○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案、乙第1号議案から乙第7号議案まで、乙第9号議案から乙第16号議案まで及び認定第1号から認定第24号までを議題とし、質疑に入ります。
質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
玉城ノブ子君。
〔玉城ノブ子君登壇〕
○玉城ノブ子 おはようございます。
一般質問を行います。
まず最初に、宮古地方を襲った台風14号に関する災害対策について質問をいたします。
台風14号は宮古地方を24時間余りも暴風雨に巻き込み、最大瞬間風速74.1メートルを記録し、高齢の女性が亡くなられるなど痛ましい被害をもたらしました。心からの御冥福と被害に遭われた皆さんにお見舞いを申し上げます。
この台風で重軽傷者83人、窓ガラスの破損や電柱の倒壊などによるライフラインの寸断、農畜水産業や観光関連産業、さらに病院、学校、施設などへ甚大な被害をもたらし、住民生活と地元経済に大きな被害と影響を及ぼしました。
日本共産党県議団は、赤嶺衆議院議員とともに12日、13日の2日間にわたって被害状況を緊急に調査し、国、県に対し、災害復旧と災害対策についての抜本的な対策を講ずるよう申し入れを行いました。
以下、調査と地元住民の要望に基づいて次の点について質問いたします。
①、今度の台風災害で、最も安全であるべき病院、学校、福祉施設などで建物の老朽化を主な原因とした被害が拡大しています。特に公立小中学校は災害発生時の避難地域に指定されています。その小中学校が最も危険な施設になっていることについて、防災の観点から県はどのように認識をされていますか。県の防災計画による指導・点検はどのようになされているのか、お伺いいたします。
②、大きな被害を受けた学校教育施設について、児童生徒たちの教育に大きな影響を及ぼさないよう教室、教育機材の確保、損壊施設整備などについて緊急な対策が必要であると考えます。具体的な対策についてお伺いいたします。
③、台風被害によって破壊された校舎に児童生徒は大きなショックを受けています。児童生徒に対する精神的なケアが必要であると考えていますが、その対応策についてお伺いいたします。
④、城辺中学校では、平成5年に建築された特別教室は被害を受けていません。しかし、築24年になる普通教室の破損が激しく使用不能状態になっています。宮古地域の築20年以上の小中学校の老朽校舎の実態はどうなっておりますか。
⑤、台風常襲地帯の宮古で避難指定地域の公立小中学校が老朽化している現状では、災害発生時に児童生徒や住民の安全は守れないということになります。宮古の老朽校舎の改善については一刻の猶予もできない緊急事態であると考えます。特に、老朽校舎の改善について特別の対策が必要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
⑥、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」で、基準を満たさない建物の耐震改修促進を定めています。特に、学校や体育館は多数の人が利用する特定建築物に指定されており、耐震改修に努めることになっています。県内、宮古の学校、体育館の耐震診断と耐震化率はどうなっていますか。耐震診断実施計画と実施状況及び具体的な計画についてお伺いいたします。
⑦、漲水学園は、宮古で最初にできた県立の福祉施設で築31年になります。ところが老朽化が進み、今回の台風で水タンクが吹き飛ばされる、窓ガラスが割れる、ドアが吹き飛ばされるなどの大きな被害を受けています。今年度設計費が計上される予定であったのが予算化できていないとのことであります。老朽化した福祉施設をそのまま放置することはできないと思います。県の緊急な改築が必要であります。県の御所見をお伺いいたします。
⑧、農作物についてもさとうきび、マンゴーの新芽を初め、野菜、果樹、葉たばこ、ビニールハウスなどに大きな被害をもたらしています。さとうきびは、植えたばかりの苗がほとんどだめになるという事態も生まれています。次の営農に支障が出ないような緊急支援を実施することについてお伺いいたします。
⑨、共済保険がなく、融資を受けるのも難しい農家に対する特別支援についてお伺いいたします。また、さとうきび農業共済に対する国、県の支援策を拡充するよう強く要求いたします。御所見をお伺いいたします。
⑩、水産業もエビ、モズクの養殖を初め漁港、港湾岸壁の破損、船の沈没、水産製氷施設の破損等の被害が出ております。台風常襲地である沖縄・宮古に対応した漁港の整備を促進することについてお伺いをいたします。
⑪、観光関連業者を初め、商工業者が台風の被災によって廃業に追い込まれかねない重大な危機に直面しています。既存のローンの負担軽減、延長を初め、無担保・無保証・無利子の特別融資を行うなどの緊急な対策についてお伺いいたします。
⑫、台風被害の拡大を食いとめ、減らす観点から、職員や整備車両の確保など防災計画に基づく防災力の整備・点検と、学者、専門家などによる台風対策の研究を行い、効果的な台風対策を実施することについてお伺いをいたします。
2、長時間労働、賃金不払い残業の根絶について。
リストラで人員が削減され、長時間労働と違法な賃金不払い残業がふえ続けています。長時間労働は過労死や過労自殺、職場での心の病など労働者の命と健康、家庭や家族の暮らしに深刻な影響を及ぼしています。賃金不払い残業、長時間労働をなくし、その分を新規雇用に振り向ければ新たな雇用をふやすことができます。
以上申し上げ、質問をいたします。
①、厚生労働省は一昨年4月の「サービス残業撤廃通達」に続き賃金不払いの残業が後を絶たないため、ことし5月23日には「賃金不払い残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」を出しております。県や県立の教育機関、病院、施設、外郭団体などを初め、県内企業の賃金不払い残業の実態はどうなっていますか、お伺いいたします。
②、那覇市では職員の過労自殺を発端にして賃金不払い残業が全職員の大きな問題となり、市職員に通達と指針のパンフレットを配るとともに、管理職も含め出退勤時間を明確にするためにICカードを発行することになったとのことであります。通達や新指針では労働時間の把握、管理は労働基準法上の使用者の責務とし、原則として始業・終業時刻をタイムカードなどで記録することや、自己申告制の場合でも実際の残業時間を申告しても不利益な扱いがないかなど規則を具体化していますが、県や県立病院、施設、外郭団体等の労働時間の把握、管理の実態についてお答えください。
③、通達や新指針に基づく労働時間の把握、管理についてどのように具体化しているのか、お伺いいたします。
④、厚生労働省は昨年2月、月45時間を超える残業は労働者に健康障害や過労死を引き起こすおそれがあるとし、「過重労働による健康障害防止のための総合対策」の通達で、長時間残業を抑えるよう求め基準監督署の指導権限を定めております。県や市町村、県立の教育機関、病院、施設、外郭団体等の長時間労働の実態はどうなっていますか。通達に基づいて具体的な対策を講ずることが必要であると考えていますが、御所見をお伺いいたします。
⑤、県や市町村、県立の教育機関、病院、施設、外郭団体等において、通達や新指針の内容を周知徹底し具体化することが必要であります。また、労働相談、集団指導、監督指導等あらゆる機会を通じて幅広く周知を図るための具体的な対策についてお伺いをいたします。
3、若者の雇用拡大について。
完全失業者の半分が34歳以下の若者です。大学卒の就職率は55%まで落ち込み、417万人もの若者がフリーターと呼ばれるアルバイトや派遣社員、契約社員などの不安定な就労と失業を繰り返す状態になっています。不安定な就労は若者の自立を妨げ、少子化の要因の一つにもなっています。若者の安定した雇用をふやすことが緊急の課題となっています。
以下、質問をいたします。
①、若者の雇用問題が大変深刻になっています。特にフリーターと呼ばれるアルバイトや派遣社員、契約社員などの不安定な就労実態についてお伺いいたします。このような状況を県はどう認識されているのか、御所見をお伺いいたします。
②、フリーターの若者の7割が正社員としての就職を望んでいると言われています。派遣やパート、アルバイトで働いていてその会社に正社員としての就職を望む若者の採用を広げる必要があります。労働者派遣事業法は、派遣労働者が1年間同じ事業所で働いている場合には常用雇用にすることを努力義務にしていますが、若者の正規雇用を促進するための具体的な対策についてお伺いいたします。
③、県や県立の教育機関、病院、施設等の臨時職員の実態はどうなっていますか。
④、県や県立の教育機関、病院、施設、外郭団体等県内企業での賃金不払い残業、長時間労働をなくし若者の正規雇用をふやすことが必要だと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。
4、農業振興について。
中国産や米国産の冷凍ホウレンソウから残留農薬が検出され、県内にも流通していた問題や、牛肉偽装事件など食の安全に対する消費者の不安が高まり、食の安全を求める消費者の運動もかつてなく広がっております。特に、長寿県沖縄において地産地消に取り組むことは重要な課題となっています。
そうした視点から、沖縄県の亜熱帯気候を生かした「おきなわブランド」のマンゴー、ニガウリ、ドラゴンフルーツ等の生産に大きな期待も寄せられております。ところが、改正農薬取締法が施行され、作物ごとに国に登録した農薬以外は使えなくなりました。登録申請者は登録に費用がかかり過ぎるために、特に栽培面積の少ないマイナー作物は農薬登録拡大の適用対象となっていない場合が多く、マイナー作物では使用できる農薬が少ないか全くないものも多くあります。農林水産省は、一定の条件を付して使用を認める経過措置1年から2年を設けて使用者の申請で認めるとしています。ところが、本県のマイナー作物のほとんどが1年から2年間の経過措置に含まれていることが県の担当課からの調査で明らかになりました。1年から2年以内に県独自で作物残留試験、薬効試験、薬害試験等のデータを作成し登録申請する必要があります。多くの農家や関係者の皆さんから、経過措置の間に必要な農薬すべてを登録することができなければ今後の農作物の生産に大きな障害が生まれてくるとの不安の声が上がっています。県は具体的な対策を講ずることが求められています。
以下の点について質問をいたします。
マイナー作物で使用する農薬で登録している農薬について。
①、沖縄県において、農家が市場に出すための作物の病害虫防除に用いている経過措置農薬、すなわち未登録であるが2年以内に登録をとることが必要と考えて県が農林水産省に申請し臨時的に認可されている農薬は何種類ありますか。
②、マイナー作物の農薬を登録するのに必要な1件当たりの金額と、経過措置農薬の登録に必要な1件当たりの金額、全部登録するのに必要な金額は幾らになりますか。
③、マイナー作物の使用に必要な経過措置農薬を経過措置期間2年以内に登録できる見通しはどうなっていますか。そのための体制や予算はどうなっていますか。
④、マイナー作物の使用に必要な農薬と経過措置期間内に必要な農薬を登録するためには、農林水産部や関係する県内部局との連携体制の確立と財源の確保が必要であると考えますが、御見解と対策を伺います。
⑤、「ちゅらさん」放映などにより加速された「おきなわブランド」の内実を充実させ、さらに発展させるために、経過措置農薬登録の問題はその一歩にすぎません。たとえ登録農薬であっても使用基準、使用量、期間、回数などを遵守しなければ違法であり、トレーサビリティーが求められている市場に耐え得る農産物の生産に必要な農家啓蒙活動や出荷農産物の確認、残留農薬のチェック体制などに関する当局の御所見と具体策についてお伺いいたします。
5、県立南部病院の存続問題について。
①、「県立病院の今後のあり方検討委員会幹事会」は、県立南部病院の廃止または経営移譲の検討などを盛り込んだ報告案をまとめたと発表いたしました。検討委員会でどのような議論がなされ、なぜ廃止という結論が出たのか、その内容について明らかにするよう求めます。
②、本県の医療供給体制は、県立病院が二次医療機関の中核病院として機能し、その周辺を民間医療機関が担い、また離島・僻地を県立病院が担うという非常にすぐれた機能を発揮しています。法的にも地方自治法第2条には、病院機能は基本的には都道府県の事務と明記をされています。県立南部病院は、南部保健医療圏内における公立医療機関としてなくてはならない存在となっております。県民の健康と安全を守る上で大きな役割を担っている県立南部病院を廃止することについては地域住民の間からも大きな怒りと不安の声、反対の声が上がっております。県立南部病院廃止については到底納得できるものではありません。知事の御所見をお伺いいたします。
答弁によって再質問を行います。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
玉城ノブ子議員の御質問にお答えをいたします。
最初は、宮古の台風災害対策で、さとうきびなどの緊急支援についての御質問にお答えをいたします。
台風14号の農林水産業の被害額については9月19日現在約42億円で、そのうち宮古島においては約40億円となっております。特に被害の大きいさとうきびについては、県の支援として新植夏植えの植えかえ費用の支援、株出し管理に要する助成などを行ってまいります。また、園芸作物については、鉄骨ハウスの撤去に要する経費の支援、農業用施設等の復旧や経営資金の利子補給事業の条件緩和などを行ってまいります。
次に、同じく宮古の台風災害についてのうち、漁港の整備についてお答えいたします。
本県の漁港については、台風の常襲地域に対応し港内静穏度の確保や漁船の安全な係留などに考慮した整備を行うことが必要であります。このため、漁港を整備するに当たっては、港内波高を抑えるために沖防波堤や波除堤を設置し、漁船の安全性の確保に努めております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 台風災害対策関係の御質問にお答えをいたします。
まず防災計画による指導・点検についてお答えをいたします。
県地域防災計画で県及び市町村は、建造物被害の減少を図るため公共建築物の耐風、耐震、耐火対策として老朽化施設については、建てかえまたは補強等によって耐風、耐震、耐火対策を進めるとともに、定期的に点検及び検査を行うこととしております。
県では、今回の台風がまれに見る強い台風でありましたが、市町村で避難場所として指定している学校、公民館等に大きな被害が発生していることから、建物の安全性を確保するため耐風、耐震、耐火性のより一層の確保と定期点検及び検査について施設管理者等に周知徹底を図っていきたいと考えております。
次に、防災力の整備・点検及び効果的な台風対策についてお答えいたします。
県では、県域内に暴風警報が発表された際には、県地域防災計画に基づき災害警戒本部等を設置し警戒に当たるとともに、沖縄気象台から専門家を招聘し、災害警戒本部等を構成する関係課の職員に台風説明会を開催し、台風の特徴や防災上注意すべき事項等について周知を図り、効果的に台風対策が行えるようにしております。また、県、沖縄気象台、日本気象協会沖縄県支部、防災関係機関等で構成する沖縄気象災害防止協議会で災害対策について意見交換等を行うとともに、沖縄気象台等と共催で防災気象講演会等を開催し、防災に対する啓蒙等を行っているところであります。
以上でございます。
○教育長(山内 彰) 宮古への台風災害対策で、大きな被害を受けた学校施設の緊急な具体的対策についてお答えいたします。
台風14号によって被災した学校の施設・設備の復旧については、公立学校施設災害復旧費国庫負担法に基づき文部科学省等への災害復旧事業の手続を迅速に進めているところです。特に教室のガラス、入り口のドアなど緊急を要するものについては、関係市町村と連携して文部科学省へ事前着工届の提出を行って国の災害状況現地調査前の復旧工事に取り組んでいるところであります。
次に、児童生徒の精神的ケアについてお答えいたします。
今回の台風14号により、ショックを受けている児童生徒への心のケアは緊急かつ重要なことととらえております。現在、現地においては、県のスクールカウンセラーを中心に、保護者や教職員等に心のケアについての対応策を示して臨床体制をとっております。スクールカウンセラーや巡回教育相談員の相談時間の延長を図るなどして対応を進めております。
なお、今後はスクールカウンセラーを中心に作成し、全児童生徒を対象に実施した心の健康診断アンケートの詳細な分析に基づいて子供一人一人の心のケアが図られるよう、よりきめ細かな相談活動に努めてまいりたいと思います。
次に、建築後20年以上経過した宮古の小中学校における老朽校舎の実態と改善について一括してお答えいたします。
宮古における建築後20年以上──昭和57年度以前──経過した校舎等の総面積は約6万5000平米で、宮古地区の全面積約14万平米の46%を占めております。現在、台風14号で被災した宮古地区の関係市町村では老朽校舎等について改築事業の前倒しの実施に向けて取り組んでいるところです。県教育委員会では、安全で快適な学習環境の整備が必要との考えから、さらに老朽校舎等の改築事業の促進に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県内、宮古の校舎、体育館の耐震診断等耐震化率、耐震診断実施計画の実施状況及び具体的な計画についてお答えいたします。
平成15年4月1日現在での耐震化率は、県内小中学校が49.7%、宮古地区55.2%となっております。その実数は県内1524棟のうち755棟、宮古地区134棟のうち74棟となっております。耐震化への対応につきましては、改築事業により耐震化を促進しているところであり、今後とも改築事業による耐震化に一層取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県立の教育機関における賃金不払い残業、労働時間の把握、管理の実態、厚生労働省の通達や指針の周知徹底及びこの通達に基づく労働時間管理の具体化について一括してお答えいたします。
県立の教育機関においては必要最小限の時間外勤務を命じており、それにかかわる手当については全額支給しております。なお、教育職員については法律により時間外勤務を命ずることができる業務が限定され、時間外勤務手当の代替措置として教職調整額が支給されております。
職員の労働時間の管理方法につきましては、原則として所属長が現認することとなっております。県教育委員会といたしましては、厚生労働省の通達等の趣旨に沿って労働時間を適正に把握し、適切な労働時間管理が行われるよう所属長等に対し周知していきたいと考えております。勤務を要しない日の振りかえ、事務・事業の見直し、効率化等により今後とも時間外勤務の縮減に努めてまいります。
次に、県立の教育機関の長時間労働の実態と健康障害防止策についてお答えいたします。
県立教育機関における教育職員を除く職員の時間外勤務の状況は、平成14年度実績で1人当たり年平均約52時間となっております。時間外勤務につきましては、勤務を要しない日の振りかえや業務の効率化により縮減に努めているところであります。
健康障害防止策につきましては、職員の安全及び健康の確保並びに快適な職場環境の形成を促進するため衛生管理者、衛生推進者、産業医を配置し、職員の作業環境、作業管理及び健康管理等について、各職場で働く職員の意見ができるだけ反映されるよう安全衛生管理体制の充実・強化を図っているところであります。
