平成15年(2003年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 12月 3日
 


○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた副知事牧野浩隆君は、別用務のため本日の午前の会議に出席できない旨の届け出がありました。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案、甲第2号議案、乙第1号議案、乙第2号議案及び乙第5号議案から乙第13号議案までを議題とし、質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 高嶺善伸君。
   〔高嶺善伸君登壇〕
○高嶺 善伸 おはようございます。
 一昨日は同僚の渡久地健議員がお亡くなりになり、大変残念であります。きょう正午には県議会棟の前を通過するということをお話聞いております。
 私も総務企画委員会で2年、渡久地委員長のもとで活動しました。本当に調整能力のある敬愛する議員でありました。また、最近で思い出すのは、第4回定例会の10月15日のあの議員定数条例、離島・僻地への思い、情熱を、単に人口に比例しちゃいかぬということで提案理由を述べたあのあいさつは、提案は、私は議会史上に残る名演説だったとこう思っております。ここに改めて渡久地健議員の御冥福をお祈りすると同時に、御遺族の皆さんに心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 それでは一般質問を行います。
 まず最初に、我が会派の渡嘉敷喜代子議員の代表質問との関連について知事に3点ほどお伺いします。
 1つ、普天間基地を5年ないし7年以内に返還するという返還合意に周辺住民はもとより沖縄県民は拍手喝采して喜びましたが、7年過ぎても普天間基地は動きません。この現実を知事はどのように認識していますか。もはや付近住民を危険や騒音から一日も早く救うためには、SACOの合意を再検討させて普天間基地の海外移設等の要求をすることが現実的な解決方法だと思います。
 ブッシュ大統領は、12月から在外米軍の再編協議を始めると声明を発表しました。アメリカの基地再編計画に沖縄の海兵隊撤退を含む米軍基地の整理縮小を実現させるチャンス到来であり、沖縄県にとって積極的な行動が必要と考えます。国会を動かし政府を動かすには時間がかかり過ぎます。
 そこで、ワシントンに直接乗り込んでアメリカ政府やアメリカ国民に実情を訴えることが絶対必要であります。この際、県議会も同行しようではありませんか。稲嶺知事にもう一度決意をお聞きしたいと思います。
 2点目、日本政府は、在日米軍の駐留は極東アジアの安定が図られるという立場であり、沖縄の意向とは関係なく在沖米軍基地の海外移設や兵力削減は考えていません。稲嶺知事は、在沖米軍基地は我が国の平和に貢献しているとの認識のようですが、在沖米軍基地の海外移設等による負担解消よりも在沖米軍基地の駐留を期待し引きとめる立場をとるのか、明確にお聞かせください。
 3、稲嶺知事は、これまで議会ごとに基地の提供責任は国にある、防衛と外交は国と国との問題と言及を避けてきた経緯がありますが、今回金武町で計画されている都市型戦闘訓練施設の建設については反対と立場を明確にしており、高く評価いたします。
 ところで、この知事及び地元金武町の画期的な建設反対の意向や反対表明は日米両政府にどのような効果、つまり抑止効果があるとお考えですか、お伺いいたします。
 次に、行財政問題についてであります。
 去る11月4日から決算特別委員会での平成14年度の決算審査がありましたが、明らかになった特徴的なものでは、予算現額に対する執行率が歳入90.5%、歳出89.7%と九州で一番低いということであります。
 歳入においては、財政が厳しいと言いながら約67億4000万円の収入未済額いわゆる滞納額を発生させていること、さらに4億7000万円余の不納欠損処分をしていることは緊張を欠いた県行政だと言わざるを得ません。歳出にあっては約600億円の繰り越しと156億8000万円余の不用額があります。年度末間際の緊急経済対策関係予算は別としても、補正予算編成が可能であるにもかかわらず決算で不用にするということは、余りにも大ざっぱ過ぎると言わざるを得ません。旺盛な財政需要に対応するためには、事業量の的確な把握と予算の組みかえが求められます。
 さて、去る11月28日の新聞報道によりますと、県行政オンブズマンが県民の指摘をもとに調査したところ、税金納付に郵便局を利用していないのは沖縄県と富山県の2県で、「県内のどこに居住していても納税の義務が速やかに果たせるよう手段を講ずるべきだ」と郵便局活用を指摘し、知事も「前向きに取り組みたい」と答えたようであります。コンビニでも公共料金が振り込みできる時代になっているにもかかわらず、地域に根差した郵便局を利用しない手はありません。特に、県税を初め手数料、県立高校の授業料納付には県民の負担を軽減し、不公平を是正し、収納率向上に期待ができます。
 さらに、歳入だけでなく給与の振り込み等も郵便局が利用できるように配慮すべきではないでしょうか。県民への納税の利便性等行政サービスの改善を怠った場合、それこそ予算執行率の停滞は県民の理解は得られません。来年度の予算編成、執行計画に反映させてほしいと思います。
 そこで伺います。
 1、平成14年度決算で多額の収入未済額及び不納欠損、不用額が指摘されたが、今後の改善策への取り組みはどうか。
 2、歳入の確保と利便性を促進するため地域性を踏まえ積極的に郵政官署等を活用する取り組みはどうか、お聞かせください。
 次に、情報通信産業であります。
 国は、内閣にIT戦略本部を設置して2005年に世界最先端のIT国家になるとともに、2006年度以降も最先端であり続けることを目指してさまざまな重点計画を策定して実施しております。本県では、平成10年に「沖縄県マルチメディアアイランド構想」を策定しておりますが、県民の生活感覚では国家戦略と本県の実態はどうなっているのか。2005年には沖縄はどのようなIT社会を目指しているのか、世界最先端の水準との格差はどうあるのか大変不安に思っていますが、今後の取り組みと見通しについて伺っておきたいと思います。
 また、宮古・八重山へ光ファイバー敷設を実施する計画に関連して、今議会に補正予算として3億2000万円の調査費を計上して提案していただいていることに対して感謝申し上げます。
 去る12月1日には八重山広域組合議会から、与那国町までぜひ敷設してほしいとの要請が知事や県議会にありました。与那国町等の離島も含めて高速・大容量の光ファイバーを敷設し、医療、教育、産業振興等IT環境を整備して離島苦を解消し離島振興を促進する必要がありますので、次の点についてお伺いします。
 (1)、国の「e-Japan戦略」に沖縄県としてどのように対応するか。
 (2)、県内の光ファイバー敷設状況と宮古・八重山への敷設計画の今後の取り組みについてお聞かせください。
 3、環境行政について。
 琉球諸島は、政府が本年度の世界自然遺産登録の候補地としてノミネートし、環境省・林野庁が学術的見地から検討して最有力候補と言われていましたが、北部ヤンバル地域の米軍北部訓練場の存在により世界遺産事務局への推薦を見送られました。まことに残念であり、世界に誇れる自然遺産が米軍基地の存在で登録できなかったことに対して憤りを感じるとともに、早急な基地の撤去を求めるものであります。
 沖縄のサンゴ礁は二酸化炭素を吸収し、固定貯蔵化し環境浄化に大きな効果があると言われ、環境、生態、経済効果は約5000億円余りと試算されておりますが、そのサンゴ礁が今地球温暖化による白化現象、オニヒトデ食害や赤土流出、環境汚染で危険な状態にあると言われております。石垣市には環境省のサンゴ礁モニタリングセンター、国や県の水産研究施設、世界自然保護基金の白保サンゴセンター等々の研究施設もあり、サンゴ礁の生態研究条件は整っております。そこでサンゴ礁の保護・増殖、移植活用について県が中心となって積極的に取り組んでほしいと思います。
 一方、陸上からの赤土流出を防止するために抜本的な予算措置を講じ環境保全に取り組む必要がありますが、これまで実施した勾配修正等の実績と赤土流出防止効果を検証しつつ、効果的な措置を緊急に実施していただきたい。
 以下、質問します。
 (1)、世界自然遺産登録の価値が評価されている琉球諸島のサンゴ礁保全対策についての取り組みをお聞かせください。
 (2)、赤土流出防止等について現状と今後の取り組みについてお聞かせください。
 4、離島振興について。
 国土交通省は、離島を国民のいやしの空間と位置づけ、特性を生かした離島振興方針を示しており、さらに国土保全の観点から離島の持つ役割は大きいものがあります。ところが、離島は産業基盤や生活、医療環境のおくれ、運賃・交通費等の過重な負担により若者は流出し、高齢化が深刻な状況にあります。過疎化を歯どめし、むしろ地域特性を生かした島おこしを推進し、住みやすい居住環境を確保することが急務であります。また、生産条件が不利な離島での農業で自立することは極めて厳しい状況にありますので、デカップリング(所得補償方式制度)等の導入を検討することも必要かと思います。また、新沖縄県離島振興計画の具体的な実施計画はどのように取り組むのか、年度的な目標を設定して事業化を推進すべきだと思いますが、以下質問します。
 (1)、国土保全に関連して離島振興の意義と取り組みをどのように認識しておられるか。
 (2)、新沖縄県離島振興計画について、アクションプログラムはどうなっていますか。
 (3)、離島航路、航空路、バス路線等離島における交通体系の確保についての現状と取り組みはどうなのか、お聞かせください。
 5、土木建築行政について。
 新石垣空港建設は八重山郡民の長年の悲願であり、平成15年度中に環境影響評価準備書の作成や地権者の同意取りつけ、そして平成16年度にはいよいよ平成17年度の新規事業として予算要求することが決算特別委員会において説明されてきましたが、振り返ってみますと、過去4年間の取り組みは事業採択年度が平成15年度と言ったり、おくれて16年度となったり、そして17年度とこの4年間でずれ込んでまいりました。いよいよ来年度でございます。新規事業採択に向けての取り組み状況をお聞かせください。
 (2)、石垣市都市計画の取り組みについてでありますが、都市計画道路の縦通りは整備が進められてきておりますが、居住環境整備で最もおくれているのは横通り街路3-5-19の整備であります。昭和52年に都市計画決定がなされ、街路計画のために30年近くも家が建てられず大変困っています。地権者や付近住民から早急な整備が求められていますが、事業採択の見通しについてお伺いします。
 次に、石垣市運動公園における雨天練習施設整備についてでありますが、スポーツアイランドを目指す石垣市民にとって、雨が降ったときの屋内グラウンド設備がなく大変支障を来し困っていることと、プロ野球キャンプ誘致の機運も盛り上がっております。石垣市として現在の運動公園内での施設整備を検討しているようでありますが、県はどのように対応するかお聞かせください。
 次に、警察行政についてであります。
 警察は、犯罪や危険から生命や財産を守ってくれると期待されており、特に地域に密着した交番や駐在所は最も身近な存在であります。ところが、応援勤務等のローテーションの関係で不在が多いとの苦情が聞かれます。沖縄県は広大な米軍基地を抱えており、米軍人・軍属の事件・事故、ふえ続ける観光客に関連した事件・事故等、単に人口や広さでは対応できない特殊性を有しております。そういう状況も考慮し、交番、駐在の勤務状況と不在解消策についてお伺いします。
 次に、八重山警察署移転問題についてでありますが、現敷地は繁華街のど真ん中にあり、敷地は狭く、駐車場スペースが狭いため苦情が絶えません。また、建物も狭隘で老朽化が激しく、石垣市議会や石垣市長からも早急な移転・改築の要請があります。幸い予算特別委員会の答弁において、県警としても必要性を痛感しているということで、「警察本部といたしましては平成16年度にも予算措置を図りたい」ということでありました。警察行政機能を十分発揮できるよう早急な移転・改築についての取り組みと見通しをお伺いします。
 再質問をまたやります。よろしく。
○知事(稲嶺惠一) 高嶺善伸議員の御質問にお答えいたします。質問通告順にお答えをいたしたいと思います。
 最初は、情報通信産業で、光ファイバーの敷設状況と宮古・八重山への敷設計画の取り組みについてお答えをいたします。
 本県では、南・北大東村、粟国村、多良間村、石垣市及び与那国町を除く46市町村において光ファイバーケーブルが敷設されております。これまで八重山地区から光ファイバーケーブル敷設の強い要望があり、また宮古地区からも今後の高速・大容量の通信に対応できる新たな光ファイバーケーブル敷設が要望されております。
 宮古・八重山への光ファイバーケーブル敷設については、関係市町村、県、通信事業者等で研究会、検討会を開催し、敷設に関する諸問題の解決に鋭意取り組んでおります。今年度は、宮古・八重山への光ファイバーケーブル敷設に関する需要調査及び海洋調査等を実施し、早期実現を促進してまいりたいと考えております。
 次に、離島振興について、その意義と取り組みについての御質問にお答えをいたします。
 広大な海域に散在する沖縄の多くの離島は、経済水域や海洋資源の確保等我が国の国土保全に大きな役割を果たしております。また、離島が有する豊かな自然環境や文化・歴史的遺産は国民の健康・保養やいやしの場を提供するなど、その果たす役割はますます大きくなっております。離島地域が引き続きその役割を果たしていくためには、定住条件を確保し、地域住民が自主的・主体的に地域づくりに取り組んでいくことが重要であります。県としては、今後とも新沖縄県離島振興計画に基づき離島地域のニーズを踏まえ、地理的条件等から来る生活環境面での不利性を軽減するとともに、豊かな自然環境などの優位性を生かした諸施策を実施していきたいと考えております。
 次に、我が会派の代表質問との関連についてのお答えをいたしたいと思います。
 まず最初は、SACOの合意の再検討についての御質問のお答えでございます。
 普天間飛行場の移設問題は、前県政が最終段階において県内移設を拒否したため、返還に向けた動きが全くめどのつかない中からスタートしたこともあり時間を要しました。普天間飛行場の返還については、県としては現在行われている移設作業を進めていくことが早期返還につながる現実的で実現可能な方法と考えており、一日も早く返還されるよう引き続き努力していきたいと考えております。
 次に、対米要請活動についての御質問にお答えいたします。
 先月末、米国において在外米軍の再編方針が示されたとのことであり、さきの日米首脳会談や米国防長官との会談においても、沖縄の基地負担の軽減について認識が一致したとのことであります。
 県は、去る11月16日にラムズフェルド米国防長官が来県した際、将来の沖縄の米軍基地問題について思い切った変革を望んでいることを申し上げたところであります。
 また、一昨日、首相官邸で行われた全国知事会において、比嘉副知事より小泉総理大臣や各大臣に対し、この機会に沖縄の米軍基地の整理縮小の大幅な変革に向けて米国政府と積極的に協議するよう申し入れたところであります。県としては、基地問題の解決促進を図るためにはあらゆる機会を通じて日米両政府に訴える必要があると認識しており、過去の訪米実績や効果を検証しながら最も効果的な方法や時期を検討していきたいと考えております。
 次に、米軍基地に対する県の見解についての御質問にお答えいたします。
 在日米軍基地の大部分を占める沖縄の米軍基地の存在は、我が国の平和に貢献していると認識しておりますが、本県には在日米軍専用施設面積の約75%の米軍基地が存在し、県民生活や本県の振興開発にさまざまな影響を与えていることから、多くの県民は基地の整理縮小を強く望んでいます。
 県は、県民の基地負担の軽減を図るため、基地の整理縮小や海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減について、これまであらゆる機会を通じて日米両政府に訴えてまいりました。県としては、沖縄の米軍基地の問題は単に沖縄という一地域だけの問題ではなく、我が国の外交・安全保障をどう考えるのかという極めて国民的な問題であり、国民一人一人がみずからの問題として受けとめてもらいたいと考えております。
 次に、陸軍複合射撃訓練場の建設計画に対する反対表明についての御質問にお答えいたします。
 同施設の計画については、地元金武町や町議会、伊芸区の住民も反対しており、米軍はこれを重く受けとめ計画を撤回すべきであり、国も米軍に対し計画を撤回するよう働きかけてもらいたいと考えております。県としては、去る12月1日、全国知事会が首相官邸で行われた際、比嘉副知事より小泉総理大臣や各大臣に対し、新たな米軍訓練施設の計画についてはこれに反対する立場から県民は強い不満を抱いており、本県における米軍基地問題の解決は目に見える形で一歩一歩前進させることが重要である旨訴えたところであります。県としては、今後とも地元金武町と連携しながら適切に対応していきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○出納長(嘉数昇明) おはようございます。
 高嶺善伸議員の行財政問題に関連して郵便局の活用についての御質問にお答えをいたします。
 昨今、国及び地方で厳しい財政状態が続く中、本県におきましても健全な財政運営を図る上で歳入の確保は非常に重要なものと認識しております。
 県税等の納付の利便性を促進することにつきましては、さきの平成14年度決算特別委員会での審議の結果及び先月26日に県行政オンブズマンからございました御提言を踏まえ、民間金融機関のない離島町村──座間味村、渡名喜村、竹富町でありますが──については、郵便局を利用した県税の納付が来年度から実施できるよう関係機関と調整を行っているところでございます。
 以上です。
○総務部長(仲田輝享) 収入未済額等の改善策の今後の取り組みについてお答えいたします。
 収入未済額については、財源の確保及び公平負担の観点から、その発生防止と適切な債権管理を図ることが重要であると考えております。特に収入未済額が多額である県税、県営住宅使用料及び中小企業高度化資金については重点的に取り組むため管理マニュアルを作成したところであり、さらなる収入未済額の圧縮に努めてまいりたいと考えております。
 また、不納欠損額については、消滅時効が完成している債権について規則等に照らし適正に処理を行ってきたところでありますが、県税などの納入に対する県民の理解を得るためには、不納欠損額に至るまでの徴収努力や債権の保全が重要であると認識しております。このため、引き続き滞納者の実態把握に努め、督促や滞納処分等それぞれに応じた適切な債権管理を行うなど、より一層の徴収努力や債権の保全を適切に行っていきたいと考えております。
 さらに、不用額については、災害復旧などその性質上やむを得ないもののほか、年度中途の予期せぬ事情による計画変更、国庫の内示減や経費節減により不用額が生じております。今後とも事業の熟度や必要額等について十分な検討を行い、適切な予算措置に努め、不用額の圧縮を図っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 情報通信産業についての、国の「e-Japan戦略」への対応についての御質問にお答えします。
 県では、国の「e-Japan戦略」に対応し、離島や僻地における情報格差の是正を図るため、通信事業者や国及び関係市町村と連携を図りながら光ファイバー等情報通信基盤の整備促進に努めています。また、本年4月から県と市町村等を接続する沖縄県総合行政情報通信ネットワークの全面的な運用を開始するとともに、県民サービスの向上を図るため電子自治体の構築等に取り組んでいるところです。
