平成15年(2003年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 12月 2日
 


○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に申し上げます。
 昨日、渡久地健君が逝去されました。
 つきましては、渡久地健君の長逝に対しまして哀悼の意を表し、その御冥福を祈るため黙祷をささげたいと思います。
 全員御起立をお願いいたします。
 黙祷。
   〔黙  祷〕
○議長(伊良皆髙吉) 黙祷を終わります。
 御着席願います。
   ――――――――――――――
○議長(伊良皆髙吉) 次に、報告いたします。
 説明員として出席を求めた公安委員会委員長湖城英知君は、別用務のため本日から4日まで及び8日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日及び4日の会議に公安委員会委員比嘉良雄君、3日及び8日の会議に同幸喜徳子君の出席を求めました。
   ――――――――――――――
○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 平仲善幸君。
   〔平仲善幸君登壇〕
○平仲 善幸 おはようございます。
 渡久地健議員の死去に当たり、私は、那覇市議会時代から今日まで市勢・県勢発展のために尽力いただいた渡久地健議員の死去を悼み、哀悼の誠をささげたいと思います。
 それでは、県民の会を代表して所見を述べながら質問をいたしたいと思います。御答弁をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 質問の第1点目に、地位協定の見直しについてであります。
 この問題について、知事は県民の先頭に立ち日米政府に機会あるごとに訴えてきたのであります。パウエル国務長官への直訴を初めとして小泉総理への要請はもとより、一昨年の12月には沖縄政策協議会の終了後に、出席した全閣僚に地位協定の改定を申し入れ、また来県したべーカー駐日米大使にも申し入れをしているわけであります。
 知事は、日米政府の関係者だけに申し入れ、要請したのではなく、国民世論の喚起にも立ち上がりました。全国紙を利用しての広報活動を展開する一方で、6月からは全国行動計画を開始をしております。その結果、沖縄青年会議所が署名活動の行動に立ち上がり、商工会議所連合会も決議を採択をし、それにこたえております。日本商工会議所の山口会頭も賛意を表明をしております。
 また、渉外知事会加盟の13都道県及びその知事会に加盟していない11府県においても日米地位協定の見直しに関する意見書を採択をしております。全国都道府県議会議長会も全会一致で見直しを決議をしました。稲嶺知事は、いわば不平等条約の改定運動の先頭でその旗振り役を果たしているのであります。
 以上の行動を集約して文書化したのが先月の16日、稲嶺知事が米国国防長官に手交した7項目にわたる要請文書であります。この要請文書の最も注目すべき点は、第2次世界大戦が終わって58年、広大な米軍基地が存在し、それに起因する環境問題、事件・事故が県民生活に多大な影響を及ぼしているという前文であります。占領から58年も居続ける米軍基地、この基地の温存政策をとり続ける日本政府、そしてそこに住む住民が人権の回復を願って見直しを求めているわけであります。地位協定に両政府はいまだに耳をかそうとしない。
 あるマスコミの表現をかりると、それはもう怠慢ではなく犯罪だと主張しているわけであります。マスコミの報道するところでは、前レバノン大使の天木直人氏は、「国民の支持を受ける形で本気で交渉すれば、絶対に基地は縮小できる。不思議なのは、外務省の中でそんな議論が絶対に出ないことだ」ということであります。また、ノーと言える日本になれと石原慎太郎都知事は強く主張しております。多くの国民が外務省の対米姿勢に疑問を投げかけております。
 その片方の責任者である米国の国防長官が稲嶺知事を訪ねてきた機会をとらえ、知事は強気の口調で話したと言っておりますが、当然であります。アメリカのマスコミの中には、知事が無愛想な要求をしたと評した記事もあったようでありますが、県内のマスコミは、別れ際には握手はしたものの、双方に笑顔はなかったとも評しておりました。笑顔もなく無愛想になる知事の気持ちは、それこそ県民の苦労を表現したものであると私は思います。
 そこで知事に提案を申し上げたいと思います。
 (1)点目は、2005年度から始まる米国内基地の再編・統合に連動して海外基地の閉鎖・再編も計画されております。日米政府の担当者は、数回にわたる協議を重ねているとマスコミは報じております。また、米国議会も海外基地の再編計画のため独立した機関を設置すると報じております。この機会に沖縄県は米国政府、また議会の動きに対応した強力なロビー活動を展開すべきだと考えます。
 また、県庁内にワーキンググループを設置し、情報を収集し、運動の統括本部も設置する。日本政府が今度もまた動かないのであれば、沖縄が動くしか道は残されておりません。知事の所見をお聞かせ願いたいと思います。
 (2)点目は、1995年に米軍基地の整理縮小や日米地位協定の見直しなどを要求してから8年が経過をしております。世論の大きなうねりの中で8万5000人を集めて開かれた県民大会があったのであります。日米両政府とも運用の改善を主張するばかりで、地位協定の見直しには消極的な姿勢をとり続けております。この頑固な両政府の姿勢を突き崩すには、前レバノン大使の天木直人氏が指摘するように、沖縄問題を国民外交の課題にのせる以外に政府の壁を破る方策はないと強く主張しております。知事の所見をお伺いをします。
 2番目の質問に入ります。沖縄に駐留するアメリカ海兵隊のよき隣人対策についてであります。
 沖縄に駐留する米軍当局は、1995年の県民大会以降、駐留する軍人等の犯罪防止を目的に教育・訓練を実施していると聞いておりますが、その内容等について県で把握しておればお聞かせ願いたいと思います。カリキュラムの内容、時間、対象等について。また、それは海兵隊だけのものなのか。また、陸軍や空軍、海軍等でも実施をしているのか。さらに、これらの軍人の家族も対象になっているのか等々であります。
 米軍当局による教育内容を知りませんので断定的なことは言えませんが、米軍が進めるこの教育カリキュラムに沖縄サイドからのコミットがあってもいいのではないかと考えます。すなわち、よき隣人であるべき行動・規範づくりには沖縄サイドからの積極的な参加があってもいいのではないかと考えます。つまり、三者協議会において犯罪防止を申し入れるだけではなくて、沖縄側も犯罪防止のための行動に参加する場とチャンスがあってもいいのではないかと考えるからであります。
 この教育カリキュラムの中に沖縄の歴史や文化、環境問題が取り込まれるべきであります。駐留する米軍人が沖縄の環境と文化を積極的に修得すれば、おのずから犯罪が遠ざかることになります。そして、それを軍人だけでなくその家族にも実施をする。一定のカリキュラムを終了した者には稲嶺知事のネーム入りの「証」――証明書――を交付する。つまり、よき隣人対策は、短期的に犯罪防止を目的とするものでありますが、長期的には沖縄を理解するマンパワーの養成という目的が追加されてもいいのではないかと思います。
 よき隣人の実践者として沖縄に駐留した兵隊も、除隊したら善良なアメリカの市民であります。沖縄の水を飲み、空気を吸い、文化を吸収したこれらのよき隣人対策の実行者は、いずれの日にか沖縄を語るマンパワーとして沖縄の語り部として沖縄のためになってくれるものだと、こう信じております。
 沖縄の海兵隊は現在約1万7200人が駐留をしているが、単身赴任と独身の隊員の沖縄勤務の任期をこれまでの1年から2年に延長すると発表しております。よき隣人対策の行動の充実がより重要になります。知事の所見をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、沖縄の畜産振興についてお伺いをしたいと思います。
 本県の畜産は、これまで3次にわたる沖縄振興開発計画に基づき耕種部門と畜産部門の連携により、土づくりの資材として活用できるようにすることが必要であります。
 ここで以下の点についてお伺いをいたします。
 (1)番目に、県は、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」の本格適用に当たってどのように取り組んでいるのか。
 (2)番目に、処理施設の整備を必要とする農家数、そしてまた整備状況及び予算措置状況についてお聞かせを願いたいと思います。
 (3)番目に、ふん尿の管理施設・機械等の助成制度はどうなっているのか。
 耕種部門と畜産部門の連携による土づくりについてはどうなっているのか。
 以上をお聞き申し上げまして、再質問をいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
 平仲善幸議員の御質問にお答えする前に、渡久地議員の逝去に対しまして心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 渡久地健さんは、政治家として大変すばらしい人材だったと思っております。理論的にもすぐれ、行動力もあり、調整能力もあり、県勢の発展にもこれから大きく貢献されたであろうまだ若い身であの世に去られたということは、私にとっても大変残念でございます。志半ばで倒れました御本人の御無念さというものはいかばかりであろうと、恐らく無念の思いであったと思います。また、御家族のお嘆きも筆舌に尽くしがたいと思っております。しかし、今はただ故人の御冥福、そして御遺族の平安をお祈り申し上げたいと思っております。
 それでは早速、平仲善幸議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は、地位協定の見直しのうち、ワーキンググループの設置について申し上げます。
 県は、県民の基地負担の軽減を図るため、基地の整理縮小や海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減について、これまであらゆる機会を通じて日米両政府に訴えてまいりました。ラムズフェルド国防長官が去る11月16日に来県した際に、県民が基地の整理縮小を強く望んでいることや、SACO合意事案以外のさらなる基地の整理縮小及び在沖米軍兵力の削減等を検討するよう強く訴えたところであります。県としては、現在、知事公室で行っている情報収集のより一層の充実を図るなど体制を強化して、米国政府の動向を注視しつつあらゆる機会を通じて基地問題の解決促進を訴えていきたいと考えております。
 次に、地位協定の見直しについて、国民外交の課題にすることについての御質問にお答えいたします。
 県としては、日米地位協定の問題は、米軍基地が集中する沖縄という一地域だけの問題ではなく、我が国の外交・安全保障や国民の人権、環境保護などについてどう考えるかという極めて国民的な問題であり、外交責任を負う政府はもとより地方公共団体、国民一人一人がみずからの問題として受けとめていただくようあらゆる機会を通じて訴えているところでございます。
 このような趣旨から、県は、「日米地位協定の抜本的見直しに関する全国行動プラン」を策定し、去る6月から他県の協力・支援を得るため渉外知事会の加盟都道県への要請行動を行い、13都道県すべての議会で地位協定見直しの意見書が採択されたところであります。また、渉外知事会に加盟していない11府県においても同様の意見書が採択されており、日米地位協定を見直す動きは着実に全国の都道府県に広がっております。
 今後は、各県から、あるいは各団体から多くの国会議員に働きかけて全国的な運動にし、政府の理解が得られるような形に持っていく必要があると考えております。県としては、今後の展開について全国行動プランの実施状況や県内外の各界各層の動向等も勘案しながら検討していきたいと考えております。
 次に、耕畜連携による土づくりについての御質問にお答え申し上げます。
 農業の持続的発展を図るためには、堆厩肥等有機質資源を活用した土づくりが重要であります。そのため、県としては、家畜排せつ物の適正管理及び利用を促進し、家畜排せつ物、バガス、おが粉等を利用した土づくりに取り組んでいるところであります。
 また、南部地域においては、家畜排せつ物、植物残渣、生ごみ等を活用した広域的な土づくりセンターの整備を図るため市町村、JAなど関係機関との検討を進めております。今後とも、耕畜連携による土づくりを推進し、環境と調和した資源循環型農業の確立に努めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(新垣良光) 犯罪防止に係る教育・訓練及び県側からの参加について一括してお答えします。
 沖縄に駐留する四軍は、新任者に対して教育プログラムを実施しております。四軍で実施される教育プログラムは、それぞれの軍の必要性に応じて実施されておりますが、四軍全軍において文化的意識、歴史、犯罪防止、安全運転、飲酒運転の回避及び米軍と沖縄県民に対する心構え等地域との関係にかかわる一連の教育が実施されており、その家族についても同カリキュラムに準じて実施されております。
 また、外務省においては、在日米軍士官を対象とした在日米軍オリエンテーション・プログラムを平成7年度から実施しており、その中で沖縄の歴史や在沖米軍をめぐる状況等についての講義が行われております。
 沖縄サイドのかかわりとしては、日米の道路交通事情及び法規等に著しい違いがあることから、県警による交通法規及び風営法に関する講義が平成13年6月から実施されております。県としても、三者連絡協議会において国や関係市町村とも連携し、事件・事故の未然防止に向けて実効性のある対策について議論し協議を行ってきておりますが、御提案の沖縄側の犯罪防止のための行動への参加については貴重な御提案であり、今後の参考とさせていただきたいと思います。
 マンパワーの養成とよき隣人政策について一括してお答えいたします。
 沖縄に駐留する米軍は、隊員のよりよい行動や規範の育成を目的としてさまざまな教育プログラムを実施しており、また地域とのかかわりにおいては、英語ボランティアの派遣やスペシャルオリンピックスの開催など、県民の人材育成や交流事業を実施しているところであります。
 御指摘のように、県民と米軍人等の間で相互理解と信頼関係を構築していくことは重要なことでありますが、何よりも最優先されるべきは米軍人等による事件・事故の根絶であると考えております。米軍人やその家族は、沖縄のよき理解者となり得る貴重な人的資源であり、マンパワーの育成については貴重な御提言であると考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 家畜排せつ物法の本格適用に当たってどのように取り組んでいるか、整備を必要とする農家数、整備状況及び予算状況、助成制度について一括してお答えいたします。
 「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」については、平成16年10月に猶予期間が切れ、11月より本格的に適用されます。このため、県としては、要整備農家に対して資料配布や説明会を行うとともに、整備の取り組みについて指導しているところであります。
 これまでの整備状況については、平成11年度から14年度までに要整備農家のうち181戸を整備しております。平成15年度は、具志頭村ほか5市町村において実施する畜産環境整備事業や、2分の1補助リース事業などの所要な予算措置を講じ51戸の整備に取り組んでおります。平成16年度は、玉城村ほか4市町村において所要な予算確保に努め77戸の整備を予定しております。その結果、要整備農家のうち309戸が整備されることになっております。
