○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
喜納昌春君。
〔喜納昌春君登壇〕
○喜納 昌春 おはようございます。
平成13年第4回沖縄県議会定例会に際しまして、社大・結連合の5名の議員を代表いたしまして質問を行います。
その前に、9月11日にアメリカで起きました同時多発テロ事件の犠牲者の皆さんと、悲しみに打ちひしがれております御遺族の皆さんに心から哀悼の意を表し、犠牲者の皆様方の収容、特定などの救助活動が一日も早く終了されますように心からお祈りいたします。
それでは質問に移ります。
21世紀を迎えるに際しまして、20世紀を戦争の世紀として総括し、21世紀はそれを克服して平和の世紀へと世界の人々が願い、決意をしてきました。しかしその願いは9月11日の日を境にしてもとのもくあみ、灰じんに帰するかのごとく世界じゅうが茶の間のテレビで戦争の準備のさまざまな演習を傍観しながら、報復の名のもとの戦争状態への突入を容認する態勢にあることは信じがたいのであります。
もとより、9月11日、アメリカに向けられた同時多発テロ事件は、対話・協調でしか成り立たない国際社会、民主主義への挑戦として我が社大党・結の会連合の会派としても、自爆テロをしかけてきた国や犯罪者集団の蛮行を批判・糾弾し、今後こうした罪のない全世界の人々を巻き添えにする無差別テロの防止に向けて全世界の国々の力の外交の総反省と主権者たる国民、それぞれの非戦の決意と願いへの英知の結集による連鎖テロ事件を断ち切ることこそ重要だと考えております。
そういう視点に立って私の属する土着の社大党は9月21日に特別の声明、同時多発テロを糾弾し、報復戦争に反対する立場を県民、国民に明らかにしてきたところであります。
こうした状況のもとで、沖縄県民の暮らしと生活、命の安全を守るためにさまざまな課題と任務に当たらねばならない稲嶺知事の立場と責任の大きさを考えますときに、避けがたい国際政治の影響と待ったなしの国策に直面しようとも、常に沖縄県民の生活と暮らし、命の安全を守る県益を優先した視点と立場からしっかりと国やアメリカに冷静かつ厳しく物を言っていただきたいことを切に要望しながら、通告に従って質問いたします。
最初に、県民党を標榜して当選されました稲嶺県政の最終4年目に入ろうとする今日、重要な公約に関して知事の政治姿勢を伺います。
(1)点目に、米軍基地問題の普天間飛行場の返還についてであります。
ア、知事公約の普天間飛行場の県内移設による解決策に関して進捗状況はどうなっておりますか。知事の1期目、任期中での公約実現の見通しはありますか。
イ、9月11日に米国内で起きた同時多発テロ事件で、知事公約の普天間飛行場の県内移設代替基地の条件の15年使用問題は一層困難になったと言われておりますが、知事はどう考え、今後どう対処されるお考えですか。
ウ、危険きわまりない普天間飛行場は、県内移設という新たな基地建設の重大な問題を避ける上でも、SACO合意の抜本的見直しとともに国外引き揚げか、県外移設を求めるべきだと考えますが、知事の所見を求めます。
次に、那覇軍港の返還について質問します。
ア、那覇軍港の返還の話し合いの状況と返還の解決の方法及び見通しはどうなっていますか。
イ、県内移設条件つきの返還というSACO最終合意の方法で本当に返還の実現はできると考えておりますか。
ウ、これまでマスコミ等を通じて明らかにされております浦添市地先への米軍の軍港移設計画案はまさに基地機能の拡大・強化で、米軍基地の整理縮小や基地の機能強化に反対の知事の公約や理念にも反するものであります。こうした状況は把握されておりますか。案どおりの計画であれば知事の公約に違反することになると思いますが、その場合の責任はどうとるお考えか、所見を求めます。
次に、3年前の異常な県内失業の実態を「大田県政不況」と不当に宣伝し、稲嶺知事の力で解決を図ると豪語されてきました雇用失業問題についてであります。
ア、県内の雇用失業の実態はどうなっておりますか。
イ、今日の失業、不況の状況は、3年前の稲嶺知事陣営の選挙戦での論調をかりれば、まさに「稲嶺県政不況」と規定づけられると思いますが、そういう認識でよいと考えておりますか。また、その失業、不況の責任をどう考え、どうとるおつもりですか、御所見を賜りたい。
ウ、今後の雇用の見通しと失業対策はどうなっておりますか。
次に、9月11日に起きました許しがたいアメリカにおける同時多発テロ事件に関しまして以下の質問をいたします。
ア、同事件に対する知事の認識と対応及び同事件の背景等に対する知事の御所見を求めます。
イ、今回の事件と沖縄の米軍基地機能の関係を知事はどう認識されておりますか。
ウ、アメリカは、今回のテロ事件を真珠湾攻撃をも引き合いに出しながら「戦争」として位置づけ、報復攻撃が現実問題として差し迫っている中で、本県の米軍基地がその発信基地として既に使用されている許しがたい状況が浮き彫りにされております。そのことで一層本県の米軍基地が報復、再報復の対象とされることを含めて、県民がいよいよ戦争に再び巻き込まれていく危険性が現実化しております。このことを知事はどう認識され、どう沖縄県民を守るお考えか。また、こうした平和憲法に違反する攻撃発信基地としての米軍基地の機能強化にどう対処するお考えか、決意ある御所見を求めます。
エ、今回のテロ事件に関しまして、テロ対策として国の要請で米軍の原潜寄港の事前通告をマスコミに公表しないと決定したと報じられています。テロの標的にされる危険性、戦争に巻き込まれていく危険性が沖縄県民にあるというときに、原潜が寄港したか、しなかったかも知らされないという情報の非公開はまさに戦前回帰で、暗黒政治につながる情報統制の第一歩と言わねばなりません。沖縄戦に至るかつての壮大な歴史的誤りは、軍国主義のこうした情報の統制などの第一歩から始まったという歴史の教訓に立ち返り、早急に知る権利を持ったすべての県民に謝罪をし、情報の非開示の撤回をし、従来以上に情報を公開していく姿勢を明らかにすべきと考えますが、知事の反省ある見解を求めます。
オ、同事件に関しまして稲嶺知事は在沖米軍当局に要請しておりますが、いつ、だれに対して、どういう問題で、何を要請したのですか、御答弁を求めます。
次に、いよいよ2002年が迫りくる中で、ポスト3次振計の新しい沖縄振興のあり方に関しまして以下の質問をいたします。
(1)点目に、「新沖縄振興」の策定に向けての国との話し合いはどうなっておりますか。
(2)点目に、「新沖縄振興」の制度・施策に関して本県の案に対する国の理解と協力はどうなっておりますか。
(3)点目に、「新沖縄振興」の制度・施策を裏づける新法制定に向けての論議の見通しはどうなっておりますか。
(4)点目に、「カジノ構想」の導入の方向がかなり具体的に報じられていますが、県民のコンセンサスは経済界が代表し得るものではありません。幅広い県民論議はどう保障され、どのように集約をしていくお考えか、御所見を求めます。
次に、6月定例県議会の最中に北谷町美浜・アメリカンビレッジで起きた米兵による沖縄の女性に対する暴行事件について質問をいたします。
(1)点目に、6月29日に北谷町美浜で起きた同事件の公判が9月11日に始まったことに関して知事の所見を求めます。
(2)点目に、同事件に関して、米兵は犯罪を認めながらも「合意であった」とその犯罪性を全面的に否定し、被害を訴えている女性と対決するという姿勢を示しています。一方では、一部マスコミの心ない情報、著作等でさらなる性差別犯罪も惹起されるという特異な社会問題も提起され、県民の怒りは一層高まる中で、北谷町等地元自治体あるいは県警の特別な対応がなされていることについて知事はどう認識されておりますか。
(3)点目に、こうした米兵の事件防止や取り締まりには治外法権的な現在の日米地位協定ではもうだめで限界があることは明らかであります。県民の命と暮らしを守り、女性への性犯罪を防止、根絶し、人権を守る上でも地位協定の抜本的な見直し要求は当然のことであります。この県民的要請の知事の日米両政府への働きかけはどうなっておりますか。さらなる知事の決意を求めます。
(4)点目に、事件・事故に対する反省を欠き、いよいよ居直りを強めている米軍当局や被疑者に対する抗議と、日米地位協定の抜本的見直しを求める課題実現に向け、いま一度広範な党派を超えた県民大会を我が会派、我が党は必要と考え、多くの賛同者を得て提起していきたいと考えております。知事としてもこれに対し賛同し、決意ある参加を求めたいと思いますが、知事の認識と御所見を求めます。
次に、4番目の柱の単一JA合併問題についてであります。
その前に、県当局や農業関係者各位の要請の成果がありまして、来期のさとうきび生産者価格がトン当たり農家手取り価格で現行の20円増となる2万4070円に決定されましたことに、その御努力に心から敬意を表し、国の理解と協力を県民のために評価したいと思います。
では質問に入ります。
来年4月に向けた県内JAの単一化に向けての方針が一昨年県から出されて以来、県内農業振興に果たすJAの役割の大きさからJA組合員はもとより、多くの県民から性急な単一JAありきではなく、地道な各組合員や単位JAの声を大事にした段階的な広域化、合併のあり方が切実に求められていると考え、以下の質問をいたします。
(1)点目に、1994年から農協の広域合併が取り組まれてきましたが、現在はどうなっていますか。農協の広域合併で経営の健全化は図られてきましたか。組合員の数はどう推移してきましたか。また、組合員へのサービスの強化は図られてきたのでしょうか。
(2)点目に、1998年の5農協構想はどういう背景で出てきて、どんな取り組みがなされてきましたか。
(3)点目に、単一JA合併の構想はどのような背景で出てきたのですか。合併推進に向けての合意の形成はどうなされてきたのですか。
(4)番目に、合意形成の過程で経営状況が黒字の農協と赤字の農協の実態はどうなっていますか。
(5)点目に、赤字の農協については、その不良債権の実態を含めてそれぞれどうなっていますか。また、合併には赤字や不良債権は持ち込まないのが原則だと思いますが、それぞれの農協で赤字や不良債権の処理のめどは来年の4月までにつけることができるのですか。
(6)点目に、黒字3JAが単一JA合併に参加見送りを決めたことが報じられています。こうした状況を踏まえ、単一JAについては合併のねらい、目的を大事にし、組合員の理解と協力を大前提に進められるべきだという原点に立ち返り、当面、赤字を抱える農協の健全化を各単位農協で組合員、役員の責任で取り組み、それに県も協力して赤字の解消を図っていくということが大事と考えますが、どうですか。そうした段階を踏まえて本来の組合員のための農協の広域化、その成果としての単一化を一歩一歩進めていくことが肝心だと考えますが、県の御見解を求めます。
5番目の質問に移ります。
最近のツーショットダイヤル等を使っての未成年者を巻き込んでの性犯罪、福祉犯罪の頻発は社会全体の倫理観の喪失、とりわけ責任ある成人、大人の社会的責任の欠如、公的機関を含めあらゆる社会機能のたるみ、ゆるみ等が露呈され、社会浄化の機能の上でのかなめや礎というものが見当たらないところに問題の深刻さがあるように思えてなりません。
社会機能の再生と未来を担う青少年の健全育成を願いながら以下の質問をいたします。通告しました(1)点目と(3)点目はまとめまして、以下の質問にまとめました。
テレホンクラブ等営業の実態とそれを利用した福祉犯罪の実態はどうなっておりますか。
(2)点目に、少女買春の問題等性風俗の乱れから来る青少年の教育、学習、生活環境の悪化に対する県当局、県警察本部及び県教育委員会の現状認識と今後の取り組みについてはどうなっていますか。
(4)点目に、テレクラ条例の規制強化や児童買春禁止法の罰則強化等で社会の健全化、浄化の必要性があると考えますが、県及び県警、県教育委員会の御見解と決意をお伺いします。
(5)点目に、ツーショットダイヤルについては、未成年者の使用禁止のために新たに条例制定の必要があると考えていますが、県及び県警察本部の認識と御所見を求めます。
次に、9月に入って11日間にわたって本県県民を苦しめた台風16号に関しまして、以下の質問をいたします。
(1)点目に、農業被害の実態、特にさとうきびの被害状況はどうなっていますか。
(2)点目に、家屋の浸水、倒壊、道路の決壊などの被害状況はどうなっていますか。
(3)点目に、災害救助法が適用されました渡名喜村など離島の被害状況と復旧作業の進捗状況、今後の課題等について御所見を求めます。
(4)点目に、公立学校等の台風に対する対応で休校、出校の判断にも給食等の関係で地域によっては混乱があったと聞かされておりますが、今後、今回のような迷走台風のケースを想定して児童生徒の安全登・下校に対する適切な対策が必要と考えますが、県教育委員会の御見解を求めます。
最後に、我が会派の糸数慶子議員が6月定例県議会で質問しました下地島空港への自衛隊の訓練等の誘致問題について、以下の質問をいたします。
(1)点目に、ことし5月に伊良部町から下地島空港への自衛隊訓練誘致問題が提起されたことに対しまして、我が会派は1971年8月の当時の屋良朝苗主席が国と交わした覚書、民間航空訓練及び民間航空以外の目的に使用させる意思はないという約束からすると、自衛隊の訓練等に使用させることはできないと考えますが、県の考え方も同じなのかどうか、見解を求めます。
(2)点目に、伊良部町側は、空港利用の落ち込みで町税収入が大幅に減少し深刻なのでこうした提案になったと言われております。この下地島空港は、当時さまざまな問題がある中で、国と民間航空会社の強い要望で下地島の皆さんの協力で建設されたいわば国策的な性格を持った事業と言えます。それだけに、もしそういう問題があれば県としても町側の立場に立って国や航空会社に財政的な問題に対する何らかの支援措置を講ずるよう強く働きかける必要があると考えますが、県の見解を求めます。
(3)点目に、米国防総省の有力なシンクタンク「ランド研究所」が米空軍の委託を受けてまとめた報告書の中で、中国が地域の不安定要素になる可能性があると警戒し、下地島空港の利用を勧告していると言われています。この事実を県は把握しておりますか。
またこれからすると、仮に下地島空港が自衛隊の訓練に供され、将来基地になるようなことがあれば、米軍が共同使用するようなことはほとんど問題ないことになり、これ以上の米軍基地の機能強化に反対し、米軍基地の整理縮小を求める稲嶺県政にとってもゆゆしき問題になると考えますが、知事の見解を求めます。
答弁によりまして再質問をいたします。
○知事(稲嶺惠一) 喜納昌春議員の御質問にお答えをいたします。
最初は知事の政治姿勢について、普天間飛行場の県内移設による解決策に関しての進捗状況、公約実現の見通しについての御質問のお答えでございます。
普天間飛行場の移設問題は、同飛行場が市街地の中心部に位置し、市民生活に深刻な影響を与えていることから、一日も早く返還させることであると認識しております。そのため、県は、普天間飛行場の移設・返還を県政の重要課題として取り組んでいるところであり、去る第7回代替施設協議会では3工法8案が示され、地元への説明が行われたところであります。今後、名護市長は地元住民の意見、要望を取りまとめ、次回協議会で報告を行うこととされております。県としては、国から示された案について県内部において検討を進めているところであり、今後、地元の意向を踏まえながら総合的に検討していくこととしております。一日も早く普天間飛行場の返還ができるよう努力したいと考えております。
次に、同じく政治姿勢のうち、米国内で起きた同時多発テロで15年使用問題は困難になったと言われるが、どう対処するかという点についてお答えをいたします。
普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。同問題については、閣議決定された政府基本方針に示されているように、政府においてしっかり受けとめられていると考えており、名護市と連携しながら政府に対しその解決を粘り強く求めていきたいと考えております。
15年使用期限問題の解決については、県が移設に当たって整備すべき条件とし、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないと考えております。
次に、知事の政治姿勢について、普天間飛行場の移設についてSACOの抜本的見直しとともに、国外引き揚げか、県外移設を求める考えはないかについてお答えいたします。
普天間飛行場については、市街地の中心部にあり、市民生活に深刻な影響を与えていることから、その早期返還を県政の重要課題として取り組んできました。県としては、県、地元市町村の要請に基づき日米両国政府が精力的に協議を行い、合意に達したSACOの合意事案を着実に実施し、実現可能なものから一つ一つ解決していくことが基地の整理縮小を促進する現実的で実現可能な方法であると認識しております。
普天間飛行場の移設については、現在、代替施設協議会において代替施設の規模、工法、具体的建設場所等基本計画策定に向けて協議が進められているところであります。県としては、関係市町村と連携を図りながら普天間飛行場の早期移設・返還の実現に取り組むとともに、返還跡地については都市基盤の整備など21世紀の振興の拠点となるよう作業を進めているところであります。
次に、同じく政治姿勢についてのうち、那覇港湾施設の移設については、SACO合意の方法で返還が実現できると考えているかのお答えでございます。
SACOの合意は、県、地元市町村の要請に基づき沖縄県民の基地負担の軽減を図るため日米両政府が精力的に協議を行った結果、最終合意に達したものと理解しております。SACO合意の中で、那覇港湾施設については浦添埠頭地区への移設と関連して那覇港湾施設の返還を加速化するために共同で最大限の努力を継続することとされております。県としては、日米両政府間で合意に達したSACOの合意事案を着実に実施することが那覇港湾施設の早期返還を実現する現実的な方法であると考えております。
同じく政治姿勢についてのうち、浦添地先への軍港移設案は基地の整理縮小という知事の公約や理念に反するのではないかについてお答えをいたします。
県としては、那覇港の早期整備を図るとともに、那覇港湾施設の返還を促進するため現在の那覇港湾施設を浦添埠頭地区に移設する必要があると考えております。また、浦添市の西海岸地区を含む那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備していくことにより、本県の産業振興や経済の自立的発展につながるものと考えております。
米軍基地の整理縮小を具体的に進めるためには、まずSACOの合意事案を着実に実施していくことがより現実的で実現可能な方法であると認識しております。那覇港湾施設は、現在の57ヘクタールから約35ヘクタールに縮小して移設するものであり、県民が強く望んでいる基地の整理縮小につながるものと考えております。
同じく知事の政治姿勢についてで、現在の失業、不況についてどう考えるかという御質問と、今後の雇用の見通しと失業対策はどうなっているかの2点を一括してお答えいたします。
私は知事就任以来、国との連携による沖縄振興策の着実な推進、沖縄サミットの開催支援、各種の国際的な会議の誘致、積極的な企業誘致の展開など産業振興策を強力に展開してまいりました。また、雇用状況の改善を最も重要な課題の一つとして位置づけ、企業誘致や各種の産業振興策を推進するとともに、幅広い職業能力の開発等技術・技能のミスマッチの解消にも取り組んでおります。とりわけ、企業誘致においては平成11年度から情報関連企業を中心に35社が新たに立地しており、その結果、約3000人の雇用を生み出しております。
ところで、平成12年の雇用の動向を平成10年と比較しますと、就業者数は1万8000人の増と着実に増加しておりますが、労働力人口はこれを上回る2万1000人の増加となっております。
