○議長(新里米吉) ただいまより平成30年第6回沖縄県議会(臨時会)を開会いたします。
――――――――――――――
○議長(新里米吉) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります……
○新垣 新 議長、休憩願います。
○議長(新里米吉) 休憩いたします。
午前10時5分休憩
午前10時8分再開
○議長(新里米吉) 島袋 大君。
○島袋 大 緊急動議を提案したいと思っております。
今、新垣新議員が休憩中にお話しした内容でありますけれども、県庁内のこういった選挙運動期間中で、こういう選挙違反がまさしくわかるような、掲示板を使って県庁総ぐるみでやっているこの活動に関して、我々は早急に対応する、対応していただきたいということで動議を申し入れたいと思っております。ひとつ公正公平に、これ議会として我々は判断しないといけないと思っております。県庁内部でやりたい放題させていいのかという話ですよ。こういうのをしっかりと公務員法にもろもろ抵触するのか、そういった議論も含めて我々の動議でありますので、しっかりとこれ引き取っていただいて早急に対応していただきたいと思っております。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(新里米吉) 休憩いたします。
午前10時9分休憩
午前10時17分再開
○議長(新里米吉) 再開いたします。
日程に入ります前に申し上げます。
去る8月8日、知事翁長雄志氏が逝去されました。
つきましては、翁長知事の長逝に対しまして哀悼の意を表し、その御冥福を祈るため黙禱をささげたいと思います。
全員御起立願います。
黙禱。
〔全員起立 黙禱〕
○議長(新里米吉) 黙禱を終わります。
御着席願います。
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○議長(新里米吉) 次に、報告いたします。
本日、知事職務代理者から、お手元に配付いたしました議案3件の提出がありました。
その他の諸報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
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〔諸般の報告 巻末に掲載〕
――――――――――――――
○議長(新里米吉) 日程第1 会議録署名議員の指名を行います。
今期臨時会の会議録署名議員は、会議規則第121条の規定により
28番 照 屋 大 河 君 及び
36番 座喜味 一 幸 君
を指名いたします。
―――――◆・・◆―――――
○議長(新里米吉) 日程第2 会期の決定を議題といたします。
お諮りいたします。
今期臨時会の会期は、本9月20日の1日といたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新里米吉) 御異議なしと認めます。
よって、会期は、本9月20日の1日と決定いたしました。
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○議長(新里米吉) 日程第3 甲第1号議案、乙第1号議案及び乙第2号議案を議題といたします。
知事職務代理者から提案理由の説明を求めます。
富川知事職務代理者。
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〔知事提出議案 巻末に掲載〕
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〔知事職務代理者 富川盛武君登壇〕
○知事職務代理者(富川盛武) ハイサイ グスーヨー チューウガナビラ。
平成30年第6回沖縄県議会(臨時会)の開会に当たり、提出いたしました議案について、その概要及び提案の理由を御説明申し上げます。
今回提出しました議案は、予算議案1件、条例議案2件の合計3件であります。
まず初めに、甲第1号議案「平成30年度沖縄県一般会計補正予算(第1号)」は、条例議案として提案しております「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」による県民投票の実施に要する経費として、5億5139万4000円を計上しております。これを既決予算額7310億4800万円に加えた改予算額は、7315億9939万4000円となります。
次に、乙第1号議案「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」について御説明申し上げます。
