○議長(髙嶺善伸) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた労働委員会会長比嘉正幸君は、所用のため本日、25日及び28日から7月1日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として労働委員会事務局長平良宗秀君の出席を求めました。
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○議長(髙嶺善伸) 日程第1 乙第2号議案及び乙第3号議案を議題といたします。
各議案に関し、委員長の報告を求めます。
総務企画委員長。
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〔委員会審査報告書(条例) 巻末に掲載〕
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〔総務企画委員長 當間盛夫君登壇〕
○総務企画委員長(當間盛夫) おはようございます。
それでは、ただいま議題となりました乙第2号議案及び乙第3号議案の条例議案2件について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
委員会におきましては、総務部長の出席を求め慎重に審査を行ってまいりました。
以下、審査の過程における執行部の説明及び質疑の概要等について申し上げます。
まず、乙第2号議案「沖縄県職員の勤務時間、休日及び休暇等に関する条例の一部を改正する条例」は、育児休業、介護休業等、育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律が改正されたことに伴い関係条例を改正するものである。
主な改正内容は、第1点目に、育児または介護を行う職員の早出遅出勤務について、配偶者が常態として子または要介護者を養育または介護できるかどうかにかかわらず、職員が請求できることとする。
第2点目として、3歳未満の子を養育する職員から請求があった場合は、当該職員の業務を処理するための措置を講ずることが著しく困難である場合を除き、時間外勤務を免除する規定を新設するとの説明がありました。
本案に関し、早出遅出勤務は、育児を行う職員だけではなく、家族の介護を行う職員も対象となるのかとの質疑がありました。
これに対し、早出遅出勤務は、家族介護を行う職員も対象となるとの答弁がありました。
次に、乙第3号議案「沖縄県職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例」は、地方公務員の育児休業等に関する法律等が改正されたことに伴い関係条例を改正するものである。
主な改正内容は、配偶者が育児休業をしている場合でも、育児休業の取得及び育児短時間勤務または部分休業の取得を可能とすることであるとの説明がありました。
本案に関し、育児休業の取得状況はどうなっているか、男性職員、女性職員それぞれの取得率はどうなっているかとの質疑がありました。
これに対し、知事部局職員の育児休業取得状況は、平成19年度が180人、平成20年度が163人、平成21年度が178人となっている。平成20年度の県職員全体における男性職員の育児休業の取得は、対象者930人のうち取得者5人で0.5%、女性職員は対象者600人のうち取得者588人で98.0%の取得率となっているとの答弁がありました。
次に、男性職員の育児休業取得を進めるため、どのような取り組みを行う考えかとの質疑がありました。
これに対し、男性職員の育児休業取得を進めるためには、男性職員が育児休業を取得しやすくする環境を整備することが第一であり、そのため子育て応援プラン等を通じての子育てに関する施策の周知徹底やワーク・ライフ・バランスについての研修などにより、職員の意識改革や職場の環境づくりを行う考えであるとの答弁がありました。
次に、育児休業中の給与の支給はどうなっているかとの質疑がありました。
これに対し、育児休業中は無給であるとの答弁がありました。
以上が委員会における質疑の概要でありますが、採決の結果、乙第2号議案及び乙第3号議案の2件は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、審査の経過及び結果を申し上げましたが、よろしく御審議のほどをお願い申し上げて御報告を終わります。
○議長(髙嶺善伸) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(髙嶺善伸) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより乙第2号議案及び乙第3号議案の2件を一括して採決いたします。
お諮りいたします。
ただいまの議案2件は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(髙嶺善伸) 御異議なしと認めます。
よって、乙第2号議案及び乙第3号議案は、原案のとおり可決されました。
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○議長(髙嶺善伸) 日程第2 陳情第1号の取り下げの件を議題といたします。
お諮りいたします。
本陳情については、陳情者から取り下げたいとの申し出がありますので、これを承認することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(髙嶺善伸) 御異議なしと認めます。
よって、陳情第1号の取り下げの件は、これを承認することに決定いたしました。
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○議長(髙嶺善伸) この際、念のため申し上げます。
本日、25日及び28日から7月1日までの6日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(髙嶺善伸) 日程第3 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
池間 淳君。
〔池間 淳君登壇〕
○池間 淳 おはようございます。
自由民主党を代表して代表質問を行います。
まず、知事の政治姿勢についてであります。
(1)、11月県知事選挙への対応について。
仲井眞知事は、現場主義をモットーに、県経済のさらなる発展のため産業の振興・育成を図り、医療や福祉を充実させ、社会的弱者や子供、高齢者などに対するきめ細かい対応を進め、普天間飛行場移設問題については早期解決を政府に求めてまいりました。そして、公約で掲げた14の目標と170の施策については、そのすべてにおいて着手がなされており、大いに評価するものであります。
しかしながら、県政最大の懸案事項である普天間飛行場の移設問題については、今後、沖縄県知事としてどのように対応するか、県民の注目するところであります。この問題への対応をめぐり知事の苦悩が続くものと考えますが、一方で、仲井眞知事としては、普天間基地の移設については自身で解決したい気持ちが強いと思います。
知事、今後とも県民の先頭に立って頑張ることを期待いたしまして、次の質問をいたします。
本日は、参議院議員選挙の公示が行われました。いよいよ知事選挙の投開票も11月28日と決定をいたしております。11月に行われる県知事選挙への対応について、仲井眞知事の率直なお気持ちをお聞かせください。
(2)、鳩山前政権の評価について。
民主党最大の実力者である小沢前幹事長は、選挙に勝つことが最大の目標であり、そのためには郵政民営化法案をたった1日の審議で衆議院で強行採決という常軌を逸した暴挙にさえ出たのであります。
鳩山政権のもとで最も大きな政策であった子ども手当が去る4月から実施され、6月から全国で支給が開始されておりますが、これは明らかに7月の参議院議員選挙対策と言わざるを得ないものであります。子ども手当については、将来の子供たちへの負担増となる莫大な財源問題などが整理されず、無理に数の力で見切り発車しているのは御承知のとおりであります。
次年度以降の財源はめども立たない状況で、今年度同様の膨大な赤字国債に頼らざるを得ないと言われており、鳩山政権の跡を継いだ菅政権は、早くもマニフェストの見直しを行っております。民主党のマニフェストがいかに国の財政の実態からかけ離れたものであったかをみずから認めたものだと思います。しかも、民主党は、無駄を省き財政を見直せば公約に掲げた政策を実現する財政は出てくると言っておきながら、1年もたたないのに菅首相は消費税の導入さえ明言したのであります。我が国の政治・経済が今後どうなるかは菅新政権に引き継がれましたが、我々は今後も注視してまいりたいと思います。8カ月という短期間で幕を閉じた鳩山政権に対し、知事はどのように評価しておられますか、お伺いいたします。
ア、鳩山前政権は、鳩山前首相の発言の軽さや関係閣僚間の意見の不一致、選挙優先ばらまきが目立った。特に、普天間移設問題は迷走に迷走を重ね日米関係を悪化させ、「最低でも県外」との約束を破り辺野古へ回帰する結論を出しました。このような鳩山前政権に対する知事の御見解を伺います。
イ、子ども手当の支給は将来の子供たちへの負担増となる莫大な財源問題や、支給条件に子供の日本国内居住を義務づけていないことから起こる支給対象の問題を抱えたままスタートしておりますが、本県における対応について伺います。
ウ、高校授業料無償化について、私立高校などの支給対象を日本国内に住所を有する者としているため、日本にある外国人学校の生徒には支給されますが、海外に住む日本人高校生には支給されない矛盾が指摘されております。本県における状況はどうなっておりますか伺います。
エ、農業政策について、米農家を対象に戸別補償制度を導入した一方で、土地改良事業費の大幅削減を実施するとしております。本県農業に及ぼす影響について伺います。
(3)、尖閣諸島領有権問題について。
去る5月27日、鳩山前首相の要請で全国知事会が開かれました。報道によりますと、その席上、東京都の石原知事から鳩山前首相に、尖閣諸島で日中が衝突したら日米安全保障条約は発動されますかとの趣旨の質問をしたのに対し、鳩山前首相は、「施政権は当然日本が有しているが」としながら、「米国は帰属問題は日中間で議論して結論を見いだしてもらいたいということだと理解している」と述べたということであります。とんでもない。これは我が国の首相の発言としては極めて不適切であり、尖閣諸島は国際法上も我が国固有の領土であります。尖閣諸島の帰属問題に対する認識が疑われる発言であります。仲井眞知事はこの会議に出席しておりますが、尖閣諸島を管轄する沖縄県知事としての見解を伺います。
ア、5月27日の全国知事会において鳩山前首相は、尖閣諸島の領有権問題について、「米国は帰属問題は日中間で議論して結論を見いだしてもらいたいということだと理解している」と述べております。尖閣諸島に領土問題は存在しないと考えますが、知事の御見解を伺います。
イ、尖閣諸島周辺海域への中国や台湾の調査船や漁船の領海侵犯に対処するため、警備を強化するよう国に要請する必要があると考えますが、県の考えを伺います。
2、普天間飛行場移設問題について。
普天間飛行場の移設問題で迷走に迷走を重ねた鳩山政権が、事実上の辺野古回帰である新たな日米合意を結び、あっさり退陣してしまいました。鳩山首相が辞任にまで追い込まれた最大の要因は、普天間飛行場の移設問題であることは明白であります。
鳩山前首相は、米国、地元、連立与党の合意を得て5月末までに移設を決定すると明言、さらには移設先について腹案があると言ったり、「辺野古の海に立てば、埋め立てられることは自然に対する冒涜」と発言するなど、県民の期待を高め続けたのであります。
その結果は、5月4日の仲井眞知事との会談で、「すべてを県外というのは現実的に難しい。沖縄に負担をお願いしなければならない」と、これまでの発言を後退させ、5月23日の仲井眞知事との2度目の会談では、名護「辺野古の付近にお願いせざるを得ないとの結論に至った」と、これまでの発言から一変して県内移設を通告いたしました。
このように、鳩山前首相の普天間飛行場の移設問題をめぐる発言は、結果を見れば何の根拠もなく思いつき、場当たり的な対応であったことが明白になったのであります。首相として、トップリーダーとしての信念や見識も見られず、辞任表明で、沖縄の県外に米軍基地をできる限り移す努力をしなければならないとの思いで半年間努力をしてきたと心情を吐露した言葉がむなしく聞こえるほど、沖縄県民に不信と失望を与えたのであります。その責任は、鳩山前首相だけでなく、民主党という党としての責任もあります。日本の安全保障にかかわる重要な問題であるにもかかわらず、党の幹事長を初めとする役員は、内閣、官邸の問題として関心を示さず、内閣と党を挙げてこの問題に対処するという一体感も見られなかったことは言うまでもありません。
菅総理は、普天間飛行場の移設問題について、鳩山前首相が交わした日米合意を踏襲するとしておりますが、我々沖縄県民はこれを断じて許すわけにはいきません。
日米合意は、8月末までの代替施設の位置と工法の検討を完了することとなっているようですが、その前に地元の合意をどのようにするつもりでしょうか。日米合意の実行を急ぐ余り、沖縄県の頭越しに事を進めることは避けるべきであり、地元沖縄の声を聞く耳を持つべきであります。
そこで伺います。
(1)、普天間飛行場の移設先を名護市辺野古崎地区とこれに隣接する水域とする日米合意を菅新政権も踏襲すると表明しましたが、位置、工法等はまだ具体的に示されておりません。現在の状況と県の認識を伺います。
(2)、民主党政権は、みずから普天間飛行場を県外に移設すると約束しながら、それをほごにし、県民の怒りを買っております。その責任は政府にあると思いますが、県の御見解を賜ります。
(3)、普天間飛行場移設問題は、事実上辺野古回帰という結果になりましたが、埋立許認可権限を持つ知事としてどのように対応するのか、知事の基本姿勢を伺います。
(4)、海兵隊員8000人及びその家族9000人のグアム移転については、「代替施設の完成に向けての具体的な進展にかかっている」とし、訓練移転は、移転先の「適切な施設が整備されることを条件」としております。実際の負担軽減につながるか疑問でありますが、県の見解を伺います。
(5)、報道によれば、名護市辺野古への移設建設の可否のボールは沖縄側にあるとして、知事が明確に反対を表明すれば政府は新たな移設案を検討すると主張しておりますが、そのような主張は既に消えた辺野古陸上案の復活を念頭に置いた仮説としか考えられませんが、知事の御見解をよろしくお願いいたします。
3、基地問題について。
空軍最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプター12機が6月から4カ月間、嘉手納基地に一時配備されることで、地元では事実上の常駐化ではないかと怒りの声が上がっております。嘉手納基地にはF22A以外の外来機の飛来も多く、米軍再編に伴う日米合意で嘉手納基地所属のF15戦闘機の本土訓練移転が決められており、本来負担軽減につながるはずが、外来機飛来によりむしろ爆音被害はふえているというのが現状であります。
このため、去る5月31日には嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会が、沖縄防衛局と外務省沖縄事務所に対し嘉手納基地への外来機の飛来の中止を申し入れております。嘉手納町では、特に深夜・早朝の爆音被害により住民生活が根本から破壊されているとして改善を求めておりますが、国の対応は軟弱であり悲観材料だけが目立っているのであります。
その上、米海兵隊岩国基地所属のFA18戦闘攻撃機が数度にわたりクラスター弾を積み、沖縄近海の射爆撃場で投下したとの報道がされております。心配であります。クラスター弾は、殺傷能力が高く、非人道的兵器として国際的に全面禁止に向けた動きが進んでいるにもかかわらず、このような集束弾が沖縄近海に投下されることに地元の不安と反発が高まるのは当然であります。政府は、今のところ米側に使用禁止を求める姿勢を示していないようですが、人道的見地から問題が残ると考えますが、知事の見解を伺います。
(1)、米海兵隊岩国基地所属のFA18戦闘攻撃機が数度にわたりクラスター弾を積み、沖縄近海の射爆撃場で投下されていると言われておりますが、県の対応と国の姿勢について伺います。
(2)、空軍最新鋭ステルス戦闘機F22Aが4カ月間、嘉手納基地に一時配備されております。たび重なる配備は事実上の常駐化ではないかと思いますが、県の御見解を伺います。
(3)、キャンプ・ハンセン内で海兵隊レンジにおける実弾訓練が始まっておりますが、流弾の危険性への対応とレンジ4の撤去について伺います。
(4)、日米合同委員会で合意された騒音防止協定と国土交通省航空局の運航マニュアルとの関係について。また、二重基準との指摘についてはどうか伺います。
(5)、知事は、北部訓練場のヘリパッド移設予定地を視察しましたが、その感想と今後どのように国に対して対策を求めていくのか伺います。
4、離島・過疎地域の振興について。
本県の離島地域は小規模で狭隘な地域が多く、地理的・自然的条件から来る不利性により自立的発展のための基盤整備がおくれ、本島に比べ多くの格差が存在しております。その上、地域活性化の中核となる若者の島外への慢性的な流出により人口の高齢化が進行し、地域経済や社会活動の停滞を招いております。県や国による離島振興策に係る各種施策の実施により以前のような厳しい状況は緩和されてまいりましたが、社会資本の整備や若者の定住促進など、課題は山積しております。我が県は、多くの過疎地域を抱えており、過疎地域との振興を図ることも県政の大きな課題となっております。
このような過疎地域に対する支援対策の柱となるのが改正過疎地域自立促進特措法であります。同法は1970年に制定され、これまで3回、10年ごとに議員立法で延長されてきており、今回も改正法が成立し6年間の延長が決まりました。これまで過疎法による予算は80兆円以上に達しているようでありますが、本県の過疎地域を含め、今日まで過疎化が改善された例はないようであります。その反省から、今回の改正では従来の道路や港湾などの社会基盤施設などハード面から、医師や地域交通の確保などソフト事業に拡大しており、より地域にとって有利となっております。今後は、地域住民が何を必要としているか、施設はつくったが維持管理に長期の財政負担がかからないかなど、根本的な見直しが求められていると考えます。県においては、本県離島の多様な特色を生かした振興策の過疎地域の抜本的な対策を戦略的・戦術的に実施していくことが求められていると考えます。
そこで伺います。
(1)、2010年度で重点的に実施する離島振興策の主な事業について伺います。
(2)、離島航空の就航便燃料税や航空運賃の軽減措置と離島航路への補助制度の拡充について伺います。
(3)、改正過疎地域自立促進特措法が成立し6年間の延長が決まったが、本県過疎市町村における自立に向けた支援策について県の基本的な考えを伺います。
(4)、改正過疎特措法による支援策のあり方について、過疎市町村にとって施設整備にかかる維持管理費が長期の財政負担につながることが懸念材料となっておりますが、県の対策を伺います。
(5)、改正過疎特措法は、医師や地域交通の確保などソフト事業へも拡大しましたが、県が実施している医師確保のための医学部生等への奨学金貸与制度の活用について伺います。