また、最近の就職状況を前年同月と比較しますと、県内就職件数は7カ月連続増加しているものの、県外への就職件数は4カ月連続の減少となっております。これらのことから県内の雇用機会は着実に増加していますが、これを上回る労働力人口の増加や全国的な経済状況の悪化による県外就職の減少等が高い失業率の要因となっていると考えております。
なお、当面の雇用状況に対応するため、今回の補正予算に計上した雇用開発事業や人材育成事業等に加えて、新たに緊急職業能力開発事業の実施や求職者に対する支援体制の整備及び総合的な相談体制の拡充等の緊急雇用対策を去る9月28日に取りまとめたところであり、9月補正予算成立後、早急に実施してまいります。
さらに、今後の国の補正予算等、経済・雇用対策に対応した県としての「総合的な雇用対策」の取りまとめに向けた具体的な検討を進めてまいります。沖縄振興新法や沖縄振興新計画においては、民間主導による自立型経済の構築を新たな沖縄振興施策の基本方向に位置づけ、企業誘致や新事業の創出及び既存企業の競争力の強化とともに、産業振興と一体となった雇用の創出と人材育成を重点的に推進してまいりたいと考えております。
次に、同じく政治姿勢のうち、今回のテロ事件に対する知事の認識と対応及び事件の背景等に対する所見を聞きたいとのお答えでございます。
今回の米国におけるテロ事件に強い衝撃と怒りを感じております。テロ行為は、世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、とりわけ今回は日本を含む世界約80カ国の一般市民が犠牲になるなど、米国のみならず世界に対する挑戦であり決して許すことができません。このような事件が二度と起こらないよう世界各国が一致協力して対策を講じていく必要があると考えております。
県としては、事件直後から県系人及び旅行者の安否や在沖米軍基地の状況の確認に努めるとともに、外務省沖縄事務所等へ県民生活に支障が生じることのないよう要望したところであり、今後とも情報収集に努め適切に対応してまいりたいと考えております。
続きまして同じく、今回の事件と沖縄の米軍基地機能の関係をどう認識しているかについてお答えします。
今回のテロ事件に関連して、今後米国政府がいかなる具体的な行動をとるかは明らかでなく、また県としては現時点でこれに関連する情報も有しておりません。
なお、沖縄の米軍基地の機能に関して一般論として申し上げれば、日米安保条約に基づいて我が国の施設・区域を利用する米軍は、その抑止力をもって我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与しているものと理解しております。
次に、同じく政治姿勢について、今回の事件によって県民が戦争に巻き込まれていく危機が現実化している、どう認識し、どう県民を守る考えか、また米軍基地の機能強化にどう対処するかについてお答えいたします。
今回の米国におけるテロ事件に強い衝撃と怒りを感じています。テロ行為は、多くの人命を奪い世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、決して許すことはできません。県としては、県民の生命、生活及び財産を守る立場から、今回の事件が県民生活及び県民の人権に支障を及ぼすことがないよう関係機関に強く要請するとともに、日米合同委員会で合意された事件・事故の通報体制等を最大限に活用し、米軍等との連絡及び情報収集に努め、あわせて警察及び消防等との連絡の緊密化を図っているところであります。
次に、同じく政治姿勢についてのうち、原潜寄港の事前通告をマスコミに公表しないと報じられているが、撤回すべきであると考えるが、その見解を聞きたいとの御質問のお答えでございます。
県は去る9月20日、外務省沖縄事務所を通じて国から米国で発生した同時多発テロへの対応に関して、9月19日に小泉総理大臣が発表した今次事件への我が国の対応措置の中で、我が国における米軍施設・区域の警備強化が課題となっていること及び米側から要請を受けたことを踏まえ、現在の事態が続いている当面の間、原子力潜水艦の24時間前の寄港通知について公表を差し控えていただきたい旨の要請を受けました。
県としては、不測の事態を回避するためにもやむを得ない措置だと考え、国の要請を体して原子力潜水艦の24時間前の寄港通知については当面、公表を控えることにしました。しかしながら、地元勝連町及び沖縄県水産業中央会には従前どおり24時間前通知を行うとともに、原子力潜水艦の入港時及び出港時等の放射能測定調査を実施し、その結果についても従前どおり地元勝連町を初めマスコミ等へ公表したいと思います。県としては、今後とも県民の生命、生活及び財産を守る立場から、県民生活に影響を及ぼすおそれのある事案については情報収集と公表に努めていきたいと考えております。
次に、米兵による女性への性暴力事件についてのうち、9月11日、北谷町で発生した事件の公判が始まったことについての所見を聞きたいとのお答えをいたします。
今回の事件は、人権をじゅうりんした凶悪な犯罪であり、県民の生命財産、人権を預かる行政の責任者として極めて遺憾であります。県は、米軍を初め日米両政府の関係機関に対し、米軍人等による事件・事故の再発防止を強く要請してきたところであります。本事件は、現在、那覇地方裁判所において審理がなされているところでありますので、司法の立場から公正な判断が下されるものと考えております。
次に、同問題で今回の事件を受けて北谷町の地元自治体、あるいは県警の特別な対応がなされているが、どう認識しているかについてお答えいたします。
今回の事件後、北谷町北前区を初め4自治会では月に1回、町民による夜間パトロールを実施することとし、また県警は美浜地区に移動交番を設置して夜間パトロールを強化しております。
一方、県は地元北谷町から警察官による夜間パトロールの強化や新たな交番の設置に関する要望を受け、去る9月5日及び6日に国家公安委員会委員長、警察庁長官を初め関係大臣に対し、本県の警察官の増員要請を行ったところであります。
また、米軍はこれまで沖縄市、宜野湾市及び北谷町北前で行っていた週末の生活指導巡回地域を拡大し、北谷町美浜地区においてもこれを実施するなど米側独自の事件再発防止対策を強化しております。
次に、同じく事件の問題についてのうち、県民の生命と暮らしを守り、女性への性犯罪を根絶するため地位協定の抜本的な見直しについて、日米両政府への働きかけはどうなっているかについてお答えをいたします。
県は昨年8月、日米両政府に対し「日米地位協定の見直しに関する要請」を行ったのを初め、これまで機会あるごとに日米地位協定の見直しの必要性を強く訴えてきたところであります。
このような状況の中、去る6月、北谷町で発生した事件を契機に日米地位協定の見直し問題が大きくクローズアップされ、7月の衆議院外務委員会において「日米地位協定の見直しに関する件」が決議されました。また、全国知事会において平成14年度の国に対する要望の中で日米地位協定の見直しが取り上げられるなど従来にない動きが出てきており、県の要請がその実現に向けて一歩ずつ前進していると認識しております。
一方、政府は、日米地位協定については運用の改善を進め、これが十分効果的でない場合には地位協定の改正も視野に入れていくとしております。県としては、米軍基地から派生する事件・事故や環境問題などから県民の生命財産を守るためには日米地位協定の抜本的な見直しは不可欠であり、今後とも政府において日米地位協定の抜本的な見直しに取り組んでいただけるようあらゆる機会をとらえて要請していきたいと考えております。
同じく事件に関して、日米地位協定の抜本的見直しを求めるため党派を超えた県民大会を提起したいと考えているが、認識と所感を求めるということについてのお答えでございます。
米軍人等による事件・事故の再発防止や日米地位協定の抜本的見直しについては、行政の立場でこれまであらゆる機会をとらえて要請活動を展開してきたところであります。日米地位協定の抜本的な見直しを求める県民大会については、党派を超え、また各界各層を網羅した全県的な大会であることが必要であると考えております。
次に、単一JA合併の問題についてお答えします。
当面、赤字農協の健全化を進めた後、段階を踏まえて農協の広域化、単一化を進めていくべきではないかとの御質問に対するお答えでございます。
県単一JA合併構想は、農業を取り巻く厳しい社会経済環境の変化に対応し強固な経営基盤を確立するため、平成13年3月の第16回JA沖縄大会において決議されたものであります。
JA沖縄グループでは、同構想を実現するため沖縄県農協中央会、信用農業協同組合連合会、経済農業協同組合連合会と全JAの代表者で構成する合併推進本部委員会を設置しております。現在、同本部委員会のもとで全国支援による経営困難JAの赤字処理、合併に向けたJA間の財務調整、合併後の経営計画の樹立等の課題解決に向けた取り組みが行われているところであります。
特に経営困難JAの赤字処理については、平成14年4月のペイオフ解禁までに救済合併を行うことが全国支援を受ける上で必要となります。このため県としては、同構想の実現を支援するため単一JA合併支援対策班を設置し、経営困難JAの経営改善計画について指導を行っているところであります。今後とも同構想が実現するよう合併の合意形成に向けて積極的に支援していきたいと考えております。
次に、下地島空港への自衛隊の訓練等の誘致について、ランド報告書に対する知事の見解を聞きたいについてお答えします。
ランド研究所の報告内容については、戦後56年余も過重な米軍基地を背負ってきた県民の基地負担の軽減を図る観点から、海兵隊を含む米軍の兵力削減及びトータル的な基地の整理縮小を求める県の基本方針とは相入れないものであると考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 喜納昌春議員の質問事項についてお答えいたします。
まず、知事の政治姿勢についての中の、那覇軍港の返還の話し合いの状況と返還の解決の方法及び見通しはどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
那覇港湾施設の移設については、去る7月10日に浦添市長から移設作業の促進、移設に関する話し合いの場の設置等について要望があり、県は浦添市の要望等を国に説明をいたしました。
これを受け、去る8月24日には中谷防衛庁長官から国、県、地元自治体で構成する「那覇港湾施設移設に関する協議会」を設置するとの意向が示されました。県としては、現在、協議会の構成員について浦添市及び那覇市と調整しているところであり、両市の理解と協力を得て協議会が早期に設置されるよう努力しているところであります。
那覇港湾施設の移設については、新たな提供施設の内容や移設条件の整備など多くの課題があることから、これらの課題を一つ一つ解決するため、今後この協議会等において国、県、関係自治体で十分協議していきたいと考えております。
次に、テロ事件に関して在沖米軍当局に対していつ、だれに、どういう問題に、何を要請したのかという御質問にお答えいたします。
県は、米国で発生した同時多発テロ事件及びその後の日米両政府の対応等に関し、外務省沖縄事務所を介して情報収集に努めてまいりました。
他方、在沖米軍が実施しているテロ対策や訓練等について直接米軍に照会するなど在沖米軍の動向把握に努めてまいりました。在沖米軍基地の現在の警備体制の状況については把握しておりますが、米軍の作戦行動及び運用に関する詳細な情報の収集は困難な状況にあります。県としては、今後とも今回の事件に関連して県民生活及び県民の人権に支障が及ぶことがないよう関係機関に協力を求めつつ、在沖米軍の動向についても情報の収集に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○商工労働部長(花城順孝) 知事の政治姿勢について、県内の雇用失業の実態はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
本県の8月の完全失業率は、全国的な雇用状況の悪化の影響もあって前月に比べ0.3ポイント悪化し9.2%の高い数値となっております。
就業者数は58万1000人と前月に比べ7000人増加しておりますが、一方、労働力人口は64万人と1万人増加し就業者数の増加を上回っております。その結果、完全失業者数は前月に比べ3000人増加し5万9000人となっております。
完全失業者を求職理由別に前月と比較しますと、自発的な離職者が2000人、その他の理由による離職者が2000人それぞれ増加しており、リストラ等による非自発的な離職者は2000人減少しております。
また、求人の状況は、前年同月に比べ県内新規求人数が2カ月連続増加したのに対し、県外からの求人は3カ月連続の減少となっております。求職状況も求人の状況を反映して県内就職件数は7カ月連続で増加したものの、県外就職件数は4カ月連続の減少となっております。
これらのことから、県内の雇用機会は着実に拡大しているものの、これを上回る労働力人口の増加や県外就職の減少が失業率を押し上げる要因になっているものと考えております。
○企画開発部長(与儀朝栄) ポスト3次振計の新たな振興、新法の制定について、新沖縄振興法の制定に向けての国との話し合いはどうなっているか、本県の案に対する国の理解と協力はどうなっているか、新法制定に向けての論議の見通しはどうなっているかについて一括してお答えいたします。
沖縄振興新法の制定及び沖縄振興新計画の策定に向け、県は「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」を取りまとめ、国との調整を進めてまいりました。
内閣府は、これを踏まえ沖縄振興新法の検討の基本方向を示したところであります。この基本方向においては、高率補助制度等の継続に加え産業振興のための特別措置、国際協力及び国際交流の推進等のための措置、基地跡地利用促進のための特別措置等が創設されるなど、県の考え方を十分踏まえた内容になっております。
今後、県としては、法案に所要の措置が可能な限り盛り込まれるよう税制や法律の具体的内容について国との調整を進めてまいりたいと考えております。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) ポスト3次振計の新たな振興、新法の制定についての中の、カジノの導入に関して県民規模の論議がないようだが、確実に論議はなされるのかとの御質問にお答えします。
県内の経済団体においてゲーミング等多様なエンターテインメント創出のための論議があることは承知しております。
沖縄県振興開発審議会におきましては「多様なエンターテイメントの可能性について調査検討する。」との答申がなされ、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」に盛り込んだところであります。
県としましても、本県観光振興のための多様なエンターテインメントの可能性について先進地の状況や県内各界の意向等について慎重に調査・検討してまいりたいと考えております。
○農林水産部長(天願貞信) 単一JA合併問題について、農協の広域合併の現状はどうか、経営健全化やサービスの強化が図られたか、組合員数はどうかについてお答えいたします。
JA沖縄グループでは、平成3年に決定された8JA構想に基づき合併を推進した結果、本島北部、中南部、八重山地域で合併が進み、JAやんばるほか6つの広域合併JAが誕生しております。しかし、広域合併を進めた平成6年はバブルの崩壊等もあって不良債権が増大した年でもあります。このため、広域合併JAにおいても多額の不良債権を当初から抱えたことに加え、その後の厳しい農業環境の中で経営の健全化は図れなかったものと認識しております。このような状況にあって、経営の合理化を進めるため職員の削減や支所・出張所の統廃合を進めてきたところであります。
一方において、広域合併JAの組合員数については、信用事業や共済事業の進展などもあり、合併時に比べて4768名の増加となっております。厳しい経営環境の中にあって、当時の広域合併は組合員へのサービス向上については必ずしも期待に十分こたえることはできなかったものと考えております。
続きまして、1998年の5農協構想の背景と取り組みはどうか、それから単一JA合併構想の背景と合意形成はどうかについて、関連しますので一括してお答えいたします。
1998年に決議されました5JA構想の背景には、厳しい農業環境と金融システムの大改革に耐え得る経営基盤の強化が求められた結果であると考えております。この構想に基づき、圏域別合併に向けた合併事務局の設置等の取り組みが行われてきたところであります。しかしながら、バブル崩壊後に増大した不良債権と離島・農村部JAが抱える繰越欠損金により債務超過に陥るJAが生じる事態となりました。このようなことから、5JA構想では強固な経営基盤の確立は困難と判断され、県単一JA合併構想に移行したものと考えております。
県単一JA合併構想については、平成13年3月の第16回JA沖縄大会で決議され、沖縄県農協中央会、信用農業協同組合連合会、経済農業協同組合連合会と全JAの代表者で構成する合併推進本部委員会が設置されております。この本部委員会のもとで全国支援による経営困難JAの赤字処理、合併に向けたJA間の財務調整、合併後の経営計画の樹立等の課題解決に向けた取り組みが行われております。県としても、同構想が実現するよう合併の合意形成に向けて積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
続きまして、黒字農協と赤字農協の実態はどうか、赤字農協の赤字や不良債権の処理が来年4月までに可能かについて、関連しますので一括してお答えいたします。
県単一JA合併推進本部においては、合併に向けて県下28JAの財務確認作業を終えております。その結果によりますと、財務の健全なJAが11JA、経営不振のJAが8JA、債務超過で経営困難なJAが9JAとなっております。
県単一JAの合併に際しては、赤字や不良債権を持ち込まないことが条件となっております。このため、経営不振JAにおいては経営改善努力と出資金の一部減資が必要となります。
また、経営困難JAにおいては、多額の赤字を抱え自己処理が困難なことから全国支援を要請することになります。全国支援を受けるためには、平成14年4月のペイオフ解禁までに救済合併を行うことが必要となります。このため県としては、県単一JA合併構想が実現するよう合併の合意形成に向けて積極的に支援をしていきたいと考えております。
次に、台風16号の被害とその後の対策について、農業被害の実態、特にさとうきびの被害状況はどうなっているかということについてお答えいたします。
台風16号による農林水産業関係の被害額は、9月25日現在の速報値で26億9100万円となっております。そのうち、農業関係は19億7700万円となっております。
農業関係の内訳としましては、農作物関係で7億円、農地・農業施設関係で12億5500万円、畜産関係で2200万円となっております。
農作物関係の被害のうち、さとうきびの被害額は3億2300万円で、地域別では南部で2億5300万円、中部で5100万円、北部で1900万円となっております。
今後の対策としては、農道等の基盤施設関係については災害復旧事業等で対応してまいります。さとうきび等農作物につきましては、農業共済事業による補償制度が適用されることになっております。
以上でございます。
○警察本部長(太田裕之) テレホンクラブなど営業の実態とそれを利用した福祉犯罪の実態についてお答えをいたします。