 次に、離島振興について、離島地域の航路、空路、バス路線の確保についての御質問にお答えします。
 県では、離島地域の振興及び住民生活の安定・向上を図る観点から、航路、空路、バス路線について運航費の欠損額に対する補助を行うなど、その維持・確保に努めているところであります。離島航路は現在23航路で、そのうち15の航路が補助対象となっております。平成14年度の県単独の補助実績は、伊平屋村等10の事業者に対して2億2818万3000円で、国庫補助を含めた補助総額は13の事業者に対し5億4971万7000円となっております。
 離島空路でございますが、現在14路線で、そのうち7路線が補助対象となっております。平成14年度の県単独の補助実績は、日本トランスオーシャン航空及び琉球エアーコミューターに対し5億1419万5000円で、国・町村の補助を含めた補助総額は19億714万9000円となっております。
 離島バス路線でありますが、現在9事業者によって31の系統の乗り合いバスなどが運行されております。平成14年度の県の補助実績は7事業者21系統に対し4706万3000円で、市町村分を含めた補助総額は8事業者25系統に対し1億1622万6000円となっております。県としましては、離島地域の実情を踏まえ引き続き離島交通の維持・確保に努めてまいります。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 環境行政の御質問のうち、サンゴ礁保全対策についての御質問にお答えいたします。
 世界自然遺産の候補地となった琉球諸島につきましては、多様で固有性の高いサンゴ礁生態系を有している地域であること、すぐれた陸上・海中景観を有している地域であることなどが学術的に評価されたものであります。
 本県のサンゴ礁は、豊かな自然環境の基盤をなす生態系として漁業資源、観光資源として重要な役割を有しております。県は、良好な状態にあるサンゴ礁について自然環境保全地域や自然公園の海中公園地区に指定して保全を図っております。しかしながら、サンゴ礁海域は陸域からの赤土等の流出、海水温の上昇による白化等のほか、近年、大量発生したオニヒトデによる食害等によりサンゴの被害はさらに深刻な状況となっております。
 このため、県は、平成15年度においてリーフチェック事業によるオニヒトデとサンゴの分布状況の調査、オニヒトデ対策会議において定めた慶良間海域における最重要保全区域でのモニタリングの実施、宮古・八重山地区におけるオニヒトデ対策会議の設置、サンゴ礁保全シンポジウムの開催等の事業を実施し、サンゴ礁の保全対策に取り組んでおります。また、漁場環境保全創造事業――農林水産部の担当事業でございますが――としてサンゴ移植等が実施されております。県としては、今後とも国と連携を図りながらサンゴ礁の保全に努めてまいりたいと考えております。
 次に、赤土等流出防止対策等の現状と今後の取り組みについてお答えをいたします。
 県においては、平成7年に施行した赤土等流出防止条例に基づき、届け出・通知があった年間700件以上の事業行為について審査をし、現場での監視・指導を行っております。その結果、開発事業からの流出量は条例施行前の約3割まで減少したと推算されております。しかし、農地からの流出量は約2割減の小幅にとどまり全流出量の7割以上を占めていることから、農地からの流出防止が今後の課題となっております。
 農地からの流出防止対策としては、圃場の勾配修正、沈殿池の整備等を行う水質保全対策事業や緑肥栽培等の普及など営農面の取り組みを実施しております。また、国の委託による各種防止策の実証調査やモデル事業を実施しているところであり、効果が認められ次第普及を図ることにしております。さらに、地域住民や関係団体等が一体となった住民主導型の「流域協議会」の新たな設立と育成に努めているところであります。
 今後とも、赤土等の流出については、条例に基づく届け出等の審査や監視・指導を継続するとともに、関係機関、市町村、地域住民とも連携を図りながら農地対策に取り組んでいきたいと考えております。
○地域・離島振興局長(上原 昭) 離島振興について、新沖縄県離島振興計画のアクションプログラムについてお答えいたします。
 新沖縄県離島振興計画は、沖縄振興計画の基本方向に沿って、離島地域の振興方向と実現のための施策を明らかにするために策定された総合的計画であります。
 新計画については、沖縄振興計画のアクションプログラムである各分野別計画の内容を盛り込み、離島地域で実施される事業を記載した「主要事業等一覧」を作成しており、アクションプログラムとしての要素も兼ね備えた計画であると考えております。同計画に基づいて離島地域で行われる事業については、その実績の把握に努め、今後とも計画の進捗管理に取り組んでいきたいと考えております。
○土木建築部長(安慶名正行) 土木建築行政についての、新石垣空港建設の新規国庫事業採択の取り組みについてにお答えいたします。
 新石垣空港整備の新規国庫補助事業採択へ向けて、現在、環境影響評価準備書の作成に取り組んでおり、今年度じゅうに終了する予定であります。
 また、地権者の同意取りつけについては、去る6月上旬から開始し、現時点で共有地主及び公的機関を除く地主の87.6%の同意を得ております。
 反対共有地主に対しては、9月末から事業への同意の依頼文書を送り協力をお願いしているところであります。今後とも、地元と連携し地権者の同意取りつけ作業に鋭意取り組んでまいります。それらの作業を進めながら、新規要望のスケジュールについて国と調整を図り早期事業化できるよう努めてまいります。
 次に、街路3-5-19の整備についてにお答えいたします。
 石垣市の街路3-5-19号は、昭和52年1月に石垣市字登野城から字新川間を延長約2キロメートル、幅員12メートルで都市計画決定しております。石垣市としては、現在事業中の3-5-16号ほか2路線の進捗状況を見ながら整備していく予定と聞いております。県としては、市と連携を図りながら事業化に向けて検討していきたいと考えております。
 なお、石垣市はこれまで12路線、約15.5キロメートルを整備完了しております。
 次に、石垣市中央運動公園の屋内運動場整備の対応についてにお答えいたします。
 石垣市中央運動公園は、現在2期目の事業として総事業費69億3000万円で、平成17年度を目途に体育館、多目的広場、駐車場等の整備を進めております。
 屋内運動場の整備については、事業主体である石垣市より設置場所や規模等具体的な要望があれば、県としても市と連携を図りながら整備に向けて国と協議・調整してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) 交番、駐在所の運用についてお答えいたします。
 沖縄県内には72の交番と84の駐在所があります。
 交番の勤務形態は、原則3交代制で24時間勤務となっており、駐在所は原則として1人勤務で家族同伴で駐在所に住み込んで勤務をしております。
 警察官が交番、駐在所を不在にする理由としましては、110番等による事件・事故現場への出動、犯罪防止のためのパトロールや独居老人等への訪問活動などが挙げられます。ちなみに、平成14年中の刑法犯認知件数は2万5000件余で10年前の2.3倍、交通人身事故は5700件余で1.8倍、物件事故は4万1000件余で1.2倍、110番受理件数は11万7000件余で1.5倍となっており、所外に出て処理しなければならない警察事象が著しく増大しております。
 地域住民からは、交番に警察官が常時いてほしいという要望がある一方で、地域をパトロールしてほしいという要望がありますが、県警としましては、交番に警察官がいないという住民の不安感を解消するため、事件・事故処理の合理化・迅速化、本署パトカーの交番、駐在所への立ち寄り、応援勤務の抑制、警察官及び交番相談員の増員などあらゆる施策を駆使し、交番、駐在所の不在時間帯の減少に努めているところであります。
 次に、八重山警察署移転問題についてでありますが、八重山警察署庁舎は、昭和50年3月の建築で塩害による老朽化が著しいこと、事務室や外来駐車場の確保も十分でなく狭隘であることなどから、移転建てかえを図るべく整備計画を進めているところであります。この件につきましては、本年10月21日、石垣市長を初め石垣市議会、竹富町長及び与那国町長からも早期建設についての要請を受けておりますが、県警察としましても最重要課題として取り組んでおります。
 なお、建てかえ時期につきましては、警察署庁舎の建築に係る予算が国庫補助事業となりますので、国への補助金要求時期を考慮して平成17年度以降に整備をすべく調整を進めているところであります。
○高嶺 善伸 それでは再質問を行います。
 代表質問の関連でお聞きしたことに対して、特に都市型戦闘訓練施設の反対の姿勢、これについては日本政府が沖縄県の意向を踏まえてアメリカ政府の方に撤回を求めてもらいたいというような内容になっているんですが、私は、11月24日の琉球新報の社説に、「沖縄は政治的無人島か/好機に動かない日米政府」という見出しで社説を出したのは大変ショックでした。したがって今回、日本政府に解決策をゆだねるんじゃなくて、知事自体がどのようにアクションを起こすか。せっかく反対を表明しているんだから、そういう意味で県民の思いを達成するためには日米両政府に対して、この都市型戦闘訓練施設反対のために今後どのように具体的に行動を起こすのか、それを含めて決意をお示しいただきたいと思います。
 次に、行財政問題のオンブズマンの指摘に関連した郵便局利用ですが、民間金融機関がないところだけじゃなくて、やはりコンビニでも公共料金が納付できる時代なんですから、あまねく設置された郵便局を利用してすべての公金が扱えるようにやるのもこれも住民サービス、不公平感を是正するための大事な施策じゃないかと思います。そういう意味では、県税の方は来年度から実施するように準備しているといいますので、もう一歩踏み込んで沖縄県公金事務取扱に関する契約書なども見直して、全般的に郵便局の利用ができるように検討してもらいたい。そのことをもう一度取り組みについて御答弁いただきたいと思います。
 次に、赤土流出関係ですが、これまでの答弁を繰り返しておりますが、今、流出の原因となっている7割を占める農地関係、これまで実施してきた水質保全対策による流出防止効果はどれくらいだったのか、それをお聞かせください。そして今後の見通しを聞かせてください。
 それから、離島振興計画のアクションプログラムですが、実は第3次振計のときはこのように(資料を掲示) 離島の圏域だけを限定したアクションプログラムをつくったんですよ。だから分野別計画ではわからない、やはり圏域ごとの離島のあるべき姿というのを目指した計画をつくってもらいたいと思いますが、再度答弁をお願いしたいと思います。
 それから、新石垣空港についてでありますが、どうか知事、これまで15年、16年、17年と二転三転してきております。来年はいよいよ予算要求の年と八重山郡民は期待しております。そこで、知事の方から具体的にこの懸案の課題について、来年の予算要求に向けて施政方針で盛り込んでもらうよう決意をお聞きしたいと思いますので、御答弁をお願いしたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前10時47分休憩
   午前10時55分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 高嶺善伸議員の再質問にお答えいたします。
 最初は、陸軍の複合射撃訓練場の建設計画に対する質問のお答えでございますが、県としては機会あるごとに私どもとしてはしっかりとした対応をしたいと思っております。
 そこで、先ほども申し上げましたように、県の反対を表明した後、去る12月1日、一昨日、全国知事会が首相官邸で行われた際、小泉総理大臣や各大臣に対し比嘉副知事の方から──これは私は議会で出席できませんので──この新たな米軍訓練施設の計画については、これに反対する立場から県民は強い不満を抱いており、本県における米軍基地問題の解決は目に見える形で一歩一歩前進させることが重要であると強く訴えてきたところであります。これは、今後とも機会をとらえまして、私どもとしては、特に大事なのは地元金武町と十分に連携をとりながら前向きな対応を検討していきたいというふうに考えております。
 次に、新石垣空港の問題でございますけれども、この石垣空港については私自身大変な思い入れがございます。と申しますのは、皆様が御承知のように、従来どちらかというと空港というのは政争の具とされて、あるいは常に反対反対と、反対と賛成と分かれてきた経過があったわけです。そこで私が新たな、八重山に直接参りまして、皆様が合意してくださいと、皆様が場所を決めてくださいと。しかし、もし皆様がまとまっていただかなければ21世紀中に八重山の空港はあり得ませんよということをお話をしたところ、全員皆さんは、八重山にはどうしても新空港が石垣には必要なんだという大変強い熱意がございまして、御承知のような形で審議会は全員の皆様の一致した形で決まったわけです。
 それを受けまして、やはり一日も早くどのような形で進めるか、今、最終局面に取りかかっておりますけれども、今後とも新石垣空港に関しては、石垣市長を初めとする八重山郡民の皆様方と一緒になりながら全力を尽くして早期の予算獲得に向けて努力をしたいと思っております。
○出納長(嘉数昇明) 高嶺善伸議員の再質問にお答えしたいと思います。
 先ほどの郵便局の活用についての御質問に関連して、一部離島に限らず他の地域での郵便局の活用も考えるべきではないかと、それからまたコンビニ等の活用も考えたらどうかという御質問だったと思いますが、お答えいたします。
 民間金融機関の利用が可能な地域にまで郵便局の活用を拡大いたしますと、収納にかかる取扱手数料を公平性の観点から他の金融機関にも支払うことが必要になると予想されます。現在のところ、県は民間金融機関への手数料を負担しておりませんので、本県の財政上の問題等も勘案しながら今後慎重に検討しなければならないと考えております。
 ちなみに、県公金収納に対する手数料を試算をいたしますと、これは収納件数がおよそ75万件ございます。そして、収納手数料を郵便局の公金指定様式による単価、1件30円として試算いたしますと2263万を超える数字になります。これは、本県の財政の問題等もにらみまして極めて大きな数字でございますので、慎重に検討しなければならない課題と思っております。
 それから、コンビニの活用につきましては、現在、県内でコンビニでの自動支払機等の設置、整備の普及の状況を踏まえないといけませんので、その点についても今後の検討課題と思いますが、いずれにしましても手数料の負担というものが直面する課題でございますので、今後の検討課題になると考えております。
 以上であります。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 赤土対策についての再質問にお答えをいたします。
 沖縄県における赤土等流出源の実態調査、これを平成13年度の国庫委託事業によりまして実施をしております。その結果、流出量はアメリカ農務省の土壌流出予測式によります推算値で調査をした結果でございますが、先ほどの答弁でも申し上げましたように、流出量は条例施行後、施行前の58%に減少しております。農地からの流出量は条例施行前のおよそ70%に減少しておりますが、現在で総流出量に占める割合が最も高い状況となっております。
 先ほども御答弁しましたように、今後、総流出量の74%を占めている農地の流出防止対策が今後の課題であります。今後、農地からの赤土等の流出の防止につきましては、農林水産部が実施をする水質保全対策事業の促進を図り、それからマルチング、グリーンベルトの設置、心土破砕等の流出防止対策の普及を図ると同時に、地元と調整をし、流域協議会等の設置促進を図りながら農地の流出防止対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○地域・離島振興局長(上原 昭) アクションプログラムの策定についての再質問についてお答えいたします。
 今、地方財政をめぐる状況は目まぐるしい動きを示しております。アクションプログラムの作成については、「三位一体の改革」の中で議論されている補助事業のあり方に関する見直しなど今後の動向を見きわめつつ、また次年度以降に予定される分野別計画の見直しに合わせて検討していきたいと考えております。
○高嶺 善伸 休憩。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前11時4分休憩
   午前11時5分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 農林水産部長。
   〔農林水産部長 諸見武三君登壇〕
○農林水産部長(諸見武三) 農地からの赤土流出対策についての再質問にお答えいたします。
 農地からの赤土については、今現在その流出防止対策事業としまして先ほどありました水質保全対策事業を実施しているわけであります。この事業は、勾配修正あるいは沈砂池等の設置、あるいはグリーンベルトの設置等をやる事業でありまして、沈砂池についてはかなり80%近くとめられるという実証が出ておりますし、それからグリーンベルトについても5割近くこれはとめられると、こういう実証も出ているわけであります。
 そういうことで、先ほどの水質保全対策事業、それから平成14年度からは轟川流域全体を網羅した対策事業を実施しているわけでありまして、これは流域の環境保全モデル事業ということでありまして、地域全体で取り組みをするための協議会を設置したり、あるいはグリーンベルトをつくったり、特に離島の場合は農地の大体7割がさとうきびでありまして、さとうきびの場合に夏植えの間の雨季には裸地が続くということがありまして、そのための対策ということでヒマワリあるいはクロタリア等の緑肥作物栽培、こういうことを総合的に取り組んで農地からの赤土流出対策に努めていきたいということでございます。
○大城 一馬 去る12月1日に渡久地健議員が御逝去されました。私は同世代の一人として、常日ごろから温厚で冷静な政治家であったというふうに評価をいたしておりました。心から御冥福をお祈りしたいと思います。
 それでは質問に入ります。
 まず、知事の政治姿勢についてでございます。
 イラク関連について知事の所見をお伺いしたいと思います。
 米国のイラク攻撃の大義であったはずの大量破壊兵器も見つからず、自爆テロや襲撃、そして国連や国際機関も大半が撤収し、テロは周辺の国々にも飛び火しています。何よりも米軍の掃討攻撃やテロ組織による無差別テロで多くの民間人、子供たちが犠牲となり、そして民衆の反米感情の高まりで米国のイラク政策に内外の世論は日に日に批判を増している状況になっています。知事は今日のイラク問題についてどのような認識を持っておられるのか、所感をお伺いしたいと思います。
 (2)点目です。イラクの占領統治が見通せない状態の中で、我が国の小泉総理はいち早くブッシュ政権に追随し自衛隊の派遣を決めてしまいました。国民世論や与党の中から自衛隊のイラク派遣に反対、慎重論が極めて強くなっていますが、11月29日にはついに我が国の外交官2人も犠牲となりました。去る大戦で地上戦を体験し、幾多の命の犠牲をこうむった沖縄県の知事として、稲嶺知事はイラクへの自衛隊派遣について賛成の立場か反対の立場かを示していただきたいと思います。
 次に、基地問題についてでございます。
 ラムズフェルド米国防長官と知事会談についてお尋ねします。
 去る11月16日、米国防長官が来沖して稲嶺知事と基地問題で会談しましたが、マスコミ報道のように「米軍基地の現状はもう限界」と知事が強い調子で基地の整理縮小を直訴したことに対し、国防長官は米軍基地の存在意義、日米安保の重要性を強調し、訓練や騒音被害も減少したと実態とは逆の見方を示し、会談終了の際は憮然として席を立ったと言われています。また、会談時間も38分そこそこで、その足で韓国に向かっております。
