○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
去る12月1日、内親王殿下が御誕生になられましたことは県民ひとしくお喜び申し上げるところであります。議員各位とともに謹んで慶祝の意を表したいと思います。早速、宮内庁長官あて御祝電を差し上げましたので、御報告いたします。
次に、報告いたします。
説明員として出席を求めた地方労働委員会会長垣花豊順君は、所用のため本日、明日及び10日から12日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長名幸宏明君の出席を求めました。
また、人事委員会委員長新崎盛善君は、所用のため本日、明日及び10日から12日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として人事委員会事務局長新垣良光君の出席を求めました。
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○議長(伊良皆髙吉) この際、念のため申し上げます。
本日、明日及び10日から12日までの5日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
外間盛善君。
〔外間盛善君登壇〕
○外間 盛善 おはようございます。
自由民主党県議団を代表し、これより質問いたしますが、自民党代表は久々でありまして、おまけにまたトップバッターとして登壇できましたことを大変光栄に存じております。
質問に入ります前に、去る12月1日、皇太子御夫妻におかれましては、国民ひとしく待ち望んでおりましたお宮さまが誕生いたしました。県民とともに心からお喜びを申し上げて、そしてお健やかな御成長を祈念いたしたいと存じます。
次に、最近の政治情勢について若干所感を述べたいと思います。
日本の総理大臣は、議員内閣制にのっとり多数与党の議員の中から選任されてきました。去る総裁選挙は中央の意思だけでなく地方の声を最大限に尊重した選挙となり、小泉総理が誕生いたしました。その背景には、国内の政治・経済が長年混迷が続いてきた中、小泉氏が構造改革抜きの経済再建は不可能という立場の改革路線を全面に打ち出され、これが多くの国会議員や地方党員・党友の厚い信任を得ての当選となりました。その結果は、絶対多数の国民から歓迎され、総理への支持率は90%近くまで上昇し、自民党への支持率も従来の倍以上に躍進をいたしました。
小泉総理は、組閣人事でも成功をおさめられました。適材適所の老若のバランスよい配置、過去最多5人の女性大臣登用、派閥人事をなくした仕事のできる実行型内閣の誕生は国民の高い評価を得る快挙となりました。言うはやすく行うはかたい構造改革を短期間で実行に移し、総理への国民の信頼と期待の大きさは参議院選挙での自民党の圧勝につながってまいりました。
私たちに身近で戦後長く未解決であったハンセン病患者の問題も国民から100%支持される方向での即断即決は実に見事で、関係者に対する謝罪と補償の表明は小泉総理ならではのことで、社会的弱者に対する総理の姿勢を象徴するものとして私どもはひとしく感動をいたしたのであります。
我が国は、国債と地方債の合計が平成12年度末で666兆円とも言われるほどの財政の逼迫に陥っております。小泉総理は、国債への慢性的な依存体質が次の世代に大きなツケとなることを心配せられ、国民が一時の痛みに耐えることで将来の大きな幸福を得るという長期展望に立ち、国債の発行額を可能な限り30兆円以内に抑え、国の財政もスクラップ・アンド・ビルドに整理し、より大きな効果を発揮すべく打ち出したのが特殊法人、いわゆる7公社・公団の民営化、つまり住宅、道路、石油関連、例えば住宅金融公庫の5年以内廃止、高速道路整備計画の一部中止等であります。もっとも、沖縄県の振興開発金融公庫は本土との所得格差が依然として大きいことや、脆弱な資金供給量など県内経済の特殊事情から、住宅公庫の廃止などは別途に論議されるべきであるという意見が強いことはひとまずほっとしているところであります。
ともあれ、小泉総理の改革に対し国会議員を初め多くの国民が賛成する一方、野党や自民党内の道路族等の抵抗勢力もあり、改革方針の具体化とともに今後対立の激化が予想されております。
かかる厳しい環境の中でも総理の行動意欲と発言は、あくまで実行あるのみの強い信念に貫かれ、改革断行内閣にふさわしく国民の期待を一身に背負っている感があり、時代は人を求め人をつくるの言葉どおり、まさに時代を区切る立派な総理が誕生したものだと自民党党員として大いに誇りに思っているところであります。
小泉総理は、就任後、いわゆる構造改革なしに新しい国づくりはできない、経済の安定が最優先課題であるが、巨額な赤字国債を抱える現状では達成不可能。聖域なき行財政改革でむだを省き、国民に合理的な予算配分を行ってこそ財政の健全化と立派な国づくりが図られる。今私がやらなければだれがやるという気概で国家、国民のため頑張っておられます。今の小泉総理には大義と信念、ビジョンとロマンに生きた吉田松陰、勝海舟、坂本龍馬、伊藤博文など近代日本の歴史をつくった明治の英傑たちをほうふつとさせるものがあります。
9月に米国で同時多発テロ事件が発生し、国づくりへの集中力をそがれかねない政治環境のもと、小泉総理は世界各国の世論の高まりとともに平和と安全、そして自由を保障するためにテロ撲滅に立ち上がり、そのプロセスでテロ対策特別措置法を制定し、後方支援や避難民の救助活動に的確に対応し得る仕組みをつくり、去る11月20日実行に移されたことは国民から強く支持され、国際社会からも我が国に対する評価が大いに高まってくることが期待されるのであります。
今、世界じゅうがテロの影響で大きな経済的打撃を受けている中、観光立県の我が沖縄のダメージははかり知れず、問題は深刻であります。
稲嶺県政はいよいよ来年任期満了を迎えるだけに、観光客の急激な減少、失業者の増大、デフレ不況等の克服に鋭意取り組み、県民生活の安定向上を図るべき4年間の総決算の年となります。我が党は、稲嶺知事に全面協力を惜しまない決意であることを披瀝しながら質問に移らせていただきます。
大きい1番目、故瀬長亀次郎、故西銘順治両氏の御功績に対する評価について伺います。
戦後の混乱期、米国を帝国主義と位置づけ、あくまでも沖縄県民の自由をかち取り民族を解放するんだと銃剣やブルドーザーの前に立ちはだかって闘い、県民の英雄的な存在であられた瀬長亀次郎氏が去る10月5日に天寿を全うされ他界いたしました。
また、瀬長氏が沖縄の左側を代表する大政治家であったものとは対照的に、右側を代表する大政治家として終始一貫政治の王道をばく進してこられた西銘順治氏が11月10日病没され、沖縄の政界全体が仰ぎ見る存在であった両雄は、全県民に惜しまれつつ相次いで昇天されました。まさに両巨星落つの感を深くせざるを得ないのであります。
稲嶺知事におかれましては、故瀬長亀次郎、同西銘順治両氏の御功績をどのように評価しておられるか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
大きい2番目、稲嶺知事が選挙時に公約された政策の進捗状況についてお伺いいたします。
大田県政の終盤は、米軍基地の移設問題で国との信頼関係がこじれ、沖縄政策協議会や三者協等すべての面で政府との窓口を失い、我が国経済が混迷を極める中、本県も県政不況にさらされ、経済はどん底の状態にありました。3年前、ここで稲嶺知事の登壇と相なったわけでありますが、県政の課題は解釈に終始するのではなく解決するものとし、稲嶺知事は選挙時、県民に対したくさんの公約を提示してこられました。
そこで質問を行いますが、(1)、公約された政策を列挙し、その進捗状況をお示しいただきたいと思います。
(2)、みずからの評価で結構でありますが、何点ぐらいつけられるか、お示し願いたいと思います。
(3)、任期満了まであと1年を残すのみとなりましたが、1期目の総仕上げをどのような課題に照準を合わせていかれるのか、抱負をお聞かせいただきたいと思います。
(4)、選挙用語に、1期目は耕し、2期目は種まき、3期目は収穫とあるように、政治、行政は一朝一夕にはいかず、継続と安定が求められております。まさに継続は力なりのことわざどおりであります。知事は耕しながら種まき、収穫と同時並行で縦横無尽に大活躍をされてきましたが、終わりはなく、本県の政治課題はますます山積する一方であります。1期目の経験と持ち前の能力で引き続き県民のため頑張っていただきたく、そろそろ2期目の出馬への決意も御披瀝願いたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
3番目、沖縄振興新法の制定と沖縄振興新計画の策定に向けた取り組みについてお伺いいたします。
平成14年度は、本土復帰満30周年の記念すべき年であると同時に、沖縄振興新法に基づく沖縄振興新計画のもと、新たな沖縄振興をスタートさせる意義深い年でございます。21世紀に大きく飛躍する沖縄県づくりに向けて、沖縄振興新法に本県の自立的発展に必要な特別措置が可能な限り盛り込まれるよう取り組むことや、新しい時代を見据えた将来ビジョンの県案づくりを要望し、以下の点についてお尋ねいたします。
(1)、新法制定に向けた取り組みの現状と今後のスケジュールはどうなっているか。
(2)、沖振法において十分でなかった分野はどういうものがあるか。また、これらは新法においてどのように措置されるお考えか、お願いしたいと思います。
(3)、一国二制度的な新規の特別措置にはどのようなものがあるか。その実現の見通しはどうか、お伺いいたします。
(4)、社会資本の整備に必要な高率補助制度の継続の見通しはどうか。
(5)、従来にない新しい計画をつくると聞いているが、これまでの計画とどこがどう違うのか。また、どこに特徴があるのか、お聞かせいただきたいと思います。
(6)、計画策定に向けた進捗状況と今後のスケジュールはどうなっているか。
(7)、戦後半世紀を経過してなお多く残されている不発弾処理について、今後どのように取り組んでいくお考えか。
(8)、本島中南部の荒廃原野等における緑化事業に今後どのように取り組んでいくお考えか、御説明をお願いしたいと思います。
4番目、次に農業問題について質問いたします。
我が国は有史以来、農耕民族としての歴史と文化を有しております。戦後は西洋文明の影響下で朝鮮戦争を契機に工業化が進み、世界の貿易自由化の潮流に乗って工業製品の輸出は高度経済成長とともに急速に進展し、世界第2の経済大国の地位を確保し、先進国の仲間入りを果たしてきました。
ところが、この華々しい輸出攻勢は貿易のアンバランスを招き、米国を初め多くの国々から圧力がかかり、農産物自由化、ウルグアイ・ラウンドの承認等と相まって日本への農産物輸出攻勢がかけられてきました。自動車など第2次産業の振興は第1次産業にはね返り、諸外国から農産物を大量に受け入れざるを得なくなった政府の責任は重大であります。その見返りとして政府は農業振興策を積極的に推進し、農業経営の安定に資するべきであることを特に申し添えて農業問題の質問をいたします。
(1)番目、県単一JA合併の進捗状況についてであります。
新聞報道によりますと、県単一JA合併推進本部の第10回委員会が去る10月31日に開催され、合併経営計画が承認されました。計画では、合併初年度に7億8000万円の黒字を見込む財政計画や、合併後の3年間で雇用調整をし、250人の人員を減らしていく要員計画が示されております。
財務計画では、2001年度で200億円以上が見込まれる累積赤字を農水産業組合貯金保険機構と農協信用事業相互援助制度による全国支援、債務超過8JAの負担、県域の負担で解消していくとしております。巨額の赤字を合併前に解消した後、要員削減、役員ポストの減少、各事業の効率化で黒字体質に転換し、合併初年度で7億8000万円、2年目で18億円、3年目で34億円の黒字に推移させていく計画としておりますが、聞くところによりますと、県単一JA合併に反対の組合もたくさんあると聞いております。
そこで質問いたしますが、現在の状況はどうなっているか。
また、予定どおり平成14年4月1日合併に向けてきちんと作業は進んでいるのか、あわせて御説明をいただきたいと思います。
ウ、課題は何か。解決の見通しはどうか、御説明を願いたい。
エ、今、JA合併推進本部において、また県において取り組んでいることは何か。今後の見通しについてはどうか、御説明をいただきたいと思います。
(2)番目、農業政策の進捗状況についてであります。通告いたしましたア、イ、ウをまとめて伺います。
実行3年目を迎えたビジョン・アクションプログラムの進捗状況とこれまでの成果や効果について御説明をお願いいたします。
(3)番目、次に天敵産業について伺います。
本員のひざ元であります豊見城村の84戸の農家でトマトの害虫であるハエを大量に増殖した土着天敵の寄生バチで退治し農薬の使用量を70%減らし、環境に優しい農業に取り組み、減農薬栽培トマトとして去る11月13日に出荷を開始しております。今期出荷量は800トンを予想しておりますが、ここまで取り組んだ農家やJAもさることながら、県農業試験場の技術開発の努力に対し心から敬意を表したいと思っております。
そこで質問しますが、ア、減農薬栽培による農産物の出荷状況と今後の見通しはどうか。
イ、当天敵農薬の産業化について、企業への技術移転の進捗状況はどうなっているか。いつごろから企業生産が始まるのか。天敵農薬の販売額と雇用規模はどの程度を想定しているか。
ウ、天敵農薬が占める市場規模はどのぐらいか。
エ、今のところ天敵農薬として何品目めどがついているか。近い将来、何品目が有望か。その場合の想定される販売額とそれによる雇用規模はどの程度か、御説明をお願いしたいと思います。
(4)番、次に畜産振興についてお尋ねいたします。
畜産は農業生産額の40%を占め、重要な産業に成長いたしました。牛乳についても学校給食において100%の生乳供給が今年度4月1日から開始され、ようやく本土並みとなりました。その酪農の発展に県乳用牛育成センターが貢献してこられました。同センターは、乳用牛の県内需要23%を供給し、残りは北海道からの導入であります。今度の狂牛病いわゆるBSE問題を見ても、それが発生した北海道で蔓延していると、たちまち導入農家を初めとする酪農農家は大打撃を受けることになりかねません。
さとうきびは、砂糖の国内自給率を維持するため糖価安定法により守られております。同じように沖縄県の酪農農家を守るために23%ではありますが、危険分散を図るためにも酪農家が安心して生産に専念できるよう県内供給を維持・拡大すべきではないでしょうか。
県の事務・事業の見直しとして乳用牛育成センターの民営移管の話がありますが、行政はむだを省く努力をすべきで、行政効果を上げている部門については維持・拡大していくべきではないか。強化に向けた話はわかりますが、弱体化させる改革はよくございません。
そこでお伺いいたしますが、ア、県の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
イ、狂牛病の発生後、畜産農家においては取引価格に大きな影響があると思われますが、素牛価格や肥育牛枝肉価格はどうなっているのか。価格に影響があるとすれば農家に対して国、県の救済措置としてどのような支援策があるのか、御説明を賜りたいと思います。
(5)番、次にクルマエビの生産振興について伺います。
海洋深層水による養殖クルマエビの母エビ養殖の成功は画期的なことであります。商業ベースで実用化した母エビ養殖は世界でも初めてと言われております。研究者の方々のたゆまざる努力のたまものであり、心から敬意を表します。無病母エビの養殖成功は今後の養殖エビの安定生産・出荷につなげることができます。養殖業者も安心して生産に専念できます。
そこで質問をいたします。
沖縄は全国一のクルマエビ産地であり、その地位をさらに高め確固たるものとするため県の生産振興対策についてお聞かせ願いたいと思います。
イ、また、生産を拡大するためには県産クルマエビの消費を伸ばす必要があります。県内外に対してもっとPRすべきと思いますが、県の販売促進への取り組み及び支援策についてお聞かせください。
5、本県の観光振興についてお尋ねいたします。
(1)、1人当たり観光消費額の実態についてでありますが、最近、格安な旅行パック商品が出回り、また観光客もなかなかお金を使わないと言われている中で、県が出している観光客1人当たりの消費額の10万円余という統計数字は実態とかけ離れた数字ではないかとの指摘をよく耳にいたしますがどうか、御説明を賜りたいと思います。
(2)、今回のテロによる観光客のキャンセル状況とその影響についてお伺いいたします。
今回の同時多発テロの影響は世界的に観光面で大きな影響を与えており、本県観光にも深刻な影響があるが、今回のテロでどの程度の観光客のキャンセル数が出たのか。その内容はどうなっているか。また、観光は関連産業に及ぼす影響も大きいが、テロの影響で観光収入がどれだけ減少し県経済や雇用面でどの程度マイナス要因が生じたのか、御説明をお願いいたします。
(3)、県は、影響を受けた観光関連産業を救うためにどのような対策をとってきたか。融資面からの対策と雇用面からの対策について分けて御説明を願いたいと思います。
(4)、キャンペーンの実施状況と効果について、同時多発テロ関連で影響を受けた本県観光を振興させるために補正予算を組み、「だいじょうぶさぁ~沖縄」キャンペーン等を実施しておりますが、その実施状況はどうなっているか、またその効果について御所見をお願いしたいと思います。
(5)、今後の観光振興策と次年度予算についてお尋ねいたします。
本県観光の魅力をもっと前面に出し、本格的な観光振興策、誘客対策に取り組むべきだと思われるがどうか。次年度予算にどのように盛り込んでいくのか、計画をお聞かせいただきたいと思います。
(6)、観光客のキャンセルの要因について伺います。
米軍基地の存在が危険と思われているが、基地があるから逆に安全という見方もある。今回、観光客のキャンセルが相次いだ大きな要因は何なのか、知事の御見解を賜りたいと思います。
6番目、県立高度多機能病院(仮称)の建設計画についてお伺いいたします。
(1)、県立高度多機能病院(新病院)建設計画の概要及び進捗状況、事業スケジュール等について御説明をお願いしたいと思います。
(2)、新病院の機能について伺います。
新病院には主要な機能として救命救急機能、母子総合医療機能、離島医療支援機能等が位置づけられておりますが、これらの機能全体について内容の御説明をお願いしたいと思います。
(3)、新病院の基本計画について、新聞投稿関係についてお尋ねいたします。
ア、基本計画を作成するということであったが、その作成状況はどうか。
イ、病床1床当たり床面積が84平方メートルとなった経緯及び84平方メートルで新病院の機能が果たせるのか、また機能が果たせない場合の対応策はどうか、御説明を願います。
(4)、新病院計画の事業費についての総事業費が250億円から140億円に減額されたと新聞投稿に掲載がありましたが、これは事実と異なると思いますが、県の説明をお願いしたいと思います。
(5)、母子総合医療センター(子ども病院)設立推進協議会から要望のある新病院における小児医療のあるべき姿を検討する委員会の設置について、県は設置する旨を回答したようだが、設置の見通しなど現在の取り組み状況を御説明願いたいと思っております。
7番目、産業立地と雇用失業問題についてお伺いいたします。
(1)、工業等立地促進条例や特別自由貿易地域の優遇策などを活用し、県は積極的に企業誘致活動を展開しているようだが、その成果と現状を御説明いただきたい。
(2)、現在、法案整備を進めている沖縄振興新法の中で税制の面から一国二制度的な制度・仕組みを整備しない限り企業誘致や雇用環境の改善は図れないと思うがどうか。金融特区の創設、沖縄型特定免税店の消費税免税等の見通しなども含めて御説明をいただきたいと思います。
(3)、稲嶺知事の就任後満3年になりますが、これまでにどんな企業を何社誘致し、どのくらいの雇用効果を上げてこられたのか、また今後の見通しもあわせて御説明を願いたいと思います。
(4)、10月の完全失業率は、全国が5.4%に対し本県は9.3%と依然として雇用環境は悪い上に、今回のテロ事件、狂牛病、さらには小泉内閣の構造改革に伴う痛みのトリレンマ(三重苦)で雇用環境のさらなる悪化が懸念されておりますが、これらの対策について県はどのような考え方をお持ちか、お示し願いたいと思います。
8番目、警察職員の不祥事事案について伺います。
(1)、平成13年11月27日の新聞報道によりますと、1994年に当時の県警交通部長が当時の県公安委員の依頼を受けて、更新せず失効した運転免許証を不正に交付されていたとの記事がありましたが、この事案の概要と関係した職員の処分の内容等について御説明をいただきたいと思います。
(2)、このほかにも公安委員からの依頼に基づく不正な事案はないのか、伺います。
(3)、その他にも過去の事案ではあるが警察職員の不祥事事案が相次いで報道されておりますが、これからの不祥事事案防止対策等について県警本部長の所感をお聞かせください。
9番目、豊見城村の市制施行についてお尋ねいたします。
(1)、豊見城村は、平成14年4月1日の市制施行(豊見城市)を目指しているが、その経緯や目的をお聞きいたします。
(2)、市制施行のメリットは何か、御説明を賜ります。
(3)、今議会に「島尻郡豊見城村を豊見城市とすることについて」の議決議案(乙第20号議案)が提案されておりますが、市制施行に当たり地方自治法上の手続についてお聞きいたします。
(4)、県の条例の中には「豊見城村」と規定している条例があるが、市制施行に伴い改正が必要になると思われる。改正の必要な条例はどのようなものがあるのか、御説明を賜りたいと思います。
(5)、市制施行に伴い沖縄県議会議員の選挙区において、島尻郡区から「豊見城市」を分離する必要が生じると思うが、関係条例はいつ改正するのか、その中身についてもあわせて御説明をお願いしたいと思っております。
答弁を聞いた上で再質問も考えたいと思っております。
どうもありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 外間盛善議員の御質問にお答えをいたします。
最初は、故瀬長亀次郎、故西銘順治両氏への評価についてのお答えでございます。
故瀬長亀次郎氏は、戦後の米軍統治下の厳しい時代から政治活動を続けられるとともに、70年の初の国政選挙に当選以来19年の長きにわたって衆議院議員を務められるなど、本県の振興発展のために御尽力をいただきました。
故西銘順治氏は、沖縄県知事を3期務められるなど本県の戦後処理問題や基地問題の解決に御尽力され、また沖縄コンベンションセンター、県立芸術大学の設置、海邦国体及び第1回世界のウチナーンチュ大会の開催など、今日の沖縄の振興発展の基盤となるすばらしい成果を上げられました。
このように両氏は、本県の振興発展に御尽力された戦後沖縄を代表する政治家だと評価しております。
次に、選挙時の知事公約の進捗状況について、知事の自己採点はどうか、(3)、1期目の総仕上げの抱負についての3点の御質問を一括してお答えいたします。
私は、3年前、広く県民の立場に立って経済や基地の問題を初めとする沖縄の現実としっかり向かい合い、沖縄問題を解釈するためではなく解決するために、また県民の夢や希望を語るだけではなく実現するために多くの県民の皆様の御支持を得、知事に就任させていただきました。以来、問題解決のできる実行型県政の実現を目指し公約の実行に真摯に取り組んでまいりました。
これまで沖縄振興特別調整費等を活用した施策の推進、航空運賃の低減化、情報通信産業等の企業誘致による雇用創出など産業振興に努めるとともに、3歳未満児医療費の無料化、総合福祉センターの建設など県民福祉の向上にも努めてまいりました。また、サミット首脳会合の開催、大学院大学設置に向けた取り組みの具体化など公約のほとんどについて実現または着手しており、多くの実績を上げつつあるものと考えております。
しかしながら、昨今の国内外の社会経済状況は大変厳しく、本県においても産業振興、雇用情勢の改善、基地問題など今なお取り組むべき多くの課題を抱えております。特に、当面は観光誘客や雇用創出に向けたさまざまな施策を強力に推進するとともに、これからの沖縄振興の根幹となる沖縄振興新法の実現や沖縄振興新計画の策定に向け全力で取り組んでまいりたいと考えております。今後とも広く県民の立場に立って、21世紀のあるべき沖縄像の実現に向けて一歩一歩着実に公約を実行し、県民が喜びを実感できる沖縄を築いてまいりたいと思っております。
なお、自己採点ということでございますけれども、私は、評価はこれは皆様がするべきだと思っております。ただ、私自身の能力からすれば、これは100%以上の努力を重ねているということは自認しております。
続きまして、選挙時の知事公約の進捗状況について、2期目出馬への決意表明についてでございます。
私は、これまで県民の視点に立って沖縄の自立的な発展を目指し経済振興策の強化や基地問題の解決、政府との信頼関係の強化等を基本施策として掲げ、公約の実現と県民福祉の向上のため誠心誠意取り組んでまいりました。
幸い、県民の皆様を初め国、県議会、県内外の各界各層の方々の多大な御支援、御協力を賜り公約の大半を実現または着手することができました。しかしながら、本県は経済の自立化や広大な米軍基地の存在など今なお解決しなければならない多くの課題を抱えております。特に、今年度は新しい時代を見据えた沖縄振興新計画の策定及び沖縄振興新法の制定や基地問題等の解決に向けた重要な時期であります。私としては、残された課題を解決し県民が夢と希望を持ち喜びを実感できる沖縄を築くため、全力で県政運営に当たってまいりたいと考えております。
次に、沖縄振興新法と沖縄振興新計画の策定について、新法制定に向けた取り組みと今後のスケジュールについてのお答えでございます。
新法の制定に向けては、内閣府において税制及び法制担当当局との事務レベルの詰めの作業が行われております。また、自由民主党税制調査会において平成14年度税制改正に関する調査・審議が12月中旬の取りまとめをめどに進められているところです。
こうしたことから、県としては去る11月27日から2日間、沖縄担当大臣、自由民主党税制調査会会長、関係国会議員を初め関係各位に対し沖縄振興関係税制改正に関する要請を行ったところです。また、12月4日には県内経済36団体を中心に県、県議会、市町村長、国会議員など総勢1000人を超える参加者が結集した「沖縄振興関係税制特別措置実現東京大会」が開催されるなど、県民一体となった強力な取り組みを展開しております。
今後のスケジュールとしては、年末までに税制等の取り扱いに関する政府案が取りまとめられ、年明けには新法案が閣議決定を経て通常国会に提案される見通しとなっております。
同じく新法並びに新計画についての御質問のうち、沖振法で不十分な点への措置についてという御質問と、一国二制度的な新規特別措置についての2つの御質問を一括してお答えいたします。
本県の振興開発は、本土復帰以来、沖振法に基づく高率補助制度により道路、空港等の社会資本や生活環境施設、教育施設等の整備が進展するなど大きな成果を上げています。
しかし、産業振興や基地跡地の利用促進等に関しては、沖振法における制度が必ずしも十分でなかったものと認識しております。
