○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案、乙第1号議案及び乙第3号議案から乙第13号議案までを議題とし、質疑に入ります。
質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
渡久地 健君。
〔渡久地 健君登壇〕
○渡久地 健 おはようございます。
代表質問、一般質問と最後の日ですけれども、さわやかにいきたいと思います。
まず最初に所感を述べたいと思うんですけれども、実は昨日、一般的に「先生」という言葉の意味、そして重要性について、医者としての先生、学校教師としての先生、両方の立場から痛感させられたことがあります。
実は、昨晩から与那国をロケ地として放映されました「Drコトー診療所」、これは、「北の国から」のテレビドラマの北海道富良野が観光地として脚光を浴びましたけれども、その第2弾として南の島からのドラマであります。ロケ地与那国はもとより、沖縄の離島の観光面からも期待できるものでありますけれども、離島での東京から来た青年医師の奮闘記でありまして、島の人たちとの信頼関係を築きながら医者の使命を果たしていくという感動的なドラマで、連続ドラマだそうです。
このドラマの中で、離島の厳しい生活、あるいは医療分野、また風光明媚な離島のことも示されておりますけれども、一方、きのうの夕刊、高校教師が破廉恥な事件で逮捕されたニュース、これはまことに残念なことであります。体育教師であり生活指導部担当の教師、まさに生徒と接する機会の多い教師がもう今やモラル以前の問題、精神的な病ではないかと思うくらいのショッキングな出来事であります。
本議会においても代表質問、一般質問で教育庁が実施しています「危機意識に関する自己診断票」のアンケート実施が教師の人権侵害云々という議論もありましたけれども、この事件を見ますと、生徒の人権の立場からやはり自己診断システムの継続と、もっと効果的な教師としてのモラルを構築していただきたいことを教育長に強く希望いたします。
通告に従い順次質問を行いますけれども、その前に、質問通告締め切り後に発生いたしました北部医師会病院の再建問題については、医療・福祉問題として極めて重要なことでありますので、事前に概要を執行部に連絡しておりますので質問いたします。
北部医師会病院は、北部の中核病院として唯一の内科、外科など4科で24時間救急診療、循環器系の急性期治療を実施しておりますけれども、61億円の負債を抱え経営難に陥り再建の瀬戸際に立たされております。金融機関との関係も危ぶまれておりましたが、幸いにも信頼関係が回復し預貯金の凍結が解除され、診療ストップという最悪の事態は回避されましたけれども、今後の見通しが不明であります。北部住民の医療・福祉の問題から大きな影響が懸念されておりますので、次の質問を行います。
まず第(1)に、経営破綻、危機に陥った経過とその原因について御答弁願います。
(2)つ目に、病院の存続のための再建の方策はどのようなことが考えられるか。また、県としての支援はできないものかどうかお聞きいたします。
次に、「県民本位の成果、効率重視のスマートな行政」を理念として策定されました新沖縄行政システム改革大綱は、5本の基本方針の一つに「職員一人ひとりの意識改革」を掲げ、その中で、職員がみずから考え実行し解決していく姿勢、県職員全員がコスト意識の徹底化を図ることが目標達成のかぎを握ることと言っても過言ではないと思います。
そこで、具体的にどのようにして意識改革を推進していくか、知事の御見解を賜りたいと思います。
(2)点目に、今回の大綱では数値目標を設定して県民に成果がわかりやすくなっておりますけれども、それについては評価いたします。143項目にわたる推進項目のすべてが重要でありますけれども、特に重点的に取り組む項目は何かお伺いいたします。
(3)点目に、公社等外郭団体は時代の要請を受けて設立され、県行政の補完的な組織として重要な役割を担ってきました。しかしながら、設立目的と現状の乖離、経営上のさまざまな問題が顕在化し、そのあり方が大きな課題であります。統廃合の問題、あるいは経営改善の実施、職員派遣の見直し、財政支援の見直しが必要とされておりますけれども、公社等外郭団体の自立化に向けた取り組み方針についてお伺いいたします。
次に、ことし6月13日公布の地方自治法第244条の2の改正により、公の施設の管理はこれまで地方公共団体の管理権限のもとで具体的な事務・業務を、1つは地方公共団体が2分の1以上出資している公社等外郭団体、2つ目に土地改良組合等の公共団体、3つ目に農協、森林組合等の公共的団体に限定して管理委託しております。しかし、法の改正により法人その他の団体にあって地方公共団体が指定するものに施設の管理を行わせる、つまり民間業者に管理させることができる指定管理制度に改めるものであります。
これまで県営住宅の管理を民間業者に行わせるべきであるとの要望、あるいは夜間・休日の文化施設を有効活用するため民間専門業者に管理させるべきとの意見が出ております。その問題を解決する方策と思いますけれども、そこで質問いたします。
(1)、法の一部改正の目的、その趣旨は何なのか。
(2)つ目に、現に委託している県の施設は何カ所で、年間の委託料は幾らか。
(3)つ目に、法改正の施行期日、当然、経過措置の期間があると思います。その期間及び県の条例の改正並びに制定をいつごろ想定しているのか。
(4)つ目に、指定管理者を指定する場合の条件及び議会との関係はどうなっているのか。
(5)つ目に、法改正により公社、外郭団体がどのような影響を受けるか。また、その対応策はどう考えているのか。
2つ目に、離島振興についてでございます。
平成14年12月に策定されました新沖縄県離島振興計画は、その計画策定の意義を「自然環境、文化、歴史的遺産の保全を図りつつ、各種基盤整備を推進し、離島の持つ不利性の軽減に努めるとともに、離島の持つ優位性を積極的に評価し、それを伸ばしていく取り組みが重要である。」と定めております。
当然、離島の存在は我が国の経済水域や海洋資源の確保、領土の点からも重要な役割を担っているにもかかわらず、人口の減少、少子・高齢化の急速な進行、そして教育、福祉・医療等の各分野で本島とは大きな格差が生じており、多くの課題を抱えております。
そこで第(1)点、離島医療組合への伊江村の加入は、伊江村の職員を同組合に派遣するなど今年じゅうにその加入が進められているけれども、事務作業の進捗状況と今後のスケジュールについてお伺いいたします。
(2)つ目に、伊平屋空港建設について。
基本計画の策定、気象観測調査等の結果についてお伺いいたします。
第8次空港整備計画に組み入れるための条件と航空会社との協議が行われておりますけれども、その内容についてお伺いいたします。
建設に向けての今後のスケジュールについて。
(3)つ目に、離島航路補助事業についてでございます。
これは、離島の振興と離島住民の民生の安定と向上を目的として、これまで国と県が補助を行い、平成5年度までは実質欠損額のうち国が4分の3、県が4分の1の補助であったけれども、平成6年度から補助割合が改正されまして、平成6年度は県の負担が18.3%であったのが徐々に県の負担がふえまして、平成14年度には49.3%とふえております。
そこで質問いたします。
これまでの離島航路の補助事業の内容及び国、県の補助割合、過去3年間の補助実績についてお伺いいたします。
2つ目に、平成16年度から改正予定の補助制度では、県の補助金のうち当該市町村が3分の1を負担すると聞いているけれども、その具体的内容についてお伺いいたします。
そこで、伊平屋村の西銘村長のホームページを一部紹介いたします。
今回の改正により、「本村の場合、平成15年度予測で、監査後実績欠損額は約8200万円となり、その3分の2を県が、その3分の1の約2700万円が村負担となる見込みである。特別交付税措置後の実質負担は約550万円となる。村財政負担は大きい。」、「私達離島に住んでいる者にとって、航路は唯一の生活航路であり、国道と同じである。その国道ですら、利用料を払えと言うのか。船運賃に加えて、国道利用料を負担せよと言うのか。 沖縄は島嶼県である。離島振興にとって、生活航路の確保は至上命題である。何よりも優先させなければならない。そこには、思い切った県の政策が求められる。 私達は物乞いではない。通常の努力として運賃は負担している。国道利用料は、私達の努力の範囲を越えている。離島に生れた者が悪いのか、内心忸怩たる思いがする。」、このように切実に訴えております。
県として離島町村への説明及び今後離島町村との意見調整をどのように行うのか、お伺いいたします。
次に、放置自動車対策でございます。
6月1日午前6時45分ごろ、本部町大浜の廃自動車保管場所、敷地3307平米に保管されていた廃車約800台のうち、火災により約400台が延焼いたしました。同場所はガソリンスタンドに隣接し、道を隔てて県栽培漁業センターがあり極めて危険な状況であったが、消防署の職員を最大動員し、また地元の土建業者がボランティアで重機等を動員したため最悪の事態は免れ人身及び建物の被害は防げました。
そこで質問いたします。
火災発生に至る経過と保管業者への県の指導及び環境調査等県の対策についてお伺いいたします。
同場所はガソリンスタンドに接しており、火災が再発する危険性から早期に撤去する必要があります。その撤去は保管業者の責任であるし、その業者に対して廃棄物処理法違反はもとより、警察への告発も当然でありますけれども、この業者は既に倒産し撤去能力はないと思われます。最終的には県として迅速に行政代執行で撤去すべきであると思いますけれども、県の方針についてお伺いいたします。
(2)番目に、県内における自動車解体業の現状と保管状況について。
ア、自動車解体業者の総数と産業廃棄物収集運搬業許可取得者数及び無許可業者数の実態について。
イ、無許可業者等による100台以上の大量保管の地域別状況とそれに対する行政指導と対策について。
(3)、県内における放置自動車の撤去処分について。
平成13年度離島における処分実績、平成14年度本島の処分実績について、台数、1台当たり処分費、事業費及び今後の撤去処分の方針と対策について。
(4)番目に、自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)の概要、施行期日、特にこの法律の実施により不法投棄、不適正処理がどのように改善される見通しかについてお伺いいたします。
4番目に、港湾内の廃船撤去についてであります。
運天港内の廃船については、既に運天港湾内の大量廃船放置については、平成14年7月に今帰仁村の要請を受け港湾課、県警、海上保安庁、北部土木事務所の行政指導で大部分が撤去されております。しかしながら、まだクレーン船の1隻が放置され問題となっております。そのまま放置されると、羽地内海が国定公園であり景観を損なっている、また、台風時には相当数の船が避難する場所であり、他の避難船に被害を及ぼす危険性や廃船からの油漏れ等により養殖漁業に甚大な被害を与える懸念があります。船舶所有者が撤去する姿勢がない場合、県が行政代執行を行う必要があると思うけれども、県の対応策についてお伺いいたします。
(2)番目に、県内の他の港湾内で同様の廃船の放置状況があるか。そしてその対策についてお伺いいたします。
最後に、我が党の代表質問との関連について。
軍民共用空港については、昨日までの代表・一般質問で多くの主張がありました。民間機能の施設管理は国及び地方公共団体と相談の上、検討していきたいとの当局の答弁でありますけれども、軍民共用空港の建設、管理運営は民間部分も含めて国の責任で行うべきであると本員は思います。
これは、使用開始から15年の使用期限であります。それまでの間は当然国と民間団体の部分についても国の責任で行うべきだと思います。その後、県の財産となった場合に、その後の調整を含めて県が主体的に管理運営していくその協議が必要と思いますけれども、当初はやはり15年間、最低15年間は国の責任において行われるべきだと思いますけれども、知事の御見解を賜りたいと思います。
答弁によりまして再質問させていただきます。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
それでは渡久地議員の御質問にお答えいたします。
行政改革の推進と職員の意識改革についてのお答えでございます。
新沖縄県行政システム改革大綱については、行政改革推進本部を中心に全庁体制で取り組んでいますが、具体的には同本部に設置された各部局等の行政改革推進委員会で定期的に進捗状況を管理し、計画した推進項目を着実に推進していきます。
また、外部の有識者による沖縄県行政改革懇話会に進捗状況を報告し助言を受けるとともに、ホームページ等で情報を積極的に公表し県民の理解と協力を得ながら進めていきます。
大綱で定めた推進項目を実効あるものにするためには、行政の担い手である職員の意識改革が最も重要だと考えております。このため、職員一人一人が県民サービスの提供者として、また地域づくりの担い手としての自覚を持ち、主体的な行政を推進できるよう研修制度及び職員提案制度の充実、新人事制度の構築等に努めていきたいと考えております。
次に、重点的に取り組む項目についてお答えいたします。
新沖縄県行政システム改革大綱の主な推進項目としては、県民が実感できる高品質のサービスの提供を目指し、パブリックコメントの制度化、附属機関等の委員公募制の導入、県民意識調査等を実施します。
また、信頼し合える新たなパートナーシップの構築を目指し、NPO等の活動支援・育成、公社等外郭団体の統廃合を含めた計画的な見直し、公社等経営委員会の設置による第三者評価等を実施します。
さらに、成果が見える行政運営を目指し、政策評価の実施による行政評価システムの充実・活用、職員数の適正化等組織・機構の改革、事務・事業や県単補助金の整理合理化、県債発行の抑制等の財政健全化に取り組んでまいります。
次に、軍民共用空港における民間部分の事業主体についてお答えいたします。
県は、普天間飛行場の移設に当たって整備すべき条件として、「代替施設は、民間航空機が就航できる軍民共用空港とし、将来にわたって地域及び県民の財産となり得るものであること。」を提示しております。
これを受け平成11年12月に閣議決定した政府方針の中で、「普天間飛行場代替施設については、軍民共用空港を念頭に整備を図る」と明記されております。代替施設は、軍民共用飛行場として一体的に整備されるものと考えており、県としては、代替施設の埋立事業等民間専用地区の整備については、これまでの経緯等からも国が事業主体になるものと考えておりますが、今後、関係機関と調整していきたいと思います。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○総務部長(仲田輝享) 公社等の自立化に向けた具体的な方策についてお答えします。
公社等外郭団体は、これまで県行政の補完的組織として広範な分野において重要かつ多様な役割を担っていることから、県では財政支援と人的支援を行っております。
ところで、近年の経営環境の悪化等により公社等の経営状況が一段と厳しくなっており、経営改善のための方策が求められております。このため、県では外部の専門家で構成される「公社等経営委員会」を設置して、公社等がみずから経営状況の自己点検を行い、経営改善計画策定に当たっての基礎資料とするための評価マニュアルを作成する予定であります。
また、公社等の経営の透明性を確保するため経営状況等の情報公開を実施するよう指導していくとともに、経営改善が必要と認められる公社等に対しては経営改善計画策定指導を行っていきます。
さらに、自立化を一層促進するため公社等の代表役員への県三役等の就任、常勤役員への県職員の派遣について見直しの検討を行っていきます。
このように、県は新沖縄県行政システム改革大綱に基づき、時代の流れに対応した公社等外郭団体の再構築を図るため公社等の経営改善、県関与の見直しなどを行うなど自立化の促進に努める考えであります。
それから、公の施設の管理に関する地方自治法の改正内容と県の対応についてお答えします。
公の施設の管理等に関する地方自治法の一部を改正する法律は6月13日に公布されました。この日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されることとなっております。
公の施設の管理については、内閣総理大臣の諮問機関である地方分権推進会議が第三セクター等に限定される公の施設の管理受託者の範囲を民間事業者まで拡大すると意見したこと等を踏まえて改正されており、今後は民間事業者の有するノウハウも活用し、住民サービスのより一層の向上が図られるものと考えています。
公の施設の管理に関する主な改正点は、1、外部に施設を管理させる場合に地方公共団体の出資する法人等に限られていた施設管理者の範囲について、特段の制約を設けず出資法人以外の民間事業者も対象とすること。2、施設の管理は委託契約による「管理委託制度」から、条例に定める手続等を踏まえて管理者を選定し指定する「指定管理者制度」となること。また、使用許可等の権限を含めて管理者に代行させることが可能となること。3、管理者の指定に当たっては、管理期間を定め議会の議決を経た上で行うこと。4、改正前の規定に基づいて現に管理を委託している施設については、改正法の施行から3年を経過する日までの間は従前の例によることができることとなっております。
現在、県は出資法人等に対して31の公の施設の管理を委託しており、平成15年度当初予算においては約88億円の委託料を計上しております。
これらの施設は、経過措置の期限までには条例改正の手続等を整備し、指定管理者制度に移行することとなります。
制度の移行に当たっては、新たな制度を広く周知するとともに、選定手続の公正性・公平性・透明性に十分配意した上で、より効率的、効果的なサービス提供ができるよう適切に対応したいと考えています。
なお、現に施設を管理している公社等に対しては、法改正の趣旨の周知徹底を図るとともに、経営の効率化等について指導をしていきたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 離島医療組合への伊江村加入についてお答えいたします。
沖縄県離島医療組合への伊江村の新たな加入については、経費負担の問題などの調整を行いながら鋭意作業を進めているところであります。加入に係る事務手続を進めるため、平成15年4月1日付で伊江村から職員1名を離島医療組合事務局へ派遣していただいており、平成16年4月の加入を目途に関係部局、国等と調整を進めてまいります。
続きまして、北部地区医師会病院の多額負債についてお答えいたします。
北部地区医師会病院は、平成3年2月に開設し、開設当時看護師等の確保ができず、当初見込んでいた病床数が稼働できなかったため収益が上がらず運転資金として追加融資がかさみ、債務総額が約60億円に膨れ上がったと聞いております。同病院は、債権者の金融機関側から融資回収不能の懸念が表面化したとして約31億円の一括返済を求められ、預金口座を凍結されたというのがこれまでの経緯となっております。
なお、現在の病院の運営状況は、各種経費節減等により平成14年度には3億4000万円の医業利益を上げております。
続きまして、病院の再建方策と県の支援についてお答えいたします。
北部地区医師会においては、地域の医療を担う重要な医療機関として病院を存続させるため「病院改革推進委員会」を設け、再建に向けての方策を検討しているところであります。その最終報告が7月14日に出される予定であり、同医師会の総会に諮って再建策が決定されると聞いております。
県としては、入院患者等の治療に支障がないようにすることが最も重要なことであると考えており、改革推進委員会の報告や北部地区医師会の動向を見守りながら、健全経営に向けた指導・助言等を行っていきたいと考えております。
以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 離島振興についての基本計画策定、気象観測調査等の結果についてにお答えいたします。
伊平屋空港については、伊平屋・伊是名地域の振興を支援する観点から、2村1空港を前提として建設計画に取り組むため、平成11年度から平成14年度にかけて概略基本計画の策定や就航率を予測するための気象観測等の基礎的調査を実施しているところであります。
県としては、その調査結果を踏まえ、地元伊平屋村と調整を図りながら、伊平屋村野甫島北西部にプロペラ機のDHC8型機39人乗りが就航可能な滑走路延長1200メートル、幅30メートルの空港を検討するものであります。
また、平成12年度から平成14年度にわたる風向・風速調査によると、建設予定地において風の影響をほぼ受けずに航空機が離着陸できる調査結果となっております。
なお、平成15年度も引き続き雲高や視程調査等を予定しております。
次に、空港整備事業化の条件と航空会社との協議内容についてにお答えいたします。
空港整備については、平成15年4月に国土交通省が公表した「新たな空港整備プロセスのあり方」に基づき進めることになっております。それによると、公共事業の透明性の観点から、整備の必要性や計画の妥当性、費用対効果分析等を行い、構想及び計画段階におけるパブリック・インボルブメント等の手続を経て、真に必要なものに限って事業化することが明示されております。
また、航空会社の就航については、県、伊平屋村、航空会社の間で需要予測の動向や採算性を視野に入れた調整等を行っているところであります。
次に、今後の作業スケジュールについてお答えいたします。
今後のスケジュールとしては、伊平屋・伊是名両村の合意形成や航空会社の意向を踏まえつつ、空港整備基本計画に必要な諸調査を着実に実施し、事業計画の過程におけるパブリック・インボルブメント及び環境アセスメントの手続等を進め、早期建設に向け取り組んでいく考えであります。
次に、港湾内の廃船撤去について、運天港内の放置クレーン船に係る県の対応策についてお答えいたします。
平成14年7月時点で運天港の水域内の放置艇は11隻でありましたが、平成15年6月末現在においては2隻となっております。これまで県及び名護海上保安署等関係機関が連携して撤去指導を実施したところ、所有者等が自主的に撤去しております。
放置されているクレーン船については所有者が確認されていることから撤去の指導を行うとともに、法令に基づく命令等を行うなど所有者の責任において撤去させたいと考えております。残った1隻については関係機関と連携し所有者の確認に努め撤去の指導を行っていきたいと考えております。
次に、港湾内の放置船の状況及びその対策についてお答えいたします。
最近の調査によりますと、県管理港湾内において114隻の放置艇が確認されております。内訳は、プレジャーボート47隻、漁船55隻、その他12隻となっています。
これらの放置艇は港湾管理上支障となること、他の利用者の迷惑になること、港湾の景観を損ねること、港湾施設を破損する等の問題を引き起こしております。放置艇の撤去等については、原則として原因者の負担により処理することとなっております。県としては、これまで所有者の確認できるものについては沖縄県港湾管理条例第5条の2に基づく移動命令等を行ってきております。今後も引き続き法令に基づく命令を行う等、所有者の責任において撤去等をさせる努力をしたいと考えております。
また、所有者が確認できないものについては、海上保安署及び関係機関と連携し所有者の確認が速やかにできるようにするとともに、関係部署と協議を行い適切に対処してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 離島航路補助事業の概要についてお答えいたします。
県では、離島航路の維持・確保を図るため、国と協調して航路事業により生じた欠損額に対する補助を行っているところであります。その内容は、国の補助がある航路については国が一定の基準に基づき算定された額を補助し、県は実績欠損額と国の補助額との差額を補助しております。国の補助がない航路については県が単独で実績欠損額を補助しております。
補助実績について申し上げますと、平成12年度は14の航路に対し県が2億8400万円、国が2億7800万円、平成13年度は13の航路に対し県が2億6600万円、国が3億1800万円、平成14年度は13の航路に対し県が2億2900万円、国が3億2200万円となっています。
次に、離島航路補助制度における市町村負担の内容等についての御質問に一括してお答えします。