 そこでお伺いします。
 米国防長官の来沖の意義と会談の効果と期待について知事の所見を述べていただきたいと思います。
 さて知事は長官に対して、沖縄の米軍基地の解決促進について7つの要請をいたしております。それぞれについてラムズフェルド長官の回答・所見についてどうであったかの説明を求めます。
 次に、都市型戦闘訓練施設建設についてでございます。
 米軍によるキャンプ・ハンセンレンジ4に陸軍特殊部隊の訓練施設建設を計画している問題で、金武町議会や地元町長が建設反対を明確にいたしました。これまでのレンジ4から流弾、跳弾、火災、自然破壊などの地域住民に及ぼす被害を見れば当然の意思表示であります。しかし、防衛施設局などは計画への理解を地元に求めていくと表明しており、地元や住民の声、県の立場をそでにする姿勢であり、断じて容認できるもではありません。
 以下、質問いたします。
 去る11月19日、県に外務省沖縄事務所・防衛施設局名で陸軍複合射撃訓練場の規模、概要等の計画書が出されていますが、その説明を求めます。
 訓練施設は対テロ・ゲリラ訓練用で基地の機能強化は明白であります。知事の認識をお伺いいたします。
 外務省沖縄事務所及び那覇防衛施設局の県への文書で、米側は訓練に伴う安全対策として適切な流弾・跳弾防止策等の措置をとるとともに、環境対策として赤土流出防止策等の措置をとるとしていますが、具体的にどのような対策なのですか、説明を求めます。
 復帰後の米軍の射撃訓練に伴う流弾や跳弾事故と山火事の発生件数、さらに基地内からの赤土流出について発生状況の説明を求めたいと思います。
 1992年にはキャンプ・ハンセンの恩納村側で建設強行しましたが、村や住民の反対運動で撤去させた経緯があります。それを踏まえ、知事は明確に反対を表明すべきと思いますが、決意を改めてお伺いしたいと思います。
 次に、嘉手納基地への航空医療搬送中隊の新設についてでございます。
 9月定例会で私の代表質問の答弁で知事は、8月29日にファーゴ太平洋軍総司令官、9月3日にラーセン在日米軍副司令官に、県民の基地負担の増加につながらないよう配慮してほしいと申し入れています。県としては今後とも情報収集に努めると答弁していますが、同問題に対する経緯と県の対応策はどうなっているのでしょうか。
 海上自衛隊の鳥島射爆撃場でのミサイル発射訓練について質問いたします。
 県は、防衛施設局に対し中止の要請をしたのですか。
 防衛施設局は、同訓練に対しどのような対応を示しているのですか。
 同じく鳥島射爆撃場における劣化ウラン弾問題についてでございます。
 軍転協は、去る9月上旬、国など関係機関に劣化ウラン弾の回収、環境調査の継続、結果の公表、住民への説明及び住民検診の実施を要請していますが、その後の国の対応について説明を求めたいと思います。
 3点目、青少年を取り巻く環境について質問いたします。
 (1)、未成年者(児童)略取事件についてでございます。
 不審者による相次ぐ児童生徒をねらった拉致未遂事件が多発しています。去る決算特別委員会で県警の説明によりますと、発生場所が一般住宅街の路上で多発し、被害対象は10歳前後の登・下校中の一人歩きの小学生女児が多く、このことが強制わいせつ事件につながるとの説明でした。関係機関、父母らが不審者から子供たちを守ろうと地域ぐるみの対応が広がっています。
 以下、質問いたします。
 児童生徒をねらった拉致未遂事件が多発しています。不審者による未成年者への声かけと拉致及び拉致未遂事件の県内の実態はどうなっていますか。
 事件が多発している要因、背景について県警本部長と教育長の見解を求めます。
 事件防止の対策について県警、各市町村、学校、地域の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
 被害対象が10歳前後の児童生徒に多いと言われております。自己防衛策として防犯ブザー等の支給または県からの購入補助などは考えられませんか。ちなみに、東京都の杉並区では5歳以上4万人に防犯ブザーを無料配布しているとのことです。そして県内の具志川市の小学校9校でも防犯ブザーを配布するとの報道がございました。これにつきまして県の対応をお伺いしたいと思います。
 児童虐待問題についてでございます。
 児童に対して信じられないような事件が多発しています。名古屋市では母親と交際中の高校生に4歳の男児が虐待されて死亡した事件もありました。昨今の虐待のケースは複雑化し、児童相談所など公的機関の対応の限界も指摘されています。
 質問に入ります。
 児童に対する虐待事件が全国的に多発していますが、ここ3年間の県内の実態を問いたいと思います。
 2000年度に児童虐待防止法が成立して市町村ごとに関係機関のネットワーク支援事業が進められていますが、県内の実情はどうでしょうか。
 国は、来年の通常国会に児童福祉法改正案を提出するようですが、県のそれに対する対応策について説明を求めたいと思います。
 児童虐待多発の要因と昨今の虐待の特異性についてどのようにとらえていますか、所見を求めます。
 4番目、県立南部病院問題についてでございます。
 県立病院の今後のあり方検討委員会報告で、南部病院の廃止、経営移譲が打ち出され、地元や近隣市町村住民から激しい怒りの声が出ています。年間23万人余の県民が利用している現状、救急医療体制、利用者への身体的不安、経済的不安などを考えると当然の声であります。
 以下、質問いたします。
 県立南部病院が地域医療に貢献していることに対する認識を問います。
 県立病院の今後のあり方検討委員会幹事会報告の中で、県立病院としての役割は終わっており廃止する方向で検討すべきとしていますが、そのことに対する県の認識を問います。
 県は、第4次の県立病院経営健全化計画の中で具体的数値を設定して南部病院の経営健全化と機能強化を打ち出していますが、検討委員会報告との整合性についてお伺いします。
 地域の声は存続です。県は明確にその声にこたえるべきと思いますが、いかがなものですか。
 検討委員会では県立病院全体に触れています。その中で、これまでの経営健全化の取り組みも実績を上げていない。病院事業の運営形態など構造面に起因する課題に手をつけず事業が継続された結果が経営悪化の大きな要因と示していますが、このことはこれまでの経営責任が明確でなかったことになります。県のしかるべき対応と所見をお伺いします。
 マリン・タウン地区土地利用についてでございます。
 地元から土地利用計画の見直しが求められていますが、見直し作業の進捗状況について説明を求めます。
 平成18年4月供用予定のマリーナ施設についての整備、管理運営の事業主体を早期に確定し、一日も早い事業の着手が求められています。県の対応についてお伺いします。
 地域活性化や土地の分譲・売却などの観点から核になる事業施設の誘致が急務と思いますが、土木建築部の中での議論ではなく、企画開発部や商工労働部などで構成する県のプロジェクトチームを立ち上げる必要がないか、どうですか。
 台風常襲地及び地震帯上にある本県において県民及び消防職員、団員に対して災害を想定した各種訓練、体験学習の施設及び防災教育センター建設の必要性があると思いますが、県の計画はどうなっていますか。また、建設の必要性があるとすればマリン・タウン地区への誘致についてはどうでしょうか。
 県道139号線糸満・与那原線、国道329号与那原バイパス事業の進捗状況について説明を求めます。
 馬天港の早期補修について質問いたします。
 現在の馬天港は、地元の漁業活動や地域活性化への支援、周辺の市街化に対応した有効な港の整備が進まず、港湾利用に起因するさまざまなトラブルが発生し、地元住民から早期の改修が求められています。県は、馬天港の現状をどう見ていますか。
 平成15年度予算の港湾調査費1000万円の執行状況を説明してください。
 港湾計画見直しのスケジュールを示してもらいたいと思います。
 最後に、我が会派の代表質問との関連で質問したいと思います。
 まず最初に、昨日の喜納昌春議員の石川県議会での地位協定に関する否決の件についてでございます。
 私は、やはり知事がこれまで全国行脚をして、まさにこの地位協定の見直しが全国の流れになっているということに対して評価をしますけれども、ただ残念ながら石川県でこういう中で否決されたこと自体非常に残念であります。私は、石川県議会に知事みずから出向いて説明をして理解をしてもらう、そして再度決議をしてもらうという行動をとる必要があるのではないかと思いますけれども、いかがなものでしょうか。
 2点目に、辺野古海域でのボーリング地質調査関連に関してでございます。
 防衛施設局は、専門家の公表を避けております。県もそれに対しては事業主体の側の問題だということで逃げておりますけれども、やはり県が環境への影響を評価する重要な根拠となる調査資料でございます。当然のことながら、この調査に基づきまして県の判断の根拠が出てきます。そういう意味ではやはり専門家の方々、これまでどういう実績があったのか、どういう調査を過去において経験したのか、当然のことながら県民に公表すべきであるというふうに私は思うんですけれども、国に対しまして、国に強い決意で公表を求めるべきだと思いますけれども、いかがなものですか。
 答弁によりまして再質問したいと思います。よろしくお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 大城一馬議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、イラク攻撃後のテロ事件と自衛隊のイラク派遣の御質問につきまして一括してお答えをいたしたいと思います。
 世界各地で頻発するテロの原因は、経済格差や貧困、抑圧などさまざまな要因が考えられますが、悲惨なテロをなくすためには平和で安定した地域を構築するため国際社会の協力のもと、国連が主体となってその役割を果たすことが望ましいと考えております。県としては、国連を中心としたイラクの復興が一日も早く実現することを期待しており、我が国も関係各国と協力しながら主体的に貢献していくことが望ましいと考えております。
 イラクへの自衛隊派遣は、イラクの人道復興支援を目的としたものだと承知しておりますが、国民の理解を得るためにも自衛隊の派遣に際しては十分な議論を深めるとともに、派遣地域や活動内容等について慎重かつ十分な検討が行われることを強く望むものであります。
 次に、米国防長官の来沖の意義と効果、要請に対する米国防長官の回答についての御質問について一括してお答えをいたします。
 今回の国防長官との会談では、会談時間が短いことを考慮し、数多くの基地問題の中から、これまで日米両政府に対して要望してきた最も基本的な課題である基地の整理縮小、普天間飛行場の移設、在沖米軍兵力の削減、日米地位協定の見直し、事件・事故の未然防止及び航空機騒音の防止対策などに加え、最近問題になっている米海軍の新型低周波水中音波探知機の日本周辺海域での使用問題の7項目に絞って要望いたしました。
 私は、今回の国防長官との会談を沖縄の基地問題の実情について現地の声を伝える好機ととらえ、基地から派生する諸問題、県民感情、基地負担の軽減を求める県民の意向等を強く訴えたところであります。県の要望に対し国防長官からは、米海軍の新型低周波水中音波探知機の使用問題については、米側が調査した結果、海洋生物などへの影響はほとんどない、2、訓練演習、騒音のレベルも下がってきていると理解しているという趣旨の発言がありましたが、その他については具体的な回答はありませんでした。県としては、今回の沖縄訪問を契機に沖縄の基地問題が目に見える形で前進するよう米国政府の動向を注視しつつ、今後とも粘り強く基地問題の解決を訴えていく考えであります。
 次に、陸軍複合射撃訓練場の建設反対表明についての御質問にお答えいたします。一括してお答え申し上げます。
陸軍複合射撃訓練場の建設に当たっては、既存の訓練施設に加えて新たに追加される施設も計画されており、また、これまで中止していた実弾を使用した訓練も実施するとのことであります。県は、県民の基地負担の軽減を求める立場から、これまで基地の整理縮小、海兵隊の訓練等の移転及び在沖米軍兵力の削減などを求めてきているところでありますが、今回の陸軍複合射撃訓練場の建設計画は、県のこれまでの要請や県民の意向に反するものであり遺憾であります。
 県としては、同訓練場は、基地の固定化や訓練の過密化による基地負担の増大にもつながることが懸念されることから、同訓練場の建設には反対であります。また、レンジ4に隣接する金武町の伊芸区では、金武町長に対し、同施設の建設計画を即時中止するよう求めており、金武町や町議会としても同施設の建設に反対の意思を表明しております。去る12月1日、政府主催による全国知事会が首相官邸で行われましたが、その席上、比嘉副知事より小泉総理大臣や各大臣に対し、今般、新たな米軍訓練施設の計画が示されたことについて県民は強い不満を抱いており、本県における米軍基地問題の解決は目に見える形で一歩一歩前進させることが重要である旨訴えたところであります。
 次に、石川県議会の意見書否決についての御質問についてお答えいたします。
 石川県議会の9月定例会において、「日米地位協定の抜本的改正を求める意見書」が賛成少数により否決されたと聞いておりますが、詳細については把握しておりません。日米地位協定の見直しに関する動きが着実に広がりを見せる中、このように意見書が否決されたことはまことに残念であります。県は、見直しを求める国民世論の盛り上がりが地位協定の見直しの実現につながっていくものと考えており、今後とも関係諸団体とも連携しながら、あらゆる機会を通じて日米地位協定の抜本的な見直しを求めていきたいと考えております。石川県議会について、今後、情報の収集に努め、どのような対応が可能かどうかを検討したいと思います。
 なお、石川県議会につきましては、私自身もこの意見書の採択に向けて努力をしたいと考えております。
○知事公室長(新垣良光) 陸軍複合射撃訓練場の概要についてにお答えいたします。
 陸軍複合射撃訓練場の建設計画は、那覇防衛施設局からの説明では、建設場所はキャンプ・ハンセン内のレンジ4で、施設内容は、射撃用建物、突破訓練施設、射場、訓練塔及び管理地区とのことであります。訓練内容は、建物内の敵に対処するための小型武器による射撃訓練、建物内に強行突入する訓練、ロープによる懸垂降下訓練等となっており、建設については2004年末までに完成させたいとしておりますが、着工時期は未定とのことであります。
 米軍の安全対策及び環境対策についてにお答えいたします。
 那覇防衛施設局の説明によりますと、安全対策としては、1点目として、射撃用建物内においては所定の方向以外に飛ぶ弾丸を遮断し、確実に捕捉するために標的の後方に高密度ゴム製の弾丸トラップ等を使用する、2点目として、射撃用建物内での射撃を除く他の射撃は着弾地の方向以外には一切行わない、3点目として、本訓練場の各施設を着弾地の方向に向けて配置する、4点目として、訓練実施中に安全管理専門の担当官を配置するとのことであります。
 また、環境対策としては、1点目として、建設工事の実施に当たっては「日本環境管理基準」に従うとともに、「沖縄県赤土等流出防止条例」を考慮する、2点目として、建設業者に対し、赤土流出防止計画の提出を義務づける、3点目として、のり面を安定させるため植栽を実施する、4点目として、赤土流出防止さく及び防水シートを使用して工事を実施するとのことであります。
 流弾等の発生件数及び赤土流出についてにお答えいたします。
 復帰後から平成15年11月末までの米軍による流弾事故等の発生件数は26件となっており、原野火災の発生件数は436件で、焼失面積は約3237ヘクタールとなっております。流弾事故等の発生箇所の内訳は、キャンプ・ハンセンで10件、キャンプ・シュワブで8件、その他4施設で8件となっております。原野火災の発生箇所及び焼失面積の内訳は、キャンプ・ハンセンで発生件数は380件、焼失面積は約3140ヘクタール、キャンプ・シュワブで発生件数は44件、焼失面積は約78ヘクタール、その他の施設で発生件数は12件、焼失面積は約1ヘクタールとなっております。
 赤土流出につきましては、県が実施した赤土流出量調査結果によりますと、平成5年度は県全体で約52万1000トンあり、そのうち米軍基地から流出したものは約2万5000トンで全体の約4.8%を占めております。平成13年度の調査では県全体で約30万トンあり、そのうち米軍基地から流出したものは約2万3000トンで全体の約7.7%を占めております。
 航空医療搬送中隊新設の経緯と県の対応についてにお答えいたします。
 航空医療搬送中隊は、横田基地のC9A航空医療搬送機4機が本年10月に引退したことに伴い、嘉手納基地に新設されたものであります。県がこれまでに米軍から得た情報によりますと、同中隊は、緊急医療が必要な患者を安全に空輸することを主な任務としており、医療搬送の運用は、移転前から嘉手納基地所属のKC135機を使用して行われているとのことであります。また、今後、同中隊の航空機の運用に関しては、取り決められた午前6時から午後10時の間に飛行するよう努めるとのことであります。
 嘉手納基地の航空医療搬送中隊の新設について地元自治体は、離着陸回数の増加や爆音被害の拡大など、地元住民の基地負担がふえるのではないかと強く懸念しております。県としても地域住民の基地負担の増大につながってはならないと考えており、去る8月29日にファーゴ太平洋軍総司令官、9月3日にラーセン在日米軍副司令官に対し、県民の基地負担の増加につながらないよう配慮してほしい旨申し入れております。県としては、今後とも情報の収集に努めるとともに、同中隊の運用状況を注視していきたいと考えております。
 自衛隊の鳥島射爆撃場ミサイル発射試験に関する県の中止要請と那覇防衛施設局の対応について一括してお答えいたします。
久米島町では、過去に鳥島射爆撃場における劣化ウラン弾誤使用問題や漁業操業妨害問題が起こったこともあり、地元久米島町や町議会も今回のミサイル発射試験に反対の意思を表明しております。県としては、基地の固定化や基地負担の増大につながることが懸念されることから、鳥島射爆撃場における自衛隊のミサイル発射試験には反対であります。県としては、今後とも地元久米島町と連携しながら適切に対応していきたいと考えております。那覇防衛施設局は、これまでに地元久米島町や漁協等に対し、ミサイル発射試験の計画内容について説明を行ったとのことであります。
 劣化ウラン弾に係る軍転協要請への国の対応についてにお答えいたします。
 沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会の要請に対し、国から具体的な回答はありませんが、県としては、久米島町の住民の不安を解消するためにも地元とも連携しながら今後とも粘り強く国に働きかけていきたいと考えております。国では、去る10月下旬に久米島町において全国環境放射能調査の一環として海水、土壌及び大気浮遊じんの採取、空間放射線量率の測定を行っており、その結果については専門家の評価を受けてインターネットで公表されると聞いております。
 以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) 県内における声かけ事案の発生状況等についてお答えします。
 児童生徒に対する声かけ事案につきましては、ことし11月末現在、県警では64件把握しておりますが、昨年が26件であったことに比べますと大幅に増加しております。
 また、略取事案いわゆる拉致事案につきましては、ことし11月末現在、15件発生しており、昨年1年間の6件に比べますと同様に大幅に増加しております。なお、検挙は11月末現在、3件3名であります。
 このような声かけ事案あるいは略取事案の主な特徴点を申し上げますと、被害者につきましては10歳前後の小学生の女の子が多く、単独か二、三名で被害に遭うケースが多いこと、被害の時間帯は登・下校あるいは塾の行き帰りが多いこと、ほとんどが金銭などの提供の甘言や道案内などの声かけをしていること、被疑者のほとんどは男性の単独犯で、多くが車両を使用していることなどであります。
