平成15年(2003年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 7号 12月 5日
 


○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 昨日、知事から、お手元に配付いたしました議案2件の提出がありました。
 次に、11月18日から12月2日までに受理いたしました陳情17件は、お手元に配付の陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
 次に、説明員として出席を求めた教育委員会委員長宜保美惠子君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として教育委員会委員長職務代理者徳山盛彦君の出席を求めました。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案、甲第2号議案、乙第1号議案、乙第2号議案及び乙第5号議案から乙第13号議案までを議題とし、質疑に入ります。 
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。 
 平良長政君。
   〔平良長政君登壇〕
○平良 長政 おはようございます。
 一般質問に入る前に2点申し上げたいと思います。
 まず初めに、12月1日に無念にも若くして急逝された渡久地健君に対して謹んで哀悼の意を表したいと思います。
 渡久地健君は、ヤンバルの後輩であり大学の後輩でもありました。那覇市議でも一緒に活動をしてまいりました。県議で私より1期おくれてあらわれた彼は、市議時代とは一回りも二回りも大きくなって登場してきました。たくましくなった彼を見て大変頼もしく、うれしく思い、政治家として限りない成長を期待したものでありました。
 渡久地健君は自民党所属であり、私とは主義・主張の違うところもありましたが、社民党や私のよき理解者でもあり、リベラルな政治家でした。調整能力も抜群ですぐれた理論家でもありました。また、行政にも公平公正を求める人で、利権とは無縁な清潔で気持ちのよい政治家でありました。
 渡久地健君とは行政視察で何度か一緒に外国にも行きました。夜はよく部屋で飲む機会を持ちましたが、意見が対立して気まずい思いをしたことは一度もありませんでした。彼が他人を批判するとき、その批判はあくまでその人の考え方についてであり、その人やその人の人格についてでは決してありませんでした。心優しい人格者でもありました。
 渡久地健君は、県議会でよくやじを飛ばすやじ将軍でもありましたが、彼のやじは的を射るものであるだけでなく、議場の雰囲気を和らげる効果を持つ楽しく聞けるやじでした。
 渡久地健君は、県議会の観光振興議員連盟の事務局長として県の観光振興のためにも尽力されました。特に9・11テロ後の沖縄観光落ち込みの際には敏腕を振るい奮闘したことを忘れることはできません。
 渡久地健君は、さきの衆院選で体調がすぐれない中、3区の北部責任者として任務を全うしたと聞きました。責任感の強い人でもありました。志半ばで倒れた我が友渡久地健君、安らかにお眠りください。残された私たちはあなたの遺志を引き継ぎ、平和で豊かな沖縄建設のため全力を尽くすことをお誓いしてお悔やみの言葉といたします。
 (2)点目は、欧州視察の報告であります。
 私は、11月13日から24日までの12日間、全国議長会の秋期欧州行政視察団の一員としてドイツ、スペイン、ポルトガル、フランスの4カ国の視察をしてまいりました。視察団は沖縄から新川秀清、池間淳、玉城義和議員も含めて5県16名のメンバーで、各国の視察はもとより、他県のメンバーとの交流もあり、大変意義深いものがありました。
 さて、時間の都合上1つだけ御報告申し上げたいと思います。
 ドイツはハンブルク市を訪問いたしました。視察目的は環境、ごみ問題でした。我が国でも我が県でもごみ問題が大きな社会問題となっている中で、ごみ問題は終章(エピローグ)に入ったとの関係者の話に衝撃を受けました。
 ごみ分別はリサイクルできるものとできないものの2分別で、リサイクルできないものは全部燃やす。ダイオキシン問題等すべてクリアされ、煙突から出るのは水蒸気だけだとのことであります。化学技術は進んでいて日本の焼却炉は10年おくれの古い型との指摘がありました。
 以上、簡略に御報告申し上げましたが、議会日程との関連で苦言を1つ申し上げたいと思います。
 11月13日からの視察日程はかなり以前から決められ各県に提示をされておりました。私は、全国議長会主催の公式日程の海外視察中、しかも通常の10日以上前の11月20日に12月定例会が開催されるのは問題ありと開催延期を議会事務局に申し入れましたが、認められませんでした。他県では視察団の帰任を待って臨時議会を開催して県職員の給与改正条例等を対処するとのことで、沖縄は問題ありとの指摘がなされました。以後、このようなことがないよう申し上げておきまして一般質問に入ります。
 1、基地問題について。
 (1)、米軍の「海外米軍配置見直し委員会」設置について。
 ブッシュ米大統領は、先月25日、海外の米軍の再編についてNATOを手始めに日本、韓国等同盟国との本格的協議に臨むとの声明を発表しました。協議は数カ月、実際の配備変更には数年かかるとの見通しも示されました。今月に入って3日にはファイス米国防次官(政策担当)は、東アジア10万人体制も見直され、削減されるだろうとの認識も明らかにしました。
 一方、米議会の方でも米国外の基地見直しのための独立機関を設置し、兵力構成の再検討作業にかかることになったとの報道がありました。公聴会も開いた上で来年度までに結論が議会に報告されるということです。まさに願ってもないチャンス到来だと思います。外務省を通じて、あるいはロビイストやあらゆるつてを駆使して知事の公聴会出席を実現すべきだと思います。県民大会での圧倒的県民の声をひっ提げて米議会に知事が乗り込むべきだと思います。
 そこで質問です。
 ア、同委員会設置に関して知事の所見を伺いたい。
 イ、公聴会も開かれるようだが、知事も出席して沖縄の実情や在沖米軍基地の縮小・撤退を主張したらどうでしょうか。
 ウ、公聴会での知事発言をバックアップするためにも、基地の縮小・撤退を求める各界各層を網羅した超党派の県民大会を知事が先頭に立って開催すべきと思いますが、どうですか。
 2、DFSについて。
 1998年(平成10年)の沖振法の改正により沖縄型特定免税店制度が創設され、空港内だけでなく指定された観光振興地域内での特定販売施設でも免税売店を設けることができました。空港外での新たなショッピングの魅力を沖縄観光にプラスすることができ大変喜んでいる者の一人であります。
 ただ一つだけ心配なのは、取扱商品が競合すると地場商品を販売している国際通りを中心とする商店街が衰退するのではないかということです。ことし11月14日には国際通りを中心に那覇市中心商店街組合協議会からのDFS社出店に際しての7項目の要望書が県知事あて提出されております。2項目目の「地場製品販売は認めない」が一番の懸念する問題だと思います。DFSでの取扱商品は輸入品に限ってほしいと私も思います。
 独禁法の問題もあり厳しいことは承知しておりますが、地元業者にとっては死活問題でありますので、知恵を絞って全力を挙げてDFS社側と交渉してほしいと思います。
 そこで質問です。
 (1)、現状と課題はどうなっていますか。
 (2)、DFSでの取扱商品については、県として主体的に国際通り商店街等地元業者と競合しないようすみ分けをすべきと思いますが、どうですか。
 3、バス問題について。
 (1)、4社統合問題について現状と県の対応について伺いたい。
 (2)、那覇交通株式会社の再建問題について、県の現状認識と県民の足を守る立場と雇用確保の面からの県の対応について伺いたい。
 4、海洋資源の開発利用について。
 広大な沖縄の海域に存在する海洋資源をいかに開発利用していくかは、本県振興はもとより我が国のエネルギー問題など広く国益にかかわる重要な課題であります。また、現状を見る限り中国、台湾等との資源外交において、我が国が沖縄周辺海域の資源開発協力のイニシアチブをとるためにも早急な対応が求められていると認識しております。
 これらの課題は、国家レベルの枠組みで対応すべきことは承知しておりますが、少なくとも経済の振興という視点からこうした資源開発に沖縄が何らかのコミットをしていく必要があると考えます。豊かな海洋資源があるから沖縄の未来はバラ色という単純な発想ではなく、正確な現状把握とさまざまな視点からの将来展望に基づき県として取り組むべき方向を明らかにすべきです。私も重大な関心を持ってこの問題を本会議で取り上げ続けてまいりましたが、いよいよ県が調査に着手したことに敬意を表するものであります。
 そこで質問いたします。
 (1)、今年度調査の具体的内容及び項目について伺いたい。
 (2)、海洋資源の開発利用を本県経済の振興につなげる仕組みづくりが重要と考えるが、知事の所見を伺いたい。
 5、環境文化行政について。
 (1)、ヤンバルの「世界自然遺産登録」見送りについて。
 ア、これは県の消極的姿勢がもたらしたものではないか。
 イ、今後どうするつもりか。
 6、我が会派の代表質問との関連について。
 渡嘉敷喜代子議員の代表質問に関連して、基地の監視カメラの設置について質問いたします。
 普天間飛行場の騒音防止協定が形骸化されていることにかんがみ、県は監視カメラの設置について8月中旬に国に要請したとのことですが、宜野湾市民の我慢も限界であります。早急な設置のためにも県の責任でやるべきと思いますが、どうですか。答弁を求めます。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
 平良長政議員の御質問にお答えをいたします。
 海外米軍配置見直し委員会設置及び同委員会の設置について一括してお答えいたします。
 米国議会が「海外米軍再配置見直し委員会」を設置し、海外に駐留する米軍の配置見直しを検討していることについてはマスコミ報道等で承知しております。ラムズフェルド国防長官が去る11月16日に来県した際に、県民が基地の整理縮小を強く望んでいることやSACO合意事案以外のさらなる基地の整理縮小及び在沖米軍兵力の削減等を検討するよう強く訴えたところであります。
 また、御提言のありました公聴会への参加については、同委員会の公聴会において多くの米軍基地を抱える沖縄県が意見を陳述することは、沖縄の基地問題の実情について現地の声を伝える絶好の機会であり、公聴会に出席を求められた場合は積極的に対応していきたいと考えております。
 次に、県民大会の開催について申し上げます。
 県民大会の開催については、より効果的なタイミングをはかることが大切であり、県民の盛り上がりや大会の規模などを十分に考慮しながら、各界各層を網羅した全県的な大会になることが必要であると考えております。ちなみに、平成7年の県民総決起大会は、県議会全会派が提起して取り組みがスタートし、県議会議長を実行委員長として53市町村と各議会、主要な経済、労働、市民団体など320団体から成る超党派の実行委員会が組織され、その結果、多数の一般市民が参加した画期的な大会が実現したものと理解しており、県民が主体となった取り組みが必要であると考えております。
 次に、バス統合の現状と県の対応について。
 本島バス4社の統合問題については、4社のうち3社が会社再生のための法的手続をとるなど各事業者の経営環境が異なることもあり、バス統合の取り組みは進展していない状況にあります。県としては、バス統合はバス事業の健全化に資するものであると認識しており、バス事業各社の今後の動向を見守るとともに、県内経済界の関係者と意見交換を行うなど積極的に対応してまいりたいと考えております。
 次に、海洋資源の経済振興への仕組みづくりについての御質問にお答えいたします。
 海洋資源の開発利用は、本県の優位性を発揮できる分野の一つであり、本県経済の内発的かつ持続的発展に大きな波及効果をもたらすことが期待されます。県としては、海洋資源の開発利用を通じて新たな産業の創出や雇用の拡大につなげていくことが重要であると考えており、今年度からそのための基本的な調査を行っているところであります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) DFS社の現状と課題及び地元業者との競合についての御質問にお答えを申し上げます。一括してお答えをいたします。
 特定免税店の空港外展開につきましては、DFS社が那覇新都心地区において今月中に建設工事に着手し、平成17年1月の開業予定となっております。この施設は特定免税店を中心とする複合施設となっており、その内容といたしましては、DFS社が免税店を直営するほか、一般小売店や飲食店、観光関連の附帯施設、レンタカー拠点などが予定されております。
 課題といたしましては、航空機の離着陸時間帯との関係で那覇空港と同施設との往来にモノレールを利用する観光客が一定の時間帯に集中することが予想されるため、モノレールの増便等の対策が挙げられます。
 また、同施設をレンタカー拠点として活用するに当たっては、車の流れをスムーズにするため周辺道路の導線整備が必要であると考えております。同施設と国際通り商店街等との取扱商品の競合に関しましては、同商店街等から県及びDFS社に対し地場製品や泡盛の販売制限など7点の要望が出されております。県といたしましては、同施設の立地による観光客の増大が国際通り商店街等の活性化にもつながり相乗効果が高まるよう那覇市、DFS社及び同商店街等と連携し、要望内容も勘案しつつ方策を検討していく考えであります。
 以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) バス問題について、那覇交通株式会社の再建についての御質問にお答えします。
 那覇交通株式会社は、去る6月の民事再生法適用申請以降、裁判所の監督のもとで再生の方策を検討している状況であります。県としては、乗り合いバス事業が県民の生活の足として重要な役割を果たしていることや、労働者の雇用の確保の観点から関係者の協力と努力により再生計画が策定され、事業が継続されることを期待しております。県としては、裁判所における手続の推移を見守りながら国や関係自治体等と連携して公共交通の安定的確保に努めていきたいと考えております。
 次に、海洋資源の開発利用についての調査の具体的な内容と項目についてお答えをいたします。
 今年度の調査は、本県周辺海域における石油、天然ガス、熱水鉱床等、海洋資源の開発利用についてのポテンシャルを整理・検討し、その基本方策を策定するための予備的検討を行うことにしており、10月から調査に着手しております。具体的には、海洋資源の賦存状況、開発鉱区の設定・更新状況及びその開発技術の動向、周辺諸国における海洋資源の探査・開発活動状況、開発をめぐる法制問題の整理、地域への経済波及効果などとなっております。
 なお、本調査については、海洋資源の学識経験者及び専門家で構成する検討委員会を設置し、その内容を検討することにしており、第1回目の委員会を12月中旬に開催することになっております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 琉球諸島が世界自然遺産の推薦を見送られたことについての御質問にお答えをいたします。
琉球諸島が今回の世界自然遺産の推薦から外れたことは大変残念ではございますが、国は、琉球諸島について、ヤンバル地域等における国立公園化等の保護措置を講じた上で条件が整い次第、推薦書の提出を目指すとしております。国では、平成16年度から3カ年をかけ「やんばる地域国立公園指定計画策定調査」を実施する予定と聞いております。県としては、今後、国の条件整備に向けた調査等に協力するとともに、関係機関とも連携し、地元の合意形成を図っていくなど世界自然遺産の推薦に向けて取り組んでまいります。
○知事公室長(新垣良光) 県予算でのカメラ設置についてにお答えいたします。
 県は、去る8月にカメラ設置を含む飛行監視システムを導入し、離発着回数や飛行コース等の飛行実態を明らかにするよう基地の提供責任者である国に対し新たに要望したところであります。また、渉外知事会においても、航空機高度コース自動測定局を設置し、各基地飛行場における離発着回数、飛行コース等飛行実態に関する資料を地方公共団体へ提供することを去る7月に国に要望したところであります。県としては、当該自動測定局──カメラ設置を含む──は、騒音規制措置の遵守状況を確認するためにも必要であると考えており、今後とも国に対しその設置を求めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○平良 長政 再質問と要望を申し上げます。
 まず基地問題ですが、知事から、絶好の機会として求められた場合、出席したいという答弁がありましたが、絶好の機会という認識であれば、求められた場合ではなくて、やはりこちらから、先ほど御提案したように積極的に出席できる方策を探るというのが沖縄の基地の整理縮小に向けて大きくできることではないかと思いますので、再度求められた場合ではなくて、やはり公聴会の出席実現のために努力をするという答弁がいただけないかということで、再度お願いしたいと思います。