次に、臨時職員についてお答えいたします。
現在、県立の教育機関における臨時職員は、職員の補助的業務を行う非常勤職員、いわゆる賃金職員が県立学校で64人、その他の教育機関で10人となっております。また、育児休業や欠員の補充に伴い職員の代替業務を行う臨時的任用職員については、県立学校で996人、その他の教育機関で8人となっております。
次に、若者の正規雇用をふやすことについてお答えいたします。
時間外勤務は、緊急を要する業務や今般の多様な行政需要などに対応するため必要最小限の範囲で臨時的に命じているものであります。また、近年の少子化傾向の中、児童生徒の減少が見込まれることなどから、県教育委員会では「新沖縄県行政システム改革大綱」に沿って職員数の適正化に努めているところであります。県教育委員会としては、定年退職者等の補充や勧奨退職の実施により、新規に職員を採用することで若者の雇用の場の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 宮古への台風災害対策の中の、漲水学園の改築についてお答えいたします。
漲水学園は、知的障害児施設と児童養護施設の併設施設で、昭和46年に整備され築後31年が経過しており老朽化が著しく進んでおります。また、同じ敷地内に知的障害者更生施設あけぼの学園も設置されておりますが、築後27年が経過しており、漲水学園同様老朽化が進んでおります。
今回の台風による被害対策につきましては、水タンクと窓ガラスは施設での生活に支障を来さないよう速やかに取りかえを済ませておりまして、その他も復旧に向けて調整を進めているところでございます。
なお、全面改築につきましては、これまで社会福祉施設等整備計画策定委員会で検討してきたところでありますが、「新沖縄県行政システム改革大綱」に基づき委託先である沖縄県社会福祉事業団の見直しを進めておりますので、課題等を整理し両施設の整備に当たっての考え方を早目にまとめていきたいと考えております。
以上です。
○農林水産部長(諸見武三) 宮古への台風災害対策の、農家への支援策とさとうきび共済についてお答えいたします。
台風14号の宮古地域における被害状況としては、9月19日現在、さとうきび等農作物約10億円、ハウス等農業用施設関係約23億円、水産業関係約1億円、治山施設等その他約6億円の総額約40億円となっております。
被災農家への県の単独支援としては、農業共済や災害復旧費の対象とならない植えかえ用さとうきびの種苗確保、植えかえのための対策等の経費や損壊した鉄骨ハウスの撤去に要する費用などに助成策を講じてまいります。
さとうきび共済については、農家が台風、干ばつ等によって受ける損失を補てんし、農業経営の安定を図る上で極めて重要と考えていることから、関係者が一体となって加入促進に努めているところであります。また、国に対しては農業共済制度の拡充を図るため災害補償方式の改善などを要望しているところであります。
続きまして経過措置の農薬について、農薬登録に必要な金額について、登録の見通しと体制等について一括してお答えいたします。
平成15年3月10日に施行された改正農薬取締法に基づき農薬の使用基準が設定され、当分の間、経過措置が設けられております。県では、JAを通じて経過措置農薬について点検作業を行い、平成15年3月から9月まで3回の経過措置農薬の申請を行っております。平成15年9月現在の経過措置農薬は、48種類の作物に対し81種類の農薬が農林水産大臣の承認を受けております。
県としては、経過措置農薬として必要な農薬については11月に追加申請を行う予定であります。また、経過措置農薬の適用拡大登録に必要な経費については、1件当たりおおむね200万円を要し、承認されたすべての農薬を対象にした場合、おおむね7億円が見込まれております。
農薬登録の見通しと体制及び予算については、早期に登録が必要な農薬を精査し、所要な予算の確保に努めるとともに、JA、農薬メーカー及び類似作物を生産している都道府県と連携して取り組みを強化していく考えであります。
続きまして、農薬登録の推進体制と財源の確保、安全使用の農家啓発と出荷農産物の確認について一括してお答えいたします。
農薬登録の推進体制ついては、農林水産部内にことし1月に関係課を網羅した農薬問題対応連絡会議を設置して推進体制の強化を図っております。また、関係機関との連携を図るため、JA及び農薬メーカー等についても適宜連絡会議に参加させ取り組みを促進してまいります。
登録等に必要な予算については、所要額の確保に努めてまいります。
農薬の残留の確認については、消費者に安全で安心な農産物の供給を図るため、出荷農産物の安全性の確保についてJA等関係機関との連携を強化し推進してまいります。
以上でございます。
○商工労働部長(伊川征一) 宮古への台風関連の商工業者に対する緊急支援策についてお答えいたします。
県においては、去る9月22日から宮古地区において被害を受けた商工業者を対象に、無担保・無保証制度のある小規模企業対策資金について、金利・保証料の引き下げなど融資条件を緩和し金融面からの支援措置を講じております。
また、既存の借入金の負担軽減等につきましては、借換保証制度等を利用促進するなど個々の商工業者の実情に対応した支援をしてまいりたいと考えております。
次に、県内企業の賃金不払い残業の実態についてお答えいたします。
沖縄労働局は、労働基準法等で規定されている労働条件の確保・改善を図るため、労働基準監督署において毎年定期的に事業所に対し監督指導を実施しております。平成14年においては、1250事業所に対し定期監督を実施したところ、賃金不払い残業を含む割増賃金関係の労働基準法違反は303件で、全体の29.2%となっております。また、前年の201件に比べ約5割の増加となっております。
県内企業への周知の具体的な対策についてお答えいたします。
県は、長時間労働をなくし働きやすい職場づくりを実現するため、新指針等の内容を周知徹底することは重要な課題だと認識しております。そのため、県内5地域において事業主及び労働者を対象とした講習会、労使関係者会議を開催するほか労働相談や企業訪問などを実施し同指針の普及・啓発に努めていきたいと考えております。
一方、国は11月を賃金不払い残業解消キャンペーン月間として設定しており、企業説明会や重点監督の実施など各種の取り組みを強化することとしております。今後とも、国と連携を図りながら労使双方にその機運を高め、労働時間管理の適正化に努めてまいりたいと考えております。
次に、フリーターの不安定な就労実態の認識についてお答えいたします。
近年の経済の低迷による労働需要の減少や企業の採用行動の変化等を背景に、全国的にフリーターが増加しております。
本県においても、新規学卒者の就職内定率が全国に比べ低い状況が続いていることからフリーターが増加傾向にあるものと考えられます。フリーターの増加は本県経済の中長期的な生産性や競争力の低下につながることが懸念されます。また、若年期に習得すべき職業に関する知識や技能を習得できないことにより、将来にわたっても不安定就労を招き失業率を高めるおそれがあると考えております。
フリーターの若者の正規雇用促進の具体策についてお答えいたします。
県においては、若年者のキャリア形成、就職活動、資格取得等を総合的に支援するワンストップサービスセンターとして「沖縄県キャリアセンター」を設置し、学生を初めいわゆるフリーターを含む若年求職者を対象に就職本番に向けた講座等を開設しているところであります。
また、若年求職者を対象とした就職支援特別セミナーを実施し、平成14年度には237名の受講者中116名が就職に結びついております。
国においても、30歳未満の若年求職者を対象にトライアル雇用事業を実施しており、平成14年度は408名のうち214名が常用雇用に移行しております。今後ともこれらの施策を推進し、いわゆるフリーター等若年者の雇用拡大に努めてまいります。
次に、県内企業での賃金不払い残業、長時間労働をなくし若者の正規雇用をふやすことについてお答えいたします。
本県における平成14年の年間総実労働時間は、従業員規模30人以上の事業所では1910時間となっており、前年に比べ39時間短縮されましたが、全国平均より73時間長くなっております。
このようなことから、県においては、国の労働時間短縮推進計画において目標として定められている年間総実労働時間1800時間の達成・定着に向けて、労働時間の短縮及び管理の適正化などの対策を進めることとしております。
また、労働時間の分かち合いを含むワークシェアリングは、若者の雇用創出にとって重要な課題であります。現在、沖縄県経営者協会と連合沖縄が共同運営する沖縄県労使就職促進支援機構において、その具体化に向けた労使協働の取り組みが進められております。県としましては、このような労使協働の取り組み等を踏まえつつ若者の雇用創出に取り組んでまいります。
以上でございます。
○総務部長(仲田輝享) 県や外郭団体における賃金不払い残業、労働時間の把握・管理、厚生労働省の通達や指針の周知について、関連いたしますので一括してお答えいたします。
職員の労働時間の管理については、原則として所属長が現認しており、時間外勤務を行う必要がある場合の手続については沖縄県職員服務規程第18条で明文化し、所属長が時間外勤務命令簿により事前命令を行い、これに係る手当は全額支給しております。
職員の勤務時間管理が適切に行われるためには、個々の職員に業務を割り振り時間外勤務を命令する所属長の責任が極めて重要であります。このため、去る7月には県の本庁及び出先機関の全所属長を対象に説明会を実施し、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する厚生労働省の通達等について内容の周知を図ったところであります。
これまで県では職員の健康・福祉の向上を図る観点から、毎週月曜日及び水曜日のノー残業デーの徹底や、勤務を要しない日の振りかえの活用、不要不急な事務・事業の見直しを図ることなどにより時間外勤務の縮減に努めているところであります。今後とも職員団体との協議を踏まえながら時間外勤務の縮減に取り組んでまいります。
なお、公社等外郭団体については賃金不払いの残業や過重労働等の問題は生じていないと聞いており、就業規則等の諸規程に基づき適正な労務管理がなされているものと認識をしております。
続きまして、長時間労働の実態と健康障害防止策についてお答えします。
県における時間外勤務の状況を知事部局職員の平成14年度実績で見ると、1人当たりの月平均時間外勤務は約10時間となっております。職員の健康管理及びメンタルヘルスケア対策の充実を図るために、平成14年8月から全出先機関に産業医を配置するとともに、今年度からは県庁舎内に新たに「職員健康管理センター」を設置し、専任の産業医2名を配置して体制の強化を図ったところであります。
今後は厚生労働省が示した「過重労働による健康障害防止のための総合対策」も踏まえ、限度基準に定める時間を超えて勤務している職員に対しては、産業医による健康指導を行う等適切に対処してまいりたいと考えております。
続きまして、臨時職員についてお答えいたします。
現在、知事部局における臨時職員は、職員の補助的業務を行う非常勤職員、いわゆる賃金職員が736人、また調査員や相談員など専門的な知識を必要とする嘱託員が714人となっております。
続きまして、若者の正規雇用をふやすことについてお答えいたします。
県は、厳しい財政状況を踏まえ、「新沖縄県行政システム改革大綱」に基づき10年で10%の職員削減を目標とする定員適正化に取り組んでいるところであります。県としては、定員適正化計画を踏まえた上で、定年退職者等の補充や勧奨退職制度を積極的に活用して、可能な限り若者の雇用の場の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○地域・離島振興局長(上原 昭) 市町村の長時間労働の実態と具体的な対策及び通知等の周知徹底について一括してお答えいたします。
県内市町村における平成14年度の職員1人当たり月平均時間外勤務時間数は約5時間となっております。
本県では、厚生労働省通知「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」及び「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」を市町村に送付し、当該通知に基づき適切に対応するよう助言を行ったところであります。今後とも市町村に対する働きかけを継続していきたいと考えております。
以上です。
○病院管理局長(平井哲夫) 「県立病院の今後のあり方検討委員会幹事会」の検討状況及び南部病院の廃止等に対する所見について一括してお答えいたします。
「県立病院の今後のあり方検討委員会幹事会」においては、民間医療機関の整備状況や各保健医療圏における医療提供の実態等も踏まえ、県立病院の役割として民間医療機関では対応の困難な医療分野を中心に、保健医療圏の地域特性や医療機能に配慮しながら公的医療機関としての役割を担うこととする方向で検討されてきております。
南部病院については、南部保健医療圏における医療機能が質・量ともに充足している中で、南部病院の提供している医療が他の民間病院等で代替できること、また南部保健医療圏には新たに高度で多機能を有する新病院も整備されることから、県立病院としての廃止または経営移譲の方向で検討されております。
今後は、幹事会の案をもとに検討委員会で引き続き検討が重ねられることとなっております。県といたしましては、委員会からの提言を受けて具体的な対応を検討していくことになりますが、県立病院の見直しに当たっては地域の意見等も十分に考慮してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○玉城ノブ子 ちょっと休憩してください。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前10時51分休憩
午前11時 再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
玉城ノブ子君。
〔玉城ノブ子君登壇〕
○玉城ノブ子 マイナー作物の問題について再質問いたします。
まず、沖縄県はマイナー作物がほとんどであると思われます。現時点で経過措置に入れてないが必要と思われる農薬はまだまだあるのではないかと危惧しています。その調査点検作業は行われていますか。その作業はどの部署でどのように行われていますか。その点検期限などを決めていますか。
それと、マイナー作物が期限内に登録できないということになると生産農家にとっては大変厳しい事態になってまいります。ですからその期限内にマイナー作物を全部登録できるということの体制と財源の確保について決意をお聞かせ願いたいと思います。
宮古の台風災害についてですけれども、沖縄県の地域防災計画で災害復興計画についてというかなり細かい規定がございます。例えば、公共施設災害復旧計画、租税の徴収猶予及び減免、被災者生活再建支援法適用計画、この計画に基づいてどのように具体化し実践してこられたか、今後の計画についてはどうなっているのかお伺いいたします。
時間外労働についてでございますけれども、本県の時間外労働の実態なんですけれども、一番長い人でどれぐらいの時間外労働をなさっているのかお聞きいたします。
再々質問はさらにまたその後でやります。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時2分休憩
午前11時8分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
農林水産部長。
〔農林水産部長 諸見武三君登壇〕
○農林水産部長(諸見武三) マイナー作物の点検作業及び期限内での見通し等についての再質問にお答えいたします。
現在、経過措置農薬の中には既に農薬メーカーの努力で登録が完了しているもの、あるいは登録申請のもの、あるいは登録に向けて今試験中のもの等があります。早期に適用拡大登録を行う必要のある農薬を精査をしまして、JAや農薬メーカーと連携をして登録に向けた取り組みを強化していきたいと考えております。
県では、今登録に向けた一つの考えとして、先ほども答弁申し上げたんですが、類似している作物を栽培している県とも連携しまして、その支障がないように必要な予算確保あるいは委託等に必要な予算確保等について取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) お答えをいたします。
県地域防災計画の中では災害復旧復興等の計画がありまして、その内容は公共施設災害復旧計画、農林水産業資金融資計画等多数の計画があります。
台風14号の復旧振興につきましては、現在各部局で対応をされているところであります。
そしてもう一つでございますが、県の地域防災計画の中で災害県民相談計画がございまして、今回、災害相談窓口を設置しておりますが、主な相談窓口としまして県が設置しているのが福祉保健所のこころの相談窓口、宮古教育事務所でも同じようにこころの相談窓口、それから宮古農業改良普及センターでは台風14号特別営農相談窓口、それから市町村ではこころの相談窓口等6市町村で、各部署で各所管に対応して相談窓口を設けてあります。
それから、国が相談窓口として設けているのが沖縄行政評価事務所で、台風14号被災に関する特別総合行政相談というのが平良市役所に設けられておりまして9機関19名、沖縄総合事務局、総合通信事務所、それから沖縄国税事務所、沖縄振興開発金融公庫、日本郵政公社沖縄事務所、沖縄県宮古支庁農林水産課、土木建築課、平良市沖縄行政評価事務所行政相談員等で、国の方でも取り組んでもらっております。
その他機関といたしまして、相談窓口が現在沖縄宮古商工会議所、伊良部町の商工会、沖縄振興開発金融公庫、それから琉球銀行宮古支店、商工中金那覇支店、「宮古子どもネットワーク・ふぁ」というところでございますが、そういうことで相談窓口、相談計画等に基づきまして現在相談窓口を設け、支援対策に当たっているところであります。
○総務部長(仲田輝享) 時間外勤務の一番長い人でどれぐらいかという再質問にお答えをいたします。
平成14年度の実績で時間外勤務の最も多い者は922時間となっております。
以上でございます。
○玉城ノブ子 休憩。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時14分休憩
午前11時15分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
玉城ノブ子君。
〔玉城ノブ子君登壇〕
○玉城ノブ子 時間外労働についてですけれども、先ほどの答弁にもありましたけれども、長時間労働の実態、時間外勤務で長い人が実に70時間、60時間近く働いている人もいるわけです。そして厚生労働省通達は、月45時間以上の時間外労働を行うと健康障害のリスクが高くなると、労働基準監督署の指導権限も厳密に規定しているわけなんですよね。ですから法令違反が認められた場合は司法処分も含めて厳正に対処するということを言っているわけですよ。県の長時間労働の実態は一体どう認識されますかと、これの是正策についてお伺いをしたいと思います。
そして賃金不払い残業や長時間労働、これをなくして青年たちを身分の不安定な臨時職員ではなくて正規雇用にすること、これが大事ではないでしょうか。
