○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた公安委員会委員長比嘉良雄君は、別用務のため本日、明日、24日及び26日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日及び26日の会議に公安委員会委員湖城英知君、明日及び24日の会議に同尚弘子君の出席を求めました。
――――――――――――――
○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
糸数慶子君。
〔糸数慶子君登壇〕
○糸数 慶子 おはようございます。
代表質問に入ります前に、昨夜大変ショッキングな報道がありました。児童生徒の人権を守り、教育を通して生きる喜びを生徒に指導するはずの教師が、事もあろうに児童買春禁止法違反の容疑で逮捕されました。子供を持つ親の一人として言葉がございません。教育長はこのことにどう対応され、緊急な対策をこれからどうなさるおつもりか。そして事実関係についてぜひ県警本部長の御意見をお伺いいたします。
それでは、社大党・結の会連合を代表して通告に従い所感を述べつつ順次質問を行います。
最初に、知事の政治姿勢について。
まず、復帰30周年記念式典についてお尋ねいたします。
社大党は、72年の復帰以前には「復帰政党」と呼ばれ、復帰後は県民が熱望した真の復帰を実現するために沖縄の地域政党として沖縄の平和と自立のための活動を中心に存続してまいりました。それだけに復帰10年目、20年目という節目の年にはそれなりの感慨を持って迎えてきたのですが、この30年の節目は初の政府との共催式典ということもあり、過去の節目の年よりも一層の危惧の念を抱きつつ注目してまいりました。復帰運動を主体的に取り組んできた政党としての自負から記念式典の意義づけ、持ち方などに疑問を持ちながらも県民の代表として出席いたしました。
しかし、予想どおり有事法制論議のもと、ベーカー駐日大使発言に代表される米軍基地賛美に満ちた内容になり、内外に反響を巻き起こし県民の怒りを招く結果になったことは許しがたい思いがいたしました。
私は、式典当日はフランスに滞在しておりまして参加しておりませんが、伝えられる反響の大きさには暗たんたる気持ちになりました。さすがに稲嶺知事も大使発言に不快の念を示されたことが報道されましたが、改めて共催式典の反響をどう感じておられるか。
また、式典や祝賀会の案内基準はどうなっていたのか、共催式典への知事の率直な評価、そして今後の対応策についてお伺いいたします。
次に、有事法制と沖縄についてお尋ねいたします。
この有事法制に関して翁長那覇市長が実に興味深い発言をしています。それは、「普天間飛行場代替基地の15年使用期限問題は、初めて沖縄側が「基地を預かりましょう」と主体的に示したものだ。それを「将来の情勢が読めないから米国には言えない」という政府に、有事や住民の人権に対する哲学があるのか。それがないまま法整備を急ぐ姿は情けない。」と痛烈に政府を批判しています。
それに比べると、知事は、有事法制論議の中で沖縄の米軍基地問題も取り上げられるのなら結構という姿勢に終始しています。知事の姿勢は、翁長市長に代表される県内の保守系首長や保守系議員が主導する市町村議会の大勢とも大きな隔たりがあるように思いますが、有事法制に対する県内世論をどう受けとめておられるのか、知事の所見を伺いたい。
知事の政治姿勢の最後に、新振計についてお尋ねいたします。
振計で懸案の旧日本軍飛行場用地問題の解決方向が戦後処理という形で明記されました。同問題では4つの地主会で協議会を構成し解決を模索してきましたが、原因は同じでも現状はそれぞれ異なります。県では、各地主会の目的達成のために戦後処理の名目でどのような解決方法を想定していますか。個別に、具体的にその実現のための方策をお伺いします。
新振計の県案策定の責任者で政府案決定に影響力のある審議会の委員でもある知事に、県案を後退させることなく政府案に対する決意表明を改めて伺います。
次に、米軍基地問題について。
海兵隊の海外移転の問題ですが、この問題では県が今度極めて重要な政策転換をしたのではないかと私は注目しております。今度の沖縄振興計画の県案の中では、「在沖米軍の移転を含む米軍施設・区域の整理・縮小に積極的に取り組む」と明文化されました。これは大きな政策転換です。
従来、県は普天間基地の代替施設でさえ県内移設を容認し、海外移転を主張しませんでした。また、国も読谷補助飛行場で行っていたパラシュート降下訓練を伊江島での実施という方法、104号線越えの実弾砲撃演習も国内5カ所の演習場に分散・移転しましたが、これも決して海外移転を口にしていませんでした。
しかも、10年単位の振興計画にはなじまないとされたものが、「積極的に取り組む」と明文化されたのですから大転換です。それも「在沖米軍の移転」ですから、海兵隊だけでなく4軍をターゲットに在沖の移転ともなれば、それはもう県外を含む海外しかないわけで、文字どおり画期的な大転換です。これは後ほど触れますが、下地衆議院議員の海外移転論と密接に絡むものであります。質問の通告の趣旨を踏まえて明確な御答弁をお願いいたします。
次に、地位協定の改正の問題は、政府、つまり外務省の動きが全く見えません。そこで、県が要求した項目について個別に進捗状況を説明していただきたい。
運用改善についてもどの項目がどの程度の運用改善がなされているのか、改善の程度についても御報告をお願いいたします。
基地問題の最後に普天間基地移設問題です。
なぜ、この問題は現在停滞しているか。知事公約の県内移設論と新振計や下地提言の海外移設論には相当の乖離があると思われますが、そうしたことが同問題の現在の停滞に関係しているのか。
なぜ、代替施設協議会は最近開催されていないのか。名護市長のオスプレイ拒否発言も影響しているのかどうか。その理由についても明快な御答弁をお願いいたします。
経済振興政策について。
今度の振興計画では、その基本方向で「民間主導の自立型経済の構築」が目標として掲げられています。「発展可能性の高い産業領域を戦略的に振興し、他の産業分野との連携を通じてその波及効果を高め、経済全体の活性化を図る。」となっており、中でも特別自由貿易地域や金融業務特別地区で企業立地等を促進するとなっております。
私は、この金融特区について、去る5月20日にアイルランドのダブリンでジェトロのダブリン事務所長のレクチャーを受ける機会がありました。過去のアイルランドは農業と観光に特化した島で、欧州でも経済の停滞した地域でしたが、80年代後半に企業誘致目的でダブリンに金融特区を設置して優遇措置で法人税を半分の10%に軽減。固定資産税も10年間は免除、利子及び配当への源泉税非課税、賃貸不動産賃料損金算入制度を導入したということです。これは明確な自立化戦略でした。この戦略が当たり、銀行、証券会社、資産運用会社等約1000社が大企業の資金調達運用の集中管理拠点やコールセンターを立地、1万6000人余の直接及び間接雇用を創出してアイルランドは見事に経済の自立化に成功いたしました。
このダブリンの金融特区の例に見るだけでなく、ほかの成功事例を学べば学ぶほど基地受け入れの見返りに渋々認められた名護市に導入予定の金融特区は、金融特区の名に値しないのではないかとさえ思います。要は、確固たる哲学と風土に根差した政策が肝心だと思うのですが、これが欠落しています。
そこでお尋ねいたします。
この金融特区制度の導入を前にこうした数々の批判や指摘をどう克服して沖縄の経済自立を達成するのか、県当局の具体的な施策をお伺いします。
金融特区の問題点として、今抱える課題と今後の展望をまず伺い、その後に具体的な課題として県内の雇用対策にプラスでも国際的な企業誘致にはマイナスに働くであろうと批判されている金融特区の立地企業の雇用条件についてその対応策をお伺いします。
さらに、政府が推進している特区構想の全国展開の動きが沖縄の自立化と特区構想にどのような影響を与えるのか。とりわけ特区の拡大が沖縄の比較優位性の消失につながらないか。また、政府の進める自立化政策の背景には財政再建と財源難の時代に対応した金のかからない経済活性化策との批判もありますが、軍事基地の県内移設の見返りに獲得した金融特区が、自立経済とは無縁な政府の安上がり政策の一環に陥らないための県当局の知恵と決意をお伺いします。
次に、観光振興策について。
カジノと観光戦略について。
カジノと安全コストですが、私は先月5月、沖縄振興特別委員会のメンバーの一人としてカジノの本場モナコを訪れ、政府の広報担当者からカジノの経営について説明を受ける機会がありました。
カジノについては、これまでラスベガス、マカオ、フィリピンと各地を回り見聞してまいりまして、実は今月初めにもラスベガスを視察をして帰ってきたところです。カジノは治安面が最大の課題ということですが、そこに内閣府のまずカジノの特区構想が沖縄でもありましたが、沖縄県でのカジノ特区導入は治安面への懸念が最大の課題として見送りになったのは至極当然だと言えます。
そこでお尋ねいたします。
カジノ導入に当たり安全コストをどのように考えているのか。また、これまで沖縄が掲げてきた観光戦略とカジノ導入施策は矛盾するのではないかと考えますが、御見解を伺います。
次に、沖縄観光の量的拡大から質的転換という問題についてお尋ねいたします。
県は、第4次県観光振興基本計画で2011年の入域観光客を650万人とする目標数値を挙げておりますが、復帰の時点で約40万人、そして現在では四百数十万人と30年で10倍にも拡大しておりますが、昨年の米同時多発テロ事件の際に露呈したように、量的拡大は沖縄観光の体質強化に必ずしも直結しないということが明確になりました。
沖縄観光関係者における9・11テロの最大の教訓は、量的拡大から質への転換ということだということで、これは主として観光産業における量から質へ転換するということですが、最近はエコツーリズムの視点から観光環境の面でも量から質への転換ということが切実な問題になってきております。今や観光の比較優位性に地域特性は欠かせません。
私は、モナコやニースに参りましたけれども、沖縄の青い空、青い海、それはモナコやニースにも決して負けておりません。世界に冠たる長寿県沖縄の食文化と健康食品、そして芸能の宝庫であり、文化環境が諸外国の観光客を魅了いたします。したがって、観光の将来展望はエコツーリズム、それから沖縄の文化、ウェルネスにこそあると私は確信しております。ひたすら量的拡大路線を走ってきたこれまでの本県の観光政策を見直す時期に来ています。
そこでお尋ねいたしますが、観光産業における量と質の問題についてどのように考えておりますか。観光環境における量と質の問題をどう認識していますか、御見解をお伺いいたします。
次に、環境・文化政策についてお尋ねいたします。
泡瀬干潟の埋立問題について。
今度は、この埋立計画に係る漁業補償の算定根拠が極めてずさんだったことが情報公開で明らかになりました。
報道によりますと、漁業補償の妥結額は約20億円ですが、当局の提示額が7億円、対する漁業組合の要求額が60億円です。つまり、最終妥結額は当初提示額の約3倍、要求額の3分の1であります。これでは当初の提示額や要求額の算定根拠がその合理性を疑われますし、最終の妥結額の算定には全く合理的な根拠がありません。
そこで改めて伺いますが、この漁業補償の算定根拠を説明していただきたい。この不透明な算定根拠に基づく埋立計画の上に立てられた土地利用計画の不当性について、今の時点でどのように考えますか。さらに、論議を呼んでいる移植実験等の現在の環境破壊についてどう考えていますか。県当局の御見解を伺います。
次に、大学院大学についてお尋ねいたします。
そもそも泡瀬干潟の埋立問題は、沖縄市の海に開かれたまちづくり、国際交流リゾート核の形成というところから始まっていますが、そのことを考えますと、いわゆる目的は沖縄市の東部海浜開発の活性化策になっております。であるならば、この東部海浜開発、沖縄市の泡瀬地区に大学院大学を建設する、これはいかがかと思います。
大学院大学の誘致には那覇市を初め各市町村からも手が上がっておりますが、沖縄市は「国際文化観光都市」と称し、響き触れ合う平和と交流のまちづくりを目標にした町であります。現に現在、外国人約20カ国の方々が住んでおります。それに、幸か不幸か極東一の米軍基地の存在は、外国人教授や職員及び関係者の子弟のための教育環境の対応も可能で、基地の平和利用という意味で県民のコンセンサスも得られるものと考えます。
基地の平和利用といえば、泡瀬通信施設を返還させ、その跡地に建設費が約1000億円、運営費が数百億円の大学院大学を建設するとなれば年間の土地代が5億円余り、雇用員たった数人の軍事基地とはその存在の意義と価値は比較になりません。
この泡瀬地区には、大学院大学の周囲に知的産業のクラスターを形成するのに抜群の環境がございます。沖縄市は、沖縄自動車道の存在で中北部のリゾート地や中南部の市街地への交通アクセスも便利であり、また旧シェラトンホテルやグランメールホテル等の大型遊休施設もあり、泡瀬ゴルフ場の返還も予定され、大学院大学の立地に関しても設立準備期間の施設確保や附帯施設の立地条件にも十分対応できる好条件が備わっていると思いますが、この大学院大学の立地の選定上、県は具体的にはどのような条件を提示し、また泡瀬通信施設を返還させ、その跡地に大学院大学を立地することについて稲嶺知事はどのように考えていますか、御見解を伺います。
6番目に福祉・医療行政について。
DV関連法案が成立し、「配偶者の暴力防止及び被害者の保護に関する法律」が制定されて、県の方では今度乙第5号議案に提示されておりますように関連条例を改正することにしておりますが、沖縄県の現状とニーズについて、改正の理由について、今後の展望について伺いたい。
それから、ハンセン病療養所入所者の県営住宅への入居に関する乙第11号議案に関連いたしまして、沖縄県の現状とニーズについて、行政の謝罪、贖罪と優先入居問題についてもお伺いしたいと思います。
児童扶養手当が今回改正され、8月1日から施行することになっておりますが、この沖縄県としましては母子世帯が大変多く、本県においてこの措置は小泉内閣の弱者切り捨て策と言わざるを得ません。
そこで、県内の対象者、そして対象総額などを含めまして、この県の関係者の現状をどう把握し対処していくおつもりか。
また、政府の目的にしている点と、本県の現実について、そして将来展望と自立支援策はどうなっているのか、お伺いいたします。
最後に、新県立那覇病院について。
精神障害者身体合併症の診察体制確立のための精神科病棟について県の対応をお伺いします。
子ども病院の病床面積及び建設までの諸課題についてもお伺いをいたします。
答弁によって再質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
糸数慶子議員の御質問にお答えをいたします。
最初は、30周年の共催式典の反響、評価及び今後の対応策についてお答えをいたします。一括してお答えをいたします。
沖縄の本土復帰を記念するとともに、21世紀の沖縄の新たな発展を祈念する沖縄復帰30周年記念式典は、小泉内閣総理大臣が出席し、綿貫衆議院議長、倉田参議院議長、山口最高裁判所長官、ベーカー駐日米国大使ほか多数の来賓の御臨席をいただくとともに、県内外の各界各層代表約1000名余の方が参列し、去る5月19日、沖縄コンベンションセンターにおいて政府との共催のもとに開催されました。
小泉総理は、世界最高水準の自然科学系大学院大学の設立構想を進め、「アジア太平洋地域の先端的知的産業拠点の形成に取り組む」など、新時代の沖縄を築くため全力を挙げていくと述べられました。
海外沖縄県人会代表からは、海外に住む県系人の皆さんの活躍ぶりが披露され、沖縄県民間代表の2人からは、今日の沖縄の発展を築いた先人たちに対する感謝の気持ちと未来に向かう若者の夢と希望が語られ、特色のある有意義な式典になったと思っております。
