平成13年(2001年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 9月28日
 


○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた教育委員会委員長照屋義実君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として教育委員会委員長職務代理者翁長孝枝君の出席を求めました。
 次に、地方労働委員会会長垣花豊順君は、所用のため本日及び10月1日から4日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長名幸宏明君の出席を求めました。
 また、人事委員会委員長新崎盛善君は、所用のため本日及び10月1日から4日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として人事委員会事務局長新垣良光君の出席を求めました。
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○議長(伊良皆髙吉) この際、念のため申し上げます。
 本日及び10月1日から4日までの5日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 新垣哲司君。
   〔新垣哲司君登壇〕
○新垣 哲司 おはようございます。
 自由民主党を代表いたしまして代表質問を行います。
 米ニューヨークの世界貿易センターのツインタワーとワシントンの国防総省に対して、11日午前、ハイジャックした民間航空機で突っ込むという前代未聞の卑劣な同時多発テロが敢行された。米国経済、政治、軍事の中枢部の破壊を、狂った史上まれなテロ行為で米国に対する宣戦布告なき戦いと言える。テロは断じて許してはならない。犠牲になられた方々に深い哀悼の意を表します。
 1点目に、米中枢同時テロについて。
 (1)の本県に基地がある上での危機管理体制については、我が党の宮平議員と同様の質問になっていますので、宮平議員から質問をさせます。私は取り下げます。
 米本国から在沖米軍に対して出されている同時多発テロに関する情報について県はどの程度把握しているか、伺います。
 改めて申し上げるまでもなく、我が国を取り巻く情勢はかつてない厳しい状況にあり、もはや抜本 的な改革なくして日本の未来はないとの認識を国民が共有しなければならない事態に立ち至っております。
 小泉内閣は、「骨太の方針」を示し、「恐れず、ひるまず、とらわれず」、「聖域なき構造改革」を推進しているところでありますが、その過程では痛みを伴うこともあると国民に訴えました。長い政治の歴史の中でも、時の内閣が国民に痛みを覚悟せよと表明することは極めてまれであり、それだけ事態は深刻であるということであります。
 顧みれば、沖縄が復帰した1972年当時もドルショックや石油ショックが重なり、日本経済は戦後初めての経済的危機に陥ったのであります。この危機を国民一丸となって乗り切り、高度成長から安定成長へと軌道修正して経済大国の地位を築き上げてきました。
 復帰当時、このような厳しい経済環境にありながらも、それまでの沖縄の苦難の歴史に報いなければならないとの国民的な合意がなされ、沖縄の振興開発には特段の措置が講じられてまいりました。
そして今、日本経済が戦後最大の危機的状況にあり、国民全体が痛みを余儀なくされているとき、沖縄の新たな振興策の動向を全国が注目していることを自覚しなければならない。
 沖縄はいつもタイミングが悪いんだと嘆くのではなく、復帰して30年、我が国の困難な状況を打開するため沖縄も頑張るのだという意気込みを新しい振興策に示すべきであります。この点、県が国に提案した「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」において、自立型経済の構築などとともに、我が国及びアジア・太平洋地域の発展に寄与する地域の形成を施策の基本方向として明確に打ち出したことを評価するものであります。
 みずから選択したわけではありませんが、75%の米軍基地が置かれていることによって沖縄は日米安保体制の維持・安定、すなわち我が国の発展に貢献してきたことは紛れもない事実です。これからはみずからの意思によって我が国ひいてはアジア・太平洋地域の発展に貢献し、その中から沖縄の新しい発展の道を探っていく視点が重要であります。
 軍事戦略上の拠点は、あらゆる分野において交流の拠点となる可能性を秘めていることを認識し、平和交流や技術協力等の国際的な貢献活動を初め、経済、学術・文化等における多面的な交流を促進していく必要があります。こうした活動を通して、アジア・太平洋地域の平和と安定に寄与していくことにより、この地域の軍事的プレゼンスは小さくなっていくのであります。
 これまでのように格差是正を強調するのではなく、また基地とのバーターといった消極的な発想ではなく、沖縄の自立的発展と世界に開かれた交流・協力拠点の形成を目指して、思い切った取り組みが求められております。
 国においても、県の基本的な考えに基づき、新たな振興計画の根拠法となる沖縄振興新法の検討の基本方向を去る9月4日に開催された沖縄政策協議会において明らかにしました。
 平成14年の通常国会への法案提出に向け、今後検討が進められていくものと思いますが、国との連携を密にしながら、沖縄が目指す21世紀の将来像が実現できるような制度・仕組みをつくっていただくよう要望し質問いたします。
 2、沖縄振興新法について。
 (1)、内閣府の沖縄振興新法の検討の基本方向、すなわち新法骨子案について知事はどう評価されているか。
 (2)、新法骨子案は、これまでの沖縄振興開発特別措置法と比較してどのような特徴があるのか。
 (3)、新たな沖縄振興に向けた独自の大胆な制度・政策としてどのような項目があるのか。
 (4)、県が要望した項目のうち、骨子案に盛り込まれなかった主な項目とその理由は何か。
 (5)、税制については抽象的な表現にとどまっているものが多いが、県の要望実現に向けて今後どのような取り組みを進めるのか。
 (6)、現行の沖縄振興開発特別措置法から「開発」が消えているが、その意図するところは何か。
 (7)、公共事業の根本的な見直しを目指す小泉政権の構造改革路線は、今後の沖縄振興策にどのような影響を及ぼすか。
 次に、平成14年度の国の予算概算要求について伺います。
 ただいま質問いたしました沖縄振興新法に基づき、新たな沖縄振興計画が策定されることになりますが、平成14年度はそのスタートを飾る重要な年度であります。内閣府においては、既にこの新計画を想定して14年度予算概算要求を取りまとめ財務省に提出されました。
 また、今回初めて概算要求に当たっての基本的スタンスを明らかにした「平成14年度沖縄振興の重点施策」が策定され、同じく沖縄政策協議会で報告されております。
 これまでのように、各省庁の沖縄関係予算を一括計上するだけではなく、内閣府において推進すべき施策を体系化した上で必要な予算を要求するという仕組みをつくり、新計画の初年度予算の確保を目指しているのであります。
 これにより、産業振興による自立型経済の構築、アジア・太平洋地域における交流拠点の形成、人材の育成などの項目にどれだけの予算がハードとソフトそれぞれ要求されているかがわかります。
 また、その中身も公共事業の見直しが叫ばれている中、公共事業関係費が前年度並みを要望したのに加え、産業振興関係費が大幅な伸びで要求されているなど、新計画のスタートにふさわしい概算要求になっているものと高く評価します。
 そこで質問いたします。
 3、平成14年度の国の予算概算要求について。
 (1)、概算要求に当たり、今回初めて取りまとめられた「平成14年度沖縄振興の重点施策」についてどう評価しているか。
 (2)、国の平成14年度沖縄関係予算の概算要求についてどう評価しているか。
 (3)、従来の公共事業中心から産業振興等ソフト面も重視する方向へシフトしていくことに伴い、当然に県の執行体制・組織の見直し等が必要と思うがどうか。
 4点目に、14年度の概算要求でも1億円の調査経費が計上されております沖縄新大学院大学構想について伺います。
 尾身大臣が提唱された大学院大学の沖縄への設立構想は、これこそ沖縄が待ちに待ったプロジェクトであり、その実現に全力を挙げて取り組むべきだと思います。尾身大臣が沖縄振興と科学技術政策担当を兼ねておられることの意義を改めて認識するものであり、沖縄の新たな発展とともに日本全体の大学改革のシンボルにするとの目標に県民の期待はますます膨らんでおります。
 日本を代表する各界の有識者が集まった検討会も第1回から開催され、いよいよ実現に向けてスタートが切られました。これから検討会においても研究科目や施設及び立地条件などが検討されていくものと思われますが、新聞報道を見ても既に県内の各市町村からの誘致活動は加熱ぎみであります。 どういう立地環境がふさわしいのか、それ以前にどんな大学院にするのかはこれから議論されるわけで、うちには処分に困った用地があるからとか、ほかの地域に比べて振興がおくれているからという理由などで場所が選定されるべきではないと考えます。
 尾身大臣が強調されておられるように、世界最高水準の大学院大学を目指しているのであります。それにふさわしい位置、規模、利便性などを総合的に勘案して教授や学生はもちろん、その家族に快適な教育研究のための環境を提供できる場所を選定しなければなりません。
 また、特別に沖縄の学生の枠をつくるとか、現在の沖縄の産業振興に直結する研究分野にこだわることなく、世界レベルの人材を集め、人類の発展に資する研究が行われる国際的な学術研究の交流拠点を目指すべきであります。
 もちろん将来的にはこの大学院で研究する県内の学生がふえ、その研究成果が新たな産業の創出につながっていくことが期待されます。これによって沖縄の新たな発展と我が国及びアジア・太平洋地域の発展に寄与するという目標が実現するものであります。
 以上、所感を述べましたが、質問に入ります。
 4、沖縄新大学院大学構想について。
 (1)、構想が提唱された背景、目的はどのようなものか。
 (2)、第1回検討会に参加された感想はどうか。
 (3)、構想の実現に向けて今後どういう取り組みがなされるのか。
 (4)、設置場所の選定に当たってどういう基本姿勢で臨まれるのか。
 5点目は、青少年の教育問題であります。
 世界最高水準の大学院大学が沖縄に設置された場合、果たして地元の研究者や学生は入学できるのかが課題となってきます。科学技術などの専門的知識はもとより、語学力や情報処理能力、さらには世界の研究者と交流する上で必要とされる一般教養、基礎知識を有する人材がこれからの沖縄には求められます。そのためには初等中等教育を充実させ、知性、徳性、感性が備わった国際的に通用する人材を育成しなければなりません。
 しかるに、小中学校や高等学校などの学校現場、そして取り巻く環境はまさに荒れ果て、学力向上どころじゃないというのが実態であります。学級崩壊や登校拒否、すぐに切れる子供たちと自信を失った教師がふえ、学校外でも援助交際など性的犯罪が増加しており、このままでは子供たちや先生方に対して夜間外出禁止令の発動を検討するような事態になりかねません。
 もちろん子供と教師だけに問題があるのではなく、家庭や地域社会においても共通の責任はあり、その根本にしつけの問題があると思います。欲望を抑止するというのが子供のしつけの肝心な部分ですが、それがおろそかにされてきた。家庭でのしつけ、地域社会でのしつけの上に学校でのしつけがあります。それぞれの現場で正面から子供と向き合うことをしないと、子供たちは一気に欲望の開放に走り、金を手に入れるため援助交際を行うのであります。未来を担う子供たちを健全に育てるため早急な取り組みを始めるべきであります。
 そこで質問いたします。
 5、青少年の教育問題について。
 (1)、援助交際など青少年が絡んだ事件がふえているが、現状をどう認識しておられるか。
 (2)、先生方が担任を拒否されたり、長期に休むなど苦しい立場に置かれている実態があるが、把握しているか。これにどう対処しているか。
 (3)、学習指導要領で「総合的な学習の時間」が設けられているが、その目的は何か。学校現場でどういう取り組みを行っているか。
 次に、世界のウチナーンチュ大会について伺います。
 子供たちに希望と勇気を与えるためにも我が沖縄の先人、先輩たちの海外雄飛の歴史に学ぶことが必要であります。夢を求めて故郷を離れ、幾多の苦難を乗り越え頑張ってこられたこの30万人のウチナーンチュこそ沖縄の誇りであり財産であります。彼ら一人一人の歴史や現在の活動ぶりに触れ、交流を深めていくことによって世界とのネットワークづくりで全国をリードすることができます。これこそまさに沖縄の特性、優位性の発揮であります。
 今回が3回目となり、イベントとしては定着したと言えますが、問題は一過性のイベントに終わらすのではなく、ネットワーク時代にふさわしい交流・連携が日常的に行われるような体制をどうつくっていくかであります。世界のウチナーンチュと沖縄が手を取り合ってともに発展していくことを願いながら質問をいたします。
 6、世界のウチナーンチュ大会について。
 (1)、3回大会の主な行事日程、内容と準備状況はどうなっているか。
 (2)、前回までの大会において、その後の具体的な活動につながったものがあるか。また、こうした活動を発展させる上での課題は何か。
 (3)、今回、大会後に取り組む活動としてどういう取り組みを考えているか。
 次に、7番目に台風16号についてその被害について質問いたします。
 沖縄近海で約1週間も停滞、迷走を繰り返した台風16号は、各地に道路陥没や浸水、家屋損壊など大きなつめ跡を残しました。台風16号の最も大きな被害を受けた渡嘉敷村、渡名喜村ではいまだに日常生活を送ることが困難な状況にあり、復旧のめどは立っていない。
 渡嘉敷村では、年間雨量の約半分近い1000ミリが4日間という短期間で降り続き、島の最も重要な渡嘉敷─阿波連を結ぶ唯一の村道が陥没し、生活物資や住民の移動は小型船に頼っている状況であり、島に中学校が1つしかないため阿波連区に住む中学生もまたボートで通学しています。
 渡名喜村におきましては、平成12年5月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された渡名喜村独特の路面より低い屋敷、フクギの垣根、白浜の道路という集落景観が台風16号によってかなりの被害を受けています。
 そこで質問いたします。
 (1)、渡嘉敷村の村道阿波連線の復旧作業に伴う地盤調査や復旧までの見通しについて。  
 (2)、村道阿波連線の復旧までの住民生活に欠かすことのできない仮設迂回路についてどうお考えか。
 (3)、渡名喜村の国で選定されている重要伝統的建造物群保存地区の復旧に関する国に対する要請について。
 (4)、沖縄県内における台風16号による建物の損壊や浸水による日常生活用品に対する災害援助はどうなっているのか。
 以上で質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
 それでは新垣哲司議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は沖縄振興新法について、内閣府の沖縄振興新法骨子案について知事はどう評価するかについてお答えをいたします。
 内閣府の新法骨子案は、産業振興のための特別措置、国際協力及び国際交流の推進等のための措置、駐留軍用地の利用促進及び円滑化のための特別措置並びに高率補助制度の継続など、県の基本的な考え方を十分取り入れた内容になっております。これらの特別措置は、本県が目指す民間主導による自立型経済の構築やアジア・太平洋交流・協力拠点の形成など、新たな沖縄振興策の推進を強力に後押しするものと評価しております。
 次に、同じく新法のうち、新法骨子案は、これまでの沖縄振興開発特別措置法と比較してどのような特徴があるのかの御質問についてお答えをいたします。
 新法骨子案の特徴は、民間主導による自立型経済の構築に向けた観光、情報、農林水産業等の分野別計画の策定や税制措置、重要産業分野における中小企業の発展・支援及び金融業等の集積促進など産業振興のための特別措置を抜本的に拡充しているところであります。
 また、国際協力及び国際交流の推進等のための措置、沖縄の文化の振興のための措置など魅力ある地域特性の発揮のための特別措置及び基地跡地の利用促進のための特別措置の創設が盛り込まれていることも大きな特徴であります。
 次に、同じく振興新法について、税制については県の要望実現に向けて今後どのような取り組みを進めるかについてお答えをいたします。
 今回示された新法骨子案は、新法の大きな枠組みを示すものであり、税制や法律の具体的内容については国において年末までに詳細が詰められていくこととなっております。県としては、来年1月の通常国会に提出される予定の法案に所要の措置が可能な限り盛り込まれるよう、県議会や県選出国会議員のお力添えもいただきながら全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、振興新法について、公共事業の根本的な見直しを目指す小泉政権の構造改革路線は、今後の沖縄振興策にどのような影響を及ぼすかについてお答えいたします。