 今後とも、生産農家や市町村等と連携を密にして国庫補助事業、2分の1補助リース事業などを実施するとともに、防水シート等による簡易な対応など総合的に推進し畜産環境対策を強化してまいります。
 以上でございます。
○平仲 善幸 地位協定について再質問をしたいと思います。
 皆様も御承知のように、ブッシュ大統領は12月上旬から日本や韓国政府等と本格的な協議に入ったと言われておるわけであります。国防長官は、嘉手納基地やキャンプ瑞慶覧等を視察し、韓国基地の視察も終えたようでありますが、いわば東アジアにおける米軍の再編・配置の基本計画の策定作業が始まったと言われております。このアメリカ政府と議会の動きを受けて政府は既に国防総省の担当者との非公式協議を開始しているようであります。
 また、さきに行われました衆議院選挙で当選をした皆さんが地位協定の見直しや米軍基地の整理縮小を求めて新年早々にも訪米をするとの報道もありました。マスコミはまた、巨大な米軍基地のある沖縄にとって重要な時期が迫ってきたと指摘をしているわけであります。
 また、沖縄県民が願ってきた基地の整理縮小の方向へ進むのか、それとも新たな基地機能の強化につながる方向へと動き出すのか予断を許さない状況に差しかかっているわけであります。
 沖縄県は、アメリカ政府や議会での動きを的確に把握をするためにワシントンに情報収集とロビー活動の拠点となる事務所を設置すべきだと考えるのでありますが、再度知事に御見解をお伺いしたいのであります。私は、ロビー活動がこの沖縄の基地を切り開いていけるものだとこう考えるからであります。事務所を設置したらその活動内容をロビー活動の展開に置くべきだと考えます。アメリカの政府と議会を動かしているのは実にロビイストであります。沖縄の将来に重大な影響を及ぼす基地問題が抜本的に見直されようとしているときに、外務省にだけ沖縄問題の将来をゆだねるわけにはまいりません。そのために必要な資金は県民一人一人から100円カンパでも募って、私はこれをもとに商工会議所、そしてまた青年団、労働組合、そして女性団体、政党など各層の代表をワシントンに派遣し、県民の要望を直接ワシントンの当局に請願をする県民大行動が計画をされてもいいのではないかと、こう思っているわけであります。こういう時期でありますから、こういうような運動が今必要だと私は思いますので、知事の御所見を求めたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前10時35分休憩
   午前10時35分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 平仲議員の方から大変適切な御指摘等がございました。私どもにとって一番大事なのは、その地位協定の問題にしても、あるいは戦力の再編にしても、何がより効果的かということを中心に展開をしてございます。その中で一番重要なのは、日本政府がしっかりした考え方というのを確立してアメリカに申し込むということが大変重要なポイントでございます。
 日米地位協定の活動をなぜ各県にまたがらしたのか、あるいは各団体に次から次に要請したかというのは、この各地域あるいは各団体等を通じまして多くの国会議員にその意識を持っていただくということが私は最も重要だと思っております。その意味で全国行脚プランというのは、先ほども私の方から御答弁申し上げましたように、最終的には今後は各県から、あるいは各団体から多くの国会議員に働きかけて全国的な運動にし、政府の理解が得られるような形に持っていく必要があると考えておりますと申し上げました。今後ともこの運動を強く進めていきたいと思います。
 それと同時に並行いたしまして、やはりアメリカ側に対して十分に状況を認識していただくという、外交と防衛の問題というのは国と国との直接の問題であります。その中で十分に認識してもらうということは大変重要でございます。したがいまして、従来、具体的なロビイストとは言いませんけれども、何らかの形で沖縄サイドといろいろおつき合いのあった方とは機会あるごとにお願いをしたり、あるいは書簡をもって送ったり、いろんな形でしております。ただ、将来の問題としてこれは一つの大変貴重な御提案だということで、これは十分検討したいと思っております。
 一番大事なのは、これは申し上げるまでもなく、いかに効果的な時期にどのような形でするかということが大変重要な問題でございます。先ほど議員が御指摘の県民代表の派遣等についても、その全般の中の最も効果的な時期、効果的な構成、その他を含めながら検討しながら進めていきたいというふうに考えております。
○髙良 政彦 おはようございます。
 けさは、渡久地健議員の突然のこういう訃報に接して大変残念でなりません。これからさらに大きく県民のために働く可能性のあった議員だけに、本人も大変無念であっただろうと思います。今となってはその御冥福をお祈り申し上げるしかありません。また、御遺族の皆さんに心から哀悼の意を表したいと思います。
 それでは公明県民会議を代表して質問を行います。
 まず、地方分権、三位一体の改革について質問をいたします。
 平成12年の地方分権一括法の施行を経て地方分権は本格的な実行の段階に入りました。平成16年度を改革元年として小泉首相は補助金1兆円の削減を平成16年度予算で実現するため具体的に指示を出しております。長野県では、国から同県や市町村への補助金1577億円──これは平成15年度のものであります──そのうち1億円以上のものをすべて洗い直しております。その結果、税財源移譲の対象として廃止あるいは縮減すべき補助金として経常経費分では義務教育費、社会福祉施設等整備費、在宅福祉事業費、児童保護費、農業経営構造対策事業費など670億円、公共投資分では道路、河川、砂防、治山、それから造林事業など620億円を挙げております。
 このように補助金の具体的な問題点を指摘し、税財源移譲で地方の自主的な財源をふやすよう国に具体的にこのように整理をして分析をしております。
 そこで質問をいたします。
 まず、我が県では税財源移譲の根拠として補助金をすべて洗い出し、自主的な財源をふやすようなそういうシミュレーションはなされているのか。また、沖縄振興計画での種々の補助への影響はどうなるのか、御答弁をお願いします。
 質問の2、平成16年度から始まる地方分権に伴う三位一体の改革に対し、財政基盤の弱い我が県に対しどのような影響が想定されるのか。これは沖縄振興計画による種々の補助は当然として、また振興法が守られるのはこれは当然であります。それ以外についてどうなんだろうかという質問の趣旨でございます。
 質問の3は、既に県内市町村では交付税の縮小により種々の事業ができない状況に追い込まれつつありますが、三位一体の改革の県内市町村に与える影響は掌握しているのか、この件について御答弁をお願いします。
 質問の4は、地方分権、三位一体の改革はいや応なしに進められます。それへの対策の一つとして市町村合併がありますが、今後、県内ではどのぐらいの市町村が合併するのか、御答弁をお願いいたします。
 次に米軍基地問題。
 ラムズフェルド米国防長官が16日来県しました。稲嶺知事は、基地の縮小、兵力削減を率直に、また強く訴えております。
 そこで質問をいたします。
 7項目の要請の内容を明らかにし、その各項目への米側の回答と申しますか、内容はどうだったのか明らかにしていただきたいと思います。特に5年ごとに見直される米軍の海外基地の編成組みかえと沖縄県の米軍基地との関連はどうなるのか、御答弁をお願いいたします。
 質問の2、普天間基地辺野古沖選定から4年が経過しました。稲嶺知事のいわゆるマニフェストとも言うべき15年期限問題の解決の見通しはあるのか、御答弁をお願いいたします。
 質問の3、軍民共用部分の事業主体の問題は進展しているのか、その見通しはどうか、御答弁をお願いいたします。
 質問の4、日米地位協定の改定については、県議会で平成12年7月14日に「日米地位協定の見直しに関する意見書」を全会一致で決議し、また沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会、いわゆる軍転協においても全会一致で議決しております。また、自民党の国会議員でつくる「日米地位協定の改定を実現し日米の真のパートナーシップを確立する会」、いわゆる地位協定改定議連、これは衆議院105人で構成されておりますけれども、ここでも平成15年5月15日に全会一致で決定しております。日米地位協定の進捗状況はどうなっているのか、御答弁をお願いいたします。
 次に質問の5、米軍返還跡地の浄化については、平成14年1月30日、北谷町美浜で返還跡地からドラム缶に入ったタール状物質が多数発見されております。その処理にいわゆるルールがないために県は大変苦慮した経験、いきさつがあります。また、米軍が残したPCB汚泥322トン、ドラム缶1810本相当分を航空自衛隊恩納分屯基地内で無害化処理するとのことでありますが、大学院大学との関係もあって村当局は大変苦悩を深めております。さらに、米軍キャンプ桑江北側の返還跡地からも基準値を超える有害物質が検出され、北谷町議会は原状回復を決議しております。
 そこで質問をいたます。
 まず質問の(a)、基地汚染の浄化については、日米両政府の責任で費用負担を初め環境調査や環境浄化について返還前に協議し、返還後に土地がスムーズに利用できるように法制定を含めた制度の確立が必要と考えますが、御答弁をお願いします。
 また、日米地位協定の改定項目の第4条にも盛り込まれておりますが、その見通しはどうなっているのか、御答弁をお願いいたします。
 (b)、基地内にはさまざまな化学物質が貯蔵・使用されている可能性があります。その実態は全く把握されておらず、問題が起こったときに騒ぎ出すという繰り返しでは基地内の環境問題は解決しません。基地内の調査を実施して状況を把握するとともに、日常的に監視できるシステムの構築が必要と考えますが、御答弁をお願いいたします。
 (c)、有害化学物質等による汚染に対する我が国の法体制、特に土壌汚染対策については十分な効果は出ておりません。したがって、土壌環境浄化については平成14年5月19日に土壌汚染対策法が成立し、平成15年2月15日に施行されたばかりでありますが、我が県内における適用の徹底化はどうなっているのか、また効果は出ているのかどうか、御答弁をお願いいたします。
 (d)、基地内の環境問題に関する状況調査、公表、浄化対策について米国国内法の準用を含め、基地使用に起因する諸問題の情報開示及び対策が米国内基地と同レベルの対応が実現されるよう政府及び在沖米軍に強力に働きかけて実現させる必要があると思います。この点について御答弁をお願いいたします。
 (e)、基地汚染の調査、監視及び浄化対策は極めて専門的知識及び技術を要することから、対応し得る人材の育成は急務であります。米国においては大きなビジネスチャンスとして注目をされ、専門の企業も活躍しております。県内においてもビジネス化に向けたそういう動向を含め資料、情報収集等を継続的に行い、県民に知らしめるそういう必要があると考えますが、御答弁をお願いいたします。
 次に、介護保険について質問いたします。
 介護保険法の目的は、被保険者が居宅においてその能力に応じて日常生活が営めるよう福祉サービスを受け、それに係る給付を受けることができると規定されております。また、この給付に際し、被保険者はそのみずからの選択に基づき適切な福祉サービスを多様な事業者、または施設から提供されるように規定されております。さらに、家族の介護疲れから家族を開放し、健全な家庭生活が営めるようにするのもまたその趣旨の一つと考えます。
 以上を踏まえて質問をいたします。
 まず、1、平成15年11月13日付沖縄タイムスの記事にもありますように、被保険者とその家族から不満が上がっております。利用が明確でないという理由だけで対策も講じることなく禁止したのはいかなる理由からか、厚生労働省も全面禁止はしておりません。この点について御答弁をお願いいたします。
 2番、生活支援中心型は、ことしの7月16日の厚生労働委員会において公明党の桝屋代議士の質問に厚生労働省老健局中村秀一局長がその答弁の中で、特に日中独居の場合、いわゆる同居家族が就労している場合等は生活中心型の給付の対象になるとしております。しかし、これも我が県ではほぼ全面禁止となっておりますが、余りにも画一的過ぎないか、この点について御答弁をお願いいたします。
 3、家政婦併用に関しても全面禁止となっております。厚生労働省が出した平成12年3月31日、平成15年5月31日、同じく6月30日のQ&Aの内容を正しく把握していないのではないか。24時間泊まり込みはいわゆる同一の事業所が部門別制──すなわち1つの会社で家政婦紹介部とヘルパー派遣部としているそういうケースを指します──をとっている場合で、法人の異なる場合は禁止の対象になっていないはずであります。その点について御答弁をお願いいたします。
 4、ケアマネジャーが立てるプランは、被保険者の状況を踏まえてプランをしているものであります。国家資格を持っているケアマネジャーが総合的に判断をして家族介護、生活支援中心型、家政婦併用についてプランをしたものに対し画一的に禁止をしているのは介護保険法の趣旨にも反し、国家資格としてのケアマネジャーの存在すら疑われます。こうなりますと過去の措置費の時代と大して変わらないということになりますが、この件についてはどうか、御答弁をお願いいたします。
 5番目、介護保険法では保険者は市町村及び特別区となっております。介護保険制度を所管する厚生労働省の通達の内容と異なる判断や運用を保険者である市町村が行った場合、どこで整合性を保つ指導や調整をするのか、市町村の裁量権はどの程度まで許されるのか、御答弁をお願いいたします。
 6、高齢者が加速度的にふえております。介護の仕事は今後ますます重要になってくることは言うまでもありません。しかし、画一的な禁止項目が余りにも多いがゆえにケアヘルパー等が介護保険の職場に魅力を失いやめてしまう例がふえております。また、事業所が閉鎖に追い込まれるケースもふえております。雇用と失業問題からしても悪い面だけを見て規制や禁止をするのではなく、本来の介護の趣旨を生かす観点からの介護制度の運用をすべきではないか。ヘルパーが職業として誇りを持って働けるように県はその身分の保障について積極的に対策を講じていく必要があります。そのためにも画一的な禁止は極力避けるべきと考えますが、この点についての御答弁をお願いいたします。
 次に、児童生徒拉致未遂事件が続発しております。他府県においても、また我が県でも児童生徒をねらった拉致未遂事件が多発しております。浦添市では「1万人パトロール」を開始しております。また、愛知県の知多市と東海市で、4人に1人が身の危険を感じたことがあるとの犯罪増加に対するアンケート調査があります。しかしこれに対して、半数が防犯のために特に何も備えていないという調査結果が出ております。
 東京と大阪では、犯罪防止に関する総合的な条例として都道府県レベルで初の「安全なまちづくり条例」を昨年4月に施行し、行政、事業者、住民が一体となって防犯対策を推進しております。同条例の最大の目的は、府民が一体となって防犯対策に取り組むことであります。
 そこで質問いたします。
 まず1番目は、全県民が一丸となって取り組めるそういう条例制定と推進会議を我が沖縄県でも設置する必要があるのではないか。
 2番目に、児童の学校内あるいは登・下校時の安全対策の対応はどうなっているのか。
 3番目、地域ぐるみの対策はどう進めるのか。
