平成16年(2004年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 7月12日
 


○議長(外間盛善) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 6月25日から7月7日までに受理いたしました陳情19件は、お手元に配付の陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会及び議会運営委員会に付託いたしました。
 その他の諸報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
   ――――――――――――――
   〔諸般の報告 巻末に掲載〕
   ――――――――――――――
○議長(外間盛善) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、乙第1号議案から乙第13号議案までを議題とし、質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 呉屋 宏君。
   〔呉屋 宏君登壇〕
○呉屋  宏 おはようございます。
 ただいま議長からのお許しをいただきましたので、児童福祉行政について5つの点に所見を入れながら質問をさせていただきたいと思います。
 その前に、去る6月6日の選挙で県議会に籍を置くことになり、今後4年間、先輩の皆さん方には御指導をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 そして、私たち維新の会の3人は、地方自治の本分は、執行機関の事務処理を監査する任務である以上、私たちはフラットな立場でその任務に当たるべきだとし、新会派を結成することになりました。与党や野党の立場ではなく、また政党の立場でもない県民の立場で議会に臨んでいきたいと考えております。もちろん議会外での政党活動を否定するものではありません。
 20世紀の中央集権の時代から21世紀の地方分権に時代が変わってまいりました。地方は地方なりに政策立案を行わなければなりません。執行機関の考え方と県民の代表である議会が住民の声を反映させ、お互いの意見がブレンドすることによって県民の立場に立った沖縄らしい政策を立案することができることと考えております。
 憲法93条にあるように、「地方公共団体には、法律で定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。」とあります。その法的性質を合議制機関や意思決定機関、内部的機関であるとされているように期待したいと思っております。
 それでは本題に入らせていただきます。
 私は、今回、児童福祉行政についてということで1項目しか通告をしておりません。その中で、少子化対策と児童虐待について5つの質問を行ってまいります。執行機関の皆さんには、ぜひ誠意のある御回答をお願いを申し上げたいと思います。
 それでは質問に移ります。
 まず、少子化対策についてお伺いをいたしますが、今後の子育て支援のための施策の基本的方向についてと。つまり、エンゼルプランは平成6年12月に当時の文部、そして厚生、労働、建設の4大臣が合意をして施策がスタートをいたしました。
 その中身は、子育てと仕事の両立の支援、家庭における子育ての支援、子育てのための住宅及び生活環境の整備、ゆとりある教育の実現と健全育成、子育てコストの軽減とされております。
 それを受けて、国は緊急保育対策等5カ年事業を実施し、施策の展開を行ってまいりました。
 本県は、現在の人口を維持するとされている合計特殊出生率の2.08の数値を割り込んできたのが実は平成元年であります。少子化の傾向が始まってから16年がたっているわけでありますが、国からおくれること2年後の平成9年からエンゼルプランが5年計画でスタートしているわけであります。
 その中身が、子育てに喜びと生きがいが持てる環境づくり、子供の権利と最善の利益を尊重する環境づくり、社会全体で子育てに取り組む環境づくり、これを柱として施策が行われているわけでありますが、そして現在の第2弾の平成14年から3年計画で第2弾が進行している途中でございます。
 それを受けて、その数値を検証してまいりますが、平成元年2.08の数値を割った2.02からエンゼルプランがスタートした平成9年が実は1.81%の数値でありました。平成10年が1.83、11年が1.79、12年が1.82、最終年度の13年は1.83と、一時横ばいを続けたこの5年の計画の中で、第2弾のエンゼルプランがスタートすると同時に、その数値が実は悪くなっていっているわけであります。去年の平成15年の数値は1.72まで落ちてきております。
 国の施策で少子化対策の1番目に来るのが待機児童の解消だと思っております。
 私は、待機児童については児童福祉法の法律違反であると考えております。児童福祉法の第2条には、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」とされております。そしてまた第24条には、「市町村は、保護者の労働又は疾病その他政令で定める基準に従い条例で定める事由により、その監護をすべき乳児、幼児又は第39条第2項に規定する児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申し込みがあったときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない。」とあります。
 そのことを踏まえ質問をいたします。
 待機児童の解消策はどのようになっているのか、まずお伺いをしたいと思います。
 次に移ります。
 国のエンゼルプランにもありますが、少子化対策について、子育て支援事業もとても大切な事業の一つであります。しかしながら、現在行われている子育て支援事業は、母親とともに保育園に行かなければならないということになっております。それはそれで評価もできるところなんですが、新たな子育て支援のための支援事業を展開する必要があると思います。
 児童虐待にも少し絡んでまいりますが、一般の虐待は複数の子を育てている母親が24時間、それも365日、アパートの一室で行っている場合にもそれを否定することができないとされております。午前中だけ保育園に通うことができたらどんなに助かることかわかりません。現実にそれを願う母親は少なくありません。しかしながら、現在の保育行政は、保育に欠けなければ保育園に入れることができないとされております。もし、沖縄の30年ほど前のような公民館での午前中保育、つまり公民館幼稚園のようなことができるようになれば、その問題は解決できるのではないでしょうか。また、このことが教育委員会の教育長期計画にある地域での子育て機運を高めることになり、現在の地域での関係が希薄になっていることも解決に向かうことと考えております。
 私は、平成13年から1年だけの期間限定で児童福祉議員連盟を結成し、子供たちの周りにあるさまざまな問題点を10市町村の議員、12名の議員で調査・研究・討論をしてまいりました。実にその数、1年間で100回前後の回数の勉強会を行ってまいりました。その提言書は、先週、赤嶺議員から知事の方に渡されたことと思います。その提言書にも、認定保育所をつくることによって公民館での認定保育所制度をスタートさせることができると提言がされております。
 厚生労働省が言う保育ではなく、各市町村が独自の基準で認定をし保育事業がスタートをする、このことは公的要素を持つ公民館だから施設整備にも公金を投下しやすく、また地域の関係がより強固な関係になっていくことだと思われます。
 そこで伺います。
 子育て支援事業をどのように考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。また、保育行政を現状に合わせて変えることを考えているのか、お答えをいただきたいと思います。
 次に、児童虐待の対策についてお伺いいたします。
 私は、議員連盟の調査・研究の中でこの児童虐待ほど悲惨なものはないと思いました。当初は対岸の火事のように思えていましたが、県職員から沖縄の虐待の現状をスライドで紹介されたときに、討論できる状況ではなく、全員が言葉を失ってしまいました。今でもそのことをはっきり覚えております。
 私は、児童虐待は早期発見ではなく防止策を考えるべきであり、虐待が行われてからでは親子の溝が埋まることはないと考えております。
 防止策を考えていますと、ある一つのヒントにたどり着くことができました。それが母子保健推進員の活用であります。このことに着目をしたときに、児童の周りにある課題の解決は、この制度を活用することですべてとは申しませんが、ほとんどのことが解決できるのではないだろうかと思いました。
 保育施策の特別保育事業の推進、つまり困っている母親に現場で手を差し伸べられるのは母子保健推進員であります。親元を離れ子育てに不安を持ちながらアパート住まいをしている若い夫婦に相談に乗ってあげられることも推進員であり、小学校就学前の子供たちの家庭を訪問することで虐待が起こっているのかはすぐに発見できるわけであります。そして、毎月訪問すれば母親のストレスの解消を図ることで虐待の未然の防止になるのではないでしょうか。
 母子保健推進員と公民館、そして保育所が三位一体になった施策を展開することができれば、ほとんどの子供たちの課題は解決に向かっていくことだと思います。
 これから質問することは2つありますが、どれも私たち議員連盟で平成14年に提言として県の児童家庭課に提出がされております。
 質問に移ります。
 児童虐待の早期発見ではなく、防止策をお示しください。
 そして2つ目に、母子保健推進員を活用した虐待防止策を考えたことはないのか、それもお伺いをしたいと思います。
 残り時間がもう少しありますので、答弁によっては再質問を行いますので、よろしくお願いをいたします。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
 呉屋宏議員の御質問にお答えいたします。
 児童福祉行政についてのうち、待機児童の解消策及び保育行政について一括してお答えいたしたいと思います。
 県では、待機児童解消のため保育所の創設及び増改築等や認可外保育施設の認可化促進を行い、平成14年度から15年度までの2年間で20カ所の整備を行い、2111人の定員増を図りました。平成16年度についても13カ所の整備を行い、977人の定員増を予定しております。県としては、保育に欠ける児童については、児童福祉法に基づく認可保育所での保育の実施を基本と考えております。そのため、保育所の整備のほかに認可外保育施設の認可化を促進するための保育士派遣モデル事業を実施するとともに、保育所創設専任チームによる市町村への指導・助言を行い、待機児童の解消を図っております。
 さらに、平成17年3月までに市町村の保育計画を踏まえ、具体的な数値目標や施策を盛り込んだ次世代育成支援地域行動計画を策定し、待機児童の解消に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 子育て支援事業の位置づけについてお答えいたします。
 核家族化や都市化により家庭の養育力が低下し、子育て家庭の孤立、負担感が増大している状況にあることから、平成15年の児童福祉法改正においてすべての子育て家庭における児童の養育を支援するため地域子育て支援センター事業、乳幼児健康支援一時預かり事業などの子育て支援事業の実施が市町村の責務として位置づけられております。県におきましては、次世代育成支援のための地域行動計画を平成17年3月に策定し、社会全体で子育てを支援していく環境づくりを行っていきたいと考えております。
 続きまして、児童虐待の防止策についてお答えいたします。
 児童虐待の主な要因として、核家族化、都市化の進展等に伴い家庭や地域における養育機能の低下が指摘されております。特に、出産後間もない時期の養育者は精神的にも肉体的にも過重な負担がかかりやすいことから、そのような養育力の不足している家庭を早期に把握し、その上で必要な支援を必要なときに的確に行うことが重要であります。
 このため、県としましては、児童虐待防止にかかわる関係機関相互が密接な連携を図るための市町村児童虐待防止ネットワークの構築を進めるとともに、市町村が事業主体として実施する保健師等による育児支援のための家庭訪問や一時保育、ショートステイ等の育児支援サービスの実施の促進を図ってまいります。
 さらに、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合に通告義務があることを県民に周知するとともに、地域の民生委員・児童委員、母子保健推進員、婦人会、老人クラブ、NPO等民間団体等との協力を通じて児童虐待の未然防止に努めていきたいと考えております。
 続きまして、母子保健推進員を活用した児童虐待予防策についてお答えいたします。
 母子保健推進員は、ボランティアとして乳幼児健診等への協力や家庭訪問による母子保健事業の紹介や受診勧奨等の活動をしており、平成16年4月現在、各市町村で868人の推進員が委嘱されております。また、相談相手が少なく育児に関する不安を持つ母親が増加しており、母子保健推進員による身近な相談活動が大きな役割を持ってきております。
 児童虐待予防策については、民生委員・児童委員や教育相談員等の相談活動や婦人会、老人クラブ等の地域活動と連携して地域全体の子育て支援の機能を高めていくことが重要であり、母子保健推進員活動もその一翼を担うものと考えております。
 去る7月9日に県下全市町村の母子保健推進員が母子保健活動を効果的に進めるため県協議会が結成されました。今後、母子保健推進員の地域の子育て支援活動がさらに活性化するものと期待しております。
 以上でございます。
○呉屋  宏 それでは再質問をさせていただきたいと思います。
 待機児童の解消策については、これは先週からほかの議員の質問でもいろいろと答えは同じような答えを聞いておりますからよくわかります。
 ただ、知事、ここでその解消策について、今、何が問題になっているかといいますと、私たちは宜野湾市でもそうなんですけれども、なかなか新しい施設をつくることができないわけです。
 これはなぜかというと、都市化されたところでの土地の単価の高さだとか、それは施設の展開をするためにそういうところがあるのですけれども、ただ、それよりももっと大変なのは、いわゆる60名定員の保育園が90名に格上げできない。それは保育単価が60名より90名にした場合に、1人当たりの単価が落ちていくわけですね。そういうような実態を踏まえて60名を90名にふやす努力をしていかないのは、保育園の保育行政のところに何か問題があるから、その定員をふやしていけないわけです。だから、新しい施設をつくっていくということは大切なことなんですけれども、既存の施設でできるだけ増員を図っていく、拡大を図っていくということもまた大事なことだと思うんですね。ですから、待機児童は新しい施設をつくってそれで解消するだけではなくて、分園やあるいは増設を考えていかなければいけない。そのときに一番大事なことは、分園をするときに、あるいは増園をするときに何が問題なのかということをぜひわかっていただきたいと思いますが、そのときにお伺いします。
 今、分園の問題で県内で幾つぐらいの分園が準備予定をされているのか。そしてその施策は厚生労働省の枠外で新たな県施策を打ち込んでいるのかお伺いをしたいと思います。
 そして、子育て支援事業についてでありますが、その子育て支援事業については、一時保育事業だとかあるいは特別保育事業でということもあったんですけれども、そういうことではなくて、現状を踏まえた形の保育事業を何とかそこの中に入れていただきたい。というのは、先ほど知事が答弁をしたように、認可外を認可化することがすべての子供たちが平等に扱えることではないと思っているんです。現状は、子供を預けたいけれどもなかなか預けられないお母さん方の支援のために何とか午前中だけでも、あるいは1日預かってもらいたい。そうすることによってその母親が持っているストレスを少しでも解消ができる。そうすると子供への虐待の影響が出ないわけですから、そういうことを考えていったときに、ぜひその認可化をすることだけが保育事業の推進だということを考えないでいただきたい。これは平等に考えたときに、お母さんがおうちにいた場合に子供を保育園に預けられない現状があるわけです。幾ら認可をつくったって、それは保育に欠けてないわけですから、保育施設に入れることができない。そのことを考えていったときに、子育ての支援事業というのはもう少し抜本的に解消すべきじゃないのか、そういうふうに思いますけれども、そのことについての所見をお伺いをしたいと思います。
 そして最後になりますが、虐待の問題。実は虐待というのは、母親がストレスを感じながら、そのストレスの発散場所を実は外に求めるのではなくて内に求めてしまっているところに虐待が起こってきている現状があるわけです。そうなったときに、そのストレスをいかにとってあげられるかというのが相談相手ではないでしょうか。
 例えば、2歳や4歳の子供たちがいて、そして新しくゼロ歳の子供が生まれてきたときに、お父さんは仕事に行ってなかなか相談をすることができない。そういうときに本当に子育ての経験がある母子保健推進員の方にそれを相談していくことによってそのストレスが共有できるところが出てくるわけでありますから、そこの気持ちの中に持っているそういうストレスを取り払っていただくことが母子保健推進員に課せられた私は大きな、責任をそこに押しつけるわけではないんですけれども、そういうシステムをとっていただいた方がいいと思っております。
 それと、先ほど言いましたように、母子保健推進員は私のところでも年額一番もらっている人でも実は年間4万ぐらいしか交通手当としてもらってないんですね。実は市町村でやっている母子保健推進員は、みんなやるのを嫌がっているんです。ですから、次の人にバトンタッチしたくてもやってくれる人がいない。それで仕方なくやっているのが現状なんですね。そのことをしっかり踏まえて施策に展開していただきたいと思います。
 以上です。
○議長(外間盛善) 休憩いたします。
   午前10時28分休憩
