平成22年(2010年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 6月25日
 


○議長(髙嶺善伸) これより本日の会議を開きます。
 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 糸洲朝則君。
   〔糸洲朝則君登壇〕
○糸洲 朝則 おはようございます。
 ワールドカップ決勝トーナメント進出おめでとうございます。(拍手)
 それでは公明党・県民会議を代表して、質問をいたします。
 最初に、知事の政治姿勢から伺います。
 今月8日、菅直人政権が誕生しました。昨年の衆院選で民主党政権は、月額2万6000円の子ども手当支給やガソリン暫定税率の廃止、普天間飛行場の県外移設などを公約しました。しかし、実際に政権獲得後、こうした公約は何ひとつ実現できていません。つまり民主党政権は選挙詐欺によって国民をだまし、政権を獲得したわけであります。この事実は決して消えるものではなく、首相の顔を取りかえることによって、その選挙詐欺容疑から逃れられるものではありません。
 鳩山前首相は、退陣理由として「政治と金」、そして「普天間問題」を挙げましたが、首相交代によって何が解決したというのでしょうか。しかも、首相交代劇によって国会はロスタイムを生じましたが、延長することもなく閉幕しました。国民無視であり、支持率の高いうちに選挙をやりたいという逃げの内閣であることは、だれの目にも明らかであります。
 さて、菅首相は、さきのマニフェスト発表の中で、「自民党の10%を目安に消費税を引き上げる」と断言しました。不況下で消費税増税に言及するという経済音痴ぶりにはあきれるばかりであります。未曾有の少子・高齢社会の到来によって、近い将来、消費税の引き上げは避けられないでしょう。しかし、それには前提条件があるはずです。デフレ克服と国の無駄削減です。そして増税論議の前に社会保障の将来像を示すことが何よりも先決であります。しかも、首相は、各政党に対して財政再建論議のための超党派による議論を呼びかけていますが、これは順序が逆さまです。まず民主党政権は、マニフェストの破綻と選挙詐欺を国民におわびし、しかる後に財政論議を始めるべきだと主張いたします。内閣支持率が50%台と高いながらも、微減傾向にあるのは当たり前ではないでしょうか。今後、菅政権は普天間問題などに対する姿勢次第では、微減どころか急降下ということも十分あり得ます。
 仲井眞知事は、沖縄県民の圧倒的な意思である「県外・国外移設」を尊重し、強い決意を持って政府と交渉に臨むべきであります。
 ここで伺います。
 (1)、菅内閣に対する評価、菅総理に会われての感想、沖縄の課題解決への手ごたえ等について伺います。
 (2)、普天間飛行場の移設について、県民世論や県議会の決議は、国外・県外移設であります。知事は、これまでも県外移設がベストであると言ってこられました。この際、国外・県外移設を明確に発信するべきであると考え、知事の所見を伺います。
 (3)、知事就任4年目を迎えられて選挙公約と取り組みについて伺います。例えば達成感、特徴的なこと、課題等々さまざまあると思いますが、知事の率直な思いを伺います。
 (4)、県民参画と協働のもとに策定された「沖縄21世紀ビジョン」は、沖縄の将来、おおむね2030年の「あるべき姿」、「ありたい姿」を描いた基本構想であり、「にぬふぁ星(北極星)」のような道しるべとなる長期ビジョンとして策定されました。よって、構想実現に向けて県民一体となった取り組みが必要であり、県民の理解と賛同が大事である。いわゆる県民との協働作業を行う上で、知事のリーダーシップが求められ、構想実現へ向けた知事の決意あるいは考えを伺います。
 (5)、今後の取り組みで、実現へ向けた計画策定、事業計画等、2030年までの工程等について概要説明を願います。
 (6)、県民ニーズと行政の対応の目安となる5年ごとの「県民選好度調査」が発表されました。それによりますと、「老後に不安のない年金」や「失業の不安の解消」、「収入の着実な増加」、「十分な貯蓄ができること」などが県民生活のニーズの上位を占めている。基地問題は基地の返還、犯罪や事故の根絶、日米地位協定の改定などが上位を占め、環境保全と経済振興の優先順位では環境優先派の59.9%が経済振興派の39.4%を大きく上回っている。基地、雇用、環境、経済振興等課題は長年我が県の重要課題であり、これらの課題はそれぞれ関連しており、同時並行で課題解決を図らねばならない。加えて医療、福祉、教育等、県民ニーズは多岐にわたっており、21世紀ビジョンにも反映されているものと考えております。知事の「県民選好度調査」に対する感想と今後の行政運営について伺います。
 2番目に、基地問題対策。
 普天間飛行場の移設先について、民主党政権はマニフェストの中で、さきの日米合意を踏襲する考えを明白にしました。前鳩山政権は「最低でも県外」との約束をほごにしました。これは多少の努力と勉強の結果、公約履行が困難だとの結論に至ったわけですが、菅政権は政権のスタートと同時に基地の押しつけを明言しているわけですから、鳩山政権以下ということです。政権がかわったからといって、地元合意なき日米合意があり得ないのは当然です。首相の退陣によって沖縄県民の免罪符が与えられると思っているのであれば、大きな間違いです。現状では、普天間飛行場の固定化という最悪の事態も予測されます。
 そこで伺います。
 (1)、普天間基地の危険性除去は喫緊の課題であり、知事も3年以内の閉鎖状況を目標にしてきた。よって、米軍の訓練中止等、危険性除去への取り組みについて伺います。
 (2)、日米安保に基づく基地負担を全国民が認識しなければならないとの意識は徐々にできつつあると考える。したがって、全国知事会やマスメディア等あらゆる手段を駆使して、沖縄の過重な基地負担の軽減と日米地位協定の見直しを訴えることについて伺います。
 (3)、嘉手納以南の基地の返還は、沖縄の県土利用の構造を再編するチャンスであるばかりか経済振興にも大きく寄与するものと考える。その取り組みについて伺います。
 (4)、大規模な基地返還跡地開発について、新たな仕組みの必要性等について伺います。
 (5)、国連機関、国際機関の誘致による国際貢献について。
 (6)、米軍基地の総点検調査を実施し、基地の整理縮小・返還への実施工程策定を提案し、知事の所見を伺います。
 3、医療・福祉行政。
 (1)、子宮頸がん対策について。
 年間約1万5000人の女性が発症し、約3500人が亡くなっていると推計されている。このがんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルス感染が主な原因と言われている。したがって、検診によりがんになる前の状態(前がん病変)を発見することができる。こうしたことから、ウイルスに効くワクチン接種と定期検診によって発症を防ぐことが可能で、予防できる唯一のがんと言われている。公明党は、これまで予防ワクチンの早期承認やがん検診の無料クーポン券の配布などの実績を上げてきましたが、去る5月31日に参議院に提出した予防法案には、山口代表も言っているように、「人道的な見地からの法案」であり、早期の成立を期待するとともに子宮頸がん撲滅に向け、以下の質問をいたします。
 ア、予防ワクチン接種の全額公費助成について。
 イ、無料検診クーポン券配布事業の継続と恒久化のための予算拡充について。
 ウ、子宮頸がん予防法の制定について。
 エ、教育現場(学校)及び県民への普及啓発を促進することについて。
 オ、県民への普及啓発として、10月の「乳がん月間」を「女性特有のがん月間」として、子宮顕がんも入れて「無料クーポン券の完全活用&完全消化」に向けて、全県民を挙げて取り組むことについて伺います。
 (2)、日本ではヒブワクチンの認可がおくれ、2008年12月に任意接種(有料)が一般的に可能となりました。しかしながら、接種費用が高額なため、ヒブワクチンの接種が普及していない状況にあります。公費助成によってヒブワクチン接種を政策的に推進できないか伺います。
 (3)、発達障害児の支援について最も重要とされている早期発見・早期支援を行うためには、発達障害児の実態把握が大事であると考え、その取り組みと実績について伺いたい。発達障害児支援システムを推進する上で課題となるもの、人材育成、関連機関との連携等、具体的に御説明願いたい。
 (4)、環境ホルモンが胎児や子供に与える影響について、危機感を持って当たる必要があるとのことで、公明党の推進で国内10万人の母親とその子供を対象にした長期的な疫学調査「子どもの健康と環境に関する全国調査」が今年度からスタートしましたが、本県における取り組みについて伺いたいと思います。
 (5)、人命を尊重し、安心・安全な暮らしを確保するためにも、平成18年に制定されたがん対策基本法の趣旨を踏まえ「沖縄県がん対策推進基本条例」の制定が望まれますが、県の取り組みと考えを伺います。
 (6)、昨年5月に改正された高齢者居住安定確保法では、介護サービスを含む生活支援施設と一体となった「高齢者向け優良賃貸住宅」いわゆる「高優賃」の供給促進が盛り込まれ、「高優賃」の整備費に対する国の補助が拡大されましたが、高齢者居住安定確保計画の策定について県の考え及び取り組みについて伺います。
 (7)、視覚障害者の情報取得の切り札として期待されている「音声コード」の普及は十分に進んでいないのが実態だが、県の取り組みについて伺います。
 (8)、公明党は福祉の党として、これからの21世紀の新たな社会問題に対応するため、「新しい福祉」を提案しています。いわゆる社会保障制度の抜本的な充実を図る「新しい生活保障」、生活の安定に直結する雇用保障の確立に向けた「新しい雇用保障」、うつ病など現代の社会問題に対応する「新しいヒューマンケア」の三本柱について、知事の所見を伺います。
 4、農林水産行政。
 口蹄疫被害が宮崎県の畜産農家を苦しみのどん底に突き落としています。
 まず明確にしたいのは、口蹄疫が鳩山政権の鈍い対応による人災だということです。これは初動態勢のまずさが原因です。10年前に宮崎県と北海道で口蹄疫が発生したとき、緊急対策を迅速に実行し、1カ月半で終息、735頭の殺処分にとどまったのに対し、今回は2カ月で20万頭です。赤松前農水相の外遊中に爆発的に被害は拡大し、対策本部の設置も発生から約1カ月後というありさまでした。公明党は、4月23日に党県議団が県に対策を要請し、同29日には党対策本部が現地調査を行っています。さらに、赤松農水相が外遊中の5月10日に2回目の現地調査を行い、12日に政府に対し1000億円規模の予算確保を要望、5月25日に独自の口蹄疫対策特別措置法案を国会に提出、民主・自民両党に呼びかけ、28日間のスピード成立をリードいたしました。
 我が県においても、5月24日、他党に先駆けて県に対し水際対策の強化や農家への支援策を求める要請を行いました。離島県であるがゆえに、感染があれば即壊滅的な被害のおそれがあり、決して油断してはならないと思います。
 そこで質問します。
 (1)、口蹄疫の侵入防止対策、農家支援について。
 ア、空港・港等に消毒マットを設置するなど、官民一体の水際対策を徹底し、ウイルスの侵入を防ぐこと。
 イ、異常な家畜の早期発見、早期通報、衛生管理の徹底など関係機関と連携を密にし対策を強化すること。
 ウ、口蹄疫の影響による県内畜産農家への相談窓口の体制強化を図ること。
 エ、経済的負担が生じた畜産農家への経営支援を図ること。
 オ、食肉への風評被害防止を図ること。
 カ、侵入防止対策費や緊急を要する農家支援は予備費を活用し、不足分は補正予算で対応を講じること等について伺います。
 (2)、種雄牛候補の育成など、肉用牛改良の一翼を担ってきた石垣市の名蔵牧場の利活用について伺います。
 先島の子牛生産振興のためにも名蔵牧場を家畜研究センターの石垣支場として拡充強化できないか県の考えを伺います。
 (3)、南北大東島の畜産振興対策について伺います。
 離島農業の基本はさとうきびと畜産、なかんずく牛の両立であると考えます。さとうきびの島である南北大東の畜産が停滞しているが、その要因、課題は何なのか。その対策について県の考えを伺います。
 (4)、黒糖販売対策について伺います。
 小さな離島は黒糖の生産で生計を立ててきた。しかしながら、近年、安価な外国製品の輸入や加工糖普及によって黒糖が売れなくなっている。離島の生産農家にとっては死活問題となり、黒糖の販売対策が急がれる。黒糖販売の実態と今後の対策について、県の考え及び御説明を伺います。
 5番、文化芸術振興について伺います。
 (1)、東町の郷土劇場が閉鎖された後、関係者の間では同様の郷土劇場の設置の声が高まっており、陳情も提出されております。郷土芸能の振興、促進の観点からも県立郷土劇場の建設は必要と考え、これまでも何度か取り上げてきましたが、県の取り組みについて伺います。
 (2)、空手の殿堂構想についてもこれまで何度か取り上げてまいりました。5000万人とも言われる世界のKARATE―MANたちが沖縄にはせる思いというのは強いものがあります。したがって、空手発祥の地にふさわしい空手の殿堂構想は、沖縄伝統文化の価値を高め、沖縄空手の真髄を世界に発信する意義あることと考え、県の取り組みについて所見を伺います。
 最後に、離島振興について伺います。これまでたびたび陳情とかあるいはいろんな要望が離島から出されてきた古くて新しい課題でございます。
 (1)、学生寮を備えた離島会館建設でございますが、これは離島住民の負担軽減のみならず、情報交換や離島間の連帯へとつながり、離島振興及び人材育成の拠点として大変重要な役割を果たすものと考えます。県の取り組みについて伺います。
 (2)、離島住民のライフラインの一つである水道事業の格差是正は、ユニバーサルサービスの視点からしても島によって水道料金や水の質が変わるということは納得できません。こうした島の素朴な思いを解決してあげるためにも、例えば水道事業の一元化による格差是正はできないのかどうか、県の考えを伺います。
 以上で代表質問を終わります。
○知事(仲井眞弘多) おはようございます。
 糸洲議員の御質問に答弁させていただきます。 
 まず第1に、知事の政治姿勢の中で、菅内閣に対する評価という御趣旨の御質問にお答えいたします。
 菅総理は、6月11日の所信表明演説において、「信頼回復による再出発」、そして「改革の続行」、「経済・財政・社会保障の一体的建て直し」などを掲げ、政権運営に当たるとしております。また、沖縄については、米軍基地の負担軽減と危険性除去に一層真剣に取り組み、沖縄経済の真の自立と持続的な発展のために全力を尽くすと述べております。
 菅総理には、基地問題の解決、そして沖縄振興の着実な推進に向け強いリーダーシップを持って取り組まれることを期待いたします。
 同じく知事の政治姿勢の中で、普天間飛行場の国外・県外移設に係る御質問にお答えいたします。
 今回の日米共同発表は、県外移設の実現に期待する県民の声がますます高まっている中で唐突に行われたものであり、県民の間に大きな失望を招いております。県としましても、地元の了解を経ずにこのような移設案が決定されたことはまことに遺憾であり、受け入れることは極めて厳しいと言わざるを得ません。
 県といたしましては、政府が県外移設をどこまで真剣に検討したのか、そしてどのような経緯で移設先を辺野古とする日米合意に至ったのか、合理的な説明を行うべきであると考えております。
 次に、同じく政治姿勢の中で、選挙公約の取り組み状況いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 私は、知事就任以来、雇用の創出・拡大や企業誘致など産業振興に取り組みますとともに、県民福祉の向上や過重な基地負担の軽減など、沖縄が抱える諸問題の解決に全力で取り組み、あらゆる面で施策を展開してまいりました。これまでに沖縄県中小企業振興条例の制定、そしてドクターヘリの導入による救急医療体制の整備、離島地区のブロードバンド環境の整備、沖縄国際アジア音楽祭の開催等について実現してまいりました。また、「沖縄県産業・雇用拡大県民運動(みんなでグッジョブ運動)」の展開、そしてIT津梁パークの整備、情報通信関連産業の集積など、雇用拡大と産業振興に取り組みますとともに、大学院大学の設置推進、那覇空港拡張整備促進、国際物流拠点の形成に向けた那覇空港ターミナル地区の整備促進など、各種基盤整備の促進を図っております。さらに、保育所入所待機児童の解消対策を初め畜産・園芸作物、おきなわブランド産地の育成など農林水産業の振興、そして新石垣空港建設・伊良部架橋などの離島・過疎地域の振興、県立病院の経営健全化に向けた取り組み、その他多くの施策につきましても事業化するなど諸問題の解決に向けまして着実に前進していると考えているとこ
ろでございます。
 今後とも県民福祉の向上、そして県勢発展のための産業振興、雇用情勢の改善や基地問題解決などの課題に全力で取り組んでまいる所存でございます。
 同じく政治姿勢の中で、「沖縄21世紀ビジョン」の実現のための決意についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 「沖縄21世紀ビジョン」は、県内全市町村における討論会、そして県民アンケート等をもとにおおむね20年後のあるべき沖縄の姿を描き、その実現に向けた取り組みの方向性を示すもので、県民とともに初めて策定した長期構想であると考えております。このビジョンは、高校生などの若い人々やお年寄りの方々、そして都市地域の方や離島に住む皆様、そうした多様な県民の願いが込められたものであると考えます。このビジョンの実現に向けましては、これまでの沖縄振興の実績を踏まえながら、新たな施策の展開や制度の構築を図り、県民と力を合わせ全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、基地問題対策に係る御質問の中で、普天間飛行場の危険性除去への取り組みいかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場の危険性の除去につきましては、移設協議会やワーキングチーム会合などにおいて政府と意見交換を重ねてきたところでありますが、昨年9月の新政権発足後は、これらの協議会等は開催されておりません。
 県は、総理を初め各大臣との面談など機会あるごとに普天間飛行場の一日も早い危険性の除去を求めており、去る5月23日の鳩山前総理との面談においては、前総理から、普天間飛行場の危険性の除去については、返還までの間であれ、できる限りの措置を講じていきたいと思っており、今後ともしっかり取り組んでまいりたいとの発言がありました。
 県としましては、新内閣におきましても引き続き積極的にこの問題の解決に取り組んでもらえるものと期待をしているところでございます。
 次に、同じく基地問題に係る御質問の中で、基地問題を訴えることについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 私は、去る5月27日の全国知事会において、全国の知事に対し、沖縄の過重な基地負担の現状を訴え、理解を求めたところであります。また、本年は日米安全保障条約改定50年目という節目の年であることから、県としましては、シンポジウムの開催や県の広報媒体の活用など、沖縄県の過重な基地負担の軽減を図るため情報発信等を強化してまいりたいと考えております。さらに、渉外知事会等とも連携を強化し、日米地位協定の見直しについて積極的に日米両政府に対し働きかけてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、医療・福祉行政に係る御質問の中で、新しい福祉の提案についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 公明党は、年金・医療・介護の充実に加え、うつなどの心の病、貧困や不安定雇用といった新たな社会問題に対応するため「新しい福祉」を提言されておられます。「新しい生活保障」、「新しい雇用保障」、「新しいヒューマンケア」の3つの柱を掲げ、それぞれで安心の国民生活を実現するための政策を提案されております。
