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平成26年(2014年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 7月 1日
金城 勉
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最近は、国政及び県政においても数々の重要課題が出て、さまざまな議論を呼んでおります。
そこで、きょうは質問の前に若干所見を申し上げて質問に入っていきたいと思います。
きのう我が沖縄県議会において緊急動議が提出され、「集団的自衛権行使を容認する解釈変更の慎重審議を求める意見書」が可決されました。我々公明会派も意見書に賛成をいたしました。マスコミ報道によりますと、本日午前中にも与党協議で合意され、午後には閣議決定される見通しとのことであります。
私は、素朴に疑問に思うのですが、これほど重要なテーマをなぜ性急に事を進めるのか極めて不可解であります。
集団的自衛権の問題について、国防の観点から行使容認することは抑止力を高めることにつながるから速やかに解釈変更をすべきであるという意見がある一方、行使容認は戦争につながるおそれがあるから絶対に認めてはいけないという意見もあります。マスコミもそれぞれの立場から賛成論、反対論を展開しております。まさに国論を二分するほどの重要なテーマであります。
集団的自衛権と個別的自衛権の由来は、国連憲章第51条に規定された自衛権の概念であります。国連憲章第51条には、「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」として、国連加盟国は個別的自衛権及び集団的自衛権の両方の権利が保障されております。
御承知のように個別的自衛権は、自分の国が他国から攻撃を受けた場合、実力をもって攻撃を阻止し自分の国を守る権利であり、集団的自衛権は、自分の国が攻撃されていなくても自国と密接な関係にある外国が攻撃された場合、協力して相手の攻撃を阻止する権利を言います。
国連憲章第51条によれば日本も個別的自衛権、集団的自衛権の両方の権利を有していることになります。しかし、日本の場合、戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を規定した憲法9条に照らし、集団的自衛権の行使は認められないと規定してきたのであります。それは1972年、田中内閣のときの政府見解に明確であります。すなわち、「わが憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処をする場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と明確であります。
以来四十余年、国会論議を経て守り続けてきたことが専守防衛という日本の国是であります。
安倍政権は、尖閣問題や朝鮮半島情勢を引用しながら、安全保障環境の変化を強調し、集団的自衛権の行使容認が必要だと主張しております。しかしそれは、個別的自衛権と集団的自衛権を混同した議論であると考えます。尖閣諸島は日本の領土であり、万一の場合は個別的自衛権を行使することで領土防衛の行動はとれるわけであります。北朝鮮からのミサイル攻撃も国土防衛という意味で個別的自衛権の範疇であります。
日米安保条約第5条には「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」とあるとおり、米国も尖閣諸島が安保条約の適用範囲にあることは認めているわけであります。
したがって、そうした尖閣問題や朝鮮半島情勢問題をてこにした集団的自衛権行使容認の議論というのは、筋が違うと言わざるを得ません。
また、「権利があるのに行使できないのは権利ではない」として、1972年の政府見解に対する異議を唱える主張もあるようですが、この考え方は法律論として初歩的な誤りがあると思います。例えば、二十歳になれば飲酒や喫煙の権利が認められるわけですが、飲酒や喫煙をするかどうかは権利者個々の判断に委ねられているわけで、行使しなくても何の問題もありません。理屈は一緒であります。権利を所有していることと行使することはイコールではありません。
私が最も懸念することは、集団的自衛権の行使容認が日米の軍事的一体化を推し進めるのではないかということであります。自衛隊が米国の言いなりになって、米軍の中の一部隊として取り込まれることはないのか。そうなれば戦闘による犠牲者を1人も出したことのない自衛隊から犠牲者が出るかもしれないということであります。自衛隊員が他国を守るために、殺す、殺されるという現実と直面することを想定しなければなりません。
安保条約のもと軍事的問題について、ほとんど米国の要求をのまされてきた日本の過去の経緯を考えると単なる杞憂とは言えないのであります。
安倍政権は、閣議決定に向けた議論を強引に進めてきました。
「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」からの報告書も踏まえ、自民・公明の与党協議で何としても議論をまとめてほしいという安倍総理の指示を受けて与党協議が進められてまいりました。