   午前10時28分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 福祉保健部長。
   〔福祉保健部長 稲福恭雄君登壇〕
○福祉保健部長(稲福恭雄) 再質問にお答えいたします。
 本県での保育所の分園方式の導入の実態ということでお答えいたしたいと思います。
 平成10年に規制緩和が行われまして、分園で厨房、医務室は本園との併用でいいですよというふうな形で規制緩和が行われまして、職員も緩和されました。そういうことで、その後県内では3施設が分園を開設しております。
 それから、児童虐待にもつながるようなところで母親の負担軽減というところですけれども、今、県では預かり保育の実施、あるいは病児の一時預かり保育とかそういうようなことに非常に力を入れておりまして、今、議員御指摘のところは非常に大事なところだと考えております。
 以上でございます。
○議長(外間盛善) 休憩いたします。
   午前10時30分休憩
   午前10時30分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 この際、申し上げます。
 次の質問者は上原賢一君ですが、同君は議場に現在おりませんので、発言の通告は効力を失います。
   ――――――――――――――
○議長(外間盛善) 引き続き質問及び質疑を行います。
 吉田勝廣君。
   〔吉田勝廣君登壇〕
○吉田 勝廣 おはようございます。
 一般質問を行います。
 基地問題につきましては、県が発行しております「沖縄の米軍基地」等を知事を初め関係部長が把握していることを前提に問題提起をしながら質問をいたします。
 1、基地問題に対する知事の姿勢と今後の対応について。
 都市型戦闘訓練施設建設問題について。
 ア、この問題に対する知事の姿勢について改めて伺います。
 イ、40日間余に及ぶ区民等のキャンプ・ハンセンゲート前における抗議、反対行動について知事の所感を伺います。
 ウ、米軍や那覇防衛施設局は、工事の着手について県や地元に対して何ら通告なしに強行しているが、法律上許されるのか、その根拠について伺います。
 エ、地位協定3条とは何なのか、改めてその意味を問います。
 (2)、駐留米軍労働者に対する過重労働について。
 ア、県として、雇用者としての政府の責任を明確にし、日本の法令の遵守を徹底させるべきと考えるがどうか。
 イ、前近代的で成果主義が横行する米軍の労働行政に対して厳重に抗議し、その改善と責任者の責任を日本の法律に基づいて処分すべきと考えるがどうか。
 (3)、基地の土地利用対策について。
 ア、沖縄返還協定に基づいて返還された土地の主な跡利用の状況について伺います。
 イ、現在、新都心として跡利用が成功しているが、その原因はどこにあるのか伺います。
 ウ、復帰後及びSACO実施後返還された跡利用の現状について伺います。
 エ、軍転法、沖振法は跡利用に生かされているか。生かされているとすれば事例を挙げて説明を願いたい。
 オ、跡利用における県と市町村の連携はどうなっているか伺います。
 カ、跡利用は都市計画、土地区画整理事業等あらゆる法律を活用して進めなければ成功しないと考えるが、これまでどのような法律を適用してきたのか、主な事例を挙げて説明を願いたい。
 キ、北谷町のキャンプ桑江北側等の跡利用の進捗状況について伺います。
 ク、恩納村の恩納通信所の跡利用の進捗状況についても伺います。
 (4)、海外駐留米軍の再編問題について。
 ア、在韓米軍及び在日米軍の再編問題がマスコミ等で報道されているが、県はどのように把握しているか伺います。
 イ、在韓米軍の陸軍は大幅に削減されるが、在沖陸軍の役割は何なのか。沖縄に駐留する必要があるのか伺います。
 ウ、この際、グリーンベレーなどの県外移設を要請する必要があると考えるがどうか伺います。
 (5)、日米地位協定について。
 ア、今後の取り組みと実現の見通しについて。
 イ、県内外の各団体及び自治体との連携についてどのように考えているか伺います。
 (6)、PCBの処理施設建設について県はどのように処理されているか伺います。これは恩納村の件でございます。
 2、北部振興事業について。
 (1)、平成12年度より事業が開始されて以来、非公共は着実に進行しているが、目標とする人口増が遅々として進んでいないのが現状であります。
 そこで伺います。
 ア、北部市町村、県、国が三位一体となってプロジェクトチームを発足させるなど将来の展望を具体化する必要があると思うがどうか。
 イ、住環境の整備等について国、県の政策面からの強力な支援が必要と考えるがどうか。
 ウ、そろそろ非公共・公共の見直し問題など中間的な総括を行い具体的な問題点を明らかにし、北部振興事業の着実な推進を図ることが求められているが、県はどのような施策があるか伺います。
 3、教育保健行政について。
 (1)、少子化について。
 ア、今後、学校の統廃合が進むと思うが、県の施策はどうなっているか伺います。
 イ、学校が閉鎖されることによって地域コミュニティーが希薄になり、連帯感が喪失し、より過疎化が進むと思うが、県は今後どのように対処していくのか伺います。
 ウ、学校の統廃合による県や市町村の財政に与える影響はどうなっているか、具体的に明示してください。
 エ、少子化に歯どめをかける対策がとられているか、県の対策を伺います。
 4、自然環境と野生動物の保護について。
 (1)、自然再生推進法が2002年成立したが、ヤンバルの海岸線等の整備の見直し計画はあるのか伺います。
 (2)、ヤンバルクイナなど生態系に脅威となっているマングースなどの駆除について早急な対策が必要と考えるが、県の対策を伺います。
 以上で、あとは自席で質問いたします。
○知事(稲嶺惠一) 吉田勝廣議員の御質問にお答えいたします。
 陸軍複合射撃訓練場建設計画に係る県の対応について一括してお答えをいたします。
 陸軍複合射撃訓練場が計画されているレンジ4は、住宅地に近く、これまでにも演習場からの流弾事故が発生していることから、地域住民は大きな不安を抱いており建設の中止を求めていることや、基地負担の軽減を求めてきた県のこれまでの要請や県民の意向に反するものであることから、県はその中止を求めているところであります。県は、同訓練場の建設については金武町と連携し現地の状況の把握に努めており、地元の方々の建設反対の意向を踏まえて同訓練場の建設中止を求めております。
 続きまして、日米地位協定の見直しの取り組みと見通しについてお答えいたします。
 県は、平成15年6月に全国行動プランを策定し、関係方面への要請を重ねてきました。その結果、29都道府県の議会で日米地位協定見直しの意見書が採択されており、国会や主要な全国の団体における見直し決議とあわせ、県内外の各界各層において地位協定の見直しを求める取り組みが行われつつあります。
 また、去る4月には県選出与党国会議員との合同で政府及び自民党の関係要路に対し、政務調査会に小委員会を設置する等の取り組みを強化するよう要請した結果、去る6月16日の自民党の内閣・国防・外交部会合同会議で審議が行われ、外交部会として真剣に検討したいとの方向性が示されたとのことであります。今後はさらに国民世論を盛り上げるとともに、多くの国会議員に働きかけて全国的な運動にし、政府を動かすような形に持っていく必要があると考えており、県としても各団体等と連携しながら積極的に対応していきたいと考えております。
 次に、日米地位協定見直しのための各団体との連携についての御質問にお答えをいたします。
 県としては、日米地位協定の問題は、米軍基地が集中する沖縄という一地域だけの問題ではなく、我が国の外交・安全保障や国民の人権、環境保護などについてどう考えるかという極めて国民的な問題であり、外交責任を負う政府はもとより、地方公共団体、国民一人一人がみずからの問題として受けとめていただくようあらゆる機会を通じて訴えているところであります。今後とも各団体や自治体等と連携しながら、引き続き日米地位協定の抜本的な見直しに向けて取り組んでいきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(府本禮司) 施設建設の根拠と地位協定3条の意味についてお答えいたします。一括してお答えいたします。
 日米地位協定第3条では、「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」と規定されており、米軍及び外務省は、今回の陸軍複合射撃訓練場の建設も同条の管理権に基づくものとしております。地位協定第3条は、同時に合衆国軍隊による作業は、「公共の安全に妥当な考慮を払つて行なわなければならない。」としており、県は、同訓練場の建設計画に対する地域住民の不安や反対の意向にも配慮し、その中止を求めているところであります。
 在韓米軍の再編及び兵力削減に対する県の対応等につきまして一括してお答えいたします。
 今回の在韓米軍の削減と在沖海兵隊砲兵部隊の北海道移転等の報道は、昨年11月末米国において在外米軍の再編方針が示されたことによるさまざまな報道の一端であると理解しております。
 在沖陸軍の役割については、一般的に近隣諸国の通信情報等の収集や衛星通信システムの管理、特殊部隊による同盟軍の支援・訓練、在沖各米軍への燃料供給などであるとされております。県としては、在外米軍の再編が検討されているこの機に、海兵隊を含む在沖米軍兵力の削減についても思い切った変革がなされるよう日米両政府に協議していただきたいと考えており、今後とも米軍の再編に関する情報収集に努め、日米両政府の動向を注視しながら対応してまいりたいと考えております。
 PCB処理施設の建設につきましてお答えいたします。
 現在、航空自衛隊恩納分屯基地に保管されているPCB等含有汚泥の処理について、国は、処理施設を新たに設置し処理する計画としており、那覇防衛施設局が恩納村に対し同基地内での施設設置を申し入れております。地元恩納村では、村長を初め関係者が北海道にある実験施設を視察し、また那覇防衛施設局は恩納村の各区で住民等に対し施設建設に関する説明会を開催しておりますが、恩納村としては、現在、処理施設の受け入れについては検討中であるとのことであります。県としては、今後とも本件に関する地元の動向を注視しながら適切に対応していきたいと考えております。
 以上でございます。
○商工労働部長(伊川征一) 政府の責任と日本の法令遵守についてお答えをいたします。
 基地従業員は、国が雇用し米国軍隊が使用するいわゆる間接雇用の形態であり、労務管理者としての最終的な責任は雇用主である国にあると考えております。また、米軍基地従業員に対しましても労働基準法など労働三法が適用されており、関係法令に基づいた適切な労務管理が行われるべきものであります。県としましては、引き続き事実関係の把握に努めるとともに、本事案が基地従業員の生命にもかかわる重大かつ深刻な事態と受けとめ、那覇防衛施設局長に対し、速やかに過重労働など労働環境の実態把握とその改善及び母性保護に関する所要の措置を講ずるよう要請したところであります。
 続きまして、米軍への抗議と改善及び責任者の処分についてお答えをいたします。
 米軍基地従業員に対して我が国の関係法令に基づく適切な労務管理が行われているかなどの事実関係の把握が必要であると考えており、今般、那覇防衛施設局長に対し、過重労働等の労働環境の実態解明等について要請をしたところであります。県としては、那覇防衛施設局の調査結果を踏まえ今後の対応を検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 沖縄返還協定に基づいて返還された土地の主な跡利用の状況についての御質問にお答えいたします。
 返還された34の基地のうち、那覇空港は国土交通省及び自衛隊に引き継がれ、第2種空港として利用されております。
 那覇空軍・海軍補助施設及び那覇第二貯油施設は、小禄金城土地区画整理事業、与儀土地区画整理事業等の実施により住宅地や商業用地等として活用されております。
 石川ビーチは市役所、保健所、公園等の公共施設用地や住宅地として、羽地陸軍補助施設が「名護いこいの村」として、渡嘉敷陸軍補助施設が「国立沖縄青年の家」として利用されております。
 奥訓練場は自然環境保全林、造林事業地や団体営畑地かんがい事業用地として利用されております。
 本部補助飛行場は農業的利用、学校用地、ゴルフ練習場、住宅地等として利用されております。
 新都心の跡利用についての御質問にお答えいたします。
 昭和52年から昭和62年にかけて段階的に返還された新都心地区の跡利用については、昭和63年3月に土地区画整理事業の都市計画決定がされました。平成4年度から都市再生機構――これは旧地域振興整備公団でございます――が施行者となって工事に着手しております。同地区は、過密な那覇市の中心市街地に近く、国道58号と国道330号に接し、モノレール駅も整備をされ交通の便がよく、商業地や住宅地としてポテンシャルの高い地区であります。返還から着工まで相当の期間を要しましたが、那覇市と地権者等が主体となって跡地利用に積極的に取り組んだ結果、市街化は比較的順調に推移をしております。
 次に、復帰後及びSACO実施後に返還をされた跡利用の現状についての御質問にお答えします。
 復帰後に返還された基地の跡利用の現状としましては、公共事業の用に供されている土地が約40%、個人・企業の利用に係るものが約18%、自衛隊の利用が約8%、米軍への再提供が約6%、保全地が約9%、及び利用困難地等が約19%となっております。
 SACO合意後返還され、跡利用計画が進んでいる施設は安波訓練場とキャンプ桑江北側地区等であります。安波訓練場は、国頭村の策定した「北部訓練場・安波訓練場跡地利用計画」に基づき、恵まれた自然環境を保全しつつ地場産業との連携をとりながら体験・滞在型の観光振興を図る取り組みが行われているところであります。
 キャンプ桑江北側地区等は、土地区画整理事業に向けた取り組みが行われているところであります。
 次に、軍転法、沖振法が跡利用に生かされている事例についての御質問にお答えします。
 「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」――いわゆる軍転法でございますが――に基づき、恩納通信所や嘉手納弾薬庫等の返還された基地の地権者に対し3年間の給付金支給がなされております。
 沖縄振興特別措置法には「国の責務」として、跡地利用を促進するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めると規定されています。それに基づいて大規模駐留軍用地跡地等利用推進費の補助により普天間飛行場跡地利用基本方針策定調査、読谷村の跡地利用実施計画策定調査等が実施をされております。
 キャンプ桑江北側地区等が沖縄振興特別措置法に基づき特定跡地に指定をされており、今後、特定跡地給付金の支給が見込まれます。
 次に、跡地利用における県と市町村の連携についての御質問にお答えします。
 沖縄振興計画に基づき平成14年8月に設置された「跡地関係市町村連絡・調整会議」等の場を活用し、県と跡地関係市町村との密接な連携を図り、跡地利用の促進及び円滑化に努めております。同会議においては、個々の跡地の課題の解決に向けた取り組みや跡地対策協議会への市町村の意見の反映等について県と市町村の連絡調整が行われております。
 次に、跡利用への法律の適用についての御質問にお答えします。
 那覇新都心や小禄金城地区では、都市計画法に基づき用途地域及び道路、公園等の都市計画の決定、土地区画整理法に基づく土地区画整理事業、文化財保護法に基づく埋蔵文化財の調査等が実施をされております。読谷村の射撃場跡地においては、農業振興地域の整備に関する法律に基づく農業振興地域の指定、農用地区域編入、土地改良法に基づく基盤整備等が行われております。事業実施に当たっては、沖縄振興特別措置法に基づき高率補助が適用されております。
 次に、キャンプ桑江北側等の跡利用の進捗状況についての御質問にお答えします。
 北谷町キャンプ桑江北側等については平成15年3月に返還され、現在、国による原状回復措置が進められております。同年10月には、沖縄振興特別措置法に基づく特定跡地に指定をされております。北谷町では、土地区画整理事業の実施に向け平成7年度から埋蔵文化財の範囲確認調査を進め、平成14年3月に土地区画整理事業の都市計画決定を行っております。平成15年度には事業認可を受け、平成16年度は埋蔵文化財調査や設計業務を進めているところであります。
 次に、恩納通信所の跡利用の進捗状況についての御質問にお答えします。
 恩納通信所の跡利用については、平成14年4月に「沖縄亜熱帯計測技術センター」がオープンし、平成18年度には「ふれあい体験学習センター」が完成予定となっております。恩納村では、今後の跡利用についてことし2月に地権者や地元関係者等で構成する「恩納通信所跡地利用計画検討委員会」を設置し、沖縄科学技術大学院大学関連施設の誘致可能性の検討や地権者の意向集約を図りながら進めていくこととしております。
 次に、北部振興事業のプロジェクトチームと将来の展望の具体化の必要性についての御質問にお答えをいたします。
 北部振興事業の推進を図るため、北部12市町村においては、北部広域事務組合に北部振興対策室を設けております。県においては企画開発部に北部振興班を設けるとともに、北部駐在として2名の職員を配置しております。また、北部12市町村と県で構成する北部振興推進連絡会議を設置し、北部振興事業等の円滑な推進を図っております。国においては、内閣府沖縄担当部局に北部振興の担当が配置され、それぞれが緊密な連携を図りながら、北部振興事業基本構想に基づく事業の着実な推進に努めているところであります。
 同じく北部振興事業についての住環境の整備についての御質問にお答えします。
 定住人口の増大に必要な住環境の整備につきましては、北部振興事業基本構想に基づき上下水道、道路、公園等を整備することとしております。これまで名護市宇茂佐地区の公共下水道事業や緑のネットワーク広場事業が完了し、現在、同市宇茂佐地区と県立北部病院を結ぶ市道外郭線の街路新設、恩納村の赤間運動場等の整備に取り組んでおります。今後とも、地元市町村と国、県が連携し、住環境の整備に努めてまいります。