 DFSについてですが、DFSを沖縄型特定免税売店をつくろうという精神というんですか、沖振法の改正をした精神や、そういうことからしたら何としても国際通りや既存の商店街が沈没するということのためにやったわけじゃもちろんないわけで、共存共栄していかなければならないということだと思いますので、品目のこれを売ってはいけないとか何とかいうと独禁法にひっかかるということですが、私は、読んでみますと、行政指導に関する独占禁止法の考え方というが平成6年に公正取引委員会から出ていますが、そのときに、事前にこういう問題が生ずるおそれがある場合は公正取引委員会と調整するという項目もありますので、ぜひその辺、法の精神に照らしてそういう調整もお願いをしたいというふうに思います。
 いずれにしても、特定免税店をつくっていくというのは輸入品の話であって、県産品まで入れるわけにはいかないというふうに私は思います。宜野湾から那覇新都心に移った場合の知事のコメントがことしの3月にありますが──これは宜野湾から那覇市に移った場合のコメントですが──ここに沖縄振興特別措置法の精神と沖縄県全体の利益と県民の負託という言葉が出てきますが、これもやはりすみ分け論で重要な言葉だと思いますので、再度これは知事に答弁を求めたいと思います。
 バス問題は、知事から今後とも統合については経済界とも積極的に対応したいという答弁がありましたので、これは9月議会にもいただいた答弁でありますが、ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。
 それから、尖閣の問題で海洋資源の問題ですが、いよいよ日の目を見て調査が始まりました。検討委員会も今月開かれるようであります。ぜひ知事の在任中で着手できるようなことでスピードアップをしてほしいと思うんですが、道州制もにらみながら、私たちが沖縄県の自立と言った場合、この尖閣の問題が解決できればこれだけで経済自立できるわけですから、ぜひ御要望として知事在任中での着手をお願いしたいと思います。
 最後のヤンバルの自然の件ですが、今の答弁を聞いても、本当に私はもう何度も何度もこれを取り上げてきたんですが、やはり世界遺産としての、人類の遺産としての認識が県にはない。やはりヘリパッドもあってもうできないと。本当はやりたいができないと言っているわけですから、もっと県は積極的に人類の遺産なんだというような認識で、ヘリパッドの建設は許さないという立場くらいはせめて出していかないとこの問題は一切解決できない、次回もだめだろうというふうに思います。条件が整い次第というんですが、これが条件なんですから、ぜひこの辺もきちっと対応をお願いしたいと思います。要望です。
○知事(稲嶺惠一) 平良長政議員の御質問にお答えします。
 5つに触れられましたけれども、3つは要望であると思いますので、2つの御質問につきまして触れたいと思います。
 最初の公聴会について、求められたらということだけれども、むしろ求められるようそれをあらゆる点を模索して努力をするべきであるということを言われましたけれども、そのとおりでございます。それに向かって努力をしたいと思っております。
 続きまして、DFSの問題に触れられましたけれども、私が常に申し上げていますのは、パイというのが重大であると。同じパイの取り合いになれば、出た者があると引っ込んだのがあると。つまり光と影ということ、これをどのような形でバランスをとるように持っていくかというのが私の考え方でした。
 そのため、私の就任以来の企業誘致の基本的な考えを申し上げますと、常にほかからパイを取ってくるというのが私の基本的なパイなんです。つまり国外、海外から人が来て金を落とさせる。あるいは国外、県外に物を売る。それから、現在、国外、県外から入れているものを沖縄でつくると。そうしますと、いずれにしても何らかの形でパイが膨らむわけです。これを中心に考えておりまして、85の企業誘致というのも全部海外、県外から持ってくるというのを原則として考えております。
 DFSにつきましても、これは現在、日本の多くの方がいわゆるシンガポール、例えばソウル、あるいは香港等に行かれてブランド物をお買いになっておられる方がいっぱいいるわけです。そういう方をより身近な、沖縄にかわってくれることによってこれはパイをふやすことですから、そのために制度の改定を要望いたしまして、先般、沖縄の空港以外の区域外展開が認められるということになったわけです。総論的にはぴったりですが、具体論になるとなかなか難しい問題もある可能性もあります。その意味においては先ほど観光リゾート局長がお話をいたしましたように、おのおのの地区がおのおのの個性を生かしながらバランスのある対応ができるような、そのような方向に持っていきたいと考えております。
○新川 秀清 おはようございます。
 一般質問を行います。
 その前に、12月1日に志半ばにして逝去されました渡久地健さんに心から哀悼の意を表しますとともに、御冥福をお祈りする次第であります。
 それと、一般質問に入ります前に、先ほど平良長政議員からもありましたが、議会の招集のあり方について、これは当局と議会事務局との問題もあろうかと思うんですが、関係だろうと思うんでありますが、ぜひ十分御配慮いただきたいということを私も強く要望申し上げておきたいと思います。
 それでは通告に従って質問をいたします。
 まず1点目は、知事の政治姿勢についてであります。
 その中で、日米地位協定の改正についてでありますが、これまで多くの議員の方々からもありましたように、稲嶺知事が先頭に立たれまして全国を行脚をされた。そういった中で全国知事会あるいは渉外知事会、そのほか都道府県議会、そして市町村議会においても沖縄県民の悲願である地位協定の抜本的な改正について決議がなされているということについて、知事を初め比嘉副知事、皆さん方の御苦労を多といたすものでありますが、この政府の厚い壁を何としてでも突き破って地位協定の改定を実現をしなければならない。これもまた同じ思いだというふうに思うんでありますが、知事のこれからの取り組みについての御決意を伺いたいと思います。
 (2)点目に、基地の返還と整理縮小についてであります。
 SACO合意に基づく返還、整理縮小の進捗状況についてでありますが、これまでも知事を初め関係部局長から御答弁もあったわけでありますが、県民の視点からSACO合意から7年が経過したけれども、県民の目に見える形で動いているとは思えない。これは率直な感じだろうというふうに思うわけであります。
 そういうふうなことで、これまで知事は着実にこれを進めることが現実的であると。そして沖縄の基地負担の軽減につながるということも繰り返し答弁をされているわけでありますが、今後、このSACO合意をどのように進めていかれるか。県内移設という大変大きな荷物を背負っているだけに事は容易ならぬことだというふうに思うんでありますが、今後の具体的な取り組みをどうされるのかお伺いをしたいと思います。
 次に、嘉手納飛行場と弾薬庫地域の返還と整理縮小について知事の御所見を伺っておきたいと思います。
 御存じのように、嘉手納の基地は昭和18年に旧日本陸軍の飛行場として接収され、そして戦後の処理もなされないままに今日に至っております。60年の歳月がたっているわけでありますが、この間、常に基地として軍事のために利用されたわけであります。そのようなことから、沖縄市を初め1市2町のこの中にある嘉手納空港、これからどのようにしていくかというふうなことについては、中部の経済発展のみならず本県の自立を考えるとき避けて通れない大きな課題であるというふうに思うわけであります。
 そのようなことと同時に、沖縄市が誕生いたしましたときに沖縄市の描いた夢は、東に中城湾新港を臨む海に開かれた町、そして西には将来嘉手納空港を民間空港として利活用しながら国際文化・観光都市を築いていくというものでありました。
 しかしながら、御案内のようにこの嘉手納飛行場、そしてあの広大な弾薬庫について全く動く気配がないわけであります。そして、私どもは地元からせめて産業活動や交通網の整備といった観点から非常に問題の多い基地内道路の共同使用、これについても訴え続けてきたんでありますけれども、これも実現を見ておりません。
 さらにもう一つは、沖縄市の中心市街地と一体的に開発を進めていく必要性が言われております第2ゲート周辺の返還についても非常に強い要望があるわけでありますが、これもなかなか動いてこない。
 そういうふうな中で今回、アメリカの東アジアにおける兵力の削減、そして在外米軍基地の見直し縮減といったことが出てまいりました。このことについては、かねてからシンクタンクやあるいはアメリカの政府の関係者の中から言われてきたことでありますが、今日に至ってこれがかなり具体的に動き出してきたんじゃないのかというふうな感じがいたすわけであります。そういうふうなことで、ぜひこの嘉手納飛行場と弾薬庫地域の返還について取り組んでいただきたいというふうに思うのでありますが、知事の御所見を伺いたいと思います。
 次に、福祉行政についてであります。
 私は、6月定例会において総合福祉センターの件についてお伺いをし、また指摘を申し上げてきました。その際、部長の御答弁は、いろんな欠陥もあること、そしてまた施工業者、設計あるいは県のそれぞれの責任があったことも述べられたわけでありますが、その後、この改修についてどのようになされているか。さらに、今後一挙にしてこれは実現を見てないと思うんでありますが、どのようにされていくかお伺いをしておきたいと思います。
 (2)点目に、児童虐待についてお伺いをいたします。
 今議会でも多くの方々から出たわけでありますが、今、児童虐待が深刻な社会問題となっております。この中には地域やあるいは行政の機関、そういったところで子供から発せられたシグナルを早く受けとめておれば悲惨な結果は免れたのではないかといったようなことも指摘があるとおりであります。
 そういうようなことで地域、市町村、そして地域に置かれている民生委員、さらに児童相談所、そのほかもろもろの機関がこれに全力を挙げて取り組んでいかなければいかぬというふうに思うんでありますが、関係する福祉保健部、また私は、身近な住民の機関として設置をされております警察の交番所や駐在所、こういったところでの対応がどのようになっているかということをお伺いをしておきたいと思います。
 3点目に、雇用失業問題についてお伺いをいたします。
 緊急地域雇用創出事業として打ち出されましたこの事業についていろいろなことも指摘があるわけでございますが、本県における就労の状況はどのようになっているかということをお伺いをしておきたいと思います。
 さらに、本事業によって雇用された後に継続して雇用された者の状況はどうなっているか。ややともするとこの事業が本当に一時的な事業として終わっているんではないかという指摘があるわけであります。そのようなことでお伺いをしておきたいと思っているわけであります。
 4点目の農業振興についてであります。
 地域食料自給率についてでありますが、今、日本の食料自給率は40%をちょっと超したところであるというふうに言われております。これをいかにして高めていくかというのが大きな課題の一つとされているわけでありますが、そういった中で本県における私は地域食料自給率の推移について伺っておきたいと思います。
 それから、さらに新振計における数値目標についてはどうなっているかということもお伺いをしておきたいと思います。主食を他府県からの移入に頼らざるを得ない本県の事情は非常に厳しいものがあるというふうに思うわけでありますが、今後どのようにしていくかという課題も含めてお伺いをいたす次第であります。
 (2)点目の、学校給食における県産品の利用状況について。
 学校給食において県産品の県内農産品を利用するということは、地場産業を教育を通して子供たちに教えていくという大きな効果が期待できるわけでありますし、それと同時に本県の農業振興という面から考えても大きな役割を担っているというふうに思います。そのようなことでこの利用状況をお聞かせをいただきたいと思います。
 (3)点目に、有機農業と減農薬の取り組みについてであります。
 食の安全ということが言われて久しいわけでありますが、そういった中で今、有機農業あるいは減農薬農業に取り組むことによって地域の村おこしをしていく、町おこしをしていく、こういった運動が各地で取り組まれているわけであります。そういうことで、本県における有機農業と減農薬の取り組みがどうなっているかお伺いをしておきたいと思います。
 次に、比謝川の河川改修と水辺プラザ事業の進捗についてであります。
 かねてから沖縄市の中で大きな被害をもたらしたこともありますこの比謝川河川について、県が、土木建築部で大変な御努力をされて、今その改修が着々と進められていることに対して、この御労苦を多としながら、これまでの進捗状況と、さらに既に一部物件の補償などが開始されております水辺プラザ事業の進捗についてお伺いをしておきたいと思います。
 次に、公共施設のバリアフリー化についてであります。
 これまで長期計画のもとに、あるいはまた世界的な、あるいはまたアジアにおける障害者の運動が行われてまいりました。そういった中でかなりハードの面においても整備が進んできたというふうに思っているわけでありますが、県内における公園あるいはスポーツ施設等のバリアフリー化の実態はどのようになっているかということをお伺いをしておきたいと思います。
 次の香花木の植栽など視覚障害者に配慮した公園づくりについては、次回に回したいと思います。
 7番目の我が会派の代表質問との関連について2点ほどお伺いをいたします。
 (1)点目は、キャンプ桑江跡地の環境汚染についてであります。
 6月議会においても返還予定地の環境調査、これをぜひ実現をすべきである。そしてその壁になっている地位協定、これの改正とあわせて強力に取り組むべきではないかということを私は申し上げてまいりました。キャンプ桑江の跡地で今回出てまいりましたPCBにかかわる蛍光灯が出てきた。あるいはそのほかの地下の汚染があるんではないかということが言われております。この汚染について、原因者である米軍がこれを撤去する、あるいはまたこれを除去する義務が免除されているということが大きな壁になっているわけでありますが、このキャンプ桑江跡地の環境汚染の問題ともあわせて、今後予定されている返還予定地にぜひとも調査を実施すべきであるというふうに思いますが、今後、これについてどのようにされていくかということをお伺いをしておきたいと思います。
 (2)点目に、日本海域における潜水艦探知機ソナーについてであります。
 せんだっての新聞報道に、米軍とアメリカの環境団体が合意をして日本近海でのソナーの運用について合意をしたという記事がありました。それで、環境保護団体の皆さんに伺ってみたんでありますが、これはアメリカの環境保護団体が合意をしたというよりも、政府に押し切られた形であのようなことが行われるというふうなことになっているんだというふうに伺いました。
 私は、このソナーについては報道にもありますように海洋資源、そしてこの沖縄の美ら海、こういったところに生息する海洋生物にも大きな影響が出てくるという懸念があるわけでありますから、これについて強力に反対をすべきであるというふうに思うわけでありますが、知事の御見解を承りたいと思います。
 以上でございます。
○知事(稲嶺惠一) 新川秀清議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、地位協定改正に係る今後の取り組みについてお答えを申し上げます。
 県は、「日米地位協定の抜本的見直しに関する全国行動プラン」を策定し、去る6月から他県の協力・支援を得るため渉外知事会の加盟都道県への要請行動を行い、13都道県すべての議会で地位協定見直しの意見書が採択されたところであります。また、渉外知事会に加盟していない11府県においても同様の意見書が採択されており、日米地位協定を見直す動きは着実に全国の都道府県に広がってきております。
 さらに、経済関係団体や連合など各界各層においても独自の取り組みが行われており、地位協定の見直しを求める国民全体の盛り上がりが地位協定改定の実現につながっていくものと考えております。今後は各県から、あるいは各団体から多くの国会議員に働きかけて全国的な運動にし、政府の理解が得られるような形に持っていく必要があると考えております。県としては、今後の展開について全国行動プランの実施状況や県内外の各界各層の動向等も勘案しながら検討していきたいと考えております。
 次に、有機農業と減農薬についての御質問にお答えをいたします。
 農業の持続的発展を図るには、環境と調和のとれた環境保全型農業を推進することが重要であります。そのため、県としては、化学肥料や農薬に大きく依存しないエコファーマーの育成、堆厩肥や有機質資源のリサイクルによる土づくり対策、天敵昆虫や性フェロモンを利用した病害虫防除の推進、不妊虫放飼などによるゾウムシ類の根絶等に取り組んでおります。県としては、今後とも環境負荷の軽減に配慮した作付体系の確立や耕畜連携による家畜排せつ物の農地還元など持続的農業の推進に努めてまいります。
 次に、比謝川の河川改修と水辺プラザの進捗状況についてお答えいたします。
 比謝川の整備につきましては、国道330号ボックスから下流、軍道橋付近までの区間約5.9キロメートルを重点整備地区として整備を推進しているところであります。国道330号ボックス下流の水辺プラザ地区につきましては、平成17年度完成を目途に沖縄市と連携を図りながら用地補償交渉等を進めているところであります。また、国道330号ボックスについては、現在、南部国道事務所で実施設計を行っているところであります。
 知花橋から沖縄自動車道下流付近のアカギ群落地区につきましては、平成12年度から整備に着手しております。平成16年度までに完了する予定であります。
 また、福地橋から下流白川地区の米軍提供施設用地内につきましては、平成15年9月に暫定掘削工事を完了しており、計画のおおむね70%程度の通水断面は確保されています。