知事、県の足元において20代の青年たちが身分の不安定な臨時職員のままで経済的にも自立できないと、こういうことでいいのかどうかということが問われています。これについて知事の見解をお伺いしたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時16分休憩
午前11時19分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
総務部長。
〔総務部長 仲田輝享君登壇〕
○総務部長(仲田輝享) 超過勤務につきましてお答えをいたします。
超過勤務の縮減につきましては、超過勤務の縮減及び年次有給休暇の計画的使用促進に関する指針を定めまして、定時退庁日の設定、週休日の振りかえ等の奨励、議会関係事務の簡素化など、この間いろいろと対策を講じてきたところであります。
恒常的で長時間に及ぶ時間外勤務は職員の活力を低下させ、能率的かつ創造的な業務遂行に支障を来すばかりでなく、職員の心身の健康や生活にも深刻な影響を及ぼすと認識しており、今後とも時間外勤務の縮減に取り組んでまいります。
以上であります。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午前11時20分休憩
午前11時20分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
平良長政君。
〔平良長政君登壇〕
○平良 長政 一般質問を行います。
1、交通政策について。
(1)、バス4社統合問題について。
那覇交通株式会社は、会社再生に向けて労使とも必死に頑張っております。もし再生ができずに破産となればバスはとまり、労働者は路頭に投げ出されます。退職者への退職金も未払いのままとなります。バス統合準備室も解散した現在、県民の足を守るためにも労働者の雇用を守るためにも県がリーダーシップを持って今こそバス4社統合に向けて立ち上がるべきであり、それがモノレールの乗客の増加、財政健全化にもつながると確信するものです。
そこで質問いたします。
ア、県はバス4社統合の意思を現在も持っておられますか。
イ、どのようにすれば統合が実現されるか、県の考えている統合への道筋(プロセス)を示してください。
ウ、統合新会社への出資予定企業の最近の動向はどうですか。
エ、沖縄バスを除いた3社統合の可能性もありますか。
(2)、モノレールと他交通手段との連結について。
ア、モノレール各駅と周辺地域を結ぶバス路線再編はどうなっていますか。
イ、モノレールをとりあえず西原高速インターまで延長し、西原インターを中北部からの一大結節拠点としてパーク・アンド・ライドや高速バス等からのモノレールへの乗りかえ地として整備したらどうでしょうか。
2、文化行政について。
(1)、「国立劇場おきなわ」について。
村山内閣、大田県政のもとで設置された沖縄政策協議会において、仮称「国立組踊劇場」の設立が沖縄振興策のプロジェクトの一つとして位置づけられ、その建設が進められ、国の重要無形文化財「組踊」を中心とする沖縄文化の殿堂がここに誕生しました。いよいよ来年1月23日からこけら落とし公演が始まります。感慨深いものがあります。国立ではありますが、中身はでき得る限り県民のものにしなければなりません。
そこで質問です。
ア、設立の意義は何か。
イ、年間の管理運営費は幾らぐらいか。うち県負担は幾らか。
ウ、設立支援募金が平成13年4月25日から平成15年3月31日までの期間で1億円以上の目標額を持って取り組まれたようですが、どれぐらい集まりましたか。
エ、同施設の管理運営は文化庁から補助を受けた特殊法人「日本芸術文化振興会」から財団法人「国立劇場おきなわ運営財団」が管理運営委託を受けて行うとされています。「日本芸術文化振興会」の存在理由は何ですか。
オ、伝承者教育はどのようになされますか。
カ、施設の一般利用はどうなりますか。
(2)、県立芸大について。
しよりもり げらへて
げらへたる きよらや
かみ しもの
世 そろゑる ぐすく
まだまもり げらへて
げらへたる きよらや
全島の人たちが力を合わせてつくった首里城は、何と華やかに美しいことよ、清らかなことよと、おもろびとは首里城をうたい上げました。
首里城復元が実現したのが1992年。来月には満11年を迎えます。首里城正殿は、王朝文化の華である漆芸によって巨大な琉球漆器として表現されたと言ったのは高良倉吉氏であるが、まさに漆工芸の力量が沖縄になければ首里城正殿の復元はできなかったと言えます。
沖縄の漆工芸は、数ある伝統工芸の中でも特に世界に誇れるすぐれたものとして内外で一番評価が高いものであります。県立芸大の設置認可申請書の中でも沖縄の伝統工芸の主なものとして真っ先に漆器を挙げておりましたが、開学のとき、なぜかコースから外れ、いまだに実現せず今日に至っております。重要文化財の継承、伝承者の育成は急務であり、一日も早い漆芸コースの設置が望まれます。
そこで質問です。
ア、県立芸大に漆工芸のコースを設けるべきと思うがどうか。あわせて漆芸コース設立に向けての芸大内での検討経緯を説明してください。
イ、国立大学は独立法人化に向けて動いていますが、公立大学はどのような動向にありますか。県立芸大の場合はどうですか。
(3)、県立博物館の移転・建設問題は数年中断していましたが、ようやく動き出しました。県民とともに喜びたいと思います。
現在、首里にある県立博物館が移転して後、その跡利用をどうするかが課題となります。この場所は「中城御殿」の跡地であり、首里地区自治会長会の有志の皆さんは、以前から移転後は中城御殿を復元し、その一部に尚厚氏から那覇市に寄贈された尚家の琉球王朝文化秘宝を展示・公開したらどうかと提言しております。首里城に近いということから、首里城見学の前後に観光コースに組み入れられるのではないでしょうか。
そこで質問ですが、県立博物館建設後の首里博物館の跡地利用はどのように考えておられますか。
3、経済振興について。
(1)、海洋資源の開発利用について。
沖縄振興計画では、振興開発計画に引き続き海洋資源の利活用を促進するとともに、海洋情報の整備や海洋研究体制の充実を図ることとなっております。しかしながら、これはかけ声にとどまり、これまで県がこうした取り組みを行った実績はありません。
もちろん計画に書いてあるからといって、すべて県が事業主体になるとは限りませんが、海洋資源の開発利用の促進をうたっている以上、県は少なくとも促進に向けた条件整備を図っていく責務があると考えます。
外交問題を初め多くの課題が予想されますが、こうした課題や現状を明らかにし、経済的な波及効果を調査するなど情報の収集・提供を行い、中長期的に戦略を構築していくべきであります。
これについては、私もその必要性を訴え続けてきたところですが、知事の英断により今年度予算措置がなされたことを高く評価しているところであります。
そこでお伺いいたします。
ア、海洋資源の開発利用に関する知事の基本的な考え方をお伺いしたい。
イ、今年度予算の実施状況はどうですか。
(2)、外形標準課税について。
今議会に提案されている県条例の一部改正案は、国の地方税が改正され、法人事業税について外形標準課税が導入されたこと等に伴って出されたものです。地方の安定財源の確保や地方行政サービスに対する企業の応能負担の問題等から所得以外の基準でも課税することは理解できます。問題は県内企業の状況です。全法人1万7915社中、赤字法人は9374社で52.3%です。資本金1億円以上の外形対象法人は全法人の7.2%の1293社です。そのうち赤字法人は515社で39.8%に上ります。
赤字中小企業への対策は6年間の納税猶予だけでは極めて不十分です。赤字を出して担税能力はないのですから、税負担のために企業の従業員を減らしたり、増員を抑制したりすることになりませんか。倒産に追い込むことにもなりませんか。十分な対策をとる必要があります。
そこでお伺いしますが、担税能力のない赤字中小企業への対策は納税猶予以外に何を予定していますか。
(3)、県経営者協会9月度経営懇話会での牧野副知事発言について。
ア、米軍基地は「撤去以外は一切許さないという姿勢では問題を解決できない。複眼的な視点で沖縄振興を考えることが必要だ」と述べたと報道されましたが、複眼的視点とは何ですか。
イ、基地を抱える自治体は収入の3割以上を基地関連収入に依存。基地がなくなればパンクすると言っていますが、他県の基地のない自治体はパンクしているのでしょうか。地方交付税制度の仕組みはどうなっていますか。
ウ、日本の統治政策があったから韓国の近代化が進んだと主張する歴史学者もいるとの歴史認識を問われかねない危ない発言もあったという。歴史学者の発言引用とはいえ、問題は牧野副知事がその見解に賛成なのか反対なのかであります。どちらですか。
4、電線類地中化について。
台風14号で宮古島において電柱約800本がなぎ倒されて住民生活に甚大な影響を及ぼしました。
国土交通省は、電線類地中化の目的の一つに台風や地震といった災害時に電柱が倒れたりする危険を防止するとうたっております。
全国的に地中化計画が進んでおりますが、台風銀座の宮古島から地中化を進めるよう国に要求すべきと思うがどうですか。
小林財務副大臣は、電柱が倒れるようなら金をかけてでも地中化をやった方がいい、あとは予算をどういう形でやるかだと言っております。
予算の問題は、例えばブッシュが小泉に要求するイラク戦費を削れば十分可能ではないでしょうか。
5、ヤンバルの世界自然遺産登録とヘリパッド建設について。
(1)、ことし5月26日の第4回「世界自然遺産候補地に関する検討会」において、世界自然遺産の登録基準に合致する可能性が高いと判断された地域へ琉球諸島が選定されたことについて県の感想はどうか。
(2)、条件である保護担保措置についての県の決意はどうか。
(3)、環境省の平成16年度からの3年計画「やんばる地域国立公園指定計画策定調査費」の意義と概要について説明願いたい。
(4)、防衛施設局のヘリパッド移設地の環境調査結果はその後どうなっておりますか。
(5)、新たなヘリパッド建設が実施されると世界自然遺産登録がだめになります。県は、防衛施設局や米軍に対し、新規建設ノーときっぱりと意思表示すべきと思いますが、どうですか。
○知事(稲嶺惠一) 平良長政議員の御質問にお答えいたします。
交通政策についてのうち、バス統合への県の姿勢と道筋、企業の動向についての御質問につきまして一括してお答えをいたします。
本島バス4社の統合は、バス事業の経営健全化に資するものであり、県としては、公共交通を安定的に確保する観点から統合の取り組みを進めることは望ましいことであると考えております。
バス統合による新会社設立は、基本的に当事者が主体的に取り組むべきものであり、経営主体の確立、労使の合意等の課題が解決されることが重要であると考えております。しかしながら、バス統合準備室が閉鎖されて以降、那覇交通株式会社が民事再生法の適用を申請するなどバス統合を取り巻く環境は厳しい状況にあると認識しております。県としては、今後ともバス統合について県内経済界の関係者と意見交換をしながら積極的に対応してまいりたいと考えております。
続きまして、海洋資源の開発利用に関する基本的な考え方についてお答えを申し上げます。
海洋資源の開発利用については、沖縄振興計画においてもその促進を図ることが明記されております。県としても、本県周辺海域における豊富で多種多様な海洋資源の開発利用を促進するため、今年度に実施する調査の結果等も踏まえながら海洋資源の開発利用に関する枠組みや方策を策定したいと考えております。
続きまして、世界自然遺産の候補地として琉球諸島が選定されたことについての御質問にお答えをいたします。
国の「世界自然遺産候補地に関する検討会」において、琉球諸島が学術的な見地から世界自然遺産の候補地の一つに選定されたことは、本県の自然環境が世界的にもすぐれた地域であると認められたものであり喜んでいるところであります。県としましては、今後、国と協力し登録に向けた取り組みについて検討してまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○副知事(牧野浩隆) お答えいたします。
まず初めに、沖縄振興の複眼的視点及び韓国における日本の統治政策に対する見解についてでございます。一括してお答えさせていただきます。
まず、この趣旨は、沖縄経営者協会の懇談会で講演したものが新聞記事になりまして、それを読んでいただいたということに対しまして平良先生にお礼を申し上げます。
しかしながら、記事は3度にわたっていましたので、3度ともそれぞれ論点が違っていまして、全体像が必ずしも明らかではありませんので、そのときの趣旨を若干御紹介させていただきます。
その趣旨は、沖縄振興開発計画は、我々は、これは最後のものだと思って基地問題とのバランスを考えながら全県民が一体となってその実現に取り組まなければならないという趣旨でございます。
また、基地問題に関しましては、基地の整理縮小を図ることが目標でありまして、当面はSACO合意に従って進めていくことが現実的であることを主張したものであります。
その際、県内の一部におきまして日米安保の廃棄と米軍基地の全面撤去を最高の理念に掲げまして、同時に沖縄振興計画に対しましては、基地を受け入れる代償であるとの批判がなされていることなど、振興計画と基地問題に関しましては多様な見方があることを紹介いたしました。
しかしながら、沖縄問題の現状を適切に認識したならば、複眼的な視点に立ってまずもって沖縄振興計画の実現に邁進することが最優先課題であり、かつ基地の整理縮小の条件整備につながることを言及いたしました。
また、自立経済の構築を目指しました振興計画の重要性を多面的に認識するためには、沖縄の先達であります太田朝敷、台湾あるいは韓国における歴史研究が大変重要な参考になるということを紹介いたしました。
韓国におきましては、従来、日韓併合に対し、日本の植民地支配の弊害を指摘する批判的な論調が主流であることは私も十分承知しております。
しかしながら、昨今、一方的な論調だけでは学問の客観性を欠くとの反省から日韓併合が韓国の近代化の原動力になった史実を直視すべきであるとの研究成果が発表されていまして評価されております。19世紀後半の帝国主義全盛時代のウエスタンインパクト、いわゆる西欧列強からの圧力に対抗しまして、自主独立を維持するために不可欠ないわゆる近代化の原動力は、当時の国内情勢から見て内発的に生ずる可能性は乏しかった、日本の統治政策が韓国の近代化の契機となったという研究であります。歴史認識におきましても複眼的な思考が必要であることを言ったものであります。したがいまして、この件に関しましては賛成か反対かという二者択一的な視点を捨てて、社会的な事象の多様性を認識する柔軟なスタンスを持つことが重要であります。
大切なことは、科学的検討による歴史的事実関係を認識することでありまして、経済的自立に関連したいわゆる近代化論争から私どもが学ぶべき点は大きいものがあるということを論じた次第であります。
もう一つは、地方交付税の制度はどうかということでございますけれども、主な基地所在市町村の歳入額に占める基地関連収入の割合を見ますと、これは平成14年度の資料でございますけれども、恩納村が31.5%、宜野座村が45.2%、金武町が30.8%、伊江村が39.2%、嘉手納町が39.9%となっております。各自治体はさまざまな事業を行っておりますが、その財源としましては地方税あるいは地方交付税により手当てされているものと、補助金あるいは独自の財源により手当てされているものがあります。
こうした状況を踏まえました場合、基地が全面撤去された場合には防衛庁関係補助金や基地関係の財産収入がなくなりますので、これに相当する部分は地方交付税による補てんはありませんので、それだけ財政が逼迫することになります。
このようなことから、基地の全面撤去は理念としては理解できますが、究極の目標を達成するためにはこのような実態を踏まえた場合、返還後の跡地の有効利用・活用を含めまして産業振興などを図り、基地関係収入にかわる収入を確保していくことを考慮する必要があると考えております。
以上です。
○企画開発部長(花城順孝) バス3社統合の可能性についての御質問にお答えします。
県は、公共交通を安定的に確保する観点から4社による統合が望ましいと考えておりますが、バス統合は、基本的にはそれぞれのバス事業者がみずからの経営判断により行うものと承知をしております。現下のバス事業を取り巻く環境は、自家用自動車の急速な普及により利用者が減少するなど経営状況は厳しさを増している状況にあります。加えて平成14年から乗り合いバス事業の規制が緩和され、新規参入及び路線廃止が容易になるなど経営環境が変化をしてきております。
このようなことから、バス事業者においては抜本的な事業の再構築に向け統合への取り組みが進められるものと考えられますが、各事業者の経営状況も異なることもあり、今後さまざまな展開が予想されると考えております。県としても、バス統合はバス事業の経営健全化に資するものであると認識をしており、バス事業各社の今後の動向と県内経済界の関係者との意見交換を踏まえながら対応していきたいと考えております。
次に、モノレールの延伸と西原インターの整備についてでございます。
都市モノレールの延伸については、開業後の利用状況、モノレール株式会社の収支見通し、延伸が想定される地域の開発計画や今後のバス路線網の再編等を踏まえ段階的に検討していくこととしております。また、西原インターの交通結節点としての整備の必要性については、このようなモノレールの検討とあわせて骨格的な公共交通軸のあり方等多様な視点から検討してまいりたいと考えております。
次に、海洋資源開発利用に係る今年度予算の実施状況についてでございます。
今回の調査では、本県における海洋資源の開発利用に関する基本方策を策定するための予備的検討を行うことにしており、今月からの調査開始に向けその準備を進めているところであります。調査の内容は、海洋資源の賦存量とその分布状況、探査や開発動向の状況、海洋資源開発をめぐる法制問題や経済効果等本県が有する海洋資源のポテンシャルを多角的に検討するものとなっております。
なお、これらの調査については、海洋資源開発に知見を有する学識経験者や専門家から成る検討委員会を設置し、その中で総合的に検討していくことにしております。
以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 交通政策についての、バス路線再編についてにお答えいたします。
都市モノレールの導入に伴い、モノレールとバスとの合理的な機能分担と有機的な結節を図り、県民の利便性の向上を図りつつバスとの共存を図る方策としてバス路線再編を予定しておりました。しかし、一部のバス事業者において再編が予定どおり行われなかったことにより、再編が不十分なものとなっております。バス路線再編については、今後ともバス事業者と調整を行っていく考えであります。
次に、文化行政についての、現博物館の跡地利用についてにお答えいたします。
現県立博物館の跡地は、昭和62年2月に首里城公園の一部として都市計画決定がなされております。移転後の跡地利用については、琉球庭園や駐車場を整備する計画となっております。
次に、電線類地中化についての、宮古島から地中化を進めるよう国へ要請することについてにお答えいたします。