 4番目、警察のパトロールの強化と空き交番の問題は解消されるのか。
 5番目、犯罪の起こりにくいまちづくりについては具体的にどのような対策があるのか。
 6番目、観光客は今後も増加しますが、観光客やビジターが犯罪に巻き込まれないような、あるいは盗難からどう守るのか、安全・安心対策は盛り込まれているのかどうか、御答弁をお願いいたします。
 次に、振興計画が終了する2012年に観光客は650万人を超えますが、水の供給体制は万全か、質問いたします。
 特に宮古・八重山等離島ではどうなのか。
 3番目、座間味村ではダイビング等を目的とした民宿客がふえて活気づいておりますが、水が恒常的に不足をしております。畑地への水も不足がちであります。
 それから、産業廃棄物問題について質問をいたします。
 産業廃棄物の処理場の今後の処理能力、また見通しはどうか。
 車の不法投棄は極めて深刻化しておりますけれども、その対策、法的にどうなっているのか。
 それから、車の解体業者、すなわちリサイクル業者が何千台という単位で中古車を野積みにし環境問題が出ておりますが、これに対する対応はどうか。
 それから食の安全について。
 本土では9頭目のBSEが発生しております。県内における牛肉の安全対策、いわゆるトレーサビリティーはどこまで徹底されているのか。
 県内における銘柄米以外の米が混入した事件が起こりましたが、その原因は何か。
 また、マスコミがこの件について関与し報道しましたが、その件についてはどうか。
 残りはまたこの次にやりたいと思います。
 以上について御答弁をお願いいたします。ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 髙良政彦議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は基地問題で、ラムズフェルド米国防長官への要請内容と長官の回答についてお答えをいたします。
 今回の国防長官との会談では、会談時間が短いことを考慮し、数多くの基地問題の中から、これまで日米両政府に対して要望してきた最も基本的な課題である基地の整理縮小、普天間飛行場の移設、在沖米軍兵力の削減、日米地位協定の見直し、事件・事故の未然防止及び航空機騒音の防止対策などに加え、最近問題になっている米海軍の新型低周波水中音波探知機の日本周辺海域での使用問題の7項目に絞って要望いたしました。私は、今回の国防長官との会談を沖縄の基地問題の実情について現地の声を伝える好機ととらえ、基地から派生する諸問題、県民感情、基地負担の軽減を求める県民の意向等を強く訴えたところであります。
 県の要望に対し、国防長官からは、1、米海軍の新型低周波水中音波探知機の使用問題については米側が調査した結果、海洋生物などへの影響はほとんどない、2、訓練演習、騒音のレベルも下がってきていると理解しているという趣旨の発言がありましたが、その他については具体的な回答はありませんでした。県としては、今回の沖縄訪問を契機に沖縄の基地問題が目に見える形で前進するよう米国政府の動向を注視しつつ、今後とも粘り強く基地問題の解決を訴えていく考えであります。
 次に、15年使用期限問題の解決についてお答えいたします。
 普天間飛行場代替施設の15年使用期限は、戦後58年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から、沖縄県が移設に当たって整備すべき条件として提示しているものであります。使用期限問題は、基地の提供責任者である日本政府の高度な政治判断に係る問題であることから、これまで内閣総理大臣を初め関係大臣に何度も要望してきました。また、先日、ラムズフェルド米国防長官とお会いした際、普天間飛行場の県内移設は県民にとって苦渋の決断であったことを伝え、代替施設の15年使用期限などの条件を日本政府に強く求めていることを説明し特段の配慮を要望しました。同問題は、基地の提供責任を有する日本政府の責任において解決されるべきであると考えており、今後とも引き続き強く求めていきたいと考えております。
 次に、事業主体の問題についてお答えいたします。
 県としては、普天間飛行場の代替施設として一体的に整備される軍民共用飛行場については、これまでの経緯等から国が事業主体になるものと考えております。民間部分の事業主体については、これまで国に対し県の基本的考えを説明しており、茂木沖縄担当大臣は、次のステップの環境影響評価の手続にできるだけ早期に入れるよう調整を進めているとし、さらに国としてどういう形のことができるのか工夫も必要であり、その点をまず考えるべきだと述べていることから、国の動向を見守っていきたいと考えております。
 次に、日米地位協定見直しの進捗状況についてお答えをいたします。
 県の要請行動を契機として、県内外の各界各層において地位協定の見直しを求める独自の取り組みが行われており、着実に地位協定の見直しを求める動きが広がりつつあります。去る11月15日に川口外務大臣とラムズフェルド米国防長官が会談した際、川口外務大臣は地位協定の運用改善が重要であると述べ、運用改善により、機敏に対応していくとした国のこれまでの方針に変更がないことを表明しており、遺憾であります。県としては、今後ともあらゆる機会を通じて日米地位協定の抜本的な見直しを求めていきたいと考えております。
 次に、BSE対策とトレーサビリティーの御質問につきまして一括してお答えいたします。
本県におけるBSE対策とトレ-サビリティ-(生産流通履歴)としては、1、肉骨粉の給与禁止及び特定部位の焼却処理の徹底、2、死亡牛のBSE全頭検査の実施、3、すべての牛の出生年月日、移動履歴などの情報を個体識別番号で管理するための耳標の装着に取り組んでおります。
 また、食肉衛生検査所においては、屠畜される牛のBSE全頭検査や特定部位の除去などにより店頭に出回る牛肉は安全が確保されております。県としては、今後とも国及び関係機関との連携を図り、BSEの発生予防と食の安全対策に努めていく考えであります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○総務部長(仲田輝享) 三位一体の改革が本県に及ぼす影響について、関連いたしますので一括してお答えします。
 県においては、三位一体の改革に伴う補助金の洗い出し等具体的なシミュレーションは実施しておりませんが、本県の置かれた特殊事情にかんがみ制定された沖縄振興特別措置法等に基づく国庫補助事業への影響を懸念しております。そのため、県としては、同法における沖縄振興計画に基づく事業のうち補助率等の特例措置が講じられている事業の廃止については特例措置を講じている法令等の趣旨を大きく損なうとともに、他県以上に財政運営に影響を及ぼすことから、同法の趣旨が十分反映されるよう配慮すべきであると内閣府等関係機関に要請してきたところです。
 また、本県は財政基盤が脆弱であることから、税源移譲後に財政力格差が拡大することを大変危惧しております。このため、税源移譲のみならず地方交付税による財源調整機能及び財源保障機能を発揮することにより、引き続き適切な行政サ-ビス水準を確保できるよう国に求めているところであります。三位一体の改革は地方分権を推進し、地方の自主性を拡大する観点から進められるものであり、この改革により沖縄振興計画の推進や福祉、教育等の行政サ-ビスの提供に支障が生じることのないよう対処していきたいと考えております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(上原 昭) 地方分権、三位一体の改革についてのうち、三位一体の改革が本県市町村に及ぼす影響についてお答えいたします。
 本県市町村においても、三位一体の改革に伴う国庫補助金の削減により沖縄振興特別措置法に基づく国庫補助事業への影響が懸念されます。また、国から地方への税源移譲が行われても、県内の多くの市町村のように地域の経済力の格差から生じる税源の乏しい市町村にあっては、国庫補助金削減に見合う税収を確保できないおそれがあります。そのため、現行の地方交付税制度の財源保障機能及び財源調整機能はぜひとも堅持すべきであると考えており、引き続き総務部と連携しながら国へ働きかけていきたいと考えております。
 今後の県内市町村合併の見通しについてお答えいたします。
12月現在、県内で法定の合併協議会は宮古地域、具志川・石川・与勝地域、伊平屋・伊是名地域、八重山地域、本島南部地域、昨日12月1日に設置された本島南部東地域の6地域で設置されております。そのほか、沖縄本島中部地域において任意協議会が設置されており、県内における法定または任意の協議会を構成している市町村は25団体で県内全市町村の約5割となっております。これらの合併協議会ではおおむね順調に協議が進められており、今後すべての協議会で合併が実現すると仮定した場合、県内市町村数は現在の52団体から34団体になります。
 次に、水問題について、今後の水源の開発と供給計画についてお答えいたします。
 水の需要は、今後とも人口の推移、生活水準の向上、経済の発展、観光客の増加などにより増大するものと見込まれており、水需要量に見合う水源開発が必要であります。沖縄本島にあっては、平成30年度の日量必要水源水量は62万6400立方メートルと試算されており、平成15年度の水源水量は日量53万4200立方メートルであることから、平成30年度までに新たに日量9万2200立方メートルの水源水量が必要となっております。そのため現在、羽地ダム、大保ダム、億首ダムなどの多目的ダムの建設、工業用水の転用などを推進しているところであります。離島にあっては、これまで海水淡水化施設の整備、ダムや取水堰の建設、地下水の開発などにより一定の改善がなされてきております。水需給がなお不安定な一部離島については、将来の水需給の安定化に向け、さらなる水源の開発や水供給施設整備の推進を図り、必要とされる水源水量が確保できるよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) 制度の確立及び地位協定4条の改定見通しについてにお答えいたします。
 返還合意がなされた施設については、平成14年10月2日に軍転特措法施行令の一部を改正する政令が公布され、返還実施計画に定める事項として返還地において駐留軍の行為に起因する土壌汚染の状況等について国が調査を行う必要があると認める場合の方針を定めることなどが新たに追加されております。県としては平成12年8月、日米両政府に対して行った「日米地位協定の見直しに関する要請」の中で環境保全に関する条項を設けるなどの項目を盛り込んでおり、また去る5月2日に開催された第24回三者連絡協議会において基地内の環境問題に対する取り組みを議題として提案し、基地内の環境保全に向けて三者が協力していくことを確認しております。
 環境調査の実施及び日常的な監視システムの構築についてにお答えいたします。
 県としては、県民の生活環境や自然環境を保全し、また基地返還跡地の利用を円滑に進めるためには米軍基地の環境調査が必要であると考えており、これまでにも環境調査のための基地内への立ち入りを求めてきたところであります。基地内への立ち入りについては、日米合同委員会合意により立ち入りの手続が合意されておりますが、緊急時の立ち入りが明示されていないほか、立ち入りの許可が米軍の裁量にゆだねられるなど、県が求めている速やかな立ち入りが実現しているとは言いがたい状況にあります。このため、県は、日米地位協定に環境保全に関する新たな条項を設けることや、現行の関連する条項の改定も含め日米地位協定の抜本的な見直しを要請しているところであります。
 情報開示及び米国内基地と同レベルでの対応要求についてにお答えいたします。
 米国基地内と同レベルの対応の実現については、平成12年9月の河野外務大臣、虎島防衛庁長官、オルブライト国務長官、コーエン国防長官による日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2会合において「環境原則に関する共同発表」を行っております。この会合において、日米の環境法令のうち、より厳しい基準を採択すると合意されており、県としても機会あるごとに基地の環境対策を徹底するよう求めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 米軍基地問題についての御質問のうち、土壌環境浄化に関する取り組みについての御質問にお答えをいたします。
国におきましては、近年の鉛、砒素等の有害物質による土壌汚染の顕在化に伴い、人に対する健康被害の懸念や対策ルールの確立に対する社会的要請が強まっていることを踏まえ、土壌汚染対策法を平成14年5月29日に公布し、平成15年2月15日から施行して土壌汚染問題への本格的な対応を始めております。県としましては、事業者等に対して土壌汚染対策法の周知に力を入れるとともに、国と連携を図りながら県内の土壌汚染問題への取り組みの強化を図っていきたいと考えております。
 次に、環境汚染問題に係るビジネス化の動向と資料、情報収集等の対応についてお答えいたします。
環境汚染問題は、廃油流出事故等による水質汚濁、有害物質による土壌汚染など多岐の分野にわたっており、これらの諸問題に適切に対応するためには高度な専門的知識及び技術を習得した人材が強く求められております。特に近年、県内においても土壌汚染対策法やダイオキシン類対策特別措置法など環境関係の法整備に伴い、土壌等の調査・解析を専門とする企業がふえつつあります。こうした中、環境問題を専門とする企業のビジネスチャンスは一層ふえるものと考えております。県としましては、今後とも積極的に環境問題に関する先端技術の情報、資料などを収集し、関係者への情報提供に努めていきたいと考えております。
 次に、産業廃棄物問題についての御質問のうち、産業廃棄物処理場の今後の処理能力の見通し、また離島ではどうかという御質問にお答えをいたします。
 産業廃棄物最終処分場については、民間処理業者が有する22施設のうち、安定型が18施設、管理型が4施設となっており、特に管理型処分場についてはここ10年来、新たな施設の立地がないことから埋立残余容量が逼迫している状況にあります。このため、県においては「産業廃棄物の適正処理推進に関する研究会」を設置し、現状や課題を踏まえ、公共関与による最終処分場の確保に関する基本的なあり方について検討を行っているところであります。離島19市町村における産業廃棄物最終処分場につきましては、3市町において安定型最終処分場が3施設設置されております。最終処分場のない16市町村においては、公共工事等に伴って排出されるコンクリート殻や農業用廃プラスチック類などは、市町村や事業者みずから保管場所を確保して対応しております。また、木くず等につきましては、5町村の焼却施設や最終処分場を活用して処理しております。医療系廃棄物等については、離島地域において処理施設がないため沖縄本島へ搬送し処理しております。
 県としては、産業廃棄物については事業者みずから処理責任を有していることから、関係部局と連携のもと、排出事業者や市町村に対し、分別の徹底及びリサイクルの推進により排出量をできる限り抑制するよう指導を行い、適正処理を促進していきたいと考えております。
 次に、車の不法投棄対策についてお答えをいたします。
 路上や空き地等に放置されている使用済み自動車は、景観や生活環境に与える影響が大きいことから、放置自動車の発生防止条例制定を行った市町村に対して沖縄特別振興対策事業費を活用して撤去費用を補助し、廃棄物処理法に基づき市町村による行政代執行として平成13年度に離島23市町村において1万882台、平成14年度に一部離島を含む本島38市町村において5801台を撤去・処分しました。県としては、撤去後の放置自動車の再発を防止するため県下全市町村において制定した放置自動車発生防止条例に基づき所有者に対する指導を徹底するよう市町村を指導するとともに、保健所、警察等の関連機関が連携した合同パトロールの実施などにより不法投棄の防止を図っていきたいと考えております。