一方、ベーカー大使の、沖縄が基地を負担していることについて感謝する旨の発言は、沖縄が戦後57年余も過重な米軍基地を負担してきており、米軍基地から派生した事件・事故などによる県民感情を考えた場合、受け入れることはできないと思います。県としては、今後とも基地を抱える本県の実情や県民感情について、米国政府を初め多くの方々に理解してもらえるよう訴え続けていきたいと考えております。
平成14年度は、沖縄振興特別措置法に基づいて沖縄振興計画による諸施策を展開し、本県が自立的発展へと新たな第一歩を踏み出す極めて重要な年であります。この式典を契機として、21世紀の沖縄の振興・発展に向けて県民の英知と創造的エネルギーを結集し、残された課題の解決と「平和で安らぎと活力のある沖縄県」づくりに全力を傾注してまいりたいと考えております。
次に、有事法制に関する市町村長及び議会の対応について一括してお答えをいたします。
県内の多くの市町村長や市町村議会から、国に対し慎重審議を求める意見が出ていることについては承知しております。
県としては、武力攻撃事態対処法案の審議に当たっては、直接県民の生命財産を預かる地方自治体に対して国は十分な説明を行い、その意見を尊重するとともに、広く我が国の外交や安全保障のあり方も含めて国民の意見を聴取した上で慎重に議論を尽くす必要があると考えております。
このような県の考え方については、九州地方知事会から国へ提出した要望書に盛り込まれており、6月12日の政府と各都道府県知事との意見交換会においても直接政府に申し上げております。
続いて、旧軍飛行場用地問題の具体的な解決方法についてお答えいたします。
県は、旧軍飛行場用地問題について、旧軍による土地の接収方法や代金の支払い並びに終戦後の米国民政府による所有権認定作業などにさまざまな問題があったと認識しており、未解決の戦後処理問題として国が何らかの措置を講ずる必要があると考えております。
このような考え方に基づき、沖縄振興計画案においては同問題を戦後処理事案として初めて位置づけて国に提出しました。今後とも、同問題の解決に向けて、旧軍飛行場用地問題解決促進協議会や関係市町村と連携を密にしながら適切に対応していきたいと考えております。
次に、沖縄振興計画案の中で、「在沖米軍の移転」とした理由及び政府に対する県の姿勢についてお答えいたします。一括してお答えを申し上げます。
県議会で決議された「海兵隊の海外移転」について、沖縄振興計画案においては「在沖米軍の移転を含む米軍施設・区域の整理・縮小に積極的に取り組む」と記述しております。これは、海兵隊のみならず在沖米軍4軍すべてを含めて幅広くとらえて記述したものであり、「在沖米軍の移転」については基本的には県外への移転を想定したものであります。
また、今回提出した沖縄振興計画案については、現在、政府の審議会において検討されていますが、県としても県案どおり盛り込まれるよう今後とも政府に対し働きかけていきたいと考えております。
次に、日米地位協定の改正の進捗と対策についてお答えいたします。
県は、平成12年8月、日米両政府に対し11項目の「日米地位協定の見直しに関する要請」を行いました。
このような状況の中、昨年7月の衆議院外務委員会において日米地位協定の見直しが決議されたのを初め、同年7月の全国知事会総会において初めて日米地位協定の見直しが要望項目として取り上げられました。また、3月には衆参両院の沖縄・北方問題特別委員会において沖縄振興特別措置法案を可決する際、日米地位協定の見直しの検討などが附帯決議されるなど国会の場においても従来にない動きが見られます。
日米地位協定の見直しについては、去る6月1日に沖縄振興計画案を国へ提出した際、総理を初め関係大臣に要望したところですが、今後ともあらゆる機会を通して訴え続け、その実現につなげていきたいと考えております。
次に、日米地位協定の運用改善の現段階についてにお答えをいたします。
日米地位協定の運用の見直しについては、外務省において県が要請した11項目について検討が行われているものと思いますが、現在、日米両政府間で正式に話し合われている項目として県が承知しているのは、第17条の被疑者の身柄の引き渡しについてであります。
また、去る6月13日にカナダのウィスラーで開催された日米外相会談において、川口外務大臣から沖縄の問題は極めて重要であると述べた上で、日米地位協定の運用改善が緊要である旨の発言があり、これに対してパウエル国務長官からも、できる限り努力していきたい旨の発言があったと聞いております。
いずれにしましても、県としては、日米両政府間で県の要請している環境問題なども含めた11のすべての項目について、日米地位協定の抜本的な見直しに取り組んでいただけるよう、今後ともあらゆる機会をとらえて要請していきたいと考えております。
次に、下地提言と知事公約の乖離についてお答えをいたします。
基地問題についてはさまざまな考え方や意見がありますが、県は、基地の整理縮小については、SACOの合意事案を着実に実施していくことが現実的で実現可能な方法であると認識しております。普天間飛行場の代替施設については、現在、代替施設協議会において代替施設の規模、工法及び具体的建設場所その他の基本計画の策定に必要な事項について協議が行われているところであり、移設に向けた作業が着実に進展しているものと考えております。
次に、環境・文化政策のうち、泡瀬通信施設返還と立地の選定条件と大学院大学の立地等について一括してお答えいたします。
大学院大学の立地の選定条件は、「大学院大学候補地選定の基本方針」において、知的クラスターの将来展開も含めた十分な用地面積の確保ができること、交通アクセスや魅力ある環境に恵まれていること、用地取得及び利用が容易であること等が条件となっております。
大学院大学の立地については、市町村等からの誘致要請も踏まえ、候補地選定の基本方針に基づき世界最高水準の大学院大学にふさわしい場所が選定されるものと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(新垣良光) 知事の政治姿勢についての、式典案内への基準についてにお答えいたします。
沖縄復帰30周年記念式典及び記念レセプションへの参列者の選定につきましては、県外在住者及び現職の県選出国会議員については、内閣府の沖縄復帰30周年記念式典実施本部で選定しております。
県内在住者につきましては、これまで県主催で開催しました「沖縄復帰記念式典」、「沖縄復帰10周年記念式典」及び「沖縄復帰20周年記念式典」を参考にして「沖縄復帰30周年記念式典参列者選定要綱」を制定し、それに基づき各界各層それぞれの分野において代表的立場にある方、沖縄の戦後の復興または本土復帰に貢献した方、海外県人会代表及び移住者子弟留学生等の皆さんを御招待したところであります。
米軍基地問題について、代替施設協議会が最近開催されない理由についてにお答えいたします。
代替施設協議会は、昨年12月末に第8回協議会が開催され、3工法8案に対する県の考え方や、名護市、宜野座村、東村の地元における意見集約の状況が報告されました。これを受け、代替施設の位置、規模、工法に関する「代替施設基本計画主要事項に係る取扱い方針」が了承されました。現在、同方針に基づき防衛庁を中心に検討が進められているところであり、次回協議会の開催は明らかになっておりませんが、移設に向けた作業は着実に進展しているものと考えております。
○企画開発部長(与儀朝栄) 新振計政府案の決定と対策についてお答えいたします。
県としましては、5月31日の県案提出の際、本計画が県案どおり速やかに決定されるよう国に対し要望しました。また、県選出国会議員、衆参の沖縄振興特別委員会の議員の方々などにも支援をお願いするなど、県案どおりの決定に向けた働きかけを行っております。
国においては、6月3日と17日の2回にわたり沖縄振興開発審議会を開催し、新振計について審議を行っております。今後、7月4日に予定されている審議会を経て7月上旬には決定される見込みであります。
次に、金融特区の課題と展望及び立地企業の雇用条件の対応策等について一括してお答えいたします。
金融業務特別地区制度は、我が国において初めての金融に係る特別な制度であります。県としては、この制度を積極的に活用して金融業等の集積を図ることが重要であると考えております。そのためには戦略的な企業誘致活動の展開、高度な金融の専門知識を有する人材の育成・確保、情報通信基盤や道路、レンタルオフィス等の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
また、所得控除の優遇措置を受ける場合の常時使用する従業員が20名以上の要件については、今後、企業誘致を進めていく中で企業ニーズを踏まえ、企業立地環境の整備を促進してまいります。
次に、特区の拡大と比較優位の消失、金融特区が政府の安上がり政策にならないための知恵と決意について一括してお答えいたします。
政府の経済財政諮問会議で掲げられた規制改革特区構想は、国際教育特区、人材ビジネス・雇用特区、ブランド農業特区など一定地域に限って大幅に規制を緩和し経済の活性化を目指すもので、補助金や税制の特例措置は含まれておりません。
一方、沖縄振興特別措置法における情報特区、金融特区には税制の特例措置や公共施設の整備等の優遇措置があり、規制改革特区に比べ企業集積の促進等を強力に後押しする内容となっております。したがって、沖縄振興特別措置法に基づく各種特区の比較優位性の消失にはつながらないものと理解しております。
また、金融特区については、我が国で初めての金融に係る特別な制度であり、県としても国、名護市と連携しながらこの制度を積極的に活用し、金融業務等の集積促進に取り組み経済の自立化を目指していきたいと考えております。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) カジノと安全コスト及び観光戦略とカジノ導入の矛盾について一括してお答えをいたします。
県におきましては、海外におけるカジノの設置及び運営主体、管理体制、経済効果、公序良俗への影響等幅広く事例調査を行うこととしております。その中で管理に伴う安全コストにつきましても把握をしていきたいと考えております。
また、沖縄観光に新たな魅力を加える各種のエンターテインメントの導入・創設は必要でありますが、ゲーミングにつきましては、現在国内法で規制されていることや県内においてさまざまな意見があることから、調査内容に関し積極的に情報提供を行いながら十分な議論を尽くし、県民の意見を収れんさせていく考えであります。
次に、観光産業等における量と質に関する御質問にお答えいたします。
今日、本県経済の振興を図る上で観光入域客数の増加を図り、ホテル、旅館等宿泊施設の稼働率の向上、県産食材等県産品の供給拡大など関連産業を活性化していくことは重要であります。
一方、国際的な海洋性リゾート地や国民の総合的な健康・保養の場の形成、体験・滞在型観光の推進、コンベンション拠点の形成など多様なニーズに対応した通年滞在型の質の高い観光・リゾート地を形成していくことは、一段とその重要性を増していると認識しております。したがいまして、県におきましては、引き続き観光客の量的拡大を図るための誘客施策を展開するとともに、今後、本県観光の質的向上を図るための各面の施策を積極的に推進していく考えであります。
具体的には、本県の歴史・文化、自然等の地域特性を生かし、健康・保養型観光や沖縄振興特別措置法に盛り込まれた環境保全型自然体験活動に関する制度を活用したエコツーリズム等の体験・滞在型観光を推進する考えであります。
特に環境保全型自然体験活動の推進に当たりましては、環境保全利用協定の活用を促進するとともに、自然環境と調和したプログラムの作成を促進するなど、自然環境の保全に十分配慮しつつ施策を展開していく考えであります。
以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 環境・文化政策について、漁業補償の算定根拠についてお答えいたします。
漁業補償は、補償額算定の基礎となる漁業実態に関して客観的な資料が限られており、漁民への聞き取り調査に頼らざるを得ないことから、他の補償に比べ実態等を的確に把握することが難しい特殊な補償であります。
泡瀬地区の漁業補償交渉に当たっては、漁業協同組合から転業補償や漁船・漁具改良補償、当該漁場の産卵場としての優位性及び汚濁による影響等を考慮した補償等多くの要求がありました。
事業者である国及び県は、平成9年4月から平成11年3月までの約2年間の15回に及ぶ交渉の中で漁業協同組合から要求のあった内容を検討し、公共事業の施行に伴う損失補償基準等にのっとって漁場依存率や工事中の影響補償、人工干潟整備に伴う消滅面積の見直し等を行い、漁業操業実態に合った19億9800万円で合意しております。
次に、土地利用計画についてお答えいたします。
泡瀬地区は、本島中部圏東海岸地域の活性化を図ることを目的に大型クルーズ客船の寄港促進を図るための客船埠頭や交流施設、展示施設、ホテル等の誘客施設を一体的に整備し、地域特性を生かした国際交流リゾート拠点等の形成を図ることとしております。
本年3月に公表した当該計画の確認作業においては、最新のデータを用いて可能な限りの検証を行い、その結果、現土地利用計画については需要があり、各種の条件整備と努力を前提とすれば実現の可能性はあることを確認したところであります。
当該事業は、土地利用が開始されるまでに長期を要することから、今後とも社会経済情勢の変化等を的確に把握し、地元とも調整を図りながら地域のニーズに沿って柔軟に対応していく考えであります。
次に、藻場移植実験等をどう見ているのかについてお答えいたします。
中城湾港泡瀬地区埋立事業の実施に当たっては、開発と環境の調和を図ることが重要であると考えており、環境への影響を低減するため種々の環境保全対策を実施することとしております。
藻場の移植については、埋立区域に生育する藻場を区域外に移植して被土の低い藻場の生育被土を高めることが環境保全上得策であることから実施するものであります。
移植方法については、機械化大規模移植実験に取り組んだ結果、去る2月22日に開催された環境監視・検討委員会において移植された海草の生育状態はおおむね順調であり、バックホーによる海草の機械化移植は可能であるとの見解が示されたところであります。
また、当委員会からは、今後ともモニタリング等を行い、移植技術のさらなる向上を図る必要があるとの意見もあることから、藻場の生育状況については今後とも継続してモニタリングを行い、移植技術の向上に努めるとともに、移植先の環境の変化等についても注視しながら保全対策を適切に講じていくこととしております。
それから、優先入居についてお答えいたします。
ハンセン病療養所入所者等の県営住宅への優先入居については、昨年12月の公営住宅法施行令の一部改正を受けて単身入居も可能とし、入居収入基準も緩和する県条例の改正を提案しているところであります。
また、ハンセン病療養所入所者等は住宅の困窮度合いが高いことから、関係機関と調整し要望がかなえられるよう入居枠の確保を行ってまいります。
以上でございます。
○福祉保健部長(新垣幸子) 福祉・医療行政について、DV関連の現状についてお答えします。
女性相談所のDV関連の相談は、平成13年度388件で、平成12年度に比べ93件の増、一時保護は平成13年度206人で、平成12年度に比べ31人の増となっております。
一時保護増に対する緊急の対応といたしまして、平成14年3月にプレハブを設置、2部屋の居室増を図り4月より使用しております。
婦人保護施設への入所は、同伴児も含め平成13年度24人で、平成12年度に比べ6人の減となっております。今後ともDV防止法の成立に伴う啓発の取り組み等によりDV関連の相談、一時保護は増加するものと考えております。
条例改正の理由について。
婦人保護施設では、これまでもDV関連の問題を抱える女性を保護してきました。
今回、DV防止法の成立により配偶者からの暴力被害者を婦人保護施設において保護できるようになったこと、またその業務も要保護女子を中心とした職業指導や生活指導から、被害者にも対応した指導や情報提供等に変更する必要があることから条例を改正するものであります。