(6)、自衛隊による急患空輸について、離島における急患空輸体制の整備を図る観点から制度的位置づけが必要ではないかと思いますが、知事の御見解を賜ります。
5、口蹄疫防疫対策について。
口蹄疫の怖さは、去る4月20日に宮崎県で感染が確認され瞬く間に宮崎県内に拡大し、宮崎牛ブランドを支える貴重な種牛を含め数万頭の牛や豚が殺処分されたことからもうかがわれます。国内で92年ぶりに発生したと言われた2000年の口蹄疫発生の際には、宮崎県と北海道で740頭の牛が処分されておりますが、今回は農林大臣の外遊など初動のおくれにより前回の100倍以上も対象となっており、けた違いの規模であります。まさに大きな人災であり、政府の責任は重大であります。
口蹄疫が発生した場合、その被害ははかり知れず、県の試算によれば、県内の畜産業や乳業などの関連産業を含め、損害額は640億円にも達するとしており、農家はもちろん行政や地域の負担ははかり知れないものとなります。
このため、我が自民党会派は、口蹄疫の感染力の強さから、本県においても早急な対策が必要であり、県として万全な防疫対策を講じるよう2度にわたって要請をいたしました。県においては、早速今6月定例会に口蹄疫対策関連費として8億3600万円余の補正を措置するなど、水際防止対策を最重要課題として取り組んでいることは評価をするものであります。
県の対策として、特に空港や港における消毒や県内全域の農場周辺での消毒が急がれておりますが、消毒剤は全国的に不足している状況であり懸念されるところであります。また、口蹄疫については何より風評による被害が心配されます。感染した家畜の肉は決して市場に出回ることはなく、また、仮に食べたとしても人には感染のおそれはないことから、消費者にも冷静な対応が求められます。県においては、水際防止、感染防止などの防疫対策の実施と県民に対する正確・的確な情報の提供が必要であると考えます。
そこで伺います。
(1)、本県は多くの離島を抱え観光客の出入りが多いことから、綿密な水際防止対策が求められます。本県の防疫対策について伺います。
(2)、口蹄疫は感染力が強く、一たん発症例が確認されると一気に県内・島内に蔓延することから早目の対策が求められます。畜産業者に対する指導徹底や関係機関との連携・協力体制は構築されているか伺います。
(3)、殺処分家畜がふえると広大な埋却場所が必要となりますが、本県においてこのような事態への対応は可能かどうか伺います。
(4)、口蹄疫の侵入防止のため、家畜の県外出荷や飼料などの購入先等、新たな輸入ルートの開拓とそれに伴う輸送コスト上昇分に対する助成措置を講じる必要があると思いますが、県の考えを伺います。
(5)、県内でも家畜競り市場が中止されるなど、畜産農家の経営に大きな影響を与えておりますが、その状況と対策を伺います。
(6)、競りの延期等に伴い施設の収容能力を超え緊急的な簡易施設を設置する場合、建設費用の全額補助について県の考えを伺います。
(7)、県及び市町村・農協が独自の対策を講じる場合、地域に裁量権を与えた上で財政を支援することについて県の考えを伺います。
(8)、県民に対する口蹄疫の正しい情報の提供が風評被害対策や消費者の冷静な対応につながると思いますが、県民に対する情報提供はどのように行われておりますか伺います。
6、公共事業について。
中小零細企業が多くを占める県内建設業は公共事業に依存しており、公共事業費の削減は企業の存続に直結する死活問題であります。そのため、県や建設業協会は、これまでも国や県の公共事業の発注の機会の拡大や大型工事の分割発注を要請してきており、国においては一般競争入札の参加資格条件の一部緩和など前進は見られますが十分とは言えず、受注割合はまだまだ50%程度しかないのが現状であります。県内建設業は、本県における基幹産業として県経済を牽引してきた実績と雇用の受け皿として大きく貢献しており、県経済の振興・発展を図る上で建設業の活性化は不可欠であります。
そこで伺います。
(1)、国の22年度予算で公共事業関係費が削減され、本県の道路や港湾等の社会資本整備が懸念されておりますが、沖縄振興計画が残り2年を切った中で、今後の整備計画はどうなっておりますか伺います。
(2)、全国知事会は直轄事業負担金の廃止を国に要請しておりますが、本県の場合、補助事業の事務費補助も全廃されるため県や市町村で負担がふえるとの指摘もありますが、県の試算はどうなっておりますか伺います。
(3)、県内建設業は国発注の大型工事の分離・分割発注による受注機会の拡大や米軍発注工事のボンド制度の保証金の軽減を求めておりますが、県の支援制度の創設について御見解を賜りたいと思います。
(4)、建設業の違約金に係る調停の進捗状況について。
ア、平成20年8月の調停申し立てを受けてから約2年が経過しておりますが、現在の状況はどうなっておりますか。
マスコミ情報では調停成立と報道されておりますが、調停が成立しているのであれば今議会に議案を上程して処理すべきだと思いますが、知事の御見解を賜ります。
7、病院事業について。
病院事業局では、「平成21年度から平成23年度までの3年間を経営再建期間と位置づけ、」、「不良債務及び資金不足の解消並びに経営収支の黒字化」という3つの目標を掲げ、経営再建に取り組んでおります。
報道によれば、その初年度である平成21年度の決算見込みは、収支が大幅に改善されているようであります。その陰には、県立病院の医師を初め職員の並々ならぬ努力があったものと推察いたします。
今後ともこれまでの努力を無にすることなく、県民のための病院として病院事業局一団となって、さらなる病院事業の改善に取り組んでいただきたいと思います。
そこで、次の質問をいたします。
(1)、収支が大幅に改善された主な要因について伺います。
(2)、経営再建計画の進捗状況はどうなっているか伺います。
8、不適正経理問題について。
報道によりますと、県は、昨年の会計監査報告により、平成15年から19年度の5年間で国庫補助事業に係る不適正な経理処理を指摘されております。主に会計事務手続の認識不足による予算流用や事務処理の運用ミスによるものということでありますが、指摘された国庫補助金分は国に返還することになるようであります。
その件について当時の仲里全輝副知事が会見を行い、適正な会計経理の認識が十分でなく、組織のチェック体制を見直し再犯防止に努めるとの知事談話を発表し、謝罪しております。
その後、県は、会計監査の対象とならなかった平成20年度の国庫補助事業及び平成16年度から20年度の県単独事業についても独自に調査を行っており、その結果、総額で5358万3427円の不適正な経理処理及び補助金の目的外使用が判明したということであります。
仲井眞知事は、昨年に引き続き多額の不適正な経理が確認されたことは大変残念であり、県民の皆様に深くおわびしますとのコメントを発表しておりますが、その件について伺います。
(1)、昨年、会計監査において指摘された不適正経理問題を受けて、会計監査の対象とならなかった期間の状況を県が独自で調査を行った結果に対する知事の見解を伺います。
どうぞよろしくお願いします。
○知事(仲井眞弘多) おはようございます。
池間淳議員の御質問に答弁をさせていただきます。
まず第1に、知事の政治姿勢の中で、11月の県知事選挙に係る御質問にお答えいたします。
私は、知事に就任して以来、県民の皆様、そして議員各位の御理解と御協力により、掲げました公約のほとんどは着手できたものと考えております。現段階では、公約実現に向け残る任期に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
次に、同じく政治姿勢の中で、鳩山前政権の評価に係る御質問にお答えいたします。
鳩山前総理は、昨年10月の所信表明演説において、官僚依存から政治主導・国民主導へ、また、「コンクリートから人へ」などの方針を掲げ、これまでの政治を改革するとの高い志を持って政権運営に当たってこられたと考えておりますが、政治と金や社会民主党の連立離脱などの問題があったものと認識をいたしております。
鳩山前総理は2度沖縄県に来ておられますが、それなりの思いがあったのではないかと考えております。しかしながら、普天間飛行場移設問題につきましては、当初「最低でも県外」と発言されたにもかかわらず、5月28日の日米共同発表では「代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する」とされ、県民に大きな失望と怒りを与えたことはまことに遺憾と言うほかございません。
同じく政治姿勢の中で、子ども手当への対応についての御質問にお答えいたします。
子ども手当の費用負担につきましては、平成22年度に限り従来の児童手当分の地方負担が求められておりますが、やむを得ないものと考えております。しかしながら、平成23年度以降の本格的な制度設計に当たっては、費用負担の問題も含め地方と十分協議を行うことを全国知事会と一体となって国に求めているところでございます。
なお、民主党のマニフェストでは、次年度以降の子ども手当については、財源を確保しつつ現行の1万3000円から上積みするとともに、子供にも国内居住要件を課することとしており、県としましては、その動向を注視しているところでございます。
同じく政治姿勢の中で、尖閣諸島の領土問題に係る御質問にお答えいたします。
尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国の領土であり、この同諸島の領有権問題は存在しないというのが政府の基本見解であります。
全国知事会における鳩山前首相の発言につきましては、後で外務大臣会見で岡田外務大臣が、尖閣の問題は、日本の領土問題ではない。そこは議論の余地なきことと発言いたしております。尖閣諸島は1895年に閣議決定を行い正式に我が国の領土に編入され、石垣市に地番を有する沖縄県の行政区域であります。沖縄県といたしましても、領土問題は存在しないと考えております。
次に、普天間飛行場移設問題に係る御質問の中で、日米共同発表に係る現在の状況と県の認識いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
日米共同発表によりますと、普天間飛行場代替施設の位置、配置及び工法については、本年8月末までに専門家による検討を完了させるとのことであります。
県としましては、政府が県外移設をどこまで真剣に検討したのか、そしてどのような経緯で移設先を辺野古とする日米合意に至ったのか、合理的な説明を行うべきであると考えております。
同じく普天間飛行場問題に係る御質問の中で、民主党政権が県外移設の約束をほごにしたことについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
今回の日米共同発表は、県外移設の実現に期待する県民の声がますます高まっている中で唐突に行われたものであり、県民の間に大きな失望と怒りを招いております。県といたしましても、地元の了解を経ずにこのような移設案が決定されたことはまことに遺憾であり、受け入れることは極めて厳しいと言わざるを得ません。
県といたしましては、先ほども申し上げたとおり、政府が県外移設をどこまで真剣に検討したのか、そしてどのような経緯で移設先を辺野古とする日米合意に至ったのか、合理的な説明を行うべきであると考えております。
同じく普天間飛行場移設問題に係る御質問の中で、名護市辺野古への移設の可否についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
普天間飛行場移設問題につきましては、多くの方々がさまざまな発言をされておりますが、県といたしましては、辺野古への移設案は極めて厳しいと繰り返し訴えており、県の考えは政府に十分伝わっているものと考えております。
次に、3の基地問題についての中で、ヘリパッド移設予定地の視察についての御質問にお答えいたします。
私は、去る6月7日に東村高江区の代議員との意見交換を行いますとともに、北部訓練場のヘリパッド移設予定地の視察を行ったところであります。
意見交換では、地域の皆様の率直な御意見やお気持ちを伺うことができました。今回いただいたさまざまな意見等を踏まえ、地元東村とも連携をとりながら、当該地域の自然環境や地域住民の生活に十分配慮するよう求めていきたいと考えております。
次に、口蹄疫防疫対策についての御質問の中で、口蹄疫の侵入防止対策と防疫体制についてという御趣旨の御質問にお答えしたいと思いますが、この5の(1)と5の(2)は関連いたしますので一括して答弁させていただきます。
沖縄県内の口蹄疫侵入防止対策といたしましては、第1に、県外からの家畜導入の自粛、第2に、農場への立入制限、第3に、農家への消毒剤の無料配布などによる消毒の徹底、そして第4に、空港・港湾での靴底消毒や車両タイヤの消毒などを実施いたしております。また、沖縄県口蹄疫防疫対策本部や現地対策本部を設置し、関係機関や団体等と連携をして、口蹄疫侵入防止に係る危機管理体制を強化いたしているところであります。
同じく口蹄疫防疫対策に係る御質問の中で、競り中止に伴う農家支援等についてという御質問にお答えいたします。この御質問も5の(4)と(5)は関連いたしておりますので、恐縮ですが一括して答弁させていただきます。
沖縄県における5月及び6月の競り中止に伴う影響額は、家畜の販売収入として約15億1000万円、家畜の飼料費として約1億5000万円、合計で約16億6000万円と試算がされております。このため、農家等に対する支援といたしまして、第1に、家畜の飼料代の補助、第2に、生活資金または運転資金の利子助成などに対し約1億1000万円を予備費で対応いたしております。また、6月補正予算として、第1に、家畜の飼料代の補助、第2に、生活資金または運転資金の利子助成に加えまして、新たな輸送ルートの確保のための貨物コンテナ輸送費補助など約8億3600万円を計上し、予備費、補正を合わせて総額約9億4600万円の支援を考えているところでございます。
次に、公共事業に係る御質問の中で、建設業談合事案に係る調停の進捗状況についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
建設業談合事案に係る調停につきましては、今月の21日に那覇簡易裁判所の調停委員会から調停案が提示されております。提示された調停案は、第1に、賠償率は5%とすること、第2に、連帯債務を免除し、A企業には賠償を求めないこと、第3に、分割払いを認めること、第4に、延滞金などの本債務以外の負担を免除することという内容となっております。
調停委員会は、この調停案を申立人と県の主張を聞いた上で、当事者の互譲が得られ、かつ、自治体住民の納得が得られるよう公正公平に留意して策定したとしております。
県では、この調停案を成立させるための議案を今議会に提出することといたしております。
次に、不適正経理に係る御質問の中で、不適正経理の調査結果についての御質問にお答えいたします。
昨年の会計検査院報告において、国庫補助事業に係る事務費の不適正な経理処理が指摘されましたことを受け、沖縄県では、会計検査の対象とならなかった平成20年度の国庫補助事業と、平成16年度から20年度までの県単独事業についても独自に調査を行ったところであります。その結果、総額で5358万3427円の不適正な経理処理及び補助金の目的外使用が判明しました。このように多額の不適正な経理処理が確認されたことは、大変残念なことであり、深くおわび申し上げる次第でございます。
県では、法令遵守の周知徹底、検査体制の強化を図るなど、再発防止に努めているところであります。
今後とも、職員一人一人が県民全体の奉仕者であるという高い使命を改めて肝に銘じ、適正な経理処理の徹底に努めてまいる所存でございます。
以上でございます。
○総務部長(兼島 規) 知事の政治姿勢についての質問のうち、就学支援金の在外日本人生徒への支給についてお答えいたします。
就学支援金は、日本の法律に基づき設置された教育施設で学ぶ生徒の支援が目的であるため、海外に住む日本人高校生には支給されないものと理解しております。
県としましては、法の趣旨に基づき、適切に対応していきたいと考えております。
なお、県内で就学支援金の対象として指定された外国人学校は1校で、現時点において受給資格が認定された生徒は64名であります。
以上でございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 知事の政治姿勢の中で、農業農村整備事業への影響についてお答えいたします。
国は、平成22年度予算の概算決定において、「コンクリ-トから人へ」の予算編成の基本方針のもと、農業農村整備関係予算を前年度に対し全国で37%、沖縄で39%と大幅に削減をしております。そのため、平成22年度の農業農村整備予算の確保について、去る12月に国に対し要請したところであります。
このような中、国は新たに農山漁村地域整備交付金を創設し、農業農村整備関連予算を前年度に対し全国で63%、沖縄で75%を確保しております。関係市町村は、継続地区の予算の確保や新規地区の採択について懸念をしております。そのため、農業農村整備事業の実施においては、円滑な事業執行を図るため、平成22年度完了地区と新規採択地区への予算確保を優先的に行っております。
県といたしましては、農業生産基盤の整備を計画的に進めるため、平成23年度の農業農村整備予算の確保について、市町村、JAと連携し、去る6月17日に国に対し強く要請をしているところであります。
次に、口蹄疫防疫対策についての中で、埋却場所の確保、簡易施設建設費用の全額補助、地域独自対策への財政支援及び風評被害対策についてお答えいたします。一括してお答えいたします。
口蹄疫が発生した場合、家畜伝染病予防法に基づき、感染拡大を防ぐため疑似患畜等の殺処分と埋却・焼却等が行われます。埋却地の確保につきましては、農家の所有地も含め、県有の未利用地について関係機関と連携し取り組んでいるところであります。また、家畜の簡易施設建設費や県・市町村等が独自に講じている対策費及び風評被害防止対策等については、去る6月17日に市町村・JA等と連携して特別交付税措置を含む十分な財政措置を講じるよう、国に要請しているところであります。
なお、風評被害防止対策としては、国の食品安全委員会は「口蹄疫は、人が感染することはなく、仮に口蹄疫にかかった家畜の肉を食べたり牛乳を飲んだりしても人体に影響はありません。」とする風評被害防止対策の見解を発表しております。
県といたしましては、その見解を踏まえ、新聞、テレビ、県ホームページ等に掲載して、県民に正確に情報を提供しているところであります。
次に、公共事業の拡充等についての中で、農林水産部所管の補助事業に係る事務費廃止の影響についてお答えをいたします。
国直轄事業の維持管理に係る県負担金については、平成22年度から原則廃止され、同時に公共事業に係る県や市町村の事務費も廃止されております。県や市町村の事務費廃止に伴う影響額は、県営事業で約8億円、団体営事業で約1億円と試算されております。これらの事務費については、県や市町村の単独で予算計上することになりますが、一般公共事業債の適用を受けることになっており、後年度の地方財政措置の対象となっております。
以上でございます。
○観光商工部長(勝目和夫) 知事の政治姿勢についての中の、尖閣諸島周辺海域への領海侵犯についての御質問にお答えします。
尖閣諸島周辺海域への中国や台湾の調査船や漁船の領海侵犯は、県民に大きな不安を与えるものであり、非常に憂慮すべき事態であります。