離島航路補助制度については、平成6年度から国は全国一律的な観点から標準化した欠損額を補助し、地方公共団体は地域の公共交通サービスの確保や地域振興等の観点から、地域の実情に応じた財政支援を行う仕組みに改められております。しかしながら、地方負担分についてはこれまで県が全額補助してきたところであります。今後、離島住民の生活に密着した離島航路の維持・確保については、国、県、市町村がそれぞれの役割に基づき適切に分担・協同する必要があると考えております。このため、地方負担分については平成16年度から県3分の2、市町村3分の1とすることを関係市町村に対し提案をしたところであり、今後、理解が得られるよう十分に協議してまいりたいと考えております。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 放置自動車対策についての御質問にお答えをいたします。
まず1番目に、火災発生に至る経過、県の指導等についての御質問にお答えをいたします。
去る6月1日午前6時45分ごろ、本部町字大浜の廃自動車保管場所から火災が発生し、本部町今帰仁村消防組合消防本部等の消火活動により、同日午後1時半ごろまでには完全鎮火しております。保管されていた廃自動車約800台のうち半数近くが燃えておりますが、幸いにも人身や隣接する建物の被害は出ておりません。火災の原因につきましては、地元警察署、消防本部で現在調査中とのことであります。火災が発生した場所は、産業廃棄物収集運搬業者が廃自動車を外国に輸出するための保管場所として平成13年3月に県の許可を受けたものであります。
北部福祉保健所におきましては、事業者に対して、積み上げの高さ等の許可を遵守するよう改善指導を重ねるとともに、廃自動車の保管が長期に及んで環境への支障を生じるおそれがあることから、本年1月22日には同事業者に対して廃自動車の撤去を求める措置命令を発したところであります。
また、火災による環境への影響を把握するため、火災発生当日に周辺海域の海水をサンプリングし水質調査を実施した結果、カドミウム等の環境基準項目については不検出もしくは基準値を下回っており、火災事故による影響はないものと考えております。
次に、警察への告発も必要と思うが、県としての今後の方針を伺うという御質問にお答えいたします。
県としましても、当該廃自動車の保管場所については早急な改善が必要と考えており、火災発生後、北部福祉保健所等において2度にわたって当該事業者を呼び出し、措置命令に基づき廃自動車を撤去すること、ガソリンスタンドに隣接している廃自動車については早急に移動し安全な距離を保つこと、2点について速やかに実施するよう厳しく指導しております。
県におきましては、不法投棄や不適正処理等の環境犯罪に迅速に対応することを目的として、去る5月13日に警察本部と合同で「美ら島環境クリーン作戦対策本部」を立ち上げたところであります。同作戦の趣旨に沿って、同事業者に対して措置命令に基づく原状回復を強く求めているところであり、今後、行政処分や警察への告発も検討するとともに、行政代執行も視野に入れ厳正に対処していきたいと考えております。
次に、県内の自動車解体業者の実態についての御質問にお答えをします。
県では、平成10年末ごろから廃自動車の処理費用をユーザー側が負担するいわゆる逆有償化となり、処理料金を受領して廃自動車の処理を行う者については、廃棄物処理法に基づく「産業廃棄物収集運搬業」の許可が必要となっております。県の13年8月の実態調査によると、廃自動車の処理を行う自動車解体業者の総数は165業者あり、県の指導の結果、本年6月末までに85業者が「産業廃棄物収集運搬業」の許可を取得しております。残る80業者については許可取得に至っておりません。県としましては、今後とも許可を得ていない自動車解体業者に対して、廃棄物処理法に基づく収集運搬業の許可を取得し適正処理を図るよう指導を強化していくこととしております。
次に、大量保管の現状と行政指導についての御質問にお答えをいたします。
各福祉保健所における管内の廃自動車の大量保管の実態把握によりますと、平成15年3月末現在、100台以上の大量保管箇所は沖縄本島で39カ所、約2万3000台、宮古・八重山で10カ所、約1万4000台となっております。県では、逆有償化後の平成11年度からこれまで自動車解体業者等に対して廃棄物処理法に基づく収集運搬業の許可を取得し、適正処理を図るよう説明会の開催や福祉保健所による現場指導等を実施してきております。また、自動車販売協会等関係団体に対しては、収集運搬業の許可を受けた処理業者へ廃自動車の処理を委託するよう指導してきたところであります。
平成13年10月には「廃自動車等の不適正処理に係る対応方針」を策定し、不適正処理を続ける業者に対しては警告書、措置命令等の行政措置を行う等指導強化を図ってきたところであります。さらに、去る5月には警察本部と合同で「美ら島環境クリーン作戦対策本部」を立ち上げたところであり、今後、悪質な事業者に対しては同作戦の趣旨に沿って行政処分や警察への告発を検討するとともに、行政代執行も視野に入れこれまで以上に厳正に対処していきたいと考えております。
次に、平成13年度、14年度に実施をしました放置自動車撤去事業の実績と今後の対策についてお答えをいたします。
本県では、使用済み自動車の処理費用を所有者が負担する逆有償化に伴い、原野や道路沿いに放置自動車が増加し地域の生活環境や自然景観を損ねる状況にありました。このことから、県においては放置自動車の発生防止のための条例制定を行う市町村に対して沖縄特別振興対策事業を活用し、所有者が特定できない放置自動車を一斉に撤去することとし、市町村が実施主体となる放置自動車撤去事業を平成13年度、平成14年度に実施をいたしました。平成13年度は、平良市、石垣市など23市町村において1万882台の放置自動車を撤去しております。総事業費は約2億400万円。その内訳は、国庫約1億2700万円、県補助約1600万円、市町村負担約5600万円、県の広報経費約500万円であり、1台当たりの処分費は約1万9000円となっております。さらに平成14年度は、国頭村等38市町村において5801台を撤去しており、総事業費は1億1300万円で国庫補助金が約8800万円、県補助金が約1100万円、市町村の負担分が約1400万円となっております。1台当たりの処分費は約1万9000円であります。
県としては、今後の放置自動車の発生防止を図るため市町村、保健所、警察等の関係機関が連携した合同パトロールを実施するとともに、市町村に対し放置自動車の所有者に対する撤去指導の実施など、発生防止に関する条例の効果的な運用を図るよう指導していきたいと考えております。
次に、自動車リサイクル法施行による不適正処理等の改善についてお答えをいたします。
自動車製造業者を中心とした関係者に適切な役割分担を義務づけることにより、使用済み自動車のリサイクル・適正処理を図ることを目的として平成14年7月12日に自動車リサイクル法が公布されております。今後、自動車解体業・破砕業を行うための許可制度や自動車の所有者にリサイクル料金の負担を求める規定などを整備して、平成16年12月をめどに完全施行されることになっております。
同法の施行により関係者の役割分担が明確になるとともに、リサイクルに必要な費用についても新車購入時等に自動車の所有者から徴収することにより、不法投棄や不適正処理が改善されるものと考えています。
以上でございます。
○渡久地 健 要望並びに再質問をさせていただきたいと思います。
北部医師会病院の再建については、先ほど部長の方から指導・助言を行いたいということですけれども、県としてできる限りの財政的な支援も含めて協力をしていただきたいと希望いたします。
それから離島航路の補助事業でございますけれども、これについては先ほど答弁がありましたように、県と市町村が話し合って、場合によっては県が全額負担をしてもいいという制度だと思いますので、どうか離島市町村の負担にならないようにその辺の話し合いを十分詰めていただきたいなというふうに希望いたしますけれども、それについて御答弁をもう一度お願いしたいと思います。
それから、今、放置自動車、放置廃船の質問をいたしましたけれども、放置自動車については先ほど答弁がありましたように、場合によっては行政代執行も辞さない、厳しくやっていくということでございましたけれども、放置廃船については今114隻、これは沖縄が観光立県として、またいろいろ離島県として漁港、それから港湾については大事な施設であります。それが支障を来したり、あるいはほかに影響を与えるこの放置廃船については、ぜひとも根本的な対策を打たなきゃいけない。これはまさに放置自動車、放置廃船については同じ次元で考えていただきたいなと。当然費用もかかりますけれども、それについてはきちっと事前に業者に対して厳しい指導も行わなきゃいけない。先ほど言いましたように、自動車の場合ですと無許可業者等による100台以上の車の放置が4万台以上ある。これは結果的には放置自動車になる可能性がありますので、今後の行政指導を強く要請いたします。
以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 再質問にお答えします。
航路の地方負担分についてでございますが、先ほど答弁したとおり基本的には県3分の2、市町村3分の1ということで提案をしておりまして、今後協議をして理解を得たいということでございます。船舶事業者においても経営改善等の自助努力というものも当然必要でございますので、そのことも含めて理解を得ていきたいというふうに考えております。
○宮城 國男 通告により一般質問を行います。
まず、公社等外郭団体の見直しについて伺います。
社会経済情勢が激しく変化する中、本県では長引く不況の低迷で相変わらずの低い県民所得、高い財政依存度、若年者を中心とした失業者問題、また米軍基地の集中による諸問題等課題が山積しています。
一方、県民の価値観が複雑・多様化し、行政に対する需要も旺盛で、そのような県民の要望や要求に的確かつ柔軟に対応するためには、より簡素で効率的な行政運営を実現する観点から行政全般にわたる総点検を実施するとともに、行政内容の充実を図っていかなければなりません。
〔議長退席、副議長着席〕
県は、平成15年から17年の3年間を期間として県民本位の成果・効率重視のスマート行政の改革理念を掲げ、厳しい財政状況を踏まえ、給与・定員の適正化、事務・事業の見直し、組織・機構の見直し、公社等外郭団体の整理縮小等行財政改革に取り組んでいます。
ところで、公社等外郭団体についてはその定義、範囲は基本法に当たるものがないためまちまちであります。最も広義には、特別法の規定に基づき設立された3公社、民法に基づく社団や財団法人、商法や有限会社法に基づく株式会社等があり、それらの法人への出資については地方自治法の規定を根拠とし、人的にも大きく関与しています。平成15年4月1日現在、県には広い概念でとらえた法人が123法人あり、出資総額約231億円、人的支援304人に上っております。県はまさに金と人を独立した法人組織に提供しているわけであります。
今回見直し対象の団体は123団体のうち、出資比率25%以上で監査役員が出納業務の執行状況等について監査できる団体、または職員派遣を行っている団体など県と密接な関係にある団体47団体になっています。県は、これらの団体について設立目的の達成状況、民間事務との競合の有無、目的や事業の類似性等個別事業等を見直し、団体を整理縮小、統合、業務移管、廃止等を図っていく、また人的支援についても団体の自主性の発揮や経営責任を明確にする観点から見直しをすることになっています。
そこで伺います。
(1)、県は、平成15年度から平成17年度までの間に公社等外郭団体の事業内容や組織形態の見直しに取り組むことになっていますが、最終年度にどれくらいの団体数に整理されそうですか。
(2)、県は、外郭団体への人的関与、すなわち外郭団体トップへの県三役就任、県職員の派遣出向、県OBの再就職あっせん等を行っていますが、それぞれの団体数及び人数の現状と見直しの方向について伺います。
(3)、事業内容、組織・機構及び人的支援等の見直しにより県の財政的効果はどれくらいになると想定されますか伺います。
2番目に、教育行政について伺います。
完全学校週5日制の実施に伴い、従来の三学期制を改め、4月から9月までを前期、10月から翌年3月までを後期とする二学期制を導入する公立小中学校がふえています。他府県では宮城県の仙台市教委が市内小中学校全校で本年度から実施したほか、金沢市や大阪市でもモデル校を指定して開始、その他の県でも試行されています。県内では嘉手納町が本年度から町内の全小中学校で導入しています。二学期制は公立小中学校にとどまらず、県教委で県立高校でも実施されています。
二学期制については、学期のスパンが長く、体験学習や問題解決学習、あるいは理解しにくい分野に重点的に時間配分が可能であり、学習面でゆとりができる。また、高校では少子化に伴う再編や改編が進む中、科目や時間割の設定いかんでは単位の取得や資格の取得にも選択肢が広がる等効果があると言われています。
一方では、学期途中に夏休みや冬休みが入り、従来の休暇ごとに学期を区分したのと違い、中だるみや集中力の欠如等学習意欲や学力低下等にならないか懸念する声もあります。
そこで二学期制について、イ、二学期制のメリットと課題について、ロ、県立学校へのその導入について伺います。
中高一貫教育は生徒たちが高校受験から開放され、6年間を通じて学習内容を精選し選択幅を広げた教育が受けられると同時に、スポーツ活動や文化活動が中断されることなく続けられてその活性化が実現でき、たくましく豊かな心身の発達に大きく寄与すると言われています。現在、中等教育に指摘されている学力の問題、学校不適応等の課題の改善を図ることが期待されています。
中高一貫校は5年前に制度化され、中央教育審議会はそのタイプとして地域型、国際化対応型、伝統文化伝承型等を例示しており、文部科学省は全国で中高一貫校500校を目指すとしています。現在、34都道府県で約120校の中高一貫校が存在し、なお拡大の動きにあります。本県においても那覇高校からの陳情のように希望する高校もふえつつあります。
設置された一貫校では、教養や道徳教育に重点を置いて総合的な学力を培い、次代のリーダーの養成や歴史・伝統文化を授業に取り入れ、地域アイデンティティーを育成する等学校ごとに特色ある科目を設置し、6年間で志の高い人を育てることを目標にしています。
そこで中高一貫校について伺います。
(1)、県内の中高一貫校設置の基本的な考え方について。
(2)、中高一貫校設置の現状と整備計画について伺います。
3番目に、公共工事の発注について伺います。
平成15年度の県当初予算は、不景気の影響を受け、地方税や地方交付税が減って借金に当たる地方債に頼る等歳入が深刻化する中、公共工事も美術館・博物館の建設で単独事業は大幅に伸びたものの、投資的経費は前年比2.1%減になっています。
昨年度の景気は、前半停滞感があったものの、後半公共工事請負額、観光関連などが好調で持ち直し、県下における企業倒産件数は111件で、復帰後2番目に低かったわけであります。しかし、負債総額は相変わらず高い水準で推移しています。
倒産業種では、全産業111件中、建設業49件で44.1%を占めています。本年度の景気も雇用不安や所得減の消費動向やイラク戦争、SARS等の影響による観光の落ち込みで厳しい局面が予想され、企業倒産も予断を許さない状況であります。景気を浮揚し、県経済の活性化を図る観点からも公共工事の早期発注が望まれるところであります。
県が発注する公共工事については、「県内企業の優先発注及び県産品の優先使用基本方針」に基づき県内の土木・建設業者等に優先的に発注、建設資材についても特記仕様書の中で県内で生産、製造されたものを使用する旨明記しています。7月は県産品奨励月間であり、県産品を使用して地場産業の振興、経済の自立化に向け、ますます取り組みの強化が望まれます。
ところで、工事の下請については、元請、下請は民間企業同士の問題であり、下請業者の選定や資材等の調達は基本的には両者間に任されています。他県では、県発注工事を受注した業者に下請業者の選定について県内に本社を置く業者であること、また工事材料については県産品を活用する等建設工事標準請負契約約款に義務規定を盛り込んだとの新聞報道もあります。
また、県内建設企業を育成すると同時に、業界の構造改革を図る観点から、入札資格にこれまでの経営状況や受注額などのほか、ボランティアの活動実績、障害者の雇用率、災害時の支援等地域貢献度を加味して地元業者の受注機会の拡大をしている県もあります。
さらに、地元専門業者の育成や工事コストの透明性を考慮してコンサルティング会社等が発注者の補助者として契約から施行まで一元的に管理するいわゆるCM方式を導入するようにもなっています。
以上のことを踏まえ、次の3点について伺います。
(1)、公共工事の発注について、執行計画に基づく過年度の上半期及び下半期の予定比率とその執行状況はどうなっていますか。また、現年度の発注率はどう設定していますか。
(2)、公共工事の下請企業について、県内業者選定や建設資材の県産品使用等の状況はどうなっていますか。その義務づけについてどう考えますか。
(3)、建築・設備工事の発注におけるCM方式の導入についてはどう考えますか。
4番目に、道路の拡幅及び新設について伺います。
私たちの社会では、自動車は不可欠な文明の利器として重要な役割を果たしています。特に本県においては鉄軌道がなく、自動車が唯一の交通手段として県民の生活の向上や経済活動の活発化に大きく貢献してきました。
一方、自動車の急増は県内の国道、県道、市町村道の交通渋滞を慢性化させ、交通事故、騒音、振動等で環境への深刻な影響を与えています。
本県では、これまで交通円滑化計画のもとで都市圏の交通課題に対処し、豊かな暮らしよい地域の実現に向け、ハード及びソフト両面にわたる施策が展開されてきました。対策の推進で一部区間の渋滞の緩和が見られたものの、都市市街地の進展や自動車保有台数の増加、生活様式の多様化などにより自動車交通需要の増大で県内でも特に那覇、浦添、宜野湾、西原等で激しい渋滞現象が見られます。
それらの渋滞現象を緩和するために国道58号の宜野湾―那覇間で出勤時間帯バスレーンが設定されていますが、必ずしも十分な効果を上げていません。この混雑区域の仲西―城間では、交通容量拡大に向け、SACO合意で牧港補給地区の3ヘクタールを返還させ道路を拡幅することになっています。しかし拡幅の予定も城間ピザハウスまでで、以北については各種の企業が立地し計画が策定されない状況であります。
道路がその機能を十分に果たすには、一定区間にとどまらず、より効果的で確実な道路整備とそのネットワークが必要であります。それだけに今回、国道58号と港湾道路・西海岸道路とを接続する浦添・西原線港川道路(仮称)が計画されたことは、58号の渋滞緩和に大きく貢献すると思います。
同道路の建設については、浦添市の4代にわたる市長が国に要請してきたところであり、このたびの計画で事業主体が国から県に変わるとはいえ、いよいよ実現への見通しがつき、高く評価するものであります。
ところで、国道58号の拡幅といい、港川道路の建設といい、牧港補給地区の一部返還が必要であります。浦添市では、県の説明会に先立ち、去る6月22日に地権者との意見交換会を開催し話し合いが持たれています。その際、市サイドから地権者が巻き添え返還で損失をこうむらないよう跡利用計画も策定するとの考え方を示しているようでございます。
そこで伺います。
(1)、国道58号の仲西―城間間の拡幅計画はどうなっていますか。
(2)、浦添・西原線港川道路(仮称)の計画概要と作業スケジュールについて伺います。
(3)、(1)、(2)の道路計画は、牧港補給地区の一部返還が前提になっています。それぞれの計画における軍用地つぶれ地の地主数や規模はどうなっているか、伺います。
それから、代表質問との関連で地位協定について伺います。
時間がありませんので質問だけいたしますけれども、日米地位協定の抜本的見直しの実現に向けてのアクションプログラムの内容と展開はどうなっていますか、伺います。
以上です。
○知事(稲嶺惠一) 宮城國男議員の御質問にお答えいたします。
公共工事の執行状況についてでございます。
本県においては、公共工事の果たす役割は大きく、産業基盤の整備、生活環境施設等社会資本の整備を中心とする公共事業の円滑な施行を図ることは、本県経済の景気を下支えする上で重要なことから、沖縄県公共事業等推進本部において公共事業等施行計画を策定しております。同計画における平成14年度の執行予定率は上半期76.9%、下半期23.1%、実績率は上半期76.2%、下半期17.6%となっております。また、平成15年度は国の公共事業の施行方針や県内経済の情勢を勘案し、執行予定率を上半期がおおむね77%、約1790億円、下半期が23%、約541億円としたところであります。
続きまして、我が会派の代表質問との関連で、地位協定改定に関するアクションプログラムについての御質問にお答えいたします。
日米地位協定をめぐっては、衆議院外務委員会、全国知事会、日本弁護士連合会等による決議のほか、日本青年会議所や那覇商工会議所、自治労県本部、連合沖縄などの団体が独自の取り組みを行う等地位協定見直しの機運が高まっております。
このように、県内外において日米地位協定の見直しを求める動きが広がりつつある中、県においては「日米地位協定の抜本的見直しに関する全国行動プラン」を策定し、6月から他県の協力支援を得るため渉外知事会の加盟都道県への要請活動を展開しているところであります。全国行動プランは、今回の全国への要請活動を中心に据え、これをサポートする支援行動と一体的に取り組むことによって要請活動を実りあるものにするための行動計画(アクションプログラム)であります。同行動プランの内容は、知事、副知事の県外要請活動を初め知事会等への働きかけ、県主催の行・催事におけるメッセージの発出、各界諸団体との連携、全国地域情報発信共同事業の実施などを盛り込んでおり、全庁的な体制のもとに取り組んでおります。県は、見直しを求める国民全体の盛り上がりが地位協定見直しの実現につながっていくものと考えており、今後ともあらゆる機会を通じて日米両政府に対し日米地位協定の抜本的な見直しを強く求めていきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○総務部長(仲田輝享) 公社等の見直しにより団体数は幾らになるかにお答えします。
公社等外郭団体の見直しについては、県が25%以上の出資等を行っているなど、県行政と密接な関連を有している60団体を対象に設立目的の達成状況や民間との競合の有無等社会経済情勢の変化を踏まえた抜本的な見直しを行った結果、46団体について見直し計画を策定したところであります。見直しの内容は、統廃合が7団体、組織体制の検討が13団体、人的支援の見直しが24団体等となっております。また、設立目的を達成したものとして廃止予定の法人が1団体、業務が類似しているものとして統合を進める法人が3団体、派遣職員の引き揚げ等により外郭団体としての対象から除かれる予定の団体が7団体あり、これらの計画が達成されますと、県行政と密接な関連を有する外郭団体の数は50団体になる見込みとなっております。
なお、今後とも行革を積極的に進める考えであり、その中で公社等外郭団体についても引き続き統廃合を含めた見直しを行うとともに、経営改善及び自立化の促進に向けて委員会を設置して経営評価制度の導入や情報公開の推進に取り組んでいきたいと考えております。
次に、外郭団体への職員派遣等の現状と見直しの方向についてお答えします。
外郭団体代表者への県三役が就任している団体数は、平成15年6月末現在で23団体となっております。また、県職員の派遣については、条例に基づき50団体に304名の職員を派遣しております。さらに県OBの公社等への再就職については、それぞれ個々人の行政経験、力量等を評価されて各団体において役員として選任されていると理解しておりますが、人数は6月末現在で12団体に14名となっております。
見直しの方向については、公社等の自立化の促進及び透明性の確保、経営責任の明確化の観点から、県三役の代表者への就任や県職員の常勤役員への派遣の見直し、県退職者の再就職状況の公表等のルールづくりを進めることとしております。
続きまして、公社等の見直しによる県の財政的効果についてお答えします。
