○議長(髙嶺善伸) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた公安委員会委員長翁長良盛君は、別用務のため本日及び16日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日の会議に公安委員会委員幸喜德子さん、16日の会議に同委員会委員安里昌利君の出席を求めました。
また、人事委員会委員長仲吉朝信君は、所用のため本日から16日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として人事委員会事務局長岩井健一君の出席を求めました。
また、労働委員会会長比嘉正行君は、所用のため本日から16日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として労働委員会事務局長平良宗秀君の出席を求めました。
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○議長(髙嶺善伸) この際、念のため申し上げます。
本日から16日までの3日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(髙嶺善伸) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
佐喜真 淳君。
〔佐喜真 淳君登壇〕
○佐喜真 淳 皆さん、おはようございます。
けさの新聞報道で仙谷官房長官の基地「甘受」発言がございました。まさに県民をばかにする発言であり、到底納得できる発言ではございません。
質問通告後ではございますが、議事課、執行部にも連絡をしておりますので、知事の所見と強い抗議を求めるべきだと私は思っておりますが、知事の発言を求めます。
改めまして仲井眞知事、2期目の御当選まことにおめでとうございます。
振り返ってみますと、前回4年前の知事選挙で仲井眞知事が初当選を果たした日、同じ日に私も県議会補欠選挙で初当選を果たすことができました。そのときの初議会の一般質問で、当選同期生として大変親近感があるとアピールした記憶がございます。今回もまた仲井眞知事2期目の初議会、代表質問初日のトップバッターとして質問を行うことができることを思うと、さらに親近感を感じるものでございます。
これから4年間、私はもとより我が自民党も全力を挙げて知事を支えてまいります。どうか仲井眞知事におかれましても、沖縄県発展のためますます御活躍くださいますよう御期待申し上げます。
それでは通告に従いまして代表質問を行います。
まず、知事の政治姿勢についてであります。
(1)、仲井眞知事2期目の県政運営に向けた決意についてお伺いいたします。
11月11日告示、28日投開票された第11回沖縄県知事選挙は、自民党県連、公明党、みんなの党が推薦した仲井眞弘多候補が、社民、共産、社大党推薦、そうぞう、国民新党県連支部支持の伊波洋一候補に3万8626票差で圧勝し、2期目の再選を果たしました。
今回の選挙は、民主党政権が混迷化させた普天間飛行場の移設問題に対し、県民がどのような審判を下すかが争点になるはずでありましたが、政権与党である民主党は独自候補を出さず、菅政権の普天間問題に対する姿勢を県民に問うことを避けた政権不在の選挙戦となったのであります。
選挙戦は普天間移設問題、経済問題や福祉問題などが争点となり、仲井眞知事は、普天間移設問題については、政府に対して日米共同発表を見直し県外移設を求めるとの姿勢を明確にいたしました。その中で、仲井眞知事の訴えた日米同盟、安全保障が大事と言うのなら、普天間問題も日本全体の問題として考えるべきであり、全国が等しく負担を分かち合うべきであるとの主張が県民の多くの支持を得たものであります。
それに加えて仲井眞知事再選の大きな要因は、1期4年の実績が県民から圧倒的な評価を受けたものであり、引き続き仲井眞知事に普天間問題の解決と県経済の活性化と雇用の安定を託すことを選択したものであります。
このように県知事選挙は基地問題だけが唯一ではなく、県経済の問題や若者を中心とした雇用の確保などが最重要の争点でありました。県民の多くの支持を得た仲井眞知事には、県経済の自立に向け、これからの20年、30年後を見据えて沖縄独自で沖縄の将来像を描く「沖縄21世紀ビジョン」の実現に全力で取り組んでいただきたいと思います。そのためには、2012年で期限が切れる沖振法や振興計画のあり方を見直し、これまでのような時限立法ではなく、「沖縄新法」として恒久法の制定と県民主体の振興計画の策定が必要となると考えます。
そこでお伺いいたします。
ア、今後4年間の県政運営において、公約に掲げた「3つの政策目標」と「11の実施政策」をどのように実現していくのか、知事の決意をお伺いいたします。
イ、1期4年間の課題であった普天間問題の解決、観光客1000万人の実現、完全失業率の全国平均化について、今後4年間で達成に向けどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
ウ、観光及び文化・スポーツを所管する部の設置について、そのねらいと今後の県組織体制のあり方の基本的な考え方をお伺いいたします。
(2)、民主党政権の外交・安全保障、危機管理体制についてでございます。
11月1日、ロシアのメドヴェージェフ大統領が、ソ連時代にもなかったロシアの最高指導者として北方領土を訪問したことは、我が国にとって到底認めがたい屈辱的な出来事であります。民主党政権となり、米国とのぎくしゃくした関係のすき間を縫って訪問したことで、日米関係の重要性を民主党政権に改めて知らしめる結果となったのであります。また、民主党政権になって国家機密や重要資料の流出が相次いでおり、政府の危機管理体制が問われる事態も表面化しております。
尖閣諸島沖での中国漁船による海上保安庁巡視船への追突事件を撮影した映像が流出した問題で、国民の間に民主党政権に対する不信や批判が高まっております。全国世論調査によれば、漁船衝突の映像を政府が公開すべきであるとする国民の声は88%にも達しております。今回の映像が流出したことについても日本の立場をはっきりさせることができるとして83%を超える国民が評価をしているのが現状であり、政府の対応と国民の考えに乖離が見られるのであります。
一方、10月には警察庁が管理する国際テロ捜査に関する最重要情報資料がインターネット上に流出しております。流出した資料については、政府も当然のことながら警察の資料と認めてはおりませんが、岡崎国家公安委員長は、記者会見で「大変遺憾」と不用意な発言をし、記者から警察の資料との前提かと追及される始末で、閣僚としての資質も問われております。
国家機密を管理する組織に時の政府に対する不信があってはなりません。政権とこれらの組織に相互不信があっては国の安全は守れないのであります。民主党政権は、政府全体の問題として外交・安全保障、危機管理に対する政府としての体制の再構築を図るべきだと考えます。
そこでお伺いいたします。
ア、尖閣諸島での中国漁船による海上保安庁巡視船への追突事件の処理の仕方やビデオ流出問題、ロシア大統領の北方領土視察問題、警察庁の国際テロ情報に係る重要書類流出問題など、民主党政権の外交・安全保障、危機管理体制が問われている。知事の見解をお伺いいたします。
イ、石垣市議会では、今12月議会で1月14日を「尖閣の日」と制定する条例の議員提案をする動きがございますが、「尖閣の日」の制定について県の考えをお伺いいたします。
2、普天間飛行場移設問題について。
去る2日、仲井眞県知事は、知事当選のあいさつを兼ねて菅総理と会談し、公約で掲げた普天間飛行場の県外移設の実現を要請しました。菅総理は、日米合意を踏まえ、基地負担軽減を進める中で県内移設に理解を求めていく考えを示したようであります。
管総理は来年春に訪米し、オバマ大統領と首脳会談を行うことになっており、その際普天間飛行場の移設問題が話し合われることは確実であります。訪米する以上、普天間移設問題の解決を急がなければならないのであり、政府高官は、総理は相当な決意を固めている、沖縄協議会に新知事が参画する場をとらえ、しっかりと協議したいとも述べております。
普天間移設問題を取り巻く環境は、自公政権時と民主党政権の現在では全く変わりました。もはや普天間移設問題については、地元沖縄の合意がなければ解決しないことを日米両政府は認識しなければなりません。また、普天間のグアム移設の可能性について、民主党政権は、グアムを徹底調査検討し、その上で移転は不可能と結論を出しており、さらにグアム政府は米政府に対し受け入れ反対を明確にしております。
我が会派は、去る12月6日から9日にかけてグアム調査を行ってまいりました。普天間移設について、グアム議会議長は、海兵隊8000名の受け入れ作業は進めているが、普天間ヘリ部隊の移設については全く初耳でそのような話は承知していないと述べ、ただでさえ海兵隊8000名、その家族9000名の受け入れで精いっぱいの中、その上この狭い島で普天間飛行場そのものを受け入れる状況にはないと説明がありました。
このような状況から、米政府と日本政府の間で今後グアム移設協議がなされる見通しはなく、普天間ヘリ部隊のグアムへの完全移設は極めて難しいと言わざるを得ないと考えます。
仲井眞知事は、選挙後の会見で日米共同声明の見直し、県外移設を政府に求める考えを改めて示し、もはや県内はどこにもないと述べております。普天間問題をめぐる日米関係がぎくしゃくすれば、日本にとってどれほどのマイナスをもたらすか、昨今の中国やロシアの言動を見れば明らかであります。
政府においては、日米同盟のあり方や我が国の安全保障問題が国民的な関心を集めているこの時期に、国の安全保障は国民すべてが担うとの機運を盛り上げ、沖縄の基地負担についても全国で分かち合う方向に転換すべきと考えます。
そこでお伺いいたします。
(1)、日米共同声明を見直し、県外移設を求めるとの県民に対する公約の実現に向け、政府との交渉を含め知事の決意をお伺いいたします。
(2)、グアムへの移転について、これまでの日米両政府間の交渉経緯を含めその可能性について県の見解をお伺いいたします。
(3)、来春、菅総理が米国を訪問する予定であるが、その訪問が普天間飛行場の移設問題の解決期限との見方について、県はどのように考えるか見解をお伺いいたします。
(4)、菅総理は12月中にも沖縄を訪問し、県と普天間飛行場移設問題について話し合う意向のようであるが、県はどのように対応するのかお伺いいたします。
3、基地返還跡地の利活用について。
県は、米軍再編で返還が確認された嘉手納飛行場以南の大規模基地に関し、各跡地利用の広域構想を策定する検討委員会が去る11月16日に開催されました。今回返還が確認された嘉手納以南の基地はこれまでの返還とはけた違いに規模が大きく、跡地利用のあり方によっては本県の将来を左右するものであると考えます。
これまで返還された基地の跡利用については基地返還から10年以上もかかるケースも多く、那覇新都心地区は使用権益を回復するまでに17年以上もかかっているのが現状であります。また、現行法では地主に対する給付金の支給期間については最大4年から5年程度しか認められておりませんが、現実は返還用地の跡地利用が完了するまで10年以上かかっているのが実態であります。地主の不利益が余りにも大き過ぎるのであります。
このような状況を受け県は、大規模返還基地の跡利用計画を円滑に進め、地代収入がなくなる地主の負担を解消することを一体的に図るため、新たな法制度の創設を国に対して求めております。その上で国が事業実施主体となり、事業が完了するまで地主に対する給付金の保障など国の責任の明確化が必要であります。
そこでお伺いいたします。
(1)、中南部都市圏の大規模基地返還に向けた各跡地利用の広域構想を策定する検討委員会がスタートした。県が描く広域構想と返還関連自治体などの利用計画との整合性をどのように図っていくのか。
(2)、県が求める新たな基地跡地利用に関する法制度について、現行法との違いと県が考える新法の基本方針をお伺いいたします。
(3)、米軍再編に基づく大規模基地返還は名護市辺野古への移設とパッケージとされるが、日米合意の見直しを求める中で、パッケージの見直しも要求すべきと考えるが、県の考えをお伺いいたします。
4、観光振興について。
本県は海外からの観光客誘致を進めており、知事を先頭に中国に対するトップセールスを展開し、観光客誘致に大きな効果を上げております。
しかしながら、中国は尖閣諸島付近の中国漁船による不法操業、海上保安庁の巡視船衝突事件に対し民間交流や観光ツアー中止など、経済面の報復措置を連発するなどの一面も見せております。このため中国は、その政治体制の違いから、日中間で政治問題が起きやすい側面があることも考慮しなければなりません。
本県は、観光客1000万人誘致や経済の自立を目指しており、そのためには産業の柱である観光の振興・発展を県政の最重要課題として進めなければなりません。そのため、本県観光の底上げを図る必要から海外からの観光客、特に富裕層の誘致が必要不可欠であります。
しかしながら、観光は外的要因に左右されやすい側面を持っており、本県と歴史的な結びつきが強い中国についても政治体制の違いを念頭に置き、特定のマーケットに頼り過ぎず、市場の分散を図る戦略的な取り組みが必要であると考えます。
そこでお伺いいたします。
(1)、海外観光客の誘致で特に中国観光客誘致に力を入れているが、尖閣問題で突然ツアーを中止するなど、今後についても不安定要因が懸念される。中国だけではなく分散を含めた誘致活動が必要と考えるがどうか。
(2)、本県観光は関東圏からの観光客が国内客の半数を占めると言われ、羽田空港が国際化されたことで関東圏の客が海外へシフトすることが懸念される。県の対策を伺いたい。
(3)、沖縄MICEプロジェクトの基本戦略と拠点づくり、官民協働の受け入れ体制についてお伺いいたします。
(4)、海外観光客の誘致を図る上で外国語や沖縄の文化・歴史、観光情報などに通じた高度な観光人材の育成が必要であるが、県の取り組みをお伺いいたします。
(5)、来春、プロ野球読売巨人軍が初めて沖縄でキャンプを行うことが決定し、観光、経済への効果が期待されている。沖縄キャンプが継続されるように県の積極的な支援や対応が必要と考えるが、県の取り組みをお伺いいたします。
5、県内公共事業の推進について。
民主党は、無駄を見直し総予算207兆円を組みかえ、4年間で16.8兆円の財源を生み出すとして、これまで3回にわたる事業仕分けや公共事業への切り込みにより財源確保に奔走しております。今回、国土交通省所管の22年度公共事業関連費を全国で前年度比15.2%削減し、本県関連予算も5.6%削減しております。今後もさらなる削減を目指すとしており、国交省からも社会保障費増に対応するため公共事業が削られれば、インフラが破綻しかねないと懸念を示しております。
特に、本県は道路事業と港湾事業が削減されていることから、今後の那覇空港自動車道を初めとする骨格幹線道路や生活幹線道路事業への支障が懸念されており、そのツケはすべて地方に回ってくるのであります。
そこでお伺いいたします。
(1)、政府の特別会計の事業仕分けで社会資本整備事業特別会計を解体し、空港整備、治水・道路整備、港湾業務などの勘定が「廃止」と判定された。本県への影響をお伺いいたします。
(2)、国発注公共事業の県内企業優先受注の向上と、米軍発注工事の県内企業の受注に向けた条件整備をどのように図っているかお伺いいたします。
(3)、公共事業費の削減に伴う建設業の休業、倒産が続く中、建設業の経営の多角化が求められているが、県の基本的な考え方と取り組み状況をお伺いいたします。
(4)、西海岸道路、那覇空港自動車道の整備状況と県内道路網の整備に向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。
(5)、本県における県営住宅の整備は計画どおり進展しているか。また、今後整備を進める上で課題、問題点についてお伺いいたします。
6、福祉問題について。
(1)、地域医療の充実について。
厚生労働省は、医師不足に陥った要因として、2004年度から始まった新卒医師の臨床研修制度により研修先を自由に選択できるようになったことから、研修内容や待遇、生活環境のよい病院や症例の豊富な都市部の病院に研修医が集中した結果、医師不足に拍車がかかったと見ているようであります。
医師不足問題は、離島県で特に多くの離島の島々を抱える本県においては深刻であります。本県の地域医療を主体的に担っている県立病院においても産婦人科や小児科の医師不足に苦慮しており、これらの医師確保が本県医療行政の大きな課題となっております。小規模町村や離島の診療所は常勤医師不在のところが多く、看護師が診療補助から緊急時の対応、健康や妊娠に対する相談までこなしているのが現状のようであります。
県は、地域医療を一手に担っていることから、県立病院の経営改善が大きな課題であり、市町村においても厳しい財政状況にあって離島医療現場の負担増に苦慮している中、医師確保や看護師などの労働改善のためのさらなる負担と住民の不安解消との間で苦しんでいるのが現状であります。
そこでお伺いいたします。
ア、厚生労働省の調査によると、全国で医師不足は2万4000人と推定されております。地域や診療科により偏在しているようである。県として診療科ごとの偏在解消策についてどのように考えるか。また、本県の状況をお伺いいたします。
イ、医師不足の解消や激務への対応として、診療報酬の改定や待遇改善など病院勤務医師への配慮が必要との指摘があるが、県の考えをお伺いいたします。
ウ、新人医師の2年間の臨床研修制度について、都市部や生活環境のよい民間病院に希望が集中し、都道府県での格差が出ているようだが、本県における充足率はどうか。
エ、医療費無料化の拡充と子供医療の充実について、県の基本方針と今後の取り組みをお伺いいたします。
オ、沖縄県立浦添看護学校の民間移譲について、県立としての役割が終わったとする理由と、民間に移譲した場合のメリットについてお伺いいたします。
カ、「がん対策推進条例」の制定と子宮頸がんなどの予防ワクチン接種への支援などの取り組みをお伺いいたします。
(2)、ドクターヘリ導入について。
本県は、平成20年12月から県の補助事業としてドクターヘリを導入し、沖縄本島全域と本島周辺離島を運航範囲として急患搬送を行っております。その他、本県は八重山地域を中心に自衛隊や海上保安庁による急患空輸搬送も行っており、特に悪天候や夜間における自衛隊や海上保安庁による急患空輸搬送には感謝をする次第であります。
平成20年の急患空輸搬送実績は267件であり、自衛隊は103件、海上保安庁は74件、県補助ドクターヘリは90件となっておりますが、平成21年には自衛隊109件、海上保安庁75件と前年とほとんど変化はありませんが、ドクターヘリは279件と大きく伸びております。一方、北部地域において救急患者のヘリコプター搬送を行っているNPO法人MESHサポートは、今や北部国頭村や離島の伊平屋村、伊是名村などで欠かせない存在となっております。
このような状況から、NPO法人MESHサポートは、北部地域における地域医療格差の改善や急患搬送の迅速化を図るため、MESH民間救急ヘリを2機目の県ドクターヘリとするよう要請しております。本県は多くの離島を抱える島嶼県であり、救急空輸搬送体制のさらなる確立は急務であると考えます。
そこでお伺いいたします。
ア、本県の自衛隊ヘリコプターを利用して離島からの急患搬送体制について、現在の実施状況と県ドクターヘリとの搬送時間の比較についてお伺いいたします。
イ、県が補助をしているドクターヘリの運航範囲とこれまでの実績についてお伺いいたします。
ウ、県は、県内人口の92%を県補助のドクターヘリでカバーするとしているが、重複出動要請に対する対応など、1機体制で今後の運航に支障はないかお伺いいたします。
エ、NPO法人MESHサポートの救急ヘリを県のドクターヘリ2号機とすることについて、県の考えをお伺いいたします。
7、教育・文化の振興について。
(1)、学校教育の充実強化について。
近年は国際化の進展、国民意識の多様化などにより教育を取り巻く環境も変化しており、教育現場においても多様で個性豊かな人材が求められております。
公立小中学校の教員数に占める正規教員の割合は、本県は全国一低いという調査結果が示されました。ほかの県では正規教員の9人に1人の割合で臨時教員を採用しているのに対して、本県は6人に1人は臨時教員が占めているということであり、教育環境への影響が心配されます。
本県は、少人数学級の拡大を進めており、文部科学省もこれまでの学級編成を30年ぶりに見直し、少人数学級を推進する方針を打ち出しております。このため、今後は学級増に対応した教員の確保や拡充が必要となると考えますが、全国最低の教員比率では教育理念に基づいた学習指導や学力の向上に向けた取り組みに教育行政として後手に回っていると言わざるを得ません。
そこでお伺いいたします。
ア、公立小中学校の教員について、本県は臨時教員の占める割合が全国一高いということだが、その要因と学科ごとの割合をお伺いいたします。
イ、臨時教員の任用は何年を目途としているのか。正教員への切りかえはどうなっているか。また、学校現場への影響はないかお伺いいたします。
ウ、教員免許更新制については、本県における学校現場における評価はどうなっているか。校長、教員で評価の違いはあるか。
エ、少人数(30人)学級の拡大とそれに伴い教員の計画的増員を図る必要があるが、県の計画をお伺いいたします。
オ、本県の「組踊」がユネスコの無形文化遺産に登録された。今後の普及啓発を含めた県の取り組みをお伺いいたします。
