○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
12月6日から10日までに受理いたしました陳情7件は、お手元に配付の陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
吉田勝廣君。
〔吉田勝廣君登壇〕
○吉田 勝廣 おはようございます。
私は、県民の会を代表いたしまして代表質問を行います。
初陣でありますので、先輩議員並びに三役、職員の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。
私が県民の会に所属したのは、県民の会は政党に属さず常に県民の利益を優先しつつ、個々の政治理念、主体性を尊重するというまさに稲嶺知事と理念が一致する県民的立場で政務をつかさどるということに共鳴したからであります。また、これは私の町長時代の考えと一体であります。
では初めに、私は金武町長8年を経て県議になりましたので、その間感じたことを述べながら質問することを御了承ください。
金武町は人口1万人、米軍人を含めると約1万6000人余になります。面積の60%が基地に占められており、財政は平成12年度決算額78億円で基地への依存財源は53%であります。失業率11.3%、若年労働者の失業率は20%を超えているのが現状であります。
金武町では、戦後57年間好むと好まざるとにかかわらず、町民は基地と背中合わせで生活することを余儀なくされてきました。1972年、町民は大いなる期待を持って復帰を迎えたが、その年の9月、米兵が基地内で町民を射殺、73年9月轢殺、82年3月殴殺、83年2月刺殺、85年1月殴殺、93年4月殴殺されました。21年間で実に6人の町民が犠牲になったのであります。そのほかにも傷害、暴行、恐喝など枚挙にいとまがないほど発生し、町民の生活が脅かされてきました。
この事件の多くは、ほとんど日米地位協定にかかわりがありました。町民は被害者とともにこうした苦しみ、悲しみ、怒りを共有しているのであります。だからこそ、復帰後30年間、日米地位協定の見直しと綱紀粛正を強く要求しているのであります。これは町民の命と権利を守る最低限の責務であります。その一方で、実弾演習による被害も被弾や山火事、赤土流出などこれも枚挙にいとまがありません。
こうした事件・事故が発生するたびごとに町の行政は麻痺し、子供たちの感受性にも大きな影響を与えております。したがって、私は基地行政は負の行政であると発言をしてきました。その上、一生懸命まちづくりに頑張ってもひとたび事件が発生するとこれまでのまちづくりが水泡に帰することになります。こうして金武町は危険な町とこれまで言われてきました。これを何とか払拭したいというのが私のまちづくりの第一歩でありました。
また、私は、金武町の振興開発にとって必要な土地は返還を要求すべきだということで基地アクションプログラムでブルービーチとギンバル訓練場の同時返還を要求しましたが、結果はSACO合意でギンバル訓練場は条件つき返還、強く返還を要求していた跡地利用の有益性が高いブルービーチの返還はノーでありました。もし、返還されれば雇用も町も大きく活性化するのは確実であります。
私たちは、跡地利用なくして返還なし、そのために政府には跡地利用のために財政支援を含めて何らかの法的措置をすべきであると主張してきたのであります。それが30年経過して沖振法に条文化されたことになりました。今後は運用面で市町村とバッティングしないようにきちっと仕上げをしてもらいたいと思っております。また、産業の振興、雇用の確保についても沖縄電力の協力を得て石炭火力発電所の建設は町の活性化に大きく寄与しております。キャンプ・ハンセン基地への町民の優先雇用なども要請してきたが、まだ十分ではありません。
私は、小さな島に住む人々が生き残る戦略は人材育成、ジンブンにかかっていると思います。その意味で24日間にわたる移民体験航海事業を実施しました。先人たちの努力を知り、言語、文化の違いを乗り越え、お互いに助け合い、新たなる友情、他人を思いやる心をはぐくみ、自然や地球のすばらしさに接したことは子供たちの人生観に何らかの影響を与えたと思います。うれしいことに、高校1年生のとき移民体験航海事業に参加した子供が、ことし「ヌチカジリの精神」と題し、全国高等学校弁論大会で最優秀に輝きました。その最後の文は、私は先人たちから学んだ雄飛とヌチカジリの精神を継承し、今後ウチナーンチュとしての誇りを持って21世紀へ羽ばたこうと決意をしていますということで締めくくっております。まさにヌチカジリの精神こそが沖縄の未来を切り開いていきます。
稲嶺知事も県民が夢と希望を持てる沖縄、思いやりのある沖縄づくりを目指して1日も休むことなく頑張ったと話されました。多くの市町村長も知事同様1日も休むことなくそれぞれのまちづくりに頑張っております。
私は、この前文を前提に以下の質問をいたします。
1、基地問題について。
事件・事故の発生と地位協定について伺います。
不平等の根源である地位協定17条5項Cについて速やかに見直しをすべきと判断するが、知事及び関係部長はどう考えますか、伺います。
また、起訴前に身柄の引き渡しを要求したにもかかわらず拒否された事例は復帰後県内で何件でしょうか。本土の件数もあわせて伺います。
米国は、日米地位協定を見直す考えのないことがこれまでの抗議活動からうかがえます。そこで私は、日米地位協定の見直しを強力に推し進めるべきだと思いますが、今後の取り組みについて伺います。
また、この課題は復帰後30年来続いているものであり、学識経験者を含む地位協定見直しを目的としたプロジェクトチームを編成し、修正すべき点を条文化し日米両政府や国会に提起するなど、政府の弱腰外交を打破する気概も必要だと思います。知事の御所見を伺います。
被害を受ける側にとってみれば、公務中であれ、公務外であれ同じ苦しみであります。したがって、被害補償対策について公務外、公務中にかかわらず差別なく緊急かつ速やかに対処する必要があると私のこれまでの経験から実感をしております。知事と関係部長の所見を伺います。
地位協定の見直しや米軍基地問題や事件・事故の取り扱いについて、県民はこれまで政府の弱腰外交を批判していますが、知事は4年間の交渉において政府・国会の対応をどう評価しているか伺います。
次に、米軍人・軍属等による事件について。
私が町長時代、冒頭で申し上げましたように、金武町は危険な町とよく言われました。また、長年かけたまちづくりが事件・事故の発生によって1日で水泡に帰する。それを払拭しない限り町の発展はないと決意をしておりました。そういうことから、座して待つよりは、みずから海兵隊員に金武町の歴史や文化、そして思いを語りかけ、町祭りを初め各団体の主催する行事及びボランティア活動にも積極的に参加するよう勧めてきました。年四、五回は講話を約7年間続けてきました。その結果、96年以降大きな事件・事故は発生をしておりません。
そこで私は提案をしますが、現在、外務省沖縄事務所が進めているワーキングチームを活用し、拡大し、米軍人・軍属のための大教育プログラムを日米双方で作成し、大胆に実施したらいかがでしょうか。知事、関係部長の所見を伺います。
次に、SACO合意事項と「駐留軍用地跡地の利用の促進及び円滑化のための特別措置」について伺います。
よく政府も県も、日米政府が勝手に決定しておいてSACOの合意を着実に実施すると発言しておりますが、これは当該市町村にとっては余りにも酷であり、荷が重いと言わざるを得ません。ましてや、移設条件つきの返還だとするとなお課題が大きく、解決の方法が困難だと断ぜざるを得ません。
私も町民を二分して苦渋の決断の結果、「象のオリ」の移設を決定した経緯があります。
そこで、県も政府や当該市町村と連携を図り、調査の姿勢だけではなく大胆に踏み込んでイエスかノーを含めて解決の方法の糸口を探るべく努力が必要だと考えるが、知事、関係部局長の決意を伺います。
復帰以来の懸案事項であった「駐留軍用地跡地の利用の促進及び円滑化のための特別措置」が沖縄振興特別措置法に条文化されたこと、沖縄振興計画に明文化されたこと、軍転法も延長されたことは、これを長年推進してきた関係者の一人として評価するものであります。そしていわゆる軍転法を議員立法し跡地利用に道を開きました。今後、沖縄の重要課題など必要があれば国会議員と連携を図り、議員立法を進め、政府の重い腰を上げさせるのも一案だと思うが、知事の所見を伺います。
沖縄振興特別措置法について具体的に質問いたします。
その(1)、大規模跡地について事例を挙げて質問いたします。
キャンプ・ハンセンに隣接する金武、宜野座、恩納、名護周辺の山林が返還された場合は大規模跡地に該当するのか。
返還が2町村から3町村にまたがった場合はどうなりますか。
沖縄の基地で300ヘクタール以上の基地が存在する主な市町村名、基地名別に示してもらいたい。
SACO合意の北部訓練場、安波訓練場は大規模跡地に該当しますか、答弁を願います。
特定跡地については、5ヘクタール以上であることと条件が付されていますが、5ヘクタール以下の主な基地名と市町村名を明らかにしていただきたい。
跡地利用は国の財政支援がなければ成功しないと考えます。それは跡地利用の計画の策定、軍用地料の補償、土地の購入、インフラ整備など跡地利用の実現可能性がなければ住民や地権者の同意を得ることは困難であります。
ちなみに金武町は、ギンバル訓練場を米軍基地市町村活性化事業を活用して跡地利用に全力を挙げてきましたが、移設条件つきなので企業の誘致など実施計画が遅々として進みませんでした。したがって、跡地利用については財政基盤の確立が大事であります。
そこで、国の財政支援はどのような範囲及び項目に受けられるのか、また補助率を具体的に明らかにしていただきたい。
次に、普天間基地が移設された場合、現在キャンプ・シュワブに駐留している兵員・軍属の配置計画はどうなっていますか、伺います。
次に、産業の振興と雇用創出及び人材育成について伺います。
本土復帰以来、産業の振興と雇用の創出について、他の分野(ハード面)では本土との格差是正は緩やかではあるがかなり縮小されつつあると認識をしております。しかし、自立型の産業の振興及び雇用の創出については30年間同じ議論を繰り返しているように思えてなりません。確かに、政府も県もこれまで雇用開発機構等の発足、沖縄経済振興21世紀プラン等あらゆる施策を推進してきたと思いますが、残念なことに平成14年度の完全失業率も9%前後を推移し、加えて若年労働者の失業率15.7%、平成14年3月末の高等学校卒業者の進路状況は、卒業生1万6122名のうち就職希望者が3432名中、就職内定者は1977名、56%、そして目標が定まっていない無業者が実に3198名、余りにも多い人数であります。それに平成15年3月、高等学校卒業予定者の9月末進路状況は就職内定者131名、5.1%、就業未定者3399名、94.9%となっております。しかも、沖縄の人口予測を見ると、2002年のゼロ歳児1万6801人から10年後には1万4844人、20年後には1万2616人と減少しております。
私は沖縄の将来を憂慮するものであります。しかし、ここに至って平成14年スタートした沖縄振興特別措置法とこれまでの諸施策を総括し、連携・活用して沖縄振興計画の実現を図ることによって新たな息吹を感ずるものがあります。
そこで、分野別実施計画である4つの計画がありますが、これを実現するためには並大抵の努力ではできない、まさに県民総ぐるみで取り組むべき課題と思います。
そこで、この計画の実行に当たり知事は県民に何を期待するのか、また何をすべきか率直に述べていただきたい。そして、関係部長から実現していくための諸課題と決意をお聞きをしたい。
私は、3次にわたる沖縄振興開発計画と新しくスタートした沖縄振興計画を着実に実現していけば、復帰後30年間引きずってきた課題である産業の振興、雇用の創出は解決が図られると期待をしております。また、ある面では本土よりも政策・制度においては有利な面もあり、これをいかに活用し運用するかにかかっております。
そこで、私は次のような提案をしたいと思っています。
その1は、政策・制度を運用する商工労働部、人材をはぐくむ教育委プラスPTA、採用する側企業、この三者が総合的に機能し、三位一体となって連携を図り、恒常的な組織化を図り、制度を活用していくこと。
その2は、私は現在、人材をはぐくむ側の懸命なる努力にもかかわらず、主人公である若者に元気がないと思います。企業に言わせれば、基本的な生活習慣がない、職業意識がない、また学校関係者も学校に来る目的意識がないと言います。その一方で宜野座高校の選抜出場予定、紅白出場、ゴルフ、野球など若者の活躍で明るい材料もいっぱいあります。こうしたミックスした若者が沖縄のあすを担っていくのであります。しかし、元気のない若者が圧倒的に多いのが現状であります。
そこで、若者に誇りと品格をはぐくむために思い切った財政投資と大胆に中学校、職業高校、普通高校を再編強化するとともに、沖縄開発青年隊や農業大学校みたいに一部の学校の生徒を全寮制にした訓練学校や職業高校を設立し、生活習慣からソフト・ハード面を含めた高度な技術を習得させ、グローバルな社会に輩出させるぐらいの決断が必要だと思います。
知事と特に教育長の決意を伺います。
3、北部振興について。
平成12年から開始された北部振興は、政府、県の協力のもとで北部12市町村が主体性を発揮しながらまちづくりが順調に進んでいること、今後は北部振興事業基本構想を基本にしながら進められることに意を強くしております。ただ、私は、北部振興の3つの目標である産業の振興による雇用機会の創出、2、人材育成、3、生活環境の整備の目的を達成するためには北部地域に労働集約型の企業の創設が必要であると考えます。しかし、北部地域で企業を立ち上げるには運営、経営のノウハウがなくかなり厳しいものになります。
そこで知事にお願いしたいのは、知事は以前、経済人として手腕を発揮し沖縄の経済界をリードしてきました。その経験を生かして北部12市町村との連携のもとで県内の産業経済団体の協力を得て北部広域に労働集約型産業の創設に向けて積極的に参画をお願いしたい。
次に、「明日を拓く北部の農林水産業振興ビジョン」(平成12年)が農林水産省、沖縄開発庁、沖縄県の参加を得て取りまとめられたが、その後このビジョンが生かされているのか。また、沖縄県農林水産業振興計画(平成14年)に取り入れられているのか、伺います。
天候の関係で伊是名航路は欠航になることが多いわけであります。この原因は、港のつくりにあると関係者は話しておりますが、今後、県は港の改善計画はあるのでしょうか、伺います。
最後に、知事の政治姿勢について伺います。
私は、どんな政策・制度、組織をつくっても、それを動かし活用するリーダーが存在しない限り何事も実現できないと思います。その意味で沖縄県民一人一人が主体性と自助努力の精神と独立独歩の気概を持つことが実行型県政を形成していくと私は認識をしております。
「県民に開かれた実行型県政」とはどういうことでしょうか、伺います。
地位協定の抜本的見直しは日米両政府の厚い壁があります。これを打破するためには燃えるような情熱と粘り強い闘いが必要であります。韓国の民衆は怒っております。
かつて、沖縄の民衆も理不尽に対しては怒りに燃える島でありました。今すべてにおいて怒りを忘れているように思います。韓国における地位協定の見直しをかたくなに拒否する米国の態度をどのように考えておりますか、伺います。
以上、代表質問を終わります。ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) まずは、吉田勝廣議員の初当選、初代表質問、おめでとうございます。
それでは早速私の方からお答えをしたいと思います。
まず基地問題についてのうち、地位協定の見直し及び今後の取り組み並びにプロジェクトチームの編成について一括してお答えいたします。
県は、米軍基地から派生するさまざまな事件・事故や環境問題などの米軍基地をめぐる諸問題の解決を図るためには、日米地位協定の運用を改善するだけでは不十分であり、日米地位協定を抜本的に見直す必要があると考え、平成12年8月に日米両政府に対し、同協定第17条の改正を含め11項目にわたる見直しを要請しました。同要請においては、日米地位協定の修正すべき点を明示して要請しております。
県は、去る8月26日、小泉総理大臣を初め関係大臣に日米地位協定の抜本的な見直しを要請し、また、去る12月6日の沖縄政策協議会の終了後、11月2日に発生した強姦未遂事件に関連して出席された全閣僚を前に、被疑者の早期身柄引き渡し及び日米地位協定の抜本的な見直しを求めたところであります。県としては、今後ともあらゆる機会を通じて日米地位協定の抜本的見直しを訴え続け、その実現につなげていきたいと考えております。
次に、同じく被害者補償対策についてお答えをいたします。
米軍人等が起こした事件・事故に関する被害者補償については、公務中の場合は日米地位協定第18条第5項に基づき日本政府が損害を賠償することとなっており、公務外の場合は同協定第18条第6項に基づき原則として加害者が損害を賠償することになっております。
しかし、加害者による賠償が十分でない場合、被害者の迅速かつ十分な救済を図る観点から公的機関による損害の補てんが必要であり、それに際しては米軍人等の雇用主である米国政府と施設及び区域の提供責任者である日本国政府の法的責任で損害の補てんを迅速に行うことが必要であると考えます。このため、県としては、米軍関係者による公務外の行為によって被害が生じた場合においても被害者に対する十分な補償がなされるよう、日米地位協定第18条の改定を要望しております。
次に、基地問題について、政府、国会の対応についての御質問にお答えします。
県は、平成12年8月に日米両政府に対し、日米地位協定の11項目の見直しを要望しておりますが、現在まで政府における取り組みが明らかでなく、見直しについては全く進展していないと言わざるを得ない状況にあります。
国会においては、昨年7月の衆議院外務委員会において日米地位協定の見直しが決議されたのを初め、本年3月に開催された衆参両院の沖縄及び北方問題に関する特別委員会において、沖縄振興特別措置法案に対する附帯決議として日米地位協定の見直しに関する決議がなされております。
日米地位協定の見直しについては、県議会や県内の各市町村議会において決議されており、日米地位協定の見直しは県民の総意であります。政府においては、国会等の動向や県民の意向を踏まえ、日米地位協定の抜本的な見直しについて積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
続きまして、SACO合意事案の進捗についてお答えをいたします。
本県が過重に負担している米軍基地の整理縮小については、まずSACOの合意事案を着実に実施することがより現実的で実現可能な方法であると認識しており、現在、すべての合意事案の進展に向け、県としても国と連携し全力を挙げて取り組んでいるところであります。県としては、今後とも地元市町村の意向を踏まえ、県民の理解と協力を得ながら米軍基地の段階的な整理縮小に取り組んでまいりたいと考えております。
続いて、重要課題の議員立法についての御質問にお答えいたします。
沖縄の米軍基地の整理縮小や日米地位協定の見直しなどの問題は、我が国の外交・安全保障にかかわる問題であり、日米両政府の外交交渉の場において協議され、解決を図っていく問題であると考えております。
県としては、沖縄の米軍基地問題は国民一人一人がみずからの問題として受けとめていただきたいと考えており、今後とも国会議員を初め各界各層の理解と協力を得ながら米軍基地問題の解決促進を訴え続けていきたいと考えております。
続きまして、産業の振興と雇用創出及び人材育成についてのうち、分野別計画の実施に当たり県民に望むことについてお答えいたします。
沖縄振興計画の実施計画である分野別計画は、3年間で実施すべき施策・事業を可能な限り具体的に記述しました。