去る9月5日、地方自治法第74条第1項に基づき条例の制定請求がなされ、これを受理したことから、同条第3項の規定により議会に付議するものであります。
また、議会に付議する際は意見をつけることとなっておりますので、以下それについて申し上げます。
地方自治法第74条による直接請求は、間接民主主義を補完し、住民自治の徹底を期するものであります。
本条例の制定請求は、請求に必要な署名数を大きく上回る約9万3000筆の署名をもってなされました。これは、県民投票を通じて、辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否についての意思を表明し、その結果を県政に直接反映させたいという多くの県民の思いのあらわれと考えております。
翁長前知事は、県民投票について、県民投票が実施されれば、県民一人一人が改めてその意思を明確に示すことができるため、今回の県民投票は意義があるものと考えておりますと述べておりましたが、私も同様に意義があるものと考えております。
なお、本条例案については、条例制定請求の趣旨を逸脱しない範囲で、市町村の事務の明確化、字句の整理等法制面から所要の修正が必要であると考えております。
次に、乙第2号議案「建築基準法施行条例の一部を改正する条例」について御説明申し上げます。
建築基準法の一部が改正されたことに伴い、建築の認定等の申請手数料の徴収根拠を定める必要があるため条例を改正するものであります。
以上、今回提出いたしました議案について、その概要及び提案の理由を御説明申し上げました。
慎重なる御審議の上、議決を賜りますようお願い申し上げます。
ユタサルグトゥ ウニゲーサビラ。
○議長(新里米吉) 知事職務代理者の提案理由の説明は終わりました。
――――――――――――――
○議長(新里米吉) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新里米吉) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
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○議長(新里米吉) 日程第4 条例制定請求代表者の意見陳述の件を議題といたします。
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〔条例制定請求代表者の意見陳述の件 巻末に掲載〕
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○議長(新里米吉) 先ほど知事職務代理者から提案理由の説明がありました議案のうち、乙第1号議案「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」については、地方自治法第74条の規定による条例制定請求に基づく議案であります。
本案の審議を行うに当たっては、同条第4項の規定により、議会は、条例制定請求代表者に意見を述べる機会を与えなければならないとされており、その方法等について決定する必要があります。
お諮りいたします。
条例制定請求代表者の意見を述べる機会については、お手元に配付いたしました文書のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新里米吉) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
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○議長(新里米吉) なお、本件については、地方自治法施行令第98条の2の規定により、条例制定請求代表者に対し、意見を述べる機会を与えるときは、その日時、場所その他必要な事項を通知するとともに、これらの事項を告示し、かつ、公衆の見やすいその他の方法により公表しなければならないとされておりますことから、諸手続のため、暫時休憩いたします。
午前10時27分休憩
午前11時0分再開
○議長(新里米吉) 再開いたします。
休憩前に決定いたしました件に基づき、条例制定請求代表者から意見陳述の申し出がありますので、順次発言を許します。
なお、意見陳述の時間は、陳述者合計で30分以内といたします。
元山仁士郎君。
〔条例制定請求代表者 元山仁士郎君登壇〕
○条例制定請求代表者(元山仁士郎) ハイサイ グスーヨー チューウガナビラ。
沖縄県知事選、選挙期間中ぴりぴりしている中、お集まりくださり、まことにありがとうございます。
私は、「辺野古」県民投票の会代表を務めております元山仁士郎と申します。