以上ではございますが、けさの新聞報道、多くの県民が本当に怒りを覚えたと思いますので、知事の強い抗議のほどをしっかりと総理にお願いして、代表質問を終わります。
○知事(仲井眞弘多) おはようございます。
佐喜真議員の御質問に答弁させていただきます。
まず第1に、けさの仙谷官房長官の発言に係る御質問にお答えいたします。
仙谷官房長官がどのような経緯で質問のような発言に至ったのか正確にはわかっておりません。不明ですが、報道のとおりとすれば、「甘受」というような表現は全く理解ができない表現であり、まことに遺憾であるとしか言いようがありません。
県としましては、名護市辺野古への移設の日米共同声明は、これを見直し、普天間飛行場の県外移設を求めているところでございます。これには変わりありません。
次に、知事の政治姿勢の中で、政策の実現に向けた取り組みについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
私は、2期目の県政運営に当たり、「希望と活力あふれる「豊かな美ら島・おきなわ」づくり」、そして「つながり支えあう「住みよい美ら島・おきなわ」づくり」、さらに「世界に開かれた「交流と共生の島・おきなわ」づくり」の3項目を政策目標とし、11の実施政策を掲げております。
これらの政策は沖縄の将来像となる「沖縄21世紀ビジョン」に沿ったものであり、雇用の拡大と産業振興、文化・芸能、スポーツの振興、医療・介護・福祉の拡充と子育て支援、そして離島のユニバーサルサービスの徹底、さらにさまざまな分野で活躍できる人材の育成などが重要であると考えております。
今後は、「沖縄21世紀ビジョン」を実現するための新たな沖縄振興の手だてとなります基本計画を策定し、振興の道筋を示したいと考えております。また、沖縄振興特別措置法にかわります新たな法律及び駐留軍用地跡地利用推進法(仮称)の制定、沖縄振興一括交付金の創設、過重な米軍基地負担の軽減等を国に求め、沖縄の地域的特性を生かしました政策を実現できる体制整備に努めてまいる所存でございます。
私は、沖縄の課題解決に誠心誠意取り組みますとともに、未来を担う子供たちや孫たちが夢と誇りを持てる沖縄をつくっていくため、県民の皆様と心を一つにして県政運営に全力を尽くしてまいる所存でございます。
同じく知事の政治姿勢の中で、普天間飛行場移設問題の解決への取り組みについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
これまでも申し上げてまいりましたとおり、地元の理解が得られない移設案を実現することは極めて困難であると考えており、今回の知事選挙においても日米共同発表の見直し、そして県外移設の実現を強く求めていくことを公約に掲げたものであります。
今後ともこの公約の実現に向け、政府に対しまして粘り強くしっかりと訴え、取り組んでまいりたいと考えております。
次に、同じく政治姿勢の中で、観光客1000万人の実現に向けた取り組みいかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
私は、観光産業はあらゆる産業に関連する総合産業であると考えます。沖縄県経済を牽引する重要な役割も持っていると考えております。
観光客1000万人の達成に向けましては、国際観光拠点としての観光インフラの整備などが重要であり、那覇空港の沖合展開や国際線ターミナルの建設、空手道会館やサッカー場などの文化・スポーツ施設の整備は極めて重要であり、これに取り組んでまいります。
また、外国人観光客のさらなる誘致を図るため、那覇空港の国際路線の拡充や離島空港への国際線就航に取り組みますとともに、経済成長著しいASEAN諸国や欧米、そしてロシアなど新たな海外市場での誘客活動を強化してまいる考えでございます。
さらに、MICEを初め文化資源活用型観光や医療ツーリズムなど、付加価値の高い観光産業の確立を目指してまいりたいと考えております。これらの施策などを積極的に推進し、目標の実現に取り組んでまいる所存でございます。
次に、同じく政治姿勢の中で、完全失業率の全国平均化に向けた今後の取り組みについての御質問にお答えいたします。
知事に就任して以来4年間、「みんなでグッジョブ運動」をエンジンとした完全失業率の全国並みに向けまして全力で取り組んでまいりました。その結果、世界不況の影響もあり全国的に経済雇用情勢が厳しい中で、平成18年とことし1月から10月までの平均を比べますと、全国の就業者数が122万人減少する中、沖縄県の就業者数は2万4000人増と着実に増加いたしており、失業率も全国が悪化する中でわずかではありますが改善を見せております。
今後とも「みんなでグッジョブ運動」を継続的に推進し強化し、これを構成する60団体・関係者と連絡を密にして、完全失業率の全国並みに向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。
同じく知事の政治姿勢の中で、「文化観光スポーツ部」設置の目的と今後の組織体制についてという御質問にお答えいたします。
沖縄県は、古くから中国、東南アジアなどこれら諸国との交易を通して個性豊かな伝統文化をはぐくみ、琉球舞踊や空手、そして組踊、首里城を初めとする世界遺産などは世界的に高く評価され、沖縄の大きな魅力となっております。沖縄文化がますます内外の注目を集めている今日、この継承・発展を図り、世界に発信していくためには、観光交流の施策と連携する必要があるとも考えます。また、冬場の温暖な気候を生かしましたプロ野球のキャンプなど各種のスポーツイベントは観光誘客にも資するものであります。このため、知事部局に文化とスポーツを担当する部を設置することとし、連携する産業分野であります観光と一元的な組織として編成したところであります。
今後の県庁全体の組織体制につきましては、「沖縄21世紀ビジョン」を実現するための新たな沖縄振興の手だてとなる基本計画の策定とあわせまして再構築する必要があると考えております。
同じく知事の政治姿勢の中で、民主党政権の外交・安全保障、危機管理体制についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
民主党政権は、「政権党が責任を持つ政治家主導の政治」などの公約を掲げ、意欲は評価できる面も無論ありますが、政治と金や外交・安全保障につきましては政権運営が迷走した感があります。また、普天間飛行場問題や尖閣問題などの対応に大きな疑問が示されました。
政府においては、沖縄の地理的特性や国際交流に果たしている沖縄県の役割を踏まえ、適切な外交・安全保障、危機管理体制を構築していただきたいと考えます。
同じく政治姿勢の中で、「尖閣の日」制定についての御質問にお答えいたします。
沖縄県は、これまで尖閣諸島周辺の海域において県民の生命財産、そして漁業を初めとする諸権利が侵害されることのないよう、政府に対し適切な措置を講ずるよう要請をしてまいりました。また、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国の領土であるというのが政府の見解でもあります。
石垣市において「尖閣の日」を制定することにつきましては、沖縄県といたしましては、石垣市議会での議論及び結果を尊重すべきであると考えております。
普天間飛行場移設問題に関する御質問の中で、普天間飛行場の県外移設という公約の実現についてという御質問にお答えいたします。
普天間飛行場移設問題を初めとする米軍基地問題は、基地が集中する沖縄県だけの問題ではなく、我が国の外交や安全保障にかかわる全国的な課題であることから、移設先の選定に当たっては、日本全体で米軍基地の負担を分かち合うという原点に立ち返って解決することが必要であると考えます。
このような観点から、県といたしましては、総理を初め各大臣との面談などあらゆる機会を通して普天間飛行場の県外移設を粘り強く実現するべく折衝を続けてまいりたいと考えております。
同じく普天間飛行場に係る御質問で、菅総理の沖縄訪問についての御質問にお答えいたします。
菅総理は、12月17日から2日間の日程で来県される予定と伺っております。総理とお会いする際には、去る2日に面談いたしました際申し上げたように、日米共同発表を見直し、普天間飛行場の県外移設に取り組んでもらいたいとの一貫した県の考えをお伝えしたいと考えております。
次に、基地返還跡地利用に係る御質問の中で、跡地利用に関する新たな法律の基本理念、そして現行法との違いいかんという御質問にお答えいたします。
現在、県が国に要望いたしております跡地利用に関する新たな法律につきましては、まず第1に、跡地利用の推進は長年基地を提供してきた国の責任であること、第2に、跡地の有効利用を沖縄県の自立的経済の発展につなげることの2つを基本理念といたしております。
現行法との違いといたしましては、第1に、現行の沖振法第7章と軍転特措法を一元化の上、新たな制度を盛り込み、すべての基地跡地の整備が終了するまでの恒久法であること、第2に、国の責任を明確にし、国が積極的に関与する仕組みであること、第3に、沖縄振興費と別枠での予算確保と行財政上のさまざまな制度・施策を盛り込んでいること、第4に、中南部都市圏の跡地整備は国が事業実施主体を確立し、国費によります事業を実施すること、第5に、地主への給付金は、返還から跡地整備完了に至るまでの間を土地が使用収益ができないことに対する補償として支給すること、第6に、土地引き渡しまでに汚染等に関する原状回復措置を徹底することなどでございます。
次に、同じく基地返還跡地利用に係る御質問の中で、パッケージの見直しはどうかという御質問にお答えいたします。
「再編実施のための日米のロードマップ」や日米共同発表で返還等が示されている嘉手納以南の施設・区域等につきましては、沖縄の振興・発展のための貴重な空間であり、確実に実現される必要があります。このため、県といたしましては、パッケージ論にとらわれることなく、実現可能なものから一つ一つ確実に実施されるよう日米両政府に強く求めてまいりたいと考えております。
次に、観光振興に係る御質問ですが、この中で中国だけでない誘致活動の分散はどうかという御質問にお答えいたします。
沖縄県では、直行便の就航している台湾・韓国・中国・香港を重点市場として誘客活動を展開いたしております。中国は地理的にも近く、そして人口や経済規模を考えますと多くの観光客が期待できる地域であります。
県といたしましては、ビジットおきなわ計画に基づき、幅広く新たな市場の開拓に取り組んでいるところでもございます。具体的には、タイやシンガポール、そしてフランスなどにも委託駐在員を設置いたしました。そしてまた来年3月には、経済成長著しいASEAN諸国を初め欧米などからも約70社の旅行商品開発担当者を招聘をし、県内視察や県内事業者との商談会を実施いたしたいと考えております。
今後とも海外観光客の誘致につきましては、新たな市場開拓を視野に入れ進めてまいりたいと考えているところでございます。
同じく、次に観光振興の中で、巨人軍那覇キャンプ継続に向けた支援についてという御質問にお答えいたします。
来年春のプロ野球沖縄キャンプには、新たに巨人軍が加わり、さらなる沖縄県の観光・スポーツの振興や波及効果の拡大が期待されることから、沖縄県におきましては、受け入れ体制の拡充等を図っているところでございます。11月には、那覇市を含め受け入れ市町村担当者連絡会を開催し、情報共有や意見交換をしっかりと行ったところでございます。また、年明けには、キャンプ歓迎セレモニーや空港、国際通りの歓迎の旗の掲揚、そしてキャンプガイドブックの配布等を予定いたしております。このほか、本年度は、キャンプ地を巡回するバスの運行やウエブサイトでの日々のキャンプ情報等の発信も行うことといたしております。
県といたしましては、引き続き市町村等と密接に連携をし役割を分担しながら、沖縄全体でのプロ野球キャンプの盛り上げや受け入れ体制の拡充を図ってまいりたいと考えております。
次に、県内公共事業に係る御質問の中で、建設業の経営多角化に関する御質問にお答えいたします。
県では、厳しい経営環境にある県内建設業の経営改善を図るために、経営基盤の強化や新分野進出による経営の多角化が必要であると考えております。このため、平成19年7月に「ちゅらしま建設業相談窓口」を開設いたしております。相談対応や専門家派遣を行いますとともに、新分野進出セミナーなどを実施いたしております。この相談窓口開設以来、平成22年9月末までに延べ1812件の相談を受けております。52社が新分野に進出をいたしております。
県といたしましては、今後とも新分野進出セミナーを開催いたしますとともに、経営に関する各種ニーズの掘り起こしのための移動相談を行う予定でございます。建設業の支援、活性化にさらに努めてまいりたいと考えております。
次に、福祉問題に係る御質問の中で、浦添看護学校が県立としての役割が終わった理由と、メリットについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
看護師の養成・確保につきましては、県と民間の連携により進めてきたところでございます。現在では、民間養成所等が増加し、県内の看護師の多くが民間で養成されております。このような状況を踏まえ、浦添看護学校につきましては、民間力の活用を図りますとともに、看護師の養成・確保対策を効果的かつ効率的に推進することが重要と判断したところでございます。
県といたしましては、財政効果等を踏まえつつ、新看護研修センターの整備、そして離職防止対策、修学資金による学生への支援など県が担うべき役割を総合的に強化しているところでございます。また、定数の活用によりまして児童虐待防止など福祉保健行政の課題にも効果的に対応していく所存でございます。民間移譲のメリットは、大きいものと考えているところでございます。
次に、同じく福祉問題に係る御質問の中で、がん対策推進条例の制定についての御質問にお答えいたします。
平成18年6月にがん対策基本法が制定され、国、地方公共団体、国民等の責務によりがん対策の一層の充実を図ることが明示されました。沖縄県におきましては、平成20年3月にがん対策を総合的かつ計画的に推進するために「沖縄県がん対策推進計画」を策定いたしたところでございます。平成21年12月には、同計画の具体的取り組み内容をアクションプランとしてまとめました。また県といたしましては、同計画及びアクションプランを着実に実施し、予防から医療提供に係る適切ながん対策の充実、そして強化を図っているところであります。がん対策推進条例につきましては、制定に向けて総合的に検討してまいる所存でございます。
次に、教育・文化に係る御質問の中で、ユネスコの無形文化遺産に登録されました「組踊」の普及啓発についての御質問にお答えいたします。
沖縄の宝であります「組踊」がユネスコの無形文化遺産となりましたことは、すべての沖縄県民にとってこの上ない喜びであり、また歴史的快挙であります。このたびのユネスコの無形文化遺産登録を祝して、2月には祝賀会を開催し、県民の皆様と喜びを分かち合いたいと考えております。
沖縄県といたしましては、今後、登録の意義を考えるシンポジウムの開催、そして「組踊」の魅力を伝えるための記念公演や全国への普及公演などを通して「組踊」のすばらしさを県内外へ発信してまいる所存でございます。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(又吉 進) 普天間飛行場移設問題につきまして、グアム移転の可能性についての御質問にお答えいたします。
いわゆる「再編実施のための日米のロードマップ」におきましては、在沖海兵隊のグアム移転が示されておりますが、普天間飛行場のグアム移転に関する日米両政府間の交渉については、県は承知していないことから、現時点でその可能性を判断できる立場にはございません。いずれにしましても、政府に対し日米共同発表を見直し、普天間飛行場の県外移設の実現を求めるというのが県の考えでございます。
次に、移設問題の解決期限の見方についての御質問にお答えいたします。
普天間飛行場移設問題につきまして、前原外務大臣は11月30日の記者会見におきまして、菅総理の訪米の時期というのはまだ決まっていないが、訪米までに期限を区切るという考えには立っていないという趣旨の発言をしております。また、菅総理大臣も12月2日の記者会見におきまして、同趣旨の発言をされております。
県としては、これらの発言いかんにかかわらず、日米共同発表を見直し、普天間飛行場の県外移設に取り組むよう政府に求める考えに変わりはございません。
以上でございます。
○企画部長(川上好久) 基地返還跡地の利活用についての御質問の中で、中南部都市圏の基地跡地利用広域構想と関係市町村の利用計画との整合性についてお答えいたします。
ことし3月に策定した「沖縄21世紀ビジョン」においては、中南部都市圏における嘉手納飛行場より南の大規模な基地返還跡地の開発は、県土構造を再編する最大のチャンスであり、この跡地利用を沖縄の自立経済の構築につなげていく必要があるとしております。そのため、沖縄県全体の振興・発展の観点から、各跡地の利用計画を総合的にマネジメントし、効率的整備につながるよう中南部都市圏の返還が予定される基地全体を総括する広域的な跡地利用構想を県として策定するものであります。広域構想は、各跡地の計画を尊重しつつ策定するものでありますが、この構想が各跡地の利用計画に反映されることも重要であります。
県としましては、今後、関係市町村等と十分な協議を行いながら広域構想と各市町村の利用計画との整合を図っていきたいと考えております。
以上でございます。
○観光商工部長(勝目和夫) 観光振興についての中で、羽田空港国際化に伴う関東圏の観光客対策についての御質問にお答えします。
沖縄観光において、関東圏は重要なマーケットと認識しており、現在、新聞・テレビ等メディアを活用した広報宣伝を展開しております。また、沖縄観光の魅力を向上させるため、新たな観光メニューの創出・育成を目的に、民間等が実施するイベントなど14の「元気プロジェクト」に対する支援を行っております。さらには、関東在住の旅行ブロガーを招聘し、インターネットを活用した魅力の発信を行うとともに、来年春に行われる読売巨人軍のプロ野球キャンプを契機として、関東圏などからの観光客誘致を進めてまいりたいと考えております。
同じく観光振興についての、沖縄MICEの基本戦略、受け入れ体制等についての御質問にお答えします。
沖縄県では、MICEを通年型で付加価値の高い旅行と位置づけ、経済効果や宣伝効果が大きく、健康、環境などの沖縄の特性や優位性を生かせる国際会議や各種団体等の大規模会議、民間企業のインセンティブツアー、各種学術会議等の誘致に重点的に取り組んでおります。誘致に当たっては、県と沖縄観光コンベンションビューローが連携し、国や国際観光振興機構、大学のほか、旅行会社等民間のネットワークも活用し、官民一体となって取り組んでおります。また、本年9月に行われた「沖縄MICEコンテンツトレードショー」においては、県内41の関係事業者とともに、沖縄MICEの最新情報の展示、実演等を行いました。MICEの拠点施設としては、万国津梁館や沖縄コンベンションセンター等の専用施設のほか、ホテル等の会議場の整備が進んでおりますが、さらに各種イベントや国際見本市等が開催できる大規模展示センターの実現に取り組んでまいります。
同じく観光振興について、海外観光客に対応した人材の育成についての御質問にお答えします。
沖縄県では、沖縄観光コンベンションビューローに設置している観光人材育成センターを中心に、観光人材の育成に取り組んでいるところであります。具体的には、ボランティア通訳セミナーや外国人観光客受け入れ研修等を実施しており、これまで延べ1533名が受講しております。また、通常の通訳案内士のほか、海外観光客に沖縄の文化・歴史を伝える人材を確保するため、沖縄地域限定通訳案内士制度を導入しており、現在、両制度合わせて103名が登録されております。さらに、経営者層を対象とした組織マネジメントに関するセミナーの開催や、海外ホテルスクールへの留学支援も実施しているところであります。
沖縄県としましては、今後とも同センター事業の充実を図り、国際化する観光客のニーズに対応できる高度な観光人材の育成に積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
○土木建築部長(仲田文昭) 県内公共事業の推進についての御質問で、社会資本整備事業特別会計の廃止に伴う本県への影響についてお答えいたします。
政府の事業仕分けにおいて、社会資本整備事業特別会計については、5つの勘定すべての廃止とあわせて平成23年度予算要求を10から20%程度圧縮することとされております。国の公共事業関係費については、平成22年度当初予算において大幅な削減が行われ、新規事業の凍結や継続事業の停滞を余儀なくされております。このため、これ以上の予算削減は地方に多大な影響を与えるとして、全国知事会では平成23年度の社会資本整備予算の総額について今年度並みの水準を確保するよう国に求めております。
県としましても、社会資本整備に必要な予算の確保を国に強く要望していきたいと考えております。
同じく県内公共事業の推進についての御質問で、国発注公共工事の県内企業優先受注と米軍発注工事の県内企業の受注についてお答えいたします。
国関係発注工事の県内企業への受注拡大については、国関係機関へ要請を行っており、その結果、国においては入札参加資格要件の緩和や分離・分割による発注を行うなど、県内企業の受注機会の拡大が図られております。今後とも、あらゆる機会を通して要請を行っていきたいと考えております。
