平成15年(2003年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 12月 1日
 


○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた副知事比嘉茂政君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありました。
 また、地方労働委員会会長垣花豊順君及び人事委員会委員長新崎盛善君は、所用のため本日から5日まで及び8日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長佐久間盛喜君及び人事委員会事務局長野島拓君の出席を求めました。
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○議長(伊良皆髙吉) この際、念のため申し上げます。
 本日から5日まで及び8日の6日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 翁長政俊君。
   〔翁長政俊君登壇〕
○翁長 政俊 代表質問に入ります前に、イラク復興のために頑張っておられました外務省職員お二人がお亡くなりになりました。哀悼の意を表したいと存じます。
 それでは自由民主党を代表いたしまして代表質問を行います。
 知事の政治姿勢について。
 第43回衆議院議員選挙の結果について。
 第43回衆議院議員選挙が去る11月9日に全国一斉に投票が行われました。結果は、自民党が237議席と単独過半数に届かず、民主党が177議席と大きく議席を伸ばす一方、共産党や社民党は1けた台の議席と激減し敗北を期する選挙結果となりました。
 自民党は、自公保3党による絶対安定多数の275議席を確保し、選挙前の目標であった与党3党による過半数確保をなし遂げたことで、小泉政権が進める構造改革路線を国民が支持し信任を与えた結果となりました。野党第一党の民主党が選挙を前にして突然自由党を吸収する形で新たな民主党を立ち上げ、自民党に対抗する新体制を確立したことにより、二大政党制への受け皿ができ上がったものと国民が期待を寄せたことに尽きると思います。
 さらに、民主党はマスコミを通して大々的なキャンペーンを展開し、政権交代とマニフェストを選挙の争点に掲げ、自民党を選ぶか民主党をとるかの二者択一を国民に迫るという戦術をとることによって一部マスコミの過剰報道を誘い、あたかも政権交代が実現するかのような緊張感を生み出し、大きくクローズアップさせることにより改選前議席を40議席も伸ばし、比例代表選挙においては自民党をしのぎ第一党の座を確保することができたことを見ても、この選挙の躍進ぶりをうかがい知ることができるのであります。
 一方、自民党は選挙後、保守新党を吸収合併し、単独過半数を確保したことでより安定した盤石な政権をつくり出すことができました。したがって、今回の選挙結果から政局を占ってみますと、民主党が議席をふやしたことをもって我が国に本当の意味での二大政党制が根づくかは明確に断言することはできないのであります。流動化が確実に進む我が国の政治において来年の参議院選挙の結果が試金石となり、二大政党制の到来が決定づけられるものと考えております。
 もう一つ今選挙ではっきりしたことは、従前の護憲・平和、消費税反対だけでは国民はついてこないという事実であります。しっかりとした現実的な政策を提示し、この国の形、方向を明確なビジョンを持って示し得る政党でなければ国民の支持を得ることができなくなったことであります。この意味で既成の政策にとらわれた社民党と共産党は完全に蚊帳の外に置かれて歴史的、壊滅的な敗北を期することになったのであります。
 我が沖縄選挙区においても、自民党が3区の嘉数氏、4区の西銘氏を当選させ、1区においては自由民主党推薦で自公協力のもとで白保氏が当選を果たしたことは、今後の県内政局においてその意義は大きく、県政の安定を初めとして自公協力体制のさらなる発展につながっていくものと高く評価をいたしております。沖縄は、米軍基地、雇用、産業育成、医療・福祉等課題が山積みする中でこれらの沖縄問題の解決に向け県民は自公連立の稲嶺県政に信任を与えたとも言える選挙結果になったと考えております。
 以上、私の所見とあわせ、今回の衆議院選挙の結果についての評価と知事の所見を求めるものであります。
 (2)、普天間飛行場の移設問題について。
 普天間飛行場の代替施設の県内移設受け入れについては、県は整備すべき条件として4項目の条件を提案し、国もこの条件を受け入れ政府方針を閣議決定しております。しかしここに来て、移設のための整備4項目が揺らぎ、移設作業が暗礁に乗り上げた状態に至っている感があります。その原因は、代替施設の民間専用地区の事業主体をめぐる国と県との対立にあります。国は、一方的に事業主体になるのは法的に困難との見解を示し、知事は法を改正しても国が事業主体になるのは至極当然のこととして動じる様子もありません。これまでの経緯を検証してみますと、なぜこのような重要課題が代替施設建設協議会においてしっかりと審議がなされずに、突然、降ってわいたかのように問題化したのか不可解でなりません。その結果、平成14年7月に国において決定された基本計画に沿った代替施設建設の環境アセスメントの手続に着手することができず重大な支障が生じていることから、以下の質問をいたします。
 ①、代替施設に係る環境問題について。
 ア、環境アセスメントの事業主体は国が担うということで県との調整が済んだのですか。県のこの問題での方針とあわせて伺います。
 イ、近々、環境アセスメントの事業着手が行われると聞いておりますが、実施時期についてお伺いいたします。
 ②番、代替施設に係る軍民共用飛行場について。
 ア、民間専用地区の埋立整備の事業主体について国の提案にどう対応するのですか。
 イ、民間専用空港ターミナルの事業主体について国との協議の内容と進展について伺います。
 ウ、民間空港の管理運営について県が事業主体となってもよいとする考えで国と協議をしていると聞いておりますが、そのとおりなのか再確認をいたします。
 ③番、代替施設の使用協定について。
 ア、使用協定合意の基本前提としてSACOの最終報告の内容を超えないものとする前提があるが、その内容を具体的に示してください。
 イ、使用協定問題で名護市と県の考えにいまだにそごがあるものと考えておりますが、名護市との認識は一致されておりますか伺います。
 ウ、米軍の機能拡大、強化にどう歯どめをかけるのか名護市が懸念するところでありますが、県の責任においてどう担保することができるのか伺います。
 ④番、15年使用期限について。
 使用期限問題は着工までに解決すればよいとする考え方が同問題の解決をおくらせているものと憂慮をいたしております。県の取り組みについて伺います。
 次、代替施設に係るボーリング調査のための財産使用協議について。
 ア、ボーリング調査のための潜水調査の結果について。
 イ、前例に倣って同意するのか県の方針を伺います。
 ウ、作業計画に同意した海洋学者5名の氏名公表を求める声に県はどうこたえるのか。
 エ、63カ所のボーリング調査による海底掘削自体、自然破壊であり、環境アセスメントの対象であるとする考えに対し県の見解を求めます。
 オ、事前に地元関係者への十分な説明と理解を得る必要性を名護市が求めていることについてどうこたえますか、お答えください。
 ⑥、ラムズフェルド国防長官との会談について。
 ラムズフェルド米国防長官が13年ぶりに来県されました。来県の目的は、国防総省が進めている在日米軍の編成を抜本的に見直すことについて本格的に協議を進め、みずからの目で沖縄の米軍基地の実態を確かめることにあると言われておりました。稲嶺知事もこの会談で率直に沖縄の実情を訴え、一刻も早い基地問題の解決を強引に迫ったことで県民の共感を呼ぶことになりましたが、質問をいたします。
 ア、要請項目を7項目に絞った理由をお聞かせください。
 イ、国防長官との会談前とその後の在沖米軍基地の再編見通し等についてどのような感触を持たれたのか伺います。
 2番、基地行政。
 (1)、対潜水艦探知用新型低周波ソナー問題について。
 海洋哺乳類に悪影響を及ぼすおそれがあるとして指摘されている米海軍の対潜水艦用の新周波ソナーが世界の海域の中で日本だけに限って使用されるとの報道がなされております。
 そこで伺います。
 ア、ラムズフェルド米国防長官が知事との会談で、海洋生物への影響がなく、使用方針に変更がないと発言されておりますが、その見解について知事の見解を伺います。
 イ、沖縄近海を回遊するザトウクジラは本県の観光資源であり、悪影響が懸念されるが、県の認識と対処策を伺います。
 (2)、米海兵隊による都市型訓練施設建設について。
 金武町の米海兵隊キャンプ・ハンセン内のレンジ4に陸軍特殊部隊(グリーンベレー)が使う都市型戦闘訓練施設をつくる計画で安全性、基地負担増の2点に問題がないか検証が求められております。
 よって以下の質問をいたします。
 ア、今回建設される陸軍複合射撃練習場の具体的な場所、建設時期、建設内容などを明らかにしていただきたい。
 イ、建設計画されている施設での訓練の内容について。
 ウ、同施設の建設で地元住民は基地負担の増大にならないか不安を感じておりますが、負担増にならないか、お答えください。
 エ、都市型訓練施設の建設計画で県はこれまでどのような対応をしてきたのか、お伺いいたします。
 オ、この施設では実弾が使用されると聞くが、地域住民の安全が脅かされないか、伺います。
 カ、同施設建設計画に対する知事のスタンスは同意か反対か伺います。
 (3)、返還米軍跡地などで見つかった有害物質のPCBを含む汚泥を処理する施設の県内建設計画についてであります。
 ア、PCB廃棄物の保管状況はどうなっておりますか。
 イ、発見されたPCB等含有汚泥についてなぜ米軍が処分しないのか。また、今後の処分計画はどうなっているのか伺います。
 3番、那覇港の港湾計画の改訂について。
 (1)、国際コンテナターミナル地区の運営参加を広く国際公募し、トランシップ貨物の集積を図り、国際海上コンテナ輸送の中継地点を目標にしておりますが、海外からの公募状況と今後の手続について伺います。
 (2)、那覇市の廃棄物最終処分場を新港埠頭に建設すべく計画を行っておりますが、以下質問いたします。
 ア、管理組合が事業主体となって進めている同計画の進捗状況について。
 イ、浦添市は、一義的にはごみを出す側が整備すべきと疑問を呈していると聞いておりますが、3母体の調整はなされておりますか。
 4番、那覇空港の沖合展開について。
 (1)、那覇空港の需要増加に伴う機能拡充などの課題や対応等を調査するため、国と県は「那覇空港調査連絡調整会議」を立ち上げたが、この会議の目的、国と県との役割分担、特に県は滑走路増設事業にどうかかわっていくのか伺います。
 (2)、滑走路の増設は海域の一部を埋め立てることになりますが、自然環境への影響、沖合展開による航空機の増加に伴う騒音などの環境アセスメントの実施方法と地域住民の合意形成を図るための意向調査の進め方について伺います。
 5番、市町村合併について。
 (1)、2005年3月に期限が来る市町村合併特例法に基づく合併作業は任意協議会から法定協議会へ円滑に移行することが望ましいが、当初県が想定したとおりに進んでいるか伺います。また、合併重点支援地域の現状と追加指定についてもお伺いをいたします。
 (2)、政府の地方制度調査会は最終答申を小泉総理に提出いたしました。これによると、基礎的自治体の人口の目安を1万人とすることを明記。しかし、同答申は裏を返せば合併しない小規模の町村に対する圧力ともなり、また合併をしない市町村に対する財政措置についても触れてなく、合併を見合わせた市町村には不安が残ることになります。よって、県内自治体への影響と県の答申に対する考え方を伺います。
 6、離島・過疎地域の振興について。
 新沖縄県離島振興計画をもとに、交通基盤や情報通信基盤の整備、保健・医療の確保、福祉の向上、教育、文化の振興を図り、自然環境を生かした豊かな生活空間を創造することで地域格差の是正や若者の定住促進及び交流人口の増加を図り、きめ細かな施策の実施が求められております。しかしながら、依然として格差が残っております。何よりも離島・過疎地域の悩みは慢性的な若者の流出であり、これに伴う高齢化の進行など課題は深刻であります。よって、県単独事業を初め国庫補助事業等の各種支援事業が必要であり、その現状と後年度計画されている主要事業の実施計画についてもお伺いをいたします。
 7番目、民間活力による地域振興について。
 沖縄の経済、観光等は那覇を起点に流動していることから、どうしても国際通りの再生、活性化が必要不可欠であると考えます。幸い、国際通りの商店街等の関係者がその活性化のために活動を展開しており、その動きをより活発化させるためにも行政からの支援が必要と考えます。県がどのような支援策を講じていかれる考えがあるか伺います。
 (2)、那覇新都心に進出する米DFSグループの空港外大型免税店は、本県観光振興の観点からその実現が大いに期待されているところであります。
 そこで伺います。
 空港外大型免税店の開業予定日、店の規模、業務の内容、形態等の概要についてお聞かせください。
 (3)、旭橋駅周辺地域開発事業について。
 再開発会社が進めている執行体制の整備、資金調達のめどづけ、保留床処分先の確保等事業推進に多くの課題を抱えておりますが、今後の事業計画の進め方と県のかかわり方について伺います。
 8番、那覇市沿岸漁業組合の組合員資格審査問題について。
 那覇市沿岸漁業協同組合の正組合員120名中、60名が資格に疑問があると県が指摘をしております。漁業実績のない組合員に対して国や県が支払った漁業補償金の一部を過剰に受給していた疑いがあることが判明をしているところであります。県当局は再三にわたって指導してきたとのことでありますが、一向に改善されておりません。厳格な審査体制が必要と考えます。また、この問題は全県的な調査が必要と思慮しますので、県の対応を伺います。
 (2)、過剰に支払われた補償金はどのように処理されておりますか。
 次に、中小企業対策について。
 本県においては、企業のほとんどが中小零細企業であることから、金融機関の体力や経営方針によって企業経営に大きな影響があり、深刻な状況にあります。
 そこで、県が行っている県内中小企業に対する支援策と金融機関に対する貸し渋り、貸しはがし等の指導が的確に行われているか伺います。
 (2)、県信用保証協会による県内中小企業に対する保証業務の現状についてお伺いいたします。
 (3)、保証協会の経営改善計画で地域連絡所の閉鎖が検討されておりましたが、連絡所が引き続き運営されると聞き喜んでおります。しかし、所員が金融業務の専門家ではなく素人の嘱託員を配置していると聞いておりますが、これでは継続の意味もなさず、かえって中小企業支援行政の後退と考えますが、県の指導がどうなっているのかお伺いをいたします。
 答弁によって再質問をいたします。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
 最初に、冒頭、翁長議員が触れられましたイラクでの問題について私の方から所見を申し上げます。
 今回の事件でお亡くなりになったお二人には、これまでイラク復興のため御尽力されてきたことに対し心から敬意を表し、謹んで御冥福をお祈りしたいと思います。御遺族の皆様方の御心痛は察するに余りあるものがあり、悲しみと怒りを覚えます。このような悲惨な事件が起こらない平和な国際社会が実現することを強く念願するものであります。
 それでは翁長政俊議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、今回の選挙結果についての御質問に対する答弁でございます。
今回の衆議院選挙の結果は、全国的には連立与党で過半数を上回りました。このことは国政の安定につながるとともに、本県にとっても今後の諸施策を引き続き展開することができるものと考えております。
 一方、本県におきまして、本県出身の衆議院議員が九州比例区を含めて初めて7人となったことはまことに心強い限りであります。当選された議員各位におかれては、国政の場において本県の振興と諸課題の解決のために党派を超えて協力していただきたいと思います。
 次に、移設問題のうち、環境アセスメントの事業主体についてお答えいたします。
 環境アセスメントの事業主体については、現時点では結論は出ておりませんが、茂木沖縄担当大臣は、次のステップである環境影響評価の手続にできるだけ早期に入れるよう調整を進めていると述べておられます。県としては、代替施設は軍民共用飛行場として一体的に整備されるものと考えており、代替施設の埋立事業等民間専用地区の整備については、これまでの経緯等からも国が事業主体になるものと考えております。
 次に、事業主体への対応についての御質問にお答えいたします。
 県としては、普天間飛行場の代替施設として一体的に整備される軍民共用飛行場については、これまでの経緯等から国が事業主体になるものと考えております。民間部分の事業主体については、これまで国に対し県の基本的考えを説明しておりますが、先ほども申し上げましたように、茂木沖縄担当大臣は、次のステップの環境影響評価の手続にできるだけ早期に入れるよう調整を進めているとし、さらに国としてどういう形のことができるのか工夫も必要であり、その点をまず考えるべきだと述べていることから、国の動向を見守っていきたいと考えております。
 次に、空港ターミナル施設の事業主体についてお答えいたします。
 代替施設は、軍民共用飛行場として一体的に整備が図られるものと考えており、旅客ターミナル等専ら民間機能に係る飛行場施設の事業主体については、県民にとって最も望ましいものになるよう今後関係機関と協議していきたいと考えております。
 次に、民間部分の管理運営についてお答えいたします。
 県は、民間部分の管理運営については第2回代替施設協議会において、「民間機能として代替施設に設置される飛行場施設の管理運営については、国及び地元地方公共団体と相談の上、県を中心として検討していきたい。」としております。
 次に、使用協定に関する名護市と県の考え方についての御質問にお答えを申し上げます。
 昨年7月の「代替施設の使用協定に係る基本合意書」は、国、県及び名護市の三者で合意がなされたものであり、使用協定については名護市と県の考え方は基本的に一致しているものと考えております。県としては、今後とも名護市と連携し、使用協定締結に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、15年使用期限問題の解決についての御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場代替施設の15年使用期限は、戦後58年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から、沖縄県が移設に当たって整備すべき条件として提示しているものであります。使用期限問題は、基地の提供責任者である日本政府の高度な政治判断に係る問題であることから、これまで内閣総理大臣を初め関係大臣に何度も要望してきました。
 また、先日、ラムズフェルド米国防長官とお会いした際、普天間飛行場の県内移設は県民にとって苦渋の決断であったことを伝え、代替施設の15年使用期限問題などの条件を日本政府に強く求めていることを説明し特段の配慮を要望しました。同問題は、基地の提供責任を有する日本政府の責任において解決されるべきであると考えており、今後とも引き続き強く求めていきたいと考えております。
 次に、国防長官との会談に対して、要請項目を絞った理由と在沖米軍基地の再編の見通しについての御質問に一括してお答えを申し上げます。
 今回の国防長官との会談では、会談時間が短いことを考慮し、数多くの基地問題の中からこれまで日米両政府に対して要望してきた最も基本的な課題である基地の整理縮小、普天間飛行場の移設、在沖米軍兵力の削減、日米地位協定の見直し、事件・事故の未然防止及び航空機騒音の防止対策などに加え、最近問題になっている米海軍の低周波ソナーの日本周辺海域での使用問題の7項目に絞って要望いたしました。
 私は、今回の国防長官との会談を沖縄の基地問題の実情について現地の声を伝える好機ととらえ、基地から派生する諸問題、県民感情、基地負担の軽減を求める県民の意向等を強く訴えたところであります。
 県の要望に対し国防長官からは、今回の沖縄訪問は現地の状況を直接見聞し学ぶことが目的であり、現在、アメリカの基地の見直しを行っている最中であることから、具体的な回答は避けたいという趣旨の発言がありましたが、国防長官や同行した政府のスタッフには沖縄の実情や県民の意向を理解していただけたものと考えております。県としては、今回の沖縄訪問を契機に沖縄の基地問題が目に見える形で前進するよう米国政府の動向を注視しつつ、今後とも粘り強く基地問題の解決を訴えていく考えであります。
 次に、新型低周波水中音波探知機の問題について一括してお答えを申し上げます。
 米海軍が使用する新型低周波水中音波探知機の問題については、去る11月6日に日米両政府の第1回協議が開催され、米側が実施した海洋生物への影響を調べた科学的調査結果の概要が説明されたとのことでありますが、日米両政府は、米側が実施した同調査結果を公表し十分な説明を行うべきであると考えております。
 県は、海洋生物などへの影響があるというのであれば、日本周辺海域でも使用すべきではないと考えており、去る11月16日に来県したラムズフェルド米国防長官にもその旨強く申し入れたところであります。県としては、日米両政府の協議を見守りつつ、今後とも外務省や関係機関などから情報の収集に努め適切に対応していきたいと考えております。
 次に、陸軍複合射撃訓練場における実弾使用、基地負担の増大及び県の対応について一括してお答えいたします。
 陸軍複合射撃訓練場の建設に当たっては、既存の訓練施設に加えて新たに追加される施設も計画されており、また、これまで中止していた実弾を使用した訓練も実施するとのことであります。
 県は、県民の基地負担の軽減を求める立場から、これまで基地の整理縮小、海兵隊の訓練等の移転及び在沖米軍兵力の削減などを求めてきているところでありますが、今回の陸軍複合射撃訓練場の建設計画は、県のこれまでの要請や県民の意向に反するものであり遺憾であります。県としては、同訓練場は基地の固定化や訓練の過密化による基地負担の増大にもつながることが懸念されることから、同訓練場の建設には反対であります。
 また、レンジ4に隣接する金武町の伊芸区では、金武町長に対し同施設の建設計画を即時中止するよう求めており、金武町や町議会としても同施設の建設に反対の意思を表明しております。
 続きまして、那覇港の港湾計画のうち、国際公募の状況と今後の手続についてお答えいたします。
 那覇港管理組合においては、国際的なオペレーター企業の誘致に向け国際公募の準備を進めているところであります。そのため、本年の7月から海外10社のオペレーター企業に対しポートセールスを行っており、米国やフィリピンの企業からは前向きな応募の意向が示されております。現在、その結果を踏まえ、入札説明書や契約書(案)を作成しているところであります。今後、平成16年1月末に国際公募を実施し、5月には事業者を選定する予定となっております。さらに、新たな事業運営会社の設立や構造改革特区の認定等を経て、平成16年10月には同運営会社と国際コンテナターミナルの貸付契約を締結する予定であります。
 次に、市町村合併問題について、地方制度調査会の最終答申に対する県の影響と考え方についてお答えいたします。
 最終答申で示された現行の合併特例法期限後、都道府県が合併を求める小規模市町村の目安とされる「おおむね人口1万未満」については、財政事情や地域事情を踏まえた特色あるまちづくりを行っている小規模な市町村もあることから、必ずしも市町村の人口規模の大小により一律に論ずるべきではないと考えております。特に、本県の多くの離島町村には1万未満とする人口要件は大きな影響を与えておりますが、同答申において地理的条件などは考慮するとされており、離島の特殊性に対し配慮がなされるものと考えております。
 次に、国際通りの活性化についての御質問にお答えいたします。
 県都那覇市のメーンストリートである国際通りの活性化は、商業の振興及び観光の振興等を図る観点から重要な課題であると考えており、ハード・ソフトの両面から各種の施策を推進しているところであります。
 ハード面の整備としては、国際通りを歩行者が快適に散策できるシンボルロードとして位置づけ、電線類地中化、歩道拡幅などの街路事業を進めております。また、開閉式日よけのオーニングやモニュメントを設置し、統一性のある景観の形成と快適性を高める国際通りグレードアップ事業が実施されております。
 ソフト面の事業として、国際通りトランジットマイル事業がこれまで3回実施され、人に優しいまち、歩いて楽しいまちづくりに向けた取り組みが進められております。今後とも、那覇市と連携を図りながら商店街の活性化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(新垣良光) 環境アセスメントの実施時期についてにお答えいたします。
 茂木沖縄担当大臣は、環境影響評価の手続に早期に入れるよう調整を進めていると述べております。今後、環境影響評価方法書の作成等一連の手続を経てアセスが実施されるものと考えておりますが、その時期については明らかではありません。