公社等外郭団体は、これまで県行政の補完的組織として広範な分野において重要かつ多様な役割を担っていることから、行革大綱の中で公社等の経営の健全化や自立化の促進を目的として事業内容、組織・機構などの見直しを行っているところであります。
公社等に対する財政支援状況については、補助金、委託金、負担金、貸付金、出資金及び債務保証等を含めた合計額で平成15年度当初予算が547億円、対前年度で見ますと64億円、10.6%の減少となっています。その主な内訳は、補助金が70億円、対前年度比で8億円、10.4%の減となっております。また、貸付金は192億円で、27億円、12.4%の減少となっております。今後、公社等の経営改善が図られ自立化が促進されますと、県からの財政支援額は減少し徐々に財政効果があらわれるものと考えております。
なお、公社等に対する財政支援状況については、毎会計年度終了後に取りまとめて公表していきたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(山内 彰) 二学期制のメリットと課題についての御質問にお答えいたします。
小・中・高等学校における二学期制のメリットとしては、従来の三学期制に比べて、1つには、学期そのものが長期にわたるため、それだけ子供たちの体験的、問題解決的な学習が継続的に取り組めるということであります。2つには、授業時間の確保が容易になるため、ゆとりの中で基礎・基本の確実な定着を図り、発展的に、そしてきめ細かな学習指導が期待できるということでございます。3つ目には、教師の事務処理等に係る負担軽減が図られて生徒との触れ合いの時間がふえるということが挙げられます。
他方、実施するに当たっての課題といたしましては、子供にとって定期考査の出題範囲が拡大すること、あるいは二学期制と三学期制が現在混在しますので、学校間同士の歩調を合わせた教育活動の困難性というものが考えられます。
ほかにも幾つか挙げられますけれども、例を紹介しておきたいと思います。
それから、県立学校への二学期制導入についてお答えいたします。
本県における二学期制の導入について、現在、高等学校においては、すべての定時制の高等学校9校でございますけれども、そこでは導入しております。また、全日制高等学校においては5校が実施しております。公立小中学校では1市2町において小学校2校、中学校3校が導入しており、平成16年度はさらに1市1町が導入の予定をしております。県教育委員会としましては、完全学校週5日制のもと、ゆとりある教育活動を展開する中で各学校が創意工夫を生かした教育、特色ある学校づくりを進める上からも、二学期制を実施する学校に対してはスムーズに導入できるよう指導・助言をしていきたいと思っております。
次に、県内の中高一貫校設置の基本的な考え方にお答えいたします。
中高一貫教育を進めるに当たっての基本的な考え方については、まず1つには、高等学校の入学選抜の影響を受けずに6年間一貫した一体的な教育を行うことによって、ゆとりある学校生活の中で生徒の個性や能力の伸長を図ることができるのではないかと考えております。2つ目には、中学校1年生から高校3年生までの幅広い年齢集団による活動が行われると、そういうことであります。そのことによって社会性や豊かな人間性を育成できることであります。3つ目に、6年間を通して将来の進路に関する学習を計画的、系統的に実施することにより、生徒の個性に応じた進路選択を円滑にすることであります。4つ目には、選択教科を幅広く開設できる教育課程の基準の特例を活用することなどにより特色ある教育課程の編成・実施が可能となり、多様な教育活動が展開できることとなるということが挙げられます。
続きまして、中高一貫校設置の現状と今後の整備計画についてお答えいたします。
中高一貫教育校の実施形態については3つ挙げられます。1つは、連携型の中学校、高等学校です。それは、今ある学校、すなわち既存の市町村立の中学校と県立の高等学校が教育課程の編成や教員、生徒間の交流等を通してその連携を深めるという形での一貫校でございます。2つには、併設型の中学校、高等学校です。それは、同一の設置者で中学校と高等学校をあわせて置く、すなわち併置する学校であります。3つ目には、中等教育学校です。それは6年間を一体的にして一つの学校、中等教育学校として中高の一貫教育を行う学校であります。本県では、連携型の中高一貫教育校が、平成14年度に伊良部地区において中学校2校と高等学校1校とが連携し、そして平成15年度、ことしは本部地区において中学校5校と高等学校1校で連携して設置しております。
今後の県立高等学校編成整備計画においては、平成16年度に連携型の中高一貫教育校が久米島地区で、そして平成18年度以降に与勝高校を母体とした併設型の中高一貫教育校の設置を予定しております。さらに中部地区と那覇地区に中等教育学校の設置計画を立てております。
以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 公共工事の発注についての、下請企業の県内業者選定や建設資材の県産品使用等の状況及びその義務づけについてにお答えいたします。
県が発注する公共工事においては、昭和59年に策定した「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」に基づき、地元企業への優先発注や県産建設資材の優先使用に取り組んでおります。元請業者と下請業者との契約は、本来、当事者同士の自由な意思が尊重されますが、去る2月から元請業者に対し、できる限り県内企業を優先していただくよう工事の契約時点に配布する「受注業者の皆様へ!!」というリーフレットに記載し要請しております。
また、県産品の優先使用につきましては、特記仕様書に「本工事に使用する資材等のうち、沖縄県内で生産、製造され、かつ、規格、品質、価格等が適正である場合はこれを優先して使用する。」と明記し、すべての業者に対し県産資材等の優先使用を求めているところであります。特に生コンクリートを除くセメント、鉄筋、アルミサッシ等11品目の主要建設資材については下請業者のみの県産品使用率は把握しておりませんが、元請業者に対し県産品の使用状況報告を義務づけ、県産品の使用量を確認しております。
なお、平成13年度に県の工事で用いた建設資材のうち、使用状況報告を義務づけた主要建設資材の県産品使用率は、平均で96.3%となっております。
次に、営繕工事におけるCM方式の導入についてお答えいたします。
CM方式とは、「コンストラクション・マネージメント・システム」であり、発注者の立場に立った受託者が、技術的な中立性を保ちつつ、設計の検討、工事発注方式の検討、工程管理、コスト管理などの各種マネジメント業務を行うものであります。同方式は、技術者が不足している小規模な地方公共団体にとってメリットがあると聞いております。国土交通省においても「CM方式活用ガイドライン」及び「地方公共団体のCM方式活用マニュアル試案」を作成しておりますが、現在のところ当該制度の運用は試行的な段階であることから、全国的にも導入事例が少ない状況にあります。本県においては、今後とも適用事業の考え方、受託者との役割分担など公共工事の発注方法について幅広く検討していきたいと考えております。
次に、道路の拡幅と新設計画について、仲西から城間間の国道58号の拡幅計画についてお答えいたします。
国道58号の仲西から城間間については、平成8年12月に沖縄に関する特別行動委員会(SACO)の最終報告において、国道を拡幅するため国道に隣接する牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の土地約3ヘクタールを返還することで合意しております。また、国においては、国道58号の慢性的な交通渋滞の緩和等のため沖縄西海岸道路の整備を計画しているところであります。国道58号の仲西から城間間の拡幅については、沖縄西海岸道路の整備による交通状況等を踏まえて検討していくと聞いております。
次に、浦添・西原線港川道路(仮称)の計画概要と作業スケジュールについてお答えいたします。
浦添・西原線港川道路(仮称)は、国が建設予定の地域高規格道路「沖縄西海岸道路」の浦添市空寿崎と国道58号の城間交差点とを結ぶ延長約1.7キロメ-トルの計画路線であります。当該路線は、沖縄西海岸道路と連携して中南部都市圏の交通渋滞の緩和に寄与する重要な道路であることから、県において平成14年度から予備設計を実施しております。当該路線が牧港補給地区内の北側を通過することから、現在、ル-ト比較案の検討、文化財調査、軍用地の返還に関する米軍との調整、関係地権者等との調整を行うとともに、 国道58号との交差点部における事業手法等について国と調整を行っているところであります。当該路線を県で整備するためには、県道としての路線認定や事業化に向けての関係機関との調整など多くの課題がありますので、国や地元浦添市の協力を得ながらこれらの課題の解決を図り、早期事業化に向けて取り組んでいきたいと考えております。
次に、国道58号の拡幅計画及び浦添・西原線港川道路(仮称)の計画による軍用地つぶれ地の地主数や規模についてにお答えいたします。
現在、国道58号の仲西から城間間の拡幅については具体的な整備計画ができていないため、返還の規模と地主等については把握していないと聞いております。また、浦添・西原線港川道路(仮称)についてはルートを検討している段階であり、軍用地つぶれ地の地主数や規模については確定できない状況にあります。
以上でございます。
○國場幸之助 6の映像産業の振興から質問に入りたいと思います。
本日冒頭で渡久地健議員も触れておりましたが、昨晩から連続ドラマ「Drコトー診療所」がスタートしました。
このドラマは、フジテレビ開局45周年テレビドラマに位置づけられていて、番組のほとんどが与那国島で撮影されています。私も原作──原作はヤングサンデーの連載漫画ではありますけれども──を読みましたが、大いに感動しました。満足な設備もない離島で医療に従事する一人の外科医が主人公なのですが、生命、家族、自然との共生、そして生きることの本当の意味とは何かを問うこの物語は、スケールの大きさと奥行きの深さで間違いなく高い人気を博すると考えております。テレビではこれから3カ月間、11回の放送予定となっております。
フィルムオフィスは開設から短期間で多くの成果を上げているようです。このドラマが与那国でのロケを行ったのも関係者の御尽力のたまものであると考えます。与那国だけじゃなく、八重山地域全体の観光誘客の拡大につながると私は確信をしております。フィルムオフィス事業を今後とも力強く推進していただくことを強く要望し、以下質問をします。
(1)、フィルムオフィスは県の補助事業でコンベンションビューローに委託しているが、予算の継続性はこれからもありますか。
(2)、将来、同事業が軌道に乗れば一部またそのすべてを民間に委託する考えはあるのか。また、事業の領域をどこまで考えているのか。
(3)、世界のフィルムコミッショナーが参画するAFCIは、観光誘客のマーケットをアジアや海外に展開できるなどはかり知れないメリットがありますが、県は加盟する考えはあるのか。予定があるとすればいつごろか。また、国内で加盟しているオフィスは幾つあるのか。
(4)、許認可業務の進捗状況は、実際に要望はあったのか、撮影許可がおりなかった事例はあるのか。
続きまして、沖縄科学技術大学院大学に関して質問をします。
資源も乏しく国土面積も狭い日本にとって、従来の重厚長大な製造業だけでなく、知識集約型産業の振興と高度な人材の育成は国の生存にかかわるテーマであります。中でも最先端の科学技術の振興とその研究成果を技術移転し、企業の育成に努めることは短期的な景気回復以上に国や地域の命運を左右する課題であります。ぜひとも沖縄科学技術大学院大学構想の成功を目指し、最優秀な人材の招聘とサイエンスパークの整備を同時進行でもって推進していかなければなりません。
では、世界最高水準の大学院大学が沖縄に設置されることの恩恵は何なのか。抽象的な夢物語ではなく、政治や行政は県民に対し正確な言葉で説明する責任があると思います。
ことしの春まで南部、中部、北部に分かれて熾烈な誘致運動が展開されていました。結果として恩納村に決定されましたが、この計画が沖縄本島の圏域別の振興ではなく、また東京から見た沖縄への地域振興でもなく、まさに日本の科学技術力強化の切り札となるような事業であると位置づけている以上、県民・国民が一丸となって盛り立てていくことが大切であります。
大学院大学の設置が即地域に対し経済効果を生むことはありません。産学官連携のもとでの新産業の創設なども言及されておりますが、スタンフォード大学がシリコンバレーの誕生まで100年近い歳月がかかったのをかんがみるに、短期間でノーベル賞研究者が誕生し、ベンチャー企業が集積するというのも期待できません。
では、大学院大学と県民との接点はどこにあるのか。
私が最も期待するのは、世界最高水準の科学技術大学院大学を目指す動きと連動して、ありとあらゆる世界最高水準のものが求められてくる動きであり、流れであります。住環境、医療、景観、レジャー施設、労働環境、サービス、都市計画、ひいては沖縄そばやタコライス等がすべて世界最高水準のものを追求し始めたときに、沖縄は真にグローバル化したと言えるでしょう。特に子弟の教育環境を世界最高水準のものにすることは、大学院大学構想そのものよりはるかに地域に対する恩恵、波及効果は高いと考えます。
そもそも大学院大学で研究されるノーベル賞級の研究内容は、一般県民とどのような関係があるのでしょうか。誤解を恐れずに言うと、短期的には直接的な恩恵は見えにくい、少ないと考える方が健全であります。研究成果が地域に還元され、企業の集積が図られる、そしていつの日か沖縄の青年が大学院大学で研さんを積みノーベル賞を受賞する。目標としてはすばらしいですが、遠い将来の話であります。地道に粘り強くサポート体制を確立し、莫大な予算とエネルギーを投入し続けなければたどりつける領域ではありません。
しかし、子弟の教育現場というものは待ったなしであります。子供たちの教育期間は、小学校6年、中学校3年、高校3年の12年間、いち早く最高の教育環境を確立すれば子供たちを最高の環境で学ばせたいから沖縄に来たという研究者が出てくるかもしれません。大いに戦略と知恵を絞るべきであります。
大学院大学に能力を度外視した沖縄県人枠を設けるというのは、研究レベルを下げる弊害以外に何もありませんが、事子弟の教育機関に沖縄の子供たちを入学させることに対しては大いに門戸を開放してもらいたい。授業はもちろんすべて英語であります。さらに沖縄の子供たちだけではなく、米軍の軍人・軍属、その家族の子供たちにも枠を開放し、ひいては日本本土やアジア、世界の子供たちにも入学の枠を開放してほしい。この構想が具現化できれば沖縄は変わります。まず沖縄の子供たちの未来を真剣に考えた教育システムのあり方を問い直す契機にもなります。
教育現場の崩壊というものは日本だけの現象ではありません。知識、身体、情操教育がバランスよく確立したシステム、そして世界でも最低ランクと言われております日本人の英語力にも多大な貢献をするでしょう。また、何の偏見もない子供たちが人間として各国の研究者の子弟などと触れ合うことも貴重な体験であります。国際人とは、外国人の信用をつくる力と言いかえても過言ではありません。さらには世界最高水準の大学院大学の附属幼稚園、小学校、中学校、高校で学園生活を送れば必ず知力も磨かれた子供として成長していきます。
課題としましては、入学の際の選抜方法や学業途中で通常の小・中・高に戻れるのかとか、地元の教育庁の連携等さまざまなものがありますが、世界最高水準の大学院大学を目指すと同時に、そこに付随する教育環境を沖縄が独自のアイデアと構想として具現化することが真の自立ではないでしょうか。
そもそも沖縄科学技術大学院大学構想の源流は、国際都市構想計画、沖縄経済振興21世紀プランにも見ることができます。オリジナルは沖縄の方にもあったのです。ただそれを具現化していく政治の力と契機が沖縄の方にしばらくなかった。沖縄の未来は沖縄県民の知恵と力の結集でもって実現していく、この点も問われているのではないでしょうか。
以下、質問をします。
1、大学院大学について。
(1)、世界最高水準の子弟の教育環境づくりについて。
(2)、大学院大学の正確な認識について。
ア、大学院大学事業の成功を定義してください。
イ、成功へのスケジュールを明確に示してください。そのプロセスで県の果たすべき役割は何でしょうか。
ウ、県民へのシンポジウム等による啓蒙活動の実績とこれからの予定は。
(3)、予算に関して。
ア、平成16年度の予算獲得見通しはどうか。
イ、細田大臣の沖縄振興費の別枠として大学院大学の予算を獲得するという発言の真意を明らかにしてください。
ウ、周辺整備費及び200億の運営費は国が責任を持つんでしょうか。
エ、財団設立の進捗状況は。
オ、将来を含めて何らかの県の負担はあり得るのか、決意を聞かせてください。
(4)、国内の他の大学院大学の状況について。
ア、文部科学省は、内閣府事業の大学院大学をどのようにとらえているのか。協力体制、連携はうまくいっているのか。
イ、ノーベル賞級の研究者はアメリカを中心とした欧米諸国に集中し、日本の高等教育、研究施設そのものが海外への頭脳流出等により問題点として科学技術白書で毎年指摘されている中、いかなるインセンティブで日本国内の他の大学院大学等の高等研究機関ではなく、沖縄に世界最高水準の人材を集積させるのか。
ウ、文部科学省が推進する「世界最高水準の大学づくりプログラム──国公私「トップ30」──」は、目指す方向性として沖縄新大学院大学と何が違うのか。
2、地位協定の改定について。
「十字路周辺は、さながら戦場の様相を呈していた。騒ぎはすでにコザ全市へひろがり、集まった群衆の数は数千をこすものと思われた。 彼がそこに見た光景は、ほとんど信じ難いものであった。何十台という米人車輛が次々にひっくり返され、火を放たれていた。逃げまどう米兵があちこちで袋だたきにあっていた。路上は一面、ガラスの破片と、石ブロック、棒切れの散乱。歩道はそのため、抜きとられた石の穴だらけ。夜空に吹きあげる火の粉と火柱が地獄絵のようで、文字通り阿鼻叫喚の巷であった。」。
コザ暴動を描いた伊佐千尋さんの「炎上」からの引用です。
小説は、その後、当時の大山市長の言葉でこのようにつないでおります。「そのありさまは、むしろ壮観ですらありました」、「私はそこに、25年間の、県民の積もりに積もった”怨念”が燃えるのを見た思いです」と。
翌日、昭和45年12月21日の地元紙を見てみると、起こるべくして起こった出来事、よくやったという論調が目立ちます。特定のリーダーが扇動したわけではなく、無名の群衆が自然発生的に怒りの炎を連鎖的に爆発させたわけであります。
地位協定改定論議の根底に流れるのは不平等、人権じゅうりんに対する民衆の怒りです。民衆の意識にそぐわない社会システムはいつの日か必ず崩壊をします。知事は、対日交渉の際にコザ暴動事件に触れたことはありますか。
我が琉球民族・日本人は怒りのマグマを確実に蓄積をしており、いつ爆発するかわかりませんよと。政治は歴史を教訓とした危機管理であるということは日本政府もアメリカ政府も知っているはずですから、以下、質問をします。
(1)、全国行脚の進捗状況は。
渉外都道県知事会の知事や議長との対話の中で、温度差がある改定要求項目と共有できる項目にはどのようなものがあったのか。
(2)、改定論議が長年日米両国政府の外交交渉の項目にすら挙がっていない現実を踏まえれば、県の改定要求項目にプライオリティーをつけるべきではないのか。全国行脚の行動過程で最優先で改定を求めなければならない部分も見えてきたのではないか。特に、日米合同委員会への自治体の代表者参画等、知事や自治体の存在を重んじる改定項目は共通認識を得やすいと考えられるので前面に打ち出すべきではないのか。また、他国のケースはどうですか。
3、中部の観光資源の開発、有効活用、産業化について。
沖縄振興計画によると、中部圏域の課題として「地域の創意工夫により、恵まれた立地条件、特色ある歴史・文化などの地域特性を生かした安らぎと潤いのある地域づくりを促進する」と記述されております。基本方針としては、健康・長寿、国際交流リゾート、コンベンション、都市型リゾートと言葉が並んでおりますが、つまり域内にどれだけ多くの訪問者、訪問客、消費者、広い意味での観光客を集客することができるのかどうかで地域振興の成否が決定すると言っても過言ではありません。
(1)、中部観光で観光客吸引力が最も高い観光資源は何なのか。また、その資源に対し、県はどのように関与してきたのか。同地域の文化、伝統、風土等が観光資源の開発、活用、産業化に資している分野があれば明らかにしてください。
(2)、観光産業に従事する県内の人材、中でも中部地域の人材は有効活用されているのか。自然発生的に待つのではなく、戦略的に観光を担う人材の育成、招聘を県は行ってきたのか。自然観光分野と文化観光分野に分けて明らかにしてください。
4、新型肺炎(SARS)について。
9・11テロの際、風評被害なるもので沖縄観光は大打撃を受けました。その際、沖縄への激励ツアーを我々県民はとてもうれしく思いました。観光産業は平和産業であると同時に、究極の外交手段でもあります。今こそ台湾や香港との関係回復、信頼強化に努めていただくことを要望し、質問をします。
(1)、県台湾事務所、香港事務所は、SARSショックの一連の過程でいかなる動きをしていたのか。迅速かつ正確な情報提供と対応策を行っていたのか。
(2)、SARSの初期症状は普通の風邪と見分けがつかないケースが多く、患者本人も最初は普通の医療機関に向かうと考えられる。一般病院の院内感染の対策は十分でしょうか。また、SARSの疑いが持たれた際に、迅速に一般の医療機関と県立病院や琉大などの大病院との連携体制は整っているのか。
(3)、保健所や県立病院に寄せられるSARSに関する相談件数や診断件数はそれぞれ幾つか。
(4)、公文書と口頭による渡航自粛は台湾側からの反発を招いたようだが、その後、県との関係改善において何がなされてきたのか。
5、大那覇空港の建設について。
先月の17日、那覇空港拡張整備促進連盟の2003年度総会にて、連盟の新会長が稲嶺知事から仲井真県商工会議所連合会会長に引き継がれました。稲嶺知事の会長在任中の働きは目覚ましいものがあったと思います。交通政策審議会航空分科会の最終答申に那覇空港の拡張整備の可能性を盛り込ませ、国土交通省により総合調査事業費を約30年の歳月をかけて初めて獲得しました。数十年にわたるこれだけのメガプロジェクトを形にしていくためには絶えず先人たちの志と意義を理解し、たいまつを引き継ぐリーダーがいなければなりません。知事を初めとした県担当職員、促進連盟のメンバー、関係者各位に心から敬意をあらわしつつ、以下お尋ねします。
(1)、那覇空港拡張整備促進連盟の会長が知事から商工会議所連合会会長にかわり、促進連盟事務局も県から商工会議所連合会に移ったが、このことが早期の沖合展開の実現にどのように結びつくのかを明らかにしてください。
(2)、国による那覇空港の総合的調査の進捗状況は。
(3)、日本の公共事業は大変厳しいです。その中で県は沖合展開の実現が果たすべき役割をどのように考えて国との予算折衝に努めていくのか。
(4)、関係市町村とどのような連携体制をとっていくのか説明してください。
(5)、国土交通省の着陸料の軽減措置を那覇空港にも適用されるんでしょうか。
7、情報通信産業の振興について。
県は、情報通信産業を観光と並ぶ最優先の戦略産業に位置づけました。そこで取り組み状況を最新の立地企業数、新規雇用者数、そしてIT高度化人材育成事業、通信コスト低減化の成果に言及しつつ明らかにしてください。
我が党の代表質問に関連して質問します。
市町村合併について。
2005年3月までの時限立法となっている合併特例法は、延長しないことが前提でありますが、経過措置も検討されております。その内容を明らかにしてください。
「第27次地方制度調査会」において「今後の地方自治制度のあり方についての中間報告」で、合併後の旧市町村単位の自治のあり方について提言がなされているが、その概要と県内で参考になる箇所があるかを説明してほしい。特に、離島地域の自治としてはいかなる内容か。
また、合併に当たり離島に点在する小中学校の再編はあり得るのか、答弁をお願いします。
○副議長(髙良政彦) ただいまの國場幸之助君の質問及び質疑に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時50分休憩
