平成16年(2004年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 12月 6日
 


○議長(外間盛善) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた公安委員会委員長比嘉良雄君は、別用務のため本日、9日、10日及び13日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日及び13日の会議に公安委員会委員幸喜徳子君、9日及び10日の会議に同委員会委員安里昌利君の出席を求めました。
 また、地方労働委員会会長垣花豊順君及び人事委員会委員長嘉手納成達君は、所用のため本日から10日まで及び13日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長佐久間盛喜君及び人事委員会事務局長宮城嗣三君の出席を求めました。
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○議長(外間盛善) この際、念のため申し上げます。
 本日から10日まで及び13日の6日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(外間盛善) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 砂川佳一君。
   〔砂川佳一君登壇〕
○砂川 佳一 激変の時代にあって常に国民とともに改革を進め、県民の暮らしに確かな未来を築く責任政党・自由民主党沖縄県連を代表しての質問であります。
 まず初めに、嘉数昇明新副知事、新垣幸子新出納長、御就任まことにおめでとうございます。そして御苦労さまでございます。就任以来、県民の暮らし、福祉向上のために誠心誠意御奮闘されていることに感謝と敬意を表します。さらに、これからもなお一層の御精励をお願いし、期待申し上げるところであります。
 そこで、新副知事、新出納長に県政にかける決意の一端を本会議場で心新たに表明していただきたいと。通告はしてありませんけれども、議長、よろしくお取り計らいください。
 さて、本題に入ります。
 1、知事の政治姿勢について。
 (1)、憲法改正問題について。
 憲法改正論議は、時代の潮流でしょうか。
 小泉純一郎首相が憲法改正の意欲を示したことに端を発し、政党や学者、各界各層において憲法改正に関するさまざまな議論が起きており、かなり現実味を帯びてまいりました。
 我が自由民主党も結党50周年を迎える2005年をめどに憲法改正草案の大綱をまとめ、幅広く議論していくことにしております。
 日本国憲法は、明治憲法にかわって1946年(昭和21年)11月3日に公布、翌1947年(昭和22年)5月3日に施行されたものであります。条文は前文及び11章103カ条から成り、国民主権、平和主義、基本的人権尊重の諸原理で貫かれており、また生存的基本権、違憲立法審査権、地方自治の保障などの重要な諸条項も取り入れられたものであります。この意味で民主的な憲法との評価が与えられていることは事実であります。しかし、一方において日本国憲法がさきの大戦後の米国による日本占領期に制定された経緯から、押しつけ憲法だとの批判があることも事実であります。そして現憲法は制定されて以来、たった一度も改正されたことがない、まさに不磨の大典と化している感がするのであります。
 ただ私は、現憲法の果たしてきた役割は極めて大きいものがあると思います。そして現憲法の基本原則である民主主義、自由主義、人権尊重、平和主義等は今後も維持すべきものと思っております。
 しかしながら、戦後に成立してから60年近くにもなった現在においてさまざまな問題が惹起されることになったことで改正論議が出てきているものであります。例えば、安全保障問題が絡んだ9条の解釈の拡大、国際貢献への対応、環境権、情報公開、人格権、プライバシーの保護などといった新しい問題への対応と現憲法の解釈を越えた問題が続出しております。
 昨今の日本世論調査会や各種の憲法世論調査によれば、憲法改正容認が多数を占める結果となっており、国民の間にも改正議論を容認する空気が広がっていることがうかがわれます。しかし、本県においてはさきの大戦の影響、米軍基地の集中化等の状況から複雑な県民感情があることも否めないのであります。
 このような現状、本県の置かれた状況等から、今論議されている憲法改正問題について知事の率直な御所見を伺います。
 ①、憲法改正については国民も容認の状況にあると考えるが、改正に向けて今後、イ、自衛隊を自衛軍と位置づけ、国際貢献に参加すること、ロ、天皇については日本国の元首とし女性天皇を容認、ハ、徴兵制度はないにしても国民に国家の独立と安全を守る責務を課す、ニ、首相の防衛、治安、災害の緊急事態の公布などの課題が議論されると考えるが、知事の所見を伺いたい。
 ②、憲法改正について、全国都道府県における論議の状況等をどの程度把握しているか伺いたい。
 2、普天間飛行場の移設建設問題について。
 米軍ヘリの墜落事故以来、普天間飛行場の移設建設問題をめぐる論議は新たな展開を見せ始めております。日本政府が代替地の選定を新たに検討する方針を固めた背景には、米軍再編を米国から突きつけられ、沖縄地元からは米軍ヘリ墜落事故を契機に普天間の早期移設を求める声が切迫しており、普天間問題を進展させない限り米軍再編問題で日本側のペースで進められないとの危機感があるものと思われます。
 さらに、米国の主張する駐留することが抑止力になるという考えが戦略的に最善の選択と言えるかという問題。また、SACOの最終報告で合意した当時とは安全保障環境が大きく変わってきたという現実があると思われます。
 日米が米軍再編問題でそれぞれの思惑があり、それぞれの背景があろうとも普天間飛行場は市街地に近く危険度も高い。視察した米国防長官もその危険度を認めており、基地機能を移したいとの思いでは日米とも意見は一致していると思われます。
 県民が求めるのは、一日でも早い普天間の危険性の除去であり、安全性の回復であります。普天間の移設の原点であるSACO合意は、沖縄の負担軽減を図るという目標を掲げ合意されたはずであり、その原点に返ればどうすれば早急に移設が実現できるか、日米両政府の課題はまさにこの1点のみであります。
 そこで伺います。
 ①、知事は、普天間移設については代替施設の建設が基本であると言明しているが、同時にその間の普天間の負担の軽減、危険の除去も進めるとしている。具体的な方策を持っているか伺いたい。
 ②、知事は、米軍再編問題と関連し、日米両政府が現行の移設建設以外の移転案に合意した場合、これを支持すると発言したようであるが、これは何らかの根拠があってのことか、その真意を伺いたい。
 ③、政府は、普天間代替施設完成まで普天間の機能を下地島空港へ暫定的に移転することを検討しているようであるが、その真意と県の対応を伺いたい。
 ④、下地島空港の暫定使用に関し、政府から県に対し何らかの打診はあったか。
 ⑤、下地島空港の軍事利用は、県民の総意である基地の整理縮小に反し、沖縄の軍事拠点機能強化につながらないか。知事の考え、基本姿勢を明示し、今後の対応を伺いたい。
 ⑥、国際自然保護連合は、ジュゴン保護の観点から普天間代替施設建設に係るボーリング調査をアセス対象とすべきとの勧告書を採択したということだが、これについて知事の見解を伺いたい。
 3、在日米軍の再編問題について。
 本県の米軍基地の整理縮小がいまだ進まない状況の中、米軍の再編問題が浮上してきております。その背景には、米国の長期的世界戦略の中で沖縄基地の位置づけや沖縄駐留のあり方を見直そうとするものであり、日本側には日米安保体制の維持・継続の必要性と戦後59年を経過し、県民の負担の状況に対する配慮の必要性を無視し得なくなったことが背景にあると思われます。
 いずれにしても、本県が米軍再編に期待するものはあくまで沖縄の負担の軽減につながる再編であります。このため、日米における米軍再編に係る協議が沖縄の兵力削減等を含む基地の整理縮小につながるものであることを願うものであります。
 そこで伺います。
 ①、米軍再編問題について、現在、日米間で協議が行われているようであるが、具体的に米側から何か提示され、日本政府は何を回答し、どのような協議が行われているか、県は実態を把握しているか伺いたい。
 ②、米軍再編問題に関連し、小泉首相は、沖縄の負担軽減を図るため米軍基地の国外移転もあってもいいとの見解を示した。県は、この首相発言をどのように評価し、どのように具体化させるための行動を展開するか伺いたい。
 ③、米軍再編で沖縄から本土への基地や訓練の分散移転に対し、基地の所在する本土自治体は早くも反対の声を上げている状況にある。沖縄の負担の軽減を図るためには他県にも一部負担してもらいたいが、県の考えを伺いたい。
 ④、米軍再編を一つの好機として沖縄の意思を日米両政府にどのように提示し実現していくのか、知事の決意を伺いたい。
 4、県の組織及び行財政改革について。
 国による三位一体改革により県財政が厳しさを増している中で、沖縄振興計画に基づく施策をいかに効果的に展開していくか県は正念場を迎えております。そのため費用対効果や事務・事業の見直し、行政資源の効果的活用や多様化する県民ニーズへの対応、さらに離島県としての特性、米軍基地が所在するという特殊性等構造的な課題を抱えており、その上、国の進める三位一体改革に伴う県財政圧迫問題も派生しております。県の行う行財政改革はこのような課題解決に主眼を置いて、そのための組織体制の構築を図ったものでなければならないと考えます。
 そこで伺います。
 ①、県は、平成17年度に向けて大幅な組織改正を計画しているが、県が目指している改正の理念、目標は何か伺いたい。
 ②、今回の改正は、現行の7部4公局から知事公室を筆頭とする8部制にする大幅な改正であるが、県の組織改正は業務の多種多様性、国や多くの公的機関との関係等を考えれば慎重な検討、多角的な調整、県民等の意見の聴取等長期的・総合的視点からの計画が必要と考えるがどうか。
 ③、県の行財政改革については、「新沖縄県行政システム改革大綱」に基づき行われているが、外郭団体等の整理等について目標3年及び年度ごとの達成率について伺いたい。
 ④、国が進める三位一体改革により自治体の財政は厳しさを増しているが、その中で県は行財政改革をいかに進め、いかに財政健全化を図っていくか伺いたい。
 ⑤、県は、一部職員の職務給を格上げして支給するいわゆる「わたり」と呼ばれる昇給制度を継続しているということである。これについてこれまでの経緯、実施期間、対象職員数、総支給額を明示し、そのことに対する知事の所見、これからの措置方針をお示しください。
 5、地方分権の推進と三位一体改革について。
 (1)、県財政と三位一体改革について。
 ①、三位一体改革は、地方分権を推進し、地方公共団体の自主的な財政運営を推進するとの観点から国が打ち出したものである。県として三位一体改革の精神についてどのような評価をしているか伺いたい。
 ②、地方六団体がまとめた「国庫補助負担金等に関する改革案」の中で、沖縄の特例措置の維持が盛り込まれたが、その背景、経緯について説明願います。
 ③、政府は、国庫補助負担金の改革について、沖縄への補助制度については特例措置を講ずるとして沖縄への配慮を示したようであるが、新たな措置を講じると本県の現在の高率補助制度は三位一体改革によっても今後も存続するのか確認しておきます。
 ④、三位一体改革により打撃を受けるのは、財政規模の小さい地方自治体である。県内市町村への手当て等について県の対応策を伺いたい。
 6、環境問題について。
 (1)、廃棄物処理問題の対策について。
 ①、県は、「美ら島環境クリーン作戦対策本部」を立ち上げて廃自動車の不法投棄や不適正処理等への対策を講じているが、悪質業者に対する具体的な対処方法と実効性について伺いたい。
 ②、本県における一般廃棄物最終処分場で、水質汚染防止措置など現在の廃棄物処理法の基準不適合が19カ所あるということであるが、その実態と県の対策を伺いたい。
 ③、現在ある県内の産業廃棄物管理型最終処分場については二、三年で満杯に達することから、県や民間企業による第三セクター方式の処分場建設が検討されているということである。現在の状況と県の将来構想を伺いたい。
 ④、離島地域においては、野積み問題等に対し最終的には本島まで搬出して処理しなければならず、海上輸送費等の問題もあり、野積み廃自動車の処理が進まない状況にあるが、県としてどのような対策を考えているか伺います。
 (2)、「美ら島会議」と海岸線への漂着ごみ問題について。
 本県観光の魅力は自然環境のよさと人情、長寿・健康のイメージにあります。特に、青い海は本県観光の生命線であります。この青い海が今大量のごみの漂着等により危機にさらされているということであります。防衛大学校の山口晴幸教授の調査によれば、調査した39海岸のうち22海岸で大量ごみ漂着が確認され、その数量は5年前の7倍以上に激増しているということであります。
 本県における海は県民の憩いの場であるだけでなく、本県経済の生命線であり、大切に守っていかなければならない宝であります。県としても早急な調査対策が必要と思われますが、県の対策を伺いたい。
 ①、県は、本県の海岸線へ漂着するごみ問題についてその実態を把握しているか。また、その対策を講じる必要があると考えるがどうか。
 ②、内閣府は「美ら島会議」を発足させ、県内40の離島を対象に離島地域の廃棄物対策を実施し、離島の廃棄物や漂着ごみの不法投棄の量、種類、処理方法等を把握するとしている。離島における海洋観光、海岸美化の観点から早急に実施すべきと考えるが、県として内閣府との協議・調整を行っているか進捗状況を伺っておきます。
 7、新石垣空港建設について。
 先週も國場委員長を団長とする新石垣空港整備事業の要請団が要請行動をしてまいりました。いよいよ正念場であります。
 これまで長い年月とさまざまな紆余曲折を経てきた新石垣空港建設については、国土交通省、内閣府が新空港建設に係る経費を盛り込んだ平成17年度概算要求を財務省に提出したことにより、空港建設は新たな段階に入っております。これからの建設着工に向けて越えなければならない課題となるものは何か。また、概算要求項目及び概算額を伺いたい。
 ①、事業実施区域並びにその周辺陸域や海域等の環境保全をいかに図るかがこれからの工事の着工に向けての大きな関門ではないかと思うのであるが、県は環境影響評価手続をどのように進めているか伺いたい。
 ②、共有地の地権者522人からの同意取りつけは万全を期して行わなければならないと考えるが、現在までの交渉状況と今後の対処方針について伺いたい。
 8、県警関係について。
 沖縄県警は、他府県と違い沖縄県特有の業務がどうしてもふえてまいります。いわゆる米軍基地所在の不祥事件や観光客関連と多くの離島を抱えているなどの特殊事情で業務が年々増加してくると思います。
 このような特殊事情を背負いながら、県民の安全・安心な暮らしを守るため日夜御奮闘をなされております警察官の皆様に御苦労さまと感謝の意を表しながら、県警本部長にお尋ねいたします。
 (1)、空き交番対策について。
 ①、本県において交番は何カ所設置されているか。またそのうち空き交番と言われるのは何カ所あるか。
 ②、全国的に空き交番問題が言われているが、本県においても交番はあっても警察官がいないという住民からの声も多く聞かれる状況にあります。国や自治体での行革が行われている中では警察官の増員もままならない状況にあると思われることから、警察官OBを活用する方策を検討すべきだと考えるがどうか。
 ③、交番を訪れる住民の多くは、事件の急報というより何らかの相談が多いと思われる。このため警察官OBは経験も積んでおり適任と思われるが、県警本部長としてどのように考えるかお伺いいたします。
 9、尖閣諸島問題について。
 尖閣諸島をめぐる領有権問題については、中国や台湾が自国の領有を主張し、たびたび領海侵入を繰り返している状況にあります。去る11月10日には中国海軍の潜水艦が我が国の領海内に侵入し、あろうことか石垣島と多良間島の間を航行していたとの事件が発生しております。
 この周辺海域は、近年、東シナ海のガス油田開発や尖閣諸島の領有権問題など海洋権益をめぐる日中両国がせめぎ合う海域であるだけに予断を許さない状況にあります。
 日本政府は、領海内に侵入した潜水艦は中国海軍の原子力潜水艦と断定し、中国に対し謝罪を要求したのであります。これに対し、中国政府は自国の潜水艦であることを認め、日本政府に対し謝罪しております。しかし、軍事関係者によると、中国の東シナ海等での海底調査は資源調査と同時に潜水艦の航路確保がねらいとの見方は常識とのことであり、領有権問題が解決したわけではありません。
 中国がなぜそこまでの行動ができるのか、中国や台湾の活動家が何度も尖閣諸島への侵入を繰り返すのか。この背景には日本政府の及び腰外交があるのではないかと言われております。
 そこで伺います。
 ①、1972年3月8日に外務省は、尖閣諸島の領有権についての基本見解を発表している。その中で政府は尖閣諸島の領有権についての基本認識をどのように述べているか伺いたい。
 ②、領有権問題は、すぐれて国の専管事項であり、県としての対応は難しいのが実情である。しかし一方において尖閣諸島は沖縄県属であると主張し、本来沖縄県が管理すべきであると考えるが、実際に県としてやれることは何か、御見解を賜ります。
 ③、今回の中国海軍原子力潜水艦による先島海域への侵入事件について事件の概要と政府の今後の対応を伺いたい。
 10、郵政民営化問題について。
 ①、郵政民営化については、来年の法制化に向けて民営化への議論がスタートした。しかし、国民や県民の視点からすると何のための民営化か、民営化によりどこが改善されるか、何が国民の利益につながるのか等十分理解していない面が多いのであります。政府が目指している民営化とは何か、説明願います。
 ②、民営化されることにより最も影響を受けると心配されているのが郵便局であり、郵便局を日常的に利用している地域住民であります。本県の場合も離島を含め201の郵便局があるということであるが、離島地域へ行けば行くほど郵便局は地域密着サービスの拠点として住民から信頼されているのです。郵便局が民営化されることについて県はどのような認識を持っているか、伺います。
 以上、県民にわかりやすい、理解しやすい御答弁をよろしくお願い申し上げます。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
 砂川議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は、憲法改正及び全国都道府県における論議の状況について一括してお答えを申し上げます。
 憲法論議についてはさまざまな意見があり、時代の変化に応じて検討する必要があると思いますが、時代の変化をどう認識し、対応していくのかについて十分に議論すべきであると考えております。憲法については、全国の主要都市において地方公聴会が開催されていることなどから、各都道府県においてもさまざまな論議がなされているものと考えております。
 いずれにしましても、憲法については、主権者である国民がさまざまな議論を通して、より理解を深めることが重要であると考えております。
 次に、普天間飛行場の危険除去についての御質問にお答えをいたします。
 普天間飛行場の現状を申し上げますと、同飛行場に配置されていた事故機と同型機は8月に6機がイラクに派遣され、10月に3機が岩国飛行場へ移動し、現在では残り2機となっており、目視情報では全機種合わせても10数機しか残っていないとのことであり、事故以降騒音が軽減されている状況になっております。
 県は、イラクに派遣された普天間飛行場の常駐機の帰還については反対を表明しており、また再発防止策についても事故分科委員会における日米双方の専門家等の協議結果を踏まえた勧告が日米合同委員会で合意され、その結果を公表して県民の不安を払拭すること等を求めてきたところであります。