 比謝川の整備につきましては、地域住民の協力を得ながら今後とも重点的に予算を投入し、浸水被害の早期解消に努めてまいりたいと考えております。
 次に、新型低周波水中音波探知機の使用禁止要請についてお答えをいたします。
 米海軍が使用する新型低周波水中音波探知機の問題については、去る11月6日に日米両政府の第1回会議が開催され、米側が実施した海洋生物への影響を調べた科学的調査結果の概要が説明されたとのことでありますが、日米両政府は、米側が実施した同調査結果を公表し十分な説明を行うべきであると考えております。県としては、海洋生物などへの影響があるというのであれば、日本周辺海域でも使用すべきではないと考えており、去る11月16日に来県したラムズフェルド米国防長官にもその旨強く申し入れたところであります。
 また、一昨日来県した茂木沖縄及び北方対策担当大臣に対して、海洋生物などへの影響がある場合は日本周辺海域での新型低周波水中音波探知機の使用を禁止すべきである旨表明したところであります。県としては、日米両政府の協議を見守りつつ、今後とも外務省や関係機関などから情報の収集に努め適切に対応していきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(新垣良光) SACO合意事案の進捗状況についてにお答えいたします。
 SACOで合意された11事案のうち、返還されたのは安波訓練場とキャンプ桑江の北側部分となっております。
 残りの施設のうち、普天間飛行場、那覇港湾施設を除く7施設8事案の主なものの進捗状況について申し上げますと、北部訓練場については、ヘリパッド移設候補地の選定に関し昨年11月から本年10月まで継続環境調査が行われ、現在、調査結果の取りまとめが行われていると聞いております。
 読谷補助飛行場については、パラシュート降下訓練が伊江島補助飛行場に移設されており、連動する楚辺通信所の移設完了後に返還されることが合意されております。
 楚辺通信所の移設については、現在、平成16年5月までの予定で移設工事が実施されているところであります。
 キャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧に係る住宅統合については、キャンプ瑞慶覧内のゴルフレンジ地区に建設された住宅が米側に提供されたのに続き、昨年11月27日の日米合同委員会において住宅統合第2段階としてサダ地区における住宅建設の合意がなされており、現在、建物工事が実施されているとのことであります。
 SACOの合意事案については、国において特に移設先の市町村の意向や環境問題等に配慮しながら慎重に作業を進めていると理解しております。県としては、SACOの合意内容の着実な実施に向け、国との連携を密にし、地元市町村の意向を踏まえ幅広く県民の理解と協力を得ながら前向きに取り組んでいきたいと考えています。
 嘉手納飛行場弾薬庫地区の返還と整理縮小についてにお答えいたします。
 県としては、県民の過重な基地負担の軽減を図るため、SACOで合意された施設以外についてもさらなる段階的な整理縮小が必要であると考えており、これまであらゆる機会を通して日米両政府に訴えてきたところであります。個々の施設について返還を要請するに当たっては、地元市町村の意向を初め国際情勢や県土の有効利用、基地の跡地利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、経済振興等を総合的に勘案しながら検討する必要があります。
 御質問の嘉手納飛行場やその他の施設についても、このような視点から今後検討される必要があると考えております。また、嘉手納弾薬庫地区については、平成11年3月に約78ヘクタールが返還されておりますが、旧東恩納弾薬庫部分については、泡瀬ゴルフ場の移設が完了する平成19年度以降に残余部分の110ヘクタールが返還される予定であると聞いております。
 返還前の事前調査を米軍に申し入れることについてにお答えいたします。
 県としては、県民の生活環境や自然環境を保全し、また基地返還跡地の利用を円滑に進めるためには米軍基地の環境調査が必要であると考えており、これまでにも環境調査のための基地内への立ち入りを求めてきたところであります。基地内への立ち入りについては、日米合同委員会合意により立ち入りの手続が合意されておりますが、緊急時の立ち入りが明示されていないほか、立ち入りの許可は米軍の裁量にゆだねられるなど、県が求めている速やかな立ち入りが実現しているとは言いがたい状況にあります。このため、県は、日米地位協定に環境保全に関する新たな条項を設けることや、関連する条項の改定も含め日米地位協定の抜本的見直しを要請しているところであります。軍転特措法施行令が改正された平成14年10月2日以降に返還合意された施設については、国が土壌汚染対策法等に基づく環境調査を行うことができるとされております。
 キャンプ桑江の返還跡地については、同政令の公布前に返還実施計画が通知されていることから同政令の適用は受けませんが、国は同政令に準じて駐留軍の行為に起因する土壌の汚染及び水質の汚濁の状況を確認するための調査を行ったとしております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 総合福祉センターの改修と今後の計画についてお答えいたします。
 「那覇市福祉のまちづくり条例」の施設整備基準に一部不適合となった段差の解消やドアの幅の確保、スロープの勾配の是正など19カ所につきましては、施工者の責任において平成15年4月20日までに是正の工事を実施しております。
 各障害者団体並びにセンター入居団体からのバリア等改善要望事項については、平成15年5月に設置しました「県総合福祉センター施設整備・改善検討委員会」において障害者団体を交え、改善実施に向けた検討を進めてきたところであり、これまでに改善要望事項123項目のうち、現年度内に改善を実施する事項として45項目を予定しています。そのうち、設計の意図にそぐわない工事箇所を中心に土木建築部から設計監理業者へ指示し、改善を行う事項として、センター正面看板を見やすくすることやトイレの手洗い場に片麻痺の方のための手すりの設置など、業者対応により現在32カ所の改善を実施しております。
 施設の案内機能の強化、防犯対策等13項目については、県において現年度予算で改善を実施することとしており、次年度は各階段への手すりの設置や点字ブロックの敷設等を予定しておりますが、外廊下を内廊下への改善や3階のいわゆる太鼓橋の勾配改善、渡り廊下の防風雨対策など技術的、経費的課題が大きいものや、障害者等の年間の利用頻度を考慮した上での改善事項については、今後引き続き改善のあり方を検討する予定でございます。
 続きまして、県内の児童虐待の実態と関係部局の取り組みについてお答えいたします。
 児童相談所が受け付けた県内の児童虐待の平成14年度の相談処理件数は367件で過去最高の件数となっております。その内訳は、保護の怠慢ないし拒否のネグレクトが150件で最も多く全体の40.9%、次いで身体的虐待が145件で39.5%、心理的虐待は60件で16.3%、性的虐待は12件で3.3%となっております。全国に比べ、ネグレクトの割合が引き続き高い状況となっております。 県では、これまで年々増加する児童虐待への対応として、児童相談所の児童福祉司の増員や児童虐待対応協力員、児童虐待専門カウンセラー等の嘱託員の配置などの体制整備を行ってまいりました。また、「健やか親子おきなわ2010」において児童虐待の防止を主要な施策として位置づけ、育児支援に重点を置いた乳幼児健診や児童虐待に関する保健師等の研修会等を行っているところであります。
 さらに、児童虐待防止対策においては、児童虐待の予防、対応、支援にかかわるあらゆる機関・関係者が密接な連携を図るためのネットワークの構築が重要であることから、中央児童相談所に昨年度設置しました「児童虐待防止支援チーム」を中心に市町村における児童虐待防止ネットワークの設置を進めております。今後とも関係機関との連携を深め、児童虐待の防止に努めてまいります。
 以上でございます。
○教育長(山内 彰) 児童虐待に関する県教育委員会の取り組みについてお答えいたします。
 児童虐待についての学校の役割は、早期発見・早期対応及び関係機関への通告等により適切な保護を図ることであります。そのため、県教育委員会では、教師が積極的に子供に触れ、対話をすることにより児童生徒の的確な状況の把握に努めるよう通知文書等で周知を図っております。また、児童虐待のサインを発見した場合は学校で適切な措置をとり、福祉事務所や児童相談所などの関係機関と連携をとり早期対応を行っております。
 なお、教師や社会教育指導員などを対象に人権教育指導者研修会を実施するとともに、子育てに悩む親、特に孤立感を抱いている親への相談事業や学習機会の提供等を行い、児童虐待の防止に努めているところであります。
 次に、学校給食における県内農産物の利用状況についてお答えいたします。
 平成13年度の学校給食における県内農産物の利用状況は、牛乳は100%、野菜30.3%、果実20.1%、畜産物82.4%となっております。県内農産品を学校給食に活用することは児童生徒に本県の食文化や郷土食のよさを考えさせるとともに、本県の産業についての理解を深めるよい機会であると考えております。
 次に、社会体育施設のバリアフリー化の実態についてお答えいたします。
 県の教育委員会が所管する社会体育施設は、奥武山総合運動場内に10施設があります。そのうち、武道館にはスロープやエレベーター、点字表示板、車いす専用の観客席を設置し、水泳プール及び友愛スポーツセンターにはスロープを設置しております。
 なお、各市町村教育委員会所管施設の詳細については把握しておりませんが、聞き取りに行ったところ、145施設中73施設においてスロープやゆったりトイレ、手すりを設置するなど何らかの形でバリアフリー化が配慮されているとのことです。 
 以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) 児童虐待についてお答えします。
 本年1月から10月末までに検挙した児童虐待事件は4件4名で、前年に比べ1件1名の減少であります。また、本年10月末現在の相談処理は19件、児童通告は3件で前年に比べ相談処理で15件、児童通告で7件の減少となっております。
 次に、警察の取り組みについてでありますが、警察といたしましては、児童虐待は人格形成期にある児童の心身に深刻な影響を及ぼす重大な問題であると認識しており、警察安全相談やヤングテレホンだけでなく交番、駐在所でも広く県民からの相談を受け、児童虐待防止や早期発見に努めているところであります。
 さらに、保護対策としましては犯罪の被害者となった少年の支援を目的として結成された少年被害者支援現場ネットワークにより、児童相談所等の関係機関・団体と連携して児童虐待の防止、早期発見及び被害児童の支援等を行っているところであります。
 今後とも関係機関との連携を深め、児童虐待の防止及び事案発生時の適切な対応に努めてまいります。
○商工労働部長(伊川征一) 緊急地域雇用創出特別事業における新規雇用と継続雇用の実績について一括してお答えをいたします。
 当該事業の実施による新規雇用者数は、平成13年度から平成14年度までに県事業で1888名、市町村事業で2265名、合計4153名となっています。平成15年度は、県のIT産業等就職支援事業や旅の案内人事業などで1529名、市町村の青少年育成事業やコンピューター補助員配置事業などで1342名、合計2871名の新規雇用者数を見込んでおります。また、事業終了後の継続雇用者は、情報関連事業及び環境整備関連事業などで平成14年度までに141名の実績となっています。
 本事業の実施に当たりましては、より多くの失業者の雇用機会を確保するとともに、今後の産業振興につながる事業や新たな雇用の受け皿となる分野の事業を実施することによって雇用の創出を図っているところであります。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 食料自給率の推移と目標についてお答えいたします。
 本県における食料自給率の推移については、熱量ベースで算出すると第1次振計の最終年度の昭和56年度71%、第2次振計の最終年度の平成3年度53%、第3次振計の最終年度の平成13年度は38%となっております。自給率が減少した主な理由については、自給率の算定対象となっていない花卉、葉たばこ等の生産拡大に伴い、さとうきび、パイナップルの生産が大幅に減少したこと等によるものであります。県では、農林水産業振興計画において平成16年度自給率見通しを40%として定め、各種施策・事業を総合的に推進し、計画の目標達成に向けて取り組んでいく考えであります。
 以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 公共施設のバリアフリー化についての、都市公園における体育館等のスポーツ施設のバリアフリー化についてにお答えいたします。
 「沖縄県福祉のまちづくり条例」施行後の県及び市町村の公園整備に当たっては、同条例に基づいた整備を実施しているところであります。なお、条例制定前に整備された土木建築部所管の体育館等のスポーツ施設としては、沖縄県総合運動公園の体育館、屋内運動場、陸上競技場等がありますが、これらの施設は同条例の趣旨を踏まえ平成14年度までに改善済みであります。
 また、市町村営の都市公園内にある体育館等のスポーツ施設は56施設が整備供用され、そのうち29施設がバリアフリー化されております。バリアフリー化されてない27施設については、今後ともバリアフリー化に向けて指導・助言に努めてまいりたいと考えております。
○吉田 勝廣 渡久地健さんは使命感に燃えた政治家であり、人格者でありました。町長時代、また議会議員は短い期間だったですけれども多くを学びました。御冥福を祈ります。
 私は、補選で当選してから1年を経過いたしました。そういう意味で議会や執行部に対する私の感想を200字程度で論評していきたいと思っております。
 1つは、議会について。
 委員会等に多くの職員が出席していることに驚きました。本会議、委員会等で議員の出入りが多い。しかもその携帯が鳴っているということ。4番目に、一般質問など質疑が活発であること、これは非常にいいことではないかと思っておりました。5番目に、執行部の答弁は丁寧で、後で議事録を読みますと非常に勉強になって、ある意味では今後のイメージがわかると思いました。しかし、肝心な点はぼかして不明確な点が多々あって議員は消化不良しているんではないのかな、そういう感じもしております。
 執行部につきましては、職員は優秀であり、スマートという感じは非常にしております。しかし、ちょっと大胆さや野蛮さに欠けているんではないのかな、そういう思いがしました。
 それから、行政活動、行政についてでありますけれども、基地問題については知事は1期目より2期目は県民党的立場で対政府、対米交渉要請等に迫力があって毅然たる態度は評価をしておきたいと思います。その実現方もぜひお願いをしたいなと思います。その意味で、キャンプ・ハンセンに建設が予定されております都市型ゲリラ訓練場についても毅然たる態度をお願いをしたいと思います。
 2番目に、企業創出、雇用対策について。
 着実に芽を出しつつあり、総合調整機能を高めていけば人材育成も含めてあと二、三年すれば効果があらわれてくるのではないかと期待をしているところであります。
 3、環境問題については、美ら海、美ら島、美ら心と最大の課題ではありますけれども、現状は松くい虫、赤土流出、下水道、最終処分場、焼却炉、不法投棄、動植物の保護、ポイ捨て等々についてかなりおくれている状況があるのではないかと思います。そういう意味で早急な対策が必要だと思っております。
 教育行政については、これは最近非常に問題がありますけれども、努力すれどなかなか報われず、しかし最近の青少年の活躍が目覚ましく今後に期待をしたいと思っております。
 農林水産業については、これは努力すれど報われず、根本的な政策検討が必要ではないかと考えております。
 以下、項目に従って質問いたします。
 青少年の育成について。
 青少年の国内外における文化、芸能、スポーツ等の活躍は目覚ましい。しかし一方では青少年の犯罪は後を絶たず増加をし、しかも凶悪化している。このまま推移していくのであれば、チム心の島、守礼の邦、いやしの島が崩壊をしかねない。また、沖縄の未来を創造することもできない。こうした現象は大人社会の反映とも言われております。その意味で県政の重要な課題と考えております。今後の青少年の育成のために知事、教育長、県警本部長の所見を求めます。
 2、基地問題について。
 知事が就任をしてから5年、この5年間において在沖米軍基地は強化されていると判断をしますか。または整理縮小・統合に向けて着実に前進していると判断しますか、伺います。
 整理統合・縮小されて北部地域に過重に負担をかけていると考えますが、知事の所見を伺います。
 キャンプ・ハンセンのレンジ4に建設が予定されている都市型戦闘訓練施設について。
 ア、これまでレンジ4で演習していたバズーカ砲、機関砲、迫撃砲など重火器を使用した演習は移設ないし廃止されるのか。そして施設の規模を伺います。
 イ、移設される場合はハンセン内か──移設先です──それとも他の施設へか。
 ウ、爆発音、発射音等はどうなるのか。
 エ、山火事に対する影響は。
 オ、演習、訓練する部隊は陸軍、海兵隊、その他か。
 カ、訓練する頻度は。
 キ、訓練する兵員の数は。
 ク、訓練する時間帯は。
 ケ、訓練する武器の種類は。
 コ、訓練時の安全確保は。