電線類地中化は、「電線共同溝の整備等に関する特別措置法」に基づき安全で快適な通行空間の確保、都市災害の防除、都市景観の向上等の観点から道路管理者、電線類管理者及び地元の協力のもとで実施される事業であります。電線類の地中化事業は、沖縄総合事務局、沖縄県、関係市町村、電線類管理者等で構成される「沖縄ブロック電線類地中化協議会」において整備箇所、整備延長等が決定され電線類地中化計画が策定されます。県内におきましては平成4年度から整備が始まり、平成14年度までに国道58号の上之屋、国際通りの県庁前等で約50キロメートルが整備されております。平成15年度までには、宮古管内の平良城辺線を含む約66キロメートルにおいて地中化される予定であります。
電線類の地中化は、台風常襲地においてはライフラインの確保のための有効な手段の一つであると考えております。しかしながら電線類地中化事業では、電線類管理者において極めて大きい費用の負担があります。今後、宮古島における電線類地中化につきましては、「沖縄ブロック電線類地中化協議会」や電線類管理者と協議しながら、平成16年度から始まる次期計画に盛り込まれるよう積極的に取り組んでいきたいと考えております。
次に、県内の地中化計画についてにお答えいたします。
県内における電線類地中化につきましては、平成11年度から平成15年度までの新電線類地中化計画に基づき国道58号の浦添市牧港、国際通り、平良城辺線等の路線において約34キロメートルの整備を進めているところであります。また、「沖縄ブロック電線類地中化協議会」では、平成16年度から始まる次期計画の策定作業を進めているところであります。
以上でございます。
○教育長(山内 彰) 「国立劇場おきなわ」の設立の意図は何かについてお答えいたします。
「国立劇場おきなわ」の設立の目的は、文化庁の示した報告書によりますと、国の重要無形文化財「組踊」を中心とする沖縄伝統芸能の公開、伝承者養成、調査・研究等を行い、その保存・振興を図るとともに、沖縄の地理的・歴史的な特性を生かし、伝統文化を通じたアジア・太平洋地域の交流の拠点となることとしております。
年間の管理運営費は幾らぐらいか、うち県負担は幾らぐらいかについてお答えいたします。
「国立劇場おきなわ」の管理運営は、財団法人「国立劇場おきなわ運営財団」が特殊法人「日本芸術文化振興会」から管理委託を受けて行うことになっております。平成15年度の管理委託費の予算は5億1518万4000円となっており、その内訳は管理運営に必要な人件費、光熱水費、調査養成事業費等であります。
なお、管理運営費については沖縄県の負担はございません。
それから、設立支援募金はどれぐらい集まったかにお答えいたします。
財団法人「国立劇場おきなわ運営財団」は、平成13年4月25日付で文部科学大臣から設立許可されましたが、設立時の基本財産は5500万円であり、財団設立後3年以内に基本財産を1億円まで引き上げることが求められております。同財団では、企業・芸能団体及び県民等へ呼びかけ基本財産の造成に取り組んでおり、平成15年3月31日までに8957万円が造成されました。
なお、平成15年8月31日現在では9887万4000円の基本財産となっております。
「日本芸術文化振興会」の存在理由は何かという御質問にお答えいたします。
特殊法人「日本芸術文化振興会」は、我が国古来の伝統芸能の保存・振興及び現代芸術の振興・普及を図るとともに、芸術文化の振興・普及のための活動に対する援助を行い、芸術その他の文化の向上に寄与することを目的として設立されております。同目的を達成するために各種事業の展開及び国立劇場、新国立劇場等を管理運営しております。
なお、「国立劇場おきなわ」については、地元沖縄の積極的な参画・協力に基づく多彩で弾力的な劇場運営とするために、「日本芸術文化振興会」が特別に地元関係者を中心に設立された「国立劇場おきなわ運営財団」へ管理運営の委託をしております。
伝承者養成はどのようになされているかにお答えいたします。
財団法人「国立劇場おきなわ運営財団」では、伝承者養成事業を重要な柱の一つとしてとらえており、質の高いすぐれた伝承者を確保する目的で組踊伝承者養成研修事業を平成16年度から実施することになっております。
なお、研修内容については、現在、同運営財団において設置された「国立劇場おきなわ専門委員会」において具体的検討がなされております。
施設の一般利用はどうなるかについてでございますが、財団法人「国立劇場おきなわ運営財団」では「国立劇場おきなわ施設使用規程」を策定し、平成16年4月以降から大劇場、小劇場及びけいこ室など11の施設等を沖縄伝統芸能その他の芸能の振興もしくは普及を目的とする事業等の利用に供することとされております。
なお、同財団では平成15年8月21日からその利用を呼びかけております。
以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 県立芸大における漆芸コースの設置についての御質問にお答えをいたします。
沖縄の漆工芸の教育・研究を担う漆芸コースの開設につきましては、開学当初からの懸案事項となっておりますが、まだ開設には至っておりません。漆芸コースの設置については、平成7年12月に沖縄県立芸術大学運営懇話会会長山本正男から知事に対し、漆芸コースの早期設置の建議があり、平成10年9月から平成11年10月まで学内に美術工芸学部長、事務局次長及び各専攻教員等で構成する「漆芸コース設置検討委員会」を設置し、美術工芸学部デザイン工芸学科工芸専攻に漆芸コースを設置することについて検討してきました。検討の内容としては、3人の専任教員を配置し、入学者数を毎年4人から5人と想定しておりますが、教職員定数を増員することが困難であること、施設の拡充が必要であること、また入学志願者の応募見通しや卒業後の就職等の課題があるとしております。
漆芸コースについては、開学当初から陶芸、染織と同様に構想されていたものであることから、その設置については大学全体の将来構想の中に位置づけて検討をしていきたいと考えております。
次に、大学の独立行政法人化についてお答えをいたします。
公立大学については、平成15年7月16日に公布された地方独立行政法人法において公立大学法人に関する特例規定によって定められており、平成16年4月1日から施行されることになっております。公立大学の法人化に関する全国の設置団体の動向は、ことし7月現在で東京都、大阪府、長崎県及び北九州市の9つの大学が平成17年度に法人化することを明らかにしております。その他の設置団体については検討中のところが25団体32大学で、残りの26団体33大学が未検討となっています。県立芸術大学においては、法人化に関する情報を収集し研究しているところであります。
法人化については、大学運営、組織体制、教職員の身分、財政措置等検討すべき課題が多く、設置者である県としても関係部局と連携をとりつつ、国立大学法人の実施状況や各公立大学の動向を見ながら具体的に検討していく必要があると考えております。
次に、ヤンバルの世界自然遺産登録関係の御質問にお答えをします。保護担保措置についてであります。
世界自然遺産に登録されるための要件の一つとして、国内法により国立公園等に指定し保護措置が講じられている必要があります。県としては、ヤンバル地域の国立公園化を初め、適切な保護措置が講じられるよう環境省の調査を支援・協力し取り組んでまいりたいと考えております。
次に、「やんばる地域国立公園指定計画策定調査費」の意義と概要についてお答えをいたします。
環境省におきましては、平成16年度から3年計画で「やんばる地域国立公園指定計画調査」を実施する計画で平成16年度の概算要求に盛り込んでおります。同調査において国立公園区域案の策定、国立公園計画案の策定、地域住民への普及・啓発促進、国立公園指定に向けた調整が行われることになっております。
北部訓練場を含むヤンバル地域一帯は、スダジイに代表される亜熱帯の自然林に広く覆われ、ヤンバルクイナ、ノグチゲラなど多くの固有種が生息・生育する貴重な地域であり、国立公園化により保護が図られるものと考えております。
以上でございます。
○総務部長(仲田輝享) 外形標準課税の導入についてお答えをいたします。
法人事業税の外形標準課税は、資本金1億円を超える比較的大規模な法人を対象としており、中小企業に対しては一定の配慮がなされていると考えております。また、赤字法人に対しては徴収猶予の制度が設けられております。通常、最長でも2年間としているのに対し、外形標準課税の徴収猶予は最長6年間認められる制度となっております。
なお、徴収猶予期間中は、猶予した金額を適宜分割して納付することができるほか、期間中の延滞金については2分の1に相当する額が免除されることになっております。
以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) ヘリパッドの移設について一括してお答えします。
SACOで合意された北部訓練場の返還に伴い、国はヘリパッド移設候補地の選定を行うため、昨年11月5日からことし10月までの予定で四季を通した環境調査を実施しており、今年度じゅうに報告書をまとめるとのことであります。県としては、国による継続環境調査の結果や関係する市町村の意見等を踏まえながら、移設場所の選定に当たっては、当該地域の自然環境に十分配慮するよう国や米軍に働きかけてまいりたいと考えております。
○平良 長政 再質問を行います。
バス問題ですが、せっかく交通政策室ができたわけですから、県民の足を守るという立場で県がリーダーシップをとってぜひバス統合問題等頑張ってほしいと思います。
それから首里博物館跡利用計画は、昭和62年といいますから16年前ですか、何か公園とか駐車場とかということですが、十年一昔と言いますからぜひ見直して、首里の自治会長会などの意見も聞いてお願いをしたいというふうに思います。
時間がありませんので、質問は知事に選挙公約との関連で2点質問をしたいというふうに思います。
最近はマニフェストばやりですが、知事は選挙公約というのをどのように位置づけているのでしょうか。
知事、知事選で琉球文化の粋である漆芸分野で県立芸術大学に設置できるよう努めるというふうに公約をなさいました。どこかの総理大臣みたいに、公約というのは破っても大したことではないということではないと思いますので、ぜひ公約実現のために知事も一肌も二肌もお願いしたいと思います。少人数でいいと思うんですね。1学年例えば2人でもいいから漆芸コースを設置をして伝承者をぜひ育成をしてほしいと思います。そうしなければ、せっかくの沖縄の伝統工芸も途絶えてしまうということになります。首里城博物館もことしからもう補修に入るということですし、県立博物館、浦添美術館の工芸品だけではなくて、国外に散逸しているその工芸品をぜひ沖縄の力で補修をしてほしいという数多くの要望も出されているけれども、答えられる人がなくて行けないという危機的な状況がありますので、ぜひ知事公約との関連で再度知事に御答弁をお願いしたいと。
もう一つ、知事は選挙公約で東洋のガラパゴスと言われる沖縄には豊かな自然がまだ残っており、それを守り育てることが求められていると明言をされておりますが、この公約からしてもヘリパッドの新規建設はノーとはっきり言うべきではないかというふうに思います。施設局はもう今月その継続した環境調査を終えて来月から位置を選定をする作業に入るわけです。そしてそれが決まればヘリパッドが建設されようというそういう重要な時期。一方で環境省は、もう3年計画でどの地域を国立公園化にするというその区域の決定もこの3年間でやろうという。一方はヘリパッドをするというとこれはもうできない相談で、そしてその候補地の検討会では知床、小笠原諸島と同じく3つですね、琉球諸島も入って。そのかわり条件がありますよと、ちゃんと自然保護をしてくださいよと言っていて、ヘリパッドができたら世界遺産もパアになるという今瀬戸際に来ているということでありますので、その辺も公約との関係で知事にお願いしたいと思います。
これは要望ですが、副知事に申し上げたいというふうに思います。
副知事は先ほどの御答弁で、その近代化のものについては自分の見解ではないと、ただ紹介しただけだという言い方で安心もしていますが、なぜそういう見方を紹介するかというのはよくわからないわけです。
ただこれだけ申し上げたいと思いますが、いずれにしても強制連行とか創氏改名、あるいは南京大虐殺というのは歴史上存在しなかったというようなことを言う人がいるわけですが、それはやはり複眼ではなくて両眼、両目をしっかりあけて見てほしいと思いますし、西ドイツの大統領だったヴァイツゼッカーも、過去に目を閉ざす者は現在にも目を閉ざすことになるというふうに言っておられますので、ぜひその辺はきちっとしてほしいと思います。もしそれが副知事の本音だったらもう中国や韓国との外交問題に発展をして、ソウル、上海直行便など吹っ飛ぶということも申し上げておきたいと思います。
以上です。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後0時8分休憩
午後0時9分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 平良長政議員の御質問にお答えします。
若干、要望かどうかわからないものもあるんですが、お答えをいたします。
バス問題については、これは御指摘のように交通政策室というのがしっかりできまして、今も総合的な体系の中からバス問題について十分に検討しております。特に先ほどもございましたように、経済界とも従来よりさらに幅を広げた形で今検討しております。
次に、漆のお話ですけれども、私は大変重要だと思っております。実は、サミットのときの首脳のお土産にも全部私どもとしてはそのお土産を持たせたぐらいです。そのほか、最近では首脳会合だけじゃなくて大きな国際会議がありますけれども、その主要なお客様には必ずお土産として持たせております。ぜひこれは展開したいと思っております。
ただ、大学全体のやはり将来構想の中で位置づけるということは、これはもうこちら側、大学の中でも先ほどの答弁の中にありましたように十二分に検討している段階なので、今後ともその中の将来構想の中に位置づけて検討していきたいというふうに考えております。
それからガラパゴスの例を挙げておられましたけれども、今ヤンバルの自然の遺産というのは大変重要だと私どもは思っています。ぜひその世界遺産として、自然の遺産として認められるように全力を尽くしたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後0時11分休憩
午後1時31分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
午前に引き続き質問及び質疑を行います。
兼城賢次君。
〔兼城賢次君登壇〕
○兼城 賢次 所信を述べながら質問をいたします。
1点目は、宮古地域を襲った台風14号の被害の大きさは代表質問や一般質問でも述べられていますが、被害を受けた皆さんには厳しい状況でありますが、頑張っていただきたいと思います。同時にお見舞いを申し上げます。
今回の台風被害は、日常生活に電気の及ぼす大きさを改めて知らしめております。
そこで、台風14号の被害を直接の教訓としてお聞きいたします。
(1)点目は、台風14号による宮古地域の被害について電線の地中化が指摘されているが、実際にモノレール沿線道路の地中化作業が進められているが、かつては景観的な側面から言われたが、台風14号の教訓から地中化は現実的問題である。現在進められていることを参考にして検討がなされたかどうかお聞きしたい。
(2)点目は、今回の台風のすさまじさから公共施設の基準値の見直しが指摘されているが、それにとどまらず農業用ビニールハウスなど沖縄の施設全体を具体的に見直しを進める時期で、特区的に推進し対応すべきであるが、検討されたことがありますか。
次に、県議会の南米派遣議員としてアルゼンチン、ブラジル、ボリビア、ペルーを訪問いたしました。知事もブラジル、アルゼンチンを訪問されており、移住者の実情については十分認識なされておるものと思います。二世でも日本語、ウチナーグチが全く通用しない状況でありながら、沖縄を母県として二世、三世が沖縄への思い入れも深く、ウチナーグチはわからなくても沖縄民謡を歌い、琉舞を舞っているのには感心をいたしました。
かつて移民は棄民政策ではないかと言われました。しかし今日、二世、三世は現地で活躍され、ブラジルでは具志堅ルイスという二世県人が政権ナンバーツーと言われる方もおります。沖縄を母県として特別な感情を持つ移住者に対して、日本政府は果たして十分な対応がなされてきたでしょうか。確かに日本も厳しい財政状況であるが、イタリア、ドイツと比べても移住者に対する対策の違いを指摘する声がありました。
さて、知事も訪問先で要望や対応を求められたことと思います。私どもも現地の声を聞いてきました。母県たる沖縄も厳しい状況ではあるが、南米の政治・経済・社会的状況を見た場合、苦しみや負担を分かち合うことが求められているのではないかと思います。また、政府へ強力に要請をし母県の役割を果たすべきではないでしょうか。
そこでお聞きいたします。
(1)点目は、知事も南米訪問の地で要望や対応を求められたことと思います。ボリビアでは市街地からコロニーへの道路舗装の要請がありましたが、承知されておられますか。
(2)点目は、ペルーでの日本人の病院建設が進められているが、日本政府の援助なくしては完成は難しいのではないかと思われますが、母県としての役割、対応についてどう認識されておられるか。
(3)点目、アルゼンチンの国際協力事業団の高井所長は、東京事務所へ県と事業団との連携・協力の文書を提出されたというが、知事は確認されておられるか。
次に、普天間飛行場についてお伺いをいたします。
解決すべき課題を置き去りにして辺野古沖への普天間飛行場代替施設が着工へと向けて進められている。15年使用期限問題も使用期限の解決なしに着工はあり得ないことで、着工までには政府から一定の方向性が示されなければならないと知事は繰り返し述べてきました。新たに国は民間飛行場部分は県が事業主体になることを求めてきました。15年使用期限もアメリカ政府が明確に拒否し、日本政府は15年使用期限を伝えるだけのパフォーマンスに知事が何にも感じずにひたすら国の責任において解決してくれるものと思っているとすれば、県民にとって無責任なことだと思わざるを得ません。何しろ政府は基地問題について何一つ真剣に取り組もうとしないではありませんか。例の日米地位協定についてもあれだけ県や県議会、各自治体決議や申し入れをしてきているにもかかわらず、そればかりか国会でも論議されながらアメリカ政府に改定の申し入れをしたことがないということですから、推して知るべしであります。
15年使用期限問題は国の責任だけではない。15年使用期限問題を議論外として代替施設建設協議会に参加する知事の政治姿勢が問われなければならない。真剣に15年使用期限問題を受けとめるというのであれば、15年使用期限問題を議題外にすることなどできることではない。これまで基地問題について国の対応は沖縄県民の希望や選択とは違ったことだけではないですか。
1960年前後の本土からの海兵隊の移駐、1972年1月の佐藤・ニクソン会談で、返還される予定の那覇基地の米海軍P3C対潜戦哨戒機移設問題で当時の福田赳夫外務大臣発言、いわゆる岩国基地や三沢基地に移転すると反基地運動として政治問題を引き起こすので沖縄に据え置いてくれと要請するがごときであります。今回の医療中隊の移駐も基地の集中化と強化だけが押しつけられています。
さて、今度は代替施設の民間飛行場ですが、その民間飛行場としての使用問題もあいまいで以前から指摘されております。
そこでお伺いいたします。