 公共事業の見直しを含むいわゆる「聖域なき構造改革」は、特に公共事業への依存割合が高い本県に及ぼす影響は大きいものがあると考えております。具体的には、本県が目指している世界に開かれた交流・協力拠点の形成に必要なハブ空港、ハブ港湾、高規格道路等のインフラ整備への影響が懸念されます。県としては、さきに公表された国の改革工程表において示された施策が具体化する過程において関係省庁と連携しつつ、今後の沖縄振興に必要な施策・事業が確保できるよう最大限努力してまいります。
 次に、平成14年度の国の予算概算要求についての御質問のうち、「平成14年度沖縄振興の重点施策」をどう評価しているかとの御質問と、国の平成14年度沖縄関係予算の概算要求をどう評価しているか、この2点を一括してお答えをいたします。
 内閣府の重点施策案は、産業振興による自立型経済の構築、アジア・太平洋地域における交流拠点の形成、人材の育成、社会資本整備の推進及び均衡のとれた地域づくりなど重点分野ごとに措置する予算、税制、法律を体系的に整理したものとなっています。
 その大きな特徴は、産業振興のための非公共事業などソフト面の施策を大幅に強化したことでありますが、このような単年度の重点施策として自立的発展に向けた沖縄振興策の枠組みを明確に示したことは初めてであり高く評価しております。
 また、概算要求については、社会資本の整備など振興開発事業費の確保を図るとともに、情報通信や人材育成など構造改革重点7分野における特別要求枠を積極的に活用し、デジタルアーカイブ整備事業など産業振興のための新規事業が盛り込まれるなど新たな10年のスタートにふさわしい内容となっております。
 次に、沖縄新大学院大学構想についての御質問のうち、構想が提唱された背景、目的はどのようなものかについてお答えいたします。
 政府は、ことし3月に閣議決定した科学技術基本計画において「科学技術創造立国」を目指して科学技術政策を推進していくこととしております。こうした背景を踏まえ、大学改革及び沖縄の新たな発展に向けて新しい発想を持った国際性のある最高水準の大学院大学を沖縄に設置することを目指すものであります。
 同じく新大学院大学構想についてのうち、第1回検討会に参加した感想はどうかという御質問と、次の構想の実現に向けて今後どういう取り組みがされるのか、2つの御質問に一括してお答えします。
 世界最高水準の自然科学系の大学院大学が本県に設置されることになれば、我が国の科学技術の創造に貢献するのみならず、アジア・太平洋地域との研究・交流を通した学術交流・協力拠点の形成が図られるとともに、関連して各種研究機関やベンチャー企業の集積が予想され、本県の自立的発展にも大きく貢献するものと期待しております。今後、同検討会において大学院大学の理念、研究・教育内容、運営、立地環境のあり方、事業の規模等の基本的事項についての検討がなされ、12月までに第1次取りまとめ、来年3月末までに中間取りまとめを目指すこととなっております。
 次に、同じく大学院大学構想の中で、設置場所の選定に当たってどういう基本姿勢で臨むのかについてお答えいたします。
 設置場所に関しては、今後開催される「沖縄新大学院大学構想検討会」の議論の中で立地環境、立地条件等が明らかになっていくものと考えております。
 次に、世界のウチナーンチュ大会についての御質問のうち、今回、大会後に取り組む活動としてどういう取り組みを考えているかについてお答えいたします。
 ウチナーンチュ大会は、ほぼ5年に1回の割合で開催される規模の大きな行事であり、県としても大会の成功を期するとともに、大会後においても沖縄と海外との持続的交流及び相互の発展が図られるよう取り組んでいきたいと考えております。
 具体的には、今回大会のプレイベントとして実施したジュニアスタディーツアーを新規事業として継続することを検討しております。これは、海外の県系人の子弟を沖縄に招待し、沖縄の文化、芸能、歴史、自然を体験学習するとともに、県内の若い世代との交流を図るプログラムであります。
 本事業につきましては、海外の父兄や県人会等から高い評価を受けており、感謝や激励の言葉をいただいております。県としては、当該事業の持つ効果や重要性にかんがみ毎年度の事業として検討していきたいと考えております。
 また、大会を契機として新たに若い世代のネットワーク、女性のネットワーク及び帰国県系人のネットワーク等各分野におけるネットワークの拡大・強化に取り組んでまいります。
 次に、台風16号の災害についての御質問のうち、建物の損壊や浸水による日常生活用品に対する災害援助はどうなっているかとの御質問にお答えします。
 今回の台風16号は、ゆっくりした速度で停滞、迷走を繰り返しながら長時間にわたり記録的な豪雨を伴ったため、県内25市町村に及ぶ各地域で多くの被害をもたらしました。
 先ほど新垣議員の方から私の方にかなり分厚いいろいろな資料の御提供がございましたけれども、大変な傷跡でございます。被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い生活の再建、復旧を願っております。
 今回の災害に対し県としては、特に被害が甚大で住家の被害が災害救助法の適用基準を超えた沖縄市(9月8日適用)及び渡名喜村(9月11日適用)に対し災害救助法の適用を決定し、避難者に対する炊き出し、食品の給与を実施するほか、寝具、その他の生活必需物資及び児童生徒に対する学用品等の給与を行っております。
 また、渡名喜村については、村長からの求めを受けて県は陸上自衛隊第1混成団長に対し派遣要請を行いました。陸上自衛隊においてはヘリ3機により緊急移入をしていただき、飲料水約9トンのほか、県の災害対策用備蓄物資の中から毛布、タオル、トレパン、下着類及び食器セット等を被災者に給与いたしました。
 なお、その他の市町村も含め建物の損壊や浸水によって家財の3分の1以上の損害があった被災世帯に対しましては災害援護資金の貸し付けの対象となります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 新垣哲司議員の米中枢同時テロに関連した米本国から在沖米軍に対して出されている同時多発テロに関する情報について、県はどの程度把握しているかという御質問にお答えをいたします。
 県は、米国で発生した同時多発テロ事件及びその後の日米両政府の対応等に関し、外務省沖縄事務所を介して情報収集に努めてまいりました。
 他方、在沖米軍が実施しているテロ対策や訓練等について直接米軍に照会するなど在沖米軍の動向把握に努めてまいりました。
 在沖米軍基地の現在の警備体制の状況につきましては把握しておりますが、米軍の作戦行動及び運用に関する詳細な情報の収集は困難な状況にあります。
 県としては、今後とも今回の事件に関連して県民生活及び県民の人権に支障が及ぶことがないよう関係機関に協力を求めつつ、在沖米軍の動向についても的確な情報の収集に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 沖縄振興新法について、沖縄独自の大胆な制度・政策としてどのような項目があるのか、県が要望した項目のうち、骨子案に盛り込まれなかった主な項目とその理由は何かについて一括してお答えいたします。
 新法骨子案には、本県独自の大胆な制度として沖縄型特定免税店制度や特別自由貿易地域制度の拡充に加え、情報通信関連産業の集積を目指す特定情報中枢機能振興地区制度、金融業等集積促進地区制度及び基地跡地利用促進のための特別措置などが新たに盛り込まれております。
 一方、県の要望が反映されていない項目として航空機燃料税軽減措置の離島路線への拡充があります。その理由は、航空運賃の自由化等の状況変化に伴い、軽減分が直接運賃の引き下げに反映されるかどうかの判断が困難になってきたことが挙げられております。
 次に、同じく沖縄振興新法について、現行の沖縄振興開発特別措置法から「開発」が消えているが、その意図するところは何かについてお答えいたします。
 本県は、社会資本の整備等これまでの振興開発の成果を踏まえ、地域特性や地域資源を活用した産業振興や国際交流・協力を推進するなど21世紀の新しい発展を求めていく節目の時期を迎えております。
 新法の名称については、本県が目指すこうした新しい発展の方向にふさわしい名称にするとの観点から、発展の初期段階をイメージさせる「開発」という表現はもはや沖縄には当てはまらないとの考え方から、「振興開発」にかえて「振興」を法律の表現の中心に据える方向で検討しているものと認識しております。
○総務部長(當銘直通) 平成14年度の国の予算概算要求についてのうち、公共事業中心から産業振興等ソフト面を重視する方向へシフトしていくことに伴い執行体制・組織の見直し等が必要と思うがどうかについてお答えいたします。
 平成14年度の執行体制としましては、民間主導による自立型経済の構築を初めとする「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」による施策の基本方向を踏まえ、産業の振興、人材の育成、社会資本の整備など各施策・事業を着実に実施していく体制とすることが重要であり、効率的な組織の編成と適切な人員配置を行うなど執行体制の充実・強化に努めていきたいと考えております。
 以上であります。
○教育長(津嘉山朝祥) 新垣哲司議員の青少年の教育問題について、援助交際など青少年が絡んだ事件がふえているが、現状をどう認識をしているかについてお答えをいたします。
 子供たちが健やかに成長するのはすべての大人の願いであり責務でございます。昨今、子供たちを守り育てるべき立場にある大人が、青少年を被害者とする児童買春等で逮捕される事件に対し、まことに残念であり強い憤りを感じております。
 一連の事件の背景には、社会の急激な変化に伴う価値観の多様化、人間関係の希薄化による家庭や地域の教育力の低下や「性」に関するゆがんだ情報のはんらん等があります。
 このようなことから、県教育委員会といたしましては、心豊かな青少年の育成のためにすべての保護者や学校関係者、大人及び子供たちに「県教育長緊急メッセージ」を発するとともに、学校、家庭、地域社会が一体となって大人みずからが手本となり、「地域の子どもは地域で育てる」環境づくりを強力に推進させていかねばならないと考えております。
 また、すべての児童生徒にかけがえのない存在である自分を傷つけることなく、人間としてのあり方・生き方を真剣に考えることができるよう指導・支援してまいりたいと考えております。
 さらに、今回の事件は、携帯電話等を使ったテレクラ等が舞台となっているだけに、関係機関・団体等と広く連携し、社会環境の浄化に取り組んでいくことが重要だと考えております。
 同じく青少年の教育問題について、先生方が担任を拒否されたり長期に休むなど苦しい立場に置かれている実態があるが把握しているか、これにどう対処しているかとの御質問にお答えいたします。
 社会の変化とともに児童生徒、保護者の意識の変化や多様化など教育環境の急激な変化に伴い、教職員が生徒指導や学級経営、人間関係のストレス等で悩みを抱え、精神性疾患等で休職をしている状況が一部にございます。平成12年度、本県公立学校においては、精神性疾患による休職者数は55名となっております。
 県教育委員会といたしましては、教職員の初任者研修や経験者研修、職務研修等を通して生徒指導・学級経営のあり方及びカウンセリング等について実践的な研修を実施をし、日常的な業務の円滑な遂行や良好な人間関係づくりに資するよう努めているところでございます。
 また、教職員が悩みを相談する場として、県立教育センターで実施する教育相談や公立学校共済組合本部の「教職員健康相談24」、市町村教育委員会の相談事業などがあります。さらに平成13年度からは「教職員の悩み相談事業」を実施し、教職員の悩みやストレスの解消を図っているところであります。
 続きまして同じく青少年の教育問題について、学習指導要領で「総合的な学習の時間」が設けられたが、その目的は何か、学校現場でどういう取り組みを行っているかとの御質問にお答えをいたします。
 「総合的な学習の時間」は、今回の学習指導要領の改訂で教科等の枠を超えた「横断的・総合的な学習や児童の興味・関心等に基づく学習」などができるよう創設され、みずから学び、みずから考える力などを身につけさせることをねらいとしております。
 学習活動は、体験的な学習などを積極的に取り入れ、異年齢集団による学習や地域資源の積極的な活用を図りつつ、国際理解、情報、環境、福祉・健康などの課題について各学校が創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開することができるようになっております。
 「総合的な学習の時間」は、小中学校が平成14年度から、高等学校においては平成15年度から年次的に全面実施となります。本県におきましては、今年度、小中学校は全校で取り組まれており、県立高等学校では98.6%、特殊教育諸学校では94%の実施率でございます。
 実践事例の一つとして、「とびだせ!とよみふれあいたい」とのテーマのもと、ラムサール条約に登録された漫湖の干潟を通して多くの体験活動を重ね、自分の興味・関心に基づいてつかんだ課題を主体的にいろいろな方法で調べたり、新聞や紙芝居にまとめて発表したりするなどの例があります。これまでの教科ではできなかったような生き生きとした活動に取り組まれております。
 次に、台風16号による災害について、渡名喜村の国で選定されている重要伝統的建造物群保存区の復旧に関する国に対する要請についての御質問にお答えいたします。
 渡名喜村渡名喜島は平成12年5月25日、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。同地区内には伝統的な建造物群として特定される建築物は104棟ございます。そのうち、9月18日の調査では全壊11棟、半壊17棟、家屋の一部被害として26棟、さらに全壊・半壊の家屋とも重複をいたしますが、床上浸水39件、床下浸水21件という被災の状況になっております。
 県教育委員会といたしましては、地元の教育委員会からの報告を受け被害状況への対応協議を行い、9月19日には担当職員を現地へ派遣し被害状況の詳細を掌握するとともに、同日、文化庁へ緊急報告を行いました。9月21日には担当職員と渡名喜村教育長が上京し文化庁へ被害の状況を逐次報告をするとともに、復旧に向けての協力と財政的支援について要請を行いました。
 文化財保存に関する補助要項では80%の補助率でございますが、災害復旧に当たっては5%の上乗せによる上限率85%補助が可能であり、災害復旧事業として取り組んでもらうよう文化庁と調整中でございます。
 また、村及び県からの要請を受け文化庁の調査官3名が本日現地入りをし、復旧事業に向けての調査を実施しているところでございます。県教育委員会といたしましても、文化庁や村、関係機関と協力しながら文化財の復旧に向けて全力を挙げて取り組む所存でございます。
 以上でございます。
○文化環境部長(永山政邦) 世界のウチナーンチュ大会につきまして、第3回大会の主な行事日程、内容と準備状況についての御質問にお答えいたします。
 行事日程としましては、10月31日にプレイベントとして記念植樹及び前夜祭パレードを行い、翌11月1日に開会式、11月4日にフィナーレを実施いたします。その間、11月1日から4日にかけて11のイベントを実施いたします。
 その主なものを挙げますと、1つに、大会参加者と県民が互いに楽しく交流できる「ウチナーンチュ交流祭」、2つに、海外移民の歴史をたどりながらウチナーンチュの未来を展望する「世界のウ チナーンチュ歴史と未来展」、3つに、各界各層のウチナーンチュが一堂に集いウチナーンチュネットワークの拡大とその未来像を探る「ウチナーンチュシンポジウム」などがあります。また4つに、若い世代のネットワーク化の充実発展を図る「ワールド学生会議 in OKINAWA」のほか、「国際交流ゲートボール大会」、「空手道・古武道交流祭」などスポーツ関係のイベントも実施いたします。開催準備は順調に進んでおります。
 同じく世界のウチナーンチュ大会の質問で、前回までの大会においてその後の具体的な活動につながるものがあるか、またこうした活動を発展させる上での課題は何かとの御質問にお答えいたします。
 前回までの大会においてその後の具体的な活動につながったものとして、ウチナー民間大使の創設及びワールド・ウチナーンチュ・ビジネス・アソシエーション、いわゆるWUBの設立があり、ウチナーンチュの国際的な人的ネットワークの形成に大きな役割を果たしております。
 課題といたしましては、世代交代が進んでいる海外ウチナーンチュがいかにしてウチナーンチュのアイデンティティーを継承していくか、そして相互間の交流を持続・発展させていくかであります。
 以上でございます。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 台風16号による災害関連で、渡嘉敷村の村道阿波連線の災害復旧に伴う地盤調査と復旧工事の見通しについての御質問にお答えいたします。
 渡嘉敷村渡嘉敷と阿波連を結ぶ村道阿波連線は、台風16号により延長約200メートル、幅約50メートルにわたって道路が決壊し全面通行どめとなっております。現在、道路管理者である渡嘉敷村において復旧工法を検討するため、土質調査や現地測量等の調査を進めているところであります。