 SACO最終報告についてにお答えいたします。
 SACO最終報告においては、普天間飛行場の機能について、海上施設は、「普天間飛行場のヘリコプター運用機能の殆どを吸収する。」、海上施設は、「航空機の運用のための直接支援、並びに司令部、整備、後方支援、厚生機能及び基地業務支援等の間接支援基盤を含む普天間飛行場における飛行活動の大半を支援するものとする。海上施設は、ヘリコプターに係る部隊・装備等の駐留を支援するよう設計され、短距離で離発着できる航空機の運用をも支援する能力を有する。 岩国飛行場に12機のKC―130航空機を移駐する。」となっております。
 代替施設の基地機能についてにお答えいたします。
 昨年7月29日に合意された「代替施設の使用協定に係る基本合意書」において、「代替施設の米軍に供用する施設・区域としての機能については、SACO最終報告の内容に何ら変更がないことを確認する。」とされております。
 第8回代替施設協議会において、田中前外務大臣は、普天間飛行場の代替施設については、沖縄県知事の要望等を踏まえて軍民共用飛行場として整備されることになるが、米軍に供用する施設・区域としての機能については、SACOの最終報告に変更はなく、政府としてこれを明確にお答え申し上げると発言しております。県としては、名護市が懸念している代替施設の基地機能については、SACO最終報告の範囲を超えることのないよう、使用協定締結等今後とも名護市と連携し取り組んでいきたいと考えております。
 ボーリング調査の地元への説明についてにお答えいたします。
 那覇防衛施設局は、去る11月27日、名護市当局、名護市議会及び地元3区に対しボーリング調査の作業計画等について説明を行っております。
 陸軍複合射撃訓練場に対する県の対応状況と施設概要等についてに一括してお答えいたします。
 県は、外務省沖縄事務所、那覇防衛施設局及び在日米軍に対し照会するなど、県民の基地負担の増大につながるような施設の建設に反対する立場から、当該計画についての情報収集に努めてまいりました。これまでに米議会が代替訓練施設の建設費として約380万ドルの予算を計上したことが明らかになっております。
 同施設の建設計画は、那覇防衛施設局からの説明では、建設場所はキャンプ・ハンセン内のレンジ4で、施設内容は射撃用建物、突破訓練施設、射場、訓練塔及び管理地区とのことであります。
 訓練内容は、建物内の敵に対処するための小型武器による射撃訓練、建物内に強行突入する訓練、ロープによる懸垂降下訓練等となっており、建設については2004年末までに完成させたいとしておりますが、着工時期は未定であるとのことであります。
 PCB廃棄物の保管状況についてにお答えいたします。
 自衛隊の保管するPCB等含有汚泥は、平成8年に米軍恩納通信所跡地から発見され、航空自衛隊恩納分屯地内で保管されている約104トンと、昨年航空自衛隊恩納分屯地内で発見され同分屯地に保管されている約200トンの計約304トンであります。
 PCB等含有汚泥を米軍が処理しなかった理由及び今後の処理計画についてにお答えいたします。
 PCB等含有汚泥については、日米地位協定で米軍に原状回復義務が免除されていることから日本政府が処理することになったものであります。現在、恩納分屯基地に保管されているPCB等含有汚泥の処理方針については、実証試験の結果、超臨界水酸化分解法が安全かつ確実に処理できるとの結論が出ていると聞いております。
 処理施設の設置等に関する今後のスケジュールについては、那覇防衛施設局が建設候補地の恩納村に対し、処理施設の設置を申し入れたとのことであります。
 以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 知事の政治姿勢についての、潜水調査の結果及び使用協議に対する県の方針についてに一括してお答えいたします。
 那覇防衛施設局によりますと、自然環境への影響に配慮して事前に潜水調査を実施して今回の使用協議に係る調査箇所を選定したとしております。
 本件公共用財産の使用の可否につきましては、この潜水調査の結果も含めて精査・検討し、関係機関の意見や関係法令及び先例等に照らした上で総合的な観点から適切に判断してまいりたいと考えております。
 次に、民間活力による地域振興についての、今後の再開発事業の進め方と県の関係についてにお答えいたします。
 モノレール旭橋駅周辺地区再開発事業の施行者となる旭橋都市再開発株式会社は、本年9月1日に設立いたしましたが、会社の事業推進に当たって保留床の処分先の確保などの課題があることは御指摘のとおりであります。今後、会社はこれらの課題解決に向けて鋭意取り組んでいくこととしていますが、当面の事業計画としては、平成16年度の施行認可申請を前に保留床処分先を確保するための調査や営業活動等に積極的に取り組む予定であると聞いています。
 その後、平成17年度に権利変換計画の認可申請を行い、平成18年度工事着手、平成21年度完了を目途に事業を進めていく計画と聞いております。県としては、今後、当該事業に対して都市再開発法に基づく認可行為や国及び県補助金の交付等を行うこととしており、事業が円滑に実施されるよう那覇市と連携の上、適切に指導・助言を行っていく考えであります。
 次に、那覇市沿岸漁業組合の組合員資格審査問題についての、漁業補償金の処理についてにお答えいたします。
 宜野湾マリーナ拡張工事に伴う漁業補償は、共同第15号共同漁業権の消滅等による補償であります。
 漁業権利者は、那覇市沿岸漁業協同組合、那覇地区漁業協同組合及び浦添宜野湾漁業協同組合の3漁業協同組合となっております。
 漁業交渉は、平成7年4月から平成8年2月までの10カ月間、9回の交渉で平成7年11月に4億8000万円で合意に達し、平成8年2月7日契約をしたものであります。
 漁業補償の算出は、「沖縄県の公共事業の施工に伴う損失補償基準」に基づいて実施し、算出の基礎となる補償対象漁獲高等については、統計資料のほか実態調査を行った上で確認しており、補償は適正に処理されていると考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) ボーリング調査の作業計画に助言をした専門家の氏名公表を求めることについての御質問にお答えをいたします。
 ボーリング調査の位置選定作業計画に助言した海洋動植物学の専門家の氏名につきましては、事業者の判断で公表されておりません。作業計画に対して助言した専門家の氏名につきましては、透明性や説明責任の確保の観点から公表が望ましいと考えております。しかしながら、その判断は事業者により行われるべきものと考えております。
 ボーリング調査は、環境アセスメントの対象ではないかという御質問にお答えをいたします。
 環境影響評価法では、一定規模以上の道路やダムの建設、公有水面の埋め立て等環境に大きな影響を及ぼすものとして定めた事業を対象としており、今回のような護岸構造の検討に必要な地質調査等は環境影響評価の対象としておりません。
 しかしながら、県としては、調査の実施に当たっては可能な限り環境への影響の少ない調査の方法が選定されることが重要と考えております。
○企画開発部長(花城順孝) 那覇港の港湾計画の改訂についての御質問で、廃棄物最終処分場の進捗状況と事業主体の調整について一括してお答えをいたします。
 那覇港廃棄物埋立護岸の整備については、平成16年度内閣府予算の概算要求に新規事業として計上されております。現在、那覇港管理組合においては、次年度の工事着手に向けて当該埋立護岸等の調査・設計及び公有水面埋立免許の出願準備に鋭意取り組んでいるところであります。
 那覇港管理組合が事業主体となることについては、同組合と構成母体間において調整が進められ、基本的な合意が得られているとのことであります。
 次に、「那覇空港調査連絡調整会議」の目的、国と県の役割、滑走路増設へのかかわり方についての御質問にお答えいたします。
 「那覇空港調査連絡調整会議」は、国と県が連携をして幅広い合意形成を図りながら、那覇空港の総合的な調査を円滑かつ効果的に進めるため設置したものであります。
 総合的な調査の実施に当たっては、国は航空政策や空港の運用、航空に係る専門的な知識が必要な分野を担当し、県は空港利用の特性や地域へ与える影響、効果など地域の社会経済活動と結びつきの強い分野を担当することとなっております。今後、県は国と連携して総合的な調査を着実に実施するとともに、情報公開による透明性の確保や住民の合意形成を図るなど、早期の滑走路増設に向けた条件整備に努めてまいります。
 同じく那覇空港の沖合展開について、環境アセスメントの実施方法と周辺住民への意向調査の進め方についての御質問にお答えします。
 那覇空港の滑走路増設については、国と連携をして今年度から実施する総合的な調査の中での空港能力向上方策の可能性や将来需要を見きわめた上で検討に入ることになっております。環境アセスメントについては、その時点で事業主体である国と調整をしながら検討することとなります。
 また、県では今年度から空港周辺住民等への効果的な情報提供や意見収集の方法について調査検討を行うこととしており、住民の意向調査についてはその結果を踏まえて検討してまいります。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(上原 昭) 市町村合併問題について、法定協議会への移行及び合併重点支援地域の追加指定についてお答えいたします。
 県内では6地域で任意協議会が設置されておりましたが、そのうち石川市を新たに加えた具志川・石川・与勝地域、竹富町を加えた八重山地域、本島南部地域、本日12月1日に法定協議会が設置される本島南部東地域の4協議会がいずれも本年に入り法定協議会へ移行しております。
 宜野湾周辺地域、那覇周辺・離島地域の任意協議会は、法定協議会への移行の協議が整わず解散し、新たに北中城村と中城村による任意協議会が去る11月に設置されており、今月中の法定協議会移行に向けた取り組みが行われております。
 合併重点支援地域については、これまでの7地域に加え去る10月、新たに本島南部東地域、伊平屋・伊是名地域の2地域の追加指定を行っております。
 次に、合併市町村の県事業の重点的実施策や支援プランの拡充計画についてお答えいたします。
 県では、平成13年11月に沖縄県市町村合併支援本部において、合併市町村に対する支援策として、市町村建設計画に掲げられた県事業の重点的実施を決定しております。今後、各法定協議会においては市町村建設計画の作成が本格的に行われることになりますが、県事業の同計画への位置づけについて、合併市町村の一体性の速やかな確立及び均衡ある発展を図るため積極的に検討を行う必要があると考えております。
 市町村合併に対する県独自の支援策としましては、合併協議会の行う合併準備や市町村建設計画に基づき行う事業を支援するための交付金制度などの財政支援制度や合併協議会の円滑な運営を支援するための人的制度があります。今後の支援策の拡充につきましては、適宜所要の措置が講じられるよう検討してまいりたいと考えております。
 次に、離島・過疎地域の振興について、離島・過疎地域に対する支援事業についてお答えいたします。
 離島・過疎市町村に対する支援事業の主なものとして、国庫補助事業では古宇利架橋、多良間空港の建設などの社会資本の整備、かんがい排水事業などの農林水産業の基盤整備、また、県単独事業では離島における石油製品の価格の安定を図るための石油製品輸送等補助事業や離島航路の維持・改善を図るための離島航路補助事業などを実施しております。
 さらに、行財政上の支援措置として農林水産業の基盤整備事業における補助率のかさ上げ、市町村道の県代行事業、過疎町村が実施する各種事業に対する過疎対策事業債による支援などを実施しております。
 今後の主要事業としましては、伊良部架橋、新石垣空港等の社会資本の整備、離島地域における情報通信基盤の整備、農林水産業の振興を図るための各種基盤整備や快適な生活環境を確保するための下水処理施設の整備に取り組むとともに、離島医療組合への加入促進、都市との地域間交流の促進に努め、行財政上の支援措置についても引き続き実施していきたいと考えております。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) 沖縄DFS社の空港外展開についての御質問にお答えをいたします。
 DFS社の那覇新都心地区における建設工事につきましては、今月中に着工し平成17年1月の開業予定となっております。
 敷地面積は約1万7000平方メートル、建物延べ床面積が約4万平方メートルで、地上3階、地下1階となっております。
 そのうち、法令に基づく指定面積の予定は、免税店部分が約8000平方メートル、その他の施設が約5000平方メートル、合わせて1万3000平方メートルとなっております。
 設置形態につきましては、県内のディベロッパーが土地の取得及び施設建設を行い、DFS社がそれを賃借することになります。
 業務内容といたしましては、DFS社が免税店を直営するほか、一般小売店や飲食店、観光関連の附帯施設、レンタカー拠点などが予定されております。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 組合員資格審査問題について、那覇市沿岸漁業協同組合及び他の漁業協同組合に対する指導状況についてお答えいたします。
 那覇市沿岸漁業協同組合の組合員資格審査については、平成14年9月に県が実施した常例検査において、資格審査規程及び基準を是正するよう指摘し改善を指導してきたところであります。その結果、平成15年10月24日の臨時総会において資格審査規程及び基準が改正されております。
 県としては、那覇市沿岸漁協で今後改正された規程、基準に基づき適正な資格審査が行われるものと考えております。その結果については、速やかに県への報告を求め、措置状況の点検等を行い引き続き指導してまいります。他の漁業協同組合についても法令遵守、財務管理、事業運営に関する常例検査等を通じて適正な漁協運営が図られるよう指導を徹底してまいります。
 以上でございます。
○商工労働部長(伊川征一) 中小企業に対する支援策についてお答えをいたします。
 中小企業がその柔軟性や創造性、機動性を発揮し、成長していくためには、資金、人材、技術、情報等の経営基盤の強化が必要であります。このため、県においては、経営力や競争力の強化につながる諸施策を推進しているところであります。具体的には、中小企業経営革新支援法に基づく中小企業の新商品や新技術の開発、販路開拓に対する支援、経営体質を強化するための組織化、商工会や商工会議所を通した経営指導及び情報化に対応した電子商取引の普及・促進等を実施しております。特に、中小企業を取り巻く最近の厳しい経営環境に対応するため、「中小企業セーフティーネット資金」の創設や金利の低減等による県単融資制度の充実、信用保証協会の基本財産に出捐することによる信用補完制度の拡充等に努めているところであります。
 次に、金融機関に対する貸し渋り、貸しはがし等の指導強化についてお答えをいたします。
 現下の厳しい経済状況を打開し中小企業の金融対策を総合的に推進するため、沖縄振興開発金融公庫及び商工中金那覇支店において平成14年11月から「貸し渋り・貸しはがし特別相談窓口」が設置され、平成15年11月27日現在、相談が11件寄せられ、そのうち7件に対して経済再生改革緊急支援貸し付け等が行われたと聞いております。県としましては、中小企業者の金融の円滑化を図るため県、保証協会、金融機関及び中小企業団体等で構成する沖縄県地域金融動向に関する情報交換会において、金融機関に対して個々の中小企業者の実情に応じた対応を要請しております。
 今後とも機会あるごとに金融機関に対して、中小企業者の資金需要に的確な対応をするよう積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、信用保証協会の保証業務の現状についてお答えをいたします。
沖縄県信用保証協会の平成14年度における経営状況は、保証承諾額が680億4167万円、債権回収額28億3127万円、代位弁済額101億607万円となっております。この多額の代位弁済額が同協会の経営を圧迫し、平成14年度決算において12億7316万円の欠損金を生じさせ、基金準備金から4億2900万円を取り崩すことを余儀なくされております。しかしながら、同協会においては県内中小企業者の振興及び地域経済の活性化に資するため保証の拡大を図ることとしており、平成15年度の保証承諾額を平成14年度実績に対し約12%増を見込んでおります。
 なお、同協会では経営の健全化を図るため、平成15年度を初年度とする経営改善5カ年計画を策定し、平成19年度の黒字転換に向けて取り組んでいるところであります。県としましては、今後とも同協会の経営基盤を強化し、県内中小企業者に対する金融の円滑化が図られるよう指導してまいりたいと考えております。
 次に、地域連絡所の業務改善強化についてお答えをいたします。
保証協会では、経営改善の一環として北部、宮古及び八重山地域の3連絡所について嘱託員を配置することとしております。保証協会では、これらの地域における金融サービスを維持するため当該嘱託員に保証業務に係る基本的な研修を行うとともに、保証協会職員が定期的に直接出向いて指導するなど、過疎・離島地域の中小企業者の金融の円滑化に支障を来すことがないように対応することとしており、県としましても当該地域において金融サービスの低下がないよう指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○翁長 政俊 基地問題に絞って再質問をさせていただきますけれども、知事、まず最初に、SACO最終報告で普天間飛行場の5年から7年の返還が約束されたんですけれども、これが明日その7年目を迎えることになります。今の基地の現状の過重負担等含めて、知事が就任以来取り組んできたいわゆる基地の整理縮小、そういった思いも含めてこの普天間飛行場の返還問題についてSACO合意をどのように評価し、どう感じておられるのか、まず所見を伺っておきます。これが1点。
 もう1点、この事業主体問題でこれは幾つか課題があってこの現状ではまだ決定をされてないということでございますけれども、茂木さんは、これを次のステップと言われて、私に言わせれば非常に思わせぶりでして、実態、これはどうなんだということが今県民の一番の関心事項なんですよ。この事業主体問題では、環境問題、民間地域の埋め立ての問題、さらにはターミナルの建設の問題、この3つがあるわけですよ。その3つのうちの、環境アセスのいわゆる方法書に入る入らないで今もめているわけです。あとクリアしなければいかぬのが2つあるわけですよ、この環境問題をクリアしてもですね。
 きょうの新聞報道等見ますと、防衛施設局との協議の中で、この事業主体問題でいわゆる当面は防衛施設局がやるけれども、後で県と協議をして県が事業主体になってもらう云々の報道もありますけれども、私はこれは分離しては考えられないだろうと、一括解決しないことにはこれは前に進まないんですよ。そういう意味で今の現状、いろいろ漏れ聞くところによりますと、もう近々国が事業主体を自分のところでやると決めて動き出すやにも聞いておるんですけれども、この部分、もっと詳しい協議内容も含めてのメッセージがあればぜひ送っていただきたい、このように思っています。
 そしてもう一つ、ラムズフェルド国防長官との会談ですけれども、この在日米軍の基地の再編成の問題がクローズアップされていますけれども、協議が数カ月、公表までに数年、再編完了までに四、五年かかってやるという一つの議論のベースがあるわけですよ。こうなりますと、この好機をつかんで知事はより一層私は踏み込んで国や米軍に対して何らかのアプローチをして、この再編を機に沖縄の米軍基地をいわゆる整理縮小させていくということが重要だろうと思っています。お答えください。
 3点と言いましたが、もう1点、ボーリング調査でございますけれども、いわゆるこの学者の5名の氏名の公表、当然これは事業者が公表すべきだと思いますけれども、県ができることは何かと申しますと、この問題で環境省に対して助言を得るということができるだろうと、この助言を得るということをやる意思があるのかどうなのか、これをお聞かせいただきたいと存じます。
 以上、質問を終わります。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前11時12分休憩
   午前11時15分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 翁長議員の再質問にお答えいたします。
 最初は、SACOの問題への取り組みについての御質問でございました。
 明日が期限ということでございますが、私はこのSACOの問題というのは一番最初に振り返ってみますと、このSACOの問題は当時の前県政時代、基地の整理縮小というのは沖縄県民の願いであると、強い願いであるということで沖縄の基地の負担を軽減をするという考え方からスタートしたわけです。したがいましてそのスタート当時、前県政においてもこのSACOの問題については歓迎をする声明を発表してございます。
 それでは一番大きな問題は何かというと、普天間の移設の問題について着々と進んでいたにもかかわらず、最終段階においてそれがいわゆるその計画というのが海の中に投げ込まれたわけです。したがいまして、私のスタートしたのはそれを拾い上げるということのために大変な苦労を要しまして、長い年月を要しました。それは県民も複雑な感情がございます。私自身も最初から申しましたように、沖縄の基地問題でベストの選択というのは絶対にあり得ないと。その中でベターな選択ということで進んできたわけです。そして一度進んでいる計画をそこで全く放棄した場合には、また何年かさきに戻るということが現在の状況に至っているわけです。したがいまして、今後ともこの問題というのは物すごく難しい問題ではありますけれども、沖縄県民のやはり基地の整理縮小に対する強い心をそのまま受け継ぎながら、今後とも全力を尽くして努力を尽くしていきたいと考えております。
 続きまして、事業主体の問題につきましては、私どもとしてはあくまでも国が事業主体となるべきであるというふうに考えております。ただ先ほどもちょっと質問の中にもございましたように、管理主体につきましてはある程度これは民間部分の管理運営については、民間機能としての代替施設に設置される飛行場施設の管理運営については、国及び地元地方公共団体と相談の上、県を中心として検討していきたいという考えは変わりございません。
 国の方としても先ほども申し上げましたように、茂木担当大臣を初めとして積極的にこの問題について早期の解決に向けて全力を尽くしておられますので、よく連携を保ちながら進めてまいりたいと思います。
 それから次に、ラムズフェルドとせっかく再編の時期に会ってもっと県としてはしっかり対応すべきだという御意見でございますが、それは全くそのとおりでございます。
 これは私は単にあそこで強い要望を出したということは、かなり国防総省の高官あるいは現地の司令官、大使を初め非常に多くの有力な関係者が来られるという中で明白に私どもの考え、状況を説明したわけですから、これはそのままのまだ鉄は熱いうちに打てで、次から次にできるだけ早い機会に考えております。例えば例を挙げますと、本日、私どもの比嘉副知事は東京に行っております。今、イラクの問題というのが出ましたけれども、具体的に何らかの対応ができる場合においては、既にすぐその沖縄側の考え方について明白に意見を申し述べたいと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) ボーリング調査についてお答えをいたします。
 ボーリング調査の作業計画につきましては、現在使用協議を受けて審査をしているところであります。今後事業者、それから県の委嘱した専門家等にも意見を聴取をして審査を進めていくということにしております。
○翁長 政俊 議長。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前11時20分休憩
   午前11時21分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 7年のお話をするんですけれども、先ほどもほとんどお答えしたつもりなわけですけれども、一番重要なのは、あの合意の中の条件というのは県内移設というのが明白な条件でございまして、(「それが問題なんだよ」と呼ぶ者あり) それはその時点の話ですから、明白でございました。そこでいろいろ難しい問題は出ておりますけれども、私どもとしては途中で一遍それを覆すということがいかに大変だったかと。さらにそれを引き上げるだけの大変なエネルギーをまた使うということは絶対あるべきではないと思います。常にベストの方法がない以上、ベターな方法に向かって一歩一歩進みたいと思っています。
 それから先ほどのラムズフェルドの件、ちょっと私、今細かいお話はできません、午後になったらいたしますけれども……。比嘉副知事は別用件で現在東京に行っておるわけです。そして常に申し上げているように、県としてはありとあらゆる機会をとらえ沖縄の基地の整理縮小、ただいまの兵力の削減の問題、廃止等含めて明白に申し上げる機会があるとするならば、それを常に申し上げるということでございます。
○高江洲義政 おはようございます。
 代表質問をさせていただきます。