このため、県においてはこれらの分野の強化について強く要請してきたところ、内閣府の新法骨子案において観光や情報通信産業振興のための税制等の拡充・強化、観光振興計画など分野別計画の策定、駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化のための特別措置の創設等が盛り込まれております。また、本県独自の大胆な制度として特定情報中枢機能振興地区制度や金融業等集積促進地区制度の創設、現行法にある沖縄型特定免税店制度や特別自由貿易地域制度の拡充が示されております。
次に、同じく新法、新計画についてのうち、高率補助制度の継続の見通しについての御質問にお答えいたします。
魅力ある地域特性の発揮と不利性の克服による本県の振興発展を図るためには、産業の振興や国際交流拠点の形成等のニーズに対応した社会資本の整備を今後とも積極的に進めていく必要があり、県においては高率補助制度の継続を強く国に求めてきたところであります。こうした県の要望を踏まえ、内閣府の新法骨子案においては沖縄振興新計画に基づく事業に係る国の負担または補助の割合の特例を講ずることが示されており、高率補助制度は新法に継承されていくものと考えております。
次に、農業問題について、JAの合併の現在の状況はどうか、次の進捗状況について、この2点は関連しますので一括してお答えいたします。
県単一JA合併構想は、農業を取り巻く厳しい社会経済環境の変化に対応し強固な経営基盤を確立するため、平成13年3月の第16回JA沖縄大会において決議されたものであります。
JA沖縄グループでは、同構想を実現するため県下全JAの代表者で構成する合併推進本部委員会を設置しております。同本部委員会のもとでこれまで経営困難JAの赤字処理、合併に向けた財務調整、合併後の経営計画の樹立等に取り組んできたところであります。
合併の進捗状況については、去る11月13日に開催された合併推進本部委員会において、合併JAの組織体制、事業運営、合併経営計画等基本的な事項が合意されたところであります。
現在、合併推進本部においては、来る12月17日の合併予備契約の調印に向けて各JAの役職員及び組合員に対する説明会を集中的に行っているところであります。県としても、県単一JA合併の実現に向けて積極的に支援する考えであります。
次に、同じく農業問題についてのうち、農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムの進捗状況はどうなっているかのお尋ねに対してお答えいたします。
農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムは、国際化に対応した活力ある農林水産業の振興を図るため重点的に推進すべき施策の基本方向を示したものであり、平成11年度から5年間の計画で推進しているところであります。
これまでの主な成果としては、1、園芸作物については、国内における冬春期の供給産地として生産拡大が図られ、これまでサヤインゲン、輪菊、マンゴーなど7つの拠点産地が形成されております。
さとうきびについては、借地型大規模経営体である生産法人の育成に取り組み、現在26の法人が設立されるなど農地の利用集積による規模拡大、機械化による省力化・低コスト化が図られております。
畜産については、肉用牛が国内有数の子牛供給産地として評価されており、飼養頭数が8万頭を超えるなど生産も拡大傾向にあります。
林業については、県産材の活用や熱帯性早生樹種の育成などに取り組んでおります。
水産業においては、モズク、クルマエビが全国一の供給産地を形成するなど進展してきております。また、おきなわスギやヤイトハタの種苗生産技術の確立により養殖業の発展が期待されております。
次に、新技術の開発としては、天敵昆虫を利用した防除技術、畜産における受精卵移植技術及びウイルスフリーの母エビ養殖技術などが確立されております。今後とも地域特性を生かした活力ある農林水産業の振興に努めていく考えであります。
次に、本県の観光振興についての御質問、今後の観光振興策と次年度予算についてお答えいたします。
観光・リゾート産業は、本県経済を牽引するリーディング産業であり、県としては「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」においても観光の振興を重要な施策として位置づけ、「総合的な国民保養の場を形成するとともに、コンベンションをいかした観光・リゾート地として、多様なニーズに対応した通年・滞在型の国際的な観光・リゾート地の形成を図る。」こととしております。今後とも県民の観光・リゾート産業に対する理解を深め、県、業界及び県民一体となって観光の振興を推進してまいります。
なお、テロの影響による誘客キャンペーンなどの支援策に関しては、今後とも引き続き強化してまいりたいと考えております。次年度における観光関連予算についても、より一層の事業展開を図るべくその拡充に努めてまいりたいと考えております。
次に、県立高度多機能病院(仮称)の建設計画についてのうち、新病院計画の概要についてとの御質問と、建設計画の進捗状況についての2点を一括してお答え申し上げます。
本県は、7つの県立病院、18の附属診療所を運営しており、県内医療に大きな役割を果たしております。
新病院計画は、本県の南部保健医療圏において高度医療や救命救急医療、母子総合医療等に対応できる病院の整備が求められていることから、那覇病院の改築を機に新たに高度で多機能を有する病院を整備することとしたものです。
新病院では、1、24時間体制で救命救急医療を行う、2、周産期から小児期全般にわたる総合的で高度な医療を行う、3、急性期疾患に対応するチーム医療を行う、4、地域の中核病院として高度・特殊医療を行う、5、離島医療の総合的な支援を行うことなどを計画しており、高度化、多様化する県民の医療ニーズにこたえていきたいと考えております。
新病院計画の現段階での概要を申し上げますと、全体の病床数は434床で、このうち30床程度を救命救急センター、120床程度を母子総合医療センターとして整備する計画であります。建設場所は、南風原町新川の県農業試験場の圃場約5万7000平米を予定しており、平成13年度から14年度にかけて設計業務を行い、平成14年度から17年度で施設を整備し、平成18年度の開院を計画しております。また、用地取得費、工事費等を含む概算事業費は212億円程度となっております。
なお、現在、指名プロポーザルによる基本設計、実施設計の発注について平成14年2月の委託契約に向けての作業を進めているところであります。
次に、産業立地と雇用失業問題についてのうち、企業誘致活動の成果と現状についての御質問と、知事に就任後の企業誘致と雇用効果の件についての御質問を一括してお答えします。
私は、就任以来3年間、産業の振興と雇用の創出を重要課題の一つとして取り組んでまいりました。
企業の誘致については、東京、大阪等県外での説明会や米国における企業訪問を初め経団連等の経済団体や企業のトップと直接お会いして沖縄への進出・協力をお願いしてまいりました。加えて、企業誘致の総合窓口として企業立地推進課を設置するとともに、県の東京・大阪事務所に企業誘致対策監を配置するなど企業誘致体制を強化してまいりました。
情報通信産業については、平成11年度から実施した通信コストの低減化支援事業等によりコールセンターを初めコンテンツ制作やソフトウエア開発企業等の立地が相次ぎました。
立地企業の中には、インターネットや金融関連などの世界的な企業の進出も見られるなど情報通信産業の集積が進んできております。情報通信産業は、これまで戦略的産業として振興を図ってきたところであり、本県の産業経済を牽引する中核的産業としての形成が進展しつつあるものと考えております。
また、製造業についても平成11年3月に指定された特別自由貿易地域に医療機器用半導体製造企業、光ファイバー関連デバイス製造業等の先端技術型製造業の立地や、中国、ベトナムなどの近隣アジア諸国をマーケットとするオートバイの組み立て・製造企業が進出するなど、これまでの沖縄にはなかった新たな分野の企業が立地しており、加工交易型産業の振興が図られつつあります。
その結果、私が就任以来、新たに42社が立地し約3200人の雇用が創出されました。今後とも私みずから先頭に立って企業の立地を推進し、雇用の創出に努めてまいりたいと考えております。
次に、産業立地と雇用失業問題についてのうち、一層の悪化が懸念される雇用環境への対策についてお答えをいたします。
本県の10月の完全失業率は9.3%と、9月の9.4%に引き続き厳しい状況にあります。また、同時多発テロ事件に伴う観光関連産業における雇用面の影響も懸念されることから、今後の雇用状況も予断を許さないものと考えています。
県としては、現下の雇用経済状況への適切な対応を当面の最大の課題と位置づけ、去る11月21日に沖縄県緊急雇用対策本部を開催し、本年度中に実施する緊急対策と次年度以降取り組む中期的対策を内容とする「沖縄県総合雇用対策」を策定したところであります。
本年度中に実施する緊急対策としては、経営と雇用に関する緊急制度説明会の開催、総合相談窓口となる「労働110番」の設置、民間職業紹介と連携した企業説明会の開催、求人企業を活用した職業訓練の実施、関係機関が連携して経済雇用問題に取り組むための緊急経済雇用問題関係機関等連絡会議の開催等を既に実施しております。
また、今後、求人規模の大きい産業分野を対象とした企業説明会や公共職業訓練の修了者等を対象とした合同面接会等を開催する予定であります。さらに、今回国の特段の配慮により全国枠3500億円の2%に相当する70億円の配分を受けた「緊急地域雇用創出特別交付金」についてもこれを最大限に活用し、当面の雇用の確保に全力で当たりたいと考えております。そのため、観光関連の事業を中心に12月補正予算にも交付金事業を計上しているところであり、予算成立後速やかに実施してまいります。
中期的対策としては、賃貸工場や高速・大容量通信回線の利用環境の整備等により企業誘致等を推進するとともに、創造的企業支援事業、ベンチャー投資事業及びオキナワ型産業支援事業等を実施して新事業やベンチャー企業の創出を図ってまいります。また、経営革新支援事業や沖縄産学官共同研究推進事業等を実施して既存製造業の振興を図ってまいります。これらの施策等の展開により産業振興と一体となった雇用の創出を図ってまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 沖縄振興新法と沖縄振興新計画の策定について、沖縄振興新計画の特徴についてお答えいたします。
沖縄振興新計画は、経済のグローバル化及び情報化の進展、環境問題の重要性、今後急速に進む少子・高齢化社会など、国内外の情勢に的確に対応する内容を盛り込んだものとして策定されるものと考えております。特に、沖縄の魅力ある地域特性を生かした民間主導型の自立型経済社会の構築に向けて「沖縄経済振興21世紀プラン」を反映させるとともに、アジア・太平洋地域の発展に寄与する地域を形成してまいりたいと考えております。
さらに、圏域別の振興については、それぞれの特性を生かした各地域の均衡ある発展に向けた方向性を明らかにするとともに、広域的に取り組むことのできる具体的な施策を位置づけてまいりたいと考えております。
次に、同じく沖縄振興新法と沖縄振興新計画の策定について、計画策定の進捗状況とスケジュールについてお答えいたします。
新たな沖縄振興計画の県案策定に向けては、県民や市町村、各種団体等県内の各界各層からの意見聴取を行うとともに、計画の枠組み等について国との調整を進めております。今後は、地域単位での県民との意見交換会を実施するとともに、沖縄県振興開発審議会や県議会からの意見を踏まえ、平成14年5月から6月をめどに県案作成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○文化環境部長(永山政邦) 沖縄振興新法と沖縄振興新計画の策定についての中の、不発弾処理は戦後処理問題の重要課題の一つであり、沖縄振興新法と沖縄振興新計画の中で取り上げて推進していく必要があるのではないかとの御質問にお答えいたします。
県内における不発弾処理対策は、県民の情報に基づく埋没不発弾の探査事業と、国、県、市町村が公共事業を実施する際に行う不発弾探査事業があり、その結果発見された不発弾は自衛隊により回収・処理されております。本県では、年間約53トンの不発弾が発見・処理されております。しかし、依然としてまだ相当量の不発弾が埋没しているものと推定され、その処理にはかなりの期間を要するものと見込まれております。
このようなことから、県では「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」において、「戦後処理の一環としての不発弾処理対策を推進する。」と位置づけ、既存の不発弾探査事業のほかに、新規に市町村単独の公共事業における不発弾探査事業が補助対象となるよう平成14年度の予算措置の拡充・強化を国へ要請しているところであります。
以上であります。
○農林水産部長(天願貞信) 沖縄振興新法と沖縄振興新計画の策定について、本島中南部の荒廃原野等の緑化事業について今後どのように取り組んでいくかということの質問についてお答えいたします。
本島中南部地域においては、荒廃原野が存在し緑の回復が求められております。こうした背景を踏まえて当該地域の緑化を図るため、緑化推進特別対策事業を創設し、10分の9の高率補助により荒廃原野の緑化に取り組んでいるところであります。県としては、当該地域の緑化の重要性にかんがみ、沖縄県総合緑化基本計画に基づき荒廃原野の緑化を推進していきたいと考えております。
次に、農業問題について、県単一JA合併の課題と解決の見通しについて、それから合併推進本部及び県の取り組み状況及び今後の見通しについて、関連しますので一括してお答えいたします。
県単一JA合併構想は、農業を取り巻く厳しい社会経済環境の変化に対応し、強固な経営基盤を確立するため平成13年3月の第16回JA沖縄大会において決議されたものであります。
JA沖縄グループでは、同構想を実現するため、県下全JAの代表者で構成する合併推進本部委員会を設置しております。同本部委員会のもとで、これまで経営困難JAの赤字処理、合併に向けた財務調整、合併後の経営計画の樹立等に取り組んでいるところでございます。
合併の課題については、去る11月13日に開催された合併推進本部委員会において、合併JAの組織体制、事業運営、合併経営計画等基本的な事項が合意されたところであります。現在、合併推進本部において来る12月17日の合併予備契約の調印に向けて各JAの役職員及び組合員に対する説明会を集中的に行っているところであります。県としても県単一JA合併の実現に向けて積極的に支援をしていく考えであります。
次に、ビジョン・アクションプログラムの実行による成果について、それから農林水産物の出荷・販売等の成果について、関連しますので一括してお答えいたします。
農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムの推進により、生産基盤の整備を初め多様な品目の産地化などが図られております。
その主な成果としては、生産分野では、野菜、花卉、果樹などの園芸作物については、拠点産地の形成や平張り施設などの整備により品質及び収量の向上が図られております。
さとうきびについては、生産法人の育成、ルネッサンス事業などにより遊休地の解消などが図られ、離島においてはさとうきびの作付面積が拡大しております。
肉用牛については、国内有数の素牛供給産地としての地位を確立しており、生産の拡大傾向にあります。
ウコン等の薬用作物につきましては、栽培展示圃の設置や加工施設の整備などにより生産拡大及び製品化が図られております。
林業については、県産材の活用、熱帯性早生樹種の育成及びクロアワビタケなど特用林産物の生産体制が整備されております。
水産業につきましては、モズク、クルマエビなどの養殖業の生産が図られ、全国一の供給県となっております。
技術開発の分野においては、さとうきび、パイナップル等の新品種の育成、フェロモン、天敵昆虫の実用化や畜産における受精卵移植などの技術が確立されております。水産については、ウイルスフリーの母エビ養殖技術、おきなわスギやヤイトハタなどの種苗生産技術が確立されております。
出荷・販売分野では、ゴーヤー、カンショ、モズクなどの品目は、消費宣伝の強化や市場情報の収集及び蒸熱処理施設の整備により県外への出荷量が拡大しております。
また、輸送コストの低減については、低廉で連日出荷可能な船舶輸送の調査事業に取り組んでいるところであります。今後とも亜熱帯の地域特性を生かした活力ある農林水産業の振興に努めていく考えであります。
次に、減農薬栽培による農産物の出荷状況と今後の見通しについてお答えいたします。
天敵昆虫を活用した野菜の生産については、名護市と豊見城村において87戸の農家が減農薬トマトの生産に取り組んでおり、今期の出荷量が830トンを見込んでおります。特に、豊見城村においては、本年の11月から「減農薬ちゅらとまと」のブランド名で出荷し、消費者から好評を得ております。県におきましては、今後とも天敵昆虫を活用した病害虫防除を推進し、減農薬農産物の生産拡大に努めていく考えであります。
次に、天敵産業の進捗状況、天敵農薬の販売額及び雇用規模等についてお答えいたします。
県においては、平成13年3月に農業試験場内に環境保全型天敵増殖共同実験棟を設置して増殖技術・製品化技術の開発及び専門的な技術研修を実施しております。今後、民間への技術移転を進め、本格的な商品生産を促進していく考えであります。
天敵昆虫の販売につきましては、特に県内の農家に対しては低価格で供給できるものと期待をしております。また、今後の天敵産業の進展によっては、雇用効果が大いに期待できるものと考えております。
次に、天敵農薬の市場規模について、それから天敵農薬としてのめど、想定される販売額等について、関連しますので一括してお答えいたします。
環境に優しい農産物に対する消費者ニーズの高まりを背景に、天敵昆虫産業の市場については今後大幅に拡大することが見込まれております。県内においては、天敵昆虫として技術開発されているのは、マメハモグリバエの天敵であるハモグリミドリヒメコバチとミナミキイロアザミウマの天敵であるアリガタシマアザミウマの2種であり、さらに数種の有望な天敵昆虫が探索されております。また、今後の天敵産業の進展によっては数億円程度の市場規模が期待されます。
次に、乳用牛育成センターの民営化について県の考えはどうかということの質問についてお答えいたします。
県乳用牛育成センターは、本県の気候風土に適応した耐暑性にすぐれ、強健で経済効率の高い乳用牛を育成し、県内の酪農家に供給することを目的に昭和56年4月に設置されております。同センターは、設立以来、3150頭の育成牛を生産し、年間約160頭の初妊牛を県内酪農家に供給し、酪農経営の安定に寄与しているところであります。
このような中で、県の「行政システム改革大綱」では、効率的かつ効果的な行政運営を図る観点から、乳用牛育成センターは平成14年度からの民営化を進めることとしております。しかしながら、これまで酪農家の経営安定に果たしてきた役割を踏まえると同時に、今後の民営化による健全経営の可能性、多くの酪農家からの存続要請、口蹄疫、BSE等の家畜防疫上の危険分散などの総合的観点から、乳用牛育成センターのあり方について検討しているところでございます。
次に、BSEの影響による素牛・肥育牛価格について、また国、県の支援策はどうかというふうな御質問についてお答えいたします。
国内でBSEが発生した9月以降、県内家畜市場の素牛平均価格は11月現在、対前年度比で約2万2000円の下落となっております。また、去勢肥育牛1頭当たりの推定取引価格は同月比で約8万1000円の下落となっており、BSEの発生が県内の肉用牛価格に大きく影響を及ぼしております。
BSEの発生に伴う素牛価格の下落に対する支援策としては、肉用子牛生産者補給金などの助成によりまして子牛価格が保証されます。また、肥育牛については、肉用牛肥育経営安定対策事業等によりまして農家所得の確保を図ることとしております。
肉用牛生産農家に対しましては、経営の維持・継続を図るため大家畜経営維持資金による低利の融資制度があります。県としては、今後とも国及び関係機関との連携を図り、BSEによる畜産農家への影響を最小限にとどめるよう引き続き支援策について検討してまいりたいと考えております。
次に、クルマエビの生産振興策について、それから販売促進への取り組みについての御質問にお答えいたします。関連しますので一括してお答えいたします。
本県のクルマエビ養殖は、養殖場の造成や関連施設の整備等が進捗し、平成12年度には生産量788トン、生産額35億7800万円と全国一の生産を上げております。今後の生産振興対策については、健全な養殖種苗の安定供給、魚病の発生防止対策、生産コストの低減等の施策により生産の安定化を図ることとしております。
種苗の供給、魚病対策については、種苗生産施設を整備するとともに、海洋深層水研究所が開発したウイルスフリー母エビの養成技術等を活用して健全な種苗を供給する計画であります。また、生産コストの低減については、飼料等のコスト低減対策を検討する必要があると考えております。
販売促進等につきましては、観光産業と連携した県内消費の拡大、贈答品等直販ルートの開拓等が重要と考えております。また、海洋深層水を利用した沖縄産クルマエビはブランド化が期待できることから、生産者を初め漁協等と連携して販売促進に努めていく考えであります。
以上であります。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 本県の観光振興についての中の、観光客の1人当たり消費額は実態とかけ離れた数字ではないかとの質問にお答えします。
関係各界から、近年の観光消費単価は実態との乖離が大きいのではないかとの指摘がありましたことから、県といたしましては平成12年の観光客1人当たり県内消費額の算定に当たって、これまでのホテル等における観光客の任意記入回答によるはがきアンケート調査から、航空機に搭乗している乗客を調査対象とする航空機内アンケート調査へと調査手法を変更し、これまで調査対象から除いていたパック旅行利用者を含めた調査を実施いたしました。その結果は9万1757円となっており、平成11年と比べますと金額にして1万843円、率にして10.6%の減少となっております。
次に、観光客のキャンセル状況と観光収入への影響についてお答えします。
本県への観光客のキャンセル数は12月4日現在、修学旅行で834校、18万4688名、一般団体で1243団体、5万773名、合計で2077団体、23万5461名となっております。また、コンベンションに関しましても「トヨタ世界大会」を含め8件のキャンセルが生じております。キャンセルによる観光収入への影響を平成12年の観光客1人当たりの消費額をもとに試算いたしますと、約216億円の減収が見込まれます。
続きまして、キャンペーンの実施状況と効果についてお答えします。
現在、県においては、国や観光業界と連携して「だいじょうぶさぁ~沖縄」キャンペーンを展開しているところであります。全国紙や旅行雑誌等を活用しての沖縄PRや修学旅行関係者招聘、東京や大阪などの主要都市へのキャラバン隊派遣などさまざまな事業を実施しております。その結果、修学旅行においては同時多発テロ発生後、11月までに321校、6万7674名が本県への旅行を実施しており、12月から3月にかけても195校、4万149名が実施する予定となっております。
また、今回のキャンペーンの実施を受けて各種団体の沖縄応援ツアーや会議の開催などが行われているところであります。さらに、国際会議を初めとする県外からの各種コンベンションにつきましても、同時多発テロ以降54件の新たな予約がありました。
続きまして、観光客のキャンセルの要因についてお答えします。
今回米国で発生した同時多発テロ事件の影響により航空機利用による旅行が控えられたことや、沖縄の米軍基地について一部マスコミ等の過剰な反応による不確定な情報や風評が広まったこと、さらに一部都道府県の教育委員会が沖縄への修学旅行に対して注意を促す文書を出したことなどがキャンセルの主な要因と考えております。
以上でございます。
○商工労働部長(花城順孝) 5番の本県の観光振興について(2)のイでございますが、雇用面ではどういう影響を受けているかという御質問にお答えいたします。
修学旅行を中心とするキャンセル等による雇用面の影響につきましては、県ホテル旅館生活衛生同業組合加盟のホテル等宿泊施設に対しまして、11月末現在でアンケート調査を実施したところ、回答のあった68社の合計で正社員につきましては解雇が3名、時間調整を含めた自宅待機は12名となっております。また、パートタイマーにつきましては、解雇が17名、時間調整を含めた自宅待機等は284名となっております。
このことから、現時点においてはパートタイマーを中心に影響が出ている状況でございます。ホテル等宿泊施設を含めた観光関連の雇用の動きにつきましては、今後ともその実態の把握に努めてまいりたいと考えております。
同じく本県の観光振興についての(3)、観光関連産業への救済措置についてお答えをいたします。
同時多発テロ事件の発生に伴う風評被害により、経営の安定に支障を来している観光関連業等の中小企業者への金融面からの支援策として、まず、平成13年10月22日付で既存県単融資制度の4資金について金利及び保証料の引き下げを実施したところであります。次いで10月末の臨時県議会におきまして、資金繰りの安定化を図るために必要な運転資金を融資する「緊急経営安定支援資金」の創設が採択され、11月12日付で取り扱いを開始しております。また、政府におきまして「中小企業信用保険法」に基づく災害その他突発的事由による地域並びに業種の指定を11月22日付で行い、特例措置による支援策が講じられております。さらに、沖縄振興開発金融公庫においては、ホテル等の大企業に対する緊急の運転資金融資制度も創設され、11月28日付で取り扱いが開始されております。
また、雇用面に関する救済措置としましては、今回のテロ事件の風評被害による急激な売り上げの減少に伴って従業員の自宅待機に際し、一定の条件のもとに休業手当を支給した場合、支払った休業手当の、中小企業の場合は3分の2、大企業の場合は2分の1が助成金として該当する雇用調整助成金があります。県としては、これらの支援制度が円滑かつ効果的に運用されるよう関係機関との連携のもと、県内各地で緊急の説明会を開催し制度の活用を促進しているところであります。
次に、7の産業立地と雇用失業問題について、(2)の企業誘致のためには一国二制度的な制度が必要ではないかという御質問にお答えいたします。
企業の立地促進を目的とする特別自由貿易地域等につきましては、企業誘致を積極的に推進するため、東アジアにおける沖縄の地理的優位性を生かした国際的なビジネス拠点の形成を目指して今後も魅力ある投資環境の整備を図ってまいります。そのためには、沖縄振興新法の策定において企業立地の課題である自由貿易地域の機能強化、税制優遇措置の拡充、初期投資負担の軽減、各種手続の簡素化に係る施策が必要であると考えております。