 健康福祉社会の実現、雇用情勢の改善に取り組んでいる県政にとりましてはいずれの御提案も大変心強いものであり、その実現に力を尽くしていただきたいと願っております。
 次に、農林水産行政に係る御質問で、口蹄疫に対する防疫対策及び農家の相談窓口についてという御質問ですが、恐縮ですが、4の(1)のアとイとウは関連いたしておりますので一括して答弁させていただきます。
 沖縄県内の口蹄疫侵入防止対策といたしましては、第1に、県外からの家畜導入の自粛、第2に、農場への立入制限、消毒の徹底、第3に、空港・港湾での靴底消毒や車両タイヤの消毒などを実施いたしております。
 畜産農家に対しましては、畜舎の消毒や異常家畜の早期通報などにつきまして徹底するとともに、家畜保健衛生所等に口蹄疫に関する相談窓口を設置し、農家からの営農相談に対応しているところでございます。また、約5000戸の農家を対象に消毒の徹底やえさ代等の支援についての文書を発出いたしております。さらに、沖縄県口蹄疫防疫対策本部や現地対策本部を設置し、関係機関や団体等と連携して口蹄疫侵入防止に係る危機管理体制を強化いたしているところでございます。
 次に、文化芸術振興についての中で、県立郷土劇場の建設についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 沖縄の文化・伝統芸能の振興を図る上で、郷土劇場は重要なものと認識をいたしております。このため、昨年度から「沖縄県伝統芸能公演事業」を実施し、本年度はさらに同事業を充実する観点から、予算も大幅にふやし実施することといたしております。今後、同公演などの実績を踏まえて劇場のあり方の調査研究を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○企画部長(川上好久) 知事の政治姿勢についての御質問の中で、実現に向けた計画策定、事業計画等2030年までの工程等についてお答えいたします。
 「沖縄21世紀ビジョン」においては、「県民のめざすべき将来像」として、「自然・環境・文化」、「安全・安心」、「産業・雇用」、「国際交流」、「人材育成」の5つの分野の目標と、基地跡地、離島など解決すべき4つの課題が設定されています。
 「沖縄21世紀ビジョン」で設定した目標の実現や課題の解決に向けた施策等については、新たな計画において具体的に盛り込むとともに、国の責務に基づき実施すべき制度や施策についても、新たな法制化も含めて国に求めてまいります。
 2030年までの工程の想定としては、現行計画後の新たな計画を「沖縄21世紀ビジョン」実現の前期10年基本計画として、そしてその後の10年計画は後期基本計画としてそれぞれ位置づけ、ビジョンの実現につなげていきたいと考えております。また期間3年から5年程度のアクションプランのあり方についても検討してまいりたいと考えております。
 次に、「県民選好度調査」に対する感想と、今後の行政運営についてお答えいたします。
 今回の調査では、県民はこれまでと同様に、年金や失業に対する関心が高く、老後の生活や将来の雇用への不安を厳しく受けとめていることが示されています。また、暮らしの中で行政に力を入れてほしいものとして、「医療と保健」、「労働・雇用」が上位となっており、これらの施策の重要性を再認識したところです。
 県としては、今回の調査結果を現行の沖縄振興計画後の新たな計画を初めさまざまな計画の策定などに活用し、県民のニーズに合ったきめ細やかな施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、基地問題対策についての御質問の中で、大規模な基地返還跡地開発と新たな仕組みについてお答えいたします。
 嘉手納飛行場より南の大規模な基地返還跡地開発については、「沖縄21世紀ビジョン」においても、基地返還跡地の有効利用と県土構造の再編を自立経済構築の大きな柱として取り組むこととしております。
 県としましては、今後の大規模な跡地利用を円滑かつ最適に進めるため、基地返還に伴う環境浄化、地権者の負担軽減策、事業実施主体の確立など諸問題の解決に向けた特別立法を含む新たな仕組み・法制度の創設を図る必要があると考えております。
 次に、国連機関、国際機関の誘致についてお答えいたします。
 県では、これまでに沖縄の特性を考慮した国際貢献機能やその拠点形成の可能性等について検討を進めてきたところであります。国連機関の誘致については、課題として国がその方針を持っていないことや、財政的な問題などがありますが、県としましては、「沖縄21世紀ビジョン」に掲げた国際貢献・協力機能の導入促進の観点からも、引き続き国際機関等の誘致の可能性を探ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○知事公室長(又吉 進) 基地問題につきまして、嘉手納以南の基地返還の取り組みについてお答えいたします。
 去る5月28日の日米共同発表において、嘉手納以南の施設・区域の返還につきましては、再編の実施のための日米ロードマップに従って着実に実施されることを確認し、加えてキャンプ瑞慶覧のインダストリアル・コリドー及び牧港補給地区の一部が早期返還における優先分野であることを決定したとされておりますが、これまでのところ、政府から具体的な説明はありません。
 県としましては、嘉手納飛行場以南の米軍施設・区域の返還につきましては、米軍基地の整理縮小につながるものであり、確実に実施されるよう、日米両政府に強く求めてまいりたいと考えております。
 次に、基地の整理縮小及び返還に係る実施工程の策定についての御質問にお答えをいたします。
 沖縄県には戦後65年を経過した今なお広大な米軍基地が存在し、SACOや再編協議の合意に基づく大規模な基地の返還が実現した後も、依然として過重な基地負担が続く状況にあります。
 沖縄県は、21世紀ビジョンにおきまして、「基地のない平和で豊かな沖縄をあるべき県土の姿としながら、引き続き基地の整理・縮小を進める。」としており、その実現に向けては、県の基本的な方針を示す必要があると考えております。
 御質問にあります基地の整理縮小及び返還に向けた実施工程の策定につきましては、貴重な御提言として承りたいと思います。
 以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 福祉・医療行政についての御質問の中の、子宮頸がん予防ワクチンの全額公費助成についてお答えします。
 感染症の予防接種は市町村の業務となっており、公費負担の対象となる疾病については、予防接種法で定期接種となっております。現在、子宮頸がん予防ワクチンは同法の定期接種となっていないことから、県としては、全国衛生部長会を通じて同ワクチンの有効性等の評価を早急に行い、必要な公的支援や多くの国民が接種できるよう国に要望しているところであります。
 次に、無料クーポン券事業の継続と予算拡充についてお答えします。
 乳がん及び子宮頸がんの無料検診クーポン券の配布については平成21年度から開始された事業であります。事業開始の初年度は全額国庫負担事業として実施されておりましたが、今年度は国が2分の1、市町村2分の1負担で実施されております。国は、来年度の国庫負担による事業継続について特に明言しておりませんが、県としては、全国衛生部長会を通して国庫負担による事業継続を要望しているところであります。
 次に、子宮頸がん予防法の制定についてお答えします。
 子宮頸がんは、日本では年間約8500人が発症し、約2500人が死亡しております。近年、20代や30代の若年層で増加傾向にあり、その対策の強化が求められております。そのような中、「子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案」が前の国会に提出されたところですが、成立には至りませんでした。今後、国の動向を見守っていきたいと考えております。
 次に、県民への普及啓発についてお答えします。
 子宮頸がん対策については、その予防及び早期発見、早期治療が重要であることから、県では検診受診率の向上のため、講演会やパンフレットの配布等の普及啓発を行っています。昨年度は、沖縄本島及び宮古・八重山地区において乳がん、子宮がんに関する講演会やパネル展を実施したところです。また、特に今年度は琉球大学医学部附属病院に設置されているがん診療連携協議会において、教育現場を対象とした子宮頸がんに関する普及啓発も計画しており、県では当該協議会と協働して普及啓発の取り組みを進めているところであります。
 次に、「乳がん月間」を「女性特有のがん月間」とし、子宮頸がんを含めた取り組みを行うことについてお答えします。
 10月の「乳がん月間」は、乳がんに関する啓発運動を全国的に展開している民間団体により実施されており、11月の「子宮頸がん月間」は、財団法人日本対がん協会により実施されております。
 乳がん及び子宮頸がん対策については、女性特有のがん対策としての視点も大切でありますが、実施方法等について関係団体の意向に配慮した取り組みが必要と考えます。県では、無料クーポン券の活用を含め、女性特有のがんに関する普及啓発について市町村及び医師会、その他関係団体等と連携しながら、今後とも取り組みを進めてまいります。
 次に、ヒブワクチン接種の助成についてお答えします。
 主に新生児から5歳以下の小児に見られる細菌性髄膜炎は、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型が最も多い原因とされていますが、それを予防するヒブワクチンは、2008年12月から日本においても接種可能となっております。しかし、現在のところ同ワクチンは、予防接種法に基づく公費負担の対象となる定期接種となっていないことから、県としては全国衛生部長会を通じて同ワクチンの有効性等の評価を早急に行い、必要な公的支援や多くの国民が接種できるよう国に要望しているところであります。
 次に、発達障害児支援対策についてお答えします。
 発達障害児(者)の支援につきましては、発達障害児(者)のライフステージを通じ一貫した支援を受けられる体制の構築が重要であります。そのため県では、昨年8月、県及び市町村等関係機関が連携した支援を行うための「沖縄県発達障害児(者)支援体制整備計画」を策定しております。また、11月には、地域において発達障害児(者)に対する支援体制を担う人材確保を図る観点から「沖縄県発達障害児(者)支援に関する人材育成計画」を策定し、現在両計画に基づく取り組みを進めているところであります。
 次に、エコチル調査についてお答えします。
 エコチル調査とは、子供の健康に対して環境要因、特に化学物質が与える影響を明らかにし、子供が健やかに育つ環境の実現を目指して行われる全国調査であります。実施体制として環境省が企画・立案し、国立環境研究所が実施機関として指定を受けた全国15カ所のユニットセンターの協力を得て実施する調査と聞いております。
 調査は、妊婦に対して妊娠初期に調査の意義を十分に説明し、同意の得られた妊婦を登録し、血液、母乳等についての化学物質などの分析と、子供が13歳になるまで発育、発達について追跡する調査事業です。沖縄では、琉球大学がユニットセンターの指定を受け、宮古島市を対象地域として実施に向けての調整が行われているところです。
 「沖縄県がん対策推進基本条例」についてお答えします。
 県におきましては、がん対策基本法に沿って、平成20年3月に「沖縄県がん対策推進計画」を策定し、総合的かつ計画的ながん対策の推進を図っているところであります。さらに、平成21年12月にはアクションプランを策定し、各実施主体が具体的に取り組む内容を示したところであります。このような中で、がん条例の制定についてはその必要性を含め総合的に検討することとしております。
 県としましては、今後とも県計画及びアクションプランを着実に実施し、予防から医療提供に係る適切ながん対策の充実強化を図っていくこととしております。
 次に、音声コードの普及等についてお答えします。
 視覚障害者に対する情報バリアフリーの促進につきましては、臨時特例基金を活用した視覚障害者等情報支援整備事業があります。同事業では、市町村の窓口業務の円滑化等に必要な情報支援機器やソフトウエア等の整備、音声コード普及のための研修等に係る費用が補助対象となっており、平成21年度は、宜野湾市が同事業で情報支援機器を整備しております。
 県としては、引き続き音声コードの普及を含め視覚障害者に対する情報バリアフリーの促進に努めていきたいと考えております。
 次に、離島振興についての御質問の中の、離島の水道事業の格差是正についてお答えします。
 離島地域の水道事業につきましては、これまで高率補助による施設整備や交付税措置等により支援を行ってきたところでありますが、依然として本島地域と比べ水道料金などの格差があります。
 そのため県としましては、沖縄21世紀ビジョンで、水道のユニバーサルサービスの向上に向け水道広域化に取り組むこととしており、その実現に努めてまいります。
 以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは医療・福祉行政についての御質問で、子宮頸がん予防の普及啓発についてお答えいたします。
 児童生徒が生涯にわたって心身ともに明るく健やかな生活を送るため、学校における健康教育の充実を図ることは重要であります。
 県教育委員会としましては、琉球大学医学部附属病院長を初め専門医師で構成する沖縄県がん診療連携協議会と連携し、感染症の一つである子宮頸がんの学校への情報提供や普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、文化芸術振興についての御質問で、空手の殿堂構想についてお答えいたします。
 沖縄を発祥の地とする空手道は、沖縄が世界に誇る伝統文化の一つであり、その継承・発展に努めることは重要なことであると認識をしております。
 空手の殿堂構想については、基本的なコンセプト、用地や建設費の確保、管理運営主体などの課題があることから、今後関係団体等の意見を聴取しながら関係部局と連携し、調査研究してまいりたいと考えております。
 次に、離島振興についての御質問で、学生寮を備えた離島会館の建設についてお答えいたします。
 離島出身の生徒が安心して学習や生活ができるよう支援することは大切なことであると考えております。
 現在、県立高等学校11校に寄宿舎を設置し、離島出身の生徒の入寮を優先した配慮を行っております。学生寮を備えた離島会館の建設については、事業主体や用地・建設費の確保、管理運営などの課題があります。
 県教育委員会としましては、離島出身の生徒の入寮について、他の学校の寄宿舎にも入寮できるシステムづくりで対応しているところであります。
 以上でございます。
○土木建築部長(仲田文昭) 医療・福祉行政について、高齢者居住安定確保計画の策定についてお答えいたします。
 「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に定める本県の「高齢者居住安定確保計画」については、国土交通大臣及び厚生労働大臣が定めた基本方針に基づいて平成23年度に策定することにしております。この計画において、県内の高齢者に対する賃貸住宅や老人ホームの供給の目標及びその達成のために必要な事項などを定めることとなっております。
 計画の策定に当たっては、住宅部局と福祉部局が共同して住宅と老人ホーム、福祉サービスの組み合わせによる適切な計画を策定する必要があり、今後、市町村との連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 農林水産行政の中で、畜産農家の支援と口蹄疫侵入防止対策について一括してお答えいたします。
 口蹄疫の侵入防止対策や農家支援としては、消毒剤や消毒機材などの整備、家畜の飼料代の補助、生活資金または運転資金の利子助成などに対し、約1億1000万円を予備費で対応しております。また、6月補正予算として、消毒剤や消毒機材などの整備、家畜飼料代の補助、生活資金または運転資金の利子助成、出荷遅延による肉用牛の価格差補てん、新たな輸送ルートの確保のための貨物船コンテナ輸送料の補助などで約8億3600万円を計上し、予備費、補正を合わせて総額約9億4600万円の支援を考えております。
 同じく食肉への風評被害防止対策についてお答えいたします。
 食肉への風評被害防止対策としては、国の食品安全委員会は、口蹄疫は、「人が感染することはなく、仮に口蹄疫にかかった家畜の肉を食べたり牛乳を飲んだりしても人体に影響はありません」とする風評被害防止対策の見解を発表しております。
 県としては、その見解を踏まえ、新聞、テレビ、県ホームページ等に掲載して、県民に正確に情報を提供しているところであります。また、万全な口蹄疫防疫対策や農家支援、風評被害防止対策等について、去る6月17日に市町村、JA等と連携して、特別交付税措置を含む十分な財政措置を講じるよう国に強く要請しているところであります。
 同じく石垣市名蔵牧場の利活用についてお答えいたします。
 石垣市名蔵にある肉用牛改良施設では、本県の優良種雄牛を造成するため、候補牛の生産・育成、候補牛の産肉能力検定の実施、検定結果に基づく優良種雄牛の選抜などを行っております。これまで全国トップクラスの産肉能力を有する北福波や茂隆平等の優良種雄牛が造成されるなど、肉用牛振興に大きく貢献しております。
 今後とも石垣市名蔵の肉用牛改良施設については、種雄牛造成のための施設として活用していきたいと考えております。
 なお、石垣市名蔵の肉用牛改良施設を畜産研究センターの中に位置づけすることについては、関係部局と検討していきたいと考えております。
 次に、南大東村及び北大東村の畜産振興対策についてお答えいたします。
 南大東村及び北大東村の畜産の生産状況は、平成21年の家畜飼養頭羽数調査によりますと、南大東村では、肉用牛が3戸で761頭、ヤギが14戸で115頭となっております。また、北大東村では、採卵鶏が1戸で500羽、ヤギが28戸で120頭となっております。
 両村の畜産振興につきましては、さとうきびの生産拡大や地力増進を図る観点から重要であると考えており、今後地元からの要望を踏まえて検討していきたいと考えております。
 同じく黒糖の販売対策についてお答えいたします。
 黒糖を取り巻く環境は、近年の経済不況のもとで輸入糖や再製糖との競合により厳しい販売状況となっております。このため、県としては、JAや黒砂糖工業会、町村等で構成する「沖縄県含みつ糖対策協議会」で、毎年5月10日を「黒糖の日」として制定し、販売促進対策の強化を図っているところであります。
 具体的な取り組みとしては、「黒糖の日」の関連行事として、「機能性豊かな黒糖の可能性について」など講演会やシンポジウムの開催、沖縄黒糖の効能紹介、新製品開発等の沖縄黒糖PRのプロモーション活動、県外大手黒糖ユーザーとの情報交換、講演会の実施、ファーマーズマーケット及び黒糖生産町村での販売促進、美ら島沖縄総体への黒糖贈呈によるPRなどに取り組んでいるところであります。
 さらに、沖縄産含みつ糖の抜本的な経営安定対策や黒糖と輸入含みつ糖及び再製糖との表示区分の明確化を図るよう、町村、JA、黒砂糖工業会等の関係機関と連携し、国に要請しているところであります。
 以上でございます。
○糸洲 朝則 答弁ありがとうございました。
