平成13年(2001年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 12月10日
文化環境部長(永山政邦)
 

 県立芸術大学についての御質問にお答えいたします。
 まず、県立芸大のセクシュアルハラスメント問題の経緯について、芸大からどのような報告を受けているのか、また被害者の母親からの訴えについてどのように対応したか、まとめてお答えいたします。
 セクシュアルハラスメント、いわゆるセクハラの被害を受けたという県立芸大の学生とその母親からの訴えが、ことし8月9日にあり、それを受けて担当の文化振興課は、芸大事務局に対し関係者に対する事実の確認等速やかな対応を求めました。その結果、次のような報告を受けております。
 当学生が指導教員からセクハラ及び暴力行為の被害を受けた旨の訴えが平成13年7月13日に芸大事務局長にあり、その報告を受けた学長は、学部長に実態調査と今後の対応策を講じるよう指示したこと、訴えた学生は、8月3日に県行政オンブズマン相談室に芸大でセクハラ被害を受けたとの苦情の申し立てを行い、そのことにより8月13日に県行政オンブズマン相談室から県立芸大に対し苦情に関する調査実施の通知があったこと、芸大は、この問題に対処するため学長命により8月21日に「沖縄県立芸術大学セクシュアル・ハラスメント調査委員会」を設置し、現在まで当委員会を13回開催して申し立ての内容について関係人からの事情聴取等事実関係の調査を進めていること。
 以上であります。
 続きまして、県は今後どのようにして学生の学ぶ権利を保障していくかという御質問にお答えします。
 大学は、学生が性別なく個人として尊重され、生き生きと学び研究するためにその能力を最大限に発揮しやすい教育・研究環境を整える責任があると認識しております。
 セクハラについても、大学当局は配慮を尽くすことが肝要であります。今回のセクハラの訴えがあったことについては、現在、事実関係等を調査中であります。
 県立芸大では、「沖縄県立芸術大学セクシュアル・ハラスメント防止規程」等を制定するなどセクハラ防止に努めているところであります。今後とも、教員と学生が対等・平等な関係で快適に修学することができる教育環境の確保に努めてまいります。
 続きまして、予算は適切に執行されているか、出張旅費、楽器購入費は適正かとの御質問にお答えします。
 予算の執行に当たっては、法令に適合し合理的かつ健全に行われているか、また財産の取得・管理は適正に行われているかなどに留意して執行しております。
 平成12年度の予算執行済み額は、旅費については4659万6000円、楽器購入費については657万6000円となっております。
 主な支出内容といたしましては、旅費については学外研究の引率、教育・研究調査や資料の収集等であります。楽器購入費については弦楽器、三味線等の購入であります。いずれも適正な予算執行がなされております。
 続きまして、備品の楽器メンテナンスと使用状況についてどのような管理体制がとられているかについてお答えいたします。
 授業や演奏会に使用する楽器は、常に良好な状態を保つ必要があります。このため、日常的なメンテナンスのための修繕、調律等、例えばピアノは定期的に年2回、管楽器は随時でございますが調律等を行っております。また、これらの楽器やピアノ、弦・管・打楽器はそれぞれの専攻コースの主任教授のもとで管理がなされております。
 次に、適正規模での学生の留学があるか、学生の定員と入学、退学について5年間の実態はどうなっているかについての御質問にお答えいたします。
 大学の定員は、文部科学省の大学設置基準により適正規模の定員が定められています。
 県立芸術大学の学部定員は、美術工芸学部が65人、音楽学部が40人で両学部合わせて105人となっています。
 平成8年度から平成12年度までの5年間における両学部の入学者数及び退学者数は、入学者が546人、退学者が38人となっています。
 退学者の推移を見てみますと、平成8年度5人、9年度11人、10年度7人、11年度6人、12年度9人で、年平均では7.6人になっております。
 退学の理由としては、進路の変更が19人(50%)と最も多く、次いで経済的な理由が、就職、育児や学業意欲の欠如などとなっております。
 続きまして、芸大教官採用の基準についての御質問でございます。
 国立・公立大学の教員の採用は、教育公務員特例法第4条において選考により行うこととされております。その選考は、「評議会の議に基づき学長の定める基準により、教授会の議に基づき学長が行う。」こととされております。
 県立芸大においては、昭和62年2月19日に制定した「沖縄県立芸術大学教員選考基準」により行っております。この選考基準は、教授、助教授、講師及び助手のそれぞれについて学位、経歴、研究上の業績、特殊技能等の要件が定められておりまして、これに基づいて選考が行われております。
 続きまして、教官の中には本土他府県に自宅があり、翌日帰宅のため講義を深夜まで行うこともあると聞いているが、事実はどうかという御質問でございますが、そのような事実は確認されておりません。
 続きまして、学生への奨学資金制度はどんな状況かという御質問でございます。
 県立芸大の学生が活用している奨学資金としては、沖縄県立芸術大学芸術振興財団奨学金を初め日本育英会の奨学金や沖縄県国際交流・人材育成財団奨学金等があります。最も多く活用しているのは日本育英会の奨学金で、学部においては132名、大学院の修士課程においては20名、博士課程においては1名の学生が活用しております。在学学生数の約28%の学生が日本育英会の奨学金の貸与を受けている状況であります。
 続きまして、芸大設置後16年になるが、運営管理についてどんな評価がなされているか、その改善点はどうかという御質問でございます。
 県立芸大は、昭和61年の開学以来、大学の目的及び社会的使命を達成するため県内外から優秀な教職員を配置し、施設・設備を整備するなど教育・研究水準の向上及び教育・研究環境の充実・強化を図ってまいりました。
 大学は、教育・研究活動等の状況についてみずから点検及び評価を行うことが大学設置基準により定められていることから、県立芸大におきましても開学15年を契機として、ことしの3月にこの間の教育・研究活動の状況についてみずから点検評価を行い、学内外における公開講座等の積極的な拡大と充実、敷地の問題、老朽校舎の改築、進路変更等に対する適切な対応等大学の持つ現状と課題について取りまとめを行ったところであります。県立芸大では、この結果を大学運営に生かしつつ、今後の大学の教育・研究の実績に対する検証を厳正に行い、活力に富み個性豊かな大学づくりに努めることとしております。
 続きまして観光振興について、エコツーリズムの具体的な事業の展開についての御質問でございます。
 エコツーリズムは、地域の自然及び文化を保全しつつ観光産業の振興を図ることができるため、自然保護の立場からも積極的に推進していきたいと考えています。そのため、自然教育活動や自然観察会、エコツアーなどの自然体験活動において自然の仕組み、自然と人とのかかわりや接し方などについての知識を持った指導者の人材の確保・育成、資質の向上を図ることを目的として「自然体験活動指導者養成事業」を実施しております。平成11年度から本年度まで自然体験活動指導者を71名養成しております。その指導者には、「やんばる自然体験活動憲章」の普及や自然環境を破壊せずに自然や文化を楽しむ、環境との調和を重視した旅行形態の展開に活躍することを期待しております。
 以上であります。

 
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