 次に、廃自動車の野積み問題についてお答えをいたします。
 各福祉保健所における管内の廃自動車の大量保管の実態把握によりますと、平成15年3月末現在、100台以上の大量保管箇所は沖縄本島で39カ所、約2万3000台、宮古・八重山で10カ所、約1万4000台となっております。県におきましては、平成10年末ごろから廃自動車の処理費用をユーザー側が負担するいわゆる逆有償化となり、処理料金を受領して廃自動車の処理を行う者については、廃棄物処理法に基づく「産業廃棄物収集運搬業」の許可が必要となっていますが、これらの大量保管箇所については、廃棄物処理法に基づく許可を取得していない自動車解体業者や自動車整備業者等が野積みしている状態にあります。
 県におきましては、これらの事業者に対して許可取得や大量保管箇所の改善等に関して文書指導、警告、措置命令等を行い指導を重ねるとともに、悪質な事業者については警察へ告発する等積極的に対策を講じているところであります。その結果、名護市、石垣市、勝連町等においては事業者がみずから撤去作業を開始したり、既に撤去を終えた箇所もあります。今後、行政指導に従わず改善に応じない悪質な事業者に対しては警察への告発を行うとともに、行政代執行も視野に入れてこれまで以上に厳正に対処していきたいと考えております。
 以上です。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 介護保険関連で、親族介護の禁止理由についてお答えいたします。
別居の親族に対する介護サービスについては、家族介護との区別がつきにくいこと、家族への介護は外部の目が届きにくいことから、緊張感の薄れやサービスの質の低下につながることなどが懸念されます。また、ドライブや親戚宅への訪問、趣味等介護保険以外の不適切なサービス提供を行い、介護報酬を算定しているとの事例が見受けられるとの報告が保険者から寄せられています。県としては、介護給付費の適正化を図る観点から、別居親族に対する訪問介護の提供については、「その地域で、別居親族以外にサービス提供できる者がいない場合」等特別の理由がある場合は保険者と協議の上、認めることとしています。
 続きまして、日中独居の生活援助中心型給付についてお答えいたします。
 掃除、洗濯、調理などの日常生活を援助する生活援助中心型の訪問介護サービスは、利用者がひとり暮らしの場合、または同居している家族がやむを得ない事情により家事を行うことが困難な場合に算定する取り扱いとなっています。やむを得ない事情については、家族が障害・疾病の場合、家族が仕事で日中独居となり、みずから食事などができない場合、家族が介護放棄や放任、虐待がある場合などが考えられます。その際、「居宅サービス計画」に生活援助中心型の算定理由、その他やむを得ない事情、サービスの内容とその方針を明記する必要があります。
 続きまして、家政婦併用に関する訪問介護についてお答えいたします。
 介護保険による訪問介護と個人契約による家政婦としてのサービスが混合して行われる場合には、次のことに限り認めることとしています。1点目は、サービスの提供に当たる訪問介護員の勤務形態は住み込みではなく、利用者宅への通勤であること。2点目は、訪問介護のサービスの内容が家政婦としてのサービスと明確に区分され、「居宅サービス計画」に位置づけられていること。3点目には、訪問介護と家政婦としてのサービスが別の時間帯に行われること。以上のことについて満たす場合に、同一の事業所によるサービスであるか否かを問わず、当該訪問介護に要する所要時間に応じて訪問介護費を算定することができます。
 続きまして、ケアマネジャーのサービス計画についてお答えいたします。
 介護支援専門員いわゆるケアマネジャーは、要介護者等からの相談に応じ、その要望や心身の状況に応じた適切な在宅サービスが利用できるよう保険者、居宅介護サービス事業者との連絡調整を行うのが業務となっております。また、ケアマネジャーは専門的知識及び技術を有するものであり、介護支援サービス機能のかなめであることから、利用者の立場に立った適正なサービス計画の作成が求められており、生活支援中心型等のケアプランについては算定理由、その他やむを得ない事情等を勘案して作成する必要があります。県においては、ケアマネジャーの資質をさらに向上させるため現任研修やケアマネジメントリーダー養成研修等を実施しております。
 続きまして、国の通達運用についての指導及び市町村の裁量権についてお答えいたします。
 県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう市町村に対し必要な指導・技術的助言を行っています。特に、厚生労働省からの通達等については、市町村が共通な認識を持って事業者に対する指導や助言が行えるよう介護保険主管課長会議や各種研修会等を開催し周知を図っています。また、保険者である市町村は、住民の要介護認定、保険給付、保険料の徴収等について主体的に実施しています。県としては、今後とも国や市町村と連携を図りながら介護保険制度の適切な運営確保に努めてまいります。
 続きまして、ホームヘルパーの介護業務についてお答えいたします。
 本県におきます訪問介護員いわゆるホームヘルパーの養成研修修了者は、平成15年3月末現在で1万2742名で年々増加傾向にあります。県は、サービス提供責任者やホームへルパーを対象とした必要な知識の習得、介護技術の向上を図るため訪問介護適正実施研修、テーマ別技術向上研修を実施しているところであり、ホームヘルパーの質の向上を目指した現任訓練に重点を置いた研修内容となっています。また、ホームヘルパーの介護業務については、サービスの具体的内容等を定めた「訪問介護計画」に基づき適切に行うよう指導しております。今後とも研修の充実を図り、ホームヘルパーが自信を持って介護業務を推進できるよう支援してまいりたいと考えています。
 続きまして、宮古・八重山等離島の水の供給体制についてお答えいたします。
 水道水の供給体制の整備は、水道法第6条の規定により、水道事業の経営を行う市町村等が国あるいは県に観光客の増加予測も含めた給水量等を記載した水道事業認可申請書を提出し、認可を受けた後、整備を行うこととなっております。宮古島の水道事業を行う宮古島上水道企業団においては平成13年度、石垣市においては平成15年度に水道事業の変更認可を受け、観光客の増加も考慮した水道事業の整備を進めております。その他の離島町村においても、観光客の増加も視野に入れた水道事業計画を作成しております。県としましては、今後とも市町村水道事業者から水道事業計画の変更の相談があった際には、適切に水道施設整備に対する国庫補助事業を実施し、水道水の供給体制が整うよう指導・助言をしていきたいと考えております。
 続きまして、座間味村の恒常的な水不足についてお答えいたします。
 座間味村においては、年間を通しての観光客等による給水量の増加に対応すべく平成12年度に座間味村座間味地区の水道事業計画の変更認可を受けております。計画によりますと、計画給水人口を550人から1150人、計画1日最大給水量を220立方メ-トルから570立方メ-トルに変更し、豊水時における座間味ダムの余剰水をためる原水貯留槽3600立方メ-トルの建設、地下水取水場3カ所の再開発となっております。原水貯留槽は平成15年6月に完成し、地下水取水場の再開発は平成16年度に行う予定となっております。この事業が終了しますと、座間味地区においては観光客の増加や渇水にも対応できるものと考えております。また、座間味村阿嘉・慶留間地区においては、座間味地区の事業が終了後、給水人口、給水量の増加に伴う水源開発及び水道施設の拡張事業を実施するよう計画していると聞いております。
 県としましては、今後の渇水対策に向けて村から多様な水資源を確保するため、取水堰の拡張や海水淡水化施設の導入等要請があればその実現に向けて支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) 本議会に議案上程中の「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」制定後の取り組み内容について一括してお答えいたします。
 最近の県内における治安の悪化を踏まえ、本年6月に設立された県知事を座長とする「清らうちなー安全なまちづくり懇談会」において、安全で安心な沖縄県をつくるための県民が一体となった防犯運動の取り組みの必要性を認め、条例の制定によって本取り組みを継続的に推進するという提言が取りまとめられたことを受け、本条例案を上程したところであります。
 本条例案は、犯罪を減少させ、すべての人々が安全に安心して暮らせる沖縄県を実現するため、県、関係機関・団体、事業所、県民が連携を強化してそれぞれの役割や安全なまちづくりに関する取り組み等を定めるものであります。
 まず、推進会議について、条例案では推進体制を整備することとなっており、知事を長として各界の代表者で構成する県レベルの推進会議と市町村長を長とする警察署レベルでの推進会議が設置されることとなります。また、地域ぐるみによる推進について、条例案では犯罪防止のための自主的な活動の推進が規定されており、県及び警察が県民、事業者並びに民間団体の自主的な活動に助言を与え必要な措置を講じ、情報を提供すること等により支援し、地域ぐるみの対策を推進することとしています。
 次に、児童の安全対策について、条例案では学校及び通学路等における児童等の安全の確保に関する指針を定めることとしており、同指針に基づいて学校や通学路、公園等の環境整備、学校、保護者、地域住民及び警察が連携した安全対策の強化等の具体的な安全措置を講じていくこととなります。
 次に、犯罪の起こりにくいまちづくりについて、条例案では道路、公園、駐車場及び共同住宅における犯罪の防止に配慮した構造、設備等に関する指針を定めることとしており、外部からの見通しの確保、夜間の照明の確保、防犯設備の設置等の具体的な安全措置を講じていくこととなります。
 次に、観光客の安全確保について、本県の観光・リゾート産業に占める重要性にかんがみ、条例案では犯罪情報や防犯上の措置に関する広報・啓発を行い、県及び観光事業者が連携して必要な措置を講ずることとなります。
 なお、県警としましては、本条例案の制定により県内の犯罪が減少し、安全で安心して暮らせる沖縄県がつくられるよう、これまで以上に関係機関・団体等との連携を強化していきたいと考えております。
 次に、空き交番対策についてでありますが、住民の皆さんからは地域のパトロールを強化してほしいという要望がある一方、交番に常時警察官がいてほしいという要望が寄せられていることは承知しており、県警としましてもこの問題を最重要課題として取り組んでいるところであります。
 しかしながら、平成14年中の刑法犯認知件数は2万5000件余で10年前の2.3倍、交通人身事故は5700件余で10年前の1.8倍、交通物件事故は4万1000件余で10年前の1.2倍、110番受理件数は11万7000件余で10年前の1.5倍となっており、警察官が所外に出て処理しなければならない警察事象が著しく増大している状況にあります。そのため、通常のパトロール時間の確保も交番への警察官の常駐もともに困難になってきている状況にありますが、県警としましては事件・事故処理の合理化・迅速化、本署パトカーの交番への立ち寄り、警察官及び交番相談員等の増員など、あらゆる施策を駆使してパトロールの強化と空き交番の解消という住民の皆さんの要望に努めているところであります。
 以上です。
○農林水産部長(諸見武三) 米の混入の原因について、マスコミによる検査及びマスコミ報道について一括してお答えいたします。
 米の品種混入調査については、JAS法に基づき平成15年10月から11月まで国と連携してDNA鑑定や産地の確認などを実施しております。調査の結果は、1、県外の生産者及び流通業者の段階から品種が混入していること、2、混入の原因が生産者や流通業者の不正行為によるものであること、3、原料玄米が農産物検査を受け、証明どおりの表示を行った県内の卸売業者に過失が認められないことであります。このことから、県内卸売業者の過失が認められずJAS法に基づく指示・公表は実施しておりません。
 マスコミ報道は、新聞社が独自で民間機関にDNAの鑑定を依頼し、これに基づき独自の判断で行われたものであると考えております。県としては、今後とも食の安全・安心を確保するためJAS法に基づく産地表示、原材料名、賞味期限等の表示事項について周知徹底等を図っていく考えであります。
 以上でございます。
○玉城ノブ子 渡久地健議員の突然の訃報に接し、驚愕をしています。心から御冥福を申し上げるとともに、御家族の皆さん方に心からのお悔やみを申し上げます。
 日本共産党を代表いたしまして質問を行います。
 現地時間29日夕方、復興支援活動中の日本人外交官2人が襲撃され死亡しました。イラク戦争が始まってからの日本人初の犠牲者です。事件の詳細は不明ですが、だれによるものであれ、どんな理由によるものであれ、こうした蛮行は許されません。亡くなられた2人の外交官と家族の方々に心からお悔やみを申し上げます。
 さきに行われました総選挙の結果について、所見を述べておきたいと思います。
 今度の総選挙で我が党は、改選前の20議席から9議席への後退という残念な結果でしたが、比例代表で得た458万票は今後の前進への土台となる大変貴重なものと考えています。
 選挙戦では、自民党と民主党が消費税増税と憲法改正という国の政治の基本問題で同じ立場に合流し、その枠組みで政権選択を争うという政党状況の大きな変化のもとで進められました。選挙戦で訴えた社会保障、雇用、農業、イラク問題などは国の政治の焦点です。特に消費税と憲法の問題は、今後の国政の大問題になることは必至であり、財界が主導する二大政党制には行き詰まった自民党政治を打開する力も展望もありません。日本の政治の今後は、消費税増税や憲法改悪を進める保守二大政党と革新・民主の勢力との対決を軸に発展していくでしょう。
 日本共産党は、小泉内閣が進めている憲法改悪や消費税増税、自衛隊の海外派兵を許さない闘いの先頭に立って闘うとともに、財界主役、アメリカ言いなりの政治から、国民が主人公の政治に変えていくために奮闘する決意を述べて質問を行います。
 まず、知事の政治姿勢について。
 自衛隊のイラク派兵について質問いたします。
 イラク国民の3人に2人が米英軍を解放軍ではなく占領軍とみなし反発を強めていることは、最近イラク国内で行われた世論調査でも明らかです。不当な占領がイラク国民の怒りを呼び起こし、その上にさまざまなテロリストグループが流入し、荒廃状態をもたらしています。イラク国民の意思に基づくイラク復興のためには、こうした米英軍主導の占領支配を国連中心の枠組みに移すことです。日本が行うべきは、国連中心の枠組みをつくるための積極的な外交努力であり、そのもとでの非軍事の人道支援ではありませんか。自衛隊派兵強行をやめ、イラク国民の意思に基づく復興のために力を尽くすことが、痛恨の犠牲を踏まえた小泉内閣の責任ではないでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 (2)、憲法改正問題について。