DV関連の今後について。
従来の婦人保護施設での職業指導に加えてこれからの就労に関する指導・援助等は、労働部門や公共職業安定所、職業訓練施設、その他関係機関とこれまで以上に密接に連携し、入所者に情報提供や指導・助言を行い、自立に向けて実施することになります。
さらに、県においてはDV防止法の県民に対する周知、県立施設の改築整備、関係機関の連携の一層の強化等により被害者保護が円滑に進むよう対応していきたいと考えております。
また、DV防止法の保護命令の適用、来年度那覇市における母子生活支援施設の創設、民間シェルター等の活用なども被害者保護の方策として有効なものと考えております。
続きましてハンセン病の関係で、行政の謝罪及び県営住宅への入居希望者について一括してお答えいたします。
県内のハンセン病療養所入所者等は、平成14年6月現在で約1130人であります。沖縄愛楽園、宮古南静園、沖縄楓の友の会及び原告弁護団を通して県営住宅への入居希望についてアンケート調査したところ、入居希望者は現在のところ19世帯であります。
昨年、知事はハンセン病療養所入所者等の方々に対し、これまで大変な御労苦があったことについておわびしております。このような経緯を踏まえて、ハンセン病療養所入所者等の県営住宅への優先入居の確保につきましては、関係機関と調整し社会復帰の支援を図ってまいります。
児童扶養手当の現状について。
平成13年度末の受給者は1万8864人であり、平成12年度末と比べ849人増加しており、増加率は4.7%となっております。そのうち全額受給者は1万7378人、一部受給者は1486人となっております。
手当総支給額は、平成13年度は約88億2700万円であり、平成12年度に比べ5億1900万円の増加。増加率は6.2%となっております。平成14年5月24日現在で見直しの対象者1万8687人について今回の見直しの影響を試算したところ、「変動なし」が1万4509人(77.6%)、「増額が見込まれる者」が539人(2.9%)、「減額が見込まれる者」が3639人で19.5%となっております。県全体での手当額の年間減額は約2億円と試算しております。
同じく児童扶養手当の関連で、改正の目的と現状について。
今回の児童扶養手当法施行令の改正は、国の母子家庭等に対する施策が全体的に見直しされる中で、その一環として就労等による収入の増加が児童扶養手当収入を含めた総収入の増加につながるよう見直しを行い、自立を支援する制度として将来にわたり機能できることを目的として行われるものであります。
沖縄県は、高失業率など厳しい社会経済状況にあり、母子家庭等もその影響を受けていると認識しております。県においては自立支援策や養育費確保、保育問題等の課題に対し改正の影響が少なくなるような取り組みを検討し、母子家庭等の福祉の向上のために対応してまいりたいと考えております。
今後の対応と移行措置について。
現在、県におきまして母子家庭等自立促進施策として、就職に向けた各種講座の開催や法律専門家等の相談及び介護人派遣等を沖縄県母子寡婦福祉連合会に委託して実施しております。
今回の見直しによる影響に配慮し、減額された額を無利子で貸し付ける特例児童扶養資金制度や就労に関する相談、情報提供及び能力開発講習事業等を行う母子家庭就労支援モデル事業の創設が予定されております。その資金貸し付けを円滑に行うとともに、就労支援策を実施し労働部門や関係機関と連携して母子家庭の自立支援策を進めていきたいと考えております。
以上でございます。
○病院管理局長(新田宗一) 福祉・医療行政の中で、新那覇病院における精神科病棟設置に係る県の対応についての御質問にお答えいたします。
精神障害者身体合併症の治療につきましては、県立高度・多機能病院整備基本計画において精神科医を含めたチーム医療の実施を目指すことと位置づけ、その対応策を検討してまいりました。また、この件につきましては、「沖縄県精神保健・医療・福祉連絡協議会」からも病棟設置の要望が出されております。
現在、県としましては、新病院において精神障害者の身体合併症の治療に対応するため、5床の精神病床と14床の一般病床を合わせた19床の病棟を整備することとし、関係団体等との調整を進めているところであります。
次に、子ども病院の病床面積及び建設までの課題についての御質問にお答えいたします。
新病院の病床面積につきましては、延べ床面積3万6400平方メートル、1床当たり約84平方メートルで基本設計作業を進めております。
新病院の子ども部門である母子総合医療センターについても、新病院計画の中で検討しているところであり、必要な機能を発揮できるよう最大限努力してまいりたいと考えております。建設までの課題の中で、特に医師等の人材の確保が重要であると考えております。
母子総合医療センターを含む新病院の人材確保につきましては、県立病院間の人事交流等による人材の適切な配置、県立中部病院で実施しております医師の臨床研修等を活用した人材の育成・確保等を図るとともに、琉球大学等大学医学部との連携や県内外で活躍している専門医の確保等県内外から広く優秀な人材を招致し対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(津嘉山朝祥) 児童買春に係る教職員の不祥事についての御質問にお答えをいたします。
昨日の午後、児童買春で公立中学校の現職教員が逮捕をされるという一報に接し、愕然とし強い憤りを禁じ得ませんでした。
本来、生徒を指導育成し模範となるべき立場の現職教師による不祥事の発生は、県民に対し教職員全体の信用失墜や教育への不信の念を抱かせ極めて遺憾であります。教職員の綱紀の粛正及び服務規律の確保につきましては、かねてから機会あるごとに注意を喚起してきたところでございます。
言うまでもなく、教職員は児童生徒の全人格的発達を促すという責務のほか、全体の奉仕者として公務に従事するという職責の特殊性から教育公務員としての自覚と厳正な行動が求められているところであります。
県教育委員会といたしましては、教職員の服務規律の確保に向けて文書による通知及び「県教育長緊急メッセージ」を発出をし、教育のプロとして信頼される教師を目指して教師の職務への一層の自覚を促してきたところであります。また、すべての公立学校に人権ガイドブック等を配布をし、校内研修を通して教師としての使命と責任、服務のあり方の指導を徹底をしてまいりました。
なお、本件につきましては、速やかに事実関係を詳細に把握をし厳正に対処するとともに、今後、教職員一人一人がその職責を一層自覚し、全体の奉仕者として職務に専念するよう指導のあり方を総点検をし、徹底した指導に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○警察本部長(太田裕之) 事案の概要等について御説明いたします。
本件は、伊是名中学校の32歳の男性教師が本年の5月11日、本島南部のホテルにおいてテレホンクラブで知り合いました中学校3年の少女(15歳)に対し、現金4万円を供与することを約し、みだらな行為を行ったというもので、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」違反の容疑で昨日逮捕したものであります。
警察といたしましては、今後ともこの種事案につきましては、成長過程における被害児童の人権を守る立場から厳しく対処していく所存であります。
○糸数 慶子 再質問いたします。
まず1点目、旧軍飛行場用地問題についてなんですが、これは各地主からの意向をどのように把握しているかということを先ほど伺いましたが、答弁はありませんでした。解決方法としてどのような仕組みがあるか。例えばプロジェクトチームなどを立ち上げて解決していく方法はないか、再度お尋ねしたいと思います。
それから、普天間飛行場移設問題についてなんですが、この代替施設協議会が半年近くも開催されておりませんが、その理由について再度お伺いいたします。
金融特区の雇用条件についてもお伺いしたいと思います。特にこれは県内の雇用対策にはプラスであっても、国際的な企業誘致にはマイナスに働くと思われますが、なぜかといいますと、この立地条件の雇用条件が20人以上になっておりますが、その対応についてもお伺いしたいと思います。
それから、泡瀬の埋立問題について先ほど部長の答弁は、本年3月に公表した当該計画の確認作業においては、最新のデータを用いて可能な限りの検証を行い、その結果、現土地利用計画については需要があり、各種の条件整備と努力を前提とすれば実現の可能性はあるとおっしゃっていますが、2月議会の私の質問への答弁とも関連いたしますので再度お尋ねいたしますけれども、最新のデータというと、いつ、どこで、だれが、どのような項目について調査したデータなのか、お伺いします。
条件の整備とその努力が前提という条件整備はどの程度努力すればいいのか。
それから、藻場の移植実験についても5月13日、14日の調査結果は、6月17日の調査状況が報道されていますけれども、この最新データに触れずに2月22日の古いデータを使っている理由は何か、お尋ねします。
それから知事に、大学院大学の立地条件について、基地を返還して新たに沖縄の経済活性化を図る、そういう意味では大学院大学の用地、泡瀬はどうかということについて再度御質問をいたします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時1分休憩
午前11時5分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 糸数慶子議員の再質問にお答えをいたします。
大学院大学の立地問題でございます。
この大学院大学は、尾身大臣が「ベスト・イン・ザ・ワールド」と世界で最もすばらしい大学ということで当然それにふさわしい教授陣、スタッフが要求されるわけです。そうすると、その中で当然幾つかの条件がいろいろ出てまいります。大学院大学候補地選定の基本方針というのが幾つか出されまして、1つは、知的クラスターの将来展開も含めた十分な用地面積の確保。というのは、すばらしい教授陣その他が当然来るとするならば、それに従って将来はいろいろな研究機関、あるいはそれに伴うハイテクの向上というものの展開というのが予想されるわけです。そのほか、交通アクセス、魅力ある環境に恵まれているということ、それから用地取得及び利用が容易であるということ、そういうことが条件になっております。
したがいまして、ただいまも県内各地から市町村からの誘致要請もございますけれども、基本的には候補地選定の基本方針に基づいて世界最高水準の大学院大学にふさわしい場所が選定されるものと思われます。
○知事公室長(新垣良光) 再質問にお答えいたします。
旧軍飛行場について、地主会の意向を聞いて今後どうするかということですけれども、どのような仕組みやプロジェクトをつくるかなどこれから検討していきたいと思います。
それから、次回代替施設協議会が開催されない理由ということですが、お答えいたします。
現在、国において第8回代替施設協議会において了承された「代替施設基本計画主要事項に係る取扱い方針」に基づき技術面等を含め、さまざまな検討がなされているものと考えております。
以上です。
○企画開発部長(与儀朝栄) 再質問にお答えいたします。
金融業の立地企業につきましては、金融業務のバックオフィス業務のデータセンター等が考えられ、20人以上の雇用が可能な業種もあります。いずれにしましても、今後具体的に企業誘致を進めていく中で企業ニーズを踏まえ、企業立地環境の整備を促進してまいります。
○土木建築部長(安慶名正行) まず最初に、最新のデータとは何かという質問ですけれども、入域観光客数など発表された最新のデータを駆使しまして推計値とチェックしたということと、あわせて観光審議会の審議状況等をチェックしたということがあります。
それから、努力とは何かということですけれども、これは地元を挙げた埋立地の魅力づくりが必要だということ、それから人工、海浜緑地など公共事業でできるだけ整備をするということです。あと地元を挙げて企業の誘致に努力するということでございます。
それから、藻場についてですけれども、これは6月17日の調査ですのでその結果いろいろ意見交換会をしておりますけれども、そのときには意見がいろいろ出ましてまとまった結論は出ておりません。ですから、そのことにつきましては今後また新たに検討委員会をすることになっておりますので、それを踏まえて審議するということになっております。
以上でございます。
○糸数 慶子 旧軍飛行場用地問題についてなんですが、プロジェクトチームを立ち上げて頑張っていくという答弁をいただきましたけれども、じゃ積極的に立ち上げていく、それは具体的にいつごろなのかお伺いして終わりにしたいと思います。
○知事公室長(新垣良光) 再々質問にお答えいたします。
これから検討していきたいということでございまして、立ち上げるということではございません。含めてこれから検討していきたいということでございます。
○糸数 慶子 かなり後退した答弁ではないかと思いますが、去年の9月にも宮平永治議員にはしっかりプロジェクトチームを立ち上げると答弁されたんですが、知事に再度お伺いしたいと思います。
知事が積極的に今回振興開発計画にも盛り込まれた戦後処理の最大の課題なんですが、再度答弁をお伺いいたしまして、残りは委員会につなげていきたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 糸数議員の再々質問にお答えいたします。
今、糸数議員御指摘されましたように、今回の振興計画にはこの問題は初めて取り上げたわけでございます。その意味で、取り上げた以上は積極的に前向きにできるだけ早くスタートしたいと思います。
○宮城 國男 県民の会を代表して所感を交えながら質問を行います。
まず最初に、知事の政治姿勢についてですが、現在国会で審議中の有事関連法案についてその基本的な考え方を伺います。
去る太平洋戦争で沖縄県は我が国の中で悲惨な地上戦に見舞われ、多くの県民を初めとして24万人以上のとうとい人命が犠牲になりました。私たち沖縄県民は、6月23日を「慰霊の日」と定めてすべてのみたまを慰め、二度と再びあの戦争の惨禍を繰り返すまいと誓いを新たにしてまいりました。
人類にとって20世紀は戦争の世紀と言われただけに、今般迎えた21世紀こそは戦争のない平和で安定した国際秩序が構築できるものと世界の人々は期待をし、新しい歴史の扉を開きました。しかし、米国への同時多発テロ、アフガニスタン戦争、インド・パキスタン対立など国際情勢はいまだに平和秩序の構築からはほど遠い様相を呈しています。また、不審船の銃撃事件や日本を巻き込んだ最近の中国・北朝鮮・韓国をめぐる亡命問題の多発などを見るにつけ、日本を取り巻く国際環境は必ずしも安定した状況とは言えません。
世界情勢が不安定の中で、日本の政府が自国民を守りみずからの国を守るために有事に備えて法案を整備していくのは、独立した国家であればごく当たり前の行為だろうと考えます。法案審議の内容や国会の日程などの都合で有事関連法案の今国会成立は困難なようですが、有事法案そのものの整備に関して知事の基本的なお考えを伺います。
次に、ことし11月に実施予定の知事選挙について稲嶺知事の決意をお尋ねします。
稲嶺知事は、平成10年11月知事選での当選後、政府との協力関係を強化して沖縄県の振興開発計画の着実な推進や経済基盤の整備、基地問題の解決、福祉政策の向上、新石垣空港の建設用地選定等ハード・ソフトの各面で大きな実績を築いてまいりました。多くの県民がその実績を高く評価していることは、先般の地元マスコミの53市町村長のアンケート調査でも84%が評価すると答えていることからも明らかであります。
先般、県の経済団体代表や医師会の方々が稲嶺知事の2期目に向けた再出馬を要請しました。いずれも稲嶺知事のこれまでの実績を評価して、さらに沖縄発展のため手腕を振るっていただこうとの趣旨で要請したと記憶しています。