私は、祖父、おじいちゃんが奄美・喜界島の出身なのでヤマト風の名字がついておりますが、生まれ育ちは沖縄宜野湾市でございます。その祖父と結婚したおばあちゃん、祖母は宮古島出身、母方の祖父母はヤンバル東村、名護市の出身でございます。
このたびは、「辺野古」県民投票の会で集めた署名が10万950筆と10万筆を超え、その内容、そのうち各市町村の選挙管理委員会の審査で有効署名とされたものが9万2848筆と法定必要署名数の2万3171筆を大きく上回ったため、沖縄県へ直接請求する、皆様の前で意見陳述を行う機会をいただきました。この場をおかりして、改めて御協力いただいた沖縄県民、ウチナーンチュ、シマンチュ、政党、団体、企業の皆様に感謝申し上げたいと思います。
私は、生まれたときから米軍普天間基地が家のそばにあり、米軍ヘリやジェット機が通るたびに、寝ていたら目が覚める、テレビの音が聞こえなくなる、高校の授業が中断する、そういった日常を過ごしていました。小学校低学年まではうるさいと飛行機に向かって叫んでいたのですが、高学年になると見向きもしなくなり、だんだん感覚が麻痺していっておりました。
普天間基地、沖縄の基地集中の異常さに気づいたのは、大学進学のために東京に出てからでした。周りの友達から、実際普天間基地、沖縄の基地問題ってどうなのということを問われ、何も知らなかった、教えられなかった私は、自分で本を読み、周りの友達、教授と話をしながら基地について勉強していきました。そして、沖縄の歴史、現状、あるべき政治、民主主義の姿を知れば知るほど、自分のそれまでの日常が異常だということに気づかされました。
その後、さまざまな取り組みをやってまいりましたが、県民投票を本格的にやろうと思ったのは、約5カ月前の4月の頭でした。去年、2017年11月に大学の学部のときにお世話になった成蹊大学法科大学院で行政法を専門にする武田真一郎教授から県民投票の話をお聞きしたのがきっかけでした。その後、沖縄県内で勉強会を重ね、4月頭に今通っている一橋大学の大学院を1年間休学して県民投票を実現する動きに従事することを決断しました。大学院を休学する際は、親とけんかをしたのですが、最後は沖縄のためにあなたのやりたいことをやりなさいと言われて休学して県民投票の動きを担うことになりました。そして、4月16日に県民投票の実現を目指す「辺野古」県民投票の会を立ち上げました。
私が県民投票を実施しようと思ったのは、世代間の対話、島々の対話を実現したいと思ったからです。私の祖父母もそうなんですけれども、アジア・太平洋戦争、沖縄戦体験者の平均年齢が80歳を上回ったと言われ、沖縄戦、戦争の記憶が薄れる中、戦争とそれからそれに密接している基地にどういうふうに向き合っていくのか、考えていくのか。沖縄戦の体験者が生きているうちに、これからを担う私たち若い世代がぜひ戦争というものを知り、今ある基地について考えるきっかけをつくりたいと思いました。これが世代間の対話です。私自身も署名をもらう際に、祖父母から戦争について、基地について彼らの意識を認識を聞くことができ、また、回った島々でも戦争について、また基地について、特に辺野古の米軍基地建設埋め立てについて意見を交わすことができました。
もう一つ、最後の点にかかわるんですけれども、島々の対話というのは、基地問題、特に辺野古米軍基地建設のための埋め立てについて、いわゆる沖縄本島のみならず、いろんな島々に住む人たちがそれぞれどのような意識を持っているのか、持っていないのかということを知りたい、実際に話してみたいという思いで掲げました。宮古島、石垣島、与那国島、南北大東島など島々に直接足を運び、時には御協力いただいた方と一緒に回って署名を集めるということもしたんですけれども、そういった協力者がいない島では、自分で自転車を借りて島を回りながら一軒一軒訪ねて回って署名をいただいた次第です。全市町村で条例の制定要件である2%を上回ることができました。そのことからもおわかりになるように、それぞれの島に辺野古、あるいは沖縄に思いを寄せる、関心を持つ人々がおり、改めて基地問題への関心の高さ、沖縄の一体感というものを感じることができました。
沖縄の普天間で生まれ育ち、東京に出て勉強したことで私は基地問題に関心を持つようになり、県民投票を現在沖縄にある課題の解決のために実現しようと思ったと、そういうことをお話ししました。
県民投票の意義について、最後お話をしたいと思います。
県民投票の意義は、意見が割れている辺野古米軍基地建設の埋め立てについて、沖縄県民がしっかりと判断材料を得て議論をし、できるだけ多くの有権者である沖縄県民が意思を示すことにあります。皆さんは、有権者の負託を得て沖縄県議会議員になられているかと思いますが、どのような事柄、政策にどれだけの支持があるのかないのかということをお考えになられたことはありますでしょうか。