私は本来、この集団的自衛権の問題は、憲法9条や13条と密接にかかわるテーマである以上、手順として、憲法論議、96条の改正論議、そして、国民投票という手続を経て、慎重に時間をかけ、国民的議論を展開した上で方向性を決めるべきものであると考えます。
しかし、安倍総理は年末の日米防衛協力ガイドライン協議に間に合わせるべく、何が何でも閣議決定を断行しようとしております。
こうした動きを背景に、公明党に対し集団的自衛権行使を容認するようなことがあってはならない、安倍政権のブレーキ役を果たせ、それができなかったら政権を離脱せよなどなど、支持者や国民から多くの厳しい意見が寄せられております。
一方、この集団的自衛権問題の議論の経緯を見るとき、実に残念なことは、チェック機能を果たすべき野党が全くその役割を果たせていないことであります。今日、そのことが日本の政治の厳しい課題であります。その結果、勢い公明党に対する過分な期待になったり、逆に過分に厳しい批判にもなっているわけであります。
私は推測するのですが、公明党は今の政治状況では政権離脱をしたくてもできない状況ではないかと思います。もし、公明党が離脱したとしたら、単独で政権運営ができない自民党はほかの野党と連携せざるを得ません。そうなると維新やみんな、あるいは結の党などと政権を組む、そういうことがなされた場合、恐らくブレーキの壊れた車が制限速度も無視して暴走するような事態にならないか懸念するわけであります。それこそ最悪のシナリオではないでしょうか。だからこそ、政権内に踏みとどまり、議論を重ねる中で公明党の主張をより多く採用させ、最小限の解釈変更に詰めてきたのではないかと考えております。
去る6月28日の公明党全国代表者会議において、我が公明党沖縄県本部は自公合意を経て、閣議決定しようとすることに対し、糸洲代表から、容認しがたい、海外に出て戦争に巻き込まれるようなことのないよう歯どめを明確にしろ、米軍基地の集中する沖縄は万一の場合攻撃のターゲットになるかもしれないなどなど、厳しく問題提起をしたところであります。
公明党本部の情報によりますと、与党協議の中で政府や自民党サイドから数々の提案に対し、公明党側から厳しい注文を連発して、その合意内容は、ほとんど個別的自衛権の範疇に近い内容におさめた、自衛隊が海外に出て戦闘に加わることはない、専守防衛の国是は変わらないというふうに聞いております。それでもなお、私は、今回の合意がアリの一穴になり、将来拡大解釈されていくのではないかという危惧は持っており、今後ともその警戒心は引き続き必要だと考えております。
マスコミ報道によりますと、残念ながら、本日、与党合意、閣議決定という方向になっているとのことであります。あとの流れは、閣議決定を踏まえての国会論議、その次は自衛隊法やPKO法、周辺事態法などの関連法の改正論議が出てまいります。
国政において、野党も含めて徹底した議論を展開して、国民の懸念にしっかり答え、国民が理解できるような方向を導き出してもらいたいというふうに願って質問に入っていきたいと思います。
まず、基地問題についてお伺いいたします。
(1)、米軍基地負担軽減のため、政府に要請した4項目の進捗状況はどうか。
(2)、辺野古移設承認により、移設作業が具体的に進められておりますが、一方で、知事公約の普天間飛行場の県外移設への取り組みはどうか。
(3)、在沖海兵隊のグアム移転計画が二転三転しております。移転人数について2006年合意は「隊員8600人、家族9000人」でありました。それが2012年の合意見直しでは「隊員5000人、家族1300人」に減少しております。また、移転に要する期間も2010年に示した「5年」から去る4月の米国防総省の発表では「12年」というふうに変わっております。この数字の変化や移転の遅延について、県はどのように受けとめ、また、対応しておりますか。
2点目、福祉政策について。
(1)、国保の県移管について。
国民健康保険が2017年度をめどに、市町村から県に移管されるという制度改革が進められております。そのことについて、県としてどのように考えているか。また、保険料はどう変化していくのか。市町村間の保険料格差はどうなるのか。県として、医療需要見込みに対応したサービス提供計画の検討はどうか。
(2)、昨年6月に子どもの貧困対策法が成立しました。
ア、県として、県内における子供の貧困の実態把握はどうか。
イ、貧困家庭の支援のあり方として、教育支援、生活支援、保護者への就労支援、経済的支援などが検討されておりますが、県の取り組みを伺います。
ウ、市町村との連携はどうか。
エ、児童養護施設出身者への支援策について、施設を退所した後、進学・就職の際の資金や住環境、保証人などさまざまな課題は公的支援がぜひ必要であります。県として検討すべきではないでしょうか。
(3)、一括交付金の児童館や母子寮など福祉施設への柔軟運用について、本年3月の沖縄・北方特別委員会で次世代育成支援のために柔軟運用ができるようにとの趣旨の附帯決議がなされております。県としての対応を伺います。
(4)、情緒障害児短期治療施設の進捗状況について伺います。
ア、県はこれまで子供たちの実態調査を実施したことがありますか。
イ、施設設置の必要性について、どう認識しているか。
ウ、議会質問などでの問題提起から約10年、今日まで設置できなかった理由は何か。
エ、待ったなしの状況の中で、今後、開設までのスケジュールはどうか。