 その前に、一昨日午後8時過ぎに日本人外交官がイラクで殺害される極めて痛ましい事件がございました。残念のきわみでございます。御遺族の悲しみはいかばかりかと、哀悼の意を申し上げたいと思います。しかし、たじろいではいけない。あの奥参事官も井ノ上書記官もイラクの復興あるいは平和を願っているはずでございます。お二人の遺体は今週末に無言の帰国をするようでありますが、お二人の悲痛な叫びというものを感じるわけでございます。
 痴漢が多く発生する暗い夜道があれば、警察と住民が一体となって明るくし、その地域を整備しきれいにする。いつまでもほっておくと犯罪の温床になる、当たり前の話でございます。
 かつて1980年代にアフガニスタン・ムジャヒデンという反政府組織が、アメリカ製の携帯用の対空ミサイルを携帯してアフガニスタンの北部でソ連の飛行機をバンバン撃ち落とした事例があります。それを想起せずにはおられません。
 しかし、私はあえて申し上げたいのは、日本は先進国の仲間入りした1960年代から途上国に対して多額の経済援助金を拠出してまいりました。特に、90年代になると日本の政府開発援助の拠出額においては先進国中で第1位であります。その額は平均100億ドル、約1兆2000億円と言われております。これだけを10年間も拠出し続けておるわけであります。その結果、アフリカ、中南米諸国、中近東諸国等では日本人と見れば笑いかけてくるほどであるという、親日感情は抜群によいと言われております。
 日本が国連PKO協力法のもとに、アラブとイスラエル両軍がにらみ合うゴラン高原に陸上自衛隊の輸送業務隊を送り込んだ際、シリアのアサド大統領は隊長である本松敬史三等陸佐を呼んで、日本の自衛隊は決して事件に巻き込まれることのないことをお約束しております。
 また、同大統領は、シリア軍の配下にあったイスラム原理主義者のハマスとヒズボラに対して、日の丸や自衛隊に攻撃を加えるならシリア軍がおまえたちの方に全面攻撃をするとそれぞれ司令官を呼んで話しているほどであります。
 2000年度の防衛白書によれば、PKO法が成立してカンボジアに自衛隊が派遣された1992年9月から2000年2月までの東ティモール避難民救助まで自衛隊が参加したPKO業務の延べ人数は1767名であり、彼らの活躍には目覚ましいものがある。戦争被害地や災害被害地の住民から深い感謝の気持ちと大歓迎を受けておるのであります。したがって、私は今回の奥参事官と井ノ上書記官、大変悲しい事件ではありますが、決して我が日本政府、たじろぐことのないようにイラクの復興支援に向けて、昨日も官房長官も総理大臣も話しております。貢献をしていただきたいとこのように考えながら県知事の所見を伺いたいわけであります。
 世界の中の日本として国際社会と十分協調した国際協力が認められる現在であります。イラクにおける安全性を十分検証して自衛隊を派遣することについて県知事はどのようにお考えでありますか。
 次、県経済の振興について。
 振興計画の実効性を高めるために各分野別計画が策定され、2004年度はこれらの最終年度となります。以後の計画は延長されるかどうか。また、国の同意計画となっている4計画以外の県独自の個別計画については今後国の同意計画に持っていく考えはないですか、お伺いいたします。
 国の同意計画の4計画について、その達成実績を数値で説明できる状況にありますか、お示しいただきたい。
 産学官連携した共同研究体制の拡充・強化について、沖縄振興計画に基づく産学官連携した共同体制の施策を説明願いたい。
 県の事業の中で産学官共同研究として位置づけられた事業はどのようなものがありますか、お伺いいたします。
 県の行財政改革問題についてお伺いいたします。
 ここ10年間の公社・外郭団体等の整理統合及び廃止の実績についてお伺いいたします。
 これらの改革による財政的効果、県財政がどの程度潤ったかをお伺いいたします。
 次に、附属機関等の見直しでございますが、ここ10年間で見直しや削減された結果、どのようにスリム化されましたか。
 行財政改革大綱に基づく県職員数の適正化についてお伺いいたします。
 ここ10年間での知事部局職員数適正化(削減)の目標と実績について示してください。
 公社等外郭団体の見直しによる実績もお伺いいたします。
 新年度に向けての予算編成についてお伺いいたします。
 振興計画に基づく施策実現のため事業を重点的に実施する必要があるが、新年度の重点事業は振興計画の中のどの部分を想定したものでありますか。新年度の重点事業は、振興計画の実施計画である各分野別計画の目標の達成に向けたものとのことであるが、県の施策として行政改革も同時に進めるとなっております。重点事業が「自立経済の構築」を目指す振興計画の施策実現のために行うものであれば、行財政改革と同時並行的に進めるには、行財政改革は振興計画の足かせになるのではないか、お伺いいたします。
 雇用失業問題については、一向に改善されない県内の失業率について県のとり得る対策はありますか。
 次年度の学卒者の新規就職状況は改善される見込みとなっておりますか。
 次に、県内人材の流動状況についてお伺いします。
 県内の若者(学生)が県内志向が強いのは何か。また、大学卒業生が公務員志向が強い理由は何か。一般には安定性にその理由を求める向きもあるが、本当にそれだけの理由か。
 県内の企業や観光業は、ビジネス専門知識や技術を有する専門職、語学力のある人材を求めるが、そのような人材が沖縄には不足しているという。一方において、大学卒等で職につけない若者がハローワークで仕事を探しているという。専門知識を有する高学歴者はいるのに、企業は専門職を求めているという、まさに需給のミスマッチが生じている。その原因はどこにあると考えておりますか。
 次に、医療・福祉問題についてであります。
 介護保険について本県のアップ率と他県との比較。また、県内市町村の状況はどうか。
 事業適正化のため市町村に対する県の指導体制について説明をお願いいたします。
 介護保険財政安定化のため県の対策について説明を願いたい。
 次に、認可外保育園問題についてであります。
認可外保育園を認可に持っていくために県の検討している対策と認可外保育園に対する支援策を説明願いたい。
 本県の認可保育所に入れない平成15年9月現在のいわゆる待機児童数は幾らか。また、今後の見通しを伺いたい。
 平成18年度までに保育所を50カ所、3500人の待機児童の解消を図るとの県の計画についての進捗状況を伺います。
 児童虐待問題について伺います。
 本県における児童虐待の実態について示してください。
 児童虐待に関する相談件数は県内、全国とも右肩上がりでふえているようであるが、これは年度ごとに違いますが、本県の場合、全国平均の1.5倍の伸び率と言われております。本県の伸び率が高い原因はどこにあると考えておりますか。
 年金改革問題について今政府でいろいろやっておりますが、現在、国による改革が進められているが、どのような状況にあるか御説明をお願いいたします。
 厚生労働省が改革案を出したようであるが、これについて県はどう考えるか。
 次に、環境問題、廃車の不法投棄問題について。
 本県において廃車はどのような流れで解体業者に行き着くか。廃車が解体されるまでの過程について伺います。
 廃車の不法投棄の現状と撤去作業の進捗状況及び不法投棄にかかわった業者の処分状況について伺います。
 不法投棄が起きる原因はどこにありますか。
 不法投棄され野積みされた廃車の撤去について、行政の肩がわりと業者の自主撤去との割合はどうなっておりますか。
 撤去された跡の土地の汚染などについてどのような対策が講じられておりますか。
 次のカは省きます。
 赤土流出防止対策について。
 9月19日に沖縄を直撃した台風15号の影響で、本島北部の本部半島の沿岸は雨で河川から流出した赤土が海に広がった。本部町の瀬底大橋のたもとに河口がある大小堀川から流出した赤土は約700メートル離れた瀬底島の浜まで近づき、さらに赤土は本部港側まで海を覆い、ふだんの青い海を赤い海に染めたとのことであります。青い海は、我が沖縄の宝であります。海が汚れれば沖縄の魅力も失われる。赤土対策は極めて深刻で緊急を要する問題であると考える。県の対策を伺います。
 沖縄近海への廃油投棄問題でございます。
 第11管区海上保安本部によると、ことし6月以降県内に漂着して回収された廃油ボール、いわゆる外国船等が垂れ流す油でありますが、6600キロに上ったということであります。これだけの廃油が沖縄に漂着すれば、四方を海に囲まれているだけに洋上の環境悪化や生態系への影響も避けられないと思われます。しかも油を流したと思われる船を絞り込んでも特定することができないことが多いとのことであります。海が最大の観光資源である沖縄にとって、廃油汚染ははかり知れない影響があります。洋上パトロールを展開する海上保安本部の所管とはいえ、本県としても無関係ではいられない問題であります。県の対応を伺います。
 土木建築関係について、都市モノレール事業について。
 都市モノレールの将来路線延長計画について伺います。
 路線延長の形態については、中部地区まで、南部地区まで、あるいは那覇市内巡回線等考えられると思いますが、どのようにお考えですか。
 次に、新石垣空港建設問題について。
 建設に反対する共有地主への対応について伺います。
 空港周辺への環境対策についてもお伺いいたします。
 次に、中城湾港泡瀬地区干潟埋立事業について。
 中城湾港泡瀬地区干潟埋立事業について、作業の進捗状況を伺います。
 海草の移植計画等環境評価についてどうなっておりますか。環境省が求める評価の公表についてはどうなっておりますか。
 次に、公共事業の県内業者への受注機会の増大について伺います。
 県発注の、あるいは総合事務局、防衛施設局もそうですが、公共事業発注の県内業者への発注状況についてお示しいただきたいと思います。
 次に、沖縄の産業まつりについて。
 第27回となった沖縄の産業まつりが沖縄の産業経済の振興にどのような影響を与えたか、目に見える実績があれば説明願いたい。
 沖縄の産業まつりは、毎回かわりばえのしない内容でマンネリとの指摘も聞かれるが、現状はどうですか。
 産業まつりの出展業者や展示品で県外市場への販路拡大に成功した例はありますか、説明願いたい。
 第27回を迎えた沖縄の産業まつりを今後も続けていく上での課題はありますか。
 産業まつりも全庁的な事業としてやっておりますが、振興計画の一施策として位置づけて産学官が共同して推進していく必要があると考えるがどうか、今後の推進策を伺いたい。
 次に、県産品優先使用の拡大についてであります。
 県産品優先使用を県民に呼びかけることにより生産者の生産意欲を高め、ひいては他業種への波及効果を呼び、県内経済の活性化につながるものと考えるが、県の施策を伺いたい。
 県産品の振興を考える上で重要なことは、運動を県内だけでなく県外に広げることが必要不可欠なことと思われます。県内だけで消費される県産品では県経済の起爆剤となることは難しいわけであります。本土消費者に好まれ、必要とされるものでなくてはならないと考えるが、これに対する県の施策を伺いたい。
 県物産公社の「わしたショップ」は、県外での売り上げ等好調な業績を上げておりますが、県産品の販路拡大にどのようなかかわりを持ち、これまでどのような実績を上げてきたかお伺いします。
 また、年度ごとにこの「わしたショップ」の売上実績も示していただけたら幸いに思います。
 沖縄県産品へのトレーサビリティーシステム(追跡可能性)についてお伺いいたします。
 トレーサビリティーシステムを導入して成功した企業が県内にあると聞いております。その企業の内容等についてお示しいただきます。
 また、私はよく食の安全ということについて農産物の規制、いわゆる農薬取締法が去る4月から施行されまして、中国から例えばウコンとか原料を輸入して、どういう農薬を使っているかわからぬのに輸入して沖縄で加工をすれば沖縄産だとして、あるいは沖縄の人が従事して包装すれば沖縄産だとして売ってよろしいという企業のトップがおります。これが一体許されるものかどうか。
 JAS法によるいわゆる表示システム、これは一体どうなっているか。
 少なくとも産地表示で沖縄産何%、中国産何%というふうに指導をすべきではないかと、含めてトレーサビリティーシステムについての県の考え方を示していただきたい。
 自由貿易地域の活性化について伺います。
 中城湾港地区自由貿易地域賃貸工場への入居可能面積と実際の入居状況についてお示しいただきたいと思います。可能面積に対し実際の入居割合等も含めてお願いいたします。
 今後の入居予定企業と県の誘致施策をどのように展開していくかお伺いいたします。
 それから、軽油の免税についてでございますが、いわゆるトビ土工工事業については、くい打ち機、くい抜き機、あるいは掘削、運搬の用に供されるブルドーザー、トラクター、ショベル、パワーショベル、バックホー、ドラグライン、クラムシェル、クローラードリル、アースドリル、クレーン、その他これと類似する機械を有する者は、道路運送車両法によらないいわゆるナンバープレートをつけてない車両については軽油の免税があるということを聞いております。
 鉱物の採掘事業についてもそうでございますが、いわゆるテナント業者が発電機を持って発電をしております。このガソリン税、燃料税というのは目的税であって、こういうふうに特定の場所で道路を汚さない、今話しましたいわゆるトビ土工工事あるいは鉱物の掘削事業等についても、こういう機械は免除されますよという規定があるわけでございます。
 そういうことで、テナント業者のいわゆる発電機等についてもそれを適用できるのではないかというふうに考えますが、全国的にそれがないならば、沖縄からやったらどうかと。税法を改正させるぐらいの意気込みでやれないものかどうか、お伺いいたします。
 沖縄県の男女共同参画条例とジェンダーフリー思想との関係、本土ではいろいろジェンダーフリーの問題で騒がれておりますが、沖縄におけるこのジェンダーフリー教育あるいは思想というものは、現状は教育現場でどうなっておりますか。
 次に、県内での「オレオレ詐欺」とお年寄りに対する年金詐欺といいますか、年金詐欺の実態、いろいろあります。マスコミでも言われております年金を目当てにした詐欺、あるいは「オレオレ詐欺」、こういうことの実態がどのようにありますか、お聞かせいただきたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 高江洲義政議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、イラク復興支援と自衛隊の派遣についての御質問に対するお答えでございます。
 県としては、国連を中心としたイラクの復興が一日も早く実現することを期待しており、我が国も関係各国と協力しながら主体的に貢献していくことが望ましいと考えております。イラクへの自衛隊派遣は、イラクの人道復興支援を目的としたものだと承知しておりますが、国民の理解を得るためにも自衛隊の派遣に際しては十分な議論を深めるとともに、派遣地域や活動内容等について慎重かつ十分な検討が行われることを強く望むものであります。
 次に、経済の振興について、産学官が連携した共同体制の施策についての御質問にお答えいたします。
 本県産業の振興を図り民間主導の自立型経済を構築するためには、産学官が連携した研究開発によって新事業の創出や既存産業の高度化を図っていくことが重要であります。そのため、県では、産学官が連携した研究体制の構築に向け、県内外の大学や企業等との高度な共同研究が可能となるよう県の試験研究機関の充実・強化を図るとともに、その研究成果を民間企業等に移転するための環境整備、商品化を支援するための体制の強化などに取り組んでいるところであります。
 次に、雇用対策についてお答えいたします。
本県の雇用状況を改善していくためには、雇用吸収力のある産業の振興やこれを支える専門的な人材の育成、県内外に積極的にチャレンジする若年者の幅広い職業観の形成を推進することが重要であります。このため、県においては情報通信産業関連企業等の誘致促進、新規産業の創出や既存産業の活性化を図るなど雇用の場の拡大に努めているところです。特に若年者の雇用状況の改善を図るため本年6月に「沖縄県キャリアセンター」を設置し、約2500人の学生等に対し就職セミナーを実施するなど、職業意識の育成から就職までを一貫して支援する事業を展開しております。
 また、民間の教育訓練機関等を活用して多様な職業訓練を行う緊急委託訓練事業においては、平成14年度は993人の受講者のうち437人が就職しております。さらに臨時・応急の雇用対策として実施している緊急地域雇用創出特別事業においては、平成14年度は3297人の雇用が創出されております。
 県としては、今後とも引き続き各種施策を推進し雇用状況の改善に努めてまいりたいと考えております。
 次に、介護保険財政安定化対策についてお答えいたします。
 本県では、要介護認定率が高く介護サービスの利用が全国平均より多いため、介護給付費が増大し多くの市町村が介護保険財政安定化基金からの借り入れを行いました。このようなことを背景に、市町村の第2期介護保険事業計画では高齢者の介護保険料も上昇が見込まれたことから、県において償還期限の延長を国に働きかける等により保険料軽減策が講じられました。今後とも保険者に対し、介護保険事業適正化対策として介護報酬点検、ケアプラン点検や保険料の収納率の向上の取り組みについて引き続き強力に働きかけてまいります。県としても、介護に陥らないための県民の健康づくりが重要であると考えており、健康づくりの指針となる「健康おきなわ2010」を策定し、介護予防を積極的に推進しているところであります。
 次に、保育所整備計画の進捗状況についてお答えいたします。
 県が策定した「新おきなわ子どもプラン」において3500人の待機児童の解消を目標に掲げ、保育所整備に取り組んでおります。保育所の創設については、平成15年4月には6カ所が開所しており、現在13カ所が平成16年4月の開所に向けて準備しているところです。
 保育所入所定員で見ますと、保育所の創設や増改築等により平成15年4月には629人の定員増、平成16年4月には945人の定員増の予定となっており、合わせて1574人の定員の増加が図られる予定です。これにより平成16年4月には、「新おきなわ子どもプラン」2年目の実績として当面の解消目標となっている3500人の約45%が解消される見込みとなっておりますので、引き続き保育の実施主体の市町村と連携して目標達成に努めてまいります。
 次に、中城湾港の埋立事業の進捗状況についてお答えをいたします。
 泡瀬埋立事業は、平成12年12月19日に公有水面埋立免許及び承認を取得し、現在、埋立面積186ヘクタールのうち、第Ⅰ区域約95ヘクタールの埋立工事に着手しております。平成14年度においては工事用仮設橋梁、仮桟橋、護岸の一部分の工事を行ったところであります。今年度は、事業区域及び周辺区域で貴重種・重要種の海藻・草類、貝類等が新たに発見されたことから、生息調査及び保全策等への対応に期間を要しております。このため、県としては貴重種等の保全措置を図り、工事の早期再開に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、産業まつりの実績等についてお答えいたします。
 沖縄の産業まつりは、生産者の生産意欲の高揚と県民の県産品に対する意識を啓発することを目的に開催し、ベンチャー企業を初め多くの企業の参加のもと、毎年20万人余の入場者を集める一大産業イベントとして定着しており、県内製造業の振興に大きく貢献しております。特に優秀県産品の表彰や新商品の紹介など、産学官が一体となって県産品の品質向上に取り組んでいることを県内外にアピールする重要な場となっております。これまでの産業まつりを通してウコン、もろみ酢等の健康食品、県産素材を活用した化粧品、リサイクル製品等さまざまな県産品が県内外で高い評価を受け、沖縄ブランドとして全国に展開する商品も出てきております。産業まつりが、なお一層県内製造業活性化の契機となるよう今後とも積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 続きまして、県産品優先使用の施策についてお答えいたします。
 県産品の優先使用は、県内の市場占有率を高め、地域産業の振興と雇用機会の創出につながることから県としても各種事業を積極的に展開しているところであります。具体的には県産品奨励月間を設定し、国を初め市町村等関係機関への要請等を行うとともに、産学官連携のもとに産業まつりを開催し県産品優先使用に対する普及・啓発を行っております。さらに、県発注の公共工事においても特記仕様書の中で明記し、県産品の優先使用に努めております。県では、今後とも沖縄県工業連合会等関係機関と連携を図りつつ、県産品の優先使用について積極的に取り組んでまいります。
 次に、県産品の販路拡大における沖縄県物産公社のかかわりと実績についてお答えいたします。
 株式会社沖縄県物産公社は、県産品の販路拡大を図り、県内製造業の振興に資する目的で平成5年2月に設立されております。事業内容としましては、わしたショップ銀座店を初め直営10店舗における小売販売、スーパーなどの量販店や生協等への卸販売及び物産展での催事販売等となっており、大都市市場を主なターゲットとして県産品の販路拡大に取り組んでおります。
 また、海外展開につきましては、台北わしたショップ及び香港の高級スーパーにおける県産品の販売、さらに近年市場開放が著しい韓国において、地元企業との代理店契約を締結するなど着実に事業の展開を図っているところであります。このような国内外市場への販路開拓の結果、同社設立後の販売実績は、総取扱高が平成5年度の10億300万円から平成14年度には64億6600万円へと大幅に増加しております。
 次に、特別自由貿易地域内賃貸工場への入居予定企業及び企業誘致の展開についてお答えいたします。
 特別自由貿易地域内の賃貸工場は、初期投資の大幅軽減による企業の早期立地を目的に平成11年度から整備を開始し、現在12棟が完成しております。現在の入居状況は10社となっており、今年度も新たに6棟の整備を進めているところであります。今後の入居予定企業については、現在、賃貸工場に関心を示している10数社の企業と入居に向け交渉を行っているところであります。
 県の誘致施策については、日常的な企業訪問活動や企業誘致セミナーの開催、賃貸工場の計画的整備などを進め、企業誘致を積極的に推進していく考えであります。また、今年度は企業誘致の新たな方策として年明け2月から3月にかけて全国ネットのテレビや新聞、経済誌などのメディアを集中的に活用して特別自由貿易地域を初めとする特区の優遇措置などを広くPRしていく計画であります。私自身もこれらのメディアを活用しながら積極的にトップセールスを行っていく考えであります。
 その他の御質問等につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの高江洲義政君の質問に対する残りの答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午前11時58分休憩
   午後1時22分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 この際、報告いたします。
 説明員として出席を求めた出納長嘉数昇明君は、別用務のため本日の午後の会議に出席できない旨の届け出がありました。
 午前の高江洲義政君の質問に対する答弁を続行いたします。
 企画開発部長。
   〔企画開発部長 花城順孝君登壇〕
○企画開発部長(花城順孝) 分野別計画の延長と県独自の分野別計画を国の同意計画にすることについての御質問にお答えします。
 本県の振興については、沖縄振興計画のアクションプランである期間3年の分野別計画に基づき取り組んでいるところです。今後は、3年ごとに分野別計画を更新しながらその目標達成に努めてまいります。
 分野別計画の中でリーディング産業である観光・リゾート産業や情報通信関連産業及び農林水産業の振興と雇用の確保については、特に国と密接に連携し取り組む必要があることから、国の同意を得ることができるようになっております。福祉、環境、教育などの振興については、県が主体性を持って取り組むべき分野であることから、県独自の分野別計画に基づいて推進をしてまいります。
 次に、産学官共同研究として位置づけた事業についての御質問にお答えします。
 現在、県は、沖縄産学官共同研究推進事業で情報通信、健康食品・バイオ、農林水産業、リサイクル等の分野における新製品やサービス等の開発を促進し、新産業の創出や地域産業の振興を図っています。また、沖縄県地域結集型共同研究事業では、沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターを拠点に亜熱帯生物資源の高度利用技術の研究開発、沖縄電子商取引普及促進事業では、県内企業の電子商取引システム等の研究開発を産学官共同で実施をしております。さらに、国の地域新生コンソーシアム研究開発事業では、事業化に直結した実用化技術の研究開発が実施されております。県としましては、今後ともこのような産学官の共同研究開発を積極的に推進し、本県経済の振興を図ってまいりたいと考えています。
 次に、新年度の重点事業は振興計画のどの部分を想定したものかという御質問にお答えをいたします。
 平成16年度は分野別計画の最終年度であり、目標の着実な達成に努めるとともに、地方分権の進展や厳しい財政事情などに的確に対応しつつ、経済雇用情勢の改善など県政の諸課題に積極的に取り組んでまいります。このような観点から、重点施策では産業振興と雇用の創出・確保、大学院大学の設置促進と科学技術の振興、環境共生型社会・健康福祉社会の形成と安全・安心な生活の確保を大きな柱として沖縄振興計画の着実な実現に向けて取り組むこととしております。