具体的には、輸入貿易管理令の一部適用除外、選択課税制度の対象品目の拡大、法人税の所得控除制度の要件緩和、投資税額控除制度の拡充に加え、金融支援の充実など企業立地インセンティブを総合的に高める制度・施策について国に要望しております。
また、賃貸工場の整備など企業の初期投資軽減のための施策や、立地企業に対するワンストップサービスを行う管理運営法人の設立について国の支援を強く要望しております。さらに、本県に進出する県外のベンチャー企業への投資も可能な沖縄型ベンチャーファンドの創設についても要望しているところでございます。
これらの要望に対し、国の反応には厳しいものもありますが、県としては、所要の措置が年末に取りまとめられる税制改正等の政府案に盛り込まれるよう全力で取り組んでいるところでございます。 以上でございます。
○病院管理局長(新田宗一) 6番目の県立高度多機能病院(仮称)の建設計画につきまして何点か御質問がありますので、順次お答えいたします。
まず、新病院に位置づけられている主要な6つの機能の内容についての御質問です。
新病院には、一般医療に加えて救命救急機能、母子総合医療機能、離島医療支援機能、臨床研修機能、地域医療連携機能、国際医療協力機能の主要な6つの機能を整備する計画です。
救命救急機能につきましては、救命救急センターを設置し、救急医療専門のスタッフによる24時間体制での救急診療を行う計画です。診療対象地域は主に南部保健医療圏とし、重篤な患者を中心に高度の救命救急を実施することとしています。
母子総合医療機能につきましては、新病院に併設型の母子総合医療センターを設置し、出産前後の母子を対象とする周産期医療及び小児医療を包括的に実施する計画です。
離島医療支援機能につきましては、離島医療支援センターを設置し、離島等の診療所に対する代診等の診療支援を行うとともに、「離島・へき地遠隔医療支援情報システム」を活用した医療情報支援等を行う計画です。
臨床研修機能につきましては、卒後臨床研修として一般研修のほか、離島診療所の医師養成を目的としたプライマリーケア研修を実施する計画です。
地域医療連携機能につきましては、地域医療連携室を設置し、医療情報提供や他医療施設等からの紹介に基づく連絡調整等を行い、地域の病院や診療所との連携及び機能分担を進めることとしています。
国際医療協力機能につきましては、本県と同様の医療課題を持つ国や地域の医療従事者を受け入れての研修事業等を行う計画です。
次に、新病院計画についての基本計画の作成状況についての御質問です。
新病院計画につきましては、「地域医療を支援する高度で多機能な病院検討委員会」において報告書がまとめられ、平成13年3月に知事に提出されています。同報告書については、新病院建設に当たってのいわゆる基本構想として認識しており、同報告書の提言を踏まえた新病院計画の検討を行っております。
また、病院管理局では、6つの機能を有する新病院の施設計画や運営計画等について専門的な立場からの提案を得るため「高度多機能病院(仮称)基本構想・基本計画」の業務委託を行い、現在、同委託報告書を参考にしながらプロジェクトチームで新病院計画の策定に向けての具体的な作業を進めているところであります。今回、9月補正予算の検討を経て新病院計画の枠組みが決定されたことから、それを踏まえた新病院の機能、施設計画、管理運営計画の基本的考え方を早急に整備基本計画として取りまとめ、近々公表してまいりたいと考えております。
次に、新病院計画で病床1床当たりの床面積が84平方メートルとなった経緯について、また84平方メートルで新病院の機能が果たせるのかとの御質問にお答えいたします。
新病院計画における病床1床当たり床面積については、新病院に備える機能、病院事業の今後の経営見通し、本県の財政状況等も踏まえた一般会計からの支援の見通し等について総合的に検討を行い、また他府県における中央病院的な機能を持つ類似の病院の施設状況等も勘案して検討を行いました。その結果、現時点で配慮し得る最大限の面積として延べ床面積約3万6400平方メートル、1床当たり約84平方メートルの結論になったところであります。
なお、病床1床当たりの面積は、病院施設の全体面積を全ベッド数で割った数値であり、病院の規模を示す指標として一般的に使われております。この数値は、病床数の多少によって大きく左右されることから、他と比較する際には病院の機能や病床数等の条件を勘案する必要があります。ちなみに、平成9年以降に竣工した他府県の公立病院で病床数が350床以上、臨床研修や救急告示等の施設認定を受けている類似の病院9カ所を抽出したところ、1床当たりの床面積は平均で75.8平方メートルとなっております。
新病院の面積は、母子総合医療機能や救命救急機能等にも配慮したものとなっており、延べ床面積約3万6400平方メートル、1床当たり約84平方メートルでありますので、新病院の機能に対応できるものと考えております。今後、基本設計の段階では専門家も交えて機能の配分や施設の配置等を詳細に検討することとしており、新病院に必要な機能を発揮できるよう最大限努力してまいりたいと考えております。
次に、総事業費は250億円から140億円に減額されたと新聞投稿に記載があるが、事実と異なると思われる、説明してほしい旨の御質問にお答えいたします。
新病院計画の概算事業費は、現時点では用地取得費や建物工事費等を含む総額で212億円程度を見込んでおります。そのうち140億円は建物本体工事費の額となっております。一方の250億円につきましては、概算要求時における建物本体工事費のほか、用地取得費、設計費、外構工事費等も含めた全体の総額となっており、このため双方の金額に大きな差が生じたものであります。減額したということではございません。
以上でございます。
○福祉保健部長(新垣幸子) 県立高度多機能病院(仮称)の建設計画について、新病院における小児医療についての御質問にお答えいたします。
新病院における小児医療のあり方等を検討するため、保健医療関係者、医療を受ける側等を含めて検討する場を設け、早急に意見を取りまとめるため準備を進めております。そこで取りまとめられた意見については、新病院における機能や病院事業の経営状況等も勘案し、可能な限り新病院計画へ反映させていきたいと考えております。
○警察本部長(太田裕之) 運転免許証を不正に交付した事案についてお答えをいたします。
お尋ねの事案につきましては、平成6年の8月、当時の交通部長が、当時の県公安委員から、友人の知人の運転免許証の失効について相談され、相談を受けた交通部長は、「うっかり失効」であれば技能試験及び学科試験が免除され、容易に運転免許を再取得できるものと考え、運転免許課長に手続をするよう指示をいたしましたが、後で「うっかり失効」の救済期間を経過しており、再取得に当たって試験が免除されないことが判明したことから、各段階の試験を受けさせた上で合格できるようにやってくれとの趣旨を同課長に指示したものであります。
交通部長から指示を受けた同課長は、運転免許試験場長らと協議し、「うっかり失効」の救済期間を19日間しか経過していなかったこと、当該人物はこれまで無事故・無違反の優良運転手であったことから、「うっかり失効」の運転免許試験の免除規定の適用がないのに試験を免除し、同年8月、運転免許証を交付したものであります。
県警では、この事案を把握した同年10月、直ちに不正に交付した運転免許証を無効とする措置をとるとともに、同免許証を回収しております。
また、交通部長の指示を何とか免許を交付しろと解し、不正に免許証を交付した運転免許課長と運転免許試験場長の2人を懲戒戒告処分とし、公安委員からの相談を十分に確認せず、部下に指示した交通部長と運転免許課長の指示のままに不正な事務手続を行った運転免許課次席及び課長補佐を本部長訓戒にしております。
次に、このほかにも公安委員からの依頼に基づく不正な事案はないかとの御質問についてでありますが、本件事案以外には同様な不正な事案はないものと承知をしております。
次に、これからの不祥事事案防止対策等についての所感を伺いたいという質問についてお答えします。
まず初めに、過去の事案とはいえ複数の不祥事事案がありましたことについて県民の皆様に御心配と御不信を抱かせた結果となりました。警察を代表する本部長としてまことに残念であり、遺憾に思っております。県民の代表者の集まりであります本議会の場を通じまして県民の皆様におわびを申し上げます。
さて、現在、御案内のとおり全国警察において過去の不祥事事案の反省、教訓の上に立って警察改革が強力に実施されております。本県警察においても県民の意見、要望に適切にこたえるための体制づくりを初め、不祥事事案防止に重点を指向した監察機能の強化、また職務倫理教養の充実、業務管理の徹底などの諸対策を組織を挙げて推進しているところであります。
しかしながら、私は最も重要なことは、私を初め全職員が警察職員としての誇りと崇高な使命感、そして高い倫理観を保持して職務に臨むことにあると考えております。私は、本部長として警察職員に対し、常々県民のために感動が分かち合える筋の通った仕事をしようと呼びかけておりますが、このことが実践できれば必ずや不祥事事案の絶無を期することができるものと確信をいたしております。今、県内の治安情勢は大変厳しいものがあります。過去最高を記録する刑法犯認知件数、増加の一途をたどる交通事故、将来を担う青少年の非行問題の深刻化、外国人組織犯罪やストーカー、DV、児童虐待、ハイテク犯罪の対応、そしてテロ対策等々重要課題が山積をしております。
このような厳しい状況の中で、警察職員は県民のために身を粉にして努力をしておりますが、県民の生命、身体、財産の保護という責務を全うするためには、警察活動に対する地域社会、県民の理解と協力がぜひとも必要であります。その点からも不祥事の絶無を期し、県民の支援をいただけるよう本部長として警察運営に邁進していく所存であります。
議員各位におかれましても、昼夜を問わず現場で懸命に頑張っております警察職員に対し、激励と御支援をよろしくお願いいたします。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 豊見城村の市制施行についての御質問にお答えをいたします。
まず1番目に、市制施行を目指す経緯と目的についてお答えをいたします。
豊見城村におきましては、平成12年10月の国勢調査におきまして人口が5万人を超えたこと、関係法令等の規定による市の要件を満たしたことから、村議会での全会一致の議決を経て本年10月16日、知事に対して市制施行の申請がなされたところであります。同申請によりますと、豊見城村は昭和53年、将来のまちづくり長期計画の中で市に昇格することを掲げ、以後、市制施行を目指してまちづくりを推進してきたものであり、市制施行は村が発展していく過程の転換期としてとらえ、それを契機により一層の行政水準の向上を目指し、自立した都市として住民の期待にこたえ、村が発展していく最善の方策であるとしております。
次に、市制施行のメリットについてお答えをいたします。
市は、経済的、社会的にその周辺を含む地域の中心地としての機能を有することが期待され、制度的にも機能等においても例えば福祉に関する多くの事務を処理しなければならないこと、都市計画区域が必ず指定されることなど町村よりもその機能等と責任は大きく、さらに今後、国と地方公共団体との間及び地方公共団体相互の間の事務の再配分等が進むにつれてこの傾向は強くなっていくものと思われます。豊見城村においても市制施行を行い、福祉に関する事務を処理することなどにより住民福祉の向上と住民に直結した行政運営が期待されること、「都市的イメージ」によるPR効果と相まって若者の定住施策や企業誘致施策を効果的に実施することにより、活力に富んだ地域づくりへの展開が可能となり、今後のまちづくりプロジェクトの推進及び地域の発展への有形無形の波及効果が期待されるものであります。
次に、地方自治法上の手続についてお答えをいたします。
市制施行に当たっては、地方自治法第8条第1項に規定する市となるべき要件を備えた町村が、当該議会の議決を経て知事へ申請を行い、知事は県議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出ることになっております。また、届け出を受理した総務大臣の告示が行われることにより、この処分の効力が生ずるものとされております。
なお、知事はあらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならないこととされておりますが、去る11月22日、総務大臣より「豊見城村」を「豊見城市」とすることについて異議がない旨の回答をいただいているところであります。
次に、県の関係条例の規定の改正についてお答えをいたします。
豊見城村の市制施行については、平成14年4月1日を予定しておりますが、県条例の規定中「豊見城村」と規定している箇所を「豊見城市」と改正する等関係条例の改正が必要となります。したがって、「具志川村」及び「仲里村」を廃し、「久米島町」を設置することとあわせて一括して関係条例の改正を行う条例を平成14年2月定例会において提案すべく現在準備を進めているところであります。
次に、市制施行に伴う選挙関係条例についてお答えをいたします。
公職選挙法第15条第1項の規定によりますと、「都道府県の議会の議員の選挙区は、郡市の区域による。」とされていることから、市制施行の決定を経た後に沖縄県議会議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部改正をする必要があります。その改正の内容は、現在、島尻郡に属している豊見城村の市制施行に伴い新たに「豊見城市」選挙区を設定し、同選挙区の定数を定めるとともに、関係選挙区である島尻郡選挙区の議員数の変更を行うものであります。同条例の改正につきましては、平成14年2月定例会に提案したいと考えております。
以上でございます。
○外間 盛善 ちょっと休憩をお願いいたします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時54分休憩
午前11時57分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) ただいま外間議員の方から答弁漏れということでございましたけれども、この問題につきましては、いろいろとその立場立場等によってお考えが違うことがありますので、これは先生のおっしゃっているのも一つの考え方であると理解をしております。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時58分休憩
午後1時21分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
午前に引き続き代表質問を行います。
池間 淳君。
〔池間 淳君登壇〕
○池間 淳 こんにちは。
自由民主党を代表して代表質問を所見を述べながら行っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
1、那覇港管理一部事務組合の設立と那覇港湾改訂について。
離島県であり、島嶼県の我が沖縄県は港湾の整備、空港の整備なくして発展はあり得ないと思うし、この整備こそが沖縄県発展のために必要不可欠の条件であると思います。
那覇港湾の浦添市西海岸にハブ機能を有した国際ハブ港湾を整備し、背後地には雇用を創出する産業を振興し、21世紀の経済自立化に向けた沖縄づくりのためのすばらしい計画がありながらこの事業が遅々として進んでおりません。
御承知のとおり、港湾管理者である那覇市は港湾整備には莫大な費用がかかるということで那覇市単独での整備は不可能であると言っております。当該地の浦添市も西海岸開発は市の財政事情により開発は難しいと棚上げをしております。両市とも市単独での整備や開発は無理があるのでぜひ県に参画していただき、那覇港管理一部事務組合を設立して三者でもって国の支援のもとで港湾の整備を積極的に推進しようということがこれまでの経過であります。
ところが、1974年の日米安全保障協議委員会で那覇軍港が県内移設を条件に全面返還が合意され、平成8年12月のSACOの最終報告では浦添埠頭への移設を加速化するために最大限の努力をするという合意がなされておりますが、前浦添市長が那覇軍港の浦添市西海岸への移設に反対し、一部事務組合に参加しなかったため設立がおくれ今日に至っております。しかし、去る2月に行われた浦添市長選挙で西海岸開発と那覇軍港の移設が大きな選挙戦の争点となり、移設賛成の儀間市長が誕生いたしました。おかげさまで去る11月8日には那覇港管理一部事務組合設立に向けた合意書に3首長が調印いたしました。3自治体とも12月定例議会に議案として上程していると思いますが、一日も早く決議され、予定どおり来年4月1日にはスタートできるよう願いまして次の質問を行います。
(1)、現在行われている那覇港湾改訂に向けた調査内容と、港湾計画改訂までのスケジュールについて。
(2)、那覇軍港が港湾計画に位置づけされるまでのスケジュールについて。
(3)、11月16日には3つの協議会(那覇港湾施設受け入れに関する協議会、那覇港湾施設に関する協議会、県都那覇市の振興に関する協議会)が設置され、初会合が開かれておりますが、協議会の内容と協議会の今後のスケジュールについてよろしくお願いします。
(4)、平成7年5月の日米合同委員会で現行の56.8ヘクタールを35.3ヘクタールに縮小し那覇港浦添埠頭地区に移設する合意がされております。しかし、軍港の形態が沖に突き出ており、しかも50メートル制限水域を設けるとなっておりますが、この形態について県の御見解を賜りたい。
(5)、基地内道路等は軍民共同使用が可能となっておりますが、移設される軍港については軍民共同使用は可能かどうかについてお伺いいたします。
(6)、那覇港管理一部事務組合の設立によって西海岸道路建設は促進されていくと思いますが、中止されている那覇北道路の事業再開を含め促進方について早急に取り組んでもらいたいが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
(7)、現那覇軍港の移設後の跡利用について県案があればお示し願いたい。
2、市町村合併について。
21世紀は地方の時代、市町村の時代と位置づけし、国においては地方の活性化を図るためにこれまで国の権限であった業務を地方自治体に移していく地方分権一括法も昨年4月から施行されております。政府では地方の時代、市町村の時代を構築するためには市町村の財政基盤を強化することが不可欠であるということで総務大臣を本部長とする市町村合併支援本部を設置して市町村合併を推進しております。ところが、行政サービスや市民サービス等住民にとっては心配する問題が多く出てくると思います。したがって、住民が抱えている多くの課題を早急に整理し、住民によくわかりやすい説明会を催すなどして住民との合意形成を図る必要があります。
そこで次の3点についてお伺いいたします。
(1)、国が指定した期限、平成17年3月までに合併する市町村にはどのようなメリットがありデメリットがあるのかについてお伺いいたします。
(2)、県は、宮古6市町村と久米島の具志川・仲里両村、具志川、与那城、勝連3市町の3地域を合併重点地域に指定しておりますが、合併重点地域に指定されるとどのような影響があるのか、御説明ください。
(3)、平成14年度4月1日誕生する久米島町は、平成の合併第1号として注目するところであります。県としての具体的な支援と、県事業の中でまちづくり事業については早期に調査費を計画し地元と調整する必要があると思うが、御見解を伺います。
3、教育問題について。
(1)、国の発展のために教育改革が急務、教育振興基本計画を策定し教育基本法を検討する必要があるということで、11月26日に遠山敦子文部科学相は中央教育審議会に教育基本法の全面改正について諮問しておりますが、諮問したことに対して教育長の御見解をお伺いいたします。
(2)、教員の免許がなくても民間から校長を採用できる法改正がされておりますが、県内の現状についてと、緊急雇用対策として四、五百人の補助教員を民間から採用する準備をしているようですが、教員免許の有無とどういう効果を求めての採用であるのかについてお伺いいたします。
(3)、学級崩壊とはどのような状態を言うのかよくわかりませんが、何が原因でどういう状態になるのか、御説明ください。県内で起こった学級崩壊は小・中・高からどのくらい報告され、その解決に向けた教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。
(4)、教育委員会の全教職員を対象に調査結果が発表されました。体罰容認教師の7割と出ておりますが、委員会において体罰の定義やその他愛のむち等の定義が定められているのか、お伺いいたします。
(5)、新しく採用される教職員については、学校現場の教壇に立つ前に、ある一定期間、企業や保育所等での研修の機会を取り入れる必要があると思いますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
4、農業振興策について。
本県は、これまで3次にわたる沖縄振興開発計画による施策等を積極的に進め、社会資本の整備を中心に着実な成果を上げております。特に、21世紀に向けた農林水産業の新たな戦略展開を図るため平成11年2月に策定した農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムに基づき、拠点産地の形成、新たな販売戦略の推進、革新的技術開発の普及や人づくり及び農林水産業の多面的機能を生かした村づくり等に取り組んでおり、県民はその成果に大きな期待を寄せておりますので、所期の目的が達成できるよう天願部長を先頭に頑張ってください。
そこで次の質問をいたします。
(1)、環境保全型農業病害虫防除について。
県農業試験場では、野菜や花卉等に大きな被害を与えている害虫マメハモグリバエの土着天敵であるハモグリミドリヒメコバチの大量増殖技術確立に成功し、増殖した天敵を利用して害虫を退治することが可能で、農薬を減らし、環境に優しい農業を目指しております。画期的な環境保全型農業病害虫防除試験の成果であります。現在、JA豊見城では試験場の指導のもとで「減農薬ちゅらとまと」の実証事業に取り組んでおります。このようなすばらしい成果については、生産農家でも早急な普及を期待しております。したがいまして、次の3項目についてお伺いいたします。
①、平成14年度以降における同天敵の取り組み体制について。
②、天敵大量増殖技術の民間移転の可能性と雇用効果について。
③、天敵の放飼手法と他の生態系への影響について。
(2)、松くい虫防除対策について。
本県は、亜熱帯気候のため周年森林病害虫の発生しやすい環境条件下にあり、特に県木であるリュウキュウマツを立ち枯れさせる等松くい虫被害が年々拡大し、沖縄から松が消えようとしております。農林水産部では、平成14年度から本格的な根絶防除を開始、同時に松林保全条例を制定するなどして県民運動を展開しながら平成18年度までの5年間には根絶を達成したいとのことであります。したがいまして、松くい虫の本格的な根絶防除の実施に当っては、行政・研究機関や他の関係機関等の組織陣容体制の強化と予算を十分確保して事業の推進強化を図っていただきますよう提言を申し上げまして、今後の防除対応策等について伺います。
①、防除は5年計画のもとで根絶防除を目指すとのことでありますが、その根絶防除の手法と可能性について具体的に御説明ください。
②、平成8年度から12年度までの5年間における林業試験場での松くい虫に関する予算、試験研究陣容体制及びその成果の内容や取り組みの経緯等について伺います。
③、平成3年度から平成12年度までの10年間に松くい虫関連に使用した国、県、市町村の防除経費は幾ら使用されておりますか、お伺いします。
④、平成14年度から本格的な防除が行われますが、それらの事業推進に必要な行政・研究関連等の組織陣容推進体制について伺います。
⑤、平成8年度から12年度までの5年の間に何回駆除命令が告示され、成果等はどうなっているか、その内容について詳細に御説明ください。
⑥、松くい虫の根絶防除を目指した松林保全条例(仮称)を制定されるようですが、同条例はどのような効力、成果が期待されるのか。また米軍施設内の駆除対策はどのような方法で対応するのか、具体的に御説明ください。
⑦、国内における松くい虫の発生と防除の取り組み及び成功事例について伺います。
5、沖縄平和賞について。
沖縄平和賞(仮称)検討委員会は、去る9月20日に尚弘子会長から知事に対して「沖縄平和賞基本構想案」を答申したと聞いております。これを受けて知事は基本構想を策定し、制度の創設に向けて取り組んでおられることと思います。知事の発案された沖縄平和賞の創設は、21世紀が調和と共生の世界となっていくために極めて意義のある施策であると思っています。
昨今の世界情勢は、20世紀末に冷戦が凍結したにもかかわらず地域紛争が後を絶ちません。特に、9月に発生した米国同時テロ事件は多くの人々を無差別に殺傷するものであり、断じて許すことができません。
沖縄平和賞の理念には、民族や宗教問題等を初め地域紛争や貧困、難民等戦争、地域紛争の要因となる問題の解決促進も含まれていると聞いております。これからの世界平和を考えると、国家間の戦争やテロ等新たな紛争に加えて、地球規模での環境問題や経済格差に起因する紛争の発生を未然に防止し、その解決を図る必要があります。沖縄平和賞の実施により、そのような活動を促進することは
まことに時宜を得たものであると考えます。
11月には、世界のウチナーンチュ大会が4000人余の海外県系人等の参加を得て開催されました。その大会宣言においても平和が重要なキーワードとなっています。また、来年は復帰30周年に当たります。このような時期に沖縄平和賞の第1回目の授賞式が挙行されることは、本県の歴史に残る大きな出来事であり、県民に自信と誇りを与えるすばらしい授賞式が実施されるものと期待するものであります。
さて、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」において、本県の振興施策の一つとして次の考え方が示されております。地理的・歴史的・自然的特性を生かし、経済・学術・文化及び平和等さまざまな分野や、貢献、協力、留学等さまざまな形態でアジア・太平洋地域の社会経済及び文化の発展に寄与する地域の形成を目指すということであります。平和の大切さを世界に発信する沖縄平和賞を創設し、恒久平和の創造に貢献していただきたいと思っております。
そこで、次のことについてお伺いいたします。
(1)、県の平和施策における沖縄平和賞の位置づけはどのように考えておられますか。
(2)、沖縄平和賞の創設に関する進捗状況について説明してください。
(3)、沖縄平和賞委員会について。
沖縄平和賞の運営母体は実行委員会方式で進めると伺っております。そのため沖縄平和賞委員会を設立するとされておりますが、その目的、事業内容を説明してください。
(4)、沖縄平和賞の財政的仕組みについて。
沖縄平和賞の賞金は1000万円とされているようですが、事業の実施に必要な経費はどのようなものがありますか。また、その財源について説明してください。
(5)、受賞対象者の選考方法について。
沖縄平和賞の受賞者選考に当たっては、中立性、公平性を確保するとされていますが、選考方法の中でどのようにしていくのか、説明してください。
