○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
諸般の報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
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〔諸般の報告 巻末に掲載〕
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
平敷昌一君。
〔平敷昌一君登壇〕
○平敷 昌一 おはようございます。
代表質問も最終日となりました。さわやかにまいりたいと思います。
それでは、県民の会を代表して通告に従って質問をいたします。
今、我が国が再生するためには改革しかない。そのキーワードは破壊と創造であると言われております。
戦後50数年の間につくり上げてきた行政、経済、社会、教育等の各分野のシステムが制度疲労を起こし動脈硬化的な症状があらわれており、そのままでは未来を開くことはできない。さまざまな分野で改革・改変をし、創造していかなければならないことは国民共通の認識ではないかと思います。だがしかし、変化への対応は遅々として進んでなく、かけ声だけに終わっているのではないか。それが現実のように思えてなりません。
そこで今回、私は改革をテーマに国、地方に共通する構造的財政危機の問題、地方分権改革と市町村合併の問題、教育改革等の問題について持論を述べながら質問をしたいと思います。
まず最初に、構造的財政危機の問題についてであります。
バブル経済が崩壊してからおよそ10年の間に土地や株などの資産価値が急激に落ち込み、バブル期のおよそ半分に半減したと言われております。平成10年ごろには大手金融機関の倒産が始まり、市場は冷え切ってしまい、多額の不良債権を抱えた銀行はみずからの体質強化を図るために貸し渋りをし、そのために景気の悪化に追い打ちをかけるという経過をたどってまいりました。そのため政府は、平成11年から相次いで公共事業を中心とした大規模な経済対策を打って、国内の需要を呼び戻そうと努力をいたしました。しかし、結局景気を回復させることはできませんでした。
こうした不況のあおりで国も地方も税収は減る一方、いわゆる不足は多額の国債と地方債に頼らざるを得ず、国、地方の借金は急激にふえてきたのであります。その結果、国、地方を合わせた借金残高は実に700兆円台と言われております。国民1人当たりに換算するとおよそ500万円余の借金をしていることになるそうであります。
そうした未曾有の構造的財政危機を背景として、平成15年度の地方財政計画では歳入歳出規模で86兆2000億円と今年度より1.5%の圧縮、地方税収は32兆円も減少する、また地方交付税も18兆700億円とおよそ1兆5000億円の削減となる見込みだと言われております。こうした財源不足を補うために新たに15兆円の地方債発行が予定され、そのために地方全体の債務残高は来年度末で実に200兆円台にもなると予想されているようであります。
これまで地方財政を支えてきた地方交付税制度も、制度発足以来50年を経てその財源調整機能も動脈硬化症状が目立ってまいりまして、保障機能も安定機能も減退をしてしまったと言われております。
いずれにしても、現在の地方交付税は財源不足を地方債方式で調達をし、後年度に補てんをする方式で運用されてきているわけで、その結果、地方財政は肥大化し投資を拡大してきた。そのツケが今日の財政破綻の原因をつくってしまったと思います。今のままの交付税制度では膨らむ借金の打開策はないわけでありまして、既に地方交付税制度は「死に体」であると指摘をする専門家もおります。確かに地方債という延命措置で何とか生き延びている状況であると思います。ですから、財源補てんシステムとしての交付税はここに来て完全に閉塞状態に陥ってしまったわけであります。
地方交付税制度は、申し上げるまでもなくすべての国民に最低限度の文化生活を保障する、そのために財源調整の措置をして自治体間に財政力格差が発生することを避ける、そういう目的を達成する制度であります。そのために地方財政制度の金字塔と言われてまいりました。この財源調整という大義名分のために我々地方自治体も交付税措置を当然のものとして、それをにらみながらより多くの交付税を確保しようとする反面、自主財源確保の努力を怠り、無意識のうちに交付税依存症に感染されているということを反省しなければならないと思います。
分権改革の大きな目標は、自立・自治と自己決定・自己責任であります。すべて国に責任を求める時代ではないと考えます。
翻って、我が沖縄県の新振興計画の基本理念もこうした分権時代の潮流と軌を同じくして「参画と責任」、「選択と集中」による自立を目指したものと考えます。
さて、こうした財政の危機的背景の中で本県の財政状況を見てみたいと思います。
自主財源の大宗をなす県税収入はおよそ12%台で、九州各県平均の20%台に比べかなり低い位置にあります。一方、地方交付税は九州各県平均の26%台に比べ本県は34%台と依存率が高くなっております。交付税と国庫支出金に対する依存体質はかなりいびつな状況であります。
〔議長退席、副議長着席〕
幸いにして、特別措置による高率補助のおかげで県債発行は九州各県平均を下回っているものの、各種基金の取り崩しで何とか収支を取り繕っているということになっています。公債比率はしかし年々増加しており、各種基金の残高は九州各県で最低という実態であります。本県の財政構造の弾力性はといいますと、九州各県平均の経常収支比率で最も高くなっております。本県の台所事情もいよいよ末期的症状に来ていると思います。
そこで、以下質問をいたします。
(1)点目、地方財政が危機的な状況に陥っても地方自治体はなお交付税頼みの慢性的な症候群となってしまって、自覚症状もなく現状打破の有効な行動指針もないまま問題を先送りしているのではないかと私は考えます。そこで、まず地方財政に対する現状認識をお聞かせください。
(2)点目、未曾有の国家財政の逼迫と交付税制度の弱体化で地方財政の再生化は、仮に景気が回復しても健全化することは期待できないという専門家もおります。それでも住民サービスを提供するための財政運営は不可欠であります。そうすると、自主財源の確保を生み出す一方、民間でできることは民間にゆだねて歳出を抑制するしか道はないと考えますが、財政改革の健全化に向けた基本的な考え方をお示しください。
(3)点目、本県の自立型経済振興のトップに観光・リゾート産業を振興計画の中で示しております。そのためには今後とも多額の財政投資が見込まれます。自主財源確保の一環として観光目的税または環境目的税といった新たな税制の導入を検討するつもりはないか。
(4)点目、今、地域限定で規制緩和する構造改革特区を活用してカジノ特区構想が全国自治体で広がっているようであります。大阪府など8つの自治体で熱心に検討されているようです。一方、「日本カジノ学会」では、カジノ解禁で20兆円産業と30万人の雇用創出ができる、そして財政再建にも役立つと主張しているようでありますが、本県でも導入について検討する用意はないか。
(5)点目、民間活力にゆだねた方がよいと思われる県の事業として住宅事業、福祉施設の管理事務、病院事業等他県に比べて多くの事業を本県では抱えております。この件について、以前にも本会議で問題提起をしたことがありますが、これらの事業は民間活力を圧迫しているのではないかと考えます。今、破壊と創造の時代であります。思い切って事務・事業の民間への委譲を進めるべきではないか、御所見を伺いたいと思います。
(6)点目、県職員の年齢構成から退職者数及び退職手当の金額は、平成19年度にピークを迎えると聞いておりますが、その退職手当の額と対処策、つまり基金を積み立てていくのか、それとも退職債を新たに発行するのか、その対応策について説明してください。
次、大きな2点目、分権改革と市町村合併についてであります。
地方分権一括法が実施され、制度的には市町村は自治体として法律の解釈をみずから行い、中央からの干渉からも自立するようになり、また実際の自治体運営でも中央集権型から分権型へ転換されなければならないことになっております。したがって、これまでの国と地方の関係は上下・主従の関係から対等・協力の関係に転換しなければならないわけでありまして、本当の対等・協力の関係をつくるためには、地域の自己決定権の拡充が重要になってくると言われております。そのために分権型の受け皿である市町村の体質強化が必要であります。受け皿となる市町村の財政基盤と能力の強化のためには合併がどうしても必要となりますが、実際に合併となると賛否両論が噴出して多くの市町村が合併に動いているように見えて、その動きは受け身の姿勢でしかない感があります。
また、合併に対して批判的に見るのもおります。しかし、政府が合併を強調している最大の理由は、先ほども指摘しましたように財政危機にあると言ってもよいと考えます。
これまで自治体は、地方交付税や国庫支出金を主な財源として組織を維持し住民サービスを展開してきたわけで、その交付税や国庫支出金は実は借金で賄われていたというかつてない財政危機にあると言えると思います。言いかえますと、国の使う金であれ地方が使う金であれ、国の借金であれ地方の借金であれ、それは国民全体の借金でしかない。とすると、国も地方ももっと効率的な運営をする必要があるのは当然であります。
要するに、自治体は国からできるだけ自立する道を歩まなければならないわけですが、これは容易なことではありません。財源をどう確保するか、また歳出を可能な限り抑えなければならない。政策をみずから策定し実施をし、その評価をみずからやる必要があるわけで大変なことであります。国が合併を強調するのはそれなりの理由があると思います。こうした点を検討抜きで、合併を否定したり批判する方がむしろ問題であると私は思います。
さらに、私は、合併必要論の大きな要因は、何も財政危機だけの問題ではないと考えます。今、確かに国も地方も未曾有の財政危機の状況にあり、識者が指摘するように、仮に景気が回復してもその改善は見込めないと。それだけの要因ではなく、財政問題ももちろん大きいけれども、さらに確実に進んでいる少子・高齢化の要因が大きいと思います。行政サービスが広域化・多様化・高度化する中、納税人口が減り続き、扶養人口がふえ続く、そして人口激減社会に向かっている現実、従前の市町村の規模を維持しなければならないという理由はどこにもないのであります。
私は、以前、少子化と福祉と市町村合併の問題を取り上げたことがあります。その中で福祉先進国と言われているスウェーデンで高福祉を目指したら権限を住民の最も近い市町村へ移譲する必要が生じた。市町村へ権限を移譲したら合併をしなければならないという結論に至ったそうです。すなわち、高福祉イコール地方分権イコール市町村合併という図式になったと言われております。その結果、スウェーデンでは市町村の数が半分になったという報告があります。
さて、今日の日本はスウェーデンの後追いをしております。福祉行政はほとんど市町村に移譲されてまいりました。あとは合併を促進することと地方への税源移譲の問題になると思います。このように市町村合併は時代の要請であり、避けて通れない問題であると考えます。
人口規模が大きくなれば基幹的な行政サービス以外のサービスが提供できる余裕が出てくると言われております。それでは適正規模とはどれくらいが最適か、一般に一定の人口規模までは人口がふえればふえるほど1人当たりの基準財政需要額は低くなる。すなわち規模の経済性が働くとされております。逆に、一定規模を超えると行政需要などが増加しマイナスに働くとされております。したがって、合併指導をする場合、最も行政効率の高い人口規模での合併を目指すことが重要なことになります。ただ行政需要は規模だけでなく面積、都市機能、地域文化等総合的に勘案しなければならない複雑な要因があると思います。
しかし、本県の場合、離島地域を除き面積、都市機能、人口密度等の要素はモータリゼーションの進展により住民の生活圏は格段に広域化しておりますので、それほど問題とすべきではないと考えます。何よりも行政サービスが既に広域化・多様化・高度化している現実、サービス提供に必要な財政が危機に瀕している現実、さらには少子・高齢化が進展し人口激減社会に突入している現実等を踏まえ、行政の効率性を追求しなければ市町村は将来存立していけないと思います。
以上のことを前提として以下質問をいたします。
(1)点目、本県の市町村合併の機運をどのように受けとめておられるか、また合併に対する県の役割、責任について説明を求めます。
(2)点目、県は先に合併のパターンを示し、やる気があれば支援をするというあくまで待ちの姿勢であるのか、それとも積極的に合併促進のための指導を展開する考えを持っておられるのか、説明願います。
(3)点目、国は総務大臣を長とする支援本部を設置し、都道府県に対し知事を長とする支援本部を設置するよう要請されていると思いますが、本県の支援本部はどのように機能しているか。また、具体的にどのような支援を行っているか説明してください。
(4)点目、県は合併促進に向けた諸条件の整備を行う義務があると思いますが、具体的にどのような条件整備をこれまで行ってきたか、また行う考えかを説明してください。
(5)点目、さきに示された合併パターンは、適正な人口規模をどのようにとらえているのか、またその根拠は何か説明してください。
(6)点目、市町村合併に向けての県の役割として市町村の規模、能力に応じて県の事務権限を大胆に移譲し、県の自己改革を行うことも必要になると考えますが、どのような権限移譲と自己改革を行ったか、また行うつもりか説明をしてください。
3点目、教育改革の問題についてであります。
今、教育制度も大きな転換期を迎えていると思います。時代が危機的な状況になればなるほど、次代の基本となる子供に対する期待が大きくなると言われております。教育基本法の抜本的な見直しの問題や学校教育制度の試行錯誤などに見られるように、いよいよ深刻な状況になりつつあるという国民的自覚がこうした動きをつくり出していると思います。子供たちの健全育成や少子化への対応を、次代を形成するための社会共通のコストと位置づけ、子育て支援を社会全体の課題として取り組まなければならないという考えが国民全体の根底に広がってきていると思います。すなわち、一軒一軒の家庭の責任だけに子育てを任せておくことができないほど社会全体の子育て能力が衰弱をしてしまったわけであります。
その例として、子供たちの体力や運動能力の低下、栄養の過剰摂取やアンバランス、添加物や大気汚染によってアレルギー疾患や肥満による成人病が子供たちにまで確実に広がっている。過剰なまでの進学競争は、遊びの時間や睡眠時間、そして食欲までも奪ってしまい、親子の会話や行動の余裕すらなくなってしまっている。
子供はもっと自然に近く、どん欲に新しい体験を吸収し日々成長、変化していくべきであるはずなのに、しかし戦後の学校教育制度では自然や社会の体験生活の場が奪われ、机と黒板、文字の空間へと閉じ込められてしまい、効率よく知識を注ぎ込まれ受動的に教えられる存在になってはいないだろうか。
社会生活の中にはさまざまな人間がおり、生き方もさまざまであることを学ぶ機会が与えられていない。学校教育が目指すのは均一化した人間関係をつくり、机の上での知識注入型の教育によって人間関係は希薄になり、しかも学力差で常に評価される。子供の教育は、教師や教科書に依存し常に試験を受け採点され続ける。つまり、学校空間の中の人間関係から逃れない仕組みになってしまっている。体を動かし人や自然と触れ合い、人と人との結びつきを学んでいくというプロセスが現在の学校教育にはすっぽりと抜けてしまってはいないだろうか。
私がここで言いたいのは、もし教育の憲法と言われる教育基本法で言う「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」と「人格の完成」を目指す、こういう教育基本法で言うところの目的が十分に達成された教育が実践されていたならば、青少年の頻発する犯罪、いじめ、学級崩壊、薬物中毒、家庭内暴力、さらには成人式での勝手な振る舞いなどの教育荒廃は起こらなかったのではないか。その原因は、学校教育が国家、社会に役立つ人格形成という第一目的を棚に上げて、進学することを至上命題としてきた結果ではないだろうか。また、個人の尊厳を強調する余り、個人中心主義の人づくりに走り過ぎたのではないか、教育関係者は大いに反省する必要があると思います。
戦後50年余がたち、教育基本法を含めた教育制度全般について大きな転換期に来ていると思います。憲法や教育基本法は国民の幸せのためにあるのであって、守るためにあるのではない。ですから常に大いに論議すべきだと私は思います。
しかし、憲法、教育基本法について論議そのものを批判したり、見直しは反対という政党や団体もありますが、現状固定だけでは前進はないのであります。ですから、新しい時代に即した新しい教育理念を求め、教育実践の方法を国民全体の課題として取り組むべきだと考えます。
現在の教育基本法について、ある識者は、大変抽象的で理念的で個人の尊厳に重きを置き過ぎる余り、郷土、文化、家庭といった道徳理念が欠落しているというふうに指摘する識者もおられます。
それに比べ教育勅語は、「父母ニ孝ニ 兄弟ニ 友ニ 夫婦唱和シ 朋友相信シ 博愛衆ニ及ホシ」、つまり親孝行、愛情、友情、博愛、正義と実にストレートで人間生活の真髄を理解しやすいとの指摘もあります。
私は、教育勅語の復活論者ではありません。ただ、人間社会の普遍的な徳目は時代がどう変わろうとも日本人のバックボーンとしてしっかり教え込むべきだと思います。
以上、いろいろ持論を述べてまいりましたが、以下質問をいたします。
まず、教育委員長の御所見を伺いたいと思います。
(1)、教育勅語と教育基本法の内容において、基本的な違いはどこにあるとお考えですか。また、教育基本法の改正論議がありますが、それを地方教育委員段階まで範囲を広めて幅広い論議を展開する時代に来ていると思いますが、教育委員長の御所見をお聞かせください。
(2)点目、学校教育での道徳の授業について拒否反応を示したり、道徳というだけで戦前回帰だと反対する政党や団体等もあるようですが、それならば道徳教育とは呼ばないで、人間としてしっかり身につけるべき道理を道理教育として学校教育で教え込むべきとの指摘もあります。それについて教育長はどうお考えですか。
(3)点目、教育の自由化や学校選択制、さらに人事考課制度などが問題になり、学校教育は大きな転換期を迎えようとしております。各県において総合高校をつくったり、学区制を撤廃し自由競争に切りかえるなど変革が進んでおります。そのため、公立学校も保護者によって選ばれ淘汰される時代になってまいりました。本県においても学区制の撤廃ないし大幅な見直しをやる考えはないか。
(4)点目、学校と地域の風通しをよくするために、学校の管理運営に地域代表、保護者代表、教育委員会、学校代表を加えた協議会組織を設置するいわゆる「コミュニティー・スクール」が東京都で先月できたと聞いております。本県でもこの「コミュニティー・スクール」のモデル校をつくる考えはないか。
次、大きな4点目、高齢者福祉と住宅行政についてであります。
21世紀の我が国社会の中心的課題の一つは、超高齢社会への対応であります。今、各分野で超高齢社会への対応についていろいろ論議されておりますが、国においても「高齢者保健福祉推進10カ年戦略」、いわゆる「ゴールドプラン」等で努力目標が示されております。
ところで、高齢者福祉政策の現状を見ますと、その力点は年金、医療、ホームヘルパー派遣、入所施設、いわば所得保障とサービス提供に福祉行政の重点が置かれていると思います。無論、そのことの必要性を否定するものではありませんが、しかし今日、高齢者の問題でクローズアップしている寝たきり老人の問題があります。80万人とも90万人とも言われておりますが、その発生の背景には劣悪な住環境があると言われております。狭く、段差が多く、急な階段に手すりがなく、廊下は狭くて滑りやすく、老人専用の浴室やトイレはなく、家の周りは自動車が走り回り、交通事故への不安に脅かされるといった住宅と住環境のもとでは心身機能が後退し、気力の衰えた老人には実に住みづらいものであると思います。せっかく病院を退院し、あるいはリハビリセンターから家に戻ることができても、車いすなどの介助機器が使えないのが住宅、居住環境の実態ではないかと思います。
寝たきり老人は間もなく100万人にも達すると言われております。老人医療費はおよそ17兆円台、国民医療費のおよそ40%台にもなると言われております。少子・高齢化社会は何といっても介護と扶養を要する人口がふえて、逆に生産力と経済の発展に寄与する人口が減るということであります。当然、社会の活力が低下することは避けられない問題であります。したがって、寝たきりを防止するために高齢者の生活自立を最大限に支援することに視点を置いた健康福祉環境資本を整備形成していくことが行政の大きな課題ではないかと思います。