 次に、米軍再編と普天間飛行場の移設についての御質問にお答えをいたします。
 普天間飛行場は市街地の中心部に位置し、市民生活に深刻な影響を与えていることから、早期返還を実現するため、県としては限られた選択肢の中から県内移設という苦渋の選択をしたものであり、辺野古移設に固執するものではありません。今後、日米両政府が協議し、県外あるいは国外への移転が合意され、提示されるならば県としてそれを支持するのは当然であります。
 続きまして、下地島空港の暫定使用と県への打診についての御質問にお答えいたします。一括してお答えいたします。
 政府から県への打診についてはありません。政府は、普天間飛行場の代替施設完成までの下地島空港の暫定使用等については、政府として可能性を検討したり、合衆国側から打診を受けたりしているとの事実はないと答えております。県は、これまで日米両政府に対し、県民の目に見える形で本県の過重な基地負担の軽減が行われるようあらゆる機会を通じて強く求めてきたところであり、新たな基地負担につながるようなことに対しては反対であることは明らかにしております。
 続きまして、下地島空港の使用についての御質問にお答えいたします。
 下地島空港については、これまで米軍の使用を自粛するよう強く要請してきたところであり、いわゆる「屋良確認書」や昭和54年に県と国との間で確認した同空港の管理運営方針「西銘確認書」を踏まえた利用が行われるべきであると考えております。県としては、これまで日米両政府に対し、県民の目に見える形で本県の過重な基地負担の軽減が行われるようあらゆる機会を通じて強く求めてきたところであり、新たな基地負担につながるようなことに対しては反対であることを明言しております。
 次に、IUCN勧告に対する見解についての御質問にお答えいたします。
 当該勧告の内容は、日本政府とアメリカ合衆国政府に対する要請であると承知しております。現行の環境影響評価法においては、事業を建設工事や土木工事など具体的な工事としてとらえられる範囲に限定しており、計画策定のために行われるボーリング調査等の事前調査は同法の対象とはなっておりません。そのため、同勧告は法の改正等の法制度にかかわる要請であると考えております。
 次に、在日米軍再編についての小泉総理大臣の発言についての御質問にお答えいたします。
 小泉総理大臣の発言は、沖縄の基地負担の軽減を図るためには、国内外への移転も含め日本全体の問題として責任を持って進めることを示したものと受けとめております。県としては、小泉総理大臣のリーダーシップのもと、県民の目に見える形で過重な基地負担の軽減がなされるよう引き続きあらゆる機会を通じて働きかけてまいります。
 次に、沖縄から本土への移転についての御質問にお答えいたします。
 本土の自治体で反対の声があることは承知しております。小泉総理大臣は、沖縄の基地負担の軽減を図るためには、国内外への移転も含め日本全体の問題として責任を持って進めることを表明しております。県としては、政府の責任において米軍再編の中で県民の目に見える形で過重な基地負担の軽減がなされるべきであると考えております。
 続きまして、沖縄の意思の提示と実現についての御質問についてお答えいたします。
 県は、米軍再編の動きに的確に対応する観点から、本県のさまざまな基地負担の状況を十分に検討しながら、米軍再編の中で県として求める基地負担の軽減策はどのようなものであるべきか、普天間飛行場やキャンプ・ハンセンなど在沖米海兵隊の兵力の削減や訓練の分散移転などを軸とした基本的な考え方を取りまとめているところであります。県としては、米軍再編において県民の目に見える形で過重な基地負担の軽減がなされるよう、日米両政府に対し県の考え方の提示も含めあらゆる機会を通じて働きかけてまいります。
 次に、組織改正の理念、目標についての御質問にお答えいたします。
 県の組織・機構については、三位一体改革などの社会経済情勢の変化に対応しつつ、沖縄振興計画の着実な推進や県政の重要課題に効果的かつ柔軟に対応するとともに、行革大綱に基づき県民視点に立った簡素で効率的な組織・機構を構築することを基本として改正を検討してまいりました。
 具体的には、危機管理及び基地対策など県政の重要課題に対応した施策を推進する体制を強化するため、総務部の知事公室を部と同等の内部組織として格上げし筆頭部とします。
 次に、本県の自立型経済の構築に向けた産業の一層の振興を図るため「観光商工部」を設置します。これは、他産業への波及効果が高く本県のリーディング産業として位置づけられている観光・リゾート産業を核として産業の一層の振興を図ることによって、本県の重要課題である雇用機会の拡大につなげていくことをねらいとしております。
 また、簡素でわかりやすい組織体制を構築するため、現行の11部局体制の8部体制への再編・整理と、室の全面廃止や小規模な課の見直しによる行政のスリム化を図ります。さらに、次長や課長補佐等の中間職制の廃止による意思決定の迅速化と県民への行政サービスの向上を目指すこととしております。
 次に、県は三位一体の改革をどう評価するかについてお答えいたします。
 三位一体の改革は、歳入歳出両面での地方の自由度を高め、地方がみずからの責任で行政サービスを選択できる幅を拡大するものであり、地方公共団体における自主・自立的な行財政運営を確保し、地方分権を推進する観点から重要なことであると考えております。しかしながら、改革による影響は各地方公共団体によりさまざまであることから、それぞれの地域の特殊事情に配慮した見直しを行うべきであります。特に、本県においては沖縄振興特別措置法の趣旨が損なわれることなく、また沖縄振興計画の着実な推進に支障が生じないよう必要な措置を講ずるべきであると考えております。
 また、税源に乏しい離島等の地方公共団体が引き続き適切な行政サービス水準を確保することができるよう、三位一体の改革の推進に当たっては配慮する必要があると考えております。
 次に、地方六団体の改革案に沖縄特例措置の維持が盛り込まれた背景、経緯等についての御質問にお答えいたします。
 本県は、これまで全国知事会及び九州地方知事会の三位一体の改革に関する提言の取りまとめに際して、本県の特殊事情にかんがみ講じられている各種の特例措置について配慮する必要があることを繰り返し主張してまいりました。また、全国知事会長に対し、改革案の中に特例措置への配慮を盛り込むことについて直接要請するとともに、全国知事会議の場においても同様の趣旨を主張したところであります。
 このようなことから、地方六団体の改革案の中に沖縄関係補助金に係る特例措置については、「その趣旨を踏まえ必要な措置を講じるべきである。」と盛り込んでいただいたところであります。
 次に、高率補助制度は今後も存続するのかについてお答えいたします。
 三位一体改革についての政府と与党の合意で「沖縄等特定地域において講じられている補助制度に係る特例措置については、その趣旨を踏まえ必要な措置を講ずる。」との文言が盛り込まれたことは、沖縄振興に対する政府と与党の強い配慮が示されたものと考えております。
 県としては、高率補助等の特例措置が講じられている事業が廃止される場合は、特例措置の趣旨が損なわれることなく、また沖縄振興計画の着実な推進に支障が生じないよう今後とも沖縄に対する特別の交付金の創設など所要額の確保のための措置を国に対し求めてまいります。
 また、各省庁において補助金の交付金化等新たな制度が創設される場合も、従来の高率補助等の特例措置の趣旨が損なわれることのないよう必要な措置を求めるとともに、沖縄施策としての予算措置が明示されるよう一括計上方式の継続を求めてまいります。
 次に、新石垣空港の建設着工に向けての課題と概算要求項目及び要求額についての御質問にお答えいたします。
 新石垣空港の建設に向けての最大の課題は、平成17年度の事業化が認められ予算が確保されることであります。現在、国土交通省、内閣府から新石垣空港に関連する経費が財務省に要求されております。県としましては、新石垣空港の建設は重要課題と位置づけ、予算確保に向け地元石垣市と一体となり、関係するあらゆる要路に対し要請活動をしてきたところであります。
 なお、平成17年度の概算要求の内容は、空港施設の実施設計、用地測量、物件調査等であります。その要求額は、これにかかる所要額であります。
 次に、尖閣諸島の領有権についての外務省の基本認識についての御質問にお答えいたします。
 外務省の基本認識は、尖閣諸島が我が国の一領土であることを明瞭に示すものであるとして、1点目に、尖閣諸島は1885年以降再三にわたる現地調査を行い、無人島でありかつ清国の支配が及んでいないことを慎重確認の上、1895年に閣議決定を行って正式に我が国の領土に編入することとしたものであること。
 2点目は、同諸島は以来歴史的に一貫して我が国の領土たる南西諸島の一部を構成しており、下関条約に基づき我が国が清国より割譲を受けた台湾及び澎湖諸島には含まれていないこと。
 3点目に、サンフランシスコ平和条約において我が国が放棄した領土のうちには含まれていないこと。また、南西諸島の一部としてアメリカ合衆国の施政下に置かれ、我が国に施政権が返還された地域の中に含まれていることを挙げております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○副知事(嘉数昇明) おはようございます。
 答弁の機会を与えていただきまして大変ありがとうございます。
 去る10月13日に議会の御同意をいただきまして、翌14日に稲嶺知事から辞令をいただき、県副知事の役目を仰せつかりました嘉数昇明でございます。
 御案内のように、県政の諸課題が山積する中でまさに身の引き締まる思いでいっぱいでございます。前比嘉副知事の担当分野を受け継ぐことになりましたが、前副知事の立派な足跡に学びながら、また三役一体となって稲嶺知事を支え、微力でありますけれども沖縄県の発展のために最善を尽くしていきたいと思います。先生方の御指導、御鞭撻を賜りますようによろしくお願い申し上げます。
 どうもありがとうございます。(拍手)
○出納長(新垣幸子) おはようございます。
 出納長の新垣幸子でございます。どうぞよろしくお願いします。
 10月13日に県議会において皆様に御承認いただきましてありがとうございます。
 21世紀の県づくりの大変重要な時期、それから内外の行財政の厳しい時期に出納長を拝命いたしまして責任の重さに大変身の引き締まる思いでございます。
 出納長の職務といたしましては、県における会計事務が法令等にのっとり適切かつ円滑に推進することに努めることでございます。執行機関である部局と連携をして県政運営の万全に努めていきたいと思っております。
 また、知事を補佐する三役の一人としましては、これまでの経験を生かし、県民福祉の向上と沖縄県の発展に頑張っていきたいというふうに思っております。議会の議員の皆様方の御指導と御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございます。(拍手)
○知事公室長(府本禮司) 米軍再編についての日米間の協議についてお答えいたします。
 米軍再編についての日米間の協議について、外務省は、現在、米軍の軍事体制の見直しについての基本的な考え方や地域における情勢認識、日米の戦略目標、日米の役割と任務といった基本的な論点について包括的な議論を行いつつ、日米それぞれの考え方に係る理解を深めるための意見交換を行っているとしております。その中でさまざまな具体的な見直しのアイデアについても議論してきているとしておりますが、提案のやりとりを行っているわけではなく、個別の施設・区域についていかなる決定も行われていないとしており、米側との議論の内容については相手国との関係もあり公表できないとしております。
 県としては、米軍再編に適切に対応する観点から、引き続き米軍再編に係る情報の収集に努めるとともに、政府に対しては協議の方向性や内容について地元に十分な情報提供を行うよう求めているところであります。
 以上であります。
○総務部長(仲田輝享) 組織改正の検討経過等について御答弁いたします。
 今回の組織改正に当たっては、沖縄振興計画の着実な推進や基地問題の解決など県政の重要課題に柔軟に対応する体制の構築と、行革大綱を踏まえた簡素で効率的な組織・機構の確立が必要であるという基本的な認識のもと、平成15年度から内部作業に着手するなど慎重に検討を進めてまいりました。2度にわたって全部局長と意見交換したほか、7月末の政策会議等を経て県案を取りまとめ、今議会に組織改正に係る部設置条例改正案を提案しているところであります。
 今回の組織改正案につきましては、県議会の各会派代表者に説明を行ったほか、離島振興協議会を初め経済団体等と意見交換するとともに、県のホームページで公表するなど総合的な検討のもとに取りまとめを行ってきたところであります。
 次に、外郭団体等の整理等について3年間の目標と年度ごとの達成率についてお答えいたします。
 公社等外郭団体の見直し計画では、3年間の目標として廃止・統合、組織体制の検討、事務・事業、人的関与、財政支援の見直しなど46団体について101項目の見直し計画を立てております。
 年度ごとの達成状況につきましては、平成15年度は見直し項目33のうち26について実施しており、達成率は79%となっております。実施項目のうち主なものは、廃止になった団体が2、出資金を引き揚げた団体が1、役員を引き揚げた団体が4となっております。その他、11月には「公社等指導監督要領」の改定を行い、今後の公社等に対する県の関与のあり方を見直すとともに、今年度から経営評価制度を導入し現在公社等による自己評価を行っているところであります。今後も引き続き経営評価等を踏まえて課題を整理し、経営改善や統廃合等の見直しを進めていきたいと考えております。
 次に、財政健全化についてお答えいたします。
 県では、沖縄振興計画を着実に実施する簡素で効率的な行政体制を構築するため、「新沖縄県行政システム改革大綱」に基づき行政経営への評価の反映、組織・機構の改革、財政の健全化等に取り組んでおります。今後、本県の財政運営は一層厳しくなることが見込まれており、新大綱で定めた392件の事務・事業の見直し、23件の補助金の廃止、事業費が10億円以上の県単独事業の箱物整備及び県債発行の抑制、徴収率向上による県税収入の確保、使用料及び手数料の見直し、県有財産の有効活用等を着実に実施していきたいと考えております。さらに事務・事業評価システムを活用した事業の見直し等による徹底した経費削減を行い、財政健全化に向けた取り組みを強化してまいります。
 次に、職務の級の格付の課題についてお答えいたします。
 県職員の給与については、給与条例の定めるところにより職員の職務と責任に応じて適用する給料表を別にするほか、それぞれの職に応じて職務の級の格付を定めております。
 現行の職務の級の格付については、給与条例第6条第1項の規定に基づく人事委員会規則等で定められた職務の級の格付を適用しているものであります。
 今回のマスコミ報道等がなされている問題については、人事委員会規則等において行政職給料表が適用されている係長級の職員の職務の級が4級から7級までとされ、課長補佐級の職員の職務の級が6級から8級までの格付とされていることに関係しています。これらの職務の級の格付については、平成8年4月1日から実施されているところであり、職員の級号給の分布状況を踏まえ、職員の士気を確保し維持するという目的のもとに行われたものであります。
 現行の職務の級の格付に関し、平成8年度から平成16年度までの対象者人数については、係長級で7級の者が延べ7526人、課長補佐級の8級の者が延べ3123人、合計延べ人数は1万650人となり、単年度当たりの平均対象者人数は1183人となっております。
 現行の職務の級の格付による1人当たりの年間影響額を平成16年度の影響額である15万円として平成8年度から平成16年度までの間の累計額を推計いたしますと、その額は16億円程度と見込まれます。
 県としては、職務給の原則等に基づき給与制度の適正化を図る観点から、これらの格付について所要の見直しが必要であると考えています。この考え方のもと、職務の級の格付の見直しが職員の勤務条件の変更に該当し地方公務員法に定める交渉の対象となることを踏まえ、平成16年10月26日に関係職員団体等に対し、現行の職務の級の格付に関する見直し案を提示し協議を行っているところであります。
 県職員の給与が県民からの租税によって賄われていることを踏まえ、県としては速やかに関係職員団体等との合意形成を図り、できるだけ早い時期にこれらの見直しを実施していきたいと考えています。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(上原 昭) 三位一体改革に関連し県内市町村への対応策についてお答えいたします。
 政府の示した「三位一体の改革の全体像」では、「地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する。」とされております。地方交付税の総額等は、今後、地方財政対策の中で決定されますが、予断を許すことはできないと考えております。
 また、税源移譲に伴う地域間の財政力格差について、今後、地方交付税の算定を通じて確実に財源措置が講じられるよう県内市長会、町村会等と連携を図りつつ全国知事会等とともに国へ働きかけていきたいと考えております。県としては、市町村に対して財政健全化債及び市町村振興資金貸付金の活用など随時助言しているところであり、今後とも積極的に対応していきたいと考えております。
 次に、政府が目指している郵政民営化についてお答えいたします。
 去る9月10日に閣議決定された「郵政民営化の基本方針」によりますと、「郵政民営化は、国民に大きな利益をもたらす。」とされております。具体的には、国民の利益としては、「市場における経営の自由度の拡大を通じて良質で多様なサービスが安い料金で提供が可能になり、国民の利便性を最大限に向上させる。」こと、「資金を民間部門に流し、国民の貯蓄を経済の活性化につなげることが可能になる。」ことなどが挙げられております。
 また、民営化時の組織形態については、窓口ネットワーク、郵便事業、郵便貯金及び郵便保険の4機能をそれぞれ株式会社として独立させるとしております。
 次に、郵政民営化に対する県の認識についてでありますが、本県は多くの離島・過疎地域を抱えており、これらの地域においては郵政事業と住民生活とは極めて密接な関係にあり、今後とも郵政事業の安く、あまねく公平なユニバーサルサービスの確保は欠かせないものと考えております。
 去る9月10日の閣議決定においては、郵政事業の窓口は住民のアクセスが確保されるように配置する旨の努力義務を課すことや、過疎地の拠点維持に配慮すること、引き続き郵便のユニバーサルサービスの提供義務を課すなどの内容が盛り込まれております。
 現在、政府において法案化に向けた制度設計等の準備を進めているところであり、県としてはこれらの動きを注意深く見守りつつ、離島・過疎地域における郵政事業のサービス低下を来すことがないよう、適宜国へ働きかけていきたいと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 美ら島環境クリーン作戦対策の具体的対処方法と実効性についてお答えいたします。
 悪質な不法投棄事案や廃棄物の不適正処理は、地域の生活環境に支障を及ぼすばかりでなく、自然や都市景観を損ねるなど本県の観光振興にもダメージを与えかねない重要な問題であります。このため、県においては、平成15年5月に警察本部と合同で地域の生活環境に支障を及ぼす悪質な不法投棄事案等に対して迅速な行政措置及び積極的な事件捜査を行うことを目的に「美ら島環境クリーン作戦対策本部」を設置し実施をしてきております。