一つ申し上げたいのは、この県民投票は皆さんが議員であること、間接民主制を否定するものではなく、補完・補強していくものであります。この県民投票を機会に、有権者は辺野古米軍基地建設の埋め立てについて、何をどのように望んでいるのかということを明らかにする。それに基づいて政治家、沖縄県議会議員の皆様に動いていただく。間接民主制によって選ばれた皆様、沖縄県議会議員と、直接民主制として住民投票、県民投票というのは、車の両輪のようなものだと私自身は考えています。
県民投票は、そのプロセスも大変重要です。賛成、反対の方々がお互いに主張を交わして、主権者である沖縄県民一人一人が考える、周りの人と話をする。そしてしっかりと判断する、意思を示す。そのことがこの民主主義社会において、沖縄の未来にとっても何よりも重要なことだと考えております。今後開く討論会、シンポジウム、勉強会では、ぜひとも賛成、反対、両方の立場の方々から御意見を伺いたいと思っております。ぜひともそれぞれの立場に立つ議員の先生方にも御登壇いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
私自身も納得のいく説明があれば賛成をすることもあり得ると考えております。ただ、軍事的に沖縄である必要はないが、本土の理解が得られないから辺野古が唯一という、納得のいく説明のないままに工事が強行されることは問題だと私自身は感じています。はびこるデマやフェイクニュースをただし誤解を払拭することや、日本に向けて発信することも大変重要なことだと思っています。
私たち若い世代の未来は、ここにいる沖縄県議会の皆さんのお一人お一人にかかっています。県民の代表者たる沖縄県議会議員が真摯にこの辺野古県民投票の条例案を沖縄県民の民意を酌んで議論し、審議をして速やかにこの辺野古県民投票条例を可決制定すること、そして県民投票が早期実施されることを期待しております。どうか皆様お一人お一人の良心に悔いのない、それぞれが信じる神や仏、ウヤファーフジに背くことのない行いをしていただきたいと思っております。
きょうは、本当にお忙しい中、まことにありがとうございました。イッペー ニフェーデービタン。ありがとうございました。
○議長(新里米吉) 平良美乃さん。
〔条例制定請求代表者 平良美乃さん〕
○条例制定請求代表者(平良美乃) ハイタイ グスーヨー チューウガナビラ。
沖縄県議会議員の皆様、こんにちは。
私は、「辺野古」県民投票の会の請求代表者の1人であります現在琉球大学大学院修士課程2年生、平良美乃と申します。
私が基地問題に関心を持ち始めたのは、つい4年前でした。それまで自分ごととして基地問題を捉えられていなかった私は、何か大切なことが失われていくような危機感を覚えました。ウチナー、これからどうなっていくのかと。それはウチナーの文化、そして、ワッターウチナーンチュのアイデンティティーの軸となるしまくとぅばの消滅の危機と強く関係していました。しまくとぅばをわからない私たち世代は、この島のウヤファーフジたちの歴史を学ぶ機会がないまま大人になり、米軍基地が存在していることに対して何も違和感なく過ごし、米軍基地の何が問題なのかわからないままになってしまっています。
4年前、故翁長雄志さんが県知事になったときには、辺野古の海が守られる、新たに軍事施設がつくられるのをとめられたと涙が出るほどに喜びました。しかし、この4年間の出来事はチムヤミーするようなことばかりでした。デマばかりがあふれる社会、そんな中で私たちはもっと自分の目で見て確かめて、SNS上でなく目と目を見て話し合い、判断・決断できる力を磨く必要があると思います。
先輩方からすると、確かにこれまで何度も何度もワッターの土地、自然を守る、子や孫の世代に戦争につながる基地を残したくないという意思表示をしてきたかもしれません。それでも今、基地反対の抗議活動や集会といった場に若者世代は多くありません。それはなぜでしょうか。私たちは沖縄戦前戦後、基地にかかわるこれまでの問題を学ぶ機会を必要としています。自分の力で考え抜いたり、現状に真正面から向き合ってほかの意見を持つ人と意見を交わし合う、そんな時間も必要です。
今回さまざまな意見が飛び交う中で、県民投票に私が参加しようと決めた理由は、ワッターウチナーンチョー、どんなときでも力を合わせてできることをやっていきたいと思ったからです。さまざまな分野を考えなくてはいけなかったり、ある一定の人に投票する選挙と違って、基地、辺野古の埋め立てに関してという考えなくてはいけないことが絞られた県民投票は、基地や埋め立てのことをもっとシンプルに考えることができる可能性を感じました。実際に、私も署名を集める中で、県民投票というキーワードを切り口に、普段基地問題について話さないような人ともちょっとした会話の中で話すことができました。また、同世代の新たなつながりも広がりました。賛成の人、反対の人、またまだよくわからない人、腹を据えて議論ができるウチナーになってほしいと思っています。