 次に、都市モノレールの延伸及びその形態について一括してお答えします。
 都市モノレールの延伸については、延伸が想定される地域の開発計画や今後のバス路線網等を踏まえて検討する必要があります。加えて、モノレール開業後の利用状況やモノレール株式会社の収支見通し等の経営的な観点も重要な要素であると考えております。したがいまして、モノレールの延伸については需要の動向や経営状況などを踏まえるとともに、骨格的な公共交通軸のあり方やバス等他の交通機関との連携など、多様な視点から総合的・段階的に検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○商工労働部長(伊川征一) 県経済の振興についての御質問の中の、情報通信産業振興計画及び職業安定計画の達成実績についてお答えをいたします。
 「沖縄県情報通信産業振興計画」では、計画期間に達成すべき主な数値目標として、第1に、情報通信関連産業における雇用者数を1万2000人と設定していますが、平成14年度の雇用者は約1万1000人となっております。第2に、県外からの誘致企業数については3市町村でインキュベート施設が開所したことなどもあり、目標値74社に対して平成15年9月までに77社が新規に立地し目標を達成しております。
 次に「沖縄県職業安定計画」では、計画期間に達成すべき主な数値目標として、第1に、雇用機会の創出・拡大と求職者支援においては新規雇用者数を2万人と設定しており、平成14年度には5311名の新規雇用が創出されております。第2に、若年労働者の雇用促進については新規学卒者の就職率を75%と設定し、平成14年度の高校新規学卒者の就職率は73.8%、大学生等新規学卒者の就職率は69.5%となっております。第3に、職業能力の開発と人材育成については職業訓練受講者数の目標を4万1000人と設定しており、平成14年度には1万2710名が職業訓練を受講しております。今後も各計画における各種施策を積極的に推進し目標達成に努めてまいります。
 次に、雇用失業問題についての、新規学卒者の就職状況の改善についてお答えをいたします。 
 新規学卒者の雇用対策については、県内外企業合同求人説明・面接会、就職フォ-ラムの開催等きめ細かな対策を実施しているところであります。沖縄労働局によると、平成15年3月新規学卒者の就職状況は、高校生は73.8%と対前年同月比11.4ポイントの増、大学生が52.7%と対前年同月比で1.6ポイントの増加となっております。また、平成16年3月新規高卒者の就職内定率は、9月末現在で6.6%と対前年同月比で2.1ポイントの増、求人数についても前年同月比で33.2%増加していることから、学卒者の就職状況は改善が図られるものと期待をしております。
 なお、大学生等の就職内定状況については12月中旬に発表の予定と聞いております。
 次に、若者の県内志向及び公務員志向の理由についてお答えをいたします。
 県内で実施された若年者に関する各種調査によると、大学生等の若年者が県内に就職したいと考えている人が約7割となっております。県内を希望する理由としては、沖縄の自然、文化など住みなれた土地であることや、親、家族、友達と離れるのが嫌だからという沖縄への愛着を反映した要因と、県外で就職してやっていけるか不安や県外の仕事の厳しさという本県以外での生活や仕事の未経験からくる自信のなさ等に起因する理由もございます。
 また、公務員を希望する理由として、安定しているが最も多くなっておりますが、そのほかに、取り組んでみたい仕事である、自分の能力が発揮できそうであるという、いわゆるやりがいを求める理由もございます。
 続きまして、ミスマッチの原因についてお答えをいたします。
 企業が若年者に対して求める一般的な人材ニーズといたしましては、仕事に対する熱意や積極性、専門的な知識に加え即戦力となる技術・技能等であります。
 一方、学生等若年者の就職志向は仕事の内容・安定性、待遇面等を重視する傾向にあります。このようなことから、求人側と求職者側に業種・職種、技能・技術、賃金、熱意等複合的なミスマッチが生じていると考えられ、特に求人側からは積極性、就業意識の低さが指摘されております。このため、県においては本年6月に「沖縄県キャリアセンター」を設置し、職業意識の育成から就職活動、資格取得等若年者の就職を総合的に支援をしております。
 次に、商工労働関係についての御質問の中で、沖縄の産業まつりの現状と県外市場への販路拡大について一括してお答えをいたします。
 産業まつりが本県産業の現状と方向性を示すとともに、参加企業の意欲を高め、県民の要望にこたえられるものとなるよう、開催に当たっては、毎年、行政や経済団体等幅広い関係機関で構成する「産業まつり推進本部」で開催方針を策定し実施してをおります。最近は、新技術や新商品等新たな産業の創出につながる分野を特別展として位置づけるなど、まつりの構成に工夫を凝らしております。特に今年度は、環境問題に対する関心と県内で製造されているリサイクル製品に対する認識を深めることを目的として環境・リサイクル関連分野を新たに展示し、充実・強化を図っているところであります。
 また、産業まつりには県外から流通・販売の関係者も視察に訪れており、ウコン、もろみ酢、化粧品、海洋深層水関連商品、沖縄の塩等の新商品が産業まつりを一つの契機として県外販売につながっており、出荷額も年々増加しております。
 続きまして、沖縄の産業まつりの課題及び今後の推進策について一括してお答えをいたします。
 産業まつりの今後の展開については、県外市場を視野に入れた取り組みの強化を図るため、県外バイヤー等を招聘した商談会の開催や県外での産業まつりの開催などが課題として実行委員会で指摘をされております。また、産業まつりの運営についても、民間主導にシフトすることが必要であるとの指摘もなされております。県としては、産業まつりがこれまで以上に本県産業の振興に貢献できるよう、これらの課題を踏まえ産学官の連携を含めた新たな展開について関係機関と検討を進めているところであります。
 続きまして、本土消費者に好まれる商品づくりと県外展開についてお答えをいたします。
 県内製造業の振興を図るためには、県産品の市場を県内のみならず積極的に県外へ求めることが重要であります。このため、県外市場と県内企業を結びつけるマーケティング活動やプロモーション活動を促進するとともに、沖縄県物産公社とも連携を密にして県外市場展開に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。さらに、工業技術センターやTTCを中心に県内企業の技術開発力と研究開発力を高め、付加価値の高いオリジナリティーあふれる製品づくり、売れる商品づくりやISO、HACCPなど国際的な品質保証規格の認証取得を支援しているところであります。
 続きまして、特別自由貿易地域内賃貸工場の入居状況についてお答えいたします。
 特別自由貿易地域内の賃貸工場については、入居企業の利便性を考慮して1棟独立型とし、床面積については1000平米、1500平米、2000平米の3タイプを整備しているところであります。現在、1000平米タイプ3棟、1500平米タイプ7棟、2000平米タイプ2棟の計12棟の整備が完了しております。
 賃貸工場への入居状況は、12棟中11棟に企業が入居しております。残りは1000平米タイプ1棟が未入居となっておりますが、現在、入居希望企業と具体的に調整を進めているところであります。また、本年度も新たに1500平米タイプを6棟整備しているところでありますが、これらにつきましても入居関心企業と交渉しているところであり、今後とも企業誘致活動を積極的に進めていく考えであります。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) 観光振興計画の達成実績についての御質問にお答えをいたします。
 まず、入域観光客数につきましては平成14年は480万人の目標に対し483万人と目標を達成しております。また、平成15年におきましても500万人の目標を達成できるものと見込んでおります。
 観光客1人当たりの県内消費額につきましては、ことし9月末時点での速報値で前年同期比1.4%、金額にして約1000円の伸びとなっております。平均滞在日数につきましては、平成16年までの目標として3.73日を設定しておりますが、平成14年は3.77日と目標を上回る実績を上げております。
 なお、観光振興計画には74項目138の主要施策を掲げておりますが、現時点までに完了あるいは着手している施策は129施策で約9割となっております。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 農林水産業振興計画の達成状況についてお答えいたします。
 農林水産業振興計画については、平成14年度から3年間を目途として各種の施策・事業と目標値を定めた実施計画であります。そのため、計画の達成状況については平成16年度までの3カ年計画が終了した後に集計して示されることになります。
 ちなみに、計画初年度の主要な達成状況としては、1、平成16年度の圃場整備目標2万3000ヘクタールに対し76%、2、平成16年度のかんがい施設整備目標1万3500ヘクタールに対し88%、3、平成16年度の農業粗生産額目標1060億円に対し87%の達成となっております。県としては、計画の目標達成に向けて進捗状況の点検を行うなど適切な進行管理を行ってまいります。
 続きまして、トレーサビリティー導入の取り組みと事例等についてお答えいたします。
 県としましては、安全・安心な農産物を安定的に供給するため、植えつけ時期や肥料・農薬の使用状況等の生産履歴台帳を整備し、消費者へ情報発信するシステムの構築を促進することとしております。加工食品の原料の原産地については、JAS法に基づき漬物、水産物加工品の一部及び野菜冷凍食品などが表示義務の対象となっておりますが、大部分の加工食品については表示義務は課されておりません。したがいまして、製造業者が原料の原産地を表示したい場合は自主的な判断で表示することができることとなっております。
 また、食品表示の適正化を図るため巡回指導や食品表示110番を設置するとともに、去る9月には食品表示監視員を配置して監視体制を強化しております。
 なお、トレーサビリティーを導入した企業の事例については、豚肉加工販売会社において豚の飼育から加工販売までの生産履歴の整備を行い、消費者へ情報を発信する体制が整っていると聞いております。
 以上でございます。
○総務部長(仲田輝享) 県の行財政改革問題の、公社等外郭団体の整理統合等の実績、及びこれらの改革による財政効果について一括してお答えします。
 公社等外郭団体の整理統合については、これまで19団体を対象に統合7件、廃止1件、解散1件及び事務局統合1件が実施されたところであります。具体的な事例として、統合は沖縄コンベンションセンターなどの3団体を統合して沖縄観光コンベンションビューローを、社会福祉振興基金と長寿社会振興財団を統合していきいきふれあい財団を、沖縄県国際交流財団と沖縄県人材育成財団を統合して沖縄県国際交流・人材育成財団の設立等があります。廃止は沖縄県農林漁業技術開発協会、それから解散は株式会社沖縄マリンジェット観光であります。事務局の統合は、沖縄県土地開発公社と沖縄県住宅供給公社であります。
 これらの改革による財政的効果については過去10年間の具体的な数値の把握は困難でありますが、最近の事例で見ますと、土地開発公社と住宅供給公社の事務局統合によりまして理事長及び事務局長等の兼務による人件費の削減で、単年度で約5000万円の経費節減が図られているところであります。
 このように統廃合により県からの派遣職員の減による人件費の削減や組織の簡素化・合理化等が図られ、それに見合う財政的効果が上がっているものと考えております。
 次に、附属機関の見直しについてお答えいたします。
 平成15年度現在、法令に基づき設置されている附属機関は沖縄県私立学校審議会等37機関、それから条例に基づき設置されている附属機関は沖縄県情報公開審査会等33機関ございます。この間、附属機関については設立の意義を再評価し、廃止・統合を含め見直しを行ってきた結果、この10年間で5機関を廃止、4機関を統合しております。県としましては、「新沖縄県行政システム改革大綱」に沿って今後も附属機関について適宜見直しを行うとともに、県民ニーズの複雑多様化・高度化、環境問題、NPO等の活動の活発化等時代の変化に対応しつつ、各方面の意見を総合的かつ公平に行政の意思決定に反映させるため附属機関の委員公募制を導入していく考えであります。
 次に、知事部局及び公社等の職員数適正化の目標と実績について一括してお答えをいたします。
 県は、これまで数次にわたる定員適正化計画を策定し、定員の適正化に努めてまいりました。平成6年度から平成15年度の10年間で知事部局職員数についておおむね145名の職員の削減目標に対し244名の削減を行っております。また、公社等への県職員の派遣については、平成6年度から平成15年度の10年間で74名の削減を行ってきております。
 県では、組織・機構の簡素合理化、事務・事業の見直し、業務の民間委託、市町村への権限委譲、公社等への人的関与の見直しなどを推進することにより、平成15年度から平成24年度までに知事部局の一般行政職員470名程度を削減する計画を策定し、今後とも職員数の適正な管理に当たっていきたいと考えております。
 次に、重点事業と行財政改革の関係についてお答えいたします。
 沖縄振興計画に基づく諸施策を効果的に推進するためには事業の選択と資源の集中が必要であると考えております。このため、「新沖縄県行政システム改革大綱」においては、県民視点に立った行政を一層推進するとともに、真に必要な政策を選択し、やるべきことはしっかりとやる行政運営を目指しております。今後とも、厳しい財政状況を踏まえ、限られた行政資源を重点的・効果的に配分し、沖縄振興計画に基づく諸施策を着実に推進していきたいと考えております。
 次に、軽油の免税についてお答えいたします。
 軽油引取税は、道路の整備拡充のため道路財源に充てる目的税として創設されているものでありますが、自動車用燃料以外の軽油の引取に対しても課税されることについては、道路整備による恩恵は道路の運行に直接関係する者以外にも及ぶという観点から、広く負担の分担を求めることが適当であると考えられたことによるものであります。
 軽油引取税の免除については、地方税法第700条の6及び政令において極めて限定的に軽油引取税の免除の規定が設けられております。現在、免除の対象となっているのは船舶、公共用電源、鉄道用車両等、農業・林業用機械のほか23業種となっております。テナント業者が使用する発電機については地方税法に規定されている業種には該当いたしませんので、免除の対象とはなっていないところであります。
 地方税法に関することは全国的な問題であることから、国及び都道府県の動向を見ながら対応したいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 介護保険料についてお答えいたします。
 65歳以上高齢者の支払う介護保険料は3年に一度改定することになっており、平成15年度がその年に当たります。新たな保険料の額については各保険者の条例により定められていますが、52市町村のうち47市町村で保険料が上昇する結果となっています。県の平均月額は4957円となっており、改定前と比較して約37%の上昇となっています。最も保険料が高いのは糸満市の5680円で、最も安いのは多良間村の2700円となっています。また、全国平均の3293円と比較すると本県は約1.5倍の額となっており、全国で最も高くなっています。
 続きまして、事業適正化の指導体制についてお答えいたします。
 介護保険制度を安定的に運営し、より適正なサービス利用促進のために次の取り組みを行っております。
 まず、保険者である市町村等に対しては、市町村事務実地指導、保険料説明会や戸別訪問等による徴収努力の取り組み指導、介護保険給付費通知事務指導、それから介護報酬点検事務の強化指導、ケアプランの点検事務の強化指導等を実施しております。
 次に、要介護者の増加防止策としては、在宅の高齢者の自立に向けた生活を支援するため市町村が健康づくりや生きがいデイサービス、筋力向上トレーニング等の介護予防・地域支え合い事業を積極的に実施するよう支援・働きかけを行っております。
 次に、介護保険制度の円滑な推進のため県と市町村が共同で新聞、ラジオ、テレビやポスターなどによる広報事業を展開しております。そのほかにも市町村等介護保険担当課長会議を開催して適正化対策の助言を行っております。
 続きまして、認可外保育施設の認可への対策と支援策についてお答えいたします。
 平成15年4月には5カ所が認可外保育施設から認可へ移行しており、また平成16年4月には13カ所の創設が予定されており、そのうち11カ所が認可外保育施設からの移行となっております。県としては、平成14年度から実施している認可外保育施設認可化促進事業を積極的に活用して、認可外保育施設から認可への移行を促進するよう保育の実施主体である市町村に対し働きかけているところです。
 さらに、認可外保育施設を利用している児童の処遇向上を図る観点から、県単独事業で児童の健康診断費や4歳未満児に対するミルク代などを助成する新すこやか保育事業を引き続き実施しております。
 また、施設長研修や保育従事職員研修及び調理職員に対する研修を実施するとともに、今年度から新たに「事業所内保育所」の職員研修を実施しています。今後とも、市町村及び関係機関と協力して支援の拡充を図っていきたいと考えております。
 続きまして、現在の待機児童の総数及び今後の見通しについてお答えいたします。
 平成15年10月1日現在、市町村に入所申し込みを行ったが待機となった児童数は、市町村の集計によりますと2624人となっております。これは、平成15年4月1日現在の2051人より573人の増加となっています。待機児童がふえた理由として市町村からの報告を勘案いたしますと、求職中の保護者の申し込みの増加や認可外保育施設を利用していた児童の申し込みの増加など、保育所整備に伴い新たな保育需要が生じたことによるものと考えられます。
 なお、本年7月に「次世代育成支援対策推進法」が成立し、県及び市町村は平成16年度中に行動計画を策定することが法律で義務づけられており、その策定に際してはニーズ調査などに基づき新たな目標数値が市町村から示されることになっております。県としましては、新たな行動計画に合わせて待機児童の解消目標を見直す予定であり、今後とも保育の実施主体の市町村と連携して待機解消に努めてまいります。
 続きまして、児童虐待の実態及び伸び率が高い原因について一括してお答えいたします。
 全国の児童相談所が取り扱った児童虐待の平成14年度相談処理件数は、厚生労働省が取りまとめた福祉行政報告例によりますと2万4195件で、集計を始めた平成2年度の約22倍に上り過去最高の件数となっております。
一方、本県の児童虐待の平成14年度の相談処理件数は367件で、平成2年度の約23倍に上り、本県においても全国と同様過去最高の件数となっております。
 この数年の全国及び本県における児童虐待の相談処理件数が高い伸びを示しているのは、虐待に対する地域の認識が深まってきていることや、それに加え、講演会を開催するなど虐待防止の周知を積極的に推進していることなどがその要因であると考えております。
 本県におきます平成14年度の児童虐待の相談種別は、保護の怠慢ないし拒否のネグレクトが150件で最も多く全体の40.9%、次いで身体的虐待が145件で39.5%、心理的虐待は60件で16.3%、性的虐待は12件で3.3%となっております。全国に比べ、ネグレクトの割合が引き続き高い状況となっております。
 続きまして、年金改革の状況及び厚生労働省の年金制度改革案について一括してお答えいたします。
 公的年金制度は、高齢期の生活の基本的な部分を支えるものとして国民生活に不可欠な制度となっていますが、少子化の進展等の社会経済の変化により多くの課題が出ているところであります。去る11月17日には、年金改革に向けての厚生労働省(案)が示されたところであり、現在、政府案の取りまとめが進められているところです。
 厚生労働省(案)の主な内容は、厚生年金の例では、給付と負担を見直し保険料負担を年収の20%を上限として段階的に引き上げること、給付水準を現役世代の収入の50%以上を確保すること、また財源確保のため国民基礎年金の国庫負担割合を2分の1へ引き上げることとなっております。
 年金制度は、安心して老後の生活を送るには欠くことのできない社会保障制度であり、県としては、将来にわたり安心して信頼のおける持続可能な制度としての構築が必要と認識しております。
 以上です。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 環境問題の御質問のうち、まず廃自動車の御質問にお答えいたします。廃自動車の適正処理の過程についてお答えします。
 県内における廃自動車の適正処理の流れは、通常、最終所有者が自動車販売業者や自動車整備業者等に廃自動車を引き渡した後、廃棄物処理法に基づく産業廃棄物収集運搬業の許可を受けた自動車解体業者や中間処分業の許可を受けたシュレッダー業者に持ち込まれ処理されております。
 自動車解体業者やシュレッダー業者は、処理の過程においてフロン類やエアバック類の適正処理を行った後、廃自動車からエンジンやボディー部品を取り外して再使用したり、あるいは金属類の原材料として再資源化する等の処理が行われております。解体後、リサイクルできないシュレッダーダスト等の残渣物については、県内の管理型最終処分場や焼却施設において適正処理されております。
 次に、廃自動車不適正処理の現状、撤去作業及び不適正処理業者に対する処分状況についてお答えいたします。
 廃自動車の不法投棄・大量保管の状況は、平成15年3月末現在、100台以上の大量保管箇所が沖縄本島で39カ所、約2万3000台、宮古・八重山で10カ所、約1万4000台となっております。
 県においては、これまで産業廃棄物収集運搬業の許可を取得していない自動車解体業者等に対しては、許可取得や大量保管箇所の改善等について指導してきたところであり、各保健所においては、平成13年から本年6月までに立入検査524回、警告書の交付72件、報告書の徴収49件、措置命令9件を実施するなど指導強化に取り組んでいるところであります。
 また、指導に応じない悪質な業者については、告発を行うなど警察と緊密な連携を図り迅速な行政措置及び積極的な事件捜査に努めているところであります。その結果、名護市、石垣市、勝連町等においては、事業者がみずから撤去作業を行い大量保管箇所の改善が進んでいるところもあります。県といたしましては、今後とも関係機関と連携して現状の把握に努めるとともに、廃自動車の適正処理の推進に取り組んでまいる所存です。
 次に、不法投棄発生の原因についてお答えいたします。
 廃自動車の不法投棄・不適正処理が増加した理由としましては、ユーザー自身のモラルによるものはもちろんでございますが、県内においては、自動車に対する依存度が極めて高く、中古車が多いために使用年数が短く廃車の発生率が高いこと、これまで有価で売買されていたものが、平成10年末以降、鉄スクラップ価格の低迷と最終処分費用の高騰によって廃自動車の処理の逆有償化が進み処理費用の負担がふえたこと、一部の中古車販売業者や自動車修理工場等の排出事業者について、廃棄物処理法等関係法令が遵守されていないこと等が挙げられます。
 次に、不法投棄、野積みされた廃車の撤去等についてお答えいたします。
 事業者が野積みした廃自動車の撤去対策につきましては、行為者等に対する撤去指導、排出事業者の調査、土地所有者からの事情聴取等を実施し、あらゆる角度から指導を行い関係者等に撤去を求めていくことが必要であります。県におきましては、事業者に対して警告・措置命令を行うなど積極的に対策を講じているところであり、その結果、既に野積み箇所の撤去を終えたり撤去作業が開始されている箇所もあります。
 なお、野積み箇所の撤去についてこれまで行政が肩がわりした事例はございませんが、行政指導に従わず改善に応じない悪質な事業者に対しては、警察への告発を行うとともに行政代執行も視野に入れて、これまで以上に厳正に対処していきたいと考えております。
 一方で、路上や空き地等に不法投棄された廃自動車は、市町村における一般廃棄物として扱われます。
 県におきましては、放置自動車の発生防止条例制定を行った市町村に対して、沖縄特別振興対策事業費を活用して撤去費用を補助し、廃棄物処理法に基づく市町村による行政代執行として平成13年度に1万882台、平成14年度に5801台を撤去・処分いたしました。今後は、県下全市町村において制定した放置自動車発生防止条例に基づき所有者に対する指導等を行い、放置自動車の発生防止を図るよう市町村を指導していきたいと考えております。
 撤去された跡地の汚染などに関する対策についての御質問にお答えをします。
 産業廃棄物の不適正処理や不法投棄等の事案については、管轄する福祉保健所により生活環境保全上の支障がないか確認を行っており、その都度、現場の状況に応じて衛生環境研究所と連携して必要な環境調査を実施してきております。生活環境の保全上支障が生じ、または生ずるおそれがあると認められるときには、事業者に対して適切な措置を講じるよう廃棄物処理法に基づく措置命令を行っているところであります。
