び県内市町村のように財政力が脆弱な地方公共団体にとっては、現実に存在する地域の経済力の格差から生じる税源の偏在を調整する現行の地方交付税制度の役割は大変重要であると考えております。
 こうしたことから、地方公共団体にとって必要不可欠の共有財源である地方交付税を含む税財政制度のあり方については、当事者である地方公共団体と一体となった検討を行うなど円滑な地方行財政の運営ができるよう九州地方知事会等を通じ、引き続き国等に働きかけていきたいと考えております。
 次に、小泉総理の構造改革が沖縄振興開発に及ぼす影響をどう判断しているかとの御質問にお答えをいたします。
 「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」においては、厳しい財政状況の中で「選択と集中」の姿勢のもと、重点的・戦略的に施策を推進することとしております。
 小泉総理の目指す「聖域なき構造改革」は、本県の振興にも影響が及ぶものと考えております。しかしながら残された格差の縮小、本県が目指す自立に向けた持続的発展、世界に開かれた交流・協力拠点の形成を図るためには、今後とも国の特別な支援が必要であると考えております。今後、沖縄振興を支える制度・施策を国に対して要望する中で本県の振興が図られるよう最大限努力をしてまいります。
 次に、沖縄振興の基本的な考え方についてのうち、振興新法の特徴についての御質問に対するお答えでございます。
 国に要望する沖縄振興新法の特徴は、アジア・太平洋交流・協力拠点の形成など、沖縄の特性の積極的な活用に対する支援措置や輸送コストの軽減及び離島・過疎地域の振興支援など不利性の克服に対する支援措置を盛り込んでいることです。また、跡地整備事業に対する財政支援など基地跡地利用促進のための特別措置とともに、高率補助制度など沖振法の必要な特別措置を盛り込んでいることです。
 次に、沖縄振興の基本的な考え方についての中で、国との調整の段階で見送った要望事項の交渉経緯とその理由及び国の厚い壁を越え切れない「限界論」と「骨抜き論」への懸念についての御質問のお答えでございます。
 新たな制度等の関係省庁との調整については、その趣旨、目的、利用見込みや波及効果、県内外産業などへの影響等を勘案しながら進めてきたところであります。
 こうした調整を通じて制度等として盛り込めなかった主な項目とその理由でありますが、雇用開発推進基金制度の創設については、基金によることの必然性がなく予算措置等により対応が可能であること、外航船による国内輸送の特例(カボタージュ規制の撤廃)については県内海運業界等の十分なコンセンサスが得られていないこと、特別自由貿易地域に係るサブゾーンの設置については企業誘致促進策として整備された制度の趣旨、目的にそぐわないことなどであります。
 国に求めていく制度等には、自立型経済構築に必要な本県だけを対象とする大胆な制度も多く盛り込まれております。このため、その実現に向けては県選出の国会議員を初め県議会や各種団体等県民一体となって取り組んでいきたいと考えております。
 次に、沖縄振興の具体的施策と制度についてのうち、既存製造業を初めとする地場産業の振興について、これまでの振興策では不十分であると、この対応をどう考えるかについてお答えします。
 既存製造業を初めとする地域産業については、市場競争力の強化を促進することを基本に、効果的な支援策等を展開することにより活力ある産業として振興していく必要があります。
 内外の市場において脆弱と言われている県内企業の製品が競争力を持つためには、生産から流通、販売の各段階で各種の支援策を実施することが重要であると考えております。このため生産面ではITを活用した生産設備の高度化、食品衛生管理の国際的基準であるHACCP方式等の導入を促進するとともに、技術力や経営の向上を担う人材の育成等により物づくりの基盤の高度化を図っていく考えであります。また、販売面においては市場に受け入れられる付加価値の高い製品づくりを支援するとともに、ブランド化に向けた施策を重点的に実施していくことにしております。
 さらに流通面では、ITを活用した電子商取引の構築等革新的な手法を促進するとともに、輸送コストの低減や沖縄の地域事情に即した効率的な流通システム(ロジスティックシステム)として整備していく必要があり、そのための施策を展開してまいります。今後も引き続き産業界と一体となり、効果的な支援策を展開していく所存であります。
 次に、沖縄振興の具体的施策と制度についてのうち、産業を担う人材の育成策についてお答えいたします。
 本県の地域資源や特性を生かし、優位性が発揮できる産業分野に重点を置いた戦略的な産業振興を図るためには、技術開発やベンチャー精神旺盛な人材の育成及び確保が重要であると考えております。このため「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」では、「時代を担う多様な人づくり」の中で、学校教育の段階から産業を担うために必要な基本的な知識・技能の修得やビジネスマインドの醸成を図ることにより、観光・リゾート産業や情報通信産業分野等で活躍できる人材の育成に努めることとしております。
 具体的には、「琉球大学における理工系学部の拡充の促進や時代のニーズに対応した学部・学科の新設、大学院の設置を促進する。」とともに、県立芸術大学にデザイン系工学分野等の学部設置を検討していきます。さらに、県内私立大学等におけるIT関連等の教育を充実・強化するほか、IT先進国に学生等を派遣することにより高度技術者の育成・確保を図ってまいります。
 また、国立高等専門学校の早期開学を促進するとともに、沖縄職業能力開発大学校に生産情報システム技術科の設置を促進する等実践的職業教育及び専門的技術教育を行うことにより、物づくりの核となる技術・技能を持った人材の育成や経営感覚にすぐれたグローバルな人材の育成に努めてまいります。
 次に、普天間飛行場の代替施設の工法と意見集約についての御質問にお答えをいたします。
 去る第7回の代替施設協議会では、防衛庁より、代替施設の規模、工法、具体的建設場所などに関する検討結果の報告がなされました。
 報告では、代替施設の規模、工法、具体的建設場所としてくい式桟橋工法、ポンツーン工法、埋立工法の3工法についてそれぞれ2案、1案、5案の合計8案が示され、各案ごとに説明がありました。示された3工法8案については、地元説明後、名護市長において地元住民の意見、要望を取りまとめ、次回協議会においてその報告を行うこととされております。
 また、名護市等地元の意見も踏まえた県としての考え方を聞いた上で、代替施設の規模、工法、具体的建設場所等について総合的、具体的な検討をさらに進めていくこととされております。県としては、国から提示された資料について県内部において検討を進めるとともに、地元の意向を踏まえながら総合的に検討していきたいと考えております。
 なお、その中の御質問の中で、複数の案について環境影響評価を行うべきとの意見もあるが、どう考えるかというのがございましたので、それについてお答えいたします。
 去る第7回代替施設協議会で示された工法案については検討が進められているところであり、今後基本計画が策定されることから予断をもって述べることはできませんが、指摘の点につきましても協議の過程で議論されるものと考えております。
 次に、15年問題についての所見を聞きたいということのお答えでございます。
 普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。
 同問題の解決については、これまでもあらゆる機会に政府に求めてきたところであり、さきの第7回代替施設協議会でも政府に対し早期解決を強く申し入れたところであります。代替施設の15年使用期限問題の解決についてはさまざまな考え方があると思いますが、県が移設に当たって整備すべき条件として、また名護市が受け入れ条件としていることから着工前までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないと考えており、その解決は可能な限り早いことが望ましいと考えております。
 名護市が求めている使用協定等については、実務者連絡調整会議において話し合いが進められておりますが、同市の意向も踏まえ、基本計画策定の協議とあわせて着実な進展が図られるよう代替施設協議会において国に申し入れたところです。県としては、今後とも市の要望が実現されるよう取り組んでいきたいと考えております。
 次に、基地問題について、日米地位協定の改定について田中外相にどのような期待をするかとのお答えでございます。
 田中外務大臣は、5月22日の参院予算委員会において、運用改善で個々の問題に機敏に対応する、それで十分効果的でない場合は地位協定の改定も視野に入ってくる旨の発言をされました。また、6月8日に外務省でお会いした際にも、米海兵隊訓練移転や海兵隊を含む兵力削減、日米地位協定の改定について要望したところ、県民の感情については理解しており、日本全体の問題として考えなければならない旨の回答をいただきました。県としては、今後とも日米地位協定の見直しを早急に協議するようあらゆる機会を通して日米両政府に対し強く求めていきたいと考えております。
 次に、知事訪米について、企業誘致活動の成果と感触、今後の国際企業の誘致活動についての御質問に対するお答えでございます。
 今回の訪米では、最先端を行く情報通信及び金融保険関連企業を中心に訪問いたしました。既に沖縄に立地している企業に対してはそのお礼を述べるとともに、沖縄における事業のさらなる拡大と新たな企業進出を要請しました。
 その中で、大手保険会社のAIGでは沖縄へのコールセンター進出を成功事例と位置づけており、その業務の拡大や関連会社の進出の可能性について前向きな発言が得られました。またオラクル・コーポレーションからは、本県が情報産業集積地域として可能性が高いことや、本県の目指す電子政府の推進に対して技術的な面からの協力ができるとの前向きな発言がありました。シスコシステムズからは、電子政府の実現に向けての推進体制のあり方や技術的な面を含めての協力、IT技術者の研修生の受け入れについて前向きな発言がありました。今後、海外からの企業誘致活動につきましては本県の投資環境の整備を進めるとともに、私みずからトップセールスを積極的に行っていく所存であります。
 次に、平和行政について、知事の平和観についての御質問のお答えでございます。
 沖縄は、かつて「万国津梁」の精神で広く海外との交易を通して栄えた琉球王国時代があり、平和を大切にする独特な文化をはぐくんできた歴史があります。また、沖縄県民は過酷な沖縄戦を体験し、長年にわたる米軍施政、そして今なお残る広大な米軍基地などから平和と人権のとうとさを肌身で感じております。21世紀を担う若い世代にもこの事実と教訓を正しく継承するとともに、世界平和の創造に努めることは私たちの責務であります。
 私は、これまで青年海外協力隊の支援活動などを通して世界60カ国以上の国々を実際に見てきており、今なお紛争が絶えない地域や貧困、難民、環境問題など数多くの要因によって死んでいく人々がいる現実を厳しく受けとめております。
 以上のことから、平和を脅かすさまざまな課題の解決に向けて何らかの形で役に立ちたいと考え、沖縄平和賞(仮称)を創設することにしたものであります。また、昨年のサミットにおいて発信した平和を希求する沖縄県民の思いを引き続き世界に発信していくためにも、沖縄県が平和賞の創設に取り組むことは大変意義があると考えております。
 次に、平和賞と基地問題との関連についての御質問に対するお答えでございます。
 私は、本県に所在する米軍基地が日米安保体制を維持する上で重要な役割を果たし、我が国の安全及び極東における平和と安全の維持に寄与しているものと理解しております。しかしながら、本県には広大な米軍基地が存在し、県民生活や本県の振興開発にさまざまな影響を与えていることから、県民は米軍基地の整理縮小を強く望んでおります。県としては、沖縄県民の基地負担の軽減を図るため基地の整理縮小を初めとする本県の基地問題を一つ一つ着実に実施してまいります。
 一方、沖縄平和賞(仮称)基本構想素案においては、沖縄の平和がアジア・太平洋地域の安定・平和と密接に関係することから、この地域の緊張緩和・安定・非暴力の確保・推進を目指し、そうした活動を積極的に評価・支援することとしております。
 アジア・太平洋地域での紛争等がなくなれば、おのずから沖縄における米軍基地の存在意義も薄れ、整理縮小につながっていくものと考えております。沖縄がアジア・太平洋地域の平和の構築・維持に持続的に取り組んでいく一つの手段として沖縄平和賞(仮称)を創設するものであります。
 次に、沖縄平和賞は、県民が誇りを持てるような財産として末永く継続していけるものでなければならないと考えるがどうかについてお答えをいたします。
 私は、沖縄平和賞(仮称)は県民が誇りを持てるような財産として中立性、公平性が確保され、末永く継続していけるものでなければならないと考えております。また、この賞により平和を何よりも大切にする県民の心を世界に発信し、本県が恒久平和の発信拠点として国内外から認知されるよう目指していきたいと考えております。
 次に、農林行政について、農業協同組合の合併に伴う県の財政支援のあり方についての御質問にお答えします。
 県単一JAの合併は、経営基盤の強化、農家組合員へのサービスの向上などが図られ、農業の振興に大いに貢献するものと考えております。現在、沖縄県単一JA合併推進本部委員会において合併に向けた財務確認、組織体制の整備、経営計画の策定等が進められているところであります。県としては、委員会の作業結果等を踏まえ支援策を検討していく考えであります。
 次に、新石垣空港の建設について、事業着手までにどのような手続が必要か、そのスケジュールについての御質問についてのお答えでございます。
 八重山郡民の長年の願いである新石垣空港の建設位置は、郡民合意を得てカラ岳陸上案に決定し、白保地区から要請のあったターミナル位置を東側に設置することについても地元調整会議で地元の合意が得られたところであります。現在、ターミナル位置決定のために当初計画よりおくれている空港基本計画の早期策定に努めるとともに、環境現況調査、地形・地質調査等の諸調査を実施しているところであります。