テレホンクラブ等の営業実態でありますが、「沖縄県テレホンクラブ等営業の規制に関する条例」に定義するテレホンクラブ等の営業には、1つ、店舗を構えて営業するいわゆるテレホンクラブ、2つ、店舗を構えず交換機などの機械を設置して営業する無店舗型のツーショットダイヤル及び伝言ダイヤル併設の営業、3つ、伝言ダイヤルのみの営業の3種類がありまして、その数は平成13年9月現在でテレホンクラブ営業が10店舗、ツーショットダイヤル及び伝言ダイヤル併用が10営業所、伝言ダイヤルが4営業所の合計で24営業所の届け出があります。
このようなテレホンクラブなどを利用して児童買春または沖縄県青少年保護育成条例違反により検挙した被疑者は平成12年中は3件3名、被害少女が3名でありましたけれども、本年は9月25日現在で児童買春が9件、沖縄県青少年保護育成条例違反が5件の合計14件13人、被害児童は累計で15人と大きく増加しているところであります。
次に、少女買春問題等性風俗の乱れから来る青少年の教育、学習、生活環境の悪化に対する警察本部の現状認識と今後の取り組みについてお答えをいたします。
少女買春事案は増加傾向にあると認識しておりまして、これに歯どめをかけるため警察本部では県福祉保健部、県教育庁と連携を密にして本年9月20日第1回目の緊急対策会議を開催し児童買春の実態を報告するとともに、各部局が緊急に対策すべき事項を確認したところであります。
警察としては、指導取り締まりの強化として福祉犯情報の収集強化、街頭補導活動の強化を、また未然防止策として学校訪問による指導活動、被害児童の支援活動、さらに業界対策としてテレホンクラブ等営業者に対する指導、ホテル業組合に対する指導、さらに広報・啓発活動として沖縄県少年育成ネットワークの活用、薬物乱用防止教室を活用した啓発、各種広報媒体の活用などによって対策を強化することとしております。
次に、テレクラ条例の規制強化や児童買春禁止法の罰則強化などで社会の健全化、浄化の必要性が
あると考えるが、警察本部の見解と決意のほどを伺いたいという御質問にお答えします。
現在、「沖縄県テレホンクラブ等営業の規制に関する条例」が施行されているところでありますが、今般6月14日国会におきまして「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」いわゆる風適法の改正案が可決成立し、平成14年4月1日をめどに施行される予定であります。
この改正によりテレホンクラブ等営業の風適法における規制が強化されることから、これに基づきまして県警本部としましても本年12月の議会に風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部改正案及び沖縄県テレホンクラブ等営業の規制に関する条例の一部改正案、これを提出いたしまして児童買春事案の抑止を図るとともに、社会の健全化、浄化を図っていくこととしております。
次に、テレホンクラブ等営業について、未成年者の使用禁止のために新たな条例制定の必要性があると考えるがという御質問にお答えいたします。
先ほど申し上げましたように、今般国会において風適法が改正され、平成14年4月1日をめどに施行される予定であります。同改正により、テレホンクラブ等の営業者は、同営業所に電話をかけてくる者及び電話を受ける者について年齢を確認するために国家公安委員会規則で定める措置をとるべきことを義務づけており、従来のように女子、少年等がフリーダイヤルから自由にテレホンクラブなどを利用させるということができなくなります。
よって、御質問の新たに条例を制定する必要性につきましては、今般の法律改正により充足されることになり、警察としては法律を駆使して取り締まりを強化してまいりたいと考えております。
○福祉保健部長(新垣幸子) ツーショットダイヤルの未成年者の使用を禁止する条例の制定について、青少年の教育、生活環境の悪化に対する現状認識と取り組みについて、それからテレクラ条例等の規制強化等による社会の健全化、浄化の必要性について、ツーショットダイヤルの未成年者使用禁止のために新たな条例制定の必要性について、3つの御質問について一括してお答えいたします。
すべての大人は、青少年が健全に育成されるよう努め、これを阻害するおそれのある行為または環境から青少年を保護しなければならない立場にあります。その大人が自己の欲望を満足させるために女子中学生を買春した行為はとても許しがたいものだと考えております。
今回の事件は、御承知のとおり大人や青少年がテレホンクラブ等を利用して発生しております。青少年を取り巻く社会環境は、青少年の性的感情を刺激する俗悪な出版物や情報のはんらん、性非行を助長する新たな風俗産業の出現など年々悪化の傾向にあり、またエイズや性感染症が増加するなど大変憂慮すべき状況にあります。
県といたしましては、青少年を取り巻く有害環境の浄化を図るため教育庁、警察本部、関係機関・団体等と連携し、沖縄県青少年保護育成条例に基づき対象施設への立入指導や有害図書、興行等を指定するほか、関係業界に対する協力要請等を行っているところであります。
さらに今回、青少年を被害者とする性犯罪が続発したことから、この種事件の再発防止を図るため去る9月20日に教育庁、警察本部とテレクラ等利用による福祉犯罪防止緊急対策会議を開催いたしました。同会議において再発防止のために3者が一層連携を密にし、広報・啓発、指導取り締まり、業界対策を行うことを改めて確認しております。福祉保健部におきましても青少年の健全育成のためになお一層関係機関と連携して取り組んでいきたいと思います。
○教育長(津嘉山朝祥) ツーショットダイヤルの未成年者の使用を禁止する条例の制定について、児童買春など青少年を取り巻く環境の悪化に対する現状認識と今後の取り組みはどうなっているかについての御質問にお答えいたします。
今回の人間としての尊厳を揺るがす児童買春等性に関する事件は断じて許しがたい行為であり、強い憤りを禁じ得ません。性情報のはんらんや性に対する価値観の多様化、一部の大人の自覚と責任の欠如など児童生徒を取り巻く社会環境の悪化は極めて憂慮すべき状況にあると考えております。
このことの重大性にかんがみ、県教育委員会といたしましては、9月11日にすべての保護者や学校関係者、大人及び子供たちに「県教育長緊急メッセージ」を発したところであります。また緊急対策会議を開催し、児童生徒の実態を踏まえた生徒指導の徹底や地区別対策会議の開催など具体的な実践事項を学校や家庭、関係機関・団体等が一体となった取り組みに鋭意努めてまいりたいと考えております。
さらに、学校においては児童生徒同士や教師との豊かな人間関係を醸成し、自己存在感や有用感を高め、人間としてのあり方や生き方を真剣に考え、みずからの夢や希望を抱き、その実現に向かって進むことができる児童生徒の育成に努めてまいりたいと考えております。
同じくツーショットダイヤルの未成年者の使用を禁止する条例の制定について、テレクラ条例の規制強化や児童買春禁止法の罰則強化等で社会の健全化、浄化の必要性があると考えるが、見解と決意はどうかという御質問にお答えします。
心ない大人の社会的責任の欠如は、ゆがんだ性情報のはんらんなど児童生徒を取り巻く社会環境は極めて厳しい状況にあり、環境浄化は緊急に取り組むべき課題であると認識をいたしております。
県教育委員会といたしましては、特に児童生徒の健全育成の根幹となる家庭教育力の向上のため、子育てに困窮している保護者などに積極的な支援を行う家庭教育支援会議の設置の促進、また幼児や低学年児童を持つ全家庭への家庭教育手帳・ノートの配布、幼稚園における家庭教育学級の開設、家庭教育指導者向けの家庭教育カウンセリング研修会を実施するなど家庭教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
さらに、地域ぐるみで児童生徒の健全育成が進められるよう保護者や学校、地域社会、関係機関・団体等との連携を強化し、社会の健全化、地域環境の浄化になお一層の重大な決意で臨む所存でございます。
次に、台風16号の被害とその後の対策について、公立学校等の台風の対応で混乱があったと聞いている、今後このようなケースを想定して適切な対策の確立が求められていると考えるが、見解を求めるとの御質問にお答えをいたします。
台風接近時における学校の臨時休業につきましては、学校長の判断により暴風警報発令時以外でも河川のはんらんや道路決壊等のおそれがあり児童生徒の安全が脅かされる場合には、学区域内の状況に応じて臨時休業とすることができることとなっております。
これまで県教育委員会といたしましては、臨時休業を行うことができる場合の基準を定め各市町村教育委員会及び学校長に通知をし、また安全確保の観点から暴風警報が発令された地方は休校となることについてテレビ放映等を依頼をしてまいりました。今回の台風16号は、台風接近時における児童生徒の登・下校時の対応や学校給食の取り扱い、あるいは授業再開のあり方などさまざまな課題を浮き彫りにいたしました。これらの課題を解決するためには、各地域や学校の実情に応じた柔軟な対応が必要であると考えております。
県教育委員会といたしましては、今後、県通知文書のあり方など抜本的に見直す方向で検討を進めてまいりたいと考えております。また、各市町村教育委員会や各学校段階において対応マニュアル等を作成するなどの対策の整備、保護者や児童生徒への周知徹底等について市町村教育委員会や学校長と十分に意見交換を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(永山政邦) 台風16号の被害とその対策について、家屋の浸水、倒壊、道路の決壊などの被害状況と復旧などについてお答えいたします。
台風16号による被害で家屋の浸水は床上浸水が13市町村で702棟、床下浸水が13市町村で229棟となっております。特に沖縄市においては床上浸水が511棟、床下浸水が106棟と最も多くの被害を受けております。
家屋の倒壊は全壊が5市町村で32棟、半壊が4市村で72棟、一部損壊が5市村で59棟となっております。
道路決壊は4市村で4件となっており、そのうち具志川市の県道10号線、これは伊計平良川線と具志川環状線の交差点付近の陥没と渡嘉敷村の渡嘉敷─阿波連間の村道の陥没が大きな被害となっております。現在、関係部局におきましてこれらの被害の復旧作業に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
続きまして、離島の被害状況と復旧作業の進捗、今後の課題についてお答えいたします。
台風16号で被害のあった離島は本島南部離島6村に及んでおります。特に渡名喜村におきましては家屋の全半壊60棟、床上・床下浸水90棟のほか、学校施設、電力施設、淡水化施設等に大きな被害が発生し、県としましては災害救助法を適用するとともに、村長からの求めに応じ自衛隊の派遣を要請し、飲料水のほか毛布等の生活必需品や応急復旧のための作業員、資材をヘリで空輸し、電気、電話、上水道の早期回復を図ったところであります。また、9月14日と18日に関係機関の職員が現地の被災状況を調査し、高齢者宅の清掃ボランティアを直ちに派遣するとともに、仮設住宅の建設にも着手しております。
また、渡嘉敷、具志川、仲里、座間味村、粟国村の5村においては人的被害が2件、家屋の損壊51棟、床上・床下浸水が33棟、土砂崩れ23件、道路損壊1件ほか、農作物等の被害と、先ほど農水部長から報告ございましたが、被害があります。
台風16号で被害を受けたそれぞれの離島における施設等につきましては、関係部局におきまして国との調整を図りつつ具体的な作業に着手しているところでございます。
今後、県といたしましては各離島市町村における気象情報の伝達、非常時に備えた食料、生活必需品の備蓄のあり方など離島の実情に応じた災害対策について市町村防災計画の検討など指導していきたいと考えております。
以上でございます。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 下地島空港への自衛隊の訓練等の誘致問題について、1971年8月の当時の屋良朝苗主席が国と交わした覚書からすると、下地島空港を自衛隊の訓練等に使用させることはできないと考えるが、県の見解を求めるとの御質問にお答えいたします。
下地島空港の使用に関しましては、御指摘のとおり建設当時の琉球政府と国との間で交わされた確認書や県議会での附帯決議など過去の経緯があり、これらの確認書や附帯決議は尊重されるべきものと考えております。
しかしながら、下地島空港を取り巻く社会経済情勢は、建設当時と現在では大きく変化していることも事実であることから、御質問の下地島空港を自衛隊の訓練などに使用させることについては、今後地元伊良部町はもとより広く宮古郡民や県民のコンセンサスを見きわめながら、いろいろな角度から慎重に検討していく必要があるものと考えております。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 下地島空港への自衛隊の訓練等の誘致問題についての御質問のうち、国や航空会社に財政的な問題に対する何らかの支援措置を講ずるよう働きかけることについての御質問にお答えをいたします。
伊良部町の財政状況は自主財源比率が低く、地方交付税や国、県支出金等に依存した脆弱な財政構造となっており、また経常収支比率も91.7%に達するなど財政の硬直化が進んでおります。
県といたしましては、下地島空港及び空港周辺公有地の活用による地域の振興、活性化について空港建設の経緯、経過等を踏まえ、これまで取り組んできたところであります。今後とも伊良部町と連携を強化しながら引き続き支援・協力を行ってまいりたいと考えております。
○喜納 昌春 二、三点再質問します。
1点目は、知事の政治姿勢との関係で、この普天間飛行場の県内移設の問題、任期中での実現の見通しがあるのかどうか、自信のほど、もう一度聞かせてください。
それからテロ事件で関連しまして、岸本市長はこの15年問題、大分おくれるなという弱気な発言をしています。ただ、工法の問題含めて、選定の問題含めて待ったなしだはずです。そういう意味では、そういう問題と関係なしに15年問題は知事としては迫っていく、こういう決意であるのかどうか。
それからもう一つは雇用失業問題、聞いたんですが、私としては「稲嶺県政不況」ということで規定づけますけれども、そういう覚悟で迫られるということを覚悟してください。ただ知事がおっしゃるように、これは詰めてもあれですので、ぜひ抜本的な雇用対策、9.2というのは異常ですからね、ぜひしっかりやっていただきたい。要望申し上げます。
それからこのテロ事件に関しての情報開示の問題、当面の間、国の要請を受けながら勝連町とか漁業関係者には言いましょう云々あります。ただそうであれば、知事、知る権利は全県民の問題なんです。これは漁業関係者、勝連町だけに言っても知れることなんですよ。ですから当面といっても、この報復云々のやつは10年とも言われていますよ。であれば、情報についてはしっかり開示していく、こういう決意が私は求められていると思います。平和宣言云々もあるわけですからね。平常心で沖縄県の基地問題に対してはやるということがなければ観光客も減っていきますよ。情報開示についてはぜひ決意ある答弁をいま一度求めます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時25分休憩
午前11時27分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 御質問が県内移設の問題、それから情報開示の問題がございまして、要望が1つでございます。その再質問にお答えをいたしたいと思っております。
最初の御質問は、県内移設の問題であり、任期中にできるのか、それから例の事件の問題からその辺について非常に弱気な発言が出ているけれども、おまえはどうかというような御質問でございまして、最初、これは私の場合は常に一日も早くということを申し上げていますから、その意味でも一日も早くということで当然私の方は任期中に一歩でも二歩でもどんどん進めるように全力を尽くして努力をしたいと思っております。
それからこの問題が起きましても私は15年問題は15年問題ときっちり切り離しまして、いかに状況が厳しい問題であろうと私どもは条件として提示しておるわけですから、その線に沿って進んでいきたいと思っております。
なお、情報開示の問題につきましては、今回は不測の事態に対処するためにはやむを得ない措置であると考え、国の要請というのを受け入れて公表を控えることにしたわけでございます。しかし、従来どおり24時間前通知は地元勝連町及び水産中央会には行うとともに、その入港時及び出港時の放射能測定調査を実施して、その結果についても従前どおり地元勝連町を初めマスコミ等へ公表したいと思っております。
なお、県としても今後県民の生命、生活、そういうような影響を及ぼすおそれのある事案については情報収集と公表に努めてまいりたいと考えております。
○平仲 善幸 おはようございます。
県民の会を代表して質問を行います。
アメリカで起こったテロ・爆破事件は、世界じゅうの耳目を引きつけております。いかなる理由があろうとも一般市民を巻き込んだ今回のテロ行為は、まさに人類の生存する権利への重大な侵害と挑戦であります。断じて許すことのできない犯罪であります。この事件で犠牲になられた多くの方々に深く弔意をあらわすとともに、我が国政府もテロ対策とその防止策に万全を期して国民生活の揺るぎない安寧を図っていただきたいと要請をするものであります。
さて、内外の政治・経済情勢が激しく揺れ動く中、稲嶺県政も4年目を迎えようとしております。知事にとって、これまでの3年間は息つく間のない目まぐるしい3年間だったと思います。3次振計の総括、沖縄新法の成案作業、普天間飛行場の移設問題や米軍人の事件・事故への対応など、他の県にはない政務の遂行に忙殺され、多事多難な課題に立ち向かう知事に敬意を表したいと思います。
質問をいたします。
安保と地位協定についてであります。
地位協定は、米軍がその施設・区域の使用に当たって円滑な活動を確保する目的で国会で承認された規定であることは御承知のとおりであります。ところが今や、この地位協定が県民の生活、生命、権利と真正面から衝突する盾となって作用し、県民生活を脅かしております。私たちは今、この米国・軍人の犯罪を法の前の平等の原則に照らして裁かれるべきであると主張しているのであります。
知事は、政府に対して地位協定の改定を申し入れ、県議会も「日米地位協定の見直しに関する意見書」を全会一致で可決いたしました。多くの市町村議会でも同様の決議をしております。軍転協も経営協も同じく地位協定の見直しを主張し、関係要路に要請をしております。県選出の国会議員も衆議院の外務委員会で地位協定の見直しを決議をしております。
今や、与野党を問わず県民の総意として地位協定の改定を要求している県民の一致した事態を県知事はどのように認識し、処理されようとしておられるのか、お伺いいたします。
質問の第2点目は、過去に起きた米兵関連事件を総ざらいして国防総省と米国世論に訴えることであります。つまり、復帰以前、以後に起きたすべての事件・事故と、その処理経過を再点検して、県民がこうむり続けてきた被害のすべてを内外のマスコミを通して明らかにすることであります。すべての沖縄県民が地位協定の改定を要求する正当な理由を明示して、国際世論と米国の国内世論に訴えてアメリカ国防総省の壁を突き崩す作業が必要だと考えます。この作業を急ぐべきであると考えますが、いかがでしょう。
質問の第3点目は、苦情処理機関の設置であります。
米国・軍人との間での事件・事故は多面にわたるようであります。交通事故を初めとするこれらの事件処理は、言葉や生活習慣の違いもあってスムーズな進展が図られていないようであります。そこで、これら米軍人との間で起こるトラブルの解決・処理・相談などを担当する県の機関を設置してはいかがでしょうか。それに必要な費用は、特別交付金あるいは基地交付金として政府にその費用の支出を求めていくべきと考えますが、お考えをお聞かせください。
次に、沖縄振興開発計画・特別措置法に関する問題であります。