稲嶺知事の御意思については、昨日の渡久地、翁長両議員の代表質問に対し、しばらく時間をかしてほしいとの御答弁で承知しています。今定例会で意思表示は難しいようですが、さりとて9月では遅い感じがします。御答弁のお言葉は、時がたてば当然ポイント・オブ・ノー・リターンと申しますか、前進あるのみと積極的に解釈するわけですが、出馬表明の時期について特にタイムリミットを考えておられるのかどうか伺います。
次に、沖縄振興特別措置法及び沖縄振興計画案について伺います。
復帰後、今日まで沖縄開発庁は、第1次から3次にわたる沖縄振興開発計画に沿って約7兆円に上る各種の施策・事業を実施し、立ちおくれた本県の産業基盤、生活基盤や教育施設等の各面にわたる整備を積極的に推進してきました。その結果、各分野で本土との格差も縮小し、県民生活も着実に向上して成果を上げています。しかし、一方では相変わらずの低い所得水準、高い財政依存度、恒常的な対外収支の赤字及び第2次産業の割合が低いのに比べ、第3次産業の極度に高い産業構造等は本県経済を特徴づけています。
復帰30年、3次にわたる振興開発計画期間が終了し、何が変わり、何が変わらなかったのか、またやり残したものは何か、県は沖振計をどのように総括し評価していますか。
2000年1月、我が国の省庁も1府12省に再編され、また同年4月1日からは地方分権一括法が施行されました。これらの再編・改正によって国と都道府県や市町村の関係は、実質的に上下・主従関係から対等・協力に改められました。自治体サイドにおいては発想の転換を図り、自主・自立の気概を持って地域づくりに取り組み、地域を活力あるところにさせることができるようになりました。
今回の沖振法や沖振計が内閣府沖縄振興局の所管になったことで、計画を実施していく上でどのような影響や期待が持たれますか。また、従来と相違して法や計画のタイトルから「開発」、沖振計の案の基本目標から「格差是正」のフレーズを外した意味について伺います。
本県の経済は、今申し上げましたように他律型経済であり、県民所得は全国平均の約7割で全国最下位、完全失業率は全国の2倍強で推移しています。それだけに確かにフローやストックの部分など数字として表面に出てくるところに問題はあります。ただ、所得に関しても全国的に低位置にあるものの、国際的には名目でフランスやカナダの平均水準に達していると言われています。また、気候的条件や自然的景観など住環境は必ずしも本土の都市地域に遜色するものでもありません。長年、本県が男女とも長寿全国一を維持しているのもその一つの反映ではないでしょうか。
私たちは、沖縄の持つ特異性、質的な面にも目を向ける必要があります。これまで沖縄県ほど自立についてそのための戦略や方法論が論議された地域も数少ないかもしれません。自立経済に向けて問題の所在を明確にしていく必要があります。
今回の沖振計の最大の目標が民間主導による自立経済の構築と言われていますが、自立経済とは具体的にどのような内容、状況を言いますか、伺います。
沖縄の自立発展に向けては、沖縄の比較優位性や固有な条件、資源を最大限に生かすべく観光、情報通信、農業等を戦略的産業として重点的分野に位置づけ、事業税、法人税等の軽減措置など税制面や各種の優遇措置を講ずることになっています。これまでの沖振法ではせっかく特例措置や優遇措置を認めながら、実際にはその措置を受けようとすると政令、省令、規則等の運用等で適用されにくい仕組みになっていてその実効性に乏しかったと言われています。
今回の沖振法や沖振計では特例措置や優遇措置が十分に発揮されるような仕組みになっていますか、伺います。
沖振計のもとで観光、情報等4分野に県独自の6分野を加えた10分野で個別計画を策定するとともに、事業執行の結果を評価指標で数値目標化して示すことになっています。これまで沖振計の施策・事業を実施してもどれだけ目標が達成され、県民福祉の増進に結びついたか明確な評価基準がなかったと言われただけに適切な手法の導入であります。
ところで、個別計画の目標達成に向けては財源の確保が肝要ですが、その見通しはどうなっていますか。
基地問題については、第1次から3次の沖振計の中でも早期に米軍施設・区域の整理縮小と跡地の有効利用促進をうたっていましたが、今回、県議会の決議を反映して「在沖米軍の移転を含む」との表現を入れ、より踏み込んだものとなっています。
復帰後これまで米軍基地は約17%が返還され、SACO最終報告では合意された基地が全面的に返還されれば現在の米軍基地の約20%になるものの、それでも本県には全国の米軍施設・区域の約70%が存在することになります。
県は、SACO合意以外の基地についても返還を要請していくようですが、基地の整理縮小の目標設定はどうなっていますか。
また、普天間飛行場返還時期が不透明なところがありますが、返還された場合、跡地利用の基本的な考え方について伺います。
次に、沖縄新大学院大学についてであります。
同構想は、尾身幸次内閣府沖縄担当大臣が昨年6月に打ち出したのが始まりではなかったかと思います。大学や大学院など高等機関などの誘致については、通常、地元から強い働きかけが契機になります。本県でも多くの県民や各界各層の間からも声が上がっていて、まさに機は熟していると言えます。
人材育成は古くて新しい課題ですが、特に本県においては情報や金融特区地域が指定され、関連企業の立地がますます期待される中、高度の知識や特殊な技能を持つ人材の育成や導入を推進する必要があります。幸いにも本県は新全総の中でも「アジア・太平洋地域の交流拠点」として位置づけられておりまして、知的支援、学術・研究協力、開発協力等の国際協力地点であります。
そこで伺います。
本県への大学院大学構想の契機及びその構想の概要はどうなっていますか。
(2)番目に、県内の多くの市町村や関係団体などが大学院大学の誘致要請をしています。国や県が考える立地条件はどうなっていますか。
また、県や当該自治体も各種の支援をせざるを得ないと思いますが、財政的な補助・助成等もあり得ますか。
(3)点目は、今後の県の取り組みについてであります。
県としても振興計画の柱として強力な体制が迫られると考えますが、現状はどうなっていますか。大学院大学の創設実現に向けて組織体制や運動の展開についてどのように考えていますか。
(4)点目は、大学院大学の沖縄立地が沖縄県や当該市町村にどのような側面で、どのような効果あるいは影響を及ぼすのかお尋ねいたします。
尾身大臣の大学院大学構想では、世界各国からトップクラスの教授スタッフや人材を集めるため国際航空網の整備を初め、大学院大学を核にした研究施設や関連企業の張りつけ、整備された住環境、整備された交通アクセス、憩いの場になるリゾート施設等大学院大学と産業群が一体となったシナリオが描かれているようですが、実際のところ県や地域に及ぼす効果はどんなものですか、伺います。
最後に、自然保護と環境について伺います。
環境省のモニタリング調査や亜熱帯総合研究所の調査で、本島の恩納村や宜野座村の沿岸域、八重山、渡嘉敷、座間味島の近海でオニヒトデが異常発生し、サンゴの食被害が深刻な状況下にあります。オニヒトデは体質によっては人体にも危険性が大きいだけではなく、稚魚育成の場、サンゴ礁を危機状況に陥れることから、夏場のダイビング観光や水産業振興への影響も懸念されます。現状では対策として人手による駆除しかありませんが、各地域の漁協では対応するのが大変厳しいようであります。
沖縄県のサンゴ保護については、国際的なサンゴ研究グループが沖縄など10カ所を待ったなし地域としてリストアップしております。また、沖縄コンベンションビューローも「オニヒトデの異常発生及びサンゴ食害状況調査報告書」を発表し、その対策、体制づくりを強調しています。
県は、オニヒトデの駆除等を行い、サンゴの保護についてどのような抜本的にして長期的・継続的対策をとりますか、伺います。
以上で終わります。
○知事(稲嶺惠一) 宮城國男議員の御質問にお答えいたします。
最初は、有事関連3法案についてのお答えでございます。
現在国会で審議されている武力攻撃事態対処法案を初めとする関連3法案については、これまで有事における対応について法的な根拠が示されていなかったことから、政府においては、法治国家として法的整備を図る必要があるということで同法案を国会に上程されたものと承知しております。同法案の審議に当たっては、直接県民の生命財産を預かる地方自治体に対して国は十分な説明を行い、その意見を尊重するとともに、広く我が国の外交や安全保障のあり方も含めて国民の意見を聴取した上で慎重に議論を尽くす必要があると考えております。
特に、沖縄に過度に集中している米軍基地に係る問題は、我が国の安全保障を考える上で単に沖縄という一地域の問題としてとらえるのではなく、国民全体で取り組むべき重要な課題であると考えており、米軍基地の整理縮小を求める県民の強い意向を踏まえ、この機会に米軍基地の負担のあり方も含めて十分に議論するよう国に対して要望しております。このような県の考え方については、九州地方知事会から国へ提出した要望書に盛り込まれており、6月12日の政府と各都道府県知事との意見交換会においても直接政府に申し上げております。
次に、知事選挙出馬の決意でございます。
昨日の渡久地、翁長議員に引き続き、本日、宮城議員の方から私の実績評価を含めて大変ありがたいお言葉に感謝をしております。
考えてみますと、この3年8カ月、ただ一つのキャンセルも、私の個人的な都合でキャンセルすることもなしに一日も休むことなしに頑張りまして、万を超えるスケジュールをこなし得たのも、これひとえに皆様方のおかげでございます。支えてくれて、心から感謝を申し上げておきます。ただ、この問題につきましては、じっくりと考えさせていただきたいと。したがって、しばらく時間をいただきたいと思っております。
次に、3次にわたる振興開発計画の評価についてお答えをいたします。
3次にわたる沖縄振興開発計画に基づく総合的な施策が推進された結果、社会資本の整備を中心に着実な成果を上げ、各面における本土との格差は次第に縮小するなど、本県の経済社会は着実に発展してきております。
しかしながら、産業基盤等についてはいまだ整備が十分でない分野が存在しております。また、完全失業率は本土に比べ高い水準で推移しており、県民1人当たりの所得についても全国の中で最下位の状況にあります。さらに今後、我が国のアジア・太平洋地域の中で果たす役割を担うためのアジア・太平洋協力・交流拠点の形成についても十分ではありません。加えて、本県にはなお広大な米軍施設・区域が存在しており、本土に復帰して30年を経てもいまだに本土に比べて大きな負担を背負っております。
このようなことから、本県の経済社会は着実に発展してきたものの、なお解決すべき多くの課題を抱えております。
次に、沖縄振興計画案における基地の整理縮小の目標設定についてお答えいたします。
本県に所在する米軍基地の整理縮小については、日米両政府間で国際情勢を勘案しつつ協議検討がなされる事項であることから、沖縄振興計画案において基地の整理縮小の目標設定を設けることは困難であると考えております。県としては、本県が負担している過重な米軍基地の整理縮小について、まずSACOの合意事案を着実に実施し、計画的、段階的に基地の整理縮小を図ることがより現実的で実現可能な方法であると認識しており、今後とも国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえ、幅広く県民の理解と協力を得ながらSACOの合意内容の着実な実施に向け取り組んでいきたいと考えております。
次に、沖縄新大学院大学構想についてのうち、その構想の契機と概要についてお答えいたします。
大学院大学構想は、沖縄をアジア・太平洋地域の先端的頭脳集積地域として発展させ、その経済的自立を実現しようとする目的で尾身大臣により提案されたものであります。
沖縄新大学院大学は、世界最高水準の研究と教育を実践するため国際性と柔軟性を持った組織、運営を行うこととしております。また、研究・教育分野については、生命システムに焦点を当て、生物、化学、物理、工学等のバランスのとれた教育・研究を行う方向で検討が進められております。
次に、同じく新大学院大学の立地条件、県や自治体の支援と財政的な補助・助成等についての御質問についてお答えいたします。
大学院大学立地の条件は、「大学院大学候補地選定の基本方針」において知的クラスターの将来展開も含めた十分な用地面積の確保ができること、交通アクセスや魅力ある環境に恵まれていること、用地取得及び利用が容易であること等が条件となっております。県としては、世界トップレベルの人材を沖縄に引きつけるため教育や医療、住宅や交通アクセスなど安全で快適な暮らしのできる環境づくりが重要であると考えており、地元として協力できるものについては国とも連携しながら取り組んでいきたいと考えております。
次に、大学院大学実現に向けた組織体制や運動の展開についてお答えいたします。
大学院大学の実現に向けては、地元沖縄側の取り組み、中でも県民の熱意が重要であると考えております。県としては、去る6月18日、8人体制による「沖縄新大学院大学設置推進室」を立ち上げ、取り組み体制の強化を図ったところであります。また、設置に向けた県民の期待が高まる中、大学院大学設置促進県民会議の設立に向けた取り組みを進めており、関係機関と連携しながら県民一体となって取り組んでいきたいと考えております。
次に、大学院大学立地の影響や効果についてお答えいたします。
大学院大学の立地がもたらす主な効果としては、大学周辺への企業、研究機関等の集積による地域経済の活性化、最先端の科学技術の開発に伴う新たな産業の創設、世界的レベルの研究者、学生等による知的交流の活発化及び人材の質的向上などが考えられます。また、直接・間接的な設備投資による経済波及効果や雇用機会の増大など、地域経済の発展にも大きな影響を及ぼすものと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 沖縄振興特別措置法及び沖縄振興計画について、国の担当部局が内閣府になったことによる影響、タイトルから「開発」や「格差是正」を削除した意味についてお答えいたします。
平成13年1月から、沖縄担当大臣のもとに沖縄振興局が設置されるとともに、企画立案・総合調整等の業務を担当する政策統括官が設けられたことにより沖縄振興の推進体制がより強化されております。これからの沖縄振興に当たっては、本土との格差是正を基調とするキャッチアップ型の振興開発だけではなく、沖縄の特性を十分発揮したフロンティア創造型の振興策へ転換していく必要があります。このため、「格差是正」から「沖縄の特性の発揮と不利性の克服」へと施策の方向を切りかえるとともに、新法及び新計画においては主に社会資本の整備のみを想起させる「振興開発」ではなく、さらに前向きな要素を持つ「振興」という文言を用いております。
次に、自立経済についてお答えいたします。
自立型経済とは、主な経済指標である県民所得、失業率、財政依存度などが全国水準に近づいた状態であると考えております。
次に、個別計画4分野について特例措置等を生かした仕組みかどうかについてお答えいたします。
観光産業、情報通信産業、農林水産業の振興と雇用安定に関する4分野については、県が計画を定め国の同意を得ることができることとなっており、国の支援がより強力に得られるものと理解しております。
観光振興計画においては、観光振興地域における課税の特例や特定免税店制度を生かした観光の振興、情報通信産業振興計画においては、情報通信産業特別地区の特例措置を生かした企業立地の促進等による産業の振興を図ってまいりたいと考えております。
また、農林水産業振興計画においては、国の支援等に基づく各種振興施策の推進、職業安定計画においては、地域雇用開発促進法に基づく特例措置を生かした雇用の促進等を図り、沖縄振興特別措置法に定められた特例措置及び優遇措置を十分に生かした実効性のある計画にしたいと考えております。
次に、計画実施に当たっての財源確保についてお答えいたします。
法律に基づく分野別計画のほか、新振計の実効性を高めるため県においてはその他の分野についても個別計画を作成することとしております。法定4分野については国の同意を得て実施することから、予算の確保などについての支援が得られるものと理解しております。