また、米軍発注工事の受注につきましては、関係部局で構成する「米軍発注工事ワーキンググループ」において、米軍発注機関や保険会社、金融機関、建設業界等に対するヒアリングを実施するなど、現状把握や課題整理を行ってきました。これらを踏まえ、今後、ボンド支援制度創設の可能性を含め、新たな仕組みや支援策について検討しているところであります。
同じく県内公共事業の推進について、沖縄西海岸道路、那覇空港自動車道の整備状況と県内道路網整備に向けた今後の取り組みについてお答えいたします。
沖縄西海岸道路は、読谷村から糸満市に至る延長約50キロメートルの地域高規格道路であり、現在、那覇西道路や豊見城道路など6区間で整備が進められております。そのうち、那覇西道路については、来年の7月ごろに供用される予定であります。また、那覇空港自動車道は、名嘉地インターチェンジまで供用されております。残る小禄道路については、国土交通省社会資本整備審議会において新規事業には妥当であるとの審議結果を得ており、県としても平成23年度の新規採択に向けて要請を行っているところであります。
県内道路網の今後の整備については、道路の中期計画に基づき空港・港湾へのアクセス機能の強化や交通円滑化を図るため、南部東道路など幹線道路ネットワークの整備を重点的に推進していく考えであります。
同じく県内公共事業の推進についての御質問で、県営住宅の整備の状況及び今後の課題についてお答えいたします。
公営住宅の整備は、「住宅建設5カ年計画」、「住生活基本計画」及び「沖縄県公共賃貸住宅ストック総合活用計画」等に基づき整備を進めてきたところであります。復帰から今年度末までの公営住宅整備状況について見ますと、計画戸数3万6300戸に対して、整備実績は見込みで、県営住宅が1万8730戸、市町村営住宅が1万2283戸、合計3万1013戸で、整備率は85%となっております。また、復帰前後に建設された公営住宅は、今後、老朽化等による建てかえが必要となっております。加えて、本県は、公営住宅を必要とする低所得者世帯の全世帯に対する割合が全国の約2.2倍となっており、公営住宅に対する需要は高いものがあります。このような旺盛な整備需要に対し、公営住宅予算の確保が課題となっております。
以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 福祉問題についての御質問の中の、本県の医師の診療科ごとの偏在状況とその解消策についてお答えいたします。
厚生労働省が平成22年6月1日現在で行った「必要医師数実態調査」によれば、本県の診療科ごとの不足医師数は、一般内科40人、産科29人、小児科20人、脳神経外科19人等となっております。県におきましては、県立病院の臨床研修事業及び医師修学資金貸与事業等により各診療科の専門医を養成しているところであります。また、産科医に手当を支給している医療機関に対して、国の産科医等確保支援事業を活用して助成を行うなど産科医の確保を図っているところであります。
次に、病院勤務医師に対する配慮についてお答えいたします。
病院勤務医師の過重労働の解消のため、国は、代替医師の確保等による勤務体制の改善や医師の事務補助者の設置等に対し、診療報酬で加算できるよう改定しております。県においても、勤務環境改善のために、救急勤務医、産科医及びNICUの新生児を担当する医師に手当を支給する医療機関に対し、国庫を活用した補助事業を実施しております。病院勤務医の勤務環境を改善することで、勤務医の確保を図る必要があると考えております。
次に、臨床研修制度における本県の状況についてお答えします。
本県におきましては、15の臨床研修病院が県内外から研修医を受け入れております。平成23年4月から開始する初期臨床研修事業には募集定員161名に対し、132名の研修医が内定しております。内定率は82%で、全国の74.8%を上回っております。本県は、臨床研修事業が充実しているために、研修医数は人口10万人対比からすると多い状況にあります。
次に、乳幼児医療費助成事業の充実についてお答えします。
乳幼児医療費助成事業は、乳幼児の疾病の早期発見と早期治療を促進し、乳幼児の健全な育成を図ることを目的に平成6年度から実施しております。乳幼児医療費のさらなる負担軽減については、県財政や他の医療費助成制度とのバランスを踏まえ、対象年齢や給付方法、所得制限、一部負担金等の助成要件を総合的に検討してまいります。
次に、子宮頸がん予防ワクチン等の支援についてお答えします。
国においては、子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンについて定期接種化に向けた検討を行うこととしており、それまでの間、これらの予防接種を促進するため、補正予算で「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金」が措置されたところであります。県は、同交付金により基金を設置し、市町村の取り組みを支援していきます。なお、負担割合は、国2分の1、市町村2分の1となっており、市町村負担分については地方交付税措置されると聞いております。
次に、自衛隊ヘリによる急患搬送の実施状況及びドクターヘリとの搬送時間の比較についてお答えします。
自衛隊のヘリ等は、本島周辺離島、南北大東島及び宮古・石垣島からの本島への急患搬送を担っております。平成21年度の搬送件数は109件で、患者数は111人、医師等の添乗率は100%となっております。ドクターヘリの搬送時間と比較しますと1時間から1時間30分ほど時間を要していますが、これは添乗医師がヘリ基地まで移動するために時間を要していると考えられます。なお、自衛隊ヘリ等は、夜間や悪天候時及び遠距離の急患搬送を担っており、急患空輸体制には欠かせないものであります。
次に、ドクターヘリの運航範囲及び実績についてお答えします。
ドクターヘリは、読谷村内のヘリ基地を起点に、北は鹿児島県徳之島から沖縄本島を含む周辺離島までを運航範囲としております。平成20年12月1日の運航開始から平成22年11月末までの2年間の運航実績は、要請件数612件、搬送件数553件、未搬送55件となっております。1日当たり0.76件となっております。
次に、ドクターヘリの重複搬送等についてお答えいたします。
要請件数612件に対し、要請の重複が11件ありました。要請件数に対する重複率は1.8%で、全国平均の5.1%より低い値となっております。重複するケースに対しては、フライトドクターの判断により、緊急性の高い急患に対応し、もう一方の対応については、救急車や自衛隊ヘリ等で対応しており、現在のところ大きな支障は生じておりません。
次に、MESH救急ヘリをドクターヘリにすることについてお答えします。
ドクターヘリ事業は、厚生労働省の「ドクターヘリ導入促進事業」に基づき、救命救急センターの機能を有する病院において行うことになっており、現状ではMESH救急ヘリをドクターヘリにすることは厳しいものがあります。なお、現行の急患空輸体制においては、自衛隊ヘリの添乗医師や協力病院の負担軽減等、優先的に取り組むべき課題があります。ドクターヘリの2機目の導入については、これらの課題解消を図りながら引き続き検討してまいります。
以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは、教育・文化の振興についての御質問で、臨時的任用教員の割合が高い要因等についてお答えをいたします。
文部科学省が公表した平成21年5月1日現在の「公立小・中学校の教員定数の標準に占める正規教員の割合」において、正規教員の割合が全国平均93.7%に対し、沖縄県においては83.1%と、全国平均と10%以上の差があります。平成22年5月1日現在の沖縄県内の公立小中学校におけるすべての臨時的任用教員の割合については、小学校で教員総数5263名のうち臨時的任用教員が1076名で20.4%、中学校で教員総数3352名のうち臨時的任用教員が652名で19.5%となっております。臨時的任用教員の割合が高い要因につきましては、学級担任等の基本的な教職員定数とは別に習熟度別指導や少人数指導の実施のため特例的に措置される加配定数について、沖縄県では、臨時的任用教員で対応しているためと考えております。加配定数については、文部科学省の裁量によって決定されており、また年度ごとに変動するため臨時的任用教員で対応してきたところであります。
今後については、児童生徒数の増減に伴う教職員定数や定数改善計画などの国の動向、他県の状況等を踏まえながら、臨時的任用教員の割合の改善に向けて次年度以降、年次的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、臨時的任用教員の任用年数等についてお答えをいたします。
臨時的任用教員の任用につきましては、「地方公務員法」に継続して1年以上はできないことと規定されております。臨時的任用教員の配置につきましては、特定の学校や教科等について意図的、継続的に行っているものではありません。また、正式任用教員については、臨時的任用教員からの切りかえによるものではなく、教員候補者選考試験の合格者から採用することとなっております。学校現場への影響につきましては、継続的な学習指導や長期的な学校経営等の課題が挙げられますが、研修会を開催し資質の向上を図ることや適材適所に臨時的任用教員を配置することにより、教育水準の維持に努めているところであります。
次に、教員免許更新制の評価についてお答えをいたします。
本県における教員免許更新制の評価に係る調査は実施しておりません。なお、文部科学省が実施しております全国調査結果の速報によりますと、「最新の知識技能の習得」について、効果が「ある」と考えている学校長は51%で、「ない」の39%を上回っており、教員においては、効果が「ある」、「ない」がそれぞれ40%となっております。この結果につきましては、その時々で教員として必要な最新の知識・技能の習得をすることには一定の評価がされている一方、学校現場のニーズには必ずしもこたえていないといった意見もあります。
県教育委員会としましては、教員免許更新制が教員として必要な最新の知識・技能を習得し、自信と誇りを持って教壇に立てるよう講習内容のさらなる充実が図られることで、教員の資質向上に役立ち、公教育の改善・充実につながることを期待しております。
次に、少人数学級の拡大と教員の増員についてお答えをいたします。
少人数学級につきましては、現在、小学校1、2年生で加配定数を活用し、30人学級を実施しております。今後の小学校、中学校の少人数学級に関する計画については、現在、文部科学省において策定されている35人学級の動向や全国の実施状況等を踏まえ、教員数や財政措置等を含めて検討をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○佐喜真 淳 再質問をする予定ではなかったんですが、けさの新聞の報道を見て再質問させていただきたいと思います。
まず、知事初め部長の方々におかれましては、答弁本当にありがとうございます。
しかし、この辺野古移設の「甘受」に対してですが、冒頭私、所見で述べました。仲井眞知事が当選されたのは、日米同盟、安全保障が大事と言うならば、普天間問題を日本全体の問題として考えるべきだということが多くの県民の支持を得たというお話もさせていただきました。
我々も日米安保というものは容認をしております。ですから、日本全体としてこの問題を取り上げていただきたいということでございましたが、残念ながらこの官房長官のお話は情と理を尽くすと。そして中身を読むと、「私の地元徳島も含め、自分のところで引き受けようという議論が国民的に出てきていない」。政権交代がどうして起こったのか、政治主導ということで民主党は国民の支持を得たんですね。しかし、この記事を見る限りにおいては政治主導というものがいささかも反映をされておりません。
一方では、県外移設を政府に求めると。2日にも菅総理とお話をされたという話でございますが、しかし1週間たってみますと、官房長官は辺野古への発言をされた。まさに沖縄県を愚弄しているような発言でございますし、17日、18日に菅総理が来県するというお話でございます。ですから、この背景というものをしっかりと知事は確認しながら、しっかりとした対応をすべきだと私は思っております。
なぜならば、やはりそこは沖縄県民の苦しい立場、負担軽減というものがしっかりと現在の政府においては議論を尽くしていない、そう言っても過言ではないと思います。
ですから知事、もう一度確認いたしますが、仙谷官房長官が「県外で移設受け入れの議論が起きないことを理由に辺野古移設の「甘受」を求める姿勢は「理を尽くすこととは程遠く、県民の反発を強める可能性もある。」という記事でございます。ひざを折って低姿勢で情を訴えることで県民の理解が得られるのか、本当にそう思われているのか、そういうことも含めて確認もしながら抗議すべきだと、しっかりと強い決意でもってやるべきだと私は思っておりますが、知事の見解をお伺いいたします。
以上です。
○知事(仲井眞弘多) 佐喜真議員の再質問にお答えいたしますが、こういう場合、まことに恐縮ですが、今、記事の確認と真意を確認させていただいておりますので、それを待っていただきたいと思います。
日本語としての「甘受」ということは、甘んじて受けるという意味なのか、いろんな解釈のしようがありますし、本来、自分がへりくだってというか、やむを得ずというか、そういうときにあえて受けるというような趣旨に使う言葉だと私は思っておりますが、実は他人に言われる筋合いはない表現だとも思っております。ただ、これはそのままで少し強い抗議をするというのは、ちょっと時間をいただけたらと思っております。今、確認中でございます。
○新垣 良俊 皆さん、こんにちは。
自民党の新垣良俊でございます。
自由民主党を代表して代表質問を行います。
質問に入ります前に、仲井眞知事には、沖縄県政史上に残る厳しい戦いを勝ち抜き2期目の再選を果たされましたことを心からお祝いを申し上げたいと思います。1期4年の残された課題の解決と、これからの4年間の公約の実現に向け、現場主義の精神で県民の期待にこたえるべく頑張っていただきたいと思います。我が自民党も全力でバックアップしてまいります。
それでは、通告に従いまして代表質問を行います。
1、県経済の振興について。
(1)、公約実現に向けた取り組みについて。
仲井眞知事は、みずからの政治信条として、「ウチナーンチュとしての「誇り」」、「沖縄づくりへの「夢」」、「誇り・夢を未来につなぐ「責任」」の3つを挙げております。この3つについて、仲井眞知事は次のように述べております。
沖縄の先人たちは、「万国津梁」という気宇壮大な心意気でアジアの海を駆けめぐってきた。そして、私たちは魅力あふれる自然環境・景観と伝統遺産、苦難の歴史の中で常に人々を鼓舞してきた文化・芸能や沖縄発祥の空手など、世界に誇り得る有形無形の財産を引き継いできた。これらは沖縄の宝であり、ウチナーンチュとしての誇りである。
そして、県民一人一人が夢と希望を持ち、満足度ナンバーワンの沖縄づくりが私の夢である。そのためには、沖縄の可能性を引き出す産業基盤や社会資本の整備を進めるとともに、思い切った制度・仕組みの導入など、ソフトパワーを生かして人・物・情報を呼び込む必要がある。これにより、経済的な強さと人間的な温かさが両立する社会、豊かで住みよい沖縄を実現するのが夢である。
さらに、沖縄県として初めての「沖縄21世紀ビジョン」は、基地問題や雇用問題など、沖縄が直面している課題の解決と未来への可能性を追求し、次の世代が存分に活躍できる土台をつくることが自分の使命であるとの思いで策定した。私たちの子や孫が誇りと夢を持てる沖縄をつくっていく。私はその責任を果たすために全力を尽くす。
このように仲井眞知事の2期目4年間の県政運営はこの3つの政治信条がもとになると考えられますが、その思いを実現し具体化するため、「3つの政策目標」と「11の実施政策」を選挙公約として県民に提示しました。
1期4年間、県民と約束した公約に係る14の政策目標と170の施策については、そのすべてに着手した実績があります。仲井眞知事にはこれからの4年間、みずからの政治信条に基づき、県民と約束した公約の実現に向け、全力で県政運営に取り組んでいただきたいと願うものであります。
そこで伺います。
ア、経済の自立を図るには、一国二制度的な「経済特区」を創設し、法人税や関税などの大幅減税により、国内外の企業を誘致、雇用の拡大を図る必要がある。県の基本戦略を伺いたい。
イ、人材の育成と文化・スポーツの振興について、伝統芸能の拠点となる施設「県立郷土芸能館(仮称)」の整備をどのように図っていくか伺いたい。
ウ、離島の振興と過疎地域の活性化を図るため、離島を結ぶ新たな航空会社の設立について県の考えを伺いたい。
エ、社会資本・産業基盤の整備に向けた鉄軌道系を含む公共交通システムの導入について、今後、作業の具体化に向けどのように取り組んでいくか伺いたい。
(2)、新たな沖縄振興策について。
我が国経済は、急激な少子化・高齢化の進行による労働人口の減少や経済成長の鈍化による景気の後退など、大きな転換期にあります。国際的には情報通信の高度化、経済のグローバル化が進み、中国を初めとするアジア諸国の台頭による貿易自由化圧力の高まりなど、我が国を取り巻く環境はますます厳しくなっております。
このような経済のグローバル化の波は地方経済をも巻き込み、都市と地方との経済格差は年々拡大している状況であります。本県は、地理的・歴史的経緯もあり中国を初め東南アジアとの結びつきが深く、経済が地球規模で広がりを見せる中、その地理的優位性を発揮するチャンスと言えます。これまで4次にわたる沖縄振興開発計画に基づき、社会基盤等の整備は本土との格差は縮小されてきておりますが、沖縄振興計画が目標とした民間主導の自立経済の構築については、いまだ緒についたばかりであります。本県の持つ地理的・文化的優位性と、発展可能性を生かしアジア・太平洋地域の発展に寄与するという経済的命題は、現振興計画期間での達成は難しく、今後の課題として引き継がねばなりません。
このように本県が経済の自立を果たすためにはなお多くの課題の解決が必要であり、そのためには長期的な視点で沖縄の将来を展望する必要があります。「沖縄21世紀ビジョン」は、まさに長期的沖縄振興の方向性を示したものであり、2030年のあるべき沖縄の姿を描き、その実現に向けた取り組みの方向性等を明らかにしたものであります。今後は、「沖縄21世紀ビジョン」で描く将来像を実現に向けて具体化しなければなりませんが、そのためには、現振興計画終了後においても新たな沖縄振興制度の創設が必要であります。さらには、現振興計画の総点検で明らかにされた多くの課題の解決や、基地返還に係る諸問題の解決を図るには、ひもつき補助金の廃止や沖縄に特化した一括交付金制度の創設が求められます。
そこで伺います。
ア、沖縄政策協議会の沖縄振興部会で県が求めた「国際物流特区」について、そのねらいと県経済への波及効果について伺いたい。
イ、政府の追加経済対策補正予算について、沖縄関連予算の措置状況と具体的な事業実施について伺いたい。
ウ、県は、新たな沖振法として「沖縄新法・恒久法」の制定を国に求めているが、政府との交渉の経緯と今後の見通しについて伺いたい。
エ、全国一律の一括交付金ではなく沖縄振興一括交付金の創設の必要性について、政府の理解は得られると考えているか。また、これまでの要請に対する政府の反応について伺いたい。
オ、「沖縄21世紀ビジョン」の具体化に向け、推進組織体制の整備と作業工程表の策定が必要と考えるが、県の取り組み状況を伺いたい。
カ、普天間移設問題と県経済振興策を関連させる「リンク論」の発言が閣僚から相次いでいるが、知事の見解を伺いたい。
2、雇用失業問題について。
長引く不況と景気の悪化による経済の停滞で、全国的に大学、高校の新卒者の採用が大幅に落ち込んでおります。失業率が高どまりにある本県においては、若者の就職難が常態化しており、国内景気の悪化は、新卒者の求人にも大きな影響を与えております。特に本県は高卒者の内定率が全国最低で、10%を割る深刻な状況であります。ことしの高卒者の就職率は過去最大の落ち込みと言われ、2011年卒業予定の内定率も低い状況にあると言われ、高卒者にとって厳しい状況の改善は当面期待できないのが現状であります。全国的にも新卒者の求人数を大卒と比較しましても、大卒者は景気が悪化すると採用が減りますが、景気がよくなりますと回復する傾向を示しております。しかし、高卒者の場合は、ここ数年、景気とは関係なく減少し続けていると言われております。
その要因として、業務が高度化・複合化、さらに機械化されたことにより、高度化・複雑化した業務は大卒者に、マニュアル化された業務はパートやアルバイトに振り分けたことにあると指摘する向きもあります。今後は、高校教育における就職指導の拡充や地域企業と学校との連携・協力体制を強化し、生徒が企業で一定期間学べる制度の確立が求められると考えます。
そこで伺います。
(1)、高卒求人について、10%を割る全国最低となった。県外からの求人数減少も要因と考えるが、県はどのような対策を講じているか。また、今後の改善の見通しはどうか。
(2)、政府のトライアル雇用奨励金の活用状況とその効果について伺いたい。
(3)、雇用情勢が厳しい中、子育て女性の就職支援が大きな課題となっているが、県が進めている支援対策を伺いたい。
(4)、若者に対する職業訓練と引きこもりや無業状態にあるニート等に対する職業訓練について、現状と課題・問題点について伺いたい。
3、中小企業育成対策について。
去る10月22日から24日まで開かれました第34回沖縄の産業まつりは、県産素材を使った付加価値の高い製品や独創性にあふれ、技術力の高さをうかがわせる工業製品など、県内外からの来場者に県産品のよさを強く訴え、理解を深めるのに大きな成果を上げたようであります。