政府は、次年度以降の沖縄振興計画を担保するための沖振法の抜本的な改正を考えているようであります。いわゆる沖縄新法でありますが、この新法の目指す方向がおぼろげながらその姿をあらわしつつあります。原案づくりのための作業が進められているさなかでありますだけに、その内容についての詳細な説明はできないと思いますが、把握されている範囲でその概略の説明をお願いをいたします。
次の質問は、健康なお年寄りへの施策であります。
高齢化社会が叫ばれて久しくなります。去る11日、厚生労働省は、「敬老の日」を前に全国の長者番付を発表いたしました。それによりますと、全国で100歳以上の高齢者が1万5000人以上となり過去最多になったとマスコミ報道がなされております。
沖縄県は、これまでに引き続き12年連続してトップで457人と発表されました。今後ますます長寿県としての面目が維持できますように県のしかるべき施策をお願いをいたします。
そこで、きょう私が取り上げる課題は、福祉や医療を、あるいは介護を必要としない元気な高齢者、バイタリティーにあふれ、エネルギッシュな高齢者たちへの行政上の施策が極めて不十分であるという点についてであります。
高齢者医療や財政問題とは無縁な存在であるこの元気な高齢者、また介護保険にもお世話にならない元気な高齢者、進取と積極、健康とたくましさを振りまき、老人像を日々塗りかえて活動するお年寄り、このような元気なお年寄りを積極的にふやしていく行政こそが県民の求めている行政であると考えます。
そこで関係部長にお尋ねをするのでありますが、まず土木建築部長にお尋ねをいたします。
沖縄県の管理する公園に元気なお年寄りが利用できる運動機器、器具を配置し、高齢者の健康管理に土木行政の面からの配慮がなされるべきであると考えます。また住宅、都市環境整備事業でも高齢社会に適応した行政の展開が求められております。土木建築部として構想、事業内容などがあればお聞かせください。
次に、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
福祉保健部長の仕事は、福祉を必要とする人を多くつくることではなく、いかにして福祉を必要としない人を積極的にふやしていくかというのがその目的であると考えます。そうだとするならばテニスクラブやスイミングプール、あるいはゴルフや塾、空手道場や舞踊などの同好会で、心身の鍛練に通う元気なお年寄りに報奨金などの督励費を支給する考えはないか。
これは、高齢者を弱者として救済の対象にするという発想ではなく、地域に元気を振りまき、高齢者像を日々塗りかえ、医療保険財政の抑制をもたらしている元気でアクティブな高齢者へのいわばさわやか給付金として沖縄県で創設してはいかがでしょうか、部長に御見解をお聞きします。
次に、教育長にお尋ねいたします。
NHKでは、「課外授業ようこそ先輩」という番組の放送があります。番組の内容は、その小学校を出た先輩が自分の出身校に戻ってきて、自分の仕事を紹介するという番組であります。この構想に学び、地域の元気なお年寄りを小学校の一日教師として招き、先輩の授業を受けさせてはいかがでしょうか。これは、世代間の知恵の受け渡し場所としてお年寄りには充実感を呼び、子供たちには老人の知恵と経験を学ぶ場として、また地域共同体としての一体感を醸成する場として生きた教育ができると思うが、いかがでしょうか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
次に、沖縄県史の編さん事業についてであります。
沖縄県史の編さん事業は昭和40年に始まり、これまで多くの通史・資料やビジュアル版などが出版され、精力的な取り組みは各方面で高い評価を受けております。
さて、私がきょう取り上げますのは、戦前の内・南洋に渡った県民の足跡が県史の中でどのように記録されようとしているのかであります。
御承知のように、「北の満鉄」、「南の南興」という植民地政策に引かれて戦前、日本の委任統治領であった内・南洋、すなわちカロリン、マーシャル、マリアナ群島には多くの県民がさとうきびづくりを目的に、あるいはカツオ漁業を目的としてこれらの島々に渡りました。
ところが、戦前の日本の植民地に渡った多くの日本人がそうであったように内・南洋に渡った県民も戦争で多くの人命を失い、生き残った人も辛苦の末、築き上げた財産もすべて失い、手ぶらで沖縄に引き揚げてまいりました。戦前の県政の施策として展開された内・南洋への植民は、結果として悲惨な結末を迎えたのでありますが、県史の編集に当たり、内・南洋への植民者の足跡をどのように位置づけようとしておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
次に、公文書館では現在、企画展として「テニアン展」を開催しておりますが、これの開催に至った経過、経費など、またこのテニアン展に続き「内・南洋展」を開催する計画があるかどうかについてもお聞きします。
次に、アメリカの国立公文書館には膨大な沖縄関係の資料が保存されているようであります。中でも沖縄戦に関する資料は、文化や歴史に関するジャンルまで含めて貴重な資料の宝庫だと聞かされております。
そこでお尋ねをするのでありますが、このアメリカの公文書館にある資料を系統的に、計画的に収集する計画があるのかどうかについてお伺いします。
次に、沖縄復帰関連の資料の収集についてであります。
沖縄復帰は、民衆の一人一人が政治と運動に参加し、これを支えてきた結果として成就できた民族の悲願でありました。沖縄県史の編集に当たっては、この視点を見失ってはならないと考えます。この視点に立てば、地域や職場で、またグループや家庭でどのように復帰運動に参加していったのかが記録されなければならないと思います。草の根の闘いの部分が正しく記録されておくべきだと考えます。御意見をお聞かせください。
次に、下水道事業についてお尋ねをいたします。
下水道建設事務所には、下水道の設計を担当する部署が置かれるべきと考えますが、これが置かれていない理由をお聞かせください。
以上で私の代表質問を終わります。
ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 平仲善幸議員の御質問にお答えいたします。
最初は、地位協定の改定についての御質問がございました。それについてお答えをしたいと思います。
去る9月9日のサンフランシスコで行われた田中外務大臣とパウエル米国務長官との会談において、外務大臣から日米地位協定の運用改善の協議を進めたい旨の発言があり、これにこたえてパウエル長官も協議を進めていきたい旨の発言があったと聞いております。県としては、米軍基地から派生する事件・事故や環境問題などから県民の生命財産を守るためには日米地位協定の抜本的な見直しは不可欠であると考えております。
また、県が求めているのは第17条の被疑者の身柄の引き渡しだけでなく、環境問題なども含めた11項目について見直しを要請しているものであり、今後、日米両政府において県の要請している11項目のすべてについて日米地位協定の抜本的な見直しに取り組んでいただけるようあらゆる機会をとらえて要請していきたいと考えております。
さらに、地位協定の抜本的な見直しを初め本県の米軍基地問題の解決には、全国民が沖縄の基地の現状を理解し、日米安保体制に基づく沖縄の米軍基地の問題はみずからの問題であるという認識を持っていただくことが重要であると考えています。そのためには政府や国会等への要請を初め、全国知事会や渉外知事会などの全国的な会議や来県された各界各層の方々への協力要請、他県における講演会などあらゆる機会を通して国民世論に訴える必要があると考えており、今後とも粘り強く訴え続けていきたいと考えております。
同じく地位協定の改定の問題について、過去の事件・事故及びその処理経過を国際世論あるいは米国の国内世論に訴えるべきだと考えるが、その見解を聞きたいについてお答えをいたします。
県としては、米軍人等による事件・事故を初め、沖縄の米軍基地をめぐるさまざまな問題が県民に大きな負担を強いている現状を米国民に直接訴えることは大変重要であると考えております。このような観点から県は、沖縄の米軍基地をめぐる諸課題について県がこれまで日本政府に対し要請してきたことを米国政府・連邦議会関係者、シンクタンク及びマスコミの関係者、そして多くの米国民に伝え、理解と協力を求めるため今年5月に米国を訪問したところであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 平仲善幸議員の地位協定の改定についての質問事項のうち、米軍人等による事件・事故に伴うトラブルの解決・処理・相談などを担当する苦情処理機関を国の費用で県が設置すべきと考えるがどうかという趣旨の御質問にお答えをいたします。
米軍人等による事件・事故に関する苦情処理・相談などにつきましては、現在、交通事故に関する事案は県警が、また被害者補償に関する事案は那覇防衛施設局が所管し対応に当たっております。
また、県におきましては、アメラジアン問題などの国際女性問題に関する相談員や交通事故相談員を配置し苦情処理や相談に当たっております。県としては、これらの被害者等に対する担当機関の窓口の紹介や、損害賠償手続についての相談など米軍人等による事件・事故等に関する総合的な相談窓口の設置がさらに必要かどうか、今後検討してみたいと考えております。
以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 新たな沖縄振興新法について、県の考え方に対する政府の取り組み状況はどうなっているかについてお答えいたします。
内閣府においては、新法の制定に向け、県が提案した「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」を踏まえ、8月末に沖縄振興新法の検討の基本方向を示したところであります。この基本方向は、新法の枠組みを示すものとして産業振興のための特別措置、国際協力及び交流の推進等のための措置、駐留軍用地の利用促進及び円滑化のための特別措置並びに高率補助制度の継続など県の基本的な考え方を十分取り入れた内容となっております。具体的内容については、年末までに関連する税制や予算の取り扱いなどが取りまとめられ、来年1月の通常国会に提案される見通しであります。
県としては、国との連携を図りつつ「基本的な考え方」に盛り込まれた制度・施策が実現できるよう全力で取り組んでいきたいと考えております。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 健康な老人への施策について、高齢者が利用できる健康運動施設の整備計画を問うとの御質問にお答えいたします。
都市公園は、緑豊かで安全・快適な都市環境の創出、スポーツ・文化活動等の多様なレクリエーション需要へ資するとともに、災害時の避難場所としての機能確保等都市生活に欠くことのできない極めて重要な都市施設となっております。
このことから、県営公園については市町村公園との整合を図り、広域的なレクリエーション需要に対応することを目的に地域バランス等を考慮して現在9公園の整備を推進し、8公園を県民利用に供しているところであります。このうち、奥武山公園や総合運動公園等には健康な老人が利用できる健康運動器具として腹筋運動や腕立て伏せができるアスレチックベンチ、柔軟体操等の総合的な運動が可能なトレーナージム等を設置しております。しかしながら少子・高齢化社会への移行が急激に進展する背景を考えると、高齢者が日常的に利用できる健康運動施設や交流施設等の整備は都市公園の整備においても重要な課題の一つとなっていると認識しております。今後は、これら施設の充実になお一層努めていきたいと考えております。
次に、下水道事業について、下水道建設事務所には下水道の設計を担当する部署が置かれるべきだと考えるが、置かれていない理由を問うとの御質問にお答えいたします。
下水道建設事務所における設計業務は、流域下水道に係る調査、設計及び監督に関することとして事務分掌を定め、建設課において担当しております。建設課には、下水道施設の設計業務に対応するため土木、建築、電気、機械の担当技術者を配置し各種研究会への参加、最新の技術・機器を展示及び紹介する下水道展への視察を行うなど技術進歩の著しい下水道技術の研さんに努めているところであります。下水道施設の設計に当たっては、既存施設との整合を図りながら機能性、効率性、経済性等を考慮し、新しい下水道技術の導入も積極的に進めていきたいと考えております。
○福祉保健部長(新垣幸子) 健康な老人への施策として健康・報奨金等について支給したらどうかという御質問についてお答えします。
高齢者に対する施策といたしましては、健康な老人を対象とした健康と生きがいづくりなどの各種事業の実施も大変重要であると考えております。
高齢者の健康・長寿を祝い、多年にわたり社会に貢献してきた功績に感謝するいわゆる報奨金としてカジマヤ-祝い対象者に1万円、新100歳の方に1万5000円相当の記念品、101歳以上の高齢者に対して1万5000円を祝い金等として支給しております。
また、健康老人に対する支援策といたしましては、沖縄県いきいきふれあい財団が実施する全国健康福祉祭への選手等派遣事業や、かりゆし長寿大学校における学習の場の提供等があります。また高齢者の自主的な活動を支援するため、沖縄県老人クラブ連合会による老人クラブ活動や高齢者の文化・スポーツ交流事業等に対して助成を行っております。今後とも高齢者の健康増進や生きがいづくりを推進してまいりたいと思います。
○教育長(津嘉山朝祥) 健康な老人への施策について、健康なお年寄りを小学校の一日先生として招いたらどうかという御質問にお答えをいたします。
児童生徒一人一人が豊かな学習活動を展開するためには、保護者や地域の諸先輩方が持っております豊かな体験、専門的な知識や技能を授業や教育活動に活用し開かれた学校づくりを推進することは極めて重要なことであると考えております。各学校におきましては、各教科及び「総合的な学習の時間」等に地域のお年寄りを一日先生としてお招きしたり、また授業参観や学校行事等で交流したりする取り組みがなされており、極めて重要なことであると考えてございます。
御提言の趣旨につきましては、教師による従来型の授業に加え、地域人材を活用した授業を実施することにより、児童生徒が諸先輩の貴重な体験、失敗談などからその知恵と経験を学び、豊かな心をはぐくむことができるものと考えております。
県教育委員会といたしましては、地域人材の積極的な活用を推進するため学校や地域における人材バンクを作成し、ボランティアコーディネーターによる効果的活用を図っているところでございます。また、平成11年度から特別非常勤講師配置事業等の実施を通して、高齢者を含めた豊かな経験やすぐれた知識・技能を持った社会人を活用した教育活動を行っております。今後とも引き続き人生経験豊富な地域人材等の積極的な活用の促進に努めてまいりたいと思います。
次に、県史編さん事業に係る若干の課題について、県史の編さんに当たり「内・南洋」移民の足跡をどのように位置づけ、記録されようとしているのか、また資料等の収集状況はどの程度進んでいるのかとの御質問にお答えいたします。
沖縄県は、日本の中でも数多くの移民を送り出した移民県であることから、新沖縄県史編集事業において移民は重要な事項と位置づけております。「内・南洋」への日本人移住者の過半数が本県出身者であったことを踏まえますと、南洋移民は県民が歩んだ歴史の重要な部分を占めると言えます。
南洋移民の資料収集に関しましては、国立公文書館の旧南洋庁の行政関係文書、さとうきび生産事業を担った旧南洋興発株式会社等の関係資料及び県人移住者の個人関係文書並びにこれらに関する当時の写真資料等を既に相当数収集をいたしております。現在、企画展「旧南洋群島と沖縄県人 テニアン」展を県公文書館にて開催し、収集した資料を広く県民に公開することで普及・啓発に努め、あわせて資料収集に取り組んでいるところでございます。
さらに、南洋移民経験者が高齢化していることから、関係者への聞き取り調査を実施するなどして諸資料の収集に努めているところであります。
同じく県史編さん事業に係る若干の課題について、企画展「旧南洋群島と沖縄県人 テニアン」展の開催に至った経過と費用、またこれに続き別途「内・南洋展」を開催する企画があるのかの御質問にお答えいたします。
このたびの企画展は、沖縄テニアン会が現在記念誌の編集事業を進め、記念誌の編集のために全国の会員や関係者から資料を収集中でございました。
一方、県史編さんでも南洋移民関係資料を収集していることにより目的が合致をし企画展の開催につながりました。展示会の経費は、史料の複写及び展示パネル等の作成作業が中心であることから通常の事務経費で賄われております。
展示会の企画・開催は、収集資料の一般県民への公開と普及に寄与するとともに、これによって県民の理解と関心が高まり、これが新たな資料の発掘や提供にもつながりますことから、諸資料を収集していく上で重要なことと考えております。今後、南洋移民関係の資料収集をさらに進め、その成果を踏まえて旧南洋全体の資料展を企画し、広く県民にこれを公開し、さらなる資料収集の促進を図りたいと考えております。
同じく県史編さん事業に係る若干の課題について、米国の公文書館資料の計画的収集についての御質問でございます。
米国国立公文書館の所蔵資料につきましては、沖縄関係の写真や文書等の資料が数多く含まれていることから、新沖縄県史の編集計画に基づきながら計画的に資料の収集を実施いたしております。
これまで同館の沖縄戦に係る資料を収集し、その後沖縄県史資料編として編集し刊行をいたしております。また、昨年度からは沖縄関係の空中写真や南洋移民関係資料を収集し、今後も継続して資料収集の調査を実施する予定でございます。これら米国国立公文書館所蔵の資料は、県史の資料編や普及版に積極的に編集・活用する計画でございます。
同じく県史編さん事業に係る若干の課題について、復帰運動に当たって民衆はどのように運動に参加していったのかが記録されなければならない、記録を急ぐべきと考えるが、計画はどうかとの御質問にお答えいたします。
沖縄の日本復帰関係の資料は、主要な史料として復帰対策室関係文書の琉球政府文書や沖縄県祖国復帰協議会文書等があり、現在、関係資料の収集・整理を進めているところでございます。
御質問の趣旨は、県史編さんに当たり沖縄の日本復帰運動をさまざまな視点、角度からとらえる必要があるという内容と理解いたしておりますが、県史編さん事業におきましては、一般県民の立場からとらえた運動史に関する資料や記録等も収集し、総合的な復帰運動関係資料の収集に取り組む方針でございます。現在は、現代史に関する資料の収集と整理に重点を置いて取り組んでいるところでありますが、今後の具体的編集計画に当たりましては、一般県民の立場など総体的な視点に立って復帰運動史の編集ができますよう検討を重ねてまいりたいと思います。
以上でございます。
○平仲 善幸 福祉保健部長は、いわば制度を答弁したことでありますね。
私はそういうことを言ってないんです。健康なお年寄りがいろんな立場でゴルフやあるいは琉球舞踊、またスイミングプール、そういうようなところでこういうようなことを努力しているよというような形で生き生きと、いわば支援するような形のこれを含めてできないかということを聞いているんですね。結果を聞いてないんです。よろしくお願いいたします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後0時6分休憩
午後0時6分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
福祉保健部長。
〔福祉保健部長 新垣幸子君登壇〕