ワッターウチナーンチュ、若者世代はウチナーの歴史を学び、一度自分の中のウチナーアイデンティティーに気づくことができたら、ウチナーを分断させようとしている見えない何かに立ち向かうことができる力を持っています。若者がウチナーの未来を語り合えるような社会になってほしい。それはこれから先10年、20年、30年、40年、100年、200年先、また7世代先を考えて行動していくそんなつながりを広げていきたいと思っています。県民投票はそのプロセスの大きな一歩であると思います。
これで以上になります。
沖縄県議会議員の皆様、ジヒ マジュン チムアーチ イチャビラヤータイ。ユタサルグトゥ ウニゲーサビラ。ニフェーデービル。
○議長(新里米吉) 安里長従君。
〔条例制定請求代表者 安里長従君登壇〕
○条例制定請求代表者(安里長従) クヨーム ナーラ ケーラネーラ。
八重山出身ですので、八重山のしまくとぅばで挨拶させていただきました。
請求代表者の1人であり、県民投票の会の副代表、そして職業としては司法書士をしております安里長従と申します。
県議会議員の皆さん、本日はよろしくお願いいたします。
県民投票に対して、沖縄は既に民意を示しているという意見があります。しかし、一昨年の9月の承認取り消しにおける福岡高裁那覇支部の判決は、平成22年以降の各種選挙において本件新施設建設に反対する候補者が多く当選していることなどを詳細に事実認定し、沖縄では基地の整理縮小を求める民意が形成されてきたことが認められるとして、そして、このような民意は沖縄県の特殊事情に基づくものとして十分考慮されるべきものであるということを言っています。
しかしながら、本件埋立事業によって設置される予定の本件新施設は、普天間飛行場施設の半分以下の面積であって、その施設予定地はキャンプ・シュワブの米軍使用水域内であることを考慮すれば、沖縄県の基地負担の軽減に資するものであり、そうである以上、本件新施設等の建設に反対する民意には沿わないとしても、普天間飛行場その他、基地負担の軽減を求める民意には反するとは言えないし、両者が二者択一の関係にあることを前提とした民意がいかなるものであるかは証拠上明らかではないというふうに述べております。
つまり裁判所は、沖縄の民意には、基地負担軽減を求める民意、それと辺野古新基地反対の民意があり、このような民意は沖縄県の特殊事情として十分考慮されるべきものであるんだけれども、各種の選挙結果からも沖縄の民意はどちらなのかよくわからないということを言っているわけです。したがって、辺野古新基地建設のための埋め立てについて賛否をシングルイシューで、県民投票で沖縄の民意を明確に示す必要があります。
県民投票は、辺野古埋め立てに賛成か反対かをシングルイシューで問うということは、結果のみが重要なのではなくて、その投票に向けて賛成、反対の理由を議論し深めることが民主主義の根幹としてとても大切です。単なる世論調査ではないということです。例えば、本土の理解が得られないから沖縄という議論があります。これは歴代政府高官、防衛大臣、アメリカのSACO合意当時の政府高官が述べていることです。例えば、日米合意当時のウイリアム・ペリー国防長官とかモンデール元駐日大使、リチャード・アーミテージ元国務副長官などの、アメリカは沖縄と言っていない、日本側は沖縄県外の移設にとても消極的だった、日本政府は沖縄を主張した、日本政府が別のアイデアを持ってくれば私たちは間違いなく耳を傾ける、これは政治的、経済的な問題であり、主に日本人や日本政府にとっての問題であるという旨の口述記録がそれを裏づけております。本年2月、安倍首相が予算委員会で、移設先となる本土の理解が得られないなどさまざまな事情で目に見える成果が出なかったのが事実だということを述べていました。つまり一国の首相が普天間基地の県内移設の理由に本土の理解が得られないことをみずから認めたということになります。