情報、観光などの産業振興や雇用創出に資する分野別計画では、税制特別措置の活用、インキュベート施設の設置、農林水産業基盤の整備などを推進し、産業界や県民が主体的、積極的に活用できる環境整備を図ることとしております。県民の皆様には多様な人材育成メニューを活用し、職業能力の向上や専門知識の習得を図るとともに、高度な人材として活躍されることを期待しております。
産業界の皆様には、新規事業等の立ち上げ、技術力の向上、地域特産物の開発、国内外市場への展開など県経済の発展に意欲的に取り組むことを期待しております。
続きまして北部振興について、「明日を拓く北部の農林水産業振興ビジョン」の取り組みについてお答えをいたします。
「明日を拓く北部の農林水産業振興ビジョン」については、沖縄県農林水産業振興計画の圏域別振興方向にその趣旨を盛り込んだところであります。
具体的内容については、1、農業用水の確保、漁港・漁場等生産基盤の整備、2、野菜・花卉・果樹等の拠点産地の形成とさとうきび、パイナップル等の生産供給体制の強化、3、観光・リゾート地域としての特性を生かしたグリーンツーリズム、森林ツーリズム等の推進などであります。
今後とも、北部圏域の豊かな自然と調和した多様な農林水産業の振興を図るため、沖縄県農林水産業振興計画に基づき各種施策・事業の推進に積極的に取り組む考えであります。
次に、政治姿勢についてのうち、「県民に開かれた実行型県政」についての御質問にお答えをいたします。
沖縄の問題を真に解決できる主役は県民自身です。経済振興や基地問題等山積する課題を解決するために広く県民の声に耳を傾け、県民の視点に立って沖縄の現実としっかり向き合い、県民とともに一歩一歩確実に前進する実行型県政を引き続き堅持してまいりたいと考えております。このため、職員の意識改革を図ると同時に、行政システム改革大綱に基づく行政改革を進めてまいります。
続きまして、米韓地位協定についてのお答えでございます。
韓国において公務中の米軍車両による死亡事故が発生し、運転していた米兵が軍事法廷で無罪となったことに対して、地位協定の改定を求める世論が高まっていることについては新聞報道等により承知しております。地位協定の見直しは本県においても極めて重要な課題であり、韓国の動向についても注意深く見守っていきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係各部局長より答弁させます。
○知事公室長(新垣良光) 基地問題についての身柄引き渡し要求の拒否件数についてにお答えいたします。
平成7年10月の日米合同委員会合意の手続にのっとり、被疑者の起訴前の身柄引き渡し要求を拒否された事例は、去る11月2日に本県で発生した強姦未遂事件の1件のみであると承知しております。
米軍人・軍属のための教育プログラムについてにお答えいたします。
協力ワーキングチームにおいては、リバティー・プランや教育プログラム等米軍の綱紀粛正策の効果的な実施方法などについて、これまで10回にわたり協議や調整を行い、提供施設外での米軍の生活指導巡回や基地ゲートでの泥酔者等のチェックなどが実施されております。
また、現在、米軍では沖縄県に派遣された海兵隊員に対し、地位協定や沖縄の文化などに関する意識を高めることを目的とした2日間の教育プログラムを実施しております。しかしながら、依然として米軍人等の事件・事故が相次いで発生していることから、県としては実効性のある再発防止策について引き続き協力ワーキングチームにおいて協議や調整を行うなど、再発防止に向け取り組んでいきたいと考えております。
なお、御提案のあった米軍人・軍属のための教育プログラムの作成については貴重な御提案であり、今後、協力ワーキングチームで議論していきたいと考えております。
普天間飛行場の返還に伴う兵員等の配置計画についてにお答えいたします。
普天間飛行場の返還に伴う兵員や軍属の配置計画については、現段階では明らかになっておりません。
○企画開発部長(与儀朝栄) 基地問題について、山林が返還された場合、複数の市町村にまたがる場合、北部訓練場、安波訓練場は大規模跡地に該当するかについて一括してお答えいたします。
大規模跡地の指定要件については、市街地の計画的な開発整備の必要性、沖縄振興の拠点性、面積が300ヘクタール以上かつ既成市街地に隣接する土地であること等と定められております。したがいまして、山林が返還された場合や北部訓練場、安波訓練場については、自然環境の保全等を主とした利用形態が想定されることから大規模跡地には該当しないものと考えております。
また、複数の市町村にまたがる跡地については、跡地利用の形態、規模等が指定要件を満たせば大規模跡地に該当することになります。
次に、300ヘクタール以上の基地が存在する主な市町村及び基地名についてお答えいたします。
平成13年3月31日現在、提供されている300ヘクタール以上の米軍施設が存在する市町村及び施設は16市町村に8施設となっております。
その主な米軍施設として、キャンプ・ハンセンが5140.7ヘクタールで、そのうち金武町2144.8ヘクタール、宜野座村1589.1ヘクタール、恩納村1238.6ヘクタール、その他名護市が168.2ヘクタールとなっており、嘉手納弾薬庫地区が2728.8ヘクタールで、そのうち読谷村1068ヘクタール、沖縄市870.9ヘクタール、嘉手納町347.9ヘクタール、その他恩納村254.3ヘクタール、石川市138.4ヘクタール、具志川市49.3ヘクタールとなっております。
次に、5ヘクタール以下の主な基地名と市町村名についてお答えいたします。
平成13年3月31日現在、提供されている5ヘクタール以下の米軍施設が存在する市町村及び施設は、9市町村に9施設となっております。
その主な米軍施設として、八重岳通信所が3.7ヘクタールで、そのうち本部町1.2ヘクタール、名護市が2.5ヘクタール、天願桟橋については具志川市が3.1ヘクタールとなっております。
次に、跡地利用への国の財政支援、補助率についてお答えいたします。
沖縄振興特別措置法においては、国の責務として跡地利用を促進するための必要な財政上の措置、その他措置を講ずるよう努めると規定されております。
補助率については、同法の高率補助制度の適用を受けることになります。
また、跡地利用計画策定に係る調査費補助として大規模跡地利用推進費がありますが、内閣府は平成15年度概算要求において大規模跡地以外の跡地にも適用できるよう増額要望しているところであります。
次に、北部振興について、労働集約型の産業の創設についてお答えいたします。
北部振興事業については、名護市マルチメディア館や宜野座村サーバーファーム、今帰仁村キノコ生産出荷施設の整備など数多くの事業が展開され、情報通信関連産業の集積や農林水産業等の振興により雇用の拡大が着実に進みつつあります。
県では、振興事業の円滑な実施に向け、北部振興推進連絡会議等において地元市町村と活発な意見交換を行ってきたところであります。
今後とも、地元市町村との連携のもと、「情報特区」や「金融特区」を活用した情報・金融関連産業の集積や、ヤンバルの豊かな自然、健康・長寿等の地域特性を生かした健康・保養型観光の推進等雇用効果の大きな産業の振興に取り組んでいきたいと考えております。
○商工労働部長(花城順孝) 産業の振興と雇用創出及び人材育成についての、新規学卒者の就職を促進するための関係機関の連携についての御質問にお答えをいたします。
新規学卒者の就職支援につきましては、これまでも県外企業におけるインターンシップや県内外企業による合同面接会等きめ細かな対策を実施してきたところでありますが、依然として厳しい状況が続いております。
本県の新規学卒者の就職状況が厳しい要因の一つとして、公務員志向や県内志向等の職業意識の課題が指摘されております。こうした現状を打破し就職状況を改善していくためには、新規学卒者みずからが多様な職業に目を向け県内外に積極的にチャレンジしていく幅広い職業観を形成していくことが重要であると考えております。
こうしたことを踏まえ、新たに設置する「沖縄キャリアセンター」(仮称)におきまして現在構築中の「若年者総合雇用支援システム」を最大限活用し、職業観の育成から就職までの一貫した支援対策を産学官連携のもとで推進してまいりたいと考えております。
また、職業観の形成には学校教育における取り組みや地域一体となった支援が重要であります。商工労働部としても、教育庁に設置されている高校生の「就業体験推進協議会」への参加等を通して学校教育との連携を強化してまいりたいと考えております。
次に、分野別計画の職業安定計画の達成に向けた課題と取り組みについての御質問にお答えいたします。
本県の雇用状況の改善には、雇用吸収力のある産業の振興と、これを支える専門的な人材の育成、若年者の幅広い職業観の育成等を推進することが重要であります。このような観点から、職業安定計画においても本県の新たな産業の振興の方向性を踏まえた雇用の促進と人材の育成を積極的に推進することとしております。
計画に掲げた施策を効果的に推進し目標を達成するためには、何よりも国、県、市町村及び産学官の連携した取り組みが重要であると考えております。特に、若年者についてはしっかりとした職業観の形成を基本として、県内外あるいは国外に積極的にチャレンジしていく産業人材の育成に取り組んでまいります。
同じく分野別計画の情報通信産業振興計画の達成に向けた課題と取り組みについての御質問にお答えいたします。
沖縄県情報通信産業振興計画においては、計画の目標を達成するため7つの指標を掲げております。情報通信関連産業への雇用者数及び生産額につきましては、本計画に掲げる施策・事業を総合的に実施することにより達成をしたいと考えております。
新規立地企業につきましては、情報通信産業誘致・活性化事業を初めインキュベート施設の整備等各種施策・事業を実施することにより達成をしたいと考えております。また、IT高度人材育成、情報通信放送分野専門技術人材育成、あるいはコールセンター業務に係る技術等の取得者数の目標につきましては、本計画に記載をされている各種人材育成事業の実施により達成をしたいと考えております。
これらの目標を達成するためにとりわけ重要なことは、県内の情報通信関連産業が積極的に県外に市場を求め、不断の企業努力を図るとともに、若い人たちが明確な目標を持ち、高いレベルを目指して情報通信関連産業の発展に取り組むことが必要であると考えております。
以上でございます。
○教育長(津嘉山朝祥) 産業の振興と雇用創出及び人材育成について、全寮制を基本にした学校を設立することについての御質問にお答えをいたします。
県教育委員会においては、国際化、情報化等社会の変化に柔軟に対応し、新しい時代を担う人づくりなどコンセプトを明確にした学校の整備を目指して「県立高等学校編成整備計画」を本年3月に策定いたしました。
本整備計画では、6年間の中高一貫教育を行う沖縄インターナショナル高等学校――仮称でございますが――を初め、一部の専門高校を総合実業高等学校、情報技術高等学校として再編するなど新しいタイプの学校の整備を進めることといたしております。本整備計画を推進する中で寮の設置を含めて検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 北部振興についての、伊是名航路の港湾施設の改善計画についてにお答えいたします。
仲田港の整備については、これまで係留施設、水域施設、外郭施設等港湾機能の拡充・強化を図ってきたところであります。
しかしながら、当港は港口部の水深が深く直接外海に開いた形状となっているため、荒天時にはフェリーの欠航及び係留、荷役等ができない事態がたびたび発生しております。このような状況を改善するため、現地での波浪観測及び技術検討会による波浪解析、港内静穏度の改善策の検討作業を経て防波堤等の整備について平成13年度国庫予算要求を行った結果、仲田港が全国で唯一地方港湾の新規整備港湾として事業採択されたものであります。
当該事業は、総事業費が約30億円で平成17年度の完成を目途として現在沖防波堤の整備を推進しているところであります。これらの港湾施設の整備により定期船の就航率の向上、係留・操船時の安全性が確保されるものと考えております。
以上でございます。
○吉田 勝廣 教育長に1つだけ質問いたします。
私は、政策・制度はある程度沖縄の雇用関係については整備しつつあると思っております。そういう意味で、今度はこの政策・制度に送り出す若者たち、卒業生が1万6000名毎年毎年いるわけで、大体失業者が5000から7000名いつも輩出されるわけです。その受け皿はどうするかということ。
そして、その子供たちに元気がない、元気がないから企業が受けつけない、そしてやる気がない、そういうことをどういう形でやる気のある子供たちにさせるかというのが今大きな問題ではないかと私は認識をしております。その点、もう一度お聞かせください。
○教育長(津嘉山朝祥) 吉田議員の高校生がやる気がない、あるいは就職意識が乏しいと、そのための施策等々について叱咤激励がございました。御質問にお答えいたします。
御指摘のように、本県高校生の就職希望者の多くは県内志向でございますし、かつまた不況の中で県内の求人者の数は少なく、しかも希望職種とのミスマッチ等もあって大変に厳しい就職内定状況となっております。
このような状況の中で、将来に対する夢や希望を高校生諸君に持たせ、望ましい職業観の確立や就職意識の向上をどう図っていくかということは本県の大きな教育課題でございます。
県教育委員会としましては、特に国や県の関連機関と連携をいたしまして、県外求人開拓だとか定着指導、あるいは県外企業職場体験実習及び見学会、あるいは県内外企業合同説明会・面接会等を実施をいたしております。また、産業界、行政、学校、PTA、父母が三位一体となって沖縄県就業体験推進協議会を設置をして高校生の就業体験、あるいは職業意識の高揚に積極的に努力をしていきたいというふうに考えてございます。
さらに、県高等学校就職問題検討会議、若年建設従事者の入職促進協議会、あるいは産学懇談会、人材育成沖縄地域協議会等々の連携により高校生の就職意識の高揚を図るために全力を尽くしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○大城 一馬 おはようございます。
知事、2期目就任おめでとうございます。
一般的に圧勝と言われております。しかしながら、県政の課題はすこぶる大きなものが山積しております。どうか2期目も大いに走って走ってくださるよう御期待を申し上げたいと思います。
我が方は残念ながら負けました。その最初の代表質問で少々意気消沈もしながら、戦闘意欲も低下しながら代表質問をさせていただきたいと思います。
社大・結連合を代表いたしまして代表質問をいたしたいと思います。
まず、知事の政治姿勢についてでございます。
海上自衛隊のイージス艦派遣についてであります。
政府は、米国がイラク攻撃した場合、アフガニスタンで展開中のテロ掃討作戦の米国への間接的な支援目的ねらいでインド洋へのイージス艦派遣を決めていますが、国民的議論も踏まえず、ましてや憲法で禁じる集団的自衛権の行使につながるおそれがあるとして自民党などの政権与党内でも反対論が噴出しています。稲嶺知事も明確に反対の表明をすべきと思いますが、見解を求めます。
自民党の野中元幹事長の、「報復としてバリ島に匹敵するテロ行為もあるかもしれない。」との発言は、米軍基地の集中する沖縄県にとって不安と脅威を感じざるを得ませんし、昨年、米国での同時多発テロが県観光関連産業に与えた事態も思い起こさせるものがあります。知事は、野中発言をどう思われますか。
次に、基地問題についてでございます。
ここ数年、米軍人関係者や米軍基地関係の事件・事故が多発傾向にありますが、実情はどうなっていますか。5年間のそれぞれの件数を示していただきたいと思います。
米海兵隊少佐による女性暴行未遂事件についてでございます。
去る11月2日、女性暴行未遂事件の発生は、県民にまたもかと驚愕を与えております。米兵の事件が起きるたびに米軍は再発防止と綱紀粛正の取り組みを強調してきたが、一体いつまで米軍・米兵によるじゅうりんを受けなければならないかと県民は怒り心頭に発しています。
さらに、犯人の起訴前の身柄引き渡し拒否で日米両政府の、とりわけ外務省の対応は県民を愚弄する行為であり、激しい憤りを感じるものであります。
事件発生から今日に至るまでの経緯と事件の概要の説明を求めます。
12月6日の日米合同委員会で米側は起訴前の身柄引き渡しを拒否しましたが、捜査への支障は全くないのでしょうか。
また、米側の身柄引き渡し拒否について県警の見解を求めます。
1995年の少女暴行事件を契機に起訴前でも身柄引き渡しが実現可能になっていますが、今回拒否された理由は何と理解していますか。知事は、拒否理由の明確な説明を日米両政府に強く求めるべきと思いますが、どうですか。
事件発覚後の去る12月6日の沖縄政策協議会で、稲嶺知事は米兵の身柄引き渡しと地位協定の改定に言及していますが、その場で国家公安委員長以外の発言が全くなかったと言われています。知事の率直な胸中をお聞かせ願いたいと思います。
今回事件を起こした米兵は少佐で、部下を指導する責任ある立場にあります。もはや米兵による事件は階級の上下に関係なく歯どめが全くきかなくなっているのではないでしょうか。暴行未遂事件で県内が騒然としている最中にも、12月8日には米兵が飲酒運転による事故で逮捕されています。知事は、実効性のある再発防止策を米軍に強く求めるべきと思いますが、知事の所見を伺いたいと思います。
今回の事件を見るまでもなく、海兵隊を含む兵力削減は急務でありますが、県の今後の対応策を示していただきたいと思います。
日米地位協定についてでございます。
平成12年8月に県が11項目にわたる見直しを政府に要請して2年余が経過していますが、見直し作業の進捗状況はどうなっていますか。
小泉首相は12月4日、米兵による暴行未遂事件に関連して、「当面、運用の改善で対処できるのではないかと思う」と発言しています。政府に県及び県民の声は届いていないのでしょうか。知事は、首相発言をどうとらえていますか。
韓国の大統領選挙で地位協定問題が政治問題化しています。しかし、我が国では首相発言に見られるように運用の改善に終始しています。県議会や県内52市町村議会においても全会一致で地位協定見直しの決議がなされ県民の総意になっています。知事は、不退転の決意で政府に早期の見直しを迫るべきと思います。知事の決意をお聞かせ願いたいと思います。
女性暴行未遂事件で県民の怒りは限界に来ており、また地位協定の見直し要求も県民の総意であります。県民の意を日米両政府に反映させるべく、知事が主導をとって超党派による県民大会を開催する考えはないでしょうか、知事の決意を伺いたいと思います。
さきの知事選挙におきまして、知事は、2期目は15年問題を解決するために出馬すると明言しております。15年使用期限の解決策は持っているのでしょうか、示していただきたいと思います。
知事選挙の際マスコミの世論調査では、普天間飛行場代替施設の移設先は66%の県民が県外移設を求めています。県民の意思は明らかであります。知事は、この数値をどのようにとらえていますか。
小泉首相の沖縄問題への意識の低さ、昨年の対テロ戦争や米軍のイラク攻撃、北朝鮮問題などで日米両政府の普天間飛行場移設を初め基地問題への関心の低下が懸念されている中で、稲嶺知事の基地問題解決に向けての主体性の発揮が強く求められています。知事の決意を伺いたいと思います。
那覇軍港移設問題についてでございます。
那覇港湾改訂計画の進捗状況を説明していただきたいと思います。
軍港の移設部分で形状や牧港補給基地を結ぶ進入路予定位置などが明らかにされて、移設される軍港の機能強化が懸念されていますが、知事はこのことについてどう思われますか、見解を伺いたいと思います。
SACO最終報告についてでございます。
1996年のSACO合意における返還実施状況の説明を求めたいと思います。
SACO合意から6年経過していますが、完全実施には至っておりません。問題点は何であるのでしょうか、説明を求めます。
知事は、2期目就任後、新たなSACO、いわゆるSACO2に着手すると表明していますが、具体的にどういう案を持っているのか説明を求めたいと思います。
