平成22年(2010年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 2月19日
 


○議長(髙嶺善伸) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた副知事仲里全輝君は、体調不良のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありました。
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○議長(髙嶺善伸) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 当銘勝雄君。
   〔当銘勝雄君登壇〕
○当銘 勝雄 おはようございます。
 社民・護憲会派の当銘勝雄と申します。
 会派を代表して代表質問を行います。所見を述べながら、質問させていただきます。
 知事の任期最終年の予算議会になりました。知事の公約の仕上げの年であります。
 知事は選挙に臨んで、独立独歩の精神を縦軸に、主体性のある相互依存を横軸に、歴史に学びながら県政基盤を確立するとし、すべての産業を徹底的に支援し、雇用の場の確保、医療や福祉を充実させ、すべての人が安心して暮らせる安心・安全力を高め、また普天間飛行場については責任を持って解決をし、広大な米軍基地の跡地は沖縄大躍進の起爆剤にすると基本姿勢を県民に訴えました。
 知事、今思えば言い過ぎだったかなと思っているのではないでしょうか。知事のこの公約は解決できないことが多く残されているからであります。知事の公約を幾つか挙げます。
 1つには、普天間飛行場の危険性の除去、2つ目は、全国2倍近いという失業率を全国4%台に改善するとこういうことも公約しました。3つ目は、1000万人観光客の実現、さらには30人学級の実施など約束しました。県民が最も期待した公約が解決されていないのであります。
 知事が就任したときには、自公政治の国民離れが芽生えた時期でありました。地方分権の名目に長年の自民党政治の財政のツケを解消するため三位一体改革を地方に押しつけ、地方財政の危機を招き、労働者派遣法の改正による首切り助長、格差社会の拡大、後期高齢者医療制度の導入、障害者支援法など国民にとって好ましくない、うれしくない法制度の導入、改悪が続きました。
 さらに世界的な経済不況の影響をもろに受けた我が国、これまでの大企業優先、自動車や電気産業中心の経済政策が不況になっても内需拡大ができないばかりか、経済産業の失速は労働者の派遣切りに及び、国民生活は厳しい状況に直面させられております。
 さらに本県においては、WTO、EPAの協定問題です。協定が締結されれば、本県の農水産業が壊滅的な被害を受け、特に離島市町村においては、農漁村の崩壊にもつながる問題が指摘されました。知事の政策実現は厳しい環境にあるものの、公約実現はよそに転嫁することはできないのであります。特に、普天間問題の解決は、辺野古に固執し、責任を持って解決すると公約しながら、日米政府に何の提案もせず、普天間問題の解決責任は政府にあるとする知事の態度は沖縄県の知事とは言えません。今、また、知事を支える県議団が辺野古移設方針転換の方向にあるとされるが、知事は頑固というか、あるいはぶれないというか、民意ともかけ離れて辺野古容認を貫いているのであります。けさの新聞では、「辺野古は極めて厳しい」、ある一つの新聞は、「県内やむを得ないを撤回」とこういうふうに書かれておりますが、私はきのうの知事の答弁では決してそういうふうには読み取れないというふうに思います。
 2月15日に開催された知事の新春の集いの感触では、知事は2期目に意欲を見せていると報じられておりますが、民意と離れた普天間問題の解決は知事にとって足かせとなっており、私は知事の再出馬はないと推測します。知事選に意欲があるなら、あえて県民の70%以上が反対する辺野古に固執することはないと考えるからであります。
 そこで質問に移ります。
 1、知事の政治姿勢について。
 (1)、日米地位協定の改定についてであります。
 2月5日の衆議院予算委員会の本県出身の照屋寛徳衆議院議員の日米地位協定の改定質問に対し、岡田外務大臣は、改定もあるが話し合いで解決できることもある。しかし前政権は話し合いも十分でなかったとして、話し合いによる解決方法を探る方針で改定には消極的であります。知事は、これをどう認識し、抜本的改定を政府に訴えるか問います。
 2、知事公約についてであります。
 知事は就任3周年のあいさつで、公約のほとんどに手をつけたと言っております。確かに手をつけたかもしれませんが、悪くなったものもあれば、遅々として進まないものもあるのであります。基地問題の大きな課題であります危険な普天間飛行場は、責任を持って解決すると公約しながら民意と反対の立場を守り続け、県外移設を掲げる新政権が誕生しても政府が示すまではみずからの意思を示さない知事のやり方には疑問を持つものであります。
 失業率の改善も何の改善もされておりません。依然として7%台の失業率が続いております。小学校の30人学級の改善、2年生までしか実施しておりません。観光産業も失速ぎみです。14カ月観光客の減少です。県民所得も本土との格差は縮まっておりません。公約について絞って聞きます。
 (1)、1000万人観光客の推進についてであります。
 ア、1000万人観光客誘致を公約したが、達成は可能か、進捗率はどうなっているか問います。
 イ、1000万人観光にはカジノ導入も想定されているのか問います。
 ウ、観光産業は総合産業、雇用創出も大きいが、経済的な波及が大切であります。入域客はふえたが観光消費額は伸びていないと指摘されております。近年の観光消費額の推移を問います。
 エ、観光消費額をふやすための戦略と対策はどうなっているか問います。
 オ、観光収入の歩どまりが大切でありますが、土産品や1次産業との連携強化が指摘されます。原材料の県内供給率の推移を問います。また、連携強化をどう進めるか問います。
 カ、県外・海外資本の観光事業参入がふえ、観光収入の還流で県経済への歩どまりの減少が指摘されるが、どのような対策を講じているか問います。
 次に(2)、国連機関誘致についてであります。
 世界に貢献する平和な海洋国際都市を目指し、国連機関などを誘致し、アジアの平和と発展に寄与すると高い目標を掲げております。
 そこで質問いたします。
 ア、平和な海洋都市は実現できたか。
 イ、国連機関の誘致の経過報告を求めます。
 3、平成22年度予算について伺います。
 (1)つは、国庫支出金要請についてであります。
 ア、国庫支出金要請で実現したものと実現しなかったものの件数ベース、金額ベースでの措置状況はどうなっているか。
 イ、沖縄自動車道通行料金は要請どおり無料化され、6月から実施される予定でありますが、交通費の軽減効果の一方、高速道路の渋滞化を招き、高速道路の役割を果たさなくなるとの指摘もあります。導入要請は一定の調査の上か、また、無料化による経済効果はどう考えているか問います。
 (2)、平成22年度の予算と所信表明について伺います。
 ア、県単独事業が突出して増額しております。157億円余り、66.2%であります。単年度で増額する必要があったのか問います。
 イ、重点特別枠事業が多く盛り込まれておりますが、これのプライオリティーから優先される事業なのかを問います。
 ウ、県財政はどう変化するか、県債残高は突出してふえておりますが、後年度の財政圧迫にならないか問います。
 エ、知事は昨年9月ポリテクセンターを訪問した際、これまで仕事をふやす頭しかなかったが、職業訓練にも力を入れなければと実感したようです。県立職業能力開発校の訓練体制が昨年からずっと議論されておりますが、予算にどう反映されたか問います。
 オ、施策の展開で自立経済の構築に向けて、観光・リゾート、情報通信産業、農林水産業などを徹底的に支援し、就業の場の創出と拡大に取り組むとしているが、予算面に反映されているか問います。
 4、新行財政改革プラン(仮称)についてであります。
 (1)、効果的な行財政改革の推進について問います。
 ア、高齢化社会が進展し、歳出がふえる一方、経済不況で歳入の大幅増が期待できない状況にあります。事務事業の見直しで多くの事業の廃止・縮小が行われるが、内向きになっていないか。経済活動、企業活動などと連動する事業は除外すべきではなかったかと思います。所見を伺います。
 イ、400件近い事業が見直されますが、計画期間終了でやめるのか、それとも事業仕分けによるものかを問います。
 (2)、事務事業の見直しについてであります。
 ア、市町村への権限移譲で法律で決まったものは何件で、計画期間中に移譲するものは何件か、できないものは何件かを問います。
 イ、移譲できない理由の主なものは何か。
 大きな5番、沖縄21世紀ビジョン策定の進捗状況と今後の方向について問います。
 4次にわたる沖縄振興計画が策定され、本土との格差是正や本県の振興・発展の基礎条件の整備が図られてきたが、道路や空港、港湾等のハード面の整備は進んだものの、県民所得は依然として他県の70%であります。2年後に終了する振興開発計画の策定は、これまでの延長線上ではなく、真の本県の発展と県民所得の向上でなければならないと思います。ビジョン策定について問います。
 (1)、ビジョンはどのような性格を持つものか。
 (2)、第1次振計から第4次にわたる政府の振興計画との違いは何か伺います。
 (3)、大田県政が策定した国際都市形成構想との違いは何か問います。
 (4)、基本計画や実施計画の策定がなされるが、法的な裏づけや事業費の裏づけはどうするか問います。
 (5)、政府は一括交付金制度を導入するとしているが、計画との整合性をどうするか。
 次に大きな6番、産業経済についてであります。
 (1)、さとうきび新価格制度について。
 さとうきびの新価格制度導入は、そもそも政府のWTO、EPA連携協定締結に向けた商農切り捨ての合理化対策であったが、それを受け入れてしまったことがそもそも問題の始まりであるというふうに思います。新政権になってようやく価格安定対策費の要件緩和がなされる運びになっておりますが、すべて解決したことではありません。本県のさとうきび農業を守るためには、新価格制度から生産費を加味した農家戸別所得補償制度に転換していく必要があります。
 そこで伺います。
 ア、価格安定対策費は要件緩和で全農家に適応できるか。
 イ、農林水産副大臣は、さとうきびだけを国が価格安定対策費で7ないし8割も所得補償するのは厳しいと発言しております。県は、危機感を持って対応しているか問います。
 ウ、農家戸別所得補償制度が米作に導入されるが、さとうきびの制度化はどう進めるか。また、他の作目はどう進めるか問います。
 (2)、全日空の航空貨物便を活用した県産業の展開についてであります。
 ア、本県の生産物の県外・海外への移出、輸出拡大に障害になっているのが流通であります。昨年就航した全日空の航空貨物便は本県産業経済の発展に大きく期待されております。新年度予算にどう対策を講じているか問います。
 イ、臨空港型産業、製造加工業の振興戦略は講じられているか問います。
 大きな7番、離島地域の活性化についてであります。
 (1)、離島の人口減少に歯どめをかけるためには、若者の働く場を創出するとともに、定住条件の整備が必要であります。限界集落化しないための対策は講じられているか問います。
 (2)、離島地域の活性化は、観光産業の振興とあわせて特産品を生かした製造加工業の振興が有望と考えますが、どう展開されているか問います。
 次に大きな8番、南部工業高校と南部農林高校の統合についてであります。
 (1)、統合を進める理由は何か。地域の関係機関・団体等の意向はどうなっているか問います。
 (2)、農業後継者不足が危機的状況になっている折、両校の統合による卒業生の半減は生産地の後継者不足を加速することになります。所見を伺います。
 (3)、入学者が少ないという視点での削減・統合ではなく、専門高校は産業を支える人材育成でなければならないと考えるが、教育長の見解を問います。
 次に大きな9番、交通問題であります。
 (1)、沖縄の復帰の際、策定された第1次振計の段階から縦貫鉄道の導入は議論されましたが、国鉄の赤字路線が問題となっている折、計画に乗らなかったのであります。しかし、県の推計に反し、人口と車の増加は大きな伸びを示し、車社会の進展は交通渋滞が常態となり、社会生活や産業活動にも影響し、CO2問題など社会的損失は大きいのであります。県はこれまで基幹バスを中心に交通体系の検討がなされておりますが、遅々として進んでおりません。鉄軌道を含めた抜本的な交通体系の確立が求められます。
 そこで質問します。
 ア、基幹バス構想の進捗状況について。
 イ、縦貫鉄道導入とあわせてLRT路面電車の調査も並行して行う必要はないか。
 ウ、基幹バス、鉄軌道、LRT等を含めた総合的な交通体系調査を行う考えはないか問います。
 (2)、タクシーの減車問題についてであります。
 ア、タクシー業界は規制緩和で過剰配車になっている状況を改善し、企業収益の向上や乗務員の待遇改善を図るため自主規制で2割の減車を発表しましたが、乗務員の解雇につながらないか問います。
 イ、運輸行政は、国の所管とはいえ県経済や雇用に大きく影響をします。レンタカー等を含めた需要予測のもとに、自主規制のみではなく政策関与をすべきではないか問います。
 大きな10、不発弾処理の推進です。
 現状のやり方では70年も要する不発弾処理、危険性の除去、環境浄化の面からももっと予算の拡充を図るべきではないかということでお伺いします。
 11、カジノ予算についてであります。
 昨年、ラスベガスのカジノを調査する機会がありましたが、ラスベガスは灼熱の気候ゆえ草木も生えず農業にも適さず、空調設備による屋内を利用した産業しかできないというところです。沖縄県は、亜熱帯のすぐれた気候、風土がすばらしいリゾート観光に適した地であり、カジノに頼ることはないと実感をしました。
 そこで聞きます。
 (1)、これまでカジノ調査を行った項目と予算について。
 (2)、22年度計上している予算の目的及び内容について。
 (3)、これまでの調査で挙がったデメリットは何か問います。
 (4)、マカオのカジノ産業をどう評価するか問います。
○知事(仲井眞弘多) おはようございます。
 当銘議員の御質問にお答えいたします。
 知事公約との関連で、1000万人観光誘客に係る御質問ですが、2の(1)のアとイが関連いたしておりますので、恐縮ですが一括して答弁させていただきます。
 平成21年の入域観光客数は、約565万人で、平成28年における1000万人の目標に対して約56.5%の達成状況となっております。このうち、外国人観光客数につきましては、100万人の目標に対して約23%の達成状況となっております。
 なお、1000万人の目標設定時にはカジノ・エンターテインメントの効果を算入いたしておりませんでしたが、平成20年度の調査報告書におきまして想定しました平成27年度の開業年度には、観光客数が約74万人ふえ、1010万人に達するという試算結果となっております。
 入域観光客数は、一昨年の秋から長引く景気低迷や他旅行先との競合激化等によりまして厳しい状況ではありますが、今後も誘客のためのさまざまな施策を展開し、1000万人の目標達成に向け取り組んでまいる所存でございます。
 次に、沖縄21世紀ビジョンに係る御質問の中で、ビジョンの性格いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 沖縄21世紀ビジョンは、将来のあるべき沖縄の姿を描き、その実現に向けた取り組みの方向性などを明らかにする基本構想でございます。沖縄県として初めて策定するものでございます。ビジョンは、多くの県民意見をもとに取りまとめた、言わば「県民の願い」ともいえるもので、次年度以降はこの実現に向けて新たな計画の策定作業を進めていく予定となっております。
 次に、産業経済に係る御質問の中で、さとうきび経営安定対策の対象者要件見直しに係る御質問にお答えいたします。
 さとうきび経営安定対策につきましては、小規模農家を支援対象とする特例が平成21年産までとなっております。このため、沖縄県といたしましては関係機関と連携をし、農家が安心して生産に取り組めるよう、対象要件の緩和・見直しにつきまして、国に対し平成21年7月と11月に要請をしたところでございます。この結果、平成22年産から基幹作業に中耕培土と防除が追加されるとともに、個人防除も認められるなどの緩和・見直しがなされております。
 沖縄県としましては、緩和・見直しを受けてすべての農家が対象となるよう、JA、市町村等と連携をし取り組んでいるところでございます。
 次に、同じく産業経済に係る御質問の中で、全日空さんの航空貨物便を活用した沖縄県産業の展開のための対策いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 県におきましては、昨年末から全日空の国際貨物ハブを活用し、香港路線の航空コンテナを借り上げて、県内の生産者、そして加工業者などに提供いたしております。あわせて、現地でのプロモーションを行うなど、県産品の販路拡大及び輸出増大に取り組んでいるところでございます。平成22年度におきましては、本年度の実績を踏まえまして、県で確保するコンテナ数及び対象路線を拡充いたしますとともに、2000万円の予算を計上いたしているところでございます。
 その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(上原良幸) 知事の政治姿勢についての御質問で、日米地位協定の見直しについてお答えいたします。
 新政権の与党3党合意において、日米地位協定の改定を提起することとされております。
 政府においては、これまでの県や渉外知事会による要請も踏まえて、日米地位協定の抜本的な見直しに向けて取り組むことを期待しております。
 次に、不発弾処理の推進についての御質問で、不発弾処理予算の拡充についてお答えいたします。
 県においては、昭和49年の那覇市小禄の爆発事故を契機に、埋没不発弾等の処理事業を開始し、平成20年度までに134トンの不発弾等を発掘・処理しておりますが、なお多くの不発弾等が存在しております。
 不発弾等の処理をできるだけ早期に行っていくためには、磁気探査の加速化・効率化を図るなど、不発弾等対策の抜本的拡充が必要であります。このため、県としては、広域探査発掘加速化事業の拡充を図るとともに、国においても磁気探査支援事業が新設され、不発弾等対策が一層着実に推進されるものと考えております。
 以上であります。
○観光商工部長(勝目和夫) 知事公約の中で、観光消費額の推移についての御質問にお答えします。
 入域観光客数の増加を受けて平成20年度までの観光収入は増加しておりますが、1人当たり観光消費額に関しましては、平成18年度は7万1560円、平成19年度は7万2795円、平成20年度は7万2458円となっております。
 観光消費額は近年、景気低迷による全国的な個人消費の停滞や旅行商品の低価格化等の影響により伸び悩んでいる状況であり、平成21年度におきましても減少することが予想されます。
 同じく知事公約の中で、観光消費額をふやすための戦略と対策についての御質問にお答えします。
 観光消費額を引き上げるためには、旅行商品の付加価値の向上、滞在日数の長期化及びサービスの質の向上等が必要であります。そのため沖縄県としましては、付加価値の高い体験滞在型観光として、エコツーリズムや健康保養型観光の推進、離島観光の魅力向上などに取り組んでおります。特に関連企業への波及効果も大きいリゾートウエディングの拡大、消費単価の高いMICEの誘致等も推進しております。さらに、これら付加価値の高い観光を支える高度な観光人材育成の推進に努めているところであります。
 知事公約の中で、お土産や1次産業との連携及び原材料の県内供給率の推移についての御質問にお答えします。
 沖縄県が平成15年度に実施した調査によりますと、観光関連産業の仕入れ全体に占める県産品比率は49.5%と試算されております。
 新たな数値につきましては、現在調査を実施しているところでございます。
 連携強化につきましては、県庁内に部局横断的な組織を立ち上げ、さらに関係市町村や商工会等とも連携して、地産地消の拡大、県産農水産物等の地域資源を活用した魅力的なお土産品の開発に対する支援や、販路拡大などに取り組んでいるところであります。その成果の事例としましては、モズクギョーザやシークヮーサーケーキなどがリゾートホテルで採用され、地産地消の促進につながっております。今後も引き続き関係機関との連携を図ってまいります。
 同じく知事公約の中で、観光収入の県内歩どまりの増加対策についての御質問にお答えします。
 沖縄県が平成16年度に実施した調査によると、観光収入4549億円のうち、県外流出分は445億円と推計されております。
 沖縄県としましては、地域固有の文化やイベントに参加できる地域密着型の旅行商品開発に対する支援や、ロングステイツーリズムの促進、地産地消の推進や地域資源を活用した魅力的なお土産品の開発に対する支援などを実施し、観光収入の県内歩どまりの増加に努めているところでございます。今後も魅力ある沖縄の観光地づくりを推進してまいりたいと思います。
 次に、平成22年度予算関係について、職業能力開発校の強化についての御質問にお答えします。
 県立職業能力開発校においては、施設内での訓練のほか、民間教育訓練機関等を活用した委託訓練を実施しております。
 施設内訓練につきましては、訓練内容の向上を図るため、施設整備等に要する費用として、平成21年度補正予算において約1億円を措置したところでありますが、さらに平成22年度当初予算において、前年度に比べ400万円増の約2800万円を計上しております。また、民間への委託訓練につきましては、厳しい雇用情勢の中、離職者の早期就職支援のため、平成21年度補正予算において約1億3000万円を措置したところであり、平成22年度当初予算においては、前年度の当初予算に比べ5200万円増の約2億3400万円を計上し、大幅な訓練の強化を予定しております。さらに、訓練科目の見直しや指導体制の強化については、現在策定作業を進めている職業能力開発校の再編整備計画において総合的に検討してまいります。
 同じく平成22年度の予算関係の中で、観光・リゾート産業、情報通信産業などの予算面での反映についての御質問にお答えします。
 自立型経済の構築に向け、観光・リゾート産業については、発展するアジアや新たな市場であるヨーロッパ等に委託駐在員を配置し、外国人誘客に取り組んでまいります。また、MICEやリゾートウエディングの誘致事業等や、新たに全国エイサー大会の開催経費などを計上しております。情報通信関連産業については、IT津梁パークを中心に付加価値の高いIT産業の集積を図るため、BPO事業の集積促進事業等や、新たにGIXを活用したアジア向けビジネス支援事業などを計上しております。また、「緊急雇用創出事業基金」を活用した雇用創出を図る事業や、中小企業への県単融資予算を増額計上したほか、新規事業として文化産業を育成するための支援事業費等を計上しております。この結果、平成22年度の観光商工部の予算額は約296億8000万円と、前年度の約251億8000万円と比較して45億円、17.9%の増となっております。