 サ、この建設は地位協定の何条に基づいているのか。この場合、政府の合意か、県及び地元市町村の合意は必要か。
 シ、レンジ4は町議会及び伊芸区も移設決議をした経過があり、町民及び区民感情からすれば容認できないと考えるが、県の今後の対応を伺います。
 (4)、日米地位協定の改定について。
 知事を初め議長等が渉外関係主要都市や関係団体等との連携のもとで、日米地位協定の抜本的見直しについての決議が多くの議会、団体でなされるなど成果を上げつつあります。大きな前進であります。しかし、外務省を中心とする政府及び米政府の壁は厚く立ちふさがっています。しかも本土マスコミの取り扱いも小さい。イラク、アフガニスタンなど国際情勢が厳しくなればなるほどハードルは一層高くなります。したがって、今後の取り組みや戦略は理解から行動へどう国民を参加させるかであります。そのために県民が一致するところで県民運動を起こす組織母体を組織化し、一大国民運動を構築することが重要であると考えます。
 以下、伺います。
 ア、関係団体と連携をして一大国民運動を提起する組織をつくる考えはないか。
 イ、現時点における外務省及び米政府の地位協定の抜本的見直しを求める要請に対してどのように考えているか。また、条文ごとに検討していれば条文ごとに説明をお願いをしたいと思います。
 ウ、今後の運動の展開とその実現の見通しについて、どの時点に置いて考えているのか伺います。
 3、雇用対策について。
 県内の失業率は8%前後を推移しており、特に若年者の失業率は高く、若年労働者の雇用創出が重要であります。
 以下、質問いたします。
 (1)、医療・福祉を活用した地域産業の振興で雇用創出の実績はあるか。
 (2)、雇用創出効果の高い構造改革推進型の公共投資の促進で雇用情勢の改革は図られたか。
 (3)、ワークシェアリングが実施できない障害は何か。今後の対策はあるか。
 (4)、政府や県の方針や支援によって企業が創設され、その結果、何名が雇用されたか。職種別、人数別、今後の方向性を伺います。
 (5)、若者に対する雇用者の注文や要望はどのようなものか、それに対する対策はどのようにするのか伺います。
 4、農林水産業の振興について。
 (1)、農林水産業等の振興は本県の観光、自然環境の整備、雇用及び青少年の育成にも非常に重要と考えておりますが、年々衰退しているのが現状であります。平成14年度当初予算1000億円余を措置しておりましたが、総生産額は1120億余円であり、以下伺います。
 ア、農林水産業の振興の抜本的な対策を今後どのように進めていくのか(来年度の予算措置を含めて)。
 イ、観光、医療・福祉、教育等と関連した振興策は考えられないか。
 ウ、畜産農家の衰退は著しい。特に養豚農家の育成をどうするのか。
 エ、農業高校、水産高校、農業大学校、農業試験場等の整備充実はどうするのか。
 5、国道329号及び58号に伴うバイパス整備について伺います。
 (1)、道路は交通渋滞緩和とまちづくりに直結するものであり、早急な整備が求められております。
 以下、伺います。
 ア、恩納、南恩納、宜野座、金武バイパスの進捗状況について。
 イ、おくれている原因は何か。
 ウ、今後の対策はどうなのか。
 6、億首ダムの建設について。
 ことしの観光客数は500万人を突破する勢いであり、今後ますます水需要が高まり、水資源の安定・確保が重要であるにもかかわらず、しかし億首ダムの建設は当初より大幅におくれているのが現状であります。
 以下、伺います。
 (1)、現在の進捗状況。
 (2)、おくれている原因は何か。
 (3)、基地返還要請に対して、米軍は金武町及び県に対して何らかの条件を付しているのか。あればその対策をどうするのか。
 (4)、町の要請及び覚書に対する回答はどうなっているか。
 北部振興について。
 北部振興の進捗状況と今後の見通しについて伺います。
 8、我が会派の代表質問との関連について。
 ロビー外交も重要でありますけれども、アメリカ議会にも軍事委員会、外交防衛委員会等が存在しているわけでありますから、各委員に沖縄の現状を訴え、政府やアメリカの高官にこういう要請をしてきたと、行っていくこと等を発信することが大事であります。また、ハワイにも下院・上院議員が4名おり、彼らを活用して直接議会で質疑をしてもらう。また、公聴会等の会議に向けても働きかけることも必要であると考えております。
 (2)、ワーキングチームに参加したことがありますが、建前ではなくもっと本音で話す必要があります。それこそ平仲議員が主張したように退役すればよき沖縄の理解者として発信をしてもらう。そのために知事を初め県執行部が一歩踏み込んであらゆる場面をつくり出して沖縄の歴史・文化・風俗等を米軍等に講演をすべきではないかと考えますが、伺います。
 以上であります。
○知事(稲嶺惠一) 吉田勝廣議員の御質問にお答えいたします。
 青少年育成の所見についてのお答えでございます。
次代を担う青少年が心身ともに健やかに成長することは、全県民が願うところであります。そのため、県では21世紀を担うたくましい青少年の育成に取り組むための指針として、平成12年3月に「おきなわ青少年育成プラン」を策定し諸施策に取り組んでいるところであります。しかしながら最近の青少年犯罪は凶悪化、粗暴化、低年齢化及び集団化するなど憂慮すべき状況にあり、大きな社会問題となっております。
 その背景には命のとうとさを軽んじる傾向、家庭や地域社会における連帯意識の希薄化、子供たちを取り巻く環境の悪化などがあると指摘されています。このような現状を踏まえ、県では警察本部、教育委員会及び青少年育成県民会議と連携し、春、夏、年末・年始の「青少年健全育成県民運動」や「青少年の深夜はいかい防止一斉行動」を展開し、青少年の健全育成及び非行防止などに努めております。県としましては、今後とも市町村や関係機関・団体との連携を密にし、大人のシンデレラタイムの実践、家庭の健全化や社会環境の浄化を図り、21世紀をたくましく生きる青少年の育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、米軍基地の整理縮小の問題について一括してお答えいたします。
 県は、基地の整理縮小については、SACOの合意事案を着実に実施していくことが現実的で実現可能な方法であると認識しており、現在、すべての合意事案の推進に向け、国と連携し全力を挙げて取り組んでいるところであります。このような中、23事案の一つである工兵隊事務所が昨年9月に返還され、またSACOの合意事案については、安波訓練場に続いて去る3月にキャンプ桑江の北側部分の返還が実現しております。県としては、SACOで合意された施設以外についてもさらなる米軍基地の段階的な整理縮小に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、県内の米軍基地が中北部地区に集中している現状を踏まえ、去る11月16日に来県したラムズフェルド米国防長官にもさらなる基地の整理縮小の必要性を訴えており、今後ともあらゆる機会を通して日米両政府に対し求めていきたいと考えております。
 次に、陸軍複合射撃訓練場建設への県の対応についてお答えいたします。
 県は、県民の基地負担の軽減を求める立場からこれまで基地の整理縮小、海兵隊の訓練等の移転及び在沖米軍兵力の削減などを求めてきているところでありますが、今回の陸軍複合射撃訓練場の建設計画は県のこれまでの要請や県民の意向に反するものであり、同訓練場の建設には反対であります。去る12月1日、政府主催による全国知事会が首相官邸で行われましたが、その席上、比嘉副知事より小泉総理大臣や各大臣に対し、今般、新たな米軍訓練施設の計画が示されたことについて県民は強い不満を抱いており、本県における米軍基地問題の解決は目に見える形で一歩一歩前進させることが重要である旨訴えたところであります。また、一昨日来県した茂木沖縄及び北方対策担当大臣に対して、陸軍複合射撃訓練場の建設計画には反対である旨表明したところであります。
 続きまして、地位協定に対しての一大国民運動の提起、地位協定に対しての今後の運動実現の見通し等について一括してお答えいたします。
 県としては、基地から派生する諸問題の根本的解決を図るためには、地位協定の抜本的見直しが必要であることをこれまであらゆる機会を通じて訴えてきたところであります。県の要請行動を契機として、県内外の各界各層において地位協定の見直しを求める独自の取り組みが行われており、着実に地位協定の見直しを求める動きが広がりつつあります。去る11月15日に川口外務大臣とラムズフェルド米国防長官が会談した際、川口外務大臣は地位協定の運用改善が重要であると述べ、運用改善により機敏に対応していくとした国のこれまでの方針に変更がないことを表明しており、遺憾であります。今後は、各県から、あるいは各団体から多くの国会議員に働きかけて全国的な運動にし、政府の理解が得られるような形に持っていく必要があると考えております。県としては、今後の展開について全国行動プランの実施状況や県内外の各界各層の動向等も勘案しながら検討していきたいと考えております。
 次に、若年者に対する雇用者の要望等とその対策についてお答えいたします。
企業が若年者に対して求める一般的な人材ニーズとしては、仕事に対する熱意や積極性、専門的な知識に加え即戦力となる技術・技能等であります。このため、県においては本年6月に「沖縄県キャリアセンター」を設置し、約2500人の学生等に対し就職セミナーを実施するなど、職業意識の育成から就職までを一貫して支援する事業を展開しております。また、民間の教育訓練機関等を活用して多様な職業訓練を行う緊急委託訓練事業を実施し、平成14年度は993人の受講者のうち437人が就職しております。県としては、今後とも引き続き各種施策を推進し、雇用状況の改善に努めてまいりたいと考えております。
 次に、農林水産業の振興対策についてお答えいたします。
 本県の農林水産業の振興については、沖縄振興計画の分野別計画として農林水産業振興計画を策定し、所要の予算確保に努め各種施策・事業を総合的に推進することとしております。施策の柱としては、1、「おきなわブランド」の確立と生産供給体制の強化、2、流通・販売・加工対策の強化、3、農林水産技術の開発・普及、4、環境と調和した農林水産業の推進などの7つの柱を掲げております。具体的には戦略品目の拠点産地の形成、輸送コスト低減対策の推進、天敵昆虫の探索及び現地実証の推進、家畜排せつ物等のリサイクルの促進など各種事業を積極的に推進してまいります。
 次に、米国議会議員への要請活動についてお答えいたします。
 先月末、米国において在外米軍の再編方針が示されたとのことであり、さきの日米首脳会談や米国防長官との会談においても沖縄の基地負担の軽減について認識が一致したとのことであります。県は、去る11月16日にラムズフェルド米国防長官が来県した際、将来の沖縄の米軍基地問題について思い切った変革を望んでいることを申し上げたところであります。また、一昨日、首相官邸で行われた全国知事会において比嘉副知事より小泉総理大臣や各大臣に対し、この機会に沖縄の米軍基地の整理縮小の大幅な変革に向けて米国政府と積極的に協議するよう申し入れたところであります。県としては、基地問題の解決促進を図るためにはあらゆる機会を通じて日米両政府に訴える必要があると認識しており、過去の訪米実績や効果を検証しながら、米国議会議員への要請も含め、最も効果的な方法や時期を検討していきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○教育長(山内 彰) 青少年育成についてお答えいたします。
 青少年の犯罪・非行は、低年齢化、凶悪化、集団化の傾向を呈し、まことに憂慮すべき状況にあると認識しております。これらの要因としては、規範意識の欠如や青少年の心の問題、生活習慣の問題、自他の生命尊重の軽視等があるととらえております。そのようなことを踏まえ、子供一人一人の深い理解に基づき、そのよさを伸ばし、自己を積極的に生かしていく子供たちの居場所づくりを構築することが最も重要であると考えております。学校における道徳・人権教育、生徒指導、スクールカウンセラーの配置、家庭における巡回相談子育てゼミ、家庭教育支援会議、さらに地域における青少年の体験活動推進事業などを実施し、学校、家庭、地域における子供の居場所づくりに力を入れ、子供の真の居場所をつくってあげることが県教育委員会の主要施策の一つとして取り組んでいくよう努めていきたいと考えております。
 次に、農業高校、水産高校の整備充実について。
 本県の農林水産業の振興・発展を担う若い後継者の育成は、学校教育の重要課題の一つであり、そのため魅力があり、将来の展望が開け、個性が生かされる農業、水産教育を構築する必要があります。現在、宮古農林高校のバイオ施設、沖縄水産高校、翔南高校の水産加工食品、各農林高校のコンピューター制御温室などがあり、それらの施設・設備の整備充実を図ることが求められています。とりわけ今後は最先端技術に対応した研究室等の充実を図り、将来に対応する必要があります。
 また、専門高校に学ぶ生徒に資格取得の奨励、地域や企業、行政と連携した専門高校の研究開発支援体制、海外への研修などの充実・拡大を図ることによって夢と希望のある教育活動を展開することが大切であります。県教育委員会としましては、このような施策を持って地域特性に合った農林水産業の後継者育成が図られるように努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) 青少年の育成についてお答えします。
 少年犯罪の多発及び凶悪化、低年齢化等は本県のみならず全国的に大きな問題となっております。少年非行の背景には、家庭での愛情の欠如や教育機能の低下、学校における諸問題、大人の規範意識の低下、地域社会の少年問題に対する関心の希薄化、少年を取り巻く環境の悪化などさまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
 県警としましては、少年非行を防止し健全育成を図るため、沖縄児童生徒健全育成サポート制度に基づく学校との相互連絡の実施、中学校、高校へ警察官を派遣しての安全学習支援授業の実施、関係機関・団体等と連携したサポートチームによる非行集団に応じた立ち直り支援活動の実施、少年サポートセンターを中心とした非行少年や被害少年の立ち直り、居場所づくりなど各種対策を講じております。また、県警としましても次代を担う青少年の健全育成については県民総ぐるみで取り組む重要な課題と考えており、犯罪抑止のための効果的な検挙・補導活動を推進するほか、少年非行の実態について情報発信するとともに、県や教育庁等の関係機関と連携し、少年問題に関する学識経験者等の専門家で構成するプロジェクトチームを立ち上げるなどして、本県における少年非行の背景と原因等を調査・究明し、抜本的な対策を講じる必要があると考えております。
○議長(伊良皆髙吉) ただいまの吉田勝廣君の質問及び質疑に対する残りの答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午前11時47分休憩
   午後1時21分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 午前の吉田勝廣君の質問及び質疑に対する答弁を続行いたします。
 知事公室長。
   〔知事公室長 新垣良光君登壇〕
○知事公室長(新垣良光) 陸軍複合射撃訓練場及びレンジ4の訓練内容について一括してお答えいたします。
 陸軍複合射撃訓練場の建設計画については、那覇防衛施設局からの説明では、キャンプ・ハンセン内のレンジ4への同訓練場の建設に伴って、同レンジにおける海兵隊の射撃・砲撃訓練はキャンプ・ハンセン及びキャンプ・シュワブ内の他のレンジにおいて、それぞれの用途に応じて実施するとしておりますが、詳細は明らかにされておりません。騒音対策としては、1点目として、射撃用建物、突破訓練施設、屋外射場をレンジ4の現在の火器発射地点よりも着弾地寄りに配置する、2点目として、レンジ4の民間側に遮音壁を設置する、3点目として、訓練場ではロケット砲や迫撃砲等は使用しないとのことであり、これらの対策により騒音を軽減できるとしております。
 また、同訓練場ではピストルやライフル等の小型武器を使用するとのことでありますが、山火事の原因となる曳光弾等を用いた着弾地への射撃は実施しないため、山火事の発生は減少するとのことであります。訓練する部隊は、主として陸軍第1特殊部隊群第1大隊で、他の部隊も使用できるとのことであります。訓練頻度や兵員の数について詳細は明らかにされておりません。訓練時間帯については詳細は明らかにできないが、早朝、夜間における訓練は行わないようあらゆる努力をするとのことであります。
 安全対策としては、1点目として、射撃用建物内においては所定の方向以外に飛ぶ弾丸を遮断し、確実に捕捉するために標的の後方に高密度ゴム製の弾丸トラップ等を使用する、2点目として、射撃用建物内での射撃を除く他の射撃は着弾地の方向以外には一切行わない、3点目として、同訓練場の各施設を着弾地の方向に向けて配置する、4点目として、訓練実施中に安全管理専門の担当官を配置するとのことであります。
 施設建設の根拠及び関係機関の合意についてにお答えいたします。
 日米地位協定第3条では、「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」と規定されており、今回の陸軍複合射撃訓練場の建設も同条の管理権に基づくものと理解しております。したがって、同訓練場の建設に当たっては、地位協定上、日本政府、県及び地元市町村の合意は必要とされてないものと理解しております。