領海侵犯は、国家主権にかかわる重要な問題であり、国において県民に不安を与えないよう、安全確保に万全を期すための適切な対策を講じていただく必要があります。
沖縄県としてもこれまでに政府や衆議院外務委員会等に対し、適切な対策を講じていただくよう要望しており、今後とも機会をとらえ安全確保に万全を期すよう、国に要望していきたいと考えております。
以上でございます。
○知事公室長(又吉 進) 4月1日付で知事公室長を拝命いたしました又吉でございます。精いっぱいやらせていただきますので、御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
それでは池間淳議員の普天間飛行場移設問題につきまして、埋立許可権限を持つ知事の対応についてお答えいたします。
普天間飛行場移設問題について、今後の政府の対応としては、8月末までの専門家による代替施設の位置、配置及び工法に関する検討、日米安全保障協議委員会での合意等が行われるとされております。
政府から知事に対して埋立承認願書が提出されるのは、これらの手続を経た後となっており、現時点では移設案を受け入れることは極めて厳しいというのが県の考えでございます。
次に、グアム移転及び訓練移転による負担軽減についてとの御質問にお答えをいたします。
日米共同発表で示された沖縄の負担軽減策については、具体性に乏しく、県としては、今後、日米両政府において、具体的かつ実効性のある負担軽減策及びその道筋が示される必要があると考えております。
次に、基地問題についての御質問で、クラスター弾についての御質問にお答えいたします。
クラスター弾の使用について県の照会に対し、米軍は、運用上の理由から詳細については答えられないと回答しております。また、外務省は、米国はクラスター弾に関する条約を締結しておらず、条約上の義務は課されない。我が国も米軍による使用等を禁止する義務を負っていないとの見解を示しております。
県としましては、世界的な使用禁止の流れの中で、我が国もいわゆる「クラスター弾に関する条約」を批准していることから、米軍によるクラスター弾の使用はやめるべきであると考えております。
次に、F22Aの一時配備についての御質問にお答えいたします。
県は、今回のF22Aの展開については、あくまでも一時的なものであるとの説明を受けておりますが、米軍は、これ以上、地域住民の負担が増加しないよう万全を期すべきであると考えております。
最近の嘉手納飛行場をめぐっては、外来機の飛来が相次いでおり、依然として目に見える形での負担軽減が図られているとは言えない状況でございます。そのため、今回のF22A一時配備の通知があった5月21日、県は米軍及び日米両政府に対し、あらゆる策を講じ、騒音を初めとした周辺住民の負担軽減を図ること及び演習・訓練内容等の公表を強く要請したところでございます。
次に、キャンプ・ハンセン内の実弾訓練及びレンジ4の撤去についての御質問にお答えいたします。
沖縄防衛局によれば、米軍から、キャンプ・ハンセン内レンジ4の代替施設を5月10日から使用する旨の連絡を受けたとのことでありました。
沖縄防衛局は、当該施設の安全対策は、1点目として、射撃用建物内においては、所定の方向以外に飛ぶ弾丸を遮断し、確実に捕捉するため、標的の後方に高密度ゴム製の弾丸トラップ等を使用する、2点目として、射撃用建物内での射撃を除く他の射撃は、着弾地の方向以外には一切行わない、3点目として、同訓練場の各施設を着弾地の方向に向けて配置する、4点目として、訓練実施中に安全管理専門の担当官を配置すると説明しております。既存のレンジ4の施設については撤去の予定はなく、今後、在沖米海兵隊が管理し、実弾射撃は行われないとしております。
県としましては、これまでの経緯や地元の懸念を踏まえ、米軍は、安全対策を徹底するなど、住民の安全に最大限の配慮をすべきであると考えております。
次に、航空機騒音規制措置と運航マニュアルについての御質問にお答えいたします。
米軍施設の運用時間について、政府は、照屋寛徳衆議院議員の質問主意書に対し、「普天間飛行場が平日午後11時まで、嘉手納飛行場が24時間運用できることについて、日米合同委員会を含め、日米両政府間で合意した事実はなく、嘉手納飛行場及び普天間飛行場に係る米軍の運用については、日米地位協定及び航空機騒音規制措置に基づき、適切に行われていると認識している。」と答弁しております。また政府は、「社団法人日本航空機操縦士協会発行の運航マニュアルに記載されている米軍施設の運用時間が具体的に何を意味しており、また、いかなる情報に基づくものであるか等について承知していない。」と答弁しております。
いずれにしましても、県としては、日米両政府に対し、航空機騒音規制措置の厳格な運用により、航空機騒音の軽減を図るよう引き続き求めていく考えでございます。
次に、離島・過疎地域の振興についての御質問の中で、自衛隊による急患空輸の制度的位置づけについての御質問にお答えいたします。
離島からの急患搬送は、陸上自衛隊及び第11管区海上保安本部の協力を得て実施しております。
陸上自衛隊は、主に宮古島、石垣島及び本島周辺離島からの搬送を担っており、災害対策基本法第68条の2に基づく市町村の自衛隊派遣要請の要求及び自衛隊法第83条に基づく県知事からの災害派遣要請により搬送を実施しております。
県といたしましては、陸上自衛隊及び第11管区海上保安本部などの関係機関の協力のもと、引き続き急患搬送体制の充実強化に努めてまいります。
以上でございます。
○企画部長(川上好久) 離島・過疎地域の振興についての御質問の中で、平成22年度の離島振興に係る主な事業についてお答えします。
平成22年度の離島振興に係る主な事業は、交通体系の整備として、新石垣空港整備事業や伊良部架橋整備事業、医療の確保対策として、新宮古病院施設整備事業、離島地域の情報通信格差を是正するため、南北大東島における地上デジタル放送推進事業及び産業基盤の整備として南大東漁港の整備などが挙げられます。
県としては、離島振興を県政の重要課題と位置づけ、引き続き生活環境基盤の整備や地場産業の育成に取り組み、離島地域の活性化を図っていきたいと考えております。
次に、離島航空運賃の軽減措置及び離島航路補助制度についてお答えいたします。
離島航空路線については、航空機燃料税、着陸料及び航行援助施設利用料の軽減により運賃の低減化が図られております。さらに、離島住民については、県管理空港の着陸料の軽減措置により割引運賃制度が実施されております。離島航路については、国や市町村と協調して厳しい経営環境にある離島航路の欠損額を補助し、その維持確保に努めております。
県としましては、国や市町村と連携してこれまでの施策を推進するとともに、「小規模離島空路利用活性化事業」の実施など新たな施策の展開を図ってまいります。また、さらなる制度の拡充を国に求めてまいりたいと考えております。
次に、改正過疎法に基づく過疎地域の市町村への支援策についてお答えいたします。
本県の過疎地域においては、過疎地域自立促進特別措置法に基づく各種事業の実施により、道路やごみ処理施設等の生活基盤の整備について一定の成果を挙げてまいりました。 しかしながら、学校施設の整備のおくれや医師不足等、依然として解決すべき多くの課題が残されております。
改正過疎法においては、過疎対策事業債の対象事業が地域医療の確保や住民の身近な生活交通の確保等を図るためのソフト事業へと広げられることなど支援策の拡充が図られております。
県としましては、過疎地域の市町村が改正過疎法の制度を有効に活用し、自立に向け計画的に取り組めるよう、今後市町村において策定される自立促進計画に係る協議等の各段階において、市町村の意向を踏まえ、積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、施設整備に係る長期の財政負担についてお答えいたします。
過疎地域の市町村は、過疎地域自立促進計画に基づき、過疎対策事業債を活用して公共施設等の整備を行っております。
過疎対策事業債は、後年度の元利償還に要する経費の70%が地方交付税で措置される有利な財源でありますが、本県過疎地域の市町村はその多くが厳しい財政状況にあり、事業の実施に当たっては、初期の建設費だけではなく、将来の維持管理費や公債費の負担も十分考慮する必要があります。このため、県としましても、市町村が過疎地域自立促進計画を策定する際の協議において、後年度の財政負担を考慮し、適切に助言をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 離島・過疎地域の振興についての御質問の中の、医師修学資金貸与事業の活用状況についてお答えします。
県におきましては、平成19年度から、将来、離島等の医療機関に従事する意思のある医学生及び特定診療科を専攻している研修医に対し、修学資金を貸与し、研修修了後に一定期間、県内の離島等の医療機関で勤務してもらうこととしております。平成21年度からは、琉球大学医学部の地域枠の医学生に対しても同修学資金を貸与しております。
これまでの貸与者の実績は、平成19年度が15人、平成20年度が23人、平成21年度が24人、平成22年度が26人となっております。
以上でございます。
○土木建築部長(仲田文昭) 公共事業の拡充等についての御質問で、今後の社会資本整備計画についてお答えいたします。
沖縄県においては、沖縄振興計画に基づき県民生活の安定向上と産業経済の持続的発展を図るため、その基盤となる社会資本整備を推進してきたところであります。
県としましては、引き続き、産業の振興と国際交流拠点の形成を支援する空港・港湾の整備や都市部の交通渋滞の緩和を図るための体系的な道路網の整備などを着実に推進していきたいと考えております。
同じく公共事業の拡充等についての御質問で、土木建築部所管の補助事業に係る事務費廃止の影響についてお答えいたします。
国直轄事業の維持管理に係る負担金については、平成22年度から原則廃止され、同時に公共補助事業の事務費の補助金についても全廃をされました。ちなみに平成21年度で比較しますと、維持管理に係る負担金は約3億7000万円で、一方、事務費は約23億円となっており、その差額は約19億3000万円となっております。
同じく公共事業の拡充等についての御質問で、国発注工事の分離・分割と米軍発注工事に係るボンド等の支援制度についてお答えいたします。
国発注工事の地元企業への受注機会の拡大については、国関係機関へ要請を行っており、その結果、入札参加資格要件の緩和や分離・分割発注を行うなど、県内企業の受注機会の拡大が図られております。今後ともあらゆる機会を通して要請を行っていきたいと考えております。
また、米軍発注工事に係るボンド等の支援制度については、現在、関係部局で構成する「米軍発注工事に係るワーキンググループ」において、米軍発注機関や金融機関、建設業界等からの情報収集、受注に当たっての課題の整理を進めているところであり、これらをもとに県として対応可能な支援策の検討に取り組んでまいります。
その他の県の取り組みとしましては、昨年度から建設業者向けに「米軍工事受注契約拡大セミナー」を実施しており、今年度もセミナーの開催回数をふやすなど積極的に対応していきたいと考えております。
以上でございます。
○病院事業局長(伊江朝次) 4月1日付で沖縄県病院事業管理者に就任いたしました伊江でございます。一言ごあいさつさせていただきます。
私は、医学部卒業後、県立中部病院の研修医を振り出しに36年間、沖縄の県立病院事業に従事してまいりました。最後の11年間は、離島の中核病院の院長として離島医療の厳しさ、困難さ、そして同時にやりがいと楽しさも体験させていただきました。
県立病院再建計画の2年目に当たる本年度は、再建計画を策定し、推進された知念清前病院事業管理者の後を継いで、県立病院事業の健全化に微力ながら尽力したいと考えておりますので、今後とも皆様の御協力をよろしくお願いいたします。
それでは病院事業について、収支改善の主な要因についてお答えいたします。
平成21年度の決算見込みでは、総収益約440億3400万円に対しまして、総費用約433億4700万円となり、差引約6億8700万円の純利益となっております。前年度の純損失約22億2200万円と比較すると約29億1000万円の改善となっております。診療報酬上の各種加算の新たな取得や、薬品費の縮減プロジェクトなど、収益・費用両面での改善の取り組みと一般会計からの支援の強化により、収支が大幅に改善したものと考えております。
経営再建計画の進捗状況についてお答えいたします。
経営再建計画で掲げた3つの目標のうち、不良債務の解消については、公立病院特例債の活用により平成20年度において達成しております。経常収支の黒字化については、平成21年度において約7億4000万円の経常黒字となり、計画より早期に達成できる見込みであります。約100億円の資金不足の解消に向けては、平成21年度末で資金不足額10億8000万円となっており、計画より大幅に削減が進んでおります。
このように、平成21年度は経営再建計画初年度として経営再建が着実に進捗している状況であり、今後とも計画の達成に向けて全力で経営改善に努めてまいります。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午前11時23分休憩
午前11時24分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
嶺井 光君。
〔嶺井 光君登壇〕
○嶺井 光 自民党の嶺井光でございます。
きのうは、沖縄全戦没者追悼式がありました。菅総理の言葉に耳を疑いました。基地負担に対するお礼、あるいはアジアの安全が守られているということで感謝とか、結局、沖縄へ基地を固定化したいという菅総理の本音が透けて見えるような気がいたしております。
この関連で、議事課と執行部に事前に申し入れをしてありますので、1点だけ知事の所見を伺いたいと思っております。
参議院議員の喜納昌吉民主党沖縄県連代表の著書の中で、菅総理――当時副総理だったんですけれども――基地問題はどうにもならない。もうタッチしたくないと、こういうふうなことを言ったということが記述されております。ところが、きのうは米軍基地の負担軽減等について、真剣に取り組む、あるいは地元の声に耳を傾けるとか、こういうことを言っております。
振り返ってみると、昨年の鳩山前総理もそうでありました。言葉が軽い。「最低でも県外」と言ってきました。このことで沖縄県民は大きな期待をした。ところが、結果的に辺野古へ回帰してきた。大きな失望に変わっております。
このように菅総理のこの基地問題発言の変遷を見てみますと、つまり民主党のこの言葉の軽さという意味で去年の政権交代からマニフェストがほとんど守られてない。きのうの菅総理のこの発言等も含めて、私は全く信用できないというふうに感じております。こういうことに対する知事の御所見をまず伺いたいと思っております。
きょう、参議院選挙の公示がされました。これは私、3つぐらいまず大きな争点があるかなというふうにとらえておりますけれども、昨年の政権交代以来、数々のマニフェスト違反、あるいは普天間問題などで迷走を繰り返してきた民主党政権をどう評価するか。あるいは、無駄の削減ですべての財源を捻出すると言っていた。ところが、菅総理は消費税増税で穴埋めをするという方向転換をしている。これに賛成であるのか否か。あるいは、国会での十分な政策議論もなく、政治と金の問題も数の力で封殺。民主党の強引な国会政権運営、これに賛成なのか否か。これら等々が問われる選挙だと思っております。
民主党は、選挙区に候補者を出しておりませんが、比例があります。枝野幹事長は、この選挙の結果を重く受けとめると、こういうことも言っております。そういう意味では我が沖縄県、県民、しっかりした判断をこの選挙ですべきだというふうに感じております。
それでは、通告の質問に入ります。
まず、本県経済の将来展望についてであります。
2030年の沖縄の将来像を描いた本県として初めての長期構想「沖縄21世紀ビジョン」が策定されました。仲井眞知事は就任以来、「沖縄を発展させるには、私たちが自から考え、実行し、責任を負うという強固な気概が不可欠」だと強調してこられました。「沖縄21世紀ビジョン」はまさにその気概を現実化するものであり、「おきなわ力」が試されるものであると考えます。
本県は、3次にわたる沖縄振興開発計画により総合的な施策が展開され、道路、港湾、教育施設などの整備は復帰時に比べ格段の向上を見せております。この3次30年の振興策は、本土との格差是正に主眼が置かれていたことで社会資本の整備は大きく進んだのでありますが、一方で自立の欠如、国に対する財政依存度を高めたとの反省から、平成14年に策定された現沖縄振興計画は、沖縄の特性を生かした自立に向けた創造型の振興策へと転換したのであります。
しかし、振興計画期間も残り2年となった現在、長引く我が国経済の不況や世界的金融危機などの影響もあり、自立に向けた県経済の発展の足がかりがつかめていないのが現状であります。これからの世界経済は、アジアを中心に展開されると言われており、沖縄の地理的特性が注目され、今後の発展の可能性を高めております。本県が経済の自立を目指す上でアジアとの交流は重要な要素となってくると思われ、その意味で産・学・官の一体となった取り組みが必要であり、県民一人一人に未来を切り開くという気概が求められていると思います。「沖縄21世紀ビジョン」の基本理念を理念のまま終わらせることなく、いかに実現させるかが重要であると考えます。
そこで伺います。
(1)、2030年の沖縄の「あるべき姿」、「ありたい姿」とは経済が自立した姿と考えるが、その実現のための道筋を具体的実施計画においてどのように描いていくか伺います。
(2)、沖縄の「あるべき姿」として今後予想される大規模基地返還とその跡地利活用を県土の再編にどのようにつなげていくか、県の考えを伺いたい。
(3)、2030年の沖縄の「あるべき姿」と沖縄単独道州移行に向けた制度設計との整合性はどうか。
(4)、「沖縄21世紀ビジョン」で沖縄の将来像を描きながら、一方で10年後には財政収支で大幅な収支不足が見込まれるとしております。計画の実効性に問題はないか。
(5)、県財政の将来を展望する上で一括交付金のあり方は重要になると考えるが、県が考える沖縄振興一括交付金(仮称)について、そのねらいを伺いたい。
2、ポスト沖縄振興計画について。
本土との格差是正を基調とするキャッチアップ型の振興計画から、沖縄の特性を生かしたフロンティア創造型の振興策への転換を目指しスタートした現沖縄振興計画は、2011年度に期限が終了します。これまで振興計画に基づく施策を着実に実施したことにより、観光の大幅な伸びや情報通信関連産業が高い集積を見せ、泡盛や健康食品、おきなわブランドとして定着した農水産物の県外出荷なども堅調な推移を見せるなど、大きな成果も上げております。
しかしながら、このような成果の背景には特別措置や高率補助などの沖縄特例の支えがあったことを忘れてはなりません。本県の振興策は、振興計画に基づく施策と高率補助等の特例が合わされて大きな効果を発揮しているのであります。いまだに雇用吸収力のある企業の立地のおくれや、中小零細企業が90%以上を占める産業構造、本土との所得格差、若者を中心とした高い失業率など、依然大きな課題を抱えております。
このような本県の経済の現状から、2年後の新たな振興計画の策定は不可欠であり、「沖縄21世紀ビジョン」と連動させた新たな振興計画の策定に向け、あらゆる角度から検討・議論が求められると考えます。
以下、伺います。