 次に、産業経済関係の中の、臨空港型産業等の振興についての御質問にお答えします。
 全日空の国際貨物基地を核として、さらなる産業振興を図るためには、鮮度が求められる生鮮食品など航空機による輸送に適した商品の海外への販路拡大や、関連する企業の立地等を促進する必要があります。このため、香港や中国市場等を目指す企業への支援のほか、物産公社を中心に航空貨物便を利用した実証事業を実施するなど県産品の販路拡大に取り組んでおります。
 今後、アジア圏域で予想される大規模な貨物需要等に対応するため、那覇自由貿易地域については、指定地域の拡大や制度の充実等について調査を進めているところであります。
 次に、カジノ予算について、カジノ調査の項目と予算についての御質問にお答えします。
 沖縄県では平成19年度からカジノ・エンターテイメント検討事業を開始しており、これまで海外のカジノ・エンターテインメントの現状調査、国内における取り組み状況の調査、懸念事項に対する対策等の調査などを行うとともに、沖縄型カジノ・エンターテイメントモデルの作成、経済効果の試算、懸念事項に対する沖縄県の基本的考え方について取りまとめたところであります。この3年間の予算総額は、3269万4000円であります。
 同じくカジノ予算について、22年度予算の目的と内容についての御質問にお答えします。
 平成22年度については、引き続きこの3年間の研究成果、検討結果を広く県民へ周知を図ることにしております。
 具体的には、県民を対象としたシンポジウムの開催やカジノ・エンターテインメント概要版の配布、県政出前講座及びカジノ・エンターテインメント専用ホームページを通した広報・周知活動を行う予定であります。また、カジノ法案整備に向けて、引き続き国など関係機関等への働きかけを行っていくとともに、カジノ導入に積極的な他県と研究会を立ち上げ、情報交換・連携を図っていきたいと考えております。
 同じくカジノ予算について、調査で挙がったデメリットについての御質問にお答えします。
 これまでの調査結果からは、カジノ・エンターテインメントは、一般的にギャンブル依存症、青少年への影響、暴力団等組織悪の介入懸念、地域環境への影響が懸念されておりますが、先進諸外国の事例から、公的な規制機関による厳格な規制、監視及び管理下でカジノが実施されれば、想定されている事項については抑制が可能であると考えております。また、依存症については、事前・事後の十分な対策を講じることにより、発生の極小化が図れるものと認識しております。
 以上でございます。
○企画部長(川上好久) 知事公約に関連して、平和な海洋都市の実現及び国連機関誘致の経過について一括してお答えいたします。
 公約に掲げられている「世界に貢献する平和な海洋国際都市」を目指し、現在数多くの施策・事業を強力に推進しているところであります。
 まず、国際化への取り組みとしては、沖縄科学技術大学院大学の早期開学に向けた取り組みや、G8科学技術大臣会合等国際会議の誘致、那覇港大型旅客船バース整備等のウオーターフロント開発などがあります。
 平和に向けた沖縄独自の取り組みとしては、第4回沖縄平和賞の授与や、国連機関などの誘致であります。また、国連機関を含む国際機関の誘致の可能性については、平成13年度から調査検討を行ってきております。平成20年度には、沖縄の特性を考慮した国際貢献機能やその拠点形成の可能性等について調査したところであります。
 国連機関の誘致については、課題として、国がその方針を現状では持っていないことや財政的な問題などがあります。県としては、国の動向を注視しつつ、引き続き国際機関等の誘致の可能性を探ってまいりたいと考えています。
 次に、平成22年度予算についての御質問の中で、沖縄自動車道の無料化についてお答えいたします。
 沖縄自動車道は、平成11年度から国の沖縄振興予算により約3割の通行料金割引が実施され、一般道路の渋滞緩和や北部と中南部都市圏の交流促進に大きな役割を果たしてきました。しかし、沖縄振興予算が減少し、割引措置は平成22年度をもって終了せざるを得ない予定の中で、全国一の自動車保有台数の伸びにより中南部都市圏の一般道路の渋滞は依然として厳しい状況にあります。その一方で、国土交通省の実施した一般交通量調査によると、沖縄自動車道の平日混雑度は一般道路に比べ余裕があることから、無料化はさらなる渋滞緩和や北部・中南部都市圏との交流促進、流通コストの引き下げなどの効果が期待されるところです。また、社会実験に参加することにより、これまでの割引措置にかわる新たな仕組みが構築されることも期待されます。このようなことから、ことし1月に無料化の社会実験を実施するよう、国土交通大臣等へ要請を行ったところです。
 なお、社会実験の実施に当たっては、新たな渋滞発生等により、公共交通の運行などに支障を来さないよう国や関係機関と連携して対応してまいります。
 次に、沖縄21世紀ビジョンに関連して、ビジョンと振興計画との違いについてお答えいたします。
 沖縄21世紀ビジョンは基本構想であり、将来像の実現に向けた基本方向や戦略までを示すもので、振興計画など基本計画等の上位に位置する性格のものであります。そのため、次年度以降は沖縄21世紀ビジョン及び総点検結果を踏まえ、現在の沖縄振興計画後の新たな計画の策定に向けて取り組んでまいります。その際、残された課題の解決策やビジョンの実現方策、計画のあり方、今後の沖縄振興に必要な枠組み等について総合的に検討を行ってまいりたいと考えております。
 同じく沖縄21世紀ビジョンに関連して、国際都市形成構想との違いについてお答えいたします。
 国際都市形成構想は、国際都市沖縄の実現を目的に、主として産業経済等を中心とした構想でありますが、沖縄県から構想を提示したという点では画期的な取り組みであったものと理解しております。
 一方、沖縄21世紀ビジョンは県民生活全般を網羅する基本計画の上位構想として位置づけられるもので、県として初めて策定する長期構想である点が国際都市形成構想とは異なるものと認識しております。また、手続の面でも策定当初の段階から県民の意見や提言を広く募るとともに、県民相互の議論を深めるための取り組みを実施し、沖縄県振興審議会等における審議を経て県民の願いとして取りまとめた点などが国際都市形成構想とは異なる点だと認識しております。
 同じく沖縄21世紀ビジョンに関連をして、基本計画や実施計画の法的な裏づけや事業費の裏づけについてお答えします。
 沖縄21世紀ビジョンは、法令等に基づくものではなく沖縄県が任意に策定する基本構想であり、県民が描く将来像の実現に向けた取り組みの基本方向までを整理しております。ビジョンの策定や総点検を踏まえて、今後、基本計画や実施計画を策定する予定であり、その中で制度的な裏づけや事業費等について検討していくことになるものと考えております。
 同じく沖縄21世紀ビジョンに関連をして、一括交付金制度の導入と計画との整合についてお答えします。
 一括交付金につきましては、現状においてまだ具体的なスキームが明確に示されておりませんが、今後の沖縄県のあり方に影響を与えるものであり、今後の沖縄振興の必要な枠組みの検討に合わせて総合的に検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、離島地域の活性化についての御質問の中で、離島地域の定住条件の整備についてお答えします。
 離島地域の過疎化に歯どめをかけ離島の活性化を推進していくためには、若者が定着する魅力ある就業の場の確保や生活基盤の整備、医療サービスの向上など、定住条件の整備が必要であると認識しております。そのため、県は、離島振興を県政の重要課題として位置づけ、各分野にわたる施策・事業を推進しているところであります。
 具体的な施策としては、地域特性を生かした個性ある観光・リゾート産業の振興、交通アクセス網の維持確保、水の安定供給や廃棄物対策などの生活基盤の整備、医療サービスの向上、教育・文化の振興など諸施策を推進しているところであります。
 県としては、引き続きこれらの諸施策を推進し、若者の雇用の場を創出するなど、定住条件の整備に努めてまいりたいと考えております。
 同じく離島地域の活性化に関連する御質問の中で、離島の製造加工業の展開についてお答えします。
 沖縄の離島は、豊かな自然や独特の文化などのさまざまな魅力を有しており、これらを再評価して最大限に発揮する取り組みが離島の活性化を図る上で重要であると考えております。そのため、県においては、「一島一物語」事業や離島活性化総合支援モデル事業など、地域の資源を活用した特産品の開発やブランド化の取り組みを推進しているところであります。また、平成19年度には特産品等の加工施設整備を図る沖縄離島振興特別対策事業が創設され、これまでに粟国村や多良間村など8市町村で実施されております。さらに、平成21年度からは離島の特産品を一堂に集めた販売店を設置し、特産品の販売促進を図っているところであります。
 県としては、離島の活性化を図るため、引き続き国や離島市町村と連携しながら特産品の開発や販売促進、加工体制の整備などに努めてまいりたいと考えております。
 次に、交通問題についての御質問の中で、基幹バス構想の進捗状況についてお答えします。
 基幹バス構想につきましては、沖縄県公共交通活性化推進協議会において鋭意協議を重ねているところであります。現在、協議会ではバスレーンの延長拡充に対するニーズを把握するため、住民や企業に対しアンケート調査を行っているところであり、その結果を踏まえ、バスレーン延長拡充に関する検討を行うこととしております。また、乗り継ぎ施設の整備やICカードの導入についても、関係機関と協議・調整しているところであります。
 同じく交通問題に関連をして、鉄軌道導入調査とあわせたLRTの調査及び総合的な交通体系調査について一括してお答えいたします。
 現在、県では、大規模駐留軍用地跡地等利用推進費を活用し、中南部都市圏における軌道系を含む新たな公共交通システムの検討を行っているところであります。また、平成22年度から総合的な交通体系のビジョンである「沖縄県総合交通体系基本計画」の見直しを行うこととしております。その中で、本年度の調査成果等も参考に基幹バス、鉄軌道、LRT等の交通機関のあり方について検討を進めてまいります。
 同じく交通問題に関連して、タクシーの減車による乗務員の解雇についてお答えいたします。
 沖縄本島においては、タクシー車両数が供給過剰となっており、現在、国・県、タクシー協会及び事業者等で構成される「沖縄本島地域タクシー適正化活性化協議会」において、その解消に向けた検討が行われているところです。
 タクシーの減車により、日車営業収入の増加による経営環境及び労働条件の改善が図られることが期待されます。その一方で、減車により雇用の喪失が懸念されますが、平成20年度の沖縄本島のタクシー実働率は78.5%まで低下してきていることから、タクシーの減車が必ずしも大きな雇用の喪失にはならないものと理解しております。しかしながら、県としては、減車による解雇者が出ないような取り組みをタクシー協会に求めるとともに、その動向を注視し対応してまいります。
 同じく交通問題に関連して、タクシー事業への県の政策関与についてお答えします。
 タクシー事業については、道路運送法に基づき国が許認可権を有しておりますが、供給過剰により地域公共交通としての機能が低下していることから、県の関与も必要であると認識しております。
 県は、「沖縄本島地域タクシー適正化活性化協議会」において、減車に伴う雇用への配慮、タクシーの特性を生かした活性化などの取り組みを求めているところであります。今後もタクシー事業の適正化及び活性化に向けて、国や関係機関と連携して取り組んでまいります。
 以上でございます。
○総務部長(兼島  規) 平成22年度予算に関する質問のうち、国庫支出金要請に係る予算措置状況についてお答えいたします。
 平成22年度は沖縄振興計画が残り2年となり総仕上げの時期となることから、「自立型経済の構築に向けた産業の振興」、「雇用の安定と職業能力の開発」など、沖縄振興計画に基づいた諸施策を中心に本県の振興のための所要の措置について、昨年8月と10月に内閣府沖縄担当大臣に要請いたしました。
 平成22年度の内閣府沖縄担当部局予算のうち公共事業関係費は、対前年度比2.6%の減で概算要求したところ、予算額は約1768億円で、全国ベースでは対前年度比18.3%の減となる中、沖縄担当部局は10.2%の減にとどまったところであります。また、公共事業関係費以外の経費については、環境共生型電力供給補助事業など6事業、約25億円の予算措置が実現しませんでしたが、本県の厳しい経済情勢等に機動的・弾力的に対応するために特別調整費が30億円増額されたほか、北部地域の振興に係る新たな事業の創設、不発弾対策に係る経費が拡充されるなど、対前年度比11.0%の増となっております。
 次に、県単独事業が増加していることについてお答えいたします。
 平成22年度一般会計予算の投資的経費は対前年度比0.7%増の約1333億円で、そのうち単独事業費は対前年度比66.2%増の約158億円となっております。これは、平成21年度において積み立てた「安心こども基金」や「介護基盤緊急整備等臨時特例基金」などの経済対策関連基金を取り崩して保育所整備や介護関連施設の整備等を実施することによるものであります。国の公共事業関係費の減等により県内景気への影響が懸念される中、投資的経費はほぼ前年度並みの予算を確保できたものと考えております。
 次に、重点特別枠事業のプライオリティーについてお答えいたします。
 平成22年度の予算編成に当たっては厳しい財政状況のもと、限られた財源を緊急かつ重要な施策に配分することを基本として編成いたしました。具体的には、事業の取捨選択を行い徹底した歳出削減を行うため、政策的経費全体についても枠配分を実施し、あわせてその削減額の一部を「重点事業特別枠」として設定し再配分したものであります。平成22年度の重点枠事業は37事業で、事業費ベースで約107億円となっており、枠配分した政策的経費とあわせて県政の重要政策課題に的確に対応するための事業となっているものと考えます。
 次に、県債残高増加の後年度への影響についてお答えいたします。
 平成22年度末における一般会計の県債残高の見込み額は約6920億円で、平成21年度末における見込み額と比較しますと約263億円の増となっております。
 今後、県債の発行が平成22年度の水準で推移しますと、平成28年度における公債費は、県税収入と同規模の1000億円台になることが見込まれ、県財政はさらに厳しさを増すことが懸念されるところであります。このため、新たな行財政改革プランにおいては、大規模県単箱物整備の抑制とあわせて、臨時財政対策債を除くいわゆる通常債の発行について引き続き抑制するほか、歳入歳出全般にわたる抜本的な見直しにより財政健全化策を徹底していくこととしております。
 次に、新行財政改革プランに関する質問のうち、事務事業の見直しの対象とその内容について一括してお答えいたします。
 事務事業の見直しにつきましては、成果・効率重視の行政の実現を図ることを目的に、現在実施されている事業の目的妥当性、事業の経済活動の効果や有効性、効率性、公平性等を検証の上、見直しを行ったところであります。また、376件の事務事業を廃止・縮小、権限移譲、委託等の区分で見直すこととしておりますが、そのうち事業期間終了による廃止は204件となっております。
 次に、権限移譲の件数と移譲できない理由について一括してお答えいたします。
 平成20年5月の地方分権改革推進委員会第1次勧告において359件の事務が県から市町村へ権限移譲される方針が示され、今後の法制化の中で具体化されることが見込まれております。また、新沖縄県行財政改革プランにおいては約500件の事務を権限移譲することを目標として掲げており、来る4月からは旅券の受付事務など170事務を新たに移譲する予定であります。
 これまで権限移譲が進まない主な理由としましては、権限を受ける市町村の人的・財政的な対応が大きな理由として考えられております。このため、県としましては、財政的な支援策など受け入れやすい環境を整えるとともに、市町村と十分に協議を整えた上で権限移譲を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 平成22年度予算の中で、農林水産関係予算についてお答えいたします。
 農林水産業の振興については、農林水産業振興計画に基づきおきなわブランドの確立と生産供給体制の強化、流通・販売・加工対策の強化、農林水産業、農山漁村を支える担い手の育成確保、亜熱帯・島嶼性に適合した農林水産業の基盤整備など、7つの柱を基本として各種施策・事業を実施しているところでございます。
 特に平成22年度においては、低コスト生産施設等の効果を実証するための園芸モデル産地育成緊急対策事業、さとうきびの増産や含みつ糖の販売促進等を行うためのさとうきび増産体制誘導対策事業、農業者と流通・加工業者等との連携による商品開発モデルを構築するための県産農産物付加価値向上推進事業、技術習得講座の実施など、新規就農を促進し、就農定着まで一貫した支援を行うための農でグッジョブ推進事業、海面総合利用調査や県産海ブドウのブランド化を図るためのおきなわ型つくり育てる漁業推進事業などを予算計上しているところでございます。
 次に、産業経済についての中で、さとうきび経営安定対策における交付金の支援についてお答えします。
 平成19年産から実施されているさとうきび経営安定対策において、生産農家へ支払われる甘味資源作物交付金は、平成21年産までトン当たり1万6320円となっております。
 県は、関係機関と連携し、将来にわたって生産者の経営安定が図られるよう、さとうきび交付金の確保について国に対して要請したところでございます。その結果、平成22年産の交付金単価については、現行のトン当たり1万6320円が維持されております。
 県といたしましては、今後とも地域の生産条件や経済事情を考慮し、再生産が可能な農家手取り額が確保されるよう、関係機関と連携し国に要請してまいります。
 同じく産業経済についての中で、さとうきびなどの作物の戸別所得補償についてお答えいたします。
 国は、米の戸別所得補償について平成22年度にモデル的に実施し、平成23年度から本格実施することとしております。また、その他の作物については、米の実施状況を踏まえて今後検討することとしております。
 県といたしましては、今後の国の方針を注視しながら、さとうきびなどの他作物についても戸別所得補償の対象となるよう、関係機関と連携して対応していきたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは南部工業高校と南部農林高校の統合についての御質問で、南部工業高校と南部農林高校を統合する理由等についてお答えをいたします。
 南部工業高校と南部農林高校の再編統合については、農業と工業の専門性を維持するとともに、異なる専門分野も総合的に学べる学校を設置し、南部地域の振興や高度な経営技術に対応できる人材の育成を目指しております。
 県教育委員会としましては、これまで地域・父母との意見交換会や地域説明会を開催し理解を得るよう努めてまいりました。しかしながら、南部農林高校同窓会や南部地域の市町村から統合についての反対の表明があることから、引き続き再編統合のコンセンサスを得て進めてまいりたいと考えております。
 次に、後継者不足及び産業を支える人材育成について一括してお答えいたします。
 現在、農業高校卒業後の進路については、農業に従事する生徒が少なく後継者の育成が課題となっていると考えております。今回の再編統合では総合選択制を取り入れることによって他の学科の科目も選択することができ、幅広く資格等を取得することが可能となります。このことは、生徒にとって大きな魅力であり、新しい時代に対応できる知識や技術を持った農業後継者の育成につながるものと考えております。
 以上でございます。
○当銘 勝雄 再質問はよそうかなと思いましたが、やはり答弁がよくないということで再質問をさせていただきます。
 まず、自動車道の無料化についてでありますが、これについては現状でも宜野湾・北中城インターの出口、本線から料金所に向かっても前に進めないんです。料金が払えないんです。これは何かといいますと、結局出口の県道が渋滞していると、こういう状況で、これは仮にも無料化をやった場合に相当車がふえるわけですから、私は混雑して本線の役割を果たせなくなるんじゃないかと、こういうことを危惧して問うているわけです。
 それで、その際にはやはりインターの出口付近の県道改良、こういったものが私は条件になると思うんですが、そこら辺については、土建部長はどういうふうに考えているのか聞かせてください。
 それから22年度の予算関連なんですが、確かに職業能力関係について、委託訓練費がかなり増額されました。これは当然だというふうに思います。しかしながら、職業能力開発校の機能拡大というのは、私は経済労働委員会でもずっと言い続けているわけでありますが、この問題がきちっと手当てされているかというのがさっきの答弁ではよくわかりません。もう一度答弁をしてください。
 それから、同じく平成22年度の予算の中で、徹底的に産業を支援するとした方針が知事から示されておりますが、しかも、新政権においても農家戸別所得補償制度の導入をすると、こういうことである意味では1次産業に対する見直しといいますか、そこら辺があるわけでありますが、しかし、県の予算を見ますと、実に12.2%の農林水産部の予算削減です。これは皆さんが出された予算書をコピーしてきましたが、(資料を掲示) 予算書を見ればもう一目瞭然です。知事から説明のあったものについても、農林水産部だけが12.2%の減で、全体としては2.2%予算はふえているんですね。その中でマイナス予算になったのは農林水産業費だけです、これを見ればわかりますね。それだけです。そして、今度農林水産部の予算書を見ますと、本当に一目瞭然、もうすべてというぐらい軒並み減額です。こういうことで果たして産業の振興ができるかという、私はそういう疑問を持つわけでありますから、これについて知事はどう認識するのか、お答えをしていただきたいというふうに思います。
 それから21世紀ビジョンについてでありますが、先ほど企画部長からありましたが、最終的に日程をとって議会でも議論するということで予定されていますが、この21世紀ビジョンについては、県議会と執行部はどういうふうに対応しようと考えているのか。結局県議会で議決をさせるという、あるいは承認を得るというこういう考え方なのか、ここら辺を明確にしてください。