(1)点目は、国は軍民共用の民間飛行場部分は県が事業主体になることを求めているが、県が拒否している理由は国の事業だからということですが、県が事業主体になった場合どのようなことがあるのか、お示しいただきたい。
(2)点目、軍民共用で使用する場合、米軍の使用同意が必要なのかどうか。
(3)点目、着工に向けて現地影響評価の方法書作成などが進められているが、これまでどの程度の予算が投ぜられたかお聞かせいただきたいと思います。
次に、米軍による事件・事故、軍隊の移動等についてお伺いをいたします。
定例会から定例会まで約3カ月間の期間がありますが、その定例会のたびに新たな米軍による事件・事故が発生し、行政や議会は事故の原因究明、再発防止、安全対策を繰り返し決議し抗議をしてきました。今回、F15戦闘機の照明弾落下事故で嘉手納町議会は、住民地域を巻き添えにし、大惨事を引き起こす可能性がある。よって、予防措置の公表、徹底した再発防止策、住宅居住地域上空における飛行訓練の即時中止を求めています。事故のたびごとに示される自治体の認識であります。U型偵察機の移駐や医療搬送中隊の移駐は基地の集中化、機能強化以外の何物でもありません。日米政府は、基地押しつけを振興策とリンクさせれば建前はともかく受け入れるものと見透かしているのではないのか。これまで事件・事故のたびに議会の決議や行政の再発防止申し入れが繰り返されています。むなしさは軍隊の持つ構造的な仕組みであるがゆえにその解決もおのずから明らかではないか。海兵隊の整理縮小はそのかなめではないのか。
さきの定例会に今回と同じく米軍人の事件・事故について所見を伺いました。次のような答弁であります。これまで事件・事故が発生するたびに米軍や日米両政府に対し綱紀粛正、事件の再発防止及び兵員教育を徹底するよう強く申し入れてきたところである。それにもかかわらず事件・事故が後を絶たないことは残念であります。三者協や協力ワーキングチーム会合において、米軍人等による事件・事故の再発防止に向け実効性のある対策が講じられるよう関係機関と協力しながらさらに努力していくと、これまで繰り返し答弁してきました。
そこでお聞きいたします。
米軍による事件・事故、軍隊の移動等について。
照明弾の落下事故、航空機騒音の激化、U型偵察機の移駐、医療搬送中隊の移駐、先日は具志川市内での米陸軍貯油施設からの航空機燃料が基地外に流れ出す事故と続きますが、SACO合意をにしきの御旗に基地の整理縮小は進んでいくと考えているのですか、お答え願いたいと思います。
次に、漁場内の岩礁破砕等の許可についてお伺いいたします。
普天間飛行場代替施設に伴う辺野古沖のボーリング調査で、那覇防衛施設局から沖縄県漁業調整規則第38条の規定に関し該当の有無を照会されて農林水産部長は、日米安全保障の公益性を考慮して取り扱い、本来、知事の許可を受けなければならない事項を知事の許可手続は必要ないと回答されました。その根拠を沖縄県事務決裁規程第8条、課長等専決事項の29項照会及び回答を行うことによる。第8条で処理した根拠は、水産資源に与える影響も軽微であると思慮されるため知事の許可は必要ないものとのことですが、しかし回答はいみじくも、今回のような案件の場合は関係者からの厳しい説明責任を求められる可能性があるので、細心の注意を払うこととしております。沖縄県漁業調整規則第38条は、海域の自然環境や水産業の保全を目的とするものと解しています。
ボーリング調査で知事の許可を要しない事例として古宇利大橋や伊良部架橋基礎調査などを挙げておりますが、この海域が例示されている海域と同一視されてよいものでしょうか。県の自然環境の保全に関する指針の評価ランクの位置づけからも明らかではありませんか。その証拠に施設局の調査位置の大半を変更せざるを得ないこと、藻場やサンゴなどの分布が確認されたとマスコミの報道があるのではないですか。
同時に、環境省はジュゴンの生態調査を始めました。環境省は、ジュゴンは非常に敏感な動物なので調査場所さえ公表しない慎重さであります。なぜこのようなことが、与える影響も軽微なものと思慮されるのか。気の使い過ぎだけでは済まされない行政の怠慢ではないですか。
そこでお伺いいたします。
(1)点目、漁場内の岩礁破砕等の許可について、本来、沖縄県漁業調整規則第38条は水産資源保護のために定められたもので知事の許可事項だが、水産資源に与える影響は軽微であるとのことで即刻部長名で許可されているが、知事は担当部局が相手側(施設局)の照会の対応に気を使い過ぎたと記者懇談会で述べたと言われますが、事実ですか。
(2)点目、回答で日米の安全保障上の公益性を考慮した取り扱いとのことで他のボーリングの場合も許可しているというが、当地は県の沿岸における自然環境の保全に関する指針で保護度の最も高い評価ランクをされている地域であり、特別の海洋であるが、評価ランクをどう認識されているか。同時に公益性の説明をお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 兼城賢次議員の御質問にお答えいたします。
最初は、移設についてのうち、民間部分の事業主体についての御質問にお答えいたします。
県は、普天間飛行場の移設に当たって整備すべき条件の一つとして、代替施設は民間航空機が就航できる軍民共用空港とすることを提示しており、平成11年12月に閣議決定された政府方針では「普天間飛行場代替施設については、軍民共用空港を念頭に整備を図る」と明記されております。
代替施設は、軍民共用飛行場として一体的に整備されるものと考えており、県としては代替施設の埋立事業と民間専用地区の事業についてはこれまでの経緯等からも国が事業主体となるものと考えておりますが、現在国と調整を行っているところであります。
次は、基地の整理縮小についての御質問にお答えをいたします。
県は、基地の整理縮小については、SACOの合意事案を着実に実施していくことが現実的で実現可能な方法であると認識しており、現在、すべての合意事案の推進に向け国と連携し全力を挙げて取り組んでいるところであります。県としては、58年余も過重な基地負担をしたきた県民の意向にこたえるため国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえ、県民の理解と協力を得ながらSACOで合意された施設以外についてもさらなる米軍基地の段階的な整理縮小に取り組んでまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○土木建築部長(安慶名正行) 台風14号被害についての、景観的な側面以外の電線類地中化の検討についてにお答えいたします。
電線類地中化は、「電線共同溝の整備等に関する特別措置法」に基づき安全で快適な通行空間の確保、都市災害の防除、都市景観の向上、情報通信ネットワークの向上等の観点から、道路管理者、電線類管理者及び地元の協力のもとで実施される事業であります。これまで都市部において整備を進めてきましたが、今回の台風14号による電柱の被災状況を勘案すると、防災上の観点からの整備の必要性もより高くなったものと考えております。
電線類の地中化は、台風常襲地においてはライフラインの確保のための有効な手段の一つであると考えております。しかしながら、電線類地中化事業では電線類管理者において極めて大きい費用の負担があります。今後、「沖縄ブロック電線類地中化協議会」や電線類管理者等と協議しながら、電線類の地中化に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
次に、基準値の見直しと特区的な対応の検討についてにお答えいたします。
建築物の構造安全性を確保するため、建築基準法により台風の風圧力の基準値が定められております。
風圧力とは、風によって受ける建築物に及ぼす外力のことで、県内の建築物については以前から全国一律の基準値を県の条例で50%割り増しして適用することとなっておりました。平成12年に建築基準法及び同法施行令等が改正され、50年間に一度遭遇するであろう台風を想定して地域ごとの風圧力が規定されたことから、風圧力に関する条例を削除し、法律による風圧力を適用することとしております。
その結果、例えば東京都の23区内と本県を比較いたしますと約1.8倍本県の風圧力が大きくなっており、地域性が反映された基準値となっています。
仮に、風圧力の基準値を見直し、現在よりさらに厳しい基準値を採用する場合、建築主の負担が増大することや、既存の建築物が不適合となり、増築等の際に改修が必要となることなどの影響が予想されることから慎重に検討する必要があるものと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) コロニア・オキナワの道路舗装の要請についてにお答えをいたします。
ボリビア共和国におけるコロニア・オキナワは、琉球政府が主体となり移民を送り出した経緯があります。県においては、移住者の定着、生活の安定及び福祉の向上を図るため、県人会等に対して積極的に支援しているところであります。
コロニア・オキナワからサンタクルス市までの直結道路――約65キロメートルでございますが――改修舗装計画には多大な経費を要することから、ボリビア共和国政府から日本政府外務省に対し無償資金協力の要請を行っております。県としましては、コロニア・オキナワにおける県人移住者の生活の安定及び産業の振興を図る観点から、当該事業が早期に実施されるよう外務省、国際協力事業団に要請をしているところであります。
次に、日本人病院建設に対する県としての対応についてお答えいたします。
本県においては、海外移住者の移住先国での生活の安定、福祉の増進を図る目的で海外県人会等との連携を密にし補助事業等による支援を行っております。
ペルーでは、1999年の日本人移住100周年記念事業として日系人病院の建設が進められていると聞いております。今後、県人会等から同病院建設に関して要請がある場合には、県の財政事情を勘案しつつ総合的に検討したいと考えております。
次に、本県とJICAとの連携・協力についてお答えいたします。
本年4月24日に国際協力事業団・高井アルゼンチン事務所長が県東京事務所を訪問された際、在亜沖縄県人連合会長からJICAアルゼンチン事務所長への要望書の写しを示され、東京事務所長とアルゼンチンの現状について意見交換をされたと聞いております。
同要望書の中で県人会が要望しております理数科教師の派遣、日系社会青年・シニアボランティアの沖縄県青年派遣等についてJICA沖縄国際センターに協力を求めているところでありまして、今後ともJICAと連携を密にし県人社会の発展に協力してまいる所存であります。
以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) 飛行場使用の米軍の同意についてにお答えいたします。
提供施設の滑走路等を共同使用する場合については、日米地位協定第2条第4項(a)の規定に基づき日米合同委員会を通じて両政府間で取り決められるものであると考えております。
現地技術調査等の予算についてにお答えいたします。
現地技術調査等については、現在、防衛施設庁において進められておりますが、その予算については承知しておりません。
○農林水産部長(諸見武三) 岩礁破砕等の許可についての記者懇談会における発言についてお答えいたします。
平成15年3月31日付那覇防衛施設局から「漁場内の岩礁破砕等の許可について」、沖縄県漁業調整規則第38条の規定に関し該当の有無について照会があり、その業務内容として、「普天間飛行場代替施設の建設に係る現地技術調査として、海象調査及び地質調査」と明記されておりました。
このボーリング等の調査については、照会への回答文の「記」で示したとおり、同規則38条に基づき検討したところ、海底の形状を大幅に変更するものではなく、漁場の汚濁及び水産資源に与える影響も軽微であることから、岩礁破砕には当たらないと判断し回答したものであります。
続きまして、評価ランクの認識と公益性についてお答えいたします。
県が策定した「沿岸における自然環境の保全に関する指針」において、辺野古地先が「自然環境の厳正な保護を図る区域」と評価されていることは承知しております。
平成15年3月31日付の那覇防衛施設局からの照会文書に対する回答については、ボーリング等の調査が海底の形状を大幅に変更するものではなく、漁場の汚濁及び水産資源に与える影響も軽微であることから、岩礁破砕には当たらないと判断したものであり、公益性などにより判断したものではありません。
なお、回答文書に、ボーリング調査の実施に当たっては、周辺の漁場環境に配慮して必要な措置を講ずること等の留意事項を明記しております。
以上でございます。
○兼城 賢次 休憩お願いします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後1時58分休憩
午後2時2分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) それでは兼城議員への追加答弁をいたします。
実は、県は、基地の整理縮小についてはということで一括したので、その意味では直接的なお考えでないようにとらえているわけですが、この基地の整理縮小というものの中には、あるいは事件・事故の問題、あるいは都市計画の問題、すべて基地に対する総括的な問題を全部含んでおります。
○兼城 賢次 知事にお聞きいたします。
この具体的な事件・事故、あるいはSACOとの関係で質問しているわけですから、この基地の整理縮小も基地の事件・事故も全く同じことだというような説明では県民は納得しませんし、私も納得しませんけれども、こういうような答弁は、これは質問する側も理解できないです、これは。具体的に聞いているわけですから、質問をしているわけですから、私は休憩中に申し上げたように、例えば民間飛行場の問題もすべて、事件・事故もすべて知事が答弁したような形で答えられた場合には、これは質問する意味がないんです。
お聞きします。
普天間飛行場について、民間飛行場にこの事業主体、国の責任でやれということを言っているんですが、具体的に聞きます。県が事業主体になった場合、デメリットはどのようなことがあるのか、具体的に示していただきたい。
そのことと、2点目の軍民共用の場合、日米地位協定で合意がなされなければならないということであれば、この現在進められている軍民共用の問題というのは15年使用問題と全く同じ問題点になっていると思います。
知事の選挙公約は、軍民共用と15年使用問題が受け入れ条件なんです。その受け入れ条件が一切実効性が伴わないような形で進んでいて、なおかつこういう形で軍民共用あるいは15年使用問題を議論された場合には、もう知事は自分の任期が来ればそれでおしまいだというようにしか受け取れません。ですから、一切その選挙公約においても約束されたものについて、例えば先日、大城一馬議員の代表質問に答えておりましたけれども、15年使用問題についても軍民共用についても結構ですが、アメリカの政府高官と川口外務大臣が協議をしたというのであれば、具体的にどういうような協議がなされたのかお聞きになっていますか。そして、4カ年前から知事はこのことを発言をしておりますが、この4カ年間に軍民共用やあるいは15年使用問題がどのように変化したのか、全く同じなのか、変化してきたのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
それと漁業権問題ですが、これは照会において日米安全保障上の公益性というのを考慮するということで下記に答えるということで具体的にこれはあるわけですから、それは公益性に関係ないというような発言にはならないと思います。
そしてまた、先ほど細心の注意を払うようにと言ったことでありますけれども、例えばこういう軽微のことだということで課長決裁があった場合と、例えば38条の知事が許可しなければならないというときの手続とか判断というのは違うんですか、それとも違わないんですか。お願いします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後2時6分休憩
午後2時11分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 兼城議員の再質問にお答えいたします。
最初は、事業主体のメリット・デメリットの話なんですが、普天間の代替施設については県が要望をしていることを内閣で決定したわけですから、普天間の代替施設は当然国が主体になるべきという形で私どもは事業主体は国であるべきと言っておりますので、メリット・デメリットの問題ではありません。
次に、軍民共用と15年問題についてお話しますけれども、私どもとして明確に言っておりますのは、着工までには何らかの進展がない以上は着工はあり得ないということは、これは明確に県の姿勢を強く示しております。
○農林水産部長(諸見武三) 再質問にお答えいたします。
今回のボーリング調査については、照会文書の回答の「記」で示されているとおりでありまして、同規則の38条に基づきいろいろ検討した結果、海底の形状を大幅に変更するものではなく、また漁場の汚濁、水産資源への影響も軽微であるということで判断して岩礁破砕には当たらないと、こういう判断をしたわけでありまして、沖縄県事務決裁規程に基づきまして課長の決裁事項ということでありましてそういう回答をしております。
以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後2時13分休憩
午後2時14分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
農林水産部長。
〔農林水産部長 諸見武三君登壇〕
○農林水産部長(諸見武三) 再質問にお答えいたします。
沖縄県事務決裁規程第8条により課長決裁事項であります。
○兼城 賢次 休憩。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後2時15分休憩
午後2時20分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
農林水産部長。
〔農林水産部長 諸見武三君登壇〕
○農林水産部長(諸見武三) お答えします。
沖縄県事務決裁規程によりまして、知事の決裁に属する事務で本庁において処理することについての決裁の区分及び手続を定めることの中で、知事の権限に属する事務を常時知事にかわって課長が決裁することもあるということであります。
○兼城 賢次 休憩願います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後2時21分休憩
午後2時28分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
農林水産部長。
〔農林水産部長 諸見武三君登壇〕
○農林水産部長(諸見武三) お答えします。
沖縄県事務決裁規程により課長の決裁となっておりますので、知事に上げておりません。
○兼城 賢次 休憩。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後2時29分休憩
午後2時57分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
農林水産部長。
〔農林水産部長 諸見武三君登壇〕
○農林水産部長(諸見武三) 岩礁破砕の許可については、海底の形状を改変する航路掘削、土砂採取などのしゅんせつや埋め立てに類する行為等は水産資源に与える影響が大きいことから、沖縄県漁業調整規則第38条に基づく知事の決裁となっております。