 次に、多発する要因についてでありますが、児童を対象とした拉致事案が多発している要因としましては、児童を性の対象とした無秩序な情報がインターネット等ではんらんしていることで、児童に関心を示す犯罪者がふえていると考えられること、通学路や公園等に防犯上の死角があり犯行を行いやすい環境があること、地域住民の不審者に対する関心が薄いため無防備な地域環境にあること、児童を取り巻く現在の社会環境において児童自身が自己防衛方法に関する知識を十分に身につけていないことなどが挙げられると考えております。
 次に、事件の防止対策の取り組み状況についてでありますが、この種事案の未然防止対策の基本としては、防犯上の死角をつくらないこと、子供や関係者の注意喚起を行うこと、不審者の発見と警察への迅速な通報であると考えております。
 県警としましては、多発傾向にある年少者を対象とする拉致事案や声かけ事案を防止するため、各警察署ごとに多発時間帯と多発地域を中心に学校及び公園周辺、通学路における注意喚起と警戒警らの実施、発生状況や手口を初め防犯上の死角の改善方法等の防犯対策に関する情報の提供、学校や自治会等における防犯教室を開催し、被害時の対応要領や不審者発見時の通報要領等の防犯指導などの対策を全県的に強化しているところであります。
 具体的には、各警察署の防犯指導のもとで、浦添市においてはPTA連合会による1万人の市民パトロールが実施され、南風原町においては子供110番の「太陽の家」連絡会議が開催され、また小中学校の周辺に注意喚起の立て看板を設置し、通学路のパトロールが実施され、具志川市においてはごみ収集パッカー車によって注意喚起の防犯広報が実施され、沖縄市や北谷町においては自治会の防災放送等を利用した注意喚起の放送が実施されるなど、児童を守る対策の輪が県内全域で徐々に広がっている状況にあります。
 県警としましては、この種事案の防犯及び検挙対策を強化し、児童を守ることは警察に課せられた重要な任務と認識しておりますが、現在の限られた人員の中では多発する犯罪への十分な体制を確保することは厳しい状況にあることも事実であり、警察官の増員による体制の確保等も含め諸対策を強化していく所存であります。
 最後に、防犯ブザーの支給等についてであります。
 児童生徒を対象とした拉致事案等については、被害に遭いそうになった際に周囲の大人に知らせることも未然防止方法の一つでありますが、その手段として音で知らせる防犯ブザーや防犯用の笛は極めて有効であると認識しており、県警では児童や保護者等の関係者にこれら防犯器具の携帯を奨励しているところであります。県警としても子供や女性を犯罪から守る対策として、平成12年10月から防犯ブザーの貸し出し制度を実施しております。これは、声かけ事案や強制わいせつ事件等の未然防止のため希望者に貸し出しているもので、全国防犯協会連合会の補助により県内の交番等に計235個を配置しているところであります。今後、防犯ブザーの貸し出し制度の整備拡充も含め防犯諸対策を強化してまいりたいと考えております。
 以上です。
○教育長(山内 彰) 事件が多発している要因についてお答えいたします。 
 事件多発の明確な要因を申し述べるのは困難でございますが、本年度実際に起きた15件の事件内容から見ますと次のようなことが考えられます。急激な社会環境の変化に伴い、大人社会の情報過多や車両の遊具化等のあしき社会環境、それから少年少女等への負の関係性、性や暴力等のモラルの低下、人間の関係性の希薄化、相手を思いやる心の欠如などが複合的に絡み合ったものと考えております。
 なお、このことに対して児童生徒の危機意識や危機回避能力の育成を図ることが必要であり、強化をしているところであります。
 次に、事件防止の取り組み状況について市町村、学校、地域の順でお答えいたします。
 現在、県下のほとんどの地域や市町村、学校においてその具体的な取り組みがなされております。浦添市では住民総出の1万人パトロールで啓発活動が行われ、豊見城市では「不審者を一掃する豊見城市緊急大会」を開くなど、地域ぐるみの取り組みがなされております。また、各学校では緊急PTA集会や緊急対策会議を開催し、南風原町の翔南小のようにPとTによる通学路安全マップづくりと防犯運動の実施など、保護者及び地域住民の防犯意識の高揚と防犯対策が講じられています。
 このような取り組みは、子供たちは地域で守るというよりよい社会環境づくりにつながり、地域の教育力の充実という点でも大きな意義があると考えています。県教育委員会では、通知文書の発送や各地区の取り組み状況の情報提供等を行い、より効果的な安全対策が図られるよう支援しているところであります。
 また、年間を通して各市町村と連携した夜間街頭指導の継続実施、児童生徒育成サポート制度による警察官派遣事業など、警察本部と連携した活動を実施しており、今後とも警察、PTA、関係機関、地域などとの連携を一層深め、教育活動の視点から安全対策に努めてまいりたいと考えております。
 次に、防犯ブザーの支給についてお答えいたします。 
 県教育委員会としましては、防犯ブザーを携帯することは安全確保の手段の一つとして効果的であると考え、通知文書等により各市町村教育委員会に対しその携帯を推進、奨励してきたところであります。先日は、具志川市では市内小学校全校に防犯ブザーを支給する方針であるとのことを聞いております。また、県立のM養護学校では市の婦人会が防犯ブザーを寄贈し利用されております。県教育委員会としては、今後とも市町村教育委員会と連携し防犯ブザーの携帯を促進してまいりたいと思います。
 なお、県立特殊教育諸学校については、自力通学の児童生徒に対し、御提言のとおり防犯ブザーの支給を考えております。
 以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの大城一馬君の質問及び質疑に対する残りの答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午前11時48分休憩
   午後1時30分再開
○副議長(髙良政彦) 再開いたします。
 午前の大城一馬君の質問及び質疑に対する答弁を続行いたします。
 福祉保健部長。
   〔福祉保健部長 稲福恭雄君登壇〕
○福祉保健部長(稲福恭雄) 児童虐待の3年間の県内の実態についてお答えいたします。
 児童相談所が県内の児童虐待として受け付けた相談件数は、平成12年度が275件、平成13年度が288件、平成14年度が367件と年々増加してきております。その相談種別を平成14年度で見ますと、保護の怠慢ないし拒否のネグレクトが150件で最も多く全体の40.9%、次いで身体的虐待が145件で39.5%、心理的虐待は60件で16.3%、性的虐待は12件で3.3%となっております。ネグレクトの割合が引き続き高い状況にありますが、平成12年度と比較すると心理的虐待が大幅にふえております。
 続きまして、児童虐待防止市町村ネットワークの状況についてお答えいたします。
 児童虐待防止対策においては、児童虐待の予防、対応、支援にかかわるあらゆる機関・関係者が密接な連携を図るためのネットワークの構築が重要であります。このことから、昨年、中央児童相談所に設置した「児童虐待防止支援チーム」を中心に、市町村における児童虐待防止ネットワークの設置を促進しているところであります。現在、那覇市など8市町が既に設置済みとなっており、来年度に石垣市など4市町村が設置を計画しているところであります。来年度の計画中を含めてネットワークの設置率は、全国の市町村ネットワーク設置率38.8%に対し、県内の設置率は23.1%となっておりますが、市部においては本県が11市中9市が設置しておりまして81.8%の設置率となり、全国平均の69.9%に比べてもかなり高い設置率となっております。今後も「児童虐待防止支援チーム」等を中心として、未設置市町村に対するネットワークの設置促進に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、児童養護施設のグループホーム化に対する県の対応策についてお答えいたします。
 厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会の児童部会がことしの11月に取りまとめた報告書では、児童福祉施設における養護の中長期的なあり方として大規模な集団生活ではなく、より家庭的な生活の中での個別的なケアの提供を基本とし、児童養護施設のケア形態の小規模化を進めていくことが必要であると提言しております。国においては、この社会保障審議会児童部会の提言を受け、児童福祉法改正案を提出する意向であるとされておりますが、具体的な改正内容についてはまだ公表されておりません。県におきましては、国の児童福祉法改正の動きを見守るとともに、児童福祉施設のケア形態の小規模化の動きを見据え、要保護児童の状況に応じ少人数グループホームの設置を検討していきたいと考えております。
 続きまして、児童虐待多発の要因と昨今の虐待の特異性についてお答えいたします。
 児童虐待の相談受け付け件数が増加しておりますが、その内容には、子供の心身に影響を与えるような行き過ぎた保護者からの体罰や、親の養育力の未熟さから来る不適切なかかわりも多く見られます。発生の要因としては、都市化、核家族化、少子化に伴い、地域における子育て機能が低下してきているという社会的な背景や経済的困窮などの要因があると考えられます。さらに、全国においては児童虐待が死亡事故に至る例が見受けられますが、厚生労働省がまとめた資料によりますと、平成12年11月から平成14年6月までの間の全国で発生した虐待死亡例は62件となっております。そのうちゼロ歳児の割合が41.9%と高くなっており、その半数は生後3カ月以内となっております。また、実母のみによる虐待の割合が48.4%と最も高くなっております。
 事件の未然防止を図るためには、周産期から虐待のハイリスク家庭を把握し、乳幼児健診や保健師等の家庭訪問等による適切な援助を行うとともに、地域における子育て支援の充実に努めてまいります。
 以上でございます。
○病院管理局長(平井哲夫) 南部病院の地域医療への貢献に対する認識についてお答えをいたします。
 本県の県立病院は、県下の基幹的病院または地域の中核病院として急性期医療を主体に救急医療、高度・特殊医療、離島・僻地医療等を担っております。この中で南部病院の医療提供の特徴を見ると、入院患者の約7割を65歳以上の高齢者が占め、他の県立病院と比較して入院患者の平均在院日数が長く、慢性期を対象とする医療機能へのシフトが見られます。また、患者の居住地の状況を見ますと、入院・外来とも8割以上が糸満市内の受療となっており、南部病院については中核病院としての広域性が低下しているものと考えられます。
 次に、御質問の2番目の幹事会報告における廃止の方向に対する認識及び4番目の存続を求める地域の意見への対応について一括してお答えをいたします。
 あり方検討委員会幹事会報告では、南部病院が提供している医療機能は圏域の他の医療機関で代替可能であるとして、県立病院としての役割は終えたものと判断し、廃止または経営移譲の方向で検討すべきとしております。委員会及び幹事会においては、地域の医療環境や各県立病院の状況等も踏まえた上で、役割・機能及び経営・運営の両方の視点から県立病院のあり方を検討しており、南部病院についてもそれを踏まえた論議が行われております。また、南部病院に関する地域の意見等につきましてもその都度委員会等に提出しており、さらに糸満市からの申し入れを受け、次回委員会では糸満市からの意見聴取とそれに基づく意見交換を行うこととしていることから、今後の委員会においてもこれらの意見等も踏まえた上での検討が行われるものと考えております。県といたしましては、あり方検討委員会からの提言を受けた後、県としての実施方針等を検討することとしておりますが、委員会からの提言は尊重していきたいと考えております。
 次に、御質問3番目の第4次健全化計画とあり方検討との整合性及び5番目の健全化計画の実績に対する県の対応について一括してお答えいたします。
 県立病院の今後のあり方につきましては、民間医療機関等の整備の進展や公的医療機関に対する医療ニーズへの対応の必要性、県財政や病院事業経営の厳しい状況等を背景に、県立病院の役割・機能及び経営・運営の両視点から、県立病院全体の規模や運営形態などを含む抜本的な見直しについて検討を行っているところであります。
 一方、第4次経営健全化計画は、病院事業の現在の枠組みに基づき平成19年度までの中期的スパンで減価償却前の収支均衡を図ることを目標として策定された計画であり、今後、県立病院のあり方の検討結果との整合を図っていくこととしております。これまでの経営健全化計画が実績を上げていないことにつきましては、その要因等も踏まえて第4次計画を策定しており、進行管理体制の強化に努めながら、目標達成に向けて経営の改善に取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) マリン・タウン地区土地利用についての、土地利用計画の見直しについてにお答えいたします。
 西原与那原地区の土地利用計画については、平成2年に港湾計画へ位置づけられております。その後、社会経済情勢の変化等から与那原町より土地利用の見直し案が示されたのを受けて、平成10年度末に県、地元、学識経験者で構成する検討会を設置し、今後の土地利用のあり方等を検討したところであります。この中で、住宅用地等の利用計画については当面現計画どおり対応していくこととしております。
 一方、交流拠点用地等については、地域のニーズ等を踏まえ、より効果的な土地利用が図られるよう柔軟に対応していくこととしております。
 次に、マリーナの整備及び管理運営の事業主体についてにお答えいたします。
 西原与那原マリーナは、マリン・タウン埋立事業における海洋性レクリエーション基地の形成を図る目的で、マリーナ背後のまちづくりと一体的に整備を行う計画であります。当該マリーナは、平成11年度に着手し物揚げ場や船揚げ場等の外郭施設は完成しており、現在はマリーナ用地の埋立造成工事を行っております。また、マリーナの浮き桟橋、クラブハウス、駐車場等の整備、管理運営については、民間の資金、経営能力、技術能力を活用して行う手法も含めて関係機関と調整しながら検討していきたいと考えております。
 次に、核になる事業の誘致、プロジェクトチームの立ち上げについてにお答えいたします。
 マリン・タウン埋立事業は、平成8年の埋立工事着工以来、平成15年2月までに埋立面積142ヘクタールのうち約115ヘクタールの埋め立てが完成しております。西原町、与那原町においては住宅用地等の処分が開始され、活力のある潤い豊かなみなとまちづくりが推進されております。今後は、マリーナの整備、管理運営を行う事業者の選定及び核となる施設の進出意向調査を進める考えであります。また、企業誘致に向けたプロジェクトチームの設置については、今後、地元や関係機関と調整し検討していきたいと考えております。
 次に、県道139号線、国道329号バイパス事業の進捗状況についてにお答えいたします。
 県道139号線すなわち糸満与那原線の与那原工区は、平成11年度に事業着手したものであります。平成11年度から用地買収に着手し、平成15年度は埋立地側の道路改良工事と橋梁工事を中心に整備を進めているところであり、平成15年度末の進捗率は約75%を見込んでいます。今後とも地元の協力を得ながら用地買収を進め、平成17年度には事業を完了させたいと考えております。
 国道329号与那原バイパスは、西原町小那覇から南風原町与那覇に至る延長約4.2キロメートルの国直轄事業であります。当該道路は、平成12年度に都市計画決定し平成14年度から用地買収に着手したところであり、平成15年度末の進捗率は約17%を見込んでいるとのことであります。当該道路の全体の完成目標は平成20年代前半と聞いておりますが、特にマリン・タウン地区内の県道糸満与那原線から臨港道路2号線の区間については、平成17年度の県道の供用に合わせて整備を進めていくとのことであります。
 次に、馬天港の早期改修について、馬天港の現状、港湾計画調査費及び港湾計画見直しについてお答えいたします。一括してお答えいたします。
 馬天地区は、港湾施設が狭小で一部の施設が老朽化しており、また港内の静穏度も悪く利用上支障となっていることから、早急に改善する必要があると認識しております。このため、平成2年に策定された港湾計画に基づいて整備を進めることとしていましたが、社会経済情勢及び馬天地区を取り巻く情勢の変化等から、佐敷東地区と一体的な事業展開が求められているところであります。このことから、佐敷町のみなとまちづくり計画案を踏まえて、現在、馬天地区、佐敷東地区の計画変更に関する各種関係資料の収集整理を行っているところであります。今年度は、港湾計画変更に向けた調査を実施していくこととしております。
 なお、港湾計画変更は平成16年度末を目標に調整しております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) マリン・タウン地区土地利用についての御質問のうち、防災教育センター建設についての御質問にお答えをいたします。
 県の防災教育センター建設につきまして、本県は台風常襲地帯であり、また島嶼県であるため大規模災害が発生した場合、他府県からの応援の到着に時間がかかることなどから、消防職員・団員及び県民一人一人が常日ごろから防火・防災意識を持ち事前の対策を講じる必要があります。そのことから、防災センター等を整備して各種訓練用機器を配置し、県民等に対して災害を想定した体験学習及び訓練を行う施設が必要であると考えております。県としては、防災教育センターの建設については設置主体、施設規模、設置場所、維持管理等の課題があることから、今後の研究課題としていきたいと考えております。
 次に、ボーリング調査の専門家が公表されなかったことについての御質問にお答えをします。
 ボーリング調査の位置選定等作業計画に対する海洋動植物学の専門家の助言の内容はホームページにより、潜水調査の報告書は閲覧により公表されておりますが、専門家の氏名は事業者の判断で公表されておりません。
 作業計画に対して助言した専門家の氏名については、透明性や説明責任の確保の観点から公表が望ましいと考えておりますが、氏名の公表については、事業者によって諸般の事情を踏まえて総合的に判断したことであると理解しており、氏名の公表については事業者により判断されるべきことと考えております。
○大城 一馬 まず知事、ラムズフェルド長官との会談で7つの要請をなさいました。その中で2つの件については、いわゆる航空機騒音防止対策とあるいはまた新型低周波水中音波探知機問題につきましては長官から回答があったと。そのあとの5項目について全く回答がなかったというようなことなんですけれども、やはり今我が沖縄県が抱えている問題、基地問題、日米地位協定の見直しや、普天間の飛行場の移設条件の問題、15年使用の問題、そういうあと残りについて、何ゆえ長官が沖縄県を代表する切実な訴えに対して、県民の訴えに対して、知事の訴えに対して回答がなかったのか、私は非常に不思議でなりません。その真意についてもう一度お尋ねしたいと思います。
 そして私はやはり知事がしかるべき具体的な行動をとるべきだというふうに思いますけれども、そのことにつきましても御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、海上自衛隊の鳥島射爆場でのミサイル発射訓練でありますけれども、確かに先ほど知事公室長が県として反対であると一歩前進の表明をいたしました。それでは中止の要請はしたのでしょうか、防衛施設局にですね、どうですか。