 何点か要望並びに質問――要望にとどめたいと思いますが――例えば農林水産行政の中の南大東、北大東の畜産振興についてでございます。
 ここは、私はやっぱり離島、島々というのはさとうきびと牛、あるいはヤギ、こういう畜産との両立が一番農業振興の上で大事だと思っております。さとうきびの島であるこの南・北の大東島が、畜産が非常に停滞している。これはいろいろ条件が悪くて、例えば輸送費が高いとかあるいは競り市場がないために本島に持ってきて競りに出す、そこで買いたたかれるとか、いろんなそういうこれまでの経緯等がありまして、例えば牛に例えて言うならば、なかなかそこら辺のが進まないと。であれば、あれだけのさとうきびの梢頭部だとかあるいはバガスを活用したまず畜産の振興を進めた上で、競りについては、例えば南部あたりに、あるいは本部あたりでもいいです。そのどこの市場に出すかで決まりますが、そこで畜舎や簡易牧場もつくって、競りの一月前とか、あるいは2週間ぐらいの間そこで仕上げて出すとか、そういう政策的に誘導しなければ、なかなかああいう南北大東で畜産業を振興させていくということにはならないと思うんです。
 ぜひともこれは行政が、あるいは政治が政策的にリードをしなくてはならないと、こういう観点でこの質問をしておりますので、ぜひともそこら辺は御検討いただきたい。答弁があれば伺いたいと思います。
 それと教育長、先ほど学生寮を備えた離島会館の質問に対する答弁ありがとうございます。これまでの答弁の域を出ておりませんが、私も沖縄工業の寮生でございますから、寄宿舎のあるいは寮のそういうありがたさというのはわかりますが、その学校だけじゃなくて、やっぱり親御さんというのがおりまして、最近では、高校進学のために例えば片方の親が那覇に出てくるとか、あるいは宮古本島に出てくるとかそういう形で子供を育てるために苦労しておられる。したがって、そこに学生寮を備えた会館という、単なる学生寮だけじゃなくて離島の情報交換とか、あるいはまたいろんな情報発信をしたり、そういう場所としての離島の拠点的なものをぜひともつくっていただきたい。こういう趣旨だと思うんですよ。
 したがって、教育あるいは勉学の面、もう一つは離島振興の観点からですから、これは教育庁だけじゃなくて例えば農林水産部もあるでしょうし、あるいは観光商工部とかいろんなそういう関係する部局に集まっていただいて、離島振興の観点からという視点で今後検討いただければと思います。よろしくお願いします。
 以上です。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午前11時4分休憩
   午前11時4分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 仲井眞知事。
   〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 今の糸洲議員の再質問に関連いたしまして、特に両方とも離島における、特に南北大東の畜産のお話、そして御提案、そして2番目の離島会館といいますか学生会館、このお話は両方とも離島振興に係る話であり、次の沖縄振興計画にはちょうど離島対策というのは大きな政策になると思われますので、そういう中で無論検討はしていきたいと思いますが、まずこの1番目の畜産については、南北大東、特に離島における畜産をやりたいという農家の意欲があれば、やりようは御提案の方向であり得ると思っております。
 ですから、これはもう少し詰めさせていただければと思います。
 それから第2の学生会館について、私も南大東にもう知事になった直後にお邪魔したときからお話があり、なかなか私のほうでもこれまで手をつけることができなかった課題でもあり、これもやりようで可能だと私は思っておりますから、きょうの御提案を受けて前広にというか前向きに対応してまいりたいと考えております。
○大城 一馬 こんにちは。
 社大・結を代表いたしまして代表質問を行いたいと思います。
 まず最初に、知事の政治姿勢についてでございます。
 戦後初の本格的な政権交代が実現し、県民に期待を持たせた鳩山政権は、もろくも崩壊いたしました。普天間基地は「最低でも県外」という約束を翻し、辺野古に回帰したことに大きな怒りを持つものであります。地元の頭越しの日米共同声明は、断じて許されるものではありません。アメリカの恫喝にひれ伏した行為は、沖縄差別、切り捨てであり、県民の尊厳を踏みにじるものであります。
 鳩山総理の無責任な政権投げ出しによって菅政権が誕生しましたが、これまた早々に日米合意踏襲を表明し、あげくに就任の所信表明で、沖縄の過重な基地負担に「感謝の念を深める」、そして6月23日の沖縄全戦没者追悼式においての「お礼」発言は、県民のさらなる怒りとひんしゅくを買っています。
 さて、菅総理は、今回の参議院選挙で消費税引き上げを明言しましたが、行政の無駄、官僚の天下り、思いやり予算、高所得者や大企業優遇の税制改革、格差社会の解消、改善にまず取り組むべきであり、消費税引き上げには到底国民の理解が得られません。我が会派は、断固反対をあらわすものであります。
 ところで、唐突な消費税引き上げ表明は、参議院選挙で「普天間問題」、政治と金問題から国民の目をそらすという争点ぼかしの感が否めません。
 以下、質問に入ります。
 (1)、鳩山前総理8カ月間の迷走と政権投げ出しについて知事の所見をお伺いします。
 (2)、菅新内閣が6月8日に発足し、再任された前原沖縄担当相に指示した内容について政府関係者から、基地問題と振興策のリンク論復活そのものとの報道がありますが、知事の所見を伺う。
 (3)、菅総理の所信表明演説の中で、沖縄の過重な基地負担に対し「感謝の念を深める」と発言しています。知事の所感をお伺いします。
 2、基地問題につきまして。
 県政史上歴史に残る4・25県民大会での9万人余の怒りの声は、日米両政府を震撼させたのではないでしょうか。ところで、仲井眞知事はぎりぎりまで出席をちゅうちょし、大会の趣旨である普天間基地の県内移設反対も明言しませんでした。そして、5月28日の日米共同声明後も県内市町村長が明確に県内移設反対、国外・県外へと表明する中で、知事発言は極めて抽象的、第三者的であり、沖縄県知事として当事者意識がないと私どもは認識をせざるを得ないのであります。
 質問いたします。
 ア、辺野古移設を決めた日米合意につきまして、知事は明確に撤回を求め、県内移設反対を表明すべきではないか。
 イ、菅総理の所信表明演説で日米合意履行を受け、知事は県民の納得が要ると述べています。県民の納得を得るための策とは何でしょうか。
 ウ、岡田外相は、沖縄が受け入れを拒否した場合、普天間は固定化される。さらに8月末までに工法や位置を決めることについても地元の理解が得られない場合でも決定すると発言しています。知事の所見をお伺いします。
 日米地位協定見直しの進捗状況について説明を求めます。
 次に、基地の負担軽減についてでございます。
 ア、新政権は、普天間問題と基地の負担軽減を同列に位置づけています。知事の所見を伺います。
 イ、県が求めている負担軽減について、国は具体的にどう対応しているか進捗状況をお伺いいたします。
 高江ヘリパッド問題についてでございます。
 質問いたします。
 ア、知事は、ヘリパッド建設予定地を視察し区民と意見交換をされました。所感をお伺いします。
 イ、政府に建設中止を求めるべきではないかと考えますがどうでしょうか。
 次に、口蹄疫問題についてでございます。
 宮崎県での口蹄疫の感染拡大は大きな混乱となり、全国的に問題となっています。本県でも家畜競り中止等で生産者の経営が逼迫している現状であります。また、観光客の出入りが多い沖縄では万全な水際対策が重要であります。さらに、万が一口蹄疫が県内で発生した場合、観光産業などへの影響による県経済への多大な影響ははかり知れません。
 以下、質問いたします。
 (1)、沖縄県内での未然防止策は万全か。
 (2)、県内での発生を想定した場合の県経済に及ぼす影響はどうでしょうか。
 (3)、県内家畜競り市が休止しているが、波及も含め損失の試算はどうなっているか。また、再開の判断について県の見解を問います。
 (4)、生産者支援について県の対応策を問います。
 (5)、宮古、八重山を初め各市町村会から支援の要請が県及び県議会へ寄せられています。対応についてお伺いいたします。
 (6)、県は、補正予算として8億円を計上していますが、予防体制、生産者支援は十分と認識していますか。
 次に、沖縄振興策についてでございます。
 (1)、沖縄振興計画総点検について。
 2012年3月で期限を迎える沖縄振興計画の総点検について質問いたします。
 ア、進捗状況と現時点における主な課題について示していただきたいと思います。
 イ、新たな沖縄振興に係る策定計画のスケジュールをお伺いします。また、これまで4次にわたる振興計画を経ても県民所得や失業率の改善はできていません。これらは新振興計画にどう反映されるでしょうか。
 ウ、21世紀ビジョンに盛り込まれた県議会の提言は、新たな沖縄振興計画にどう反映されるか。
 (2)、「沖縄21世紀ビジョン」についてでございます。
 2030年以後の沖縄の将来像を描く「沖縄21世紀ビジョン」について質問いたします。
 ア、ビジョン実現に向けて、すべての県民が課題と目標を共有しながら取り組みを進めるとして「県民・市町村・県の協働体制」、「国と県の役割」、「ビジョン実現に向けた計画づくり」を示していますが、具体的な説明を求めます。
 イ、ビジョン実現に向けた基本計画、実施計画の策定スケジュールについてお伺いいたします。
 (3)、新たな公共交通システムにおける鉄軌道及びLRT導入について、県の考え方と取り組みについてお伺いいたします。
 次に、福祉行政についてでございます。
 (1)、児童虐待について。
 またもや幼い命が暴力によって失われました。2009年6月、石垣市の事件の教訓が生かされず残念な事態であります。
 以下、質問いたします。
 ア、沖縄市で発生した乳児虐待死及び女児虐待事件が防止できなかった背景と原因をお伺いいたします。
 イ、再発防止の徹底が求められていますが、県と市町村の対応についてお伺いいたします。
 ウ、県内で2009年度の児童虐待相談件数は過去最多の1138件となっています。その原因についての認識をお伺いいたします。
 次に、観光行政についてでございます。
 台湾・沖縄交流事業についてでございます。
 去る3月28日から31日まで、私ども社大・結会派全員で台湾視察に行ってまいりました。花蓮市長や花蓮議会議長、そして台湾政府の外交、交通観光要人等と意見交換を行いましたが、台湾側から沖縄県との観光、経済、人的交流など要望が寄せられました。
 以下、質問いたします。
 ア、県内企業の台湾進出の状況と県の支援策についてお伺いいたします。
 イ、台湾からの企業誘致状況と県の支援策についてお伺いいたします。
 ウ、観光交流(修学旅行を含む)事業の現状と支援策についてお伺いいたします。
 エ、八重山諸島と台湾東部(花蓮・宜蘭・台東)の交流事業の現状と成果をお伺いいたします。
 次に、外国人の誘客についてでございます。
 他府県では外国人誘客を本格的に取り組み、功を奏しています。本県における対応はまだまだではないでしょうか。
 以下、質問いたします。
 ア、6月補正予算で約15億円が計上されていますが、内容と見込まれる成果をお伺いいたします。
 イ、外国人誘客に必要な環境整備等について、県の認識と対応をお伺いいたします。
 以上、質問をいたします。
○知事(仲井眞弘多) 大城一馬議員の御質問に答弁させていただきます。
 まず知事の政治姿勢の中で、鳩山前総理の評価いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 鳩山前総理は、昨年10月の所信表明演説において、官僚依存から政治主導・国民主導へ、そして「コンクリートから人へ」などの方針を掲げ、これまでの政治を改革するとの高い志を持って政権運営に当たっておられましたが、政治と金や社会民主党の連立離脱などの問題があったものと認識いたしております。
 鳩山前総理は2度沖縄に見え、そして沖縄に対する思いはそれなりのものがあったのでないかと拝察いたします。しかしながら、普天間飛行場移設問題につきましては、当初「最低でも県外」と発言されたにもかかわらず、5月28日の日米共同発表で「代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する」とされ、県民に大きな失望を与えたことはまことに遺憾と言うしかありません。
 次に、基地問題に係る御質問の中で、普天間飛行場の県内移設反対についての御質問にお答えいたします。
 今回の日米共同発表は、県外移設の実現に期待する県民の声がますます高まっている中で唐突と思われるほどのあり方で、県民の間に大きな失望を招いております。県としましても、地元の了解を経ずにこのような移設案が決定されたことはまことに遺憾であり、受け入れることは極めて厳しいと言わざるを得ません。
 県といたしましては、政府が県外移設をどこまで真剣に検討したのか、そして、どのような経緯で移設先を辺野古とする日米合意に至ったのか、合理的な説明を行うべきであると考えているところであります。
 同じく基地問題に関連して、県民の納得を得ることについての御質問にお答えいたします。
 政府は、日米合意に至った経緯等について丁寧かつ十分な説明を行い、県民の納得を得るとともに、県民の目に見える形で基地負担の軽減に取り組んでもらう必要があると考えております。
 同じく基地問題の中で、岡田外相の発言に係る御質問にお答えいたします。
 岡田外務大臣は6月9日の記者会見において、沖縄の理解を求める努力はしなければならないが、8月末までにその理解を得なければ前に進まないということではない、そして沖縄が受け入れがたいというときには前に進めなくなり、現状が固定化されるという趣旨の発言をしております。
 県としましては、この問題の解決に当たっては、政府は頭越しではなく地元の理解、そして協力を得なければならないことは当然のことであると考えております。また、この問題の原点は、そもそも普天間飛行場の一日も早い危険性の除去であり、政府に対し、同飛行場が現状のまま固定化されることは断じて容認できないことを強く訴えてまいります。
 次に、同じく基地問題の中で、高江区民との意見交換に係る御質問にお答えいたします。
 私は、去る6月7日に、東村高江区の代議員との意見交換を行いますとともに、北部訓練場のヘリパッド移設予定地の視察を行ったところであります。意見交換では、地域の皆様の率直な御意見やお気持ちを伺うことでございました。
 今回いただいたさまざまな意見等を踏まえ、地元東村とも連携をとりながら、当該地域の自然環境や地域住民の生活に十分配慮するよう求めていきたいと考えているところでございます。
 次に、観光行政に係る御質問の中で、観光関連の6月補正予算の内容と見込まれる成果についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 平成22年度6月補正予算におきまして、誘客プロモーションや観光客受け入れ体制の整備、新たな観光メニューの開発に係る経費として約15億円を計上いたしております。このうち、外国人誘客につきましては、海外の未就航地からのチャーター便の支援や上海万博を活用した誘客プロモーションなどを実施することといたしております。また、外国人観光客の受け入れ体制整備として、ITを活用しました観光情報の提供や多言語案内サインの整備、そして民間公募型のイベントや新たな旅行商品の開発など、これらを盛り込んでございます。これらの事業を進めることによりまして、受け入れ環境の整備が図られ、外国人観光客の増加につながるものと期待しているところでございます。
 その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(又吉 進) 基地問題と振興策のリンク論につきましての御質問にお答えをいたします。
 去る6月8日の記者会見におきまして、前原沖縄担当大臣は、基地問題による沖縄県民の負担の軽減を常に念頭に置きながら、沖縄の魅力や特性を最大限に生かし、沖縄の自立と発展を支援する旨の指示を菅総理から受けたと発表しております。
 県は、その発言の趣旨については承知しておりませんが、基本的に沖縄県の振興策は基地問題とは別であると考えており、現時点においては、米軍基地問題と沖縄の自立支援を議論する以前に、政府は、名護市辺野古への移設案に至った経緯等について合理的な説明を行うべきであると考えております。
 次に、菅総理の「感謝の念を深める」との発言につきましての御質問にお答えいたします。
 第二次世界大戦後、沖縄は日本本土と切り離され、27年間にわたって米国の施政権下に置かれ、その間、民有地の強制接収などによって広大な米軍基地が形成されました。本土復帰後38年を経過した現在もなお、国土面積の0.6%にすぎない本県に在日米軍専用施設面積の約74%が集中し、沖縄県民は過重な基地負担を背負い続けております。
 菅総理におかれましては、まず歴史的な背景を含む沖縄県の現状について十分に理解を深めていただき、県民の目に見える形で基地問題の解決に取り組んでいただきたいと考えております。
 次に、日米地位協定の見直しの進捗状況についてお答えいたします。
 日米地位協定は、一度も改正されないまま締結から50年が経過しており、人権や環境問題などに対する意識の高まり等の中で、時代の要求や県民の要望にそぐわなくなっていることから、沖縄県におきましては11項目にわたる抜本的な見直しを要請しているところでございます。
 昨年11月、渉外知事会副会長として知事が訪米した際には、米政府機関等から環境問題について前向きに検討したい旨の発言があり、一定の前進があったと考えております。また、政府は「日米地位協定の改定を提起する」との姿勢でございます。
 県としましては、ことしは日米地位協定制定50年の節目の年であり、渉外知事会とも連携をしながら、引き続き粘り強く地位協定の見直しに向けた取り組みを強化してまいりたいと考えております。
 次に、普天間問題と基地の負担軽減の位置づけについての御質問にお答えをいたします。
 県におきましては、これまで政府への要請や全国知事会議、知事訪米など、あらゆる機会をとらえて沖縄の過重な基地負担の軽減やさまざまな事件・事故の防止など米軍基地問題の解決促進を訴えてまいりました。
 県としましては、沖縄の基地負担の軽減は普天間飛行場の移設問題の進捗にかかわらず、日米両政府において着実に実施されるべきものであると認識しております。
 次に、県が求めている負担軽減の進捗状況についての御質問にお答えいたします。
 県は、これまで軍転協とともに米軍基地等に起因する諸問題を解決するため、日米両政府及び米軍等に対し累次にわたる要請を行ってまいりました。これに対し、政府から去る5月31日付文書で、平成21年10月に軍転協として要請した事項に対する回答が示されたところでございます。現在、軍転協会員市町村と連携し、回答内容等について精査しているところであり、県としては、その結果を踏まえ適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、高江ヘリパッドの建設中止についての御質問にお答えいたします。
 北部訓練場のヘリパッドにつきましては、SACO最終報告におきまして、同訓練場の過半を返還することに伴い残余部分に移設されるものであり、県としてはSACOの合意事案を着実に実施し、段階的に基地の整理縮小を図ることがより現実的で実現可能な方法であると認識しております。
 県としましては、国による環境調査の結果や関係する市町村の意向等も踏まえながら、当該地域の自然環境や地域住民の生活に十分配慮すべきであると考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 口蹄疫問題の中で、口蹄疫の未然防止策、発生した場合の影響、競り中止の損失及び競り再開について一括してお答えいたします。