また、その他の計画については、これらの計画を着実に実施するため予算の効率的な配分等財政運営に十分留意するとともに、国庫補助金の活用等所要の財源確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、普天間飛行場の跡地利用についてお答えいたします。
普天間飛行場については、広大な面積を有し人口の集中する中南部の中央に位置することから、跡地利用に当たっては、中南部都市圏における位置づけや周辺市街地整備などに留意し、沖縄の振興をリードする高次都市機能や国家プロジェクトの導入及び基幹道路の整備等総合的かつ計画的に進めていきたいと考えております。県は、今後、国や宜野湾市との密接な連携のもと、沖縄振興特別措置法に基づく制度の活用を図り、地権者等の意向も踏まえながら跡地利用の促進に向けて取り組んでいきたいと考えております。
○文化環境部長(永山政邦) 自然保護と環境保全について、オニヒトデ対策についてお答えいたします。
オニヒトデの生態につきましては、その異常発生のメカニズムなど未解明なことが多く、また海域における事象であることから、サンゴ礁生態系に対する影響など被害の状況を把握することは大変困難なものとなっております。今年に入り、座間味島海域において地元のボランティア活動により約1万匹のオニヒトデを駆除したという報道や、各地の研究者、漁民、ダイバー等から多くの情報が寄せられております。その生息密度は増加傾向にあると推測されております。
このようなオニヒトデの急激な増加は、近年、高水温によりダメージを受けたサンゴに対しさらに深刻な被害を与えかねないため、本県の自然環境保全上重要な課題となっております。そのため、各部局において実施している駆除対策事業を総合的に推進するとともに、情報の共有化に努め、オニヒトデ対策連絡会議を開催するなど関係機関と連携を図り、より効果的な対応を図ってまいりたいと考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時44分休憩
午後1時11分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
午前に引き続き代表質問を行います。
糸洲朝則君。
〔糸洲朝則君登壇〕
○糸洲 朝則 公明県民会議を代表いたしまして質問をいたします。
最初に、有事法制関連について伺います。
現在、国会で審議されている有事関連法案は、万が一有事の際に国民の安全確保を図るための法律でありますが、自衛隊の行動原則を規定するにとどまらず地方自治体や指定公共機関等の役割、さらには住民生活にかかわる内容を含むだけに慎重な審議が求められております。
沖縄は、去る大戦で本土防衛の捨て石として国内唯一の地上戦が展開され、旧日本軍によって女性や子供を含む多数の住民が戦争の最前線に動員された歴史を持っております。そのために県民の旧日本軍に対する不信感が自衛隊に対しても複雑な県民感情を生んでおります。
さらに県民は、米軍基地の過重負担により、昨年9月の米同時多発テロで在沖米軍が警戒強化に入ったように、米軍の行動によって沖縄が真っ先に有事体制に組み込まれ、住民が軍への協力関係に置かれてしまうのではないかとの強い疑念を抱いております。こうした沖縄の歴史、県民感情は理屈では割り切れない複雑さを持っております。
また、戦後、長年続いた東西冷戦構造のもと、国政においては55年体制下でこの種の議論はタブー視され、これまで余り議論されておりません。したがって、政府は法案を提案するに当たって、国民の合意形成を最重要課題とし、十分に時間をかけて国民の声を聞きながら、その納得が得られるような議論が行われなければならないと強く申し上げたいのであります。
また、沖縄の基地問題解決についても県民の立場に立った取り組み、いわゆる基地の過重負担を軽減し、平和の発信地としての取り組みを強く訴え、公明県本部の見解を申し上げて知事の御所見を伺います。
(2)点目に、こういうときこそ基地問題解決について強く訴える必要があります。いわゆる基地の整理縮小、兵力の削減、地位協定の見直し等、これは県議会においても決議されており、県民の総意として国に訴える考えはないかどうか、知事の見解を伺います。
2点目、沖縄県振興計画について伺います。
21世紀の沖縄の自立的経済発展を目指す施策が網羅された沖縄振興計画が策定されたことに対し、関係者の御苦労に対し敬意を表しますとともに、振興計画(案)が一日も早く成立することを望み、また高く評価するものであります。
これからは、この計画に基づく具体的な取り組みが求められております。いわゆる自立経済の持続的発展、国際交流拠点形成、循環型社会の形成、人材の育成及び確保、社会資本の整備、離島・過疎地域対策、都市再開発、基地の過重負担の軽減等々、これらの山積する課題に真っ正面から取り組むことによって、新計画で言う「平和で安らぎと活力のある沖縄県」づくりが実現するものと期待し、質問をいたします。
(1)、沖縄振興計画で知事が最も評価し期待するものは何か。また、県民に訴えたいことは何か。
(2)、3次にわたる振計で、一国二制度的と言われたFTZや工業開発地区制度は、県民が期待する結果を残しておりません。新振計でも特自貿制度を初め観光振興地域制度、金融特区、情報特区等の新制度が設定されております。これらの制度が自立型経済の構築へどのように生かされていくのか、そのための取り組みについても御説明願います。
(3)、沖縄問題は経済振興と基地問題であります。新振計においては、SACO最終報告で示された施設の返還や早期の跡地利用計画、事業の取り組みについては明記しており高く評価するが、新たな基地の整理縮小に対する取り組みについてはどのように展開されるか、伺います。
(4)、国連機関を含む国際機関の誘致は、国際交流拠点及び人間の安全保障の拠点としての位置づけ、平和の発信地、21世紀の沖縄のあるべき方向を示すことになります。したがって、基盤整備を含めた環境整備に努め、国連アジア本部誘致への取り組みを望みます。知事の御所見を伺います。
(5)、那覇市が今進めておりますゴルバチョフ財団、あるいはチャイコフスキー協会の誘致に対し、県はどのように考え、またどのような対応をなされるか、伺います。
(6)、自立的発展に不可欠なのが人材育成であります。とりわけ新振計に基づく取り組みの成否は、人材育成及び確保にあると言っても過言ではなかろうかと思います。
沖縄電力は、去る5月20日に2002年3月期の決算を発表いたしました。それによりますと、売上高1527億円、経常利益96億円と過去最高の決算をあらわしております。仲井真社長は、経営効率化を推進し、その成果を顧客に還元する方針を明言をいたしました。いわゆる今年10月に5%前後の電気料金を値下げし、2年ないし3年以内に第2弾の料金値下げに踏み切るとのことであります。
そこで提案でございますが、顧客である県民の御理解と御協力をいただいて今年10月からの料金引き下げを1年間凍結し先送りして、その値下げ分――約50億から60億円と言われております――を活用し、奨学金基金制度を創設し人材育成に充てられたらいかがでしょうか。いわゆる「米百俵」の心意気で知事が県民を代表して沖縄電力に働きかけてみてはいかがでしょうか、知事のお考えを賜ります。
3、国立高専の創設について伺います。
国立高専、いわゆる沖縄工業高等専門学校の設置、及び2004年開校が先日発表されました。時代の要請にこたえ得る実践的技術者の養成を目指す同校の設立を喜ぶものであります。かつては沖縄工業高等学校が中堅技術者を養成し、多くの産業界を支えてきました。時代は新産業の創設を必要としており、新振計でもうたわれているように、情報通信関連産業やバイオテクノロジー等新しい専門技術者を求めており、経済産業界の要請に的確に対応できる創造性あふれる実践的技術者が育成されることを期待し、質問をいたします。
(1)、新振計における国立高等専門学校の位置づけについて御説明をいただきたいと思います。
(2)、国立高専と県の関係はどのように位置づけられるのか。県の支援・協力体制及び内容等について御説明をいただきます。
(3)、経済産業界との連携は大変重要であると考えます。いわゆる必要とされる人材の育成、卒業生の受け入れ体制、そのほかいろいろな課題があると思いますが、どのように推進されるのか、伺います。
(4)、募集対象は県内中学生のみか。また、全寮制なのか。
(5)、設置される地域、いわゆる名護市辺野古への波及効果はどのようなものが期待されているのか、御説明願います。
4番目、沖縄進入管制業務、いわゆる沖縄ラプコンの返還についてでございますが、本土復帰してから30年を迎えた今日も米軍の管制空域にあることは御承知のとおりであります。したがって、那覇空港における航空機の離発着時の管制業務は、日本から米軍に、そして日本にと管制主体が移行する煩雑さは、民間機の熟練したパイロットでさえ国内で最も緊張を強いられる空港と言われているほどでございます。
公明党は、これまで管制業務の早期返還を国や米軍に対して強く求めてきたが、米軍側は、米軍機の安全確保を名目に返還を拒んできました。しかしながら、私どもはさらに日本の管制業務技術の向上や民間機の安全確保の観点から早期返還を求めてきたのに対し、日米両政府は去る5月30日、返還条件の「運用所要」を承認し、今後の返還計画の策定が注目されております。
したがって、以下の点について伺いますが、沖縄進入管制業務、いわゆる沖縄ラプコンの返還条件としての「運用所要」を日米両政府は承認したことを受けて沖縄の「空の主権」の回復が大きく前進しましたが、返還時期及び返還までの取り組みについて御説明いただきます。
また、返還後の民間機の安全確保及びメリット・デメリットについても伺います。
(3)点目に、訓練空域について県はどのように考え、また今後どのような対応を考えておられるかについても御説明をいただきます。
5番目、医療・福祉行政について伺います。
近年、少子・高齢化の急速な進行は、社会保障制度を初めあらゆる分野に影響を与えつつありますが、こうした中で保険制度の改革や少子化対策は早急に取り組まなければならない重要な課題であります。
質問をいたしますが、(1)、医療制度改革で3歳未満の乳幼児に対する保険給付率を7割から8割に引き上げることによって自己負担率を3割から2割に引き下げる措置が盛り込まれております。この差額の1割を財源として現行の3歳児未満の乳幼児医療費助成制度を拡大できないか。また、その差額の分は県全体としてどれぐらいの金額で、何歳まで拡大可能なのか、御説明をいただきたいと思います。
(2)、医療制度の改正に当たって、公的負担を中心とした新しい高齢者医療制度を導入し各医療保険の拠出金負担の軽減を図るとともに、高齢者の自己負担については所得等に応じ無理のない適正なものにすべきであると考えるが、県の考え及び対応について伺います。
(3)、待機児童対策、認可外保育園への支援、「新おきなわ子どもプラン」等についての御説明と将来展望について伺います。
6点目、教育行政について伺います。
この4月から実施されている新学習指導要領は、調べ学習や総合的な学習など子供がみずから学ぶ教育となっております。したがって、子供がみずから学ぶためには学校図書館や公共図書館の充実、子供学習を支援する司書教諭や学校司書制度の確立が必要であります。
2001年、超党派による議員立法で「子どもの読書活動に関する法律」が成立をし、それに基づき国における「子ども読書活動推進基本計画」、都道府県と市町村においては「子ども読書活動推進計画」をつくることが示されております。したがって、子供の読書環境整備の責任の一端を担う教育行政の取り組みについて伺います。
(1)、県立及び市町村立の図書館の設置状況と今後の計画、また広域的なネットワーク化の構築について、取り組みについて伺います。
(2)、政府は、学校図書館図書資料の整備を図る予算として平成14年度から5年間で総額650億円──毎年13億円、5年間で4000万冊分──の地方交付税を措置しておりますが、沖縄県における計画及び今年度の予算措置について具体的にどのようになっているか、御説明をいただきたい。また、これらの小中学校への予算措置をするとどれぐらいの金額になるかについても御答弁を賜りたいと思います。
7点目、文化・芸術振興についてでございますが、昨年、「文化芸術振興基本法」が成立したことによって地方自治体における独自の基本指針やビジョン、条例の制定により文化・芸術振興の推進が望まれております。
(1)、「文化芸術振興条例」の制定への取り組み等、及び基本指針あるいはビジョン等県の文化・芸術振興について御説明いただきたいと思います。
さらに、文化・芸術振興にとって、純真な子供たちに本物の文化・芸術に触れさせることの大切さは言うまでもありません。子供にとって本物の作品に触れることによって可能性を開き、拡大するきっかけになります。したがって、身近にある文化・芸術に触れる環境づくりの一環として県立博物館を初め公立の美術館や資料館等の施設における子供たちの入場料を無料にして、子供たちが気軽に本物の文化・芸術に触れる機会を多くしたらどうか、伺います。
次に、県立芸大卒業生の就職状況及び文化・芸術振興と芸大とのかかわりについても御説明願います。
8番目、離島振興について。
離島振興対策は、多くの離島で構成する本県の重要課題であることは言うまでもありません。しかしながら、何かにつけ離島における格差は常につきまとっております。いわゆる離島の不利性と言われるもので、この不利性を有利性に転換する手段として情報格差を是正することによって島の美しい自然環境等が生かされてくるわけであります。教育や医療の面でも大きく改善されることが期待されており、情報格差是正を強く求めるものであります。
また、現行制度のもとで数々の矛盾や不便を来しているのも現実であり、それらの解消についても以下の質問をいたします。
(1)、離島の情報格差是正について、①、先日、陳情のあった南・北大東両村への海底光ファイバーケーブルの早期敷設への対応について、その他本島周辺離島への海底光ファイバーケーブルの敷設についても御説明願います。
②、宮古まで敷設されている海底光ファイバーケーブルの多良間村、石垣市、与那国、台湾への敷設計画について、あわせて先島周辺離島についてもどのように展開されるのか、伺います。
(2)、離島における屠畜場施設の現状と今後の計画について。
(3)、石垣や与那国など離島空港における検疫業務についても御説明いただきます。
最後に環境行政について。
循環型社会づくりを促進する個別法の一つとしてグリーン購入法が2001年から全面施行され、国の機関は環境への負荷が少ない物品の購入、いわゆるグリーン購入が義務づけられております。地方自治体に対して同法はグリーン購入について努力義務を課しております。
また、地球温暖化防止対策推進センターの設置についても同様であり、循環型社会構築を進める第一歩としての観点から、(1)、県を初めとする各自治体におけるグリーン購入の実態及び今後の取り組みについて。
(2)、地球温暖化防止対策推進センターの設置について。
以上、質問いたしまして、御答弁をよろしくお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 糸洲議員の御質問にお答えいたします。
最初は、有事法制についての所見及び基地問題解決についての御質問のお答えでございます。一括してお答えを申し上げます。
現在、国会で審議されている武力攻撃事態対処法案を初めとする関連3法案については、これまで有事における対応について法的な根拠が示されていなかったことから、政府においては、法治国家として法的整備を図る必要があるということで同法案を国会に上程されたものと承知しております。
同法案の審議に当たっては、直接県民の生命財産を預かる地方自治体に対して国は十分な説明を行い、その意見を尊重するとともに、広く我が国の外交や安全保障のあり方も含めて国民の意見を聴取した上で慎重に議論を尽くす必要があると考えております。