 小泉内閣は、2005年11月までに憲法改正案をまとめるよう指示し、改正のために必要な「国民投票法」を制定すると明言しました。そのねらいが憲法の平和条項第9条の改悪にあります。アメリカの戦争に日本が参戦する上でその最大の障害となっている憲法第9条を取り除き、歯どめなき海外派兵に道を開く、ここに憲法改正の大きなねらいがあります。
 日本は、戦後58年間戦争による犠牲者を出すこともなく今日に至っています。それは憲法9条の理念を貫いてきたからであります。日本は、憲法に基づいて外交努力をしてこそ国際社会に名誉ある地位を占めることができるのであります。平和が危機にさらされようとしている今こそ、憲法の改悪反対の声を上げ、平和を求める県民の心を世界に発信するときではないでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 消費税増税問題についてお伺いいたします。
 政府税制調査会は、消費税を2けたの税率に引き上げる必要もあり得るとの答申を出しました。今回の衆議院選挙では自民党が消費税引き上げについて国民的議論を行い結論を得るとし、民主党は、年金の財源については、消費税と掛金の組み合わせで安定化と政権公約を出しました。消費税は所得の少ない人ほど負担が重くなり、さらに必要な毎日の買い物から税金を取り立てる最悪の不公平税制です。
 沖縄県は、県民所得が全国の約7割、失業率は約2倍という厳しい経済状況のもとで、消費税の増税は県民の暮らしと中小零細業者の営業や雇用にはかり知れない打撃をもたらすことになります。県経済と県民の暮らしに責任を負う知事として消費税増税を許さないとの姿勢を明確にすべきではありませんか、知事の御所見を伺います。
 米軍基地問題について、都市型戦闘訓練施設の新設に反対を。
 金武町伊芸区のキャンプ・ハンセンのレンジ4に米陸軍の都市型戦闘訓練施設を新設する計画が明らかになりました。レンジ4は、民間地域まで約300メートルと隣接し、これまでも地元から強い返還要求の声が上がっており、その上に新たな都市型戦闘訓練施設ができるということはさらに危険が増大することになります。同種訓練施設は最近までグアム島の米軍基地内に建設計画がありましたが、民間地域に隣接していることや環境問題を理由に中止になった経緯がある施設です。現在、レンジ4で行われている迫撃砲などの訓練は玉突き的に県内の他の基地に分散させるなどとんでもない計画です。直ちに中止を求めるべきです。県の見解、対応、今後の取り組みについてお答えください。
 米軍北部訓練場の強化と世界自然遺産登録見送りについて。
 琉球諸島は、政府の本年度の世界自然遺産国内候補地と選定されながら、米軍の訓練場の存在を理由に世界遺産事務局への推薦作業から漏れました。
 環境省は、いつ北部訓練場が返還されるかわからないが、事実上返還されないと推薦もない、時間はかかると説明していると言われています。ユネスコの自然遺産推薦の大きな障害になっている北部訓練場の即時返還を求めるべきではないですか、お答えください。さらに、北部訓練場を使用している部隊の部隊名、訓練内容と目的についても答弁を求めます。
 米軍北部訓練場内の県民の水がめ(北部4ダム)の安全性の確保について。
 現在もダム及びその周辺で米軍演習は行われているのですか。米軍は使用する権限を持っているのでしょうか、お答えください。
 さらに、汚染防止と点検のためのパトロールは可能ですか。集水域及び水源涵養林区域の保全と安全確保のために北部4ダム地域の米軍訓練場の早期返還を求めるべきと考えますが、その意思と見通しについて答弁を求めます。
 知事とラムズフェルド米国防長官との会談について。
 去る16日に県庁で行われた知事とラムズフェルド米国防長官との会談について、知事の7項目の要請書に対する同長官の対応と知事の見解について答弁を求めます。
 在沖米軍基地の計画的、段階的な整理縮小について。
 県の具体的計画をそれぞれの基地ごとにその考え方についてお伺いをいたします。
 米軍基地の環境汚染と日米地位協定について。
 北谷町の返還米軍基地跡地からまたもPCBなどの有害物質が検出されました。国内法で製造を禁止している有害物の危険な物質を沖縄に貯蔵し、処理することは許されません。米軍の責任による処理を強く求めるべきであります。恩納村の自衛隊基地での処理には反対すべきであります。お答えください。
 15年使用期限と辺野古新基地建設について。
 イ、防衛施設局は、護岸構造の検討に対する現地技術調査及びボーリング調査と環境影響評価方法書を並行的に行うとしています。しかし、現地技術調査及びボーリング調査そのものが環境影響調査の対象になるのではありませんか。
 公共財産使用協議書に基づき許可を与えることは環境影響評価法に反すると考えます。御所見をお伺いいたします。
 普天間飛行場の全面撤去と辺野古新基地建設の中止について。
 普天間飛行場代替施設の15年問題や軍民共用空港問題は既に破綻をしていることは明らかであり、ジュゴン問題を初め環境問題も何一つ解決をしていません。普天間飛行場は辺野古への新基地建設による移設ではなく、無条件全面返還を求めるべきであります。答弁を求めます。
 3、県立南部病院の存続について。
 平成14年度決算における県立南部病院の利用状況は20万9333人、救急患者数も年間1万784人に上っています。また、糸満市消防本部の調査によりますと、南部病院の廃止によって糸満市の摩文仁地域から東風平、豊見城まで患者を搬送するのに7分から9分の時間差が出ることが明らかになりました。南部保健医療圏域における公立医療機関として極めて重要な役割を果たしていることを示していると考えます。県の認識を伺います。
 県立病院あり方検討委員会幹事会の報告書は、多機能病院検討委員会報告書の、県立病院がこれまで果たしてきた役割を踏まえ、医療ニーズの高い診療部門及び救急を引き続き実施するなど医療の質を落とさないよう効率的な運用を図っていく。また、同様の趣旨の県議会本会議の答弁と全く相反する内容となっています。なぜでしょうか、その理由を明確に答弁してください。
 憲法25条は、国民の健康権、生存権を保障し、国、県の責任を明確にしています。県立病院はその具体化であります。その視点からの検討こそが求められていると考えます。御所見をお伺いいたします。
 県立南部病院の廃止、経営移譲については、地域の意見なども十分に考慮したいとの答弁を行いましたが、どのような方法で地域の意見が反映されると考えているのか、伺います。
 県立南部病院の存続を訴える住民総決起大会に南部地区医師会を初め関係市町村長、住民団体等約1000名が参加しました。また、県立南部病院の廃止反対の署名も11月19日現在2万4143名分寄せられております。その意見を尊重する姿勢はありますか、お伺いいたします。
 介護保険について。
 介護保険料はことしの4月から引き上げられ、10月受け取りの年金から差し引かれています。県平均の保険料は全国平均3293円の約1.5倍の4957円になります。全国で2番目に高い糸満市では5680円になり、10月受け取りの年金から実に1万6420円も差し引かれ、生活していけない、何とかしてほしいとの悲痛な訴えが寄せられております。
 沖縄の高齢者の年間所得は全国平均の4割、一方で介護保険料は全国平均の1.5倍という全国一高額となっています。高齢者の実生活に与える負担の重さは深刻です。県はこの事態をどのように認識していますか。
 この3年間で独自の保険料減免制度をつくった自治体は431に広がっています。しかし多くは条件が厳しく、ごく少数の人しか適用されていないのが実態です。県内の減免制度の内容と実施状況について伺います。
 減免を実施しているほとんどの市町村が、その対象を第2段階(住民税非課税世帯)のごく限られた高齢者に限定しています。住民税非課税世帯に対しては、条件をつけずに全員を減免の対象にすべきではありませんか。
 厚生労働省は3原則の方針で各自治体を指導してきました。しかし政府は、地方自治法上従う義務というものではないと認めています。県は、各市町村に3原則による指導ではなく、真に高齢者の負担軽減につながる減免制度への財政支援を行うべきではありませんか、お伺いいたします。
 介護保険で在宅生活が続けられない最大の障害は、サービスごとに支払う利用料の負担です。本県でも利用料減免のサービス人数の対象を拡大し、実効ある減免制度が実施できるよう必要な財政支援を行うことについて質問いたします。
 県が昨年8月に実施した介護保険の3施設の申込者の調査結果によると、申込者が4414人で入所の必要性が高いと思われる者は700人から800人と推定しています。この3施設でこれだけの高齢者が入所できないというこの事態をどう認識されておりますか。全県の施設待機者の実態を直ちに調査する必要があると考えます。いかがでしょうか。
 また、施設の整備を急ぐべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 地産地消の取り組みについて。
 地産地消を真に実効性のある取り組みにするためには、その理念や意義、数値目標を明確にし、条例や基本計画の策定が必要であると考えます。県の御所見をお伺いいたします。
 地産地消の取り組みは、その考え方を県政のあらゆる分野において積極的に展開することが求められております。知事を責任者にした実効性ある組織づくりが必要であると考えます。知事の御所見をお伺いいたします。
 答弁によって再質問を行います。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの玉城ノブ子君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします
   午前11時54分休憩
   午後1時24分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 午前の玉城ノブ子君の質問に対する答弁を願います。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 玉城ノブ子議員の質問にお答えをいたします。
 最初は、自衛隊のイラク派遣についてでございます。
 県としては、国連を中心としたイラクの復興が一日も早く実現することを期待しており、我が国も関係各国と協力しながら主体的に貢献していくことが望ましいと考えております。イラクへの自衛隊派遣は、イラクの人道復興支援を目的としたものだと承知しておりますが、国民の理解を得るためにも自衛隊の派遣に際しては十分な議論を深めるとともに、派遣地域や活動内容等について慎重かつ十分な検討が行われることを強く望むものであります。
 続きまして、憲法改正についての御質問にお答えいたします。
 沖縄県民は、命のとうとさと平和の大切さを肌身で感じ恒久平和を強く望んでおり、憲法については主権者である国民がさまざまな議論を通してより理解を深めることが重要であると考えております。
 なお、憲法論議についてはさまざまな意見があることを承知しております。現在、平成12年1月に衆参両院に設置された憲法調査会において広範かつ総合的に調査されているところであります。
 次に、陸軍複合射撃訓練場の新設に対する県の対応についてお答えをいたします。
 陸軍複合射撃訓練場の建設に当たっては、既存の訓練施設に加えて新たに追加される施設も計画されており、また、これまで中止していた実弾を使用した訓練も実施するとのことであります。
 県は、県民の基地負担の軽減を求める立場から、これまで基地の整理縮小、海兵隊の訓練等の移転及び在沖米軍兵力の削減などを求めてきているところでありますが、今回の陸軍複合射撃訓練場の建設計画は、県のこれまでの要請や県民の意向に反するものであり遺憾であります。県としては、同訓練場は基地の固定化や訓練の過密化による基地負担の増大にもつながることが懸念されることから、同訓練場の建設には反対であります。
 また、レンジ4に隣接する金武町の伊芸区では、金武町長に対し同施設の建設計画を即時中止するよう求めており、金武町や町議会としても同施設の建設に反対の意思を表明しております。
 昨日、政府主催による全国知事会が首相官邸で行われましたが、その席上、比嘉副知事より小泉総理大臣や各大臣に対し、今般、新たな米軍訓練施設の計画が示されたことについて県民は強い不満を抱いており、本県における米軍基地問題の解決は目に見える形で一歩一歩前進させることが重要である旨訴えたところであります。
 次に、ラムズフェルド米国防長官との会談の感想と要請に対する回答についてお答えいたします。
 今回の国防長官との会談では、会談時間が短いことを考慮し、数多くの基地問題の中からこれまで日米両政府に対して要望してきた最も基本的な課題である基地の整理縮小や兵力の削減及び日米地位協定の見直しなどに加え、最近問題になっている米海軍の低周波ソナーの日本周辺海域での使用問題の7項目に絞って要望しました。私は、今回の国防長官との会談を沖縄の基地問題の実情について現地の声を伝える好機ととらえ、基地から派生する諸問題、県民感情、基地負担の軽減を求める県民の意向等を強く訴えたところであります。
 県の要望に対し、国防長官からは、今回の沖縄訪問は現地の状況を直接見聞し学ぶことが目的であり、世界じゅうのアメリカの基地の見直しを行っている最中でもあることから、具体的な回答は避けたいという趣旨の発言がありましたが、国防長官や同行した政府のスタッフには沖縄の実情や県民の意向を理解していただけたものと考えております。県としては、今回の沖縄訪問を契機に、沖縄の基地問題が目に見える形で前進するよう米国政府の動向を注視しつつ、今後とも粘り強く基地問題の解決を訴えていく考えであります。
 次に、在沖米軍基地の整理縮小についてお答えいたします。
 県としては、県民の過重な基地負担の軽減を図るため、SACOで合意された施設以外についてもさらなる段階的な整理縮小が必要であると考えており、これまであらゆる機会を通して日米両政府に訴えてきたところであります。
 個々の施設については、返還を要請するに当たっては地元市町村の意向を初め国際情勢や県土の有効利用、基地の跡地利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、経済振興等を総合的に勘案しながら検討する必要があります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○総務部長(仲田輝享) 消費税についてお答えします。
 消費税については、少子・高齢化がますます進展する中で世代間の公平の確保、地方分権の推進、安定的な歳入構造の確保の観点からその役割は重要なものとなっております。現在、消費税のあり方については、政府税制調査会において税制及び歳出を含めた財政全体、さらには国民生活に与える影響等も含め議論されているところであり、その動向を注視しているところであります。
 以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) 北部訓練場の返還と訓練内容についてにお答えいたします。
 北部訓練場は、SACO合意によりその過半が返還される予定でありますが、ヘリコプター着陸帯の移設が条件となっていることから、国は、ヘリパッド移設候補地の選定を行うため、昨年11月5日からことし10月まで四季を通した環境調査を実施しており、今年度中に報告書をまとめるとのことであります。県としては、国による継続環境調査の結果や関係する市町村の意見等も踏まえながら、移設場所の選定に当たっては当該地域の自然環境に十分配慮するよう国や米軍に働きかけてまいりたいと考えております。
 なお、北部訓練場は海兵隊の管理のもとに、海兵隊の各部隊のほか陸軍、海軍、空軍の各部隊が対ゲリラ訓練、歩兵演習、ヘリコプター演習、脱出生還訓練、救命生存訓練及び砲兵基本教練などの訓練を実施するなど、対ゲリラ訓練基地として使用されております。