 廃自動車が撤去された跡地については、これまで土壌等の汚染事例は確認されておりません。県におきましては、今後とも現場の状況に応じて必要な環境調査を実施していきたいと考えております。
 次に、赤土についての御質問にお答えをします。県の赤土流出防止対策でございます。
 赤土等の流出については、平成7年の赤土等流出防止条例の施行により開発事業からの流出量が大幅に減少しており、現在は全流出量の7割以上を占める農地からの流出防止が課題となっております。農地からの流出防止対策としては、圃場の勾配修正、沈殿池の整備等を行う水質保全対策事業や緑肥栽培等の普及など営農面の取り組みを実施しております。
 また、国の委託による各種防止策の実証調査を実施しているところであり、効果が認められ次第普及を図ることとしております。
 さらに、地域住民や関係団体等が一体となった住民主導型の「流域協議会」の新たな設立と育成に努めているところであります。
 御質問にある大小堀川の赤土流出についても、主な発生源は農地であることから引き続き流出状況の把握に努め、地元本部町等関係機関と連携して流出防止を図っていきたいと考えております。今後とも、赤土等の流出については条例に基づく届け出等の審査や監視・指導を継続するとともに、関係機関、市町村、地域住民とも連携を図りながら農地対策に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、沖縄近海への廃油投棄に係る県の対応についてお答えいたします。
 エメラルドグリーンに輝くサンゴ礁の海は、本県の豊かな自然環境の象徴であり貴重な観光資源でもあります。このことから、沿岸域における廃油汚染の未然防止を図ることは大変重要であると考えております。
 第11管区海上保安本部から海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第45条第2項に基づく通報があった場合は、環境保全課が窓口になり通常時及び夜間、土・日・祝祭日の通報体制に基づき庁内関係機関へ迅速に通知し、沿岸域における被害防止に努めております。
 また、中城湾及び金武湾につきましては、県の公害監視船「こんぺき」が定期的に洋上パトロールを行い、同海域における廃油汚染の早期発見に努めるなど補完的な役割を担っております。
 さらに、廃油が沿岸域に漂着した際の漁場被害については、漁場油濁被害救済基金、海岸域の清掃については海浜地域浄化対策委託費などを活用し、市町村、ボランティア等で対応しております。今後とも、第11管区海上保安本部と連携を図りながら沿岸域の環境保全に努めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 土木建築関係についての、新石垣空港建設に反対する共有地主への対応についてにお答えいたします。
 反対共有地主の土地は、2筆で1556平米、地主数は522人となっています。全体に占める割合は、地積が0.1%、地主数が83.9%となっています。なお、共有地主の90.6%が県外在住者となっています。
 県は、反対共有地主に対し、これまで石垣市や「新石垣空港早期建設を進める郡民の会」と連携し、事業への理解と協力をお願いしてきております。ことし9月末からは、共有地主に対する同意取りつけ作業も開始しておりますが、同意依頼文書の受け取り拒否などが多く厳しい状況にあります。県としては、今後とも地元と連携し理解が得られるよう取り組みを続けてまいりたいと考えております。
 次に、新石垣空港周辺への環境対策についてにお答えいたします。
 新石垣空港の建設予定地の周辺陸域及び前面海域は自然度の高い地域で、新空港の建設に当たってはそれらの環境保全が重要であると考えております。現在、建設工法及び環境の両検討委員会の委員の指導・助言をいただき、雨水の地下浸透に配慮した盛り土構造や赤土流出防止対策など自然環境への負荷の少ない建設工法を検討しているところであります。また、環境影響評価の手続については、環境影響評価法に基づき適切に進めております。
 次に、泡瀬埋立事業で環境省が求める評価の公表についてにお答えいたします。
 泡瀬埋立事業における藻場移植に関し、環境省から海草移植計画の策定と公表が求められたところであります。このため、平成10年度から平成13年度の移植実験の成果を踏まえて移植計画を策定したところであり、平成14年9月30日に開催された環境監視・検討委員会に諮り、1、手植え移植工法は条件が整った場所では適用性が高い、2、機械化移植工法は台風等への減耗対策の技術向上を図るべきとの評価を得ており、その内容について平成14年12月17日に公表したところであります。その後、さらに平成14年12月から平成15年1月に手植え移植を実施するとともに、機械化移植による減耗対策工法試験を行い、現在はモニタリング調査を実施しているところであります。
 その結果について、平成15年7月8日の環境保全・創造検討委員会に報告され、手植え移植した海草は生育面積が増加を始めており、機械化移植減耗対策工法試験では生育面積は大きく変化していないため、今後ともモニタリングを継続することが確認され公表したところであります。
 次に、県内業者の受注機会の増大についてにお答えいたします。
 県におきましては、公共工事の県内企業への優先発注に努めているところであります。土木建築部の平成14年度に発注した工事契約については1483件、金額で約683億7000万円となっておりますが、そのうち県内企業との契約件数は1469件、率で全体の96.4%になります。金額にしますと約607億5000万円で、率で88.9%になります。
 これを工種別に見ますと、土木一式工事で848件、率で97.5%、金額で約396億7000万円、率で89.3%になります。
 建築一式工事は72件、金額で約90億8000万円、管工事は45件、金額にして約14億5000万円で、これにつきましては100%県内企業の契約となっております。
 電気工事は104件、率で88.9%、金額は約25億2000万円、率で76.5%になります。
 その他の工事は400件、率で95.2%、金額で約80億4000万円、率では79.3%となります。
 国の沖縄総合事務局と防衛施設局における県内企業の契約件数は897件で、率にして87.3%、金額にして約625億円、率で52.1%と聞いております。
 以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) 男女共同参画推進条例とジェンダーフリーについてにお答えいたします。
 ジェンダーという言葉は、社会的・文化的に形成された性別という意味で、国の基本計画や県の計画においても使用されておりますが、ジェンダーフリーという用語は国内の法令等及び県の条例等においても使用されておりません。現在、一部には画一的に男性と女性の違いを一切排除するという意味でジェンダーフリーという言葉を使っている方がいますが、沖縄県男女共同参画推進条例はこのようなことを目指しているのではありません。
 男女共同参画社会基本法で求められているとおり、性別にかかわりなくいわゆるジェンダーに縛られず、その個性と能力を十分に発揮することができる社会、男女が差別を受けることなく対等なパートナーとしてさまざまな分野に参画し、利益も責任も分かち合っていけるような社会を目指しているものであります。
○警察本部長(髙橋清孝) 「オレオレ詐欺」等の実態についてお答えいたします。
 警察では、子供や孫等を装って事件・事故の示談金などの名目で金銭をだまし取ることを一般的に「オレオレ詐欺」と呼称しております。
 本県における「オレオレ詐欺」について、県警では本年1月から11月末日までの間に発生件数27件、被害総額約1380万円を把握しております。27件のうち20件が既遂、7件が未遂で、中には1件で800万円の被害が出ている事案があります。これらの被害者はほとんどが50代から90代までの女性で、息子や孫など肉親を装って電話をかけてきた人物が、事件・事故の示談金などの名目で金銭を準備させ、指定の口座に振り込ませたり、後で代理人と称して被害者宅に赴いて現金をだまし取るような事案が見られます。
 県警では、被疑者の検挙に向けて捜査を推進することはもちろんですが、自治会、老人クラブ等と連携して高齢者世帯を対象とする被害防止の広報活動を実施するとともに、金融機関に対しては、被害認知時における振り込み指定口座の迅速な凍結を依頼しているほか、高齢者による定期預金の解約や多額の振り込みの際の窓口での確認について近く依頼する予定であり、各種防止対策を推進しているところであります。
 次に、年金受給者など高齢者を対象として社会保険職員等を装い、電話や文書で年金の過払い額の返還請求等の名目で金銭を脅し取ろうとした詐欺事件につきましては、県内では把握しておりません。しかし、この種事案の被害を防止するため社会保険事務所、市町村、自治会、民生委員、老人クラブ等の関係機関・団体と連携の上、年金受給者やその家族等を中心に広報・啓発活動を実施しております。
○嘉陽 宗吉 それでは、自由民主党を代表して私見を述べながら、通告してありますとおり順を追って質問をさせていただきますので、当局の誠意ある御答弁をよろしくお願いを申し上げます。
 1点目に、基地問題についてでございます。
 (1)、日米地位協定の改定についてでございます。
 全国に展開する米軍専用施設の75%に相当する施設がこの狭隘な面積を有する沖縄に押しつけられ、県民は基地あるがゆえに派生する事件・事故等数々の被害を初めとする基地負担を強いられてきただけではなく、経済の振興においても支障を来している状況にあります。
 このため、県民は基地負担の軽減、人権や基地環境の改善を図るためさまざまな形での抵抗、抗議、要請を繰り返し日米両政府に対し沖縄の現状を訴えてきたところであります。特に、米軍人による事件・事故が多発し、地域からの抗議、知事の抗議、県議会の抗議決議等が幾度となくなされても一向に改善の兆しが見られない状況にあって、県民は米軍と県民との関係の根本となっている日米地位協定の根本的な改定を求めるに至ったのであります。
 しかしながら、沖縄県民の米軍との共存のための最低限の願いである地位協定の改定要求に対し、外交の特権を有する日本政府は改定にこたえず運用改善で臨むとの方針を変えず、米国に対する弱腰外交は改まっていないのであります。しかし社会状況は確実に変わっております。
 さきに沖縄で開催された全国都道府県議会議長会の定例総会におきまして「日米地位協定の見直しに関する決議」が初めて単独案として審議され、全会一致で可決されたのであります。そして日本商工会議所も全国の商工会議所と一緒に政府に改定を強く要望したいと述べております。
 既に県内市町村はもとより全国知事会、日本弁護士会、日本青年会議所等全国の主要団体がこの問題を注目し、早期の改定を求める決議を行っているのであります。この問題はついに財界までが改定を要求したことにより全国的な世論の盛り上がりに発展するものと大いに期待しているところであります。
 政府もここに来て米兵被疑者の取り扱いに関する日米交渉を開始しておりますが、結局、日米双方は合意に達せず不調に終わっております。米兵が基地外で犯罪を起こして基地内へ逃げ込めば起訴されるまで米側が被疑者の身柄を確保するという優遇措置が米兵による犯罪に歯どめがかからないとの非難が解消される見通しは全く立っていないのであります。
 我々県民が求めるのは、今、日米で協議されている米兵被疑者の弁護士を同席させる等の処遇改善の問題ではなく、地位協定の抜本的見直しそのものであります。この問題が今日全国的に注目されるようになったのは、知事が中心となって展開している全国行動プラン、いわゆる知事の全国行脚の効果であります。これには我が自民党も全国渉外知事会、議会への働きかけを行ってきたのであります。
 日米地位協定の改定問題はこのような全国的な広がりを見せている中で、今後知事がどのような行動を展開するかによって改定への動きが加速されるものと思うのであります。
 そこで伺います。
 ①、日米地位協定の改定問題については、知事の全国行脚を初めとした県として現時点で考えられるあらゆる努力を行ってきたことと思います。既に24都道府県において地位協定の見直しを求める決議が行われているのであります。これは、米軍基地のある都道県に限らず米軍基地のない県においても決議が相次いでおり、まさに日米地位協定の改定を求める声は全国的に広がりを見せてきつつあり、政府に働きかける世論の形成ができつつあると考えるのであります。しかしながら、これで満足し立ちどまっては政府を動かすことはできない。これから先、いかに行動を起こすかが問題であると思うのでありますが、知事はこれまでの全国的な動きをどのように生かし、さらに運動をどのような戦略で展開していくのか、知事の考え方をお伺いしたい。
 (2)、米軍基地の整理縮小についてでございます。
 ①、米軍基地の整理縮小については、平成8年12月2日に合意されたSACOの最終報告により、普天間飛行場の全面返還を含む11施設・区域の返還等の実績については2施設だけで返還作業はおくれているのが現状であります。今後の見通しについて伺いたい。
 ②、沖縄の米軍基地の負担軽減を図るには、SACOの完全実施を待つだけでは沖縄の将来像が見えてこない状況にあります。このため、現状を打開するためには米軍基地のさらなる整理縮小を求めることが必要と思われます。知事もSACO2の必要性を言われておりますが、具体的にはどこを想定しているか、今後の展開について知事の御所見を伺いたい。
 (3)、旧軍飛行場用地問題についてでございます。
 ①、旧軍飛行場用地問題については、幾つかの地主会が結成され県との連絡調整が行われているようであります。その中で一部地主から個人補償を求める声があることに対し、県は所有権問題が決着をしている中で難しいと答弁しております。これはすべての地主会を対象としての考えですか、伺います。
 ②、旧軍飛行場用地問題の解決を求める地主会は、那覇市、読谷村、嘉手納町、平良市、石垣市、伊江村等で結成されているが、これらの地主会の要求事項、考え等は一致しているか、またどのような違いがあるのか伺います。
 2、構造改革についてでございます。
 (1)、県が提案する構造改革特区についてであります。
 ①、地域限定で規制緩和する国の構造改革特区について、政府は第3次提案に対し全国対応29、特区対応19の計48の規制緩和を認める決定をしたとのことであります。この中に本県の提案した「国際観光保養特区」も一部が認められたとのことであるが、その具体的な内容と、このような部分的な規制緩和で沖縄観光の振興にどのような効果が期待できるのかお尋ねをいたします。
 ②、宜野湾市が提案した「小学校英語教科特区」が既に認められ、同市では小学校の早い時期から英語教育の導入で国際化時代に役立つ人材育成ができると述べている。本県は観光立県を宣言し、観光を経済の柱とした振興計画を推進しており、また大学院大学が2007年に開学予定となっていることを考えれば、本県は他県に先駆けてまさに英語を中心とした語学力の向上を図ることが最大の課題であると考えるのであります。
 本県観光の質の向上、国際化に対応した人材の育成等の観点から、県として県内の全小学校に英会話の授業を開設する等の県の特区を提案すべきと考えるがどうですか、伺います。
 3、沖縄新大学院大学についてでございます。
 (1)、沖縄科学技術大学院大学の建設についてでございます。
 内閣府は、沖縄科学技術大学院大学の建設設計を本格化させるため、「沖縄科学技術大学院大学施設整備検討委員会」等を設置したようであります。この委員会では、本年度中に策定される基本計画の施設部分の骨格づくりに反映させるため年度内で何回かの会合を開くこととされております。また、委員会では来年に予定されている基本設計の留意点についてもまとめていくこととしている。そして建設設計については、国は国際公募を検討しているとのことであります。沖縄科学技術大学院大学では、日本の従来の大学にはない特色を打ち出し、自然科学最高技術を網羅した科学技術の総合研究拠点として整備され、完成すれば科学技術の面で世界の最高峰の大学としての位置づけとなると言われている。この大学が沖縄にもたらす影響ははかり知れず、将来の沖縄の人材育成にも大きく貢献するものと期待されている。
 このような大学であればこそ建設設計の段階から沖縄の建築技術関係者の参加が必要であると考えるが、県の考えを伺います。
 (2)、2007年の開学を目指して沖縄科学技術大学院大学の先行事業として内閣府主催で第1回国際シンポジウムが名護市の万国津梁館において去る10月16日から3日間の日程で開催をされております。このシンポジウムには政府関係者、国際的著名な学者・研究者が参加し、それぞれの専門の立場から意見を述べているが、そこでどのようなことが提起をされ、建設に向けての課題とされたことは何かお伺いしたいと思います。
 (3)、11月24日の新聞報道によると、大学院大学の先行事業として中城湾港新港地区に新しい研究施設を年度内に建設するとのことであるが、この事業の内容と大学院大学との今後の整合性について御説明をいただきたい。
 4、沖縄観光の振興についてでございます。
 (1)、沖縄観光の将来展望についてでございます。
 今年9月の観光入域者数は前年同期に比べて大幅増の49万3000人とのことである。1月から9月までの累計も過去最高であり、このまま推移すれば、ことしの目標の500万人も夢ではないとしている。しかしその反面、観光客の増加はホテルの満杯状態を招き、ほとんどのホテルがオーバーブッキングの状況にあると指摘されております。また一方では、ホテルの満杯状態はリゾートホテルに偏り、市内の中小ホテルは観光客がいないとの声も聞かれる。
 そこで伺います。
 ①、このように観光客が増加した原因は何にあると考えますか。
 ②、沖縄観光の客層はリピーターがふえたとも言われているが、ホテルの満杯状態によるオーバーブッキングが恒常化すると沖縄観光に悪い印象を与えると思われるが、その打開策はあるか。
 (2)、観光人材育成についてでございます。
 観光振興を図る上でどのような人材が必要で、どのような育成策を講じているか、伺いたい。
 (3)、「ヘルスクレイムツーリズム(健康効用型観光)」についてでございます。
 県は、沖縄の暖かい気候や健康・長寿に適した食事、運動、休養を生かした体にいい健康をテーマにした「ヘルスクレイムツーリズム」を沖縄から提案していくとのことであります。この事業の戦略的ねらい、地域との連携、受け入れ体制、将来の本県観光へ及ぼす効果等について伺いたい。
 (4)、北部体験・滞在型観光の具体化についてでございます。
 「美ら海水族館」は、本県への入域観光客の大半が訪れる本県観光の最大の目玉であります。しかしながら、本県北部は「美ら海水族館」を有しながら観光客はそのほとんどが日帰り、素通りであります。北部は青い海が広がるリゾート地であり、貴重な動植物が多い地域であることから、本県観光の新たな観光資源を開発するに最もふさわしい地域であると思います。県は、この北部に対する観光対策をどのように考え、振興開発の中でどのような位置づけとなっているか、お伺いしたい。
 (5)、全天候型観光闘牛場の建設についてでございます。
 観光を生かした地域空間づくりモデル事業として国の指定を受けた沖縄市、具志川市、石川市の地域活性化の基本方針が沖縄総合事務局の報告書として取りまとめられてまいりました。それを受けて今後県はどのような支援策を講じるつもりですか、お伺いをいたします。
 次、5番目でございますが、農林水産関係でございます。
 (1)、松くい虫防除対策についてでございます。
 観光立県を標榜する沖縄、県木に指定されているリュウキュウマツが無残な姿で立ち枯れしている現状、これを一掃しようと大なたを振りかざして「松くい虫防除条例」を昨年の3月に制定し、「松くい虫ゼロ大作戦」を宣言、平成14年度から18年度までの5カ年間で根絶する計画を実施いたしております。これまでも松くい虫防除対策については膨大な予算を投じておりますが、実効性が上がっていないのが現状であります。特に、松くい虫防除費として5カ年間で15億を投じるとしているが、この意気込みがあってか平成14年度は5億8000万、平成15年度は補正分を加えると8億程度の予算措置がなされております。この2カ年間で実に13億8000万ほどの予算を投じることになりますが、被害状況からして費用対効果については疑問を持たざるを得ません。
 そこで伺います。
 ①、松くい虫防除対策については、県は「沖縄県松くい虫の防除に関する条例」に基づき平成10年度から5カ年計画で取り組むとしております。この計画に基づき具体的に実施した防除策について伺いたい。
 ②、防除に要する駆除費については、国の「指定松林」については国庫補助があり、指定以外は県の自主防除となっております。このことから、負担の問題から防除が進まないとの声も聞かれるが、本県で「指定松林」とそれ以外との割合はどのようになっておりますか。
 ③、基地内の松について指定されているか。また、基地内の松くい虫の防除対策は進んでいるか伺います。
 ④、松くい虫が発生する要因及び松くい虫の生態メカニズムの研究はどう進んでおりますか、伺います。
 (2)、さとうきびの生産振興対策についてでございます。
 さとうきびは本県における農業の基幹作目であり、ある時期までは本県経済の中心的役割を担ってまいりましたが、社会経済情勢の変化に伴って生産高は減少の傾向をたどっているのが現状であります。しかしながら、本県にとってはさとうきびは地域経済を支える重要な作物です。農家所得の向上と総合的な波及効果を考えれば今後とも守っていかなければならない産業の一つであり、生産振興対策が求められております。
 そこで、現状と今後の取り組みについて伺います。
 (3)、県内農家の減少と農業就業者の高齢化対策についてでございます。
 農業生産振興を推進する上で、農家戸数の減少と農業就業者高齢者対策をどうするかということが今後の大きな課題と考えます。
 近年、農業が盛んであった地域で農地の遊休化や放置きび等が目立つようになりました。高齢者の農業就業の体力的限界と子供たちや周りの方々からの離農を勧められる反面、農業収入が不安定のため農業に対する意欲のある若い後継者がなかなか育たないのが現状ではないでしょうか。このような状況から、農家の減少と後継者の育成について今後どのような対策を講じていくのか伺いたい。
 6、教育関係についてでございます。
 (1)、県内学校の安全対策についてでございます。
 県警によると、登校途中の未成年者を車から腕を引っ張って連れ去ろうとするなどの拉致事件がことしに入って──これは11月5日現在でございますけれども──11件発生しております。昨年の6件の2倍以上上回っているのであります。糸満市で下校中の女児が乗用車に乗った男につかまりそうになった事件、西原ではカッターナイフのような刃物を持った男が女子高校生を連れ去ろうとした事件など、これはいずれも未遂に終わっておりますが、女児と家庭を襲った恐怖ははかり知れず、犯人への怒りを禁じ得ないのであります。
 このような事件は一向におさまる気配はなく、このままでは不測の事態が心配されることから、早急な対策が求められていると考えるのであります。警察が中心となるのは当然でありますが、学校、家庭、地域社会が十分な連絡体制を整え連携した対策が望まれるのであります。
 そこで伺います。
 ①、学校への不審者の侵入についての実態と対策を示していただきたいと思います。
 ②、登校中や下校中の児童生徒が不審者から被害に遭わないような安全対策をいかに行っているか、御説明をいただきたい。
 7、警察関係についてでございます。
 青少年犯罪の増加についてでございます。
 犯罪や非行で家庭裁判所に送られる県内の少年の数が1968件と過去10年間での最多を記録したということであります。また、少年院送致や保護観察などの保護処分となる少年も全国平均の2倍近い数字に上るということであります。背景には飲酒や深夜徘回があると言われ、本県の寛容な社会環境と家庭での養育不全があると指摘されております。また、県内の未成年者による事件に関連する集団暴行事件もことしは既に29件発生し、最悪だった昨年の35件に迫る勢いと言われております。県警によりますと、歯どめには学校や家庭での指導だけではなく地域の目が不可欠と指摘されており、学校、家庭、地域で連携した再発防止のためのネットワークの充実を図る必要があると考えますが、そこで警察本部長に伺います。
 ①、本県で発生する青少年犯罪に対する県警の対策について伺います。
 ②、このような少年犯罪が多発する背景には何があると考えますか。
 ③、事件は地域によって発生形態に違いがあるのか。
 8番目に、土木関係についてでございます。
 国道329号沖縄バイパス事業の早期整備についてでございます。
 当該事業の石川バイパスについては、3月時点で暫定的に2車線が供用開始されたことで石川市周辺の交通渋滞が実感として緩和されてまいりました。この石川バイパスは経済的短絡コースとして有効活用され、地域の発展に大きく寄与するものと期待されております。国道329号の延長計画として、沖縄バイパスの整備計画については地域活性化の重要な路線として早期整備の必要性が強く求められております。
 このような観点から、平成12年度、13年度には具志川市及び沖縄市で早期実現に向けての住民総決起大会が開催されてきたことは御承知のとおりであります。当初計画から相当な時間が経過したかに思いますが、県当局は国に対して早期整備の促進について積極的な取り組みが必要と考えます。
 そこで伺います。