午後1時17分再開
○副議長(髙良政彦) 再開いたします。
午前の國場幸之助君の質問及び 質疑に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 國場議員の御質問にお答えいたします。
最初は、大学院大学の子弟の教育環境づくりについてお答えいたします。
世界じゅうから優秀な研究者を引きつけるためには、研究環境の整備はもとより、教育や医療等研究者やその家族が安心して快適に暮らせる環境づくりが重要であります。
子弟の教育については、英語で行うことを前提に、既存のインターナショナルスクールの活用も含めさまざまな角度から検討されるものと考えています。県としては、国や関係機関と連携しながら子弟の教育環境づくりに努めていきたいと考えております。
次に、大学院大学事業の成功の定義及びスケジュールと県の役割についてお答えします。一括してお答えを申し上げます。
沖縄科学技術大学院大学は、世界の科学技術の発展、我が国の大学改革、沖縄の経済的自立に資することを目的としております。大学院大学は、これらの目的が達成されたときに成功したと言えると思いますが、米国のスタンフォード大学等の事例に見られるように、50年あるいは100年の長期的な視点からも判断する必要があると考えています。当面は、大学院大学が予定どおり開学し、世界的に優秀な研究・教育者の招聘が実現することが事業成功の第一歩であると考えております。
県としては、開学までの準備段階、開学後の発展段階などに適切に対応するとともに、将来的には企業や研究機関等が集積する知的クラスターを形成するなど、本県の振興に資するものとなるよう波及効果の拡大に努めていきたいと考えております。
次に、平成16年度の予算獲得の見通しについてお答えいたします。
平成16年度予算については、大学院大学に関する第1回評議会の議論等を踏まえ、今後策定される基本計画の中で所要経費が算定されるものと考えております。県としては、内閣府を初め関係機関と連携しながらこれらの予算確保に全力で取り組んでいきたいと考えております。
次に、同じく大学院大学の御質問の中で、沖縄振興費の別枠で予算獲得するとの発言の真意についてお答えいたします。
沖縄科学技術大学院大学は、本県の振興発展はもとより、世界の科学技術の発展に寄与すること、我が国の大学改革に資することなどから全国的な視野、あるいは世界的な視野からその設置を目指しております。御指摘の大臣発言については、こうした観点から財政的措置をするという考え方を表明したものと思っております。
次は、地位協定の改定について、全国行脚の進捗状況、他都道県との共有項目についての御質問にお答えします。
県は、去る6月の上旬から北海道を皮切りに福岡県、神奈川県、長崎県、東京都を直接訪問し、地位協定の見直しに関する要請を行ったところであります。
その内容は、各都道県議会に対しては、地方自治法に基づく意見書の採択等をお願いし、各都道県へは、当該議会における意見書の採択等の取り組みへの支援をお願いしたところであります。各都道県から前向きに取り組んでいきたいとのお話を伺い、非常に心強く思っております。
今後、残り8県の訪問を予定しており、各県の協力によって日米地位協定の抜本的見直しに向けての全国的機運が高まるものと期待しております。
なお、他県に所在する米軍基地の規模や基地の使用形態等によってその受ける影響に差があることは否定できませんが、今回の他都道県への要請活動に当たっては、日米地位協定の見直しは沖縄という一地域だけの問題ではなく、国民的な問題であることを中心に説明し理解と協力を要請しているところであります。
次に、中部の観光資源についての御質問にお答えします。
中部圏域は、中城城跡、勝連城跡及び座喜味城跡などの世界遺産を初め「やちむんの里」が形成され、またエイサーや闘牛等が盛んであるほか、風光明媚な海岸線を有するなど歴史や文化、芸能、自然等の多様な資源に恵まれております。特に、中部圏域は琉球民謡やロック、ジャズ等が融合した音楽のチャンプルー文化を形成し、今日の全国的な沖縄音楽の隆盛に大きく貢献しております。また、ピースフルラブ・ロックフェスティバル等の国際色豊かな各種イベントが盛んに行われ、さらにアメリカンビレッジ等の特色ある地域も形成されております。
県においては、これらの地域特性を踏まえ、沖縄コンベンションセンターを初めマリーナや人工ビーチ等を整備するとともに、世界遺産や観光地へのアクセス道路の整備、観光振興地域への観光関連施設の集積、全国エイサーフェスティバル等の諸事業を進めております。
今後は、音楽や芸能等を活用したエンターテインメント性豊かな地域づくりを促進するとともに、海洋性レクリエーション機能の充実した国際交流リゾート拠点の形成を図るなど、地域と連携した積極的な施策を展開する考えであります。
次に、新型肺炎(SARS)の問題で、渡航自粛の要請後の台湾との関係改善についてお答えいたします。
本県と台湾は地理的に最も近い位置にあり、歴史的にもかかわりが深く、留学生の派遣・受け入れを初め経済、農業、文化等さまざまな分野における交流が行われてきたところであります。今回の要請の件については、県民の生命保護の観点からやむを得ない措置であったと考えております。
このような状況の中、県や経済団体、民間団体等から見舞状や見舞金、さらにマスク等の医療用具等を贈るなど支援の輪が県内に広がっているところであります。台湾側からも見舞いに対する御礼と県の立場への理解を示した上で、双方の観光と経済における交流を従前どおり行っていただきたい旨の書簡が届いております。
県としましては、台湾がWHOの指定するSARS流行地域から解除され次第訪問団を派遣することとしております。また、これに引き続き支援ツアー、誘客プロモーションも予定しており、台湾と本県との友好関係が従前にも増して活発になるよう努力してまいる所存であります。
次に、情報通信関連企業の立地状況及び人材育成と通信コスト低減の実績等についてお答えいたします。
県では、情報通信関連産業の振興に積極的に取り組んでおり、本年5月1日現在の情報通信関連企業の立地数は71社、新規雇用者数は約5200人となっています。また、昨年から開始したIT高度人材育成事業では目標の500人を上回る840人が受講しております。
同じく昨年からスタートした沖縄県情報産業ハイウェイを含む通信コスト低減化事業の利用実績は19社に上っております。今年度からは海外に立地する企業を対象とした海外通信コスト低減化支援事業及びデータセンターの県内への集積を支援する事業を実施しております。現在、上海、沖縄、東京を結ぶビジネスモデルを展開する国際的な企業が進出しており、また大手モバイルコンテンツ企業が新たにデータセンターを県内に設置することとなっております。今後とも企業集積の取り組みを推進してまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(花城順孝) 大学院大学の県民へのPR活動についてお答えします。
県としては、昨年6月に国との共催で「沖縄新大学院大学シンポジウム」を開催し、大学院大学構想の県民への周知を図ったところであります。
また、昨年7月には大学院大学設置に向けた県内の機運の醸成や、大学院大学の必要性を内外にアピールすることを目的とする「沖縄新大学院大学設置促進県民会議」が発足いたしました。
ことし3月には、大学院大学を中心とした知的クラスターの形成について理解を広めるため、県民会議の主催事業として「沖縄新大学院大学県民フォーラム」が開催されております。今年度は、10月に開催される国主催の国際学術シンポジウムとあわせて県民を対象にパネルディスカッションや講演会を開催する予定であります。
同じく大学院大学の周辺整備費、運営費についての御質問にお答えします。
大学院大学の建設は、国設・民営との観点から国の予算で行うことを基本方向とし、運営費についても国の支援措置について所要の検討を行うこととなっております。
道路等の周辺整備につきましては、県が中心となって国や関係市町村と連携しながら既存の事業等を活用して効果的に進めていきたいと考えております。
同じく大学院大学関連で、財団設立の進捗状況についてお答えします。
大学院大学の設立母体の立ち上げにつきましては、来年度の設置を目指して現在国において検討が進められております。
なお、本県における支援組織の設立につきましては、国における設立母体等の設置動向を踏まえて検討していきたいと考えております。
同じく大学院大学に関する県の負担についての御質問にお答えします。
県としましては、研究者や学生、その家族が安全で快適に暮らせるよう生活環境等の周辺整備に努めていきたいと考えております。また、将来的には大学院大学を中心とした企業や研究機関が集積する知的クラスター形成に向けた条件整備や、大学院大学との共同研究の実施など本県振興への波及効果を高めるための事業を実施していきたいと考えております。
同じく大学院大学についての、文部科学省の協力・連携についての御質問にお答えします。
大学院大学の開設に当たっては、大学を所管する文部科学省との協力体制が重要であると考えています。内閣府においては、大学院大学構想の具体化に向けて構想検討会や国際顧問会議等を開催して内外の研究・教育者等の参加により論議を重ねているところですが、こうした会議には文部科学省も当初から参加しております。また、文部科学省は去る5月21日に開催された沖縄科学技術大学院大学施設整備連絡会の構成メンバーであり、今後とも同省との協力・連携が図られていくものと認識しています。
同じく大学院大学について、いかなるインセンティブで沖縄に人材を集積させるかとの御質問にお答えします。
沖縄科学技術大学院大学の設立に当たっては、世界最高の教育・研究水準を実現するため研究者等の待遇や研究資金の充実、研究施設の整備など国際的な視点から最高の研究環境を整備することとしています。
また、英語で講義、会議等を行う国際性、運営等の柔軟性、海外の一流大学との連携等を基本コンセプトに、これまでの我が国の大学とは異なった新しい形態の大学運営を目指しております。こうした特色がインセンティブとなって優秀な人材の確保が図られるものと考えています。県としても、研究者やその家族が安心して快適に暮らせるよう教育や医療体制の充実を図るとともに、生活利便性やリゾート環境の高度化を図り、研究及び生活拠点としての魅力を高めていきたいと考えています。
同じく大学院大学関連で、大学づくりプログラム「トップ30」の方向と沖縄新大学院大学との違いについての御質問にお答えします。
世界最高水準の大学づくりプログラム「トップ30」は、研究や高度な人材育成の面でポテンシャルの高い大学に思い切った重点投資を行い、世界に誇れる教育・研究組織の確立、世界最高水準の教育・研究環境の提供、得られた知見の社会へのフィードバック等を目指しております。
沖縄科学技術大学院大学は、世界最高水準を目指すという意味でこのプログラムと同じ方向にあると考えますが、加えて柔軟な組織運営、研究者、学生等の半数を外国から迎えること、すべての講義、会議等が英語で行われることなど、国際性を持った大学として新設されるものであります。
次に、那覇空港拡張整備促進連盟の移管と沖合展開の早期実現との関連についての御質問にお答えします。
平成14年12月の国の航空分科会答申において、新たな空港整備に当たっては住民参加が義務づけられるとともに、県に対しては、国と連携し総合的調査の実施や住民の合意形成に主体的に取り組んでいく役割が求められております。このような航空行政の変化に対応するため、今回の連盟総会において会長及び事務局を経済団体へ移管したところであります。
また、同答申においては、今後の空港整備は住民の合意形成等条件整備が整った箇所から採択するという方向性が示されております。そのため、早期の事業着手に向けて県は引き続き連盟の活動を支援するとともに、住民の合意形成に向けた取り組みを強化してまいります。
同じく那覇空港の総合的調査の進捗状況についての御質問にお答えします。
那覇空港の拡張整備に向け、県は国と連携して今年度から総合的な調査を実施することとしております。平成15年度は、国と県で既存ストックの活用検討に必要な空港能力の把握、旅行者及び航空会社の空港利用特性、空港を活用した地域戦略等の調査を実施する予定であります。
次に、沖合展開の果たす役割と予算折衝についての御質問にお答えします。
本県が目指している我が国の経済社会、ひいてはアジア・太平洋地域の発展に寄与する特色ある地域としての形成を推進するためには、人、物、情報の結節点として必要な交通アクセスの拡充を図る必要があります。
那覇空港は、県民生活や経済活動を支える基盤であるとともに、本県が目指すアジア・太平洋地域における国際交流・協力拠点形成に欠かせない重要な中核施設であり、その拡充整備が喫緊の課題であります。そのような観点からの官民挙げての取り組みが奏功し、平成14年12月の航空分科会答申で、那覇空港は福岡空港とともに「主要地域拠点空港」として位置づけられ、その拡張整備の必要性が認められたところであります。県としては、拡張整備に向けて必要な予算が確保できるよう万全を期していきたいと考えております。
同じく那覇空港の関係市町村との連携体制についての御質問にお答えします。
那覇空港の拡張整備に当たっては、周辺開発計画との整合性、騒音等の環境問題について幅広い合意形成を図ることが重要であります。今後、国及び関係市町村を含めた那覇空港整備のための連絡会議を立ち上げ、連携を密にしながら合意形成に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。
次に、那覇空港の着陸料についての御質問です。
平成15年度から国管理の第2種空港の着陸料が、これまでの本則の3分の2から10分の7に引き上げられておりますが、那覇空港発着の国内路線については、本則の6分の1の特例措置が平成18年度末まで引き続き適用されることとなっております。
以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) 日米地位協定の改定についての関連で、県の改定要求の優先順位、他国の事例についてにお答えいたします。
平成12年8月に日米両政府に対し、県が要請した日米地位協定の見直しの内容については、県議会や市町村の意見も聴取しながら十分に検討を重ねた上で具体的項目を取りまとめたものでありますので、御理解いただきたいと思います。
次に、諸外国の地位協定における地方自治体の関与についてお答えいたします。
主な諸外国の地位協定としてNATO地位協定、ボン補足協定、米韓地位協定がありますが、各協定とも条項の内容に差異はあるものの、総体的には相当程度共通しているものとされております。
地位協定については、人権や環境問題等多岐にわたって取り決められており、被疑者の拘禁の移転については、日米地位協定は他の協定と比較して受け入れ国側にやや有利になっているものの、環境面においては条項そのものが設けられてなく、他の協定より受け入れ国側にとって不十分なものとなっております。
なお、一般的に地位協定は基本原則的な内容を定め、細目は両政府間の合意等によって取り決めがなされるのが通例であり、諸外国において地位協定に地方自治体が関与できる仕組みがあるかということについては、県が入手している既存の資料では把握できない状況にあります。
以上であります。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) まず、観光人材の育成及び活用についての御質問にお答えをいたします。
県におきましては、観光客の多様なニーズに対応できる質の高い人材の育成・確保は重要であるとの認識から、これまでにおいてもさまざまな研修等を実施してまいりました。平成14年度においては、タクシー乗務員、ホテル従業者等を対象とした接遇研修としての観光従業者資質向上事業を実施いたしました。その結果、全県で5000名余が受講し、そのうち約1000名が中部圏域からの受講者となっております。
また、本県観光関連産業の将来を担う次世代のリーダー養成を目的とした観光マネジメント等能力向上支援事業を実施いたしました。その結果、全受講者74名中22名が中部圏域のホテル、観光施設の従業者、観光学科を有する高等学校の教諭等でありました。これらの成果は今後の中部圏域の観光振興に大きく寄与するものと期待しております。
さらに、平成15年度からは3カ年継続事業で観光人材の育成・確保、活用等にかかわる新規の取り組みとして観光産業人材育成事業を開始したところであります。
具体的には、まず1つに、バスガイド、ホテル、観光施設等観光産業従事者を対象とした研修の実施及び研修マニュアル本作成などの調査・研究事業に取り組む観光人材育成研修事業、2つ目に、観光人材の新たな資格認定・登録制度の創設及び人材の活用・運用を担う推進機関の構築を目指す観光人材システム構築事業であります。
本事業の実施により、観光人材の育成に係る取り組みの一元化が図られ、各分野における人材の戦略的かつ重点的な取り組みが可能となるところから、より満足度の高い通年・長期滞在型の質の高い観光・リゾート地の形成を目指してまいりたいと考えております。
次に、フィルムオフィスについての御質問にお答えいたします。
フィルムオフィスにつきましては、ことし4月に正式に設置されたところであり、県としては今後も継続してまいりたいと考えております。
フィルムオフィスの業務は、映像制作者からのロケ候補地や宿泊施設、県内映像関連企業等に対する問い合わせへの対応や、撮影に関する許認可調整、撮影時の立ち会いなど多岐にわたっております。現在、民間側においても関係団体や企業で構成する支援組織を設置する動きがあり、今後、連携を図りながら官民一体となって取り組んでまいります。
フィルムオフィスの国際機関AFCIへの加入につきましては、外国映画を誘致する際に大きな効果があることから、加盟について前向きに検討してまいりたいと考えております。
なお、現在、国内のフィルムオフィスでAFCIに加盟しているのは6団体となっております。
許認可業務については、フィルムオフィスでは映像制作者と事前調整を行い、申請がスムーズに行われるよう支援を行っております。また、許認可機関に対しても随時相談、情報交換を行っており、許認可に対する協力を依頼しているところでございます。これまでフィルムオフィスが支援した事業で映像制作者側から正式に申請後、撮影許可がおりなかった事例はございません。
なお、渡久地議員、それから國場議員からお話のございましたテレビドラマ「Drコトー診療所」は、9月末まで12回の放映でございます。このドラマにつきましては、県、フィルムオフィス、それから地元与那国町においても精いっぱい支援をしております。それだけに全国の多くの方々がこのドラマをごらんになって心を沖縄に向けていただき、沖縄観光にも大きな効果が出ることを期待しているところでございます。
以上でございます。
○商工労働部長(伊川征一) SARSに関する海外事務所の対応についてお答えいたします。
台北及び香港の沖縄県海外事務所においては、SARSの感染拡大の兆しが見え始めた3月後半から4月初めにかけて、現地政府や総領事館等から発表される情報の収集に努めてまいりました。
また、3月25日付でSARSに関する基礎知識や感染予防のための注意事項等を掲載したチラシを作成し県人会等関係者に配布するなど情報の提供を行うとともに、県人からの一時帰国の相談業務に対応してきたところであります。
以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) SARS関連で、一般病院における院内感染対策と県立病院等の連携体制についてお答えいたします。
病院には多様な症状や疾患を持った患者が受診することなどから、医療法に基づき各病院で院内感染対策委員会を設置するなど対策を進めております。
さらに、SARS対策として、伝播地域からの帰国者で発熱、せき等の症状のある患者は事前に受付に相談することなどを記載した対応マニュアルが病院ごとにつくられています。また、県及び県医師会では、SARS疑い例に該当する場合の対応等を周知するためポスター等を作成しております。
一般病院での診療により疑い例に該当した場合には県立病院へ、可能性例及びSARS患者については琉球大学医学部附属病院へ搬送する体制をとっております。
なお、各地区の医師会、保健所及び県立病院は24時間の連絡体制をとっております。
続きまして、保健所における相談件数や県立病院での診断件数についてお答えいたします。
SARSに関する相談は保健所が担っており、電話番号は新聞の救急医療案内欄に毎日掲載しております。SARSに関する相談件数は4月以降603件となっており、そのうち休日の相談件数は18件となっています。また、県立病院におけるSARSの診断件数はございません。
以上でございます。
○地域・離島振興局長(上原 昭) 合併特例法の延長と経過措置についてお答えいたします。
合併特例法は、地方分権一括法の制定に伴い、自主的な市町村の合併を推進するため平成11年7月に大幅に改正され、さまざまな財政支援措置等が講じられたところであります。同法について国は延長はしない旨の発言を繰り返し行っております。
なお、現在国においては平成17年3月31日までに関係市町村が議会の議決を経て県に合併申請を行ったものについては、合併特例法の財政支援等を引き続き適用できる経過措置を講じることを検討しているところであります。
次に、地方制度調査会の中間報告における地域自治組織等についてお答えいたします。
第27次地方制度調査会の中間報告において、合併により規模が拡大する基礎的自治体において住民自治を強化する観点から、合併前の旧市町村を単位として基礎的自治体の事務のうち地域共同体的な事務を処理するため地域自治組織を設けることができる制度が提言されております。これにより、地域自治組織に旧市町村の名称を冠することによって合併前の市町村名を残すことも可能とされております。
この地域自治組織のタイプは2つに分けられ、法人格を有しない行政区的なタイプと、法人格を有する特別地方公共団体的なタイプのどちらかを選択できることになっております。県としては、沖縄の地域特性に合った自治体のあり方を市町村とともに検討していきたいと考えております。
なお、県内においては現在各協議会で合併協議が行われている段階であることから、具体的な地域自治組織等の事例はありません。
また、校区の見直しにつきましては、合併協議会における協議及び市町村建設計画の策定等を進める中で検討がなされていくものと考えております。
以上でございます。
○新垣 哲司 こんにちは。
どうもこの時間帯になりますと私もそうですが、元気がなくなる時間帯と言っても不思議ではないですね。
質問する前にちょっと。去年の11月からことしの4月にかけまして新大学院大学の誘致合戦で3つの候補地から恩納村に決定されました。それはやはり議員の皆さんを初め総体的に恩納村が立地条件がすばらしかったというようなことを申し上げておりました。そうであればそれに従って私もぜひ日本の学園都市、文化都市としてこの恩納村が世界に羽ばたくような文教都市になっていただくことをエールを送っておきます。
そこで、この誘致に決まる手法の件でございますが、多くの候補地から3つに絞られました。それが市町村段階で合戦をして、こういう厳しい行革の時代に東京に陳情に行くと。延べ何名の方が東京に行ったでしょうか、あるいは署名をしたでしょうか。半年にわたるこの行政はそれでいいのか。私は国の指導あるいは知事の指導はこれでよかったのかと非常に疑問を持つわけでございます。政治の頂点に立つ知事がやはりリーダーシップをとって、泥をかぶるところはかぶって、みずから均衡ある発展はどうだということを検証しながら決めていただきたかったなというのが実情であります。これはこれでございます。決まったことでございますので、あえてそういうことは申し上げません。
ちょっと裏話もやってみましょうか、知事。こういう裏話もあるんですよ。
沖縄国体のときに誘致合戦であるところに決まったようでございます。しかしこれも誘致合戦で、今度コンベンションがあるよということで、こういうふうにやはり裏話もあるわけでございますが、公平にやったというお話もございますので、その辺はひとついいところをとって、今後こういう形がないように、また県も国もしっかりしていただきたいということを要望しておきます。
次に、知事の政治姿勢について伺います。