F15戦闘機老朽化問題等についてでございます。
去る8月21日のF15戦闘機墜落事故に関して、嘉手納基地司令官が機体の老朽化を指摘しています。県は、真相を把握しているのでしょうか。また、同墜落事故原因の情報は開示されているのでしょうか。
F15戦闘機は1979年9月に嘉手納基地に配備されていますが、今日までの同機種の緊急着陸や墜落発生件数はどうなっているのでしょうか。
米国議会の調査局のまとめによりますと、過去20年間の米軍機の重大事故発生率は民間機の81倍に上っているとされています。その中でも沖縄に配備されているハリアー機が10.22件と突出しています。老朽化が指摘されているF15戦闘機やハリアー機などの危険な米軍機が沖縄の空を自在に離発着する事態を知事はどう考えますか。米軍への対処策を求めるべきではないでしょうか。
次に、伊江島におけるパラシュート物資投下事故についてでございます。
10月25日に伊江島で起きた物資投下事故について、米軍からの原因調査報告はどうなっていますか。
地元などが強く求めている物資投下訓練の廃止要求について、米軍や国の対応はどうなっていますか。
経済振興の中で雇用失業問題についてでございます。
知事は、雇用対策事業で毎年5000人の新規雇用を創出して、4年後の2006年には失業率7%台を実現すると明言していますが、具体的にどういうことですか、示していただきたいと思います。
企業誘致についてでございます。
失業率の改善と雇用の増大をなすには企業の誘致は至上命題であると思います。稲嶺知事の1期4年間の企業誘致の実績を検証しますと、平成11年度20社、平成12年度17社、平成13年度18社、そして平成14年度5社で毎年企業誘致は減少の一途をたどっていますが、2期目の企業誘致の展開策についてどういう対策を持っているのか示していただきたいと思います。
国、県の産業・雇用対策についてでございます。
ことし6月の県内失業率9.4%を受けて、去る12月6日、沖縄政策協議会で沖縄の産業・雇用対策の追加施策を決定していますが、具体的な説明を求めます。
今回の追加施策で県内の失業率改善にどの程度つなげることになりますか、その実効性を問いたいと思います。
緊急的な短期対策も必要でありますが、高失業率の改善と雇用の増大をなすには中長期的な対策が求められると思います。方針はどうですか。
ダイオキシン排出対策特別措置など県内ごみ焼却処理対策についてでございます。
12月1日からダイオキシン排出基準が強化されましたが、どのように市町村、県民に指導・助言をしてきたのですか。今後のごみ焼却処理についてはどうですか。
県内の焼却場の状況はどうなっていますか。排出の状況と焼却場の関係、焼却後の最終処分場の整備についてどう対応されていますか。
ダイオキシン排出基準の強化で離島8町村、組合の焼却炉が廃止されると言われておりますが、深刻な離島の事態に対する県の対応策はどうですか。
ごみ問題は軽減化や資源化など循環型社会の実現こそ急務でありますが、一方では財政、効率面から県が取り組んでいる広域化も急務と考えます。県内における状況と今後の取り組みについてどうなっていますか。
県職員の給与改定についてでございます。
人勧の給与削減は、平成11年の期末手当の減額以来4年連続になっていますが、平均的な県職員の年収は今提案されている給与改定を含めてどれだけの減額になっているのですか。
今回の給与改定で衆参両院とも特に「職員団体等の意見を十分聴取し、理解を得るよう最大限の努力を払うこと。」と附帯決議をしていますが、県の職員団体の理解は得られたのでしょうか。
今議会で提案されている乙第3号議案「沖縄県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」の附則第5項は、ことし4月1日から支給された給与等について差額を合計して来年3月の期末手当から差し引くものです。不利益不遡及の原則に抵触するのではないか、県の見解を伺いたいと思います。
今回の給与改定で県職員では年間の人件費総額で何億円の減になるのでしょうか。市町村職員、国家公務員などを含めると県全体で何億の減になるのですか。地域経済への影響も大きいものがあるのではないでしょうか、知事の所見を伺いたいと思います。
よろしく御答弁のほどをお願いしたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 大城一馬議員の御質問にお答えをいたします。
最初は、イージス艦の派遣決定とその報復の可能性についてお答えをいたします。一括してお答えいたします。
政府においては、テロ対策特措法に基づく協力支援活動を行うためイージス艦の派遣を計画しているとのことでありますが、この問題につきましては集団的自衛権の行使に当たるのではないかとの意見もあり、憲法との整合性の観点等も含め国民の理解を得るためにも国政の場で十分な論議を尽くすことが望ましいと考えております。
続きまして、基地問題で身柄引き渡しの拒否理由及び日米両政府への説明要求についてお答えいたします。
県は、今回の事件を重く受けとめ、米軍を初め関係機関に対し事件・事故の再発防止、隊員の綱紀粛正及び教育の徹底を求めるとともに、速やかな身柄の引き渡しを強く要請しましたが、米側が被疑者の身柄の引き渡しを拒否したことはまことに遺憾であります。県は、外務省沖縄事務所に対し、拒否理由を明らかにするよう申し入れましたが、今回の身柄引き渡しについては日本側の要求に対し米側も真摯に検討した結果の回答であるとしており、外務省としてこれ以上申し上げることはないとのことでありました。
日米合同委員会での話し合いの内容については県民の前に明らかにすべきであり、米側が拒否した理由を公表しないことに対し強い憤りを感じるとともに、日米地位協定の抜本的な見直しを改めて痛感したところであります。今後とも、あらゆる機会を通じて日米両政府に対し日米地位協定の抜本的な見直しを強く求めてまいります。
次に、沖縄政策協議会において国家公安委員長以外に発言がなかったことについてのお答えでございます。
今回の事件に関して、去る12月6日の沖縄政策協議会終了後、出席された全閣僚を前に被疑者の早期身柄引き渡しと日米地位協定の抜本的な見直しを強く求めました。その場において谷垣国家公安委員長から、沖縄県警も全力を挙げて取り組んでいるとの報告がありました。
また、同協議会の開催に先立ち、川口外務大臣及び石破防衛庁長官に同様の申し入れを行った際には、全力を挙げて取り組んでいる旨の発言がありました。
起訴前の被疑者の身柄の引き渡しについては、日米地位協定の運用の改善での限界が明らかになっており、日米地位協定の抜本的な見直しの必要性を改めて痛感しております。今後とも、あらゆる機会を通じて日米両政府に対し日米地位協定の抜本的な見直しを強く求めていきたいと考えております。
次に、再発防止策を米軍に申し入れることについてお答えをいたします。
今回の事件は、女性の人権をじゅうりんした凶悪な犯罪であり、しかも在沖米海兵隊少佐という指導的立場にある隊員が犯したとされるものであり、断じて許すことができません。
県は、このような事態を重く受けとめ、米軍を初め関係機関に対し、事件・事故の再発防止、隊員の綱紀粛正及び教育の徹底を求めました。また、在日米軍沖縄地域調整官及び在沖米国総領事など米側関係者が来庁した際、強く遺憾の意を表するとともに、事件・事故の再発防止が担保されるような抜本的かつ実効性のある措置を講じるよう強く申し入れました。県としては、今後とも県民の生命、生活及び人権を守る観点から、三者協や協力ワーキングチーム等において関係機関で協議や調整を行うなど、米軍人等による事件・事故の再発防止に向け努力していきたいと考えております。
続きまして、海兵隊を含む兵力削減についてのお答えでございます。
県としては、県民の過重な基地負担を軽減するためには海兵隊の演習、訓練の移転及び海兵隊を含む在沖米軍兵力を削減する必要があると考えております。
海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減については、県の要望を受ける形で策定された沖縄振興計画において「在沖米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していく」と明確に位置づけられております。このことから、県としては、政府において早急に米国政府と協議していただく必要があると考え、去る8月26日に小泉総理大臣を初め関係大臣に対し、11月30日には来県した石破防衛庁長官に対して海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減について要請をしたところであり、今後ともあらゆる機会を通じて日米両政府に強く訴えていきたいと考えております。
次に、地位協定改定要求に関する首相発言及び決意についてお答えをいたします。一括してお答えを申し上げます。
今回の事件について、県は起訴前の身柄引き渡しを強く求めてまいりましたが、米側が拒否し、日本政府が再要請を行わないとしたことについては極めて遺憾であり、政府においては県民の意向を踏まえ、米側に強い姿勢で臨んでもらいたいと考えております。
県としては、日米地位協定の運用改善では限界があることは明らかであり、同協定の抜本的な見直しが必要であると改めて痛感したところであります。今後とも、あらゆる機会を通じて日米両政府に対し日米地位協定の抜本的な見直しを強く求めていきたいと考えております。
次に、女性暴行未遂事件や地位協定改定に関する県民大会の開催についてのお答えでございます。
日米地位協定の抜本的な見直し、米軍人等による事件・事故の再発防止等については、行政の立場でこれまであらゆる機会をとらえて要請活動を展開してきたところであります。県としては、基地問題の解決に当たっては、行政のみならず官民一体となった全県的な取り組みが必要であると考えておりますが、御提案の県民大会については各界各層を網羅した全県的な大会であることが必要であると考えております。
次に、15年使用期限問題の解決策のための具体策についてお答えをいたします。
私は、知事選挙再出馬に当たり、基本政策として「普天間飛行場代替施設の使用期限を15年に限る。」ことを明確に打ち出しました。代替施設の15年使用期限は、基地の固定化を避けるため条件の一つとして提示しているものであり、国の責任において解決されるべきものであると考えております。
基地の提供責任は日本政府にあることから、日本政府が使用期限の問題を含め沖縄の基地問題を我が国全体の問題としてとらえ、しっかり受けとめることが重要だと考えており、知事選挙後には小泉総理大臣、細田沖縄及び北方対策担当大臣、石破防衛庁長官に対し、政府としてなお一層の取り組みを要請したところであります。使用期限問題の解決なしには着工はあり得ないと考えております。
次に、普天間飛行場代替施設に関するマスコミの世論調査についてお答えいたします。
世論調査の結果については、沖縄県が57年間にわたり過重な基地負担をしている状況から、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情を反映したものであると考えております。
普天間飛行場の返還については、県、地元市町村の要請に基づき日米両国政府が協議を行い合意に達したSACOの合意事案を着実に実施していくことが、最善ではないにしても早期の解決に向けての実現可能な方法であると認識して取り組んでいるところであります。
次に、政府の沖縄の基地問題への取り組みについてお答えいたします。
米軍基地の整理縮小や日米地位協定の見直しなどの問題は、単に沖縄という一地域だけの問題ではなく、我が国の外交・安全保障をどう考えるのかという極めて国家的な問題であると考えており、去る11月30日に来県した石破防衛庁長官にもその旨申し上げたところであります。
石破防衛庁長官からは、「日本と極東の安全は沖縄の負担の上に成り立っていることを、すべての国民が認識しなければならない」との発言があり、また12月10日に開催された参議院内閣委員会において小泉総理大臣は、基地の存在により非常に多くの問題が生じており、一段の努力をしていかなければならないと答弁するなど、政府としても本県の基地問題を真剣に受けとめていただいているものと考えております。県としては、今後とも基地の提供責任者である日本政府に対し、米軍基地問題の解決促進を強く働きかけていきたいと考えております。
次に、同じく基地問題で、移設される軍港の形状についてお答えをいたします。
那覇港湾施設の代替施設については、去る11月7日の第3回「那覇港湾施設移設に関する協議会」において防衛施設庁が米側と事務調整を開始することが確認されましたが、移設先の形状等については今のところ日米間で合意したという状況には至っておりません。県としては、代替施設については基本的に現在の那覇港湾施設の機能が維持されるものであると理解をしております。
次に、SACOの問題点及び新たな整理縮小についてお答えいたします。一括してお答えを申し上げます。
本県が過重に負担している米軍基地の整理縮小については、まずSACOの合意事案を着実に実施することがより現実的で実現可能な方法であると認識しており、現在、すべての合意事案の進展に向け県としても国と連携し全力を挙げて取り組んでいるところであります。
SACOの合意事案については、県内移設を前提としていることから、国においては特に移設先の市町村の協力や環境問題等に配慮しながら慎重に作業を進めていると理解しております。
しかしながら、SACOの合意事案すべてが実施されたとしても、本県には依然として在日米軍専用施設面積の約70%の米軍基地が存在することになります。県としては、57年余も過重な基地負担をしてきた県民の意向にこたえるため国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえ県民の理解と協力を得ながら、SACOで合意された施設以外についてもさらなる米軍基地の段階的な整理縮小に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、今後の企業誘致の展開策についてお答えをいたします。
私は、平成10年12月の知事就任以来、新たな産業の振興と雇用の創出を図る観点から、私みずからトップセールスを行うなど積極的な企業誘致活動を行ってまいりました。その結果、特別自由貿易地域、情報通信産業振興地域等においてこの4年間で約60社、約3500人の新たな雇用創出を実現しました。
また、本年4月に施行された沖縄振興特別措置法により名護市が金融業務特別地区に、那覇・浦添地区及び名護・宜野座地区が情報通信産業特別地区にそれぞれ指定されました。
今後の企業誘致活動につきましては、これらの地域に適用される一国二制度的な各種優遇措置等を効果的に生かすとともに、企業の初期投資を軽減する賃貸工場の計画的な整備、インキュベート施設や情報通信基盤の整備、IT・金融関連の高度人材の育成など魅力ある投資環境づくりに努め、戦略的な企業誘致に取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(新垣良光) 基地問題について、過去5年間の事件・事故の推移についてにお答えいたします。
米軍構成員等の犯罪検挙件数は、県警の発表によると平成10年が38件、平成11年が48件、平成12年が53件、平成13年が70件、平成14年が11月末現在74件となっており、年々増加傾向にあります。
政府の対応及び進捗状況についてにお答えいたします。
日米地位協定の運用の見直しについては、外務省において県が要請した11項目について検討が行われているものと思いますが、現在、日米両政府間で正式に話し合われている項目として県が承知しているのは第17条の被疑者の身柄の引き渡しについてであります。
日米地位協定をめぐっては、県は去る8月26日、小泉総理大臣を初め関係大臣に日米地位協定の抜本的な見直しを要請し、また去る12月6日の沖縄政策協議会の終了後、11月2日に発生した強姦未遂事件に関連して出席された全閣僚を前に被疑者の早期身柄引き渡し及び日米地位協定の抜本的な見直しを求めたところであります。
県としては、今後ともあらゆる機会を通じて日米地位協定の抜本的な見直しを訴え続け、その実現につなげていきたいと考えております。
SACOの進捗状況についてにお答えいたします。
SACOで合意された11事案のうち、主なものの進捗状況については、平成10年12月に安波訓練場の共同使用が解除され返還が実現しております。
北部訓練場については、ヘリパッド移設候補地の選定に関し現在継続環境調査が行われており、今後、具体的な移設候補地の選定に向けての取り組みがなされるものと考えております。
読谷補助飛行場については、パラシュート降下訓練が伊江島補助飛行場に移設されており、連動する楚辺通信所の移設完了後に返還されることが合意されております。
楚辺通信所の移設については、現在、建設に向けての造成工事が実施されているところであります。
また、キャンプ桑江の海軍病院の移設については、移設先の宜野湾市が平成12年7月、キャンプ瑞慶覧内の普天間地区への受け入れを表明しております。
キャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧に係る住宅統合については、キャンプ瑞慶覧内のゴルフ・レンジ地区に建設された住宅が米側に提供されたのに続き、去る11月27日の日米合同委員会において住宅統合第2段としてサダ地区における住宅建設の合意がなされております。
那覇港湾施設の代替施設については、平成15年3月に改訂を予定している那覇港湾改訂計画に位置づけるため現在関係機関で協議がなされているところです。
また、普天間飛行場については、ことし7月に開催された代替施設協議会において基本計画が決定されたところであり、SACO合意事案の実現に向けた国の作業は着実に進展しているものと理解しております。
県としては、国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえ幅広く県民の理解と協力を得ながら、SACOの合意内容の着実な実施に向け前向きに取り組んでいきたいと考えております。
F15戦闘機の機体老朽化の発言と事故原因の開示についてにお答えいたします。
県は、ロウチ米空軍長官が嘉手納基地を視察した際、嘉手納基地司令官レミングトン准将からF15戦闘機墜落事故等に関する発言があった件について、嘉手納基地第18航空団広報局長に対して発言内容の真意や調査状況などについて照会しました。
米軍からは、「星条旗」新聞に掲載されているコメントは正確ではなく、F15戦闘機の老朽化と8月に発生した墜落事故とを関連づけるような発言はなかったとの回答を得ております。
なお、米軍の事故調査委員会の調査は完了しており、その結果が12月中には公表されるとのことでありますが、県としては、米軍においては今後調査結果について速やかに県民に公表するとともに、航空機事故の再発防止及び安全管理の徹底について真剣に取り組むよう求めているところであります。
F15戦闘機の事故件数についてにお答えいたします。
F15戦闘機の事故件数については、同機が嘉手納基地に配備された昭和54年以降、平成14年11月末現在までに墜落事故7件、不時着30件、着陸失敗6件、部品等の落下事故4件、空中接触1件、火炎噴射1件、その他2件の計51件となっております。
事故発生率の高い米軍航空機の離発着についてにお答えいたします。
県は、航空機関連事故については、県民の生命財産にかかわる重大な事故につながりかねず、日常的に米軍基地と隣り合わせの生活を余儀なくされている県民に大きな不安を与えるものであり、1件たりともあってはならないものと考えております。県としては、墜落事故や落下事故等が起こるたびに米軍に対しあらゆる機会を通じて事故原因の徹底究明と公表、再発防止、今後の安全管理の徹底等を強く求めてきており、今後とも引き続き安全管理の徹底等、実効性のある事故防止策を講じるよう強く申し入れていきたいと考えております。
