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平成13年(2001年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 12月 6日
知事(稲嶺惠一)
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外間盛善議員の御質問にお答えをいたします。
最初は、故瀬長亀次郎、故西銘順治両氏への評価についてのお答えでございます。
故瀬長亀次郎氏は、戦後の米軍統治下の厳しい時代から政治活動を続けられるとともに、70年の初の国政選挙に当選以来19年の長きにわたって衆議院議員を務められるなど、本県の振興発展のために御尽力をいただきました。
故西銘順治氏は、沖縄県知事を3期務められるなど本県の戦後処理問題や基地問題の解決に御尽力され、また沖縄コンベンションセンター、県立芸術大学の設置、海邦国体及び第1回世界のウチナーンチュ大会の開催など、今日の沖縄の振興発展の基盤となるすばらしい成果を上げられました。
このように両氏は、本県の振興発展に御尽力された戦後沖縄を代表する政治家だと評価しております。
次に、選挙時の知事公約の進捗状況について、知事の自己採点はどうか、(3)、1期目の総仕上げの抱負についての3点の御質問を一括してお答えいたします。
私は、3年前、広く県民の立場に立って経済や基地の問題を初めとする沖縄の現実としっかり向かい合い、沖縄問題を解釈するためではなく解決するために、また県民の夢や希望を語るだけではなく実現するために多くの県民の皆様の御支持を得、知事に就任させていただきました。以来、問題解決のできる実行型県政の実現を目指し公約の実行に真摯に取り組んでまいりました。
これまで沖縄振興特別調整費等を活用した施策の推進、航空運賃の低減化、情報通信産業等の企業誘致による雇用創出など産業振興に努めるとともに、3歳未満児医療費の無料化、総合福祉センターの建設など県民福祉の向上にも努めてまいりました。また、サミット首脳会合の開催、大学院大学設置に向けた取り組みの具体化など公約のほとんどについて実現または着手しており、多くの実績を上げつつあるものと考えております。
しかしながら、昨今の国内外の社会経済状況は大変厳しく、本県においても産業振興、雇用情勢の改善、基地問題など今なお取り組むべき多くの課題を抱えております。特に、当面は観光誘客や雇用創出に向けたさまざまな施策を強力に推進するとともに、これからの沖縄振興の根幹となる沖縄振興新法の実現や沖縄振興新計画の策定に向け全力で取り組んでまいりたいと考えております。今後とも広く県民の立場に立って、21世紀のあるべき沖縄像の実現に向けて一歩一歩着実に公約を実行し、県民が喜びを実感できる沖縄を築いてまいりたいと思っております。
なお、自己採点ということでございますけれども、私は、評価はこれは皆様がするべきだと思っております。ただ、私自身の能力からすれば、これは100%以上の努力を重ねているということは自認しております。
続きまして、選挙時の知事公約の進捗状況について、2期目出馬への決意表明についてでございます。
私は、これまで県民の視点に立って沖縄の自立的な発展を目指し経済振興策の強化や基地問題の解決、政府との信頼関係の強化等を基本施策として掲げ、公約の実現と県民福祉の向上のため誠心誠意取り組んでまいりました。
幸い、県民の皆様を初め国、県議会、県内外の各界各層の方々の多大な御支援、御協力を賜り公約の大半を実現または着手することができました。しかしながら、本県は経済の自立化や広大な米軍基地の存在など今なお解決しなければならない多くの課題を抱えております。特に、今年度は新しい時代を見据えた沖縄振興新計画の策定及び沖縄振興新法の制定や基地問題等の解決に向けた重要な時期であります。私としては、残された課題を解決し県民が夢と希望を持ち喜びを実感できる沖縄を築くため、全力で県政運営に当たってまいりたいと考えております。
次に、沖縄振興新法と沖縄振興新計画の策定について、新法制定に向けた取り組みと今後のスケジュールについてのお答えでございます。
新法の制定に向けては、内閣府において税制及び法制担当当局との事務レベルの詰めの作業が行われております。また、自由民主党税制調査会において平成14年度税制改正に関する調査・審議が12月中旬の取りまとめをめどに進められているところです。
こうしたことから、県としては去る11月27日から2日間、沖縄担当大臣、自由民主党税制調査会会長、関係国会議員を初め関係各位に対し沖縄振興関係税制改正に関する要請を行ったところです。また、12月4日には県内経済36団体を中心に県、県議会、市町村長、国会議員など総勢1000人を超える参加者が結集した「沖縄振興関係税制特別措置実現東京大会」が開催されるなど、県民一体となった強力な取り組みを展開しております。
今後のスケジュールとしては、年末までに税制等の取り扱いに関する政府案が取りまとめられ、年明けには新法案が閣議決定を経て通常国会に提案される見通しとなっております。
同じく新法並びに新計画についての御質問のうち、沖振法で不十分な点への措置についてという御質問と、一国二制度的な新規特別措置についての2つの御質問を一括してお答えいたします。
本県の振興開発は、本土復帰以来、沖振法に基づく高率補助制度により道路、空港等の社会資本や生活環境施設、教育施設等の整備が進展するなど大きな成果を上げています。