なお、知事の決裁をやった最近の事例としては、平成14年度の航路掘削ということで本部町、平成15年度に土砂採取協同組合からの土砂採取の許可、それから平成14年度の沖縄県土地開発公社における埋め立てに類する行為等があります。
以上です。
○農林水産部長(諸見武三) 先ほどの答弁の中で、知事の許可というところを決裁と言いましたので、許可に訂正したいと思います。
○兼城 賢次 答弁には納得しませんが、こういう事例で代替施設が先にあって、安易な決裁に結びつくわけですよ。
知事、私は再質問で求めたんですが、軍民共用や15年使用期限が進展しないにもかかわらず、政府が何とかやってくれるだろうと言いながら、建設作業は着々と進んでいると。こういう実効性が伴わないにもかかわらず、知事の任期中そういうことを繰り返して言っておくというだけで済まそうとするんですか、ひとつお答えください。
○知事(稲嶺惠一) 兼城議員の御質問にお答えをいたします。
沖縄の問題というのは大変難しい問題でして、特に基地問題についてははっきり言いまして糸が全く絡み合ってどうにもならないような状況に来ているわけです。
その中で、やはりどのような形で一歩一歩でも前に進むかということが大変重要でございまして、基地問題についても県民の多くが望んでいる基地縮小、私は常に言っておりますように、将来、平和で基地のない豊かな沖縄の島、それに向かって一歩一歩前進いたします。
○兼城 賢次 難しいからこそこれは議論しているわけですよ。
しかも15年使用問題、軍民共用、一切4年前と変化もないと。そういうことで違いも説明を求めたわけです。そういうことで時間を過ごすということですかと。これは基地問題は大変なことだということは承知していますよ。今、15年使用問題と軍民共用、これが解決されないわけですから
○知事(稲嶺惠一) 兼城議員の御質問にお答えをいたします。
基地問題については大変重要で難しい問題でありますが、私は常に一歩一歩前に進んでいると思っております。例えば15年使用期限問題についても、その都度、その時点によって言うことが明確に違っております。今私が申しているのは、何らの進展なしに着工までに進むことはあり得ないということを明確に言っているということは、こちらの強い意思を先方にはっきりと伝えているということです。
○新垣 米子 ちょっと休憩。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後3時3分休憩
午後3時3分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
○新垣 米子 通告に従って質問を行います。
まず最初に、宮古台風14号被害問題についてです。
今回の被害の特徴は、安全な避難場所としての役割を担う公共施設、学校の体育館や公民館、病院等が老朽化していたことが大きな被害をもたらしたことです。
県議会の視察は、時間の関係で平良市内は十分回れませんでしたので、視察のバスの中で県立宮古病院について質問したところ、大した被害はなかったとの説明を受けました。県議会の視察に先立って宮古入りした我が党調査団の報告を受けて、台風から病院を守り、入院患者の安全を確保するために、また同時に急患やけが人の搬送の受け入れのために恩河院長を初め職員の不眠不休の献身的な奮闘が重大な事態を防ぎ、被害を最小限に食いとめたのだということを理解することができました。
台風で亡くなられた方の御冥福、被害を受けられた宮古の皆さんのお見舞いを申し上げますとともに、院長を初め職員の御奮闘に敬意を表したいと思います。
今回の宮古病院の問題は、台風等の災害時の県立病院の果たしている役割の重大性を改めて示しました。県立病院のこの役割を他の病院がかわって担うことができない離島の実態は、老朽化した宮古病院の建てかえは待ったなしの要求ではないでしょうか。
本県の離島医療に対する県の責任放棄は許されません。明確な答弁を求めます。
2つ目に、北部振興策について。
赤嶺衆議院議員と県議団は、8月20、21日の2日間、北部振興策として約31億円の予算を投入し、ことし4月オープンした「北部食肉センター」の視察を初め北部振興策について名護市、北部振興会や関係者を訪問し意見交換をしました。
北部食肉センター問題について伺います。
この施設は、衛生管理は万全で豚肉の品質が格段よくなったこと、反面、実際に作業してみると使い勝手の悪い設計や機器の設置が随所にあること、年間豚15万頭(1日当たり600頭)の処理能力を持っているが、現在300頭にとどまっていることなど、今後の運営の見通しに対する不安と問題点について率直に報告と要望がありました。あわせて、県北部食肉協業組合としても軌道に乗せるために全力で努力したいとの決意も表明されました。
この事態を改善、解決するために組合として名護市に支援策を求めていますが、名護市とともにこの事業を促進してきた県としてこの事態をどのように受けとめているか、また今後の対応について伺います。
(2)つ目は、北部振興策事業について。
2000年度から2002年度までの3年間の事業実績と2003年度の事業採択について(公共、非公共について)。
建物、施設の後年度のランニングコストについて、過去3年間、今年度について。北部12市町村負担の内訳について伺います。
今後6年間事業遂行されたとして、どれだけの地元負担になると予測をしているか。12市町村の財政規模と、財政規模に照らして耐えられる負担と考えておりますか、その認識を伺います。
現在進められている振興予算の先に消化ありきの事業採択が北部が目指している農業振興と豊かな自然を生かした観光産業の振興に寄与する真の振興策となり得るのか、改めて検証すべきと考えます。
3つ目に、やみ金、サラ金被害から県民を守る課題についてです。
党県議団と県委員会は、7月29・30日の2日間、県民のさまざまな要求を直接政府交渉で届けてきました。金融庁に対して県民の被害の実態を告発し、違法なやみ金融に対する取り締まりの強化を要請しました。金融庁からは、悪質な取り立てには新ガイドラインをつくって対処する、ホームページにも載せることを約束。無登録業者は勧誘の広告を出しただけでも刑事罰にするという回答を得ました。
金融庁の通達に基づき県と警察等で構成する「ヤミ金融特別対策室」あるいは対策会議が北海道、長野、山形等で設置されていますが、沖縄での設置の促進をしていきたいとの意向も表明されました。県として、県警、弁護士会、司法書士会、教育委員会等関係機関、民間団体を網羅した対策会議を設置する考えはありませんか。
県、貸金業苦情相談窓口と県民生活センターにおける相談件数について、最近3年間の件数の推移と、相談件数の中に占めるやみ金融相談について、相談件数に照らして現在の体制、陣容は十分かどうか伺います。
県の相談窓口、県民生活センターの体制の強化と市町村の相談窓口の設置促進が切実に求められていると考えます。
4番目に、子供の福祉について。
石嶺児童園について伺います。
2002年度の県内の児童虐待相談件数が過去最高の367件に上り、全国平均の1.5倍となっていることが県青少年・児童家庭課の調査報告で明らかにされました。保護者のいない児童や虐待で心身ともに傷ついた児童の保護施設である石嶺児童園を外間久子、玉城ノブ子両県議とともに訪問し、子供たちの様子や園の取り組み、要望等について懇談をしてまいりました。児童虐待や育児放棄等の増加に伴い、一時保護所など受け入れ体制の拡充の必要性をこれまでも指摘してきましたが、同時に児童虐待を生む社会的要因や家庭要因を取り除く根本的な対策が求められていることは言うまでもありません。
施設から家庭や社会に復帰するための自立訓練や家庭生活の基本を親子で学ぶ親子生活訓練の実践が大きな成果を上げていること。子供たちに真正面から向き合い奮闘している園長や職員の取り組みに感動を覚えてまいりました。
この訓練は現在、園内の多目的施設のサンルームで行われていますが、多目的施設は園の諸行事のために利用されるため、年間を通した効果的な訓練の実施をより促進するためにも専用施設(トレーニングルーム)の建設は重要だと考えますが、決意を伺います。
(2)つ目に、乳幼児医療費無料化制度について。
10月から県の新たな施策がスタートしますが、4月の時点から県の施策を超える市町村独自の施策を打ち出している市町村がさらにふえていると思いますが、伺います。
子供が急病になったとき、財布と相談してしか病院に行けない。これが実態であり、現物給付は切実な願いです。せめて一部負担金の実施はやめるべきではありませんか。
5番目に、教育問題について。
教師が心身ともに健康で子供たちに向き合えるために。
長時間労働やサービス残業を根絶することは、大きな社会問題になっている過労死や健康破壊、家庭破壊から労働者国民を守る緊急な課題となっています。2001年、一昨年4月6日の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」の策定について厚労省の通達が出されました。同年4月26日にも総務省の通知が出され、さらにことしの5月23日付で「賃金不払い残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」について通知が出されました。公立学校の教職員の勤務時間の服務監督権者であるそれぞれの教育委員会が、その権限と責任において適切に管理すべきものであるが、教職員が心身ともに健康を維持し、児童生徒への教育に携わるためにも教職員の勤務時間を適切に管理することは極めて大事であり、その立場から通知の趣旨を踏まえ、各教育委員会に対し指導してまいりたい、これが文部科学省の見解であります。
国立教育政策研究所が一昨年9月に「学校・学級運営の実態に関する調査」報告書を出していますが、小学校の教員の学校で仕事をする時間が9時間42分、睡眠時間が6時間20分、同時に、持ち帰って自宅で採点や授業の準備などに1時間17分費やしている報告が出されています。全国の公立小学校1054校、6614人の教員を対象に行われた調査です。
この調査の結果に本県の教員の実態も反映されていると思いますが、我が党は、行き届いた教育環境を整備するためにもこれまで少人数学級の実現を強く訴えてきましたが、教師の多忙さ、働き過ぎの問題を解消し、教師が心身ともに健康で子供たちに向き合えるこの保障こそ本県教育の目指そうとしている子供たちに確かな学力とゆとりを保障するものではないでしょうか。
88年以来導入・実施されている昼休み45分が教師の現在の深刻な長時間残業や持ち帰り残業を恒常化させていると言わざるを得ません。45分昼休みの見直しを求める立場から以下の質問をします。
教師の残業の実態について。
昼休み45分を教師は休めていますか。
大阪の池田小学校の事件は、学校として不測の事態に対する危機管理を厳しく問うています。45分の昼休みの時間に対して県教委として具体的に教師にどのような指示をしているのですか。
昼休み45分問題に加えて、昨年度からスタートした学校週5日制がさらに生徒からも教師からもゆとりのない状態に拍車をかけています。98年の2月県議会で昼休み「45分の見直しを求める陳情」が採択されました。採択した当時より子供をめぐる環境は深刻です。改めて見直しをすべきではありませんか。せめて学校の実情に合った柔軟な対応、運用面での改善ができるよう学校長の裁量を認めるべきではないでしょうか。
(2)つ目に、高校授業料減免問題についてです。
不況による失業や倒産、リストラが家庭の経済的基盤を崩し、授業料の減免対象者をふやしています。全国の公立高校の授業料減免を受けている高校生が平成13年度で17万人を突破し、17人に1人、減免比率6.1%となっています。失業率が沖縄に次いで2番目に高い大阪府は、97年の9.27%から2000年15.48%に、2001年は17.5%、そして昨年の2002年は実に20.13%となり、全国一の減免比率となっています。
ところで、本県は平成14年度5876人の申請者に対して4052人が承認され、69%の承認率、6.8%の減免比率であることが6月議会の文厚委員会での質疑で明らかにされました。失業率全国一の沖縄の実態に照らしても、また一昨年の12月定例県議会で高校授業料の引き上げが提案されたときの質疑で、8%の予算枠いっぱいまで活用していきたいとの前津嘉山教育長の決意が述べられましたが、この3年間7%前後の比率となっていることからしても、県民の実態と要求にこたえる内容になっていないことが数字でも明らかではないでしょうか。
未承認となった1824人について、未承認になった理由の内訳と実態について、減免対象の所得の基準がどれぐらいだとして現場に指示をしていますか。
書類の不備による未承認が全体の6%となっていることも明らかになりましたが、所得証明書、給与証明書を提出できない家庭こそ困難を抱えており、実態を踏まえた条件緩和、運用改善をすべきではないか、伺います。
最後に、廃自動車問題について。
違法な廃車の野積みの実態が大きな社会問題となっていますが、この実態についての県の認識と今後の対策について伺います。
違法な実態を解決するためにも真っ先に問われているのは、県の許認可権者として指導監督責任者としての法に照らした厳格な姿勢ではないでしょうか、決意を伺います。
宮古・城辺町の放置自動車問題は、地下水汚染のおそれとの関係で放置できない実態、地域からも改善が強く求められています。県は、行政代執行を視野に入れた対応をするとの考えも示唆をされていますが、どうなされるでしょうか、お伺いをします。
答弁により再質問いたします。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの新垣米子君の質問及び質疑に対する答弁は、時間の都合上、休憩後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後3時16分休憩
午後3時40分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
休憩前の新垣米子君の質問及び質疑に対する答弁を願います。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 新垣米子議員の御質問にお答えいたします。
北部振興事業は真の振興策となり得るかという御質問にお答えいたします。
北部振興事業は、「北部振興並びに移設先及び周辺地域に関する基本方針」に基づき北部地域における産業の振興、雇用の拡大、定住人口の増加につながる事業を実施するものであります。事業の企画と実施については、北部の12市町村が主体となって地域の特性を生かし、地元の創意と工夫により観光・リゾート産業、農林水産業、情報通信関連産業及び健康・長寿関連産業等の分野に取り組んでいるところであります。これまで農林水産物の加工施設の整備、地域資源を活用した体験・滞在型観光施設の整備及びサーバーファームの整備等を進めており、今後とも北部地域の振興と持続的発展に大きく貢献していくものと確信しております。県としても国や北部12市町村と連携し円滑な事業執行ができるよう積極的に支援していきたいと考えております。
次に、やみ金、サラ金被害の御質問の中で、関係機関・団体を網羅した対策会議の設置についてお答えをいたします。
県においては、警察等関係行政機関で構成する沖縄県消費者保護連絡会議や市町村消費者行政連絡会議を開催し、やみ金融問題を初め苦情相談等についての情報交換を行い、被害の未然防止等に努めているところであります。しかしながら、増加傾向にあり社会問題となっているやみ金融問題等に対処するには行政連絡会議のみでは困難であるため、現在、関係行政機関を初め県弁護士会や司法書士会その他民間の団体を網羅した対策会議の設置に向けて検討しているところであります。県としましては、今後とも関係機関・団体と連携を密にし情報交換を行うとともに、やみ金融等の被害の未然防止と資金需要者の保護に努めていく考えであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○病院管理局長(平井哲夫) 宮古病院の建てかえについてお答えいたします。
宮古病院における台風被害の救急患者等への対応については、院長を中心に迅速かつ適切な対応が行われ、災害拠点病院としての役割を十分果たしたものと考えております。
御質問の宮古病院は、那覇病院を除く県立病院の中で施設が最も古いことから、宮古病院の機能・役割等を判断する基礎資料を作成するため平成13年度に宮古圏域医療需要動向調査を実施したところであります。今後は、同調査結果を参考に、「県立病院の今後のあり方検討委員会」からの提言を踏まえ、さらに現在進めている高度・多機能病院の整備の進捗状況も見ながら整備方針等について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 名護市食肉センターへの対応についてお答えいたします。
名護市食肉センターは、中部食肉センターと県食肉センター名護分工場を統合する形で平成15年3月に竣工しております。しかしながら、当センターについては、屠畜解体及び出荷作業等に改善を要すると聞いております。このため県としては、北部における食肉流通の円滑化を図るため、名護市や北部食肉協業組合と調整をし適切に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 北部振興事業の事業の実績についてお答えします。
平成12年度から14年度までの過去3年間の事業実績は、事業費ベースで公共事業が46億6000万円、非公共事業が165億4000万円、合計で212億円となっております。平成15年度の事業採択は事業費ベースで公共事業26億2000万円、非公共事業30億6000万円、合計56億8000万円となっております。
同じく北部振興策について、建物、施設のランニングコストと市町村の負担についてでございます。
北部振興事業で整備をした施設は平成15年9月現在で6施設となっております。これら施設の維持管理費を平成15年度の予算で見ますと、マルチメディア館の管理費は2700万円で、施設の使用料等で2400万円の収入がございます。また、サーバーファームの管理費は1億5900万円でございますが、入居料や施設使用料等で1億8200万円の収入があります。北部振興会館の管理費は約1000万円でございますが、入居料等は500万円の収入があります。それから今帰仁村キノコ生産出荷施設、名護市食肉センター及び伊平屋村特産品加工施設の3施設はJA等で管理を行っており、維持管理に係る市町村の負担はありません。
同じく北部振興策について、12市町村の今後の財政負担と財政運営についてでございます。
北部振興事業は、非公共事業と公共事業から成っております。補助率は、非公共事業が10分の9、公共事業が沖縄振興特別措置法等に基づく高率補助となっております。市町村の財政運営に対する配慮として非公共事業の地元負担10分の1については全額交付税で措置されることとなっており、財政負担は生じない仕組みとなっております。公共事業については市町村だけではなく、国や県も事業主体となって財政負担を軽減するとともに、財政運営についての相談や指導も行ってまいります。平成13年度における北部12市町村の歳出総額は973億円でありますが、このような国、県、市町村の取り組みにより北部振興事業を推進しても適正な財政運営が可能と考えております。今後6年間の公共事業の市町村負担については、事業主体等が確定していないことから現時点で把握することは困難であります。