 教育カリキュラムに対する県の積極的参加についてにお答えいたします。
 米軍の発表では、海兵隊員の任務期間の変更によって家族の増加が予想されるが、隊員数の増加はないとしております。
 米軍人等による犯罪は増加傾向にあり、中でも米軍人等の家族による犯罪が増加していることから、米軍人等のすべてを対象とした実効性のある対策を講じる必要があると考えております。県としては、三者連絡協議会において国や関係市町村とも連携し、事件・事故の未然防止に向けて実効性のある対策について議論し協議を行ってきておりますが、御提案の教育カリキュラムへの県の積極的な参加については貴重な御提言であり、今後の参考とさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 医療・福祉を活用した雇用創出の実績についてお答えいたします。
 県民が安心して暮らせるための基本的な部分を支えている医療・福祉分野においては、適切なサービスを提供するための職員の確保が必要になることから、施設や事業所の整備を図った結果として就労の場がふえ、地域振興にもつながっていくものと考えております。
 労働力調査によりますと、平成15年9月の医療・福祉就業者数は約5万1000人で、全就業者数の約1割を占めております。
 また、平成14年度における雇用の実績としては、理学療法士等の養成を目的とする専門学校の開設を初め、診療所、認可保育所、身体障害者福祉施設等の整備などに伴い約370名の雇用が生まれております。さらに、平成12年度にスタートした介護保険制度だけでも多くの居宅介護サービス事業所等の開設があり、看護職員やホームヘルパーを含む介護職員等の新たな雇用を含めて、平成15年8月末現在約1万2400名の雇用が図られております。
 以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 雇用対策についての、雇用情勢の改革は図られたかとの御質問にお答えいたします。
 本県の厳しい雇用環境を踏まえ、沖縄振興計画及び分野別計画の着実な実施を図るとともに、国の関係省庁と県が連携し、雇用対策を追加的に実施するとして平成15年2月に補正予算が組まれました。構造改革推進型の公共投資の推進ということで道路、都市モノレール関連街路、河川、港湾、下水道、公園等において約106億円の事業を実施したところです。これによりましてセメント、鉄筋等建設資材の購入などにより民間需要も誘発され、本県の厳しい雇用情勢も相当程度の改善が図られたものと考えております。
 次に、国道329号及び58号に伴うバイパス整備についての進捗状況、おくれている原因及び今後の対策についてにお答えいたします。一括してお答えいたします。
 恩納バイパス、恩納南バイパス、宜野座バイパス、金武バイパスは現在国において整備を進めているところであります。まず、バイパス整備の進捗状況については、平成14年度末の事業費ベースの進捗率で恩納バイパスは約7割、恩納南バイパスは約3割、宜野座バイパスは約4割、金武バイパスは約5割となっております。これらのバイパス事業については、いずれも平成10年代後半の完成に向け整備を進めているとのことであります。なお、国においては事業効果の早期発現を図るため順次暫定供用を行っていくとのことであります。
 次に、おくれている原因と今後の対策についてですが、いずれのバイパスにおいても一部用地買収に難航していることからおくれているとのことであり、地元市町村等関係機関の協力を得ながら鋭意地権者の説得に努め、早期整備を図っていくとのことであります。
 以上でございます。
○商工労働部長(伊川征一) 雇用対策についてのワークシェアリングについてお答えいたします。
 沖縄ワークシェアリング研究会が平成14年度に実施した調査によると、ワークシェアリングの導入については、労働者側ではおおむね賛成が約7割を占めた一方で、企業側ではどちらかといえば反対が約6割となっており、労使の共通認識の形成が課題となっております。ことし6月に設立された沖縄県経営者協会と連合沖縄で運営する「沖縄県労使就職支援機構」においては、ワークシェアリングの導入に向けた労使協働の取り組みを進めることとしております。
 ワークシェアリングは、個々の企業における労使の自発的な判断と合意により実施されることが重要であり、県としてもその取り組み状況等を踏まえ、関係機関と連携しワークシェアリング導入の具体化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、県の施策による企業創設、雇用数等についてお答えいたします。
 県においては、新たな産業の育成や企業誘致を通した雇用の場の拡大に取り組んでいるところであります。新産業の育成については、中小企業創造活動促進法に基づく事業計画の認定等を行い、研究開発の支援、出資及び融資等の支援を行っております。これまでに認定を受けた66社のうち19社において239人の雇用増となっており、健康食品関連の企業においては32人から86人へ、製塩業関連の企業においては4人から38人へと大幅に雇用を拡大した企業も出ております。
 また、特別自由貿易地域の特別措置等を活用して推進している企業誘致については、平成10年12月以降の新規立地企業数が製造業で18社、情報通信関連産業で71社、合計89社となっており、これによる新規雇用者数が約5300人となっております。今後とも各種制度等を最大限活用し、雇用の場の拡大に努めてまいります。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 農林水産業の振興について、観光、医療・福祉、教育等と連携した振興策は考えられないかについてお答えいたします。
 本県の農山漁村は、自然や歴史と調和した海浜と田園空間を有し、魅力ある体験・滞在型観光地として期待されており、観光や教育、福祉等と連携した振興を図ることは重要であります。このため、県としては体験・滞在型交流施設やコミュニティー施設の整備、フィッシャリーナの整備、伝統的な集落道の整備・復元、観光農園及び触れ合い牧場の整備、ツーリズム実践者、森林・林業に精通したガイドの養成などの諸施策・事業を推進しております。
 また、観光・リゾート産業、健康食品産業等との連携を強化し、地域食材を活用した料理、特産品の開発を促進するとともに、地域食材等を安定的に供給する体制の整備を推進していく考えであります。
 続きまして、養豚農家の育成についてお答えいたします。
 本県畜産の産出額は平成14年農業産出額の約41%を占め、そのうち養豚は畜産全体の約35%となり、肉用牛と並んで主要な品目となっております。しかしながら、近年、養豚についてはほぼ30万頭台を維持しておりましたが、平成14年には約27万頭に減少しております。県としては、沖縄県農林水産業振興計画に基づき生産基盤の整備や飼養管理技術の向上、優良種豚の検定・導入などの諸施策を積極的に推進しております。
 具体的な振興策としては、生産性の向上と安定的な供給を図るため原種豚場の整備、外国からの優良種豚の導入、価格差補てん金の交付や県内需給調整を図るための助成事業などを実施しております。特に、養豚の振興上大きな課題となっている家畜排せつ物の適正処理施設等の整備については、畜産環境整備事業、畜産環境保全緊急対策事業、2分の1補助リース事業などを実施し、畜産環境対策に積極的に取り組んでおります。県としては、今後とも市町村や関係団体等と連携を密にして養豚の振興に努めてまいります。
 続きまして、農業大学校、農業試験場等の整備についてお答えいたします。
 県立農業大学校については、次代の農業、農村を担うすぐれた農業後継者を育成する施設としてこれまで教育施設、宿泊施設、生産実習施設などの整備を行っております。また、時代のニーズに対応するためパソコンやバイオ施設等の整備を推進しております。
 農業試験場については、糸満市の真壁地区に基礎研究部門を移転整備し、名護、宮古、八重山の各支場は地域における営農技術試験場として整備することとしております。移転整備の進捗状況については、敷地造成、圃場整備は本年度に完了を予定しており、本館、研究棟、ガラス温室等については平成17年度の完成を目途に整備を進めております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(上原 昭) 億首ダム建設の進捗状況についてお答えします。
 億首ダムは、国直轄の多目的ダムとして既設の県企業局管理の金武ダムを再開発するもので、洪水調節、既得取水の安定化及び水道用水の供給等を目的として建設されるものであります。事業主体の沖縄総合事務局によりますと、事業の進捗率は事業費ベースで全体事業費490億円に対し、平成14年度末の執行済み額は約140億円、28.7%の執行率となっております。
 用地取得については平成12年度から開始し、平成14年度末で取得対象面積約96ヘクタールのうち約59.8ヘクタールが取得済みで、62.3%の進捗率となっております。
 工事関係については、平成15年度中に左岸工事用道路の一部について工事に着手するとのことであります。また、調査・測量関係については引き続き水理・水文調査、環境調査、地質調査等を継続して実施しているとのことであります。
 次に、おくれている原因についてお答えします。
 億首ダム建設のおくれについては、「億首ダム建設に伴う損失補償基準に関する協定書」締結までに関係地権者等との調整に相当の日数を要したこと、また億首ダムの建設予定地の一部が米軍提供区域内に位置することから、米軍側との返還合意に関する調整に相当の時間を要したことなどによるものと聞いております。
 次に、米軍の条件及び対策についてお答えします。
 キャンプ・ハンセンの一部用地の返還については、現在、返還に向け在沖米軍と北部ダム事務所が現地レベルの調整を行っており、調整過程において米軍側から県道104号線の移設及び町道中川1号線の封鎖などの条件が提示されたと聞いております。億首ダムは水需給上必要なダムであることから、地元金武町の意向を踏まえつつ国や関係部局とも連携し適切に対応していきたいと考えております。
 次に、要望書に対する取り組み状況についてお答えします。
 億首ダムに関する要望書については、現在、覚書の締結に向けて国、県、金武町で構成する億首ダム三者協議会において要望事項の可能性など回答文案の内容を調整しているところであります。今後、回答文案をまとめて地元への説明会を開催し、地元の最終確認等を経て覚書が締結される予定となっております。
 以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 北部振興の進捗状況と今後の見通しについての御質問にお答えします。
 平成15年度11月末現在の執行済み予算は、公共事業で72億8000万円、非公共事業で196億円、合計268億8000万円となっております。また、これまで採択された事業の平成16年度以降継続される執行見込み額は、公共事業72億1000万円、非公共事業15億3000万円、合計87億4000万円となっております。これらを合わせると公共事業で144億9000万円、非公共事業で211億3000万円、合計で356億2000万円となっております。
 県としては、今後とも国や北部12市町村と連携し、円滑な事業執行ができるよう積極的に支援していきたいと考えております。
○吉田 勝廣 再質問をいたします。
 沖縄県警は、子供たちの問題行動に関しまして学識経験者や専門家で構成するプロジェクトチームを立ち上げて、非行少年の原因と背景について抜本的な対策をとるということであります。
 そこで教育長に伺いますけれども、子供たちの問題行動は怠学あるいは何といいますか、喫煙から、いろんな課題がたくさんあると思うんですよ。そこもやはりいろんな方々を動員をしてその問題行動を調査・分析をしてその方向性を出すというのが一つの基本施策じゃないかなと。そういう調査結果を受けて、そしてその方向性を出すというのが非常に望ましいことではないかと思います。答弁をお願いしたいと思います。
 それから、知事部局の青少年・児童家庭課、そういう課があって、いろんな児童のこれからの育成についてやっていると思うんですけれども、この辺についてもぜひ知事部局と県警と教育庁が連携をとって、こういう調査を徹底して新たな方向性を出すことが望ましいんじゃないかと思いますので、ぜひお願いをしたいと思っております。答弁は教育長の方からよろしくお願いしたいと思います。
 それから、この青少年の問題に関しまして、低年齢化、集団化とか、それから凶悪化しております。集団化につきましては特に私は問題があるんじゃないかなと。1つは、自己責任・自己決定、そして自己表現ができないと。そういうことで、集団でやれば、赤信号もみんなで渡れば怖くないとか、そういうところに大きな問題が存在するんじゃないかなと思います。そういう意味で自己決定・自己責任・自己表現ができる子供たちをはぐくんでいくのが今後の課題であろうと思います。
 それから、社会規範のモラルの低下というか、これも非常に大きな課題だと思いますが、この社会レベル減少、これも沖縄の場合、いろんなデータを見てもかなり厳しいものがありますから、それと非行少年との関連がどうなっているかということもぜひ調査の対象としてやっていただきたいなというふうに思います。
 2点目の基地問題についてですけれども、知事、地位協定の抜本的な見直しについては恐らく知事の就任の3年の中ではこれは解決できないんじゃないかなと、私は残念だけれども思うんですね。それはなぜかと申しますと、例えば1977年の公用地暫定使用法、そのときの延長をめぐって国会で議論されたのが地籍明確化法という法律がございました。その法律も数年かけて沖縄県といわゆる国会との議論の中で成立した法律です。それから平成7年の軍転法、これも沖縄県と内閣法制局、そして弁護士、あるいは国会議員、この連携のもとで数年かけてこの軍転法も成立させたという経過があります。そういう意味からしますと外務省も消極的、そしてまたアメリカ政府も消極的、そういう中でこの地位協定の抜本的見直しを進めるについてはかなり厳しいのかなと思います。
 そういう意味で国内外の運動の問題の提起と、それから条文を作成する、県が中心となってその条文を国会議員と調整しながら条文を作成することも必要じゃないか。一方では運動を提起する、片方では条文のいろんな問題点を指摘してそれをやっていくという、両方側面からやって初めてこの問題は成功するんじゃないかなと思いますけれども、知事の所見を伺いたいと思います。
 それから都市ゲリラについては、これはいわば今の地位協定の3条をどう考えるか、そして勝手に施設をつくって、勝手にまた移設しますよということでは通らないんじゃないかなと思いますから、この辺の所見も伺いたいなと思います。
 雇用対策については、さっき公共工事あるいは医療・福祉対策等についていろいろございました。その中で注目すべき点は、三位一体の財政改革がありますけれども、公共工事は確実に減らされている。私の調査によりますと、1999年のサミット効果で279億円で雇用効果が約3300人、2000年で160億9000万円で雇用効果1070名あったと。残念ながら沖縄の公共工事が年々下がっているわけです。例えば、平成10年から平成14年で見ますと約400億円公共工事が低くなっているわけです。そうしますと、片一方では雇用効果の拡大を見ながら、片一方では公共工事に伴ってその雇用効果が減らされていくという状況ですから、今後ぜひこの雇用効果のための財源確保も必要だろうと。
 それからワークシェアリングについては、私の調査によりますと大体50億あるわけです、時間外が、市町村と県含めて。50億あるこの時間外を何とかワークシェアリングに、極端に言うと臨時的といいますか、あるいは緊急的といいますか、そういうことの措置も必要ではないのかなと、そういうふうに思います。ですから、そういうことについてぜひ子供たちの、あるいは青少年のためにぜひ前向きな答弁をお願いして私の質疑を終わります。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後1時49分休憩
   午後1時53分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 商工労働部長。
   〔商工労働部長 伊川征一君登壇〕
○商工労働部長(伊川征一) ワークシェアリングの導入につきましては、企業と勤労者の間でかなりの認識についての隔たりがある状況にございます。
 県といたしましては、まずは労使双方に対するワークシェアリング情報の提供、あるいは議論の場の提供を着実に行っていくことによりましてコンセンサスをつくり上げる作業が重要であります。そのために、先ほど申し上げました連合と経営者協会で進めております研究について、県としても積極的に今後のあり方等を踏まえながら進めていきたいと考えております。
○教育長(山内 彰) 青少年の問題についてお答えいたします。
 御指摘のとおり、青少年の問題についての取り組み等について、実際に一人一人の問題、あるいは学校、家庭、個々の問題についての分析・検討の弱さを今感じているところです。足りなさというんでしょうか、その課題性について考えているところであります。具体的対応、あるいは事前予防的取り組みとしての強化ということを感じた次第です。
 そういうことを踏まえまして、青少年のよさや課題を事前に把握し、よりよい対応をするような活動体制をつくろうというのがございまして、それが学校の問題、家庭での問題、社会での問題、それを私たちは確かに生きていく力として3つ分析いたしました。