伊江島の物資投下事故原因についてにお答えいたします。
去る12月3日、那覇防衛施設局から県に対して本件の事故原因等の報告があり、また同日、伊江村に対しても米軍から報告がなされております。
同報告によりますと、通常、物資の重量により航空機内にひっかけているひもが切れて落下することになっているが、今回の事故では、物資の重量が十分でなかったことと、物資が回転して絡まったことからひもが切れず航空機にひっかかったため航空機の安全を考慮し、ひもを切り物資を投下したとのことであります。
また、指揮官の指示から兵士が切り離すまでに数秒程度かかったため提供施設外に落下したとのことであります。
物資投下訓練の廃止に関する米軍や国の対応についてにお答えいたします。
物資投下訓練については地元伊江村が廃止を求めており、また県としてもこれまでの同訓練による事故の発生状況や現地の訓練場の状況等を勘案すると、伊江島補助飛行場における同訓練は危険であり廃止すべきであると考えております。
なお、米軍は事故の再発防止策を検討しているとのことであり、現在、物資投下訓練は中止しておりますが、県としては、今後とも引き続き同訓練の廃止を求めていきたいと考えております。
以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) 海兵隊少佐による事件の経過と概要についてお答えいたします。
同事件は、本年11月2日土曜日午前1時30分ごろ、沖縄本島内において発生した事件であり、在沖米海兵隊キャンプ・コートニー所属の海兵隊少佐による成人女性に対する強姦未遂事件及び器物損壊事件であります。
県警察としましては、11月2日午前3時ごろ、米軍憲兵隊から具志川警察署への電話通報により事件を覚知したところであり、事件の覚知段階から現在に至るまで被害者や被疑者の人権に十分配意しつつ所要の捜査を慎重に推進してまいりました。その結果、被疑者が犯罪を犯したことの心証を得るに至り、12月3日、逮捕状の請求を行い発付を得たところであります。
県警察は、逮捕状が発付され、さらに被疑者の身柄が米軍手中にあることから、政府に対し、平成7年の日米合同委員会合意に基づき被疑者の身柄の起訴前の拘禁移転を求めたものであります。その結果、12月5日の日米合同委員会において米側から身柄の拘禁移転に同意できない旨の回答がなされました。
県警察としましては、拘禁の移転の同意が得られなかったことは極めて遺憾に感じております。県警察は、刑事訴訟法等法令に従い所要の捜査を行い、12月9日、那覇地方検察庁へ事件を送付したところであります。
次に、身柄引き渡しの拒否についてお答えいたします。
本件について、身柄引き渡しの同意が得られなかったことは極めて遺憾でありますが、沖縄県警察としましては、刑事訴訟法等の法令に基づき米軍捜査機関の協力を得て被疑者の取り調べ、捜索等を行い、事件の早期解明に向け最大限の努力をして立件し事件送付したものであります。
今回の事件を立件する上では特段の支障はなかったと考えておりますが、身柄の拘束について一般論としてどちらが望ましいかと問われれば、逮捕状を得て捜査している以上、証拠隠滅等の観点からも警察において身柄を拘束して捜査を進めることの方が望ましいと考えております。
○企画開発部長(与儀朝栄) 基地問題について、港湾改訂計画の進捗状況についてお答えいたします。
那覇港管理組合が進めている那覇港の港湾改訂計画については、去る11月に行われた国土交通省との検討会において取扱貨物量に基づく港湾施設の規模及び配置や土地利用等の計画概要が了解されております。現在は、最終の原案取りまとめに向けて環境アセスメント調査や航行安全検討調査を行っているとのことであります。
今後、関係機関との協議を進め、平成15年1月下旬には港湾管理者から地方港湾審議会への諮問・答申、3月下旬には国土交通大臣から交通政策審議会港湾分科会への諮問・答申を経て港湾計画が改訂されるとのことであります。
○商工労働部長(花城順孝) 経済振興についての、雇用創出の具体策についてお答えします。
雇用を創出するためには、沖縄振興特別措置法において措置された各種の制度等を最大限活用するとともに、沖縄振興計画及び分野別計画に基づく戦略的な産業の育成を積極的に推進する必要があります。とりわけ、沖縄県産業振興計画に基づき市場競争力の強化による既存製造業の振興と、地域資源や特性を活用した「オキナワ型産業」等の新規産業分野の創出や企業の立地促進を図ってまいります。
また、沖縄県情報通信産業振興計画に基づき県経済のリーディング産業として情報通信関連産業の集積振興を図るとともに、アジア・太平洋地域における国際的な情報通信ハブの実現を目指します。
このような産業振興の方向性を踏まえ、雇用の促進、人材の育成等について取りまとめた「沖縄県職業安定計画」を着実に推進して産業振興と一体となった雇用対策に取り組んでまいります。特に、若年者の雇用対策を抜本的に拡充・強化する「若年者総合雇用支援システム」を構築するとともに、新たに設置する「沖縄キャリアセンター(仮称)」において一貫した支援対策を講じるなど雇用の安定を図ってまいりたいと考えております。
次に、経済振興についての、雇用対策の内容と実効性についてお答えをいたします。一括してお答えいたします。
本県の厳しい雇用状況に適切に対応するため、国及び県においてはそれぞれ緊急対策を取りまとめております。内閣府においては、12月6日に特別調整費の配分や国の平成14年度補正予算の活用等を含めた産業・雇用対策の追加的実施対策をまとめております。その内容は、雇用対策の拡充・強化、産業対策の追加的実施、政策融資等の積極的な活用及び公共事業の円滑な実施となっております。
県においても、12月9日に「沖縄県緊急雇用対策本部」を開催し、復帰後最高となっている現在の新規求人を着実に雇用に結びつけていくためのミスマッチ対策を中心とした「沖縄県緊急雇用対策」を策定したところであります。その主な内容は、30歳以上の求職者の就職を促進する緊急ジョブマッチング促進特別事業、民間教育訓練機関を活用した緊急委託訓練事業等10項目の対策となっております。
また、沖縄労働局においても、若年者トライアル雇用の拡大や企業説明・面接会の追加的開催及び市町村、デパート等におけるハローワークの臨時相談窓口の設置等の計画をまとめております。
なお、本緊急対策の実施による完全失業率の改善効果を予測することは困難でありますが、国、県によるこのような対策を関係機関の連携のもとで集中的に実施することによって雇用状況の改善につなげてまいりたいと考えております。
同じく経済振興についての、中長期の雇用対策についてお答えします。
本県の雇用状況を中長期的に改善していくためには、雇用吸収力のある産業の振興やこれを支える専門的な人材の育成、県内外に積極的にチャレンジする若年者の幅広い職業観の形成等を推進することが重要であります。県としては、沖縄振興特別措置法において措置された各種の制度を最大限活用するとともに、沖縄振興計画及び沖縄県産業振興計画等に基づき戦略的な産業の育成や企業誘致を積極的に推進し、新たな雇用の創出を図ってまいります。
また、雇用の分野については「沖縄県職業安定計画」に基づき産業振興と一体となった雇用の促進と人材育成に取り組んでまいります。また、特に若年者の雇用対策を抜本的に拡充・強化するものとして現在「若年者総合雇用支援システム」を構築しているところであり、新たに設置する「沖縄キャリアセンター」(仮称)において職業観の形成等の人材育成から就職までの一貫した支援対策を講じてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(永山政邦) ダイオキシン排出基準強化について、市町村への指導、今後の焼却処理についてお答えいたします。
県においては、国が示した平成9年の「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン」に基づき、ごみ処理に伴うダイオキシン類の排出削減を図るため平成10年度に平成20年度までを計画期間とする「沖縄県ごみ処理広域化計画」を策定し、市町村におけるごみ処理施設の整備等のダイオキシン対策を促進しているところであります。県では、同計画の策定に当たって広域化計画検討委員会への市町村の参画や、市町村で構成する各ブロック別の広域化計画協議会における検討及び個別の施設整備に関するヒアリング等を通して、また毎年度の事業計画の実施に当たっても市町村への指導・助言を重ねてきております。県としては、今後とも市町村に対し、ダイオキシン類の削減に向けてごみの排出抑制、リサイクルの推進を図りつつ、ごみ焼却施設の整備を計画的に進めるよう指導・助言していきたいと考えております。
次に、ごみの処理能力及び最終処分場整備についてお答えいたします。
ダイオキシンの新たな基準に適合する市町村の焼却施設は、32施設50市町村のうち24施設41市町村となっており、その処理能力は1日当たり1517トンとなっております。
ダイオキシンの排出基準に適合しない8施設10町村については、12月1日以降廃止しております。
平成12年度におけるごみ排出量は1日当たり1388トンで、そのうち1035トンが可燃ごみとして焼却処理されております。
また、市町村の最終処分場は28カ所34市町村となっており、18市町村においては最終処分場を有しておらず、他の市町村や民間の最終処分場へ委託処理しております。このため、県においては、市町村に対して広域市町村長協議会や主管課長会議等を通して国庫補助制度を活用し、新たな焼却施設や最終処分場を早い時期に整備するよう指導・助言しているところであります。
次に、離島の焼却処理に対する県の対応についてであります。
現在、県内の離島市町村においては、ごみ処理施設16施設17市町村のうち、8施設8市町村がダイオキシン類排出量の新基準に適合しております。
残る8施設10町村のうち、6施設6町村では、当面、他市町村への委託処理等を行い、平成17年度を目標に国庫補助制度による処理施設の整備計画を進めております。
宮古地区の2施設4町村については廃止し、広域化により既存の施設で処理しております。
県においては、引き続きダイオキシン類の総排出量の削減を図るため市町村等の焼却施設の整備促進を図っていきたいと考えております。
次に、ごみ処理広域化の状況と今後の取り組みについてであります。
県では、平成10年度に「沖縄県ごみ処理広域化計画」を策定し、平成20年度までに本島市町村の焼却施設17施設を12施設に集約することとし、離島市町村ではその特殊事情を考慮した広域化計画を進めてきております。 その結果、平成14年12月現在、本島内の焼却施設は中部北環境施設組合等の施設整備により14施設に集約されております。離島においては、宮古地区の焼却施設3施設が広域化により1施設に集約されております。
同計画では、ダイオキシン類の排出量を平成9年度の排出量から90%を削減し、埋立処分量は平成8年度の処分量から26%を削減することを目標にしております。現在、ダイオキシン類の排出量は那覇市等の施設改良により約50%が削減され、計画は順調に進んでおります。また、埋立処分量については石垣市の焼却施設等の整備により約28%が削減され、既に目標値を達成しております。
県としては、今後ともごみの適正処理を図るよう市町村への指導・助言を行い、ごみ処理の広域化を進めていく考えであります。
以上であります。
○総務部長(當銘直通) 県職員の給与改定について順次御答弁申し上げます。
平成11年以降の給与改定に伴い平均的な県職員の年収はどれだけ下がったかについてお答えいたします。
人事委員会が公表した数値によれば、平成11年度は10万4000円、平成12年度は7万1000円、平成13年度は1万8000円、平成14年度は14万5000円、合計で33万8000円職員の平均年間給与が減少したことになります。
次に、給与改定について職員団体の理解は得られているかについてお答えいたします。
今年の人事委員会勧告は、現下の民間の給与実態を反映し、給料表に定める給料月額を初めて引き下げるという職員にとって厳しい内容のものでありました。
県としては、勧告尊重の基本姿勢のもと、これまでの労使慣行を尊重し職員団体等の理解が得られるよう誠意を持って対応したところでありますが、残念ながら県職員の給与改定について職員団体等の合意を得ることができなかったところであります。県としては、地方公務員法第14条の「地方公共団体は、この法律に基いて定められた給与、勤務時間その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように、随時、適当な措置を講じなければならない。」という「情勢適応の原則」等に基づき所要の措置を講ずる必要があると判断し、今議会に関係条例を提出したところであります。
次に、期末手当による減額調整は不利益不遡及の原則に反するのではないかについてお答えいたします。
今回の3月期の期末手当による差額調整の特例措置は、改正給与条例を公布の日以降の施行とした上で、年間における公民の給与を均衡させるために改正給与条例の施行後に支給される給与である3月期の期末手当の額を将来に向かって調整するものであり、過去の法律関係自体を変更するものではないことから不利益不遡及の原則に反するものではないと考えております。
今回の特例措置と同じ内容により国家公務員の期末手当に関する特例措置が講じられたところでありますが、当該措置については人事院、内閣法制局及び総務省のいずれの見解においても妥当または合理的な措置であるとされております。
次に、給与改定に伴う人件費の減少額及び地域経済への影響についてお答えいたします。
県職員の給与改定に伴う人件費の減少額は、一般会計で約34億円となっております。市町村職員の給与改定に伴う人件費の減少額については現在調査中であります。
なお、国家公務員の給与改定に伴う人件費の減少額については把握しておりません。
県職員の給与は、「生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」という地方公務員法第24条第3項に規定する「均衡の原則」及び「地方公共団体は、この法律に基いて定められた給与、勤務時間その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように、随時、適当な措置を講じなければならない。」という地方公務員法第14条に規定する「情勢適応の原則」といった諸原則に立脚して構築された制度であります。
したがって、県職員の給与改定については、これらの制度を踏まえて行わなければならないと考えております。
以上であります。
○大城 一馬 議長、休憩。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時48分休憩
午前11時52分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
知事公室長。
〔知事公室長 新垣良光君登壇〕
○知事公室長(新垣良光) それではお答えいたします。
航空機関連、それから原野火災、その他の事件等トータルでございます。平成14年に26件、平成11年が35件、平成12年が32件、平成13年が28件でございます。
○大城 一馬 再質問いたします。
まずイージス艦派遣の件ですけれども、知事は国政の場で十分な論議を尽くすべきだと。
それは確かにそのとおりでございまして、ただ私どもが懸念することは、野中発言、バリ島でああいう形で報復テロが発生したわけですね。ましてや昨年の米国での同時多発テロ事件が与えた県経済への影響、これを見るに、やはり私は基地が集中する沖縄県の知事としてしっかりこの場で反対だということを明確にしておく必要があるんではないかと思うんですよ。
もう一度答弁をお願いしたいと思います。
次に、地位協定の問題ですけれども、どうも稲嶺知事、あるいは県、あるいはまた県議会を初め沖縄県民が本当に真剣に、深刻に強い決意で訴えているにもかかわらず、外務省、日本政府が動かないと。おとといの衆議院の外務委員会の中で松本さんという国会議員が質問をして、海老原北米局長ですか、アメリカにはこの問題については何も要請してないと、こういう答弁が国会の中で出てきてしまう。これはいかにやる気がないか、どんなに知事が悲壮な決意を持って訴えても動こうとしない。 一体、外務省というのはどこの国の外務省なのかさっぱりよくわかりませんけれども、知事、もう一度その件について国会答弁を含めて知事の見解を求めていきたいと思います。
そして県民大会ですが、確かに各界各層を網羅した全県的な大会が必要であるということで知事は答弁しておりますけれども、私はやはり県民超党派、それを結集するためにこの議会の場で知事がこの必要性を提唱すると。質問では知事主導ということで提起しましたけれども、これはさておきまして、知事がやはり必要性をこの議会の場で表明すると、地位協定に関して県民大会。いろいろ時期の問題もあろうかと思いますけれども、そういうところの踏み込んだ意思表明、これを知事、どうですか、そのことをぜひこの場でやってもらいたいんですけれども、いかがなもんでしょうか。
次に、SACOの関連ですけれども、いろいろとSACOについては評価が割れるようでございますが、やはり私どもは、SACO合意は基地の県内移設を条件としているためになかなか地元の市町村の理解も得られないということで進んでないと。そしてSACO2になりますけれども、知事は段階的な整理縮小に向けて新たなSACOを考えていると。
これはこれでよろしいんですけれども、そのときの知事の新たなSACOという発想の中には基地の県外移設、兵力移転も含んでいるのかどうか、それにつきましてお聞かせ願いたいと思います。
以上です。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの大城一馬君の再質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後0時 休憩
午後1時21分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
午前の大城一馬君の再質問に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 大城一馬議員の再質問にお答えをいたします。
最初は、イージス艦派遣についてでございます。
テロ攻撃に対しては、国連決議の中で国際的なテロリズムの行為を非難し、加盟国に対しその防止等を求めており、加盟国が協調しテロ行為を根絶する努力が必要であると考えております。
イージス艦の派遣については、集団的自衛権の行使に当たるのではないかとの意見もあり、憲法との整合性の観点等も含め国民の理解を得るためにも国政の場で十分な論議を尽くすことが望ましいと考えております。
続きまして、地位協定の改定についてでございます。
今回の事件については、県は起訴前の身柄引き渡しを強く求めてきましたが、米側が拒否し、日本政府が再要請を行わないとしたことについては極めて遺憾であり、政府においては県民の意向を踏まえ米側に強い姿勢で臨んでもらいたいと考えております。
次に、県民大会についてでございます。
実は、前回の県民大会において私は経済界の代表として壇上から決意表明をいたしました。それだけに県民大会の重要性については十二分に認識をいたしております。したがって、この県民大会については各界各層を網羅した全県的な大会が必要であるとの認識をしております。
次に、新たな基地の整理縮小についてお答えいたします。
本県の米軍基地問題の解決促進を図るためには、基地の整理縮小が必要であると考えております。基地の整理縮小は面積はもちろんのこと、海兵隊の演習、訓練の移転及び海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減など包括的にとらえることが必要であると考えております。