 今後、引き続き空港基本設計を作成して国との調整を重ね、平成16年度の国庫補助事業採択に向けて努めていくとともに、環境影響評価法に基づく環境影響評価手続を適切に実施していく予定であります。その後、関係地権者や関係団体の同意を得、石垣市議会と県議会の設置管理議決を経て設置許可を申請し、許可を得て新石垣空港の建設に着手することになります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの翁長政俊君の質問に対する残りの答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午後0時  休憩
   午後1時21分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 午前の翁長政俊君の質問に対する答弁を続行いたします。
 企画開発部長。
   〔企画開発部長 与儀朝栄君登壇〕
○企画開発部長(与儀朝栄) 翁長政俊議員の新たな沖縄振興の基本的な考え方についての新計画に基づく10年後の社会経済構造の形成と数値目標についてにお答えいたします。
 沖縄振興新計画(県案)における人口及び経済等の展望値については、昨年の8月以降、沖縄県振興開発審議会総合部会の経済社会展望専門委員会で検討を重ねており、12月には同総合部会に中間取りまとめとして報告したところであります。今後は、沖縄県振興開発審議会における調査・審議や沖縄振興新法の動向、沖縄振興新計画(県案)の施策・事業等を踏まえつつ、関係部局との調整を重ね展望値の策定作業を進めていきます。同時に、沖縄振興新計画(県案)における位置づけや内容についても、沖縄県振興開発審議会の意見等を踏まえ検討していきたいと考えております。
 次に、新たな沖縄振興の基本的な考え方について、「本土との格差是正」を目標から外した理由に格差の逆活用の視点を用いているが、この論理で格差が克服できるのかについてお答えいたします。
 新たな沖縄振興において、依然として残された格差の是正を引き続き図っていくことは当然であるものの、現行の沖縄振興開発特別措置法や沖縄振興開発計画の体系に基づく格差是正と自立的発展の基礎条件の整備を中心とした施策・事業の進め方のみでは限界があると認識しております。このため、今後の施策の展開方向を「格差是正」から「沖縄の特性の発揮と不利性の克服」へと順次切りかえていく必要があると考えております。
 本県の魅力ある地域特性を十分に発揮し、民間主導により自立型経済を構築していくことが重要であり、振興新計画やそれを支える振興新法のもと、戦略的な環境整備を強力に推進することで地域経済みずからが成長の原動力を持ち得るものと考えております。このことによって格差の是正が図られていくものと考えております。
 次に、新たな沖縄振興の基本的な考え方について、3次にわたる財政投資の県内歩どまりの点検と検証はなされたか、数値を持って示せについてお答えいたします。
 第1次振計から第3次振計の期間内に県内に投下された財政投資額を見てみますと、内閣府沖縄担当部局の沖縄振興開発事業費ベースでは、平成13年度当初予算までの累計で6兆7326億円となっております。
 御質問の財政投資額に係る県内歩どまり率については、数値的な点検と検証は困難なため行われておりません。
 なお、平成7年の沖縄県産業連関表によりますと、1年間の経済活動の県内の歩どまり率は県内全産業平均で66.6%となっており、九州各県とほぼ同水準であります。
 次に、同じく新たな沖縄振興の具体的施策と制度について、産業振興計画の位置づけと個別計画の計画期間の明記と目標についてお答えいたします。
 産業振興計画については、沖縄経済振興21世紀プランの内容を反映するとともに、地域資源や地域特性を活用して発展していく健康、バイオ等の特色ある産業の振興を重点的に推進するための計画として位置づけるよう国に求めています。
 また、観光振興計画や国際情報特区整備計画等個別計画の期間については今後検討してまいりますが、時代の変化に的確に対応するためには3年から5年程度の期間設定もあり得るものと考えております。また、個別計画の目標については計画策定の中で設定されていくものと考えております。
 次に、新たな沖縄振興の具体的施策と制度について、那覇港をハブ港化するために沖縄振興新法に制度化を盛り込むべきではないかについてお答えいたします。
 那覇港については、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」において、国際的な交流拠点にふさわしい高次の都市機能として、那覇港の国際ハブ機能の形成を促進する国際航路ネットワ-クの構築及び港湾情報システムの整備を促進するとして位置づけております。また、その実現に向けては制度・施策上の位置づけが必要と考えており、国際航路ネットワ-クの拡充に対する支援策を沖縄振興新法に盛り込めるよう国に要望していきたいと考えております。
 次に、新たな沖縄振興の具体的施策と制度について、沖縄に陸揚げされている国際光ケーブル回線を有効に活用する施策についてお答えいたします。
 沖縄に陸揚げされている海底光ケーブル回線の有効活用については、「沖縄国際情報特区構想」を実現する5つの推進方策においても「アジア・太平洋地域の情報通信拠点形成に向けたグローバルなインターネットエクスチェンジ(IX)の形成」として掲げられており、本県における国際情報通信ハブの形成及び情報通信産業の集積を図る上で不可欠であると認識しております。
 その具現化については、今後策定する予定の「国際情報特区整備計画(仮称)」の中で予算、税制等の優遇措置を初め人材育成等誘致のための各種支援策について国と調整を図りながら進めていきたいと考えております。
 次に、同じく新たな沖縄振興の具体的施策と制度について、サンライズ構想の新法における位置づけと振興策についてお答えいたします。
 サンライズ構想の「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」への位置づけについては、先日、関係市町村からの要請がありましたが、構想の内容が多岐にわたることなどから、今後、沖縄振興新計画原案を取りまとめる過程において検討したいと考えております。
○福祉保健部長(新垣幸子) 新たな沖縄振興の基本的な考え方について、新法における福祉、保健医療分野の要望項目の再検討と個別計画の策定を図ってはどうかという御質問にお答えします。
 「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」に係る制度・施策として、「国際医療協力の推進に対する支援」を新たな制度として要望しております。また、離島における障害者等の福祉の増進についても新法に盛り込めるよう調整をしております。
 このほか、離島地域における保健医療の確保や福祉の充実は今なお重要な課題ですので、具体的な事業の実施に対する支援を関係省庁に要望してまいります。
 個別計画の策定については、「基本的な考え方(案)」において、だれもが地域においてひとしく生き生きと自分らしい生活が送れる健康福祉社会の実現を目指すこととしており、今後は健康福祉社会の実現に向けて実施計画の策定等について検討してまいります。
 以上です。
○商工労働部長(花城順孝) 沖縄の産業を牽引していく新事業やベンチャー企業に対する支援について、計画、制度ではどのように取り扱われているかという御質問でございます。
 本県経済が中長期的に自立的発展を遂げるためには、良質の雇用機会が確保できるような新規産業等の創出を促進する必要があります。このため健康関連産業、バイオ産業、食品・飲料産業等の「オキナワ型産業」の支援やベンチャー企業の創出等を促進します。また、沖縄産業支援センターを拠点として一貫した各種支援・施策を総合的に実施する新事業創出支援体制(プラットフォーム)の拡充を図ってまいります。
 具体的な支援策としましては、「オキナワ型産業」として認定を受けた企業に対し税制・金融の優遇措置を講じるとともに、情報化、物流効率化、販路開拓等の支援を検討しております。また、ベンチャー企業に対する支援としましては、中小企業創造活動促進法の特例による投資税額控除を継続するとともに、新たに「オキナワ型ベンチャーファンド」の創設が図られるよう国と調整しているところであります。
 次に、研究開発部門の推進策についてでございます。
 製造業を初めとする地域産業の振興を図るためには研究開発部門の充実が重要でありますが、県内の製造業者における研究者の占める割合は0.9%となっており、全国の3%に比較して研究開発体制はいまだ十分な状況にはないと考えております。このため、本県においては公設試験研究機関等が先導的な技術研究を行い、企業へ技術移転することが重要であります。
 県としましては、工業技術センター等の機能を最大限に発揮するため招聘・嘱託研究員等の人材を確保し、産・学・行政の連携による共同研究事業等の積極的な実施により企業への技術移転を推進しております。今後とも地域産業の競争力強化や県内自給率の向上を図るためには、研究開発部門の充実・強化は重要であります。
 そのことから、沖縄振興新計画において公設試験研究機関相互の横断的・有機的連携の強化、工業技術センター、大学、トロピカルテクノセンター等の研究成果及び技術の移転の促進を図り、技術集積が高められるよう努めてまいります。
 次に、新規産業創出基金設置を見送った理由についてでございます。
 新規産業分野創出基金制度につきましては、運用利益活用型の基金としてベンチャー企業の育成や産・学・官の連携及び人材育成等の各種事業に対し助成することを目的に創設を検討してきたところでございます。関係機関との調整の結果、国の財政状況が厳しい折、十分な運用利益を生み出すほどの基金の確保が難しいこと、各種事業への助成措置につきましては、毎年度の事業計画に対応した予算を確保するよう国に要求することで対応可能な分野もあることから、最終的に当該基金の創設を見送ったものでございます。
 県としましては、経済の活性化と新規雇用の創出の観点からベンチャー企業の育成が重要であると考えており、新たに「オキナワ型ベンチャーファンド」の創設が図られるよう国と調整をしているところであります。
 当ファンドは、すぐれた技術やアイデアを持ち成長が期待される企業、事業等に株式引き受け等を中心とした円滑な資金供給を行うことにより特色ある企業の創業や新事業展開並びに県外ベンチャー企業の立地等を促進するものであり、投資対象企業にとって使い勝手のよい仕組みにしていきたいと考えております。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 新たな沖縄振興の具体的施策と制度についての中のエコツーリズムの実施計画についてお答えします。
 エコツーリズムは、本県の亜熱帯性特有の自然を生かし、また地域の振興を図る新たな観光資源としてその展開が期待されております。 
 「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」の制度・施策(案)においても「エコツーリズムの推進」を法制度の中に位置づけ、その推進のための支援措置を要望していきたいと考えております。
また、その展開につきましては、昨年、「エコツーリズム推進のためのフィールド調査事業」を行い、さらに今年度はモニターツアーの実施、データベースの構築及び実践マニュアル等の作成を予定しており、これらを踏まえエコツーリズムの推進を図る所存であります。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 新たな沖縄振興の具体的施策と制度についての国発注公共工事の地元優先発注と県産品優先使用の制度化についてお答えいたします。
 公共工事等の発注に関する国の基本姿勢につきましては、1996年1月1日に発効した「政府調達協定」で示されており、その中ですべての物品購入等公共工事等の発注について一定金額以上の発注に当たっては、国や地域による制限を撤廃し国際的な一般競争に付すこととなっております。
 さらに、今年4月1日施行の「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」においても公正な競争の促進を図ることとなっており、国発注公共工事の地元優先発注と県産品優先使用の制度化について「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」の中に具体的に記述することは難しい状況にあります。しかしながら「民間主導による自立型経済の構築」の項目において、建設業は社会基盤整備の担い手として本県経済において重要な役割を果たしていることから、時代潮流に対応した振興を図る、あるいは「時代潮流に対応した建設業の振興」の項目において県内企業の受注機会の積極的な拡大に努める、そういった文言を記述してございます。
 また、県においては、「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」に基づいて県内企業に優先的に発注しており、国に対しましても毎年同趣旨の要請を行っているところであります。今後とも県内企業の受注機会の拡大及び県産品の使用の拡大について要請を行うとともに、国と連携等を含め総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、新石垣空港建設について、事業着手までに解決すべき大きな課題としては何があるかという御質問にお答え申し上げます。
 新石垣空港の事業着手までに解決すべき大きな課題としましては、その1つに環境影響評価手続の適切な実施があります。新石垣空港建設事業は大規模な開発事業であり、環境影響評価法に基づく環境影響評価手続を適切に進める必要があります。環境影響評価の実施に当たっては、環境影響評価方法書や環境影響評価準備書を公告・縦覧する必要があり、その際、国内外から多数の意見が出ることが予想されます。