 1つは、家庭や学校で生きる力、社会で生きる力、そして人間として生きる力と、こういうふうに見た場合に子供一人一人の具体的な資料というのが必要になってくるだろうということで、子供の「指導・支援カルテ」なるものを本年度作成いたしまして、今その具体を図っているところでございます。その中から生まれてきたのが家庭での居場所、社会での居場所、地域では、学校ではということでその居場所づくりを重点的に取り入れていく必要があるなと感じております。そうしますと、おのずと社会とのかかわりが必要になりまして、5つの段階が生まれまして指導の段階、ここは学校でやっていましたけれども弱さがございました。
 もう一つは、やはり診断の段階、子供を診断してどこによさがあるだろうかと。三味線がうまいという者に対してこれに対応しようと。
 3つ目が、子供を理解していくと。じゃ、具体的に何をさせてあげたらいいかと。わかるということですね。
 それで4つ目が、支援の段階と。じゃ、社会でこういう支援をしてあげようという支援段階。
 最終的には推進の段階、社会で生きる力と人間として生きていく力を自然体験をさせてその中で生かそうというような5つの段階を踏まえて、今個々への対応をしているところでございます。また、これは次年度の大きな事業としても取り入れていきたいなと考えているところです。
 もう一つの集団の問題については、やはりこれも事業としても集団体制ということで青少年ユイマール体制をつくって分析・検討して、社会での取り組み需要を取り上げていきたいなと考えております。
 なお、このことについては県警とも、先ほども出ましたけれども、プロジェクトチームに、あるいは少年犯罪の場合のプロジェクトチームとしてこちらの側から、少年の非行の問題については教育庁サイドからプロジェクトチームを立ち上げていこうとしているのが青少年育成ユイマール体制事業でございまして、この方を強化していきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後1時58分休憩
   午後1時59分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 総務部長。
   〔総務部長 仲田輝享君登壇〕
○総務部長(仲田輝享) 県庁内のワークシェアリングについてお答えいたします。
 県は、厳しい財政状況を踏まえ「新沖縄県行政システム改革大綱」に基づき10年で10%の職員削減を目標とする定員適正化に今取り組んでいるところであり、県庁内におけるワークシェアリングの導入につきましては、同大綱との整合性を図る中で導入の手法、財源の確保等について検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○具志 孝助 去る12月1日、志半ばで急逝した渡久地健君に対し、深甚なる哀悼の誠をささげます。
 一般質問を行います。
 私は、今回は那覇市農連市場地区市街地再開発事業についてと那覇空港の整備について、2点に絞って質問を行いたいと思っております。
 農連市場地区の市街地再開発事業の質問に入る前に、皆さんおわかりのことだと思っておりますが、ここに「農連市場地区の概要と沿革」という資料がありますので、ちょっと読み上げて当地区の理解を賜りたいと思っております。
 「農連市場地区」は、ガーブ川周辺地区の南端部、那覇市都心部の樋川2丁目地内に位置する。周辺は平和通りや水上店舗などの沖縄を代表する商業地に連担している一方、東側は神原小・中学校に接しており、周辺には市民会館、県立図書館、市立中央図書館、那覇病院、那覇警察署、与儀公園等の公共施設も立地し、生活利便性の高い地区である。 「農連市場地区」は大戦後、避難先からの市民によって最初に市街地の形成が芽生えた場所である。昭和28年末に琉球農連(現JA沖縄経済連)が湿地帯を埋め、周辺に点在していた農家の野菜売り場を集約し、市場として開設された場所であり、市民の台所として現在も親しまれているところである。
 この農連市場は開設から50年余になるが、昭和47年本土復帰を境に農連市場の移転計画が持ち上がり、県経済連が那覇市古波蔵に中央卸売市場を開設するわけですが、うまくいかず現在の場所にまた戻ってきたと、こういうような経緯を持っております。
 昭和59年――1984年ですが――浦添市勢理客に沖縄県中央卸売市場が開設されると青果物等を中心に主要な業者が移転することになり、農連市場の衰退が始まってまいりました。
 そこで、農連市場地区の再開発計画の経過を若干説明いたしたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、この市場は昭和28年に現在のJA沖縄経済連が米国民政府の管理土地を借り受けて市場を開設することになるわけですが、昭和47年の復帰に際し伝統的な競り売り、あるいは相対売り市場ということで活況を呈していたわけでありますが、本土法適用によりまして卸売市場法の競り売り、あるいは入札の扱い等について法律に抵触するんじゃないかというような議論なんかが持ち上がり、このままの状態ではうまくいかないということで市場の移転計画等があったりいたしました。
 昭和53年に沖縄総合事務局と沖縄県の合同で当該地区、樋川地区整備計画調査を始めております。そして1984年(昭和59年)に、先ほども申し上げました浦添市勢理客の方に中央卸売市場が開設され、これに伴って住宅都市整備公団――今は都市基盤整備公団というんですか――と那覇市が共同で農連市場地区整備計画調査を実施しております。
 昭和61年に農連市場地区再開発促進協議会が発足し、平成5年には沖縄県と経済連、那覇市三者による農連市場地区再開発連絡協議会が発足する。そして平成10年、那覇市がガーブ川周辺地区リジューム事業を実施し、国において重点プロジェクト地区として当該地区が位置づけられております。これによって農連市場地区再開発促進準備会が発足をしております。
 さらに平成11年、沖縄県、それから県の住宅供給公社、JA沖縄経済連、那覇市、この四者によって那覇市農連市場地区再開発連絡協議会が設置されます。
 平成9年にリジューム事業で再開発計画地区内に位置づけられたこの農連市場地区が平成12年3月31日に地区再生計画、あるいは街区整備計画としての建設大臣協議が完了するというようなことで国の支援、このリジューム地区における都市活力再生拠点整備事業というようなことで位置づけられるわけですが、リジューム事業というのはどういうことかといいますと、「地域の拠点となる中心市街地の商業地等において、民間活力を積極的に活用しつつ建築物、建築敷地及び公共施設の整備を一体的かつ計画的に行う事業について、地方公共団体に対して、国が必要な助成を行う制度を確立することにより、都市機能の更新、居住環境の改善等を図り、もって都市活力の再生に寄与することを目的」とした事業であるということです。
 この指定を受けたのが今、私が申し上げている農連市場地区であるわけなんです。
 そこで、この農連市場地区の再開発計画については、以上申し上げましたように那覇市における30年来の重要課題として位置づけられながら、いまだにそのめどが立ってないというのが現状であります。
 平成10年、ガーブ川周辺地区リジューム事業の中で同地区が重点プロジェクト地区として位置づけられたことから、新たに再開発事業に対する機運が高まってまいりました。今日では、あそこの地権者を中心にした関係地権者約9割による市街地再開発の組合が設立をされております。
 そこで質問をいたしますが、その当該地区には県有地が相当にあります。全体の地区の約6割が県有地だと言われている。この県有地の現状と当該地区の利用計画、県有地を持っている県としてどういう利用計画を持っているのか、そういう計画があれば示してもらいたいということです。
 それから、当該地区の現状ということについては、農連市場地区の中で県有地の占める割合、道路の未整備、建物の老朽化、不法建築等の実態、あるいは防災上の問題点、そこにはもう30年来、40年、戦後間もなくからですから借地権者、借家権者等権利が大変ふくそうしていると思っております。この権利関係の実態等について説明を願いたいと思っております。
 それから、跡地利用について、私は市街地再開発事業をする以外にないと考えておりますが、それ以外の計画があるんでありましょうか、説明を求めます。
 質問の(2)点目は、同組合に対する県の対応についてであります。
 この県の対応については、平成14年12月5日付で先ほど申し上げました地権者による組合から陳情が出ております。陳情の中から1点目、2点目、3点目、すなわち県道真地久茂地線の早期整備についてと、当該地区の再開発事業に対する県の窓口をつくってもらいたいと。
 2点目には、権利床、保留床に対して県の公共施設の導入を考えてもらいたい。特には県営住宅の導入をしない限り当該地区の再開発事業というのはおぼつかないと私は考えますけれども、この3点についての考えを説明してもらいたいと思っております。
 それから、同事業に対する基本的な見解、すなわち当該地区の再開発事業をするためにあそこの関係地主が9割方同意をしている。この中に当然那覇市も入って、同事業に対する基本的同意の意思表示をやっております。ところが、大規模地権者である県の方がこれに対し意思表示をしてないんです。同意するのか、あるいは同意できないのか、意思表示が全くされてない。このことについて基本的に再開発事業以外には考えられないと私は思っているわけですが、その再開発事業に対する県の基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
 質問の(3)点目は、これだけの再開発事業をやっていくためには、どうしても県と市において当該事業に対する連絡調整会議を設置して、お互いのこの事業にかかわる立場、考え方を虚心坦懐に話し合うところからしか始まらないと思っているんです。これまでも先ほど申し上げました促進協議会だとか三者連絡協議会、あるいは四者連絡協議会だといって県が絡んだ協議会を何度もつくっては壊し、つくっては壊しして今日に至っているわけなんです。
 那覇市では、たたき台としての絵も描いているわけですが、これに対しても県の方がこういうような形ではどうにもならないというようなことで全く取り合わないというような状況の中に今あると思っております。同事業に係る都市計画決定、公共事業導入等基本計画は県、市の協議なくして進めることはできない。同事業の規模、施設内容は県、市の政策判断に基づくことが前提であり、そのための事前協議をする場として双方が入る協議会の設置について当局の見解を伺いたい。この協議会を設置する必要があるかどうかも含めて、県と市が農連市場再開発についての考え方をまず話し合いをする必要があるんじゃないか、そこから始まると思っているんです。私は、そのための協議を早急にやってもらいたいと。
 先般、那覇市長を訪ねてこの件について申し上げました。どうしても県における政策調整監レベル、あるいは那覇市においては助役、そういうような立場の方が政策的判断を前提にした話し合いをまず持つことが必要ではないかと、こういうような御意見でありました。どうぞ誠意ある答弁をお聞かせ願いたいと思っております。
 那覇空港の整備についてでありますが、これはこれまで何度もただされてまいりました。滑走路の沖合展開についてと国際ターミナルの整備についてであります。
 滑走路の沖合展開については、国の交通政策審議会航空分科会の答申が平成14年12月6日に出されております。そこで、那覇空港は「主要地域拠点空港」として指定をされました。しかし、これまでの一般空港の整備手法と違って、これからは住民合意形成による整備方式をとっていくと、こういうようなことが答申に盛られております。そのことについての説明を賜りたいと思っております。
 (2)点目は、国際線ターミナルの整備についてであります。
 同ターミナルは、国内線ターミナルと比べ古く劣悪である。那覇空港ビルディング株式会社による同空港ターミナルの一元化管理に伴い、必要最小限度の暫定整備が必要と思慮しますが、いかがでありましょうか。本格整備についてはかなりの費用とかなりの時間がかかると思っております。その間の必要最小限度の暫定整備をやる必要があるんじゃないか。
 例えば、特にかねてから言われているのは、国際空港線でボーディングブリッジがないと。せめてこれだけでも何とかやらないことには余りにも今どき施設が劣悪過ぎると、こういうような指摘があるんですが、そういうような暫定的な整備についてどのように考えておられるか説明を賜りたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 具志孝助議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、那覇空港の整備についての総合的な調査についてお答えいたします。
 昨年12月の交通政策審議会航空分科会の答申では、那覇空港は「主要地域拠点空港」として位置づけられ、滑走路増設等を含めた抜本的な空港能力向上方策等の総合的な調査の必要性が認められたところであります。そのため、今年度から国と連携して現在の空港施設や空港用地等の既存ストックの有効活用方策や中長期的な観点からの滑走路増設を含めた抜本的な空港能力向上方策について総合的な調査検討を行っているところであります。
 今後、県は国と連携して総合的な調査を着実に実施するとともに、情報公開による透明性の確保や住民の合意形成を図るなど、早期の滑走路増設に向けた条件整備に努めてまいります。
 続きまして、国際線旅客ターミナルの暫定整備についてお答えいたします。
 那覇空港ビルディング株式会社は、去る10月1日より国際線旅客ターミナルの一元的な管理運営を開始したところであります。これに伴い、同社では案内カウンターへ英語の話せる職員を配置する等旅客サービスの向上に取り組んでいるところであります。しかしながら、国際線旅客ターミナルは施設が狭隘であり、利便性、快適性向上の改善が課題であると考えております。那覇空港ビルディング株式会社は、施設の当面の改修について検討していると聞いており、県としましても同社と連携し施設整備の促進に努めてまいります。
 その他の御質問は、関係部局長等から答弁させます。
○総務部長(仲田輝享) 那覇市農連市場地区市街地再開発事業について、県有地の占める割合及び権利関係について、関連しておりますので一括してお答えいたします。
 農連市場再開発事業区域約4万5000平米でございますが、このうち県有地は約2万5000平方メートル、55%であります。
 県有地の内訳は、一般貸付地が約1万3000平方メートル、その他道路用地等が約1万2000平方メートルとなっております。一般貸付地における借地人は78人となっております。また、県は土地のみの貸し付けでありまして、県と権利関係のある借家人はおりません。
 なお、同事業における借地権・借家権の権利関係については、事業主体である那覇市が調査し対応するものと考えております。
 次に、同事業への基本的な見解についてお答えいたします。
 再開発事業予定地区内の県有地の一般貸付地の処理については、県有地有効利用基本計画に基づき当該事業に積極的に協力し、事業者と十分な調整を図り一括処理を図ることとしております。具体的には、1、原則一括で売り払う、2、一括賃貸借を行う、3、県公共施設等の整備計画がある場合は権利床を確保するなどの方法があります。
 同再開発事業は、現在、事業主体である那覇市において施設計画等の見直しを含め検討を行っているところであり、その結果を踏まえ対応していきたいと考えております。
 以上でございます。
○土木建築部長(安慶名正行) 那覇市農連市場地区市街地再開発事業について、道路の未整備、建物の老朽化、不法建築物の実態についてにお答えいたします。
 当地区の道路は、密集市街地のため整備が立ちおくれており、幅員4メートル未満の狭隘道路が全体道路延長の約20%を占めております。建物の老朽化については、都市再開発法で言う老朽化した建物が建築面積で全体の約45%、棟数で全体の約40%を占めており、また不法建築物の実態については詳細には把握しておりませんが、建築基準法上の接道義務違反などの建築物があると那覇市より聞いております。
 次に、再開発事業の必要性についてお答えいたします。
 県としては、居住環境の改善と商業の活性化を図る観点から、当該地区における市街地再開発を含めた面的整備の必要性は十分認識しております。
 次に、真地久茂地線の早期整備についてにお答えいたします。
 真地久茂地線は、第2環状線と国道58号を結ぶ幹線道路であり、そのうち与儀交差点から県警前交差点までの区間について拡幅整備の検討が行われているところであります。本年度、与儀交差点から開南交差点を経て那覇高校前交差点までの県道部分については県において予備設計を行っているところであり、那覇高校前から県警前交差点までの区間については、那覇市道であることから那覇市が整備することになっております。今後、県としては都市計画決定に向けて市と連携を図りながら作業を進めていきたいと考えております。
 次に、県の代表窓口についてにお答えいたします。
 市街地再開発事業は、基本構想を立て、その後、基本計画を踏まえた資金計画及び施設計画等の策定を行い、都市計画決定、事業計画決定、権利変換計画決定という手続を経た上で新たな建築物等の工事着手、完成により事業が完了いたします。現在、農連市場地区市街地再開発事業については那覇市が基本計画を策定している段階であることから、那覇市が個別に権利者及び事業参加予定者と協議を行い、資金計画及び施設計画等を明確にすることが必要であると考えております。
 次に、県営住宅の建設についてお答えいたします。