まず、知事は去年の11月に県民の多くの皆さんの支持を得て圧勝いたしました。本県は、3次にわたる県の振興開発で今日まで発展を遂げたわけでございますが、しかしまだまだ本土に比べると格差があるということで、稲嶺知事は2期目の当選を果たし、3次でできなかったことを新法をつくって、これに沖縄県の要求・要望を盛り込んでこれを一つ一つ解決するのが真の沖縄の自立できる発展であるというふうに公約に掲げて当選をしたわけでございます。
本県は非常に県土の狭い中でやはり発展するには、公平公正で、そしてまた均衡ある発展が本当の沖縄の発展であるものだと私は確信をするものであります。しかしながら、ほとんどの予算が中・北部に集中しています。
平成9年にスタートしたあの基地所在地の25市町村、いわゆる島懇事業でございます。10年間で1000億円、もう一つまた普天間移設条件つきでこれも10年間で1000億円、計2000億円の国庫補助金が中・北部に集中しているのであります。まさにそういうことがあっていいかということで、今、私はほかの南部の議員団にハッパをかけております。ジューモッカー島尻郡になるというようなことまで言われているわけであります。
そういうことで、やはり私たち県民はひとしくどの立場であっても公平公正というのは大事でございますので、しっかりとその意気込みでやっていただきたいということを切にお願いをするものであります。
そこで、島尻振興あるいは糸満市の平和の道構想についてでございます。
平和の道構想というのは18年前に予定がされました。しかしながら、生まれて18年というのはもう高校を卒業するわけであります、この子供は。今日までいろんな計画を出しながら実現をしてないのが現状であります。大学院大学が来なかったのもアクセスが悪い、道路がないというようなことも一理あったようでございますので、やはりこういうもろもろ計算した場合には、立ちおくれている南部、また平和の道構想についても知事は全力を挙げていただきたい、私はかように思っている次第であります。
そして、去る5月7日に県土木建築部長の安慶名部長を初め多くの職員がその平和の道構想の地形を案内いたしました。やはりここを調査してみて解決すべき点があるなというような職員からも話があったわけでございます。その取り組みについて県の方でしっかりしたものを持って、一歩一歩、早目にできるところから実現をしていただきたい。これがまた南部あるいは糸満市民の願いであります。知事のこれに対する御答弁をいただきたいというふうに思っております。
次に、拉致問題について伺います。
平成14年9月17日、小泉純一郎首相が訪朝し、北朝鮮の金正日総書記との首脳会談で日朝ピョンヤン宣言が署名されたのは既に御承知のとおりであります。その会談で金正日総書記は、北朝鮮による日本人の拉致の事実を認め謝罪したのであります。そして北朝鮮から示された13人の拉致被害者は生存5人、死亡したのは8人というものでありました。
北朝鮮による日本人拉致問題について北朝鮮は20年以上も拉致の事実を否定し、拉致問題は存在しないとの姿勢をかたくなに守ってきたにもかかわらず、突然、小泉首相との会談に応じ拉致を認めたのであります。
北朝鮮が日朝首脳会談に応じた背景には確かに北朝鮮の国内事情、食糧危機、経済破綻等の事情があったにしろ、アメリカの北朝鮮に対する姿勢、イラクなどと同列に「悪の枢軸」と名指しで批判し、強硬な姿勢を貫いてきたことで日本との接近を図ろうとの意図があったことは言うまでもございません。
北朝鮮は日本人拉致の事実を認め謝罪し、そして核開発を認めた。それにもかかわらず帰国した拉致被害者が永住の意思を固め、日本政府が北朝鮮に戻さないことを決めたことに対し約束違反として反発し、今日に至るまで日朝ピョンヤン宣言に基づく協議に応じてないのであります。
また、国連人権委員会の強制的失踪作業部会で再審された8人の消息調査について北朝鮮は、拉致問題は既に解決済みで検討に値しないなどと文書で回答していたことも明らかであります。しかし、北朝鮮が認めた13人の拉致被害者のうち、死亡したとされた8人については政府も北朝鮮に対し再調査を要求しており、救う会の調査や北朝鮮関係の人たちの証言等から北朝鮮の調査結果は疑問視されているのであります。
また、北朝鮮は13人の拉致被害者しか認めていないが、これが実数と思っている日本人は皆無であります。また、日本政府も6倍もの日本人が北朝鮮によって拉致された疑いがあると見ていたとのことであります。
さらに、拉致被害者の救出に努めている救う会に寄せられた相談件数は320件、そのうち救う会が拉致の疑いがあるとして警察庁に提出した件数は270件であります。一体、北朝鮮は何を考えてこれだけの日本人を拉致したのか、我々民主国家、法治国家に生活している者には到底理解できない無法国家の所業であります。
救う会の調査結果をもとにした新聞報道によると、本県からも氏名を非公開にした者を含めると13人が拉致被害者と言われ、人口別に見ると全国一拉致被害者が多い県と言われているようであります。日本人拉致事件をめぐり日朝の対立は今なお続いているが、拉致事件はもともと北朝鮮による非人道的行為であり、人権侵害事件、国家的犯罪である。独裁国家の最高指導者である金総書記がこれを公式に認め謝罪までしておきながら、日本にいる拉致被害者5人を北朝鮮に戻さない限り安保協議が無期限に延期されるとの警告をすること自体開き直りであり、国際秩序を無視した暴論である。私はこのことを強く指摘したい。
拉致問題はもともと北朝鮮の国家的犯罪であり、北朝鮮に非があることは明々白々であると思うのであります。元気な家族の一員がある日突然神隠しにでも遭ったかのように行方不明になる。残された家族の心労は想像を絶するものがあります。警察は、このような行方不明になっている家族の相談や悩みにこたえる努力をすべきだと考えるのであります。
確かに行方不明になってからかなりの年月が経過しており、今さら捜査が難しいことは重々承知しておりますが、最高指導者の意のままに動く独裁国家に対して、拉致の実態、事実を示す根拠となる材料を提供できるのは警察の調査資料のみであります。このことを確認し、いま一度徹底した捜査を実施してほしいとの願いを込めて質問をいたします。
本県は、全国でも人口比にすると拉致の疑いが一番多いと言われているが、その取り組みについて本部長の御所見を聞かせてください。
そして知事、今後の県の取り組みについて伺いたい。
後で再質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) 新垣議員の質問にお答えをいたします。
最初に、2期目の公約実現についてお答えいたします。
さきの県知事選挙において、県民の皆様から厚い信任をいただいたことに対し深く感謝するとともに、公約の実現に向けた責任の重さを痛感しております。私は、2期目に就任以来、県民に開かれた実行型県政を基本姿勢に、豊かで活力に満ちた沖縄県の実現に向けて誠心誠意全力を傾注して取り組んでおり、県民の英知と創意を結集した沖縄振興計画を着実に実施し、県民とともに本県の発展を確実にしてまいります。
具体的には、産業経済の振興、雇用の創出を加速させ、基地の整理縮小を引き続き力強く推進するとともに、教育、文化の振興や平和の発信、女性と若者の知恵と力の活用、環境の保全・活用、医療・福祉の充実・強化に力を尽くしてまいりたいと考えております。
続きまして、拉致問題に対する県の対策についてお答えいたします。
北朝鮮による拉致事件については、事件解決の進展が見られず大変残念で心を痛めております。また、国が認めている事件のほかにも、民間団体である「特定失踪者問題調査会」が公開している行方不明者リストの中には本県出身者も含まれております。このようなことから、去る6月5日に本県で開催された九州地方知事会において、共通の課題として真相究明のための徹底した捜査や調査の実施等を議決し国に要望したところであります。県としては、去る6月26日に拉致事件の速やかな真相究明のためのさらなる徹底した捜査や調査の実施と、早期全面解決に向けた配慮を外務省特命全権大使・沖縄担当に要望したところであります。今後、真相究明とあわせて、県民で拉致被害者と認定された者が帰国した場合には、「北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律」に基づき、関係機関と連携して生活基盤の再構築に向けた必要な支援策をとっていきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(花城順孝) 南部振興についての御質問にお答えします。
南部圏域は、都市地域、都市近郊地域、農村地域、離島地域と多様な地域性を有しており、その地域特性を生かした活力ある地域づくりを推進する必要があります。那覇市を中心とする都市地域においては、都市の利便性とアメニティーに満ちたゆとりある生活空間をあわせて享受できるように都市機能の再編・再整備を推進します。
浦添市から那覇市に至る西海岸においては、空港、港湾等の整備により国際物流拠点の形成を図るとともに、その後背地と一体となった都市の整備を進めます。
豊見城市から糸満市にかけては、臨空港型産業や製造業、情報通信関連産業等の誘致・集積を図るとともに、園芸農作物の拠点産地の形成や水産業の振興を図ります。
与那原町から知念半島に至る東海岸地域においては、農林水産業の振興を図るとともに、健康・保養や歴史散策等を中心とした観光を推進します。
都市近郊地域においては、都市近郊型農業等を振興するとともに、良好な住宅市街地の形成に向けた整備を進めます。
離島地域においては、健康・保養や歴史・文化等をテーマとした体験・滞在型観光を推進するとともに、農林水産業の拠点産地化を促進します。
以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 知事の政治姿勢についての、南部の平和の道構想についての御質問にお答えいたします。
糸満市が構想する平和の道は、同市の南浜埋立地を起点として名城ビーチ、具志川城跡、魂魄の塔などがある海岸線を経由し摩文仁に至る道路であります。当該道路を県道として認定し整備することについては、糸満市内だけを通過する道路であることや、沿線の地域開発計画の進展も見られないことなどから厳しい状況にあります。しかしながら、県としては平和の道構想は沖縄戦跡国定公園内にある南部戦跡へアクセスする重要な道路であると認識しております。このため、平成12年度から平成13年度にかけて県道としての路線認定の可能性、概略ル-トの検討、費用対効果等についての調査を行い、概略ルート案を作成し糸満市と調整を行ってきたところであります。
今年度は、県提案ルートや検討可能な地元要望ルートについて予備設計を行い、地形条件や費用対効果などについて詳細な調査を実施し、実現可能なルートや整備手法等について検討する予定であります。今後とも地域の要望案を勘案しつつ、糸満市と調整を図りながら早期事業化に向けて努力していきたいと考えております。
○警察本部長(髙橋清孝) 拉致問題に対する取り組みについてお答えいたします。
警察としましては、これまでの一連の捜査の結果、北朝鮮による日本人拉致容疑事案は現時点10件15人と判断しておりますが、それ以外にも拉致の可能性を排除できない事案があると見て、現在関係都道府県警察においてその全容解明のため必要な捜査や調査を進めているところであります。
また、県内の実態についてでありますが、現在までのところ23件30人の相談事案が寄せられていますが、北朝鮮による拉致事案であるとの判断に至った事案はございません。
なお、本県警察におきましては、家族その他関係者からの事情聴取、付近の聞き込み等の裏づけ捜査、関係機関との情報交換など鋭意関連情報の収集と証拠の積み上げに努めております。今後とも警察庁等関係機関と十分連携し、全容解明のため最大限努力してまいりたいと考えております。
○新垣 哲司 知事、3次にわたり、また新しい振計に向けて頑張ると。これは私も十分承知をしております。
知事の政治姿勢の中で、今北部のハワイ、中部のサンフランシスコ、南部が全然まだ日が当たってないと。私は離島も全部行って、湾岸道路がないのは南部だけなんですよ。そこを知事の方から申し上げたいということを質問しているわけなんですよ。部長のさっきの答弁には実態も見ていますし、それは非常に感謝しています。
だけれども、これがないと糸満市から南部につながるアクセスというのは非常に今後大きな課題になりますので、ぜひ知事の方から部長と、休憩してもよろしいですから、一日も早く、一刻も早くやりますということをお願いして、終わるんじゃなくて時間を残しておきます。
警察本部長にはもう再質問はいたしません、時間がありませんので。
○知事(稲嶺惠一) 新垣議員の再質問にお答えいたします。
県土の均衡ある発展というのは大変重要な要素でございまして、南部の振興というのも大変必要な要素でございます。したがいまして、今後とも圏域別振興の中で南部振興についても十分に配慮しながら進めていきたいと思っておりますし、先ほどお話のございました道路の件につきましても県としては全力を挙げて努力をしたい考えであります。
○嘉陽 宗吉 通告してありますとおり順を追って一般質問を行います。
まず1番目に、基地行政の中で米軍基地に保管されているPCBの実態と処理対策の見通しについて伺います。
在沖米軍基地内においては、保管及び使用中のPCBを含んだ未処理の電気機器などおよそ2100トンもの大量に存在すると言われております。この数値は、在日米軍の保管及び使用する全体の67%に相当するようであります。
PCB汚染問題については、卑近な事例として恩納通信所の返還地跡の環境汚染問題、またカネミ油症事件の原因となった問題など猛毒と言われている物質がこれだけ沖縄に存在するのですから、常に130万県民が不安の中での生活を余儀なくされていると言っても過言ではないと思います。
専門家の話によりますと、厄介なことにこのPCBは分解しにくく廃棄物処理が極めて困難と言われ、環境汚染源の一因となっているため手つかずのまま保管されているのではないかとこのように私は思います。
このような汚染、有害物質の人体への被害や県土の汚染を未然に回避するために、このPCB問題については基地行政の一環として米軍、日本政府に対し早急な処理解決策を要請すべきと考えております。
そこでお尋ねします。
①、沖縄の米軍基地に保管されているPCBの総量と場所について明らかにしていただきたい。
②、PCBの保管状況と管理体制について御説明をいただきたい。
③、現在も基地内でPCBを含む機器材等が使用されているかどうか、現状について御説明を願います。
④、PCBの処理対策の今後の具体的なスケジュールはどのようになっていますか、その見通しについてお尋ねをいたします。
2点目に、久米島の海洋深層水の取水能力と利活用の現状及び将来展望についてでございます。
海洋深層水の研究開発は、国内では高知県が草分けとして1989年にスタート、富山、静岡と続いているが、本県では2000年6月に久米島にオープンした沖縄県海洋深層水研究所があります。創設されてわずか3年で農業、水産業、工業等の各分野の研究開発が推進され、かなりの成果、実績が上がっていることに対し敬意を表するものであります。
現在ではミネラル飲料を中心とした食品関係、化粧品、医薬品など多様な分野での商品開発が進んでおり、特にクルマエビの養殖実験は大きな成果を挙げていて、今日では全国一のクルマエビの産地としての名声を確立しているようであります。
海洋深層水の利活用については、今後ますますその真価が発揮され、世の中に認知されるようになりますと多面的な利用拡大が図られ、新しい企業創出と雇用の相乗効果を生み、地域活性化の起爆剤になると期待をされております。去る4月から深層水の販売が開始をされ、それを本格的に活用した企業が既に生産態勢に入っているようでございます。
一番大事なことは、せっかく芽を出した企業が持続発展するためには、もちろん企業の自助努力とあわせて企業への技術を移転する際に十分な指導体制と支援対策の展開が不可欠と考えます。
そこで伺います。
①、これまでの研究成果について各分野別に詳細に御説明をいただきたいと存じます。
②、深層水の民間企業の利活用の現状と支援策について御説明ください。
③、深層水の利活用による商品化のため現地で事業を新たに起こす場合に施設周辺に用地確保は可能か。
④、深層水の今後の利活用についての取り組みと将来展望について御説明をいただきたい。
3番目でございますが、やみ金融の実態と取り締まり強化についてでございます。
最近、やみ金融被害が急増傾向にあり、大きな社会問題としてクローズアップされております。県民生活センターが5月16日発表した2002年度消費生活相談状況によりますと、相談が最も多かったのがフリーローン、サラ金で、特にやみ金融は前年比で4倍の480件で激増の一途をたどっているのが現状でございます。
やみ金融は、長引く不況で多重債務に陥った方、あるいはリストラにより収入が断たれ、日常生活に窮している方をターゲットに保証人不要とか、即金貸し付けオーケーとかいって無条件に貸し付ける。返済期限を過ぎて延滞利息がかさんだところで、一転して暴力的な言動で昼夜問わず毎日数回にわたって法外な高利を不当に請求してくる。やみ金融業者は、ぐるになって会社名や人をかえて逃げも隠れもできないような状態に追い込み、借り手にとってはまさに地獄の苦しみの始まりで、あげくの果ては一家離散や自殺といった悲惨なケースも目立ってきました。このようなやみ金融被害から県民を守る対策を今日的緊急課題として早急に取り組む必要があると考えます。
そこで次の点についてお尋ねをいたします。
①、やみ金融業者の実態と仕組みについて。
②、やみ金融被害の実態と悪質業者に対する警察の対応と処罰の現状はどうなっていますか。
③、法外な利息取り立てについてのこれまでの事例からしてどのような法的措置がなされてきたか、御教示願います。
④、野放し状態にある横暴なやみ金融業者に対し県民の生活を守る立場から、借りる側と貸す側に徹底的に自粛を求めると同時に、悪質業者に対しては法的手段による取り締まり強化策について真剣に取り組む必要があると考えますが、知事と警察本部長の御所見を賜ります。
4番目に、教育行政についてでございます。
(1)、障害児支援についてでございますが、これまで障害を持つ児童生徒は分離教育が実施されてきたが、学校教育法の一部改正に伴って普通校への受け入れが弾力化され、統合教育の推進が図られるようになりました。県内の受け入れ状況については、52市町村の約7割の自治体が統合教育を推進する方針であることが沖縄タイムスのアンケート調査で明らかになっております。
統合教育の推進については、教育の機会均等の視点から自治体がみずから受け入れ体制を確立し、例えば施設の整備を初め教員やヘルパーの確保等々の学習環境の対応が強く求められております。しかしながら、昨今の自治体の財政状況は、諸般の経済情勢下にあって大変厳しい中でのまさにやりくり算段の現状での対応が強いられるわけですから、県もしっかりと支援体制に特段の御配慮を願いたいとこのように考えるわけでございます。
そこで1点目、支援を必要とする障害児の実態はどのようになっていますか。
2、学校現場のあらゆる障害児の受け入れ体制を今後どう構築していくか。さらには基本方針についてお尋ねをいたします。
(2)、給食費の滞納についてでございます。
近年、公立学校の給食費を滞納する家庭がふえているようであります。給食費の支払えない理由については多種多様であるが、不況による失業家庭の増加が一番の要因と言われております。
また、給食費滞納率の低下を押し上げているのは、一面、援助制度の基準を満たしていても財政上の理由で認定されない場合もあり得るということが拍車をかけているのではないでしょうか。義務教育の視点から教育支援は行政の義務の認識の上に立って国、県、地方自治体が積極的な支援策を講じるべきと考えます。
そこで伺います。
①、給食費滞納の実態をどのように把握されておりますか。
②、給食費を払えない家庭に対しては就学援助制度があるようですが、その制度の説明と実態についてお示しをいただきたい。
③、就学援助制度の基準を満たした場合でも市町村の財源不足を理由に認定しないケースもあると言われているが、現状はどのようになっておりますか。
④、諸般の理由による滞納者に対しては、慎重に事情聴取を行い、児童生徒の心情に十分配慮したきめ細かな手だてを講じる必要があると思うが、教育長の所見を伺います。
(3)、不登校の実態と対策についてでございます。
義務教育の中で、学校現場や家庭で子供たちの将来を案じ、苦悩しているのは何と言っても不登校問題だと思います。不登校問題については、以前からその対策の取り組みがなされてきましたが、焼け石に水で一向に改善されないのが現実でございます。
文部科学省の発表によると、むしろ今日では小中学校の不登校生は増加の一途をたどっており、2001年は全国では10年前の倍に近い13万3000人と過去最高になったと言われております。
本当に抜本的な解決策はないのだろうか。私は、不登校の問題を見詰めていく中で学校や教師、家庭、社会が真剣に向かい合って、しっかりと子供たちの心の中をのぞいてあげることが、一個の人間として認められる関係そのものが理解と信頼につなげていく大事なことではないかとこのように考えます。
そこで伺います。
①、本県の不登校生の実態と推移はどのようになっていますか。
②、本県の不登校生の実態は、他府県と比較してどのような状況にありますか。
③、不登校対策を今後どのように取り組んでいくのか、教育長の所見を伺います。
5番目に、健康バイオテクノロジー研究開発センターについてでございます。
沖縄の健康食品産業の売上高は、近年の健康志向の高まりや沖縄の健康・長寿を支えてきた食文化などがマスコミで取り上げられるなど著しい伸びを示しており、平成14年度には132億円と本県の戦略産業に成長しております。しかしながら、本県の長寿に陰りが見え始め、これまでどおりの健康・長寿のイメージで売上高の伸びを維持増進させることに一抹の不安を感じているところであります。
また、最近では本土大手企業の健康食品市場への新規参入等により競争が激化し、本県健康食品産業の売上高の伸びは、これまでに比べ鈍化していると聞いております。沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターは、これらの課題を解消し、健康食品産業のさらなる発展を図るため産業・雇用緊急特別対策の一事業として国の助成を受けて健康食品等の機能性に関する科学的な裏づけや研究開発による商品の高付加価値や新しい商品開発を行う拠点施設として整備されたものと理解いたしております。同センターの今後の機能の充実・強化とその役割が大きく期待されてまいります。
そこで伺います。
①、同センターの設置目的について。
②、同センターの事業内容と運営体制について。
③、研究開発事業を推進していくためには、産学官が一体となった共同研究開発を行い、より効果的な成果が発揮できるシステム化が必要と思いますが、その組織体制について伺います。
④、工業技術センターとの事業のすみ分けについて。
⑤、入居者の現状と今後の研究開発の成果を実用化していくためにそのノウハウをどのような形で企業に転化していくのか、具体的に御説明願いたい。
⑥、具志川市の進めているサンライズ構想や環金武湾構想との関連性や連携の必要性、そして今後の事業展開の方向性について御説明ください。
6点目に、全天候型観光闘牛場の設置についてでございます。
「観光を活かした地域空間づくり」事業の一環として国土交通省の発案で、全国で8県を指定して独自の地域活性化策を打ち出し、国の支援を受けながら事業の推進を図っていくもので、まさに地方分権の施策を反映した事業だと理解しております。本県においては、沖縄市、具志川市、石川市の3市が指定を受けてこれまで3市の検討委員会が開催されてきたと仄聞いたしておりますが、具体的な地域活性化の基本計画の取りまとめについてはどのように進捗していますか。特に、全天候型観光闘牛場の設置については12月定例会の代表質問の中でも取り上げてきましたが、執行部の御答弁は、総合事務局とも相提携して積極的に進めていきたいとのことでございました。
そこで伺います。
「観光を活かした地域空間づくり」事業として国の指定を受けた沖縄市、具志川市、石川市のそれぞれの地域活性化の基本計画はどのようになっていますか。
全天候型観光闘牛場の具志川市への設置についての見通しはどのようになっておりますか。
国との最終調整、予算措置と実施時期について伺います。
次は、我が党の代表質問との関連で、松くい虫の駆除対策についてお尋ねいたします。