 それから事務事業の見直しについてでありますが、たくさんの事業が――359ですか――市町村に移譲するということがさっき答弁がありましたが、その移譲に当たって最も問題なのは、地方分権のときもやはり問題になったのが予算を伴わない、財源を伴わない移譲、これが問題なんですね。総務部長もさっき言っておりましたが、市町村が反対している理由にはやっぱり財政的あるいは人的支援の問題、こう言っておりましたが、最初からこれをわかっているならば、これをやらないと市町村は受け入れませんよ。こういうことできちっとそれはやっていただくかどうか、もう一度答弁をお願いします。
 それから離島振興についてなんですが、先ほど「一島一物語」という、名前は非常にすばらしいんですよね。それでいいと。僕は、「一物語」ではなくて「二物語」でもつくってほしいと、こういうふうに考えるんですね。というのは、やはり離島においては大きい離島もあれば、また例えば特産品をこれもあれもというふうに選択するものがあるわけですから、それを例えば粟国という小さい島であっても塩があったり、あるいはアワがあったり、それぞれ特色を生かして産業を支えているわけです。こういう形でぜひともそれをやってもらいたいと。今思いつくだけでも津堅のニンジン、これも私は一度見にいったことがありますが津堅ニンジン、これはまさしく一島が全部ニンジン畑になっていて、そこから収穫されたものを今度、女性方はそれを加工するという、そして商品化して付加価値をつけて販売するというこういうすばらしいものがあるわけです。与那国のチョウメイグサの問題もあったりしますので、ぜひとも一島二、三物語も含めてやっていただきたいということをもう一度答弁をお願いします。
 それから交通問題ですね。これは知事は縦貫鉄道、鉄道問題は国庫要請もしてなかったというふうに思いますが、これは新政権から調査費がついたと、こういうふうになっております。これは私も非常に第1次振計のときからそれにかかわってずっと議論をしてきた一人でありますが、余りにも沖縄の皆さんが当時は赤字になるので、これを乗っけるわけにはいかぬという、自分たちからそういうふうに縮こまってしまったんですね、あれは。ですからそうじゃなくて、やはり沖縄では今、縦貫鉄道をきちっとやらないと、私は交通体系の整備というのは難しいんじゃないかと、こういうふうに考えますので、これは答弁するかどうか、ぜひやっていただきたいと。
 それから不発弾問題ですね。昨年9月に私は公室長に質問をしましたが、そのときに何で予算をもっとやるべきじゃないかというのは、今のような状況でやると実に70年もかかってしまうという、じゃ、70年も公共工事やあるいは民間工事をする場合、本当に危険にさらされてこれをやらんといかぬのかという問題があるわけです。そういうことでこれを倍にも2倍にもやるべきだということを言ったんですが、景気対策補正の段階でも30%しか増額されてない、こういう状況です。ですから私は、これは危険性の状態を放置できないという問題と、もう一つは、今、国の予算でも公共事業は18%削られました。県の予算ではもう少し少なかったわけですが、しかしいずれにしても公共事業費がどんどんと減っている中で、この問題というのは危険性の除去というのをあわせて公共事業がふえる、雇用対策にもつながるという側面を持っているわけでありますから、これに対していわば民間や市町村から手が挙がってこないということがありましたが、じゃ、挙がってこないならば待つんですかと。積極的にこれが必要だと考えるならば、そういう形で市町村に要請するなり、あるいは団体ですね、経済界にも建設
業界あたりにも要請するなりそういうことをとるべきじゃないかというふうに考えます。これについての答弁をお願いします。
 それから、「ランドラッシュ」というのがこの前放映されておりましたが、これは要するに世界的な食料確保のための農地を海外に求めていくというものなんですね。これは今の世界の人口が68億人いるようですが、2050年には実に90億人に達すると。そうすると食料が30億トン必要なんですが25%不足すると、こういうことが指摘されているようで、そうすると今でも70%の食料自給率を持つ韓国は、もうウクライナにどんどんと進出をして土地を確保して食料生産すると、こういうようなことがこの前報道されております。
 そういうことで、今、本県の食料自給率はさとうきびを除けばたったの6%。70%の国でさえも将来に向けてどんどんそういうことをしているわけでありますから、それについて、先ほどの農林水産部の予算があれだけ減っていると。これじゃ食料自給率確保もできないじゃないかということを考えますので、これはぜひそこら辺は知事のほうから答弁していただくようにお願いいたします。
 以上です。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午前11時17分休憩
   午前11時22分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 仲井眞知事。
   〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 当銘議員の再質問の中で、食料の自給率のお話がございましたが、この件につきましては確かにおっしゃるように、さとうきびの部分を除きますと沖縄の自給度というんですか、自給率が6%台ではないかと言われております。この件については、こういう時代、国際交流的な時代にあってどこまで県の単位で自給度を高めるかという議論はないわけではありませんが、ただ確かに心もとないという感じもあって、どこを目指すかはまだきょうの段階では置きますけれども、我々ビジョンの中でもこの食料とエネルギーと幾つかの安心・安全の自給度といいますか、これをもう少し高めようということも入れてございます。
 そういうことから、御質問のあった食料の自給率の向上については、ちょっと今、目標の設定は持っておりませんけれども、農林政策の中で展開してまいりたいと考えておりますので、ぜひ議員のお知恵、それからお力もかしていただきたいと思います。
 以上でございます。
○土木建築部長(仲田文昭) 自動車道の無料化についての再質問にお答えいたします。
 議員のお話にもあったように、現在でも北中インターとか、それから那覇インター付近で、あるいはその付近の県道29号線等で渋滞していることは承知しております。
 まず社会実験の際に短期的な対策といたしましては、公安委員会と調整いたしまして信号時間の調整をする、それから長期的な対策といたしましては、渋滞している交差点の交差点改良を行うということが考えられます。今回、社会実験をしまして、その中で明らかになった課題につきましては、国等の関係機関と連携・協力して対策を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○観光商工部長(勝目和夫) 職業能力開発校関係の予算についての再質問にお答えします。
 職業能力開発校関係の予算については、先ほど答弁しましたように、民間への委託訓練は大きく増加しておりますが、開発校関係の予算についてはほぼ前年並みとなっております。これは、職業訓練科目の見直しや指導体制の強化について、現在、職業能力開発校の再編整備計画を今策定中でありまして、その内容、計画等に合わせて今後、予算を拡充していきたいと考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 再質問にお答えします。
 平成22年度予算の中で、農林水産部の予算が減少していることについてどう考えているかという御質問にお答えいたします。
 国の予算編成の基本方針である「コンクリートから人へ」の基本理念のもとで、農林水産部の沖縄振興予算の9割を占める公共事業の農業農村基盤整備事業等が減少しております。その中で今回の平成22年度沖縄県農林水産部予算は67億5904万1000円で、率にして12.2%が減少をしているところでございます。
 その中で主に減少した項目としては、農業費が5億8302万9000円の減で、これは自然エネルギーを活用した環境に優しい省エネルギー型農産物加工処理施設費の事業終了に伴うのが主な減でございます。
 それから、農地費が46億7253万4000円の減で、主なものとしては、県営畑地帯総合整備事業、県営かんがい排水事業、農業集落排水事業となっております。
 また、畜産関係では、畜産担い手育成総合整備事業が減少をしております。
 また、水産関係では、地域水産物供給基盤整備事業などが減少しておりまして、農業農村基盤整備事業等の公共事業は減となっております。
 県といたしましては、これから農業農村基盤整備事業が農林水産業振興計画に向けて重要な施策であるから、引き続き内閣府沖縄担当部局と緊密に連携しながら沖縄予算の確保に努めていきたいと考えています。また、今後、市町村、JA、県議会とも連携しながらしっかり予算の確保に努めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○総務部長(兼島  規) 市町村への権限移譲に伴う財源措置についての質問に対してお答えいたします。
 地方財政法第28条では、都道府県の事務を市町村が行うこととする場合は、その経費について県が必要な措置を講ずることと規定されております。そのため、権限を移譲する際には、交付金交付要綱に基づきまして市町村に経費を交付しているところでございます。しかしながら、市町村がなかなか財源措置はしていますけれども受け入れないという場合には、県としましては、受ける市町村と十分協議して、協議が整ったところで移譲を進めるということにしております。
 以上でございます。
○知事公室長(上原良幸) 不発弾等対策について、拡充すべきではないかということの再質問でございますけれども、不発弾対策につきましては、県の予算におきましても前年度約5億円から22年度は7億6000万円ということで50%以上の伸びで、これから民間工事予定地も含めまして広域探査発掘事業を推進してまいります。また、国・総合事務局におきましても、磁気探査支援事業という事業を新たに創設しまして、磁気探査機器を無償で貸し出すというような事業も創設いたしましたし、さらに磁気探査機器の技術開発のための調査を実施するなどかなり拡充されております。
 また、この実施に当たりましては、国・県・市町村はもちろんですけれども、建設業界やNTT、あるいは沖縄電力等々、民間会社も含めて推進していくということになっております。
 以上であります。
○企画部長(川上好久) 再質問にお答えします。
 まず、ビジョンを議案として議会に上程すべきではないかという御趣旨の御質問でございましたけれども、地方自治法の規定上は、市町村については基本構想を定めなければならないというふうな規定がございまして、法律上の規定があるわけですけれども、これは都道府県には特段の定めはないということが一つございます。そして、また96条で規定されている議決事件の中には入っていないというふうなことでございます。
 そういう意味では、法律上の規定は議会の上程というふうなものはないわけでございますけれども、しかしながらこのビジョンというのは、性格上はこれはやはり県民すべてがこれについてさまざまな意見、議論をつくり出すというふうな物の考え方があると思います。
 そういう意味では、ビジョンに関してはこれまで各界各層の御意見をいただきました。また、特に議会においては特別委員会を設置をしていただきまして、その中で議論をしていただきました。また、本会議の中でも実質的に十分な議論をいただけたというふうに思います。これらの議論を踏まえながら、ビジョンというふうなものを今後とも策定をさせていただきたいというふうに思います。
 それから、あと離島振興についての再質問でございますけれども、「一島一物語」ではなく、一島二物語、三物語、もっと展開すべきではないかというふうな御指摘がございました。まさにそのとおりだというふうに理解をしております。離島のこの不利性を克服するとともに、その有利性も活用してなお一層の離島の振興を図っていく必要があろうかというふうに思います。
 県としては、今後とも離島地域の産業育成、それから雇用の促進等を図るために、内閣府と連携をして事業の効果的な活用というふうなものを展開をしてまいりたいというふうに思います。
 それから、鉄軌道についてのお話でございましたけれども、これについては、県としては鉄軌道等の導入について沖縄県の体系的な交通ネットワークの構築、それから環境負荷の軽減、県民の暮らしを支える観点から、現在策定中のこの21世紀ビジョンにも位置づける予定としております。
 それからまた、先ほども答弁いたしましたけれども、次年度から検討を進めます沖縄県総合交通体系基本計画を見直す中で検討をしていくというふうな予定にしております。
 以上でございます。
○当銘 勝雄 知事、最終的には食料自給率を上げるという話ではありますが、この今度の平成22年度の予算編成に当たって余りにも農業予算が削られているとこういうことで、これでは産業振興にならんじゃないのかという視点から僕は言っていますので、ぜひ農林水産部長も総務部長とけんかしてでも予算を取るというぐらいの気概を持たないと、毎年毎年減ってきて、かつてはシェアが17%もあったんですよ。それがどんどんなくなっていくということでありますから、これは要望しておいて終わります。
○仲村 未央 こんにちは。
 引き続き、社民・護憲ネットを代表して質問を行います。
 けさの朝刊を見ますと、知事が県内やむなしということは撤回をされたというようなそういう記事になっておりました。きのうの答弁のあの範囲の中で、本当にそこまで知事が踏み込んで、県内やむなしを撤回をしたのかどうかというところは、非常に受け取りができません。名護市長選挙の結果を受けての客観情勢を示したものなのか、あるいはもう辺野古は選択肢として断念をするということを知事みずからの政治姿勢としても明確に県内移設はだめだということをおっしゃったことなのかということが、私どもの非常にこの間の質問を通しての知事に求めていることでありますので、ぜひ改めて政治姿勢、明快に御答弁をいただきたいと思います。
 知事はこの間、「普天間飛行場の移設に関する沖縄県の考え方」を示して、県民の理解と協力を求めてきました。私どもが提案した辺野古新基地建設反対決議、これをとりたてて県外や国外へ移すことは理想論と片づけて、キャンプ・シュワブへの移設こそ現実的な選択肢であると推進の立場を明快に、明確にしてきました。
 また、米軍再編における海兵隊及びその家族1万7000人の移転、嘉手納以南の返還、こういったいわゆるパッケージについても歓迎をしてきた。これについて知事はこれらの政治姿勢を今なお堅持をしていらっしゃるのか、あるいは諸般の政治情勢の変化によって現在はその立場をとっていらっしゃらないのか、そこをぜひお尋ねをしたいと思います。
 (1)、県議会の与野党逆転、政権交代、名護市長選挙の結果を踏まえ、自身の公約や主張を取り巻く政治環境がどのように変化したととらえていらっしゃるのか、認識を伺います。
 (2)、今なお米軍再編推進の立場であるのか。再編合意が示すパッケージは、沖縄に負担軽減をもたらすものと評価しているのか伺います。
 (3)、名護市は、地元辺野古への基地建設を拒否しています。知事は、政府の移設先の現実的な選択肢として辺野古を失わせてはならないとし、県民の思いとは相反する態度をとってきました。なおその姿勢を貫くのか、辺野古移設案を容認、推進しているのか伺います。
 (4)、シュワブ陸上案についてはいかがでしょうか。県内移設の選択肢として容認できるのか伺います。
 (5)、平野官房長官との面談が行われるようであります。何を求めるのか伺います。
 (6)、稲嶺名護市長との面談が行われました。どのような話し合いがなされましたか。知事から何をお伝えしましたか。感想も伺います。
 (7)、これまで北部振興策、米軍再編交付金など、基地と振興策をバーターするあめとむちの政策がとられてきました。今回の名護市長選挙で新たに市長に就任した稲嶺進氏は、これら振興策が市民生活の向上にはつながらなかったと総括し、新政権の側からも振興策と基地はリンクしないとする姿勢が示されております。この間、移設問題と絡んで、あからさまな基地維持策としての振興策が進められ、政府との太いパイプも強調されてきました。振興策は地元の発展に寄与したと評価をしますか。知事はこれらの手法をどのように受けとめてきたのか見解を伺います。
 (8)、戦後65年、日米安全保障条約締結50年という節目の年に当たり、沖縄県知事として全国にどんな発信を予定されているのか、問題提起も含めてぜひ示されたいと思います。
 次2番目、公約について伺います。
 3年前の県知事選挙時に掲げた次の公約については、任期中に達成される見込みなのか。その進捗並びに知事の政治責任についても伺います。
 (1)、普天間基地は3年で基地機能を停止、閉鎖状態を実現するとしてきましたが、実現しておりません。期待した県民に責任ある回答をすべき時期ではないでしょうか。3年めどとして期限を引き延ばしていますが、そもそも3年と明言したことの重みが感じられません。選挙を通じて支持を訴えた政治課題への説明責任、政治家としてのけじめをどのようにとられるのか、見解を伺います。
 (2)、「完全失業率の全国平均化」4%台については年次ごと、または産業従事者別の目標値などステップが示されてこなかったと見えます。4%台実現のための政策立案やその進行管理及び評価は、どの部署で、どのような手法で行っているのか見えません。計画と見通しをお示しください。
 (3)、今の県の小学校30人学級はこれも公約でありましたが、国の教員定数の枠内で手当てをされた授業方法改善加配この横滑りであって、加配教員の配置で対応するという消極的な取り組みに終始をしております。独自の財源を伴って教員増を図らなければ公約の達成はないと考えますが、任期中の最終年度となる本年度の施政方針にも触れられておりません。そもそも選挙公約の30人以下学級実現は、何年間のスパンでどの学年までの実現を想定して公約されたのでしょうか。来年度、これ以上の学年の拡大の計画はあるのか、その計画と見通しをお示しいただきたいと思います。
 (4)点目、産業廃棄物管理型処分場の整備、これも公約の中に触れられております。知事の就任以来何らかの前進があればお示しください。
 それから3番です。嘉手納基地の運用実態、騒音被害等について伺います。
 (1)、騒音被害、外来機の飛来などF15訓練移転中も含め相変わらず負担軽減の実態がありません。嘉手納基地を取り巻く最新の状況、被害実態等について伺います。
 (2)、いわゆる騒音防止協定は形骸化しています。県は、早速、環境保全条例を生かして、実質的な負担軽減を図るよう米軍、日本政府に迫るべきです。三連協の訴えにどのように向き合っているのか。環境保全条例は昨年9月1日に施行されました。3条2項において米軍基地、環境問題への取り組みとしてあえてその県の主体的な取り組みができる旨の規定を盛り込んでおります。その生かし方、その取り組みについて具体的に御答弁をいただきたいと思います。
 (3)番、嘉手納基地周辺の学校施設について騒音対策としての光熱費の取り扱いをこれまで指摘をしてまいりました。その後、どのように対処されたのか伺います。
 (4)番、嘉手納統合案、新嘉手納統合案が浮上し、地元は緊張を強いられています。知事は統合案に賛成ですか、反対ですか。見解をお伺いいたします。
 4番、待機児童解消策についてお伺いをいたします。
 このほど内閣府福島少子化対策担当大臣の深い理解とリーダーシップによりまして、基金の運用改善が図られました。私どもも議員有志で2度ほど直接大臣と面会をする中で、今の沖縄のこの間の失業率の高さ、あるいは所得の低さ、こういった厳しい経済情勢を踏まえて、また米軍占領下にまでさかのぼって、その間、児童福祉法の手当ての措置がおくれたこと、こういったことにも踏み込んで沖縄の歴史的な背景にも理解をいただきながら、沖縄の待機児童問題を東京など都市圏の待機児童問題と同一に論じてはならないというそういった姿勢での対応が今回あらわれたものだというふうに私どもも感じております。その件について、知事の所見を伺います。
 (2)点目、「待機児童ゼロ」は知事の公約です。基金の改善でどの程度解消が図られる見通しでしょうか。ゼロは実現するのか伺います。
 (3)番、県条例及び交付要綱の改正等必要な手続、補助額の引き上げなど実施時期はいつからでしょうか。あわせて、企業団地内託児所の拡充、認可化についてもこの基金の活用について希望がありますが、適用は可能かどうかお伺いいたします。
 (4)点目、「沖縄待機児童対策スタディグループ」(作業チーム)の設置目的、構成、スケジュール等について伺います。
 5点目、美咲特別支援学校幼稚部の定員問題をめぐる対応についてお伺いをいたします。
 (1)、願書さえ受け付けてもらえないとの声が保護者から上がっております。なぜこのような残念な事態に至ったのでしょうか。問題の原因と背景、一連の事実関係を明らかにして、今後どのように対処されるのかあわせてお伺いをいたします。
 (2)点目、本会議及び委員会において、学級や定員について教育行政としてどうあるべきか時間をかけて議論をしてきました。今回の件で保護者や議会から失った信頼は非常にはかり知れないものがあると思っております。これまでの教育長の答弁はその場しのぎだったのでしょうか。ぜひ、教育長、教育委員長あわせて責任あるその対応を伺います。所見をお願いいたします。
 6点目、県立病院の定数改正と経営への影響についてお伺いをいたします。
 (1)、定数増は、医師やスタッフの確保を初め病院経営全体にどのような影響をもたらすのでしょうか。今回、21年ぶりとなる定数改正の意義をお示しいただきたいと思います。
 (2)点目、今回の改正による増員は何名ですか。各病院、職種ごとの増員数も示されたい。あわせて今後さらに定数を拡大していく方向なのか、計画を伺います。
 (3)番、診療報酬が10年ぶりに増額改定となりました。過去4回続けてのマイナス改定が県立病院の経営にもたらした影響、額についてお伺いいたします。また、今回のプラス改定でどのような影響があるのか伺います。
 7番、国際生物多様性年、COP10とヤンバルの森についてお伺いいたします。
 (1)、ヤンバルの森は生物多様性に富む反面、そのもろさ、壊れやすさについても多くの専門家から指摘をされています。県はヤンバルの森をどのように評価しているのか。ダム建設や林道建設など費用対効果の乏しさから中断、撤退など見直しの動きがあります。これは当然であります。公共事業としてのその費用対効果、これが伴わなければ事業は成り立たないということは当然であっても、さらに踏み込んで環境保護の視点に立った事業評価、これを強化すべきではないでしょうか。認識と対応を伺います。
 (2)番、2010年は国連が位置づける「国際生物多様性年」です。10月には名古屋でCOP10が開かれます。県はどう取り組むのか、取り組みの姿勢について伺います。
 (3)番、マングース捕獲のわなに希少生物もかかっていることが明らかになりました。ヤンバルクイナの被害、またその他の動物等についての被害も明らかにされたい。今後の対応について伺います。
 (4)番、環境影響評価法が適用されない規定の規模以下で林道建設を行い、違法ではないということで進めていますが、形式的なものではなくて、ヤンバルの森を守るという姿勢で厳格な環境評価基準を定めるべきではないでしょうか。