 次に、北部振興事業の公共・非公共の見直し、中間的な総括、着実な推進についての御質問にお答えします。
 北部振興予算は、非公共枠、公共枠に分かれており、非公共枠は市町村事業を中心とする北部振興事業制度として創設され、公共枠は公共事業推進費として位置づけられております。道路、公園、住宅等の公共事業は、北部地域の観光や農林水産業等産業の振興と生活環境の向上に寄与し、定住人口の増加に重要な役割を果たすものであり、非公共事業とあわせて相乗効果が発揮できるよう整備していきたいと考えております。
 北部地域の振興につきましては、北部振興事業基本構想に基づき公共及び非公共事業予算の枠内で事業を着実に進めていくことが重要であると考えております。
 以上でございます。
○教育長(山内 彰) 学校の統廃合について一括してお答えいたします。
 県教育委員会では、「県立高等学校編成整備計画」に基づき生徒の減少や社会の変化に対応し、生徒の視点に立った魅力ある学校づくりを推進していくために新しいタイプの学校への再編統合を進めております。市町村立の学校においても、過疎化、少子化等社会の変化や教育的効果等を考慮して統廃合が進められ、平成15年以降2村において統廃合が行われました。実際に統廃合を実施した学校では9割の生徒が学校が楽しい、部活ができ、友達もふえ、統合してよかったと答えています。
 財政面においては、統廃合により職員定数の減少による人件費の軽減、学校管理運営費の効率化が図られますが、他方、学校減により基準財政需要額の減に伴う地方交付税の減額、広域通学による経費の負担増が挙げられます。いずれにしましても、学校の統廃合は教育の効果性から大きな意義があると考えております。
 次に、地域コミュニティーづくりについてお答えいたします。
 学校は学習の場であると同時に、地域のコミュニティーの中心として人々の交流を深め、きずなを強めるなど重要な役割を果たしております。学校跡地を活用して親子の自然体験活動や世代間交流の場、歴史文化資料館、健康ランド等地域の特色を生かし、住民参加の新たなコミュニティーづくりが必要であると考えております。県教育委員会としては、教育施策の一つである潤いと生きがいのある生涯学習社会を目指す視点から、人材の養成、広域的学習サービスの提供、情報ネットワークづくり等の支援をしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 少子化に係る県の対策についてお答えいたします。
 県では、これまで平成9年に「おきなわ子どもプラン」、平成14年に「新おきなわ子どもプラン」を策定し、少子化対策のため社会全体で子育てを支援していく環境づくりに努めてまいりました。現在、「新おきなわ子どもプラン」に基づき待機児童の解消に向けた保育所の整備、放課後児童クラブの設置、ファミリーサポートセンターの設置、子育て短期支援事業等を行っているところであります。しかしながら、地域の子育て力の低下などによりまして本県においても少子化が進行していることから、平成17年3月に策定する次世代育成支援の地域行動計画において地域における子育て支援の強化を位置づけ、社会全体で子育てを支援していく環境づくりを行っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) ヤンバル海岸線の整備の見直しについてお答えいたします。
 県では、貴重な海岸環境を守り、自然景観、利用者及び海岸域の動植物に配慮した整備等を図るため、海岸法に基づき平成15年4月に「琉球諸島沿岸 海岸保全基本計画」を策定しております。現在、当該計画に基づき自然環境等にも配慮した海岸整備を行っております。
 自然再生推進法に基づく海岸整備については、今後検討すべき課題だと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) マングース対策についてお答えをいたします。 
 ヤンバルクイナ、キノボリトカゲなど希少種、固有種が生息するヤンバル地域は多種多様な生態系を有しておりますが、近年、生息域を拡大してきた外来種のマングースによる野生動物の捕食等によりヤンバル地域の生態系の崩壊が懸念されております。このため、県では、ヤンバルクイナ等への捕食圧の抑制、生息域の確保・保全を図るため平成12年度よりヤンバル地域でマングース対策を実施してきたところであります。
 しかしながら、マングースの完全な防除には至っていないことから新たな防除策について検討するとともに、これまでの捕獲事業を強化してマングースの排除を促進し、ヤンバル地域の生態系の保全に努めていきたいと考えております。
○吉田 勝廣 基地問題に対する知事の姿勢と政府の姿勢といいますか、特にこの都市ゲリラについては、伊芸区も金武町も沖縄県も、政府の外務省、防衛施設庁に要請行動に行ったけれども、地位協定3条に阻まれてどうにもならないと。
 じゃ、どこに行けばこの問題が解決するのかと。伊芸区民も金武町のゲートで朝の6時半ごろからずっと立って、いろんなことをやっているわけです。だからある意味では、今度の参議院選挙の中で革新側が勝利したのは、こうした基地問題に対する政府の姿勢、そして町民や区民がみずからの子供たちの将来を思って、とにかく命を守るために何とかレンジ4に都市型ゲリラ訓練施設をつくるのをやめさせてくれぬかと、そういうことを言っているわけですね。
 それに対して、これは私も大分経験がありますが、なかなか国はイエスと言わない。地位協定3条に基づいて、これはいろいろあるでしょう。これまで何といいますか、基地問題を解決するために例えば1970年、安田訓練場に105ミリ砲をヘリコプターが宙づりして訓練をしようとした時期があります。そのときも安田区民を初め多くの県民が阻止行動に立ち上がった、そういう経験があります。
 それから、もちろん恩納村の都市ゲリラも村民や区民が立ち上がって阻止行動をしたと。
 県道104号線もある意味では県民が山に入ったり、20何年にも及ぶ反対行動をして、移設ではあったとしても沖縄県から県道104号線越えの演習を廃止をした。
 それから、国頭村の安波におけるハリアー機のヘリパッドの訓練についても、安波の区民が建設用地へ突入をしてこれを阻止したということがあるわけですね。
 そういう意味では、法律がどうのこうのとか、あるいは地位協定がどうのこうのとか、要請をしてこの問題が解決したということがなかなかないわけです。ですからそういう意味からしますと、伊芸区民が、あるいは金武町民が知事も含めてこの問題を本当にどう解決するかというのを私たちは真剣に考えて、あるいはまた伊芸区民が決意を固めて基地の中に入らざるを得ないと、そういう状況もあるかもしれません。
 ですから、私たちはぜひそのことを重く受けとめて、これから本当にこの建設問題についてどうするのか、改めて知事の考え方と決意を伺いたいと思います。
 そして、これからも恐らく建設は着々と進むであろうから、この件について恐らく伊芸区民も町民の皆さんもゲートの前で立ったり、いろんなことをするでしょう。そういう意味では、関係部長を含めて行くか行かないかは別として、皆さん方の良心に任せますけれども、ぜひこの辺を調査していただければなと私は思います。
 それから、駐留米軍の労働問題ですけれども、これはある意味では長い間いろんな問題が提起されていますけれども、私はやはり米軍が雇用の責任者としてどうするのかということだと思います。雇用の責任者として日本の法律を遵守するのか。
 それから、OWAXは世界に職場がありますから、常に人事異動があるわけです。人事異動があるがゆえに成果主義といいますか、沖縄でこういう成果を上げて次のところへ赴任していくということがあるものですから、成果を上げて帰らぬ限りこの人の出世がないもんですからね。そういう意味で私は、日本の法律を遵守させるために沖縄県、国がやはりそこをきちっとした態度で指導をしていかないとこの問題はまた起こり得る。したがって、沖縄県も国もこういうOWAXの監督官だとか、OWAXの何といいますかリーダーに日本の労働基本権であるとか、労使慣行とか、そういうことを訴える場を設けていただいてそれをやると。沖縄県警は、いわゆる犯罪だとか、交通問題に関してそのこともやっているわけですから、私も現に町長時代はキャンプ・ハンセンの兵隊にいろんなことを申し上げてきましたから、そのことはやろうと思えば私はできると思いますから、ぜひその辺は商工労働部を中心として、また知事公室を含めていろいろと協議をして改めてこの問題をどうするかをやっていただきたいと思います。
 それから、基地の跡地利用について私はいろんなことがあると思います。これまでなぜ基地の跡地利用が遅々として進まなかったのかと。ここが僕は一番大事だと思います。
 軍転法をつくるためにまず何年かかってきたのか。1978年に初めて沖縄県は政府に申し上げるわけです。そしてできたのが昭和55年ですよ、軍転法、しかも議員立法。
 政府はやる気がないわけですから、そのやる気をさせるためにはやはり沖縄県が積極的にこういう軍転法とか、跡地利用のためのことをしっかりとしなくちゃならぬと思います。
 それから、今、沖振法にも確かに跡地利用計画があります。しかしそれも十分じゃないわけですから、その十分じゃないがゆえにまたいろんなことが惹起すると。
 私がここで申し上げたいのは、この跡地利用に対して遅々として進まない理由は何なのかということを改めて企画開発部長に質問をしたいと思います。
 それからSACO合意、それから日米合同委員会の合意と、この差を、この違いを説明もお願いしたいなと思っております。
 それから、アメリカの国防長官が沖縄に来たときに、沖縄の米軍基地問題の解決促進に関することということで知事は国防長官にいろいろ申し上げました。
 これは、非常にきつい申し上げ方だと思って私は非常に期待をしているんですけれども、これは知事が国防長官に対してきちっと言ったことは非常に評価するわけですけれども、残念ながら跡地利用に関する要請がそこにないわけです。その理由は、返還前にぜひ跡地利用の調査をしてもらいたいという要望があれば、なおこれは生きてくるんじゃなかったのかなと私は思いますけれども、その辺について知事はどう考えるか伺いたいなと思います。
 日米地位協定についてはいろいろあります。私は、これまで自分の体験を通して日米地位協定というものはそう簡単に改定するもんじゃないだろうと思います。そして今まで日米地位協定の運用の改定のために日米合同委員会でいろいろ協議されたのが大体24件ぐらいあるわけです。1995年のあの事件以降、日米合同委員会で運用の見直し、これは大体9件ぐらいあるわけですね。
 そういう意味からしますと、日米地位協定の改定についてはそうたやすくないなと。ですから私はいつもよく言っているんですけれども、やはり沖縄県が条文を作成をして、その条文を国防部会なり、それからアメリカ政府に提言をしていくと。そういうことがなければ、これまでの沖縄県の地籍明確化法であるとか、軍転法だとか、そういう経験からしてやはりみずから条文作成をしてやるべきじゃないのかなと思っております。そういう意味で改めて知事の考え方を聞きたいなと思います。
 北部振興については私もかかわってきたわけですから、非公共・公共という、これは例えば島懇事業と北部振興事業の関係はどう変わるかと言われたら、島懇事業というのは大体90%補助があって、あと10%は戻ってくる。非公共だと島懇事業と似ている。しかし公共になってくると一般的な沖振法を使ってしかできないと。だから補助率が非常に違う。だからそういう意味で非公共・公共は、なるべく非公共に重きを置いた方がいいのじゃないかというのは、これは私たちが一貫してこれまでずっと求めてきたわけです。そういう意味で改めて企画開発部長の意見を伺いたいなと思います。
 それから、教育行政については、私はとにかく辺土名高校とかあるいは北山高等学校とか、非常に生徒数が不足していますね。北部3村――国頭村とか、そういう意味でこれから北山と辺土名高校がどうなっていくか非常に心配しています。そういう意味で改めて教育長の所見を伺いたいなと思います。
 後で最後にまたもう一度質問いたします。
○議長(外間盛善) 休憩いたします。
   午前11時16分休憩
   午前11時23分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺恵一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 吉田議員の再質問にお答えいたします。
 米軍及び外務省は、今回の陸軍複合射撃訓練場の建設は、3条の管理権に基づくものであるとしております。地位協定第3条は、同時に合衆国軍隊による作業は、公共の安全に妥当な考慮を払わなければならないとしておりまして、県は同訓練場の建設計画に対する地域住民の不安や反対の意向にも配慮し、その中止を求めているところであります。
 先般、金武町と県との合同での反対要請にも出納長の方からも特にこの公共の安全に妥当な考慮を払わなければならないということを強く申し入れたところであります。今後、私ども県としても今金武町と密接な連携をとっておりますけれども、今後、議会終了後、できるだけ早い時期にさらに細かく金武町と連携を密にいたしまして、より強い態度で臨んでいきたいと思います。
○商工労働部長(伊川征一) 再質問にお答えをいたします。
 那覇防衛施設局は、日ごろからOWAXと連携をしながら労務管理を行っているということでございますが、御指摘の法令の遵守を徹底させることにつきましては、引き続き那覇防衛施設局、さらには沖縄労働局とも協議をしていきたいと考えております。
○企画開発部長(花城順孝) 跡利用がなかなか進まない理由はどういうことかという御質問にお答えします。
 現在、既に返還された跡地において再開発事業として土地区画整理事業が実施をされております。その事例の進捗状況を見ますと、返還から事業着手までに長期間を要しているものがあります。
 そのことを踏まえて規模の大きな再開発事業の事例を中心にいろいろ検討しましたところ、返還跡地における跡地利用までの期間の主な遅延理由として次のようなことが挙げられるということで整理をされております。1つは、返還区域及び返還時期の明示のおくれ、2点目に、跡地利用計画等の策定のおくれ、3点目に、跡地利用計画事業計画等に関する地権者等関係者の合意形成のおくれ、それから4点目に、公共公益施設の整備のための用地取得のおくれ、5番目に、再開発事業中の埋蔵文化財発掘調査、不発弾処理等による工事のおくれと、以上の点が挙げられております。
 今後、沖振法等の枠組みを使って国、関係市町村と連携をして跡利用の促進に努めていきたいと考えております。
 それから、返還前の調査の必要性等についての御質問でございますが、SACOの最終報告等で示された返還が予定されております駐留軍用地の跡地利用を迅速かつ円滑に進めるために早期の跡地利用計画の策定、速やかな計画関連手続の着手、返還後の速やかな事業着手、迅速な原状回復措置、公共公益施設の整備のための用地取得等に取り組んでいく必要があると考えております。
 それから、北部振興事業の公共事業を非公共事業にシフトすべきではないかという御質問でございますが、これにつきましては、先ほどお答えしましたように非公共・公共の見直しについては北部振興事業基本構想に基づいてそれぞれの予算の枠の中で着実に事業を進めていくことが重要であると考えております。
 以上でございます。
○知事公室長(府本禮司) 地位協定についてお答えいたします。
 県としては、今後とも地位協定の抜本的見直しの実現に向けて努力していきたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(山内 彰) 北部の高校のあり方等についての再質問にお答えいたします。
 これからの高等学校のあり方については、大きく2つの方向性を持っております。1つは専門高校、いわゆる工業、農業、商業等の学校については総合的な学校の方向で新しい時代に新しい学校として生まれ変わっていこうという方向性でございます。
 もう一つは普通高校でございまして、この普通高校においては個々の子供たちの選択度をもっと広げ、そして個性を生かす方向へ持っていこうと。したがいまして、普通高校については特色ある学校づくりという方向性を持っていきたいと。それぞれの学校に応じていわゆる内容の充実を図って個々に対応していって教育活動を発展させていきたいということでございます。したがいまして、北部に関していいますと、北部に総合実業学校を設けると同時に、これは名護商工、北農を中心にしていってございます。
 御指摘の辺土名、北山については普通高校でございますので、特色ある学校づくりを充実させていきたいと。とりわけ普通科の中に理数科を設け、その体験的な学習を通した科学的な物の見方、考え方を育てようというような発想をしております。
 さらに、辺土名高校あたりにおいては、環境学科というものも設けましていわゆる特色あるものにしてこれからの個々への対応をしていきたいと、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
○吉田 勝廣 知事の先ほどの答弁ですけれども、やはり県民の生活というか権利というか、これからの方向性は知事がやはりきちんとした態度で示すことが非常に重要だと思いますので、今後ともこの件に関しては金武町と連携をとりながら頑張っていただきたいと思います。
 16秒しかありませんが、この遅々として進まない理由はいろいろありますから、これは後でいろいろと議論もしていきたいなと思います。
 そういう意味で、今後の跡地利用については万全な対策でやっていただきたいと思います。
 以上です。
○親川 盛一 皆さん、おはようございます。
 私は、かつて知事公室長としてこの席から議員各位の御質問にお答えをしてまいりましたが、今度は、知事を初め関係部局長等執行部の皆さんに対し、県議会議員として質問をさせていただくことになったわけであります。言ってみれば執行部の皆さんはかつて私の同僚であり、先輩であり、後輩であるわけで大変緊張をしているところでありますが、反面、県民の負託を受けて質問できる機会を得たことは私にとりまして感慨無量であります。