離島県である本県は、市場規模が極めて小さく、しかも県内企業の90%以上を中小零細企業が占める産業構造にあって、県外へ流通の可能性を求めることは輸送費が他県に比べ高いという不利性もあり難しいのが現状であります。しかしながら、経済の自立を求める本県にとって産業の発展は必要不可欠であり、そのためには沖縄の特性を生かしたおきなわブランドの確立と高い技術力の開発が求められます。経済の国際化が進展している中、県内企業も国際的な規模での競争にさらされており、そのためには海外への市場拡大が必要であります。
県においては、産業まつりで県内外の食品関連バイヤー15社と県内企業40社との商談会も開かれたようであり、県産品の売り込みと市場開拓を戦略的に展開してほしいと考えます。
そこで伺います。
(1)、県内産業は中小零細企業が多くを占めており、企業経営基盤の強化と経営革新が課題となっている。県の支援対策を含めた取り組みについて伺いたい。
(2)、政府は、金融危機対策として導入した緊急保証制度を来年3月末で打ち切る方針のようであるが、県内中小企業への影響について伺いたい。
(3)、34回目の産業まつりが去る10月に開かれたが、ものづくり沖縄の技術力の発信と県外市場開拓の成果をどのように見ているか。また、行政のかかわりの必要性について伺いたい。
(4)、本県は、中国や台湾、東アジアに近い有利性があり、産業まつりにおける県産品の売り込みやビジネスチャンスを海外市場に求める必要があると考えるが、県の取り組みを伺いたい。
(5)、中小企業振興条例を活用した県内中小企業に対する振興・支援の現状と、今後、制度の拡充を図る必要性があるか伺いたい。
(6)、泡瀬ゴルフ場跡地へのイオンモール出店に関する広域調整(規模縮小)及び有効な立地規制ゾーニングの確立、中心市街地活性化策について県の見解と対応を伺いたい。
4、農林水産業の振興について。
県が久米島町で進めていた芋類の特殊病害虫「アリモドキゾウムシ」の根絶事業で、農林水産省は、来年にも根絶宣言に向けた最終確認を実施する運びとなっており、これにより芋類を新たな特産品として売り出す機運が高まっております。16年にも及ぶ地道な努力を重ね、ようやく根絶にたどり着いた苦労を無にしてはなりません。本県にはおいしさは折り紙つきの紅芋がありながら、本土市場に出荷できないという事態が続いているだけに、今回の根絶を契機に全県での根絶が求められます。
離島県である本県にとって全国の消費者に認めてもらうには、亜熱帯気候を利用した特産農産物のブランド化が不可欠であり、おきなわブランドの確立は本県特産品の本土出荷に向けた戦略品目として重要であります。おきなわブランドとしてブランド価値が高いゴーヤーについては、ウリミバエ根絶の効果で、ピーク時の2003年には約6億3000万円もの県外出荷があったが、2008年には約4億2000万円までに減少しているようであります。
マンゴーについては、県産果物の主力として本土市場を開拓、沖縄マンゴーとしてブランド価値を高め、2009年には約11億円まで取り扱い金額が拡大しております。しかし、市場におけるシェアを見ますと、2002年に沖縄マンゴーが71%を占めていたのが、2009年には24%まで減少し、逆にライバル産地である宮崎県が73%を占めるに至っております。
本県が南国沖縄の特産品として売り出し市場を開拓すると、他県産地の経営規模の大きいライバルが続々と市場に参入し、競争が激化しているのであります。他県の産地は、大消費地の都市部に近く陸続きという有利性を生かし、短距離・短時間での輸送が可能でありコストも低減できますが、本県は海上や航空輸送に頼らざるを得ず、輸送費が割高となり、価格競争になれば不利な立場に立たされます。
県は、おきなわブランドの確立を本県農政の最大課題と位置づけ取り組んでおりますが、このような他県産地との競争の現状から県産品の県外出荷をいかに守るか、いかに他県に負けない戦略品目として品種改良、高品質を図るか等々、ブランド戦略の再構築が必要であると考えます。また、日本とインドの両国間の貿易や投資を自由化する経済連携協定(EPA)の締結、さらに、環太平洋戦略経済連携協定(TPP)への我が国の参加など、我が国農業への影響が懸念されております。これらの協定が締結されれば農産物への拡大は確実であり、本県の砂糖、肉牛などにとって死活問題であります。
そこで伺います。
(1)、芋類の特殊病害虫「アリモドキゾウムシ」の根絶にめどがついたことで、紅芋等の県外出荷の増大に期待が高まっているが、全県的根絶に向けた取り組みと紅芋等のおきなわブランド戦略品目としての位置づけの必要性について伺いたい。
(2)、ウリミバエが根絶され県産ゴーヤーやマンゴー等が県外出荷され、本土市場でのブランド価値も高いようであるが、県の計画どおり出荷は順調に推移しているか伺いたい。
(3)、ゴーヤーやマンゴーなどは本県が県産特産品として市場開拓したが、ブランド価値の高まりに伴って他県のライバル産地が出現し競争にさらされている。県として、県外市場での競争を念頭に置いた戦略的取り組みはどのように行われているか伺いたい。
(4)、ライバル産地の陸路輸送や鉄道輸送に対し、本県の空路や海路輸送は割高で大きな不利性があり、市場競争としては不公平である。県としての対策と、国に対し差額分の助成制度の創設を求める考えはないか伺いたい。
(5)、日本とインドの両国間の貿易や投資を自由化する経済連携協定(EPA)の締結や、環太平洋戦略経済連携協定(TPP)への参加などに対する県の見解と、本県の砂糖、肉牛などへの影響について伺いたい。
5、離島・過疎地域振興について。
離島・過疎地域は、人口減少と高齢化により地域の生活機能の低下や医師不足による住民医療への不安、維持が困難な集落の増加などさまざまな問題が深刻化し、今や離島・過疎地域において恒常化している状況にあります。若者は、雇用がないため都市部へ流出し、そのことが地域の活力を奪い、結果、経済の停滞につながる、このような悪循環にどうやって歯どめをかけるのかが県政に課せられた課題であります。
国や県においては生活環境の整備を進め、社会基盤の面ではかなりの成果を上げておりますが、財政規模の小さい離島・過疎地域においては、それら施設整備に長期の維持管理費がかかり、逆に財政負担が重荷になるというのが現実のようであります。
離島・過疎地域においても、独自に地域の実情に応じた取り組みを進めておりますが、財政的な制約や人口の問題等もあり難しい状況にあります。
去る4月から施行され、6年間の延長が決まった改正過疎地域自立促進特別措置法は、これまでの過疎債の発行対象を社会基盤や施設整備などのハード面から、医師や地域交通の確保などソフト面の事業にまで拡大しております。その意味では離島・過疎地域にとって歓迎するものでありますが、地域にとって必要最小限の事業にさえ国の支援が必要とされるところに現在の離島・過疎地域が置かれている苦しい現状があることを認識する必要があると考えるのであります。
そこで伺います。
(1)、離島・過疎地域振興の活性化と雇用の確保を図るため、県の進めている対策と課題・問題点について伺いたい。
(2)、離島・過疎地域の定住条件の整備と若者の定着を図る上で、観光・農業等の産業振興と医療・福祉の充実が欠かせない。県の取り組みを伺いたい。
(3)、離島におけるごみなど廃棄物の不法投棄について、その現状と改善に向けた当該市町村との連携はどうなっているか。
(4)、県が進める離島の産業廃棄物の再資源化で、島内で出る産業廃棄物を一括して本島へ運び出す資源活用事業について、その進捗状況について伺いたい。
(5)、報道によれば、政府は、地方バス路線維持対策や離島航路・航空路の欠損を補てんする既存の補助制度を廃止し、新事業に一本化するとしている。本県にとってメリットとデメリットを伺いたい。
6、子育て支援対策について。
(1)、待機児童の解消について。
本県の保育環境は他県とは大きな違いがあり、認可外保育施設が認可保育施設と同じくらい存在し、保育所入所全児童のうち、認可外保育所に入所している割合が全国平均の約8%に比べ本県は約40%近くを占めており、認可外への依存度がいかに高いかがわかります。そのため、認可外保育所の認可化に向けた取り組みを政府の協力を得ながら積極的に進めておりますが、市町村の財政負担の問題もあり抜本的な改善につながっていないのが現状であります。
そのような中、政府は、幼稚園と保育所、認定こども園などを廃止し、これらの制度の機能を一体化した「こども園」を新たに設置する幼保一体化計画を打ち出しております。そして、10年間の移行期間を設けて、2013年度以降準備が整ったところから順次移行する方針で、早ければ来年の通常国会にも関連法案を提出する方向で検討しているようであります。
幼稚園を所管する文部科学省と保育所を所管する厚生労働省の行政の垣根をどのように取り払うか、また、幼稚園教諭と保育士という資格が違う職員の身分をどうするかなど、解決すべき課題も山積しております。また、本県は、保育所成立の歴史的経緯や認可外保育所が他県に比べ大きな比重を占めているという現状があり、全国一律の基準をそのまま押しつけられても困る面が多々出てまいります。法案の骨格ができ上がる前に、本県の特殊事情等も考慮されるよう、政府との事前の話し合いが必要であると考えます。
そこで伺います。
ア、待機児童の解消に向け保育所の整備が急がれているが、政府の補正予算を活用した本県における保育所整備や地域の保育サービスの計画について伺いたい。
イ、政府の「待機児童ゼロ特命チーム」は、保育所の面積要件緩和など特区制度創設を検討しているようだが、全国一律緩和でなく本県の特殊事情を要件緩和に含めるよう、政府に対し要請すべきと考えるがどうか。
ウ、幼稚園と保育所の統合を図る幼保一体化が検討されているようだが、これは幼稚園の保育所化につながらないか。また、無認可保育所が多い本県でどのようなメリットがあるか伺いたい。
エ、本県は、認可外保育所の多さや待機児童の多さなど、他県と保育事情に大きな違いがある。幼稚園と保育所を廃止し幼保一体化された場合のメリットとデメリットについて伺いたい。
オ、47都道府県が保育所の設置基準など23項目の構造改革特区を政府に提案した。政府の対応と今後の見通しについて伺いたい。
以上であります。
○議長(髙嶺善伸) ただいまの新垣良俊君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後0時6分休憩
午後1時22分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
午前の新垣良俊君の質問に対する答弁を願います。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 新垣良俊議員の御質問にお答えいたします。
まず第1に、県経済の振興についての御質問の中で、県立郷土芸能館(仮称)の整備についての御質問にお答えいたします。
沖縄の文化・伝統芸能の振興を図る上で、その発信拠点となります施設の整備は重要なものと認識をいたしております。このため、現在、県内外における文化施設の設置状況、そして利用状況等の基礎調査を行っているところでございます。平成23年度から、関係団体、そして専門家等の意見を聞きながら、伝統芸能の拠点となります施設整備に向けた調査検討を行い、基本的なコンセプト、そして運営計画等を含めた基本構想の策定に取り組んでいきたいと考えております。
同じく県経済の振興に係る御質問の中で、新たな沖振法の政府との交渉の経緯と今後の見通しについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
沖縄県では、県民が望む将来像を描く「沖縄21世紀ビジョン」を実現し、日本とアジア諸国の交流に貢献し、我が国の発展に寄与する地域として貢献していくため、沖縄振興特別措置法にかわります新たな法律の制定を含みます新たな沖縄振興の枠組みが必要と考えております。このため、8月30日に前原前沖縄担当大臣、9月10日には沖縄政策協議会で菅総理を初め全閣僚へ、「沖縄振興特別措置法に代わる新たな法律の制定」を含みます「新たな沖縄振興の必要性」について要請をいたしたところでございます。これにより、10月26日に沖縄政策協議会のもとに設置されました沖縄振興部会におきまして関係閣僚との検討作業も開始されました。今後とも新たな法律の制定を目指し、その中に盛り込むべき具体的な制度や予算の確保等につきまして、沖縄政策協議会等を通じ政府と協議を進めてまいりたいと考えております。
次に、同じく県経済の振興に係る御質問の中で、沖縄振興一括交付金に対する政府の対応いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
政府が一括交付金を導入するとしていることを踏まえまして、沖縄県では自由度の高い「沖縄振興一括交付金(仮称)」の創設について、8月以降、総理大臣、官房長官、沖縄及び北方担当大臣、地域主権推進担当大臣及び民主党幹事長へ繰り返し要望をしてまいったところでございます。また、12月2日の菅総理への就任のあいさつの場におきましても要請をし、総理から「県の強い希望であると認識している」との発言があったところでございます。政府におきましては、平成23年度予算からの一括交付金の創設を検討していると聞いております。沖縄県といたしましては、政府の動きに的確に対応しつつ、沖縄県が行う施策に必要な財源が確保できるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
次に、同じく県経済の振興に係る御質問の中で、普天間移設問題と経済振興とのリンク論についての御質問にお答えいたします。
沖縄の振興は、第1に、26年余りにわたり我が国の施政権の外にあった歴史的事情、第2に、広大な海域に多数の離島が存在し本土から遠隔にある地理的事情、第3に、我が国でもまれな亜熱帯地域にあることなどの自然的事情、そして第4に、米軍施設・区域が集中しているなどの社会的事情といった沖縄の置かれた特殊事情にかんがみて、さまざまな施策が図られてきたものであります。普天間飛行場移設問題とは別であると考えております。
次に、中小企業育成対策に係る御質問の中で、中小企業振興条例によります振興・支援の現状と制度の拡充についての御質問にお答えいたします。
沖縄県では、「沖縄県中小企業の振興に関する条例」に基づきまして「沖縄県中小企業振興会議」を開催し、中小企業団体等との意見交換を行ってまいりました。その意見などを踏まえまして、「沖縄県中小企業支援計画」を作成し、経営革新の促進や経営基盤の強化、そして資金調達の円滑化を図るなど、県内中小企業者のための総合的な支援を推進しているところでございます。これまで原油・原材料高騰対策支援資金や中小企業セーフティネット資金の融資枠を拡充してきましたほか、今年度は求人企業や求職者等へ雇用相談窓口を提供する「ワンストップ型雇用相談窓口設置事業」を実施いたしております。また、県の海外事務所にスタッフを増員するなど、県内中小企業の海外への販路開拓等の支援を行う「グローバル市場展開強化事業」を実施いたしております。今後とも経済界からの要望をさらに踏まえまして、実効性の高い本条例の拡充を図ってまいる所存でございます。
農林水産業の振興に係る御質問の中で、ゴーヤー、マンゴーの生産状況と県外市場での取り組みについてという御質問にお答えいたします。恐縮ですが、4の(2)と4の(3)が関連いたしておりますので、一括して答弁させていただきます。
県産ゴーヤー、マンゴーは、ウリミバエ根絶後、平成5年から平成20年を比較いたしますと、ゴーヤーが約4600トンから約8400トンと約2倍にふえております。そうしてマンゴーが約500トンから約1600トンと3倍の増加となっております。いずれも順調に生産が拡大いたしております。
沖縄県といたしましては、他県との市場競争力を強化するため、市場や消費者から信頼される定時・定量・定品質の出荷が可能な拠点産地を育成しているところでございます。具体的には、第1に、ハウス等生産施設の整備、第2に、農薬、化学肥料を低減する環境保全型農業の推進、第3に、ゴーヤーのオリジナル品種の開発やマンゴーの優良品種の選抜、第4に、非破壊センサーを活用しましたマンゴーの品質向上などに取り組んでいるところでございます。また、県産農産物の消費拡大を図るため、県外市場を対象に、市場、量販店、飲食店などから一般消費者まで、おきなわブランドをPRするトップセールスを来年1月に実施することといたしております。
次に、農林水産業の振興に係る御質問の中で、日本、インド、EPAやTPP参加に対する県の見解と本県農業への影響についての御質問にお答えいたします。
TPP(環太平洋経済連携協定)は、原則として、すべての品目で関税を撤廃することが前提となることから、国内の農林水産物に大きな影響が出ることが懸念されております。沖縄県におきましても、さとうきび、パイナップル、肉用牛、水産物などで影響が出ることが懸念されております。農林水産省が示した考え方を踏まえて計算したところ、直接影響額が約580億円、関連産業等への波及も含めますと約1420億円の影響が出るものと試算されております。このため、県では、国民の食料安全保障の確保と国内農業への影響などの観点から、TPP交渉に参加しないよう適切に対応するとともに、農家が安心して生産に取り組めるよう、万全の対策について、農業団体等と連携をし、国に対して要請をしているところでございます。また、日本とインドのEPA交渉につきましては、牛肉や砂糖などが関税撤廃の対象外とされたところから、本県の農林水産物への影響はないものと考えております。今後とも、TPP交渉等の動向や国の対応を踏まえつつ、関係機関等と連携し適切に対応してまいる所存でございます。
次に、子育て支援対策に係る御質問の中で、政府の補正予算を活用した沖縄県の保育所整備等についての御質問にお答えいたします。
今回の国の補正予算におきまして、保育サービス等の充実といたしまして、待機児童の解消等を図るための保育所の整備事業等に約600億円が計上されております。沖縄県におきましては、現在、安心こども基金を活用し、今年度は29カ所の保育所の創設及び増改築等を行っているところでございますが、引き続き保育所の整備を行っていく必要があると考えております。このため、県といたしましては、市町村の整備計画を踏まえ所要額を国に要望してまいる所存でございます。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○観光商工部長(勝目和夫) 県経済の振興についての中の、一国二制度的な経済特区創設の基本戦略についての御質問にお答えします。
沖縄県では「沖縄21世紀ビジョン」の中で、「万国津梁」の形成に向けて、東アジアの中心に位置した優位性を生かし、日本本土とアジア・太平洋地域等との人・物・情報等の交流を促進し、沖縄の持続的発展を図ることとしております。このため、自立型経済の構築に向けて、経済特区である「情報通信産業特別地区」、「金融業務特別地区」などの既存優遇制度を拡充するともに、自由貿易地域制度を見直した新たな沖縄振興制度として「国際物流経済特区(仮称)」を創設することを考えております。これらの一国二制度的な従来以上のインセンティブを活用した企業誘致を展開し、さらなる雇用の拡大に努めてまいりたいと考えております。
次に、雇用対策についての中の、新規高卒者の就職支援についての御質問にお答えします。
新規高卒者の就職内定率は、例年9月末の早い時点では、全国に比べて特に低い水準を示す傾向となっております。この理由としては、県内高校生の進路決定時期の遅さや県内企業の求人募集時期の遅さ、根強い県内志向などが挙げられます。また、全国的な景気の先行き不透明感から、昨年同様企業からの求人状況は厳しいものとなっております。このような危機的な状況を乗り切るため、沖縄労働局に「新規学卒者就職応援本部」が9月に設置され、関係機関が連携して就職支援策を行うことを確認したところです。県としても、緊急的な対応として、新たに100社程度の県外企業の求人開拓を行い、新規学卒者等を対象に合同就職面接会を開催することとしております。また、いまだ就職が決まっていない高校生などを対象に、ビジネスマナーなどの就職基礎研修と、求人開拓、合同就職面接会をセットにした事業の補正予算案を今議会に提案しているところであります。
県としては、引き続き、教育庁や沖縄労働局等との連携を密にし、新規高卒者の就職内定率の向上に全力で取り組んでまいります。
同じく雇用対策について、トライアル雇用の活用状況等についての御質問にお答えします。
国の実施しているトライアル雇用とは、求職者を最長3カ月間試行的に雇用した後に常用雇用への移行を促すもので、若年者、障害者、中高年齢者、母子家庭の母などを対象に実施しております。沖縄労働局によると、平成21年度のトライアル雇用開始者は1120名、終了者は728名、そのうち常用雇用への移行者は592名、移行率は81.3%となっております。なお、平成22年度は10月末現在でトライアル雇用開始者は736名、終了者は593名、そのうち常用雇用への移行者は484名、移行率は81.6%となっております。また、就職環境の厳しい新規学卒者の支援として、今年度9月より開始した3年以内既卒者を対象としたトライアルの実施状況としましては、開始者数28名となっております。
同じく雇用対策について、子育て女性の就職支援についての御質問にお答えします。