高齢者の住宅対策については、十四、五年前にいわゆるシルバーハウジングが実施されましたが、実施後5カ年間の実施はわずかに800戸ほどの整備でなかなか進捗しないようであります。
ところで、これまでの住宅政策は住宅不足の解消、都市へ集中する勤労者への住宅供給から出発しております。しかし現在、住宅戸数不足はほぼ解消し最低居住水準も解消されたにもかかわらず、同じ発想による住宅行政が続いてはいないか、本県の住宅供給事業も売れ残り在庫を抱えて収支が悪化をしております。全人口の4分の1はお年寄りで占められるときが間もなくやってまいります。そのことに着目し、老人を初めすべての人々の安全、健康福祉を基本とした住宅政策とまちづくり、いわゆる健康福祉資本の整備拡充がこれからの住宅行政の基本とすべきではないかと思います。
そこで、以下質問をします。
(1)、寝たきり予防のための住宅、住環境対策についての認識を聞かせてください。
(2)、本県における寝たきり老人の実態はどうか。また、その居住環境についての実態調査はどうなっているか説明してください。
(3)、本県のシルバーハウジングの達成状況はどうなっているか、現状を説明してください。
(4)、これまでの住宅行政は量的拡大、すなわち住宅不足解消を大前提に推進されてきたと思いますが、これからは高齢居住者の視点に立った質的改善のための建てかえに方向転換すべきと思います。住宅行政の基本方針を示してください。
(5)点目、健康福祉資本の形成を推進するため都市住宅行政部門と福祉行政部門の協議組織を設置することを提案したいと思います。意見を下さい。
最後に基地問題であります。
最近、普天間飛行場の移設について理不尽な発言が相次いで県民世論を惑わしております。普天間飛行場の撤去・返還については、歴代知事が最重要な政治課題として取り組んでこられた問題であります。西銘知事が昭和60年と63年に訪米され、普天間飛行場の早期返還を訴えておられます。その後、大田知事も7回訪米をされ、早期返還の要請、さらに現稲嶺知事も同様、一日も早い返還を実現するために努力をしておられます。
一日も早い返還を求める理由は、普天間基地は宜野湾市の面積のおよそ35%を占め、市の中央に位置し、都市形成や振興開発に支障を来しているばかりでなく、航空機騒音が住民生活に多大な影響を及ぼし危険な状態にあるという理由であります。
早期返還を求める理由、目的、これは西銘県政、大田県政、稲嶺県政全く同じであります。ただ、県外か15年使用期限つきの県内移設かの方法・手段の違いであります。
大田県政が8年間も県外移設を求め続けても全く事態の変化が見られなかった日米両政府が、稲嶺知事の現実対応、すなわち15年使用期限つき県内移設容認でやっと移設へ向けた取り組みが始まっております。国、県、名護市でつくる協議会で慎重に協議が重ねられていると思います。
私は、移設時期がはっきり見えてくるように協議を加速させるべきだと思います。一日も早い撤去が目的であるからであります。そうした中で政府・与党の責任ある政調会長が、その結果を知ってか知らずか、嘉手納空軍基地に統合すべきとの発言は、軽率のそしりを免れないと考えます。
軍隊組織は完結型であります。空軍と海兵隊が同居するということは原則としてあり得ないと思うからであります。また、嘉手納統合案は日米行動委員会でもノーと、だめですという結論が出た問題であります。また、仮に嘉手納に移設するとなると周辺地域が容認するはずはありません。そうなると問題解決をさらにおくらせる、そして事態をますます混乱させてしまう、そして結果として普天間が固定化することにしかつながらないからであります。
辺野古移設作業が進捗しないのは移設条件の15年問題ではないかとの議論もあります。それに対して知事は繰り返し着工までには何らかの進展があると言っておられます。つまり、ボールは政府側にあるので、着工までには必ず政府側から返球されるというふうに理解をしております。すなわち、着工をするためには公有水面の埋立免許が必要であります。免許権者は知事です。知事の出した条件について政府は何らかの回答をしなければならない。したがって、必ず着工までには国側から返球される、そういうふうに私は理解しております。
その返球されるのが直球であるのか変化球であるのかはわかりませんが、その返球される内容によって態度を決めればいいと思う。そのときにさらに議論をして態度を決めていいんじゃないかと、こういうふうに理解をしてよろしいかどうか、その部分だけ御答弁をお願いします。
再質問がないように明快な御答弁をお願い申し上げます。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
平敷昌一議員の御質問にお答えしますが、その前に、非常に高い見地から構造改革の問題を取り上げ、財政、地方分権、教育、福祉とあらゆる分野にわたって御意見を出されたことに対して敬意を表しながら回答をしたいと思っています。
最初は、構造的財政危機の問題についてのうち、地方財政の現状認識についてお答えをいたします。
現下の地方財政は、長引く景気の低迷による税収の減少などにより引き続き大幅な財源不足が生じるとともに、数次の景気対策による公共事業の追加等により借入金残高が急増しており、その償還が将来の大きな負担となるなど極めて厳しい状況にあります。
地方公共団体が国民の期待にこたえ、その役割を十分に果たしていくためには地方公共団体の創造性、自立性を高め、積極的な施策展開が可能となるような国と地方公共団体の適正な役割分担に応じた事務・事業及び税財源の配分のあり方などについて検討し、財政基盤の充実・強化を図ることが重要であると考えています。
あわせて、地方公共団体においてはこれまでも地方行革大綱に基づき行財政改革に取り組んできたところでありますが、今後さらに事務・事業の見直し、公社等外郭団体の見直し、民間委託の推進など行財政全般にわたる改革を積極的かつ計画的に進めることが強く求められていると認識をしております。
続きまして、財政改革の基本的考え方についてお答えをいたします。
本県の財政状況は、自主財源の柱である県税収入の歳入総額に占める割合が依然として低い状況にあり、地方交付税や国庫支出金に大きく依存した構造となっております。しかしながら、国においても財政状況が厳しいことなどから、今後、地方交付税などの増加に期待した財政運営を行うことは厳しいことが予想されます。
このような中、今後とも県民サービスの維持・向上を図るためには、民間や市町村との適切な役割分担を基本に「参画と責任」、「選択と集中」という姿勢のもと、これまで以上に財源の重点的かつ効率的な配分を行う必要があります。このため、歳出面においては事務・事業の徹底した見直し、民間委託や公社等外郭団体の見直しなどを進めるとともに、歳入面においては産業振興策の推進により税源の涵養を図るとともに、徴収率の向上などによる県税収入の確保や使用料及び手数料の見直しなどにより健全な財政運営に努め、今後の県民の行政ニーズに的確に対応してまいりたいと考えております。
続きまして、15年使用期限問題の解決についてお答えいたします。
代替施設の15年使用期限は、基地の固定化を避けるため条件の一つとして提示しているものであり、国の責任において解決されるべきものであると考えております。
基地の提供責任を有する日本政府にあっては、使用期限の問題を含め沖縄の基地問題をしっかり受けとめることが重要であり、政府としてなお一層の取り組みが必要であると考えております。
使用期限問題の解決なしには着工はあり得ないと考えており、着工までには政府から一定の方向性が示されなければならないと考えております。したがいまして、御質問の趣旨につきましてはそのように理解していただいて差し支えないと考えます。
その他の質問のお答えは関係部局長より答弁させます。
○総務部長(當銘直通) 観光目的税または環境目的税等の導入検討についてお答えいたします。
法定外目的税につきましては、どのような政策で、どのような費用がかかるのか関係部局との連携の上で研究し、さらに財政上の必要性を明確にして、その財源確保のために税を手段とすることがふさわしいか、税以外に適切な手段がないかどうかを十分検討することが必要であります。 また、県民の理解や課税における公平・公正性の確保、課税客体の把握の方法及び徴税コストの問題等さまざまな越えなくてはならないハードルがあり、容易でないものと思われます。
このようなことから、法定外目的税の導入につきましては慎重に検討すべきものであり、本県の社会経済状況などを踏まえ、関係部局と連携をとりながら研究していきたいと考えております。
次に、民間委託の推進についてお答えいたします。
簡素で効率的な行政運営を推進するためには、行政と民間の役割分担を踏まえ、民間能力を積極的に活用していく必要があると考えております。新たに策定予定の「新沖縄県行政システム改革大綱」においては、「県民本位の成果・効率重視のスマートな行政」の基本理念のもと、民間委託や民営化について積極的に推進してまいりたいと考えております。
県営住宅の管理につきましては、現在沖縄県住宅供給公社に委託しておりますが、今国会に提出予定されております公の施設の管理を民間事業者にも行わせることができることを内容とする地方自治法の改正状況等を踏まえて、今後の対応を検討してまいりたいと考えております。
福祉施設の管理については、行政と民間との適切な役割分担を踏まえ、民間への移行を含めて積極的に検討を行うこととしております。
病院事業については、去る1月に「県立病院の今後の在り方検討委員会」を設置し、県立病院の機能、役割、運営などについて今後のあり方の検討を進めているところであります。
次に、平成19年度の退職手当の額と対応策についてお答えいたします。
県職員の退職については、復帰前後に多く採用された職員の退職が平成19年度にピークとなる見込みで、その退職手当の額は300億円程度になると見込まれております。このような多額の退職手当の支出に備えるため、今後、職員退職手当基金への積み増しを行うとともに、計画的な勧奨退職を実施し、財政負担の平準化を図っていく必要があると考えております。
次に、分権改革と市町村合併のことで、市町村合併に関連して権限移譲と県の自己改革についてお答えいたします。
地方分権を推進するため県から市町村へ権限が移譲された事務は、法律によるものが狂犬病予防法に基づく犬の登録、鑑札の交付等11事務、事務処理の特例に関する条例によるものが母子寡婦福祉関係の各種書類の受理・交付、県知事への送付事務、知的障害者の短期入所の措置に関する事務など20事務あります。
市町村への権限移譲は、市町村の自主性・自立性を尊重し、市町村の理解と合意のもとに進めることが前提であり、市町村の事務処理の執行体制にも配慮し計画的に進めていく必要があります。平成13年8月に「県と市町村の事務分担に関する連絡調整協議会」を設置し、地方自治法に基づく町・字の区域の新設等の告示に関する事務及び劇場等の用に供する建築物や倉庫などの避難関係規定、出入り口の制限に関する建築認定審査事務の2事務の移譲を推進することとしております。
また、県においては平成15年度を初年度とする「新沖縄県行政システム改革大綱」を策定し、市町村との信頼し合えるパートナーシップを構築するため、住民サービスや住民の利便性、迅速性が図られる事務や、地域の特性を生かした行政の展開が図られる事務等、より住民福祉に資する観点から、市町村合併の進捗も踏まえながら市町村への権限移譲を推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) カジノ特区導入についての御質問にお答えをいたします。
カジノに関して、国が進めている構造改革特区においては刑法に関するものは特区の対象外としており、鴻池構造改革特区担当大臣も特区でできる話ではないと発言しております。
また、総務省は十分な国民的議論が必要としております。
一方、法務省は自治体からの提案に対し、いずれかの省庁でカジノを合法化する法律を立案すれば協議に応じる用意はあるとの見解を示し、全国ベースでのカジノ合法化の可能性を示唆しております。
このように省庁によってスタンスが分かれるところであり、国においてはこれから論議が深められるものと考えております。
県といたしましては、カジノについて県内においてもさまざまな意見があることから、その取り扱いに慎重を期す必要があると考えております。そのため県におきましては、現在、海外における事例調査を行っているところであり、今後その調査結果を広く県民に提供し議論を深めていく考えであります。
以上でございます。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 市町村合併についての御質問にお答えをいたします。
まず1番目に、合併の機運と県の役割、責任についての御質問にお答えをいたします。
総務省の調査によりますと、平成15年1月1日時点で全国の8割以上の2659の市町村が複数の市町村間で合併協議会や研究会等を設置し、本県においても6割近くの31市町村が設置をし、合併に向けた取り組みが進められております。
これは少子・高齢化の進展や地方分権の推進、国、地方を通じた厳しい財政状況の中で広域化・多様化・専門化する行政需要に的確に対応しつつ、行財政基盤の充実・強化を図り、行政サービスを維持・向上していくためには市町村合併は避けて通れない重要な課題として各市町村が取り組んできた結果ではないかと考えております。
また、市町村を包括する広域の地方公共団体である県としては、自主的な市町村の合併を推進するため必要な助言や情報提供及びその他の措置を講じながら、市町村合併を積極的に支援しているところであります。
次に、合併についての県の考え方についてお答えをいたします。
県としましては、財政上、制度上のさまざまな支援策が盛り込まれた合併特例法の期限である平成17年3月までの間に、多くの市町村で合併が実現するよう市町村の自主性・主体性を尊重し、本県の地域特性に十分配慮しながら市町村合併を積極的に進めているところであります。
これまで地域別説明会や関係市町村長との意見交換会、地域におけるシンポジウムの開催などを行うとともに、民間団体または市町村議会の主催する研修会、講演会等に県の職員を派遣し、合併に関する情報提供とあわせ、各地域での広報・啓発を行ってきたところであります。
また、知事を本部長とする沖縄県市町村合併支援本部を設置し、全庁的な支援体制を整え、合併に向けて協議を進めている市町村に対するさまざまな財政支援や人的支援を行っているところであります。
さらに、国の市町村合併支援プランに示された支援が受けられるようにするため、合併重点支援地域として7地域を指定したところであります。引き続き県としましては市町村の自主性・主体性を尊重し、市町村合併を積極的に進めていきたいと考えております。
次に、県の支援本部はどのように機能し、どういう支援を行ってきたかという御質問にお答えします。
自主的な市町村合併を県の各部・関係機関が一体となって支援・推進するため、平成13年5月に知事を本部長とする沖縄県市町村合併支援本部を設置し、市町村合併に対する支援の企画や市町村建設計画の県事業等に係る総合調整等を行うこととし、本年2月には宮古地域及び八重山地域に地方支部の設置を決定したところであります。
同支援本部において、具志川村・仲里村合併協議会から協議のあった新町建設計画についての総合調整を行い、同計画に基づく事業への補助金の優先的配分や重点的な実施を決定し、久米島両村における合併実現の支援を行ったところであります。
平成13年11月30日に合併重点支援地域として3地域──久米島、具志川・与勝、宮古を指定し、さらに本年2月10日には4地域──八重山、宜野湾周辺、本島南部、那覇周辺・離島の追加指定を行い、国の市町村合併支援プランに示された地方財政上の措置や事業の優先採択及び重点投資等の支援が受けられるようにするとともに、県としても重点的に支援を行ってきたところであります。
次に、合併推進に向けた条件整備についての御質問にお答えをいたします。
各地域において市町村合併の議論が深まり広がるよう具体的な市町村の組み合わせを示した市町村合併推進要綱を作成し、地域別説明会の開催や研修会等に県の職員を派遣し、合併に関する情報提供とあわせ各地域での広報・啓発を行ってきたところであります。
また、合併の機運の醸成を図るための補助金制度、合併協議会の行う合併準備や合併市町村が市町村建設計画に基づき行う事業を支援するための交付金制度及び市町村振興資金貸付基金からの貸付制度の財政支援措置を講じたところです。平成13年5月には沖縄県市町村合併支援本部を設置し、合併重点支援地域の指定により国の市町村合併支援プランに示された支援が受けられるようにするとともに、去る2月10日には宮古地域及び八重山地域に地方支部の設置を決定するなど全庁的な支援体制を整えているところであります。
次に、合併パターンでの適正な人口規模とその根拠についてお答えをいたします。
市町村合併推進要綱で示した合併パターンの作成に当たりましては、住民の日常生活圏、地理的条件、行政機関の設置状況、産業などの各種客観データに基づいて分析を行い、市町村間のつながりや一体性の把握を行うとともに、地域の歴史・文化等も考慮しながら、人口規模等に着目した市町村合併の基本的類型を勘案して作成したところであります。
この基本的類型は、本県の都市構造の実態や市街化の動向、地域の振興策、合併により実現される人口規模等を考慮して3類型に分類し、本島中南部連檐市街地拠点形成型として人口10万人から50万人程度、拠点都市形成と地域振興型として人口5万人から10万人程度、重点振興地域形成型として人口1万人程度の市町村の組み合わせを行ったところであります。
以上でございます。
○教育委員会委員長(翁長孝枝) 教育改革について、教育勅語と教育基本法の基本的違いや教育基本法の改正についての御質問にお答えいたします。
教育勅語と教育基本法の違いとしては、教育勅語は旧憲法下明治天皇の名で国民道徳の根源、国民教育の基本理念を明示したもので、一方、教育基本法は国民の代表である議会で議決を得、教育の目的、教育の方針等の基本理念と教育の機会均等、学校教育等基本原則を定めた根本法だという点だと思います。
ただ、それぞれの時代的背景や成立過程の違いはあっても、平敷議員がおっしゃるとおり、家族、社会、友情、博愛と人間社会の普遍的な徳目は日本人として、また国際人として役立つ人間形成を目指す教育の重要なテーマだと思います。
次に、教育基本法の改正をめぐる件について申し上げます。
同法は、新憲法のもと、昭和22年に公布・施行された法律であります。しかしながら制定後50年余となり、制定当時と社会情勢は大きく変化し、教育のあり方も変容を遂げてまいりました。そのため、現在、教育基本法についていろいろな意見があることも事実であります。新しい時代にふさわしい教育基本法のあり方については文部科学大臣が中央教育審議会へ諮問し、その中間報告が昨年11月14日に示されています。
私は、教育の根本法である教育基本法の改正については、各方面からの幅広い多様な意見を集約するなど十分に時間をかけた慎重な論議が不可欠であると考えております。したがいまして、今後、中央教育審議会の審議や地方教育委員会を含め、国民的な論議の推移を注意深く見守っていきたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(津嘉山朝祥) 教育改革について、道理を教えることについての御質問にお答えをいたします。
学習指導要領における道徳教育の目標の一つに、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を培うことが述べられております。
人間尊重の精神は、生命の尊重、人間愛などの根底を貫く精神であり、人の行うべき正しい道、すなわち道理につながると考えております。道理を身につけさせることは、道徳教育として学校の教育活動全体を通じて行っており、道徳の時間を初め各教科、特別活動及び総合的な学習の時間のそれぞれの特質に応じて指導がなされております。さらに、家庭や地域社会との連携を図りながら、ボランティア活動や自然体験活動など豊かな体験を通して児童生徒の内面に根差した道徳性の育成の充実に努めているところであります。
県教育委員会といたしましては、道徳教育の充実や日常生活における規範意識の確立を図ることにより道徳的価値及び人間としての生き方についての自覚を深め、児童生徒に道理を身につけさせることが極めて大切であると考えております。
次に、公立学校の通学区域の見直しについての御質問にお答えをいたします。
学齢児童生徒の就学すべき小学校または中学校の通学区域については、学校教育法施行令により市町村教育委員会が指定することとなっております。県教育委員会としましては、平成9年1月の文部省通知「通学区域制度の弾力的運用について」に基づいて通学区域制度や就学すべき学校の指定の変更、区域外就学の弾力的運用に努めるよう各市町村教育委員会を指導してきたところであります。