 このほど、素案として上げられている21世紀ビジョン、この推進戦略の中には「沖縄グリーン・イニシアティブ」戦略ということで、先進的な自然環境の保全を推進するということがうたわれております。いわゆる聖域「サンクチュアリー」自然環境保全のための聖域化ということも盛り込まれておりますが、この実現性についてその取り組みの姿勢を伺います。
 8点目、中城湾港泡瀬地区埋立事業について伺います。
 (1)、沖縄市は控訴審判決を確定させた一方、土地利用の見直しも進めています。司法判決は公有水面埋立法に関連して、新たに免許を受ける場合と同様、当該事業が変更後においても経済的合理性を有する必要があるとしており、新たな土地利用計画に経済的合理性が認められるかどうかにかかっている。これまでに加えられた批判を踏まえて相当程度に手がたい検証を必要とするとしています。この検証は、沖縄市が独自で行うものなのか。あるいは、埋立免許出願人である県も新たな土地利用計画、市の案の経済的合理性をともに検証することになるのかお尋ねをいたします。
 (2)点目、市案の提示を受けて後、免許出願人は引き続き県と内閣府沖縄総合事務局になりますか。一括交付金の動きなどもありますが、市が事業主となる可能性もあるのかお尋ねをいたします。
 (3)番、この事業に係る次年度の作業日程をお示しください。判決で認められた範囲で計上された関係予算、事業内容等についてお伺いをいたします。
 以上、1回目壇上からは終わります。よろしくお願いいたします。
○議長(髙嶺善伸) ただいまの仲村未央さんの質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午前11時52分休憩
   午後1時22分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 午前の仲村未央さんの質問に対する答弁を願います。
 仲井眞知事。
   〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 仲村議員の御質問に答弁いたします。
 まず第1に、任期最終年度における知事の政治姿勢についてという御質問の中で、政治環境の変化についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 私が知事に就任したころと比べまして、県議会の与野党逆転、そして国政における政権交代など想像もできなかった大きな変化が起こったと感じております。
 そのような中にあっても公約実現に向け、与野党を問わず県議会議員、そして国会議員の皆様の御協力のもと、沖縄の発展に全力を尽くしていきたいと考えております。
 同じく任期最終年度に係る御質問の中で、辺野古移設案についての御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場移設問題につきましては、昨年9月の政権交代を機に、県外移設を期待する県民の声が高まる中、政府において移設先の再検討が行われているところであります。
 加えて、名護市長選挙の結果や県議会における――これは意見書がどういうあれになるかなんですが――採択の動きが見えるなど、この問題を取り巻く状況は大きく変化しつつあると認識をいたしております。
 県といたしましては、これまでも申し上げてきたとおり、県外移設が最も望ましいと考えており、政府に対し明確な方針及び具体案を示していただくよう要請したところであります。
 こうした環境の変化や新たな政府方針が5月中に示されることから、現時点において、これまでの辺野古移設案は極めて厳しくなったものと認識いたしております。また、この問題の原点は、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去であり、政府に対し同飛行場が現状のまま固定化されることは断じて容認できないことを強く訴え続けてまいります。
 次に、同じく任期最終年度に係る御質問の中で、シュワブ陸上案についてどうかという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場移設問題につきまして、政府及び政権与党議員がさまざまな御提案をされておりますが、県としましては、沖縄基地問題検討委員会における政府方針の検討状況を注視しているところでございます。
 次に、同じく任期最終年度に係る御質問の柱の中で、平野官房長官との面談についての御質問にお答えいたします。
 平野官房長官は、沖縄連絡室沖縄分室を視察するなどの目的で本日来県する予定と伺っており、私もあす面談する予定であります。
 同じく任期最終年度に係る御質問の柱の中で、名護市長との面談についての御質問にお答えいたします。
 去る2月16日の名護市長との面談におきましては、名護市長から当選の御報告と名護市づくりのために力をかしてもらいたいという旨の御発言がありました。私からは、よく意見を交換し御相談をしてまいりたいといった趣旨のことを申し上げました。
 なお、今回の面談は、名護市長の就任のごあいさつが目的でしたので、詳細な意見交換には至っておりませんし、行っておりません。
 次に、知事公約の任期中の達成見込み及び進捗並びに知事の政治責任についてという御質問の中で、3年めどの閉鎖状態の実現の説明責任いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場の危険性の除去につきましては、移設協議会やワーキングチーム会合などにおきまして政府と意見交換を重ねてきたところでありますが、昨年9月の新政権発足後は、これらの協議会等は開催されておりません。
 県としましては、鳩山総理を初め各大臣との面談など、機会あるごとに普天間飛行場の一日も早い危険性除去を求めております。引き続き、その実現に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 同じく知事公約に係る御質問の中で、30人学級の計画と見通しについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 30人学級につきましては、現在、小学校1年生、2年生で実施されております。公約の趣旨は実現されているものと考えております。当面、小学校低学年で実施することといたしており、3年生以上につきましては、教育委員会の研究をまちたいと思っているところでございます。
 次に、嘉手納基地の運用実態、騒音被害等についてという御質問の中で、嘉手納統合案等についてという御質問にお答えいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、普天間飛行場移設問題につきましては、政府及び政権与党の議員の皆様がさまざまな御提案をされておりますが、県としましては、沖縄基地問題検討委員会における政府方針の検討状況を注視しているところであります。
 いずれにいたしましても、嘉手納飛行場周辺の市町村において航空機騒音など過重な基地負担が増加することは、あってはならないと考えております。
 次に、待機児童解消に係る御質問で、基金の運用改善が図られたことについての御質問にお答えいたします。
 この待機児童解消のために、多くの国会の先生方、そしてまた県議会の先生方のお力によりまして、特に10億円の基金をつくっていただいた当時の公明党委員長の太田先生には心から感謝いたしますし、さらに最近、社民党の福島瑞穂大臣が、基金を使った施設整備の上限を700万円から3000万円に上げていただいたこと、そしてまた、沖縄における認可外保育園に入っている子供たちへの対策などについてのスタディグループをスタートさせていただきました。民主党の泉内閣府大臣政務官が座長になっておられるようですが、この件も福島大臣のお力が非常に強くリーダーシップをとっていただいたこと、そしてこれに対して仲村議員を初め県政野党の先生方の皆々様のお力添えがあったこと、心から感謝いたします。
 県といたしましては、今後ともこの基金の積極的活用を市町村に働きかけ、認可化促進及び入所児童の処遇向上に努めてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(上原良幸) 知事の政治姿勢についての御質問で、米軍再編の評価についてお答えいたします。
 米軍再編において普天間飛行場については、名護市辺野古への移設が合意されましたが、去る9月の新内閣発足後、県内では県外移設の実現を期待する声が大変高まっております。
 県としては、これまでも申し上げてきたとおり県外移設が最も望ましいと考えており、政府が具体的な県外移設案を提案するのであれば、政府の方針を積極的に支持するものであります。
 また、海兵隊司令部及び約8000人の海兵隊将校・兵員のグアム移転と、それに伴う嘉手納飛行場より南の米軍施設・区域の整理・統合・縮小は、県民の要望している米軍基地の整理縮小につながるものであり、新政権による米軍再編の見直しの内容にかかわらず、確実に実施されなければならないと考えております。
 今後とも、引き続き基地負担の軽減が図られるよう日米両政府に強く求めていきたいと思います。
 同じく知事の政治姿勢で、安保条約締結50年の全国発信についてお答えいたします。
 普天間飛行場移設問題を初めとする沖縄の米軍基地問題は、基地が集中する沖縄県だけの問題ではなく、我が国の外交や安全保障にかかわる全国的な問題として政府全体で考えるべき問題であり、国民的な議論が必要であると考えます。
 県としましては、沖縄の基地負担の軽減を実現するため政府との協議について誠実に対応していくとともに、今後とも地元自治体や渉外知事会等とも連携を図りつつ、日米両政府に対し、米軍基地の整理縮小等についてあらゆる機会に働きかけてまいります。
 次に、嘉手納基地の運用実態、騒音被害等についての御質問で、嘉手納飛行場の騒音等、状況等についてお答えいたします。
 県が行っている航空機騒音測定結果によると、嘉手納飛行場では、平成20年度において15測定局中9局で環境基準値を超過しており、1日当たりの騒音発生回数は、前年度と比較し15局中10局で増加しております。
 最近の嘉手納飛行場をめぐっては、米軍再編に伴う一部訓練移転が実施されていますが、F22戦闘機等外来機のたび重なる飛来などから、依然として目に見える形での負担軽減があらわれているとは言えないと考えております。
 県としましては、外来機、常駐機にかかわらず米軍の訓練等により県民に被害や不安を与えることがあってはならず、騒音を初めとした周辺住民の負担軽減が図られるよう、米軍及び日米両政府に対し強く要請していきたいと考えております。
 同じく嘉手納基地関係で、嘉手納飛行場の騒音等への対応についてお答えいたします。
 県は、日米両政府に対し、航空機騒音規制措置の趣旨徹底により騒音の軽減を図るよう強く要請してきたところであります。また、日米地位協定の見直し要請の中で、環境問題について「環境保全に関する日本国内法を適用する」ことなどを内容とする環境条項の新設を渉外知事会等を通じ日米両政府に対し求めているところであります。
 昨年11月、渉外知事会として訪米した際には、米政府機関等から環境問題について前向きに検討したい旨の発言があり、一定の前進があったと考えております。
 県としては、引き続き関係市町村や渉外知事会等と連携し、航空機騒音の軽減などについて粘り強く取り組んでいきたいと考えております。
 以上であります。
○企画部長(川上好久) 知事の政治姿勢に関連して、北部振興策の評価についてお答えします。
 北部振興策につきましては、北部地域の活性化のみならず、県土の均衡ある発展を図る観点から実施されてきました。これまで情報関連及び観光・リゾート関連等の施設や農林水産加工施設の整備のほか、道路、港湾、住宅などの社会資本及び生活環境の整備が行われております。
 これらの取り組みにより、2000人を超える雇用が創出されるとともに、定住人口についてもこの9年間で約4300人、3.5%増加するなど、北部地域の産業の振興や定住条件の整備に寄与していると考えております。
 以上でございます。
○観光商工部長(勝目和夫) 知事の公約に関する質問の中の、完全失業率全国平均化の政策立案及び評価の手法並びに計画と見通しについての御質問にお答えします。
 完全失業率の全国平均化に向けた県庁内の体制としましては、産業振興と雇用を担う観光商工部を中心に全部局で産業と雇用の拡大に向けて取り組んでおります。また、県内の産業界、教育界、労働組合、医療福祉関係、PTA、婦人会、マスコミなど60の団体で構成する沖縄県産業・雇用拡大県民運動推進本部で了承された「みんなでグッジョブ運動推進計画」に基づき、各主体がそれぞれの役割のもとで相互に連携・協力して雇用問題の解決に取り組んできたところであります。
 この4年間の傾向を見てみると、数値の変動はあるものの、沖縄県と全国との完全失業率の差は縮まり、就業者数も全国が減少する中、沖縄県は増加しております。
 沖縄県としては、引き続き目標達成に向け、全部局を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
 なお、これまでの取り組みの評価につきましては、産学官の専門家により構成する雇用戦略推進会議を昨年10月に設置して検証を行っており、ことし4月には公表できるように取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。
○文化環境部長(知念建次) 知事公約の質問との関連で、産業廃棄物管理型処分場の進捗状況についてお答えいたします。
 公共関与による産業廃棄物最終処分場の整備に当たっては、安全・安心なモデルとなる処分場とすることを基本とし、地域との信頼関係を構築することが重要であると考えており、現在、地元関係者と意見交換等を鋭意進めているところでございます。引き続き関係市町や地域の方々への説明を積み重ね、他県の先進地視察を行い、理解が得られるよう努めるとともに、周辺環境整備や地域支援等について地域の意向を踏まえながら、公共関与最終処分場を整備していきたいと考えております。
 次に、国際生物多様性年の御質問との関連で、ヤンバルの森の認識と対応についてお答えいたします。
 ヤンバル地域は、イタジイに代表される亜熱帯の自然林に覆われ、ノグチゲラ、ヤンバルクイナなど多くの固有種が生息・生育する多様で固有性の高い自然生態系を有する地域であります。
 ヤンバル地域のすぐれた自然生態系を保全するため鳥獣保護区等の指定、拡充を図るとともに、「自然環境の保全に関する指針」を示し、事業者みずからが自然環境に配慮した適切な土地利用への誘導に努めているところでございます。
 県としては、ヤンバル地域における事業活動が自然環境に配慮して実施されるよう、関係機関と連携を密にして対応していきたいと考えております。
 次に、生物多様性年における県の取り組みについてお答えいたします。
 ことしは国際生物多様性年であることを踏まえ、県においては、琉球弧の生物多様性の豊かさを県民に伝えること等を目的に、環境省、鹿児島県と共同で2月6日に国頭村において「琉球弧自然フォーラム」を開催したところであります。また、平成22年度から本県における生物多様性の保全と持続可能な利用についての基本的な方向性などを定める「生物多様性地域戦略」の策定に取り組んでいきたいと考えております。さらに、本県の生物多様性の重要性を広く県民に知らせ理解を深めてもらうため、ことし5月には写真展の開催等を計画しているところであります。
 次に、マングースの捕獲わなについてお答えいたします。
 平成12年度から平成21年9月末までの県及び環境省のマングース対策事業において、外来種であるマングース1万91頭、クマネズミ1万1984頭を捕獲しております。
 混獲された主な希少種は、ヤンバルクイナ216頭、ケナガネズミ32頭、オキナワトゲネズミ14頭となっており、そのうちケナガネズミの3頭は死亡したものの、それ以外はその場ですべて放逐してあります。
 捕獲わなの設置に当たっては、専門家等から成る検討委員会の提言等を踏まえ、希少種の繁殖時期や生息範囲を十分考慮し、混獲防止に努めてきたところです。
 今後の対応としましては、さらなる捕獲わなの改良や捕獲従事者の識別能力の向上を図り、現場における点検体制を強化しながら、ヤンバル地域の生態系の維持・回復に努めていきたいと考えております。
 次に、サンクチュアリーの実現性についてお答えいたします。
 沖縄県は、亜熱帯海洋性気候のもとサンゴ礁が発達するとともに、固有の野生生物が数多く生息・生育する多様性に富んだ自然生態系を有しています。このような重要な地域を保全するため、自然公園区域、自然環境保全地域、鳥獣保護区等を指定し、その区域の自然環境の保全を図ってきました。
 県としては、生物多様性の保全上、優先的に保全すべき重要な地域については、地元の意向も踏まえ、自然環境の保全に向けて検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは嘉手納基地の運用実態、騒音被害等についての御質問で、光熱費の取り扱い等についてお答えいたします。
 御指摘のあった嘉手納高校については、騒音や室内気温等によって授業に支障がある場合には、防衛施設周辺防音事業費補助金の対象期間外であっても空調設備を稼働することとしたところであります。その後、学校へ確認したところ、10月中は必要に応じ空調設備を稼働させ、11月以降においては稼働する必要がなかったとの報告を受けております。
 今後とも学校側と調整しながら、授業に支障のないよう適切に対応してまいります。
 次に、美咲特別支援学校幼稚部の定員問題をめぐる対応についての御質問で、美咲特別支援学校幼稚部の対応及び所見について一括してお答えいたします。
 今回の件に関しましては、同校幼稚部を志願する保護者に対し、教育相談の一環として特別支援教育の理念や障害のある幼児の就園に関する進路情報の提供等を説明する中で、保護者にその真意が伝わらず、不安や誤解を与え、志願を断念する事態に至ったことは遺憾に思っております。
 県教育委員会としましては、改めて願書の受け付けをいたします。その上で特別支援学校として、支援が必要な幼児が8名を超えた場合には学級を増設して対応してまいります。
 以上でございます。
○教育委員会委員長(比嘉梨香) それでは仲村未央議員の御質問の中で、美咲特別支援学校幼稚部の対応にかかわる所見についてお答えいたします。
 美咲特別支援学校幼稚部志願の問題につきましては、一昨日の県教育委員会定例会議で報告を受けたところでございます。同校幼稚部を志願する保護者の皆様へ不安や誤解を与えてしまいましたこと、また、文教厚生委員会委員を初めとする県議の皆様に不信を招いてしまいましたことを遺憾に思います。
 私ども教育委員会は、昨年、美咲特別支援学校の保護者代表から、障害のある子供を持つ保護者の思いを直接伺いました。また、教育委員会の石垣視察時には八重山特別支援学校を訪問し、授業視察や子供たちと一緒に給食を食べる中で、障害の種類や度合いに応じた特別支援教育の必要性を肌で感じました。
 今回の件の今後の対応につきましては、教育長から先ほど説明をさせていただきましたが、県教育委員会といたしましても、支援を必要とする障害を持つ子供たちに最良の教育ができるよう、事務局や学校、そして市町村教育委員会、関係者とコミュニケーションを密にしながら、ともに取り組んでまいる所存でございます。
 今後とも議員の先生方の御指導、御協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 待機児童解消策についての御質問の中の、「待機児童対策特別事業基金」の改善による待機児童解消の見通しについてお答えします。
 基金における施設整備費の上限額引き上げにより、平成23年度末までに21施設認可化し、1260人の定員増を図る予定としております。また、「安心こども基金」を活用した保育所整備により平成22年度末までに約1700人の定員増を図り、合わせて約3000人の定員増を予定しております。
 県としましては、今後とも両基金の積極的活用を市町村に働きかけ、待機児童の解消に努めてまいります。
 次に、県条例及び交付要綱の改正、補助額の引き上げ等の実施時期及び企業団地内託児所への基金適用についてお答えします。
 沖縄県保育所入所待機児童対策特別事業基金条例の一部を改正する条例案につきましては、今議会に先議案件として提出しております。
 本年度においても、認可外保育施設を対象とする研修事業や当該研修を受講した施設に対し保育材料費等への助成を予定しており、議決されれば、速やかに補助額の引き上げ等実施要綱の改正を行うこととしております。
 なお、当基金は、認可化すると市町村が認定した認可外保育施設に対する施設整備の助成であり、制度上は企業団地内託児所も適用可能でありますが、その判断は市町村において行われるものであります。
 次に、「沖縄待機児童対策スタディグループ」の設置目的、構成、スケジュールについてお答えします。
 国において、沖縄県の待機児童の解消に向けての現状分析や課題の整理、対策等を検討する「沖縄待機児童対策スタディグループ」を2月17日に発足させております。
 構成メンバーは、内閣府大臣政務官、内閣府審議官、政策統括官、沖縄振興局長、大臣官房審議官及び沖縄県福祉保健部長等となっております。
 作業スケジュールとしましては、今後、毎月1回会合を開催し、5月までに待機児童対策のあり方などの提言をまとめる予定となっております。
 以上でございます。
○病院事業局長(知念  清) 県立病院の定数改正と経営への影響についての御質問の中の、病院事業の定数改正の意義についてにお答えします。
 今回の定数改正は、急性期医療に必要な医師、看護師の安定的な確保、病院現場の勤務環境の改善及び診療報酬改定への機動的な対応等、県立病院を取り巻く環境の変化に適切に対応するものであり、医療提供体制の充実と経営の効率化に資するものであります。
 続いて、定数改正による増員の内容と今後の計画についてにお答えします。
 今回の定数改正は、増員分として医師9人、看護師112人、薬剤師等のコ・メディカルの7人、計128人、減員分として事務職等の11人で、差し引き117人の増員となっております。
 中部病院の7対1看護体制を初め今後の定数については、今回の定数改正の実施状況等を踏まえて検討していきたいと考えております。
 続きまして、診療報酬改定の影響についてお答えします。
 診療報酬改定による県立病院の収入への影響については、2002年度改定及び2004年度改定は、当時推計されておりません。2006年度改定では、年間約1億4300万円の減収が見込まれる一方、2008年度改定では診療報酬本体がプラス改定であったことから、年間約3億円の増収があったものと見込んでおります。
 今回の2010年度の改定による影響については、診療報酬全体で0.19%、診療報酬本体の部分でも1.55%と決定したことから、県立病院の収入増が見込まれます。しかしながら、現時点では、改定内容に係る施設基準等が明確でないため具体的な影響額の試算が困難な状況であります。
 今後、告示等により改定内容が明らかになってくる3月上旬以降に、速やかに試算を行っていきたいと考えております。