 沖縄県内の口蹄疫侵入防止対策としては、県外からの家畜導入の自粛、農場への立入制限、消毒の徹底、空港・港湾での靴底消毒や車両タイヤの消毒などを実施しております。また、沖縄県口蹄疫防疫対策本部や現地対策本部を設置し、関係機関や団体等と連携して口蹄疫侵入防止に係る危機管理体制を強化しております。
 沖縄県内で口蹄疫が全県を対象に発生した場合、畜産関連産業への波及を含む損失額は約640億円になるものと試算されます。それ以外に観光関連産業にも影響があるものと考えております。
 県内における5月及び6月の競り中止に伴う影響額は、家畜の販売収入として約15億1000万円、家畜の飼料代として約1億5000万円、合計で約16億6000万円と試算されます。
 家畜競りの再開につきましては、宮崎県での口蹄疫の防疫措置状況、鹿児島・博多港での消毒体制の構築、九州各県での競りの開催状況などを踏まえ、7月の競り再開に向けてJAや畜産関係団体、市町村等と調整していきたいと考えております。
 次に、生産者等への支援対策、予防体制、市町村からの要請について一括してお答えいたします。
 口蹄疫の侵入防止対策や農家支援としては、市町村等からの要望等も踏まえ、消毒剤や消毒機材などの整備、家畜の飼料代の補助、生活資金または運転資金の利子助成などに対し約1億1000万円を予備費で対応しております。6月補正予算としては、消毒剤や消毒機材などの整備、家畜の飼料代の補助、生活資金または運転資金の利子助成、出荷遅延による肉用牛の価格差補てん、新たな輸送ルートの確保のための貨物船コンテナ輸送料の補助などで約8億3600万円を計上し、予備費、補正を合わせて総額約9億4600万円の支援を考えております。今後とも口蹄疫の発生状況等を踏まえ、9月補正予算の検討もしていきたいと考えております。さらに、万全な口蹄疫防疫対策や農家支援等について、去る6月17日に市町村、JA等と連携し、国へ強く要請しているところであります。
 以上でございます。
○企画部長(川上好久) 沖縄振興策についての御質問の中で、総点検の進捗状況と主な課題についてお答えいたします。
 沖縄振興計画等総点検については、6月15日に県振興審議会から意見の建議をいただいたところであります。
 総点検で提起された主な課題として、島嶼県ゆえの交通・輸送コスト高、市場規模の狭隘さなど不利性の克服、農林水産業や製造業など持続的発展の基礎となる地域産業の戦略的な振興、観光・リゾート産業や情報通信関連産業のさらなる展開と国際貨物物流、大学院大学等を核とした新たなリーディング産業の創出、陸海空の総合交通体系を踏まえた社会資本の整備促進、国の責務としての駐留軍用地の返還促進と跡地開発及び離島振興などがありました。
 次に、新たな計画策定のスケジュールと県民所得や失業率の改善策の振興計画への反映についてお答えします。
 新たな計画については、ことし3月に策定した「沖縄21世紀ビジョン」や6月の総点検の建議を踏まえて、今年度末ごろには基本的な考え方を整理することとしております。
 総点検では、社会資本の整備の進展や本県経済を牽引する産業として、観光産業の伸び、情報通信関連産業の集積などが評価されたところであります。一方、若年者を中心とした雇用対策や県民所得の向上など取り組まなければならない課題も提示されました。これらの課題を踏まえ、自立型経済の構築に向けた必要な制度の創設や拡充を検討していくとともに、「沖縄21世紀ビジョン」の実現を図る新たな計画の策定等に取り組んでまいります。
 次に、ビジョンに盛り込まれた県議会の提言の新たな沖縄振興計画への反映についてお答えします。
 「沖縄21世紀ビジョン」の策定に当たっては、沖縄県振興審議会における審議や県議会特別委員会における審議、県議会の議決に基づく要請により修正を行うなど集約を図ってまいりました。
 県議会の決議の主なものとしては、「米軍基地の現状や過重な基地負担の状況等について、正確に記述するとともに、基地のない沖縄を目指すことを明記すること。」、「少子化対策を含む子供を取り巻く社会環境等の諸問題や教育、人材育成について、重要な項目として位置づけ、記述すること。」、「戦後処理の一環である不発弾処理に係る諸課題等については、国の全面的責任で早期解決を図るよう明記すること。」などがありました。
 今後、新たな計画については、「沖縄21世紀ビジョン」の実現を図ることを基本に、県民の意見や沖縄県振興審議会での調査・審議、県議会の提言等を踏まえ、作業を進めてまいりたいと考えております。
 次に、「沖縄21世紀ビジョン」の県民・市町村・県の協働体制等についての具体的な説明についてお答えします。
 「沖縄21世紀ビジョン」の実現に向けては、すべての県民が課題と目標を共有しながら取り組んでいくため、県民・市町村・県の協働体制の構築が必要であります。特に、地域の活動の主体である地域住民との連携や、企業との協働体制づくりを進めていく必要があります。また、市町村においても市町村と県、あるいは市町村相互の適切な役割分担と連携のもと、地域で解決すべき課題は地域で解決できるよう体制を構築することが求められています。
 国と県の役割については、基地跡地の利用や離島の振興など国の責務として担うべき課題の整理を通し、適切に対応していく必要があります。ビジョンの実現については、このような県民等との協働体制のもと取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、ビジョン実現に向けた基本計画、実施計画のスケジュールについてお答えします。
 「沖縄21世紀ビジョン」における目指すべき将来像の実現のため、ビジョンのもとに期間10年程度の基本計画を策定し、さらに、その基本計画のもとに具体的な施策・事業を整理した期間3年から5年のアクションプランとしての実施計画を策定することとし、県民が求める20年後の将来像の実現に向けて施策の展開を図っていくこととしております。
 次に、鉄軌道及びLRTの導入についてお答えします。
 県土の均衡ある発展、交通渋滞の緩和、基地跡地の整備、観光振興、環境負荷の軽減を図るためには、鉄軌道の導入を含めた県内公共交通の基本的なあり方を検討する必要があります。県においては、昨年、中南部都市圏における新たな公共交通システムを調査し、その課題と可能性について整理しております。また、国においても鉄軌道に関する調査が今年度から開始されることとなっております。
 鉄軌道導入については、県民の利便性が向上する反面、建設コストや維持コスト等の問題もあることから、県では国が行う調査も参考にしながら今年度から行う「沖縄県総合交通体系基本計画」の見直しの中でさらなる検討を進めてまいります。
 以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 福祉行政についての御質問の中で、沖縄市における乳児虐待死事件等が防止できなかった背景と原因についての御質問にお答えします。
 5月末に発生した乳児虐待死亡事件につきましては、現在調査中ですが、現時点では、当該世帯との関係があった市町村及び医療機関において、世帯の状況や虐待のリスクを十分に把握できなかったことが事件を未然に防止できなかった主な要因と考えられます。なお、この事案については、今後の検証作業の中で原因や問題点等について明らかにしてまいりたいと考えております。また、6月に発生した女児虐待事件については、母親からのDV相談を受けた沖縄警察署と女性相談所及びコザ児童相談所の連携により女児を保護したものであります。
 次に、再発防止のための県と市町村の対応策についてお答えします。
 今回のケースのような児童虐待を未然に防止するためには、子供にかかわりを持つ関係者や地域住民が問題に気づき、いかに迅速に市町村や児童相談所等の専門の窓口につないでいくかが課題であると考えております。そのためには、これまで以上に関係機関の連携強化や地域住民の関心を高める取り組みが必要であり、引き続き市町村における要保護児童対策地域協議会の設置促進及び活性化に努めるとともに、県レベルでの協議会を設置し、市町村協議会の支援や広域での連携の仕組みづくり、児童虐待防止に関する広報啓発の強化に取り組んでまいります。
 次に、児童虐待相談件数が過去最多となっている原因についてお答えします。
 平成21年度において市町村を含めた児童虐待相談処理件数がこれまでで最も多くなっていることにつきましては、平成17年度からすべての市町村において児童相談の窓口が設置され、それが定着してきていることが要因の一つとして考えられます。このほかに「子ども虐待ホットライン」の開設により24時間体制で電話相談を受理できるようになったことや、虐待防止のための広報、事件発生時の報道等を通じて県民の関心や認識が高まったことなどにより、虐待事案の掘り起こしが進んでいるものと考えられます。しかしながら、死亡事件などの重篤な事例の発生も続いており、家庭における養育力の低下や、地域で子育てを支える機能の低下が進んでいることについても重要な要因として受けとめております。
 以上でございます。
○観光商工部長(勝目和夫) 観光行政について、県内企業の台湾進出の状況と県の支援策についての御質問にお答えします。
 台湾への県内企業の進出状況は、沖縄県産業振興公社台北事務所の調べによりますと、飲食関係、県産品販売、貿易関係などの8社となっており、さらに現地法人との提携等で事業を実施している事業者が3社あります。沖縄県では、産業振興公社台北事務所を通して県産品の販路拡大を目的とした見本市や物産展への出展支援、現地企業とのマッチングを行うなど企業の進出に関する支援を行っております。今後もさまざまな形で県内企業が台湾及び海外への展開を図られるよう支援を行ってまいります。
 同じく観光行政について、台湾からの企業誘致状況等についての御質問にお答えします。
 県では、沖縄県産業振興公社を通じて台湾等に海外事務所を設置し、沖縄県の投資環境の広報宣伝や情報収集、また、企業誘致セミナーの開催など企業誘致に努めております。これまで台湾から多くの視察団を案内してきましたが、具体的な進出に至ったのは情報関連企業1社であります。
 なお、支援策については、国内外企業を問わず、沖縄振興特別措置法による所得控除等の税制優遇措置のほか、沖縄県企業立地促進条例による投資固定資産の経費に対する助成措置等があります。
 同じく観光行政についての、台湾の観光交流事業の現状と支援についての御質問にお答えします。
 台湾からの観光客数は平成21年度約10万人で、沖縄県に入域する外国人観光客の中で最も多く、重点市場として誘客活動を展開しております。
 沖縄県では、台湾からの誘客を図るため、チャーター便への支援やメディア関係者の招聘、クルーズ船に対する広告支援などを行っております。また、修学旅行の誘致を図るため、台湾の学校関係者と意見交換を行い、情報収集に努めるとともに、観光庁が台湾で開催する修学旅行説明会へ参加し、沖縄修学旅行の魅力を紹介しているところであり、平成21年度において台湾から1校、48名が沖縄を訪れております。
 同じく観光行政の中で、八重山圏域と台湾東部との交流についての御質問にお答えします。
 平成21年4月15日に船舶や航空機の定期便の開設や相互往来による「生活圏」構築等を目指す「台湾東部・沖縄八重山諸島観光経済圏 国境交流推進共同宣言」が発表されました。現状について窓口である八重山広域市町村圏事務組合に確認したところ、昨年11月から、復興航空による花蓮―石垣間のチャーター便が週2便運航しております。ことしの3月からは週3便にふえ、5月までの総搭乗者数は約1800名とのことでございます。今後、さらなる交流の拡大に向け、相互に職員派遣を行い、観光・文化・経済産業等、幅広い分野において研修等を実施する予定と聞いております。
 同じく観光行政について、外国人観光客の受け入れ環境の整備についての御質問にお答えします。
 沖縄県では、外国人観光客の受け入れ環境の整備について重要であると認識しております。そのため、接客方法セミナーやボランティア通訳セミナーの開催、観光関連施設への外国人受け入れアドバイザーの派遣等を行っております。また、平成19年度から沖縄県地域限定通訳案内士制度を導入し、現在63名が登録しております。そのほか、市街地などに多言語表記の観光案内板の設置等を行っております。また、今年度ITを活用した外国人観光客への情報提供やコールセンターによるサポート等を行うモデル事業等を実施し、全県的な受け入れ環境の整備に努めてまいりたいと考えています。
 以上でございます。
○大城 一馬 再質問のまず第1点、菅総理の感謝の念発言、お礼発言、かつて歴代総理が国会の中で、あるいはまた追悼式の中でこういう発言があったでしょうか。私は、ないと記憶をしております。知事は、この発言を評価するのかお伺いいたします。
 次に、普天間飛行場の問題でありますけれども、答弁では極めて厳しいと、受け入れは極めて厳しい、そういう発言をしております。多くの議員の質問でも、知事はここに来て県内移設反対をしっかりと表明すべきじゃないかということが与野党から問われております。
 私は、先ほどの知事及び公室長の答弁の中で、政府から県外移設断念の詳しい説明を受けると。こういう時期ではないと私は思うんです。8月の末には位置、工法は決まってくる。やはり沖縄県が県知事がしっかりと普天間飛行場の県内移設について強い姿勢を表明すべき時期であると私はこのように思っております。さて、このことにつきましてぜひもう一度知事の答弁をお願いしたいと思っております。
 さらにまた、私はもう今の日本の政府は当てにできない、信用できない。どんなに沖縄県民があれだけ4・25で強い民意を示した、決意を示したことに対しても日本政府はとんでもない決断をする。私は、やはりここに至っては先ほど申し上げましたように、知事がはっきりと県内移設反対を表明してアメリカ政府にこのことを突きつける。確かに防衛・外交は国の専権事項、いろいろあるでしょうけれども、もうしかしここに至ってはですね、知事、やはりしっかりとアメリカ政府に沖縄の民意を直接突きつける、このことが求められております。だからこそ、ここで今議会でしっかりと知事が明確に日米合意の撤回と、さらにはまた普天間基地の県内移設反対を明確にすべきではないかと思いますけれども、改めてもう一度知事の決意をお伺いしたいと思います。
○議長(髙嶺善伸) ただいまの大城一馬君の再質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午前11時57分休憩
   午後1時21分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 午前の大城一馬君の再質問に対する答弁を願います。
 仲井眞知事。
   〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 大城議員の再質問にお答えいたします。
 まず第1に、菅総理の感謝の言葉を知事はどう思うか、評価するかという御趣旨の御質問ですが、一国の総理の言葉に余り一々評価する、しないとどうこう申し上げるのは失礼かもしれませんが、ただ沖縄の県民としてすとんと胸に落ちない、どういう意味かなという感じを持つのが率直な私の感想ですし、むしろ沖縄県が長い間、基地の過重負担であるとか、そして事件・事故であるとか、地位協定の改定とか、基地の整理縮小とかずっと日米両政府に要求・要請してきたことに対して、むしろそれをそのままにしたままで感謝と言われてもいかがなものかという感じです。ですから、むしろそういうことにきちっと取り組んでもらえれば、むしろ私どものほうから感謝を申し上げたい心境ですらございます。
 それから、次に県内移設反対について強い姿勢を表明すべきではないかということで、無論私どもとしては、この間の共同声明については極めて遺憾で、現実問題、あれは極めて極めて厳しいということを申し上げているつもりで、県内移設は不可能に近い難しさですよというのはそういうほとんど表現が違うだけで気持ちは同じに近いものだと私は思っております。
 そして、日本政府は当てにならないからアメリカ政府に直接ぶつけてはどうかという御趣旨の御質問ですが、これは御提案としていただいておきたいと思います。
 いずれにしましても、意見が違ってもやり方が違っても、やはり自分の国の政府相手にまず要求をし、しっかり取り組んでもらうことを継続して要求していくべきものではないかとも考えております。
 以上でございます。
○渡久地 修 日本共産党を代表して質問を行います。
 まず、知事の政治姿勢について。
 通告後に重要な出来事がありました。事前に連絡していますので、知事の見解を伺います。
 菅首相は、「沖縄のご負担が、アジア・太平洋地域の平和と安定につながってきたことについて、率直にお礼の気持ちも表させていただきたい」と述べました。アメリカ下院では、在日米軍を受け入れる沖縄に感謝する決議が提出されたといいます。どこまで県民の心を踏みにじるのでしょうか。
 沖縄の米軍基地は、戦争中に住民を捕虜収容所に収容しているときに勝手に奪い取ったものであり、国際法にも反する野蛮な行為です。その後も銃剣とブルドーザーで奪い取ったものであり、県民・住民が提供したものではありません。また、県民は基地を受け入れてもいません。強引に押しつけられているのです。下院の決議は同時に、日米合意も確認したといいます。まさに感謝と口で言いながら、再び銃剣とブルドーザーで基地を建設したように、強権で襲いかかろうとしているようなものです。沖縄の苦難の歴史を否定し、沖縄県民を侮辱し愚弄するものであります。このようなまやかしを私たちは断固拒否しなければなりません。アメリカと日本政府が今行うべきは、県民に謝罪し、米軍基地を沖縄から無条件で速やかに撤去することです。知事の見解を伺います。
 4・25県民大会には9万人が参加し、知事と41のすべての市町村長や代表が参加しました。知事の見解を伺います。
 また、最近の県内世論調査で普天間基地の県内移設反対84%、無条件撤去38%、国外移設36%で、合計74%になります。安保条約について、平和友好条約に切りかえるべきが55%、廃棄すべき14%、合計69%になりました。日米安保の維持はわずか7%となっています。知事の見解を伺います。
 日米合意について。
 今回の日米合意は、結局、辺野古現行案という自公政権時代の案に逆戻りしました。沖縄への新基地建設押しつけだけでなく、徳之島や全国の自衛隊基地への訓練の移転という基地被害を全国に広げ、米領グアムの基地建設だけでなく基地の維持費まで日本が負担するというもので、自公の案よりもさらに悪くなっています。こんな日米合意は到底認められません。知事は白紙撤回を求めるべきであります。
 鳩山首相の政権投げ出しについて。
 県民への公約を裏切り、沖縄県民よりアメリカ、米軍の意向を優先させ、県民・国民の批判の前に退陣しました。日米合意を結び、これからも苦しみの根源の基地を押しつけながら無責任きわまりないと思いますが、知事の見解を伺います。
 また、菅新総理は民主党代表選挙で、普天間基地の問題と政治と金について、「二つの重荷を総理自ら辞めることで取り除いていただいた」と述べ、6月11日の所信表明演説では、この2つの問題はけじめがついたと述べました。鳩山退陣でみずからの共同責任を水に流し一件落着にしようとしているもので、沖縄県民、日本国民を欺き愚弄するものであります。知事は、普天間問題は鳩山退陣でけじめがついたと思っているのですか。沖縄への基地押しつけは厳然と残っているのではないでしょうか、見解を伺います。
 菅新政権の沖縄への基地押しつけについて。