県では、就職のためのスキルアップが困難な子育て中の女性を対象に、就職につなげるための研修事業や職業訓練を実施し、雇用状況の改善を図っております。子育てママの就業支援プログラム事業等においては、託児機能つき研修施設でパソコンやコミュニケーションスキル研修等を行い、特に雇用吸収力の高い情報通信産業等で約200名の即戦力となる人材育成を行っています。また、民間の教育訓練機関を活用し、母子家庭の母等を対象に、就職のための準備講習と実際の就職に必要な技能・知識を習得させるための職業訓練をセットにした「準備講習付き職業訓練」を実施しています。今後とも、子育て女性のニーズに合った人材育成、職業訓練を継続的に行いながら、就職につながる支援に努めてまいります。
同じく雇用対策について、ニートなどに対する職業訓練についての御質問にお答えします。
若者などに対する職業訓練については、県立職業能力開発校や雇用能力開発機構において、施設内での訓練のほか、民間教育訓練機関等を活用した委託訓練を実施しております。また、ニートなどに対する職業訓練については、雇用能力開発機構において、就職に必要な基礎的能力アップのための橋渡し訓練や、中央職業能力開発協会が県内のNPO法人等に委託して実施する「合宿型若者自立プログラム」があります。沖縄県では、県内2カ所の「地域若者サポートステーション」を活用した就労支援を行うとともに、県が設置した「若者自立支援ネットワーク連絡会議」において支援機関と連携を図り、ネットワークづくりに取り組んでいるところであります。課題としては、引き続き求人・求職者双方における訓練ニーズの把握が必要であり、特にニートについては、情報の共有と支援体制の強化を図る必要があると考えております。
中小企業育成対策についての中の、企業経営基盤の強化と経営革新の支援対策についての御質問にお答えします。
沖縄県では、中小零細企業の経営基盤の強化を図るための主な取り組みとして、商工会・商工会議所、中小企業団体中央会等が行う金融・税務・経理などの相談・支援事業を助成しております。また、小規模企業者を対象とした小規模企業対策資金や商工業関係組合及びその構成員を対象とした組織強化育成資金等の県融資制度による金融支援を実施しております。新商品の開発や新たなサービスの提供などの経営革新の取り組みにつきましては、その計画を承認し、承認企業に対して補助金の交付や公庫の低利融資の活用などを促進しているところであります。
同じく中小企業育成対策についての、緊急保証制度終了の県内中小企業に与える影響についての御質問にお答えします。
景気対応緊急保証制度は、平成23年3月末に終了する予定ですが、政府は、同制度終了後も中小企業の資金繰りに悪影響が生じないよう「小口零細企業保証」や、特に業況の悪い企業向けの「セーフティネット保証」などを継続して実施するとしております。県としても、政府の動向を踏まえ、必要に応じ県融資制度である「中小企業セーフティネット資金」などの融資要件の緩和を図るなど、業況の悪い県内中小企業の資金繰りに適切に対応してまいりたいと考えております。
同じく中小企業対策について、産業まつりにおける物づくり沖縄技術力発信及び県外市場開拓と行政のかかわりの必要性についての御質問にお答えします。
今回の沖縄の産業まつりには、県産素材を活用した食品及び化粧品から、バイオ燃料や太陽光発電設備などの先進的な技術製品まで幅広い商品が展示紹介され、向上している県内企業の製品開発力を広く発信することができたものと考えております。市場開拓については、産業まつり実行委員会において、毎回県内外のバイヤーなど約750社に案内状を送付しており、今回は県内外を含めて39件の商談が成立したとのことであります。また、今回から地元銀行主催により、県外から12社、海外から3社のバイヤーを招聘した商談会が開催され、国内外への販路拡大が期待されております。
県においては、実行委員会の一員として産業まつり開催に取り組むとともに、負担金支援を行っており、今後も引き続き地場産業の振興を図っていくため産業まつりを支援してまいります。
同じく中小企業育成対策について、産業まつりにおける県産品の海外市場への展開に対する県の取り組みについての御質問にお答えします。
沖縄の産業まつりには、県産素材を活用した菓子類や健康食品、琉球泡盛や工芸品など、魅力的な県産品が数多く出展されております。本県産業を振興していくためには、これらの県産品の販路を経済成長している東アジアに拡大していくことが重要であると考えております。そのため県においては、香港や台湾、シンガポールなどにおける沖縄物産展や商談会などの市場開拓事業に取り組み、泡盛や黒糖、塩などの県産品の販路が拡大されております。さらに、今年度は、中国において県産品のテスト販売などのマーケティング調査や、バイヤー招聘事業などを実施し、中国市場を目指す県内企業を支援してまいります。
同じく中小企業育成についての、イオンモール出店に関する広域調整及び立地規制ゾーニングの確立、中心市街地活性化策についての御質問にお答えします。
イオンモール出店による広域調整の実施については、大規模小売店舗立地法及び都市計画運用指針において、需給調整とならないよう措置する旨規定されており、現行の法体系のもとでは、店舗面積の調整など商業調整を行うことは困難であります。また、大規模集客施設の立地規制ゾーニングについては、関係市町村や地権者、住民など幅広い合意形成が不可欠であり、都市機能や産業振興、交通体系などを総合的な観点から考慮する必要があることから、大規模集客施設の立地に特化したゾーニングを行うことは適切ではないと考えております。さらに、イオンモール出店による影響が想定される沖縄市の中心市街地の活性化については、同市が本年3月に中心市街地活性化法に基づく基本計画の認定を受け、同計画による商業活性化事業を実施しております。同計画の策定に当たっては、県もその経費の一部を補助したところでありますが、今後、沖縄市が実施する施設整備事業などの取り組みに対しても支援してまいりたいと考えております。
離島・過疎地域振興の中の、離島・過疎地域の観光振興についての御質問にお答えします。
離島・過疎地域においては、固有の自然環境はもとより、独特な伝統芸能などの貴重な歴史・文化資源など、優位性のある観光資源が多数存在しており、沖縄観光全体の発展にとって重要であると考えております。このような観光資源を効果的に活用するため、市町村、関係団体、関連事業者等が連携して行うエコツーリズムや体験滞在型観光メニューの拡充などを支援しているところであります。また、離島への誘客については、修学旅行関係者の離島への招聘や沖縄ロケ地マップにおける離島の紹介、海外セミナーでのPRを行うほか、特に今年度は国際及び国内チャーター便の支援を通じて、離島観光の需要を喚起しているところであります。
以上でございます。
○企画部長(川上好久) 県経済の振興についての御質問の中で、新たな航空会社の設立についてお答えいたします。
離島を結ぶ新たな航空会社の設立につきましては、離島における定住条件を改善し離島の振興を図る観点から、当該離島住民の意向、既存の航空会社の動向、今後の需要見込み及び運営コストなどを総合的に勘案しながら検討を進めていきたいと考えております。
同じく県経済の振興に関連して、鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入についてお答えいたします。
鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入につきましては、現在策定を進めている沖縄県総合交通体系基本計画の主要な課題として、その位置づけなどについて検討を進めることとしております。また、その導入に当たっては、整備及び運営に要する費用を軽減することが前提であり、県は、そのための新たな仕組みについて国に求めていくとともに、今年度から国が実施している調査に対しても積極的に協力していきたいと考えております。
同じく県経済の振興についての御質問の中で、国際物流特区のねらいと県経済への波及効果についてお答えいたします。
本県の地理的優位性や那覇空港と那覇港の近接性等を生かして、国際物流拠点を形成することとしております。その実現に必要な基盤整備として、県では税制・財政・金融上の優遇措置及び規制の緩和措置など、航空及び海運ネットワークの拡充や企業の立地等を促進するための諸制度を一体として実施する「国際物流経済特区」の創設を要請しているところであります。
県が目指す国際物流拠点の形成は、貨物運送業や倉庫業等の運輸関連産業に加え、製造業や小売業等の保管・配送拠点、加工・組み立て拠点等、新たな臨空・臨港型産業の集積を図るものであります。また、物流に係る機能の向上及びコスト低減等により、農林水産業、製造業等の地域産業の活性化にもつながり、新たな雇用の創出や産業の振興が図られるものと考えております。
同じく県経済の振興に関連して、ビジョンの推進組織体制の整備と作業工程表の策定の取り組み状況についてお答えいたします。
「沖縄21世紀ビジョン」の将来像の実現に向けた取り組みについては、全庁的な体制はもとより、県振興審議会を初め県民、市町村、経済団体等と協働しながら、また県議会の御意見も踏まえつつ、ビジョンの実現に有効な施策を盛り込み、新たな時代にふさわしい県づくりのための計画をつくってまいりたいと考えています。
そのための作業工程につきましては、まず、前期10年の基本計画の素案を今年度末ごろまでに作成をしたいと考えております。その後、この素案をもとに前期の基本計画を策定するとともに、期間3年から5年の実施計画を策定し、各種施策を推進してまいりたいと考えております。さらに、その後の10年については後期基本計画として位置づけ、さらなる展開を図ってまいりたいと考えております。
次に、離島・過疎地域振興についての御質問の中で、離島・過疎地域の活性化策についてお答えいたします。
沖縄県の離島・過疎地域は、地理的及び自然的条件等の不利性を有し、若年者の流出や高齢化の進行等により地域活力の低下が懸念されているほか、雇用環境も厳しい状況にあります。このため、県は、住民の交通コストを低減し、水道・廃棄物の広域処理や教育の負担軽減の検討など、定住条件の整備に努めるとともに、観光業の振興や特産品の開発支援など産業振興を図っており、離島・過疎地域の支援を総合的に進めてまいります。
県としては、引き続きこれらの諸施策を実施し、離島・過疎地域の活性化と雇用の場の確保を図ってまいりたいと考えております。
同じく離島・過疎地域振興に関連して、地方バス路線維持方策等についてお答えいたします。
国土交通省は、これまで交通モードごとに分かれていた補助制度を廃止し、新たに「地域公共交通確保維持改善事業(仮称)」として、補助制度を統合した予算要求を行っているところであります。しかしながら、当該事業についての詳細な制度設計についてはいまだ行われておらず、県として現時点では新制度のメリット及びデメリットを把握するまでには至っておりません。なお、新制度では、国の支援は原則として効率化された標準的な事業費を前提とした欠損額の2分の1を支援するという考え方があり、その場合、個別の離島航路によっては従来より地方負担額が増加する可能性があります。
県としましては、このような事態を回避すべく、去る11月25日に九州各県と共同で新制度の制度設計に当たっては、十分な予算の確保と地方負担が増加しないよう必要な措置を講ずることを国土交通大臣ほか関係機関に対し要請したところであります。
以上でございます。
○総務部長(兼島 規) 県経済の振興に関する質問のうち、追加経済対策に係る沖縄関連予算の措置状況等についてお答えいたします。
国においては、円高・デフレに対応するための緊急総合経済対策として、4兆8513億円の補正予算を計上し、このうち内閣府沖縄担当部局分として国直轄、県・市町村分合わせて国費総額で147億8000万円が措置されたところであります。これを受け、県では、12月補正予算案で経済対策関連事業費142億1954万2000円を計上したところであります。主な事業としましては、新石垣空港整備事業の前倒し実施や、製糖工場の機械設備等の整備を支援する事業、沖縄への観光客誘致等を強化する事業、新規学卒者の就職を支援するための事業などとなっております。また、今後の国の経済対策関連事業として、安心こども基金や雇用関係基金などの追加や、地域活性化交付金事業などを見込んでおりますが、これらの事業につきましては、国との調整を経た上で2月補正予算で対応することとしております。
以上でございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 農林水産業の振興の中で、アリモドキゾウムシの根絶に向けた取り組みと、紅芋等のおきなわブランド戦略品目としての位置づけについてお答えします。
アリモドキゾウムシ根絶防除事業については、現在、久米島及び津堅島において取り組んでおり、津堅島のアリモドキゾウムシにつきましては、ほぼ発生がない状況でございます。久米島では、平成22年8月から国による駆除確認調査を実施しており、発生がなければ平成23年度には根絶宣言を予定しております。今後、久米島の根絶防除事業の成果を踏まえ、事業規模拡大に向けた大量増殖技術の確立や低コスト人工飼料を開発することなどにより、宮古・八重山、沖縄本島に防除地域を拡大する考えであります。また、カンショの生産振興については、農林水産業振興計画の中で戦略品目として位置づけ、おきなわブランド化に向けて拠点産地の育成に努めているところでございます。具体的には、省力化のための共同利用機械の整備、「ちゅら恋紅」、「カンタ」等優良品種の育成・普及、栽培暦の作成・配布や栽培技術等の実証展示圃の設置などを行っているところでございます。さらに、平成22年2月に立ち上げた「沖縄県かんしょ生産振興協議会」において「いもの日」のイベント開催等による消費拡大に取り組んでいるところでございます。
同じく輸送条件の不利性に対する県の対策と助成制度の創設についてお答えいたします。
沖縄県は本土市場から遠隔地にあり、また多くの離島を抱える島嶼県であることから、農林水産物の県外輸送コストの低減が重要な課題となっております。このため、航空輸送から低コストな船舶輸送への移行促進、新たな低コスト輸送ルートとして、船舶と鉄道の複合ルートの開拓、生産・出荷・販売情報システムや輸送手段の組み合わせ最適化システムの導入、各輸送手段に適した高鮮度保持技術の開発などの取り組みにより、輸送コスト低減に努めているところでございます。しかしながら、本県は本土と陸続きになっておらず、輸送手段が航空と船舶に限られることから、抜本的な輸送コストの低減には至っていない状況にあります。このため、県としては、ユニバーサルサービスとして鹿児島並みの利用料金体系が実現している電話や郵便小包と同様に、農林水産物の輸送についても、鹿児島並みの輸送コストを実現するための制度の創設が必要であると考えております。現在、新たな振興計画の策定に向けて関係部局と連携し、農林水産物の輸送コスト低減について国に対して提案することを検討しているところでございます。
次に、離島・過疎地域振興の中で、離島・過疎地域の農業等産業振興についてお答えいたします。
離島・過疎地域の農林水産業は、地域経済の安定化、若者など定住人口を確保する上で重要な産業でございます。このため、県としては、農林水産業の振興を図るため、地下ダム整備など農業用水源の確保や、かんがい施設、圃場整備等による農業生産基盤の整備、さとうきび収穫など農業用機械の導入、製糖施設等の整備、農産物加工施設の導入による地域の農産物の高付加価値化、離島子牛の輸送費補助、南大東漁港等漁港施設の整備、浮き魚礁の設置などを実施しているところでございます。また、地産地消を推進するためファーマーズマーケットを整備しているところであります。今後とも、市町村、関係団体等と連携し、離島・過疎地域の農林水産業の振興を図るため、各種施策・事業を推進してまいります。
以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 離島・過疎地域振興についての御質問の中の、離島・過疎地域における医療・福祉の充実についてお答えします。
離島・過疎地域において、だれもが生き生きと安心して暮らし続けていくためには、地域医療体制や福祉サービスの充実を図る必要があります。そのため、県としましては、医師修学資金等貸与事業、離島・へき地ドクターバンク等支援事業等による医師、看護師の養成・確保、介護保険制度における離島特例を活用した離島相当サービスや僻地保育所等の事業支援に取り組んでいるところであります。
今後とも市町村、関係機関等と連携し、離島・過疎地域における医療・福祉サービスの充実に努めてまいります。
次に、子育て支援対策についての御質問の中の、待機児童ゼロに向けた国への要請についてお答えいたします。
国の「待機児童ゼロ特命チーム」は、11月29日に「国と自治体が一体的に取り組む待機児童解消「先取り」プロジェクト」を取りまとめております。その提言内容は、児童福祉施設最低基準を満たす認可外保育施設への運営費支援や用地取得が難しい都市部で保育所を整備する際の土地賃料の補助などであります。
特命チームを所管する岡崎少子化担当大臣が、12月8日に本県の認可外保育施設や公立幼稚園を視察し、県や那覇市等と意見交換を行いました。沖縄県は、待機率が全国一であることや認可外保育施設での入所児童が多いことなど、本県の特殊事情に配慮した形での待機児童解消策の実施を大臣に要請したところであります。
次に、幼保一体化のメリットなどについての御質問の中の、ウとエについて一括してお答えいたします。
国においては、すべての子供への良質な生育環境を保障することなどを目的とした「子ども・子育て新システム」の中で幼保一体化を検討しております。
幼保一体化のメリットとしては、幼稚園と保育所の一体的な機能を持ち合わせることで、発達年齢に応じた一貫した方針に基づく教育・保育が可能になることや、異年齢児が一緒に過ごす教育的効果が得られることなどが考えられます。また、幼保一体化の課題としては、教育と保育を一体となって行う新たな人材の確保や幼稚園における施設整備などが考えられます。
現在、国においては現行の保育所、幼稚園の機能を一部残す案を含めさまざまな角度から制度設計に向けて検討中であり、本県にどのような影響を及ぼすのか、今後とも国の動向を注視し必要な対応をしてまいりたいと考えております。
次に、保育所の設置基準などの構造改革特区提案についてお答えします。
全国知事会は、国が法令で定める福祉施設などの最低基準の見直しに関する「義務付け・枠付けの見直し」のための構造改革特区の共同提案書を11月15日に国へ要望しております。
提案事項23項目のうち保育所については、「保育所の人員・設備・運営基準を「参酌すべき基準」とする同基準を定める権限、施設の設置認可・指導監督権限を保育の実施主体である市町村に移譲する」、「私立保育所の満3歳に満たない児童への給食の外部搬入を認める」などの措置を求めています。現在、国において検討中であり、その動向を注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(下地 寛) 離島・過疎地域についての御質問の中で、離島における不法投棄の現状と改善に向けた市町村との連携についてお答えいたします。
県内の不法投棄については、毎年度その実態把握のための調査を行っております。平成21年度においては県全域で140カ所あり、その約4割の54カ所が離島市町村となっております。そのため、平成21年度に国の地域活性化・経済危機対策臨時交付金を活用して、宮古島市及び南大東村において不法投棄物の撤去を行っております。
また、不法投棄の未然防止対策として各保健所ごとに市町村、警察等関係機関で構成する「不法処理防止ネットワーク会議」を設置し、情報の共有化と合同パトロールなどを実施しております。さらに、産業廃棄物の不適正事案に対処するため、立入検査等が行えるよう市町村職員への併任発令を行うとともに、国の地域グリーンニューディール基金を活用して宮古島市と石垣市において不法投棄監視パトロール職員を配置しております。
同じく離島・過疎地域振興についての御質問の中で、島しょ地域循環資源活用促進事業の進捗についてお答えいたします。
島しょ地域循環資源活用促進事業については、本年度、リサイクル企業の共同化を図るとともに、石垣島及び宮古島から発生する建設廃棄物に係る輸送費の低減化を行う循環資源回収船社会実験を実施することとしております。現在、関係機関等に周知を図るとともに、事業の実施主体の選定に向けた企画提案競争の手続を行っており、年明け1月の事業着手に向け準備を進めているところであります。
以上であります。
○渡嘉敷喜代子 こんにちは。
社民・護憲の渡嘉敷喜代子です。
知事、2期目の当選おめでとうございます。県議会と一緒に県内のいろいろな諸問題解決のために頑張ってまいりましょう。
それでは、質問に入る前に少し所見を述べながら進めていきたいと思います。
今回の選挙で仲井眞知事は、普天間飛行場の移設先として日米安保を認めた上で、沖縄の過重な基地負担を全国で分かち合うよう求め県外移設を訴えました。これだけの主張をつい最近までなぜ言えなかったのか。1月の名護市長選では「海にも陸にも基地をつくらせない」と主張した稲嶺市長が誕生しました。2月県議会では県内移設反対が全会一致で決議され、これを受け4・25県民大会が開催され9万人の県民が結集しました。
知事は、これまでみずからの言葉で意思表示するチャンスが何度も何度もありました。そのときこそまさに県民の心が一つになっていました。もしもそのとき県民の心に寄り添うことができていたなら、少なくとも5月28日の日米共同声明は避けられたのではないでしょうか。行政の最高責任者として決断できなかったあなたの責任は大きいと言わざるを得ません。