(1)、2011年度に期限切れとなる沖縄振興計画の総点検について、総括と今後への課題等をどのように分析しているか。
(2)、沖縄振興計画の総点検と反省を受けて、自立型経済の構築に向けた基盤整備の具体的施策を新たな振興計画にどのように反映させていくか伺います。
(3)、新たな振興計画においても高率補助制度の維持は必要と考えるが、一括交付金導入との両立は可能であるか伺いたい。
(4)、復帰特別措置法に基づく揮発油税の軽減措置延長や酒税軽減措置の再延長について、県の基本的な考えを伺いたい。
(5)、本県の離島県としての地理的不利性の克服は、県経済の自立を図る上で不可欠であります。現振興計画においても解消されておりません。新たな振興計画を策定する上でどのように検証し解消策を打ち出していくか。
3、産業振興について。
(1)、観光振興対策について。
長く低迷が続いた国内経済もようやく上向きに転じ、ことしのゴールデンウイークには国内・海外への旅行者増で観光業界も活気を取り戻したようであります。観光は本県の基幹産業であり、自立型経済構築の柱であります。景気など外的要因に左右されない観光地づくりが大きな課題であります。これまでの観光のあり方を根本から見直し、新たな観光戦略を構築することが求められていると考えます。
以下、5点伺います。
ア、県が発表した2009年度の県内入域観光客数は、前年度比で4.1%、24万4300人減少しており、観光客1000万人誘致の目標達成には、景気などの外的要因に左右されない観光施策の根本的な見直しが必要と考えるが、県の基本戦略を伺いたい。
イ、国内観光客が減少する中、海外からの観光客は3.9%も増加しております。その要因の分析と今後の海外観光客誘致対策について伺いたい。
ウ、県は海外からの観光客誘致の強化に取り組んでおりますが、語学力にたけた観光人材の育成など受け入れ環境の整備はどうなっているか。
エ、滞在日数の長い企業などの研修・報奨旅行やスポーツキャンプ・合宿などの誘致について、県の取り組み状況を伺いたい。
オ、観光庁が検討を進めている休暇取得分散化について、本県観光に与える影響を県はどのように分析しているか。
(2)、情報通信産業の立地集積について。
自立経済の構築を目指す本県にとって、情報通信関連産業の立地集積は県経済を牽引する重点産業として地域経済や雇用の改善に大きな効果を上げております。しかし、本県についてはコールセンターの集積は相当程度進んでおり雇用創出に大きな成果を上げておりますが、ソフトウエア開発やコンテンツ制作分野などに課題があると言われているようであります。そのため、情報通信にかかわる人材確保・育成は不可欠であり、県内企業の多くが高度なIT技術を有する人材の育成・確保を初め、高度人材の育成、各種研修事業の充実を県に求めております。自立経済の構築を図るには、情報通信関連産業のさらなる立地集積が必要であり、残り2年となった沖縄振興計画のもとにおける施策の確実な実施と展開が必要であります。
以下、伺います。
ア、IT津梁パークの整備状況はどうなっているか。また、今後の整備に向けた予算獲得について伺いたい。
イ、高度情報通信産業の集積を図る上で、高度な業務を担う核となる人材の育成が重要であるが、県の情報産業核人材育成支援事業について、これまでの成果と今後の計画を伺います。
(3)、農林水産業の振興について。
亜熱帯気候という本県の優位性を生かした産地形成を図り、高品質で安心・安全な農産物の生産供給体制の整備と、本県に特化したおきなわブランドの確立が必要であります。ゴーヤーやサヤインゲン、マンゴーなど戦略品目として定着しておりますが、これらは県外産地の参入もあり、産地間競争が激化しており、おきなわブランド品目であっても安心できないのが現状であります。県に対しては、沖縄振興計画に基づく農林水産施設の施策の確実・的確な実施を望むものでありますが、本県農業の持続的な発展、農業経営の安定・活性化を図るには、何より農業従事者の確保が重要であり、特に若年層の農業回帰が緊急な課題と考えるのであります。
そこで伺います。
ア、おきなわブランドの確立と生産供給体制の強化を図るため、平成23年度までの数値目標を掲げているが、推進状況と目標達成を図る上での課題・問題点は何か。
イ、県産農産物の消費拡大を図るため、地産地消や食育の推進が重要であります。県の具体的実施事業とその成果について伺いたい。
ウ、県が1994年から久米島で実施してきた芋類の特殊病害虫アリモドキゾウムシの根絶事業で根絶宣言のめどがついたようであります。県の努力を評価し、これまでの経緯と今後に向けた取り組みを伺います。
エ、県内の農業部門への新規参入を促進することが農業後継者を確保する上で重要と考えられます。県では、今年度から新規事業の「農でグッジョブ推進事業」に取り組んでおります。その具体的取り組み内容と推進体制はどうなっているか。
オ、沖縄の青い海とヤンバルの亜熱帯の森は他県にはない観光資源であり、地域の農林水産業の活性化につながることが期待できます。国頭村安波地区での体験・滞在・交流施設の整備が推進されつつありますが、導入事業名と全体事業規模はどのぐらいか。また、施設整備後の滞在・宿泊者数の目標はどのぐらいか伺います。
カ、地球環境に優しい太陽エネルギーを利用した施設は、今後普及が進むものと期待され、特に沖縄県は適地と思われます。南城市玉城においては、農業集落排水処理施設で活用されているようであります。太陽光発電設備の環境への効果はどれぐらいか。また、今後も同様な施設整備の計画はあるのか伺います。
キ、本県の漁港漁場法に基づく漁港は88港あります。南大東漁港は珍しい掘削工法で整備され、マグロやソデイカの漁場として、また避難港として貴重であります。現在、北大東村でも漁港整備が進み、離島振興上も推進すべきであります。南大東漁港の整備状況とその整備効果はどうか。北大東漁港についての整備計画はどうなっているか伺います。
4、福祉・保健問題について。
(1)、児童虐待について。
去る6月1日、沖縄市において生後3カ月の乳児を虐待の上、死亡させたとして父親が逮捕される事件が起きております。虐待を受ける子供は、虐待を受けても親から逃げることもできず、みずからを守るすべがありません。そのため、2008年に改正された児童虐待防止法は、自治体の責任や権限を強くし、虐待のおそれのある家庭への強制的立ち入りができるようになっております。国も積極的な対応を打ち出しており、市町村、学校や警察などの関係機関と連携・強力体制を強化し、地域を含めた取り組みが必要であると考えます。
4点について伺います。
ア、児童虐待は全国的に増加傾向にあり、本県の児童虐待の相談件数の推移と死亡事件の件数について伺います。
イ、児童虐待防止法は、虐待のおそれのある家庭への強制的立ち入りを認めるなど自治体の権限を強化しております。県の児童虐待防止対策について伺います。
ウ、児童虐待防止のためには行政、児童相談所と学校や保育所との緊密な連携が重要であります。本県における協力体制はどうなっているか伺います。
エ、経済的に苦しい状況に対するはけ口として児童虐待に結びつくとの指摘もあります。このような家庭に対する地域の支援や行政の積極的なかかわりが必要と考えるがどうか。
(2)、子育て支援対策について。
全国で認可保育所への入所を待つ待機児童が2009年10月現在で4万6000人余となり、2001年度以降最大となったようであります。本県は、認可保育所に入れない児童が認可外の保育所にほぼ同数入所しており、それでも2700人もの待機児童が存在します。少子化対策は喫緊の課題であり、慢性的な保育サービスの不足を解消することが急がれております。国においても、「子ども・子育てビジョン」で今後5年間でゼロから2歳児の保育サービス利用者を、現在の24%(75万人)から35%(102万人)に引き上げる目標を掲げております。この目標が達成されれば、待機児童の解消は飛躍的に進展すると思われます。それでも財源の問題があります。国による財源措置が今後も続くのか、一義的に保育所設置の義務を負う市町村の財政問題をいかにクリアするかであります。国や県の将来を見越した大局的な観点からの支援が必要であると考えます。
そこで伺います。
ア、本県の待機児童は全国と比べても高い状況にあるが、現状をどのように分析しているか。また、国の支援策を活用した具体的施策と実績について伺いたい。
イ、待機児童解消のため、老朽化した保育所の建てかえを支援する「安心こども基金」による保育所整備計画と11年度以降の計画と資金補助はどうなるか。
ウ、認可外保育所の認可化を促進する県保育所入所待機児童対策特別事業基金について、認可化の目標数と現在までの実績、活用する上での問題点等について伺います。
エ、政府は、認可外保育所を保育ママ事業として活用する支援策を検討しているようであります。そのねらいと待機児童解消への効果について伺います。
(3)、高齢者福祉について。
ア、特別養護老人ホームの入所待機者が増加傾向にあります。県の対応について伺います。
イ、介護従事者の確保が急がれておりますが、処遇改善を含めた対策を伺います。
(4)、県内国民健康保険の財政問題について。
平成20年度の医療改正により、負担の公平化や透明性が増し、市町村国保財政の好転が期待されましたが、全国的には一定の効果は見られたものの、本県においては逆に急激な悪化を見せているようであります。本県の場合、他府県に比べ全人口に占める65歳から74歳の前期高齢者の比率が低く、前期高齢者の交付金額算定に不利に働いているようであります。このような状況に対応するため、ほとんどの赤字市町村は次年度の予算から前借りに当たる繰り上げ充当か、一般会計からの繰り入れにより財政補てんをしているということであります。このように市町村独自の国保財政健全化だけでは限界があり、国や県の制度的欠陥の見直しや積極的な支援が必要であると考えます。
そこで伺います。
ア、赤字市町村は前期高齢者の財政調整制度に係る算定方法や一般会計からの繰り入れによる運営を余儀なくされている国保制度の見直しを求めているが、県の考えを伺いたい。
イ、市町村の国保財政の厳しい現状から、国・県の抜本的な財政措置を含めた対策が必要と考えるが、県の認識を伺いたい。
5、教育・文化の振興について。
(1)、教育指導体制の充実について。
学校における教育活動は、児童生徒一人一人がこれから迎えるであろう社会生活に備え、みずからの力で主体的に対応できる資質や能力を養い、みずから学びみずから考える力をはぐくむことが重要であります。そのためには教育指導体制の充実は市町村や教育現場から大きく期待をされております。市町村の主体的な教育行政を進めるとしても、島尻教育事務所の廃止を検討しているようであるが、指導業務は教育事務所の力に負うところが大きく、むしろ充実強化すべきだと考えております。教育事務所の廃止統合は教育を軽視するものであり、絶対に容認できません。資源の少ない我が国、人材が資源と言っても過言ではありません。また、本県の真の自立は人材育成なくしてはないと思っております。
そこで4点について伺います。
ア、新沖縄県行財政改革プランで教育事務所のあり方を検討するとしております。どのような方向性を考えているのか。
イ、島尻教育事務所の廃止を検討しているようだが、教育行政の弱体化によるきめ細かな指導体制を危惧するものであります。むしろ教育事務所は充実を図るべきであると思うが、見解を伺います。
ウ、学校、地域が連携して学力向上に取り組んでいる中で教育事務所のあり方を一方的に見直すのは、地域の教育に対する士気を無視するものではないか、見解を伺います。
エ、日々の教育活動に真剣に取り組んでいる学校現場の意向はどのように反映されているか。
(2)、学習環境の整備について。
本県は、教育総合計画の基本指針となる「沖縄県教育長期計画」を策定し、「個性豊かで活力ある県づくりのため、その基盤となる人材育成に努める」としております。時代に合った教育方針の確立と積極的な教育改革の推進を通して子供たちの個性が発揮できる教育環境の整備を求めるものであります。
以下、5点伺います。
ア、県内小中校における35人以下の学級について、本県の現状と全国との比較を伺いたい。
イ、高校授業料の無償化に伴う私立高校生を対象に支給する予定の就学支援金について、本県はどのように対応するのか。
ウ、発達障害児の障害に合った指導が受けられる通級指導について、本県における対象児童数と通級指導を実施している学校数、実際に指導を受けている児童数について伺いたい。
エ、自閉症・情緒障害特別支援学級の増設や相談窓口の設置について、教育長の考えを伺いたい。
オ、公立小中校の老朽校舎改築について、これまでの実績と沖振法に基づく高率補助が切れる23年度までの改築目標の達成は可能であるか伺いたい。
6、陸上交通網の整備について。
(1)、本県の慢性的な交通渋滞の解消は、21世紀ビジョンの目玉の一つとすべきと考えるが、交通ネットワークを整備する上で鉄軌道の導入見通しについて伺います。
(2)、南部の地域振興に期待が寄せられている南部東道路の早期建設に向けて、県はどのように取り組んでいるか伺います。
よろしくお願いいたします。
○議長(髙嶺善伸) ただいまの嶺井光君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時54分休憩
午後1時20分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
午前の嶺井光君の質問に対する答弁を願います。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 嶺井光議員の御質問に答弁をさせていただきます。
まず第1に、知事の政治姿勢の中で、菅総理の信頼性についてという御趣旨の御質問なんですが、天下の民主党、大きな政党ですから私どもがどうこう言うあれでもないんですが、立派な方々はたくさんおられると思うんですけれども、印象としてこれまでの八、九カ月の感じで恐縮ですが申し上げますと、この了見がわからんといいますかわかりにくいというのが私の実感でございます。
そういうことで、重要な――政府にとっては重要でないのか――沖縄の基地問題が180度がらっと転換されて、恬として恥じないとはいいませんが、恬としているところは理解に苦しむというか、驚きであるという印象でございます。
次に、沖縄県の経済の将来展望に関する御質問の中で、経済が自立した姿の実現のための具体的実施計画いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
「沖縄21世紀ビジョン」に位置づけられました希望と活力にあふれた豊かな島の実現のためには、産業経済の活動が活発に行われ十分な雇用が確保されている状況が必要であります。
その実現のための推進戦略といたしまして、第1に、「21世紀の「万国津梁」形成」、そして第2に、「持続的発展の基礎となる地域産業の振興」、第3に、「沖縄新・リーディング産業育成」、第4に、「雇用対策と多様な人材確保」、第5に、「海洋島しょ圏を支える離島力発揮」、第6に、「大規模な基地返還跡地の活用」、第7に、「政策金融の活用」などなどについて具体的に掲げております。これらを踏まえまして、自立経済の筋道や具体的な各種施策のあり方、基本となる期間、10年程度の新たな計画やアクションプランとしての実施計画のあり方など総合的に検討してまいる所存でございます。
次に、ポスト沖縄振興計画についての中で、総点検の総括と課題等についてという御質問にお答えいたします。
沖縄振興計画等総点検では、観光産業の伸びや情報通信関連産業の集積など一定の成果があらわれていることや、社会資本の整備が着実に進み、県民の利便性が向上しているなどの評価がされております。一方で、県民所得や失業率の面ではなお課題が残されており、民間主導の自立型経済の構築は道半ばの状態にあるとの課題も提示されております。
自立型経済構築に向けました主な課題といたしましては、第1に、島嶼県ゆえの交通・輸送コストが高いこと、市場規模の狭隘さなど不利性の克服、第2に、農林水産業や製造業など持続的発展の基礎となります地域産業の戦略的な振興、第3に、観光・リゾート産業や情報通信関連産業のさらなる展開と国際貨物物流、大学院大学等を核とした新たなリーディング産業の創出、第4に、陸海空の総合交通体系を踏まえた社会資本の整備促進、第5に、国の責務としての駐留軍用地の返還促進と跡地開発及び離島の振興などであります。
県では、この総点検の結果を踏まえまして、自立型経済の構築に向けた必要な制度の創設や拡充を国に求めてまいりたいと考えております。そして「沖縄21世紀ビジョン」の実現を図る新たな計画の策定等に取り組んでまいる所存でございます。
同じくポスト沖縄振興計画に関連いたしまして、自立型経済の構築に向けた基盤整備の施策の新たな振計への反映についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
今後の社会基盤の整備につきましては、発展のばねとなる戦略的な社会基盤の整備を進める必要があると考えております。具体的には、アジア・太平洋地域の交流拠点形成に向けました空港・港湾の整備、基地跡地の整備、そして鉄軌道を含む公共交通システムの整備、離島の魅力発揮のための定住環境の整備、自然環境の再生創造整備、教育基盤の整備、保健・医療・福祉サービスの充実のための基盤の整備、農林水産業振興のための戦略的な基盤整備などが挙げられております。
新たな計画の策定に当たりましては、このような自立的発展を見据えた施策を盛り込んでいきたいと考えているところでございます。
次に、産業振興についての中で、観光客1000万人達成に向けた県の基本戦略についての御質問にお答えいたします。
沖縄県への入域観光客数は、平成22年2月から対前年比で増加に転じております。5月には過去最高を記録するなど順調に回復いたしており、沖縄観光の持つポテンシャルは依然として高いと認識いたしております。
沖縄県では、「多様なニーズに対応した通年・滞在型の質の高い観光・リゾート地の形成の実現」を基本戦略とし、観光客1000万人の達成を目指してまいりたいと考えております。具体的には、「国際的海洋性リゾート地の形成」、「体験・滞在型観光の推進」、「国内外の観光客受入体制の整備と誘客活動の強化」などに積極的に取り組んでまいります。今後ともこれらの施策を着実に実施し、付加価値の高い観光の推進や、新たな海外市場の開拓により、外的要因に左右されない沖縄観光を確立してまいりたいと考えております。
次に、同じく産業振興に係る御質問の中で、IT津梁パーク整備状況及び今後の整備についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
沖縄IT津梁パークの整備につきましては、企業集積の先導的役割を担う中核機能支援施設A棟の供用を平成21年6月に開始をしたところであります。現在5社が入居し、約100名が就業いたしております。また、A棟の約2倍の規模を持ちます中核機能支援施設B棟及びIT関連企業の円滑な進出を支援する企業立地促進センターの供用開始をことし9月に予定をいたしております。IT津梁パーク全体の規模は、今年度中に入居企業数11社、そして就業者数は最大で約800名まで拡大する見込みであります。
県といたしましては、IT津梁パークに進出する企業の誘致に今後も積極的に取り組みますとともに、高度なソフトウエア技術の開発や人材育成への支援など、IT津梁パークの魅力をさらに高める施策を展開し、高度な情報通信関連産業の集積を実現してまいりたいと考えております。