(5)、待機児童ゼロに向けて。
ア、昨年度30億円基金を創設しました。今年度の取り組みと改善目標はどうか。また、認可外保育園への給食費助成の拡充計画はどうか。
イ、5歳児問題について伺います。幼稚園の保育時間は基本的に4時間、延長保育の場合、保育料は保護者負担となります。また、幼稚園退園後、学童保育に預けた場合も保護者負担となります。その保育料が負担できない世帯の子供は行き場がなくなってしまいます。この5歳児問題の実態と対策はどうか。
ウ、本年3月、県外でベビーシッターに預けた幼児が死亡するという事件がありました。保育環境の問題や経済的問題などの理由により起こった事件であります。ひとり親世帯や共働き世帯の多い本県でも懸念される問題であります。県内でのベビーシッターの実態はどうか。
(6)、放課後児童クラブの運営について。
ア、公的施設への移行について、実績と市町村教育委員会との調整状況を御説明ください。
イ、県外の放課後児童クラブに比べて、沖縄は、県民所得は低く保育料は高いという実態があります。問題の改善にどのように取り組んでいきますか。
ウ、待機児童の実態と対策について。
エ、放課後児童クラブへの障害児の受け入れ体制について、どのように検討なさいますか。
(7)、難聴児童への補聴器助成について。
これまでも取り上げてまいりましたが、聴力が70デシベル以上の悪い方々は身体障害者と認定され、身体障害者手帳が発行されて助成制度が適用されます。しかし、70デシベル未満30デシベル以上の中度・軽度の皆さんは、その対象になっておりません。
そこで伺います。
ア、他の都道府県で児童福祉法を適用した助成を実施しているところは何カ所ありますか。
イ、補聴器が必要とされる30デシベル以上70デシベル未満の軽度・中等度の難聴児童の補聴器への助成制度を検討すべきではないか。
ウ、県内において、小・中・高校生の軽・中等度の難聴児童の実態はどうか。
(10)、脳脊髄液減少症について。
これまでも何度か取り上げてまいりましたが、一昨年3月に西原町の小学生が体育の授業中に転倒し、後頭部を強打して脳脊髄液減少症を発症する事故が起きました。事故後の対応や連携のまずさから、児童が苦しい生活を余儀なくされた事例がマスコミで報道されました。児童は現在、県外の病院での治療を受けており、身体的にも経済的にも苦しい状況が続いております。今回の事例から、教育現場への意識啓発、医療機関との連携の重要性などが指摘されております。
そこで伺います。
ア、脳脊髄液減少症患者支援の会からの要請事項にどのように対応しますか。
イ、当該児童への補償について進捗状況はどうか。
ウ、西原町での事故をどのように生かしていきますか。
(11)、ニート、ひきこもり、不登校問題について。
「沖縄県子ども若者総合相談センター」の設置について、御説明ください。
(12)、急患輸送でドクターヘリが活躍しておりますが、先島地域の急患輸送について、固定翼機の導入を検討し、まずは実証実験から検討してみてはどうでしょうか。
3、公共交通施策の進捗状況について。
(1)、知事は先日、全国新幹線鉄道整備法を参考にした特例制度創設を要請いたしましたが、具体的内容について御説明ください。
(2)、鉄軌道導入について、国・県それぞれの調査結果のすり合わせ、実施に向けてどのように生かしてまいりますか。
(3)、今後の鉄軌道導入に向けた取り組み、スケジュールはどうか。
(4)、バス交通の機能強化、利用促進に向けた取り組みはどうか。
(5)、バス路線の再編成の取り組みはどうか。
5、教育行政について。
(1)、性同一性障害について伺います。
ア、性同一性障害について、学校現場での実態は把握されているか。
イ、性同一性障害について、学校現場の対応の仕方はどうか。
ウ、学校現場での相談体制はどうか。
エ、そのことが原因となるいじめはないか。
次、いじめ問題について。
ア、県内の小・中・高校におけるいじめの実態はどうか。
イ、いじめ問題への対応は、法律施行後どのように変わりましたか。
ウ、人権意識をどのように育てているか。
6、観光振興について。
(1)、政府は3月28日、沖縄を国家戦略特区に指定しました。今後、特区を具体的にどのように生かしていくのか。
(2)、知事の公約でもある観光客1000万人達成へのロードマップはどのように計画されておりますか。
7、経済振興策について。
(1)、沖縄国際物流ハブについて。
ア、国際貨物取扱量の推移と今後はどのようになっていくか。また、駐機場の課題と対策はどうか。
イ、ロジスティクスセンターの進捗状況及び企業誘致の見通しはどうか。
(2)、「国際物流拠点産業集積地域」について、現行地域に加えて宜野湾、浦添、那覇、豊見城、糸満の地域が指定されました。これまで取り組んできた沖縄市、うるま市が入っておりませんけれども、うるま市、沖縄市も適用すべきではないでしょうか。
航空機整備基地整備事業について。
用地の確保、そして進捗状況、事業開始後の経済効果、雇用効果についてお尋ねをいたします。
8を飛ばして9、防犯対策について。
中城湾港の暴走族対策及び防犯カメラの設置、そして同地域で起こった防護柵の盗難等についてお伺いをいたします。
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