 1、当該事業計画の進捗状況について御説明をいただきたい。
 2、都市計画の決定作業はどのように進んでおりますか。
 3、今後の具体的なスケジュールと国の予算措置等の動向についてお尋ねをいたします。
 以上でございますが、答弁によっては再質問をさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 嘉陽宗吉議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は、地位協定見直しの今後の戦略についてでございます。
 県は、「日米地位協定の抜本的見直しに関する全国行動プラン」を策定し、去る6月から他県の協力・支援を得るため渉外知事会の加盟都道県への要請行動を行い、13都道県すべての議会で地位協定見直しの意見書が採択されたところであります。また、渉外知事会に加盟していない11府県においても同様の意見書が採択されており、日米地位協定を見直す動きは着実に全国の都道府県に広がっております。今後は、各県からあるいは各団体から多くの国会議員に働きかけて全国的な運動にし、政府の理解が得られるような形に持っていく必要があると考えております。県としては、今後の展開について、全国行動プランの実施状況や県内外の各界各層の動向等も勘案しながら検討していきたいと考えております。
 続きまして、基地縮小の今後の展開についてお答えをいたします。
 県としては、県民の基地負担の軽減を図るためには、SACOで合意された事案にとどまらず、それ以外の施設についても段階的な整理縮小が必要であると考えており、これまで機会あるごとに国に対しその必要性を訴えております。また、去る11月16日に来県したラムズフェルド米国防長官にもその旨を強く申し入れたところであります。県としては、58年余も過重な基地負担をしてきた県民の意向にこたえるために国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえて県民の理解と協力を得ながら、SACOで合意された施設以外についてもさらなる米軍基地の段階的な整理縮小に取り組んでまいりたいと考えております。具体的な施設については、SACOの合意事案の進捗状況等も勘案しながら今後検討していきたいと考えております。
 ちょっと休憩お願いします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後2時45分休憩
   午後2時45分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
○知事(稲嶺惠一) 本日午後、総理官邸において政府主催の全国知事会が開かれまして、その席上、参加いたしました比嘉副知事の方から、ただいまのお話のこの米軍基地の整理縮小の大幅な変革に向けて積極的に協議していただきたい旨の強い発言がございましたことをつけ加えておきます。
 次に、大学院大学建設への県内建築技術関係者の参加についてお答えをいたします。
 沖縄科学技術大学院大学の建設に向けては、内閣府において設置された施設整備検討委員会の論議等を踏まえ、次年度予算で建物の基本設計及び造成設計に係る経費が概算要求されております。また、大学院大学の設立母体となる法人の設置に係る経費も概算要求されており、キャンパス等大学院大学の施設整備については同法人が行うものと理解しています。県内の建築技術関係者の参加については、設置される母体法人において今後検討されるものと考えておりますが、建設に当たっては本県の自然や歴史・文化などが反映されたものとなるよう期待しております。
 次に、国際シンポジウムにおける提起、建設の課題についてお答えいたします。
 本年10月に行われた第1回国際シンポジウムは、「分子科学・システムに関する新しい領域」をテーマに海外91名を含む350名余の研究者が参加し、「異なる学問分野の融合の可能性」について学術的な視点から有益な論議が行われました。この中で、大学院大学の基本コンセプトである生命科学を中心とした融合領域での研究が人類の健康や地球環境などの課題解決につながることなどが提起されております。
 大学院大学の建設については、具体的な論議はありませんでしたが、創設に向けた課題として世界トップレベルの人材の確保や教育の実現方策、欧米だけでなくアジア・太平洋地域にも広げた研究、産業とのネットワークの重要性などが提起されております。
 次に、観光産業の人材育成についてお答えいたします。
 県においては、本県観光の質の向上を図ることが重要であるとの認識から健康・保養型、エコツーリズム、文化交流型等の体験・滞在型観光を推進しております。これらの事業の推進に当たっては、体験学習指導者、ガイド、コーディネーター等各分野における人材の育成が早急な課題と考えております。このため、今年度から研修マニュアルの体系化と資格認定制度の創設及び観光人材育成センターの設立に向けて、新たに観光産業人材育成事業に取り組んでいるところであります。また、観光を担う優秀な人材の確保のためには観光に対する県民意識の高揚を図るとともに、児童生徒への観光に関する教育が必要であると認識しており、今後、関係機関等との連携を図り対応してまいりたいと考えております。
 次に、健康保養型観光推進事業について申し上げます。
 県では、体にいい観光のシステムづくりとして健康保養型観光推進事業を進めているところであります。本事業は、温暖な気候風土や健康・長寿食、特色ある歴史・文化等に医学的要素を組み合わせるなど、他地域における観光形態とは明確な差別化を図り、沖縄旅行への動機づけを高め醸成することをねらいとしております。このため、医療機関との連携は重要であり、緊密な協力関係の構築に努めているところであります。また、プログラムの作成や旅行の実施、運営については、地域が主体となって取り組むことが重要であることから、県内各地域に受け入れ組織として地域連絡協議会の設置を促進してまいります。この事業の効果は、滞在の長期化、地域人材の活用、食材の地産地消など大きな相乗効果が見込まれ、地域活性化や沖縄観光の質の向上に資するものであります。
 次に、さとうきびの振興策についてお答えをいたします。
 さとうきびについては、沖縄振興計画の中で本県農業の基幹作物として位置づけ、生産振興を図ることとしております。このため県としては、かんがい施設や圃場整備等の生産基盤の整備を初め機械化の促進、優良種苗の増殖・普及、生産法人等担い手の育成など諸施策を積極的に推進しているところであります。また、市町村、JA、製糖工場等で構成する「さとうきび生産振興協議会」を設置し、遊休地の解消、採苗圃の設置、植えつけ機の導入等を推進しているところであります。その結果、さとうきびの収穫面積は近年減少傾向に歯どめがかかり、特に離島においては収穫面積、収穫量とも増加しております。今後とも農家の生産意欲の高揚を図るとともに、各種の施策・事業を総合的に推進し、生産者及び製糖業の経営安定に努めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(新垣良光) SACO合意事案の今後の見通しについてにお答えいたします。
 SACOで合意された11事案のうち、返還されたのは安波訓練場とキャンプ桑江の北側部分となっております。楚辺通信所の移設については、現在、平成16年5月までの予定で移設工事が実施されており、平成17年5月には返還の予定であります。読谷補助飛行場については、パラシュート降下訓練が伊江島補助飛行場に移設されており、連動する楚辺通信所の移設完了後に返還されることが合意されております。残りの事案については、国において特に移設先の市町村の意向や環境問題等に配慮しながら慎重に作業を進め、早期返還に向けて取り組んでいるものと理解しております。県としては、SACOの合意内容の着実な実施に向け、国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえ幅広く県民の理解と協力を得ながら前向きに取り組んでいきたいと考えています。
 旧軍飛行場用地問題で個人補償を求めること及び地主会の要求についてに一括してお答えいたします。
 旧軍飛行場用地問題については、振興計画に位置づけられた意義を踏まえ、この問題の解決に当たりたいと考えており、国に対しどのような処理を求めるのが適当であるかについては、現在実施している委託調査の中で問題点を整理し、学識経験者の意見も聞いた上で考え方を取りまとめていきたいと考えております。また、旧軍飛行場用地問題解決促進協議会の要望については、現在、おのおのの市町村と各地主会が検討しているところであり、まだ正式には県に提出されておりません。県としては、委託調査の結果も踏まえ、県・市町村連絡調整会議を中心として要望内容の検討を行い、できるだけ早く戦後処理としての解決を国に求めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) まず、国際観光保養特区で認められた内容と効果についての御質問にお答えをいたします。
 構造改革特区の第2次提案として韓国、台湾及び香港からの団体観光旅行客に対するノービザ制度を提案いたしましたが、結果としてノービザ制度ではなく、ビザ発給の条件緩和が認められております。その内容といたしましては、韓国人の修学旅行及び団体観光客に対してビザの発給時に住民登録証明書や在職証明書等を不要とする提出書類の簡素化となっております。しかしながら、県といたしましては、この簡素化措置でどれほどの誘客効果が得られるのか懸念をしており、特区の指定申請を保留しているところであります。
 次に、観光客増加の要因についてでございます。
 本県への観光客数が増加した主な要因としては、官民挙げての積極的な誘客キャンペーンや「美ら海水族館」など話題性のある大型観光関連施設の開設、九州ブロックPTA研究大会やトヨタ世界大会などの大型コンベンションの開催、海外旅行減少の影響、修学旅行の増加などが挙げられます。また、新規航空路線の開設や提供座席数の増加など航空路線の拡充による輸送力の増加も観光客数の増加要因として挙げられます。さらに、テレビなどマスコミによる沖縄の露出拡大やエイサーなどの伝統芸能に対する認知度の向上、離島志向の高まり、健康志向による沖縄への関心の増大など、全国的な沖縄ブームによる需要の拡大も増加要因として考えております。
 次に、オーバーブッキングの打開策についてお答えをいたします。
 ことしの夏場に多くのホテルでオ-バ-ブッキングが生じましたが、その原因としては、これまでにない大幅な観光客の増加に対し、ホテル側の従来の経験に基づく客室の運用方法では十分に対応できなかったことがあります。こうしたオーバーブッキングは観光客に不満を抱かせ、沖縄観光のイメージ低下につながることから早急に改善すべき課題であります。このため県におきましては、今後このような事態が再び繰り返されることのないようホテル業界等関係者に対し、改善について申し入れるなど対策を行う考えであります。
 次に、北部の観光振興についてでございます。
 「美ら海水族館」の開館以後、沖縄記念公園入園者数も大幅に増加しているほか、本部町内の飲食施設や宿泊施設の利用客数なども増加しており、周辺地域への波及効果が着実にあらわれております。しかしながら、今後「美ら海水族館」効果を北部全域に波及させていく必要があります。そのため県といたしましては、ヤンバル地域をゆっくり楽しんでいただける旅行商品の造成促進や、ヤンバルの豊かな自然や伝統文化等の地域資源を生かしたエコツーリズムや健康・保養型観光など、体験・滞在型観光の受け入れ体制の構築を図るとともに、市町村や各観光関係団体等で組織している「やんばる連絡協議会」との連携を図り、ヤンバル全体の観光振興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、全天候型観光闘牛場の建設支援についてであります。
 全天候型観光闘牛場の設置につきましては、闘牛組合を初め地元関係者が中心となった推進体制の確立及び事業計画の策定など基本的な課題があり、地域一体となった取り組みが不可欠であります。県といたしましては、こうした地域の主体的な取り組み状況を踏まえつつ、多様なエンターテインメントの創出の観点から必要な支援を検討していく考えであります。
 なお、石川市においては、国の補助事業として石川イベント広場に全天候に対応したドームを設置し、闘牛を含めたイベント等に活用すると聞いております。
 以上でございます。
○教育長(山内 彰) 「小学校英語教育特区」を県として提案できないかにお答えいたします。
 国際化に対応した学校教育の充実は、県の教育主要施策の一つでもあり、力を入れているところであります。英語教育の特区については、教育課程編成上の課題や文部科学省レベルでの小学校英語教育導入の動きなどもあり、県全体としての「特区」構想の考えは今のところ持っておりません。
 なお、県としては、小学校英語教育研究開発学校や小学校英会話活動の導入等を支援する諸事業を推進しております。現在、県内の小学校においては約220校が英会話活動を積極的に実施しております。したがって、今後は国及び県の小学校英語教育研究開発学校の研究開発や市町村の英語教育導入の成果等を踏まえ、全県的な小学校英会話活動の充実拡大に努めていきたいと考えております。
 次に、学校への不審者侵入の実態と対策についてお答えいたします。
 各学校への不審者侵入の実態把握のため、各市町村教育委員会及び県立学校に聞き取りをしたところ、学校では不審者と思われる者の侵入が実際にあったとの報告を受けております。なお、直接被害の報告は受けておりません。
 各学校では、その対策として県の危機管理マニュアル等を基本にして独自のマニュアルを作成するなど不審者侵入時への対応策が図られています。具体的に申しますと、来校者には受け付けをさせ、ネームカード等をつけてもらい不審者と容易に識別できるようにするとか、職員による来校者への声かけ対策とか、職員のベルの常時携帯と緊急連絡体制の確立とか、教職員やPTA等による日常的・継続的な校内巡視活動、さらには防犯カメラや防犯灯の設置、そのほか県で発刊したリーフレットを各学校、全児童生徒に配布するなどを実施しております。さらに、緊急時に対応できる防犯訓練等を実施して危機回避能力の育成や危機管理意識の高揚を図り、被害を最小限に食いとめる指導もなされております。
 次に、登・下校時の児童生徒の安全対策についてお答えします。
 現在、県下のほとんどの地域、市町村、学校において児童生徒の安全対策の取り組みがなされております。浦添市では住民総出の1万人パトロールで啓発活動が行われ、また具志川市ではおやじの会が中心に地域の要所要所に立て看板を設置するなど安全対策の活動が行われております。また南風原町、名護市など多くの地域で児童生徒による集団登・下校や学校職員、保護者等による登・下校時の同伴、PTA、地域及び所轄の警察署等と連携した巡回活動等の安全対策の取り組みがなされております。このような取り組みは、子供たちを地域で守るというよりよい社会環境づくりにつながり、地域の教育力の充実という点で大きな意義があると考えています。県教育委員会としましては、通知文書の発送や各地区の取り組み状況の情報提供等を通して、より適切で効果的な児童生徒の安全対策が図られるよう支援しているところであります。今後、警察やPTA、関係機関、地域との連携を一層深めて安全対策に努めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 沖縄新大学院大学の先行事業の内容と大学院大学との整合性についての御質問にお答えします。
 先行的研究事業は、将来において大学院大学で研究あるいは教育を行うことに関心を有する国内外の研究者が大学院大学開学までの5年間沖縄で研究活動を行う事業であり、本県の知名度向上、研究者ネットワークの構築などを目的に実施されるものであります。この事業は、世界トップクラスの研究者が沖縄で研究を行うことから県内の研究環境を整備することが重要であります。中城湾港新港地区のトロピカルテクノパーク内に設置される新しい研究施設は、大学院大学の先行的研究事業の受け皿施設として整備されるものであります。大学院大学の開学後は、同施設が大学や試験研究機関、民間企業等との研究・交流拠点として活用されることを期待をしております。
○農林水産部長(諸見武三) 松くい虫防除対策5カ年計画に基づき具体的に実施した防除策についてお答えいたします。
 松くい虫防除対策の取り組み体制については、平成14年7月に国、県、市町村及び米軍等で構成する県民連絡会議を設置し取り組みを強化しております。また、大学、森林総合研究所、民間農薬会社、県林業試験場等を構成員とするプロジェクトチームを設置し、効果的な防除研究に取り組んでおります。防除方法としては、薬剤の樹幹注入や被害木の伐倒駆除等が有効であることから、これらに要する所要の予算を確保して防除に努めております。県としては、今後とも国、県、市町村及び米軍等関係機関が一体となって松くい虫防除対策に取り組んでいく考えであります。
 続きまして、「指定松林」と、それ以外との割合はどうなっているかについてお答えいたします。
 本県の松林面積は約1万3400ヘクタールとなっております。このうち、国庫補助事業の対象となる「指定松林」は約23%の3000ヘクタールとなっております。それ以外の「その他松林」については、約77%の1万400ヘクタールとなっております。
 続きまして、基地内の松くい虫防除についてお答えいたします。
 基地内の松くい虫防除については、松林を所有または管理する那覇防衛施設局及び米軍が実施しております。平成14年度の基地内の防除実績としては、事業費4億2000万円、2万6300本を防除しております。県としては、県民連絡会議を通じて引き続き関係者が一体となった基地内の防除対策を実施していく考えであります。
 続きまして、松くい虫防除研究についてお答えいたします。
 松くい虫被害の主な発生要因については、気温、降水量等の気象条件や土壌条件等が考えられます。生態メカニズム等に即した防除研究については、林業試験場において天敵昆虫の探索、抵抗性松の選抜育成に取り組んでおります。現在、有望視されている土着天敵は、甲虫目のホソカタムシ及びフタモンウバタマコメツキの2種を探索し、環境への負荷や増殖及びえさの開発等の試験研究を実施しているところであります。また、抵抗性松の研究については4系統が生存しており、これから採取された種子を用いた苗木で二次選抜を実施しているところであります。今後、これらを選抜育成し普及に移せるよう試験研究に取り組んでいく考えであります。
 続きまして、農業就業者の後継者対策についてお答えいたします。
 本県の農業就業者数は、担い手の減少と高齢化や産地間競争の激化などにより年々減少傾向にあり、平成2年の約5万人から平成14年度は約3万4000人に減少しております。このため、県においては経営感覚にすぐれた農業後継者を育成するため、1、農業大学校における農業後継者の育成、2、就農を希望している他産業従事者等を対象にした短期の研修及び教育の実施、3、農業生産法人等の育成・強化などに取り組んでおります。また、国際感覚にすぐれた農業後継者を育成するためアメリカ及びヨーロッパへ長期の派遣研修や研修資金の助成を行っております。今後とも、経営感覚にすぐれた農業後継者の育成に向けて積極的に取り組んでいく考えであります。
 以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) 少年犯罪の増加についてお答えいたします。
 少年による犯罪は平成10年から増加の傾向にあり、本年10月末現在、県警が検挙・補導した少年は1440人で、昨年同期に比べ148人、11.5%の増加となっております。
 県警は、多発する少年犯罪対策として、個々の犯罪に適切に対応することはもとより、犯罪の未然防止及び健全育成の観点から、沖縄児童生徒健全育成サポート制度に基づく学校との相互連絡の実施、中学校、高校へ警察官を派遣しての安全学習支援授業の実施、関係機関・団体等と連携したサポートチームによる非行集団に応じた立ち直り支援活動の実施、少年サポートセンターを中心とした非行少年の継続補導や居場所づくりなど各種対策を講じております。
 少年犯罪が多発する背景には、家庭での愛情の欠如や教育機能の低下、学校における諸問題、大人社会における規範意識の低下などさまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
 次に、少年事件のうち、集団暴行事件につきましては平成14年は35件、本年は10月末までに29件、合計64件発生しております。
 これを市町村別に見ますと、那覇市が16件、沖縄市が11件、浦添市が9件で、この3市で全体の約56%を占めており、集団暴行事件については事件の数で言えば都市部に多く発生しておりますが、郡部でも発生しており、全県的に広く発生している状況にあります。
 また、男女別に見てみますと、女子による集団暴行事件は、平成14年中は4件でしたが、本年は10月末現在で昨年の2倍強の9件が発生しております。
 以上です。
○土木建築部長(安慶名正行) 土木関係についての、国道329号沖縄バイパスの現在の進捗状況、都市計画決定を含めた今後のスケジュール及び国の予算措置の動向についてに一括してお答えいたします。
 国道329号沖縄バイパスは、中部の東海岸を南北に縦貫する新たなバイパス道路として沖縄市池原から具志川市を経て沖縄市与儀に至る延長約10.4キロメートルの4車線道路で、国直轄事業として計画されたものであります。現在、関係機関との協議や環境アセスメントの手続を実施しておりますが、環境影響評価準備書作成等に予想以上に時間を要していると聞いております。今後のスケジュールとしては、環境影響評価準備書作成の後、住民意見や環境大臣及び国土交通大臣の意見を踏まえ、環境影響評価書作成後、早期の都市計画決定に向けて作業を進める考えであります。
 なお、国においては、都市計画決定後に事業化に向けての予算要望を行っていきたい考えであると聞いております。
○嘉陽 宗吉 議長、ちょっと休憩願います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後3時17分休憩
   午後3時18分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 嘉陽宗吉君。
   〔嘉陽宗吉君登壇〕
○嘉陽 宗吉 先ほど、国際観光保養特区について観光リゾート局長の御答弁をいただきました。
 簡素化措置でどれほどの誘客効果が得られるのか懸念しており、特区の指定申請を保留をしていると、こういうことでございますけれども、やはり今後の観光振興を考える場合にどうしてもノービザ制度の完全実施が必要だというふうに思うわけでございますけれども、現時点で保留ということでございますが、今後、この保留をいわゆる進めていくのか、あるいはそのままノーとして申請なしにするのか、今後の見通しについてその考え方をお聞かせ願いたいと、こういうふうに思うわけでございます。
 それから農林水産部長、松くい虫の問題についてでございますけれども、私が見る範囲に──ほとんど毎日高速を通ってきておりますので──沖縄市以北についてはまだ依然として被害木があるわけなんですね。この被害木を追ってどんどんどんどん対策していかないと発生源をそのまま保全するという格好になります。
 そういうことで、今後具体的にこの問題についてしっかりと取り組みをしていただきたいと、こういうふうに強くお願いを申し上げておきます。
 終わります。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) 再質問にお答えをいたします。
 私どもは、完全なるノービザを求めたんですが、ごくごく一部の措置しか認められなかったということでございまして、これについては韓国からの旅行を扱っている韓国サイドのエージェント等の評価も低くて、これでは余り集客に結びつきませんよというようなことがございます、1つには。
 それから、今度認められた措置の中で修学旅行につきましては、来年の半ばまでには特区としてではなくて、全国適用にしたいというようなことも国は言っておりますので、こうしたことからしますと特区を申請する場合にはその特区としての効果、実績といいますか、実績を上げるための計画等がいろいろ求められるんですが、そうしたことに対する説明を十分持って申請ができるかどうか、まだ議論の必要があるというふうに考えておりますので、関係者ともさらに意見を交わして詰めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後3時22分休憩
   午後3時46分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 休憩前に引き続き代表質問を行います。
 渡嘉敷喜代子君。
   〔渡嘉敷喜代子君登壇〕
○渡嘉敷喜代子 こんにちは。
 イラク北部で日本人外交官が殺害されました。犠牲になられました方々、そして遺族の皆さんへ心から御冥福を申し上げます。日本人をもターゲットにされているこのような状況下で、それでも自衛隊を派遣しようとする小泉首相に憤りを覚えます。
 それでは通告に従いまして、護憲ネットワークを代表して質問いたします。
 知事の政治姿勢について。
 沖縄は廃藩置県以来、常に時代の波に翻弄されてきました。それでも暴力に訴えることもなく、じっと耐えてきた背景には「非武の民」としての伝統的な価値観があり、誇り高き民族であるからです。
