平成13年(2001年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 6月22日
 


○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた教育委員会委員長照屋義実君は、別用務のため本日及び6月26日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日の会議に教育委員会委員長職務代理者翁長孝枝君、6月26日の会議に教育委員会委員宜保美恵子君の出席を求めました。
   ――――――――――――――
○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 糸数慶子君。
   〔糸数慶子君登壇〕
○糸数 慶子 おはようございます。
 社大・結連合を代表し通告に従って質疑を行いますが、質問に入ります前に、このたび新たに就任されました比嘉茂政副知事、そして嘉数昇明出納長、まずはおめでとうございます。沖縄県民のため、沖縄県勢発展のため不偏不党、県民党的な立場で今後ますます御活躍されますことを心から御期待を申し上げまして、それでは知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
 まず、知事の政治スタンスについて。
 小泉新政権が発足してから初めて開かれる県議会ですので、知事が小泉総理大臣の「聖域なき構造改革」について沖縄振興策の将来展望と絡めどのように評価され、どのように対処されようとしているのか、知事の率直な御所見を承りたいと思います。
 アメリカのブッシュ新政権の世界戦略、とりわけその対日政策の輪郭もだんだんと明らかになりつつあります。先日の知事訪米の経験も踏まえ、ブッシュ新大統領の政策が在沖米軍基地の問題にどのように影響を与えると予想されますか、御見解を伺います。
 あわせて、今回の田中外務大臣の訪米結果を今後の沖縄の基地問題との関係でどう評価されているのか、忌憚のない御感想をお聞かせ願います。
 次に、知事訪米の意義と成果についてお伺いいたします。
 訪米の意義について、知事として初の訪米要請を経験されたわけですが、訪米される前と後とではその意義について知事の意識の中で何か変化がありますか。ありましたら御感想をお伺いいたします。
 今回の訪米要請の成果について知事の自己評価と今後の展望についてお伺いいたします。
 前県政の訪米要請と比較して今回の訪米にどのような独自性があったのか、今度の体験を通して知事の訪米要請は今後も継続する価値があると思われますか、率直な御感想をお聞かせ願います。
 政治姿勢の最後に、沖縄平和賞の創設意義について。
 沖縄平和賞について知事の平和観、つまり知事は「平和」についてどのような考えをお持ちか、御見解を伺います。
 また、沖縄平和賞が創設された場合、賞の選考基準はどのような基準になるのか、お伺いいたします。
 さらに、この平和賞は県政がかわっても継続されるとお考えですか。それとも大田前県政の「沖縄国際平和研究所」構想が稲嶺県政によって凍結されたように、県政がかわれば平和賞も中止されるのか。それとも構想段階から復帰30周年記念事業等の一過性のものとして企画されているのか、御見解を承りたいと思います。
 次に、普天間基地についてお尋ねいたします。普天間基地移設問題から伺います。
 この問題で代替施設協議会に県の意向は反映されていると考えますか。また、位置と工法の問題で具体的に8つの案が提示されましたが、今後、基本計画が最終決定に至るまでの手続とスケジュールを県民の前に明らかにしていただきたい。
 さらに知事訪米、外相訪米、位置工法(案)の提示を踏まえ、これまでの懸案事項である「15年使用期限問題」進捗状況について現時点の報告をお伺いいたします。
 次に、先島民間空港の軍事利用問題について伺います。
 下地島空港への自衛隊誘致問題で県の考え方、立場などについてお尋ねいたします。この空港の軍事利用については屋良覚書及び県議会決議等で厳しく制限されていると理解していましたが、こうした軍事利用の歯どめが収益性の低下を理由にいとも簡単に外される議論の運びに強い懸念を覚えます。
 そこでお尋ねいたします。
 下地島空港の自衛隊誘致の動きに対する空港管理者としての県の見解を伺いたい。
 相次ぐ米軍機の飛来等先行する米軍の同空港利用について、日米安保を認めつつ県内の演習削減を求める県当局としては県外演習との関係で今後は容認するのですか。
 民間専用空港でさえも収益性が低下し、そのことが理由で軍事利用が地元首長から主張されるのであれば、最初から採算性が懸念される普天間基地移設先の軍民共用空港の軍専用化は時間の問題であります。この件に関する知事の御見解を明確にしていただきたい。
 読谷村の軍用地返還問題について。
 まず、読谷村の補助飛行場問題の現状について伺います。
 この問題は過去30年以上にわたって懸案とされるもので、以前は「所有権回復運動」と呼ばれ、戦後処理問題の典型的な問題として歴代県政で位置づけられてきました。稲嶺県政の現在の対応をお伺いいたします。特に財務省と旧地主及び現耕作者の関係、それに県や村等行政の立場からのかかわりなど現在の状況について御報告をお願いいたします。
 通称「象のおり」の返還問題の進捗状況についてお伺いいたします。
 特に米軍の管理主体の変更問題、同施設の返還見通し、隣接する読谷補助飛行場や移設先の金武町との関係について現状を明らかにしていただきたい。
 SACO合意で予定されている同村内の返還跡地対策の進捗状況について御報告をお願いいたします。あわせて今後の対応策についてもお伺いいたします。
 次に、環境問題について。
 泡瀬干潟埋立問題について伺います。
 (1)点目、市民投票条例請求運動の盛り上がりをどのように受けとめていらっしゃるのか。
 (2)点目、事業計画における採算の見通しについての新部長の見解をお伺いいたします。
 事情変更(公共事業の見直し、環境意識の変化等)で着工時期の再考はないですか、お伺いいたします。
 次に、自然海岸埋立問題の激化について。
 (1)点目、全国的な自然海岸保全・再生運動の波に逆行する県内埋立事業の現状についてお伺いいたします。
 公共・住宅用地、あるいは公共施設の用地、さまざまに用地が不足しているということで基地返還や町村合併に求めるいわゆる発想の転換が今沖縄に求められているのではないでしょうか。
 次に、自然海岸の保全や再生による再活性化事業の県内における最近の実例についてお伺いいたします。
 次に、福祉・医療問題について。
 (1)点目、母子総合医療センター(子ども病院)についてお伺いいたします。
 沖縄県の母子総合医療のあるべき姿を検討する委員会を立ち上げて母子総合医療センターの位置づけを明確にしていただきたいとの母子総合医療センター設立推進協議会からの要望について、県はどう対応するのでしょうか。
 (2)点目、高度で多機能な病院検討委員会の提言を受け、総合病院に付設で別棟型の母子総合医療センター(子ども病院)を設立していただきたいとの要望について、知事と福祉保健部長の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、教科書問題についてお伺いいたします。
 来春から小中学校で使用される教科書の検定結果が公表されたのを受けて、県内でも検定に合格した本の中からどれを教科書として採択するかを決める作業が始まりました。今回検定に合格した中学校歴史教科書の中に、「沖縄と小笠原はアメリカの信託統治領となりました」という記述があり、戦後、沖縄がどのような位置に置かれたか、教科書を執筆する専門家さえ理解せず、国の検定でも誤りに気がつかない状況です。
 また、沖縄戦については、鉄血勤皇隊の少年やひめゆり学徒たちを「ひめゆり部隊の少女たちまでが勇敢に戦って」などと美談調に記述されたり、沖縄戦で「軍人の戦死者が住民の犠牲者より多かった」と歪曲して記述されたり、「新しい歴史教科書をつくる会」が主導した中学校歴史教科書は検定意見が137カ所もついて、それを修正して検定に合格しているのが現状です。
 県内、国内を問わず、つくる会教科書問題の集会が開かれ、韓国、中国両政府から軌道修正の要求がなされたり、韓国の国会議員や元慰安婦などが来日して日本政府に座り込みなどの抗議行動をしているのが現状です。そのほかのアジアの国々からも抗議の声が届いておりますが、沖縄社会大衆党も、この件につきましては、この教科書を採択しないような運動を今展開しております。
 それにつきまして、今、教育を国家権力から人々の手に取り戻して平和のための歴史教育を実施することが必要と考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
 教科書の採択過程について、公正・公開の原則で採択するよう県内の各市町村教育事務所に指導してほしい。いかがでしょうか。
 次に、人権問題について、ハンセン病についてお伺いいたします。
 ハンセン病患者・元患者らは、国策によって隔離と断種という差別と迫害を受けましたが、ただいま人権回復のために沖縄県でもさまざまな啓発活動あるいは里帰り事業等、被害者らのふるさとに帰りたいという思いにこたえる活動をなさっていることには深く敬意を表します。しかし、国策の中で結果として被害者らのふるさとを奪うことになった過去のことを率直に反省し、実態調査を実施した上で生存者はもちろんのこと、遺骨になっても療養所から帰ることのできない方々、それぞれのふるさとに受け入れるように県としても動いていただきたいと考えますが、ハンセン病患者・元患者らの人権回復のための啓発活動を県はどのような手だてを講じていくのか、お伺いいたします。
 次に、新たな沖縄振興策について、新沖縄振興開発計画について。
 (1)点目、30年の総括を端的に表現するとどうなるのか。ポスト3次振計は結局は4次振計ではないのでしょうか。新たな理念の「特性の発揮」と、それから「不利性の克服」は本当に可能でしょうか。両者はコインのそれこそ裏表ではないでしょうか。
 (2)点目、「格差是正」を後追いの発想と知事はおっしゃっていらっしゃいますが、本当に後追いをしなくてもよいのでしょうか。発想転換で自立は可能でしょうか、お伺いいたします。
 次に、沖縄振興新法について。
 財政と基地依存の沖縄経済を転換するための「新法」が「旧法」と最も違う点は何か、お伺いいたします。
 県内企業保護と一国二制度(規制緩和)は両立するのでしょうか。
 (3)点目、基地依存と財政依存は同根ではないでしょうか。沖縄の自立を実現する真の新法は「基地削減法」ではないか、お伺いいたします。
 次に、新総合交通体系を含む交通問題について。
 (1)点目に、モノレール問題については石嶺地区への延伸問題とその後の状況について伺います。
 (2)点目は、開業に向けた交通体系の整備状況はどうなっているのか、お伺いいたします。
 次に、基地内道路の開放問題について。
 米軍のよき隣人政策のモデル事業としてこの問題を取り上げてはどうでしょうか。
 開放に向けた調査の企画・立案と実施についてお伺いいたします。
 次に、鉄軌道の導入問題について。
 調査報告書の位置づけと今後の対応について。
 次に、新総合交通体系における鉄軌道の優先度についてお伺いいたします。
 答弁によって再質問を行いたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 糸数慶子議員の御質問にお答えいたします。
 最初は知事の政治姿勢について、小泉新政権の「聖域なき構造改革」をどのように評価するかとのお答えでございます。
 「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」においては、厳しい財政状況の中で「選択と集中」の姿勢のもと、重点的・戦略的に施策を推進することとしております。小泉総理の目指す「聖域なき構造改革」は、本県の振興にも影響が及ぶものと考えております。しかしながら、残された格差の縮小、本県が目指す自立に向けた持続的発展、世界に開かれた交流・協力拠点の形成を図るためには今後とも国の特別な支援が必要であると考えております。今後、沖縄振興を支える制度・施策を国に対して要望する中で本県の振興が図られるよう最大限努力してまいります。
 次に、知事の政治姿勢についてのうち、ブッシュ新政権の対日政策、特に在沖米軍基地への影響をどう考えるかについてお答えいたします。
 ブッシュ新政権のラムズフェルド国防長官は、就任後初の記者会見で、ブッシュ大統領から米軍の兵力構成の包括的な見直しの指示を受けたことを明らかにしており、県としてはブッシュ政権下でQDRの検討が現在進められているものと理解しております。在沖米軍を含め在日米軍に関する具体的な方針が示されていない段階でどのような影響が出るか判断はできませんが、県としては、先般の訪米で県民の過重な基地負担の軽減について連邦政府関係者に理解と協力を求めたところであり、QDRの中で県民の意向が反映されることを期待いたします。
 知事の政治姿勢について、田中外務大臣の訪米結果を沖縄の基地問題との関係でどうとらえているのかと。
 6月18日にワシントンで行われた日米外相会談で田中外務大臣は、沖縄の基地問題について取り上げたと聞いております。パウエル国務長官からは、海兵隊の訓練の移転についてすべての選択肢を検討したいとの発言があったとのことですが、訓練移転の具体的な内容については触れていませんので、今後、日米両政府間で移転についての具体的な話し合いが行われ、県民の基地負担の軽減が促進されることを強く期待しております
 次に、知事の政治姿勢について、訪米の意義について訪米前と訪米後で変化があるのか、今回の訪米の成果について自己評価と今後の展望を聞きたいと、2点について一括してお答えをいたします。
 第2次世界大戦後56年の長期にわたって過重な基地負担をしてきた県民は、基地問題の解決を強く求めており、知事としてもこのような県民の意向を米国政府等に伝え理解と協力を求めることは大変重要であると考え、去る5月13日から26日までの2週間、アメリカ合衆国を訪問いたしました。訪米に際しての基本的な考え方は、沖縄の米軍基地をめぐる諸課題について県がこれまで日本政府に対し要請してきたことを米国連邦政府、連邦議会関係者、そして多くの米国民にお伝えし、理解と協力を求めるためでありました。
 今回の訪米は短期間の厳しい日程ではありましたが、多くの方々と面談し、本県の基地問題に関する理解と協力を求める機会を設けることができましたので、訪米は成功であったと考えております。
 また、この時期に訪米を行ったことは、去る18日に開かれた日米外相会談に沖縄の基地問題が重要な議題として取り上げられるなど、日米両政府首脳にその重要性を認識していただく契機になったと自負しており、今後の問題解決に当たって大きな力になると思っています。
 私は、先日、今回の訪米結果について関係大臣に報告いたしましたが、その際、日米安保体制に基づく米軍基地負担は日本国民がひとしく引き受けるべきものであり、長い間、過重な基地負担を背負わされている沖縄の現状及びその課題解決については、日本政府並びに全国民がもっとその重大性を認識し積極的に対応していただく必要がある旨を強く申し上げたところです。
 次に、政治姿勢について、前県政の訪米要請と比較して独自性があるのか、次に今後継続する価値と意思があるのかについて一括してお答えします。
 私は、基地問題は国の外交・防衛にかかわる問題であり、その解決に当たってはまず国家間で話し合いがなされるべきであると考えております。
 今回の訪米は、沖縄の米軍基地をめぐる諸課題について県がこれまで日本政府に対し要請してきたことを米国連邦政府、連邦議会関係者、そして多くの米国民にお伝えし、理解と協力を求めるという立場で行ったところであります。基地問題の解決は本県の重要課題であり、地元の声を米国政府等に伝えることは重要であると考えており、今後も必要に応じて訪米を計画したいと考えております。
 次に、同じく政治姿勢についてのうち、沖縄平和賞に係る知事の平和観についてお答えをいたします。
 沖縄は、かつて「万国津梁」の精神で広く海外との交易を通して栄えた琉球王国時代があり、平和を大切にする独特な文化をはぐくんできた歴史があります。また、沖縄県民は過酷な沖縄戦を体験し、長年にわたる米軍施政、そして今なお残る広大な米軍基地などから平和と人権のとうとさを肌身で感じております。21世紀を担う若い世代にもこの事実と教訓を正しく継承するとともに、世界平和の創造に努めることは私たちの責務であります。私は、これまで青年海外協力隊の支援活動などを通して世界60カ国以上の国々を実際に見てきており、今もなお紛争が絶えない地域や貧困、難民、環境問題など数多くの要因によって死んでいく人々がいる現実を厳しく受けとめております。
 以上のことから、平和を脅かすさまざまな課題の解決に向けて何らかの形で役に立ちたいと考え、沖縄平和賞(仮称)を創設することにしたものであります。
 また、昨年のサミットにおいて発信した平和を希求する沖縄県民の思いを引き続き世界に発信していくためにも、沖縄県が平和賞の創設に取り組むことは大変意義があると考えております。
 次に、同じく政治姿勢についてのうち、平和賞は県政がかわっても継続されるものか、その保証をどのように考えるかについてお答えいたします。
 私は、沖縄平和賞(仮称)は、県民が誇りを持てるような財産として、中立性・公平性が確保され末永く継続していけるものでなければならないと考えております。また、この賞により平和を何よりも大切にする県民の心を世界に発信し、本県が恒久平和の発信拠点として国内外から認知されるよう目指していきたいと考えております。
 沖縄平和賞(仮称)を創設し、世界じゅうの人々とともに平和の構築・維持に携わることにより、県民の自信と海外からの高い評価に裏づけられたすばらしい財産になるものと考えております。このことにより末永く継続していけるものと考えております。
 次に、基地問題について、代替施設協議会に県の意向は反映されているのか、協議プロセスを明確にしてほしいということのお答えでございます。
 県は、第6回までの代替施設協議会において、代替施設の滑走路は中型ジェット機が就航できるものとして2000メートルを基本とすること、また民間機能のうち旅客ターミナル等専ら民間が利用する地域は約20万人以上の人が利用できる規模として約10ヘクタール程度必要であることを述べております。
 代替施設全体の規模については、別途協議されている空港活用型の産業振興を考慮するとともに、運用上の安全性及び環境面に配慮した規模とすることを述べ、県としては民間機能を活用し雇用機会の確保や産業の振興を図り、地域経済発展の拠点を形成していく必要があることを述べております。
 さらに、代替施設の規模、工法、具体的建設場所については、航空機の騒音やサンゴ及び藻場への影響等住民生活や自然環境への配慮のほか、代替施設の維持管理にかかる経費が将来的にも大きな負担とならないこと、普天間飛行場の早期返還を図る観点から建設工期は長くならないことなどを留意する事項として述べております。
 第7回の代替施設協議会で示された3工法8案について、県としては県内部において検討を進めるとともに、地元の意向を踏まえながら総合的に検討していきたいと考えております。
 次に、知事訪米、外相訪米、位置工法8案提示を踏まえ、15年問題の見通しを聞きたいについてお答えいたします。
 今回の訪米では、米国政府や連邦議会関係者等に沖縄の現状を説明するとともに、普天間飛行場の代替施設に15年の使用期限を設けることなどを移設に当たっての条件として日本政府へ強く要請してきたことを説明し、理解と協力を求めてきました。短期間の厳しい日程ではありましたが、多くの方々と面談し、本県の基地問題に関する理解と協力を求める機会を設けることができたものと考えております。
 なお、今回の訪米は、去る18日に開かれた日米外相会談において沖縄の基地問題が重要な議題として取り上げられるなど、日米両政府首脳にその重要性を認識していただく契機になったと考えております。
 また、さきの第7回代替施設協議会においても、15年使用期限問題の早期解決に向け積極的に取り組まれるよう強く申し入れたところであります。15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。同問題の解決についてはさまざまな考え方があると思いますが、県としては移設に当たって整備すべき条件の一つとして政府に求めているところであり、今後とも政府に対し一日も早い解決を強く求めていきたいと考えております。