 このようなことから、現在、環境影響評価を適切に実施するため学識経験者で構成する環境検討委員会で審議、検討していただいているところであり、その指導・助言を得ながら対応していきたいと考えています。また、今後、新空港建設の適切な工法を検討するため学識経験者で構成する工法検討委員会を設置し、環境への負荷の少ない建設工法を検討していただく予定であります。
 また、事業着手までに解決すべきもう一つの大きな課題としましては、関係地権者や関係団体の同意取りつけがあります。
 カラ岳陸上地区における新空港建設については、位置選定委員会や地元調整会議において地元の合意が得られており、今後、関係地権者や関係団体の理解と協力を得て早期の事業実施に努めていく考えであります。
 以上でございます。
○知事公室長(親川盛一) 翁長政俊議員の平和行政についての質問事項のうち、まず、沖縄平和賞の理念についての御質問にお答えをいたします。
 沖縄平和賞(仮称)基本構想素案における理念は、本県の持つ歴史的、文化的、地理的な特性を生かせるものとして次の3つを提示しております。
 第1に、「アジア太平洋地域における平和・非暴力実現の促進」であります。沖縄の平和は、アジア・太平洋地域の安定・平和と密接に関係しており、当該地域の緊張緩和・安定・非暴力を確保・推進する活動を顕彰することであります。
 第2に、「人間の安全保障実現の促進」であります。この賞は平和の概念を広くとらえ、人間の安全保障、いわゆる人間の生命及び基本的権利を脅かす貧困、環境問題等を解決し、豊かに生活できる状態の確立への努力、取り組みを顕彰することであります。
 第3に、「内発的多様性を基礎とした平和実現の促進」であります。沖縄及びアジア・太平洋地域は、ともに社会、文化、伝統の多様性に彩られた地域であります。この賞は、それぞれの地域の内部で培われてきた多様な文化や考え方を相互尊重することによって平和の実現を図る努力、取り組みを顕彰することであります。
 以上が沖縄平和賞(仮称)の理念でございます。
 次に、沖縄平和賞の県民コンセンサスの醸成と今後のスケジュールについての御質問にお答えいたします。
 県民コンセンサスの醸成につきましては、これまでにインターネットを活用した基本構想素案の掲載、市町村説明会及びシンポジウムを開催いたしました。今後、地域別説明会を開催するなど多くの機会を通して広く県民の意見を聞くとともに、その声を検討委員会に報告し基本構想に反映させていきたいと考えております。このような過程を通して多くの県民の支持が得られるよう努めてまいりたいと考えております。
 今年度は検討委員会での検討結果の報告を受け、基本構想の策定に努め、平成14年度には第1回の授賞式を実施したいと考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(天願貞信) 翁長政俊議員の原種豚場整備の進捗状況についての御質問にお答えいたします。
 御質問の原種豚場の役割について、建設場所とその時期について、移転に伴う種豚等の供給についての御質問は、関連しますので一括してお答えいたします。
 現中部種畜育成センターは、施設の老朽化、敷地の狭隘化及び市街化の進展等により移転整備をする必要があります。同センターは、沖縄ブランド豚の創出を目指して従来の優良種豚の供給に加え、新たに系統造成を行う原種豚場として整備する計画であります。
 原種豚場の建設場所については、当初石川市を予定しておりましたが、今後の市街化の進展、近隣施設への環境対策、家畜伝染病の防疫対策などの観点から、国頭村安田の県乳用牛育成センター敷地内に併設することとしております。
 移転に伴う畜産農家への優良種豚の品種の供給については、中部農業改良普及センター及び家畜保健衛生所を活用していく考えであります。今後とも優良種豚の安定供給に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(永山政邦) 不法投棄について、離島における放置自動車対策事業についてお答えいたします。
 本県の離島においては廃自動車の処理施設がなく、また沖縄本島までの船舶輸送費がかさむことから年々放置自動車が増加し、現在約7500台が放置されており、その処理は深刻な状況となっております。
 こうしたことから、県においては、離島の生活環境及び豊かな自然景観を保全するため条例等の制定により放置自動車の発生防止に取り組んでいる関係市町村に対して、沖縄特別振興対策調整費等を活用いたしまして、平成13年度中にこれら放置自動車を一斉に撤去処理することにしております。
 県は、これまで関係24市町村と条例制定や予算措置状況及び放置自動車の撤去方法について具体的な協議を行ってきております。5月末現在、関係24市町村のうち3町村において「放置自動車の発生の防止に関する条例」が制定され、その他の市町村においても6月議会での制定に向けて作業が進められているところであります。県としては、これら市町村の条例制定が整い次第、速やかに撤去処理が実施できるよう事業の円滑な推進に取り組んでいきたいと考えております。
 以上であります。
○総務部長(當銘直通) 不法投棄の取り締まり強化のための警察官の配置についてお答えいたします。
 排出事業者や処理業者により処理すべき産業廃棄物の不法投棄や放置車両については、監視パトロールや行政指導の徹底、悪質事業者の告発等地域住民、行政、警察など関係機関が連携を図り、情報交換を密にするなど的確かつ迅速な不法投棄防止対策が重要と考えています。
 県としましては、廃棄物行政の総合的企画、調整機能を強化するため平成13年度の組織・定数の改編において文化環境部環境整備課に企画管理係を新設したところであります。また、悪質な事犯に迅速に対応するため、警察職員を配置することについて関係機関と調整を行っているところであります。
 以上であります。
○翁長 政俊 再質問いたします。
 基地問題でございます。15年問題についてでございますけれども、知事のこれまでの答弁、閣議決定以降、政府は新たな見解を示しておりません。知事が言われる努力が足りないということを私も実感をいたしております。知事は、ボールは政府が持っているとして政府が先にアクションを起こすべきで、沖縄側から起こすべきものではないと考えておられるんではないのかなというふうに私は推察をいたします。知事は、着工までに15年問題は何らかの進展があるものとして答弁をされておりますし、まだまだ時間があるという認識のようであります。議会でもそのような答弁をされております。
 しかし名護市長は、今度国からの工法提案を受けて、この工法の決定と15年問題、基地の使用協定は同時並行でなければならないと述べております。ここが知事と決定的に違うところだと私は認識をいたしております。私は、この問題は地元の頭越しには解決ができないというふうに認識をいたしておりますし、またそうであるべきだと思っております。
 そういうことですから、県の考え方と市の考え方が私は合致しなければならないと、このように思っておりますし、解決ということになると知事の方から名護市の市長の考え方に歩み寄ることが重要だと考えております。ここをお聞かせください。
 もう一つ、比嘉勝秀議員からの質問もございましたが、15年問題をいわゆる国内問題として解決するという一つの提案として発言がなされておりますが、この件について知事の御見解を示してください。
 最後にもう一点。基地を建設するということで今進めておりますので、私はもっと沖縄が主体性を持って、イニシアチブをとってこの問題に当たるべきだと思っております。基地の建設後、管理運営も含めて沖縄が主体的な役割を果たすことが重要ではないのかなと。これは小泉総理が今進めておられますいわゆる地方分権、いわゆる地方ができるものは地方にさせる、こういう問題にも合致していく考え方であるというふうに認識をいたしておりますので、この3点についてお聞かせをいただきたい。
○知事(稲嶺惠一) ただいまの翁長政俊議員の再質問にお答えいたします。
 名護市長と考え方が違うとおっしゃいましたが、全く一緒でございます。と申しますのは、今回の訪米でも名護市長と一緒に毎晩のようにお話をいたしております。また、その前後にも何度もお話をしております。基本的には、私が、着工までに何ら進展もなしに進むことはあり得ないと考えておりと言っていますが、その後、その解決は可能な限り早いことが望ましいと考えておりますということを言っています。基本的には全く考え方が一緒でございます。
 それから、両方とも名護市、県にしても、条件としてこれをきっちりと求めているということでございます。
 それから、先ほど比嘉勝秀議員に対する御返答をもう一度申し上げます。
 普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。同問題の解決については、御指摘のことを含めそれぞれの立場でさまざまな考えがあると思いますが、県としては移設に当たって整備すべき条件の一つとして政府に求めているところであり、今後とも政府に対し一日も早い解決を強く求めていきたいと考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後1時58分休憩
   午後1時58分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 大変重要なことは、名護市と協力をしていくことです。今後とも名護市と密接な連携を保ちながらお互いに協力し合って、その辺はイニシアチブをとれるように全力を尽くして頑張りたいと思います。
○砂川 佳一 「新世紀維新」と言われます。地球規模の激変の時代であります。そして日本の終戦直後にも匹敵する見直し、出直し、変革の目まぐるしい時代であります。さらに「ドッグイヤー」と称されるごとく、今の1年は以前の7年にも当てはまるほどのスピードアップの時代であります。
 かかるときに、稲嶺知事におかれましては県民の行く末を見据え、「守礼の邦」沖縄のあるべき姿を根本的に思いめぐらし、基地問題から経済、雇用促進問題まであらゆることを立体的、多面的に組み合わせ、万感の思いを込めて私たちのふるさとウチナーづくりのため、時には寝つかれぬ苦悩の日々もおありでしょうが、責任感と使命感を持って県庁一丸となり取り組んでおられる後ろ姿を見て、我々県民は心からなる敬愛の念でいっぱいであります。
 知事よ、今こそ県民の期待をバックボーンとし、主張すべきことは堂々と主張し、指導を仰ぐべき筋には素直に指導を仰ぎ、産業、文化、教育など各分野、家庭人に至るまで県民の英知を引き出し、総意を結集して事に当たらなければならないことを共有しつつ、ここに自由民主党沖縄県連を代表して具申、提言を申し添えながら質問をさせていただきます。
 まず最初に、「時代が人を求める」と言います。新世紀初頭の沖縄県のトップリーダーとしてどのような気概を持ってこの時に臨むのか、改めて知事の決意のほどを披露していただきます。
 次に、今、全国民の課題として広く知らしめるために我が沖縄県民が主張すべきことの一つに、1951年のサンフランシスコ講和条約で日本は沖縄を切り捨てて独立し、結果、沖縄は27年間米国の施政権下に置かれたこと。また、本土復帰後の今日も在日米軍基地の75%が沖縄に集中していること。本土復帰までのギャップはいまだ埋め切れてないことの歴史的背景と、もう一点は、アジア・太平洋地域におけるクロスロード、方言でカジマヤー、キーストーンとしての沖縄での、沖縄にしかない地理的位置を強調しつつ、しかし米軍基地の過重負担はこれ以上強いられない、基地の整理縮小が県民の意思であること、沖縄の実態として二律背反している感はするものの、ウチナーンチュのプライドをしたたかに主張しながら、このことを沖縄振興策などの1枚のカードとして使用すべきだと思うが、知事のとるべき姿勢をお示しください。そして、一国二制度などのウチナービケーンの制度実現こそ沖縄の次の世代への大きな財産になることだと思いますが、時代の評価に対する知事の自信のほどをお聞かせいただきたい。
 さて、いよいよ沖縄振興新法及び沖縄振興開発計画の策定は正念場を迎えます。3次にわたる沖縄振興策を受けての最終コーナーであり、結果責任を持つ完結編にしなければなりません。
 産業経済界を初め、それぞれの立場でそれぞれの役割と責任を担い、できる限り早い時期での依存体質からの脱却を自覚しなければなりませんが、政府や日本国民に対しても臆することなく当たらなければなりません。心構えは、もちろんギブミーではなくギブ・アンド・テークになるための養成費であり、会社経営に例えれば日本という会社が成長発展するための人材育成投資であり、問題解決能力と自己責任能力を身につけさせるための大切な先行投資であることを認知させることであります。
 具体的に言えば、高率補助制度を初め有効な特別措置法の継続であり、さらなる拡大であります。その中で産業基盤の根底をなす電気エネルギー事業の特別措置法第29条、30条、31条の存置のめどづけはなされているのか、先にお尋ねしておきます。
 そして、沖縄の産業振興促進に多大な役割を担う沖縄振興開発金融公庫は、平成12年5月12日には公庫法の一部改正もなされ、業務拡大とともに沖縄の産業振興に向けてその役割の重要性を増しつつあります。率直に申し上げて沖縄公庫の支えなしに沖縄の産業振興は語れないし、自立発展の基盤整備はなし得ないのであります。
 ついては、ここでこれまでの沖縄振興開発計画に沖縄公庫が果たした役割と、新たな振興開発計画に占める沖縄公庫の位置づけについてお伺いいたします。
 今、日本各地で経済振興策としてさまざまな経済波及効果の期待できる映画、テレビ番組、コマーシャル映像等のロケ誘致が活発化しつつあります。「フィルム・オフィス」と呼ばれる組織の設置が相次いでおります。「フィルム・オフィス」はロケーションのプレゼンテーション、許認可関係のサポートを行い、ロケ候補地のデータベースや関連産業のリストを蓄積し、地域の優位性の発信等の活動を行う組織であります。