特に、沖縄に過度に集中している米軍基地に係る問題は、我が国の安全保障を考える上で単に沖縄という一地域の問題としてとらえるのではなく、国民全体で取り組むべき重要な課題であると考えており、米軍基地の整理縮小を求める県民の強い意向を踏まえ、この機会に米軍基地の負担のあり方も含めて十分に議論するよう国に対して要望しております。
このような県の考え方については、九州地方知事会から国へ提出した要望書に盛り込まれており、6月12日の政府と各都道府県知事との意見交換会においても直接政府に申し上げております。
次に、沖縄振興計画の評価及び県民への期待についてお答えをいたします。
本計画案は、総合計画として県民の福祉向上につながるすべての分野について記述しています。
計画案の特徴としては、情報特区や金融特区、観光振興地域制度等の積極的活用など、これまで以上に産業振興策が充実した内容となっております。また、科学技術振興のための世界最高水準の大学院大学の設置や、駐留軍用地跡地利用の促進などこれまでの計画にはない新たな項目も追加した上、国際交流の推進、文化の振興についてもその内容を充実させており、21世紀における本県の振興への道筋を示すことができたと考えております。
また、沖縄振興策の推進に当たっては県民と行政が連携し、英知を結集していくことがこれまで以上に求められています。
自立型経済の構築に向けては、参画と責任を基調に沖縄の産業界や県民を中心とする主体的かつ責任ある取り組みを期待しております。
また、地域づくりに当たっても住民を初め民間企業やNPO等の行政と一体となった参加を期待しております。
次に、振興計画案におけるSACO以外の基地の整理縮小についてお答えをいたします。
本県が負担している過重な米軍基地の整理縮小については、まずSACOの合意事案を着実に実施し、計画的、段階的に基地の整理縮小を図ることが、より現実的で実現可能な方法であると認識しています。SACOの合意事案がすべて実施されたとしても、本県には依然として在日米軍専用施設面積の約70%の米軍基地が存在することから、戦後57年余も過重な米軍基地を負担してきた県民の意向にこたえるため国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえ県民の理解と協力を得ながら、SACOで合意された施設以外についてもさらなる米軍基地の段階的な整理縮小が必要であると考えています。
なお、沖縄振興計画案においては、「SACO最終報告を踏まえ、さらなる整理・縮小を計画的、段階的に進めていくことが重要である。」と記述しております。
次に、国連アジア本部の誘致に向けた取り組みについてお答えをいたします。
国連機関等の誘致については、沖縄振興計画県案に「国連機関を含む国際機関等の誘致の可能性も検討」することを明示しました。これは、沖縄への国連機関の誘致に向け一歩前進したものと考えております。今後とも国との連携のもと、調査検討を進めながら国連機関等の誘致に努めてまいります。
次に、ゴルバチョフ財団、チャイコフスキー協会の誘致についてお答えいたします。
本県においては、沖縄の歴史的・地理的特性を踏まえ、経済、学術、文化及び平和等さまざまな分野でアジア・太平洋地域との交流・協力を推進し、同地域の社会経済及び文化の発展に寄与する地域の形成を目指しております。国際交流・協力の推進にはNPO、企業、大学、市町村等の地域における国際化に向けたノウハウ、ネットワークが大きな役割を担っております。
このようなことから、那覇市が進めているゴルバチョフ財団、チャイコフスキー協会の日本支部の誘致は、本県と両団体の設置されているロシアとの平和、学術、文化等のさまざまな分野における国際交流・協力の促進につながるものであり、意義深いものであります。県といたしましては、両団体の那覇市への支部設置について協力していきたいと考えております。
次に、「新おきなわ子どもプラン」の説明と将来展望についてお答えいたします。
「新おきなわ子どもプラン」は、少子化の一層の進行等子供を取り巻く社会的な背景が大きく変化していることを踏まえ、子育て家庭へのきめ細かな支援や子育てと仕事の両立支援などを施策の基本方向として位置づけ、平成14年度から18年度までの児童育成施策を総合的、横断的に推進するための指針として策定したものであります。
5カ年間で達成すべき整備目標としては、保育所の50カ所増設や放課後児童クラブを小学校1校区に1カ所程度、児童館を中学校2校区に1カ所程度などとなっております。
また、企業に取り組んでいただきたい目標として、年間総労働時間の短縮などについても数値目標を掲げております。同プランを推進することによって社会全体で子育てを支援する体制整備が図られ、子供の権利と最善の利益が尊重され、伸び伸びと成長できる環境づくりが進むものと考えております。
次に、「文化振興指針」と「文化芸術振興条例」についての御質問にお答えいたします。
物質的な豊かさから心の豊かさを求める社会的ニーズを背景に、文化・芸術の振興に対する国民や県民の関心はこれまでになく高まっております。このような中、国においては文化・芸術の振興についての基本理念と方向性を示し、文化・芸術の振興に関する施策を総合的に推進するため昨年12月に「文化芸術振興基本法」が制定され、また本年3月に制定された「沖縄振興特別措置法」には地域文化の振興に関する規定が整備されました。
県としては、平成15年度を目途に、時代や県民のニーズを踏まえた「新たな文化振興指針」を策定し、社会の変化に対応した文化施策の充実を図り、県民のゆとりと豊かさのある生活の実現を目指していきたいと考えております。
また、「文化芸術振興条例」の制定につきましては、「文化芸術振興基本法」に基づき策定される国の基本方針等の内容を踏まえながら今後検討していきたいと考えております。
次に、地球温暖化防止対策推進センターの設置についての御質問にお答えいたします。
地球温暖化防止活動推進センターには全国センターと都道府県センターがあります。全国センターは、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき環境大臣が全国に1カ所指定するもので、平成11年に財団法人日本環境協会が指定を受けております。都道府県センターは、同法に基づき都道府県知事が民法法人またはNPO法人の申請により、地球温暖化の防止に関する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを1カ所指定するもので、11道県で指定されております。
本県では、県センターはいまだ指定していませんが、地域における地球温暖化防止活動を推進するため、今後、民法法人及びNPO法人の活動状況など実情を把握し検討してまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 沖縄振興計画(案)について、自立型経済構築に向けた新制度への取り組みについてお答えいたします。
ことし3月に成立した沖縄振興特別措置法では、「情報特区」、「金融特区」の創設や特定免税店の空港外展開など沖縄独自の大胆な制度や中小企業の経営革新、新規事業創出のための措置など、産業振興策が大幅に充実されております。
県としましては、これらの制度の活用を初め企業立地環境を整備するととともに、産業人材の積極的な育成、新事業展開に対する支援等を講じ企業誘致に努めてまいります。また、これらの制度や支援策の産業界や県民による積極的な活用は、十分な成果に結びつくものと考えております。
次に、沖縄電力の値下げ分を活用し人材育成に充てたらどうかについてお答えいたします。
21世紀の沖縄が、自立に向けて持続的に発展し世界に開かれた交流拠点を形成していくためには、産業、福祉・医療、学術・文化等各分野における高度多様な人材の育成が極めて重要であると認識しております。
沖縄電力は民間企業でありますので、その資金運用方針に県がかかわることはできませんが、御質問の趣旨は、人材育成を進める上で貴重な御提言として承りたいと存じます。
次に、離島振興について、離島地域等への光ファイバーケーブルの敷設計画と敷設状況について一括してお答えいたします。
光ファイバーケーブル等の情報通信インフラの整備は、民間事業者主導による整備が原則でありますが、南・北大東村における情報格差の是正を図るため両村及び関係機関と連携を図りながら検討していきたいと考えております。
本島周辺離島の伊平屋島、伊是名島、伊江島、久米島、渡名喜島、慶良間諸島には本島から海底光ファイバーケーブルが敷設されております。宮古島から多良間島、石垣島、与那国島及び台湾への海底光ファイバーケーブルの敷設計画はありませんが、現在、多良間島、石垣島、与那国島間には高速・大容量の多重無線回線が整備されており、現時点での通信需要には十分対応ができております。
また、石垣島から黒島、竹富島、小浜島、西表島、波照間島へは海底光ファイバーケーブルが敷設されております。
○教育長(津嘉山朝祥) 新振計における国立高専の位置づけについての御質問にお答えをいたします。
沖縄工業高等専門学校の設置については、沖縄振興計画(案)において多様な社会的・時代的要請に的確に対応できる専門分野の人材育成を目指すための施策として位置づけております。同高専の設置により情報通信、生物資源等の各分野における実践的技術者の育成を図るとともに、地域社会や産業界と連携して産業の振興に有為な人材の育成に努めることといたしております。
次に、国立高専と県の関係及び県の支援・協力体制等についての御質問にお答えをいたします。
沖縄工業高等専門学校の設置主体は国でありますが、県としては、本県の経済産業や社会全体の発展に寄与する同高専の設置を促進する立場から、これまで設置学科に関する要請や設置場所を推薦するなど各種の取り組みを行ってまいりました。
国においては、本年6月に設置学科、入学定員、開学時期などを盛り込んだ「沖縄工業高等専門学校の創設について(最終まとめ)」の公表を行ったところであります。この最終まとめを受けて、県としては平成16年度の学生受け入れに向けての広報活動など、国及び名護市等の関係機関と連携を図りながら業務を促進していくとともに、各学科の教育・研究の充実や高専と県立高校との人事交流、県立総合教育センターや専門高校との連携・交流など引き続き支援・協力をしていきたいと考えております。
次に、人材の育成、卒業生の受け入れ体制についての御質問にお答えをいたします。
沖縄工業高等専門学校が本県の振興に果たす役割は極めて大きなものがあり、そのためにも経済産業界との連携は重要であると考えております。
公表された「最終まとめ」には、産業界との共同研究開発の充実、企業人の再教育機能の導入及び産学連絡会等の組織化により関係団体や経済産業界との有機的な連携を図り、教育・研究の充実及び産業の発展に資することが触れられております。県としましても、「最終まとめ」の趣旨を踏まえ、産業界にとって必要とされる人材育成や卒業生の受け入れ体制の充実に向け、産学連絡会への参画など沖縄工業高等専門学校創設準備室との連携のもと、できる限りの支援・協力をしていきたいと考えております。
次に、募集対象は県内中学生のみか。また、全寮制かの御質問にお答えをいたします。
沖縄工業高等専門学校の募集対象は、全国の中学卒業者となります。
学生寮については、「最終まとめ」及び基本設計によりますと、寮の定員は全学生800名の7割560名が想定されており、1・2年生は基本的には全寮制で、3年生以上については希望制となっております。
次に、設置される地域への波及効果についての御質問にお答えをいたします。
予想される波及効果としては、沖縄工業高等専門学校の設置により経済産業界のニーズに合った多様な人材が育成され、北部地域はもとより、本県全域の振興に寄与することが挙げられると思います。
同高専の学生は1学年160名、5学年で800名となります。また、教職員は約110名と聞いており、その家族も含めた地域での消費などに伴う経済効果は大きなものがあると予想されます。また、学校運営に伴う給食、警備、清掃、クリーニングなど多くの雇用面の効果も期待できます。
その他に、高専施設の開放による地域と高専の交流や、高専が身近にあることで児童生徒の向学心が高まることなどが考えられます。
次に、図書館の設置状況と広域的なネットワーク化についての御質問にお答えをいたします。
沖縄県内における公立図書館等の設置状況につきましては、平成14年6月現在、県立図書館が分館を含め3館、市町村立図書館が21市町村26館となっております。その他に20町村で公民館等に図書室が設置されております。今後は平成15年度に今帰仁村と宜野座村、平成16年度以降、与那城町、西原町、北中城村等が設置を計画しています。
広域的ネットワーク化については、「沖縄県図書総合目録システム事業」があります。総合目録とは、県内の各図書館の蔵書目録を一元的なデ-タベ-スに構築し、インタ-ネット等を通じて県民に提供するシステムであります。平成13年度には那覇市、具志川市の図書館が参加をしております。平成14年度は名護市、浦添市が参加をしております。これにより、県立図書館を含めた5つの公共図書館の蔵書データの検索及び図書館相互の資料の貸借が可能となっております。このほか、石川市も参加する予定であります。
今後、県教育委員会としましては、図書館関係者との論議を積み重ねながら市町村のニーズを把握し、また分散型システムのような新システムについても調査をし、よりよいネットワークを構築していきたいと考えております。
次に、図書資料の整備に係る予算措置状況等についての御質問にお答えをいたします。
県教育委員会におきましては、学校図書館の図書整備に係る地方交付税措置が講じられている旨を各市町村教育委員会に通知をし、所要の経費の確保について周知を図っているところであります。
学校図書館の図書整備に係る経費を単位費用から換算すると小学校は約8400万円、中学校は約7500万円、計1億5900万円になります。平成14年度、市町村教育委員会が学校図書館の図書整備に計上した予算額の総計は小学校が約1億4700万円、中学校が約1億300万円、計2億5000万円が地方交付税措置以上に予算計上されており、学校図書館の図書整備に関して深い理解が示されたことがうかがえる結果となっております。
県教育委員会としましては、今後とも学校図書館の充実を促進し、児童生徒の読書活動の推進を図っていきたいと考えております。
次に、公立の博物館等の子供たちの入場料無料化についての御質問にお答えをいたします。
現在、県内には公立の博物館や美術館、資料館等の施設が29館あります。そのうち11館は子供たちの入館料が無料となっております。
有料の公立博物館等施設においても、常設展を学校教育の一環として見学する場合にはすべての館が無料となっております。県教育委員会としましても、完全学校週5日制の実施等も踏まえ、県内の子供たちが本県の歴史・文化に触れ、学習する機会を多くするために県立博物館においては土曜日を無料としております。
また、有料の公立博物館等施設の学校教育以外で見学する場合の無料化については、市町村の状況等も勘案しながら関係機関と協議していきたいと考えております。
なお、特別展等の入館料の無料化については、現在、国立の施設においても特別展は有料となっており、全国の博物館等の動向を踏まえ、関係機関との調整を図りながら検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) 沖縄進入管制業務(嘉手納ラプコン)の返還について、嘉手納ラプコンの返還時期及び返還までの取り組みについて聞きたいにお答えいたします。
嘉手納飛行場及び那覇空港等の進入管制業務、いわゆる嘉手納ラプコンの返還については、平成12年3月16日に当時のコーエン国防長官が、米軍の運用上の所要が満たされることを前提に日本側への返還に同意する旨発言されて以来、日米間で返還の早期実施に向けた協議が行われてきました。具体的には、平成12年9月21日に日本側から航空管制官2名を嘉手納ラプコンへ派遣することが日米合同委員会へ報告され、これに基づき同年10月16日から11月15日までの間、運輸省(現国土交通省)の航空管制官が嘉手納ラプコンで研修を行っております。