 菅首相は、2001年7月、民主党幹事長時代、沖縄の記者会見・演説で、「海兵隊は即座に米国内に戻ってもらっていい。民主党が政権をとれば、しっかりと米国に提示することを約束する」と述べ、2006年6月1日、民主党代表代行時代には、海兵隊は守る部隊ではありません。地球の裏側まで飛んでいって攻める部隊なのです。沖縄に海兵隊がいる、いないかは、日本にとっての抑止力と余り関係がないことなのです。米軍再編では沖縄の海兵隊は思い切って全部移ってくださいと言うべきでしたと述べていました。
 ところが、6月6日のオバマ大統領との電話会談で、日米合意についてしっかりと取り組んでいきたいと誓約をし、所信表明演説では辺野古への新基地建設を何としても実現しなければなりませんと、アメリカヘの忠誠を宣言しました。
 岡田外相は6月9日の記者会見で、「私は、(沖縄県民の)同意を得るという表現を使っておりません。沖縄の理解を得る努力というものは必要だと思っております。沖縄のみなさんが、これでやむを得ないと思っていただける状況をつくりだすことが重要だということであります」と、あからさまに沖縄県民はあきらめなさいというおどしにも似た発言を行っています。
 戦後65年も基地を押しつけられ塗炭の苦しみを押しつけられてきました。子や孫たちの代まで基地を押しつけられ、苦しめられるのは許せません。知事は、基地のこれ以上の負担をやむを得ないと思うのですか、県民の先頭に立って明確に拒否すべきであります。
 今回の日米合意による辺野古現行案への逆戻りは、結局、移設先探しではこの問題が解決できないことを明確に証明しました。私たちは県外・国外移設という条件つきは基地の存在を認める立場に立つものであり、結局ほかに引き受けるところがないから辺野古現行案か、さもなくば普天間は固定化だと、政府に沖縄への基地押しつけ、圧力の口実を与えるものになってしまうと批判してきました。現実はまさにそのとおりに、政府は沖縄に押しつけてきています。無条件撤去こそ普天間基地問題を解決する道です。知事は辺野古移設について明確に反対を表明し、普天間基地は無条件で閉鎖せよとの立場に立つべきです。そして、名護市辺野古の海の埋め立ての認可はしないと明言すべきであります。
 普天間第二小学校で米軍機墜落を想定した避難訓練が行われていることを前回の議会で取り上げました。その後、知事と教育長は学校を視察したとのことでありますが、見解を伺います。そして、視察後米軍に飛行中止を申し入れましたか。沖縄の子供たちの命を守るためにあらゆる行動を起こすべきであります。知事及び教育委員長、教育長に伺います。
 沖縄の基地の機能強化が進められていることについて。
 沖縄の負担軽減といって米軍再編で米軍機の訓練の本土への移転が盛り込まれましたが、実際にはF22戦闘機とF18戦闘機などの外来機が飛来しています。アメリカ本国、ハワイ、韓国、日本本土など世界各地から訓練に来ていますが、米軍再編以降の実態はどうなっているのか。クラスター弾まで投下しているとのことですが、沖縄の負担軽減どころか基地の機能強化ではないですか。飛来を中止させるために知事はどのような対策をとっているか伺います。
 米軍が沖縄や日本に居座る理由は何か。
 沖縄の海兵隊は、中東のイラク、アフガニスタンに出撃するなど抑止力でもなく、日本を守る軍隊でもないことをこれまで明らかにしてきました。また、嘉手納基地や普天間基地などはアメリカ本国では存在自体が許されない世界一危険な基地であることも明確です。世界では米軍基地は縮小、撤去の方向に向かっているのに、日本・沖縄では居座り、逆に基地は強化されています。その理由は、アメリカ側に、アメリカは沖縄を同胞の血を流して奪い取った地であるという占領意識があるということ。同時に、最大の理由は、駐留経費の70%から80%を日本政府が負担しているということです。アメリカにとってはアメリカ本国に基地を置いておくより日本に置いておくほうが安上がりだということです。また、日本政府はちょっと圧力をかけるだけで何でも言うことを聞いてくれる。さらに、米兵が犯罪や事件・事故を起こしても日米地位協定で守ってくれるという、いわゆるアメリカ言いなり、日本政府の対米従属の姿勢にあるからではないでしょうか。戦後65年もこのような政治が続いてきましたが、このようなアメリカ言いなりの政治をこのまま続けさせていいのか、こういうことが問われています。知事
の見解を伺います。
 志位委員長のアメリカ訪問と対米交渉について伺います。
 日本共産党の志位和夫委員長は5月に訪米し、アメリカ国務省と会談し、沖縄の実態と県民の願い、沖縄の情勢を率直に伝え、「普天間基地の無条件撤去」を堂々と求めてきました。知事の見解を伺います。
 菅首相は沖縄県民や知事を説得すると言っていますが、首相がやるべきは、沖縄県民の合意を得ることは不可能。普天間基地は無条件で撤去すべきと、アメリカのオバマ大統領を説得することではないでしょうか。知事としてこのことについて首相を説得して求めるべきであります。
 次期沖縄振興計画について。
 これまでの振興計画についての問題点について伺います。
 沖縄県の21世紀ビジョンでうたわれた「基地のない沖縄をめざす」ことを次期振興計画でも明確にすること。
 天久米軍住宅地が返還されて新都心として発展しています。基地だった場合と返還された町の経済発展についての比較を人口、事業所、従業員数、税金など直近の指標で明らかにしてください。さらに、普天間基地が基地であるがゆえに経済発展が毎年どれだけ妨げられているのかを明らかにしてください。
 基地のない沖縄と基地の返還跡地の整備、不発弾処理及び沖縄戦や基地あるがゆえの沖縄経済、まちづくりなどの障害になっていることなど、国の責任で行うことを明確にすべきであります。
 基地と引きかえの振興策、いわゆるあめとむちの振興策に絶対にしてはなりません。
 口蹄疫について。
 口蹄疫が侵入すれば畜産は壊滅的な打撃を受け、県経済に与える影響ははかり知れません。現時点での被害額と侵入した場合の被害額はどうなるのか。
 侵入してからでは遅い。最大級の防止体制で臨むべきであります。
 畜産農家への支援を急いで強化することが求められています。答弁を求めます。
 アリモドキゾウムシ、イモゾウムシの根絶事業について。
 久米島町での根絶に向けた取り組みは、沖縄の農業に大きな展望と光を与えるものになっています。全県的に早く根絶事業を展開すべきです。
 琉球芋として沖縄農業、経済発展を目指していくことの推進状況について伺います。
 児童虐待防止について。
 今回、また児童虐待で幼い命が奪われました。その原因と県及び自治体の対応に不備があったのか。なぜ防げなかったのか。
 大きな社会的背景として、介護職などの低賃金・貧困化も指摘されていますが、どう対応するのか伺います。
 国民健康保険の無保険の15歳以下の子供が那覇市で909人もいることがわかりました。全県では4000人近くいるとのことですが、これは法の趣旨にも反しています。病気になっても病院に行けない子供を絶対に出してはいけません。直ちに全県的な実態を明らかにして、県及び教育委員会は直ちに実効ある対策をとるべきであります。
○知事(仲井眞弘多) 渡久地修議員の御質問に答弁いたします。
 まず第1に、知事の政治姿勢の中で、アメリカと日本政府が沖縄への感謝の意を表したことについてという御趣旨の御質問に答弁させていただきます。
 在沖米軍基地は、日米安保条約に基づき日本政府が提供しているものであり、菅総理の発言やアメリカ下院における決議は、沖縄の基地負担の現状に対する理解や今回の日米共同発表が招いた県民の失望に対する認識が不足しているのではないかと考えております。
 沖縄県といたしましては、日米両政府において県民の目に見える形で基地問題の解決が図られるよう、強力に取り組むべきであると考えております。
 同じく政治姿勢の中で、4月25日、県民大会についての見解いかんという御質問にお答えいたします。
 去る4月25日に開催されました県民大会において9万人という多くの方々が集まったことは、沖縄の過重な基地負担を軽減したいという共通の思いのあらわれであり、政府に対して大きなメッセージになったものと考えております。
 次に、同じく政治姿勢の中で、日米合意の撤回についての御質問にお答えいたします。
 沖縄県といたしましては、地元の了解を経ずにこのような移設案が決定されたことはまことに遺憾であり、受け入れることは極めて厳しいと言わざるを得ません。現在、県は、移設先を辺野古とする日米合意に至った経緯等の説明を行うよう、政府に対し申し入れているところであり、この説明を受けた上で判断してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、同じく政治姿勢の中で、鳩山総理の退陣と菅総理の所信表明演説についての御質問にお答えいたします。
 鳩山前総理は2度沖縄に見えましたが、普天間飛行場移設問題について、当初「最低でも県外」と発言されたにもかかわらず、5月28日の日米共同発表で「代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する」とされ、県民に大きな失望を与えたことはまことに遺憾であります。
 いずれにしましても、普天間飛行場移設問題を初め沖縄県の基地負担の軽減については、菅総理においても引き続きその解決に鋭意取り組んでもらいたいと考えているところでございます。
 同じく政治姿勢の中で、普天間飛行場の県内移設に反対することについての御質問にお答えいたします。
 今回の日米共同発表は、県外移設の実現に期待する県民の声がますます高まっている中で唐突に行われたものであり、県民の間に大きな失望を招いております。県といたしましても、地元の了解を経ずにこのような移設案が決定されたことはまことに遺憾であり、受け入れることは極めて厳しいと言わざるを得ません。
 県といたしましては、政府が県外移設をどこまで真剣に検討してきたのか、そしてどのような経緯で移設先を辺野古とする日米合意に至ったのか合理的な説明を行うべきであると考えているところでございます。
 同じく政治姿勢の中で、普天間第二小学校視察に係る御質問にお答えいたします。普天間第二小学校視察の見解と、米軍への飛行中止申し入れ、子供たちの命を守るための行動については関連いたしますので一括して答弁させていただきます。
 私は、普天間第二小学校の状況を確認するため、去る3月24日に現地を訪れ、同校周辺及び普天間飛行場を視察いたしました。今回の視察により、同校が普天間飛行場に隣接し航空機の離発着経路に近く、危険な環境に置かれているということを改めて認識したところであります。
 普天間飛行場の危険性の除去につきまして、県はこれまで機会あるごとに日米両政府に対し強く訴えてきたところであり、県といたしましては、沖縄の将来を担う子供たちの命を守る観点からも、同飛行場の一日も早い危険性の除去が必要だと考えております。
 今後とも、具体的方策の提案、実施に向けてさらに検討を加速させるよう、政府に求めていきたいと考えております。
 同じく政治姿勢に係る御質問ですが、志位委員長の訪米及び普天間飛行場の無条件撤去についてという御趣旨の御質問ですが、1の(2)のア、(2)のイは関連いたしますので、恐縮ですが一括して答弁させていただきます。
 私は、沖縄県の基地問題につきまして、全国の皆様が一緒になって議論をしていただきたいと常々訴えてきたところであり、今回、志位委員長が訪米され沖縄県の現状をアメリカ政府に御説明されたことについては敬意を表したいと思います。また、普天間基地の無条件撤去につきましては、一つのお考えであると受けとめておりますが、国会における議論等を通して国政の場においても取り組んでいただきたいと考えております。
 次に、アリモドキゾウムシ、そしてイモゾウムシの根絶事業についての御質問にお答えいたします。
 久米島町のアリモドキゾウムシ根絶防除事業は、平成6年度から性フェロモンによります密度抑圧防除、平成10年度から不妊虫放飼法による本格的な根絶防除事業を実施しているところでございます。
 現在、久米島町のアリモドキゾウムシは、県による防除効果確認調査を実施いたしており、年内には国による駆除確認調査を実施し、発生がなければ来年度には根絶宣言を予定いたしております。また、イモゾウムシにつきましては、平成14年度から島の一部地域を対象に不妊虫放飼法による防除を実施いたしており、今後、地域を拡大しながら防除を強化していく計画でございます。
 県といたしましては、今後、久米島町におけるゾウムシ類の根絶防除事業の成果を踏まえまして、事業規模拡大に向けた技術確立に努め、カンショの産地等に防除地域を拡大する計画でございます。
 その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(又吉 進) 普天間飛行場に係る世論調査についての御質問にお答えをいたします。
 沖縄県内では、普天間飛行場の県外移設の実現に期待する声が非常に高まっており、世論調査の結果は、このような県民の期待感を反映したものであると理解しております。
 次に、世論調査における安保条約についての見解についてお答えをいたします。
 県としましては、日米安全保障体制を含む日米同盟関係は、我が国及び東アジアにおける国際の平和と安定の維持に寄与していると理解しております。また、日米安全保障体制が安定的に維持されるためには、何より沖縄の社会的安定が不可欠であり、そのためには沖縄県の過重な基地負担の軽減が必要であると考えております。
 次に、普天間飛行場の閉鎖と埋め立ての認可についての御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場移設問題について、今後の政府の対応としては、8月末までの専門家による代替施設の位置、配置及び工法に関する検討、日米安全保障協議委員会での合意等が行われるとされております。政府から知事に対して埋立承認願書が提出されるのはこれらの手続を経た後となっており、現時点では移設案を受け入れることは極めて厳しいというのが県の考えであります。
 次に、基地の機能強化に対する見解と外来機への対策への御質問にお答えをいたします。
 最近の嘉手納飛行場をめぐっては、米軍再編で合意された一部訓練の移転が実施されたものの、一部訓練移転後も岩国、三沢、韓国・オサン、グアム、アラスカ及び米本土の基地から多数の外来機が飛来しております。外来機の飛来に伴う航空機騒音の増加が常態化し、さらに演習・訓練内容等が公表されないことから周辺住民に不安を与え、依然として目に見える形での負担軽減が図られているとは言えない状況であります。
 外来機、常駐機にかかわらず、米軍の訓練等により県民に被害や不安を与えることがあってはならず、県としましては、米軍及び日米両政府に対しあらゆる策を講じ、騒音を初めとした周辺住民の負担軽減を図ること及び演習・訓練内容等の公表を強く要請したところであります。
 次に、政府の対米姿勢についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 沖縄県民は、戦後65年にわたって過重な基地負担を背負い続けており、基地問題の解決を強く望んでおります。菅総理は所信表明演説の中で、日米同盟を外交の基軸とし、今後も同盟関係を着実に深化させるとともに、沖縄の負担軽減を図るといった趣旨の発言をされております。
 県としましては、県民の目に見える形で基地問題の解決が図られるよう、日米両政府において強力に取り組むべきと考えております。
 以上でございます。
○教育委員会委員長(比嘉梨香) それでは渡久地議員の知事の政治姿勢についての御質問で、子供たちの命を守るための行動についてお答えいたします。
 子供たちが安全・安心に学校生活を送ることができる環境づくりは極めて重要なことでございます。しかしながら、現在、基地周辺で学ぶ児童生徒が危険と隣り合わせの状況であることに私どもも大変心を痛めております。
 県教育委員会といたしまして、今後、何ができるのか、関係市町村教育委員会及び関係部局等と情報交換を行いながら連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは知事の政治姿勢についての御質問で、学校視察後の見解等について一括してお答えいたします。
 6月9日に普天間第二小学校を視察し、学校長等から墜落事故を想定した避難訓練や基地被害の実態等の説明を受け、改めてその危険性について強く受けとめたところであります。また、学校における米軍機の墜落事故を想定した避難訓練の実施については、子供たちの命と安全を守る立場にある者として大変心を痛めており、避難訓練をせざるを得ないこと自体が問題であると認識をしております。
 県教育委員会としましては、今後、どのようなことができるのか、関係市町村教育委員会及び関係部局等と情報交換を行ってまいりたいと考えております。
 次に、国民健康保険についての御質問で、病院に行けない子供たちの現状及び対応についてお答えをいたします。
 子供たちが病気になっても病院に行けないということは大変憂慮すべきことであり、あってはならないことであります。
 県教育委員会としましては、すべての児童生徒が必要な医療を受け、健康で安全な学校生活が過ごせるよう、各市町村教育委員会や関係部局等と連携を図りながら、今後どのようなことができるか検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○企画部長(川上好久) 知事の政治姿勢についての御質問の中で、これまでの振興計画の問題点についてお答えいたします。
 これまでの沖縄振興計画等による諸施策の実施により、社会資本の整備が着実に進み県民の利便性が向上しております。また、観光産業の伸びや情報通信関連産業の集積など一定の成果もあらわれております。しかしながら、高コスト構造や市場規模の狭隘性など島嶼県の不利益性を克服するには至っておらず、県民所得や失業率の面ではなお課題が残されております。さらに、米軍用地の返還促進と跡地開発、離島の振興などの課題もあります。
 県としては、現振興計画後の新たな計画策定に当たり、自立型経済の構築に向けて必要な制度の創設や拡充を国に求めていくとともに、「沖縄21世紀ビジョン」の実現に取り組んでまいります。
 次に、基地のない沖縄を目指すことを次期振興計画で明確にすることについてお答えいたします。
 「沖縄21世紀ビジョン」は、県内全市町村における討論会、県民アンケートの実施等、県民の多くの声を酌み上げた、県民とともに初めて策定した長期構想であります。その策定に当たっては、県振興審議会の審議や県議会において活発な議論をいただき、基地に関する意見等を含め多くの意見をビジョンに反映してきたところであります。新たな基本計画においても県民の幅広い意見等を集約し、計画策定の中で議論してまいりたいと考えております。
 次に、那覇新都心地区の経済効果と普天間基地の経済発展の妨げについてお答えします。
 那覇新都心地区については、返還前は駐留軍従業員数196名、固定資産税が那覇市に確認したところ約3000万円となっております。返還後の那覇新都心地区の状況について、これも那覇市に確認したところ、平成22年度5月現在の住民基本台帳人口は1万8768人、事業所数、従業員数は平成18年度版事業所統計により、それぞれ976事業所、1万3819人、税収は平成20年度の市課税額が約31億円となっているところです。
 次に、普天間飛行場については、平成18年度の「駐留軍用地跡地利用に伴う経済波及効果等検討調査」の、普天間飛行場が那覇新都心地区と同様な発展が見込まれると仮定した場合における産業連関分析では、跡地利用をした場合の税収は市・県・国税の合計で520億円と推計され、また、誘発雇用人数は約3万2000人と見込まれるなど、経済的なポテンシャルの高さについて報告されております。
 ただし、これについては周辺市街地への経済的影響や整備への資金の確保、それから返還から収益発現までの時間を要すること等に留意する必要があります。