 私は、去る県議会議員選挙において稲嶺県政の与党としての立場から知事をしっかり支え、県民福祉の向上と県勢発展に尽力するために無所属で立候補し、県民各位の御理解と御支援のもとに当選をさせていただきました。本席をおかりいたしまして県民各位へ心からお礼を申し上げますとともに、議員各位の皆様に今後ますますの御指導と御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げます。
 それでは所見を申し上げながら、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 まず1番目に、沖縄本島南部地域の振興策についてであります。
 私は、沖縄県の発展は離島を含めた県全体の均衡ある振興開発を図ることにより得られるものと考えております。とりわけ沖縄本島南部地域の振興は、中北部地域と比較いたしまして立ちおくれていると理解しており、一日も早く抜本的対策を図る必要があると考えております。そのためには道路網の整備はもとより観光施設、生活環境、教育環境等の整備を早急に図る必要があると考えております。
 なかんずく、佐敷、知念、玉城村から那覇市内への通勤・通学の所要時間はおおむね40分ないし1時間を要し、名護市から那覇市への所要時間に匹敵することとなっております。これは道路幅員の狭隘さ、人口の集中化、車両台数の増、振興開発のおくれ等によるところが大であると思料されます。
 私は、道路網を整備して知念─那覇間をおおむね20分の通勤圏内で結ぶことによって人口の流出化を防止し、若者の里帰りを促進し、経済の活性化を図ることが最も肝要であると考えております。
 そこで伺います。
 (1)つ、南部東道路、通称東バイパス道路の建設計画につきましてはこれまで二転三転し、いろいろと計画変更があるやに承っておりますが、知念、佐敷、玉城、大里村等に居住する住民は一日千秋の思いでこの計画の実現を待ち望んでいるところであり、同計画は現在いかように進捗しておりますか。また、今後の見通し等はどうなっておりますか伺います。
 (2)つ目に、マリン・タウン・プロジェクトの実施に当たりましては、知事以下関係部局の皆さんの御尽力のもとに着々と進められていることに敬意を表します。西原、与那原、佐敷、知念の各地区にまたがる同プロジェクトは、与那原地区において埋め立てがほぼ完了し、住みよい環境のもとでのまちづくりに奔走しておられると思料いたしますが、当初計画どおりの開発振興等──例えば土地の売却等──が円滑に行われていないとの疑問の声がありますが、マリン・タウン・プロジェクトの進捗状況はどうなっておりますか。また、佐敷、知念両地区の取り組み状況はどうなっておりますか伺います。
 (3)つ目に、長期滞在型観光・リゾート施設の建設計画についてであります。
 沖縄本島南部地域は、文化・歴史、世界遺産、海浜等自然環境に富んだ風光明媚な地域であり、南部の特性を生かした長期滞在型観光・リゾート施設をつくり、年間を通して一貫した体験型観光を推進し、明るくて心地よい観光施設を造成し、産業を育成することによって県経済の活性化につなげていく必要があると考えます。
 そこで、現在、糸満市名城地先で計画されております低廉な価格で宿泊可能な長期滞在型観光宿泊施設を南部の他の地域に建設計画が図られないか、県の考え方を伺います。
 (4)つ目に、南部学園都市構想についてであります。
 南部大学構想は、かつて糸満市を中心に島尻地域振興開発推進協議会が公設公営での開学構想を打ち出し、同協議会内に大学設置計画対策室を設け、具体的な作業に入りましたが、関係市町村の財政難で建設運営資金のめどが立たず断念となりましたが、その後の関係市町村長の会議でこれまでの公設公営の開学方針を変更し、公設民営や既存大学の誘致、高等教育機関の誘致を含め今後検討していくことになっておりました。
 そこで、生徒数の減少等により平成19年度を目途に存廃問題が検討されていると言われる南部工業高校の跡地に既存大学を誘致し、学園都市を形成し、南部地域の振興・発展に寄与する考えはないかどうか伺います。
 大きい2つ目に、農林水産業の振興等についてでございます。
 今や世界的に生活物資等の自由化が叫ばれており、農林水産業に従事する者にとっても大変厳しい状況下に置かれております。
 農業については、基盤整備や後継者の育成、農産物の産地形成を図り、流通体制を充実させ、生産物をその日のうちに消費地に送り届けることによって生産者が働く喜びを味わい、農家経済に潤いをもたらしていくことが重要であると考えます。
 そこで伺います。
 (1)つ、全県的な土地改良事業やかんがい排水施設の整備状況はどうなっておりますか。また、その進捗状況等についてどうなっているか伺います。
 (2)つ目に、農産物の地域ごとの主な産地指定状況はどうなっておりますか。
 (3)つ目に、農林水産物の流通コストの低減化を図るための航空貨物輸送運賃の低減化策について県はどのように考えているか伺います。
 大きい3点目に、海岸保全及び生活環境の整備についてであります。
 佐敷町内においては過去に幾多の自然災害が発生し、甚大な被害をこうむってまいりました。これらの被害を防止するためには地域防災計画に基づく総合的かつ計画的な防災対策を図ることが肝要であります。なかんずく知念村久原地区から佐敷町仲伊保地区に至る海岸護岸は、平成元年から平成5年までは計画的に毎年度工事が進められて整備されてまいりましたが、途中100メートルほどを残して工事がストップしている状況であります。そのため、特に台風時等におきましては海水が陸上まで流入し、海岸に近い住宅地域は海水等で浸水し、農地は浸食され、そのたびごとに甚大な被害をこうむっており、一刻も早く海岸護岸や排水路等の整備が必要であります。県土保全、国土保全や生活環境の整備等の上からも早急に対処していく必要があると考えます。
 そこで伺います。
 (1)つ、佐敷町仲伊保地区海岸護岸の建設計画及びその見通しについてどうなっているか。
 それから(2)つ目に、同地区内の浸水対策についてはどのように考えておりますか伺います。
 大きい4点目に、畜産振興についてであります。
 本県は亜熱帯性気候に恵まれ、牧畜等に適した条件下で畜産県として栄えてまいりました。かつて農村におきましては、どこの家庭でも牛や豚、ヤギ、鶏などを飼育し、さとうきびの収穫時や子供の出産時、家屋の棟上げ式等においてヤギ料理等が振る舞われてきた。ふだんから動物性たんぱく質の摂取に乏しかった県民にとってはヒージャー汁は最高の薬膳料理であります。
 ところが、近年、農村の都市化、農業従事者の高齢化等により畜産農家は減少し、ヤギ等の飼育農家も減少の一途をたどっている状況であります。
 一方、消費面から見た場合、祝いごと等における提供食品の変化やBSE問題、若者のヤギ料理離れ等によりヤギの消費は以前に比して若干減少傾向にありますが、依然としてヤギ料理の人気は上々であり、年間500万人を超す観光客のほとんどは長寿県である沖縄の食文化に興味を持ち、ヤギ料理を食する者がふえてきている状況であります。
 他方、ヤギは、復帰前は獣畜に指定されてなかったこと等により密殺が絶えなかったが、復帰後は「と畜場法」により牛、馬、豚等と同様に獣畜に指定され、屠畜場以外での屠殺は禁止され、復帰後の昭和49年から昭和58年までの10年間の屠殺は4577頭であったものが、昭和59年から平成5年までの10年間では3万1280頭となって増加し、平成4年だけでも4188頭となっている状況であります。
 その後、O157による集団食中毒問題やBSEの国内発生以来、屠畜場の安全衛生基準の見直し等により条件に満たない屠畜場は廃止せざるを得なくなり、沖縄本島では平成14年4月に沖縄県食肉センターのヤギ処理施設が廃止となり、平成15年4月には中部食肉センターが廃業となり、現在では名護市食肉センターのみで年間約1000頭のヤギを屠殺している状況であり、中南部一帯のヤギ料理店等は不便を来し、食の安全を図るという観点から食肉衛生検査の有無の状況等に問題があると考えます。
 そこで伺います。
 (1)つ、近年におけるヤギの屠殺状況はどうなっておりますか。
 (2)つ、沖縄本島中南部へのヤギ屠殺場の設置及び名護市食肉センターの稼働状況等はどうなっておりますか。
 (3)つ、ヤギの屠殺に当たっての食肉衛生検査の状況及び今後の対策等についてどのように考えておりますか伺います。
 大きい5番目、沖縄県防災教育センター(仮称)の建設についてであります。
 近年、社会経済が進展し、生活環境が目まぐるしく変化する中で、地球温暖化等に伴う異常気象や台風の大型化、地震や津波等予測もできない災害の発生が憂慮されております。特に本県が離島県で台風常襲地帯であるため、大規模災害が発生した場合に他の都道府県からの応援団の到着に時間がかかること等から消防職員・団員及び県民一人一人が常日ごろからの防火・防災意識の高揚、防災行動力の向上を図ることが重要であります。
 そこで、沖縄市においては防災研修センターを設置し、平成12年には6399人が、平成13年には5760人が、平成14年には6401人が同施設を利用している状況であり、県としても県民の生命財産を守り、防災による被害を最小限に食いとめるためにも各種防災教育訓練用機器を整備し、消防職員・団員及び県民に対して災害を想定した各種の体験学習及び訓練を行う施設として早急に沖縄県防災教育センター(仮称)を設置していく必要があると考えますが、県としてどのようにお考えになっているかお聞かせ願いたいと思います。
 以上で一般質問を終わります。再質問のないように御答弁をお願いいたしたいと思います。
 終わります。
○議長(外間盛善) ただいまの親川盛一君の質問及び質疑に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午前11時49分休憩
   午後1時16分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 午前の親川盛一君の質問及び質疑に対する答弁を願います。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 親川盛一議員の御質問にお答えいたします。
 農林水産業の振興等についてのうち、地域ごとの産地指定状況についてお答え申し上げます。
 本県農林水産業の振興については、農林水産業振興計画に基づき野菜、花卉、果樹などの戦略品目の拠点産地の育成に取り組んでおります。平成15年度末の地域ごとの拠点産地としては、北部地域では名護市のゴーヤー、今帰仁村のスイカほか8地区、中部地域では読谷村の小菊、カンショ、南部地域では知念村のサヤインゲン、豊見城市のマンゴーほか8地区、宮古地区では下地町のトウガンなど19地区を認定しております。
 拠点産地においては、栽培面積、生産量とも増加し品質も向上しております。今後とも、市町村、農協等と連携のもと、諸施策・事業を総合的に推進し、拠点産地の育成に努めてまいります。
 続きまして、農林水産物の流通コスト低減化対策についての御質問にお答えいたします。
 本県農業の振興を図るためには、農産物の輸送コスト低減が重要であります。このため、県としては、低コストな輸送ルートの開拓を図るため平成12年度から船舶とJR貨物を活用した調査・実証輸送事業に取り組んでおります。
 その結果、連日出荷が可能な新たな輸送ルートを開拓しております。さらに、平成15年度からは、1、インゲン、ゴーヤー、レタス等の混載による積載効率の向上、2、JAと花卉農協との共同輸送による輸送の効率化、3、野菜、花卉等の包装資材の改善による積載効率の向上など総合的な輸送対策を講じております。
 その成果としては、菊などの品目が航空輸送から船舶輸送への移行が促進され、菊で約14%、ゴーヤーで約11%の輸送費の低減が図られております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○土木建築部長(末吉 哲) 南部東道路の建設計画等についてお答えいたします。
 南部東道路は、知念村、佐敷町、玉城村、大里村を経由して南風原町内の那覇空港自動車道に連結する延長約12キロメートルの地域高規格道路として平成9年度に調査区間の指定を受けております。
 当該道路整備が大規模な事業となることから、県は関係5町村を中心にした「南部東道路調査検討委員会」を設置し、協議を重ねてまいりました。その結果、平成15年2月に南風原町の那覇空港自動車道から佐敷町のつきしろの街方面までの約7.5キロメートルについて概略ルート案を選定し、残りの4.5キロメートルについては引き続き検討を行うことになりました。
 平成16年度は、選定した概略ルート案について予備設計に向けた調査を実施し、関係機関との調整を進めていきたいと考えております。あわせて地元の御協力もお願いしていきたいと思っております。
 次に、マリン・タウン・プロジェクトの進捗状況についてお答えいたします。
 中城湾港マリン・タウン・プロジェクトの西原与那原地区埋立事業は、平成8年1月に公有水面埋立免許を取得し、同年4月より面積142ヘクタールの埋立工事に着手しております。
 平成15年度末における事業の進捗状況は、事業費ベースで78.6%で、約115ヘクタールの埋め立てが完成しております。現在、西原町、与那原町においては、住宅用地等の分譲が開始され、活力のある潤い豊かなみなとまちづくりが推進されており、県としては、シンボル緑地、マリーナの整備等に鋭意取り組んでおります。
 佐敷東地区は、馬天地区と一体的な事業展開が求められていることから、佐敷町のみなとまちづくり計画(案)を踏まえ計画の見直しを行っているところであります。また、知念地区については計画策定から14年が経過し、さらに実施には期間を要することから、同地区計画について村と協議し、港湾計画の必要性等について検討していきたいと考えております。
 次に、佐敷町字仲伊保地区護岸の建設計画と地区内の浸水対策について一括してお答えいたします。
 当該海岸は、佐敷町字仲伊保から知念村字久原までの延長約1600メートルが昭和63年3月に海岸保全区域として指定されております。
 護岸の整備については、約1400メートルが昭和56年度から平成4年度までに高潮対策事業として完了しております。残りの約200メートルの区間は海没地となっていることから未整備となっております。県としては、未整備区間について佐敷町及び関係機関と連携し、背後地の浸水対策を含めた整備計画について検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) 長期滞在型リゾート施設の建設計画等についてお答えをいたします。
 観光振興基本計画において、南部地域は健康・長寿をテーマにした体験・滞在型観光拠点の形成を図り、日帰り型利用から宿泊滞在型利用への拡大を目指すこととしております。これまで県におきましては、南部観光の活性化対策として南部観光総合案内センター、世界遺産周辺における観光利便施設及び観光案内標識の整備並びに健康・保養型観光モデルツアーを実施してまいりました。
 観光・リゾート関連施設としては、宿泊施設、ゴルフ場、ビーチ、伝統芸能施設、観光農園、その他産地直売施設の開設など農林水産業と連携した施設も集積してきております。
 また、豊見城市及び与那原町では埋立地の一部において観光・リゾートへの活用が計画されております。県といたしましては、地元市町村と連携し、宿泊施設の整備促進を含め南部地域の特性を生かした体験・滞在型観光拠点の形成が図られるよう諸施策を推進していく考えであります。
 以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 南部学園都市構想についてお答えいたします。
 南部地域への大学設置については、島尻地域振興開発推進協議会で検討されておりましたが、建設・運営資金等の課題から平成10年11月の関係市町村長会議において凍結が決定され現在に至っていると聞いております。南部地域への大学誘致については、関係市町村等が主体的に取り組んでいくことが重要であります。
 県としては、今後、地域振興の観点から関係市町村等の取り組みの状況を見守っていきたいと考えております。
○農林水産部長(諸見武三) 土地改良事業の進捗状況についてお答えいたします。
 本県における農業生産基盤の整備状況は、平成14年度末現在、水源整備が約52%、かんがい施設整備29%、圃場整備50%となっております。
 地域ごとの整備状況は、かんがい施設については本島地域16%、宮古地域44%、八重山地域39%となっております。
 圃場整備については、本島地域51%、宮古地域40%、八重山地域66%となっております。県としては、引き続き生産性の高い活力ある農業の確立を目指して、農林水産業振興計画に基づき生産基盤の整備を総合的かつ計画的に推進してまいります。
 続きまして、中南部地域にヤギの屠畜施設を整備することについてお答えいたします。
 沖縄のヤギは、本県特有の食文化として古くから親しまれ、また観光客への伝統的な料理として料理店などで貴重な食材として利用されております。現在、本島におけるヤギの屠畜施設は、平成15年3月に名護市食肉センターとして整備しております。
 当該センターの年間の処理能力は2000頭となっておりますが、現在の屠畜頭数は720頭、約4割の稼働率となっております。したがいまして、中南部地域への新たなヤギ屠畜施設を整備することについては、事業導入の採算性や屠畜頭数の確保等の課題があります。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) ヤギの屠殺状況、ヤギ屠畜場の設置及び稼働状況、屠畜検査の状況について一括してお答えいたします。
 県内には7カ所の屠畜場がありますが、ヤギを屠殺できる屠畜場は名護市食肉センター、久米島屠畜場、株式会社宮古食肉センター、株式会社八重山食肉センター及び与那国食肉処理場の5カ所であります。ヤギの屠殺頭数は平成13年度から減少傾向にあり、平成15年度は2076頭でありました。
 稼働状況につきましては、名護市食肉センターの1日当たりの制限頭数が8頭で、平均屠畜頭数が3.1頭となっており、稼働率は38.8%であります。他の4屠畜場においては、1日平均1.6頭が処理されております。
 ヤギの屠畜検査の状況は、食肉衛生検査所及び管轄保健所の屠畜検査員が、食用に適さないものの排除を目的として1頭ごとの検査を実施しております。平成15年度は、食用不適とされたものはありません。