①つ、予算執行のあり方についてですが、1年間の予算を当初で全額確保して、松くい虫の発生前に最も効果のある時期に徹底的に予防駆除を実施することは大変大事なことでございます。そこで実効性を上げるために予算はどの時期に、どの程度の予算を執行しているのか伺います。
②、山岳地帯や奥地での被害木の伐倒、処理作業は困難をきわめると思いますが、その完全処理については次の発生を未然に防止するために大変重要であります。これまでどのような手法を講じてきたのか。また、今後、実効性を上げるためにヘリコプター使用を考えてみてはどうか。
③、新たに中長期的な戦略として天敵を利用した防除の技術開発を進めていくということですが、その内容と実施のめどについて御説明をいただきたい。
以上でございます。
○知事(稲嶺惠一) 嘉陽議員の御質問にお答えいたします。
沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターの御質問のうち、設置目的について、事業内容及び運営体制、産学官共同研究の取り組みについて、いずれの問題も関連がございますので一括してお答えを申し上げたいと思います。
沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター、いわゆるバイオセンターは、健康バイオ関連産業のさらなる振興を図る目的で、健康食品等の機能性に関する科学的な裏づけや高付加価値化、新商品開発を行うための研究開発施設として本年3月に具志川市州崎に完成しております。バイオセンターは、健康バイオ関連企業が入居し、みずから研究開発や実証開発等を行うインキュベート施設であります。県では、科学技術振興事業団の地域結集型共同研究事業を導入し、同センターをコア研究室として亜熱帯生物資源に関する研究開発に取り組んでいるところであります。このように同センターを中心に健康バイオに特化した産学官連携による研究開発を促進することで、沖縄振興計画で重点産業として位置づけられた健康バイオ産業の振興が図られるものと考えております。
また、同センターの運営については、当面県の直営方式とし、施設運営が軌道に乗った段階で財団法人等へ委託することとしております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(花城順孝) 海洋深層水研究所のこれまでの研究成果についての御質問にお答えします。
海洋深層水研究所における主な研究成果としては、水産分野でウイルスに感染していないクルマエビの母エビ養殖に成功し、現在県内の養殖場に稚エビが供給されております。農業分野では、夏場におけるホウレンソウの栽培が可能となるなどの成果が出ており、現在、周年安定生産実証試験として中央卸売市場で試験販売が行われております。また工業分野では、深層水の分水を受けた企業でミネラルウオーター、化粧品、塩などの研究開発が行われ、現在6社でこれらの商品が販売されております。
同じく海洋深層水の利活用の現状と支援策についてでございます。
深層水は、水産の分野でクルマエビの種苗生産に活用されております。工業分野では、深層水を利用したミネラルウオーター、化粧品、塩、豆腐などの商品化に活用されております。
県は、こうし
た企業等の取り組みに対し研究開発の分野で深層水を無償で供給するとともに、工業技術センターや海洋深層水研究所を通して技術指導や技術相談などの支援を行っており、今後とも継続して実施していくこととしております。
海洋深層水研究所の施設周辺に用地確保は可能かという御質問にお答えします。
海洋深層水を活用した水産業や食品製造業等の企業用地については、久米島町が海洋深層水研究所に隣接して2万8800平方メートルを確保しております。そのうち1万4000平方メートルについては、クルマエビの種苗生産施設用地として「沖縄県車海老漁業協同組合」に賃借されており、残りの1万4800平方メートルが分譲可能な面積となります。この部分については、現在、久米島町で分譲のための規程や選考委員会要綱を取りまとめているところであり、8月ごろから分譲を開始する予定であると聞いております。
次に、海洋深層水の今後の利活用についての取り組みと将来展望についてお答えします。
海洋深層水研究所では、水産分野でクルマエビ、ヒラメ、ウニ、アワビなどの陸上養殖の研究開発に取り組んでおります。また、あわせて漁協や養殖業者と連携しながら養殖場の整備や技術移転の手法等についても検討しております。
農業分野では、土壌冷却による野菜類の栽培技術とハウス内冷却による花卉類の開花調整技術を確立しており、今後は農家へ技術移転するための実証研究に取り組む予定であります。
工業分野では、民間企業がミネラルウオーターや化粧品などを商品化しており、また高品質塩や深層水添加食品、栄養補助ドリンク剤などの研究開発を進めております。県としては、民間企業や研究機関と連携しながら研究開発成果を商品化に結びつけていく取り組みを今後一層強化していきたいと考えております。
以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) やみ金融の実態等についてでありますが、警察では貸金業規制法に規定する無登録営業事犯、出資法に規定する高金利事犯、その他貸金業に関連した詐欺、暴行、脅迫事犯等をやみ金融事犯と定義づけておりますが、やみ金融業者のほとんどは無登録であることから、その全体像を把握するまでには至っておりません。
県警はことし1月、「090金融」と呼ばれるやみ金融業者4名を逮捕しましたが、同業者等は店舗を構えず、携帯電話番号のみの連絡先を記載したチラシ等で顧客を募り、高金利で金を貸し付けた上、脅迫まがいの取り立てを行っていたものであります。
これらの4業者は、九州に所在する同一のやみ金融本社の指揮を受けながらもそれぞれ別の業者名を名乗り、顧客に関する情報を交換しながら貸金業を営み利益を本社に上納するシステムをとっておりました。ちなみに、同業者等は営業開始から摘発されるまでの3カ月間に約700名の顧客に総額約4000万円を貸し付け、ほぼ同額の利子を受け取るとともに、約1000万円の利益を上げていたことが判明しております。
次に、被害の実態、処罰の現状についてでありますが、やみ金融被害の実態につきましては警察では被害者等からの相談を受けその状況を把握しているのでありますが、県警に寄せられたやみ金融等に関する相談件数は、平成13年中18件、平成14年中は88件、ことしは6月末現在で既に206件の相談を受理するなど激増している状況であります。相談件数の増加は依然としてやみ金融を利用する県民が多いことを示しており、今後は安易にやみ金融に手を出さないよう広報・啓発活動を強力に推進していく所存であります。
県警では、悪質な業者に対しましては迅速に捜査、警告等の措置を講じているところであり、警告により脅迫等がなくなった事例もあります。
それから、やみ金融業者の処罰の状況についてでありますが、ことし1月摘発した「090金融」と呼ばれるやみ金融業者4名について申し上げますと、主要な2名につきましては懲役1年、執行猶予3年及び罰金30万円、その他の2名につきましては罰金30万円から40万円が言い渡されております。
次に、法外な利息に対する法的措置についてであります。
貸金業規制法では、貸金業者等による強引な取り立て行為は禁止されておりますが、同条項は無登録のやみ金融業者には適用されないことから、警察ではやみ金融業者による法外な取り立て事犯を認知した場合、無登録営業を禁止する貸金業法と高金利を規制する出資法違反を抱き合わせて適用するほか、取り立てに際し、暴行、脅迫、住居侵入等の刑罰法令に触れる行為があった場合等は法と証拠に基づき捜査、警告等所要の措置を講じているところであります。
なお、県警では昨年、高金利の出資法違反、貸金業規制法違反等で6件を摘発し、暴力団総長等7名を検挙しておりますが、ことしに入りましてからも一昨日逮捕した東京都内のやみ金融業者2名を含め、7月3日現在、貸金業法及び出資法違反で17件、8名を検挙しております。
やみ金融に対する取り締まり強化策についてでありますが、県警では県民がやみ金融被害に遭わないよう警察相談の機会はもちろん、県警ホームページ、交番速報等の広報紙を活用してやみ金融利用の自粛を呼びかける一方、マスコミを活用しての広報活動、例えば昨日は民放のラジオ番組においてやみ金融の実態、被害防止等について呼びかけましたが、こういう広報・啓発活動を積極的に推進しているところであります。
県警では、増加するやみ金融事犯の取り締まりを強化するため、去る6月17日付で警察本部と関係警察署の警察官12名によるやみ金融事犯合同取り締まり対策班を立ち上げ、集中的な取り締まり体制を確立したところであります。
一昨日は東京都内のやみ金融業者2名を逮捕しておりますが、やみ金融事犯の大半はこのような広域犯罪であることから、今後は関係都道府県警察との合同・共同捜査を積極的に実施するなど、効率的かつ強力な取り締まりを推進してまいる所存であります。
以上です。
○文化環境部長(屋嘉部長市) やみ金融に対する県の取り組み等についてお答えいたします。
県では、県登録貸金業者に対して新規登録時の法令講習会や年2回の法定研修会等において過剰貸付禁止等法令の遵守について指導しております。また、定期的な立入検査のほか、苦情相談のあった貸金業者に対しては速やかに立入検査等を実施し、違反事実が確認された場合、口頭で厳重注意を行うとともに、必要に応じて業務改善の文書勧告を行うなど積極的に対応をしております。しかし、やみ金融や県外の登録貸金業者に対しましては、県が貸金業規制法に基づく立入検査や行政指導を行うことは困難であることから、当該業者に係る苦情相談については警察等関係機関と連携を図りながら対応しております。
県におきましては、近年、県の相談窓口にやみ金融に係る相談が多く寄せられていることなどから、県の広報紙や暮らしの情報紙にやみ金融に係る情報を随時掲載するとともに、各種催し事においてパンフレット等の配布、パネル展を開催するなど広報・啓発を行い、県民に対して注意喚起を図っております。
今後とも広く県民に対して情報提供を行い、悪質な貸金業者による被害の未然防止に努めてまいりたいと考えております。
○教育長(山内 彰) 支援を必要とする障害児の実態についてお答えいたします。
平成15年5月現在、公立小学校、中学校に在籍する障害のある児童生徒の数は1108名であります。その内訳は、特殊学級に902名、通級による指導を受けている児童が187名、通常学級に19名となっております。また、その中には、市町村就学指導委員会で本来は盲・聾・養護学校への就学が望ましいと判断された児童生徒の69名も含まれており、そのうち認定就学者は9名であります。
なお、通常学級に在籍している児童で学習障害、いわゆるLD児の疑いのある児童が県内小学校におけるサンプリングによる実態調査の結果、約0.81%、数にして669名が在籍しているものと思われます。
次に、障害児の受け入れ体制の構築と今後の方針についてお答えいたします。
平成14年4月の学校教育法施行令の一部改正により、障害のある児童生徒を「認定就学者」として小中学校に就学させることができるようになりました。したがいまして、県教育委員会ではこの施行令改正の趣旨を踏まえて適切に就学指導が進められるよう「就学指導地方研究協議会」等を開催して障害のある児童生徒の受け入れ体制の構築と充実を図っているところであります。また、通常学級に在籍している学習障害(LD)児の児童生徒に対しては国の委嘱を受け、平成15・16年度、特別支援教育推進体制モデル事業を宜野湾市教育委員会に研究実践を依頼し、障害のある児童生徒の学習支援を進めております。
さらに県教育委員会の教育推進計画の一環として、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズにこたえて適切な教育的支援を行うこととしております。そのための事業として離島を含め県内11カ所で巡回就学相談活動事業の実施をして就学前の幼児とその保護者への相談援助をしております。さらに、養護学校等14校に教育相談員を配置して小・中・高校生の保護者や担任などに障害のある児童生徒の相談援助を実施しております。さらに、平成15年度、16年度には那覇市の教育委員会に学習障害児支援事業を委託して学習障害児等の支援を推進するとともに、通級による指導の充実等を図っているところであり、今後ともその充実に努めたいと思っております。
給食費滞納の実態についてお答えいたします。
学校給食費の徴収については各市町村の業務となっているため、県教育委員会としましては給食費滞納の実態の詳細を把握することは困難であります。でも、おおむね次のようなことが言えます。
徴収方法については1つ目に学校が徴収し役場へ納入する学校徴収、2つ目に調理場が直接徴収する調理場徴収、3つ目には口座引き落とし等による役場徴収などがございます。
給食費滞納者については、要保護及び準要保護制度で援助を受けているにもかかわらず滞納している者も含め、おおむね4%程度いると聞いております。
続きまして、就学支援制度の内容とその実態についてお答えいたします。
経済的な理由により、就学が困難と認められる児童生徒の保護者に対して市町村が学校給食費、学用品費及び修学旅行費などの援助を行う際の制度として「要保護及び準要保護児童生徒援助費補助金」制度がございます。ここ3年間における学校給食費の受給者の状況は、平成12年度が全児童生徒数16万2219人中1万7581人──要保護が2192人、準要保護が1万5389人──で、率にしまして10.8%、平成13年度は15万9494人中1万8276人で11.5%、平成14年度は15万6447人中1万8792人で12.0%となっており、年々増加傾向にあります。
基準を満たしていても財源不足のため認定されない現状についてお答えいたします。
この要保護及び準要保護児童生徒の認定に際しましては、市町村において独自の基準や予算の範囲内で認定されているものと聞いております。なお、要保護、準要保護と認定された児童生徒に対してはほとんどの市町村において全額援助されているものと認識しております。
また、県教育委員会といたしましては、国に対しても国庫補助の充実を図るため、全国学校給食振興期成会を通して要保護及び準要保護児童生徒等の学校給食費に対する国庫補助を充実すること等を要望しているところでございます。
滞納者への対応についてお答えいたします。
学校給食費の納入指導については、学校、家庭、市町村等が連携を図りながら行われることが大切だと考えております。
県教育委員会としましては、市町村教育委員会学校給食担当者や給食センター所長等を対象とした「学校給食行政担当者連絡協議会」等を開催して給食費徴収の手だてや滞納者の子弟の心情に十分配慮した対応等について情報交換や研究協議を行っております。今後とも児童生徒の心情に十分配慮したきめ細かな手だてを講ずるよう市町村教育委員会等と連携して対応していきたいと思っています。
それから、本県の不登校児童生徒数の推移と他県との比較について一括して答弁いたします。
不登校はどの子にも起こり得ることとしてとらえて、不登校の状況が継続すること自体、本人の進路や社会的自立のために望ましいことではないと認識しております。
ところで、過去3年間の本県の不登校児童生徒数の推移を見ますと、平成11年度が2216人で最も多く、平成12年度は2130人、平成13年度は1896人と減少しております。不登校児童生徒数が全国的に増加している中で、本県では過去2年間で320人減少しております。また、他県との比較では平成13年度の在籍比率で見ますと、全国の1.2%に対して本県は1.16%でございまして、全国比率を下回っております。
不登校対策の今後の取り組みに関する教育長の所見についてお答えいたします。
この不登校の問題は、本県の義務教育における最重要課題の一つであると考えております。
この問題については、子供一人一人を理解し、個性の伸長、社会的自立及び人材の育成の面からも確かな対応策を持って臨む必要があり、子供との理解と対話を基盤として3つのことを踏まえ具体的に取り組んでいきたいと考えております。1つ目は、児童生徒理解と教育相談体制の充実・強化であります。2つ目は、子供一人一人のよさや可能性を伸長する個に応じた指導の充実であります。3つ目は、自分に合った生き方や将来の進路等をみずから歩んでいくことができるようガイダンス機能の充実、子供にとっては選択能力を身につけさせる指導・支援に力を入れていきたいと考えております。
そのための具体的教育施策として、1つにはスクールカウンセラーの配置拡充を考えております。2つ目には、直接訪問による子供及び保護者への巡回教育相談事業の充実、不登校が最も多い那覇市を中心に県内の11の都市の実効性のある取り組みを共有するための連絡協議会の機能強化をしていきたいと。さらに家庭教育支援会議の推進などを挙げて教育効果を高めていく所存であります。
さらに、本年度からは文部科学省の支援を得て、学校、家庭、関係機関をネットワーク化した地域ぐるみの支援体制を整備する「スクーリング・サポート・ネットワーク」──SSNと呼んでおりますけれども──この整備事業なども取り入れ、不登校対策の取り組みを推進していきたいと思っております。
今後とも関係機関との連携を深めながら、不登校対策を推進していく所存でございます。
以上でございます。
○商工労働部長(伊川征一) バイオセンターと工業技術センターとの役割分担、研究成果の実用化について一括してお答えをいたします。
バイオセンターは、工業技術センターにはない実証施設等を有し、企業等が入居して健康食品やバイオ関連の研究について基礎的分野からその成果の実証まで、みずから一連の研究が行えるインキュベート施設となっております。
一方、工業技術センターは、基礎的な研究開発を担うとともに企業等に対する新技術開発などの支援機能を有しており、バイオセンターと相互に連携・補完し合うことで相乗効果が発揮されるものと考えております。また、研究成果の実用化については、技術面と経営面での支援が重要であり、県としましては工業技術センターを初め株式会社トロピカルテクノセンターや沖縄県産業振興公社との連携を強化し、入居者に対する総合的な支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、具志川市のサンライズ構想や環金武湾構想との関連性についてお答えをいたします。
沖縄振興計画においては、健康バイオ産業を重点産業に位置づけ、戦略的にその振興を促進することとしております。このことからバイオセンターを健康バイオ分野における実証的な研究開発等を支援するための施設として整備し、同センターを拠点に産業クラスターの形成を促進しようとするものであります。
一方、具志川市のサンライズ構想は、健康、自立経済等をキーワードに21世紀型の新たな視点でのまちづくりを目指すものと認識しております。また、「環金武湾振興QOLプロジェクト構想」は、金武湾を取り巻く6市町村が健康・長寿をテーマとした研究、開発、実践、情報、交流の5つのクラスター形成を推進するための地域振興計画であると認識をしております。
このようなことからバイオセンターの位置づけ、目的は、具志川市のサンライズ構想や環金武湾構想が目指す方向性と基本的には一致するものであり、相互に連携・活用することにより相乗効果が発揮されるものと考えております。
以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) まず、具志川市等の「観光を活かした地域空間づくり」における基本計画はどうなっているかとの御質問にお答えをいたします。
沖縄市、具志川市及び石川市は、「観光を活かした地域空間づくり」のモデル地域に選定され、国、県、市及び関係者から成る委員会において中部地域観光の現状や課題、観光振興の基本方策等について検討を行い、この3月に各地域ごとの戦略事業に関する報告書を取りまとめております。次のステップとして地元が主体となった事業計画を策定する必要がありますが、現時点においてはその作業にまだ着手していないと聞いております。
次に、全天候型観光闘牛場の設置についてお答えをいたします。
全天候型観光闘牛場の設置につきましては、具志川市や闘牛組合を初め地元関係者が中心となった推進体制の確立及び事業計画の策定など基本的な課題がありますので、地域一体となった取り組みが不可欠であります。
県といたしましては、こうした地域の取り組み状況を踏まえて多様なエンターテインメント創出の観点から、諸施策の活用を検討し、地域の主体的な取り組みを支援していく考えであります。
以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 代表質問との関連で、松くい虫被害の予防対策の実施時期と予算執行、山奥の被害木の伐倒駆除について、天敵利用技術開発の内容と実施時期のめどについて一括してお答えいたします。
松くい虫被害の予防対策は、4月から5月に実施する薬剤の地上散布と12月から2月の間に実施する蔡温松など貴重な松への樹幹注入を行っております。平成14年度の予算執行額は、薬剤の地上散布約1600万円、樹幹注入は約200万円となっております。
山奥の被害木については、作業現場において丸太切りを行い、集積後、ビニールで被覆し薬剤による薫蒸処理を実施しております。しかしながら、森林の環境及び景観の保全上から今後はヘリコプターの使用による処理についても検討していく考えであります。
また、天敵を利用した防除技術については、ホソカタムシ類やボーベリア菌等についておおむね5年を目途に研究開発に取り組んでいく考えであります。
以上でございます。
○副議長(髙良政彦) 休憩いたします。
午後3時13分休憩
午後3時41分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
吉田勝廣君。
〔吉田勝廣君登壇〕
○吉田 勝廣 一般質問を行います。
1、北部振興について。
北部地域は、周知のとおり主として森林地域と農業地域から成り、海浜景観に恵まれた豊かな自然環境を有する地域であるが、中南部地域と比較した場合、産業基盤、生活環境の双方において整備水準が低く、所得水準も低い状態にあります。このため、進学や就職を機会に中南部地域や県外への若年層の流出が進み、多くの町村で人口増加率が停滞しているとともに、少子・高齢化が進行している状況にあります。
また、忘れてならないのは、北部地域は沖縄本島の水源涵養地域として県民生活の安定に重要な役割を果たしております。
このような状況を踏まえた上で北部地域の振興を考えたとき、定住人口の増加が北部地域の活性化、ひいては県土の均衡ある発展を図る上での基礎的課題であり、このため雇用創出に向けた産業の振興と定住条件としての魅力ある生活環境の整備を図ることが必要であります。
このような認識のもとで、今日、政府は予算上の特別な配慮や新たな法整備などを行いつつ、北部12市町村、県及び国が三位一体で北部振興に全力を挙げて取り組んでいるところであります。その結果、徐々にではあるが各市町村にその成果があらわれ始め活性化しつつあります。しかしながら、北部12市町村の主要な財政指標を分析しますと、財政力指数で北部平均0.215、経常収支比率は85.2%、公債費比率15.9%、公債費負担率16.5%と中南部よりかなり高率であります。また危険信号でもあります。
また、市町村民所得では県平均を100とした所得指数を見ると、北部地域は93.3%で最も低いのが現状であります。また、地域別県民所得の構成比、北部8.8%、中部43.7%、南部16.9%、那覇22.9%であります。人口は大正時代から変化ありません。下水道は名護市、本部町以外はゼロ、県営団地の施設率はわずか3%であります。このように財政力が弱く脆弱な基盤整備に対処するためには、補助率の低い公共部分の活用に難しさがあり、しかも明許繰り越しができないところに大きな問題があると考えます。
そこで、現在の北部振興の非公共及び公共の割合を見直す時期に来ていると私は考えておりますが、以下、順次伺います。
(1)、公共・非公共の進捗状況について、市町村、県、国別に示してください。
主たる市町村、県、国の実績を示してください。
(2)、公共事業の実績、採択が非公共事業に比べ進捗率が低いと考えますが、その原因は何でしょうか。
(3)、公共事業における漁港整備事業(名護市屋我地漁港、恩納村瀬良垣漁港)がおくれている原因は何でしょうか。
(4)、農業行政について。
ア、家畜排せつ物法が平成16年11月に施行されるに伴う対策及び進捗状況など、今後の見通しについて伺います。