 次に、基地問題について、先島の民間空港の米軍機による利用についてどう考えるか、安保容認、米軍演習削減などの姿勢も含めて聞きたいについてお答えをいたします。
 県としては、日米安保体制が我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与していると理解しており、その意味において我が国に所在する米軍基地が重要な役割を果たしていると考えております。
 しかし、日米安保体制は日本全体の問題であり、基地負担についても全国民が公平に負うべきであると考えており、県民の過重な基地負担を軽減するため海兵隊の訓練を県外へ移転することも含めて在沖米軍兵力の削減を図ることを要請したところであります。
 今回の先島の民間空港の使用については、米軍は沖縄での訓練の軽減を図ることを目的の一つに挙げておりますが、米軍が海外での演習に参加する場合であっても県管理空港は民間航空機の運航を目的として設置された空港であり、民間航空機の円滑かつ安全な運航を確保する観点から、緊急やむを得ない場合を除いては米軍機の使用は自粛してもらいたいと考えております。県としては、今後米軍が海外への演習に参加する場合のヘリの輸送については、揚陸艦等の輸送手段を使うことを前提に計画を立てるよう米軍に強く申し入れを行っております。
 次に、福祉・医療問題についてのうち、母子総合医療センターについてのお答えでございます。
 子ども病院につきましては、早期設立を求める19万人余りの署名に示されるとおり重要な課題であります。そのため、県では早急に解決を図る必要があることから、那覇病院の改築において可能性を検討してまいりました。その結果、昨年度新病院の機能について検討するために「地域医療を支援する高度で多機能な病院検討委員会」で取りまとめられました報告書を踏まえ、新病院に併設して母子総合医療センターを設置することが適当であると考えております。県としては、署名及び報告書の趣旨を真摯に受けとめ早期の実現を図ってまいります。
 次に、新たな沖縄振興策について、30年の総括を端的に表現するとどうなるか、ポスト3次は結局4次振計か、新たな理念の「特性の発揮」と「不利性の克服」は可能かという御質問についてのお答えでございます。
 3次にわたる沖縄振興開発計画に基づく総合的な施策が推進された結果、社会資本の整備を中心に着実な成果を上げ、県民生活も向上するなど本県の経済社会は着実に進展してきています。一方、本県経済は財政に依存した脆弱な経済構造となっているとともに、生活環境施設等各面における本土との格差も依然として残っております。
 新たな沖縄振興計画の策定に当たっては、格差の是正を引き続き図っていくことは当然でありますが、激しい時代潮流の変化を見きわめ、変革に果敢に挑戦する姿勢のもと、「格差是正」から「沖縄の特性の発揮と不利性の克服」へと施策の展開方向を順次切りかえていく必要があります。県としましては、沖縄振興新計画やそれを支える沖縄振興新法のもと、思い切った施策の展開により魅力ある地域特性を発揮し、民間主導による自立型経済の構築に取り組んでまいります。
 次に、同じく沖縄振興策について、「格差是正」を後追いの発想と言うが、追わなくていいのか、発想転換で自立は可能かについてお答えをいたします。
 本土各県より整備がおくれている分野について、基盤整備等を積極的に推進して追いつこうとするキャッチアップの論理である「格差是正」は、これまで本県の振興開発を進める上で一つの理念として大きな役割を果たしてきたものと認識しております。しかしながら、基礎的な社会資本等の整備が着実に進展してきた今日、依然として残された格差の是正を引き続き図っていくことは当然でありますが、21世紀初頭の沖縄の可能性をみずから切り開いていく前向きの新たな目標を設定すべきものと考えております。
 新たな沖縄振興に当たっては、沖縄の魅力ある地域特性を生かした役割発揮を重視した「沖縄の特性の発揮と不利性の克服」へと施策の展開方向を順次切りかえることにより、自立的発展への歩みを確実なものにしてまいりたいと考えております。
 新たな沖縄振興策について、財政と基地依存の沖縄経済を転換するため新法が旧法と最も違う点は何かということと、基地依存と財政依存は同根ではないか、沖縄の自立を実現する真の新法は「基地削減法」ではないかという御質問に一括してお答えします。
 本県の依存型経済構造を転換するためには、民間主導の自立型経済を構築し、経済に占める民間部門の割合を拡大していく必要があります。
 このため、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」においては、経済活動を支える基盤整備の推進に加え、主要産業の振興を図るため産業振興計画の策定を国に求めるとともに、観光振興地域制度や特別自由貿易地域制度等の拡充と新たに部門別計画の作成を盛り込んでいます。また、情報通信産業振興特別地域制度や国際的金融情報拠点形成のための支援措置の創設及び基地跡地利用円滑化のための特別措置などを盛り込んだことが大きな特徴です。
 さらに、基地問題については、SACO最終報告の着実な実現を図るとともに、さらなる米軍施設・区域の計画的、段階的な整理縮小に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 糸数慶子議員の知事の政治姿勢についての質問の中の、沖縄平和賞はどのような選考基準を考えているのかという御質問にお答えをいたします。
 沖縄平和賞(仮称)は、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って、平和の創造と人権の擁護に寄与した国内外の人を対象にしたいと考えております。
 基本構想素案において選考基準としては以下の3つの理念から顕彰するものであります。すなわち第1に、「アジア太平洋地域における平和・非暴力実現の促進」であります。沖縄の平和は、アジア・太平洋地域の安定・平和と密接に関係しており、当該地域の緊張緩和・安定・非暴力を確保・推進する活動を顕彰することであります。
 第2に、「人間の安全保障実現の促進」であります。この賞は平和の概念を広くとらえ、人間の安全保障、いわゆる人間の生命及び基本的権利を脅かす貧困、環境問題等を解決し、豊かに生活できる状態の確立への努力、取り組みを顕彰することであります。
 第3に、「内発的多様性を基礎とした平和実現の促進」であります。沖縄及びアジア・太平洋地域は、ともに社会、文化、伝統の多様性に彩られた地域であります。この賞は、それぞれの地域の内部で培われてきた多様な文化や考え方を相互尊重することによって平和の実現を図る努力、取り組みを顕彰することであります。
 次に、基地問題に関する質問事項について順次お答えをいたしたいと思います。
 まず、位置と工法で8案が提起されたが、今後の決定に至るスケジュールを示してほしいという御質問にお答えをいたします。
 第7回代替施設協議会で報告のあった3工法8案につきましては、地元説明後、名護市長において地元住民の意見、要望を取りまとめ、次回協議会においてその報告を行うこととされております。また、名護市等地元の意見も踏まえた県としての考え方を聞いた上で、代替施設の規模、工法、具体的建設場所等について総合的、具体的な検討をさらに進めていくこととされております。
 地元説明会については、去る6月12日に名護市議会と名護市久辺3区の行政委員並びに区長を対象に、また翌13日には名護市久志13区の行政委員並びに区長を対象に行われたところであります。県としては、国から提示された資料について県内部において検討を進めるとともに、地元の意向を踏まえながら総合的に検討していきたいと考えております。
 次に、普天間代替施設の採算性についての御質問にお答えをいたします。
 代替施設は、普天間飛行場の代替施設として建設される飛行場であります。同施設は、新たな基地負担を軽減するためにも民間の航空機が就航できるようにするとともに、空港関連産業の育成・誘致及び空港を活用した産業等のための条件の整備・検討を進め、具体的な事業展開が図られるようにする必要があると考えます。そのため、県としては、同施設の民間機能を活用した雇用機会の確保や産業の振興を図り、地域経済発展の拠点を形成するとともに、移設先周辺地域における振興策や空港活用型の産業振興等について国の支援を得ながらその実現を図っていきたいと考えております。
 次に、読谷補助飛行場問題の現状に関して、財務省、旧地主の関係、行政の立場について聞きたいという御質問にお答えをいたします。
 旧日本軍接収用地問題について、国は昭和53年の衆議院予算委員会で、沖縄において戦時中、旧軍が取得した土地は、私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になったものと判断されるとの調査結果を報告しております。また、平成7年4月25日の嘉手納飛行場土地所有権確認訴訟に係る最高裁判決によって原告である旧地主側の敗訴が確定しております。
 しかし、今般、旧地主の方々は、全県的な団体として沖縄県旧軍飛行場用地問題解決促進協議会を組織され、本土における旧軍飛行場用地に係る戦後処理事案の例に倣って本県においても戦後処理事案としての政治的配慮による解決を求めております。県としても、戦後56年の長期間にわたって旧日本軍に接収された土地の所有権回復を求めてこられた旧地主の方々の心情と御苦労については十分に理解しており、また県選出の国会議員全員が同問題の解決に尽力されていることについて重く受けとめております。
 県としては、旧日本軍接収用地問題について旧地主が指摘している戦後処理問題として取り扱われたとされる本土における返還事例について、沖縄総合事務局を通して事実関係の確認をしたところ、昭和20年ごろのことであり、実施事例として情報提供できる事例が確認できない旨の回答を得たところであり、今後県としてどのような対応ができるか、戦後処理問題として位置づけられるかどうかも含めて検討しているところであります。
 次に、通称「象のおり」返還問題について、管理主体の変更、返還の見通し、読谷補助飛行場との関連についての御質問にお答えいたします。
 那覇防衛施設局の説明によりますと、ハンザ海軍通信保全群にかわり国防総省が直轄する国防通信沖縄分遣隊に管理主体が変更されたが、使用状況に変更はないとのことであります。
 読谷補助飛行場の返還については、SACO合意で楚辺通信所の移設が返還の条件となっていますが、那覇防衛施設局によりますと、平成17年5月末日に楚辺通信所の移設工事及び物件撤去工事が完了する見通しでありますので、同飛行場の返還は平成17年5月末日になるものと考えております。
 次に、新総合交通体系を含む交通問題に関連して、1つ目に基地内道路の通行について米軍のよき隣人政策のモデル事業としてはどうかという点と、基地内道路の通行に向け調査を実施しているか聞きたいというこの2点について一括してお答えをいたします。
 基地内道路の通行につきましては、一昨年9月の第18回三者連絡協議会において消防車、救急車などの緊急車両の基地内道路の使用が基本的に合意されましたが、その後すべての在日米軍施設において適用できる枠組みを設定するため在日米軍と日本政府との間に協議が移り、本年1月11日、日米合同委員会において合意されました。これを受けて、去る4月17日に牧港補給基地において浦添市と在沖米軍海兵隊基地司令官との間で緊急車両の基地内通行に関する現地協定が初めて締結されました。6月現在、一部事務組合を含む10市町村が現地協定締結に向けて手続中であります。
 一般車両の基地内道路の通行につきましては、通行に際しての米軍施設・区域の管理・運用上の問題点や通行の必要性や効果など、緊急車両の基地内道路の通行問題以上にクリアすべき課題が多いと考えております。県としては、県民の通勤・通学等生活の利便性の向上や経済活動の円滑化を推進する観点等から、一つ一つの問題点について十分検討した上で日米両政府に対しその実現を働きかけていきたいと考えております。
 以上でございます。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 基地問題について、その中の下地島空港の自衛隊利用をどう考えるか、屋良覚書、県議会決議も含めて伺いたいについてお答え申し上げます。
 下地島空港の自衛隊利用につきましては、去る4月17日に地元伊良部町が全会一致で訓練誘致を決議したことを受けて、去る5月7日に伊良部町から県に対して要請がありました。要請の趣旨に述べられているように、下地島空港を取り巻く社会経済情勢は建設当時と現在では大きく変化していることは事実であると認識しております。
 しかし一方、下地島空港の使用に関しては、御指摘のとおり建設当時の琉球政府と国との間で交わされた確認文書や第3種空港に設置がえする際の県議会での附帯決議など過去の経緯もありますので、今後地元や関係する市町村の意見、現在パイロット訓練を行っている民間航空各社の意見などいろいろな角度から慎重に検討しなければならないと考えております。
 同じく民間専用空港でも採算低下で軍事利用が問題になる、軍民共用空港の採算性はあるのかについてお答え申し上げます。
 下地島空港における自衛隊機の訓練誘致につきましては、今後いろいろな角度から慎重に検討しなければならないものと考えており、軍民共用空港の採算性について下地島空港で検討したことはありません。
 次に、環境問題についての市民投票条例請求運動の盛り上がりをどのように受けとめているかについてお答え申し上げます。
 中城湾港泡瀬地区埋立事業は、本島中部圏東海岸地域の活性化を図るため沖縄市が策定した「東部海浜地区埋立構想」をもとに国、県及び市が共同で事業に取り組んでいるものであります。当該事業については、現在、事業の凍結、推進の意思を問う市民投票に関する条例制定の請求が沖縄市長あて提出されていることは承知しております。
 当該事業は、地域の活性化と自立経済の発展に寄与するものとして、地元の34市民団体や経済団体から成る「沖縄市東部海浜リゾ-ト開発推進協議会」から早期実現の強い要望があるのと、沖縄市議会においてはこれまで3度にわたり全会一致で整備促進の決議がなされております。これらの経緯を踏まえて、沖縄市長はこれまで市民の総意として取り組んできた事業であることから、条例制定の必要はないとの意見を付して議会へ条例案を提出しております。
 県としましても、現下の状況を総合的に勘案した場合、当該事業推進に対する地元の期待は大きく、また中部圏域の振興のため必要な事業であることから、国並びに沖縄市と連携を図り事業を推進していきたいと考えております。
 同じく事業計画における採算見通しについての新部長の見解を賜りたいにお答えいたします。
 中城湾港泡瀬地区埋立事業で国及び県により造成される埋立用地約186へクタールのうち、港湾施設等を除く約129ヘクタールについては沖縄市が約90ヘクタール、県が約39ヘクタールを土地利用計画に基づいてホテルや住宅用地等として民間等に処分することとしております。
 同事業については、国が行う新港地区の航路しゅんせつ工事において発生する土砂を有効活用して土地を造成することや、上・下水道等のインフラ整備についても国庫補助事業を可能な限り導入することにより極力県及び市の財政負担の軽減を図るよう計画しております。このことから、県及び市は近傍の地価に比べて安価で土地を取得することが可能となり、当該事業の特別会計についても十分採算がとれるものと考えております。
 同じく事情変更で着工時期の再考はないかについてお答え申し上げます。
 中城湾港泡瀬地区埋立事業については、計画段階から地元市民や専門家等の意見等を取り入れ、陸続きの埋め立てから出島方式への変更や規模の縮小、土地利用の見直しを行い、平成7年に港湾審議会の承認を経て港湾計画に位置づけられております。その後、関係機関と調整を行い、平成12年12月に埋立免許を取得したところであります。
 当該事業の早期実現は、沖縄市民の15年にわたる長年の悲願であり、早期整備の要望が強いことから現計画に沿って進めていく考えであります。
 また、近年、全国的に環境保全に関する意識が高まっており、泡瀬地先の海域においても干潟など豊かな自然環境があることから、環境の保全と開発との調和を図る必要があると考えております。そのため、事業の実施に当たっては学識経験者や沖縄市民等で構成する「環境監視・検討委員会」において環境保全対策や人工干潟等の新たな環境創造手法等の検討などを行い、その結果を踏まえて慎重に事業を進めてまいりたいと考えております。
 同じく全国的な自然海岸保全・再生運動の波に逆行する県内埋立事業の現状はどうなっているかについてお答え申し上げます。
 復帰後における本県の埋立事業は、平成13年3月末現在で約2747ヘクタールで、その内訳は港湾区域で約1454ヘクタール、漁港区域で約434ヘクタール、その他一般海域で859ヘクタールとなっております。
 また、復帰後における50ヘクタール以上の埋立造成地約1115ヘクタールの主な利用状況は、都市開発関連で約352ヘクタール、製造業で約324ヘクタール、道路で約142ヘクタール、緑地で約109ヘクタール、埠頭用地で約60ヘクタール、商業用地で約50ヘクタール、護岸で約27ヘクタール、下水処理施設で25ヘクタール、その他で約25ヘクタールとなっており、地域振興や県民生活の向上に幅広く有効活用されております。
なお、最近の埋立事業においては、緩傾斜護岸、養浜、植栽等により環境の保全・復元や環境との調和に配慮しつつ整備を進めているところであります。
 同じく公共・住宅用地不足は基地返還や町村合併に求める発想転換が必要ではないかにお答えいたします。
 本土復帰以来、一貫して人口増加傾向の続いている本県においては、公共・住宅用地の確保は重要な課題となっております。特に人口集中の著しい本島中南部地域の既存市街地においては、住宅地の過密化と商業用地や工業用地との混在による住環境の悪化に対応するため新たな市街地の整備が必要となっております。
しかし、既存陸域の住宅地以外の区域においては、農業振興地域に指定されている区域が多いことや丘陵地や傾斜地となっているため、開発に適した一定の規模のまとまった土地を確保することは困難であります。また、近年、国内有数のリゾート地として観光産業の発展しつつある本県においては、海洋性レクリエーション施設を備えた魅力あるウオーターフロントの整備等新たなニーズも高まりつつあります。
これらの当面する諸課題に対応し地域の活性化を図るため、中城湾港西原・与那原地区、泡瀬地区等において埋立事業を進めているところでございます。
 次に、自然環境の保全や再生による再活性化事業の最近の実例について伺いたいにお答えいたします。
 沖縄県における海岸事業は、国の第6次海岸事業七箇年計画に基づき高潮対策事業、侵食対策事業、海岸環境整備事業等を実施しているところであります。特に生態系や自然景観に配慮する必要性の高い地域においてはエコ・コースト事業として位置づけ、砂浜、緑地帯の創出や景観の維持を図るための事業を実施しております。現在、中城村安里や多良間村水納及び城辺町保良においてオカヤドカリ、ウミガメの生態系等に配慮したエコ・コースト事業を推進しているところであります。
 また、国頭村辺土名、今帰仁村運天等においては、自然景観にも配慮しながら利用しやすく親しみやすい海岸を創出するため緩傾斜護岸、人工リーフ、養浜、植栽等の整備を推進しているところであります。なお、知念村安座真については平成11年度に本方式により整備を完了し、「あざまサンサンビーチ」として県民に広く利用されているところであります。県といたしましては、今後とも高潮等による災害の防除を図るとともに、良好な自然環境を保全し多様化する海浜利用にこたえる海岸の整備を推進していく考えであります。
 次に、新総合交通体系を含む交通問題について、その中の石嶺地区へのモノレール延伸問題のその後の状況についてお答え申し上げます。
 沖縄都市モノレ-ルは、採算性の確保を勘案しつつ、早期実現が可能な区間及び交通網の再整備が緊急に必要な区域など総合的な観点から事業化を図っており、現在、那覇空港から首里駅間13.1キロメ-トルで整備を推進し、平成15年度の開業に向け順調に進捗しております。