 復帰して30年、今なお存在する広大な米軍基地が沖縄県民の権利の抑圧と負担を押しつけられてきました。それでもじっと今日まで耐えてこられたのもすべて過去の歴史から学んできたものです。58年前、沖縄は悲惨な地上戦を体験し多くのとうとい命を失い、生きとし生けるものすべてを失いました。その体験の中から、いかなる戦争も二度と起こしてはならないこと、そしていかなる戦争にも正義がないことも学びました。ところが大変残念なことに、県民の思いとは裏腹に小泉首相は国連の決議を無視し、米国が勝手に起こしたイラク戦に加担し、有事法に関連する法案を次々と成立させ、それに伴う国民保護法案の要旨がまとまり具体的な内容が公表されました。いまだ戦闘状態が続いているイラクへ自衛隊を派遣しようとしている。これはまさにイラク復興支援に名をかりた自衛隊を送ることそのものが目的でしかない。名実ともに自衛隊を軍隊として認知させるためにも2005年には憲法を改正したいと小泉首相は明言しました。
 連日続く中東周辺のテロによる被害が続出。武力に対しては武力による報復でしかないこと。いかなるテロも許されるものではありませんが、しかしテロを起こす根底にあるものが何であるかもブッシュ大統領は検証することもなく、このような状況を際限なく続けていくつもりなのか。このような状況下で防衛庁は独自に実戦訓練を計画しているという。仮に有事が現実のものになったとき、知事は58年前の沖縄戦の教訓をどう生かしていくおつもりですか、次の項目に沿って質問いたします。
 (1)、大規模テロも適用対象とする国民保護法案について知事の所見をお尋ねします。
 (2)、有事に国民を守る責任や権限を知事に与えるとしながらも、首相は違反者に対しても知事にかわる代執行権も盛り込まれていることに対して知事の所見をお尋ねします。
 (3)、過去の経験からして軍隊は国民を守りませんでした。有事のとき、知事にかわる代執行権が発動されたときの対応について知事の所見をお伺いいたします。
 (4)、11月16日、ラムズフェルド米国防長官との会談でどのようなことが話し合われましたか。また、それを受けて知事は今後どのように進めていくおつもりですか、お尋ねいたします。
 (5)、ラムズフェルド長官との会談について外務省は「兵力再編にプラス」と評価している旨報道されておりますけれども、知事はこの件をどう受けとめたのですか。近い将来、基地の縮小再編の見通しがあるとお考えですか、お尋ねいたします。
 言うべきことははっきりと言う姿勢はやはり大切なことです。米地方紙が社説で取り上げたこともそれなりにインパクトがあったからだと評価します。日本政府にやる気がなければ知事が先頭に立って頑張るしかないのです。知事の後ろには130万県民が応援しています。
 そこでお尋ねいたします。
 (6)、今回の会談を通して基地の整理縮小、地位協定の抜本的改定のために米国政府に直訴するつもりはありませんか。
 2、基地問題についてお尋ねいたします。
 (1)、5年ないし7年以内に普天間飛行場を返還するとした1996年12月2日のSACOの最終報告の合意は、あしたで期限切れとなります。知事の現在の心境をお聞かせください。
 (2)、県内移設の条件として知事が掲げた15年使用期限と軍民共用空港としたことが普天間飛行場返還をおくらせたことにはなりませんか。
 知事が辺野古沿岸地域に選定してから満4年が経過しました。9月県議会で知事は、問題を解決するために私はここにいるのだと明言しました。ところが新聞報道によると、知事と官僚とでは15年問題の閣議決定の文言の受けとめ方が全く違うという。それではどうしようもありません。このままだといたずらに返還をおくらせるばかりではありませんか。
 そこでお伺いいたします。
 辺野古移設を断念して5年以内の早期返還を求めませんか。知事の英断を求めます。
 (3)、一日も早い返還に向けて一つ一つ可能なものにするためにも基地の監視カメラの設置について再度確認します。
 普天間飛行場が返還されるまでの間、最小限人間らしい静かな生活をしたい、これが宜野湾市民の切実な願いです。監視カメラを設置することによって飛行機のはみ出し訓練や機種のチェック、離発着の回数をチェックすることにより形骸化している協定違反の証拠写真となります。宜野湾市民の負担を少しでも軽くしていくことがせめてもの知事の誠意だと思います。そのためにも早急にカメラの設置を約束してください。
 (4)、辺野古沖調査に関連して文化財保護法に基づく施設局からの照会文書について教育長の見解をお伺いいたします。
 今回の照会は、天然記念物のジュゴンがえさ場とする辺野古沖での調査が同意対象になるかの照会でありますが、2001年から12頭のジュゴンが観察されたと報道されていることからも、自然体系を壊しかねない行為はやはり避けなくてはなりません。18日の検討会議でどんなことが話し合われ結論を出したのかをも含めて教育長の見解をお尋ねいたします。
 (5)、キャンプ・ハンセン都市型訓練施設計画についてお尋ねいたします。
 11月の25日に護憲ネットの団長とともに現場を視察してまいりました。伊芸区長の案内で現地を視察してまいりましたけれども、本当に報道されている以上に、地域と密着した本当にこれで300メートル離れているだろうかというような、そういうことさえ受けた状況でした。そういう状況のもとで知事にお尋ねいたします。
 ア、知事は移設計画をいつの時点で知り、それをどう受けとめていますか。
 イ、防衛施設庁の説明によると、基地内の移動であり新たな建設ではないということでありますけれども、知事はこれをどう判断しますか。
 ウ、グアム計画が放棄された理由として修繕費用や長期の維持費の負担増と民間地域の安全性が保証できないとのこと。知事はこの計画の安全性についてどうお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 エ、以上を総括して言えることは、思いやり予算こそ基地の強化につながり、基地問題の解決に支障を来していると思われますが、この思いやり予算の廃止について知事の所見をお聞きいたします。
 (6)、キャンプ桑江跡地から基準値の20倍の鉛が検出されたことについてお尋ねいたします。
 このような科学物質がどんな目的で使用されていたのか。また、土壌の入れかえだけで済む問題なのか。米軍に環境汚染に関する資料の提供を強く求めるべきではありませんか、お尋ねいたします。
 (7)、潜水艦探知の低周波ソナーについてお尋ねいたします。
 新聞報道によると、ジュゴンばかりでなくその他の魚類への影響も十分考えられ、ひいては日本近海での漁業操業者の生活権をも奪いかねない極めて深刻な問題だと思いますが、県は米国海域内での調査結果を聞いただけなのか、いつ、どこへ、どのような抗議をしたのかについてもお尋ねいたします。
 3、新年度予算についてお尋ねいたします。
 決算特別委員会で委員や監査委員から指摘されたことについて、新年度予算にどのように反映させていくのか、具体的な内容についてお聞かせください。
 4、福祉行政についてお尋ねいたします。
 2002年度の国民年金の加入率は過去最低で62.8%。20歳から24歳については47.4%の加入率で、そのうちでも手続をしただけで実際には保険料を納めていない人も含めると割合はさらに低くなることになります。若者の年金制度への不信感と少子化が進む中で年金の問題は極めて深刻なものです。国が今検討している厚生年金についても事業者負担がふえれば雇用を控えることが懸念されます。
 また、最も深刻なことは、公的年金を必要とする低所得者の国民年金の負担が多く、無年金者をふやすことに拍車をかけている。これが今の年金制度の欠陥だとの指摘もあります。このような状況の中で県ではどう対応していくのかについてお尋ねいたします。
 (1)、年金問題は制度的には国が所管することになっているけれども、県としてはどのようなかかわり方があるのか、またこれについて県の方針があるかお伺いいたします。
 (2)、国民年金の無年金者の問題について他府県に比べて厳しい状況にあるけれども、県としてはどのような対応をしていくのかお尋ねいたします。
 (3)番は取り下げます。
 5番、青少年問題についてお尋ねいたします。
 近年、犯罪が増加の一途をたどり、とりわけ青少年による犯罪が凶悪化の傾向にあることに心を痛める昨今であります。少年非行の増加の原因がどこにあるのか、凶悪犯罪を未然に防ぐ手だてはないものか、一つ一つ分析し検証していくことが大切ではないかと思われます。
 深夜徘回、飲酒、喫煙による非行が最も多いとされておりますけれども、検挙された青少年の家庭環境を含めた青少年の背景を早目に知ることが凶悪犯罪を未然に防ぐ手だての一つではと思います。そのためにも教育、福祉、警察等々の組織間の連携プレーをより積極的に進めていただきたい。そのような思いで次のことを質問いたします。
 青少年犯罪の凶悪化の傾向について教育長と公安委員会の所見をお伺いいたします。
 質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) 渡嘉敷喜代子議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は、国民保護法案に対する知事の所見についてお答えいたします。
 今回発表された「国民の保護のための法制」の要旨は、去る8月に開かれた「国民の保護のための法制に関する都道府県知事との意見交換会」での意見を踏まえ、都道府県知事の権限や仕組み等について知事の役割等がより明確になったと感じております。
 沖縄県民は去る大戦で悲惨な地上戦を体験しており、有事の際の国民の保護がいかに困難なものであるか身をもって痛感しております。政府におかれては、万が一にも有事が発生しないようこれまでにも増して不断の外交努力を行っていただくことが何よりも重要であると考えております。
 去る8月の国民の保護のための法制に関する意見交換会において、沖縄県の意見として、1、基本的人権の制限や財政負担の明確化について広く国民の理解が得られるようにしていただきたい、2、本県が広大な海域に点在する島嶼県であることから、安全に住民の避難誘導を行うため、①、ライフラインの確保、②、食糧の確保、③、避難の適切な実施等について安全確実な対処方法を提示していただきたい、3、沖縄に過度に集中している米軍基地に係る問題について、平時における米軍基地の負担のあり方等も含め十分な論議をしていただきたいと申し述べてきたところです。政府におかれては、引き続き地方公共団体や関係民間機関等の意見を踏まえ、広く国民の理解と協力が得られるような法制の整備に努めていただきたいと考えております。
 次に、首相の代執行権及び代執行権が発動されたときの対応についての御質問に一括してお答えをいたします。
 今回発表された「国民の保護のための法制」の要旨には、都道府県知事が所要の避難の指示、避難住民の受け入れ、避難住民の誘導が適切に行われない場合や所要の救援措置が講じられていない場合に、内閣総理大臣がみずから当該措置を講ずることができるとされています。このいわゆる代執行権は、武力攻撃事態等という緊急事態状況下において国民の保護を万全なものとするための措置として、特に必要がある場合に限定して内閣総理大臣に認められる権限であると認識しており、その執行に当たっては、緊急避難として真にやむを得ない場合等要件を厳密に定められるべきものであると考えております。
 次に、ラムズフェルド国防長官との会談及び基地再編の見通しの御質問につきまして一括してお答えを申し上げます。
 今回の国防長官との会談では、会談時間が短いことを考慮し、数多くの基地問題の中から、これまで日米両政府に対して要望してきた最も基本的な課題である基地の整理縮小や兵力の削減及び日米地位協定の見直しなどに加え、最近問題になっている米海軍の低周波ソナーの日本周辺海域での使用問題の7項目に絞って要望いたしました。私は、今回の国防長官との会談を沖縄の基地問題の実情について現地の声を伝える好機ととらえ、基地から派生する諸問題、県民感情、基地負担の軽減を求める県民の意向等を強く訴えたところであります。
 県の要望に対し、国防長官からは、今回の沖縄訪問は現地の状況を直接見聞し学ぶことが目的であり、現在、世界じゅうのアメリカの基地の見直しを行っている最中でもあるということから、具体的な回答は避けたいという趣旨の発言がありましたが、国防長官や同行した政府のスタッフには沖縄の実情や県民の意向を理解していただけたものと考えております。県としては、今回の沖縄訪問を契機に、沖縄の基地問題が目に見える形で前進するよう米国政府の動向を注視しつつ今後とも粘り強く基地問題の解決を訴えていく考えであります。
 次に、米軍基地問題の米国政府への直訴についての御質問にお答えします。
 県としては、基地問題の解決促進を図るためにはあらゆる機会を通じて日米両政府に訴える必要があると認識しております。平成12年に九州・沖縄サミットで来県されたクリントン前大統領や昨年2月に東京でお会いしたブッシュ大統領、また一昨年5月の訪米の際にお会いしたパウエル国務長官を初め米国政府高官に対し、米軍基地問題の解決促進を直接要請してきたところであります。今回のラムズフェルド国防長官との会談においても、基地の整理縮小を強く望んでいる県民の意向や基地から派生する諸問題をじかに訴える機会が得られたことは大変有意義であったと思っております。県としては、基地問題の解決促進を図るためにはあらゆる機会を通じて日米両政府に訴える必要があると認識しており、御提案の件につきましては最も効果的な方法を検討していきたいと考えております。
 次に、SACO合意についての御質問にお答えいたします。
 平成8年12月のSACO最終報告では、「今後5乃至7年以内に、十分な代替施設が完成し運用可能になった後、普天間飛行場を返還する。」となっており、代替施設の建設が返還の条件となっております。普天間飛行場の移設問題は、前県政が最終段階において県内移設を拒否したため、返還に向けた動きが全くめどのつかない状況になりました。このような状況の中からスタートしたこともあり時間を要しましたが、昨年は代替施設の基本計画が策定されるなど返還の実現に向けて着実に進んでいるものと考えております。
 次に、普天間飛行場の移設に当たって整備すべき条件についての御質問にお答えします。
 県は、移設に当たって整備すべき条件として軍民共用空港、15年の使用期限など4つの条件を提示しております。これを受け、政府は平成11年12月、「普天間飛行場の移設に係る政府方針」を閣議決定しております。普天間飛行場の移設については、閣議決定された政府方針に基づき代替施設協議会における協議を経て昨年7月に基本計画が決定されるなど、一歩一歩進められてきたところであり、着実に進展しているものと考えております。
 次に、陸軍複合射撃訓練場建設計画についての御質問にお答えいたします。一括してお答えいたします。
陸軍複合射撃訓練場の建設計画については、去る11月19日に那覇防衛施設局から県に対し説明がありました。それによると、同訓練場の建設に当たっては、既存の訓練施設に加えて新たに追加される施設も計画されており、またこれまで中止していた実弾を使用した訓練も実施するとのことであります。
 県は、県民の基地負担の軽減を求める立場から、これまで基地の整理縮小、海兵隊の訓練等の移転及び在沖米軍兵力の削減などを求めてきているところでありますが、今回の陸軍複合射撃訓練場の建設計画は県のこれまでの要請や県民の意向に反するものであり遺憾であります。県としては、同訓練場は基地の固定化や訓練の過密化による基地負担の増大にもつながることが懸念されることから、同訓練場の建設には反対であります。 また、レンジ4に隣接する金武町の伊芸区では金武町長に対し同施設の建設計画を即時中止するよう求めており、金武町や町議会としても同施設の建設に反対の意思を表明しております。
 なお、本日午後、政府主催による全国知事会が首相官邸で行われましたが、その席上、比嘉副知事より小泉総理大臣や各大臣に対し、今般、新たな米軍訓練施設の計画が示されていることについて県民は強い不満を抱いており、本県における米軍基地問題の解決は目に見える形で一歩一歩前進させることが重要である旨訴えたところであります。
 続きまして、新型低周波水中音波探知機問題への県の対応についてお答えをいたします。
 米海軍が使用する新型低周波水中音波探知機の問題については、去る11月6日に日米両政府の第1回協議が開催され、米側が実施した海洋生物への影響を調べた科学的調査結果の概要が説明されたとのことでありますが、日米両政府は米側が実施した同調査結果を公表し十分な説明を行うべきであると考えております。
 県は、海洋生物などへの影響があるというのであれば、日本周辺海域でも使用すべきではないと考えており、去る11月16日に来県したラムズフェルド米国防長官にもその旨強く申し入れたところであります。県としては、日米両政府の協議を見守りつつ、今後とも外務省や関係機関などから情報の収集に努め、適切に対応していきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(新垣良光) 監視カメラの設置についてにお答えいたします。
 県は、去る8月中旬に国に対し、新たに両飛行場における離発着回数や飛行コース等、飛行実態を明らかにするためのシステムを設置しデータを公表することを要望しております。このシステムには、航空機騒音の大きさや影響範囲と密接な関係がある機種を特定するためのカメラ設置も含まれております。また、渉外知事会においても、航空機高度コース自動測定局を設置し、各基地飛行場における離発着回数、飛行コース等飛行実態に関する資料を地方公共団体へ提供することを去る7月に国に要望したところであります。県としては、当該自動測定局──カメラ設置を含む──は、騒音規制措置の遵守状況を確認するためにも必要であると考えており、今後とも国に対しその設置を求めていきたいと考えております。
 思いやり予算への認識についてにお答えいたします。
 県としては、在日米軍駐留経費負担、いわゆる思いやり予算については、我が国の安全保障体制の問題や沖縄の基地問題とともに、単に一地域の問題ではなく全国民的課題であると考えております。戦後58年余りの長期にわたって沖縄は過重な米軍基地を負担してきており、県民は基地の整理縮小を強く望んでいることから、同予算のあり方についても米軍基地の負担のあり方等とあわせて国政の場で十分に議論を深めていただきたいと考えております。
 キャンプ桑江跡地の土壌汚染についてにお答えいたします。
 那覇防衛施設局の説明によると、鉛に汚染された土壌を入れかえることにより土壌汚染対策法に基づく基準値内になるとのことであり、今後、地権者等の意向を勘案しながら処理していくとのことであります。検出された鉛がどのように使用されていたかについては不明でありますが、県としては、米軍に環境汚染に関する資料提供を求めることについては土壌汚染の蓋然性を確認するために、基地の提供責任者である日本政府が行うものと理解しております。
 以上でございます。
○教育長(山内 彰) 施設局照会文書に対する教育長の見解についてお答えいたします。
 那覇防衛施設局から11月17日付で文化庁長官あての照会及びその進達依頼の文書が県教育委員会へ提出されております。その内容は、同局が辺野古沖で計画している地質調査及び海象調査が文化財保護法に基づく手続を必要とするか否かについて照会しているものであります。
 県教育委員会では、調査計画の内容や方法等について確認をし、それらの調査が文化財保護法第91条第2項に該当しているかどうかについて検討して進達をしていきたいと考えております。したがいまして、まだ結論を得たものではございません。
 青少年犯罪についてでございます。お答えします。
 青少年の犯罪・非行は低年齢化、凶悪化、集団化の傾向を呈し、まことに憂慮すべき状況にあると認識しております。
 これらの要因としては、規範意識の欠如や青少年の心の問題、生活習慣の問題、自他の生命尊重の軽視等があるととらえております。このようなことを踏まえて、子供一人一人の深い理解に基づき、そのよさを伸ばし自己を積極的に生かしていく子供たちの居場所づくりを構築することが最も重要であると学校教育において考えております。
 また、学校における道徳教育、人権教育、生徒指導の充実、スクールカウンセラー等の配置拡充、スクーリングサポートネットワーク整備事業、心の教育、家庭における巡回教育相談子育てゼミ、親子電話相談事業、家庭教育支援会議の設置促進等、さらに地域における青少年の体験活動推進事業などを実施して学校、家庭、社会における子供の居場所づくりを推進することが今求められていると考えております。
 また、現在実施しております県警察本部や各警察署との健全育成サポート制度等の連携共同事業等をさらに深化させていきたいと考えております。また、今後はこれらの事業を拡充・徹底を図るため、県教育委員会の重要施策の一つとして取り組んでいく所存であります。
 以上でございます。
○総務部長(仲田輝享) 決算審査の新年度予算への反映についてお答えいたします。
 今回の決算特別委員会においては、県の財政状況や繰越額、不用額の状況と対策などさまざまな質疑がなされ、委員会審査を経て先日、決算の認定を受けたところであります。
 一般会計及び特別会計決算の提出・審査の時期が早まったことにより、審議結果を次年度予算に反映させることができるものと考えております。
 平成16年度当初予算の編成に当たっては、決算特別委員会での質疑等を踏まえ、限られた財源の中で事業の優先度に十分配慮しつつ、沖縄振興計画に基づく産業の振興と雇用の創出、医療・福祉の向上等の政策課題や緊急かつ重要な施策に的確に対応していきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 年金問題に対する県のかかわり、無年金問題について一括してお答えいたします。
 国民年金法により、国民年金事業は政府が所掌すると規定されており、県としては、県民の福祉の増進を図る立場から国民年金事務を所掌している厚生労働省沖縄社会保険事務局と連携して、無年金者を出さないための制度の周知等について取り組むこととしております。
 平成14年度の沖縄県における国民年金の収納率は38.7%と全国で最も低い状況にあり、一人でも多くの無年金者を出さないことが重要と考えております。
 現在、沖縄社会保険事務局においては、未納者対策の強化に取り組むとともに、免除制度についても国民年金推進員等の活用や市町村との連携をとりながら周知に努めていると聞いております。県としても、福祉保健所の生活相談全般の中での免除制度の紹介や、福祉保健所及び職業訓練校等でのパンフレットの配布、新聞広告の活用等により制度の周知に努めているところであります。今後とも、制度の実施主体である社会保険事務局と連携しながら広報活動に取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。
○警察本部長(髙橋清孝) 青少年犯罪の凶悪化についてお答えいたします。
 本県における少年による殺人、強盗、放火などの凶悪犯の検挙・補導人員は、平成11年が20人、12年が29人、13年が13人と一たん減少したものの、14年は23人と増加に転じ、本年10月末現在は31人と増加の傾向にあります。
 少年犯罪が凶悪化する背景には、家庭での愛情の欠如や教育機能の低下、学校における諸問題、大人社会における規範意識の低下などさまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えております。
 県警では、凶悪犯罪対策として、発生した個々の凶悪犯罪について適切に処理することはもとより、凶悪犯罪の多くが集団によって行われていることから、非行集団の把握と解体補導が大変重要であると考えております。そのため、県教育庁、学校現場との連携を強化し、学校との相互連絡により非行集団の実態及び凶悪犯罪に至らない段階の前兆事案の把握に努めておりますとともに、関係機関・団体等と連携し、問題を抱える非行集団ごとに立ち直りサポートチームを結成し、個々の少年の特性や環境等を踏まえ各種の対策を講じているところであります。
 今後も、県警としましては、個々の凶悪事件に対する適切な対応はもとより、県教育庁、学校等の関係機関・団体等と連携し、少年の非行の未然防止と健全育成を強力に推進する所存であります。
○渡嘉敷喜代子 再質問します。
 せんだって11月25日に伊芸区に行きましたときに、伊芸区長とそれから行政委員がおりまして、その中での話し合いの中から、今、レンジ4が移動すること以上に、これも大変なことなんだけれども、週に3回平均でレンジ5、4で実戦訓練が週3回の平均でやられているということなんです。それが午前4時から午前8時には終わってしまう。これを町役場、それから県庁へ連絡しようにも人がいないということで、この怒りをどこにぶつけていいのかわからないと。こういう事件があったときにこちらに来て見るんじゃなくて、ふだん来て見てほしいというような訴えがありました。
 普天間飛行場も同じことなんですね。そこに住んでいる人、地域の人でなければわからないという悩み、苦しみというのがあります。
 今お渡ししましたこの写真です。(資料を掲示) この写真は、普天間中学の校門から滑走路に向けて、普天間飛行場に向けて撮られた写真です。ここに普天間第二小学校がありまして、そこの小学校の体育館の屋根すれすれに着陸態勢に入って、ちょうど中間地点になっております。この状況を見たときに、爆音が聞こえてきませんか。
 それからもう一つは、(資料を掲示) これは普天間第二小学校の子供たちが基地の中にある運動場に出かけていく途中なんです。これは先ほどの写真よりもちょっと滑走路寄りになっておりまして、これはヘリコプターが今離陸する状況です。