一方、県立高等学校においては、生徒がみずからの能力・適性や興味・関心に合った学校を選択できる機会を保障する観点から、昨年6月「県立高等学校入学者選抜制度検討委員会」を設置をし、4回にわたって検討がなされてきました。県教育委員会としましては、検討委員会の報告を受け、本県の望ましい通学区域のあり方について審議を重ね、関係機関・団体、地域等への説明を行い、通学区域の改善に向けて精力的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、「コミュニティー・スクール」の導入についての御質問にお答えをいたします。
「コミュニティー・スクール」は、地域住民や保護者が学校に密接にかかわり、予算や人事面で学校の裁量権を拡大することにより地域主導の学校運営を目指した新しいタイプの学校であります。文部科学省は「コミュニティー・スクール」設置の検討に資するため、平成14年度から東京都の五反野小学校を含め全国で7地域9校の実践研究校を指定をし、学校運営のあり方に焦点を置いた3カ年の実践研究を推進をしております。
県教育委員会としましては、当面、学校評議員制度の活用等を通して学校経営に広く地域住民の声を反映させていくとともに、「コミュニティー・スクール」における研究の成果と文部科学省の動向を見守っていきたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(新垣幸子) 高齢者福祉と住宅行政について、寝たきり防止のための住宅、住環境対策についての基本認識についてお答えいたします。
高齢化が急速に進展している中、高齢者が住みなれた地域において安心して暮らすことは重要なことであります。このことから、転倒骨折や寝たきり予防が図られる住宅など住環境対策が大切であり、バリアフリー化された住宅の確保を初めとして道路、公園、公共施設等の整備を進める必要があります。
なお、市町村では、在宅での高齢者の自立支援のため介護保険のサービスとして住宅改修を実施しております。県といたしましても、新たに平成15年度から寝たきり予防のため県単独事業の高齢者等いきいき住宅改造補助事業を実施することにしております。今後とも高齢者が安心して生活できる住環境の整備や質の向上について関係部局と連携を図りながら取り組んでまいります。
寝たきり老人の実態とその住環境について。
平成11年10月の調査において本県の在宅寝たきり老人の数は7069人で、65歳以上高齢者の4.06%となっております。
また、平成13年9月に内閣府が調査をした「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」によると、現在住んでいる住宅で困っている理由として「住宅の構造(段差や階段等)や造りが高齢者には使いにくい」及び「台所、便所、浴室などの設備が使いにくい」がそれぞれ8%となっております。
自宅内での転倒事故を見ますと、この1年間に転んだことのある人は12.4%となっております。転倒した人の約7割が何らかのけがを負っている状況にあります。
転倒した場所について見ますと、庭が31.9%と最も高く、次いで居間・茶の間等15.2%、玄関・ホール等14.5%、階段が9.8%の順となっております。この4カ所で転倒事故の約7割を占めております。
今後とも、このような調査結果を踏まえながら在宅での高齢者等の生活を支援するため介護予防、自立支援、寝たきり防止などに努めるとともに、住宅改造の事業を支援してまいります。
○土木建築部長(安慶名正行) 高齢者福祉と住宅行政についての、シルバーハウジングの整備状況についてにお答えいたします。
シルバーハウジングとは、高齢者が自立して生活できるように安全性や利便性に配慮して設計され、ライフサポートアドバイザー、いわゆる生活相談員が日常生活指導や緊急時における連絡等のサービスを提供する公共賃貸住宅のことであります。施設の内容としては手すりの設置、段差の解消、緊急通報システムの設置等を配慮したバリアフリー住宅となっております。
本県の公営住宅におけるシルバーハウジングの整備状況としましては、那覇市の安謝市営団地で39戸が整備され、沖縄市の室川市営住宅で29戸が整備中であります。また、平成15年度から始まる与那原町の江口団地建てかえ事業において24戸が整備される計画であります。
次に、高齢居住者の視点に立った住宅行政についてにお答えいたします。
本県の高齢化もさらに進むことが予測されています。また、住まいに対しても量から質、心の豊かさが求められるなど価値観が多様化しており、これらのニーズに対応した多様な住宅の供給が求められております。平成13年度を初年度とする「沖縄県第八期住宅建設五箇年計画」では、長寿・福祉社会への対応としましては、公営住宅の供給に当たっては福祉・医療施設との連携の強化を図り、シルバーハウジング・プロジェクトや福祉施設との併設を進めるとしております。
なお、県営住宅の建てかえに当たっては、地元市町村からの福祉施設の要望を踏まえて取り組むようにしております。施設整備に当たっては、高齢者に配慮した「長寿社会対応住宅設計指針」を採用しているところであります。
民間住宅の整備としましては、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき、高齢者向け優良賃貸住宅の供給や民間住宅のバリアフリー化の促進に努めていきたいと考えております。
次に、都市住宅行政部門と福祉部門間の協議組織についてにお答えいたします。
これまでも公営住宅の活用につきましては、ハンセン病療養所入所者等の優先入居について福祉部門と協議し支援してきた経緯がございます。今後、高齢社会を迎えるに当たり、高齢者が安心して暮らせるバリアフリー化された住宅の供給を促進するため福祉部門との連携はますます必要になっていると認識しております。
以上でございます。
○副議長(髙良政彦) 休憩いたします。
午前11時13分休憩
午前11時14分再開
○糸洲 朝則 公明県民会議を代表いたしまして代表質問をするものでございますが、今議会は稲嶺県政が本格的にスタートをする大変重要な議会でございます。したがって、県政にかかわる重要な課題が多いだけにこれまで質問をされた皆さん方との重複もあろうかと思います。しかしながら代表質問でございますので、県本部の考え方を述べまして、それで知事及び県の皆さん方の御意見を伺うと、所見を伺うと、こういう形で質問をさせていただきます。
まず1点目に、米国のイラク攻撃について伺います。
毎日のマスコミ報道にイラク問題や北朝鮮問題が出ない日はありません。国連監視検証査察委員会や国際原子力機関による約2カ月にわたる査察報告は、大量破壊兵器やスカッドミサイル等も保有しているおそれがあるとの報告をもとに国連安保理では査察の継続、武力行使と意見が分かれております。イラク対国際社会の対立の構図が見えますが、また連日のマスコミ報道に見られるように、世界各地での反戦、不戦のデモや集会が行われており、いかなる理由があるにせよ戦争は回避しなければならないとの思いが世界市民の願いであります。
さきの大戦で国内唯一の地上戦を体験した沖縄県民は、戦争の悲惨さを、恐ろしさを知っております。また、戦争で一番犠牲になるのは婦女子や子供あるいは庶民であるということもこれまでの戦争が示しております。したがって、いかなる理由があれ、戦争回避の声を上げる義務と使命が沖縄県民にはあります。
また、多くの米軍基地が存在する沖縄においては、米国のイラク攻撃は決して他人事ではありません。あらゆるチャンネルを駆使した戦争回避への行動が求められます。
我が党の北側一雄政調会長は、去る6日の衆院予算委員会において、①、イラクに対し国連査察の無条件、能動的な受け入れと大量破壊兵器の全面廃棄を強く促す、②、国連を中心とした国際社会の緊密な連携で対処する、③、平和的解決に向け最大限の外交努力をぎりぎりまで行う、国際協調の重要性を繰り返し主張していくべきだと、このように訴えました。
また、冬柴幹事長は、中東イスラム7カ国の大使と会談を行うなど党独自の平和外交を展開しております。
以上、所見を申し上げ、こうした戦争への危機的状況を平和構築へ展開していくことを願い、次の質問をいたします。
(1)、米国のイラク攻撃を回避し、不戦及び平和を希求する県民の意思を知事及び議会において決議し、その実行を日米両政府に求めるべきではないか。知事の所見を伺います。
(2)、もしも米国のイラク攻撃が始まった場合、県民生活への影響はどのようなものが考えられるか。
(3)、観光産業への影響等、在沖米軍基地とのかかわりとその影響について伺います。
2番目に、普天間飛行場代替施設について伺います。
平成7年9月4日、米兵による少女暴行事件発生が発火点となり、基地の整理縮小、地位協定の見直し等を要求する県民総決起大会が開催され、県民の意思を全国に表明いたしました。その後、政府は沖縄に関する特別行動委員会(SACO)を設置し、普天間飛行場の全面返還に合意をいたしました。
普天間飛行場の移設問題の原点は、市街地の真ん中にある普天間飛行場を一日も早く返還し、市民・県民の安全を確保することにあります。
日米安保条約に基づく基地の負担は日本国民がひとしく受けるべきであり、県民は国外・県外移設を主張してまいりましたが、数々の議論を経て県内移設も選択肢の一つとされ、嘉手納統合案を初め複数の案が議論され、結果的には名護市のキャンプ・シュワブ移設に決定し、県内移設という苦渋の選択を強いられることになりました。
とりわけ、移設先の地元住民を初め周辺市町村の方々には大変過重な負担をかけることになるため、地域住民の意向にかんがみ名護市は受け入れのための前提条件として7項目の基本条件を提示し、岸本市長は、「このような前提が、確実に実施されるための明確で具体的な方策が明らかにされなければ、私は移設容認を撤回するものである」と表明しております。いわゆる移設容認の最低条件として示された7つの項目に対する日米及び県の対応が求められております。
したがって、県は名護市と連携して日米両政府に対し、これらの基本条件をクリアすべく全力を挙げることが普天間飛行場移設の解決につながるとの視点から以下の質問をいたします。
(1)、名護市が示している基本条件に対する知事の見解と具体的な取り組みについて、各項目ごとに御説明をお願いいたします。
(2)、項目4の1と2、いわゆる日米地位協定及び15年使用期限についての県と名護市の表現の違いについて御説明願います。
(3)、嘉手納統合案については、普天間移設が決まった後、最初に出てつぶされた経緯があることは御承知のとおりです。要因は、嘉手納基地も普天間同様、市街地の真ん中にあり、地域住民の危険はふえても減らない。基地の強化等あらゆる理由から地元住民や首長及び嘉手納基地そのものが反対し、嘉手納統合案は受け入れられず、その後数々の議論を経て今日に至っております。
下地氏の言う新しい展開論については、我が党の遠山参議院議員の論文を紹介させていただきますが、その前に、下地氏はペンタゴンに乗り込んで普天間移設先は辺野古しかないと力説したという経緯があることもつけ加えておきます。
それでは論文を引用させていただきます。
先月の麻生太郎自民党政調会長の普天間基地移設にかかわる発言を契機に、にわかに論争が活発になってきた。私は、この沖縄の将来にとって重要な問題が全国的な関心を呼び、その解決に向けてさまざまな意見が闘わされるようになることは、率直に歓迎する立場である。しかし、麻生政政 調会長や下地衆議院議員が提示している「新嘉手納統合案」に対しては、その実現性について強い 疑念を抱いているので、ここでその理由を述べてみたい。下地氏は、辺野古移設の対案として普天間基地を使用している米海兵隊の兵力を約3分の1に削減した上で、その機能を嘉手納空軍基地に統合する案を提示している。その際、嘉手納基地で年間7万回の離発着回数も4万回まで減らすため、統合後は、統合前よりも騒音を減らすことができると主張している。コスト面や自然環境面でもこちらの方が辺野古移設案よりも県民のためになるとされ、浮いた基地建設費で沖縄北部振興もできると説く。しかしこの案は、事実誤認と根拠のない推測が前提となっているため実現可能性が極めて低いと言わざるを得ない。いわば「絵に描いた餅」なのである。幾らおいしそうでも県民はいつまでも食べることができない案だ。まず、海兵隊の兵力削減だが、下地氏は、これを海兵隊の海外訓練をふやすことで達成できると主張しているが、これは誤りだ。海外訓練を幾らふやしても、それに参加する海兵隊員の本拠地が沖縄であることに変わりはなく、これは「実質的な兵力削減」にはつながらない。そもそも在沖海兵隊の訓練地は既にかなり沖縄の外に分散されており、時期によってはその半数が沖縄にいないこともある。それでも沖縄を拠点とする海兵隊員の総数は変わっていないのである。海外訓練をふやすことが兵力削減につながるという主張は、実は全く根拠がない。もちろん外国、例えばフィリピンに海兵隊基地そのものを移転すれば、この限りではない。しかし、フィリピンは憲法で外国軍隊の設置を禁止しており、実現するにはまず憲法改正をやらなければならない。(ちなみに、短期間の訓練誘致は可能。)海外訓練をふやすことと拠点としての基地を移転することは、かなり質が違う話なのだが、下地氏の議論は意図的にこの部分をごまかしているようだ。さらに、下地氏は海外訓練がふえることが普天間基地の離発着回数(現在1万4000回/年)を半減させると言っているが、これもおかしい。海外訓練がふえても沖縄を拠点とする隊員は同数だとすると、離発着回数は減るどころか、逆にふえる可能性が高いと考えるのが常識だからだ。海外訓練がふえても兵力規模は変わらず、しかも離発着回数がふえるかもしれない普天間を嘉手納に統合したらどうなるか。嘉手納周辺の騒音は増大し、そこを利用する航空機やヘリコプターが墜落する危険性も高くなるだけである。このような案は、どう考えても周辺自治体の住民が受け入れるものとは思えない。またそもそも普天間移設案の背景には「住宅密集地内の基地は非常に危険である」という認識を日米両国が共有したことがあるわけで、統合案はこれに明らかに逆行していると言わざるを得ない。嘉手納基地といえば、下地氏はこの基地の離発着回数も7万から4万に減らせると主張しているが、この点に関しては、「どうやってそうなるか」ということについては何の説明もなされていない。同基地での3万回の離発着訓練は、本土基地及び航空母艦からの訓練飛行に起因するものであるが、これらの訓練を米国にやめさせる具体的な説得材料は何も提示されていないのである。下地氏は、「それは日本の政治家が決断し、米国と外交交渉すればよい」という反論をするかもしれないが、具体的な説得材料を示さずハッパをかけて解決できるほど簡単な話でないことは、当人が百も承知のはずだ。こういう不確かなことを前提にした対案のメリットを説かれても、その信頼性は極めて低い。下地氏の辺野古移設案と統合案のコスト面での比較と差額の利用に関する議論でも問題がある。下地氏は約8000億円のコストがかかるとしているが、政府は従来「埋立工法」の場合でも約3500億円かかると表明してきた。これは埋め立てのみにかかる経費なので、さらに追加分が計上されるのは間違いないが、総計8000億までいくというのは根拠のない推測にすぎない。さらに、下地氏はこの8000億を前提に、統合案では1000億しかかからないから差額が7000億生じ、この7000億を沖縄振興に利用できると主張している。仮に百歩譲って提示されている数字が正しかったとしても、差額の振興への利用という構想には実現の保証が何もないという点を指摘しなければならない。なぜなら、辺野古でも嘉手納でも基地建設費は予算上防衛施設庁の枠の話であり、振興策は内閣府のそれだ。仮に統合案が採用されて嘉手納での基地拡充費が1000億でおさまった場合でも、仮定の7000億の差額(基地建設費)をそもそも所管していない内閣府が沖縄振興に利用できるはずがない。政府の政務官まで務めたことのある下地氏のものとは思えないほど、この差額振興利用構想は素人的と断ぜざるを得ないのである。以上見てきたように、下地氏の新嘉手納統合案の実現可能性はほとんどないと言い切ることができる。とにかく柱となっている主張や数字の根拠が脆弱過ぎる。このような「絵に描いた餅」を沖縄県民にあたかも実現できるかのように主張するのは、政治家として無責任ではないかと申し上げたい。また、下地氏は統合案の方が、より早く普天間移設が実現できると主張しているが、SACO最終合意を破棄して再び日米交渉を一からやり直したり、その前提としての国内・県内議論に費やす時間を考えれば、移設実現はより遠のくと考えるのが自然ではないだろうか。もちろん、辺野古移設案に全く懸念がないわけではない。15年使用期限問題の決着の見通しはついていないし、自然環境に基地建設が及ぼす影響評価は始まったばかりである。しかし、地元住民や自治体首長の理解を全く得ていない新嘉手納統合案と違い、こちらの案は受け入れ予定地の名護市民及び市長の了解を得ているし、稲嶺知事のリーダーシップのもと、現在進んでいるところだ。また、新設される空港については、米国政府も軍民共用とすることに合意しており、沖縄県北部への民間空港整備につながることは間違いない。これらの成果は、非常に多くの人間の今日までの努力によるところが大きいわけだが、下地氏は実現可能性の少ない案でこの努力を無にしようとしている。沖縄県選出議員でありながら、こういうところに配慮できない姿勢が多くの関係者を怒らせたということも私たちは理解しなければならないのではないだろうか。
以上、このように言っております。
このことを申し上げ、知事の所見を伺うものでございます。
3点目に、国際交流拠点形成について。
私ども公明党は、これまで国連アジア本部の誘致を初め国際機関の誘致で国際交流拠点の形成、そして平和の発信地としての役割を果たそうと運動を展開してまいりました。このことは日米安保に基づく基地の提供、いわゆる抑止力に対し、対話による平和外交の拠点づくりになると信じており、抑止力と対話のバランスの上に立った平和外交の拠点として広く国際社会に目を向け、その形成に努めねばならないと考え、そこで伺います。
(1)、国連機関を含む国際機関を誘致する国際交流拠点形成について、今後の展望も含めて御答弁を賜ります。
(2)、太平洋・島サミット支援事業について伺います。
南太平洋の大小の島々でつくる太平洋諸国フォーラムに加盟する16カ国・地域と日本の首脳が一堂に集う第3回太平洋・島サミットが今年5月16・17日の両日、万国津梁館で行われます。沖縄はこれらの島々と多くの共通性を持っており、日本とのかけ橋となれる地域であります。今回のテーマは、地球温暖化に伴う海面上昇など深刻な環境問題やIT革命に対応した経済開発など、島嶼国が直面する課題への取り組みについて協議されると伺っております。
島嶼国の中の島嶼県である沖縄は、今回のサミットを通してこれらの島々との交流を図り、共通の課題に取り組むことも大変有意義であります。また、沖縄をアジア・太平洋の交流拠点にと訴えてきた我が党の主張とも合致し、太平洋・島サミットの成功を期待しておりますが、どのような体制で取り組まれるのか。どのようなイベントを計画しているのか。
沖縄の地域、島々との交流等々沖縄県としての取り組みについて伺います。
4点目に、人間の生命の尊厳及び「生命の安全」を守る視点から伺います。
BSE問題や大手メーカーによる大規模な食中毒事件、O157の集団感染問題、食品虚偽表示の多発、発がん性のある無登録農薬の販売・使用、さらには残留農薬の基準値を大幅に上回る輸入野菜、生命をも脅かすダイエット食品などさまざまな事件が起きて、国民の食の安全に対する不信は頂点に達しております。
また、医療においても国会で問題になった川崎協同病院での筋弛緩剤投与による殺人容疑事件や京都民医連中央病院での虚偽の検査報告、診療報酬の不正請求など。また、県内においても県立病院や民間病院における医療ミスは10年間で210件の医療訴訟が出されるなど、国民・県民の医療に対する不信感と不安感が高まっております。
治安面においても、凶悪犯罪の多発や犯罪形態の複雑化、検挙率の低下、加えて警察官や刑務官の不祥事が露見するなど、警察への不信感も高まっております。
自然科学や医療技術の向上が著しい反面、モラルの低下が指摘される今日、生命を大事にする「命ドゥ宝」の精神に基づいた対策が必要であるとの観点から、次の質問をいたします。
(1)、食の安全対策について。
イ、食品衛生法の抜本的改正に伴う対応について。
ロ、輸入食品等の安全対策の強化について。
ハ、トレーサビリティー導入促進総合対策事業について。
ニ、牛肉のトレーサビリティーシステムの確立促進事業について説明を求めます。
ホ、子供の食育の推進や消費者の食の安全教育等、その他の施策等についても御説明願います。
(2)、医療の安全対策としては、人間はエラーを起こすものと認識した上で、エラーを誘発したとき、病院組織の安全管理システムを改善していくことが重要との基本姿勢を持っているようですが、医療現場における医療ミス等の実態及び安全対策等について説明をいただきます。