以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) やみ金、サラ金被害に関連した御質問にお答えをいたします。
過去3年間の苦情相談におけるやみ金相談件数と県及び市町村の体制について一括してお答えをいたします。
本県の貸金業苦情相談室における相談のうち、やみ金融等の法令違反等に係る件数は、平成12年度が976件のうち267件、13年度が1199件のうち423件、14年度が1764件のうち743件でした。また、県民生活センターにおけるやみ金融などの相談件数は、平成12年度が6394件のうち58件、13年度が7236件のうち126件、14年度が8066件のうち480件となっており、本県のやみ金融に係る苦情相談は年々増加傾向にあります。
このような状況を踏まえ、県民生活センターにおいては平成14年度から相談員1名を増員し10名体制で相談業務に対応しておりますが、貸金業苦情相談室においては増加する苦情相談に対し相談員1名体制では対応が厳しい状況にあります。また、市町村においては7市町に相談窓口が設置されておりますが、相談件数の増加や地域住民の利便性等から県は市町村相談窓口の拡充が必要であると考えており、引き続きあらゆる機会を通して相談窓口の設置を要請していく考えであります。
次に、廃自動車に関する御質問にお答えをします。
廃自動車の野積みの実態と対策及び県の決意を問うという御質問ですが、一括してお答えをいたします。
各福祉保健所における管内の廃自動車の大量保管の実態把握によりますと、平成15年3月末現在、100台以上の大量保管所は沖縄本島で39カ所、約2万3000台、宮古・八重山で10カ所、約1万4000台となっております。
県におきましては、逆有償化となった平成11年度からこれまで自動車解体業者等に対して廃棄物処理法に基づく収集運搬業の許可を取得し、適正処理を図るよう説明会の開催や福祉保健所による現場指導等を実施してきております。また、自動車販売協会等関係団体に対しては、収集運搬業の許可を受けた処理業者へ廃自動車の処理を委託するよう指導してきたところであります。平成13年10月には廃自動車等の不適正処理に係る対応方針を策定し、不適正処理を続ける業者に対しては警告書の交付や措置命令を行う等指導強化を図ってきたところであります。さらに、去る5月には悪質な不法投棄や不適正処理事案に対して迅速な行政措置及び積極的な事件捜査を行うことを目的として、警察本部と合同で「美ら島環境クリーン作戦本部」を立ち上げ対策強化に取り組んでいるところであります。
県においては、今後とも産業廃棄物の適正処理に関する指導強化を図るとともに、行政指導に従わず改善に応じない悪質な事業者に対しては、措置命令や警察への告発を進め、行政代執行も視野に入れて厳正に対処していきたいと考えております。
次に、宮古島において行政代執行を視野に入れた対応を考えているかという御質問にお答えをいたします。
本来、不法投棄された産業廃棄物の原状回復は行為者や排出事業者等の原因者責任で行わせるべきものであり、その費用もすべて原因者等に負担させることが原則であります。宮古島においては廃自動車が1000台以上大量に野積みされている場所が3カ所あり、いずれも行為者に対して廃自動車の撤去を求める措置命令を行っております。県としましては、今後も措置命令に基づく原状回復を求めていきますが、履行されない場合には警察への告発や行政代執行も視野に入れて厳正に対処していきたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 子供の福祉についての中の、石嶺児童園における親子生活訓練室の設置についてお答えいたします。
児童養護施設等に入所する児童の中には、養育困難や虐待など養育環境にさまざまな問題を抱え家庭内に問題があることが多く、入所児童の早期の家庭復帰を果たすためには家族機能の回復に向けた取り組みの強化が重要な課題となっております。このため、入所児童の退所に向けてのステップとして親と子が一定期間ともに生活しながら健全な親子関係を再構築したり、入所児童の自立に向けた料理等の訓練を行う親子生活訓練室は重要な役割を果たす施設であると認識しております。国においては、親子生活訓練室の設置を促進していることから、県内の児童養護施設等についても国庫補助を活用した親子生活訓練室の設置について今後検討してまいりたいと考えております。
続きまして、乳幼児医療費助成事業の年齢拡大等の市町村の状況、現物給付、一部負担なしの助成について一括してお答えいたします。
乳幼児医療費助成事業において、年齢拡大等の施策を打ち出している市町村数は4月時点以降2カ所ふえ計11カ所で、内容としては中学卒業までが1村、就学前までが2町村、6歳未満児までが3町村、5歳未満児及び4歳未満児で通院も対象にしている市町村が5市町村となっております。現物給付を行う場合、国は療養給付費等負担金及び調整交付金を減額交付することがあり、市町村国保の健全な財政運営に影響を及ぼします。
償還払いから現物給付への変更については、実施主体である市町村の意向を尊重する必要があると考えております。また、3歳児、4歳児の一部自己負担につきましては、県単独事業で実施している類似の医療費助成事業等が条件を付していることを勘案して実施しております。
一部負担なしの助成については、今後この制度の浸透状況を踏まえながら検討したいと考えております。
以上でございます。
○教育長(山内 彰) 教師の残業の実態についてお答えいたします。
教員の残業については、教員の勤務の特殊性から時間的計測や超過勤務手当の制度になじまず、その実態を把握するには困難性があります。しかし、教員には学校行事や職員会議に関する業務など、いわゆる超勤4項目以外の時間外勤務を命ずることができないこととなっております。また、給与特別措置条例により教職調整額の支給がされるなど時間外勤務についての制度的な配慮がなされており、学校において個々の教員は、毎日の授業を初め教材研究や学級事務など精力的に校務を遂行しているものと理解しております。そのような教員の使命感や児童生徒への教育的愛情が本県教育の発展のために大きく寄与していると考えております。
次に、昼休み45分の休憩時間について一括してお答えいたします。
45分の休憩時間については、教職員の福利厚生と勤務能率を図るため労働基準法等関係法令にのっとり勤務時間の途中に設定されているものであります。各学校においては、教職員が休憩時間を思い思いに活用し、職員同士の交流や児童生徒との触れ合い等有効に活用していると理解しております。また、緊急やむを得ない場合には生徒指導等の対応に当たっていると認識しております。また、児童生徒にとって休憩時間はゆとりと潤いを与え、自由な遊びを通して学年間の交流を促すことができるものであり、主体性や創造性を涵養するよい機会であると認識しております。
なお、学校においては学校行事や研修会、その他各種大会の練習時間等の確保の際には学校長の裁量により弾力的な運用がなされているものと理解しております。
学校における危機管理対策と県教育委員会の指導方針についてお答えいたします。
池田小学校の事件を教訓に、県教育委員会は各学校の危機管理体制の強化を図るため危機管理マニュアルを作成するなど、危機管理システムの構築を行ってきました。各学校ではマニュアルをもとに、緊急時に対応できるような防犯・避難訓練等を実施して危機回避能力の育成や危機管理意識の高揚を図り、被害を最小限に食いとめる指導がなされております。また、教職員による校内巡視や来校者のネームカード等の着用、来校者への声かけ、職員のベル携帯、防犯カメラでの監視等による不審者侵入対策が図られております。今後とも各学校に対し、より一層安全の確保を図るため危機管理の充実・強化に努めるよう指導してまいりたいと思います。
次に、授業料の減免についてでございますが、平成14年度は5876名の生徒から授業料の減免申請があり、4052名の生徒が減免され1824名の生徒が不承認となっております。不承認となった者の内訳は、一定の収入があり免除に該当しない者61.4%、学業成績不振及び欠席・欠課の多い者4.06%、固定資産保有者5.21%、一定の収入があるため兄弟のうちいずれかが不承認になった者16.12%、両親健在で就学児童生徒の少ない世帯7.24%、その他添付書類の不備等で5.98%となっております。また、減免対象の所得の基準については県立高等学校の授業料減免取扱要領に基づき学校を通して保護者への周知を図っております。
なお、授業料減免については就学児童数や家族内の病気療養者の有無等もろもろの家計状況等を総合的に勘案して審査しており、一律に所得のみで判断しているものではありません。
書類の不備による不承認についてお答えいたします。
県立高等学校授業料減免申請書に添付する書類については、経済状況を把握するためには所得証明か給与証明書が必要であり、その提出をお願いしているところであります。所得証明書以外の公的機関の証明書の提出が難しい事例については学校と連携をとり、それにかわる証明書類があれば認めており、柔軟に対応しております。
以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
午後4時5分休憩
午後4時7分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
教育長。
〔教育長 山内 彰君登壇〕
○教育長(山内 彰) 45分の見直しについては、今後は関係法令等を踏まえた上、完全学校週5日制の実施に伴う教育条件の変化を考慮して休憩時間のあり方等について広く意見を聴取していきたいと考えております。
以上でございます。
○新垣 米子 再質問を行います。
北部食肉センターの問題で、今部長は「適切に対応してまいりたい」というとても簡単な答弁をいたしました。
私、今回この食肉センターで露呈した問題というのは、その後にやった北部振興策が本当に北部の振興のために十分な議論がされてこういうことで進められたかということのこの問題が厳しく露呈して指摘されている問題だと思っているんです。事業の採択に当たっても、この議論と合意形成あるいは設計や機種の選定など予算の配分で肝心な問題が十分話し合われない中で見切り発車をして進んだと。だから、この議会での附帯決議、市は責任を負わないと。あるいは組合との覚書でも責任を負わないんだというふうなことを覚書を書かざるを得なかったような形でスタートしたというのが問題だと思うんです。先にやはり消化ありき、この大急ぎの事業採択が北部の本当に畜産振興を願ったはずのこの振興策が結果として大きな負担を背負うスタートにならざるを得なかった事態を生んだというこの問題で、ですから私は覚書を附帯決議があるから市の責任や県の責任はないということでは言えない問題が今あります。ですから、やはりこういう事態をつくった責任、あるいは解決の責任を負わされるというふうに思いますので、この改善のために約8000万ですね、市に対する要望を出しているようです。
それであわせて私は同じ責任があると思いますので、きちっと実情を踏まえて組合の皆さんに誠意を持って答えていただきたいというふうに思っております。
あと教師の働き方の問題、今、教育長は、残業の問題でも45分の問題でも本当に先生方が生き生きと子供のために頑張っていると、問題はないというふうな答弁をされました。私はこれは実態を見ていない答弁だというふうに思っています。先生方の調査も出ていますが、45分も子供たちがいてやはり安心して休めない。ましてや小学校はけがの問題、中学校はいじめの問題とか喫煙の問題とか、池田小のあの問題があって、やはり本当に昼休みがオンコール体制になっていると、そういう面では休めないと。残業しないと、また持ち帰り仕事をしないと終わらないという実態がアンケートの結果で出されています。先生方の病気も本当に精神的な疾患の病気もふえているのもこういう事態があらわしているというふうに思っています。
ですから、本当に教師が望んだ昼休みの問題ではないということを考えたときに、先生方は休憩を放課後に持って、本当に子供たちともっとゆっくり触れ合いたいというのが願いです。そういう意味ではこの45分の問題を本当に解決すると、是正するということを抜きに厚生労働省の通知、そしてそれを受けとめてどう改善するかということがやはり問われていますので、改めて教育長の見解を伺いたいと思います。
あと、これは子供の問題とも大きく影響しています。本当に子供たちが学校から帰ってくるのが遅い。塾や部活で帰るのが11時、12時、これが本当に健全な子供たちの生活かと、このことが問われています。
96年に北部で部活帰りの女子高生が拉致されて殺害事件が起こりました。今、本当に子供たちの状態は深刻です。
きのうの新聞にも「通学の少女狙い 略取未遂続発」というふうに出ています。そういう意味では本当に子供たちの立場からも、安全確保する立場からも早い下校の確保、45分の見直しをやるべきだというふうに思います。教育長の改めての答弁をお願いします。
○農林水産部長(諸見武三) 名護市食肉センターへの県の対応についてでございますが、去る29日に名護市の方から具体的な相談がありましたので、その場において名護市、それから北部食肉協業組合、沖縄県の三者で話し合いの場を設けたいということで調整をしておりまして、いずれにしても先ほど答えましたように、北部における食肉流通の円滑化を図るために極めて重要でありますので、現在そういうことで具体的なことについて詰めておりまして、そういうことで今やっているということでございます。
○教育長(山内 彰) 御提言のように、45分の休憩時間の問題というのは学校教育において非常に重要なテーマであると思っております。
と申しますのは、休憩時間は勤務時間の途中に設けられなければならないという労基法34条の1項と、それを弾力的な運用ができるんじゃないかという法的な解釈があるかと思いますが、それについては従来いろいろな問題がございまして、それを効果的に活用するという意味で今まで実施してきたものでございます。
したがって、法令を遵守する立場からと、あと1点は、また先ほども申し上げましたように、完全学校週5日制の実施に伴う教育環境の変化を考慮して休憩時間のあり方を改めて子供の教育活動の立場、子供たちの教育の立場からいかにあるべきかは再度これは広く意見を聴取し、これから検討させていただきたいと思います。
以上でございます。
○宮里 政秋 本日の一般質問のしんがりを務めます。
通告に基づき質問を行います。
一連の基地強化の動きについて伺います。
米ブッシュ政権は、世界的な兵力の見直し・再編計画を進めていますが、その影響が在日米軍基地にもあらわれつつあります。中でも在日米軍基地の専用施設が約75%も集中する沖縄への影響は顕著であります。
以下、5点について質問いたします。
(1)つ、那覇軍港で行われている大規模な建設工事は何の工事か、工事の内容、費用総額及びその費用の負担は米国政府か、日本政府か。
(2)つ目、勝連町のホワイトビーチ軍港で計画されている軍桟橋拡張工事及びし尿処理施設の概要、期間、それぞれの費用総額及び費用負担はどこか。
(3)点目、米海軍は、ハワイの海軍哨戒司令部と同司令部第一哨戒偵察航空司令部を統合し三沢基地に司令部を移転し、嘉手納基地にその分遣隊を配置することを明らかにしています。在日・在沖米軍基地の再編強化に反対すべきではありませんか。
(4)番目に、米空軍横田基地の医療飛行中隊が解体し、その代替として嘉手納基地に医療飛行中隊が新設され、さらに韓国の烏山基地からU2型スパイ偵察機が嘉手納に移駐すると言われています。嘉手納基地の強化であるとともに国際的な緊張の震源地の危険性は大であります。知事は反対すべきであります。御見解を求めます。
(5)点目、海上自衛隊は、米軍の久米島・鳥島射爆場で次期哨戒ヘリによる対艦ミサイルの実弾演習を実施する計画であります。危険きわまりないミサイル発射演習の中止を求めるべきではありませんか。知事の御見解を求めます。
2番目に、元航空自衛隊員の爆破事故死亡事件について質問いたします。
航空自衛隊那覇基地所属の元自衛隊員が大量の銃砲弾を所持していたことで、多くの県民は対戦車ロケット弾を初め米軍用品ではないか、米軍基地から入手したものではとの疑惑を持っています。小禄の借家で発見されたロケット弾やM16自動小銃は米軍のものかどうか、県警の捜査の状況について御説明いただきたいと思います。
危険性の高い米軍の武器・弾薬類がどのように管理されているか、すなわち厳重な管理下にあるのか、また民間に流れ出るようなことはないのか、この事件を契機に県民の不安は高まっています。県民の安全を確保する立場から入手経路の徹底解明が求められています。髙橋県警本部長の御決意を伺いたい。
3番目に、PCB廃棄物の撤去について伺います。
在日米軍基地に有毒物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む廃棄物が貯蔵保管されていることが明らかになってからかなり年月がたちました。在日米軍基地には50ppm以上の高濃度の廃棄物が少なくとも49トン以上貯蔵されていると言われています。
PCBはダイオキシンと似た毒性があり、発がん性があり、毒性が強く環境に放出されると分解されにくいため、我が国では1972年、国会でPCBの追放を決議しています。さらに、74年には製造禁止、76年には器具設置禁止の法律ができました。米政府報告書でも、PCB廃棄物を長期に貯蔵することに伴う危険と損失は時間とともに大きくなるとして、貯蔵するそのこと自体の危険性を指摘しています。国内法で製造・使用を禁止している有毒性の危険な物質を沖縄に貯蔵することは許されません。PCBは即時撤去すべきであります。県は、これまでどのような対応をしてきたのか、お答えいただきたい。
沖縄に貯蔵されているPCBは、恩納村の大学院大学誘致予定地の真向かいの自衛隊基地と言われているが事実か。沖縄に貯蔵されているPCBの排出量は幾らか、明らかにしていただきたい。政府は、自衛隊基地でPCBの処理をすると言っているが許せません。
次に、介護保険料・利用料の減免措置について質問いたします。
我が党県議団は、これまで代表質問、一般質問等で介護保険料・利用料の減免措置を繰り返し求めてまいりました。
これに対して県の答弁は、第1号被保険者の保険料率は、その所得分布状況等を踏まえて算定することになっているので、負担能力に応じて保険料が採用されています。すなわち、所得段階別に5段階に分けて保険料は算定されていますので、低所得者の負担は軽減されています。これが県の一貫した答弁であります。
また、国の指導も保険の全額免除、収入のみに着目した一律減免、保険料減免分に対する一般財源の繰り入れは適当ではない、いわゆる三原則の方針で指導してまいりました。
ところが、全国の自治体で大きな変化が起きています。全国各地の自治体で低所得者に対する配慮として、65歳以上の高齢者(第1号被保険者)の保険料を独自に減免することに踏み込んでいます。その内容は一律ではありませんが、我が党県議団が一貫して求めてきた市町村民税非課税世帯の高齢者を減免の対象にしています。保険料の全額徴収が始まったことから、全国的に厚生労働省の三原則の指導では低所得者対策は不十分と考え、独自に低所得者の負担軽減に踏み込む市町村が急増しています。
制度が、本来想定していない減免策を市町村がとらざるを得ないのは、介護保険見直しに向け保険料など低所得者対策が大きな課題になりつつあることを示しています。老人は多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛される、老人は常に心身の健康を保持し、その知識と経験を社会に役立たせるように努める、国あるいは地方公共団体は老人福祉を増進する責務を有する、1963年にできた老人福祉法であります。