 そして専門家の公表の問題ですけれども、県は12月末日までにはこの使用協議書に同意か不同意かの結論を出さなきゃいけないわけですね、防衛施設局長から求められている使用協議書についてですね。やはりこれは自然環境が破壊されるかされないか、いわゆる県民のそういう財産に対して被害を受けるかどうかの極めて重要なことだと思うんですよ。何ゆえこの専門家が公表されないのか非常に不思議でなりません。これにつきまして県はしっかりと強い決意で施設局に公表を迫るべきじゃないでしょうか。どうですか、お伺いしたいと思います。
○副議長(髙良政彦) 休憩いたします。
   午後1時54分休憩
   午後1時56分再開
○副議長(髙良政彦) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 大城議員の再質問にお答えします。
 県の要望に対しまして国防長官からは、今回の沖縄訪問は現地の状況を直接見聞し学ぶことが目的であり、現在世界じゅうのアメリカの基地の見直しを行っている最中であるということから具体的な回答は避けたいという趣旨の発言がありました。しかし、私としてはこの際十分にわかっていただきたいということで、実は本人、席をお立ちになるところをまた座っていただきましていろいろと強くそこで具体的な行動を起こしたというふうなお話をいたしました。例えば、沖縄の戦後58年の長い歴史の中から非常に大きなマグマがたまっているという県民感情についても細かく触れましたし、それから日米安全保障条約の問題についても先方としてはそれによってこの期間、この地域の平和が守られているじゃないかというお話がございました。それに対しても私は無理やりお引きとめをいたしまして、実は日米安全保障条約によって確かに日本がこの間非常に経済的にも豊かになったというそういう事実は認めると。
 しかしその一方、沖縄は戦後27年において米国の統治下にあり、しかも現在においても日本全国土のわずか0.6%にすぎない沖縄に75%のこの基地があるというこういう事実、それから騒音その他についても十分に資料を見ていただきたいということで、具体的にいつも私が申し上げているのは、その場その場においてできるだけのことに対してすべて機会を求めて、その機会をとらえて積極的に主張していくということで、今回についても私としては十分な行動をなしたというふうに思っております。今後とも機会をとらえて積極的に沖縄の状況を訴えていきたいと思っております。
○知事公室長(新垣良光) ミサイル発射試験について中止の要請はしたのかという御質問でございますが、県としては地元久米島町と連携しながら適切に対応していきたいと考えております。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 再質問にお答えをいたします。
 県として環境保全の観点から意見を述べるに当たりましては、事業者が専門家から得た助言の内容の不明な点等について事業者を通じ確認を行うこととしております。また、県が委嘱している専門家等に別途意見を聞いていくこととしておりますので、県としての意見を述べることは可能と考えております。
○宮里 政秋 渡久地健議員の突然の訃報に接し、痛恨のきわみであります。哀悼の誠をささげるとともに、御遺族に対し心からお悔やみを申し上げるものであります。
 では最初に、我が党の代表質問に関連して一般質問を行います。
 イラク派兵問題についてお伺いいたします。
 29日、米軍へのテロや武力攻撃が頻発しているイラクで日本人外交官2人が銃撃され亡くなられました。2人の外交官と御家族の方々に心からお悔やみを申し上げるものであります。
 この事件は、米英軍による不法占領が続く同国が、まさに全土戦争状態であることを改めて示しています。現在、イラクはアメリカの不法占領下にあります。そこに自衛隊が派遣されれば、日本はまさしくイラクを占領する諸国の一つになってしまいます。不法な占領当事者である米軍だけでなく、不法占領に協力する国も標的にされています。米英の不法占領が続くイラクに自衛隊が出ていったら侵略者とみなされます。既にテロリストは日本に注目し、日本をテロのターゲットにすると声明を出しています。自衛隊のイラク派兵は、アメリカの違法な戦争に協力して国民を危険にさらすもので最悪の選択と言わなければなりません。
 ところが、小泉首相は事件を受けて、日本はイラクの人道支援に責任を有する国だからどのようなテロにも屈しないという従来の方針に変わりはないと強調しました。
 今、イラク国内で起きているテロ事件の背景には、米軍による無法な戦争とそれに続く不法占領の継続がイラク国民の怒りを買っているのであります。このことは、国連のアナン事務総長も、占領が続く限りレジスタンスは続くと認めています。いかなる理由があるにせよ、テロは絶対に許すことはできません。イラクの事態を解決するには、米英軍による不法な占領を終わらせ、国連中心の復興支援に切りかえ、速やかにイラク国民に主権を移すことであります。米英軍の武力による占領支配は、テロを誘発しています。テロに屈しないといって自衛隊の派遣を推し進めたら、テロの温床を広げるだけであります。自衛隊派遣の道理のなさは、もはや明白です。
 民族自決権の尊重こそ紛争解決の最大の保障となるものです。そのことは27年の長きにわたる米軍の占領支配を経験した私たち沖縄県民の痛苦の経験です。沖縄から自衛隊派遣反対、憲法9条に基づく平和的解決をという平和のメールを世界に発信しようではありませんか。知事の御決意をお聞かせください。
 次に、代表質問に関連して、都市型戦闘訓練施設建設について伺います。
 我が党の玉城ノブ子議員の代表質問に知事は、新たな訓練施設は反対という趣旨の答弁をなさいました。地元も絶対反対であり、知事の新たな訓練施設反対の姿勢は地元を激励するもので評価するものであります。問題は、稲嶺知事が反対の政治姿勢をどのように貫くかであります。
 第1に、新たな訓練施設に県が反対であるということをいつ日本政府に申し入れるのか。
 第2に、知事は地元と連携して反対していくと答弁されました。問題は知事の決意です。地元住民と一緒に座り込みも辞さないという決意があるのかお伺いいたします。
 次に、代表質問に関連して、自然遺産登録について伺います。
 世界の自然遺産登録を目指して国内で学術的評価が最も高かった琉球諸島の推薦が見送られました。観光振興の面ではかり知れない損失であり残念のきわみです。琉球諸島が世界自然遺産推薦から外されたのは、米軍ヘリコプター基地とゲリラ訓練施設があり、十分な保護措置がとれないということが主な要因となっています。すなわち、国内法が及ばない米軍基地が世界遺産登録を阻む唯一の障害である、このことが明白になっています。ヤンバルの森を世界自然遺産として登録が実現するために、同地域の米軍基地を撤去させるために国に強力に働きかけるべきだと思います。知事の御決意をお聞かせください。
 次に、15年使用期限問題について伺います。
 ラムズフェルド国防長官との会談で稲嶺知事は7項目の要請書を手渡し、基地の縮小、兵力の削減、15年問題、ソナー使用禁止、航空機騒音の軽減などを求めました。これに対して、同長官は知事の要請をことごとく突っぱね、日米安保条約が日米間に平和をもたらしたと反論し、米軍基地の現状はもう限界と過重負担の現状を重ねて説明する知事に、同長官は憮然とした表情を浮かべたと報道されました。
 同国防長官は、沖縄訪問に先立ち小泉首相、川口外相、石破防衛庁長官とも会談しています。沖縄問題も取り上げられたが、儀礼的なあいさつ、中身の乏しさは否めないと報道されました。小泉首相は、15年問題を取り上げませんでした。同長官も稲嶺知事の15年使用期限の要請には全く触れませんでした。それは、15年の問題は協議の対象にしないという日米間の合意が取り交わされているからではありませんか。15年問題を棚上げしたまま政府は着工を前提にボーリング調査を強行しようとしています。稲嶺知事の公約が日米両政府によって無視されている以上、普天間基地移設をきっぱり拒否すべきであります。知事の御答弁を求めます。
 次に、防衛施設局のボーリング地質調査について伺います。
 那覇防衛施設局は、名護市の辺野古沖での普天間飛行場の代替施設建設のためボーリング地質調査と海域使用の申請を県土木建築部河川課に提出したと報道されています。河川課の対応について御説明ください。
 那覇防衛施設局は、天然記念物のジュゴンがえさ場とする辺野古沖での調査が文化財保護法91条の同意対象になるかを照会する文書を県教育庁文化課に提出したと報道されています。県教育庁はどのように対応されるのか、御答弁を求めます。
 次に、「お魚センター」についてお伺いします。
 泊漁港内に設置されている県漁連の地方卸市場が老朽化して衛生面や施設の未整備等が指摘され改善が計画されています。施設の整備に伴い卸業務を並行して仲買人及び卸業者から小売を目的とした「お魚センター」を計画しています。
 県漁連のこの計画に那覇市第一牧志公設市場組合を初め平和通り商店振興組合、壺屋やちむん通り会から反対の陳情が出され、本会議でも常任委員会でも取り上げられてきました。陳情の趣旨に基づく解決を求める与野党議員の質問に、知事も、今後関係部局等において十二分に検討させていただきたいと思いますと、このように答弁なさいました。ところが、いまだ問題は未解決のままであります。
 知事も御存じのように、牧志公設市場の皆さんは県漁連の老朽化した施設を整備することに反対しているのではありません。問題は、施設の整備に伴い卸業務と並行して仲買人及び卸業者が小売をやるという「お魚センター」構想に反対しているのであります。
 知事も御存じのように、商いの社会にはしっかりした不文律のルールが確立されています。そのルールを守ってこそ商いは成り立つものです。卸業者が卸値で小売までやったら小売業者は廃業に追い込まれます。小売業者にとっては死活につながる問題であります。小売業者が繁盛してこそ卸業者も繁栄するものです。その意味で卸業者と小売業者は共存共栄のかたいきずなで結ばれているのであります。卸のうまみも小売のうまみもひとり占めでは商いは成り立ちません。タコが自分の足を食べるようなものとの批判が寄せられるのは当然であります。
 そこで知事に伺います。
 事業主体の県漁連に対して「お魚センター」計画の撤回を強く求めるよう指導していただきたい。知事の御答弁を求めるものであります。
 次に、那覇市農連市場地区市街地再開発事業について伺います。
 農連市場地区市街地再開発推進計画が平成10年度に策定されています。これは、沖縄県住宅供給公社、JAおきなわが加わった上で平成10年度に農連市場地区市街地再開発推進計画として策定され、平成11年度にはこれらの調査を踏まえた上で関係権利者の合意形成のため、参考事例となる鑑定評価に基づくモデルプランを作成し、那覇市農連市場地区市街地再開発推進の方策が策定されています。
 これまで那覇市農連市場地区市街地再開発事業準備組合としては、地元住民のアンケート調査に基づいて県の企画開発部に以下の要請を行ったというものであります。
 1、農連市場存続のため、現在、経済連が借地している部分を権利変更して経済連もしくは経済連にかわる団体に借床させていただきたい。
 2つ、市中心部の人口のドーナツ化を防止するためにも県営住宅をつくってほしい。
 3番目、県の農業振興のために農業博物館をつくってほしい。
 4番目、農連市場再開発地区に県が所有する従前資産約22億円を県はどのように活用されるつもりか。
 以上、那覇市農連市場地区市街地再開発事業準備組合花城清宜理事長の要請に県はどのように対応されてきたのか。また、那覇市との調整はどこまで進んでいるのか、関係部局長の答弁をそれぞれ求めるものであります。
 最後に、戦跡の保存について伺います。
 豊見城公園の東側斜面に旧陸軍第24師団の野戦病院壕があります。鉄骨の腐食がひどく落石等で壕内の見学はとても危険な状況にあります。公園利用者が多い場所だけに早急に修復を施すべきだと痛感しました。表示板も壊れたまま放置されています。全県的に戦跡の管理・修復も含め市町村への指導はどうなっているのか、お答えいただきたい。
 以上、答弁によって再質問を行います。
○知事(稲嶺惠一) 宮里政秋議員の御質問にお答えいたします。質問通告順にお答えいたしたいと思います。
 最初は、15年使用期限についてのお答えでございます。
 普天間飛行場代替施設の15年使用期限は、戦後58年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から、沖縄県が移設に当たって整備すべき条件として提示しているものであります。使用期限問題は、基地の提供責任者である日本政府の高度な政治判断に係る問題であることから、これまで内閣総理大臣を初め関係閣僚に何度も要望してきました。
 また、先日、ラムズフェルド米国防長官とお会いした際、普天間飛行場の県内移設は県民にとって苦渋の決断であったことを伝え、代替施設の15年使用期限などの条件を日本政府に強く求めていることを説明し特段の配慮を要望しました。同問題は、基地の提供責任を有する日本政府の責任において解決されるべきであると考えており、今後とも引き続き強く求めていきたいと考えております。
 次に、自衛隊のイラク派遣と平和発信についてお答えいたします。
 沖縄戦の体験や長年にわたる米軍統治、今なお残る広大な米軍基地などから、沖縄県民は命のとうとさと平和の大切さを肌身で感じ恒久平和を強く望んでおります。私は、この沖縄という地域が主体的に平和の構築・維持に向けて持続的に取り組むことにより、平和を希求する沖縄の心を世界に発信していくことは重要であると考えております。
 イラクへの自衛隊派遣は、イラクの人道復興支援を目的としたものだと承知しておりますが、国民の理解を得るためにも自衛隊の派遣に際しては十分な議論を深めるとともに、派遣地域や活動内容等について慎重かつ十分な検討が行われることを強く望むものであります。
 平和のメールの発信については、御提言として承っておきます。
 次に、陸軍複合射撃訓練場の建設計画反対に対する県の取り組みについて申し上げます。一括してお答えします。
 同施設の計画については、地元金武町や町議会、伊芸区の住民も反対しており、米軍はこれを重く受けとめ計画を撤回すべきであり、国も米軍に対し計画を撤回するよう働きかけてもらいたいと考えております。県としては、去る12月1日、全国知事会が首相官邸で行われた際、比嘉副知事より小泉総理大臣や各大臣に対し、新たな米軍訓練施設の計画については、これに反対する立場から県民は強い不満を抱いており、本県における米軍基地問題の解決は目に見える形で一歩一歩前進させることが重要である旨訴えたところであります。
 また、本日、茂木沖縄及び北方対策担当大臣に対して、陸軍複合射撃訓練場の建設計画には反対である旨表明したところであります。
 県としては、今後とも地元金武町と連携しながら適切に対応していきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○土木建築部長(安慶名正行) 15年使用期限問題についての、公共用財産使用協議に対する対応についてにお答えいたします。
 本件公共用財産使用協議書につきましては、那覇防衛施設局から平成15年11月17日付で県に提出されております。同協議に係る公共用財産の使用につきましては、関係機関からの意見を踏まえ、関係法令と先例等に照らした上で総合的な観点から適切に判断したいと考えております。
 次に、那覇市農連市場地区市街地再開発事業についての、県営住宅建設についてにお答えいたします。
 県営住宅の建設は、復帰の昭和47年から始まり、現在の管理戸数は約1万7000戸となっております。これらの既存団地の中でも建設初期に建てられた県営住宅は、築後約30年を経過し、躯体の老朽化により安全性が問われているほか、住機能の陳腐化が進行している状況にあることから建てかえが緊急な課題となっております。このため、県営住宅の整備においては新規建設を抑制し、建てかえを重視した整備方針としております。
 このようなことから、那覇市農連市場地区市街地再開発事業における県営住宅の新規建設については、現時点では厳しい状況であります。
 なお、このことについては、那覇市都市再開発課との協議・調整においても厳しい旨伝えてあります。
 以上でございます。
○教育長(山内 彰) 那覇防衛施設局の照会文書に対する県教育委員会の対応についてお答えいたします。
 那覇防衛施設局から11月17日付で文化庁長官あての照会と県教育委員会あて同文書の進達依頼が提出されました。
 この照会は、文化財保護法に基づく手続ではなく、同局が辺野古沖で計画している地質調査及び海象調査が文化財保護法第91条第2項に言う文化庁長官の同意を求める手続をする必要があるか否かを照会しているものであります。したがいまして、県教育委員会では、調査計画の具体的作業内容やジュゴンへの配慮等に関して不明な点や疑問な点につき那覇防衛施設局に確認を行いつつ県教育委員会としての意見をまとめ、文化庁長官あて進達をしていきたいと考えております。
 次に、全県的な戦跡の管理・修復等はどうなっているかにお答えいたします。
 戦争遺跡については、県教育委員会としては、平成10年度から文化財の視点で全県的な詳細分布調査を実施しております。これまでに沖縄本島及び周辺離島で810カ所を確認しております。県教育委員会としましては、戦争の歴史の正しい理解のために欠くことができず、学術上価値のあるものについては文化財に指定し保護していく必要があると考え、現在検討を進めております。また、各市町村に対しては、戦争遺跡の保護を目的に各市町村でも文化財の指定を推進するよう通知したところであります。
 なお、文化財に指定した後の戦争遺跡の管理等に関しましては、当該市町村や関係機関等との調整が必要であると考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 「お魚センター」についてお答えいたします。
 泊漁港の県漁連市場内の鮮魚解体施設については老朽化・狭隘化しており、また衛生面においても再整備する必要があります。このため、県漁連が事業主体となり県民に安全・安心な水産物を供給する施設を整備することとしております。
 しかしながら、県漁連では去る8月に役員改選が行われ、また大幅な赤字を抱え、管理運営費の圧縮、事業の採算性等の検討などを盛り込んだ経営再建計画の策定に時間を要し、事業の推進に向けた関係者との調整が中断しております。県としては、今後、事業推進に向けて県漁連、第一牧志公設市場組合等関係者による話し合いの場を設け、理解が得られるよう調整していきたいと考えております。
 続きまして、那覇市農連市場地区市街地再開発事業についてと農業博物館の建設についてお答えいたします。
 農連市場地区市街地再開発事業については、現在、那覇市において都市計画決定のための資金計画及び施設計画等の見直し調査が行われており、農林水産部としてはその進捗状況を見ながら対応したいと考えております。
 農業博物館の建設については、那覇市が農業振興地域でないこと、補助事業のメニューに該当しないこと等により現時点においては難しいものと考えております。
 以上でございます。
○総務部長(仲田輝享) 農連市場地区の県有地の活用についてお答えいたします。
 再開発事業予定地区内の県有地の一般貸付地の処理については、「県有地有効利用基本計画」に基づき当該事業に積極的に協力し、事業者と十分な調整を図り一括処理を図ることとしております。具体的には、1、原則一括で売り払う、2、一括賃貸借を行う、3、県公共施設等の整備計画がある場合は権利床確保するなどの方法があります。
 同再開発事業は、現在、事業主体である那覇市において施設計画等の見直しを含め事業成立に向けて検討を行っているところであり、その結果を踏まえ対応していきたいと考えております。
 以上でございます。
○知事公室長(新垣良光) 北部訓練場の撤去についてにお答えいたします。