また、外務省によりますと、昨年4月に米側から米軍の運用上の所要が日本政府に提示され、国土交通省の検討を経て、ことし5月30日の日米合同委員会で嘉手納ラプコンに係る米軍運用所要が承認されたとのことであります。今後は、具体的な移管計画を策定するための作業を行う予定とのことであり、嘉手納ラプコンの返還に向けた作業は着実に進展しているものと考えております。
なお、現在のところ返還時期については示されておりません。
同じく沖縄進入管制業務(嘉手納ラプコン)の返還についての、返還後の民間機の安全確保及びメリット・デメリットについて聞きたいにお答えいたします。
航空交通管制業務を日本側に移管し、日本政府において一元的な管制業務を行うことにより民間機の円滑な定期運航や安全性の確保が図られるものと考えております。
また、国土交通省は、移管後の航空交通管制業務を十分に実施する能力・技術を備えているとしており、円滑な管制業務の実施がなされるものと考えております。
同じく沖縄進入管制業務(嘉手納ラプコン)の返還についての、訓練空域についての県の考え方と今後の対応についてにお答えいたします。
本県には米軍の訓練空域が20カ所設定されており、これら訓練空域の設定によって民間航空機の運航等に少なからず影響を与えているものと思われます。県としては、訓練空域の存在や同区域内での訓練により県民生活や本県の振興開発に著しい影響を及ぼすようなことがないよう県民の生活と安全を確保し、県土の均衡ある発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと考えています。
なお、民間機の安全確保を図るため、渉外知事会において民間航空路線と重なる訓練空域については、空域解除等特段の措置を講ずること等を毎年要請しております。
○福祉保健部長(新垣幸子) 医療・福祉行政について、乳幼児医療費制度の年齢拡大についての御質問にお答えします。
今回の医療制度の改革で、3歳未満児の医療費の自己負担が3割から2割になります。平成14年10月から改正される3歳未満児の2割の自己負担分について、同じく平成14年10月から改正される高額療養費の引き上げ等を勘案して試算すると、約9億1000万円と推計されます。また、現行の3割負担で見込んだ場合約9億9000万円で、その差額は約8000万円となっております。
なお、年齢を3歳未満児から4歳未満児に引き上げた場合、約2億円の助成額が必要と見込まれます。
年齢拡大については、実施主体である市町村の意向を踏まえ十分に調整しながら検討していきたいと考えております。
医療制度の改革について。
高齢者医療制度については、急速に増大する老人医療費への対応が必要であり、世代間の公平な負担を実現するとともに、後期高齢者への施策の重点化、公費負担の拡充を図る必要があります。今回の制度改革内容については、老人医療拠出金の負担割合を軽減するために公費負担の割合を現行の3割から5割に5年間で段階的に引き上げることになります。
高齢者の患者一部負担については、負担能力に応じた適切な負担を求める観点から、低所得者に配慮した措置を講じつつ定率1割負担となります。また、一定以上所得者には応分の負担を求めることにしております。
なお、県といたしましては、平成13年11月の九州地方知事会議を通して安定的運営が可能な制度で県民の健康増進と適正な医療の確保を図るとともに、社会的、経済的に弱い立場の人々にも十分配慮するよう国へ要望しております。
待機児童対策、認可外保育施設への支援について。
県は、昨年度に実施した「就学前児童の保育等に関する実態調査」の結果、潜在的な待機児童を約1万2000人と推計いたしました。このことから、待機児童解消策として新規の認可外保育施設認可化促進事業を実施するとともに、保育所の増・改築や保育所分園の整備を促進することとしております。
当面の目標として、平成18年度までに保育所を50カ所創設し、認可外保育施設を利用していて認可保育所を希望していると推計される約3500人の待機児童の解消を図ることとしております。
また、認可外保育施設を利用している児童の処遇の向上を図るため、今年度から県単独事業として年2回の健康診断、年1回の歯科健診、3歳未満児に対するミルク代などの助成を行っているところであります。
以上でございます。
○文化環境部長(永山政邦) 文化・芸術振興につきまして、県立芸大卒業生の就職状況及び文化・芸術振興と芸大とのかかわりについてお答えいたします。
沖縄県立芸術大学は、昭和61年の開学以来1165名の卒業生を送り出しております。
平成13年度の卒業生86人の進路希望状況は、43人、50%が進学、29人、34%が就職、その他が14人、16%となっております。就職希望者29人のうち就職した者は13人で、就職率は45%となっております。
これまでに卒業生の中からは、国指定重要無形文化財「組踊」や県指定無形文化財「沖縄伝統舞踊」の伝承者、海外オーケストラの奏者等国内外において活躍する人材が輩出しており、県立芸術大学は沖縄の文化・芸術の発展を担う人材を育成する教育機関としての役割を果たしてきております。今後とも沖縄の豊かな芸術・文化の伝統を受け継ぎ、創造的芸術・文化の形成及び発展を担う人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、環境行政について、グリーン購入の実態及び取り組みについてお答えいたします。
県におきましては、平成11年5月に策定した「沖縄県環境保全率先実行計画」において環境配慮型製品の購入及び低公害車の導入等に取り組み、グリーン購入を推進しているところであります。
また、平成13年4月全面施行の「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」、いわゆる「グリーン購入法」第10条の規定を受け、具体的な環境物品等の調達目標を定めた「沖縄県グリーン購入調達方針」を平成14年3月に策定したところであります。今後は同調達方針に基づき、より一層グリーン購入の取り組みを強化してまいりたいと考えております。
なお、市町村におけるグリーン購入の取り組みについては、同制度が導入されて間もないため、その制度の趣旨等について環境省と連携し説明会の開催等を行っているところです。引き続きグリーン購入の導入を促進してまいりたいと考えております。
以上です。
○農林水産部長(天願貞信) 離島振興について、離島における屠畜場の現状と今後の計画についてお答えいたします。
離島地域における屠畜場の設置状況は、久米島、宮古島、石垣島、与那国島の4カ所に整備されております。
県では、平成12年度から県単独事業により宮古島、久米島、石垣島の各食肉センターについて国の衛生管理基準等に適合するための屠畜場として改修整備を行っているところであります。しかしながら、これらの屠畜場の整備については、屠畜頭数の確保や食の安全性に対する新たな設備投資等採算性の面で大きな課題があります。県としては、畜産振興を図る観点から離島地域における屠畜場の整備については採算性を勘案するとともに、地元市町村の意向にも配慮しながら検討をしてまいりたいと考えております。
次に、離島空港における検疫業務についてお答えいたします。
本県での動物検疫については、「家畜伝染病予防法」に基づき指定空港となっている那覇空港において国の機関である動物検疫所において実施をしております。
近年、国際物流の進展や海外旅行者の増加等から口蹄疫等の家畜伝染病の侵入が懸念されております。そのため、県としては、国に対して離島空港におけるチャーター便運航等に伴う動物検疫の実施についても要望しているところであります。
また、植物検疫業務については、「植物防疫法」に基づき国において県内の主要空港及び港湾等で厳重な植物検査を行い、病害虫の侵入防止を行っているところであります。今後とも引き続き国と連携し、家畜伝染病や病害虫の侵入防止に万全を期していく考えであります。
以上であります。
○宮里 政秋 代表質問のしんがりを務めさせていただきます。
私は、日本共産党県議団を代表して通告に基づいて質問いたします。
最初に、福田官房長官の「非核三原則見直し」発言について伺います。
この発言は、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」とした憲法9条を真っ向から否定するとともに、非核三原則に違反するものです。知事の御見解をお聞かせください。
非核三原則を国是としたのは、核抜き本土並み返還を求めた県民の世論と運動であります。核持ち込み疑惑のある沖縄の県知事は、福田発言に厳重に抗議し、その撤回を強く求めるべきです。知事の御所見を承りたい。
次に、有事法制について伺います。
今回の法案は、戦争を放棄した憲法9条をじゅうりんすることを大前提にしています。人権や自由、議会制民主主義、国民主権、地方自治など憲法の民主的な諸原則を踏みにじることを当然のこととしています。
そこで、知事に以下の質問をいたします。
第(1)に、今回の武力攻撃事態法案は、周辺事態法と違い正面から自衛隊の武力行使を容認し、国民を強制的に戦争に動員しようとするものであります。武力行使を禁止した憲法に違反するのではありませんか。
第(2)に、自衛隊法改正案は、物資の保管命令に反して物資を処分したり、隠したりした人に対して、「6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」となっています。戦争を禁止した憲法9条を持つ我が日本で、戦争に協力しない国民を犯罪者として裁くなどということは絶対に許してはなりません、裁かれるべきは、憲法9条をぶち壊す小泉内閣ではありませんか。「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」とした憲法19条に違反するものであります。知事の御所見を承りたい。
(3)番目に、有事法制が強行されたら、在日米軍基地の75%が集中する沖縄は、米軍と自衛隊双方による軍事介入の一大拠点となることは間違いありません。今でさえ米軍は日米地位協定で治外法権的特権が与えられています。しかも憲法で保障されている県民の財産権は、米軍特措法で踏みにじられているのであります。まさに有事法制の強行は、悲惨な沖縄戦を体験した県民を再び戦渦に巻き込むものであります。絶対に容認できません。二度と戦争を引き起こすな、命ドゥ宝、これが沖縄県民の戦後の出発だったではありませんか。広島、長崎、沖縄戦の惨禍が憲法9条を生み出した原点です。沖縄から戦争法反対の運動を盛り上げるべきであります。稲嶺知事の御決意をお聞かせください。
次に、沖縄振興計画の県案について伺います。
知事は、県案について「従来と違ってかなり踏み込んだ内容になっている」、「基地問題に関する記述が特色になっている」と述べておられます。しかし、県案策定の上で最も主体性が求められるのは基地問題です。沖縄県は、国との整合性を念頭に基地問題はSACO報告の範囲内にとどめてしまっています。県議会の全会一致による在沖米海兵隊の削減、日米地位協定の抜本的見直しは既に県民合意が形成されている課題であります。基地問題については、将来を展望した基地返還の行動計画を策定し、政府に対して沖縄のあるべき将来像を提示すべきでした。
我が党は、素案づくりの段階で繰り返しその趣旨の提案を行ったのであります。「参画と責任」を主張するなら、少なくとも県案に県議会の決議の趣旨を踏まえて率直に反映させるべきでした。知事の御見解をいただきたい。
御承知のように、日本政府の沖縄政策の基本は基地撤去、恒久平和という県民の要求を認めず米軍基地を温存し、その代償として経済援助を進めるという、いわゆる基地と引きかえの振興策を推し進めてまいりました。
そのようなもとで大田革新県政が誕生し、戦後初めて米軍基地の全面撤去を求めるプログラムを作成し、日米両政府に提起したのであります。すなわち、2015年までに基地を全面撤去し、その跡地利用を含めて沖縄の自治、そして自立を図るというアクションプログラムを打ち立てたのであります。このことは、日本政府の沖縄政策を抜本的に改めさせるもので、まさに画期的な提案でした。
ところが、当時の自民党政府は、実効性のない絵にかいたもちと批判しました。基地の提供責任は国にあり、政府は基地のない沖縄像を県民に提示すべき責任がある。絵もかけない政府こそ無責任だと、我が党は即座に反論いたしました。
さて、戦後初めて基地提供の稲嶺県政が誕生しました。金で基地を買うという政府の許しがたい屈辱的な政策に稲嶺県政はめり込んでいるという印象を強くします。新基地には15年の使用期限をつけるのに、既設の基地については返還期限を県案に盛り込みませんでした。なぜ要求しなかったのか、お答えいただきたい。
次に、内閣府が沖縄にカジノ特区創設を検討していることが報道されました。県も沖縄振興計画の県案にカジノ導入を前提としたエンターテインメント構想を促進することを明らかにしています。我が党は、カジノ特区創設に反対であります。知事の御見解を伺います。
次に、続発する米軍の事件・事故について伺います。
続発する米軍の事件・事故の直後に復帰30周年記念式典が開かれました。べーカー駐日大使の、基地を受け入れてありがとうとの発言に沖縄市の仲宗根市長は、「県民の怒りはいつ爆発するか分からない状態。そのことに気づいていない」と怒りをあらわにしました。
さらに、米国防総省の副長官が、在沖米軍基地の存在は、「結局は沖縄県民に極めて有益」と発言しました。宮城嘉手納町長は、「勝手な思い込みでとんでもない。」、「連日、早朝から爆音をまき散らす訓練が行われている。副長官は実態に沿わない判断をしている」と厳しく批判しています。
このような米軍高官の勝手な思い込みや従前同様の訓練再開について、ついに嘉手納町議会は安保の丘で近隣市町村にも呼びかけて緊急に抗議行動を展開したのであります。この集会には宮城篤実嘉手納町長も参加されました。議会と執行部が一体となって街頭行動を開いたのであります。自治法に基づく議会の権能を行使して関係当局に繰り返し繰り返し意見書を採択し要請・抗議行動を行ってまいりました。しかし、日米両政府は私たち県民の切実な願いに耳を傾けようとはしません。嘉手納町議会の抗議行動は、日米両政府の厚き壁を突き崩す新たな行動として極めて重要な意義を持つものであります。
そこで知事に質問いたします。
海兵隊の削減、地位協定の見直し、続発する米軍機の事故の再発防止という一致する課題で県民大集会を開催すべきと思うが、知事の御所見を承りたい。
次に、楚辺通信施設(象のオリ)移設問題についてお伺いします。
対テロ作戦支援のため在沖米軍がフィリピンに増派されたことは、県民に大きな衝撃を与えました。沖縄がアジアでのテロ掃討の前進基地になるのではないかという不安が広がっています。このような中で通信基地建設は絶対に容認できません。近代戦では軍事戦略の目、耳となる通信施設が真っ先に攻撃目標とされます。まさにテロ攻撃の目標とされる極めて危険な施設と言わなければなりません。
そこで、次の3点について質問いたします。
(1)つ、移設先の施設は楚辺通信施設と同じ規模と性能、任務を持つのか。電波障害や電磁波の障害についてはどう考えるか。
(2)番目に、移設予定地は金武ダムの集水域になるが、県はそのことを承知しているのか。どう対策をとっているのか。水がめの水質汚染と安全性からも中止を要求すべきです。
(3)番目、移設先は、金武町とはいえ恩納村喜瀬武原の生活圏内にあります。子供たちに与える影響、赤土汚染などの心配から地元は現予定地に反対しています。日米両政府に建設計画の中止と沖縄からの撤去を求めるべきであります。御答弁いただきたい。
次に、15年使用期限問題について伺います。
さて、稲嶺知事の任期もあと5カ月となりました。15年問題は2月議会でも質問いたしました。名護市が受け入れ条件としていることから、着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないとしてきた従来の答弁に加えて、「着工までに政府から一定の方向性が示されなければならないと考えております。」と答弁されました。