 御質問の石嶺地区への延伸につきましては、石嶺町自治会、那覇市議会議長、那覇市長などから要請がなされておりますが、首里駅以北の沿線の開発計画、都市計画道路の決定状況、当該地域の区画整理事業の状況、市道石嶺線街路事業の進捗状況及び事業費の確保など解決すべき多くの課題があります。
 さらに、モノレ-ルの事業区間を延伸するためには、現在見直し作業を行っている「沖縄県総合交通体系基本計画」の中で位置づけられる必要があり、中南部都市圏全域を見据えた長期的な視点で検討を行う必要があると考えております。
 同じくモノレール開業に向けた交通体系の整備状況はどうかについてお答え申し上げます。
 沖縄都市モノレールは、那覇都市圏の交通対策及び都市機能の再生を促す交通基盤として位置づけされており、都市交通の定時・定速性を確保するためモノレールとバス、タクシー等との効率的なネットワークの形成を図る必要があります。
 御質問の開業に向けた交通体系の整備状況については、モノレールとバスとの合理的な機能分担と交通結節を図るため、那覇市域においてバス路線の再編を進めております。当該バス路線の再編については、平成6年に沖縄県、那覇市、バス事業者間で締結されたバス協定書に基づきバス路線再編実施案検討委員会で審議を進めているところであります。
 今後のスケジュールにつきましては、平成13年度は県民の意見を反映しながら系統別のバス路線再編について実施案を策定し、平成15年度のモノレール開業と同時にバス路線の再編を実施することとしております。また、バスやタクシー等との乗り継ぎを円滑に行うため、おもろまち駅や赤嶺駅、小禄駅等の主要8駅において交通広場の整備を進めているところでございます。
 以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 基地問題について、読谷補助飛行場問題の現状に関して旧地主、現耕作者の関係について行政の立場を聞きたいについてお答えいたします。
読谷補助飛行場用地問題に関しましては、旧地主から所有権問題の解決、また現耕作者からは耕作者への払い下げの要望等があり、解決すべき問題があることは承知しております。この問題につきましては、読谷村が読谷飛行場内黙認耕作問題解決要綱に基づき黙認耕作の解消を図る交渉を行うことになっており、地域の問題として村を中心に旧地主と耕作者がよく話し合って解決していただきたいと考えております。
 次に、同じく基地問題について、返還跡地の対策について、SACO合意で返還される読谷村内の跡地対策等の進捗状況について伺いたいにお答えいたします。
 返還跡地対策については、一義的には地権者の合意形成を含め市町村が跡地計画の策定の主体となります。
 御質問の読谷村内のSACO合意施設のうち、楚辺通信所については平成13年4月21日に楚辺通信所返還跡地利用地主会の総会において楚辺通信所跡地利用基本構想が承認され、また瀬名波通信所については読谷村が跡地利用に向けた地主会の組織化について継続した取り組みを行っていくと聞いております。読谷補助飛行場については、島田懇談会事業による先進農業支援センター整備事業が平成9年度から実施され、平成13年度においては実施設計の段階に入っていると聞いておりますが、黙認耕作問題等解決すべき問題もあることから読谷村においては関係者と十分調整の上、事業を進めていくものと思っております。
○病院管理局長(新田宗一) 福祉・医療問題について、母子医療センター設立推進協議会からの要望について県はどう対応するのかという御質問にお答えいたします。
 母子総合医療センター、いわゆる子ども病院につきましては、「高度多機能病院検討委員会」で取りまとめられました報告書において那覇病院の改築を機に整備を計画している新病院に併設して設置することが提言されており、現在、同報告書の提言を踏まえて整備計画を検討しているところであります。
 このことに関連して、母子総合医療センター設立推進協議会から、子ども病院部分を別棟型で整備すること、新病院に関する検討作業へ参加させてほしい等の要請がなされております。
 要請の子ども病院を別棟型で整備することについては、周産期医療から小児医療に至る包括的な医療の実施や専門医の確保等のほか、開設後の管理運営面での効率性等の観点から新病院への併設型で整備することが適切であると考えております。しかしながら、要望の趣旨を取り入れながら、子供部門については母子総合医療センターとして位置づけ、小児患者の特性を考慮して外来及び病棟部門を一般の患者と区分した設計デザインとするなど、子供部門の独立性をできるだけ確保していきたいと考えています。
 また、新病院の検討作業への参加については、今後、検討作業の場に同協議会からも積極的に参加いただき、新病院計画に反映できるよう検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(津嘉山朝祥) 糸数慶子議員の教育問題について、教育を国家権力から人々の手に取り戻して平和のための歴史教育を実施することが必要と考えるが、教育長の御所見を伺いたいという質問にお答えをいたします。
 学校教育は、日本国憲法、教育基本法及び学校教育法に示されている教育の根本精神を基調にしてなされるものであります。
 歴史教育につきましては、歴史的事象に対する関心を高め、我が国の歴史の大きな流れと各時代の特色を世界の歴史を背景に理解させ、それを通して我が国の文化と伝統の特色を広い視野に立って考えさせるとともに、我が国の歴史に対する愛情を深め国民としての自覚を育てることをねらいといたしております。このことが他民族の文化、生活などに関心を持たせ、国際協調の精神を養い、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする態度の育成にもつながっていくものと考えております。
 また、本県は、去る大戦の悲惨な体験から平和の意義、平和のあり方について一層の認識を深め、21世紀に生きる児童生徒の国際性を培い、平和をとうとぶ心をはぐくんでいく教育が重要であると考えております。
 次に、同じく教育問題につきまして、教科書の採択過程について公正・公開の原則で採択するよう県内の各市町村教育委員会に指導してほしいがどうかという質問に対してお答えをいたします。
 公立小中学校で使用される教科書の採択の権限は、当該学校を設置する市町村教育委員会にあります。市町村教育委員会におきましては採択地区協議会を設置し、当協議会において慎重な協議の上、使用する教科書について教科ごとに1種の教科書が選定をされます。それを受け、各市町村教育委員会は管下の小中学校で使用する教科書を採択することとなっております。
 県教育委員会としましては、すべての検定済み教科書を対象に適正かつ公正な採択業務が実施されるよう「沖縄県教科用図書選定審議会」を設置し、各市町村教育委員会に対して適切な指導・助言または援助を行っております。
 また、選定審議会委員の氏名及び採択基準等を公開するとともに、各採択地区においても地域の実情に応じて地区協議会委員の氏名及び採択理由等の公開ができるよう市町村教育委員会に通知をし、適正かつ公正な採択業務が行われますよう努めているところでございます。
 以上でございます。
○福祉保健部長(新垣幸子) 人権問題について、ハンセン病元患者の人権回復のための啓発活動、里帰り事業以外にどのような手だてを講じていくかとの御質問にお答えいたします。
 かつて行われた国の隔離政策により多くの患者・元患者の人権が侵害され、また一般社会に偏見や差別が存在することを遺憾に思います。
 沖縄県においては、1961年に当時の琉球政府がWHOの勧告を受け入れ、「ハンセン氏病予防法」を制定し療養所からの軽快者の退所や在宅治療制度を進めてまいりました。また、財団法人沖縄県ハンセン病予防協会を通して、退所者の厚生指導事業やハンセン病に対する正しい知識の普及・啓発に努めてきました。しかしながら、一般社会においてはなおハンセン病に対する偏見や差別が厳然と存在し、患者・元患者の方々におかれましては大変な御労苦があったものと考えております。
 県といたしましては、今後とも県民に対し、より一層ハンセン病に対する正しい知識の普及・啓発に努めるとともに、患者・元患者の御意見を聞きながら国と協力して福祉等の向上に親身になって対応していきたいと考えております。
 なお、私の方からお願いでございます。6月24日から6月30日まで、ハンセン病を正しく理解する週間になっております。来週の6月25日から29日まで県庁の県民ホールでハンセン病に対するパネル展を開催いたしますので、どうぞ議員の先生方もぜひごらんになっていただきたいと思います。
○商工労働部長(花城順孝) 県内企業保護と一国二制度は両立するのかという御質問にお答えいたします。
 いわゆる一国二制度的な制度としましては、特別自由貿易地域制度、沖縄型特定免税店制度などがあります。
 特定自由貿易地域制度の拡充・強化策として検討しております輸入規制の緩和については、域内での自由な経済活動を認めるため輸入貿易管理令の一部適用除外を求めていきたいと考えておりますが、当該措置は国内及び県内への持ち込みまで認めるものではないことから県内企業との競合はないものと考えております。
 選択課税制度につきましては、輸入加工型産業の振興を図るため対象品目の拡大を要望していきたいと考えておりますが、具体的品目については現在検討中であり、導入に当たっては県内企業の振興にもつながるようなものにしていきたいと考えております。
 沖縄型特定免税店制度による免税店は、海外ブランド品といった輸入品が主たる取扱商品となっていることから既存の県内商業店舗と取扱品目に違いがあり、県内企業への影響は小さいと考えております。また、同免税店制度は本県観光にショッピングの魅力という新たなインセンティブを付与するものであり、これまでにない新しい観光客層及び入域観光客数の増加が期待できることからプラスの波及効果をもたらすものと考えております。
 以上です。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 新総合交通体系を含む交通問題についての御質問のうち、調査報告書の位置づけと今後の対応についての御質問にお答えをいたします。
 鉄軌道導入可能性基礎調査は、「総合交通体系基本計画」の策定に向けまして公共交通インフラ整備のあり方を検討するための基礎資料を得ることを目的に鉄軌道を想定した場合の概略ルート、概算事業費、需要予測、事業採算性、事例の検討を通しまして概略的整備課題や期待される効果等について取りまとめたものであります。今後は総合交通体系基本計画整備調査委員会に調査結果を御報告いたしまして、新たな振興開発計画との整合を図りながら軌道系交通システムを含む新たな交通システムやネットワークのあり方等について検討をいたしまして、「総合交通体系基本計画」の策定に向け取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、同じく新総合交通体系における鉄軌道の優先度についての御質問にお答えをいたします。
 島嶼県である本県におきましては、県民生活を支え、時代の潮流に対応した陸上・海上・航空交通の体系的整備を図ることが極めて重要であります。このため那覇空港や那覇港及び離島の空港、港湾の整備、これらの交通拠点へのアクセス機能の強化を初め、本島における交通渋滞を解消し都市機能や生活環境の向上等を図る陸上交通の諸施策の展開が求められております。
 都市モノレールの延伸を含む軌道系交通システムの導入につきましては、軌道系交通システムの技術の動向、地域特性や需要特性に応じた柔軟なシステム運用など、多様な視点から新たな振興開発計画の中で引き続き調査・検討を進めることが重要であると考えております。
 以上でございます。
○糸数 慶子 答弁漏れがありますので休憩願います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前11時20分休憩
   午前11時23分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 糸数慶子君。
   〔糸数慶子君登壇〕
○糸数 慶子 それでは再質問をいたします。
 まず読谷補助飛行場の問題ですけれども、先ほどの答弁でこの飛行場の返還は平成17年の5月末日になるだろうということでしたけれども、それは間違いないでしょうか、御確認をいたします。
 その場合、これはだれがだれに返還するのか、この点も明らかにしていただきたいと思います。
 次に、知事の訪米問題についてなんですが、今回の訪米の目的は沖縄の米軍基地をめぐる5つの課題について県がこれまで日本政府に対して要請してきたことを米国政府等に伝え、理解と協力を求めることにあった、その目的は達せられ、訪米は成功だったと高く知事は評価されました。
 そこでお尋ねをいたします。
 この5つの課題の中に普天間飛行場の移設に当たっての条件整備、それから日米地位協定の見直しなどが含まれていますが、こうした諸課題についてどう理解が得られ、今後どのような協力が期待されるのか。今回の訪米が成功だったというのでしたら、その具体的な理由をぜひお聞かせください。
 次に、軍民共用空港の採算性の問題ですが、私が問題にするのは、下地島空港のように軍事利用に歯どめがかかっているはずの民間専用空港でさえ採算性が低下すれば、その軍事利用の歯どめを外そうという動きが出てくるわけです。ましてや軍民共用でスタートし、採算性が度外視できる国策空港も15年使用期限が実現されるなら、その時点で採算性が問題になるはずです。もし民間空港として採算性に見通しがなければ使用期限も無意味でありますし、撤去不可能であるだけに県民の財産どころか、負の遺産として将来県民に基地の固定化と財政の負担を押しつけることになりませんでしょうか。
 そこで改めてお尋ねいたします。
 同空港が地域経済発展の拠点になり得る民間機能としていかなる空港活用産業や臨空産業を想定しているのでしょうか。そうした産業立地の実現可能性について、その進捗状況についてお伺いいたします。
 それから子ども病院の問題なんですが、これまで再三取り上げてまいりました。当局や関係者の尽力で着々と結果があらわれてきていることを私は大変評価いたします。
 ただ私たちの希望としては、今なお独立性の強い併設型を望んでいるんですが、実現性の高い付設型も従来に比べ進歩であると評価いたしまして、さらなる前進を願って部長の将来展望を再度お聞きしたいと思います。
 それから交通問題についてなんですが、よき隣人政策のモデル事業として基地内道路一般車両通行問題については、国土交通省の交通渋滞調査によっても沖縄は1キロ当たり全国で3位、金額では1606億円と慢性的な交通渋滞により、利便性だけではなく経済性の面でも莫大な損失をこうむっています。
 この実態を直視するなら、答弁のように通行の必要性や一つ一つの問題について十分に検討した上で云々と悠長に構えている場合ではないと思いますが、早急に調査を開始すべきだと考えます。再度御見解をお伺いいたします。
 そして泡瀬干潟の埋め立ての問題なんですが、この問題は沖縄総合事務局の埋立必要理由書が公表されてその内容はまさに世のひんしゅくを買っております。なぜかといいますと、おわかりのとおり宿泊施設に何と観光客の問題でもそうですが、現在の県の調査によると、99年の観光客の平均滞在日数が3.74日というふうになっておりますけれども、宿泊日数にするとそれがかなりふえていくような、調査では5.27泊というふうになっておりますが、その数字の根拠はどういうところから来ているものなのか、それも明らかにしていただきたいと思います。
 そしてこの問題は、現在、国会議員あるいは日弁連、そして海外からの調査団も派遣されてきておりますし、また地元においても市民投票を求める市民団体とか、市職労の動きなどがあって問題は混沌としてきております。
 この事業の採算性については、推進する市議会議員の中からも、沖縄市は売れる部分の土地だけを引き取ればよいので、売れなければ沖縄市の負担は生じないという議論も飛び出している状況でございますが、この現状についても再度部長にお尋ねいたします。本当に採算性のとれる事業であるのか、そして8月着工は強行されるのでしょうか。
 答弁によっては知事の御見解もお伺いいたしますが、まず部長にお伺いをしたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 糸数議員の再質問にお答えをいたします。
 訪米は成功であったと言っているけれども、15年問題あるいは日米地位協定の問題、今後どのようにそれが結びつくのかという御質問のお答えでございます。
 先ほどもお答えしたんですが、この時期に訪米を行ったことは、去る18日に開かれた日米外相会談に沖縄の基地問題が重要な議題として取り上げられるなど、日米両政府首脳にその重要性を認識していただく契機になったと自負しており、今後の問題解決に当たって大きな力になると思っております。
 先般の外相に続きまして防衛庁長官、沖縄担当大臣、そして小泉総理と次から次に日米両政府首脳に今後つながっていきます。それにつながるということで大きな力になると思っております。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前11時32分休憩
   午前11時34分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 牧野副知事。
   〔副知事 牧野浩隆君登壇〕
○副知事(牧野浩隆) 普天間飛行場の移設先の軍民共用空港、採算性の問題についてお答えいたします。
 あそこの軍民共用というのは、採算性が先にあって移設するわけではありません。あくまでも普天間飛行場の移設先として持っていくわけですから、単独に米軍専用だけではなくて、それを機会に軍民共用にすることによって特別の振興策をするということで、私どもはそこに閣議決定をいただいているわけです。ですからあそこは市場ベースで軍民共用の振興策をということではなくて、もともと振興策の難しいところでございますので、閣議決定にありますように、閣議決定の内容には例えば新たな法制も含め行財政的な措置も講ずるというような閣議決定でありますので、そういう面では周辺地域の振興策、あるいは空港を活用した空港活用型の産業振興を配置することによって、政策的な支援によってそこが成り立つような形に持っていこうというのがその趣旨でございます。
○知事公室長(親川盛一) 糸数慶子議員の再質問にお答えをいたします。
 まず、読谷補助飛行場の「象のおり」の返還等との兼ね合いで、平成17年5月に返還されるということはそれは間違いないかということと、だれがだれに返還するのかと、こういう御質問だったかと思いますけれども、お答えをいたします。
 読谷補助飛行場の返還につきましては、SACO合意で楚辺通信所の移設が返還の条件となっておりますが、那覇防衛施設局によりますと、平成17年5月末日に楚辺通信所の移設工事及び物件撤去工事が完了する見通しであり、同飛行場の返還は平成17年5月末日になるものと思われると、こういうことでございます。そして、だれがだれにということは、これは当然基地の提供責任は国にありますから、国から地主へと、こういうことになろうかと思います。
 それから、一般車両の基地内通行について早期に調査をすべきだと思うがどうかと、こういう御質問だったかと思いますが、お答えをいたします。
 先ほどもお答えいたしましたとおり、昨年9月の第18回の三者連絡協議会において合意に達した消防車とか緊急車両、これについては現在キャンプ・キンザー、いわゆる牧港補給基地について浦添市と在沖米軍海兵隊基地司令官との間に現地協定が結ばれておりますけれども、あと残りの10市町村についてこれをきちっと現地協定を締結して、それをまず実施させるということをしながら、その後に先ほど申し上げましたいろいろな問題点、課題等を一つ一つ検討しやっていきたいということで、まずできるものから一つ一つ着実にこれを進めていきたいということでございます。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 糸数議員の再質問3点ばかりあったと思いますが、事業の採算性についてということで、先ほども私から答弁をしたんですが、この事業につきましては国が177ヘクタール埋め立てる予定になっておりまして、そのうち、将来これが完成したときに民間に処分する土地以外の公共施設として残る例えば護岸とかあるいは道路とか、そういったあれにつきましては無償で県が委託管理することになっております。