 次に、基地返還跡地開発等の国責任の明確化についてお答えいたします。
 基地返還跡地等の整備や不発弾処理等については、沖縄県振興審議会や議会等から国の責務で実施すべきものであるとの御意見をいただいているところであります。
 県としては、国の責務として実施すべき課題の整理について、新たな計画策定の中で検討してまいりたいと考えております。
 次に、基地と引きかえの振興策についてお答えいたします。
 本土復帰以降、沖縄の持つ特殊事情を踏まえ、沖縄の自立的発展に資するとともに豊かな住民生活の実現を図るため、3次にわたる沖縄振興開発計画及び沖縄振興計画が推進され、社会資本の整備の進展や観光産業の伸び、情報通信関連産業の集積など一定の成果があらわれたところであります。
 今後、「沖縄21世紀ビジョン」の理念や沖縄振興計画等の総点検の結果を踏まえ、経済の自立を目指すとともに、なお一層の県民福祉の向上を図るための政策を展開していく必要があると考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 口蹄疫の中で、口蹄疫に係る被害額、防止体制、農家支援等について一括してお答えします。
 沖縄県における5月及び6月の競り中止に伴う影響額は、家畜の販売収入として約15億1000万円、家畜の飼料代として約1億5000万円、合計で約16億6000万円と試算されます。
 沖縄県内で口蹄疫が全県を対象に発生した場合、畜産関連産業への波及を含む損失額は約640億円になるものと試算されます。それ以外に観光関連産業等にも影響があるものと考えております。また、万全な口蹄疫侵入防止対策を強力に推進するため、家畜伝染病予防法等に基づき、沖縄県口蹄疫防疫対策本部や現地対策本部を立ち上げており、迅速な診断、殺処分・消毒の実施、埋却場所の確保等、迅速に対応してまいります。
 口蹄疫に係る農家などに対する支援としては、家畜の飼料代の補助、生活資金または運転資金の利子助成などに対して約1億1000万円を予備費で対応しております。また、6月補正予算としては、家畜の飼料代の補助、生活資金または運転資金の利子助成、出荷遅延による肉用牛の価格差補てん、貨物船コンテナ輸送料の補助などで約8億3600万円を計上し、予備費、補正を合わせて総額約9億4600万円の支援を考えております。
 県といたしましては、万全な口蹄疫防疫対策や農家支援等について、去る6月17日に市町村、JAと連携し、国へ強く要請しているところであります。
 次に、アリモドキゾウムシ、イモゾウムシについての中で、琉球芋としての呼称の進捗状況についてお答えいたします。
 県といたしましては、県産カンショの生産振興を図るため、生産者、市町村、JAなどで構成する「沖縄県甘しょ生産振興協議会」を平成22年2月に立ち上げ、生産振興や消費拡大に加えて琉球芋と呼称することについても検討をしているところであります。
 これまでの協議においては、それぞれの地域において独自のブランド名や商品呼称があるなど、さまざまな意見があります。
 県といたしましては、関係機関・団体等と命名の方法等について意見交換などを行い、平成22年度中に呼称の一定の方向性を出したいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 児童虐待の防止についての御質問の中で、児童虐待死亡事件の原因と県及び自治体の対応についてお答えします。
 今回の乳児虐待死亡事件につきましては現在調査中ですが、現時点では当該世帯との関係があった市町村及び医療機関において、世帯の状況や虐待のリスクを十分に把握できなかったことが事件を未然に防止できなかった主な要因と考えられます。
 なお、この事案については、今後の検証作業の中で原因や問題点等について明らかにしてまいりたいと考えております。
 次に、介護職員の処遇改善対策についてお答えします。
 介護職員の他業種との賃金格差を縮めるため、平成21年10月から実施されている介護職員処遇改善交付金事業を県内の8割の事業所が実施しております。
 なお、同事業は平成23年度までとされておりますが、国は平成24年度以降も介護職員の処遇改善に取り組んでいくとの方針を示しており、沖縄県も九州各県と連携し、介護職員のさらなる処遇改善を国に要望することとしております。
 次に、国民健康保険についての御質問の中で、15歳以下の無保険の子供の人数及び国民健康保険の適用についての御質問にお答えします。
 国民健康保険の運営主体である市町村に照会いたしましたところ、平成22年5月末現在、対象となる15歳以下の子供が3959人いるとの報告を受けております。
 資格証明書世帯における子供の国民健康保険の適用については、平成21年4月より中学生以下の子供には6カ月有効の短期被保険者証を交付することとしております。また、本年7月からは当該取り扱いを高校生世代にまで拡大して適用することとしております。
 県では、これまで支払い能力がない場合または特別な事情がある被保険者につきましては、生活状況に応じきめの細かい対応を行うよう市町村に助言してきたところであります。
 今後とも、子供のいる世帯につきましては慎重な対応を行うよう助言してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○渡久地 修 休憩。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後2時8分休憩
   午後2時11分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 仲井眞知事。
   〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 答弁漏れの形になって失礼しました。
 今の渡久地議員の御質問の中で、知事の政治姿勢の中で、普天間第二小学校に係る御質問の中で、視察後米軍に飛行中止を申し入れたかという点につきましては、飛行中止は申し入れておりませんが、これまでも危険性の除去という形で具体的方策の提案、実施を政府に加速させるよう申し入れ、求めてきたということで答弁にさせていただきます。
 失礼しました。
○教育長(金武正八郎) それでは渡久地議員の答弁漏れという指摘についてお答えいたします。
 視察後米軍に飛行中止を申し入れたかという質問ですけれども、申し入れは行っておりません。
 以上でございます。
○渡久地 修 再質問させていただきます。
 基地と沖縄振興について。
 海兵隊がイラク、アフガニスタンに出撃して日本の防衛とは関係ない軍隊であるということをこれまで明らかにしてきました。この議場でもアメリカのワインバーガー国防長官が沖縄に駐留する米海兵隊は日本防衛の任務を割り当てられていない、アメリカは日本防衛だけに専念するいかなる部隊も日本に維持していないというようなことも紹介してきました。そして、こういう抑止力という抑止力論のまやかしをやっぱり私たちは打ち破る必要があると思います。
 きょう知事に確認したいのは、もう一つ基地がなくなれば沖縄の経済は成り立たなくなるんじゃないかと心配する国民、率直に心配する人もいますし、あるいは意識的にそれを流す人もいますので、これも打ち破る必要があると思います。実際に基地が返された町の発展を見れば一目瞭然です。先ほど答弁のあった新都心、返還目覚ましく、雇用で70.5倍にふえています。税収が約100倍になっていますね。それから普天間が返されたら、雇用では1459倍になるということですね。まさに沖縄の経済の相当これは妨げになっているということが言えると思います。
 経営者協会の知念榮治さんが赤旗に登場しまして、沖縄の経済にとって基地依存は相対的に低く、むしろ阻害要因になっている。ですからこれだけの振興策、金を出すから基地を受け入れてくれなんていうことはもう通用しませんということを言っていますね。
 そういう意味では阻害要因、ですから知事、基地は沖縄発展の阻害要因なんだということを私は明確に知事も認識する必要があると思いますので、見解をお尋ねします。
 次に、米軍機墜落から子供の安全を守ることについて、知事、教育委員長に伺います。
 先ほど答弁でまだ申し入れていないということです。宮森小学校で犠牲者の新たな追加刻銘がきょう4時から行われるそうです。先日私、22日、当時5年生で事故に遭った人の案内で宮森小学校の現場を見てきました。30日、一番楽しいミルクの時間に墜落しています。
 ちょっと休憩お願いします。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後2時9分休憩
   午後2時11分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
○渡久地 修 これは当時の写真、先ほど知事には配ってあります。(資料を掲示) 当時の学校の先生の証言集もコピーしていただいて読ませていただきました。本当に胸を打たれる思いがします。
 当時29歳、4年1組の担任は、2年生が教室から火をかぶった子供たちが飛び出してくるんです。髪の毛が燃え、洋服が燃え、全部燃え尽きて最後にパンツのひもが燃えている。2人、3人と転がっているんですよ。私はなすすべもなく、どうしていいかわからない。
 それから34歳の6年生の担任、「2階から下りた時、私の目に映った光景はまるで地獄、これが、この光景が宮森小学校の校庭なのか。まるで夢を見ている様な状況。教室が燃えている。2年生の教室である。その前を通っていると教頭先生がオーオーと泣いている。燃えている2年生の教室の中から洋服も燃え、髪も燃え、全身炎の固まりになった子供が飛び出してきたんですよ。 私はビックリして、ワァーとその火を消そうと、その子に触れましたら、彼女の背中の皮膚がズルズルと剥けて私の手にくっついているのです。 私はその子を抱き上げました。2年生ですからできました。「だれかいませんか、この子を助けてください、誰かいませんかー」と叫んだ」と。
 それから当時の教頭、37歳、「安全であるべき学校にジェット機が墜落すると言うことは、到底考えられません。日本国内は勿論、世界のどこの国にもないと思います。ところが沖縄県の宮森小学校には墜落したんです。」。
 こう述べています。このような状況を絶対繰り返してはならない。そのために教育行政をどうするかということが問われているんです。
 ちょっと休憩お願いします。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後2時16分休憩
   午後2時17分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
○渡久地 修 そしてこれは6月22日同じ日です。(資料を掲示) 22日、私が宮森小学校に行ったときの写真、このように飛行機が飛んでいるんです。この日は何の日か。普天間第二小学校では避難訓練が行われているんです、このように。避難訓練を行っている頭上で、飛行機が飛んで先生の声も聞こえない、これが実態なんです。まさに世界一危険な基地、日本の航空法にも連邦航空法にも反している。米軍も世界一危険と認めている。そういったところは直ちに、アメリカ、ヨーロッパでは許されない基地なんです、存在自体が。だから、直ちに飛行を中止せよと。これは知事として、教育委員会として、ぜひ率直にアメリカに通告すべきじゃありませんか。再度お尋ねします。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後2時19分休憩
   午後2時20分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 仲井眞知事。
   〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 今の渡久地議員の再質問にお答えしたいと思いますが、まず第1に、基地や沖縄の経済発展の阻害要因になっているのではないかという御趣旨の御質問に対してですが、一般的に沖縄の米軍基地に係る経済効果といいますか、これは我々で県民総所得計算で5.4%となっており、これは日本復帰した当時よりは、あのときが10数%と言われておりましたから、かなり低くなっております。ですから、この5.4%が大きいか小さいかという点は、これは5は5だというふうに思いますし、ただ阻害要因になっているかどうかという点ではいろんな見方があるようでして、やはり特に米軍基地の場合、約1万人の雇用を生んでいる。さらに雇用の労働賃金も含めまして約2200億円強のネットのお金が移転されてきている。これが今申し上げた県民総所得計算上5.4%――これ18年度末だったと思いますが――そういうサイズです。ただ、この阻害しているかどうかという点につきましては、特に普天間の場合は都市部の真ん中にあって、交通体系、公共交通システム、そういう面でかなり阻害要因の一つになっているのではないかと我々は考えておりますが、一般論としてすべてがそうかという点では基地の所在
地、場所その他によってそれぞれ濃淡がかなりあるものだと理解はいたしております。
 それから2番目の、アメリカに普天間基地の飛行中止を申し入れるべきではないかという御質問ですよね。これについては先ほど申し上げましたように、申し入れは直截にはしておりませんけれども、普天間基地の移設議論というのはそもそもが基地の一日も早い危険性の除去、したがって移設論ということで長年10数年にわたって起こってきておりますので、この危険性が非常に高いので早急に移設させなければならないというのはまさにこの中止の直接要請という方法もあるかもしれませんが、移設そのものがまさに今議員のおっしゃっている危険性を除去するという観点から始まっておるし、それが原点だと考えております。
○教育長(金武正八郎) 渡久地議員の再質問にお答えいたします。
 宮森小学校の米軍機墜落事故につきましては、御存じのとおり、アメリカ占領軍下の中、石川市で――現うるま市でございますけれども――発生した戦後の沖縄で起きた最大の米軍機墜落事故であると認識をしております。
 そこで、宮森小学校の米軍ジェット戦闘機墜落事故については、児童11名のとうとい命が失われました。事故後50年も過ぎましたけれども、今でも遺族や関係者の悲しみはいえないことだと思っております。
 普天間第二小学校の米軍機等による墜落事故を想定した避難訓練を行う状況にあること、そして子供たちが危険と隣り合わせの環境にあることが、そういう事態こそが異常であると認識をしております。現在、県内では普天間第二小学校のほか5校で避難訓練を実施しているとの報告を受けております。その設置主体であります権限とそれから指導責任のある当該市町村教育委員会と、そして関係部局と子供たちの命が脅かされているその憂慮すべき状況をどうするのか、どのようなことができるか、米軍への申し入れも含めまして今後の対応も含めお互いに情報交換をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○渡久地 修 米軍に飛行中止を直接言うことができない、本当に私は悲しい思いをしています。
 ここにこれは沖縄県土木建築部の違法建築物に対する赤紙です。(資料を掲示) 使用禁止。民間にはそういう赤紙がすぐ張られます。米軍ならなぜ許されるんですか。県として子供たちの命を守るために今どうするかというのが問われているんですよ。だから飛行禁止を通告すればいいんですよ。法的拘束力があるかどうかは別問題、県の意思を明確に示すべきなんです。それをぜひやっていただきたい。
 私、ここにかわりに赤紙つくってきました。(資料を掲示) 子供たちと住民の命を守るため学校上空周辺及び住宅上空の飛行禁止、沖縄県。これをぜひ出してください。教育委員会、子供たちの命と安全を守るために学校上空と周辺の飛行禁止、沖縄県教育委員会。これを教育委員会で決議してアメリカに届けて入り口に張ればいいんですよ。聞かなかったら町じゅう全部張って、130万沖縄県民みんなに配って、私たちの住宅に張ろうじゃありませんか。こういうふうに世論を高めていくことが今求められているんですよ。それを何ですか、直接一言も言えない。こういうような人たちがいて子供たちの命をどうやって守るんですか。このことを言いたいと思います。
 休憩お願いします。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後2時28分休憩
   午後2時28分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
○渡久地 修 知事、アメリカがなぜ沖縄に居座っているか。ナイ国防次官補はこう言っています。米軍部隊の費用の70%を負担しているのだから、米国内に置くよりも日本に駐留させるほうが費用がかからない、アメリカの議会で証言しました。チェイニー国防長官――当時ですけれども――日本に空母戦闘部隊を維持するほうが米国西海岸で維持するよりも安上がりなのです。これもアメリカ議会ですね。それから駐日米国大使補佐官のケント・カルダー教授、思いやり予算や基地周辺住民への不満をそらす対策をとっているため、政治的に基地が存在しやすい状況にある。思いやり予算など日本の基地の維持費がなくなれば、米軍にとって日本は基地所在地として魅力がなくなる。
 まさにアメリカが日本に居座る理由は、アメリカ本国に置くより安上がりなんですよ。日本政府の従属的な姿勢にあるんです。その見解を知事にお尋ねしたいと思います。
 終わります。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後2時29分休憩
   午後2時30分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 仲井眞知事。
   〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 渡久地議員の再々質問にお答えしたいと思うんですが、私の見解いかんということですが、これはケント・カルダーさんにしてもいろんな方がいろんな意見を言っておられると思いますし、ただ個人の感覚を言っておられるのか、ちょっとはかりがたいところはないわけではありませんが、思いやり予算があるからいるんだというような言い方をする方も中にはおられるかもしらぬなという気はいたします。ただ、こういう国の最も基本にかかわる防衛と外交にかかわる話について、無論これはいろんな意見とかいろんな議論がこれまで戦後65年にわたっていろんな議論がなされてきております。ですから、そういう中でいろんな方がいろんなことをおっしゃるんですが、今現在の日本の防衛・外交というのは、今おっしゃったような思いやり予算という形で米軍に対応しているというのもこれは事実でありまして、今度の民主党政権で少しそのあたりの重心の置き方が変わっていくかと私も実は期待したところでありますが、これはなかなか幅広い議論と準備が要るなというのが最近の結果で、私ごときも確認といいますか、理解し始めたところでございます。
 以上でございます。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後2時33分休憩
   午後2時34分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 仲井眞知事。
   〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) この件につきましては御質問だと思わなかったものですから、恐縮です。ちょっと答弁させていただきますが、これは議員の熱心な御提案として受けとめさせてください、きょうのところは。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後2時34分休憩