 県でもエンターテインメントビジネス創生事業として本格的に「フィルム・オフィス」の設置やエンターテインメントビジネス可能性調査事業を実施されたと聞く。去る12月定例議会でも我が党の代表質問で國場議員が取り上げました。私もこの「フィルム・オフィス」の設置こそ「オキナワ型産業」創出として注目いたしております。いわゆる特性の発揮、不利性の克服との融合性を持ち、沖縄の文化、歴史、地理的ロケーションと原風景、さらにIT産業として沖縄の強みを生かした21世紀沖縄発の有望産業として促進が急務だと考えます。「フィルム・オフィス」の設置について現在の取り組み状況報告と県の考え方を伺います。
 さらに、21世紀「オキナワ型産業」として大きく需要が見込まれるウェルネス産業についてであります。
 グローバル化が進展し、日本に限らず世界じゅうが激しい競争の波に覆われ、効率性や収益性ばかりが問われ、ぎすぎすした時代になっております。それは経済成長にとっては必要なことですが、しかしその反面、人間らしく生きたい、豊かな自然に抱かれたい、友人や子供や家族と楽しく時間を過ごしたい、そのようないやしへの渇望にこたえる風景が沖縄にはまだまだたくさんあります。
 このことから、近年ウェルネスが注目され、沖縄においても厚生労働省の外郭団体日本ウェルネス協会により沖縄ウェルネス計画が進められ、一定の成果を上げております。共同事業として目指すものは、ウェルネスを意識した新しいライフスタイルの提案であります。今後はこれをより具体化し、沖縄の持ついやしとしての空間、ウェルネス性を最大限に生かした経済振興策を打ち出し、沖縄発県外移出産品もウェルネスの観点からとらえ、長寿先進地沖縄においていやしの健康・長寿に関連した居住空間、文化、サービスなどはほかにまねすることのできないブランドとして有効活用できるわけであります。そしてこの琉球ブランドを核とする新しい産業体系をウェルネス総合産業の創出ととらえ、薬草類加工品、ゴーヤー、シマニンジン、シークヮーサーなどの食品群、伝統工芸や景観構造物、エコツーリズム、マリンスポーツ、長期保養などの各分野に相乗効果が発揮できるウェルネス琉球ブランド確立のためのウェルネス総合産業研究所の設立が必要だと思いますが、県の考え方を伺います。
 ここにきて、やはり沖縄振興の重要不可欠課題は物流コストの低減策であります。単なる補助支援策ではなく、関係者もそれぞれ役割分担をしながら実情に合わせた将来展望の開ける仕組みにしなければなりません。沖縄にこだわり、沖縄の個性を発揮し、国際市場に通用する沖縄産品を販路拡大し、経済自立化を目指すにも物流コストの効率化を高めなければならないのであります。その対策として沖縄ロジスティックシステムの構築を推進しているとのことですが、どのような仕組みになるのか、県の役割を初め関係者の役割分担について、そしてこれからの取り組み課題について、その結果期待される成果について説明をしてください。
 沖縄県の農林水産業は、東南アジアと共通した点が多い。このため平成12年度沖縄県経済連及び伊是名村、伊江村農協が40年間の国際交流の実績を持つNGOの財団法人オイスカと協力して3カ月にわたりフィリピン国ネグロス島から事前教育を終えた10名の研修生を受け入れ、さとうきび収穫方式等の農業研修を実施しました。研修後の評価は、研修生、受け入れ農家の皆様にも高い評価を受けており、継続してほしいとの要望が出ております。
 アジア・太平洋地域との交流・協力が活発化する社会づくりのためにも、担い手不足で悩む沖縄県の農業生産者及び農林水産業の振興策にも有効な当計画を推進してはどうか、考え方を伺いたいと思います。
 ところで、この新たな沖縄振興新法及び振興開発計画策定には、各地において県民各層からフォーラムや説明会を通して幅広い意見を聞いたと思います。どのような意見、要望が出され、そしてどのように反映されているのか、伺いたいと思います。
 3番目、いよいよ離島振興計画でございます。
 離島振興については、沖縄振興開発計画及び沖縄県離島振興計画等によって多くの施策が推進され、交通体系や生活環境及び農林水産業などで改善が見られた。しかし離島の持つ不利性から人口減少や高齢化、市場の限界性などの問題を抱えており、その結果、医療格差を初め教育、経済、情報、物流などの格差が歴然として残っているのであります。
 一例ですが、最近のリサイクル法施行に伴う過重負担などもそのとおりであります。今後はこのような不利性を克服し、いかに地域活性化を図っていくのかが離島振興計画策定が重要視されるところであります。しかし、こうした中でも最近は健康・保養を目的とした滞在型観光や体験学習型観光のほか、冬場の温暖な気候を利用した各種交流などが増加傾向にあることから、このような観光部門を中心に現状と課題を踏まえた上で離島における目的型、滞在型観光の振興をいかに進めるか、離島地域の産業の振興や地域活性化につなげていくか、その実現のために必要な行政面からの振興策にしなければならないのであります。
 離島振興実現によって沖縄振興発展の底上げに大いに貢献し、特に今後は観光立県の牽引者として今後の離島の果たす役割に期待したいものであります。
 ポスト離島振興計画の中に格差是正をどのように位置づけるかなど、課題についてはぜひ直接現地に出向いて実情に合わせた形の振興策として取りまとめていただきたいことを強く要請するものであります。今後の作業日程についてお尋ねいたします。
 続きまして、下地島パイロット訓練飛行場の管理運営と地域振興策についてであります。
 下地島パイロット訓練飛行場計画は、パイロットを養成する、または新機種への対応で訓練できる飛行場が国内になかったため、米国のモーゼスレイク空港に出向き多額の費用をかけて訓練していたことから、昭和40年6月、行政監理委員会が国に勧告し、翌年には航空審議会が早急な整備が必要であるとする答申を打ち出し、運輸省は国内設置を決定し、国策としての訓練飛行場として昭和54年に開港いたしました。その誘致に当たっては、宮古圏域においてもかつてないような大型プロジェクトでもあり、宮古圏域はもとより、沖縄県を二分する賛否両論の激しい対決もありました。
 当時は、沖縄返還をめぐって日米交渉に関心が高まり、核抜き本土復帰を望む声が根強かった。その最中の昭和43年、初の行政主席公選で当選した故屋良朝苗行政主席の回顧録によると、離島苦克服と産業立地、離島振興策として下地島パイロット訓練飛行場を誘致しようという決断はしているものの、計画に反対する革新与党の板挟みで苦悩していた。また当時の総務長官山中貞則先生は、当時の琉球政府通産局長砂川恵勝氏との会談の中で、県営ではなく国営移管をほのめかすなどまさに混沌とした状況が時代背景として浮かび上がります。
 私は、当時このパイロット訓練飛行場にかかわった方々にお会いしました。その中で、いわゆる屋良覚書のいきさつについて興味ある話を聞きました。いわく、あれは屋良先生と山中先生の師弟関係のなせるわざ、妙味であるとの表現が印象に残ります。
 さて、あれから時は30年を経過しようとしております。あらがい切れない因縁を感じながら質問をいたします。
 (1)、伊良部町議会で、下地島空港への自衛隊訓練誘致の賛成決議を全会一致──20名の議員であります──で可決しました。このことに県はどのような認識をなされているのか、伺います。
 (2)、平成10年の会計検査で、同空港の利用状況の悪さが国費のむだ遣いと指摘されたことに管理者である沖縄県はどのようにお考えになりますか。
 (3)、下地島空港の利用状況は、平成4年の2万8526回をピークに平成12年には1万3470回、約47%と落ち込んでおります。このことが示すように民間訓練飛行場としての機能、役割がシミュレーション訓練に移るなど時代とともに変化していることを県はどこまで認識されているのでしょうか。
 (4)、昭和46年、当時の琉球政府行政主席・故屋良朝苗先生発言で、当時の運輸大臣・丹羽喬四郎殿あてに「下地島パイロット訓練飛行場の建設促進について」といういわゆる屋良確認書があります。これは表題でもあらわしているように、下地島パイロット訓練飛行場の建設を進めるために必要な確認書でありました。しかも30年も経過し、役割を果たし終えた確認書を見直し、時代に即応した下地島パイロット訓練飛行場の管理運営について国と県との間に新しい協定書、また覚書を策定する必要があるかどうか、お尋ねいたします。
 マスコミ報道によると、防衛庁は「下地島空港を自衛隊が利用する方向で検討に入った。」とあり、沖縄県内の自治体として初めて同町が自衛隊の利用を救急患者の搬送などで大きな効果があることを強調し、離島住民の自衛隊に対する認知度の高さに感謝しながら、県民の意見を踏まえて対応したいと述べていることへの御所見を賜りたいと思います。
 環境美化の促進に関する県条例への取り組みについてであります。
 県では、既に沖縄県環境基本条例、沖縄県観光振興条例が施行され、県民の啓蒙にそれ相応の成果を上げておりますが、一方、残念ながら空き缶、たばこの吸い殻、紙くず、ペットのふん等のポイ捨て、散乱に関する一般住民からの苦情は後を絶たないのが現状であります。そのため環境美化の一層の促進のためには、啓蒙活動だけでなくポイ捨て撲滅のための具体的な行動指針を明確にした沖縄らしい条例の制定が必要だと考えますが、県の取り組み状況を伺いたいと思います。
 先日、宮古南静園自治会の役員が、1944年10月から45年9月にかけて──戦争中です──同園で死亡した約90名余を戦争犠牲者として摩文仁にある平和の礎に刻銘するよう要請がありました。19日には沖縄愛楽園の役員と同伴で県にも同様な要請を行っております。
 「らい予防法」の廃止やハンセン病告訴など人権回復の機運を盛り上げたいというのが両園の要請の趣旨だと思います。県としてはこの要請に対してどのように対処するおつもりなのか、またどのような課題があるのか、お伺いいたします。
 最後に、今月の8日午後、大阪の池田小学校で死者児童8名、重軽傷者児童13名と教諭2人の計15名という、学校が現場となった事件としては過去最悪の痛ましい事件があり、日本じゅうが大きな衝撃を受けました。二度とあってはならない悲劇であります。
 県警当局を初め各教育関係者も大変なショックを受けたものだと推察をいたしますが、この事件に対する警察本部長並びに県教育長の御所見とその対応策についてお伺いいたします。
 以上、明確な誠意ある、そして自信に満ちた御答弁をお願いしたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 砂川佳一議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、新たな沖縄振興策に取り組む沖縄県のトップリーダーとしてその使命感と意気込みはどうかと、それから一国二制度などを政府に対し主張するとき、その心構えととるべき姿勢はどうかと、(3)番目の歴史的評価に対する自信はどうかと、この3つの御質問に対して一括してお答えしたいと思います。
 21世紀の沖縄像は、活力みなぎる産業が展開する民間主導型の経済社会、アジア・太平洋地域と活発に交流する地域社会、安らぎと潤いのある環境と共生する社会、IT産業等次代を担う多様な人材をはぐくむ社会、基地跡地が有効に活用された地域社会であるべきだと私は考えております。このような21世紀の沖縄像を実現するため、大胆な発想による沖縄振興新計画の策定とその実効性を新たな枠組みで着実に支える沖縄振興新法の制定に全力で取り組む考えであります。
 現在検討中の「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」の中では、21世紀の沖縄像を実現するために多くの制度・施策・事業等を盛り込んでありますが、国に求めていく特別自由貿易地域制度や沖縄型特定免税店制度等の本県独自の大胆な制度については、税制の根幹にかかわる部分もあることからその実現に向けては相当な困難が予想されます。今後、この考え方を国に提案してまいりますが、その実現に当たっては県議会を初め県民の強い支援が必要であると考えております。
 私は、沖縄の可能性を切り開く沖縄振興新計画と、計画を着実に支える大胆な制度を盛り込んだ沖縄振興新法が実現されれば、21世紀の沖縄像の展望が開かれるものと確信をしております。
 次に、下地島パイロット訓練飛行場の管理運営と地域振興策についてのうち、伊良部町議会における下地島空港への自衛隊訓練誘致決議について県はどのような認識をしているかについてお答えいたします。
 地域振興を図る観点から、下地島空港を活性化するためにさまざまな御提案をされている伊良部町や伊良部町議会の取り組みは承知しており、去る4月17日に伊良部町議会が下地島空港の活性化策の一つとして自衛隊機の訓練誘致を全会一致で決議したことは県としても重く受けとめております。沖縄県としましても下地島空港の有効活用は重要な課題であると認識しておりますが、下地島空港の使用に関しては、先ほど議員御指摘のごとく建設当時の琉球政府と国との確認事項や県議会の附帯決議など過去の経緯もありますので、今後いろいろな角度から慎重に検討しなければならないものと考えております。
 次に、同じくパイロット訓練飛行場についての質問の中で、下地島空港を自衛隊が利用することについて、防衛庁長官が「県民の意見を踏まえて対応したい」と述べていることについての感想を聞かせてほしいということのお答えでございます。
 中谷防衛庁長官の「県民の意見を踏まえて対応したい」という発言は、自衛隊が下地島空港を利用するに当たって、地元伊良部町はもとより、広く宮古郡民や県民のコンセンサスを得ることが重要であるとの趣旨だと理解をしております。
 次に、環境美化の促進に関する県条例への取り組みについて、ポイ捨て撲滅のためのより具体的な行動指針を明確にした観光立県沖縄らしい条例制定に向けての作業状況と、その施行の予定を伺いたいという御質問についてのお答えでございます。
 道路、公園、観光地等における空き缶等のごみの散乱を規制するいわゆる「ポイ捨て禁止条例」の制定については、本県が観光立県を目指す上から、また沖縄県行政オンブズマンの提言、沖縄経済同友会など各界の要請等も踏まえ早急に制定する必要があるものと考えております。そのため現在、県の関係部局で構成する「環境美化の促進に関する条例(仮称)に係る連絡会議」を設置し、他府県の状況も参考にしながら本県の実情に適した条例のあり方を検討しているところであります。今後、条例の骨子案を取りまとめ、沖縄県環境審議会で調査・審議をいただくとともに、県民から幅広く意見、要望等を聴取していきたいと考えております。