今まさにこの老人福祉法の本旨に基づく政治の実現が求められているのではありませんか。私は、稲嶺知事に申し上げたい。沖縄の高齢者の84%が住民税非課税世帯です。納税の義務を免除しなければ最低限度の生活を営むことができない所得の低いお年寄りです。生存の権利が納税の義務より優先するとして憲法の生存権の理念を税制に導入したのが住民税非課税の制度であります。戦前・戦中・戦後とまさに激動の時代をたくましく生き抜いてこられたお年寄りに県政の光を当てるべきであります。せめて住民税非課税の高齢者の介護保険料・利用料の減免措置を実施すべきだと思います。稲嶺知事の御決意をお聞かせください。
次に、特Aの受注業者に対する県の指導について質問いたします。
公共工事に絡む下請業者の請負代金及び人件費の未払い事件が相次いで発生し、その解決を求めて我が党県議団に相談に来る請負業者の数がふえています。訴えによると、県の公共工事を受注している特Aの業者が元請責任をとらず公共工事を丸投げして零細業者いじめをしているとの厳しい訴えであります。
我が党県議団に持ち込まれた工事関係者の事件とは、与那城町教育委員会がA業者と平安座小中学校の改築工事を、工期を平成14年9月24日から平成15年11月29日として契約を締結したいわゆる公共工事にかかわる問題であります。
元請A業者は、B業者に平安座小中学校の改築工事を下請に回しました。B業者はさらにC業者に下請させました。C業者のもとで工事を請け負った再々下請業者栄建設と彦鉄筋工業は、C業者の倒産で栄建設が何と3000万円の不渡り手形分を含め約5050万円、彦鉄筋工業が約1250万円の請負代金を取れないいわゆる未払いとなっているものであります。これらのA及びB業者は、県の公共工事も受注する特Aにランクされている業者であります。
我が党県議団に相談に来られた再々下請業者の栄建設と彦鉄筋工業は、県が特Aと認定したこれらの業者が元請の責任、下請の責任を果たさず零細業者いじめをすることは絶対に許せないと強い怒りを表明しています。少なくとも特Aにランクされているこれらの業者は、企業としての社会的責任も大きいと言わなければなりません。
この問題は、9月25日の与那城町議会でも取り上げられ、町当局は一時下請業者が倒産業者の下請承認願いを町に提出しておらず、7月に不払いなどの問題が出てくるまで倒産業者の存在を把握していなかった、このように説明しています。今回の事件の概要と原因、さらに県はどのような指導をしたのか。そして県は、町教委に対してどのような指導をしたのか、お答えいただきたい。
最後に、我が党の代表質問に関連して質問を行います。
我が党県議団は、赤嶺衆議院議員とともに12日、13日の2日間にわたって宮古の台風災害の調査を行い、14項目にわたる災害復旧と被害対策について比嘉副知事に申し入れを行ったところであります。稲嶺知事が12日の1便で宮古入りし、被害調査に機敏に対応されたことを高く評価するものであります。ところが、知事に同行の部長は一人もいない。担当の地域・離島振興局長の姿がない。きびは全滅状態というのに農林水産部長の姿がない。電柱は至るところで倒壊し幹線道路を遮断しているというのに土木建築部長の姿がない。破壊された体育館や校舎を茫然と眺めている校長先生や生徒たちがいるのに県教育長の姿がない。一体どうしたことかと私は思いました。
その後、関係部局長が宮古に行かれたことを承知しています。いろいろと事情はあったでしょう。知事が行かれるのですから部局長がそろって知事に同行されることは現地の皆さんに大きな励ましになり、迅速な災害対策を確立する上で大きく役立つものではありませんか。甚大な被害に対処するため文厚委が現地調査を実施したことは極めて適切であったと思います。
さて、調査をして最も痛感することは、建物の老朽化が被害を大きくしていること。県立宮古病院の調査を行いましたが、災害から患者を守るため医師や看護師、職員が徹夜で災害対策に懸命な努力がなされました。改めて頭が下がる思いでした。恩河院長は、1時間20分にわたりすべての病棟に私たちを案内して説明していただきました。老朽化している県立宮古病院の移転・改築を強く要望されておりました。
院長の説明によりますと、これまで繰り返し繰り返し要望してきたが、中部病院、久米島病院、多機能病院が優先され見送られてきました、老朽化した県立宮古病院の改築は何よりも優先してもらいたい、このような強い要望でありました。
離島医療の充実・強化という観点はもちろんですが、台風災害の常襲地域という事情を考慮の上、県立宮古病院の移転・改築に早急に取り組まれるよう強く求めるものであります。このことについては、特に稲嶺知事の前向きな御答弁を求めます。
昨日、我が党の外間久子県議の代表質問に対しての土木建築部長の答弁は納得できません。建築業法を遵守していない業者に対する指導のあり方を質問いたします。
下請業者の倒産あるいは営業不振による再下請、再々下請業者に対する請負代金及び賃金未払いは、県及び市町村発注の公共工事、民間工事を問わずあります。県が、元請責任による立てかえ払いを勧告しても応じない元請業者には、一定の期間、免許停止や公共工事の入札停止のペナルティーが必要ではありませんか。平成13年4月から施行された「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」は、公共工事の受注者による施工体制台帳の写しの発注者への提出義務(第13条)及び発注者による現場施工体制の点検責務(第14条)が規定され、不良・不適格業者排除に向け厳しい姿勢が示されています。特に、公共工事においては請負代金及び賃金未払いなどということは万々が一にもあってはならないこと。部長の答弁を求めます。
答弁によって再質問をさせていただきます。
○知事(稲嶺惠一) 宮里政秋議員の御質問にお答えいたします。
一連の基地強化の動きについて、嘉手納基地の強化についてお答えいたします。
今回の嘉手納基地への航空医療搬送中隊の移転やU2偵察機の一時移転は、県のこれまでの要請や県民の意向に反するものであり大変残念であります。また、地元自治体は、今回の移転によって離着陸回数の増加や爆音被害の拡大など地元住民の基地負担がふえるのではないかと強く懸念しております。県としても、今回のことが地域住民の基地負担の増大につながってはならないと考えており、去る8月29日にファーゴ太平洋軍総司令官、9月3日にラーセン在日米軍副司令官に対し、県民の基地負担の増加につながらないよう配慮してほしい旨申し入れております。
県としては、今後とも情報の収集に努めるとともに、地元市町村の意向等を踏まえ適切に対応していきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(新垣良光) 那覇軍港での建設工事の内容等についてにお答えいたします。
現在、那覇港湾施設で実施されている建設工事について那覇防衛施設局に照会したところ、既設岸壁の老朽化に伴う改修整備工事であり、工事期間は平成15年3月から平成17年3月までの予定であります。また、総事業費は22億4900万円で、在日米軍駐留経費負担の一環として日本政府の負担で行われる旨の回答がありました。
軍桟橋拡張工事及びし尿処理施設の概要等についてにお答えいたします。
ホワイトビーチの桟橋工事については、海軍A桟橋(幅24メートル、長さ850メートル)を陸上部から沖に向かって右側を16メートル拡張し幅40メートルに改修しようというものであります。また、し尿処理施設工事については、停泊中の艦船排水の処理を行うため、現在の1日当たり70立方メートルの処理能力を1日当たり570立方メートルに増設するというものであります。
現在のし尿処理施設は陸上の生活排水処理施設で、艦船の排水については、これまで寄港時にバキュームカーで運搬処理するなどの方法で処理されており、今回、既存施設の老朽化に伴い艦船排出についてもあわせて処理できる施設に改築するとのことであります。
両改修工事の期間や費用総額等について那覇防衛施設局に照会したところ、桟橋の改修工事期間は、平成15年3月から平成17年3月までの間で総事業費は約35億1000万円である。し尿処理施設については、現在、沖縄県環境影響評価条例に基づく方法書に対する知事意見を受け環境調査を実施しているところであり、今後、調査を継続し、同条例に基づく準備書を作成する予定である。同条例に基づく一連の手続が終了後、工事に関する手続を実施する予定であり、工事期間、費用総額については公表できる段階ではない。両工事とも在日米軍駐留負担経費で実施されるものである旨の回答がありました。
在日及び在沖米軍基地の再編強化についてにお答えいたします。
米国政府が進めている外国に駐留する米軍の再編計画の一環として、米海軍太平洋艦隊の哨戒偵察部隊司令部が三沢基地に移転し、嘉手納飛行場のP3Cが同司令部の分遣隊となるとの報道については承知しております。
県としては、基地負担の軽減を求める立場から、基地負担の増大につながるような米軍の再編計画には反対であり、今後、正確な情報の収集に努めるとともに、駐留米軍の動向を注視しながら適切に対応していきたいと考えております。
自衛隊のミサイル発射訓練についてにお答えいたします。
久米島町では、過去に鳥島射爆撃場における劣化ウラン弾誤使用問題や漁業操業妨害問題が起こっており、仮に予定どおり発射試験が実施されると地元住民に大きな不安を与えるのではないかと懸念しております。
国としては、地元の同意を得た上で発射試験を実施したいとの意向でありますが、県としては、ミサイル発射試験が地域住民の基地負担の増大につながってはならないと考えており、県民の生命財産を守る観点から今後とも正確な情報の収集に努めるとともに、地元久米島町の意向等も踏まえつつ適切に対応していきたいと考えております。
PCB撤去に関する県の対応についてにお答えいたします。
沖縄に保管されている米軍関係のPCB廃棄物の総量は約360トンとされており、既に米国への搬出が完了したとのことであります。現在使用中のPCB含有機器の総量は、推計で1740トンであるとされており、嘉手納基地等の米軍基地内で使用されております。
自衛隊の保管するPCB等含有汚泥は、平成8年に米軍恩納通信所跡地から発見され、航空自衛隊恩納分屯地内で保管されている約104トンと、昨年航空自衛隊恩納分屯地内で発見され同分屯地に保管されている約200トンの計約304トンであり、恩納村恩納及びごく一部が金武町屋嘉で保管されています。
県としては、これまでにもPCB含有廃棄物の適切な処理等について米軍や関係機関に要請してきたところでありますが、今後とも情報の収集に努めるとともに、関係機関や地元市町村と連携しながら早期の処理・搬出がなされるよう適切に対応したいと考えております。
以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) 自衛隊員による爆発死亡事件の捜査状況等についてお答えいたします。
県警では事件発生後、所要の捜査体制を確立し、事件現場の検証、関係箇所の捜索等の捜査を鋭意推進中でありますが、爆発したロケット弾につきましては、県警の科学捜査研究所の鑑定の結果、米軍用66ミリ対戦車砲ロケット弾と判明しております。
また、押収したM16自動小銃につきましても、照会の結果、米軍の制式銃と判明しておりますが、本件で押収した武器・弾薬類の入手先、入手経路については現在捜査中であります。
米軍の武器・弾薬類の管理体制につきましてはお答えする立場にはございませんが、米軍の武器・弾薬が民間に流出した事案が過去2件ありました。1件は、昭和49年、米軍基地から盗まれたけん銃7丁を昭和52年に暴力団員から押収した事案、もう1件は──入手ルートは不明ですが──同じく昭和52年に警戒中の警察官に対して暴力団員が米軍用コルトAR15のカービン銃を発砲し、さらに米軍用手りゅう弾1個を暴力団組事務所に投げ込み爆破させた事件であります。
県警としましては、今回の事件が現職の自衛官が自宅等において危険な不発弾等を多数収集していたこと、その不発弾を処理するために付近住民が避難を余儀なくされるなど、県民に大きな不安と動揺を与えた極めて重大な事件と認識しております。現在、爆発物等危険物の入手先及び入手経路の早急な真相解明と、この種事案の未然防止を図るため所要の捜査を鋭意推進中であります。
以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 住民税非課税の高齢者の介護保険料・利用料の減免措置についてお答えいたします。
介護保険制度は、介護を国民皆で支え合おうとするものであり、保険料を支払った者に対して必要な給付を行うものであります。本県における平成14年度までの保険料単独減免実施市町村は2カ所でありましたが、平成15年度からは40市町村で保険料の単独減免を実施しております。県としても、制度の趣旨を踏まえた低所得者対策として三原則を遵守した保険料の減免措置は必要と考えておりまして、市町村に対し今後とも同様な助言を行ってまいります。
また、利用料の減免についても社会福祉法人等による生活困難者の利用者負担減免措置を促進させるため、市町村や社会福祉法人等に対し助言を行っているところであります。今後は、介護保険に係る実態調査を実施し、その分析結果や市町村及び関係者の意見等を踏まえて本県の実態が反映できるよう検討していきたいと考えております。
以上です。
○土木建築部長(安慶名正行) 特Aの受注業者に対する県の指導についてにお答えいたします。
今回の紛争は、与那城町教育委員会が発注した平安座小中学校改築工事において、同工事を2次下請として受注した業者が経営難から不渡りを出し倒産するという事態に陥ったため、そこからさらに3次下請として工事を請け負っていた、くい、型枠、鉄筋、土工事など数社に及ぶ専門工事業者に下請代金の一部未払いまたは手形が回収不能となる事態が発生したというものであります。
本件については、民事契約上の問題もあり、第一義的には当事者間で解決を図ることが基本であることから、県としては積極的な関与はできませんが、元請業者のJV各社及び関係下請業者から事情聴取を行うとともに、公共工事における施工体制のあり方や建設業法等関係法令の遵守について指導を行いました。
また、発注者である与那城町教育委員会からも経過状況を聴取し、紛争の解決に向けて元請、下請などの関係者が協議・調整を行って早期に事態収拾を図ってもらいたいと善処方を強く指導しました。その結果、元請側から工事代金の一部の労務費相当分が御指摘の両社に対して支払われました。また、その他の3次下請業者については、元請側が改めて残工事の直接契約を締結するなどの対処策を講じることによって現在は中断していた工事も再開され、事態収拾がなされたとする報告を元請業者から受けているところであります。
次に、元請業者、下請業者に対して県は行政法上の監督処分または指名停止措置を行うべきと考えるがどうかということにお答えいたします。
御指摘のとおり、特定建設業者が元請の場合、下請業者が労務費の遅延や他人に損害を与えたりしたときには、県は建設業法に基づき勧告することができることになっております。
しかしながら、同規定の運用に当たっては行政庁による民事不介入の原則を守りつつ、行政運営上救済する特に必要がある場合に限られており、一方で二重支払いを強制するという側面もあるため、これまで国や各都道府県においてこれを措置した事例は皆無であります。
また、勧告を含め行政指導というものは一般に強制力を伴うものではなく、これに従わないという理由で許可取り消しなどの行政処分や指名停止など不利益な取り扱いを行うことは行政手続法により禁止されております。
なお、建設業法違反に該当すると疑うに足りる事実があるときは、公共工事の発注者は建設業の許可行政庁に対して通報することになっており、県は当該通知に基づき調査を行うなど事実確認を行った上で監督処分の可否を判断することになっております。
それから、紛争に対しましては当部所管の土木企画課において担当者を配置し、苦情、相談への適切・迅速な対応を行っているところであります。
相談への具体的な対応としては、1つ、相談内容に応じて建設業法の制度概要の説明や所見を行う。それから2つ、相手方からの事情聴取、必要に応じ出頭要請、現地調査実施により問題点の把握に努めております。3つ、可能な限り当事者間での話し合いによる解決を促す。不調の場合には紛争審査会への申請を助言しております。それから4つ、内容に応じて処理方針を提案し、紛争解決に向けて双方に善処方を指導・要請しております。5つ、法令違反が疑われる事案に対しては、許可行政庁として業法に基づく行政指導、監督等の措置を適切に講じております。
以上でございます。
○病院管理局長(平井哲夫) 宮古病院の移転・改築についてお答えいたします。
宮古病院は、那覇病院を除く県立病院の中で施設が最も古いことから、宮古病院の機能・役割を判断する基礎資料を作成するために平成13年度に宮古圏域医療需要動向調査を実施したところであります。今後は、同調査結果を参考に県立病院の今後のあり方検討委員会からの提言を踏まえ、さらに現在進めている高度・多機能病院──これは仮称ですけれども──の整備の進捗状況も見ながら整備方針等について検討してまいりたいと考えております。
○宮里 政秋 稲嶺知事、私は宮古病院の即答を求めました。局長の答弁がありましたが、検討するということです。知事は宮古を調査されたわけですから、ぜひこれは実現してほしい。知事の御決意をお聞かせいただきたい。御答弁を求めます。
それから、土木建築部長からいろいろ御説明いただきました。我が党県議団にもこの中小業者の皆さんが──1件じゃないんですね──工事請負額の代金が取れない、しかも県の公共工事ですよ、こういう業者がいて、孫請、下請は非常に困っている。こういう状況に対して指導体制を相談して、こういう人たちの、業者の皆さんの権利回復のためにも、救済のためにも力をかしてほしいと、そういう要望なんです。
だから土木建築部長、こういう指導体制の強化がどうなっているのか、これについて再度御答弁ください。
○知事(稲嶺惠一) 宮里議員の再質問にお答えをいたします。
宮古病院につきましては、私は以前にも参りました。事細かにお話をお聞きしたこともございますし、状況も把握をしております。また、宮古の皆様方も市長を初めとして多くの方々が私のところに過去参ったいきさつ等もあります。その意味では宮古病院の問題については私としても大変心にかけているところでございます。
そういう意味で現在のいろいろな、病院管理局長から先ほどお話がございましたように、全体の中でどのような形で進めていくかということを今検討しておりますので、その中でできるだけ早く進めるように努力をしたいと思います。
○土木建築部長(安慶名正行) 再質問にお答えいたします。
建設工事の請負契約につきましては、工事の瑕疵、遅延、契約代金の問題、下請代金あるいは賃金の不払い等の問題、さまざまな背景あるいは事情からありますけれども、迅速な対応というのは難しい状況でありますけれども、県としては今後とも可能な限り誠意を持って速やかに処理できるよう指導・助言に頑張っていきたいと思っております。
○議長(伊良皆髙吉) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
本日の日程は、これで全部終了いたしました。
次会は、明3日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後4時54分散会