県民投票は、地方自治法で法的に保障されたものであって、仮にそれを阻止しようとすることがあれば、それは非民主的なものということになります。法哲学者の長尾龍一さんという方がいらっしゃいますが、その方は少数者にも流動的少数者と固定的少数者がいるといいます。前者は、競争の自由が保障されれば将来多数者になる可能性を持ちます。しかし固定的少数者は、ずっと固定的少数者だということです。例えば、沖縄と本土の問題、日米安保に当てはめて考えてみます。今や8割を超える方々が日米安保を支持して、日米安保の即時破棄を求める世論は数%にすぎません。それは圧倒的な流動的少数者です。しかし、次のラウンドで、政治的なラウンドで多数者になれるという意味合いにおいては、それは流動的少数者ということになります。しかし沖縄は、幾ら衆参両院で自分の主義主張に沿う国会議員を選んだとしても、国会においては絶えず少数者になっており、人口も日本全体の1%にしかすぎません。ですので、多数決によれば常に敗北する運命にある固定的少数者、これを多数決でその固定的少数者である人たちの自由と自治を奪ってはならないということが近代民主主義の根幹にあります。これを保障したのが憲法95条です。住民の同意なしに特定の地方自治体の自治権を制限することを防止するために規定されているものです。県民投票は憲法95条の趣旨にも基づくものになります。
したがって、議論を深める中において、本土の理解が得られないからということの不合理な区分、これは法律の世界では差別というんですけれども、それでいいのかどうか、それでも仕方ないというのか、また違う議論があるのか。代替地の問題、じゃ代替地はどうするんだという話がありますけれども、それは代替地の選定という問題ではなくて代替案という認識、環境の問題です。認識というのは、軍事的に沖縄でなくてもいいという議論であって、環境というのは、県外・国外という柔軟な代替案の議論ができる状態を言います。
沖縄のみならず民主主義のあり方を左右するこの問題というものは、県民投票で真に求められているのは本土の人たちも含めた国民的議論を求める機会にする絶好の機会です。情報公開、丁寧な説明がとても大切です。賛成であり反対であり、ワークショップや公開討論など投票に先立つこうした議論を通じていくことがとても重要です。民主主義の基本である参加と包摂により事実をきちんと認識し、フェイクや思い込みを払拭し議論を深め、問題を隠そうとせず民主主義と説明責任から逃げずに、分断された共同体を再生し乗り越えようじゃありませんか。そのためには県民一人一人がみずから主体的に考えて民意を示すこと、それが沖縄の未来をつくるものだと信じています。
この問題はイデオロギーの問題ではありません。憲法が保障する民主主義の問題です。与野党問わず、ぜひ県民投票条例制定に御協力のほどよろしくお願いいたします。
御清聴ありがとうございました。シカイトゥ ミーファイユー。
○議長(新里米吉) 新垣 勉君。
〔条例制定請求代表者 新垣 勉君登壇〕
○条例制定請求代表者(新垣 勉) 私は、会の副代表を務めております弁護士の新垣勉といいます。よろしくお願いします。
議員の皆さん、御発言をお聞きになられてフレッシュな感じを受けたのではないでしょうか。私は、若い人たちが中心になった新しい動きがこの沖縄の中で生まれているということを実感し、この会に参加をいたしました。御発言を聞いておわかりのように、県民投票を求める運動の中には多様な意見があります。私は、埋め立てに反対する意見を持つ者ではありますけれども、県民の中にさまざまな意見があることをよく知っております。こういう多様な意見を一つにまとめるというのが県民投票の大きな目的であり意義であります。皆さんが県議会で県民投票条例を審議されて成立させますと歴史的な意義を持つ条例が誕生することになります。
明治以来の議会、民主主義の歴史をひもといてみてください。県レベルで国策に抗するための県民の意思を県民投票という合法的な手続で明確にした事例はありません。大田知事時代にこの沖縄において日米地位協定の見直し、米軍基地の整理縮小というテーマで1度県民投票を実施した実績があります。しかし、この県民投票と今回の県民投票は、はっきりと性格を異にしています。大田さんの時代の県民投票は、国が所管する事項について県民の意思を問う、どちらかというと県民の要望を明確にするという性格を持つものでした。しかし、今回審議をお願いしている県民投票は明らかに異なります。どこが異なるのか。第1点は、県知事が所管する埋め立てに関する県民投票であるという点であります。ですから、条例が制定されますと知事は条例に拘束されることになります。ここがはっきりと違うことをぜひ御理解いただきたいと思います。