 その結果、平成15年5月から平成16年10月末までに警察による廃棄物処理法違反の検挙は50件57人と、警察との連携による成果も上がっております。また、平成16年4月には警察官OB3名を沖縄県廃棄物監視指導員として3保健所へ配置し、日常的な不法投棄監視パトロールや廃棄物処理法違反等に対する監視体制の強化を図り対応してきているところであります。県といたしましては、今後とも改善指導等に応じない悪質な事業者等に対しては、措置命令や警察への告発を進め厳正に対処していきたいと考えております。
 不適正最終処分場対策についてお答えいたします。
 平成16年12月現在、県内で稼働中の一般廃棄物最終処分場は25カ所で、それらのうち施設基準に適合した施設が13カ所、適合していない施設が12カ所となっております。また、そのほかに施設基準に適合しておらず使用を停止した施設が10カ所あります。
 県は、これまで施設基準に適合していない最終処分場を使用している町村・組合に対して、焼却灰などの地下水を汚染するおそれのある廃棄物を搬入しないよう指導するとともに、基準に適合した施設の整備について指導を行ってきたところであります。県としては、今後とも当該町村・組合に対して施設の整備を急ぐよう指導を行うとともに、来年度から実施が予定されている施設整備費に関する交付金の確保にも努めてまいりたいと考えております。
 次に、産業廃棄物管理型最終処分場の整備に係る現在の状況と将来構想についてお答えをいたします。
 産業廃棄物処理施設の整備は、排出事業者の処理責任のもとに行うことが基本でありますが、その立地に対する住民の理解と協力を得ることが厳しい状況になっていることから、公共の関与が求められております。県においては、これまで公共関与に関する調査・研究を行うとともに、ことし5月には学識経験者、経済界等の関係団体、市町村及び県の関係者から成る「公共関与による産業廃棄物処理施設の整備促進基本構想検討委員会」を設置し、事業主体や施設規模等の具体的な方策について検討を進めているところであります。去る11月の第3回委員会においては、これまでの検討を踏まえて、事業主体については排出事業者責任と公共が政策的に関与する観点から官民協調による第三セクターの設立が必要であるとしております。
 また、処理施設の機能としては、最も重要性かつ緊急性の高い最終処分場を整備することとし、その規模として中長期的な埋立量等を勘案し、おおむね33万立方メートルとする等の中間報告を取りまとめたところであります。
 同委員会におきましては、今後、用地確保のあり方などについても検討を進め、年度内には最終報告を取りまとめることとしております。県としましては、同委員会における検討結果や提言を受けて庁内で検討した上で基本構想を策定し、公共関与による産業廃棄物処理施設の整備に取り組んでいくこととしております。
 次に、離島地域では野積み廃自動車の処理が進まない状況にあるが、県はどのような対策を考えているかということについてお答えをします。
 離島地域における無許可業者等による100台以上の廃自動車の保管状況は、平成13年8月に12業者、約1万8000台であったものが、平成16年8月末には5業者、約5000台へと減少してきております。
 その主な要因は、保健所や市町村、関係機関等の連携による適正処理対策を進める中で、金属スクラップ価格の上昇も相まって野積み廃自動車の改善が進展してきている状況にあります。
 離島地域における廃自動車の処理については、最終的に沖縄本島まで搬出し処理しなければならず海上輸送費がかかることから、本年度に宮古地域において産学官の連携により廃自動車の解体・選別工具の研究開発や解体・選別技術の効率化、海上輸送費の低減化に向けた実証事業を行うこととしており、現在その準備作業に入っているところであります。同事業を推進することにより、廃自動車リサイクルシステムが構築されるとともに、地域の静脈産業の創出、生活環境の保全及び観光振興にもつながるものと考えております。
 次に、離島廃棄物調査に関する内閣府との協議状況についてお答えをいたします。
 内閣府において実施中の離島廃棄物対策基本調査は、離島ごとの廃棄物排出量、海岸漂着ごみや不法投棄の実態、処理状況などを調査するとともに、リサイクルや適正処理を実施するための対策について検討を行うことを目的としており、平成17年度までの2年事業となっております。県としても、当該調査は離島地域における廃棄物の適正処理対策を推進するために重要な調査であるとの認識から、内閣府と緊密に連絡をとりつつ調査内容及び実施方法などに関する協議を実施しております。
 また、去る11月に内閣府で開催された第1回打ち合わせ会議に文化環境部環境整備課長が委員として出席しております。県としては、今後とも当該調査に関する離島市町村との連絡調整や現地調査の同行、関連資料の提供を行い、内閣府と連携して調査を行ってまいりたいと考えております。
 次に、尖閣諸島問題についての県としての行動指針についてお答えをいたします。
 尖閣諸島は石垣市に地番を有する本県の行政区域であり、以前は約250人の住民が生活し、かつおぶしや海鳥の剥製が製造され、県民が生産活動を行ってきたところであります。政府においては、我が国の領土である尖閣諸島を平穏かつ安定的に管理するために平成14年以降、魚釣島、北小島、南小島の3島を借り上げております。県としましては、尖閣諸島の領有権をめぐる問題につきましては国益、県益を守る観点からも非常に重要であると考えており、国において適切に対応されるよう今後とも強く申し入れていきたいと考えております。
 次に、中国海軍原子力潜水艦による先島海域への侵入事件についてお答えをいたします。
事件の概要は、11月10日午前5時40分ごろ、石垣島南東の日本領海に不審潜水艦が領海侵犯し、午前7時40分ごろ領海外に出た。再び領海侵犯をするおそれがあることから午前8時40分ごろに海上警備行動が発令され、沖縄本島の北西約500キロまで追尾し、当面、再度我が国領海に戻ってくるおそれがなくなったことから、約55時間後の12日午後3時50分に解除されております。
 政府においては、同不審潜水艦が中国原子力潜水艦であると判断し、中国政府に対して謝罪要求、原因究明、再発防止を求めたところ、武大偉外交部副部長、李肇星外交部長から遺憾の意が表され、原因の説明があり、再発防止のための措置をとることを約束したとしております。
 また、11月30日の日中首脳会談においても、中国の原子力潜水艦による領海侵犯事件等両国間のいろいろな問題についてこうした問題を乗り越えて協力・協調の関係にしていけるよう話し合いを続けていくことで一致があったと伺っております。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 海岸漂着ごみ対策についてお答えいたします。
 本県の海岸漂着ごみについては、海岸パトロール及び住民からの通報等により、その状況を確認しております。
 海岸漂着ごみについては、海岸浄化対策費等により市町村に管理委託するとともに、地域ボランティア団体等と連携して清掃作業等に取り組んでおります。また、廃油ボールについては漁場油濁被害救済基金により漁協が主体となって回収を行っております。
 以上でございます。
○土木建築部長(末吉 哲) 新石垣空港の環境影響評価の手続をどのように進めていくかについてお答えいたします。
 環境影響評価書の手続については、学識経験者や自然保護団体に属する有識者等で構成する環境検討委員会等を設置し、専門の立場から指導・助言をいただき適切に進めているところであります。現在、準備書に対する知事意見等を勘案した評価書の作成に取り組んでおり、作成が終わり次第、早期に国土交通大臣へ提出したいと考えております。
 次に、共有地権者に対する交渉状況と対処方針についてお答えいたします。
 県は、共有地権者に対し石垣市や新石垣空港早期建設を進める郡民の会と連携し事業への理解と協力をお願いするとともに、同意取りつけ作業も行ってきました。これまで共有地権者522人のうち2人から同意を得ております。県としては、今後とも地元と連携し、共有地権者の理解が得られるよう取り組みを続けてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○警察本部長(三浦正充) まず、県内の空き交番の現状についてお答えをいたします。
 本県には現在73の交番が設置をされており、そのうち空き交番と言われる交番数は15交番、全体の20.5%であります。
 なお、空き交番とは、交番勤務員の不在が常態化している交番のことで基本的には一当務――これは24時間制勤務のことでありますが――一当務当たり2人以上の交代制の警察官が配置されていない交番をいいます。したがいまして一当務2人以上の警察官が配置されている交番において、警察官が事件・事故への対応やパトロールのため一時的に不在となっている場合には、ここで言う空き交番には含んでおりません。
 次に、空き交番対策に警察官OBを活用することについてお答えを申し上げます。
 現下の厳しい治安情勢において、交番の警察官は事件・事故への対応、犯罪の抑止・検挙等のためのパトロール活動に追われ、常時交番に在所することが極めて困難な状況にあります。こうした交番勤務の警察官を補助するため、豊富な経験を有する退職警察官を非常勤の嘱託員として採用し、交番相談員として交番に配置して相談業務、地理案内、遺失・拾得物届けの受理、被害届けの代書・預かり等の住民サービス的業務に従事させることは非常に有効であり、このことによって交番機能が強化され、地域住民の要望等に迅速・的確に対応できることにつながっております。
 当県の交番相談員の現在数は26人で、県下73交番のうち26交番に1人ずつ配置しておりますが、地域住民の空き交番解消の強い要望、交番勤務員数、交番数等を考えた場合、全体で100人以上の交番相談員が必要であると考えております。今後の交番相談員の増員については、平成16年度地方財政計画に基づき引き続き関係当局と調整を図ってまいりたいと考えております。
 次に、交番業務に警察官OBを活用することについての所見であります。
 現在の交番相談員26人は、全員が退職警察官でありますが、本年10月末日における取扱状況を見てみますと、地理案内が2万1210件、各種届け出の受理を行ったものが2335件、事件・事故の通報1013件、各種相談795件となっております。
 こうした活動の過程で交番相談員が取り扱った相談業務が端緒となって、千葉県警から指名手配されていた少女誘拐犯が早期に逮捕された事例や、タクシーに置き忘れた多額のお金の入ったバッグが交番相談員の迅速な措置によって手元に戻った事例、放置された一般廃棄物の相談を受け、役所と協力して適切に処理した事例などがありました。
 こうした事例も含め、交番相談員の業務には警察官として現役時代に培った豊かな経験や熟練した手法が役立っているのは事実であり、そういった観点から警察官OBを交番業務に活用することは大いに意義あるものと考えております。
 以上でございます。
○岸本 恵光 初めての代表質問ですが、その責任を果たしたいと思っております。
 自由民主党を代表いたしまして質問を行います。
 初めに、普天間飛行場の移設建設問題について。
 1996年4月に米軍普天間飛行場を5年から7年以内に返還すると日米両政府が合意発表されてからはや8年が経過しておりますが、広大で米軍戦略上不可欠な施設である普天間飛行場については、だれしも返還は難しいと思われていたのでありますが、県内移設とはいえ返還合意がなされたのであります。
 その背景にあったものは、普天間飛行場が宜野湾市の中心に位置し住宅地に隣接していることから、常にその危険性が指摘されてきております。日米両政府をして普天間の現状をこれ以上無視し続けることができないとの判断があったからだと思われます。しかしながら、返還合意から8年を経過した現在、普天間飛行場はいまだに現存し、地域住民の基地あるがゆえの負担は、沖国大敷地への墜落事故も発生したのであります。そのことからSACO合意が破綻したとして移設条件なしでの返還を求める声も聞かれるのであります。
 しかし、戦後から今日までの米軍基地の存在の現実を直視したとき、基地の返還や整理縮小がいかに困難であったかを考える必要があると思います。その上で普天間飛行場移設問題を早期に解決を図るという基本に立ち返って考えてみることが必要ではないかと思うのであります。
 すなわち、普天間飛行場の返還と移設場所決定に至った経緯をいま一度確認しておくことが必要であると考えます。現在、国は、移設建設に係るボーリング地質調査作業を進めているところであり、また普天間飛行場移設問題は県政に課せられた最重要課題であることから、移設建設作業が進展し普天間の早期移設が実現することを願うものであります。
 そこで伺います。
 (1)、普天間代替施設に係る環境影響評価について。
 ア、国の普天間代替施設建設に係る環境影響評価(アセスメント)方法書について、県環境影響評価審査会は審査の結果を知事に答申しているが、それを受けて県は国に対し知事意見を提出したが、環境影響評価(アセスメント)方法書に対する県の基本的な考え方と今後の対応を伺います。
 イ、普天間代替施設建設に向けて国は辺野古沖でのボーリング地質調査で海底掘削作業を進めているが、建設反対を求める団体等の阻止行動も激しさを増しているようである。現在の作業の進捗状況を伺いたい。
 (2)、普天間代替施設建設に係る作業ヤードについて。
 ア、県は、代替施設建設については、地域住民の生活、自然環境への配慮を条件としている。作業ヤードについても同様な条件をつけることが必要と考えるが、国との調整は進んでいるか伺います。
 イ、国が示した作業ヤード候補地として3カ所を例示しているが、場所決定に際しては県の考えを国に申し入れることもあり得るか伺いたい。
 (3)、普天間代替施設の使用協定について。
 ア、使用協定の締結については、代替施設建設協議会において実務者連絡調整会議で実現に向けて協議を行っていくことが決定されているが、現在までの協議の進展状況を伺いたい。
 2番目に、都市型訓練施設建設問題について。
 地元住民や県民の反対の声を無視し、米軍がキャンプ・ハンセン内レンジ4に建設を進めている都市型訓練施設は、その危険性ゆえに地域住民は体を張って阻止行動を行っています。反対の声をよそに施設建設は着々と進められ、このままいけば施設は完成してしまいかねない状況にあります。
 このような中、知事は建設現場の状況や建設反対を求める住民の状況をみずから視察しており、地域の実態を認識されたものと思います。
 このことを踏まえてお伺いします。
 (1)、都市型訓練施設の建設は、地元伊芸区を中心とする建設反対運動、金武町議会や県議会の反対決議をも無視して建設が進められているが、現在の状況はどうなっているか伺いたい。
 (2)、知事は、去る10月7日に地元伊芸区を訪れ建設現場を視察している。県政の最高責任者たる知事が現場を視察し、建設反対を明確に態度で示すということは相当に重いものがあると考える。これにより何らかの進展が得られる見通しがあるかどうか伺いたい。
 3番目に、県経済の振興について。
 沖縄振興計画が主目標とする民間主導による自立型経済の構築を目指し、振興計画がスタートしてからはや3年目に入っております。自立型経済の構築でありますから、民間企業の活力を促しながら高率補助・財政依存体質の改善、公共事業依存からの脱却、そして基地依存経済からの解放を図った上で民間企業主導による沖縄経済の自立を達成することが必要であると思うのであります。
 しかし、現実の本県経済は産業の主力をなす建設業は公共事業請負の減少で厳しい状況にあり、年間500万人の観光入域客へと成長した観光産業が何とか頑張っているといった状況であります。
 そして、このような県内経済の中にあって無視し得ないのが、2001年度で約1900億円の経済規模を持っている基地関連収入の存在であります。この基地関連収入は、人口の推移や景気の影響を受けないという特性を持っており、現在の県経済はこれの下支えによって維持されているというのが実態ではないでしょうか。この上、県産業の柱である観光は、この数年の傾向から観光客はふえているが肝心の観光客の落とす消費額は減少傾向にあり、将来の沖縄観光の施策にも影響が心配されています。
 さらに、政府が進める三位一体改革により国庫補助金の削減、本県特有の高率補助への影響等が避けられない状況にあり、本県の財政・経済に与える影響は極めて大きいと考えられております。
 このような状況にあって、振興計画に基づく施策が完全に実施されるか、基地関連収入に頼らず公共事業からも脱却し、なお企業の立地や育成を図りながら自立経済への道筋が立てられるのかどうか、先行きは不透明であると思います。
 そこで伺います。
 (1)、沖縄振興計画の実効性の確保について。
 ア、三位一体改革は本県公共事業を直撃し、その事業規模が縮小されたことにより社会資本整備に少なからずの影響を与えたものと推測されるが、社会資本整備は本県振興計画の推進上極めて重要であることから、今後の振興計画の施策実施に支障を来すおそれはないか伺いたい。
 イ、沖縄振興計画の施策の実施を明確にするために策定された国が承認した4つの分野別個別計画が本年度で期限が切れるが、この第1次個別計画の目標は達成されたと考えているか。また、課題として残ったものは何か。
 ウ、県は、関係省庁と協議し、2005年度から第2次分の個別計画を策定することとしているようであるが、第2次分は第1次分と比べてどこが違うのか。また、何を目標に策定するか伺いたい。
 (2)、北部振興策について。
 ア、北部振興策の推進状況について。
 (ア)、平成12年度から北部振興策として非公共事業及び公共事業にそれぞれ50億円の予算が措置されているが、この施策が北部に及ぼした効果を伺いたい。
 (イ)、公共事業の部分については事業の執行率が低く、市町村自体も苦慮しているとの声も聞かれるが、実態はどうか伺いたい。
 (ウ)、今後、北部振興策を効果的に展開するに際しての課題と問題点は何か。また、県として何に重点を置いて施策を実施すべきと考えておられるか伺いたい。
 イ、金融特区の拡充・強化について。
 (ア)、金融特区の拡充を図る上でネックとなっている常時使用する従業員数20名の要件の緩和を図る必要があると考えるが、県の方針を伺いたい。
 (イ)、法人所得の控除の限度額を人件費の20%とする要件を撤廃する必要があると考えるがどうか。
 (ウ)、データセンター事業者に対する情報通信業特別地区の事業認定を親会社のみからの業務を請け負う事業者に対しても認めるべきではないか。
 (エ)、キャプティブ保険会社制度の創設についてどのように考えておられるか。
 4番目に、科学技術研究機関の振興について。
 (1)、沖縄新大学院大学建設について。
 ア、沖縄科学技術大学院大学の設立については、作業は急ピッチで進められているが、大学の施設規模について意思決定機関(ボード・オブ・ガバナーズ)で協議されるようであるが、その概要について伺いたい。
 イ、大学設立に向けての先行的研究事業で新たな研究プロジェクトの実施に対応するため研究拠点施設の確保が必要となるが、県のかかわりはどうなるか伺いたい。
 (2)、ベンチャー企業支援について。
 沖縄科学技術大学院大学については、開学を控えての先行的研究事業が実施されており、このため沖縄の特性である健康・バイオ分野についての企業研究への支援が必要と思われます。県においても、バイオベンチャー企業研究支援事業等各種事業を展開しているようであるが、すぐれた技術を持ち、発展の可能性もありながら資金面から事業に乗り出せないベンチャー企業に対する支援は必要と思われるが、県の対策を伺いたい。
 ア、沖縄科学技術大学院大学の開設を控えて産学官共同研究も進められる中、企業においても健康・バイオ等の分野を初め研究事業への取り組みが必要となってくると思われるが、県においてはこのような研究開発へ取り組むベンチャー企業への支援体制は確立されているか伺いたい。
 イ、産学官連携を進める上での県、民間企業、大学等の連携体制はどのようにとられているか。また、産学官共同研究推進事業が選定される基準と評価はどのように行われているか伺いたい。