 そういった形で泡瀬新港地区の土砂を利用して有効活用して埋め立てするのと、あるいは将来完成した後に国でつくった施設等、そういったのを無償で県が引き取るのと、あるいは先ほども言ったんですが、市がこれからいろいろと整備していくインフラの整備等につきましても、国庫補助事業をできるだけ割り振りしたいということで、できた後の県や市が取得する用地単価が非常に安く安価にできるんじゃないかと、そういう形で考えております。そういった形からして、将来そういう採算性は十分とれるんではないかと考えております。
 それから、国が8月着工ということは予定どおり行うかということだったんですが、今国から聞いた限りでは藻場とかあるいはクビレミドロ、これはまだ完全に移植ができたというお話がないんですが、今実験途中で、それを続けながらまずは第1工区、特にそういった藻場とかクビレミドロに影響がないところから予定どおり8月、9月からは着工していきたいということで聞いております。
 それから、先ほどの5.27泊の推定ということなんですが、これは泡瀬地区のこのホテル用地のそういった推定等につきましては、これは平成18年度の616万人ということの推定から出てきている数字ではあるんですが、最近、沖縄県の振興開発審議会の専門委員会がまとめた資料によりますと、10年後、これは平成23年になるんですが、入域観光客数は最大700万人規模に達するという形の見方もあります。
 それから、最近、沖縄県コンベンションビューローが平成11年度に実施したアンケート調査によれば、今後の沖縄観光における希望滞在日数については4泊以上が約50%、5泊以上が約25%ということで、想定している5.27泊はさほどそういう数字とは離れてはいないんではないかと、そういう形で思っております。
○病院管理局長(新田宗一) 子ども病院に関する再質問にお答えいたします。
 小児医療につきましては、その疾患そのものの治療は県内で対応可能なものが多い状況にありますが、小児医療に求められるチーム医療の実施に課題があります。
 さらに、小児医療を受け持つマンパワーが不足しているという現状がございます。そういう中で母子総合医療センターを整備することによりまして包括的に小児医療が行える体制づくりが可能になるものと考えております。
 以上でございます。
○糸数 慶子 時間もありませんので、所感を申し上げながら1つだけ伺いたいと思いますが、読谷補助飛行場の転用計画については後で知事公室長に昭和62年に発行された計画書がございますので、それをぜひ読んでいただきまして、現在の答弁、それに関してはこの問題をぜひ戦後処理問題として解決をしていただきたいというふうに思います。
 それから最後なんですが、先ほど土木建築部長が答弁をしていらっしゃいましたけれども、本当に沖縄の観光入域客数、今想定されている数がやってくるかどうかということと、宿泊日数の件に関して今土木建築部長はそういうお答えをなされて、この5泊というのも根拠があるようなことをおっしゃっていらっしゃいましたけれども、観光リゾート局長に再度お尋ねしたいと思います。本当に5.27泊というのは沖縄の観光客の実数として裏づけができるものであるかどうか、お答えをお願いしたいと思います。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) ただいまの再質問でございますが、現状では今の観光客の平均の滞在日数は3.74日になっております。
 先ほど土木建築部長から答弁がございましたが、観光コンベンションビューローが平成11年度にアンケート調査をしたわけでございますが、これはあくまでも今後の希望滞在泊数ということになっておりまして、ただ私どもの方でも現在、平成14年度以降の観光振興基本計画の策定業務を今準備を進めておるわけでございますが、今後は入域観光客についても伸ばしていこうということがありますが、できれば今後滞在日数を伸ばしていくというような方向に持っていくべきじゃないかということで今検討しているところでございまして、具体的に数字がどうというのは今コメントできません。今いろいろ調整中でございます。
 以上です。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前11時47分休憩
   午後1時26分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 この際、申し上げます。
 知事公室長から発言を求められておりますので、これを許可します。
 知事公室長。
   〔知事公室長 親川盛一君登壇〕
○知事公室長(親川盛一) 午前中の糸数慶子議員の再質問で、読谷補助飛行場はだれからだれに返還されるのかというお尋ねについて、私は、国から地主へ返還されると答弁いたしましたが、説明が十分でなく誤解を招くおそれがありますので、補足して説明をさせていただきます。
 読谷補助飛行場の面積は190万7000平方メートルでございますが、そのうち167万2000平方メートルは国有地となっており、民有地は23万5000平方メートルであります。
 私が国から地主に返還されると申し上げましたのは一般論として申し上げたもので、民有地部分について申し上げたものであり、旧日本軍の買収財産として財務省が所管している国有財産がすぐに旧地主に返還されるということを申し上げたわけではありませんので、御理解願いたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 引き続き代表質問を行います。
 新垣米子君。
   〔新垣米子君登壇〕
○新垣 米子 共産党を代表して代表質問を行いますが、答弁書を用意されました執行部の皆さんには大変申しわけございませんが、時間の関係上、3の(5)と4と5の質問を取り下げたいと思います。
 それでは通告に従って質問いたします。
 1つ、ハンセン病患者・元患者の人権回復を求めてです。
 ハンセン病訴訟で国の行政隔離政策は憲法違反の人権侵害だと断罪した熊本地裁判決を受けて、政府は控訴断念を表明しました。90年に及ぶ人間の尊厳と人権回復を求め、命をかけた原告団や患者・元患者の闘いと世論の高まりが司法と行政を動かしました。
 国の隔離政策を受けて各都道府県において強力に遂行された「無らい県運動」が果たした役割は極めて重大です。この点について判決は、「ハンセン病患者が地域社会に脅威をもたらす危険な存在であり、ことごとく隔離しなければならないという新たな偏見を助長した。」、「今日までつづくハンセン病患者に対する差別・偏見の原点があるといっても過言ではない」と厳しく指摘しています。
 患者・元患者らが家族とふるさとを取り戻すための諸施策の実施は不可欠であり、県行政と県議会の果たさなければならない責任が残されています。原告団、患者・元患者の長年の闘いに心から敬意を表するとともに、共産党は戦後、ハンセン病療養所の実態を告発し、患者や元患者の生活と権利を守るために闘ってきた党として、原告団、患者・元患者の皆さんと力を合わせて全面解決のために力を尽くす決意を表明して質問します。
 (1)、熊本地裁の判決を受けて控訴断念を総理大臣に県として要請してほしいと去る5月23日に共産党は要請いたしましたが、どのように対処されましたか。
 原告団の中で一番多いのが沖縄の原告団です。これまでの「無らい県運動」を掲げ、強制隔離政策を実行してきた行政の責任が問われています。国会決議を受けて正式に謝罪表明をすべきではないでしょうか。
 人権回復に向けての支援策について。
 退所者及び社会復帰を希望する者に対しては、新たに年金の支給、住居の確保、日常生活の介護など社会生活を送る上で必要かつ十分な支援を行うこと。県民に対して、また学校教育の中でハンセン病に関する正しい知識の普及啓蒙に努め、ハンセン病に対する差別や偏見の解消について具体的な施策を講ずることなど、要望に全面的に誠意を持ってこたえることを求めます。
 2つ、小泉政権に対する評価についてです。
 「自民党ではダメ」、「自民党政治を変える」と叫んで総裁・首相になった小泉政権に対する国民の高支持率は、これまでの自民党の政治を変えてほしいという国民の思いのあらわれと言えます。小泉内閣が発足した直後、小泉内閣に何を期待するかという問いかけに、消費税を下げてほしい、社会保障を充実してほしい、失業対策と雇用の確保を望む声が圧倒的です。じきに小泉内閣が国民の願いにこたえることができない内閣であることが必ず国民の前に明らかになるでしょう。
 そこで伺います。
 小泉政権がやろうとしている「構造改革」の中身は消費税の引き上げ、医療保険の3割負担増、高齢者から保険料を新たに取る老人保険制度の創設、さらに不良債権の最終処理の断行です。民間シンクタンクはそれが実施されると20万社、30万社の中小企業がつぶれてしまい、100万人以上の新たな失業者が生まれるとの試算をしています。倒産と失業をふやし社会保障の負担をふやして増税したら、ますます景気が悪くなるのは明らかではないでしょうか。沖縄の中小企業は壊滅的な打撃を受けることは必至と言わなければなりません。県民の暮らしと県経済への影響は甚大と思いますが、所見を伺います。
 景気回復の決め手は、経済の6割を占める個人消費を暖めることです。家計の支出をふやすにはどういう施策が有効かとの昨年12月に実施した日銀調査で、1位が雇用や収入の不安の解消、2位が消費税の引き下げ、3位が年金などの将来像を明確にするとの答えが出されています。また、県内事業所や商店街を訪問しましたら、消費税を何とかしてほしい、これが共通した切実な声です。
 我が党は、景気回復のための決め手、この3つの提言を盛り込んだ緊急経済政策を提言いたしましたが、この国民や県民の景気回復の願いにこたえる政策への転換が重要だと考えますが、知事の所見と、また消費税が3%に引き下げられた場合の経済効果がどれくらいか、伺います。
 小泉人気を逆手にとって憲法9条の改悪、靖国神社参拝、集団的自衛権の行使などきな臭い発言が飛び出していますが、知事の所見を伺います。
 集団的自衛権の行使と引きかえでなければ沖縄の基地問題は解決しないとの山崎自民党幹事長の発言に知事の所見を伺います。
 3点目、基地問題についてです。
 知事が普天間基地を辺野古沖に移設することを表明してから1年半がたちました。知事と名護市長はなぜ「15年使用期限」、「使用協定の締結」を移設、受け入れ条件の前提条件としたのか、なぜ県民の総意として「地位協定の運用の改善」ではなく「見直し」なのか、なぜ「海兵隊の削減」なのか、この県民の願いの原点に立ち戻るべきです。
 日米安保を容認する知事であっても、県民の基地過重負担を軽減する立場から兵力削減と基地の固定化を避けるために15年期限は絶対譲ることのできない条件として表明してきました。しかしこの1年半の間、15年問題に対する日米両政府の姿勢は余りにも明らかではありませんか。
 知事訪米について5月18日の新報の社説は、「この問題で「知事公約」の限界もはっきりした。 県内移設の方針見直しなど県政の基地政策転換も検討すべき時が来ている。」と。また、「稲嶺県政が「普天間県内移設」の政府方針を受け入れたのは、県民からみて「よりベターな選択」というのが理由だが、必ずしもベターな選択にならない恐れが出てきた。」。最後に、「稲嶺県政は勇気を持って方針転換すべきだ。」と書いています。
 我が党は、県内移設を容認する立場ではありません。しかし、安保と基地を容認する県政や与党の立場からしても、最低の前提条件とした「15年問題」、「使用協定」が守られない以上、撤回するのが道理ではありませんか。SACO合意の実施は県民の願う基地縮小と負担軽減ではなく、より一層の基地機能強化と固定化であることが最近の沖縄の基地をめぐる動きを見てもいよいよもってはっきりしてきています。県内移設を前提としたSACO合意は既に破綻しています。きっぱりノーと言明することが県民の立場ではありませんか。
 そのことを強く要求し質問いたします。
 (1)、知事訪米について。
 知事が訪米する目的とした「15年問題」や「日米地位協定の見直し」、「海兵隊の削減」などのこの要請の結果はどうだったのか、その一つ一つについて報告を求めます。
 知事との懇談後にアーミテージ米国務副長官は、普天間基地の代替施設の15年使用期限問題について、「「米政府のこの問題での立場は明確だ」と述べ、米政府として使用期限は受け入れない考え」を改めて示しました。また、日本政府のワシントン駐米大使の柳井大使が訪米中の知事に会い、「必然的に国際情勢にかかわる。今すぐ米側に返事をくれとはいかない」、「米側から期限の確約を得ることは困難」であると日本政府の方針と認識を伝えています。知事の訪米は「15年問題はノー」、「15年問題を要求しない」との日米両政府のかたい姿勢を確認した訪米ではなかったですか。
 (2)つ目、第7回代替施設協議会についてです。
 ア、3工法8案が政府から提示され、次回の協議会までに沖縄側の意見の集約をしてもらいたいと、ボールは県と名護市に投げられたとされていますが、一体、前提条件を棚上げにされたままで地元の意見を集約して回答することができるのですか。
 名護市の議会や移設先の地元行政委員が調査した本土の軍民共用飛行場の実態は、米軍との協定ではない地元と日本政府だけの使用協定が果たして実効あるものになるのかとの疑問が誘致派からも出されています。普天間、嘉手納基地についての騒音防止協定を結んでも守られていないのが実態であり、ヘリ落下物事故などに見られるように、住宅密集地上空での訓練などやりたい放題ではありませんか。15年問題、使用協定問題は既に破綻しています。前提条件が明確に示されなければ、私は移設容認を撤回するものであることを市民の皆さんにお約束するとの岸本名護市長の表明に照らしてもノーと言うべきです。ノーを判断するタイムリミットはいつですか。
 提示された3工法8案は、どれ一つとってもジュゴンの生息に大きな影響を与えます。環境省は、種の保存法で国内希少種に指定し保護に乗り出す方針を固め、開発行為などを規制する生息地保護区の指定も検討する。環境省の独自の調査を踏まえ、本年度内の決定を目指すことが伝えられています。辺野古海域は、県が策定した「自然環境の保全に関する指針」の中で評価ランクⅠに位置づけられ、自然環境の厳正な保護を図る地域とされています。県の立場からもジュゴンの調査が終わるまで基本計画は策定するなということを政府に要求すべきではないですか。また、3工法8案では環境に対する負担が大き過ぎ、建設するなという意見の集約も可ではありませんか。
 次に、下地島空港問題について。
 県の自粛要請を無視して2度も強行着陸した米軍に対して、県は単なる自粛要請ではなく明確に中止を求めるべきではないですか。最初から給油目的のための緊急着陸は認められません。民間空港の軍事利用の既成事実をつくるもので、県は毅然とした態度で臨むべきです。
 下地島空港の軍事使用はさせないとの覚書や県議会決議は、復帰当時、これ以上の基地強化を許さないとの決意を示したもので、この決意を覆すことは許されません。「覚書」、「決議」の見直しを要求するとの動きがありますが、知事の決意と見解を求めます。
 ランド報告は、台湾に近い下地島を米軍基地として利用、空軍力を増強する。その見返りに沖縄の海兵隊を削減するというもので、伊江島補助飛行場や航空自衛隊那覇基地も米空軍として利用できるよう見直しも要求しています。離島を含めた沖縄全土の基地化、固定化であり、到底容認できる提言ではありません。下地島空港への自衛隊誘致は、まさにランド提言に道を開くもので極めて危険な結果を招くものと言わなければなりません。知事の所見を伺います。
 海兵隊のグアムへの訓練分散問題についてです。
 田中外相が18日のパウエル米国務長官との外相会談で訓練分散の提案をしたようですが、訓練を海外に分散しても部隊や兵隊は沖縄で常駐体制をとっている以上、米兵犯罪を初めとした基地問題の改善にならないのははっきりしています。新たな沖縄の海兵隊基地を足場にした海外への訓練区域の拡大強化であり、県民の海兵隊基地の縮小と削減の願いにつながらないどころか、より一層の基地の固定化ではありませんか。知事の所見を伺います。
 プエルトリコのビエケス島の米軍演習の中止と基地の撤退をブッシュ米大統領は発表しました。長年の島民の闘いの成果です。この教訓を学ぶ必要があります。県議会の全会一致の「海兵隊削減の要求」の決議を今こそ知事が先頭に立って県民ぐるみで日米両政府に当たる考えはありませんか。その方向が実現不可能な破綻した県内移設ではなく、着実に一つずつ基地を撤去させる確かな力、方向だと考えます。
 最後に教科書問題についてです。
 「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書は、2000万人のアジアの国民を犠牲にした日本の侵略戦争と植民地支配を美化するもので、中国や韓国などから厳しい批判と修正要求が出されています。また、20万県民の命が奪われた沖縄戦の実相をゆがめた内容が指摘をされ、県内からも大きな懸念が表明されています。憲法と教育基本法に照らしても「つくる会」の教科書を沖縄県として採択すべきではないと考えますがいかがですか、御答弁を願います。
 以上です。
○知事(稲嶺惠一) 新垣米子議員の御質問にお答えいたします。
 最初は小泉政権に対する評価について、小泉人気を逆手にとっての発言を知事はどう思うかについてお答えします。
 個別の問題については、コメントを差し控えたいと思います。
 小泉総理は、抜本的な改革を進めることを表明する一方、「改革を進めるに当たっては、様々な形で国民との対話を強化することを約束します。」と述べており、諸改革には国民の声が反映されるものと考えております。
 次に、同じく小泉政権に対する評価について、集団的自衛権の行使と引きかえでなければ沖縄の基地問題は解決しないとの山崎自民党幹事長の発言に対する見解を聞きたいとのお答えでございます。
 6月5日のマスコミ報道等によりますと、自民党の山崎幹事長が「沖縄の米軍基地の返還促進には集団的自衛権行使の容認が必要」である旨の発言を行ったとしておりますが、後日、同幹事長は、「直接関連すると述べたのではなく、日米の対等なパートナーシップがないと米側への要求が迫力に欠けると背景説明をした」と述べており、小泉首相や福田官房長官も、沖縄の基地問題と集団的自衛権の問題は全く別の問題であると否定したと聞いております。県としては、戦後56年の長期にわたって過重な基地負担をしてきた県民の求める基地問題の解決と集団的自衛権の問題はリンクすべきではないと考えます。
 次に、基地問題について、訪米で目的とした「15年問題」、「日米地位協定の見直し」、「海兵隊の削減」の結果はどうだったかということのお答えでございます。
 第2次世界大戦後、56年の長期にわたって過重な基地負担をしてきた県民は基地問題の解決を強く求めており、知事としてこのような県民の意向を米国政府等に伝え、理解と協力を求めることは大変重要であると考え、去る5月13日から26日までの2週間、アメリカ合衆国を訪問いたしました。
 訪米に際しての基本的な考え方は、沖縄の米軍基地をめぐる諸課題について県がこれまで日本政府に対し要請してきたことを米国連邦政府、連邦議会関係者、そして多くの米国民にお伝えし、理解と協力を求めるためでありました。
 御質問の15年の使用問題については、沖縄の現状を説明するとともに、普天間飛行場の代替施設に15年の使用期限を設けることなどを移設に当たっての条件として日本政府へ強く要請していることを説明し理解と協力を求めてきました。同行した岸本名護市長も、私の気持ちも知事と同じである、代替施設に15年の使用期限を設けるなど普天間飛行場の移設に伴う条件を日本政府に要請しているとの発言をしています。これらの説明により、地元の考え方が米国等に十分に伝わり理解されたものと考えております。
 地位協定の見直しについては、関連する諸問題に対処するため合同委員会のもとで引き続き努力すると回答しています。また、海兵隊の削減については、在沖米軍の兵力構成については国際情勢の変化等を勘案しながら日本政府と緊密に協議していくと回答しています。
 同じく基地問題について、知事の訪米は「15年問題はノー」、「15年問題を要求しない」との日米両政府のかたい姿勢を確認した訪米ではなかったかとの御質問にお答えします。