○大城 一馬 知事、県民大会ですが、まだ明確に知事の思いがなかなか私にも伝わっておりませんけれども、私どももこの件につきましてはぜひ今県民大きくこの県民大会に向けて機運が高まりつつあります。ここでやはり知事がしっかりとしたやるべきだという提起をすればこれはまた一気に燃え上がるということで、ぜひしかるべき場所で発言をお願いしたいと思います。
以上です。
○知事(稲嶺惠一) 県民大会については大変重要であるとの認識をしております。したがいまして、しかし大変重要なのはその盛り上がり、その効果、時期、その他でございます。それらを十分勘案いたしまして、県知事としては十分今の大城議員の言われた趣旨を踏まえまして、私としてはしかるべき決意をきっちりと持っております。
○玉城ノブ子 日本共産党を代表いたしまして質問を行います。
質問の前に所見を述べたいと思います。
長引く不況のもと、国民の暮らし、経済は深刻となり、自民党政治は日本経済のかじ取りの力を全く失いました。危機の打開を掲げて登場した小泉内閣は、その政策も深刻な自己破綻に陥っています。
稲嶺県政は4年前、15年使用期限をつけ新基地建設の受け入れを表明いたしましたが、ブッシュ米大統領は明確に拒否し、日本政府も全くやる気がありません。また、この4年間で完全失業率は一層悪化し県経済も最悪の事態となっています。
知事選挙を通じ明確になったことは、第1に、県民の圧倒的要求は基地の全面撤去であります。
第2に、地元産業が力をつけ沖縄の資源、県民のエネルギーを生かし地元が潤う経済振興こそ強く求められていることであります。
第3に、長寿、出生率日本一という2つの宝が大事にされる医療・福祉、教育の充実・強化にありました。
我が党は、県民が主人公の県政運営を一貫して主張してきました。自治体が本来の役割を果たし、国言いなりではなく県民の立場に立つこと、稲嶺県政2期目に当たりこのことを強く求め、質問に入ります。
1、初めに米軍基地問題について質問します。
米海兵隊少佐による女性暴行未遂事件で、アメリカは容疑者の身柄引き渡し要求を拒否、日本政府も稲嶺知事の再度の身柄引き渡し要請を拒否しました。女性の人権と尊厳に対する認識の欠如であり、満身の怒りを持って抗議するものであります。
基地被害のない沖縄の願い、県民の闘いに対する重大な挑戦であり、断じて許すことはできません。
以下、答弁を求めます。
米政府の今回の身柄引き渡し拒否と日本政府の対応についてどう考えておられるのか、知事の答弁を求めます。
米兵の身柄引き渡しに関する日米間の取り組みの経緯と結論を受けてよしとするのですか。また、アメリカの海外駐留米兵の特権重視の姿勢をどう思いますか、お答えください。また、今後の対応について答弁を求めます。
米軍のイラク攻撃問題について質問します。
イラク問題をどう解決するのですか。これは21世紀の世界の秩序にかかわる重大かつ深刻な課題です。自衛隊のイージス艦がインド洋に派遣され、米軍嘉手納基地のF15イーグル戦闘機の部隊などが派遣される、まさに沖縄がイラク攻撃の拠点の1つになりかねない極めて重大な事態です。日本国憲法に照らし、また沖縄戦を体験した沖縄県の知事としてどう思われるのか、知事の答弁を求めます。
第1に、米国のイラク攻撃に反対の態度表明を行うこと、第2に、いかなる形であれ無法な戦争に協力することを拒否すること、第3に、インド洋へのイージス艦の派遣など対イラク攻撃への実質的支援につながる米軍支援の兵力増強を中止し、自衛隊の即時撤退を要求すること、第4に、米軍の無法な戦争に参戦する有事3法案の廃案を要求すること。
知事選公約について。
知事は、名護への新基地建設について当選後のインタビューに答え、15年問題が解決しなければ工事の着工はないと答えました。改めて知事の答弁を求めます。
15年の使用を認めることは、環境アセスや基地建設時期を含めると何年間基地が存続すると考えていますか。また、普天間基地は何年存続するとお考えですか。
伊江島補助飛行場の重量物投下訓練について。
米軍特殊部隊は、SACO合意で伊江島補助飛行場に移転する前に使用していた読谷補助飛行場では重量物の投下訓練は禁止されておりました。その理由をお答えください。
また、伊江島での危険な重量物の投下訓練の廃止を強く要求すべきではないですか、お答えください。
嘉手納基地以外の米軍基地でのF15の緊急着陸と墜落事故はどのような状況になっていますか。
11月26日付の米軍の準機関紙「星条旗」によると、原因は機体の老朽化と指摘しています。事実の確認はしたのですか。飛行中止と撤去を求めるべきではないでしょうか、答弁を求めます。
2、暮らし、医療・福祉問題について。
医療制度の大改悪によって高齢者とサラリーマンの自己負担と保険料の引き上げなど、3兆2000億の負担増が押しつけられようとしています。相次ぐ企業倒産と失業のもと、子供たちが高校、大学の中退を余儀なくされる、学校給食費が納められない、国保加入者の3割以上が国保税を払えないなどの事態が生まれています。県民の暮らし、安全を守ることが地方自治体の果たすべき責務です。長寿、出生率全国一の沖縄でこそ社会保障、福祉、教育の充実が求められています。
県がその立場で最大の努力を払うことを求め質問いたします。
国保制度について。
市町村の国保会計は国庫負担の削減等によって県民負担が増大をし、国保税を払えない世帯が3割以上に上り、その結果、国保税が高過ぎて払えない世帯は短期資格証明書発行で治療を中断し、手おくれとなる悲惨な事態も生まれています。
県は、こうした事態をどう認識されていますか。
厚生労働省は、支払い能力がない世帯からも保険証を取り上げるものではないと述べています。県はどのような指導を行っていますか。
本県の短期資格証明書の発行状況について答弁を求めます。
全国では国保会計に1人当たり886円の財政支援を行っています。しかし、本県は1人当たり1円の支援しか行っていません。全国並みに財政支援を実施し、県民負担を軽減すべきです。国に対して国庫負担率をもとの45%に戻すよう働きかけることについて御所見をお伺いします。
介護保険制度について。
介護保険料が来年4月から現行の全県平均月額3618円が5324円と1.5倍に引き上げられます。84%が非課税世帯の高齢者に耐えがたい痛みを押しつけるものであります。この事態を県はどう認識されていますか。財政支援を含め新たな対策が必要だと考えますが、県の御所見をお伺いします。
去る10月厚生労働省に対し、赤嶺政賢衆議院議員、外間久子県議団長、新垣繁信県社保協代表理事が介護保険の過重負担を軽減する国の助成措置を求める要請を行いました。担当官は、沖縄は利用者が多いから高くなっている、抑制が必要と発言しています。
介護保険制度は強制加入保険であり、高齢者家族は必要なサービスを受ける権利があり、国はそれを保障する責任と義務があります。厚生労働省担当官の発言は、介護保険制度の趣旨を大きく踏み外すものであります。
県の認識についてお伺いいたします。
厚生労働省は、3原則について地方自治法上の助言にすぎず、自治体がそれに従うべき義務はないとしています。県の3原則に基づく指導は撤回すべきです。御所見をお伺いいたします。
全国では400を超える自治体で独自の減免を実施し、県内でも那覇市、浦添市、平良市、玉城村が減免しています。県としても独自の減免を実施すべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いします。
介護施設に入所できないで待機しておられるお年寄りがふえています。実態調査を行い、施設の増設を急ぐべきです。答弁を求めます。
乳幼児医療費無料化の就学前までの引き上げについて。
乳幼児医療費の自己負担率が3割から2割に引き下げられることによって確保できる財源は、県と市町村でそれぞれ幾らになりますか。
那覇市は、自己負担率が3割から2割に引き下げられることによって確保できる財源で来年1月から5歳未満児(入院のみ)無料化を実施することになっています。県もその財源を活用して年齢引き上げに踏み切るべきではありませんか。
稲嶺知事は、今回の選挙で直ちに年齢引き上げを実施すると公約していますが、いつから実施するお考えですか、時期を明確にしていただきたい。知事の御所見をお伺いします。
市町村の意向調査の結果について答弁を求めます。
雇用対策と産業振興について。
稲嶺県政は、これまで米軍基地の重圧を受け入れ、それと引きかえの振興策を進めてきました。その結果、企業倒産はこの4年間だけでも469件、完全失業率は全国平均の2倍、9月は9.4%、県民所得は全国平均の7割という深刻な事態が続いています。大型店の進出で「シャッター通り」の商店街がふえ続け、農家はこの30年間で3万戸も減少しました。
昨年9月のアメリカの同時多発テロ、アフガニスタン攻撃によって沖縄観光は大打撃を受け、農水産物の輸入自由化、狂牛病被害は県内産業経済を直撃しました。沖縄の産業経済は基地と引きかえの振興策、県外の企業誘致頼み振興策では発展しないということを示しています。
以上申し上げ、質問いたします。
沖縄経済の振興は、農漁業、中小企業、地場産業、観光産業の経営強化と雇用の拡大を図ることが重要です。地元の農水産物を全小中学校の給食の食材に積極的に活用する。そのための農水産物加工場をJA、漁協などに設置し、地域の雇用を拡大することが求められています。御所見をお伺いいたします。
県観光協会やホテル、旅館業組合、JAおきなわ、畜産組合、漁連などと連携して必要な組織をつくり、県内生産物の観光分野での消費拡大を図ることについてお答えください。
生産者の要望の強い営農、経営指導員をふやすとともに、県立農業大学校や農業、水産試験場などの研究機関の充実・強化を図ることが大切だと考えますが、御所見をお伺いします。
県産木材を使用した机、いす等を来年度から国頭村内の小中学校に導入する計画が進められています。学校給食器も含め県内小中学校への導入について御所見をお伺いいたします。
家畜排せつ物法の本格的施行を前に、営農資金を調達できず離農する養豚農家がふえている中、農家は水洗いやEM菌、おが粉を使った処理等の改善策を進めています。県の助成策を実施すべきだと考えます。取り組み状況について答弁を求めます。
おが粉を使ったふん尿処理方法について。
我が党県議団の調査によると、おが粉を豚舎の床に敷き詰め豚のふん尿を吸収させると床は自然の発酵菌が繁殖し、ふん尿は分解されて堆肥になるため悪臭はほとんど感じさせません。施設の改善とおが粉の購入助成策を講じるべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
カジノ観光は、国内で禁止されている賭博を産業として沖縄に持ち込み、県経済を台なしにするもので容認できません。観光産業は、沖縄の地理的条件や自然、歴史・文化を生かした長期滞在型、体験型観光を推進することで発展させることができます。知事の御所見をお伺いいたします。
泡瀬干潟埋立事業など不要不急の公共事業を見直し、不足している公営住宅や介護支援施設、学校プールの増設、老朽化した公営住宅、校舎の改築など県民生活に密着した公共事業に切りかえることが求められています。
県内の大手企業が8割を占める県の公共事業を県内中小業者に公正公平に発注できる仕組みをつくり、国の公共事業の県内企業優先、分離・分割発注を政府に強く求めるべきであります。御所見をお伺いいたします。
県内の若者の失業率の高さは深刻です。沖縄労働局が12月3日に発表した2003年3月新規学卒者の就職内定状況は、県内大学生の77%、高校生の85%は就職が決まらないという厳しい状況です。県、市町村のサービス残業の実態はどうなっていますか。サービス残業をなくし、若者の新規採用に充てるべきではないでしょうか。御所見をお伺いいたします。
30人学級の早期実現で教員を大幅にふやし、不足している公立保育所の増設、認可外保育園への支援を強め、待機児童の解消で就労の拡大を図ることが必要だと考えます。御所見をお伺いいたします。
「看護師等の人材確保に関する法律」の遵守で看護師を大幅にふやし、特別養護老人ホームや介護施設の充実で介護士を増員し、県や市町村を初め民間企業に障害者雇用促進法を守らせ障害者雇用をふやすことについて。
県庁とその出先機関、外郭団体の臨時職員、賃金職員、嘱託職員の社会保険への加入と年休行使の実態について。
同時に、社会保険加入条件を満たしながら社会保険への加入を認めない大手スーパーの実態とその責任を明確にし、徹底を図ることについて。
国の緊急地域雇用創出特別交付金事業の県と市町村の実施状況と雇用実績について。
県単独の事業としてつなぎ就労機会の拡大と生活支援資金貸出制度の創設について御所見をお伺いします。
質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) 玉城ノブ子議員の御質問にお答えをいたします。
身柄引き渡し拒否と日本政府及び県の対応について一括してお答えをいたします。
今回の事件は、女性の人権をじゅうりんした凶悪な犯罪であり、地域住民を初め県民に大きな不安と衝撃を与えました。しかも海兵隊少佐という指導的立場にある隊員が犯したとされるものであり、断じて許すことができません。
県は、このような事態を重く受けとめ、米軍を初め関係機関に対し事件・事故の再発防止、隊員の綱紀粛正及び教育の徹底を求めるとともに、速やかな身柄の引き渡しを強く要請しましたが、米側が被疑者の身柄の引き渡しを拒否したことは極めて遺憾であります。
また、米側の拒否回答に対し、日本政府が身柄引き渡しの再要求をしないことについては大変残念であり、政府においては、県民の意向を踏まえ米側に強い姿勢で臨んでもらいたいと考えております。
県としては、日米地位協定の運用改善では限界があることは明らかであり、同協定の抜本的な見直しが必要であると改めて痛感したところであります。今後とも、あらゆる機会を通じて日米両政府に対し日米地位協定の抜本的な見直しを強く求めていきたいと考えております。
次に、米国のイラク攻撃に対する県の対応についてお答えをいたします。一括してお答えいたします。
県としては、イラク問題については国連の場や我が国を初めとする多くの国々があらゆる外交努力を重ね、同問題が平和裏に解決されることを強く望んでおります。
小泉総理は、イラク問題に対する対応について去る9月13日の日米首脳会談において、ブッシュ大統領に対し、アメリカがイラクに対する対応をとる場合に最も重要な視点は、国際協力体制、国際協調であるということを強く主張したとのことであり、日本政府としても平和的な解決を望んでいるものと理解しております。
また、12月9日の小泉首相とアーミテージ米国務副長官との会談で、副長官はイラク問題について、イラクの提出した申告書のみで戦争が始まるわけではない。精査した上で、国連で再度関係国と協議すると明言したとのことであり、米国政府においても国際協調への努力を続けているものと理解しております。
次に、有事3法案についてのお答えでございます。
現在、国会で継続審議となっている「武力攻撃事態対処法案」を初めとする関連3法案については、直接県民の生命財産を預かる地方自治体に対して国は十分な説明を行い、その意見を尊重するとともに、広く我が国の外交や安全保障のあり方も含めて国民の意見を聴取した上で慎重に議論を尽くす必要があると考えております。
次に、普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題についてお答えいたします。
私は、知事選挙再出馬に当たり、基本政策として「普天間飛行場代替施設の使用期限を15年に限る。」ことを明確に打ち出しました。代替施設の15年使用期限は、基地の固定化を避けるため条件の一つとして提示しているものであり、国の責任において解決されるべきものであると考えております。
基地の提供責任は日本政府にあることから、日本政府が使用期限の問題を含め沖縄の基地問題を我が国全体の問題としてとらえ、しっかり受けとめることが重要だと考えており、知事選挙後には小泉総理大臣、細田沖縄及び北方対策担当大臣、石破防衛庁長官に対し、政府としてなお一層の取り組みを要請したところであります。使用期限問題の解決なしには着工はあり得ないと考えております。
次に、乳幼児医療の年齢拡大の実施時期についてお答えいたします。
今回、私は公約に掲げたとおり、年齢拡大については市町村と連携を図りながら検討していきたいと考えております。
制度の拡充については、実施主体である市町村の意向を尊重することが重要であります。乳幼児医療費については県2分の1、市町村2分の1の財政負担の課題もありますので、予算措置などの条件が整い次第、早い時期に年齢拡大が実施できるよう取り組んでいきたいと考えております。
次に、沖縄の生産物の消費拡大についてお答えをいたします。
県産農水産物の消費拡大を図るためには、県民はもとより、観光客などに対し積極的な販売促進を行うことが重要であります。このため、県としては現在、県、市町村、農協や観光団体など61団体で構成する「沖縄県農水産物販売促進協議会」を通して県産農水産物の販売促進などの各種キャンペーンを実施しているところであります。
特に、本年はリゾートホテルと連携して延べ約3万人の観光客を対象にゴーヤー、モズク、トウガンなどを活用した沖縄産食材料理フェアを開催したところであります。また「ゴーヤーの日」や「マンゴーの日」を設定し、県産農水産物の消費拡大に取り組んでおります。
さらに、健康・長寿県にふさわしい食文化の普及を図るため、健康保養長寿食材・メニュー開発事業により観光客等を対象とした料理メニューの開発や伝統料理の掘り起こしを行っているところであります。今後とも県内の消費拡大を初め、観光団体やホテル業界等関係機関と連携を密にして県産農水産物の販売促進に取り組んでいく考えであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(新垣良光) 基地問題について、普天間飛行場及び代替施設の存続についてにお答えいたします。
普天間飛行場代替施設の建設に当たっては、今後、環境影響評価や公有水面埋め立ての手続等に3年ないし4年要することが予想され、また工期については第9回代替施設協議会で9.5年との説明がありました。
さらに、県としては、運用可能後の代替施設について使用期限を15年とするよう国に求めているところであります。
普天間飛行場については、SACO最終報告において十分な代替施設が完成し運用可能になった後、返還するとなっております。
重量物投下訓練の禁止理由と許される理由及び重量物投下訓練の廃止要求についてお答えいたします。
物資投下訓練については読谷補助飛行場においては禁止されており、また伊江島補助飛行場においては認められておりますが、これは5・15メモに定められていることによるものであります。
同訓練については地元伊江村が廃止を求めており、また県としてもこれまでの訓練による事故の発生状況や現地の訓練場の状況等を勘案すると、伊江島補助飛行場における物資投下訓練は危険であり廃止すべきであると考えております。
なお、米軍は、事故の再発防止策を検討しているとのことであり、現在、物資投下訓練は中止しておりますが、県としては今後とも引き続き同訓練の廃止を求めていきたいと考えております。
緊急着陸等の状況と機種の老朽化発言及びF15戦闘機の飛行停止と撤去要求についてにお答えいたします。
ロウチ米空軍長官が嘉手納基地を視察した際、嘉手納基地司令官レミングトン准将からF15戦闘機墜落事故等に関する発言があった件については、嘉手納基地第18航空団広報局長に対して発言内容の真意や調査状況などについて照会しました。米軍からは、「星条旗」新聞に掲載されているコメントは正確ではなく、F15戦闘機の老朽化と去る8月に発生した墜落事故とを関連づけるような話はなかったとのことであります。
また、ことしに入って本県で相次いで発生している緊急着陸等については東京都、神奈川県、山口県、三沢市に照会したところ、そういう事例は承知していないとのことであります。
県は、墜落事故が起こった際、米軍を初め関係機関に対して事故原因の徹底究明、安全管理の徹底及び事故原因の究明がなされるまでの間の同機種の飛行停止を強く申し入れましたが、米軍は墜落の原因究明がなされないまま飛行を再開したことから米軍に対して強く抗議するとともに、事故原因の究明がなされるまでの間、同機種の飛行を停止するよう改めて申し入れを行いました。