イ、県立病院を初め公共の医療機関における医療ミスの実態及び対策について具体的に示してください。
ロ、民間医療機関についても同様な説明を求めます。また、民間医療機関への指導及びチェック機能はどうなっているか伺います。
ハ、医療報酬のチェック体制についても御説明願います。
(3)、治安の安全について。
イ、最近の犯罪形態の状況について御説明願います。
ロ、犯罪検挙の状況、いわゆる検挙率について検挙率の低下が言われておりますが、その要因及び対策について伺います。
ハ、警察官OBや関係者を活用した防犯を含めサポーター体制はとれないか。
ニ、警察官の増員計画の趣旨及び人数等について御説明願います。
5番目に、観光行政について伺います。
国は、観光立国への取り組みを本格的にスタートさせます。観光などで外国に出かける日本人の数は年間1600万人に達しております。一方、外国から日本を訪れる旅行者は年間476万人と3分の1にも満たない状況にあります。
政府は、今年から2007年までの5年間を「訪日ツーリズム拡大戦略期間」と位置づけ、新年度予算案では外国人旅行増加に向けた施策に約45億円を計上しています。2010年には1000万人を目指すなど観光立国への取り組みが本格的にスタートします。
国境を越えて移動する国際旅行者は現在世界で7億人、これが2010年には10億人、2020年には16億人を突破すると見られており、こうした世界的な海外旅行の流れに対し、政府の観光立国としての本格的な取り組みは時宜を得たものであります。あとは各県及び地域の取り組みが大変重要になることは当然であります。ちなみに北海道はここ数年、韓国、中国、台湾などアジア各国からの観光客が97年の8万7200人から4年後の2001年には約2.3倍の23万6100人に急増しております。これらはアジア地域からの観光客急増の背景として、雪へのあこがれや韓国における北海道を舞台とした映画のヒット等が北海道ブームを起こしたと言われています。
急増のもう一つの要因は、官民一体となった活発なプロモーション活動が挙げられています。
北海道では、このブームを一過性のものに終わらせないために取り組みをしており、1998年9月には「北海道外客来訪促進計画」を策定、2001年10月には「北海道観光のくにづくり条例」を施行するなど、また語学講座の実施、外国語版の観光パンフの作成等本格的な海外観光客誘客活動を展開しております。
北海道の例でもわかるように、我が沖縄県も官民一体となった本格的な観光立県としての取り組みが急がれます。
以上申し上げ、次の質問をいたします。
(1)、国の観光立国への取り組みに呼応した国際的な観光立県へのビジョンあるいは施策を示してください。
(2)、沖縄が観光立県として発展するには外国からの誘客、いわゆる国際的な観光地としての整備の体制を整えなければなりません。
例えば、イ、空港、港湾等の整備及び路線の開発、道路や交通機関、ホテル、その他のインフラ整備等中長期的展望に合わせた計画について、ロ、観光資源の開発について、ハ、人材育成について、
ニ、誘客目標を設定して年次計画を国内外に分けて示してください。
(3)、政府は「ビジット・ジャパン・キャンペーン」と銘打ち、14年度補正で2.5億円、15年度予算で20億円を計上しています。この「ビジット・ジャパン・キャンペーン」に沖縄をいかに乗せ、売り込むか。世界の観光地沖縄の創設に向けて政府に働きかけてはどうか、県の考えを伺います。
(4)、観光産業振興に向けた体制の構築、例えば観光リゾート局の部昇格、コンベンションビューローの活用、関係団体とのかかわり、国や市町村とのタイアップ等について県の取り組みを伺います。
6点目に行政改革について伺います。
「新沖縄県行政システム改革大綱」の素案が示されましたが、これまで長年運用してきたシステムを改革するにはそれ相当の決意で臨まねばなりません。行革の視点は、県民の視点で県民ニーズにこたえる改革でなければならないと考えます。したがって、思い切った発想の転換で、破壊と創造の精神で目の覚めるような行革を期待し質問いたします。
(1)、過去2回にわたる行革による成果を御説明いただきます。
(2)、今回の行革によって期待される結果について。
イ、能率の向上について、ロ、県民サービスについて、ハ、財政効果について、ニ、その他についてお願いします。
(3)点目、公用車の効率的運用システムについても民間委託やリース制度の活用等検討段階に入っていると考えるがどうか、県の考えを伺います。
(4)、病院事業の改革については経営の健全化の推進は当然でありますが、医療全体の中での県立病院の役割、医療の安全最優先を確立し、県民から信頼される県立病院の改革を期待し県の考えを伺います。
7、中小企業支援策について伺います。
政府は、2月10日からスタートした資金繰り円滑化借換保証制度を初め、中小企業活性化に向けた数々の施策を打ち出していますが、私が現場で聞く限り、これらの制度が十分に活用されておらず、いわゆる周知徹底されていないような気がします。どのように啓蒙し、活用されているか、その効果はどうか、今後の予測等も含めて具体的に説明してください。
金融制度につきましては、イ、資金繰り円滑化借換保証制度について、ロ、売掛債権セーフティーネット保証制度の拡充について、ハ、政府系金融機関の融資制度の拡充について御説明願います。
(2)点目の税制度についても、イ、事業承継税制について、ロ、研究開発、投資促進税制について、ハ、留保金課税の停止や交際費課税の非課税枠の拡大等、その他税制について御説明を願います。
8番目の福祉・医療行政について伺います。
(1)、乳幼児医療費の助成事業の拡充については、これまでの3歳児未満から5歳児未満への拡大については一歩前進であると評価いたします。しかしながら入院患者に限っており、今後通院も含めた就学前6歳未満まで拡充することを強く求め、県の取り組みについて伺います。
(2)、待機児童解消及び認可外保育園対策については、これまでも何度も取り上げておりますが、沖縄の特殊事情を認識した上での取り組みでないと解決できないと認識しています。したがって、将来展望も含めた対策について説明願います。
(3)、健康・長寿対策については、名実ともに健康・長寿であるべく施策が求められており、県の取り組みについて御説明願います。
(4)、障害者福祉サービス制度の措置制度から支援費制度への移行によってサービスの削減や低下があってはなりません。したがって、当事者の皆さんが納得のいく説明を願います。
(5)、大規模造血幹細胞移植センターについて。
臍帯血バンク及び骨髄バンクとタイアップして集中的に移植治療を行うことが求められています。現在、こうした移植医療を行う病院は骨髄移植で200カ所以上、臍帯血移植では150カ所以上ありますが、この施設の多さが移植を待つ患者さんの容態の悪化による手おくれ状態を引き起こし、各施設間の医療技術の格差につながっています。関係者の間では、これからの患者増加も視野に入れて全国に4ないし5カ所、年間1000人規模の移植が可能な大規模造血幹細胞移植センター設立を目指しております。その1つが、東南アジアも視野に入れた命を大切にするいやしの島沖縄でありますが、構想が大きいだけに県の所見を伺っておきます。
(6)番目、不妊治療への公的支援について。
多額の自己負担にかかる不妊治療に対し、医療保険の適用範囲の拡大や治療費の助成制度の創設など、治療費への公的支援を急ぐべきだと考えますが、県の考えについて御説明願います。
9番、教育改革について伺います。
教育基本法の見直しが議論されておりますが、教育基本法は旧憲法から日本国憲法への改正に伴い憲法の精神に基づいて制定された教育憲法であり、あるいは準憲法であるとも私は考えております。したがって、教育基本法の改正には憲法と同じように時間をかけた国民的議論を経て慎重に結論を出すべきであります。
「人間は、教育によって人間となる」という言葉が示すように、人格形成の骨格となるのが教育です。子供たちの創造力を開花させ、大きく羽ばたかせるためには教育現場、家庭、地域における人格と人格の触発以外にありません。目指すべきは、教育のための社会構築であります。社会のために教育があるのではなく、教育のために社会があり、国家があるとの発想の転換こそ21世紀を教育の世紀へと大きく展開し、人間が人間として幸福になるための教育を実現できるものと考えます。
よって、以下の質問をいたします。
(1)、教育基本法に対する知事及び教育長の所見を伺います。
(2)、地域の実情に即した自治体、民間による不登校児童生徒のための学校の設立等構造改革特区構想の第2次提案でも教育特区構想が提案されております。不登校や授業についていけないなどさまざまな課題が教育現場には山積していると思います。これらの実情を把握した上で実情と合った教育特区的な施設及び体制を考えてみたらいかがでしょうか、伺います。
(3)、環境教育については、学校教育や地域及び生涯教育の中で取り組まねばなりません。現状と今後の取り組みについて伺います。
10、文化・芸術振興について伺います。
文化芸術振興基本法の施行から1年余がたちました。文化・芸術の振興に関する基本的な方針を策定するなど文化・芸術立国への取り組みが加速しています。文化庁予算でも平成15年度予算案で初の1000億円台になりました。文化交流特使派遣事業、日本映画の復活を目指した新人映画監督やシナリオ作家を対象とした若手制作者への支援事業、学校への芸術家等派遣事業など、今までにないユニークな事業が計画をされております。
本県においても「国立劇場おきなわ」のオープン事業を初め数々の文化・芸術事業が計画されていると思います。文化・芸術立県を目指すビジョン及び事業計画について御説明願います。
最後に、離島振興について伺います。
(1)、離島における産業廃棄物処理及び一般ごみ処理については、離島であるがゆえの困難が伴うことはわかります。離島は周辺を海に囲まれており、もし環境汚染でもあろうものなら島のみならず海洋汚染へも広がりかねません。処理施設の建設についても、財政状況についても県や国の支援が必要であります。離島における産廃及び一般ごみ処理について、現状と計画についてお聞かせ願います。
(2)点目に、離島における県営住宅の建設、(3)点目に、離島医療について、(4)点目に、交通網の整備等について質問をし終わります。
よろしくお願いします。
○副議長(髙良政彦) ただいまの糸洲朝則君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時45分休憩
午後1時21分再開
○知事(稲嶺惠一) 糸洲朝則議員の御質問にお答えいたします。
最初は、イラク攻撃についてでございます。
現在、国連によるイラクへの査察が継続されており、日本政府はこれらの問題の平和的解決のため国際協調への努力を続けているものと理解しております。県としましては、イラクの問題など平和を脅かすさまざまな課題を解決し、平和共存の世界を実現していくためには、世界の人々が相互理解に努め、国際連合を中心に連帯して問題の平和的解決に努めることが望ましいと考えております。
次に、イラク攻撃問題の県民生活への影響についてお答えいたします。
去る2月14日、イラクの大量破壊兵器開発疑惑に関して、国連監視検証査察委員会は、国連安全保障理事会に対して査察の追加報告を行った際、対イラク査察の継続を求め、同理事会では査察継続論が大勢を占めたとのことであります。県としては、イラク問題につきましては国連の場や我が国を初めとする多くの国々が外交努力を重ね、同問題が平和的に解決されることを強く期待するところであります。
なお、イラク問題による県民生活への影響については、県民の生命、生活及び財産を守る観点から、県民生活に支障がないよう今後とも重大な関心を持って対応してまいりたいと考えております。
次に、地位協定及び15年使用期限に関する県と名護市の表現についてお答えいたします。
県は、平成11年11月、普天間飛行場の移設候補地を選定した際、政府に対し、移設に当たって整備すべき条件を提示するとともに、米軍基地に関する諸問題の解決を要望しました。
また、名護市は同年12月、代替施設の受け入れを表明するとともに、受け入れのための基本条件を提示したものであります。
この中で県及び名護市は、日米地位協定の改善及び代替施設の使用期限について取り上げておりますが、それぞれ同様の趣旨であると理解しております。県としては、今後とも名護市と連携をしながら取り組んでいきたいと考えております。
次に、嘉手納統合案についてお答えいたします。
普天間飛行場の移設については、平成8年4月のSACO中間報告後、移設先の一つとして嘉手納飛行場が候補地とされました。また、同年9月のSACO現状報告では、ヘリポートの嘉手納飛行場への集約等についても日米間で検討を進めることが確認されました。しかし地元市町村等の強い反対があり、結局、平成8年12月のSACO最終報告では嘉手納飛行場への集約は対象外となっております。
県は、普天間飛行場の移設先の候補地選定について、運航空域確保の問題、騒音の問題、アクセスの問題等さまざまな観点から検討し、総合的に判断した結果、キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域を選定したものであり、SACO最終報告において否定された嘉手納飛行場への統合については検討しておりません。
政府は、平成11年、県の移設候補地選定結果や名護市の受け入れ表明を受け、「普天間飛行場の移設に係る政府方針」を閣議決定し、代替施設の建設地点を定めたものであります。普天間飛行場の移設については、閣議決定された政府方針に基づき、代替施設協議会における協議を経て昨年7月に基本計画が決定されるなど一歩一歩進められてきたところであります。したがって、県としては、現在行われている移設に向けた作業を進めていくことが普天間飛行場の早期返還につながるものと考えております。
次に、国際交流拠点形成についてのうち、太平洋・島サミットへの支援についてお答えいたします。
第3回太平洋・島サミットは、太平洋諸島フォーラム加盟国の16カ国・地域及び日本の首脳が参加し、本年5月16日及び17日に本県において開催されることになっております。同サミットは、人づくり教育や環境について政策的対話を行い、これらの分野について太平洋諸島と日本が認識を共有し、国際的な協力を確保することを目的に開催されるものです。
本県と太平洋諸島の国々は、太平洋に囲まれた島嶼性を初め海洋性気候、文化、産業等多くの共通点を有しております。同サミットの開催は、本県がアジア・太平洋地域の発展に寄与する地域としての確立につながり、2000年九州・沖縄サミットに引き続き国際交流の拠点形成が促進され、本県の観光振興に大きく寄与するものと考えております。
そのため、太平洋・島サミット沖縄県推進本部を設置し、国と連携を図りつつ同サミットの支援を行っていくこととしております。
支援事業としましては、空港や会場での歓迎行事、沖縄の伝統芸能の披露、夫人プログラム、県民との交流等を計画し、現在、国と調整を進めているところであります。県としましては、市町村を初めNPO等関係団体の協力を得て、同サミットの成功に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に、国際観光立県の施策についてお答えいたします。
昨年、本県を訪れた観光客数483万人のうち外国人観光客数は約18万人で全体の3.7%にとどまっており、本県観光のさらなる発展を目指すためには国際観光の推進が大きな課題であります。このため、県におきましては国や国際観光振興会と連携を図りながら、航空路線が結ばれている台湾、韓国、香港、上海の重点地域において各種メディアを活用したイメージアップ・キャンペーン、新たな旅行商品の開発等の諸施策を展開し、海外観光客の増加を図っているところであります。
また、国際会議誘致班の機能を十分発揮しながら、米州開発銀行総会や太平洋・島サミットなど国際会議の誘致・開催を推進するとともに、大型旅客船バースの整備など国際クルーズ観光を推進していくこととしております。
さらに、同時通訳者の育成、外国語表記の案内板の整備など外国人観光客の受け入れ体制の整備を進め、名実ともに国際的な海洋リゾート地を目指していく考えであります。
次に、福祉・医療行政について、乳幼児医療費助成事業の拡充についてお答えいたします。
乳幼児医療費助成事業は、平成11年10月から健康政策の一環として入院、通院ともに3歳未満児まで保護者の一部負担などの条件を付さずに実施してきております。
また、平成15年10月からは3歳未満児までは従来どおりの助成を行い、3歳児、4歳児については、通院に比べて経済的にも医療費の負担が大きい入院について1日につき700円の負担を付して実施していきたいと考えております。
さらなる年齢などの拡充については、全県的な施策として取り組むことや財政負担などの課題もありますので、実施主体である市町村と調整を図りながら検討していきたいと考えております。
続きまして、健康・長寿対策についてお答えいたします。
健康づくりは、県民一人一人が主体的に食生活改善や運動などに取り組むとともに、社会全体でこれを支援し一体となって取り組んでいくことが重要と考えています。このため、31団体で構成する「健康おきなわ2010推進県民会議」を設置し、各団体の取り組みを進めております。
また、県民や各団体の取り組みを促すため、去る1月28日に「長寿の危機緊急アピール」を行いました。2月23日には、県民参加のもとに「健康おきなわ2010ウオーキング大会」を開催しました。
平成15年度は、新規の県単独事業として健康長寿推進事業費を計上し、長寿研究データの集積、体系化等により健康・長寿の要因を解析し、本県の健康・長寿の維持増進や保健医療の充実に役立てることとしています。今後とも、県民の健康づくりの意識を醸成し、「健康おきなわ2010」等による生活習慣病予防等の施策を展開し、全県民挙げての健康づくり運動を推進してまいります。
続きまして、文化芸術振興基本法制定以降の県の対応、実績、今後の展望についてお答えいたします。
県においては、平成14年10月に沖縄振興計画を着実に推進する分野別計画の一つとして、平成14年度から16年度までの3年間を計画期間とする「沖縄県文化振興計画」を策定しました。
その中において、芸術を体感できる機会と環境づくりや多様な創造活動をはぐくむ環境づくり等4つの基本方向を示し、具体的な施策・事業として県立博物館新館・美術館の整備、県立芸術大学の機能の拡充、県内外の文化交流の充実等を位置づけております。平成15年度は文化芸術振興基本法の基本理念を踏まえ、本県の文化行政の総合的な推進を図るための長期的指針を策定し、県民のゆとりと豊かさのある生活の実現を目指していきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) まず、イラク問題とのかかわりで、沖縄観光への影響とその対策についてお答えいたします。
県におきましては、昨今の国際情勢について緊張感を持って情報を収集するとともに、継続的に関係機関と連携を図り対応に遺漏のないよう努めております。去る2月14日、沖縄観光コンベンション推進協議会におきまして米国同時多発テロ事件の教訓を踏まえ、沖縄観光危機管理マニュアルについて協議し、観光危機が発生した場合に行政、民間が一体となって的確に対処することを確認し、その後、緊密に情報交換を行っているところであります。
なお、県におきましては、関東地区のある学校が沖縄県内の状況について説明を求めてきたことにかんがみ、県内の県民生活が通常と何ら変わることなく平穏に行われていること、修学旅行等に何ら支障を及ぼす状況にはないことを広く周知するため、情報発信の一環として近く各県の教育委員会に文書を出すことを考えております。
次に、インフラ整備及び観光資源の開発についてお答えいたします。一括してお答えいたします。
県におきましては、国際的な海洋リゾート地にふさわしい質の高いインフラの構築に向け那覇空港の拡張整備、外洋クルージング・ネットワークの構築や大型旅客船バースの整備を推進するとともに、国際航空路線網の維持・拡充、外国語表記の観光案内板の整備等の取り組みを進めているところであります。
また、世界遺産と一体となった周辺地域の整備や歴史・文化資源のネットワーク化を促進するとともに、特色ある音楽、芸能等を活用した多様なエンターテインメント、本県の地域特性を生かした健康・保養型観光、さらに、いわゆる海底遺跡を含めた海洋資源等の新たな観光資源の開発など、名実ともに国際観光地にふさわしい受け入れ体制の整備を進めていく考えであります。
次に、国際観光に対応した人材育成についてお答えいたします。
県におきましては、観光客の多様なニーズに対応できる質の高い人材の育成・確保を図るため、平成15年度から観光人材の資格認定制度や登録制度、人材育成の推進体制、人材育成マニュアル等に関する調査検討を行い、体系的な観光人材育成システムを構築することとしております。