 5番目に、沖縄観光の振興について。
 (1)、沖縄観光の将来展望について。
 ア、自立型経済の柱としての観光産業の育成について。
 3次30年にわたる沖縄振興開発計画に基づく総合的な施策が推進されたことにより、社会資本や生活環境の整備が着実に進められた結果、産業面では観光・リゾート産業が大きく成長しております。現在の本県経済を引っ張っているのは観光・リゾート産業であり、経済の自立的発展のため柱となる産業は観光・リゾート産業以外にないのが現状であります。このため、これからの沖縄観光を支え観光立県としての地位を確立するため、いかに自立型経済の柱としての観光産業を育成していくかが重要かつ急務であると同時に、最大の課題であると考えます。
 このような観点から県の対策を伺います。
 (ア)、本県の観光産業は、沖縄振興計画に基づき本県の産業の柱として強い期待を担っているが、県として今後観光産業の育成強化を図り、経営基盤の確立をいかに図っていくか伺いたい。
 (イ)、本県観光産業は、本県経済をリードしていくリーディング産業として位置づけられているが、経営規模は中小零細企業が多い現状にある。このため、企業間競争に強く、経営規模等の拡大が可能な企業の育成が必要であるが、国内大手の観光企業の誘致も選択肢としてあるのか伺いたい。
 イ、観光沖縄の将来的課題の克服について。
 県は、将来的には年間650万人の観光客の誘致を目指しており、観光客増加策は順調に推移していると思われます。しかしその反面、大きな課題も浮き彫りとなってきております。台風の影響によるキャンセルの増加や観光客が足どめされることによる苦情の処理問題、台風を嫌って沖縄を避ける問題等などがあります。また、観光客1人当たりの消費額の減少傾向は、観光沖縄の将来を考えた場合、見過ごせない問題と思うのであります。観光の量を重視してきた反動が来たかもしれません。観光沖縄が本県の経済の柱であるだけに、沖縄観光の将来的課題が見えてきた今日こそ県の観光政策の充実と柔軟性が必要なときと思われます。
 そこで伺います。
 (ア)、本県を訪れる観光客は年間500万人を超えるほどに進展しているが、将来的な課題も浮き彫りになってきていると思われます。県は、観光沖縄の将来像をどのように考えているか伺いたい。
 (イ)、今年の台風による観光への影響は例年になく大きく、観光入域客にも影響を与えている。今後いかに台風対策を効果的に行えるかで沖縄観光の将来が見えてくると思われる。県の根本的な対策を伺いたい。
 (ウ)、観光客650万人を目指す上で、新たな観光資源の開発は将来的に大きな課題と言われます。沖縄が観光で生き抜くためには、海洋レジャーだけでなく年間を通して観光が楽しめる通年型観光地として変貌しなければならないと考えます。県の考えをお伺いしたい。
 (エ)、観光客数は増加しながら、観光客1人当たりの消費額は減少傾向にある。この状況のまま推移すれば、観光産業の衰退につながると思われる。観光政策としての観光客数増加策から、観光客単価上昇策への転換を図る必要があると考えるがどうか。
 6番目に、雇用失業問題について。
 本県におけるところの失業率は、依然として高め安定の状態で推移しております。雇用については、いまだに低迷から抜け出すことができず、特に若者の就職状況はなかなか回復軌道に乗れないというのが現状であります。半ば恒常化した本県の雇用問題を解消するには、中長期的な雇用吸収力の高い製造業を中心とした産業の育成を図りながら、観光や健康食品産業等の有望分野への支援策を政策的に行い、継続的な雇用が見込める産業を育てていくことが必要ではないかと考えます。いずれにしても、本県における雇用環境の改善をいかに図るかは、今後県がいかに知恵を絞れるかにかかっていると思われます。
 そこで伺います。
 (1)、若年者の雇用対策について。
 ア、来年3月の新規学卒者の採用見込みについて、那覇公共職業安定所が県内20市町村の事業所を対象に実施したアンケート調査によると、「採用予定あり」と回答したのは18.8%にとどまり、「採用予定なし」と回答したのは70.2%に上っている。依然県内の求人絶対数は不足していると思われるが、県はこれをどのように分析しているか。
 イ、全国の高卒者の就職後3年間の離職率について厚生労働省が集計した結果によると、2000年に就職した高卒者のうち、仕事を3年以内にやめた者が50.3%に上り、特に1年目にやめた者が約26%もいるようである。本県の場合と比較して県の御所見を伺いたい。
 ウ、米軍基地内への就職希望者は大変多く、特に若者に人気があるということであるが、その要因は何か伺いたい。また、米軍基地従業員数と今年度採用人数、就職倍率等を伺いたい。
 エ、米軍基地従業員については、沖縄県民以外の外国人等の採用もあると聞いているが、その実数を伺いたい。
 オ、若年者の雇用環境が厳しい状況にある本県において雇用改善につながる施策の策定が急がれるが、県の対策はどのようになっているか伺いたい。
 (2)、失業率の改善策について。
 ア、県がまとめた2003年の労働力調査報告によると、2003年平均の完全失業者は約4万9000人で、前年比で約3000人、5.8%減少したとのことであるが、この結果について県はどのように分析しているか。
 7番目に、農業問題について。
 (1)、県内農業の振興策について。
 ア、県内農業の台風等自然災害対策について。
 本県の農業を取り巻く環境は、国際化の進展に伴う農水産物の輸入の増加、農林水産物価格の低迷という状況にあり、また農業従事者の減少と高齢化の進行、耕作放棄地増加などの課題を抱えており、厳しい環境の中にあります。その上、最近は台風等の来襲が多く本県の農産物は壊滅的な被害を受けております。
 県内農業の台風等の自然災害対策は、これからの本県農業の振興を図る上で大きな課題と思われるが、県の対策等について伺いたい。
 (ア)、ことしは例年になく大型の台風が日本国内を襲い、全国的に想像を絶する被害を受けている。本県もたび重なる台風の来襲により農作物は大変な被害を受けたのでありますが、県が集計した被害の程度について伺いたい。
 (イ)、台風の襲来が多く、台風の勢力が大きかった割には平張り防風施設の農作物被害が非常に少なかった。今後、県として平張り防風施設を積極的に推進する考えはないか。
 (ウ)、台風銀座と言われる本県においては、台風に影響されない農作物づくりは永年の課題であるが、県としてこれまで推進してきた台風等自然対策施策を伺いたい。また、新たな対策等将来展望を示していただきたい。
 イ、地産地消の取り組みについて。
 国民の安全に直結する食料問題については、近年安全性が不安視されており、特にBSEや残留農薬問題等が国際的に注目され、国内においても大きな問題として消費者の関心が高まってきております。このような状況から、食については安全で安心できるもの、そして身近で手に入るものとの機運が地域において浸透してきており、このような声にこたえ得るものが地産地消ではないでしょうか。地産地消は、何よりも消費者と生産者の顔が見える信頼関係がつくれるという利点があり、衰退傾向にある我が国の農業の活性化にもつながると考えます。
 そこで伺います。
 (ア)、県の推進する「沖縄県地産地消推進方針」に基づく地産地消運動について展開する施策とその効果について説明願いたい。
 (イ)、地産地消の取り組みに向けて市町村、地域農業関係者等との連携・協力が必要不可欠と思われるが、県の取り組みを伺いたい。
 (2)、松くい虫防除対策について。
 ア、松くい虫の異常発生により県内の松の絶滅が心配されている。県の行っている防除対策で今年度内での松くい虫全体の倒伐処理は可能かどうか。
 8番目に、都市モノレールの延伸計画について。
 これからの都市モノレールの利用促進の最大の決め手は、路線の延伸以外にはないと考えます。永年の苦難を経て開業したモノレールを、夢のある交通機関として我々の次の世代に引き継ぐためにも路線の延長を真剣に検討すべきと考えます。
 そこで県の御所見をお伺いします。
 (1)、都市モノレールの現在までの利用状況、特に県や市の職員の利用状況と今後の利用促進計画について伺います。
 (2)、都市モノレールの利用促進は、路線の延伸、バスからモノレールへの乗り継ぎへの利便性、県や市の職員の利用拡大が不可欠と思うがどうか。
 (3)、モノレールの延伸計画は、利用活性化を図る観点から策定する必要があると考えるがどうか。また、延伸の必要性は中部と南部でどちらが強いと考えるか、県の御所見を伺います。
 9番目に、県立病院の今後のあり方について。
 (1)、北部病院の産婦人科医師の確保について。
 マスコミ報道で北部病院が医療危機に直面していることが明らかになり、子供を産み育てる母親を初め北部住民はショックと不安を抱いております。国、県が国家目標として推進している「新おきなわ子どもプラン」5カ年計画と北部振興策が逆行しております。
 そこで伺います。
 ア、北部病院の産婦人科医師が不足し、産婦人科そのものの存続が危ぶまれている。現在の県立病院における産婦人科医師の配置状況について伺いたい。
 イ、北部病院産婦人科への医師の配置について常勤医師は何名配置されているか。適正配置は何名と考えているか。また、他の県立病院からの応援措置はいつからなされているか。
 ウ、北部病院の産婦人科医師へ他の県立病院から応援配置が継続できなければ、北部病院の産婦人科は廃止となるのか。
 以上についてお伺いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 岸本恵光議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、国の方法書に対する県の基本的な考え方と今後の対応についてお答えを申し上げます。
 普天間飛行場代替施設建設事業は、自然度の高い地域において大規模な埋め立てと軍民共用空港を建設する計画であることから、当該事業の実施に伴う環境への負荷を可能な限り低減し、地域の自然環境及び生活環境の保全に万全の措置を講じる必要があります。
 しかしながら、方法書においては事業内容の記載が十分ではないため、知事意見においては、準備書を作成するまでの間に決定される事業の具体的な内容を考慮して環境影響評価の項目及び手法を見直し、環境影響評価を行うこととの意見を述べております。今後は、準備書を作成するまでの間に決定された事業内容等について「決定された段階で県へ報告し公表すること」との意見を述べており、事業者から報告された段階で調査項目、手法等が適切であるか調整していきたいと考えております。
 次に、陸軍複合射撃訓練場の今後の見通しについての御質問にお答えをいたします。
 私は、去る10月7日に現地を視察し、改めて陸軍複合射撃訓練場の危険性を認識するとともに、地元の方々から直接お話を伺い、建設中止への思いを強くしております。10月16日に町村外務大臣が来県した際には、その思いも込めて改めて同訓練場の建設中止を強く求めたところでありますが、残念ながらいまだに工事中止には至っておりません。県は、これまで米軍を初め日米両政府に対し同訓練場の建設中止を求めてきており、先日も県選出国会議員や与党関係者等にお会いして工事の中止を強く求めたところであります。県としては、今後とも金武町と密接に連携し、日米両政府に対しあらゆる機会を通じてさらに強く工事の中止を求めていきたいと考えております。
 次に、大学院大学の施設規模に関する意思決定機関での協議概要についてお答えをいたします。
 沖縄科学技術大学院大学の意思決定機関である「ボード・オブ・ガバナーズ」の会合は、ことし7月と9月の2回開催されております。会合では、学長及び副学長予定者の選出、整備法人の事務局体制の確立、施設の規模を含めたキャンパス計画などが審議されております。施設の規模については、将来の主任研究者数300名を想定した施設を段階的に整備していくことなどが話し合われております。
 なお、キャンパス計画については、研究活動への柔軟な対応、学内交流の促進、自然環境との調和などを整備方針に世界最高水準の大学院大学にふさわしい施設の整備を目指すこととしております。
 次に、先行的研究事業の研究施設の確保についての御質問にお答えします。
 先行的研究事業は、世界トップクラスの研究者を確保し、大学院大学の開学につなげるための重要な事業であると考えております。このため県は、研究施設の確保について沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターの一部を提供するとともに、平成15年度事業で沖縄科学技術研究・交流センターを整備し研究環境の充実に努めてきたところであります。研究事業はさらに拡充されることとなっており、そのための研究施設の確保については今後整備法人が行う施設整備の状況を踏まえながら、県の試験研究施設等の提供を検討していきたいと考えております。
 続きまして、ベンチャー企業支援についての御質問にお答えいたします。
 県においては、新事業の創出と新規企業の育成を沖縄県産業振興計画の重点項目と位置づけ、産業振興公社を中核とする22の支援機関から成る新事業創出支援体制を構築し、企業の成長段階に応じた総合的な支援を実施しているところであります。特に研究開発の支援については、産学官共同研究推進事業によってこれまでに60件の共同研究が採択され、事業化に向けた取り組みが進められております。また、健康・バイオ分野については、沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターの整備やバイオベンチャー企業研究開発支援事業などハード・ソフトの両面から積極的な施策を展開しております。こうした取り組みによってIT関連や医療・創薬などの先端的な産業分野における有望なベンチャー企業も出てきており、研究開発を初めとしたベンチャー企業への支援が着実に進展しているものと考えております。
 続きまして、観光沖縄の将来像についての御質問にお答えいたします。
 県におきましては、中長期的な視点で沖縄観光の振興方策を示した観光振興基本計画に基づき本県の特性を十分に生かし、かつ国際的にも通用する質の高い観光・リゾート地の形成を目標に取り組みを進めております。
 その基本方向として、第1に、多様なニーズに対応した質の高い滞在型観光を目指し、自然、歴史、文化等の地域資源を活用した健康・保養型観光、文化交流型観光及びエコツーリズム等を推進します。第2に、人や環境に優しいホスピタリティーあふれる観光地を目指して環境や資源の保全と創出を図るとともに、多様な志向を持つ国内外の観光客や障害者等さまざまな客層に対応できる受け入れ体制づくりを進めていきます。第3に、国際的に通用する美しく快適な観光・リゾート地を目指して都市やリゾート地における公園や緑地の整備、沖縄らしい景観の整備を進めるとともに、空港、港湾等インフラの充実を図ります。第4に、国際観光地及びコンベンションアイランドの形成を目指して国際航空路線の拡充、誘客プロモーション及び人材育成の強化を図ります。第5に、地域経済活性化の牽引力となる観光・リゾート産業の育成を図り、県内経済の振興を担うリーディング産業としてのさらなる発展を目指してまいります。
 続いて、若年者雇用対策についての御質問にお答えいたします。
 若年者の雇用状況を改善していくためには、雇用吸収力のある産業の振興とともに、若年者みずからが幅広い職業観を形成し仕事に関する知識や技術・技能を習得することが重要であると考えております。このため、沖縄県キャリアセンターにおいて職業観の形成から就職までを一貫して支援する事業を展開しており、これまで約1万4000人の若年者に対し就職セミナーやキャリアカウンセリングを実施するとともに、「県外インターンシップ」や「就職の翼」事業を実施しております。今年度は新たに国からジョブカフェモデル地域に選定されたことを受け、地域産業の活性化・高度化を担う人材を育成する地域産業活性化人材育成事業、座学と企業における実習を組み合わせ即戦力となる人材を育成するデュアルシステム事業を実施するなど若年者の雇用対策を積極的に展開しております。
 次に、農業の平張り防風施設の整備についての御質問にお答えいたします。
 本県農業の振興を図るためには、毎年襲来する台風による潮風害等の自然災害を防ぐことが重要であります。このため、県では平成11年度から拠点産地形成事業等により平張り施設等約170ヘクタールを整備しております。その結果、平成15年度の生産量はゴーヤー8200トン、年末用の小菊564万本と平成10年度に比べて3割も増加しております。今後とも市町村、JAなどの関係団体と連携し、平張り施設等の整備を促進し自然災害に強い農業の振興に努めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○議長(外間盛善) ただいまの岸本恵光君の質問に対する残りの答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午前11時55分休憩
   午後1時21分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 午前の岸本恵光君の質問に対する答弁を続行いたします。
 知事公室長。
   〔知事公室長 府本禮司君登壇〕
○知事公室長(府本禮司) ボーリング調査の進捗状況についてお答えいたします。
 那覇防衛施設局によりますと、ボーリング調査は水深に応じて単管足場30カ所、スパット台船20カ所、固定ブイやぐら13カ所のボーリング用足場を設置してせん孔作業をすることにしており、これまでに単管足場5カ所、スパット台船1カ所の計6カ所が設置されたとのことであります。
 次に、作業ヤードについてお答えいたします。
 県は、昨年12月の第2回代替施設建設協議会において、作業ヤードの設置場所等具体的な検討を行うに当たっては、地元の合意形成が図られるよう十分な対応を要望しております。また、防衛施設庁においては環境影響評価方法書の中で、環境に十分配慮するとともに、地元地方公共団体等の理解を得つつ各種の案を具体的に検討するとしております。
 次に、作業ヤードの場所決定についてお答えいたします。
 県としては、作業ヤードの設置場所等具体的な検討を行うに当たっては、地元の合意形成が図られるよう引き続き十分な対応を求めているところであります。
 次に、使用協定の進捗状況についてお答えいたします。
 実務者連絡調整会議は、ことしの8月に開催された会議を含めこれまで8回開催されております。これまでの協議では国、県、名護市の三者により使用協定の基本的事項について合意がなされたほか、キャンプ・シュワブ内の爆破物処理場から発生する騒音対策など、名護市の既存の施設について話し合われたところであります。
 次に、陸軍複合射撃訓練場の建設状況についてお答えいたします。
 現在の状況につきましては、伊芸区の監視塔から陸軍複合射撃訓練場の建設現場において造成が進み、工事のための足場が組まれていることが確認されております。なお、工事の詳細な状況について米軍に照会しておりますが、回答は得ておりません。
 以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 三位一体改革の今後の振興計画への支障についての御質問にお答えします。
 三位一体の改革に伴う国庫補助金の廃止は、沖縄振興計画の着実な推進に支障を生じるおそれがあることから、県は国に対し、沖縄に対する特別の交付金の創設など所要額の確保のための措置を強く求めてまいりました。これにより、11月26日の政府と与党の合意に「沖縄に係る特例措置について必要な措置を講ずる」との文言が盛り込まれたところであります。国や地方の財政状況は今後も厳しさを増すものと考えられることから、「選択と集中」の基本姿勢のもと、重点的な社会資本の整備と行財政改革を徹底し、沖縄振興計画の着実な推進に努めてまいります。
 次に、国が承認した分野別計画の目標達成状況と課題についての御質問にお答えします。