 以上であります。
○土木建築部長(仲田文昭) 中城湾港泡瀬地区埋立事業についての御質問で、泡瀬地区埋立事業に係る経済的合理性の検証についてお答えいたします。
 泡瀬地区埋立事業について沖縄市長は、平成19年12月に、第Ⅰ区域の土地利用計画について、市は主体的に見直し作業に取り組んでいく旨の表明を行っております。現在、進められている土地利用計画見直し作業は、当該表明を踏まえ沖縄市において実施され、その中で経済的合理性の検証についても行われているところであります。
 県は、これまで当該見直し作業に協力してきたところであり、今後とも沖縄市及び国と連携しながら経済的合理性の検証に努めていきたいと考えております。
 次に、同じく中城湾港泡瀬地区埋立事業について、市案提示後において市が事業主体となる可能性についてお答えいたします。
 泡瀬地区埋立事業の事業者は、埋立免許等を受けた国及び県であります。
 今後、土地利用計画見直し後に現計画において埋立免許等を受けた国及び県が埋立免許等の変更手続を行う予定であることから、引き続き国と県が埋立事業者となります。
 同じく中城湾港泡瀬地区埋立事業について、次年度の作業日程及び関係予算、作業内容についてお答えいたします。
 次年度の作業日程について、県は、沖縄市による土地利用計画見直し結果を踏まえた港湾計画や埋立免許の変更等に向けた作業を行っていく予定であります。
 次年度における関係予算案については、埋立免許の変更等に係る調査費が2054万9000円、また、これまでに借り入れた県債の元利償還金が2億5150万6131円となっております。
 以上でございます。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後2時0分休憩
   午後2時1分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 仲村未央さん。
   〔仲村未央さん登壇〕
○仲村 未央 知事に再質問を行います。
 県外が最も望ましい、また極めて辺野古の現行案が厳しくなったという、それは認識として示されております。
 お尋ねしていますのは、今非常に情勢が変化をしている。シュワブの陸上案、嘉手納統合案、こういったものも取りざたされているわけですね。この中において、先ほどのお昼のニュースで聞いて驚いております。北澤防衛大臣の発言、新しい基地を県民は望んでいない。けれども、現行施設の中に押し込むのであればこれは新基地ではないと、だから検討に値すると、このような趣旨の発言を行っている。こういった非常に情勢が緊迫をし、今まで現行案とされてきた辺野古以外の案が現実的にこのように検討されるような状況に至ってもなお知事は、それは国が決めることだから5月まで待ちましょうというそういった悠長な態度でよいのかどうか。そこをぜひ今知事がどう考えているのかということをお尋ねしたいんです。
 少なくとも知事が辺野古の現行案について、これまで容認の態度をとってきたその根拠は、地元名護市が受け入れているからということではなかったですか。そのことをもって、我々野党が提案した辺野古の新基地建設反対決議に対しては、地元が受け入れているのにそのことを考えず、県外や国外へ移すことを検討し始めることは理想論としてはあり得るでしょうと、このような見解を知事はこれまで述べてきたわけです。
 そして今知事は、その判断のよりどころとしてきた地元の合意がもうないということを十分に認識した上で、なぜ拒否できないのか。知事のその判断に対して理解を示してきた与党の自民党、公明党も、今、県外・国外へと方針転換したと言っているんですよ。知事はここまで来て県内移設を今明確に拒否できないのであれば、私としてはこれはすなわち県内移設をむしろやむなしの態度、本当にやむなしというそのものではないかというふうに受け取れるわけですよ。あした官房長官が来る、この状況にあって、本当に今県外を求めると、県内には受け入れられない。ましてや地元の合意もない、それ以外の案でもだめだということを今表明しないことは、むしろこれは受け入れ表明に近いものだと受けとめざるを得ない、私はこのように思いますが、知事は反論があればぜひ反論をしていただきたいと思います。
 それから、県立病院の定数について。
 これは定数条例改正が本当に21年ぶりということで、非常にこの間の経営にも支障を来してきた。数をもって診療報酬が算定されるというこのようなスタッフの確保、非常に大事なときにその方針がおくれたということによって経営にもそしてその人材の流出にもいかほどの影響を与えたことかというふうに思っています。そういう意味で、今回の定数改正条例は大きな意義があろうと思うのですが、この間7対1看護が導入された平成18年(2006年)以来、どれほどの看護師が離職をされたのか、そのトータルをぜひ数で示していただきたいと思います。
 それから美咲幼稚部の件です。
 教育長、教育委員長、それぞれ見解をいただきました。電話をしたのはその指導の一環だったというようなことでありましたが、本当に原因、背景を調査されてこのような答弁につながっているのか。これでああそうですかと私たちが受けとめる、とてもそういう状況にはないんですね。直接保護者の皆さんから教育長も教育委員長もお話を聞かれましたか。電話を受けた、それをお聞きしないで今のような答弁をされているのであれば、何をもって先ほどのその答弁の根拠にしているのか。まずそこの把握についてどのような状況なのかお尋ねをいたします。
 そしてここでは述べることがはばかられるぐらいのショックを保護者の皆さんは本当に感じていらっしゃいます。これまで委員会での答弁でも、それぞれ個々の特別支援の学校に入れるかどうか、その基準は相対的なものではないと。あの子に比べてこの子のほうがより重度だからということで選別をされるものではないということを確認をしてきたつもりです。そしてそれぞれの発達の状況に応じて特別支援が必要であるかないかというそういった基準をもってなされるべきところを、今回電話の中ででもほかの子のほうがより重度ですと。おうちで見る人はいますかと、見られるんですかと、このようなあたかも家で見られるかどうかというその環境が判断基準に影響するかのような発言があったと聞いております。こういったことも含めていま一度どのような判断基準を持って特別支援教育を受けるか受けないかということについて認識をされているのか、確認のために伺います。
 それから今8名を超えれば2学級と言っていますが、基本的に1学級の定員は5名のはずです。5名を超えている時点で2学級、当然それは2学級に増設すべきということで基本的にはその方向で対応すべき問題だと思いますが、この点についても改めてお伺いをいたします。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後2時9分休憩
   午後2時11分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 仲井眞知事。
   〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 仲村議員のこの再質問の中で、私の答弁の中でこれまでの辺野古移設案は極めて厳しくなったというこの認識というのは受け入れ表明と同じではないかという御趣旨の御質問なんですが、どうもこの御質問の関連が私にはよく理解できませんで、飛躍をしていて何でこれが受け入れ表明になるかわかりませんが、これはもう先ほどから申し上げていますように、現時点においてはこれまでの辺野古移設案というのは極めて厳しくなってきたと。これは現実に皆さんのこの政党の新たな委員会をつくって再検討を始め、政府方針が5月にしか出ないという状況にあるわけですよね。そしておっしゃるように名護市長選挙の結果を踏まえると、現行のつまり現時点においてこれまでの辺野古案というのは極めて厳しくなってきたというのを私は申し上げるだけでありまして、基本的には県外がベストだというのはもう繰り返し申し上げているんで、議員のおっしゃるような飛躍してそれが何か受け入れにひとしいとおっしゃるのはちょっと理解しかねる御質問だと思います。
○病院事業局長(知念  清) ただいまの平成18年度から平成20年度にかけての県立病院における看護師の退職者数についての再質問にお答えします。
 平成18年度から平成20年度までの3年間における県立病院の看護師の退職者数は、平成18年度が69人で4.8%、平成19年度が99人で6.9%、平成20年度は110名で7.7%、合計278人となっております。
 以上です。
○教育長(金武正八郎) 仲村未央議員の再質問にお答えいたします。
 まず1点目ですけれども、美咲特別支援学校幼稚部の問題について、平成21年12月10日に同校幼稚部の説明会において13名の保護者の参加がございました。その際、体験入学、そして教育相談を行っていない保護者が半数近くおりました。学校においては、母子共学であるということ、3カ月間親子一緒に通学するということ、それから午前保育であること、それから特別支援教育の理念等の情報を十分に伝えていませんでした。それで平成22年1月25日以降に同校が教育相談としてその情報の再確認を行うため参加した保護者へ電話で連絡を行い、このことで学校の真意が伝わらず、電話を受けた保護者に不安や誤解を与え、結果として志願書の提出を見送った保護者がいたのではないかという学校からの報告を受けております。学校もこれについては、やはり学校の信頼を損なったということで対応したいという申し入れがありましたので、教育委員会としましてもそういう対応を行いました。以上が1点目です。
 2点目でございますが、美咲特別支援学校の幼稚部の定員につきましては、去る10月21日の県教育委員会で1クラス8人と決定をいたしました。それに基づいて募集を行いました。
 議員がおっしゃるとおり、その合否については相対的なものではなくて、その美咲特別支援学校の幼稚部でケアが必要な幼児を選考しますので、相対的ではないということを申し上げます。
 以上でございます。
○仲村 未央 教育長から伺います。
 今あたかもその理解を求めるためにという発言の中に聞き捨てならない条件のようなものがありましたが、母子共学3カ月というのは従来なかったことであります。むしろ母子分離ということのほうが特別支援教育の課題であるということを我々は認識しているのですが、昨年の実績も3カ月に至るような母子共学はないはずです。それについて3カ月の母子共学をできるかどうかが入学の前提条件のように説明をされたということであれば、3カ月も母子共学をしなければならないということで、今足踏みをしているという声もあるんです。本当に特別支援で美咲だけ3カ月の母子共学が必要でしょうか。その点について明快な答弁を求めます。
 それから2学級の設置についてのこの予算の確保、これは当然対応をしていくということでもう既に心構え、準備万端であるというふうに考えてよいのかお尋ねをいたします。
 それから知事にお尋ねをいたします。
 ベストは県外だと言っているのになぜそれが受け入れ表明なのかということがわからないと知事はおっしゃっております。全くこれは知事はみずからの考えを述べないことによって、それは受け入れ表明ではないと言っていますが、述べないからこそなぜ述べないのかということをやはり明らかにしていただきたいと思います。なぜ拒否できないんですか。ほかの案まで含めて先ほど冒頭の答弁では、シュワブの陸上案についても嘉手納統合案についてもこれは到底受け入れられないということをおっしゃらない。なぜなんですか。地元は反対しています。態度を明確にされないというのは、私は知事としてやはり沖縄県のリーダーとして非常に無責任だと思います。選挙公約の普天間の3年閉鎖も実現できていない以上、知事はみずからの政治責任のうちに方針転換を今明確にすべきです。
 かつて比嘉鉄也名護市長は、市民投票の結果に逆らって辺野古への受け入れ表明をした。その責任をとって職を退かれました。そして今新しい稲嶺進名護市長も新聞等のインタビューに応じて辺野古に基地はつくらせない、約束を守れないときは自分が市長の職をおりるときだと自分の態度を明確にしておられます。私も実はおととい、市長が総理に会われるということで東京に立つ前に空港でお会いをいたしまして、直接その意思を確認してまいりました。市長は総理に会ってみずからの意思をきちんと伝えたいと、陸も海もだめだということをしっかりと伝えたいとおっしゃっておられました。
 基地をつくるかどうかということは政府が決めること、それは知事のおっしゃるとおりです。けれども、それは名護市長も同じです。名護市のせいで基地がつくられるわけではありません。そうではあっても、選挙戦を通じて争点として浮き彫りにしてきて、市民に信を問うた。そういった責任、そしてそのことによって当選をし、その中において筋を通すということ。私はリーダーとして非常に尊敬をしますし、むしろこういう方にはやめてほしくないと思います。市民の声、県民の声を踏まえた上の決意、私たちはやめさせるような事態にしてはならないというそういう思いですが、もう一度知事に聞きます。知事は、県民の代表としてこれ以上基地負担を望まないという県民の声、名護市長選挙の結果、県内移設反対、県外・国外を求めるという我々議会のそういった意思、これについて正面から受けとめて県内の選択肢はもうないんだと。県外・国外への移設を求めるということを政府に表明すべき時期だと思いますが、いかがですか。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後2時23分休憩
   午後2時24分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 仲井眞知事。
   〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 仲村議員の再々質問に答弁させていただきますが、私も県民の負託を受けて知事として常に県民の思いを、そして県益を念頭に置いて仕事をしているつもりですし、そしてこの普天間の移設問題につきまして仲村議員初め社民党の皆さんが国外だとか、県外だとおっしゃっていることは新聞報道でよく存じ上げております。
 そういう中で、皆さんの政党が今国政与党の政府及び3党でゼロベースでどうするかを今検討しておられるんでしょう。それをやはり見守るというのは当然のことだと思っているんですよ。しかし、私も総理に3回お会いし、官房長官にも3回お会いし、外務大臣、防衛大臣などなどにお会いして、県民の最も望ましい、県民が考えている最も望ましい移設先というのはやはり県外であるというのは強く申し入れているわけです。そういう中で、政府と皆さんの3党が一緒になって今ゼロベースということで議論をしているわけでしょう。その基本的な方向が出てくるのを待つというのはもう当然のことだと思うんですが。
 以上でございます。
○教育長(金武正八郎) 再々質問にお答えいたします。
 先ほどの親子共学についてでございますけれども、これは必ず3カ月間毎日来なさいということではなくて、親子教育の意義は保護者教育の重要性から、子供によっては母子分離も必要であると。つまり保護者の教育の重要性がありますので、3カ月間はできるだけやっていただきたいということで、もし子供によっては親子分離しても構わないということでございます。その内容は、決してこの3カ月間、それがあるけれども、これができなければだめですということではなくて、教育相談の中に4点ほどございます。幼稚部が親子共学である、今の話ですね。それから午前保育ですよと。それから障害のある幼児の進路情報、例えば市町村にもそういうサポートがありますと。それから特別支援教育、ノーマライゼーションの理念、地域での育ちと連携した教育相談についての情報提供とかそういうところを電話でやったという報告を受けております。
 それから学級増につきましてですけれども、10月21日に県教育委員会の方で学級は1クラスというふうに定められました。学級数を変える場合には、県教育委員会の決定が必要でございます。それで今回改めて願書の受け付けを行います。その上で特別支援学校として支援が必要な幼児が8名を超えた場合には、合格発表の日が3月18日でございます。その18日の日に8名を超えた場合には2学級設置について教育委員会の方に私たちは提案をしてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○仲村 未央 知事、政府の決めることでしょうと、ゼロベースで検討されているんでしょうということで、みずからの発信力を非常に小さくしております。知事のこの時期の発言が非常にゼロベースと言えるその検討にも影響を大きく与えるものと我々は期待をするからこそ、知事にそのリーダーシップを求めている、そういう状況であります。あした官房長官とお会いされるときに、今県内の選択肢はどこも現実的ではない。県外・国外へ、それこそどこにも県内には受け入れるところはないんだということを明言されるかどうか再度お尋ねをして、それを求めるという考えがあるのか、その構えなのかお尋ねをして終わります。
 以上です。
○知事(仲井眞弘多) 基本のところは、考え方は比較的私は似ていると思うんですが、おっしゃるように県外移設というのは、私は強く何か先ほどの御発言の中で、私もということで県民も含めて県外移設が最も望ましいというのは総理に3回も申し上げ、官房長官にも3回も申し上げ、防衛大臣にも外務大臣にも沖縄担当大臣にも申し上げてきたところです。
 ですから、こういうものを踏まえて今、皆さんがおつくりになった与党3党で、さらに政府も入れたここでゼロベースとおっしゃって今研究しているんでしょう。自公の先生方が言っているわけじゃなくて、皆さんの先生方が言っているものを、皆さんもしっかり言ってもらって、やはり県外をしっかり実現するようにぜひ頑張っていただきたいと思いますし、県内が難しいということはこれはだれでも知っているわけでして、これも無論そう生易しいものでもないし、大変難しいという話も無論申し上げようと思っております、ただ、そういう時間があればですが。あしたどういう目的でお見えになるか実ははっきりはまだしておりません。ただ、今の仲村議員の御下命というのは重々頭に入れておきたいと思います。
○前田 政明 私は、日本共産党を代表して質問を行います。
 米軍再編と米軍基地について。
 基地の県内たらい回しを押しつけてきた自公政権に決定的な退場の審判が下されました。総選挙での審判は、国民・県民が声を上げれば政治は変えられる、県民が声を上げれば基地は動かせる、この思いを沖縄県民の中に大きく広げるものとなりました。
 昨年11月8日、2万1000人が集まった県民大会では、普天間基地の即時閉鎖・撤去、辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民の総意として確認されました。この県民の動きに対して、鳩山政権は動揺と迷走を繰り返し、昨年12月、普天間基地問題について年内決着を先送りし、与党で移設先探しを行っていくことを決定しました。この決定は、両面でとらえることが重要だと思います。
 1つは、沖縄県民・国民世論の圧力のもとで鳩山政権が県外・国外という公約をすぐに覆すことはできないでいるということであります。昨年10月に来日したゲーツ米国防長官から、現行案での早期決着をと強圧的に迫られた際に、岡田外相も北澤防衛相も県内移設しかない、年内決着と次々と発言する事態が生まれましたが、首相は県外・国外という公約をすぐには覆すことができず、年内の決着をも先送りせざるを得なくなりました。これは県民の力、国民の力が働いた結果であります。しかし、同時に、解決の道筋は何らついたわけではありません。
 政府・与党の最大の問題点は、移設条件つき返還に固執し、この立場から何の当てもなく普天間基地の移設先探しを行うとしているところにあります。県外・国外移設論は、移設先を探したが、どこも受け入れるところがなくてだめだったと、結局のところ基地固定化につながるものです。それは基地のたらい回しを押しつけたSACO合意以来、13年間にわたって普天間基地が動かなかったという事実、那覇軍港は移設条件つきで1974年以来、解決していません。移設によっては解決し得ないことは、復帰後の歴史が証明しています。
 そもそも移設論は、意識するとしないとにかかわらず、普天間基地の存在、その機能・役割を前提として容認し、その場所的移動を求めるもので基地の存続論であります。また、移設論の問題点は、まず普天間基地形成の違法性を不問に付し、移設先にその違法性を承継させるものであります。また、移設論は、基地被害の根絶ではなく、新たな被害発生の可能性を容認することにつながります。この間、普天間飛行場はその所属ヘリコプター等の墜落事故、日常的な爆音被害の発生源、所属軍人の犯罪、さらには都市形成の障害など、さまざまな被害の温床として県民の生命と安全、平穏な暮らしを侵害してきました。移設は、移設先でこれらの被害を新たに発生せしめるものであり、県民の要求である基地被害の根絶ではありません。また、政府・与党は、辺野古への新基地建設を白紙にしたわけではありません。鳩山首相も、辺野古は生きていると述べ、辺野古新基地建設推進の予算もつけ、環境アセス調査も進めようとしています。
 日本共産党は、志位委員長、市田書記局長の国会質問でも、普天間問題を解決するには移設条件つきの返還という立場から抜け出す必要がある。無条件撤去を求めて、アメリカ側と本腰を入れた交渉を行うことが必要だと提起しました。赤嶺政賢衆議院議員は予算委員会で、鳩山首相自身、2005年7月26日の本会議の質問で、普天間基地については代替施設なき返還をアメリカに求めるべきであります。あなた方は、抑止力の維持強化で沖縄の基地を強化しようとしているんじゃないかと当時の小泉首相に向かって厳しく追及を行っていることを指摘し、この沖縄県民・日本国民の立場に立って野党時代に求めていた代替施設なき返還を求めるべきだと追及しました。これらの質問に対し首相の回答は、安全保障、抑止力という問題がある。無条件撤去を求めるのでは交渉は難しいなどというものでした。
 世界で最も危険な普天間基地は、無条件撤去を求めて米国と正面からの交渉を行うことこそ、一見困難に見えますが、問題解決の大道であり、近道であり、最も現実的な方策であります。世界ではフィリピン、エクアドルなど米国と軍事同盟や軍事協定を結んでいた国で堂々と基地を撤去した例は幾らでもあります。日本だけができない道理はありません。なぜ鳩山政権が沖縄県民の願いにこたえた対米交渉に踏み切れないのか、国会論戦でも党首会談でも首相の口から言われた海兵隊は抑止力として必要、日米安保があるからという2つの呪縛に縛られているからです。この2つを盾にして無条件撤去を求めることを拒否する点では、新政権は旧政権の自公路線と少しも変わるところがありません。
 海兵隊は日本の平和と安全のための抑止力などではない。世界とアジアの平和に脅威を与える最も危険な海外の侵略戦争を行う危険な侵略力が実態ではありませんか。このような物騒な部隊は、沖縄にも日本にも必要ないという立場にきっぱりと立つべきであります。この2つの呪縛に縛られたままでの先送りや小手先細工では、問題は決して解決できません。