同じく産業振興に係る御質問の中で、アリモドキゾウムシ根絶事業のこれまでの経緯と今後の取り組みについての御質問にお答えいたします。
久米島におけるアリモドキゾウムシの根絶防除事業は、平成6年度から性フェロモンによります密度抑圧防除、平成10年度から不妊虫放飼法によります本格的な根絶防除事業を実施しているところでございます。現在、久米島のアリモドキゾウムシは県によります防除効果確認調査を実施いたしており、年内には国による駆除確認調査を実施し、発生がなければ来年度には根絶宣言を予定しております。また、イモゾウムシにつきましては、平成14年度から島の一部地域を対象に不妊虫放飼法によります防除を実施いたしており、今後、地域を拡大しながら防除を強化していく計画でございます。
県といたしましては、今後、久米島におけるゾウムシ類の根絶防除事業の成果を踏まえまして、事業規模拡大に向けた技術確立に努め、カンショの産地等に防除地域を拡大する計画であります。
同じく産業振興の中で、「農でグッジョブ推進事業」の取り組み内容いかんという御質問にお答えいたします。
沖縄県では、新規就農者の育成確保を図るため、平成22年度新規事業によります「農でグッジョブ推進事業」を実施いたしております。
事業の推進体制といたしましては、市町村、農業団体、農家代表で構成いたします「沖縄県農でグッジョブ推進会議」を平成22年6月に設立をし、担い手の総合的な対策を推進しているところでございます。具体的な取り組みといたしましては、第1に、農業大学校における実践的研修教育、第2に、新規就農へ誘導するためのサポート講座や夜間講座の実施、第3に、農地を持たない新規就農者に農地を提供した「チャレンジ農場」での農業実践、第4に、耕作放棄地の再生利用によります農地の確保やハウスの整備など、新規参入を促進するため、関係機関と連携をし、研修から就農定着までの支援を強化しているところでございます。
次に、福祉問題に係る御質問の中で、沖縄県の待機児童の現状及び国の支援策を活用した実績についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
沖縄県は、全国と比べて待機児童が多く、その解消を図ることが重要な課題と認識いたしております。これまで2つの基金事業を活用した保育所整備や認可化の促進等を図ってまいりました。これらの取り組みの結果、平成21年度は860人の定員増を行い、平成22年4月1日現在の待機児童数の速報値は1680人で、前年度に比べて208人減少しております。
県といたしましては、今後とも両基金の活用を図りますとともに、「沖縄待機児童対策スタディ・グループ」の提言を踏まえ、国及び市町村や関係団体と連携をし、待機児童の解消に努めてまいる考えでございます。
次に、陸上交通網の整備に係る御質問の中で、南部東道路の取り組みについてという御質問にお答えいたします。
南部東道路は、平成18年3月に南風原南インターチェンジから南城市つきしろまでの約8キロメートルが地域高規格道路の整備区間に指定され、これまで着工準備調査として予備設計や環境影響調査等を実施してきたところでございます。今後、都市計画決定など所要の手続を進め、平成23年度の本格的な事業着手に向けて取り組んでいきたいと考えております。なお、残るつきしろから知念までの約4キロメートルの区間につきましては、引き続き南城市と連携を図りながら調査を進めてまいる考えでございます。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○企画部長(川上好久) 本県経済の将来展望についての御質問の中で、跡地利活用と県土の再編についてお答えいたします。
沖縄県は、戦後、米軍基地に県土の枢要部分を占有されたことにより、生活環境、交通インフラなどさまざまな面でゆがんだ都市構造を余儀なくされてきました。このため、県としては、嘉手納飛行場より南の大規模な基地返還跡地を活用して、軌道系を含む新たな公共交通システムや骨格的道路網の整備による都市交通ネットワークの構築を進めていきたいと考えております。さらに、都市基盤整備による跡地への高次都市機能の配置、産業振興拠点の形成などにより、中南部都市圏の構造のゆがみを是正し、県土構造の再編につなげていきたいと考えております。
次に、2030年の「あるべき姿」と沖縄単独道州移行についてお答えいたします。
沖縄における地域主権と道州制のあり方については、「沖縄21世紀ビジョン」の克服すべき固有課題の中で、自治権の拡大や高い自由裁量のもと、経済発展のための成長のエンジンにつながる制度設計等が重要であると提示しているところであります。また、道州制については、税財政制度の設計、全国知事会の基本原則、沖縄道州制懇話会の提言等を踏まえる必要があります。これらのことから、沖縄における道州制のあり方については、沖縄の地理的特性、歴史・文化、県民の帰属意識を基本に、離島振興や基地問題など沖縄固有の諸課題の解決、沖縄の発展可能性の追求、「沖縄21世紀ビジョン」の実現の観点から、検討していく必要があると考えております。
次に、ビジョンの将来像を描きながら、10年後には大幅な収支不足が見込まれるが、計画の実行性についてお答えします。
国・地方を問わず厳しい財政状況が続く現状にあって、県民が求める20年後のビジョンの将来像を実現するためには、これまで以上に「選択と集中」による施策・制度の優先順位を徹底し、ビジョンや総点検で示された新たな視点に立ち、島嶼経済の不利性を払拭し、沖縄の潜在力を引き出す諸施策の展開を進め、成長のエンジンを組み込んだ力強い自立経済の構築を目指す必要があります。具体的には、まず基盤整備においては、発展のばねとなる戦略的な社会資本の重点的な整備を図り、産業面では、地域産業の振興、観光・リゾート産業や情報通信関連産業のさらなる展開と新たなリーディング産業の創出を目指すとともに、民間活力の発揮を促す産業支援制度の充実や雇用の拡大につながる新たなビジネスの展開による税源の涵養を図り、これらを支援する政策金融制度の維持・拡充など、主要な政策課題の設定とそのための手法を検討し、活力ある経済社会の構築に取り組む必要があると考えております。
次に、県が考える沖縄振興一括交付金(仮称)のねらいについてお答えいたします。
政府が取り組んでいる一括交付金化は、いわゆる「ひもつき」を排除し、使途を限定しない自由度の高い性格のものを目指しており、このことは全国知事会においても評価されているところであります。また、本県としても、地方みずからが創意工夫を発揮でき、地域の活性化につながるものとして大いに期待をしているところです。しかしながら、一括交付金の配分において人口や面積といった指標で配分された場合、本県が必要とする各種施策を実施するための予算の確保が困難になることが懸念されます。そのため、県としては全国的な制度に基づく予算配分方法とは区分し、沖縄振興特別措置法による「予算の一括計上方式」の継続及び「高率補助制度により措置されている予算の総額確保」を目的に、「沖縄振興一括交付金(仮称)」の創設を求めております。
次に、ポスト沖縄振興計画についての御質問の中で、高率補助制度の維持と一括交付金の両立についてお答えします。
政府においては、平成23年度よりいわゆる「ひもつき補助金」を廃止して、一括交付金化するとしていますが、制度の具体的内容については現状においてはまだ十分には明らかになっておりません。
県としては、今後の本県振興等に係る財源の確保の観点等から「予算の一括計上方式」の継続及び「高率補助により措置されている予算の総額確保」のため「沖縄振興一括交付金(仮称)」の創設を求めているところです。
次に、新たな振興計画を策定する上での地理的不利性の克服のための検証と解消策についてお答えします。
本県は、広大な海域に多数の離島が存在することや本土から遠隔地にあることから、物流・交流コストが高いこと等の島嶼経済の不利性を有しています。このため、新たな計画の策定に当たっては、今後の自立的発展を見据え、不利性を検証し、物流コストの低減策など競争条件の整備を図るとともに、発展のばねとなる戦略的な社会基盤の整備を図り、本県の豊かな自然環境や伝統文化、豊富な若年労働力、アジアの中心に位置する地理的優位性など、本県の持つさまざまな特性を最大限発揮し、民間主導型の自立型経済の確立を目指し取り組んでまいります。
次に、陸上交通網の整備についての御質問の中で、鉄軌道導入の見通しについてお答えいたします。
県土の均衡ある発展、交通渋滞の緩和、基地跡地の整備、観光振興、環境負荷の軽減を図るためには、鉄軌道の導入を含めた県内公共交通の基本的なあり方を検討する必要があります。
県においては、昨年、中南部都市圏における新たな公共交通システムを調査し、その課題と可能性について整理しております。また、国においても鉄軌道に関する調査が今年度から開始されることになっております。
鉄軌道導入については、県民の利便性が向上する反面、建設コストや維持コスト等の問題もあることから、県では、国が行う調査も参考にしながら、今年度から行う「沖縄県総合交通体系基本計画」の見直しの中でさらなる検討を進めてまいります。
以上でございます。
○観光商工部長(勝目和夫) ポスト沖縄振興計画についての中で、酒税軽減措置の再延長に対する県の基本的な考え方についての御質問にお答えします。
復帰特別措置法に基づく酒税軽減措置の再延長については、酒造業界と意見交換を継続的に実施しているところであります。酒造業界としては、景気低迷等による出荷数量の減少や県外メーカーとの競争激化など、その経営環境は厳しくなっており、再延長は必要であるとしております。他方、同措置が本土復帰に伴う激変緩和措置であり、平成24年5月末として40年間にわたり継続されていることなど、その制度趣旨等を勘案した場合、再延長については非常に厳しいものがあると認識しております。
県としては、今後、前回延長以降における酒造業界の自立に向けた取り組みや酒造事業者の経営状況及び酒税軽減措置が終了した場合における県民生活や県経済への影響等の検討を行い、同措置に対する県の考え方を取りまとめていく考えであります。
次に、産業振興についての中で、海外からの観光客がふえている要因と今後の対策についての御質問にお答えします。
平成21年度外国人観光客の入域は、チャーター便や不定期クルーズ船の寄港回数増加などで過去最高となりました。今年度は、ビジットおきなわ計画で「沖縄インバウンド強化年」と位置づけ、10カ国語に対応した観光情報サイトの運営、重点地域におけるプロモーションの強化、チャーター便の支援なども行ってまいりたいと考えております。また、成都、タイ、シンガポール、フランスに委託駐在員を新たに配置したほか、香港と上海の事務所に現地スタッフ1名を増員しており、現地での事業展開も一層強化してまいります。
次に、同じく産業振興の中で、外国人観光客の受け入れ環境の整備についての御質問にお答えします。
沖縄県では、外国人観光客の受け入れ環境の整備を図るため、接客方法セミナーやボランティア通訳セミナーの開催、観光関連施設への外国人受け入れアドバイザーの派遣等を行っております。また、平成19年度から沖縄県地域限定通訳案内士制度を導入し、現在63名が登録しております。そのほか、市街地などに多言語表記の観光案内板の設置等を行っております。また、今年度ITを活用した外国人観光客への情報提供やコールセンターによるサポート等を行うモデル事業を実施いたします。
沖縄県としましては、今後も外国人観光客の利便性向上のため、関係団体等と連携して、全県的な受け入れ環境の整備に努めてまいります。
同じく産業振興の中で、MICEの誘致についての御質問にお答えします。
県では、企業の実施する研修や報奨旅行、またスポーツキャンプや合宿などについては、付加価値の高い旅行と位置づけ誘致に取り組んでおります。企業が実施する報奨旅行(インセンティブツアー)の誘致については、旅行社などとタイアップしたセミナーを開催するほか、ツアーが実施された場合には、大会会場等への芸能派遣などによる支援を行っております。また、スポーツキャンプなどの誘致については、県内外スポーツ大会での沖縄のPRやキーパーソンの招聘など、国内外関係団体への誘致活動を行っているほか、プロ野球キャンプの歓迎ムードの盛り上げなどを行っております。
同じく産業振興について、休暇取得分散化の沖縄観光に与える影響についての御質問にお答えします。
沖縄観光の持続的発展を図るためには、季節変動の少ない通年型の観光を実現していく必要があります。
休暇の取得分散化は、ゴールデンウイークなどの特定時期への集中を緩和し、需要の平準化や高価格や混雑を敬遠していた新たな層の需要開拓など、沖縄観光に幅広い効果が期待されます。一方で、制度の導入により、企業の経済活動や学校現場への影響が懸念されていることから、今後は国の検討状況の推移を見守っていきたいと考えております。
同じく産業振興について、情報産業核人材育成支援事業の成果と今後の計画についての御質問にお答えします。
沖縄県の情報通信関連産業の振興を図るためには、県外から大規模かつ付加価値の高いシステム開発等の業務を積極的に受注することが重要であり、受注業務の中核となる高度なスキルを備えた人材が必要不可欠であります。このため県におきましては、平成19年度から、信頼性・生産性の高いシステム開発やテスト業務を行うことができるプロジェクト・マネジャーやブリッジSE等を育成するため、情報産業核人材育成支援事業を実施しております。平成19年度から21年度までの3年間で399の講座を開設し、延べ4029名が受講しており、企業の即戦力となる人材の育成に大きな効果を挙げているものと考えております。
今後とも、県内企業のニーズを把握しながら、より実践的・効果的な核人材育成プログラムを拡充していきたいと考えております。
以上でございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 産業振興の中で、農林水産業振興計画の進捗状況と課題についてお答えします。
農林水産業振興計画における主な指標の進捗状況について、平成23年度の目標値と比較すると、ゴーヤー、菊、マンゴーなどの戦略品目の拠点産地は、142地区に対して、平成21年度までに75地区を認定し、進捗率は53%、農業産出額は1300億円に対して、平成20年度は920億円で進捗率は71%、認定農業者は3000経営体に対して、平成21年度2927経営体で進捗率98%、かんがい施設整備率は49%に対して、平成20年度までの整備率は39%で進捗率80%、圃場整備率は72%に対して、平成20年度までの整備率は52%で進捗率72%、町と村の交流人口は、100万人に対して、平成20年度109万6000人で進捗率110%などとなっております。
農林水産業振興計画の目標達成に向けた課題といたしましては、農業の高齢化の進行、後継者の減少、耕作放棄地、価格の低迷等があります。そのため、県といたしましては圃場やかんがい施設の整備等の生産基盤の整備、耕作放棄地の再生利用による農用地の有効利用と生産の拡大、農業大学校における実践的な教育や新規就農を促進し、就農定着まで一貫した支援を行う「農でグッジョブ推進事業」など担い手育成対策の実施、量販店等へのフードアドバイザーやコーディネーター配置による地産地消の推進、海ブドウなど県産水産物ブランドの構築のための「おきなわ型つくり育てる漁業推進事業」の実施など、各種施策・事業を総合的に推進しているところであります。
同じく地産地消と食育の成果についてお答えします。
県においては、地産地消や食育を推進するため、「沖縄県地産地消推進計画」等に基づき、関係機関と連携し、地産地消推進強化事業や県産農産物販売促進事業を実施しております。その成果といたしましては、22市町村における地産地消推進計画の策定、35店舗の「おきなわ食材の店」の登録、親子料理教室及び農業体験の実施、地産地消シンポジウムの開催、ファーマーズマーケットの設置、フードアドバイザーと地産地消コーディネーターの配置などとなっております。
今後とも、「沖縄県地産地消推進計画」等に基づき、県産農産物の消費拡大を図るとともに、平成22年度は地域の特色ある農産加工品の掘り起こしを行い、付加価値を高める食品加工モデルの構築にも取り組んでまいります。
同じく国頭村安波地区の体験・滞在・交流施設についてお答えします。
「やんばるの森」と呼ばれる貴重な亜熱帯の森林資源の魅力を生かし、農林水産業と連携する体験・滞在・交流を進めるには、農村の振興を図る上で重要であると考えております。そのため、国頭村安波地区において平成20年度から平成24年度までに農山漁村活性化プロジェクト支援交付金により、事業費約2億5000万円で自然環境等活用交流学習施設の整備などを進めております。本施設は、延べ床面積約600平方メートル、宿泊室・調理室など収容人数76名の規模で、年間延べ4000名程度の利用を見込んでおります。
県としては、今後とも農山漁村の資源を活用した都市・農村体験交流活動を積極的に支援してまいります。
同じく太陽光発電の環境への効果、今後の整備計画についてお答えいたします。
南城市においては、平成17年度から18年度にかけて2地区の農業集落排水処理施設に太陽光発電施設を整備しております。
当該発電施設の環境への効果については、平成21年度実績で二酸化炭素排出削減量が約110トン、これを森林面積に換算すると約15ヘクタールで奥武山野球場の約18個分の効果となっております。平成22年度以降の太陽光発電を備えた農業集落排水処理施設整備は、宜野座村ほか4市町を予定しております。
同じく南大東漁港の整備状況と効果及び北大東漁港の整備計画についてお答えいたします。
南大東漁港は平成元年度から整備し、平成12年11月に一部供用開始をしており、平成23年度の完成を目指しているところであります。
南大東漁港の整備効果としては、地元漁船が25隻から34隻に増加したこと、漁船の大型化により陸揚げ量が42トンから98トンに増加したこと、漁船の避難・休憩利用が増加したことなどが挙げられます。また、北大東漁港については、平成21年度に工事を着手しており、平成26年度までに地元漁船等の利用ができるよう整備を進めてまいります。
以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 福祉問題についての御質問の中の児童虐待について、答弁に入ります前に、今回沖縄市で発生した虐待事件により、昨年に続いて幼い子供の命が奪われたことにつきましては、非常に残念なことであり、改めて亡くなられたお子さんの御冥福をお祈りいたします。
それでは御質問の児童虐待の相談件数の推移と死亡事件の件数についてお答えいたします。
県の児童相談所が処理した虐待相談処理件数は、平成17年度が451件、18年度364件、19年度440件、20年度408件、21年度が435件となっており、年度による増減はありますが、高どまりの状況となっております。また、21年度に市町村が処理した児童虐待相談件数は703件となっており、児童相談所と市町村を合わせた件数では1138件となり、これまでで最も多くなっております。
次に、本県における児童虐待による死亡事件につきましては、平成12年の児童虐待防止法の施行以後5件発生しております。
次に、県の児童虐待防止対策についてお答えします。
児童虐待防止法に基づく虐待防止対策につきましては、児童虐待の通告等を受けた場合の「安全確認」、虐待のおそれがある場合の「立入調査」、これらを行う際の管轄警察署長に対する「援助要請」などを行っております。本県における平成21年度のこれらの対策の実施状況は、安全確認が435件、立入調査が2件、援助要請が4件となっております。また、児童の安全確保のために必要と認められる場合には保護者の同意がなくても虐待を受けた児童を一時保護しており、当該件数については、21年度で105件となっております。