 先ほども申し上げましたが、今回の訪米は短期間の中で米国政府や連邦議会関係者等多くの方々と面談し沖縄の現状を説明するとともに、15年使用期限など普天間移設に伴う条件等を日本政府へ強く要請していることについて理解と協力を得ることができたものと考えております。
 なお、今回の訪米は、去る18日に開かれた日米外相会談において沖縄の基地問題が重要な議題として取り上げられるなど、日米両政府首脳にその重要性を認識していただく契機になったと考えております。
 普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題について、県は基地の提供責任は日本政府にあることから政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。同問題の解決についてはさまざまな考えがあると思いますが、県としては移設に当たって整備すべき条件の一つとして政府に求めているところであり、今後とも政府に対し一日も早い解決を強く求めていきたいと考えております。
 次に、同じく基地問題について、3工法8案が政府から提示され、次回の協議会までに沖縄側の意見を集約をしてもらいたいとされているが、前提条件を棚上げされたままで地元の意見を集約して回答することができるのかとの御質問にお答えします。
 第7回代替施設協議会で報告のあった3工法8案については、地元説明後、名護市長において地元住民の意見、要望を取りまとめ、次回協議会においてその報告を行うこととされております。また、名護市等地元の意見も踏まえた県としての考え方を聞いた上で代替施設の規模、工法、具体的建設場所等について総合的、具体的な検討をさらに進めていくこととされております。
 なお、同協議会においては、基本計画策定についての協議とあわせて、移設先及び周辺地域の振興策や名護市が求めている使用協定等の諸課題についても着実な進展が図られる必要があることを強く申し入れたところであります。県としては、国から提示された資料について県内部において検討を進めるとともに、地元の意向を踏まえながら総合的に検討していきたいと考えております。
 同じく基地問題について、15年問題、使用協定問題は既に破綻している、地元名護市長の受け入れ条件に照らしてノーと言うべきである、判断するタイムリミットはいつかということのお答えでございます。
 先ほども申し上げましたが、15年使用期限問題の解決についてはさまざまな考えがあると思いますが、県が移設に当たって整備すべき条件とし、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないものと考えており、その解決は可能な限り早いことが望ましいと考えております。
また、名護市が求めている使用協定等については、実務者連絡調整会議において話し合いが進められておりますが、同市の意向も踏まえ、基本計画策定の協議とあわせて着実な進展が図られるよう第7回代替施設協議会において国に申し入れたところであります。県としては、今後とも市の要望が実現されるよう取り組んでいきたいと考えております。
 次に、同じく基地問題について、ランド報告に対する知事の所見を聞きたいとのお答えでございます。
 ランド研究所の報告内容については、戦後56年余も過重な米軍基地を背負ってきた県民の基地負担の軽減を図る観点から、海兵隊を含む米軍の兵力削減及びトータル的な基地の整理縮小を求める県の基本方針とは相入れないものであると考えております。
 基地問題についての御質問の中で、田中外相が外相会談で訓練分散の提案をするとのことだが、沖縄の海兵隊基地を足場にして海外まで訓練区域を拡大強化することになり、より一層の基地の固定化ではないかという御質問と、ビエケス島の米軍演習の中止と基地の撤退は住民の闘いの成果であり、削減を日米両政府に申し入れる考えはないかと、2つの御質問に一括してお答えいたします。
 県としては、基地の存在及び運用等から派生する諸問題の現状にかんがみ県民の基地負担の軽減を図るためには、単に在沖米軍基地の面積を減らすということだけではなく、海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減についても基地の提供責任者である国において米国政府との間で協議する必要があると考え、去る3月6日及び16日に関係大臣に対しこのことについて要請したところであります。6月18日にワシントンで行われた日米外相会談での田中外務大臣の在沖海兵隊の訓練移転についての発言は、このような県の要請を踏まえたものであると理解しております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○福祉保健部長(新垣幸子) ハンセン病元患者の人権回復について、5月23日、総理大臣に控訴を断念するよう要請してほしいと県に要請したが、どのように対応したかとの御質問にお答えいたします。
 本県の原告は538人で全体の約3分の1を占めております。そのこともあり、県として控訴断念の要請を検討していたところ、日本共産党沖縄県議団からの要請もありました。県として、国が適切な措置をとられるよう時間的制約もあったことから、同日直ちに電話で国に要望いたしました。その後、国において控訴を正式に断念しております。
 同じくハンセン病元患者の人権回復について、原告が一番多いのが本県である、隔離政策を進めてきた行政の責任が問われている、国会の決議を受けて謝罪すべきではないかという御質問にお答えします。
 我が国のハンセン病対策は、長い間患者の隔離を主体としてきました。
 一方、沖縄県においては当時の琉球政府がWHOの勧告を受け入れ、1961年から療養所からの軽快者の退所や在宅治療制度を進めてきました。また、財団法人沖縄県ハンセン病予防協会を通して退所者の厚生指導事業やハンセン病に対する正しい知識の普及・啓発に努めてまいりました。このように本県は他府県と違った療養環境にありました。
 しかしながら、一般社会には偏見や差別が厳然として存続し続け、患者・元患者の方々には大変な御労苦があったものと考えております。そのことについて私たち県民の一人一人が深く反省し、ハンセン病に対する偏見や差別の解消に努める必要があると考えております。
 同じく退所者及び社会復帰を希望する者に対しては、新たに年金の支給、住居の確保、日常生活の介護など社会生活を送る上で必要かつ十分な支援を行うことという御質問についてお答えいたします。
 退所者及び社会復帰を希望する患者・元患者の方々の年金の支払い、住居の確保等については、「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」による賠償金の支払い等とあわせて国において検討されるものと考えられます。県としては今後、国の動向を見守るとともに、患者・元患者の意見を聞きながら、必要に応じ国への要望または県として支援すべきことについて検討していきたいと考えております。
 同じく一般市民に対して、また学校教育の中でハンセン病に関する正しい知識の普及・啓発に努め、ハンセン病に対する偏見や差別の解消に努めることについての具体的な施策を講ずることについてお答えいたします。
 ハンセン病に対する差別、偏見を解消するためには、ハンセン病に対する正しい知識の普及・啓発が重要であると考えております。これまでも「ハンセン病を正しく理解する週間」の実施を通して、市町村等の協力を得ながら広報・啓発を行っております。また、療養所へは地域の保育園児の慰問や小中学校及び高等学校の生徒が訪れ、交流を通した社会教育の場として活用されております。
 また、財団法人沖縄県ハンセン病予防協会においても、講演会の実施や「ふれあいゲートボール大会」を開催するなど、地域交流を通し啓発活動を行っているところであります。今後は患者・元患者の方々が地域の構成員として受け入れられ、真の交流が図られるよう県のみならず市町村においても努力していく必要があると考えております。
 以上です。
○企画開発部長(与儀朝栄) 小泉政権に対する評価について、構造改革の県経済への影響についてお答えいたします。
 長期にわたり停滞している我が国の経済社会において構造改革は重要な課題であると考えており、同時に中小企業対策や雇用創出施策の展開も大切であると考えております。構造改革による県経済への影響は、構造改革に係る制度・施策及び実施時期などが具体的に示されていないことなどから、現時点で本県への影響を見通すことは困難であり、国の動向を見守っていきたいと考えております。
 次、同じく小泉政権に対する評価について、景気回復には国民の願いにこたえる政策への転換が重要だと考えるが、知事の所見と、消費税が3%に引き下げられた場合の経済効果についてお答えいたします。
 県経済の需要構造を示す項目の中で民間消費支出は最も大きなウエートを占めており、景気回復には民間消費支出の回復が重要であると考えております。しかしながら、一方において長期にわたり停滞している経済の活性化が必要であり、このためには民営化、規制改革及び財政改革などの構造改革が重要な課題であると認識しております。
 なお、消費税が3%に引き下げられた場合の経済効果でありますが、その場合における支出状況など想定が難しい要因があり、経済効果を予測することは困難であります。
 以上でございます。
○知事公室長(親川盛一) 新垣米子議員の基地問題についての質問事項のうち、代替施設協議会で提示された3工法8案はどれ一つとってもジュゴンの生息に大きな影響を与える、ジュゴンの調査が終わるまで基本計画を策定するなということを政府に要求すべきではないか、また建設するなという意見の集約も可能ではないかという御質問にお答えをいたします。
 第7回代替施設協議会において各工法について防衛庁から説明があり、その中で自然環境に与える影響としてサンゴ及び藻場への影響についても具体的な数字で示しています。特に藻場等に深く関係する建設後の潮流変化による藻場への影響については、8案ともその変化は概して小さいものと予測しています。また、ジュゴンについても藻場の減少、工事中や供用時の騒音、夜間照明による影響や藻場へのアクセスに対する影響などが考えられるとしております。
代替施設の建設に当たっては、「環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。」との政府方針が示されており、本協議会でも環境大臣から、ジュゴンの保護とそのえさ場としての藻場の保全、サンゴ並びに生活環境の保全に十分留意する必要があることから、今後、基本計画の策定及び環境影響評価の実施に当たっては、これらの点を勘案する必要があるとの指摘がありました。
基本計画策定後に実施される環境影響評価調査においては、より詳細な調査に基づく適切な措置がなされるものと考えております。
 次に、同じく基地問題についての中の、県の自粛要請を無視して2度も強行着陸した米軍に対して、県は単なる自粛要請ではなく、明確に中止を求めるべきではないかという御質問にお答えをいたします。
 日米地位協定第5条は、合衆国の船舶及び航空機で合衆国のために運航されるものは、入港料または着陸料を課されないで日本国の港または飛行場に出入することができると規定しており、米軍は県管理空港も使用することができることになっております。
 県としては、県管理空港は民間航空機の運航を目的として設置された空港であり、民間航空機の円滑かつ安全な運航を確保する観点から、緊急やむを得ない場合を除いては米軍機の使用は自粛してもらうというのが県の一貫した考え方であり、今後とも引き続き緊急時以外の米軍機による県管理空港の使用をしないよう日米両政府に対し働きかけていきたいと考えております。
 さらに、この問題の根本的な解決のためには地位協定第5条の見直しが必要と考えており、今後とも引き続き日米両政府に対し地位協定の見直しを粘り強く働きかけていきたいと考えております。
 以上でございます。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 基地問題についての下地島空港の「軍事使用はさせない」との覚書や県議会決議の見直しを要求するとの動きがあるが、それについて伺いたいということについてお答えいたします。
 下地島空港の使用に関しては、建設当時の琉球政府と国との間で交わされた確認文書や県議会での附帯決議など過去の経緯があり、これらの確認文書や決議は尊重されるべきものと考えております。
しかしながら、下地島空港を取り巻く社会経済情勢は建設当時と現在では大きく変化していることも事実であり、それを踏まえて下地島空港の有効活用を図る必要があると考えております。
 御質問にある覚書については、今後、地元伊良部町はもとより、広く宮古郡民や県民のコンセンサスを見きわめながら慎重に取り扱いを検討していく必要があると考えております。
○教育長(津嘉山朝祥) 教科書問題につきまして、新垣米子議員の「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書は、沖縄県として採択すべきではないと考えるがどうかとの御質問にお答えをいたします。
 学校における教科の主たる教材としての教科書の記述は、客観的、学問的な研究の成果を踏まえ、公正、適正でかつ正確性が求められますとともに、それを使用する児童生徒の発達段階に応ずる配慮がなされる必要があります。
 また、採択に当たっては、採択地区の自然的環境、歴史的・文化的諸条件などを総合的に勘案し、慎重かつ適正に行われることが大切であります。そのため県教育委員会といたしましては、すべての検定済み教科書を対象に、適正かつ公正な採択業務が実施されますよう沖縄県教科用図書選定審議会を設置し、その意見を踏まえ、それぞれの地区にふさわしい教科書が選定され採択されるよう採択権者である市町村教育委員会に対し適切な指導・助言等を行っているところであります。
 以上でございます。
○新垣 米子 再質問を行いたいと思います。
 さっき知事は、使用協定についての話し合う場をぜひつくってほしいということの申し入れをしたとおっしゃいました。この間、代替協議会を7回やってもう既に工法案が出されているにもかかわらず何一つ具体的に地元や県の要求に対してこたえられていないと。それに対する県民の疑惑、不信といいますか、疑問といいますか、本当にこういう作業だけが進んでいくことに対する異常だという声が県民の声になっています。地元の説明でもますます矛盾を深めています。
 そうであれば、やはり今県知事がとるべきことは──これは名護市長もそうですが──正式に話し合いの場を保証されない限り次回の代替施設協議会には参加しないということを示すことが重要ではないか、そのことについて答弁をお願いします。
 もう一つですね、3工法8案は県から要求されて軍民共用を前提とするということで2600メートルの滑走路の案となっているわけですが、この軍民共用飛行場についての牧野副知事の午前中の答弁で、これは採算性が先にあって移設するものではないと。そしてこれは軍民共用ということでこの普天間を移設するということで特別な振興策を閣議決定をしてもらったんだと、だから市場ベースの話ではないということで答弁されました。
 それじゃお聞きしますけれども、県民の財産とリンクするという根拠と目的は既に破綻したということですね。基地とのリンク論をこれまで否定してきたわけですが、今の副知事の答弁は文字どおりリンク論だということを明確に答弁したということだと思います。
 改めてお答え願いたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 新垣議員の再質問にお答えいたします。
 使用協定、その他等についても全く進められてない中で工法だけがということでございますが、先ほどの御説明の中でもちょっと申し上げましたが、今、実務者連絡調整会議と使用協定等については既に話し合いが進められております。そして同市の意向も踏まえて基本計画策定の協議とあわせて着実な進展が今図られております。さらにそれが図られるよう今後努力したいと思います。
○副知事(牧野浩隆) お答えいたします。
 軍民共用の採算性の問題でございますけれども、私が申し上げましたのは、ふだんのマーケットベースでほうっておけば難しいということは重々承知していますので、終局的には採算性がとれるという意味で閣議決定をしていただき、その中にありますように行財政も含め新たな法制も含めもろもろの施策をすることによって採算性に持っていけるような形で我々はやっていくということでございます。
 せんだっての協議会におきましてもその案のたたき台が出ていますので、これから練っていくところでございます。最終的にはあくまでも採算性が持てるような施策を展開していくということでございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後2時13分休憩
   午後2時14分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 牧野副知事。
   〔副知事 牧野浩隆君登壇〕
○副知事(牧野浩隆) お答えいたします。
 北部には今2つの振興策がございます。いわゆる北部の12市町村を対象にした北部振興策と、それから普天間の移設先を対象にしたシュワブ地区の移設先の振興策がございますけれども、移設先の振興策はあのとおり別の閣議決定をしていただきましたように、あくまでも普天間の代替施設を持っていくわけでございますから一般のものとは違いますので、そこは移設先を持っていくための新たな御負担をかける、それから安全保障に対する大きな貢献があるというその趣旨からやっていくわけですから、移設先については明らかにリンクであります。
 それと北部の12市町村については、これはもう去年の会議からありましたように、あくまでもそうではなくて3度にわたる沖縄振興開発計画でやってきましたけれども、どちらかといいますと中南部に比べて北部地区の振興策がおくれているということでございますから、こういったことと関係なくあくまでも沖縄振興開発計画の中の圏域別の計画として北部の振興策をやっていこうということでございますから、これは沖縄振興開発計画の一環としてのものでございますから、基地とのリンクではありません。
○宮城 國男 代表質問に入る前に、県民の会を代表して一言お祝いのごあいさつを申し上げます。
 このたび比嘉茂政氏、嘉数昇明氏の御両氏におきましてはそれぞれ副知事、出納長に御就任をされまして心からお祝いを申し上げます。本当におめでとうございます。
 どうぞ副知事並びに出納長におきましては、牧野副知事を初め所管の部長の皆さん方ともども山積する諸問題につきましては、本当に県民のサイドに立った発想と行動で解決して県政の向上、ひいては県民の福祉の増進のために頑張っていただきたいと思います。
 それでは県民の会を代表しまして質問を行います。
 まず最初は、知事の訪米活動に関連してお伺いをいたします。
 稲嶺知事は、知事就任以来初めて訪米をいたしましてパウエル国務長官やアーミテージ国務副長官ら米政府要路及び連邦議会、民間シンクタンクなど関係者と会談を持ち、在沖米軍基地の実情と解決策を訴えられました。在沖米軍基地の整理縮小を初め海兵隊の兵力削減、普天間代替基地の15年使用期限問題等が主な要請事項だったと承知していますが、率直に言いましてどのような訪米成果が得られたとお考えですか。
 マスコミの報道等を見る限りでは、特に15年使用期限問題や海兵隊の兵力削減については何らの前進も見られなかったように受け取られますが、実際には米国側の対応はいかがなものでしたか。
 また、ついせんだって日米外相会談で訪米した田中外相は、沖縄の基地問題の解決を積極的に訴えていますが、田中外相に対する稲嶺知事の訪米報告では15年使用期限問題について報告は出てこなかったと外相が国会で答弁しています。
 普天間代替基地の15年使用期限は知事の公約の柱の一つであり、また今回の訪米活動の重要なテーマであったはずです。そのように考えますと、なぜ田中外相に対する訪米報告の中で15年問題にあえて言及されなかったのか、そのあたりの真相をぜひともお聞かせください。
 この15年使用期限問題は、沖縄側からすれば日米両政府に何が何でも解決してもらわなければならない重要課題です。もちろん普天間飛行場の代替施設建設は、移設先の地元名護市や県当局の求める移設条件をどのように満たすかが大前提であることは言をまたないところであります。しかし知事の訪米要請に対し、米側はあくまでも日本国内問題であるとの認識を崩さず、むしろ日本政府の対応にこそ関心を見出しているように受け取られます。