県としては、米軍に対し調査結果の速やかな県民への公表、再発防止及び安全管理の徹底を引き続き強く求めていきたいと考えております。
○福祉保健部長(新垣幸子) 暮らし、医療・福祉問題について、短期被保険者証、資格証明書の交付について県はどのような指導を行っているか。お答えいたします。
国民健康保険は、被保険者の相互扶助で成り立っている制度となっております。
国保税の徴収に当たっては、被保険者の事情等を勘案し、期限内納付が困難な者については分割納付等の指導や、災害等で納付が困難な者については減免等の相談に対応するよう指導しております。
平成14年6月現在における本県の短期被保険者証交付世帯数は39市町村で1万6539世帯で、資格証明書交付世帯は5市町村で55世帯であります。全国と比較しますと、短期被保険者証交付世帯は全国の場合3.4%に対し本県は6.4%、資格証明書交付世帯は全国が0.99%に対し本県は0.02%となっております。
同じく、国保会計に全国平均並みの財政支援を実施し、県民負担を軽減すべきではないかとの御質問にお答えします。
平成12年度における全国の収支状況においては、国庫支出金は34.9%となっていますが、本県の国保会計の収支状況では国庫支出金は49.8%で全国より14.9ポイント高くなっております。
なお、平成13年度における低所得者の59.5%に当たる14万9505世帯に対し59億652万円の国保税の軽減措置を実施しております。
同じく、国に対し国庫負担率をもとの45%に戻すよう働きかけることについての御質問にお答えします。
国民健康保険の財政基盤の強化を図るため、本年8月の健康保険法等の一部改正により平成15年度から国庫負担の改善が図られることになっております。
続きまして、保険料の引き上げに対する認識と財政支援等について。
県においては、市町村が第2期目の介護保険料を設定するに当たって高齢者の負担が軽減されるよう支援を行っているところであります。
当面の対策としては、財政安定化基金借入金の償還期限を本来の3年から6年または9年に延長することや、基金への拠出をゼロにするなどの措置をとることとしております。
また、低所得者が多い本県の状況に照らして、介護保険料が急激に上昇する市町村の介護保険財政への支援の実現について、11月8日に比嘉副知事が厚生労働省に、また26日には宮城町村会長が財務省に対して要請を行ったところであります。
厚生労働省担当官の発言に対する県の認識についてお答えいたします。
介護保険は、利用者がみずからの選択に基づきサービスが利用できる制度であります。
しかしながら、本県では高齢者1人当たりの介護保険サービスの利用が全国でも高い水準にあり、次期介護保険運営期間においても在宅介護サービスの利用増が見込まれることから、それに見合った高い保険料が算出されております。県といたしましては、介護保険法に基づく本来の制度の趣旨を踏まえて、介護保険サービスを必要とするお年寄りが適切にサービスが受けられるように今後とも市町村に対し助言をしていきたいと考えております。
3原則に基づく指導は撤回すべきではないかとの御質問にお答えします。
介護保険制度は、介護を国民皆で支え合おうとするものであり、保険料を支払った者に対して必要な給付を行うものであります。
このようなことから、国は保険料の単独減免をする場合において保険料の全額免除、収入のみに着目した一律の減免、保険料減免分に対する一般財源の繰り入れについて適当でないとしております。県といたしましても、制度の趣旨を踏まえた低所得者対策として3原則を遵守した保険料の減免措置は必要と考え、市町村に対し今後とも同様な助言を行っていきたいと思います。
県も単独減免をすべきではないか。お答えいたします。
保険者である市町村は、条例で定めるところにより特別の理由がある者に対して保険料を減免し、またはその徴収を猶予することができることになっております。
なお、介護保険制度では保険者である市町村が保険料の減免等を行える仕組みとなっており、保険者でない県による保険料の独自の減免は難しいものと考えております。
待機者の実態調査及び施設の増設について。
介護保険施設の整備については、沖縄県高齢者保健福祉計画の整備目標を既に達成しており、全国平均の約1.7倍の高い整備率になっております。
また、入所申込者についてでありますが、介護保険制度の導入に伴い特別養護老人ホームへの入所が「措置」から「契約」になり、入所申し込みが各施設に直接行われることになったことから1人の人が複数の施設に申し込んだり、直ちに入所の必要のない高齢者が申し込んだりしていることにより入所申込者の実数把握が困難な状況にあります。
このような状況から、国においては去る8月に介護の必要性の高い者を優先的に入所させるよう関係省令を改正したところであります。 県といたしましても、特別養護老人ホームの入所に関する指針について関係団体と協議を進めているところであり、来年4月から運用したいと考えております。
なお、入所申込者の実態調査については、この指針の運用状況を見きわめた上で検討してまいりたいと考えております。
それから、3割から2割に引き下げられたことによる金額は県、市町村どれぐらいかと。
平成14年10月の健康保険法の改正に伴い、3歳未満児の医療費の自己負担分が3割から2割に減少したことから乳幼児医療費の財源も軽減されました。平成15年度において高額療養費や医療費の伸び率などを考慮して試算しますと、軽減額は県、市町村それぞれ約2億円程度となっております。
市町村の意向調査について。
平成14年10月に年齢拡大や給付の条件などについて市町村の意向調査をした結果、年齢拡大については県に準じたいと回答したところが37市町村、就学前までが4市町となっております。
また、給付の条件については、条件を付さないと回答したところが27市町村、条件を付すと回答したところが16市町村です。このように市町村の意向に差がありますが、今後、調整を経て実施をしていきたいと考えております。
待機児童の解消による就労の拡大について。
県では、待機児童の解消を図るため、「新おきなわ子どもプラン」において保育所50カ所創設の目標を掲げ取り組んでいるところです。
平成14年度、15年度で認可外から認可移行を含め14カ所が創設される予定で、これにより約200人程度の安定雇用が見込まれます。県としましては、保育所の増設によって保護者が安心して働ける環境整備が進むとともに、保育士等の雇用の場も拡大するものと考えております。
看護師等の増員及び特別養護老人ホーム等の基盤整備の拡充について。
看護師等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等については、「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に基づき看護師等養成所、医師会、看護協会等と連携しながら進めております。今後、看護職者の増員については、介護保険事業等の動向を踏まえ需給見直しの中で検討するとともに、中部地区医師会が進めている看護学校の新設についても支援していきたいと考えております。
また、介護保険施設の整備については、「沖縄県高齢者保健福祉計画」の整備目標を既に達成しており、全国平均の約1.7倍の高い整備率になっていることから、今後は訪問看護等の在宅サービスの基盤整備を図り、さらに生活支援ハウス、痴呆性高齢者グループホーム等の整備を促進してまいりたいと考えております。
生活支援資金貸出制度をつくることについて。
低所得者、高齢者、身体障害者等の経済的自立と生活意欲の助長並びに社会参加の促進を図ることを目的に生活福祉資金貸付制度があり、沖縄県社会福祉協議会で貸し付けを行っております。貸し付けの種類は生活資金、技能習得に要する更生資金等の8種類があります。
この制度とは別に、緊急雇用対策の一環として、平成13年11月9日の閣議決定で雇用保険制度の枠外にいる自営業者等の失業世帯に対する貸付制度である離職者支援資金制度が創設され、本県でも平成14年3月から沖縄県社会福祉協議会で貸し付けを行っており、平成14年11月末現在で114人に対し1億3865万円の貸し付けを行っております。
以上でございます。
○農林水産部長(天願貞信) 農水産物加工場を設置し地域の雇用拡大を図ることについての御質問にお答えをいたします。
農林水産物の高付加価値化を図るための加工施設の整備は、農林水産業の振興上極めて重要であります。そのため、県としては特産物であるモズク、おきなわ紅いも、熱帯果樹、薬用作物などの加工施設の整備を推進しているところであります。
また、JAや漁協における農水産加工施設の整備につきましては、JAおきなわ伊平屋支店の一口黒糖施設や知念村漁協のモズク調整施設など、県内の特産物を活用した加工施設の整備に取り組んできたところであります。今後とも、本県の地域特性を生かした特産物の生産振興を図るとともに加工施設の整備を行い、特産加工品の開発とあわせて地域の雇用拡大にも努めていく考えであります。
次に、県の改良普及員や試験研究機関などの充実・強化についてお答えいたします。
本県の農林水産業の振興を図るためには、試験研究機関などの充実・強化や農業技術の普及指導は極めて重要なことと考えております。このため、県といたしましては沖縄県農林水産業振興計画に基づき農林水産業の技術開発拠点である試験研究機関の再編・整備を推進するとともに、優良品種の開発・普及、省力・低コスト化に向けた技術等の研究開発を推進しているところであります。
また、農業大学校や普及センター等が連携をし、新規就農者の促進、経営感覚にすぐれた担い手の育成・確保に努めているところであります。
さらに、技術力の高い農業者を育成するため、技術情報提供システムの整備・強化や農林漁家巡回指導等の充実・強化を図る考えであります。
次に、畜産環境対策の取り組みについてお答えいたします。
「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」は、平成16年11月から本格的に適用されることとなっております。
施設改良の整備状況は、平成16年までの要整備農家407戸に対し、平成15年3月末の整備見込み率は40%台と低い状況にあります。このため、県といたしましては関係市町村等と連携して関係農家に対して整備の促進について指導を強化しているところであります。今後とも、関係市町村等と連携を密にしながら国庫補助事業、補助つきリース事業及び低利の制度資金などを活用して施設改良の整備を促進していく考えであります。
次に、おが粉を使ったふん尿処理についてお答えをいたします。
おが粉を使った養豚のふん尿処理方式は、一般的な浄化放流方式に比べて悪臭対策に有効であります。
おが粉養豚の推進を図るためには、豚舎構造の改善と低コストおが粉の確保などの課題があります。
豚舎構造の改善については、平成9年度より補助事業により取り組んでいるところであります。
また、おが粉の確保については国頭村森林組合やJAおきなわ等と連携をして安定供給に取り組んでいるところであります。県といたしましては、今後とも畜産環境対策を促進する観点から、低コストで効果的なふん尿処理技術の確立に努めていく考えであります。
以上であります。
○教育長(津嘉山朝祥) 雇用対策と産業振興について、県産木材を使用した机、いすや学校給食用食器の導入についての御質問にお答えをいたします。
小中学校に県産木材を使用した机、いすや給食用食器等を導入することは、県内の林業、木製品産業の振興及び児童生徒の地場産業への理解も深まり大変に有意義なことであると考えております。
机、いすについては、スチール製品との価格差が大きいことから、設置管理者である市町村が財政状況等を勘案して独自に判断すべきものと考えております。また、学校給食用食器については安全性、耐久性、経済性、利便性等が求められております。
県教育委員会としては、各市町村がこれらを総合的に判断し導入することが望ましいと考えております。
次に、雇用対策と産業振興について、30人学級による就労の拡大についての御質問にお答えをいたします。
学級編制及び教職員定数については、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」等により基準を定め配置をしているところであります。
県教育委員会としましては、平成14年度は第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画により、少人数授業等の実施のための指導方法改善加配として350人を配置をいたしております。また、緊急雇用創出特別交付金を活用して小学校低学年支援事業と学校教育補助者配置事業で109人の雇用を図っております。
少人数学級の編制につきましては、平成14年度に学級編制の基準を改正し、小学校1年生に限って特に必要があると認められる場合について、3学級以上かつ1学級の平均児童数が36人以上の学校36校のうち13校において学級編制の弾力化を実施をいたしました。今後とも引き続き少人数学級の拡充に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) 観光産業の発展方向に関する御質問にお答えをいたします。
観光ニ-ズが多様化、目的化する中で本県観光を今後とも持続的に発展させていくためには、従来の観光資源を守り育てるとともに、新たな魅力ある観光資源の開発を進めていく必要があります。このため、県におきましては豊かな自然環境や温暖な気候、健康食材等を活用した健康・保養型観光やエコツーリズム、世界遺産等を活用した文化交流型観光など付加価値の高い体験・滞在型観光を推進しているところであります。
また、多彩な文化、芸能、音楽等を生かした観光資源づくりの観点から、多様なエンターテインメントの導入可能性について検討を進めているところであります。
いわゆるカジノにつきましては、国内法で規制されていることやさまざまな意見があることから海外における事例調査を行っているところであり、今後その内容に関する情報提供を行いながら十分な議論を尽くし県民の意見を収れんさせていく考えであります。
以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 雇用対策と産業振興について、県民生活に密着した公共事業への切りかえについてお答えいたします。
3次にわたる沖縄振興開発計画の推進により、道路、空港、港湾、学校、住宅など社会資本の整備が着実に進んできました。自立型経済を構築し国際交流拠点を形成するためには、空港、港湾、道路等の基幹となる社会資本の整備は依然として重要な課題であり、今後とも強力に推進する必要があります。
また、県土の均衡ある発展を基本に個性あるまちづくりや都市の魅力の向上、バリアフリーなど人に優しい環境づくりに取り組むとともに、既存ストックの有効活用や環境への配慮など県民ニーズを踏まえた社会資本の整備を進めてまいります。
以上であります。
○土木建築部長(安慶名正行) 雇用対策と産業振興についての、県内中小業者への公正公平な発注についてにお答えいたします。
県においては、公共事業の発注に当たり、県内建設業者の受注機会の均衡を図るため毎年度土木建築工事等についてランク別発注計画を策定し、当該計画に基づき工事を執行しております。
ランク別の発注計画に当たっては、従業員数、技術者数、過去5年間の受注実績、自己資本金等を勘案しランク別に配分しております。今後とも、県内建設業者の受注機会の均衡を図りつつ公正公平な発注に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
○商工労働部長(花城順孝) 雇用対策と産業振興についての、国の公共事業の県内企業優先、分離・分割発注等についてお答えいたします。
県は、昭和59年に「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」等を策定をし、以来、県内企業への優先発注、県内の中小企業者の受注機会の確保に取り組んできたところであります。国の公共工事についても、これらの方針に準じた積極的な対応を講ずるよう要請を行ってまいりました。
なお、去る12月6日に了承された国の産業雇用対策の追加的実施の中では、公共事業の地元中小中堅企業の受注機会の増大を図るための方策を実施することとされております。
それによれば、具体的には経常建設共同企業体の活用を推奨し直轄工事への参入の拡大を図ること、技術的難易度に応じた工事等級の弾力化を図ること、県内自治体等発注工事についても同種工事として評価すること、分離・分割発注に引き続き取り組むことという従来より一歩踏み込んだ方策が示されております。
県としましては、今後とも国に対して県内企業優先、分離・分割発注を働きかけていくとともに、沖縄県工業連合会、沖縄県商工会連合会等の関係機関との連携を密にし、県内企業への優先発注等の理解と協力について要請を行ってまいりたいと考えております。
次に、雇用対策と産業振興についての、障害者の雇用促進についてお答えいたします。
障害者の雇用については、「障害者の雇用の促進等に関する法律」において常用労働者56人以上の民間企業は1.8%、地方公共団体等は2.1%に相当する数以上の障害者を雇用することとされております。平成13年6月1日現在の状況は、民間企業における障害者の実雇用率は1.63%で6年連続で全国平均の1.49%を上回っておりますが、依然として法定雇用率を下回っております。
県においては、毎年9月の「障害者雇用促進月間」において、沖縄労働局等関係機関と連携をして障害者雇用促進大会を開催し、優良事業所の表彰や雇用相談会の実施等の啓発活動を行っております。
また、障害者の雇用を促進するため6カ月程度の職場適応訓練事業を実施するとともに、特定求職者雇用開発助成金の活用促進等障害者の雇用拡大に努めているところであります。今後とも、法定雇用率の達成はもとより、職業能力の開発や地域における支援体制の整備等を通して障害者の雇用拡大に取り組んでまいります。
同じく雇用対策と産業振興について、社会保険への加入についてにお答えいたします。
雇用保険は、国が管理運営している強制的な保険であり、原則として労働者を1人でも雇用する事業主は加入しなければなりません。本年10月現在の加入割合は事業所が約5割、被保険者が約8割となっております。
国においては、公共職業安定所が県内の全事業所に対して加入促進の啓発文書の発送や、新聞、各種広報誌を活用して制度の周知徹底を図るとともに、直接労務担当者への制度の周知について指導を行っています。
県としましては、毎年10月に「労働保険適用促進月間」において沖縄労働局と連携をしながら、県広報媒体を活用して事業主、県民へ広報・啓発を行っているところであります。
また、事業主や労働者からの労働保険に関する労働相談や中小企業労働施策アドバイザーによる企業への訪問相談で同制度についての相談・助言を行っております。
雇用対策と産業振興についての、緊急地域雇用創出特別交付金事業の実績と県単独のつなぎ就労についての御質問に一括してお答えをいたします。
緊急地域雇用創出特別交付金事業の実施状況は、平成14年1月から3月の実績が県事業で2億3300万円、雇用者数が532人、市町村事業で1億円、雇用者数が324人となっております。
平成14年度は事業費を25億3000万円、雇用者数を2380人とする計画で、現在、県及び市町村で実施中でありますが、9月末現在の実施状況は事業費が23億4000万円、雇用者数が1784人となっております。 本事業は、公的部門において臨時的な雇用・就業の機会を創出し、より多くの失業者に臨時的な雇用機会を確保することを目的とするものであり、いわゆるつなぎ就労については本事業によって対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○総務部長(當銘直通) 雇用対策と産業振興について、サービス残業のその分を若者の新規採用に充てるべきではないかについてお答えいたします。