 ヤギの伝達性海綿状脳症については、平成14年4月1日から厚生労働省部長通達に基づき特定部位である頭部、脊髄、扁桃、脾臓、小腸・大腸及び胎盤の除去・焼却を実施しております。今後とも、これまでどおり適正な検査を実施していく考えであります。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 沖縄県防災教育センターの建設についてお答えをいたします。
 本県は台風常襲地帯であることや、大規模災害が発生した場合に備え、県民一人一人が常日ごろから防火防災意識を持ち、災害を想定した体験学習及び訓練を行う施設が必要であると考えております。
 しかしながら、防災教育センターの建設については、設置主体、施設規模、設置場所、維持管理等の課題があることから、今後の研究課題としていきたいと考えております。
○親川 盛一 再質問させていただきます。
 畜産振興についてでございますが、先ほど農林水産部長の方から屠畜場の設置についての御答弁がございましたけれども、いわゆる平成15年4月から名護市食肉センターでやっていると。年間2000頭の規模でできると。しかし、720頭程度の屠殺をしているというお話でございましたけれども、これまで過去に平均大体4000頭の需要があったかと思いますけれども、沖縄本島では名護市で720頭ということになりますと、残りの3000頭当たりはじゃどういう形になっているかと。
 先ほど福祉保健部長の方から所管の保健所等で検査体制をして対応しているということでございますけれども、これにつきましては過去にもそういう対応もしておられたと思いますけれども、中南部一帯のこういった業を営んでいる方々の不便性、あるいは現に各家庭で食されているこういうヤギ料理等の検査によって一々名護まで持っていって、そして翌日これを取りにいくと、こういう不便さがあるかと思います。もう一度、中南部への設置についての考え方をお聞かせ願いたいと、このように思っております。
 それから、佐敷町におけるこの仲伊保地区護岸工事ですけれども、これにつきましては、やはりあの地域の住民が非常に生活に不便を来すということでございます。だれかがやらなければこれは解決しないと。残された期間は、じゃ工事しないでそのままほうっておくのかと。こういう大きな問題がございますので、ぜひそこら辺は土木建築部の方でしっかりとした計画立てをして、これが実現に努力していただくよう、これは要望しておきたいと思います。
 以上で終わります。
 ありがとうございました。
○議長(外間盛善) 休憩いたします。
   午後1時37分休憩
   午後1時37分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 農林水産部長。
   〔農林水産部長 諸見武三君登壇〕
○農林水産部長(諸見武三) ヤギの屠畜施設の整備についての考え方についての再質問でございますが、平成15年3月に名護市の方で食肉センターが整備されておりまして、今1日2000頭規模の屠畜処理施設がございます。
 今現在、先ほど答弁しましたように720頭ぐらい、いわゆる4割ぐらいの稼働率でありまして、近年、ヤギについては五、六千頭推移していたんですが、今現在、4000頭規模に減ってきております。ですから、先ほど申し上げましたように、やはり中南部で施設をつくる場合には頭数等の採算性が見合うような頭数がないといけないということで、先ほど申し上げましたように五、六千頭が若干減っていますので、その辺も勘案しながら、その状況を見ながら整備する必要があるということでございます。
 以上でございます。
○辻野 ヒロ子 こんにちは。
 八重山とかけて、本日の私のファッションのミンサーウエアと解く。その心は、また着(来)てみたい。
 どうぞ八重山に遊びにおいでください。そして八重山観光産業の振興と伝統工芸の普及のために御協力をよろしくお願いいたします。
 このたびの県議会議員選挙におきまして八重山地域から選出されました辻野ヒロ子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは、稲嶺知事を先頭に執行部の皆さんが、沖縄県が抱える諸問題の解決に積極的に取り組んでおられることに敬意を表する次第でございます。私も、八重山郡民を初め県民の負託にこたえるべく、生活のすべてが政治であるという信念のもとで精いっぱい頑張る所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、初議会で初めての一般質問でございますので、先輩議員、同僚議員の皆様の御指導を仰ぎながら、執行部の皆様の心温まる明確な御答弁をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、質問に移ります。
 まず、新石垣空港建設について。
 平成17年度国庫補助事業採択についてお伺いいたします。
 新石垣空港建設は、八重山郡民を初め県民の長年の悲願であり、一日も早い早期着工、早期開港を願うものであります。特に、私は現空港の近くに住んでいる住民として石垣市議会においても安全性や騒音対策の問題点を取り上げ、新石垣空港建設の必要性を訴えてまいりました。現在、平成17年度の国庫補助事業採択に向けて環境影響評価法に基づいて所定の手続と地権者の同意取りつけ作業に取り組み、大詰めを迎えております。
 そこで、県議会の最初の一般質問ですので、現空港の現状と新石垣空港建設の必要性についていま一度現場の生の声をお聞きいただき、稲嶺知事を初め関係当局の皆さんが事業採択に向けて全力投球で取り組んでいただくことを要望いたします。
 現在の石垣空港は、昭和18年6月1日、旧日本軍により海軍飛行場として建設されています。戦後、昭和31年6月16日から民間空港として供用開始され、民間航空機DC3型機が就航しました。その後、滑走路、エプロン等が漸次整備され、昭和43年6月にはYS11型機が就航しています。
 さらに昭和50年5月、1500メートル滑走路等が整備され、第3種空港としての指定を受けています。平成3年3月には、年々の増便に対応するため誘導路等の増設、平成5年7月には宮古経由東京直行便、平成6年には関西直行便の就航、たまには台湾直行便が就航するなど、観光客はもとより八重山郡民の足として、さらに物流の拠点、海上保安庁の急患輸送などの基地として広く利用されています。しかし、現在の1500メートル滑走路での離発着は危険性が高く、騒音に悩まされるなど市民生活に大きな影響を与えています。
 現場の生の声をお聞きください。
 離発着時に家の真上を通過するので、毎日大きな金属音に悩まされいらいらする(Mさん)。昼寝をしている赤ちゃんが騒音にびっくりして泣き出すなど神経質になっている(Bさん)。家族団らんの会話が途切れたりテレビの画面が乱れる(Kさん)。牛舎の牛が暴れ落ちつかない(畜産業の方)。騒音の影響で授業がたびたび中断する。騒音がうるさいので窓を閉めると暑くて大変である(近接学校の声)。このような騒音の中で黙っているのか、私たちには考えられないことだと(観光客の声)。
 昭和57年に発生したオーバーラン事故等々、空港周辺の住民は毎日このような航空機の騒音に悩まされ、危険にさらされているのが現状であります。
 現空港周辺には小学校、中学校、高等学校、保育所、福祉施設等公共施設も多く、周辺住民は新石垣空港建設問題が取り上げられた20数年前から、もうじきできるだろうという期待感を持って我慢してきました。しかしもうこれ以上は我慢できず、堪忍袋の緒が切れる切実な声でもあります。
 石垣空港は、全国の第3種空港の中でも乗降客第1位という超過密空港と言われながらも、八重山圏域の農業、漁業、観光産業は各業界の努力と行政当局の振興策も相まって成長を続けております。しかしながら、特に離島におけるこれらの産業の発展は、大量・高速空輸能力の存在が必要不可欠であり、また地元八重山では新石垣空港早期建設を進める会と八重山青年会議所が中心となり1万人広告運動を成功させ、さらに来る7月14日には、新石垣空港早期建設郡民総決起大会を開催し、平成17年度事業採択を実現させようと意気込んでおります。
 そこで、次のことについて知事の答弁を求めます。
 まず、事業の進捗状況と今後のスケジュールはどのようになっているのかお伺いいたします。
 次に、また地元八重山の皆さんと一緒になって知事を先頭に国の機関へ要請行動をやっていただきたいと思いますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、平成16年度沖縄県総合防災訓練について。
 八重山ブロックを対象とした総合防災訓練についてお伺いいたします。
 平成14年3月26日と3月31日に宮古・八重山地方に津波警報が発令されました。幸いにも津波の規模が小さかったため被害はありませんでした。しかしそのとき、防災機関による避難呼びかけにもかかわらず避難をしない住民や観光客が数多く見られ、中には津波見物のため橋の上の海岸に近づく人もおりました。そのことはマスコミでも大きく取り上げられ、地域住民が津波の恐ろしさを知らないことに起因していると思われます。
 1771年(明和8年)、石垣島の南西沖で「明和の大津波」が発生しております。最も被害の大きかった石垣島では、島の面積の約40%が波に襲われ、宮良湾沿いの集落や東海岸の沿岸集落では住民の約8割、八重山全域では約1万人が死亡したと言われております。
 最近では、本土でも大規模地震の発生に備えた対策が進んでおり、県内でもいつ、どこで大規模災害が発生しても対応できるよう地域住民、行政、消防、警察、医療機関、海上保安庁、自衛隊、マスコミ等々あらゆる団体を網羅した訓練を継続実施することが最も大事なことではないかと考えます。
 また、訓練に際しては災害の規模に応じた資機材・輸送手段の確保、訓練の内容の検討など人命救助、避難誘導など、より実践的かつ実態に即した訓練にしていただきたいのであります。せっかく多くの関係機関を網羅した大規模な訓練を実施するわけですから、大規模地震・大津波の発生を想定し、海上防災訓練を組み入れた計画の策定、地震発生の際の輸送手段はヘリコプターが最も有効であり、警察、海上保安庁、自衛隊等のヘリを最大動員した訓練、地域住民の参加と防災意識を高めるためマスコミ等による広報、会場への案内・誘導、立て看板の設置、臨時バスの確保、教育の一環として小学生、中学生、高校生の参加等、災害が発生した場合に地域住民がみずから何をなすべきかを考える機会にしていただきたいのであります。
 そこで、次の点についてお伺いいたします。
 1、訓練の実施計画と規模、参加機関はどのようになっているのかお伺いいたします。
 2、今回の訓練の特徴点を具体的に説明してください。
 3、訓練に際しては住民参加型の訓練が大事だと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、答弁を求めます。
 次に、青少年の健全育成について。
 児童虐待の現状と対策についてお伺いいたします。
 子供を虐待から守るため平成12年に児童虐待の防止に関する法律が制定されたにもかかわらず児童虐待は増加傾向にあり、深刻な社会問題となっています。
 先日6月29日の新聞報道によりますと、2003年に全国で対応した児童虐待に関する相談処理延べ件数は2万6573件で過去最多となっています。本県においても昨年の児童相談所における相談延べ件数は571件と前年度204件、1.5%の増加となっています。また、各市町村においても相談件数は増加傾向にあり、石垣市でもいずれも延べ件数で平成13年が329件、平成14年が430件、平成15年が651件と増加しております。
 このように児童虐待の現状を改善し、子供たちが安全で安心して生活できるような行政の体制整備が急務だと考えます。
 八重山地域には児童相談所がありません。
 そこで、各市町村等地域での受け皿づくりはどのように考えておられますか、お伺いいたします。
 また、八重山地域で児童虐待等の相談を受け、本島の児童相談所へ送致するまでの間十分な対応ができない状況にあります。児童相談所のケースワーカーが3カ月に1回程度の来所とか、心理判定・カウンセリングを必要とする児童もDV被害も深刻な状況にあります。現代の社会では心のケアを必要とする人々が多くなっており、行政による相談員の確保が強く望まれております。さらに、厚生労働省は全国の市町村に「子供のよろず相談」窓口を設置して受け皿をふやすべく児童福祉法の改正を準備しているようです。
 そこで、現在、県の方で進めている市町村のネットワーク構築はどのようになっているのかお伺いいたします。
 次に、「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」について。
 「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」の取り組み状況について。
 安全はすべてに優先すると言われております。治安の安定は政治、経済、文化などあらゆる社会活動を営む上で最も基本的要素であります。国民が安心してゆとりある生活を営むための基盤であると考えます。
 本県の治安情勢は、刑法犯が1日当たり60件余発生し、子供や女性、高齢者を被害者とする事件が頻発するなど犯罪情勢は質・量とも悪化し、県民の不安感は年々増大しています。特に、刑法犯の約8割を占める窃盗犯被害の経済的損失は年間約10億円に達し、観光客の犯罪被害も多発するなど観光立県のイメージをも損なう状況にあります。また、無施錠による身近な犯罪被害も多く、県民の防犯意識の高揚が求められるなど治安対策は県政運営上も重要な課題だと考えております。
 このような治安情勢の中で、本年4月1日に「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」が施行され、知事が会長となって推進会議も設置されているとのことですが、次の点について県当局の所見をお伺いいたします。
 条例の推進状況について。
 条例制定後、これまでに推進した施策について。
 今後の推進事項について。
 各施策を推進することによってどのような効果が期待できるのか、具体的な御説明をお願いいたします。
 「ちゅらさん運動」について。
 「ちゅらさん運動」を推進しているようですが、これは安全なまちづくり条例を実践するための具体的施策であると理解しております。安全で快適なまちづくりは警察、行政のみならず、地域社会はもとより県民一人一人がみずからの問題としてとらえ、県民総ぐるみで取り組むことによって実現するものと考えます。
 「ちゅらさん運動」の効果的な推進方策について。
 「ちゅらさん運動」の具体的な取り組みとして地域安全マップの作成を推進しているようですが、取り組み状況についてお伺いいたします。
 以上、質問の要旨の説明は終わりますが、答弁によって再質問を行います。
 よろしくお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 辻野ヒロ子議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、新石垣空港建設についてでございます。関係機関への要請行動等についてのお答えをいたします。
 新石垣空港の建設については、これまでも内閣府や国土交通省など適宜関係要所へ要請してきたところであります。去る6月には空港整備に関する国の財政状況が厳しいことから、「一般空港を考える懇談会」に出席し、関係国会議員に新石垣空港の平成17年度の事業採択に向けた支援を要請いたしました。今後とも国の平成17年度予算編成作業の状況を見ながら適切な時期に要請活動を行いたいと考えております。
 なお、新石垣空港の早期事業化のためには地元の熱意が大事でありますので、地元にあっても地権者の同意取りつけ等早期事業化に向けたさらなる取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、青少年健全育成についてのうち、児童虐待防止における市町村の受け皿づくり及びネットワークの構築について一括してお答えをいたします。
 児童虐待を初め子供と家庭に関する相談については、基本的にできる限り住民に身近な市町村において受けとめ、県の児童相談所、福祉保健所との適切な役割分担を図ることが必要であると考えております。特に、児童虐待の発生予防・早期発見からその後の見守りやケアの取り組みを進めるに当たっては、市町村、学校、福祉保健所、医療機関等の児童虐待防止に関する関係機関相互が密接な連携を図るためのネットワークの構築が重要であります。このことから、中央児童相談所に設置している「児童虐待防止支援チーム」を中心に、市町村における児童虐待防止ネットワークの設置を促進しているところであります。現在、那覇市など11市町が既に設置済みとなっており、今年度中に石垣市など3市町が設置を計画しているところであります。今後とも、より多くの市町村において児童虐待防止ネットワークが設置されるよう働きかけていきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○土木建築部長(末吉 哲) 新石垣空港の進捗状況とスケジュールについてお答えいたします。
 県においては、現在、新石垣空港の事業採択の要件である用地確保の見きわめや、環境影響の見通し等の作業と並行して平成17年度に事業採択ができるよう国と調整をしているところであります。事業が採択された場合の後のスケジュールとしては、航空法に基づく飛行場設置許可の手続、実施設計、用地取得等を経て工事を着手することになります。
 以上であります。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 平成16年度沖縄県総合防災訓練についての御質問にお答えをいたします。
 まず最初に、総合防災訓練の実施計画と規模についてお答えをいたします。
 八重山ブロックにおいては平成9年度に総合防災訓練を行いましたが、今回はそれをさらに上回る内容、規模の訓練を予定しております。
 今回の訓練では、石垣島近海における大地震による大津波の発生や建物の倒壊、火災などの被害を想定し、それらに対処すべく情報収集、伝達訓練、住民等の初期活動訓練などの各種初動措置訓練や各種捜索、救助訓練、救護所設置、運営訓練及びライフラインの復旧などさまざまな訓練を実施する予定です。現在のところ県、石垣市、竹富町、与那国町のほか、消防、警察、自衛隊、医療機関、地元自治会、小学校など77機関、約2000人の参加を予定しております。