 そこで、15年使用期限という沖縄側の強い要望をより積極的に日本政府に酌み取ってもらい、また確実に解決を促す方法としてぜひとも閣議決定に持ち込めるような方策を知事のサイドから打ち出せないものかどうか。現在の膠着した状態を打開するために今まで以上に踏み込んだ強力な姿勢を日本政府に示す必要があるのではないかと思います。知事の基本姿勢と御見解をお伺いします。
 それから先ほどの田中外相訪米とも関連して、衆議院で県出身の代議士が在沖米海兵隊のグアム及びフィリピンでの分散訓練に言及しました。その際、田中外相は非常に積極的な姿勢を見せ、海兵隊の実質削減につながる海外での分散訓練に理解を示していました。在沖海兵隊の沖縄以外での訓練について知事はどのような見解をお持ちですか、お伺いをします。
 次に、普天間飛行場の代替施設の建設工法案に関してでありますが、政府の第7回代替施設協議会で3工法8案が提示されました。代替施設の規模は、滑走路の長さが2300メートルで工法は埋め立て、くい式桟橋、ポンツーンなど3案がそれぞれリーフの外側、上側、内側に配置された格好です。工法を初め具体的な建設場所の絞り込み等今後時間をかけて論議されると思いますが、最終的にまとまるまでには解決すべき問題は多いと考えます。
 先ほども指摘しましたが、移設先の15年使用期限問題の解決もまだ見通しが立たず、地元名護市が要求する基地の使用協定締結の行方、実効性のある北部振興策の確立、さらには騒音、生活、自然環境等にこれから先越えなければならないハードルが幾つもある中で3工法8案が出てきたわけです。
 そこで質問をいたします。
 これら3工法8案には県や地元名護市の要望、提案はきちっと反映されていますか。これらの案に対して県はどのような基本的な考えを持っていますか、お伺いをします。
 それから、移設を容認する立場の皆さんでも工法に関してはいろいろな意見や考え方に相違があり、必ずしも一筋縄ではいかない状況であります。そうした状況下で提示した案の中から1工法1案に集約可能でしょうか。それとも提示された案以外の選択肢がありますか、あわせてお答えください。
 3番目に、新しい沖縄振興計画及び沖縄振興新法について伺います。
 新計画や新法のベースになる「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」の中では、これまでの沖振計で基本目標とされた「本土との格差是正」が外され、沖縄振興のための理念や方向が転換されています。
 御案内のとおり、我が国の経済が低迷し、その動向や財政環境が厳しい中、経済の方向は規制緩和や自由化が一層進行し、大競争のもとで自己決定・自己責任を問われるシステムになっております。
沖縄県もその流れから自由ではありません。しかしこのことは本県が全く独自に、しかもフリーハンドで競争を勝ち抜くべきだということでもなければ、またそれは容易なことでもありません。よく沖縄は結果の平等を主張するが、機会の平等を主張すべきではないかと言われます。機会が十分になかったがゆえに結果としておくれとなっているのではないでしょうか。
 悲惨な戦争体験に加え、戦後56年なお狭隘な県土に米軍基地が集中的に存在し、生活基盤はもとより産業基盤の整備や確保のおくれとなり、産業振興の一つの隘路にもなっています。それゆえに沖振法に記述するように政府の責任が問われ、その施策が必要であります。
 地方分権の時代に入り、地域特性を生かした郷土づくり、地域振興が強調されていますが、本県の発展策も個性化を志向して他と異なる生き方が基本であろうかと思います。我が国は46プラス1の都道府県で構成されていると言われているがごとく、本県は日本の最南端に位置し唯一の亜熱帯・海洋性気候で平均気温23度、日本史をすべて共有し得なかった歴史的独自性、県民の海外移住や米国施政権下等による環太平洋諸国との国際的経済や人的交流、琉球文化と言われる個性的な文化体系等沖縄の特性を示すに足る環境と歴史的蓄積があります。
 このような本県の諸側面に思いをいたし、特例措置や一国二制度の組み合わせで施策を展開すれば本県の発展はもとより、本県がニューフロンティアとして我が国のためにも大きな役割を果たす地域になる可能性があります。
 県は、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」を県案として決定、政府へ提案する段階にありますが、それにかかわる制度・施策の要望は現行制度の継続や拡充に加え、新たな制度の創設も数多く、沖縄振興新法の核をなす一国二制度的なものだけに各省庁の事務レベルでの受け入れは厳しいと言われております。21世紀初頭の沖縄県の振興策をどう展開し、実現するかは新振計を制度面から支える新法の中身次第であります。
 時代の転換期は、時として摩擦を生み、苦痛を伴う。しかし、それは同時に発展のチャンスであることを願いつつ、次の質問を行います。
 (1)、「基本的な考え方」の中で、基本目標が第1次から3次沖振計までと相違していますが、その意味及び国や県民にどのような対応を求めるんですか。
 (2)、民間主導による自立型経済の構築に向け、観光・リゾート産業等を戦略的に振興するとうたっていますが、本県におけるそのための各種の指標からは課題山積であります。戦略産業を振興するための革新的対策はどうなっていますか。
 (3)、新振計の期間中、民間主導によりどのくらいの経済成長率で目標年度の経済規模はどうなっておりますか。また、その間の県土の基盤整備や投資はどれくらいになると想定していますか。産業構造や職業構造はどのように変化していますか。
 (4)、人、物、情報の交流拡大には航空、海上、陸上の各交通基盤とその体系の整備及び連携促進を図る必要があります。那覇港湾を浦添市へ展開する新世紀港湾ビジョン構想はどうなっていますか。また、現在、公共工事見直しの対象事業で勧告中止になっている那覇北道路を含む西海岸道路の整備促進はどうなりますか。
 (5)、新しい沖縄振興のためには沖縄振興新法に県の要望項目が盛り込まれることが必要不可欠ですが、政府のガードはかたいと言われております。政府の厚い壁を破り、要望実現に向け知事の御決意とその方策を伺います。
 最後に、駐留軍用地の返還とその跡利用の措置について伺います。
 御案内のとおり、いわゆる軍転特措法は平成7年に7年間の時限法として施行され、平成14年6月19日に期限を迎えますが、同法が議員立法であることから官僚サイドでは国会の問題であるとの意識が強く、延長を含めたその内容の見直しにはその姿勢が見られないと言われております。
 知事は、軍転特措法は延長されるものと理解していると答弁されております。その後、政権与党の沖縄振興委員長や国防部会長にもお会いし、その件でお話もされたようですが、その反応はいかがなものだったでしょうか。
 また、知事が理解されている延長というのは、県が以前にまとめた見直しも含めてのものであるのかどうか、伺います。
 次に、返還駐留軍用地跡地の利用措置については、大規模なものは沖縄振興新法に織り込まれる方向にありますが、そのほかの跡地については明確になっていません。いわゆる大規模以外の跡地は、区画整理事業や農地改良事業等の国庫補助事業として導入するにも採択基準に満たないところも出てくるでしょうし、結局放置され遊休化することになります。規模の大小にかかわらず使用された歴史的経緯、目的は同一であり、返還後も同様に取り扱われるべきものであります。
 中小の返還駐留軍用地跡地についても特例措置がなされるかどうか、伺います。
 以上で代表質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) 宮城國男議員の御質問にお答えいたします。
 最初は知事の訪米活動についてのうち、基地問題等の実情を訴え、どのような結果が得られたか、次の在沖海兵隊の訓練移転への回答及び関連して提起されている訓練の分散について聞きたいと、もう一つの訪米の経験を踏まえ我が国政府へどのような要請活動を展開するのかと、この3つの御質問を一括してお答えしたいと思います。
 第2次世界大戦後56年の長期にわたって過重な基地負担をしてきた県民は、基地問題の解決を強く求めており、知事としてこのような県民の意向を米国政府等に伝え、理解と協力を求めることは大変重要であると考え、去る5月13日から26日までの2週間、アメリカ合衆国を訪問いたしました。
 訪米に際しての基本的な考え方は、沖縄の米軍基地をめぐる諸課題について県がこれまで日本政府に対し要請してきたことを米国連邦政府、連邦議会関係者、そして多くの米国民にお伝えし、理解と協力を求めるためでありました。
今回の訪米では、連邦政府関係者ではパウエル国務長官、アーミテージ国務副長官、ウルフォウィッツ国防副長官など、また連邦議会関係者ではダニエル・イノウエ上院議員、アバクロンビー下院議員など、軍関係者ではウイリアムズ海兵隊副司令官、ブレア太平洋軍総司令官などにお会いしました。また、外交問題評議会を初め新アメリカ財団、ケイトー研究所、ブルッキングス研究所等5つのシンクタンクにおいて講演や円卓会議などを行い、本県が抱える米軍基地問題について意見交換を行いました。そのほか、フォーリー前駐日大使やキャンベルCSIS(国際戦略研究所)副所長などにも本県基地問題について理解と協力を求めました。
 今回の訪米で県がこれまでに日本政府に対し要請してきた事項について理解と協力を求めましたが、その内容は次の5点であります。
 1点目は、SACO合意事案の着実な実施及びさらなる米軍基地の計画的、段階的な整理縮小、2点目は、普天間飛行場の移設に当たっての条件整備、3点目は、海兵隊の演習、訓練の移転及び海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減、4点目は、日米地位協定の見直し、5点目は、基地の運用に伴う事件・事故の未然防止と安全管理の徹底並びに隊員の教育と綱紀粛正の徹底についてであります。
 これに対する米国政府の主な発言要旨は、以下のとおりであります。
 1点目に、普天間飛行場の移設を含めSACO最終報告の速やかな実施のために日米両政府間で緊密に協議していくこと、2点目に、在沖米軍はこれまでも沖縄の外での訓練を実施しており、県民の基地負担の軽減を図る観点から今後とも努力していくこと、また在沖米軍の兵力の構成については国際情勢の変化等を勘案しながら日本政府と緊密に協議していくこと、3点目に、地位協定に関連する諸問題に対処するため合同委員会のもとで引き続き努力すること、4点目に、米軍は常によき隣人として地域社会に貢献したいと考えており、事件・事故の発生を防止するため隊員の教育をさらに工夫するなど綱紀粛正の徹底を図ることなどであります。
 今回の訪米は、短期間の厳しい日程ではありましたが、多くの方々と面談し、本県の基地問題に関する理解と協力を求める機会を設けることができましたので、訪米は成功であったと考えております。
 また、この時期に訪米を行ったことは、去る18日に開かれた日米外相会談に沖縄の基地問題が重要な議題として取り上げられるなど、日米両政府首脳にその重要性を認識していただく契機になったと自負しており、今後の問題解決に当たって大きな力になると思っています。
 私は、先日、今回の訪米結果について関係大臣に報告いたしましたが、その際、日米安保体制に基づく米軍基地負担は日本国民がひとしく引き受けるべきものであり、長い間、過重な基地負担を背負わされている沖縄の現状及びその課題解決については、日本政府並びに全国民がもっとその重大性を認識し、積極的に対応していただく必要がある旨を強く申し上げたところです。
 次に、知事の訪米活動についてのうち、田中外相への訪米報告で知事との15年使用期限問答の真相はどうなっていますかにお答えします。
 去る6月7日の田中外相への訪米報告の際には、米国政府や連邦議会関係者等に沖縄の現状を説明するとともに、普天間飛行場の代替施設に15年の使用期限を設けることなどを移設に当たっての条件として日本政府へ強く要請してきたことを説明し、理解と協力を求めてきたことを話したところであります。
 また、日米安保体制に基づく米軍基地負担は日本国民がひとしく引き受けるべきものであり、長い間、過重な基地負担を背負わされている沖縄の現状及びその課題については、日本政府並びに全国民がもっとその重要性を認識し、積極的に対応していただきたいという旨を申し上げてまいりました。
 さらに、普天間飛行場の移設の問題では15年問題が重要であると考えており、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から、県民が許容できる範囲として代替施設の15年使用期限を設けたものであるということもお話してまいりました。
 次に、普天間飛行場の移設について、第7回代替施設協議会で代替施設の工法案3工法8案が提示されたが、県の提言は反映されているかについてお答えします。
 県は、第6回までの代替施設協議会において、代替施設の滑走路は中型ジェット機が就航できるものとして2000メートルを基本とすること、また民間機能のうち旅客ターミナル等専ら民間が利用する地域は約20万人以上の人が利用できる規模として約10ヘクタール程度必要であること、そして代替施設全体の規模については別途協議されている空港活用型の産業振興を考慮するとともに、運用上の安全性及び環境面に配慮した規模とすることを述べ、県としては、民間機能を活用し雇用機会の確保や産業の振興を図り、地域経済発展の拠点を形成していく必要があることを述べております。
 さらに、代替施設の規模、工法、具体的建設場所については、航空機の騒音やサンゴ及び藻場への影響等住民生活や自然環境への配慮のほか、代替施設の維持管理にかかる経費が将来的にも大きな負担とならないこと、普天間飛行場の早期返還を図る観点から建設工期は長くならないことなどを留意する事項として述べております。
 第7回の代替施設協議会で示された3工法8案について、県としては県内部において検討を進めるとともに、地元の意向を踏まえながら総合的に検討していきたいと考えております。
 次に、同じく普天間飛行場の移設について、代替施設の建設は、地元名護市や県の移設条件の実現が前提だと、特に15年使用期限設定の解決の道筋はどうなっているかについてお答えいたします。
 普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。また、さきの第7回代替施設協議会でも、本問題の早期解決に向け積極的に取り組まれるよう強く申し入れたところであります。15年使用期限問題の解決についてはさまざまな考えがあると思いますが、県としては移設に当たって整備すべき条件の一つとして政府に求めているところであり、今後とも政府に対し一日も早い解決を強く求めていきたいと考えております。
 次に、新たな沖縄振興及び振興新法について、新しい沖縄振興のための要望実現に向け知事の決意とその方策について伺いたいというお答えでございます。
 国に求めていく特別自由貿易地域制度、沖縄型特定免税店制度及び情報産業振興特別地域制度等の本県だけを対象とする大胆な制度は、税制の根幹にかかわる部分もあることから実現に向けては相当な困難が予想されます。しかしながら、これらの制度は自立型経済の構築に必要なものであり、その実現に向け、県選出の国会議員を初め県議会や各種団体等県民一体となって取り組んでいきたいと考えております。
 次に、駐留軍用地の返還とその跡地利用の措置についてのうち、軍転特措法は延長されるものと理解しているとの知事答弁は政府筋等から受けた感触なのか、殊にその根拠があれば示してほしいという御質問にお答えします。 
 国は、平成11年12月の閣議決定の中で、給付金の支給期間について大規模駐留軍用地跡地等の特例措置として新たな法制の整備により対応することとしております。その他の基地跡地については、従来の軍転特措法で対応することになると考えております。また、汚染物質及び不発弾などの調査及び除去については、軍転特措法施行令で「返還実施計画に定める事項」として明示することとしております。
 このようなことから、その根拠法である軍転特措法は延長されるものと理解しておりますが、今後、国の動向を見守りながらその対応を検討していきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 宮城國男議員の普天間飛行場の移設に関連した質問事項のうち、代替施設については移設を容認する立場でもいろいろ意見の相違があると言われる、提示した案の中から1工法1案に集約できるのか、それとも別の選択肢もあるのかという御質問にお答えをいたします。
 第7回代替施設協議会で報告のあった3工法8案につきましては、地元説明後、名護市長において地元住民の意見、要望を取りまとめ、次回協議会においてその報告を行うこととされております。また、名護市等地元の意見も踏まえた県としての考え方を聞いた上で、代替施設の規模、工法、具体的建設場所等について総合的、具体的な検討をさらに進めていくこととされております。
 県としては、国から提示された資料について県内部において検討を進めるとともに、地元の意向を踏まえながら総合的に検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 新たな沖縄振興及び振興新法について、基本的な考え方(案)の中で、基本目標が第1次から第3次沖振計までと相違していますが、その意味及び国や県民にどのような対応を求めるものですかについてお答えいたします。
 新たな沖縄振興策においては、変革へ挑戦する姿勢のもと、沖縄の特性の発揮と不利性の克服を図ることにより、自立に向けた持続的発展と世界に開かれた交流・協力拠点の形成を目指して「平和で安らぎと活力のある沖縄県」を実現することを基本目標としております。このことは、「格差是正」が本土各県より整備がおくれている分野について基盤整備等を積極的に推進して追いつこうとするキャッチアップの論理であることから、21世紀初頭の沖縄の可能性をみずから切り開き、自立に向けた経済の構築を図るため「格差是正」を主要目標とはせず、沖縄の特性を最大限発揮していく方向へと大きくかじ取りを変えていくことを意味しております。
 県としましては、国に対して産業活動を促進する新たな制度の創設など実効性のある沖縄振興新計画及び沖縄振興新法の実現を強く要望してまいります。県民に対しては、このような産業活動を支援する各種制度・施策を積極的に活用し、活力ある民間主導型経済の構築に向けた主体的な取り組みと変革の時代に果敢に取り組む実行力を求めたいと考えております。
 次に、新たな沖縄振興及び振興新法について、戦略産業を振興するための革新的対策はどうなっているかについてお答えいたします。
 「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」における本県だけを対象とする大胆な制度として所得控除制度や輸入規制の緩和及び選択課税制度を拡充する特別自由貿易地域制度、関税免除に加え、空港外への展開や消費税を免除する沖縄型特定免税店制度、新たに創設を目指している情報産業振興特別地域制度及び国際的な金融情報拠点形成に向けた特別措置、戦略産業の振興に向けた産業振興計画の国による策定等があります。
 また、このような制度のほか、戦略産業を振興するための施策として航空運賃や沖縄自動車道通行料金の軽減措置、通信コストの軽減措置及び観光関連施設の集積促進などがあります。
 次に、新たな沖縄振興及び振興新法について、ポスト3次振計目標年度の経済規模はどうなっていますかにお答えいたします。
 沖縄振興新計画(県案)における人口及び経済等の展望値については、昨年の8月以降、沖縄県振興開発審議会総合部会の経済社会展望専門委員会で検討を重ねており、12月には同総合部会に中間取りまとめとして報告したところであります。
 今後は、沖縄県振興開発審議会における調査・審議や沖縄振興新法の動向、沖縄振興新計画(県案)の施策・事業等を踏まえつつ、関係部局との調整を重ね、展望値の策定作業を進めていきます。同時に、沖縄振興新計画(県案)における位置づけや内容についても沖縄県振興開発審議会の意見等を踏まえ、検討していきたいと考えております。
 次に、新たな沖縄振興及び振興新法について、那覇港湾を浦添市へ展開する新世紀港湾ビジョン構想はどうなっているかについてお答えいたします。