 北部訓練場は、SACO合意によりその過半の約3987ヘクタールが返還される予定でありますが、ヘリコプター着陸帯の移設が条件となっていることから、国は、ヘリパッド移設候補地の選定を行うため昨年11月5日からことし10月まで四季を通した環境調査を実施しており、今年度じゅうに報告書をまとめるとのことであります。県としては、国による継続環境調査の結果や関係する市町村の意見等も踏まえながら、移設場所の選定に当たっては当該地域の自然環境に十分配慮するよう国や米軍に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、国では平成16年度から3カ年をかけ、「やんばる地域国立公園指定計画策定調査」を実施する予定と聞いております。県としては、今後、国の条件整備に向けた調査等に協力するとともに、関係機関とも連携し地元の合意形成を図っていくなど世界自然遺産の推薦に向けて取り組んでまいります。
 以上でございます。
○宮里 政秋 知事に再質問をいたします。
 我が党の代表質問で、玉城ノブ子議員の質問で都市型戦闘訓練計画撤回と、きょうも同僚議員の質問にこのように答えられました。私、これは非常に評価するんですが、問題は、私が言っているのは、座り込みも辞さないそういう決意を求めている。知事、これは非常に大事ですよ。
 都市型戦闘訓練で恩納村にあったときに比嘉副知事を先頭に座り込みをしました。当時は、村長さん。やはり地元の人たちがあれだけ運動を展開して実現が──建築中だったんですかね、一部もう完成していた。これを撤回させた。私、あのときは比嘉副知事も一緒ですが、比嘉勝秀議員も、当時は野党、与党ありませんよ。西田健次郎議員、与党、野党全部一緒になって座り込んだんだ。
 いわゆる基地問題では我々県議会は知事と一緒になって政府に、国に対して野党でなければならぬ、行動も一緒にやりたい。これは提供施設内なんですよ、レンジ4、レンジ16。これを16から4に移そうというんです。施設内なんですから、しかもアメリカの費用でやるという。だから強行しようという状況ですよ。だから地元が絶対反対と言っているんですから、知事も一緒になって座り込みもする決意で、これは建設させない、その決意をひとつもう一度お伺いしたい。
 それから、公室長がヤンバル地域の世界遺産の話をしました。これは、問題は基地があるから世界遺産登録から外れているんです。いわゆる日本政府について、よく振興策で償いの心と言いますよ。政府が本当に我々県民に対して償いの心があるとすれば、ヤンバルの森を世界遺産に登録するためにあの地域のヘリパッド、特殊訓練施設を撤去せよと具体的に日米両政府に要求すべきじゃないですか。このことについても公室長の答弁にはちょっと不満。知事の御答弁、決意をあわせて求めたいというふうに思います。
○副議長(髙良政彦) 休憩いたします。
   午後2時30分休憩
   午後2時34分再開
○副議長(髙良政彦) 休憩いたします。
   午後2時31分休憩
   午後2時34分再開
○副議長(髙良政彦) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 宮里政秋議員の再質問にお答えいたします。
 最初は、陸軍複合射撃訓練場の建設計画に関しまして、県としては今後とも地元金武町と連携をしながら適切に対応したいと考えております。
 次に、北部訓練場の撤去についてですが、これは国・環境省では平成16年度から3カ年をかけて「やんばる地域国立公園指定計画策定調査」を実施する予定であります。県としては、今後、国の条件整備に向けた調査等に協力するとともに、関係機関とも連携し地元の合意形成を図っていくなど世界自然遺産の推薦に向けて取り組んでまいります。
○宮里 政秋 知事、都市型戦闘訓練廃止を要求する、これは非常にすばらしいですよ、評価します。問題は、本当にこの計画を中止させる知事の決意がまず大事なんですよね。だから一緒に座り込む決意を持って対処していこうと、あなたの決意を聞いているんですよ。
 それから、いわゆる償いの心を持って沖縄振興策を進めている。日本政府に償いの心があればヤンバルの森を世界の自然遺産に登録のため、同地域の米軍基地の撤去に向けて対米交渉を進めるべきだと、そのことを政府に対して強く要求すべきだと。だからヤンバルに基地があるから遺産がだめになったんですから、この基地を取り払えということを具体的に知事の方で要求すべきじゃないか。その点で公室長の答弁が非常に弱いものだから知事に求めたんですよ。もう一度、知事、いかがですか。あなたはスポーツマンでしょう。非常に行動家なんだからやりなさいよ。
 これで終わり。答弁を求めます。
○副議長(髙良政彦) 休憩いたします。
   午後2時36分休憩
   午後2時37分再開
○副議長(髙良政彦) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 宮里政秋議員の再々質問にお答えいたします。
 陸軍複合射撃訓練場の建設計画には反対でございますので、これが実効あるように、ともかくどういう方法が実効があるかということをそれを探りながら全力を尽くしたいと思っております。
 次に、ヤンバルの世界自然遺産の登録については、これは世界遺産の推薦に向けて全力を尽くしたいと思っております。そのためには現在環境省が実施する予定になっております国立公園指定計画策定調査について全面的に協力するとともに、関係機関とも連携しながら地元の合意形成に向かって努力をしてまいります。
○糸数 慶子 渡久地健議員の御逝去に対し、心から御冥福をお祈り申し上げます。遺族の皆様には心からお悔やみを申し上げます。
 通告に従いまして一般質問を行います。
 知事の政治姿勢について。
 小泉総理は、我が国の外交官が犠牲になった今日でさえイラクへ自衛隊を派遣するとの強硬姿勢を見直す気配もなく、復興支援に名をかりた自衛隊の海外進出で暴力の連鎖に手をかしていく方向にあります。
 日本は平和憲法を遵守し、独自の平和貢献を考えるべきであります。また、悲惨な地上戦を体験した沖縄県であればこそ、沖縄平和賞を創設した稲嶺知事であればこそ知事は県民の声を代表しイラクへの自衛隊派遣に反対すべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。
 国民保護法案に関して、国民保護法の名のもとに法的な強制措置で国民が戦争に駆り立てられることを危惧いたします。主権者たる県民の基本的人権を守る立場にある知事として反対を表明すべきと考えますが、いかがですか。
 ラムズフェルド米国防長官との会談を通しての印象と心境、7項目の要求に対する米国の感触と今後の展望について知事の所感を伺いたい。
 次に、米軍基地問題について伺います。
 都市型戦闘訓練施設建設について、その概要と訓練の内容について伺います。この施設建設に対する知事の見解を問います。
 在沖米軍基地の環境問題、事件・事故の視点から地位協定を問います。
 3点目、環境行政について。
 航空自衛隊恩納分屯地に保管されているPCB汚泥廃棄物について、保管状況と今後の処分計画について伺います。
 相模原米軍基地、相模補給庫では米軍に情報公開を請求し、PCB廃棄物を米本国に持ち帰らせた事例があります。県内での米軍PCB廃棄物保管について相模米軍補給庫と同様に明確な報告を国に求め、県民に明らかにし、米本国に持ち帰らせるべきだと思いますが、知事の見解を伺います。
 次に、普天間基地代替施設の環境問題について伺います。
 事前潜水調査で当初予定のボーリング調査地点を何カ所、どんな理由で変更したか。なお、同調査に同意した海洋学者5名のメンバーの公表と助言内容を公表していただきたい。
 泡瀬干潟の埋立問題について、新種や希少種、ジュゴンへの対応と見通しについて。また、環境省が求める環境評価の公表についてどう対応していくか伺います。
 次に、旧軍飛行場用地問題について。
 980万円の予算をかけて外部調査を委託した目的は何ですか。その調査目的は現時点でも達成可能と見込まれますか。
 外部調査委託が個々の地主会及び個々の地主に個人補償の期待を抱かすとの批判について県当局はどう考えますか。
 新法や新計画で言う戦後処理の概念に当該問題での個人補償も含まれますか。
 委託調査は関係市町村や各地主会にも事前に説明しており、調査の趣旨は理解していただいていると考えていますと9月定例会での公室長答弁でありましたが、改めて確認いたしますが、委託調査の趣旨及び調査報告書の取扱方針は十分なコンセンサスが得られていますか。
 次に、医療・福祉行政について伺います。
 高度・多機能病院(仮称)について。
 小児部門について、新病院においては一極集中が望ましいと思いますが、県はどのように考えているのですか。中部病院と新病院は将来的に小児部門の集約が望ましいと言われておりますが、二極だと分散し高度医療が低下するのではないか、伺います。
 新病院のスタッフの全国公募については現在のシステムで可能ですか。不可能であれば何が障害か伺います。
 診療科目について、ワーキングチームでの案はどのようになっているのですか。「こども病院」としての機能が十分に確保されているのでしょうか。開院時に小児精神科の設置を要求されていますが、これはどうなっているのか伺います。
 次に、宿泊施設について、遠隔地からの家族の宿泊施設の必要性について県はどのように考えていますか。また、敷地の確保はどうなっているのか伺います。
 医療ボランティアの養成についてはどう考えていますか。新病院の果たす機能的な面での位置づけはどうなっていますか。例えば窓口、運営方法はどうなっていますか伺います。
 次に、エイズ問題について本県の実態はどうなっているのですか。また、他府県に比べてどうなのか、その対応策と課題について伺います。
 次に、DV問題についてお尋ねいたします。
 本県におけるDV被害の実態について、相談件数及び一時保護について全国と比べてどうですか。
 女性相談所への保育士などの専門スタッフの配置についてはどうなっているのか伺います。
 離島での相談状況と課題について伺います。
 DV加害者の更生プログラムの策定状況について、その後どう対応しているのか。先進地(国内・海外)への研修のための職員を派遣してはどうでしょうか。
 国交省との基準づくり(ガイドライン)はどうなっていますか。また、庁内での検討委員会での対応と今後の課題について伺います。
 次に、女性行政について。
 金武・杣山訴訟について知事の所見を伺います。
 米軍に接収された山林の入会権を持った団体に対して女性26人が起こした金武区の杣山訴訟で、軍用地料の分配金受給資格を原則男子の子孫に限定しているのは男女平等の原則に反し、違憲、違法との判決が那覇地裁で言い渡されました。この金武・杣山訴訟について知事の所見を伺います。
 次に、知事の選挙公約にもなっています女性副知事の登用について伺います。
 次に、観光行政について。
 エコツーリズムとグリーンツーリズムについて伺います。
 エコツーリズムとグリーンツーリズムをどう認識し、沖縄観光における付加価値の具体的な増進策としてどう生かしていくのですか。
 エコツーリズムは県も推進し力を入れていますが、自然科学の立場だけではなく地域の伝統文化、地域住民の快適さを損なわない範囲はどこまでなのか、具体的な課題と対策について伺います。
 西表など離島であれば島の入域客の許容範囲を見きわめ入域客制限などの調査、ごみ焼却の実態、自然や文化の解説をするガイド養成などについてどう対応しているのか伺います。
 修学旅行の実情と課題についてお伺いいたします。
 次に、教育及び青少年問題について。
 異論投稿の教諭の調査問題について伺います。
 学校長が生徒に対して行ったという教諭の評価に関するアンケート調査について、今回の異論投稿の教諭調査は教師や県民にとっても大変不可解な教育行政への信頼が揺らぐものであります。
 この事件は単に投稿した教諭の事実誤認であるとか、アンケートを実施した学校長一人の責任を問うものではなく、開かれた学校をうたう教育行政のその言葉に反した強権的な姿勢を問うものであります。
 山内教育長は、教育委員会のホームページで「教育の原点は、「理解と対話」であり、教育愛をもって臨むことが大切である」と述べています。今の教育現場において理解と対話があるのか。教育行政の姿勢に正すべき点があるならば率直に認めていただきたいと思います。
 以下、伺います。
 生徒に対してアンケートの目的をどのように説明したのか。
 アンケート方法とその質問項目は何か。また、調査したクラス数と生徒数を求めます。
 アンケートはいつ、どのようにして作成されたものか。その内容は教諭を評価するに公平かつ妥当性のあるものでしたか。
 結果として問題なしという報告が学校長より県教育庁へ行われたという報道でありましたが、急な調査で生徒には動揺もあったと聞きます。その後、生徒へ何らかの説明は行われたのですか。
 教育庁は日ごろから授業時数の確保を学校現場への至上命令としていますが、授業時間を利用してアンケートを行う緊急性及び必要性はあったのでしょうか。
 今回の調査は教諭への人権侵害だけではなく、生徒に対して教育的配慮を著しく欠いたずさんな調査であったのではないでしょうか。また、今回の一連の調査について責任の所在はどこにあるのですか、明確な教育長の見解を伺います。
 次に、メンタルヘルス事業と今後の課題について伺います。
 事業の概要について。
 カウンセリングを受けた職員の数とその後のケアについて伺います。
 教職員の長期病休について、それは他府県と比べてどうですか、その実態について伺います。
 次に、産業医の配置状況と50人以下の職場は何校で、どう対応しているのか伺います。
 次に、「心のノート」について伺います。
 文部科学省は、昨年から道徳用副教材として「心のノート」を全国の小中学生全員に配布しています。文部科学省は、積極的に現場で活用してほしいとPRに懸命だと言われますが、まるで国定教科書のようで国家が心の内面に入ってくると警戒する声もあります。本県での実施状況、また国全体のこの件に関する予算について全体的に伺います。
 次に、青少年犯罪の本県の実態と対策について。
 今後の課題と対策について教育長と警察本部長に伺います。
 我が党の代表質問との関連については、時間の都合上、割愛させていただきます。
 答弁によって再質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) 糸数慶子議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、自衛隊のイラク派遣についてでございます。
 県としては、国連を中心としたイラクの復興が一日も早く実現することを期待しており、我が国も関係各国と協力しながら主体的に貢献していくことが望ましいと考えております。イラクへの自衛隊派遣は、イラクの人道復興支援を目的としたものだと承知しておりますが、国民の理解を得るためにも自衛隊の派遣に際しては十分な議論を深めるとともに、派遣地域や活動内容等について慎重かつ十分な検討が行われることを強く望むものであります。
 次に、国民保護法案への反対表明についての御質問に対してお答えいたします。
 私は、「国民の保護のための法制」は、国民の人権や財産権等を有事の際の非常事態法として制限するものであることを明確にして基本的人権の制限や財政負担の明確化、国民の協力への国の支援のあり方等についても広く国民の理解が得られるよう十分な論議を尽くす必要があると考えているところです。政府におかれては、引き続き地方公共団体や関係民間機関等の意見を踏まえ、広く国民の理解と協力が得られるような法制の整備に努めていただきたいと考えております。
 次に、ラムズフェルド米国防長官との会談についての御質問にお答えいたします。
 今回の国防長官との会談では、会談時間が短いことを考慮し、数多くの基地問題の中から、これまで日米両政府に対して要望してきた最も基本的な課題である基地の整理縮小や兵力の削減及び日米地位協定の見直しなどに加え、最近問題になっている米海軍の低周波ソナーの日本周辺海域での使用問題の7項目に絞って要望いたしました。
 私は、今回の国防長官との会談を沖縄の基地問題の実情について現地の声を伝える好機ととらえ、基地から派生する諸問題、県民感情、基地負担の軽減を求める県民の意向等を強く訴えたところであります。県の要望に対し、国防長官からは、今回の沖縄訪問は現地の実情を直接見聞し学ぶことが目的であり、現在、世界じゅうのアメリカの基地の見直しを行っている最中でもあることから具体的な回答は避けたいという趣旨の発言がありましたが、国防長官や同行した政府スタッフには沖縄の実情や県民の意向を理解していただけたものと考えております。県としては、今回の沖縄訪問を契機に沖縄の基地問題が目に見える形で前進するよう米国政府の動向を注視しつつ、今後とも粘り強く基地問題の解決を訴えていく考えであります。
 次に、陸軍複合射撃訓練場の概要及び県の見解についてお答えいたします。
 陸軍複合射撃訓練場の建設計画は、那覇防衛施設局からの説明では、建設場所はキャンプ・ハンセン内のレンジ4で、施設内容は、射撃用建物、突破訓練施設、射場、訓練塔及び管理地区とのことであります。県としては、今回の陸軍複合射撃訓練場の建設計画は県のこれまでの要請や県民の意向に反するものであり遺憾であります。同訓練場は、基地の固定化や訓練の過密化による基地負担の増大にもつながることが懸念されることから、同訓練場の建設には反対であります。
 去る12月1日、政府主催による全国知事会が首相官邸で行われましたが、その席上、比嘉副知事より小泉総理大臣や各大臣に対し、今般、新たな米軍訓練施設の計画が示されたことについて県民は強い不満を抱いており、本県における米軍基地問題の解決は目に見える形で一歩一歩前進させることが重要である旨訴えたところであります。また、本日、茂木沖縄・北方担当大臣に対して、私の方から、今回の訓練施設について沖縄側が反対であるとの意向を表明しております。
 次に、環境問題、事件・事故に係る地位協定問題についてお答えいたします。
 米軍の管理権について定めた地位協定第3条を受け、日米合同委員会で基地内への立ち入り手続が合意されておりますが、緊急時の立ち入りが明示されていないほか、環境調査のため基地内への立ち入りを求める場合も米軍の裁量にゆだねられている状況にあります。また、裁判権の行使について定めた地位協定第17条第5項(c)の運用に関する平成7年の日米合同委員会合意では、殺人または強姦という凶悪な犯罪については起訴前の拘禁の移転が可能となりましたが、その判断は米軍の裁量にゆだねられております。
 県としては、地位協定の運用改善が図られているにもかかわらず、環境汚染の問題や米軍人等による事件・事故が後を絶たない状況にあることから、もはや運用改善では限界があることを強く主張し、地位協定の抜本的見直しが必要であることをこれまで機会あるごとに訴えてきたところであります。
 金武の杣山訴訟についての御質問にお答えします。
 今回の判決は、男性に限り入会権を認めるという旧慣習が否定されたものであり、男も女も性別に関係なく法のもとに平等であるという当然の権利が示されたものであります。「沖縄県男女共同参画推進条例」において男女共同参画の視点に立ったさまざまな固定的慣習の見直しをうたっているところであり、判決は条例の趣旨に沿ったものと考えております。なお、当該訴訟はいまだ係争中であり、今後の推移を見守っていきたいと考えております。
 次に、女性副知事の登用についてお答えします。
 県三役への女性登用につきましては、三役は知事を補佐する極めて重要な職でありますので、いろいろな人の意見もお聞きしながら慎重に検討し、任期中には登用したいと考えております。   なお、これは私としては今回最初から女性の登用については大変熱意を示しておりますので、タイミングを見計らい最も早い時期に登用をしたいというふうに考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(新垣良光) PCB汚泥廃棄物の保管状況と今後の処分計画についてにお答えいたします。