 北部訓練場内のダムの安全確保についてにお答えいたします。
 北部訓練場内にある福地ダム等の北部4ダムについては、地位協定第2条第4項(b)の施設・区域として、主としてダム管理者である国が管理運営をしております。北部4ダムについては、昭和63年の第13回三者連絡協議会においてダム貯水池での訓練を廃止するよう提案し、在日米軍沖縄地域調整官から、代替地が見つかるまでの間、北部ダムにおける訓練を中止するとの表明がなされております。その後、米軍は北部4ダムでの訓練を実施しておらず、管理者である国が他のダム同様安全性の確保に努めているものと理解しております。
 なお、北部4ダムの返還については、SACOにおいて普久川ダム、安波ダムの全部返還及び福地ダムの一部返還が合意されております。県としては、返還条件であるヘリパッド移設について国による継続環境調査の結果や関係する市町村の意見等も踏まえながら、移設場所の選定に当たっては、当該地域の自然環境に十分配慮するよう国や米軍に働きかけてまいりたいと考えております。
 環境浄化の米軍への要請及びPCB汚染物質の処理についてにお答えいたします。
 日米地位協定第4条によって返還後の環境調査や有害物質等の処理は、基地の提供責任者である国において行っている状況にあります。
 県は、米軍基地に係る環境問題の抜本的解決を図るためには、地位協定第4条の改定も含め日米地位協定の抜本的見直しが必要であると考えており、日米両政府に対し要請しているところであります。今後とも、あらゆる機会を通じて日米両政府に働きかけていきたいと思います。
 なお、PCBが使用されている疑いのある蛍光灯安定器338個については、航空自衛隊那覇基地内のPCB廃棄物保管施設で廃棄物処理法に基づき適正に保管されていることが確認されております。
 米軍が環境汚染の原因者である蓋然性が高い返還跡地の環境調査については、軍転特措法の政令改正によって日本政府において行われるものとなっており、国の責任において処理されるべきものと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 米軍基地問題についての御質問のうち、現地技術調査及びボーリング調査は環境アセスメントの対象ではないかという御質問にお答えいたします。
 環境影響評価法では、一定規模以上の道路やダムの建設、公有水面の埋め立て等環境に大きな影響を及ぼすものとして定めた事業を対象としており、今回のような護岸構造の検討に必要な地質調査等は環境影響評価の対象としておりません。したがって、公共用財産使用に同意することは環境影響評価法に反するとは考えておりません。
 しかしながら、県としては、調査の実施に当たっては可能な限り環境への影響の少ない調査方法が選定されることが重要と考えております。
○病院管理局長(平井哲夫) 南部病院の利用状況と役割についてお答えいたします。
 本県の県立病院は、県下の基幹的病院または地域の中核病院として、急性期医療を主体に救急医療、高度・特殊医療、離島・僻地医療等を担っております。
 平成14年度決算における県立病院全体の利用状況を見ると、延べ入院患者数が前年度より0.4%減少していますが、延べ外来患者数は前年度より0.8%増加しております。このうち、南部病院については入院・外来とも前年度より減少しており、それぞれマイナス12.7%、マイナス8.2%と県立病院の中で最も大きな減少率となっております。
 南部病院の特徴といたしましては、入院患者の約7割を65歳以上の高齢者が占め、他の県立病院と比較して入院患者の平均在院日数が長く、慢性期を対象とする医療機能へのシフトが見られます。
 また、患者の居住地の状況を見ますと、入院・外来とも8割以上が糸満市内からの受療となっており、南部病院については中核病院としての広域性が低下しているものと考えられます。
 それから、あり方幹事会報告と高度・多機能病院検討委員会報告の趣旨についてお答えいたします。
 県立病院の今後のあり方検討委員会では、民間医療機関等の整備の進展や公的医療機関に対する医療ニーズへの対応の必要性、県財政や病院事業経営の厳しい状況等を背景に、県立病院の役割・機能及び経営・運営の両視点から総合的な検討を行っております。病院事業の構造的な部分を含めた抜本的な見直しが必要であるとの認識のもとに論議が進められております。
 検討に際しましては、御質問の高度多機能病院検討委員会報告書もあらかじめ提供しており、当該報告書の内容も含めた総合的な観点から論議が進められてきたものと理解しております。
 なお、県立病院事業の改革につきましては、本年3月に策定された「新沖縄県行政システム改革大綱」にも位置づけられており、行財政改革の観点からも重要な取り組みとなっております。
 それから、憲法25条の視点からの県立病院の検討についてお答えをいたします。
 憲法第25条は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるように国政を運営すべきことを国家の責務として宣言したものとされております。
 また、医療法第1条の3においては、国及び地方公共団体の責務として、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めることが規定されております。したがって、国はもとより県、市町村がそれぞれの役割を果たしていく必要があるものと考えております。現に国、県、市町村等が開設者となった医療機関が設置されていることから、これらの医療機関が適切な役割分担を図りながら政策的に取り組むべき医療等を提供していくことが必要であると考えております。
 それから、地域の意見の反映方法及び存続を求める意見等の尊重についてお答えをいたします。
 県立南部病院につきましては、あり方検討委員会設置後、糸満市長、南部地区医師会、糸満市議会からそれぞれ要請書、意見書が提出されておりますが、その都度、委員会、幹事会に提供しており、それらを踏まえた検討が行われております。
 また、さきの住民大会決議、南部市町村会からの要請等についても委員会に提供することとしており、さらに糸満市からの申し入れを受け、次回委員会では糸満市からの意見聴取とそれに基づく意見交換も行うこととなっております。したがって、今後の委員会においてもこれら地域の意見等も踏まえた上での検討が行われるものと考えております。
 県といたしましては、あり方検討委員会からの提言を受けた後、県としての実施方針等を検討することとしておりますが、委員会からの提言は尊重していきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 介護保険料に対する認識についてお答えいたします。
 介護保険は、受けるサービスの量に応じて各保険者が介護保険料を設定する仕組みとなっております。本県では、要介護認定率が高く介護サービスの利用が全国平均より多いため、市町村の第2期介護保険事業計画では高齢者の介護保険料も上昇が見込まれたため、国や県も保険料軽減策を講じましたが、県平均の保険料は全国で最も高額となっております。
 これに対し、県としては低所得者対策として保険料軽減策等の措置、また介護保険事業適正化対策として保険者に対して介護報酬点検事務、実態に見合ったケアプラン作成事務の点検、介護給付費の利用者への通知、介護保険料の収納率向上等の取り組みについて引き続き強力に働きかけてまいります。また、県としても介護に陥らないための県民の健康づくりが重要であると考えており、健康づくりの指針となる「健康おきなわ2010」を策定し、介護予防を積極的に推進しているところであります。
 続きまして、市町村の保険料減免状況と財政支援について一括してお答えします。
 介護保険制度は、介護を国民皆で支え合おうとするものであり、保険料を支払った者に対して必要な給付を行うものであります。
 本県における平成14年度までの保険料単独減免実施市町村は2カ所でありましたが、平成15年度は40市町村で保険料の単独減免を実施しております。県としても、制度の趣旨を踏まえ低所得者対策として3原則を遵守した保険料の減免措置は必要と考え、市町村に対し今後とも同様な助言を行ってまいります。今後は、介護保険に係る実態調査を実施し、その分析結果や市町村及び関係者の意見等を踏まえて本県の実態が反映できるよう検討していきたいと考えております。
 続きまして、利用料減免に対する財政支援についてお答えいたします。
 介護保険制度では、利用者負担の軽減を図るため負担上限額を設定し、それを超える分については高額介護サービス費の支給を行うこととなっております。また、社会福祉法人による利用者負担の減免措置等の施策を講じており、今後とも社会福祉法人等による生活困難者の利用者負担減免措置を浸透するよう強力に働きかけていきたいと考えております。
 続きまして、待機者の実態調査と施設整備についてお答えいたします。
 介護保険制度の施行後、特別養護老人ホームへの入所申込者が増加しております。これは、病院等に入院中で直ちには入所の必要のない高齢者が入所を申し込んだり、複数の施設に申し込んだりしていることが大きな要因と考えられます。
 このようなことから、真に入所の必要な高齢者が優先的に入所できるよう、県と老人福祉サービス協議会が共同で「沖縄県特別養護老人ホーム入所指針」を作成し、去る4月から運用しております。指針の実施に当たり、老人福祉サービス協議会と協議の上、入所申込者の状況を正確に把握するため、新たに「入所申込者支援システム」を導入し、今年度じゅうに入所申込者の数や場所を把握することにしております。
 なお、施設整備については、特別養護老人ホームの整備が全国平均の約1.6倍と高い整備率となっており、本年3月策定の「沖縄県高齢者保健福祉計画」においては新たに定員を増加させないことにしております。今後は、施設介護から在宅介護へのシフト対策及び高齢者が住みなれた地域で安心して暮らしていけるようケアハウス、痴呆性高齢者グループホーム及び生活支援ハウスの整備を促進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 地産地消の実効性ある取り組みについて、理念や数値目標を明確にした基本計画等の策定と地産地消の積極的対応について一括してお答えいたします。
 地産地消の推進については、地域で生産された農林水産物を地域で消費する仕組みづくりが重要であります。
 県としましては、県産農林水産物の販売促進を図るなど地産地消に係る各種事業等を推進しているところであります。具体的には、1、県内ホテルにおける県産食材フェアの開催、2、「沖縄100の健康料理」メニュー集の発刊・普及、3、農産物、水産物、林産物を網羅した農林水産フェアの開催、4、県内13量販店を対象に調理方法や栄養価等をPRするためのフードアドバイザーの派遣などを行っているところであります。
 また、地産地消に対する県民の意識啓発やPR等を全県的に展開するため、知事を先頭に消費者団体、学校給食会、ホテル関係者、生産団体など生産から消費までの関係者を網羅した県民推進会議を平成16年2月に設立することとしております。今後は、県民推進会議や沖縄県農水産物販売促進協議会等を通して地産地消を幅広く展開し、県産農林水産物の消費拡大を図っていく考えであります。
 以上でございます。
○玉城ノブ子 休憩願います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後1時50分休憩
   午後1時52分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 農林水産部長。
   〔農林水産部長 諸見武三君登壇〕
○農林水産部長(諸見武三) 地産地消の実効性ある取り組みの理念や数値目標を明確にした基本計画あるいは条例等の策定が必要ではないのかという趣旨の御質問にお答えします。
 県としては、農林水産業の効果的かつ効率的な施策展開を図るために、今現在実施計画としまして平成14年度から16年までの3カ年を目途とした各種施策・事業の具体的な目標数値等を盛り込んだ農林水産業振興計画を策定しているわけでありまして、この計画の中に具体的な自給率だとか、あるいは農業粗生産額、あるいは拠点産地の育成、漁業の生産額の数値等について具体的な施策・事業あるいは目標数値を定めているわけでありまして、したがいまして条例や基本計画を策定する考えではありません。ただし、先ほど申し上げましたように地産地消の具体的な推進を図るために県民会議を立ち上げて、その中で関係者と一体となって取り組んでいきたいということでございます。
○玉城ノブ子 南部病院の存続問題について質問します。
 ぜんそくの発作を起こし、救急車の中で呼吸停止、心拍停止になったことのあるAさんは次のように訴えています。南部病院の救急センターのおかげで助かった。しかしその病院が廃止になると、これから先のことを考えるととても不安ですと。心臓発作やぜんそくの発作等を経験した者にとって近くの救急センターは地域住民の大きな心のよりどころとなっています。県立病院の果たす役割は非常に重要であります。県民の健康と安全を守ることに責任を負う知事として、地域住民の命綱となっている南部病院の存続を求める県民のこの思いにどうこたえるおつもりなのか、責任ある態度を、措置をとるべきではないかというふうに思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 都市型訓練施設についてでありますけれども、知事も反対の態度を表明いたしました。大事なことは、今後どのようにこの反対運動を進めていくかということであります。議会、行政、県民が一体となってこの運動を展開する必要があります。比嘉副知事が恩納村の村長のときにみずから座り込み行動もやって、体を張って中止に追い込んだというこういう実績があります。ぜひこれを生かして断固とした姿勢と機敏な運動で今後の取り組みを展開していただきたいということについて答弁を求めます。これは知事と副知事の決意表明を求めたいと思います。
 それと、普天間飛行場代替施設の15年問題、軍民共用空港問題は既に破綻をしていることは明らかです。ジュゴン問題を初め環境問題も何一つ解決をしておりません。普天間飛行場は辺野古への新基地による移設ではなくて、無条件返還を求めるべきではございませんか。御所見をお伺いいたします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後1時56分休憩
   午後1時57分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 玉城議員の再質問にお答えいたします。
 最初は、南部病院の問題でございます。
 南部病院に寄せられる地域の皆様のその気持ちについては十分に私も承知しております。ただいま検討委員会において糸満市からの意見聴取も行われる予定であると聞いておりますので、これら地域の意見も踏まえた多角的な検討が行われるものと理解をしております。
 続きまして、陸軍複合射撃訓練場の建設計画の撤回についての再質問にお答えいたします。
 同施設の計画については地元金武町や町議会、伊芸区の住民も反対しており、米軍はこれを重く受けとめ計画を撤回すべきであり、国も米軍に対し計画を撤回するよう働きかけてもらいたいと考えております。
 次に、普天間飛行場の移設についてお答えをいたします。
 県は、移設に当たって整備すべき条件として軍民共用空港、15年の使用期限など4つの条件を提示し、これを受け政府は「普天間飛行場の移設に係る政府方針」を閣議決定しております。普天間飛行場の移設については、閣議決定された政府方針に基づき代替施設協議会における協議を経て昨年7月に基本計画が決定されるなど一歩一歩進められてきたところであり、着実に進展しているものと考えております。