 観光、情報、農林水産業、職業安定の法定4分野別計画を初め、各分野別計画については目標達成に向け鋭意取り組んでいるところであり、入域観光客が500万人を突破するなど総体として順調に進捗をしております。今後、雇用の確保、企業誘致、健康食品や泡盛などの販路拡大、健康寿命の延伸、「おきなわブランド」の確立などの課題について全力で取り組んでまいります。
 次に、第二次分野別計画の第一次の計画との違い及び目標についてお答えします。
 第一次の分野別計画は、各分野の具体的な施策の展開方針、達成目標を示した沖縄振興計画における初めての実施計画として策定をしたものであります。現在策定を進めている第二次の計画は、第一次計画からの成果を引き継ぐとともに、残された課題と新たな課題を踏まえて目標を設定し、より実効性のある計画としたいと考えております。
 次に、北部振興策の効果についてお答えします。
 北部振興事業は、北部地域における産業の振興、雇用の拡大、定住人口の増加につながる事業を実施するものであります。
 宜野座村のサーバーファーム、名護市のマルチメディアセンターや「みらい1号館」等の整備によりIT関連企業の新規雇用は約500名を数えており、現在建設中の「みらい2号館」が供用開始されることにより、さらなる雇用の増加が期待をされます。本部町の海洋ウェルネス・リゾートセンターや八重岳観光周辺施設等を整備することにより観光振興を図っております。名護市の食肉処理施設、今帰仁村のキノコ生産出荷施設、伊江村の特産品加工施設等を整備することにより農林水産業の振興に寄与しております。また、上下水道、公園、国頭村のパークゴルフ場、恩納村の赤間運動場など住環境の整備を図っております。
 同じく北部振興策の公共事業の実態についてお答えします。
 公共事業については、毎年夏に開催される北部振興協議会で採択をされ、その後の工事開始となることから工期が短縮され、さらに事業の繰り越しが認められないことなどにより十分な事業採択が困難なケースがありました。この状態の改善を北部市町村から国へ申し入れていたところ、11月30日に開催された北部振興協議会において複数年度にわたる事業計画を市町村が策定し、国は予算を効率的に活用するために必要な措置を講ずることが申し合わされました。これにより北部振興事業の効率的・効果的活用を図ることが可能となり、平成17年度以降、公共事業の執行率の改善に寄与することになると考えております。
 同じく北部振興策の今後の課題と問題点、県としての重点をどこに置いているかとの御質問にお答えします。
 北部振興策を効果的に展開するに際しては、公共事業による道路、港湾等の産業振興基盤の整備や公園、下水道など定住条件の整備が重要であります。また、地域の特性、資源を活用した雇用効果の高い事業を実施し、北部地域の産業の振興を担う人材の育成を図ることが重要であります。県としては、今後とも国や地元市町村と連携を図りながら、北部振興事業の着実な推進に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、都市モノレールの延伸計画についてお答えします。
 都市モノレールの延伸については、現在取り組んでいる利用促進策の効果等今後の需要の動向、地域開発計画、骨格的な公共交通軸のあり方やバス等他の交通機関との連携など多様な視点から総合的・段階的に検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○商工労働部長(伊川征一) 金融特区の従業員数及び所得控除限度額の要件緩和について一括してお答えをいたします。
 金融業務特別地区に企業の立地を促進するためには、税制上の優遇措置を積極的に生かしつつ、情報通信基盤やレンタルオフィス等のインフラ整備、人材育成、雇用助成制度などを有効に活用して戦略的な企業誘致活動の展開が重要であると考えております。所得控除の優遇措置の適用を受ける場合の従業員が20人以上の要件や控除額の限度額を人件費の20%とすることについては、企業立地のインセンティブとして十分でないとの指摘もありますが、今後、企業誘致を進めていく中で、企業ニーズも踏まえ、企業立地環境の整備を促進してまいります。
 続きまして、データセンター事業者の事業認定についてお答えいたします。
 情報通信産業特別地区における事業認定の可否は国が判断することとなりますが、一般的には、データセンター事業者であっても専ら親会社からの業務を受託するのみの事業者は対象外とされています。これはもともとこの制度の趣旨がデータセンター等の中核的な業務を行う企業が立地することにより、その業務を利用する企業を呼び込み、情報通信産業の集積を促進させようとするものであることから、このような取り扱いになっていると伺っております。いずれにしろ、事業の認定に当たっては個々の状況を勘案して判断されるものと考えています。
 次に、キャプティブ保険会社制度の創設についてお答えをいたします。
 キャプティブ保険制度の創設は、税制優遇措置やインフラ整備等の各種支援策とあわせて金融特区への企業集積を促進するためのインセンティブを高めるものとなると考えております。
 同保険制度については、名護市が構造改革特区制度を活用してその創設を目指していますが、国からは困難との回答が示されています。県としては、当面、昨年度実施したビジネスモデル調査及び金融専門家会議で示されたビジネスモデルについて、現行制度の中で具体化を図ることにより企業の立地を促進してまいりたいと考えています。
 続きまして、産学官の連携体制及び産学官共同研究推進事業の選定基準等についてお答えをいたします。
 県においては、産学官連携による研究開発や技術移転を促進し、本県の産業振興を図るため産業団体や研究機関及び琉球大学等で構成する新事業創出支援体制を構築するとともに、産業振興公社において産学官担当者連絡会議を設置し連携の強化を図っているところであります。また、産学官共同研究推進事業の選定に当たっては、研究開発内容の新規性や事業化の可能性及び県経済への波及効果等を採択基準として、県内外の専門家等で構成する推進会議において審査を行っております。研究開発終了後のフォローアップについても、製品化のアドバイスや販路開拓等事業展開に向けた支援を行っているところであります。
 続きまして、新規学卒者の採用見込みについてお答えをいたします。
 那覇公共職業安定所が6月に実施したアンケート調査によれば、「採用予定なし」と回答した事業所の構成比が高いことなどから、新規学卒者の雇用環境は依然として厳しい状況にあると認識をしております。しかし、「採用予定あり」と回答した事業所数は144社で昨年より46社増加しており、採用予定者数も卸・小売業、金融保険業、飲食店・宿泊業を中心に増加傾向が見られます。県としては引き続き関係機関と連携し、求人開拓や県内・県外企業合同就職面接会等を開催するなど新規学卒者の就職を支援してまいります。
 続きまして、高卒者の離職率についてお答えをいたします。
 本県の高卒者の就職後3年以内の離職率は63.9%、また1年以内の離職率は37.8%と全国と比較してそれぞれ13.6ポイント、11.6ポイント高くなっております。
 本県の離職率が高い理由としては、職業に対する知識・経験の不足や、県内求人が厳しい中にあっても県内就職を優先する等の職業選択によって、就職後に各種のミスマッチが発生することによるものと考えております。この状況を改善するためには、多様な職業に目を向け、県内外に積極的にチャレンジする幅広い職業観の形成が重要であります。このため、県としては県外企業職場体験実習、県内企業職場見学会等の事業を通して定着率の向上に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、米軍基地就職が人気のある要因及び米軍基地従業員数等についてお答えいたします。
 県内の学生等若年者の就職志向は仕事の安定性、将来性、待遇面等を重視する傾向にあり、米軍基地への就職志望者が多い要因といたしましては、給与等の待遇面が好条件であることによるものと考えられます。
 米軍基地従業員は平成16年10月末現在8929人で、今年度10月末までの採用は368人となっておりますが、就職倍率については算出をしていないと聞いています。その理由としましては、米軍が労務要求する都度、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構が、駐留軍等労働者募集に応募し登録された者の中から採用予定数の数倍相当の人数を候補者として紹介し、その中から米軍が採用決定するシステムであることによるとされております。
 続きまして、米軍基地従業員のうち外国人等の実数についてお答えいたします。
 米軍基地内には、日本政府が雇用し米軍が使用するいわゆる間接雇用に係る従業員と、米軍が直接雇用または米軍との委託や派遣契約により働く者がおります。那覇防衛施設局によると、間接雇用の外国籍従業員は平成16年10月末現在秘書業務等に30人が従事しており、一方、米軍の直接雇用または委託等に係る従業員につきましては、米軍の直接事務にかかわることであり、その実数は把握できないとのことであります。
 続きまして、2003年労働力調査の結果についてお答えをいたします。
 平成15年の雇用情勢は、県内経済が底がたい個人消費と好調な観光に支えられ、持ち直しの動きが続いたことにより若干改善されております。具体的には、求人数の着実な増加とともに県内就職件数は前年比15.2%増の1万8779件に達し、就業者数はサービス業、卸売・小売業等で増加するなど過去最高の58万2000人となり、失業者の減少につながったと考えております。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) まず、観光産業の経営基盤の確立についての御質問にお答えをいたします。
 観光産業の基盤を強化するためには、多様なニーズに応じた付加価値の高い商品づくりや質の高いサービスの提供を実現するなど、沖縄観光の質の向上を図ることが重要であります。そのため、県といたしましては地域特性を生かした健康・保養型観光やエコツーリズム、世界遺産の活用等体験・滞在型観光を推進するとともに、観光土産品のブランド化やマーケティングの強化、地産地消の推進等観光の経済波及効果を高める産業間の連携強化に取り組んでおります。
 また、リゾートウェディングやショッピング観光の展開、国際会議や企業の報奨旅行など各種コンベンションの誘致強化に取り組むとともに、質の高いサービスを提供できる観光産業の人材育成やきめの細かい観光情報の発信を行う観光情報共通プラットホームを構築するなど、足腰の強い観光産業の振興を図っているところであります。
 次に、国内大手の観光企業の誘致に関する御質問にお答えいたします。
 観光関連施設につきましては、近年、美ら海水族館、アウトレットモール、近々オープン予定の沖縄型特定免税店等集客能力の高い施設の整備が着実に進んでおります。このような集客力の高い観光関連施設の立地は、地域における観光客の増加にとどまらず本県観光の魅力を大いに高めるものであります。このことから沖縄振興特別措置法においては、観光関連施設の立地促進を図るため税制上の優遇措置等を内容とする観光振興地域制度が設けられております。県におきましては、現在指定されている14地域に加えて、平成17年度からスタートする第2次観光振興計画で新たな地域指定に取り組むとともに、当該制度の積極的な周知に努め、県内外からレクリエーション施設、休養施設、販売施設等観光関連施設のなお一層の立地・集積を促進する考えであります。
 次に、台風時の根本的な対策についてお答えをいたします。
 現在、台風時の観光客への対応といたしましては、「台風時観光客対策協議会」により、那覇空港においてはホテルの空き室情報の提供、琉球舞踊等を実施しております。また、民間有志の「台風時観光ボランティア友の会」によるホームステイも実施され、観光客からもいい思い出ができたなど多くの感謝の言葉が寄せられ、高く評価されております。県におきましては、今年度、観光客の空港内滞留の抜本的解決を図る目的で「台風襲来時における観光客の航空輸送対策調査検討委員会」を設置し、関係者の英知を集め、諸方策を検討しております。さらに、ホテル等における台風時料金割引、きめ細かな台風情報の提供、観光客を退屈させないもてなしの演出等を促進し、台風時における観光客の負担を可能な限り軽減するよう努めてまいります。
 次に、通年型観光地についてお答えをいたします。
 沖縄観光の通年化は着実に進展しておりますが、平成15年入域観光客数の月別変動を見ますと、観光客数が年間月平均の90%を下回っている月が4カ月あり、観光産業の基盤を強化する上でこの観光ボトム期の底上げは重要な課題であります。そのため、県におきましては、「花のカーニバル」や「全国エイサーフェスティバル」を冬場から初夏にかけての観光ボトム期に開催しているほか、音楽、芸能など地域特性を生かしたイベントの開発を推進していくこととしております。また、4月から6月にかけてのニーズが高いリゾートウェディングや中学生の修学旅行の誘致を推進するとともに、新たな観光資源の開発やエンターテインメントの導入に努め、観光入り込みの通年化を図ってまいります。
 次に、観光客数から観光客単価への転換についてお答えをいたします。
 本県観光が将来とも県経済のリーディング産業の役割を担っていくためには、観光客の増加はもとより、高付加価値型の観光を推進する必要があります。そのため、県におきましては自然、文化・歴史等を活用した体験・滞在型観光や離島観光の活性化など付加価値の高い旅行商品の開発・提供、沖縄型特定免税店などを活用したショッピング観光やリゾートウェディングの拡大等に取り組んでおります。また、観光土産品のブランド化や地産地消の推進など、産業間の連携強化等により経済波及効果の向上に努めているほか、国際会議や企業の報奨旅行など消費単価の高い各種コンベンションの誘致強化等を進めております。こうした取り組みによりまして観光客の滞在日数や県内消費額を増加させ、観光客単価の向上を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 本年の台風被害についてお答えいたします。
 本県に襲来した台風は、6月9日の台風4号から10月29日の台風24号まで12回となっており、農作物等が大きな被害を受けております。農林水産業の被害内訳は、農作物45億2000万円、農業施設2億8000万円、林業関係2億1000万円、水産業関係8億8000万円、その他2000万円で被害総額は約59億円となっております。
 続きまして、台風と災害対策と今後の展望についてお答えいたします。
 本県農業の振興を図るためには、毎年襲来する台風による潮風害等の自然災害を防ぐことが重要であります。このため、県ではこれまで台風等自然災害対策として保安林及び農地防風林1万2934ヘクタールを整備しております。また、台風等自然災害を最小限に抑えるため平成11年度から平張り施設など約170ヘクタール整備しております。
 なお、今年度から北部12市町村が事業主体となり、北部振興事業で平張り施設及び防虫・防鳥等ネット施設を3年間で約144ヘクタールを整備することとしております。今後とも防風林の整備や平張り施設等の整備を積極的に推進し、台風など自然災害に強い農業振興に取り組んでまいります。
 続きまして、地産地消の取り組みについてお答えをいたします。
 県では消費者団体、学校給食会、ホテル関係者等を網羅した「沖縄県地産地消推進県民会議」を設立し地産地消に取り組んでおります。具体的な取り組みとしては、1、県内ホテルや学校給食における県産食材の利用促進、2、農産物、水産物、林産物を網羅した農林水産フェアの開催、3、食育推進ボランティアの育成や県内量販店を対象にしたフードアドバイザーの派遣、4、沖縄健康料理メニューの普及など総合的に推進しております。
 続きまして、地産地消の連携についてお答えいたします。
 地産地消を推進していく上で、市町村や農協等地域農業者等との連携は重要であります。そのため、県としては拠点産地における市町村及び産地協議会と連携し、ゴーヤー、マンゴーについて販売促進の日を定め、地産地消の取り組みを強化しております。また、今年度からは県内の農産物直売所を網羅した販売促進のための共同イベントを開催することとしております。今後とも市町村、農協等と連携して地産地消を推進してまいります。
 続きまして、松くい虫被害木の伐倒処理についてお答えいたします。
 平成15年度の松くい虫被害量は約4万4000立方メ-トルとなっており、今年度は前年度並みの被害を予測しております。
 今年度の松くい虫防除対策は、高度公益機能森林及び地区保全森林について森林病害虫等防除事業により実施しております。また「その他松林」については沖縄特別振興対策調整費及び県単独事業で対応しております。今年度の防除費は約5億5000万円を予算措置し、約2万立方メ-トルの伐倒処理を行う計画であります。
 今後の防除対策としては、より一層の効率的・効果的な防除を行うとともに、抵抗性松の選抜・育成及び天敵利用など総合的な松くい虫対策に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○土木建築部長(末吉 哲) モノレールの利用状況と今後の利用促進計画についてお答えいたします。
 都市モノレールの昨年8月の開業からことし11月までの利用客の総数は約1450万人、1日当たりの平均利用客数は約3万400人で、ほぼ需要予測に近い利用状況となっております。
 沖縄都市モノレール株式会社が去る6月に県及び市職員を対象に実施したアンケート調査によると、多くの職員が出張や会議にモノレールを利用していると回答しており、さらに通勤等についてはよく利用している職員は約2割、必要に応じて利用している職員は約6割の状況となっております。現在、県ではモノレールの利用促進のため全庁的な支援体制を確立し、パーク・アンド・ライドシステムの促進や各種割引の調整など効果的な取り組みを行っております。今後とも、安定的な利用客の確保に向けて取り組みを強化する考えであります。
 次に、利用促進策として路線の延長整備やバスへの乗り継ぎの利便性等についてお答えいたします。
 都市モノレールの利用促進に向けては、路線の延長やバスとの円滑な乗り継ぎなど、利便性の向上を図る施策の実施によりさらなる通勤・通学等の利用客の拡大が見込まれます。
 路線の延長については、首里駅から沖縄自動車道へ結節し、高速道路とモノレールによる沖縄本島の定時・定速の公共交通基幹軸を形成することが重要であります。県としては、今後、延長可能性調査を実施し、需要動向や沿線開発の状況及びバスとの乗り継ぎによる利便性等を総合的に検討する必要があると考えております。
 以上でございます。
○病院管理局長(平井哲夫) 県立病院の産婦人科医の配置状況、北部病院の産婦人科の常勤医師の配置状況と適正配置数及び他の県立病院からの応援措置の開始時期について一括してお答えいたします。
 県立病院全体の産婦人科医については、19名を配置しております。
 県立北部病院の産婦人科医については、患者数の状況等も勘案し3名が必要であると考えており、職員2名と県立中部病院からの応援医師1名を含め3名の常勤医師を配置しております。
 なお、産婦人科の応援医師は県立中部病院から派遣しており、平成15年4月から実施しております。
 次に、北部病院の産婦人科は他の県立病院からの応援が継続できなければ廃止になるのかについてお答えいたします。
 県立病院の医師の確保については、地元の琉球大学や県外大学への派遣要請、中部病院臨床研修修了医及び県立病院での勤務経験がある医師等への呼びかけ、ホームページによる募集等も行いその確保に努めているところであります。特に、産婦人科については医師のなり手が少なく確保が大変厳しい状況にありますが、引き続き北部病院の現在の診療体制を維持していく必要があると考えております。病院事業全体としての支援を含め適切な対応をしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○平良 長政 護憲ネットワーク県議団を代表して、10月23日に発生した新潟県中越地震で亡くなられた方々に対し心からお悔やみを申し上げます。