次に、児童虐待防止のための学校や保育所との協力体制についてお答えします。
児童虐待の防止や早期発見のため、市町村では要保護児童対策地域協議会を設置し、福祉、保健、医療、教育、警察等の関係機関が連携して取り組んでいるところであります。同協議会の構成員には、学校や保育所等の現場の関係者も含まれるほか、管轄する児童相談所も参加しており、保護や支援を必要とする児童について情報の共有等を図っております。また、今年度からは学校及び保育所から市町村または児童相談所へ、虐待ケースとなっている児童等について定期的な情報提供を行うこととしており、現在、情報提供の具体的な実施方法等について関係機関との調整を進めております。
次に、経済的に苦しい家庭に対する地域の支援や行政の積極的なかかわりについてお答えします。
県では、生活に困窮している世帯に対する生活保護や、母子家庭等への児童扶養手当の支給、医療費助成などによりこれらの家庭への経済的支援を行っております。
また、児童虐待防止の観点からは、行政の関与や地域の支援を必要とする家庭を早期に把握し、具体的な支援につないでいくことが重要であると考えており、市町村で実施している乳児家庭全戸訪問事業等により支援が必要な家庭を把握し、要保護児童対策地域協議会等を通じて各種支援を行っているところであります。
次に、安心こども基金による保育所整備計画と平成23年度以降の計画等についてお答えします。
平成22年度の安心こども基金を活用した保育所整備については、創設や増改築等による29施設の整備で1020人の定員増を図る予定としております。しかし、同基金による保育所整備の実施期限が平成22年度末となっており、引き続き待機児童の解消を図る上で、平成23年度以降も保育所整備に要する同様な財源措置が必要と考えております。
県としましては、九州知事会等を通じて国へ基金実施期限の延長と十分な財源措置を要望することとしております。
次に、保育所入所待機児童対策特別事業基金の認可化の目標数等についてお答えします。
同基金の活用により平成21年度は1施設を認可化し、60人の定員増を図りました。本基金の施設整備の上限額などの補助要件について、活用しづらい面があるとの意見があり、700万円から3000万円に引き上げを行ったところであります。これにより、平成23年度までに20施設を認可化し、1200人の定員増を図る予定としております。
県としましては、同基金の活用について市町村と連携を図り、認可化の促進に努めてまいります。
次に、認可外保育施設を保育ママ事業として活用する支援策についてお答えします。
今回まとめられた「沖縄待機児童対策スタディ・グループ」の提言書において、今後の対応の方向性と具体的施策の例として、「認可外保育施設を活用した家庭的保育(保育ママ)の共同実施」が挙げられております。保育需要の増加に対応するため、認可外保育施設の一部を「保育ママの共同実施施設」として位置づけ、「保育ママが複数人集まる形式で家庭的保育を実施することを検討する。」となっております。
県としましては、保育ママの共同実施が待機児童解消策の一つとして考えられることから、実現可能性について国及び市町村や関係団体と協議を重ねてまいります。
次に、特別養護老人ホーム入所待機者への対応についてお答えします。
特別養護老人ホームの入所申込者数は、平成20年11月末時点で3409人、そのうち要介護3から5の高齢者は1630人、さらにその中で介護する者が高齢などで十分な介護ができない世帯は1056人となっております。
待機者解消のための施設サービスとして、平成23年度までに特別養護老人ホームを330床、認知症高齢者グループホームを315床、居住系サービスの特定施設を405床、合計で1050床整備することにしております。
次に、介護職員の確保と処遇改善対策についてお答えします。
介護関係職種の平成20年度有効求人倍率は、全国が2.2倍、沖縄県が0.68倍となっており、介護職員の供給は全国より高い状況にあります。また、平成21年10月から実施されている介護職員処遇改善交付金事業を県内の8割の事業所が実施しており、介護職員の処遇の改善が図られているものと考えております。
なお、同事業は平成23年度までとされておりますが、国は平成24年度以降も介護職員の処遇改善に取り組んでいくとの方針を示しており、沖縄県も九州各県と連携し、介護職員のさらなる処遇改善を国に要望することとしております。
次に、国保制度の見直し及び国・県の財政措置を含めた対策について一括してお答えいたします。
市町村国民健康保険事業は、低所得者層及び高齢者の加入割合が高く、医療費の増嵩に対し十分な保険料収入が確保されにくいという財政面での構造的な課題を抱えていることから、国に対しては、全国知事会等を通して国民健康保険制度の充実強化を要望しております。また、市町村国保を支援するため、国においては、財政基盤強化策が平成22年度から25年度までの4年間継続実施されており、県では、県調整交付金や保険基盤安定制度等に基づき、平成22年度当初予算においては140億2109万6000円を計上しております。
以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは教育・文化の振興についての御質問で、教育事務所の見直しの方向性についてお答えいたします。
教育事務所の見直しについては、地方分権の進展等に伴う市町村合併の流れの中、市町村において主体的に地域の実情に応じた教育行政を推進していくことが期待されていることを踏まえ、これまでの教育事務所のあり方を検討するものであります。
具体的には、現在教育事務所で実施している事務事業の見直しを進めるとともに、市町村教育委員会における主体的な行政運営を促進しつつ県の支援体制を見直すものであります。
次に、教育事務所の指導体制の充実についてお答えいたします。
教育事務所の見直し方針においては、各教育事務所の事務事業の見直し等も含め検討することとしております。その中で、那覇教育事務所及び島尻教育事務所の統合も検討することとしております。検討に当たっては、近年、市町村において地域の実情に応じた教育施策が展開されることが一層重要性を増していることから、市町村の自主性を尊重しつつ、引き続き県教育委員会として必要な支援が確保できるよう努めてまいります。
次に、一方的に見直し、現場の意向は反映しないのかについて一括してお答えいたします。
教育事務所の見直し方針は、今後の教育事務所のあり方に関する方向性を示したものであり、具体的な見直しの検討に当たっては、市町村教育委員会等との調整も図ってまいりたいと考えております。
次に、35人以下学級における沖縄県と全国との比較についてお答えいたします。
平成21年度学校基本調査によりますと、県内公立小学校において35人以下となっている学級数の占める割合は84.9%、中学校では49.9%となっております。また、全国の状況については、小学校で87.8%、中学校で69.5%となっております。
次に、発達障害児の通級指導等についてお答えいたします。
平成21年10月に実施した県教育委員会の調査によりますと、平成22年度通級指導教室対象児童数は131名であります。平成22年5月1日現在、通級指導を実施している学校数は、小学校26校で、通級児童数は120名となっております。
次に、自閉症・情緒障害特別支援学級の増設と相談窓口の設置についてお答えいたします。
自閉症・情緒障害等に係る特別支援学級の設置につきましては、国の「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」及び沖縄県公立小学校・中学校特別支援学級設置要綱等に基づき、県教育委員会と市町村教育委員会が協議の上、適切な対応に努めているところであります。
情緒障害等に係る相談窓口につきましては、全小中学校や県立総合教育センター、地域の特別支援学校において開設されており、特別支援教育コーディネーターや担当職員が対応をしております。
県教育委員会としましては、関係機関等に相談窓口案内ポスターや理解啓発リーフレット等を配布して周知に努めているところであります。
次に、公立小中学校の老朽校舎改築についてお答えいたします。
公立小中学校の老朽校舎等の改築は、沖縄振興計画に基づき重点的に実施してまいりました。その整備目標は、塩分濃度規制が施行された昭和53年度以降に建築された校舎等の保有率を指標としております。平成13年度の基準年においては、昭和53年度以降の建物が小中学校で83%保有しており、沖縄振興計画が終了する平成23年度末の目標を93%としております。
事業の実績は、計画期間中の平成21年度までに約19万平米の改築を実施し、平成21年5月現在の保有状況は90.4%に改善されております。また、計画終了後は93.5%程度と見込んでおり、目標の93%を達成できるものと考えております。
県教育委員会としましては、引き続き平成24年度以降においても高率補助等の財源措置を要望するため、今後関係部局と調整を図っていきたいと考えております。
以上でございます。
○総務部長(兼島 規) 教育・文化の振興の質問のうち、就学支援金に係る県の対応についてお答えいたします。
私立高校生等に支給される就学支援金は、本人または保護者等からの申請に基づき県が支給を決定し、代理受領者である学校設置者に対し交付することとなっております。
県では、本年度の当初予算に約7億1800万円を計上し、現在支給のための手続を進めているところであります。
以上です。
○企画部長(川上好久) 先ほどの答弁で答弁漏れがございましたので、おわびして答弁させていただきます。
ポスト沖縄振興計画についての御質問の中で、揮発油税軽減措置及び酒税の軽減措置の延長についての御質問の中で、揮発油税軽減措置の延長についてお答えをいたします。
鉄道網がなく、主要な交通手段が自動車である本県においては、揮発油税の軽減措置が終了することにより、特に離島住民を初め県民生活全般に与える影響が大きいことから、延長について関係機関と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○仲村 未央 それでは、社民・護憲ネットを代表いたしまして質問を行います。
沖縄の負担が変わらなければ、「ヤマトゥンチュとウチナーンチュの差別と受け取られても申し開きようもない」、このような言葉を昨日の全戦没者追悼式追悼の辞で、横路衆議院議長が述べられています。
菅内閣が発足した直後の全国世論調査で、米軍普天間飛行場を沖縄県内で移設することに過半数が賛成という結果が出ました。より多数の本土の日本人は、遠く離れた辺境の島である沖縄を、提供さえすればまくらを高くして寝ていられるのだから、最大の利益を確保するためにしようがない犠牲だと考えているのでしょうか。
24万余りの柱の前で総理から発せられた基地負担のお礼と、同日、アメリカの下院で日米安保条約発効50周年、これを記念して基地を受け入れている沖縄への感謝の決議がなされた。押しつけられた側の痛みを本質的なところで理解をしていないからこそこんな無神経な言葉が出てくるのでしょう。
本土並みを掲げた復帰の約束はいまだ果たされていません。戦後はまだ終わっていない。繰り返し繰り返し裏切られて、県民は今、また屈辱を味わっています。
政権内において沖縄県民の民意に沿う形での解決を求めた社民党を切ったからといって、問題が消えてなくなるわけではありません。ましてや総理の交代で支持率が回復したからといって、県民が納得するわけがありません。
知事は、繰り返し180度変わったとして民主党の公約撤回、変更を指摘し、県民世論との激しい対立の中で、普天間問題が極めて厳しい情勢にあると発言されています。そのとおりです。ただ、我々がこの議会で知りたいのは、県民が最も聞きたいのは、知事の情勢分析ではありません。県政のトップが、しかも米軍再編に基づく辺野古移設を容認、推進してきた仲井眞弘多知事がこの情勢の変化を踏まえる中、どのような方針を指し示して県民の先頭に立つのか、どんな意思を持って総理に、政府に向き合っているのかということが聞きたいのです。その知事の姿勢をどう評価するかによって、来る知事選への県民の選択が示されるのだと思います。
そこで、普天間問題について知事の政治姿勢を伺います。
(1)、鳩山総理の辞任、菅内閣の発足について、沖縄県知事としてどう感じているのか、所見を伺います。
(2)、日米両政府は、米軍再編の着実な実施を再確認し、また、環境影響評価手続及び建設が著しい遅滞なく完了できることを確保できる方法として辺野古に回帰しました。菅首相は、日米合意を実現するため沖縄に理解を求めるとしていますが、知事は、政府による県民への説得作業に期待をされますか。あるいは日米合意の撤回を求めますか。
(3)、参議院選挙沖縄選挙区の候補者は、いずれも県内移設反対を掲げています。日米共同声明について、合意は無効と訴える候補者もいますが、知事はどう考えますか。
(4)、在日米軍の抑止力について、知事の見解を伺います。政府がとりわけ重要性を強調する「海兵隊を含む在日米軍の抑止力」について、共通の認識があるか伺います。
(5)、日米共同声明によりますと、施設の位置、配置、工法の検討は「いかなる場合でも8月末までに完了させる」としています。地元の合意もなく、民意を無視して頭越しで検討が進められていることについて、知事は抗議をするのか、黙認するのか伺います。
(6)、知事は、県外がベストだが県内やむなしとしてきました。一連の経過の中でやむなしとは言いがたくなったと思いますが、知事自身の中に県内移設拒否の選択肢はあるのか伺います。
(7)、普天間飛行場3年閉鎖は実現しませんでした。みずからの公約をめぐる政治責任についてどう考えていますか。また、来る11月の知事選に出馬される意向かどうか伺います。
(8)、昨日の首相との面談について感想を伺います。
また、(9)、同じく先日の駐日米国大使との面談について感想を伺います。
2点目、沖縄振興計画の総点検とポスト振興計画について伺います。
(1)、沖縄県振興審議会の意見書に盛り込まれた特徴的な意見、指摘等を示してください。
(2)、21世紀ビジョンの実現に向けた推進体制をどのように描いていますか。
(3)、県民による主体的な沖縄振興のあり方は、今後、国との間でどのように整理をされますか。
(4)、国に創設を提案した「沖縄振興一括交付金」について、その目的、交渉の進捗について伺います。
3点目、「沖縄待機児童対策スタディ・グループ」の提言について伺います。
(1)、スタディ・グループの調査結果で浮き彫りとなった課題を示してください。
(2)、沖縄県が先駆的・モデル的に取り組む可能性がある事業とはどのようなものですか。提言を受け、今後、国・県・市町村、また保育者間での取り組み、予算の確保など、今後どのように展開されるか伺います。
(3)、今後の沖縄振興策の中での位置づけについて、沖縄振興審議会の議論に反映させる必要があるとも盛り込まれていますが、その取り組みについて伺います。
○知事(仲井眞弘多) 仲村議員の御質問に答弁いたします。
まず第1に、普天間問題の知事の政治姿勢の中で、鳩山総理の辞任、菅内閣の所見についてという御質問にお答えいたします。
鳩山前総理は、政治と金やそして社会民主党の連立離脱などの問題により辞任されたものと考えております。また、普天間飛行場移設問題について、当初「最低でも県外」と発言されたにもかかわらず、5月28日の日米共同発表で「代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する」とされ、県民に大きな失望を与えました。これはまことに遺憾であります。
菅内閣においては、普天間飛行場の移設問題について、県民の納得のいく形で解決策を示す必要があると考えております。
同じく普天間問題に係る御質問の中で、日米共同発表の撤回を求めることはどうかという御趣旨の御質問にお答えいたします。
今回の日米共同発表は、県外移設の実現に期待する県民の声がますます高まっている中で、どちらかといえば唐突に行われたものであり、県民の間に大きな失望を招いております。
県といたしましても、地元の了解を経ずにこのような移設案が決定されたことはまことに遺憾であり、受け入れることは極めて厳しいと言わざるを得ません。
県といたしましては、政府が県外移設をどこまで真剣に検討したのか、そしてどのような経緯で移設先を辺野古とする日米合意に至ったのか、合理的な説明を行うべきであると考え、それを要求しているところであります。
次に、同じく普天間問題に係る御質問の中で、参議院選沖縄選挙区の候補者の主張に係る御質問にお答えいたします。
参議院選挙の各候補者におかれましては、それぞれのお考えに基づき政策を主張されているものと無論理解いたしております。いずれにしましても、私としては、名護市辺野古への移設案を受け入れることは極めて厳しいと考えているところでございます。
同じく普天間問題に係る御質問の中で、頭越しで検討が進められることについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
県は、地元の了解を経ずに移設案が決定されたことについて、まことに遺憾であると政府に対して申し上げているところでありますが、今後の検討状況については、政府は頭越しではなく、地元の理解、そして協力を得なければならないことは当然のことであり、まず丁寧かつ十分な説明を行うことを強く申し入れているところでございます。
同じく普天間問題に係る御質問の中で、県内移設拒否の選択肢はあるかという御趣旨の御質問にお答えいたしますが、現時点におきましては、名護市辺野古への移設案を受け入れることは極めて厳しいというのが私の考えであります。
次に、同じく普天間問題に係る御質問の中で、3年めどの閉鎖状態への公約はどうなったのかという御趣旨の御質問にお答えいたします。
普天間飛行場の危険性の除去につきましては、移設協議会やワーキングチーム会合などにおいて政府と意見交換を重ねてきたところでありますが、昨年9月の新政権の発足後は、これらの協議会等は開催されておりません。
県は、総理を初め各大臣との面談など、機会あるごとに普天間飛行場の一日も早い危険性の除去を求めており、去る5月23日の鳩山前総理との面談においても、前総理から「普天間飛行場の危険性の除去については、返還までの間、できる限りの措置を講じていきたいと思っており、今後ともしっかり取り組んでまいりたい」との発言がございました。
県といたしましては、新内閣におきましても、引き続き積極的にこの問題の解決に取り組んでもらうよう強く要求をし、期待をしているところでございます。
次に、同じく普天間問題に係る御質問の中で、11月の県知事選出馬に係る御質問にお答えいたします。
私は、知事に就任して以来、県民の皆様、そして議員各位の御理解と御協力により、掲げました公約のほとんどは着手できたものと考えております。
現段階では、公約実現に向け、残る任期に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
同じく普天間に係る御質問の中で、菅総理との面談についての感想を聞きたいという御趣旨の御質問にお答えいたします。
去る6月15日及び23日の菅総理との面談におきましては、菅総理から日米共同発表を踏まえつつ、沖縄の基地負担の軽減に取り組みたいとの趣旨の発言がございました。