○福祉保健部長(新垣幸子) 平仲議員の御質問についてでございますけれども、恐らく健康な老人に対する福祉という考え方ではないと思います。それぞれ自立した成人でございますので、これまで培ったいろんなことがあると思います。そういう意味でそれぞれが自分の個性に合わせた活動でもって生きがい対策を進めることは大変重要だと思います。そういう意味でいきいきふれあい財団あるいは老人クラブ連合会でもそれをバックアップするような事業を行っておりますので、今後ともなお一層そういうことを積極的に推進してまいりたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後0時8分休憩
午後1時30分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
午前に引き続き代表質問を行います。
前島明男君。
〔前島明男君登壇〕
○前島 明男 公明県民会議を代表して質問を行います。
質問に入ります前に、去る9月11日早朝に発生いたしました米中枢多発テロについて所見を述べさせていただきます。
何の罪もない一般乗客ら266人の乗った旅客機もろとも、アメリカ世界貿易センタービルや国防総省の建物に突っ込み、自爆炎上し、史上まれに見る大惨劇を引き起こし、アメリカだけでなく全世界の人々を恐怖と驚愕の中に陥れました。いかなる理由があるにせよ、人命を無視し、罪もない一般市民を巻き添えにした無差別な殺人テロは断じて許すことはできません。二度とこのような忌まわしい事件が起こらないように願うものであります。また、テロの犠牲になられた6000人余りの方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第でございます。
それでは質問に入ります。
1、米軍基地問題について。
沖縄に築かれた米軍基地は、県民が進んで受け入れたわけでは決してありません。敗戦という特殊事情下で権力の恣意によって築かれました。しかも、戦後半世紀間にわたり沖縄側からアピールしない限り当然のごとく居座りを続けます。また、これまで基地の建設は沖縄県民の頭越しに進められてきました。
しかし昨今、かつてのような当局の強引な手法は影を潜めました。地元のコンセンサスを求めざるを得ない時代が来ましたが、国と国との取り決めなので地元の意向を100%聞き入れられるような状況にはありません。
約6年前の少女乱暴事件を契機に県民運動の盛り上がりによって県民意思が無視できなくなりました。ゆえに、沖縄側から解決策を提唱し、危険なリスク負担に対する見返りをかち取るぐらいのたくましさで取り組まなければならないと考えます。
そこで、普天間飛行場の移設につきましても、県民が英知を絞って納得のいくような条件を提示し、かち取らなければなりません。15年使用期限は最も重要な条件の一つであります。
よって、次のことについて伺います。
(1)、普天間飛行場の代替施設の15年使用期限について。
ア、知事が訪米報告を各関係大臣にされたわけですが、その後の日本政府の対応に変化が見えるかどうか。
イ、米国では、15年使用期限の設定に同意できないとしているが、沖縄の基地を半永久的に使用するつもりでいるとお考えですか。
ウ、訪米の際に米国民にも説明し理解と協力を求められたわけですが、反応はどうでしたか。
エ、米中枢同時テロの発生によって、15年使用期限問題にどのような影響を与えるとお考えですか。
(2)、日米地位協定の見直しについて。
ア、ドイツや韓国等では既に改定が行われているのに、どうして日本政府は運用改善ばかりを主張するのか理解に苦しみます。なぜだとお考えですか。
イ、米軍基地が集中する沖縄の諸問題の解決には協定の見直し以外に道はないと考えるがどうか。
ウ、日本政府が弱腰で県民の立場を理解しない以上、全県民的な運動を起こす必要があると考えるがどうか。
エ、去る9月8日のサンフランシスコにおける田中眞紀子外相とパウエル米国務長官との会談の中で、地位協定に関し、米側は、協定の意義を十分に説明すべきだと指摘し、協定の改定には応じられないとの見解を示したとされているが、沖縄県民に対する認識不足も甚だしいと思うが、知事の見解を賜りたい。
(3)、那覇重要港湾開発計画について。
港湾開発計画に関連する諸問題で、浦添市と那覇市がぎくしゃくして調整が難航し、一部事務組合の立ち上げにも大きく影響しそうな気配ですが、次のことについて伺います。
ア、県はどのような対策をとっているのか。
イ、現在、どのような状況にあるのか。
ウ、2002年4月1日の一部事務組合立ち上げは大丈夫なのか。
エ、この問題については、できるだけ早い時期に県知事、那覇、浦添両市長の三者のトップ会談を持つべきだと考えるがどうか。
大きな2番、沖縄振興新法について。
本県の振興開発については、昭和47年の本土復帰以来、3次にわたる沖縄振興開発計画に基づく各種施策が推進されたことにより、社会資本は着実に整備が進み、県民生活も向上するなど本県社会経済は大きく進展してきました。しかしながら、依然として進展しない経済・雇用情勢の改善、特に若者などを中心とする高い失業率や本県振興の阻害要因となっている基地問題の存在など、本県の社会経済を取り巻く厳しい環境は今なお続いている。
このことは、現行の沖縄振興開発特別措置法や沖縄振興開発計画の体系に基づく格差是正と自立的発展の基礎条件の整備を中心とした施策・事業の進め方のみでは限界があることを示しております。
以上のことを踏まえ、第3次沖縄振興開発計画後における沖縄の振興については、大胆な発想による沖縄振興新計画の策定と、その実効性を新たな枠組みで着実に支える沖縄振興新法の制定により取り組む必要があると考えます。
新たに策定される振興計画は、沖縄が21世紀への新しい針路をとったことを内外に示す将来ビジョンであると同時に、これをどう実現していくかを県民に明らかにする役割を持つものと考えます。県民各界各層の意見を集約して原案の作成に当たってこられたわけですが、行政当局や関係者の御努力のかいあって、県民としてもほぼ満足のできるようなものになっていると評価をするものであります。
しかし、欲を言えば切りがないわけですが、少々考えさせられるところもあるので、二、三確認をしておきたい。
そこで次のことを伺います。
(1)、鉱物資源の少ない我が県において、何よりも最優先されるべきは人材育成であると考えます。
そこで次のことについて伺います。
ア、創造的な人材をはぐくむ「教育立県」を目指すべきだと考えるが、その方策は何か。
イ、グローバルに通用する知的創造拠点を形成することが重要だと言われているが、その方策は何か。
(2)番、自立経済の構築について。
ア、内閣府の「沖縄振興の重点施策案」には、自立経済の構築を目指す意図が読み取れるが、これまでの種々の特例、特別措置制度の継続・拡充に重点が置かれ、振興手法の斬新さが読み取れないと指摘する向きもあるが、どう考えるか。御所見を賜りたい。
イ、自立型経済を本気で目指すなら、小泉流の「聖域なき構造改革」を沖縄が率先して実行に移すべきだと指摘する向きもあるが、御所見を賜りたい。
(3)、福祉・医療が縮小したことについて、県民が沖縄の振興開発で国に力を入れてほしい分野は、県が1999年に実施した「くらしについてのアンケート──県に望むこと」の調査結果から、1、産業振興と雇用促進、2、社会福祉と保健・医療の充実が最も多く、次いで3、自然環境の保全と公害の防止、4、教育と学術・文化の振興、5、社会資本整備の順になっている。ところが計画の具体化、事業の予算化の過程で社会福祉と保健・医療の充実は大項目から中項目の記載に変わっている。その理由は何か、伺います。
(4)、情報通信産業振興特別地域制度創設について。
沖縄振興新法に係る税制上の要望事項として、現行の情報通信産業振興地域制度における地域指定要件の緩和や業種の拡大に加え、今回新規に情報通信産業振興特別地域制度が挙げられている。情報通信産業は、現在沖縄において著しい伸びを見せているが、新規制度が実現化することによりどのような効果をもたらすことになるのか、その目的、制度の内容、効果について御説明願いたい。
3、観光産業の振興について。
全国的な景気の低迷により国内の観光需要が伸び悩む中にあって、本県への入域観光客数は年々増加の一途をたどり、平成11年には過去最高の456万人余りを記録している。観光産業は総合産業と言われますように関連業界への波及効果が大きく、県経済の自立発展を担う戦略的な基幹産業として県政の最重要施策に位置づけられております。本県の美しい亜熱帯・海洋性気候の自然を初め、独特の歴史・文化等すぐれた観光資源を生かし、観光関連業界と地域行政との連携を強化し、県政の自立発展のため観光施策の推進に全力を挙げて取り組む必要があると考えます。
また、観光入域客の中身を分析してみますと、約95%が本土からであります。将来700万人、800万人、いや1000万人を目指すのであれば、海外からの誘客にもっともっと力を注がなければ達成はかなり厳しいものになるでありましょう。
そこで次のことについて伺います。
(1)、昨年のサミットの成功によって沖縄が全世界に情報発信ができた。今後はそれをどう生かすかである。そこで国際競争力を持つにはどのような法制度の整備が必要だと考えるか、伺います。
(2)、沖縄観光が持続的に発展していくためには新しい魅力づくりが求められております。その中でショッピングとゲーミングの誘導施策はかなり有力な政策と期待されているが、知事の御所見を賜りたい。
(3)、観光立県を標榜する割には予算面での配分が極めて少ないように思う。なぜかと申しますと、ある資料をもとにアジア・太平洋地域の海浜リゾート地における訪問客1人当たりのマーケティング予算を見てみますと、オーストラリア18.9ドル、フィジー13.9ドル、グアム10.1ドルとなっている。一方、沖縄の場合には1.7ドルで他国の水準とは大きな差がある。これは沖縄の観光市場のほとんどが日本人本土客から構成されている市場の安定性を反映した結果とも見えるが、実効性ある外国人客の誘致を推進していくためには相応のマーケティング予算の編成が不可欠であると考えるがどうか、伺いたい。
(4)、(5)は割愛します。
(6)、沖縄─上海間の定期航路が開設されて丸1年が経過しましたが、観光客は沖縄からがほとんどで、上海からの客が全くいない状況だと聞いているが、大きな理由は何か。また対策はあるのか、伺います。
(7)、現在、県が上海からの観光客の費用軽減のため団体旅行者に1人当たり3000円程度の助成金を出しているようですが、それをやめて直接観光客に沖縄でしか使えないような観光振興券なるものを支給すれば観光客も安くしてもらったという実感がわくし、県内業者にとっても商品を買ってもらえるわけですからありがたいことで一石二鳥であるし、実施してみてはどうか、御所見を賜りたい。
4、環境問題について。
我が沖縄県は、南北に長く延びる日本列島の中で唯一亜熱帯・海洋性気候に位置し、自然にはぐくまれた陸海の動植物は豊富な種に恵まれ、学術的にも貴重な遺産を形成しています。しかし昨今、乱開発や無謀な自然破壊、ダイオキシン発生による汚染、基地内の実射訓練等による山火事や自然破壊等々、環境バランスが崩れる気配を見せています。ゆえに、調和ある開発を図るために法の網をかぶせ、自然を守りゆくことが大切であります。そして何よりも大事なことは、個人、団体を問わず、まず自分たちができる小さなことから始めることと、環境保護思想の普及・啓蒙にもっともっと力を入れるべきだと考えます。
以上のことから次のことについて伺います。
(1)、ゼロエミッション・アイランドの実現に向けた取り組みについて具体的に御説明ください。
(2)、ごみの減量化・リサイクルが叫ばれて久しいが、県全体として5年前と比べてどの程度進んでいるのか、データがあればお示しください。
(3)、ごみ問題に関しては各家庭の主婦たちの意識は高いと思いますが、各企業、特にホテル等の取り組みが重要になってくると考えますが、その対策はどうなっているか、伺います。
(4)、環境問題は小学校の低学年から取り組む必要があると考えるが、学校現場ではどうなっているか、伺います。
(5)、ダイオキシン対策はどうなっているか、伺います。
(6)、放棄車両の現状と対策はどうなっているか、伺います。
5、文化・芸術振興について。
人類の歴史とは何かの競争の上に築かれてきました。あるときは軍事の競争でした。また政治や経済の競争の時代もありました。戦後、日本は右肩上がりの経済成長を追い求めてきましたが、その結果、待ち受けていたのはバブルの崩壊でした。失われた10年といいますが、それは単なる経済回復におくれをとった10年だったのでしょうか。経済成長という競争に敗れた後、次に何をしてよいのかわからず戸惑いのまま過ぎた10年でした。価値観の喪失、目的観の崩壊、それこそが失われた10年のもう一つの側面でした。こうした大人社会の明確な価値とビジョンの欠如が子供社会の生きる意味の喪失を生み出し、教育の荒廃の一因となっているのではないでしょうか。
ハーバード大学のガルブレイス教授は、21世紀は人材育成の競争の時代になると予言しています。どれだけの人材を育成したかで国家や地球の未来は決していくというのです。このことは県や市町村にも全く当てはまるものであります。国や県、市町村の豊かさが人間の資質で決まるならば、私たちは21世紀の我が沖縄県のあるべき姿の一つが文化・芸術立県であると考えます。それは、物の豊かさから心の豊かさへと価値観の転換を促す社会です。一人一人の創造的な感性を結集し、全国に誇れる沖縄を築くために必要な人間の英知をはぐくむ社会です。
以上のことを踏まえて次のことを伺います。
(1)、公明党は、文化芸術政策を推進するため「芸術文化振興基本法(仮称)」の制定準備を進めておりますが、このことについて知事の御所見を賜りたい。
(2)、沖縄は、文化・芸術の宝庫だと言われておりますが、国指定の芸能保持者が多数おられます。要は後継者をいかに多く育成できるかだと考えます。県の支援策はどうなっているか、また今後の方策はどうなっているか、伺います。
(3)、子供たちが本物の文化・芸術に触れる教育が大切だと考えるが、現状はどうか。また今後の方策はどうか、伺います。
よろしくお願いします。
○知事(稲嶺惠一) 前島明男議員の御質問にお答えいたします。
最初は米軍基地問題で、知事が訪米報告を各関係大臣にしたが、その後の政府の対応に変化が見られるかとの御質問にお答えいたします。
各関係大臣に対する訪米報告においては、訪米先で米国政府や連邦議会関係者等に沖縄の現状を説明するとともに、普天間飛行場の代替施設に15年の使用期限を設けることなどを、移設に当たっての条件として日本政府へ強く要請してきたことを説明し、理解と協力を求めてきたことを話したところであります。
5月の訪米は、6月18日に開かれた日米外相会談、さらに同30日の日米首脳会談において沖縄の基地問題が重要な議題として取り上げられるなど、日米両政府首脳にその重要性を認識していただく契機になったと考えております。
小泉総理は、6月23日の沖縄全戦没者追悼式や、9月11日に催された全国知事会等で基地問題は沖縄だけでなく全国の問題であると述べております。また、日米首脳会談において小泉総理からは、沖縄の基地問題については両国の関係省庁で緊密に協議させたい旨の発言がなされるなどの対応が見られます。
次に、同じく米軍基地問題について、米国では15年使用期限の設定に同意できないとしているが、沖縄の基地を半永久的に使用する考えでいるのかについてお答えします。
さきの日米首脳会談でブッシュ大統領は、使用期限は困難な問題であるとしながらも、普天間飛行場の移設に関し、よく相談していきたい旨の発言をしております。県としては、15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えており、去る6月の第7回代替施設協議会においても15年使用期限問題の早期解決に向け積極的に取り組まれるよう強く申し入れたところであります。
同問題については、閣議決定された政府基本方針に示されているように、政府においてしっかり受けとめられていると考えており、名護市と連携しながら政府に対しその解決を粘り強く求めていきたいと考えております。
次に、同じく基地問題で、訪米の際に米国民にも説明し理解と協力を求めたわけだが、反応はどうかという御質問にお答えいたします。
去る5月の訪米では、短期間の間で米国政府や連邦議会関係者の方々と面談し沖縄の現状を説明するとともに、15年使用期限など普天間移設に伴う条件等を日本政府へ強く要請していることについて理解と協力を得ることができたものと考えております。
また、米国政府関係者との面談以外にも外交問題評議会を初め新アメリカ財団、ケイトー研究所、ブルッキングス研究所等5つのシンクタンクにおいて講演や円卓会議などを行い、本県が抱える米軍基地問題について意見交換を行ったほか、ナショナルプレスクラブにおいて記者会見を行い、海外プレスのインタビューにも応じたことなどにより米国民の理解が深まったものと考えております。
次に、同時テロの発生によって15年使用期限問題にどのような影響を与えると考えるかについてお答えをいたします。
普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。同問題については、閣議決定された政府基本方針に示されているように、政府においてしっかり受けとめられていると考えており、名護市と連携しながら政府に対しその解決を粘り強く求めていきたいと考えております。
15年使用期限問題の解決については、県が移設に当たって整備すべき条件とし、また名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないと考えております。
次に、同じく基地問題のうち、地位協定について日本政府は運用改善を主張するのはなぜだと考えるかという御質問と、米軍基地が集中する沖縄の諸問題の解決には協定の見直し以外に道はないと考えるがどうかという2つの御質問に一括してお答えをしたいと思います。
政府は、日米地位協定については運用の改善を進め、これが十分効果的でない場合には地位協定の改正も視野に入れていくとしております。
県としては、米軍基地から派生する事件・事故や環境問題などから、県民の生命財産を守るためには日米地位協定の抜本的な見直しは不可欠であり、今後とも政府において日米地位協定の抜本的な見直しに取り組んでいただけるようあらゆる機会をとらえて要請していきたいと考えております。
次に、同じく基地問題のうち、日本政府が県民の立場を理解しない以上、県民的な運動を起こす必要があると考えるがどうかについてお答えいたします。
米軍人等による事件・事故の再発防止や日米地位協定の抜本的見直しについては、行政の立場でこれまであらゆる機会をとらえて要請活動を展開してきたところであります。日米地位協定の抜本的な見直しを求める県民大会については、党派を超え、また各界各層を網羅した全県的な大会であることが必要であると考えております。
次に、同じく基地問題のうち、田中外務大臣とパウエル国務長官との会談で、協定の改定には応じられないとの見解を示したとされるが見解を聞きたいというお答えでございます。
去る9月9日のサンフランシスコで行われた田中外務大臣とパウエル米国務長官との会談において、外務大臣から日米地位協定の運用改善の協議を進めたい旨の発言があり、これに答えてパウエル長官も協議を進めていきたい旨の発言があったと聞いております。
県としては、米軍基地から派生する事件・事故や環境問題などから、県民の生命財産を守るためには日米地位協定の抜本的な見直しは不可欠であると考えております。
また、県が求めているのは第17条の被疑者の身柄の引き渡しだけでなく、環境問題なども含めた11項目について見直しを要請しているものであり、今後、日米両政府において県の要請している11項目のすべてについて日米地位協定の抜本的な見直しに取り組んでいただけるようあらゆる機会をとらえて要請していきたいと考えております。
さらに、地位協定の抜本的な見直しを初め本県の米軍基地問題の解決には、全国民が沖縄の基地の現状を理解し、日米安保体制に基づく沖縄の米軍基地の問題はみずからの問題であるという認識を持っていただくことが重要であると考えています。