 また、今なお7000人近くの住民が避難所や車、テントなどでの不便で不安な生活を余儀なくされており、心からのお見舞いを申し上げ、政府の手厚い支援のもと、一日も早い復興と安定した生活を願うものです。
 それでは代表質問を行います。
 1、知事の政治姿勢について。
 (1)、自衛隊のイラク派遣期限延長について。
 ア、イラク暫定政府はイラク全土に非常事態宣言を出し、また陸上自衛隊が駐留するサマワの宿営地付近に9回も砲弾が撃ち込まれているというのに、自衛隊がいるところが非戦闘地域だと強弁する小泉首相。治安悪化の情勢を受けて国民世論も反対に傾き、自民党有力幹部らも慎重な対応を求めたにもかかわらず首相は延長を強行しようとしているが、知事の所見を求めます。
 イ、自衛隊派遣は日本の国益になっていると知事は思われるか。
 (2)、天皇の日の丸・君が代、強制望ましくない発言について。
 ア、東京赤坂御苑で10月28日に開催された秋の園遊会で、教育委員のお仕事、御苦労さまですとの天皇の言葉に答えて、棋士で東京都教育委員の米長邦雄さんが、「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と話しました。それに対し天皇は、「強制になるということでないことが望ましいですね」と発言したと言われております。国旗・国歌問題に関して天皇が発言するのは異例といいます。1999年に施行された国旗国歌法には義務規定や罰則規定はありませんが、都教委は今春、卒業式や入学式で不起立などを理由に教職員約230名を減給や戒告処分、校長ら67人を厳重注意にしています。天皇発言について知事と教育長の見解を伺いたいと思います。
 (3)、沖縄電力株式会社の原発研究について。
 10月15日、沖縄電力の社長が東京都内での記者会見で、原発導入の可能性について社内で検討していることを明らかにし、県内に驚きと怒りが渦巻きました。社民党県連では10月22日に原発の危険性を指摘し、風力発電などクリーンエネルギーの研究開発、実用化こそが現世代が次世代に対して負うべき責務であると検討中止を同社に申し入れました。沖電社員持ち株会に次ぐ第2位の株主――75万3747株で5%――であり、事実上の筆頭株主である県が役員派遣もしている沖縄電力に対し原発導入検討中止を申し入れるべきと思うがどうでしょうか。
 2、基地問題について。
 (1)、米軍基地再編問題について。
 ア、10月13日、「2005年軍事建設歳出及び緊急ハリケーン補正歳出法」が発効しました。そこで、米海外基地見直し委員会の活動が04年12月末から05年8月15日まで延期をされました。知事訪米や公聴会出席等いろいろあると思いますが、このチャンスを県はどう生かすつもりでしょうか。
 イ、大田県政時代に県ワシントン事務所が模索されましたが、野党の理解を得られずとんざいたしました。情報収集やロビー活動などやるべきことはたくさんあると思います。今こそ基地問題の前進のため同事務所を開設すべきと思うがどうでしょうか。
 ウ、山崎拓首相補佐官は11月26日那覇市で講演し、嘉手納統合案の評価等辺野古に固執せず、米軍再編の中で普天間返還を加速させたいとの考えを明らかにし、知事も、私も辺野古に固執していない、変える場合は両政府が新たな形をつくることが重要との認識を示したと報道されました。山崎氏の発言の評価とこれまでSACOの着実な実施を言ってきた知事の発言の変化は何によるものか。また、知事は両政府が新たな形をつくるのを待つのではなく、その過重な負担の軽減の具体策、すなわち普天間基地の閉鎖と海外移設、辺野古移設の中止を県の主張として日米両政府にはっきりと示し要求すべきではないでしょうか。
 エ、知事は、9月定例会で私の一般質問「事故で死者が出た場合、だれが責任をとるのか。知事辞任で済むと考えておられるのか。」に対して、「事故の当事者である米軍と政府は重く受けとめるべき」と答弁しましたが、再度の墜落事故で死傷者が出た場合、8月13日の事故後も閉鎖を訴えない、要求しない知事にも責任があると考えるが、知事の所見を再度お聞きしたいと思います。
 (2)、都市型戦闘訓練施設建設中止について。
 ア、同訓練施設は、住宅地や観光客が行き来する高速道路にも近く、これまでの演習場からの流弾事故も数多く発生していることから住民は大変な不安を抱いており、また観光立県沖縄にも大きな影を落としています。伊芸区民を中心とするゲート前での抗議行動も半年を超えており、県は知事を先頭にもっと強力に日米両政府に対し建設中止を求めるべきと思うが、中止に向けどのような方策を考えておられるのかお聞きしたいと思います。
 (3)、下地島空港の軍事利用について。
 ア、我が党の照屋寛徳衆議院議員の11月4日提出の「下地島空港に関する質問主意書」に対する答弁書で、政府は「パイロット訓練及び民間航空以外の利用が当然に許されないということではないと考える」と述べ、軍事利用を容認する見解を明らかにいたしました。当時の歴史的事情を否定し「屋良確認書」を破棄する権利は国にはありません。県は、歴史的経過を国に説明し、強く抗議し撤回を求めるべきだと思いますがどうですか。
 イ、11月28日、「下地島空港の軍事利用に反対する宮古郡民総決起大会」が平良市で開催され、宮古の市町村長会、市町村議会議長会、商工会、労働組合、高校生、市民を含め約2000名が参加をいたしました。県は、この大会の成功をどう評価し、政府にどう対応されるのか。
 3、三位一体改革について。
 (1)、全体像について。
 「三位一体が聞いてあきれる」(毎日新聞)と酷評された政府・与党の三位一体改革の全体像が11月26日決定されました。本来の三位一体改革は、地方自治の確立に向けた地方分権改革であり、国から地方への権限と財源の移譲で自治体の自己決定の幅を拡大し、自由度を高めて創意工夫に富んだ施策を展開することにあったはずです。しかし、中央省庁や族議員は既得権益を守るため迷走し、「三位ばらばら改悪」になりました。義務教育費国庫負担制度も4250億円を地方へつけ回しし、先送りも多く、多くの課題を残したといえます。全体像に対する県の見解と来年度以降県財政はどうなるか、県財政への影響について見解をお伺いいたします。
 (2)、「沖縄の補助制度に係る特例措置」への必要措置を講ずるとの項が挿入されたことを評価いたしますが、特例交付金の創設や地方交付税等による事業費確保等について県は具体的にどのように要求していきますか。
 4、児童虐待について。
 ア、全国及び本県における児童虐待は増加の一途をたどっています。全国的な児相への相談の内訳は、03年度で身体的虐待が1万2022件、45%、育児放棄(ネグレクト)1万140件、38%、心理的虐待3531件、13%、性的虐待876件、3%であったようですが、県内ではどうでしょうか。
 イ、児童虐待対策として、とりあえず児童福祉司の大幅な増員やコザ児童相談所に一時保護所の設置が緊急に必要と思われますが、次年度に予算措置できますか。
 ウ、宮古と八重山に児童相談所を設置できませんか。
 子どもの権利条例の制定について。
 ア、子供たちを虐待や犯罪やいじめから守るため、子どもの権利条例を制定すべきだと思いますが、どうですか。ことし7月には高知県で制定され、大阪府でも制定を準備していると聞いております。
 5、道州制について。
 11月20日から沖国大で日本自治学会が開かれました。それに参加した政府の地方制度調査会の諸井会長は、沖縄単独州について議論はこれからだが、九州に組み込めばいいということにはならない。沖縄側からこうしてほしいという考えを提案してもらいたい。他県に比べ沖縄はいいものをたくさん持っているので、それを生かしさえすれば自立の可能性は大きいと語ったと報道されました。第28次地方制度調査会の主要テーマは「道州制」です。沖縄側からの提案を待っているということなので議論・研究を急ぐべきだと思います。
 そこで質問いたします。
 (1)、県庁内「道州制検討委員会」の議論はどこまでいっておりますか。
 (2)、九州知事会の議論はどこまでいっていますか。
 (3)、県はいつごろまでに結論を出す予定ですか。シンポジウム等も開催したらどうでしょうか。
 6、海洋資源の開発利用について。
 沖縄周辺海域を含む東シナ海の海洋資源開発問題は、今や小泉首相の靖国参拝と並んで日中対立の火種になるのではないかと懸念をされております。貴重な資源を対立関係ではなく協力関係構築のために活用し、アジア及び世界の経済発展のため両国が協調していくべきであります。
 こうした中、小泉首相は「ASEANプラス3」の会議における記者会見で、東シナ海を対立の海にせず、将来の共同開発に前向きな考えを示したとの報道があります。これは、中国が進めているガス田開発を容認するということではなく、現在日本が進めている資源調査をもとに両方が納得できる新たな共同開発の枠組みの構築につなげていくことでなければなりません。両国の冷静沈着な外交努力に期待するとともに、こうした経緯も含めた情報収集や整理・分析に沖縄側が積極的に取り組むべきだと考えます。
 そこで質問いたします。
 (1)、ラオスでの小泉首相の日中共同開発発言について知事の所見を伺います。
 (2)、サハリン沖開発に関する現地調査等16年度県調査の進捗状況をお伺いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 平良長政議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は、自衛隊のイラク派遣についての御質問にお答えいたします。
 県としては、イラクの復興が一日も早く実現することを期待しており、我が国も関係各国と協力しながら主体的に貢献していくことが望ましいと考えております。自衛隊のイラク派遣については、自衛隊員の安全確保に万全の対策が講じられ、我が国の人道復興支援活動に対しイラク国民の一層の理解が得られるよう努力する必要があると考えております。
 次に、自衛隊のイラク派遣は日本の国益になっているかとの御質問にお答えいたします。
政府は、イラクが平和的な民主国家として再建されることは、イラク国民や中東地域の平和と安定はもとより、石油資源の9割近くを中東地域に依存する我が国を含む国際社会の平和と安全の確保にとって極めて重要であるとしております。
 続きまして、天皇陛下の御発言についてお答えいたします。
 天皇陛下の御発言につきましては、宮内庁では、「行政施策の当否を述べたものではない」、「国旗や国歌は自発的に掲げ、歌うのが望ましいありようという一般的な常識を述べたもの」との見解を示しております。私もそのような趣旨の御発言と理解をしております。
 次に、海外基地見直し委員会への対応についての御質問にお答えいたします。
 県としては、米軍再編において県民の目に見える形で過重な基地負担の軽減がなされるよう効果的な対応をしていくことが重要であると考えております。県は、去る11月5日に合衆国海外軍事施設の構成見直しに関する委員会に対し、沖縄の米軍基地問題の解決促進を訴える要請書を提出したところであります。県としては、今後とも同委員会の活動状況を踏まえ、総合的な観点からより効果的な対応を行っていきたいと考えております。
 続きまして、山崎首相補佐官の発言と普天間飛行場の移設についての御質問にお答えいたします。
 山崎首相補佐官は、普天間飛行場について米軍再編の中で加速して進めたいと述べ、県の考えに対し、重く受けとめ対処していくことを示しております。県としては、実効性のある代替案が提示されていない段階で日米両政府で確約された返還方針を変更することはできないと考えております。今後、米軍の再編に関連して日米両政府の合意による実効性のあるよりベターな代替案が提示されるならば具体的に検討していきたいと考えております。私としては、小泉総理のリーダーシップに強く期待したいと考えております。
 続いて、米軍航空機の墜落事故責任についての御質問にお答えいたします。
 去る8月13日の沖縄国際大学への米軍ヘリの墜落事故は、人命の犠牲を招きかねなかった大変深刻な事故であり、事故の当事者である米軍と政府は重く受けとめるべきであると考えております。県は、普天間飛行場の危険除去については当面の最大の課題と考えており、事故発生後速やかに日米両政府に対し危険除去のための対策を講じ、危険性を限りなくゼロにするなど再発防止に万全を尽くすよう強く求めているところであります。
 続きまして、陸軍複合射撃訓練場の建設中止についての御質問にお答えいたします。
 県は、これまで米軍を初め日米両政府に対し陸軍複合射撃訓練場の建設中止を求めてきており、先日も県選出国会議員や与党関係者等にお会いし工事の中止を強く求めたところであります。県としては、今後とも金武町と密接に連携し、日米両政府に対しあらゆる機会を通じてさらに強く工事の中止を求めてまいります。
 次に、下地島空港の使用についての御質問にお答えいたします。
 下地島空港については、これまで米軍の使用を自粛するよう強く要請してきたところであり、いわゆる「屋良確認書」や昭和54年に国と県との間で確認した同空港の管理運営方針「西銘確認書」を踏まえた利用が行われるべきであると考えております。
 次に、宮古郡民総決起大会についての御質問にお答えいたします。
 宮古郡民総決起大会については、下地島空港の軍事利用に反対する宮古郡民の心情のあらわれであると理解しております。県は、これまで日米両政府に対し、県民の目に見える形で過重な基地負担の軽減が行われるようあらゆる機会を通じて強く求めてきたところであり、新たな基地負担につながるようなことに対しては反対であることをこれまでも明言しております。
 次は、三位一体改革で、全体像に対する県の見解と県財政への影響についての御質問にお答えいたします。
 三位一体の改革の全体像においては、国庫補助負担金について平成17年度及び18年度において3兆円程度の廃止・縮減等の改革を行うとともに、税源移譲については所得税から個人住民税へのおおむね3兆円規模の移譲を目指すとともに、地域間の財政力格差の拡大について確実な対応を図ることとしております。また、地方交付税については、「基本方針2004」を遵守し「地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する。」こととしております。特に、本県において講じられている補助制度に係る特例措置については、その趣旨を踏まえ必要な措置を講ずるとの文言が盛り込まれており、沖縄振興に対する政府・与党の強い配慮が示されたものと考えております。
 一方、地方六団体の改革案にはない国民健康保険への都道府県負担が盛り込まれたほか、義務教育費国庫負担金などについて結論が先送りされるなど不明確な点もあり、今後の動向を注視し、地方分権の趣旨に沿った改革となるよう地方六団体とともに見きわめていく必要があると考えております。
 なお、全体像による県財政への具体的な影響については、まだその詳細が示されていないため引き続きその把握に努めてまいります。
 続きまして、特例交付金の創設と地方財政措置についての御質問にお答えいたします。
 沖縄振興特別措置法等に基づく高率補助等の特例措置は、本県の置かれた特殊事情にかんがみ講じられているものであり、三位一体の改革が進められる中においてもその趣旨が損なわれることがあってはならないと考えております。県としては、高率補助等の特例措置が講じられている事業が廃止される場合は特例措置の趣旨が損なわれることなく、また沖縄振興計画の着実な推進に支障が生じないよう、今後とも沖縄に対する特別の交付金の創設や地方財政措置など所要額の確保のための措置を国に対して求めてまいります。
 また、各省庁において補助金の交付金化等新たな制度が創設される場合も従来の高率補助等の特例措置の趣旨が損なわれることのないよう必要な措置を求めるとともに、沖縄施策としての予算措置が明示されるよう一括計上方式の継続を求めてまいります。
 続きまして、小泉首相の日中共同開発発言についての御質問にお答えいたします。
 小泉首相は、東南アジア諸国連合と日中韓首脳会議後の記者会見において、東シナ海のガス田開発に関連し、中国との資源開発は、対立するのではなく、お互い協力して開発していくべきだと発言した旨のマスコミ報道がなされております。日中間の貿易・投資等の経済関係は大きく発展しており、アジア・太平洋地域の安定と繁栄の確保のため両国間の協力関係はますます重要と考えております。このことから、東シナ海における日中間の資源開発問題が平和的に解決することを期待しており、その動向を引き続き注視してまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○教育長(山内 彰) 天皇陛下の御発言についてお答えいたします。
 学校における国旗・国歌の指導については、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」という学習指導要領の趣旨に沿って指導しているところであります。このことは、児童生徒が将来、国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長していくためには大切であると考えております。
 天皇陛下の御発言につきましては、国旗・国歌は自発的に掲げ、歌うのが望ましいありようというお考えで述べたものだと理解しております。
 以上でございます。
○商工労働部長(伊川征一) 沖縄電力の原子力発電研究についてお答えいたします。
 沖縄電力株式会社においては、地球温暖化防止に向けた取り組みが世界的な規模で進展する中にあって、二酸化炭素排出量の削減が大きな課題となっております。その解決に向けて、同社は火力発電所の熱効率の管理・向上、風力や太陽光などの新エネルギー発電の導入などに積極的に取り組んでおりますが、長期的な視点から原子力発電についても勉強を行っていると聞いております。
 県としては、平成13年度に策定した「新エネルギービジョン」に基づき環境保全と産業振興とのバランスの上に、美しい自然と豊かな暮らしを両立させていくため地域新エネルギーの導入を促進することとしております。
 以上でございます。
○知事公室長(府本禮司) ワシントン事務所の開設についての質問にお答えいたします。
 県が、米軍基地問題に関する施策を効果的に推進する上で国際情勢や米国政府の政策、米軍の動向等に関する迅速かつ的確な情報の収集と、本県の基地問題に関する県民の意向や県の取り組み等を米国サイドの関係機関に発信することは極めて重要であると認識しております。ワシントン事務所の開設については、御提言として承っておきたいと思います。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 本県の児童虐待の相談内訳についてお答えいたします。
 本県における平成15年度の児童虐待の相談種別は、養育の怠慢ないし拒否のネグレクトが160件で最も多く全体の42%、次いで身体的虐待が126件で33%、心理的虐待は66件で17%、性的虐待は28件で7%となっております。全国に比べ身体的虐待が低く、ネグレクト、心理的虐待及び性的虐待の割合が高い状況となっております。
 続きまして、児童福祉司の増員及びコザ児童相談所への一時保護所の設置についてお答えいたします。
 児童相談所の組織体制については、より効率的・効果的な体制にするための見直しを行った上で市町村、福祉保健所等との役割分担、中央・コザ両児童相談所の児童福祉司1人当たりの持ちケース数等の状況を踏まえ、限られた人員の中、適切な対応ができるよう体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
 また現在、一時保護所は満床状態となっておりますが、これは一時保護所における児童1人当たりの一時保護期間が他県に比べてかなり長期化していることもその要因となっており、まず一時保護期間を短縮するための取り組みを行っていきたいと考えております。