 こういう状況で普天間第二小学校が基地の、本当に狭い部分に学校をつくりましたので運動場が狭い。そういうことで運動場が基地の一画に設けられているわけです。こういう状況の中で子供たちが生活している。
 そういうことを見たときに、本当に16年以後の普天間飛行場の移設でそれが本当にいいのかどうか。SACOの合意もあしたで切れてしまいます。そういう状況の中で本当にこういう悠長なことを言っていられるのかどうか、知事に改めて質問いたします。
 ラムズフェルド長官との話し合いの中でもいろいろ出てきたと思いますけれども、本当に今、再編をする時期です。米軍の再編ですね、兵力の再編。その時期にこそ直訴する、アメリカへ行って直訴する、そういう意気込み、知事の姿勢を改めてお尋ねいたします。
○知事(稲嶺惠一) 渡嘉敷喜代子議員の再質問にお答えいたします。
 私は、かねてから申し上げておりますのは、沖縄の将来をどのようにしたいと、基地がなくて平和な豊かな島、これは県民がすべて抱える問題なわけです。それと、現実の問題とをどのように持っていくかということが大変重要な問題なわけです。
 先ほども申し上げましたように、計画が途中で挫折したときのいかにまたもとに戻らなきゃならないかということは、大変大きなポイントでございます。その意味では私どもとしてはできる得る努力について全力を尽くしていきたいと思っております。
 そして、その中で今、渡米の話がございましたけれども、私どもは今まで、先回私が訪米したときもそうですけれども、実は私が一番多分この短期間の間に主要な方に、前回訪米のときもパウエル長官を初めアーミテージさんだとかウルフォウィッツさん、主要な人にほとんどお会いして強く訴えているわけです。それは今後ともその気持ちは強く、渡米していく気持ちはきっちりと持っております。
 しかし、一番重要なのは何が効果的なのか、どのような効果的なのがあるか。それで効果的な方向に向かって今後とも全力を尽くしてまいります。
○渡嘉敷喜代子 再質問いたします。
 それでは、どれだけの効果が上がったのだろうかということを改めてお尋ねいたします。
 それから、監視カメラの件ですけれども、じゃ基地が放置されたそのままの状況でこういう状況を許していいのですかということで私は監視カメラの設置をお願いしているわけです。これは、国にしていればまたこれが長引く可能性は出てくるわけですから、県の責任でもってやってほしいということです。そのことについて再度お尋ねいたします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後4時31分休憩
   午後4時31分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 効果の問題のお話がございましたが、基地問題というのは非常に難しい問題でございます。これは歴代の皆、担当者がどれほどそれに対して心を砕いているかということでなかなか難しい問題があります。したがいまして、すぐ目に見える効果は出てまいりませんが、しかしいろいろなところで具体的に私どもが強く主張しているということは、一歩一歩いろんな面の基地の問題について、本当に各方面において一歩一歩進んでいることは事実でございます。
 今後ともその勢いをより前向きに伸ばすように全力を尽くしたいと思います。
○新里 米吉 護憲ネットワークを代表して質問を行います。
 教育行政について質問します。
 私は、平成13年12月定例会の文教厚生委員会において、不況の中で授業料を納めるのが厳しい家庭が多くなり、授業料減免措置をふやすことが切実に求められている、8%枠いっぱいまで減免対象者をふやすことはできないかと質問しました。当時の津嘉山教育長は、精いっぱい努力したいと答弁し、減免対象者をふやす決意を語りました。免除率は、平成12年度7.16%、13年度7.17%、14年度7.4%でやや努力も感じられますが、今年度は年度途中とはいえ7%程度です。
 私の友人、知人の校長、教頭の皆さんに聞きましたら、低所得者や倒産、リストラ等で職を失った保護者が多い高校では、校長、教頭、担当事務職員を初め多くの教職員が大変な苦労をしているとのことでした。退学の対象になる3カ月以上の滞納者がいても安易に退学させるわけにはいかない。学校や担任は何回も督促をし、家庭訪問もしている。しかし、払えない家庭があるとのことです。そして、教育庁の査定が厳しい。現実には10%程度まで枠をふやしてほしいとのことでした。授業料減免については、少なくとも現在の8%枠の上限まで活用する努力が必要と思います。
 本来、教育長への質問ですが、予算の関係もありますのであえて知事、教育委員長の所見を伺いたい。
 次に、原級留置規定等の内規問題について質問します。
 県立学校教育課は、6月24日に県立学校長へ内規の見直しについての通知を出し、教育庁の指示どおりに見直しがされてない学校には9月17日、再度通知しています。
 その内容は、例えば原級留置の条件について、(原則として履修していない科目のある生徒のみ原級留置の対象とし、履修している者については進級させる)の内容に見直すこととなっています。わかりやすく説明すると、履修すれば全教科単位保留でも原級留置にならないということです。したがって、これまで多くの学校で実施してきた4科目以上、12単位以上の単位保留は原級留置にするとの内規を見直せと2度も通知し、15単位以上へ改めた学校や17単位以上の学校も教育庁の通知に従っていないとのことで認められておりません。しかし、この通知が、校長は所定の単位を修得できなかった生徒を原級にとどめおくことができるとの管理規則第38条に抵触する内容であったため、県教育委員会で11月7日に管理規則を改定しております。しかも、年度途中での内規変更を求めておりますが、各高校では4月の年度初めに学校の方針を決め、原級留置等についても生徒や父母、保護者に説明してきており、指導の一貫性や原級留置の大幅緩和で教育の成果が期待できるのか大きな論議になり、数回の職員会議でも合意形成が困難あるいは教育庁の方針に反対する意見が多数である等の状況が起きたようです。
 管理規則の改定でやむなく校長が通知どおりの報告をしたようですが、県立学校教育課の強引な進め方に多くの校長、教員が不満と不信を持っています。今、教育行政と学校の現場の間に深い溝ができており、本県の教育にとって残念なことです。
 このような中でN工業高校の教諭が新聞に教育行政を批判する内容の投稿をし、その教諭の出勤簿写しと年間指導計画の提出を教育庁が求めたようです。さらに、N工業高校では上司が授業時間に生徒に対しその教諭に対するアンケートを実施しております。このような一連の出来事に対し、多くの高校で激しい行政不信が生じております。
 私は、教育行政の皆さんに、敗戦後、民主教育を建設しようとした文部省の諸施策をいま一度学んでいただきたいと思います。
 昭和21年5月15日の文部省新教育指針には、「学校の経営において、校長や二、三の職員のひとりぎめで事をはこばないこと、すべての職員がこれに参加して、自由に十分に意見を述べ協議した上で事をきめること、そして全職員がこの共同の決定にしたがひ、各々の受け持つべき責任を進んではたすこと――これが民主的なやり方である。」と述べています。
 また、昭和22年10月、文部省学校局庶務課の「従来の視学制度の反省と改正要点」には、「視学の職務は教育指導、人事其の他の事務が重複してをつたので教育の実際指導に十分の力を入れることが出来なかった。 人事に関与するところが多くあつたので教員から親しまれるよりも恐れられた存在であつた。」と視学が教員から恐れられた存在であったことを反省しています。
 さらに、昭和22年11月5日の文部省学校教育局長通達の「視学の教育活動に関する件」には、「各学校職員の相談相手として、その教育活動を進歩せしめ、各教員を援助する。」、「学校視察に当つては、友情的、援助的態度をとり、従来往々見かけた如く学校や教員の否定的批判を行うことはやめること。」としています。
 そして、教育の国際的常識を指示したと言われる1966年ユネスコの「教員の地位に関する勧告」は、「いかなる指導監督制度も、教員の職務の遂行に際して教員を鼓舞し、かつ、援助するように計画されるものとし、また、教員の自由、創意及び責任を減殺しないようなものとする。」、「教育行政のあり方については、勧告は、教員団体が当局と協議すること、そしてこのような協議を通して、教師自らの教育条件・労働条件の改善について提案することはもちろんのこと、広く教育計画や教育政策・教育行政について発言する機会をもつことなどを奨励」しています。
 私は、沖縄県の教育行政がこのような姿勢を堅持して学校現場との溝をなくし、相互の信頼関係を確立していただくことを望むものであります。
 そこで質問します。
 ①、高等学校は、小中学校と比べて学校間格差が著しく大きい。したがって、学校の実態に応じた原級留置等の内規が必要である。そのためには校長を中心に職員会議などで十分な論議をして合意形成を図ることが大切であり、教育行政の強力な指導で画一的に内規を変えさせることがあってはならないと考える。以上のことについて県教育長の所見を伺いたい。
 ②、県教育庁は、論壇に投稿したN工業高校教諭について、出勤簿の提出と年間指導計画の提出を求めたと報道されているが事実か。事実であるならその理由を伺いたい。
 ③、N工業高校教諭について、教諭の授業時間に生徒に対して教諭の上司が12項目にわたるアンケートを実施した事実がある。授業を受けている生徒に教諭に対する疑惑と不安を抱かせ信頼関係を著しく傷つける行為である。この事件について教育長の所見を伺いたい。
 ④、高校においては、投稿した教諭の出勤簿や年間指導計画の提出及びアンケートの実施等によって行政に批判的な意見が言いにくい雰囲気になりつつある。民主的な教育行政及び民主的な学校経営を進める上で憂慮されることである。学校の活性化は、教職員が活発に意見を述べ、校長がリーダーシップと統率力を発揮して意見を集約し合意を形成することによって一人一人の教職員にやる気を起こさせることが大切である。
 以上のことについて県教育長の所見を伺いたい。
 次に、琉大祭での酒類提供について質問します。
 琉大祭において中学生167人が飲酒し、小学生にも酒を勧めていたことが報道されました。質問通告後の教育庁調査で高校生178人が飲酒していたことも明らかになりました。安易に飲酒をした中・高校生の指導がそれぞれの学校でなされているようですが、大学祭で未成年と知りつつ小・中・高校生に酒類を勧めた行為は許されるものではありません。県教育委員会は、大学側にどのように対処しておられるか。また、関係する学校の調査報告等も受けておられるのかお聞きします。
 11月10日、遊び型不登校児童生徒の居場所づくりをスポーツや社会奉仕活動を通し推進しようと、第1回県地域教育力・体験活動推進協議会が開催されたと報道されています。推進協の目的及び協議の方向性について伺いたい。
 次に、市町村合併について質問します。
 国は、700兆円の借金財政、そして県、市町村も財政が厳しくなり、しかも少子・高齢化が進む中で将来的に税収が大きく伸びる見通しも立てにくく、しかも福祉を初めとした支出の増大が予想される状況です。現在の行政サービスを低下させないためには、市町村合併が避けられない課題だと認識しております。しかし、過去の市町村合併に見られたように中心部が栄え周辺部が衰退する問題がありますし、伝統行事や文化の問題等も生じてきます。とりわけ沖縄のように離島の多い県においては深刻な問題があります。伊江村では住民投票を実施し、73.25%の投票率で合併しないが90.41%と圧倒的多数になりました。市町村合併で大切なことは、強制をしない、自主性を尊重することだと考えます。
 そこで質問します。
 (1)、市町村合併の法定協議会を設立した5グループは順調に進んでいるか。進捗状況を伺いたい。
 (2)、第27次地方制度調査会の答申について。
 ア、小規模な市町村としてはおおむね人口1万人未満を目安とするが、地理的条件や人口密度、経済事情云々の地理的条件には離島が含まれると理解してよいか。
 イ、知事は構想に基づき合併協議会の設置や合併に関する勧告、あっせん等により自主的な合併を進めることとすべきであると自主的な合併を進めるとしながら、勧告、あっせん等をすることになっており、事実上の強制にもなりかねないと懸念される。知事の所見を伺いたい。
 ウ、道州制について知事の所見を伺いたい。
 次に、与那城町立H小中学校校舎改築に関する3次下請業者の被害について質問します。
 (1)、倒産した興陽産業の社長が上原興業の次長の名刺で与那城町内の元請企業と町当局にあいさつをしていたことについて、県は事実関係を把握しているか。
 (2)、上原興業は、興陽産業がみずからの下請企業として校舎改築工事にかかわっていることを元請や町当局に報告していなかった事実を把握しているか。
 (3)、県は上原興業に対しどのような指導をしたか。また、これからどのような指導をするか。
 答弁の後、再質問します。
○知事(稲嶺惠一) 新里米吉議員の御質問にお答えをいたします。
 市町村合併について、地理的条件には離島が含まれているか及び構想に基づく勧告等について一括してお答えをいたします。
 地方制度調査会の最終答申で示された考慮される地理的条件には、一島一町村の離島を含むものと考えております。最終答申で示された知事の勧告、あっせんによる合併の推進については、県と市町村とは対等・協力関係にあることから、市町村の自主性、主体性を尊重すべきであり、慎重に検討する必要があると考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○教育委員会委員長(宜保美惠子) 授業料の減免についてお答えいたします。
 授業料の減免率は、沖縄県立高等学校授業料等徴収条例施行規則第5条の規定で、原則として全在籍者の8%以内となっております。県教育委員会といたしましては、各学校と連携し可能な限り生徒の生活の実態把握に努め、経済的理由等により納入の困難な生徒に対しましては授業料減免の承認をしております。今後とも減免率の8%の枠を活用し適切に対処していきたいと考えております。
 以上です。
○教育長(山内 彰) 内規見直しに対する所見についてお答えいたします。
 平成8年の中央教育審議会第1次答申を初め数次にわたる答申を踏まえた高等学校の新学習指導要領では、生徒の個に応じた指導の充実、高等学校教育の多様化、柔軟化を図る必要から進級規定の弾力化が求められております。そのためには従来の内規、いわゆる校内規程を見直し、新しい時代の新しい教育に対応した学校運営を図る必要があります。したがいまして、学校では職員の合意形成を図るとともに、地域の父母への理解を促す必要があると説いたわけであります。学校においては校内規程の見直し、検討が行われ、現在、全日制課程62校中48校、全定時制高校9校において見直しがなされております。 
 このように学習指導要領に基づいて進級規定の弾力化を図るということは、生徒の学習環境を十分に保障し、価値観の形成、多様な生徒の個性の伸長、選択能力の形成、学ぶ意欲の向上を育成するという教育的な意義があると考えております。
 次に、投稿した教諭に対する調査についてお答えいたします。
 県教育委員会では、学校訪問の際は学校の経営方針、校内規定、学習計画及び生徒指導や進路指導の記録、日常の教育活動状況、服務管理状況等について把握し理解するように努めているところであります。今回の学校訪問は、校内規程の見直しの趣旨や状況把握等について相互理解を図るために校長の意見を聞いたものであります。その際、学校の管理状況として校長に説明を求め、参考までに出勤簿や年間学習指導計画書等の情報を求めたものでございます。
 アンケートについてお答えいたします。
 生徒へのアンケートについては、校長と当該教諭がみずからの教育活動のよりよい評価のあかしを得るために実施されたものであったとの学校長の報告を受けております。したがって、その実施については、当該教諭への相談と了解及び立ち会いのもと生徒への趣旨説明を経て実施されております。また、このようなことで生徒と教諭の相互信頼関係を損なうようなことがあってはならないと考えております。
 民主的な教育行政についてお答えいたします。
 御提言のとおり、学校運営は学校教育目標の具現化に向けて全教職員が一体となって学校づくりに努めることが大切であると認識しております。教育委員会と教育行政の最先端にある校長は、相互の連携を密にして教職員への説明責任を十分に持ち、よりよい学校運営ができるようにすることが大切であると理解しております。
 常々教育は理解と対話であると思っていますが、今回のことにつきましては行政と校長との意思疎通や行政の対応に不十分な点があり、そのことが誤解を生み学校現場に信頼関係を損ねるような状況を生じさせたと考えており、その解消に努めたいと思っております。今後は、学校及び教職員との相互理解を図り、父母や地域社会、関係団体等との連携を一層深め信頼関係の構築に努めていきたいと考えております。
 琉大祭での小・中・高校生の飲酒問題についてお答えいたします。
 琉大祭で未成年者に無理に酒を勧めるという事件が起きたことに大きな衝撃を受けています。  県教育委員会としましては、この問題について近隣市町村教育委員会及び県立学校と連携を図り実態把握に努めてまいりました。その結果、861名の中学生が琉大祭に参加し、そのうち167名が飲酒、高校生は1497名が参加し、うち178名が飲酒したとのことです。このことを踏まえ、県教育委員会では、琉球大学に赴き再発防止について申し入れを行ったところであります。なお、指導のあり方等について今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、沖縄県地域教育力・体験活動推進協議会の目的と協議の方向性についてお答えいたします。
 沖縄県地域教育力・体験活動推進協議会は、青少年の体験活動をよりよく推進するための協議を行い、市町村へ助言することで地域の教育力を高め、心豊かでたくましい青少年をはぐくむことを目的としております。本県では、文部科学省事業を活用した青少年の体験活動推進事業を25市町村と3団体に委託し、市町村における推進体制整備のために、市町村地域教育力・体験活動推進協議会と市町村体験活動ボランティア活動支援センターを設置しております。また、体験活動モデル事業として、糸満市の「ウィークエンドくらぶ」や読谷村の少年たちによる「タグラグビースクール」など地域の特色を生かした自然体験・社会体験・スポーツ体験等が展開されております。
 第1回目の沖縄県地域教育力・体験活動推進協議会では、奉仕活動・体験活動プログラムの工夫改善、育成者相互の連携等が協議され、また遊び型不登校の児童生徒の支援については、地域における支援体制の整備、社会教育団体との連携等について話し合いがなされております。今後も本事業をより多くの市町村に拡大し、地域社会における居場所づくりを進め、青少年の一人一人が心豊かにはぐくまれるよう方向づけをしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(上原 昭) 市町村合併について、県内の法定協議会の進捗状況についてお答えいたします。
 宮古地区市町村合併協議会では、積極的な情報公開を行いながら44項目の合併協定項目のうち、合併方式や新市の事務所の位置など30を超える協定項目の確認がなされております。具志川市・石川市・勝連町・与那城町合併協議会では、合併期日を平成17年3月31日に決定し、本年11月から12月にかけて新市の名称公募が行われております。伊平屋村・伊是名村合併協議会では、平成17年3月31日までとする合併期日の確認や、久米島町、宮古地区などの県内の合併先進地視察などの取り組みが行われております。八重山地域市町合併協議会では、合併の期日や新市の事務所の位置の確認及び新市の名称公募が行われております。去る11月1日に設置された南風原町・東風平町・大里村・具志頭村合併協議会では、第1回の協議会が11月13日に開催され、協議会規約の確認などが行われております。
 以上、県内の各法定協議会においてはおおむね順調に協議が進められていると考えております。
○企画開発部長(花城順孝) 道州制についてお答えいたします。
 第27次地方制度調査会の答申では、道州制導入については、国との役割分担、区域設定、設置方法、税財政制度、行政組織等多くの論点を示し、国民意識の動向を見ながら今後議論を進めることとしております。県としては、地方制度調査会での検討状況を見守りながらさまざまな角度から検討したいと考えております。
○土木建築部長(安慶名正行) 与那城町立H小中学校校舎改築に関する3次下請業者の被害についての、U興業に関する不適切な点についての事実関係の把握と指導についてに一括してお答えいたします。
 本件紛争に関して、去る7月31日に与那城町役場で事情聴取を行いました。その際に、元請業者からK産業の社長がU興業の名刺を持って元請や町当局にあいさつを行っていたとの説明がありました。また、あわせて1次下請のU興業が元請に対して行うべき再下請通知を行っていたことについても説明を受けております。
 次に、U興業に対する指導についてでありますが、県としてはこれまで発注者の町当局及び元請業者はもとより、U興業からも当該紛争に関し事情聴取を行うと同時に、建設業法等の法令の遵守について必要な指導を行ってまいりました。なお、U興業の不適切な点に対しては今後必要に応じ指導を行っていく考えでございます。
 以上でございます。
○総務部長(仲田輝享) 授業料の減免についてお答えをいたします。
 授業料の減免について教育委員会から協議がありますれば、総務部としては財政上の観点も踏まえ適切に対応していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○新里 米吉 再質問と要望をいたします。
 道州制については、もう具体的に課題になって検討を進めようとしているわけですから、沖縄県としてどうするのかという考えを整理しないといけない時期だろうと思うんです。具体的に進んでいく中で、沖縄はいつまでも検討します、研究しますではちょっとおくれるんじゃないのかなと。道州制が進められたときに沖縄はどうするのか、どういう考えを持つのか、できたら知事から答弁を伺いたいと思います。どうしようとしているのか。
 それから、あと要望いたします。
 授業料ですが、これは予算の関係があって大変なんですが、私が回ってあっちこっちの学校に行きますと、学校でかなり差があります。十二、三%の生徒が免除されているところ、あるいは五、六%ぐらいのところ、いろいろあります、それは学校によって状況は違います。ただ十二、三%免除されている学校というのはかなり厳しい家庭環境の生徒の多いところでして、本当は18から20ぐらい欲しいんだと。そのためには今の条例の8%を10%ぐらいにしてほしいという声がたくさん聞かれました。それだけに総務部長や知事がこの辺は教育庁側の問題だけにしないで、教育庁だけでやるとこれはもう予算の枠内で8%ということにしかなりませんから、教育委員会と双方で相談をしてむしろ知事の施策として10%というのを打ち出していった方が各地域から喜ばれていいんじゃないかというふうに考えるわけです。ですから、知事や総務部長あたりから再度この辺の答弁をいただきたいなと思います。
 最後に、教育行政の問題です。
 教育長、最後に反省の弁がありました。その反省の弁をとって、不十分な点があったし、今後信頼関係をつくるように努力するということですからこれ以上突っ込みませんが、実は教育長も話しておられたように、今の指導要領は弾力的にしなさいと言っているんであって、画一的に原級留置の規定を決めなさいとは言ってないんですよ。もう一度よく読んでいただきたいんですね、教育庁の皆さんは。その弾力化を自分たちで画一化してしまって、そういうふうに各学校に強力な指導をしている、再三通知を送っている、こういうあり方はやはり今後改めていただきたいと。職員だけじゃなくて校長たちからも不満があるということはやはり気をつけていただきたいなと思います。
 以上です。
○知事(稲嶺惠一) 道州制について知事からも意見をというお話がございましたんで、私の方からお答えしたいと思います。
 道州制については、御承知のように目下検討しているところでございます。いろいろ多面的な面から検討されているところでございます。そういう意味では具体的な問題については当然将来の問題になるわけですが、しかし沖縄は沖縄の立場として、例えばただ唯一の離島県である、あるいは島嶼県である、その他もろもろの他と異なる条件等がありますので、そういうあたりを十分に配慮をしながら検討してまいりたいと考えております。
○総務部長(仲田輝享) 授業料の8%枠を10%にという御質問でございますが、お答えをいたします。
 総務部としては、今後教育庁から沖縄県立高等学校授業料等徴収条例施行規則の改正等の正式な要望があれば、他の都道府県の状況等も調査の上検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 以上で本日の代表質問は終わりました。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明2日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後5時8分散会

 
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