 代替施設の15年使用期限については、基地の固定化を避けるため条件の一つとして提示しているものであり、着工までには政府から一定の方向性が示されなければならないと考えております。
 普天間飛行場の返還については、県としては、現在行われている移設作業を進めていくことが早期返還につながる現実的で実現可能な方法と考えており、一日も早く返還されるよう引き続き努力していきたいと考えております。
○副知事(比嘉茂政) 昨日、政府主催の全国知事会におきましても、沖縄の基地問題というのは単に沖縄の地域というだけの問題じゃなくて、日本の安全保障並びに外交について国民の皆様がどう考えるのかという極めて国民的な課題であるということを申し上げました。そして沖縄の米軍のいわゆる在外の米軍再編成の動きのある中で、ぜひ沖縄の基地問題は一歩一歩前進した形で解決をお願いしたいというふうに申し述べました。その中で、今持ち上がっている陸軍複合射撃訓練場の問題も言及したところであります。今、知事がお答えしたとおりでありますから、少なくとも今後、地元の御意向もありますので、踏まえて適切に我々としては対処していきたいとこういうふうに思っています。
○玉城ノブ子 都市型訓練施設については知事は明確に反対の態度を表明しているわけです。地元の皆さんも、地元の議会もみんな反対の意見を表明しているわけです。そういう点からすると、行政と議会と地元が一緒になってこれを断固阻止するというこの立場で頑張る必要があるんじゃないですか。具体的にどういう運動を展開していくかということが大事です。それについてもう一度知事の決意をお伺いしたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後2時3分休憩
   午後2時3分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 玉城ノブ子議員の再々質問にお答えいたします。
 同施設の計画については地元金武町や町議会、伊芸区の住民も反対しており、米軍はこれを重く受けとめ計画を撤回すべきであり、国も米軍に対し計画を撤回するよう働きかけてもらいたいと考えております。
○喜納 昌春 皆さん、こんにちは。
 社大・結連合会派を代表しまして質問を行いたいと思います。
 その前に、昨日、ひとしく敬愛申し上げます渡久地健議員が志半ばで御逝去されたということで、本当に有能で誠実な団塊の世代の政治家で、これからの期待と課題が山積した中での御逝去で、私もひとしくショックを受けています。そういう意味で、まだ信じられないさなかですが、御冥福をお祈りしながら、御遺族の皆さんにお悔やみを申し上げまして、また残された課題を渡久地さんの遺志の部分も私たちが分配しながら県民のために頑張っていく、そういう思いで代表質問をさせていただきます。
 知事の政治姿勢として2点の問題について質問いたします。
 最初に、11月9日に開会され、去る11月27日に閉会されました特別国会の中で審議された自衛隊のイラク派兵問題についてであります。
 (1)点目に、自衛隊のイラク派兵問題について。
 ア、自衛隊のイラク派兵ありきの日本政府・小泉政権の動きをどう稲嶺知事は考えますか。
 イ、11月29日にはとうとうイラクの日本大使館職員お二人が犠牲になっております。そういう意味でとうとい生命がテロの犠牲になられましたので、これもひとしくまた皆さんと一緒に御冥福を祈りたいと思います。御遺族の方のいろんな釈明の仕方がありましたけれども、私は日本の国民のために犠牲になったのを誇りに思いますという言葉そのものを立派と思いながらも、60年前にああいう格好でしか言えなかったという言い方は非常に釈然としません。そういう意味ではむしろ怒りを出しながら、何で死なぬといかないのかということを表明してほしかった。
 そういう中でのこのイラク問題でありますが、このようにますます激化するイラクを中心とする世界各地でのテロ頻発の傾向の原因は何にあると考えますか。
 それからウですが、自衛隊のイラク派兵が本当にイラクの復興とテロ撲滅につながると考えますか。知事、御答弁願います。
 エ、自衛隊のイラク派兵の出撃拠点として、沖縄の米軍基地や自衛隊基地が活用される危険性についてどう考えますか。
 オ、自衛隊のイラク派兵となったらテロ集団は東京をテロ目標にすると明言しています。沖縄が出撃拠点化したら必然的に沖縄そのものが攻撃目標にさらされる危険性が十分に予想されます。沖縄県民をこれ以上危険にさらす軍事的緊張感、危険性の増大に対する責任はだれが、どうとると言うのか。こうした重大な課題、懸念に対し、どう知事は沖縄県民の命と暮らしを守っていくお考えか、その政策と決意を伺います。
 カ、沖縄県民を一層軍事的脅威と危険に巻き込んでいく可能性の強い自衛隊のイラク派兵など海外派兵については、平和憲法の前文や第9条に明確に違反するものであり、憲法を遵守する義務と立場にある稲嶺知事としても断固反対を表明すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、政治姿勢の(2)点目ですが、11月16日に来県したラムズフェルド米国防長官との会談に関して3点の質問をいたします。
 ア、同長官の来沖のねらいは何にあったと考えますか。
 イ、稲嶺知事が同長官に突きつけた7項目の要求のねらいは何にあったのですか。また、同要求に対する長官の答えはどうだったのですか。
 ウ、報道やこれまでの論議から知る限り、知事の切実な要求に対する同長官の回答と態度は、沖縄県民に過重な基地負担の迷惑をかけているという認識と、そこから論議されている今日の基地負担の軽減化の方向性の認識は全く欠如しているとしか思えません。加えて、多発する米軍の事件・事故に対する県民の怒り、日米地位協定の抜本的な見直しを迫る沖縄県民ぐるみ、全国的な日本国内の雰囲気を全く知らないか、無視する印象を強めた日米戦争の勝者の大国が小国に来てやったの印象を免れない礼節と誠実さに欠けるものであったと我が党会派は考えています。知事の同長官との会談を通しての印象と心境、そして7項目の要求に対する米国の感触と今後の展望をどう実感されたのか、所感を求めます。
 次に、米軍基地問題に関しまして3点の問題について社大・結連合の立場から質問いたします。
 (1)点目は、普天間飛行場返還問題についてであります。
 ア、きょう12月2日でSACO合意の中の最大事案の普天間飛行場の5年ないし7年以内の返還の約束がほごにされたことになります。この約束、いわゆる今日的表現をするならば政策です、マニフェスト違反の責任はすべて日米両政府にあると我が党は考えますが、稲嶺知事の認識とSACO合意以来今日に至るまでどのように日米両政府に合意履行を迫ってきたのか伺います。普天間飛行場の早期返還が実現するか否かの第一の責任は日本政府にあると一貫して迫っていかないと、稲嶺県政の弱さと怠慢の責任を問われると考えますが、知事の所見を求めます。
 イ、SACO合意に基づく普天間飛行場返還を守らせ切れなかった背景には、今から5年前の1999年11月に稲嶺知事が、ベターな選択としてキャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域に受け入れ表明したことに最大の原因、いわゆる実現困難な軍民共用空港と15年使用問題等に最大の原因があると我が党会派は考えます。
 同時に、同年12月28日の閣議決定の「普天間飛行場の移設に係る政府方針」の存在が、結果において稲嶺県政だましの政策公約にあると我が党は考えています。そうではないと言うのなら、1999年11月22日の稲嶺知事の条件つき受け入れ表明から去る11月22日で満4年を経過した今日、普天間飛行場返還の早期実現のためにベターな選択をしたと自画自賛する稲嶺県政が、その条件が満たされないなら着工はあり得ないとするそれらの条件に対して、政府はどのように誠意ある対応をしてきているのか、明確な答弁を求めます。
 ウ、稲嶺知事は、この普天間飛行場返還については移設先の問題を含めてすべて日本政府に責任があると強調されて、そのたびごとに1999年12月28日の政府の閣議決定の重さを強調されてきましたが、知事が言うところの政府は稲嶺知事の提案に対して十分に理解しているどころか、軍民共用空港の民の部分の事業主体の問題では、主体は国ではなく県ではないかと言ったり、15年使用問題に至っては真剣に日米協議のテーブルにのせられた形跡は全くなく、沖縄側はこう言っておりますという程度で、15年しか使用はできませんよとは一切言っていないことは日米首脳会談や外務大臣、アメリカ側の高官などの発言、反応から明らかです。
 こうした事実と経過から4年前の閣議決定の重さはなく、歴代首相や外務大臣など内閣の責任感にも疑問を禁じ得ません。
 普天間飛行場を5年ないし7年で返還すると沖縄県民、日本国民に公約した日本政府の決定の実現を迫る上でも、第2次小泉内閣に対し、SACO合意をほごにした政権としての責任の重大さも加味して、今回は5年以内に普天間飛行場の返還を迫るSACO合意の見直しと新たな閣議決定を求めるべきと考えますが、知事の所見を求めます。
 エ、普天間飛行場の早期返還に向けて地元宜野湾市の伊波洋一市長の5年以内に返還を実現させるため日米両政府に精力的に働きかけている政策をどう評価し、早期実現という県政と共通の課題にどう連携していく考えか、知事の御所見を求めます。
 次に、名護市辺野古海域での那覇防衛施設局から県に出されているボーリング地質調査等の公共用財産使用協議書に関しまして8点の質問をいたします。
 ア、この協議書の提出の意義と目的は何ですか。
 イ、県の公共用地財産の管理の目的と、同公共用地財産の恩恵を受けている地域・住民との関係をどう県は認識していますか。
 ウ、同協議書の内容はどうなっていますか。
 エ、同協議書に添付された作業計画では、63カ所の掘削地点に関して52カ所が当初地点から変更されたとのことですが、どのように検討され変更されたのか。その信頼性、信憑性については極めて疑問と我が党会派は考えます。地域住民や県民からも上がっている同様のこうした疑問に県はどうこたえていく考えか、御所見を求めます。
 オ、位置変更は、環境省と海洋動植物学の5人の専門家の助言を得たとされていますが、そのメンバーとそのときの潜水調査の報告書、あるいは助言の内容は当然公表されるべきものと我が党会派は考えますが、公表されているのか。まだなら当然県は公表を求めるべきではないのかと思いますが、御所見を求めます。
 カ、県は今後、この国から出されている協議書についてどのような組織で、どのような手順で、いつごろまでに協議検討し判断していくお考えなのか、答弁を求めます。
 キ、海域汚染でジュゴンなど海洋生物や周辺環境に重大な影響を与えかねない今回のボーリング調査に環境を守る視点からの明確な県としての基準はあるのですか。
 ク、この調査については、県、行政側だけで検討するのではなく、自然環境の専門家や地域代表等も加えて調査に同意賛成ありきではなく、より慎重に協議を公正公平に進めていくべきと考えますが、県の御所見を求めます。
 (3)番目の質問、米軍による金武町での都市型訓練施設計画の問題に関して3点の質問をいたします。
 ア、同計画について県が知ったのはいつですか。その後どう対応してきましたか。
 イ、米軍の同計画に関して既存施設の整備と米軍側は言うが、現状の規模、内容はどうなっており、新たな建設計画の内容はどうなっていますか。
 ウ、我が党は、公表された数少ない資料から見ても改修整備に名をかりた基地の機能強化と考えます。基地の機能強化には稲嶺県政としても反対のはずですが、この問題を知事はどう認識し、日本政府、米軍当局に対応し、また今後その計画に反対を表明している金武町民、地元と連携し、同計画の撤回に向けて取り組んでいく考えなのか、御所見を求めます。
 質問項目の大きな3番目に、日米地位協定の見直しに関して4点の質問をいたします。
 (1)点目には、去る10月28日に本県の那覇市で開かれた全国都道府県議会議長会で、日米地位協定の抜本的な見直しが全会一致で決定された意義と評価に関して知事の御所見を求めます。
 (2)点目に、稲嶺知事の全国行脚による国民ぐるみでの日米地位協定の抜本的見直しへの機運づくりの地道な努力については評価しますが、13の渉外都道県においてはすべて見直し決議がなされ、含めて24都道府県での決議がなされたとのことですが、一方では去る10月8日に石川県議会で、いわゆる小泉政権を支える森前首相の地元では少数否決されたと耳を疑うような状況も一部出ております。こうした状況をどう把握されているのか。こういったことを含めてその後の全国的な反響と政府の重い腰についてはどう判断されていますか。
 (3)点目に、県内的には超党派的な県民大会の実現に向けて社大党・結連合としても他の政党団体と全面的な協力の構えで努力してきていますが、いま一歩、稲嶺県政を支える与党・自民党の考え方、動きが、知事の決意と県民大会への期待の大きさとは裏腹に弱い印象をぬぐえません。こうした面でのコンセンサスづくりが県民大会あるいは国民総行動、決起の大きなかぎを握っていると考えますが、知事の御所見と今後の決意を伺います。
 (4)点目に、8月の日米協議の論議は、改正交渉が刑事手続問題に矮小化され、県民の求める抜本的見直しの構図が忘れ去られていると言わねばなりません。小手先の運用改善ではなく、県が求めている11項目にわたる包括的な論議の原点に戻せと厳しく日米両政府に再度迫るべきと我が党会派は考えますが、知事の所見を求めます。
 大きな柱の質問4番目に、北谷町キャンプ桑江跡地土壌汚染問題に関しまして4点の質問をいたします。
 (1)点目に、この問題について県は那覇防衛施設局からいかなる報告を受けていますか。
 (2)点目に、こうした問題の抜本的な解決のためには、返還跡地を含めて米軍基地内の環境調査を徹底的に県が行うべき必要があると考えますが、県の所見を求めます。
 (3)点目に、地元北谷町民や地権者の皆さんの不安と怒りにこたえ、速やかな原状回復と環境浄化及び被害補償等に向け県はどう政府に対応していく考えか、所見を求めます。
 (4)点目に、同様の米軍返還跡地での土壌環境汚染の再発防止に関して、日米地位協定の抜本的改正などで使用者の米軍側の責任を明記し、使用のあり方を含めて厳しく対応、要求していくべきと考えますが、県の御所見を求めます。
 あと、教育問題と年金問題は次回に回したいと思います。御準備ありがとうございます。答弁をよろしくお願いします。
 答弁によって再質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) 喜納昌春議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は、自衛隊のイラクの派兵問題につきまして一括してお答えを申し上げたいと思います。
 世界各地で頻発するテロの原因は、経済格差や貧困、抑圧などさまざまな要因が考えられますが、悲惨なテロをなくすためには平和で安定した地域を構築するため、国際社会の協力のもと、国連が主体となってその役割を果たすことが望ましいと考えております。イラクへの自衛隊派遣は、イラクの人道復興支援を目的としたものだと承知しており、国連主導のもとに各国が連携し、イラクの人道復興支援に努力することによってイラクの情勢が安定し、テロ撲滅への道が開かれることを期待しております。県としては、国連を中心としたイラクの復興が一日も早く実現することを期待しており、我が国も関係各国と協力しながら主体的に貢献していくことが望ましいと考えております。政府においては、国民の理解を得るためにも自衛隊の派遣に際しては十分な議論を深めるとともに、派遣地域や活動内容等について慎重かつ十分な検討が行われることを強く望むものであります。