(6)、沖縄平和賞に関する県民コンセンサスは得られていると思いますか、お答えください。
6、伊良部架橋事業化に向けた調査内容と進捗状況、今後のスケジュールについて。
伊良部架橋については質問するたびに取り上げさせておりますが、関係する職員・スタッフの皆さん方が並々ならぬ取り組みをしていただいていることに対し衷心よりお礼申し上げます。
さて、調査も順調に進み、今年度には予備設計もでき上がるようであります。従来のスケジュール案では、何かの変化がなければいよいよ来年度あたり実施計画を策定し、事業着工の運びになろうかと思いますが、これまでの調査内容と進捗状況、今後のスケジュールについてお伺いいたします。
7、世界のウチナーンチュ大会について。
米中枢同時テロ事件の影響で本土からの観光客が激減する中、世界のウチナーンチュ大会に遠い外国に住むウチナーンチュは参加してくれるだろうか、大変心配でありました。ところが、ふたをあけてみると何と28カ国、2地域からの参加者は前回をしのぐ4000人余のウチナーンチュが集まっていただきました。どんな風評でもウチナーンチュのふるさとを愛する気持ちにはかないません。海外に出ているウチナーンチュはふるさとを愛する気持ちを強く持ちながら、おのおのの地域で沖縄の伝統的な芸能や文化を取り入れながら自分たちの文化づくりに鋭意取り組んでいると思います。
11月に行われた世界のウチナーンチュ大会も、彼らの沖縄を愛する気持ちが強かったからこそ大成功裏に終えることができたと思います。私たちは、海外に出て頑張っている県系人の気持ちを大事にしながら、あらゆる機会を通して交流を深めていかなければならないと思います。
そこで次のことについてお伺いいたします。
(1)、第3回世界のウチナーンチュ大会の成果について。
(2)、この大会を今後どのように取り組んでいかれるのか。
(3)、海外の県系人や県外(本土)の県系人との交流について今後どのように取り組んでいかれるのかについて。
8、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律(軍転特措法)の延長と改定について。
この法律は、駐留軍用地の返還に伴う跡地利用を円滑に促進するために平成7年に時限立法として制定され、給付金の支給等軍用地跡地利用の促進に大きく寄与しております。いろいろ問題も指摘されておりますが、この法律は時限立法のため来年平成14年6月には期限切れとなります。軍用地の返還に特別の措置が講じられ、軍用地跡地利用の促進に大きく寄与しているこの法律を切らすわけにはいかないということで、知事は政府や自民党に対して鋭意要請をしております。我々自民党沖縄県連も知事のこの行動を側面から応援してまいりたいと思いますので、頑張って延長させていただきたいと思います。
そこで次の2点についてお伺いいたします。
(1)、軍転特措法は、基地の集中する本県の跡地利用を促進する上で重要な法律ですが、来年6月に失効することとなっています。今後、SACO最終報告等の実施に伴う基地跡地の利用において、軍転特措法の延長について要請を行っていますが、延長の可否について政府の感触はどうですか。
(2)、基地返還後、跡地の利活用ができるまでの間、地主の生活保障費である給付金の支給期間は現行の3年では短いので延長する必要があると思います。平成11年に県が要望し、同年12月の閣議決定においても延長措置がとられる旨、位置づけられておりますが、その後の取り組みはどうなっておりますか。
9、本庁総合案内所での手話通訳導入と本会議の審議内容を手話通訳で耳の不自由な皆さんに提供することについて。
(1)、聾唖者が役所の窓口に来て、一番不便を感じ情けなく思うのは手話のできる職員がいないときだそうです。早く用事を済まそうと思っても健常者のように話ができないために筆談でやるしかありません。時間が健常者の何倍もかかってしまうし、また自分の意思が職員に通じない面も多々出てきて非常に困るときが多いそうです。手話のできる方がいれば四、五分で終わるのに、なぜこんなに時間がかかるのか、行政に対する不満がこの辺から出てくるわけです。県庁の総合案内所にも手話のできる職員は配置されていないようですが、なぜ配置されていないのか、また聾唖者の皆さんが窓口に見えたときはどのように対応しているのかについてお伺いいたします。
ちなみに、浦添市においては昭和55年ごろから手話通訳を導入しております。当時は手話通訳講習を受けた職員を窓口に配置してボランティアでサービスしておりますが、平成8年度には手話通訳嘱託員設置要綱を設け、以後、嘱託員による手話サービスが行われております。
知事、県にもぜひ手話通訳を導入していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
(2)、耳の不自由な方々の中にも政治に対して高い関心を持っている方々もたくさんいらっしゃいます。耳が不自由なために政治の情報を得る機会があっても積極的に参加しないのが彼らの現状であります。参加しても話がわからないし、自分を情けなく思い、おもしろくないので参加しなくなるそうです。自分たちにもわかるような言葉があるのになぜその話もやってくれないのか、手話を導入していただければいつでも喜んで参加すると聞かされ、私は自分の会合にはできるだけ手話を取り入れるようにしております。手話通訳を取り入れてから聾唖者の皆さんの参加は多くなってまいりました。本会議の審議内容を手話通訳していただければ、聾唖者の皆さんは本会議にもっともっと高い関心を持って政治にも喜んで参加していただけると信じております。本会議の審議内容を同時手話通訳をして健常者と同時に聾唖者にも情報提供することについて知事の御所見をお伺いいたします。
保育行政について。
児童福祉につきましては、次の世代を担う子供たちを心身ともに健やかに育成するという重大な責任があります。特に、子供たちの生涯にわたる人格形成には幼少期における養育が大きな影響を与えると言われております。とりわけ乳幼児期は重要な時期であり、乳幼児がその生活時間の大半を過ごすところである保育所の役割は大きいものがあります。
小泉総理は、待機児童をゼロにする保育政策を打ち出しておりますが、本県においては、認可保育所を利用している児童と認可外保育施設を利用している児童が同数近くいると言われております。待機児童ゼロに向かって頑張っていると思いますが、次の2点についてお伺いいたします。
(1)、県として認可外保育施設を利用している児童に対し、現在どのような支援を行っているのか。
(2)、今年度に実施された就学前児童の実態調査の結果について、さらにその結果を踏まえて今後どのように対応されるのかについてお伺いいたします。
11、福祉保健行政について。
小泉総理が進める医療制度改革について、政府・与党で去る11月29日の社会保障改革協議会で医療制度改革大綱骨子が決定しております。政府は、この改革を目指して来年2月の通常国会に関係法案を提出するようですが、この医療制度改革についての知事の御所見と、この改革が県民生活にどのような影響を及ぼすのかについてお伺いいたします。
以上で代表質問を終わります。よろしくお願いします。
○知事(稲嶺惠一) 池間淳議員の御質問にお答えをします。
最初は、那覇港管理一部事務組合の設立と那覇港湾改訂について、平成7年5月の日米合同委員会で移設が合意された軍港の形態及び制限水域についての見解についての御質問にお答えをいたします。
那覇港湾施設については、SACO合意で浦添埠頭地区への移設を促進するとされておりますが、代替施設の形態及び制限水域については、平成7年5月の日米合同委員会で承認されたとおりであります。県としては、代替施設の形態や制限水域については民港区域や一般船舶の航行に支障を来すことがないようにする必要があると考えており、今後、地元自治体や港湾管理者と連携し、「那覇港湾施設移設に関する協議会」において国と協議していく考えであります。
同じく那覇港湾移設の問題で、移設される軍港は軍民共同使用は可能かどうか聞きたいという御質問にお答えいたします。
県としては、那覇港の早期整備を図るとともに、那覇港湾施設の返還を促進するため現在の那覇港湾施設を浦添埠頭地区に移設する必要があると考えており、代替施設については、基本的には米軍の専用施設になると考えております。代替施設の使用形態については、浦添市、港湾管理者などの意向を踏まえながら、今後「那覇港湾施設移設に関する協議会」において協議していきたいと考えております。
次に、農業振興策について、天敵を利用した病害虫防除事業の進捗状況と今後の取り組みについてのお答えでございます。
本県においては、環境保全型農業を確立する観点から、有用な天敵昆虫を活用した病害虫防除技術の開発に取り組んでいるところであります。その結果、トマト、菊などの大害虫であるマメハモグリ バエに極めて有効な天敵であるハモグリミドリヒメコバチを選定し、大量人工増殖技術を確立したところであります。この天敵昆虫を活用して名護市と豊見城村のトマト栽培農家においては、これまでの農薬の使用量を約70%も減らした減農薬トマトが生産され、消費者から好評を得ております。今後とも有用天敵昆虫の探索、大量増殖技術の確立と実用化を図り、県内の天敵産業を育成するとともに、環境保全型農業を推進していく考えであります。
次に、沖縄平和賞について、県の平和施策における平和賞の位置づけはどのように考えているかについてお答えいたします。
県においては、平和と命のとうとさを永遠に伝えるため、沖縄戦などで亡くなられたすべての人々を刻銘する「平和の礎」を平成7年度に建立しております。また、平成12年度には平和のとうとさを学習する場として新しい「沖縄県平和祈念資料館」を建設しました。
さらに、「沖縄平和賞」を創設し、礎や資料館と合わせて3つの重要な平和施策として推進していきたいと考えております。この平和賞は、中立性、公平性を確保し、国内外から高く評価される県民の財産として末永く継続していきたいと思います。
また、賞の運営を通じて九州・沖縄サミットで発信した平和を希求する「沖縄の心」を引き続き世界に発信し、恒久平和の創造に貢献していきたいと念願しております。
次に、ウチナーンチュ大会について、大会の成果は何かについてお答えをいたします。
第3回世界のウチナーンチュ大会につきましては、アメリカの同時多発テロ事件の影響が続く中、世界28カ国、2地域から万難を排して4000名を超える方々の参加をいただき、市町村やボランティアなど県民の幅広い御協力のもと成功裏に終えることができました。特にウチナーシンポジウムでは、県人会長、ウチナー民間大使、学生を初めとする参加者の皆様から21世紀におけるウチナーネットワークのあり方について貴重な御意見、御提言をいただくなど新世紀の門出にふさわしい有意義な大会となりました。
また、海外で苦労され、県系人社会の地位向上に尽力された先達の労苦に報いるために実施した大会記念表彰を初め、小学生から高校生に至る若い年齢層を対象としたジュニアスタディーツアーなど新たに取り組んだこれらの事業は大変好評を博し、今後の海外県系人社会の一層の発展並びにウチナーネットワークの拡充・強化につながるものと考えています。
さらに、WUBを中心としたワールドビジネスフェアにおいては、ITを活用したビジネスフェアがアピールされるなど経済分野におけるネットワークが広がりました。
共催・後援事業についても、ブラジル沖縄国際親善柔道大会を初め、カナダ・沖縄アイスホッケー親善交流大会、世界高校生美術展等市町村を初め県民各層の幅広い支援・協力を得て実施することができました。これら共催・後援事業の成果は今後の民間交流の一層の拡大につながるものと考えております。
同じく世界のウチナーンチュ大会について、この大会を今後どのように取り組んでいくのかと。
ウチナーンチュ大会は、回を重ねるごとに母県沖縄と海外、そして海外の県系人同士の各分野における交流を活発化し、相互のネットワークを強化してきました。
大会は、教育・文化・経済等の各面にわたる交流の継続と拡大を図り、県系人を中心としたウチナーネットワークに新しいエネルギーを生み出す原動力となるものであることから、大会開催の意義は大変大きなものがあります。今回の大会についても、参加者の皆様からは、感動的ですばらしい大会であった、世界の恒久平和を発信できた意義ある大会であったことなどの高い評価をいただくとともに、ウチナーンチュ大会は継続して開催してほしいとの強い要望もありました。県におきましては、今後とも各分野における交流を積極的に推進し、沖縄と在住国相互の発展を目指す観点から世界のウチナーンチュ大会を継続実施していく考えであります。
次に、軍転特措法の延長と改定について、延長要請について政府の感触はどうかの御質問についてお答えします。
去る11月27日及び28日の両日、尾身沖縄担当大臣、中谷防衛庁長官を初め関係各位に対し、「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」の延長を要請してまいりました。要請先においては、本法が基地跡地の円滑な利用や沖縄振興新法に位置づけられる予定の基地跡地の特例措置の根拠法として必要があることについて御理解が得られたことから延長に取り組んでいただけるものと考えております。
次に、保育行政についてでございまして、「就学前児童の保育等に関する実態調査」の結果と今後の対応についての御質問にお答えいたします。
「就学前児童の保育等に関する実態調査」については、11月中旬に単純集計結果が出され、現在、具体的な分析を行っているところであります。
その結果によりますと、就学前児童の約23%が認可外保育施設を利用しており、そのうち両親とも就労しているなど保育に欠けると思われる児童は約6割となっております。このことから、これらの潜在的需要を含めた待機児童を解消するため早急に保育所を整備し、受け入れ児童数の増大を図る必要があります。
保育所の整備については、児童福祉法の定める基準を満たし認可を受けて運営することが基本であることから、認可外保育施設に対しては認可への移行を促進するための事業を創設したいと考えております。
また、現在、認可外保育施設を利用している児童に対しては、保育所が十分整備されるまでの間、児童の健康や安全面を確保する視点から新たな支援策を次年度からの実施に向けて検討しているところであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 那覇港管理一部事務組合の設立と那覇港湾改訂について、那覇港湾改訂に向けた調査内容と港湾計画改訂までのスケジュールについてお答えいたします。
港湾計画改訂に向けた調査として、国は港湾施設計画に資するためのトランシップ貨物の推計及び船舶の航行安全に関する調査を進めており、県は港湾全体の施設配置計画や土地利用計画及び交通量調査等を実施しております。
また、港湾計画改訂までのスケジュ-ルは平成14年7月ごろまでに港湾管理者が原案を策定し、平成15年1月の地方港湾審議会への諮問・答申を経て国土交通大臣へ提出します。その後、3月に国土交通大臣が国土交通省交通政策審議会港湾分科会ヘ諮問し、その答申を経て港湾計画が改訂されることになります。
次に、同じく那覇港管理一部事務組合の設立と那覇港湾改訂について、現那覇軍港の移設後の跡利用についての県案があればお示しいただきたいについてお答えいたします。
那覇軍港の跡利用については、一義的には那覇市において取り組みがなされるものと考えており、これまでに地主会や那覇市による那覇軍港跡地利用計画調査等が行われております。
県におきましては、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」において、その跡地利用の方向としては、那覇空港、那覇港湾と近接した特性を生かした発展を目指すこととしており、今後の那覇市の取り組みと連携を図りながら跡利用を促進していきたいと考えております。
次に、軍転特措法の延長と改定について、給付金支給期間の延長措置について閣議決定後の取り組みはどうなっているかについてお答えいたします。
国は、「跡地対策準備協議会」を設置し、平成11年12月の閣議決定に基づく給付金の支給の特例措置や国有財産の活用措置等について検討・協議を重ねてまいりました。
その中で、給付金の支給期間の延長については、大規模駐留軍用地跡地及び大規模以外の跡地にあっても物件撤去等に通常予想される以上の期間を要する場合は、新たな法制として位置づけられるよう検討してきたところであります。また、本年8月に内閣府原案として示された「沖縄振興特別措置法(仮称)の検討の基本方向」の中でも、給付金支給に係る特例措置が位置づけられております。このようなことから、沖縄振興新法で給付金支給の延長に係る特例措置が位置づけられるものと考えております。
以上であります。
○知事公室長(親川盛一) 池間淳議員の那覇港管理一部事務組合の設立と那覇港湾改訂についての質問にお答えいたします。
まず、那覇軍港が港湾計画に位置づけされるまでのスケジュールについてお答えいたします。
那覇港湾施設の代替施設を那覇港港湾計画に位置づけるためには、県、那覇市及び浦添市の3者が国との間で代替施設の施設所要について合意する必要があります。県としては、港湾計画改訂作業と並行して「那覇港湾施設移設に関する協議会」で代替施設の施設所要について早期に合意できるよう調整を図る必要があると考えております。
次に、同じく11月16日に3つの協議会が設置され初会合が開かれたが、協議会の内容と今後のスケジュールはどうなっているかという御質問にお答えいたします。
去る11月16日に那覇港湾施設に関する3つの協議会の第1回協議会が開催されました。
「那覇港湾施設移設に関する協議会」は、那覇港湾施設の移設を円滑に進めるため、関係機関において那覇港湾施設の移設に関連する諸措置を協議することを目的としております。構成員は、国、県、那覇市及び浦添市であります。
「那覇港湾施設移設受け入れに関する協議会」は、那覇港湾施設の移設受け入れを円滑に進めるため、関係機関において那覇港湾施設の移設受け入れに係る諸措置を協議することを目的としております。構成員は、国、県及び浦添市であります。
次に、「県都那覇市の振興に関する協議会」は、那覇市の振興及び那覇港湾施設の跡地利用を円滑に進めるため、関係機関において那覇市の振興事業を協議することを目的としております。構成員は、国、県、那覇市であります。
第1回協議会においては、国が協議会の目的等について、また県が那覇港港湾計画改訂などについて、那覇市及び浦添市が市からの要望事項について説明しております。
なお、協議会のスケジュールについては、今後調整することとしております。県としては、これらの協議会を活用して移設に係る諸問題の解決に向けて取り組んでいきたいと考えております。
次に、沖縄平和賞関係の御質問に順次お答えいたします。
まず、沖縄平和賞の創設に関する進捗状況についての御質問にお答えをいたします。
沖縄平和賞基本構想は、去る10月23日に策定したところであります。現在は、運営母体として県内の経済、教育、行政、マスコミ等各種団体、企業の代表者等で構成される沖縄平和賞委員会の設立に向けて取り組んでおります。
また、平和賞の運営・実施に必要な資金については、当面は県の予算で措置していくことにしております。このような段階を経て平成14年7月を目途に第1回目の授賞式を実施していく予定であります。
次に、沖縄平和賞委員会を設立する目的、事業内容についてお答えをいたします。
沖縄平和賞委員会は、県が策定した基本構想の趣旨に賛同し、同構想に基づく「沖縄平和賞」を創設して本賞を運営・実施することを目的に設立されるものであります。その事業内容といたしましては、1つ目に、受賞対象者の選考に関すること、2つ目に、授賞式及び関連事業の企画及び実施、3つ目に、広報・啓発事業などを予定しております。
次に、沖縄平和賞の実施に必要な経費と財源についてお答えいたします。
沖縄平和賞の運営に必要な事業費につきましては、基本構想に基づき必要な資金を確保するため、当面は県の財政措置を核として対応することにいたしております。
事業費といたしましては、賞金1000万円を初め授賞式開催経費や沖縄平和賞委員会、選考委員会の運営、広報・啓発事業、受賞者によるシンポジウム、関連事業等に必要な経費が見込まれます。財源としては、当面は県予算で負担金として計上し、沖縄平和賞委員会に支出して執行することを考えております。
なお、将来的には一般からの寄附金も受け付け、県民参加型の仕組みも検討していきたいと考えております。
次に、受賞者選考に当たってどのように中立性、公平性を確保していくのかという御質問にお答えいたします。
沖縄平和賞基本構想においては、選考過程における中立性、公平性を確保するため、運営母体とは独立した選考委員会の設置及び選考委員としての県の関与の回避がうたわれております。選考委員会の設置と運営につきましては、基本構想のこうした考え方に沿って中立性、公平性が確保されるものと考えております。
次に、県民のコンセンサスは得られたと思っているかという御質問にお答えいたします。
沖縄平和賞に関する県民コンセンサスを醸成するため、これまでにシンポジウムや地域別説明会などを開催するとともにアンケート調査を実施してまいりました。
シンポジウム等の成果については、沖縄平和賞(仮称)検討委員会に報告し、基本構想案に関する協議の参考としていただきました。また、アンケートの結果では、沖縄平和賞を創設することについて94%の賛成を得ております。
このような過程を経て沖縄平和賞基本構想を策定しておりますので、県民コンセンサスが得られたものと考えております。
以上でございます。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 那覇港管理一部事務組合の設立と那覇港湾改訂についての関連で、中止されている那覇北道路の事業再開の今後の取り組みについての御質問にお答えいたします。
那覇北道路は、地域高規格道路である国直轄事業の沖縄西海岸道路のうち、那覇市曙から同市若狭に至る延長2.2キロメートルの道路であります。
当該道路は、那覇港の港湾施設用地内を通過することなどから港湾計画の改訂及び都市計画決定が必要になっておりますが、そのめどが立たなかったことから平成12年度の公共事業の見直しの中で中止路線に位置づけられております。
那覇北道路は、国道58号の渋滞解消、那覇港の港湾機能の向上、那覇空港へのアクセス向上等を図るためには必要不可欠な道路であることから、国においては那覇港港湾計画改訂の進捗状況を踏まえつつ積極的に取り組んでいくと聞いております。このため、県としましても那覇港港湾計画改訂及び都市計画決定に向けて鋭意取り組むとともに、当該道路区間を含めた沖縄西海岸道路の早期完成が図られるよう、今後とも国へ強く要請していきたいと考えております。
次に、伊良部架橋について、伊良部架橋事業化に向けた調査内容と進捗状況、また今後のスケジュールについての御質問にお答えいたします。
伊良部架橋事業化に向けた調査につきましては、平成13年度に新規採択されたところであり、着工準備調査としまして環境影響評価などの調査を事業着手前に十分行うことにより、事業着手後の円滑な事業執行環境を整えることを目的としております。
本年度の調査の内容としましては、橋梁予備設計、取りつけ道路予備設計及び環境現況調査などを既に実施しているところであり、今後は技術検討委員会、環境現況補足調査などを実施する予定であります。平成14年度は引き続き技術検討委員会、環境影響評価準備書及び評価書作成などを予定しております。しかしながら、環境影響評価については平成13年11月から全面施行された「沖縄県環境影響評価条例」に基づく資料作成や手続に一定の期間を要するものと思われます。
県としましては、今後とも関係機関との調整や地元との連携を図りながら早期に事業着手ができるよう努力していきたいと考えております。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 市町村合併についての御質問にお答えいたします。
国が指定した期限、平成17年3月までに合併する市町村にはどのようなメリットがあるかという御質問にお答えをします。
県は、地方分権の推進や少子・高齢化の進展、介護保険、廃棄物処理問題等日常生活の拡大など広域化、多様化する行政需要に的確に対応しつつ行政サービスの水準を維持していくためには、市町村合併は避けては通れない課題であると認識をしております。
市町村の合併の特例に関する法律の期限である平成17年3月までに合併する市町村に対しましては、国及び県の財政上、制度上のさまざまな支援制度があります。
国においては、地方交付税の額の算定の特例や合併特例債、地方財政措置の拡充等の財政的な支援及び議会議員の定数、在任や退職年金に関する特例等の制度的な支援があります。さらに、国の「市町村合併支援本部」において去る8月30日に「市町村合併支援プラン」が策定され、市町村合併の促進に向けより一層の支援策が講じられているところであります。
また、本県におきましても合併協議会の行う合併準備や合併市町村の建設計画事業を支援するための交付金制度に加え合併重点支援地域の指定を行い、指定地域に対する重点的な支援策を講じたところであります。県としましては、財政上、制度上のさまざまな支援策が盛り込まれた合併特例法の期限である平成17年3月31日までの間に多くの市町村で合併が実現するよう市町村の自主性、主体性を尊重し、本県の地域特性にも十分配慮しながら市町村合併を積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、宮古と久米島、具志川・与勝の3地域を合併重点支援地域に指定しているが、指定されるとどのような影響があるかという御質問にお答えします。
去る11月30日の第4回沖縄県市町村合併支援本部におきまして、合併重点支援地域の指定及び合併後の支援策について決定を行い、あわせて久米島地域、具志川・与勝地域及び宮古地域の3地域11市町村を重点支援地域として指定したところであります。
合併重点支援地域として指定されると、合併市町村の一体化を促進するための道路や架橋、生活環境、情報技術関係事業等の優先採択、重点投資等が盛り込まれた国の「市町村合併支援プラン」による支援策が受けられるとともに、県の啓発事業の重点的実施や市町村が行う調査・研究等に対する支援及び合併協議会に対する人的支援など県の重点的な支援策が受けられるようになります。県としましては、今後、各地域における機運の盛り上がりや合併に向けた取り組み状況等に応じて順次重点支援地域の指定を行ってまいりたいと考えております。
次に、新たに誕生する「久米島町」への県の具体的な支援策はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
来年4月1日には「久米島町」が誕生する予定になっております。
県におきましては、これまで具志川村・仲里村合併協議会に対し運営費、活動費の補助や委員の派遣など財政的・人的支援を行ってきたほか、去る11月30日には合併重点支援地域に指定し、国の「市町村合併支援プラン」が受けられるようにしたところであります。さらに、来年度以降は「久米島町」が新町建設計画に基づき行う事業に対しまして補助金の優先的配分や重点的な実施を行うとともに、必要に応じて人的支援も行ってまいりたいと考えております。
また、合併後の「久米島町」の建設計画事業につきましては、県の市町村合併支援本部の中で全庁的な総合調整を行いつつ、地元とも十分に調整しながら進めていきたいと考えております。