 なお、今年度中に条例を制定し、平成14年度の施行に向けて作業を進めているところであります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○商工労働部長(花城順孝) 現行の特別措置法、これは資金の確保等についての29条、それから一般担保についての30条、工業等開発地区の準用規定についての31条の条文の存置についてどう考えるかという御質問でございます。
 沖縄振興開発特別措置法第29条、第30条、第31条の規定は、電気事業振興のために規定されたものであり、これらの措置により現在建設中の金武石炭火力発電所を初め県内の各発電設備や送電設備の整備が円滑に行われ、本県における電力の安定確保に大きく寄与してまいりました。県としましては、引き続き電力の安定確保を図るため、これらの規定を沖縄振興新法(仮称)へと盛り込むよう国等関係機関に対して要望をし、その実現に努めてまいります。
 それから、「フィルム・オフィス」の設置についてどのように考えているかという御質問でございます。
 映像産業を初めとするエンターテインメント関連ビジネスは、21世紀において特に成長が予想される産業分野であるとともに、地域の観光情報の発信や経済活性化への効果も期待されることから最近全国的に大きな注目を集めてきております。
また、「フィルム・オフィス」は映画などの撮影の際、道路使用許可や警察・消防の協力の取りつけを代行したり、ロケ地や宿泊施設の紹介・あっせんなどを行うワンストップサービスを提供するものであります。映像産業の誘致に当たって重要な役割を担う機関として国内でも大阪市、神戸市、東京都など全国的に設立の動きが高まっている状況にあります。
 本県におきましても、映像産業の誘致に当たって有利な条件となる美しい自然や固有の歴史・文化などに恵まれていることから、平成13年度において「フィルム・オフィス」設立の意義や映像産業誘致の可能性などに関する調査を実施することにしております。
 なお、産業振興計画等における位置づけについては、この調査結果を踏まえた上で前向きに検討してまいりたいと考えております。
 次に、「ウェルネス総合産業研究所(仮称)」の設立についてどう考えるかという御質問でございます。
 国民の健康・長寿に対する意識の高まりの中、本県の豊かな自然環境や独特の歴史・文化などの地域資源、地域特性を生かした観光・リゾート産業及び亜熱帯農業、健康食品産業の振興は重要な課題であると認識しております。こうしたことから、沖縄県では「ウェルネスアイランド沖縄」の創造を基本コンセプトとした「沖縄県産業創造アクションプログラム」を策定しました。その中では「「ウェルネスアイランド沖縄」情報発信プログラム」、「健康産業振興プログラム」などが設定されており、健康食品産業協議会への支援など各種の事業を実施しております。また、健康をテーマとした新しい観光のあり方を検討し、長期滞在型観光を促進していく考えであります。
 今後とも、ウェルネスをテーマとした産業の振興を図っていく所存でありますので、御提言がありました「ウェルネス総合産業研究所」につきましても関連する機関との整合性を踏まえながら、総合的な観点から産業振興計画への位置づけを検討していきたいと考えております。
 次に、沖縄ロジスティックシステムの仕組み、役割分担、課題、効果について説明を求めるという御質問でございます。
 沖縄ロジスティックシステムは、県産品を県外出荷するに際し、集荷から仕分け、配送までの物の流れを一元的に管理する仕組みのことであります。具体的には県内、県外における集出荷のシステム、販路開拓や営業支援、在庫状況、売れ筋商品に関する情報管理及びそれらを統括する機能を持った機関の設置などを想定しているところであります。
 システムの構築に当たっては、これらの機能について行政、生産者、物流業者の間でどのように役割を分担し連携を図るかが重要な課題であることから、今後関係業界の意向を踏まえつつ調査・検討を進めてまいります。
 また、システムが構築されますと物流の効率化が図られ、物流コストの低減化、ひいては県外出荷の拡大につながることが期待されることから本県製造業の振興に大きく寄与するものと考えています。このことから関係業界や国との連携を図りながら、ロジスティックシステム構築の実現に向けて取り組んでまいります。
○企画開発部長(与儀朝栄) 沖縄振興新法及び新たな振興計画について、沖縄の産業振興に向けた振興開発金融公庫の果たした役割と新たな振興計画での沖縄公庫の役割について答弁をいたします。
 沖縄振興開発金融公庫は、全国共通の融資制度のみならず自由貿易地域の形成、海洋資源の有効利用、観光拠点の整備といった沖縄の地域政策課題にこたえる独自制度も展開してきました。この間、エネルギーや交通運輸等の基幹産業の整備、中小企業や農林水産業の育成、住宅建設の促進、医療水準の向上等本県の振興開発に大きく寄与してきております。
 民間主導による自立型経済の構築に向けては、公共による施策・事業の推進も重要でありますが、民間企業がこれらの各種施策を積極的に活用して産業振興に主体的に取り組むことも重要であります。このことから財政事情が極めて厳しい状況の中にあって、沖縄振興開発金融公庫の政策金融機関としての役割がこれまで以上に発揮されるものと考えております。
 次に、同じく沖縄振興新法及び新たな沖縄振興計画について、新たな沖縄振興策定には県民の各層から幅広い現場の意見を反映させるとのことだが、具体的にはどのような要望が出て、どのように反映されたのかについてお答えいたします。
 「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」につきましては、沖縄県振興開発審議会における調査・審議、県内全市町村長との意見交換や県内6カ所での県民フォーラムの開催、各種団体との意見交換会及びインターネット等による県民意見募集を通して幅広い議論や意見の聴取を行ってまいりました。この中で人材育成への取り組みの充実、福祉・医療分野の記述強化、あらゆる分野におけるIT化の促進、亜熱帯・島嶼の地域特性に配慮した社会資本の整備などさまざまな意見があり、これら意見をできる限り取り入れ、「基本的な考え方」に反映しております。
○農林水産部長(天願貞信) 砂川佳一議員の農林水産物輸送コスト低減のための実証事業の内容、効果、課題についてお答えいたします。
 農林水産物の輸送コスト低減は、市場競争力の強化と県外市場への出荷拡大を図る上で重要であります。そのため現在、低コスト輸送ルート開拓のための実証事業の実施について国や農業団体と調整しているところであります。
 実証事業の内容は、サヤインゲン、ゴーヤー、菊などの戦略品目を対象に、鹿児島航路の船舶とJR貨物を活用した鮮度保持技術や積載方法など本格的な調査を実施するものであります。
実証事業の成果としては、連日出荷が可能な新たな輸送ルートの開拓、低コスト輸送方法の確立、鮮度保持技術の確立が期待されます。今後とも実証事業の成果を踏まえ、航空輸送から船舶輸送への移行や保鮮流通システムの構築などによりまして輸送コストの低減に努めていく考えであります。
 次に、沖縄とアジア・太平洋地域の共生を目指す国際交流プロジェクトのような計画を推進する考えはないかとの趣旨の質問にお答えします。
 御提言の国際交流プロジェクトについては、海外からの農業研修生が農業生産現場での実務研修を通して技術習得や交流を図る新たな海外研修生の受け入れ計画であると聞いております。県としては、研修計画の内容等を十分把握した上でどういう協力ができるか、今後検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 離島振興計画についての御質問にお答えをいたします。
 島嶼県である本県にとりまして離島の振興は県政の重要な課題であると認識をしております。これまで3次にわたる沖縄振興開発計画及び沖縄県離島振興計画等に基づきまして諸施策が講じられ、産業基盤、交通通信体系、生活環境施設等社会資本の整備を中心に各面にわたり相当の成果を上げております。しかしながら、離島の持つ地理的・自然的条件の不利性などから本島と比べて所得や生活環境、医療保健の面において依然として多くの格差があるほか、若者の慢性的な流出や高齢化の進行などなお多くの課題が残されているのが現状であります。
 県では現在、これまでの離島振興計画の現況及び実績把握のための総点検作業を実施しているところであります。今後、これらの結果等を踏まえまして、新たな沖縄振興計画との整合性を図りながら新たな離島振興計画を策定してまいりたいと考えております。
 以上です。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 下地島パイロット訓練飛行場の管理運営と地域振興策についての中で、平成10年の会計検査で下地島空港の利用状況の悪さが国費のむだ遣いと指摘されたことについて県はどのように考えているかについてお答え申し上げます。
 平成10年の会計検査では、下地島空港における訓練回数が減少していることや、平成6年度から運休している定期便の運航に再開のめどが立っていないことなどを理由に当時の運輸省に対して、国費の投入をやめるよう求めたものであると聞いております。これに対し当時の運輸省は、周辺の騒音や飛行ルート問題などを考えると、定期便が就航している他の一般の空港に訓練を移行することはできず、下地島空港そのものは必要で廃止はできないとして、会計検査院の指摘に対しては人員配置などで実態に沿う効率的な運営ができるよう検討がなされたと聞いております。
 県としましては、下地島空港の有効活用を図ることが地元伊良部町の振興と地域住民の生活の安定を図る上で重要であると考えており、今後とも伊良部町や民間航空4社及び国土交通省など関係機関と連携を図り、下地島空港の有効活用に努めていきたいと考えております。
 次に、下地島空港における民間訓練飛行場としての機能、役割が時代とともに変化していることをどこまで認識しているかについてお答え申し上げます。
 下地島空港におけるパイロット訓練は、御指摘のように平成4年度以降減少傾向で推移しております。県は、平成9年度と10年度において民間航空4社に対して下地島空港の積極的な活用を繰り返し要請してきたところでありますが、パイロットの操縦訓練は世界的にシミュレーターによる訓練に移行してきております。
 しかしながら、民間航空会社としましては、機長昇格訓練や副操縦士昇格訓練など実機による訓練は引き続き必要であるとの認識であり、シミュレーターによる訓練とあわせて今後も下地島空港での訓練は継続する方針であります。県としましても、今後とも地元伊良部町や民間航空4社及び国土交通省など関係機関と連携を図りながら下地島空港の有効活用に努めていきたいと考えております。
 次に、昭和46年のいわゆる屋良確認書を見直し、時代に即応した下地島訓練飛行場の管理運営について国と県との間に新しい協定書または覚書を策定する必要があると思うがどうかにお答え申し上げます。
 下地島空港の使用に関しましては、建設当時の琉球政府と国との間で交わされた確認文書があり、この確認文書は尊重されるべきものと考えております。
 しかしながら、下地島空港を取り巻く社会経済情勢は建設当時と現在では大きく変化しているのも事実であり、それを踏まえて下地島空港の有効活用を図る必要があると考えております。御質問にある協定書または覚書については、今後地元伊良部町はもとより、広く宮古郡民や県民のコンセンサスを見きわめながらいろいろな角度から慎重に取り扱いを検討していく必要があると考えております。
 以上でございます。
○知事公室長(親川盛一) 砂川佳一議員の平和の礎に関連して、宮古南静園の戦争犠牲者の平和の礎への刻銘について県はどのように対処されるかという御質問にお答えをいたします。
 平和の礎は、世界の恒久平和を願い、国籍や軍人、民間人の区別なく沖縄戦などで亡くなられたすべての人々の氏名を刻銘するものであります。また新たに判明した戦没者については毎年追加刻銘を行い、現在の刻銘者数は23万8161名となっております。
 宮古南静園の戦争犠牲者につきましても、平和の礎の理念に照らし、すべての方々を刻銘すべきであると考えます。これまでの刻銘に当たっては、遺族等の了解のもとに原則として本名で行っていますが、このような刻銘の条件に合致しない方々もおられると思いますので、園の関係者等とも連絡調整をしながら対処してまいりたいと考えております。
 なお、沖縄愛楽園につきましても同様に対処してまいりたいと考えております。
○警察本部長(太田裕之) 大阪府下の小学校におきます児童殺傷事件についての所見と、これまで県警察でとりました学校安全対策の状況についてお答えをいたします。
 今回の事件は、近年まれに見る余りにも痛ましい凶悪犯罪であり、被害に遭った児童、その保護者に対しまして心より御冥福とお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
 特に、安全であるはずの学校において一瞬のうちに我が子を失った保護者の悲しみは想像を絶するものであり、治安の任にあずかる者として二度とこのような悲惨な事件を発生させてはならないとの決意を新たにしているところであります。
 県警では、この種の事犯は模倣性が高いことから、県内においても危機感を持って必要な対策を講じるべきものと認識しております。実際、那覇市内の松島小学校周辺において、「次は松島小をねらう」という落書きが発見されたり、また刃物のような物を持った男性が立っているのを登校中の児童に目撃されるという事案も発生しております。
 そこで、大阪での事件発生当日から現在まで緊急の対策を継続して推進しております。具体的には、まず事件発生当日、県教育庁関係課に対しまして各教育事務所及び教育委員会単位での緊急対策会議の開催を申し入れ、個々の会議に各警察署から担当者を派遣いたしまして、学校の管理権に基づく自主警戒の強化、学校への出入り者のチェックの強化、学校内外での不審者の早期の発見、警察との連絡体制の強化などについてお願いをいたしました。