   午後2時35分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 教育委員会委員長。
   〔教育委員会委員長 比嘉梨香さん登壇〕
○教育委員会委員長(比嘉梨香) それでは渡久地議員の再々質問にお答えいたします。
 先ほど渡久地議員からいただいた写真、それから宮森小学校の現場の状況等、声を伺っていて胸が張り裂けそうな思いでございました。
 私ども教育委員会が子供たちの教育環境の改善、そして安全確保について今できることをほかの委員や関係機関と話し合いをしながら、御提案いただいたことも含めて検討をして、できることをやってまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○玉城  満 改革の会を代表いたしまして代表質問をさせていただきたいわけでございますが、先ほどの間の後に立つのはちょっと厳しいなという感じがしているんですが、いつもどおりにちょっとだけユンタクをさせていただいて、質問に移りたいと思います。
 今、やはり沖縄県も含めてなんですが、日本全国、政局が、ウチナーグチで言えばアーサムーサという言葉がもう一番当たっているんではないかなと思っております。このアーサムーサってどういう意味か。無茶苦茶であるとか、どうしようもない、そういう状況なんですね。
 そこで毎回、僕は琉歌を詠ませていただいているもんですから、ここで今の情勢を琉歌でちょっと伝えてから質問に移りたいと思いますね。
 まずは状況説明をしないと理解できない方がいると思いますので。ハトさんが出てきます、おばあさんが出てきます、後は想像してください。「鳩ヤフカンカイ オバーウチンカイ 内閣ヤカワティ 菅ナトーイビン」。そういうことでございます。今の状況ですよ。これをわかりやすく言えば、「メーヤフカンカイ ナマヤウチンカイ 島ミグルミグル アーサムーサ」ということでございました。どうもニフェーデービル。
 早速、質問をさせていただきます。
 1、知事の政治姿勢について質問させていただきます。
 (1)、知事公約である普天間飛行場3年閉鎖についての総括を伺いたいと思います。
 (2)、昨年21年1月14日の不発弾事故によって、国の対応そして県の対応もこの不発弾の問題に関しては変わってきたかと思います。今後の不発弾問題に対する県の対応について伺います。
 2、ポスト振興計画について。
 (1)、振計後の沖縄県の自立に向けたビジョンを伺いたいと思います。
 (2)、振計後の予算配分の方向性について伺います。これは従来はコンクリート主体だったのが「コンクリートから人へ」と国が変わっておりますので、その辺をどういうふうに県は受けとめて方向性を決めているのかお聞かせいただきたいと思います。
 3、観光商工関連について。
 (1)、2010年度観光客数と傾向について伺う。
 (2)、外国人観光客誘客に向けての対策について伺う。
 (3)、県の美ら島沖縄大使について伺う。これはどういうことを伺いたいかといいますと、延べ何人でどういう役割を県のほうからお願いをしているのか。その現状について伺いたいと思います。
 (4)、私たち改革の会でもいろいろと議会で提案させていただきました。視察後の台湾での旅行博でかつて2年前の沖縄の情報誌がそこに置かれていたということを指摘させていただきまして、それ以降、海外向け観光情報誌にどういうふうに県がかかわっているかを伺いたいと思います。
 (5)、台湾交流における「台湾東部・沖縄八重山諸島観光経済圏 国境交流推進共同宣言」についての県の対応を伺います。
 (6)、JTA株式会社に対する県の対応について伺う。
 (7)、製造業への物流支援について伺う。
 4、文化行政について。
 (1)、ことし行われましたアジア音楽祭の総括を伺う。
 (2)、沖縄国際映画祭の総括を伺う。
 (3)、前回も質問させていただいたんですが、今ある組踊、そして古典音楽、そして各種工芸の人間国宝以外の沖縄県における文化――民謡であるとかウチナー芝居であるとかいろんな分野があるわけですが――その分野に関しての今後人間国宝に向けての県の対応について伺う。
 (4)、県立郷土劇場について伺う。
 先ほども県立郷土劇場の質問がございましたが、これは劇場というよりもそのソフトとして今後県がどういうふうにして県立郷土劇場を運営していこうとしているのかを伺いたいと思います。
 5、教育福祉行政について。
 (1)、沖縄市で発生した児童虐待について県の見解を伺う。
 (2)、認可外保育所の割合について伺う。これは認可保育所との割合ですね。
 (3)、認可外保育所の給食費助成について伺う。
 (4)、学童保育の現状と課題について伺う。
 (5)、「美ら島沖縄総体2010」の県全体の取り組み進捗状況について伺う。
 これは特に今度6月28日から始まります社会実験、高速道路の無料化に伴っていろんな人たちが時間が読めなくなると思うんですね。この時間が読めなくなる中で、いろんな大会が地域地域で行われて、かつて甲子園の県予選の決勝である高校がやはり時間が読めなくて途中から生徒がおりて走っていったということもございました。そういう事態が起こらないとも限らないと思っているんですね。国体のころはまだ観光客も今みたいにたくさん来られなかったと思うんですね。そういう中で本当に今この運営が予定どおりいくのか、受け入れ体制しっかりできているのか、その辺の進捗状況をお聞かせください。
 6、土木建築行政について。
 (1)、鉄軌道導入の進捗状況について伺う。
 (2)、磁気探査と建築確認申請について伺う。
 (3)、民間に対するアスベスト補助について伺う。
 (4)、工事数量内訳明細書――これは県の事業、県発注の工事ですね――は、詳細な内訳で明記すべきだと思うが対策を伺う。
 7、科学技術大学院大学周辺整備事業について。
 (1)、沖縄アミークスインターナショナルに対する県費3億9000万の補助の根拠について伺う。
 (2)、沖縄アミークスインターナショナルの設立に向けての進捗状況について伺う。
 (3)、沖縄アミークスインターナショナル建設における地元受注状況について伺う。
 8、環境行政について。
 (1)、産業廃棄物処理施設について県の方向性を伺う。
 以上です。
○知事(仲井眞弘多) 玉城満議員の御質問に答弁いたします。
 まず第1に、ポスト振計に係る御質問の中で、振計後の沖縄県の自立に向けたビジョンについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 これまでの3次にわたります沖縄振興開発計画及び沖縄振興計画により、各方面において一定の成果があらわれております。
 沖縄県経済は、島嶼経済特有の制約を抱えているものの、域内人口の増加、そして整備されてきた社会資本、魅力あふれる美しい自然、成長著しい中国を初めアジア諸国との距離的近接性、文化的親和性など交流を通してさらなる発展の素地は整いつつあると考えております。振計後の沖縄県の自立に向けたビジョンにつきましては、「沖縄21世紀ビジョン」の将来像の一つとして経済分野を描いた「希望と活力あふれる豊かな島」が基本となります。この推進戦略であります「21世紀の「万国津梁」形成」等の7つの戦略の展開などにつきまして、振計後の新たな計画策定において具体的に検討してまいる予定でございます。
 次に、文化行政に係る御質問の中で、沖縄国際アジア音楽祭の総括についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 去る3月に開催いたしました沖縄国際アジア音楽祭は、台湾や韓国を含む300組、2000人を超えるアーチストが出演をし、県内外から7万人を超える方々に御来場いただきました。それによりまして、アジア各国との交流を深めますとともに、「音楽の島・沖縄」の新たな一面をPRすることができたと考えております。また、県内外の音楽関係者が集い、音楽ビジネス展開の可能性など論議をし、カンファレンス等によりましてネットワーク構築を通じて、新たな音楽産業の創出につなげていきたいと考えているところでございます。
 同じく文化行政に係る御質問の中で、沖縄国際映画祭の総括についての御質問にお答えいたします。
 第2回沖縄国際映画祭は、「ラフ&ピース」をテーマに、去る3月20日から28日の間、宜野湾市や那覇市を会場に開催されました。開催期間中の観客動員数は、昨年の11万人をはるかに上回る38万人を数えております。また、オープニングセレモニーの模様や、映画祭に関連する番組が数多く放映されたことにより、国内外に沖縄の魅力が広がり、観光誘客への貢献は多大なものがあったと考えております。
 同映画祭は、国内外の映画関係者やさまざまなエンターテインメント企業等の交流の場ともなっており、コンテンツビジネスなどの振興につながると期待されております。
 沖縄県といたしましては、この映画祭が今後も継続・発展するよう関係市町村等と連携をし、できる限りの取り組みをしてまいりたいと考えております。
 同じく文化行政に係る御質問の中で、県立郷土劇場に係る御質問にお答えいたします。
 沖縄の文化・伝統芸能の振興を図る上で、郷土劇場は重要なものと認識いたしております。このため、昨年度から「沖縄県伝統芸能公演事業」を実施いたしており、本年度はさらに同事業を充実する観点から、予算も大幅に拡大し実施することといたしております。今後、この公演などの実績を踏まえまして、劇場のあり方の調査研究を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、教育福祉行政に係る御質問の中で、「美ら島沖縄総体2010」の取り組み状況に関する御質問にお答えいたします。
 「美ら島沖縄総体2010」は、7月28日から8月20日までの24日間、北は国頭村から南は宮古島市、石垣市を含む県内27市町村で28競技が開催されます。登山競技は鹿児島県・宮崎県にまたがる霧島連山で行われます。県外からは約3万6000人の選手・監督などが来県し、県内選手等約2万人の合計およそ5万6000人が参加する大会でございます。
 大会に向けましては、全国から来県する選手等の受け入れや総合開会式、各競技の運営準備など順調に進めております。また、市町村におきましても、50日前推進イベントを実施するなど機運も盛り上がっております。県代表選手の活躍に大いに期待いたしますとともに、参加されたすべての皆様にとって沖縄開催が思い出に残るすばらしい大会となるよう万全を期してまいる所存でございます。
 その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(又吉 進) 知事の政治姿勢について、普天間飛行場の3年めどの閉鎖の総括についてお答えいたします。
 普天間飛行場の危険性の除去については、あらゆる方策を検討し、具体的な方法を示すよう政府に求めてまいりました。このような県の主張に対し、政府は、平成19年8月に「普天間飛行場に係る場周経路の再検討及び更なる可能な安全対策についての検討に関する報告書」を発表し、昨年5月21日までに報告書に記載された諸施策をすべて実施したとされております。また、平成20年7月末には、さらなる危険性除去策を検討する実務者レベルのワーキングチームが設置され、政府と率直な意見交換を重ねてまいったところでございます。さらに今年度は、普天間飛行場の場周経路等の客観的データを把握・評価するため、普天間飛行場の継続的な飛行航跡調査が開始されております。
 また、県は、総理を初め各大臣との面談など、機会あるごとに普天間飛行場の一日も早い危険性の除去を求めており、去る5月23日の鳩山前総理との面談においては、前総理から、普天間飛行場の危険性の除去については、返還までの間、できる限りの措置を講じていきたいと思っており、今後ともしっかり取り組んでまいりたいとの発言がありました。
 県としましては、新内閣におきましても、引き続き積極的にこの問題の解決に取り組んでいただけるものと考えております。
 次に、不発弾対策への質問についてお答えいたします。
 不発弾探査につきましては、国・県・市町村、民間で構成する「沖縄不発弾等対策協議会」を通じて、その周知徹底を図っているところでございます。
 県としましては、同協議会を通じ、民間地における磁気探査の実施や磁気探査機器の取り扱い講習会の開催等、磁気探査の徹底について、県民や関連団体等へのより一層の周知を図っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○企画部長(川上好久) ポスト振計についての御質問の中で、振計後の予算配分の方向性についてお答えいたします。
 本土復帰以降、3次にわたる沖縄振興開発計画及び沖縄振興計画に基づき社会資本の整備や産業振興のための資金が投下され、社会資本の整備の進展や観光産業の伸び、情報通信関連産業の集積など一定の成果があらわれているところであります。
 今後は、これまでの成果を踏まえつつ、なお一層の本県の振興・発展が図られるような分野への資金の確保と投下が必要であると考えております。
 具体的には、ビジョンに掲げる5つの柱を踏まえ、本県の貴重な資源である自然、歴史、文化の保全・活用、県民生活の安心・安全な基盤整備、地域産業の育成強化と新たなリーディング産業の創出、将来を担う人材の育成、空港や基幹的な公共交通システムなど発展のばねとなる戦略的な社会基盤の整備、交通・輸送コストなど競争条件の整備、基地跡地や離島の振興など新たな計画策定の中で具体的な施策の検討を進め、選択と集中による優先順位の整理を行ってまいりたいと考えております。
 次に、観光商工関連についての御質問の中で、JTA株式に対する県の対応についてお答えいたします。
 JTAの株式の約70%を保有する日本航空は、会社更生法の適用を受け、更生計画を策定しているところでありますが、現在のところJTAの株を売却する計画は検討されていないと聞いております。
 県としましては、今後の動向を注視し、県民の不利益にならないよう対応を検討していきたいと考えております。
 次に、土木建築行政についての御質問の中で、鉄軌道導入の進捗状況についてお答えいたします。
 県においては、昨年、中南部都市圏における新たな公共交通システムを調査し、その課題と可能性について整理しております。また、国においても、鉄軌道に関する調査が今年度から開始されることとなっております。
 鉄軌道導入については、県民の利便性が向上する反面、建設コストや維持コスト等の問題もあることから、県では、国が行う調査も参考にしながら、今年度から行う「沖縄県総合交通体系基本計画」の見直しの中でさらなる検討を進めてまいります。
 次に、科学技術大学院大学周辺整備事業についての御質問の中で、補助の根拠についてお答えいたします。
 沖縄アミークスインターナショナルへの建設費に対する県の補助3億9000万円については、沖縄科学技術大学院大学の周辺整備事業の一環として行われるものであります。
 当該スクールの設置は、世界最高水準の大学院大学と一体となってベンチャー企業等の立地促進による先端産業分野の雇用創出や科学技術の発信、交流拠点の形成など沖縄の自立発展につながる重要なプロジェクトであり、県として積極的に取り組むべき事業であると考えております。
 次に、設立に向けての進捗状況についてお答えいたします。
 沖縄アミークスインターナショナルの設立については、平成23年4月の開校に向け、沖縄国際学園設立準備財団において取り組みを進めているところであります。現在、準備財団では、カリキュラム並びに教育プログラムの作成、校長、副校長及び教職員の採用等に取り組むなど、認可申請に向けた準備を着々と進めております。
 次に、建設における地元受注状況についてお答えいたします。
 校舎建設については、多くの地元業者に入札参加していただくため、地元市町村や準備財団と調整し、建築、電気、機械をそれぞれ3工区、合計9工区に分けて発注する計画で進めております。また、入札についても地元市町村や準備財団と調整し、県と市の入札方法を参考に進めております。
 これまでに合計6工区について入札が終了し、入札に参加した業者はすべて地元を含む県内業者であります。入札が終了した6工区の中では、2つの工区が既に契約を済ませております。残りの4工区については、入札が終了し、要件審査を経て最終的な落札者決定を待っているところであります。
 県としましては、今後も校舎建設について地元優先発注との考えで準備財団と調整してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○観光商工部長(勝目和夫) 観光商工関連についての中で、2010年度の観光客数と傾向についての御質問にお答えします。
 沖縄県への入域観光客数は、2009年度は景気低迷や新型インフルエンザの影響を受け、前年度実績を4.1%下回る569万人となりました。2010年度においては、4月は対前年同月比5.2%増の47万1900人、5月は対前年同月比9.9%増の46万5000人と好調に推移しております。特に5月は、外国人観光客の大幅な増加により過去最高を記録しました。
 国内客の今後の見通しについては、高校総体の開催や全国エイサー大会など、新たなイベントの開催による需要増加が見込めるものの、円高による海外観光地との競合など一部不安要因もあります。
 一方、外国客については、香港からの航空定期便数が増加することや北京や台湾など各方面からのチャーター便が相当数予定されているため、今後も増加傾向が続くものと見込んでおります。
 同じく観光商工関連についての、外国人観光客に向けての対策についての御質問にお答えします。
 平成21年度の外国人観光客数は、過去最高の24万6000人を記録しました。さらに今年度は、ビジットおきなわ計画で「沖縄インバウンド強化年」と位置づけ、外国人観光客誘致に積極的に取り組んでまいります。
 特に中国については、知名度を上げるためテレビドラマや映画のロケ支援のほか、チャーター便の誘致活動を強化したいと考えております。また、台湾については、個人旅行化が進む傾向にあることから、観光事業者と連携してサイクリングやリゾートウエディング、離島観光など多彩な魅力を効果的に発信してまいります。
 さらに今年度は、成都、タイ、シンガポール、フランスに委託駐在員を配置したほか、香港と上海の事務所に現地スタッフ1名を増員し、よりグローバルな誘客活動を展開してまいります。
 同じく観光商工関連について、美ら島沖縄大使についての御質問にお答えします。
 美ら島沖縄大使は、沖縄に深い理解と高い関心があり、本県にゆかりのある者のPR活動を通して沖縄県のイメージアップを図ることを目的に設置しました。現在96名の美ら島沖縄大使がおり、経済や教育、文化等さまざまな分野において沖縄のイメージアップに多大な貢献をしていただいております。
 沖縄国際映画祭関係者の美ら島沖縄大使就任につきましても、関係機関と意見交換をしていきたいと考えております。
 同じく観光商工関連について、海外向け観光情報誌についての御質問にお答えします。
 沖縄県では、外国人観光客を誘致するため英語や中国語など7言語で観光パンフレットを制作し、旅行博や海外事務所で配布するほか、現地の旅行社などに提供しております。また、海外の旅行専門誌やガイドブックなどの県内取材を支援し、観光情報の発信に努めております。昨年より、台湾の企業が沖縄観光情報をテーマとした中国語繁体字の無料配布誌を発行しております。沖縄県も沖縄観光コンベンションビューローを通じて3度にわたって広告出稿したところでございます。このほかにもことし5月には、県内企業が中国本土を対象にした中国語簡体字の無料誌を制作しております。台湾と中国本土とで対象となる市場は異なりますが、海外からの観光客がふえてくる中で民間企業による沖縄情報媒体がふえることは大変喜ばしいことと考えております。民間の情報誌は、県の制作するパンフレットと異なり、広告によって県内消費を促す効果が期待できるなど、相互補完的なものと認識しております。