この沖縄の歴史は、歴史家によっていろいろ位置づけられておりますけれども、少なくとも私たち県民が復帰後同じように感じている問題があります。それは何か。それは、この沖縄が差別されているのではないのか、本土と平等に扱われていないのではないのかという不信であり疑問点です。国策に翻弄されるこの沖縄を解放したい。国策に抗するための方法をこの沖縄はいろんな形で歩んでまいりました。間接民主制のもとで内閣が成立し、内閣が国策を実行する中で地方とのさまざまなあつれきを生み、矛盾を生み出しております。私は、国策の抱える問題点を民主主義の原理に基づいて直接解決する方法は、地方自治法が定める直接民主制の制度に基づいて、一つの国策に対して明確にその地域の民意を明確にすること、これ以外にないのではないかと考えています。その意味で沖縄で辺野古の埋め立ての是非を問うという県民投票条例が制定され、それに基づいて県民投票が行われて県民の明確な民意が示されることになりますと、我が国の近代史の中で大変画期的で歴史的なことが起きると思います。
今日、民主主義に対する不信や疑問が広くあります。そういう状況の中で改めて私たちは、民主主義の原理に基づいて直接民主主義の県民投票に基づいて沖縄の民意を示すことが国策に対する審判を下すことになり、誤った国策を正す大きな武器になると思います。その意味で私たちのこの県民投票を求める運動は、民主主義の原点に立つ運動であると同時に、議会、民主主義の歴史においても大きな意味を持つことをぜひ御理解いただきたいと思います。
そして最後に1点だけ、県民投票は今申し上げたような歴史的、社会的な意味を持つだけではなくて、翁長知事の遺志を継いで謝花副知事が職務代理者として行った埋立承認処分の撤回、この問題についても大きな法的な意味を持っております。県知事選挙後に埋立承認の撤回について何らかの国からの法的な措置がとられると思いますけれども、必ずや県民投票の中で生まれた民意は裁判においても意義を持つものとなると思います。
終わります。
○議長(新里米吉) 条例制定請求代表者の意見陳述は終わりました。
休憩いたします。
午前11時33分休憩
午前11時34分再開
○議長(新里米吉) 再開いたします。
この際、お諮りいたします。
乙第1号議案は、米軍基地関係特別委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新里米吉) 御異議なしと認めます。
よって、乙第1号議案は、米軍基地関係特別委員会に付託の上、審査することに決定いたしました。
――――――――――――――
○議長(新里米吉) 次に、甲第1号議案については総務企画委員会に、乙第2号議案については土木環境委員会にそれぞれ付託いたします。
―――――◆・・◆―――――
○議長(新里米吉) この際、日程第5 議員派遣の件及び日程第6 議員派遣の件を一括議題といたします。
――――――――――――――
〔議員派遣の件 巻末に掲載〕
――――――――――――――
○議長(新里米吉) お諮りいたします。
ただいまの議員派遣の件2件は、それぞれお手元に配付の「議員派遣の件」のとおり、議員を第18回都道府県議会議員研究交流大会及び地方議会活性化シンポジウム2018へ派遣することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新里米吉) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
――――――――――――――
○議長(新里米吉) 次に、お諮りいたします。
ただいま可決されました議員派遣の内容に今後変更を要するときは、その取り扱いを議長に一任することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新里米吉) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
――――――――――――――
○議長(新里米吉) 委員会審査のため、暫時休憩いたします。
午前11時35分休憩
午後4時14分再開
○議長(新里米吉) 再開いたします。
先ほど島袋大君外13人から「沖縄県庁内施設における地方公務員法及び公職選挙法に抵触する行為等の調査に関する動議」が提出され、所定の賛成者がありますので動議は成立いたしました。
提出の際提出者から、当該動議については緊急を要する事件と認め、日程に追加して審議してもらいたいとの要望がありました。
この際、お諮りいたします。
本動議は、緊急を要する事件と認め、この際日程に追加して審議することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(新里米吉) 起立少数であります。
よって、本動議については、緊急を要する事件と認め審議することは否決されました。
――――――――――――――
○議長(新里米吉) 次に、総務企画委員会に付託いたしました甲第1号議案及び土木環境委員会に付託いたしました乙第2号議案並びに米軍基地関係特別委員会に付託いたしました乙第1号議案のうち、乙第2号議案については、先ほど土木環境委員長からお手元に配付の委員会審査報告書が提出されました。