 次に、総合防災訓練の特徴についてお答えをいたします。
 今回の総合防災訓練は、従来の防災訓練に加え、平成14年3月に津波警報が宮古・八重山地方に発表された際の住民避難が不十分であったことにかんがみ、石垣島地域防災連絡会が作成した「津波防災マニュアル」等を活用した地域住民、児童の避難訓練、県総合行政情報通信ネットワーク、警察・自衛隊ヘリ等を活用した映像送信訓練、離島遠隔地である八重山地域で発生した災害に対する緊急消防援助隊、県警の広域緊急援助隊、自衛隊等の災害派遣訓練について特に力を入れて実施する予定であります。
 次に、多数の地域住民を総合防災訓練へ参加させるための方策についてお答えいたします。
 総合防災訓練は、広く県民に防災思想の普及・啓発を図ることを目的の一つとしており、より多くの住民に訓練へ積極的に参加・見学していただくことは大変重要であると認識しております。県としましては、本県の有するテレビやラジオ、広報誌、電光広報塔及びホームページなどの各種媒体を活用するとともに、リーフレットを作成し広く県民へ参加、見学を呼びかける予定であります。また、共催市町である石垣市、竹富町及び与那国町や消防などの各参加機関からも同様に呼びかけていただく予定であります。
 以上でございます。
○警察本部長(髙橋清孝) 「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」の推進状況についてお答えします。
 4月1日に施行された「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」には、県、事業者、県民の責務の明確化、犯罪の起こりにくい生活環境の整備、子供の安全確保、観光客の安全確保、被害者支援などが明記されており、これらの対策について知事部局、教育庁と協働して県及び地区レベルで鋭意推進しているところであります。
 推進方策としましては、推進体制の整備、防犯上の指針の策定、広報・啓発による普及活動、県民総ぐるみ運動の実施などが考えられます。
 まず体制の整備ですが、本条例第5条の警察署長の責務に基づき、県内14警察署管内の市町村による「地区安全なまちづくり推進協議会」を4月下旬に設置し、地区レベルの推進体制を整備いたしました。これは4月22日の県知事を会長とする県レベルの「ちゅらうちなー安全なまちづくり推進会議」が設置されたことを受けて整備されたものであります。
 また、県警内部における本条例の推進体制として、4月1日付で県内の犯罪情勢の的確な分析と諸対策を推進するため「犯罪情勢分析官」を新設するとともに、本条例推進の県警内の総合調整を行うため「安全なまちづくり推進課」を全国初の専従体制として新設いたしました。
 次に、防犯上の指針の策定については知事部局、教育庁と協働して道路、公園、駐車場の防犯対策、共同住宅の防犯対策、学校や通学路等における児童等の安全確保対策、犯罪被害者の支援対策の指針を策定し、所要の対策を推進中であります。
 具体的には、緊急雇用創出事業として観光客や子供の安全確保を目的として、観光地や学校周辺に対する防犯パトロール事業を44名体制で7月1日から6カ月間にわたり実施しているところであります。
 広報・啓発による普及活動としましては、県出身のタレントを起用したポスターの作成・掲示、条例の概要を解説したチラシの作成・配布、さまざまなメディアを通じた創意工夫した広報・啓発、企業等に対する出前講話による犯罪情勢や防犯対策の情報提供や条例の趣旨の解説などを実施しております。
 県民総ぐるみ運動については、知事部局、教育庁と協働した「ちゅらさん運動」を推進中であり、特に運動の普及に向けて運動のロゴマークの制定、ロゴマーク入りのかりゆしウエアやバッジの作成などを実施しております。県警では、今後とも本条例の理念である安全で安心して暮らせる社会の実現に向けた取り組みを一層強化していく所存であります。
 次に、「ちゅらさん運動」の推進状況についてお答えします。
 「ちゅらさん運動」とは、「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」の理念を実践するため県民総ぐるみで取り組もうとする運動のことであります。
 具体的には、少年の健全育成のための居場所づくり活動、地域の防犯活動のリーダーの養成などの「ちゅらひとづくり」、犯罪の起こりにくい道路、公園、駐車場、共同住宅等の生活環境の整備、学校、通学路等の防犯対策などの「ちゅらまちづくり」、関係機関・団体、事業者、県民との連携のためのネットワークの強化、住民等による自主的なパトロール活動の促進、観光客の安全対策、被害者に対する総合的支援などの「ちゅらゆいづくり」の3つの「ちゅらづくり」について県、県民、事業者等が協働した総合的な取り組みを推進しようというものであります。
 これまでの活動事例としましては、自治体による子供を守るための防犯ブザー等の配布や公園の危険箇所の点検、自治会による地下道の落書き消し等の環境美化や防犯パトロールの実施、事業者の営業車両やごみ収集車による注意喚起を目的とした巡回、あるいは電気や水道検針員による防犯診断などがあり、「ちゅらさん運動」の輪が徐々に広がっているところであります。特に、各市町村議会における運動の普及に向けた取り組みとして、7月5日現在で9市16町22村の議会において「ちゅらさん運動」の促進決議が行われたところであります。県警としましては、今後とも「ちゅらさん運動」の普及に努め、安全なまちづくりに向けた取り組みを強化していく所存であります。
 次に、地域安全マップ等の具体的な取り組みについてお答えします。
 御質問の地域安全マップとは、地域で犯罪が起こりそうな場所や安全上の危険箇所となるような暗がりや空き家、見通しの悪い公園等を点検して地図にまとめたものであります。住民みずから作成することで犯罪被害の防止、地域への愛着や親近感の醸成、地域の連帯感の再生などの効果が期待され、また自治体にとっては道路、公園及び共同住宅等の生活環境の整備あるいは住民にとっては防犯パトロール実施箇所の選定に活用できるものであります。
 具体的な取り組みとしまして、6月中旬に県内10校の小学校で子供たちによる通学路の危険箇所の点検を実施し、マップづくりを実施いたしました。これは地域安全マップによる地域の安全対策を提唱している立正大学の小宮助教授と学生20名を招聘し、各地区の推進協議会、教育関係者の御協力を得て実現したものです。その結果、通学路の危険箇所が子供たちの目線によってチェックされ、写真や解説によってわかりやすく地図上にまとめられました40枚ほどの手づくりのマップが完成しました。完成した地域安全マップはどれもすばらしいものでしたので、各地での展示会を開催し、県民へも広く公開することを予定しています。
 ちなみに、きょうから今週いっぱい、県庁1階の県民ホールで展示しておりますので、ごらんいただければというふうに思いますが、今後とも安全なまちづくりの取り組みとして地域安全マップの普及を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○辻野 ヒロ子 ただいまの御答弁ありがとうございました。
 再質問を4項目、1点ずつに絞ってお願いしたいと思います。
 まず新石垣空港建設についてですけれども、新石垣空港建設の問題が始まったのが昭和53年で、実は私の娘がことし26歳になって、その年に生まれたんですね。そしてことしの4月に女の赤ちゃんが生まれまして――私の孫ですけれども――このように長い年月がかかっているということをおわかりいただきたいと思います。
 私が県議会の場で、現空港の地域住民として騒音と危険にさらされている中で、この新石垣空港問題の建設にかかわることができたのも何かの因縁かなと思いまして、私は安産型ですので、この空港問題も臨月を迎えた母親とし、そしてもう満潮の潮どきを待ってもうすぐ生まれるという気持ちでもうそこまで来ているということを認識していただいて、ぜひこの平成17年度の事業採択に向けて頑張っていただきたいと思います。
 実は、昨日、石垣市長とお電話をしましたけれども、同意取りつけが100%できたということで実は先ほどファクスをいただきまして、きょう石垣で記者会見をしております。(資料を掲示) 94名の同意がすべて完了したということでけさの地元の新聞にも載っておりましたけれども、このように100%同意取りつけができたということですので、私のきょうの質問に弾みをつけてくれたものだと思い、ぜひ知事、お願いしたいのは、来る7月14日に地元で新石垣空港の総決起大会があるんですね、午後6時から。この大会にぜひ知事、またお忙しければ三役の方に出席していただいて、地元の方々と一緒になってこの空港問題を事業採択に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それから、平成16年度の沖縄県総合防災訓練についてですが、来る9月2日に77の関係機関、2000人の大規模災害の指揮監督の責任者としてやはり知事の参加はどうなさるのか、それもお伺いいたします。
 それから、青少年の健全育成についてですが、児童虐待の各市町村の受け皿づくりで「児童虐待防止に関する法律」の4条に、「国及び地方公共団体の責務等」に基づく施策、児童虐待の予防・早期発見、児童虐待を受けた児童の迅速かつ適切な対応を行うために関係機関の連携の必要性とネットワークの展開が責務となっていると明記されています。竹富町、与那国町の離島を抱える八重山地区から児童相談所への送致件数もかなりあります。
 そういう中で、八重山福祉保健所の専門職員の配置についてお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
 それから、「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」ですけれども、この件は先ほど本部長がちゅらうちなーのかりゆしウエアをつけてすばらしい答弁をいただきましたけれども、これも日本一安全な沖縄県づくりのためにやはりスタートしたのですから、主人公は県民であり、そしてステージが県であり、そしてそれをサポートしていくのが県や関係団体だと思いますので、ぜひ推進会議の会長でもある知事が先頭に立っていただき、積極的に推進していただきたいと思います。この条例を実効性あるものにするためにも最後に知事の力強い決意のほどをお伺いして、以上4点の再質問を行って、答弁をお聞きして私の質問を終了いたします。
 よろしくお願いいたします。
○議長(外間盛善) 休憩いたします。
   午後2時14分休憩
   午後2時15分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 辻野ヒロ子議員の再質問にお答えいたします。
 最初は、石垣空港のお話ですけれども、私自身も非常に深い思いを持っております。と申しますのは、先ほど20何年というお話ございましたけれども、常に本来の話というよりか、いろんな形である程度政争の具にされた問題がございましたんで、私は知事になりましてから本当に地元の方、皆様で決めていただきたいということで市長が中心になりまして、本当に地域の住民の皆様方がしっかりしていただいたおかげでここまで来たということで非常に感慨深いものがあります。私自身もはっきり言うと、10本の指で足りないぐらい、しかるべき時期により効果的な、東京にもその面で何度も行っております。
 これからもより効果的な行動に関してはいつでも、どこでもという姿勢でおります。ただ、それが具体的にどれがどうかということは、そのときの判断によってしたいと思います。しかし、ともかく全力を尽くして石垣空港の着工に向かって、スタートに向かって、採択に向かって一日も早くできるように努力をしたいと思っております。
 それから、ちゅらうちなー、私、初日でしたか、私もちゅらうちなーのちゃんとかりゆしウエアを着てまいりまして――ということは、ちゅらうちなー運動に対して非常に重要であるということを考えているわけです。従来もその会議に積極的に参加をしておりますし、これからも機会あるごとにその運動に参加をして努力をしていきたいと思っております。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 再質問にお答えをいたします。 
 総合防災訓練における知事の役割についてお答えをいたします。 
 知事は、大規模災害発生時には、災害対策基本法、沖縄県地域防災計画等に基づき災害対策本部長として職員を指揮監督することになっております。今回の総合防災訓練においても県庁内で災害対策本部長として訓練全般を指揮監督することを予定しております。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 再質問の八重山福祉保健所への相談専門職員の配置についてお答えいたします。
 今後の児童相談のあり方としてできる限り身近な市町村を主体としつつ、一時保護や施設入所措置等の権限の発動を要するような要保護性の高い事例など、市町村における対応が困難であると思われるケースについては、児童相談所中心の対応とするなどの役割分担が求められております。
 御質問の八重山福祉保健所への相談専門職員の配置につきましては、市町村合併の動きも見据え、福祉保健所のあり方の検討を現在行っているところであり、市町村と福祉保健所、児童相談所が果たすべき役割を踏まえ、今後関係部局と調整しながら前向きに検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○内間 清六 私は、公明党・県民会議所属の一議員として一般質問をさせていただくに先立ち、一言、県当局並びに県民の皆様に対し自己紹介を兼ねてごあいさつを申し上げさせていただきます。
 今般、私は、島尻郡区選出の5名の議員の一人として今後4年間県民の負託を受け、130万県民の福祉増進に邁進させていただく機会を得ましたことに対し、衷心より謝意を表したいと思います。
 もとより、稲嶺知事を初め県当局が県勢発展のため日夜御尽力、御苦労いただいていることに心から敬意を表する次第であります。
 我が沖縄県は、歴史的に大変な苦難な時代を経験しました。古くは琉球王朝時代から薩摩藩の侵攻と支配、そして明治維新の琉球処分、廃藩置県、これに次ぐ太平洋戦争の悲劇と米国による占領と施政権支配は、私たちが後世に二度と経験させてはならない史実であります。
 しかし、私たちの先達は、これらの苦難を乗り越えて今日の繁栄をかち得たのであります。私たちは、この先人の教示と道しるべを大切な遺産としてしっかり受け継ぎ、これをさらに発展・展開し、後世に引き継ぐ義務が負託されているものと考えるものであります。
 他方、我が沖縄県は、地理学的にも避けがたい幾つかの難題、宿命があります。我が県は、離島県の中の離島地域が幾重にも分布し、このことが交通アクセスの問題、離島・僻地医療の問題、物価の離島価格の問題等々難題が山積しております。
 今般の選挙において、この私を県民代表として選出していただいた第1の意義は、内間が離島出身でかつ離島市町村の首長経験者という最も離島を熟知し得る立場にあって、離島住民の代弁者としての役割を期待し負託されたものと重く受けとめております。
 そこで私は、今議会、私にとっては初議会であります。長年にわたり常々苦慮し広く訴えた幾つかの事案について質問をさせていただきたいと思います。稲嶺知事並びに関係部局長の真摯な御答弁をお願いします。特に、私に与えられた持ち時間内で離島振興問題を中心に質問をさせていただきます。
 まず第1番目にお伺いしたいことは、 離島や僻地における医療問題であります。
 私たちは、社会情勢の進展とともに複雑化する社会への対応も多岐にわたり、個人の生活対応、価値観も多様化する中で利便性を求めて都市で暮らす者、片や静寂と自然環境を重視しアメニティーにこだわり離島で暮らす者、さまざまであります。そこで、島で暮らす住民の前に立ちはだかる大きな壁は医療施設の不備であります。私は、久米島での村長時代に県当局の御理解と御協力を得まして、県と久米島の一部事務組合方式で久米島公立病院を立ち上げ、島の皆さんの健康問題を改善した経験があります。
 遠隔離島の地にあって、医療問題はすぐれて命の問題であります。病院の完備は島にとってあらゆる分野で特化し創造し、過疎化の歯どめに効果を発し、修学旅行の促進と観光振興に寄与し、何といっても安心し健康で平和な暮らしが享受されていることであります。この場をおかりして関係者の一人として県当局に謝意をあらわしたいと思います。
 ところでこの公立久米島病院は、離島におけるモデルケースとしてスタートしたのであります。実は、当初から若干懸念されたことがあります。医師の確保問題であります。最近も特定の専門医師の補充に難渋したものと承知をしています。せっかく全島民期待のもとに設立された病院であります。器をつくって魂入らずのたとえがありますので、そうならないように関係者の一層の御尽力をお願いしたいと思います。
 そこでお聞きします。
 (1)、久米島公立病院の運営の状況はどうか。運営に当たって隘路となっている事象があればあわせて伺いたい。
 (2)、久米島以外の離島で一部事務組合方式で計画を進めている地域があれば開示していただきたい。
 (3)、久米島以外の離島・僻地の診療所の現況はどうか。
 次に、県内の離島への航空運賃問題についてお聞きします。
 離島に暮らす者にとって航空機は島民の足であり、生活するための欠かせない交通機関であります。であるがために運賃の低減問題は古くて極めて新しい問題です。これまで県当局もこの現況を勘案されて、県民の税金という公費負担で助成するなど多大な尽力をいただいて離島在住者への特別割引制度を導入し、便宜を図ってこられたことに対しては高く評価されております。がしかし、県民は正直なところまだまだ高い、もっと安くできないものかと念願しているのです。対本土との比較で見ても割高に感じられます。ちなみに本土便は、パック扱いとか、システムは不明ですが特別割引券なるものがあり、その割引率は三、四十%と聞きます。今や大半の県民は、いわばノーマル料金では旅行しない現実があります。