私からは、今回の日米共同発表はまことに遺憾であり、名護市辺野古への移設は極めて厳しい旨、申し上げました。あわせて事件・事故の発生状況など基地負担の現状を御説明し、大幅な軽減が必要であることを申し上げたところであります。このような県の考えは、総理に十分伝わったものだと考えてもおります。
同じく普天間問題に係る御質問の中で、駐日米大使との面談についての御質問にお答えいたします。
ルース大使の今回の訪問の主な目的は、教育や産業面での交流に関する意見交換であると聞いております。今回の面談では、小渕沖縄教育研究プログラムの継続の確認、そして日米、沖縄、ハワイが協力をしてクリーンエネルギー技術開発を進めること、また、沖縄科学技術大学院大学への期待と協力の申し出などについて意見交換を行ったものであります。有意義なものであったと認識いたしております。
次に、沖縄振興計画の総点検とポスト振計に係る御質問の中で、21世紀ビジョンの実現に向けた推進体制についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
「沖縄21世紀ビジョン」の実現に向けては、県民、市町村・県の協働体制の構築が必要であります。特に、地域の活動の主体であります地域住民との連携や、企業との協働体制づくりを進めてまいる必要がございます。さらに、県におけるビジョンの実現に向けたより効率的な推進体制のあり方について、今後検討をしてまいりたいと考えているところでございます。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(又吉 進) 普天間問題に関しまして、抑止力について共通認識があるかとの御質問にお答えをさせていただきます。
政府は、国会答弁におきまして、「抑止力とは、侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせるという機能を果たすものである」、また、「沖縄に駐留するアメリカ合衆国の海兵隊は、抑止力の重要な要素の一つとして機能していると認識している。」との見解を示しております。
抑止力につきましてはさまざまな御意見があり、沖縄県としての公式の考えはまとめておりませんが、県といたしましては、抑止力の議論にかかわらず、過重な基地負担の軽減やさまざまな事件・事故の防止など、米軍基地問題の解決促進が日米両政府において着実に進められることが重要であると考えております。
以上でございます。
○企画部長(川上好久) 沖縄振興計画の総点検とポスト振計についての御質問の中で、振興審議会からの特徴的な意見についてお答えいたします。
県振興審議会からいただいた意見は、総数222に上り、そのうち全体に係る意見が42、分野別の意見が180となっております。
県振興審議会では、観光産業の伸びや情報通信関連産業の集積など一定の成果があらわれていることや、社会資本の整備が着実に進み県民の利便性は向上したと評価する声が上がりました。その一方で、約40年にわたる特別措置のもと、自立型経済の構築など所期の目的を達成し得たといえるのか、自立につながる制度の見直しが必要ではないかという意見や、なお広大な米軍基地の存在が沖縄振興を阻害している、諸課題の解決に当たり戦後処理の一環として国の責務と役割を強調する意見などが提起されております。
県では、沖縄振興計画等総点検や県振興審議会からの意見を踏まえ、自立型経済の構築に向けた必要な制度の創設や拡充を国に求めていくとともに、沖縄21世紀ビジョンの実現を図る新たな計画の策定等に取り組んでまいります。
次に、沖縄振興のあり方についての国との整理についてお答えいたします。
県においては、初めての長期構想である21世紀ビジョンを策定し、県民のさまざまな願いをくみ上げた将来の望ましい姿を取りまとめたところであります。また、沖縄振興計画等の総点検の作業を6月中旬に終えたところであり、今後は、県民が望む20年後の沖縄を実現するための基本計画を県民とともに策定し、実施していく必要があります。
実施に当たっては、具体的な政策課題や手法を整理する中で、県民、市町村・県・国のそれぞれの役割分担の整理をしながら、着実に政策が展開できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、沖縄振興一括交付金の目的、交渉の進捗についてお答えいたします。
沖縄県では、政府が進めているひもつき補助金から自由度の高い一括交付金化への制度の見直しに対して、全国的な制度に基づく予算配分方法とは区分し、「予算の一括計上方式」の継続及び「高率補助制度により措置されている予算の総額確保」を目的に、「沖縄振興一括交付金(仮称)」の創設を求めております。
なお、5月17日に地域主権戦略会議へ同交付金の創設について県の考えを伝えたところであります。
以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 「沖縄待機児童対策スタディ・グループ」の提言における課題についての御質問にお答えします。
本県では、他県と比べて待機児童と認可外保育施設入所児童が多く、待機児童の解消と認可外保育施設の認可促進及び入所児童の処遇向上が大きな課題であります。
今回のスタディ・グループの調査結果によって改めてそれらの課題が整理され、その解決の方向性について国及び県が認識を共有できたものと考えております。
次に、先駆的・モデル的に取り組む可能性がある事業及び今後の展開についてお答えします。
提言書においては、待機児童の多い沖縄県において先駆的・モデル的な事業として、小規模な認可外保育施設の認可促進事業や認可外保育施設を活用した家庭的保育(保育ママ)の共同実施事業を挙げております。
県としましては、保育ママの共同実施などが待機児童解消策の一つとして考えられることから、実現可能性について国及び市町村や関係団体と協議を重ねてまいります。
次に、今後の沖縄振興策での取り組みについてお答えします。
スタディ・グループの提言においては、認可外保育施設に対する支援や待機児童対策基金の平成24年度以降の継続の検討等については、今後の沖縄振興策の議論の中で検討していくものとされております。
「沖縄振興計画等総点検報告書」においては、待機児童解消の対策として、認可外保育施設利用児童数が多いことや5歳児の預かり保育の問題等、本県の独自性に着目した特例的な対応が求められているとしております。
県としましては、そのことも踏まえ、「新たな沖縄の振興に向けた基本的な考え方(案)」に反映させるよう国及び市町村や関係団体と協議してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○仲村 未央 知事、冒頭の普天間問題の知事の政治姿勢の中で、知事は恐らくその日米合意の撤回を求めるとおっしゃるのかなというふうに思ったんですね。というのは、これだけ極めて厳しいということをおっしゃり、頭越しであるという批判をされて、そして今まさに知事自身がその選対本部長をお務めになるその候補者も繰り返し繰り返し日米合意は無効だと、断固反対、国に対して強くそのことを突きつけていくんだということをおっしゃっているものですから、私はその先頭に立つ知事も当然同じような考え方であるのだというふうに思っておりました。それでその日米合意の撤回を求めるんですかということを聞きました。ましてや、国が県民を分断し、その賛成を取りつけることを期待するということを待つということにはならないだろうというふうに思ったからです。もう一度聞きます。日米合意の撤回を求めるのでしょうか。
それから(6)に関連いたしまして、やはり同じく失望をされて、県民の声は極めて厳しいと、繰り返し繰り返し総理に直接おっしゃっている。このことを踏まえるならば、当然県内移設反対、県内移設拒否という選択肢が知事自身の中にあるのだろうというふうに思うわけです。もう一度お尋ねします。県内移設拒否の選択肢というのは知事の中に当然お持ちというふうに受けとめてよろしいでしょうか。
それから沖縄振興計画、これもやはり知事にお尋ねをいたしたいと思います。
沖縄振興計画は、今まさにその4次目が終了に差しかかって新しいその枠組みをどうつくっていこうかというときに、これまで本当にいろんなまだまだ解決し切れない課題、これについては当然国がその責務を負っている沖縄振興という、そのことは強く私は主張してよろしいのだというふうに思います。ただ、今回その一括交付金を県が要望されるに当たっては、やはり国が関与をしなさいというその範囲は、特に財源の保障においてこれまでの一括計上を軸としながら、高率の補助をそこにもってきたというこのことの財源保障は求めつつも、これまでのように県が素案をつくって国が認めるとか、財源についても計画を提案してそれが交付金を認めてもらうというその手続自体が非常に時間がかかりますし、やはりそれは余りにも国の関与が強過ぎるというふうに思えてならないんですね。ですので、今回のこの一括交付金の要望に当たっては、もちろん単なる交付金を要望しますということではなくて、財源の保障は求めながらもただ国の関与はやっぱりこれまでとは全然違う形で財源の保障にむしろ特化をして、そして21世紀ビジョンをまさしく国がその財源の担保を持って推進をする、そういった基本法なり、
国の責務の果たし方というのを求めているのだろうというふうに思いますが、この点についてお考えをお聞かせください。
そしてスタディ・グループ、待機児童のことです。
これもその調査報告の中でも沖縄振興の中に直接的にそれを反映させていく、このこともやはり必要だろうということが今後の課題にも浮かんでいます。この中にも例えばこれだけの役割を果たしている認可外保育園施設に直接的に補助を行う、助成をする、支援をするということがこれまでなかなかできなかった。けれども、これを沖縄振興の枠組みで考えたときにもっと直接的にその役割を評価し、すぐできるその支援のあり方として沖縄振興の枠の中でできないかということをやはり強くこれは求めてほしいと思います。そういう意味では、一定の基準を満たした認可外保育施設に助成をするその検討であるとか、あるいは待機児童対策基金、この解消基金についても当然これは延長を求めながら、もっと使い勝手がいいものにこれも主体的に沖縄振興ととらえてその中に置いていく。こういったことも非常に重要な要求であるし、この4次目の検討の課題をする中でこれをぜひ課題として上げていただきたい、このように思うわけですが、お尋ねをいたします。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後2時56分休憩
午後3時0分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 仲村議員の再質問にお答えいたします。
まず第1に、今の日米共同声明の撤回を求めるのかという点でございますが、これは先ほども申し上げましたように、実は鳩山総理の時代もこれがどうしてそこに至ったかという背景、内容、公約との違い、説明を受けておりませんので、そもそも本来はこれは一体何ですかという中身を一回よく説明を聞きたいということを申し上げてあり、菅総理にもその要求を言ってあります。ですから、それをちょっと受けてから、もう一度考えてみたいというふうに考えております。
それから県内移設の選択肢はあるのかという御質問だと思いますが、これは一般的な話で申し上げますと、県内移設というものは本来そう望ましいものではないと無論思っておりますが、いろんな形で県内移設条件つきといいますか、そういうものが既にいろいろやられているという面もありますから、これは特にこの普天間基地については、私は県内移設は事実上不可能に近い状況に今なりつつありますが、将来出てくる議論は固定化という議論は当然出てくることだと私は思っております。ですから、拒否の選択肢はあるかという御質問については、あるとも言えるし、ちょっとそれはいろんな状況を踏まえての答えになることあり得るべしというふうに考えております。
それから3番目のこの次の沖縄振興計画の中で、この一括交付金についての御提案は非常に結構だと思いますから、そういう方向でぜひ議員各位のアドバイスもいただきながら、次の振興法なり振興計画に反映させていくべきだと考えております。いい御提案だと思っております。
さらに次のスタディ・グループにつきましては、当時の大臣が随分よく勉強していただいていい成果を出していただいていると思います。ですから、認可外保育園についての直接補助というのはなかなかごくごく少額でしかできなかったんですが、次の振興計画の大計の中でおっしゃった御提案の可能性は徹底的に追求していきたいと思います。これもまた議員のいろんなアドバイス、それから御指導をいただきたいと思います。
先ほどの基金について今の関連でということの答弁でよろしゅうございますかね。
以上でございます。
○仲村 未央 知事、鳩山総理から説明を受けていない、聞きたい。菅総理からも聞きたい、受けていないと。受けていないのにその合意がなされたこと、受けてもいないのに頭越しで工法の検討の期限まで切られていることというのが問題であるわけですよね。それであれば、そんな悠長に説明を受けてからやはりもう一度考えたいということではなくて、今のこのやり方について撤回を求めていくというその立場を明確にされるべきではないのか。また、県内移設拒否という選択肢があるとも言えるとおっしゃったので、あるというふうに受けとめて、そのまま文字どおり県内移設拒否もあるんですということを強く政府に今こそ、今の知事の失望とあわせて率直に伝えるときではないか。その件についてもう一度お聞きして終わります。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後3時6分休憩
午後3時6分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 仲村議員の再々質問にお答えいたしますが、この悠長なと言われる表現には少しがくっと来るわけですが、これは私は悠長とは決して思っておりません。別に、鳩山さんの内閣のころに無論いろんな閣僚――瑞穂大臣も含めて――と私たちはいろんな意見交換をしている中で、基地問題について総理、官房長官ともいろいろやってきておりますが、4月25日の県民大会、5月4日に鳩山さんが見える、23日も見える、28日にはその結論というか共同声明を出す。それからあと31日でしたか辞意を表明され、内閣改造が行われるという、そのばたばたばたばたの中で、実は結果として悠長になった感はあるかもしれませんが、やはり公約と何で180度違うに至ったか、ゼロベースと言いながら何がゼロベースだったのかも含めてちゃんとこれはきちっと聞きませんと、出てきたあれを撤回しろとか、あれは何だと言ってもちょっとこれは初めに受け付けておりませんから、やはり中身を聞いてからにしたいとこういうふうにさせてください。申しわけありません、悠長ですが。
そしてまた、拒否の選択肢については先ほど申し上げましたとおり、なかなか基地問題というのも一つの回答をぐっと突き詰めていくというやり方もあろうかと思うんですが、私どもはやはり固定化との問題、いろんなことがこれからも政府、特に民主党政権というのはよく我々わからないところもあって、いろんな形でいろんな仕事の仕方が出てくると思います。そういう中で、私先ほど申し上げたような答弁しかできませんが、特に普天間については固定化との問題というあたりはよく頭に入れて対応していくべきだと考えている次第でございます。
○照屋 大河 こんにちは。
社民・護憲ネットの代表質問を続けてまいります。照屋大河です。
質問の冒頭、常任委員会の土木文化環境委員会において行いました視察調査について、所見を述べたいと思います。
まず、5月12日ですが、老朽化が進む那覇市の古島団地に委員会で調査に行きました。今議場でも会派の崎山嗣幸議員が取り上げておりますが、実際現場に行ってその問題の深刻さ、重大さを考えざるを得ない状況でありました。
知事、あるいは土建部長は現地は視察されたんでしょうか。新聞記事にもありますように、コンクリートの瓦れきとともに天井全体が落ちている。(資料を掲示) そして現地に行った委員、だれも渡り廊下の手すり側、外側に沿って歩けないような本当に見てもその傾きがわかるような現場でありました。その団地に住む皆さんは、危険と隣り合わせの状態であります。そういう意味では委員長からもあります、県も厳しく指導するよう議会でただしていきたいという言葉もありましたので、土建部長を初めしっかり対応していただきたい。知事におかれましてはぜひ現場を見ていただきたい、要望を申し上げます。
特に、団地に住む皆さんからすれば、この郵住協の協定が交わされた時点において、県の職員がその郵住協の専務として派遣されており、こういう場所に住む現実にある住民にとっては県の責任、自分たちの命は平等じゃないのかと思っても仕方がない状況があると思いますので、ぜひよろしくお願いします。
そしてその視察の際に判明したことですが、現在の団地所有者のバークレー社から同団地自治会に報告された調査の内容が明らかになったわけですが、2008年に実施した同団地1号棟――先ほど天井が落ちている写真を見せましたが――の耐久度調査で、中程度の地震が来ても倒壊のおそれが十分考えられると結論づけられている。ほかにも調査結果には、コンクリート圧縮強度の平均値が現行の設計基準の強度を大幅に下回り、鉄筋腐食度が5段階評価で最低のグレードファイブの状態と指摘、補修による対応は困難。建てかえの時期は遅過ぎるぐらいで速やかに建てかえるのが望ましいという、その所有者の行った耐久度調査結果にもあるわけです。そんな中に生活しているわけですから、ぜひこれまで4回の協議会、県も含めて行われたようですが、今後強くその問題の解決に力を尽くしていただきたい、お願いを申し上げます。
そして5月20日、21日ですが、伊平屋村、伊是名村へ土木文化環境委員会で行ってまいりましたが、島嶼県沖縄においてやはり離島で生活する皆さんのそこに今生活する厳しさ、土木文化環境委員会にも多くの要請もいただきました。少なくともこの皆さんは、海路で本島やあるいはその他の地域とつながっているわけで、たくさんの港の整備等の要望もありましたので、ぜひ力強く進めていただきたい。そして空港建設について、同行した嘉陽先輩からもこの議会に携わって長い間この問題の陳情を受けている、いよいよ頑張りたいという決意の表明もありましたし、委員会でもそういう力強く団結を申し上げました。そしてその空港ですが、いよいよ地権者も100%近く同意を得ているということですので、これはまた知事、先頭に立ってこの地域の皆さんの希望をかなえる空港建設について力を尽くしていただきたいと要望を申し上げて質問に移りたいと思います。
通告に従い代表質問を行います。
まず米軍基地問題について。
(1)、嘉手納基地の訓練激化について。
ア、嘉手納基地への外来機飛来が後を絶ちません。先月末にはまたしても米ニューメキシコ州ホルマン空軍基地からF22戦闘機が一時配備されております。米本国所属F22戦闘機の沖縄配備はここ数年続いており、昨年は通算で七、八カ月駐留して、もはや常駐機であります。本国に帰還する際は、未明離陸を強行することも安易に予想されます。外来機飛来について実効性ある規制措置を講じるためには、地位協定改定に盛り込むしかないと考えるが、知事の見解について伺います。
イ、嘉手納基地に飛来する外来機が非人道的兵器としてオスロ条約で禁止されるクラスター弾を訓練使用した疑いが極めて強い。オスロ条約を締結していないことから、政府は米軍のクラスター弾使用を認めているが、県の立場はどうか、知事の答弁を求めます。