イ、養豚等畜産農家の育成と名護市食肉センター等の今後の運営の見通しについて伺います。
ウ、台風に強いと言われる平張りハウスの設置状況と、今後どのように進めるのか伺います。
(5)、こうした進捗状況から判断しますと、公共500億円、非公共500億円の割合を見直し、より北部振興を充実・強化、発展させるためには非公共に比重を置くべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
2、沖縄科学技術大学院大学の設置に伴う道路の整備について。
沖縄科学技術大学院大学が恩納村に決定したことに対して、北部選出の議員の一人として知事、議会を初め多くの関係各位に感謝を申し上げます。新大学院大学の今後の運営等については、沖縄科学技術大学院大学施設整備連絡会議で決定されると思料しますが、何よりも優先しなければならないのはアクセス道路であります。現在、恩納村から金武町への県道は途中で分断され、金武町の町道60号線を利用しているのが実情であります。早期の対策が必要であると考えます。
以下、次の2点について質問いたします。
(1)、恩納村南恩納から金武町屋嘉区に通じる道路等の拡幅及び整備について。
(2)、沖縄自動車道屋嘉インターチェンジ等の整備について伺います。
3、県立高等学校編成整備計画について。
(1)、財政計画など今後の方針について伺います。
(2)、今後の人口動態を考慮しますと、普通高校の統合計画が整備計画から欠落していると考えますが、地域に合った学校づくりを目指しているのか伺います。
4、環境行政について。
県は、億首川流域のマングローブの保全等について国と協議を行っているとしているが、いつごろまでか期限を明らかにしてもらいたい。
マングローブは年々減少しており、今後、台風が接近した場合は大きな打撃を受ける可能性があり、早期の対策が必要であると考えます。県の対策を伺いたい。
また、平成5年2月19日、金武町、国、県の三者で億首ダムに関する覚書を交わしましたが、その後の対策はどうなっているか伺います。
県立の移民等資料館の建設について伺います。
これまで県立移民資料館の建設については何度も要請をしてきました。構造物、建物は町がつくって、運営は財団法人などを組織して応分の負担をして移民資料館をつくったらどうか提案をしてきましたが、結果は現状のとおりであります。
今、100年にわたる膨大な資料を収集しておかなければ、分散し紛失するおそれがあります。ハワイや南米4カ国では90歳以上の高齢者が相次いで亡くなっております。ですから早く対策を打たないと収集が困難になります。
以下、次の3点について質問いたします。
県は、平成8年から沖縄国際交流情報センターの基本計画を策定してから7年を経過しておりますが、いまだに見直しを進めているとの答弁を繰り返しております。これまでの経過と今後の方針について伺います。
また、これまで各国の県人会及び関係者に資料収集を呼びかけ収集したことがあるか伺います。
国際交流情報センターから移民資料に関する施設を除いて町と共同で県立の移民資料館を建設してはいかがですか、伺います。
6、基地問題について。
6月23日、戦後50年目の「慰霊の日」、村山総理を初め三権の長が追悼の誠をささげ、淡々と戦後50周年は終わろうとしておりました。しかし、沖縄の内実は復帰以前そのものでありました。95年9月4日、米兵による不幸な事件が発生し県民を震撼させました。同時に、沖縄の内実が問い直され県民の怒りは爆発し、地位協定の改定など多くの反基地闘争が燎原の火のごとく広がりました。まさに戦後50年を経て犯人さえも逮捕できない現実を目の前にした県民のいら立ちとワジワジーが、沖縄を怒りに燃える島に変えたのであります。
このような人間性回復の闘いがアメリカ、日本両国民の世論を喚起させ、日米両政府の重い腰を上げさせました。その結果、1996年12月20日、SACO最終報告でこれまで沖縄県が要求していた那覇軍港、県道104号線越えの実弾演習、旧読谷補助飛行場パラシュート降下訓練、そして普天間飛行場等の移設が発表されました。移設先は本土や県内ではありましたが、基地は確実に動きました。また、そのときから条件移設先の市町村は新たな苦悩が始まりました。容認するのか拒否するのか、二者択一の選択は県民、市町村民を二分する大きな政治・地域問題に発展をしました。それは今日まで続いております。
このような渦中に私は金武町長、北部市町村会会長としてかかわってきました。当時の浦添市・宜保市長、宮城市長、名護市の比嘉・岸本両市長の苦悩がいまだに目に焼きついております。また、村山、橋本、小渕の各総理大臣、故梶山、野中、青木の各官房長官、尾身大臣、古川副官房長官、島田慶大教授、岡本首相補佐官、自治省の三沢・嶋津次官、防衛庁施設局の嶋口・北原局長、そして沖縄大使の原島、野村、橋本、また沖縄対策室の及川、安達、防衛施設局、総合事務局の多くの職員が献身的な熱い思いで問題解決のために誠意を尽くしてくれました。
そのような結果、新沖縄振興計画、北部振興、島懇事業、傾斜配分、調整整備資金などが実現し現在進行中であります。しかし、時がたつにつれてこうした歴史を熟知した熱い思いの人々が職務を離れるにつれて、沖縄問題の影も薄れつつあります。また、日米関係においても沖縄問題の優先順位の低下が見られます。政府関係者においても、普天間飛行場の受け入れ問題が解決したので沖縄問題は決着済みという風潮があるようであります。残念なことであります。
のど元過ぎれば暑さ忘れるというようでは沖縄の基地問題は解決をいたしません。それゆえに基地を抱える沖縄県の苦悩と矛盾、不平等を絶えず誇りを持って訴え続けることが大事であります。その意味で稲嶺知事の全国行動は高く評価するものであります。ただ、今思うことは、一人の少女の犠牲の上にしかこのような施策ができなかったことに自問自答し、歯ぎしりをしているところであります。
また、残念なことに5月25日、悲しい事件が発生しました。この町では復帰30年余、もう本当に言いたくはありませんが、殺人事件6件、その他暴行・傷害事件が何回も発生をしております。繰り返す事件のたびごとに犯人の逮捕をめぐって常に日米地位協定が壁になって米兵の逮捕がなかなかできないことに激しい憤りと屈辱感を覚えるものであります。
同時に、町民は日常生活に不安を感じ、子供の成長、教育に支障を来している現状であります。町民が築き上げたまちづくりがそのたびごとに水泡に帰し、またゼロからのスタートであります。これは基地を抱える市町村の苦悩であります。
私は、米兵士といえども法の前では日本国民と同じ平等でなければならないし、したがって日本の法令に基づいて調査するのは当然だと考えます。そうでなければ米兵に特権意識を植えつけ、同時に日本国民は我々が守っているんだから特権は当然だという優越感を助長することになりかねません。私は、政府が毅然たる姿勢で日米地位協定の改定を主張し、対等な関係を築くことが真の同盟であることを確認するものであります。従うだけでは同盟ではないことを政府に強く申し上げたい。
次に、金武町で惹起している基地問題について触れます。
北部ダム事務所が億首ダム建設に伴い基地の返還を米軍に要求しました。これに対して米軍は次の条件を付して合意する旨回答をしております。1、県道104号線の封鎖、そして新たな湖水面に県道104号線を新設、2、産業道路の封鎖、3、移設後の県道104号線を交差する橋の立体交差点の設置、4、貯水池の上に米軍専用橋の設置などであります。
これは、沖縄県民の基地の負担軽減をするとのSACO合意等に逆行するものであり、新たな基地の接収と言っても過言ではありません。
しかも、この2つの道路は県道104号線は恩納村と金武町を結ぶ生活道路であり、産業道路は金武町と宜野座村を結ぶ道路として恩納村、宜野座村、金武町の将来のまちづくり(合併も含む)に重要であるとして、1、県道104号線の拡幅、2、産業道路の歩道の新設・設置、3、漢那ダム等へのアクセス道路の建設など、「象のオリ」の移設の際、防衛施設庁、外務省、沖縄開発庁、官房長官等に要請したところであります。
その上、金武町が建設計画をしている最終処分場・焼却炉についても位置の変更を求めています。これには莫大な経費がかかるばかりではなく、工事のおくれでダイオキシン問題にも重要な影響を与えるのは必至であります。
このような米軍の傲慢な態度は、これまでの歴史やまちづくりを無視するばかりか、これまで金武町が米軍をよき隣人にさせるために努力してきたこと、「象のオリ」の苦渋の選択をして容認してきたことなどを逆なでするものであります。
また、その背景には9・11テロ以降の過剰警備、過剰反応、アフガン、イラク戦争の勝利によるアメリカ一国主義及び日本のアメリカ追随の姿勢があると思えてなりません。だから私は今後、1、地位協定の改定、2、基地返還のSACO2、3、代替施設の基地の建設及び管理運営が厳しくなることは目に見えております。また、法外な要求をすることも予想されます。私たちは、これに対して真っ正面から県民の利益を主張し、ひるまず対抗すべきであり、一歩も後に引かない決意が必要であると考えます。
以下、質問いたします。
(1)、(2)につきましては、他の議員の質問に対して回答しておりましたので割愛させていただきます。
(3)、「象のオリ」建設に伴う産業道路の閉鎖、また金武町の計画している最終処分場・焼却炉建設に対しても計画変更を求めている。及び県民の安定的給水を確保するための億首ダム建設に伴い、県道104号線を閉鎖し移設を要求している。このような理不尽な米軍の要求に対して県の見解を伺いたい。
(4)、このようなSACOの最終報告にない理不尽な要求が通れば、「象のオリ」の建設を苦渋の選択を決定した者として不退転の態度が必要と考えますが、知事の見解を伺いたい。
(5)、日本政府は、SACO等の移設については地元の頭越しには行わないと言明しているが、今後、SACOの具体化につれて金武町のような事案が惹起すると考えられますので、これに対抗するためには基地を抱える市町村の連携と知事の強力な指導力が求められると判断するが、知事の見解を伺いたい。
(6)、平成8年12月2日のSACO最終報告の中で、1997年度末を目途にヘリパッドのブルービーチへの移設を条件にギンバル訓練場は全面返還を発表したが、いまだに動かない。その理由は移設条件にあります。県として何らかの対策をとる考えはないか伺います。
(7)、基地の跡地利用は国の財源支援がなければ成功しません。駐留軍用地跡地の利用促進等が沖縄振興特別措置法に条文化されたことは評価するが、運用面など重要部分は政令にゆだねられており、中身が見えにくい。そこで、県は政令の明文化に向けてどのような手順を踏むのか伺いたい。
(8)、SACO合意に協力した国頭村の北部訓練場、安波訓練場などは法の成立以前に返還されており、この法律の適用は困難とされており、何らかの対策が必要であると考えるがどうでしょうか。
(9)、今度の暴行事件は、またもやこれまで町民がまちづくりに努力してきたことが水泡に帰すものであり、今後、このような事件をなくすためにどのような対策をとるのか。また、まちづくりにどのように協力していくのか伺います。
7、我が会派の代表質問との関連について、浦崎議員のオニヒトデ条例を制定したらいかがかという提言を受けて、承っておきますとの答弁でしたが、私は、オニヒトデの発生が貴重なサンゴを食い荒らし、観光、県土保全、漁業に大きな影響を与えるのは必至だと考えます。過去に松くい虫の被害に対して財政投入し徹底的な駆除をしなかったことが今日の状態を招き莫大な費用の出費を余儀なくされていると考えます。そのような教訓をオニヒトデ対策に生かし、条例制定に向けて努力すべきだと考えます。もう漁民やボランティアでは駆除作業には限界があると考えます。
そこで次の3点について伺います。
(1)、思い切った財政を投入する考えはないか。
(2)、オニヒトデの有効利用はできないか。
(3)、条例を制定する考えはないか伺います。
以上で一般質問を終わります。
ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 吉田議員の御質問にお答えいたします。
基地問題についての御質問のうち、SACO最終報告にない要求と県の指導力についてという3つの御質問がございましたので、それに対して一括してお答えいたします。
金武町が計画している焼却炉建設や国が計画している億首ダム建設に対して、米軍からさまざまな要求が出されていることは承知しております。SACOの合意事案を着実に実施するためには関係市町村長の理解と協力が必要不可欠であり、県としては今後、状況の把握に努めるとともに、地元金武町の意向も踏まえつつ国や関係部局とも連携し適切に対応していきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(花城順孝) 北部振興事業の採択状況及び実績等についての御質問にお答えします。一括してお答えいたします。
北部振興事業は平成12年度から実施されており、これまでに採択された公共事業は、これは国庫補助金ベースで申し上げますと市町村64億6700万円、県41億5200万円、国20億8300万円、合計で127億200万円でございます。
非公共事業については、市町村183億1100万円、県3800万円の合計183億4900万円となっております。
平成14年度までに執行した公共事業は、これも国庫補助金ベースで申し上げますと市町村23億9800万円、県11億3600万円、国4億2100万円の合計39億5500万円であります。
北部振興事業費の公共枠500億円に対して8%の執行となっております。
非公共事業については、市町村148億4500万円、県3800万円の合計148億8300万円で、これは北部振興事業費の非公共枠500億円に対して30%の執行となっております。
これまでに整備した主なものは、公共事業では道路改築事業、海岸保全施設整備事業、港湾改修事業等であり、非公共事業では名護市の食肉処理施設整備事業や宜野座村のサーバーファーム整備事業、今帰仁村のキノコ生産出荷施設整備事業等であります。
同じく北部振興についての、公共事業の進捗が非公共事業より低い原因についてはどうかという御質問でございます。
道路、港湾、住宅等の公共事業については、これまで事業採択に向けて関係者で調整を行い、国、県、市町村がそれぞれの役割に応じて実施してまいりました。平成14年3月には事業推進の核となる「北部振興基本構想」が策定されたこともあり、今後は同構想に基づき公共事業が本格的に実施されるものと考えております。
同じく北部振興について、非公共事業に比重を置くべきではないかという御質問にお答えします。
北部振興予算は、非公共枠、公共枠に分かれており、非公共枠は市町村事業を中心とする「北部振興事業制度」として創設され、公共枠は公共事業推進費として位置づけられております。
道路、公園、住宅等の公共事業は、北部地域の観光や農林水産業等産業の振興と生活環境の向上に寄与し定住人口の増加に重要な役割を果たすものであり、非公共事業とあわせて相乗効果が発揮できるよう整備されていくものと考えております。そのため、公共・非公共事業の割合の見直しについては、まず公共及び非公共事業予算のそれぞれの枠内で事業を着実に進めていくことが重要であると考えております。
次は基地問題について、駐留軍用地跡地の利用促進等に係る政令の明文化の手順についてどうかという御質問でございます。
駐留軍用地跡地の利用促進等に係る沖縄振興特別措置法の政令については、個々の跡地の課題に応じた取り組みを進めていく中で、国が県や関係市町村と十分調整を図り具体的に示していくものと考えております。
次に基地問題について、国頭村の北部訓練場、安波訓練場の跡地利用対策についての御質問にお答えします。
沖縄振興特別措置法においては、北部訓練場一部区域や安波訓練場跡地などを含む駐留軍用地跡地全体に適用される共通措置として、国は跡地の有効利用を促進するため、「必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」と規定され、内閣府による跡地利用計画の策定等のための財政支援制度が措置されているところであります。 現在、国頭村は当該跡地について各種振興事業等の活用による跡地利用の取り組みを進めており、今後とも関係者間で連携・協力を図る必要があると考えております。
以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 屋我地及び瀬良垣漁港の整備についてお答えいたします。
屋我地及び瀬良垣漁港の整備については、平成13年度に北部振興事業により地域水産物供給基盤整備事業として採択されております。当該事業は、平成14年度までに水深の測量や土質調査等の測量設計を行い、一部ブロック製作等の工事に取り組んでいるところであります。今年度は本格的な護岸や防波堤工事に取り組む計画であります。工事については現在のところ計画どおり進捗しており、早期の供用開始に向けて鋭意取り組んでまいります。
続きまして、家畜排せつ物法についてお答えいたします。
本県の畜産業の振興を図るためには家畜排せつ物の適正処理が重要であります。現在、畜産農家における家畜排せつ物処理施設の整備状況は、要整備農家407戸に対し44%の整備率となっております。また、家畜ふん尿処理対策のめどがついてない畜産農家はおおむね4%程度と考えております。県としては、処理施設の整備に当たっては補助事業や低利の制度資金の活用で対応しております。今後とも関係市町村等と連携を密にして畜産農家の環境対策強化と経営安定に努めてまいります。
続きまして、畜産農家の育成と名護市食肉センターの運営についての御質問にお答えいたします。
畜産業の振興については、「沖縄県農林水産業振興計画」に基づき生産基盤の整備や飼養管理技術の向上などの諸施策を積極的に推進することとしております。
肉用牛については、生産の拡大と肉質の向上を図りブランド化を推進してまいります。
養豚については、生産性の向上と安定的な供給を図るため原種豚場の整備を初め外国からの優良種豚の導入等を行い、高品質で安全な「おきなわブランド豚」の確立に努めてまいります。
また、名護市食肉センターについては、豚の屠畜頭数を年間約14万頭で計画しております。しかし、現在のところ屠畜頭数は約12万頭と見込まれており、その安定・確保が課題となっております。県としては、屠畜計画頭数の確保に向けて、系統造成による銘柄豚の作出や飼養管理技術の向上などの諸施策を推進し養豚の生産振興に努めてまいります。
続きまして、平張り施設の整備についてお答えいたします。
野菜、花卉等園芸作物の生産振興を図るためには、台風等の気象条件や病害虫に左右されることのない安定的・計画的な生産体制の確立が必要であります。このため、県においては平成11年度から防風、防虫等に効果的なネット栽培施設、いわゆる平張り施設の整備を推進しているところであります。
これまでの整備状況は、県全体で91ヘクタール整備しており、そのうち北部地区においては菊及びかんきつ類を中心に32ヘクタールを整備したところであります。当該施設については、農家及び市町村等から事業導入の要望が多く、今後とも地域の生産状況、経営モデル性、産地形成に向けた取り組み状況を勘案しながら積極的に整備を進めていく考えであります。
以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 沖縄科学技術大学院大学に伴う道路網の整備についての、恩納村南恩納から金武町屋嘉区に通じる道路整備についてにお答えいたします。
恩納村南恩納から金武町屋嘉区に通じる県道としては屋嘉恩納線があります。当該道路は、金武町字屋嘉を起点とし恩納村字南恩納を終点とする主要地方道であり、昭和61年度から整備に着手し、平成元年度に沖縄自動車道の屋嘉インターと連結し、平成2年6月に供用を開始しております。
当該道路の再整備については、沖縄科学技術大学院大学の設置に伴い、予想される交通量の増加や周辺整備計画などを踏まえて検討していきたいと考えております。
次に、沖縄自動車道屋嘉インターチェンジ等の整備についてにお答えいたします。
沖縄自動車道は、本島南部都市圏と北部の名護市を結ぶ全長57.3キロメートルの日本道路公団が管理運営する自動車専用道路であります。屋嘉インターチェンジは、昭和63年3月に中南部方面にのみ乗り入れができるハーフインターチェンジとして開通し供用されております。当該インターチェンジの再整備については、沖縄科学技術大学院大学の周辺整備計画などを踏まえて日本道路公団へ要請していきたいと考えております。
次に環境行政について、億首川のマングローブの保全等についてお答えいたします。
億首川につきましては、治水、利水機能及び河川環境を踏まえた総合的な整備を図るため、河川法第16条の規定に基づき長期的な河川整備の目標を示す「億首川水系河川整備基本方針」を策定する必要があり、現在、平成15年度内での策定を目標に国と協議を進めております。
この河川整備基本方針の中で、マングローブについては億首川の特徴と環境的豊かさを象徴するものであり、これを保全しながら治水安全度の向上や流況の安定を図り、潤いのある河川環境の創出に努めることとしております。また、河川整備基本方針の策定後、引き続き地域の意向や学識経験者の意見を反映させたより具体的な「億首川河川整備計画」を策定する予定であり、その中でマングローブの保全対策についても検討していきたいと考えております。
なお、マングローブを含む億首川の河川環境については定期的に巡視を行い、治水上及び環境上の観点から適切に対処していきたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(山内 彰) 県立高等学校編成整備計画について、財政計画など今後の方針についてお答えいたします。
県立高等学校編成整備計画は、平成14年度から平成23年度までの10年間に新しいタイプの学校を設置することや学科の配置とあり方など基本的な事項を定めた計画であります。現在、新しいタイプの学校ごとに学校設置準備委員会を設置し、同委員会において各学校の学科構成や施設・設備等の具体的な設置計画づくりを進めております。今後、本設置計画に基づいて財政計画等については関係部局と調整しながら各年度ごとの編成整備計画を推進してまいりたいと考えております。
続きまして、普通高校の統合計画は欠落していると考えるが、地域に合った学校づくりを目指しているのかとの御質問にお答えします。
今回の県立高等学校編成整備計画では普通高校の統合計画については入っておりませんが、総合学科の設置やインターナショナル高校(仮称)の設置などは新しいタイプの学校として再編整備が計画されております。また、平成14年12月には新しいタイプの学校以外の高校については普通高校を中心にしてその編成整備の基本方針を策定し対応を図ることにしております。
この方針の中で、特色ある学科の設置や現学科の充実を図ることで対応していく計画を持っております。そして、生徒数の推移を見ながら学校規模の適正化を進めるなどして地域の特性やニーズを踏まえた学校づくりを目指すこととしております。
以上でございます。
○地域・離島振興局長(上原 昭) 億首ダムに関する覚書への対応についてお答えいたします。
平成5年2月19日に締結した「億首ダム基本計画等に関する覚書」に基づき平成14年9月10日、金武町長から沖縄総合事務局長及び県知事に対し、マングローブの保全対策を初め171項目の要望事項が提出されております。現在、国、県及び金武町で構成する億首ダム三者協議会で調整を行っており、提出された要望事項については覚書の趣旨を踏まえ誠意を持って対処していきたいと考えております。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 県立の移民資料館の建設に関連しての御質問にお答えをいたします。
まず、沖縄国際交流情報センターの経緯と今後の方針についてお答えをいたします。
沖縄国際交流情報センター(仮称)につきましては、平成5年度に基本構想を策定し、平成7年度は基本計画調査を行い、平成8年度に建設基本計画の策定及び公開設計競技を実施いたしました。平成9年度以降は県の財政事情及び他の施設計画との整合性等から当該事業の進捗はありません。しかしながら、県におきましては新たな沖縄振興計画の分野別計画である「沖縄国際交流・協力推進計画」におきまして国際交流情報センターの設置を推進する旨位置づけたところであり、県の財政事情及び他のプロジェクトとの整合性等を勘案しながら、当該センターの構想を見直した上で引き続き設置に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、各国県人会及び関係者への資料収集についての御質問にお答えをします。