 米国が前政権以来進めている米軍再編とは、言葉の上では地元の負担を軽減しつつなどというものの、実際に進められていることは沖縄でも、全国でも、日本国民にとっては負担軽減どころか負担強化であり基地機能の強化そのものです。それは基地機能の傍若無人の強化が図られている普天間基地や嘉手納基地など沖縄の実態、全国各地の米軍基地の実態が示しているではありませんか。ハワイ、グアム、沖縄の海兵隊を一体的に強化することが米軍再編の大方針とされています。それらすべてを合理化する論理が在日米軍、海兵隊は抑止力として必要というものであります。そうである以上、抑止力、日米安保の呪縛にとらわれ、米国の顔色をうかがうような態度では問題は決して解決しません。
 日本共産党は、沖縄県民の声を堂々と代弁し、県民の闘いと一体に、普天間基地の無条件撤去、基地のない沖縄を目指す本腰の対米交渉を行ってこそ道が開けることを新政権に強く求めるものであります。日本政府をそうした立場に立たせるためには、沖縄と本土が連帯した闘いが必要です。このような重要な沖縄と全国の強い連帯と運動の発展が求められています。このような情勢のもとで、県外移設・国外移設を求めることを政治スローガンとして提起することは、全国と沖縄との連帯の運動に対立と新たな困難をもたらすことを危惧するものであります。
 今こそ沖縄と本土が固く連帯し、基地のない沖縄、基地のない日本を目指す祖国復帰運動のような島ぐるみの一大国民運動を起こして、世界で最も危険な普天間基地の閉鎖・撤去を実現し、米軍基地のない平和な沖縄・日本を実現することのできる新たな政治情勢を前に進めるために日本共産党県議団は、県民・国民の皆さんとともに奮闘するものです。
 知事がこのような立場に立って、米軍基地のない沖縄を目指して頑張っていただくことを述べ、以上の基本的立場から以下質問を行います。
 名護市長選挙では辺野古への新基地建設反対を掲げた稲嶺進候補が勝利をおさめました。稲嶺新市長は、「辺野古の海にも陸にも基地を造らせない。その公約を信念を持って貫きたい」と明言しています。この選挙結果は、米軍基地の県内たらい回し、辺野古への新基地建設を押しつけてきた日米両政府への痛烈な審判であり、基地のない沖縄を願う沖縄県民・名護市民の歴史的勝利であります。知事も名護市長選挙の結果を尊重すべきではありませんか、知事の見解を問います。
 名護市長選挙の結果に対して平野官房長官はしんしゃくしないと述べ、総理もゼロベースと繰り返しています。これは、辺野古案を除外するつもりはないということです。名護市民の審判を無視・否定するこうした態度は断じて許されるものではありません。知事の見解を問います。
 岡田克也外相の、場合によっては普天間基地の継続使用もあり得るとの発言は、普天間基地問題の本質を根底から否定するものではありませんか、知事の見解を問います。
 辺野古陸上案や嘉手納統合案、下地島空港などの県内移設案を、事もあろうに沖縄県選出の国会議員が提案していることは、名護市長選挙の結果や総選挙の民意を踏みにじるものであります。このような県内移設案が政府案として提案されたら、知事は反対すべきではありませんか。このような案が出てくるのも、知事の対応が明確でないあいまいな対応を行っているところに要因があるのではありませんか。明快な答弁を求めます。
 連立政権は、辺野古新基地建設推進のための環境影響評価の継続予算を計上し、環境影響評価の作業を継続する構えに変更はなく、防衛省首脳はいつでも提出できる状態だと報道されています。環境評価手続は中止すべきであります。知事の見解を問うものです。
 沖縄の米軍基地は、国際法を踏みにじり住民から強奪した不法な米軍基地であります。この米軍基地によって戦後65年間、県民は耐えがたい苦しみを背負わされてきました。戦闘機の墜落、爆音、演習による原野火災、流弾、米兵による殺人、暴行など基地あるがゆえに起こるさまざまな被害など、沖縄に生まれ育った者にとっては生涯忘れることのできない多くの悲劇を経験してきました。この基地あるがゆえの苦しみは、県内はもとより本土も含めてどこへ移しても同じ苦しみであります。移設条件つき返還では問題は解決しません。問題解決の道は、県民大会で示された県内移設に反対し世界で最も危険な普天間基地は閉鎖・撤去、返還の代替施設なき返還、無条件撤去を正面から全国の人々と連帯して米国に求める以外にないことはいよいよ明白であります。展望のない移設先探しはやめるべきで、県民運動の先頭に知事は立つべきではありませんか。知事の見解を問うものです。
 在日米軍基地の現状は、ドイツと比較しても基地の立ち入りと警察権、基地外での演習・訓練、米軍の出入りと移動、環境アセスなどあらゆる面で主権国家とはいえない治外法権的実態にあると言わなければなりません。日米地位協定は、同じ敗戦国のドイツの地位協定と比較しても屈辱的な内容であります。地位協定の抜本的見直しについて知事の見解を問うものです。
 海兵隊は抑止力ではなく海外侵略の危険な侵略力である。沖縄の海兵隊も無法なイラク戦争に派兵されファルージャでの民間人の虐殺に参加しています。沖縄にも日本にも必要のない危険な軍隊が海兵隊であります。抑止力の3文字で米兵におびえ、事故におびえ、危険にさらされながら生活を続ける苦しみをこれ以上沖縄県民に押しつけることはもうやめるべきではありませんか、知事の勇気ある明快な見解を求めるものであります。
 日米安保条約を平和友好条約に改めるべきが県民の大きな世論となっています。来年の改定安保条約50年に向けて、県として平和友好条約に改めるよう国に強く求めるべきではありませんか。
 2、暮らし、医療、福祉問題について。
 近年、経済状況の悪化により多くの県民の雇用と生活は厳しさを増しています。雇用情勢は好転の兆しが見えず、貧困は一層広がり、ホームレスや自殺者の増加は看過できない事態となっています。昨年12月26日に那覇市与儀公園で多くの団体が協力して、ホームレスや生活困窮者の皆さんの生活再建や自立に向けた取り組みとして「自立支援テント村」が設営され、約200名の人が訪れました。テント村での約60件の相談に、弁護士、司法書士、議員、労働組合が対応し、健康相談には医師、看護師が対応しました。
 相談では、体調が悪いのに病院に行けない、食べない日が何日も続く、住む家がないなど切実な声が寄せられました。憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」の保障が受けられず、セーフティネットの網の目から抜けている人たちがふえている現状でありました。
 28日には、テント村で相談した年越しが厳しい急迫事態になっているホームレスの方々や、生活困窮で緊急を要する17名の生活保護の申請や宿泊所の確保の手続を那覇市役所で行いました。ホームレスの方々は、公園を住所として生活保護の申請を行いました。これらの手続を通じて、当初は不安の顔色だった相談者は笑顔になり、安堵の涙を流して、毎日心配で眠れなかったけれども、安心してぐっすり眠れそう、自分一人では生活保護の申請はできなかったと感想を話してくれました。自公政治の福祉切り捨ての構造改革路線による国民生活破壊の傷跡は深刻で、格差と貧困問題の克服は緊急の課題となっています。
 以上の立場から、以下の質問を行います。
 後期高齢者医療制度について。
 後期高齢者医療制度の廃止を国に求めること。
 県内高齢者1030人の無保険状態を放置せず、医療が受けられるようにすること。
 介護保険制度について。
 利用料の負担が重く必要な介護が受けられない事態が起きています。介護保険が始まって10年、介護殺人・心中などが400件と増加傾向となっている悲しい状況であります。当局の認識と見解を問うものです。
 介護保険料、利用料の減額免除制度を県として市町村とも協力し実施・拡充する必要があるのではありませんか。
 介護施設への入居待機者を解消するため特別養護老人ホームを増設することが必要だと思います。
 次に、子供医療費助成制度について質問します。
 医療費の無料化を入院で中学校卒業まで、通院の対象年齢を順次拡大すること。
 病院の窓口での支払いをなくすために市町村と協力して現物給付を実現すべきではありませんか。当面は自動償還払い制度を実施すること。当局の対応と見解を問うものです。
 保育行政について。
 保育所の待機児童解消は早急に解決されるべきではありませんか、取り組みについてお答えをお願いします。
 認可保育園の新・増設計画と現状について説明してください。
 潜在的な待機児童を保育している認可外保育園への支援の拡充と認可化促進事業については、財政支援とともに実情に合った必要な支援を強化することが必要だと思います。当局の対応を問うものです。
 児童相談所について。
 児童虐待の実態と当局の対応について説明してください。
 児童相談所に専門職員を増員し、コザ児童相談所の一時保護施設を早急に設置すべきであります。県議会全党派で取り組んできたこのコザ児童相談所の実現の方向が出されていることを心から歓迎するものです。
 生活保護行政について。
 憲法と生活保護法の最低限の生活を営む権利の保障という立場を堅持し、保護を必要としている人が申請・受給できるようにすること。
 申請用紙を窓口に置き、希望する住民には申請書を渡し申請権を保障するよう市町村福祉事務所を指導徹底すること。
 急迫の事態に対する対応について、当局の見解と対応を問います。
 国保行政について。
 民間医療機関の2007年の「国保死亡事例」全国一斉調査――152病院が参加しておりますが――では、18都府県から死亡者31人が報告されています。うち3人が沖縄の事例でした。いずれも保険料滞納のため短期保険証に切りかえられ、期限が切れ通院を中断、持病が重症化して死亡しています。これは氷山の一角です。「国保制度が人を殺す」、現実に進行している事態となっています。
 質問します。
 国保手帳が取り上げられたり、国保手帳の切りかえができなかったり、短期保険証の期限が切れて使用できない皆保険制度の崩壊が進行している現状について具体的に説明してください。
 国民健康保険への国庫負担削減をやめ、計画的に増額するよう国に求めること。負担能力を超えた高過ぎる国民健康保険税を引き下げるために県からの補助を実施すること。
 生活保護世帯と同じ所得の場合の国保税の負担は、モデルケース(那覇市)の場合の国保税額について説明してください。
 浦添看護学校について。
 医療看護を守るための公的責任を放棄することにつながる民間移譲は中止すべきであります。公的責任を放棄し、指定管理者やその他民間移譲という形で民営化を進めることは、私はやめるべきだと思います。
 県立浦添看護学校を存続させて、県として直接看護師養成の公的な責任を果たすべきだと思います。
 県立病院行政について。
 県立病院を守る県民運動と世論によって、定数条例の見直しは困難という立場を乗り越えて定数条例案が提案されたことを高く評価します。野党議員を含めたお互いのシンポジウムなどを含めて、県民世論が高まった中での条例提案として高く評価するものです。
 県議会決議を尊重し公的医療を守るために、県立病院は公設公営として存続させる独法化への動きは中止し、病院事業局の再建計画を全面的に支援すること。
 7対1看護基準をすべての県立病院で実現すること。看護師不足のためにベッドが休床している現状を直ちに解消するために全力を挙げること。
 医療費を払えない貧困層のために導入された無料低額診療事業の実施医療機関に県立病院が対応すべきではありませんか。
 4、雇用対策と産業振興について、以下のことを質問します。
 沖縄の農業に壊滅的な打撃を与えるWTOと日豪EPA協定、日米FTAに反対するよう国に強く求めること。農水産物の輸入自由化に反対し食料自給率の向上、国内の農水産業を守るよう国に強く求めること。
 沖縄経済の振興は、農漁業、中小企業、地場産業、観光産業の経営強化と雇用の拡大を図ることが重要であります。地元の農産物を全小中学校の給食の食材に積極的に活用する。そのための農水産物加工場をJA、漁連などに設置し、地域の雇用を拡大することが求められていると思います。知事の見解を問うものです。
 県観光協会やホテル旅館業組合、JAおきなわ、畜産組合、漁連などと連携して必要な組織をつくり、沖縄の生産物の観光分野での消費拡大を図る地産地消を県としてさらに本格的に数値目標を定めて進めること。
 生産者の要望の強い営農、経営指導員をふやすとともに、県立農業大学校や農業試験場などの研究機関の充実強化を図ることが大切だと考えますが、当局の見解と対応を問うものです。
 深刻な事態となっている県内食料自給率を、当面50%まで回復させるための実効ある対策をとること。価格保障、所得補償など農業経営を守り自給率向上に必要な制度を抜本的に充実すること。
 カジノ観光は、国内で禁止されている犯罪の賭博を産業として沖縄に持ち込み沖縄経済を台なしにするものであり容認できません。観光産業は、沖縄の地理的条件や自然、環境、歴史・文化を生かした長期滞在型、体験型観光を推進することで発展させることができます。知事の見解を問うものです。
 国発注の公共工事の地元企業優先、分離・分割発注を国に強く求めること。県発注の公共工事の分離・分割発注を中小企業が直接受注できるようさらに改善を図ること。
 泡瀬干潟埋立事業などの不要不急の県の公共工事を見直し、不足している公営住宅や介護支援施設、老朽化した公営住宅、校舎の改築など県民生活に密着した公共事業に切りかえることが求められています。当局の対応と見解を問うものです。
 県の発注する公共工事や業務委託契約などを結ぶ際には、適正な労働条件や賃金が確保されるよう県独自の客観的な経費の基準を定め、請負業者や下請業者までも守らせる「公契約条例」を制定することが求められています。
 失業率の改善と雇用の確保について質問します。
 失業者をホームレスにしないために緊急宿泊所の確保、生活保護など緊急支援策を強化すること。
 非正規雇用の実態調査を速やかに行い公表するとともに、不当な労働条件の改善を初め正規雇用を広げるために全力を尽くすこと。
 官製ワーキングプアと言われている県・市町村や外郭団体等の臨時・非常勤の実態と対応について当局の見解と対応を問うものです。
 国の緊急雇用対策事業の県と市町村の実施状況と雇用実績についてと、県独自の失業対策事業の実績について当局の説明を求めます。
 6、環境行政について。
 生物多様性の取り組みについて、以下のことを質問します。
 生物多様性条約第10回締約国会議に向けての目的と、生物多様性の豊かな宝庫である沖縄県の具体的な対応について。
 日本の生物多様性の危機について当局の対応と見解を問うものです。
 沖縄の干潟の保全についての具体的な取り組みについて。
 復帰後、貴重な干潟が埋め立てによって消失した面積は幾らですか。
 生物多様性の豊かな貴重種の生存するヤンバルの森を守る取り組みについて。
 高江ヘリパッド建設予定地の貴重種の状況と保存の対応について。
 泡瀬干潟の理立計画は中止し、干潟の再生を目指し泡瀬干潟をラムサール条約に登録していくべきではありませんか。
 ラムサール条約に登録されている漫湖の現状と対応について説明してください。
 琉球諸島の世界自然遺産登録に向けて克服すべき問題点と対応について。
 林道問題について。
 ヤンバルの林道建設はこれ以上行わないこと。便益計算の見直しについては明らかにすること。
 森林組合法に違反する員外取引について当局の見解と対応を問うものです。
○知事(仲井眞弘多) 前田議員の御質問に答弁いたします。
 まず第1に、知事の基本姿勢についてという御質問の中で、名護市長選挙の結果についての御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場移設問題につきましては、昨年9月の政権交代を機に、県外移設を期待する県民の声が高まる中、政府において移設先の再検討が行われているところであります。加えて、名護市長選挙の結果や県議会における皆様の意見書採択の動きなど、この問題を取り巻く状況は大きく変化しつつあると認識をいたしております。こうした環境の変化や新たな政府方針が5月中に示されることから、現時点においてこれまでの辺野古移設案は極めて厳しくなったものと認識をいたしております。
 次に、同じく知事の基本姿勢の中で、岡田外相の発言についての御質問にお答えいたします。
 まず、鳩山総理は去る2月3日の参議院本会議におきまして、普天間飛行場が固定化をすることは何としても避けなければならない。その思いを持ちながら沖縄基地問題検討委員会で移設先を検討しており、最終的にもとに戻ることはしないという決意のもとで議論している旨、述べておられます。
 県としましては、普天間飛行場の危険性が現状のまま放置されることは断じて容認できないものと考えております。
 次に、同じく基本姿勢の中ですが、県内移設案及び知事の対応についての御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場移設問題につきましては、政府及び政権与党議員がさまざまな御提案をされておられますが、県としましては、沖縄基地問題検討委員会における政府方針の検討状況を注視しているところでございます。
 県としましては、これまでも申し上げてきたとおり、県外移設が最も望ましいと考えており、政府に対し明確な方針及び具体案を示していただくよう要望しているところであります。
 次に、同じく基本姿勢の中で、普天間飛行場の無条件撤去いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 先ほども申し上げましたが、県としましては県外移設が最も望ましいと考えており、政府に対し明確な方針及び具体案を示していただくよう要望しているところであります。また、この問題の原点は、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去であり、政府に対し同飛行場が現状のまま固定化されることは断じて容認できないことを強く訴え続けてまいります。
 次に、暮らし、医療、福祉問題に係る御質問の中で、児童相談所への専門職の増員及びコザ児童相談所一時保護施設の早期設置についてという御質問にお答えいたします。
 児童相談所の専門職につきましてはこれまでも増員を行ってきたところであります。平成22年度につきましては中央児童相談所八重山分室へ1名の増員を予定いたしております。
 コザ児童相談所の一時保護所につきましては、平成22年度予算におきまして設計費及び工事費を計上することといたしております。事業は23年度までといたしておりますが、23年度中途での竣工を目指して作業を早め、可能な限り早期に開設できるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、雇用対策に係る御質問の中で、WTO農業交渉に関する県の対応についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 WTO農業交渉及び日豪EPA交渉等の結果によっては、沖縄県農業が壊滅的な打撃を受けることが懸念されております。
 沖縄県といたしましては、WTO農業交渉において「多様な農業の共存」などの我が国の立場を堅持し、国内農業の競争力強化や自給率向上のための対策の充実を図るよう要請を行っているところでございます。また、日豪EPA交渉におきましては、砂糖などの重要品目を関税撤廃の対象から除外するなどの例外措置の確保につきまして関係団体等と連携をし強く要請を行っているところであります。
 今後とも、WTO農業交渉等の動向や国の対応を踏まえつつ関係機関と連携をし適切に対応してまいる所存でございます。
 雇用対策と産業振興の御質問の中で、カジノ観光に関する県の見解はどうかという御趣旨の御質問にお答えいたします。
沖縄県が平成20年度に作成しましたカジノを含む「沖縄統合リゾートモデル」は、「国民の総合的な健康保養の場の形成と体験・滞在型観光の推進」や「コンベンション・アイランドの形成」など、これまでの沖縄観光振興の方向性を牽引していく機能を付加したものといたしております。
 具体的な機能としましては、ホテルやコテージなどの滞在機能、そしてエステ・スパなどのヘルシー及びヒーリング機能、環境保全や再生の学習の場としての自然体験機能なども盛り込んでございます。
 このようなことから、「沖縄統合リゾートモデル」は沖縄観光振興の有効な手段の一つであり、また、国民の健康保養の場の形成や体験滞在型観光の推進にも寄与するものと考えているところでございます。
 同じく雇用対策等に係る御質問の中で、国及び県発注工事の地元企業への優先発注と分離・分割発注についての御質問にお答えいたします。
 国発注工事につきましては、今年度も国関係機関へ地元企業の受注機会の拡大につきまして要請を行っており、その結果、舗装工事や橋梁工事において入札参加資格要件が緩和されております。今後とも、あらゆる機会を通して要請を行っていきたいと考えております。
 県発注工事につきましては、県営住宅改築工事や新石垣空港整備工事等におきまして可能な限り分離・分割発注を行っており、橋梁等の特殊工事におきましても県外企業との共同企業体方式により地元企業の受注機会の確保に努めているところでございます。
 その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(上原良幸) 知事の基本姿勢についての御質問で、平野官房長官及び鳩山総理の発言についてお答えいたします。
 平野官房長官が「斟酌してやらなければいけないという理由はない」と発言したことについて、政府は、去る2月5日、鈴木宗男衆議院議員の質問主意書に対し「沖縄基地問題検討委員会において、特定の前提を置かず、あらゆる選択肢を幅広く検討しているとの趣旨で述べたものである。」と答弁しております。また、鳩山総理は去る2月3日の参議院本会議において、沖縄基地問題検討委員会において、特定の前提を置かないあらゆるオプションというものをゼロベースで幅広く検討している旨、述べております。いずれにしましても、移設を進めるに当たっては、政府は頭越しではなく、地元の理解、協力を得なければならないことは当然のことであると考えております。
 同じく知事の基本姿勢についての御質問で、日米地位協定の見直しについてお答えいたします。
 県としましては、米軍基地をめぐる諸問題を解決するためには、米軍や米軍人等との権利義務及び米軍の施設・区域の使用や権利関係を定めている日米地位協定の抜本的な見直しが必要であると考えております。
 日米地位協定の見直しについては昨年11月、渉外知事会として訪米した際には、米政府機関等から環境問題について前向きに検討したい旨の発言があり、一定の前進があったと考えております。また、政府は日米地位協定の改定を提起することとしております。さらに、ことしは日米地位協定制定50年の節目の年でもあり、渉外知事会とも連携しながら引き続き粘り強く地位協定の見直しに向けた取り組みを強化してまいりたいと考えております。
 同じく知事の基本姿勢で、沖縄の海兵隊についてお答えいたします。