 私は、JTA、RACの企業努力もあるのでしょうが、近年かなり利益を上げており、そろそろ還元する意味からもさらに運賃の低減化が可能ではないかと考えております。
 さらに再検討すべきことは、離島の赤字路線への対応として琉球エアーコミューターを設立した経緯があります。今や両社とも黒字経営です。この赤字路線分離の理由、目的は解消されており、JTA社の社力からも十分そのリスクは吸収可能と考えるが、どうでありましょうか。
 私の選挙区であります南北大東路線は、余りにも高いのではないか。石垣島路線より高く、私も両島民の悲鳴に近い陳情を受けています。しかもこの路線は、RACのドル箱的路線と聞いております。
 そこでお聞きします。
 (1)、離島航路の運賃問題について現在どのように取り組んでいるか。
 (2)、運賃低減に係る県助成措置の展望はどうなっているか。
 (3)、JTA、RACの再統合の可能性はどうか。
 3番目に、離島における物価問題についてお聞きします。
 離島は、静かでのんびり暮らせていいという反面、物価が高いと言われています。運賃の分高いのは当然と言われれば納得という単純な理論ではありません。一般的に運賃の物価への影響はおおむね3%前後と言われています。現実の離島価格は、物資内容にもよりますが、那覇に比べ2割ほど高いのではないか。特に住宅建築費に顕著に差異があらわれています。離島の住民は、都市より所得は低く、物価は相当な割高い環境で生活している厳しい現実であります。島で暮らす皆さんは、そんなもんでしょう、仕方ないこと、長年あきらめの中で暮らす住民は気の毒ですねで片づけていいものではありません。せつな過ぎます。政治と行政もコミットメントし改善すべきと考えます。
 そこでお聞きします。
 (1)、県の離島における物価の把握状況はどうか。物価の監視システムと是正措置についてあわせてお聞きします。
 (2)、離島における農産物の流通問題への取り組みについて。(離島の農産物も一たん那覇経由で販売されている現実があります)
 4番目に、離島町村の学生会館の建設について。
 我が沖縄県は、多くの島嶼から構成されるいわば島嶼群島であります。したがって、毎年多くの若者が郷里を離れ、本島の大学や各種専門学校に進学します。大半が未成年者で宿舎探しに翻弄し、親御さんも苦労が絶えない現実であります。従前から町村会及び離島振興協議会を中心に学生会館の建設問題は検討を進められてきたものの、遅々として進捗しないまま今日に至っています。しかしその必要性は少しも減じていないのであり、地方出身の身の安全と安全育成、親の経費的負担の軽減などの観点からますます需要が高くなりつつあります。手法はいろいろ考えられますが、その一例として県と離島町村の出資によるセクター運営も一方法でありましょう。
 そこでお聞きします。
 (1)、県においても離島町村と提携し推進することの是非について。
 (2)、県事業として取り組む考えはないか。
 5番目に、県の組織・機構の改正問題について、質問ではなく要望を申し上げたいと思います。
 最近の新聞報道によりますと、次年度の組織改革案について関係部局間で大論議が展開されているようであります。私の認識もマスコミ報道の範囲内に限定されますが、ただ一点気になることは、地域・離島振興局の廃止が報じられています。多分に来る地方分権といわゆる三位一体論が加速する情勢下に対応し、沖縄振興開発事業の着実な推進を図るための強化・拡充策の一環と推察しますが、しっかりと離島の皆さんにも説明して理解も深めていただき、県と離島地域の皆さんがスクラムを組んで離島苦の解消に御尽力されますことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) 内間清六議員の御質問にお答えいたします。
 離島における物価の把握状況並びに物価の監視システムと是正措置についてお答えをいたします。
 県においては、離島を含む全市町村で生活関連物資70品目の価格調査を毎月行い、監視と需給動向の把握に努めております。離島における生活関連物資の価格については、輸送費がかかることや一括大量仕入れが限られることなどから本島より割高となっております。県においては、県民の消費生活に著しい影響を及ぼすと認められる生活関連物資を特定生活関連物資として指定し、価格上昇の原因、需給の状況等について速やかに調査を行うこととなっております。
 調査の結果、事業者がその円滑な流通を妨げ、または不適正な価格で供給を行っていると認めるときは、特定生活関連物資の売り渡しや価格の引き下げ等の措置を講ずるよう指導または勧告することができます。県としては、今後とも離島を含めた本県の生活関連物資の価格の監視と県民への物価情報の提供に努めてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 公立久米島病院の運営状況についてお答えいたします。
 公立久米島病院の平成15年度の1日平均の外来患者数はおよそ137人、入院患者数は22人で、病床の利用率は55%となっております。
 運営に係る経費は、病院事業収益を基礎としておりますが、不足分については県、久米島町からの負担金を充当しており、平成15年度における県負担分は3億4976万円、町負担分は7427万円となっております。
 医師の確保については、現在、常設科である外科、内科、小児科に常勤の医師各1名の確保がなされ、全県的にも確保が難しい産婦人科医師については県立病院からの応援や民間病院の支援協力を得て6月から週1回の診療が行われており、現在、常勤医師の確保に向けて関係機関と調整を行っているところであります。県としても、離島医療組合と協力して引き続き医師の確保に努めるとともに、必要かつ適正な医療を提供するため離島医療組合、久米島町、県それぞれの適正な役割分担と責任のもと、離島医療の確保に取り組んでいきたいと考えております。
 続きまして、一部事務組合方式で計画を進めている地域についてお答えいたします。
 一部事務組合方式で運営されている沖縄県離島医療組合については、これまで同組合への加入の要望が伊江村と与那国町からありました。県としては、これら町村に対して現在の組合規約に沿って加入条件等を説明し、特に伊江村については早目の加入を行う方向で準備を進めてきました。しかしながら、両町村においては、同組合への加入に当たっての諸課題を整理するため調整時間が必要であるとして現在加入を見合わせるとしております。県としては、引き続き両町村の意向を確認しながら対応していきたいと考えております。
 続きまして、町村立の診療所の現況についてお答えいたします。
 久米島以外の離島・僻地の町村立診療所は、現在、4町村に5施設あります。島嶼別では伊江島、伊良部島、黒島、竹富島、与那国島の5島に各1施設あり、伊良部島、黒島の診療所は現在休止となっています。
 運営主体は、伊江島と与那国島は町村による運営で、竹富島は個人医師への委託となっております。町村が運営する僻地診療所に対しては、「医療施設運営費等補助金交付要綱」に基づき補助を行っており、平成16年度は与那国町立診療所の運営費補助として973万円を計上しております。
 以上でございます。
○病院管理局長(平井哲夫) 県立診療所の現況についてお答えいたします。
 県立病院事業においては、離島・僻地等における医療を確保するために18カ所の附属診療所を設置し、医師1名、看護師1名、事務員1名の診療体制となっております。これら診療所の運営に当たっては医師の確保が重要であることから、自治医科大学の卒業生や中部病院での臨床研修を終えたプライマリーケア医等を配置しております。
 なお、離島・僻地の診療所の経営については、その運営費用を診療報酬収益で賄うことが非常に困難なことから、国庫補助金や一般会計からの繰入金で補てんすること等により運営を維持しております。
 以上です。
○企画開発部長(花城順孝) 離島航空路線の運賃低減への取り組みと県の助成措置についての御質問に一括してお答えいたします。
 県は、これまで離島航空路線の運賃低減を図るため航空機燃料税等の公租公課の軽減措置を国に対し要請をしてきました。その結果、那覇―離島間及び一定の要件を満たす離島間を結ぶ路線の航空機燃料税及び那覇空港の着陸料等について軽減が図られております。また、県においては県管理の空港の着陸料を軽減しており、これをもとに航空会社が離島住民を対象にした割引運賃制度を実施しております。県としては、今後とも離島航空運賃の低減を図るため事業者の経営努力を促すとともに、公租公課の軽減措置の継続・拡充について関係機関と連携をして取り組んでまいります。
 次に、JTA、RACの統合についての御質問にお答えします。
 琉球エアーコミューター(RAC)は、沖縄本島と県内離島及び離島間を結び、主に離島住民の生活路線を担う航空会社として那覇―久米島など14路線に就航しております。また、日本トランスオーシャン航空(JTA)は、那覇―石垣などの県内幹線及び那覇―羽田など本県と本土各地を結ぶ路線を担う航空会社として19路線に就航しております。両航空会社は、今後ともそれぞれが就航する路線の特性を踏まえた経営戦略に基づき、離島住民の利便性の向上や観光を初めとする産業の振興等に寄与していくものと理解をしております。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 離島における農産物の流通問題についてお答えいたします。 
 本県は多くの離島を抱え、流通の効率化及び輸送コストの低減を図ることが極めて重要な課題であると認識しております。このため、県では平成12年度から船舶とJR貨物を活用した低コストで連日出荷が可能な鹿児島ルートを新たに開拓しております。平成15年度には、低コスト船舶輸送の効率化を図る実証輸送等を行っております。また、地産地消を推進するため各地域における農産物直売所の設置やJAの販売所の活用等を図ってまいります。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(上原 昭) 離島町村の学生会館建設について一括してお答えいたします。
 離島地域は、その地理的条件などから多くの課題を抱えており、教育に係る保護者の経済的負担の問題もその一つであると認識しております。離島町村の学生会館については、以前から南部の離島6村が本島の高等学校に進学する離島出身者のための学生寮の整備について検討していることは承知しております。しかしながら、学生寮の整備については事業主体、管理運営方法、入居資格など幾つか整理しなければならない課題があり、現在、関係6村で課題整理と意見集約を行っていると聞いております。御質問の学生会館についても同様の課題があると考えております。
 また、県の事業として実施することについては、入居者の出身地域を限定することが困難であるなどの課題があります。県としては、関係町村における検討状況を踏まえつつ、その対応策について一緒になって検討してまいりたいと考えております。
○岸本 恵光 ヤンバルは県民のふるさとだという地域、北部広域圏の方からこのたび県議に当選させていただきました岸本でございます。よろしくお願いいたします。
 私は所感を交えて地域の問題を訴えていきたいと思っております。
 まず初めに、沖縄県は本土から遠隔の離島県の不利な面と、米軍基地が集中しさまざまな問題を抱え、稲嶺知事を初め県当局は大変御苦労をなさっており、県民がベストを望む中にも困難な問題にはベターで前進させ、県勢発展に御尽力され、心から敬意を表しますとともに、さらなる御活躍を御期待申し上げます。
 本県は、復帰後32年余りが経過したにもかかわらず依然として所得が206万円で本土の70%で低迷し、さらに北部地域は所得が196万円で中南部に比べ所得格差が大きく、このような状況から国、県の特段の御配慮により北部振興事業が推進する中でありがたく感謝を申し上げるところでございます。
 また、北部地域は県土面積の36%、本島面積の63%を有しながら人口は県人口の約9%で、名護市を除く11カ町村は過疎町村であります。その要因は、空港や港湾がすべて中南部に集中し、流通港によって中南部は人口が増加し発展してきております。北部には流通港がほとんどなく、立ちおくれの要因となっており、北部の人口増加とともに21世紀のヤンバルの発展は北部拠点港と空港の早期実現が不可欠であります。
 そこで質問に入らせていただきます。
 1番目に港湾問題について。
 (1)、北部地域拠点港湾の整備について。
 去る5月25日のマスコミ報道で、北部地域の流通・観光拠点港の整備を目指し「本部港港湾振興ビジョン」が発表され、これまで御尽力された沖縄県並びに関係各位に心から御礼を申し上げるところでございます。北部拠点港湾の整備は、北部地域における人口増加とあらゆる産業の物流コストの低減化や、農林水産業、観光・リゾート産業の振興にも大きく貢献するものと北部住民は大変期待をしております。
 そこでお伺いをします。
 ア、全体計画の中で岸壁の総延長は340メートルになっているが、今後の対象船舶は何トンを見込んでおられるのか。
 イ、背後地が3.5ヘクタールとあるが、北部地域の農水産物の保冷施設、倉庫、荷揚げ場等の用地が小さいのではないか。
 ウ、現本部港の臨港道路は港の中央を通っており、貨物の出し入れ等支障を来している。整備計画の中でつけかえが考えられないかどうか。
 エ、北部地域拠点港湾としては瀬底島と健堅区、崎本部区間の海域を拠点港湾として一大港湾区域にすべきではないか。
 オ、港湾整備は2012年度の完成と言われているが、もっと早く整備できないかについて答弁をいただきたいと思います。
 (2)、現在の本部港整備について。
 本部港は、昭和50年、国家的事業として開催された国際海洋博覧会の海上交通の一環として5000トン級の2バースが整備され、現在は鹿児島航路の定期港となり、毎日1回寄港しております。既存港内に離島ターミナルが最近新築されたにもかかわらず、十分に活用されておりません。しかも古いターミナルが残りイメージを悪くしております。これまでの港湾は、離島ターミナル以外はほとんど手が加えられておらず、しかも毎日カーフェリーが寄港し海の玄関として早急に環境整備が必要であります。
 そこでお伺いします。
 ア、沖縄特別調整費を活用した新ターミナルの利活用として売店等の入居についてどう考えるのか。国との調整は進んでいるのか。
 イ、本土航路の切符売り場が倉庫同然の場所で使用されており、利用客のひんしゅくを買っております。早急に整備できないか。また、新ターミナルへ移すことはできないのか。
 ウ、周辺にはホテル等の宿泊施設があり、夜間は暗やみになっております。観光地としての景観上、街灯の点灯が必要ではないか。
 エ、定期観光船の寄港に伴い、修学旅行、少年の船等の観光客がふえており、現在の港の環境整備が必要と思うがについて御答弁をいただきたいと思います。
 2番目に観光問題について。
 (1)、滞在型観光について。
 近年、本県の観光入域客数の好調な伸びが県経済と雇用を支えている現状であります。昨年の観光入域客数は508万人で、観光収入は3700億円にも上り、他産業収入を大きく離しております。
 しかし、ひところ4000億円産業と言われた観光収入が入域客数508万人になっても収入が減少しているのは、観光客1人当たりの消費額が11万円台から7万3000円に減少したのが主な要因として考えられるんじゃないかと思います。
 今後、観光産業の経済波及効果を高めるためには個人旅行客やリピーターをふやすとともに、県内素材を生かした土産品、食材をふやし、観光拠点や施設整備を強化することによって滞在客も増加するものと考えます。
 また、健康・保養型観光や体験・滞在型観光、そしてウェルネス事業を推進するにはその要件を考えなければならないと思います。さらに、質の高いサービスを提供するには「守礼の邦」と言われた沖縄県をもう一度原点に立って、マナーを大事にする心を学校教育を通して観光教育を行うことがより重要と考えますが、そこでお伺いをします。
 ア、本県の滞在型観光は観光拠点、つまり目玉が少ないため2泊3日の滞在パターンになっていると思いますが、今後の長期滞在に向けてその対策をどうお考えになっておられるのか。
 イ、ウェルネス事業を推進するに当たって、ホテルなど宿泊施設は観光農園用地の確保が必要と考えるが、その御指導、今後のその面についての見解を賜ります。
 ウ、観光は本県のリーディング産業であります。人材育成が必要であり、義務教育からの教育は必要と思いますが、いかがなものでございましょう。
 次に(2)、観光入域客650万人目標達成の秘策について。
 好調に推移してきた観光客をもっとふやすにはさらなる観光拠点をふやし、新たな観光客の掘り起こしや個人旅行客・リピーター対策、外国人対応の外国語教育とガイドの養成などの人材教育が必要であると思います。また、インフラの整備やアクセス問題、宿泊施設の対応が最も重要と考えますが、そこでお伺いをいたします。
 ア、観光入域客受け入れは現那覇空港での対応で可能なのか。
 イ、アクセス問題の対策はどのように考えておられるのか。
 ウ、宿泊施設も不足であると思いますが、今後幾らの宿泊施設増を見込んでおられるのか。
 (3)、環境浄化対策について。
 沖縄県は平均気温が22度で年じゅう暖かく、冬でも花がいっぱい咲くと花のカーニバルで宣伝しておりますが、県民の協力を得てもっと努力せねばならないと考えます。公道は行政が管理することは当然としながらも、観光立県として総合産業としての経済依存度からしても県民の協力を得て県は花木予算を出し、そして県内各市町村のボランティアで今の厳しい財政事情からして継続的に沿道花木植栽を実現すれば、10年後にはすばらしい観光道路に生まれ変わると思います。
 そこで伺います。
 年次計画を立て、国道・県道・市町村道沿いへの花木植栽を推進してはどうか。その実施においては各市町村のボランティアの協力でもって推進することが大事と考えます。また、花木予算においては県の負担金によって可能とすることができるのではないかと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
 3番目に農林水産業の問題について。
 (1)、農水産業の振興策について。
 沖縄の農業を取り巻く環境は実に厳しく、高齢化や零細規模農家が多く、また台風や干ばつなど気象条件や市場からの遠隔地などにより移出コストが高くついています。本土は農業技術が進み、特に九州地域と競合し、今後競争に打ち勝つには農業生産基盤の整備と農業技術の向上、生産性の高い作目選定がより一層必要と考えます。