沖縄国際交流情報センター(仮称)につきましては、現在、構想見直しの上、設置に向けて取り組んでいる段階でありまして、移民資料の収集につきましても現在はいたしておりません。
次に、金武町と共同による県立の移民資料館建設についての御質問にお答えをいたします。
現在、県では沖縄国際交流情報センター(仮称)の設置について、財政状況、他のプロジェクトとの整合性を勘案しながら、関係機関と調整し構想の見直しについて検討しているところでありますので、当該センターと類似する県立移民資料館の建設について検討することは困難な状況にあります。
次に、代表質問との関連で、オニヒトデ駆除への支援及びオニヒトデの活用、それから条例等の制定についての御質問に一括してお答えをいたします。
県では、オニヒトデの大量異常発生に伴うサンゴの危機的な状況に対処するため、関係行政機関、学識経験者、漁業者、ダイビング業者等の関係団体から構成されるオニヒトデ対策会議を設置し、総合的なオニヒトデ対策について取り組んでいるところであります。
オニヒトデ対策事業としては、沖縄県緊急地域雇用創出特別事業基金、サンゴ礁緊急対策事業費等を活用し、サンゴ礁の最重要保全区域を設定し、重点的・効果的なオニヒトデ駆除事業を実施しております。また、各地では自主的なオニヒトデ駆除や募金活動が実施されております。
オニヒトデの生態につきましては、分布や大量発生のパターンなどまだ解明されていないことが多いことから、生態調査やモニタリング調査等を継続して実施し、オニヒトデの生態を調査・解明する中で、条例等の制定など効果的な対策について取り組んでいきたいと考えております。
また、オニヒトデの活用につきましては県内の民間企業が試験的に実施しており、新たな資源生物としての期待もあることから、有効利用を図るため関係者と意見交換を行っていきたいと考えております。県としては、今後、関係機関と連携を図りながら総合的なオニヒトデ対策に取り組み、サンゴ礁の保全に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) ギンバル訓練場の返還についてにお答えいたします。
ギンバル訓練場にあるヘリコプター着陸帯のブルービーチ訓練場への移設について、地元金武町はブルービーチは町の振興開発の拠点であり、苦渋の選択としてキャンプ・ハンセン演習場に移すことを国に求めていきたいとの意向を示しており、平成11年2月に金武町長から県に対しヘリパッド移設見直しの要請がありました。この問題については、国においても地元の要望を踏まえながら柔軟に対応するとしており、県としては日米間での話し合いの状況を見守りつつ、地元金武町と連携を図りながら適切に対応していきたいと考えています。
暴行事件の対策についてにお答えいたします。
県としては、どのような地域社会においても事件・事故は1件たりともあってはならないと考えており、これまでにも事件・事故が発生するたびに米軍や日米両政府に対し綱紀粛正、事件の再発防止及び兵員教育を徹底するよう強く申し入れてきたところでありますが、それにもかかわらず事件が後を絶たないことは残念であります。県としては、今後とも県民の生命、生活及び財産を守る観点から、隊員の綱紀粛正及び教育の徹底等を強く求めるとともに、三者協や協力ワーキングチーム会合の場において、米軍人等による事件・事故の再発防止に向け実効性のある対策が講じられるよう関係機関とも協力をしながらさらに努力していきたいと考えております。
また、県としては、事件・事故を減少させ、県民の基地負担の軽減を図るためにも日米両政府に対し、海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減を今後とも強く求めていきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後4時24分休憩
午後4時28分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
吉田勝廣君。
〔吉田勝廣君登壇〕
○吉田 勝廣 企画開発部長に聞きます。
公共と非公共の違いがありますよね。工事する場合に明許繰り越しができるかできないかという大きなかかわりがあるんですよ。ですから公共は明許繰り越しができない、非公共は明許繰り越しができる、これに答弁をお願いします。
○企画開発部長(花城順孝) 北部振興費、非公共・公共とも明許繰り越しはできます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後4時30分休憩
午後4時30分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
西銘恒三郎君。
〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎 私は、浦添市にある沖縄県健康増進センターが2年後に廃止の方向であると聞いて大変ショックを受けている利用者の一人であります。
健康増進センターは月曜日が休館日で、平日、日曜・祝祭日も午前9時より午後9時まで低料金、大人1回510円でだれでも利用できます。
私の利用しているトレーニング室では、各自に合ったプログラムで簡単に体力増進が図られます。運動の前後には血圧、脈拍、体重の測定が記録されます。私の場合、ストレッチ運動、ランニングトラックの早足10周を済ませ、歩行器で20分間のウオーキング、その後さまざまな器具を使い筋力トレーニングに移り、全体でおおよそ1時間20分で終了します。
トレーニング室を利用して16年になりますが、トレーニング終了時の気分は実に爽快で健康増進をみずから実体感しております。トレーニング室のほかに温水プール、幼児用の浅いプールも併設されております。卓球場、体育館、サウナ等があり、子供からお年寄り、老若男女、主婦や自営業者、公務員、会社員とさまざまな人々が卓球、水泳、テニス、バレーボール、バスケット、バドミントン、エアロビクスなどスポーツを通して健康増進を図っております。ちなみに最高齢者が女性で88歳、男性で87歳の常連の利用者ですが、お二人とも若々しくはつらつとしていて、私も元気パワーをちょうだいしております。
さて、人間の幸福の原点は健康が基本であります。健康増進センターは昭和56年の開設以来、県民の健康・福祉に大きな役割を担ってきました。20年余の間に利用者も550万人に及びます。都市モノレールの開通後は利用者もふえることだと思われます。
長寿沖縄県の危機が叫ばれる中、人間生活の最も基本となる健康を肉体的にも精神的にも増進させていくことは稲嶺県政の政策の一つであると確信します。県が社会のあり方としてその長期展望を健康福祉立県構想として明確に示す中で、官も民も協調する中で県民の活力を見出していくべきであります。
そこで伺います。
(1)点、健康増進センターの財政・経営状況はどのような経過をたどってきたのか、そして現在はどうなっているのか説明してください。
(2)点、一利用者として16年間通い続けている視点からすると、まさに老若男女、いろんな仕事に携わる人々や定年後の人々を含め驚くべき体力、健康を維持しておられます。医者にかからないという意味で医療費の抑制効果も大なるものがあると考えますが、知事の認識をお伺いします。
(3)点、延べ人口550万人の利用者の肉体的な健康のみならず、利用者同士の和やかな交流まで感じられる場を形成している健康増進センターを知恵を出して存続させる方法はないのか、大きな政策としての方向性も含めてお伺いいたします。
デフレ経済という言葉が社会に蔓延をしております。国民や住民の活力は経済の市場においても、政治の世論においても、社会の慣習においても、文化の知識においても衰弱の方向に進んでいるように見受けられます。私は、世の中の現状をよりよく理解しようとするときに、政治、経済、社会、文化という4つの分野から眺めるように努めております。この4つの視点で世間というものをよりよく把握していこうと考えております。しかし、今から2000年以上も前にジュリアス・シーザーは次のように言っております。人間ならば、だれでも現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は見たいと思う現実しか見ていない。
市場の活力についてでありますが、沖縄県や那覇市の公共的な枠組みと長期展望が市民・県民に十分な理解を得られないままに市場の活力が発揮されるとは到底考えられません。那覇市泊の市場のあり方についてでありますが、根本的に県と那覇市が重要な役割を果たしているとは思えません。公共財のあり方として市場を活性化させるには県や那覇市が積極的にかかわるべきであり、市民・県民の活力のために必要ならば規制をもかけるべきであると考えます。自由競争と規制をかけるという相反する概念をバランスさせるのは、いかにして市民・県民の活力を引き出すかという視点に立つべきであります。
さて、県民へ新鮮な魚を供給している那覇市泊の市場が「お魚センター」の問題で揺れています。
そこで伺います。
(4)点、「お魚センター」の管理者として県や那覇市が積極的にかかわることはできませんか。なぜできないのか、理由も説明してください。
次に、牧志公設市場、周辺の通り会と県漁連との話し合いは具体的にどうなっておりますか、日時とその話し合いの内容を説明してください。
(5)点、市場の機能を発揮させ、活性化するには県や那覇市がしっかり管理する市場を形成すべきではないかと考えます。中央卸売市場のあり方を含めて県の考え方を伺います。
また、市場のあり方や活性化について那覇市との話し合いはなされているのか、あわせてお伺いをいたします。
女性政策の問題が全世界的な問題となっております。1979年、国連で採択されたいわゆる「女子差別撤廃条約」を各国が批准することによって問題意識が全世界に広まっているものと理解できます。
さて、家庭内暴力についてでありますが、手元に「精神的暴力」というチェックリストがあります。少し拾ってみますと、1、ばかにしたり、ののしる、どなる。2、身体や性格や考え方などをけなす。3、生活費を渡さない。4、どこに行くのか、だれからの電話かなど細かくチェックする。5、おれが家にいるときは外出するななどと束縛する。6、少しでも帰りが遅いと怒る、不機嫌になる。そのほかにも数多くの項目があります。
身体的暴力や性的暴力のチェックリストも数多くの項目があります。議員諸兄の皆さん、配偶者・細君をもっと大事にしないと家庭内暴力で逮捕されかねません。
先般視察いたしましたオーストラリアの南オーストラリア州、人口でおよそ150万人ですが、4人に1人は家庭内暴力の被害者とのことでありました。
(6)点目、県内でも家庭内暴力のニュースが目につきます。現状はどうなっておりますか伺います。
また、家庭内暴力に対して県はどのような施策で対応しておりますか伺います。
オーストラリア政府では、女性政策の取り組みが早くから行われているようであります。我が沖縄県での状況はどうなっておりますか、特に女性の地位の向上について伺います。県内企業及び県庁内での女性の登用はどうなっておりますか伺います。
そして県三役への女性登用について知事の任期中に実行するのか、知事の考えもあわせて聞かせてください。
○知事(稲嶺惠一) 女性三役の登用を任期中にやるのかと。
やるつもりであります。というのは、当初から私は女性というのをぜひ登用したいというふうに考えておりました。しかし、私が知事になったときは5年前でございまして、全く行政というのは初めてでございまして、その意味では行政、新たな振興計画、基地問題、あるいは市町村との連携など、いわゆる私の片腕以上の超スペシャリストが必要でございまして、その意味で非常に今までの三役には私の片腕以上に大きく貢献していただいて心から感謝をしているわけです。
新たなこれからのすべき点というのは、細かい点がいっぱい出てきます。例えば福祉・医療、あるいは文化にしても、教育、女性問題。となると新たな環境問題等考えますと、やはりきめの細かい視点を持った女性の意見というのを引き上げるというのは大変重要だというふうに私は考えております。したがいまして、任期中に機会を見て、今、三役はしっかりやっておられますから、次の機会にぜひ女性を登用したいと思っております。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 健康増進センターの財政状況の経過と現状についてお答えいたします。
県民の保健及び医療の向上と福祉の増進を目的とする財団法人沖縄県保健医療福祉事業団は、県からの出捐金をもとに昭和49年に発足し、昭和51年には出捐金が88億3500万円になりました。同事業団の事業の一つである健康増進センターは昭和56年に開設し、事業収入と預金利息により運営がなされてきました。しかし、平成4年度以降の低金利に伴い収支が赤字に転じ、それまでの累積剰余金から補てんしてきましたが、平成11年度から累積剰余金もなくなり、平成15年3月31日現在の正味財産は82億8200万円となり、当初より5億5300万円の減少となっています。
なお、平成14年度においては、健康増進センターの事業収入1億4800万円に対し事業支出は2億3700万円で、8900万円の赤字となっております。
続きまして、利用者の医療費抑制効果についてお答えいたします。
健康増進施設等のスポーツ教室受講者を対象に医学的な検査を実施した調査によれば、血圧、コレステロール、中性脂肪等の改善が見られたとの報告が多々あります。このことから、同センターも含め健康増進施設の利用者が体力の維持・向上を目指し、みずからの健康づくりに励んでいることは生活習慣病予防等につながり、長期的には医療費の抑制効果が期待されるものと考えられます。
続きまして、存続についてお答えいたします。
県においては、「新沖縄県行政システム改革大綱」に基づき公社等の見直しを進めており、沖縄県保健医療福祉事業団もその対象になっております。
福祉保健部においては、昨年度に医師会、民間団体、学識経験者等の各分野の委員で構成する「沖縄県保健医療福祉事業団見直し検討委員会」の意見を踏まえ十分検討いたしました。その結果、同事業団の事業の一つである健康増進センターは、開設当初の先駆的役割を十分に果たし、最近では特に都市部では民間の類似施設が増加してきており、公的事業としての意義も薄れてきていることから平成16年度末までに同事業を廃止することとし、今後、県民の健康・長寿を推進するために現施設の活用も含めた新たな事業の展開を検討していくこととしております。
以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 水産物流通総合センターについて、県と那覇市が管理者になることについてと、牧志公設市場と県漁連との話し合いについてお答えいたします。
水産物流通総合センターは、卸売人としての沖縄県漁業協同組合連合会が事業主体となって、卸売市場の関連施設として仲買人が使用する施設を整備するもので、県や那覇市が管理者になることは難しいものと考えております。
第一牧志公設市場組合と沖縄県漁業協同組合連合会との話し合いは、平成15年2月に2回行われております。また、県と第一牧志公設市場組合との話し合い等は平成15年3月から6月までの間に4回行われております。しかしながら、第一牧志公設市場組合側は、仲買人が小売をすることについて営業に影響があるとして建設中止等を求めております。
これに対し、県漁連側は、現在の施設は老朽化し衛生面等の課題があり、県民への安全・安心な県産水産物の安定供給が困難になっていることなどを主張しております。このため、県としては今後とも県漁連、第一牧志公設市場組合など関係者相互の主張を調整しながら、建設に向けた話し合いを継続していく考えであります。
続きまして、市場の活性化は公の機関が管理して機能するのではないかという御質問にお答えいたします。
本県の生鮮魚介類の地方卸売市場は、沖縄県漁業協同組合連合会、那覇地区漁業協同組合及び沖縄県水産公社が開設する3市場があります。
卸売市場の活性化は、魚価の向上、漁業者の経営改善に資するとともに、県民への安心・安全な水産物の安定供給に大きく寄与することが期待されております。
県が市場管理者になることについては、現在、糸満漁港において沖縄県水産公社を開設していることから、新たな市場の管理者になることは難しいものと考えております。
水産物流通総合センターの整備は、泊漁港を活性化させ県民への安全・安心な県産水産物の安定供給を促進し、魚価の安定と水産物の消費拡大により水産業の振興を図る上で極めて重要な事業であると考えております。
以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) DVの現状、県の施策及び女性登用について一括してお答えいたします。
DV防止法に基づき平成14年4月に業務を開始した配偶者暴力相談支援センターの平成14年度の相談件数は617件となっており、県警における平成14年1月から12月までのDVの相談件数は280件で、DV被疑者の検挙件数は67件となっております。
また、那覇地方裁判所が平成13年10月から15年3月までにDV被害者の申し立てに基づいて発令した保護命令件数は57件となっております。
DV防止に対する広報・啓発事業として、一般県民を対象としたDV問題講演会、市町村職員・相談員等を対象としたDV被害者支援講習会、県内大学生を対象とした啓発講座の開催、児童生徒等を対象とした人権教育に対する講師派遣等を実施しております。
また、被害者支援事業としては、配偶者暴力相談支援センターにおける相談受付、DV被害者の一時保護、保護命令に係る書面作成、心理療法士による心理ケア、自立に関する援助活動等を実施しております。
次に、女性登用については、平成14年10月1日現在の民間企業における課長職以上の管理職に占める女性の割合は4.3%となっております。また、平成14年4月1日現在の県職員の課長職以上の女性管理職の割合は7.7%で、47都道府県中、東京都に次いで全国第2位となっております。
以上でございます。
○西銘恒三郎 知事、健康増進センターについてでありますけれども、答弁によりますと、平成16年の末をもって事業廃止と、現施設の活用も含め新たな事業の展開を検討しているというような答弁でございましたけれども、私は、この健康増進センターを見ておりますと、定年後の方、あるいは高齢者の方、非常にはつらつとして、低料金の部分もありますけれども、まだまだ少し知恵を出してやる方法があるんではないかという現場を見ての感じをしております。
我が会派の監査委員からは厳しい声も出ておりますけれども、公安委員の比嘉良雄さんも同じ利用者の一人でありますが、年間に8900万円の赤字ということでありますけれども、1回の利用料金が510円で安いのであれば、もう少しみんなで話し合って上げる余地はないのか。あるいは県民の健康に寄与しているという知事の健康増進の大きな政策として、あの増進センター施設そのものはまだまだ検討の余地ありと感じております。
私も550万人の利用者の声なき声を代弁して、知事に何とか知恵を出して検討の余地はないのか改めて伺いますので、知事も134万県民を代表して少しは検討の余地があるという答弁を聞けたら幸いでありますが、知事の健康増進という大きな政策と絡めての決意をお聞きして質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) 西銘恒三郎議員の御質問にお答えをいたします。
私も実はずっと長い間、もう10数年になると思いますが、別の場所ですけれども、いろいろ歩行、あるいはランニングマシン、あるいはウエートトレーニングをずっと続けております。知事になって4年半、一日も休むことなしに全日程をこなしたのは、健康に常に留意をしたということで非常に共通するものはあるんですけれども、それではお答えいたします。
健康増進施設等を利用して体力の維持・向上を目指しみずからの健康づくりに励むことは、生活習慣病を予防し健康で生きがいのある生活につながります。
健康増進センター事業につきましては、県民の健康・長寿を推進するため「沖縄県保健医療福祉事業団の見直し検討委員会」において、現施設の活用も含めた新たな事業の展開を検討していくことになりますということで、この「沖縄県保健医療福祉事業団の見直し検討委員会」において、多角的にいろいろな角度から多くの皆様の御意見を聞きながら、最もすばらしい結論が出ると思っております。
○議長(伊良皆髙吉) この際、企画開発部長より発言訂正の申し出がありますので、発言を許します。
企画開発部長。
〔企画開発部長 花城順孝君登壇〕
○企画開発部長(花城順孝) 先ほどの吉田議員の再質問で、北部振興の公共・非公共枠の繰り越しは可能かという御質問に対して、両方とも可能だとお答えしたんですが、これは先ほどお答えしたのは、10年で大枠500億の範囲内なら予算の移動は可能という意味で繰り越し可能ということを申し上げたわけです。
ただ、個別事業で申し上げれば、公共枠については繰り越しはできないということでございまして、一方、非公共枠については繰り越しができるという国会の承認が得られていると、こういうことでございます。
訂正しておわび申し上げます。
○議長(伊良皆髙吉) 以上をもって通告による一般質問及び議案に対する質疑は終わりました。
これをもって質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております甲第1号議案、乙第1号議案及び乙第3号議案から乙第13号議案までについては、お手元に配付してあります議案付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
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〔議案付託表 巻末に掲載〕
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○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後4時59分休憩
午後5時 再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
日程第3 陳情第64号、第91号、第92号及び第94号の付託の件を議題といたします。
お諮りいたします。
まず、ただいまの陳情4件のうち、陳情第64号を除く陳情3件は、米軍基地関係特別委員会に付託の上審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊良皆髙吉) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
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○議長(伊良皆髙吉) 次に、お諮りいたします。
陳情第64号については、6月20日、土木委員会に付託いたしましたが、同委員長から付託がえの要求がありましたので、所管の米軍基地関係特別委員会に付託の上審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊良皆髙吉) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
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○議長(伊良皆髙吉) この際、お諮りいたします。
委員会審査及び議案整理のため、明7月5日から13日までの9日間休会とすることにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊良皆髙吉) 御異議なしと認めます。
よって、明7月5日から13日までの9日間休会とすることに決定いたしました。
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○議長(伊良皆髙吉) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
次会は、7月14日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後5時2分散会