 自衛隊の保管するPCB等含有汚泥は、平成8年に米軍恩納通信所跡地から発見され、航空自衛隊恩納分屯地内で保管されている約104トンと、昨年航空自衛隊恩納分屯地内で発見され、同分屯地に保管されている約200トンの計約304トンであります。現在、恩納分屯基地に保管されているPCB等含有汚泥の処理方針については、実証試験の結果、超臨界水酸化分解法が安全かつ確実に処理できるとの結論が出ていると聞いております。
 処理施設の設置等に関する今後のスケジュールについては、那覇防衛施設局が恩納村に対し処理施設の設置を申し入れたとのことであります。
 PCB廃棄物の米本国への移送についてにお答えいたします。
 沖縄に保管されている米軍関係のPCB廃棄物の総量は約360トンとされており、既に米国への搬出が完了したとのことであります。また、現在使用中のPCB含有機器の総量は推計で1740トンであるとされております。外務省によると、今後の処理計画については現時点では承知していないとのことであります。県としては今後とも情報の収集に努めるとともに、関係機関や地元市町村と連携しながら早期の搬出がなされるよう適切に対応したいと考えております。
 ボーリング調査についてお答えいたします。
 ボーリング調査の調査地点については、那覇防衛施設局の資料によると、潜水調査の結果、自然環境への影響を可能な限り回避または低減するため調査地点を選定したとしております。63カ所の予定地点のうち、海草や藻場の分布により変更した箇所9カ所、サンゴが点在していたため変更した箇所11カ所、海底地形の状況、足場の設置が困難により変更した箇所32カ所、合計52カ所となっております。
 旧軍飛行場問題に関する委託調査の目的、地主の期待、コンセンサスが得られているかについて一括してお答えいたします。
 旧軍飛行場用地問題は、未解決の戦後処理事案として沖縄振興計画に位置づけられていますが、この問題の解決を国に求めるために十分な説明資料を整えておく必要があると考えます。このことから、現在実施している委託調査において戦後処理事案として既に解決を見た事例との比較検討や旧軍関係資料の収集、嘉手納裁判記録の分析等を行い、あわせて学識経験者による検討委員会を設置し客観的な視点から同問題を検討し、どのような処理を国に求めるのが適当であるかなどの提言を得たいと考えております。この委託調査については、関係市町村や各地主会にも事前に説明しておりますので、調査の趣旨は理解していただいていると考えております。県は、この調査結果も踏まえ、県・市町村連絡調整会議や旧軍飛行場用地問題解決促進協議会と十分協議・調整していきたいと考えております。
 沖振法及び振興計画と個人補償の関連についてにお答えいたします。
 戦後処理問題については、去る大戦で国が行った政策や行為が原因となって生じた問題に対し、戦後、政府が是正すべきものを一般的な認識として用いられているものと理解しております。旧軍飛行場用地問題については、戦後処理事案として初めて沖縄振興計画に位置づけられました。今後、国に対しどのような処理を求めるのが適当であるかについては、現在実施している委託調査の中で問題点を整理し、学識経験者の意見も聞いた上で考え方を取りまとめていきたいと考えております。県は、この調査結果も踏まえ、県・市町村連絡調整会議や旧軍飛行場用地問題解決促進協議会と十分協議・調整していきたいと考えております。
 DV加害者更生プログラムの策定状況についてにお答えいたします。
 DVを根絶するためには、被害者に対する支援を行うとともに、加害者に対する更生への取り組みも必要であると考えております。国においては、現在、加害者更生に関する調査・研究が進められているところであります。県としましては、県内におけるDV実態の把握及び分析を行い課題を検討するための研究会の設立に向け関係者と調整を進めているところであります。今後は当該研究会での議論を踏まえ、国や関係機関との連携を図りつつ加害者更生プログラムの策定に取り組んでまいります。
 国内の先進地への職員の研修派遣につきましては、去る9月から加害者アプローチのモデルプランを実施している大阪府に調査のため職員を派遣したところであります。海外への派遣につきましては、今後検討していきたいと思います。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) ボーリング調査について、作業計画に助言をした専門家の氏名と助言内容の公表についての御質問にお答えをいたします。
 ボーリング調査の位置選定等作業計画に対する専門家の助言内容はホームページにより公表されておりますが、専門家の氏名は事業者の判断で公表されておりません。作業計画に対して助言した専門家の氏名につきましては、透明性や説明責任の確保の観点から公表が望ましいと考えております。しかしながら、その判断は事業者により行われるべきものと考えております。
○土木建築部長(安慶名正行) 環境行政についての、新種や希少種、ジュゴンへの対応についてにお答えいたします。
 泡瀬埋立事業は、現在、事業区域及び周辺区域における新種や希少種の海藻草類、貝類等の保全措置について環境アセスメント手続に従って事業者から環境部局へ報告し、調整中であります。また、当該事業予定地周辺においてジュゴンのはみ跡及びふんらしきものが確認されたとの新聞報道は承知しておりますが、調査内容等については把握しておりません。県としては、現在環境省で実施中のジュゴンと藻場の広域的調査を参考に同調査で確認された場合は適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、環境省が求める環境評価の公表についてにお答えいたします。
 泡瀬埋立事業における藻場移植に関し、環境省から海草移植計画の策定と公表等が求められたところであります。このため、平成10年度から平成13年度の移植実験の成果を平成14年9月30日に開催された環境監視・検討委員会に諮り、その内容について同年12月17日に公表したところであります。その後、さらに平成14年12月から平成15年1月に手植え移植を実施するとともに、機械化移植による減耗対策工法試験を行い、現在はモニタリング調査を実施しているところであります。その結果について本年7月8日の環境保全・創造検討委員会や本年11月5日の海藻草類専門部会に報告されており、今後ともモニタリングを継続することが確認されております。
 次に、DV問題についての、国土交通省のガイドライン及び庁内検討委員会での対応と今後の課題についてにお答えいたします。一括してお答えいたします。
 国土交通省からのDV被害者支援のガイドラインは、年度内に示される予定と伺っております。土木建築部といたしましては、去る11月18日に知事公室、福祉保健部及び土木建築部で構成された「DV被害者検討会議」におきまして県営住宅の目的、入居者資格等制度概要について説明したところであります。
 なお、県営住宅への優先入居等の課題につきましては、今後、国のガイドラインの内容等を踏まえ、関係部局と連携をとりながら進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○病院管理局長(平井哲夫) 新病院での小児医療の集中化についてお答えいたします。
 新病院の診療体制等運営のあり方については、現在、「県立高度多機能病院(仮称)運営体制検討委員会」において検討を行っているところであります。小児部門の高度医療につきましては新病院が母子総合医療センターを設置することから、同センターの機能が十分発揮できるような体制について検討を進めているところであります。
 新病院スタッフの全国公募についてお答えいたします。
 新病院のスタッフにつきましては、高度医療を支える専門職等の確保を図ることとしており、特に医師については、県内外で活躍している専門医の確保や県立中部病院等との人事交流及び琉球大学や他県の大学からの派遣等により対応することとしております。また、これら医師確保の状況を踏まえながら必要に応じて全国公募についても検討していきたいと考えております。
 新病院の診療科目及び開院時の小児精神科の設置についてお答えいたします。
 新病院の診療科目については、救命救急センターや母子総合医療センター等を中心として、同病院の医療機能を十分に発揮するため42に上る診療科目の設置について検討しているところであります。このうち、母子総合医療センターについては、全県を対象とした高度な小児医療を実施するため小児科、小児外科、小児心臓外科、小児脳外科、新生児科、小児精神科等17診療科目を設置する方向で検討しております。御質問の開院時での小児精神科の設置については、専門医等の確保状況を見ながら対応することとしております。
 新病院における医療ボランティアの位置づけについてお答えいたします。
 新病院においては、院内ボランティアを活用することを前提にボランティア室を設置することとしております。ボランティアを活用する際の病院側の対応といたしましては、受付窓口の設置やボランティアに対する指導・助言を行うコーディネーターの配置等が必要になります。また、院内ボランティアの導入に当たっては、さまざまな患者が来院する病院の性格上、ボランティアへの感染防止、患者のプライバシーの保護等について配慮する必要があり、その活動範囲については診療体制を踏まえて対応する必要があることから、医療現場と連携して検討を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 遠隔地等からの家族の宿泊施設についてお答えいたします。
 県としては、沖縄県周産期保健医療協議会の知事報告にあるように、付添家族のための宿泊施設等の配慮が必要であることは認識しております。しかし、管理運営の主体や運営方法等に課題があり県が実施主体になることは厳しいことから、民間による運営の方法を含めて検討していく必要があります。県としては、土地の確保等について側面的な支援を検討してまいります。
 続きまして、医療ボランティアの養成についてお答えいたします。
 病院を訪れる患者、家族の不安を和らげたり、何らかの手助けなどをする院内ボランティアは病院にとっても有用です。沖縄県社会福祉協議会ボランティアセンターでも広報・啓発・研修などボランティア活動を推進しておりますが、その他さまざまな場面で県民みずからボランティア意識を高めていくことが重要だと考えます。
 続きまして、本県のエイズ対策についてお答えいたします。
 県内の感染者・患者報告数は、昭和62年に最初のエイズ患者が報告されて以来、今年10月末までに感染者・患者の累積報告数が54人と人口比では九州で最も多い状況にあります。特に平成11年以降は報告数が急激に増加しており、その特徴として他県では症状のあらわれていない感染者としての届け出が多いのに対して、本県では発病後に患者として届けられることが多くなっております。また、保健所のエイズ検査も年間900件前後とその伸びが鈍化しており、蔓延防止の観点から憂慮すべき事態と考えています。
 これらのことから、県ではエイズの蔓延防止を図るため「世界エイズデーイベント」における若者を対象とした普及・啓発事業や保健所の無料匿名検査、相談事業、患者の心理的支援を図るためのカウンセリング事業などを実施しております。さらに各保健所には地区医師会、教育機関等で構成する保健所エイズ協議会を設置し予防策を推進しております。
 なお、今年度からは県単独事業として母子感染防止を目的にエイズ検査を希望する妊婦に対して抗体検査費用を一部補助しております。ちなみに今年度は当初予算で1986万6000円を確保し、9月末現在の妊婦受検者は7112人となっております。
 続きまして、本県のDV被害の実態、相談件数及び一時保護等の全国との比較についてお答えいたします。
 本県の女性相談所に機能が付与されている配偶者暴力相談支援センターに寄せられたDV関係の平成14年度相談件数は617件で、内閣府男女共同参画局のまとめによる全国の3万5943件の約1.7%となっております。また、平成14年度上半期において本県の女性相談所に一時保護された者のうち、DV関係者は111人、68.8%となっており、全国の67.2%とほぼ同じ割合となっております。
 次に、最高裁判所事務総局のまとめによりますと、全国50カ所の地方裁判所が加害者に対し接近禁止や退去を命ずる保護命令を発した件数は、DV法が施行された平成13年10月から平成15年3月の間に1571件で、うち那覇地方裁判所においては57件となっております。これは全国で7番目に多い数字となっております。
 続きまして、女性相談所の保育士の配置についてお答えいたします。
DV被害女性の女性相談所への一時保護数は相談件数とともに年々増加しており、それに伴う同伴児童の数も同様に増加しており、この傾向が続くものと思われます。母親とともに保護されている子供たちの処遇の向上を図るためには保育士等の専任職員の対応が必要と認識しており、次年度に向けて配置を検討しているところです。
 続きまして、離島での相談状況及び課題についてお答えいたします。
平成14年度の離島地区におけるDV相談件数は28件となっており、うち来所相談が17件で、その内訳は福祉保健所5件、女性相談所12件となっております。また、電話による相談は11件となっております。離島地区における大きな課題となっていました緊急一時保護のためのシェルターにつきましては、去る8月に本島、宮古、八重山地区において委託契約を結び、確保を図ったところであります。
 続きまして、庁内検討委員会での対応と今後の課題についてお答えいたします。
 11月18日に開催した検討会議において、女性相談所からは、被害女性が住宅を確保するために民間アパートを借りる際に母子世帯に対しての貸し渋りや保証人が見つけにくいなどにより、やむなく婦人保護施設入所になるケースがあること、この場合、同施設がいわゆる開放的な施設でないこと等から高学年の児童の入所には制約が出るため、結果として母子分離を余儀なくされるなどの問題提起がなされております。このような問題の解決のために県営住宅の利用も含め、引き続き検討会議の場を通し関係部局と調整を進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) まず、エコツーリズム及びグリーンツーリズムの認識とその活用についての御質問にお答えをいたします。
 地域の自然や文化を大事にし、触れ合いを目的とするエコツーリズムや農山漁村生活の体験・交流を行うグリーンツーリズムは、本県観光の付加価値を高めるとともに、地域の資源保全及び過疎地や離島などの活性化につながるものと認識しております。そのため県では、平成14年度から3カ年計画でエコツーリズム推進事業を実施し、沖縄県エコツーリズム推進計画の策定、保全利用協定締結の促進及びガイドライン策定などに取り組んでおります。また、「農林水産業振興計画」に基づきグリーンツーリズム実践者の養成、都市と農山漁村の交流ネットワークづくり、農産物直売所の設置などに取り組んでおります。その他、漁村など海辺での体験・交流を目的とするブルーツーリズム、森林での自然との触れ合いや林業体験を目的とする森林ツーリズムなどにつきましてもその推進を図っております。
 さらに、沖縄体験滞在交流促進事業において市町村が実施する地域資源を活用した体験プログラムの作成やインストラクター等人材の育成、体験交流施設の整備などを支援しております。今後はこれらの事業について地域の主体性を尊重しつつ、その取り組みを支援するとともに、全県的な推進体制を確立し沖縄観光の付加価値を高めるべく推進してまいります。
 次に、地域の伝統文化や住民生活の許容範囲及び課題と対策についてお答えをいたします。
 沖縄におけるエコツーリズムの特徴として、その対象地域が住民の生活圏と近接あるいは重複していることが挙げられます。そのため、例えばエコツアー参加者が地域内の神聖な場所へ勝手に立ち入らないこと、地域独自の慣習を理解すること、ごみの増加により住民生活への影響が出ないようにすることなど地域の伝統文化や住民生活への十分な配慮が必要であります。県におきましては、エコツーリズム推進検討委員会や各地域のワーキンググループなどでの検討を踏まえ、訪問者の地域に対する配慮事項を盛り込んだ地域ガイドラインの策定や、適正なゾーニングの設定などを盛り込んだ事業者間の保全利用協定の締結を促進していく考えであります。
 次に、離島における入域客許容範囲、ごみ処理問題、ガイド養成についてお答えをいたします。
 離島における入域客の許容範囲につきましては、自然環境や文化面への影響、住民生活への配慮、観光客の満足度といった観点から考慮する必要があり、現在、エコツーリズム推進検討委員会や各地域のワーキンググループなどで検討しているところであります。また、事業者間の保全利用協定の運用に当たっては、モニタリング調査などの検証作業を予定しており、その中で各対象地域における入域客の許容範囲を検討していきたいと考えております。
 ごみ処理につきましては、適正な処理施設を有していない離島もあることから、入域観光客数の増加を考慮した廃棄物処理施設を整備し、適正な処理を行うよう市町村に対する指導を行っているところであります。
 ガイド養成につきましては、自然体験活動指導者育成事業、沖縄エコツアーガイド養成事業、森林ツーリズムガイド養成事業及び観光人材育成事業、「観光ボランティアガイド・コーディネーター養成講座」等を実施しているところであります。
 また、これまでの取り組みを踏まえ、エコツーリズム推進事業におきましても研修方法や内容を検討してガイド養成を実施するとともに、ツアーガイド等の認定制度についても検討を行ってまいります。
 次に、修学旅行の実情と課題についてお答えをいたします。
 沖縄の修学旅行は、一昨年の米国同時テロの発生直後大きく落ち込んだものの、その後急速に回復し現在は順調に推移しております。ちなみに平成15年の修学旅行見込み数は1771校、33万6000人で、前年に比べて学校数で22.1%、人数で17.7%増となっており、中でも中学生の修学旅行が増加しております。本県への修学旅行は、平和祈念資料館及び入壕体験による平和学習、首里城など世界遺産を利用した歴史・文化体験、カヌー等のマリンスポーツ体験、サンシンやエイサー等の伝統芸能体験、琉球料理体験等沖縄の特性を生かした内容となっております。
 近年の修学旅行は、従来の周遊型から体験学習を重視した内容に急速に移行しており、本県においても新たな体験学習メニューの開発や専門ガイドの育成などが急務となっております。また、ピーク時の宿泊施設やバスの確保、安全対策の徹底など受け入れ体制の整備強化も課題となっております。さらに他地域との競争も激しくなっていることや、一部の地域において修学旅行費用の上限額が引き下げられていることから、各地での誘致セミナー開催や関係者招聘事業など誘致対策を一層強化し、新規校の開拓に取り組んでいく必要もあります。
 こうした課題解決に向け、県では地域特性を生かした魅力ある体験メニューの開発、平和・歴史ガイドの養成、マリンスポーツやエコツアーのガイド養成、安全確保のために壕の安全調査等に取り組んでおります。今後とも誘致活動を積極的に展開するとともに、受け入れ体制の拡充に取り組んでいく考えであります。
 以上でございます。
○教育長(山内 彰) アンケートの目的、方法、質問項目、説明等について一括してお答えいたします。
 今回のことで学校においてアンケートが実施されたということは、校長からの報告でもって初めて知ったことであり、したがってその詳細な内容等については十分に承知しておりませんが、後日報告を受け次のようなことを把握することができました。今回のアンケートについては、学校長の判断により実施され、校長と当該教諭がみずからの教育活動のよりよい評価のあかしを得ることを目的として生徒への趣旨説明を経て実施されたものであるとのことであります。内容は、学校で使っている生徒による学校評価項目の中から12項目を抽出し、1クラス35名の生徒に授業開始後の数分間程度、当該教諭の立ち会いのもとで実施されたということです。なお、生徒たちに動揺は見られなかったとの報告を受けております。