また、甲第1号議案及び乙第1号議案については、先ほどそれぞれの委員長から、会議規則第82条の規定によりお手元に配付いたしました申出書のとおり閉会中の継続審査の申し出がありました。
この際、お諮りいたします。
乙第2号議案を日程に追加し議題といたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新里米吉) 御異議なしと認めます。
よって、乙第2号議案を日程に追加し議題とすることに決定いたしました。
―――――◆・・◆―――――
○議長(新里米吉) 乙第2号議案を議題といたします。
本案に関し、委員長の報告を求めます。
土木環境委員長新垣清涼君。
――――――――――――――
〔委員会審査報告書(条例) 巻末に掲載〕
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〔土木環境委員長 新垣清涼君登壇〕
○土木環境委員長(新垣清涼) ただいま議題となりました乙第2号議案の条例議案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
委員会におきましては、土木建築部長の出席を求め慎重に審査を行ってまいりました。
以下、審査の過程における執行部の説明について申し上げます。
乙第2号議案「建築基準法施行条例の一部を改正する条例」については、建築認定等の申請手数料の徴収根拠を定める必要があるため条例を改正するものである。
主な内容は、接道規制について、建築審査会の同意を要しない手続の規定及び手数料の追加、仮設興行場等の仮設建築物の設置許可の特例規定及び手数料の追加であり、施行期日は公布の日または政令で定める日のいずれか遅い日になるとの説明がありました。
以上が委員会における説明等の概要でありますが、採決の結果、乙第2号議案の条例議案は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、審査の経過及び結果を申し上げましたが、よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして報告を終わります。
○議長(新里米吉) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新里米吉) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより乙第2号議案を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新里米吉) 御異議なしと認めます。
よって、乙第2号議案は、原案のとおり可決されました。
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○議長(新里米吉) 次に、お諮りいたします。
閉会中の継続審査の件を日程に追加し、議題といたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新里米吉) 御異議なしと認めます。
よって、閉会中の継続審査の件を日程に追加し、議題とすることに決定いたしました。
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○議長(新里米吉) 閉会中の継続審査の件を議題といたします。
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〔閉会中継続審査及び調査申出書 巻末に掲載〕
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○議長(新里米吉) お諮りいたします。
総務企画委員長及び米軍基地関係特別委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新里米吉) 御異議なしと認めます。
よって、両委員長から申し出のとおり閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。
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○議長(新里米吉) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
今期臨時会の議会活動状況は、後ほど文書をもって報告いたします。
以上をもって本日の会議を閉じます。
これをもって平成30年第6回沖縄県議会(臨時会)を閉会いたします。
午後4時20分閉会