以上です。
○教育長(津嘉山朝祥) 教育問題についての御質問にお答えをいたします。
11月26日に遠山敦子文部科学相が中央教育審議会に教育基本法の全面改正を諮問したことに対して見解を聞きたいとの御質問にお答えいたします。
教育の基本理念と基本原則を定めた教育基本法は、新憲法のもと、昭和22年に公布・施行された法律であり、制定後50年余にわたり我が国の教育に重要な役割を果たしてきたものと考えております。しかしながら、同法の制定当時と社会状況は今日大きく変化をし、教育のあり方も変容を遂げてきていることから、現在、教育基本法についていろいろな意見があることも事実であります。
新しい時代にふさわしい教育基本法のあり方については、広範かつ慎重な国民的論議と合意形成が必要であることから、今回、文部科学大臣が中央教育審議会へ諮問したものであると理解をいたしております。今後、中央教育審議会の審議や国民的な論議の推移を注意深く見守っていきたいと考えております。
次に、同じく教育問題について、教員の免許がなくても民間から校長を採用できる法改正がなされたが、県内の現状を聞きたいとの御質問にお答えいたします。
「学校教育法施行規則等の一部を改正する省令」が平成12年1月21日に公布され、同年の4月1日から施行されたことに伴い、校長の民間人登用が可能になりました。
校長の民間人登用は、民間の経営感覚や新鮮な発想による教育界の活性化や幅広く人材を確保する観点から、特色ある学校づくりや組織的、機動的な学校運営を行うことができる人材の確保が期待できるものと考えております。県教育委員会といたしましては、今後本県の教育長期計画や県立学校の編成整備計画等による新しいタイプの学校づくりや特色ある学校づくりに呼応して校長への民間人登用を検討していきたいと考えています。
次に、緊急雇用対策として補助教員を採用する場合、教員免許の有無と、どういう効果を求めての採用であるのかを聞きたいとの御質問にお答えをいたします。
文部科学省は、「学校いきいきプラン」事業の一環として、多様な経験を有する社会人を学校に補助教員として配置する計画をしてございます。これは社会人の知識・経験を学校教育活動における児童生徒の指導等に活用することにより、学校教育の一層の活性化と地域社会に開かれた学校運営の実現と社会全体で学校を支える体制づくりに効果が期待できるものと考えております。
そのため、県教育委員会といたしましては「緊急雇用創出特別交付金」を活用して小学校低学年支援事業と学校教育補助者配置事業を推進していく計画であります。
小学校低学年支援事業は、小学校第1学年の児童に対し、学習・生活両面における適応支援の充実・強化を図ることを目的といたしております。また、学校教育補助者配置事業は、教師の補助など学校の教育活動をより積極的に推進するため、学校のニーズに応じた人材を配置することにより学校教育への的確な対応や地域ぐるみの学校づくりに資することを目的として補助者を配置する事業でございます。
なお、補助教員の教員免許状の所持については特に必須の条件とはいたしませんが、児童の学習指導も担うことから、教員免許所持者が望ましいものと考えております。
同じく教育問題について、学級崩壊は何が原因でどういう状況になるのか、県内で起こった学級崩壊は小・中・高からどのくらい報告され、その解決に向けた教育委員会の取り組みについて聞きたいとの御質問にお答えいたします。
学級がうまく機能しない状況いわゆる学級崩壊とは、子供たちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、授業が成立しない学級の状態が一定期間継続し、学級担任による通常の手法では問題解決ができない状況に立ち至っている場合等を指すと考えております。
原因としましては、子供たちの集団生活や人間関係の未熟さの問題、特別な教育的配慮や支援を必要とする子供への対応の問題、学級担任の指導力不足の問題等が考えられます。
本県におけるいわゆる学級崩壊につきましては、平成13年度は小学校1校1学級のみ報告を受けております。当該校におきましては、当該市町村教育委員会との連携により、校長を中心とした学年・学校体制で取り組んできた結果、現在は改善されているとの報告を受けております。
県教育委員会といたしましては、児童生徒の基本的な生活習慣の形成に努めるとともに、個に応じた指導方法の工夫・改善や、担任を孤立させない支援体制づくりなどに努めているところでございます。さらに、地域に開かれた学校づくりや魅力ある学校づくり等を一層推進していきたいと考えております。
次に、教育委員会において体罰の定義やその他の定義が定められているかを聞きたいとの御質問にお答えをいたします。
体罰とは、教師が児童生徒に肉体的苦痛を与える懲戒により教育上の目標を達成しようとする行為であります。また、体罰が起きる背景といたしましては、根強く残る愛のむち教育論、学校や教師に対する地域や父母の過度の期待、学校内の不十分な協力体制が考えられます。
今回の教員の悩みに関する調査結果及び体罰に関する調査結果によりますと、回答した教師の7割が体罰をしないと聞かない児童生徒がいると答えております。しかし、体罰は児童生徒に屈辱感や自尊心を傷つけると同時に、学習意欲の低下を招き、周囲の子供たちに力で解決する風潮を生じさせ、子供と教師の信頼関係を損なうものであります。したがいまして、指導に当たっては児童生徒の人権や人格を大切にし、体罰のない生き生きとした楽しく学べる学校づくりに努めることが大事であります。
県教育委員会といたしましては、「人権ガイドブック」や「体罰によらない生徒指導のあり方」を全教師に配布すると同時に、「人権を考える日」の設定など体罰防止のため指導の強化を図っているところであります。
なお、今回の教員の悩みに関する調査の結果を踏まえ、今後その改善に向けどのような具体的な施策が講じられるか委員会を設置し検討していきたいと考えております。
同じく教育問題について、新しく採用される教職員については、学校現場の教壇に立つ前にある一定期間企業や保育所等で研修の機会を取り入れる必要があると思うがどうかとの御質問にお答えをいたします。
教員自身が学校以外の民間企業や保育所、社会福祉施設等で体験を積み、見聞や知見を深め豊かな人間性を涵養することで得た物の見方や考え方を学校教育の場に還元していくことは極めて重要であります。
新しく採用される教員の研修には、校内における研修を60日程度、校外における研修を30日程度行っております。校外研修においては、福祉施設等における介護福祉体験や民間企業体験等の社会体験研修を行っております。
なお、教職5年目や10年目を迎えた全教員に対しても同様な社会体験研修を実施し、また長期の民間企業等体験研修を行うなど教員の資質向上に役立っております。
県教育委員会といたしましては、今後ともこれまでの成果を踏まえ、各種研修会等を通して社会体験等の機会の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○農林水産部長(天願貞信) 農業振興策について、天敵大量増殖技術の民間移転の可能性と雇用効果についてお答えいたします。
本県には約5000種の昆虫が生息し、有用天敵昆虫が豊富に存在しております。現在、有用天敵昆虫としてアリガタシマアザミウマとハモグリミドリヒメコバチの2種を探索・選定し、大量増殖技術の確立と現場実証に取り組んでいるところであります。また、有用天敵昆虫の増殖技術の確立と実用化を推進し、研修等を通して民間企業への技術移転を図っているところであります。今後の天敵産業の進展によっては、雇用効果が大いに期待されるものと考えております。
天敵の放飼に当たり、農家側の技術的問題、指導法や生態系への影響についてお答えいたします。
天敵昆虫のハモグリミドリヒメコバチの放飼については、生産農家が容易に使用できるよう製品化されております。
天敵昆虫の効果的な使用に当たって留意すべき点は、ハウス等施設栽培で使用すること、防除適期を見きわめて使用すること、天敵昆虫に影響のある農薬を差し控えることなどを守ることが重要であります。
天敵昆虫の生態系への影響については、天敵そのものが沖縄土着の昆虫であるということから、現在のところ生態系への影響はないものと考えております。
次に、松くい虫の根絶防除手法と根絶達成の可能性について具体的に説明されたいという御質問にお答えいたします。
リュウキュウマツが枯れる被害の原因については、これまでの試験研究の成果から、樹木内にマツノザイセンチュウが大量に増殖することにより松の生理・生態に異常を来すことが確認されております。このセンチュウとマツノマダラカミキリは共生関係にあり、カミキリが松を食害することによりザイセンチュウを媒介し、被害が拡大することが解明されております。
松くい虫の根絶方法は、カミキリの生態メカニズムに基づきまして効果的な防除を実施する考えであります。具体的な防除方法としては、カミキリが羽化する4月から6月にかけて薬剤散布による防除を行い、産卵時期の5月から9月までの被害木については徹底した伐倒駆除を実施していく考えであります。
松くい虫の根絶計画については、年次的に発生した全被害木の完全防除に必要な予算措置を行い、被害の比較的少ない宮古島、南北両大東島の離島の早期根絶を図ると同時に、沖縄全域の松くい虫を根絶する考えであります。
次に、林業試験場における松くい虫に関する試験研究体制、内容、成果及び予算についてお答えいたします。
林業試験場の研究体制は、育林保全室と林産開発室の13名で、現在18課題について研究しておりまして、そのうち松くい虫の研究は2名体制で実施をしております。
これまでの試験研究の内容と成果については、マツノマダラカミキリの生態メカニズムの研究によりまして、羽化、産卵時期等が解明され、松くい虫の防除に活用されております。さらに、天敵昆虫を利用した防除技術の研究によりまして有効と目される2種類の天敵昆虫が発見されており、その実用化に向けた調査を実施しているところであります。平成13年度の林業試験研究費については、人件費を含めて約1億3000万円で、過去5年間における松くい虫に関する試験研究費は約4000万円となっております。今後とも森林病害虫防除に関する効果的な試験研究を推進し、松くい虫の早期駆除を図っていく考えであります。
次に、平成3年度から平成12年度までに松くい虫関連に使用した国・県・市町村の防除経費は幾らかというふうな御質問にお答えいたします。
松くい虫関連に使用した防除経費は、平成3年度から12年度までの10年間で総額約37億3000万円となっております。この内訳は、国費6億5000万円、県費22億1000万円、市町村費8億7000万円となっております。
次に、平成14年度からの本格的な防除に向けて事業推進に必要な行政・研究関連等の組織体制についての御質問にお答えいたします。
平成14年度から5カ年計画で実施する松くい虫根絶計画の実施に当たっては、知事を本部長とした国、県、市町村、関係団体等で構成する実施本部を設置し、全県的な組織体制で取り組むこととしております。また、事業推進に必要な県行政などの組織体制につきましては、松くい虫防除事業を着実かつ円滑に推進するため強化していく考えであります。
次に、平成8年度から12年度までの駆除命令の回数と関係機関の取り組み状況及び駆除の成果等についての質問にお答えいたします。
森林病害虫防除法に基づく駆除命令は、「高度公益機能森林」における松くい虫被害対策のために行うものであります。
駆除命令の内容は、松くい虫防除のための薬剤散布、伐倒焼却、破砕処理等であります。駆除命令は年3回告示し、この5年間で15回行われております。その結果、「高度公益機能森林」における松くい虫の被害量は、平成8年度の6200立方メートルから平成12年度は1800立方メートルとなっておりまして、被害減少傾向にあります。しかしながら、一定の成果はあるものの隣接地域の「その他松林」の対策が不十分なことなどから、現在においても根絶するには至っていない状況にあります。
次に、松林保全条例(仮称)はどのような効果が期待されるか、また米軍施設内の駆除対策はどう対応するのかの御質問についてお答えいたします。
県においては、県木であるリュウキュウマツを松くい虫被害から守るため条例の制定を検討しております。
その主な内容は、私有林等「その他松林」の防除に関する補助規定、被害木の移動に関する制限規定、森林所有者等の防除に関する義務規定等を骨子とした内容となっております。当条例の制定により森林病害虫等防除法で定めのない「その他松林」における駆除の徹底並びに再侵入防止等の施策が図られます。
基地内の松くい虫被害対策については、従来から米軍及び那覇防衛施設局において予算措置を行い、防除事業を実施しているところであります。今後とも引き続き松くい虫の根絶に向けて関係者が一体となった防除を実施していく考えであります。
続きまして、国内における松くい虫の発生と防除の取り組み及び成功事例についての御質問にお答えいたします。
国内における松くい虫の発生は、北海道、青森県を除く日本全域で被害が見られます。
防除の取り組み状況は、ヘリコプターによる薬剤空中散布、地上散布、樹幹注入、伐倒駆除等が実施されております。
松くい虫根絶の成功事例といたしましては、組織体制を整備し、空中散布と被害木の伐倒駆除を徹底した結果、鹿児島県沖永良部島で根絶された事例がございます。
以上でございます。
○文化環境部長(永山政邦) 世界のウチナーンチュ大会について、海外の県系人や県外(本土)の県系人との交流について、今後どのように取り組んでいくかについてお答えいたします。
本県においては、海外県人会との交流を図るため海外県人会の活動費の助成や県人会館等建設に対する補助事業を初め、ウチナー民間大使によるネットワーク事業、移住先国の県系人子弟の人材育成を目的とした県費留学生・技術研修員受け入れ事業等数多くの国際交流施策を実施しております。
本県と海外との持続的交流については、今後とも推進していく必要がありますが、特に第3回世界のウチナーンチュ大会のプレイベントとして実施しましたジュニアスタディーツアーについては、海外県人会からも非常に高い評価をいただき継続の要望も強いことから、引き続き実施する方向で検討をしております。今後は海外だけではなく、国内県系人の子弟も含めた事業として取り組んでまいりたいと考えております。
また、国内県人会においては母県との交流促進を求める要望もあることから、海外と国内県人会が抱える共通の課題等に対処するため、海外に加え、今後は国内県人会への情報の発信・提供についても検討していきたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(新垣幸子) 手話通訳の導入について、本庁総合案内所や本会議への手話通訳の導入についての御質問にお答えします。
県においては、聴覚障害者のコミュニケーションを確保し、自立と社会参加を支援するために手話通訳養成事業、手話通訳設置事業等を実施しております。ノーマライゼーションの実現に向け、障害のある人も社会の構成員として地域の中でともに充実した生活が送れるよう、また社会参加を通して生活の質の向上が図られるよう必要な機関等において手話通訳の設置は重要であると考えております。
本庁総合案内所では、現在、耳の不自由な方々の来庁に際しては筆談等により対応しておりますが、県民へのサービス向上を図るため手話通訳の導入について前向きに検討をしてまいりたいと考えております。
保育行政についての御質問にお答えいたします。県は認可外保育施設を利用している児童に対し、現在どのような支援を行っているかについてお答えいたします。
平成13年4月1日現在における県内の認可外保育施設数は469カ所で、利用児童数は2万2221人となっております。県は、認可外保育施設を利用している児童の福祉の向上を図る観点から、立入調査指導や保育に従事する職員及び施設長を対象とした研修、児童の健康診断への助成を行っている市町村に補助をすることにより利用児童に対する支援を行っております。
続きまして、質問の11番目、福祉行政についての医療制度改革について、所見と県民生活への影響についての御質問にお答えします。
「政府・与党社会保障改革協議会」は、平成13年11月に「医療制度改革大綱」を決定しております。その主なものは、政府管掌保険等の被用者保険の給付を7割とし各保険間の統一を図ること、高齢者医療制度の対象を現行の70歳以上から75歳以上に引き上げ、自己負担額を定率1割負担とすること、さらに診療報酬改定については引き下げの方向で検討し、措置していくという内容になっております。
この「医療制度改革大綱」が実施された場合、県民に与える影響としては、被用者保険の医療費自己負担額を2割から3割に引き上げることにより中小企業社員等の負担増が生じること、高齢者医療制度の患者負担を定率1割とすることにより高齢者の負担増が考えられます。
これらの措置については、実施時期が明らかでないこともあり、県としては国の対応を見守ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後2時47分休憩
午後2時48分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
上原吉二君。
〔上原吉二君登壇〕
○上原 吉二 代表質問に入ります前に、お許しをいただきまして、このたび本員が自由民主党の一員として迎えられましたことを御報告を申し上げ、議員各位や執行部、さらに関係者各位の皆様方の御理解を賜りたいと思います。
本員は、これまで無所属議員として是々非々の立場を守り、沖縄県の発展並びに県民生活の向上を目指して議員活動を展開してまいりましたが、より高い志のもと、稲嶺県政を支える与党の立場を今まで以上に鮮明にいたした政治活動に邁進すべく、自由民主党の議員として第一歩を踏み出すことを決意をした次第でございます。
どうか皆様方におかれましては、これまで以上の御指導、御鞭撻を本員に下さいますよう心からお願いを申し上げ、御報告にかえさせていただき、早速ではございますが、自由民主党を代表し通告に従い質問を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
1番目、普天間飛行場代替施設の移設問題について。
普天間飛行場の移設問題については、同飛行場が市街地中心部に位置し、極めて危険な状態にあるため、地元市町村を初め沖縄県が一日も早く返還するよう日米両国政府に強く求めたことに端を発しております。
SACO合意から5年が過ぎ、政府の関心も冷めつつあるとの報道もございますが、沖縄側がこうして基地問題に真剣に取り組む決意を示すタイムリミットは近づいているものであります。何はともあれ、危険な普天間飛行場を一日も早く返還することで国と県及び関係市町村の認識は一致し、そのための条件整備が国の強力な支援のもと、進められてきたのであります。
今や、米軍基地を段階的に整理縮小し、跡地を計画的に整備しながら沖縄の振興発展を図っていくという県民合意はでき上がっていると思います。しかし、沖縄県における米軍施設・区域の負担を軽減するためといえども、移設先においては新たな負担を負うことになるわけでございます。そのためにも移設先に対する説明には十分な配慮が必要だと思っております。県のこれまでの取り組みは、必ずしも十分でなかったと言わざるを得ない感がいたします。副知事が出席して何度か説明を行ったと聞いているが、今もって地元住民から軍民共用に対する疑問の声が出るなど、なかなか進展しないように見受けられますが、そこで質問をいたします。
まず(1)点目、去る11月21日の地元説明会には両副知事が出席するなど移設問題に対する県の積極的な姿勢が見られるが、地元住民の理解は十分得られたと思いますか。
(2)点目、軍民共用空港について多くの質問が出たと思うが、県は需要予測についてどのように説明をなされたのか、お聞きいたします。
(3)点目、辺野古区や名護市は軍民共用について引き続き検討するとしているが、県は軍民共用の民の部分の削除や縮小することも考えているのか。
(4)点目、次回の代替施設協議会はいつ開かれるのか。また、名護市と県の考え方が異なった場合、それぞれ別の意見を協議会で示すことも考えているのか。
(5)点目、地元や名護市が3工法8案以外の案を要望した場合、県としてどう対応するのか。
(6)点目、次回の代替施設協議会で位置、規模、工法が決定されるのか。それともタイムスケジュールは特に設定されていないと考えていいのか、お聞かせください。
(7)点目、基本計画策定に向けた作業が進展している中で、15年使用期限問題についての政府の姿勢は一向に変化がないが、県として今後どのように対応していくのか、お聞かせください。
(8)点目、移設先及び周辺地域振興並びに北部振興として毎年100億円の予算が措置をされているが、今後の移設作業が進展しなければ予算措置にどのように影響するのか。
(9)点目、漁業補償についても作業を進めなければならないと思うが、リーフ外、リーフ上、リーフ内の位置あるいは他の工法を決定するにせよ、漁業補償の基準はどうなるのか。また、具体的な作業はいつから始めるのか、お聞かせください。
2番目、狂牛病及びBSE関連つなぎ資金等についてでございますが、安全宣言後、新たに国内で2頭目、3頭目が相次いで発見されましたが、県民の不安を解消するためにも再度確認をさせていただきたいと思います。
まず(1)点目、本病の感染原因は異常プリオンたんぱくを含む飼料等を牛が摂取することによるとされています。このため、今回の感染牛の原因究明に当たっては、国がこの牛をこれまでどのような飼料を給与されていたかを調査していると聞いております。引き続き追跡調査などを通じて早急な感染源の究明が望まれるところであります。このような中で、本土では感染経路が不透明であり、広範囲の可能性が言われておりますが、県内の感染防止についてはしっかりとした対策はとられているのか、お伺いをいたします。
(2)点目、食肉センターでは、BSEの検査が実施されたことにより脳、脊髄等危険部位については焼却処分することになっており、肉骨粉に危険部位が混入するおそれはなくなっておりますが、県内で製造されている配合飼料のうち牛用以外の豚、鶏用の飼料には肉骨粉が使用されていたということですが、そこで質問をいたします。現在の肉骨粉の使用状況はどうなっておりますか。
(3)点目、食肉センターや食鶏処理場から出てくる畜産副産物により肉骨粉が製造されていますが、肉骨粉の処理ができないと食肉・食鶏処理場での処理が機能しなくなり、混乱を招くことになります。また、肉骨粉が使用禁止になったことにより肉骨粉製造業者は出荷がとまり、厳しい経営状況だと思いますが、そこで質問をいたします。県内の肉骨粉の処理状況はどうなっておりますか。また、それに伴う焼却処理の助成と在庫の補助についてはどのようになっておりますか、お聞かせを願いたいと思っております。
(4)点目、平成13年10月5日から食肉処理販売等特別融資制度が創設されましたが、県内における実績はどうなっておりますか。
(5)点目、生産農家及び国内産の牛肉取扱店については、今回緊急支援制度ができましたが、同じく輸入牛肉を取り扱っている食肉関連飲食店についても甚大な被害を受けているが、同様の制度を適用すべきと思いますが、いかがなものでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
3番目、東部海浜開発事業についてでございますが、東部海浜開発事業は、中部圏東海岸地域の活性化を図るために不可欠な事業であり、地域特有の文化や国際性等の資源を最大限に生かしながら、那覇都市圏への機能の一極集中及び西海岸地域への偏重した開発計画の是正を図り、沖縄県の進める国際交流拠点・国際規模の観光保養地の一翼を担い、豊かな地域社会の形成に資するものでございます。
当該事業は、沖縄市が保守・革新を問わず15年余にわたり推し進めてきた事業であります。最近、すべての干潟がなくなるとか、野鳥のすみかが失われるんじゃないかと言われておりますが、陸続きから出島方式に変更するまで地元泡瀬地区の住民が海岸線を守りながら、野鳥のすみかを保全するためさまざまな努力を重ねてきたことを忘れてはならないと思っております。当初の市の構想段階では、泡瀬半島の南側の陸続きでございましたが、自然への影響を低減する方法等について検討を重ね、その後、関係漁業協同組合等の同意を得まして法線を変更し、現在の出島方式に至っているわけでございます。市内の34の市民団体等で構成をいたします東部海浜リゾート推進に取り組んできたものであります。市民の総意として開発事業の推進に取り組んできたものでございます。
そこで、次のことについてお伺いをいたします。
(1)点目、東部海浜開発事業が計画されたのはいつなのか。その事業の目指す目的及び主要なコンセプトは何か。また、その事業の可能性は現時点においてどうなっておりますか。
(2)点目、最近、当該事業を反対とする環境保護団体が当該事業による環境への影響についていろいろと主張をしているわけでございますが、ア、トカゲハゼやクビレミドロは本当に絶滅するのか。また、藻場もなくなると言っておりますが、このことについてお聞かせを願いたいと思います。
イ、干潟はどうなるのか。
そしてウ、野鳥は本当に来なくなるのかについてお聞かせを願いたいと思います。
(3)点目、当該事業については、埋立免許を平成12年12月に取得しているにもかかわらず、埋立工事に着手しない理由は何ですか。
(4)点目、小泉内閣の「聖域なき構造改革」における公共事業で、費用対効果の問題で凍結とか中止される公共事業がかなりあるようだが、東部海浜開発事業も公共事業見直しの対象事業なのか、お聞かせを願いたいと思います。
(5)点目、東部海浜開発事業は、中城湾港新港地区の航路しゅんせつ土砂を有効活用する計画となっているが、東部海浜開発事業が中止となった場合には新港地区の航路整備も同時に中止となるのか、お聞かせください。
(6)点目、この事業がもし再開されない場合、今まで進めてきた事業の結果責任が問われることは明確であることと、これから県内における振興策やすべての事業等に与える影響も甚大であると思慮されますが、そうなっては沖縄の大きな損失となるので、知事が先頭に立ってこの問題解決を図るべきと思いますが、御決意をお聞かせ願いたいと思っております。
4番目、旧軍飛行場用地問題についてでございます。
本件については、これまでに代表質問や一般質問、委員会等で何回も取り上げられてよく御承知のことと思います。戦後56年経過した今日、法律の根拠によって話をする次元の問題ではないと思っております。売買事実があったとしても、その効力があるにせよ幾ら時間が経過しようとも、旧地主の存在を私は尊重しなければならないと思っております。先祖代々から受け継いでこられた土地に思いを残しながら国策に最大の協力をした地主、今なら自由意思のもとで契約が成り立つわけでございますが、あの有事体制の中で土地は接収指定されれば必ず売らなければならないというあの歴史的な社会状況であったということは認められるわけでございます。当時の住民の間ではこのことを、ワッター立チ退キヌ話アタッサー、イッタージーン、立チ退キカカトンナーという会話が交わされていたということであります。それからでも状況が理解されると思っております。