沖縄の人たちは余りにも優し過ぎました。自分たちが嫌なものは他府県に押しつけるわけにはいかないと、県外移設はこれまで言いませんでした。しかし、このことがあだとなり今日まで何も変わらず、県民は過重な米軍基地を強いられてきました。大多数の国民はそれに甘え、しょせんは他人事でしかなかったのです。安保があるから沖縄に米軍基地が押しつけられ、いたいけな少女が性犯罪の犠牲にされたあげく殺害され、米軍トレーラーの下敷きになった少年、そして犯人は罪に問われることもなく米本国に帰還。枚挙にいとまがないほど多くの犠牲を払いました。なぜ沖縄だけなのか。
昨年の政権交代以来、県民は何度も何度も県民の民意を日本政府に突きつけてきました。にもかかわらず辺野古が戻ってきたことは、沖縄差別の何物でもありません。今回の知事選は、基地問題だけではなく、政府による構造的な沖縄差別とそれを許してきたヤマトゥに対するウチナーンチュの人間としての人権を守る戦いでもありました。仲井眞知事、あなたにウチナーンチュとしての誇りがあるならば、今度こそ県民の思いをしっかりと受けとめていただきたい。
今回の知事選で、次のようにあなたの政治信条が示されています。「時代の転換期に立たされた者の使命は、現状をきちんと認識したうえで進むべき方向を示すことであります。私たちの子や孫が、誇りと夢を持てる沖縄を創っていく。私はその責任を果たすため全力を尽くします。」と。願わくば、あなたの進むべき方向が県民と同じ方向であってほしい。自公政権による辺野古押しつけの誤りをあなた自身がはっきり公言してほしいのです。そして、民主党政権のように期待をさせて県民を裏切るようなことはゆめゆめしないことを願います。子や孫に手渡していくのは決して米軍基地や自衛隊基地ではなく、美ら島を象徴する「平和の島」でなければなりません。
それでは、通告に従いまして質問いたします。
1、知事の政治姿勢について。
(1)、県内移設に反対する安里猛宜野湾市長が誕生した。知事の所見を伺います。
(2)、これまで待ちの姿勢で「厳しい」としか言わなかった知事が、県外移設を言及するに至った背景は何か。
(3)、12月6日、宜野湾市長及び名護市長との会談で、知事は、普天間移設について「考えが微妙に違う。同床異夢の感がないわけではない」と、普天間に関して意見交換を避けたとしています。どこがどう違うのか。
(4)、4・25県民大会の決議は「県内移設に反対し、国外・県外移設を求める」ことであり、あくまでも県内移設反対が前提の県外移設である。知事の公約「県外移設」とは、もちろん県内移設反対ということなのか確認したいと思います。
(5)、政策協で普天間を協議することについて北澤防衛大臣は、「移設先と振興策は切り離せない」との発言で、11月30日の地元新聞は「経済振興で沖縄の“軟化”を目指す」との報道があり、さらに新たに「経済振興と併せて」と首相もリンク論。今後も基地と振興のリンク論で攻撃をかけられても県内移設を拒否し切れるか。
(6)、菅首相は、「日米合意を踏襲する」と言及しています。日米合意の見直しを知事はどう求めていけるのか。
(7)、名護市長は、基地建設が前提とされているとして辺野古の現況調査を拒否した。知事は、県内がないとするなら、次年度以降の調査は拒否するのかお尋ねします。
(8)、普天間の危険性の除去について、1期目の公約では何の成果もありませんでした。これまでと違うどんな手法で求めていくのか。ヘリを何機減らすのか。外来機の飛来禁止を求めるのか。また、民主党県連が提案しているという普天間第二小学校の移転についてどのように考えているのか。滑走路の短縮を求めるのか。普天間基地は即戦部隊と連動しているだけに、速やかに運用の停止と返還を求めるべきと考えるがどうでしょうか。
(9)、公約で「嘉手納飛行場の抜本的な騒音対策に取り組む」とは、外来機の飛行禁止や戦闘部隊の撤退を求めていくのか具体的な説明を求めます。
(10)、米軍施設から起きる環境問題への対策にどのような取り組みをしていくのか具体的に説明をされたい。
(11)、「防衛計画大綱」による先島への自衛隊の配備について県の対応を伺います。
(12)、日米共同訓練によって騒音による被害ばかりでなく、那覇空港においては貨物便のおくれ等による被害をこうむった報道がありました。被害額と補償はどうなるのか。
昨日、12月13日、社民党が要請したとき、真部局長は、これからも続けたいとの開き直りでありました。それに抗議したことに対して、踏み込み過ぎたと謝罪をしました。県は、大規模な訓練に対してどのような抗議をしてきたのかお尋ねします。
2、教育行政について。
(1)、総合的な学力向上対策をどう進めていくのか。
(2)、小中学校の少人数学級制は任期中の4年間で完全実施するのか。実施したときの職員数と財政措置について伺います。少人数学級とは30人以下学級なのか、それともこれから国が進めようとする35人以下学級を指しているのか、含めてお尋ねいたします。
(3)、「学校の課題を解決するため、必要な人材の派遣等を実施する」とは、どんな課題にどんな人材を派遣するのかお尋ねします。
(4)、子供の貧困は深刻です。児童福祉行政のおくれが事態を悪化させていると考えるが、対策を考えているのかお尋ねします。
3、福祉行政について。
(1)、浦添看護学校の民間移譲についてお尋ねいたします。
ア、メリットとデメリットを伺います。
イ、学校運営のための現在の国からの交付金と県からの持ち出し額を伺います。民間移譲されたときの国からの交付金はどうなるのか。
ウ、現在の授業料と民間移譲されたときの授業料の額を伺います。経済的な理由で入学を断念せざるを得ない生徒への懸念はないのか。
エ、国の認定を受けない前に生徒募集することについてどうなのか。
オ、県立看護学校存続について、県医師会及び看護協会等を中心として12万2000名の署名があり、県立存続の決議が県議会で全会一致されました。議会軽視ではないのか。
(2)、児童福祉の立ちおくれや子供の貧困は深刻です。総合的な子育て支援策と幼保一元化についての見解を伺います。
(3)、学童保育の公的支援のあり方が求められています。対策はどうなのか。
(4)、児童虐待未然防止のため児童相談所の体制整備を推進するとは、具体的な説明を求めます。社会福祉士等専門職員の増員配置についても考えているのか伺います。
(5)、県立病院について、平成23年度以降の県の見解を伺います。
○知事(仲井眞弘多) 渡嘉敷議員の御質問に答弁いたします。
まず第1に、知事の政治姿勢の中で、安里宜野湾市長誕生への所見についてという御質問にお答えいたします。
今回の宜野湾市長選挙の結果につきましては、これは無論責任と見識を持つ宜野湾市民の下された判断であります。私がどうこう申し上げる筋合いのものではありません。
そして次に、同じく政治姿勢の中で、県外移設を求めるに至った背景についてどうかという御趣旨の御質問ですが、これは3カ月前の9月議会で辻野ヒロ子自由民主党議員の御質問にお答えしておりますが、もう一度答弁させていただきます。
名護市長選挙や県議会の意見書議決、そして県民大会など、昨年9月以降の県内の諸状況を考えますと、地元の理解が得られない移設案を実現することは極めて困難であると考え、政府に対し県民の納得のいく説明と解決策を示すよう求めてきましたが、政府からこの間の県民の怒りや失望にこたえ得る説明と方策は依然として示されておりません。
県といたしましては、このような状況にかんがみ、政府に対し日米共同発表を見直し、普天間飛行場を県外に移設することを9月議会で求める答弁をさせていただきました。そしてその後、直ちに政府に、官房長官、防衛大臣、外務大臣に申し入れを行ったところでございます。
次に、同じく知事の政治姿勢の中で、12月6日の宜野湾市長及び名護市長との会談の中で同床異夢発言があり、普天間に関し意見交換を避けているというふうに受け取り、どこが違うのかという御趣旨の御質問にお答えいたします。
安里宜野湾市長と稲嶺名護市長は、今回の知事選挙において、日米安全保障条約を廃棄し、平和友好条約へ切りかえること、そして普天間飛行場の国外移設など私の考えと異なる主張の候補者の応援をされていたことから、御指摘の発言になったものでございます。しかし、他の立候補者も30万票近い支持を集めたことも事実であります。
今後とも県内各市町村長を初め県民各位の御意見を丁寧に拝聴しながら、負託を受けた職務に精励してまいりたいと考えております。
次に、同じく知事の政治姿勢の中で、県外移設と県内移設反対についてという御質問にお答えいたします。
県内移設は事実上不可能であるということを私はこれまで申し上げてまいりました。したがいまして、日米共同発表の見直しを求めることとしたものであり、その内容は県外移設を求めるというところでございます。
次に、知事の政治姿勢の中で、日米共同発表の見直しをどう求めるかという御趣旨の御質問にお答えいたします。
普天間飛行場移設問題を初めとする米軍基地問題は、基地が集中する沖縄県だけの問題ではなく、我が国の外交や安全保障にかかわる全国的な課題であることから、移設先の選定に当たっては日本全体で米軍基地の負担を分かち合うという原点に立ち返って解決することが必要であると考えております。
このような観点から、県といたしましては、総理を初め各大臣との面談などあらゆる機会を通じて普天間飛行場の県外移設を強く求めているところでございます。
次に、同じく知事の政治姿勢の中で、公約である「嘉手納飛行場の抜本的な騒音対策に取り組む」についての御質問にお答えいたします。
県は、これまで嘉手納飛行場周辺における航空機騒音の軽減につきまして、機会あるごとに日米両政府に対し強く要請してきたところでございます。しかしながら、最近の嘉手納飛行場をめぐっては、米軍再編に伴う一部訓練移転が実施されていますが、依然として目に見える形での負担軽減が図られてはいないことから、実効性のある対応策が講じられる必要があると認識をいたしております。
県としましては、去る9月に設置されました米軍基地負担軽減部会におきまして、嘉手納飛行場の騒音の軽減に向けた具体的な取り組みを求めているところでございます。
次に、福祉行政に係る御質問の中で、浦添看護学校の民間移譲のメリットとデメリットという御趣旨の御質問にお答えいたします。
浦添看護学校の民間移譲につきましては、県と民間の役割分担を図りつつ、看護師の養成、そして確保対策を効果的かつ効率的に推進することを目的といたしております。
県としましては、財政効果等を踏まえまして、新看護研修センターの整備、離職防止対策、修学資金による学生への支援等県が担っていくべき役割を総合的に強化していく考えでございます。また、定数の活用によりまして児童虐待防止等福祉保健行政の課題にも効果的に対応してまいる所存でございます。これらの効果は大きく、看護師確保の面からはデメリットはないものと考えております。
次に、福祉行政に係る御質問の中で、平成23年度以降の県立病院の方針についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
病院事業につきましては、民間医療機関では対応が困難な医療を提供するという県立病院の役割を踏まえ、救急医療、離島医療、小児・周産期医療など、地域において必要とされる医療を今後とも提供していくことといたしております。
なお、経営形態につきましては、平成21年6月に策定いたしました「県立病院のあり方に関する基本構想」に基づき、経営再建計画に沿った経営全般にわたる改革の取り組みを検証した上で最終的な判断を行うことにいたしております。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(又吉 進) 知事の政治姿勢の御質問の中で、沖縄政策協議会で普天間移設問題を協議することについての御質問にお答えいたします。
沖縄政策協議会につきましては、政府側から普天間飛行場移設問題について、現段階で沖縄政策協議会で協議することにはならない旨の発言があり、県としてもそのように理解しているところでございます。
次に、次年度以降の現況調査についての御質問にお答えいたします。
沖縄防衛局による現況調査につきましては、関係書類が提出された時点で関係法令にのっとり適切に判断したいと考えておりますが、名護市辺野古への移設案を実現することは極めて困難であり、普天間飛行場の県外移設を求める県の考えに変わりはありません。
次に、今後の危険性除去の手法についてお答えいたします。
県としましては、駐留部隊の一時的移駐や訓練の縮小、分散移転など普天間飛行場のヘリ等の運用を極力低減し、早期に危険性の除去及び騒音の軽減に取り組むよう政府に対し求めてきたところであります。
普天間飛行場の危険性の除去については、今後開催される米軍基地負担軽減部会において、その実現に向けた具体的な方策の提案、実施を強く求めていきたいと考えております。
次に、先島への自衛隊の配備についての御質問にお答えいたします。
新たな「防衛計画大綱」について現時点で公表されておらず、内容の詳細は把握しておりません。
いずれにしましても、自衛隊の配備につきましては、我が国の防衛やさまざまな緊急事態対応などの観点から、政府において適切に検討されるべきものと認識しております。しかしながら、その配備に当たっては、地元の理解と協力を得るよう最大限の努力をするべきであると考えております。
次に、日米共同訓練による貨物便等の被害及び抗議についての御質問にお答えいたします。
県としましては、訓練等により間接的にせよ県民生活に影響があってはならないと考えております。
報道のあった内容について航空会社へ確認したところ、全日空は訓練による影響はないとのことであり、日本航空は航空貨物におくれ等が生じたが、10日までには解消し、補償請求の事案ではないとのことであります。
日米共同統合演習につきましては、去る11月10日に沖縄防衛局から県に対し説明がありましたが、その際に県としましては、県民への負担や不安を与えることがないよう最大限の配慮を行うよう申し入れを行ったところでございます。
以上でございます。
○文化環境部長(下地 寛) 知事の政治姿勢についての御質問の中で、米軍基地から起きる環境問題への取り組みについてお答えいたします。
米軍基地から派生する環境問題については、その影響が基地内にとどまらず、周辺住民等の生活環境に重大な影響を与える可能性があることから、基地の管理・運用に当たっては、環境に係る特別協定などにより環境法令等国内法が遵守されるよう見直すことが不可欠と考えております。
具体的には、第1に、米側の環境保全措置が国内法令に基づく規制基準等を満たす仕組みをつくり、事故時の立ち入りや平時のモニタリング、汚染があった場合の是正措置などを同時に定めること、第2に、基地周辺の住民に対し、基地の環境保全の取り組み等を日米両国政府が協力して情報提供することで周辺住民の安心を確保すること、第3に、米軍と日本政府、地元自治体の環境分野での協力の促進を図ることなどであります。
県としましては、こうした内容を盛り込んだ日米地位協定に基づく環境特別協定の締結が重要と考えており、渉外知事会などを通して今後とも粘り強く求めていきたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは教育行政についての御質問で、総合的な学力向上対策についてお答えいたします。
島嶼県沖縄が発展する最大のよりどころは人材であり、時代の変化に柔軟に対応し、先見性に富み、発展を支える人材を育成することは学校教育が担っている重要な役割だと考えております。そのため、昭和63年度から今日に至るまで4期23年間にわたり、幼児・児童生徒に「生きる力」をはぐくむ学力向上対策の取り組みを推進してまいりました。
県教育委員会としましては、今後、学力向上推進のための組織を強化し、平成24年度からの第5期学力向上主要施策を策定して、総合的な学力向上対策に取り組むこととしております。基本的な考え方としましては、幼児・児童生徒一人一人の発達の段階に応じ、幼稚園から小学校、中学校、高等学校、大学、就職までを視野に入れた取り組みを柱とし、学校教育と家庭教育などの役割を明確にした上で、学校、家庭、地域社会、関係団体、企業等が一体となった県民総ぐるみによる学力向上対策を推進することとしております。
次に、少人数学級の実施についてお答えいたします。
少人数学級につきましては、現在、小学校1、2年生で加配定数を活用し30人学級を実施しております。今後の小中学校の少人数学級に関する計画については、現在、文部科学省において策定されている35人学級の動向や全国の実施状況等を踏まえ、教員数や財政措置等も含めて検討してまいりたいと考えております。
次に、必要な人材の派遣についてお答えをいたします。
近年の国際化、少子・高齢化等社会情勢の変化に伴い、教育を取り巻く環境は急速に変化しており、学校教育においてはさまざまな課題があります。学力に関する課題や不登校、いじめ、児童生徒の心の悩みなどの生徒指導上の課題、就職や進学に関する進路指導上の課題及び部活動や学校安全の課題等が挙げられます。
これらの学校課題の解決に向けて、確かな学力を育成するための理科支援員や指導主事等による出前講座などの実施、児童生徒の心の悩み等に対応するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、また、就職支援のためのジョブサポーターなど人材の派遣に努めているところであります。
県教育委員会としましては、これらの派遣事業の充実・拡大を図るとともに、新たな学校の課題を解決するために必要な人材の派遣等も推進して、今後とも子供たちの健やかな成長を目指し、よりよい教育環境づくりに努めてまいります。
以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 教育行政についての御質問の中の、子供の貧困対策についてお答えいたします。
県では、子育て家庭に対する経済的支援策として子ども手当、児童扶養手当の給付や医療費助成を行うとともに、ひとり親家庭の自立支援策などを実施しているところであります。また、「おきなわ子ども・子育て応援プラン」においては、子供の貧困の実態把握と効果的な支援策等の検討を行うことを盛り込んでおり、教育庁等関係機関とも連携を図りながら対策に取り組んでまいります。
次に、浦添看護学校の民間移譲についての御質問の中で、国と県の財政負担及び国からの交付税についての質問にお答えいたします。
浦添看護学校の運営に係る平成22年度予算額は3億1798万円であり、その財源は授業料収入等が5199万円、一般財源が2億6599万円であります。
平成21年度普通交付税の基準財政需要額は、看護師等の試験、免許、養成に要する額として1億6700万円と算定されております。当該基準財政需要額は、各都道府県ごとの人口数により算定されるものであるため、浦添看護学校が民間に移譲されても同需要額が措置されることとなります。
次に、現在と民間移譲時の授業料及び入学生への懸念についての趣旨の御質問にお答えいたします。
浦添看護学校の年間の授業料は、准看護師を対象とした2年課程が11万8800円、看護師を目指す3年課程が24万8000円であります。移譲予定先団体の授業料は、他の民間養成所と同程度になるものと考えております。なお、民間移譲時においては在籍中の学生の授業料は維持されます。
現在、県内の民間養成所等においては、経済的に困っている学生も含め多くが日本学生支援機構等の奨学金を活用している状況にあります。
さらに県としましては、修学資金を拡充し、学生を支援していくこととしております。
次に、国の認定を受けない前の生徒募集についてお答えします。
国による設置者変更の指定を受けない前に移譲予定先団体が生徒を募集することについては、国との調整により可能となっております。
次に、県議会決議等についてお答えします。
平成16年度、17年度の県議会決議等は、それまでの看護師不足を背景になされたものと認識しております。その後、名桜大学看護学部の創設、ぐしかわ看護専門学校の開校、那覇看護専門学校の3年課程の新設等、民間等における看護師養成数は大幅に増加し、第七次看護職員需給見通しの充足率の改善にもつながっております。このような状況変化の中で、浦添看護学校については民間力の活用を図ることとしております。
県としては、新看護研修センターの整備、離職防止対策、修学資金による学生への支援等、県が担うべき役割を総合的に強化していきます。この方向性については、医師会や看護協会等の理解を得られているものと考えております。
次に、総合的な子育て支援策と幼保一体化についてお答えいたします。
沖縄県では、「おきなわ子ども・子育て応援プラン」に基づき、地域における子育ての支援、母子保健の増進、教育環境の整備、ひとり親家庭の自立支援など、子育てにかかわる関係機関が連携して各種施策に取り組んでいるところであります。今後、新たな振興計画の策定に当たっては、子育て支援などの次世代育成支援対策について主要な柱として位置づけていきたいと考えております。
また、国においては、すべての子供への良質な生育環境を保障することなどを目的とした「子ども・子育て新システム」の中で幼保一体化を検討しております。現在、現行の保育所、幼稚園の機能を一部残す案を含めさまざまな角度から制度設計に向けて検討中であり、本県にどのような影響を及ぼすのか、今後とも国の動向を注視し、必要な対応をしてまいりたいと考えております。
なお、本県の公立幼稚園はほとんどの小学校に付設され、5歳児保育において重要な役割を果たしているところであり、先日来県した岡崎少子化担当大臣へ、新システムの制度設計に当たっては本県の保育事情にも配慮するよう要望したところであります。
次に、放課後児童クラブへの公的支援についてお答えします。