そのためには、政府や国会等への要請を初め全国知事会や渉外知事会などの全国的な会議や来県された各界各層の方々への協力要請、他県における講演会などあらゆる機会を通して国民世論に強く訴える必要があると考えており、今後とも粘り強く訴え続けていきたいと考えております。
次に、沖縄振興新法についてのうち、沖縄振興の重点施策は振興手法の斬新さが読み取れないと指摘する向きもあるが、どう考えるかという件についてのお答えをいたします。
内閣府の新法骨子案には、本県独自の大胆な制度として沖縄型特定免税店制度や特別自由貿易地域制度などの拡充に加え、特定情報中枢機能振興地区制度、金融業等集積促進地区制度及び基地跡地利用促進のための特別措置などの創設が盛り込まれています。
また、観光、情報等の分野別計画の策定、国際協力及び国際交流の推進等のための措置等も新たに盛り込まれるなど、ソフト面の取り組みを大幅に強化した新たな沖縄振興にふさわしい内容になっているものと認識しております。
次に、振興新法についてのうち、自立型経済の構築のため「聖域なき構造改革」を沖縄が率先して実行に移すべきとの指摘についてのお答えでございます。
いわゆる「聖域なき構造改革」は、危機的状況にある日本経済の再生に向けた方向性や道筋が明確に示されており、基本的には評価すべきものと考えております。さきに改革工程表で示された施策の中で特に経済再生のための科学技術、IT、人材育成等への取り組みについては本県の自立型経済の構築に向け大きく期待できるものであり、今後具体化される各種施策が本県で先行的に実施されるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、文化・芸術振興について、公明党が進める「芸術文化振興基本法(仮称)」制定についての所見を聞きたいとのお答えでございます。
今日、価値観の変化と多様化、国際化の進展等経済社会情勢の大きな変動が進む中で、新たな文化行政の総合的推進のための取り組みが求められています。
こうした状況の中で、芸術・文化の振興に関して基本理念を定め、国と地方公共団体の責務を明らかにし、諸施策を推進していくという御提言はまさに時宜を得たものであると考えます。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 前島明男議員の米軍基地問題についての質問事項の中の1つ目に、那覇港湾施設の移設について浦添市と那覇市の調整が難航しているが、県はどのような対策をとっているのかという点と、2つ目の、現在どのような状況にあるのかという点と、3つ目に、早い時期に知事、那覇市長、浦添市長の会談を持つべきだと考えるがどうかという3つの御質問について一括してお答えをいたします。
那覇港湾施設の移設については、新たな提供施設の内容や移設条件の整備など多くの課題があることから、これらの課題を一つ一つ解決するため国、県、関係自治体による協議の場が必要であると考えております。
那覇港湾施設の移設に関する協議会については、去る8月24日に中谷防衛庁長官から設置の意向が示されましたが、協議会の構成員については浦添市、那覇市双方からそれぞれの立場での意見があり、現在両市と調整しているところであります。県としては、両市の理解と協力を得て協議会が早期に設置されるよう努力しているところであります。
なお、御提案のありました知事と那覇市長、浦添市長との三者会談につきましては、今後の調整の進展状況を見ながら適当な時期に行いたいと考えております。
○企画開発部長(与儀朝栄) 米軍基地問題について、2002年4月1日の一部事務組合立ち上げについてお答えいたします。
平成14年4月に、那覇港管理一部事務組合を設立するためには県、那覇市及び浦添市三者が基本的な合意事項の覚書を締結し、平成14年1月までに総務大臣に対し一部事務組合の設立許可申請を行う必要があります。現在、三者で早期に覚書を締結できるよう鋭意努力しているところでありますが、平成14年4月に一部事務組合を設立することについては、去る8月20日の推進協議会において三者の共通認識として再確認しているところであります。
次に、沖縄振興新法について、創造的な人材をはぐくむ「教育立県」を目指すべきだと考えるが、その方策は何かについてお答えいたします。
本県が持続的に発展していくためには、次代を担う多様な人づくりが極めて重要であります。このため、生きる力をはぐくむ初等中等教育の推進、すぐれた人材をはぐくみ地域の発展に寄与する高等教育の推進を初め、地域社会や産業を担う人材の育成が不可欠であることから、個別の施策とあわせて横断的な施策を展開することとしております。また、今年度から各分野における具体的な人材育成の実施計画を盛り込んだ「沖縄県の人づくり計画(仮称)」の策定に向けて取り組むこととしております。
次に、同じく沖縄振興新法について、グローバルに通用する知的創造拠点を形成することが重要だと言われているが、その方策は何かについてお答えいたします。
「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」において、「多様な社会的・時代的要請に的確に対応できる専門分野の人材育成を目指して、高等教育機関の整備充実」に努めることとしており、本県への設置が検討されている「大学院大学」を初めとしてアジア・太平洋研究交流センター、亜熱帯に関する総合的な研究機関等の集積促進に向けた取り組みを強化してまいりたいと考えております。
次に、沖縄振興新法について、県民の関心が高い社会福祉と保健・医療の充実が中項目になっているのはなぜかについてお答えいたします。
身近な地域の中で県民が真の豊かさを実感し安心して暮らせる社会を形成していくためには、安全・安心な生活を支える環境づくりやきめ細かい福祉サービスの提供、健康を支える保健・医療の充実、ともに支え合う社会の構築等に向けて一体的に取り組むことが重要だと認識しております。このため、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」においては、「健やかでだれもが安心して暮らせる社会づくり」を8本の柱の一つとして位置づけており、この中で県民の関心が高い社会福祉と保健・医療の充実については重要な施策として積極的に取り組むこととしております。
次に、沖縄振興新法について、情報通信産業振興特別地域の目的、制度の内容、効果についてお答えいたします。
情報通信産業振興特別地域制度につきましては、情報通信産業等を集積する誘因となる先端分野の企業誘致を目的として新たな制度の創設を国に要望しているものであります。
制度の内容としましては、既存の情報通信産業振興地域の一定地域に立地するデータセンター、インターネットエクスチェンジなどを業とする企業を対象とし、法人所得控除等の税制優遇措置を設けるものであります。この制度によってデータセンター等の先端分野の企業が立地することにより、情報サービス業などの情報通信産業を初め多くの関連企業の集積が促進されるものと考えております。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 観光産業の振興についての中の、国際競争力を持つにはどのような法制度の整備が必要かとの御質問にお答えします。
観光・リゾ-ト産業が国際的な競争力を持つためには、本県の地域資源、地域特性等を積極的に活用し、多様な観光ニ-ズに的確に対応した通年滞在型の国際的な観光・リゾ-ト地の形成を図る必要があると考えております。そのため、ショッピング観光の魅力を向上させるための沖縄型特定免税店制度の拡充、観光関連施設の集積を促進し、魅力的なリゾ-トを形成するための観光振興地域制度の拡充等が制度上必要であると考え、現在検討されている沖縄振興新法に県として提案しているところであります。
同じく観光産業の振興について、観光の新しい魅力づくりとしてショッピングとゲーミングを期待したいが、県の施策はどうなっているのかとの質問にお答えします。
沖縄観光が持続的に発展していくため、新しい魅力づくりが求められております。そのため、ショッピングにつきましては沖縄振興新法における沖縄型特定免税店制度の拡充として免税店の空港外展開、消費税の免税等を国に対し提案しているところであります。
また、本県観光振興のためゲーミングを含む多様なエンターテインメントの可能性について、先進地の状況や県内各界の意向等について慎重に調査・検討してまいりたいと考えております。
同じく観光産業の振興についての中の、観光立県を標榜する割には予算面での配分が極めて少ないように思うがどうかとの御質問にお答えします。
観光リゾート局の予算は、ここ数年比較的順調に伸びてきておりますが、観光・リゾート産業は本県の自立化に向けた戦略的基幹産業であり、今後ともその振興を図るため所要の予算額の確保に努め、より一層の事業展開を図っていきたいと考えております。
続きまして、同じく観光産業の振興についての中の、上海便を利用した観光客が少ない理由とその対策についてお答えします。
上海便を利用して本県を訪れた中国人団体旅行者は、極めて少ない状況にあります。
沖縄旅行の商品化につきましては、上海の旅行社が積極的に動いているところでありますが、沖縄へのツアー料金が他の東南アジア諸国へのツアー料金に比較して割高になっていることから商品化には至っておりません。県としましては、このような状況を踏まえて上海便を運航している西北航空本社に対し航空運賃の値下げを要請するとともに、沖縄旅行の商品化に向けて中国の大手旅行社やマスコミの担当者を沖縄へ招聘し協力を求めているところであります。
最後に、観光産業の振興についての中の、団体旅行に対する助成金をやめて、上海からの観光客に対して観光振興券なるものを支給することについてという趣旨の御質問にお答えします。
団体旅行に対する助成金につきましては、当初、上海路線の維持を目的に沖縄からの団体旅行に対して助成をしておりましたが、現在、より効果的な誘客効果が得られる助成のあり方について検討しているところであります。
なお、御提言のありました観光振興券につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(永山政邦) 環境問題について、ゼロエミッション・アイランドの実現に向けた取り組みについて具体的に説明願いたいとの御質問にお答えします。
県においては、沖縄経済振興21世紀プランで推進を図ることとされた「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想の実現に向けて廃棄物の減量化・リサイクル対策を総合的に進め、資源の消費を抑制し、環境負荷の小さい資源循環型社会の構築に取り組んでいるところであります。
まず、離島における環境保全及び資源循環の一環として、今年度に約7500台の放置自動車を一斉撤去し、金属等の有用なものについては可能な限り再生利用を促進していきたいと考えております。
土木建築分野では、建設工事から排出されるコンクリート塊、アスファルト等の建設副産物のリサイクルを強化しております。
また、農業分野においては、使用済みの農業用廃ビニールを油化還元処理するリサイクルセンターを糸満市に建設中であります。
さらに、廃棄物等の中から資源として利用できるリサイクル事業の可能性を探るため廃タイヤの資源循環、発電所から排出される石炭灰や食品製造業やホテル等の飲食業から排出される食品廃棄物の有効利用等に関する調査を進めているところであります。県としましては、今後とも循環型社会の構築に資するため市町村や関係機関と連携し廃棄物の排出抑制、リサイクルの推進を図り最終処分の減量化に取り組んでいきたいと考えております。
同じく環境問題について、ごみの減量化・リサイクルについて5年前との比較はどうなっているかについてお答えいたします。
本県における1人当たりのごみ排出量は、平成6年度の1056グラムから平成11年度には1046グラムと10グラム減少しております。
また、ごみ処理量に占める資源化量を示すリサイクル率は、平成6年度の3.3%から平成11年度には6.5%と3.2ポイント向上しております。
同じく環境問題の中のごみ問題に関しては各企業、特にホテル等の取り組みが重要となっていると考えるが、その対策はどうなっているかという御質問にお答えします。
食品製造業やホテルなどの宿泊施設においては食べ残し等の食品廃棄物が多く排出されていますが、再生利用が極めて低くなっております。そのため、国におきましては平成13年度に「食品循環資源の再生利用等に関する法律」を施行し、食品製造業やホテルなどに対し再生利用等の取り組みを促進することとなっております。
県内のホテルなどでは、生ごみの堆肥化の検討や簡易包装、再生紙利用のトイレットペーパーを購入するなど減量化に努めております。県といたしましては、引き続き関係部局と連携し、県民・事業者に対して環境に配慮した商品の購入に関する普及・啓発を図るとともに、ごみ減量化・リサイクルの促進に努めていきたいと考えております。
同じく環境問題について、ダイオキシン対策はどのようになっているかについてお答えいたします。
国においては、人体に有害なダイオキシンの排出を削減するため、平成9年12月に廃棄物処理法を改正し焼却施設の構造基準や排出基準を強化したところであります。そのため、県においては市町村及び処理業者に対し同法の改正について説明会を開催し、処理施設の改善、ダイオキシン濃度の測定等の周知指導を行ってきているところであります。
特に一般廃棄物処理施設31施設につきましては、平成11年3月に策定した「沖縄県ごみ処理広域化計画」においてダイオキシンの排出量を平成9年度の約10.8グラムから平成20年度までに90%(9.7グラム)削減することを目標に取り組んできており、平成12年度には排出量が約8.0グラムに減少し、26%(2.8グラム)削減されております。
現在、浦添市、久米島総合施設組合、島尻消防清掃組合の3施設で改良工事が行われ、他の施設においても改良工事や建てかえ等が計画されております。県においては、今後とも引き続き市町村及び処理業者に対し施設の改善等の指導を行い、ダイオキシンの削減対策を促進していきたいと考えております。
同じく環境問題について、放棄車両の現状と対策についての御質問にお答えします。
本県においては、平成10年末以降、廃車の処理費を所有者が負担するいわゆる逆有償化となり、廃自動車の大量保管や不法投棄が増加し、平成12年6月現在約1万台の放置自動車が確認され、地域の生活環境や自然景観を損ねている状況にあります。このようなことから、県においては保健所による監視パトロールや県、市町村、警察、県産業廃棄物協会など関係機関が連携して合同パトロールを実施し、不法な廃自動車の大量保管及び不法投棄の防止に努めております。
また、廃自動車の処理施設のない離島市町村は特に深刻な状況にあることから、市町村条例等を制定して廃自動車の適正処理に取り組むとともに、現在放置されている約7500台の廃自動車について平成13年度中に沖縄特別振興対策調整費を活用して一斉に撤去することにしております。
県としましては、引き続き不法投棄防止の啓発活動を進めるとともに、関係機関と連携して監視活動の強化を図るほか、悪質な事例につきましては告発を含め厳正に対処していく考えであります。
以上であります。
○教育長(津嘉山朝祥) 環境問題について、環境問題は小学校低学年から取り組む必要があると考えるが、学校現場ではどうなっているかとの御質問にお答えをいたします。
環境教育は、身近な環境に目を向け環境保全に主体的に参加する児童生徒の実践的な態度、能力を育成することが重要であります。このため、各学校においては環境教育の全体計画を作成し、「沖縄県の環境教育」、「環境教育に関する授業展開事例集」等の指導資料を活用し、学校の教育活動全体を通じて地域の特色を生かした環境教育を展開しているところでございます。
活動の主な例といたしましては、クリーン作戦、リサイクル運動、野鳥の保護活動、マングロ-ブの保護・観察等があります。さらに「ちゅら島環境21」を開催し、各地区代表校の環境問題に対する実践発表を通して児童生徒の環境に対する意識の高揚を図っているところであります。
県教育委員会といたしましては、今後とも豊かな自然環境を守りはぐくむ取り組みが進められるよう、小学校の低学年から環境教育の充実を図っていきたいと考えております。
次に、文化・芸術振興についての国指定の芸能保持者のほか、伝統芸能の保存・継承のため後継者をいかに多く育成できるかだと考えるが、県の支援策と今後の方策はどうかという御質問にお答えをいたします。
無形文化財は、わざを指定してその保持者を認定することにより無形のわざの保存・継承を図ることを目的といたしております。
国指定芸能関係の保持者は、組踊の保持者として62名、琉球古典音楽の保持者として2名がおります。
後継者の育成につきましては、現在、国、県補助による重要無形文化財伝承事業として重要無形文化財組踊の伝承者養成と組踊道具製作の伝承者養成を実施をいたしております。また、県の単独事業として県指定無形文化財である沖縄伝統舞踊と琉球歌劇についてそれぞれ伝承者の養成事業を行っております。
なお、実演に係る伝承者養成事業につきましては、その成果の報告として伝承者研修発表会が県立郷土劇場で催されております。現在、以上のような伝承者養成事業を通しまして次代を担う後継者の育成を支援しております。今後とも引き続き伝承者養成事業を積極的に支援しますとともに、その拡充に努力していきたいと思います。
次に、文化・芸術振興について、子供たちが本物の文化・芸術に触れる教育が大切だと考えるが現状はどうか、また今後の方策はどうかとの御質問にお答えをいたします。
豊かな創造性や情操の涵養を図る上で、すぐれた生の芸術に直接触れることは非常に大切なことだと考えております。
県教育委員会といたしましては、文化庁等の提供する事業を活用しながら、国内や国外で活躍するすぐれた芸術団体や芸術家による音楽、演劇、邦楽等の生の芸術を身近に鑑賞する機会を提供いたしております。また、機会に恵まれない離島・僻地の学校や地域についても沖縄県子供青少年芸術劇場や沖縄県舞台芸術シアターなど生の芸術に触れる機会を提供しております。
さらに、県立芸術大学の生徒の協力を得ながら、児童生徒の組踊鑑賞会を実施をし後継者の育成を図るとともに、郷土の芸術・文化の理解と普及・発展に努めているところでございます。
なお、学校においては学芸的行事や音楽の時間に芸術鑑賞会を位置づけ、地域の文化協会等の協力を得ながら演劇や音楽、郷土芸能等舞台芸術に触れる機会の確保に努めております。今後とも、子供たちがすぐれた生の芸術に触れる機会の確保と拡充に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
○外間 久子 質問に入ります前に、執行部の皆さんには大変御迷惑をおかけしました。時間の関係で安保・基地問題のところの(2)番目の質問と、それから新たな沖縄振興のところの(4)番目の質問、2つを取り下げたいと思います。済みませんですが、次の機会によろしくお願いします。
それでは日本共産党を代表して代表質問を行います。
まず最初に、知事の政治姿勢についてお伺いします。
9月11日に米国で起こった同時多発テロは、多数の市民の生命を無差別に奪う憎むべき蛮行であり、絶対に許されない卑劣な犯罪行為であります。このようなテロ行為は、いかなる宗教的信条や政治的見解によっても正当化できるものではありません。これは国際社会全体に対する攻撃であり、世界の法と秩序に対する攻撃です。
我が党は、この野蛮なテロを根絶することは、21世紀に人類がこの地球上で平和に生きていく根本的条件の一つになると考えています。我が党は、テロの犠牲者、負傷者と御家族、関係者の皆さんに心からの哀悼とお見舞いを申し上げるものであります。