また、観光関連業界の従業員等を対象に沖縄の歴史、文化、自然等に関する基礎的な知識や外国語の研修を実施するとともに、観光戦略、観光関連法令、経営理念等に関する専門的な研修など、業界のニーズに応じたきめの細かい研修事業を推進していくこととしております。
また、国際会議に対応できる同時通訳者等の専門的人材の育成を図るため、国内外の養成機関への研修生派遣の推進や各種養成講座の充実を図るとともに、ボランティア通訳の育成に努めるなど、国際観光を支える人材の育成を進めていく考えであります。
次に、国内外からの誘客目標についてお答えいたします。
平成14年における本県への入域観光客数は、483万人のうち国内観光客は465万人、外国人観光客は18万人で、外国人観光客の割合は全体の3.7%となっております。
県におきましては、本県観光の持続的な発展を図るため外国人観光客の誘致を積極的に進めることとしており、平成16年の入域観光客数の目標510万人のうち国内観光客を487万人、外国人観光客を23万人に設定し、外国人の割合を4.5%に引き上げることを目標としております。
また、平成23年の入域観光客数の目標値650万人のうち国内観光客を590万人、外国人観光客を60万人に設定し、外国人の割合を9.2%に引き上げることを目標にしております。
次に、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」との連携についてお答えをいたします。
沖縄県におきましては、本県との直行便が就航している韓国、台湾、中国、香港を重点市場として誘客活動を実施しております。
「ビジット・ジャパン・キャンペーン」との連携につきましては、まず年度内に国際観光振興会と共同して韓国の新聞において沖縄へのハネムーンツアー宣伝広告を実施する予定であります。今回、国において「ビジット・ジャパン・キャンペーン」が展開されることは、本県への海外観光客誘致にとっても大きな追い風であり、今後、より一層国及び国際観光振興会との連携を密にして効果的な事業実施を図っていきたいと考えております。
次に、観光産業振興に向けた体制の構築についてお答えいたします。
本県の観光産業が県経済のリーディング産業としてさらなる発展を遂げていくためには、観光産業の質の向上はもとより、原材料の調達などを通じて製造業や農林水産業等の生産や雇用、県産食材の観光分野における消費拡大など地場産業への波及効果を一層高めていくことが重要であります。このため、庁内においては「沖縄観光・リゾート・コンベンション推進本部」を設置し、各部局の連携体制のもと観光振興施策の展開を図っているところであります。
また、沖縄観光コンベンションビューローでは、「沖縄観光コンベンション推進協議会」を設置し、行政、観光業界が一体となった施策の展開を図っております。今後とも、これらの組織を一層活用していくとともに、農林水産業や建設業、お土産品製造業、食品加工業など観光関連産業を網羅した組織の設置について検討していく考えであります。
なお、観光リゾート局の部への昇格につきましては、他部局の行政施策との関連性や業務量等を勘案し、引き続き検討してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) 名護市の基本条件に対する見解と具体的取り組みについてにお答えいたします。
名護市には既に広大な米軍基地があり、これ以上の軍事施設の機能強化は許容できないという状況の中で、沖縄における基地問題の長い歴史と諸般の情勢にかんがみ、普天間飛行場の代替施設の受け入れについて容認していただきました。新たな負担を担うことになる名護市としては、安全性の確保、自然環境への配慮等について具体的な方策が明らかにされなければならないことは当然であります。県としては、名護市と連携しながら基本条件の実現が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。
名護市の基本条件は7項目あり、これに対する県の取り組みについて申し上げます。
まず第1項目、2項目の「安全性の確保」と「自然環境への配慮」については、9回にわたる代替施設協議会での協議を経て、昨年7月、基本計画が決定されたところであり、去る1月28日には新たに代替施設建設協議会が設置されたところであります。今後、地域の住民生活や自然環境に著しい影響を及ぼさないよう政府や地元市町村等と緊密に協議してまいりたいと考えております。
次に、3項目と5項目の「既存の米軍施設等の改善」及び「基地使用協定」については、これまで実務者連絡調整会議において協議してきたところであり、引き続き協議が進められることから県としても協力してまいりたいと考えております。
さらに、4項目と6項目目の「日米地位協定の改善及び当該施設の使用期限」並びに「基地の整理・縮小」については、長い間、過重な基地負担を背負わされてきている沖縄の現状や課題について全国民がもっと認識し、日本全体の問題としてしっかりと受けとめていただくようあらゆる機会に要望しているところであり、引き続き強く求めてまいります。
最後に、7項目目の「持続的発展の確保」については、第14回沖縄政策協議会で了解された事項を踏まえ、移設先及び周辺地域を含めた活力ある北部地域の形成を図るため、金融業務特別地区制度や情報産業特別地区制度の活用等産業の振興による就業機会の増加を図るなど着実に実績を上げつつあり、定住条件としての生活環境の整備を促進していきたいと考えております。
○企画開発部長(与儀朝栄) 国連機関等の誘致に向けた「国際交流拠点形成調査」についてお答えいたします。
内閣府沖縄担当部局においては、平成15年度に国連機関等の誘致の可能性を含めた「国際交流拠点形成調査」を行う方向で検討を進めていると承っております。
国連機関を含む国際機関等の誘致は、本県の目指すアジア・太平洋地域の交流拠点形成に大きく寄与するものと考えております。このため、県においても平成14年度に県独自の「国際貢献拠点形成可能性調査」を実施しているところであり、これを受け、平成15年度は国と連携し具体的な機関の誘致可能性を調査検討したいと考えております。
○福祉保健部長(新垣幸子) 人間の生命の尊厳及び生命の安全を守ることについて、食品衛生法の抜本改正に伴う対応についてお答えいたします。
今国会に提案されております食品衛生法の改正案では、その目的が、食の安全の確保を図ることにより、公衆衛生の向上及び増進に寄与することから国民の健康の保護を図ることを明確にしております。改正案が可決された場合、県では、地域における食品関連事業者の施設の設置状況、食品衛生上の危害の発生の状況、その他地域の実情を勘案して「食品衛生監視指導計画」を定め、その実施の状況について公表することとなります。
また、営業者による食品の安全確保への取り組みの推進と食中毒等飲食に起因する事故への対応の強化が盛り込まれる予定であり、県としましても食の安全確保に努めていきたいと思っています。
同じく輸入食品の安全対策の強化について。
輸入食品に関する事務は国が行っておりますが、国では、昨年、中国産ホウレンソウの違反事例が多発したため9月に食品衛生法を改正し、特定の国・地域において製造等がなされた食品または添加物について、食品衛生上の危害発生防止のために特に必要があると認める場合には販売、輸入等を告示をもって禁止することができることとされました。
さらに、今通常国会においても輸入食品の監視・指導の適切な実施を確保するため監視・指導の指針と計画の策定及び公表、外部検査機関を活用したモニタリング検査等を内容とする食品衛生法の改正案を提出しております。
消費者の食の安全意識の啓発等について。
消費者に対する食の安全につきましては、県では、食品衛生週間等を通じ啓発活動を行っています。また、マスメディアを活用するとともに、社団法人沖縄県食品衛生協会等と連携して県民の食の安全に対する意識の高揚を図っているところであります。
なお、学校、保健所及び地域の食生活改善推進員が連携して子供のときから食について考える習慣を身につけさせることや、食の選び方等を学習させるヘルスサポーター養成事業等を行っているところであります。今後とも、国や関係部局と連携をしながら、子供の食育や消費者の食の安全啓発を推進していきたいと思います。
同じく公共及び民間医療機関における医療事故の実態について一括して答弁します。
公共や民間医療機関における医療事故の実態は、医療機関から県へ報告する義務がないことから把握されておりません。
なお、県立病院を除く公共及び民間医療機関の平成13年度における医療苦情等は、県が聞き取り調査を行った結果、苦情が10件、医事紛争が21件となっております。
医療苦情相談については、従来より沖縄県医師会において相談窓口を設置し対応しているところであります。
また、今後の対策として、平成14年10月1日から医療法施行規則第11条に基づき、病院及び有床診療所に対し安全管理指針の整備や安全管理委員会の設置等が義務づけられ、安全の確保のための体制整備が進められているところであります。県におきましては、各医療機関や関係団体等に改正医療法施行規則の周知を図るとともに、安全な医療を提供するためのパンフレットを配布するなど、医療安全対策の推進に努めております。
また、各医療機関に対する指導等については、保健所が行う医療監視の際に医療機関の医療安全管理体制について監視・指導を行っております。
診療報酬のチェック体制について。
国、県は保険医療機関及び保険薬局に対して、保険診療の適正な請求事務が行われるよう個別または集団指導を行っております。
医療機関等から請求される診療報酬明細書(レセプト)は、保険者が委託する国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金の審査委員会で審査し、その後、各保険者において再度点検を行っております。
審査委員会は、保険医等を代表する委員、保険者を代表する委員及び公益を代表する委員の三者で構成されています。
なお、審査委員会は必要がある場合、都道府県知事の承認を経てカルテその他の帳簿書類の提出・提示、関係者の出頭を求めて検査をすることができることとなっております。さらに、疑義が生じた場合は随時調査を実施しております。
それから福祉・医療行政について、本県の特殊事情を踏まえた対策について。
本県の合計特殊出生率は1.83で、全国平均は1.33となっており全国一を誇っております。一方、保育所入所待機児童の割合や認可外保育施設利用児童数は全国よりも極めて多い状況にあります。
このような状況を踏まえ、「新おきなわ子どもプラン」において、当面の待機解消目標を3500人に設定して保育所整備に積極的に取り組んでいるところです。
15年度は、認可外からの移行を含め16カ所の創設等により約1000人の待機解消を図る計画です。しかしながら、認可保育所の整備が進むにつれて新たな需要が考えられることから、整備の状況と待機児童の推移を見ながらさまざまな施策に取り組んで待機解消を図っていきたいと考えております。
国では、子育て支援策を強化するため「次世代育成支援対策推進法案」(仮称)及び児童福祉法の改正等を準備しており、15年度は市町村において具体的な行動計画策定のためのニーズ調査も予定されております。県においては、市町村との連携を強化し、これらに迅速に取り組み、本県の抱えている課題への対応も含め子育てに適した環境の整備を図ってまいります。
措置制度から支援費制度への移行について。
支援費制度は、利用者の立場に立ったサービスを提供するため、身体障害者や知的障害者の方々がみずから利用したいサービスを選択し、施設等事業者との間で直接に契約を行いサービスの提供を受けるものであり、平成15年4月から実施されることになっております。
なお、在宅サービスで国が示しているホームヘルプサービスの国庫補助基準案は個々のサービスの上限を定めるものではなく、また市町村におけるサービス量を制約するものではないとしていることからサービスの水準は確保されるものと考えます。県としましては、制度の円滑な実施を図るとともに、市町村や事業者に対し個々のニーズに対応したサービスの提供の助言等を行ってまいります。
続きまして、臍帯血大規模移植センターについて。
骨髄移植は、提供者と患者との間で白血球の型を一致させる必要がありますが、一致する確率が数百から数万分の一と少ないため、待機している間に病状が悪化して亡くなる患者さんもおります。
臍帯血とは、胎盤とへその緒に含まれている約100ccほどの血液のことを言っておりますが、臍帯血移植とはその血液を利用するものであり、骨髄移植に比べると白血球の型をすべて一致させる必要がありません。また、患者と提供者との調整も必要がないことから短期間での移植が可能となり、移植の機会も多くなることなどの理由から臍帯血移植事業が平成11年度から推進されてきております。
現在、臍帯血バンクが全国に10カ所ありますが、臍帯血大規模移植センターについては、厚生労働省の造血幹細胞移植委員会の審議を見守っていきたいと思います。
続きまして、不妊治療への公的支援について。
近年、生殖補助医療技術が進歩し不妊に悩む夫婦にとって明るい展望の兆しがあります。
体外受精などの高度な治療は、成功率が低いことや母体の安全性の確保や倫理観の問題などから厚生労働省では保険給付の対象外としており、高額な医療費を個人で負担する課題があります。現在、都道府県で不妊治療への公的支援を行っているところはありませんが、県外では少子化対策の観点から市町村の単独事業として保険対象外への助成などを行っているところが27市町村あります。
不妊治療への公的支援については、他県の取り組み状況などを参考にして今後の検討課題にしたいと考えております。
離島振興についての離島医療について。
多くの離島・僻地を抱える本県にとって医療の確保は重要な課題であります。県としては、離島・僻地勤務を条件とする自治医科大学への学生の送り出しや、中部病院における医学臨床研修事業の中で総合的な診療ができるプライマリーケア医を養成するとともに、厚生労働省の医師派遣事業等により離島の医師確保等に努めております。また、沖縄県ヘリコプター等添乗医師等確保事業などにより離島における救急医療の充実・強化を図っています。
さらに、県は平成14年4月に「へき地医療支援機構」を設置し、研修等で離島診療所の医師が島を離れる際の代診医派遣や研修の企画調整等を行うとともに、診療支援や最新の医療情報等を提供する「離島・へき地遠隔医療支援情報システム」を運用しております。
同システムは、中部病院における講義等をリアルタイムで診療所で受け、質問等の応答もできる遠隔講義や、県立病院や診療所間で多方向にやりとりできる遠隔会議などを行う「多地点テレビ会議システム」を導入するなど拡充を図っております。県としましては、今後ともこれらの施策・事業を推進し、離島に勤務する医師の支援など医療の充実・確保を図ってまいります。
以上でございます。
○農林水産部長(天願貞信) 生命の安全を守ることについての、トレーサビリティー導入促進総合対策事業と牛肉のトレーサビリティーシステム確立促進事業について一括してお答えいたします。
トレーサビリティー導入促進総合対策事業は、園芸作物や養殖水産物等について、いつ、どこで、どのように生産・出荷されたのかなどの情報を消費者が確認できる体制を整備する事業であります。
主な内容としては、園芸作物の植えつけ時期、肥料・農薬の使用状況や養殖水産物の飼養状況等の生産履歴を整備し、これらの生産履歴を消費者へ情報発信するシステムを構築することといたしております。
また、一方の牛肉のトレーサビリティーシステム確立促進事業は、牛の生産履歴情報のデータベース化を行い、インターネットを活用して消費者がこれらの情報を確認できる体制を整備する事業であります。平成14年1月から牛の個体識別のための耳標装着を行っておりまして、平成15年度には新たに家畜飼料の使用状況の記帳、その確認と巡回指導等を実施し、データベースシステムの構築を図ってまいります。これらの施策・事業の展開により、消費者に安全で安心な農水産物の供給を図ってまいりたいと考えております。
以上であります。
○病院管理局長(新田宗一) 県立病院における医療事故の実態と対策についてお答えいたします。
県立病院におきましては、県民の健康保持のため良質な医療を実践するとともに、民間医療機関において対応が困難な救命救急医療や高度・特殊医療を実施いたしております。
このような中、病院現場における医療の実施に当たっては、常日ごろから細心の注意を払いつつ医療事故の発生予防に努めているところでありますが、残念なことに昭和47年の復帰以降、30年間に7つの県立病院で発生した事案としましては、県が勝訴した3件を含め裁判や和解等で解決したものが26件、裁判中のものが7件、患者側から苦情の申し入れがあり調整中のものが19件となっております。
病院管理局としましては、平成12年3月に策定した「医療事故予防対策についての基本指針」に基づき病院管理局及び各県立病院に「医療安全推進委員会」を設置し、事故の分析や予防マニュアルの周知徹底等医療事故の発生予防対策に鋭意努力をしているところであります。
さらに、平成15年4月からは医療事故発生時の原因究明と発生防止を一層強化するため各県立病院に医療安全管理部門を設置し、院内指導体制を充実・強化していくことといたしています。
次に、行政改革の中で県立病院のあり方についての御質問にお答えいたします。
本県の医療事情は、昭和47年の復帰時においては全国に比べかなり立ちおくれた状況にあったことから県立病院を拡充・強化し、県民の医療を確保してきた結果、県立病院主導の医療供給体制が形成されてきております。本県の特徴としまして、市町村立病院等の公立医療機関が少ないことから、県民医療に対する県立病院の負担が全国の平均と比較して病床数で2.5倍、入院患者数で2.5倍、外来患者数で3.1倍と過重な状況にあります。
一方、近年は民間医療機関の整備も進展しており、これら民間医療機関と県立病院との機能、役割の分担を明確にしていくことが求められております。
また、県立病院事業の経営は平成13年度決算において約25億円の純損失を計上し、累積欠損金が約328億円となるなど厳しい経営状況が続いております。その一方で、民間で実施困難な高度・特殊医療や救命救急医療、離島医療の実施及び支援など、公的医療機関に対する医療ニーズも引き続き存在しております。
このような状況に適切に対処していくためには、県立病院が提供すべき医療についてその機能、役割等を抜本的に見直す必要があることから、去る1月24日に「県立病院の今後のあり方検討委員会」を設置し、県立病院の今後のあり方についての検討を進めているところでございます。
以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) 治安の安全について、まず最近の犯罪形態の状況についてでありますが、県内の昨年中における刑法犯の認知件数は2万5000件を超え、5年連続最悪の記録を更新するなど量的に大きくふえております。内容的にも、従来の犯罪のほかにストーカー犯罪やドメスティック・バイオレンス、いわゆるDV事案、ハイテク犯罪等新たな形態の犯罪も増加しております。
ストーカー事案は、平成12年の法施行後、昨年末までに818件認知したほか、DV事案も一昨年の法施行後、昨年末までに365件受理しております。
ハイテク犯罪は、昨年11件検挙したほか、ハイテク犯罪等に関する相談件数も昨年は286件と対前年比で倍増しております。
また、少年事件も昨年発生した実兄殺人事件や、高校生など4名による集団暴行致死事件のように悪質、凶悪化、低年齢化が顕著であります。
このような犯罪情勢を反映して留置人の数も増加し、昨年は3573人で前年比617人の増加、平成6年との比較では倍増しているほか、警察安全相談も昨年は1万17件と前年比2433件、32%増加するなど警察業務は量的に増大し、質的にも大きく変化してきている状況にあります。
次に、犯罪検挙の状況についてでありますが、昨年の刑法犯検挙件数は4694件と前年と比べ574件減少しましたが、検挙人員は3834人で前年より490人増加しております。
なお、検挙率については殺人、強盗などの重要犯罪の検挙率は69%でありましたが、刑法犯全体の検挙率は18.3%と大変厳しい状況になっております。
検挙率低下の要因としては2つの側面が考えられます。1つは、検挙率の分母である犯罪の認知件数が国民の規範意識の低下や地域社会の連帯感の希薄化などにより大幅に増加していることであります。
もう一つは、分子である検挙件数が認知件数の増加によりその対応に追われ余罪の捜査にまで手が回らないこと、犯罪の組織化や国際化などで必要な捜査負担が増加していることなどにより低下していることであります。
なお、全刑法犯の検挙率という数字は、重大な犯罪である殺人も検挙1件、比較的権利侵害の度合いが低い犯罪も同様に1件として計上される点に留意する必要があるというふうに考えております。