(2)、去る3月31日、嘉手納ラプコン(沖縄進入管制業務)が日本側へ移管された。空の主権回復ともいうべき嘉手納ラプコン返還は、戦後65年間、空の管制を米軍に握られてきた県民にとって悲願達成であります。移管によって利用客や航空サービスにどのような影響やメリットがあるのか伺います。
(3)番、外務省が行った日米密約に関連して、県が6月9日に照会した4項目について伺います。
ア、外務省から回答があったのか。回答があったのであれば、その内容について伺う。
イ、本県と同様に米軍基地を抱える神奈川県横須賀市は3月16日、長崎県佐世保市は4月5日に外務省に照会している。それに比べて県の照会は非常におくれていると指摘せざるを得ないが、その理由について伺う。
ウ、岡田外務大臣は6月15日の記者会見で、1969年の沖縄返還決定時に交わされた有事の際の沖縄への核再持ち込みを容認する秘密合意について、現在は効力がないと日米両政府で確認したことを明らかにしております。このことに対する県の見解について伺います。
(4)、在沖米軍が6月12日から開始した午前0時以降の基地外のバーやクラブなどへの立入禁止措置を受けて知事は、飲酒禁止措置は結構なことだが、外務省沖縄事務所が開くワーキングチームの開催でどうなるかまちたいと評価を避けたわけですが、6月14日のワーキングチームを経て米軍施設の飲酒禁止措置に対する知事の見解について伺います。
大きい2番、義務教育未了者に対する行政支援について。
(1)、沖縄戦や戦後の混乱で義務教育を受けられず学齢期を過ぎた人は県内に何人いるのか。県として統計をとっているのかとあわせて伺う。
(2)、公立夜間中学校設立について、対象者の実態調査、設置基準、財政上の課題を踏まえて設置の可否を検討するとの過去の県議会答弁があるが、検討結果について伺う。
(3)、5月10日の衆議院沖縄・北方問題特別委員会で、前原沖縄担当大臣がNPO法人珊瑚舎スコーレヘの財政支援を含めて、文科省と沖縄県と早急に相談したいと答弁していますが、その後政府から県に問い合わせはあったのかについて伺います。
(4)、県は、これまで「珊瑚舎スコーレ」と話し合いを持ったことがあるのか。あるならば、直近に接触した日時を明らかにした上で、その際「珊瑚舎スコーレ」からどのような要望があり、県としていかなる回答をしているのかについて伺います。
大きい3番、口蹄疫問題について。
(1)、宮崎県における口蹄疫発生、被害拡大の状況を受け、県は5月、6月と2カ月連続で豚や牛の競りを中止したが、その際の経済損失について伺う。
(2)、県が実施している口蹄疫への防疫体制、ウイルス侵入防止策を伺う。
(3)、防疫体制について、農水省から通知・通達があるか。あるとすれば、どのような内容か伺う。
(4)、万が一、県内で口蹄疫が発生し、宮崎県と同規模で拡大した場合、県内畜産家の被害、経済損失について伺う。また、被害を最小限に抑える対策はシミュレーションできているのか伺う。
(5)、宮崎県での被害拡大を教訓として、県独自の対策、大学の研究機関や一般企業の技術的意見を聞き、速やかに効果的な対応ができるようにすべきと考えるが伺います。
大きい4番、児童虐待について。またも虐待により幼い命が奪われてしまいました。
(1)、県はこの幼児虐待死問題について、去る6月7日に開かれた文教厚生委員会で、新たに県レベルで「要保護児童対策地域協議会」を設置する方針を明らかにしております。児童虐待に関する広域レベルでの協議会設置の目的、ねらいを説明されたい。
大きい5番、障害者権利条例について。
(1)、地域社会で障害者が生きていくということについて。
障害のある当事者は、本人の障害という特性ではなく社会の障壁があるために生きづらさを感じており、また地域の中で生きていきたいと願っている人が多く存在している。県としては、障害のある人が地域で生きていくということについてどのように考えているのか伺う。
(2)、インクルーシブ教育について。
障害のある人が必要な支援や制度がなく、物理的あるいは心理的なバリアが社会に存在しているために十分な教育を受けることができないという声がある。障害のある子供たちと障害のない子供たちがともに教育を受けることができない現状や声を県はどのように考えているのか伺う。
(3)、沖縄県における障害者の権利条例制定を求めて、NPO「うちなーTRY」が約1カ月間の本島縦断で1万4774名の署名を集めている。このことに対する県の受けとめと条例化に対する見解について伺います。
○議長(髙嶺善伸) ただいまの照屋大河君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので休憩後に回したいと思います。
20分間休憩いたします。
午後3時23分休憩
午後3時42分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
休憩前の照屋大河君の質問に対する答弁を願います。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 照屋大河議員の御質問に答弁いたします。
まず第1に、米軍基地問題についての中で、嘉手納基地への外来機飛来についての御質問にお答えいたします。
最近の嘉手納飛行場をめぐっては、米軍再編に伴う一部訓練移転が実施されていますが、大規模な合同即応訓練や外来機のたび重なる飛来に加え、F22戦闘機の一時配備などによりまして依然として目に見える形での負担軽減があらわれているとは言えないと考えております。
県といたしましては、これまであらゆる機会をとらえ、騒音を初め周辺住民の負担軽減が図られるよう、米軍及び日米両政府に対し強く要請してきており、引き続き軍転協や渉外知事会等と連携をしながら粘り強く取り組んでまいる所存でございます。
次に、口蹄疫問題に係る御質問の中で、家畜競り中止に伴う経済損失及び県の防疫対策についてという御趣旨の御質問ですが、3の(1)と(2)が関連いたしておりますので、恐縮ですが一括して答弁させていただきます。
沖縄県における5月及び6月の競り中止に伴う影響額は、家畜の販売収入として約15億1000万円、家畜の飼料費として約1億5000万円、合計で約16億6000万円と試算されております。
県内の口蹄疫侵入防止対策としましては、第1に、県外からの家畜導入の自粛、第2に、農場への立入制限、消毒の徹底、第3に、空港・港湾での靴底消毒や車両タイヤの消毒などを実施いたしております。また、口蹄疫侵入防止対策や飼料代の補助等農家支援につきましては、予備費で約1億1000万円、6月補正で約8億3600万円、総額約9億4600万円の予算を計上いたしております。さらに、沖縄県口蹄疫防疫対策本部や現地対策本部を設置し、関係機関や団体等と連携をして、口蹄疫侵入防止に係る危機管理体制を強化いたしているところでございます。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(又吉 進) 米軍基地問題につきまして、クラスター弾についての御質問にお答えをいたします。
クラスター弾の使用について、県の照会に対し米軍は、運用上の理由から詳細については答えられないと回答しております。
また、外務省は、米国は「クラスター弾に関する条約」を締結しておらず、条約上の義務は課されない。我が国も米軍による使用等を禁止する義務を負っていないとの見解を示しております。
県としましては、世界的な使用禁止の流れの中で、我が国もいわゆる「クラスター弾に関する条約」を批准していることから、米軍によるクラスター弾の使用はやめるべきであると考えております。
次に、嘉手納ラプコンについての御質問にお答えをいたします。
本土復帰以来、長期にわたり米軍による進入管制業務が実施されてきた中で、平成11年には嘉手納ラプコンのレーダー故障による航空機の欠航など、民間航空に大きな影響を及ぼす故障が7回発生いたしました。進入管制業務が日本側に移管され、日本政府は、レーダーが二重化されるなど安定した運用ができるとしており、民間機の円滑な定期運航や安全性の確保が図られるものと考えております。
次に、いわゆる密約について、外務省からの回答及び照会時期につきまして一括してお答えいたします。
本県が6月8日に行った照会に対する回答について外務省へ確認したところ、現在、精査中とのことであります。
これまでの経緯といたしましては、去る3月9日、外務省からいわゆる密約問題に関する有識者委員会の調査報告書の内容について、県に対して説明がございました。
県といたしましては、日常的に原子力潜水艦が寄港している現状等を踏まえ、県民に大きな不安を与えている内容等について累次口頭で照会等を行ってまいりましたが、改めてその内容を整理し県民に公表する必要があると考え、今般、正式に文書にて照会を行ったものでございます。
次に、有事の際の沖縄への核再持ち込みについての見解につきましてお答えをいたします。
県としましては、いかなる理由があるにせよ沖縄への核持ち込みはあってはならないと考えております。
いわゆる有事の際の沖縄への核持ち込みに関する密約について、日米両政府が現時点で有効ではないと確認したことについては、当然のことと考えております。
次に、米軍の新しい再発防止策の評価についてお答えをいたします。
去る6月11日、ロブリング在日米軍沖縄地域調整官から、沖縄に駐留する全米軍人について、午前0時から午前5時までの間における基地外の酒類提供施設への出入り禁止、巡回パトロール範囲の拡大、新規配属隊員向け教育の対象範囲拡大など、米兵による事件・事故の再発防止策が発表されました。
県は、米軍基地に起因する事件・事故は1件たりともあってはならないと考えていることから、当該措置の検証を含めまして実効性のある再発防止策が講じられるべきであり、今後、その効果を見きわめてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは義務教育未了者に対する行政支援についての御質問で、学齢期を過ぎた人の人数についてお答えいたします。
平成12年度の国勢調査によりますと、義務教育未修了者で沖縄戦や戦後の混乱で義務教育を受けられず学齢期を過ぎた人は、約1300人いると思われます。
次に、公立夜間中学校の設置についてお答えいたします。
県教育委員会としましては、平成18年から20年にかけて各市町村教育委員会やマスコミを通して対象者の実態把握に努めてまいりました。その結果、41市町村中、2村は確認ができましたが、残りの市町村につきましては、当時の資料が残っていないことや個人情報の関係上、調査が難しいとの理由で実態把握は困難な状況であります。また、各市町村教育委員会へも対象者等からの設置の要望はなく、設置の動きもないことから、現時点では公立夜間中学校設立の予定はないものととらえております。
次に、珊瑚舎スコーレに係る政府からの問い合わせについてお答えをいたします。
内閣府や文部科学省から電話やメールを通しての問い合わせがあり、6月初旬には内閣府担当者が来庁し、沖縄県のこれまでの対応や珊瑚舎スコーレへの財政的支援の方法等について情報交換を行いました。
次に、珊瑚舎スコーレとの話し合いについてお答えいたします。
珊瑚舎スコーレとは6月1日までに3度、情報交換を行いました。珊瑚舎スコーレからは、学習権の保障や財政的な支援等の要望があります。
県教育委員会としましては、これまで卒業証書の授与や定時制高校受検資格の特例措置を行ってまいりました。
財政的支援については、現行の制度上、厳しいものがあると考えております。しかしながら、戦中戦後の混乱期の中で義務教育を受けることができなかった方に対し学ぶ機会を提供することは大切なことだと認識しており、国や関係部局等とどのようなことができるか、情報交換をしていきたいと考えております。
次に、障害者権利条例についての御質問で、インクルーシブ教育についてお答えいたします。
障害の有無にかかわらず、だれもが相互に人格と個性を尊重し合える共生社会の実現を目指し、障害のある子供たちが障害のない子供たちとともに学び合う機会を設けることは重要であると考えます。
県教育委員会としましては、学校教育において障害の有無にかかわらずともに活動することが幼児・児童生徒の社会性や豊かな人間性の育成につながることから、地域や学校、障害の状態に応じてともに学び合うための交流及び共同学習を積極的に推進しております。
以上でございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 口蹄疫問題の中で、口蹄疫の防疫体制の国からの通知等についてお答えいたします。
宮崎県での口蹄疫発生以降、国からは家畜の健康観察や消毒の徹底、早期の診断及び殺処分、発生に備えた体制整備等に関する通知があります。また、口蹄疫が発生した場合に、国の「口蹄疫防疫指針」に基づき県に口蹄疫防疫対策本部と発生地に現地対策本部を設置し、関係機関・団体等と連携して交通遮断、殺処分、埋却及び消毒の実施等迅速に防疫対策を講じることとしております。
同じく口蹄疫発生による影響、被害を最小限に抑えるための対策についてお答えいたします。
沖縄県内で口蹄疫が全県を対象に発生した場合、畜産関連産業への波及を含む損失額は約640億円になるものと試算されます。それ以外に観光関連産業等にも影響があるものと考えております。また、県内での口蹄疫の被害を最小限に抑えるためには、発生農場における迅速な消毒、殺処分、埋却処分等、初動防疫が重要であると考えております。このため、家畜伝染病予防法や口蹄疫対策特別措置法に基づき、沖縄県口蹄疫防疫対策本部や現地対策本部を立ち上げるとともに、迅速な診断、殺処分・消毒の実施、埋却場所の確保など、迅速に対応するための防疫シミュレーションをしております。
同じく宮崎県の状況を踏まえた県内の効果的な対応についてお答えいたします。
県といたしましては、宮崎県での口蹄疫発生を踏まえて、ウイルス学を専門とする獣医師で構成する口蹄疫侵入防止対策専門検討チームを設置して、宮崎県の発生状況や侵入防止対策について検討を行うとともに、畜舎消毒や異常家畜の早期通報、空港、港湾や家畜運搬車両等の消毒体制の構築を行っております。さらに、国の動物検疫所や沖縄県獣医師会及び学識経験者等と連携して、侵入防止対策を強化していきたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 児童虐待についての御質問の中の、広域レベルでの協議会設置の目的、ねらいについてお答えいたします。
「要保護児童対策地域協議会」については、現在、31市町村で設置されておりますが、県としては、すべての市町村での設置に向けて取り組んでいるところであります。また、協議会設置済みの市町村においても、その機能を十分に活用できていないなどの課題があると考えております。
虐待の未然防止、早期発見のためには市町村協議会を活用した関係機関の緊密な連携が必要であり、県としてもその活動を支援する役割があると考えております。このため、県レベルでの「要保護児童対策地域協議会」を設置し、県協議会やその構成機関を通じて市町村協議会の活動を支援するほか、広域での連携の仕組みづくりや児童虐待防止のための広報啓発の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、障害者権利条例についての御質問の中の、地域社会で障害者が生きていくことについての御質問にお答えいたします。
「すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する。」こと、また、「すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられる。」ことについては、障害者基本法が明確に定めているところであります。
県では、同法に基づき策定した「第3次沖縄県障害者基本計画~美らしま障害者プラン~」において、「障害者が真に地域社会の一員として平等に暮らし、自立し安心して生活することができるように障害者の権利擁護を推進」することを基本的な考え方として諸施策を推進しております。
次に、障害者権利条例についてお答えします。
障害者の権利条例制定を進める市民団体は、障害者が安心して生きられる社会は、すべての人にとって豊かで安心した社会であり、その地域社会づくりの実現を活動目的としており、県としましても賛同するところであります。
条例の制定に当たっては、条例制定の目的を明確にするとともに、差別行為の定義や法的実効性などについて慎重な検討と十分な議論が必要であると考えています。
県としましては、今後、国が検討を進めている障害者基本法の改正、障害者差別禁止法の制定の動向などを踏まえながら検討していきたいと考えております。
以上でございます。
○照屋 大河 福祉保健部長にもう一度、障害者権利条例について。
「うちなーTRY」の行動について、署名活動について、同じピンクのおそろいのTシャツを着て、最終日に立ち会いましたが、県も賛同すると。そういう意味では団体として条例案を整えているようです。しっかり話し合いをして、今、お話ししていたように前向きに前向きに取り組んでいただきたいということを要望申し上げます。
それから珊瑚舎スコーレの件ですが、戦後65年、昨日は慰霊祭もありましたが、1300人の方が学齢期を超えて未了であるということで、教育長は、県として財政支援については厳しいと。しかし、戦後処理の問題としてしっかり国の責任を求めていって、この意欲ある人たち、あるいはそれを支える団体の皆さんに対して十分に活動ができるような対策を強く強く政府のほうに、国のほうに求めていただきたいと思いますので、これも要望申し上げます。
それから嘉手納の問題について、これは昨年も長期にわたる駐留があったと、飛来してですね。同じような答弁が繰り返される、粘り強く求めていきたい。知事公室長からありましたように、照会をしても運用上の理由から明らかにできない。政府としては使用についても義務は課されない。そういう政府に対して、基地が75%も集中し訓練などが行われる沖縄県、公室長、冒頭に就任のあいさつがありましたが、何回も何回も繰り返し同じような質問に対してこのような答弁をするということではなくて、しっかり県として主体的にその負担軽減が実効性あるような対策をやっていただきたい。先日、要請・抗議に行ったときに申し上げましたが、その強い決意を聞いて質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後4時4分休憩
午後4時5分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
知事公室長。
〔知事公室長 又吉 進君登壇〕
○知事公室長(又吉 進) 嘉手納基地の負担軽減につきましてお答え申し上げます。
ただいま議員から御指摘のありましたように、県におきましては累次にわたりまして嘉手納の騒音の軽減、危険性の軽減と負担の軽減ということを申し入れているところでございますけれども、現時点では負担が軽減されているとは言えない状況でございます。したがいまして、県といたしましては、先般の首相との面談でも強く申し入れたところでございますが、軍転協や渉外知事会等のあらゆる機会を通じて、実効のある危険性の除去、負担の軽減を求めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(髙嶺善伸) 以上で本日の代表質問は終わりました。
本日の日程はこれで全部終了いたしました。
次会は、明25日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後4時6分散会