そこで質問いたします。
(1)点目、知事の任期中に一定の方向性が示されるのか。
(2)点目、着工までにということは、知事の任期中に政府から方向性が示されないこともあり得るのか。
(3)点目、任期中に国から方向性が示されなければ新基地建設を拒否するのか、御答弁いただきたい。
次に、小泉内閣の医療改悪についてお尋ねします。
小泉内閣は医療制度の大改悪の法案を今国会で強行しようとしています。この法案に知事は反対すべきではありませんか。国に対して改悪をやめるよう要請すべきであります。
次に、第一牧志公設市場を中心とする商店街の活性化について伺います。
第一牧志公設市場の皆さんが先月31日、県に対し「お魚センター」構想に反対する陳情を行いました。要請の中心は、泊漁港内で仲買、卸業者が中心に小売市場を内容とする「お魚センター」構想を立ち上げていることに対し、その中止を求めているものであります。
知事も御存じのように、既存商店街活性化の中心的役割を果たしているのが第一牧志公設市場であります。テロ発生後、沖縄への観光客が激減する中で牧志公設市場を中心とする小売業者の皆さんは、不況とテロのダブルパンチで営業は壊滅的状況に追い込まれました。それでも歯を食いしばって頑張り、その結果、今ではやや観光客も取り戻し明るい兆しが見え始めているところであります。
「お魚センター」構想は、小売鮮魚業者や牧志公設市場の小売鮮魚部門と競合することになり、これらの小売鮮魚業者は危機的状況に追い込まれることは明らかです。小売鮮魚業者や公設市場鮮魚業者の血のにじむような努力を無にしてはなりません。「お魚センター」構想は中止すべきであります。知事の御答弁を求めるものであります。
最後に、企業献金についてお伺いします。
鈴木宗男疑惑、加藤紘一自民党元幹事長疑惑、三権の長・井上前参議院議長疑惑、加えて官房機密費に群がるダーティーな政治家たち、腐敗政治はまさに底なしの状況にあります。その根幹に、公共工事に介入し国民の税金を食い物にしていたという疑惑であります。
そこで知事に伺います。
沖縄県は、高率補助に基づく公共工事はメジロ押しであります。公共工事を受注している企業から献金禁止に踏み込むべきと思うがどうか、知事の政治姿勢として伺っておきたい。御答弁いただきたいと思います。
以下、再質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) 宮里議員の御質問にお答えいたします。
最初は、「非核三原則見直し」発言についてでございます。一括してお答えいたします。
私は、世界で唯一原子爆弾の惨禍を受けた被爆国の国民として、また悲惨な太平洋戦争の地上戦を経験した県民として非核三原則を堅持していくべきだと考えております。核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずといういわゆる非核三原則は我が国の国是であり、政府は改めてこれを国会において明言しております。
なお、県においては、あらゆる国による核兵器の実験に対して抗議をするとともに、マスコミを通じてこのことを公表しております。
次に、武力攻撃事態対処法案、自衛隊法改正案及び戦争法に反対することについての御質問に一括してお答えをいたします。
県としては、武力攻撃事態対処法案の審議に当たっては、直接県民の生命財産を預かる地方自治体に対して国は十分な説明を行い、その意見を尊重するとともに、広く我が国の外交や安全保障のあり方も含めて国民の意見を聴取した上で慎重に議論を尽くす必要があると考えております。
特に、沖縄に過度に集中している米軍基地に係る問題は、我が国の安全保障を考える上で単に沖縄という一地域の問題としてとらえるのではなく、国民全体で取り組むべき重要な課題であると考えており、米軍基地の整理縮小を求める県民の強い意向を踏まえ、この機会に米軍基地の負担のあり方も含めて十分に議論するよう国に対して要望しております。
このような県の考え方については、九州地方知事会から国へ提出した要望書に盛り込まれており、6月12日の政府と各都道府県知事との意見交換会においても直接政府に申し上げております。
なお、政府は、「日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合は、その制限は武力攻撃事態に対処するため必要最小限のものであり、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われなければならない。」と提案理由を説明しており、その趣旨に沿って同法案は策定されるものと承知しております。
次に、県議会決議の県案への反映についての御質問にお答えいたします。
県議会の決議内容については、県政においても重要課題として取り組んでいるところでもあり、計画案においては、その趣旨が生かせるよう慎重に検討いたしました。特に米軍施設・区域の整理縮小については、「在沖米軍の移転」を初めて計画案に記述しました。また、旧軍飛行場用地等の戦後処理問題については計画案の課題に初めて位置づけるとともに、解決に向けた方向性を示しております。
このように、これまで盛り込まれなかったことについても記述するなど、沖縄振興特別措置法に基づく行政計画として従来にない踏み込んだ内容となっております。
次に、沖縄振興計画案における基地の返還期限についてお答えいたします。
本県に所在する米軍基地の整理縮小については、日米両政府間で国際情勢を勘案しつつ協議検討がなされることから、沖縄振興計画案に基地の返還期限を設けることは困難であると考えております。
県としては、本県が負担している過重な米軍基地の整理縮小について、まずSACOの合意事案を着実に実施し、計画的、段階的に基地の整理縮小を図ることがより現実的で実現可能な方法であると認識しており、今後とも国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえ幅広く県民の理解と協力を得ながら、SACOの合意内容の着実な実施に向け取り組んでいきたいと考えております。
次に、海兵隊の削減、地位協定の見直し等に関する県民大集会を開催することについてのお答えでございます。
海兵隊の削減、日米地位協定の抜本的見直し、米軍人等による事件・事故の再発防止等については、行政の立場でこれまであらゆる機会をとらえて要請活動を展開してきたところであります。県としては、基地問題の解決に当たっては行政のみならず官民一体となった全県的な取り組みが必要であると考えておりますが、御提案の県民大集会については党派を超え、また各界各層を網羅した全県的な大会が必要であると考えております。
次に、15年使用期限の問題について、任期中に一定の方向性が示されるのか、示されなければ代替施設の建設をどうするのかという御質問に一括してお答えいたします。
15年使用期限問題については、第8回代替施設協議会の中で政府に対し、沖縄の米軍基地問題を国民全体としてどのように分担していくことがひとしく負担することになるかを真剣に考えてもらいたいこと、過重な基地負担をしている沖縄の状況を理解し、基地の提供責任者としてその早期解決に向けて努力してもらいたいことを強く要望したところであります。
同問題については、県が移設に当たって整備すべき条件とし、また名護市が受け入れ条件としていることから、県としては着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないと考えており、着工までには政府から一定の方向性が示されなければならないと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) カジノ特区についてお答えをいたします。
ゲーミングにつきましては、現在国内法で規制されていることや県内にさまざまな意見があることから、県としては事例調査やその内容に関する情報提供等を行いながら、十分な議論を尽くし県民の意見を収れんさせていく考えであります。
規制改革特区につきましては、国の総合規制改革会議においてカジノを含め改革による経済活性化策が幅広く検討されているところでありますが、規制改革特区ワーキンググループの中間取りまとめに向けた素案骨子では、外交・防衛など国の主権に関するものや刑法に関する規制などについては特区制度の対象外とすべきではないかとの考え方が示されております。
以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) 楚辺通信施設(象のオリ)移設問題についての、楚辺通信施設の移設先の規模や障害等についてにお答えいたします。
キャンプ・ハンセン内のオストリッチ地区に移設される楚辺通信施設の規模は、施設面積が現在の約53ヘクタールから約5ヘクタールへ、外周アンテナの直径が約200メートルから約150メートルへ、アンテナの高さが約37メートルから約12メートルへそれぞれ規模が縮小されると聞いております。那覇防衛施設局に確認したところ、移設される通信施設は受信専用の施設であることから、電波障害や電磁障害などの懸念はないとの回答を得ております。
なお、当該施設の性能、任務については、運用上の理由から回答できないとの報告を受けております。
同じく楚辺通信施設(象のオリ)移設問題についての、楚辺通信施設の工事中止及び施設の撤去等についてにお答えいたします。一括してお答えします。
那覇防衛施設局の説明によると、楚辺通信施設の移設に当たっては、電波受信状況等を勘案してキャンプ・ハンセン内のオストリッチ地区に決定されたと聞いております。その後、平成11年4月には金武町長も当該施設の受け入れを表明したところであります。
また、移設工事に当たっては、赤土流出防止対策を行うなど環境に十分配慮した工事を実施するとの説明を受けたところでありますが、県としては環境保全に万全を期するとともに、関係町村及び地元住民との調整を図り、地域の理解が得られるよう那覇防衛施設局に申し入れております。
○福祉保健部長(新垣幸子) 医療保険制度の改正について、改悪に反対すべきではないか、改悪をやめるよう要請すべきではないかとの御質問に一括してお答えします。
政府においては、医療保険制度を将来にわたって持続可能で安定的なものにするため、患者一部負担金の見直しや国民健康保険の財政基盤の強化等の措置を講ずるための「健康保険法等の一部を改正する法律案」を第154回国会に提出し、審議中であります。
県といたしましては、国民皆保険制度を基本とし、適正な負担と給付で国民すべてが良質な医療サービスを安心して受けられる医療保険制度の改善がなされるよう国会での審議を見守ってまいりたいと思います。
○農林水産部長(天願貞信) 泊漁港での「お魚センター」構想についてお答えいたします。
水産物流通総合センター、いわゆる「お魚センター」は、泊漁港の活性化を図るため、現在の老朽化、狭隘化している仲買人店舗を整備するものであります。
同センターは、沖縄県漁業協同組合連合会が事業主体となり、平成13年度から3年計画で魚の解体及び販売施設を整備するものであります。しかしながら、同センターの整備計画に対し、第一牧志公設市場組合から鮮魚小売部門と競合するとの理由で沖縄県に対し中止を求める陳情が出されております。県は、県漁連とともに「お魚センター」整備計画について、第一牧志公設市場組合に対しこれまで数回にわたり説明等を行っております。
県としては、第一牧志公設市場の「お魚センター」建設中止の陳情の趣旨を勘案し、関係者との話し合いを進めていく考えであります。
以上であります。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 企業献金についての御質問にお答えをいたします。
企業等の寄附につきましては、選挙の公正を確保するため公職選挙法第199条第1項の規定により、地方公共団体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者が、その地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関して寄附することは禁止されております。また、政治資金規正法第21条第1項の規定によりまして企業等が政党及び政治資金団体以外の者に寄附することは禁止されております。
これは、政治資金についてその集め方、使い方に対する国民世論の動向から、個人寄附と企業・労働組合等の団体寄附のあり方が総合的に検討され、政治資金制度を政党中心に転換し、従来の政党以外の者に対する政治活動に関する寄附の制限強化を講じたものであると理解をしております。
○宮里 政秋 答弁漏れ。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後2時39分休憩
午後2時43分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 現在任期中でございます。任期中は、今まで言っていることをただ全力を尽くしてやるだけでございます。
次に、先ほどの憲法の問題がございましたけれども、これは私の方で先ほど答弁の中に入っているんですけれども、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずといういわゆる非核三原則は我が国の国是であり、政府は改めてこれを国会において明言しております。
○宮里 政秋 知事、答弁漏れを指摘しても答弁してくれないで困るんですよね。憲法認識を言っているんですよ。
非核三原則については、それでいい。じゃ、有事法制そのものは憲法違反じゃないかと、明確ですよ。あなたの認識を聞いているんですが、これはお答えありません。
それで稲嶺知事、向こうに傍聴に来ているのは公設市場の皆さんですよ。今、忙しい時間帯を割いて見えておられる。それで今農水部長の答弁、前向きに市場の皆さんと相談をして決めるということなんだが、知事、あなた、直接あの方たちの仕事の現場を激励して、そういう相対売りで大変苦労してやっているんですから、こういう「お魚センター」じゃつぶれちゃいますよ。ぜひ市場を調査して激励してほしい。「お魚センター」を中止するということを知事の口から御答弁いただきたい。これが1つ。
それからこの15年問題ですが、政府から一定の方向性が示されるとこういうわけですから、政府から一定の方向性が示されることをあなたは政府からそういう何か確約があったんですか。もう5カ月しかありませんよ、任期は。政府からそういう方向性がなければ基地は受け入れませんということになるんですかと。もう一回この点は明確にしていただきたいです。
市場の皆さんに激励の答弁も含めてお願いします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後2時45分休憩
午後2時46分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) ただいま宮里議員からお話ございましたけれども、第一牧志公設市場の皆様、大変御苦労さまでございます。今後、関係部局等において十二分に検討させていただきたいと思っております。
続きまして15年問題でございますが、15年問題につきましてはこれは私の主張は常に同じでございます。それはどうしてかと、既に移設の条件として私どもは明確に提示しております。したがって、政府が何らかの方向を示さなければならないということが、これは大変重要な意味を持っていると考えます。
○宮里 政秋 再々質問します。
まず、私は、知事がこの海兵隊削減、地位協定の見直し、この一致する課題で大会を開くと非常に前向きな発言をしていただきました。ぜひ知事、采配を振るって、我々すべての党派を超えてこの危険な実態を打開するために頑張りたいと思います。
終わり。
○議長(伊良皆髙吉) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明21日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時49分散会