 また、県においては、「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法」に基づく災害復旧事業の採択に向け諸手続を進めているところであり、今後、早期に本格的な災害復旧工事の着手ができるように村と県が連携を図り取り組んでいきたいと考えております。
 なお、今回の災害は大規模であり地形条件も厳しいことから、本復旧にはかなりの期間を要する見込みであるが、国とも早急に工法協議を行い、できるだけ早く交通機能の回復ができるように努めてまいりたいと考えております。
 同じく村道阿波連線の復旧までの仮設迂回路についてお答え申し上げます。
 村道阿波連線は、渡嘉敷地区と阿波連地区を結ぶ唯一の幹線道路であることや、本復旧にはかなりの期間を要することから、緊急生活道路としての仮設迂回道路の早急な開設が必要であります。現在、渡嘉敷村と迂回道路のルートや工法等を検討しているところであり、速やかに建設工事に着手し交通機能の確保に努めていきたいと考えております。
 なお、仮設迂回道路の建設費用についても災害復旧事業の国庫負担制度を活用していきたいと考えております。
 以上でございます。
○宮平 永治 自由民主党を代表いたしまして質問をいたします。
 まず1点目に、米国における同時多発テロについてであります。
 去る9月11日、米国において中枢同時テロが発生いたしました。ハイジャックされた旅客機が高層ビルなどに激突するという現実とは思えない数千人に及ぶ犠牲者を出す史上最悪のテロ事件となりました。米国の政治、経済、軍事の中枢部をねらった同時多発テロは、米国だけではなく世界の民主主義社会への重大な挑戦であり、強い憤りを感ずるとともに、無謀な行為は断じて許されません。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、一日も早い平穏な地域社会が構築できるよう念ずるものであります。
 そこで、米国における同時多発テロについて、極東一の米軍基地が集中している本県もテロが起きる可能性は十分あります。大変危惧しているところであります。
 そこで知事及び警察本部長の所見とテロ等に対する本県の危機管理体制についてお伺いいたします。
 次に、基地問題についてでありますが、米国の中枢部の同時多発テロで厳しい社会情勢であるが、このことによって基地問題を棚上げにするとか避けて通るわけにはまいりません。基地問題の現実的な解決のために粘り強く、そして今こそたゆまぬ努力が求められております。
 このような考え方を前提に質問をいたします。
 まず、地位協定の見直しについてであります。
 本県には、在日米軍専用施設の約75%に上る米軍基地が集中しております。これらの米軍基地の過重な負担を軽減することは県民の一致した願いであります。
 知事は昨年8月、米軍基地に起因するさまざまな事件・事故等から県民の生活と人権を守り、県民の福祉の向上を図るとともに、地位協定の見直しを求める要請を日米両政府に対して行っております。その後も日米両政府関係者や国会議員等との面談の機会あるごとに地位協定の見直しを粘り強く求めており、その努力については評価するものであります。
 当県議会においても昨年7月、そしてことしの2月に「日米地位協定の見直しに関する意見書」を決議したほか、県下各市町村の議会においても同様な決議が相次いでおります。地位協定の見直しは県民の総意であると言っても過言ではありません。これに対して日本政府は、地位協定の見直しについては依然として消極的な態度を崩していません。
 このほか、米軍基地の整理縮小や海兵隊を含む米軍の兵力の削減についても県議会や多くの市町村が決議し要請行動を行っております。知事もこのことについて日米両政府に強く働きかけていますが、現時点において具体的な進展は見受けられません。
 知事は常々、沖縄の米軍基地問題は国民全体の問題であるとおっしゃっておりますが、全国民がみずからの問題として米軍基地問題を考えてもらうためには、沖縄から米軍基地の現状や基地の解決を求める県民の強い意思を積極的に全国にアピールすることが必要であります。
 そこで日米地位協定の見直し、米軍基地の整理縮小、海兵隊を含む米軍兵力の削減など広く全国にアピールする手法あるいは手段、知恵を出し合う時期でありますが、知事の見解を伺います。
 次に、普天間飛行場代替施設の15年使用問題についてであります。
 本件は大変厳しい、難しい問題であります。それと同時に、ハードルが余りにも高過ぎる。しかしながら避けて通るわけにはまいりません。
 あえて質問をさせていただきます。
 普天間飛行場の返還については、平成8年12月のSACOの最終報告において移設が合意されてから約5年、また知事が平成11年11月に普天間飛行場の移設候補地として「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」を選定する際、代替施設は民間航空機が就航できる軍民共用空港とするとの条件を示してからはや2年近い年月が経過しております。
 この間、国は「普天間飛行場の移設に係る政府方針」の中で、使用期限問題について米国政府と協議していくなどと閣議決定し、代替施設協議会や北部振興協議会などにおいて精力的に話し合いが継続して行われていることは承知しております。しかしながら、代替施設15年の使用期限を設けることについては米国政府は一貫して否定的な見解を示しております。問題解決の糸口が見えない状況に陥っています。
 ついては、代替施設の15年使用期限問題については、私は基本的な考えとして基地の提供責任は日本政府にあります。そして同時に、防衛・外交の問題でもあります。いわゆる国の根幹にかかわる専権事項であるわけであります。47都道府県の一地方公共団体、一自治体では限界があります。国と国との政治的な問題は、日本政府が誠意を持って沖縄県の示した条件に対して高度な外交政治の最重要課題として米国政府に責任を持って取り組むような内容を求めて、いわゆる国の閣議決定、あるいは国、県、名護市の3者が覚書を締結するなど国内問題として処理することによってその解決を図ってはどうかと考えますが、知事の御所見を伺います。
 次に、「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」(軍転特措法)の改定についてであります。
 全国の米軍専用施設の約75%が沖縄県に集中しております。このような広大な基地の存在は、良好な生活環境の確保、産業の振興、健全な都市形成、交通体系の整備、本県の振興開発を図る上で大きな制約となり、戦後この56年余、不公平な扱いを受けてきております。このために基地の整理縮小と返還跡地の総合的かつ計画的な有効利用を図ることは、本県経済社会の発展を図る上で大変重要な課題であります。
 そこで政府は、「駐留軍用地及び駐留軍用地跡地が広範かつ大規模に存在する沖縄県の特殊事情にかんがみ、駐留軍用地の返還に伴う特別の措置を講じ、もって沖縄県の均衡ある発展並びに住民の生活の安定及び福祉の向上」を図ることを目的に「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」、いわゆる軍転特措法を制定しました。
 しかしながら、その適用第1号となった恩納通信所においては、同施設内汚水処理槽の汚泥からPCB等の有害物質が検出されたため給付金の支給や所有者への土地の引き渡しが大幅におくれることになり、同法の問題点が指摘され、その見直し問題が当面の課題となっております。
 したがって、本県における基地問題を取り組む上で、基地の返還後の補償問題と跡利用問題は車の両輪のようなものであります。一方が欠けるようなことがあってはその解決は前途多難であり、同制度が十分でない現状においてはいたずらに土地の遊休化を生じさせるだけであり、直接的に土地所有者の一方的な負担となってはね返ってくることは明らかであります。国においては、土地所有者の意見が反映され、現状に立脚した措置を新たな制度として早急に講ずるべきと考えます。
 そこで、本県が抱える政治課題は軍転特措法の見直し並びに延長問題にあります。本法律の失効、いわゆる期限切れが平成14年6月19日ということもあって、沖縄県軍用地等地主会連合会を初め沖縄県、県議会、自民党は再三にわたり防衛庁、防衛施設庁など関係機関を中心に要請をしてまいっております。しかしながら、本法律が議員立法という理由から必ずしも誠意ある回答が得られず前進がありません。軍用地主の生活と財産権を守るためにも本法律を失効させるようなことがあってはなりません。
 そこで、本県は、日米安全保障条約を堅持し、必要な施設及び区域の提供という同条約上の義務を履行するためにも軍転特措法の見直し並びに延長を強く求めるべきだと考えますが、県の取り組みはどうなっていますか。そして本件は沖縄振興新法に反映されていますか、お伺いいたします。
 次に、旧軍飛行場用地問題の解決促進についてであります。
 旧日本軍は、去る太平洋戦争末期に国家総動員法を背景にして強制的に用地接収を行っています。用地接収に際し軍は、戦争が終結した暁には土地を返還すると地主に約束しています。しかし、国は本県の祖国復帰の際、このような歴史的な経緯を無視し、売買契約により正当な手続を経て国有財産となったと事務的に国有地としてまいりました。
 本土においては、類似の旧軍飛行場用地は終戦時に早い時期に旧地主に返還されております。本県においても27年間にわたる米軍の直接支配という不幸な歴史がなかったならば、当然に旧地主への返還がなされているはずであります。
 このように本土との類似事例が早々に戦後処理という事実に照らしても余りにも不公平な措置であり、戦後56年余も経ているにもかかわらず地主に対して何らいまだに補償がないことは断じて容認できません。
 ちなみに、旧嘉手納飛行場地主らが所有権回復をめぐる裁判闘争の過程で昭和63年12月6日に福岡高裁那覇支部が和解勧告を提示しております。参考資料として福岡高等裁判所の和解勧告、それから問題解決促進協議会の資料を提出したいと思いますので、議長、休憩お願いします。(資料を提示)
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前11時3分休憩
   午前11時4分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
○宮平 永治 その和解勧告をする理由の要旨として、まず1点目に、本件係争地は昭和19年当時、控訴人らないしその先代が所有していたものであることは間違いないと思います。これは裁判所が言っているんですよ。そして2点目に、本件について売買契約締結を証明する直接の証拠はない。3点目に、昭和19年当時の沖縄の社会情勢から見て、仮に国が主張するような売買契約が締結されたとしても、これは戦時下における特殊な情勢に基づくもので、任意に通常の経済取引として行われたものとは思われない。4点目に、わずか1年足らずの差で米軍の占領により嘉手納飛行場に組み入れられた土地の所有者と比較した場合、余りにも不公平であり、何らかの形で是正されるべきである。
 以上、和解勧告が出されたにもかかわらず国はかたくなにこれを拒否してきております。
 資料にもありますように、この和解勧告を見る限りなぜ敗訴したかなと、この理由に苦しむところであります。
 さて、沖縄振興計画は第3次の役目を終えて来年4月より沖縄振興新法としてスタートします。しかし、この新法は本県の戦後処理が終わったとの認識に立った視点からの沖縄施策であっては困ります。本件は、何としても旧軍飛行場用地は不発弾処理問題等同様に未解決の戦後処理の重要事案として位置づけて、沖縄復帰30周年の節目に本土同様に政治的な配慮により早急な解決が求められるべきだと考えておりますが、県の取り組みはどうなっているか、お伺いします。
 同時に、旧軍飛行場用地問題解決促進協議会からの資料が出ているように、県下53市町村で9月の定例議会までに52件が採択の見通しだと、そして年内には全53市町村の議会でも意見書を採択するというようになっております。
 このことから、知事はこの県内の世論を背景にして先頭に立って政府折衝をしていただきたい。そしてこれをぜひ成功させるために庁内にプロジェクトチームを編成して取り組んでいただきたい。こういうことを考えておりますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、嘉手納基地爆音被害公平補償についてであります。
 平成10年5月、嘉手納基地爆音訴訟控訴審判決で福岡高裁那覇支部は国に対し、うるささ指数75デシベル以上の地域に住む867人に対し過去の損害賠償約15億円の支払いを命じた。この訴訟判決で爆音被害が受忍限度を超えていると認められた住民が、原告として参加しなかった住民にも同等な補償をなすべきとの考えに基づき嘉手納基地爆音被害公平補償を求める会が結成されました。同会では、私たちは日米安保条約を容認する立場からして訴訟は起こさず爆音に耐えてきた。国は受忍限度を超えるすべての住民に対して、訴訟団同様に損害補償を速やかに行うことを強く主張しております。
 ちなみに、沖縄市長及び具志川市長等は、同じ被害を受けているんだから補償がないというのは常識的に考えても非常に不合理であると。国による公平補償は当然だと同会の運動方針に賛同し、嘉手納基地周辺の6市町村にまたがる問題として平成11年4月に中部市町村会で提起し、全会一致をもって支援することを決定しております。そして同年9月、宮城篤実中部市町村会会長が当時の那覇防衛施設局長や関係機関に公平補償の要請を行っております。
 そこで、県も中部市町村会同様公平補償を求める会を支援し、公平な被害補償が速やかに実現できるように行動を展開していただきたいと考えております。今日までの県の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、新たな沖縄振興についてであります。
 本県において来年は本土復帰30周年の記念すべき年でありますと同時に、現行の沖縄振興開発特別措置法及び第3次沖縄振興開発計画の措置期限が終了し、これにかわる新たな枠組みのもとで新たな沖縄振興をスタートさせる重要な節目の年になります。今年度残された半年間はこれまでの総仕上げをしっかりと行うとともに、先々よいスタートが切れるようなさまざまな課題について議論を深め、最後の詰めをしていく貴重な時期と考えております。
 振り返ってみますと、本県の振興開発は社会資本の整備の進展、観光・リゾート地としての全国的な認知度の高まり、入り込み客の大幅な増大、情報通信産業を初めとする企業立地の一定の進展など、県民のたゆまぬ努力や政府の手厚い支援などにより大きな成果を上げつつあるものと認識しております。
 来年度スタートする新たな沖縄振興は、このような実績を土台に県民が一体となった取り組みをなお一層強化することにより、その上に地域特性や貴重な資源を活用する方向で本県の自立的発展という大きな花を咲かさなければなりません。このためにも県が「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」で示したように、本県を我が国及びアジア・太平洋地域の発展に寄与する地域として位置づけ、さまざまな国際交流・協力が活発化する地域づくりを進めるとともに、経済構造を現在の公共工事主導から、民間企業が生き生きと活動し経済をリードする自立型経済社会を築くことが重要であります。
 その準備は着々と進んでいるものと考えておりますが、先日発表されました内閣府の沖縄振興新法に関する検討の基本的な方向及び「平成14年度沖縄振興の重点施策」の内閣府原案は、県の「基本的な考え方」を十分踏まえた観点から取りまとめられ、本県の自立的発展を支えるものと評価しております。とりわけ産業振興に関する支援措置の拡充が図られていることとあわせて、法律において初めて本県の国際交流等推進のための措置及び基地跡利用の促進、円滑化に関する支援措置が定められていることは極めて大きな意義があるものと考えております。
 今後、新法の制定やこれに基づく新計画の策定に向けさらに具体的な検討と調整を進めていくものと思われますが、来年国会に提出される法案に本県の自立的発展に必要な特別な措置が可能な限り盛り込まれるよう要望して質問に入ります。
 1点目、新法制定に向けたスケジュールと今後の取り組みはどうなっていますか。
 2点目、戦略的な産業振興策の展開、企業立地環境の整備、地域中小企業や起業家の育成支援について。
 アといたしまして、観光・リゾートや情報通信などの分野別の計画策定の意義と今後の取り組みはどうなっていますか。
 イといたしまして、県は特別自由貿易地域制度、情報通信産業振興地域制度及び観光振興地域制度など企業立地推進のための各種制度の拡充と創設を求めているが、企業立地の環境整備に向けて県は独自にどのような取り組みを考えていますか。
 ウといたしまして、既存企業も含め中小企業や起業家の育成を図るための支援策は、内閣府原案はどのように位置づけられていますか。
 3点目に、アジア・太平洋交流・協力拠点の形成について、内閣府原案ではどのような方向を示しておりますか。
 4点目に、大学院大学について、最高水準かつ新しい大学院大学の具体的な中身と県の考え方をお聞かせください。ちょっと表現が抽象的でありますので、例えばですね知事、教授陣についてはノーベル賞を受賞した学者や研究者を教授として招聘するとか、そういう具体的な案もあっていいんじゃないかなと思います。そして一番大事なことは、県内大学との連携はどうなっているかということになろうかと思います。そこら辺もあわせて御説明いただきたいと思います。