 この緊急対策会議は、事件当日だけで5つの警察署管内で開催され、6月14日までにすべての地域において開催を終えております。また、各警察署長あてに緊急の通達文書を発出し、通学時間帯や通学路における制服警察官による警ら活動と学校への立ち寄り警戒の強化、学校と連携した緊急避難訓練の実施など所要の対策の徹底を指示しております。
 さらに6月19日、各警察署の少年警察担当課長による緊急会議を開催し、児童を犯罪から守るための各種対策について協議をするとともに、今後の取り組みの強化を指示したところであります。
 県警では、今後とも関係行政機関を初め学校、保護者及び周辺住民と連携して地域ぐるみの安全対策活動を強化し、児童の保護と安全の確保を図ってまいる所存であります。
○教育長(津嘉山朝祥) 大阪児童殺傷事件につきまして、県内教育現場の対応についてお答えをいたします。
 去る6月8日に発生した大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件は、余りにも痛ましく大きな衝撃を受けております。亡くなられました児童とその保護者及び関係者に対し、心から御冥福とお見舞いを申し上げます。
 児童生徒が安心して楽しく学べるはずの学校で多数の犠牲者が出る事件が起きたことはまことに残念であり、今後二度と起こってはならず、関係者が連携を強化し再発防止に努める必要があります。
 県教育委員会は、事件の知らせを受け、同日6月8日に幼児・児童生徒の安全確保について全教師で校舎内外の巡視をすることや、不審者がいた場合の対応等について各学校で緊急に取り組むよう指示をいたしました。また、6月11日には各教育事務所において関係者を集め緊急対策会議を開催し、各学校において緊急に取り組むべき具体的な対応を確認するとともに、安全管理の総点検を実施することを通知をいたしました。さらに6月18日に県警本部、PTA関係者及び校長会会長等の出席を求め、幼児・児童生徒の安全確保及び安全管理に関する緊急対策会議を開催し、再発防止のための具体的な取り組み等について確認をいたしました。
 各学校におきましては、市町村教育委員会及び所轄警察署との連携による緊急対策会議を受け、警察による学校周辺の警ら、PTAと連携した校内巡視及び避難訓練などの具体的な取り組みを行い、児童生徒の安全の確保に努めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後2時58分休憩
   午後3時22分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 休憩前に引き続き代表質問を行います。
 新川秀清君。
   〔新川秀清君登壇〕
○新川 秀清 デビュー戦でありまして、私は60年余り人間をやっているんですけれども、質問というのは全くやったことがありませんで大変戸惑っているわけでありますが、先ほど沖縄市のお二人の方からもチバリヨーという大変温かい声をいただきましたんで、通告に従って代表質問をさせていただきたいと思います。
 それから、知事を初め県の職員の方々には、日ごろから県勢発展のために大変御苦労してくださっていることにまず敬意を表したいと思います。
 それとこのたび副知事、出納長に御就任されました比嘉茂政、嘉数昇明両氏におかれましては、どうぞ今後とも一層の御尽力を賜りたいと思います。
 比嘉氏におかれましては、皆さん方御案内のようにかつて地方課で頑張ってこられましたし、また首長として大変すばらしいまちづくりをされた方であります。そういうことで今地方の時代あるいは分権ということが言われるんでありますが、そういった中で本当の意味での地方の分権が確立されるようにぜひ副知事として頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 さて、先ほどの御質問あるいは御答弁の中にもありましたけれども、何とも痛ましい事件が起こりました。本来、子供たちは親が守り、そして地域の大人が守らなければなりません。しかしながら昨今の世相は、親が我が子を殺す、あるいはまた車いすに乗った若者が殺される、こういったことが起こっているわけであります。
 翻って我が沖縄を考えますと、3月に大変嘆かわしい事件が起こりました。さらに、他の県と違いましてよき隣人と称しております招かざる客人たちによって数々の殺人事件などが引き起こされるという状況にあります。
 こういった中で、私たちは今県政を任されている県議会の中で、政治を任されている一人として、これから次の時代を担う子供たちのために何をなすべきかということを深く考えなければならぬのじゃないかとこういうような思いでいるわけであります。
 それと同時に、私はこの池田小学校のあの子供たちに対して心から冥福を祈りますととともに、傷を負った教師、そして子供たちの一日も早い回復を心から願っているところであります。
 そのことに関しましては、今後あらゆる機会に、あるいはあらゆる機会を通して行政、そして地域社会の中でしっかりとこの対応を考えていかなければいかぬのじゃないかというふうに思う次第であります。
 そして思うんでありますが、私たち沖縄には大変すばらしい伝統があります。チムグリサンという言葉であります。このチムグリサンという言葉こそ私たちがすべての若者に受け継いで、そして発信をすべき沖縄の心ではないか、こういうふうに考えるわけであります。21世紀初頭、このようなチムグリサということを基本にしながら、「美ら島沖縄」であってほしいという心からの願いを持つものであります。
 さて、前置きが少し長くなりましたけれども、次に代表質問をいたしたいと思います。
 質問漏れがないようにしっかりやれということを会派から言われておりますから、この項目に従って質問をさせていただきたいと思います。
 まず、小泉内閣に対する評価についてお伺いをいたしたいと思います。
 新聞報道にもありますように、小泉総理につきましては余り沖縄と縁がなかったというふうなことも言われますし、また先ほどから出ておりますように、今この総理の考えておられる「聖域なき構造改革」ということが言われます。これは経済財政基本方針の原案に示されておるわけでありますが、公共工事を初めとして社会保障や国と地方の関係の見直しということも織り込まれているようであります。
 さらに大変憂慮をするわけでありますが、国民にも痛みを分かち合ってもらうということも言われております。国民に痛みを分かつということはリストラによる失業であったり、今でも深刻な状況にありますところの若者たちの就職難に一層の拍車がかかるというふうなことも考えなければならないと思います。さらに医療や福祉、教育にも改革というメスが容赦なく入ってくることを覚悟しなければならないと思うわけであります。
 また、去る参議院の予算委員会において地方交付税の削減も対象とする方針であるという表明がなされております。これに対しまして、6月7日に開催をされました全国市長会、都市財源の充実・強化こそが地方の時代に沿うものであり、地方交付税の削減の議論は地方財政の実態はもとより、仕組みからしても到底理解できるものではないという決議を行っているわけであります。これは「骨太」という言葉があるようでありますが、このような地方交付税の減額というふうなことになってまいりますと、地方は「骨細」になってしまうというわけであります。そして地方が立ち行かなくなっていくということに対する懸念をこの全国市長会は表明をし決議をしたわけであります。
 私は、改革ということを全面的に否定をするという立場ではないわけであります。よく言われておりますように外交機密費の問題などもありますし、そのほかいろんな財政的に改革をすべきことも多いと思います。そしてもう一つ、私たち沖縄から見ますときに最も改革すべきは総額4559億円とも言われておりますところの思いやり予算ではないかというふうに思うわけであります。
 そこで知事にお伺いをいたすわけでありますが、この小泉内閣に対する知事の御所見をお伺いをいたしたいと思います。
 2点目に、知事の訪米とその成果についてお伺いをいたします。
 アーミテージ国務副長官に対し、海兵隊を含む在沖米軍の兵力削減を初めとして戦後56年にわたる過重な基地負担を訴えたということのようでありますが、その具体的な要請事項とアメリカ政府の反応についてお伺いをいたしたいと思います。
 2つ目の目的として、知事はみずからトップセールスを行うことで企業誘致につなげていきたいとのことであったようであります。どのような企業を訪問され、その見通しはいかがでありますか。
 次に、訪米に対する米国のマスメディアの反応についてお伺いをいたしたいと思います。
 私ども沖縄あるいは日本のメディアを通して知事のいろんな方々にお会いになったというふうなことも報じられてきたわけでありますが、それ以外に米国のメディアがどのように知事の訪米を見ておられたかということについてお伺いをいたしたいわけであります。
 次に、知事は今回の要請で沖縄は56年の苦難の歴史があることを強調されたようであります。沖縄としては日本政府にも基地問題で強い不満を持っている、政府が積極的に解決する努力が足りないというふうに述べられたということも報じているわけでありますが、これまで15年期限問題を初めとして政府が繰り返し言ってきました「重く受けとめる」ということがいかに言葉あって中身なく軽いものであったかということが明らかになったんではないかというふうに思うわけでありますが、知事はどのようにお考えでありますか。
 次、(3)であります。普天間基地移設に関する知事の公約と3工法8案についてであります。
 3工法8案については、いろいろ議論もあろうかと思うんですが、私は陸上案ということが知事の公約であったというふうに思います。これについて報道にもありますように、陸上案というのはもう消えたんじゃないのかということがあります。さらに3月だったと思うんでありますが、陸上の真上ではなくて埋め立てれば海の上も陸上であるというふうなことが報道されました。これでは羊頭を掲げて狗肉を売ったことになるんではありませんか。その陸上案についてお伺いをいたしたいと思います。
 それから2番目の新たな沖縄振興策についてお伺いをいたします。
 県から示されております案の中に通告に書いてありますような表現があるわけであります。「本県は、日米安保体制のもとで、我が国及び東南アジア地域の平和と安定の役割を担ってきた…」というふうにあるわけであります。このような表現については1次から3次振興計画の中には出てこなかったことではないのかというふうに思っているわけでありますが、なぜこのような表現が出てきたかということと、それから私は東南アジアの国々から見たときに沖縄の基地の存在そのものは平和に対する貢献というよりも脅威ではないのかというふうに思っているわけであります。
 そのようなことであえてこの振興策に示された基本案の中でこれが出てきたことの意味をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、一国二制度の導入についてであります。
 午前の与党の議員の皆さん方からもこのことについては触れておられましたし、また去る全員協議会の中で私どもの会派の友寄議員からもこの振興策全般とさらに一国二制度の導入についてはいろいろとお伺いをいたしました。その中で知事は大変強い決意を示され、そして一国二制度の導入については県民世論をバックにしながら全力を挙げていきたいとこういうふうに述べられたというふうに思っておりますが、今後、沖縄県選出の超党派の国会議員の皆さん方を先頭にしてこの一国二制度の導入を期するべきだというふうに思うんでありますが、知事の御所見を伺いたいと思います。
 次に、1次から3次にわたる振興計画の目標が達成されなかった最大の要因は、基地の返還が着実に推進をされなかったことにあると私は考えております。不利性の最大要因の除去なくして新振計の達成もおぼつかないと考えるわけであります。基地返還整理縮小の具体策と、また広大な嘉手納空港についてどのようにされますか、お伺いをしたいと思います。
 次に、第1次振計から第3次振計にわたる格差是正の目標についてであります。
 この格差是正ということについては、3次振計の策定でも議論があったと思います。そういうことを踏まえながらもこの沖縄の振興開発計画がつくられた歴史的な経緯、あるいはまた日本政府の沖縄に対する声明などを踏まえてこの振興計画が策定をされてその中で制度の問題などもありましたけれども、この格差の是正というものを第一義的に挙げて沖縄の自立経済を確立をしていこう、基地経済からの脱却を図っていこうというふうなことが言われたわけであります。
 そういった中で、今回の案の中に「本土との格差是正」という目標を外していくということについてお伺いをしたいわけであります。
 次5番目に、アジア・太平洋地域における交流拠点形成についてであります。
 地理的な条件等を踏まえて、あるいはまた歴史的なことも踏まえて本県が東南アジア地域との交流の拠点になり得るということは言われてきましたし、また過去の歴史の中からもそれはうかがうことができるわけでありますが、これから沖縄が交流拠点として果たすべき役割の中に私は医療や福祉、あるいは今NGOの皆さん方がカンボジアやベトナム、こういったところでリハビリなどに取り組んでいるわけでありますが、こういったことも含めて医療や福祉の分野で本県が担うべき役割があるのではないのか、こういうふうに思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
 次に、平和賞についてお伺いをいたします。
 ここにノーベル平和賞の受賞者であります非武装の国コスタリカ共和国の元大統領オスカル・アリアス博士が日本国民に寄せたメッセージというのがあります。これは、すべての国会議員の皆さん方にお配りをしたいという思いだそうであります。
 この中に、時間がありませんので全文は控えさせていただきますが、日本政府に、そして国民に訴えますと。「戦争にではなく、平和に投資してください。軍事基地開発にではなく、人間育成に投資してください。軍事テクノロジーにではなく、ビジネステクノロジーに投資してください。日本と世界は、一層より豊かになっていくでしょう。」と、こういうことのメッセージが日本国民に送られてきているようであります。