 今後の各種情報誌への支援については、企画内容のほか、配布先や発行部数などを総合的に勘案して検討してまいります。
 同じく観光商工関連について、台湾関係の共同宣言の県の対応についての御質問にお答えします。
 平成21年4月15日に、船舶や航空機の定期便の開設や相互往来による「生活圏」構築等を目指す「台湾東部・沖縄八重山諸島観光経済圏 国境交流推進共同宣言」が発表されました。共同宣言を受けて、昨年11月から復興航空による花蓮―石垣間で週2便のチャーター便運航が開始され、現在は週3便に増便となっております。
 県の対応としましては、国際チャーター便支援事業による助成金の交付や観光客誘致のための観光セミナー・商談会を実施しました。また、沖縄県産業振興公社台北事務所と石垣市町会が連携し台湾政府へ働きかけ、本年7月29日より与那国空港・石垣空港と台湾を結ぶ飛行経路で、与那国―台湾間が約20分、石垣―台湾間が約4分短縮されることになりました。
 県としましては、今後とも地元と連携しながら、台湾と沖縄の交流促進を図っていきたいと考えております。
 同じく観光商工関連についての、製造業への物流支援についての御質問にお答えします。
 沖縄県では、特別自由貿易地域に立地する企業への物流支援として、国外・県外との搬出入に要する海上物流輸送経費の一部をコンテナ等の単位ごとに補助を行っております。
 さらに、本年3月にカボタージュ規制の緩和が特別に認められ、特別自由貿易地域及び自由貿易地域に立地する企業の扱う貨物については、沖縄と本土間の外国籍船による海上輸送が可能となりました。
 製造業の物流コスト低減は、本県経済の振興にとって重要な課題であり、現在実施している貨物コンテナの借り上げによる県産品輸送の実証事業の成果等を踏まえ、どのような対応策が有効であるか検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは文化行政についての御質問で、人間国宝についてお答えいたします。
 人間国宝の認定については、芸能と工芸技術の分野に限られ、重要無形文化財に指定されていることが前提であります。
 芸能分野では、重要無形文化財に指定された芸能の技法を高度に体現できる者、芸能または技法を正しく体得し、かつこれに精通している者が認定されます。これまでに能楽、文楽、歌舞伎、組踊等の伝統芸能の方々が認定されております。
 その他の分野を新たに加えることは、現行の制度上大変厳しいものがあります。
 重要無形文化財や人間国宝の認定等については、文化庁の文化審議会で審議、決定することになっており、民謡などのジャンルを含めてほしいとの要望があることは、同庁にも引き続き伝えていきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 教育福祉行政についての御質問の中の、沖縄市で発生した児童虐待についてお答えします。
 5月末に発生した乳児虐待死亡事件につきましては現在調査中ですが、現時点では当該世帯との関係があった市町村及び医療機関において世帯の状況や虐待のリスクを十分に把握できなかったことが事件を未然に防止できなかった主な要因と考えられます。
 なお、この事案については、今後の検証作業の中で原因や問題点等について明らかにしてまいりたいと考えております。
 また、6月に発生した女児虐待事件については、母親からのDV相談を受けた沖縄警察署と女性相談所及びコザ児童相談所の連携により女児を保護したものであります。
 次に、認可外保育施設の割合についてお答えします。
 本県の平成22年4月1日時点における認可外保育施設数は431カ所で、入所児童数では1万7102人となっております。認可保育所を含めた保育施設全体に占める認可外保育施設数の割合は53.7%、入所児童数の割合は34.1%となっております。平成17年度と比較しますと、入所児童数で2845人、率にして6.8%の減となっております。
 次に、認可外保育施設への給食費助成についてお答えします。
 認可外保育施設入所児童の処遇向上のため、平成12年度から「新すこやか保育事業」を実施し、児童の健康診断費、調理員の検便費、児童の牛乳代及び米代への助成と、段階的に支援の拡充を図ってまいりました。平成21年度においては、399の認可外保育施設に対し児童の牛乳代及び米代等として9284万8000円を助成したところであります。
 次に、放課後児童クラブの現状と課題についてお答えします。
 平成21年度の補助対象児童クラブ数は23市町村、194カ所となっております。
 本県の児童クラブは、公立公営より民立民営が多いため、家賃等の負担により経営が厳しいなどの課題があります。このため、学校の余裕教室や児童館等の活用を市町村と連携して促進していきたいと考えております。
 その他の課題としては、在籍児童の増加に伴うクラブの大規模化がありますが、平成22年度は4カ所を分割し、大規模化の解消を図る予定としております。
 以上でございます。
○土木建築部長(仲田文昭) 土木建築行政についての御質問で、磁気探査と建築確認申請についてお答えいたします。
 建築基準法の建築確認制度においては、建築主事が審査すべき事項として建築基準関係規定が定められており、磁気探査については審査事項となっておりません。
 同じく土木建築行政についての質問で、民間に対するアスベスト補助についてお答えいたします。
 民間建築物の所有者等が行うアスベスト除去等に要する費用について、本県では平成17年度から国の補助制度を活用し、国が3分の1、県と市町村がそれぞれ6分の1の補助を行っており、これまでに3件の実績があります。
 今年度も国の補助制度を活用して、市町村と連携し民間建築物のアスベスト改修事業に取り組んでまいります。
 同じく土木建築行政についての御質問で、工事数量内訳明細書の詳細明記についてお答えいたします。
 土木建築部が発注する工事については、従前から入札参加業者の見積もりが可能となるよう工事設計書における規格及び数量を工事数量内訳明細書に記載して提示しております。なお、工事に使用する施工機械の規格や積算条件等の詳細については、入札参加業者の採用する施工方法に任されていることから、当該明細書に明示しておりません。
 しかしながら、入札・契約制度の改正に伴い、より精度の高い見積もりが必要となっていることから、今後当該明細書の記載内容について検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(下地 寛) 初めての登壇でございますので、答弁の前にごあいさつを申し上げたいと思います。
 本年4月1日付で文化環境部長を拝命いたしました下地寛でございます。
 文化の振興や安全・安心な県民生活の確保、豊かな自然環境の保全・再生、そして廃棄物等をめぐるさまざまな問題、文化環境行政には多くの課題があると思っております。微力ではありますが、県勢発展のため職責をしっかり果たしていきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは環境行政に関連して、産業廃棄物処理施設に関する県の方向性についてお答えいたします。
 産業廃棄物の処理につきましては、生活環境の保全と健全な経済産業活動を支えるため適正な処理が不可欠であります。また、島嶼県という地理的特性から、県境を越えた広域処理が難しく、可能な限り自己完結型の処理体制が求められております。
 しかしながら、産業廃棄物処理施設については、地域の理解が得にくいため、その立地は厳しい状況にあります。
 特に、管理型の最終処分場については、残余容量が逼迫しており、その確保は大きな課題となっております。そのため、県としましては、リサイクルなどの推進により廃棄物の減量化を図るとともに、公共関与による安心・安全な管理型最終処分場の整備を推進し、循環型社会の形成を図っていきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後3時21分休憩
   午後3時23分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 企画部長。
   〔企画部長 川上好久君登壇〕
○企画部長(川上好久) 3億9000万円の根拠についてお答えいたします。
 沖縄アミークスインターナショナルスクール校舎建設費は13億5000万円を確保することとしておりまして、資金内訳は、民間からの募金が6億円、県からの補助金額は3億9000万円、沖縄国際学園設立準備財団の借入額が3億6000万円となっております。
 県の補助金の3億9000万円は、建設費全体から募金額と借入額を差し引いた額となっております。
 以上でございます。
○玉城  満 再質問させていただきます。
 まず観光商工関連について、海外向け観光情報誌について伺うというこの質問に対して、今新しい情報誌が沖縄コンベンションビューローのほうから出たと。ある企業がいろんな提案を県にするわけですよ。観光商工部に提案したり、コンベンションビューローに提案したりするわけですね、すごくいい提案なんです。その後に、それと類似したものが観光コンベンションビューローからそれが出されるという。そしてこの業者は、提案して後で何も連絡もなく、そのまま別の人たちがその事業をやってしまっているというケースを幾つかちょっと耳にしているんですが、そういうことは事実としてあるのかどうか。
 それと、今これは観光の情報雑誌についてなんですが、これは新聞に出たことなので、これにちょっと関連しているんですが、観光関係で中国の観光客が見えたときに、携帯電話のサービスですね、どういうサービスかといいますと、いろんな買い物するときに携帯電話でコールセンターに電話すれば、今この人がやろうとしているということをかわってできるサービスを提案したんですね。この提案した翌年に、これと同じ事業が、また産業振興公社のほうから奨励を受けてやられているんですね。
 それは、この企業にコンペを一緒にやってくださいとかという連絡もなく、これは、もともとそういう計画がありましたと言われたらそれまでなんですけれども、一言声をかけるべきじゃないかというところも僕は思っているんですね。今、その観光雑誌の問題も全く同じ問題なんです、情報誌の問題も。これをちょっと考えていただきたい。
 これは、なぜそういうことを言うかといいますと、この沖縄県の観光関係は、いろんな海外の実務者の人たちからいろんな提案を聞かんといけないわけですよ。その提案をどうやって沖縄県の観光に結びつけるかというときに、こういう提案が、どんどんどんどん自分たちが提案したことをいろんな人たちが展開していくと、これを提案する側もやっていられないということになるんですね。この辺はどういうふうに今後やっていくのか。そしてそういう事実があったのかどうかも答えていただきたいと思います。
 それと、アジア音楽祭と国際映画祭の総括、これはちょっと一まとめにして再質問したいんですが、同じ時期にやったんですね。知事は、先ほど国際映画祭は38万人動員したと言ったんですけれども、アジア音楽祭の動員数は言わなかったですね。
○知事(仲井眞弘多) 7万人。
○玉城  満 言いました。済みませんでした。
 少なかったから僕は言ってないんじゃないかなと思っていました。済みません、7万人でしょう。
 これは同時期開催でしたね。これは音楽祭側からかなりやっぱり同時期開催には無理があるんじゃないかと、微妙にクロスフェードするような、そういう開催の工夫をしないといけないと思います。それはちょっと今後考えていただきたいと、イベントとしてね。よろしく。
 続きまして、県立郷土劇場についての話なんですが、この県立郷土劇場は、劇場をつくるという話も確かにいいことはいいんですが、今、県立郷土劇場はなくなりましたね。もし事業を、先ほど知事の答弁で、今後、伝統芸能を中心とした芸能をどんどんどんどん予算をかけてやっていきたいというんでしたら、やはりこの那覇地区だけじゃなくて、劇場というのはどこかに1カ所つくってしまうわけですよ。そこに集中してしまうんですよ。
 僕の県立郷土劇場観というのはどういう考えかといいますと、宮古、八重山、各離島、久米島、そして沖縄本島は北部、中部、南部そういうふうに分けて県立郷土劇場をやっていくというようなやり方があるんじゃないかと。そして、地方の劇場というのは稼働率が意外と若干低いんですね。だから、そういうことも踏まえて、各市町村との連携を深めてやっていただくと、すごく運営しやすくなるんではないかなという気がしております。
 さて、続きまして美ら島沖縄総体についてなんですが、先ほど僕が質問したのは、本当に体制ばっちりですかという意味なんですよ。例えば時間がおくれたり、ああいう社会実験をやっている中で、本当に大丈夫なのかなという素朴な疑問なんです。本当にそういうシミュレーションをなさっているのか、はっきりもう一度答えていただきたいなと思います。
 それと、鉄軌道導入の進捗状況について先ほど伺いましたが、これはついこの間、新聞にある市民団体の鉄軌道導入の発表がありましたね。「トラムで未来をつくる会」の、新聞で僕は発表したのを見たんですが、これはかなり細かく積算もされているわけですよ。
 県は、鉄軌道導入の調査費も含めたいろんな交通について今進めている中で、こういうものもリンクさせているのかどうか、地域地域が。例えば与那原町とか、そういうところが計画しているものを全然関係なく、県だけの予定をつくっているのかどうなのか。これはリンクするべきだと僕は思っているんです。
 先ほどのアミークスインターナショナルについてなんですが、これはなぜ3億9000万円という話を聞いたかといいますと、多分これは地元業者が1回目の電気関係の入札だったと思いますが、この電気業者は七千何百万で参加したんですよ。そうしたら、予算が2800万円しかありませんというような、こんなことがありますか。事業は7800万円規模のものを業者に投げておいて、予算は2800万円しかありませんという、そんな事業というのは、これは約3倍ですよ。これは県から技監がアミークスインターナショナルの準備室に出向していて、どういうものをつくり、どういうふうなこれから工事をしていくかというのはもうわかっているじゃないですか。何でそういう事態が起きたか不思議だったんですね。それで、この3億9000万円の根拠は何なんだと。だから、これはひょっとしたらもう一度やり直しになったんじゃないかという話です。
 以上です。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
   午後3時31分休憩
   午後3時33分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 企画部長。
   〔企画部長 川上好久君登壇〕
○企画部長(川上好久) 再質問にお答えいたします。
 まず鉄軌道に関する御意見でございますけれども、鉄軌道につきましては、交通渋滞の緩和、それから環境負荷軽減、観光客、それから県民の移動利便性を向上するというふうな観点から、さまざまな御意見、それから御提言をいただいておりまして、ありがたく思っているところでございます。
 今、その各団体もしくは市町村で検討されている考え方とリンクさせるかどうかというふうなことについては、現時点においてはまだ検討されておりませんけれども、いただいた貴重な御意見を参考にしながら、今後の公共交通のあり方について検討していきたいと考えております。
 それから、アミークスインターナショナル校舎の入札の件でございますけれども、今、御質問のあった件は、電気の第1工区、第2工区の件だというふうに理解をしております。
 準備財団の話によりますと、公表予定価格と業者の積算額との乖離が大きかったというふうなことが原因であるとの報告を受けております。このことにつきましては、主に仕様書の内容、特に工区区分について発注者の意図がきちんと業者に伝わってなかったことも起因しているのではないかということでございました。
 その対応につきましては、準備財団としては、仕様書内容の明確化、さらにまた、一部設計士の見直しを行いながら、当初と同様のスキームにて再入札を行うというふうなことになってございます。
 ちなみに、電気第1工区、第2工区の再入札につきましては、6月10日に指名通知を行っておりまして、6月25日、本日入札を予定をしてございます。7月に落札者を決定をして契約を締結をするというふうなことになっているようでございます。
 以上でございます。
○教育長(金武正八郎) 玉城議員の再質問で、大会期間中の高速道路無料化に伴う競技会場等への渋滞についてお答えいたします。
 高速道路の無料化社会実験については、6月下旬――6月28日――から開始予定となっております。無料化になれば、通勤や観光客の利用が増加し、高速道路入り口付近での交通混雑が予想されることから、高速道路利用者に大会期間中の渋滞緩和への協力をお願いする看板や横断幕の設置について、西日本高速道路株式会社や高速道路の上を横断している市町村道の道路管理者と調整を行っていきたいと考えております。
 その他の渋滞対策といたしましては、渋滞情報を発信しております西日本高速道路株式会社等のホームページとリンクを行い、大会参加者、応援団、観客などにリアルタイムの渋滞情報がわかる方法等を検討しているところでございます。
 延べ60万人の選手、役員、応援団が参加する高校生最大のスポーツイベントまであと33日でございます。参加されたすべての皆さんにとって、沖縄開催が思い出に残るすばらしい大会となるよう万全を期していきたいと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(下地 寛) 再質問にお答えします。
 アジア国際音楽祭ですけれども、昨年度の実績としては、まさに国際映画祭と相当の部分重なったということもありまして、ことしは国際映画祭が3月19日から28日、これはもう既に決まっているようです。
 それで我々は、アジア国際音楽祭は、18日から20日の3日間の2日ぐらいは重なりますけれども、観光商工部と連携しながらPRをうまくやって、昨年以上にたくさんの人に来ていただきたいと考えております。
 それから劇場のあり方なんですけれども、21年度800万円の予算で伝統芸能公演を実施しております。今年度は約2000万円余りの事業費で同じような形の伝統芸能公演を行う予定です。この中で、プロデューサーの配置、それから議員から提言のあったように市町村など会場立地の問題、それから事業収入、そういったもろもろの劇場運営のあり方について検証して、新たな劇場のあり方を検討していきたいというように考えております。
 以上であります。
○観光商工部長(勝目和夫) 先ほどの御質問の中で、情報誌関係についての再質問にお答えします。
 いろいろ県のほうにおいて、外部や県庁内部から企画・提案があります。提案につきましては一長一短もあり、必ずしも即それが補助事業とつながらないようなものも多数あります。また、先進県等で既に実施しているところも結構ケースとして多いところがあります。
 県においては、こういう事業についてはコンペや公募等をやり、審査会で公正に実施して選定しているところでございます。
 先ほどの企業提案の事実があったかについては、過去3回、ビューローとして広告を出している事実がございます。
 今後につきましては、その企画内容等について、先ほど答弁したとおり相談していきたいということでございます。
 以上でございます。
○議長(髙嶺善伸) 以上をもって代表質問は終わりました。
 本日の日程はこれで終了いたしました。
 次会は、28日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後3時41分散会

 
20100203000000