根本的には売らなければならないという前提でもって契約をするということは、私は通常じゃなかった、特殊なケースであったと言わざるを得ないと思っております。心情論イコール政治論であり、この件については政治課題にすべきであり、政府に特段の御配慮をお願いすべき時期だと思います。
これまで各市町村において地域的組織で活動をしておりましたが、昨年「沖縄県旧軍飛行場用地問題解決促進協議会」という全県的な協議会が結成されております。そして、52市町村が早急な戦後処理を求める意見書を決議・採択なされております。
そして、去る6月沖縄県議会、委員会、本会議において全会一致で採択がなされております。また、保守・革新を問わず衆参8名の国会議員が顧問をお務めになっております。そして、他府県においては旧地主関係者に返還もされております。
そして、同協議会が関係要路に請願をいたしましたところ、沖縄県を窓口にするよう指導を受けております。そして、他府県においては府県を窓口として返還処理がなされております。
沖縄は、戦後引き続き27年間米軍の統治がなければ、他府県のように処理されていただろうということは、だれであろうと推測ができると私は思っております。
以上のことから、この問題については沖縄県民の総意として政府に特段の配慮をしていただくよう知事が先頭に立って政治決着を図っていくべきだと思っておりますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
5番目、普天間川の河川改修、土砂堆積についてでございますが、去る台風16号で中城村新垣地内で普天間川がはんらんいたしました。これまでも何回となく大雨が降るとはんらんし、幹線道路や周辺が冠水をして河川沿いの住民生活に支障を来しております。普天間川関係市町村でも改修、維持管理について問題視されております。特にはんらんが頻繁に起きている中間地域に当たる中城村では、議会で取り上げるようでございますので、お尋ねをさせていただきます。
(1)、主な要因は何ですか。
(2)、はんらん、冠水による被害状況はどうなっておりますか。
(3)、総延長のうち、県管理はどこからどこまでですか。
(4)、長年にわたる土砂堆積により葦や雑木も群生しているところもあり、そこに瓦れきが積もっていることも原因の一つと思われるが、しゅんせつされたことがございますか。
(5)、未改修部分が大分残されておりますが、今後の計画はどうなっているのか、あわせて御答弁をお願いいたします。
6番目、騒音及び嘉手納・普天間飛行場周辺の住宅防音家屋空調施設維持費助成と対象区域拡大等についてでございます。
(1)、基地周辺市町村で、空調機器の維持管理費及び対象区域拡大等について意見書を採択した市町村は、どことどこですか。
(2)、同問題に対して県は、これまでの対応策として基地の提供責任者は国であるので国に強く求めていくと言っておりましたが、どのように対処してこられましたか。
(3)、去る11月28日、知事公室長と永山文化環境部長が、在沖米四軍調整事務所、米国総領事館、外務省沖縄事務所へ騒音軽減について申し入れを行っておりますが、最近米国における中枢同時テロ事件後、嘉手納・普天間飛行場周辺での飛行訓練が頻繁に行われており、騒音問題も深刻化しております。現実的な対応といたしましてすぐには基地撤去があり得ないことから、県としても地域負担をなくするために対応策を講じないといけないと思いますが、どのように対処をしていかれますか。
以上、代表質問といたしますが、答弁を聞きまして再質問を行います。
○知事(稲嶺惠一) 上原吉二議員の御質問にお答えをいたします。
最初は、普天間飛行場の移設についてでございます。
辺野古区や名護市は、軍民共用について引き続き検討するとしているが、県は軍民共用の民の部分の削除や縮小することも考えているかとの質問にお答えいたします。
代替施設を軍民共用とすることは公約であり、普天間飛行場の移設に係る平成11年末の閣議決定やこれまでの代替施設協議会での協議など軍民共用を前提に行われたものであります。県としては、現在の中南部一極集中から、北部圏域の定住人口の増加を目指した機能拡充を図ることが県土の均衡ある発展を図る上で重要であると考えています。軍民共用飛行場は、その実現を図るための基本インフラとして最も有用な施設であると考えており、県としては、同飛行場の機能を生かした移設先の地域振興に全力を注ぐことにより、雇用機会の確保や産業の振興を図るなど地域経済発展の新たな拠点を形成し、北部地域の発展につなげていきたいと考えております。
次に、地元や名護市が、3工法8案以外の案を要望したらどう対処するのかという御質問のお答えでございます。
3工法8案については、これまで代替施設協議会で重ねてきた協議を踏まえ示されたものと理解しており、基本的には3工法8案から一定の方向に絞られるものと考えております。
次に、同じく普天間飛行場の移設についてのうち、15年使用期限についての政府の姿勢は変化がないが、県は今後どう対応していくかについてお答えをいたします。
普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。15年使用期限問題の解決については、県が移設に当たって整備すべき条件とし、また名護市が受け入れ条件としていることから、閣議決定された政府基本方針にも示されているように、政府においてしっかり受けとめられていると考えております。このため、県としては、着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないと考えており、引き続き政府に対しその解決を粘り強く求めていきたいと考えております。
次に、東部海浜開発事業について、工事が再開されない場合は、県の振興策やすべての事業に与える影響は甚大であると思うが、その問題解決に対する知事の決意はということへのお答えでございます。
中城湾港泡瀬地区開発事業は、沖縄市を中心とする本島中部圏東海岸地域の活性化を図るため実施するものであります。当該事業の実現により各種施設が複合的に立地する拠点地区が形成され、新たな雇用、誘客の場が確保されることにより地域の発展に寄与するものと考えております。
また、当該事業の早期実現は、中部圏経済の活性化に資するのみならず、県の主要施策である特別自由貿易地域を支援する新港地区の港湾整備とも密接な関連があることから、県の振興策上も極めて重要であると考えております。そのため、当該事業の早期実現に向けて県としても国や沖縄市と連携の上、全力を傾注していく考えであります。
次に、旧軍飛行場用地問題について、沖縄県民の総意として知事が先頭に立って政治決着を要求すべきであると思うがどうかについてお答えします。
戦後56年の長期間にわたって、旧日本軍に接収された土地の所有権回復を求めてこられた旧地主の方々の心情と御苦労については県としても十分に理解しております。また、去る6月県議会において「沖縄県所在旧軍飛行場用地の早急な戦後処理を求める意見書」が採択されたことを重く受けとめております。県としては、旧軍飛行場用地問題の解決を国に要請するに当たっては、国の理解が得られる説得力のある論理構築が必要であると考えており、旧軍用地問題解決促進協議会の主張、同問題に関する県の調査結果及び嘉手納基地土地所有権確認訴訟判決を含めたこれまでの経緯等も踏まえつつ、今後同問題の解決に向けてどのような理論構築ができるのか、引き続き検討してまいりたいと考えております。
なお、他府県における旧軍飛行場用地の返還事例調査の結果については、知事公室長から答弁させます。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 上原吉二議員の普天間飛行場の移設についての幾つかの質問に順次お答えをいたします。
去る11月21日の地元説明会で地元住民の理解は十分得られたと思うかという御質問にお答えいたします。
説明会は、辺野古区行政委員会の主催で行われ、代替施設を軍民共用とすることについての県の考え方を述べてまいりました。住民からは、軍民共用飛行場は県民の財産になり得るのか、リーフ外案は本当にできないのか、また使用協定の担保はとれるのかなどの質問がなされました。
これに対し、1つ目に、県としては、同飛行場の機能を生かした移設先の地域振興に全力を注ぐことにより、雇用機会の確保や産業の振興を図るなど地域経済発展の新たな拠点を形成し、北部地域の発展につなげていきたいと考えていること、2つ目に、代替施設の位置については、技術的観点から現場条件や施工条件等を踏まえた場合、リーフ外は建設の実現に当たり解決しなければならない数多くの課題を有していることから厳しいと認識していること、3つ目に、使用協定は名護市長が出した条件であり県も重く受けとめており、県としては、今後とも名護市と連携して市の要望が実現されるよう取り組んでいきたいと考えていることなどを説明いたしました。
その他にも質問がありましたが、一つ一つ丁寧にお答えし、県の考え方について理解は深まりつつあると考えています。
次に、県は需要予測についてどのように説明したのかという御質問にお答えをいたします。
民間航空機の需要につきましては、那覇空港における既存の調査結果や北部地域における航空貨物の実績、並びに今後展開される多くの振興策等を勘案しながら、民間機能における潜在的ポテンシャルを求めました。需要の推計は、運輸省航空局が行った那覇空港における旅客動態調査結果と県企画開発部が調査した那覇空港における将来航空需要予測結果をもとに行っております。
民間機能の背後圏は、那覇空港が沖縄本島南部の那覇市に位置していること、那覇空港から中部圏域への交通ネットワークが充実していること、那覇空港と民間機能との航空サービス頻度の格差が大きいと想定されることから北部地域に限定いたしました。その結果、北部地域から民間機能を利用すると思われる旅客数のうち、就航見込みのある路線に対する旅客数は約20万人を見込んでおります。
1日の就航便数は、関東、中部、関西方面へ6便3往復を見込んでおります。
また、北部地域にある主要ホテルの利用者は、年間延べ約260万人の観光客に利用されていることなどから、北部地域の航空旅客は現状でも一定の利用可能性があると考えております。
さらに、移設先の地域では名護市のマルチメディア館や国際海洋環境情報センター、宜野座村のサーバーファーム事業など情報産業の集積が進んでいることから、さらなる需要の拡大が期待できるものと考えております。
航空貨物については、平成10年に北部地域から出荷したサヤインゲンやパイナップルなどの園芸作物や郵便物などの航空貨物量は1日当たり約43トンとなっております。これを航空機用のコンテナ数に換算いたしますと約91個になり、中型ジェット機の5機分に相当いたします。このように、航空機に搭載する貨物については現在でも十分需要があり、農林水産業等の振興によりさらに増加していくものと考えております。
次に、次の代替施設協議会はいつ開かれるのか、また名護市と県の考え方が異なった場合、それぞれ別々の意見を協議会で示すことも考えているかという御質問にお答えをいたします。
次回の協議会では、3工法8案の地元説明会後に、名護市長が取りまとめた地元住民の意見、要望についてその報告を行い、また県からは名護市等地元の意見も踏まえた県としての考え方を聞いた上で、代替施設の規模、工法、具体的建設場所等について総合的、具体的な検討をさらに進めていくこととされております。現在、県では3工法8案について土木建築部、文化環境部、農林水産部において検討された結果について、その取りまとめを知事公室で行っているところであります。
土木建築部では、これまでの県内における土木施工実績等の経験を踏まえ、技術的観点からの施工面、維持管理面などの検討を行っております。具体的に、施工面としては現場条件や施工実績等を踏まえた施工の容易性や施工資材及び施工機械の調達の容易性など、また維持管理面としては、代替施設本体、アクセス道路としての連絡橋などについて維持管理作業の容易性や経費について検討を行っております。
文化環境部では、自然環境及び生活環境の保全の観点から海生生物、藻場、サンゴ及び生態系への影響、航空機騒音等の影響について検討を行っております。
農林水産部では、当該海域には共同漁業権が設定されていることを踏まえ、これら漁業の対象となっている動植物に与える影響や漁港利用上の影響などについて検討を行っております。
また、名護市等においては、地元の意見の取りまとめを行っているところであります。
これらの作業は、名護市が年内を目途に進めることとしていることから、県としては名護市等と十分調整を図りながら地元の意見も踏まえた県の考え方を可能な限り早期に取りまとめる考えであります。
次に、次回の代替施設協議会で位置、規模、工法が決定されるのか、タイムスケジュールは特に設定されていないと考えていいかという御質問にお答えをいたします。
先ほども申し上げましたが、次回の代替施設協議会では、名護市からは地元住民の意見等の報告が行われ、また県からは名護市等地元の意見も踏まえた県の考え方を示すことになっております。これを受けて、代替施設の規模、工法、具体的建設場所等について総合的、具体的な検討をさらに進め、その後に基本計画が策定されるものと考えております。基本計画の策定を受けて環境影響評価を国が実施するとともに、その間、米側による施設配置等のマスタープランの策定や民間機能も含めた施設配置等についての具体的な検討がなされた後に、環境影響評価を踏まえ、最終的な位置、場所、規模等が決まってくるものと考えております。
次に、漁業補償についても作業を進めなければならないと思うが、漁業補償の基準はどうなるのか、具体的な作業はいつから始めるのかという趣旨の御質問にお答えをいたします。
代替施設の建設予定地並びにその周辺地域には共同漁業権が設定され漁業活動がなされております。代替施設の建設により当該海域での操業の制限または停止が想定されることから、御指摘の漁業補償の問題が出てくることが考えられます。
なお、現在、代替施設協議会において建設場所、規模、工法等基本計画策定に向けて具体的に協議している段階であり、漁業補償のことにつきましては基本計画策定後、事業者である国において地元漁業関係者等との調整が進められるものと考えております。
次に、旧軍飛行場用地問題についての他府県における返還事例調査結果についてお答えをいたします。
県が行った他府県における旧軍飛行場用地の返還事例調査の結果につきまして報告をいたします。
県は、旧地主が指摘している戦後処理問題として取り扱われたとされる他県における旧日本軍接収用地の返還事例について文書による照会を行うとともに、現福岡空港の事例について現地調査を行いました。
調査結果を申し上げますと、他府県において払い下げが行われた旧軍飛行場用地は、昭和20年11月に閣議決定された食糧増産のための「緊急開拓事業実施要領」に基づき行われたものや、農地法に基づき農林水産省から耕作者に払い下げられたもの及び旧大蔵省から普通財産の処分が行われたものなどであり、旧地主に土地を返還すること自体を目的として行われた事例は確認できませんでした。
また、現在も空港や自衛隊施設等として利用している施設については、席田飛行場──現福岡空港──のように、旧軍関係者の判断により接収した用地を旧地主に返還した事例がありましたが、政府における政策決定として所有権を旧地主に戻した事例は確認できませんでした。
一方、県内においては旧西原飛行場、旧仲西飛行場などの旧軍接収用地について、戦後間もなく行われた米側による所有権の認定作業の際に旧地主の所有権が認められた事案があることが確認でき、現在国有地として登記されている旧軍接収用地の地主と比較して公平性を欠く現状があることを認識しております。
次に、米軍基地周辺の騒音問題についての中の、基地周辺市町村で空調機器の維持管理費及び対象区域拡大等について意見書を採択した市町村はどこどこかという御質問にお答えをいたします。
住宅防音工事区域の拡大及び空調機器の維持管理費補助の拡大については、これまで沖縄市、宜野湾市、具志川市、嘉手納町、北谷町、読谷村、北中城村及び中城村の各議会において意見書の決議がなされており、県としてもこれらの決議を重く受けとめております。
次に、同じく米軍基地周辺の騒音問題の中の、航空機騒音問題に対して県はこれまでの対応策として基地の提供責任者は国であるので国に強く求めていくと言ったが、どのように対処してきたかという趣旨の御質問にお答えをいたします。
米軍基地に起因する航空機騒音は、周辺地域における住民生活に多大な影響を与えていることから、県としても騒音対策の充実・強化は重要な課題であるとの認識に立って、昨年10月20日、那覇防衛施設局に対して、空調機器の維持管理費の全額国庫負担や太陽光発電による空調機の稼働を目的としたソーラーシステムの設置費の助成等を要請したところであります。
また、去る8月には、軍転協において嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺における航空機騒音の軽減及び騒音対策の強化について日米両政府に要請を行うとともに、渉外知事会においても防音施設維持管理費の全額国庫負担や防音工事対象区域等の拡大、航空機騒音環境基準値の見直し等を要望しております。
防衛施設庁は、このような要請等も踏まえ、平成14年度予算に住宅防音工事を実施した生活保護世帯のエアコンの稼働電力費を太陽光発電によって賄うため、試験的に嘉手納飛行場周辺の約400世帯の生活保護世帯に電力を供給する事業や、騒音区域指定告示後に建設された住宅への防音工事の助成などの事業を概算要求していることを確認しております。
次に、同じく米軍基地周辺の騒音問題の中の、米国におけるテロ事件後、嘉手納及び普天間飛行場周辺の騒音問題が深刻化しているが、県としてはどのように対処するのかという御質問にお答えをいたします。
嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺においては、去る9月下旬以降、騒音等が激しくなり、周辺地域住民から多くの苦情が寄せられております。県が設置した航空機騒音測定局においても、普天間飛行場周辺では9月下旬から騒音値、うるささ指数が上昇していることが確認され、また嘉手納飛行場周辺においては、10月下旬以降、騒音発生回数が上昇していることが確認されております。
このようなことから、県では去る11月28日に嘉手納飛行場及び普天間飛行場基地周辺における航空機騒音の軽減について日米両政府に要請を行ったところであります。
航空機騒音問題は、周辺地域住民の生活環境に大きな影響を与えていることから、住宅防音工事の充実・強化や防音工事対象区域の拡大及び空調機器維持管理費の全額国庫負担等について、今後とも基地周辺市町村等と連携を図りながら、渉外知事会や軍転協の要請等あらゆる機会を通して国に改善を求めていきたいと考えております。
以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 普天間飛行場の移設について、毎年の100億円の北部振興及び移設先振興費について、今後移設問題が進展しなければ予算措置にどのように影響するのかについてお答えいたします。
北部振興のための100億円については、北部全体の振興と普天間飛行場移設先及び周辺地域の振興に充てられることとなっております。北部全体の振興については、移設問題にかかわりなく進めるべきものであり、予算措置についてもそのような考え方のもとに継続されるものと考えております。
一方、移設先及び周辺地域振興については、同振興策が代替施設の受け入れに伴うものであることから、移設問題の進展に対応する形で予算措置がなされるものと理解しております。
○農林水産部長(天願貞信) 牛海綿状脳症及びBSE関連つなぎ資金等についての御質問で、BSEの感染経路が不明瞭である、県内の感染防止対策は十分かとの御質問にお答えいたします。
県においては、去る9月に国内で初めてBSEの発生が確認されたことから、10月17日に関係部局から成る「沖縄県牛海綿状脳症(BSE)対策本部」を設置したところであります。現在、県民の食肉の安全性を確保するため、福祉保健部の食肉衛生検査所において屠畜される全頭の牛を対象にBSE検査を実施しております。その結果、店頭に出回る牛肉はすべて安全である検査体制が確保されております。
また、農林水産部内においては、BSE対策の一層の強化を図るため防疫衛生班、レンダリング班及び流通価格安定班などを組織し、畜産農家への立入調査や防疫衛生指導などに取り組んでおります。県としては、今後ともBSE対策本部を中心に県内のBSE侵入防止に万全を期する考えであります。
次に、肉骨粉の使用状況について、それから肉骨粉の処理状況と焼却処理及び在庫の補助についての質問にお答えいたします。関連しますので一括してお答えいたします。
肉骨粉等の使用状況については、平成13年10月4日付の国の通達によりまして、飼料工場での肉骨粉等を含む配合飼料の製造及び出荷販売が全面的に禁止されております。
また、肉骨粉等の処理については、平成13年10月2日付の国の通達によりまして、一般廃棄物としてすべて焼却処理することとなっております。現在、県内で保管されている肉骨粉等は約1100トンであり、その焼却処理に要する経費につきましては国が補助することとなっております。肉骨粉等の焼却処理につきましては、年内をめどに焼却を開始する考えであります。
続きまして、食肉処理販売等特別融資制度が創設されているが、県内における実績はどうかとの御質問にお答えいたします。
BSEの発生に伴い、食肉処理販売などを営む経営者が資材等の仕入れや雇用労働費等の経営に必要な資金に対応するため「食肉処理販売等特別資金」が創設されております。特別資金の貸付対象者の要件としては、飲食店営業及び総菜製造業を営む者を対象に、食材仕入れ額のうち牛肉仕入れ額の占める割合が50%であること、かつ、牛肉仕入れ額のうち国産牛肉の仕入れ額の占める割合が50%であることとなっております。
貸付限度額につきましては1000万円を限度とし、償還期限1年以内の元利一括払いとなっております。また、貸付期間は平成13年10月5日から12月31日までとなっております。
当該資金の貸し付けに関する広報につきましては、県内新聞への広報掲載などを行っているところでありますが、現在のところ、当該資金の貸付申し込み実績はゼロとなっております。
以上でございます。
○商工労働部長(花城順孝) 狂牛病関連のつなぎ資金等についての中で、(5)の輸入牛肉を扱っている食肉関連飲食店についても食肉処理販売等特別資金と同様の制度を適用すべきと思うがどうかという御質問でございます。
輸入牛肉を取り扱っている食肉関連飲食店であっても、牛肉仕入れ額のうち国産牛肉の占める割合が50%以上である場合には当該特別資金の適用が可能となっております。この適用から外れる場合でも一定の要件を満たせば中小企業信用保険法第2条第3項第2号の規定に基づいて事業活動の制限及び事由の指定を受けることによって、セーフティーネット保証制度の認定によるセーフティーネット貸付制度が活用できるようになっております。これらの制度を効果的に活用することにより、経営の安定に支障の生じている中小企業者への支援を促進してまいりたいと考えております。
以上です。
○土木建築部長(屋比久孟尚) 東部海浜開発事業について、東部海浜開発事業が計画された時期、目的及び主要なコンセプト、また現時点における可能性についての御質問にお答えいたします。 中城湾港泡瀬地区埋立事業は、地元沖縄市が市民の要請にこたえ、昭和62年に策定した「東部海浜地区埋立構想」から始まっており、平成7年11月には港湾計画に位置づけられたものであります。
当該事業は、沖縄市を含む本島中部圏東海岸地域の活性化を図り、県土の均衡ある発展に資するため国際交流リゾ-ト拠点、海洋性レクリエ-ション活動拠点、情報・教育・文化の拠点の形成をコンセプトとしております。当該事業の早期実現は地元沖縄市民の長年にわたる悲願であり、当該地区の開発により各種施設が複合的に立地する拠点地区が形成され、新たな雇用、誘客の場が確保されることなどから、県としては今後とも国、沖縄市とも連携しながら当該事業の早期実現に取り組んでいく考えであります。
次に、トカゲハゼやクビレミドロは本当に絶滅するのか、干潟はどうなるのか、野鳥は来なくなるのか、3つの御質問に一括してお答えいたします。
中城湾港泡瀬地先には干潟等の豊かな自然があり、その保全は重要であると認識しております。このことから、事業計画に当たっては地元沖縄市民や専門家等の意見を取り入れ、既存陸域から約200メ-トル離した出島方式とするなど環境への配慮を行っております。その結果、埋立予定地周辺の干潟域の約8割は残ることになり、トカゲハゼの生息域や鳥類の主要な採餌場である干潟域は保全されることになります。
また、クビレミドロや藻場については移植して保全することとしており、現在、学識経験者等で構成する「中城湾港泡瀬地区環境監視・検討委員会」において調査・検討を行い、移植技術の確立に努めているところであります。
さらに、水鳥類の採餌・休息場の確保、トカゲハゼの生息地の拡大及びクビレミドロの新たな生息地を創造するため、野鳥園や人工干潟を整備する等環境への影響を可能な限り軽減するよう努めていく考えであります。
次に、埋立免許を取得したにもかかわらず埋立工事に着手しない理由は何かの御質問にお答えいたします。
中城湾港泡瀬地区埋立事業については、平成12年12月19日に埋立承認及び免許を取得したところであります。事業を実施するに当たっては、環境への影響をできる限り低減するため藻場を移植することとしており、これまでの小規模実験の結果から可能であると判断しておりますが、本年7月31日に開催された「環境監視・検討委員会」において、環境保全対策に万全を期するため機械化施工による約3ヘクタールの移植実験に取り組むことが提案されております。このため、現在、沖縄総合事務局において新港地区西防波堤周辺への移植実験を実施しているところであります。
なお、護岸等の本格的な埋立工事の着手については、藻場の移植実験結果等を踏まえて総合的に判断していきたいと考えております。
次に、公共事業見直しの対象事業になるのかの御質問にお答えいたします。
公共事業の抜本的見直しに関する与党3党合意による公共事業見直しの該当事業の考え方としましては、採択後5年以上経過してまだ着工していない事業、完成予定を20年以上経過して完成に至っていない事業、現在休止あるいは凍結されている事業、実施計画調査に着手後10年以上経過しても採択されていない事業となっております。
中城湾港泡瀬地区埋立事業については、平成12年12月19日に埋立承認・免許を得て、国は平成12年度末、県は平成13年度から事業に着手していることから、対象事業にはならないと考えております。 次に、事業が中止となった場合、新港地区の航路整備も中止となるのかの御質問にお答えいたします。
中城湾港新港地区は、那覇港への港湾機能の過度の集中を是正し、県土の均衡ある発展を図るため流通加工港湾としての整備を進めているところであります。当該地区の航路・泊地の整備に当たっては、今後約710万立方メ-トルものしゅんせつ土砂が発生するため、その処分場として広大な敷地を必要としますが、既存陸域に処分場を確保することは困難であります。
また、しゅんせつ土砂が軟弱な排水性の低い土質であることから、遠方への移送も困難であります。そこで、近隣の泡瀬地区埋立事業において、新港地区の航路整備により発生するしゅんせつ土砂を埋立資材として有効活用し、経済的かつ効率的な事業推進を図ることとしております。このため、今後とも新港地区事業と連携をとって進めることが重要であると考えております。