 5点目に、新たな沖縄振興においても引き続き社会資本の整備が重要であると思います。内閣府原案で高率補助制度の取り扱いはどうなっているか。本県の脆弱な自主財源では現行並みの高率補助制度は当分の間必要不可欠であります。これが一番大事なポイントだと思いますので、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
 次に、沖縄振興事業に伴う県内業者の優先受注について。
 県内業者への優先発注がされるような配慮が求められるべきだと思います。新しい制度でせっかくの沖縄振興事業が本土大手ゼネコンに吸い取られるような仕組みではどうしようもありません。そこで県はこのことについてどのように取り組むか、お伺いいたします。
 次に、沖縄特別雇用開発推進事業について、それに関連して質問させていただきます。
 7月の失業率が8.9%に達しておりました。そしてきょう発表されました8月の失業率が実に9.2%と前年より0.9%悪化し、大変憂慮しているところであります。この要因の分析、そして県の実効性のある雇用失業対策はどうなっているか、お伺いします。
 ちなみに、全国においても7月は5%、きょう発表された全国の失業率も5%、前年度は4.6%ですから国においても0.4%悪化しているわけですね。沖縄はそれの倍だということでこれはもう県、議会あるいは各種団体、県民挙げて沖縄の雇用失業問題というのを考えなくちゃいけないが、何といってもこれをリードするのが県政でありますので、県政の最重要課題として知事には取り組んでいただきたいなということで知事のお考えについてお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、小泉総理の提唱する「聖域なき構造改革」についてであります。
 公的金融機能の抜本的見直し、地方交付税の見直しを初め税制を含めた諸制度のあり方の見直し、特定財源の見直し等県はこの小泉内閣の「聖域なき構造改革」についてどのように認識して、今後どのように対応していくか、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) 宮平永治議員の質問にお答えいたします。
 最初は同時多発テロについて、米中枢同時テロについての所見を聞きたいとの御質問のお答えでございます。
 今回の米国におけるテロ事件に強い衝撃と怒りを感じております。
 テロ行為は、世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、とりわけ今回は日本を含む世界約80カ国の一般市民が犠牲になるなど米国のみならず世界に対する挑戦であり、決して許すことはできません。このような事件が二度と起こらないよう世界各国が一致協力して対策を講じていく必要があると考えております。
 県としては、事件直後から県系人及び旅行者の安否や在沖米軍基地の状況の確認に努めるとともに、外務省沖縄事務所等へ県民生活に支障が生じることのないよう要望したところであり、今後とも情報収集に努め適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、同じく同時多発テロについてのうち、本県の危機管理体制についてのお答えでございます。
 今回の米国におけるテロ事件に強い衝撃と怒りを感じています。テロ行為は多くの人命を奪い、世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、決して許すことはできません。県としては、県民の生命、生活及び財産を守る立場から、今回の事件が県民生活及び県民の人権に支障を及ぼすことがないよう関係機関に強く要請しています。
 また、日米合同委員会で合意された事件・事故の通報体制等を最大限に活用し、米国で発生した同時多発テロ事件及びその後の日米両政府の対応等に関し、外務省沖縄事務所等を介して情報収集に努めているところであります。
 次に、日米地位協定について、日米地位協定の見直し、米軍基地の整理縮小、海兵隊を含む米軍兵力の削減などを広く全国にアピールする手法についての御質問のお答えでございます。
 県は昨年8月、日米両政府に対し、「日米地位協定の見直しに関する要請」を行ったのを初め、これまで機会あるごとに日米地位協定の見直しの必要性を強く訴えてきたところであります。このような状況の中、去る6月、北谷町で発生した事件を契機に日米地位協定の見直し問題が大きくクローズアップされ、7月の衆議院外務委員会において「日米地位協定の見直しに関する件」が決議されました。また全国知事会において平成14年度の国に対する要望の中で日米地位協定の見直しが取り上げられるなど従来にない動きが出てきており、県の要請がその実現に向けて一歩ずつ前進していると認識しております。
 県は、日米地位協定の見直しを含め、本県の基地問題の解決には全国民が沖縄の基地の現状を理解し、日米安保体制に基づく沖縄の米軍基地の問題はみずからの問題であるという認識を持っていただくことが重要であると考えています。そのためには政府や国会等への要請を初め、全国知事会や渉外知事会などの全国的な会議や来県された各界各層の方々への協力要請、他県における講演会など、あらゆる機会を通して国民世論に訴える必要があると考えており、今後とも粘り強く訴え続けていきたいと考えております。
 次に、15年使用期限問題について、国の閣議決定や覚書を締結するなど、国内問題として処理することによってその解決を図ってはどうかと考えるが、知事の見解を聞きたいとの御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。同問題の解決については、御指摘のことを含め、それぞれの立場でさまざまな考えがあると承知しておりますが、県が移設に当たって整備すべき条件とし、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないと考えております。県としては、今後とも引き続き政府に対し、その解決を粘り強く求めていきたいと考えております。
 次に、新たな沖縄振興について、アジア・太平洋交流・協力拠点の形成について、内閣府原案ではどのような方向性が示されているかについてお答えをいたします。
 内閣府原案においては、「魅力ある地域特性の発揮のための特別措置」として、「国際協力及び国際交流の推進等のための措置」を盛り込む方向性が示されています。県としては、国際会議の開催や大学院大学など知的交流拠点の形成等を図るとともに、那覇空港整備など交流拠点にふさわしいインフラ整備を図っていきたいと考えています。
 次に、新たな沖縄振興について、大学院大学について最高水準かつ新しいタイプの大学院大学の具体的な中身と県の考え方、県内大学との連携はどうなっているかとの質問についてお答えします。
 本県に設置が予定されている大学院大学は、教授陣及び学生の半数を諸外国から受け入れ、かつ教授陣は世界的権威のある研究者を招聘するため身分も非公務員型とし、講義は英語で行うという先例のない画期的な構想となっております。研究内容については、ITを初めバイオロジー、環境科学、ライフサイエンスが有望だと言われております。このような自然科学系の大学院大学が本県に設置されることになれば、我が国の科学技術の創造に貢献するのみならず、沖縄の目指すアジア・太平洋地域の交流拠点としての発展の方向と合致するものであり、ポスト3次振計の目玉事業になるものと期待しております。
 県内大学との連携については、今後検討会における議論の中で明らかになっていくものと考えておりますが、県内大学の学術・研究水準の向上にも寄与するものと期待しております。
 次に、新たな沖縄振興についてのうち、内閣府原案で高率補助制度の取り扱いはどうなっているかについてお答えいたします。
 内閣府原案においては、高率補助制度の継続を求めている県の要望を受け、沖縄振興計画(仮称)に基づく事業について現行法と同様に高率補助制度を講ずることが示されております。
 次に、沖縄特別雇用開発推進事業について、7月の失業率が8.9%に達しているが、その要因は何か、県の雇用失業対策はどうなっているかについてお答えいたします。
 本日発表された本県の8月の完全失業率は、全国的な雇用状況の悪化の影響等もあって9.2%の高い数値となっております。
平成12年の雇用の動向を平成10年と比較しますと、就業者数は1万8000人の増と着実に増加していますが、労働力人口はこれを上回る2万1000人の増加となっております。 また、最近の就職状況を前年同月と比較しますと、県内就職件数は7カ月連続増加しているものの、県外への就職件数は4カ月連続の減少となっております。
これらのことから、県内の雇用機会は着実に拡大しておりますが、これを上回る労働力人口の増加や全国的な経済状況の悪化による県外就職の減少等が高い失業率の要因になっていると考えております。
県においては、雇用状況の改善を最も重要な課題の一つと位置づけ、企業誘致や各種の産業振興策を推進するとともに、幅広い職業能力の開発等技術・技能のミスマッチの解消に取り組んでおります。とりわけ、企業誘致においては平成11年度から情報関連企業を中心に35社が新たに立地しており、その結果、約3000人の雇用を創出しております。
なお、当面の雇用状況に対応するため、今回の補正予算に計上した雇用開発事業や人材育成事業等に加えて、新たに緊急職業能力開発事業の実施や求職者に対する支援体制の整備及び総合的な相談体制の拡充等の緊急雇用対策を取りまとめ、早急に実施してまいります。
また、今後の国の補正予算等経済雇用対策に対応した県としての総合的な雇用対策の取りまとめに向けた具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。 現在、策定作業が進められている沖縄振興新法や沖縄振興新計画においては、既存企業の競争力の強化や新事業の創出支援を図るとともに、産業振興と一体となった雇用の創出と人材育成を重点的な施策と位置づけていきたいと考えております。
 次に、小泉総理の提唱する「聖域なき構造改革」についての御質問のうち、公的金融機能、税制、特定財源等の見直し等、「聖域なき構造改革」についてどのように認識し、また対応していくかについてお答えいたします。
 小泉内閣の「聖域なき構造改革」については、これまでに示されたいわゆる「骨太の方針」や「改革工程表」において危機的状況にある日本経済の再生に向けた方向性や道筋が明確に示されており、基本的には評価すべきものと考えております。
 しかしながら、構造改革への対応についてはその内容が多岐にわたることから、今後具体的な改革プログラムの検討過程を注視しつつ、個別分野ごとに対応策を検討してまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○警察本部長(太田裕之) 今回の米国のテロに対する警察本部長としての所見と、テロ等に対する県警の危機管理体制についてお答えいたします。
 まず最初に、今回のテロによって被害に遭われた方々に対し、心より哀悼の意をあらわしたいと思います。
 今回の同時多発テロは、極めて多くのとうとい人命を犠牲にした卑劣かつ許しがたい暴挙であり、米国のみならず、民主主義社会に対する重大な挑戦であるというふうに受けとめております。県民の生命、身体及び財産の保護に任ずる者として、今後、同種事案に対し各種対策をより強化し、テロから断固県民を守らねばならないという決意を新たにしているところであります。
 また、こうしたテロに対しては、世界各国が力を合わせ対処していくことがぜひとも必要であり、あわせて各国の社会経済システムに混乱を生じさせないためにも、その基盤である治安を安定させることが肝要であるということを改めて責務の重大さとともに感じているところであります。
 現在、県警察としては、政府の関係機関が一体となり、情勢の的確な把握と対応に万全を期し、国内の米国関連施設の警戒警備を強化するとともに、情勢に応じ随時必要な措置をとる、国民に対して適切な情報提供及び注意喚起に努めるなどの方針を踏まえ、その対応に万全を期しているところであります。
 県内には、全国の約75%に当たる米軍基地や米総領事館などが存在し、万一これら米国関連施設へのテロが発生した場合、県民の平穏な日常生活にも重大な影響を及ぼすことが懸念されます。そこでテロ発生後、速やかに警察本部長を長とする警備対策室を設置し、9月23日には警戒警備対策本部に格上げをし、現在、県内の米国関連施設を初め那覇空港などの重要防護施設の警備を一層強化しているほか、関係機関と連携を密にしながらハイジャック防止対策、テロ関連情報の収集などを鋭意推進しているところであります。現在のところ県内におけるテロに関する具体的な情報はありませんが、今後の情勢いかんによっては県外からの特別派遣部隊の受け入れを視野に入れた警戒強化を検討しております。
 また、県警では平素からテロ関連情報の収集に努めているほか、ハイジャックなどの重大な事件に対する措置要領を策定し、ハイジャック防止訓練や人質立てこもり事件を想定した各種訓練を強化しているほか、必要な装備資機材についても整備を図るなど危機管理体制を整備しているところであります。
 最後に、議員を初め県民の皆様には、不審情報等がありましたら、どのような小さなことでも結構でありますので、警察への積極的な通報と警戒警備活動に対する御協力をお願いして答弁を終わります。
○企画開発部長(与儀朝栄) 軍転特措法の改定について、本件は沖縄振興新法に反映されるか、県の取り組みはどうなっているかについてお答えいたします。
国は、本年8月の内閣府原案として示された「沖縄振興特別措置法(仮称)の検討の基本方向」の中で、軍転特措法に関して「給付金支給に係る特例措置」を位置づけております。給付金以外については、汚染物質及び不発弾などの調査及び除去について軍転特措法施行令で「返還実施計画に定める事項」として明示することとしております。
 このようなことから、その根拠法である軍転特措法は延長されるものと理解しておりますが、県としては、軍転特措法が議員立法により成立した経過も踏まえ、関係市町村や沖縄県軍用地等地主会連合会等と連携し延長に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、新たな沖縄振興について、新法制定に向けたスケジュールと今後の取り組みはどうなっているかについてお答えいたします。
 新法の制定に向けては、県が提案した「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」を踏まえ、去る8月末に「沖縄振興特別措置法(仮称)の検討の基本方向」が示されたところであります。この内閣府原案は新法の枠組みを示すものであり、具体的内容については年末までに関連する税制や予算の取り扱いなどが取りまとめられ、来年1月の通常国会に提案される見通しであります。県としては、所要の措置が可能な限り盛り込まれるよう、県議会や県選出国会議員の力添えもいただきながら全力で取り組んでいきたいと考えております。
 次に、新たな沖縄振興について、観光振興等分野別計画の策定の意義と今後の取り組みについてお答えいたします。
 観光振興等分野別計画は、沖縄振興新計画の短期的なアクションプログラムとして位置づけられ、一定の目標を掲げ、同計画に盛り込まれた施策・事業に対して国の支援が得られる重要な意義を持つものであります。県におきましては、今後、各分野における関係者の意見を踏まえ、分野別計画の内容、国の支援策等について国との調整を積極的に行ってまいりたいと考えております。
○知事公室長(親川盛一) 宮平永治議員の旧軍飛行場用地問題の解決促進についての県の取り組みはどうなっているか、またこの問題に対処するため県にプロジェクトチームをつくってはどうかという趣旨の御質問にお答えをいたします。
 戦後56年の長期間にわたって、旧日本軍に接収された土地の所有権回復を求めてこられた旧地主の方々の心情と御苦労については県としても十分に理解しております。
 また、去る6月県議会において「沖縄県所在旧軍飛行場用地の早急な戦後処理を求める意見書」が採択されたことを重く受けとめております。
 県は現在、旧地主が指摘している戦後処理問題として取り扱われたとされる他県における旧日本軍接収用地の返還事例について那覇市と連携して関係自治体に対して照会しているところであり、また同事例のうち、現在も空港や米軍施設として利用されている他県の土地について直接現地に赴き、当時の処理状況等を調査する予定であります。県としては、その調査結果等を踏まえ、本県における旧日本軍接収用地問題を戦後処理問題として位置づけることが可能かどうか検討したいと考えております。また、プロジェクトチームの設置につきましては、調査結果等を踏まえ検討してまいりたいと考えております。
 次に、嘉手納基地爆音被害の公平補償について、今日までの県の取り組みはどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
 県は、嘉手納基地周辺地域に居住し、嘉手納基地爆音訴訟に加わらなかった住民も訴訟参加者と同様に受忍限度を超える騒音被害をこうむっていると認識しており、昨年10月20日、那覇防衛施設局に対し、嘉手納基地爆音訴訟に加わらなかった住民の受忍限度を超える過去の騒音被害に対し適切な措置を講じるよう文書で要請したところであります。