 県営住宅の建設は、復帰の昭和47年から始まり、現在の管理戸数は約1万7000戸となっております。これらの既存団地の中でも建設初期に建てられた県営住宅は築後約30年を経過し、躯体の老朽化により安全性が問われているほか、住機能の陳腐化が進行している状況にあることから建てかえが緊急な課題となっております。このため、県営住宅の整備においては、新規建設を抑制し建てかえを重視した整備方針としております。このようなことから、那覇市農連市場地区市街地再開発事業における県営住宅の新規建設については、現時点では厳しい状況であります。
 次に、連絡調整会議の開催及び協議会の設置についてお答えいたします。
 那覇市では、農連市場地区市街地再開発事業の諸課題について、確認・整理、協議を行うため、沖縄県企画開発部や那覇市企画部等の15の行政機関及び沖縄県経済連農業協同組合連合会等で構成する農連市場地区再開発連絡会議を平成11年度に発足しております。また、協議会の設置については、現在、那覇市は基本計画を策定している段階であることから、まず那覇市が個別に権利者及び事業参加予定者と協議を行い、資金計画及び施設計画等を明確にすることが重要であると考えております。
 以上であります。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 那覇市農連市場地区市街地再開発事業の御質問のうち、防災上の問題点はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
 農連市場地区は密集市街地で、農連市場の建物は木造で老朽化が著しく連檐構造となっており、市場周辺も住宅、店舗、事務所等の木造建物が多い状況となっております。また、道路は4メートル未満の路地等狭隘道路が多い状況となっております。さらに、農連市場一帯は、早朝の出荷時間帯には一時的に多数の人や車両が集中すること等から火災時には延焼拡大の危険性が大きいこと、救急車等緊急車両の通行に支障を来すおそれがある等消防防災上の課題があると考えています。
○企画開発部長(花城順孝) 那覇空港の整備について、住民合意形成方式についての御質問にお答えします。
 昨年12月の交通政策審議会航空分科会答申では、一般空港の滑走路を新増設する際には、構想、計画の段階から情報を公開し、住民の合意形成を図りながら事業化すべきであることが示されております。また、本年3月には国から住民の合意形成を図るための指針案が示されております。このようなことから、那覇空港については滑走路増設の検討に先立つ総合的な調査の段階から積極的に情報を公開し、住民合意形成を図ることとしております。
○具志 孝助 再質問を行います。
 農連市場、今お聞きしましても県の方が市の方の基本計画が上がってきて、それで資金計画も示されて初めて検討になるというんですが、私は、一番の問題になっているのはあの市街地再開発事業の中に県営住宅を取り込むことができるか。県営住宅を取り込むことができない市街地再開発事業というのは絶対にこれはおぼつかないと思うんです。あれだけの面積、権利床、あるいは保留床を民間部門に全部賄わせるとなるとこれはとてもじゃないけれどもできない。県営住宅をそこに設置することによってあの事業の見通しが立つと思っているんです。
 今、土建部長は、県営住宅は建てかえを中心にやっているんだと言っているんですが、建てかえで構わないんです。那覇市内にある県営住宅、例えば松川県営住宅が昭和52年ないしは53年に建築されている。これの法定建てかえ年数を見ますと、あと七、八年ぐらいでは来るわけですよね。あそこの他にある既設の県営住宅を建てかえするときにこの部分を市街地再開発事業の方に取り込んでやるというような基本的な計画が県の方で政策決定しない限り、那覇市における事業の基本計画というのは成り立たないと思うんですよ。今は厳しい状況にありますというものですから、この県営住宅を取り込んだ事業計画の絵が描けないという状況にあるわけですから、どうにもならないというようなジレンマに立つわけです。
 そういうようなことで、改めてこの県営住宅を取り込む可能性、それについて土建部長と、それからそれらの話し合いをするために政策調整監が那覇市としっかりした協議を持たないといけないと思うんです。政策判断に基づいた形でないとこれはできないとこのように考えますので、土建部長と政策調整監からの答弁をお願いいたしたいと思っております。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後2時31分休憩
   午後2時32分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 土木建築部長。
   〔土木建築部長 安慶名正行君登壇〕
○土木建築部長(安慶名正行) 再質問にお答えいたします。
 農連市場、現に計画の中で県営住宅の建設についてですけれども、那覇市農連市場地区への県営住宅の建設の方法としましては、議員おっしゃるように新規建設のほか、当該地近郊にある古い県営団地を廃止して農連市場地区へ建てかえする方法が考えられます。その方法にしましても、建てかえ対象の県営住宅が当該近郊にないということもあって現時点においては難しいという状況でございます。しかしながら、当地区における県営住宅の建設については那覇市と連携して可能性についていろいろ検討していきたいというふうに思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後2時34分休憩
   午後2時36分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 比嘉副知事。
   〔副知事 比嘉茂政君登壇〕
○副知事(比嘉茂政) 私が担当の副知事でありますので、私の方でお答えします。
 プロジェクトを立ち上げるには、対費用の効果、そのほかいろんな権利関係、これをすべて総合的に検討して政策判断をしないといけませんので、ただいまの質問のように県営住宅をつくる云々ではなくて、総合的な観点から検討をして答えを出さなきゃならないと思っております。したがいまして、私どもは今の件については私の段階まで上げてしっかり検討して結論を出したいと思っております。
○新垣 哲司 去る12月1日に御逝去された渡久地健議員、大変残念に思います。哀悼の意を表したいというふうに思っております。
 それでは一般質問に入ります。
 まず、県立南部病院の廃止問題等々についてであります。
 三者協議会やあるいは検討委員会でも8回検討をされてまいりました。検討委員会を開くたびにこの南部病院の廃止の状況は非常に悪くなっております。ない病院をつくるんであればわかるんですが、ある病院を廃止すると。それもニーズもあるということで非常に地域にとっては深刻な問題でございます。
 これから逐次質問をしてまいりたいというふうに思っているところであります。
 (1)点目に、高度・多機能病院(県立那覇病院)計画に伴っての規模縮小及び機能低下について、以前の説明報告と現在の計画が違うが、なぜこうなったのか具体的に説明を願いたい。
 (2)番目に、県立南部病院がこれまで果たしてきた役割を踏まえ、医療ニーズの高い診療部門及び救急を引き続き実施するなど医療の質を落とさないようにとの病院検討委員会からの報告書についてはどうなっておるか。
 (3)番目に、市の行政当局と南部地区医師会及び関係機関との三者協議会について。
 三者協議会においては、県側が県立病院の果たすべき役割等について検討して進めていることに対して協議をし県へ要請することを決定したとのことでした。その当時における県立南部病院の廃止や経営移譲等についての報告はないが、県民に全く理解できません。明確な答弁をお願いします。
 (4)点目に、第8回幹事会において初めて廃止・経営譲渡について議論されたが、県は当初からこのような考えでいたのか、明確に答弁を願います。
 (5)番目に、糸満市議会において全会一致の存続の採決がなされました。その重さについてはどう思うか。
 次に、知事部局職員の人事異動についてであります。
 沖縄県における大学卒業及び高校卒業生の就職希望は圧倒的に公務員が人気があります。現に県庁や市町村の職員採用試験には採用予定の数倍の若者が応募し、試験を受けております。そこで運よく採用されれば、若者は公務員としての使命感に燃え、県民や地域住民に奉仕すべく日夜業務に専念するものであります。しかし勤務年数を重ね、係長、補佐、課長と進むにつれ職員の間に挫折と不満が積み重なっていくのであります。
 公務員は、法令の規定によって採用されているのでその身分も法令によって保障されております。それだけに職員の活用はその個人の能力を最大限に生かせるように配慮され、職場環境も整備していくのが任命権者に課された責務と思うのであります。職員もこれにこたえて公僕としての自覚を持って職務を全うする義務が課せられているのは当然のことであります。そこには任命権者は公平、透明な人事行政を行う必要があり、職員は人事の結果に一喜一憂することなくみずからの職務に自信と誇りを持って当たっていくのが必要であります。今申し上げたことは公務員における人事の原則であり、理想であります。
 しかし、現実はどうなっているのでしょうか。問題は人事を握る一握りの役人の認識であり、県政がかわって人事を自由に動かすようになると、あたかも自分が天下をとったような気分になる者が出てくることにあります。前県政の大田県政の2期目のときも一部の何名かの者が人事を意のままに動かし、地域人事、隔たった人事と県庁職員の間に不満が充満し、末期的症状との声も聞かれたのであります。
 今、稲嶺県政においてもまさに同様のことが言われているのであります。もちろん知事はこのようなことを知るはずがありません。課長等以下の人事は担当部長に任されていると思うからであります。一部の者の意向によって異動の部署、昇任等の差別が出るということであり、人事の直接の担当でない者が次はだれを昇任させるか、ここに異動させるかと公然と口にし、それが人事のときにそのとおりになるというから不思議で、一体、今の県政の人事はどうなっているのかとの声が多く寄せられているのであります。一握りの者が県庁をバックにし人事をほしいままにしているという実態が現実にあるとするならば問題である。まじめに一生懸命張り切っている職員がかわいそうであります。能力もあり、仕事もできて向上心もある職員が総務部等の中枢部で仕事がしたいと何度も異動を申し上げても認められないのに、同じ人が何度も総務部を行ったり来たりしている。そして中枢部におれば昇任も早いということが事実であれば、多くの職員はやる気を失うと思います。
 そこで質問いたします。
 (1)、職員から提出される自己申告書の人事行政の中での位置づけを伺いたい。拘束されるものであるか、または参考程度のものか。
 (2)、本人の希望する職場や職種への配置はどの程度満たされているか。
 (3)、部局間の異動は人事方針として定着しているか。
 (4)、職員の中には、本人の希望とは関係なくほとんどかい庁だけを回されている者がいるようだが、何か理由があるのか。
 (5)番目に、職員の中には本庁だけでしかも総務、企画等の中枢部だけを異動する者もいるとのことだが、その割合はどうなっているか。
 (6)、県の採用試験を受けて同じ条件で採用された職員でありながら、総務部や企画等に配置されたらその後の配置職場や昇任に有利との声が職員からも聞こえるが、その実態はどうなっていますか。
 (7)、人事の基本方針は、職員の能力を最大限に生かせるよう適材適所に配置を行うことにあると思うが、一部の職員だけを優遇した人事が行われているとしたら問題であり、現場においては職員からの不満が充満しているが、どのように考えますか、伺いたい。
 大きい3点目に、平和の道構想についてであります。
 この南部においては、本島一周線、全島の道路の整備をされている中で南部だけが整備をされてないということで、去る大学院大学の選考においても県内においては大変優秀な地であるというふうにされたんですが、東京の関係者によるとアクセスが悪い、道路がないということで大学院大学を見逃した経験があります。そういうことで一刻も早くその道路の整備が必要でございます。そのために何回となく質問しました。安慶名土建部長は早速動いていただきまして、今これが動いている様子でございます。どうぞあれからの進捗状況の答弁をお願いしたいというふうに思っています。
 きょうはまた再質問も準備しております。これから再質問をやっていきたいと思います。賢明なる答弁をお願いいたしまして、この場をおります。
○病院管理局長(平井哲夫) 高度・多機能病院計画に伴っての説明報告及び高度・多機能病院検討委員会の報告書について一括してお答えをいたします。
 県立病院の今後のあり方検討委員会では、民間医療機関等の整備の進展や公的医療機関に対する医療ニーズへの対応の必要性、県財政や病院事業経営の厳しい状況を背景に、県立病院の役割・機能及び経営・運営の両視点から総合的な検討を行っており、病院事業の構造的な部分を含めた抜本的な見直しが必要であるとの認識のもとに論議が進められております。検討に際しましては、御質問の高度・多機能病院検討委員会報告書もあらかじめ提供しており、当該報告書の内容も含めた総合的な観点から論議が進められているものと理解をしております。
 なお、県立病院事業の改革については、本年3月に策定されました「新沖縄県行政システム改革大綱」にも位置づけられており、行財政改革の観点からも重要な取り組みになっております。
 それから、糸満市及び南部地区医師会からの要請に対する報告についてお答えいたします。
 糸満市長及び南部地区医師会長からは、本年7月から8月にかけて県立南部病院の規模縮小及び機能低下に反対する趣旨の要請書が提出をされております。この時期は、県立病院の今後のあり方検討委員会幹事会において、県立病院のあり方に係る総論部分の議論を行っている段階であり、南部病院を含めた個別の病院の方向性についてはまだ整理されていない状況でありました。
 なお、当該要請書等につきましては、その後の幹事会に提供しており、それらを踏まえた検討が行われてきております。
 それから、廃止または経営移譲は県の当初からの考えだったのかについてお答えいたします。
 あり方検討委員会及び幹事会においては、客観的な立場から検討をいただくためにあらかじめ県の案を提示する形ではなくて自由に論議する形で進めてきております。本年1月から6月の間には県立病院の現状と課題について共通認識を得るために委員会、幹事会合同で各地区医師会等との意見交換、各県立病院の現場視察等を行いながら論議が進められてきております。7月以降の幹事会においては各県立病院の方向性を含めた論議が行われてきたところであり、これらの検討に基づいて幹事会報告がまとめられたものであります。
 次に、存続を求める糸満市議会の採決についてお答えをいたします。
 県立南部病院につきましては、委員会設置後、糸満市議会を初め糸満市長、南部地区医師会からそれぞれ要請書、意見書が提出されておりますが、その都度委員会、幹事会に提出しており、それらを踏まえた検討が行われております。また、さきの住民大会決議、南部市町村会からの要請等についても委員会に提供することとしており、さらに糸満市からの申し入れを受け、次回の委員会では糸満市からの意見聴取とそれに基づく意見交換も行うこととしております。したがいまして、今後の委員会においてもこれらの地域の意見等も踏まえた上で検討が行われるものと考えております。県といたしましては、あり方検討委員会からの提言を受けた後、県としての実施方針等を検討することになりますが、委員会からの提言は尊重していきたいと考えております。
 以上でございます。
○病院管理局長(平井哲夫) 高度・多機能病院計画に伴っての説明報告及び高度・多機能病院検討委員会の報告書について一括してお答えをいたします。
 県立病院の今後のあり方検討委員会では、民間医療機関等の整備の進展や公的医療機関に対する医療ニーズへの対応の必要性、県財政や病院事業経営の厳しい状況を背景に、県立病院の役割・機能及び経営・運営の両視点から総合的な検討を行っており、病院事業の構造的な部分を含めた抜本的な見直しが必要であるとの認識のもとに論議が進められております。検討に際しましては、御質問の高度・多機能病院検討委員会報告書もあらかじめ提供しており、当該報告書の内容も含めた総合的な観点から論議が進められているものと理解をしております。
 なお、県立病院事業の改革については、本年3月に策定されました「新沖縄県行政システム改革大綱」にも位置づけられており、行財政改革の観点からも重要な取り組みになっております。
 それから糸満市及び南部地区医師会からの要請に対する報告についてお答えいたします。
 糸満市長及び南部地区医師会長からは、本年7月から8月にかけて県立南部病院の規模縮小及び機能低下に反対する趣旨の要請書が提出をされております。この時期は、県立病院の今後のあり方検討委員会幹事会において県立病院のあり方に係る総論部分の議論を行っている段階であり、南部病院を含めた個別の病院の方向性についてはまだ整理されていない状況でありました。
 なお、当該要請書等につきましては、その後の幹事会に提供しており、それらを踏まえた検討が行われてきております。
 それから廃止または経営移譲は県の当初からの考えだったのかについてお答えいたします。
 あり方検討委員会及び幹事会においては、客観的な立場から検討をいただくためにあらかじめ県の案を提示する形ではなくて自由に論議する形で進めてきております。本年1月から6月の間には県立病院の現状と課題について共通認識を得るために委員会、幹事会合同で各地区医師会等との意見交換、各県立病院の現場視察等を行いながら論議が進め られてきております。7月以降の幹事会においては各県立病院の方向性を含めた論議が行われてきたところであり、これらの検討に基づいて幹事会報告がまとめられたものであります。