それから対策としましては、県警として「身近な犯罪抑止総合対策」に基づき犯罪発生実態の分析に基づく犯罪多発時間帯・場所に警察官を集中配置し検挙・抑止活動を推進するとともに、県民の自主防犯活動の推進に資するための犯罪情報の発信などの施策を強力に推進するほか、捜査支援システムの活用、科学捜査力の強化など警察装備の充実を図り、検挙向上に努めているところであります。
次に、警察官OB等を活用した防犯サポート体制についてでありますが、先ほど説明しましたとおり、非常に厳しい犯罪情勢を踏まえて県警としましては犯罪の抑止と検挙に全力を挙げているところでありますが、警察のみで犯罪を抑止することは困難であり、関係機関・団体、ボランティア等との連携が不可欠であると考えております。
そこで、警察官OBには現職時代に培った専門的な知識を生かし、現在交番相談員として13人、警察安全相談員として10人活動してもらっております。そのほかに、毎年増加傾向にあります留置管理業務のうち、被留置人の衣類の洗濯等の業務についてその支援要員3名を新たに警察署に配置するよう来年度予算案に計上しているほか、沖縄県緊急地域雇用創出特別事業計画の一環として少年、生活
安全、交通関係の業務について支援要員を活用しているところであります。しかしながら、まだまだ支援体制は十分とは言えませんので、今後とも引き続きその拡充について検討していきたいと考えております。
最後に、警察官の増員計画についてであります。
警察庁におきましては、犯罪の著しい増加や新しい治安課題の出現及び国民に身近な犯罪の増加など、治安情勢が全国的に悪化していることから、平成14年度から16年度までの3カ年で地方警察官約1万人増員することを総務省と合意しております。平成14年度は45の都道府県で4500人が増員され、平成15年度は31の都道府県で4000人の増員が認められております。その中で県警では、知事や県議会の御支援により平成14年度は50人が増員され、平成15年度も引き続き110人の増員が認められたところであります。平成16年度につきましても、県内の治安実態を踏まえ、引き続き増員の要請をしていきたいと考えております。
なお、増員された分につきましてはその効果を最大限に生かし、県民生活の安全・安心を確保する活動に邁進していきたいと考えております。
以上です。
○総務部長(當銘直通) 行政改革の、過去2回の行革による成果についてお答えいたします。
平成8年3月に策定した「新沖縄県行政改革大綱」においては、計画期間の3年間で443件の事務・事業の見直し、補助金の見直しによる18億3000万円の節減、本庁の福祉と保健部門の再編・統合等の組織機構の簡素合理化、公社等外郭団体について1団体の廃止、6団体の統合などを実施してまいりました。
また、平成12年3月に策定した現行の「沖縄県行政システム改革大綱」については、平成12年度及び平成13年度の2年間で723件の事務・事業の見直しによる33億1800万円の節減、補助金の見直しによる11億1200万円の節減、事業費がおおむね10億円以上の県単独事業等による建物整備の抑制などの財政健全化の取り組み、民間の経営的視点を取り入れた行政評価システムの導入、福祉事務所と保健所の統合等の組織機構の簡素合理化などを実施してまいりました。
なお、3年間の実績については今年度終了後に取りまとめをいたします。
次に、今回の行革による期待される成果について、関連しますので一括してお答えをいたします。
県は、現行の「沖縄県行政システム改革大綱」に基づき効果的かつ効率的な行政運営を推進しているところでありますが、新たに策定する「新沖縄県行政システム改革大綱」においては、基本理念を「県民本位の成果・効率重視のスマートな行政」とし、県民満足度の向上を図るため県民視点に立った成果・効率重視の行政を一層推進する考えであります。
具体的には、1、行政評価システムの活用による成果主義の導入、民間能力の活用、職員へのコスト意識の徹底等を図り、効果的かつ効率的な行政運営を推進します。2、本県の厳しい財政状況を踏まえ、事務・事業や補助金の整理合理化などにより財政健全化を図ります。3、県民ニーズが直接施策に反映されるシステムを構築するとともに、職員の意識改革を進め、県民サービスの向上を図ります。その他NPO、ボランティア団体等多様な主体との協働による行政運営を推進します。
また、公社等外郭団体の事業及び組織全体について検証を行い、統廃合を含めた抜本的な見直しを行います。
次に、公用車の効率的運用についてお答えいたします。
公用車の効率的運用については、職員の業務量の平準化、繁忙期の応援態勢、公用車の適正管理を図るため、平成11年度に本庁各部総務課に配置されていた車両を集中化し、現場調査や巡回相談等の事務・事業への対応など業務の効率化に努めたところです。また、平成12年度には北部合同庁舎の車両を、平成13年度には南部合同庁舎の車両を集中化したところであります。
公用車の集中化に伴い、北部地域から本庁への職員輸送や出先機関と本庁との文書収受の配送業務をシステム化し、業務の効率化を図るなど改善を行っているところであります。
以上であります。
○商工労働部長(花城順孝) 中小企業支援策についての、資金繰り円滑化借換保証制度についての御質問にお答えします。
国においては、中小企業の月々の返済額の軽減と資金調達の円滑化等を推進することを目的として、平成15年2月10日から資金繰り円滑化借換保証制度、いわゆる借換制度の取り扱いを開始しております。
同制度は、保証付借入金の借りかえや複数の保証付借入金の債務の一本化等が対象になっております。具体的には、中小企業金融安定化特別保証の借りかえや一般保証またはセーフティーネット保証などの既往借入金の借りかえが対象となっております。
また、借りかえに当たっては追加的に新たな融資、増額融資を受けることができることや、保証期間が10年以内と長期の保証制度となっております。同借りかえ制度につきましては、国において金融機関に対し積極的な対応を指導するとともに、中小企業者への制度の周知に努めており、中小企業者の同制度の活用を大いに期待をしております。
次に、売掛債権セーフティーネット保証制度の拡充についての御質問にお答えします。
売掛債権担保融資保証制度の拡充につきましては、これまでに3回、手続の簡素化や改善を行っております。これにより、契約が締結された段階から融資が受けられるようになったことや保証期間を1年とする等の改正が行われております。
また、県では平成15年2月14日に沖縄県が発注する物品の製造、買い入れ、売り払い等の競争入札参加資格者を対象として売掛債権担保融資保証制度説明会を実施し、積極的な活用を指導しております。
同制度による沖縄県の実績は、平成15年1月末で保証承諾4件、2億2770万円にとどまっていることから、国、県及び保証協会と連携し、同制度の周知徹底や金融機関に対する利用促進を働きかけてまいります。
セーフティーネット保証制度は、取引先企業の倒産や事業活動の制限、取引金融機関の破綻等により経営の安定に支障を生じている中小企業者について保証限度額の別枠化等を行う制度となっております。
セーフティーネット保証制度の拡充につきましては、業況の悪化している中小企業者の平均売上高の要件緩和──従来は10%減少というものを5%減少というものに対象を広げておりますが──要件緩和を実施しております。
さらに、平成14年12月16日より金融機関の経営合理化により、借り入れの減少など経営の安定に支障が生じている中小企業者や整理回収機構に貸付債権が譲渡された中小企業者のうち、再生可能性のある者の資金調達を図るための措置を加えております。
同制度による沖縄県の実績は、平成15年1月末で保証承諾43件、11億290万円となっております。
次に、政府系金融機関の融資制度の拡充についての御質問にお答えします。
政府系金融機関である沖縄振興開発金融公庫や商工中金の融資制度につきましては、平成14年10月30日に国が取りまとめた「改革加速のための総合対応策」に基づき、平成15年2月3日より中小企業金融対策が実施されております。
具体的には、沖縄振興開発金融公庫では経済再生改革対応緊急貸付及び企業再建資金の2つの特別貸し付けを創設しております。また、商工中金では経済再生改革対応緊急貸出制度及び企業再生支援貸出制度の2つの特別貸し付けを創設しております。さらに、融資制度の拡充につきましては、セーフティーネット貸し付けの中小企業運転資金円滑化資金の限度枠の引き上げや、DIPファイナンスについて貸付額の担保徴求の免除の拡大、これは50%から75%に拡大したものでありますが、そういったことと、中小企業倒産対策資金の貸付対象を追加する等の措置が講じられております。
次に、政府の打ち出した税制度についての御質問に一括してお答えをいたします。
平成15年度中小企業関連税制の改正は、経済の根幹を支える中小企業の活力を維持・発展させ、景気の回復を目指していくものであると考えます。特に、新たに創設されるIT投資促進税制は、IT分野のソフトウエア及びハードウエアへの投資を行う企業に対して税額控除等を認めるものであり、情報産業の振興を目指す本県にとって多くの中小企業による活用が期待されます。
また、研究開発を促進するために拡充される中小企業技術基盤強化税制についても、県内中小企業の研究開発の活発化を促進していくことが期待されます。そのほかの事業承継税制、留保金課税の停止及び交際費課税の非課税枠の拡大等も中小企業のやる気を促進し、新たな需要の喚起を図っていくものであると考えます。
なお、この税制改正の周知については、商工会や商工会議所等において税務相談に応じるほか、講習会等において指導していくことになっております。県としましても、県内中小企業に対し今回の中小企業関連税制改正の周知を図り、県内中小企業の経営基盤強化を支援していきたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(津嘉山朝祥) 教育改革について、教育基本法についての所見を聞きたいという御質問にお答えをいたします。
教育の基本理念と基本原則を定めた教育基本法は、新憲法のもと、昭和22年に公布・施行された法律であり、制定後50年余にわたり我が国の教育に重要な役割を果たしてきたものだと考えております。しかしながら、同法の制定当時と社会状況は大きく変化をし教育のあり方も変容を遂げてきていることから、現在、教育基本法についていろんな意見があることも事実であります。
新しい時代にふさわしい教育基本法のあり方については、文部科学大臣が中央教育審議会へ諮問をし、その中間報告が昨年11月14日に示されております。教育の根本法である教育基本法の改正については、各方面からの多様な意見を集約するなど十分に時間をかけた慎重な論議が不可欠であり、今後、中央教育審議会の審議や国民的な論議の推移を注意深く見守っていきたいと考えております。
次に、地域の実情に合った教育特区についての御質問にお答えをいたします。
本年1月末に閣議決定されました「構造改革特別区域基本方針」では、全体で80の特例措置事項を設けることが決定され、そのうち教育に関するものには15の特例措置があります。その主なものは、小学校段階からの英語教育など教科の自由な設定が可能となることや不登校児童生徒に配慮した教育などがあります。
この構造改革特区制度は、本年4月から本格的にスタートすることになっており、本県としては小学校における英語教育の実施などに向けて現在取り組んでいるところであります。また、不登校に関する「教育特区」については、現在、国においてNPOの参入なども含めて検討が行われており、県教育委員会としては国や他の地方公共団体の動向を見きわめ、より効果的な対策をとっていきたいと考えております。
なお、県教育委員会では、不登校児童生徒の問題について適応指導教室への教育相談員の配置を初めスクールカウンセラー、心の教室相談員、不登校対策加配を各学校に配置するなど効果的な対策に努めているところであります。
次に、環境教育の現状と今後の取り組みについての御質問にお答えをいたします。
学校における環境教育は、身近な環境に目を向け、環境保全に積極的に参加する実践的な態度、能力を身につけさせることをねらいとして各教科、特別活動及び「総合的な学習の時間」等、学校教育活動全体を通して取り組んでおります。
県教育委員会としましては、環境教育を推進するため環境教育指導資料の作成、環境学習指導講座の実施、環境教育推進校・推進地域の指定、文化環境部と連携した自然体験活動等の諸事業を実施いたしております。さらに、平成13年度から小中学校における「ちゅら島環境21」の開催、高等学校における「高校生グリーンデー」の実施など実践的な活動を展開をいたしております。
地域社会においては、一般社会人を対象とした広域的な生涯学習サービス講座の中で地球の温暖化問題や地域の環境問題等についての理解を深め、地域の森林保全や河川の蘇生活動、資源のリサイクル活動等についてフィールドワークを行い、実践的活動を取り入れた環境教育が取り組まれております。さらに、地域婦人会活動では、「生活学校」の取り組みの中でごみの減量化運動や生活排水の浄化活動、資源ごみのリサイクル活動、地域の環境美化活動等に取り組んでおります。
今後とも地球的視野に立ち、環境教育の充実を図るとともに、地域や関係機関を網羅した総合的かつ実践的な環境教育を推進していきたいと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(永山政邦) 離島における産業廃棄物処理施設の現状と計画についてお答えいたします。
離島19市町村における産業廃棄物処理施設は、7市町村において民間の処理業者により7施設が設置されております。未設置の12町村においては、公共工事に伴って排出されるコンクリ-ト殻等の瓦れき類や、農業用廃プラスチック類については4村が保管場所を確保し、8町村においては事業者みずから保管場所を確保して対応しております。また、木くず等については5町村の焼却施設や最終処分場を活用して処理しております。
医療系廃棄物などについては、処理施設がないため沖縄本島で処理をしております。
産業廃棄物処理施設の整備については、現在、1村において管理型最終処分場の整備が進められております。
県としては、産業廃棄物については事業者みずから処理責任を有していることから、関係部局と連携のもとに排出事業者や市町村に対し、分別の徹底及びリサイクルの推進により排出量をできる限り抑制するよう指導を行い、適正処理を促進していきたいと考えております。
次に、離島市町村のごみ処理施設の現状と計画についてお答えいたします。
離島19市町村におけるごみ焼却施設の整備は、12市町村で8施設が整備され、7町村においては、平成14年度から19年度にかけて整備する計画であります。現在のところは沖縄本島の処理施設等で処理しております。また、最終処分場は10市町村で7施設が整備されており、9町村においては、4町村が平成14年度から18年度にかけて整備する計画となっております。
県におきましては、未整備の5村については早期に整備計画を策定するよう指導しているところであります。県では、引き続き国や市町村と十分な調整を図りながら、国庫補助制度を活用して廃棄物処理施設の整備を計画的に促進していきたいと考えております。
○土木建築部長(安慶名正行) 離島振興の、離島の県営住宅建設についてにお答えいたします。
離島における公営住宅の建設状況は、平成13年度末までに県営住宅2293戸、市町村営住宅2539戸、合計で4832戸建設されております。これを世帯数に対する割合で見ますと離島全体では10.3%となっており、県全体の建設戸数の世帯数に対する割合は6.8%となっております。
本来、公営住宅は、それぞれの地域における住宅需要をきめ細かく把握している各市町村が行うことが望ましく、県はその補完的役割を担うこととしております。
また、現在、老朽化した県営住宅が多く建てかえが緊急な課題となっております。したがいまして、今後、離島におきましては定住促進等のための市町村営住宅の建設を推進し、県営住宅については老朽化した住宅の建てかえ等に重点を置いて実施してまいりたいと考えております。
多良間村においては、平成13年度末までに60戸の村営住宅を建設しており、平成14年度以降も村営住宅の建設を計画しております。これらの建設計画の予算配分についても引き続き優先して要望にこたえていきたいと考えております。
○地域・離島振興局長(屋嘉部長市) 離島振興のうちの交通網の整備についてお答えをいたします。
本県は、我が国有数の離島県という地理的特性から航空交通、海上交通及び陸上交通の体系的な整備拡充は離島振興を図る上で重要な課題となっております。このため、「沖縄県総合交通体系基本計画」や「新沖縄県離島振興計画」の中でも交通体系の整備は重要な課題として位置づけ、離島空港、港湾及び道路等の整備を促進するとともに、航空、海上及び陸上交通の維持・確保を図りながら、これら相互間の有機的な連携の強化に努めることといたしております。
○宮里 政秋 私は、日本共産党県議団を代表して質問します。
最初に、アメリカのイラク攻撃について伺います。
今、世界の圧倒的多数の国がアメリカの一方的な武力行使に反対し、国連憲章の枠組みでの平和的解決を求めています。
イラク問題でひたすら戦争に訴えようとするアメリカが孤立を深めています。戦争に反対し、平和解決を求める世論と運動が史上空前の広がりを見せています。今月の14日から16日にかけて5大陸78カ国、600を超える都市で1000万人以上の人々が戦争反対の声を上げ、行動しました。これほどの反対運動が広がること自体、空前のことと言われています。
イラクは査察に誠実に応じよ、戦争反対・査察を通じて平和解決を、これが国際社会の圧倒的世論であります。
今、国際社会が求めているのは、あくまでも査察を継続し、平和的な手段でイラクの大量破壊兵器の廃棄を実現することであります。国連安保理では、12対3の圧倒的多数で査察の継続が支持されました。国際紛争は、武力によらず平和的に解決するというのが国際社会で確立された公理であります。これは、人類が2つの世界大戦の多大な犠牲の上にかち取った成果であります。この国連憲章の理念を、より徹底して自国の憲法に明記したのが我が国の憲法第9条であります。日本は、戦争をしない国として世界に誓いました。したがって、アメリカに武力行使はさせない、この努力こそ日本はやるべきであります。
ところが、小泉内閣はイージス艦をインド洋に派遣しました。そのことは、日本がアメリカの武力行使を視野に入れてアメリカと一体化して戦争をしかける立場に立っていることを国際社会に明らかにしたことを意味します。イージス艦派遣について識者は、テロリストたちは日本に注目し、日本をテロのターゲットにするようになるでしょう。アメリカによい顔をしようとして国民を危機にさらすもので、イージス艦派遣は最悪の選択だと、このように述べています。
イラク戦争が始まれば、沖縄県民は、沖縄基地がその出撃拠点となることに大きな不安と懸念を抱いています。アメリカが「ならず者国家」と呼ぶ国や「悪の枢軸」と決めつける国を攻撃し日本が後方支援をすれば、当然反撃を受けることになります。
〔副議長退席、議長着席〕
日本は、戦後50有余年、他国を侵略したことも、侵略されたこともなく今日に至っています。それは憲法9条の理念を貫いてきたからではありませんか。日本は、憲法9条に基づいて外交努力をしてこそ国際社会に名誉ある地位を占めることができるのであります。
稲嶺知事は、昨年、復帰30年を記念して次のようなメッセージを発しました。復帰30周年の記念すべき年に沖縄平和賞を授与し、平和を希求する沖縄の心を世界に向けて発信したいと述べられました。アメリカがイラクを攻撃したら50万人のとうとい命が失われ、200万人の難民が生じると国連は予測しています。
平和が危機にさらされようとしている今こそ、声を大にしてイラク戦争反対、沖縄からの出撃反対の平和を希求する沖縄県民の平和の心を世界に発信すべきではありませんか。稲嶺知事の御答弁を求めます。
次に、違法献金疑惑について伺います。
最近、公職選挙法違反の疑いで逮捕される事件が相次いで起きています。昨年2月の長崎県知事選挙をめぐり、特定寄附の要求などの疑いで元県議らが逮捕されました。本県でも宜野湾市長選挙で現職の比嘉盛光市長の後援会が市発注の公共工事を受注した業者に寄附を要請し、3社から計約300万円を受け取ったとして公職選挙法違反容疑で後援会長ら幹部4人が逮捕されました。20日に仲村正治衆議院議員の政策秘書が逮捕され、21日には県商工会連合会の前会長がそれぞれ公職選挙法違反容疑で逮捕されました。
今回の一連の被疑事件の特徴は、公職選挙法違反容疑で政治献金を摘発したことにあります。選挙にかかわりない政治献金を装い、政治資金規正法で届けているからと規制を逃れてきたことがもはや通用しなくなったことを意味します。