 また、この件については、昨年12月に来県された当時の橋本沖縄開発庁長官や斉藤防衛庁長官に要請を行うとともに、去る8月24日に来県された中谷防衛庁長官に対しても同様な要請を行ったところであります。
県としては、航空機騒音問題を初め基地から派生する問題については、基地の提供責任者である日本政府が責任を持って対応すべきであると考え、これまで騒音被害に対する適切な措置を国に対し要請してきたところであり、今後とも引き続きその実現方を働きかけてまいりたいと考えております。
なお、国が、現行の騒音対策事業では解決できない精神的な被害対策の施策を模索するため、神奈川県の厚木基地周辺で実施していた住民の意識調査が去る7月に完了し公表されておりますが、同報告書では、騒音被害地域への支援策として、「児童・生徒のための学習施設や老人・女性が利用しやすい集会施設の設置」、「移転跡地を市民菜園、運動広場などに開放する」等の要望が住民から寄せられております。県としては、今後、本件に関する国の施策展開の動向等も踏まえながら対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○商工労働部長(花城順孝) 新たな沖縄振興について、県は企業立地の環境整備に向けて独自にどのような取り組みを進めていく考えかという御質問にお答えいたします。
 企業立地の環境整備に向けた県独自の取り組みとしましては、特別自由貿易地域において初期投資負担を軽減し、企業立地を促進するための賃貸工場の整備を初め、土地の賃貸方式の導入や工業等立地促進条例の拡充を検討するなど投資環境の一層の充実に努めてまいります。
 また、情報通信コストの低減化支援のための通信回線の借り上げや、IT人材育成の拡充を行うほか、魅力ある観光地域を創設するため市町村との連携を強化し、さらなる観光振興地域指定の推進を図るなど企業立地の環境整備に向け引き続き努力をしていきたいと考えております。
 次に、同じく新たな沖縄振興について、既存企業も含めた中小企業や起業家の育成を図るための支援策は、内閣府原案にどのように位置づけられているかという御質問にお答えをいたします。
 平成13年8月に内閣府が示した「沖縄振興特別措置法(仮称)の検討の基本方向」、いわゆる「内閣府原案」では、中小企業の育成を図る支援策として「産業の総合的な振興」や「沖縄型重要産業分野の中小企業発展支援」等が示されております。「産業の総合的な振興」においては、産業総合振興地域(仮称)の課税の特例等措置及び自由貿易地域・特別自由貿易地域制度を拡充することとしております。また、「沖縄型重要産業分野の中小企業発展支援」については、「沖縄の産業発展を図る上で特に重要な産業分野に属する中小企業が行う発展的事業活動を支援するため、課税の特例等の措置を講ずる。」こととしております。
 内閣府原案で示されたこれらの措置は、法律で制定される制度面についての基本方向を示したものであり、既存企業も含めた中小企業や起業家の育成を図るための支援策としては、これらのほかに沖縄振興新計画に基づいて実施する各種の予算事業等が措置されることとなっております。
 なお、内閣府の「平成14年度沖縄振興の重点施策案」におきましては、新法のもとで沖縄振興新計画を策定するとともに、新計画の初年度として「沖縄産学官共同研究の推進」、「物流効率化システム構築実証調査事業」及び沖縄振興開発金融公庫の新事業育成等のための出資金等が盛り込まれております。
 以上でございます。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 沖縄振興事業に伴う県内業者の優先受注について、県内企業への優先発注について県はどのように取り組んでいるかとの御質問にお答えいたします。
 県内企業への優先発注については、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」の中で、「建設業は、社会基盤整備の担い手として、本県経済において重要な役割を果たしていることから、時代潮流に対応した振興を図る。」、また「県内企業の受注機会の積極的な拡大に努める」という文言を記述してあります。
 県の公共工事の発注につきましては、「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」に基づいて県内企業に優先的に発注しており、国に対しましても毎年同趣旨の要請をしているところであります。
 また、国が発注する公共工事の県内企業受注機会の拡大につきましては、さきの尾身沖縄担当大臣来沖の際に要請を行ったところであり、大臣からは積極的に対応するとの回答をいただいております。今後とも、国に対しまして県内企業の受注機会の拡大について継続的に要請を行うとともに、国と連携等を含め総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
    午前11時59分休憩
    午後1時21分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 午前に引き続き代表質問を行います。
 伊波常洋君。
   〔伊波常洋君登壇〕
○伊波 常洋 自民党の代表質問をいたします。
 ニューヨーク世界貿易センタービルへの民間機を武器にしての同時テロが発生いたしました。いまだに行方が知れず、死亡者を含め行方不明合わせて6000人余の犠牲者が見込まれております。断じて許せない行為です。観光立県である我が県にも既にこの事件の影響が及んでおり、予定されていた沖縄への修学旅行等のキャンセルが相次ぎ、観光関連業界が今痛手を負っております。今後その影響はさらに出てくるものと思われますので、県当局におきましてもその善処策をぜひ早急にとっていただきたいと思います。
 今回のテロは無差別であり、しかも見えざる敵ということで、この種のテロが今後世界のどこでも発生し得る可能性があります。我が国はもちろん、本県においても危機管理体制及び情報収集強化を望みます。
 それでは質問に入ります。
 まず、台風16号の被害状況について、及び復旧作業についてお伺いいたします。
 今回の台風16号による被害は、沖縄各地で被害が発生しており、ほぼ全市町村で被害があったと言ってもいいほどであります。その中から特に被害が甚大であったと思われるところを抜粋してお聞きいたします。
 通告書には渡嘉敷村とありますけれども、渡名喜村の打ち間違いでありますので、御訂正をお願いいたします。渡名喜村の家屋被害、特に全壊、半壊の被害が大きかったと聞いております。その渡名喜村における家屋の全壊の件数、そしてなぜこの渡名喜村だけにこれだけ多くの家屋全壊が発生したのか、その原因と思われるもの、そして復旧策としてどういう策をとられておるのか、お聞きします。
 次に、今回は台風16号に伴って未曾有の大雨の害ももたらされました。特に新聞報道で見る限り、中部の沖縄市、石川市、具志川市、北中城村の各市町村で多くの床上浸水があったと報告されております。それぞれの市町村の床上浸水の件数、床上浸水の発生した原因、地形的なものによるのか、あるいは排水施設の不備によるものか、いろいろあると考えられますので、その原因をおわかりであればお聞かせください。
 そしてその復旧策はどういう策をとられておるのか、お聞きします。あるいはその被害市町村任せなのか、それもあわせてお聞きいたします。
 (3)点目に、農作物あるいは畜舎を初めビニールハウス等農業施設の被害、そして水産業あるいは船舶の被害等についてもお聞かせください。
 以上、上記の地域で今回甚大な被害があったんですけれども、災害救助法が適用される基準というものはいかなるものか。上記の被災地で適用された地域はどこなのか、それぞれお聞かせください。そして災害救助法とはどのような助成なのか、その内容もお聞かせください。
 (5)点目に、河川にホテイ草という浮き草みたいなものですけれども、ホテイ草が繁茂し水面を埋め尽くされている河川を多々見受けます。今回の河川のはんらんの原因にもなっていると私は思っていたんですけれども、県河川課が調査したところ、それによる原因のはんらんは今回はなかったということで、この河川のはんらんの原因というところは削除いたします。
 また、水中生物、つまり小魚やあるいはカニ類、ウナギ類などの水中生物がホテイ草が繁茂することによって呼吸しづらい環境になり、生息環境を悪化させ、その小魚等を食する水鳥も姿を見せなくなっている河川がたくさんあります。
 例えば、私の町の石川川上流、ここはかつては水鳥の多く飛来するところであったんですけれども、このホテイ草が密生することにより魚がすめなくなり、同時に、えさとなる魚がいなくなることによって水鳥も来なくなった川になっています。そして具志川市にあります天願川下流でも同じようにホテイ草が密生し、今回の台風の大雨によって流されたホテイ草が海にたくさん流出し、漁業に支障を来していると漁協から聞いております。
 今回のことを機に全県の特に県管理であります2級河川を総チェックをいたし、そんなに予算のかからないものは早急に私は対策をとるべきだと思いますけれども、県当局の御意見をお伺いします。
 2点目に、返還軍用地の跡地利用及び補償についてお伺いいたします。
 大規模軍用地等の返還については、その補償とか跡地利用とかいろいろと論議され注目されているんですけれども、小規模な軍用地、特に軍転特措法以前の小規模あるいは部分返還の軍用地跡地については何ら補償もなく、世間の、あるいは政治の注目もなく、復帰後返された返還地等は特に全くの野放し状態のところが多々見受けられます。
 そこでお伺いしますけれども、軍転特措法施行以前に返還された軍用地で全く開発されず、今後その返還地の所在する当該市町村がその地域の開発を計画したとき、道路や上・下水道のインフラ整備に当たっては県、国にはどのような支援策がとられるのか、お伺いします。
 (2)点目に、同じく返還軍用地の跡地利用ですけれども、平成15年に嘉手納弾薬庫基地の一部が返還されます。その返還される一部には泡瀬のゴルフ場の移設が予定をされています。しかし使いづらい山の斜面や谷底などはそのまま地主に返還されます。国による買い上げ等特別な措置をとる必要はないか、お伺いいたします。
 (3)点目に、固定資産税の減免についてお伺いします。
 これは、私は県会議員に上がる前に石川市議会議員をやっておりましたので、地方議会でも聞いたことなんですけれども、ぜひこの案を県としても取り上げていただきたいと思います。
 さきの台風16号のように、沖縄県は毎年恒常的に台風が襲来するところであり、そのために台風に耐え得る強固な家屋、ほとんどコンクリートづくりですけれども、強固な家屋をつくらねばならず、その分建築コストもかかって固定資産税も高くつくというわけですが、災害対策を理由に県は国に家屋の固定資産税の減免を訴えるべきではないでしょうか。仮にその固定資産税を減免した場合、その自治体における固定資産税の減税分は交付税で当然措置されるべき策を講じての上での要請をお願いできないでしょうか。
 4点目、5点目、この2点は、さきの中部市町村会の要請事項によるものでありまして、この議場で再度県の対応をお伺いいたします。
 まず、松くい虫被害対策について。
 県は5年計画で撲滅させるという計画を持っていますけれども、5年と言わず、でき得る限り早期に、駆除したそばからまたうつっていくというような時間的な猶予を与えず、短期間で県全体を一気に撲滅するような措置をとっていただきたいと思います。
 まずその中で(1)点目、公有林は当然税金や予算で駆除対策をとられるはずですけれども、公有林ではない個人の松林はどうするのか。つまり、私有財産に公的な予算をかけるという問題が生ずるんですけれども、その辺の対策はどうするのか、お伺いします。
 たしか中城村でしたかね、公有林の中にまた私有林もたくさんありまして、村の方で公有林を駆除しても私有林には手がつけられず、またそこから公有林に松くい虫がうつっていくという悪循環を繰り返しているという例も聞いております。
 (2)点目に、これまで各市町村が松くい虫の駆除を実施するに当たっては、県の駆除対策に対して補助率は幾らなのか。でき得るならば全県的に一斉にするためにこれを県事業としてできないものかもあわせてお伺いします。
 そして(3)点目に、当然広大な沖縄の基地の中にも松はあります。そこの駆除に当たっては、基地の中ですから何かと問題があろうかと思いますけれども、しかし当然駆除すべき地域でもあります。基地内の松くい虫被害除去はどうするのか、お伺いいたします。
 せっかく県木であるリュウキュウマツが中部を初め大変な被害状況で、こんなありさまでは県木どころか面目ないというところでありますので、早期の解決をお願いいたします。
 来年の4月に予定されています県単一JA合併について、さきの新聞報道によりますと、来年度の県単一JA合併については、県内黒字の3JAが参加を見送ることを明らかにしました。県農林水産部は、経営改善計画を早急に示し、来年4月1日の合併を目標どおり目指すとしていますが、この黒字3JAが参加を見送るなど今後合併に向けての問題点あるいは合意形成の取り組みをお伺いいたします。
 最後に、県立中部病院の移転に伴う診療制限についてお伺いします。
 つい先日、県立中部病院の新館の開院式が伊良皆議長、そして知事代理の比嘉副知事御出席のもと行われ、立派な新館のお披露目となりました。たしか3階フロアでしたか、周産期母子医療の専用フロアもありまして、これまで中部病院が担ってきました一次・二次・三次診療、そして特に特筆すべきは24時間の救急医療、そしてハワイ大学との提携によります研修センターとしての中部病院、それこそ戦後の沖縄の医療をリードしてきたこの県立中部病院が新たに機能を発揮し、ますます沖縄県の医療に貢献されますよう期待を大にしました。
 ところで、この県立中部病院の新館への移転作業が10月1日から2週間かけて始まります。その間、患者の受け入れや診療の制限が行われることになっています。この制限分の他機関への受け入れ体制はどうなっているのか。特にこれまで中部病院がやってきました24時間救急部門は一刻の猶予も許されないが、その救急体制はどうなっているのかもお伺いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 伊波常洋議員の御質問にお答えいたします。
 松くい虫対策についてのうち、公有林は当然だが、私有林はどうなるのか、次の市町村が駆除実施するに当たっての県の補助はどうかについて、関連しますので一括してお答えします。
 県においては、県木であるリュウキュウマツを松くい虫被害から守るためこれまで防除対策を講じてきました。 平成13年度の松くい虫の被害は約2万立方メートルの発生が予測されております。
 公益的機能の高い保安林などの防除については、森林病害虫等防除法に基づき国庫補助事業により実施しております。私有林等「その他松林」は、森林所有者等の自主防除が基本となっております。
 しかし、松くい虫の被害は大半が私有林であるため、資金、労働力等の面から十分な防除ができない状況にあります。このため、県では9月の補正予算において約1億1000万円を確保し、市町村が実施する「その他松林」の防除費として補助する考えであります。今後、松くい虫の根絶を図るため条例を定めるとともに、平成14年度から5カ年計画で県民参加の「松くい虫ゼロ大作戦」を実施してまいります。
 次に、県単一JA合併について、県単一JA合併の問題点、合意形成への取り組みについてお答えをいたします。
 県単一JA合併構想は、農業を取り巻く厳しい社会経済環境の変化に対応し、強固な経営基盤を確立するため平成13年3月の第16回JA沖縄大会において決議されたものであります。
 JA沖縄グループでは、同構想を実現するため沖縄県農協中央会、信用農業協同組合連合会、経済農業協同組合連合会と全JAの代表者で構成する合併推進本部委員会を設置しております。現在、同本部委員会のもとで全国支援による経営困難JAの赤字処理、合併に向けたJA間の財務調整、合併後の経営計画の樹立等の課題解決に向けた取り組みが行われているところです。
県としても、同構想の実現を支援するため単一JA合併支援対策班を設置し、本県農業の振興と農家経営の安定が図られるよう、経営困難JAの指導等を強化しているところであります。今後とも、同構想が実現するよう合併の合意形成に向けて積極的に支援していきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化環境部長(永山政邦) 台風16号被害につきまして、渡名喜村の家屋被害の件数、原因及び復旧対策について、そして沖縄市、石川市、具志川市、北中城村の床上浸水の件数、原因及び復旧策について、そして災害救助法が適用される基準について、適用される地域はとの3つの御質問について一括してお答えいたします。
 今回の台風16号は、長時間にわたる強風と記録的な豪雨を伴ったため県内各地で多くの被害をもたらしました。特に渡名喜村では勢力を増した台風が同村の近海で約40時間も停滞したため、家屋において全壊20棟、半壊40棟、床上浸水58棟、床下浸水32棟の甚大な被害となっております。
 また、沖縄市における床上浸水が511棟、石川市では38棟、具志川市では41棟、北中城村では29棟となっております。これは、9月7日から8日の未明にかけての記録的な豪雨によるもので、特に沖縄市においては1時間で101ミリを記録しております。