 コザ児童相談所への一時保護所の設置につきましては、これらの一時保護の現状における問題点及び動向等について調査・分析し、今後の課題として検討していきます。
 なお、当面の対応としては、中央児童相談所の一時保護所の定員増の検討を行うとともに、児童養護施設及び里親への一時保護委託等によって適切に対応していきます。
 続きまして、宮古・八重山地区の児童相談につきましては、市の福祉事務所、県の福祉保健所においても行っており、また中央児童相談所が巡回相談を実施しております。
 なお、継続して指導を要する要保護性の高いケースについては、担当児童福祉司等による戸別訪問で対応しております。今後、宮古・八重山の福祉保健所への児童相談所機能の位置づけについて検討してまいりたいと考えております。
 続きまして、子どもの権利条例の制定についてお答えいたします。
 日本も批准している「児童の権利に関する条約」第19条では、あらゆる形態の身体的もしくは精神的な暴力、虐待等から児童を保護するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとることとされております。児童福祉法及び児童虐待防止法においては、この規定の精神を受け、児童を保護するための規定が整備されているところであります。
 本県においては、平成14年に策定した「新おきなわ子どもプラン」において子供の権利と最善の利益が尊重され、伸び伸びと成長できる環境づくりを基本目標とし、虐待等の要保護児童に対する支援など児童を保護する施策を盛り込んでおります。
 御質問の子どもの権利条例制定につきましては、他県の条例制定の状況等を調査検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 道州制等研究会の議論についての御質問にお答えします。
 本年4月に設置した県の「道州制等研究会」はこれまでに5回開催し、その中で九州地方知事会の「道州制等都道府県のあり方を考える研究会」の論点整理や北海道の「道州制特区」構想の事例、地方制度調査会における道州制の議論などを踏まえ、国と道州や市町村との役割分担、道州の財源、国からの権限委譲、産業振興、区域の設定等について課題の整理を行っているところであります。
 次に、九州地方知事会の議論についてお答えします。
 10月27日に開催された九州地方知事会で、「道州制等都道府県のあり方を考える研究会」の中間報告がなされました。その内容は、国と地方の役割分担や広域自治体のあり方、道州制に移行した場合の主な検討課題等の論点を整理したものとなっております。また、都道府県合併、都道府県連合、道州制、連邦制等の定義づけや機能の比較検討も行われております。今後、同研究会では、仮に九州が道州に移行した場合の論点整理を来年3月ごろまで行い、6月に予定されている九州地方知事会議で報告することになっております。
 同じく道州制について今後の予定についてお答えします。
 道州制については、現在、庁内の道州制等研究会で検討を行っているところであり、「道州制等都道府県のあり方を考える研究会」から九州地方知事会へ報告が行われる来年6月ごろをめどとして中間報告を取りまとめたいと考えております。また、シンポジウム等の開催については今後検討していきたいと考えております。
 次に、平成16年度海洋資源開発及び利用に関する基本調査の進捗状況についてお答えします。
 平成16年度の調査については、本県周辺海域における海洋資源関連の情報収集に努めるとともに、他地域の振興事例、県内関連施設等の現状の把握、地域への波及効果等海洋資源の開発利用促進に向けた検討を行うこととしております。本調査は、海洋資源に知見を有する学識経験者及び専門家で構成する検討委員会においてその内容を検討しており、9月中旬に第1回の委員会を開催し、前年度調査実績及び今年度の調査方針等を確認しております。10月中旬にはサハリンプロジェクトに伴う稚内市の振興事例を調査したところであり、その結果及び関連情報について12月21日に開催する第2回目の委員会で検討する予定であります。
 以上でございます。
○平良 長政 再質問を行います。
 下地島空港問題ですが、こちらに「屋良朝苗回顧録」というのがあります。(資料を掲示) これは朝日新聞に連載されたものをまとめたものですが、そこに4項目にわたって屋良さんの回顧があり、また証言者山中貞則氏の証言もありますが、屋良さんが知事をやめられた後書いたものですが、「「軍事」に使わぬ確認書とる」と。訓練飛行場の建設にやっと目鼻がついたとはいえ、私は、この飛行場が絶対に軍事目的に使用されない確約を本土政府からとっておきたいと、考えた。そこで46年8月15日――復帰前の年ですが――東京の戦没者慰霊式典に出席した際、山中総務長官に会い、「沖縄県民が飛行場に対して抱いている不安解消のため、運輸大臣が署名した公文の確認書をとりたい」といい、長官にお世話を願った。すると長官は「要求はごもっともであり、お安いご用だ。ついでに担当大臣である自分も署名する」と即座に約束してくれた。」ということでその確認書ができたわけですが、山中貞則氏の証言では、「琉球政府から確認書の話があったとき、政府関係者の中には「非常識だ」という声も上がった。しかし私は沖縄の反戦平和の気持ちを酌んで、確認書を書こうと判断した。佐藤首相に説明し確認書を見せたら、首相は「沖縄は君に任せているから、いいよ」といった。また防衛庁長官には「確認書を出したことを庁内の記録にとどめてほしい」と連絡、その約束をとりつけた。」と書いてあります。
 それで防衛庁にもその確認する文書があるはずなので、ぜひそれは取って追及してほしいというふうに思います。
 それから児童相談所の件で、部長はかなり何か私が聞くと後退した発言のような気がします。
 一時保護所の件でも、期間が長いから入れないとかですね、今もう満杯で本当に入れたいのに入れられないという状況なので、児童福祉司の増員や一時保護所の設置については、次年度は優先順位1位でぜひ頑張ってほしいと御要望したいと思います。
 それから、普天間と米軍基地再編の問題ですが、私は、ヘリコプターが墜落して一つ大きく変わったのは、やはりSACOにこだわらない、普天間にこだわらないというのが、例えば首相補佐官からも、あるいは知事からも出たのが喜ばしい、歓迎すべき唯一の変化ではないかというふうにこう思うわけですが、ただ知事が言っているいわゆるSACOにかわる日米両政府の合意があれば、代替案があれば自分もそれに同意をするというふうに言っているわけですが、例えば、ラムズフェルドが歓迎されないところに行かないとこう言っていて、知事が例えば辺野古でもいいよと言ったら歓迎しているとしかとれないと思うんですよね。だから知事がやることは、やはりヘリコプターも落ちたし危険だからもう閉鎖しようということをきちっと言って、それはだから小泉首相のリーダーシップに期待するという答弁もありましたが、そうではなくて、知事のリーダーシップが今期待されているのではないかというふうに思うわけです。やはり顔をどこに向けるかということだと思います。
 知事はこれは琉球新報のインタビューに答えて、辺野古移設支持はわずか6%ですよと言ったことに対して、「この数字は当然だ。私自身もベストの選択は無条件返還だと思う。」というふうに言っているわけなので、ぜひそれを県民の意思として日米両政府に伝えてほしいというふうに思います。
 それからあと尖閣の問題ですが、やはり温家宝首相と会って、日本の総理として初めて共同開発について言いました。田中角栄から竹下から小渕からずっとだれも言えなかったことを言ったのを本当に歓迎をして評価をしたいと思います。
 いずれにしても、尖閣を戦争の火種にするのではなくて、やはり東アジアの平和のとりでにするという意味で知事も平和的解決を望むと言われましたが、そういうことで期待をしておきたいと思います。
 質問は1点だけでございます。
○議長(外間盛善) 休憩いたします。
   午後2時38分休憩
   午後2時39分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 平良長政議員の御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場の問題でございますが、県は、普天間飛行場の危険除去については当面の最大の課題と考えており、事故発生後、速やかに日米両政府に対し危険除去のための対策を講じ、危険性を限りなくゼロにするなど再発防止に万全を尽くすよう強く求めているところであります。
○當山  弘 こんにちは。
 代表質問に入る前に少しごあいさつをさせていただきたいと思います。
 私は読谷山の出身でございまして、中頭郡区から選出されました護憲ネットワーク所属の當山弘でございます。行政経験は34年ありますが、県議会議員としては本当に初陣でぴかぴかの1年生でございますが、県民生活を守り、高め、県勢発展に全力を尽くしてまいりたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 初めてのこの場に登壇でございますので、少し緊張しております。今、私は読谷山と県民の思いをアピールしたくて読谷山花織のジャケットをつけてまいりました。そして周囲を見ていただきたいんですが、議員さんの前のテーブルの前も読谷山花織になっております。そしてこの議場、この場が首里花織になっているはずです。そして南風原の琉球がすりが見えるんです。伝統工芸品でこの議場がしっかり装飾されているのを本当にうれしく感じております。
 ちなみに、この織物の世界で着尺1反を織り上げるには縦糸が約860本ほどあります。横糸が約5万本で、織り子の職人の本当に心と思いが表現されているものでございます。本当にこのような世界が、これが世界に誇れる工芸品で、本当に手のぬくもりを感じているものでございます。このように琉球文化に見られる主人公であります県民の思い、地域の声をしっかり受けとめ頑張ってまいります。
 それでは質問に入ります。
 1、知事の政治姿勢について。
 (1)、名護市辺野古沖での普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する意見について伺います。
 イ、県環境影響評価審議会が指摘している基礎データの不備等を踏まえて意見を述べることがなされていないのはなぜですか。
 ロ、同案件に対して世界最大の自然保護団体である国際自然保護連合がヤンバルクイナ、ジュゴンなど希少野生生物保護と環境影響評価の見直しを日米両政府に再度勧告もなされている報道があります。県はどう認識し、今後どのように対応するか伺います。
 2番目に、基地問題について。
 地域における土地利用、地域開発の最大の障害になっているのは米軍基地であります。その要因は、限られた県土の有効利用が果たせず沖縄県の発展に障壁になっているからで、県政の最大の課題と認識をしております。
 そこで6項目の質問を行います。
 (1)つ、米軍再編問題について。
 現在、日米間で基地の再編問題が論議されている情勢にあるが、その中で国内で基地を抱えている自治体は基地強化等の立場からすべての自治組織が反対表明している。
 一方で、国外で受け入れを認めている国もあると聞こえるが、今、基地の海外移転を国に強力に求める最大のチャンスであると思うが、遅々として進展しないのはなぜですか。
 (2)番目に、思いやり予算について。
 我が国は、米軍に対して沖縄県総予算額約6000億円に対比して45%に当たる2700億円という金額を思いやり予算としてつくっております。この支援制度が基地の海外移転の進展しない大きな要因になっているように思えるんですが、知事の所見をお伺いいたします。
 人類は、大自然の恵みで生かされているので自然保護の理念を踏まえ行政的・政治的に対処すべきものであります。ウチナーの先人たちが次の言葉を語っております。「銀森腰当シ、黄金浜メーナチ、ワッター邑ーサケートーンドー」と。
 そこで知事に伺います。
 アセス法に基づく行政手続を超えて県政の主人公である県民の声と自然環境の専門家の皆さんの意見をしっかりと受けとめて、辺野古へ固執せず海外移転を日米両政府に求めるべきだと思うが、知事の所見を伺います。
 (3)、県内の広域道路網計画について。
 県内の広域道路の交通事情はかなり厳しいものがあります。交通混雑度が1.5を超えるのが大半であろうと思われます。この現況を見ると、予定時間の約2倍もかかる交通事情の中、道路計画で一番障害になっているのが大規模で広範囲を有する米軍基地であります。
 そこで、広域道路網計画を見直し、基地をタブー視しないで基地内からでも通過できる道路を計画・実施して県勢発展を目指すべきものと考えるがどうか。
 ア、その1点目として、嘉手納の第1ゲートから沖縄市へ通ずる軍用道路があります。これを県道として位置づけられないものか。
 イ、読谷村側――これは村道中央残波線と呼んでおりますが――4車線があります。それから高速道路の沖縄市北インターを経由して具志川市、勝連、与那城、中城方向へ連結する道路計画が実現すれば中部圏域の東と西が連動して中部圏域が発展する起爆剤になると確信しておりますが、県計画はどう位置づけされておりますか。
 (4)番目に、嘉手納弾薬庫の危機管理について。
 嘉手納弾薬庫は、読谷村、嘉手納町、沖縄市、具志川市、恩納村の市町村域にまたがる大規模な基地であります。基地の状況を見ると、砲弾が本当に大量に野積みされているんです。県として現地調査をしたことがありますか。
 万一、この弾薬庫の野積み場に墜落事故が生じたとき、その危険度ははかり知れないものがあります。去る11月24日に設立されている「県在日米軍事故対応に関する合同協議会」ができておりますが、あのように事後処理体制では県民の命は守れません。県の防災計画、危機管理体制はどうなっているか伺います。
 関連して伺います。
 嘉手納弾薬庫の施設用地の面積は幾らありますか。その内訳で、公有地は何平米で私有地は何平米か。公有地の中で県有地は何平米ありますか。また、公有地と私有地の借地料の単価はどうなっておりますか。その差額があればその理由をお聞かせください。
 (5)番目に、県民税であるYナンバー車両の自動車税について。
 自動車税はガソリン税、重量税を含め元来道路関連予算の特定財源でございます。道路を利用しておられる受益者の皆さんが平等に応分の負担をしていくものでございます。
 そこで伺います。
 ア、Yナンバー車両は何台ありますか。そのうち基地内の車庫、基地外で車庫を抱えている状況はどうなっておりますか。
 イ、Yナンバー車両の1台当たりの税額は幾らですか。
 ウ、県民所有車両の税額は幾らですか。
 エ、県民が負担している税額でYナンバー車両から徴税すると県民税は幾らふえますか。
 オ、県条例の中でYナンバー車両の税優遇の特例措置を廃止すべきと考えるがどうですか。
 (6)番目に、嘉手納基地周辺住民の爆音被害について。
 嘉手納基地周辺の沖縄市、嘉手納町、北谷町、具志川市、石川市、読谷村の6市町村の住民は、戦後60年の長きにわたって米軍機の爆音に悩まされ苦しみ続けているんです。
 そこで、アとして、県民の健康被害と生活被害を今後どのように解消させるのか、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 イ、夜間の騒音は増加傾向にある状況で、騒音防止協定の遵守と情報を公開すべきと考えるがどうか。
 ウ、爆音の増大に起因する自衛隊の共同使用に反対すべきと考えるがどうか。
 旧軍飛行場用地問題について。
 旧軍飛行場用地問題については、戦争と占領によって生じたもので戦後60年に至っているが、問題解決がなされていない。同用地問題は地域ごとの特殊性もありますが、旧地主関係者に対して国は歴史的経過をしっかり受けとめて、最大の政治的責任と配慮で解決方策を築いていかなければならない戦後処理事案であります。
 そこで、県民の問題として県政の大きな政治課題でありますが、来年早々に返還予定の読谷補助飛行場問題解決に向けて今後県の取り組みを伺います。
 (1)、読谷補助飛行場用地問題の解決方策については国の関係省庁、県の関係部署が市町村と協働して解決に向けて前向きに協議していると読谷村長から評価の声を聞いております。今後も積極的取り組みを期待しております。
 そこで、県としての処理方針と今後の取り組みについて伺います。
 (2)、用地処分後の跡利用について。
 この事案は、戦後60年の歳月、旧軍飛行場用地問題、軍用地の跡地利用という3つの観点から県のモデル事業化を検討していただけないか、伺います。
 追加いたします。 
 楚辺通信所の返還遅延について質問書を提出してありませんが、質問通告後の12月3日の新聞で楚辺通信所の返還遅延が報道されております。これは読谷飛行場用地と関連して極めて重要なことでありますので、事前に執行部には連絡してございますので、質問をお許しいただきたいと思います。
 (1)、県はこの情報を知っておりましたか。もし知っていたのであれば、地元読谷村に情報提供してありますか。
 (2)、読谷飛行場の返還問題、用地の問題、跡利用計画に悪影響を及ぼすことにならないか危惧されます。県として今後どのように対処していくのか伺います。
 福祉行政について。
 現代社会は、少子・高齢化が急激に進展している状況下で、国は数年前に閣議決定して健康増進法、次世代育成対策推進法が制定され、全国的にその取り組みがなされているところであります。
 今回は、福祉行政の中で2点に絞って県の方向性を伺います。
 (1)、次世代育成対策について。
 ア、次世代育成対策行動計画の進捗状況はどうなっておりますか。
 イ、市町村単位でニーズ調査が行われているが、その地域ごとの課題と分析はなされておりますか。
 ウ、市町村が策定した行動計画を実践する支援策はあるのか。県独自の支援制度をつくる考えはありますか。
 (2)、健康増進計画について。
 ア、県の健康増進計画を踏まえて市町村の健康増進計画の策定状況はどうなっているか。
 イ、市町村の健康増進計画を実践する支援策はあるのか。県独自の支援制度をつくる考えがありますか。
 ウ、健康・長寿社会を目指して県民ぐるみの健康運動を積極的に展開すべき時勢にあると考えておりますが、今後、県と市町村の連携を深める具体的な施策を展開しなきゃならないと思います。また、この施策が効率化すれば医療費の節減が可能になり、財政再建のキーポイントになるとも考えておりますが、どうですか。
 環境行政について。
 (1)、循環型社会にあって再資源化をどのように取り組んでいるのか。県内のリサイクル事例と今後の方向づけはどのように行っていくのか、伺います。
 (2)番目に、一般廃棄物処理で主になっているのが焼却処理の現状であります。木くずや生ごみ等自然の摂理に準じて土に返し、地力向上施策が重要であると考えております。これが人間の命を維持してくれる農産物の生産を高める経済的相乗効果は明らかであります。
 ここでもウチナーグチを言います。ナスを生産している先輩農業者の言葉で、「ナスビヤ、クェーヌウンジェーワシランドー」という言葉があります。今後、県の関係部局と市町村で協議する機会をどんどんふやして土をつくる運動、ごみを減量化する実践を考えられないか。
 6番目に、産業振興について。
 産業振興は、地域特性を生かし潜在的エネルギーを掘り起こすことが大切であります。この基本理念は、平和・共生・自立で地産地消の姿に見える地域主義、地域に生きる産業振興と考えております。 
 そこで今回は観光産業について伺います。
 観光産業は、県内のリーディング産業に成長しております。それを支えているのが自然、歴史、文化、工芸、農業、漁業等総合産業であると理解しております。その成果が雇用機会を生み出し地域経済が安定・向上するものと認識しておりますが、全庁的な取り組み体制はありますか。どういう関連でなされているのかお聞かせください。
 また今後、夢と希望のある施策実現を期待しているものでありますが、担当部局長の所見をお伺いいたします。  