次に、普天間川の河川改修、土砂堆積についての中で、去る台風16号により中城村新垣地内ではんらんした主な原因は何か、はんらん、冠水による被害状況はどうなっているかについて一括してお答えいたします。
去る9月の台風16号は、本島中部を中心に記録的な豪雨をもたらし、各地で河川のはんらんや道路の冠水被害がありました。普天間川においても、中城村の新垣地内やその下流側において河川内に土砂が堆積し、通水が阻害されている状況にあることなどにより村道の新垣橋周辺がはんらん、冠水し、一時的に通行不能となったほか、周辺農地への冠水被害等が発生しております。
次に、河川総延長のうち県管理はどこからどこまでか、未改修部分が大分残されているが、今後の計画はどうなっているかについて一括してお答えいたします。
普天間川は、中城村南上原から北中城村、宜野湾市、北谷町を流れ西海岸に至る総延長約8.7キロメートルの河川であります。そのうち、県管理の2級河川は最上流部を除く中城村南上原から河口部の北谷町北前までの8.3キロメートルの区間となっております。
普天間川の河川改修については、昭和50年度から昭和63年度までに約18億円を投じ、既定の改修計画のある河口から中城村新垣までの約6.5キロメートルについて整備を完了しております。また、その上流部については災害復旧事業等により部分的に護岸整備等を行っております。
今後の上流部の改修計画については、流域の土地利用計画や水害の状況等を勘案するとともに、地元中城村と調整を図りながら検討していきたいと考えております。
次に、長年にわたる土砂堆積も原因の一つと思われるが、しゅんせつしたことがあるかについてお答えいたします。
県管理の2級河川については、水害の防止等を図るため堆積土砂のしゅんせつや除草等を行い維持管理に努めているところであり、普天間川の中城村新垣地内周辺については平成4年度に堆積土砂のしゅんせつを実施しております。しかしながら、上流部の開発等の影響により河川に流入する土砂が著しいことから、当該地域やその下流側において再び土砂が堆積し通水の障害となっているため、早期にしゅんせつや除草等を実施していきたいと考えております。
以上でございます。
○上原 吉二 BSE関係の特別融資制度についてでございますが、この目的の趣旨というのは救済をするということですよね。だがしかし、先ほどの答弁からすると当該貸付金制度の県内での実績はゼロということでございますけれども、それでは、狂牛病の発生によってこれは経済的影響を受けた方々の経営を維持継続をしていきたいというための関連つなぎ資金でありますので、広く活用していただくということでなければならぬわけですよ。それは、ゼロということは何のためのそれじゃ資金ですかね。これについて県のお考えをお聞かせいただきたいと思います。せっかくの関連つなぎ資金が活用されていないということは、これはもう大変な死活問題、深刻な状況を迎えている方々が年を迎えられないというような状況になっているわけでございます。
それとまた、国内産と同様に甚大な影響を受けている輸入牛肉を取り扱っている焼肉店についても、これは大変深刻な状況を迎えているわけでございまして、同じ制度資金が、制度ができても構わないと思うわけでございますけれども、これについても県のお考えをお聞かせください。
また、県として何らかの対応策というものを考えていいと思うんですが、県のお考えをお聞かせ願いまして質問を終わります。
○農林水産部長(天願貞信) 再質問にお答えいたします。
先ほど特別資金の貸付対象者の要件として、現在のところ要件等も厳しいということもございまして貸付実績はゼロというふうなことでございますが、議員御指摘のとおり要件等が特に牛肉仕入れに占める割合が50%であること、かつ、牛肉仕入れ額のうち国産牛肉の仕入れ額に占める割合が50%であるというふうな厳しい条件が、この辺が要件として厳しい面もあろうかというふうに解釈をしておりまして、せっかくの資金でございますので、活用ができるように要件緩和について国の方とも調整をしながら、幅広く活用できますように検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時58分休憩
午後4時23分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。
兼城賢次君。
〔兼城賢次君登壇〕
○兼城 賢次 護憲ネットワークを代表し、所感を述べながら質問をいたします。
稲嶺知事の3年前の選挙のキャッチフレーズは「経済の稲嶺」であり、平成10年8月当時の9.2%の県内失業率は大田知事の失策たる県政不況というものでした。県政不況という言葉も初めて知りました。ことし9月の県内失業率は9.4%となっております。10月の失業率は9.3%となり深刻な状況が続いております。
9月の9.4%の失業率は、アメリカのテロ事件とは関係なく、9.4%の失業率の数字は稲嶺知事の県政運営の上でもたらされた数字だということであります。テロ事件にかまけて説明し得るものではありません。
沖縄経済は、その上に今回のテロ事件に伴う観光客キャンセル、とりわけ修学旅行のキャンセルが旅行業界を直撃し、修学旅行のキャンセルが56%にも達するだけでなく、来年三、四月期の予約がないことなど、これからも厳しさが予想されます。これが関連業者に波及し経営は青息吐息の惨たんたる状況であります。沖縄の経済は厳しくなるものと予測されます。経済の稲嶺知事に県民は大きく期待しましたが、現状は惨たんたるものであります。9.4%の失業率は稲嶺不況、稲嶺失業と断ぜざるを得ません。9月の失業率9.4%、10月9.3%と深刻なものであります。
この状況をもたらした大きな要因たる沖縄の最大の政治課題である基地問題についても、何らの進展も見られないだけでなく、その見通しさえない状況です。知事の政治的責任は大きいものがあります。
9月11日のアメリカでのテロ事件が沖縄の観光業界を直撃し大きな経済的混乱に陥っております。観光客のキャンセルが日々増大し、ホテル組合の集計──11月17日──で約45万人にも達しており、損害額は40億円となっている。不況が続いている県内経済のリーディング産業として、基幹産業として県経済を支える最も期待された観光産業が打ちのめされて関連業界を巻き込み県経済に大きな打撃を与えております。
地元銀行の試算では、観光客数が10%、約40万人減った場合、観光収入が480億円減り、間接的な波及を含めた名目県内総支出の減少は611億円になり、さらに完全失業率を0.4%押し上げ県経済はマイナス成長に転じる。既にホテル業界では新卒者の採用内定取り消し、パートの削減など雇用にも影響が出始めています。観光客キャンセルに拍車をかけたのが文部科学省の通達、機動隊の米軍基地への配備と言われております。また、米国のアフガニスタン空爆が10月8日に始まるとキャンセルがはね上がっております。
基地所在市町村の首長のほとんどがマスコミのアンケートに対して、沖縄でのテロ発生の不安があると答えております。その理由は、基地を多く抱えテロの対象となり得るとか、米国支援の日本全体が標的になり得るという答えがあります。ウチナーンチュ大会参加者でもブラジルからの参加者が半分に減ったのは、2世たちが米軍基地のある沖縄は危ない、最初にやられると言っているのです。
県は、2002年から始まる第4次県観光振興基本計画を策定中のようであります。基幹産業として位置づけて目標値を入域客数600万人にしようが700万人にしようが、ホテルや航空路線の受け入れ体制の充実、エコツーリズムなど滞在型プログラムを整備し、質と量の両面から強化しようとも沖縄に来てくれなければどうにもならないのです。
今回のキャンセルは、テクニックや手法で観光産業が成り立たない大きなネックが沖縄にはあるということが明らかになりました。米軍基地の危険なイメージが修学旅行や観光客のキャンセルを引き起こしたのであり、米軍基地の整理縮小が何よりも先に取り組まなければならないものであります。風評被害そのものは米軍基地の存在そのものが原因であってみれば、基地の整理縮小は観光産業の根幹にかかわるものであります。
旅行をキャンセルした高校生は、沖縄が危ないというのであれば、沖縄の人は危険ではないのか、本土による沖縄の使い捨てだと言ったのであります。我々は使い捨てられていいのですか。いかに安全を強調しても危険なイメージを払拭するだけの具体的なものがなければなりません。
政府は、自衛隊をインド洋へ海外派遣をいたしました。あくまでも憲法の枠内、抵触しないというが、これは憲法違反であり政府の詭弁であります。後方支援で戦闘行為のないところへ行くというが、戦争は後方あっての前方展開であって、区別することができるものではなく、相手にすれば日本の参戦であると受けとめるのは当然であります。
在日米軍基地の集中する沖縄にとって決してよそごとではありません。それは、米軍が最も厳しい警戒態勢をしき、おまけに米軍関連施設にテロの危険があるとの情報が寄せられたとのことで、警察庁は沖縄に機動隊を派遣いたしました。また、テロ事件を戦争として扱うことに疑問が呈されております。
今回起きたテロの犯人の行為は、「「戦争的」だが「犯罪」としてとらえるべきだ。戦争なら敵国人は非戦闘員であっても攻撃の的にしうるが、犯罪であるから犯人以外の者はどんなに犯人に近い人であっても、攻撃の対象にすることは許されない。これを認めれば、根拠のない連帯責任」であり、「正義の名の下に不正義を許容することになる。」、「罪のない人は一人たりとも道連れにしてはいけないという考えを基本にすべきだ。」と言っているのは、元検察庁検事であります。
アメリカと一緒になって軍事行動をすることが決して問題解決になるものではなく、かえって報復の危険が懸念されるものです。この際、沖縄県知事として海外派遣の危険性を訴えるべきではないかと考えるものであります。
そこでお聞きいたします。
知事の任期もあと1年を残すのみです。沖縄の政治状況に対する3年間の所感をお聞かせください。
自衛隊がインド洋向け出動されたが、米軍と一体となった軍事行動は集団的自衛権の行使となるが、沖縄県知事の立場から所見を伺います。
アメリカでのテロ事件後、観光客のキャンセルが相次いだことの要因は何だと考えておられるか。
次に、基地問題についてお聞きします。
普天間飛行場移設との関連でお伺いいたします。
SACO合意によって普天間飛行場移設問題が具体化いたしましたが、国会の議論やSACO合意に深くかかわった元米国防総省日本部長は代替施設について、移転のため埋め立ては許されないという前提で作業した、SACO合意に反するからだと発言されました。政府系シンクタンク報告もSACO合意に疑問を投げかけたと報道されております。
県が政府と、政府はアメリカ政府との合意をもとにSACO合意に反するものではないと強弁されております。当事者の米軍は、普天間であろうが海上ヘリポートであろうが、埋め立て方式であろうが、これまでの基地機能が保証されればどこでもいいわけであります。しかし、沖縄県民にとっては基地のあり方がどうあらねばならないかとの視点で、SACOであれ政府の要望であれ見直さなければならないのであります。
15年使用期限についても、当のアメリカ政府は受け入れないと終始一貫しております。相手が受け入れないことを県と日本政府で合意して何の意味がありますか。
辺野古地元の軍民共用の反応でありますが、県も泡を食ったようでありますね。そもそも地元の望まぬ振興策をおためごかしに進めるものだから泡を食うのではありませんか。おためごかしというのも、あなたのためですよと恩着せがましく押しつけて、実はおのれの都合のためにすることだから許せないのであります。
以前から本議会でも指摘されてきたことです。軍民共用が財産になるという具体的な市場調査もなしに手前勝手の論議であります。地域に軍民共用の振興策を押しつけて地域の活性化だという。みずから望まぬ押しつけられた、与えられた事業で活性化に成功した例がありますか。地元は民間空港は要らないと言っているのであります。常識的に見ても市場性、需給のバランスに率直に疑問を持つのは当然であります。振興策をちらつかせて納得させようとする手法は、基地建設のためのなりふり構わぬ県、政府の姿ではありませんか。
1998年4月の月刊誌に元航空自衛隊南西航空混成団の元司令官が海上基地に疑問を呈しています。海上ヘリポートでは訓練終了後、毎回機体洗浄があり、それには1回1機当たり4トンの真水が必要である。単純計算で1回の訓練で500トンの真水が消費される。沖縄の水事情からして新たな水騒動が起きる懸念があるが、当局はこの指摘を承知のことなのか。
今回起きた観光客キャンセルの最大の要因は米軍基地の存在であります。旅行業界も米軍基地の集中配備されていることに起因していることとアピールしております。今回の事件からして米軍基地と観光産業の共存はあり得ないことが明らかであります。辺野古への移設が新たな基地機能の強化と新たな基地建設であることも明確です。地域で今、論議されていることを含めて質問をいたします。
SACOに反するという批判についての所見をお聞きいたします。
15年使用期限について、知事は着工までに何らの進展なしに進むことはあり得ないと考えておられるということを答弁しておりますが、どのようなことを想定されているのか、お聞かせいただきたい。
軍民共用の地元反応についてお聞きをいたします。
海上基地での、先ほど指摘したけれども、機体洗浄についてお聞きをいたします。
位置選定について、どの時期に場所決定するのか。あるいはまた工法についてお聞きをいたします。
新たな基地建設は時代錯誤であり、自立経済と相反するものと思いますが、どう考えますか。
次に、ポスト3次振計についてお伺いいたします。
新沖縄振興計画を論議した際、我が会派の友寄信助議員の――全員協議会のときのことです――沖縄経済での自立化を目指す沖縄の将来像を明確に位置づけるためにも、基地アクションプログラムのような基地の計画的返還を示す方針を策定する考えはないかとただしましたが、日米安保を盾に基地の提供責任は政府にあって、県が独自に米軍基地の返還アクションプログラムを示すことはできないとのことであります。
今回の観光キャンセルが示すように、広大な米軍基地が危険地帯のイメージが大きな要因であることは明らかであり、沖縄の将来に対する展望を持つためにも基地問題がネックであることは言うまでもない。知事も整理縮小が必要であると考えているようですが、必要というのであれば沖縄の自立を言う場合、政府の都合に合わせて物を言うのではなく、県民の立場から基地問題に取り組むことではありませんか。
本土他府県といまだに格差が歴然とある中で、あえて本土との格差是正を取り下げました。知事は、後追いの論理を超え、21世紀初頭の沖縄の可能性をみずから切り開いていく前向きな新たな目標を設定することだと言います。言葉はよろしいのでありますが、肝心なところでは不利性が大きく、特性を発揮するにはいまだにその見通しもないのではありませんか。沖縄の置かれた現状からして物事を見るべきではないか。県民の目からは、どうせ目標を掲げても達成は無理だから格差是正はおろしたのではないかとの声もあります。歴然たる格差を言葉であやをつけてはいけない、現実から出発すべきであります。
そこでお伺いいたします。
新法、新振計の柱となる特別税制の見通しについてお聞かせください。
県要望の達成度はどうか。この達成度とは当初、県で検討された項目と実際に要望した項目との違い、6月13日の全体会議での質問を参考に質問をいたしておりますので、そのことを踏まえて答弁をお願いします。
基地の跡地利用が大きな課題だが、振計でどう取り組むのか。
基地の整理縮小がどのような手続で進められるのか、お聞かせください。
次に、雇用失業問題についてお聞きします。
9月の失業率が9.4%、10月の失業率が9.3%と0.1%減少いたしました。テロ事件のあおりで10月の失業率は懸念されました。ところが、0.1%のマイナスということでありますが、これも数字のマジックでしかないと思います。日々のマスコミ等の報道は、連日厳しい現場からの声があります。緊急地域雇用創出特別交付金など当面の対策も重要でありますが、雇用と失業は相関関係であり、雇用を創出するための対策が取り組まれなければならないのであります。
さて、11月22日、琉球新報は「失業問題データ不足怒る」との見出しで衆議院沖縄特別委員会で、本県の失業率問題で雇用のミスマッチ部分にデータがない、それは沖縄県が分析していないからだということです。委員会ではデータがなくてどうして失業対策をするのかと指摘されておりますが、現状はどうなのか、お聞かせいただきたい。
そこでお聞きいたします。
緊急対策と中長期的産業政策にどう取り組まれるのか、お聞かせください。
失業率問題でのミスマッチのデータの実情について説明をいただきたいと思います。
次に、嘉手納ラプコンについてお伺いいたします。
嘉手納ラプコンの管理権の返還問題についてお伺いをいたしますが、2000年2月定例会での答弁を参考にしてお聞きをいたします。
当時の河野外務大臣とオルブライト米国務長官との間で、日米間で協議をするということでありましたが、県も日米間に働きかけていくということでございましたが、その後の進展ぐあいについてお聞かせいただきたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 兼城賢次議員の御質問にお答えいたします。
最初は知事の政治姿勢について、沖縄の政治状況に対する3年間の所感を聞きたいとのお答えでございます。
私は、これまで県民の視点に立って沖縄の自立的な発展を目指し、経済振興策の強化や基地問題の解決、政府との信頼関係の強化等を基本施策として掲げ、公約の実現と県民福祉の向上のため誠心誠意取り組んでまいりました。
幸い、県民の皆様を初め国、県議会、県内外の各界各層の方々の多大な御支援、御協力を賜り公約の大半を実現または着手することができました。
しかしながら、本県は経済の自立化や広大な米軍基地の存在など今なお解決しなければならない多くの課題を抱えております。特に今年度は、新しい時代を見据えた沖縄振興新計画の策定及び沖縄振興新法の制定や基地問題等の解決に向けた重要な時期であります。私としては、残された課題を解決し県民が夢と希望を持ち喜びを実感できる沖縄を築くため、全力で県政運営に当たってまいりたいと考えております。
次に、知事の政治姿勢について、自衛隊がインド洋に向け出動したことは米軍と一体となった軍事行動であり集団的自衛権の行使となるが、知事の立場からの所見を聞きたいとのお答えでございます。
県としては、9月11日に発生したテロ事件は多くの人命を奪い、世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、決して許すことはできないと考えております。
国会においても、我が国が国際的なテロの防止・根絶のため、我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保のための国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に参加する必要があるとの立場から、テロ対策特措法等の必要性を考慮し、同法案等を可決したものと認識しております。
政府においては、同法に基づく協力支援活動を行うため、現在、自衛隊をインド洋に向け出動させておりますが、当該自衛隊の協力支援活動の計画は、去る11月30日に国会において憲法上認められる範囲内での行動として承認されたものと理解しております。
次に、基地問題について、15年使用期限について、着工までに何らの進展なしに進むことはあり得ないと言うが、どのようなことを想定しているのかとの御質問にお答えします。
普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。15年使用期限問題の解決については、県が移設に当たって整備すべき条件とし、また名護市が受け入れ条件としていることから、閣議決定された政府基本方針にも示されているように、政府においてしっかり受けとめられていると考えております。このため、県としては、着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないと考えており、引き続き政府に対しその解決を粘り強く求めていきたいと考えております。
続いて基地問題について、新たな基地建設は時代錯誤であり自立経済と相反するものではないかについてお答えします。
普天間飛行場返還問題については、市街地の中心部にあり、市民生活に深刻な影響を与えていることから、その早期返還を県政の重要課題として取り組んできました。県としては、県、地元市町村の要請に基づき日米両国政府が精力的に協議を行い、合意に達したSACOの合意事案を着実に実施し、実現可能なものから一つ一つ解決していくことが基地の整理縮小を促進する現実的で実現可能な方法であると認識しております。
代替施設を軍民共用とすることについては、基地の固定化や米軍専用施設に対する県民感情への配慮から15年の使用期限を設け、さらに新たな基地負担を担う移設先及びその周辺地域の振興開発を図る施策として飛行場機能を活用するとの観点から軍民共用を公約として掲げ県民の支持を得たものであります。県としては、同飛行場の機能を生かした移設先の地域振興に全力を注ぐことにより、雇用機会の確保や産業の振興を図るなど地域経済発展の新たな拠点を形成し、北部地域の発展につなげていきたいと考えております。
続きましてポスト3次振計について、基地の整理縮小がどのような手続で進められるのかということのお答えでございます。
沖縄振興新計画の県案においては、県民の総意である米軍基地の整理縮小の推進を位置づけるとともに、都市計画や産業振興の推進など経済の自立化に向けた振興開発を図るため、返還された米軍基地跡地の有効利用について、県土構造の再編の観点から位置づけを行っております。県としては、新振計の中においてもSACO合意事案の着実な実施により計画的、段階的に基地の整理縮小を図ることがより重要であると考えており、引き続きその実現に向けて地元の意向を踏まえ、国と連携を図りながら取り組んでいきたいと考えております。
また、SACO合意事案以外についてもさらなる米軍基地の段階的な整理縮小に取り組んでいきたいと考えております。
なお、本県に所在する米軍基地の整理縮小については、日米両政府間で国際情勢を勘案しつつ協議検討がなされるものであることから、その時期及び手続等を新振計の中で論ずることは困難であると考えております。
次に、雇用失業問題について、緊急対策と中長期的産業政策にどう取り組むかについてお答えいたします。
本県の10月の完全失業率は9.3%と、9月の9.4%に引き続き厳しい状況にあります。また、同時多発テロ事件に伴う観光関連産業における雇用面の影響も懸念されることから、今後の雇用状況も予断を許さないものと考えております。県としては、現下の雇用・経済状況への適切な対応を当面の最大の課題と位置づけ、去る11月21日に「沖縄県緊急雇用対策本部」を開催し、本年度中に実施する緊急対策と次年度以降取り組む中長期的対策を内容とする「沖縄県総合雇用対策」を策定したところであります。
今年度中に実施する緊急対策としては、経営と雇用に関する緊急制度説明会の開催、総合相談窓口となる「労働110番」の設置、民間職業紹介機関と連携した企業説明会の開催、求人企業を活用した職業訓練の実施、関係機関が連携して経済・雇用問題に取り組むための「緊急経済・雇用問題関係機関等連絡会議」の開催等を既に実現しております。また、今後求人規模の大きい産業分野を対象とした企業説明会や公共職業訓練の修了者等を対象とした合同面接会等を開催する予定であります。
さらに今回、国の特段の配慮により全国枠3500億円の2%に相当する70億円の配分を受けた「緊急地域雇用創出特別交付金」についてもこれを最大限に活用し、当面の雇用の確保に全力で当たりたいと考えております。そのため、観光関連の事業を中心に12月補正予算にも交付金事業を計上しているところであり、予算成立後速やかに実施してまいります。
中期的対策としては、賃貸工場や高速・大容量通信回線の利用環境等の整備により企業誘致等を推進するとともに、創造的企業支援事業、ベンチャー投資事業及びオキナワ型産業支援事業等を実施して新事業やベンチャー企業の創出を図ってまいります。また、経営革新支援事業や沖縄産学官共同研究推進事業等を実施して既存製造業の振興を図ってまいります。
これらの施策等の展開により産業振興と一体となった雇用の創出を図ってまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 知事の政治姿勢についての中の、テロ事件後観光客のキャンセルが相次いだ要因は何かとの御質問にお答えします。
今回米国で発生した同時多発テロ事件の影響により航空機利用による旅行が控えられたことや、沖縄の米軍基地について一部マスコミ等の過剰な反応による不確定な情報や風評が広まったこと、さらに一部都道府県の教育委員会が沖縄への修学旅行に対して注意を促す文書を出したことなどがキャンセルの主な要因と考えております。
○知事公室長(親川盛一) 兼城賢次議員の基地問題についての5つの御質問に順次お答えをしたいと思います。
まず、現在の3工法8案はSACO合意に反するとの批判があるが、どう考えるか所見を聞きたいという御質問にお答えいたします。
県としては、SACO最終報告の基本的な考えである県内移設を着実に実施することが基地の整理縮小を行う現実的で実現可能な方法であると考えております。平成9年に示された海上ヘリポート基本案は、米軍の専用飛行場として建設され、米軍が使用しなくなれば撤去されることとなるため、地域の産業振興や振興開発につながらないことから、同案については反対したものであります。新たな普天間飛行場の代替施設は、民間航空機が就航できる軍民共用飛行場とし、将来にわたって地域及び県民の財産となり得るものでなければならないと考えており、3工法8案はそれぞれ県の要望に沿って軍民共用飛行場を念頭に示されたものであります。
次に、軍民共用について地元は否定的であるが、県の言う振興策は地元が要望したものではないのではないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
代替施設を軍民共用とすることは公約であり、普天間飛行場の移設に係る平成11年末の閣議決定やこれまでの代替施設協議会での協議など軍民共用を前提に行われたものであります。
県としては、現在の中南部一極集中から、北部圏域の定住人口の増加を目指した機能拡充を図ることが県土の均衡ある発展を図る上で重要であると考えております。軍民共用飛行場は、その実現を図るための基本インフラとして最も有用な施設であると考えており、同飛行場の機能を生かした移設先の地域振興に全力を注ぐことにより雇用機会の確保や産業の振興を図るなど地域経済発展の新たな拠点を形成し、北部地域の発展につなげていきたいと考えております。
次に、航空機訓練後の洗浄に多量の真水を使用するとしているが、多量の水消費による水不足の問題についての指摘を承知しているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
航空機訓練後の機体洗浄が必要であることについては承知しております。現在、代替施設協議会において基本計画策定に向けた具体的な作業が進められている段階であり、御指摘のことを含め事業者である国において検討がなされ、適切な対応がなされるものと考えております。