 それで、これを国会の議員の先生方にお配りをするというふうなことのようでありますが、今申し上げました後段のような表現にありますように、私たちは、いろいろ知事は答弁もされているわけでありますが、この平和賞というものを真に平和の賞たらしめるためにいま一度基地の問題を含めて明確な考え方を出すべきではないのか。また、通告にもありますような考え方について知事はどのようにお考えになりますか。
 4番のハンセン病元患者に対する熊本地裁の判決については、控訴断念に対する国の評価もいろいろ出ているわけでありますが、今回はこの熊本地裁の判決によって政府が、そして国会が、そしてすべての国民が今までのことを反省をし、またこれを受けて亡くなられた方々の人権を含めてその名誉回復のためにいろんな施策を講じなければならないというふうなことになったわけでありますが、県はこの廃止された法律の中で県知事の援護措置というのがうたわれているわけでありますが、この援護措置について沖縄県はどういうふうになっているかお伺いをしたいということと、名誉回復のために県はどのような施策を講じていかれるのか、お伺いをしたいと思います。
 次に、中城湾港泡瀬地区については後に回しまして、バリアフリー社会実現に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 もう時間がありませんのでそのまま申し上げるんでありますが、この福祉のまちづくりというのは、これは全県的な課題であることは異論はないと思います。そこで国、県、市町村道の点字ブロックの敷設の実態と段差の解消がどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
 それから、公共施設と大型店等のバリアフリー化の実態についてお伺いします。
 次に、ユニバーサルデザインの取り組みとその実態についてお伺いいたします。
 聞くところによりますと、今かなりこのユニバーサルデザインということが言われてバスなどの導入もされているようでありますが、唯一沖縄県だけがこういったものが全くないというふうなことが言われております。これについて今後の取り組みなどについてお伺いをいたしたいと思います。
 それから「ハイサイリーグ」の廃止について伺います。
 ハイサイリーグは、誘致をするときに県知事を会長にして関係する市町村長、さらにマスコミなども一緒になりまして、これはキャンプ地としての沖縄のこれからの発展のためにも欠かせないものだということで随分努力をして誘致をいたしてまいりました。そして今の川島コミッショナー、当時セントラルリーグの代表であります。それからおやめになりましたけれども、パシフィックの野原代表、こういった方々に何度もお会いをして誘致をしました。そして高知県で定着している黒潮リーグの中から沖縄に持ってくるわけでありますから、高知県の県庁や、あるいは観光協会に行って頭を下げて誘致にこぎつけたという経緯があります。
 今回、これが廃止されるというふうなことになったわけでありますが、これは大変残念なことだというふうなことを関係者もおっしゃっているようであります。私も当時、関係した者の一人として大変残念に思っております。
 また、台湾やあるいは韓国とのスポーツを通した交流の場としてもこれが十分に生かされていくということを考えておりましただけに残念でなりませんが、県はこの廃止についてどのような取り組みをされてきたのか、また要請をされてきたのか、お伺いをいたしたいと思います。
 次に、1次産業についてでありますが、特に口蹄疫対策について、今グローバル化の中でこの口蹄疫あるいは狂牛病ということに対する対応は非常に厳しくなってきているというふうに言われるわけであります。これについて県の予算措置、それからそれに当たる職員の陣容はどういうふうになっておりますか、お伺いをいたします。
 次に12番でありますが、沖縄市やそのほかで水銀などが検出をされたという報道がありますが、その後の原因究明はどうなっておりますか、お伺いをしたいと思います。
 13番の警察官の表彰制度については、時間がありませんけれども、本部長にどのようになっているかお伺いをいたしまして代表質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) それでは新川議員の御質問にお答えいたします。
 最初は知事の政治姿勢について、小泉内閣に対する知事の所見について聞きたいとのお答えでございます。
 小泉内閣には、我が国経済の確実な回復を初め国内外の困難な諸課題の解決に向け、小泉総理の強力なリーダーシップによって経済、財政、社会保障などの構造改革を推進し、21世紀の我が国の明るい展望が切り開かれるよう期待しています。
 本県は、広大な米軍施設・区域の存在など長い歴史の中で積み重なった多くの課題を抱えております。小泉内閣におかれましては、沖縄の諸問題の解決に当たっては国政の重要課題として全力を傾けていただくことを期待しています。
 次に、知事の政治姿勢についての中で、訪米の際の具体的要請事項と米国政府の反応について聞きたいとのお答えでございます。
 第2次世界大戦後56年の長期にわたって過重な基地負担をしてきた県民は、基地問題の解決を強く求めており、知事としてこのような県民の意向を米国政府等に伝え理解と協力を求めることは大変重要であると考え、去る5月13日から26日までの2週間、アメリカ合衆国を訪問いたしました。
 訪米に際しての基本的な考え方は、沖縄の米軍基地をめぐる諸課題について県がこれまで日本政府に対し要請してきたことを米国連邦政府、連邦議会関係者、そして多くの米国民にお伝えし、理解と協力を求めるためでありました。
今回の訪米では、連邦政府関係者ではパウエル国務長官、アーミテージ国務副長官、ウルフォウィッツ国防副長官など、また連邦議会関係者ではダニエル・イノウエ上院議員、アバクロンビー下院議員など、軍関係者ではウイリアムズ海兵隊副司令官、ブレア太平洋軍総司令官などにお会いしました。
 また、外交問題評議会を初め新アメリカ財団、ケイトー研究所、ブルッキングス研究所等5つのシンクタンクにおいて講演や円卓会議などを行い、本県が抱える米軍基地問題について意見交換を行いました。その他、フォーリー前駐日大使やキャンベルCSIS(国際戦略研究所)副所長などに本県基地問題について理解と協力を求めました。
 今回の訪米で県がこれまでに日本政府に対し要請してきた事項について理解と協力を求めましたが、その内容は次の5点であります。
 1点目は、SACO合意事案の着実な実施及びさらなる米軍基地の計画的、段階的な整理縮小、2点目は、普天間飛行場の移設に当たっての条件整備、3点目は、海兵隊の演習、訓練の移転及び海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減、4点目は、日米地位協定の見直し、5点目は、基地の運用に伴う事件・事故の未然防止と安全管理の徹底並びに隊員の教育と綱紀粛正の徹底についてであります。
 これに対する米国政府の主な発言要旨は以下のとおりであります。
 1点目は、普天間飛行場の移設を含めSACO最終報告の速やかな実施のために日米両政府間で緊密に協議していくこと、2点目に、在沖米軍はこれまでも沖縄の外での訓練を実施しており、県民の基地負担の軽減を図る観点から今後とも努力していくこと、また在沖米軍の兵力の構成については国際情勢の変化等を勘案しながら日本政府と緊密に協議していくこと、3点目は、地位協定に関連する諸問題に対処するため合同委員会のもとで引き続き努力すること、4点目に、米軍は常によき隣人として地域社会に貢献したいと考えており、事件・事故の発生を防止するため隊員の教育をさらに工夫するなど綱紀粛正の徹底を図ることなどであります。
 今回の訪米は短期間の厳しい日程ではありましたが、多くの方々と面談し本県の基地問題に関する理解と協力を求める機会を設けることができましたので、訪米は成功であったと考えております。
 また、この時期に訪米を行ったことは、去る18日に開かれた日米外相会談に沖縄の基地問題が重要な議題として取り上げられるなど、日米両政府首脳にその重要性を認識していただく契機になったと自負しており、今後の問題解決に当たって大きな力になると思っております。
 次に、政治姿勢についてのうち、知事みずからトップセールスを行うことで企業誘致につなげたいとのことであったが、どのような企業を訪問され、その見通しはについてお答えします。
 今回の訪米では、最先端を行く情報通信及び金融保険関連企業を中心に訪問いたしました。既に沖縄に立地している企業に対してはそのお礼を述べるとともに、沖縄における事業のさらなる拡大と新たな企業進出を要請しました。
 その中で、大手保険会社のAIGでは沖縄へのコールセンター進出を成功事例と位置づけており、その業務の拡充や関連会社の進出の可能性について前向きな発言が得られました。
 また、オラクル・コーポレーションからは、本県が情報産業集積地域としての可能性が高いことや、本県の目指す電子政府の推進に対して技術的な面からの協力ができるとの前向きな発言がありました。
 シスコシステムズからは、電子政府の実現に向けての推進体制のあり方や技術的な面を含めての協力、IT技術者の研修生の受け入れについて前向きの発言がありました。
 今後の海外からの企業誘致活動につきましては、本県の投資環境の整備を進めるとともに、私みずからトップセールスを積極的に行っていく所存であります。
 次に、同じく政治姿勢の中から、15年期限問題を初めとして政府が繰り返してきた「重く受けとめる」ということが言葉だけで中身がなく軽いものであったかということが明白になった、その見解を伺いたいとのお答えでございます。
 県は、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が56年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から、県民が許容できる範囲として普天間飛行場の移設に当たって整備すべき条件の一つとして代替施設の15年使用期限を設けたものであります。
 普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。同問題の解決についてはこれまでもあらゆる機会に政府に求めてきたところであり、さきの第7回代替施設協議会においても政府に対し早期解決を強く申し入れたところであります。県としては、閣議決定された政府基本方針の中でしっかりと受けとめられているものと考えており、今後とも政府に対しその早期解決を強く求めていきたいと考えております。
 次に、普天間基地移設に関する知事の公約と3工法8案についての御質問についてのお答えでございます。
 去る第7回の代替施設協議会では、防衛庁より代替施設の規模、工法、具体的建設場所などに関する検討結果の報告がなされました。
 報告では、代替施設の規模、工法、具体的建設場所としてくい式桟橋工法、ポンツーン工法、埋立工法の3工法についてそれぞれ2案、1案、5案の合計8案が示され、各案ごとに説明がありました。県としては、新たな普天間飛行場の代替施設は民間航空機が就航できる軍民共用飛行場とし、将来にわたって地域及び県民の財産となり得るものでなければならないとの観点から、同協議会において協議を進めているところであります。
 次に、新たな沖縄振興についてのうち、「本県は、日米安保体制のもとで、我が国及び東南アジア地域の平和と安定の役割を担ってきた…」とあるが、どのように平和と安定に貢献してきたのか、過重な沖縄の基地の存在は国策によってもたらされたものではないかとの御質問に対するお答えでございます。
 県としては、日米安保体制が我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与していると理解しており、我が国に所在する米軍基地が重要な役割を果たしていると考えております。その意味において本県に所在する米軍基地もその役割を担っていると考えております。
 しかしながら、私は、在日米軍専用施設面積の75%に上る広大な米軍基地が存在している現状を是認するものではなく、日米安保体制は日本全体の問題であり、基地等の負担についても全国民が公平に負うべきであると考えており、県民の過重な基地負担を軽減するため米軍基地の整理縮小を国民的課題として推進しなければならないと考えております。
 次に、新たな沖縄振興について、一国二制度の導入について超党派の国会議員を先頭に県民世論を喚起して実現を期するべきだと思うがどうかとのお答えでございます。
 国に求めていく特別自由貿易地域制度、沖縄型特定免税店制度及び情報産業振興特別地域制度等の本県だけを対象とする大胆な制度は、税制の根幹にかかわる部分もあることから実現に向けては相当な困難が予想されます。しかしながら、これらの制度は自立型経済の構築に必要なものであり、その実現に向け県選出の国会議員を初め県議会や各種団体等県民一体となって取り組んでいきたいと考えております。
 次に、新たな沖縄振興について、不利性の最大要因の除去なくして新振計の達成もおぼつかないと考えるが、基地返還、整理縮小の具体策と広大な嘉手納基地についてはどうするかとの御質問のお答えでございます。
 日米安保条約に基づく基地の提供責任は政府にあり、本県に所在する米軍基地の整理・縮小・統合についても日米両政府間で国際情勢を勘案しつつ協議・検討がなされることから、県としては、本県に所在する米軍基地の整理縮小を着実に進めるためには日米両政府が合意したSACO事案を実現することが重要だと考えております。
 しかしながら、県としてはSACO合意事案がすべて実施されたとしても、本県には依然として在日米軍専用施設面積の約70%の米軍施設が存在することから、SACOで合意された施設以外についても基地返還の可能性を検討し、関係市町村の意向も踏まえながらさらなる米軍基地の段階的な整理縮小に向けた取り組みが必要であると考えております。
 次に、新たな沖縄振興についてのうち、アジア・太平洋地域における交流拠点形成はどのようなものかについてお答えいたします。