 新世紀港湾ビジョン構想は、21世紀における新しい港湾政策の基本的方向を「暮らしを海と世界に結ぶみなと」として国土交通省が示したものであり、その方針を受けて内閣府沖縄総合事務局は沖縄における新世紀港湾ビジョンを策定しております。その中で那覇港の浦添埠頭地区については、国際競争力を有する港湾の形成及び高質な輸送サ-ビスの提供等を図るため、大水深岸壁を複数有する国際海上コンテナタ-ミナルの整備、東アジアと本土・欧米間等の輸送を中継する航路の開設及び臨港道路の整備等を進めることとしております。
 次に、駐留軍用地の返還とその跡地利用の措置について、大規模以外の駐留軍用地跡利用の措置は振興新法でどのようになるかについてお答えいたします。
 大規模跡地以外の駐留軍用地跡地については、円滑な跡地利用のため再開発整備事業に係る予算枠の確保、文化財調査、地権者支援、跡地利用計画策定等に対する支援策が必要であると考えております。現在、県においては大規模以外の跡地利用措置について新法への位置づけ、その他支援策についての検討を行っているところであり、今後それを踏まえて国へ要望していきたいと考えております。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 新たな沖縄振興及び振興新法関連で、現在、公共事業見直しの対象事業で勧告中止になっている那覇北道路を含む西海岸道路の整備促進はどうなりますかについてお答え申し上げます。
 沖縄西海岸道路は、読谷村親志を起点とし、糸満市真栄里を終点とする延長約50キロメートルの国直轄事業の地域高規格道路であります。そのうち15.8キロメートルが整備区間として指定されており、豊見城道路、糸満道路については用地取得及び建設工事を鋭意進めているところであります。また、残り約30キロメートルのうち7キロメートルについては整備区間指定に向けた調査を行っております。
 なお、那覇北道路の2.2キロメートルについては平成6年度に調査区間に指定されたところでありますが、那覇港の港湾計画の変更についての合意形成が図られず、事業採択後5年以上経過してもなお着工のめどが立たないことから、全国的な公共事業の見直しの中で中止路線の一つに位置づけられたものであります。
 県といたしましては、那覇北道路を含む西海岸道路が国道58号の渋滞解消、那覇港の港湾機能の向上、那覇空港へのアクセス向上等を図るためには重要な道路であることから、那覇港港湾計画の改訂に向けた作業の推移を見つつ、早期整備が図られるよう今後とも国へ要請してまいりたいと考えております。
○金城  勉 皆さん、こんにちは。
 しんがりでありますから、もうしばらくおつき合いをお願いいたします。
 比嘉茂政副知事、また嘉数昇明出納長には御就任まことにおめでとうございました。ぜひ沖縄県民福祉向上のために、また県勢発展のために稲嶺知事を支えながら頑張っていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。
 それでは質問に入ります。
 まず、新振興計画に関することについてでございます。
 (1)点目、文化・芸術振興についてお伺いをいたします。
 去る6月14日、公明党、保守党の共同提案による「芸術文化振興基本法」案が今国会に提出されました。人々の感性を磨き、創造性を開き、多様性を尊重する社会をつくるものこそ芸術・文化であります。
 昨今、忌まわしい事件・事故が頻発し、日本の社会も人間精神の衰退、モラルの欠如が憂慮されている中で人間性を取り戻し、人々の心に安らぎを与え、潤いをもたらすものとして芸術・文化の果たす役割をいま一度宣揚し、心豊かな社会形成に芸術・文化の持つ力を生かしていってはどうかという発想から提案されたものであります。
 核家族化が進み、個々人もばらばらになり、人間関係が非常に希薄になってきているように思えます。そういう中で先日、若い青年たちと語り合う機会がありました。非行に走っていた若い青年たちが郷土の文化・エイサーに取り組むようになって生活のあり方が変わり、真摯に人生を考えるようになったという話を直接伺いました。エイサーという具体的な郷土芸能に触れ合い、みずから取り組むようになって生活のあり方が変わったという話は示唆に富んでおります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 第2次大戦の終戦直後、沖縄の民はカンカラサンシンの音色に明るい希望を見出し、あすに向かって生きる勇気を得たといいます。我が沖縄県は独特の琉球文化を誇りとし、内外にその個性ある芸術・文化を発信しておりますが、一方では芸術・文化、伝統芸能などに携わる人たちの生活力が厳しく、芸と生活のはざまで葛藤していることもまた現実の姿であります。
 人間の豊かな精神性をはぐくむ芸術・文化を守り、創造し、継承・発展させていく取り組みがさらに強く求められていると思います。
 「芸割術文化振興基本法」案には、芸術・文化振興の基本計画、税制の優遇制度、後継者育成への支援制度、芸術・文化を通しての青少年の健全育成などが盛り込まれております。
 我が沖縄県は、全国の中でも独自の琉球文化を誇っております。「芸術文化立県」を目指して日本全体をリードする気概で新振興計画へ芸術・文化振興に関する計画を盛り込み取り組んでいくべきとの思いを込めて質問をいたします。
 ア、文化・芸術振興への県の考え方、取り組みについてお聞かせをいただきたいと思います。
 イ、伝統芸術・文化の継承・発展についてどのような取り組みをしていますか。
 ウ、文化・芸術団体への支援策としてどのような取り組みをしていますか。
 エ、新進若手芸術家の育成支援策として取り組んでいることがありますか。
 オ、医療・福祉分野で芸術・文化の持ついやしの力を活用するお考えはないでしょうか。
 カ、国際的交流・協力について沖縄の文化・芸術の生かし方をどのように考えているでしょうか。
 キ、文化の国フランスでは国家予算の1%を文化予算として組んでいるそうです。日本は0.1%、フランスの10分の1であります。沖縄県の文化予算の総予算に占める割合は幾らでしょうか。
 クは割愛します。
 ケ、沖縄の芸術家、芸能実演家の皆さんは一般的に収入が乏しく、それだけでは生活が成り立たないという状況にあるようです。これは将来的なこととして考えていいのですが、芸術・文化を育てるという視点から、何らかの社会的仕組みをつくって芸術家、文化人等をサポートしていく仕組みを検討していってはどうでしょうか、お考えをお聞かせください。
 次、(2)点目でございます。国連アジア本部沖縄誘致についてお伺いいたします。
 先日、我が会派の前島議員の質問に対し、稲嶺知事は、国連アジア本部の沖縄誘致について、課題は多いけれども情熱を傾けて取り組んでいきたい旨の答弁をなさいました。その発言は大変心強い限りであります。
 30年前の1971年12月15日の参議院本会議における代表質問で、稲嶺知事のお父上であります稲嶺一郎参議院議員が、国連機関を沖縄に誘致すべきであると訴えたのは先見の明を実感させるものであります。
 また、去る20日の琉球新報の夕刊には、参議院国際問題調査会の提言として「沖縄に国連機関の誘致を」との記事が掲載されております。県民の熱意でもってぜひ実現させたいものであります。本年度予算に国連アジア本部沖縄誘致の可能性調査費が計上されております。
 そこで質問いたします。
 ア、調査の方法、時期、調査内容等について御説明をお願いいたします。
 イ、国連アジア本部沖縄誘致を新振興計画に明記して取り組むべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 (3)は割愛いたします。
 (4)、特別自由貿易地域の制度が実効ある制度として稼働するためには次のことが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
 ア、運営主体にぜひ国を参加させるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
 イ、サブゾーン制度の導入をすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
 ウ、カボタージュ制度の緩和はいかがでしょうか。
 次(5)点目、観光産業についてお伺いをいたします。
 ア、特定免税店の空港外への展開は、ショッピングの楽しみ、顧客の誘致に大きな効果があると言われておりますが、一方では、観光客の一点集中による地元お土産品店への影響が懸念されております。しかも昨今のマスコミ報道によりますと、外資系の会社が沖縄特定免税店になるとの報道がなされております。メリット、デメリットの影響が非常に懸念される中で両方が共生できるよう仕組みができるでしょうか、御説明をお願いいたします。
 イ、以前、前島議員から提案のあった沖縄親善大使、いわゆる仮称「うるま大使」についてどのように検討されたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 (6)、情報通信産業の集積により国際情報特区形成を目指す中で、ア、本県として「沖縄IT宣言」を出して取り組むべきだと思うのですが、もしそのような方針があれば基本的な考え方、内容、方向、時期などについて御説明をお願いいたします。
 イ、また、情報通信産業振興特別地域制度の創設の中で一定の地域を情報特区として指定するとの記述があるのですが、地域の選び方、考え方について御説明をお願いいたします。
 次に、基地問題でございます。
 (1)、爆音被害公平補償問題について、平成12年度に防衛庁により厚木飛行場周辺において爆音被害の実態調査が行われているはずであります。県は調査結果を入手しているでしょうか。まだであればいつごろまとまるか、見通しをお聞かせをいただきたいと思います。
 (2)、旧日本軍飛行場用地問題について、国は土地収用の経緯について、私法上の売買契約によって地主から買収したと主張しておりますが、当時の時代状況を考えれば国に対し拒否できる状況でなかったことは明白であります。また、日本本土では終戦後速やかに地主に払い下げられたことが、沖縄においては27年間もの長期にわたって米軍施政権下に置かれたこともあって問題解決を困難にせしめているのであります。
 戦後50年以上も経過した今日、戦後処理の課題としての位置づけさえされていない状況であります。その点について県の姿勢は非常に弱いのではないかという印象を受けております。
 県は、県民の意を酌んで国と交渉し、地主の思いを本土並みに対応すべき、また要求すべきではないでしょうか、御答弁をお願いいたします。
 次(3)点目、米兵事件の被害者補償問題についてでございますが、平成12年12月2日の事件は、米人少年3名により車両盗難、器物損壊の事件・事故がありました。店舗を壊された人は、裁判において損害補償の判決が確定したとの報道がなされておりますが、盗難車の持ち主は損害補償がまだなされておりません。主犯格の少年や両親からも何の連絡もないそうであります。この事件においても地位協定の見直しが必要でありますが、当面、県として何らかの支援をする考えはないか、お聞きをいたします。
 次、具志川市のキャンプ・コートニーでの35年間にわたる実弾クレー射撃による鉛汚染のことについて、その後の経過の御説明をお願いいたします。
 そして次に、本土復帰の時点で返還合意がなされた嘉手納ラプコンの返還スケジュールはどうなっているか、御説明をお願いいたします。
 環境問題について(1)は割愛します。
 (2)、県営団地内の駐車場に最近放置車両が目立ってきております。県営団地内での今後の放置車両の対策について御説明をお願いいたします。
 (3)、割愛します。
 4、ハンセン病問題について。
 去る5月23日の夕方、小泉総理大臣が政府として、ハンセン病訴訟、控訴せずとの決定を発表いたしました。長年、病に苦しみ、人間としての存在を侵害されてきた人々にとって、人間解放とも言える画期的な判断でありました。小泉総理大臣の英断に敬意を表するとともに、坂口厚生労働大臣の奮闘にも拍手を送りたいと思います。さらに、当事者の皆さんの願望をほぼ完璧に取り入れて法律ができ、今国会で成立いたしました。人権がいかにとうといものであるかをいま一度かみしめたいと思います。
 質問については重複しますから割愛をいたします。
 次、沖縄市関連でお尋ねをいたします。
 (1)、沖縄市住吉地域の水辺プラザ計画と330号暗渠の改修工事は豪雨のときの浸水被害の問題があり、事業実施が待望されております。今後の工事スケジュールについて御説明をお願いします。
 (2)点目、県道20号線拡幅工事の今後の工事スケジュールについての御説明をお願いいたします。
 (3)点目、国道329号沖縄バイパスについての工事スケジュールの説明もお願いいたします。
 (4)点目、暴走族対策についてお伺いいたします。
 沖縄市の山里から胡屋十字路までの330号において、毎週週末に暴走族が地域住民に対し大変な迷惑をかけております。暴走族がはびこる大きな原因として「期待族」と言われる沿道に詰めかける観客が問題であります。そのため沖縄市が独自に条例を制定し、期待族を取り締まれるよう罰則規定を盛り込んだ条例の準備に入っているようですが、県内の暴走族の実態はどうか、また暴走族の根絶条例の必要性について県警のお考えをお聞かせください。
 次、薬物乱用防止について。
 (1)、5月22日のマスコミは、女子中学生の覚せい剤事件を報道しております。恐ろしい薬物汚染がどれほど青少年に広がっているのか。昨年の2月、9月にも女子中学生の覚せい剤事件がありました。今後、薬物汚染の広がりを何としても阻止しなければなりません。事件の背景と今後の対策について県警の御答弁を求めます。
 また、最近の覚せい剤事件の検挙状況、推移についても御説明をお願いします。
 最後に、無認可保育園の支援策についてであります。
 県内の無認可保育園で保育する乳幼児の数が公立・認可園の数を上回り、保育環境の整備や法制度の改革が強く求められております。今年度予算に就学前児童実態調査が予定されておりますが、(1)、調査の方法、内容、時期などについて御説明ください。
 (2)、昨年3月に認可保育所設置に関する規制緩和が行われました。これは待機児童の解消を目的に認可保育所を設置しやすくするための措置であります。自己所有を原則としていた土地、建物について賃貸方式を導入したり、定員規模を30名以上から20名以上へと引き下げたりという規制の緩和措置であります。それによって新たに設置された認可保育所が全国で50件あるそうです。沖縄では何件あるでしょうか。
 (3)、先月、東京都では独自の「認証保育所制度」の要綱をまとめ、待機児童解消のための対応をスタートさせております。沖縄県も独自の認証制度を設けたらどうでしょうか。
 以上、よろしくお願いします。
○知事(稲嶺惠一) 金城勉議員の御質問にお答えします。
 最初は新振興計画について、文化・芸術振興への考え方、取り組みについての御質問についてのお答えでございます。
 本県は、古くから中国、東南アジア諸国等との交易・交流を通して多くの文化を吸収し調和させ、独自の文化をつくり出してきました。そしてさまざまな歴史を経験する中で幾多の困難を克服し、さらに個性豊かな文化を創造してきました。こうした独自性のある沖縄の歴史・文化を基礎に県民の多様な文化活動を促進し、世界に誇れる文化の薫りにあふれた沖縄の実現を目指すことは極めて重要であると考えております。
 これまで県では、平成5年度に「沖縄県文化振興指針」を策定し文化行政の推進を図ってきたところであります。平成14年度に策定される新たな振興計画を契機として、21世紀初頭における本県の芸術・文化の指針となる沖縄県文化振興計画を作成し、本県の芸術・文化の振興に取り組んでいきたいと考えております。
 同計画の作成に当たっては、伝統文化の継承・発展、文化活動の促進、文化交流の推進、文化振興のための人づくり、県立博物館及び県立美術館等の文化施設の整備充実等、具体的な諸施策を盛り込むことにしております。
 次に、新振興計画について、「沖縄IT宣言」の内容、方向、時期についてお答えいたします。
 県では、沖縄県マルチメディアアイランド構想や、昨年の九州・沖縄サミットにおいて「沖縄IT憲章」が採択されたことの意義並びに本年3月に開催された沖縄ITシンポジウムにおける人材の開発・集積に関する総括等を踏まえ、地域の高度情報化及び情報通信産業の振興に向けて各種施策を強力に推進しているところであります。
御質問の「沖縄IT宣言」につきましては、このような県の姿勢をわかりやすく内外に発信するとともに、各分野においてITを積極的に活用して平和で安らぎと活力のある沖縄県づくりを推進していくことを内容とし、九州・沖縄サミット1周年に当たる本年7月末を目途に行うこととしております。
 次に、嘉手納ラプコンの返還スケジュールについてお答えしたいと思います。
 嘉手納ラプコンの返還については、平成12年3月16日のコーエン国防長官が、米軍の運用上の所要が満たされることを前提に日本側への返還に同意する旨の発言以来、日米間で返還の早期実施に向けて協議が行われてきました。
 具体的には、平成12年9月21日に日本側から航空管制官2名を嘉手納ラプコンへ派遣することが日米合同委員会へ報告され、これに基づき同年10月16日から11月15日までの間、国土交通省(旧運輸省)の航空管制官が嘉手納ラプコンで研修を行っております。その後、本年4月に米側から米軍の運用上の所要が日本政府に提示され、現在その内容について国土交通省が検討を行っているところであり、今後日米両政府間でさらに協議が行われると聞いております。
 このように、嘉手納ラプコンの返還に向けた作業は着実に進展しているものと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化環境部長(永山政邦) 新振興計画について、伝統芸術・文化の継承・発展について、文化・芸術団体への支援策について、新進若手芸術家の育成についてどのように取り組んでいるか、3つの御質問について一括してお答えいたします。
 本県には、独自の文化として発展してきた豊かな芸術・文化があります。これらの芸術・文化を継承・発展させるためには、文化・芸術団体と協力しながら県民の芸術・文化活動を促進し、若手芸術家が育つような文化環境を整備していくことが必要であると考えております。
 そのため、県では、伝統芸能の継承・発展、団体への支援、若手育成を図る事業として「琉球舞踊かりゆし芸能公演」を年間50回、「沖縄芝居県民劇場公演」を年間14回、県立郷土劇場において開催しております。また、広く県民の芸術・文化活動を奨励するため美術等の展示部門と伝統芸能等の舞台部門を網羅した「沖縄県芸術祭」を毎年開催しております。
 新振興計画を契機として作成する「沖縄県文化振興計画」において、さらに拡充した具体的な施策を盛り込むこととしております。
 同じく新振興計画について、医療・福祉分野での文化・芸術の持ついやし効果の活用についての御質問にお答えいたします。
 人々が芸術・文化に触れ、なれ親しむことは、それぞれに感動や希望、安らぎを与え、心をいやすなどの効果があるとされております。そのようなことから、医療や福祉分野においてもそのもたらす効果が注目をされてきており、その活用のニーズが高まってきていると言われておりますところから、また広く県民に文化・芸術の活用の場を広げていく立場から、そのニーズにこたえていくような諸施策を支援していきたいと考えております。
 次に、同じく新振興計画について、国際的交流・協力への沖縄の芸術・文化の生かし方についてお答えいたします。
 個性豊かな本県の芸術・文化は、国内外で高い評価を受けております。現在県においては、国外との交流事業として韓国済州道との文化交流事業や海外移住記念事業等を実施しており、琉球舞踊や地域民俗芸能公演及び現地団体との交流を通して相互理解の促進を図っております。今後とも引き続き海外との芸術・文化交流を推進してまいります。
 次に、県の文化予算が県予算総額に占める割合は幾らかとの質問にお答えいたします。
 平成13年度に文化環境部と県教育委員会で計上している文化関係予算総額は55億3761万4000円であり、これは県予算総額に占める割合は0.86%であります。
 次に、一般的に収入の乏しい芸術家、芸能実演家をサポートする何らかの社会的仕組みを検討してみたらどうかとの御質問にお答えします。