しかし、産業振興や基地跡地の利用促進等に関しては、沖振法における制度が必ずしも十分でなかったものと認識しております。
このため、県においてはこれらの分野の強化について強く要請してきたところ、内閣府の新法骨子案において観光や情報通信産業振興のための税制等の拡充・強化、観光振興計画など分野別計画の策定、駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化のための特別措置の創設等が盛り込まれております。また、本県独自の大胆な制度として特定情報中枢機能振興地区制度や金融業等集積促進地区制度の創設、現行法にある沖縄型特定免税店制度や特別自由貿易地域制度の拡充が示されております。
次に、同じく新法、新計画についてのうち、高率補助制度の継続の見通しについての御質問にお答えいたします。
魅力ある地域特性の発揮と不利性の克服による本県の振興発展を図るためには、産業の振興や国際交流拠点の形成等のニーズに対応した社会資本の整備を今後とも積極的に進めていく必要があり、県においては高率補助制度の継続を強く国に求めてきたところであります。こうした県の要望を踏まえ、内閣府の新法骨子案においては沖縄振興新計画に基づく事業に係る国の負担または補助の割合の特例を講ずることが示されており、高率補助制度は新法に継承されていくものと考えております。
次に、農業問題について、JAの合併の現在の状況はどうか、次の進捗状況について、この2点は関連しますので一括してお答えいたします。
県単一JA合併構想は、農業を取り巻く厳しい社会経済環境の変化に対応し強固な経営基盤を確立するため、平成13年3月の第16回JA沖縄大会において決議されたものであります。
JA沖縄グループでは、同構想を実現するため県下全JAの代表者で構成する合併推進本部委員会を設置しております。同本部委員会のもとでこれまで経営困難JAの赤字処理、合併に向けた財務調整、合併後の経営計画の樹立等に取り組んできたところであります。
合併の進捗状況については、去る11月13日に開催された合併推進本部委員会において、合併JAの組織体制、事業運営、合併経営計画等基本的な事項が合意されたところであります。
現在、合併推進本部においては、来る12月17日の合併予備契約の調印に向けて各JAの役職員及び組合員に対する説明会を集中的に行っているところであります。県としても、県単一JA合併の実現に向けて積極的に支援する考えであります。
次に、同じく農業問題についてのうち、農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムの進捗状況はどうなっているかのお尋ねに対してお答えいたします。
農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムは、国際化に対応した活力ある農林水産業の振興を図るため重点的に推進すべき施策の基本方向を示したものであり、平成11年度から5年間の計画で推進しているところであります。
これまでの主な成果としては、1、園芸作物については、国内における冬春期の供給産地として生産拡大が図られ、これまでサヤインゲン、輪菊、マンゴーなど7つの拠点産地が形成されております。
さとうきびについては、借地型大規模経営体である生産法人の育成に取り組み、現在26の法人が設立されるなど農地の利用集積による規模拡大、機械化による省力化・低コスト化が図られております。
畜産については、肉用牛が国内有数の子牛供給産地として評価されており、飼養頭数が8万頭を超えるなど生産も拡大傾向にあります。
林業については、県産材の活用や熱帯性早生樹種の育成などに取り組んでおります。
水産業においては、モズク、クルマエビが全国一の供給産地を形成するなど進展してきております。また、おきなわスギやヤイトハタの種苗生産技術の確立により養殖業の発展が期待されております。
次に、新技術の開発としては、天敵昆虫を利用した防除技術、畜産における受精卵移植技術及びウイルスフリーの母エビ養殖技術などが確立されております。今後とも地域特性を生かした活力ある農林水産業の振興に努めていく考えであります。
次に、本県の観光振興についての御質問、今後の観光振興策と次年度予算についてお答えいたします。
観光・リゾート産業は、本県経済を牽引するリーディング産業であり、県としては「新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方」においても観光の振興を重要な施策として位置づけ、「総合的な国民保養の場を形成するとともに、コンベンションをいかした観光・リゾート地として、多様なニーズに対応した通年・滞在型の国際的な観光・リゾート地の形成を図る。」こととしております。今後とも県民の観光・リゾート産業に対する理解を深め、県、業界及び県民一体となって観光の振興を推進してまいります。
なお、テロの影響による誘客キャンペーンなどの支援策に関しては、今後とも引き続き強化してまいりたいと考えております。次年度における観光関連予算についても、より一層の事業展開を図るべくその拡充に努めてまいりたいと考えております。
次に、県立高度多機能病院(仮称)の建設計画についてのうち、新病院計画の概要についてとの御質問と、建設計画の進捗状況についての2点を一括してお答え申し上げます。
本県は、7つの県立病院、18の附属診療所を運営しており、県内医療に大きな役割を果たしております。