現在の放課後児童クラブに対する公的支援としましては、国・県・市町村がそれぞれ3分の1ずつ負担し、放課後児童クラブの児童数等に応じた運営費補助を行っているところであります。平成22年度は、県の補助金予算額として約5億4000万円を計上しており、23市町村、215の放課後児童クラブに補助を行うこととしております。また、沖縄県は全国と比べて民立民営のクラブが多く、経営が厳しいなどの課題があることから、県としましては、放課後児童クラブへの新たな支援について国に必要な措置を求めていきたいと考えております。
次に、児童相談所の体制整備についてお答えします。
児童相談所については、これまでも児童福祉司や児童心理司等の専門職の増員を行い、体制の強化を図ってきております。また、平成23年度中の開設に向けてコザ児童相談所一時保護所の整備事業を進めており、開設時には必要な職員を配置することとしております。
なお、児童相談所については専門性の強化も課題であることから、今後とも社会福祉士等の有資格者の配置を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○渡嘉敷喜代子 私、このたび質問したのは、知事の公約に沿ってやりました。ですから、かなり踏み込んだ答弁ができるのかなという期待もしましたけれども、4年の続きのことでしかなかったということで、何となく肩透かしを食わされたような感じがいたします。
それでは再質問いたしますが、通告外ではありますけれども、けさの新聞に出ておりました仙谷官房長官の発言について、財政課の許可も得ておりますのでそのことについて質問させていただきたいと思います。
今回の仙谷さんのその発言というのは、やはり国会議員としてあるいは閣僚の発言として見逃していくわけにはいきません。普天間飛行場の問題に真摯に向き合っていくその責任者でありながら、このような総理の代弁者とも言われるような人がこのような発言をしていくということは本当に屈辱的なものでしかないと言わざるを得ません。知事は17日に来県する総理に会うわけですけれども、このような状況の中で会う必要があるのかどうかということも言わなければなりません。そして会ってどんな話をするのか、1115億円の沖縄の特別枠のそれを含む一括交付金を要求をするのか、そのようなことも含めて会う必要があるのかどうかという気がしてなりません。そして、あなたはまさに県外移設を公約して当選したばかりの人です。その公約を全面的に否定されたわけですから、その発言に対して抗議の意思を明確にすることではないでしょうか。そのことが県民や有権者に対する責任であると思いますが、その見解をお尋ねいたします。
休憩してください。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後2時56分休憩
午後2時56分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
○渡嘉敷喜代子 知事は、官房長官のリンクさせていないということに期待していると言いながらこのような発言が出てきたわけです。そのことはまさにむちであります。そして、一括交付金として要求していること、このようにしてあめとむちでもう既に打ちつけられているわけですね。その中で、県内移設が反対と言えないような状況、このことに対して私は再度質問させていただきますけれども、6月議会で知事はこのようなことを言いました。辺野古反対と言ったときに、「絶対的なたった1つの答え、判断しか持たないというのは、私ども行政実務上の現実、処理をする中では非常に危険」であるということに対して、何が危険なのかということを聞きましたときに、「オール・オア・ナッシングだとか、白か黒かとか、賛成か反対かというこういう二律といいますか、そういう物の決め方、進め方に合うもの、合わないものがあって、行政上の判断をするときに、白か黒かとか、オール・オア・ナッシングというような判断というのは、後でみずからの弾力性、事情変更に対する対応というものが非常に硬直化してくるという危険がある」というようなことを言っております。そして、今回私の質問に対しても県内移設とは言いません、無理だろうと。なぜ無理であれば県内移設が言えないのか。ということは、このような事情変更、一括交付金、このようなことに対して反対が言えないということになるのかどうか、そのことを改めてお尋ねしたいと思います。
ちょっと休憩してください。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後2時58分休憩
午後2時58分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
○渡嘉敷喜代子 そして県外の大手新聞の「記者の目」というところで、このようなことが言われております。今回の「出口調査でも「投票基準」として「普天間移設問題への対応」が「経済振興」を上回った。」と。この民意に対し、相変わらず中央は鈍感だ。北澤防衛大臣は、選挙後、辺野古移設を踏まえてそれを抜きに振興だけをやろうとするということは、まさにあめとむちであり、沖縄の県民の怒りを買うということ。そしてこのことを今回の知事選で、沖縄は、知事は県外移設で最大公約数にまとまったわけですから、仮に仲井眞知事が県内移設容認に翻意するようなことがあれば、それは仲井眞知事の政治的な死につながるというようなことまで言われているわけです。
ですから、今回本当に振興策とリンクしないような、そして本当に県内移設に反対だということをはっきり言うことが今回のとても大切なことではないかと思います。
ちょっと休憩してください。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後2時59分休憩
午後2時59分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
○渡嘉敷喜代子 教育問題について、学力の総合的なものは何なのか、課題は何なのかということをお尋ねしたときに、その中で今本当に問題になっている教職員の非常勤が多いということですね。それから読書力がどうなのかとかいうそういう総合的なのが入ってこないというのがとても残念でなりません。国際学力調査の中で、かなり総合的なもので読解力は随分順位が上がったということですから、それもやはり読書力とか、新聞を読まない子とか、そういうことと乖離があるということ。それから経済的なそういう裏づけもあるんじゃないかというようなことも言われておりますけれども、この中で本当に総合的な教育を望もうとするならば、どうしていこうとするのか、その学ぶ意欲をどうしていこうとするのか。先ほど説明がありましたような、そういうような組織的な強化ではなくて、子供たちがみずから学ぼうとするそういう意欲をどうつくっていくのかということが大切かと思いますので、そのあたりも質問させていただきたいと思います。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後3時0分休憩
午後3時3分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 渡嘉敷議員の再質問に答弁をさせていただきます。
4点あったかと思うんですが、まず第1に、仙谷官房長官の発言に……
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後3時3分休憩
午後3時12分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 渡嘉敷議員の再質問にお答えさせていただきます。
御質問の中で少し整理ができていない難しい部分があるんですが、この一括交付金と菅総理がお見えになるということとの関連ですが、この一括交付金というのはこれは制度でして、民主党さんが公約でも言ってこられたことのこれは仕組みでありまして、今のひもつきよりはより使い勝手がよかろうと言われているもので、まだこれは制度設計が始まったばかりです。ですから別にこういうものと何かを取引するとかいう話では全くありません。ですから、今までいただいている高率補助金のかわりにこれは、一括交付金という仕組みを早目に沖縄に入れたらどうかということであって、これ自身が何かこれで大変得するとか損するという話のものではないと私は考えておりますが、ただこの制度はやりようによっては使い勝手がいいんで、我々は新しい振興計画が始まるであろう24年度からしっかり入れてもらってはどうか、さらにその前段階として来年度でもかなりのものを使い勝手のいいものにしてもらったらどうかということでありまして、これでもって何かを取引するようなものではないと考えております。したがって、そういうことはやりませんし、あり得ません。
それから2番目の御質問で、白か黒かとか、オール・オア・ナッシングというものはこの普天間の移設先の話については言えない、何しろそういう性格のものではないと私は言ってきたところがありますが、これは特に行政実務の中ではほとんどがこういう状況のものが多い中のものだと私は考えております。これは私が20年前にお仕えした大田昌秀先生も上原康助先生もオール・オア・ナッシングやハードオプションと言われたものと考えは似ているのではないかと私は思っております。
それから4番目に、県内移設反対となぜ言わないかというのは、これは9月でも延々と私申し上げてきましたが、これはもう要するに県内には事実上不可能だと。したがって、県内にはないというのと同様であるから県外にと言っていることでほとんど考え方は表現されているのではないかと思っておりますし、私は、県内は不可能に近い。したがって県外だということで御理解いただきたいと思います。
○教育長(金武正八郎) 渡嘉敷議員の再質問にお答えいたします。
県教育委員会としましては、今後、学力向上推進のための組織を強化します。そして、24年度からの第5期の学力向上主要施策をその中で策定を検討していって総合的な学力向上対策に取り組む予定でございます。
いまさき渡嘉敷議員からありました児童生徒がみずから学ぶ意欲とか、それから読解力とか、教職員の意欲の向上などにつきましては、その議論の中に貴重な提言として取り入れて検討してまいりたいと思っています。
以上でございます。
○議長(髙嶺善伸) 20分間休憩いたします。
午後3時17分休憩
午後3時43分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。
仲宗根 悟君。
〔仲宗根 悟君登壇〕
○仲宗根 悟 県民の皆さん、こんにちは。
議席18番、仲宗根悟です。
社民・護憲ネット会派を代表いたしまして質問を行います。
知事、今回は2期目の当選おめでとうございます。頑張ってください。
さて、県知事も2期目の当選を果たして精力的に知事の公約でありますこの県外移設を方々に、関係要路にやっておりますけれども、まさに行動の県知事だなという意味では感心をする一方で、けさの新聞、官房長官の発言には、これは参ったなと。確かに沖縄県民をこんなにも愚弄しているのかなと、姿勢が非常に問われるような官房長官ではないかなというふうに思っています。私たちは、この官房長官やあるいは政府の施策に対して怒りをもって私たち県民、そして県議会の意思を発信できればなという思いでいっぱいであります。
それでは質問に移りたいと思いますけれども、まず最初に産業振興に関してであります。
(1)、農林水産業の振興についてお聞きをいたします。
我が国唯一の亜熱帯性気候等の優位性を生かした産地形成、健康・長寿や観光・リゾート地にふさわしい高品質かつ安心・安全な農林水産物を供給することにより、おきなわブランドを確立し、拠点産地供給体制の強化、地産地消の推進、担い手の育成、省力化に向けた農林水産技術の開発・普及、農業用水源の確保やかんがい施設等、生産基盤の整備など、農林水産業の経営基盤強化を図る施策が重要であります。その取り組み状況、そして今後の展望についてお聞きをいたします。
ア、平成22年度農業農村整備事業予算が前年度に比べて大幅に落ち込んでおります。本県の農業振興を図るためにも基盤整備は重要であり、そのための予算確保について県はどのように取り組んでいるのか。また、23年度予算確保に向けての対応状況について伺います。
イ、耕作放棄地の現状とその解消に向けた取り組みについて伺います。
ウ、さとうきびの生産振興対策について伺います。
さとうきびは沖縄県の基幹作物として重要なものであります。特に離島地域においては、干ばつ、台風などの厳しい気象条件のもと、他の作物ではかえがたい状況にあります。さとうきびの生産振興対策について伺いたいと思います。
エ、含みつ糖支援対策について伺いますが、特に小浜島の工場については在庫を抱え経営は深刻な状況にありますが、その支援についての取り組みをお伺いをいたします。
オ、魚礁の整備等、つくり育てる漁業の推進は今後の水産業にとっては期待のかかる施策です。最も重要であります。その取り組み状況についてお伺いをします。
カ、地産地消についての取り組み、展開を伺います。
キ、TPP参加について、県は、沖縄県のさとうきび産業が壊滅をすると反対を訴え政府に要請されたとしていますが、要請内容、政府の反応についてお聞きをいたします。
次に(2)、商工業についてでございます。
リーマンショック以降の景気低迷で先行き不透明な経済不況のもと、中小企業は依然として売り上げ減少により資金繰りが厳しい経営環境に置かれています。これまで大きく県経済を支えてきた中小企業が元気を取り戻し、県経済を押し上げていただきたい。そのための支援が必要であります。その対策についてお聞きをいたします。
ア、中小零細企業の経営支援の取り組みについて伺います。
イ、建設業の国・県発注の県内受注率向上のための取り組みについて伺います。
ウ、米軍発注工事の県内受注向上のための入札参加条件の緩和や、あるいは条件への支援策等の取り組みが必要と考えますが、その施策について伺います。
(3)、企業誘致についてであります。
企業誘致については働く場の確保はもちろん、地域活性化、経済波及効果は大きくかかわりを持つものであります。世界同時不況のあおりを受けての景気低迷の影響などで企業誘致も厳しい中、どのような取り組みが展開されているのかお聞きをいたします。
ア、IT津梁パークや特別自由貿易地域の企業誘致の状況、そして今後の方向性について伺います。
イ、観光関連でのホテル建設やリゾートウエディングでの進出状況はどうなっているでしょうか。
2、雇用対策に関してお聞きをいたします。
雇用創出と失業率改善については、県民の期待が最も大きい分野であります。仲井眞知事の選挙公約の大きな柱の一つであります。その取り組みについてお聞きをいたします。
(1)、雇用拡大、完全失業率の全国平均化を達成するとしておりますけれども、その施策についてお伺いをいたします。
(2)、雇用問題は失業率だけではなく雇用環境も重要だと考えます。最も厳しいとされる本県において積極的にその対策が求められるものです。県の見解を伺います。
3番、観光振興に関してお聞きをいたします。
2008年のリーマンショック以降の世界的不況の影響やインフルエンザの流行などで入域観光客の落ち込みは、この夏の美ら島総体の特需のおかげで入域観光客数は回復しつつありますが、価格競争が激しく消費額も低下傾向にあるのが現状です。また、修学旅行のニーズも変化し、その対応が求められています。これらを点検し魅力ある沖縄をアピールし観光振興に資するための取り組みについてお聞きをいたします。
(1)、減少傾向にある観光収入を取り戻し、さらに誘客を進める施策が求められています。その取り組みについて伺います。
(2)、観光客1人当たりの消費額向上についても大きな課題であります。魅力ある付加価値の高さでの戦略で臨むべきですが、その施策について伺います。
(3)、修学旅行等のニーズも変化をしています。その変化するニーズに対応できる仕組みづくりが求められています。その施策について伺います。
(4)、沖縄の魅力は青い海、青い空に象徴されるように大自然であり、この大きな観光資源である自然環境を保護し、自然体験やエコツアーをさらに推進すべきと思うが、その取り組みについて伺います。
(5)、カジノ・エンターテインメント導入については、検討委員会での意見はどのような意見があったのか。また、県民のコンセンサスを得なければならないというふうにしておりますけれども、現況をどのようにとらえているのか伺います。
4番目の離島振興に関してお聞きをいたします。
沖縄県の離島は、排他的経済水域や海洋資源の確保等、我が国の国土保全に大きな役割を果たし、豊かな自然及び文化・歴史的遺産はいやしの場の提供に大きな役割を果たしています。離島地域はその地理的・自然的条件から生活環境等で依然として格差があります。離島の持つ不利性の軽減に努めるとともに、離島の持つ優位性を伸ばしていく取り組みが重要であります。
以下お聞きをいたします。
(1)、島々の持つ魅力を最大限に生かした観光やあるいは交流等、活性化に向けた県の支援策について伺います。
(2)、医療・福祉の充実強化は早急な課題であります。特に医師不足は深刻であります。医師確保の取り組みについて伺います。
(3)、物流コストの低減、航空運賃の低減の取り組みについて伺います。
5番目の返還軍用地の跡利用対策に関してお聞きをいたします。
(1)、返還軍用地跡地については、良好な生活環境の確保、新たな産業の振興、健全な都市形成、交通体系の整備、自然環境の保全・再生など、沖縄振興のための貴重な空間として県土構築の再編を視野に入れた総合的かつ効率的な有効利用を図る必要があり、県土の均衡ある発展を目指しそれぞれの地域特性を踏まえた跡利用を促進する必要があるとしておりますけれども、その跡利用対策についての施策を伺いたいと思います。
○知事(仲井眞弘多) 仲宗根悟議員の御質問に答弁させていただきます。
まず第1に、産業振興に係る御質問の中で、さとうきびの生産振興対策についての御質問にお答えいたします。
沖縄県といたしましては、沖縄振興計画の中でさとうきびを沖縄県農業の基幹作物として位置づけております。農家経営の安定と生産振興を図っているところでございます。
具体的には、第1に、農業用水源の確保やかんがい施設、圃場整備等の生産基盤の整備、第2に、早期高糖性及び耐風性にすぐれた新品種の育成・普及、そして第3に、可動式誘殺灯によりますアオドウガネの防除、そして新薬剤や性フェロモンを利用しましたハリガネムシの防除、第4に、ハーベスターの導入等によります機械化の促進や生産法人等担い手の育成等々、生産性の向上に取り組んでいるところでございます。さらに、製糖施設の近代化やさとうきびの付加価値を高めた繊維やワックスなどの総合利用の事業化に向けて取り組んでいるところでございます。
同じく産業振興に係る御質問の中で、地産地消の取り組みと展開についての御質問にお答えいたします。
沖縄県におきまして地産地消を推進するため、「沖縄県地産地消推進計画」に基づき関係機関と連携をして、地産地消推進強化事業などを実施いたしております。
具体的には、第1に、市町村における地産地消推進計画の策定、第2に、35店舗の「おきなわ食材の店」を100店舗へ登録拡大、第3に、「花と食のフェスティバル」の開催、そして第4に、新たに2カ所のファーマーズマーケットの設置、第5に、親子料理教室及び農業体験の開催、そして第6に、地産地消シンポジウムの開催、第7に、フードアドバイザーや地産地消コーディネーターの配置など、量販店や学校給食等における県産食材の利用を促進しているところでございます。
さらに、「うちなー島ヤサイ料理コンテスト」これを実施し、伝統的食材の新しいメニューを開発するとともに、シークヮーサーなど地域の特色ある農産物の付加価値を向上させる加工モデルの構築など、地産地消の推進に取り組んでいるところでございます。
次に、雇用対策に係る御質問の中で、完全失業率の全国平均化に向けた振興策についての御質問にお答えいたします。
知事に就任以来4年間、「みんなでグッジョブ運動」の原動機として完全失業率の全国並みの達成に向け全力で取り組んでまいりました。その結果、世界不況の影響もあり全国的に経済・雇用情勢が厳しい中、平成18年とことし1月から10月までの平均を比較いたしますと、全国の就業者数が122万人減少する中、沖縄県の就業者数は2万4000人増加いたしております。失業率も全国が悪化する中で、わずかではございますが改善が見られております。
今後は、「みんなでグッジョブ運動」を継続しさらに強化して、企業誘致や産業の振興などによります雇用の場の創出、そして拡大に努めて、キャリア教育の推進を図るとともに、新たな制度を国に要求するなどいたしまして完全失業率の全国並み達成に向けて全力で取り組んでまいります。
次に、観光振興に係る御質問の中で、カジノ・エンターテイメント検討委員会での意見、県民のコンセンサスの現況いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
カジノ・エンターテイメント検討委員会では、カジノ・エンターテインメントの導入は、沖縄観光振興の有効な施策となる可能性が高く、自立経済構築に向けた起爆剤となり得るとの意見がある一方、ギャンブル依存症、そして青少年への影響、暴力団等組織悪の介入などの懸念事項に対して十分な対策が必要であるとの意見がありました。
また、カジノ・エンターテインメント導入につきまして県民からは、観光客数の増加や新規雇用の創出につながるなどの賛成意見がある一方で、犯罪の発生、青少年への悪影響、風紀の乱れなど地域環境への影響があるのではないかといった反対の意見など、さまざまな意見が出されているところでございます。
次に、離島振興についての御質問の中で、物流コスト及び航空運賃の低減の取り組みについての御質問にお答えいたします。