 また、集落を単位とした生産組織の育成を図るとともに、展示圃の設置、あるいはモデル農家の指定によって導引力を図ることが重要と考えます。
 近年、栽培漁業も増加傾向にあり、近海漁業が振るわない状況からして、四面海に面した立地条件を生かした栽培漁業を推進することが重要と考えますが、そこでお伺いをします。
 ア、地域特性を生かした主産地形成をどう考えておられるのか。
 イ、農業試験場の試験研究の成果を早目に出してはどうか。現状はどうですか。
 ウ、農業改良普及所の職員をもっと活用し、農業の技術向上を目指すべきではないか。
 エ、モデル農家を選定し、技術向上を図る考えはないか。
 オ、本土移出作物の流通コスト削減をどのように考えておられるのか。
 カ、県営栽培漁業センターの役割と成果はどのようになっているかについて質問をいたしまして、答弁の内容によっては再質問をさせていただきたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 岸本議員の御質問にお答えいたします。
 農林水産業問題で、地域特性を生かした主産地形成についての御質問のお答えでございます。
 本県農林水産業の振興については、我が国唯一の亜熱帯性気候等の優位性を生かした活力ある産地を育成し、「おきなわブランド」を確立することが重要であります。具体的にはゴーヤー、菊、マンゴー、パパイア等の拠点産地の育成に取り組んでおります。
 また、水産業については、広大な熱帯海域を活用し、モズク、クルマエビ等の養殖漁業を初め、シラヒゲウニ、タイワンガザミ等の栽培漁業の推進に努めております。今後とも本県の地域特性を生かした農林水産業の振興を図るとともに、消費者に信頼される産地の形成に取り組んでまいります。
 次に、県栽培漁業センターについての御質問にお答えいたします。
 本県水産業の振興を図るためには、つくり育てる漁業及び資源管理型漁業を推進することが重要であります。このため、県栽培漁業センターにおいては、熱帯海域における魚介類の種苗の生産及び供給を通して栽培漁業及び養殖業の振興に努めております。その結果、栽培漁業については、タカセガイ、タイワンガザミ、シラヒゲウニの放流を行い、資源の安定化が図られております。
 また、養殖業については、スギ、ハマフエフキ、マダイ等の種苗の供給を行い、魚類養殖業が進展しております。今後とも本県の栽培漁業、養殖業の振興を図るため種苗の安定供給に努めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○土木建築部長(末吉 哲) 港湾問題についての、北部地域拠点港湾の対象船舶についてお答えいたします。
 沖縄振興計画及び「北部振興並びに移設先及び周辺地域振興に関する基本方針」においては、産業振興のための基盤整備として国際交流や物流の再構築に必要な拠点となる港湾整備に向けて取り組むこととしております。このようなことから、県は流通の拠点となる港湾及び観光・リゾート産業の振興に資する港湾の整備を本部港において目指すこととし、今般、本部町と連携し、本土航路ネットワークの充実を目指した「本部港港湾振興ビジョン」を策定したところであります。同ビジョンにおいては、7万トン級大型クルーズ船を対象として岸壁延長は340メートルで計画しております。
 続きまして、背後地が小さいのではないかについてお答えいたします。
 新たな整備計画における土地利用については、既存の港湾関連用地約10ヘクタールの効率的活用を含め、地元町と連携を図りながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、臨港道路のつけかえについてお答えいたします。
 新たな整備計画に伴う臨港道路計画は、今回策定した港湾振興ビジョンに基づき物流拠点施設等の利用形態に対応した貨客動線や土地利用計画を踏まえ、機能的配置となるよう検討してまいりたいと考えております。
 次に、拠点港湾としての一大港湾区域にすることについてお答えいたします。
 本部港については、港湾振興ビジョンに基づき現港湾区域の範囲内において施設展開するものでありますが、周辺海域を含めた港湾区域の拡大については今後の検討課題であると認識しております。
 次に、港湾計画の早期完成についてお答えいたします。
 本部港の整備については、平成17年度新規採択に向けて国等関係機関と鋭意調整を行っているところであります。事業が採択された場合は、効果が早期に発現できるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、本部港旅客待合所の利活用及び切符売り場の移転について一括してお答えいたします。
 平成14年4月に供用開始した本部港の新しい旅客待合所は、国庫補助金により整備されたものであり、その利活用について補助金の交付目的との整合を図る必要があります。地元から切符売り場、売店等の設置要望があることは承知しております。現在、所管官庁と鋭意協議を進めているところであります。
 次に、本部港内の街灯の点灯及び港湾の環境整備について一括してお答えいたします。
 本部港の環境整備については、緑地整備や休憩所整備等を含め、豊かな自然環境を残しつつ周辺地域と調和した良好な景観形成が図られるよう町当局とも連携して検討していきたいと考えております。
 なお、街灯の点灯につきましても本部町と調整の上、検討していきたいと思っております。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) まず、長期滞在に向けた対策についてお答えをいたします。
 本県を訪れる観光客の滞在日数は、リピーターや個人旅行者の増加、離島への観光客の増加などにより長期化の傾向にあり、平成15年度の平均滞在日数は3.93日と前年度より0.16日増加しております。観光客の滞在日数の増加は、消費額の増加、ひいては各分野への経済波及効果の高まりにつながることから、滞在日数の長期化を図ることは重要な課題であると認識しております。そのため、県におきましては、地域に密着した体験・滞在型メニューの開発や長期滞在者向け宿泊施設の整備促進、離島における受け入れ体制の充実、本県独自の伝統文化や自然環境の継承と保全に取り組んでいるところであります。
 また、観光資源の掘り起こしや新たな観光資源の開発、きめの細かい観光情報の発信、質の高いサービスを提供できる人材の育成などを推進し、滞在の長期化を図っていく考えであります。
 次に、宿泊施設における観光農園の確保についてお答えをいたします。
 健康・保養型あるいは体験・滞在型観光を進めるに当たって、農業や漁業等の体験活動のための基盤を整備していくことは重要であります。こうしたことから、長期滞在型を志向する宿泊施設において、御指摘のように農園を整備し、滞在者にみずから野菜や花を育てる楽しみを提供することは大変望ましいことであります。県におきましては、模範となるような内外の事例を集め広く周知するなど奨励に努めてまいりたいと思います。また、県内においてすぐれた実践をしている事例があれば、観光情報システム「真南風プラス」等において広く県内外へ情報を発信するなどの支援をしてまいりたいと考えております。
 次に、人材育成における義務教育段階からの教育についてお答えをいたします。
 現在、本県の義務教育課程におきましては、小中学校から望ましい職業観、勤労観を持たせるためのカリキュラムが実施されております。小学校においては、親の職場を体験するシャドー学習、中学校においては、1週間の職場体験が実施されております。こうしたカリキュラムをホテル等観光事業所で積極的に実施することにより、児童生徒の観光産業についての理解が深まり、観光人材の育成にも大きな効果が出るものと考えております。
 また、今後、観光産業の果たしている役割や大切さなどについて児童生徒にもわかりやすく解説した「観光読本」の作成についても検討してまいりたいと考えております。
 次に、観光客受け入れの那覇空港での対応についてお答えをいたします。
 観光振興基本計画における平成23年の入域観光客数の目標は650万人で、現在の空港及び港湾の容量を勘案し設定しております。そのうち、那覇空港への入域観光客数は590万人を想定しておりますが、離発着回数の増加と使用機材の大型化、座席利用率の向上等により受け入れは可能と見込んでおります。
 次に、アクセス問題への対応についてお答えをいたします。
 観光客の旅行目的や旅行形態の多様化、離島志向の高まりなど観光客の訪問先は広がりを見せております。そのため、県におきましては関係部局等と連携し、航空路線の拡充、道路や観光案内標識等の交通インフラの整備などアクセスの向上を図っております。
 また、観光客や公共交通機関等を対象とした「観光客移動利便性向上対策調査」を昨年度実施し、観光客の流動実態の把握や観光交通の現状と課題の整理、複数の公共交通機関で利用できる共通乗車船券の需要把握などを行っており、今後その具体化を推進していきたいと考えております。
 次に、宿泊施設の増加についてお答えをいたします。
 平成23年の入域観光客数の目標650万人を受け入れるためには3万3500室の宿泊容量が必要と推計しております。今年6月現在の県内宿泊施設客室数は約2万7900室で、今後5600室の整備が必要となります。これからの整備見込みとして来年度中に15施設、約2300室の増加が予定されており、沖縄観光の順調な拡大を背景に今後とも宿泊施設の整備は着実に進んでいくものと考えております。
 次に、道路沿いへの花木植栽及びボランティアの活用等についてお答えをいたします。
 県におきましては、地域全体としての観光客受け入れ体制づくりを推進するため「めんそーれ沖縄県民運動推進協議会」を組織し、その活動の一環として官民一体となったボランティア活動によるフラワーアイランドの推進運動を展開しているところであります。また、花木の植栽や手入れ、街路樹の剪定などに係るボランティア活動につきましては、県管理道路については県の助成のもと平成6年から推進され、現在では127のボランティア団体が全県下で街路樹の維持管理に参加するなど、道路緑化に大きな役割を果たしております。
 本県が国際的なリゾート地としての地位を確立していくためには、観光・リゾート地にふさわしい緑豊かな道路景観や美しい地域環境が大事であると認識をしております。このため、今後におきましても道路沿いにおける花木植栽の促進について関係機関と連携を図ってまいりたいと考えております。また、ボランティア活動につきましても積極的に促進していく考えであります。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 農業試験場の研究成果についてお答えいたします。
 農業技術の急速な進展に対応し、試験研究の成果が普及に移す技術として早期に活用促進されることは重要であります。
 農業試験場における試験研究の主な成果としては、優良品種についてはサトウキビ農林15号・16号・17号の開発、ゴーヤーの群星、汐風、島風の開発、タンカンの名護紅早生、パイナップルのサマーゴールド等の開発、小菊の沖の微笑、沖の乙女などの新品種を開発・登録しております。
 病害虫防除対策については、アリガタシマアザミウマ、ハモグリミドリヒメコバチ等の天敵昆虫の開発及び実用化、性フェロモンを利用したハリガネムシの交信攪乱法による防除、不妊虫放飼法によるウリミバエやアリモドキゾウムシ等の防除技術の確立など、世界的にも注目され高い評価を受けております。
 試験研究開発成果の現場への移転及び普及については、農業改良普及センターを通して迅速に対応してまいります。
 続きまして、農業改良普及センターの活用についてお答えいたします。
 農業改良普及センターは、農家等を対象に農業及び農家生活技術の指導、農業経営体・青年農業者及び農業を担う人材の育成・確保等地域農業・農村の振興に極めて大きな役割を担っております。
 普及員は、巡回指導、実証圃の設置等地域農家と直接的に接することを通じて農業者の技術や経営能力の向上等に取り組んでおります。今後とも、地域の農家が気軽に利用できる普及センターとして農業の経営安定と生産性の向上に努めてまいります。
 続きまして、モデル農家の選定についてお答えいたします。
 農業経営及び農業生産技術の農家への効果的な普及・定着を図るためには、地域及び農家等にモデル的に実証展示圃を設置することが重要であると考えております。
 実証展示圃の主な事例としては、さとうきびの高品質、多収性優良品種の展示、露地における簡易立体ニガウリ栽培技術の実証、平張り施設による輪菊、小菊の12月出荷技術の確立、マンゴーの安定着果と剪定技術の実証などであります。また、認定農業者の育成や地域農業の担い手として指導農業士、青年農業士、女性農林漁業士等を認定しております。
 続きまして、本土移出作物の流通コスト削減についてお答えいたします。
 本県農業の振興を図るためには、農産物の輸送コスト低減が重要であります。このため、平成12年度から調査・実証輸送事業により船舶とJR貨物を活用した低コストで連日出荷が可能な鹿児島ルートを新たに開拓しております。
 また、平成15年度には戦略的県外輸送システム確立事業により野菜、花卉の混載による大型コンテナの積載効率の向上、出荷団体の共同輸送による輸送の効率化など、低コストな船舶輸送の実証輸送等を行っております。その結果、菊、ゴーヤーなどの品目が航空輸送から船舶輸送への移行が促進され、輸送コストの低減が図られております。具体的には、菊の船舶輸送が平成12年度の約24%から平成14年度は約42%に増加しております。
 以上でございます。
○岸本 恵光 港湾問題につきましては大変期待しているものでございまして、先ほど説明いただいて非常に心強く思っているところでございます。
 そこで、これからの基本計画を含め、そして調査費の要求などについて次年度予算に国への要求を今後なさっていくのかどうかについてお聞かせください。
 それから、本部港湾振興ビジョンでありまして、やはり港についてはこれはもう百年の大計として計画を進めていただきたいというふうに思うわけでございます。
 そこで、やはり340メートルの延長というようなことでありますが、将来を考えた場合に少し規模が小さいんじゃないかというふうなことも思っておりますので、それについてお聞きしたいと思います。
 それから、現本部港の件でございますが、やはり現在、徐々に活用も多くなってきておりますが、今、観光客も大分来ておりますので、植栽計画もしてやってもらいたいと思うんですが、これまではやはり台風被害等もございまして海岸、港においての植栽が非常にしにくいということがありますが、沖縄にマッチしたところの樹木を選定すれば十分可能だと思います。
 例えば、そこには特にアダンあたりが非常に沖縄にマッチした樹木ではないかと思いますけれども、そういうものを植栽すれば港湾ももっともっと環境美化ができてくるものと思いますが、これは答弁は結構でございます。
 それから、農業問題につきましては、やはり今いろいろと研究も進められているようでございますが、農家の皆さん方の希望に沿って研究が進められているかどうかですね。例えば伊豆味のミカンでしたら、今名護紅早生というような話も出ましたが、今、1月の中旬から収穫しておりますが、これはもうあと2週間か3週間早目に収穫することができれば消費量が倍加するものであるんじゃないかと思いますが、まだまだ名護紅早生にしましては結局はそれが遅いような感じがします。
 それから、普及員の指導の面でございますが、以前よりは普及員の巡回指導が少ない。その面を非常に最近はどうかということも言われておりまして、花卉農協が今伸びておりますのは、その巡回指導が非常にいい結果を及ぼしておりますので、その点についてひとつお答え願いたいと思います。
○議長(外間盛善) 休憩いたします。
   午後3時25分休憩
   午後3時26分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 土木建築部長。
   〔土木建築部長 末吉 哲君登壇〕
○土木建築部長(末吉 哲) 再質問にお答えいたします。
 本部港の整備については、平成17年度新規採択に向けて現在要望しております。所要の要望額でやっております。
 次に、340メートルの岸壁延長は短いんじゃないかということなんですが、7万トンの大型クルーズ船を対象にしておりまして、水深9メートル、マイナス9メートルとっております。クルーズ船の長さが約340メートルということで、それ対応ということにしてありまして十分対応していけるということを考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 試験研究成果の農家へ早目に普及することについて、例えば名護紅早生あたりをもう少し早く出したらどうかという御質問にお答えします。
 今現在、名護紅早生については1月ごろがいわゆるおいしい時期ということでありまして、その前の方にはアマクサという品種、これは石川あたりではあまさんということで今商品名になっているわけですが、従来のオキツとかそういうわせ品種に高接ぎをしまして、アマクサを出すことによってタンカンがおいしい時期にずれて旬に出せると、こういうことでいわゆるかんきつについてはそういうアマクサ、あるいは今の名護紅早生、あるいは南香とか、こういうものを推進しているところでございます。
 それから、普及員の巡回指導等をもっと徹底したらどうかということについてお答えします。
 御指摘のように、普及員が農家に直接巡回指導を通して技術の普及、あるいは経営の指導というのは非常に重要であります。そういうことで、巡回指導等を通してより農家と密着した指導ができるように今後とも取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(外間盛善) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで全部終了いたしました。
 次会は、明13日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後3時29分散会

 
20040206000000