 県としましては、特に被害の大きかった渡名喜村、沖縄市に対して災害救助法の適用を決定し、被害に遭われた方々の救済策を講じるとともに、関係部局において復旧に向け具体的な作業に着手しているところであります。
 災害救助法の適用については、同法施行令により市町村の人口規模に応じた適用基準が定められております。同適用基準によりますと渡名喜村は30世帯、沖縄市は100世帯、石川市は50世帯、具志川市は80世帯、北中城村は50世帯以上となっております。
 同法施行令では、家屋の全壊を1世帯とし、半壊を2世帯、床上浸水3世帯をもって1滅失世帯とみなすことになっており、今回の被災世帯を同規定に適用しますと渡名喜村が59、沖縄市が171、石川市が12、具志川市が14、北中城村が9の滅失世帯数となります。
 今回の災害では、沖縄市と渡名喜村が適用基準を超えたため、それぞれ9月8日、9月11日に災害救助法を適用いたしました。
 災害救助法による応急救助といたしましては、避難所の設置、食品の給与、飲料水の給与、寝具、生活必需物資の給与、住宅の応急処理、学用品の給与、それから仮設住宅の設置等が応急救助として実施されることになっております。
 以上であります。
○農林水産部長(天願貞信) 台風16号被害につきまして、農作物・農業施設及び水産業・船舶の被害状況についてお答えいたします。
台風16号による農林水産業関係の被害額は、9月25日現在で26億9100万円となっております。
 被害状況の内訳としましては、農作物が7億円、農地・農業施設関係で12億5500万円、水産関係で 2億3300万円、うち漁船の被害が1億7200万円、林業関係で4億8100万円、畜産関係で2200万円となっております。
 今後の対策としては、農道、林道等の基盤施設関係については災害復旧事業等で対応してまいります。また、農作物や漁具等につきましては、共済制度による補償や漁船保険制度が適用されることになります。
 次に、松くい虫対策につきまして、基地内の対策についてお答えいたします。
 基地内の松くい虫被害対策については、従来から米軍や那覇防衛施設局が県と連携して防除事業を実施しております。
 平成12年度の基地内の被害対策は約2億4000万円の予算措置がなされ、約1万3000本の被害木の駆除を実施しております。今後とも引き続き松くい虫の根絶に向けて関係者が一体となった防除を実施してまいります。
 以上でございます。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 台風16号被害について、その中で河川にホテイ草が繁茂し水中生物の生息環境を悪化させ、連鎖で水鳥も姿を見せなくなった河川がある、これを機に県内河川の総点検を行い、しかるべき対策をとるべきではないかの御質問にお答えいたします。
 県内河川において、ホテイ草は主に本島中部の天願川や石川川等に自生しており、密生繁茂し、水面を覆うようになると水中生物の生息環境等に影響があると言われております。
 このため、県の管理する2級河川においては、繁茂したホテイ草について適宜除去を行い、河川環境の保全等に努めているところであり、平成13年度は石川川上流部において除去を行う予定であります。
 今後とも、各河川におけるホテイ草の繁茂状況等を点検し、今後とも適正な維持管理に努めていきたいと考えております。
○企画開発部長(与儀朝栄) 返還軍用地の跡地利用及び補償について、軍転特措法施行以前の未利用となっている跡地において開発が計画されたとき、県、国にどのような支援策があるか、平成15年に嘉手納弾薬庫基地の一部が返還されるが、使いづらい山の斜面や谷底などを国による買い上げ等特別な措置をとる必要はないかについて一括してお答えいたします。
 軍転特措法施行以前の未利用となっている跡地において、開発整備事業が実施される際の国、県の支援策については、開発事業に対する指導・助言のほか、関係市町村と連携しながらインフラ整備に係る現行の補助事業を実施していくことが考えられます。
 また、御質問のような返還予定地において、有効利用の困難な斜面等の買い上げ等に係る特別措置については厳しいものがあると考えております。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 固定資産税の軽減についての御質問にお答えをいたします。
 固定資産税は、土地、建物等の固定資産を保有している者に対しまして、その資産価値に応じて担税力を認め、全国統一の基準で評価をして課税されるものであります。
 また、資産価値を評価するための家屋に係る評価基準では、災害対策としての家屋の強化部分に係る評価額の算定が困難であるため、災害対策を理由とした固定資産税の減免については考慮されておりません。
 なお、台風等の災害により家屋に被害をこうむった場合には、市町村の条例の定めるところによりましてその被害の程度に応じた固定資産税を減免することができることになっております。
 以上でございます。
○病院管理局長(新田宗一) 県立中部病院の移転に伴います患者の受け入れ体制についての御質問にお答えいたします。
 県立中部病院は、このほど新病棟が完成いたしまして、来る10月15日から新たに総合周産期母子医療センターなどの高度な機能を持った病院として診療を開始いたします。
 新病院での診療開始に先立ちまして、入院患者の移送と多くの医療機器の移設が必要となりますが、これらの作業を安全かつ円滑に実施するためには多くの労力と時間を要することから、10月1日から14日までの期間、一定の診療制限を実施せざるを得ない状況であります。
診療制限期間中における一般外来診療や救急診療につきましては、中部地区医師会の協力のもと医師会傘下の民間病院や琉球大学附属病院、県立那覇病院等による医療体制を組んで対応することといたしております。特に新生児集中治療につきましては、県立那覇病院を中心とした南部医療圏新生児ネットワークで対処するほか、脳神経外科につきましては主に中部地区の民間病院と琉球大学附属病院で対応することとしております。
 また、救急診療については、一次救急及び二次救急を中部地区等の診療所や病院で対応し、重症患者を扱う三次救急につきましては、これまでどおり中部病院及び琉球大学附属病院で対応いたします。
 なお、県民の診療制限に対する不安を解消するため、医療に関する相談窓口を中部病院及び中部地区医師会に設置するとともに、中部病院と急患搬送を担う消防機関を結ぶホットラインを設置するなど万全を期しております。
 以上でございます。
○伊波 常洋 答弁漏れ。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後1時56分休憩
   午後1時57分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 土木建築部長。
   〔土木建築部長 屋比久孟尚君登壇〕
○土木建築部長(屋比久孟尚) 先ほど文化環境部長からの答弁の中で、今回の異常気象、これはもう1時間に101ミリということで、これは確率からすると100年に1回の確率の降雨に相当すると。それが一般的な原因だと思うんですが、土木建築部で所管している河川を一つ例にとらえて説明しますと、例えば沖縄市で比謝川周辺が相当浸水被害があるということで、これは今度の雨に限らずこれまでも例えば1時間に50ミリ以上の雨とか、そういったのについて例えば国道330号にかかるボックスから上流側の地域とか、あるいは知花橋から上流側の地域とか、これは過去にもそういったところについては浸水被害は出ております。
 これは、確かに河川でやりますと、河川については基本的には下流側から整備をしていかないといけないんですが、たまにはいろいろと地権者等のなかなか御理解、あるいは協力が得られなくて用地の提供ができないとか、そういった部分的なところがあって、いわゆるそれも一つの原因になっているのではないかなという感じはしております。
 それにつきましても、これから地域の皆さんの協力を得ましてそういった形のないように、そういった対応をしていきたいという考えは持っているんですが、一概に今度のそういった被害等についてこれがこういう原因だと、あるいはこういう原因でそうなっているということについてはまだ時間がかかると思いますので、そういう形で御理解いただきたいと思います。
○友寄 信助 護憲ネットワークを代表いたしまして、さきに通告した順に従って代表質問を行います。
 まず第(1)点目は、知事の政治姿勢についての米同時多発テロ事件についてであります。
 9月11日、ニューヨークの世界貿易センタービルとワシントンの米国防総省を襲った同時多発テロは、世界を震撼せしめ人々を恐怖のどん底に突き落とした。まず、今回の事件で亡くなられた多くの方々に心から哀悼の意を表します。
 今回のテロ事件は、その規模と凶悪さの点では史上例のない最悪の事件である。何の罪もない一般市民をも巻き添えにしたまことに残忍な無差別殺人にほかならず、犠牲者や遺族らの悲嘆さと無念さははかり知れないものがあると思う。
 テロの標的となったのは、米経済の繁栄の象徴である世界貿易センタービルと軍事超大国の司令塔である国防総省で、経済、軍事両面で世界を主導する米国の中枢なのである。こうした凶悪なテロに対してブッシュ大統領は、「我々はこれまでにない敵と対決している。世界の自由と民主主義に対する戦争行為」と声明し、テロを国際社会全体に対する重大な挑戦と受けとめ、テロ封じ込めに軍事力をもって対処することを明らかにした。そして国内に最高の警備体制をしき、同時に各国の米軍基地に対しても厳戒体制がしかれ、県内の米軍基地は現在も物々しい警戒体制がとられ、米国の有事体制と直結した在沖米軍基地の実態が浮き彫りにされているのであります。
 前田哲男東京国際大学教授は、「南西諸島の軍事能力が今まで以上に重視され、米国の沖縄に対する執着が強まり、基地整理縮小に逆行する恐れがある。」と懸念を表明しております。
 今回のテロ事件を口実に在沖米軍基地の現状を維持強化させるようなことがあってはならない。また、今回の事件を契機に日本の集団的自衛権の行使問題が一気に浮上し、与党間ではにわかに「有事法制」や「米軍支援新法」の制度を急ぐ動きもあらわれ、平和憲法に反する日本の軍事体制の強化が懸念されているのである。
 無差別、残忍なテロ行為は断じて許せないが、日本は平和憲法に照らして平和的に国際機関を通して冷静に対応すべきである。今回のテロ事件とこうした国内の危険な動きをどう受けとめておられるか。また、観光者の減少や県経済に与える影響はないのか、知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 (2)点目は、テロ事件と在沖米軍基地への影響についてであります。
 特殊部隊や海兵隊など在沖米軍が中東地域に派遣され、臨戦態勢に入っているが、沖縄がテロの攻撃や戦争に巻き込まれるおそれはないのか。
 また、県は外務省の要請を受けて原子力潜水艦の出入港時の予定日、時間などの公表をこれから差し控えることを明らかにした。過去に那覇軍港で放射能漏れ事故があったように、県民の健康と安全を守る立場から情報公開は最優先されるべきである。さらに、非核三原則も空洞化されるおそれがある。県民の不安をなくし安全確保を図るため、従来どおり事前通報を行うべきだと思う。知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 2点目には、小泉構造改革と沖縄への影響についてであります。
 1990年代以来の日本経済、社会の大停滞と閉塞感から脱皮し景気を回復し財政の立て直しを図るため、小泉内閣は「聖域なき構造改革」を打ち出した。その主な内容は、不良債権処理、国債を30兆円以下に抑える、国の公共工事の10%削減、地方交付税交付金の見直しや特殊法人の見直し等でその実施に向けて作業が着々と進められている。不良債権処理によってゼネコンを初め関係企業のリストラ、倒産が発生し、これに伴い50万人から350万人の失業者が発生すると推測されている。国民や勤労者にとっては大変な痛みを強いられることになり、大量失業者の発生でむしろ景気が後退する懸念もあって実効ある構造改革の推進を危ぶむ声さえ聞かれるのであります。
 また、今回の構造改革は沖縄にとっても大変なインパクトを与えることが予想される。まず、地方交付税交付金の見直しについては、現在の20兆円の地方交付税のうち5%の1兆円を削減するという。所得が低い県に傾斜配分するので沖縄の場合は5%減少にはならないにしろ、何らかの影響が出るのではないかと思われる。特にポスト3次振計に向けて振興新法、施策課題とその裏づけとなる予算確保に向けて取り組んでいるところであるが、これに対する政府の対応も厳しくなるのではないか。小泉構造改革と沖縄への影響についてどう受けとめておられるのか、知事の御所見をお聞きしたい。
 また、改革の断行によって失業者の増大が予想される。本県の失業率が8%余という深刻な状況下で建設業に依存する本県にとってはなおさらのことである。振興新法の制定と施策計画の実現と相まって雇用対策の抜本的対策を講ずる必要があるが、県の今後の対応をお聞きしたいと思います。
 3点目には、沖縄振興開発金融公庫の廃止の動きについてであります。
 小泉改革の大きな柱である公団・公社などの特殊法人改革が本格的に動き出している。その対象の一つになっているのが住宅公団で、沖縄振興開発金融公庫も含まれているのである。これが廃止となると中堅、低所得者の住宅確保に大きな影響を与えることになる。
 住宅公庫の有利な点は、長期・固定・低利の融資である。現在は低金利で民間金融機関には住宅公庫より条件のいいローンも登場しているが、ほとんどが金利の固定期間は3年ないし5年である。期間が終わるたびに金利が変動するため最高で35年の固定金利が用意されている金融公庫の方が有利なのである。
 沖縄公庫は、住宅資金の貸付残高が約9000億円に上り県民のニーズも高く、その他産業開発資金など各種貸付事業で県内民間金融機関の資金供給量の不足を補い、県の産業経済発展に大きく寄与してきたのである。かかる観点から沖縄金融公庫の存続は欠かせないのである。現公庫の存続の見通しはついているのか、今後の対応とあわせて知事の御所見をお聞かせください。
 4点目には、振興新法、重点施策と概算要求についてであります。
 振興新法と重点施策について。
 新たな沖縄振興特別措置法と重点施策の内閣府の原案がまとまり、ポスト3次振計の沖縄振興の骨子が示された。沖縄県は、復帰後3次にわたる振興開発計画を策定し、本土との格差を是正し、自立的経済の基礎条件の整備を図ることを基本目標に各種の振興開発事業を展開し、社会資本の面ではかなり整備が進められてきました。県は、これまでの3次にわたる振興開発計画の総括と反省の上に立って新たな振興新法、施策課題の原案を県民的な討議を踏まえてまとめて国に提案した。
 それは、沖縄の優位性を活用して産業の振興を図り民間主導による経済の自立化を目指すものである。そのためには特別自由貿易地域の関税規制の大幅緩和など思い切った一国二制度的な税制度の確立が求められている。ところが、内閣府の原案では離島─本土路線の航空運賃の軽減措置が漏れるなどほとんどが「制度を拡充する。」という抽象的な表現にとどまり極めて不透明な点が多い。これでは21世紀の沖縄像が見えてきません。小泉改革とも絡んで制度・施策計画が骨抜きにされてはならないと思います。
 そこで知事にお尋ねをいたします。
 内閣府が提示した制度・施策計画原案を県はどう受けとめておられるのか。今後政府と詰めていくべき重要な点は何なのか、県の対応をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、来年度予算の概算要求についてであります。
 振興新法の内閣府原案とあわせ沖縄担当部局が計上した来年度予算の概算要求は、本年度当初比2.5倍増の3577億円となっている。産業振興などソフト型の非公共事業が本年度の1億3000万円から来年度は45億6000万円と一挙に35倍も増加して、公共事業関係費は昨年同額の要求額となっており、全体の8割を占め沖縄予算の中心となっていることは変わっていない。しかし本格的な予算の詰めはこれからであります。
 小泉内閣の「聖域なき構造改革」が進められる中で今後どう切り込まれていくかわかりません。沖縄振興新法に基づく制度・施策計画のスタートの年に当たる新年度の概算要求は産業構造の転換につながるだけに、それにふさわしい内容が伴うものでなければなりません。県は、来年度概算要求の内閣府原案をどう受けとめておられるのか。また、積み残された課題と今後の対応についてお聞かせ願いたいと思います。
 次に、ゲーミング(カジノ)の導入の動きについてであります。
 県内の経済団体で組織する県経済団体会議は8月21日、ゲーミングの導入のための制度創設を政府・与党関係者に要請しました。これまでもしばしばカジノ導入の意見が散見されてきたが、今回の場合は振興新法・計画の策定と関連して組織的に動き出したことが注目されます。カジノ導入は振興新法、施策の検討段階でも深い議論はなされておらず、また県民の間でも否定的な意見も多く、県民の共通認識に至っておりません。