次に、位置選定についてどの時期に場所を決定するのかという御質問にお答えをいたします。
次回の協議会では、名護市からは地元住民の意見等の報告が行われ、また県からは名護市等地元の意見も踏まえた県の考え方を示すことになっております。これを受けて代替施設の規模、工法、具体的建設場所等について総合的、具体的な検討をさらに進め、その後に基本計画は策定されるものと考えております。基本計画の策定を受けて環境影響評価を国が実施するとともに、その間、米側による施設配置等のマスタープランの策定や民間機能も含めた施設配置等についての具体的な検討がなされた後に環境影響評価を踏まえ、最終的な位置、場所、規模等が決まってくるものと考えております。
次に、15年使用期限や名護市が求めている使用協定等これらを置き去りにしたまま工法等の基本計画策定に向けた作業だけが先行しているのは問題ではないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題については、基地の提供責任は日本政府にあることから、政府が責任を持って早期に解決すべきものと考えております。同問題について県はあらゆる機会に政府に求めてきたところであり、代替施設協議会においても政府に対して強く要望してきております。
15年使用期限問題については、県が移設に当たって整備すべき条件とし、また名護市が受け入れ条件としていることから、閣議決定された政府基本方針にも示されているように、政府においてしっかり受けとめられていると考えております。このため、県としては、着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないものと考えており、引き続き政府に対しその解決を粘り強く求めていきたいと考えております。
また、名護市が求めている使用協定等については、第7回代替施設協議会において名護市長から引き続き協議を重ねて早期に解決が図られるよう要望があり、県も基本計画策定とあわせて使用協定等の課題についても着実な進展が図られるよう要望したところであります。県としては、今後とも名護市と連携しながら実務者連絡調整会議において協議を重ねる中で、協定の内容についても決まってくるものと考えております。
次に、嘉手納ラプコンについての御質問にお答えをいたします。その内容は、管制権の返還問題はどう進められているのか聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
嘉手納ラプコンの返還については、平成12年3月16日に当時のコーエン国防長官が、米軍の運用上の所要が満たされることを前提に日本側へ返還に同意する旨発言されて以来、日米間で返還の早期実施に向けた協議が行われてきました。
具体的には、平成12年9月21日に日本側から航空管制官2名を嘉手納ラプコンへ派遣することが日米合同委員会へ報告され、これに基づき同年10月16日から11月15日までの間、運輸省──現在の国土交通省でありますが──の航空管制官が嘉手納ラプコンで研修を行っております。その後、本年4月に米側から米軍の運用上の所要が日本政府に提示され、現在その内容について国土交通省が検討を行っているところであり、今後日米両政府間でさらに協議が行われるとの説明を受けております。
なお、協議の内容については、基本的にはラプコンの日本側への返還後、日本側の管制官が米軍機の現在の運用を維持することを満たすために必要な管制上の技術的な内容であるとの説明を受けております。
いずれにいたしましても、嘉手納ラプコンの返還に向けた作業は着実に進展しているものと考えております。
以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) ポスト3次振計について、新法、新計画の柱となる特別税制の見通しについて、県要望の達成度はどうかの質問について一括してお答えいたします。
内閣府の新法骨子案には、沖縄振興新法の根幹をなす産業振興等のための税制として、観光振興税制や情報通信産業振興税制及び特別自由貿易地域制度等産業の総合的な振興のための税制が盛り込まれております。また、沖縄型重要産業分野の中小企業発展支援税制、金融業等の集積促進のための税制及びエネルギーの安定供給維持等のための税制等が盛り込まれるなど、内閣府案は県要望をほぼ踏まえた内容になっております。現在、年末の政府案取りまとめに向け税制の最後の詰めが行われているところでありますが、沖縄型特定免税店制度に係る消費税免税や航空機燃料税の軽減措置の本土─離島路線への拡充などハードルが極めて高い項目があり、県要望が100%達成できるかどうか微妙な状況にあります。このため、県としては、沖縄の自立的発展に必要な所要の措置が盛り込まれるよう県議会、経済団体、国会議員等と連携した取り組みを推進しているところであります。
次に、同じくポスト3次振計について、基地の跡地利用が大きな課題だが振計でどう取り組むのかについてお答えいたします。
基地の跡地利用については、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」の中で、「良好な生活環境の確保、産業の振興、健全な都市形成、交通体系の整備、自然環境の保全・再生等、本県の振興を図る上での貴重な空間であり、県土構造の再編を視野に入れた総合的かつ効率的な有効利用を図る。」こととしております。
本年8月に内閣府原案として示された「沖縄振興特別措置法(仮称)の検討の基本方向」の中で、駐留軍用地跡地の利用の促進及び円滑化のための特別措置が位置づけられております。今後、同法に基づき国において策定される沖縄振興計画(仮称)においては、「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」の内容が十分反映されるよう県として取り組んでいきたいと考えております。
○商工労働部長(花城順孝) 雇用失業問題についての、ミスマッチのデータの実情についての御質問にお答えします。
完全失業率が高い水準で推移している要因の1つに、求人側と求職者側のいわゆるミスマッチがあることが指摘されております。ミスマッチの内容としては、企業が求める人材についての技術・技能上のミスマッチ、求人側と求職者側との地域、職種、年齢等のミスマッチがあると考えております。
公共職業安定所の「職業別常用職業紹介状況報告」によりますと、建築・土木技術者や情報処理技術者等の専門的・技術的職業は、求人倍率が0.7倍と比較的高い求人状況に対して、事務的職業は求人倍率が0.28倍と少ない求人に対して多くの求職者が希望している状況であります。
また、財団法人雇用開発推進機構が実施した沖縄県内の7大学学生の意識調査によりますと、県内学生の就職希望先は公務員、教員が60%を占め、就職希望地も県内が62%となっており、新規学卒者に対する県外からの求人を十分活用できない状況であります。
こうした状況を改善していくため、公共職業能力開発施設におけるカリキュラムの充実や求人のある企業の現場における職業訓練の実施、若年者を対象としたIT関連の訓練の実施等技術・技能のミスマッチの解消に取り組んでおります。また、高校生、大学生等の職業意識の高揚を図るため、県外企業における体験実習やインターンシップ等を実施しております。
なお、今後、より緻密なミスマッチ対策を講じていくためには、公共職業安定所に提出された求人のうち未充足となっている求人票をもとに具体的な分析を積み上げることが必要であると考えており、公共職業安定所における調査・分析等について沖縄労働局と調整してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○兼城 賢次 知事の政治姿勢の中でお聞きしました所感を受けたんですが、公約の大半を着手して解決をしたということでありますが、知事はかつて公約の90%は達成してきたという報道の面もございましたが、どうも今回はかなり控え目でございますけれども、ただ私どもが指摘したいのは、最も沖縄の政策課題である基地問題が手つかずでこの3カ年間来たということについて私どもは指摘をしておきたいと思っております。
また、かつて県政不況ということで「経済の稲嶺」を強調したわけですけれども、知事が県政不況についてどういうぐあいに説明したかというと、前県政において多くの沖縄振興政策が停滞していたことや、県のそれまでの産業振興策に対する取り組みが不十分であったことを指摘したまでだと言っておりました。知事と政府の関係でそのことが解消されましたが、しかしなお9月の9.4%、10月の9.3%の失業率は、これはやはり稲嶺不況と言わざるを得ませんでしょうと、そう受けとめた方がいいんではないかということを申し上げているわけです。
次に、テロの報復、これは確かにテロというのは許されるべきことではないけれども、先ほども指摘しましたように、これは決して戦争ではないんだと。犯罪ではあるけれども、戦争ではないのにこういう空爆をすることによってこれはまた日本の集団自衛権という形でやっていくと。そうすることによって沖縄が報復を受ける一番危険な地帯であるから、それについて県民の立場からこういう報復に対しては反対すべきではないかということを申し上げているんですが、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
それから、今、沖縄の大きな問題になっております観光客キャンセルのことについてですけれども、局長は、その飛行機の問題やあるいは基地の問題がマスコミによって過剰に反応したからこういう結果になったということを言っているけれども、こういうような認識だというと基本的な沖縄の今の観光キャンセル問題は解決されませんよと申し上げたいと思います。
特に申し上げたいのは、今の観光キャンセルで苦境に陥っているホテル業界のことを本当に真剣に受けとめておりますか。そういうことを皆さん方が本当に切実に考えているんだったならば、今おっしゃっているようなことで事を済ませるわけにはいかないと思うんです。
特に知事に申し上げたいんですが、知事自身が観光キャンセルの苦境を訴えるために上京した日が11月7日でございます。首相との会談で観光支援を求めたけれども基地問題には一切触れなかったと、沖縄タイムスは報じておりますけれども、これは事実ですか。こういうことが事実であるということであれば、本当にこの基地問題に触れることなく何事もなかったかのように対応するのであれば、これはもう沖縄の今の状況というのは解決されませんよということを申し上げたいのです。
というのも、この10月10日にホテル業界は知事に陳情していますね。陳情は、今までにかつてない経営危機に直面していること、キャンセルは全国の75%の軍事基地が集中する沖縄への不安から生じたもので、これこそ最大の災害だと、国の責任において災害補償を講じるよう国に要求してほしいと、このようなことで知事に要請をしております。こういうことを業者が要請したにもかかわらず、要因をちゃんとしないで被害をこうむっている人たちの支援あるいは対策が打てるわけないでしょう。
そういうことでちゃんと事を整理してやらなければ本当の対応ができませんよということを申し上げておきたいと思います。
それとまた、観光キャンセルが相次いだことの要因に国家公安委員長が、米軍関連施設にテロの危険があるとのことで機動隊を派遣したと。ところが、在沖米軍のグレグソン四軍調整官は、沖縄は安全で具体的なテロの脅威はないと言っている。知事、この両トップの発言ですが、知事はどう判断されるか、お答えください。
次に、基地問題ですが、建設条件である15年使用問題が何らの見通しも立たないのに工法や建設位置、場所が先行していくと。しかも私はSACOそのものには基本的には反対ですけれども、あえてSACOを条件とするにしても、これを今、にしきの御旗にして知事が着実に実践していくということを言っているけれども、ところがこのSACO自体の今のSACOの内容が最初の合意されたものとはかなり違ってきているんじゃないかと。それをあえてにしきの御旗にするということは大きな間違いではないかということを申し上げているわけです。
先日、軍民共用に疑問が呈された。そのときにこの軍民共用に疑問が出たことに、内閣府の政策統括官が軍民共用への県の取り組みの弱さに業を煮やして来県したという報道がありますけれども、知事、それは事実ですか。
それから機体洗浄の件は、これはこれから海浜地域というのは国際自然保護団体からも大変憂慮されて保護が要請されております。県の「自然環境の保全に関する指針」においても残すべき第一の場所だという指摘がありますけれども、先ほど申し上げたように、これだけでも飛行場をつくるということだけで環境破壊はかなりはっきりしているわけですから、これについてもっとしかるべき対応をすべきだということを申し上げたいと思います。
それから、新たな基地建設は時代錯誤だというのは、基幹産業として位置づけられ、最も期待されている観光産業が大きなダメージを受けたことで小手先のごまかしではもう立て直しが難しいと、そういうことがわかったと思います。あいまいな形で取り組むことなく、抜本的な取り組みをしなければ自立経済も一歩も進まさない、そういうことで対応を明確にすべきと考えるのです。それについても御見解を賜りたいと思います。
それから、ポスト3次振計についてはいろいろと申されておりましたけれども、当初の要望項目が削除された部分があったと、これは全員協議会でも指摘されておりました。しかし我々が指摘申し上げるのは、沖縄振興の大事な項目ではなかったのかと、これがあってもなくてもよかったようなものではなかったはずだが、そういう形でその補完がどうなっているかということを聞いているわけでございます。一国二制度的な特別優遇税制が実施されなければ、振計のこれから目的の実施が難しくなるだろうと思いますが、そしてまたこれは自立経済も困難なものになると理解していいのかどうか。今、優遇税制が議論されておりますけれども、この優遇税制がもし沖縄の要望に従わないような、沿わないような形で決着したときに、今、振計を県は政府に要望しておりますけれども、これはこれが実現されなければその振計は自立経済も困難なものだと理解していいかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
それから雇用失業問題についてですが、たくさんの今緊急対策をいたしておりますけれども、しかしこれまでの緊急対策というのが繰り返し繰り返し同じような緊急対策で進んでまいりました。
これから私が申し上げたいのは、オキナワ型産業に対するこれまで以上の対策等既存の産業あるいは能力訓練校のような学校を整備充実して進めることが最も効果的なものではないかなと、実際に現場に行ってそう私は実感をしております。 そういう訓練校やあるいは既存の沖縄の産業に対するこれまでに対する以上の取り組みが必要だと。
といいますのは、現場での会社の社長やあるいは訓練校の実際に携わっている方からすれば、新しいベンチャー企業には飛びつくけれども、そういうもともとあるような企業に対してはなかなか冷たいという批判もありますので、このことについてもひとつお聞かせいただきたいと思います。
嘉手納ラプコンですが、以前から同じことで取り組まれております。しかし、これは暫定措置として29年間続いてきているわけですけれども、同じような形で取り組んでいます、取り組んでいますという形でやられてきました。聞くたびに同じような答えなんですよ。やはり日米で話し合っております、そして今取り組んでおりますと。しかし、実際に今おっしゃっていることを取り組んでいるのであれば、これまでの暫定措置というものについても決着がついているはずですけれども、また同じような答弁をなされている。
私はお聞きしますが、じゃ期限を切って、これはやはりこういう沖縄の空の問題について、ラプコンについてはやるべきじゃないかという沖縄の立場から取り組むべきだと思いますが、どうなんですか。とにかく政府任せの今の日米政府でやっていますということですけれども、沖縄のやはり県の立場からこれはやるべきだということをぜひ申し上げたいと。
○高江洲義政 議長、休憩お願いします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後5時18分休憩
午後5時25分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 兼城議員の再質問にお答えをいたします。
関連があるということでインド洋に向けた軍事行動についての所見を再度聞きたいとおっしゃっておりますので、それについて再度お答えいたします。
県としては、9月11日に発生したテロ事件は多くの人命を奪い、世界の平和を脅かす極めて卑劣な行為であり、決して許すことはできないと考えています。
国会においても、我が国が国際的なテロの防止・根絶のため、我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保のための国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に参加する必要があるとの立場から、テロ対策特措法等の必要性を考慮し、同法案等を可決したものと認識しております。
政府においては、同法に基づく協力支援活動を行うため、現在、自衛隊をインド洋に向け出動させておりますが、当該自衛隊の協力支援活動の計画は、去る11月30日に国会において憲法上認められる範囲内での行動として承認されたものと理解しております。
○副知事(牧野浩隆) 兼城県議の雇用問題に対する質問に対してお答えしたいと思います。
確かに沖縄におきます雇用問題というのは、県経済の課題の中でも大きな問題でございますので、問題のまず正しい認識から進めていきたいと思います。
例えば1990年、これはたまたま知事選があったときの失業率は3.9%でございました。次の知事選の1994年の失業率が5.1%、前回の知事選の失業率が先ほど県政不況という言葉がありましたように9.3%でございます。現在の失業率が例えば9月の場合には9.3%で横ばいで、前の8年間というのは失業率が3.9%から9.3%に上がって、3倍ぐらい上がっている。今、確かに9.3%で厳しいんですけれども、失業率の悪化を我々はストップさせているという、数字的にはこれを御理解いただきたいと思います。
もう一つ、2つ目の数字でございますけれども、1990年の県内における労働力人口が56万1000人、98年、前回の選挙のときの労働力人口が60万8000人、現在、2000年の一番新しいものですけれども、労働力人口が62万9000人、そのうち99年の就業者数が53万9000人、98年の就業者数が56万1000人、現在の2000年の就業者数が57万9000人。これはどういうことかといいますと、前県政のときの8年間の労働力人口がふえたのが4万7000人ふえています。しかし、そのうち県内で就職した就業者数は2万2000人しかふえていません。労働力人口が4万7000人ふえて、就業者数は2万2000人しかふえていませんから、解決した比率は46.8%です。労働力人口がふえたのに、半分にさえ雇用の場を与えなかったという数字です。
一方、この2年間、労働力人口は2万1000人ふえました。しかしながら就業者数は1万8000人ふえています。吸収したのは85.7%。そういう状況であるのをまず事実関係として、流れとして、傾向として御理解いただきたいと思います。
問題認識でございますけれども、県内の雇用問題というのは県外の就職に大きく依存しております。 例えば10年ほど前、1万人余の県外就職がありました。しかしながらバブル崩壊後、県外就職がどんどんどんどん減ってきているわけです。そういうことは厳しく認識して、県外就職が減った分は県内でどう雇用の場をつくっていくかという問題意識を持たなければいけないわけです。ところが前半の場合は、県外就職が非常に大きかったから県内における雇用問題はそれほど表面化せずに問題化することはなかったわけです。そういう認識をしていただきたいと思います。
しかしながら、県外就職が1万四、五千人のころから、昨今では6000人ぐらいに減っていますけれども、県外就職が減ったということは、これに対して県内でどのように受け入れ体制をとる、その政策をとるかが一番問われているわけです。ですから、前半は県外就職の好況さに依存していたという状況があるかと思います。そういう面から見ますと、我々がやっていますのは批判されていますけれども、決してそうではなくて、あれだけやったのを我々はこの2年間のものというのは、先ほどお話しましたように、労働力人口がふえたものの86%も対策をとってきたという事実でございます。そのためにやったのがどういうものであるかということは、先ほど商工労働部長からありましたように、産業振興の中でも情報通信関係などは40数社で3000人近いというようないろんな意味でやっているというのは、そういう一切政策をやっているということを御理解いただきたいと思います。
もちろん、現在の9.3%というのも高い失業率でございますから、我々は雇用問題の本当の意味の解決は県内における産業振興でございます。そういう意味で産業振興のための新たな振興策の考え方としまして、県内における地元企業の産業振興と同時に県外からの企業誘致にも一生懸命努めていこう、そのための税制上の問題、一国二制度の問題、いろんなものを動かしながら、実現しながら対策をとっていますので、そのあたりを御理解いただきたいと思います。
○商工労働部長(花城順孝) 再質問の中で、雇用の創出のためには中小企業等既存産業の振興と職業訓練校等の充実が必要ではないかと、こういう御質問であったと思います。
中小企業等既存産業の振興につきましては、先ほど知事が答弁しましたように、11月21日に決定した「沖縄県総合雇用対策」の中で中期対策として掲げている項目が幾つかございます。それを紹介申し上げると、1つは、「経営革新支援事業の実施」。これは既存の産業で積極的に経営革新を図っていこうという企業に対して傾斜的に支援をしていくと、こういう制度でございます。これを積極的に実施をすると。
それから、「創造的企業支援事業の実施」。これもやはり既存産業で新たな新商品、新たなサービス、そういったものを生み出していこうという創造的企業に対しては重点的に支援をしていくと。そのことによって雇用の創出を図っていくということが1点でございます。
さらに、「沖縄産学官共同研究推進事業」というものが今年度国の補正でスタートしますが、これについても産学官の共同研究をもっと重点的に促進することで事業の展開、拡大を図って雇用を創出していこうということでございます。
さらに、「オキナワ型産業支援事業の実施」。これは次期振計の大きなテーマになっておりますが、県内の既存産業で非常に成長性の高い、可能性の高い部分については、これについても重点的な企業支援、財政支援あるいは税制上の支援を図っていこうということを考えております。
加えまして、訓練校の充実につきましては、御指摘のように時代のニーズに合わせたカリキュラムの再編といいますか、そういうことを含めた充実に今努めているところでございます。
以上でございます。
○知事公室長(親川盛一) 兼城賢次議員の再質問にお答えをしていきたいと思います。
まず、基地問題でございますが、軍民共用に関する県の取り組みを心配して内閣府の政策統括官が来県したというのは事実かという趣旨の御質問だったと思いますが、お答えをいたします。
軍民共用の県の取り組みの件で来県したということは聞いておりません。
それから、航空機の機体洗浄に当たって環境破壊につながると思うんだが、そこら辺はどのように検討されているかという趣旨の御質問にお答えをいたします。
現在、代替施設協議会において基本計画策定に向けた具体的な作業が進められている段階でありまして、御指摘の件につきましては、事業者である国において検討が進められると思いますし、適切な対応がなされるものと考えております。県としても、十分そこら辺を踏まえて今後対応していきたいとこのように考えております。
それから、嘉手納ラプコンについては、これは暫定措置となっていたんだがどうかということと、それから期限を切ってやるべきではないのか、沖縄の立場でやるべきであると思うんだがどうかという趣旨の御質問にお答えをいたします。
嘉手納ラプコンにつきましては、確かに議員御指摘のとおりこれは当分の措置という形で日本側への移管が済むまでの間、そういう形でなっておりますが、それは県民の要望にこたえまして米側も日本側に移管すべく日米合同委員会で合意をして、国土交通省の職員が研修に当たって現実にこれを移管すべく努力をしているわけでございます。したがいまして、これは日米合同委員会の合意に基づいて早急に今返還すべく努力をしている段階であり、いつまでにということは今の段階で申し上げられない状況でございます。
しかしながら、これは移管に伴っての技術的な詰めをしている段階でありますので、県としては早急に返還すべくまた国とも調整をしていきたいとこのように考えております。
○企画開発部長(与儀朝栄) 再質問、多分2題だったと思いますけれども、まず1点目は、沖縄振興新法の特別税制の要望に関して6月時点で削除したもので一国二制度的なものもあったのではないかということについてお答えいたします。
新法制定に向けての必要な特別税制は、県議会からの要望等も踏まえ、すべて国に要望をしております。
それから、2点目の現在の国の対応で厳しい税制があるが、これが削除されたら自立型経済は成り立たないのではないかという質問に対してお答えいたします。
先ほど申し上げましたように、県の要望に対する内閣府原案は、県要望をほぼ踏まえた内容となっております。ただ、年末の政府取りまとめに向け現在詰めをやっているところですけれども、その中で沖縄型特定免税店制度に係る消費税免税あるいは航空機燃料税の軽減措置の本土─離島路線への拡充など、まだ必ずしも十分こたえられてないところも出ておりますけれども、いずれにしましてもほとんど税制的な要望を満たしておりますので、自立型経済に向けた税制はほぼ満たされているものと見ております。
以上です。
○兼城 賢次 ちょっと休憩してください。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後5時39分休憩
午後5時45分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
知事公室長。
〔知事公室長 親川盛一君登壇〕
○知事公室長(親川盛一) 兼城賢次議員の再質問の中の四軍調整官の言ったことと、それから国家公安委員長の言ったことについて県の考え方を聞きたいということでございますけれども、この件についての新聞報道等については承知しておりますけれども、事実関係がまだ十分把握しておりませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後5時46分休憩
午後5時47分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
以上で本日の代表質問は終わりました。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明7日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後5時47分散会