政治と金をめぐる問題は根が深く、昨年は秘書給与や口きき疑惑などで4人もの国会議員が辞職しました。これらの教訓を生かし、少なくとも公共工事を受注する企業の政治献金は禁止すべきであります。ゼネコンの関係者は、企業にとって献金は背任と贈賄のはざまを綱渡りするようなものだと述べています。政治倫理の確立こそ国民・県民の政治不信解消のために最も急ぐべき改革ではないでしょうか。
そこで知事に伺います。
長崎県知事選挙、宜野湾市長選挙における公職選挙法違反被疑事件について知事の御見解をお聞かせいただきたい。
昨年の県知事選挙で稲嶺知事候補の選挙母体「21・沖縄の未来をひらく県民の会」に沖縄県経営者協会ほか113の企業の連合体が、「私達はいなみね惠一を支援します」と名を連ねています。
そこで知事に伺います。
昨年の県知事選挙でいなみね惠一後援会が県の公共工事の受注業者から献金を受け取ったことはないと言えるのか。受け取っておれば、知事はどう責任をとるのか、お答えいただきたい。
次に、県選挙管理委員会に伺います。
県選管として、宜野湾市長選挙及び県知事選挙に際し、公職選挙法第6条に基づく指導を行ったのか、お答えいただきたい。
宜野湾市長選挙で現職の比嘉盛光市長の後援会幹部4人が公職選挙法違反容疑で逮捕されました。政治資金規正法違反容疑も視野に捜査が進められていると報道されています。県選管として今後どう対処されるのか、お答えいただきたいと思います。
次に、髙橋県警本部長に伺います。
宜野湾市長選挙に絡む違法献金事件で県警は、比嘉盛光市長の後援会幹部4人を逮捕し、20日には仲村正治衆議院議員の政策秘書、21日には県商工会連合会の前会長をそれぞれ公職選挙法違反容疑で逮捕しました。相次ぐ逮捕事件の概要について髙橋県警本部長の御説明を求めるものであります。
次に、那覇軍港浦添移設の日米合意について伺います。
政府と沖縄県、那覇、浦添両市は1月23日、那覇港湾施設移設に関する協議会を開き、軍港湾の位置と形状を確認しました。軍港湾は、岸壁の総延長は現行の1900メートルと同規模ですが、逆L字型を採用することにより現行の直接岸壁では不可能だった複数の艦船の同時出入も可能となり、水深も10.4メートルから12メートルにする計画です。接岸可能な艦船については、軍事専門家は、キティーホーク8万3960トンクラスの空母を含め基本的にすべての船舶が接岸できると述べています。
今回明らかになったのは全体計画の一部ですが、浦添の移設が新軍港の機能強化につながることは
明白であります。今回の計画は、かねてからの米国の要求に沿って国民の税金で老朽化した那覇軍港を最新鋭の港湾基地に切りかえるものにほかなりません。防衛庁は、米軍艦船を恒常的に展開する計画や原潜を運用する計画は承知していないとしています。まさに県民を愚弄するものと言わなければなりません。
日本政府は、過去に米軍の行動に規制を加えたことは一度もありません。それどころか、危険な米軍の相次ぐ事件・事故に対してさえ中止・廃止を言う立場にないとして米軍の演習を容認してきました。下地島空港は、軍事目的には使用させないとの確認書も県の自粛要請も、米軍はこれを無視して強行に離発着を繰り返しているではありませんか。米軍は、自由・無制限に基地を使用しています。
したがって、基地の自由使用に背く基地の使用協定を結ぶ意思は米軍にはありません。また、基地使用協定は何らの歯どめにもならないことは沖縄の現実が示しています。
今回の計画は、キャンプ・キンザーと連結してすべての米艦船が接岸できる最大で最新鋭の基地が浦添にでき上がることになります。まさに有事法制の先取りではありませんか。有事体制がしかれたら、この港湾施設は米軍基地最大の出撃拠点となることが予想されます。沖縄経済の振興につながるとの幻想を振りまき、米軍が計画した軍事基地を誘致する乱暴なやり方は直ちに中止すべきであります。
知事の御答弁を求めます。
乳幼児医療費の無料化拡大について伺います。
我が党は、代表質問、一般質問で繰り返し乳幼児医療費の無料化枠を3歳未満児から小学校入学前の6歳未満児まで拡大するよう求めてきました。これに対して稲嶺知事は、実施主体である市町村の意向を尊重し、予算措置などの条件が整い次第、早期に実施したいと前向きの御答弁をなさいました。
実施に当たっては、制度改善も含め次の4点について実現されるよう求めるものであります。
(1)つ、乳幼児医療費の無料化を6歳未満児まで実施すること。
(2)つ、自己負担なしの入院・通院の区別をせず助成すること。
(3)つ、支払い方法を現物給付(窓口無料)にすること。
(4)つ、乳幼児医療費無料制度を国に求めること。
以上、4点についてそれぞれ御答弁を求めます。
次に、県民の暮らしと県経済についてお伺いいたします。
深刻な不況が続く中、昨年はお年寄りの医療費の自己負担が値上げされました。今年は、4月から多くの自治体で介護保険料の引き上げが予定されています。健保本人の3割負担に加え、年金制度始まって以来の1%給付カット、雇用保険給付、生活保護、児童扶養手当等軒並み切り下げようとしています。
こうした小泉内閣の悪政は、県経済を直撃しています。日本一高い失業率、大型ホテルの閉鎖・倒産、農水産業の低迷、沖縄の経済はますます深刻になるばかりであります。
自殺者の多いのも沖縄です。国保税を払えない世帯が何と3割以上という深刻な事態です。短期資格証明書発行で治療を中断し病気が進行し、手おくれとなるという痛ましい事態も生まれています。高齢者の84%が非課税世帯です。納税の義務を免除しなければ生きていけないお年寄りからも、現行の介護保険料3618円を5324円とまさに1.5倍の引き上げではありませんか。長生きしたお年寄りは、罰金を取るぞと言わんばかりだと悲痛な叫びも聞かれるのであります。
失業や倒産、生活に苦しむ県民の不安に対してどう対処するのか。稲嶺知事は、解釈するのではなく解決すると公約されました。基地問題でも経済問題でも解決するどころか、事態は一層深刻になるばかりです。
我が党は、基地とリンクしない3つの経済提言を行ってきました。すなわち、沖縄の特性を生かし地元経済の足腰を強め、地元が潤う振興策をどう展開するか、ここに沖縄の経済振興に欠かせない観点があると考えます。
県外、外国の企業に依存する経済ではなく、地元の産業経済の足腰を強くする産業構造に切りかえ、そのために県がいかに行政力を発揮するか、また沖縄の農水産物、畜産物の販路拡大と価格の安定を図るために県がどのように支援していくか、このことが今強く求められています。
我が党県議団は、農水産業者と農水産物の「おきなわブランド」化の確立、付加価値の高い商品開発、販路拡大と生産物の地産地消の促進等について意見交換を行い、現場調査もいたしました。それに基づいて次の5点について提起いたします。御答弁を求めるものであります。
イ、市町村と協力して全小中学校の給食の食材に地元の農水産物を積極的に活用すること。そのための農水産物加工場をJA、漁協などに設置し県が必要な財政支援を行うこと。
ロ、県観光協会やホテル・旅館業組合、JAおきなわ、畜産組合、県漁連などと連携して必要な組織をつくり、沖縄の生産物の観光分野での消費拡大を図ること。
ハ、農林水産部内に生産者及び生産者団体と観光関連産業、本土市場を結ぶ生産物情報ネットワークをつくるなど、市場ニーズに対応できる県の体制を整えること。
ニ、生産者の要望の強い営農、経営指導員をふやすとともに、県立農業大学、農業・畜産・水産試験場など研究機関の充実・強化を図ること。
ホ、本部の栽培漁業センターの養殖種苗の専門家を増員し、養殖業における稚魚疾病対策等の指導強化を図るため魚類防疫士を増員すること。
以上、関係部局長の御答弁を求めます。
次に、基地問題についてお伺いします。
海兵隊は、県議会、県執行部及び地元名護市の意向を無視して訓練の再開を強行いたしました。レンジ10は、構造的欠陥の施設であることを米軍自身が認めています。被弾事件も究明されない中で訓練再開を容認した施設局は許せません。
農家の皆さんは、チムドンドンして仕事が手につかない、いつ弾が飛んでくるのかわからないので畑に入れないと不安と怒りの声を上げています。身の危険を感じながら農作業を余儀なくされている県民がどこにいるでしょうか。沖縄はアメリカの植民地ではありません。危険な演習施設は、県外移転ではなく廃止以外にありません。
我が党は、県民の意思を全く無視する米軍に厳重に抗議するとともに、演習の即時中止と施設の廃止を強く求めるものであります。
知事の御答弁を求めます。
15年使用期限問題について伺います。
1月28日に代替施設建設協議会が発足しました。この協議会は、環境影響評価、基地の使用協定、着工から完成に至るまですべてを含んで協議する場となっております。
ところで、稲嶺知事の公約である15年使用期限問題は協議事項から外されています。15年問題の解決なしには着工はあり得ないと主張する稲嶺知事が、15年問題が棚上げされたまま着工から完成に至るまでの協議の場に臨むこと自体、公約の破綻をみずから認めたことになるのではありませんか。御答弁いただきたい。
稲嶺知事は、2月2日の川口外相との会談で、15年使用期限問題は「「高度な政治的問題だ」と指摘し、「外務省のみならず日本政府として、しっかりと態度を決めないと解決しない」」と要望されています。
そこで質問いたします。
高度な政治的問題である15年問題は、代替施設の建設協議会で結論を出せる問題ではないと知事は認識しておられるのか、お答えいただきたい。
15年問題が話し合われない代替施設建設協議会に稲嶺知事は出席すべきではないと思いますが、どうですか。お答えいただきたい。
15年の使用期限を政府の方針として閣議決定したことがありますか。御答弁を求めます。
自民党の政調会長が15年問題で、世間では通用しないと発言しました。稲嶺知事の公約が破綻していることを政権党の政策責任者が明らかにしたものではありませんか。稲嶺知事はどのように受けとめておられますか、お答えいただきたい。
最後に、日米地位協定の見直しについて伺います。
日米地位協定の刑事裁判手続に関する特別委員会で、米軍人による殺人、女性暴行という凶悪犯については起訴前の身柄引き渡しについて「好意的考慮を払う」と日米合同委員会で正式に合意しました。しかし、昨年11月2日に発生した女性暴行未遂という凶悪な犯罪容疑者であったにもかかわらず、日米合同委員会は、米側は身柄引き渡しを拒否しました。その理由は一切明らかにしていません。
日米地位協定の本質を端的にいえば、在日米軍に全面的な行動の自由を保障するために我が国の主権を制限し、国民の基本的人権の制限の上に成り立っている極めて屈辱的な不平等条約だということであります。
本県議会は、日米地位協定の見直しを全会一致で決議を繰り返し採択して関係要路に要請してまいりました。外務委員会でも全国知事会でも同様な決議がなされています。
しかるに、日本政府は日米地位協定の見直しを米側に対し改正を要求したことはない、このことが国会答弁で明らかになりました。沖縄県以外の都道府県で日米地位協定の見直しを決議したところは1県もないという現状であります。日米両政府の厚い壁を突き破るのは県民の世論と運動を背景にした強力な折衝以外にありません。県議会のすべての会派は県民大会開催で意見一致しています。稲嶺知事も県民大会開催に前向きの姿勢を示しております。議会と執行部が共催で県民大会を開催すべきだと思います。
知事の御決意をお聞かせください。
以上、答弁によって再質問を行います。
○知事(稲嶺惠一) 宮里政秋議員の御質問にお答えをいたします。
最初は、イラク攻撃についての御質問のお答えでございます。
現在、国連によるイラクへの査察が継続されており、日本政府はこれらの問題の平和的解決のため国際協調への努力を続けているものと理解しております。県としましては、イラクの問題など平和を脅かすさまざまな課題を解決し、平和共存の世界を実現していくためには、世界の人々が相互理解に努め、国際連合を中心に連帯して問題の平和的解決に努めることが望ましいと考えております。
次に、公職選挙法違反事件についてお答えをいたします。
公職選挙法の趣旨は、地方公共団体等の契約の当事者である企業から、選挙に関する寄附がなされた場合には、その選挙及び選挙後の政策等に好ましからざる影響を及ぼすおそれがあり、それを防止しようとするものであることから、選挙の公正を確保するため同法に違反する行為はあってはならないものと考えております。
次に、知事後援会への寄附についてお答えをいたします。
御質問の件につきましては、法に従って適切に処理されているものと考えております。
次に、那覇港湾施設移設の計画についてお答えをいたします。
SACOの合意は、県、地元市町村の要請に基づき沖縄県民の基地負担の軽減を図るため、日米両政府が精力的に協議を行った結果、最終合意に達したものと理解しております。
県としては、日米両政府間で合意に達したSACO合意事案を着実に実施することが那覇港湾施設の早期返還を実現する現実的な方法であると考えております。県としては、代替施設においては基本的に現在の那覇港湾施設の機能が維持されるものであると理解しており、那覇市及び浦添市と連携して取り組んでいきたいと考えております。
次に、県民の暮らしと県経済についてのうち、経済問題や基地問題に対する認識についてお答えをいたします。
本県経済は、全国的な景気低迷の影響を受け、雇用問題を初め厳しい状況が続いているものの、情報通信関連産業を中心に企業立地が進み新たな雇用が創出されたほか、健康食品関連産業も有望な産業として成長しつつあります。
また、昨年1年間の入域観光客数は過去最高を記録し、新規求人数も増加基調にあるなど明るい動きが見られます。
基地問題については、沖縄振興計画に基地の整理縮小を明確に位置づけるとともに、旧軍飛行場用地問題を初めて記述するなど、その解決に向けて着実に取り組んでおります。
日米地位協定の抜本的な見直しについても、衆議院外務委員会や全国知事会議の決議等全国的に理解が広がっており、今後とも強力に国に求めてまいります。
沖縄振興特別措置法と沖縄振興計画には多くの制度・施策が盛り込まれております。今後、県民一体となってこれを着実に実施していくことにより、明るい未来を築いていけるものと確信をしております。
次は、レンジ10の廃止についての御質問にお答えをいたします。
昨年7月23日に名護市で発生した被弾事故について、県は事故原因の究明やキャンプ・シュワブ演習場における実弾射撃演習の廃止を要請したところであります。
しかしながら、県の要請にもかかわらず事故原因が究明されない中、米軍は去る2月21日に同施設内レンジ10においてM2重機関銃の実弾射撃訓練を再開しております。同訓練の再開は、訓練の廃止を求める地元住民、名護市、県の意向や県議会決議等に反するものであり、極めて遺憾であります。
県としては、これまでの同施設内における実弾射撃訓練による事故の発生状況や現地の訓練場の状況等を勘案すると、同施設内におけるM2重機関銃の実弾射撃訓練は危険であり、容認できるものではありません。このため、県は去る2月20日、米軍を初め在沖米国総領事館、那覇防衛施設局及び外務省沖縄事務所に対し遺憾の意を表明するとともに、キャンプ・シュワブ演習場レンジ10におけるM2重機関銃の実弾射撃訓練の廃止を強く申し入れたところでありますが、今後とも引き続き同訓練の廃止を求めていきたいと考えております。
続きまして基地問題につきまして、公約である15年使用期限と代替施設建設協議会に関する3つの御質問がございましたが、一括してお答えを申し上げます。
新たに設置された代替施設建設協議会では、「環境影響評価、設計、施工等代替施設の建設に係る事業及び「代替施設の使用協定に係る基本合意書」に基づく取組の進捗状況について報告を受けるとともに、これに関連して所要の協議を行う。」こととなっております。
15年使用期限問題は、基地の提供責任者である日本政府の高度な政治判断に係る問題であることから、内閣総理大臣を初め関係大臣にも要望してまいりました。また、この問題はあらゆる機会をとらえて発言する必要があり、これまで代替施設協議会において何度も要望し、去る1月28日に開催された第1回代替施設建設協議会においても改めて強く要望したところであります。今後とも引き続き強く求めていきたいと考えております。
次に、15年使用期限の閣議決定についてお答えいたします。
閣議決定された政府方針において、使用期限については、「沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。」としていることから、政府においてしっかり受けとめられているものと考えております。
続きまして、15年問題に対する麻生政調会長の発言についてお答えをいたします。
代替施設の15年使用期限は、基地の固定化を避けるため条件の一つとして提示しているものであり、国の責任において解決されるべきものであると考えております。
基地の提供責任を有する日本政府にあっては、使用期限の問題を含め沖縄の基地問題をしっかり受けとめることが重要であり、政府としてなお一層の取り組みが必要であると考えております。使用期限問題の解決なしには着工はあり得ないと考えており、着工までには政府から一定の方向性が示されなければならないと考えております。
報道によると、麻生政調会長は、15年で取り壊すものに1兆円かける旨の発言をしたと聞いておりますが、代替施設は15年で取り壊すものではなく、その間は軍民共用とし、返還後は民間専用空港として利活用することで北部地域の発展につなげていきたいと考えております。
また、代替施設の建設費は、第9回代替施設協議会において政府から約3300億円と見積もっているとの説明を受けております。
なお、普天間飛行場の移設については、先般、麻生政調会長に対して直接説明し理解を得たところであります。
次に、県民大会の開催についてのお答えでございます。
日米地位協定の抜本的見直しについては、行政の立場でこれまであらゆる機会をとらえて要請活動を展開してきたところであります。県としては、基地問題の解決に当たっては、行政のみならず官民一体となった全県的な取り組みが必要であると考えており、県民大会については、各界各層を網羅した全県的な大会であることが必要であると考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○選挙管理委員会委員長(阿波連本伸) 最初に、宜野湾市長選挙及び県知事選挙の際の公職選挙法第6条に基づく指導についてお答えいたします。
公職選挙法第6条第1項の規定による「選挙に関する啓発、周知等」につきましては、一般選挙人に対するものとして、毎年、青年層や女性層等の政治意識の向上を図るためのリーダー養成研修や市町村の選挙啓発担当者等を対象とした研修を実施するとともに、小・中・高校生を対象とした明るい選挙実現のためポスター募集事業や街頭啓発等を実施しております。
また、政党その他政治団体等に対しては、政治資金規正法改正の際にその内容を記載したリーフレットを配布するとともに、公職選挙法及び政治資金規正法上の寄附に関する制限等を記載した政治資金の手引を毎年送付するなど、法の周知を図っているところであります。
昨年の県知事選挙の際には、新聞、テレビ、ラジオ等を利用して投票日の周知及び投票参加の呼びかけ等を行い、また投票の方法や寄附の制限等を記載したチラシ等を全世帯に配布するとともに、県及び市町村「明るい選挙推進協議会」等と連携しての街頭啓発等を実施しているところであります。
なお、宜野湾市長選挙に関しましては、同選挙を管理する宜野湾市選挙管理委員会が広報車や広報誌などによる投票参加の呼びかけ等を実施したと聞いております。
次に、宜野湾市長選挙に係る公職選挙法及び政治資金規正法違反容疑の対処についてお答えいたします。
県選挙管理委員会としましては、選挙が公明かつ適正に行われるよう明るい選挙の実現に努めてきたところでありますが、今後ともさらに公職選挙法及び政治資金規正法の周知を図るなど、選挙人及び政党その他の政治団体等の選挙及び政治に関する意識の向上を図るべく努めていきたいと考えております。
以上です。
○警察本部長(髙橋清孝) 違法献金疑惑についての事件の概要についてでありますが、現在捜査している事件は2つあります。
1つは、比嘉盛光後援会の幹部らが平成13年7月15日に施行された宜野湾市長選挙に関し、宜野湾市と工事請負契約を締結していた宜野湾市内の建設業者から合計数百万円の寄附を受けた公職選挙法違反事件であります。
県警におきましては、去る2月4日、被疑者4名を逮捕し、翌5日に検察庁に事件送致するとともに、2月21日に共犯被疑者1名を逮捕し、23日に検察庁に事件送致したところであります。
もう一つの事件は、自由民主党沖縄県第2選挙区支部及び仲村正治後援会の会計責任者が比嘉盛光後援会幹部と共謀の上、宜野湾市内の建設業者から比嘉盛光後援会に対する数百万円の寄附を受けるとともに、比嘉盛光後援会の平成13年分の収支報告書に虚偽の記入をし、さらに自由民主党沖縄県第2選挙区支部及び仲村正治後援会の平成13年分の収支報告書にそれぞれ虚偽の記入をした政治資金規正法違反事件であります。