時間外勤務は、公務のため臨時の必要があるときに予算の状況も見ながら命ずるものでありますが、諸施策の推進、多様化する行政サービスや新たな行政需要への対応を図る必要があることから、業務多忙時において必要最小限の時間外勤務を命じているものであります。
また、県では行政システム改革大綱の中で行政全般について見直しを進めているところであり、職員定数についてその抑制を図っていくこととしております。
なお、県としましては、勧奨退職を希望する職員には最大限希望をかなえ実施することによって若者の雇用の場の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、臨時職員等の社会保険加入と年休行使についてお答えいたします。
地方公共団体の事業所は、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険等の適用事業所となっているところです。したがって、県で任用されている臨時的任用職員及び非常勤職員等については、基本的には各社会保険へ加入しなければならないものであり、適法に処理されているものと認識しています。
年次有給休暇については、臨時的任用職員は一般の職員に準じ、非常勤職員及び嘱託員については労働基準法の規定に基づき付与しているところであり、その行使につきましては各所属において適正に管理されているものと考えております。
外郭団体におけるそれぞれの取り扱いについては、各社会保険法及び労働基準法等の関係法令に基づき適切に対応するよう指導を行っているところであります。
以上であります。
○髙良 政彦 公明県民会議を代表して質問を行います。
稲嶺知事におかれましては、11月の県知事選で圧勝をしての2期目への御就任、まことにおめでとうございます。
また、稲嶺知事は今議会冒頭の所信表明のごあいさつの中で、第1番目に文化の振興を上げました。そして第2番目に平和の発信と国際交流の拠点形成を高らかに宣言しました。また、稲嶺知事は1期目に少子化対策の一環として乳幼児医療費の無料化を3歳児未満まで引き上げました。そして今回2期目の冒頭に、これを就学前の6歳児まで引き上げることを明言しました。文化振興の問題といい、平和の交流拠点形成といい、また乳幼児医療費の6歳児までの引き上げの問題は、従来我が公明党が稲嶺県政の与党として一貫して政策提言をしてきた問題であり、また知事も公約として2期目の県知事選を戦ってまいりました。
今回の所信表明の冒頭で、実施の方向で取り組む姿勢を明らかにしたことは、子を産み育てる親たちの大きな励みとなることと確信いたします。どうか、このように福祉・医療、教育、文化等も重視したバランスのある行政で県勢発展のために頑張っていただきたいと思います。
それでは最初に基地問題について質問をいたします。
県知事選で稲嶺知事の圧勝によって、政府は沖縄県民が米軍基地に対し容認の方向に大きく変わったとの見方があり、政府の沖縄の米軍基地問題への取り組みの熱が冷めつつあるとの指摘がありますが、知事の御見解をお願いします。
普天間基地の15年使用期限問題について。
政府が何らかの具体策を示さない限り、移設着工はあり得ないとの答弁を知事は繰り返してきましたが、これは普天間移設のための諸手続への署名を拒否するということなのか。具体的にどのような形で拒否をするのか、御答弁をお願いします。
知事のこのような対応で移設が不可能となったとき、日米の外交及び沖縄にどのような事態あるいは影響が惹起すると考えるのか、御答弁をお願いします。
政府が15年使用期限問題について具体的な方針を示さず移設が不可能となったとき、普天間基地はそのままの状態で使用が続く結果となりますが、この点について知事の御見解をお願いします。
普天間基地の移設の発端は、そもそも市街地の真ん中に航空基地があり市民が極めて危険な状態にさらされ、市民の生命の安全のために一刻も早くより危険の少ないところに移すということでありました。15年使用期限問題でもし普天間の米軍基地の移設がとんざした場合、宜野湾市民は従来と何ら変わらない極めて危険な状態に今後もさらされ続けることになりますが、これでは普天間基地問題は堂々めぐりで何の進展もないままもとのもくあみになりますが、この点についての知事のお考えをお聞かせください。
米軍人による婦女暴行未遂事件について。
11月2日午前1時半ごろ、本島中部の路上乗用車内で米軍海兵隊少佐による女性暴行未遂事件が起こりました。この事件についての県警の裏づけ捜査の状況と身柄引き渡し拒否の理由、背景等について御答弁をお願いします。
日米地位協定の改正について。
川口外務大臣を初め政府関係者は、日米地位協定は運用の改善で対処するとの繰り返しでありますが、沖縄県民は運用の改善では過去の事例から限界があり、一貫して日米地位協定の改善を主張してまいりました。
今回の米軍人による女性暴行未遂事件においても、過去にあった事件同様に起訴前の身柄引き渡しの拒否に遭っております。これを機会に政府に日米地位協定の改善を強く主張して、この片務協定をこの際改めるべきではないかと考えますが、どうか。
イージス艦のインド洋派遣問題について。
政府は、米国のイラク攻撃に即応して情報の収集・提供のために1隻のイージス艦をインド洋近海に派遣することを決定しました。稲嶺県政の政策の大きな柱の一つは平和な沖縄、基地のない沖縄づくりであり、沖縄が平和の発信地になることであります。国連中心の対話によって解決すべきことを政府に主張し、イージス艦派遣は明確に沖縄県民の立場からして反対すべきではないか、知事の御答弁をお願いします。
稲嶺県政2期目のスタートに当たり、公約の一つである米軍基地の整理縮小で、知事は、まずSACOの合意事項の実施が米軍基地の整理縮小につながると明言をしておりますが、SACO合意の11施設の返還へ向けての進捗状況と今後の各項目の取り組みについて御答弁をお願いします。
SACO合意施設の返還跡地の利用計画及び環境、特に汚染物質対策は万全か。
SACO合意以外の基地の整理縮小への取り組みへの決意について御答弁をお願いします。
平和行政について。
政府は、来年5月16日、17日の両日に「島サミット」を沖縄県で開催することを決定しました。その内容と意義について御説明をお願いします。
「島サミット」開催の受け入れ準備室の立ち上げはできているのかどうか。
「島サミット」の沖縄開催については、9月12日参議院決算委員会で公明党の遠山清彦議員の質問に対し、尾身幸次前沖縄担当相が外務省に働きかけたいと表明、10月18日には稲嶺知事、白保台一衆議院議員、仲村正治衆議院議員ともに川口順子外相に要請書を提出し、同外相から前向きな回答を得たものであります。全米州銀行会議の沖縄開催、そして「島サミット」の沖縄開催は文字どおり沖縄の国際交流拠点づくりの大きなインパクトを与えるものであり、県民挙げて成功させるべきものと考えます。
知事は、去る知事選で沖縄を国際交流の拠点にという公約を掲げました。国際会議や国連機関誘致の専門部署を設定し、すなわち国連機関、国際会議誘致のための推進室を設置し、副知事クラスを筆頭に本格的、積極的に誘致に取り組む段階に来ていると思いますがどうか、知事の御答弁をお願いいたします。
那覇空港の沖合展開、平行滑走路設置について。
那覇空港は、2015年から2020年にかけて滑走路の処理能力が限界に達すると内閣府の平成13年度の調査で明らかにされました。那覇空港は、沖縄本島と県外及び離島を結ぶライフラインであり、我が県の観光産業、そして県経済自立化への重要な機能を担っております。
今後の貨客の増加の見通しはどうなっているか。
自衛隊との共同使用は解消されるのか。
平行滑走路は同時離発着可能を想定しているか。
24時間使用を前提としているのか。
総費用はどの程度か。
工期と、いつから整備に入るか。第8次空港整備計画への見通し。
那覇軍港の移転問題について。
軍港移設のタイムスケジュールを説明してください。
移設跡地の開発と浦添の移設地の開発整備計画についての内容を御説明願いたいと思います。
那覇軍港移設に伴う総工費と期間はどの程度を見込んでいるのか。
次に、保育行政について。
県は、認可外保育園の認可への促進、また認可外保育園への助成措置等鋭意努力をしてきたところでありますが、いまだ十分というにはほど遠い状態と言わざるを得ません。
10月から始まった認可外保育園の届け出義務のスタート以来の実情と問題点を説明してください。
カード制の導入で特にメリットとデメリットの部分は何か。
認可外保育園の届け出制は、保育園の質の向上を図るのが最大の目的でありますが、多くの認可外保育園は公的な補助なしでは指導基準を満たすのは困難な状況にあります。この実態をどうするのか。
沖縄の保育行政の戦後の経過からすれば、本土他府県の方法では待機児童の解消は困難であります。東京都の認証保育制度や浦添市の指定保育所制度のような沖縄独自の基準と制度を設けて認可外保育園への助成を思い切って強化すべきであると考えます。この点についての御答弁をお願いいします。
福祉について。
オストメート対応のトイレの設置をぜひお願いいたしたいと思います。
オストメートというのは人工肛門、人工膀胱保有者のことであります。この方たちは世間の目を気にして不便な思いをしながら一般の人と変わらない社会活動をしております。最も行政が対応をしてもらいたいのはオストメート用のトイレの設置であります。
全県でどのぐらいの方々がおられるのか、掌握をしているのかどうか。
公共の施設に早急にオストメート対応の多目的トイレを設置すべきと考えますが、御答弁をお願いいたします。
社団法人「日本オストミー協会福島支部」の半沢正支部長は、福島市のJR福島駅東口のトイレがオストメート対応の多目的トイレに改装されたということで大変喜んでいるというニュースが入っております。また、福島市では順次公共施設にオストメート対応の多目的トイレの設置が現在進行中とのことであります。
中小企業への融資、貸し渋り対策について。
政府・与党の総合デフレ対策では新たに不良債権の発生や企業倒産、失業を引き起こすデフレに歯どめをかけるための対策や中小企業支援策を取りまとめております。
貸し渋りや貸しはがしを防ぐために政府系金融機関に「貸し渋り・貸しはがし特別相談窓口」が設置され、金融庁には電子メールやファクスによる「貸し渋り・貸しはがしホットライン」が開設されておりますが、我が県内の実態はどうか。
公明党がいち早く提唱して実現した売掛債権担保融資保証制度が11月11日から利用条件が大幅に緩和されております。すなわち、売り掛け先との契約が成立した段階から前倒しして融資が受けられるように改善されておりますが、我が県における啓蒙は十分か、また利用状況はどうなのか。
災害復旧について。
西原台団地の急傾斜地崩壊危険区域指定の進捗状況について。
現在、町及び県で作業中と思いますが、その進捗状況と今後の見通しはどうなっているのか。指定はいつごろになるのか。その後のスケジュールはどうなっているのか。地権者の同意の状況、何年度の事業の予定か。
現在工事中の同団地西側の地すべり対策工事は、残りも一挙に工事をした方が効率上も経費上も得策と思いますが、何が障害になっているのか、御説明をお願いいたします。
沖縄振興について。
小泉総理は、特定地域に限定して規制を緩和する構造改革特別区域法に示される制度と沖縄振興のあり方で、情報特区や金融特区など税制面の特別措置を伴う沖縄固有の特区と構造改革特区は併用することが可能で、むしろ相乗効果があると11月22日の参議院本会議で答弁をしておりますが、具体的にどのような活用と相乗効果が期待できるのか、御答弁をお願いします。
次に、教育振興問題について。
奨学資金の拡充・強化は、公明党の提言によって充実・強化が図られております。海外で学んでいる大学、そして専門学校生への適用の状況、また適用人数の枠はどうなっているのか、御答弁をお願いいたします。
海外留学生への奨学資金の適用枠を拡大すべきではないか。
観光振興について。
昨年の9月11日の米国における同時多発テロで沖縄の観光産業は大きな被害を受けました。その後、観光客数においては完全に回復をしたとのデータが出ました。
客数は回復したが客単価が低く、いわゆる低価格競争のためホテル業界は依然として経営が厳しいようですが、実情について、また対応策はどうなっているのか。
修学旅行生の回復状況はどうか。
修学旅行生が沖縄から香港、台湾、シンガポール、そして中国の東海岸の方に相応の数が修学旅行先としてシフトしつつありますが、この実態を県はつかんでいるのかどうか、またその実態の掌握と対応はなされているのかどうか。
次に、交通問題について。
モノレールが来年9月に開通予定となっております。知事は、所信表明で北部への延伸を述べております。
北部への延伸及びいつごろ検討の予定なのかどうか。
次に、鉄軌道の必要性が民間団体でも研究され、シンポジウムも開催されたりしております。鉄軌道の導入も検討すべきではないか。
モノレールとは別々の機能があるというような研究成果が出ておりますけれども、沖縄の交通状況を見たときには、やはり近い将来にはこの鉄軌道の研究、導入もどうしても必然的に必要になろうかと思います。この点についての御答弁をお願いいたします。
以上です。
○知事(稲嶺惠一) 髙良政彦議員の御質問にお答えいたします。
最初は、政府の沖縄の基地問題への取り組みについての御質問のお答えでございます。
米軍基地の整理縮小や日米地位協定の見直しなどの問題は、単に沖縄という一地域だけの問題ではなく、我が国の外交・安全保障をどう考えるのかという極めて国家的な問題であると考えており、去る11月30日に来県した石破防衛庁長官にもその旨申し上げたところであります。
石破防衛庁長官からは、「日本と極東の安全は沖縄の負担の上に成り立っていることを、すべての国民が認識しなければならない」との発言があり、また12月10日に開催された参議院内閣委員会において小泉総理大臣は、基地の存在により非常に多くの問題が生じており、一段の努力をしていかなければならないと答弁するなど、政府としても本県の基地問題を真剣に受けとめていただいているものと考えております。
県としては、基地問題は我が国の安全保障の問題として国民全体で取り組むべき重要な課題であり、その解決に向け政府として強力に取り組むよう求めるとともに、基地の負担は全国民が公平に負うべきものであることをあらゆる機会をとらえて訴え続けていきたいと考えております。
次に、普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題についてお答えいたします。
私は、知事選挙再出馬に当たり、基本政策として「普天間飛行場代替施設の使用期限を15年に限る。」ことを明確に打ち出しました。
代替施設の15年使用期限は、基地の固定化を避けるため条件の一つとして提示しているものであり、国の責任において解決されるべきものであると考えております。使用期限問題の解決なしには着工はあり得ないと考えており、全力を尽くしてまいりたいと思います。
次に、普天間飛行場移設問題における日米外交や沖縄への影響等に関する3つの質問について一括してお答えいたします。
先ほども申し上げましたように、代替施設の15年使用期限は、基地の固定化を避けるため条件の一つとして提示しているものであり、国の責任において解決されるべきものであると考えております。
基地の提供責任は日本政府にあることから、日本政府が使用期限の問題を含め沖縄の基地問題を我が国全体の問題としてとらえ、しっかり受けとめることが重要だと考えており、政府に対しなお一層の取り組みを要請したところであります。使用期限問題の解決なしには着工はあり得ないと考えております。
次に、日米地位協定の改善要求についてお答えいたします。
今回の事件について、県は起訴前の身柄引き渡しを強く求めてまいりましたが、米側が拒否し、日本政府が再要請を行わないとしたことについて極めて遺憾であり、政府においては県民の意向を踏まえ、米側に強い姿勢で臨んでもらいたいと考えております。
県としては、日米地位協定の運用改善では限界があることは明らかであり、同協定の抜本的な見直しが必要であると改めて痛感したところであります。今後とも、あらゆる機会を通じて日米両政府に対し日米地位協定の抜本的な見直しを強く求めていきたいと考えております。
続きまして、イージス艦のインド洋派遣問題についてお答えいたします。
政府においては、テロ対策特措法に基づく協力支援活動を行うためイージス艦の派遣を計画しているとのことでありますが、この問題につきましては集団的自衛権の行使に当たるのではないかとの意見もあり、憲法との整合性の観点等も含め国民の理解を得るためにも国政の場で十分な論議を尽くすことが望ましいと考えております。
続きまして、新たな基地の整理縮小についてお答えいたします。
本県が過重に負担している米軍基地の整理縮小については、まずSACOの合意事案を着実に実施することがより現実的で実現可能な方法であると認識しており、現在、すべての合意事案の推進に向け県としても国と連携し全力を挙げて取り組んでいるところであります。
しかしながら、SACOの合意事案がすべて実施されたとしても、本県には依然として在日米軍専用施設面積の約70%の米軍基地が存在することになります。県としては、57年余も過重な基地負担をしてきた県民の意向にこたえるため国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえ県民の理解と協力を得ながら、SACOで合意された施設以外についてもさらなる米軍基地の段階的な整理縮小に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、国連機関等誘致の専門部署の設置についてお答えいたします。
国連機関等の誘致については、関係機関からの情報収集などを進めておりますが、誘致専門部署の設置については、誘致すべき国連機関等について国との連携のもと、調査等を進める中で検討してまいりたいと考えております。
本県では、国連大学のグローバルセミナーやサミットを機に多くの国際会議が開催されております。これらの積み重ねが国連機関等の誘致につながるものと考えており、当面は来年開催される太平洋・島サミットや国連アジア太平洋地域地図会議の成功に向けて全力を尽くす所存であります。
続きまして、那覇港湾施設の移設のスケジュールについてお答えを申し上げます。
那覇港湾施設の代替施設については、那覇港管理組合が平成15年3月に改訂を予定している那覇港港湾改訂計画に位置づける必要があると考えております。去る11月7日の第3回「那覇港湾施設移設に関する協議会」では、港湾改訂計画のもとになる長期整備構想案が示され、それを踏まえ防衛施設庁が米側と調整を開始するということが確認されました。
県としては、移設協議会において那覇港湾施設の代替施設の位置、形状等が国から提示され、県、那覇市及び浦添市の合意を得た上で国において那覇港管理組合に要請することになるものと考えております。
次に、那覇港湾施設の移設総工費と期間についてお答えいたします。
那覇港湾施設の代替施設を那覇港港湾改訂計画に位置づけるために県、那覇市及び浦添市が国との間で協議をしている段階であり、総工費と期間については今のところ明らかにされておりません。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○警察本部長(髙橋清孝) 米海兵隊少佐による事件の裏づけ捜査の状況と身柄引き渡し拒否理由についてお答えいたします。
11月2日、被害者からの届け出を受けて以降、関係者からの事情聴取、現場鑑識活動、実況見分並びに被疑者の取り調べ等の捜査を適正かつ地道に推進してまいりました。また、事案の特性を考慮し、被害者の人権に最大限の配慮をして慎重に所要の捜査を行ってまいりました。
米側の拒否の理由について警察庁に確認したところ、12月5日の日米合同委員会において米側は、合衆国政府は、日本国政府により提出されたこの事件の事情は、合衆国が起訴前の合衆国の要員の拘禁を継続することとなっている日米間において合意された標準的運用の例外とすることを必要とするものではないとの結論に達した旨日本側に説明したと聞いております。