 米海兵隊の資料によると、第3海兵遠征軍は、キャンプ・コートニーの司令部を拠点に日米安全保障条約及びアジア・太平洋地域における同盟関係を支持するため、日本で前方展開態勢を維持することが任務とされております。
 県としては、日米安保体制を含む日米同盟関係が我が国及び東アジアにおける国際の平和と安定の維持に寄与しているものと理解しております。しかしながら、本県には在日米軍専用施設の約75%が集中し、県民生活や本県の振興開発にさまざまな影響を及ぼしておりますが、米軍人等による事件・事故の減少を図るためにも基地の整理縮小及び在沖米軍兵力の削減が必要であると考えております。
 同じく知事の基本姿勢で、安保条約の見直しについてお答えいたします。
日米安全保障体制を含む日米同盟関係は、我が国の平和と安全を守るため、現在の東アジア情勢を踏まえ国際社会のルールにのっとって構築された現実的な安全保障体制であると理解しております。
 県としては、日米安全保障体制が安定的に維持されるためには何より沖縄の社会的・政治的安定が不可欠であり、そのためには沖縄県の過重な基地負担の軽減が必要であると考えております。沖縄における基地問題は、基地が集中する沖縄県だけの問題ではなく、我が国の外交や安全保障にかかわる全国的な問題として政府全体で考えるべき問題であり、国民的な議論が必要であると考えます。
 なお、昨年11月の日米首脳会談においては、ことしの日米安保条約改定50年に向けて、日米同盟の深化のための協議プロセスを開始することが確認されております。
 以上であります。
○文化環境部長(知念建次) 知事の基本姿勢についての御質問で、環境影響評価書の手続についてお答えいたします。
 国においては、現在、新たな移設先についてゼロベースで検討を行っているとのことであり、県としては、現時点でアセス手続を行うことは適切ではないと考えております。
 次に、環境行政についての御質問にお答えいたします。まず、生物多様性に関する県の取り組みについてお答えいたします。
 第10回生物多様性条約締約国会議においては、COP6で採択された生物多様性の損失速度を顕著に減少させる2010年目標の達成度についての検証や、新たな保全目標などについて議論される予定となっております。
 ことしは国際生物多様性年であることを踏まえ、県においては、琉球弧の生物多様性の豊かさを県民に伝えること等を目的に、環境省、鹿児島県と共同で2月6日に国頭村において「琉球弧自然フォーラム」を開催したところであります。また、平成22年度から本県における生物多様性の保全と持続可能な利用についての基本的な方向性などを定める生物多様性地域戦略の策定に取り組んでいきたいと考えております。さらに、本県の生物多様性の重要性を広く県民に知らせ理解を深めてもらうため、ことし5月には写真展の開催等を計画しているところであります。
 次に、生物多様性の危機に対する対応と見解についてお答えいたします。
 平成19年に策定された第3次生物多様性国家戦略においては、開発や乱獲による種や生息・生育地の減少、里地里山などの手入れ不足による自然の質の変化、外来種による生態系の攪乱の3つを生物多様性の危機として挙げております。
 県においては、生物多様性国家戦略の基本方向を踏まえつつ、本県の社会的特性や自然的特性を生かし、生物多様性地域戦略の策定に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、干潟保全の取り組みについてお答えいたします。
 沖縄県では、干潟などの豊かな自然環境を適切に保全するため「自然環境の保全に関する指針」を策定し、地域の環境特性に応じた環境保全のあり方を示し、事業者みずからが自然環境に配慮できるよう、適切な土地利用への誘導や調整を図ってきております。また、ラムサール条約湿地登録や鳥獣保護区の設定などにより、干潟の保全と賢明な利用を図っているところであります。
 次に、ヤンバルの森を守る取り組みについてお答えいたします。
 ヤンバル地域は、イタジイに代表される亜熱帯の自然林に覆われ、ノグチゲラ、ヤンバルクイナなど多くの固有種が生息・生育する多様で固有性の高い自然生態系を有する地域であります。県では、この豊かな自然環境を保全し次世代に引き継ぐため、環境省が実施しているヤンバル地域の国立公園化の取り組みに協力するとともに、マングースなどの外来種対策に取り組んでいるところであります。
 次に、高江ヘリパッド建設予定地の貴重種の状況及び保存の対応についてお答えいたします。
 事業者である沖縄防衛局が平成19年2月に作成・公表した「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(仮称)環境影響評価図書」の記載によれば、移設予定地周辺において貴重な動物が97種、貴重な植物が109種確認されております。
 主な保全措置としては、ノグチゲラ等の貴重な動物の繁殖期間は土工事を避けることとしております。また、貴重な植物を保存するため、伐採及び造成工事前に移植を行うこととしており、ヤナギバモクセイ等計7種の移植作業が行われております。
 次に、泡瀬干潟のラムサール条約登録についてお答えいたします。
 ラムサール条約の登録には、湿地の重要性の国際基準、国内法による鳥獣特別保護地区等の指定、地元自治体等の賛意が必要です。国は、泡瀬干潟については、冬鳥のムナグロの数が現段階で国際基準を上回っているとし、今後もモニタリングを続け、地元の意向を十分注視しながら将来的に登録地としての可能性を検討するとしています。
 県としては、国に協力するとともに、その動向を見守っていきたいと考えております。
 次に、漫湖の現状と対応についてお答えいたします。
 ラムサール条約登録湿地の漫湖において、県は環境省及び那覇市、豊見城市と連携し、漫湖水鳥・湿地センターを拠点に自然観察会、環境教育等や調査研究を実施するなど、自然保護思想の普及啓発に努めているところであります。近年、渡り鳥の渡来数の減少、陸域からの土砂の流入やマングローブ林の分布域拡大による干潟の減少等が課題になっております。
 このため、環境省では、渡り鳥のえさ場と休憩場所である干潟を回復するためマングローブ林を試験的に伐採し、渡り鳥の飛来状況を継続的に監視するなど、漫湖干潟の保全に努めているところであります。
 次に、世界自然遺産登録に向けての問題点と対応についてお答えいたします。
琉球諸島については、絶滅危惧種が生息・生育する重要地域の保護担保措置や外来種対策など、貴重な自然を守る対策が不十分であるとの課題があります。
 県としては、世界自然遺産登録に向けて環境省が実施しているヤンバル地域の国立公園化等に向けた取り組みに協力するとともに、マングース等の外来種対策やフォーラムの開催等の普及啓発活動に取り組んでいるところであります。
 以上でございます。
○議長(髙嶺善伸) 答弁の途中でありますが、前田政明君の質問に対する残りの答弁は、時間の都合もありますので休憩後に回したいと思います。
 20分間休憩いたします。
   午後3時22分休憩
   午後3時48分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 休憩前の前田政明君の質問に対する答弁を続行いたします。
 福祉保健部長。
   〔福祉保健部長 奥村啓子さん登壇〕
○福祉保健部長(奥村啓子) 暮らし、医療、福祉問題についての御質問の中の、後期高齢者医療制度の廃止を国に求めることについてお答えします。
 国では、後期高齢者医療制度を廃止して、高齢者のための新たな制度を構築するという基本的な考え方のもとで検討を始めたところであります。
 県としましては、国の検討状況を注視してまいりたいと考えております。
 次に、高齢者の無保険状態への対応についてお答えします。
 後期高齢者医療被保険者証が未更新となっている方については、市町村において、窓口相談や電話・訪問により、被保険者証の更新に努めているということであります。
 県としましても、後期高齢者医療広域連合と連携して、必要な医療が適切に受けられるよう、今後とも被保険者の個々の状況の把握に努め、きめ細やかに相談に応じるよう、市町村に助言してまいります。
 次に、必要な介護が受けられないことに対する認識と見解についてお答えします。
 介護保険制度は、老後における介護の不安にこたえる社会システムとして広く定着してきましたが、介護従事者の確保、地域ケア体制の整備など高齢化の進展に伴い顕在化する介護の課題に対応する必要があります。
 また、今後、高齢化の進展に伴い、介護給付費が増加することが想定されますが、低所得者を初めとする利用者の自己負担額の軽減を図るとともに、各地域において高齢者の暮らしを支える地域づくりを推進する考えであります。
 次に、介護保険料、利用料の減免制度についてお答えします。
 市町村は、介護保険料の設定に当たり、低所得者への配慮ができることとなっており、第1号保険料を財源にして14保険者のうち8保険者が減免を実施しております。また、利用料については1割負担が原則ですが、低所得者等に対しては、社会福祉法人等における減免や離島地域における利用者負担額軽減などの軽減策を支援しております。
 今後とも、これらの軽減策が円滑に実施されるよう支援してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの増設についてお答えします。
 特別養護老人ホームの入所申込者数は、平成20年11月末時点で3409人、そのうち、要介護3から5の高齢者は1630人、さらにその中で介護する者が高齢などで十分な介護ができない世帯は1056人となっております。
 待機者解消のための施設サービスとして、平成23年度までに特別養護老人ホームを330床、認知症高齢者グループホームを315床、居住系サービスの特定施設を405床、合計で1050床整備することとしております。
 次に、乳幼児医療費助成制度の対象年齢拡大についてお答えします。
 乳幼児医療費助成については、子育て支援の観点からも必要な事業であると認識しておりますが、対象年齢拡大には、大きな財政負担を伴うことから、現状では難しいと考えております。
 次に、乳幼児医療費制度の給付方法の変更についてお答えします。
 乳幼児医療費について現物給付を実施すると、国は健康保険に係る国庫支出金等を減額給付する仕組みをとっており、市町村国保の運営にも影響が及びます。
 また、自動償還方式であっても、システム開発や事務委託等に係る新たな費用負担が生じることから慎重に検討する必要があります。
 次に、保育所待機児童の解消についてお答えします。
 待機児童の解消については、「保育所入所待機児童対策特別事業基金」及び「安心こども基金」を設立し、待機児童の解消に努めているところであります。
 今後とも各市町村に対し、これら基金を活用した保育所の創設等を働きかけてまいります。
 次に、認可保育園の新・増設計画と現状についてお答えします。
 平成21年4月1日現在、認可保育所数は369園で、2万9888人の定員となっております。
 保育所整備につきましては、「安心こども基金」を活用した創設や増改築等により、平成21年度は22施設の整備で670人の定員増を図り、平成22年度は29施設の整備で1051人の定員増を図る予定であります。
 次に、認可外保育施設への支援拡充と認可化促進事業の支援強化についてお答えします。
 認可外保育施設入所児童の処遇向上のため、平成12年度から「新すこやか保育事業」を実施し、児童の健康診断費、調理員の検便費、児童の牛乳代及び米代への助成と段階的に支援の拡充を図ってまいりました。しかしながら、さらなる補助の拡充については、現下の厳しい財政状況では困難と考えております。
 また、認可化促進を図る目的で設立した待機児童対策特別事業基金については、認可化支援事業の助成額を現行の700万円から3000万円に引き上げることや、平成20年度限りとされていた認可外保育施設への教材費の助成等について、平成23年度まで実施期間を延長することとなっております。
 県としましては、同基金の活用について、市町村と連携を図り、認可化促進や入所児童の処遇向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に、児童虐待の実態と県の対応についてお答えします。
 平成20年度に県の児童相談所が処理した児童虐待相談件数は408件となっており、高い水準で推移しております。
 また、今年度1月末までの相談受け付け件数は460件で、昨年同時期より17.6%の増となっており、依然として虐待相談件数の増加が続いております。
 児童虐待については、早期発見と迅速な対応が必要であり、引き続き児童相談所の体制強化を強めるとともに、警察、教育庁等関係機関との連携強化に努めてまいります。あわせて、市町村における要保護児童対策地域協議会の設置及び機能強化等を促進してまいります。
 次に、保護を必要としている人が申請、受給できるようにすることについてお答えします。
 生活保護制度は、生活に困窮する者がその利用し得る能力、預貯金、土地や家屋等の資産及び他の法律に定める扶助などによる各種施策を活用してもなお最低生活を維持できない場合に必要な保護を行うとともに、その自立を助長することを目的として適用されるものであります。
 福祉事務所等では、生活保護相談を受ける場合、生活保護の趣旨や制度を説明し、生活保護の申請意思がある方には、申請書の交付をすることになっております。
 また、保護の決定に当たっては、保護の申請者から必要な書類を提出させるとともに扶養調査等や実地調査を行い、資産、能力等を活用してもなお最低生活費の需要が満たされない場合、保護を開始することになります。
 次に、申請権を保障するように福祉事務所等を指導徹底することについてお答えします。
 福祉事務所等で生活保護の相談を受ける場合、生活保護の趣旨や制度を説明し、生活保護の申請の意思がある方には申請書の交付をすることになっております。
 福祉事務所等の窓口における対応につきましては、県としても、監査・研修会を通して助言指導をしているところでありますが、なお一層、懇切丁寧な対応をするよう指導してまいりたいと考えております。
 次に、急迫の事態の対応についてお答えします。
 病気等により急迫した状態にある者については、本人からの生活保護の申請がなくともその急迫した事由がやむまで福祉事務所等は職権により保護を行っております。
 次に、国保手帳の現状についてお答えします。
 医療保険制度は、保険料を主な財源として運営されております。市町村の国民健康保険では、滞納保険料の徴収が課題となっており、収納対策として、被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付を行っております。平成21年6月1日時点における交付件数は、資格証238件、短期被保険者証2万5650件となっております。また、被保険者証の未到達件数は8694件となっております。
 短期被保険者証の期限切れ等につきましては、期限内に窓口相談に来ないことなどにより発生しており、市町村における世帯主への働きかけが一層求められます。
 なお、資格証の交付につきましては、市町村に対して機械的な判断にならないよう生活実態を踏まえた慎重な対応を行うよう周知を図っております。
 次に、国庫負担の増額及び県の単独補助についてお答えします。
 国民健康保険は、制度に基づく国・県等の公費負担及び保険料等を主な財源として保険者である市町村の責任により運営されるものであります。したがいまして、県独自の支援を行うことは困難であると考えております。
 なお、市町村国民健康保険事業は、低所得者層及び高齢者の割合が高いという構造的に財政状況が厳しくなる課題を抱えていることから、国に対しては、全国知事会等を通して国民健康保険制度の充実強化を要望しているところであります。
 次に、生活保護世帯と同じ所得の場合の那覇市における国保税額についてお答えします。
 生活保護における生活扶助及び住宅扶助の上限額と同等の年収があったものとみなし、68歳単身世帯、夫婦・子供1人の3人世帯、母子2人世帯に関する那覇市の国保税額につきまして御説明します。
 まず、68歳単身世帯につきましては、年金収入とした場合の国保税額は、年1万5500円、月1292円となります。
 次に夫婦・子供1人の3人世帯は、夫の給与収入とした場合の国保税額は、年22万1800円、月1万8483円となります。
 母子2人世帯では、給与収入とした場合の国保税額は、年18万1100円、月額1万5092円となります。
 次に、県立浦添看護学校の存続による看護師養成についてお答えします。
 県は、民間の看護師養成所が整備されてきたことから、県と民間の役割分担を踏まえ、浦添看護学校を看護師養成所として民間に移譲する予定であります。
 平成18年度まで470人であった本県の看護師養成所等の入学定員は、名桜大学の学科新設、ぐしかわ看護学校の開校、浦添看護学校及び那覇看護専門学校の課程新設等により増加しており、現在、3大学と5養成所において720人の看護師が養成されております。
 県としましては、今後も県立看護大学を管理・運営するとともに、民間看護師養成所の運営費を補助するなどにより看護師の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立病院行政についての御質問の中の、病院事業の経営形態及び支援についてお答えします。
 病院事業の経営形態につきましては、「県立病院のあり方に関する基本構想」において、県議会決議を尊重し基本方針を定めたところであり、当該方針に基づき取り組みを進めていく必要があると考えております。
 また、再建計画に対しましては、経営再建支援分を含む繰出金の定額措置を行うことにより支援したいと考えております。
 次に、失業率の改善と雇用の確保についての御質問の中の、失業者をホームレスにしないために緊急宿泊所の確保、生活保護など緊急支援を強化することについてお答えします。
 平成21年度は、離職等の理由により住居を失った者に対して住宅手当の支給を開始したほか、生活保護の必要な者に対しては保護の適正実施に努めております。また、ホームレス等に対しては、旅館等の簡易宿泊所を借り上げて提供する「緊急一時宿泊事業」を那覇市と石垣市において実施しております。
 平成22年度においても、「住宅手当」の支給事業及び生活保護の適正実施を継続するほか、ホームレス等の「緊急一時宿泊事業」については、那覇市、石垣市に加えて県及び糸満市においても実施することとしております。
 以上でございます。
○病院事業局長(知念  清) 県立病院行政についての御質問の中の、7対1看護体制の実施と休床の解消についてにお答えします。
今回の定数改正により、南部医療センター・こども医療センターにおいては、現在、休床している45床を再開し7対1看護体制を実施することとしております。
 その他の県立病院の7対1看護体制については、医療センターでの実施状況等を踏まえて、今後検討することとしております。
 今後とも、看護師の確保に努め、休床の解消を図ってまいります。
 続きまして、無料低額診療事業の実施についてお答えします。
 現在、経営再建に取り組んでいる県立病院としては、無料低額診療事業の実施機関となることは困難であると考えております。
 以上です。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 雇用対策と産業振興の中で、農水産物加工場の設置による雇用拡大についてお答えします。
 県では、農林水産物の高付加価値化や雇用の拡大を図るため、JAや漁協などと連携し、特産物であるモズク、紅芋、熱帯果樹、薬用作物などの加工施設の整備を推進しているところであります。
 具体的には、JAおきなわのハーブセンター、グリーンフィールドのカット野菜施設、恩納村の水産物加工流通施設、東村のパイン等総合農産加工施設、今帰仁村のきのこセンターなどを整備しております。
 平成22年度には、読谷村において紅芋やニンジンの加工施設の整備を予定しております。
 今後とも、加工施設の整備を推進し、地域の経済の発展と雇用促進に努めてまいります。
 次に、地産地消を推進するための数値目標の設定についてお答えいたします。
 本県における地産地消の推進については、生産者、流通・加工業者、消費者、観光関連団体、市町村等で構成する「沖縄県地産地消推進県民会議」のもと、「沖縄県地産地消推進計画」において7つの推進方策ごとに、平成24年度を目標とした活動計画と数値目標を定めております。
 主な活動計画と数値目標としては、41市町村の地産地消推進計画の策定、年5回のホテル等との意見交換会の開催、年12回の各種農林水産物販売促進イベントの開催、100店舗の「おきなわ食材の店」登録、100名の食育推進ボランティアの登録、年1回の直売所ネットワーク会議の開催などを定めており、関係機関・団体と連携し、地産地消の推進に取り組んでおります。
 次に、普及指導員と農業大学校の充実強化についてお答えいたします。
 農業の生産振興を図るためには、担い手の育成確保とともに、生産技術の開発・普及を推進し、市場競争力や生産体制を強化する必要があります。
 このため、農業改良普及センターにおいては、普及指導員による技術研修や巡回指導、実証圃の設置等による指導を強化し、農業者の生産技術や経営能力の向上を図っているところであります。
 職員の増員につきましては、行財政改革プラン等により厳しいことから、特任主幹を配置するとともに、プロジェクトチームを編成し、生産現場で抱えている課題の解決や、拠点産地の育成及び担い手の育成を強化しているところであります。
 また、農業大学校においては、経営感覚にすぐれた農業の担い手の育成を図るため、実践的研修教育を行っております。
 平成19年度には、従来の2年課程に加え1年間の短期養成科を新設するとともに、他産業従事者等を対象とした就農サポート講座や夜間講座の実施等により、県民ニーズに即した学校運営の充実強化に努めているところであります。
 次に、自給率向上対策と制度の充実についてお答えします。
 県としては、食料自給率の向上を図るため、農林水産業振興計画に基づき、拠点産地の形成や生産基盤の整備等による生産供給体制の強化、流通・販売・加工対策の強化、耕作放棄地の再生利用による生産の拡大、経営感覚にすぐれた担い手の育成や新規就業者の育成確保など、各種施策・事業を総合的に推進しているところであります。
 農水産物の価格対策としては、野菜価格安定対策事業、肉用牛生産者補給金、国産水産物安定供給推進事業等を実施しております。
 農水産物の価格安定制度の充実強化につきましては、引き続き、全国知事会等を通して国に対して要請してまいります。
 所得補償制度については、国において、平成22年度からコメ戸別所得補償モデル事業が実施されることになっております。
 今後、モデル事業の実施状況や国の方針を注視しながら、その他の作物等も対象となるよう、関係機関と連携し対応してまいります。
 次に林道問題について、ヤンバルの林道建設及び便益計算の見直しについてお答えします。
 林道事業の費用対効果については、現在、検証及び国との調整を進めているところであります。
 今年度着工を予定している伊江Ⅰ号支線及び伊江原支線については、「沖縄県公共事業評価監視委員会」への諮問を行った上で、議会に対して説明していきたいと考えております。