 芸術家、芸能実演家等の方々が経済的にも安定して芸術・文化活動に専念できることは大切なことであると考えております。芸術活動に専念できる生活基盤を支援するにはどのような方策が考えられるのか、議員の御提言も念頭に置きまして将来に向けて研究課題としていきたいと考えております。
 以上であります。
○企画開発部長(与儀朝栄) 新振興計画について、国連アジア本部の誘致に係る調査についてその方法、時期、内容はどのようなものかについてお答えいたします。
 国連機関の誘致に当たっては、その立地効果が期待される一方で、経費の負担等のもろもろの課題も考えられることから、立地地域の実情把握を県レベルの視点から行うこととしております。具体的には、職員をスイスのジュネーブに派遣して当地の交通アクセスの状況や立地環境、地元の支援状況等についての資料収集を行い、課題等を整理したいと考えています。
 なお、派遣の時期については年内をめどに考えております。
 次に、新振興計画について、国連アジア本部(仮称)の誘致について新振興計画に明記すべきではないかについてお答えいたします。
 「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方(案)」においては、「我が国及びアジア・太平洋地域の発展に寄与する地域の形成」を基本方向の一つとしております。その中で、本県の歴史的・地理的特性を踏まえ、アジア・太平洋地域を中心とした国際社会における平和交流の拠点としての役割を担うため国連機関等の誘致も検討することとしており、国連アジア本部についても総合的に検討していきたいと考えております。
 新振興計画について、情報通信産業振興特別地域の地域指定の考え方についてお答えいたします。
 情報通信産業振興特別地域制度につきましては、特定の地域を指定し、データセンター等情報通信産業集積の中核となる事業を対象とする所得控除など、特別自由貿易地域制度に準じた制度の創設を政府に対して要望していきたいと考えております。地域指定につきましては、データセンター等の集積条件を勘案し、どのような地域を指定するのが適切であるか検討してまいりたいと考えております。
○商工労働部長(花城順孝) 特別自由貿易地域の管理運営主体に国は参加するのかという御質問でございます。
 特別自由貿易地域を効果的に運用するためには、企業ニーズに対応した施設整備や本地域の一体的な管理運営、さらにはワンストップサービスなど立地企業に対する柔軟かつ機動的な支援機能を有する管理運営法人が必要であると考えております。県としては、こうした観点から県主体の第三セクターとしての設置を検討しておりますが、その中で当該法人に対する国の出資等を求めていきたいと考えております。
 なお、当該法人の設置に当たっては、経営基盤の安定という観点から財政及び税制上の支援策が不可欠であり、国による出資及び融資に加え、税制上の優遇措置を沖縄振興新法において求めていきたいと考えております。
 次に、サブゾーン制度の導入とカボタージュ制度の緩和について一括してお答えをいたします。
 サブゾーン制度につきましては、特別自由貿易地域への移転が困難な既存企業等について本地域と同様の優遇措置を適用し、貿易の振興と雇用機会の創出を図ることを目的として制度創設を検討しました。
 また、カボタージュ規制の緩和につきましては、本土への割高な物流コストを軽減する観点から、本地域と本土間を輸送する貨物について要望することを検討しました。しかしながら、サブゾーンの設置につきましては企業立地促進のために指定された特別自由貿易地域の活性化が先決であり、企業集積が進まない現状では制度の趣旨にそぐわないこと、またカボタージュ規制の緩和につきましては、海運業界等の十分なコンセンサスが得られていないことから今回の要望を見送ることとしたものであります。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 新振興計画についての中の、特定免税店制度の空港外への展開のメリット、デメリットはについてお答えします。
 現在、沖縄型特定免税店は空港旅客ターミナル施設内に限定されており、売り場面積が制限されていること、出発前の限られた時間内ではゆっくりとショッピングを楽しみにくいことなどから、沖縄におけるショッピングの魅力を十分に発揮できていない状況となっております。今回、沖縄型特定免税店の空港外展開を図ることにより、海外ブランド品を主とした豊富な商品をそろえた店舗の設置が可能となり、観光客も時間に制約されずショッピング観光を楽しむことができます。これにより沖縄におけるショッピングの魅力をさらに高め、入域観光客数及び観光収入が増加すると考えております。
 なお、沖縄型特定免税店は、海外ブランド品といった輸入品が主たる取扱商品となっており、既存の県内商業店舗と取扱品目に違いがありますことから、その影響は少ないと考えております。
 以上です。
○知事公室長(親川盛一) 金城勉議員の新振興計画についての中の、沖縄大使(うるま大使)の創設についての質問にお答えをいたします。
 沖縄大使の創設につきましては、平成12年9月定例県議会において前島明男議員から御提言をいただいたところであります。
 このようなふるさと大使を設けている都道府県は全国で27県あり、その設置目的は、県のイメージアップのためが17県、観光PR活動のためが4県、特産品PR活動のためが2県、その他4県となっているようでございます。各県とも基本的には無報酬で、さまざまな機会に大使のできる範囲でPR活動を行ってもらうという内容のようでございます。沖縄大使の創設につきましては、現在、その仕組み等基本的な内容案についての検討作業を進めているところでございます。
 次に、基地問題についてお答えをいたします。
 まず、爆音被害公平補償問題に関して厚木飛行場周辺での調査結果はどうなっているのか、県として今後どう取り組んでいくのかという御質問にお答えいたします。
 いわゆる爆音被害公平補償問題を含めて今後の米軍機騒音問題に対応する施策立案に資するため、国が厚木飛行場周辺において行っている地域住民へのアンケート調査は、約50%(約5000人)の高い回答率を得ているとのことであります。これらの回答につきましては、現在、防衛施設庁において整理・分析等の作業を行っているところであり、作業完了後、公表されるとのことでありますので、県としては同調査結果も踏まえ今後適切に対応していきたいと考えております。
 次に、旧日本軍飛行場用地問題について、県としてもっと踏み込めないかという御質問にお答えいたします。
 戦後56年の長期間にわたって旧日本軍に接収された土地の所有権回復を求めてこられた旧地主の方々の心情と御苦労については、県としても十分に理解しております。また、全県的な団体として沖縄県旧軍飛行場用地問題解決促進協議会が結成され、県選出の国会議員全員が同問題の解決に尽力されていることについて県としても重く受けとめております。
 県としては、旧日本軍接収用地問題について、旧地主が指摘している戦後処理問題として取り扱われたとされる本土における返還事例について沖縄総合事務局を通して事実関係の確認をしたところ、昭和20年ごろのことであり、実施事例として情報提供できる事例が確認できない旨の回答を得たところであり、今後、県としてどのような対応ができるか、「戦後処理問題」として位置づけられるかどうかも含めて検討しているところでございます。
 次に、米兵事件の被害者補償問題について、被害補償制度、被害補償状況、特に昨年12月2日に発生した窃盗事件、北谷町で発生した放火事件の状況についての質問にお答えをいたします。
 米軍人等による事件・事故に係る補償については、日米地位協定の規定及び運用において公務上の事故の補償は日米両政府が、公務外の事故については加害者の米軍人等が無資力の場合に米政府または日本政府が負担することになっております。
 昨年12月に発生した事件は、米軍人の家族である少年3人が引き起こしたもので、先日、加害者の一人と被害者との間で示談が成立し補償が行われましたが、他の2人については現在交渉中であると承知しております。また、北谷町で発生した放火事件は加害者に支払い能力がないと判断され、米政府による支払いを行うため現在手続が行われているところであると承知しております。
 県としては、合衆国軍隊の構成員または軍属あるいはそれらの家族により被害を受けた者の十分な補償が図られるよう、昨年8月、日米地位協定の見直しを日米両政府に対し要請したところであり、今後とも粘り強く地位協定の見直しを働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、具志川市クレー射撃場の鉛汚染の実態解明についての御質問にお答えいたします。
去る6月8日に新聞報道のあったキャンプ・コートニー内クレー射撃場の鉛汚染問題について関係機関に内容を照会したところ、米軍から、クレー射撃場下の岩礁や浜辺に廃棄された鉛弾が海岸を汚染していないかどうか調べるため、1998年に海兵隊環境課がビーチ周辺の環境調査を行ったとのことであります。調査結果では、コートニーの砂浜の平均鉛含有量は1グラム中20.2マイクログラムとなっており、比較対照した昆布海岸の砂浜の0.8マイクログラムの25倍となっております。
調査結果について米軍は、ビーチ利用者の健康を守るという観点から海岸の砂の鉛含有量を規定した連邦基準は設けられていないが、今回、コートニー海岸で検出された鉛含有量が健康に及ぼす影響はごくわずかであると結論づけております。しかし一方では、リーフ周辺海水の鉛含有量は不明であり、調査が必要であるとしております。
 県としては、ことし3月から6月にかけて海兵隊環境課がコートニーのビーチの海水及び沖合の沈殿物や海藻を含む海洋生物についての詳細調査を行っておりますので、1998年に実施した環境調査と現在実施中の調査結果の両方を踏まえた上で今後の対応を検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 環境問題について、県営団地内の放置車両対策についての御質問にお答えいたします。
県営住宅の管理戸数は、平成13年4月現在128団地1万6875戸となっており、管理については沖縄県住宅供給公社に委託しております。県営団地内の放置車両対策については沖縄県住宅供給公社や団地自治会等と連携を図り、ポスター、ステッカー等で啓蒙・啓発を行いながらその防止に努めてきているところであります。また、現に放置されている車両については陸運事務所等に照会を行い、所有者を特定し撤去させているところであります。
なお、悪質な放置者に対しては関係機関と連携を図り、法的措置も含め対処していきたいと考えております。
 次に、沖縄市関連について、その中の水辺プラザ計画と国道330号暗渠の改修スケジュールについてお答えいたします。
 沖縄市住吉地域の水辺プラザ計画と国道330号横断暗渠の改修につきましては、当該地域の浸水被害を解消するため比謝川河川改修計画に基づき整備を行う予定であります。
 水辺プラザ計画は、浸水被害の解消を図るとともに、水と緑の潤いのある水辺空間を創出することを目的として、県の河川改修事業と沖縄市の都市公園事業が連携して整備を図るものであり、県は平成13年度から、市は平成14年度から用地買収等に着手する予定であります。また、国道330号横断暗渠の改修については、水辺プラザと一体的に国道管理者と県で連携して整備することとしており、平成13年度には国道管理者において実施設計を行う予定であります。
 なお、事業実施に当たっては地域の協力を得て用地取得を図るとともに、国道管理者や沖縄市と連携を図りながら早期整備に取り組んでいきたいと考えております。
 同じく沖縄市関連について、県道20号線拡幅工事の今後のスケジュールについてお答えいたします。
 県道20号線は、嘉手納基地の第2ゲート前から国道329号高原交差点までの延長約3.4キロメートルの沖縄市中心市街地と東部地域を結ぶ主要な幹線道路であります。そのうち、嘉手納基地ゲート前から胡屋十字路までの約600メートルは幅員30メートルの4車線道路、胡屋十字路から高原交差点までの約2.8キロメートルは幅員が16メートルの2車線道路でありますが、中心市街地へのアクセス機能強化や今後の中城湾港開発を促進するため、全線を通じて4車線道路として早期に拡幅整備するよう地元から強い要請があります。
 当該路線の拡幅整備に向けては都市計画の変更が必要でありますが、現在計画中の国道329号沖縄バイパスとの整合や、地形条件が厳しい区間における円滑な沿道アクセスを考慮した道路構造の検討など多くの課題があり、現在、鋭意国や沖縄市及び関係機関との協議を進めているところであります。県としましては、今後、同時に都市計画決定予定である国道329号沖縄バイパスの環境影響評価の状況を踏まえ、平成14年度を目標に都市計画決定の手続を進め、早期の事業化が図られるよう努めていきたいと考えております。
 同じく沖縄市関連の中の、国道329号沖縄バイパスの今後のスケジュールについてお答えいたします。
 国道329号沖縄バイパスは、沖縄市内が日常的な交通渋滞により住民生活や経済活動に支障を来していることから、その緩和を図ることを目的として沖縄市池原から同市与儀までの約10.5キロメートルを国直轄事業で整備するものであります。
 同バイパスの事業化に当たりましては、環境影響評価及び都市計画決定の手続が必要であることから、現在、住民や自治体等の意見を踏まえて環境影響評価の準備書作成等の手続を行っており、平成14年度を目標に都市計画決定に向けて協議を進めているところであります。今後とも関係機関と連携を密にしながら、早期に事業化が図られるよう国に働きかけていきたいと考えております。
 以上でございます。
○警察本部長(太田裕之) まず初めに、県内の暴走族の実態及び根絶のための条例の必要性についてお答えをいたします。
 県内の暴走族は、他府県に見られるような暴力団が関与するという形での組織的なグループは把握しておりませんが、暴走志向の高い高校生や有職・無職少年らのグループが週末の深夜に主として「期待族」、すなわち暴走行為を見物しに来る少年たち、これが集まる那覇市旭橋から久茂地までの国道58号一帯、さらに沖縄市園田在ディスコ「ピラミッド」前の国道330号一帯などで爆音暴走を行っているという状況であります。特に沖縄市におきましては、毎週ごとに県内の中南部はもとより北部からも暴走バイクが集まり、爆音暴走を初め国道の片側いっぱいに広がって低速走行をしたり、逆行車線を進行したり、凶器を所持する等々の悪質な暴走行為を繰り返し、付近住民に多大な迷惑を及ぼしております。
 このようなことから、沖縄市においては平成11年の7月、暴走族追放住民総決起大会を開催するなど再三にわたり暴走族追放に取り組んでいるところでありますが、本年元旦には暴走族を見学に来た期待族が取り締まり中の警察官に対し投石するという公務執行妨害事案、また本年6月には暴走バイクを注意した一般市民に暴行を加えるという事案が発生しております。
 このように、最近の期待族は地域住民や警察官に対して反撃を加えるなど悪質凶暴化しており、暴走族対策とともに期待族対策が緊急の課題となっております。全国でもこのような傾向を受け、兵庫県姫路市においては特定地域においてでありますが、暴走行為に対しはやし立てるなどのあおり行為をした期待族に対して罰則を設けた条例を制定しております。沖縄市においても、姫路市やその他の自治体の条例を参考にして期待族に対する罰則を織り込んだ条例の制定を進めているというふうに承知しております。
 警察といたしましても、暴走族を根絶するためには取り締まりとともに期待族対策も重要であると考えており、そうした観点から沖縄市の条例制定の動向について大いに注目をしているところであります。
 次に、女子中学生による覚せい剤事件の背景及び今後の対策、検挙状況についてお答えをいたします。
 この事件は、那覇市内において女子中学生と成人男性の両名を覚せい剤取締法違反で逮捕した案件でありますが、この女子中学生は深夜徘回や不登校などを繰り返していた際、この成人男性から声をかけられて行動をともにするようになり、男性が持っていた覚せい剤を好奇心から安易な気持ちで使用したというものであります。
 本県の薬物事犯の検挙状況は、平成12年に覚せい剤事犯で50名、麻薬・大麻事犯で12名の計62名を検挙し、過去最高の200キロ余りの覚せい剤を押収しております。本年は6月20日現在で覚せい剤事犯で31名、大麻事犯で13名の計44名ということで、検挙人員は増加傾向にあるということがうかがえます。
 最近の薬物乱用の特徴としては、全国的には一般の会社員や家庭の主婦などの覚せい剤乱用者が増加しており、本県においては県外就職などで県外で薬物を経験した者が県内に持ち込むという傾向にあります。さらに、女子中学生が昨年で3名、本年で1名検挙され低年齢化が懸念されるということであります。
 覚せい剤などの薬物は依存性が極めて高く、人格や心身の障害、家庭の崩壊等を招き、また急性中毒で死亡することもある極めて危険なものであります。県警では、薬物の乱用防止を図るためあらゆる機会を通じ県民への広報・啓発を行っておりますが、特に学校に対するものとして薬物乱用防止教室というものを平成12年に318校、本年5月末で160校で開催し、少年に対する広報・啓発活動を積極的に強化しているところであります。
 また、少年の薬物乱用が深夜徘回などの少年非行と密接に関連をしているということから、沖縄県少年育成ネットワークの連携により少年の非行防止と健全育成活動にも県民総ぐるみで取り組んでいるところであります。
○福祉保健部長(新垣幸子) 無認可保育園の支援について、調査の方法、内容、時期はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 県は、認可外保育施設を利用している児童の福祉の向上を図る観点から、立入調査指導や保育に従事する職員及び施設長を対象とした研修を行い、さらに児童の健康診断料を助成している市町村への補助などを通して認可外保育施設に対して支援を行っております。
 今年度実施する就学前児童の保育等に関する実態調査に当たっては、「沖縄県保育問題等懇話会」を設置し、調査対象項目等の検討を行うこととしております。同懇話会での検討をもとに専門の調査実施機関に委託し、7月から8月にかけて調査を実施する予定になっております。この調査は、「新おきなわ子どもプラン(仮称)」へも反映させることとしており、同調査結果を踏まえて国とも連携をとりながら保育の実施義務を有する市町村と十分協議して対応策を検討したいと考えております。
 それから、同じく無認可保育園の支援について、設置主体の規制緩和によって認可された保育所は県内に何件あるかという御質問にお答えします。
 御質問の設置主体の規制緩和によって認可された保育所は、本県にはまだございません。
 保育所の設置については、平成12年3月から設置主体の制限が撤廃され、株式会社、NPO、個人等も設置できるようになったこと、保育所への最低定員が30人から20人に引き下げられたこと、土地、建物の賃貸方式についても容認されたことなどにより設置しやすくなっております。これを機会に認可外保育施設が認可へ移行できるよう市町村とも協議をしながら指導していきたいと考えております。
 同じく認可外保育施設に対し県独自の基準を設けてはどうかという御質問についてお答えいたします。
 保育所は、安全で適切な保育を行うため、安定的な運営や質の確保の観点から児童福祉法の定める基準を満たした認可保育所が基本となるものであります。先ほど申し上げましたように、規制緩和措置によって認可外保育施設も認可へ移行しやすくなっておりますので、認可を受けて運営ができるよう指導していきたいと考えております。
 なお、今年度就学前児童の保育等に関する実態調査を実施し、調査結果等を踏まえ保育の実施義務を有する市町村と十分協議をいたしまして、今後の待機児童解消等の対応策を検討したいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(髙良政彦) 以上をもって代表質問は終わりました。
 本日の日程はこれで終了いたしました。
 次会は、6月25日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後3時52分散会

 
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