○知事公室長(新垣良光) 米軍基地問題について、SACOの進捗状況と今後の取り組みについてにお答えいたします。
SACOで合意された11事案のうち、主なものの進捗状況については、平成10年12月に安波訓練場の共同使用が解除され返還が実現しております。
北部訓練場については、ヘリパッド移設候補地の選定に関し現在継続環境調査が行われており、今後、具体的な移設候補地の選定に向けての取り組みがなされるものと考えております。
読谷補助飛行場については、パラシュート降下訓練が伊江島補助飛行場に移設されており、連動する楚辺通信所の移設完了後に返還されることが合意されております。
楚辺通信所の移設については、現在、建設に向けての造成工事が実施されているところであります。
また、キャンプ桑江の海軍病院の移設については、移設先の宜野湾市が平成12年7月、キャンプ瑞慶覧内の普天間地区への受け入れを表明しております。
キャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧に係る住宅統合については、キャンプ瑞慶覧内のゴルフ・レンジ地区に建設された住宅が米側に提供されたのに続き、去る11月27日の日米合同委員会において住宅統合第2段としてサダ地区における住宅建設の合意がなされております。
那覇港湾施設の代替施設については、平成15年3月に改訂を予定している那覇港湾改訂計画に位置づけるため現在関係機関で協議がなされているところであります。
また、普天間飛行場については、今年7月に開催された代替施設協議会において基本計画が決定されたところであり、SACO合意事案の実現に向けた国の作業は着実に進展しているものと理解しております。
県としては、国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえ幅広く県民の理解と協力を得ながら、SACOの合意内容の着実な実施に向け前向きに取り組んでいきたいと考えております。
○企画開発部長(与儀朝栄) 米軍基地問題について、返還跡地の利用計画と汚染対策についてお答えいたします。
SACO合意施設の返還跡地につきましては、跡地対策協議会及び跡地関係市町村連絡・調整会議の枠組みを活用して国、県及び跡地関係市町村が密接に連携しながら跡地利用計画の策定に向けて取り組むこととしております。
環境・汚染対策につきましては、返還後、国の責任において環境省指針等に基づく汚染物質の調査、除去、処分等を行い地権者に引き渡すこととしております。また、地権者に引き渡した後であっても、駐留軍の使用に起因する土壌等の汚染が発見された場合は同様に措置することとしております。
次に、那覇空港の沖合展開、平行滑走路設置について貨客増加の見通し、自衛隊との共同使用、同時離着陸、24時間使用、総費用、工期及び整備着手時期等について一括してお答えいたします。
平成13年度に沖縄総合事務局が実施した「那覇空港長期展望調査」では、2015年における旅客数を1463万人から1646万人、貨物量を23万トンから27万トンと予測しており、滑走路の処理能力が2015年から2020年にかけて限界に達するとされております。また、当該調査の中でケーススタディーではありますが、複数の滑走路の配置計画や概算事業費などが検討されております。
一方、去る12月6日に次期空港整備長期計画に向けた国土交通省交通政策審議会航空分科会の答申がなされました。その中で、那覇空港は自衛隊機の離着陸回数が年間2万回以上に達し、全国の民間空港で最も多いことや、夏場の繁忙期に利用者が集中し予約が取りづらいなどの現状が指摘され、将来的に需給が逼迫する事態が予想されております。このため、滑走路増設等を含めた抜本的な空港能力向上方策について幅広い合意形成を図りつつ、国と地域が連携し需要及び空港能力などの総合的な調査を新たに進める必要があるとされております。
御質問の件については、来年度以降実施が予定されております当該調査の過程において明らかになっていくものと考えております。
次に、那覇空港の沖合展開、平行滑走路設置について、那覇港湾施設の移設跡地と移設地の整備計画についてお答えいたします。
那覇港湾施設の跡地開発については、現在、那覇市において平成7年度に策定された「那覇軍港跡地利用計画基本構想」の見直し等が検討されており、県としては、今後、那覇市の跡地利用計画に向けた取り組みと密接な連携を図りながら跡地利用の促進に努めていきたいと考えております。
また、那覇港湾施設の移設が予定されている浦添埠頭地区においては、臨港道路、岸壁、港湾関連用地、都市機能用地及び交流拠点用地等が今回の港湾改訂計画に位置づけられる予定であり、今後計画的に整備が進められていくことになります。
次に、沖縄振興について、沖縄振興特別措置法に基づく特区と構造改革特別区域法に基づく特区の相乗効果についてお答えいたします。
構造改革特区については、本県から6つの特区、60の特例事項を提案しております。
このうち承認された事項は、「沖縄国際コンベンション特区」の体験・滞在型観光に係る旅客運送業の特例措置の1事項と「那覇港フリーポート特区」の港湾の行政財産の貸し付け制限の緩和等の3事項となっております。体験・滞在型観光に係る旅客運送業の特例措置は、民宿、ペンション等が有料で行う自動車運送を可能とするもので、観光振興地域における民宿等の営業に寄与するとともに、グリーンツーリズム等の体験・滞在型観光の推進に資するものと期待しております。
なお、金融特区に関連した名護市提案の「金融テクノロジー開発特区」のキャプティブ保険などについては引き続き検討することとされております。
本県の振興につながる規制緩和については、今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) まず、太平洋・島サミットの内容と意義及び受け入れ準備室の立ち上げについての御質問に一括してお答えをいたします。
太平洋・島サミットは、17のアジア・太平洋島嶼国の首脳が一堂に集い、島嶼国の開発、情報格差、環境問題等太平洋島嶼国が直面するさまざまな課題について意見を交換し、その対策に共同で取り組むものであります。
今回の太平洋・島サミットにおける議題等はまだ明らかになっておりません。
本県における開催の意義は、沖縄振興計画において掲げるアジア・太平洋地域の交流・協力拠点の形成に資することだと考えております。
御指摘の受け入れ準備室の立ち上げにつきましては、県の役割、業務量等が明らかになった時点でその必要性について検討してまいります。いずれにいたしましても、県におきましては国と連携し、その受け入れに万全を期したいと考えております。
次に、ホテル業界の実情と低価格化への対応についての御質問にお答えをいたします。
宿泊施設におきましては、入域観光客数の増加に伴い1月から10月までの客室稼働率は前年同期に比べて4.2%上昇するなど好調に推移しております。
一方、同時期の宿泊単価につきましては前年に比べて2.6%減少しており、宿泊施設においては県外客への物販や県民向けサービスの拡充等の対応を行っております。
このような低価格化傾向は、全国的なデフレや不況による消費支出の減少の影響を受けたものであり、その対応策として県におきましては健康・保養型観光やエコツーリズム、文化交流型観光等付加価値の高い体験・滞在型観光を推進するなど、沖縄観光の質の向上と他の観光地との差別化を図るための施策を展開しているところであります。また、引き続き官民一体となった誘客キャンペーンを進め、入域観光客数のなお一層の増加を図っていく考えであります。
次に、修学旅行の回復状況についてお答えをいたします。
昨年の本県への修学旅行は、米国同時多発テロ事件の影響により約20万人のキャンセルが生じ、沖縄観光は大きな打撃を受けました。
しかし、本県の入域観光客数は今年に入って急速に回復し、10月末までの累計実績は403万人で同時期の過去最高を記録するなど好調に推移をしております。修学旅行につきましても平成14年は1257校、人数にしまして28万7000人の来県が見込まれており、ほぼ一昨年並みに回復をしております。
次に、修学旅行生の海外へのシフトについてお答えをいたします。
国内大手旅行会社によりますと、沖縄への修学旅行が海外へシフトしている実態はないとのことでございます。
しかしながら、海外への修学旅行は全国的に航空機利用が進んでいることや、国際化への対応という学習観点から増加傾向にあります。ちなみに、その人数は平成11年で17万人、平成12年で18万7000人、平成13年で21万6000人となっております。
本県では、こうした状況に対応すべく平和学習に加え、亜熱帯性気候の中でのスノーケリングやダイビング等のマリンスポーツ、サンシンやエイサーの体験学習などの異文化体験等魅力ある体験学習のメニューの開発に努めているところであります。また、東京や大阪などの都市圏並びに新たに航空機利用が解禁となった地域での説明会や関係者の招聘を行うなど、誘致活動を積極的に展開するとともに、関係機関との連携をより一層強化し修学旅行の誘致に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(新垣幸子) 保育行政について、認可外保育施設の届け出制の実情と課題についてお答えいたします。
平成14年10月1日から、乳幼児を6人以上預かっている認可外保育施設の「届け出制」が実施されました。
届け出制のねらいは、施設の実態を適切に把握し、その情報を保護者等へ提供して適切な施設選択を可能とすることによって保育環境の向上を図ろうとするものです。平成14年12月9日現在、34市町村で540カ所からの届け出があります。届け出た事項のうち、施設名称や管理者の氏名、住所及びサービス内容や職員の配置状況などの情報を県民に提供することになっております。現在、県の担当課や市町村の窓口で閲覧できるよう準備を進めているところです。
しかしながら、公表については施設数が多いため届け出内容の確認に時間を要することから、未確認である旨の説明をしての閲覧を考えております。
カード制のメリット・デメリットについて。
いわゆる「待機カード制」は、認可保育所が整備されるまでの間、待機児童を解消するために検討している案の一つであります。
メリットについては、保育に欠ける児童を市町村において的確に把握することができることや、把握した児童の実態に即した市町村の保育所整備の基礎資料となるなどが考えられます。
しかし、待機児童を託す具体的な施設の選択、委託する際の県や市町村の公費負担額の設定、保育料の設定や徴収方法等が課題であり、さらにほかの案も含めて検討が必要であります。
なお、待機児童の解消については、保育の実施主体である市町村の取り組みが第一でありますので、市町村の具体的な解消計画等を踏まえて幅広く検討してまいります。
指導基準を満たしてない認可外保育施設への対応について。
現在、県においては認可外保育施設からの届け出に基づき記載事項などの確認作業を行っているところです。確認の後、指導基準に満たない認可外保育施設については基準を満たすよう継続的に指導していきたいと考えております。
なお、認可外保育施設利用児童に対しては、県単独事業で健康診断費や歯科健診費及び3歳未満児のミルク代などを助成しているところでありますが、今後、保育従事者や調理職員の研修を一層充実させ、利用児童が健やかに育成されるよう職員の資質の向上を図ってまいります。
同じく保育行政で、沖縄独自の保育所基準を設けることについてお答えします。
県では、保育に当たっては児童福祉法の基準に基づく認可保育所が基本であると考えております。
しかし、多くの待機児童が認可外保育施設を利用している実態があることから、認可保育所が整備されるまでの間、認可外保育施設の利活用も視野に入れ、幅広い観点から対応策を検討しているところであります。
福祉について、オストメートの数とオストメート対応の多目的トイレの設置について一括してお答えいたします。
膀胱または直腸の機能障害により、身体障害者手帳の交付を受けているオストメートは平成14年11月20日現在で943人おります。
オストメート対応のトイレは、来年供用開始する沖縄県総合福祉センターや沖縄都市モノレールの那覇空港、県庁前、首里の3駅と県庁前駅の公衆トイレ並びに現在建設中の那覇市の新都心庁舎(仮称)の6施設で設置されます。また、オストメート対応の一部機能のあるトイレ改修を宜野湾市の本庁舎で行っております。さらに、県、那覇市の本庁舎で改修を予定しております。
県といたしましては、今後とも公共施設でのオストメート対応トイレの普及について関係機関に働きかけてまいります。
○商工労働部長(花城順孝) 中小企業への融資、貸し渋り対策について、貸し渋り、貸しはがしの実態についての御質問にお答えいたします。
国におけるいわゆる「総合デフレ対策」を受け、沖縄振興開発金融公庫及び商工中金那覇支店に平成14年11月5日から「貸し渋り・貸しはがし特別相談窓口」が設置をされております。これまでの相談受け付け件数としては沖縄公庫2件、商工中金2件となっております。また、金融庁では中小企業者の声を聞いて金融行政に反映させることを目的として電子メールやファクスによるホットラインが開設されております。
県では、中小企業者への金融の円滑化を図るため国、県、保証協会、金融機関及び中小企業団体等を構成員とする「沖縄地域融資動向に関する情報交換会」を開催し、金融機関に対して中小企業者に対する資金供給の確保を繰り返し要請しているところであります。今後とも、やる気と能力のある中小企業者の資金需要に対しては、迅速な対応を行うよう関係機関に対して積極的に働きかけてまいります。
同じく中小企業への融資、貸し渋り対策の「売掛債権担保融資保証制度」についての御質問にお答えします。
同制度については、中小企業者が融資を受ける際に、売り掛け先に対し保有している売り掛け債権を担保として信用保証協会が保証を行う制度であります。同制度は平成13年12月17日より実施をされております。
本制度を利用するためには、中小企業者が売り掛け債権を金融機関及び保証協会に対して借入金の担保として譲渡することが必要となっております。しかしながら、そのための対抗要件を具備するための手続などが煩雑となっていたことから、国においては平成14年4月、8月及び11月に手続の簡素化や改善を行っております。広報活動については、国においては商工会、金融機関等に対し説明会を開催するなど制度の普及・広報活動に精力的に取り組んでおります。
また、県においても商工会職員研修会や各施策説明会の場で説明するとともに、中小企業者に対するパンフレットの配布を行うなど制度の普及・広報活動に努めているところです。
なお、11月末の県保証協会の保証実績は4件、2億2700万円となっております。
○土木建築部長(安慶名正行) 災害復旧についての、西原台団地の急傾斜地崩壊危険区域指定の進捗状況、指定期日、スケジュール、同意状況等について一括してお答えいたします。
西原台団地の急傾斜地については、現在、急傾斜地崩壊危険区域の指定に向け現地調査と指定図書の作成作業を進めているところであります。今後、「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」に基づいて西原町の意見を聞いた上で平成15年度早い時期に区域の指定を行う予定であります。
指定予定区域内の地権者の約9割については同意が得られており、今後とも西原町と連携を密にして平成16年度急傾斜地崩壊対策事業の新規国庫補助事業として採択されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、西原台団地南側の地すべり対策工事についてお答えいたします。
当工事は、平成5年度に事業に着手し、平成13年度末で進捗率が74%となっております。
御質問の箇所については、2筆について用地交渉が難航し工事ができない状況にありましたが、そのうち1筆については平成14年度中に取得のめどがついたことから、平成15年度に工事を実施したいと考えております。今後、残り1筆についても地権者の理解を求め早急に対策工事ができるよう努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(津嘉山朝祥) 教育振興問題について、海外留学生と専修学校生に対する奨学制度について一括してお答えをいたします。
財団法人沖縄県国際交流・人材育成財団では、本県の振興を担う国際性豊かな人材の育成を目的として沖縄県出身の学生を対象に昭和61年度より留学貸与奨学生の募集をいたしております。奨学金は無利子で、貸与月額はアジア地域が4万円、アジア地域以外が6万円となっております。応募資格は、学業、人物とも優秀でかつ健康であり、経済的理由により学資の支弁が困難と認められる者などとなっております。平成14年度の貸与者数は35人で、これまでに213人が奨学金を受けております。
また、同財団では、平成14年度より新たに専修学校生を対象とした奨学制度を創設をし専修学校貸与奨学生を募集しております。貸与月額は4万5千円となっております。平成14年度は、43人の応募者に対して8人が採用されております。今後、財団法人沖縄県国際交流・人材育成財団では財政状況等も視野に入れながら留学貸与奨学生の採用人数、貸与月額等の拡大が可能かどうか検討しているところでございます。
以上でございます。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) モノレールの延伸と鉄軌道の導入についてお答えをいたします。
沖縄都市モノレールの延伸と鉄軌道の導入につきましては、本年7月に策定されました沖縄振興計画の中で「軌道系を含む交通システムについて調査、検討する。なお、沖縄都市モノレールの延伸については、公共交通の体系的整備の観点から開業後の利用状況等や延伸が想定される地域の開発計画等を踏まえた上で検討する。」と位置づけられております。県としましては、沖縄県総合交通体系推進委員会のもと、総合交通体系基本計画に基づいた推進組織として新たな交通システム導入検討委員会を設立して検討を進めていくこととしております。
新たな交通システムとしては、骨格的な公共交通軸としての基幹バスシステム、軌道系の交通システム及び沖縄都市モノレールの延伸など多様な交通システムについて総合的に検討することとしています。
検討に当たっては、沖縄都市モノレールの開業後の利用状況はもちろん、バス網の再編等の本県の交通環境の推移とともに、軌道系を含む新たな交通システムの技術の動向、地域特性や需要特性に応じた柔軟なシステム運用などの基礎調査を踏まえ、多様な視点から段階的に調査検討を進めていくことが重要であると考えております。
○髙良 政彦 戦後の沖縄の発展のために大きく尽くしたのに国費生とか自費留学生、それからもう一つは米留――米国留学制度がありました。米国留学生が帰ってきて沖縄の政治、経済、文化、教育、あらゆる面に大きく貢献したことはもう論をまちません。
時代は、国境を越えて世界が連動しながらダイナミックに発展をしております。そういう中にあって沖縄は文字どおり「万国津梁」、いろんな国と関係を持ちながら発展していくという、こういうようなことを考えるならば、海外で留学をしている方たちにもっともっと奨学金を思い切って拡充をして、こういう世界的な視野から物が見られるような人材、またそういう技能、専門職を持った人を育てるのが知事のおっしゃる国際交流拠点の趣旨かと思います。
ひとつその辺、もう少し海外留学の奨学金の問題、知事、御答弁をお願いします。
○知事(稲嶺惠一) 髙良議員の再質問にお答えします。
大変にいい提案だと思っております。先般亡くなられた小渕奨学資金というのもございますし、そういうようなものを今後とも積極的に利用しながら海外留学生をふやしていきたいと思っております。
○議長(伊良皆髙吉) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、12月16日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後3時22分散会