 次に、存続を求める糸満市議会の採決についてお答えをいたします。
 県立南部病院につきましては、委員会設置後、糸満市議会を初め糸満市長、南部地区医師会からそれぞれ要請書、意見書が提出されておりますが、その都度委員会、幹事会に提出しており、それらを踏まえた検討が行われております。また、さきの住民大会決議、南部市町村会からの要請等についても委員会に提供することとしており、さらに糸満市からの申し入れを受け、次回の委員会では糸満市からの意見聴取とそれに基づく意見交換も行うこととしております。したがいまして、今後の委員会においてもこれらの地域の意見等も踏まえた上で検討が行われるものと考えております。県といたしましては、あり方検討委員会からの提言を受けた後、県としての実施方針等を検討することになりますが、委員会からの提言は尊重していきたいと考えております。
 以上でございます。
○総務部長(仲田輝享) 知事部局職員の人事異動における自己申告書、本人の希望、部局間の異動、出先機関のみの異動について一括してお答えします。
 自己申告書は、毎年の定期人事異動において全職員から健康状態、家族の状況、異動希望等について申告をさせ、これらの事情も考慮して実施しております。
 人事異動に当たっては、各所管部局の意見、全所属長のヒアリングも実施した上で職員の能力・経験・適性等を勘案して行っているところであり、必ずしも本人が希望する職場等に配置されるとは限りません。また可能な限り各部局間、本庁・出先機関及び出先機関相互の異動を推進し、人事の活性化等に努めているところであります。特に新規採用職員については、行政の総合的な判断力を涵養するため原則として本庁勤務を3年間経験させた後、離島などの勤務を義務づけております。また、採用後10年前後は幅広い経験をさせることにより行政能力を高めるため異なった分野への異動や直接県民と接する職場への異動を積極的に行っております。同一部局もしくは出先機関に長期間勤務している職員については、その職が専門的知識、長期にわたる経験を要するもの、生活の本拠が離島など遠隔地にあって、そこでの勤務を希望している者など以外は積極的に他部局または本庁への異動を行っているところであります。
 次に、本庁の総務・企画部門のみの異動と昇任、職員の不満についてお答えします。
 毎年度の人事異動では、職員の幅広い行政能力を培うため各部局間等の異動を積極的に推進しているところであり、総務部と企画部だけを異動している職員はおりません。また、職員の昇任は厳格な基準のもと適正な人事評価を行い、あらかじめ人事委員会の承認を得て実施しております。特に課長級以上への昇任については、人事委員の承認を得た上で適正な人事配置に努めているところであります。毎年知事部局においては2000名余の職員を異動させており、必ずしも本人が希望する職場へ異動できるとは限りませんが、より公正公平、適材適所を旨として実施していきたいと考えております。
 以上です。
○土木建築部長(安慶名正行) 平和の道構想についての進捗状況についてお答えいたします。
 糸満市の沖縄戦跡国定公園内にある南部戦跡や史跡等へアクセスする道路は、県としても必要であると認識しております。このため、県提案ルートや検討可能な地元要望案について精度を高めた調査を行い、環境部局や糸満市と調整を図りながらルート設定の作業を進めているところであります。ルート案についての合意形成が確認でき次第、公園区域との整合、環境影響評価、道路区域の変更等について関係機関と協議していきたいと考えております。
 また、事業採択に向けては費用対効果や事業費の確保など厳しい状況下にありますが、早期事業化に向けて努力していきたいと考えております。
○新垣 哲司 再質問をいたします。
 まず、県立南部病院の廃止問題に絞って行います。
 県立南部病院の廃止問題については、さきの玉城ノブ子議員や今の私の質問に対して答弁をいただきましたが、とても納得できるものではありません。なぜ廃止するのかとの利用者の声に答えていません。
 確かに県の財政の問題、病院経営の赤字の累積、また民間にできるものは民間に任せるという民と行政との役割分担の必要性については、行政改革を進める県の立場からある程度の理解はできます。しかし、県立病院というのはその地域の住民の生命を預かる重要な任務を背負っており、民間にできないからこそ県立病院ができたとの経緯があるはずであります。しかも地域の住民から絶対的な必要度があり、利用者も多いとの現実がある中で廃止を推し進めることは納得がいかないのであります。廃止するには地域住民の納得するだけの理由が必要であります。
 先ほどの県の答弁では、地域が納得するとは到底思えません。次の質問に明確にお答えを願いたいというふうに思っております。
 1点目に、検討委員会は、糸満市南部病院の廃止の理由の1つとして南部病院の利用者の8割が糸満市民であることを挙げているが、糸満市という地域の者が多く利用することがなぜ廃止の理由になりますか。利用者が多いということは、いかに南部病院が地域に浸透し頼りにされているかという証明ではございませんか。これが廃止する理由になるのは納得できません。知事の明確なる答弁を願います。
 2番目に、南部病院が廃止された場合を想定し、糸満市消防本部が糸満市摩文仁から救急医療体制のある豊見城市、東風平町の民間病院までの距離と南部病院までの距離とを比較したところ、豊見城市と東風平町までの救急搬送の時間は、南部病院までの延べ2倍になるとの結果が出たことであります。一刻を争う救急搬送に倍の時間がかかっては人命に影響が出るのは明らかであります。この点について県はどのように考えておられますか、答弁を願います。
 3点目に、南部病院の廃止問題については、南部地域の住民の願いは病院の存続であります。県は、既定方針どおりあくまでも廃止を考えるのか、または存続に向けた県内部で検討する余地があるか、知事自身の考えをお答えを願います。
 次に4番目に、昭和45年、この地域は松下電器が進出する予定でございました。しかしオイルショックで松下電器がそこに進出してくることができません。当時の屋良知事、糸満町の伊敷喜蔵町長を初め企業誘致したいということで松下電器にお願いに参りまして、社長ほか役員に何回となくお会いしました。それで断念をしたところでございますが、特に去る大戦で多くの犠牲者が出ているということで、ここに病院が必要ということで当時の上原重蔵市長と西銘知事とお会いすることになっております。それで病院が決定しているわけでございますが、そのときのこの地域における今までの皆さんの苦労、そしてまた病院ができる礎、これは今の検討委員会が知っておられますか。知っておれば、その病院の廃止ということが出ないはずであります。その辺も踏まえてしっかりとしたこの南部病院ができた背景も説明を願いたいというふうに思っております。
 これは「私の歩んだ道」、(資料を掲示) 当時の糸満市の収入役である島袋仁栄さん、昭和45年の当時の土地の買収に当たった課長でございます。しっかりとした土地買収から企業誘致するまで、病院を建てるまでの立派に内容が詳しくあります。後でまた知事にも参考に読んでいただきたいと思いますが、そういうことでこのような立派なものがあるわけでございます。どうぞお答え願います。
 次に、県職員の人事異動問題についてであります。
 私がこの問題をあえて取り上げたのは、それなりの理由があります。確かに県職員の人事問題は、知事の専権事項であり、議員といえども軽々しく介入すべきでないということは重々知っております。何年も前からこの問題について多くの現場の県職員から相談を受けたのでありますが、知事の専権事項ということで今まで不問に付してきたのであります。しかし、あってはならない人事がまかり通っており、ますます悪くなっているとの相談を最近も受け、このままの状態を許せば稲嶺県政の信頼にかかわると判断したところ、ここに取り上げたのであります。
 我々は、稲嶺県政の誕生のために死に物狂いに戦い、稲嶺県政を確立させた以上、これを守る責任を負っています。一部の一握りの職員の身分のみというようなわけではありません。
 そこで知事に伺いたいと思います。
 県職員の人事は、公正公平に行われていると考えるが、とりわけ職員の人事の実態について職員から話や訴えを聞いたことがありますか、御所見を賜りたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後3時3分休憩
   午後3時6分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 新垣哲司議員の再質問の中で、知事は人事の問題について何人かから話を聞いたことがあるかと。
 全くございません。
 その理由を申し上げます。
 私は、知事になる前、ある企業人でございました。時間をかけて全管理職の話を個別に聞きました。県庁は大世帯でございます。人によって聞く、聞かないということができると、一人一人の考え方が全部違います。その意味でお聞きしておりません。
 ただ、いわゆる部局長を私は選出するときに、当然公平公正な人事を適用するとにらんだ者を私はそれを選んでおります。その意味で私が信頼する人に一切任せております。
 ただ、こういう基本的な考え方があります。私は、ことしの正月、新入職員に対しても、あるいは管理職全員に対しても人事の問題についてお話を申し上げました。それは、今後の人事のあり方で一番重要なのは何かと。これは県民の視線に立って県民の立場から見てくださいということです。それはどういうことかというと、時代時代によって、昔は官というのはある意味では判こを持って許可する、しないというのが一つのあり方でした。しかしこれからの官のあり方というのは、あくまでも住民の視線に立って、目線に立ってそして行政を行うということです。だからその立場に立って人事管理も行ってほしいということを申し上げました。
 というのは、どういうことが起きるかといいますと、県においては大体人事というのは3年ローテーションでございます。しかし真剣な形で本当に民の考えを受けるとなると、どの職場にもある程度プロフェッショナル、専門家がいて親身に対応してくれない限りは、とてもこれは対応はできないわけです。そうしますと現実には専門家というのは余り動かないわけですから、例を挙げますと例えば土建部とか農林には技術畑の専門家がおります。そうするとトータル的にこういうローテーションを約3年置きでやるとなると、より早いところが出るわけです。そうすると場所によってはある程度非常に専門家が少ないと。しかしそれはどういうことかというと、その専門家に、そこにあらわれる県民の立場からいうと、どうも素人ばかりじゃ困るということがあるわけです。
 そこで私は人事異動については、十分その視線に立って場合によっては少々ローテーションを崩しても対応できるようにしてほしいということを強く要望してございます。
 それから、基本的にもっとございますのは、これからの国際化の時代、あるいは今の世の中の流れを出てきますと非常に人材というか、能力といいますか、実績といいますか、そういうものを年功序列ではなくして、そういうものを大変評価するという時代になっております。当然これからも県としてもそういう時代に対応するための対応をしてくれということになると思います。
 ただ難しいのは、能力評価が民に比べて官の場合は非常にしにくいという点がありますけれども、これからもやはり今どこでもその辺についてはかなり研究をしておりますので、しかるべき時期にはそれに対応されたような形の当然資格評価というのは出てくると思います。そういうような資格評価が出てきますと、これはまたなかなかそれに適用されない方の難しさがあります。
 一般的に言いますと、人事の場合は、これはどの国もどこでも共通ですけれども、これは個別の場合には差がありますけれども、大体満足している人が3分の1であれば、不満足の人が3分の1、どうでもない人が3分の1というのが一般的な状況でございます。
 しかしその中で、やはり私どもとしては、新垣議員が御指摘のように目を細かく配ってできるだけ配慮をしながら、きめ細かく人事を行っていくということが大変に重要だと考えておりますので、そういう気配り、目配りにつきましては担当部局としては十二分に配慮するようにいたします。
○副知事(比嘉茂政) 南部病院の件の再質問にお答えいたします。
 議員もおっしゃっていたように、県立病院のあり方については、復帰後30年も経過して県立病院の役割、それから民間病院の充実、それから県立病院の経営、いろいろな問題がありますので、それを検討しているのは間違いありません。これはあり方検討委員会を発足させて検討してもらっております。したがって、今御質問があった4点のうち3つ、糸満市の方々が利用しているからとか、そういう問題、それから距離が遠くなるんじゃないかとか、いろいろ課題を議論しているのは間違いないと思います。私も正式に取ったわけじゃありません。それは、この間の糸満市の市長を初め代表が見えて、そのときに私はその決裁文の中で知りました。そういう議論はあるのは間違いありません。
 どういう状況かといいますと、あり方検討委員会の幹事会で議論をしております。幹事会の報告が出ているはずです。その幹事会の内容は、それはインターネット・ホームページでずっと出ていますから、何もそれは秘密でも何でもありません。これを受けて検討委員会で今検討をしているわけであります。その検討委員会の中に糸満市長もぜひ意見を申し述べたいとおっしゃっていましたので、ぜひ委員会へまたお呼びして意見を開陳してもらい、また意見交換をするということになっております。これを受けて最終的には県に報告書が出ることになっております。その報告書をもとに今までの議論も整理して集約して、その結果として県はまた再度いろいろな面から検討して結論を出すということになりますから、決して今議論されているように南部病院がすぐ直ちに廃止あるいは経営移譲──これは検討委員会あるいは幹事会が確かにそういう議論はされているけれども──私どもはこれは正式にまだ受けておりませんので、その受けてないときに県がどうのこうの今答えるわけにはいかないわけであります。
 それは、近々検討委員会から報告が上がると思いますから、その時点でしっかり南部地区の要請、糸満市の要請、それから南部市町村会の要請、これも踏まえた形で検討していきたいと思っております。
 あと、南部病院の建設のいきさつについては私はよくわかりませんので、局長に答弁させます。
○病院管理局長(平井哲夫) 南部病院をつくった背景ですけれども、本県においては県立病院全体なんですけれども、本県の医療事情というのは地理的と歴史的背景によって以前にはかなり立ちおくれた状況でございました。そういうことで、これまでは県立病院主導の医療体制が形成されてきたということでございます。
 南部病院におきましても、南部病院は昭和57年、沖縄保健医療基本構想の中で那覇市と浦添市及び周辺離島市町村が那覇保健医療圏として、そしてまた糸満市を含むその他の市町村が南部保健医療圏として位置づけられておりまして、当時の南部保健医療圏は医療機能の整備がおくれている状況でございました。南部病院は、当時の南部保健医療圏における中核病院として地域医療を確保する目的で51年に整備されたわけですけれども、その後の交通事情の改善が進む中で平成元年には県の保健医療計画では浦添市、西原以南の本島南部地域及び周辺離島地域が一つの南部保健医療圏として設定をされております。
 また、この間にも南部保健医療圏の中では民間医療機関が中心に機能が整備をされ、進展をしてきております。現在、南部保健医療圏は病床数では基準病床に対して過剰な状態になっておりまして、医療機能が量的にも充足されている状況でございます。
 以上でございます。
○新垣 哲司 答弁漏れがありますけれども……。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後3時17分休憩
   午後3時18分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 新垣哲司君。
   〔新垣哲司君登壇〕
○新垣 哲司 副知事は、検討委員会を尊重していくというんですが、尊重できないのが今南部における状況なんですよ。
 というのは、病院のベッド数を減らそうと言いながら、何回となく検討委員会を持ったところ、今度は病院まで廃止すると。そういうような検討委員会は信用できません。この検討委員会の名前、公表できるならばやってください。どういう職種の方々ですか。
 お願いします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後3時19分休憩
   午後3時20分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 病院管理局長。
   〔病院管理局長 平井哲夫君登壇〕
○病院管理局長(平井哲夫) 委員会の構成についてお答えをいたします。
 今、委員会は15名の委員で構成されておりまして、医療を受ける側を代表する者が4名でございます。医療を提供する側を代表する者が4名でございます。市町村を代表する者が2名でございます。学識経験者等で5名となっております。
 以上、15名でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで全部終了いたしました。
 次会は、8日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後3時22分散会

 
20030507000000