 また、このようなことによって生徒と教諭の相互信頼関係を損なうようなことがあってはならないと考えております。
 次に、調査責任の所在についてお答えいたします。
 学校教育は、全教職員が一体となって学校づくりに努めることが大切であると認識しております。その中で教職員一人一人の意見を尊重し、相互理解のもとでよりよい学校運営をしていくことが肝要であると理解しております。常々教育は理解と対話であると思っていますが、今回のことにつきましては行政と校長との意思疎通や行政の対応に不十分な点があり、そのことが誤解を生み、学校現場に信頼関係を損ねるような状況を生じさせたと考えており、その解消に努めたいと思っております。今後は学校及び教職員との相互理解を図り、父母や地域社会、関係団体等との連携を一層深め信頼関係の構築に努めていきたいと考えています。
 次に、メンタルヘルス事業についてお答えいたします。
 本県の教職員を対象としたメンタルヘルス事業は、平成9年度から公立学校共済組合本部で24時間フリーダイヤルで実施している「教職員健康相談24」と、平成14年9月から新たに沖縄県教育委員会と沖縄県教職員互助会との共同による県内5医療機関に委託して、精神科医・心療内科医・臨床心理士による教職員のメンタルヘルス相談事業を実施しております。また、平成12年度より6教育事務所及び県総合教育センターでの管理職や経験者研修で医師等によるメンタルヘルスに関する講演を実施し、心の悩み等への対応を図っているところであります。今後の課題といたしましては、さらに利用しやすい環境づくりと事業の充実・強化を図っていくことが大切だと考えております。
 「心のノート」についてお答えいたします。
学校における道徳教育では、心に響く道徳教育、開かれた道徳教育、ともに考える道徳教育の3つの基本方針に基づいて道徳性の育成の充実を図っているところであります。しかし今日、子供たちは自己中心的な傾向にあり、ともに生きる心が希薄になってきております。また、青少年犯罪の増加や規範意識の低下等大きな社会問題となってきております。このような状況にかんがみ、児童生徒が身につける道徳の内容をわかりやすく書きあらわし、道徳的価値についてみずから考え、行動していけるための補助資料として「心のノート」が作成されました。その活用の仕方として学校では道徳の時間を初め各教科、特別活動、「総合的な学習の時間」などに生かされております。また、家庭においても親子で思いやりの心や生命のとうとさなどについて語り、考え合う資料となっていると考えております。
 なお、このノートは平成14年度に全国の小中学生に配布され、予算はおよそ7億3000万円、平成15年度には小学校1年生と3年生、5年生及び中学校1年生に配布され、予算総額はおよそ3億8000万円と聞いております。
 青少年犯罪についてお答えいたします。
 青少年の犯罪・非行は、低年齢化、凶悪化、集団化の傾向を呈し、まことに憂慮すべき状況にあると認識しております。これらの要因としては、規範意識の欠如や青少年の心の問題、生活習慣の問題、自他の生命尊重の軽視等があるととらえております。そのようなことを踏まえ、子供一人一人の深い理解に基づきそのよさを伸ばし、自己を積極的に生かしていく子供たちの居場所づくりを構築することが最も重要であると考えます。
 学校における道徳教育、人権教育、生徒指導の充実、スクールカウンセラー等の配置拡充、スクーリングサポートネットワーク整備事業、心の教育、家庭における巡回相談子育てゼミ、親子電話相談事業、家庭教育支援会議の設置促進など、さらに地域における青少年の体験活動推進事業などを実施して学校、家庭、社会における子供の居場所づくりを推進することが今求められていると考えております。
 また、現在実施しております県警察本部や各警察署との連携共同事業である沖縄児童生徒健全育成サポート制度等の充実が必要であると考えております。今後はこれらの事業をさらに拡充・徹底を図り、教育委員会の主要施策の一つとして取り組んでいく所存であります。
 以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) 青少年犯罪の実態と対策、課題についてお答えします。
 窃盗、恐喝等の刑法犯により検挙・補導された少年は本年10月末現在1440人で、前年同期に比べ148人、11.5%の増加となっております。また、深夜徘回、飲酒等で補導された不良行為少年は本年10月末現在3万1827人で、前年同期に比べ4641人、17.0%の増加となっております。
 沖縄県の少年非行の特徴を申し上げますと、まず刑法犯少年の特徴としては中学生の比率が46.6%と全国平均の26.8%と比べ高く低年齢化していること、さらに窃盗犯のうち強盗等の凶悪な犯罪に移行するおそれのある悪質性の高い侵入盗犯の割合が全国の約3.7倍と高くなっていることであります。
 また、不良行為少年の特徴としては、深夜徘回が少年人口当たりで全国平均の約2.5倍、飲酒が約9.5倍、家出・無断外泊が約4.1倍とそれぞれ著しく高くなっていることであります。
 県警は、これらの少年非行を防止し健全育成を図るため街頭補導活動を強化することはもちろんのこと、沖縄児童生徒健全育成サポート制度に基づく学校との相互連絡の実施、中学校、高校へ警察官を派遣しての安全学習支援授業の実施、関係機関・団体等と連携したサポートチームによる非行集団に応じた立ち直り支援活動の実施、少年サポートセンターを中心とした非行少年や被害少年の立ち直り、居場所づくりなど各種の対策を講じており、今後も継続して実施していく所存であります。
 県警としましても、次代を担う青少年の育成については県民総ぐるみで取り組む重要な課題と考えており、犯罪抑止のための効果的な検挙・補導活動を推進するほか、少年非行の実態について県民に情報発信するとともに、県や教育庁等の関係機関・団体等と連携し、少年の非行防止と健全育成を図ってまいります。
○糸数 慶子 休憩お願いします。答弁漏れがあります。
○副議長(髙良政彦) 休憩いたします。
   午後3時38分休憩
   午後3時42分再開
○副議長(髙良政彦) 再開いたします。
 教育長。
   〔教育長 山内 彰君登壇〕
○教育長(山内 彰) それでは産業医の配置状況についてでございます。お答えいたします。
 平成15年4月1日現在で産業医の配置必要校は、県立高等学校が55校中55全学校に配置し、特殊教育諸学校は14校中14の全学校に配置しております。ただ産業医の配置が必置でない学校は県立高等学校が7校、特殊教育諸学校が2校あります。したがって、これらの学校には職員の中から衛生推進者として教職員の健康障害を防止するための措置とか、健康診断及び健康の保持増進のための措置等の業務を担当させて学校における教職員の安全と健康の確保に努めているところでございます。
 あと1つは、病気休職者の数についてお答えいたします。
 本県の教職員の病気休職者数は平成13年度においては279人で、これは全教職員に占める割合は1.66%でございます。ちなみに全国は0.56%であります。ただ、休職を与える条件がそれぞれの県によって違いがあるようでございます。そのうち精神性疾患は本県は65人で、病気休職者に占める割合は23.3%で全国は47.88%であります。
 以上でございます。
○糸数 慶子 再質問いたします。
 第1点は、イラク問題ですが、知事はこれまでイラクへの自衛隊派遣はイラクの人道復興支援を目的としたものだと承知しており、国連を中心として各国が連携し、イラクの人道復興支援に努力することによってイラクの情勢が安定しテロをなくすことを期待するというような答弁をされていらっしゃいましたが、そこで以下の質問をしたいと思います。
 まず1点目、アメリカが大量破壊兵器を口実に大義名分のない戦争で破壊したイラクに今自衛隊を派遣することが人道復興支援であると知事は確信していらっしゃるかどうか。
 それから知事は、イラクの現状を国連を中心として各国が連携している状況と見るのかどうか。
 3点目に、今のイラクに自衛隊を派遣してイラクは復興すると本当に考えていらっしゃるかどうか。
 4点目、現状での自衛隊派遣を我が国の主体的貢献と考えているのですか、お伺いしたいと思います。
 次に、都市型戦闘訓練施設の建設問題についてですが、この問題で県は反対の立場を表明されましたが、その理由は地元が反対だからという理由ですか、それとも訓練内容を十分に検討した結果ですか。もし県単独の判断なら反対の意思表示だけでなく、米軍と日本政府に対して計画の白紙撤回を迫るべきだと思いますが、その御決意がありますかどうか伺います。
 それからPCB問題について、現在計画されている処分施設は恩納分屯地に保管されている分を処理するための暫定施設ですか。それとも北海道室蘭市のPCB処理施設のように恒久施設であるかどうか伺いたいと思います。
 次に、海洋学者の氏名公表問題についてですが、県は専門家の氏名は透明性や説明責任の確保の観点から公表が望ましいとおっしゃっておりますが、そうおっしゃりながら一方でその判断は事業者により行われるべきものとその判断を留保していますけれども、これは事業者の判断次第では透明性や説明責任は確保されなくてもよいと考えているということでしょうか、お伺いしたいと思います。
 次に、教育長にお伺いしたいと思いますが、「心のノート」に関する質問で、今国におきましては教育基本法の改正を求める動きがあるわけですが、その中でなぜ今教育基本法を改正しなければいけないのか。今の教育のひずみは、危機というのは教育基本法とどう関連しているか、根本的な国民の問いに対する最後まで具体的な提言はされていない状況ですね。その中で、今を生きている子供たちの声にまず耳を傾けて教育の実態を時間をかけて丁寧に論議していくという姿勢が欠けているというふうに思います。
 その中におきまして、まず「心のノート」に対しては日本人であることの自覚や、それから郷土や国を愛する心の涵養、それを新たな理念としていわゆる教育基本法を改定する中に加えていますけれども、この「心のノート」の中にこれは国家とどう向き合っていくかということを子供たちそれこそ一人一人に主体的な選択をゆだねられていることが基本だと思うんですが、国家が個人の内面的な価値に対して押しつけてくるような、そういうことは近代国家の憲法の基本原理に反することだと思います。したがって、学校現場での「心のノート」が法的な根拠もないままに配布されて、自己点検評価の名のもとで子供たちの心の中まで管理する試みが進行している。その状況に対して国を愛する心情や日本人としての自覚というふうにしてその3段階で評価した通知票を手渡す学校も本土にはあるように聞いております。国を愛する心を教育理念として評定することはそうした教育活動を正当化するおそれがあるわけで、以前、学力テスト事件に関する最高裁の判決では子供が自立かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的な介入は許されないというふうに言われていることを忘れてはいけないと思います。
 そういうことから考えましても、今回の「心のノート」に関しまして道徳的な観点から全学校において道徳の時間で強制的に押しつけていくということに関しては大変問題があると思いますが、再度その件についてお伺いしたいと思います。
 21世紀を切り開いていくその子供たちが本当にたくましく育っていくというその中でやはり自由ということを奪われていくということは、もと来た道へ引き返していくのではないかという、いわゆる戦前の教育に引き戻されていくのではないかと懸念をしている国民、県民がいることに対しまして、この「心のノート」が今全国的に国の7億円以上の予算をかけて配布されていることに大変疑問を持っておりますが、その点について再度お伺いしたいと思います。
○高江洲義政 副議長、休憩お願いします。
○副議長(髙良政彦) 休憩いたします。
   午後3時50分休憩
   午後4時10分再開
○副議長(髙良政彦) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 最初は、イラク関連の御質問に一括してお答えいたします。
 県としては、国連を中心としたイラクの復興が一日も早く実現することを期待しており、我が国も関係各国と協力しながら主体的に貢献していくことが望ましいと考えております。イラクへの自衛隊派遣はイラクの人道復興支援を目的としたものだと承知しておりますが、国民の理解を得るためにも自衛隊の派遣に際しては十分な議論を深めるとともに、派遣地域や活動内容等について慎重かつ十分な検討が行われることを強く望むものであります。
 続きまして、陸軍複合射撃訓練場についてお答えいたします。
 県は、県民の基地負担の軽減を求める立場から、これまで基地の整理縮小、海兵隊の訓練等の移転及び在沖米軍兵力の削減などを求めてきたところでありますが、今回の陸軍複合射撃訓練場の建設計画は、県のこれまでの要請や県民の意向に反するものであり遺憾であります。県としては、同訓練場は基地の固定化や訓練の過密化による基地負担の増大にもつながることが懸念されることから、同訓練場の建設には反対であります。
 なお、本日、茂木沖縄及び北方対策担当大臣に対して、陸軍複合射撃訓練場の建設計画には反対である旨申し入れたところであります。
○知事公室長(新垣良光) 再質問にお答えいたします。
 恩納村に設置を予定しているPCBの処理施設は恒久的な施設かにお答えします。
 那覇防衛施設局の説明によると、PCBを含む汚泥の処理が終わったら撤去すると聞いております。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 作業計画に対して助言した専門家の氏名の公表については、一般的には公表されることが透明性や説明責任の確保の観点から望ましいことだと理解をしております。この氏名の公表につきましては、事業者によって諸般の事情を踏まえて総合的に判断したことであると理解をしておりますので、氏名の公表については事業者により判断されるべきことだと理解をしております。
 県としては、環境保全の観点から、意見を述べるに当たっては事業者が専門家から得た助言の内容、不明な点等について事業者を通じ確認を行うこととしており、さらに県が委嘱している専門家等に別途意見を聞いていくこととしておりますので、県としての意見を述べることは可能であると考えております。
○教育長(山内 彰) 御指摘のとおり、価値観の多様化が多い社会でございますので、とりわけ教育は多様であり、その見方、考え方もとても大切であると理解しております。
 今回の「心のノート」についてもいろいろととらえ方があろうかと思います。しかしながら、県教育委員会としては、基本的にはやはり道徳の資料として生かせるんじゃないかなというふうにとらえているわけです。
 と申しますのは、4つの視点からであります。1つは、現代の子供の問題をどのような形で展開していくかというときに、やはり絶対的な資料に欠けていたのではないかという視点でございます。したがいまして、子供がみずから道徳性を発展させる窓口になるというふうにとらえているわけです。
 2つ目は、やはり未来へ向かって生きると。単に課題性じゃなくて、どう生きますかと言われたときに、やはり自分のノートとしてこう生きるんだと、みずから進んで使用していく材が必要だろうと。大人はどのような材を提供しただろうかという面で弱かったんじゃないかなという視点でございます。
 3つ目は、先ほどおっしゃっていた教科書や副読本とは違います。資料でございますので、どうぞ使おうが使うまいが、それはお配りしてお任せしますということで、現実に利用させてみますと家庭からも好評を得ているところであります。お母さん方も、実際こういう部分が弱かったということを認識しているのを報告を受けておりますので、去年、ことしでございますので、まだそれについてはさらに深めていきたいなと。
 4つ目は、やはり資料でございますので、これから自分自身を開発するためのノートになる。だから日記帳にもなると。そういうことでの活用。ですから、現に子供の課題にこたえる、未来に向かって生きる資料となると。そして実際に必要性に対応できるということの特徴があろうかと思います。
 さらに、子供一人一人がみずから学習するための冊子となっていって生活ノートとして生かせると。それから家庭と学校、社会との心のつなぎというふうにも使えるんじゃないかと。
 さらに、その内容も見てみますと、いろいろとらえ方もありますけれども、実際に子供の声を聞いていますが、生きているってすばらしいなと感じるのはどんなときですかという、そういう演習的な話でありまして、何もそれを提出しているものでもないものですから、お母さんがおいしいものをつくってくれるとき、大きな雲を見ているときってすばらしいなと感じていますと。
 また、母親も自分の娘がそのノートに書いてあるのをそっと見てみますと、いつも「くそばばあ」と呼んでいたお母さんが本当は大好きだというようなことを書いてあるのを見て、思春期の子供、多感期の子供はこんなものだなということで母親として反省させられたというような感じもありまして、そういう意味で、いい意味での活用ができたらというふうにとらえている次第でございます。
 以上でございます。
○糸数 慶子 知事にお尋ねいたします。
 知事は、現時点でイラクに自衛隊派遣するということに対して反対というふうに受けとめてよろしいんですね。
 それから、専門家の氏名が公表されなかったんですが、この透明性の説明責任が確保される方法は別にあるんでしょうか、文化環境部長にお尋ねいたします。
 それから教育長ですが、先ほどからずっとおっしゃっていますように、多様性、それこそいろんな生き方があっていい、いろんな考え方があっていいというふうにおっしゃっている割には、これは全国の小中学生に対しましてそういう国の予算でこのノートを配付するということは、これは教科書でもないし副読本でもないというのと逆行するのではないかというふうに思います。
 この「心のノート」の使用に関しましては、やはりこの中に差別や偏見のない社会、障害があったとしてもみんな同じの記述はあるんですが、障害を持つ子供たちはその中に登場しません。
 それから部落差別、それから障害者の性別、それから在日外国人差別、女性差別、沖縄やアイヌ民族に対する問題提起も見当たらないという状況なんですね。ですから、その差別に負けない子供たちを育てるというテーマと実際の中身とは矛盾しているということを実際に指摘をしておきたいというふうに思います。
 時間がありませんので、この件に関しましてはいずれの時期かを見て再度議論をしたいと思います。答弁は求めません。
○知事(稲嶺惠一) 糸数慶子議員の再々質問にお答えいたします。
 イラクへの派遣については、賛成とか反対ではなく、国民の理解を得るためにも自衛隊の派遣に際しては十分な議論を深めるとともに、派遣地域や活動内容等について慎重かつ十分な検討が行われることを強く望むものであります。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 専門家の氏名の公表についての再々質問でございますが、広く一般的にはこれだけのボーリング調査事業で資料等も公表されておりますので、一般的には氏名の公表が望ましく、そして氏名の公表をすることによって透明性、それから説明責任、こういう意味の確保では必要であると考えており、県としては公表が望ましいと考えております。
 ただ、氏名の公表については事業者が諸般の事情を踏まえて総合的に判断したことであり、事業者が自主的に事業者の判断でその公表の取り扱いがなされる必要があるということであります。
○副議長(髙良政彦) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで全部終了いたしました。
 次会は、明4日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後4時23分散会

 
20030505000000