 また、自衛隊派遣によって基地負担の増大や県民生活への影響があってはならないと考えており、県民の生命財産を守る立場から今後適切に対応していきたいと考えております。
 次に、ラムズフェルド米国防長官との会談について一括してお答えいたします。
 今回の国防長官との会談では、会談時間が短いことを考慮し、数多くの基地問題の中から、これまで日米両政府に対して要望してきた最も基本的な課題である基地の整理縮小、普天間飛行場の移設、在沖米軍兵力の削減、日米地位協定の見直し、事件・事故の未然防止及び航空機騒音の防止対策などに加え、最近問題になっている米海軍の低周波ソナーの日本周辺海域での使用問題の7項目に絞って要望いたしました。
 私は、今回の国防長官との会談を沖縄の基地問題の実情について現地の声を伝える好機ととらえ、基地から派生する諸問題、県民感情、基地負担の軽減を求める県民の意向等を強く訴えたところであります。今回の国防長官の沖縄訪問は、現地の状況を直接見聞し学ぶことが目的であるとのことでありますが、国防長官や同行した政府のスタッフには沖縄の実情や県民の意向を理解していただけたものと考えております。県の要望に対し、国防長官からは、1、米海軍の新型低周波水中音波探知機の使用問題については、米側が調査した結果、海洋生物などへの影響はほとんどない、2、訓練演習、騒音のレベルも下がってきていると理解しているという趣旨の発言がありましたが、その他については具体的な回答はありませんでした。
 県としては、今回の沖縄訪問を契機に沖縄の基地問題が目に見える形で前進するよう米国政府の動向を注視しつつ、今後とも粘り強く基地問題の解決を訴えていく考えであります。
 次に、基地問題のうち、SACO合意の履行についてお答えをいたします。
 平成8年12月のSACO最終報告では、「今後5乃至7年以内に、十分な代替施設が完成し運用可能になった後、普天間飛行場を返還する。」となっており、代替施設の建設が返還の条件となっております。普天間飛行場の移設問題は、前県政が最終段階において県内移設を拒否したため、返還に向けた動きが全くめどのつかない状況になりました。このような状況の中からスタートしたこともあり時間を要しましたが、昨年は代替施設の基本計画が策定されるなど返還の実現に向けて着実に進んでいるものと考えております。これまであらゆる機会に日米両政府に対し要望してきたところであり、普天間飛行場が一日も早く返還されるよう今後とも引き続き努力していきたいと考えております。
 次に、15年使用期限等の条件に対する政府の対応について申し上げます。
 県は、移設に当たって整備すべき条件として「軍民共用空港」、「15年の使用期限」など4つの条件を提示しております。これを受け政府は平成11年12月、閣議決定された「普天間飛行場の移設に係る政府方針」において、代替施設の使用期限については、沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受けとめるとしております。使用期限についてはこれまで日米首脳会談や日米外相会談、2プラス2(日米安全保障協議委員会)等でも取り上げられてきており、川口外務大臣は、先月15日のラムズフェルド米国防長官との会談でも使用期限問題を取り上げております。代替施設の15年使用期限は、基地の提供責任者である日本政府の高度な政治判断に係る問題であることから、これまで内閣総理大臣を初め関係大臣にも何度も要望してきており、政府においてしっかり受けとめられていると考えておりますが、政府としてなお一層の取り組みが必要であると考えております。
 次に、SACO合意の見直し等や5年以内の返還問題のこの2つの御質問につきまして一括してお答えします。
 普天間飛行場の移設問題は、前県政が最終段階において県内移設を拒否したため、返還に向けた動きが全くめどのつかない状況の中からスタートしたこともあり時間を要しました。普天間飛行場の返還については、県としては、現在行われている移設作業を進めていくことが早期返還につながる現実的で実現可能な方法と考えており、一日も早く返還されるよう引き続き努力していきたいと考えております。
 次に、陸軍複合射撃訓練場建設計画への県の撤回に向けた取り組みについてお答えをいたします。
 陸軍複合射撃訓練場の建設に当たっては、既存の訓練施設に加えて新たに追加される施設も計画されており、またこれまで中止していた実弾を使用した訓練も実施するとのことであります。
 県は、県民の基地負担の軽減を求める立場から、これまで基地の整理縮小、海兵隊の訓練等の移転及び在沖米軍兵力の削減などを求めてきているところでありますが、今回の陸軍複合射撃訓練場の建設計画は県のこれまでの要請や県民の意向に反するものであり、遺憾であります。県としては、同訓練場は基地の固定化や訓練の過密化による基地負担の増大にもつながることが懸念されることから、同訓練場の建設には反対であります。
 また、レンジ4に隣接する金武町の伊芸区では、金武町長に対し同施設の建設計画を即時中止するよう求めており、金武町や町議会としても同施設の建設に反対の意思を表明しております。県としては、今後とも地元金武町と連携しながら適切に対応していきたいと考えております。
 昨日、政府主催による全国知事会が首相官邸で行われましたが、その席上、比嘉副知事より小泉総理大臣や各大臣に対し、今般、新たな米軍訓練施設の計画が示されたことについて県民は強い不満を抱いており、本県における米軍基地問題の解決は目に見える形で一歩一歩前進させることが重要である旨訴えたところであります。
 次に、日米地位協定の問題について一括してお答えをいたします。
 日米地位協定をめぐっては、これまでも全国知事会や関係団体等で見直し決議がなされたところでありますが、去る10月に沖縄県で開催された全国都道府県議会議長会において日米地位協定の見直し決議が行われたことは大変心強く、全国すべての府県の決議に拡大していくことを期待しております。政府は、日米地位協定の見直しについて、運用の改善により、機敏に対応していくとの方針を示しておりますが、県としては、運用改善では限界があることは明らかであり、同協定の抜本的な見直しが必要であると考えております。
 県は、見直しを求める国民世論の盛り上がりが地位協定見直しの実現につながっていくものと考えております。今後は各県から、あるいは各団体から多くの国会議員に働きかけて全国的な運動にし、政府の理解が得られるような形に持っていく必要があると考えております。県としては、今後の展開について全国行動プランの実施状況や県内外の各界各層の動向等も勘案しながら検討していきたいと考えております。
 なお、先ほど石川県の問題については、去る9月定例議会で日米地位協定の抜本改正を求める意見書が賛成少数により否決されたと聞いております。
 日米地位協定の見直しに関する動きが広がりを見せる中、このような意見書が否決されたことはまことに残念であります。県は、見直しを求める国民世論の盛り上がりが地位協定の見直しの実現につながっていくものと考えており、今後とも関係諸団体とも連携しながら、あらゆる機会を通じて日米地位協定の抜本的な見直しを求めていきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○土木建築部長(安慶名正行) 米軍基地問題に関しての、協議書提出の意義、目的及び内容についてにお答えいたします。一括してお答えいたします。
 本件公共用財産使用協議は、普天間飛行場代替施設の現地技術調査を実施する那覇防衛施設局から、同海域の公共用財産管理者である県に対して管理上の支障があるか否か等について協議するものであります。協議書の内容としましては、地盤の強度のデータ等を収集するための地質調査を63カ所、波浪の解析のデータ等を収集するための海象調査を13カ所で実施することとし、総面積3783平方メートルの公共用財産を使用するというものであります。
 次に、公共用財産の管理の目的と地域住民との関係についての認識並びに協議書の検討手順、判断の時期及び協議検討のあり方についてに一括してお答えします。
 本件現地技術調査海域は、漁場として利用されるなど生活に密着した地域の資源として活用されております。同海域の環境保全と災害の防止等を所管する財産管理者である県としては、これらに配慮する必要があるとの認識から、本件調査に際し、まず地元名護市と関係漁協の同意を得るよう事業者に対して求めてきたところであります。本件公共用財産の使用の可否につきましては、従来どおり関係機関からの意見や関係法令及び先例等に照らした上で慎重に検討し、公共用財産使用許可手続の標準処理期間である30日をめどに総合的な観点から適切に判断したいと考えております。
 以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) ボーリング調査の作業計画についてにお答えいたします。
 那覇防衛施設局が予定している地質調査は、現地技術調査の一環として護岸構造検討に必要なデータを収集するために実施するとのことであります。地質調査の調査地点については、自然環境への影響を可能な限り回避または低減するため海底の状況を調査して選定されております。那覇防衛施設局は去る11月27日、名護市当局、名護市議会及び地元3区に対し、ボーリング調査の作業計画等について説明を行っております。
 陸軍複合射撃訓練場建設計画を知った時期及び既存施設と建設計画の規模等について一括してお答えいたします。
 陸軍複合射撃訓練場の建設計画については、去る11月19日に那覇防衛施設局から県に対し説明がありました。それによると、建設場所はキャンプ・ハンセン内のレンジ4で、施設内容は射撃用建物、突破訓練施設、射場、訓練塔及び管理地区とのことであります。訓練内容は、建物内の敵に対処するための小型武器による射撃訓練、建物内に強行突入する訓練、ロープによる懸垂降下訓練等となっており、建設については2004年末までに完成させたいとしておりますが、着工時期は未定とのことであります。
 なお、陸軍が現在キャンプ・ハンセン内のレンジ16に設置している既存施設としては木造2層式の射撃用建物1棟、扉を模した突破訓練施設1式及び屋外射場とのことであり、屋内の施設では実弾は使用していないとのことであります。
 那覇防衛施設局からの報告及び再発防止のための県の対応について一括してお答えいたします。
 那覇防衛施設局の説明によると、土壌汚染対策法に基づく調査の結果、8カ所において基準値を超える値が検出されており、その他4カ所において油分が確認されたとのことであります。汚染された土壌については、土壌を入れかえることにより土壌汚染対策法に基づく基準値内になるとのことであり、今後、地権者等の意向を勘案しながら処理していくとのことであります。なお、那覇防衛施設局は、土壌入れかえなど損失が生じないよう努力しているが、仮に損失があれば適正補償の措置をとる考えであると聞いております。
 米軍が環境汚染の原因者である蓋然性が高い返還跡地の環境調査については、軍転特措法の政令改正によって日本政府において行われるものとなっておりますが、県としては、米軍基地に係る環境問題の根本的解決を図るためには、地位協定第3条及び第4条の改定も含め日米地位協定の抜本的見直しが必要であると考えており、平成12年8月に日米両政府に対し日米地位協定の抜本的見直しを要請しております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 米軍基地問題に関連いたしまして、ボーリング調査の作業計画に対する専門家の助言の内容と氏名等について公表を求めるべきではないかという御質問にお答えをいたします。
 ボーリング調査の位置選定等作業計画に対する海洋動植物学の専門家の助言の内容はホームページにより、潜水調査の報告書は閲覧により公表されておりますが、専門家の氏名は事業者の判断で公表されておりません。作業計画に対して助言した専門家の氏名については、透明性や説明責任の確保の観点から公表が望ましいと考えております。しかしながら、その判断は事業者により行われるべきものと考えております。
 次に、ボーリング調査に環境を守る視点から県としての基準はあるかという御質問にお答えをします。
 県では、島ごとの多様な生態系が健全な状態で維持されるよう地域ごとの自然の現況や特性を把握した上で保全すべき自然を明らかにするとともに、適切な保全のあり方を示した「自然環境の保全に関する指針」を策定しております。同指針は、沖縄県における望ましい環境を実現するため、県土の良好な自然環境の保護と節度ある利用について、県民、事業者、行政機関がそれぞれの立場でみずから配慮するための指標となるものです。そのことから調査の実施そのものに伴う環境への影響を回避し、または低減するため事業者において可能な限り環境への影響の少ない調査の方法が選定されることが重要と考えております。
○喜納 昌春 再質問をします。
 1つは、知事、先ほどの地位協定見直しの石川県での状況ですが、何でこうなったかというのをぜひこれから調べてほしいんですよ。とりわけ渉外知事会に入ってないからあれかもしれませんが、何でこうなったのかを含めて、しかも森前総理の地元ですからそれだけに影響は大きい。これから広がってもらわんといかぬわけですから、ぜひやっていただきたい。これをもう一回答弁願います。
 それから学者の氏名の公表、県の側が判断するわけだから、当然県の側が出せと、説明責任あるわけだから求めてくださいよ。そうせぬと県民に責任持てないわけだから。事業者側の判断じゃないんだ。これはぜひ県で公表しなさいと、ホームページでわかるんだから名前を出しなさいと決意を込めてやってください。
 答弁を求めます。隠せるものじゃないんだ、これは。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後2時45分休憩
   午後2時46分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 喜納議員の再質問にお答えいたします。
 細目については承知しておりませんが、石川県で日米地位協定に関して否決された問題については、実は提案者がごく少数の4名でありまして、しかもある意味では日米地位協定の問題だけではなしに、それに対して例えば自衛隊のイラク派遣の反対意見とか、そのほかといろいろと加わった問題で出されたので否決されたものと思っています。
 その意味で、今後石川県サイドに対してはいろいろな面から私どもとしては日米地位協定の問題というものは大変重要だということを認識するよう努力したいと考えております。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 再質問にお答えをいたします。
 作業計画に対して助言をいたしました専門家の氏名につきましては、透明性や説明責任の確保の観点から公表が望ましいと考えております。
 そのことにつきましては、先ほども答弁申し上げましたとおり、その判断は事業者において諸般の事情を踏まえて総合的に判断したことであると考えておりますので、事業者により今後判断が行われるというふうに考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 以上をもって代表質問は終わりました。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明3月3日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後2時48分散会

 
20030504000000