 関係者は、沖縄振興新法、施策計画の中に盛り込むことによって地域限定のカジノ導入を図ろうとしておりますが、県民の反発を受けることになり、観光沖縄の健全なイメージが損なわれるおそれはないか懸念されます。したがって、県民のコンセンサスも得られていないカジノの導入には慎重に対応すべきだと考えますが、知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 (4)、旧日本軍の強制接収用地の問題についてであります。
 沖縄の戦後処理の一つに旧日本軍に接収された飛行場用地の所有権問題があります。日本軍は、沖縄戦の直前に飛行場用地として県内各地で農地などを接収して軍民を動員して現在の米軍嘉手納飛行場である旧日本軍の屋良飛行場などを建設した。戦後これらの飛行場用地はすべて国の財産となったが、地権者は「旧軍飛行場用地問題解決促進協議会」を結成し、政府に対して所有権の回復を求めて運動を展開してきました。
 しかし、国は、私法上の売買契約を経て国有財産になったとして主張して譲らず問題解決には至っておりません。他県でも同様なケースがあったが、ほとんどが閣議決定などで旧地主に返還され解決を見ているようであります。復帰30周年を迎えようとしている今日、この問題が解決を見ていないのは政府の怠慢であり、国は早急に所有権回復を図るべきである。地主会は、できれば沖縄振興新法の中に位置づけて解決を図るよう求めております。県も問題解決のため積極的に取り組むべきであると思うが、今後の対応をお聞かせいただきたい。
 5番目には、復帰30周年記念事業についてであります。
 沖縄県は、平成14年5月15日で復帰30周年を迎える。この間、3次にわたる沖縄振興開発計画に基づき各種の事業が展開され、社会資本の面ではかなりの整備が進められてきました。
 一方、米軍専用基地の75%を占める本県の基地の現状は一向に変わらず、SACO合意に基づく普天間基地の北部海域移設条件つき返還に見られるように、新たな基地建設によって基地機能は一層強化されようとしております。講和条約発効50周年を迎えた今日、県民は依然として基地の重圧に苦しんでいるのである。私たちは、復帰30周年記念事業をお祭り騒ぎに終わらせてはならないと思います。復帰の時点で県民が求めたのは、基地のない平和な沖縄の建設を目指すという平和憲法への復帰の原点を忘れてはならないと考えます。
 そこで知事にお尋ねいたします。
 復帰30周年記念式典の開催は県独自の開催か、それとも国との共催になるのか。
 県は、記念事業としてソフト面では「沖縄平和賞」の創設など18事業、ハード面では2事業と検討課題の2事業が予定されているが、最終的には幾つの事業になるのか。検討課題である県立現代美術館・博物館新館建設は予算確保のめどがついているのか。
 復帰運動の一環として、当時最北端の国頭村辺戸岬にて「かがり火集会」が催された場所に、5月15日の沖縄返還を記念して「復帰記念碑」が建立されております。この地は、最近、公衆トイレはつくられておりますが、周辺の整備はなされておりません。国頭村からも公園として整備するよう求められており、この際、復帰30周年の節目に「復帰記念公園」として整備をしてはどうなのか、知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 また、県は同事業の一環として平和賞の創設は5月ないし7月中に予定しておりますが、その第1号をどのような功績のあった人に与えることがふさわしいと考えておられるのか、知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 6番目には、世界のウチナーンチュ大会の開催についてであります。
 第3回世界のウチナーンチュ大会が来る11月1日から4日間の日程で開催されることになった。県は、この大会を「世界各地で活躍するウチナーンチュ(県系人)を中心とする人的ネットワークを拡大発展させ、「世界の架け橋」を構築し、経済、文化、教育等あらゆる分野にわたる持続的な交流を促進する」と位置づけて大会成功に向けて着々と準備を進めてきております。今回も世界各地の県人の間からは大会開催に大きな期待が寄せられております。
 去る8月14日から29日までの約2週間にわたって、本議会から伊良皆髙吉議長を団長に議員9名と議会職員3名の計12名が南米各地を訪問する機会を得ました。今回はアルゼンチン県人会創立50周年記念式典に参加することを中心に、ブラジル、ボリビア、メキシコとサンフランシスコなどの県人会との交流を深めてきました。とりわけ伊良皆高吉議長には各県人会に対して三味線を贈呈し、しかも見事な八重山民謡の「トゥバラーマ」などを披露し交流会を盛り上げ花を添えていただいたことに対して大変御苦労さまでしたと申し上げたいと思います。
 また、各国の県人会の交流会の中で必ずと言っていいほど11月のウチナーンチュ大会にはぜひ参加したいとの多くの声が聞かれました。同時に、県費留学生をもっとふやしてもらえないかとの要望もありました。
 そこで知事にお尋ねをいたします。
 今回の大会開催と前回と異なる事業などの特徴は何か、その概要を説明願いたい。
 参加国数と参加者数はどの程度予定しているのか。今回のテロ事件で参加者の影響はないのかどうか。新たな国の参加者はあるのかどうか。
 さらに、県費留学生の増員を求める声が多くありましたが、県は増員する計画はないのか。県も財政上容易なことではないと思うが、国から予算を引き出す方法はないのかどうか。
 7番目に、泡瀬埋立計画についてであります。
 沖縄総合事務局は、8月中旬に予定していた中城湾港泡瀬地区埋立事業の護岸工事など本格工事の着工を当面見合わせることにしました。このことは妥当な決定だと思います。
 東部海浜開発は1987年に構想され、14年が経過しました。現在の出島方式は地元の泡瀬復興期成会の要望や自然保護、バブル経済崩壊後の厳しい状況等を踏まえ規模も縮小して決まったという経過があります。しかし、泡瀬干潟の自然環境に埋め立てが与える影響を危惧する市民団体から反対の声が上がり署名運動が展開されるなど、埋立事業をめぐって世論は賛否に分かれております。
 しかも、開発構想の中枢をなすホテルなど宿泊6施設は合計1275室を備えると設定しており、1992年の調査報告書が推計基礎となっていることからしても現状にそぐわないのではないでしょうか。経済社会の変化に伴って当初計画を見直すべきではないのか。また、とりわけ干潟の保全など自然環境問題についても慎重に対応する必要があると思います。
 そこで知事にお尋ねをいたしますが、知事も8月24日の定例記者懇談会で、「土地利用は時代時代の状況変化に対応しながら進めていきたい」と述べ、土地利用計画の見直しを示唆しておりますが、埋立計画をめぐる現状をどう受けとめておられるのか。土地利用計画を見直すお考えはないのか、お聞きしたいと思います。
 8番目には、米軍基地問題についてであります。
 15年期限問題について。
 知事の選挙公約である15年期限問題は、解決の見通しもなく全く暗礁に乗り上げた状況になっている。先般の小泉首相とブッシュ大統領との日米首脳会談においても取り上げられましたが、15年問題は困難であるという米政府のかたい態度の前に首相の申し入れは一蹴された形で終わっている。
 このように日米の15年問題に対する対応には真剣に問題を解決しようという熱意と姿勢は全く見られない。これまでのような知事の対応ではもはや限界に来ているのではないかと思う。最近は、テロ事件と関連して政府関係者の中には15年問題どころではないと冷ややかな態度も見られ、棚上げされるのではないかとの危惧さえ見られます。
 知事はこの際、期限をつけて不退転の決意で日米政府にその実現を迫っていく考えはないのか。それともこの問題を解決する何らかの切り札があるのか、知事の御所見をお聞きしたい。
 地位協定についてであります。
 県は、基地問題の重要課題としてさきに17項目にわたる地位協定の全般的な改定を政府に申し入れ、その速やかな改定を求めている。しかし日米政府は改定に極めて消極的で、さきの日米外相会議において田中外相はパウエル国務長官に対して、改定ではなく運用改善で折り合いをつけるようにとした姿勢は県民の要求を全く踏みにじるもので、極めて残念なことである。現行の運用改善である米側の好意的考慮に基づく引き渡しがいかにあいまいで、むしろ日米間に対立を生み県民に不満と反発を増幅させることになる。
 衆議院外務委員会も7月10日、与野党が一致して「日米地位協定の抜本的見直しをも早急に検討し、事態の抜本的改善に取り組むべきである。」と決議をしました。運用改善というびほう策で片づけられてはならない。現行の不平等性をなくしていくためには地位協定の抜本的な改定を求めていくべきであり、今後の対応をお聞きしたい。
 9番目、最後ですが、那覇港湾整備計画についてであります。
 那覇港管理一部事務組合の設立をめぐって関係者の間で協議が行われております。那覇軍港の移設問題と絡んで複雑な様相を呈してきている。これは那覇港浦添埠頭地区を開発し、那覇、浦添両市にまたがる港湾施設を将来国際的な流通機能を備えたハブ港湾として開発整備をしようとするのが関係3者の構想である。
 ところが、軍港受け入れを表明している浦添市は、市にとって余り有利でないと見ているのか、一元化せずに港湾区域を市境で分け、それぞれ開発経費を負担する属地主義で行くべきだと主張して譲らず、3者間で対立したまま平行線をたどっております。このように混乱しているのは、軍事基地を担保に振興策を取り込もうとするいわゆる基地と振興策をリンクした形で地域振興を図ろうとする姿勢にその要因があると思います。
 そこで知事にお尋ねをいたします。
 まず第1点目は、このハブ港湾整備計画構想はまだ固まったものでないと思うが、今後の国、県の調査や事業規模と資金などの詳細計画はどうなるのか。また政府の構造改革による公共事業が厳しくなる現状で大規模な港湾整備計画の実現が果たして可能なのか。
 また、市民の反対の強い軍港受け入れを前提に振興策を進めるべきでないと考えるが、どうですか。
 基地受け入れを見返り策にしないと那覇港湾整備計画の実現は不可能なのか、知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 以上、質問を終わりまして、答弁によって再質問を行います、
○知事(稲嶺惠一) 友寄信助議員の御質問にお答えする前に、まず、社会民主党沖縄県連委員長の御就任おめでとうございます。(拍手)
 友寄信助議員は、私が知事の就任時の議長としていろいろ御指導、御助言を賜りましたが、今後も御活躍を期待しております。
 さて、それでは早速お答えいたします。
 最初は政治姿勢について、今回のテロ事件と一連の政府の対応についてどう受けとめているか意見を聞きたいにお答えいたします。
 日本国憲法は、平和主義、国民主権及び基本的人権の尊重を基本原理としており、我が国の平和と安定に大きな役割を果たしてきました。21世紀は「人権の世紀」と言われ、人権の尊重が平和の基盤であることが改めて認識されております。
 今回の米国におけるテロ事件に強い衝撃と怒りを感じております。テロ行為は世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、とりわけ今回は日本を含む世界約80カ国の一般市民が犠牲になるなど米国のみならず世界に対する挑戦であり、決して許すことができません。このような事件が二度と起こらないよう世界各国が一致協力して対策を講じていく必要があると考えております。
 なお、テロ事件にかかわる一連の法案については国会において憲法の精神に沿って論議されるものと理解しております。
 次に、テロ事件による観光客の減少や県経済に与える影響についてのお答えでございます。
 去る11日に米国で発生した同時多発テロ事件の影響により世界的に航空機利用や海外旅行を手控える動きが出ており、国内においても米国を中心としたツアーの中止やキャンセルが発生しております。本県への旅行についても修学旅行を中心に影響が出ておりますが、しかし一方では海外旅行を取りやめて本県への旅行に変更するという動きも見られております。
 県においては、観光客の皆様の不安を解消するために各都道府県教育委員会や航空会社、旅行業者等に対し、県民生活も平常どおりで各種イベントも通常どおり各地で行われる旨を内容とした文書を発送するとともに、主要都市に職員を派遣し理解を求めているところであります。さらに、観光関連団体で組織する対策会議を設置し、情報の的確な把握に努めるとともに、関係者の理解と協力を得ながら対処してまいりたいと考えております。この事態が一日も早く平常に戻ることを願っております。
 次に、同じく政治姿勢についてのうち、沖縄がテロの攻撃や戦争に巻き込まれるおそれはないかについてお答えします。
 今回の米国におけるテロ事件に強い衝撃と怒りを感じています。テロ行為は多くの人命を奪い、世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、決して許すことはできません。県としては県民の生命、生活及び財産を守る立場から、今回の事件が県民生活及び県民の人権に支障を及ぼすことがないよう関係機関に強く要請しています。
 また、日米合同委員会で合意された事件・事故の通報体制等を最大限に活用し、米国で発生した同時多発テロ事件及びその後の日米両政府の対応等に関し外務省沖縄事務所等を介して情報収集に努めているところであります。
 次に、政治姿勢のうち、原子力潜水艦の出入港時の予定日の公表について差し控えることを明らかにしたが、従来どおり事前通報を行うべきだと思うがという所見を聞きたいという御質問にお答えします。
 県は去る9月20日、外務省沖縄事務所を通じて国から、米国で発生した同時多発テロへの対応に関して9月19日に小泉総理大臣が発表した今次事件への我が国の対応措置の中で、我が国における米軍施設・区域の警備強化が課題となっていること及び米側から要請を受けたことを踏まえ、現在の事態が続いている当面の間、原子力潜水艦の24時間前の寄港通知について公表を控えていただきたい旨要請を受けました。県としては、不測の事態を回避するためにもやむを得ない措置だと考え、国の要請を体して、原子力潜水艦の24時間前の寄港通知については当面公表を控えることにしました。
 しかしながら、地元勝連町及び沖縄県水産業中央会には従前どおり24時間前通知を行うとともに、原子力潜水艦の入港時及び出港時等の放射能測定調査を実施し、その結果についても従前どおり地元勝連町初めマスコミ等へ公表したいと思います。
 県としては、今後とも県民の生命、生活及び財産を守る立場から、県民生活に影響を及ぼすおそれのある事案については情報収集と広報に努めていきたいと考えております。
 次に、小泉構造改革と沖縄への影響についてお答えします。
 公共事業の見直しを含むいわゆる「聖域なき構造改革」は、特に公共事業への依存割合が高い本県に及ぼす影響は大きいものがあると考えております。
 具体的には、本県が目指している世界に開かれた交流・協力拠点の形成に必要なハブ空港、ハブ港湾、高規格道路等のインフラ整備への影響が懸念されます。県としては、さきに公表された国の改革工程表において示された施策が具体化する過程において関係省庁と連携しつつ、今後の沖縄振興に必要な施策・事業が確保できるよう最大限努力してまいります。
 次に、小泉構造改革と沖縄への影響について、失業率が非常に深刻な状況下で雇用対策の抜本的対策を講ずる必要があるが、今後の対応を聞きたいとの御質問にお答えします。
 本県の雇用状況は、これまでの企業誘致や産業振興策の積極的な推進によって就業者数の着実な増加や県内就職件数の増加等雇用機会は着実に拡大してきておりますが、労働力人口の増加や全国的な経済状況の悪化による県外就職の減少等を背景に8月の完全失業率は9.2%となっております。
 県においては、雇用状況の改善を最も重要な課題の一つと位置づけ企業誘致や各種の産業振興策を推進するとともに、幅広い職業能力の開発等技術・技能のミスマッチの解消に取り組んでおります。とりわけ企業誘致においては平成11年度から情報関連企業を中心に35社が新たに立地し、その結果約3000人の雇用を創出しております。
 沖縄振興新法や沖縄振興新計画においては、既存企業の競争力の強化や新事業の創出支援を図るとともに、産業の振興と一体となった雇用の創出と人材育成を重点的な施策として位置づけしていきたいと考えております。特に、雇用状況の厳しい新規学卒者等若年者については人材育成から就職までの一貫した就職支援システムを構築したいと考えており、今回の補正予算に具体化のための調査費を計上しております。今後とも産業振興と雇用対策を県政の最も重要な課題の一つと位置づけて積極的に取り組んでまいります。
 次に、振興新法、重点施策と概算要求についてのうち、内閣府の制度・施策(案)を県はどう受けとめているか、今後政府と詰めていくべき重要な点は何かについてお答えします。
 新法骨子案は、産業振興のための特別措置、国際協力及び国際交流の推進等のための措置、駐留軍用地の利用促進のための特別措置及び高率補助制度の継続など県の基本的な考え方を十分踏まえた内容になっています。
 これらの特別措置は、本県が目指す自立型経済の構築やアジア・太平洋交流・協力拠点の形成等に向けた施策の推進を強力に後押しするものと高く評価しております。今後、観光振興地域制度や特別自由貿易地域制度等に係る税制、特定情報中枢機能振興地区(仮称)や金融業等集積促進地区(仮称)のあり方、沖縄型重要産業分野の中小企業発展支援制度及び分野別計画の内容等税制、法律の詳細について重点的に詰めていきたいと考えております。