離島航空路線につきましては、航空機燃料税、着陸料及び航行援助施設利用料の軽減によりまして運賃の低減化が図られております。さらに、離島住民につきましては、県管理空港の着陸料の軽減措置により離島割引運賃制度が実施されております。中核病院や高校のない小規模離島を対象に航空運賃を低減する実証実験をことしの10月1日から実施いたしております。
また、物流コストにつきましては、石油製品輸送費等補助によりまして離島における石油製品の価格安定に努めているところであります。離島における物流コスト及び航空運賃の低減化につきましては、定住条件を改善し離島振興を図る観点から、その方策につきまして検討していきたいと考えているところでございます。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 産業振興の中で、農業農村整備事業の予算確保の取り組みについてお答えいたします。
本県農業の振興を図るためには、農業生産基盤の整備を計画的に進めることは重要であると考えております。このため、平成22年度の予算については、緊急総合経済対策により国庫ベースで9月補正で約1億7000万円、12月補正で約17億6000万円を計上しているところでございます。また、県といたしましては、平成23年度農業農村整備事業関係予算を確保するため、市長会、町村会等と連携して国に要請したところでございます。その結果、平成23年度の内閣府概算要求における農業農村整備事業関係予算は、国庫ベースで前年度に対し4%増の約193億円となっています。
なお、農林水産省においては新たに220億円の「戦略作物生産拡大関連基盤緊急整備事業」を概算要求しており、その事業の中で沖縄枠が確保できるよう、国に対して引き続き要請しているところであります。
同じく耕作放棄地の現状と取り組みについてお答えいたします。
平成21年度における耕作放棄地面積は2693ヘクタールで、全耕地面積3万9100ヘクタールの6.9%となっております。
県としては、耕作放棄地の再生利用を図るため、平成22年11月までに沖縄県耕作放棄地対策協議会や28市町村で地域協議会を設置しております。平成20年度から耕作放棄地対策事業により再生作業、土壌改良、営農定着等を支援し、平成21年度までに約73ヘクタールが再生されております。平成22年度は、地域協議会において耕作放棄地の出し手・受け手間の調整を図り、約150ヘクタールの再生作業のほか、土壌改良、営農定着等を支援する計画となっております。
今後、平成23年度を目途に農業上重要な地域を中心に、約350ヘクタールの耕作放棄地の再生を進めていくこととしております。
同じく含みつ糖の支援対策についてお答えいたします。
県産含みつ糖を取り巻く環境は、近年の経済不況のもとで輸入含みつ糖や再製糖との競合により、在庫を抱えるなど厳しい販売状況となっております。このため、県としては、町村やJA、黒砂糖工業会等で構成する「沖縄県含みつ糖対策協議会」で、毎年5月10日を「黒糖の日」として制定し、販売促進対策の強化などを図っているところであります。
具体的には、「機能性豊かな黒糖の可能性について」などの講演会やシンポジウムの開催、黒糖PR促進員を活用した沖縄黒糖の販売促進の実施、県外大手黒糖ユーザーとの情報交換・講演会の実施、沖縄産黒糖の海外販売展開、沖縄産黒糖を使用した新製品開発などに取り組んでいるところであります。
また、小浜糖業も含めた含みつ糖対策については、国の「沖縄含みつ糖対策検討チーム」と連携し、平成22年9月には交付金の早期概算払いの実施、12月補正において小浜島など製糖工場整備等の予算を計上するとともに、平成23年度含みつ糖振興対策事業費の増額概算要求などに取り組んでいるところであります。
さらに、含みつ糖支援の対策として、分みつ糖と同等な含みつ糖支援を図るとともに、黒糖と輸入含みつ糖及び再製糖との表示区分を明確にするよう、町村、JA、黒砂糖工業会等の関係機関と連携し国に要請しているところであります。
同じく魚礁の整備やつくり育てる漁業の推進についてお答えします。
県においては、水産業の振興を図るため魚礁の整備を計画的に進めるとともに、熱帯性の温暖な海域条件を生かして、モズク、クルマエビ、海ブドウ及びヤイトハタなどの養殖業を推進しております。魚礁の整備については、平成21年度末までに沈設魚礁を258カ所、浮き魚礁を63基設置しており、さらに、浮き魚礁については平成22年度から平成23年度までに12基を設置することとしております。養殖業の振興については、種苗生産技術の開発、モズクの生産安定技術の普及指導と消費拡大、ハタ類の防疫体制の強化と魚病対策、海ブドウのブランド化対策などに取り組んでいるところであります。また、海ブドウの生産技術の改良や品質基準の設定、サンゴ礁海域の特性を生かした「海の牧場」の調査を行い、つくり育てる漁業の振興に努めてまいります。
同じくTPPに関する要請の内容と政府の反応についてお答えいたします。
TPP(環太平洋経済連携協定)は、原則としてすべての品目で関税を撤廃することが前提となっていることから、国内の農林水産物に大きな影響が出ることが懸念されております。本県においても、さとうきび、パイナップルや肉用牛を初め農水産業に壊滅的な打撃を与えるばかりでなく、食品加工などの関連産業に至るまで多方面にわたり深刻な影響が出ることが懸念されております。
そのため、県では、去る11月8日に国民の食料安全保障の確保と国内農業への影響などの観点から、TPP交渉に参加しないよう適切に対応するとともに、農家が安心して生産に取り組めるよう万全の対策について農業団体と連携して国に対し要請を行ったところであります。
一方、国は、11月9日に「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定し、TPPについては「情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する。」として、交渉参加の判断は先送りされたところであります。また、「高いレベルの経済連携の推進と我が国の食料自給率の向上や国内農業・農村の振興とを両立させ、持続可能な力強い農業を育てるための対策を講じる」ことを目的として、内閣総理大臣を議長とする「食と農林漁業の再生推進本部」が設置されたところであります。
今後とも、TPP交渉等の動向や国の対応を踏まえつつ、関係機関等と連携し適切に対応してまいります。
以上でございます。
○観光商工部長(勝目和夫) 産業振興についての、中小零細企業の経営支援についての質問にお答えします。
沖縄県では、県融資制度を創設し、小規模企業者を対象とした小規模企業対策資金や商工業関係組合及びその構成員を対象とした組織強化育成資金等の金融支援を行うなど、各種経営支援を行っています。また、商工会や商工会議所等が行う金融・税務・経理などの各種相談・指導事業や、中小企業団体中央会が行う中小企業組合の育成及び指導事業に対する助成を行っております。中小零細企業の経営支援については、今後ともニーズに応じたきめ細かい取り組みをしてまいりたいと考えております。
産業振興についての中の、企業誘致の状況、今後の方向性についての御質問にお答えします。
企業誘致については、知事のトップセールスによる企業誘致セミナーの開催や県外事務所などによる個別企業訪問活動により、沖縄IT津梁パークには中核機能支援施設に10社、企業立地促進センターに2社の入居が決定しており、現在約200名が就業しております。また、特別自由貿易地域においては、現在25社が立地し、約430名の雇用が創出されております。
IT津梁パークにつきましては、今後とも企業誘致に取り組むとともに、積極的なIT人材の育成・交流を通して日本とアジアを結ぶ情報通信関連産業の新たな拠点形成を目指してまいりたいと考えております。
特別自由貿易地域等については、那覇空港・那覇港と連携して、新たな沖縄振興策において「国際物流経済特区」を創設し、税の特例、規制の緩和、財政支援等において従来以上の措置を講じ、航空・海運ネットワークの拡充や臨空・臨港型産業の集積に取り組んでいきたいと考えております。
同じく産業振興についての、ホテル建設やリゾートウエディングの進出状況についての御質問にお答えします。
現在、県が把握している県内の収容人員100人以上のホテル等宿泊施設は181施設となっており、そのうち県外及び外資系ホテルは76施設となっております。また、最近の動向としては、来年度中の開業に向けて那覇市、豊見城市などで4施設が建設中であります。
リゾートウエディングにつきましては、現在、県内において14社がブライダルプロデュース事業を行っており、そのうち県外企業は6社となっております。挙式数については、調査を開始した平成11年の200組から順調に増加し、平成20年には過去最高の9001組となっております。なお、昨年は景気低迷等の影響から8046組となっております。
雇用対策について、雇用環境の対策についての御質問にお答えします。
雇用環境の対策については、従業員の定着率の向上や雇用の安定、職業キャリアの安定を図るために失業率の改善とあわせて重要であると考えております。
そのため、県としては、ワーク・ライフ・バランスの推進や職場環境改善に向けた企業へのコンサルタントの派遣を行うとともに、国のキャリア形成促進助成金、中小企業子育て支援助成金などの制度の周知・広報等に取り組んでいるところでございます。
観光振興についての中の、観光収入増加対策及び観光客1人当たりの消費額向上に向けた施策について一括してお答えいたします。
観光収入の増加を図るためには、観光客数の増加とともに観光客1人当たりの消費額を高めることが重要と考えております。
沖縄県としましては、国内の観光客の誘致に取り組むとともに、アジアの富裕層の誘致や欧米・ロシアなど新たな海外市場での誘致活動を強化し、観光客数の増加を図ってまいります。また、MICEや音楽・映画などをテーマとした国際的なイベントの開催や、医療・スポーツ・文化などを活用した付加価値の高い新たな観光メニューの開発などに取り組み、1人当たりの観光消費額の増加を図り観光収入の増加に努めてまいります。
同じく観光振興の中の、修学旅行のニーズへの対応についての御質問にお答えします。
沖縄県では、修学旅行のニーズの動向等を把握するため、沖縄観光コンベンションビューローの東京事務所に修学旅行担当者を配置するとともに、県外で開催する修学旅行説明会を通じて情報収集を行っております。
沖縄の修学旅行については、自然体験や平和学習などの評価が高い一方、民泊等による地元の人々との交流など、新たなメニューに対するニーズが高まってきております。
県としましては、このような修学旅行のニーズに対応するため、修学旅行担当教諭を対象にしたプログラム体験の実施や各地域における着地型観光メニュー開発のための人材育成等に取り組んでおります。
同じく観光振興についての、自然体験やエコツアーの推進についての御質問にお答えします。
沖縄県としましては、沖縄観光を持続的に振興していくためには、自然、文化、歴史などの資源の保全と調和のとれた質の高いエコツーリズムを推進する必要があると考えております。そのため、地域の資源を保全・利用するためのルールを関係事業者間で定める保全利用協定の締結を促進してきたほか、市町村におけるエコツーリズム推進法に基づく計画の策定を支援してきたところであります。
また、沖縄県が作成したエコツーリズムガイドラインの普及や自然環境に配慮した優良体験プログラムの情報発信に努めております。さらに、市町村が実施する自然環境の保全と活用に関するルールづくりや、環境に配慮した観光利便施設等の整備など、受け入れ体制の強化についても支援しているところでございます。
以上でございます。
○土木建築部長(仲田文昭) 産業振興についての御質問で、国・県発注の公共工事の発注率向上のための取り組みについてお答えいたします。
県は、これまで「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」に基づき、県内企業への優先発注及び受注機会の確保に取り組んできたところであります。
具体的には、工事の内容や現場条件等を勘案し可能な限り分離・分割発注を行うとともに、県内企業で施工が困難な大規模かつ技術的難易度の高い工事についても、県外企業との共同企業体方式によって県内建設業者の受注機会の確保に努めております。また、国等が発注する公共工事についても分離・分割発注や入札参加資格要件の緩和等について要請を行っており、その結果、沖縄総合事務局や沖縄防衛局において受注機会の拡大が図られております。
県といたしましては、今後ともあらゆる機会を通して県内建設業者の受注機会の拡大に努めてまいります。
同じく産業振興についての御質問で、米軍発注工事の県内企業の受注拡大の取り組みについてお答えいたします。
米軍発注工事の受注につきましては、関係部局で構成する「米軍発注工事ワーキンググループ」において、米軍発注機関や保険会社、金融機関、建設業界等に対するヒアリングを実施するなど、現状把握や課題整理を行ってきました。これらを踏まえ、今後、ボンド支援制度創設の可能性も含め、新たな仕組みや支援策について検討しているところであります。
以上であります。
○企画部長(川上好久) 離島振興についての御質問の中で、離島地域の活性化策についてお答えいたします。
沖縄県の離島地域は、豊かな自然や独自の文化などのさまざまな魅力を有しており、これらを再評価して生かすような取り組みが離島の活性化を図る上で重要であると考えております。このため、県においては、「自然・伝統文化を活かした交流促進事業」や、専門家を活用し支援を行う「離島活性化総合支援モデル事業」などにより、地域の資源を活用した交流の促進や特産物の開発支援等に取り組んでいるところです。また、平成21年度からは離島の特産品を一堂に集めた販売店「島人ぬ宝プラザ」を2店舗設置し、特産品の販売促進を行っているところです。さらに本年度は、沖縄本島の児童生徒を離島に派遣し体験学習等を実施する「離島体験学習促進事業」や「離島地域着地型観光推進事業」を創設し、離島と本島等との交流促進や観光商品の開発等を進めているところです。
県としては、引き続きこれらの離島の特性を生かした諸施策等を推進し、離島地域の活性化を図ってまいりたいと考えております。
次に、返還軍用地の跡地利用対策についての御質問にお答えいたします。
平成8年のSACO最終報告等により、多くの駐留軍用地の返還が予定されておりますが、特に、嘉手納飛行場より南の大規模な基地返還による跡地は、新たな沖縄の発展のための貴重な空間であり、その有効利用は県土構造の再編と沖縄全体の振興につながるものであります。このため、県では、跡地関係市町村と連携し、今年度から2カ年計画で中南部都市圏の返還予定基地すべてを総括する広域的な跡地利用構想を策定するものとしております。本構想の中で、骨格的道路や公共交通システム、大規模公園等の都市基盤の整備などを位置づけ、跡地への産業振興拠点形成や高次都市機能の導入を促進し、沖縄全体の振興に資するものとしていきたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 離島振興についての御質問の中の、離島における医師確保についてお答えいたします。
県におきましては、離島における医師確保を推進するために、自治医大への学生の送り出し、県立病院の後期臨床研修における専門医の養成等を行っております。また、琉球大学医学部との連携により地域枠を設置し、医師修学資金を貸与することで、将来、離島・僻地の医療機関で勤務する医師を確保することとしております。さらに、離島・へき地ドクターバンク等支援事業を実施し、県内外からの医師の確保を図っております。
以上でございます。
○仲宗根 悟 それでは幾つか再質問をさせていただきます。
農林水産部長のほうにお願いをいたしますが、農業振興を図るためにはこの基盤整備は非常に重要であります。予算獲得、ことしは4%増しだというようなことで非常に努力をされているなというのがうかがえますが、またより一層頑張っていただきたいと、こちらはエールを送りたいというふうに思っています。
耕作放棄地に関してでありますけれども、地域協議会の中でもこの解消に向けて話し合いが持たれて解決に向けて取り組まれているというようなことなんですけれども、どうも私は市町村までは落とし込まれていないんではないのかなという気がしてならないんですね。実は、圃場の拡大、それから仕事をしたいが圃場がないと、放棄地がいっぱいあるのにもかかわらずそういった声があると。なかなか地主とコンタクトがとれないとか、行政が間に入っていただきたいという声があるものですから、なかなか耕作放棄地についての解消に至らないのではないのかなと私自身思っているんですよ。
もう一つは、ある程度の強制力を持たせるべきではないかなというふうに、前にも質問をしたんですが、その辺の必要性はどう感じておられるのかお伺いをしたいと思います。
含みつ糖の件ですが、表示の部分で差別化を図っているというようなことではあるんですけれども、私も先月石垣市のほうへ行ってまいりまして、公設市場の販売員の皆さんにお聞きをいたしましたら、懇切丁寧に販売員の皆さんが――一人一人当たったんですが――説明をちゃんとしてしっかりしております。そういう部分からすると非常に説得力があるなというふうに感じましたが、那覇に帰ってきてこの国際通りを歩いてきて、お砂糖の話を聞きますと、やはり皆無の状態といいますか説明が非常に不十分といいましょうか、そこまで至っていないんですよ。ですから、この辺も工業界等を通してこういった学習会なり、ちゃんとしっかりこの説明ができる販売員を育てるような仕組みづくりも私は必要じゃないかなというふうに思っています。この辺はいかがでしょうか。
中小企業の支援の取り組みなんですけれども、中小零細企業が本県の地域貢献に大きく寄与したということは非常に周知のとおりでありますが、まさに経済不況をもろに受けて厳しい経営環境を余儀なくされていますけれども、融資枠に対するその融資執行率がかなり私は低い状況じゃないのかなと思っています。せっかく融資枠を設けても使い勝手が悪いのか、あるいは融資条件のハードルが高いのか、この辺を円滑にできるようにその施策についていただきたいと思うんですが、この辺いかがでしょうか。
あと一つ、沖縄IT津梁パーク事業での民間IT施設ですね。その建設のための事業者に貸し付けている土地賃貸料を現行の半分以下に引き下げて企業の進出やあるいは雇用拡大を促す目的としているんですが、半額以上にしたことによって、入居見込みは一体全体どうなっているのか、その辺をお聞きしたいと思います。そして現在の入居企業の賃貸料ももちろん安くなるわけですけれども、全体で年間どれぐらいの額が変化をするのか、こちらもお聞かせをいただきたいというふうに思います。
以上です。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後4時33分休憩
午後4時35分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
農林水産部長。
〔農林水産部長 比嘉俊昭君登壇〕
○農林水産部長(比嘉俊昭) 再質問にお答えします。
耕作放棄地に対する不在地主に対しての強制力いかんということでございましたけれども、強制力については今の法律上ございません。
県としては、県の協議会がございますし、それから先ほど説明しました地域協議会、これは市町村、JAなどが入っておりまして、引き続き県の協議会と地域の協議会で連携をしましてしっかり耕作されてない土地については、利用できるように地主ともいろいろ御相談をしていきたいというふうに思います。
それから黒糖の販売対策につきましては、今現在緊急雇用でPR推進員というのを配置しておりまして、その中で販売の状況あるいは基準などについてもしっかり販売先、あるいは使う側にもPRしていきたいなというふうに考えています。ちなみに、黒糖の表示についてですが、これまで国に要請した結果、黒糖の入ってないものに対して、加工黒糖という表示はできない旨の「Q&A」が11月4日に消費者庁から出されております。そういうこともありますので、そこも含めてしっかり販売対策については関係機関と連携して取り組んでいきたいと思います。
以上でございます。
○観光商工部長(勝目和夫) 中小企業の貸し付けの条件のハードルが高い、使い勝手が悪いというお話などは、いろいろ議会等でも質問を受けておりまして、確かに執行率が十分でないという面は事実ございます。我々としては、これまで期間を8年から10年にするとか、利率をよくするとかいうふうに少しずつではあるが改善してきているところも一部ありまして、一応金融機関と協調して執行しているところもありまして、この連絡会は持っておりますのでこの連絡会でさらなるそういう改善、要求あたりを議論して改善を図っていきたいというふうに考えております。
それからIT津梁パークにつきましては、土地代が安くなるというようなお話は、これは周りとのバランス上のことで、不当に安くしているわけではないんです。民間ビルをここに建設してそこに入居を図ろうというための目的でありまして、他の賃料との影響、その賃貸工場とかこういったものとの影響ではなくて、新たに民間ビルを建てさせるような仕掛け・制度の中でやっておりまして、他との関係はありませんので、我々としてはそこに企業が入居して目的どおり8000人の雇用が生まれる環境、IT津梁パークを当初目的どおり推進させていくための一つの仕掛けだというふうに御理解していただければと思います。
以上でございます。
○議長(髙嶺善伸) 以上で本日の代表質問は終わりました。
本日の日程はこれで終了いたしました。
次会は、明15日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後4時40分散会