 今回の質問は初めての質問でありますので、総括的に総論をメーンにして行っておりますが、今後、一般質問や委員会で各論的議論を県民の立場に立って深めていく考えであります。
 これで質問を閉めます。
○知事(稲嶺惠一) 當山弘議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、方法書に対する意見についてでございます。
 普天間飛行場代替施設建設事業に係る方法書については、事業内容の記載が十分でないと考えておりますが、環境影響評価法で定める事項は記載されており法的要件は満たしております。そのため、知事意見においては準備書を作成するまでの間に決定される事業の具体的な内容を考慮して環境影響評価を行うこととの意見を述べております。県としては、事業者において知事意見を勘案して今後適切な環境影響評価を実施していただきたいと考えております。
 次に、IUCN勧告への対応についての御質問にお答えをいたします。
 IUCN勧告の内容は、ジュゴンやノグチゲラ、ヤンバルクイナなどの希少動物が生息するヤンバルの貴重な自然について世界が注目していることのあらわれであると考えております。勧告は、日本政府とアメリカ合衆国政府に対する要請であると承知しておりますが、今後の国の具体的な方針に対応し国と協力してジュゴン等の保護・保全に取り組んでいくとともに、環境影響評価の手続においても環境影響評価法の規定に基づき適切に対応していく考えであります。
 次に、IUCNの勧告についての御質問にお答えをいたします。
 県は、普天間飛行場代替施設の移設候補地を選定した際、地域住民の生活と自然環境への配慮を国に強く申し入れ、国は、平成11年の閣議決定において「地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う」との「安全・環境対策」の方針を示しております。県としては、環境影響評価の手続の中で国において適切な措置がなされるものと考えておりますが、引き続き地域の住民生活や自然環境への影響を極力少なくするよう求めていきます。
 続きまして、基地の海外移転についての御質問にお答えいたします。
 県としては、米軍再編の中で基地の海外移転も含めて県民の目に見える形で過重な基地負担の軽減がなされるべきであると考えております。小泉総理大臣は、沖縄の基地負担の軽減を図るためには国内外への移転も含め日本全体の問題として責任を持って進めることを表明しております。県としては、引き続きあらゆる機会を通じて日米両政府に働きかけていきます。
 続きまして、自衛隊との共同使用についての御質問にお答えいたします。
 那覇空港滑走路改修工事に伴う自衛隊機の嘉手納飛行場の一時使用については、工事が完了するまでの一時的なものと理解しております。県としては、今回の措置に伴い、周辺地域における騒音被害が増大しないよう政府においては騒音等の影響を最小限にする努力が必要であると考えております。
 次に、次世代育成支援対策の行動計画策定の進捗状況についてお答えいたします。
 次世代育成支援対策推進法に基づく地域行動計画の策定に当たっては、地域における子育ての支援、子供の教育環境の整備、子供の安全の確保等計画に盛り込むべき事項が各部局にまたがることから、部局を横断した庁内委員会を開催し全庁的な体制で取り組んでおります。また、外部の有識者を加えた「児童環境づくり推進協議会」を設置し、これまで3回開催しております。現在、計画の骨子案に沿った素案の作成作業を行っているところであり、今後1月末までに行動計画素案を作成し、パブリックコメントの実施により県民の意見を幅広く聴取し計画に反映させ、平成17年3月までに行動計画を策定していきたいと考えております。
 続きまして、同じく市町村行動計画の実践への支援についての御質問にお答えいたします。
 現在、市町村においては、昨年度実施したニーズ調査の結果を踏まえ、地域行動計画に位置づける各種子育て支援事業の目標事業量を定める作業を行っております。県の行動計画策定に当たっては、市町村が実施したニーズ調査において把握された課題等を踏まえ、市町村が策定する行動計画と整合性を図り、県における目標事業量を掲げていきたいと考えております。行動計画の実践に際しては、計画に盛り込まれた事業が着実に実施できるよう市町村との密接な連携を図りつつ支援していきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(府本禮司) まず、思いやり予算の所見についてお答えいたします。
 在日米軍駐留経費負担、いわゆる思いやり予算のあり方については、米軍基地の負担のあり方等とあわせて国政の場を含め国民全体の問題として十分に議論を深めていただきたいと考えております。
 次に、嘉手納飛行場内道路の通行についてお答えいたします。
 嘉手納飛行場内の緊急車両の通行については、沖縄市は平成15年8月15日に、比謝川行政事務組合ニライ消防は同年9月16日に米軍と協定を締結しております。一般車両の基地内道路の通行については、米軍施設・区域の管理・運用上の調整が必要となりますが、県としては、地元の意向を踏まえ引き続き日米両政府に対しその実現を働きかけていきたいと考えております。
 次に、嘉手納弾薬庫内の砲弾についての御質問にお答えいたします。
 在沖米軍に照会したところ、嘉手納弾薬庫内における砲弾等の管理については、軍の規則に基づき適切に管理されており、砲弾等を保管庫外に放置しておくことは禁止されているとのことであります。そのような状況が目撃される可能性としては、訓練等で使用するために搬出作業の一環として運搬前に一時保管庫の外に置いていることが考えられるとのことであります。
 次に、嘉手納弾薬庫地区の所有形態別面積、賃借料の単価等についてお答えいたします。
 那覇防衛施設局によりますと、平成15年3月末現在、施設総面積は2728万8000平方メートルであり、その内訳として国有地が約80万6000平方メートル、県有地が約2万3000平方メートル、市町村有地が約1285万3000平方メートル、民有地が約1360万5000平方メートルであります。
 また、1平方メートル当たりの賃借料単価について平成15年度の支払い実績によりますと、公有地の平均賃借料単価は約180円、民有地の平均賃借料単価は約580円とのことであります。この防衛施設用地の賃借料については、周辺の開発状況及び公示地、基準地等の客観的なデータをもとに「駐留軍の用に供する土地等の損失補償等要綱」等の算定基準により算定しているとのことであります。
 次に、Yナンバー車両の台数等についてお答えいたします。
 沖縄総合事務局へ確認したところ、県内の米軍人等の私有車両の登録台数は、平成16年3月31日現在で約2万7000台とのことであります。また、基地内車庫等の状況については平成16年9月から統計をとり始めており、9月から11月までの登録申請台数は3378台で、そのうち基地内車庫が3317台、基地外車庫が61台とのことであります。
 次に、健康被害等の解消と騒音防止協定の履行状況の公開についてお答えいたします。一括してお答えいたします。
 県は、嘉手納及び普天間両飛行場周辺における平成15年度の航空機騒音測定結果に基づき、去る9月16日に日米両政府に対し、周辺地域住民の快適な生活環境を創出するため航空機騒音規制措置を厳格に運用するとともに、あわせて同規制措置の運用状況について三者連絡協議会及び周辺市町村へ報告するよう要請したところであります。県としては、米軍等の関係機関に対し、軍転協、渉外知事会を通じても同様な措置を求めてきたところであり、今後とも関係市町村等と連携を図りながら粘り強く働きかけていきたいと考えております。
 次に、読谷補助飛行場に係る県の処理方針及び今後の取り組みについてお答えいたします。
 読谷補助飛行場については、平成17年5月以降に日本側へ返還することが合意されており、読谷村は地域振興の観点から現在「読谷補助飛行場跡地利用実施計画」の策定を進めております。また、読谷村は去る11月1日、跡地利用の骨子を発表し、同用地の取得については村有地との等価交換による方法で行いたい旨を表明しております。地主会も取得方法については読谷村の方針を支持しております。県としては、この飛行場用地問題を戦後処理事案として読谷村や地主会と協議を進めており、今後とも地元と連携して問題解決に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、楚辺通信所の返還遅延についての質問にお答えいたします。
 楚辺通信所の返還遅延については、12月2日の夜に那覇防衛施設局から電話で連絡を受けたところであります。翌3日、その詳細について改めて同施設局に照会したところ、楚辺通信所代替施設の建設工事のうち建物工事やアンテナ工事は完了しているが、米国企業による通信システム製造が遅延しており、予定よりもおくれている状況にあるとのことであります。現在、防衛施設庁においては同代替施設の建設工事をできる限り早期に完成させ、楚辺通信所の返還と平成17年5月末日までの土地所有者への引き渡しを実現すべく努力しているとのことであります。
 また、照会により知り得た情報につきましては読谷村に提供してございます。
 次に、楚辺通信所の返還に係る県の対応についてお答えいたします。
 県としては、情報収集に努めるとともに、政府に対しては読谷補助飛行場の跡地利用に影響を及ぼすことがないよう強く働きかけてまいります。
 以上でございます。
○土木建築部長(末吉 哲) 基地内を通過する広域道路の新たな整備についてお答えいたします。
 本県の広域道路の整備は、沖縄県広域道路整備基本計画に基づき進めております。広域道路網の計画は、地域の活性化施策などを支援する道路の整備を検討する際の基本として活用しております。基地内を通過する広域道路を新たに整備することにつきましては、基地返還や跡地利用計画などを踏まえながら検討する必要があります。
 次に、読谷村から具志川市方向への道路計画についてお答えいたします。
 読谷村から沖縄北インターを経由して具志川市に至る広域道路計画については、基地内を通過することから、今後の米軍提供施設の返還の状況を踏まえ、将来の交通需要の動向を見ながら検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) まず、基地問題についての県防災計画と危機管理体制についてお答えをいたします。
 県の地域防災計画におきましては、災害予防計画の中で火薬類の事故について定めておりますが、米軍基地を対象とはしておりません。米軍基地については、基地管理者である米軍及び防衛施設庁が危機管理に当たるものと理解しております。しかしながら、基地内で火薬類の事故等が発生した場合は民間地域への影響が懸念されることから、そのような事態になったときは基地管理者である米軍及び防衛施設庁と連携をとりつつ対応する必要があると考えております。
 米軍との関係においては、「災害時における沖縄県と在沖米軍との相互連携マニュアル」による対応が考えられます。
 次に、環境行政についての御質問にお答えをします。
 まず、再資源化の取り組みについてでございます。
 循環型社会の形成に向けて廃棄物の発生を抑制するとともに、発生した廃棄物については、その有用性に着目して循環資源ととらえ、再使用、再生利用、熱回収等を図り、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会の実現が求められております。県内におけるリサイクル事業所の現状は、平成14年度沖縄ゼロエミッション・アイランド関連調査報告書によると、廃油から再生燃料を、廃プラスチックから車どめ等を製造する化石系が13事業所、古紙をトイレットペーパーに、剪定木をチップ化する等のバイオマス系が38事業所、廃金属を再生する金属系が7事業所、瓦れき類から路盤材を、廃ガラスから軽石等を製造する非金属鉱物系が37事業所となっております。
 県としましては、県産リサイクル製品の利用促進を図るため、公共事業で利用する建設資材を対象としたリサイクル資材評価認定制度が制定されたところであり、さらにそれ以外の日用品等を対象として県産リサイクル製品認定制度検討委員会を設置し、認定基準等の制定に向けて取り組んでいるところであります。
 次に、一般廃棄物処理で自然の摂理に準じて土に返す施策についてお答えをいたします。
 市町村においては、廃棄物の減量化・リサイクルを促進するため生ごみや剪定木の堆肥化の取り組みが行われております。生ごみ処理機購入費に対する助成は30市町村において行われるとともに、剪定木は市町村が回収し、事業者においてチップ化処理した後、家畜排せつ物と混合し堆肥として製品化している事例があります。県においては、農林水産部において堆肥化を推進しているところであり、庁内5部14課で構成する廃棄物適正処理推進連絡会議を設置し、廃棄物の適正処理及びリサイクルに関する施策について横断的な連絡調整を図っているところであります。また、県内のごみの減量化、リサイクルの円滑な推進を図るため生ごみ堆肥化事業者、流通事業者及び消費者団体等の代表者で構成する「ごみ減量リサイクル推進会議」を設置し、関係機関の連携を促進しているところであります。
 今後とも関係者との適切な役割分担のもと、相互に連携を図り、廃棄物の減量化・リサイクル対策を総合的に進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○総務部長(仲田輝享) Yナンバー車両の自動車税について一括して答弁いたします。
 自動車税の1台当たりの税額につきましては、排気量2000ccクラスの自家用乗用車で比較しますと、民間車両が3万9500円、Yナンバー車両が7500円となっております。これらYナンバー車両を民間並みの税率で課税した場合、平成16年度の定期賦課で7億8673万円の増収となります。Yナンバー車両の自動車税の税率については、日米地位協定第13条第3項及び第14条第6項の規定に基づき日米合同委員会において合意された税率によって課税することとされております。
 税率の改正につきましては、近年では平成11年度に平均15.4%の税率の引き上げがなされております。しかし依然として民間車両の税率と比較して著しく低く不均衡であることから、国に対し渉外関係主要都道県知事連絡協議会として毎年税率の引き上げを要望しているほか、本県が行った地位協定の見直し要請の中でも民間車両と同じ税率で課税できるよう要望しているところであります。
 以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 読谷補助飛行場用地処分後の跡地利用についての御質問にお答えします。
 読谷村では、個性豊かな田園空間の形成を図るため公共施設整備や農業的利用を中心とした読谷補助飛行場跡地利用実施計画の本年度策定を目途に取り組んでいるところであります。県としましては、国と連携して沖縄振興計画を踏まえた跡地利用計画の策定を支援するとともに、読谷村が予定をしている農業振興地域の農用地の指定や農地保有合理化事業等の実施についても同村と連携して調整してまいります。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) ニーズ調査での課題と分析についてお答えいたします。
 市町村が実施した子育て支援に係るニーズ調査の結果では、保育所や学童クラブの設置要望に加え、地域での子育て支援として集いの広場、地域子育て支援センターの設置やファミリーサポートセンターの設置の要望が高い結果となっております。また、安全な通学路や遊び場の確保、父親とのスキンシップを持つ時間の確保の要望も多く、企業等における男性の働き方の見直しも求められております。平成17年3月までに策定する県の次世代育成支援の地域行動計画においては、これらのニーズを踏まえ、地域における子育て支援の強化を位置づけ、社会全体で子育てを支援していく環境づくりに努めていきたいと考えております。
 市町村の健康増進計画の策定についてお答えいたします。
 県では、平成13年度に県の健康増進計画である「健康おきなわ2010」を策定しました。市町村に対しても健康増進計画の策定を推進し、7市町村で計画が策定されました。また、平成15年5月から施行された健康増進法で市町村は健康増進計画の策定に努めることとされており、法施行後に9市町村が策定し、平成16年11月現在、16市町村において健康増進計画が策定されています。
 なお、平成16年度から17年度にかけて12市町村が新たに策定の予定であります。
 市町村の健康増進計画の策定及び実践の支援についてお答えいたします。
 健康づくり事業は、住民に身近な市町村が主体的に取り組むことにより、地域住民のニーズに即したテーマについて食生活改善推進員や地区組織等の民間の活動と連携することにより一層効果を上げることができます。このことから、県では各市町村の健康増進計画の策定及び実践において管轄の福祉保健所と連携を図りながら技術的な支援を行っております。
 計画策定の支援については、各福祉保健所において市町村健康づくり担当者会議等を開催し、計画の意義、策定の方法等について研修を行うほか、市町村の策定委員会に職員を派遣し、助言を行っています。また、計画の実践に関する支援については、事業の企画や運営方法等の助言、医師等の講師派遣等を行っております。
 次に、健康・長寿社会を目指した県民運動の展開についてお答えいたします。
 県民の健康づくりは、食生活の改善や運動などに一人一人が主体的に取り組むとともに、社会全体でこれを支援し一体となって取り組んでいくことが重要と考えています。県では、32団体で構成する「健康おきなわ2010推進県民会議」を設置し、各団体の健康づくりの取り組みを推進するほか、「健康づくりトーク」、「禁煙フォーラム」等を開催するなど健康づくりの重要性を啓発しております。また、福祉保健所では「健康おきなわ地区協議会」等を開催するほか、市町村の健康づくり推進協議会に参加するなど、市町村と連携した健康づくり施策の推進を図っております。
 県民の健康づくりの意識を醸成し、日常の生活習慣を改善する一次予防の活動や、早期発見・早期治療を進める検診事業等の二次予防の活動を強化することは国保や介護保険財政の安定に寄与するものと考えられます。今後とも全県民挙げての健康づくり運動を推進してまいります。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) 観光振興への全庁的な取り組みについてお答えをいたします。
 県におきましては、観光と他の産業などとの幅広い連携により観光の経済波及効果をより一層高めるため、副知事を本部長とし、各部局長等で構成する「沖縄県観光・リゾート・コンベンション推進本部」を設置しております。また、観光振興計画には各部局の観光関連施策も位置づけるなど、各分野横断的な施策を推進しているところであります。
 具体的には、自然環境などの地域資源を活用したエコツーリズム、世界遺産や空手などの文化資源を活用した文化交流型観光を推進するとともに、地域の農林漁業関係団体や商工団体、医療機関などの各分野の連携による健康・保養型観光の受け入れ体制の構築を進めております。また、道路案内標識の整備や主要観光道路における良好な景観の形成、沖縄観光のバリアフリー化の促進などに取り組むとともに、観光土産品のブランド化やマーケティングの強化を推進しております。
 さらに、グリーンツーリズムやブルーツーリズム及び地産地消の推進に観光面からも取り組むなど産業間の連携を一層強化し、本県経済全体の底上げに取り組んでいく考えでございます。
 以上でございます。
○議長(外間盛善) 以上で本日の代表質問は終わりました。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明7日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後3時30分散会

 
20040602000000