新病院計画は、本県の南部保健医療圏において高度医療や救命救急医療、母子総合医療等に対応できる病院の整備が求められていることから、那覇病院の改築を機に新たに高度で多機能を有する病院を整備することとしたものです。
新病院では、1、24時間体制で救命救急医療を行う、2、周産期から小児期全般にわたる総合的で高度な医療を行う、3、急性期疾患に対応するチーム医療を行う、4、地域の中核病院として高度・特殊医療を行う、5、離島医療の総合的な支援を行うことなどを計画しており、高度化、多様化する県民の医療ニーズにこたえていきたいと考えております。
新病院計画の現段階での概要を申し上げますと、全体の病床数は434床で、このうち30床程度を救命救急センター、120床程度を母子総合医療センターとして整備する計画であります。建設場所は、南風原町新川の県農業試験場の圃場約5万7000平米を予定しており、平成13年度から14年度にかけて設計業務を行い、平成14年度から17年度で施設を整備し、平成18年度の開院を計画しております。また、用地取得費、工事費等を含む概算事業費は212億円程度となっております。
なお、現在、指名プロポーザルによる基本設計、実施設計の発注について平成14年2月の委託契約に向けての作業を進めているところであります。
次に、産業立地と雇用失業問題についてのうち、企業誘致活動の成果と現状についての御質問と、知事に就任後の企業誘致と雇用効果の件についての御質問を一括してお答えします。
私は、就任以来3年間、産業の振興と雇用の創出を重要課題の一つとして取り組んでまいりました。
企業の誘致については、東京、大阪等県外での説明会や米国における企業訪問を初め経団連等の経済団体や企業のトップと直接お会いして沖縄への進出・協力をお願いしてまいりました。加えて、企業誘致の総合窓口として企業立地推進課を設置するとともに、県の東京・大阪事務所に企業誘致対策監を配置するなど企業誘致体制を強化してまいりました。
情報通信産業については、平成11年度から実施した通信コストの低減化支援事業等によりコールセンターを初めコンテンツ制作やソフトウエア開発企業等の立地が相次ぎました。
立地企業の中には、インターネットや金融関連などの世界的な企業の進出も見られるなど情報通信産業の集積が進んできております。情報通信産業は、これまで戦略的産業として振興を図ってきたところであり、本県の産業経済を牽引する中核的産業としての形成が進展しつつあるものと考えております。
また、製造業についても平成11年3月に指定された特別自由貿易地域に医療機器用半導体製造企業、光ファイバー関連デバイス製造業等の先端技術型製造業の立地や、中国、ベトナムなどの近隣アジア諸国をマーケットとするオートバイの組み立て・製造企業が進出するなど、これまでの沖縄にはなかった新たな分野の企業が立地しており、加工交易型産業の振興が図られつつあります。
その結果、私が就任以来、新たに42社が立地し約3200人の雇用が創出されました。今後とも私みずから先頭に立って企業の立地を推進し、雇用の創出に努めてまいりたいと考えております。
次に、産業立地と雇用失業問題についてのうち、一層の悪化が懸念される雇用環境への対策についてお答えをいたします。
本県の10月の完全失業率は9.3%と、9月の9.4%に引き続き厳しい状況にあります。また、同時多発テロ事件に伴う観光関連産業における雇用面の影響も懸念されることから、今後の雇用状況も予断を許さないものと考えています。
県としては、現下の雇用経済状況への適切な対応を当面の最大の課題と位置づけ、去る11月21日に沖縄県緊急雇用対策本部を開催し、本年度中に実施する緊急対策と次年度以降取り組む中期的対策を内容とする「沖縄県総合雇用対策」を策定したところであります。
本年度中に実施する緊急対策としては、経営と雇用に関する緊急制度説明会の開催、総合相談窓口となる「労働110番」の設置、民間職業紹介と連携した企業説明会の開催、求人企業を活用した職業訓練の実施、関係機関が連携して経済雇用問題に取り組むための緊急経済雇用問題関係機関等連絡会議の開催等を既に実施しております。
また、今後、求人規模の大きい産業分野を対象とした企業説明会や公共職業訓練の修了者等を対象とした合同面接会等を開催する予定であります。さらに、今回国の特段の配慮により全国枠3500億円の2%に相当する70億円の配分を受けた「緊急地域雇用創出特別交付金」についてもこれを最大限に活用し、当面の雇用の確保に全力で当たりたいと考えております。そのため、観光関連の事業を中心に12月補正予算にも交付金事業を計上しているところであり、予算成立後速やかに実施してまいります。
中期的対策としては、賃貸工場や高速・大容量通信回線の利用環境の整備等により企業誘致等を推進するとともに、創造的企業支援事業、ベンチャー投資事業及びオキナワ型産業支援事業等を実施して新事業やベンチャー企業の創出を図ってまいります。また、経営革新支援事業や沖縄産学官共同研究推進事業等を実施して既存製造業の振興を図ってまいります。これらの施策等の展開により産業振興と一体となった雇用の創出を図ってまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
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20010602020030