 アジア・太平洋地域における交流拠点形成に当たっては、本県の地理的・自然的特性及び古くからの中国、東南アジア諸国との交流の歴史的経験を生かし、経済、学術・文化等における多角的な交流を促進して我が国ひいてはアジア・太平洋地域の経済、文化の発展に寄与する地域の形成を目指すこととしております。このため空港、港湾、情報通信のハブ機能の形成や国際的コンベンションリゾート地の形成、加工交易型産業を促進するためのインフラ整備等の環境整備を図ってまいりたいと考えております。また、国際平和維持活動への貢献を図るため、大規模災害等の国際緊急支援を支える拠点形成や国際医療緊急機能の充実等について検討いたします。
 続いて平和賞について、新たな基地建設も平和賞も県民の財産とすることに矛盾は感じないか、平和を維持する手段はさまざまで、それを公平公正に顕彰できるのか、県民世論を二分することに血税を使って創設する意義はないのではないかについてお答えいたします。
 私は、本県に所在する米軍基地が日米安保体制を維持する上で重要な役割を果たし、我が国の安全及び極東における平和と安全の維持に寄与しているものと理解しております。しかしながら本県には広大な米軍基地が存在し、県民生活や本県の振興開発にさまざまな影響を与えていることから県民は米軍基地の整理縮小を強く望んでおります。県としては、沖縄県民の基地負担の軽減を図るため、基地の整理縮小を初めとする本県の基地問題の解決を一つ一つ着実に実施してまいります。
 一方、「沖縄平和賞(仮称)基本構想素案」においては、沖縄の平和がアジア・太平洋地域の安定・平和と密接に関係することから、この地域の緊張緩和・安定・非暴力の確保・推進を目指し、そうした活動を積極的に評価・支援することとしております。アジア・太平洋地域での紛争等がなくなれば、おのずと沖縄における米軍基地の存在意義も薄れ整理縮小につながるものと考えます。沖縄がアジア・太平洋地域の平和の構築・維持に持続的に取り組んでいく一つの手段としてこの賞を創設するものであります。
 また、私は、この賞は中立性や公平性を確保し、県民から支持されることが重要であると考えます。そのため、インターネットによる基本構想素案の掲載やシンポジウムを開催するなど、多くの機会を通して広く県民の意見を聞くとともに、その声を検討委員会に報告し基本構想に反映させていきたいと考えております。このような過程を通して多くの県民の支持が得られるよう努めてまいります。
 次に、ハンセン病元患者に対する熊本地裁判決についての所見、法第6条の援護措置について、また元患者の方々の名誉回復のため県はどのような施策を講じるかについてお答えいたします。
 患者の隔離を主体としたこれまでの国のハンセン病対策が、患者・元患者やその家族の尊厳を大きく傷つけたことなどを踏まえ熊本地裁判決が出たものと認識しております。
 沖縄県においては、当時の琉球政府がWHO(世界保健機関)の勧告を受け入れ、1961年から療養所からの軽快者の退所や在宅治療制度を進めてきました。また「らい予防法の廃止に関する法律」第6条に基づく家族への援護措置は、現在、59世帯に生活保護に準じて援護を行っています。これまで一般社会にはハンセン病に対する偏見や差別が存在し続け、患者・元患者の方々には大変な御労苦があったものと考えております。県としては、今後一層ハンセン病に対する正しい知識の普及・啓発に努めるとともに、患者・元患者の意見を聞きながら国と協力して福祉等の向上に親身になって対応したいと考えております。
 次に、第1次産業の概要について、口蹄疫対策についてお答えをいたします。
 家畜の法定伝染病である口蹄疫は、ことし2月に英国で確認され、その後フランス、オランダ等のEU域内にまで感染が拡大しております。また、台湾においても継続的に発生が見られ、予断を許さない状況にあります。このため国においては発生国からの牛肉、豚肉等の輸入禁止措置等を行っております。
 県としては、口蹄疫の侵入防止体制として県対策本部と北部、中南部、宮古、八重山の現地対策本部を設置しております。また、緊急時などの対策に備えて所要の予算を確保しております。
 具体的な侵入防止対策としては、1、家畜保健衛生所、開業獣医師による巡回指導及び立入検査の実施、2、各地域における講習会の開催、3、リ-フレットなどによる啓発活動などを実施しております。今後とも引き続き口蹄疫の侵入防止対策に努めていく考えであります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 新川秀清議員の質問事項のうち、知事の政治姿勢の中の、訪米に当たって米国のマスメディアの反応はどうだったかという御質問にお答えをいたします。
 今回の訪米目的は、沖縄の米軍基地をめぐる諸課題について、県がこれまで日本政府に対し要請してきたことを米国連邦政府、連邦議会関係者、そして多くの米国民にお伝えし理解と協力を求めるためであり、そのことを踏まえ、5月17日にナショナルプレスクラブで記者会見を行ったほか、外国メディアからの個別のインタビューなどを受けました。地元紙を含め日本国内のマスコミも今回の訪米に多数同行したほか、国内各紙のワシントン支局や共同配信の報道機関からも知事訪米の報道がなされ、国内においても沖縄の基地問題を理解する契機になったと考えております。
 また外交問題評議会、新アメリカ財団、CSIS(国際戦略研究所)、ケイトー研究所、ブルッキングス研究所、平和研究所などの講演、意見交換会の場にも多数のメディア関係者が出席し、沖縄の米軍基地問題に対する関心の高さがうかがえました。
 県は、このような国内外のマスメディアを通し、本県が抱える米軍基地問題について広く理解と協力を求めることができたと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 新たな沖縄振興について、「格差是正」の目標をなぜおろすのか、「本土との格差是正」という目標に込められた背景をどうするのかについてお答えいたします。
 本土各県より整備がおくれている分野について、基盤整備等を積極的に推進して追いつこうとする格差是正の目標については、これまで本県の振興開発を進める上で一つの理念として大きな役割を果たしてきたものと認識しております。
 しかしながら、基礎的な社会資本等の整備が着実に進展してきた今日、依然として残された格差の是正を引き続き図っていくことは当然でありますが、21世紀初頭の沖縄の可能性をみずから切り開いていくためには格差の是正と自立的発展の基礎条件の整備を中心とした本県の振興開発には限界があり、前向きの新たな目標を設定すべきものと考えております。
 また、「本土との格差是正」が位置づけられた背景については、沖縄が26年余にわたり本土の施政権の外にあったこと、多数の離島から構成されていること、本土から遠隔地にあること及び沖縄に基地が多いこと等、各種の不利な条件を担っていることによる特殊事情に基づく沖縄の各方面にわたる本土との格差を早急に是正することにあることは承知しております。
 このようなことから、沖縄振興については今後とも国の責務による支援が必要であると考えております。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 「バリアフリー社会」実現に向けた取り組みについて、国、県、市町村道の点字ブロックの敷設の実態と段差の解消についてお答えを申し上げます。
 点字ブロックは、視覚障害者の歩行が多い道路、公共交通機関の施設と視覚障害者の利用が多い施設とを結ぶ道路等に設置するようにしております。
 点字ブロックの敷設状況としましては、平成12年4月現在で国管理においては国道58号ほか4路線でおよそ34キロメートル、県管理においては県道沖縄環状線ほか148路線でおよそ45キロメートル、市町村が管理する道路においてはおよそ77キロメートルとなっております。
 また、歩道の段差の解消につきましては、平成12年11月に施行された「交通バリアフリー法」において2メートル以上の広い歩道の確保、段差の解消、勾配を緩くする等道路の構造基準が示されており、現在、これに基づいて整備をしております。今後とも、身体障害者及び高齢者が安全で安心して歩ける歩道の整備に努めていきたいと考えております。
○福祉保健部長(新垣幸子) 「バリアフリー社会」実現に向けた取り組みについて、公共施設と大型店等のバリアフリー化の実態についての御質問にお答えいたします。
 平成10年4月から「沖縄県福祉のまちづくり条例」が全面施行されたことにより、不特定多数の人が利用する施設の新築または改築等に当たっては知事への事前協議が義務づけられており、平成12年度末までに404件の事前協議が行われており、大型店や病院、福祉施設等のバリアフリー化が進んでいるものと認識しております。また、公共施設についても公共性、公益性が極めて高いところから率先してバリアフリー化を推進しているところであります。
 県といたしましては、「福祉のまちづくり県立施設整備計画」を策定し、平成12年度から高齢者や障害者等が安全で快適に利用できるよう条例施行前の既存県立施設の改修を進めているところであります。なお、本年度は総額で1億3495万7000円の予算を計上しており、これは対前年度714%の大幅な伸びとなっております。
 また、那覇市及び石垣市においては独自の条例を制定し、福祉のまちづくりを積極的に展開しているところでありますが、県といたしましては機会あるごとに市町村の公共施設のバリアフリー化への改修をお願いしているところであります。
 同じく「バリアフリー社会」の実現に向けた取り組みについて、ユニバーサルデザインの取り組みとその実態についての御質問にお答えします。
 ユニバーサルデザインとは、設計段階から障壁のないものを構想し、能力や年齢にかかわりなくすべての人が共通して利用できるような物や環境をつくることを目指した考え方で、福祉のまちづくり条例によるバリアフリーの理念に通じるものであります。平成12年度総理府から出されました「障害者白書」で初めて「ユニバーサルデザイン」の項目が打ち出されておりますが、庁内での論議には至っておりません。その考え方が建築物のみならず衣類や日用雑貨などのデザインに取り入れられることにより、すべての人の生活の質を向上させ、あわせて障害者の社会参加の促進にもつながるものと考えております。
 なお、今後の取り組みについては全庁的な課題であると考えております。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) ハイサイリーグの廃止についてお答えします。
 プロ野球教育リーグ「ハイサイ沖縄リーグ」は平成8年に開始され、昨年までの5年間にわたって実施されました。
同リーグの開催は、本県野球界のレベルアップや青少年の健全育成、さらに経済振興に果たした役割が大きいことから、県では中止決定の報道を受けて直ちに日本野球機構コミッショナー及びセ・パ両リーグに対してリーグ存続の要望書を提出いたしましたが、残念ながら存続には至りませんでした。
なお、今回の中止により春季キャンプの開催にも影響が出るのではないかと危惧しておりましたが、春季キャンプにつきましては例年どおりに開催される予定と聞いております。
県としましては、今後ともスポーツアイランドの形成を目指して各種スポーツコンベンションの誘致を積極的に行っていきたいと考えております。
○文化環境部長(永山政邦) 環境問題について、水銀等が検出されたとの報道があるが、原因究明はどうなったか、関係市町村との連携はどうなっているかについてお答えいたします。
 県においては、毎年水質汚濁の現状を把握するために水質汚濁防止法に基づいて地下水の水質調査を実施し、その結果については公表しております。
 今回報道のあった水銀等有害物質が環境基準を超えて検出された井戸については、汚染原因を究明するため周辺地域にある井戸の水質調査及び有害物質を排出するおそれのある事業場調査等を実施しております。
 その結果、砒素については地下水のイオン成分の分析調査から、人為的なものではなく土壌由来によるものと推定しております。水銀については、その汚染原因を解明するには至っておりませんが、引き続き他県の調査事例や研究文献等を参考にし調査を進めてまいりたいと考えております。
 地下水の調査をする際には井戸、湧水の調査地点、調査時期等について市町村と事前に協議・調整をいたしまして、またその所有者の承諾を得て実施しております。その調査結果については市町村や井戸の所有者に報告し説明をしております。特に、砒素等の有害物質が環境基準を超えて検出された井戸の所有者に対しては飲料水には使用しないこと、生活用水としての使用についても自粛するようあわせて指導しております。
 今後とも市町村との連携を密にし、調査を実施し必要な指導を行っていきたいと考えております。
○警察本部長(太田裕之) 警察官の表彰制度についてお答えをいたします。
 県警察における表彰は、沖縄県警察の表彰に関する訓令の規定によりまして犯人検挙に功労のあった場合のほか、勤務成績が優秀な職員、研修成績等が優秀な職員、また業績が優秀である部署などについて行っております。したがいまして、大きく報道された事件の犯人検挙のようなもののみではなく、地道な活動を行っている警察職員等も当然表彰の対象に含まれております。
 具体的には、交番、駐在所で日夜地域住民の安全と平穏の確保に取り組み、地域に密着したすぐれた活動を推進している警察官、また交番、駐在所等が発行するミニ広報紙などの作成にすぐれたもの、さらにはブロック単位で犯罪検挙活動や地域活動の活動実績が優秀なブロック及び個人等も表彰をしております。
 今後とも地域に密着した地道な活動や、特に顕著な功労等に対しては積極的に表彰を行い、警察職員の士気の高揚に努め、ひいては県民の治安の確保に資してまいりたいと考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 以上で本日の代表質問は終わりました。
 本日の日程はこれで全部終了いたしました。
 次会は、明22日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後4時28分散会

 
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