県警におきましては、2月20日、自由民主党沖縄県第2選挙区支部及び仲村正治後援会の会計責任者1名を政治資金規正法違反で逮捕し、翌21日に検察庁に事件送致するとともに、公職選挙法違反で拘留中の比嘉盛光後援会幹部3名についてもあわせて政治資金規正法違反で検察庁に事件送致したところであります。
○福祉保健部長(新垣幸子) 乳幼児医療費無料化についてお答えします。
乳幼児医療費助成事業は、平成11年10月から健康政策の一環として保護者の一部負担など条件を付さずに入院・通院とも実施してまいりました。また、平成15年10月からは3歳児、4歳児の入院について助成していくこととしておりますが、6歳未満児までの年齢拡大については、県、市町村それぞれ2分の1の財政負担があること、また、全県的な施策として取り組むなどの課題もありますので、引き続き市町村と調整を図りながら検討していきたいと考えております。
自己負担なしの入院・通院の助成することについて。
当該事業は、平成15年10月から3歳未満児までは従来どおりの助成を行い、3歳児、4歳児については、経済的にも医療費の負担が大きい入院について助成していくことにしております。
また、自己負担等を付した理由は、県単独事業で実施している類似の医療費助成事業などが条件を付していることを勘案し、入院1日につき700円の一部負担を付すこととしております。
自己負担なしでの助成については、実施主体である市町村の取り組み状況などを踏まえながら検討していきたいと考えております。
現物給付について。
乳幼児医療費助成事業の支払い方法は、償還払いと現物給付がありますが、本県においては、現在、各市町村とも償還払いの方式を採用しております。
市町村が現物給付を行う場合の問題点として、市町村の国保加入者のうち、市町村単独事業による現物給付の対象者が一定の割合を超えると国は療養給付費等負担金及び調整交付金を減額交付する仕組みをとっており、償還払いから現物給付への変更については、実施主体である市町村の意向を尊重する必要があると考えております。
なお、現物給付とした場合には療養給付費負担金等が減額されることとなり、その試算額は約2億2000万円となっております。
乳幼児医療費無料化制度を国に求めることについてお答えします。
少子化対策の一環として全国の都道府県すべてが実施している乳幼児医療費助成事業の国庫補助事業化については、平成14年11月に九州地方知事会から国へ共同提案しております。今後とも機会あるごとに要請をしてまいりたいと思っております。
○農林水産部長(天願貞信) 地元の農水産物を学校給食に活用することについてお答えをいたします。
県内で生産された農水産物を学校給食に安定的に供給することは、農水産業の振興を図る上で重要であります。
学校給食における平成13年度の県産農水産物の利用につきましては、ニンジン、タンカン、豚肉、モズクなどがあり、食材使用量の約4割程度となっております。
県では、これまで学校給食での県産農水産物の活用を促進するため、JAおきなわ玉城支店の牛乳処理加工施設や知念村漁協のモズク調整施設などの加工施設を整備をしております。また、学校給食での県産農水産物の消費拡大を図るためゴーヤー、パイナップル、モズクなどの料理の試食会も開催をしております。今後とも、県産農水産物の学校給食への利用拡大が図られるよう、学校給食会等関係機関との連携を密にして供給体制の強化を図っていく考えであります。
次に、旅館業組合やJAなどと連携した沖縄の生産物の消費拡大についてお答えいたします。
県産農水産物の消費拡大を図るためには、県民はもとより、観光客などに対し積極的な販売促進を行うことが重要であります。
このため、県といたしましては、現在、県、市町村、農協や観光団体などで構成する沖縄県農水産物販売促進協議会を通して県産農水産物の販売促進などの各種キャンペーンを実施しているところであります。特に、本年度はリゾートホテルと連携して延べ約3万人の観光客を対象にゴーヤー、モズク、トウガンなどを活用した沖縄産食材料理フェアを開催したところであります。
また、さらに今年度から園芸、畜産、水産、林産などを総合的に網羅した「農林水産フェアおきなわ2003」の開催を初め、「ゴーヤーの日」あるいは「マンゴーの日」を設定し、県産農水産物の消費拡大に取り組んでいるところであります。
さらに、健康・長寿県にふさわしい食文化の普及を図るため、健康保養長寿食材・メニュー開発事業により、観光客等を対象とした料理メニューの開発や伝統料理の掘り起こしなどを行っているところであります。今後とも、県内の消費拡大を初め、観光団体やホテル業界等関係機関と連携を密にして県産農水産物の販売促進に取り組んでいく考えであります。
次に、市場情報収集体制整備についてお答えいたします。
本県の農水産物が国内外産地との競争に対応するためには、市場ニーズを的確に把握した生産と需要との情報ネットワークづくりが重要であります。そのため、県としては、平成14年度から島しょ県沖縄における地域農産物流通効率化事業により、生産から販売までの情報システム構築に取り組んでいるところであります。
具体的には、消費者、市場関係者、生産者団体、観光関連団体等の関係者で構成する検討委員会を設置し、農水産物の計画的な生産・出荷、市場情報の収集・提供体制等の整備に向けた基本計画策定を進めているところであります。今後、この基本調査を踏まえ、関係機関と連携して農水産物の生産・出荷、市場情報システムの構築に努めていく考えであります。
次に、改良普及員や試験研究機関の充実・強化についてお答えをいたします。
本県の農林水産業の振興を図るためには、農業技術の普及指導や試験研究機関の充実・強化は極めて重要なことでありまして、沖縄県農林水産業振興計画の中でも重要な柱として位置づけております。
このため、農林水産業の技術開発の拠点である試験研究機関の再編・整備を推進するとともに、優良品種の開発・普及、天敵による病害虫防除、肉用牛の改良増殖、栽培漁業技術等の研究開発を推進しているところであります。
また、試験研究機関で開発された技術を農家に普及指導するため、改良普及員を対象に研修等を実施し資質の向上に努めているところであります。今後とも、技術情報提供システムの整備強化や農林漁家巡回指導等の充実・強化を図り、技術力の高い農業者の育成に努めていく考えであります。
次に、栽培漁業センターの体制強化及び魚病対策についてお答えをいたします。
沖縄県栽培漁業センターは、昭和58年の開所以来、県下の養殖漁家への種苗配布や放流事業を実施しております。栽培漁業センターでは、養殖業の進展に伴い増大している養殖漁家等からの種苗配布要望を満たすためマダイ、スギなど全7種の種苗生産を行っております。
県における魚病対応体制につきましては、現在、魚類防疫士13名を擁しており、水産試験場に2名の魚病専門の研究員を配置するなど、魚病対策の研究や指導を行っているところであります。県としては、海面養殖業における魚病対策を強化し、迅速に対応できる体制づくりを進めていく考えであります。
以上であります。
○宮里 政秋 休憩してください。答弁漏れがあります。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時24分休憩
午後3時34分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
観光リゾート局長。
〔観光リゾート局長 宜名真盛男君登壇〕
○観光リゾート局長(宜名真盛男) 御質問にお答えをいたします。
県経済が振興・発展をしていくためには、観光サイドからも県内の生産物について原材料の調達などを通じて製造業や農林水産業等の生産や雇用、県産食材の観光分野における消費拡大など地場産業への波及効果を一層高めていくことが重要であると考えております。
そのため、県におきましては農林水産業や建設業、土産品製造業、食品加工業など観光関連産業を網羅した組織の設置について検討しているところであり、観光サイドからも沖縄の生産物の消費拡大に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(津嘉山朝祥) 地元産の農水産物を学校給食へ活用することについての御質問にお答えをいたします。
学校給食で地元農水産物を活用することは、児童生徒に本県の食文化や郷土食のよさを伝えることであり、また本県の産業について理解を深める絶好の機会であると考えております。
県教育委員会が平成14年5月に実施をいたしました平成13年度学校給食県産の青果物使用状況調査によりますと、野菜は30.3%、果実が20.1%、畜産物82.4%、水産物28.1%であります。
主な品目の使用量は、ゴーヤーが21トン、ミカン類81トン、豚肉383トン、モズク25トンであります。モズクは、このほかに県学校給食会でカップモズクとして約30トンを取り扱いをいたしております。
また、平成13年度から県学校給食会と県経済連の連携により県産新米約200トン、平成14年度は約300トンを学校給食で使用いたしております。
さらに、学校給食用牛乳についても、平成13年度から県産牛乳100%を使用し、県内すべての児童生徒が飲用いたしております。
県教育委員会といたしましては、今後とも農林水産部や市町村と連携を図り、地元農水産物の活用を積極的に推進をしていきたいと考えております。
○宮里 政秋 ただいまの部長の答弁、いろいろ非常に不満ですけれども、時間がありませんから次に進みましょう。
まず、イラク問題ですが、国連安保理で日本の原口国連大使は、査察の継続・強化、これに疑問を呈しているんです。イラクに対する武力行使の道を開く新しい決議の採択を主張した。まことに恥ずべき態度だと私は思う。各国の中でも突出した対米追従ですよ。私は、そういう意味で戦争は新たな憎しみと報復を生むだけ。沖縄戦を体験した我々県民として、その知事として、沖縄から平和のメッセージを発信しようではないかと私は言っているんですよ。その中でアメリカのイラク攻撃に反対の姿勢を明確にすべきではないのかと。イラク攻撃に反対ですか、賛成ですかと。反対でしょう。アメリカがそういう攻撃することに知事、あなたは賛成なのか反対なのか、明確にしてください。
次は、違法献金問題、法律に違反してはならないと。これは当然です。
企業献金問題で福井地裁は新しい司法判断を出しました。どんなことかといいますと、企業献金は、「国民の有する選挙権ないし参政権を実質的に侵害するおそれがある」、このように述べている。さらに、過去の幾度となく繰り返された政界と産業界との不正常な癒着を招く温床ともなりかねない。これは裁判所の判決ですよ。
しかも、前商工会連合会会長という方は、稲嶺知事の後援会副会長を務めておられる県内経済界の実力者のお一人と言われています。去る知事選挙では、沖縄経営協ほか113の企業が名を連ねて、稲嶺知事候補の選挙は企業が実動部隊となって働いた。経済界が生み出した知事、こういう一般の評価なんですよ。
そこで、この稲嶺知事の後援会の副会長をされた方が公選法違反容疑で逮捕されているんですよ。そういう事態に直面して、県民は政界と経済界との癒着に大きな疑念を抱いているんですよ。そこで、そういう事態で今私は質問しているんだ。
そこで知事に再度伺います。
せめて公共工事の受注業者からは献金を受け取るべきではないと私は言っているんです。明確にすべきじゃありませんか。これが1つ。もう一回答えてください。
それからもう一つは、同時に知事の後援会副会長の逮捕は知事の政治的・道義的責任も大きいと私は思いますよ。知事の認識はどうですか。
それから15年問題。この15年問題というのは、もちろん我が党はこれは無条件全面撤去です。この15年問題を考える場合に明確にしておかなければならない一つの物の見方、考え方の焦点はどこにあるかというと、15年問題は知事が公約した。基地提供の責任者である政府の同意も得ずに、同意なしに15年問題を県民に知事が公約した。この政治的問題が、この公約した稲嶺知事の政治責任が今問われているんですよ。あれこれの話じゃないんです。
15年の問題で新しい基地をつくることを県民に約束した。政府はどうか。政府が約束したんじゃない。あなたが約束した。それがずっと棚上げされている。代替施設協議会でも棚上げされて、これは終わっちゃった。今度は建設協議会を立ち上げて、そこでも話し合いしません。あなたは主張しても政府はここで話さない。なぜ話さないか。こんなことを高度の政治的問題だと、政策問題だといって政府は逃げているでしょう。
それをなぜ持ち込まないかというと、こんな問題を持ち込んだら、アメリカ政府の了解を得なければ15年問題は決着しないから、15年問題を協議会の中に持ち込んだら、基地の移設の事業は遅々として進まないから討議しないんですよ。そこが問題なんです。そういうところにあなたが参加することは、みずからの公約を棚上げされたことをあなた自体が認める結果になるんじゃないのかと。これは私が言った、私が勝手に解釈しているんじゃない、実態はそうなっているでしょう。知事、どうですかと、こう言っている。極めて日本語を私は正確に使っているわけだから、すぐ答弁はできるはずですからやっていただきたい。
それから、アメリカの大統領が困難と明確に拒否した15年問題を日本の外務省が外交事項に取り上げると思いますか。これは再質問。どうですか。
それから県民大会ですが、知事は効果的な時期に大会を開く趣旨を答弁しています。被弾事件の原因究明もなされない中で訓練再開に県民の怒りも渦巻いていますよ。まさに今が県民大会開催の効果的時期だと、このように私は思います。稲嶺県知事と伊良皆県議会議長が呼びかけて県民大会を開くべきじゃないかと。再度この問題にお答えいただきたい。
特に私は、もう一つは、名護の皆さんがもうチムドンドンして仕事も手につかないという話をやりました。これは現実にそうなんです。自分の畑に行くのに命の保障もないといって身の危険を感じながら農業しているところがどこにありますか。そんなことは許せないといって知事が先頭になって座り込み行動でもやるべきだと。軍特でも私は言いました。
私が言っているのは、あの恩納村における都市型戦闘訓練の施設反対の運動で、比嘉副知事――当時の恩納村長――が座り込み行動の先頭に立って都市型戦闘訓練を廃止に追い込んだんじゃないですか。首長の力は大きいんですよ。
だから、私は知事が防衛施設局の前で座り込んででも廃止を絶対実現すべきだと。これですよ。何も稲嶺知事だけ座り込みさせようというんじゃない。私も一緒に座り込みますよ。そのぐらいの決意が必要なんだ。
御答弁を求めます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時45分休憩
午後3時48分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 宮里政秋議員の再質問にお答えをいたします。
最初は、イラク問題についてでございます。
本県は、太平洋戦争最後の地上戦の場となり、20万人余のとうとい命が失われただけでなく、かけがえのない多くの文化遺産や生活基盤が破壊されました。県民は、この悲惨な戦争体験から平和の大切さと命のとうとさを肌身で感じております。戦争の犠牲になるのは罪のない市民であります。国連を中心に連帯して武力攻撃を回避し、平和的解決に最大限の努力がなされるべきものと考えております。
次に、政治献金の問題についてお答えいたします。
企業等の政治活動に関する寄附につきましては、政治資金に対する国会での十分な審議を経て政党及び政治資金団体以外の者に対する寄附は禁止されているところであります。
企業等の寄附の問題につきましては、政治活動に関する重要な問題でありますので、国民世論の動向を踏まえながら、国会において慎重に判断されるべきだと考えております。
宜野湾市長選挙に絡み公職選挙法や政治資金規正法に違反だとして逮捕者が出たことに対しましては、政治に対する県民の信頼を損ねるものであり、まことに残念に思います。
次に、15年問題についてお答えいたします。
15年問題につきましては、これは私が普天間移設の条件として明示したものであり、しかも着工までには何らかの回答、回答というよりか解決なしには着工はあり得ないということをはっきり明言をしております。したがいまして、その方向に沿って決意をしっかり持って進んでまいります。
次に、県民大会についてお答えいたします。
県民大会を開催するためには、より効果的なタイミングを図ることが大切であると考えており、県民の盛り上がりや大会の規模などを十分に考慮しながら各界各層を網羅した全県的な大会になることが必要であると考えております。
ちなみに、平成7年の県民総決起大会は県議会全会派が提起して取り組みがスタートし、県議会議長を実行委員長として53市町村と各議会、主要な経済、労働、市民団体など320団体から成る超党派の実行委員会が組織され、その結果、多数の一般市民が参加した画期的な大会が実現したものと理解をしております。
○宮里 政秋 知事、政治献金については法律上の解釈だけしています。極めて私は不十分な答弁だと思っています。特に知事、知事の後援会副会長の逮捕は知事の政治的・道義的責任も大きいと思いますが、知事はどのように認識しておられるかとこれを問うているわけですね。
これは、警察本部長の今の私の説明に対しては、まだ事件送致されていませんね、この方は。何名か事件送致されている。逮捕はしたけれどもまだ事件送致されてない。仮に事件送致されていない段階でも、去る選挙の副会長なんだから、そういうことについてどうですかと。まだちゃんとした判決が出ていないんだけれども、そういう逮捕という段階でも県民は行政と企業の癒着があると。その頂点に知事があって、知事の選挙母体の中心の大幹部が逮捕されているということにかんがみる場合に、知事の政治責任はどうかと聞いているんですから、これはノーコメントではいけませんよ。それが1つ。
もう一つは15年問題、これは知事じゃなくてもいい。公室長でもいいです。15年問題は稲嶺知事公約ですが、この15年問題という期限を日本政府の方針として閣議決定してアメリカと交渉したことがあるかと。ないでしょうと僕は思っているんだが、これはあるというなら答弁して、公室長。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時55分休憩
午後3時56分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 選挙違反の件でお答えいたします。
宜野湾市長選挙に絡みまして公職選挙法や政治資金規正法に違反したとして逮捕されたことにつきましては、政治に対する県民の信頼を損ねるものであり、まことに残念に思います。
○知事公室長(新垣良光) 再質問にお答えいたします。
基地の提供責任を有する日本政府にあっては、使用期限の問題を含め沖縄の基地問題をしっかり受けとめることが重要であり、政府としてなお一層の取り組みが必要であると考えております。
川口外務大臣は、去る2月2日に来県した際、同問題について「閣議決定したことであり、今もって覆されたことはない。今後とも重要問題として取り組んでいく」と述べていることから、政府においてしっかり受けとめられていると考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時58分休憩
午後3時59分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
宮里政秋君。
〔宮里政秋君登壇〕
○宮里 政秋 この問題は与党、野党の話じゃない。全部同じ不満を持っている。15年問題は政府の責任でやるかといったら、そうじゃないでしょう。知事の公約として政府に訴えている。ところが政府はボールを受け取らない。あなたはボールを政府に投げているが、政府は取らないでしょう。皆さんの意向を伝えますと、アメリカに伝えますというが、日本政府の意向として15年問題の折衝をしたことはない。これははっきりしているんですよ。今度は公室長じゃだめ。知事、答弁してください。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後4時休憩
午後4時再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 宮里政秋議員の再々質問にお答えをいたします。
閣議決定はされたことがあるのかということで、閣議決定の内容をお答え申し上げます。
閣議決定された政府方針において、使用期限については、「沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。」という閣議決定がなされております。
したがって、政府としてはしっかり受けとめられていると考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程はこれで終了いたしました。
次会は、明25日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後4時1分散会