それでは質問に入ります。
(1)つ、今テロ根絶に必要なのは性急に軍事報復を強行するのではなく、国連が中心になり国連憲章と国際法に基づいてテロ犯罪者、犯罪行為を組織、支援した者を逮捕し、裁判にかけ、法に照らして厳正に処罰することです。我が党は去る18日に、「テロ根絶のためには、軍事力による報復でなく、法にもとづく裁きを」との書簡を各国政府首脳に送りました。県民の命と財産を守るためにも知事はアメリカに対し、軍事力による報復中止の申し入れをやるべきだと思いますが、見解を伺いたい。
(2)つ目に、現代の国際社会ではいかなる国であれ、軍事力ではなく平和外交でもって国際紛争の解決を図らなければなりません。今回のこの問題での小泉首相と日本政府の対応は、米国による報復戦争を無条件の前提にそれに参加・協力することが目的で、新規立法が今国会の冒頭にも強行されるという危険な動きになっています。いよいよ憲法9条をずたずたにしていくという暴挙であり、国際法を踏みにじるものであり、歴史の教訓に背くものであります。知事の見解を伺います。
2つ目の安保・基地問題について伺います。
今回の在日米軍、在沖海兵隊の中東への出撃は日米安保の建前からも認められないし、出撃基地などは国際法では報復攻撃の対象として認められておりません。今回の報復戦争は県民を巻き込む危険性は明らかです。県土と県民の命と暮らしを危険な戦争に巻き込ませないためにも、知事は在沖米軍基地を今回の米軍の報復軍事作戦に使用しないよう日米両政府に申し入れるべきだと思いますが、知事の見解を求めます。
(2)つ目に、知事の県民への公約であります15年問題は日米両政府の立場は明らかに拒否であります。この問題の進捗と到達状況についてお答えください。
半世紀以上も居座る米軍基地をさらに完成後15年も使用させるなどということはさらに長期の米軍駐留を容認するものであり、県民を軍事的危険にさらすものです。破綻した15年問題にしがみつくのをやめて普天間基地の無条件全面返還を求めるべきです。知事の答弁を求めます。
(3)つ目に、那覇軍港の移設問題について質問をいたします。
米国での同時多発テロの発生直後、那覇軍港には米軍チャーターの高速輸送艦が入港し、米海兵隊のAH─1攻撃ヘリなどを積み込みました。テロ事件でも明らかなように、このような軍事基地はテロの攻撃目標としての危険性は明らかで、沖縄県の物流拠点の民間港湾と両立しないことは明らかであります。
那覇港は軍港との同居で本当に物流拠点としての活動と施設の安全が確保されるのか、那覇軍港の全面撤去を求めるべきだと思います。知事の答弁を求めます。
(4)つ目に、米原潜寄港時の事前通告制度の問題について質問します。
沖縄県は、米国での同時多発テロと関連して9月21日、外務省の要請を受けて寄港24時間前の通報を報道機関へ非開示を決定したと言われておりますが、県民の命と暮らしの安全よりも米軍基地の安全確保を優先するもので、県民の安全にとって重大であり断じて容認できません。また、米原子力艦船の航行に関する通報体制の事前通告制度は、国民の米国政府からかち取った貴重な権利です。その権利の放棄であり、この点でも極めて重大な誤りであり、厳重に抗議するものであります。米軍施設や原潜の安全が懸念されるのであれば、米原潜などの入港を拒否すべきです。マスコミへの非開示の撤回と米原子力艦船の入港の拒否を強く求めます。この問題に対する答弁を求めます。
(5)つ目に、日米地位協定の改定は政治的立場を超えて県民の総意です。しかし、この県民の総意の願いが遅々として実現しない中で、基地問題に起因する事件・事故は後を絶たず、6月末には北谷町で発生した米空軍兵士による女性暴行事件は、犯人の身柄引き渡しの問題でまたしても地位協定が厚い壁となり、県民の怒りと地位協定改定を求める声は一段と高まりました。地位協定改定の取り組みの進捗と現状及び何が問題になっているのか、さらに当局の今後の取り組みなどについて御答弁ください。
3つ目に、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」の問題点や疑問点についてお伺いします。
我が党は、新たな新法制定に当たっては現行の沖振法で解決できない課題や不十分なものは改善をし、その上国の責任を明確にした償いの心で沖縄の振興に当たるとしたその精神をさらに引き継ぐことを要求してまいりました。ところが今回の振興策は基地の貢献度に対する見返りであり、基地との共存が押しつけられ本当の意味の沖縄振興にはつながらないのではありませんか。
その立場からの質問をいたします。
(1)つ、沖縄の振興開発審議会の議事録を読む限り、安全保障の代償、防衛をも含めて沖縄が貢献している。その立場からの配慮であり、特別措置法の「特別」という意味を再定義する必要からの配慮であるという意見が圧倒的で、日本政府の償いの心で沖縄振興に当たるという姿勢は見られませんでした。審議委員のお一人であられる知事は、これらの発言にどう対処なさいましたか。知事は従来、振興策と基地とのリンクを否定なさったお立場です。審議会での発言を黙認なさったということであれば基地と引きかえの振興策、手法は従来と変わりないと理解してよいのか。公約の15年問題を実現する立場からも知事はどう御発言なさいましたか。主としてどんな反応がありましたか。
(2)つ目に、沖縄の産業振興で重要なのは、従来から物流コストの低減を指摘をしてまいりました。今回の新法に提起されている農林振興や企業育成と創出の分野でも物流効果支援設備ということで提起されておりますが、沖縄県物流公社の設立として位置づけが重要だと考えますが、見解をお伺いします。
(3)つ目に、国際交流拠点としてウリミバエ対策事業所の果たした役割は大きなものがあります。今後も現在の亜熱帯総合研究所を亜熱帯総合研究機関として位置づけ、人材育成を含め国際的な貢献、研究ができる仕組みをつくることが重要だと考えますが、見解をお伺いします。
4つ目に、ハブ港湾構想についてお伺いします。
那覇港のハブ港湾建設構想についてであります。
(1)つ、今後、沖縄へ寄港する船舶航路の増加の条件と根拠を示してもらいたい。
(2)点目に、貨物量の推計方法の根拠を示してください。2015年の貨物の需要予測が84万TEUの妥当性は何か。ハブ港湾検討委員会はこれから検討するということは、沖縄県の物流をよくするためではなくて港湾建設が目的で書かれた報告書ではないのか、見解を伺います。
(3)つ目に、県の予算の負担額は幾らになりますか。
5つ目に、泡瀬干潟問題について質問します。
(1)つ、8月24日の新聞に知事は、「土地利用計画の見直しを示唆した。」と報道されております。今、全国的にはむだな公共事業の見直し、中止が行われています。中城港湾の埋め立てについても新港地区のしゅんせつ土砂の捨て場としての埋立事業ありきの立場ではなく、計画そのものの中止が求められています。知事の見解を伺います。
(2)つ目に、新港地区の企業誘致は当初の計画が達成されていないのではありませんか。見通しのない中で改めて港湾土砂のしゅんせつの必要性がありますか。財政的痛みを県民、市民に負わすことになりますが、工事の中止を求めます。
6つ目に、緊急雇用対策についてお伺いします。
県内の完全失業率が9.2%、5万9000人余になりました。ところが、それだけにとどまらない統計上にあらわれない完全失業者、政府が言う潜在的失業率はもっとふえるのではないでしょうか。改めて緊急雇用対策を初め県独自の不況対策を立てることが急がれています。県内の実態を行政として把握することを求めるものであります。
(1)つ、厚生労働省は4月6日付で「「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」の策定について」という通達を出しています。その通達の特徴を明らかにしてください。
(2)つ、県として県内企業に対し厚生労働省通達の徹底を図りましたか。
(3)つ、通達に基づいてサービス残業の実態、解雇の実態、パート労働者の解雇を初め最低賃金が厳守されているかの調査はなさったのか、調査する方針はありますか。
(4)つ目に、政府も緊急雇用対策を打ち出していますが、県内での取り組みとして臨時的雇用ではなくて法定数を満たしていない自治体や企業において教員、消防隊員、障害者を採用すればどの程度の人員になりますか。それぞれの所管でどう対応しておりますか、そのための窓口の位置づけはなされておりますか。
以上ですが、答弁によっては再質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) 外間久子議員の御質問にお答えをいたします。
最初は知事の政治姿勢について、テロ根絶のためにはテロ犯罪者を厳正に処罰することであって、アメリカに対して報復中止を申し入れすべきと思うが、意見を聞きたいとの御質問にお答えをいたします。
今回の米国におけるテロ事件に強い衝撃と怒りを感じております。テロ行為は、世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、とりわけ今回は日本を含む世界約80カ国の一般市民が犠牲になるなど米国のみならず世界に対する挑戦であり、決して許すことはできません。今回のテロ事件については多くの国が非難しており、また去る9月12日に開催された国連安全保障理事会においてテロ行為者を法の裁きにかけるための決議が全会一致で採択されました。これに基づいて世界的な合意形成が図られつつあると理解しております。このような事件が二度と起こらないよう世界各国が一致協力して対策を講じていく必要があると考えております。
次に同じく政治姿勢について、小泉内閣が米軍を支援するのは憲法に定める戦力不保持に背くものではないかとの御質問にお答えいたします。
日本国憲法は、平和主義、国民主権及び基本的人権の尊重を基本原理として我が国の平和と安定に大きな役割を果たしてきました。21世紀は人権の世紀と言われ、人権の尊重が平和の基盤であることが改めて認識されています。
テロ行為は、世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、とりわけ今回は日本を含む世界約80カ国の一般市民が犠牲になるなど米国のみならず世界に対する挑戦であり、決して許すことができません。このような事件が二度と起こらないよう世界各国が一致して対策を講じていく必要があると考えています。
なお、テロ事件に係る一連の法案については、国会において憲法の精神に沿って論議されるものと理解しております。
次に、在沖米軍基地を今回の米国の軍事作戦で使用しないよう申し入れるべきではないかというお答えでございます。
今回のテロ事件に関連して、今後米国がいかなる具体的な行動をとるかは明らかにされてなく、また我が国も具体的な支援等について国会で審議中でありますので、今回の事件に関連して日米両政府に対して現時点で申し入れをする考えは持っておりません。いずれにしましても、県としては県民生活及び県民の人権に支障が及ぶことがないよう関係機関に協力を求めたいと思います。
次に、安保・基地問題について、15年問題の進捗状況について聞きたいと、また普天間飛行場の無条件全面返還を求めるべきではないかという御質問のお答えでございます。
普天間飛行場については、市街地の中心部にあり、市民生活に深刻な影響を与えていることから、その早期返還を県政の重要課題として取り組んできました。県としては、県、地元市町村の要請に基づき日米両国政府が精力的に協議を行い、合意に達したSACOの合意事案を着実に実施し、実現可能なものから一つ一つ解決していくことが基地の整理縮小を促進する現実的で実現可能な方法であると認識しております。
15年使用期限については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が56年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から、県民が許容できる範囲として普天間飛行場の移設に当たって整備すべき条件の一つとして設けたものであります。
15年使用期限問題について、日本政府はこれまで米国との首脳会談、外相会談等でも取り上げております。県としては、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。
同問題については、閣議決定された政府基本方針に示されているように、政府においてしっかり受けとめられていると考えており、今後とも政府に対しその解決を粘り強く求めていきたいと考えております。
次に、原子力潜水艦の24時間前の通報について、報道機関への非開示を決定したのを、それの撤回と、米原子力艦船の入港の拒否について見解を聞きたいという御質問のお答えでございます。
県は去る9月20日、外務省沖縄事務所を通じて国から、米国で発生した同時多発テロへの対応に関して9月19日に小泉総理大臣が発表した今次事件への我が国の対応措置の中で、我が国における米軍施設・区域の警備強化が課題となっていること及び米側から要請を受けたことを踏まえ、現在の事態が続いている当面の間、原子力潜水艦の24時間前の寄港通知について公表を控えていただきたい旨の要請を受けました。
県としては、不測の事態を回避するためにもやむを得ない措置だと考え、国の要請を体して原子力潜水艦の24時間前の寄港通知については当面公表を控えることにしました。しかしながら、地元勝連町及び沖縄県水産業中央会には従前どおり24時間前通知を行うとともに、原子力潜水艦の入港時及び出港時等の放射能測定調査を実施し、その結果についても従前どおり地元勝連町を初めマスコミ等へ公表したいと思います。
県としては、日米安全保障体制を認める立場から、政府の方針に基づき原子力潜水艦の寄港を容認するものではありますが、日米両政府においては原子力潜水艦の安全性の確保に万全を期していただきたいと考えております。また、県としては県民の生命、生活及び財産を守る立場から、県民生活に影響を及ぼすおそれのある事案については今後とも情報収集と公表に努めていきたいと考えております。
次に、同じく安保・基地問題について、地位協定の取り組みの進捗と現状及び何が問題となっているか、さらに当局の今後の取り組みなどについて答弁を求めるというお答えでございます。
ことし3月の日米合同委員会で、刑事事件の容疑者となった米兵の起訴前身柄引き渡しについて、平成7年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意における「その他の特定の場合」の明確化を図ることが確認され、8月23日までに2回目の専門家協議が開かれたと承知しております。
協議の中では、被疑者の人権問題、すなわち取り調べに際しての弁護士や通訳の同席、代用監獄制度など日本の司法制度における問題点が米側から指摘されたと聞いております。
また、去る9月9日のサンフランシスコで行われた田中外務大臣とパウエル米国務長官との会談において、外務大臣から日米地位協定の運用改善の協議を進めたい旨の発言があり、これに答えてパウエル長官も協議を進めていきたい旨の発言があったと聞いております。県としては、米軍基地から派生する事件・事故や環境問題などから県民の生命財産を守るためには、日米地位協定の抜本的な見直しは不可欠であると考えております。
また、県が求めているのは第17条の被疑者の身柄の引き渡しだけではなく、環境問題なども含めた11項目について見直しを要請しているものであり、今後日米両政府において県の要請している11項目のすべてについて日米地位協定の抜本的な見直しに取り組んでいただけるようあらゆる機会をとらえて要請していきたいと考えております。
次に、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」について、1つは沖縄の振興は安全保障の代償、防衛に貢献していることに対する特別の配慮であるという意見に審議委員の一人である知事はどう対処したかということと、振興策と基地とのリンクを否定する知事の立場は従来と変わりないと理解していいかとのこの2つの御質問にお答えいたします。
最初の御質問は、私は沖縄振興開発審議会に委員として所属しておりますけれども、御質問の発言の件は、沖縄振興開発審議会のもとに設置されている総合部会の専門委員会における発言であると理解をしております。
それでは次の従来の立場についてのお話をいたします。
本県の振興については、長期間米国の施政権下にあったこと、多数の離島から構成されていること、本土から遠隔の地にあること及び沖縄に基地が多いことなど、沖縄の特殊事情から引き続き国の責務により取り組まれる必要があると考えております。
次に、泡瀬干潟の問題について、計画そのものの抜本的な見直しが求められているが、見解はどうかという御質問のお答えでございます。
8月24日の定例記者懇談会の際、泡瀬地区の土地利用計画についての質問に対する発言は、土地利用については当初計画に固執せず、時代時代の経済情勢やニ-ズに整合させて柔軟に対応すべきであるとの基本認識を示したものであります。
現土地利用計画については、観光産業の動向や沖縄市の地域活性化策に沿ったものとなっており、現時点においては見直す考えはありません。しかし、埋立工事が完了し土地利用が開始されるまでには工事着工から7カ年以上を要し、この間には社会経済情勢が変化することも十分に考えられることから、今後とも社会経済情勢の変化等を的確に把握するとともに、環境保全にも配慮しつつ地域のニ-ズに沿った土地利用が図られるよう柔軟に対応していきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 外間久子議員の安保・基地問題についての質問事項の中の、軍事基地はテロの攻撃目標としての危険性は明らかである、那覇軍港の全面撤去を求めるべきではないかとの趣旨の質問にお答えをいたします。
今回の米国におけるテロ事件に強い衝撃と怒りを感じています。テロ行為は、多くの人命を奪い世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、決して許すことはできません。このような事件が二度と起こらないよう世界各国が一致協力して対策を講じていく必要があると考えております。県としては、SACO合意に基づき那覇港湾施設の移設を着実に実施していくことが基地の整理縮小を進める上でより現実的な方法であると認識しております。
○商工労働部長(花城順孝) 「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」についての、物流コストを低減する方策として沖縄県物流公社の設立が重要だと考えるが、見解を聞きたいとの御質問にお答えをいたします。
県内市場が狭隘で、かつ離島県である本県において産業振興を図るためには県外市場への販路拡大が重要であり、そのための課題の一つに物流コストの低減が挙げられていることは御指摘のとおりであります。このため県では、物流効率化支援システム構築に係る調査費の補正予算案を本定例会に提出しているところであります。
本調査においては、集荷から仕分け、配送といった物の流れの一元的な管理により物流コストの低減を図ることを目的としたロジスティックシステムのあり方を検討することにしております。その中で物流効率化支援機能を有する集出荷拠点のあり方、ロジスティックシステムを総合的に管理運営し、県外への販路開拓を支援する営業支援会社等の設置形態などについても検討を行うことにしております。今回の調査結果を踏まえ、支援会社等の設置を含めた効果的なロジスティックシステムを構築し物流コストの低減を図ってまいりたいと考えております。
次に、緊急雇用対策について、4月6日付の厚生労働省の通達の特徴、それから県として県内企業に対し厚生労働省通達の徹底を図ったか、それから通達に基づいての実態調査は行ったかという御質問に一括してお答えをいたします。
この通達は、厚生労働省労働基準局長から地方労働局長に発せられたものであります。