 なお、他の県営5路線の費用対効果については、国との調整を行った上で、議会に対し説明していきたいと考えております。それまでの間、林道工事の着工を見合わせております。
 また、今後の林道建設については、自然環境との調和を図る必要があると考えており、ゾーニングの実施など、地元住民や県民、関係者等との合意形成を進めていきたいと考えております。
 次に、森林組合法の「員外取引」についてお答えいたします。
森林組合において、組合員以外の者に利用させる事業については、森林組合法第9条第8項の規定に基づき、員外利用として認められておりますが、総利用額の2分の1以内と制限を設けております。
 同法第9条第9項においては、第9条第8項の規定にかかわらず、組合員のためにする員内利用の遂行を妨げない限度において、国、地方公共団体等からの森林施業等を受託することができるとされております。
 このことから、組合員でない国・県からの受託事業について、員内利用の妨げにならなければ、森林組合は受託することができるとなっており、同法及び定款に基づき対応していると考えております。
 県といたしましては、今後とも森林組合の経営に対して適切な指導監督を行っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○企画部長(川上好久) 雇用対策と産業振興についての御質問の中で、農業研究センターなど試験研究機関の充実強化についてお答えいたします。
 農業研究センターなど試験研究機関では、全庁的な定数管理や予算管理が厳しさを増す中で、限られた資源を有効に活用する仕組みを構築するよう努めております。
 試験研究テーマの選定に当たっては、生産者や消費者のニーズを取り込んだ技術開発を行うため、各種団体、関係機関など155団体からの要望をもとに課題を設定し、研究員や研究予算を効率的に配分し試験研究に取り組んでおります。
 また、本年度から、産業の振興に寄与し緊急かつ重点的に解決が必要な技術問題に対処するため、「産業振興重点研究推進事業」を実施しており、熱帯果樹の沖縄県オリジナル品種の育成、菊を加害するアザミウマに関する研究などに取り組んでおります。
 今後とも生産者などの要望を踏まえ、生産者、普及員、研究員などが一体となり、課題解決に向け連携を強化していきたいと考えております。
 次に、失業率の改善と雇用の確保についての御質問の中で、市町村における臨時・非常勤職員の実態についてお答えします。
 市町村における臨時・非常勤職員数は、平成21年4月1日現在約6200人で、常勤職員を含めた総職員数に占める割合は約33%となっております。
 給与については、時給または日額等で定められており、各団体の条例等に基づき支給されております。
 各市町村においては、それぞれの団体の実情に応じ、正規職員と臨時・非常勤職員のそれぞれの役割を考慮し、法令等に沿って適正に任用を行っているものと考えております。
 以上でございます。
○土木建築部長(仲田文昭) 雇用対策と産業振興についての御質問で、県民生活に密着した公共事業の実施についてお答えいたします。
 沖縄県の社会資本整備については、沖縄振興計画に基づき、自立型経済の構築や国際交流拠点の形成を支援するための道路、空港、港湾等の整備、また、快適で潤いのある豊かな生活環境の創出を図るための公営住宅・都市公園・下水道等の整備を進めてきたところであり、今後とも必要な社会資本整備を着実に推進していきたいと考えております。
 次に、環境行政についての御質問で、埋め立てにより消失した干潟の面積についてお答えいたします。
 埋め立てにより消失した干潟の面積は、詳細な資料がないため把握できませんが、沖縄県における復帰後の県土面積は、国土交通省国土地理院の資料によりますと、平成21年10月までに約32平方キロメートル増加しており、そのほとんどが干潟を含む海域の埋め立てによるものと考えております。
 同じく環境行政についての御質問で、埋立計画の中止についてお答えいたします。
 泡瀬地区埋立事業は、干潟を可能な限り残すために出島方式としており、第Ⅰ区域埋め立て後は、干潟全体の約98%が残る計画となっております。
 本事業は、地元の強い要請に基づき実施してきたものであり、県としましては、沖縄市による土地利用計画見直し結果を踏まえた港湾計画や埋立免許の変更等の必要な手続を行い、早期に事業が再開できるよう努めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○観光商工部長(勝目和夫) 雇用対策と産業振興についての中の、公契約条例の制定についての御質問にお答えします。
 県が発注する公共工事や業務委託等の契約においては、それぞれの工事や業務等を所管する担当部局により、労働関係法令やその他の法律等について、下請業者までも含めて遵守されるよう、指導がなされているものと考えております。
 また、県独自の客観的な経費の基準を定めることについては、契約に係る業種等が広範囲にわたるため、それぞれの担当部局において判断すべきものと考えております。
 公契約条例の制定については、国の「公契約に関する基本法」の法制化の動向を見守りたいと考えております。
 次に、失業率の改善と雇用の確保についての中で、非正規雇用の実態調査と正規雇用の拡大についての御質問にお答えします。
 県では、国の毎月勤労統計調査や賃金構造基本統計調査等を活用し、非正規労働者の賃金等労働条件の把握に努めております。
 非正規労働者の労働条件の改善及び正規雇用の拡大につきましては、パートタイム労働者の待遇を改善する改正パートタイム労働法が平成20年4月に施行されており、同法の周知・啓発を図ることにより、非正規労働者の労働条件の改善に努めてまいりたいと考えております。
 また、派遣労働者を正規雇用した場合に奨励金を支給する派遣労働者雇用安定化特別奨励金など各種助成金制度について、事業主などを対象とした相談会の開催等を通して普及啓発に努めております。
 今後とも国や関係機関と連携し、正規雇用の拡大に努めてまいりたいと考えております。
 次に、同じく失業率の改善と雇用の確保について、緊急雇用対策事業の実績と対応についての御質問にお答えします。
 「緊急雇用創出事業臨時特例基金」及び「雇用再生特別事業基金」を活用し、平成22年1月末現在で、県・市町村合わせて337事業を実施し、2541人の雇用を創出しております。
 県独自の対策としては、雇いどめなどによる失業者を対象に職場訓練を行う「緊急ジョブトレーニング事業」、求職者と求人のマッチングを促進する「総合雇用対策事業」などに取り組んでいるところであります。
 これらの雇用対策を実施した結果、全国的に雇用情勢が悪化している中、本県の平成21年の完全失業率は7.5%と、前年の7.4%に対しほぼ横ばいに推移しております。
 県としては、引き続き、現下の厳しい雇用情勢の改善を図るため、雇用の場の創出や就業機会の拡大など、さまざまな雇用対策に関係機関と連携して全力で取り組んでまいります。
 以上でございます。
○総務部長(兼島  規) 失業率の改善と雇用の確保に関する質問のうち、県及び外郭団体の臨時・非常勤の実態と対応についてお答えいたします。
知事部局及び他任命権者を含めた沖縄県における平成21年6月1日現在の臨時・非常勤の職員数は5343人となっており、全職員に占める割合は18.8%となっています。
 外郭団体35団体におけるパート・アルバイトを含む臨任、嘱託員、賃金職員等の数は1245人となっており、職員数に占める割合は54.5%となっております。
 県における非常勤職員の業務は、文書受け付けや資料整理など補助的・定型的なものが主で、業務の難易度や複雑さ、責任の度合いなどにおいて常勤職員と違いがあります。県の行政事務を円滑に実施するため、常勤職員と非常勤職員がそれぞれの役割を分担しながら業務を推進しているところであります。
 以上です。
○前田 政明 では再質問を行います。
 最初に、子供の医療費の助成制度ですけれども、これは全国で37ぐらいですか、皆さんからいただいた資料では現物給付をやっている県が多いわけです。それは、ほとんど国保のペナルティーの分を県が負担をするという形でやられています。
 そういう面では、ぜひ子供たちの命を守るということで、若いお父さん、お母さんたちが生活が苦しい中で本当に早目に子供を病院に連れていくことができるということでは、全国のほとんど多数だと思いますので、もう一回部長、全国での現物給付の状況、そして九州でどうなっているかということについて、知事に御理解をいただくために御答弁をお願いしたいと思います。
 それから知事、普天間基地の問題なんですけれども、やはり知事が今何をするかというのが見えないんですね。結局は、5月までに決まるということで、この間決まっていることは私が理解するには、まずアメリカ政府が認めるもの、それから辺野古新基地建設を進めるためのアセス手続の予算、それから建設予算も別のほうにちゃんと準備されている。そして鳩山首相は辺野古は生きている、こういうことなんですね。
 そういう面で、やはり私はそういうことを見れば、いろんなところを探して結局はもうないと、辺野古というような形の流れがやはり有力じゃないのかなというふうに思いますが、そこについてまず知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 それから、そういう流れの中で、頭越しの対応はしないと政府は言っているということでした。きょうの新聞報道でもありましたが、いわゆるキャンプ・シュワブ陸上案、これを官房長官を含めて、防衛大臣を含めて協議をして、シュワブ陸上案を非公式に米国に打診をしているというのが報道されておりますけれども、これはとんでもないことでありますけれども、頭越しの対応になっているのではありませんか。
 そういう面で、傍観者的と言ったら失礼ですけれども、いわゆる知事は何をするのかと、この普天間基地の閉鎖・撤去を含めて今大きな問題になっているときに、そういう面でこのシュワブ陸上案については、非公式に打診をされているということでありますけれども、私はこれは頭越しの対応になるんではないかと思いますけれども、知事の見解をお聞きします。
 知事は、普天間閉鎖、危険除去と言ってまいりました。普天間基地の危険性の除去について、ちょっとわからないんですね。知事は具体的に何をしているのか、具体的に何をしているのか。理想論としてただ叫んでいるだけなのか、私は危険性の除去をやってほしいと訴えているだけ、これだけなのか、そういうふうにしか聞こえません。ですから、どうすれば危険性の除去になるのか、そういう面では具体的に知事の対応について県民がわかるように見解をお聞きしたいと思います。
 それから、その根本であります普天間基地の問題ですね。いわゆるその普天間基地の問題について、私は県民も含めて、今、極めて流動する歴史的な局面だと思うんですね。それは、ある面では祖国復帰運動の時期と同じような形に匹敵するような、今知事と私ども県議会、県民が一緒になれば戦後65年の苦難の基地、この問題を前へ進めることができるこういうふうに私は思うんです。それは総選挙の結果でもそうですけれども、そういう面でやはり名護市長選挙でも13年の市民のいがみ合いをなくして、やはり海にも陸にも辺野古の新たな基地は許さないという稲嶺市長が当選をしております。それで知事にも、また政府にもそのことを公約として訴えている姿に、私は本当に民意にこたえている形ではすばらしいなと思っておりますが、そういう面で知事は、この普天間基地の問題について何をされようとしているのかと。そこのところをお聞きしたい。先ほど申しましたように、私が理解する範囲では、アセスの手続も進んでいる、そういう面ではそこのところですね。それとアセスの手続は、仮に進めば4月ごろを含めて一体どうなるのかということは事務的に部長、説明してください。
 私は、このアセス手続は先ほどもありましたようにここは知事と一緒です。とんでもない、これは受け入れるべきじゃない。この評価書を受け入れたら、県民の声はもう届きませんから、そういう面で私は評価書など受け入れるべきではない。このアセスの手続はやめるべきだと。ここのところは知事、共通の認識になると思いますので、ぜひ明快な御答弁をお願いしたいと思います。
 それで、先ほど私も述べましたけれども、移設論ですね。移設先を求めるということは、私はやはりこれだけ海兵隊の乱暴な状況、世界で知られている海兵隊の事情からするとこれを受け入れるところはないと思うんですよ。だから、そういう面では移設論というのは、やはり沖縄県民の思いが全国にも伝わらない、そういうふうになってしまうと思います。そういう面では、やはり歴史を振り返ったら、知事、島ぐるみの闘いと申しますか、思想信条を乗り越えてやはり一緒にこの際民意に従って普天間基地の運用の中止、停止、そして閉鎖・撤去という形で何らかの具体的な行動をまず知事がとるべきじゃないかというふうに思います。
 御答弁をお願いします。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後4時30分休憩
   午後4時36分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 仲井眞知事。
   〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 前田議員の再質問に答弁をいたします。
 幾つかいただきましたが、4つばかり私のほうで答弁させていただきますが、まず第1に、結局辺野古に戻ってくるのではないかという御趣旨の御意見だったのではないでしょうか。そして、こういう流れがあると思うけれども、知事はどう考えるかという御質問だと思いますが、この件はよくわかりませんね、文字どおり。どういうふうになるのか、今その検討委員会でどうなっているのか、むしろ情報がありましたら教えていただきたいぐらいでございます。
 それから第2に、結局頭越しをされているのではないか。
 きょうのシュワブ陸上案で防衛大臣の何かコメントがあったそうですが、私まだ詳しく聞いておりませんが、頭越しをやられているのではないかと、これはそういうふうにごらんになればそういうことかもしれませんが、あしたまた官房長官お見えになりますし、前回といい、私、頭越しだけはだめですよというのは何度も申し上げておりますし、よく情報交換、意見交換をしっかりやっていこうということで、検討委員会の状況など、ぜひいろいろと意見交換をしたいという旨申し入れております。まだ詳しい説明を受けたことはありませんが、あしたはそういうことも含めてお見えになるのかなと期待しているところでございます。
 それから、これまで知事は一体何をしたか。
 日々の私の行動というのはマスコミに記載していただいておりますので、あの中に出ていると思いますが、いずれにしましても普天間の件につきましては、文字どおり官房長官であったり、それから外務大臣であったり、防衛大臣であったりいろんな方に、先ほどから申し上げている県外が最も望ましいというようなことを何度も何度も申し上げて、私は行動しているつもりでありますし、あわせてこれはアメリカ政府に対しても申し上げてきたつもりでおりますが、さらにこれから先、どういうことをおやりになれとおっしゃっておられるのかがまだよくわかりませんが、私は私なりに動いてきたつもりでございます。
 そして一番最後に、復帰運動の例でしたけれども、島ぐるみ闘争、島ぐるみ運動に持っていったらどうかと。
 これは、私、当時のことを無論思い出しますが、この件については、ひとつぜひ御提案として、またいろいろと教えていただければと思っております。
 以上でございます。
○知事公室長(上原良幸) 普天間の危険性除去に向けてどういう具体的なことをやってきたか、やっているのかというお尋ねだったと思います。
 知事からの危険性除去に向けた取り組みの要望に対しまして、政府では、平成20年7月に移設措置協議会のもとに「普天間飛行場の危険性の除去に関するワーキングチーム」がつくられております。その中で飛行経路に係る安全の向上でありますとか、クリアゾーンの拡充でありますとか、航空保安施設の機能向上等々の提案がなされ、それによって実施されております。現在も普天間飛行場の航跡観測調査というのをやっております。
 それから、県としては、訓練の移転等々についても検討を始めてほしいということでありましたけれども、このチームの開催も8月が一番最後でございまして、新政権発足後は開催されておりません。
 以上であります。
○文化環境部長(知念建次) アセス手続についての再質問にお答えいたします。
 まず、現段階で評価書を提出することについての具体的な動きは承知しておりません。また、先ほどもお答えしましたとおり、政府においては、現在移設先を検討中であり、その検討はゼロベースで行うとしております。さらには、評価書の手続は、法及び条例に基づく手続の一貫であることから、県としては、政府として複数の移設候補地を検討した結果として、移設先を辺野古沿岸域とする協議が整った場合に、現行計画に係る評価書の手続を行うべきだと考えておりますので、現時点でアセス手続を行うことは適切ではないと考えております。
 以上です。
○福祉保健部長(奥村啓子) 全国及び九州の乳幼児医療費助成における現物給付の実施状況についての再質問にお答えします。
 償還払いとの併用の場合も含めて現物給付方式を導入している都道府県は、平成21年4月現在、37であります。なお、九州におきましては、自動償還払いが1県、現物給付が6県というふうになっております。
 以上です。
○前田 政明 休憩。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後4時44分休憩
   午後4時45分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 前田政明君。
   〔前田政明君登壇〕
○前田 政明 私は、今、沖縄県民にとって大変重要な局面に来ているなと思います。そういう面では、やはり県知事が今何をするかと。やはり具体的に、先ほどのお話は結局は何も県民に対しては確たるものが示せないという表現じゃないかなというふうに理解をしました。
 それで、やはりこういう局面の中で、例えば前も他の議員も紹介しておりましたけれども、この沖縄返還協定の第67臨時国会への琉球政府「復帰措置に関する建議書」、いわゆる「屋良建議書」の中では、「顧みますと沖縄はその長い歴史の上でさまざまの運命を辿ってきました。戦前の平和の島沖縄は、その地理的へき地性とそれに加うるに沖縄に対する国民的な正しい理解の欠如等が重なり、終始政治的にも経済的にも恵まれない不利不運の下での生活を余儀なくされてきました。その上に戦争による苛酷の犠牲、十数万の尊い人命の損失、貴重なる文化遺産の壊滅、続く26年の苦渋に充ちた試練、思えば長い苦しい茨の道程でありました。これはまさに国民的十字架を一身にになって、国の敗戦の悲劇を象徴する姿ともいえましょう。その間大小さまざまの被害、公害や数限りのない痛ましい悲劇や事故に見舞われつつそしてあれにもこれにも消え去ることのできない多くの禍恨を残したまま復帰の歴史的転換期に突入しているのであります。」ということで、「アメリカは戦後26年もの長い間沖縄に施政権を行使してきました。その間にアメリカは沖縄に極東の自由諸国の防衛という美名の下に、排他的かつ
恣意的に膨大な基地を建設してきました。基地の中に沖縄があるという表現が実感であります。100万の県民は小さい島で、基地や核兵器や毒ガス兵器に囲まれて生活してきました。それのみでなく、異民族による軍事優先政策の下で、政治的諸権利がいちじるしく制限され、基本的人権すら侵害されてきたことは枚挙にいとまありません。県民が復帰を願った心情には、結局は国の平和憲法の下で基本的人権の保障を願望していたからに外なりません。」、「基地あるがゆえに起こるさまざまの被害公害や、とり返しのつかない多くの悲劇等を経験してきた県民は、復帰に当っては、やはり従来通りの基地の島としてではなく、基地のない平和の島としての復帰を強く望んでおります。 また、アメリカが施政権を行使したことによってつくり出した基地は、それを生み出した施政権が返還されるときには、完全でないまでもある程度の整理なり縮小なりの処理をして返すべきではないかと思います。」と。最後のところで、「ところで安保は沖縄基地を「要石」として必要とするということであります。反対している基地を必要とする安保には必然的に反対せざるを得ないのであります。」という建議書を述べております。
 私は、移設論は基地容認で、その被害を他にもたらすものだと言いました。実は、2005年の7月にここ議会で――この稲嶺県政のもとでもそうでしたけれども――少女のわいせつ事件が続く中で、この21年前の米兵に性暴行を受けた女性が、稲嶺知事に手紙を送ったことがあります。女性は、高校2年生のときに、学校帰りにナイフでおどかされて被害を受けたと。もう終わりだ、自分は死ぬものだと思ったと。
 手紙は、「20年以上の月日が流れたいまでも、私は事件による心の傷に苦しんでいます」、「米兵達は今日も我が物顔で、私達の島を何の制限もされずに歩いています。仕事として「人殺しの術」を学び、訓練している米兵達が、です。稲嶺知事、一日も早く基地をなくして下さい」と訴えていました。
 これに対して、当時の町村外務大臣は、米兵による暴行を受けた沖縄の女性のこの訴えに対して、軍隊があるからこそ日本は平和なんだと、そういう面では欠落しているというような答弁がありました。その被害者に向かって、平和が保たれている、加害者である米軍駐留の必要性を説く外務大臣、そういう面ではこういう状況でした。
 私は、岡田外務大臣が赤嶺政賢衆議院議員の質問に対して、嘉手納、沖縄を見て米軍基地がある。この米軍基地が日本を守っているんだとこういうふうに実感したということを国会の答弁で聞いてびっくりしました。私は、やはり今、連立政権が真に沖縄県民の願いにこたえるならば、しっかりとアメリカとの対等な関係を目指すというならば、こういうような沖縄県民の苦難の歴史をよく踏まえて、そしてそれをどこもやはり引き受けるところはないわけですから、今必要なことは、沖縄県民と全国の人々、世界の平和と環境を愛する人々と連帯をしていくことこそが沖縄県民の苦難を解消する道だと思います。
 そういう面で、私ども県議会でもその趣旨に基づいて、本当に歴史の審判、歴史の負託にこたえられるような選択をしていくことが必要ではないかなと。そういう面で、願わくば知事が心改めて、この基地の県内移設やむなしという態度を改めて、県民とともに前進されることを期待し、日本共産党は、県民のために県議会の皆さんとともに、基地のない平和な沖縄、米軍犯罪のない沖縄を目指して頑張ってまいりたいと思います。
 以上をもちまして代表質問を終わります。
○議長(髙嶺善伸) 以上で本日の代表質問は終わりました。
 本日の日程はこれで終了いたしました。
 次会は、22日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後4時51分散会

 
20100103000000