 次に、同じく振興新法、重点施策と概算要求についてのうち、概算要求の内閣府原案をどう受けとめているか、積み残された課題と今後の対応についてお答えいたします。
 平成14年度の内閣府沖縄担当部局の概算要求については、自立型経済の構築に向けた観光・リゾート、情報通信産業等の産業振興施策、アジア・太平洋地域における交流拠点の形成、人材の育成、潤いのある平和な美しい沖縄づくりについての施策を推進するとともに、道路、港湾等の生活・産業基盤としての社会資本の整備についての着実な推進を図るなど県が提案した「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」に配慮した新振計の初年度にふさわしい内容であると評価しております。今後は内閣府沖縄担当部局等との連携を密にしつつ、予算の確保等沖縄振興のための所要の措置が図られるよう全力を挙げて取り組んでまいります。
 次は、復帰30周年記念事業のうち、式典の開催は県独自の開催か、国との共催になるのかについてお答えいたします。
 平成14年5月15日は、本県が本土に復帰して30周年を迎える意義深い日であります。この歴史的節目に当たり県民一人一人が復帰後の歩みを顧みるとともに、県民が夢と希望を持ち喜びが実感できる21世紀を目指し、自信と誇りを持ってこれからの県づくりに邁進する契機とするため、復帰30周年記念式典を開催することを平成13年5月11日の庁議で決定しました。この趣旨を踏まえ、現在、復帰30周年記念式典の開催につきましては国との共催を含め検討しているところであります。
 次に、復帰30周年記念事業のうち、平和賞の第一号はどのような功績のあった人に与えることがふさわしいと考えているかについてお答えします。
 沖縄平和賞は、現在策定中の基本構想において顕彰対象になる第1に、アジア・太平洋地域における平和・非暴力実現の促進に貢献した者、第2に、人間の安全保障、いわゆる人間の生命や基本的権利を脅かす貧困、環境問題等を解決し豊かに生活できる社会の実現に貢献した者、第3に、世界のおのおのの地域の内部で培われた多様な文化や考え方を相互尊重することによって平和の実現に貢献した者としております。
 また本賞は、顕彰を通じてこのような活動の促進を図ることを目指しております。受賞者は、今後設置予定の選考委員会において国内外の学識経験者などから推薦のあった者を対象に選考が行われているものであり、本賞の理念や目的にふさわしい個人または団体が選考されるものと考えております。
 次に、世界のウチナーンチュ大会について、参加国数と参加者数はどの程度予定しているのか、今回のテロ事件で参加者の影響はないか、新たな国の参加はあるのかということでございます。
 第3回世界のウチナーンチュ大会は、世界各地で活躍するウチナーンチュを中心とする人的ネットワークを拡大・発展させ、経済・文化等あらゆる分野において持続的な交流を促進することを目的としており、多くの方々に参加していただくことが大会の成功につながるものと考えております。このため県としましては、海外はもとより国内の各県人会を通して県系人に対し、広く大会への参加を呼びかけてまいりました。その結果、現在のところ3500名余の参加申し込みがなされております。参加者数については、未報告の県人会が一部ありますので、最終的には4000名を超える参加者があるものと見込んでおります。
 今回のテロ事件による参加者の影響については、特に大きな変化はありませんが、今後は世界情勢の推移に十分留意していく必要があると考えております。
 参加国総数は31カ国、3地域ですが、今回新たに参加者の出た国は、エクアドル、コロンビア、キューバ、フィンランド、ベルギー、カンボジア、韓国の7カ国となっております。
 次は、泡瀬の埋立計画で、埋立計画をめぐる現状をどう受けとめるか、土地利用計画を見直す考えはあるのかについてお答えします。
 中城湾港泡瀬地区埋立事業は、地域の活性化を図ることを目的に、地元沖縄市を中心に環境保全策も含めて長年検討や調整が行われ、今日に至っている事業であります。
 当該事業については、これまで沖縄市議会において3度にわたる全会一致の整備促進の決議や、沖縄市内34の市民団体等から成る沖縄市東部海浜リゾート開発推進協議会からの早期整備の強い要請等があることから、県としても県土の均衡ある発展を図る立場から本事業を推進しているものであります。
 現土地利用計画については、観光産業の動向や沖縄市の地域活性化策に沿ったものとなっており、現時点においては見直す考えはありません。しかし、埋立工事が完了し土地利用が開始されるまでには工事着工から7カ年以上を要し、この間には社会経済情勢が変化することも十分に考えられることから、今後とも社会経済情勢の変化等的確に把握するとともに、環境保全に配慮しつつ地域のニーズに沿った土地利用が図られるよう柔軟に対応していきたいと考えております。
 次は、米軍基地問題について、15年問題について期限をつけて日米両政府にその実現を迫っていく考えはないかについてお答えします。
 普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。同問題については、閣議決定された政府基本方針に示されたように政府においてしっかり受けとめられていると考えており、名護市と連携しながら政府に対しその解決を粘り強く求めていきたいと考えております。
 15年使用期限問題の解決については、県が移設に当たって整備すべき条件とし、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないと考えております。
 続いて同じく基地問題のうち、地位協定について、現行の不平等性をなくしていくために抜本的な改定を求めていくべきだが、今後の対応を聞きたいという御質問のお答えでございます。
 県は昨年8月、日米両政府に対し「日米地位協定の見直しに関する要請」を行ったのを初め、これまで機会あるごとに日米地位協定の見直しの必要性を強く訴えてきたところであります。
 このような状況の中、去る6月北谷町で発生した事件を契機に日米地位協定の見直し問題が大きくクローズアップされ、7月の衆議院外務委員会において「日米地位協定の見直しに関する件」が決議されました。また、全国知事会において平成14年度の国に対する要望の中で、日米地位協定の見直しが取り上げられるなど従来にない動きが出てきており、県の要請がその実現に向けて一歩ずつ前進していると認識しております。
 一方、政府は日米地位協定については運用の改善を進め、これが十分効果的でない場合は地位協定の改定も視野に入れていくとしております。県としては、米軍基地から派生する事件・事故や環境問題などから、県民の生命財産を守るためには日米地位協定の抜本的な見直しは不可欠であり、今後とも政府において日米地位協定の抜本的な見直しを取り組んでいただけるようあらゆる機会をとらえて要請していきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 沖縄振興開発金融公庫の廃止の動きについて、沖縄公庫の存続の見通しと今後の対応についてお答えします。
 最近公表された改革工程表において国は、すべての特殊法人を対象とする「特殊法人等整理合理化計画」を年内に策定する方針を示しており、この中で沖縄公庫の取り扱いについても示されるものと考えております。
 民間主導の自立型経済社会の構築を目指す本県にとって、政策金融機関としての沖縄公庫の存在意義は今なお大きいことから、存続が必要だと考えております。今後は「特殊法人等整理合理化計画」の策定状況に注意を払いつつ、内閣府及び沖縄公庫とも連携を密にして対応してまいりたいと考えております。
 次に、復帰30周年記念事業について、記念事業は最終的に幾つになるかについてお答えいたします。
 復帰30周年記念事業については、記念式典を初め記念誌発刊事業3件、全国大会等3件、イベント関係6件、その他5件及び国の直轄事業2件の合計20事業を決定しております。
 なお、県立現代美術館・博物館新館事業及び県立高度多機能病院建設事業については、課題が整理された段階でその位置づけを検討することにしております。
 次に、那覇港湾整備計画問題について、今後の国、県の調査や事業規模と資金などの詳細計画はどうなるのか、公共事業が厳しくなる現状で大規模な港湾整備計画の実現が可能かについてお答えいたします。
 県は、平成11年度に実施した那覇港国際流通港湾計画調査(素案)を踏まえ、平成14年度の港湾計画改訂に向けて港湾全体の施設計画、土地利用計画、産業導入のための可能性等の調査を今年度から実施する予定であります。
 また、国は県の素案を受け、国際流通港湾として必要な制度等の諸条件、それに伴うトランシップ貨物の需要可能性を調査・検証し、実現化に向けた方策を検討するため那覇港国際流通港湾実現化方策検討委員会を設置し、港湾計画改訂に向けた調査を進めているところであります。事業規模や資金などの詳細計画については、港湾計画の改訂がなされ、次期港湾整備計画の採択の段階で明らかになるものと考えております。
 本県が目指す自立に向けた持続的発展を図るためには、那覇港国際流通港湾の実現が必要であり、今後新法において国の財政支援や制度的支援が実現するよう働きかけていきたいと考えております。
 ちなみに、国は沖縄における新世紀港湾ビジョンの中で、那覇港を大水深岸壁を有する国際海上輸送網の拠点として重点的に投資を進めるため特定重要港湾への格上げを検討することとしております。
 次に、同じく那覇港湾整備計画問題について、軍港受け入れを前提に振興策を進めるべきではないと考えるがどうか、基地受け入れを見返り策にしないと那覇港湾整備計画の実現は不可能なのかについてお答えいたします。
国においては、SACOの最終報告に盛り込まれた措置を実施するため、法制面及び経費面を含め十分かつ適切な措置を講ずることとすることが閣議決定されております。那覇港湾施設は、浦添埠頭地区への移設がSACOで合意されていることから、浦添地先に展開される予定の西海岸開発計画についてもSACO関係経費等を含め国において適切な措置が講じられるものと考えております。
一方、那覇港の国際流通港湾としての新たな開発整備については多大な事業費を要することから、国の多様な制度的及び財政的な支援が不可欠と考えております。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 振興新法、重点施策と概算要求についての中のゲーミング(カジノ)の導入についてお答えします。
 沖縄県振興開発審議会の産業部会におきまして、多様化する観光ニ-ズや市場変化に対応するとともに、他地域との差別化を図る必要があること、また本県の観光産業に大きな波及効果をもたらすことが見込まれること等からカジノ、いわゆるゲーミングの導入についての論議がありました。
 これを受けて、沖縄県振興開発審議会においては「多様なエンターテイメントの可能性について調査検討する。」との答申がなされ、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」に盛り込んだところであります。県といたしましても、本県観光振興のための多様なエンターテインメントの可能性について先進地の状況や県内各界の意向等について慎重に調査・検討してまいりたいと考えております。
○知事公室長(親川盛一) 友寄信助議員の振興新法、重点施策と概算要求についての質問事項のうち、旧日本軍の強制接収用地問題について今後の対応を聞きたいという趣旨の御質問にお答えをいたします。
 戦後56年の長期間にわたって、旧日本軍に接収された土地の所有権回復を求めてこられた旧地主の方々の心情と御苦労については、県としても十分に理解しております。
 また、去る6月県議会において、「沖縄県所在旧軍飛行場用地の早急な戦後処理を求める意見書」が採択されたことを重く受けとめております。
 県は現在、旧地主が指摘している戦後処理問題として取り扱われたとされる他県における旧日本軍接収用地の返還事例について那覇市と連携して関係自治体に対して照会しているところであり、また同事例のうち、現在も空港や米軍施設として利用されている土地について直接現地に赴き、当時の処理状況等を調査する予定であります。県としては、その調査結果等を踏まえ、本県における旧日本軍接収用地問題を戦後処理問題として位置づけることが可能かどうか検討したいと考えております。
○文化環境部長(永山政邦) 復帰30周年記念事業につきまして、県立現代美術館・博物館新館建設の予算確保のめどについての御質問にお答えいたします。
 県立現代美術館・博物館新館の建設事業につきましては、平成8年度に実施した基本設計では総事業費が約390億円と多大な額となることから、県の厳しい財政状況により平成9年度から事業の着手が見送られております。
 美術館・博物館は、県民の情操を豊かにし、地域に根差した文化の発展に必要不可欠な文化施設であり、後世に誇り得る財産の形成に資すると考えております。現在、県立現代美術館・博物館新館については、建設コストの圧縮や経済的なランニングコストの実現を基本とし、現計画を見直ししているところであります。これらの課題が整理され次第、復帰30周年記念事業としての位置づけが検討されることとなっております。
 同じく復帰30周年記念事業について、「復帰記念公園」の整備についてお答えいたします。
 御質問の辺戸岬一帯は、沖縄海岸国定公園に指定されており、これまで自然公園の適正な利用に供することを目的に公園計画に基づき休憩舎、駐車場、歩道などの施設整備を行ってきたところであります。今後とも、適正な自然公園の利用を促進する観点から村など地元の意見を聞きつつ、公園利用者の状況等を勘案した上で公園施設の整備を進めてまいりたいと考えています。
 次に、世界のウチナーンチュ大会の開催について、今回の大会開催と前回と異なる事業など特色とその概要はどうなっているかということについてお答えします。
 前大会と異なる事業としましては、1つに、海外県系人社会の若い世代にウチナーンチュ・アイデンティティーの継承を図ることを目的とした「ジュニアスタディーツアー」、これはもう既に実施いたしました。2つ目に、大会参加者と県民が楽しく交流できる「ウチナーンチュ交流祭」、3つに、海外移民の歴史をたどりながらウチナーンチュの未来を展望する「世界のウチナーンチュ歴史と未来展」、4つに、「ウチナーンチュシンポジウム」の一つとして企画された海外在住女性と沖縄在住女性が男女共同参画社会の実現に向けて意見発表や情報交換を行う「世界の沖縄女性フォーラム」、5つとしまして、若い世代のネットワーク化の充実・発展を図る「ワールド学生会議 in OKINAWA」などがあります。
 これらの新規事業は、海外の若者に沖縄の歴史・文化、芸能に触れてもらい、ウチナーンチュ・アイデンティティーの継承を図ることや、海外参加者と県民及び参加者相互の交流を深めることを目的としております。
 同じく世界のウチナーンチュ大会の開催について、県費留学生を増員する計画と、国からの予算を引き出す方法はどうかという御質問にお答えいたします。
 海外移住者子弟を含む海外留学生受け入れ事業は昭和44年度から開始し、平成13年度までに14カ国、1地域から総計442名を受け入れております。平成13年度の海外留学生は24名で、全都道府県の中で一番多く受け入れております。本年度の留学生は、移住者子弟留学生13名、アジア諸国等留学生11名であります。
 県費留学生の増員についてでございますが、現在の県の財政事情では厳しいものがございます。県としては現在、九州地方知事会を通して政府開発援助(ODA)予算を活用した留学生受入枠の拡大について国に対し要請を行っているところであります。今後とも、留学生受入枠の拡大に向けて努力してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○友寄 信助 2点ほど再質問いたします。
 1点目は、15年使用期限の問題であります。
 この15年使用期限の問題は、これまでの経過から見てですね、非常に行き詰まってきていると思うんです。ですから私が聞きたかったのは、じゃ、これを打開するために知事は何らかの考え方を持っているのかどうかということを聞きたかったわけですが、明確な答弁がなかったわけですが、それについて再度お聞きしたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 友寄議員の再質問にお答えいたします。
 先ほどもお答えいたしましたけれども、私は、15年使用期限の問題については、県が移設に当たって整備すべき条件とし、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないと考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 以上で本日の代表質問は終わりました。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、10月1日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
    午後3時3分散会

 
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