厚生労働省は、同通達において使用者が労働者の労働時間を管理する責務があることを改めて明確にし、労働時間の適正な把握のために使用者側が講ずべき措置を示した基準を策定するとともに、基準の考え方、周知及びその遵守のための指導等について各地方労働局に通知をしております。これを受けて沖縄労働局では、県内各市町村や関係団体に対し当該基準の周知を図るための広報依頼等を既に実施し、また事業所の監督指導を行う中で基準の遵守状況の点検・確認がなされていると聞いております。
なお、県としては、沖縄労働局と連携して労働関係法令等の周知・啓発活動や労働時間の短縮を促進する取り組みを行っております。
次に、同じく緊急雇用対策について、民間企業においてどの程度障害者を採用すれば法定雇用率を満たすことになるかという御質問にお答えいたします。
障害者の雇用については、「障害者の雇用の促進等に関する法律」において常用労働者56人以上の民間企業は1.8%の法定雇用率に相当する数以上の障害者を雇用しなければならないこととされております。平成12年6月1日現在、法定雇用率が適用される民間企業に雇用されている障害者は1212人で、実雇用率は1.6%となっております。法定雇用率1.8%で換算した1360人を達成するためには、あと148人の雇用が必要となります。 このため沖縄労働局等関係機関と連携をし、障害者雇用の啓発のための雇用促進月間の推進や職場適応訓練事業の実施、雇用支援制度の活用促進を図っているところであります。
以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」について、亜熱帯総合研究所を亜熱帯総合研究機関として位置づけ、人材育成を含め国際的貢献、研究ができる仕組みをつくることが重要だと考えるが、見解を聞きたいについてお答えいたします。
亜熱帯総合研究所は、亜熱帯地域・島嶼地域等の諸問題について総合的に研究することにより、本県の振興や我が国及びアジア・太平洋地域の学術・研究の振興に寄与することを目的に県の財団法人として設立されており、国内外の大学や研究機関等との連携を図りながらサンゴ礁やマングローブ等に関する研究を推進しております。同研究所については引き続き研究内容についての充実を図るとともに、人材育成や国際貢献等にもより一層取り組んでいくことのできる機関としてその機能を充実・強化していく必要があると考えております。そのため、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」の中で「亜熱帯に関する総合的な研究機関の設置促進」を位置づけ、その実現に向けて取り組むこととしております。
次に、那覇港のハブ港湾構想について、沖縄寄港航路をふやす条件と見通しと根拠についてお答えいたします。
沖縄寄港航路をふやすためには、船舶の大型化に対応した大水深岸壁や海上コンテナターミナル等のハード面の整備、24時間荷役体制、港湾諸手続のコンピューター化、港湾使用料の軽減等の港湾サービスの充実及びポートサービスの取り組みが必要であります。
また、那覇港の整備については、「新・全国総合開発計画」においてアジア・太平洋地域に向けたゲートウエー機能の強化を図り、国際的な物流・中継加工拠点形成を促進することが位置づけられ、さらに平成12年度に策定された「新世紀港湾ビジョン」において大水深岸壁を複数有する国際海上コンテナターミナル等を整備することとしております。そのため県においては、本年度、平成11年度に実施した「那覇港国際流通港湾計画調査(素案)」を踏まえ、港湾計画改訂に向けた調査・検討を行うとともに、沖縄振興新計画に那覇港の国際流通港湾化の実現に対する支援策が盛り込まれるよう要望しているところであります。
次に、那覇港のハブ港湾構想について、貨物量の推計方法の根拠及び2015年の貨物需要予測84万TEUの妥当性は何か、ハブ港湾検討委員会はこれから検討するということは、港湾建設が目的で書かれた報告書ではないかについてお答えいたします。
平成11年度に実施した「那覇港国際流通港湾計画調査(素案)」におけるトランシップ貨物量の推計は、従来の港湾計画等の現状トレンドによる需要予測ではなく、荷主がコストと時間によって港を選択するという行動パターンのモデル化による推計を行っております。その結果、84万TEUのコンテナ貨物の需要が予測されております。そのうち、主なものはアジアと北米間において那覇港を中継港とする75万TEUのコンテナ貨物量であり、この値はアジアと北米間の将来トランシップ貨物量の4%程度となっております。このことは沖縄、アジア、北米西岸の位置関係を考慮しますと取り扱い可能な貨物量であると予測しております。
また、那覇港国際流通港湾実現化方策検討委員会は、県の素案を受け、国が国際流通港湾として必要な制度等の諸条件、それに伴うトランシップ貨物の需要可能性を調査・検証し、実現化に向けた方向性を検討するため設置したものであります。
次に、同じく那覇港のハブ港湾構想について、県の予算負担額は幾らかについてお答えいたします。
組合に支出する県の負担金は、建設経費や管理的経費の歳出と港湾使用料等の港湾収入を見込む中で具体的に算定されます。事業規模や予算額についての詳細は、港湾計画の改訂がなされた後の港湾整備計画の採択の段階で明らかになるため、現時点で県の負担金の額は算定できない状況にあります。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 泡瀬干潟埋め立て問題について、新港地区の企業誘致の見通しがない中で、しゅんせつの必要性はないのではないかとの御質問にお答えいたします。
中城湾港新港地区の整備は、沖縄振興開発計画において本県の自立的発展の基礎条件の整備として位置づけられた計画であり、昭和59年から流通加工港湾としての整備を進めております。また、平成11年3月には東埠頭地区の一部約122ヘクタールが特別自由貿易地域に指定されており、現在、沖縄振興新法での制度拡充を求めているところであります。
新港地区の企業誘致は、このような県の政策的背景のもとに進められてきており、整備が完了した西埠頭地区には52社が既に立地しており、分譲率は99.5%となっております。また、現在整備を進めている東埠頭地区の一般工業用地では22社が立地しており、分譲率は59.1%であります。特別自由貿易地域については賃貸工場等が整備され4社が立地し、さらに2社の内定企業が出るなど経済情勢が厳しい中、企業誘致活動に鋭意取り組んでおり企業立地も着実に進んでおります。
これらの企業活動及び今後の企業誘致を促進するためには、その基盤となる港湾の整備は必要不可欠であり、東埠頭地区においても年次計画に沿って着実に整備を進める必要があると考えております。
○教育長(津嘉山朝祥) 緊急雇用対策について、教職員で本来正式に採用しなければならない人数は何名かとの御質問にお答えをいたします。
教職員の定数につきましては、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」及び「公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」等にのっとり、本県で基準を定め配置をしているところであります。
本務教員の採用者数算定の基礎資料となります本県の定数内臨時の教員数は、平成13年度は小学校168人、中学校174人、高等学校209人、特殊教育諸学校118人で、合計669人となっております。臨時的任用教員につきましては、児童生徒数の増減に伴う教職員定数への対応、新規採用者の中長期的展望に立った採用計画の平準化、特色ある教育課程の実施への対応等々から一定の臨時的任用措置を行っているところであります。今後とも教職員の人事管理等の適正化に努め、新規採用教員の継続的な採用枠の確保に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(永山政邦) 緊急雇用対策について、消防職員の法定数の達成はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
消防職員の定数については、消防庁が示す「消防力の基準」を参考にそれぞれの市町村等が地域の実情を勘案しながら条例で定めることになっております。平成13年4月1日現在の23市町村等の条例定数は1405人で、現員数は1404人となっております。平成12年4月1日現在と比較いたしますと定数で3人、現員数で13人の増となっております。
なお、消防庁が示しております「消防力の基準」に基づいた所要消防職員数は2361人で、現員数1404人との差は957人となっております。県といたしましては、消防力の充実・強化を図るため同基準を目標に市町村等に対し引き続き指導・助言を行っていきたいと考えております。
○外間 久子 答弁漏れがあります。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時8分休憩
午後3時15分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 政治姿勢について、テロ根絶のためにはテロ犯罪者等を逮捕し厳正に処罰することであり、アメリカに対して報復中止の申し入れをすべきだが、知事の意見を聞きたいということに対する私の答えを再度申します。
今回の米国におけるテロ事件に強い衝撃と怒りを感じています。テロ行為は、世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、とりわけ今回は日本を含む世界約80カ国の一般市民が犠牲になるなど、米国のみならず世界に対する挑戦であり決して許すことはできません。今回のテロ事件については多くの国が非難しており、また去る9月12日に開催された国連安全保障理事会においてテロ行為者を法の裁きにかけるための決議が全会一致で採択されました。これに基づいて世界的な合意形成が図られつつあると理解しております。このような事件が二度と起こらないよう世界各国が一致協力して対策を講じていく必要があると考えております。
○外間 久子 知事はどう考えているんですかという質問なんですよ。
○知事(稲嶺惠一) このような事件が二度と起こらないよう世界各国が一致協力して対策を講じていく必要があると考えております。
○商工労働部長(花城順孝) 御指摘の厚生労働省の4月6日付の通達はですね、各都道府県の地方労働局長に発せられたものでございまして、国の機関から国の機関への通達でございます。
そういったことで国の──沖縄では沖縄労働局でございますが──そこにそういう通達が発せられて、それに基づいて各地方労働局においては点検確認を行っているということでございまして、これについて県が特に対応しなくてはいけないというような通達ではございません。
以上です。
○議長(伊良皆髙吉) 企画開発部長。
休憩いたします。
午後3時19分休憩
午後3時20分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
外間久子君。
〔外間久子君登壇〕
○外間 久子 知事にお伺いしますけれども、安保・基地問題のところの、那覇軍港のところの部分での、マスコミには非公開の問題ですね。
その件についての知事の答弁は、不測の事態が起きるからそんなことをやったんだというんですが、その不測の事態というのは、軍事基地には不測の事態が起きないように対処する。ところが我が沖縄県民には不測の事態というのは起きないんですかというのが1つ。
先ほどの振興策の問題で、全体の流れの中でそこの方の部署にいらっしゃらないということだったんですけれども、いずれにしても審議委員会の皆さん方の御発言を聞いていたら、先ほどの質問のとおりなんです。それに対してこれから知事がどんな形でどう対処なさるのか、基地の貢献度、防衛の問題、安保の問題だから「特別」ということで設けるんだということなんですが、その点については知事はこれからどんな形で自分の意思をあらわしていくのか。
それから15年問題でもきちっとそういう審議会の中で、知事は自分の属している審議会の中でどんな御発言をなさったのか、それに対してどんな反応があったのかをまずお知らせください。
次は、ハブ港湾の問題ですけれども、先ほどの企画開発部長の御答弁では、ハードの面をちゃんとやっておけば75万、84万、85万のTEUは来るという、トランシップができるんだということの説明なんですけれども、今実質的に求められているのは港湾整備計画の大前提というのは需要の見通しが本当に適切なのか、あるいは架空ではないか、過大じゃないかというのが今全国の公共工事の問題で大きな問題になっている一つの中心の柱だと思うんですよね。それについて85万の実証ができたら大丈夫だというふうな御発言もあったんですけれども、実際ハードの面を整備すれば85万TEUが来るという保証はないと思うんです。今実際船会社、海運業というのは大変厳しい熾烈な戦いをやっていて、船会社は船会社なりに集約化を進めていくと、トランシップを1つにまとめたいと。ところが荷主は荷主で分散化をやりたいと、直行をやりたいと。そういう形で港自体が流動化している中で、これ自体が荷物を集められるかということは大変難しい問題だと思う。その点について、85万TEUというのは根拠がないということが1つ。
あと1つ、泡瀬の問題ですけれども、これも同じように私は実際今皆さん方が出された結果を見ても、2006年にはどれくらいの観光客が来る、客室を1700室つくるというふうなことが計画されているんですけれども、いまだにこれに固執をしていて、これは妥当だというふうにお考えになっているのか。
そして今皆さん方が企業の進出の調査をなさって、平成8年ですか、平成12年でもやっているんですが、企業の進出が1つもない。そんな中で新たにこれに希望を託して新たな埋め立てをやって、7年後は状況が変わるから大丈夫だと知事はおっしゃるんだけれども、これで本当に大丈夫だという根拠というものをもう少し示していただきたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時24分休憩
午後3時28分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 先ほどの審議会の御質問で、先ほどの発言は総合部会の専門委員会の発言であるわけですけれども、その次の質問の中にオーバーラップしまして、振興策と基地とのリンクを否定する知事の立場は従来と変わりないと理解していいかということで、多分それとのリンクのお話だと思いますので、それに対するお答えをしたいと思います。
本県の振興については、長期間米国の施政権下にあったこと、多数の離島から構成されていること、本土から遠隔の地にあること及び沖縄に基地が多いことなど沖縄の特殊事情から引き続き国の責務により取り組まれる必要があると考えております。
○知事公室長(親川盛一) 外間久子議員の再質問の中の不測の事態について、米軍には不測の事態はあるが、県民には不測の事態はないのかと、こういう趣旨の御質問だったかと思います。お答えをいたします。
この不測の事態と申しますのは、例えば24時間前に通報することによって情報、いわゆるテロに関する方々への情報提供をすることによって、それを受けることによって県民が被害に遭うというような、こういったことのないようにということも含めまして両方この不測の事態の中には含んでいるということで御理解願いたいと。
○企画開発部長(与儀朝栄) 外間議員のハブ港湾に関連しまして、ハードを整備すれば84万TEUが可能との答えだが、それだけでは難しいのではないかという再質問にお答えいたします。
先ほど答弁いたしましたように、沖縄寄港航路をふやすためには船舶の大型化に対応した大水深岸壁や海上コンテナターミナル等のハード面の整備、これはハードになります。そのほか24時間荷役体制、港湾諸手続のコンピューター化、港湾使用料の軽減等の港湾サービスの充実及びポートサービスの取り組みが必要でありますということと、84万TEUの予測につきましては、先ほどのモデル推計で行った結果、84万TEUのコンテナ貨物の需要が予測されておりますけれども、そのうち主なものは、アジアと北米間において那覇港を中継港とする75万TEUのコンテナ貨物量であり、この値はアジアと北米間の将来トランシップ貨物量の4%程度となっておりまして、このことは沖縄、アジア、北米西岸の位置関係を考慮しますと取り扱い可能な貨物量であると予測しております。
ちなみに、世界的な貿易投資における自由化の中で、アジア関連貿易、アジア域内貿易の比率が急速に高まっております。過去7年間に7割もアジア関連が増加し、世界全体の6割を占めるまでに成長しております。
それから地理的優位性としまして、沖縄近海を73の国際航路が往来しております。こういった点からも那覇港のポテンシャルが注目されております。
以上であります。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 外間県議の再質問に答える前に、この泡瀬埋立計画というのは免許権者から許可の留意事項として、要するにこの計画については1工区、2工区あるものですから、留意事項の中にクビレミドロ、これが2工区に育成しているんですが、工事着工に当たっては1工区から工事着工し、2工区についてはクビレミドロの移植技術、それから環境監視・検討委員会、そこで議論して、そこで判断できた時点で合意着工しなさいと、そういう留意事項がついております。
その中で第1工区から国あるいは県としても着工しようということで今やっているんですが、要するにこれまでの経緯からしてそこには藻場が育成しているんですが、これまでの経過からして藻場の人力移植については移植ができると。そして藻場の機械移植、それにつきましても少量の機械移植であればこれまでそういう形で判断できるということで踏んでいるんですが、その検討委員会の中から大規模な、およそ3ヘクタールぐらい、それの移植をして、その生育結果、その調査結果、そして議論して、そこで判断できれば大いに着工していきたいと、そういうことで今そういう準備をしながらやっていって、その判断を待って第1工区に着工したいということで踏んでおります。
先ほど知事からも御答弁がありましたように、この計画については沖縄の観光産業の動向や沖縄市の地域活性化に沿ったものであるから現時点では見直すことはしないで、現計画に沿って推進していきたいという御答弁がありました。
バブル期崩壊後、平成2年ごろですが、これは細かい数字は資料がなくてあれなんですが、平成2年当時が大体沖縄の入域観光客数というのは200万台、この計画が平成7年度に計画されております。そのときが300万台。今、平成12年度が四百五、六十万台。そういうことで沖縄県といいますのはこれは観光・リゾート産業を伸ばす、そして伸ばしていかなければならないことだと思っておりますので、この計画を想定したときは616万ということで想定しているんですが、これまでの実績、流れからしますと、そんなにかけ離れた数字ではないんではないかと、そういう形で踏んでおりますので、現計画どおり進めていきたいということで考えております。
○外間 久子 知事が入っていらっしゃる委員会で15年問題はどのように発言なさいましたか。どういう反応がありましたか、委員会で。
それから経済成長率、企画開発部長はどう見るのか。
それから土木建築部長、栽培漁業施設、海洋研究所施設をつくるのかどうか。答弁してください。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時43分休憩
午後3時44分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程はこれで終了いたしました。
次会は、明2日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後3時45分散会